1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十四日(火曜日)
午前十一時十六分開議
出席委員
委員長 河本 敏夫君
理事 稻葉 修君 理事 田中伊三次君
理事 林 博君 理事 牧野 寛索君
理事 坪野 米男君 理事 松井 誠君
池田 清志君 上村千一郎君
唐澤 俊樹君 岸本 義廣君
小金 義照君 千葉 三郎君
松本 一郎君 猪俣 浩三君
田中織之進君 田中幾三郎君
志賀 義雄君
出席国務大臣
法 務 大 臣 植木庚子郎君
出席政府委員
法務政務次官 尾関 義一君
検 事
(訟務局長) 濱本 一夫君
委員外の出席者
専 門 員 小木 貞一君
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四月二十四日
委員片山哲君辞任につき、その補欠
として田中幾三郎君が議長の指名で
委員に選任された。
同日
委員田中幾三郎君辞任につき、その
補欠として片山哲君が議長の指名で
委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
行政事件訴訟法案(内閣提出第四三
号)
行政事件訴訟法の施行に伴う関係法
律の整理等に関する法律案(内閣提
出第一三五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/0
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001・河本敏夫
○河本委員長 これより会議を開きます。
行政事件訴訟法案及び行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案を一括議題といたします。
質疑を続行いたします。田中幾三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/1
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002・田中幾三郎
○田中(幾)委員 一点だけ御質問申し上げたいのですが、質問と申し上げるよりも、ちょっと私は疑問の点が一点あるのです。この第八条の二項の第一号「審査請求があった日から三箇月を経過しても裁決がないとき。」、これは訴訟が起こせる。この例はほかの法律にもたくさんあるのです。私は、この間も国税通則法のときにも疑問があったので御質問申し上げたのですが、三カ月たっても審査請求に対する裁決がない場合に訴訟を起こす。ところが、その裁決をいつまでにしなければならぬという終期がないわけですね。いつやってもいいわけです。三カ月たって、六カ月後でも、極端にいうならば一年後でも裁決をしてもいいわけです。そこで三カ月たって裁決がないときに訴訟を起こす。その訴訟の目的物は処分なんです。それから裁決があって訴訟を起こしたときには訴訟物は裁決なんですね。そこで三カ月たって裁決がないために訴訟を起こした。その訴訟の進行中に裁決が下ったという場合には、その訴訟の対象になっているところの処分と、その後に出てきた裁決と二つあるわけですが、その三カ月たっても裁決のないときに起こした訴訟の対象物は、裁決があった後には一体この裁決はどうなるのか、訴訟の対象物は最初やった処分なんですから、そうすると、やはり最初やった処分を対象にして訴訟が進行していくのか。ほかの法律で見ますと、裁決をしたときには裁判所にその謄本を送付しろという規定があります。この法律によって、審査請求がされている場合には、その訴訟手続を中止することもできるけれども、中止しないで訴訟をどんどん進行していく。あとで裁決が出た場合には、一体訴訟物の変更があるのか、あるいはまたその裁決に対してさらに訴訟を起こした場合には、その裁決に対する訴訟と最初の処分に対する訴訟と並行していくのか、どうなのか。この点にちょっと疑問があって、この前も国税通則法のとき聞いたのですけれども、ちょっと法務省でも明快な御返事がなかったわけです。この点一つ、規定がありますならば、ちょっと探してもわからぬようでありますし、どういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/2
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003・濱本一夫
○濱本政府委員 御設例の場合につきましては、一がいには申せませんので、その審査請求における裁決の内容によっておのおの違ってくるわけです。たとえば審査請求における裁決が棄却であれば訴えはそのまま変更はないわけです。つまり原処分を審査庁が維持したわけでありますから、少しも変更を加えないで済むわけであります。また審査請求における裁決が原処分を取り消すものでありますれば、前に起こした訴えは、訴えの利益がなくなるわけでありまして、取り下げなければ棄却にならざるを得ないわけであります。また一部取り消しでありますれば、取り消されたあとで残っておる部分が前の訴訟の対象になるわけでありまして、勢い訴えの一部の変更をしなければならぬようになるわけでありますが、変更をしなければ一部の棄却になるわけです。でありますから、一がいにどうというわけにいきませんので、具体的事件における審査請求における裁決の内容によって取り扱いを異にせざるを得ないことになるわけであります。それは特段の明文を待つまでもなく、理論上解決されるわけであります。私どもさように解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/3
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004・田中幾三郎
○田中(幾)委員 そうすると、一部変更の裁決があった場合には、理論的には当然に訴訟物が自動的に変わっていくという御解釈ですか。それとも何かそこに裁決が変わった場合にはこうだという規定は必要ないという解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/4
