1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月十日(火曜日)
午前十一時四分開会
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委員の異動
四月三日委員谷口慶吉君、鳥畠徳次郎
君、平島敏夫君及び佐野廣君辞任につ
き、その補欠として田中茂穂君、林屋
亀次郎君、山木米治君及び岩沢忠恭君
を議長において指名した。
四月四日委員岩沢忠恭君辞任につきそ
の補欠として佐野廣君を議長において
指名した。
四月五日委員田中茂穂君及び杉山昌作
君辞任につき、その補欠として大野木
秀次郎君及び大竹平八郎君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
理事
上林 忠次君
佐野 廣君
荒木正三郎君
市川 房枝君
委員
青木 一男君
木暮武太夫君
高橋 衛君
堀 末治君
前田 久吉君
木村禧八郎君
野溝 勝君
大竹平八郎君
政府委員
大蔵政務次官 天野 公義君
大蔵大臣官房
財務調査官 松井 直行君
大蔵省管財局長 山下 武利君
大蔵省銀行局長 大月 高君
大蔵省為替局長 福田 久男君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
経済企画庁調整
局参事官 羽柴 忠雄君
大蔵省銀行局特
別金融課長 橋口 收君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○国有財産法第十三条第二項の規定に
基づき、国会の議決を求めるの件
(内閣提出、衆議院送付)
○日本輸出入銀行法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○外国為替銀行法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
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〔理事上林忠次君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/0
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001・上林忠次
○理事(上林忠次君) ただいまから委員会を開きます。
本日は、棚橋委員長が都合により欠席いたしますので、私が委員長の職務を行なうことにいたします。
まず、委員の異動について報告いたします。
去る三日付をもって、委員佐野君が辞任され、その補欠として岩沢君が委員に選任されました。四日付をもって、委員岩沢君が辞任され、その補欠として佐野君が委員に選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/1
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002・上林忠次
○理事(上林忠次君) ただいまの報告いたしました委員の異動により、理事が一名欠けることになりましたので、この際、理事の補欠互選を行ないたいと存じます。
互選の方法は、先例に従い、成規の手続を省略し、委員長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/2
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003・上林忠次
○理事(上林忠次君) 御異議ないと認めます。よって、私から理事に佐野廣君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/3
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004・上林忠次
○理事(上林忠次君) 次に、「国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件」を議題にいたします。
まず、提案理由の説明を聴取することにいたします。天野政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/4
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005・天野公義
○政府委員(天野公義君) ただいま議題となりました「国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件」につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
まず第一は、葉山御用邸付属邸の暖房設備の新設であります。現在、付属邸の一部には昭和初年に設備された電気ヒーターによる暖房設備がありますが、老朽化して暖房装置としては不充分でありますので、火災予防の点をも考慮して、この際蒸気暖房の設備にしようとするものであります。
第二は、皇居内生物学御研究所の標本室の新築であります。現在の標木室は御所究所の一部百二十坪が充てられておりますが、年々増加する標本類の収納が困難となり、廊下に陳列されている状態でありますので、御研究所に隣接して鉄筋コンクリート造り二階建延べ八十坪の標本室を新築しようとするものであります。
第三は、皇居付属庭園施設整備計画による建物の新築であります。皇居東側地区につきましては、昭和三十四年十月八日付皇居造営審議会の答申に基づき、昭和三十五年一月二十九日開催の閣議において皇居付属庭園として整備することに決定したものであります。この決定に基づきまして整備を進めているのでありますが、庭園の造成上撤去を必要とする厩務班事務所、馬車庫、馬糧倉庫、厩舎等を庭園予定敷地の外に新築しようとするものであります。
以上御説明申し上げましたものは、いずれも昭和三十七年度一般会計予算案に計上してあり、皇室用財産として取得する必要があるわけでありますが、そのためには国有財産法第十三条第二項の規定に基づき国会の議決を経る必要がありますので、ここに本案を提案した次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成の議決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/5
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006・上林忠次
○理事(上林忠次君) 引き続き、補足説明を聴収することにいたします。山下政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/6
