1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十七年三月二十日(火曜日)
午前十時五十分開会
—————————————
委員の異動
三月十六日委員堀本宜実君辞任につ
き、その補欠として山本杉君を議長に
おいて指名した。
三月十七日委員永岡光治君辞任につ
き、その補欠として光村甚助君を議長
において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 高野 一夫君
理事
鹿島 俊雄君
村山 道雄君
阿具根 登君
委員
紅露 みつ君
佐藤 芳男君
竹中 恒夫君
山本 杉君
村尾 重雄君
石田 次男君
政府委員
厚生政務次官 森田重次郎君
厚生省医務局長 川上 六馬君
厚生省保険局長 高田 浩運君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
大蔵省主計局主
計官 岩尾 一君
大蔵省銀行局特
別金融課長 橋口 收君
厚生省医務局次
長 鈴村 信吾君
厚生省保険局次
長 熊崎 正夫君
厚生省保険局船
員保険課長 中村 一成君
—————————————
本日の会議に付した案件
○船員保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○医療金融公庫法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/0
-
001・高野一夫
○委員長(高野一夫君) それではただいまから本日の社会労働委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について報告いたします。
三月十七日付をもって永岡光治君が辞任され、光村甚助君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/1
-
002・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 船員保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府委員から、本件に関する細部についての説明を聴取いたします。熊崎保険局次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/2
-
003・熊崎正夫
○説明員(熊崎正夫君) 船員保険法の一部を改正する法律案につきましての補足説明を申し上げます。
提案理由の説明にもありましたように、今回の改正事項は二つございまして、一つは、被保険者の標準報酬を改めること、一つは、遺族に対する保険給付の合理化をはかる、この二点でございます。
標準報酬の改正につきましては、現在最低五千円から最高三万六千円の十八等級になってございますが、その後非常にこの等級で、等級以上の標準報酬を持っておる方々もふえて参りまして、経済情勢の好転等によりまして、十八等級だけでは実情に沿ないという点が出て参りましたので、これを一千一等級に区分いたしまして、最高を五万二千円に引き上げる、最低は五千円を七千円にしまして、この最高標準報酬を五万二千円にする、こういうことになっておるわけでございます。この最高標準報酬を五万二千円に引き上げるということにつきましては、なお、もう少し上まで引き上げるべきじゃないかというふうな御意見も社会保険審議会では論議をされたのでございますが、まず現状におきましては、五万二千円程度まで引き上げるのが適当ではなかろうかというふうな御答申をいただきまして、このような方法をとったわけでございます。しかし、あくまでも五万二千円に引き上げるということにつきましては、暫定的な考え方に立ちまして、今後とも最高標準報酬の引き上げにつきましては、厚生省としましては積極的に再検討するというふうなことに相なっております。
第二点の遺族給付の合理化についてでございますが、これは現在の遺族年金給付要件といいますものが、実は制度的に寡婦年金、鰥夫年金、遺児年金の制度を採用いたしておりまして、制度といたしましては、非常に古い制度を採用しておるような格好になっております。これは昭和二十九年の船員保険法の一部改正の際の附則におきまして、厚生年金保険と同様な改正をするように附則にうたわれておるのでございまして、実情に沿わないという点を考慮いたしまして、これを厚生年金の給付と同じような中身に改正する、こういうことでございます。その他今回の改正法律案に盛られました中身以外に、社会保険審議会におきましては、種々論議をいただいたのでございますが、その辺は今後の検討に待つということで答申をいただいておりまして、さしあたっては、今回の船員保険法の改正案は以上の二点にしぼって提案をいたすような形になったわけでございます。以上簡単でございますが、補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/3
-
004・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 質疑に移ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/4
-
005・村尾重雄
○村尾重雄君 ただいま御説明にありましたように、船員保険法の一部を改正する法律案の内容は、一つは、被保険者の標準報酬を改めること、一つは、遺族に対する保険給付の合理化をはかるということでありますが、私は、被保険者の標準報酬にのみ関して、この法律案と非常に深い関係のある運輸省の方に二、三伺いたいと思いますが、運輸省の方出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/5
-
006・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/6
-
007・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/7
-
008・村尾重雄
○村尾重雄君 少し結論に入るようですが、厚生省にお尋ねしたいと思うのは、ただいまもお話の中にありましたように、また、提案の説明の中にあったように、このたびようやく厚生省は踏み切って船員保険法の改正を取り上げられた。取り上げられて一月に、社会保険審議会並びに社会保障制度審議会が答申をされ、その答申の結果に対して、私は、厚生省の答申を受けての決意について、次官も来られておりますし、ひとつ関係者から一、二点伺いたいと、こう思うのです。
御承知のように、答申の内容は「今回の標準報酬の改訂は飽くまで暫定的のものであり、この改訂に当っては災害補償部門について特に議論が多かったしその他の部門についても種々検討を要する事項があるので、昭和三十八年度から実施することを目途として船員保険制度の合理化につき早急検討すること。」とあるのであります。また、これを受けた二月一日の社会保障制度審議会の答申も、同じように「格間のあった標記」、すなわち船員保険法の一部を改正する法律ですが、「については了承する。」が、「なお、船員保険においては種々検討を要する事項があるので、標記に関する昭和三十七年一月三十一日付社会保険審議会の答申の趣旨等を参照して、早急にその合理化につき検討するよう要望する。」とあるのであります。いろいろ私、衆議院における社労の速記録を拝見させていただきまして、この趣旨を大体十分に厚生当局としては尊重する御意向のように速記録から、衆議院の社労委員会のお答えでは受けるのですが、それを私もう一度再確認したいと、こう思うのです。と申しますのは、今回の標準報酬の改訂は、あくまで暫定的なものであるとこの答申案で申し述べております。また、三十八年度から実施を目途として、合理化について早急に検討するとなっているのですが、厚生省において、標準報酬の今回の改訂が、この答申案にありますように、あくまで暫定的なものとしてすなわち国会に提案されたものかどうか。なお、高度に、たとえば最高標準報酬の額を引き上げること等を十分含んでこれが提案されたかどうかということをお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/8
-
009・熊崎正夫
○説明員(熊崎正夫君) 今、先生の御質問の中にもありましたように、社会保険審議会の答申の中身につきましては審議の際におきまして、労使双方が非常な意見がございましたのを、最大公約数とし、まとめた中身になっておりまして、御承知のように、標準報酬の今回の改正案の五万二千円といったものがまだ低い、もう少し引き上げるべきじゃないかというふうに強く主張されましたのは、船員側のほうの主張でございました。したがいまして、私どもとしましては、そういう御要望もございましたし、片一方、やはり現在の海運界の不況等を考えまして、船主側のほうにおきましては、五万二千円の改正については、必ずしも全面的に賛成でもないというふうな点も考えまして、ちょうど五万二千円で今回の改正案を出すのが最も適当であるというふうに判断をいたしましたけれども、片一方におきまして船員側のほうの強い要望もございましたので、その辺を勘案いたしまして、最高標準額を引き上げるのは将来の検討に待つというふうな表現になった経過でございます。したがいまして、私どもとしましては、社会保険審議会の答申がありましたあと、直ちに現在の船員の報酬の実態を十分調査する必要があるという点を考えまして、社会保険審議会の御意見をも参酌いたしまして、現在実態調査を大々的にやっておる次第でございます。相当集計も順調に参りまして、この実態調査がまとまりましたところで、社会保険審議議会の中の船保部会におきまして、その実態調査の内容を検討していただいて、答申の中にありまするように、来年の法律改正の準備に直ちに着手し、検討するというふうな運びを現在予定しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/9
-
010・村尾重雄
○村尾重雄君 少しだめを押すようですが、今のお答えから推して、改正案の最高五万二千円というのは不十分だということをお認めになっていると、こう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/10
-
011・熊崎正夫
○説明員(熊崎正夫君) 完全に不十分というふうなことには私ども考えておりませんけれども、現在のところ、五万二千円で改正案を出すのは、いろいろな事情を考えて、適当ではなかろうかというふうに判断いたしたのでございまするけれども、しかし、これを今後引き上げていくということにつきましては、そういう考え方で今後船保部会において検討するということになっておりますので、答申の中身にありまするように、まあ今回の法律案としては、この程度がまずまずのところだというふうに判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/11
-
012・村尾重雄
