1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十日(火曜日)
午前十時四十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大河原一次君
理事
田中 清一君
徳永 正利君
村上 春藏君
委員
稲浦 鹿藏君
岩沢 忠恭君
太田 正孝君
三木與吉郎君
内村 清次君
木下 友敬君
田中 一君
田上 松衞君
小平 芳平君
村上 義一君
政府委員
首都圏整備委員
会事務局長 水野 岑君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
説明員
首都圏整備委員
会事務局計画第
二部長 小田 文三君
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本日の会議に付した案件
○首都圏の既成市街地における工業等
の制限に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
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001・大河原一次
○委員長(大河原一次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。前回の説明に続いて逐条的に補足説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/1
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002・水野岑
○政府委員(水野岑君) 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部を改正する法律案につきまして逐条説明を申し上げます。
第一条は法律の目的をうたったものでありますが、今回の改正により制限施設の増設についても、全面的に制限することといたしましたので、「施設の新設及び増設を制限し」といたしました次第であります。
第二条は制限施設、基準面積等の定義を定めているものでありますが、法律施行後の状況、首都における過大都市化による弊害の深刻化にかんがみまして、従来より規模の小さい施設をも制限対象とすることとし、基準面積を引き下げようとするものでありまして、制限効果を現行より大ならしめるとともに小規模な工場または学校の実情をも勘案し基準面積を定めたものであります。すなわち作業場につきましては小企業に与える影響を考慮いたしまして、作業場面積千平方メートルを最低基準とし、従業員六十人程度以上の工場を目安として業種別に政令で基準面積を定めることといたしたのであります。
また、大学、高等専門学校及び各種学校につきましては、工場の制限状況、学校の実情等を勘案いたしまして、おおむね学生または生徒数が八百人前後のものを制限の対象として基準面積を定めたものであります。
現行の第四条は、制限施設の新設禁止をうたうとともに、要許可行為となる「制限施設の新設」の内容を明確にしている規定でありますが、第一条の改正に関する説明において申し上げましたように、今回の改正により増設の場合も全面的に制限いたすこととなりましたので「新設し、又は増設してはならない」としたものであります。
この条において「制限施設の新設」とは、さら地にその作業場または教室が基準面積以上の工場または学校を新築する場合でありますが、制限施設以外の施設、たとえば倉庫、事務所等の用途を変更したり、空屋を新たに利用することにより制限施設とする場合や、基準面積に達しない作業場または教室の床面積を増加して制限施設とする場合も、制限施設の「新設」とみなしております。また「制限施設の増設」とは、すでに制限施設であるものの床面積をさらに増加させる場合をいうものであります。
また、制限施設でないもの、たとえば倉庫または空屋等を再び制限施設、たとえば作業場にする場合においても、その施設が以前に作業場であったような場合には、従来は許可を必要としないこととされていたのでありますが、これをあらためて許可を受けなければならないとしたことであります。
第五条は、許可を受けて制限施設を設けた者が、その施設の床面積をさらに増加させる場合には許可を受けないでよいこととなっておりましたが、かかる場合におきましても許可を要することにし本条を削除いたしました。許可を受けて新設または増設された制限施設をさらに拡張しようとする場合には、経済情勢の変化等によって、許可されたときにおける事情または許可理由がそのまま当てはまらない場合も考えられますので、その際においてもあらためて許可を受けさせることといたしたものであります。
第六条は、一の地域が工業等制限区域となった際等における経過措置を規定しているものでありますが、第一項は一の地域が制限区域となった際に施行されている工事にかかる制限施設の新増設については、他の立法例にもならない許可を要しないこととしておりまして、今回の改正は、第一条または第四条の改正に伴う字句の改正であり、また同項の後段は第二項から第五項までを削ったことに基づいて第六項を繰り上げたもので、政令の改正により制限施設の範囲が変わる場合において、必要な経過措置を設けたものであり、字句の整理のほか現行法の内容と同様であります。
第二項から第五項までにつきましては、これを削ったものでありますが、従来は一の地域が制限区域となった際、現に存していた作業場または教室については、所要の届出を行なった場合には、その団地内においては許可を受けないで無制限に拡張することができ、また届出を行なっていない場合においても、拡張分が基準面積に達するまでは許可を受けないでよいとされていたものであります。しかしながら、首都への人口集中の現況、制限効果等を勘案いたしまして、これらの特例を廃止することといたしたのであります。なお、附則についての御説明の際に申し上げたいと存じますが、学校、特に理工科系大学等につきましては、教育の公共性、科学技術教育の振興の観点から、若干の特例を経過措置として認めた次第であります。
第七条でございますが、第四条の改正において「増設」の制限をも行なうこととしたことに伴う字句の整理であります。
第八条でございますが、第七条の改正と同じ理由によるものであります。
第九条は、製造業又は学校について事業の譲渡を受けた者には、この法律による許可等に基づく地位の承継を認めている規定でありますが、この改正は、従来届出をした場合に、既存施設について認められていた特例を規定しておりました第六条第四項を削ったことに基づく、条文の整理であります。また従来「その許可に系る作業場又は教室をその用に供している」者に対して地位の承継が認められていたものを、「その用に供しようとしている」場合にも地位の承継を認めることといたしましたのは、いまだその用に供していない作業場あるいは工事中の作業場等につきましても、事業の譲渡が行なわれた場合には、再び許可の手続をとらしめる順を省き、事業を譲り受けた者の事業遂行が円滑にいくようにしよとする趣旨であります。
第十条でございますが、第七条等と同様条文の整理であります。
第十一条でございますが、前条と同じく条文の整理であります。
第十二条でございますが、同じく条文の整理であります。
第十五条は、従来この法律を国に適用する場合には「許可」を「承認」と読みかえ、申請に対して東京都知事が承認または不承認の処分をするには、あらかじめ関係行政機関の長の承認を受けなければならないこととしていたのでありますが、国に対する適用につきましては、当該制限施設を管理する行政機関の長と東京都知事との協議が成立することをもって東京都知事の承認があったものとみなし、事務の簡素化をはかったものであります。
第十七条、第十八条でございますがいずれも改正に伴う条文の整理であります。
附則でございますが、今回の改正につきまして周知をはかるとともに、政令を制定する必要性等を勘案し、六カ月以内において政令で定める日から施行しようとするものであります。
第二項でございますが、この改正法の施行の前から遂行されていた工事につきましては、他の立法例と同様に、これを救済しようとしたものであります。
第三項でございますが、先に御説明致しましたように、第六条の改正において、既存施設に対する特例は、これを廃止するものでありますが、本項におきまして、この改正法の施行の際に制限区域内に存する学校については、若干の特例を設けようとするものであります。すなわち学校の場合については三年間の特例を設けたのでありますが、これは学校教育の公共性にかんがみ、また大学の学部の設置の場合には、設置後三年間の学年進行による充実が認められている事情をも勘案したものであります。
また、特に理工系の大学又は高等専門学校につきましては、当分の間許可を必要としないこととしましたが、これは、理工系の学生の増員が科学技術者の増員養成という国の方針によるものでありますし、また理工系の学校を新増設するのには多額の経費を要しますので、既存施設を効率的に利用することが必要であり、さらに理工系教育の効果を高めるためには、専門分野の教育施設相互間の協力を容易にするとともに、教員の不足に対処するためにも、相当数を制限区域内の大学等においても分担させる必要がある事情に基づくものであります。
第四項でございますが、前項の三年の期間の経過の際に、工事中のものについては、期間内に制限施設新増設の意思があったことを勘案し、許可を受けないでよいこととした次第であります。
第五項でございますが、この改正法によって、たとえば改正前の第六条第四項違反のごときは、罰則の対象から除かれましたが、改正法の施行前にしたこのような行為については、他の立法例にならい、罰則の適用については、なお従前の例によることにしたものであります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/2