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007・山下武利
○政府委員(山下武利君) ただいま議題となりました「国有財産法第十三条節二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件」につきまして、提案理由に補足して御説明申し上げます。
まず第一の、葉山御用邸付属邸の暖房設備の新設でありますが、現在付属邸の一部でお住まいの部分については、昭和二年電気ヒーターによる設備が行なわれ、他の部分の暖房は木炭によっていたのでありますが、電気ヒーターはすでに老朽化して暖房装置としては不十分であり、かつ、火災予防の点も考慮して、この際蒸気暖房の設備にしようとするものであります。
第二の、皇居内生物学御研究所の標本室の新築でありますが、現在の標本室は御研究所二百六十一坪のうち百二十坪が充てられ、貝類一万点、液浸一万四千点、海草二千点、サンゴ八百点、鳥頻剥製六百点、押し花五千点、菌類二千八百点、未整理二千点が収納されているのでありますが、現在でも収納困難のため廊下に陳列されている状態であります。また、今後年間植物類一千点、液浸二千点程度の増加が見込まれますので、御研究所に隣接して鉄筋コンクリート造り二階建延べ八十坪の標本室を新築し、御研究所と渡り廊下をもって接続して標本類を収納しようとするものであります。
第三の、皇居付属庭園施設整備計画による建物の新築でありますが、付属庭園の整備につきましては昭和三十六年度から着手しているところであり、庭園の造成上撤去を必要とする建物等のうち、厩務班事務所鉄筋コンクリート造り二階建延べ九十坪、馬車庫鉄骨造り平家建二百二十三坪、馬糧倉庫鉄骨造り平屋建百十坪、厩舎鉄筋コンクリート造り平屋建二百五十四坪を庭園予定敷地の外に新築しようとするものであります。
以上提案理由に補足して御説明を申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成、御可決あらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/7
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008・上林忠次
○理事(上林忠次君) 本件に関する質疑は後日に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/8
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009・上林忠次
○理事(上林忠次君) 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は御発言を願います。
政府よりの出席者は、天野大蔵政務次官、大月銀行局長、佐竹財務調査官、以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/9
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010・荒木正三郎
○荒木正三郎君 初めに、この日本輸出入銀行の概況ですね、銀行局長ですか、説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/10
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011・大月高
○政府委員(大月高君) 日本輸出入銀行の昭和三十七年一月末現存の状況について、簡単に御説明申し上げます。
昭和三十七年一月末の主要勘定におきましては、まず貸付金が千八百二十八億円でございます。で、この千八百二十八億円の主要なる部分は輸出金融にかかるものでございまして、これが千五百五十六億円となっております。で、その他投資金融及び輸入金融でございますが、投資金融が二百四十九億円、ほぼ二百五十億円、輸入金融が二十三億円となっております。次に、有価証券の勘定として五十三億円を持っておりますが、これは輸銀としての余裕金、資金通用に属するものでございます。で、その資金源といたしまして、政府からの借入金が千三十四億円でございます。それから自己資本として資本金が七百八十三億円、これが大部分でございます。借入金と自己資本、これは産業投資特別会計からの出資でございます。で、そのほか、みずから積み上げました準備金十八億円、貸し倒れ準備金四十二億円等をもって資金は構成されているわけでございます。
それで、三十六年度の実績でございますが、貸し出しの面におきましては、輸出金融といたしまして千四十七億円、投資金融といたしまして百二十二億円、輸入金融といたしまして十一億円、合計千百八十億円という実績でございます。
で、この主たる金融の対象でございます輸出につきまして、品目別に貸し出しのものはどうなっておるかということを御説明申しますと、何と申しましても、この輸出金融の主たる対象は船舶でございます。この船舶は現状におきまして、貸し出し残高七百十九億円になっております。この輸出金融全体の貸し出しに対する割合は三九・四%、おおむね四割ほど船舶の輸出のために使っているということでございます。その他主たるものは車両、電気機械、繊維機械等でございまして、これが大体六%から七%ぐらいの比重をそれぞれ占めているわけでございます。その他通信機械、鉄鋼製品その他がございまして、輸出金融全体といたしまして、全体の貸し出し総額のおおむね八五%という数字を占めているわけでございます。残りが投資金融と輸入金融でございますが、投資金融におきましては一三・六%、輸入金融が一・三%というような割合になっているわけでございます。
次に、地域別の貸し出しの状況でございますが、最も比率の高い地域は東南アジアでございます。東南アジアに対する貸し出しの残高は五百二十六億円でございまして、パーセントといたしまして総貸し出しの二九%、おおむね三割が東南アジア向けでございます。次が中南米でございまして、金額が四百三十億円、その総貸し出しに対する割合は二四%で、東南アジアに対する貸し出しよりも若干低い、こういう状況でございます。第三のグループがヨーロッパでございまして、これは総額三百八十二億円、比率におきまして二一%。で、この東南アジアと中南米、ヨーロッパ、この三つをもって大部分を占めているわけでございます。その他若干出ておりますのがアフリカ、北米、中近来、極東地域、大洋州、こういうものが少しずつあるわけでございます。
以上、昭和三十七年一月末現在の実績を基礎にいたしまして、御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/11