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005・濱本一夫
○濱本政府委員 前に提起された訴えが自動的に内容が変わるわけではございませんので、一部取消しの場合を考えますれば、取り消しによって原告の利益に原処分が変わった。その範囲におきましては、訴えの一部取り下げがなければ終局判決で一部の棄却ということになるわけであります。なお残っておる部分につきましては従前の通りであります。でありますから、おそらくそういう場合には、原告には訴えの利益の一部がなくなるわけでありますから、任意に一部の取り下げをするものと期待されるわけであります。あえて取り下げをしなければ、終局判決においては、その部分については一部の請求棄却ということになるわけであります。別段、特段の規定を要しないと解しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/5
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006・田中幾三郎
○田中(幾)委員 そうしますと、この法律には特別に関係はないけれども、私のそういう疑問の起こるのは、裁決をいつまでにしなければならぬという行政庁に対する制限と言いますか、義務づけがないわけなんです。ですから、あるいは判決が済んでからすぐ裁決がある場合も理論上は考えられるわけです。そうすると、裁判が済んでしまってからあとで裁決があったという場合には、もう裁判は済んでしまった、裁決はずっとあとからきた、こういう矛盾と言いますか、そういうことを来たすから、私は、やはり裁決というものはいつまでにしなければならぬ——これでは消極的に三カ月たって裁決のないときには訴訟を起こせるというか、訴訟提起の方の制限はあるけれども、裁決をいつまでにしなければならぬということは書いていないから私の疑問が起こるのであって、やはり訴訟法の規定でないかもしれぬが、裁決については、三月なりあるいは半年なりの間に裁決しなければならぬという、こういう行政庁に一つの制限を、期限を与えておいた方がいいんじゃないかということを考えたためにこういう疑問が起きたわけであります。これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/6
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007・濱本一夫
○濱本政府委員 本法で解決しておりすのは、つまり訴願前置を課せられて、そういった制限を課せられている場合の制限を一部はずす規定でありますから、本法にはおっしゃるようなことは関係ないわけなのでありますが、かりに行政不服審査法なり、あるいは個々の行政法規に、何カ月以内に裁決しなければならぬという規定がございましても、現実に裁決がなければやはり同じ結果が起きるわけでありまして、その間の結果はやはり理論に待たざるを得ないわけであります。その場合に適用になります理論は、今私が御説明申し上げた通りになるわけであります。私どもはさように解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/7
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008・河本敏夫
○河本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/8
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009・河本敏夫
○河本委員長 行政事件訴訟法案に対し、松井誠君外八名より修正案が提出されております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/9
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010・河本敏夫
○河本委員長 行政事件訴訟法案に対し、松井誠君外八名より修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/10
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011・河本敏夫
○河本委員長 修正案はお手元に配付してある通りであります。
この際、本修正案の趣旨の説明を求めます。松井誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/11
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012・松井誠
○松井(誠)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、行政事件訴訟法案に対する修正案の趣旨説明を行ないたいと思います。修正案の内容につきましては、今委員長が申されましたように配付いたしてございます案文をごらんいただけばおわかりになると思いますので、朗読は省略さしていただきます。
そこでわれわれがなぜこのような修正案を出すかという理由について申し上げたいと思います。今度の法案が、今まで疑問であり、問題であったというような点をいろいろ解決をしたという意味で多くの改善の点があるということ、そしてそれに関連をしてたくさんの関連法律の整理をされたという点、そういう点についての御努力なり、あるいは改善されたという事態そのものについて私たちも敬意を表するわけであります。ただ、しかしながら、この法律案の中にわれわれがどうしてもそのまま認容するわけに参らない点、特にあとで申し上げますけれども、総理大臣の異議権という点に関しましては、これはとうてい私たちはこのまま認めるわけには参らない。
