1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年三月六日(火曜日)
午後一時四十五分開会
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委員の異動
三月五日委員小酒井義男君辞任につ
き、その補欠として坂本昭君を議長に
おいて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 村松 久義君
理 事
天埜 良吉君
金丸 冨夫君
谷口 慶吉君
大倉 精一君
委 員
天坊 裕彦君
鳥畠徳次郎君
平島 敏夫君
前田佳都男君
坂本 昭君
重盛 壽治君
白木義一郎君
加賀山之雄君
国務大臣
運 輸 大 臣 斎藤 昇君
政府委員
運輸大臣官房長 広瀬 真一君
運輸省海運局長 辻 章男君
運輸省船員局長 若狭 得治君
運輸省港湾局長 坂本 信雄君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 高橋 末吉君
運輸省自動車局
長 木村 睦男君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
大蔵省主計局主
計官 海堀 洋平君
運輸省船員局船
舶職員課長補佐
官 中沢 宣道君
運輸省港湾局参
事官 岡田 良一君
建設省道路局次
長 高田 賢造君
日本国有鉄道副
総裁 吾孫子 豊君
日本国有鉄道施
設局長 柴田 元良君
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本日の会議に付した案件
○特定船舶整備公団法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○運輸事情等に関する調査
(日本国有鉄道の運営に関する件)
(都市交通に関する件)
○船舶職員法の一部を改正する法律案
(第三十九回国会内閣提出)(継続案
件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/0
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001・村松久義
○委員長(村松久義君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず委員の変更について御報告いたします。
昨五日、小酒井義男君が辞任され、坂本昭君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/1
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002・村松久義
○委員長(村松久義君) 特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/2
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003・大倉精一
○大倉精一君 きょう委員会に提出されました港湾局のはしけ滞船状況という表について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/3
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004・岡田良一
○説明員(岡田良一君) 本日配付いたしました資料について御説明いたします。これは前回に配付いたしました資料の補足として出したものでありますが、各港におけるはしけの滞船状況の資料の御要望がありましたが、東京、大阪についてはこの資料を前から取っておりませんので、取っております横浜、名古屋、神戸についての数字でございます。横浜につきましては前回に配付いたしました資料の集計表のようなことになっておりますが、その月中に滞船したはしけの隻数と積載貨物のトン数でございます。たとえば三十六年四月、三百十四隻というのは三百十四隻のはしけが四日以上滞船して、そのトン数が全部で四万トンということでございます。この推移を見ますと、四月からずっとふえまして、八月が最高になっておりますが、それ以後減りまして、十二月は大体四月、五月と同じような線まできております。次は名古屋でございますが、これは資料の取り方が横浜と若干異なっておりまして、毎日五日以上滞船しているはしけの隻数を合計したものでございます。たとえば八月一日に三十隻滞船しているものがありましたが、二日には五十隻、三日には四十隻ある、そういうものを全部集計した数字であります。これも八月、九月、十月ごろは多かった−わけですが、一月、二月になると非常に減って参っております。それから神戸でございますが、これもやはり横浜と同じような取り方で、ただし七日以上滞船しているはしけの数を調べたものであります。これは最近の一月の統計が出ておりませんので、少し比較が困難でございますが、大体減っている状況に考えられます。以上で資料の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/4
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005・大倉精一
○大倉精一君 たとえば先にもらった「六大港はしけ関係資料」というのがございますが、それと今度の資料並びに「横浜港におけるはしけ滞船量原因別推移」というのがございますが、こういう統計からして、たとえば現在はしけの滞船状況、倉はしけの状況というものが、各港によって統計の取り方が違うので、ただちに数字をつかむわけにはいかぬのでございますが、概算して、全体の今の不足量、それからこの倉はしけが解消した場合における不足量、そういうものは大体わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/5
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006・岡田良一
○説明員(岡田良一君) 大体の数字といたしまして、前回にもお出しいたしました資料にあります二十二万トンというのが六大港のピーク時における不足量でございますが、最近は、ただし倉はしけもこの資料にありますように、常時四日なり五日なり以上滞船しているはしけというものも、平常状態にあっても幾らかはあるわけでございます。これが全部解消するということは、平常状態でもないわけでございますので、ある程度の倉はしけというものは常に存在するという前提のもとに数字を考える必要があると思いますが、そういうふうな点から検討いたしますと、三十七年度においては約五万トン程度のはしけを増強すれば、それで大体荷動きの点から計算いたしまして、いいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/6
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007・大倉精一
○大倉精一君 大体五万トンの補充というお話なんですけれども、先般の説明によりますというと、五万トンというのは、大体過去における荷動きの平均数字から五万トンという数字が出たと聞きましたが、そうしますと、やはり依然としてピーク時におけるはしけの補充というものが問題になると思うのですね。これは先般の委員会でも質問しましたが、そこで、こういう問題については政府のほうにおいても検討の話題になったことを聞いておりますが、いわゆるピーク時における船込みのときにおけるはしけ不足、これに対する対策はどういう工合にお考えか。ただはしけ能率を増強するというだけは、やはり問題が局限されていくのではないか。たとえばこれには労働力の問題なりあるいはその他の総合的な問題がなければならぬと思うのですけれども、そういう問題についての考え方はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/7
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008・岡田良一
○説明員(岡田良一君) 現在の三十七年度に五万トンはしけを増強いたしますれば、ある程度の荷動きの増加には——ある程度のと申しますか、非常に入港船が殺到してこなければ、ある程度の増加であればまかなえるという計算になっております。ただし異常にたくさん入ってきた場合には、はしけの回転率を上げる方法よりほかに対処する方法はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/8
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009・大倉精一
○大倉精一君 これは政府の経済成長策からいって、入出港の船、大体荷役という量は、飛躍的にふえていくということを想定しなければならぬと思うのです。そこで今の数字は、現況のものにおいては大体五万トン、こういうことだろうと思うのですね。ですから、私は、将来の見通しとそれに対する港湾対策というものを立てなければならぬが、はしけの増強というものは、総合的な港湾荷役に沿う対策の一環として、一原則としてのはしけ対策である。だからして、単に口ではしけの回転率をよくする、効率をよくすると申しましても、これに付随する万般の諸施策を講じなければ、単なるはしけの回転率といっても、これはそう簡単にはいかぬのではないかと思うのですね。
そこで、これはひとつ運輸大臣にお伺いしたいのですが、特にはしけの効率をよくする、すなわち港湾荷役の効率をよくするという面から港湾の機械化ということをかなり促進しなければならぬと思うのだが、それに対する考え方、施策はどうなっているか。さらにまた、荷物の揚げ場ですね、倉庫等の揚げ場等の問題、バースの問題、こういうような物入れの問題は、これはどういう考えで、どういう施策をされようとしているのか。さらにまた重要なことは、陸上輸送との関連性が非常に私は密着しておると思うのですね。鉄道輸送あるいは道路という面の輸送とも非常に関連しておると思うのです。特に最近におけるところの状態というものは、港湾に対する貨車の配車が非常に不足をしておる。これは港湾ばかりじゃありませんけれども、特にこの重要港湾、経済発展の動脈であるところの、一部であるところの港湾に対する配車の率が非常に少ない。こういうものもやはりあわせ考えないと、はしけだけ増強をしても、港湾の船込み状態は解消しないと思うのですよ。そういう総合的な点について大臣の意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/9
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010・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、港湾の能率は単にはしけの数の増強だけではとうてい期せられないわけでありまして、今おっしゃいますように、港湾労務管理の問題からあるいは港湾のバースの問題、あるいは倉庫の問題、荷積み場の問題、あるいは後方地域への運搬の問題、全部関連をいたしております。最近、日本の経済の成長に伴って輸出入貨物、ことに輸入貨物が非常に多くなって参りました。最近若干頭打ちの格好をいたしておりますが、しかし今後、今日の金融引き締め等がまた平常の状態になりますれば、どうせ港湾の五カ年計画で考えておりまする点もなおかつこれは少な過ぎると考えておるくらいでございますので、したがいまして、当面の急務に役立ちますための予算その他をお願いをいたしておりますが、バースの増強にいたしましても、あるいは倉庫は前年よりも増して開銀その他の融資額を多量に願って、そうして倉庫もこの用に役立つように考えておりまするし、また臨海鉄道あるいは貨物車の増強等にも配意をいたしておるわけでありまして、すべて日本の経済の伸長の度合いにおくれないように万般の機能を拡充していかなければならぬと考えております。ことにおっしゃいました労務の問題は非常に重要な問題でございます。一面、荷役の機械化をはかりますると同時に、さらに今日の労務管理あるいは港湾運送業のあり方というようなものが、相当私は今後の港湾の機能の発揮に重要な役割を持つと考えております。今日のそういった状況は、これはただ金をかける、施設をやるというだけではまかない切れないものがありますので、したがいまして、今まで労働省にありました港湾労働問題調査会でしたか協議会でしたか、法律に基づかないものがあったわけでありますが、これを今度内閣の設置法に港湾労働等対策審議会というものを設けまして、そうてし港湾労務、港湾労働というものを中心にいたしまして、これに関連をいたしまするあらゆるものについて関係各方面の学識経験者等も入れまして、今後の港湾の機能の増強、あるいは労務対策というものを推し進めて参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/10
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011・大倉精一
○大倉精一君 港湾運送事業者の管理についてのお話もありましたが、これは前々からいわれておることであってなかなか実行されていない。たとえば、今法律は持っておりませんけれども、港湾運送事業者はみずから一定の常用者を持っていなければならぬ、常用労務者がいなければならぬ、あるいはみずからのはしけを持っていなければならぬということがあるはずですけれども、現状は必ずしもそうではない。極端ないい方をするならば、電話一本で仕事をやるような業者もまだまだあるように聞いておるのですが、この点を局長のほうから、どういう状況、事情になっておるか、概略でいいですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/11
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012・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 御指摘ございましたように、港湾運送事業の現状と申しますものは、必ずしも近代的事業とは申せない実態にあると思います。現在まだ登録制度が生きておりまして、登録されたものが今事業をやっておるわけでございますが、ことしの十月に、新しい港湾運送事業法によりまして全部これは免許に切りかえることになっております。われわれのほうでもいろいろ免許する場合の方針につきまして検討をし、一部免許もいたしておるわけでございますが、従来よりももう少し、まあ数量的に申し上げますと、常用労務者だとか、あるいははしけの数だとか、あるいは上屋の数量だとかにつきまして、基準を上げていくように指導をいたしております。なおかつそれでも基準に合わないような業者については、目下統合するように非常に強力な指導をやっておる状況でございます。今お話ございました現在の港湾運送事業者は、現在登録並びに免許を受けております業者の数は、全体で一千九百九十ばかりございまして、これは業者の数で、業種に分けますと、三千四百くらいになります。これは一つの店が数種の業種を営んでおるために、こういう食い違いが出てくるわけでございます。そのうちの大部が非常に規模の小さなものが多うございまして、資本金で分類いたしますと、一億円以上が六%、一千万円以上一億円未満が一三%ということで、一千万円以下の業者が約八〇%くらいの状況でございます。今こういうような状況で、いろいろまあ港湾労務の管理の上におきましても、われわれとしても非常に遺憾の点が多いと思っておりますので、われわれといたしましては、この業者を健全化するという建前から、まず今度の免許の制度ともからみましてそういう方針で健全化していきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/12
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013・大倉精一
○大倉精一君 そこで、この法律案によりますというと、港湾運送事業者と費用を分担して、はしけその他の港湾運送用船舶の建造、譲り渡しができることになる。この場合における港湾運送事業者という資格はどうなんですか、これは十月からですか免許になるのですから、現在登録業者は免許の過程にあるのですね。選考の過程にあると思うのですね。ですからこの場合、この法律案が通った場合、この港湾運送事業者という資格はどういう資格の者を対象とするのですか。免許をした者を対象にするのか、あるいは現在選考中の者を、登録業者全部を対象とするというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/13
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014・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 免許を与えます基準は、港湾運送事業法にございまして、まあ第一項といたして需要と供給の関係を考えてやるということでございます。第二項といたしまして所有の施設その他についてまあ十分な——ちょっと法律を持っておりませんので、文章はなんでございますが——十分のものを持てということ、それから第三項といたしまして、責任をもって経営できる者であること、第四項といたしまして、事業の経理的基礎が確実性を有すること。この四つが法律できめられた基準になっております。旧の登録基準のほうにおきましては、この第二項にございます労働者及び施設についての一定の基準に該当さえすれば、ほかのことは考えないで、それに該当している書類が出れば登録することになっておりますが、今度の法律では、国会の御審議の過程もございまして、単にそういう施設だけを持っているものに限らずに、需要供給だとか経営の責任だとか、経理の確実性というものも同時に考えるということに変わったわけでございます。ですからこの第二項に申します労働者及び施設だけでもって免許を決定することは、法の精神から少し違いますので、第二項の基準につきましても、従来の登録基準よりは高く押えることにいたしておりますけれども、それと同時に、このほかの事項についても審査をすることにいたしておるわけでございます。それで、現在の登録業者がすべて免許業者になるかという点では、それは別個に判断をいたしまして、登録業者でありましても、免許の基準に該当すると認められない者については免許をいたさないことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/14
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015・大倉精一
○大倉精一君 そこで、この法律は、四月一日から施行されるわけなんですけれども、この適用の恩典にあずかる資格のある業者ですね、これはどういう基準で選択をするのか。登録業者が免許の査定過程にあるのですね、今は。ですから今、登録業者は全部資格業者として法律の対衆になるのか、あるいは免許になってから免許業者が法律の対象になるのか、その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/15
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016・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 今度の公団の対象とする業者は、この港湾運送事業法とは直接の関係はございませんけれども、この法律が施行されまして免許を受け得る者を対象として考えます。ただし、まだ港湾運送事業法が過程にございまして、全部の登録事務を終わるまでには相当時間がかかると思いますので、その間には登録という制度のもとの業者についても、今度の公団の融資を適用することがあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/16
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017・大倉精一
○大倉精一君 それはどこに。……何かの例外じゃなく、どこかにそういうことが明記してあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/17
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018・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) これは今度の公団の改正法案の附則にそういう、何と申しますか、港湾運送事業法の改正のときの三ヵ年の暫定処置がございますが、その暫定処置を受ける業者については、この公団の改正の法律が適用されるように附則でいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/18
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019・大倉精一
○大倉精一君 私の聞いておるのは、この新しい港湾運送事業法によって十月一日から免許業者に切りかえる、こういうことになっておるのです。現在ある業者は、これは登録業者であるということですね。であるから、当局のほうにおいては免許に切りかえるための作業、仕事を今やっておられる。そういう段階にある過程にこの法律が出るのでありますから、この法律の適用を受ける、恩恵を受ける港湾運送事業者というのは、今登録されておる業者に対してどういう扱いをするのか、あるいは免許を受かってからその適用をするのか、大体これなら免許は受かるだろうということでやるのか、その辺。あるいはこれはもう免許は仕方がないからこれはだめだと言って捨ててしまうのか、その扱いはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/19