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003・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 御苦労様でした。それではこれより本案についての質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/3
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004・田中一
○田中一君 この工業等の制限に関する法律は、従来どういう効果を上げていましたか。たとえばかつてこれはたしか二十七、八年でしたかな、人口増を防ぐのだというようなことをいっておったけれども、施行後何年ですか、三年になりましたか、どういう効果、あるいはマイナスの面があればマイナスの面、したがって今回の改正というものはこの経験から出たものと思いますが、率直に一つ説明していただきたいと思います。資料等で説明されるならば資料でもけっこうですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/4
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005・水野岑
○政府委員(水野岑君) 現行の工業等制限法は、御承知のように昭和三十四年の四月一日から施行いたしておるのでありますが、その間東京の既成市街地におきまして、立地することをやむを得ないこととして許可することにいたしましたのがわずか二件でごいざまして、で従来のこの法律がありませんでしたときには、毎年この制限対象施設になるものが二十七件程度新増設されておったのでございますが、それを三十四年四月一日から施行いたしまして、現在までどうしてもやむを得ないということで許可いたしましたものが二件でございますので、相当の効果は上げつつあるというふうに考えておるのでございますが、その現行法の施行状況を勘案いたしまして実は痛感いたしておるのでございますが、この今度の改正案の立法趣旨でも御説明申し上げましたように、非常にこの法律を施行いたしましておりましても、工場の従業員の増加が非常に多いのでございます。それを資料につきまして御説明を申し上げたいと思いますが、お手元に「『首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律』及び『首都圏市街地開発区域整備法』の夫々その一部を改正する法律案の参考資料」というのをお配りしておりますが、この参考資料の十一ページをごらんいただきたいと思います。第十一ページにおきまして「東京都区部における工業の工場数、従業員数の推移」という表がございますが、工場数の増加は三十五年におきまして総数が四万九千四百三十五で、増加数が千八百五十三ということで、増加率が三八%になっております。従業員数の推移でございますが、三十五年におきましては総数が百十三万三千五百二十七人ということで、一年間の増加が十万一千三百六十二人ということになっているわけでございます。で、毎年区部人口の増加が御承知のように二十五、六万人でございますから、この二十五、六万人毎年区部人口がふえますが、工業従業員の増加はこの表にございますように、十万一千三百人余もふえておる、こういうような情勢になっておるわけでございます。そこで、先ほども御説明いたしましたように、制限規模以上の工場の新増設は、これを制限することにいたしておるわけでございますが、この現行法におきましては、一つは制限規模がどうしても高過ぎる、もっとこれを引き下げる必要がある、そういうこと。それからもう一つ現行法におきましては、経過規定、経過措置といたしまして、団地内の新増設は、知事に届出した既存の工場につきましては、一切無制限にこれを認める、というような規定になっております。いわばそういう点が非常に不徹底なわけであります。そういうような点からいたしまして、今御説明いたしましたように、工場従業員の増加というものが、非常に大きなものになっている、ということじゃないかというふうに考えておりまして、以上申しました点をこのたび改正いたしまして、この制限効果を一そう大ならしめていきたい、こういうことで今度の改正案を提出したような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/5
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006・田中一
○田中一君 そうすると向か資料でほしいと思うのは、二十三区、武蔵野、三鷹という地域が制限区域になっているはずですが、それに接続する地域には、どういうものが建設されておるか。たとえば八王子地区、日野等には相当数の新設が許可されておる。いや、これは制限されておらないから増設されておる。それが東京都のいわゆる人口の増大というものと、どういう関連を持つかということ等を、何か資料ありますか、これを説明する資料が。いわゆる制限区域に接続する——これは既成市街地と呼ぶか呼ばないか知らぬけれども、地域に対する増加の状況ですね、それを説明する資料ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/6
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007・水野岑
○政府委員(水野岑君) この制限区域に接続しております地帯は、私どもの首都圏整備法におきましては、近郊地帯という地域になっておりまして、この近郊地帯の外側が周辺地域ということで、その周辺地域には市街地開発区域を建設いたしまして、首都へ流入し、あるいは首都から分散する産業、人口というものを、この市街地開発区域へ吸収せしめようということでございまして、今御指摘にございました八王子、日野地区というものは周辺地域として市街地開発地区に指定をいたしておりまして、したがいまして、この八王子、日野地区は工業衛星都市として大いに発展させようという地域でございますので、工場をむしろ積極的に導入をいたしております。
ただ、今御質問ございましたように、この制限区域に隣接した近郊地帯におきまして、どういうような工場が建設され、どういうような人口増加になっているかという御質問は、これは重要な御質問でございまして、ただいま資料を持っておりませんので、次の機会に資料を整えまして御提出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/7
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008・田中一
○田中一君 既成市街地の人口増という問題は結局、制限されておる区域だけの問題ではなくなっておるのが現状じゃないかと思うのです。どこかに線を引かなければならぬから、どこかに線を引いて制限はするわけでありますけれども、たとえばその開発地域として指定したものの区域の中においても、人口の動態というものがどういう動きを示しておるか、私は三年前にこの法律制定の際にも申し上げたように、今度の法律改正案でいろいろ勘案されておるものと思いますが、少なくとも国民生活に直接供給されるような製造加工業的なものは、かえって呼び込んだほうが全体計画から見た場合にいいのじゃないか、というような見方をするわけなんですけれども、交通の問題とかあらゆる運送の問題等から考えても、そこで一応生産され消費されるというものは、逆に単なる学校工場という各日にしろ、政令でいろいろこまかく分類はされておりますけれども、そういう政今ではそういう点の配慮はどうなっており、かつまた今後制限区域内にそうした工場を積極的に招致しなければならぬ、というようなものもあるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/8
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009・水野岑
○政府委員(水野岑君) 国民生活に直結するような生産の工場やなんかにつきましては、むしろ制限区域内におきましてこれは新設、増設を認めたらどうかという御意見のように拝聴いたしましたが、ただいま私どもの工業等制限法におきましては、この直接東京の既成市街地の居住民のためにどうしてもなくてはならない製造業、あるいはその製品の性質上長距離輸送がとても困難である、こういう業種のものにつきましては、この制限区域内に立地することを認めておりまして、この制限対象施設から、そういうような製造業につきましてはこれを除外いたしておる。たとえば生鮮食料品製造業でありますとか新聞業、出版業というような業種のものにつきましては、これを制限対象施設にしないというようなことにいたしておるわけでございますが、そういうような業種以外に、国民生活に関係するというような製造業の業種も、広く制限対象施設からこれをはずしていくということにつきましては、私ども市街地開発区域というものを別途建設いたしまして、これが立地条件を整備していく、そういうような市街地開発区域で条件が整備されますと、これは独立都市として機能を営むようなことでございますので、東京が過大都市として御承知のように非常に困っておる、そこで市街地開発区域の育成発展というようなことは、この過大都市防止に役立つ大きな一つの措置であると考えておりまして、どういたしましても、東京の既成市街地の住民のために、近所になくてはならぬような製造業は別でございますが、そうでないものは広く市街地開発区域へ行っていただく、市街地開発区域へこれを導入していく、こういうような措置をとるべきであるというふうな考え方をいたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/9