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012・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちょっと、今の貸付は、東南アジアとか中南米の地域別の貸付、全体の割合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/12
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013・大月高
○政府委員(大月高君) そうでございます。全体の貸付でございますので、輸出金融、輸入金融、投資金融を入れました数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/13
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014・木村禧八郎
○木村禧八郎君 もう少し東南アジアを詳しく、国別くらいにわかったら……。それから、投資金融のほうも国別くらいにわかったら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/14
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015・大月高
○政府委員(大月高君) 東南アジアの貸し出しの状況でございますが、今申し上げました五百二十六億円は、輸出金融、輸入金融、投資金融三つを含んだ数字でございます。二九%は総貸し出しに対する割合でございます。それで、輸出金融でございますが、件数三百三十件、金額五百十四億でございますので、その大部分が輸出金融、こういうふうにお考え願いたいと思います。
で、東南アジアでございますが、この範囲は大体フィリピン、南ベトナム、タイ、マラヤ、シンガポール、インドネシア、インド、セイロン、パキスタン、ポルトガル領ゴア、これだけの範囲をもって統計上東南アジアといたしているわけでございます。その中で特に金額の大きいものはインドでございまして、金額において二百四億円でございます。その次に金額の多いのがフィリピンでございまして、フィリピンは百二十四億円ちょっと切れるところでございます。第三番目の対象はインドネシアでございます。インドネシアに対する貸し出しは七十八億円でございます。次がパキスタンでございまして、七十億でございます。ここらが大きなところでございまして、あと今申し上げました諸国に対して若干ずつ出ている。
それから、輸出の対象でございます。輸出の対象におきましては船舶が最も多いわけでございまして、金額におきまして百七十五億円でございます。それから、その他おもなものといたしましては繊維機械でございますが、繊維機械が八十一億円、それに次ぐものといたしましては電気機械でございます。七十九億円。その他車両とかその他の産業機械、こういうものについて金融をいたしておるわけでございます。
なお、投資金融及び輸入金融は金額は非常に小さいわけでございますが、投資金融は九億八千万、おおむね十億足らず。それから、輸入金融につきまして二億六千くらいでございますので、その大部分が輸出金融になっておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/15
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016・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちょっと、今のね、投資金融は東南アジアについては九億幾らですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/16
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017・大月高
○政府委員(大月高君) 九億八千五百万でございます、、正確に申せば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/17
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018・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その他、さっきの三十七年度の計画二百四十九億でしょう、投資金融ね。どこが多いのですかね。東南アジア九億程度というと、三十六年度でも二百四十二億でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/18
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019・大月高
○政府委員(大月高君) 三十七年度につきましては、計算の基礎といたしまして、船舶等は現在の成約状況、それぞれ積み上げ、それに見通しを入れてございます。その他は見通しでございまして、特に、正確に地域別の統計は今時っておりませんが、大勢といたしましては今申し上げましたようなことでございますので、東南アジアが大部分で、中南米、それからヨーロッパ、こういうようなところに向けられる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/19
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020・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今の御説明は、これは三十七年度の計画ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/20
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021・大月高
○政府委員(大月高君) 全部実績でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/21
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022・木村禧八郎
○木村禧八郎君 三十六年度の実績。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/22
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023・大月高
○政府委員(大月高君) 一月末までの実績でございます。残高でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/23