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020・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) この公団法の改正の法律の附則でもって登録業者——現在あるわけでございますが——これが十月以降もまだ免許の処置が事務的にできませんで登録業者として残っておりましても、法律的には登録業者でもできることになっておりますが、われわれといたしましては、当然免許を受け得るものと考えている者について、はしけその他の融資を考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/20
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021・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、もう公団法の適用を受けてこの恩典を受けるということを指定されたような業者は、これはもう当然免許になる、こういうことですね。そうなってなければつじつまが合わぬですね。私の言っているのは、なぜこういうことを言うかというと、これは一方で新しい港湾運送事業法というものがあって、そしてその港湾業者は全部免許業者にする、こういう趣旨の法律が片方にあるわけですね。その法律実施の過程にある現段階において、この公団法ができて、そしてこの運送事業法と七・三の割合で云々ということが適用される、その場合における運送事業者の資格はどうかという疑問が出てきたわけです。今のあなたの答弁によると、大体これならいけるだろうという者に与える、こう言うのですけれども、何かもう少しはっきりした行政措置なり何なりがないものですか。だろうだろうではなくて、何か法律に権威がないような気がする。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/21
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022・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 法律上はございませんが、われわれが免許の審査をいたします場合に、優先登録基準というようなものを考えておりまして、まず間違いのない業者というものはやはり常識的に考えられるわれでございます。そういう者に限って融資をやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/22
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023・大倉精一
○大倉精一君 それは観念的にそうしたということになると、これは実際問題として混乱が起こる場合があるが、そういう取り扱いに対する基準とか手続について、政令なりあるいはそれ以外の通達、規則なりによってはっきりお示しになる考えがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/23
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024・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 実際は相当業者の優劣——非常にすれすれのところもございますが、優秀な業者というものはわかると思いますが、実際に公団のほうの融資を行なうケースをまだきめておりません。これからやるわけでございますが、そのときに、そういうこともその基準の中に入れて参りたいと思います。公団の融資の対象を考える場合に基準を考えるわけでございますが、そのときに優秀な業者ということを入れて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/24
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025・大倉精一
○大倉精一君 その優秀な業者というのはけっこうなんですけれども、公団がこういう工合にお世話をするという趣旨のものは、業者に資力がない、自分の力では船ができない、はしけが。それでもって公団融資をしようというわけです。極端なことを言えば優秀な資本力を持っておる業者は、公団でお世話しなくても自分でやれる。一番問題なのは、さっきちょっとあなたがおっしゃったように、免許になるかならぬかという業者がたくさんあると思う。先ほど数字をずっと並べられましたけれども、そういう業者がうんとあると思う。免許になるかならぬかというような、そういう業者をどうするんだということですね。実際はそういう業者が公団の恩典を受けたいんじゃないですか。早くはしけを持たぬというと港湾の荷役運送もうまくいかない。こういうことですから、その点が非常に混乱をするんじゃないかということをおそれて私は言うんですよ。優秀な大きな資本力を持った業者なんというものはそんなになくて、ボーダー・ラインといっては非常に失礼かもしれませんけれども、十月から免許になるかならぬだろうかというような業者ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/25
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026・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 公団で融資する場合には、やはり資本の獲得が困難であるものを対象にするということが法律にございますので、ほんとうに大手の業者にする考えはございません。しかし一方において、あまり小さな業者で、今度の免許のときに問題になるようなものにつきましては、これはやはり国の資金を出すわけでございますので、やはりある程度の経済的の要因が備わっていることがやはり一つの要件だろうと思います。そういう基準で考えて参りますと、今度の融資を考える会社が免許されるかどうかわからないというようなものにまで対象とすることは考えられませんので、自然にその範囲はきまってくるだろうと思いますが、これは実際の融資対象をきめるときに、あらためてよく検討して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/26
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027・大倉精一
○大倉精一君 これは最終段階ですけれども、その辺がやっぱりはっきりしないというと混乱すると思うんですよ。よく検討しないと。検討しなければならぬが、どうやって検討するか。まあなんですね、免許になってからというならわかるんだけれども、すれすれの者を検討してということになりますというとたいへん混乱が起こる。ましてや今まで小さな業者でも政府が登録をしてその事業をやらしておった、零細業者、小さい業者を。それを今度は免許制度にしてしまうというんですからして、今日やっぱり小さい業者も、これを単に切り離すばかりでなくて、やはり行政指導が必要だ、そこに。それでなければ、今まで政府はそういう不適格な業者に登録を与えて事業をやらしておったということ自体もおかしなことになるんだが、その論議は別にして、そういう業者に対する行政指導は別にし、そういうことを並行させないというと、この実施はうまくいかないんじゃないかと思うのですが、今までの局長の答弁では、実施にあたっては実際の面において相当混乱が起きてくるんじゃないかという気がするのですが、いかがでしょうか。もう少しはっきりこうするんだ、ああするんだという確信のあるはっきりしたものを示してもらえないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/27
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028・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 免許の基準につきましては、先ほど申し上げましたように、現在の登録基準よりも高いものを考えておりますが、それ以下の、現在登録を受けている者につきましては統合をするように今指導をいたしているわけでございます。それと別個に融資が起こってくるわけでございますが、これも先ほど申し上げましたように、特別大きな大手には出す考えはございませんし、また、非常に小さな、免許が問題になるような者にも出す考えはございません。その間に、これだけの基準があればまず免許が確実であるという一つの線は引けるわけでございます。その引ける一定基準の上の業者で、なおかつ大手——ほんとの第一流会社——を除いた、そのクラスを今度の対象にしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/28
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029・大倉精一
○大倉精一君 今の御答弁によりますと、大体免許に合致しない業者の数、逆にいうならば、合併等を慫慂しておる登録業者の数、それから免許に適当するところの業者の数というものは大体わかっているだろうと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/29
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030・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) まだ的確な数字は現在わかりかねますが、神戸地区などでは相当統合が進んでいるところもございます。どういう形態になりますか、ちょっとはっきりした数字はわかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/30
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031・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、本年度は何隻作る、何トン作るという、これ自体も怪しいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/31
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032・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 本年度融資の対象として考えておりますはしけ並びに引き舟につきましては、初年度でございますし、そんなに大きな数量ではございません。金のほうも大体決定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/32
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033・村松久義
○委長員(村松久義君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/33
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034・村松久義
○委員長(村松久義君) では速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/34
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035・大倉精一
○大倉精一君 そうすると、局長、登録とか免許とかということとは別に、この法案によってですよ、三分の一のお金さえ出せば、だれでもこれはこの法案の恩恵を受けるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/35
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036・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 免許及び登録をしている者につきましては、だれでも対象となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/36
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037・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、三分の一の金を準備して、そうしてこの恩典を受けた後において、あなたがさっき言われたように、港湾運送事業法により免許の基準に合致せずに免許を受けられなかったらどうするか。あるいはまた、あなたがおっしゃったように、不適格者とみなされる者がたくさんあるので、そういう者は合併するように慫慂するということをおっしゃったが、そういう者の中で、三分の一出すからと言ったら、これはやはり恩恵を受けるのじゃないですか。そういった場合の事務の処理はどうしますか、そう簡単に三分の一というわけにはいかぬだらう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/37
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038・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) そういうことのないように融資の選考の基準のときに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/38
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039・大倉精一
○大倉精一君 この問題は、もう少し当局の意思統一をしてもらい、検討をしてもらって、問題点は非常に少ないのですから、検討をしてもらって、そうして次回にひとつお聞かせを願いたいと思います。
さらに、先ほど申しましたように、免許の基準に合致しない業者、合致しないと思われる業者、ないしは現在合併ないしは合併を慫慂している業者は一体どれくらいあるか。それの持っているはしけはどれだけあるか。あるいは大体免許に合致すると思われる業者は一体どれだけあって、その所有するはしけは一体どれだけあるのか。これがどうも食い違っているような気がするのですが、三分の一を出せばいいじゃないかということになると、免許に合致しないような業者でも、おれのところはなんぼほしい、なんぼほしいといってやってくれば、やはりそれを業者に実施するように計上しなければならないわけですね。この前の提案理由の説明のときに、本年度は何トン作るというちゃんと契約もあり、ちゃんと予算も組んであるのです。その辺が私は、別に責めるわけではありませんが、将来の混乱を避けるために、もう一回ひとつ検討してもらって、この次の委員会にそれを報告してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/39
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040・村松久義
○委員長(村松久義君) ほかに御発言ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/40
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041・金丸冨夫
○金丸冨夫君 今の大倉委員の御質問は、結局これは登録を免許制に変えるのだということと、それから本案に対する出資対象としてのはしけ業者というものとどう食い違いを処理するかという問題の質問かと思うのですが、これはただいま当局の説明のように、登録されておる、また免許されておる者については一応資格があるということに考えられるし、また、実質それでは、後にこの出資等を認めたのが、業者として免許が取れないのじゃないかという場合にはどうするという議論ですけれども、大体これは当局において、免許業者または登録業者のうち有力なものに限って、制限をするのでありますから、すべての者にやるということではないのでありますから、すでにその予定もされておるようでありますし、これは後日の問題としてはあるいは起こるかもしれませんが、今年度の予算の実行、あるいはまた本案の通過には支障のないものと認められるのです。この点をひとつ当局からはっきり明言されたらよろしいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/41
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042・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 今先生のおっしゃたとおりでございまして、私はここに矛盾が起こらないように調和することができると思っております。今お話のございましたように、初年度で金も少なうございますし、要望のほうが非常に多いのでございますので、先ほどお話し申し上げましたような考え方で将来間違いが起こらぬよう実行できると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/42
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043・大倉精一
○大倉精一君 私はこの法案に賛成なんですよ。反対しませんよ。賛成だから一日も早く実施してもらいたいと思っておる。であるがゆえにわれわれ賛成し、上げた法案に対して、将来かえってこのために混乱が起こることになると、私、やっぱり国会議員としての責務がある、任務があると思う。ですから、ごねるわけじゃない、賛成しているのですから、賛成して、早くおやんなさいと、こう言うのです。おやりになるについては、そういう議論が起こってきたから、その点はひとつ政府のほうで意思統一をして、検討されて、こういう工合にするのだということをこの次の委員会におっしゃっていただくのが一番いいと思うのです。今特につけ加えて発言がありましたが、その発言がまた問題なんで、三分の一お金さえ出せばだれでも資格があるとつけ加えられたが、それでますます事態はややこしくなった。ですから私は、これは委員長誤解があるといけませんが、賛成法案なんです。だから私は、これはもっと協力しなければならぬという意思を持っているのです。それがために、今度の委員会までに私が安心できるようにお聞かせを願いたい。日程の関係からいっても差しつかえないと思いますから、委員長さようにひとつお取り計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/43
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044・金丸冨夫
○金丸冨夫君 ただいま大倉委員が言われた三分の一の金を出したならば、だれでもやれるのだということは、私が申し上げたのであって、やれるということより、やれるという資格が一応認められるのじゃないかということを言ったわけなんです。
それから、もう一つ御当局のこの前の説明のときに、はしけ業者はこれを組合その他に一つにして、そうしてそれを対象に公団との間に出資分を決定するというように努力しているというようなことがありますので、そういうことになれば、今港湾業者を、だれは資格があるかないかということを、そう考えなくてもやっていけるのじゃないかと思われるわけです。いずれにいたしましても、今運輸省の説明で十分ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/44
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045・村松久義
○委員長(村松久義君) この際、委員長より坂本港湾局長にはっきりしておきたいと思いますが、大倉委員の要求は、適当な行政措置を要求していることは明白であります。この点に関する不安を持っておられる現状でございます。よって港湾局長は、明後八日までに行政措置の基準、あるいはそれに準ずるような何かを明示されることの可能性がありますか。これをひとつ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/45
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046・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 融資の基準につきましては、一定以上の大手の業者には融資をする考えはございませんし、また、一定以下の業者にも融資する考えはございません。その間の業者につきましては、はしけの要求でも、現在の予定されておりますトン数よりも多うございますので、その間の業者だけで十分御要望に沿い得ると考えております。その基準を、一般的な基準を作りますには、いろいろ公団のほうとも協議を要しますし、今すぐその基準をあさってまでに提出いたしますことは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/46
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047・村松久義
○委員長(村松久義君) もう一点伺いますが、他の公団との協議その他を経ないで、あなたの範囲においてお考えになっておる問題を不安解消の資料としてお出しになることができましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/47