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010・田中一
○田中一君 たとえば八王子、日野等、近郊というのですか、開発地域というものはニュータウンというような性格をもって、あらゆるものが新らしい都市を建設するのだという形でいくことは必要だと思いますが、それらの工場誘致等を指導するのは、首都圏の整備法で何か規定があったのですか、開発地域と指定された区域の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/10
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011・水野岑
○政府委員(水野岑君) 首都圏整備法に基づきまして、市街地開発区域をまず指定いたしまして、そうして市街地開発区域の立地条件整備のための重要施設の総合的な整備計画、事業計画を首都圏整備法に基づきまして首都圏で立案をいたしまして、そうしてこの整備計画、事業計画の面で工業団地の造成事業をやっていく、この工業団地の造成につきましては、どういう業種のものを導入していくのが適当であるかというようなことを整備計画できめまして、そうしてこの整備計画及び事業計画の樹立に伴いまして必要な国費、財政投融資、地方起債というようなものを確保していく。それに基づいてまた工業の導入をやるというようなことを現在実施をいたしておるわけでございますが、首都圏整備法及び市街地開発区域整備法におきましては、この工業団地造成事業、並びに工場の導入ということにつきまして、規定が非常に現在におきましては不備でございます。これを今回整備をいたしまして、そうして適正かつ円滑な工業団地造成事業の施行の確保をはかっていきたい、こういうことで別途市街地開発区域整備法の一部改正案を提案申し上げておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/11
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012・田中一
○田中一君 この首都圏整備法の中の二十四条の市街地開発区域の指定、この中の、たとえば工場並びにそれに付属するというか、従業員の住宅というものを建てなければならないというように考えておるのか、やっぱりこれは近接のどこからでも自由に通勤していいのだという考え方に立っておるのですか。そういうこまかい問題は別に聞いておらぬわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/12
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013・水野岑
○政府委員(水野岑君) 今御質問のございましたような点につきましては、首都圏整備法では直接規定はいたしてございませんけれども、首都圏整備法に基づく整備計画及び事業計画によりまして、導入されました工場の従業員の住宅についてはどう計画していくというようなことをきめるものでございまして、現在私ども考えておりますのは、導入されました工場の従業員の約九割程度は地元でやはり居住していただく、これに伴って必要な住宅用地、住宅建設というようなことを計画するというようなことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/13
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014・田中一
○田中一君 つい最近聞いたことですが、日本住宅公団はたとえば八王子、西八王子等の団地計画というものをいわゆるベッド・タウンとしては不適当だという理由で開発しないような実情にあるように聞いておるが、今日もう八王子、浅川、あの付近は今、高尾といいますが、国土開発縦貫道の中央道もあそこに決定しましたし、どしどしそういうものをただ単に工場を企業者そのものが建てるが、住宅公団等は今日立川から東京の間はもう一ぱいで建ててならぬということを主張しておる。東京の通勤者のための住宅を建っちゃいけない、通勤その他でもって非常な肉体的なロスが多い。だから新しいニュー・タウンとしてやるものならば、もっと先に建てていいではないかということを言ってきたのですが、どうです、住宅公団等にもそうした計画に対する首都圏整備委員会としては何か注文つけるというか、合議したことなんかありませんか。現在住宅公団が今までのように野放図にああしてたとえば中央線を中心にして大団地を形成していくと、どうしてもただ単に人口増の問題よりも、交通の問題、通勤の問題でもうどうにもならぬような状態になってくるということは明らかなんですから、したがって、たとえば近郊地帯というのですか、指定開発地域の住宅あるいは工場等の計画は指導はしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/14
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015・水野岑
○政府委員(水野岑君) ただいまの田中先生の御意見、私はごもっともだと思うのでございますが、私どもかねてから東京二十三区、武蔵野市、三鷹市というのが東京の既成市街地でございますが、東京の既成市街地の中から、御例示のございました立川あたりまでの中間地帯、これは大部分が近郊地帯でございますが、こういう近郊地帯には住宅公団の集団住宅は作ってもらいたくないということで、住宅公団とかねてから折衝いたしておりまして、また私どもそういう考え方で住宅公団といろいろ打ち合わせをいたしておるのでございます。そこでそういたしますと、今度は立川から一つ先の御例示のございましたような八王子、日野地区と、このようなところが私ども、市街地開発の地域でございますが、こういうような市街地開発地域で、そこに導入される工場従業員のための住宅を建設するというようなことには、住宅公団も大きな役割を私どもは演じてもらいたいのでございますが、それと同時に今お話のございましたように、東京へ通勤するための環境が良好な集団住宅を作る、こういうようなことも考えられ得ることでございまして、私どもは今御意見のございましたように、要するに東京既成市街地に近いようなところは、なるべく住宅公団の集団住宅は避けていただきたい。こういうことで住宅公団と折衝もし、いろいろな面で指導もしている。こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/15
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016・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/16
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017・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/17
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018・内村清次
○内村清次君 先ほど田中委員の質問で第四条の「新設の制限」の第一項で、「ただし」その許可を与えた事例、これ大体のお話では二件だけあったのだ。本来ならば二十七件の許可事項があったのだけれども実際は二件だけで済んだ。だから三十六年に改正した後においては相当東京都の制限によって人口の過密を防止することができたんだと、こういう説明があっておりますけれども、この許可ということは、許可するたとえば行政官庁の意思に基づくのであって、そうしてくると、せっかくの制限というものがザル法的な性格を帯びてくるというようなこともなきにしもあらずと。そこで、今回の改正ではむしろその許可ということを、さらに制限をしていくというような条項になってきはしないか、と私たちは考えておったんですけれども、やはりその条項はそのままに残っておる。そうして今回提出されておるところの資料の状態を見ましても、大体三十五年度までの状況が記載されてありますね。問題は現実の三十六年、七年と、もちろん七年あたりの統計はむずかしいとは思いますけど、三十六年あたりの人口の推移もここに明確にしてもらえば、どう推移がなっておるということもはっきりされますけどね。ただまあ昨今は人口はすでに都内は一千万をこえたというふうな状況でもあるし、これをこのまま放置しておったならばたいへんだというような感じも私たち持っておるわけです。実際こういうふうな次々に改正せられる眼目の中で、許可制度ということのみで制限強化ということができていくかどうか、これにつきまして明確なひとつ御意見を述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/18
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019・水野岑