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024・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、投資金融は三十六年十二月末で二百四十二億でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/24
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025・大月高
○政府委員(大月高君) 三十七年一月末で二百四十九億、おおむね二百五十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/25
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026・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、東南アジア九億八千万円といいますと、その他はどこなんですかね。二百四十九億というと、約二百四十億ぐらいはどこへの投資金融なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/26
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027・大月高
○政府委員(大月高君) 投資金融につきましては、御存じのように、アラスカ・パルプ及びミナス製鉄所、この関係の数字が多いわけでございまして、その他の数字が少ないわけでございます。投資金融につきましては、そういう意味で、アラスカ・パルプが北米でございますので、この数字が百十八億六千八百万、おおむね百二十億というのが北米向けでございます。それから、中南米のうちのミナスでございますが、ブラジル関係が四十九低九千五百万、おおむね五十億、中南米全部で五十三億八千七百万でございますので、その大部分がブラジルに参っている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/27
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028・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の説明で三十七年一月末の貸付金が千八百二十八億ということですが、これは現行法限度まで幾らぐらい残っているのですか。幾らぐらい差があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/28
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029・橋口收
○説明員(橋口收君) 計数にわたる御質問でございますので、私からお答え申し上げますが、先ほど銀行局長からお答え申し上げましたように、三十六年度末の資本金が七百八十三億円でございます。それから、法定準備金が十九億円でございますので、合計いたしまして自己資本の数字が八百二億円になるわけでございます。借り入れ限度は法律の規定によりまして自己資本の二倍ということになっておりますので、限度といしましては千六百四億円になるわけでございます。三十六年度末の借り入れ残高は千百七十四億円でございます。したがいまして、千六百四億円と千百七十四億円との差額、四百三十億円の借り入れ余力ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/29
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030・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それで、昭和三十七年度はどれくらい資金需要の増加を見込んでおられるか、その見込みについて説明していただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/30
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031・大月高
○政府委員(大月高君) 三十七年度の貸し出しの計画によりますと、輸出金融につきまして千百五十億円を予定いたしております。それから、輸入金融につきまして十五億円、投資金融にお−きまして八十五億円、合計千二百五十億円の貸し出し計画でございます。これに対する原資といたしましては、政府の出資金二百億円、資金運用部の借入金六百十億円、回収金等四百四十億円で、原資の合計千二百五十億円でございます。そういう意味で、回収金は別でございますので、結局政府出資と資金運用部の借り入れ八百十億円が純増になる、こういう計算になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/31
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032・荒木正三郎
○荒木正三郎君 そうすると、一月末の現在千八百二十八億円、それに今の説明の八百十億円増加する。それで結局二千六百億円、こういう予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/32
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033・大月高
○政府委員(大月高君) 一月から二月、三月の分が若干不正確な分がございますが、かりに一月末の数字を年度末と考えますと、今の仰せのような数字になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/33
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034・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それで、回収の問題ですね、これは資金計画及び実績によると、三十五年度の回収金が三百二十四億円、六年度が四百十億円、七年度が四百四十億円、こういう工合になっておりますが、回収率というのは貸付金額に対してどれくらいの割合で返ってきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/34
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035・大月高