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048・坂本信雄
○政府委員(坂本信雄君) 考え方はお示しできますが、数字でもって基準を出すことは困難と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/48
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049・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 先ほどから大倉委員と政府委員との御質問また答え等を私は伺っておりましたが、大倉委員の御懸念もごもっともだと存じますが、局長が答弁をいたしておりますように、法律の上では三分の一金を出せば、この法律の恩典に浴するということになっておりますけれども、しかしながら、公団との間には、やはり契約を結んで、そうしてその契約も履行が可能であるということが必要なわけでございます。したがいまして、この一応の資格のある人は申し出をして参ると思いますが、しかし、その数が予定よりも非常に超過するということは予測をしております。したがいまして、今後、今のままでは免許がとうていできないというような者は、これは御遠慮願うのが当然であろうと思います。そこで、しかしながらあるいは統合等がもう進んでいる、そうしてこれならば大丈夫という見通しがつき、公団のほうもこれは契約をしても、今後契約条項の履行ができるであろうというものは、これは私は入れて差しつかえない、こう考えております。業者としての、何と言いますか、先ほど局長が御説明を申し上げました、法律の各項目に該当をしておりまする点をまず重点といたしまして、さらに公団に対して契約の履行能力が高いというものから優先的に選別をしていかなければならない、かように考えております。しかしながら、これは中小はしけ業者等のための法案でございまするから、自己資金が非常にたくさんある、または開銀融資等も受けられるという者はまず最初に除外をいたしたい、そういう方針で選考いたしておりますることを御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/49
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050・村松久義
○委員長(村松久義君) 大倉委員に申し上げますけれども、今の斎藤運輸大臣の答弁で御満足になりませんか。
速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/50
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051・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記を始めて。
なお重ねて申し上げますが、坂本局長は、数字等の詳細については八日までには不可能である、しかし、考え方については八日までに何とかして明らかにしてもよろしい、こういうことなんですが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/51
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052・大倉精一
○大倉精一君 それでけっこうですが、数字等についてはあとからでもけっこうですが、お示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/52
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053・村松久義
○委員長(村松久義君) ほかに御質問ございませんか。では本日は特定船舶整備公団法の一部を改正する法律案については、質疑はこの程度にいたしまして、明後八日さらに質疑を継続いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/53
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054・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。日本国有鉄道の運営に関する件について質疑の通告がございます。この際御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/54
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055・坂本昭
○坂本昭君 先般、土讃線に大きな山くずれが起こりまして、そのために公務災害のもとに二人の保線要員が犠牲となって倒れました。うち一名の死体は見つかりましたが、まだ一名は発見されていないようであります。この尊い犠牲者の霊に対して心からお弔いの言葉を申し上げたいとともに、その後の復旧工事に非常に努力しておられる当局の御努力、またそれに従事している労働者の諸君に心から謝意を表したいと思うのでございます。ただ、今回の問題、今回の事件を契機として非常に重大な点が考えられるのではないかと思うのであります。もちろん災害の復旧のすみやかなるべきことを願うのでありますが、この原因のよって来たるところを検討しますというと、これは日本における輸送問題、運輸問題、国鉄問題、こうした点の基本的な点が現われておるのではないか、たまたま頭を出してきておるのではないか、そう思いまして、若干基本的な問題からお尋ねをしてただしておきたいと思うのでございます。と言うのは、今度の山くずれは、ある意味では天災のように見えますが、どうも、しさいに点検すると、人災の要素もあるのではないか。たとえば新五カ年計画ができた。しかしこの五カ年計画は東海新線に重点を置いて、そうしてこれが政府の所得倍増十カ年計画を推進する要素として、特に太平洋工業地帯、これの輸送に重点を置いておる。そういう点では四国のようないわば辺地における交通、国鉄の輸送力、こういうことについてのウエートがだんだんと欠けてくるのではないか、あるいはまた、そういうための——あとでお伺いいたしたいと思いますが——国鉄の中における予算の配分、その予算の配分の中でもさらに四国支社にまかせられたところの予算の配分について、これは四国の支社長がその権限を持って行なわれるのでしょうが、はたしてほんとうに防災に対して予算的に重点を置いておったか、長い過去の土讃線の実態からいっても、特に日本においても地すべり地帯として有数な大豊村という地域において、そういう点が十分予算的にも検討されておったか。あるいは高松の駅がりっぱになることもけっこうであります、しかしその重点が、ともすれば大企業、大工業のおるところに置かれて、そして僻遠の地に対してはおのずから重点が薄れてきたのではないか、そういう交通政策上、むしろこれは政府の今日持っている政策上の欠陥が現われてきたのではないか、まあそういう点を私は感じますので、最初に基本的なことについて簡単な御見解を伺いたいと思うのでごいまざす。
まず、新しい国鉄の合理化、輸送力増強の計画、これにつきまして特に最近軌道の保守合理化の計画が進められております。しかし、それらをしさいに点検しますと、列車のスピード・アップが非常に行なわれている。これはおかげさまで私も四国の高知でありますが、今までは一晩たたないと帰れなかったものが、朝立てば夕方には女房の顔を見ることができる、こういうことで非常にけっこうであります。実際に上級線等では二五%のスピード・アップが行なわれている。あるいはまた輸送量の増大が年間に三%以上引き上げられている。しかし、列車回数の増加が非常に激しくなったために、今度は一番大事な保線のための作業間合いが非常に減少してきている。これは早く目的地へ着くのにはありがたいことですが、またそして汽車がどんどんあるということはありがたいことですが、走れば走るだけ鉄道の路線は消摩していきます。その間合い——汽車の通る間合いに保線をしている、その保線のための作業間合いというものがだんだん減ってきている。私は念のためにきょう少し調べてみましたところが、従来二十分から三十分の間合いであったのが二〇・八%も減って、三十分ないし四十分の間合いのところが五〇%も減っている。四十分から六十分の間合いが八五・七%減っている。これを見ますというと、小さな間合いに比して大きな間合いが著しく減少している。先般鷲津で事故が起こったのもわずか十三分の間合いで砂利おろしをやった、こういう間合いが減ってきたということが、私は重大な保線上の要素だと思うのであります。また保線作業の運転状態による割合を調べてみると、線路閉鎖によるものが一三%、線路閉鎖をしないが、列車間合いを縫ったものが七三%、列車間合いに関係ないものが一四%、こういうふうに列車がふえ、スピード・アップがされ、そうして線路閉鎖をしない、列車間合いを縫ったもの、こういうものが非常に多い現状、こういうことから非常にこれは専門的な、道床を突き固めたり、継ぎ目板、ボルトを交換したり、あるいは継ぎ目板の補修をしたり、枕木を交換したり、器具材料の運搬や取りおろしをする、こういう作業が非常に困難になってきている。そうしてその一方は、この過去六年間に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/55
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056・村松久義
○委員長(村松久義君) 坂本君に申し上げますが、大臣にひとつ集中的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/56
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057・坂本昭
○坂本昭君 一応こういうことをまず含んでおいていただかないといけませんから、失礼ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/57
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058・村松久義
○委員長(村松久義君) 専門のことはなるべくひとつ国鉄にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/58
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059・坂本昭
○坂本昭君 それで、こういう中で、しかも昭和二十八年から三十三年までに要員が千三百三十二名も減らされている。しかも実際は昭和五十年になると、保守の要員は八千名ふやさなくちゃいかぬ、こういう実情があるわけなんですね。そこで私は、一体こういう新五カ年計画の中で、この保守、保安の問題についてどういうお考えを持っておられるか。さらにこの新五カ年計画で、重工業地帯にだけ重点を置いて、四国のような所はほおりっぱなしにされるのかどうか、この点を、まずこれは大臣に伺っておきたい。非常に大事な点でありますから、大臣のひとつお考えをこの際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/59
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060・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) まず五カ年計画の考え方は、工業地帯を中心にして、そうでない地方のほうを従にするかというお尋ねでございますが、今日の国鉄のまず第一の業務は、国鉄に寄せられておりまする運輸の需要を、これを充足するということがまず第一の一つの要点になっております。同時に、国策といたしまして、都市と地方との格差の是正ということも一つの要件でございます。国鉄の運営もまたその線に沿って参っておるわけでございます。ただ、見られまするところによりますると、あるいは東海道の新幹線とか、あるいはその他の全国の幹線というものを主にして、そうしてローカル・ラインには従的な考えではないかというような御疑問もお起こりであろうと存じますが、しかしながら、何といっても全国の幹線の能率化をはかりませんと、貨物の輸送の需要を充足することができませんし、また地方の運輸をはかりまするについても、全部幹線に出て参るわけでありまするから、したがって順序といたしましては、幹線の輸送力をつけるということをいたさなければなりませんので、ごらんになりますると、たとえば複線電化の問題にいたしましても、これは幹線をまず先にやるということがどうしても主になって参ると思います。東海道新幹線のごときも、今日東海道間の貨物の需要が非常に多いのでありますから、貨物も人もこれを充足するための一つの方法として、やむを得ずこれに着手をいたしておるわけでありますが、しかしながら、地方のほうをないがしろにしておるというわけではございません。ことに四国の地方は、私は相当改善が最近とみに加えられたと考えております。私は、今後さらに地方の格差をなくするという意味から、ローカル線の改良に相当重点を置いていかなければならぬと、こう考えております。同時に、新線の建設も本年の予算は前年度どおりでございまするけれども、しかし、本年は予算は一応終わりましたが、今後ひとつ考え方を新たにいたしまして地方の開発ということからも、国鉄にさらに重点を置いていけるような予算その他の獲得の方法を講じて参りたい。本年その検討をいたしたい。かように考えております。
なお、列車の増発その他とこの保守安全の関係は、これは私は国鉄が責任をもって技術的には対処いたしておるものと、かように考えております。予算の不足あるいは人の不足の関係から保守安全がなおざりになるという点はないものと私は信じておるわけでございます。
いま一つ。日本の鉄道は非常にまだ技術もそう完全でないときに、また日本の国力から考えまして、何といいますか、今であればもっとりっぱに敷けたものが、比較的災害等の受けやすい状態にある個所が相当多いことも私は考えております。これらの改善をやりまして、そして災害から守るというために、あるいは線路をつけ変える、路線を若干変更するなり、土讃線のようなところにおきましては、さらにトンネルを作るとか、いろいろ考慮を加えなきゃならぬと考えております。これには相当の私は全国的にやれば資金が要るであろうと思いますが、しかし、これもゆるがせにすることのできないものだと考えております。したがいまして、今日の五カ年計画の中には、私はこの点は少しまだ足りないのじゃないかと考えております。同時に、日本の経済の伸長に伴って五カ年計画が今日のこのままの速度でいいかどうかという点も再検討をしなければならぬと考えて、今事務当局、また国鉄に対しましても再検討を願っておるわけであります。成案を得まして今おっしゃいますような点の将来ないことを期して参りたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/60
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061・村松久義
○委員長(村松久義君) 坂本君、なるべく簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/61
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062・坂本昭
○坂本昭君 もう一つ。今大臣の御答弁によると、つまり経済的な地域格差をなくするために国鉄の輸送力を十分に発揮していきたいという御意見でございますから、当然非常に立ちおくれた四国の循環鉄道についても、もちろん東海新幹線並みにこれの完成をも促進される御決意があると理解していますが、念のためにそのことと、それからもう一つ、先ほど申し上げた保守安全の要員の、特にこれは増員が必要だと思う。その問題について万全を期したいと言われたけれども、そのことは器材の点であるか、あるいは人の面であるかについて明確でなかったので、特にこの保守の要員の点についての大臣の御答弁をあらためていただきたい。その二点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/62
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063・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 地方の鉄道の新設、あるいは改良等にも重点を置かなければならぬと申しましたのは、先ほど申し上げたとおりであります。これはそういう決意でやって参りたいと存じます。しかし、地方が非常に改良されて、そしてこれが全部幹線に出て参るわけでありますから、この輸送力をつけないと途中でまた問題が生じます。これらも勘案しながらやって参りたいと考えます。
また、鉄道路線の保守の点につきましては、私は今日の技術その他をもっていたしまして、人員が不足である、あるいは金が足りないので投げやりになっておるというようには国鉄当局から聞いておりません。この点は技術的な問題でもありますので、国鉄当局からお答えをいたさせるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/63
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064・坂本昭
○坂本昭君 それでは今問題になりました新五カ年計画の内容について簡単に御意見を聞いておきたいと思うのですが、輸送力増強と、それから電化に重点を置いて、まあいわば国民に対する公約として国鉄はしてこられたのですが、どうも最近の、たとえば予算の実施の状況を見ましても三十六年が六十六億であったのが翌年度五十四億程度にとどまっている。また三十七年度の計画も七十七億が四十二億程度ではないかと思うのですが、さらに五カ年計画の四百六十九億、この一体資金の調達が十分にでき得られるかという一つの問題がある。さらに、資金の点と、もう一つは、工事量をふやしていく、そのために今度は技術力、技術力の中には技術そのものと、それからまた技術者の人員、こういった問題が入ってくる。しかしそれに、現在の国鉄としてはたえられないのではないか。そして、現に今までこの五カ年計画を実施するに伴ってから、非常に労力の負担が関係の従業者にきている。そしてまた、いろいろ欠陥が現われてきて、言いかえれば、何といいますか、ある言葉では、保守部門にこうした問題が集中化して、まさに死の行軍にひとしい労働強化になっている。これは私たちはいい気持になって東海道を走っておりますけれども、この走っている車をささえ、安全を守っている人たちは、死の行軍のような重労働の中でやっておられるということは、一歩間違ったら、いつどんな珍事が起こるかもしれません。また、現に最近比較的珍事が重なっている。輸送力が増強され、早くふるさとに帰ったり、旅行ができることはありがたいが、十分安全が保全されないというと、これはどうも生命保険でもよけい掛けなければならない、それは保険金もらってもけっこうですが、死んでしまえばどうにもならぬ、そういう点で私は非常に不安を感じている一人であります。たとえば工事の増大に伴って人が足りなくなってきた、そのためにいろいろな経費の効果的な使用が不十分になって、予算使用についても不適正なものが多くなってきている、あるいは設計変更が非常にふえて、工事施行上にも支障となるものが多い、あるいは誤算があって会計検査院からも指摘されていることが多い、あるいは設計が類型化して、現場の実情に応ずる独創性がだんだん減ってきておる、そのために都市構造の変化や、輸送方式の近代化に即応しないものが多くなってきている。また、さらに設計施行要員の一方的な機械的な捻出のために、日常の保守管理、こういう業務にしわ寄せされてきて、台帳の整備が悪くなったり、特に保守台帳の整備が悪くなる、こうしたことのために、不測の事故がふえてきている、そういう点が私は非常に問題ではないかと思うのであります。したがって、まず原則的にこれらの点について、国鉄当局の御説明をこの際していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/64
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065・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) お答え申し上げます。
新五カ年計画を中心としての全体的な考え方、また現在やっておりますことにつきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたので、私から重ねて申し上げることは省略させていただきたいと思いますが、全体といたしまして、いわゆる幹線だけに力を入れておって、地方の輸送の設備の改善や、近代化というようなことがあと回しになっておりはしないかという点につきましては、これはやはり全体を見ておりますわけでございまして、たとえば四国に例をとりましても、輸送量を考えまして、一方で東海道新幹線の増設をやっておりますけれども、四国におきましても予讃線あるいは徳島線の部分的な建造ではございますけれども、やはり複線化工事というようなことを取り上げておるわけでございます。さらにまた、輸送方法の近代化ということにつきましても、これはついせんだってのことでございますけれども、先般の五カ年計画で当局で考えておりましたより以上にむしろスピードを上げまして、四国については輸送機関の全面的なディーゼル化をやるというような、集中的に、むしろモデル線区的に四国でもって輸送の近代化をやるというようなこともいたしております。ただ、まだ非常に不十分な点がございますので、まだこれからもっともっと車をたくさん入れなければならないのでございまするけれども、決していわゆる大幹線だけに重点を置いて地方の輸送事業というものを軽視いたしておるというようなことではございませんので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
