1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月二十七日(火曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 小川 平二君
理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君
理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君
理事 堀 昌雄君
足立 篤郎君 伊藤 五郎君
宇都宮徳馬君 岡田 修一君
金子 一平君 永田 亮一君
濱田 幸雄君 藤井 勝志君
坊 秀男君 吉田 重延君
岡 良一君 佐藤觀次郎君
芳賀 貢君 広瀬 秀吉君
藤原豊次郎君 武藤 山治君
横山 利秋君 春日 一幸君
出席政府委員
大蔵政務次官 天野 公義君
大蔵事務官
(主税局長) 村山 達雄君
委員外の出席者
大蔵事務官
(大臣官房財務
調査官) 松井 直行君
大蔵事務官
(国税庁直税部
資産税課長(心
得)) 星川 辰治君
農林事務官
(農地局管理部
長) 丹羽雅次郎君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 大村 襄治君
専 門 員 抜井 光三君
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二月二十六日
委員芳賀貢君辞任につき、その補欠として高田
富之君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員高田富之君辞任につき、その補欠として芳
賀貢君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十三日
公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する
法律案(内閣提出第六二号)(参議院送付)
二月二十七日
国税通則法案(内閣提出第一〇三号)本委員会
に付託された。
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本日の会議に付した案件
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七八号)
国税通則法案(内閣提出第一〇三号)
相続税法の一部を改正する法案律(内閣提出第
一三号)
印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一四号)
トランプ類税法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/0
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001・小川平二
○小川委員長 これより会議を開きます。
租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/1
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002・小川平二
○小川委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/2
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003・天野公義
○天野政府委員 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
政府は、昭和三十七年度税制改正の一環として、さきに提案いたしました通行税法の一部を改正する法律案等に引き続き、この法律案を提出いたす次第であります。
以下、との法律案について、その概要を申し上げます。
第一に、現下の経済情勢に顧み、貯蓄奨励の見地から利子所得についての分離課税の特例及び配当所得の源泉徴収税率の軽減措置をそれぞれ一年間延長することとしております。
第二に、既成市街地における防災建築街区の造成に資するため、防災建築街区造成組合に土地等を現物出資した場合に、防災建築街区造成組合が防災建築物を建築した後その出資者に出資の払い戻しとして返還したときは、払い戻しを受けた部分については、譲渡が行なわれなかったものとして譲渡所得の課税をしないこととし、一方出資を受けた防災建築街区造成組合については、その土地の所有期間に生じた値上がり益について法人税の課税を行なわないこととしております。
また、一般住宅事情の緩和に資するため、貸家の用に供する新築または増築住宅についての特別償却制度の適用期間を三年間延長することとしております。
第三に、公共事業の施行にあたり収用する土地の上にある建物、構築物等の取りこわしの場合の補償金、または長期にわたる土地等の使用の場合の補償金について、収用の場合の課税の特例と同様その譲渡所得について課税の特例を認めることとしております。
第四に、航空機の乗客に対する通行税の軽減税率を一〇%から五%に引き下げることとしております。すなわち、通行税については、間接税全般との調整をはかり、さきに提案いたしました通行税法の一部を改正する法律、案において、現行の二〇%の税率を一〇%に引き下げることとしておりますが、これとの関連から航空機の乗客についての一〇%の軽減税率を五%に引き下げることといたしたのであります。
第五に、中小企業の育成及び産業助成の見地から登録税について必要な軽減措置をはかっております。すなわち、農林中央金庫及び商工組合中央金庫が発行する長期の農林債券及び商工債券の発行についての登記の登録税、外航船舶の保存登記及びその建造資金の貸付による抵当権の取得登記についての登録税、漁業協同組合が都道府県知事の勧告を受けて合併する場合の合併により取得する土地及び漁船の取得登記の登録税、防災建築街区造成組合が取得する土地の取得登記の登録税、居住用家屋についての登録税等につきまして、税率の引き下げ等を行なうこととしております。
第六に、わが国の外貨資金の状況により緊急な必要性に基づいて国または日本銀行が借り入れる外貨借入金につき支払われる一定の利子について課税を免除することとし、また、内国法人等が支払う一定の外貨借入金等の利子について、三年間に限り二〇%の源泉徴収税率を一〇%に引き下げることとしております。
第七に、自己の研究にかかる工業所有権等を第三者を通じて輸出した場合に、その提供者について輸出所得控除を認めることとするとともに、その輸出取引を行なった第三者についても一般の物品輸出の場合と同様の輸出所得控除ができることとする等所要の規定の整備を行なっております。
以上のほか、所得税法及び法人税法における非居住者等の課税の規定の整備に関連して、利子所得等にかかる規定の整備をはかることといたしております。
以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の大要を申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/3
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004・小川平二
○小川委員長 これにて提案理由の説明は終りました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/4
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005・小川平二
○小川委員長 次に、相続税法の一部を改正する法律案、印紙税法の一部を改正する法律案及びトランプ類税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
質疑の通告があります。これを許します。広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/5
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006・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 主税局長にお伺いいたしますが、相続税の課税の客体である財産価格、これを種類別に見て、土地あるいは建物その他の有体動産あるいは有価証券というような、いろいろ項目があると思うのですが、そういうものをごく最近の数字でお示しをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/6
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007・村山達雄
○村山政府委員 三十五年の実績で申し上げますと、人員で二万九千四百五十五人でございまして、財産価額で六百九十九億七千五百万でございます。財産の種類別に、これはウエートで申し上げますと、土地が四八・八%であります。それから建物が二・四%、専業用財産が四・七%、有価証券一七・九%、預貯金六・三%、それから家庭用財産二・一%、その他の財産八・八%、大体そういう構成比率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/7
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008・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その際に、三十四年度、三十三年度というふうに、前年度、前年度とずっとたどっていきまして、そのウエートの変化の状況を、大ざっぱで、一々パーセンテージを上げなくてけっこうですから——私は、現在の土地の仕上がりブームということが非常に大きく響いて、その点が出ていると思うのですが、そういう傾向についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/8
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009・村山達雄
○村山政府委員 手元にありますのは、三十三、三十四、三十五年度でございます。ただいま申し上げましたのは三十五年でございますが、土地の構成比率はおっしゃるように若干上がってございます。三十四年で四四・八%いっておりましたが、三十三年では四一・九%でございます。この辺に土地の値上がりの状況が若干反映していると思います。建物につきましては今あまり上がっておりません。建物の価額指数は、その点がありまして、総体的には下がっております。ただいま一一・四%と申しましたが、二年前の三十三年では一四・七%でございます。それからおもだったところを申しますと、有価証券はほとんど同じでございます。一七・九%が二年前におきましては一八%、それから預貯金も同じでございます。六・三、六・三でございます。ですから通じて申しますと、土地が若干上がって、建物の比率が若干下がったように、統計上から見受けられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/9
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010・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 土地が相続税の課税標準の相当な部分を占めて、約五〇%にも近づきつつあるわけでありますが、私どもはやはり農地の問題について——土地が値上がりした都市の周辺で、工場がどんどん建ってくるという場合に、その回りで、しかもそれ以上広がらぬだろう、相当将来にわたっても農耕地であるだろうと思われるようなところも、やはり賃貸価格の倍率、税務署で使っている倍率なんかも、そういう回りの土地の値上がり——しかし現実にはちゃんとそこは農地で、相当長期にわたっても農地であるだろうというようなところまで、やはり評価の倍率というものが相当上がっている可能性があるだろうと思うのです。ところがそういう場合でも、回りが上がったからといって、そこで農耕を営んでいる間は、別に米がよけいとれることになったわけでもないし、野菜がよけいとれることになったわけでもない。それにもかかわらず、やはりそういうところの倍率がだんだんに上がってくるというようなことが現実に行なわれているのじゃないかと思いますが、そういう点、倍率の決定というのはどういう形で、現在使っているものはいつごろきめているものかというようなことについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/10
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011・村山達雄