○村尾重雄君 たしかこの前の標準報酬の改正が行なわれたのは昭和二十七年四月でしたかと思います。その間、今日厚生省が標準報酬の提案された改正に踏み切られるまで、約十年間という年月が費やされているわけでございます。この十年間というものは、海上労働者の賃金の上昇というものも、また日本の経済に比例いたしまして、著しく賃金が上昇したものと、こう思うのですが、この十年間、しかもその間、これは私記憶だけですが、健康保険法の標準報酬の最高の引き上げが行なわれたとここにたしか参考書類の中に出ておるのですが、十年間、海上労働者の唯一の頼みとする船員健康保険の標準報酬が取り上げられなかったということについては、相当これは船員保険の担当者としても、私は責任のあることだと、こう思うのですが、その間の事情を、もしお答え願えるならお答え願いたいと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/12
-
013・熊崎正夫
○説明員(熊崎正夫君) 確かに先生がおっしゃるように、昭和二十七年以来、標準報酬の引き上げにつきましては、検討いたしておりましたけれども、結論を出すまでには至らなかったのは先生のお説のとおりでございます。特に昭和三十二年の改正のときには、最高額の引き上げにつきまして、強く要望があったのでございますが、この際も結論に至らないままに今回まで延びたわけであります。その理由につきましては、昭和三十二年に強く要望されましたときに、最高等級三万六千円に格づけされておる者は、全船員の大体五%程度ということになっておりまして、必ずしも圧倒的に三万六千円の者が現在のように多いというふうな状況ではなかったことと、それから加えまして、その当時の海運界というものが非常な不況にありまして、標準報酬の最高額を引き上げるということにつきましては、保険料の負担増に非常に無理があるというふうに判断をいたしておったのが当時の状況でございます。それで、その後引き続き厚生省としましては、部内で標準報酬の引き上げにつきまして、種々検討いたしておったのでございますが、船員保険につきましては、先生御承知のように、いわゆる総合保険制度というものをとっておりまして、職務上外を問わず保険給付をやっておるものでございまして、標準報酬の最高額の引き上げをやりますと、これは直ちに厚生年金における年金給付等のほうにも影響が出て参りまして、いわゆる他の保険との給付のバランスの点も考慮しなければならないという点を考えまして、今日まで遷延をいたしてきたというのが実情でございます。しかし、その後社会情勢の変転もございましたので、今回のような措置をとることに踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/13
-
014・村尾重雄
○村尾重雄君 まあ提案の理由の中にもはっきり言われておるように、現在最低五千円、最高三万六千円の十八等級に区分されておるが、今日社会経済情勢の推移によりまして、現在の区分では著しく実情に沿わないものとなっておりますので、これが改正を行なった、こういうことなんですが、私は、十年間はっきり放置されたといっていいと思うのですが、十年前に改正を取り上げられたときの経済事情、今おっしゃったようなことは、ある程度それは容認できるのですが、しかし、十年間といっても、この十年間の経済の変遷というものは著しいものがあるのです。そこで、この船員保険というその実態から見ても、やはり船員の実質所得と対応する保険給付でなければならないと、こう考えるので、今おっしゃったことは、十年前という、前の改正のときの情勢としてはうなずけるんですが、ごく最近の経済情勢じゃなしに、この経済情勢というものは、特に三十三年ごろから著しく物価騰貴、賃金上昇というものが行なわれているのでありますので、私はその点は納得いかないんですが、おしてこの五年間ほど放置された理由というものをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/14
-
015・熊崎正夫
○説明員(熊崎正夫君) 私が先ほど御説明申し上げましたのは、昭和三十二年の際に強く要望がございましたときの経過を御説明申し上げたわけでありまして、ちょうどそのころ健康保険のほうにおきましては、最高標準報酬を五万二千円まで引き上げる措置をとったわけであります。したがいまして、船員保険のほうは、健康保険に比べますと、標準報酬がその後五年間より低く押えられておるというふうな形になっておるわけでございますが、ただ、先ほども申し上げましたように、厚生年金保険のほうにおきましては、最高標準報酬は、船員保険の現在の三万六千円と同じものになるわけでございます。いわゆる船員保険につきましては、そういう厚生年金保険等とのバランスの問題もやはり若干頭に入れて考慮せざるを得ない。それで、やはり厚生省としましては、船主並びに船員側の両方の意見を十分参酌いたしまして、改正に踏み切るというふうな結論が出ない限り、直ちに標準報酬を改正するというふうな措置はとれないのでございまして、やっと今回両者の歩み寄りができたということで踏み切ったわけでございまして、その間、両者の、あるいは公益を入れました船保部会におきましての検討を毎年続けてきまして、ようやく改正案として踏み切った、こういうふうな経過になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/15
-
016・村尾重雄
○村尾重雄君 どうもその意見には納得できないんです。これは私からも、おして申し上げるまでもなく、災害補償というものの性格からいきまして、その賃金実態に即応したものでなければならぬということは御承知のことだと、こう思うのであります。今までおっしゃった理由によりますと、船主側の十分な賛成を得られないから、また、厚生年金等の給付の関係もあるから、今まで引き上げることができなかったと、こうおっしゃるのですが、厚生省のあなたとしての御意見としては、一応これは受け取るとしても、この給付を受ける船員保険の対象者としての船員の立場を考える場合において、これは納得いかないのです。
そこで私は、船員保険法、特に災害補償に関して、標準報酬と重要な関係のある現在の船員賃金の実態をどういう方法で把握されているか、これは非常に重要なことでありますので、もし把握されておるならば、ひとつ関係者の御答弁を願いたい、船員の賃金の実態。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/16
-
017・中村一成
○説明員(中村一成君) 船員の給与の実態につきましては、私どもの持っておりますところの資料といたしましては、船員保険の対象船員につきまして、被保険者につきまして、標準報酬制度のもとにおきましての実態というものを持っておるわけでございます。先生御承知のとおり、標準報酬制度と申しますものは、船員の収入そのものではございませんので、収入の中から保険として標準報酬の中に入るべきもの、入るべからざるものを区分いたしまして、そうして、標準報酬の対象になりますところの金額を、標準報酬制度の中に当てはめて計算をいたしますので、私どものほうで持っておりますところの平均標準報酬月額というものと、船員のほうの実際上の総収入というものは、必ずしも一致しないのでありまして、平均標準報酬月額としてとらえました数字のほうが少ないわけでございますが、申し上げますと、昭和三十六年度におきましての年間の平均を月にいたしまして、汽船、漁船、機帆船、すべての船員につきまして二万百七十二円、それから昭和三十七年度といたしましては二万一千五百九十五円というふうなものを平均標準報酬として把握している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/17
-
018・村尾重雄
○村尾重雄君 「船員保険法の一部を改正する法律案に関する参考資料(2)」としていただいた中に「制度別標準報酬等級及び額」というのが出ておりますが、私今質問いたした前言を繰り返すようでありますが、健康保険法において三十二年四月一日、先ほど説明の中にあったように、これが二十一級に、最高額を五万二千円に引き上げられているのであります。私は、船主側の反対があって、船員側及び公益委員等の間に話がまとまらなかったと、こういう理由をおっしゃっているのですが、健康保険を五万二千円に最高額を引き上げて、たとえば厚生年金とバランスをとるために、今回は三万六千円に、最高額をまあ不十分な点があったとは思ったが、それに並べるのだという御答弁がありましたが、すでに五年前にこういう措置がとられたということは、非常に繰り返すようですが、これは得心がいかないのですが、もし御答弁願えるなら、ひとつお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/18
-
019・熊崎正夫
○説明員(熊崎正夫君) やはり先生のおっしゃるとおりに、三十二年に健康保険法の改正をやりましたときに、標準報酬を五万二千円といたしました点は先ほど私が御説明したとおりでございますが、この表をごらんになるとわかると思いますが、すぐ下の厚生年金保険法のほうは、三十五年にやっと三万六千円というふうな標準報酬の引き上げが行なわれたわけでございまして、何も私どもは標準報酬を引き上げることをちゅうちょするということを考えているわけではございませんので、やはり船員側の要望によりまして、なるべく高く引き上げるべきだとは思いますけれども、しかし、船員保険というものは、いわゆる総合保険ということで、短期、長期合わせて、労災まで含めた総合保険制度をとっておりまして、その辺、他の厚生年金のほうの標準報酬とのバランスも、どうしても究極には考えざるを得ないといろ点がございまして、論議をいたしつつ現在まで経過したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/19
-
020・村尾重雄
○村尾重雄君 ただいまの説明の中でおっしゃっておられるのですが、この船員保険が、他の厚生年金であるとか、失業保険だとか、健康保険だとか、各種保険を総合したものであり、なお、労災保険をも含めたものであるという点では、私も非常に当時として進歩的な保険、特に労働保険だと、こうとっておるのであります。ただし、総合しただけでは多少の無理があることを認めますし、そこに長所、短所もあることは事実なんですが、しかし、特に健康保険はまずおいて、厚生年金の性格とこの船員保険の性格というものは、十分御承知のあなたとして、たとえば厚生年金で最高この程度に置いたのだから、これと並べるのだというようなことは、われわれとしてどうしても得心得ません。それは最高額を今まで引き上げることを放置した理由、なお、また将来これを引き上げることを押える理由には私はならないと、こう思うのです。そこで、私がお聞きしたいのは、何も標準報酬を引き上げよ引き上げよということを主張したり、引き上げるのが当然じゃないかとばかり言っているのじゃないのです。今日の船員の実態と見合ったものでなければ、船員保険としての私は実績がないのじゃないか、こういう立場から主張しているのです。そこで、一番最初に申し上げましたように、現在改正案を出された最高額というものは、決して十分なものとは考えておらない、三十八年度という、この明記した日を期してこれが改正の準備をしているんだということがあったのですが、これは次官、それに御努力願うということか、それは改正されるもんだと、こう期待してよろしいんでしょうか、ちょっとお伺いしたいのです。突然次官に申し上げて悪いようですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/20
-
021・森田重次郎