それからこの線路の保守というようなことにつきまして、列車の密度が非常にふえて参りましたので、保守の作業にいろいろ困難をいたしておりますことは御指摘のとおりでございます。しかし、これがために保守状態が不良になって、それが事故の原因になるというようなことがありましてはたいへんでございますから、そういうことはないようにもちろん努力をいたしておるわけでございまして、ただいまお尋ねの中に、今国鉄が実行しつつあります線路保守の近代化のことに触れてお尋ねがございましたのですが、こまかい点は本日施設局長も来ておりますから、またお尋ねに応じまして詳しく御説明申し上げることができると思いまするが、全体として今の保守体制というものは非常にまだ原始的なやり方の方がたくさん残されておりますので、輸送施設全体の近代化の一環として保守作業そのものも大いにこの際近代化する。別の言葉で申し上げれば機械化するということで、同じ人員でありましてもその修繕の保守の能力というものを画期的に増大するような計画でただいま逐次それを実行しつつあるわけでございます。人員の面につきましては、作業の手段というものを全面的に近代化することによりまして、人数はそれほどふやさないで済むように計画をいたしておりまするけれども、必要最小限度の要所に対する増員ということは、これはもちろんいたすつもりでおります。ただ、国鉄全体の経営事情というものが決して楽な姿ではございませんので、そのために全体の要員の数はできるだけふやさないように、でき得ればより少ない人員で現在以上の能率を上げるようにいたして参りたいと思っておりますために、五カ年計画遂行の過程において必要な要員を部内の仕事のやり方の変更、それに伴う職員の配置転換あるいは再教育というようなことによって必要な面に必要な要員を集中するように努力いたしまして全体としての人員をいたずらに増さないで済むような措置をいたしたいと存じまして、いろいろ苦労をいたしておるようなわけでございます。幸いに大きな目で見ました部内の全体の人員の配置転換というようなことも、従業員諸君の理解と協力によりまして、次第に実行に移すことができておりますので、その点は従業員諸君あるいは労働組合の諸君の御協力に対して、私どもも大いに感謝いたしておるようなわけでありますので、ただいまお話の中に、死の行軍というようなことも行なわれておるというお言葉もございましたけれども、決して現場の従業員の諸君の作業の実態というものは楽なものであるとはもちろん思っておりませんし、ずいぶん御苦労もかけておると思いますけれども、しかし、死の行軍というような生命の危険にさらされるとか、何かそれがために非常に過度の労働をしいるというようなことがあってはなりませんから、そういうようなことのないように注意をいたしておるつもりでございます。そのほか、いろいろ詳細なお尋ねがあったと思いまするが、一応概括的にお答えを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/65
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066・村松久義
○委員長(村松久義君) この際、坂本君に申し上げますが、あなたの御発言は、土讃線に関する事故に関して緊急の質問であると、こういう理事者の申し入れがあって許可いたしておりますから、どうかそのおつもりでひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/66
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067・坂本昭
○坂本昭君 今の問題は非常に関連するのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/67
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068・村松久義
○委員長(村松久義君) 関連はありますが、緊急の質問であるということを十分お含みいただきまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/68
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069・坂本昭
○坂本昭君 それは含んでおるのです。今申し上げたことは、みんなそれに関係があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/69
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070・村松久義
○委員長(村松久義君) 関係はありますけれども、緊急という点にひとつ限っていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/70
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071・坂本昭
○坂本昭君 緊急ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/71
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072・天埜良吉
○天埜良吉君 理事者として申し上げますけれども、特に時間を早くして、大臣も何もほかの連中もみんな次の法案、それから決議のなにに取っていたのを繰り上げてやっておりますので、ひとつお含みおきを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/72
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073・村松久義
○委員長(村松久義君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/73
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074・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/74
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075・坂本昭
○坂本昭君 そこで、ただいまの保守の要員の問題などについて、まだいろいろと議論してみたい点もありますが、それらのことについては、きょうは場が違いますから、それはこの際は申し上げません。
それから、特に防災計画についてこの防災計画は第一次、第二次と防災計画が組まれている。そして、それに伴って予算ができている。その予算が、第一次の防災計画の場合の四国に対しては、第一次の予算は昭和三十年度から四国鉄道近代化の名で路線防災五カ年計画として総予算三億二千七百五十七万円、第二次防災五カ年計画、これが三十五年度から着手して予算要求が二億四千五百万円であったにかかわらず、五千六百七十九万円に削られている。私は、こういうことが今回のこの山くずれという——おそらくこの事故は日本における今までの事故の中で指折りの事故でございますよ。もしこれが東海道線に起こっておってごらんなさいよ。ただじゃ済んでいませんよ。委員長おそらく現場へ行ってますよ。ところが、四国の山の中で山ザルしか住んでないというふうに皆さんがお考えになるものだから、皆さんがほっぽらかしにしている。だから緊急問題として取り上げたけれども、その基本には、東海道は大事にするけれども、四国や九州の果てなどはほっぽらかしにする考えがあるんじゃないかということで、私は基本的なところから質問申し上げておる。今の防災計画の予算についてなぜ削られたか。大蔵省来ておりますか。大蔵省の担当の人を私は要求しておるんだけれども、来ておらぬ。事故がおこってから予備費から何だというのではじき出すよりも、もうあらかじめわかっておることについて、ちゃんとした計画を組まなければならない、それを怠っておったから、私はこれは天災ではなくて人災ではないかと。またこれが国鉄の方々が怠慢だから起こったとは私は思わない。やはり基本的にはこうした予算の裏づけがなかったからこういう事故が起こったのではないかという点で、この防災計画と予算の問題についての御説明と、それからもう一つは、国鉄の予算の配賦の仕方と実施の仕方がどうもふに落ちない点があって、たとえば本社の土木課から予算指示書、AFEと言っておられるのですか、予算指示書が支社長にいく、この場合に一件五千万円以上の場合はAFEという形で配賦されている。それ以外の場合は支社長はどんぶり勘定というんですか、そういう格好で扱っておられる。したがって、こういう予算の組み方と実施の仕方の中に、各支社における防災との取り組み方、あるいは予算が少ないというと思い切ったところの防災の工事ができない。そうして一方では金もうけでなければだめだといって予算を削られる。しかし、国鉄は日本国民の鉄道であり、四国の果てに山ザルとともに住んでいる人間といえども日本の国民である以上は、私は同等の扱いをしていただきたい。そうでなければ日本国民の名に私はふさわしくないと思う。だから、この予算の問題と予算実施の仕方について、この際国鉄当局から御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/75
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076・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 国鉄の防災計画の実行の仕方がどういうふうに行なわれておるかというお尋ねであると思うのでございまするが、今回事故を起こしました土讃線の沿線につきましては、お言葉までもなく非常に地質の悪い所でございますので、在来から地すべり落石の事故が非常に多かった所でございますので、国鉄ではここにずいぶん力を入れておった次第であります。過去十年間に十億円ほどここに投資をいたしまして、場所によっては線路のつけかえをするというようなこともやっておるわけでございます。しかし、まだまだ決してこれで万全だというふうには必ずしも申し上げかねますので、現在実行に着手いたしております第二次五カ年計画におきましても、約六十カ所ほどの落石対策その他を計画いたしておるわけなんでございますので、今回の災害にかんがみまして、特に安和−川口−天坪の間の四十キロの区間に対しまして、全面的な防災対策をさらに詳細に樹立いたすように検討を加えることにいたしております。そのために、単に国鉄の部内の専門家を動員するだけでなく、部外の権威のある方々にもお手伝いいただきまして、十分現地の調査、将来の防災計画等について万全を期して参りたいと思っております。
予算の執行につきまして、先ほどAFE等についてのお尋ねがございましたが、これは国鉄の全体の方針といたしましては、できるだけ各地方の支社長が独自の権限で自分の考えておるようなことがやれるように、支社長、地方機関の権限を拡大するという方向に今まで努めて参りましたし、これからもそうするつもりでおりまするが、現在におきましては、一件五千万以上という額をこえるような工事につきましては、本社のほうに相談をしてくるように指示してございますので、それに基づいて五千万円以上の工事については本社のほうが工事の施行を承認するという手続をとっておるような次第でございます。
なお足りません点がございましたならば、こまかいことは施設局からお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/76
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077・坂本昭
○坂本昭君 今の、第二次の防災予算が非常に減少させられた、私はこれが今度の事故の直接原因じゃないかという感じがするので、そこの説明をしていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/77
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078・柴田元良
○説明員(柴田元良君) お答え申し上げます。防災設備費全般の問題といたしましては、第一次五カ年計画、これは三十二年から三十五年にわたって、いわゆる国鉄の改善がはかられたわけでありますが、このときの重点というのが防災の強化であったわけでございますが、御承知のとおり戦後非常に疲憊いたしました主要な建造物の強化ということをこの期間に力を入れて参ったわけであります。三十六年度からの第二次五カ年計画におきましては、先ほど来のお話のように、輸送力を増強するということが一つの大きな流れであることは事実でございますけれども、現在土讃線の今回の事故のような例にかんがみましても、私どもといたしましては注意を要します個所が全国的にかなりございます。このことは私ども十分承知をいたしておりまして、極力こういった安全輸送につながります防災の強度を高める努力を今日までいたして参っておりまして、決して防災の投資が削られたとかあるいは力がゆるめられるというようなことは、これは私どもとしてはないと、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/78
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079・坂本昭
○坂本昭君 金額を言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/79
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080・柴田元良
○説明員(柴田元良君) 金額的に申し上げますと、これは全国の数字でございますけれども、三十二年におきまして四十五億、それから三十三年におきまして四十九億、三十四年におきまして五十五億、三十五年におきまして四十九億、三十六年におきまして六十四億、今日までこのようになっておるわけでございます。三十七年度につきましては、これから検討いたす段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/80
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081・坂本昭
○坂本昭君 四国は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/81
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082・柴田元良
○説明員(柴田元良君) 四国の各年度別の数字は、私はここにちょっと持ち合わしておりませんけれども、大体支社で、防災工事を含めまして、支社長において計画を立てます工事費が約四億くらいでございます。この中で防災の点につきましては、三十五年度の数字としては、本社から八千万の防災費をつけておりまして、支社ではそのとき三千百万の防災費を出しておりますから、計三十五年度におきまして一億八百万の防災費を使われたことになっております。三十五年度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/82
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083・坂本昭
○坂本昭君 それは私、あらかじめもう少しこまかい資料をいただきたいと思っておったのだけれども、準備が足りなかったようですが、私は、施設局長さんも現場に行かれて非常な努力をされて、実は心から感謝しているのですが、これはあなた方の個人々々の問題じゃないと思うのです。やはり輸送力増強というときに、この土讃線の山の中で起こった事故だから、二人の保線要員が犠牲を受けて死んだので済んだんですけれども、もしそうでなかったら、これはものすごい惨事を起こしていますよ。だからそういう点で、皆さん方、各委員の方、何だ山の中の事故だ、たいしたことないというようなことにお考えになることについては、私は非常に危惧の念を抱いておる。これはたまたま、あそこで起こって、保線要員二人の犠牲で済んだけれども、あのときには普通の旅客列車も貨物列車も通ろうとしておった。通ろうとして、これがたまたま通らぬときに崩壊をして、しかもそれが一ぺん二へん三べんと崩壊して、三べん目の崩壊でトンネルごと全部吉野川にたたき込んでしまった。この大きな災害については、もう昔からわかっておって、ただこれが予算の面で見るというと、この三十五年には相当減ってきておる。特に、私の承知したところでは、二億四千万の予算要求に対してわずか五千六百万しかつかなかった。私はこういうところに、なぜつかなかったかというところに、この災害の原因があるのではないか、したがって、事故を追究して、大蔵省が理解がない、四国の山の中なんてほおっておけということならば大蔵省を追及するし、あるいは国鉄の皆さんがそういう方面の理解がなかったとするならば、国鉄の責任です。そういう点も明らかにしたいと実は考えておったのです。これが一度起こった事故です。だからあとは復旧しなくちゃいかぬが、いかなる理由があってこの事故が起こったかということだけは突きとめておく必要がある。どうかこの点について、吾孫子副総裁どこに理由があったか、その点ひとつ、この際おわかりになる程度で明らかにしていただきたい。これは皆さんの責任を追及することじゃなくて、今後こうした不測の事故を起こさないために一番大事な点だと思うのです。どうかひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/83
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084・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 先ほど申し上げたつもりでございましたが、私どもは今回の災害の起こりました場所が土讃線であるがゆえに、あるいは四国であるがゆえに手を抜いておったというような考えは毛頭ございませんのです。また、お言葉のとおり今回の災害は保線要員二人の職員が犠牲になった程度で済みましたけれども、もしこれが旅客列車等がたまたま運転中ございましたら、非常な大惨事になったであろうということも容易に想像できることでございますので、そういうようなことがあってはたいへんでございますから、私どもといたしましては私どもなりに、やはり地方の線区だからこれをいいかげんにするというような考えは少しもございませんで、努力いたしておったわけでございますけれども、不幸にして今度のような山くずれが起こってしまいました。こういうことが起こったことはまことに残念しごくでございますが、全力をあげてこの復旧に今努めておりますし、また、今後の防災対策につきましては、先ほども申し上げましたように、できる限りの努力をいたしたいと思っておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/84
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085・坂本昭
○坂本昭君 それでは大蔵省にお尋ねいたします。先ほど来土讃線の山くずれ事故の問題を中心として議論をしておるのですが、きょうは、特にそれに限定されておりますので、広い意味で・の国鉄の五カ年計画その他の資金問題については触れません。ただ、五カ年計画の中で資金の調達が非常に困難な状況にある、しかし、その中で輸送力を増強していく、スピードを上げる、そうして旅客並びに貨物の輸送に非常な近代化を与える、これは非常にけっこうですが、同時に、われわれとしては、いつも災害に対することを考慮に入れておかなければならない。ところが、この防災の予算が、今も伺っていると、三十二年から三十六年に至る間逐次ふえてはおるようであります。しかし三十四年度五十五億が三十五年度は四十九億、三十六年度は六十四億、特に四国の場合などは第二次の防災五カ年計画では二億四千万の予算請求をしたのに、実は査定されて五千六百万くらいしかない。で、今日の日本の予算制度は全部大蔵省がなたをふるい、実施の直前においても大蔵省が見ている。そういう点で私は大蔵省に伺いたいのは、この所得倍増十カ年計画の中で、大幹線だけは重点を置くけれども、四国だとか九州の果てだとか、そういうふうな所はほっぽらかしてかまわぬというふうな見解のもとに予算を決定しているのかどうか。特に災害については、非常なこれは削り方である。そういう点で大蔵当局の日ごろの御見解をこの際承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/85
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086・海堀洋平