○村山政府委員 まず倍数の決定でございますが、これは毎年、前年のおよそ十月から十二月までにかけまして、そのときまでの各種の資産の値上がり状況を見まして、それで従来の評価倍数を改定する必要があるかどうかということで、国税庁で毎年検討しております。それが大したことがなければ、ものによりましてはそのままにする場合もありますが、あまり不均衡の場合には、やはりその趨勢を反映するように倍数を改定いたしまして、それで翌年一月一日以降の相続について適用するというやり方をとってございます。ただいまおっしゃいました、たとえば収益資産についての評価方法はどうかという問題だろうと思います。これは現在におきましては、収益還元価格というものはとってございません。大体売買実例等を中心にいたしまして、その値上がり工合がどんなものであるかということである程度抑えておるというのが実情でございます。ただ先般も申し上げましたように、今日の実際評価しております価格は、売買実例価格に比べますと非常に低い。ものによって違いますが、およそ五割見当ではないかと思います。三十六年でございますと、田も畑も、いずれも五〇%前後でございます。実例価格といたしましては、その辺で評価しておるということでございます。おっしゃるように、収益財産について、収益が上がっていないのに評価を変える問題、あるいは無収益資産につきまして——自分の家屋なら家屋、これは全然個人住宅用でございますので、収益が全然上がっていないわけであります。しかし、そういうものについて評価額をどるするかという問題はあるのでございますが、これはやはりそのときどきの時価で見るというのが原則でございます。ただ実際問題といたしましては、時価一ぱいまでは見ていないので、相当低いところで抑えられておるわけであります。先般の固定資産評価制度調査会の際にもその点が非常に問題になりましたが、結論といたしましては、通常の取引の際の値段によるというようなことで、評価の方式としては従前の方式がやはり採用されているわけでございます。実情はそんなようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/11
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012・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そういう点で、大体実際の売買価格の五〇%前後の評価、全国的にはそういう状況だということが言われたわけですが、しかしこれは大体税務署単位に倍率の決定がされておると思うのです。今、収益還元法をとってないというのでありますが、農地のごときものの評価の場合に、やはりこれは税務署ごとに、米を作っても麦を作っても、野菜を作っても大体同じ状況だというような場合に、農地の評価の際にその間に相当な差がある。たとえば都市周辺で、工場が近くに来た、あるいは道路が近くに通ったというようなことによって、ほとんどその収益には何も関係ないのに、売買価格が非常に極端に、倍にもなったというようなところが実際にあるわけです。そういうようなことを反映して、五
〇%程度だと言いながらも、そういう相互の間の差というようなものにやはり矛盾と不合理がどうしても出てくると思うのですが、そういうような点について何らか考慮——特に農地の場合、そのほかにも収益資産というものがもちろんあると思うのです。今はその他の問題は問題にしないわけですが、農地の場合に、農民の負担というのは、現金収入が特に少ないというような事情もあって、こういう問題について非常に敏感なわけです。そういった点から、その点の矛盾をどう解決さるべきかということについて一つ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/12
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013・村山達雄
○村山政府委員 今とっております評価倍数は、田畑、山林原野等につきましては、これは全国一律の倍数でいっております。それでかけられる基準は、もと、賃貸価格というのがありましたが、全国でいいますと、純農村でございますが、田は平均賃貸価格十七円三十六銭くらいでございます。それから畑でございますと五円十一銭、山林でございますと三十八銭、これはところによってみんな違うわけでございます。昔、例の地租のころあるいは家屋税のころ、それぞれ賃貸価格が盛られておったわけでございます。純農村としては、その後はあまり状況は変わっていないということで、大体これに対します——ですから、その間のバランスは、賃貸価格相互間にとられている、こういう前提で、倍数としては、全国一律でやっております。ただ、おっしゃるように、先ほど申しましたような例、都市近郊でその状況は全く宅地並みである、地目はなるほど田なり畑になっておるだろうが、そこは全く工場になっているというような場合には、これを適用しない、そういうことでやってございます。先ほどの収益還元価格の議論は、今度の三年間の固定資産評価委員会制度での最大の論点だったわけでございます。問題は、収益還元法をとるときに、資本利子を一体幾らに見るのか、労賃の部分はある程度計算できますが、資本利子の利率の見方いかんで、全く客観的な数字は出てこない。いろいろ考えまして、それよりむしろ売買実例を中心に考えていった方がよくないか。ただ言われる点は、いわゆる売買実例というものの中に、まとまった経営面積でもって取引される実例が必ずしもないのだ、たとえば、農家の経営にはどうしても一町くらい必要だとした場合に、実際の売買実例というのはそのうちの一反歩なんだ、そうすると、いわば限界収益還元の価格として売買が行なわれる、それが売買実例に出ている、そういう限界的な売買実例をそのままとることは理論的に無理だ、だから、それは正常の場合に直せば一体幾らになるのかというのが、ある程度算式で出るであろう、だから、いわばそういう場合のいろいろの売買実例を標準として読むときには、その読み方が問題なので、通常の経営面積に直した場合の売買実例としては幾らであるべきか、そういうものとして考える必要はあるけれども、根本的に収益還元方法をとるということになると、非常に恣意的の要素が出てくると思う。ずいぶん専門家でもって議論してみたのですが、なかなか出ないということで、そういうふうに売買実例の読み方に手を加えることによってやれば、その方がより正確に出るであろうというようなことでありました、現行はまだそこまでいっておりませんけれども、宅地等につきましては、もちろん、その後区画整理も進んでおりますので、それぞれ路線価方式でもって、実際にあたってやっております。ただ、純農村とか山の中にそれほど手数をかける必要もないので、従来の賃貸価格はそれなりにバランスがとれているものと考えて、これは国税庁におきまして、大体毎年倍数を全国一律に定めておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/13
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014・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 この問題は、固定資産の評価で、賃貸価格をどのくらいにとるかということも非常に大きな関連があるわけでありまして、それらの問題について、農地の場合にやはりいろいろバランスの問題もあるし、また大体実際の売買価格の半分くらいだというだけで実際よりは低くなっていますというだけでは通用しない面も今日出てきているというような実情に目をつけて、もう少しきめこまかな検討を加えていただきたいと思うわけであります。
それから納税人員が、三十三年ごろからずっと相続税の場合にも非常にふえてきておるわけであります。そういうようなことが、今回の改正の基礎控除あるいは法定相続人の控除、三十万から五十万、百五十万から二百万ということに上げたのだと思いますが、しかし、この相続税の納税人員が三十三年あたりからかなり急ピッチで、ほとんど倍近くにも——倍までもいきませんけれども、七、八割は上がってきたということは、やはり中小財産階層が、相当土地の値上がりなどによって評価の問題をめぐって、今までならば相続税を納めなくてもいいものが、どんどん納めるような状況に入ってきたということを意味するものと思いますが、今回の改正でそういった点についてはすっかり解決済みというだけの自信がおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/14
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015・村山達雄
○村山政府委員 その問題は、一つは死亡件数に対して毎年々々課税割合がどれくらいになっておるかという問題でございますが、今度の改正でどれくらいになるのかというお話でございます。死亡件数は、御案内のように、だんだん平均寿命が伸びまして、減っております。今、三十五年までわかっておりますが、死亡件数が七十万四千件であります。これは昭和十五年当時を見ますと百十七万でございます。それから、ちょっとさかのぼって大正十四年ごろを見ましても百二十万でございます。ですから、その辺ほとんど変わらない。明治の時代になりますと百万、これは人口が少ないというせいもあるのではないかと思います。これに対しまして、課税件数を相続件数に対してその割合がいいますと、最近は、実はおっしゃるのとは逆に年々減ってきております。昭和十五年のときには、百十六万の死亡件数に対して三万三千件の相続件数が課税になりました。二・八%でございます。三十年には、これは現行の相続税の改正前でございますが、これが四・三%に上がっておる。その後三十三年に大改正を行ないまして、三十四年の実績が出ておりますが、一%と下がってございます。もっともこの一%と申しますのは、四十才以上の者の死亡件数に対する割合でございます。総体の死亡件数に対しましては一・三%、十五年でありますと、総体に対して四・三%、四十才以上の者の死亡に対しまして二%程度、四十才以上の者でないと実際は財産を持たないであろうということで、その辺、四十才以上の者の死亡件数に対してどれくらいになっておるかということでございます。従いまして、言ってみますと、死亡件数に対して一%くらいの課税になっておる、こういうことになります。おそらく農家の課税割合といいますのは、全体がいいますと、さらにパーセントはぐっと低いだろうと思うわけであります。大体一%でございますから、これよりもだいぶ下がるだろうと思います。
それから今度の相続税の改正によりまして減収額は約十億程度見込んでございます。課税割合は従来とそう大した違いはなかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/15
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016・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 どうも数字が見当たらないのですが、この租税及び印紙収入予算の説明の中で、相続税の課税人員が二万八千五百七十二人、現行法でいけばこのくらいだろう。改正法では二万三千五十九人くらいいるだろう。約五千人ばかり減る勘定になるわけですが、しかしそのことよりも、昭和三十三年当時に同じこういう工合にして出された数字が一万七千人くらいしがなかった。それが現行法でいけば二万八千人から、あるいは二万九千人から——さっき二万九千四百五十五人、それが三十五年度の数字であったわけです。死亡して相続する件数と死亡の件数というものがそれほどふえたとは思えないわけです。そうしますと、今、主税局長の言われましたパーセントというのは、どうもふに落ちないわけです。一万七千人から二万九千人にはね上がってきているほど死亡率なんというもの、死亡者の数がふえたのではなかろうと思う。そうすれば、どうしてもこれだけ人数がふえたということは、今日まで相続税のかからなかった階層に相続税が及んできたということが言えるだろうと思うのです。特に今度は、四月一日以降からこれで相当経過されるわけですけれども、この二、三年というものは相当な重課であったということが言われるだろうと思うのですが、その通り了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/16
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017・村山達雄
○村山政府委員 ちょっと説明が十分でありませんで、誤解を招いたのではないかと思いますが、先ほど申しました数字、最近の全体の死亡件数に対して一・三%、四十才以上の死亡件数に対して一%、その実数は課税件数で七千件と申しましたのは、これは被相続人の数で申し上げているわけです。それで、先ほど申しました二万九千人という数字は、相続人の数で申し上げているわけでございます。相続人の数は、これはそう大した違いはないと思いますので、われわれは課税割合というときに、死んだ被相続人が何人おるか、そのうち課税の対象になった相続件数は何件か、こういうことで計算しておるわけでございます。その割合で見るとずっと下がっておるという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/17