○政府委員(森田重次郎君) 先ほどの政府委員から説明のありましたように、今回の標準報酬の改訂は、あくまで暫定的であるというのがこの制定の核心のように考えられるのであります。したがいまして、これらの問題は目下検討中でありまして、できるだけきょうの御意見等をしんしゃくいたしまして、それぞれ案を決定いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/21
-
022・村尾重雄
○村尾重雄君 私は、少し衆議院の質疑の模様を聞き過ぎましたので、これ以上厚生省に同じことを繰り返してお尋ねいたそうとは思っておりませんが、ただその裏づけとなるべき、これと表裏一体の関係のある船員法にあずかっている運輸省に、いろいろと御注文申し上げたい点が多々あるので、これ以上私は厚生省の方に質問したり、また、厚生省の方に考え方を伺おうとは思いません。しかし、今お話を伺っておっても、不十分のままともかく日をおくらすよりも、今日これを五万二千円という最高額で出すことが一番いい道だと、こう考えてこの改正案を出したという説明をたびたび伺っているのですが、しかし、そういった船員保険法——私、海上労働者の数、実態を、この前の当委員会で坂本委員と船員局なり、また、厚生省なり労働基準局とのいろいろ質疑の中で、今日船員労働者の置かれている境遇、また、賃金、そういうものを伺って、これはぜひともこれらの労働災害の件数等もかなりな件数が出ているんですからして、これらの労働災害に対して、他の保険とか年金と見合うように、上にこれを並べたということでなくして、やはり船員の賃金実態に即応した船員保険としての保険の、やはり実際の船員に当てはまるような効果を十分発揮されるべきだと、こう思うのです。そういう点から一日も早く賃金実態と見合った標準報酬というものをば十分作られまして、これが国会へ再提出し、改正をすみやかに行なわれんことを私は厚生当局にお願い申して、私の短い質問ですが、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/22
-
023・高野一夫
○委員長(高野一夫君) どなたか質疑ありませんか——運輸省から船員局長が間もなく着くはずなんですが、まだ見えませんので、次回またいずれやりますから。
速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/23
-
024・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記つけて。
本案に関する本日の質疑はこの程度にいたしたいと思います。御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/24
-
025・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/25
-
026・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 医療金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/26
-
027・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/27
-
028・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 まず、政務次官にお伺いします。
第一点は、御承知のとおり、国民皆保険下におきましては、公的、私的を問わず、すべての医療機関が同一の診療報酬のもとに保険診療が行なわれておるわけであります。なお、現在いわゆる自由診療というものがほとんどなく、医師、歯科医師は皆保険下、保険医としての立場で協力する形です。こういった中で公私医療機関に対する融資については、当然その間に格差があってはならぬと思います。皆保険、社会保険診療下におきましては同一でなければならぬわけです。ところが、私的医療機関に対する融資の条件がまことに不利な条件になっておると言いたい。こういうことは公庫設立の趣旨に反するとともに、せっかくこの公庫の設立によりまして医療施設の改善を行ない、ひいては国民医療の充実をはかろうとする面にたいへんな支障を生ずることになると思うのです。この点政府のお考えをはっきりと原則的に承りたいと思います。特に三十七年度は政府出資が増額されて、総額五十五億円の資本金になるという前提に立った以上は、なおさらこの問題につきましては、深い考慮なり対策がなければならぬと思います。この点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/28
-
029・森田重次郎
○政府委員(森田重次郎君) お答え申し上げます。ただいまの御趣旨ごもっともなことだと考えます。公私それぞれの機関とも、公正に平等の取り扱いをすべきものだと考えておりますので、厚生省としては、その方針で一貫いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/29
-
030・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 そこで、なお重ねてお伺いしますが、公庫が大蔵省と厚生省との共管であるという形から、とかく公庫の運営等につきましては、主たる厚生当局の要望することが具現されない。この点、大蔵省のこの医療金融公庫に対する方針が、一般金融機関のような考え方でこれに対処せられておるのではないかと思うのですが、こういった関係につきましてはどのようになっておりますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/30
-
031・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) ただいま次官から御答弁がございましたように、公私医療機関の実態がそう変わっておりませんので、金融の面においても、あまり不つり合いのないようにしたいということで折衝をいたしておるわけであります。で、貸付限度の問題、それから利率の問題、その他建築単価、面積などの問題につきまして折衝をいたしておりまして、大部分両方の意見が歩み寄ってきておりますけれども、なお、利率などの問題につきましては、まだ意見の一致をみていない段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/31
-
032・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの医務局長の答弁で、せっかく大蔵関係当局に折衝しておるといいますが、どうも大蔵省、特に銀行局の考え方は、この公庫設立の趣旨について理解がないのではないかという感が従来からいたします。後ほどこれにつきましては、銀行局当事者の答弁を得たいと思いますが、相当これについては強硬にやっていただきませんと、なかなか改善が望めないのじゃないかと思う。このまま放置すれば、結局私的医療機関においては借り受けの意欲をますます失ってしまうと思います。
なお、これは原則的な問題ですが、低利資金を長期に貸すということが、何といっても公庫本来の設立の趣旨である。しかも、その利率は六分五厘であるということが設立の際の公約でもあります。ところが、これが行なわれておりません。資金量の不足も一応考えられますが、この点私は非常に遺憾に思います。こういった原則的な点について、一体厚生省はどう考えておられるか、政務次官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/32
-
033・森田重次郎
○政府委員(森田重次郎君) これらの問題については、過般、衆議院でも非常に強く問題になりまして、それぞれ大蔵当局とも折衝いたしまして、表などで詳細にお示しいたしました点を調整いたしたいというので、盛んに折衝を続け、今日まだ結論を見ておりませんが、できるだけ低利、長期のというふうな貸付条件を緩和するという方向へ調整いたしたいと、目下努力中にあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/33
-
034・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 なお、これに関連してお尋ねいたしまするが、卑近な例で、医療金融公庫と年金福祉事業団を比較いたしましたときに、御承知のごとく、年金福祉事業団は、金利は一率に六分五厘の利率で運用いたしております。そのほか償還期限であるとか、あるいは据置期間であるとか、貸付の限度額であるとか、建物の標準面積であるとか、あるいは標準建築費の場合等におきましても、年金福祉事業団のほうは比較的親切にきめられております。ところが、公庫においては、利率を初め、他の条件を見ても、その条件が非常に悪い。これはどういうわけでかように格差があるのか、こういう点について大蔵当局と話し合いをしたことがありますか。その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/34
-
035・森田重次郎
○政府委員(森田重次郎君) これはまあ今度事業団が発足するにあたりまして、これの根本態度を決定する意味で、ただいま御指摘ありましたような条件で方針を決定いたしたわけであります。ところが、公庫のほうは、御承知のとおり、いろいろ過去の伝統等がありまして、それで利率の点、あるいは貸付期限の点等で、ある程度の特殊性が出てきている。しかし、これは原則論として私らは事業団のほうの原則に一致させたい、こういうことで事務当局の折衝、それから私らも次官等を通して、次官同士の間でも、ある程度の折衝を続け、何といいますか、議論しておりますが、理論的には、大体厚生省の態度が納得されるような形なんですが、やはり特殊な事情があるのだという点で、まだ最後の結論に到達していないというのが、率直に申し上げて現状でございます。しかし、これはやはり厚生省といたしましては、何とか事業団同等の制度に一致するような方向でまとめたいというので、今苦心して努力中なのでございますが、その辺へぜひ結論を持っていきたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/35
-
036・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 今御答弁の中で、医療金融公庫と年金福祉事業団との間に特殊な格差があるというような御答弁なんですが、この際率直に、いかなる特殊な事情でその格差があるのか伺いたい。なぜ六分五厘にできないのか、こういう点がどうも私は納得がいかないのです。そういった点、お差しつかえなければ、もう少し突っ込んで御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/36
-
037・鈴村信吾
○説明員(鈴村信吾君) 私からちょっと御答弁いたします。