○政府委員(水野岑君) ただいまの御意見はごもっともな御指摘だと思いますが、私ども御意見にございましたように、新増設してはならないということだけにいたしまして全部制限してしまうということが、実は理論的には一番簡単でございまして、また固定した考え方でございます。ただこういう事例が実はございまして、それは工場を新増設確かにすると、するけれども人口増大はもたらさない、こういうような場合があり得るのでございます。たとえば既存の工場が非常に老朽化いたしましたためにこれをもうこわしてしまって、そうして近所の所に全く同じ規模の工場を新設すると、こういうような場合に認めてもらいたいと。もう人口増は一向来たさない、工場生産からいきましても、どうしても近所で操業しないと能率が上がらない、こういうような場合がどうしてもございますので、こういうような場合にはよく実態を調査いたしまして、真に人口増大をもたらさないと、こういうような場合にはやはり許可をいたしますことが、工場生産を確保する上におきましてやむを得ないではなかろうかというふうに考えておりまして、そういうような例もないではない状況になっておりますので、許可制度をどうしてもとらざるを得ない。ただ許可制度を運用するにあたりましては、御指摘がございましたような、これが恣意に流れこの許可権がむしろ乱用されると申しますか、そういうようなことによりましてどんどんたやすく許可されるというようなことは厳に慎しむべきでございまして、こういう許可権の行使にあたりましては十分ひとつ厳重に運用していく。そういうことでこれは許可権を持っておりますのは東京都知事でございますが、東京都知事を十分監督する。で、東京都知事が許可をしようとする、こういう場合におきましては、私どもに事前の承認を得ていただくというような措置を今とっておりまして、そういう許可をみだりにするということのないように指導監督しつつあるのでございますが、なおこの法律におきましても原則として新増設は認めない、こういう大方針を明示いたしまして、どうしても人口増大をもたらすことがないというような、やむを得ない一定の場合に限って、許可をしていくんだというような大方針を、この法律自体で明示をいたしておりまして、今後ともこの許可にあたりましては十分監督をいたしまして、厳正にこの許可権の行使がなされますように指導監督をしていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/19
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020・内村清次
○内村清次君 もちろんこの住居移転の原則というものは憲法で保障されておりますし、職業の自由も保障されておりますが、しかしまあこうやった過密の特にひどい地区になりますると、そのために国民の権利というのが、これは自由のもとにまた制限されていくというような生活上の問題もございますから、こうやった法律の制定ということもある程度必要だと私たちは考えておりますけれども、やはりそれはどこまでもあなた方は都知事の許可権限の上に立って、監督指導する重要な責務があるんだから、もちろんその知事の許可権に対して十分審査をするというようなお考えでしょうが、やはりその人口の推移という、先ほど私が冒頭に言いましたようなことと思い合わせて、大体それではこの特別区及びまたは武蔵野市や三鷹等を含めて、その人口というものは何年ぐらいまでにどれくらいの人口になるんだというような、そういう見通しがあってこの法律の適用を考えておられるのかどうか。そういう点はどういうふうな関係にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/20
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021・水野岑
○政府委員(水野岑君) 東京の二十三区につきましては、適正収容人口というものを私どものほうで計算をいたしまして、これは昭和五十年を目標といたしておりますが、東京の二十三区は既成市街地でございますので、正確に申しますと、建蔽率一割の緑地域として指定されております地域を、この東京の二十三区から除きましたものが、東京の二十三区における首都圏の既成市街地になっておりますが、昭和五十年におきましては、この地域に八百六十万人を収容するのが適当である、という計画を作っているのでございます。で、武蔵野市、三鷹市の同じく既成市街地、これを合計いたしまして八百八十五万、八百八十五万が適正収容人口である、こういうことで計画を進めておりまして、したがってたとえば東京の二十三区で八百六十万人と今申し上げましたが、緑地域がこれに加わりますと緑地域人口が五十万程度と推定をいたしておりますので、東京都二十三区全体では九百十万人程度と考えております。そういうような適正規模で東京の二十三区をまかないたい。この適正収容人口を算定いたしましたのは、それぞれ都心地区でありますとか、副都心地区とか、周辺住居地区でありますとか、あるいは下町地区でありますとか、そういうような性格の似かよった地帯に東京の二十三区全体を分散いたしまして、それぞれ各地帯ごとに将来あるべき建築物の形態、そういうものを想定し、それから必要な道路面積、公園、緑地面積、これがどの程度必要かということを算定いたしまして、その適正収容人口を各地帯別に算定いたしまして、それを合計いたしますと、ただいま申しましたように八百六十万人というようなことになるわけであります。そういうような適正収容人口を私どもは念頭におきまして、人口、産業の集中防止対策を強力にやる、こういうような考え方で今いろいろな事業を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/21
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022・内村清次
○内村清次君 資料によりますと、昭和三十五年までの東京都の区部、それから武蔵野市、三鷹市、この人口増加の推移が書いてありますが、特に昭和十年を一〇〇とした三十五年の指数、それから二十二年を一〇〇とした三十五年の指数、これをずっと見てみますると区部は一四一、二十二年を一〇〇としたものは一九九ですかね。そうすると、この三鷹と武蔵野あたりは、やはり十年から二十二年までに相当の膨張率になっておる。もちろん、十年という数字は非常に人口の少ない数字ですから、たとえ三十五年までの数字が大きくなってはおるにしましても、二十二年までの推移というものは人口的には大したことじゃないが、とにかく推移が四七七と八三〇から、一八九になり一九四になっておる。こうやった推移を見てみまして、幾らか鈍化の状態には二十二年から三十五年まではなってはおるものの相当な膨張率になっておるわけですね。だから、こうやった経緯を見てみますると、はたしてあなたの先ほど言われたような適正規模の人口推移になっていくかどうかという点に、これはどういう方法でなされるのかという方法にまた私たちは疑問点があるわけですよ。そういう点を具体的に御説明願いたいことと、それから緑地帯の制限の関係について、やはりまた人の心というものは、なるたけ都心の近くに住みたいということで、緑地帯制限あたりにだんだんやっぱり建蔽率を多くして住みたいという傾向があることは、これは今の情勢上非常にやむを得ない実態でありはせぬかと思うんですが、そうやった緑地帯の制限について、どういうふうに都の指導方針があるか、あるいはまた関係のあなたがたの指導方針があるか、こういう点につきましても御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/22
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023・水野岑
○政府委員(水野岑君) ただいまの御質問は非常に重要な点でございますが、私ども首都東京への人口や産業の過度集中というものを防止いたしまして、過大都市としての弊害と困難をできるだけなくするようにする。このためにとっております措置の一つが、本日議題になっております工業等制限法の改正の強化の問題でございますが、この工業等制限の法律を強化するというふうなことだけで、この首都への人口や産業の過度集中を防止するということは、これはとうていむずかしい。この工業等の制限法による措置は一つの措置であるが、このほかに各般の措置を講じまして、東京へ人口や産業が集中しないようにする、適正収容人口で東京都の既成市街地がおさまるようにする、こういうことをやらなくてはならぬのでございます。
工業等の制限法の措置のほかに私どもが考えておりますのは、すでにある工場とか大学、そういうような東京の二十三区内の既成市街地に必ずしもあることを必要としないものは、既存の施設でありましても、これを首都圏内の周辺地区のほうへできるだけ分散、移転をしていただく、こういうような行政指導をやっているのでございます。そしてそのかわり、東京から分散する工場なりそういうようなものを、首都圏の周辺地区におきまして受け入れするために、立地条件を整備いたしまして、環壊の良好な市街地開発区域を建設する、こういうようなことをやっているわけでございますが、東京の既成市街地にある既存工場の分散、こういうことは私ども、まあ商工会議所でありますとが、そういうような関係機関と連絡をとりまして、現在まで非常に呼びかけておるのでございますが、おかげをもちまして最近になりまして、もう既成市街地における工業立地条件もだんだん悪くなる、それから附近の所に拡張用地を求めようとしても事実上求められない、それから増設がいけないというような法律的な制限措置もある、そういうことで分散しようという熱意が非常に沸いてきておる現状でございます。これはお手元に別途資料もお配り申し上げておりますが、相当工場が、この際分散をしたり、あるいは東京の既成市街地へ拡張するのを取りやめて外へ出ていこう、こういうような非常な力が出て来つつあるのでございます。それから私どもの市街地開発区域の建設を実施いたしまして痛感いたして、これは非常に喜ばしい現象だと思っておるのでございますが、東京の既成市街地にあるほんとうの中小業者でございますが、これが東京の既成市街地におってもこれ以上十分能率をあげることができない、そこで勝手にばらばらに移転するということでは能率があがらない、そこで組合を作りましてその団結の力によって新しい所へ移転をしていこう、というような動きが非常に顕著になってきておるのでございます。たとえば、宇都宮におきまして私ども市街地開発区域を建設中でございますが、この宇都宮地区の私どもの計画工業団地内へ、東京既製服協同組合というような組合——これは既成服を作る全くの中小業者約四十業者の団体でございますが、それが宇都宮の市街地開発区域の計画工業団地の中に移転をしよう、というのがつい最近決定になったようなわけでございます。