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018・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 今私が質問しておるのは、やはり今次の改正が行なわれるまで非常にこれは重い税金であったということが逆に証明されるのではないかということなんですが、その通り了解していいですかという質問をしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/18
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019・村山達雄
○村山政府委員 その点は何と申しますか、考え方の問題だろうと思うのです。どうして今度上げたか、基礎控除をなぜ上げたかという問題と関連するわけでございますが、当時、現行の前は大体三十二年の改正でございまして、そのころの標準農家、大体二町五反あたりの農家を考えまして、当時の評価額でどれくらいになるかというのを出しておるわけでございますが、二町五反よりは平均は少し下へいきますが、かりに二町五反に例をとりますと、——当時が二町一反でございます。二町一反で約二百五十万でございます。これが今日においてだんだん上がっておりますので、それを今日の評価で見ますと、約三十万くらいになっておるわけでございます。この考え方が、それだけ財産が上がったからそうだと見るのか、あるいはそれは名目的な値上がりであるのか、こういう問題が一つございます。実質価値の値上がりであるなら別に考慮する必要はないということになりましょうし、名目価値であればそれは是正されるべきだということになると思います。今度のことはその辺にねらいを置きまして、しかしそうは言ってもいろいろな階層が課税になるかならぬかというあたりに常識的にめどを置いた方がよかろうということで今度の改正をいたしておるわけでございますが、二町五反で、今日の評価基準でいいますと、三百四十万くらいになると思います。この場合今度の課税最低限は四百五十万ぐらいにしてあるということでございます。ですから従来も、ちょうど今の二百五十万から三百万ぐらい上がった五十万ですね、二町歩当たりのそれがそのままにされておったのが非常に過酷なのかどうか、それが名目価額なのか実質価額なのか、非常にやかましい問題になるわけでありますが、われわれはむしろその程度の規模のものは課税すべきではないというふうに考えまして、二町五反よりもちょっと上のところをねらっての今度の改正であったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/19
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020・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 二町五反の農家経営で、農業基本法の裏づけは、対応する所得倍増十カ年計画で二町五反歩の百姓を百万戸作ろうというような計画がある、今、主税局長は二百万から三百万ぐらいのところだというようなことを言われたわけですが、おそらくそれは農地だけの問題だろうと思いますが、農家なんかでは、建物なんかでもあまりりっぱなものはないにしても、建物の評価あるいは裏の山があって杉の木が何ぽかある、あるいは山林も若干あるというようなことである、それを大体税務署で調べてみますと、家財というようなものも、大体その他の財産の集計額の約一割ぐらいは家財だというようなことでおおよそ見なすようであります。そういうようなことを考慮すると、農基法で考えている適正規模の自立経営農家というようなものが最近の賃貸価格と倍数からいって、いろいろなすべての財産を集計して参りますと、土地をやはり一反歩や二反歩手離さなければならぬというような実態というものは、今日なおこの程度の場合では、そういうような場面も出てくるのではないかということなんです。非常に大きく平均値をとられて、この程度に言われているわけですけれども、実態と相当かけ離れたものが場所によってあるのではないか。そうしますと、自立経営農家の問題を、逆に相続税でその経営面積を減らさなくちゃ税金そのものが納まらぬというような実態もこれは必ず出てくると思うのです。それで田と畑だけ持っていたのではこれは百姓にはなりません。山も持たなければならぬ。それの評価の問題、それからそういう有体動産の家財の問題なども、現在やっているような状況から申しますと、たとえばここに掲げてあるような標準的なものでいった場合に、これを四百五十万なり控除されるのだからということになりますけれども、必ずしも五人法定相続人がいるという場合ばかりないわけであります。もっと少ないという事態もあるというようなことになって参りますと、そういった面で、自立経営農家の規模を相続税で侵すというような事例というものが、これから相当土地の値上がりというような形の中からも出てくる可能性というものは、相当多いのではないかと思うわけですが、そういう点についての見通しはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/20
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021・村山達雄
○村山政府委員 先ほど申しました数字はもちろん農地だけではありません。これはサンプル調査の表がありますが、一町五反から二町歩未満の農家の資産の二戸当たりの平均で見ておりますが、約三百万程度に出ておりますが、そのうち土地による分は百八十万程度でありまして、あとは建物とか農機具その他のものでございます。ですから、そういう御心配はないと思いますし、それから農家の標準的な相続人の数というものは、今までわれわれの統計では、大体相続人五人ということになっております。もちろんそれよりも少ない場合はあると思います。その場合には基礎控除額はそれだけ少なくなりますが、それだけ働く人が少ないですから、資産状況もおのずから少なくなってくるのではないか、ですから、その辺のバランスはとれているのであろうというふうに考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/21
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022・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 主税局でとられる統計の数字というものは、サンプル調査で非常に適正なデータをとられるようなかまえをしていますけれども、どうも低いところばかり選んでいるのじゃないかという気がするわけです。実際に私ども税務署に行って現実の場面で当たってみましても、たとえば宇都宮から二十キロも三十キロも離れているようなところで、もよりの駅に行くのにも四キロないし五キロというような全くの純農村地帯で、三反歩くらいのたんぼで九十八円ぐらいの賃貸価格があるのです。そういうような評価のところがあるのです。しかも大体取り立てて十俵もとれるようなたんぼかというとそうでもない。せいぜい七、八俵というところで、これがたしかあの辺でも六千何百倍かです。そうしますと、これは反当たりにしましてその評価額が大体十六、七万にはなっているのですね。実際の売買価格だって、その辺は純農村ですし、非常に交通も不便なところなので、ほとんど売り買いなんというのはそう活発にはないというようなところで、そういう評価なんかも現実にはあるのです。これは私が現実にぶつかっている事例なんです。これは賃貸価格そのものに問題があると思うのですけれども、そういうようなところも相当あるし、宇都宮の周辺あたりでもこの賃貸価格の評価がかなり上がってきている。そうしますと、二町五反で山の一町歩も持っているということになりますと、五百万やそこらにはすぐになってしまうというようなところが相当出てきているわけです。だからやはりそういう低過ぎる統計でやられることは実態を把握し得ないのじゃないかと思うのです。特に農業の育成というような立場から、農業の相続の場合に土地を売って相続税を納めなければならぬということは、実際に例を調べてみれば必ずあるのです。そういうような点を考えてみますと、やはり農地の場合には何らか政府の大きな基本方針にふさわしい相続税の制度というような特別な配慮も私は必要になってくると思うのです。それで、主税局長のお持ちになっている数字がやはりそういう点では非常に大きくつかみ過ぎておって、最近における実態を全部低目々々に押えた数字の平均がそういう状態になっておるのじゃないかということを懸念するわけです。そういう点もう少し実態をつかんでいただきたい。しかも農業基本法に基づいて自立経営農家を育成していこうというような方向が政策としてはっきり出されている。それを逆に今度は税制の面でこわすことのないような特別な配慮というものが必要だろうと私は思うのですが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/22
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023・村山達雄
○村山政府委員 統計を低目に押えているのじゃないかというお話ですが、実は農林省の農家経済調査が出ております。これは経営規模別に全国のものがずっと出ております。そのときの各階層別の試算のなまの数字が出ているわけでございます。たとえば平均して田が何町何反だ、こういうのがずっと出ております。こちらは平均でございますので、この単価の書き方も、税の評価額も平均がわかっておるわけです。従ってある単位に平均でもってかけて出した機械的の数字でございます。従って低いとか安いとかいってみても、統計の上からはなかなか出て参りません。現実に一体酷の場合があるかどうか。われわれは寡聞にして非常に酷だというのは相続税では聞いていないのが実際でございますが、ちょっと考えてみますと、全体の死亡件数に対して約一%かかっておる。ところで農家は一体どのくらいだろう、今あまりデータがありませんので、私が実務をやったときの経験、勘でありますが、相続件数のうち、約一割くらいは農家であろうと思います。これが当たっておるかどうか別ですが、それでいきますと、全国で現在の世帯数がたしか二千二百五十万戸くらいだろうと思います。農家が六百万くらいですから、約三分の一弱というところでありす。農家でもって三分の一であるのに、私の勘で申しますと、大体戸数で三分の一、課税実績はおそらく一割くらい、ということは、全国平均一%の死亡件数に対する課税率というのは、農家の場合に引き直してみると、はるかに下回っておる。〇・何%ということになるだろうと思うのであります。そういうことだとわれわれは大づかみには考えておりますが、具体的に酷の場合があるかどうかという問題になると、なかなかわかりかねるのでありますが、われわれは今まではあまりその点については、耳にしていないというのが実情であります。統計は決して低目に抑えたものではなく、機械的に出した数字であるということあでります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/23
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024・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 最近私のぶつかった事例なんですけれども、ちょっと土地改良が行なわれた、そうしますと、固定資産の再評価をそこでやったわけですが、大体三倍、ほとんど全村が一律に三倍くらい、一番低いので二倍ちょっと三倍くらいに引き上がったという事例もあるわけです。そういうように、最近の評価の状況は非常に動いておると思うのです。だからそういったものをやはり的確につかんでいくことが非常に重要なのではないか。しかも売買価格なんていうものは、最近の産業都市の地方分散というような形でそういう傾向が非常に強く出て、そういうところから売買契約を中心にした評価がなされるというような点なども考えると、今言われた数字は、公平に行なわれたものといたしましても若干古くなっておると思うのです。だから、そういう点からも考えていただかないと、やはりほんとうに確実な姿、現状はわからない。農地の場合においても、二町五反歩のサンプルの農家を拾い上げてアトランダムでやったといいましても、私ども現実にぶつかってみますと、信憑性は非常に薄いような気も現実にするわけであります。だから、そういった点で農地の細分化を防ぎ、過小経営規模の農家から適正規模の農家に経営面積を拡大していくというところに、日本の農業構造改善の最大の眼目があるとすれば、相続税の面でやはり現実にそういう事例もあるわけです。土地を売って相続税を払うというような事例がやはりあるわけですから、そういう事態のないような配慮を何らかの形で特別にしていただきたいということを私ども念願するわけであります。最後に、その点で主税局長の意見を聞かしていただいて、相続税に関する質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/24
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025・村山達雄