政務次官から、今特殊な事情というお話がございましたが、年金事業団のほうは、従来還元融資ということでやっておりました実績がございますので、大体その実績どおりということでまあ条件ができているわけでございます。それから、公庫のほうは、実は鹿島委員も今申されましたように、発足のときに、大体公的医療機関との均衡をとるということで、利子は六分五厘というようなことを一つの大きな目標に掲げておりましたので、われわれとしても、発足当初から、できるだけその線で発足いたしたいというふうに努力いたしたのでありますが、一面において資金不足等もありまして、全部を六分五厘にいたすというふうに参らなかったわけであります。ただ、その後に政府出資の追加等もございまして、特に来年度は二十五億という政府出資の額もございますので、できるだけこれを当初の目標である線まで近づけていきたいということで、せっかく努力をいたしているわけであります。先ほど政務次官が申されましたように、ただいま大蔵省と折衝中でありまして、できるだけ有利な条件にいたしたいというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/37
-
038・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 折衝中であるという点につきましては、一応認めざるを得ませんが、とにかく医療金融公庫の設立の趣旨が、御承知のとおり、昭和二十六年に医療報酬の単価引き上げが行なわれました際、保険者、被保険者と医療担当者の間に激しい紛争がありまして、ようやく低い一定額の医療費引き上げがきめられた。その際の条件の一つとして、医療機関整備のため低利資金融資することが約束されたわけであります。ただそれによって低診療報酬がカバーされたということにはならぬと思いますが、とにかく国民医療内容の向上になる施設の改善を行なう条件としてこれが公約されているのであります。したがって、かような理由からすると、現在医療担当者側とすれば、まことに不満な状態だと思う。しかも、昭和二十六年以来の公約です。約十一年間の宿題です。当初から今申述べたような条件下にあるのですから、熱意をもってすれば、当然少なくとも金利においても何とか六分五厘でやれると私は思う。そういう点厚生省自身の熱が足らぬとともに、大蔵省当局も公約を無視して、公庫に対するほんとうの趣旨というものを曲げてると言いたい。こういった事情を基本として交渉をされておるかどうか。この点は重要なことですが、こういった点明確に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/38
-
039・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) 御意見のとおり、六分五厘にしたいということで折衝しているわけでございますけれども、今、次長から申しましたように、従来のいきさつがございましたり、ことに発足当時は資金量が非常に少なかったというようなことで、六分五厘にすることができないで、御承知のとおり、八分や九分の利率が設けられておるわけです。大蔵当局としましては、今申しましたようないきさつと、それから資金量の関係から、一ぺんに一緒にすることはなかなか困難である。それから、やはり公的医療機関は、私的機関とやはりある程度違ってもいいのじゃないか、あるいは事業主、あるいは組合などの病院というものは、その職員なり被保険者の福祉のために還元するのである、そういう点から違ってもいいのじゃないかという意見も出ておりまして、そういう点において必ずしも意見が一致してないわけでありますが、当初の方針どおり、なるべく有利な条件で貸し付けたいということで、目下極力折衝いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/39
-
040・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 私は、局長の答弁のあげ足をとるという気持ではございませんが、ただいまの答弁の中で理解できないことは、公的医療機関と私的医療機関の間に格差があるということです。公私の報酬の考え方につきまして格差があってよいということでありますけれども、私は納得できない。同じ医療報酬下において社会保険診療が行なわれており、かつ、私的診療機関に関しては何らの保障もない。局長の答弁は逆じゃないかと思うのです。むしろ不利な私的医療機関のほうに力を注ぐべきだと思う。こういったことは、厚生省が言う言葉とは受け取れない。さような誤った考え方は是正されて、もっと私的医療機関の助成に力を注ぐべきです。
次に、ことしは少なくとも二十五億円の政府出資が増額されるのですから、少なくともその利率の引き下げ変更がどうしてできないのか、納得できない。今のところ折衝の段階というお話ですが、この際、二十五億円の政府出資増加によっていかなる利率の引き下げが可能か。また、このことをどういうふうに考えておられるか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/40
-
041・鈴村信吾
○説明員(鈴村信吾君) 二十五億の出資の増加がございましたので、われわれとしては、当初は資金量の不足等もありまして、所期の条件にもっていけなかったのでありますが、三十七年度はぜひそこへもっていきたいということで、いろいろ努力して参ったわけであります。ただ、局長から今ちょっとお話もありましたように、大蔵当局と根本的な問題につきまして若干意見の相違がございまして、たとえば従来中小企業の一環として医療機関に貸しておったのだから、やはり医療金融公庫ができた後でも、若干中小企業金融公庫の一般融資との均衡を考えなければいかぬとか、そういうような間違っている意見が大蔵にあるわけであります。われわれそういう点につきましては、中小企業並みではいかぬから医療金融公庫ができたから、その点は踏み切っていいじゃないかということを申しておるのでありますが、その点に若干意見の食い違いがあるわけであります。
それから、公的と私的との扱いにつきましても、全く同じでなくてもいいじゃないかという意見がやはりあるわけでありますけれども、われわれとしては、これは差別する特別な理由もないのだから、これはもうできるだけ均衡をはからなければならぬということを申しておるわけでありまして、そういう問題につきまして若干意見の食い違いがありますけれども、できるだけこれを克服したいということで、今せっかく努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/41
-
042・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/42
-
043・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/43
-
044・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいま鈴村次長の御説明で、御努力をされているという点については了承いたしますが、何といたしましても、医療金融公庫そのものの性格というものが故意にぼかされているという点については、私は納得できない。今の状態に置くことは保険医に対する公約違反だ。何のために医療公庫を作ったのかと言いたい。しかも、先般も御質問しましたが借入申し込みの取り扱いについてはむしろ一般金融機関のほうが簡単で、したがって少しくらい利率が高くても取り引きをするという状態が各所にあってこの点もまことに遺憾です。地方銀行と単位医師、歯科医師会等が借り入れの団体特別契約を結んで取り引きが行なわれている始末です。これは非常にまずいことです。政府の要請により特に国会においても私的保険医療機関の現状を考えて設立せしめたものであり、今後の育成を考えておるのですから、政府は社会保険医療確立のため、この公庫が正しく利用されるよう努力する義務があると思う。今の状態では仏作って魂入れずということになる。この点強く認識されて、早急にかような点も改善されたい。
なお、この機会にお伺いしたいことは、増改築資金につきまして地区別をつけて、甲種乙種と二つに分けてあることですが、こういう差別をつけることはおかしいと思う。甲種乙種の貸付基準格差があるために、六大都市、大都市の保険医は、増改築資金または新築資金に対しては、まことに不利な状態に置かれておる現状です。しかも、これらの地区には大多数の保険医がおるのですから事重大です。これらについてもお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/44
-
045・川上六馬
○政府委員(川上六馬君) ただいま御意見がございましたように、僻地に対しましては、これはとても収支償いません。これは別途の方法があるのじゃないかと思います。医療機関のないところに医療機関を整備していくということも重要な課題でありますので、それで甲種の改築資金というものを六分五厘にいたしたわけであります。そして、一応の基準以上に医療機関があるところにおきましては、これは増改築の場合には乙種資金として八分程度で貸す。乙地区におきましても、医学の進歩に伴いまして、いわゆる設備など大いに改善しなければならないわけでありますので、私ども、やはり医療施設の不足しない地区の増改築の資金その他も、できるだけ利率を下げるように現在交渉しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/45
-
046・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/46
-
047・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/47
-
048・山本杉
○山本杉君 大体、鹿島委員の御質問で尽きたと思うのでございますけれども、私からも一言聞かしていただきたい。
それは、医療金融公庫というものが設立されたときの趣旨が、長期かつ低利ということでありましたし、私的医療施設に対する貸付ということで私どもは承知して骨をおりました立場でございますが、それにもかかわらず、乙種の増改築の資金が八分の利子であるとか、あるいは運転資金だとか、機械購入資金は九分にするといったような不合理な点がある、それを改めてもらいたいという願いを今日私どもは持つわけでございます。それにつきまして、ただいま御説明の中で、当初は資金不足であったということやら、また、医務局長が従来のいきさつということを強調しておっしゃって、そういう理由のためにこれをのんでいるのだということはわかるのですけれども、今後、さっき大蔵当局との意見の相違、それは中小企業の公庫の一環としてできたものだから、それに見合って、その点は仕方がないとか、あるいは公的と私的との差別があるのは当然だというようなのみ込み方で厚生省が大蔵省の言い分を認めていこうとしていらっしゃることがうかがえたわけでございますが、それで、はたして私どもの考えておりますような工合にうまくやっていただけるものでしょうか、これをひとつ私は森田政務次官に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/48
-
049・森田重次郎