○説明員(海堀洋平君) 大蔵省が国鉄といいますか、国鉄も含めまして政府関係機関の予算に関与いたしますのは、大体三点くらいじゃなかろうかと思います。一つは国鉄という政府の機関、ほとんど独占的な権限を与えられている機関でございますので、これの料金は国民の負担になる。そういう意味におきまして料金、それは地方経費との関連におきましてどの程度妥当であるかということだろうと思います、一点は。したがって料金、それを決定する損費の問題だろうと思います。それから二番目は、日本経済の発展に応、じまして、こういった輸送とか、あるいは一般的に社会共通資本といっておりますもの、したがって私の資本では投資できないようなもの、これにつきまして政府がどの程度投資をしていくかというふうな、全体としての、たとえば道路にどの程度投資し、国鉄にどの程度投資し、水道にどの程度投資するかという公共投資の配分というふうな問題、そのバランスの問題、これが二番目じゃなかろうかというふうに考えております。それともう一点は、これはちょっと毛色が違うのでございますが、独占企業体なるがゆえに、そこに従事する人たちの給与というものは、料金のきめ方いかんによっては幾らでも高いものが払えることになる。しかし、それは日本の国において、しかもその負担は最終的には料金という形をとるのでございますから、給与の決定につきましては、やはり関与いたしまして、最終的にはもちろん国会の審議にかかるわけでございますが、給与の決定ということ。この三点くらいが大体大蔵省の直接関与する点じゃないかと思います。今御質問の中の点、私の理解するところでは、建設投資についての防災に関する金が足らぬのではないかと、こういう御質問じゃなかろうかと思いますが、大蔵省の立場からいたしますと、全体としての建設投資の規模、特にその建設投資のための外部から入れる資金、これの量につきましては、全く大蔵省と運輸省の間における話し合いでございます。したがって、大蔵省はたとえば今度の建設投資を二千三十五億というふうに決定いたしましたにつきましては、大蔵省は政府の機関として非常な責任を持っておるわけでございますが、それの内容をどこかにどう配分をするかということになりますと、もちろん大きな問題、たとえば新幹線を六百十億なら六百十億投資するか、あるいは六百億でやめるかということ、その二千三十五億の投資の中の非常に大きな問題でございますので、これはやはりその資金量を決定する、投資量を決定する重要なファクターとして関与いたしますが、それよりもさらにこまかくなってきますと、私のほうも専門でございませんので、大体国鉄なり運輸省なりのその金額内における配分につきましては、運輸省なり国鉄なりの考え方を尊重いたしまして、各線どういうふうに配分するか、あるいは客貨車をどういうところにどれだけ作る、あるいはどこの踏切をどうするというふうなことにつきましては、法律的にもそうなっておりますが、現在のところ運輸省、国鉄の大体考え方に従っております。ただ、全体の資金量に関与いたしますので、当然個々の計画は、その全体の資金量から規制されてくるという意味においては、私のほうも責任があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/86
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087・坂本昭
○坂本昭君 だからそういう点では国鉄側に、あるいは運輸省の側にだいぶ責任があるようですが、きょうはそれだけを追及するのが目的じゃありませかんら、もっと具体的な問題に戻りますが、ことしの、昭和三十七年度の防災設備費は、防災としては二十八億程度、それから踏切が二十五億円程度。踏切のほうは、これは新しく出てきたのではないかと思いますが、それに比較して線路増設、これが二百三十億、電化設備、これが二百二十億、非常に線路増設とか電化設備、このほうに重点が置かれて、そして、防災などのほうは非常に低い。こういう点は、私は非常に問題だと思いますね。これは今度の予算の審議の中でも審議されると思いますから、私はきょうはこの点は触れないで、次に、とりあえず問題になっている土讃線の山くずれ、以上のような事態の中から発生したと思われる事態について、しからばどういうふうな復旧作業をしておられるかということを簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/87
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088・柴田元良
○説明員(柴田元良君) 復旧作業の概況を御答弁申し上げます。現在のところ、線路の上に約二万五、六千立米の土砂が崩壊しておったのでありますけれども、昨日大体線路の上から約九メーターぐらいの高さまで、くずれ落ちました土砂を片づけております。目下土耕用のブルドーザーが二台ないし三台現地で実際に活動いたしております。作業は昼夜行なっております。ただ、現地は非常に危険な個所でございまして、くずれました高さが約八十五メーターの高さからくずれております。しかも幅が八十五メーター非常に狭い範囲でございまして、作業をされる方も非常に危険を冒してただいま作業をいたしております。なお、表土のほうのそういった取り片づけの作業も慎重にいたしておりますので、ただいまの予定では三月の末というのが一応の開通の目標、現在このような状態で作業をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/88
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089・坂本昭
○坂本昭君 私は先ほども申し上げたのですけれども、これは東海道線ならば、私はたいへんな問題だと思うのですね。ただ山の中の問題だからほっぽらがしにしておった。東海道線ならおそらく二日か三日で片づけてしまいますよ。そして現に現地に行った土木に知識のある人たちの話を直接聞いたところでも、まあわしらにまかしたらとは言いませんが、とにかく上のほうには二千立米ぐらいちょっと残っている、これはダイナマイトをかけて落とさなければいかぬ。それからあとたしか三万立米ぐらいがくずれてきたけれども、これは全部吉野川にたたき込んだらいいのです。吉野川は広いのです。吉野川がそのために埋まって大きなダムができるというのではないので、処理の仕方は非常に簡単。したがって、二週間も三週間もかからなくたってやれるのじゃないか、こういうことを直接現場に行った若干知識のある人たちは、一応、とにかく、スピードがおそい、また、今までも三台か四台かブルドーザーと言っておられましたが、実際に三台か四台、あるいは最近の新聞の報ずるところでは、たしか二台か三台しか動くことができない。一度に二台入るのがやっとのことだということですが、しかし、今日の技術力で、もっとこれを能率を上げることができないか。先般聞くというと、四台か五台か向こうへ行っているが、二台は動いているが、あとのものは何か古ものの機械で、あまり動かぬ機械だ。何か体裁のために持っていっているような、そんな印象を受けた説明を実は聞いているのです。
それから昼夜兼行、昼夜兼行というても、どうもあまり昼夜兼行でないようで、今日現在、何人の人が働いているかしれませんが、この工事の始まった二月の終わり、三月の初めは、大体二十人ぐらいであって、一番新しい新聞の情報で見ると、五十人ですね。五十人しか働いていない。これが日付が三日ほど前です。どうもこんな調子では、私は、なかなか四月一日といったって間に合わぬじゃないか。繰り返して言いますけれども、東海道線なら二日、三日でやってしまいますよ。そういう点で、今の御努力が万全の努力であるか。こういうのを見ていると、やはり日本の鉄道政策というものに大きな格差というものを皆さんが作っておられるのじゃないかということを疑わざるを得ない。ひとつこの基本的な復旧工事について、副総裁の忌憚のない御意見を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/89
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090・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 技術的なことは、施設局長でないと私にもよくわからない点がございますが、決して四国であるから、土讃線であるから手を抜いておるとか、東海道ならもう二、三日で片づけるものを、土讃線なるがゆえにぼつぼつやっているというようなことは決してございませんですから、その点は御了承願いたとい思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/90
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091・柴田元良
○説明員(柴田元良君) いささか補足いたしますけれども、ただいま先生の御指摘の内容を私から少し説明したいと思うのでありますが、私ども技術官としまして、現地を見て状況を十分つかんでおります。ああいったような崩壊の状態は、過去におきましても、国鉄におきましては三十二年に飯田線において起こっております。また、羽越線におきましても、ああいうような大きな崩壊をいたしております。そのときの作業も、かなり無理をした作業をいたしておりますけれども、場所が非常に狭いという問題と、非常に急峻なところであって、作業に困難をしたというような、いろいろなことから考えまして、私どもは安全にやらなければならぬということは絶えず考えておりす。
たとえばブルが二台しかないと申しますけれども、現実には現在五台のブルが入ってきておりまして、これは交互に使っております。決して古いからといって使えないものを持ってきておりません。また、現地には、国鉄の最優秀の技術を持った操機工事事務所の職員が現地を指導しております。三十度くらいの斜面においてブルを使っております。こんなことは決してできることじゃございません。そのくらい力を入れて実はやっておるわけであります。いろいろ御指摘のありました点は、私どもも十分反省はいたしますけれども、全力をあげてやっておりますことは、ぜひ御認識をいただきたいと思うのであります。二、三いろいろしろうとの、あまり責任のない方のお話だと思うのでありますが、とても二、三日の問題じゃございません。そのことは、私どもとしては自信をもって作業をやっておるわけでございますから、御承知をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/91
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092・坂本昭
○坂本昭君 施設局長の技術的な責任をお持ちになったお言葉と理解いたします。なお、今後とも全力をあけて復旧作業に事故のないようにお願いいたしたいと思います。
そこで、次の問題は、国鉄が今まで担当しておった輸送の計画、これによってすっかり狂ってしまう、それに対する新しい輸送計画の問題でございます。従来の国鉄の貨物車両を利用して百ないし百二十車両程度運んでおったと私は判断しておりますが、この百ないし百二十車両が、結局、この山くずれのために中断される。それに対して、これは時間の関係で、私から、私のする計画で申し上げますが、この百ないし百二十車両を補うために、檜丸がとりあえず就航するはずですが、これが、関西汽船の檜丸が一日百二十五トン平均で、大体十五車両ぐらいになるのじゃないでしょうか。それから宗谷丸がきょうあたりから就航すると聞いております。これは船足が非常におそいので、一日に四百トン、まず五十車両ぐらいを補う力しかない。それから今、国道三十二号線は非常に悪い道路であります。これでまあ大体二十車両分ぐらい輸送して、これを合計しましても、従来百ないし、百二十車両運んでおったのが、全部合計しても八十五で、足りない。特に現在、皆さん方のお口にいくキュウリだとか、ああいう促成栽培、これは高知県のほうのものが非常に多い。こうしたものが輸送されなくなる。したがって、一体、今のような国鉄が非常な負担をされて、月間一億円をこされるかもしれないという負担であります。しかし、同時に、これは国鉄の輸送に全幅の信頼をかけておった業者としては、また非常な問題であります。
したがって、この新しい輸送計画について御説明をひとついただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/92
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093・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) ただいまお話のございましたように、高知港と兵庫港の間に宗谷丸と檜丸、この二つの船をとりあえず就航させることにいたしたわけでございますが、宗谷丸のほうは、六日午前七時に入港いたしております。それから檜丸のほうは、現在すでに就航できる状態になっておるわけでございますが、この両船の輸送力が一日平均にいたしまして片道五百トン、両方合わせると——大体こういうことになりますので、月間一万五千トンの輸送は、この二つの船によって可能である、こういう見通しでございます。
ところで、平生、この土讃線を経由いたしまして、本土との間に連絡輸送が行なわれております貨物の中の一部分の急送を要する貨物、それはまあ、ただいまもお話のございました早成野菜のようなものでございますが、そういうような一部急送を要する貨物は、現在、荷主さんが自主的に、トラック輸送等で池田まで運んでおって、そこから貨物輸送を鉄道の輸送をして引き継いでやっておるわけでございますが、そういうものが一部除かれまするし、また、原木の輸送のように、船で輸送することが不適当な貨物もございますので、これはちょっとしばらく、今すぐ運ぶということはむずかしい状態にあるわけでございますが、そういうようなものを除きますというと、当面、緊急に運ばなければならない輸送量というものは、大体一日平均三百トン程度であるというふうに考えられます。それで、またこの一日約三百トンという輸送量が現在の高知の岸壁の荷役能力の面から考えましても、ほぼこの程度が適正な輸送量と見込まれるのでございまして、ここ当分の間は、この宗谷丸と檜丸と、この二船を使いますことによりまして、大体の緊急の貨物の輸送には支障なく実施することができるのではないかと思っておる次第でございます。
しかし、貨物の中の小口の貨物でありますとか、手小荷物でありますとか、そういうようなものにつきましては、現在の国道の能力が、三十二号線が非常に輸送力のない路線でございまするけれども、そこにトラックを入れまして、手小荷物や小口の貨物のようなものは御迷惑をかけないように輸送をいたしておるつもりでございます。今後もなお一そう努力いたしまして、少しでも御迷惑の程度を少なくするように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/93
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094・坂本昭
○坂本昭君 今国道三十二号線の問題が出ておりますので、この一級国道の現在の状況から、どの程度の貨物を運ぶことができるか、私はこのことが、今回の問題の非常な大事な点になると思いまするので、特にこの一級国道の——これはまあ一級国道にふさわしくない国道なんですね。したがって、将来、これは皆さんのほうの計画の中で、拡幅と、それからまた舗装の問題も出ておりますが、それらのことと勘案して、さしあたって一体どの程度の輸送能力にたえる道路であるかということと、それから緊急の処置等について、この際ひとつ説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/94
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095・高田賢造
○説明員(高田賢造君) 現在の国道三十二号線の現況を御参考までに御説明申し上げます。お話のとおり、この道路は決して十分とは現在申せませんわけでございますが、現在車道幅員がおおむね五メートル見当でございます。道路の改良しておる現在の状況を申し上げますと、三十二号線につきましては、ほぼ概算のところでありますが、改良済みのところが三五%でございます。舗装いたしております率も、これも正確な数字はちょっとここでわかりませんけれども、概算申し上げますと、一五・六%でございます。ことに三十二号線の高知県地内並びに徳島県のほうは、特に悪いところでございます。三十二号線につきましては、現況そういう状況でございますが、この改良計画につきましては、御承知の、昭和三十六年、昨年の十月に決定をいたしました道路整備五カ年計画によりますと、五カ年計画の中におきましては、全部改良をいたす予定でおります。舗装も全部終わる予定でございます。
なお、今回の非常な不幸な災害に際しまして、道路側といたしまして現地で触れました状況を簡単に御報告申し上げます。問題の地点、約十キロ程度でございますが、その間の道路につきましては、従来鉄道の輸送に依存いたしておりましたものが、トラック輸送に転換したものがございます。従来は、あの地点は大体一日交通量三百台程度でございましたが、今回の災害のあとになりますと、およそ一日交通が一千台になっておるという状況でございます。災害の最後の報告がございましたのが二月の二十日でございましたが、その後直ちに橋梁の補強工事をいたしております。また、待避所を十四個所ばかりその地点に設けております。また路面の補修等もいたしまして、とりあえず管理者であります県におきまして、それぞれ手当をいたしました。二十二日の十時から十トン車のトラックが通行し得るように措置をいたしております。なお、地方建設局におきまして、現地で指導をいたしておりますが、さらに本省からも指導官を派遣いたしましたが、現地の措置に遺憾のないように、ことに問題の地点のみならず、高知側あるいは徳島側の地点におきましても、危険な個所等について、できるだけの当面の措置をいたしておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/95
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096・坂本昭
○坂本昭君 ですから、今私たちが特にお聞きしたかったのは、それによって貨物列車輸送にかわる能力がどの程度ふえているかということですね。その点はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/96
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097・高田賢造
○説明員(高田賢造君) 道路の側からいたしましては、結果的なことを申し上げますわけでございますが、従来の三倍程度の輸送量がふえておるわけでございます。ことにトラック等が多うございます。その程度につきましては、遺憾のないように措置をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/97
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098・坂本昭
○坂本昭君 そうしますと、この新しい輸送計画の中で、合計しても、どうも少し足りないのじゃないですか。これは国鉄にお願いしたいのですがね。どうも現在の檜丸、宗谷丸を合わしても、一日の必要な輸送量というのは、どうも足りない。ことに船の場合だと、日数もかかります。そういう点で、もう一隻、五百トン級の船が少なくとも一隻は必要ではないかと思われるのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/98
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099・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 先ほど申し上げましたように、ただいまの輸送量から考えますというと、一部の、たとえば木材のようなもので、今まで鉄道で運ばしていただいておったものまで含めますと、確かに輸送力は足りませんのですけれども、原木等は、やはり船に積む——と申しましても、船のハッチとか何かの関係で、やはりそういうものはのけていっていただかないと、しばらくはやむを得ないのじゃなかろうか。それから、早生野菜等におきましては、荷主が御自分でトラックで池田まで出していらっしゃいますから、それを一応除外させていただくということにしますと、一日二、三百トン程度の輸送力をつければまずまず運べるのじゃないだろうか。それには宗谷丸が片道雑貨で千六百トンぐらい毎日運べますし、檜丸も片道二百トンは毎日運べる船でございますから、大体所要の輸送力は、それでまかなえるはずであるというふうに考えて処置いたしておりますけれども、なおまあ本日朝、宗谷丸が着岸をしたような状態でございますので、今後の推移を見まして、また状況によりましては、お話のように、船腹を増すということも考えなくちゃならんかと思っておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/99
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100・坂本昭
○坂本昭君 今のような、国鉄の輸送に非常に頼っておったところが、こういう椿事が起こった。そこで、今大体従来百車両から百二十車両ぐらい輸送しておりましたのが、檜丸、それから宗谷丸、それから国道三十二号線の利用、そういうことで一応算術的計算しましても、二十トン足らずくらいは輸送ができなくなる、そういう点で私はどうしてもこれは檜丸程度のものが、もう一隻ないというと、従来のものを補うことができない、そういう一つの輸送計画ですね、輸送計画についての運輸当局の一つの御見解をお聞きしたい。特にこれはまあみんなが勝手に自分のトラックで運んでいるのと違って、国鉄という、いわば政府が責任を持つこの運輸機関に頼っておって、これがこうなった、そうした場合に、運輸省として、これは万難を排しても、これにかわる対策を立て、予算も私は考えるべきではないか、これは確かにこれらの船を動かすということによって、国鉄当局は非常な大きな私は損失といったらおかしいですが、負担をこうむると思うのです。しかしこれは、どうもやむを得ないと思うのですね。したがってそれに対する予算的な措置を運輸当局としては、どう考えておられるか。