○政府委員(大月高君) 輸出入銀行の金融の方式は、御存じのように、延べ払い輸出に対する金融になるわけでございまして、したがいまして、その延べ払いの期間によりまして一定の据え置き期間を置いて、あと年賦償還、こういうことになるわけでございます。そういう意味で、現在輸出入銀行ができましてから十年近くになりますので、ぼつぼつ初めの部分が回収が終わってくるような段階になるわけでございます。貸し出しの期限が大体七年、あるいは若干それをこえるというものもございます。投資金融につきましてはさらに長くあるわけでございますので、それが逐次分割されて返ってくる、こういうことでございます。お話がございましたように、三十両年の回収金が三百二十四億、二十六年の実績見込み四百十億、三十七年の計画四百四十億というのは、輸出入銀行の融資希望がだんだんふえてきますと、それを分別して償還してくる金額が逐次ふえてくる、こういう関係で少しずつふえて参っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/35
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036・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はよくわからないのですが、回収が順調にうまく進んでいるのかどうか、将来回収の見込みというのは確実であるのかどうか、そういう点。どんどん資金需要が大きくなって貸し出しがふえてくる、しかし回収のほうが確定にいくのかどうか、そういう点の保障とか、そういう点少し御説明して、もらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/36
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037・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちょっと、それに関連しまして、回収について、投資金融についての回収と輸出金融についての回収に分けて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/37
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038・大月高
○政府委員(大月高君) 現在の輸出入銀行の回収状況は、結論的に申しますと非常に良好でございまして、いわゆる滞り貸し的なものはございません。順調に返ってきておるわけでございます。輸出入銀行のこの点に関する審査の方針、つまり健全金融で滞り貸しがないようにという配慮につきましては、まず何と申しましても、これは輸出のための金融でございますので、外貨の手取りがなければ意味がない、こういうことから、相手の信用度を十分調査いたしまして、確実に回収が外貨によってできるということを全体の目安といたしておるわけでございます。現在のわが国の全体の延べ払い輸出制度といたしましては、御存じのように、為替管理法がございまして、まず為替管理法のもとにおいて十分に延べ払いの金融が回収できるかどうかということをまず実態的に審査いたしておるわけでございますが、それを受けて、円として金融いたします輸出入銀行の立場におきましても、十分健全性を確保するために、外貨面の回収が十分であるかどうかということをきわめて慎重に審査いたしておるわけでございます。なお、たとえば輸入金融等につきましても、商社あるいは日本側のメーカー金融をいたすわけでございますので、外貨の手取りが確実であるというほかに、国内の会社による担保あるいは保証というものをとりまして、二重の確実性を要求いたしておる、こういうことから、為替管理によるスクリーンでございます回収の確実性という点では、相手の信用度、その他国内の輸出者の信用度、そういうものを使っております。それから、最後には御存じの輸出保険の制度があるわけでございます。そういう最後の担保もある。しかし、現にそういう輸出保険を使うというふうなことでなしに順調に回収されておって、現在のところ滑り貸しがない。これは輸出金融につきましても、輸入金融につきましても、あるいは投資金融につきましても、目下のところそういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/38
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039・木村禧八郎
○木村禧八郎君 関連して。その貸付が日本の国際収支にどの程度貢献してきているのですか、そういうことはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/39
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040・大月高
○政府委員(大月高君) これは何と申しても、まず輸出が出るということが前提でございますから、この制度によって輸出がどのくらい伸ばされたかということは、これは計算上の仮定論になりますので、ちょっとはかりにくい要素であろうかと思いますが、具体的にそれでは輸銀が融資いたしまして輸出が出たものがどの程度国際収支面で貢献しているかということになりますと、現実には毎年回収として外貨が入ってきている。そのほかにいわゆる債権として残っております——これは為替局のほうの御所管でございますが、外貨準備というようなものをどこまで計算上入れるかというようなこともございまして、現に今の外貨準備の面から申しますと、輸出入銀行の融資の対象になっている延べ払いの金融の数字は外貨準備の計算からはずされておりまして、将来の含みになっているかと思います。そういう意味で、われわれのほうといたしまして、ちょっと数字はこの関係としては持っておらないわけでございますが、全体の延べ払い輸出、輸銀と一応離れまして、全体の日本の経済としての延べ払いの債権の関係は為替局長から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/40
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041・福田久男