そこで、われわれが修正案を出しまするいわば根本的な態度と言いますか、そういうものを最初に一言申し上げますと、やはり国民の権利救済という観点に立ちまして、そういう権利救済の点を全からしむるためにはどうしたらいいかということから、この修正案を提案しておるというようにお考えいただければ幸いだと思うのです。そのような権利救済を厚くするということは、あるいは見方によれば行政能率を落とす、そういうことになるかもしれません。しかし、今の日本の現実では、そのような行政能率を上げるということよりも、むしろ国民の権利救済というものに重点を置かなければならない段階にある。国民の権利意識というものがまだ弱くて、民主主義の層というか、幅というか、そういうものが薄く浅いという段階では、やはり今重んずべきものは国民の権利救済であって、行政の能率ということではない。そういうことから以下四点の修正点を提案をするわけであります。
最初の第一点は、本法案の第三条に対する修正でございまして、これはいわば技術的な修正になるわけであります。抗告訴訟は、この法律案に書いてあるのは、いわば単なる例示であって、それ以外の抗告訴訟を認めない趣旨でないということを提案理由によれば明瞭にうたわれておりますけれども、しかし、法案自体からはそのようなことは読みとり得ないわけであります。従って、この抗告訴訟の類型は例示であるということを具体的にはっきりと条文にうたう、これは事柄の本質を必ずしも変えるものではございませんけれども、こうすることによって、抗告訴訟をこれ以外のものに広めようとする動きを事実上制肘をするということをできるだけ防ごうとするわけであります。もちろん、このような規定を入れましても、抗告訴訟が一応ああいう形で類型が上がっておりますということ自体、その抗告訴訟を起こそうとする人、そしてその抗告訴訟を認めようとする裁判官に、何がしかの事実上の圧力と言いますか、そういうものを加えることは否定はできませんし、従って抗告訴訟をそういう形で類型化したということ自体に問題がないわけではないと思いますけれども、今のところ、われわれはこれを例示だということを具体的に書くということでその欠点を補っていきたいと思うわけであります。
その次、第二点は第八条の修正であります。これは、いわゆる訴願前置というものをこの法案は廃止をすることを原則といたしておりますけれども、原則に対する例外というものが非常に多い。われわれは訴願前置を廃止したということには根本的に賛成であります。従って、それがたくさんの例外を作る道を大幅に広げるということでは、訴願前置廃止の原則が事実上有名無実になるのではないか、そういうことでこの訴願前置に対しては例外を認めないという趣旨の改正が第二点であります。
第三点は、第十条四の修正でございます。この第十四条の修正は、出訴期間についての例外を認めないということであります。現行法によりますと六カ月という出訴期間が、本法案では三カ月と短縮をされております。そのこと自体にももちろん問題がありますけれども、より大きな問題は、他の法律によってこの三カ月の出訴期間の原則がやはり多くの点で破られておるということであります。三カ月のこの出訴期間必ずしも長くはなく、やはり六カ月とするのがほんとうであったのではないかという疑問も持ちますけれども、もし三カ月にするならば、ほかの法律案で一々それより短い例外を設けるということは、訴訟を提起しようという人にとっては非常に繁雑で、混乱が起こりやすい。三カ月よりも短くしなければならないという具体的ないろいろな法律の規定そのものも、必ずしもその合理性というものははっきりしない。従ってそういう立場から、まさに国民の権利救済を全うするという立場から、そういう繁雑な例外というものをやめて、三カ月の出訴期間ということに統一をするというのが第十四条の修正の趣旨であります。
それから最後に、第二十七条の総理大臣の異議権の点であります。これが、先ほども言いましたように、われわれがこの法律案の中で最も問題とし、最も反対をすべき点であるわけであります。この二十七条を全文削除するというのが修正の内容であります。その理由は、今までも再々申し上げておりますので、簡単に要約をいたしたいと思いますけれども、第一点は、このような総理大臣の異議権というものが憲法との関係において違憲の疑いが強いということであります。執行停止の処分が行政処分であるのか司法処分であるのかということについていろいろ議論はございましたけれども、しかし、少なくともその処分が明らかに司法処分である訴訟と具体的に密着をして、いわば一体となっておるというそのこと自体は否定しようもないわけであります。そして、なぜそのように一体になっているかということは、訴訟というものを効果的に遂行するためには、やはりその執行停止というものが機械的に、必然的にそれに結びついてこなければならない。そういう形になっておるわけであります。従って、執行停止そのものに介入するということは、実はやはり訴訟そのものに介入するということにならざるを得ない。そういう実質的な立場から考えますと、この執行停止が行政処分であるか司法処分であるかという、いわば形式的な、観念的な議論からさらに進んで、憲法が実質的に司法権というものの独立を保障し、行政権のこれに対する介入というものを否定をしている、そういう憲法の原則からはなはだ違憲の疑いが濃いということが、この異議権反対の第一の理由であります。