それからもう一つ、時間の関係で三つ一緒にまとめてお尋ねしますが、新しい計画の中における輸送計画——輸送力が足りないんじゃないかという点、これを運輸省としてどうするかという点。
それから第二点は、国鉄が、このためにこうむるいろいろな出費に対する予算的な措置。
それから三番目は、実は青果物など、促成の野菜などは今までと違った格好で、今国鉄も申されていましたが、池田までトラックで運んで、それから汽車にする。そうしますと、こまかいことは省きますが、結論だけ申し上げますと、一千六百万円ずっと今までよりも損するのです。損するというとおかしいけれども、高くなる。輸送だけで千六百万円高くなる。しかも鮮度は落ちる。落ちた分はまた値下がりになる。その値下がりの部分まで輸送関係に責任を負えとは、この際私も一応この点は、これもやはり問題なんですよ、輸送がこういうふうな事故を起こしたために鮮度が悪くなって値段が下がった、私はこれに対しても補償の必要があると思うのですが、それは一体、金額はまだわからぬから申せませんが、少なくとも運賃の面で千六百万円は高くなってくる。一体こういう点についてどういう考慮をしておりますか。
この三点、これはかなり政治的なものですから、運輸省からひとつ御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/100
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101・高橋末吉
○政府委員(高橋末吉君) 第一点の貨物の輸送力が不足しておるんじゃないかということですが、この点につきまして、運輸省といたしましても、国鉄を呼びまして十分いろいろ検討いたしまして、そのときの私の気持といたしましては、ただいま副総裁からも御答弁申し上げたようでありますが、実際に、まず早いところ実施してみて、そうして荷主さんの方々や何かの御要望その他によって出荷というものがわかってくるわけでございますから、その場合には、またそれに対して考えなきゃならないということでございます。
そして運輸省といたしましてはこの船の鉄道代行ということにつきましては、海運の監督もいたしておりますし、港湾の監督にも関係いたしております。それから海上保安部のあれもございましたものですから、総合的な援助をしてもらいまして、兵庫の港の岸壁等にも特に便宜をはかってもらって、また高知の港もあまり深くないところでございますので、これらに対して海上保安庁のほうでも十分気をつけるように、運輸省一体となりまして、この船の代行がうまくいくようにという努力を鉄道監督局としてやっておるわけでございます。ほんとうに今後どしどし船の便で出荷があるようでございますから、それに対応する措置を、副総裁も申されましたけれども、とらなければならない。その場合には港の関係とか、また運輸省としても、できるだけ総合的にやらなければならないというふうに思っております。
二番目の予算の点でございますが、この点につきましては、本年度の予算の実施、実行を見まして、それによって適当な措置をとらなければならないというようなことが出てくるかどうか、今のところ、ちょっとわからないのでありますが、国鉄といたしましても、割合に収入もよくなって参っておりまして、本年度の予算の予定の収入よりも、相当上回った収入が入る、もう三月に入りましたけれども、入るようになっております。ですから、どういうふうなことになりますか、それを見まして、考えなければならないんじゃないかと思います。
第三点の補償の問題につきまして、は私もちょっとその点について、こういう場合はどうなるかということについて、ちょっとわからない点がございますものですから、国鉄のほうで、いろいろな場合に補償ということをたくさんやっておるわけでございます。国鉄のほうでもし御答弁申し上げれば、国鉄のほうからお答え申し上げたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/101
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102・坂本昭
○坂本昭君 どうですか、国鉄のほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/102
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103・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 青果物の荷主さんの立場からいうと、ごもっともな御要求であると思いますけれども、現在トラックで御自分でお運びになっていらっしゃるその運賃を国鉄のほうで持てというお話だといたしますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/103
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104・坂本昭
○坂本昭君 全部じゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/104
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105・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) それは、ちょっといたしかねると思うのであります。
実は、そういうことを申し上げるとおしかりを受けるかもしれませんけれども、鉄道の運賃で受託いたしまして、船をチャーターして運んでいるわけでございますが、それだけでも、先生の御存じのように、一億前後はマイナスになるわけでございまして、これはやかましいことを申し上げれば、法律的にあるいはそういう義務はないのかもしれませんが、これは道義上唯一の輸送機関である国鉄として、当然お引き受けすべきものと考えてやっているような次第でございまして、今後青果物の運賃の差額までは、ちゃんとお引き受けいたしかねるように思うのでございます。あしからず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/105
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106・坂本昭
○坂本昭君 もう一つ。皆さんいろいろ御苦労されているところにいろいろ注文をつけましたが、要は一日も早く解決すれば、それだけ皆さんの負担も、また国民の負担も減るのですから、そういう点で国鉄の技術の全力をあげて、これを復旧を一日も早くしていただき、また運輸省としても、国鉄はもうけなくちゃいかぬとか、あの東海道線でもうけておりましても、四国ではもうかっておらない、もうかっておらないから、あまりそういうところに、いろいろ金を出すなという、そういう量見では困る。国民の国鉄である。北は北海道から南は鹿児島までのすべての人の国鉄であるから、われわれたとえば四国の果て、北海道の果てであっても、そこではもうからぬような乗り方をしておるかもしれないけれども、東京都へ出てくるときには、一番金を払っておるのですから、どうかそういうところは、運輸省としても公平な扱いをしていただきたい。
特に今のように非常な、一日おくれたら、それだけ国鉄当局もまた国民も非常な不便をするのですから、この際運輸省としても、ことしのあとの経理の結果を見て、どうするというような……。私は今のお言葉に対しては、かなり不満であります。積極的に国民の利便のためには、運輸省としても十分なことをしてやりますという程度の私は答弁を要求して、一応私は私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/106
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107・大倉精一
○大倉精一君 関連で。実は最近の続発事故について、私もお尋ねしたいと思っておりましたが、きょうは坂本委員のほうから非常に詳しく調査した結果に基づいて質問されましたから、質問はあとの機会にすることとして、きょうは関連してお伺いをしたい。
実は、この東海道線の事故のときに、国鉄副総裁の名前でもって二十六日に通達をされましたところの「線路作業における事故防止について」という内容を拝見いたしましたが、これは交通新報で拝見したのですが、これを見ておりますと、何か国鉄の大きな機構の中には抜けておるものがあるのじゃないかという感じがしたのです。
その一つは、前の文章を略しまして、「この際下記諸点を厳守して将来かかる不祥事故を再発させないよう万全を期せられたい。」一、二、三とありますが、二番目が「発生材料は原則として線路に接近して置かないようにし、現在置かれているものについてはすみやかに所定の個所に取り片付けること。作業上その他やむを得ず一時仮り置きする場合においてはその個所を指定し限界定規等によって限界支障の有無を十分確認するとともに列車振動によって移動しないよう固定すること。」というようなことが書いてありますが、こういうようなことにどうでしょうね。本社のほうから通達しなければできないのですか。現地には局長さんもおれば、駅長さんもおれば、みんなおるのですが、作業の材料を原則として線路わきに置くないというようなことを、副総裁みずからが通達しなければならぬところに、何か変なものがあるような気がしますが、そういうことについて、いかがですか、副総裁、このお感じは。どうも変ですね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/107
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108・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) いや、お言葉のように、あらためて通達をせずとも、事故発生材料を車両に接触するような危険のある場所に置くというようなことは、やってはならないということになっておるわけでございますけれども、たまたま先般の東海道線の事故の原因が、レールを置いた場所が不適当であったということは、これまた事実ございますので、あるいはそういうような注意を、今さらするのはおかしいではないかというお言葉もごもっともとも思いますけれども、念には念を入れるという意味で、注意をいたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/108
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109・大倉精一
○大倉精一君 この内容が悪いとかいいとか言っておるわけではないのであって、これを見たときに、こういうような——そこら辺の小さな運送屋のおやじが現場にするようなものじゃないかという気がしたのです。
こういうところに、何か変なものがあるのじゃないかという気がする。これは言うところの、国鉄の人事問題についても、いろいろ言われております。新聞にも書かれておるが、真偽のほどはわからないので言いませんが、あるいはその他国鉄の御方針等についてもいろいろあると思うのです。先ほど新五カ年計画は、輸送力増強を重点に置いておるということを言われましたが、これは私は、この輸送に関しては、輸送力増強と、それから地上の保安設備というものを並行して行なわなければならぬと思うのですね。それから今度の新五カ年計画では、前半は輸送力増強——施設、地上保安のほうは後半に回していくというようなことが見られるのですが、どうもこの辺に輸送力増強と、それからこれによって発生する事故というものとの関連が、何かあるような気がするのですね。ですから輸送力増強けっこうですけれども、急がば回れということもありますから、こうたびたび事故が頻発しては、言うところの輸送力増強にならぬと思うのですけれども、この輸送力増強に重点を置くということは、保安設備、地上設備をすることも輸送力増強になると思うのですけれども、これについてはどうですか。どうも先ほどの説明は変に思ったのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/109
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110・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 三十二年に発足いたしました第一次の五カ年計画のときには、ちょうどその前に、戦中、戦後の非常に老朽荒廃した施設をたくさん抱えておりましたので、そういうものを早く安全な状態にしなければならないということで、当時の第一次五カ年計画の重要な柱の一つにしておったわけでございますが、その老朽荒廃施設の復旧整備という仕事は、おかげさまで大体完了いたしましたので、第二次の五カ年計画においては、今逼迫しておる輸送力の打開というほうが、重きを置いてやらなければならぬことであるという考え方から、輸送力増強、近代化というような点に重点を指向したわけでございますけれども、しかしこれは決して、そうだからといって、輸送の一番の前提となりますところの安全性というものを無視して、輸送力の増強さえなればいいのだというような考え方は毛頭いたしておりませんので、必要な保守あるいは輸送施設の保全、安全を期するための諸措置というようなことについては、もちろん並行してやっていくように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/110
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111・大倉精一
○大倉精一君 局長は、第二次五カ年計画は輸送力の増強が重点だとおっしゃたが、副総裁は今、並行してやっていくとおっしゃった。並行してやっていかなければならぬと私は思うのですが、そこで第二次五カ年計画も、私はもう少し保安施設に重点を置いたら——おおむね老朽施設はよくなったというような今の御説明なんですけれども、これはやはり私の持っている新聞によりますと、こういう記事が出ておりますが、これが事実かどうか、ひとつ教えてもらいたいと思うのです。
その記事の一端を紹介しますというと、昭和二十九年から三十五年間における過去七年間、その間に「発生した職員の取扱い誤りによる列車事故、百七十五件」このうち「保安設備の改善によって防止できる事故は百七十五件中百十九件となっており、大半の列車事故は運転保安設備の強化によって避け得ることが実証されている。また「てっ査鎖錠・保留鎖錠」「発条転てつ器設置駅での出発信号機・解錠表示灯」「出発信号機」「閉そく併合てこ」「第二種運動機」「鍵鎖錠装置」「入換標識」など地上の運転保安設備を強化しただけでも、列車事故の八〇%をカバーすることができるとみられている。なかでも軌道の心臓部といわれるポイント(分岐器)の主なものの大半は大正十四年型といった老体で欠陥だらけ、高速の新形列車の保守を維持するには限界の極地に達している。」
こういうことが書いてあるのですね、これは事実か。うそですか、この記事は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/111
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112・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 今その新聞の記事のお読み上げになりました数字の件数とか、そういうようなものは、実はどこから出たものか、国鉄が発表したものかどうか、ちょっと私にはわからないのでございますが、国鉄としましては、先ほども申し上げますように、列車の運転の安全を期するということは、もう何ものにもまさる大前提であると考えておりますので、第一次五カ年計画で、戦中・戦後非常に痛んでおったいろいろなものを、鉄橋にいたしましても、トンネルにいたしましても、線路にいたしましても、荒廃したものがずいぶんございますが、それらは、大体おかげさまで一掃することができたわけでございまして、ただいま、まあ輸送力増強中心の第二次五カ年計画の実行に移っておるわけでございますが、しかし保安設備ということにつきましては、これはもうやはり先ほども申し上げますように、何ものにも増して重視しなければならないことでございますので、大きいものにつきましては、本社で計画いたしておりますが、同時に各支社長、管理局長等に対しまして、小工事という支社長、管理局長の裁量で実行できる予算のワクを与えておりまして、その小工事のワク内で、保安設備を最優先に輸送上の安全を期するように指導をいたしておりまするし、また今やっておるはずでございます。
さようなわけでございますので、その最後のほうでお読み上げになりましたような非常にあぶないというようなことは万々ないと存じますので、御安心いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/112
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113・大倉精一
○大倉精一君 それでは、きょうは関連でございますので、こういうことはないとおっしゃる。それではこの新聞は、どこかから資料を持ってきて、どこかから統計を持ってきたと思うのですけれども、——それで資料を要求したいと思うのですけれども、昭和二十九年から三十五年の過去七年間に発生した列車事故件数、これが、これでは百七十五件ですが、あなたのほうの統計を出してもらいたい。その中で、保安設備の改善によって防止できたと思考されるところの件数ですね。それから「てっ査鎖錠・保留鎖錠、発条転てつ器設置駅での出発信号機・解錠表示灯、出発信号機、閉そく併合てこ、第二種運動機、鍵鎖錠装置、入換標識など地上の運転保安設備を強化しただけでも、列車事故の八〇%をカバーすることができる」と書いてあるのですけれども、こういうものによってカバーし得ると予測される事故は何パーセントくらいあるか。それから全部のポイント——分岐器ですね、その数及び大正十四年型などというのは、どのくらいあるか、これをひとつ調べてもらいたい。
それからもう一つお伺いしたいのですけれども、「十月ダイヤ改正時に、地上設備の増強策を早急に打ち出してもらわなくては列車の安全運転は確保できない。ダイヤ改正は地上関係の保守強化ができてからにしてほしい」ということを保守関係の部門から上層部に要望しておるということも、これに書かれておるのですが、これも事実かどうか。「しかし、これらの要請に対し国鉄ではこれといった対策は打ち出さず、今回のような事故続発については、保線関係の責任としているのはあまりにも幹部クラスが無責任すぎる。」と、こうなっておる。
これは国民が読むのですから、ほんとうに思いますから、ほんとうかどうか、この事実があったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/113
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114・吾孫子豊
○説明員(吾孫子豊君) 前段の御要求の資料については、早速整えまして提出いたしたいと思いますが、今度の東海道線の事故にいたしましても、地上設備の整備に遺憾な点があったために起こった事故ではございませんので、今御指摘のありました新聞の記事については、実は私よく拝見いたしておりませんけれども、十月の時刻変更に際して新しいダイヤを運転いたしますために必要な設備の整備ということにつきましては、十分実施をいたしてあるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/114
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115・大倉精一
○大倉精一君 施設局長にお尋ねするのですけれども、今ここに書いてあるように、現地の保安関係の部門から上層部に対して、今度のダイヤ改正は、地上保安関係が不安であるから、これを強化してからやってもらいたい、こういう要望があったということが書いてある。それはあったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/115
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116・柴田元良
○説明員(柴田元良君) 私が所管いたします線路の関係に関します限りは、事実時刻改正をいたします以前に、相当の必要とする軌道の強化、これは予算措置あるいは現場の実施面におきまして実施をして参っておりまして、ただいま先生のお話のような点は、私どもは一回も伺ったことは実はございません。
それから先ほどの、これは私の所管に関します分岐器の問題は、お説のとおりに国鉄におきまする線路関係の一番おくれております点はポイントでございます。しかし、これは、最近のスピード・アップその他の要請もございますし、また強度的に非常に弱いということもわかっておりまして、このポイントの改良につきましては非常に力を入れております。大正十四年型が何組ありますか、私は今数字はございませんけれども、幹線に関する限りは、このような古い型のポイントは、大体全部改良いたしておりまして、新しい、強さを持ったポイントに現在なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/116
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117・村松久義
○委員長(村松久義君) 大倉委員に申しあげますが、緊急かつ関連に限っていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/117
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118・大倉精一