○政府委員(福田久男君) 銀行局長からお答え申し上げたように、正確にどの程度どう影響しているかという点につきましては、ちょっと数字的にはお答えいたしかねるわけでありますが、これはすでに御承知のことと思いますが、できれば輸出代金は現金ですぐ回収できることが一番望ましいわけでございまして、できるだけそういうことになれば、輸出がすなわちただちに外貨獲得になり、輸入の資金源になるということでございますが、何分にも東南アジア、あるいは中南米、あるいはラテン・アメリカ、その他の国におきましては、いわゆる後進国におきましては、名先進工業国が輸出競争をいたしまして、どうしてもそれと対抗して日本の輸出市場を確保しなければならないという問題と、もう一つは、御承知のように、日本は資源が乏しいので、それらの地域における資源についての輸入を確保するという必要性と、これらの要請からある程度そういった延べ払いというものによらざるを得ないという実情になって参りまして、だんだんその要請が強くなっていることは御承知のとおりであります。したがいまして、純粋に申しますと、延べ払いでなくてキャッシュで輸出したいということでございますが、先ほど申し上げたようなこともございますので、ある程度そういった国際競争力との関係を考え、それから日本の輸入資源の確保という要請ともにらみ合わせまして、延べ払いもやむを得ないことであります。たまたま手元にあるのは残高の資料で恐縮でございますが、残高では回収が入って参りませんが、延べ払いの回収の残高は昨年末において約六億ドルでございまして、これが前年の末、つまり六十年の末では三億四千万ドルでございますので、その間二億六千万ドルばかり延べ払い融資の残高はふえております。また、さらにその前年の末、一九五九年末では二億四千万ドル程度、約一億ドル増加いたしております。もちろん、頭金なり年々の割賦の入金もございますので、実際の延べ払いをいたしました額はさらにこれに上乗せになるわけでございますが、ちょっと手元に資料が見当たりませんので、相当物的な輸出には貢献をしておるということは言えるかと思いますし、資金的には、先ほど申し上げましたように、延べ払いした分だけは外貨に入りませんので、しかし将来の債権として逐次回収されてくるということには相なるわけでございます。
なお、外貨準備との関連のお話ですが、外貨準備は非常に流動性の高いものだけに限っておりますので、こういった延べ払い債権は外貨準備の計算には入っておりません。現実に入金になりまして、それが預金になりあるいは米国短期証券等に運用されますれば、外貨準備に入ることになるわけでございまして、延べ払い債権の間は外貨準備とは見ておりませんので、その点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/41
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042・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それで、ちょっと話が変わりますけれども、信用状のない取引というのはないのですか、実際では、日本の場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/42
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043・福田久男
○政府委員(福田久男君) 取引と申しますか、一般の貿易輸出入の場合について申しますと、信用状のあるものと信用状のないものとございまして、新聞などにも出ておりますが、最近、それはすべての貨物の輸出全部含めまして、信用状のあるものが最近におきましては大体三分の二、信用状のないものが三分の一程度で推移いたしておりますが、若干信用状のないものが割合としてふえて参りまして、三分の一を少しこえてきておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/43
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044・荒木正三郎
○荒木正三郎君 信用状のない取引についても、この輸銀は貸し出しをやっているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/44
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045・大月高
○政府委員(大月高君) 輸出入銀行の融資の対象となっておるものは、ほとんど大部分が信用状付きのものでございます。それから、船の輸出の場合が大部分でございますが、これは船自体を担保にとっておりますから、そういう意味で貸し出しの確実性は保たれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/45
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046・福田久男
○政府委員(福田久男君) 先ほど申し上げたのは、私のちょっと誤解でございまして、お尋ねは多分輸出の場合じゃないかと思いますが、私は輸入の数字について申し上げました。輸出について申しますと、大体一割から一割五分、一割五分から二割見当は信用状のないものでございまして、信用状のあるものが八割くらいにはなっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/46
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047・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は最近東南アジアの貿易やっている人から開いたのですが、イギリスあたりでは最近は信用状なしでどんどん取引している。日本の場合はそういう工合になかなかいけないということで、輸出する場合日本が非常に不利な立場に立つのだ、こう言っていましたが、これはどういう事情ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/47
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048・福田久男
○政府委員(福田久男君) 輸出の場合に、信用状を取るか取らないかという問題でございますが、御承知のように、信用状がありますと、信用状を発行しました銀行が責任をもって支払をするという約束でございますから、代金の回収はきわめて確実度が高いということが言えるわけでございます。それに対して信用状のない場合には、相手方の輸入する人だけを信用するということになるわけでございます。したがって、相手方をどの程度信用するかという判断に結局は帰着することになるかと思います。したがって、信用状があれば非常に安心して輸出できる、信用状がない場合には相手がどの程度信用力を持っておるかというその判断に従ってやらなければならぬわけでございますから、もしもそこで事故がありました場合には、信用状があるほうが結果においてはよかったということになるでしょうし、また相手が信用できる相手でありますれば、信用状なしでもやれることもある。個々のケース・バイ・ケースで判断して、それぞれ自分の責任において措置していただくというほかはなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/48