○村山政府委員 ただいま広瀬先生のお話で、ある村で評価額が二倍になったということでございますが、おそらく相続税の問題ではないのではないかと思います。相続税は先ほども申し上げましたように、純農村につきましては賃貸価格に対する全国一律倍数でやっております。それで見ますと、三十四年が、全国平均でいいますと四千百倍で、三十五年が四千六百倍で五百倍上がっておりますから一割二分の上がりであります。それから、三十六年が五千三百倍に上がっております。従いまして、七百倍でございますから一割四分であります。ですから、全国一律に分けていっておるわけでありますから、その三倍になったとかいうことはおそらく相続税以外の、わかりませんが、あるいは固定資産税の問題であるのか、あるいはほかの問題であるのか、おそらく相続税の問題ではないように思われます。相続税の問題であるとすれば、非常にそこが最近発展して、従来山村であったものが宅地になってしまって、従来の評価ではいかにもそれは均衡を失するというような場合に、農村の農地として扱わないで、準宅地として扱うような場合がありますればそういうことがあるかもしれませんが、おそらく何かほかのことではないかと私はちょっと考えるのであります。
それから今後の問題でございますが、これは固定資産評価制度調査会におきましても、いろいろ評価に対する答申が出まして、三十九年から自治省を中心にして全国的に評価がえをやることになっております。これができました暁には、国の相続税の評価基準あるいは不動産取得税の評価基準全部乗っかって、ドイツでいう統一評価法と同じような方法で、その評価については国、地方を通じてその統一した評価によるということになってございます。従いまして、今後三年間程度でございますが、その進捗状況に応じてそれがきまる問題と思いますが、決して無理な評価が行なわれるものというふうにはわれわれは考えておりません。相当綿密な調査が行なわれることを期待しております。われわれもまたその方法に乗っかっていく、評価がどうなるかによりまして、やがてそれが税率の調整を要する問題でありますれば、当然税率の調整をする。評価の統一は、別に負担をふやそうとか、そういう問題ではございませんので、その評価がどういうふうになってくるかという帰趨を見た上で所要の税率の調整を考える、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/25
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026・小川平二
○小川委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/26
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027・芳賀貢
○芳賀委員 大蔵省にお尋ねしますが、三十三年、三十四年、三十五年にわたる相続税と贈与税にこれを分けて、課税件数と課税価格並びに税額ですね、そういう調べがあると思いますから、まずこの点についてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/27
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028・村山達雄
○村山政府委員 まず相続税について申し上げます。三十五年度実績、三十六年度予算、三十七年度予算、これは人員は相続人の数で申し上げます。三十五年度実績二万三千二百九十一人、三十六年度予算二万六百六十六人、三十七年度予算二万三千五十九人、それから改正前、もし改正をしないとすれば二万五千九百三十二人、こういうふうになります。それから課税価格でございますが、基礎控除前と後がございます。基礎控除後で申し上げますと、三十五年度実績四百五十四億五千一百万、三十六年度予算四百七十二億七千三百万、三十七年度予算六百三億七千四百万。それから算出税額でございますが、三十五年度実績百十二億五千一百万、三十六年度予算百十八億五千六百万、三十七年度予算百六十五億三千九百万。それから税額控除がそれぞれございます。それもついでに申し上げておきますが、配偶者、未成年者、贈与税、相次相続税の控除、その累計で申し上げますと、三十五年度実績十二億六千一百万、三十六年度予算十四億二千五百万、三十七年度予算十八億七千三百万。それで差引税額で申告税額、これは徴収の問題は別でございます。徴収は翌年に繰り越しとか延納とかいろいろございますから、その年発生した税に対する最終的な申告税額でございますが、それでは言いますと、三十五年度実績が六十七億九千六百万、三十六年度予算で七十八億七千六百万、三十七年度予算で百十億四千四百万でございます。それから同じく贈与税について申し上げます。まず人員でございますが、三十五年度実績九万一千六百五十七人、三十六年度予算十万六千五百三十人、三十七年度予算十一万六千三百二十八人でございます。そこで課税価格、やはり基礎控除後でございますが、三十五年度実績二百二億九千万、三十六年度予算二百二十五億一千二百万、三十七年度予算三百六億七千九百万。それから少し飛ばしまして最後の贈与税の申告税額でございますが、三十五年度実績四十八億三千二百万、三十六年度予算四十三億七千八百万、三十七年度予算六十三億四百万、かようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/28
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029・芳賀貢
○芳賀委員 この相続税と贈与税を比較すると、件数においては贈与税の方が多くて、税額においては相続税が多いということになっておりますが、問題はこの贈与税を賦課する場合、やはり一応の理由というものがなければならぬわけです。この贈与が行なわれる理由についてもいろいろあると思います。原因は財産の贈与ですが、どういうような種類のものがこの贈与の中で段階的に出ておるか、そういう点わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/29
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030・村山達雄
○村山政府委員 これはちょっと統計が古うございますが、三十二年の全国的サンプル調査の実施の結果でございますが、ほとんど大部分がやはり親族関係でございます。全体の構成比を一〇〇にいたしまして、一番多いのは子供でございまして五三%、その次が妻一三%、その次が兄弟姉妹一〇%、孫が五%、父母が四%、その他の親族六%、その他とありますが、このその他というのは親族関係のない者というものでございます。大体そのようなことでございます。
それから総体の調査件数は一万七千二百七十一件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/30
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031・芳賀貢
○芳賀委員 先日資料要求した結果、国税庁の方から府県別の土地の評価の実態が平均で出てきておりますが、毎年評価倍率が、たとえば五百倍とか多いのは千倍というふうに毎年々々、三十四年、五年、六年等を見ても上がっていくようですが、これは無制限に毎年こういう調子で倍率を上げるという方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/31
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032・村山達雄
○村山政府委員 これは国税庁に聞いた方がわかるのですが、私も前に国税庁におりましたので、おそらく同じ方法でやっていると思いますが、無制限に上げるわけではございませんです。二つぐらいソースがございまして、一つは毎年税務署において調査いたします売買実例の価格の値上がり状況がどんな工合になっているかという問題、それから不動産研究所におきます農地の価格指数がどうなっておるか、これはそういった点をずっと参酌いたしまして、そしてことしはある程度改定しないとバランスがとれないというようなものにつきまして、これもいっぱい上げるというわけではございませんです。ほかとのバランスをとりながら妥当なところで上げ下げしていく、その騰貴割合が非常に少ない場合には、かえって実額の関係もありますので、見合わすこともあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/32
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033・芳賀貢
○芳賀委員 評価倍率は言うまでもなく賃貸価格を基礎にしておるわけですが、たとえば田の場合には昭和三十四年が評価倍数が四千百倍、三十五年が四千六百倍、三十六年が五千三百倍というふうになっているわけですね。畑の場合には三十四年が五千三百倍、三十五年が六千四百倍、三十六年が七千四百倍。水田の場合には毎年五百倍ないし七百倍くらいの倍率の増加になっておるし、畑の場合は大体一千倍程度倍数が高まっておるわけで、これであと三年も五年もこういう調子でどんどん倍数が高まるということになると、特にこれは土地ですから、農業等に対する税制面からの圧迫というものは相当避けがたいものがあると思いますが、これはただ税金をよけいとればいいという目的だけで倍数を上げておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/33
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034・村山達雄
○村山政府委員 もちろん税の一番基本的な点は課税の公平にあるわけでございます。従いまして、各資産の評価額のバランスを合わせていくということを執行上また努めなければならぬところだと思っておるわけです。ただ、今芳賀先生のおっしゃいました倍数が非常に違うじゃないか、畑の方の倍数の上がり方がきついとおっしゃいますの、実は出しますときは実額で見ておるわけでございます。もともとのスタートが畑が非常に低かったわけでございます。ですから廃止しました表で、たとえば全国平均で、絶対額で見てみますと、田は三十四年では七万一千円、三十五年では七万九千円、ここが約八千円上がっております。これに対しまして、畑の方は倍数はなるほど上がっておりますが、二万七千円が三万二千円、五千円の上がりになっております。
それから三十五年対六年で、この分は田で九万二千円でございますから一万三千円の上がり、これに対して、畑は一万五千円の上がりになっております。作業といたしましてはこの倍数計算でいかないで、実額計算の方から答えを求めておるという関係でございます。そういったものと、それから不動産研究所における倍率、この関係を相互勘案して適当なところにきめるという実情でございますので、必ずしもこちらがきついというわけではございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 先ほど同僚の広瀬委員からも指摘がありましたが、大蔵委員会の調査室の資料によっても、最近の傾向は不動産に対する評価が高まったことによって相続税、贈与税等の税収が高まっておることが指摘されておる。先ほど局長も言った通り、土地関係が四七%以上ということになっておるわけです。ですから、財産評価という問題は前回の委員会にも若干指摘した点でありますが、この点につきましては、昭和三十四年の四月に発足した固定資産評価制度調査会というものが総理大臣の諮問機関としてできて、三十六年の三月にこれは終わって答申を行なっておるわけです。この場合にも、やはり財産の評価の問題については、なかなか困難な問題はあるが、国税の場合とか地方税の場合とか、それぞれの財産評価を統一的なものにすべきであるという、そういう答申の趣旨が述べられておるが、きょうは自治省の方からも来てもらっておりますので、特に地方税における固定資産税のいわゆる土地の評価の方法基準等が、今日どのような実情に置かれておるか、その点に対して自治省の方から御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/35
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036・大村襄治
○大村説明員 固定資産税の土地の評価の実情及び固定資産評価制度調査会の答申で述べられておる事項について要点を申し上げたいと思います。