○大倉精一君 緊急に限ったことでありまするので、緊急に限ったことだけ質問しておるつもりでございますけれども、よろしく御了承を願いたいと思います。
それで、今の、下のほうから聞いた覚えがないとおっしゃいました。これは水掛論ですから——私も一ぺんそういう話を聞きました。確かに十月ダイヤ改正のときにはいろいろ問題があったようです。あるいはいろいろな声もあったようです。
でありますから、これは私は一ぺん聞いてみます。あなたは、そんなことはなかったとおっしゃるが、あったということになったら、いささか問題は別だと思うんですが、一応聞いてみましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/118
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119・村松久義
○委員長(村松久義君) どうです、大倉委員、一般質問のときに譲られちゃいかがです。どうも限定した問題ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/119
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120・大倉精一
○大倉精一君 これは私は限定した問題ですよ。限定した問題ですが、事故が起こるということは、国会においては原因を追及しなきゃなりませんよ。あそこの事故がなぜ起こった。上から砂が落ちてきたんだ、山がくずれたんだ、それだけじゃ済まない。あれだけなら、それでいいかもしれないけれども、最近のように重大な事故が続発するという場合に、何か欠陥がありゃしないか。しかも社会問題にならんとしておる現状でありますから、私は本格的な質問はあとにしようと言っておるのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/120
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121・村松久義
○委員長(村松久義君) 大倉委員に申し上げますが、私の許可した範囲は、坂本氏の緊急の問題に関連してお許しをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/121
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122・大倉精一
○大倉精一君 緊急の問題にとどめてやっておりますので、御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/122
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123・村松久義
○委員長(村松久義君) ですから、これは簡単にひとつ願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/123
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124・大倉精一
○大倉精一君 それじゃ、途中で委員長に切られちゃったから、委員長の意向を尊重しておきますがひとつここで提案をしたいと思うが、委員長もしかるべくお取り計らいを願いたいと思うのだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/124
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125・村松久義
○委員長(村松久義君) 議事進行ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/125
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126・大倉精一
○大倉精一君 議事進行です。土讃線の問題は、さきほども坂本委員が現地でもって調査したことと、それから言われたこととだいぶ違っておりますし、あるいはまた責任のない人の話だろうということもありますので、あわせて、私は責めるのではなくて、かえってむしろ現場の復旧作業に従事しておるところの諸君を激励する意味においても、委員会派遣ということでいけなければ有志でもいいから、この際、現地に派遣をするということを提案しますので、委員長にお取り計らいを願いたい。委員長・理事打合会で打ち合わせてもけっこうですから、お取り計らい願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/126
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127・村松久義
○委員長(村松久義君) 慣例によって理事会において協議いたします。
土讃線事故に関する緊急質問は、これで終局にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/127
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128・村松久義
○委員長(村松久義君) 次に、都市交通に関する小委員長より小委員会における調査の経過並びに結果について、御報告願います。
天埜小委員長……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/128
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129・大倉精一
○大倉精一君 議事進行。安井自治庁長官はどういたしましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/129
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130・村松久義
○委員長(村松久義君) 今、参議院予算委員会に出席中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/130
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131・大倉精一
○大倉精一君 見通しはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/131
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132・村松久義
○委員長(村松久義君) 社会党の出席要求きわめて強硬であって、これを手放しておりません。したがって、当委員会にただいま出席の見通しはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/132
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133・大倉精一
○大倉精一君 きょうはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/133
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134・村松久義
○委員長(村松久義君) きょうはわかりませんけれども、ただいまはちょっとございません。今、交渉いたしましたが、出席が不可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/134
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135・大倉精一
○大倉精一君 これは、もうこれで三回目ですよ。当然の、都市交通の問題の中心は、これは安井さんですね。国家公安委員長ですよ。国家公安委員長か中心的なものになっておるのですけれども、これは運輸委員会で決議するときにおいて、公安委員長の御所見も聞いて、質問もしておかないといけないのですが、そういう機会はいつありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/135
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136・村松久義
○委員長(村松久義君) 意見を聞くという機会は作ります。ただし、決議のめとにそれを進行したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/136
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137・大倉精一
○大倉精一君 了承。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/137
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138・村松久義
○委員長(村松久義君) 天埜小委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/138
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139・天埜良吉
○天埜良吉君 都市交通に関する小委員会におきましては、去る二日と今日午前、小委員会を開きまして、当面逼迫しております都市の自動車交通問題を議題といたしまして調査審議をいたしました。各委員から熱心な発言がありましたが、当面の逼迫する問題打開のため、ただいまお手元に配付いたしました決議案を当委員会の決議として休定願うため、全会一致で決定をいたしました。その案文を事務局から一応朗読いたさせます。
〔専門員朗読〕
都市交通の逼迫打開に関する決
議案
大都市における自動車交通は極度
に逼迫し都市経済の成長と市民生活
の安定を阻害し、大都市の機能の喪
失をきたすおそれがある。
政府はさきに交通問題の対策を審
議するため交通対策本部をおき、さ
らに臨時閣僚懇談会を設け努力を続
けておるが未だ有効な綜合的対策の
樹立に達していないのは甚だ遺憾と
するところである。しかも事態はま
すます悪化しその対策に遷延を許さ
ざる段階に達している。よって政府
は、道路の拡充整備、大量輸送機関
の設定増強等の基本的措置を推進す
るは勿論、当面逼迫する都市交通問
題を打開するためには、左記方針に
より適切な措置をなすとともに必要
な立法及び予算措置をなす要ありと
認める。
一 道路交通の円滑を期するため、
さらに現行取締を適法且つ完全に
励行するとともに、この際自動車
使用者の社会的責任を加重する等
必要と認める事項については至急
適切な措置を講ずること。
二 都市交通の逼迫を打開しその円
滑な流動を確保する施策をなすに
当っては公益優先の原則を堅持
し、都市生活の不安と経済の混乱
を生ぜしめないよう配慮するこ
と。
三 交通問題を解決するため政府の
機能を強力に推進するには、政府
都内に独立した行政機関を設け、
交通並に交通機関に関係ある政府
機関の一元化を図ることが望まし
いが、当面緊急の交通事情の解決
としては、現在の閣僚懇談会の運
営を強化し、関係政府機関の連繋
を密にするとともに、その機能の
一元化を図ることに努力するこ
と。
右決議する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/139
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140・天埜良吉
○天埜良吉君 小委員会におきまして審議されました経過に基づきまして、本決議案の趣旨を御説明いたします。この決議案を提案するに至りました事情につきましては、決議案の前段でも明らかにされておりますが、当小委員会といたしましては、交通流動の円滑化という面から、都市交通の混雑緩和の解決をはかろうとするものであります。都市交通の混雑による事故の防止についても、もちろん留意しなくてはならぬことは申すまでもありませんが、委員会の所管事項といたしましては、おのずから担当する面もあろうと存じ、当委員会としては、特に交通の流通の円滑に重点をおいた次第であります。
なお、交通の流通の円滑の基本的な事項につきましては、政府としてこれを推進いたすことは当然でありますが、これらは時日のかかるものでありまして、当面の解決とはなりませんので、決議案の内容から外すことにいたしました。
次に、決議案の内容でありますが、具体的の施策につきましては各省庁委員会等の政府機関の行なうべきことでありますので、当小委員会といたしましては、その大綱を示すにとどめ、政府がこの方針に従い、いかなる施策を行なうか監視いたしたいと存じます。この方針の基本的な原則でありますが、運輸を所管する当委員会といたしましては、経済の正常な運営に対応するよう、交通の円滑をはかることでありまして、交通の規制は、真にやむを得ざる措置であるべきことは申すまでもありません。むしろ交通規制をなす以前に、打つべき手が効果的に打たれているかが問題でありまして、たとえば道路交通法の規定どおり、路上の自動車その他の物体放置の取り締まりを励行するだけでも、少なからぬ効果があると思えるのであります。あるいは道路交通法の完全な施行のため所要の交通警察官の増員を要するかとも思われますが、これらは当然政府の義務であると考えます。この決議案におきましては、道路交通法による取り締まりの完全施行につきましては、政府の当然の措置とは思いましたが、さらにこれの励行をはかる要を認め、この決議案に触れておきました。
かように手を尽くしましても、なお効果が得られません場合の施策につきましては、その順序方法を誤りますと、都市経済及び市民生活に甚大な影響を与えますので、まずこの点について誤りなきよう、第二項に公益優先の方針を掲げました。
第三項目につきましては、特に説明を要しないと思います。自動車行政が弱いのも、その権限が各省庁に分散しているからでありますが、急速にその一元化は困難であり、また、かかる交通の混雑状態に行政機構をいじりますことは、かえって行政の効果が上がらないとも考えられますので、この際は閣僚懇談会を強化し、交通行政を強化することが望ましいとする次第であります。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/140
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141・村松久義
○委員長(村松久義君) ただいまの小委員長の報告を議題といたします。
本件に関して御発言のある方は、この際、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/141
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142・加賀山之雄
○加賀山之雄君 大体のあれは、みな入っているんですが、一番最後の「関係政府機関の連繋」の「連繋」の字句ですね、これは携えるという「携」がいいんじゃないかな、これは漢字制限があるか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/142
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143・村松久義
○委員長(村松久義君) 加賀山君の御発言に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/143
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144・村松久義
○委員長(村松久義君) 御異議ないと認めます。よって、他に御発言もありませんので、都市交通の逼迫打開に関する決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/144
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145・村松久義
○委員長(村松久義君) 全会一致を認めます。よって本決議案は、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
この際、政府の御所見を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/145
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146・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) ただいま都市交通の逼迫打開に関する御決議がございましたが、この決議の全文に盛られておりまするように、今日の大都市における交通は、まことに逼迫いたしております。これにつきましては、政府といたしましても大いになさなければならない点が多々あることを認めておりまして、臨時交通閣僚懇談会等を開きまして、大いに懸命の努力をいたしておりますが、本日のこの決議の次第を体しまして、私の所管の行政につきましてはもちろんのこと、他省所管の分におきましても、本委員会において、この決議をせられましたことをよく伝えまして、交通閣僚といたしまして、その責めを全ういたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/146
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147・村松久義
○委員長(村松久義君) なお安井自治大臣の所見は、後日これを求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/147
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148・大倉精一
○大倉精一君 議事進行。今、安井公安委員長の発言は後日にというお話がございましたが、そのほかの関係閣僚の所信も伺いたいし、所要の質問もしたい。これは、関係閣僚というのは、まず川島行政管理庁長官、それから建設大臣です。それで公安委員長は、きょうは都合が悪いようですけれども、その他の閣僚はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/148
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149・村松久義
○委員長(村松久義君) 連絡はいたしましたが、それぞれ所管の委員会に出席中でございますので、確答を得るに至っておりません。したがってただいまの御要求の点もあわせて先ほどの、理事会において、ひとつ協議をいたしたい、かように思っておりますから、御了承をいただきます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/149
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150・村松久義
○委員長(村松久義君) 速記を始めて。
次に、船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。これより質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/150
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151・大倉精一
○大倉精一君 今度の船舶職員法の一つの焦点は、オート・アラームという機械を据え付けて、このオート・アラームというものに依存をして、そうして船舶通信士を減らそうということなんですが、オート・アラームというのは見たことも聞いたこともないものですが、どんなものか、この際、しろうとによくわかるように説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/151
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152・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) お答え申し上げます。オート・アラームは、船舶の遭難の場合にSOSを発信いたしますけれども、その前置信号を自動で受ける装置でございまして、SOSの前置信号の発信を受けた場合に、自動的にベルが鳴るという装置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/152
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153・大倉精一
○大倉精一君 そういううわさは聞いておるのですけれども、自動的にがらがら鳴るというのですが、はたして、それでもって船舶職員法の目的であるところの船舶の航行の安全ということですね、この目標が、達せられるに足るところの性能であるかどうか、性能そのものと同時に、あわせて日本の二十年間にわたるところの通信の機構といいますか、そういうものを一ぺんに改めるに足るところの機械であるのかどうか。それが、私は見たことも聞いたこともないからわからぬから聞いておるのですが、もう少しひとつ、全くずぶのしろうとにわかるようにお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/153