○政府委員(森田重次郎君) これは御存じのとおり、中小企業金融公庫から医療金融公庫が分離した。それは分離すべき医療制度の性格というものに一つの特殊性を認めたからだと思う。ただ、そのときに甲種、乙種、あるいは機械の購入とかについては九分とかいうようなことがそのまま随伴して当時現われた。ところが、今度事業団というようなものがはっきり認められ、発足にあたって、厚生省の態度としては、すべて六分五厘といったようなことにしたわけであります。しかし、こっちのほうは伝統的なものがしょわされて、ここに現実の姿で持たされておる。そこで、ただいま鹿島委員から御指摘になりましたように、これは厚生省だけではきめられないのでございまして、大蔵省との共管になっているものであります。これをつまり同じ歩調に整えたいというのが大体厚生省の立場で、皆さんの御意見も大体そういう点を御指示下さっていると思うのです。しかし、現実としてこれだけのものが存在しているものでありますから、大蔵省との意見が統一されませんというと、どうもそう簡単にこっちだけのことをこうだと言い切れない点がありますので、先ほども御答弁申し上げておりますとおり、目下盛んに努力中だということで御了承願いたいと、こう考えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/49
-
050・山本杉
○山本杉君 それはおっしゃることはよくわかるのでございますが、厚生省のほうがどうかひとつ極力お骨おりいただきまして、私どもの考えているように、統一された利子にもっていかれるように、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/50
-
051・佐藤芳男
○佐藤芳男君 私は、御答弁の必要はございませんが、老練な、たんのうな森田政務次官がお見えでございまするから、御検討を賜わりたいと思うのでございます。鹿島委員から先ほど来るるとお話があり、それに対して政務次官は、何しろ共管であるから、大蔵省と意見が違う点もあり、目下調整中であるとおっしゃるのでございますが、私は、大蔵省が、必ずしも市中銀行というものを対象としてのみの観念から、厚生省共管の問題等についてつらく当たっておられようとは思わない。もしそうだと、これは大へんな問題です。したがって、今後の御折衝に期待を持つものでございますが、厚生省自体でおやり下さっておられる問題と申しますか、指導しておられる問題と申しますか、そうした問題にもちぐはぐなものがある。たとえば年金福祉事業団の利率とか据置期間とかというような問題と、それからあなたのほうの、厚生省の外郭団体とも称すべき社会福祉事業振興会なんというものは、毎年々々一般会計予算からも多少出ている。今五、六億になっていると思いますが、これらは、年金福祉事業団のほうは、これは勧銀融資でしょう。一方は勧銀融資でない、寄付金で成り立っている。まあ政府の助成で成り立っているような筋合いの性格のものなんです。ところが、あべこべに、振興会のほうが据置期間も短かい、利率も高い。こういうものを厚生省では放任をしておられる。しかも、また、年金福祉事業団ができまするというと、同じようなものを取り扱うというのに苦慮されて、社会局と年金局とのセクショナリズムですか何ですか、そこに協定が行なわれて、たとえば保育園に対する貸し出しのごときは、これは原則として振興会のほうが取り扱うのだ、ただし、大臣の方針によっては事業団から借りてもいいのだというような、そういうような取りきめまでもされておる。だから私は、ただいままでの質疑応答によって、政務次官の答弁になったことを、もうこれは強くおやり下さるのはけっこうです、そうしていただきたい。しかし、厚生省自体でやられる問題は、ひとつ森田政務次官の長年のつちかわれた政治力によって、他から疑念を抱かれ、疑問を差しはさまれるようなことなしに御処理を賜わりたいということを、この際、森田政務次官にお願いを申し上げておきます。これだけで、別に答弁は必要ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/51
-
052・森田重次郎
○政府委員(森田重次郎君) いろいろ御高見を拝聴いたしまして、御指摘のような事柄でございますれば、その点につきましては十分留意いたしまして、御期待に沿うよういたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/52
-
053・竹中恒夫
○竹中恒夫君 私は、医療金融公庫の日常の業務取り扱い上の問題で、実はある医療機関の開設者から不足を聞いております。問題は非常に小さい問題で、委員会で取り上げるのにはあるいは不適当かもしれませんが、やはりあなた方のほうが医療金融公庫を監督する立場にあられますので、こういうような例もあるんだということで、今後御指導の上、監督の上に御留意願いたいという点がありますので、御報告かたがた申し上げたいと思います。
先ほど来、各同僚委員の方々からそれぞれ御意見が出、御答弁いただきまして、拝聴いたしておりますのですが、この金融公庫の設立の趣旨そのものが、大体われわれの認識、あるいは設立当時のいろいろの経過から考えまして、多少運営の面において本筋からそれておるのじゃないかという実は懸念がいたしております。と申しますことは、次官の御答弁の中にございましたが、公的医療機関と私的医療機関の取り扱い上の問題、あるいは諸条件が、従来の経緯から考えて、中金等との振り合いからどうなっておるということは一応私もわかる。わかりますが、鹿島委員が申されましたように、そもそも報酬金が非常にやかましくなった二十六年当時の四つの妥協と申しますか、調停条件の一つとして、二十六年当時の荒廃したわが国の私的医療機関の設備を改善して、そうしていい設備をして、近代医術を国民にあまねく及ぼすんだというようなことで、二十六年当時に妥結した経緯があるんです。次官のおっしゃるのはその後の経緯でありまして、その前にそういう経緯が実はあったわけです。したがいまして、当然その当時中金等から融資するということは、手続きからもなかなか困難であるし、利率も、その他の機関との関係で困るので、特別に考えようということがそもそもあったわけですから、今日中金との振り合いで、あれ以上のいい条件はやれないのだという考え方でなくて、強く厚生当局としては大蔵省のほうに当たってもらいたいという私は気持があるわけですね。それから、もちろん資金量の関係等もございまするので、いろいろと貸し出しについての制限が当初はきびしかったと思うのです、やむを得ず。そのきびしさの中に、明らかに無医村対策ですね、これだけのわずかの金で無医村を解消するんだというような方向にのみこの融資対象を求められたら困るということは、この法律ができる当時に私ども議論したわけです。当然あのとき局長も、無医地区の解消はもっともっと大きな資金を要する、抜本的な対策を立てるのだ、しかし、このほうでも多少それも考えなければ大蔵省はうんと言わないということでわれわれ了承したはずなんです。ところが、今日、運営の面を見ますと、六大都市の私的機関にはほとんど金が融資されておらない、いろいろな条件がそろいません。先ほどおっしゃいましたが、増改築だって利息が高い、それは民間のほうがまだ安いということで、実際問題として六大都市の人は借りられないという問題が多い。そういう点も資金の関係等からそうなったんですが、一つの例として滋賀県て起こった極端な例があるんです。どういうことかといいますと、まず申し込みを三十五年の八月にいたしまして、三十六年四月まで決定を見なかった。実に漫々的で、長期間の調査か何か知りませんが、事務的にあまりに官僚事務のような形で、少しもスピード化されておらないということをまず第一に私にその人が訴えた不足なんです。貸せないなら貸せない、貸すなら貸す、イエスかノーをはっきりしてもらいたい。八カ月も十カ月もほうっておいて、こちらのほうで金を借りちゃったそのあとで、金を貸してやるからということは、はなはだけしからぬという問題が一つある。そのときは貸し出し金額が僅々七十五万円程度のものだったそうです。それに対して八掛けを要求したんですが、とても設計等から四十万円しか貸せないということになったそうで、これも一つの制限の範囲内における金額でありまして、七十五万円というものは、設計なりその他を見ればわかるわけなんですから、そういうところで貸出額を不当に締めるということも、この公庫設立の趣旨に僕は沿わないと思う。実際要るものはこれは要るのだ、設計書もこうだということであって、それの八掛けを貸してくれというのだけれども、どういうわけか、四十万円に減らしたということも一つは私はおかしいのじゃないかと思うのですが、なおその上に、特に問題になりましたのは、担保の問題です。これもこの法律を作るときに相当議論が出たわけですが、担保というのは、一応改築なら改築、新築なら新築の物件を担保にする。担保は原則であるけれども、なるべく厳重なことは考えないのだということであったはずなんです。ところが、四十万円貸しますのに、現在四十四坪の家と、新しく建てる二十一坪の鉄筋コンクリートの家の二つを担保に入れろ、なおその上に、有価証券で敷島紡績の百四十円の時価の株七千株、八幡製鉄の株四千株、当時の時価百二十円、これを入れて頼んでいるにもかかわらず、八カ月ほうっておくわけです。しかも、七十五万円でなしに、四十万円だ。実に担保そのものが過大な要求をしている。これはもとよりあなた方の責任でもなければ、あるいは中央機関の責任というより、代理業務を行なっておりますその地区の当事者の法の解釈なり、あまりに金融機関的な考え方が災いしたとは思いますのですけれども、しかし、指導監督して参りますのに、こういうような極端な例があって、非常に医師、歯科医師の方が困っている。訴えるすべもない。たまたま私どもが地方に参ったときにそういう悲痛な声を聞いたのです。しかも、その保証人のお父さんがその町の町長をしておりまして、その父親が保証すると言うているのだ。それにもかかわらず、これだけの担保を要求して、そうして四十万円貸してやるという、これは極端な例ですが、聞いたわけですが、ひとつこういうことがないようにやってもらいたいと思う。これはあなた方のほうからも、職員の方々、理事の方々に、これは滋賀県の例ですが、ぜひひとつ話してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/53
-
054・森田重次郎
○政府委員(森田重次郎君) 具体的な問題を御指摘下さいまして、ただいま拝聴いたしました。私も実は弁護士を業としているものでありまして、四十万円の借金にそれだけの担保を要求し、しかも、日時がそれだけ遷延されたということは、どう考えても、この金庫の性格から考えて、妥当だとは考えられません。私は、やはり事業団にいたしましても公庫にいたしましても、どうも官僚化する傾向を厳重に戒めなければならない。できるだけ迅速に簡易にということが大体貸し出しの一番大事な点ではないかと考えておりまして、むろん厚生省としてもそのつもりで指導監督いたしているつもりなのですが、しかも、ただいまのような事実が存在したということを御指摘いただきまして、まことにありがとうございました。これらの点は、単なる一つの事例としてでなく、かくのごときことがあってはならないという一般的な戒めになると考えますから、厳重に指導監督いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/54
-