固定資産税の土地の評価でございますが、現行の評価基準によりますと、評点式評価法によって評価をする、土地の事情によりまして点数をつける、また一点当たりの単価を出す、いろいろなことをいたしまして自治省の方から指示平均価格を示す、そういったような方式で現在行なわれておるわけです。実際評価の水準と比較してみますると、最近の不動産研究所あたりの農地の売買実例価格というものと比較してみますと、現在行なわれております農地の平均価格の割合が二割程度である、こういうふうな状況を示しておるわけでございます。現在の指示平均価格と申しますのは、固定資産の評価が三年置きに行なわれておる。三年間据え赴きがある。最近の指示平均価格と申しますのは、三十三年に行なわれましたときの指示平均価格というのが大体基礎になっておるわけです。その場合の指示平均価格のきめられました経緯を見ますると、農地につきましては、全国的な収益額というものを資本還元して出したものを一応参考にはしておりますが、その他の要素あるいは税負担の関係、そういった点も考慮いたしまして、またほかの調整も講じて行なわれている、こういうふうな状況でございます。三十三年度の指示平均価格を見ますると、田におきましては反当たり三万六千六百八十一円、三十六年度に評価がえが行なわれましたが、その場合に改定しました後の平均価格が、同じく田におきまして反当たり三万七千三百五十七円、二・八%ほどふえておるわけであります。畑におきましても三十三年度の指示平均価格が反当たり一万三千五百九十三円、それが三十六年度におきましては一万三千八百十円、これも大体二・八%ほどの増になっておるわけですが、そういったような状況で平均価格というのが示されておる。それによって各市町村が評価をしておる。その実情が今申しましたように不動産研究所あたりの調査による時価に比べますると、二割程度で著しい。土地のうちには農地以外に宅地もございまして、宅地についても同様にかなり低い状況を示しておるわけでございます。ところが他の固定資産税の対象になります家屋とか償却資産、そういったような資産につきましては、それぞれの方式によって評価が行なわれておる。その場合の時価というものの比較を見ましても、家屋の場合は大体八割程度、償却資産の場合には企業の簿価に大体相当する水準までいっている。そういったような点から見ますると、町じく固定資産税の対象資産であるもののうち、土地が特に他の資産に比べて低いわけですが、固定資産税の対象資産間における評価水準の不均衡という点が、固定資産評価制度調査会の場合に第一の問題になった点であります。その次に、各市町村間の評価の不均衡という問題があります。これは市町村長が評価をする場合には、自治大臣の定めました固定資産評価基準に準じて評価しなければならないというふうになっておりますが、実際は必ずしも評価基準通り行なわれておらない。特に農地等の場合におきましては、先ほど申し上げました評点式評価法というものによらないで、旧賃貸価格に一定の倍数を用いるという方式で便宜行なっている市町村がまだ非常に多い。そういうふうな点で、同じ土地に対する評価におきましても、実際の評価の行なわれ方が市町村によってまちまちである。そのために評価の不均衡が生じている。これが第二の問題点でございます。
第三の問題点としましては、先ほど御指摘のありましたように、固定資産に関係のある他の国税、地方税、国税におきましては相続税、贈与税あるいは登録税が関係がございますし、さらに地方税のうちにおきましても不動産取得税が関係があるわけでございますが、その場合の不動産に対する評価の仕方というのが、固定資産税との間に相当開きがある。それぞれ税の性格の相違はあるにいたしましても、あまりかけ離れているのではないか、そういった点を統一した見方でできるだけ均衡化をはかるように検討する必要があるのじゃないか、それが第三点でございます。
固定資産税の評価を中心としまして、大体以上の三つの問題点が評価制度調査会におきまして指摘されまして、それについてのそれぞれの改正意見を答申として出しているわけでございますが、第一の固定資産税の対象資産間の不均衡の統一と申しますか、是正という点につきましては、統一の目標で評価の水準を考えるべきである。その場合には、地方税法によりまして適正な時価というものを各資産について発見していかなければならない。その場合の統一した目標としましては、正常な条件のもとにおける取引価格というものを各資産について適当な方法で求めて参る、そういったような考え方を基礎に持って、それぞれの資産について適当な評価方法を設けるべきである、そういうふうな観点から出発いたしまして、土地につきましては、やはり公正な時価というものを基礎に考えていかなければならない。その場合には、一応売買実例価格が参考になるのであるが、農地のようなものにあたりましては、先ほど主税局長のお話がありましたように、現実の売買実例価格と申しますのは、わが国の実情からいいますると、いわゆる切り売り、買い足しという零細なる部門の売買の価格が実例になっておる、正常なる価格を必ずしも直接反映していないと見られるのであります。その売買実例価格をそのまま用いないで、それに適当な修正を加えていくべきである。適当な修正のやり方といたしましては、この切り売り買い足しの零細な単位の売買実例価格をそのまま用いないで平均の価格、この限界の収益額の割合、それは、限界収益額の方が通常高く出てくるわけでありますが、平均の収益額との割合で修正すべきであるという答申がありますけれども、このように修正減額して価格の修正を求めていくべきである、こういうような意見が提出されているわけであります。そのように実行いたすにしましても相当な準備期間を要するということでございまして、固定資産評価制度調査会の答申におきましては、三十九年度を目標にしてこの新しい評価を実施するようにということを述べているわけでございます。そのほかの資産の評価方法の改善についてもいろいろ意見が述べられているわけでございますが、そういったような評価を実施した場合に、固定資産税の税率を現行のまま据え置いた場合には、負担そのものが高くなる可能性がある。しかし、固定資産の評価というものは、今申し上げましたような各種の不均衡を是正するということに眼目があるのであって、税負担そのものを高めることを目標にするのではないので、各資産の評価を進めまして、各資産を通じての評価の水準はどうなるか、その場合に、税率を据え置いた場合に、納税者の負担がどうなるのかという点の見通しを総合判断した上で、税負担の調整のために、要すれば税率の引き下げであるとか、あるいは各資産についての評価の特例とか、そういったような方法をあわせ用いて、税負担の調整は最後の締めくくりとして必ず講ずべきである、こういうふうに述べているわけであります。以上が資産間の不均衡の是正の問題でございます。
第二の市町村間の不均衡の是正の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、現行の固定資産評価基準というものは市町村が評価する場合に準ずべしというように法律の規定がなっておりますが、これを固定資産評価基準によるべきことに法律上改めて、あまりまちまちにならないようにすべきであるというような意見が述べられているのであります。
第三点の各税間の不均衡の是正の問題でございますが、何と申しましても、固定資産税は、土地、家屋、償却資産について毎年々々課税するものでありますので、固定資産の評価額というものをしっかりしたものに改める。そうしてそれとの関係におきまして、他の各税は固定資産の評価の水準をできるだけそれによって用いていく、ただ、税の性格によって課税対象なり課税の時期が違うために、固定資産の評価そのままを用いられない場合がございます。その場合には当然必要な修正と申しますが、特殊事情については各税に織り込んでいくということは必要であろうけれども、基本的には固定資産の新しい適正な評価基準というものが行なわれました場合には、それを他の関係諸税におきましてもできるだけ用いていくようにすべきである。また固定資産の評価をするにあたっての標準値の評価あたりにつきましては、各関係官庁の間において資料を交換する、あるいは調査に協力するということで、同定資産の評価そのものが適正に行なわれるように、関係機関が協力していくようにすべきである、こういうふうな点が指摘されておるわけでございます。大体以上のような固定資産評価制度調査会の答申が出ましたので、自治省におきましては、今回の地方税法の改正案中に、二点ほどこの評価関係の改正案を織り込みまして、現在国会で御審議中でありますが、その二点と申しますのは、一点は先ほど申し上げました市町村が固定資産の評価基準に準ずるというふうになっております点を、今後は固定資産評価基準によるべきことになった、これはもちろん三十九年度以降に適用になるわけでございますが、方向をこの際明らかにした。第二点が改正の評価制度の実施の準備のために、中央に固定資産評価審議会、地方に、各都道府県でございますが、地方の評価審議会をそれぞれ設置いたしまして、構成員としては、関係官庁の職員並びに固定資産の評価につきましての学識経験者、こういったものをもって構成します委員会を中央・地方に設置する、これは三十七年度から設置いたしまして、改正評価制度が中央の段階において、また各地方の段階において、それぞれの実情に適して適正に行なわれるような準備をするために設けられる、こういうような法律上の改正を現在提案しているわけでございます。
なお、先ほど申し上げました改正評価制度実施後の税負担の調整の問題でございますが、これはなお二年ほど準備いたしまして、各資産ごとの新しい評価の水準はどうなるか、それを通じての税負担に及ぼす影響はどうなるかという点をしっかり見定めた上、税負担の調整に関する必要な立法措置は、三十九年度の改正評価制度の実施の時期に間に合うように、税負担に必要な改正措置は、その時期までに間に合うように提案いたしたい、そういうことで進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま自治省の方からは、全国的な平均でありますが、田についてはこれは反当三万七千円、畑については一万三千八百円が平均の評価額であるというお話がありましたが、国税庁の方から出た資料によりますと、田畑の中の田については、最高一反歩大体十万円、畑が九万円、水田の最低が二万五千円、畑の最低が九千円ということに出ておりますが、これを大体平均すると田畑、山林、原野等が、大蔵省の評価基準からいうとどれくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/37
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038・村山達雄
○村山政府委員 これはいろいろ年度がありますが、三十六年で申し上げます。三十六年でいいますと、純農村の田でありますが、平均九万二千円、それから畑につきましては三万七千円、それから山林につきましては、全国平均三十六年度五千七百円でございます。それから原野が二千八百五十円、そういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/38
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039・芳賀貢
○芳賀委員 今、村山局長から言われた通りですが、これを同一の客体である土地について、国税と地方税との財産評価を統一するということはできないと思いますが、これはやれますか。低い方を上に持ってくればできるということになるかもしれぬが、これは自治省からもいろいろお話があった通り、特に農地の場合は、農業の生産の基礎的な要素になるわけであって、特に農業の収益性が低いという特徴から見た場合、いたずらに農地に対する財産の評価だけを引き上げても、農地の収益が増すということには絶対にならぬと思うわけです。ですから、そういう特性を考えた場合、国税と地方税間における土地の財産評価を一本のものに統一する可能性があるかないか、そういう点は一体どう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/39
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040・村山達雄
○村山政府委員 今おっしゃった点がまさに固定資産評価制度調査会における中心問題であったわけでございます。現在国税と地方税で違っている、しかも国税でも相続税と登録税の間の評価も全く違っている、地方税におきましても、また違う場合がある。一体違っていいのか、どうなんだ、こういう問題なんでございます。それから財産の種類別にかりに時価というもの、かりに売買実例、その読み方はございまするが、それに対しての現在評価水準というものがそれぞれまた税目によって違うのみならず、財産の種類別によって違っている、こういうことがいいのか悪いのかという点があったのでありますが、その点につきましては、先ほど自治省から詳細の説明がありましたように、評価調査会としては少なくとも評価でかげんすべきではない、これは客観的な水準でやるべきだ、その後それぞれの税の目的に照らして、いかなる負担を求めるかという税の性質があるから、それによって税負担をどうするかというのは、それは税率で調整すべき問題で、評価でもってあらかじめその税負担の結果まで考えて評価で手かげんをすると、結果において非常に不公平なことになる。のみならず、その税目によりあるいは種類によって違うということは、これは納税者にとってはなはだ不便だ、だからぜひともその点は統一的にいくべきである、負担の点は別途そのときに考えればいいのだ、こういうような結論が出まして、今後三年間かかってやろうということでございまして、この固定資産評価制度調査会にも、もちろん自治省のみならず大蔵省も全部参加しております。今後設けられる審議会におきましても、民間の学識経験者はもちろんでありますけれども、関係官庁も中央の審議会にも地方の分にも出まして、全部統一評価に乗っかることのできるようなものを作りたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/40