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154・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 実際の模型でもお目にかけて、実地に見ていただくことができれば一番いいわけでございますけれども、船舶の安全という面から見ますれば、オート・アラームは自己の船舶の安全とは直接関係はないわけでございます。他船の救助をいかに早くやるかという問題でございまして、これはたとえオート・アラームが正常に作動いたしておりましても、たとえば遠距離の場合には間に合わない、したがいましてその近くにおって、当然救助できるというような態勢にある場合に、オート・アラームがあれば非常に便利であるということでございまして、国際条約におきましても、オート・アラームというものは認めておりまして、オート・アラームをつけた場合には二十四時間の聴守義務は免かれるという規定になっておるわけでございます。
したがいまして、今日の日本の船舶におきましては、約九十隻程度オート・アラームをつけておる船がございますし、また日本で建造いたしまして外国へ輸出しておる船舶で、日本で作りましたオート・アラームをつけておるものは約百三十隻程度であると推定されるわけでございます。しかし今日まで、日本製のオート・アラームにつきまして、故障が起こって間に合わないとか、あるいは外国製品に比べて非常に性能が劣るというような不平は、われわれ今日まで聞いておらないわけでございます。
オート・アラームにつきましては、昭和二十七年の電波法改正当時、電波法の中に織り込まれまして、オート・アラームをつけた船舶は、現行法におきましても、五千五百トン以下千六百トン以上の船舶は、法律上は三名の定員を要求しているわけでございますけれども、オート・アラームをつけた場合は二名でよろしい、現行法におきましても、そういうことになっております。また、郵政省におきましてはオート・アラームにつきまして型式承認を行なっておりまして、郵政省において検定いたしておるわけでございます。外国へ出しているオート・アラームにつきましても、郵政省の型式承認を得て出しているわけでございます。
そういうような状況でございますので、われわれは郵政省の行政に信頼いたしまして、このたびの改正をお願いしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/154
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155・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、世界の海岸局から打つ電報ですか、SOSという電信とオート・アラーム用の電信とは別にあるんですか。ただSOSさえ打てば、自動的にこのオ−ト・アラームにひっかかってくるですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/155
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156・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 先ほど御説明いたしましたように、SOSを発信いたします際の前置信号を受信するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/156
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157・大倉精一
○大倉精一君 前置信号というのがわからぬな、どういうものですか、そういうものも説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/157
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158・中沢宣道
○説明員(中沢宣道君) オート・アラームは聴覚による聴守にかえるものでありまして、他の船舶の遭難信号のSOSの前に前置きされる警急信号、これは無線のツーという長符でございますが、四秒の符号と一秒の間隔からなって、十二符号をもって構成されるのが前置信号でございます。これの大体四つか五つの長符が出たときにオート・アラームが作動するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/158
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159・大倉精一
○大倉精一君 そうしますと、それはSOSの場合には、二いろ打つわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/159
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160・中沢宣道
○説明員(中沢宣道君) 普通、SOSを直接打たずに、前置符号——警急信号ですね、これを打つわけです。そうすると各船が信号をやめて、その通信を聞くことになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/160
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161・大倉精一
○大倉精一君 オート・アラームというのは調節や何かする必要はないんですか、ひとりでほっとけば鳴ってくるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/161
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162・中沢宣道
○説明員(中沢宣道君) ときどき調整しなきゃいけないものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/162
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163・大倉精一
○大倉精一君 そうすると、八時間やって、あとは寝ておってもいいというわけのものじゃないですね。調整しなきゃいけないだろうと思うけれども、やっぱり人間が要るんですね、オート・アラームというものは。
そこで、私はまあ船のことはしろうとでわかりませんけれども、外国の船がこうだからという話があるんですけれども、まあ外国の船がどうかよくわからぬが、聞くところによるというと、外国の船もやはりいろいろやっておるようですね。たとえば、一名乗せておるというのも相当あるそうですけれども、これは外国の船と日本の船と条件が違うそうですね。どうですか、条件の違うというのは、どういう条件が違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/163
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164・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) オート・アラームにつきましては、従来、日本船におきましてこれをつけるものは非常に少ない。と申しますのは、五千五百トン以上の船舶につきましては、法律によりまして三名の、つまり二十四時間の当直を要求いたしておりますので、その実験の結果、割合に少なかった。外国船につきましては、戦前から一名で、今日におきましても一名の定員でございますので、オート・アラームをつけてる実例が非常に多いわけでございます。
したがいまして、日本船では先ほど申しましたように、約九十隻程度のものしかつけておらないというわけでございます。そういう点でオート・アラームの実験度が日本船のほうが外国船に比べて少ないという点において異なるのではないかというふうに考えております。また、日本船が外国船と非常に異なるという今御質問でございましたけれども、たとえば日本の近海の気象海象の状況が非常に変化するというような問題でございますれば、これは日本船だけの問題でございません。われわれが今御審議いただこうとしている一番大きなものは、近海及び遠洋の航路でございますので、そういう点については、差異はないというふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/164
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165・大倉精一
○大倉精一君 私の聞いているのは、外国でもオート・アラームをつけて、それで通信士が一名という船がたさくんあるということが、どこかに書いてあったか聞いたかしたんですけれども、あるから、日本でもというお話らしいのですけれども、それはやはり外国の船員と日本の船員と乗船条件なり、勤務条件なり給与なり、いろいろなものが違うと思うんですね。あるいはこの日本船の通信士にかけられているところの任務というものが、外国船と違うということを聞いているんですが、どんなところが違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/165
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166・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 具体的に通信士の例をとってみますれば、現在船舶に乗り込んでおります通信士が、外国に比べまして人数が多いために、自分の所管の仕事である船舶の通信局の運用及びその電信機器の整備という仕事以外の仕事も現在行なっているという点が、外国船とは違うという面があるかと存じます。この点につきましては、今後それぞれ甲板部なり、機関部なりの仕事については、それぞれの担当部において十分に処理していく、責任を持って処理するという体制を作っていくことが必要であると思いますけれども、無線部の仕事自体につきまして、現在の三名の乗船というものを日本船に限って強制する必要はない。この点につきましては、外国船と全く同一の勤務の状況であるというふうにわれわれ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/166
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167・大倉精一
○大倉精一君 この点は私も、いささか調査をしておりますから、あらためて質問いたしますけれども、とにかく全体の政策として、合理化という名のもとに、船に乗る人間さえ減らせばいいという思想らしいが、そこがどうも私は気に食わないのですが、船に乗る人さえ減らせば、人件費が減る。この人間にかわるものはオート・アラームだ。ところがオート・アラームは、人間以上の性能を持っていないだろうと思います。しょせんは機械です。ですから、私は審議に入る前に、オート・アラームに対して、私は信頼しなければ審議に入るということは、なかなかむずかしいと思います。オート・アラームの実地試験といいますか、そういうのは、どういうことになっておりますか。ほんとうにいつごろおやりになって、どういうような装置によってオート・アラームの性能を確認し、これは大丈夫だ、航行安全のために大丈夫だ。あるいは相互扶助という、こういう精神に立脚するところの航海の原則からいって大丈夫だ。しかも二十年間にわたって、三直制という日本の優秀な通信制度を変えても大丈夫だという、これを変えるには相当の理論よりも実地の根拠がなければならぬと思うんですがね。
どういう今までこの根拠をつかむための措置をとられたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/167
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168・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 先ほど御説明いたしましたように、オート・アラームにつきましては、郵政省において、今日型式承認をやっておりまして、またそれに基づく今まで実験検査も数回に及び海洋上におきまして実施いたしているわけでございます。
その結論によりますと、現在のわが国のオート・アラームにつきましては、ある程度調整を行なう必要がありますけれども、その信頼度においては、決して国際水準に劣るものではないという結論を得ておるというふうに、われわれは郵政省から承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/168
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169・大倉精一
○大倉精一君 それは、いつごろ実験したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/169
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170・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 海上実験をいたしましたのは、電波法が新しく施行になりました後、昭和二十八、九年であるというふうに記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/170
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171・大倉精一
○大倉精一君 二十八、九年以降やっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/171
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172・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) その後のことにつきましては、われわれは郵政省から報告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/172
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173・大倉精一
○大倉精一君 これは、私は非常に大きな問題だと思うのですね。今も試験の結果は、若干の手直しをしなければならぬが、おおむね差しつかえないだろうという、こういう程度のことでは、これは船舶の航行安全というのを、安心してこの法律に頼るわけにはいかぬと思うのですね。
これは私はいずれ郵政省のほうからこの事情も聞きたいと思うのですけれども、聞くところによるというと、郵政省のほうで実験した結果、いろんな人が研究会を開いたらしいのですけれども、その中で、これはしょせん機械であるから、これをもって人間に代替するということは、これは時期尚早という意見も学者の間にあったということを聞いております。そこで委員長、これは大体が電波法という技術的なものがきまって、それから船舶職員法というものが自動的にきまってくるのが私は当然だと思うのですけれども、今の話のように、実験はしたわ、しかしそれはずっと前のことだ、しかも仄聞するところによるというと、手直しをせんならぬらしいが、どうやらおおむね支障がないということを聞いておるということで、運輸省がこの法律案を出してくるということは、これは少し軽率なような気がします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/173
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174・村松久義
○委員長(村松久義君) 委員長としても釈明を求めておきたいと思いますが、調整という言葉を使っておりましたが、その意味を一ぺんはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/174
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175・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 先ほど機械の調整ということを申し上げましたけれども、手直しするという意味ではございませんで、その時々刻々の情勢に応じまして機器の調整を行なう、そういう意味で申し上げたわけでございまして、現在の機械の性能が悪いから、それを手直ししなきゃいかぬという意味で申し上げたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/175
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176・大倉精一
○大倉精一君 まあ刻々の情勢に応じて調整するというのですけれども、そのこと自体が、私はオート・アラームというものは完全なものではない、今外国もやっているから、日本もやってもいいじゃないかという、そういう思想は、私は提案理由の説明としては、どうかと思うわけです。もっと権威を持った外国の制度を日本のにならわせる、このくらいの権威を持ったものでいいと思う。外国の制度必ずしも日本にもいいとは限らないと思う。
まだ、こういうところにも、欧米崇拝の変なのが残っているかもしれませんけれども、私は冒頭に申し上げたようにしろうとでわかりませんけれども、私が一番関心を持っているのは、いわゆる航行の安全、あるいは相互扶助という航海の原則、しかも人道上の問題とからんでくるので、われわれ人間が頼らむとするところのオート・アラームというのは、一体どういうものか、これが根本になければあとの審議は枝葉末節になってくると思う。ここに全幅の信頼をおけるというならば何をか言わんや、どうも今の御説明でありますと、私としては、ああそうか、大丈夫だ、このオート・アラームは大丈夫だというわけにいかぬと思う。
だから委員長、後日ひとつ、オート・アラームの性能について専門家から聞きたいと思うのです。それでその専門的な人から、こういう実験をした結果、こうであったということを聞かしてもらいたいと思いますから、委員長御手配を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/176
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177・村松久義
○委員長(村松久義君) 御要求は、きわめて重大だと思いますので、その心組みでひとつ理事会に諮ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/177
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178・大倉精一
○大倉精一君 それを聞いた上で、また私は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/178
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179・斎藤昇
○国務大臣(斎藤昇君) 御質問を伺っておりますると、この船舶職員法で、初めてオート・アラームを法律に取り入れるような誤解をお持ちになっておられるのではないかと思いますが、今日の電波法で、すでにオート・アラームというものを認めて、そうしてこれを持っていくときには二名乗って、二十四時間勤務でなくてもいいということが、もうすでにできておるわけであります。運輸省は、すでに通っておりまする電波法をもとにいたしておるわけでございます。
今日世界の海運は、御承知のように、いかに船を自動化をしていくか、機械化をしていくかということが一つの大きな海運の競争でございます。したがいまして、こういったすでに郵政省で認め、法律で取り入れており、世界各国もこれを使っておるという機械に頼るということは、私は決して不妥当ではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/179
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180・大倉精一
○大倉精一君 大臣釈明がありましたが、私も、そういう点は聞いておりまするが、しかし、うそまこと取りまぜて、世界の情報というものを聞いておる。はたしてオート・アラームをつけて、一人でもってやっておる船ばかりかというと、そうでもないらしい。それからオート・アラームをつけておるけれども、これを使っても、三人でやるのもあるらしい、らしいらしいということがたくさん入ってきておる。
さらにまた、今法律があるとおっしゃいますけれども、法律といえども、これは間違っておれば、国会で直すわけですから、私はこの際、今申しましたように頼らなければならぬオート・アラームというものについて、専門家からお伺いしたい。これが先決だと思います。いろいろ中身はありますよ。いわゆる合理化とか、あるいはそういう何もありますけれども、法律そのものの提案の説明についても、初めと終わりとちぐはぐになっておる点があるのですが、そういう審議は別としまして、それより先に、オート・アラームというものを専門家から聞きたいと思う。それから先にひとつお手配願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/180
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181・村松久義
○委員長(村松久義君) 御要求を理事会において決定いたしますから、御了承願います。
他に御発言ございませんか。——それでは、船舶職員法の質疑は、本日はこの程度にいたしまして、散会いたします。
午後五時九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104013830X01119620306/181
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