055・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの関連で。ただいま竹中議員から、きわめて遺憾な事例の御報告がありましたが、これについて御留意願っておきたいのは、御承知のとおり、この公庫の窓口指定金融機関は、貸付金に対する回収責任がきわめて低く押えられております。責任負担額は二〇%であります。したがって、他の関連機関、公庫等から見ますと、非常な配慮が払われておることであります。このことは貸付が担保主義であってはならないという保険医の現状、立場をまず考えての措置なんですから、したがって、窓口のほうも、できるだけ融資を必要とする弱体な、資力の弱い医療機関を助成するという原則を無視してはならないはずのものであると思う。この裏づけとして回収責任額を二〇%の小額にきめたわけである。したがって、ただいまのごとき事例は、全くこれに違反するものである。こういった点を厚生省並びに公庫は深くお考えの上で指導していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/55
-
056・鈴村信吾
○説明員(鈴村信吾君) 先ほどの件で、ちょっと初年度の実情だけ申し上げますと、実は先ほどの三十五年度は公庫が発足した年でありまして、実際の貸付が、たしか第一回の貸付を十月末に締め切りまして、第二回を一月末でありましたか、初年度はいわゆる締め切り制度をとったわけであります。ただいまのところは、いつでも申し込めるようになっておりますが、初年度は発足当初でありますので、二回に分けまして、十月末、一月末に締め切りまして、一挙に締め切り期間に殺到したものを逐次さばくという体制をとりましたために、結局十月末に申し込んだのが、おそい人は非常におくれて何カ月も待たされるという事態になったわけであります。これは初年度発足当初でありましたので、締め切り制度をとったことから起こった。特にそういうケースはそれが原因ではないかと思います。それから、ただいまのところは締め切り制をとらないで、毎週一回審査をやって、非常に迅速に貸し付けておりますので、おそらくその後のものについてはそういう御批判の点はないと思います。初年度につきましては、そういうことから若干そういうような問題が起こったかと思います。それから、担保の点につきましても、きわめて低く押えておりますし、あまり不当なことのないようにということで極力指導しておりますので、最近におきましてはそういう例はまずないと存じておりますが、当初やはりそういう遺憾な点があったかと思いますので、われわれも大いに反省いたしまして、金融機関を十分指導いたしておるわけであります。ちょっと追加でありますが、御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/56
-
057・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/57
-
058・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/58
-
059・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 この際、岩尾主計官にお尋ねをいたします。
第一点は、御承知のとおり、この医療金融公庫は単なる金融機関ではない、言いかえますと、社会保険医療に対する政策的な見地から設立されたものであります。したがって、こういった面の趣旨が生きない限り、この公庫の設置の意義はないと思います。なおかつ、三十七年度予算措置によって二十五億の出資金が増額されますが、これについて、今までは資金繰りの関係で、その主目的であるところの低利かつ長期の運営ができなかった、これは一応私もやむを得ずと考えますが、すでに発足して約二年、今回二十五億円の出資が増額されるこの際、本来の目的である低利、長期融資というものを強く考えなければならぬと思いますが、主計官はどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/59
-
060・岩尾一
○説明員(岩尾一君) 医療金融公庫の設立の趣旨並びに現在におきます政府出資その他についての御質問でございますが、医療金融公庫は、先ほどからいろいろと御質問もございましたし、あるいは御答弁がございましたので、よく御了承になっておると思いますが、今申されましたように、私的医療機関に対します低利かつ長期の金を貸そうということでできたわけでございますが、その際、もう一つ大きな柱がございまして、全体の私的医療機関に対します融資機関という形でできたのではございません。医療の不足地区においてそういった私的な医療機関を設立していこうということが一番大きな柱でございます。したがいまして、医療金融公庫におきます金利につきましても、先ほど来御質問がございましたように、年金福祉事業団等の六分五厘に比べますと、医療不足地区におきます増床あるいは新築につきましては六分五厘でございますけれども、それ以外の医療不足地区でないところの改築につきましては、これは八分ということになっております。
なお、医療不足地区におきましては、増床については貸し出しはしないということでできておるのでございます。これは今申しましたように、発足当初から医療金融公庫の大きな目的といたしまして、私的医療機関に対しまする長期、低利の貸し出しをするという柱とともに、医療不足地区に対して、現在の医療の普及というものを拡大していくために、この機関の活用によって医療機関を作っていきたいという気持があったのであります。そういう意味合いで、私らのほうも、累次政府出資をふやし、資金運用部の資金を増加して参ったわけでございますが、いろいろ毎年々々の予算規模、あるいは資金内容というものを見ます場合には、やはり公庫の実績というものが中心になりますので、現在の三十五年から六年にかけましての毎月の資金需要というものを大体見て参りますと、六億内外というような形できております。そういうことを中心に、全体としての資金効率というものが大体七分二厘程度になりますので、そういった見当から、三十七年度予算におきまする総体の資金量九十億、七分二厘で計算いたしまして、政府出資五億ということで算定をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/60
-
061・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの御答弁の中で、公庫の設立の大きな柱が無医村対策であると言われますが、これは納得できません。公庫が、無医村地区に施設資金として金を貸すというだけでは、とうてい解決はつかぬと思います。要は、その地区では診療所の経営採算がとれないということが主たる要因である以上、単に資金貸付のみでは解決がつかぬものと思います。もちろん、私は、そういった地区に対する貸付が、ある程度の優先度がとられることは了承しますが、無医地区対策はそれだけでは成り立ちません。むしろ一歩進んで、国が助成をする、いわゆる貸し出しでなく、相当な補助金を与えてやらなければならない性質のものであります。そうしなければ成果は上がらぬと思います。したがいまして、この限られた資金量の中で、そういった無医村対策の方策で、それを大きな柱としていくということにつきましては、全く納得ができません。
なお、先ほど来力説するとおり、この公庫の設立の趣旨が医療報酬引き上げの際の交換条件として設立されたものであり、私的医療機関の施設改善に資するためということで、その際に無医村対策という要素はなかったのであります。したがって、この法案の提出された当時、本公庫の設立の主体が無医村対策であってはならないという主張を私ははっきり申し上げておる。したがって、ただいま御答弁のような考え方でおられることは納得いかない。この点十分御再考を願いたいと思います。
それからもう一つ、少なくとも増資がされる以上は、そこに金利の引き下げが行なわれなければ、納得がいかない。むしろ多少犠牲を払っても、この際、事業団のように、すっきり一率六分五厘というような配慮が払われるべきと思います。少なくともそういったことが増資と同時に行なわれなければならぬと思うのですが、こういった点についてもお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/61
-
062・岩尾一
○説明員(岩尾一君) 医療不足地区の対策というふうに申しましたことは、非常に今局限された意味で使われております無医村対策というほどの意味ではございません。現在東京、あるいは大都市に非常に医療機関が集中をいたしまして、そうして過大に競争も激しくなる、過剰競争になっておる。実際上、中都市その他におきましては、かえって病院のないところも多いという意味において、別途算定をいたします医療機関の適正配置の上から見た不足な地区に対しまして医療機関を作っていこう、増床をしていこう、こういう趣旨でございます。もとより先生のおっしゃいましたように、私の申しましたそういう不足地区への対策というものがすべてではございません。これは医療金融公庫を作るときの一つの柱であったわけでありまして、もちろん根底には医療機関というか、非常に公共的な仕事をされる、しかも、報酬につきましては、一定の単価によってきめられておるという、そういうような仕事に対して長期、低利の資金を運用していきたい、こういう御希望もあったわけでございます。率直に申し上げますと、当時医療金融公庫ができましたときの種々なる御要望の中には、あるいは私的医療機関に対する一般的な貸付機関としての医療金融公庫を作れという御要望もあり、それに対しまして、今申しましたような不足地区に対する医療金融機関を作れというような御要望、こういうようなものが実は最終的にまとまりましたときには、いずれともはっきり実はどちらにも軍配が上がったという姿ではなくて、混淆した姿においてできておりまして、したがいまして、その中におきます利率や、また、あるいは貸付限度でございますとか、あるいはいろいろな条件とかいうようなものがそういうような面でできておるわけでございます。したがいまして、当時は、一方において医療金融公庫で不足地区において借ります、それから不足地区でないところにおきましては八分の利率をもって改築をいたしますと、こうなり、かつ、それ以外はそれではどうなるのかというと、それはやはり中小金融公庫等からお借りなさい、こういう形になっているわけでございますが、逐次今申し上げましたような趣旨が惨透して参りまして、おそらく今年の一月ごろから中小企業公庫では切りかえられたのではないかと思いますが、医療機関というものに対する中小の窓口というものがなくなるわけでございます。そういたしますと、現在では医療金融公庫において大体の私的医療機関に対します貸し出しを行なうという態勢になるかと思います。そうなりますと、先ほど申しました一つの柱である不足地区に対して、とにかく増床をしなくてはならない。そのために低利である六分五厘という利率を作っておるという趣旨からいたしまして、そういった一般の人に対しましても、同じような六分五厘というようなことになりますと、今申しました不足地区に対してどんどん病床をふやしていかなければならないという目的が薄れていきますし、効果としても薄くなっていくということがございますので、われわれといたしましては不足地区対策というものは依然としてあるわけでございますから、その分についての低利かつ有利な条件というものは、医療金融公庫の中においてやはり存置をしておかなければならないだろう、こう考えております。それとは別に、私的医療機関についての全体としての改築その他についての条件等については、現在でも八分ですから、一般の九分に比べれば非常に低いわけで、この点は今後も検討したいという気持は十分持っているのでございます。