そういうように組合を作っても移転をしていこうと、こういうような動きが非常に多くなっておりまして、東京都のほうにそういう中小業者のほうで御相談に今行っておる組合が七、八十にも実は上っております。で、そういうようにすでにある工場も、この際分散をし、移転をしようというような動きにございますので、こういうような傾向を一そう助長いたしましてどんどん外へ出ていただく。そのかわりこの市街地開発区域におきまして立地条件を整備いたしまして、受け入れ態勢を整備してやる。そういうようなことを今後強力に進めていきたい。それからまた国みずからもやはり率先してそういう態勢を作るというようなことも、また一面非常に必要なことだと考えますので、東京の既成市街地にある官庁であって、その機能上必ずしも東京の既成市街地にあることを必要としない機関、たとえば試験研究機関、中央官庁の出先機関等を集団移転せしめまして、これを首都圏の市街地開発区域で収容していこう、そのために環境の良好な官庁都市を作ろう、こういうようなことも私どものほうで計画をいたしておりまして、そういうような方針それ自体は昨年実は閣議決定になっておりまして、目下その閣議決定に基づきましていろいろな調査を実施し、できるだけ早い機会に実現を見たいということで、私どものほうで今計画を練りつつあるというような状況でございます。
それから既存の大学の分散というようなことも、私どもとしてはぜひ考えるべきことである。新増設はもちろんこの法律で制限をいたしますが、すでにある大学自体もその教育環境は御案内のとおり日ましに悪くなる。そこでこれはできるだけ首都圏の周辺地域に移転をしていただく、こういうことが教育上から見ましても、それから私どもがねらっております首都への人口や産業の集中防止という観点からも、非常に役立っことであるということで、この大学の分散というようなことも私どもは今後計画を進め、実践に移していく、こういうことが必要じゃないかと考えておりますが、以上申し上げましたような措置を総合的にやはり着実に一歩々々これを進めていく、こういうことで私どもは東京の既成市街地を適正収容人口でまとめ上げていく、ということに努力していきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/23
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024・内村清次
○内村清次君 ただいまの御説明は私たちが同感の点が多々あります。ただ問題はやはりこうやった人口推移の問題と合わせて、都市が過密になって参りますると、いろいろな都市行政の上において困難な事態が起こってくる、あるいは交通行政などもそうであるし、諸般の問題に困難性が並行的に増大してくるのですからして、やはりこれは言葉の上の説明ばかりでなくて、やはりそうやった衛星都市も増大していくし、あるいはまた官庁街の移転計画、学校の分散というような集団的な人口分散の政策をやはり強力に、しかも迅速にやっていかないと、総合的な都市計画の実態というものも乱れてきはしないかと痛感いたしますから、これはやはりあなたのほうでせっかくそういう機構ができてきております以上、強力な考え方で遂行していっていただきたいと私は強く要望いたすわけです。
それから今回の改正案でも学校を特別扱いにされて、新増設の制限をやっておられるのですが、これはどういう御見地ですか。先ほどの御説明とはちょっと逆なような感じもするし、増設その他は許可制というような問題ですね、特別扱いにされておるのですが、これの推移をひとつ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/24
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025・小田文三
○説明員(小田文三君) 学校につきましては、この法律を施行いたしましてからの人口増大の趨勢はきわめて著しいものがございまして、過大都市化の弊害は深刻の度を加えてきておるのでございますけれども、しかしながら学校は先ほどもちょっと逐条説明のときに申し上げましたように、もともと国の監督に基づきまして、教育基本法とか、あるいは学校教育法とか、私立学校法等に基づきまして設置されております、いわゆる学校教育の公共性という点を考慮いたしましたことと、それから新しく学部を設置いたします場合に、一度に全部の施設を設けますのでは非常に多額の経費も要しますし、またその必要も必ずしもないので、一学年新設し、次に第二学年、第三学年というふうに、学年が進んで参りますにつれまして施設を設けて参る、という学年進行に対応した施設というものを設けられておる事情をも考えまして、大体三年間において一般の大学について特例を設ければ、その間の事情に合致することができる、こう考えた次第でございます。さらに理工科系のものにつきましては、これは科学技術の振興、科学技術者の大量養成ということが国の必要でございまして、これに対応いたしますためと同時に、理科系の教育というものは非常に施設に多額の経費を要しますので、できるだけ既存の施設を活用して参りますことが必要であるということ、さらにまた理科系の教育を徹底いたしますためには、関係の諸学部の協力関係というものがどうしても必要になってくる。そういった関係で他学部との関係も考える必要がある。さらにもう一つは教員の不足という実情でございまして、教員の十分の円滑なる活用をはかるという意味から申しましても、同じ場所に設置いたすことが必要ではなかろうか、こういうことで実は理科系の大学につきましては、当分科学技術の振興の必要の施設ができ上がりますまでの間を、その教室の所在する団地の範囲内においてだけ特例を認めた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/25
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026・内村清次
○内村清次君 資料によりますと、東京区部における大学及び各種学校の学校数と生徒数についてという表がありますね、十三ページですかね、三十五年をとってみますと、大学が七十、短大が六十二、各種学校が五百十四、計が六百四十六、増加数が九ですか。昭和三十六年には大学が七十一、短大が六十五、各種学校が五百四、計が六百四十でマイナスのこれは六でしょう。だからこれの具体的な——もちろん短大も一つ減っておるようだし、その他三角の6というものが一体どういうような、これは理由によるものか。ところがその学生数の推移においては、この増加数が三万八千百二十二名だとこうなっておりますると、結局こういった学生が増加しながら、学校数が減っておるという事態というものは、一体増設というようなことで教室のバランスをとっておるのかどうか、どういう傾向にあるものか。こういった点をひとつ具体的に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/26
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027・小田文三
○説明員(小田文三君) 御指摘のとおり学校数におきましては、三十六年度は六校の減になっております。これは各種学校において減になっておるのは御指摘のとおりでありますが、学校数の新設は比較的少ない、あるいは学校の種類によりまして減になっておりますけれども、既存の学校の現行法のもとにおきまする増設というものが相当数ございます。現行法におきましては、大部分その同一団地内では増設が自由にできるということになっておりますので、その増設に伴います学生の増加というものが当然あるわけでございます。必ずしも学校数の増加と学生数の増加と一致いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/27
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028・内村清次
○内村清次君 その点はわかりますが、まあこういった人口がある以上、また年々たっていけば学生が増加する、あるいはまた他県からの転入学生が増加していくという推移は、既存においてはこれはいたし方ない現状だろうと思いますが、しかし将来においては、先ほど事務局長から話のあったような形で、ひとつ分散的な態勢を整えていくんだと、しかし現状は学生に迷惑をかけないように、新増設その他の点については、まあ特別扱いをやっていくんだというような御方針だと、こう承ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/28
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029・水野岑
○政府委員(水野岑君) ただいま内村先生のお話のありましたのと同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/29
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030・田上松衞
○田上松衞君 内村さんの質疑に関連し、なおそのあと疑問があるので二、三お伺いしておきたいと思います。学校に関する問題です。さっきの内村さんの御質問の中で学校数は六つも減ったんだ、逆に生徒数は三万八千百二十二人——私の計算では三万八千百十人となるんだが、これはちょっと、どこか——十二人くらいどうでもいいとして、これはこういうふうに解すればいいのですか。新築でなくて増築したのだと、したがって数は減っておるけれども、既設の学校については実際は教室はふえてしまったんだと、こういうような工合に理解すればいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/30