そしてこのように違憲の疑いの濃い制度をあえて入れようとするには、そういう違憲というものの制約を乗り越えてなおかつ認めなければならないほどの非常に強い必要性というものがなければならないわけであります。そういう点につきまして、政府のいろいろな御答弁の中から、われわれはどうしても、なぜこの制度がぜひ必要なのかという合理的な理由を発見することができないわけであります。この法律の二十五条には、執行停止についてのいろいろな手続が書いてあります。行政官庁は疎明の処理をなさなければなりませんし、そして裁判所はあらかじめ行政官庁の意見を聞かなければなりません。そしてそのような意見を聞いたあとで、公共の福祉に反するかどうかという判断を裁判所はしなければなりません。そしてそういうことを判断した結果執行停止の決定がなされた場合にも、それに対しては即時抗告という形でその決定の当否というものが争われるわけであります。このような幾多の関門を経てなし遂げられる執行停止というものを、さらに異議権という形でそれを否定するという現実の必要というものが一体どこにあるかということがどうしても理解できないわけであります。やはり、それをほんとうに理由あらしめておるものは、結局のところ、裁判官に対する不信、裏返して言うならば行政官庁に対する信頼ということにならざるを得ない。そのことが当を得ておるかどうかは別として、そのことを認容しない限り、私はこの制度の合理的な理由というものはないのではないかと思うのです。ところが、その行政官庁に対する信頼というものは、まさにわれわれが信頼するに値するかどうかということを考えてみますると、これは残念ながら、この法律の運用そのものがそれを裏切っておるわけであります。たとえば、現実にこの法律がどのような形で役割を果たしておるかということについて、実は具体的な実証的な数字として統計が整備されておりませんので、その点はなはだ残念でありますけれども、われわれの観測では、たとえば行政協定に基づく特別措置法というものの行政処分に対する執行停止というものは、原則として総理大臣の異議というものが必ずくっついているのではないか。言ってみれば、そのような安保条約、それに基づく行政協定なり地位協定なりというものを積極的に推し進めるという役割というものをこの総理大臣の異議権が現実に果たしておるのではないか。それが乱用であるかないかという問題は、考え方によっては違うでございましょう。けれども、少なくともそのようなものを推し進めることはいけない、地位協定や行政協定の実施を推し進めるということはいけないということを阻止することは、乱用だという考え方が国民の一部にあるということも、これはもう否定のできない事実であります。しかし、政府当局の御答弁によりますと、昭和二十五年の暮れの次官会議の決定以来、そういう総理大臣の異議権の乱用はないのだということを言っている。異議権の乱用はないと言っているまさにその時期以降に、特別措置法関係の異議権というものが続出をしておるのであります。そしてこれは、そのような異議権を必要ならしめる行政執行停止申請が多かったからなのか、あるいは少ないにもかかわらず異議権が多くなってきたのかという肝心の点についての数字的な立証というものができませんけれども、しかし、少なくとも、もうこのような特別措置法関係の執行停止というものはできないのだ、従って初めから執行停止の申請をしないのだ、そういうことは、もう現実にそういう事件を取り扱っておる弁護士の間では意識されておる。そういう具体的な効果というものを考えてみますと、私は、行政権の乱用の現実の歴史というものがあり、そしてこれからあともそれが乱用されないという具体的な保障というものは何もないと思うのです。何か政府の御答弁によりますと、この法律案には、そういう具体的な乱用防止の法律的な保障というものがあるかのようなお答えでございましたけれども、どこにももちろんそういうものはあり得るわけではございません。そういうものの乱用の防止の保障というものは、やはり行政権がほんとうに民主化される、そういうささえがなければ、その乱用の防止はできないわけでございましょう。従って、裁判官に対する不信、行政官に対する信頼という、その唯一の合理的な理由というものも、われわれは理由がないと考えざるを得ないわけです。
こう考えて参りますと、かりにこの異議権という制度を根本的に認めよう、この制度を導入することはやむを得ない、そういう立場に立って、いわば政府、与党のそういうぺースの上で考えても、私は、この異議権の制度そのものには非常に欠陥が多いと思う。何か司法権と行政権とのいわばボーダー・ラインにある、そういう領域であるだけに摩擦がある。従って、その摩擦を解消するためにはこういう制度が必要なんだという御答弁でありますけれども、しかし、そのような摩擦を行政権の一方的な優位という形で解決しなければならないという理由は少しもない。そういう結論を出すにはあまりに論理が飛躍しておると思うのです。少なくともそのような摩擦を解決するためには、相互にコントロールするということでなければ、この制度を根本的に認めるという立場に立っても、私は筋道が通らないのではないかと思う。たとえば、言ってみまするならば、裁判官が異議権に対する審査権を持つ、あるいは事後の国会の報告というものを承認に変える。そういうことで、報告を承認に変えるということはあまり大した意味はないかもしれませんけれども、しかし、行政、司法、立法のお互いの間のそういう入り組んだ相互的なコントロールをするということならば、あるいは異議権というものを認めるという立場からいえば理屈に合った制度だということが言えるかもしれません。しかし、それすらもなくて、行政権の一方的な優位という立場で問題を解決しておるということが、何としても筋が通らないと思うわけであります。
以上が、われわれがこの修正案を提案をする理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/12
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013・河本敏夫
○河本委員長 以上をもちまして修正案の趣旨説明は終わりました。
次回は明二十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104005206X02119620424/13
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