年金につきましては、先ほどから御答弁があったかと思いますが、これは還元融資ということでございまして、現在年金福祉事業団法ができまして六分五厘になったのではございません。従来の還元融資がすでに六分五厘でございまして、それをそのまま引き継いだのが年金福祉事業団ということでございます。これは労働者が貯金をした金をそのまま還元していくという趣旨で低いわけでございまして、その意味からいきますと、対象その他が違うわけでございます。医療金融公庫の問題とは、そういう意味から見地が違うのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/62
-
063・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/63
-
064・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/64
-
065・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいま岩尾主計官の御説明で、この公庫の柱となるものは無医村対策ではない、むしろ適正配置だという考え方だとの御説明がありましたが、これにつきましては、私もわからないことはございません。確かに医療機関の適正配置ということは、皆保険下における絶対の要素でございますから、私もこれに反対するものではございません。現に、逆に大都会中にも、配置上のポケット地帯があり得るのでございます。適正配置けっこうです。しかし、私は、それに対しましては、単なる金融措置ばかりでなく、皆保険という一つの大きな国の政策の上から見た場合に、格別の優遇をしてもいいのではないかと考えます。重ねていいますが、医療金融公庫設立の趣旨というものが、先ほどるる申し上げましたような理由から、少なくも利率は六分五厘でなくてはならぬと思う。発足当初のこれは公約でございます。それを基本に考えた上で、適正配置については、また格別のことをされることが正しい考え方だと、かように考えます。どうかこれらの点をはっきり御認識をいただきたい。それから次にもう一点、大体約六億円の月間要求があったといわれますが、これは発足当初の資金量の不足から、ある程度貸し出しのワクを締めた形が影響しておると思います。案外それが多く作用いたしまして、これではとても借りられぬという印象を与えた結果、意外に申し込み額が少ない。これが設立の趣旨による業務方針がとられたならば、相当な大きい資金の貸し出し要求があったと思います。これらの面を相当考慮の上で、今後とも御配慮を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/65
-
066・岩尾一
○説明員(岩尾一君) 御趣旨はよくわかりましたので、検討いたしたいと思いますが、現在不足地区にとっております利率と申しますのは、これは現在の政府関係機関にとっている最低の率でございますので、これをさらにどうこうするということは、なかなか全体として検討しなければならぬ点があると思います。それから月間六億と申しますのは、先生のおっしゃいますように、医療金融公庫のほうで、先ほど来御質問のありましたように、意識的な引き締めをやったわけではないのでございまして、やはり現在の貸付条件というものが、まあ三年据え置きでもございますし、たとえば貸付限度の問題、あるいは標準単価の問題と、いろいろ建築費なんかが上がっております。そういった問題等を含めまして、非常に低いというと語弊がありますけれども、実際の需要に満たないために、なかなかそういった資金需要が伸びてこなかったということではないかと思います。この点は、私どものほうも、今回予算を計上いたしました中におきまして、できるだけ実態に合うように調整をいたしたいということで、目下厚生省とよく調整をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/66
-
067・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 私は、次に、大蔵省に数点御質問をいたしたいと思います。第一点は、先ほど来、医療金融公庫の設立の趣旨についていろいろ質疑が行なわれました。問題は、公庫の設立の趣旨そのものに対する認識と、今後の大蔵当局、特に銀行局の考え方に大きな問題点があると思います。したがって、本公庫がいかなる理由により設立され、どのような方針で運営せられるべきかという点をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/67
-
068・橋口收
○説明員(橋口收君) 最初にちょっとお断わり申し上げたいと思いますが、他の委員会の関係がございまして遅参いたしまして、深くおわび申し上げます。
ただいま御質問がございました点でございますが、政府関係機関は、現在、農林中央金庫、商工組合中央金庫の半官半民の機関を含めまして十一ございます。医療金融公庫は、医業という特殊な事業と申しますか、特殊な性格にいわば着目いたしまして設立された金融機関であると承知をいたしております。精神といたしましては、医療金融公庫法第一条にありますような、医療の適正な普及向上に資することを目的として運営されておりますし、また、今後もそういう精神によって運用されるというふうに了承いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/68
-
069・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの御答弁ですと、主目的が医療機関の適正配備のごときものだということになりますが、これはだいぶ違うと思います。少なくともこの医療金融公庫というものは、私設診療機関に対する施設改善整備ということがむしろ重要な目的と思うのであります。先ほどもるる申し上げましたとおり、昭和二十六年に医療報酬の引き上げ問題に関して、その交渉の経過において条件としてきめられたものであります。御承知のごとく、現行の社会診療報酬下においては私的医療機関の施設の改善ができない、これは国民の医療福祉に直結する問題でもありますので、特に格別な配慮をするということが主体であって、その当時の趣旨として、医療機関の適正配置ということはむしろなかったことである。しかもこの点、厚生省当局もはっきり認めておるところであります。
次に、この公庫が大蔵省と厚生省の共管であることについて、私はこの点御質問をしてみたいと思う。共管、これは公庫が金融機関である以上は、共.管も当然でありましょう。しかし、実際問題としてこの医療金融公庫の性格をよく把握し、今後この公庫の運営が社会保険医療の適正執行の面に影響があるという特殊な認識に立って、厚生省の意見は強く取り上げなければならぬと思う。今の現状を見ますと、一般金融機関とあまり違わないと言わざるを得ない。しかも、六分五厘の利率で貸すという公約原則がある以上、これに対してどういうふうに考えておるか、率直に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/69
-
070・橋口收
○説明員(橋口收君) 医療金融公庫は、ただいま御指摘がございましたように、厚生省と大蔵省の共管に相なっておるわけでございます。で、政府関係金融機関は、特殊なものを除きまして、原省と申しますか、それと金融担当の官庁としての大蔵省の共管で、両方で御相談しながらお世話を申し上げておるわけでございます。ただいま御指摘がございました医療公庫の設立の趣旨、あるいは運営の理念というものにつきましては、先生の御指摘に私ども特に異論があるわけではございません。ただ、設立されました医療金融公庫が、限られた資金をできるだけ効果的に運用するという観点に着目いたしまして、現在の業務方法書なり、あるいは貸付規程なり、金利体系というものができておるものと了解をいたしておるわけでございます。したがいまして、医療金融公庫の業務の運営の実際に即しまして、改善を要すべき点があれば改善をしたいと思いますし、さらに検討を必要とする問題につきましては、検討して参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/70
-
071・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 今よく厚生省と協議をしていきたいと言われるのですが、ただ、ここで検討を加えて善処していきたいというようなものでないと思う。とにかく医療金融公庫というものは、るる申し上げるとおり、現在の社会保険医療の給付の内容に直結する重大立場を持つものでありまして、特に機械、施設の改善というようなことは等閑に付せられないことです。最近の進歩する医療機械というものを考えてみても、今のような診療報酬下では入手は思うにまかせない。また、一般金融機関のお世話にはなれない状態です。国が皆保険という制度を定め、責任を持って執行するその中で、実質的に私的医療機関を、あたかも公的施設として置きかえたような形において保険医の協力を得ておるわけであります。したがって、政府はこういった面に関する配慮を特に払わなければならぬと思う。少なくともこれは皆保険施行上の重要な政策的なものであって、単なる金融ではない。きわめて高度な社会保険医療政策の上に立ったものでなければならないと思う。しかも、年金福祉事業団と同じような状況のものを、格差をもって貸すことはおかしい。あなたも知っているとおり、利率においても、また、その据置期間においても、返還期間においても、その貸付の限度額においても、また、それぞれ新築標準面積の問題においても、また、貸付建築資金の標準額においても、はるかに年金福祉事業団のほうが合理的と思われる線にきめられている。これはどうして同様な線でやれないのか、私はこの点どうしても納得がいかないのです。しかも本公庫の金融が、力の弱い私的医療機関に対してなされるということが前提であって、その窓口指定機関に対しましても、その回収責任額を二〇%の低額に押えている趣旨が生きてこないと思う。本公庫法の審議中に、意見として、回収責任は全部親銀行たる本公庫が負担してその設立の趣旨を生かすべきだという議論すらあったところであります。したがって、そういった諸点を考えたときに、どうして同じような、少なくとも年金福祉事業団と同じような貸付条件が立てられないのか、まことに了承できない。資金量の不足なら、せっかく設立した以上適正な運営ができるように、一定の資本金額になるまでは急速に増資を行なって、少なくとも本筋の運用ができるような形にすべきと思う。したがって、こういう重大な公庫を少しずつの出資でやっていこう、しかも、それがいつになって公約の六分五厘の融資が実際に行なわれるかどうか、これもわからぬ。ただ、考えておりますというようなことでは、これは問題だと思うのです。厚生省の意見も、あなたは十分聞いているはずだ。先ほど来の厚生省との質疑で厚生省側においては、金利を六分五厘にしたい、しかしながら、どうも大蔵当局が同調しないというような印象を私は受けております。こういう点、率直に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/71
-
072・橋口收