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031・小田文三
○説明員(小田文三君) 増築のものでございますし、また、必ずしも施設の増加を伴わない増加も中にはあるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/31
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032・田上松衞
○田上松衞君 それで疑問が起こるのは、生徒一人当てこれこれなければならぬ、必要な面積がきまるはずだと思うのですが、そういう制限はどういう工合にされておったのですか、いいかげんであったわけですか。——もっとわかりやすく話をしますれば、大学の場合、三十五年度、三十六年度と比較してみて一つふえておるわけですよ。一つふえた関係では、二万三千百七十二人生徒がふえておる、これは考えられます、大学のことですから。短大の場合三つふえておるわけですね。三つふえておるのですが、これは前年度と比較して二千九百三十三人ふえておるわけであります。これもよくわかります。ところが各種学校の場合において十校減になっておるわけです。十校減になっておるにもかかわらず生徒の数では、なおかつ一万二千十七人ふえてしまっておるということでして、こういうことは、各種学校等の場合では学校の応募者がありさえすれば、幾らでも入れていくというようなやり方をしておるのですが、これは説明員に言ううはちょっと無理かもしれませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/32
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033・水野岑
○政府委員(水野岑君) 私どもも実態をあまり正確に実は把握いたしておりませんのでございますが、教室を団地内で増築をいたしまして生徒数をふやす、こういうことが大部分だろうと推測いたしますが、実は大学とか短大につきましては御承知のように文部省が十分監督いたしまして、いろいろな基準がございますので、それを大学当局におきましても、できるだけ順序をいたしましてやっていただいておる事例が多いと思うのであります。この各種学校に至りましては何しろ数が多い関係がございますし、いろいろな規模のものがございますので、中にはこの施設を増築しないで生徒数だけをふやしておる、こういうような事例のものもあり得るのではないかという意味で申し上げたのでございまして、この点につきましては私ども不正確でございますが、重ねて御質問がございますれば関係方面と打ち合わせいたしまして、あらためて御返事さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/33
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034・田上松衞
○田上松衞君 いろいろタイミングの関係がありますから、各種学校のことはこの際は抜きにいたしまして、大学、短大等についてお伺いしたいのですが、今年の三月八日付で日本私立大学連盟から、首都圏整備委員会の委員長の資格における中村建設大臣に対して、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の一部改正について、反対であるという申し入れをしておるわけでありますね。これは御承知ですね。御承知である限りにおいては、その内容は私がここで言うまでもないのですが、いっておるその気持は、この法律が意図するところの過度の人口増加の防止については私立大学としても協力を惜しむものではないんだ、なればこそ、この法律が私立大学の発展に少なからぬ打撃をもたらしたものであったにもかかわらず、自分たちは今まで施設の拡充を既存の届け出た団地内に限定するということを了承してきたんだと、そこでいずれにしてもその制限内においていろいろ年次計画を立てたり、財源を調達したりして大学の設置基準に必要な施設の充足を遂行してきたわけなのであるところが今度この法の改正をやられて、従来認められていた当該団地内における制限施設、その建築を大幅に制限しようとする措置は、現行法に従って正直にやっておった施設充足計画を全く踏みにじってしまって、ために教育上重大な支障をきたすのであるというのが大体その要旨なんですね。こういうことについてからしてどうか。この場合は法改正案の全体ではないけれども、大学に関する事項についてだけはあらためて別の何か、これを適用するのじゃなくて、現行法の制限の範囲で届け出てもらえないものかというのがこの主張のようですが、こういうことに対して私が質問申し上げるよりか、どういうようなことでこれらに回答され、あるいは折衝を続けられてきたかということをお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/34
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035・水野岑
○政府委員(水野岑君) 私立大学連盟でございますか、私立大学の関係者の方々からこの団地内での増設を制限するというようなことはやめてもらいたい、こういうような御要請がありますことは私どもよく承知いたしておりまして、ただ先ほども私申し上げましたように、首都の過大都市化防止という点からいたしますと、大学の分散というようなことは理想論としては確かに必要なことでございまして、そういう方向に向かってわれわれはやはり努力するのが適当であるというふうに考えているものでございますが、この私立大学側のお考えの点もわかる点もございますので、文部省と慎重に相談をいたしまして、そこで先ほど御説明いたしましたように、この経過規定におきまして、大学につきましては、特にこの団地内におきましては三年間は従来どおり増設はよろしいんだ、それから理工系の大学等につきましては、当分の間団地内の増設はよろしいんだという規定を設ける、ことに大学については設けるということにいたしまして、文部省と完全に了解がつきましたので、政府提案として提出するというような運びに至ったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/35
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036・田上松衞
○田上松衞君 御答弁さるる方はよくわかっておるわけなんです。経過措置の中で三項でもって——大学の理学もしくは工科系の学部、または高等専門内学校の用に供するやつについては当分の間というふうに逃げておるのですがね。そこでその他については、三年以内はこれを適用しなくてもいいのだというのですが、その前段の当分の間というのは一体どういうことなんです、当分の間というのは。あとのは三年というのですけれども、やってみても当分の間ということは五年くらいか、十年くらいかまた無期限なのかどうか。そのことがこれは一番心配の種になっておるわけなんですがね。およそめどはどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/36
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037・小田文三
○説明員(小田文三君) 当分の間の期間につきましては、一応先ほどもちょっと申し上げましたが、科学技術の振興のための必要なる諸施設が完備する期間ということになりますのですが、おおむね大体十年未満でございますか、四十五年ごろを目安といたしておりますのですが、期間についてはそういう必要なる施設が充実したときでございますので、ちょっと明確には申し上げかねるわけでございますが、おおむね十年未満の期間と御承知おき願えれば幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/37
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038・田上松衞
○田上松衞君 そこで十年先にどうなってくるのかわからぬのですよ、科学技術がどこまで充実されるかということ、あるいは日本の行き方がどうなるかということもですね。昔の言葉で言えば一昔ですわね、一昔先のことを今やって、そうして不必要なこういう不安あるいは反対運動等の種をまくことは、政治的に見て一体どんななものだろうかということなんです。この問題については、これを制限しなければならぬという大まかなことについては、私は国民もよく了承していると思うのです。だけれども世間というものはおかしなもので、やはり大学の連盟たちがこうだとやって反対運動を巻き起こしていく、こいつは影響が大きいのですね。まああまり言っちゃいろいろ差しさわりがあるかもしれませんけれども、ただ一部どこかに起こる労働争議等の問題ならいろいろな批判も、またいろいろこれを防止するようなことに使える場合もありまするけれども、大学連盟が先頭に立って、けしからぬ法律だ、こういうようなことをするのは大きな矛盾だというようなことでいって、いわゆる戦争をやめて文化国家へ持っていこうという大きな建前のもとに、大学についていろいろな制限を加えてやるということは、これは学問の自由を押さえるとか何とかいうような、いろいろな理論をくっつけて振り回されると国民の動揺というものは非常に大きいのじゃないかと、したがって、法が当面ねらっておる問題を阻害することが時期的にはどうも不利じゃないかと思う。しかしお答えになることは、一応こうやっておかないと、またずるずる引っ返ってくるということを予想されて心配されるということでしょうけれども、それは別の方法において、建築や教室等の制限の問題でできることであって、法の中でこいつをうたってしまって大きくこいつがゆるがされるということはどうか、こう考えるので、この問題だけ当分の間に属する、この分だけは一応削って除外してしまう、はずしてしまうというようなことはお考えにならないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/38