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041・芳賀貢
○芳賀委員 これは政策的な問題だから、天野さんにお尋ねしますが、一体土地、主として農地は生産の重要な資産であるかどうか、どう考えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/41
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042・天野公義
○天野政府委員 農地はやはりそこからものを作っていくわけでから、生産的な要素が非常に大きいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/42
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043・芳賀貢
○芳賀委員 その場合、生産的な資産であり、資本である。その場合、土地から生産されたたとえば収益に対して、土地が要求するその収益の分配率というものは、大体どのくらいが妥当であるか、これは非常に大事な点である。大まかな点ではあるが、全部これは土地に帰属すべきものだとはいえないと思うのですが、どのくらいが最高の限界か、お調べになった点があればお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/43
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044・天野公義
○天野政府委員 やはり土地で生産をするわけでございますから、ものによりましてはうんと収益のあるものもありますし、またものによりましてはそう収益のないものもあろうかと思います。ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/44
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045・芳賀貢
○芳賀委員 そうでなくて、これは大勢として見れば、農地の場合は生産の主体はやはり米麦等が中心になっておるわけです。一番有利性のあるものとすれば、それは果樹とか野菜とか、特定の場合は別ですが、全国的な一つの趨勢としてのものは、やはり食糧生産に供される土地の収益ということになると思うのです。大蔵省のあれによっても、大体田の場合は一反歩十万円ですね。ですから十万円の田を財産として取得する場合に、とにかく十万円の資本がそこに投下されるわけです。年一割の利回りにしても、この分で一万円の資本の利子がかかるということにすると、一反歩から三石の米の収穫があった場合には、一万一千円米価だとすると、反当三万三千円水田から粗収入が上がるということになるわけです。しかし十万円の資本がそこに投下されておるから、まずその資本利子の一万円を控除するということになれば、残り二万二千円ということにしかならぬわけです。そういう中において、農業を経営しておるいわゆる農業従事者の自家労賃であるとか、生産のための諸費用であるとか、そういう必要な経費をすべて控除した場合は、十万円に対する一万円の利子を天引きした場合には、純益はゼロという答えが出てくるわけです。それほどに土地は生産的な資本であるとしても、他産業の場合と比較して収益性が非常に低い。こういう特徴というものをやはり考えて、それを基本にして財産の評価をしないと、毎年売買価格が上がっておるから、賃貸価格に対して倍数を五百倍、千倍にしてもいいじゃないかということだけで課税の態度を進めていくということは、特に土地の場合は誤りがあると思うのです。こういう点はやはり政治家である天野さんとしても気づいておられると思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/45
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046・天野公義
○天野政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、農産物の価格も、上がっていくものもございますし、合理化で増産されている面もあるわけでございますし、また賃貸価格等もほかのいろいろな問題から勘案して倍率も若干上がってはいるでしょうけれども、その上がるにつきましては、収入その他で十分カバーできるような配慮もしておるかと思います。また実際の売買価格と賃貸価格の倍率の差というものは、事務当局が答弁申し上げておりますように、半分くらいのところでやっておるようなわけでございます。いろいろそういうバランスを見ながらやっているものと思います。ただ無方針に倍率を上げていくということではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/46
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047・芳賀貢
○芳賀委員 そこで出席になっておる農地局にお尋ねしますが、最近における、ここ三カ年なら三カ年でいいのですが、農地の相続あるいは贈与等が毎年税制上は行なわれておりますが、実際の農地の移動の状況はどういうような趨勢であるか、あるいは農地を物件としての売買による移動の状況はどういうようになっておるか、あるいは農地の実際の価格は、農業の立場から見た場合に、毎年のように、所得倍増計画以上のテンポで財産価値が一体高まっておる趨勢にあるのかどうか、そういう点に対して農地局の方から説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/47
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048・丹羽雅次郎
○丹羽説明員 まず第一点の農地の移動でございますが、現在農地法で農地の権利移動につきましては許可によってやっておりますので、許可という面からとらえまして、許可件数を最近三年間で申し上げますと、全体で、三十三年が六十一万件、三十四年が五十九万七千件、三十五年が六十万三千件、許可の対象になりました面積は、三十三年に八万五千町歩、三十四年に九万町歩、三十五年に九万七千町歩、このうち自作地の所有権の無償譲渡というのと有償譲渡というのがございまして、有償譲渡というのがすなわち売買でございますが、売買は、三十三年に四万八千町歩、三十四年に五万二千町歩、三十五年に五万七千町歩、そういう数字に相なっております。
それから農地の価格は実勢はどうかという第二の御質問でありますが、農地の価格については、昭和二十五年に価格統制をはずしましてフリーでありますので、現在は不動産研究所の調査によってその趨勢をうかがっておるわけでありますが、農地につきましては、三十三年におきましては十六万五千円、三十四年には十七万四千円、三十五年には十八万六千円、三十六年には十九万四千円でございます。昭和二十六年から農地の価格統制を廃止いたしました時期におきましては、四割、五割という大幅な急激を増加をいたしましたが、三十年からは二割、一割七分、一割二分、九分、六分、四分というように、増加率そのものは低下しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/48
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049・芳賀貢
○芳賀委員 次に、相続によって、当然所有権の移動が起きるわけですが、相続を通じて、農地の所有形態がどういうふうに影響を受けておるか、相続が原因になって、細分化の方向に進んでおるのか、実質的には、相続は均分相続であるけれども、所有権の面から見れば、それほど細分化が進んでいないという場合も当然あるわけですし、またあるいは贈与——所有者が生前に相続というのはあり得ないから、そういう場合は当然贈与の形ですが、贈与を通じて行なわれる農地の所有権の移動は、農家における分家のような場合が割合からいうと非常に多いというふうにもわれわれは判断しておるわけですが、この両面から見てどういうことになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/49
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050・丹羽雅次郎
○丹羽説明員 先ほど説明を落としましたが、先ほどの自作地の無償譲渡の原因を分解いたしますと、全体でまず二万一千件ほどが無償譲渡の形式で行なわれておりますが、このうちで同一世帯内での生前贈与というのが七千八百件、新しく分家させるための贈与が五千件、すでに分家独立している者への贈与が九千九百件、他人への譲渡が二千二百六十件、こういう姿に相なっております。
なお、相続によります農地の分解といいますか、分散の問題につきましては、現在二つの調査がございまして、三十七年度におきましてももう一度重ねて全国的な調査をいたす予定にいたしておりますが、現在までの調査では現行民法によります均分相続が実行されておるケースはごくわずかでございます。大部分は普通物権の譲渡という形で農業を継続する人間に農地を渡すという形で現在は大部分が進行している。今後だんだん個人的な思想なり経済の発展等で農民の自意識といいますか、そういうものが発達いたしますと、分解のおそれがありますので、三十七年度から本格的な調査をやりますと同時に、相続法等につきましてもう少し検討を続けたい、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/50
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051・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、今、国会に農地法、農協法の改正法案が政府から出ておるわけですが、この中に重要な点としては、農業協同組合に農地の信託事業を行なわせるというような問題が出てきておるわけですが、今後自立経営農家を育成するということになれば、所有の形態がある程度経営可能なところまで所有拡大をやるということになるわけですが、そういう政策を通じての農地の所有拡大、所有の再編成的なものが期待されるということであれば、そういう場合に、農地の価格評価というものを、たとえば税制の面等からも、これを引き上げるという措置が、農地の所有拡大とか自立農家経営の促進というような見地から見た場合に、一体プラスになるかマイナスになるか、そういう点については、農林省としてどういうような見解を持っておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/51
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052・丹羽雅次郎
○丹羽説明員 先ほど来のお話にございました固定資産税の評価額、それから相続税の評価額、それから私が先ほど御説明申し上げました不動産研究所の価格、これとの間には非常に大きな差があるわけでございまして、現実に動いておりますところの価格が、先ほど申しました十八、九万円であります。それで実は基本問題の研究による答申におきましても、各種の評価をもう少し統一したらどうかという趣旨が、農林省内部の問題といいますか、基本問題自身の答申にも問題になったわけでございます。
さらにこれを税制の世界に限りましても、少なくとも統一したらいいではないかという御意見には、農林省は反対をいたしておらないわけです。ただ、その委員会におきましていろいろ御議論がありました過程におきまして、農林省といたしまして、農政専門家、農政学者を通じまして強く主張を申し上げ、かつ答申に取り入れられました問題は、資産でありますから時価で評価するという原則は別として、その評価の仕方におきまして、農地というものは、単純な財産ではないのではないか、先ほど御指摘のございましたように、ものを作り売る生産手段である、単純に財産と見て、単純に財産評価をされては困るという立場で一貫をいたしたわけでございます。
そこで問題は、一体十九万とか十八万とかいう値段がどうして出るのだろうかという問題から始まりまして、十九万とか十八万というような高い土地を買って農業が営めるのは、買い足しの一反歩であるがゆえに可能なのではないか。根っこの方の面積で先ほど御指摘の労賃費なり共通経費が回収されまして、上の方の一反歩になりますと、それは共通経費を使わぬでいいから収益を高く見込むことができる。その高く見込んだ収益から十九万とか十八万という価格が形成されるのではないか、こういう立場に立ちまして、従って、十九万とか十八万とかいう値段が即全部の日本の農地の資産価値として評価されては絶対困るということでございまして、従って、限界としての一反歩の値段を根っこからの一反歩の値段に評価し直してもらいたい、そうした考えは少なくとも農業土地資産というものの特殊性として当然考えられてしかるべきではないか、こういう立場で、その考えは固定資産評価制度調査会でも取り入れられまして、先ほど自治省の方からお話がございましたように、限界収益とそれから全体の平均で考えた改益とのそれぞれの還元価格との比率でダウンさすべきではないか、そういう方向で、それでは具体的にそれをどういうふうにやるかということが今後の作業に相なっておるわけであります。