○説明員(橋口收君) 年金福祉事業団と医療金融公庫との関係につきましては、先ほど岩尾主計官からお答えがございましたが、私も同じような見解でいるわけでございます。
それから、なお、代理金融機関の保証責任についての御質問がございましたが、現在他の政府金融機関を例にとって申し上げますと、中小公庫の場合は八割、それから国民公庫の場合は五割の保証責任になっているわけであります。したがいまして、そういう点から申しますと、医療金融公庫は、いわばかなり勉強をしているというような実情にあるかと思います。
なお、年金福祉事業団と医療公庫との融資条件その他の調整の問題につきましての御意見でございますが、私ども、医療金融公庫の融資条件なり、あるいは金利体系自体の問題としては、先ほど申し上げましたように、十分検討をいたしたいというふうに考えておりますが、年金福祉事業団と融資条件を完全に同率にするということにつきましては、種々問題があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/72
-
073・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 利率については一応性格が違うのだという議論ですが、私は納得いたしません。この点は重ねて質疑をいたします。
次に、償還期限の問題について承りたいが、医療金融公庫は二十年、年金福祉事業団のほうが二十五年であって、五年以上も長期のものを認めている。それから据置期間も、公庫は二年、事業団のほうは四年ないし五年以内、こういった違いをどのように考えますか。とにかく本公庫は低利かつ長期でなければならないという原則があるのを、この点においても貫かれておらぬと思いますが、この据置期間並びに償還期限について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/73
-
074・橋口收
○説明員(橋口收君) 政府金融機関が貸し出しを行ないます場合の据置期間、あるいは償還期間につきましては、機関の性格によりまして、たとえば農林金融公庫につきましては、法律をもって明定をいたしているわけであります。これは農林漁業の特殊な性格に基づく措置でございますが、他の一般の金融機関につきましては、法律事項でなくて、実際の運営にまかされておるわけでございます。医療金融公庫も漸次発展をして参りますと同時に、融資対象につきましても、若干従来と違った性格と申しますか、性質のものも入ってきておりますので、そういう情勢を勘案いたしまして、特殊なものにつきまして、現在二十年となっておりますのを、さらに若干延長するということについては、十分検討を要するであろうと考えております。
それから据置期間につきましても、これも個々の企業の償還能力、信用力、金融力等を勘案して決定されるべき性質のものではございますが、その裁定につきましては、これは最近の情勢により、検討の必要があれば十分検討したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/74
-
075・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 次に、標準建築費の問題ですが、公庫においてきめた耐火建築単価が二万円、木造が一万二千五百円、福祉事業団のほうで耐火単価二万六千円、木造一万八千円と、かように違うわけです。実際現在公庫できめておる標準面積の建設資金で妥当な建築がなされるかどうか、どうお考えになっておるか、承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/75
-
076・橋口收
○説明員(橋口收君) 標準単価でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/76
-
077・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/77
-
078・橋口收
○説明員(橋口收君) 標準単価の御質問でございますが、施設資金と申しますか、施設を造成する、あるいは改良するに必要な資金は、他の政府関係機関にもいろいろございます。たとえば住宅金融公庫がその典型的な例であろうかと思いますが、最近の建築単価の値上がり等に伴ないまして、予算作成の過程におきまして、十分とは申せないと思いますが、若干の調整的な引き上げをやってきておるわけであります。したがいまして、医療金融公庫につきましても、現在の標準単価が実情に必ずしもマッチしない面があるということであれば、これについても十分検討するのは適当な措置であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/78
-
079・高野一夫
○委員長(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/79
-
080・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/80
-
081・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 ただいまの御説明によると、適正ならざる標準建築単価についてはこれを是正すると言われたが、今後こういったことをきめるについては、何を一体標準にされてきめるのか、実情に即した是正をやるということが非常に重大ですから、それが不適正であれば公庫から金を借りて、また、他の金融機関から金を借りなければ建築ができぬということになる。それではおよそ意味がない。そこで、先ほど適正配置には優先権を与えるというような議論が出ました。かりに幾らそういうことを考えても、建築単価等について、きわめて不適正な低いものをきめておったのでは意味がない。しかも、この適正でないと思われる現行建築単価に対して、また総額の八割の貸付ということでは、結局これは建築は不可能になるでしょう。しかも、それらの状態において、先ほどのように、高額の担保を要求するというようなことが一部に行なわれております。私は、次回になお詳細に質問したいと思いますが、こういうことをよくあなたは考えていただきたい。
それから、最後に二点お聞きしたいことは、現在公庫の貸付総額は幾らですか。それから、総額申し込み額に対する貸し出しの比率はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/81
-
082・鈴村信吾
○説明員(鈴村信吾君) 三十六年度で申し上げますと、一月末の数字で申し上げますが、総額で六十九億八千七百万円貸付決定をいたしております。新築資金が十九億七千万円、それから甲種改築が二十六億円、乙種が七億二千万円、機械購入が十四億円、長期運転資金二億一千万円等で、総額約六十九億でございます。これに対しまして、申し込みが七十八億でありまして、この七十八億に対して、約六十九億貸しておる、こういう状況でありまして、初年度と比べまして、だいぶ貸付の率はよくなっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/82
-
083・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 もう一点、現在申し込みを受け付けている総額はどのぐらいになっておりますか。審査中のものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/83
-
084・鈴村信吾
○説明員(鈴村信吾君) 一番新しい数字で申し上げます。これは二月末日の数字でございますが、貸付申請の受理が全部で八十五億円ございます。それに対しまして、貸付決定が七十六億円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/84
-
085・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 決定額ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/85
-
086・鈴村信吾
○説明員(鈴村信吾君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/86
-
087・橋口收
○説明員(橋口収君) 先ほどお尋ねのございました標準単価を改訂する場合の基準はどういうものかということでございますが、これにつきましても、先ほどちょっと申し上げたと思いますけれども、他の政府機関の貸付資金の融資の場合の値上がり率、あるいはその他予算全体の扱いの問題と関連いたしまして、どの程度値上がり率を求めるのが妥当かという見地から検討するということに相なっていると思いますが、御了承いただきたいと思いますのは、医療金融公庫といえども、全額以上の資金を供給するといろ金融機関でもございませんので、償却資金の八割というような制限もございますし、八割というのは政府金融機関では最高の率であろうかと思います。そういうような事情もございますので、単価の値上がりにつきましても、百パーセント完全なものを期待するということは、それ自体無理があるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/87
-
088・鹿島俊雄
○鹿島俊雄君 全額は貸し付けがたい、ある程度頭金を出さなければいけないということは、これは資金量その他からくるなら話はわかるのですが、今いかに資金量が増強されても、全部は貸さないので、それではこういう特殊な公庫の設立の趣旨に反すると思う。少なくとも、こういう特殊な公的性格を持つ医療機関整備という点から見て、この実情を無視して、一般金融機関並みの考え方ですべて対処することは、私は納得できない。先ほど貸付限度額が最高だと言っておりますが、福祉年金事業団においては所要資金の九割以内を貸している、本公庫は決して最高ではない、こういったことも私は納得できない。
なお、きょうは時間の関係もあるので、質問を打ち切りますが、次回特に銀行局長に直接質問したいと思いますので、委員長のお取り計らいをお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/88
-
089・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 別に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこれをもって終了したいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/89
-
090・高野一夫
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。本日の審査はこれをもって終了し、次回は明後日開きますが、明後日の労働関係の委員会につきましては、ただいま即刻委員長理事打合会をいたしました上で決定して御連絡をいたします。
本日の委員会はこれにて散会いたします。
午後零時五十分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014410X01519620320/90
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。