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039・水野岑
○政府委員(水野岑君) 理工系の大学につきましては当分の間ということで、科学技術者が御承知のように現在非常に不足しておりまして、まあこういう情勢がここ当分続くと思うのでございますが、理論的にはやがてはこの科学技術者もそう大して不足をしない、こういうような事態もくることも考えられるわけでございまして、そういうような時期が参りましたならば、ほかの学部と同様にひとつ団地内におきまして増設をすることは遠慮していただく、こういうことはわれわれとしてやっていただきたいのでございます。ただ、ただいまも御意見ございましたように、ここ当分の間は科学技術者も不足して、大いに技術者養成ということが心要なときが続くかと考えますが、そういうような間におきましては、この附則において規定しておりますように、私ども学校の団地内の増設はこれを認めていくということでやっていくのでございまして、ただ理論的には今申しましたように、技術者がそう不足しない、科学技術者がそう不足しないというような事態もくることも考えられますので、そういうような事態になりましたときを考えますと、これはほかの学部の場合と同様な状態になりますので、ほかの学部のほうは押さえられておる、ところが理工系の科学技術者もそう大した不足でなくなったという事態になったのに、これを本来認められるというようなことになっては、やはり理論的におかしいと私ども考えるのでございままして、したがいまして、この理工系の学部だけこれを制限をはずしていく、こういうことはやはり理論的に言って片手落ちであるというふうに考えるのでございます。ただ、ただいま御指摘のございましたように、要はこの当分の間の運営の問題だと、この運営の問題につきましては、ただいま申しましたような科学技術者が不足しておる事態が続くかどうか、そういうような点をよく勘案いたしまして、なお文部省ともよく相談をいたしまして善処をしていきたいというように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/39
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040・田上松衞
○田上松衞君 私さっき申し上げておいたこの私立大学の連盟から出されておるのは、ただ重点は「その他の教室について」のことに置いてあるわけなんですよね。よくおわかりだろうと思うのですけれども。これが三年以内ということは、あの人々が言っておられるような、今まで規制に従って正面にやったのにかかわらず、そうしていろいろそれに基づいて、必要な設置基準に合致する行き方でしたにかかわらず、三年でぶった切られちまうというようなことは、大きい一つの教育の上に支障があるだけでなくして、一つの何といいますか財源ですか、そういうようなこと等にも大きな影響を来たしちまうから困ると、こういうことだろうと思っておりますが、この制限する半面に、そういう大きくくるだろうところのその影響について、何か考慮してあげるということの含みがあるのですかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/40
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041・水野岑
○政府委員(水野岑君) 実は理工科系の学部の問題は別にいたしまして、その他のいわゆる法文系が主になると思いますが、法文系の大学等の場合におきましては、元来そういう法文系というようなものにつきましては、必ずしも東京の既成市街地にすでにある大学の周辺に置くことを理工系よりも必要としないのだ、と私どもは考えておりまして、これは理工系のほうは確かにいろいろな実験設備やいろいろな設備もございますし、それからほかのすでにある学科との連係というような点もございますので、いろいろ事情があると思いますけれども、法文系というようなことになりますとこれは首都東京が御承知のようにもうほんとうに過大都市化して教育環境も非常に悪くなっている、こういうような状態でございますので、理想としてはできるだけこれはまあ分散していただく。遠くへ行っていただく。現に私立大学におかれましても、そういうようなことにだんだんなるであろうということを予知されましして、いろいろ首都圏の周辺地域に大学の拡張予定地を求めておられるというような事例も非常に多い、ということを私ども耳にしておるのでございます。
それからもう一つは、先ほども御説明申しましたように、工場につきましてまあ思い切った制限措置をやりたいのでございますが、大学だけもう従来どおり制限しないのだ、工場だけするのだということでは、また工場側に与える影響も実はあるのでございます。
そこで、ただその大学の特殊性、公共性というような点もございますので、まあ三年間というような期間を特に大学につきましては設けまして、この間におきまして大学におかれましては善処をしていただく、こういうようなことにいたしたのでございます。で、こういうような措置にいたしましても、確かにこれは大学に対しましては制限措置の強化でございます。で、こういう点につきましては今後文部省その他と私どものほうと相談をよくいたしまして、受け入れ態勢の整備をいたして学園都市の建設、そういうようなことでまあできるだけこの立地条件を良好にする、教育環境をよくするように都市を育成発展する、こういうようなことを今後文部省方面ともよく相談いたしまして考えていきたい。
で、そういうようなことを実施して参りますと、いろいろ制限を受けるその結果分散をする、こういう大学にとりましても大きな恩典と申しますか、大学にとりまして一つの利益になるのじゃないか、まあこういうような点を今後私どもとしては研究いたしまして、できるだけ実施に移すように努力して参りたい、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/41
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042・田上松衞
○田上松衞君 まあきょうはいろいろ時間との関係がありますから、この程度にとどめておきますが、この際一つの要望だけ申し上げておきます。
私は工場の分散と違って大学の分散については、分散と申しますか、今こういう既設のものを移していくという、結局は移さなければならぬという羽目になると思う、この制限できたらですね、そうなりますと、さっき事務局長のお話のとおりに、すでにまあそれを考えて敷地を物色するという、入手するという向きもあることもよくわかっております。ところが、これからしなきゃならぬ、もう言うまでもなく今一番われわれがおそれておる問題は地価の暴騰ですわ。どんなにやってみてもこの地価の暴騰はもう防ぎ得ないという状態にあるわけです。その中でやっていかなきゃならぬのであって、このことがついまた大学の受験料あるいは入学料……おそろしいものですよ、私はまさかと思っておったんですが、ことしの実態見てみますと非常なものに上がってしまっておる。そういうことで、まあ金持ちでもない普通の庶民階級のところの家庭に大きな負担が転嫁されてきておる。もうこれがひしひしと迫りつつあるのが実態なんです。だからそういうことで日本が、さっき申し上げました、ひとつのすぐれた国民を作っていこうとする、文化国家を作っていこうとすることに国民が大きな喜びを感じ、やっておるにもかかわらず、結局そうした父兄の負担に耐えられないという実態が起こってきて、非常ないろんな問題をたくさんこのことに関連しては巻き起こしておるというこの姿を見のがしてはならない。したがってこういうことを逆に言いますると、国が何のめんどうも見ないで、お前たち勝手に三年以内にどいてもらわなければならぬのだ、しろというただそれだけのことではなくて、この場合は工場とは違うと思うのですけれども、十分何かいろいろ文部省とも今のお話のように打ち合わせをされて、これが円滑に、あまり支障なくしかも大きなしわ寄せが学徒の家庭にこないような方法を十分ひとつ御研究願いたい、このことだけをお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/42
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043・小平芳平
○小平芳平君 先ほどの一番初めの御説明の中で、三十四年四月にこの法が施行せられて以来、新たに許可したものが二件あった。相当この制限に関する法律によって制限効果をあげているという御説明があったようにお聞きしているわけです。と同時にまたこちらのほうの工業従業員数の推移で見ると、三十五年度においても十万人から増加している。これは工場を制限しておるにもかかわらず十万人というたくさんの人が増加している。しかも工業労働者が増加をしておるというその原因はどの辺にあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/43
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044・水野岑