なお先ほど来の評価は、私どもも統一していただいた方が混乱がないのではないか、ただ農政上の問題として、税金の問題は税率の問題として今後大いに申し上げ、内部でいろいろ相談のある際は、今申し上げましたような立場で御相談をしたい、こういう立場をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/52
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053・芳賀貢
○芳賀委員 ただいままで自治省並びに農林省からも見解が述べられたのですが、この三者を比較してみた場合、大蔵省の財産評価の態度は一番理論的根拠を欠いていると思いますが、主税局長はそう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/53
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054・村山達雄
○村山政府委員 何かの誤解だろうと思います。私が先ほど来申し上げているのも、ただいまの自治省あるいは農林省が言っていることと変わりございません。売買価格、取引価格を中心にするが、その売買実例をとるときに、それがはたしてノーマルの売買価格を表わしているかという点には読みが要る。具体的の読みと申しますのは、今言った限界収益とそれから平均収益との差額、その割合でその売買実例価格も読みかえて考えていくべきではなかろうか、こういうことが固定資産評価制度調査会で統一的な見解として出たわけであります。大蔵省もそれについては別に異論がないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/54
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055・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、売買価格を中心にした時価主義というものは、とにかく全国で六百数十万町歩の農地のうちの実際売買されておる移動農地というものは、これはほんとうに小部分なものですね。そういうものを売買価格として取り上げ、それを時価主義の根拠とするところに大きな誤謬があると思うが、先ほど農地局の管理部長が害われた通り、相続税を通じても、実際は憲法や民法に基づいて遺産相続というものが行なわれれば、承継された農地の所有権の実態というものは、やはり農業というものは世襲的な性格を持っている関係もあって、所有がそう細分化されておらないという点を見てもこれは明らかであります。それから生前における贈与の形にしても、やはり同一の事業体の中にあって農業に携わって、十数年家族農業の中で次男坊や三男坊が協力してきた。それはやはり、その土地等を中心とした財産の維持のためにも彼らは貢献してきておるということは論ずるまでもないと思います。ですから、そういう現状というものを十分考えた場合には、やはり農地というものは単に売買の対象となる物件とはいささか意味が違うわけです。売ればこれだけになるじゃないかということになれば、じゃ、毎年何百町歩という農地を売りたいから買ってくれといったって、売買が成立できないと思うのです。最近の地方における傾向としては、大体農地を中心に処分して、とにかく財産を五百万ないし一千万以上のまとまった金にかえることができる場合には、一日も早く農業を放棄して他業に転じたいというような空気が非常に強いわけです。土地から建物から全部売って一千万ぐらいになれば、早く農業をやめてもう少し安定したというか、収益の高い、たとえば都会に出て下宿屋を作るとか、アパートを作るとか、そういうことで安定性のある職業に転換したいというような空気が非常に強い。しかしまとまって何町歩の土地を売るなんということになると、なかなか買い手がないのですね。まとまればまとまるほど取引価格が安くなる、そういう現象も生じておるわけですから、こういう実情を考えて、単にこれを資産税の面だけでどうしろというわけには参りませんが、これは、影響するところは、先ほども言われた固定資産税にもまた及ぶというような相関関係もあるわけですから、財産の評価についてはやはり相当慎重な態度で、合理的な評価基準というものを設定する必要があるというふうに考えるわけですが、その点についてはどのような見解を持っていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/55
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056・村山達雄
○村山政府委員 財産の評価の問題は、ほんとうにおっしゃるようにむずかしい問題であり、それだけに慎重を期さねばならぬということは全く同感でございます。固定資産評価制度調査会におきまして三年間やっておりましたが、その最初の一年は、取引価格によるべきか、あるいは収益価格によるべきか、各種の資産を全部洗い出してみまして、たとえば無収益資産についてはどんなものであるか。あるいは最近土地が非常に暴騰しておる。そこで普通の事業をやって財産はほとんどないが、その土地の価格が上がっているのはどうか。あるいは個人の月給取りが自分で住宅を構えている、これは無収益でありますが、このときは一体どうするのか。農業については、これは生産手段じゃないか、こういうようなことがいろいろございまして、各国の評価制度その他をいろいろ参考にしたわけでございますが、そういう討論のあげく、現在の答申が出ているわけでございます。しかし、その結論によりますと、それにしても収益還元価格というものは、それ自体が非常にむずかしい。また資本利子を幾らにきめるのか、この辺が非常に問題だ。少なくともマイナスのものが、現実には非常に高く売れるという結果にもなってくる。だから、そこの調整は、税の固有のそれぞれの性格に応じて、税率その他で調整すべきであって、評価はやはり客観的な取引価格を中心に考えるべきである。ただ農地のような場合に、現にある売買実例というのは、御指摘のように継ぎ足しの場合が多いので、それは平均的な経営面積の代表的な事例として売られているわけでもない。いわば限界収益に対応する売買価格がそこに実現されておる。そこの売買実例価格の読み方については今後十分検討する必要があるということで、統一的な見解が出たわけでございます。そういう意味で、われわれは今後こういった方針に従いまして、地道に三年間一緒になって、妥当な評価を求めたいというふうに考えておるわけでございます。
先ほどもう一つお触れになりましたその資産の形成について、従業者は貢献しておるではないか——この問題は、まさに所得についても同じ問題があるわけであります。所得につきましても、家族従業員はそれぞれやはり親族でございますから、相助け合っておるわけでございます。しかしその所得は、やはり経営者なら経営者の所得だというように、私法の面では割り切っておるわけでございます。財産も、名義のあるものにつきましては、その名義者が所有者である。もちろん仮想であれば別でありますが、それが真実であれば、私法の段階ではそれが所有権者であるということで、あらゆる権利関係はそれで割り切っておるわけであります。そこで、そういう点もあって、かねて申し上げました専従者控除とか、いろいろな制度を考慮しているわけであります。またそういう点をにらみ合わせまして、相続人に対する基礎控除額を幾らにするかという点も、十分考えながらきめておるわけであります。ですから、そういう問題は、税には一つの技術的な限界がございます。従いまして、税制の体系の中にそういったものもだんだん考えて評価していくということでございます。この点は、所得税につきましても全く同じでございまして、基礎控除も扶養控除も、みんな一律にやっているわけでございます。やっておりますが、それら凡百の問題があるものを、おおよそこれで解決し得るものとして、基礎控除額を定め、扶養控除額をきめておるというようなわけでございまして、それぞれの情勢に応じましてこれらの税制の仕組みを動かして参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/56
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057・芳賀貢
○芳賀委員 基本的な問題については、いずれまた当委員会の税制小委員会等においても論議したいと思います。
次にお尋ねしたい点は、昭和三十五年度において、国税庁が資産税について、全国の大口納税者の実地調査の充実をやった結果、大口納税者に対して、相続税については件数で二五%、税額で一四二%、贈与税については、税額で一五九%、件数で一〇五%、こういう大きな成果を上げたということが述べてありますが、一体大口納税者というのは、相続税等の場合にどのくらいの段階以上をいうのか。特に今までは、大口に対しては比較的手ぬるい態度で臨んでおったのを、これを当然の態度に改めた結果がこういうことになったのか、この点に対する問題が一点と、その次には、昭和三十六年分の財産評価基準については、三十五年に対して、都道府県の宅地の最高路線価については三四%引き上げ、田畑については一五%、山林原野に対しては二五%、評価基準の引き上げを行なって、これを三十六年一月一日以降適用したということが出ておりますが、この二点に対してできるだけ詳しい説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/57
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058・村山達雄
○村山政府委員 はなはだ具体的な問題で、今私は手元に持っておりません。それで、特に大口のものに対してそういう実績が出たというのはよくわかりませんので、後刻調べまして御報品申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/58
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059・芳賀貢
○芳賀委員 国税庁の事業年度報告に載っておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/59
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060・村山達雄
○村山政府委員 きょう直税部長が参るはずでありましたが、ちょうど局長会議で失礼さしてもらっておりますので、また後刻御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/60
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061・芳賀貢
○芳賀委員 長官が全国の局長会議で来れぬということですが、部長か資産税課長が来るということですが、来ておらなければいいです。村山さんからかわって・・。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/61
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062・村山達雄
○村山政府委員 初めに申し忘れましたが、長官、直税部長がきょう最後の国税局長会議で失礼するから、お前よろしくやってくれというお話でございましたが、どうも役に立ちませんので、後ほどまたよくお聞きしました上で資料を出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/62
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063・芳賀貢
○芳賀委員 最後に自治省の方にお尋ねしますが、固定資産税の問題については先ほど詳細に述べられたわけですが、税率の問題ですね。現行法では標準税率が一・四%、制限が二・一ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/63
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064・大村襄治
○大村説明員 仰せの通り、標準が一・四、制限が二・一であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/64
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065・芳賀貢