○政府委員(水野岑君) これは主たる理由といたしましては二つあると思うのでございます。一つは制限規模の問題でございまして、現行法によりますと大体従業員百人以上を対象といたしまして、これを床面積に換算いたしまして制限対象施設といたしておるわけでございますが、したがって百人以下のもの——五十人から百人までの従業員を雇用する工場の新増設は現行法では押さえられない。これがやはりある程度の従業員の増加の数になっておるのでございます。
それからもう一つは制限規模以上——従業員百人以上ですと制限規模になるわけでございますが、それ以上の工場におききましては、三十四年の四月一日に既存工場である旨を六カ月以内に届け出たものにつきましては、自分のすでにある工場の団地内におきましては一切無制限に増築ができるのでございます、現行法によりますと。したがって自分の団地内におきましてどんどん増築をしていく、そして工場従業者をふやしていく、こういうことが可能でございます。この事例が非常に多いのでございます。
こういうようなことで非常に従来から工業等制限法の現行法は非常に不徹底だという指摘を受けておりまして、今回そういうような実情にかんがみまして、制限規模を、この提案にございますように六十人程度に引き下げていきたい。それから団地内の増設は一切制限する、無制限にはできない、こういう措置をとるようにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/44
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045・小平芳平
○小平芳平君 ですから今回の改正によって十万人の増加は相当抑さえ得る、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/45
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046・水野岑
○政府委員(水野岑君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/46
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047・小平芳平
○小平芳平君 それから工場の移転の状況ですが、これは先ほどの御説明では行政指導をしているというようなお話だったのでありますが、具体的にどのような指導をし、あるいは融資その他のめんどうを見ておいでになるか、ならないか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/47
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048・水野岑
○政府委員(水野岑君) これはまず私どもが建設をいたしております市街地開発区域の実情を、広く工場の経営者の方に周知徹底する、こういうことをやっているのでございまして、これにつきましては、東京商工会議所あるいは経済団体連合会とかいろいろな各機関、それから東京都の経済局、こういうようなところと連絡をとりまして、私どもの市街地開発区域すなわち工業衛星都市におきましては、こういう工場団地を造成する。そうしてこれにつきまして立地条件はこういうふうによくなる。値段はこの程度安いものである。そうして農地転用の手続なんかは工場経営者の方が一々とる必要はない。もう住宅公団なり県市なりの事業施行者がすでに農地転用許可をとってしまう。こういうような実情をよくまず広く東京都内の工場の方に周知徹底する。それから中小企業の方々に対しましては、東京都の経済局とも連絡をとりましていろいろ金融を円滑にする、こういう措置をとっていただいております。たとえば商工組合中央金庫と連絡をとりまして金融の円滑化をはかる、こういうようなことをやっておりまして、そうして先ほど申しましたように、工業等制限法の制限措置がございますし、それから一方市街地開発区域の立地条件がだんだんよくなる。そうしてこの工場団地も非常に良好なものが確保されている。こういうような状態でございますので、工場の方にもそういうことがよくわかっていただきますと、この際工場全部を移転しよう、あるいは拡張部分は工業衛星都市にこれを求めていこう、こういうような気運になりつつある。こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/48
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049・小平芳平
○小平芳平君 やはり市街地開発区域でありますから、立地条件がよくなりつつあるとはいいながら、まだまだたとえば道路、上水道、下水道その他整備をしなければならない点がいろいろ出てきているのではないかと思うのです。そういう面を相当強力に進めていないと、工場は移した、さあ動きがとれないというようなことにならないように、力を入れていかなければならないと思うわけです。その工場の移転のほうはある程度の成果も上がっているし、今回の改正で工場の数もふやさないし、従業員もふやさない、相当きびしくその点が制限されるわけですが、官庁のほうはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/49
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050・水野岑
○政府委員(水野岑君) 官庁機関の移転の問題でございますが、官庁の集団移転の問題につきましては、その機能上東京の既成市街地にあることを必要としない、たとえば試験所、研究所、中央機関の出先機関等につきまして、これを集団移転させるのだという方針を閣議できめていただいたのでございまして、この方針決定に伴いまして関係の省庁に連絡をとりましたところ、昨年の年末におきまして約四十機関が移転をしようと、その官庁職員が一万一千人余になっております、それだけ移転をしてもよろしいという希望が出て参ったのでございます。なお私どもといたしましては関係各省庁と折衝をいたしまして、できるだけ多くの機関に集団移転をしていただきたいという考えを持っておりまして、私どもの計算によりますと、その機能上東京の既成市街地にあることを必要としない官庁の職員は、三万五千人程度いるんではないかというふうな推定をいたしておりまして、現在鋭意関係省庁と折衝を重ねております。できるだけ移転をしてもらいたいという折衝をしておりますが、それと同時に今度は移転先につきましては十分環境のいい官庁都市を建設していきたいと、そして中央官庁との連絡やなんかも円滑にできるようにしていきたいということで、この官庁都市についてはどういう建設方式で進むのが適当であるか、どういう地域を選定するのが適当であるか等につきまして、今年度調査費が予算計上されておりますので、この調査費によりまして目下調査を実施中であります。で、私どもの希望といたしましては、この調査をできるだけ早く終わらしていただきまして、できるだけ早い機会に官庁の集団移転、これに伴って官庁都市の建設をするという実施に移っていきたいというふうな考え方でおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/50
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051・小平芳平
○小平芳平君 工場のほうはこの表にも出ているように、相当すでにもう移転を完了しているものもあるのです。しかもまた新しく法律を改正して、さらに首都圏内のそれを抑制していこうというわけです。それに比べて官庁のほうは四十機関一万一千人余の希望が出ている、——これから調査を始めようという程度で、非常に熱意がなさ過ぎやしないかというような感じを受けるのですがどうでしょう。これは単なる首都圏整備委員会事務局のほうだけの問題でなくて、政治家も国民も官庁も一体となって考え、検討しなければならない問題だとは思いますが、さしあたり事務局としてはどのようにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/51
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052・水野岑
○政府委員(水野岑君) 御指摘がございましたように、ただいま関係各省庁からの移転してもよろしいということを希望しておられる官庁、並びにその職員数は一万一千名余というような計画でございますが、これは実はその線は官庁といたしましてはなかなか移転希望をしない、そういうやはり傾向が強い。それを自発的に希望するのはどのくらいだということで照会してやりまして一万一千人余というのが集まった状態でございまして、今後先ほど申しましたように私どもといたしましては調査を十分いたしまして、それに伴ってぜひこういう国策に協力してもらいたいということで関係各省に強く要請をする、そういうふうにいたしますれば相当な数がやはりまとまってくるのではないか。先ほど申しました一万一千人余というのは全く自発的に出ました数字がそれでございますので、今後私どもといたしましては関係各省庁と緊密な連携をとりまして、できるだけ多くの官庁職員に集団移転に協力していただく、官庁機関が集団移転をしていただくということに最善の努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/52
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053・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたしまして次回に続行することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014149X02119620410/53
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