○芳賀委員 制限の場合にもかつては二・五まで許容しておったようですが、私たちが見た場合、固定資産税の標準税率に対して制限税率の幅があまりに隔たりがあるということは、これは課税の公平の点から見ても非常に問題があると思うわけです。これは地方の団体の財政の実情によってある程度弾力性を設けてあるというふうには考えられるが、たとえば北海道等においては、従来も制限税率の満度まで課税するという扱いが大部分だったということは御存じの通りです。ですから、これはやはり地方税制の改正等を通じてできるだけその制限の幅を圧縮して、標準税率に基づく課税が行なわれるようにすべきでないかというふうに考えるわけなんです。これは町村民税のいわゆる所得割の場合の本文方式、ただし書き方式の場合にもそういうことが言われるわけですが、こういう点については、今回の地方税の改正等についてはどの程度配慮されておるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/65
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066・大村襄治
○大村説明員 固定資産税の税率につきましては、現在の形で固定資産税ができました昭和二十五年当時におきましては、標準が一・六、制限が三・〇でございました。三十三年度の改正によりまして標準が一・四、制限が二・玉から二・一に引き下げられた。その場合、北海道あるいは東北の山形県等におきまして、県内の市町村がほとんど制限一ぱいの二・五までとっている。税法で制限を下げっぱなしにした場合には、それらの市町村の財政運営が非常に混乱するのではないかという点を特に配意していただきまして、差額につきまして国の元利補給のある特例債の発行を暫定的にお認め願った、こういうような特別措置もあわせ講ずることによりまして、当落の制限税率を〇・四引き下げたということが実施されたわけでございます。そして今日に及んでおりますので、現在は先ほど申し上げましたように一・四と二・一という格好になっております。
今後の標準のあり方、あるいはこれに伴います制限税率のあり方につきましては、先ほど御説明申し上げました評価制度の改正の進行工合を見て、新しい標準を幾らにするか、またそれに応ずる制限をどうするかという点を今後きめさしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
なお、住民税におきましては、御指摘の通り本文方式の場合は大体標準税率的な考え方でおるわけでありますが、昨年の改正の際に、ただし書きと本文の二方式に統一された機会に、準拠税率というふうな考え方をいたしております。これは標準税率よりは拘束力は弱いわけでありますが、別に制限というものもないわけであります。準拠税率を中心に考えながら市村町で税率を決定するという考え方でありますが、この準拠税率の考え方は、これも数年前から用いられているわけでございますが、ただし書きの市村町において準拠税率を採用するものが逐次ふえてきております。完全に採用しておりますものは、最近では三割強、それから一部準拠税率に近づけてきておりますものがそのほかに四割ぐらいありますので、準拠税率の制度のなかったときに比べますと、準拠税率に設けられておる税率表に大多数の市村町が近づいてきておる、こういうような状況であります。本年度の改正におきましては、この準拠税率につきまして低所得段階の税率の適用の緩和をはかるという改正を今度の国会に提出しているわけでありまして、また準拠税率自体が低くなるということになりますれば、それにつれて、ただし書き市町村の税負担も逐次緩和される、こういうことになろうかと思います。ただその場合、固定資産税の制限税率を引き下げた場合に同様に、ただし書きの市町村というものは一般に経済力、財政力の弱い市町村でございますので、交付税その他の計算において、それらの市町村の財政がやっていけるように財政措置もあわせて講ずる必要があるということで、本年度の交付税法の改正において、そういう点もできるだけ織り込むという点を配意しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/66
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067・小川平二
○小川委員長 芳賀貢君の御質問中において指摘されました、農地の相続並びに贈与に対する課税の問題につきましては、引き続いて税制及び税の執行に関する小委員会において御検討願うことといたします。
これにて三案に対する質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/67
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068・小川平二
○小川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
三案を一括して採決いたします。
お諮りいたします。三案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/68
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069・小川平二
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、三案はいずれも原案の通り可決いたしました。
ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/69
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070・小川平二
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/70
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071・小川平二
○小川委員長 国税通則法案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/71
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072・小川平二
○小川委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/72
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073・天野公義
○天野政府委員 ただいま議題となりました国税通則法案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
御承知のように、現行の税法体系は複解難解なものになっておりますが、これを納税者の理解しやすいものに整備するための基礎として、各税法を通ずる基本的な法律関係及び共通の事項を取りまとめて定めるとともに、あわせて、納税者の利益に着目しつつ、各種加算税や争訟等の諸制度の改善合理化をはかることが、かねてから要望されていたのであります。
政府は、これらの要望にこたえるためには、新たに各税法を通ずる共通法を定める必要があると考えて、税制調査会に諮問して、その検討を求めてきたのでありますが、先ごろその答申を得ましたので、これを基礎としてさらに慎重な検討を加えて参りました。その結果、答申された事項のうち、若干の項目につきましては、これを制度化するかどうかは、なお今後における判例、学説等の一そうの展開を待って、さらに慎重な検討にゆだねることが適当であると考えられましたので、前に申しました趣旨からこの際立法することを必要とする事項に限りまして、ここに本法案を提案した次第であります。
以下本法案について、その概要を申し上げます。
まず、改正点の第一は、利子税や加算税等の附帯税制度について改善合理化をはかったことであります。この附帯税の制度は、昭和二十五年の税制改正以来ほとんどみるべき改正がなされておりませんが、今回は、これに抜本的改正を行ない、納税者の利益に着目しつつ、制度の簡素化をはかることといたしました。すなわち、まず、現行の利子税額及び延滞加算税額については、この両者を統合して一本の延滞税とするとともに、その割合を、現行の日歩三銭及び六銭から、日歩二銭及び四銭に引き下げることといたしております。
また、各種の加算税につきましても、その課税率の軽減をはかりまして、無申告加算税及び源泉徴収加算税については、現行の一〇%ないし二五%とされているのを一律に一〇%に、重加算税については、五〇%を三〇%に、それぞれ引き下げることといたしております。
第二は、課税処分等に対する不服申立制度について改善を加えたことであります。すなわち、納税者が不服申し立てをすることができる事項の範囲を拡張して、原則として、税務署のした処分のすべて及び納税者からの申請に対して税務署が何らの処分を行なわない、いわゆる不作為につきましても、不服申し立てをすることができることといたしております。
また、納税者から不服申し立てがあった場合において、滞納処分の執行を停止することは、現在では、税務署長の職権によるのでありますが、今回新たに納税者からもその申し立てをすることができることとするほか、納税者が担保を提供したときは、財産の差し押えをしない制度を新設することとし、さらに、納税者が不服を申し立てている期間中は、原則として、差し押え物件の公売処分ができないものといたしております。
同じく不服申立制度に関連して協議団制度の問題がございますが、これにつきましては、協議団の議決を一そう尊重するよう、規定の整備をはかり、その運用の改善に努めることとしております。このほか、不服申立人の救済を手厚くするよう、いわゆる併合審理の制度を設ける等の改善を加えることとしております。
第三は、租税債権の成立、確定等の法律関係及び納税方式を明確にいたしたことであります。すなわち、現行法では、納税義務の成立の時期や、納付すべき税額の確定の手続並びに申告納税方式及び賦課課税方式の意義がいずれも明らかでなく、ために課税権の行使の限界等について、解釈上及び取り扱い上の紛議が生じておりますので、これらの点を明らかにすることといたしております。
第四は、申告手続に関する規定の整備改善をはかったことであります。すなわち、申告納税方式における申告手続は、期限内申告については、各税法の規定によることといたしますが、期限後申告、修正申告及び更正の請求等については、この法律案に取りまとめて、わかりやすく規定することとしております。なお、これに関連して、納税者の住所等が異動した場合の申告書の提出先について、現行法では必ずしも明らかでないため、新住所の所轄税務署とする等、納税者の便宜を中心としてわかりやすく規定するほか、申告書等を郵送した場合には、郵便局の通信日付印に表示された日に申告書の提出があったものといたしております。また別に、災害その他やむを得ない理由がある場合には、税務署長等は申告書の提出期限を延長することができる旨を明らかにいたしております。
第五は、国税の賦課権の期間制限について合理化をはかったことであります。すなわち、国税の徴収権の時効につきましては、現在別段の問題はないのでありますが、国税の更正や決定、すなわち課税権の行使をすることができる期間につきましては、現行法では必ずしも明らかでなく、しかも直接税と間接税との間において不統一の点も見られますので、今回、これを、時効とは違って中断や停止等をすることなく、権利を行使することができなくなる、いわゆる除斥期間として明らかにするとともに、その期間を原則として三年とする等の改善合理化をはかることといたしております。
以上が諸制度の改正のあらましでありますが、このほか、各税に共通する事項として、相続、合併の場合における納税義務の承継、税法上の期間計算及び群類の送達の方法、人格のない社団等に対する税法の適用、国税の納付、請求及び督促の手続、災害等の場合における納税の猶予、国税に関する担保の種類及び処分等の手続、還付金の還付、充当及び還付加算金等につきまして規定を整備の上、統一的に定め、租税制度の仕組みを明らかにすることといたしております。
なお、この法律案は、本年四月一日から施行することとしておりますが、不服審査及び訴訟に関する規定につきましては、行政不服審査法案及び行政事件訴訟法案の施行と合わせまして、本年十月一日から施行することといたしております。
以上、国税通則法案につきまして、その提案の理由と概要を申し上げました。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/73
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074・小川平二
○小川委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
次会は来たる三月一日、午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104004629X01519620227/74
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