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049・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は、輸出振興という立場から、今の問題を聞いているわけです。輸出を振興する、増大する、そういう立場から今の質問をしているわけで、お話のように、信用状がなければ不安定であるということは言うまでもないわけですね。しかし、今の貿易競争はそこまで来ているのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/49
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050・福田久男
○政府委員(福田久男君) 先ほど輸入について申し上げたように、特に輸入において顕著なわけでありますが、信用状なしの輸入の割合がだんだん上がってきております。たとえば、昭和三十五年度あたりでは、まだ信用状なしの輸入というのは割合は非常に低かったわけでございまして、大ざっぱに申しまして、二割ないし三割ぐらいのところを推移しておったわけでありますが、昨年三十六年度以降その信用状なしの輸入取引の割合は漸次上がって参りまして、先ほど申し上げたように、三分の一あるいは三分の一をこえて三〇数%というところまでふえている、全体の輸入を一〇〇といたしまして。そういう状況でございますので、何というか、取引の当事者の実態に応じてこれは変わっていくことに相なろうかと思います。しかしながら、信用状なしでやるべきであるということを、個々の取引の当事者の意向にかかわらず、あまり立ち入った指図もいたしかねるのが実情ではないかと思います。ただ、非常に危ないと思われるような場合には、むしろ信用状がないとこれは不安ではないでしょうかということは申し上げることはあるかと思いますが、したがって、信用状なしのほうがいいのか、あるいは信用状があったほうがいいのか、なかなか判断のむずかしい場合もあるわけでありますが、基本的には当事者の意思がまず第一段として出て参るわけで、その線に沿って是非を判断するということに相なるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/50
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051・荒木正三郎
○荒木正三郎君 輸入の場合、信用状なしの取引がふえてきているということですね。ということは、逆にいえば、外国から日本へ売る場合、信用状なしでどんどん入ってくるでしょう。それは商社を信用するとかということで入ってくる。日本の輸出の場合は、信用状というのは一割とか一割五分程度、そういう説明であったですね。ということは、日本は信用状がなければものを売らぬ、大体そういう傾向だということでは、この競争の激しい貿易で、なかなか輸出を伸ばすといっても、そういう点に若干の隘路があるのじゃないかというふうに思われるのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/51
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052・福田久男
○政府委員(福田久男君) 輸入の場合に信用状なしがふえました原因には二つあろうかと思います。一つは、日本の商社等の支店ないしはそれに準ずるような機関と日本との間の取引というのにつきましては、お互い信用状態もよくわかっておるということで、信用状の手数料を払わないでも輸入取引はやろう、つまり海外における商社活動がだんだん高まってきたということとの関連が一つ。それから、もう一つは、日本自体の企業の信用がある程度高まってきたということではなかろうかというふうに思います。したがって、輸出する場合にも、相手方の信用程度が非常に高い相手でありますれば、信用状なしでの輸出もやりやすい状況にあると思いますが、まあそれらの判断は結局輸出する人の判断に待たなければならぬというふうに、繰り返して同じことを申し上げて恐縮ですが、お答えにならぬかもしれませんが、結局輸出する人が輸出代金が取れなかったら自分の責任になるわけでございますから、輸出する人の判断でやっていただくということにならざるを得ないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/52
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053・荒木正三郎
○荒木正三郎君 在外公館ですね、とにかくものを売る場合に、やはり相手側の商社の信用程度ですね、相手側の商社の信用程度、これを的確に把握する必要がありますね。そういう面において、在外公館がどれほど業者に協力しているかという問題ですね。私どもが聞いているところでは、ドイツあたりの在外公館は非常な手を入れてやっている。日本の場合も、大きな商社であればそれは相当な調査もできると思うのですよ。しかし、中小企業の輸出産業ではなかなかそこまで手が回らない。だから、相手側の信用程度というものを把握するのが非常にむずかしいと言っているのですが、ところが、西ドイツあたりはそれを在外公館が非常な努力をして調査して商社に協力しているという話を聞くのですが、あなたのほうの直接の関係でないかもしれないですね、外務省の関係かもしれぬのですが、日本の場合は非常に冷淡だと言っておりますよ。そういう点、どうですか。ですから、なかなか信用状なしで取引するといってもむずかしい、商社の信用程度がわからぬから。こういう声を聞くのですが、どれぐらい外務省の領事館等がそういう商社に協力するような調査をしたりあるいは助言をしたりしているのかという点、私的から聞きたいと思っておったのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/53
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054・福田久男
○政府委員(福田久男君) 実は外務省の所管事項でございまして、あまり詳しく私承知しておりませんが、漸次在外公館におけるただいま御指摘のような活動を充実する方向で考えてやっておるとは思いますが、まだお話のように十分な域にはもちろん到達していないのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/54
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055・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それで、さっきの問題、信用状なしの取引ですね、私、東南アジアの場合を言っているのですが、東南アジアの場合若干不安定です、これは確かに。しかし、イギリス等の最近の傾向を見ると、信用状なしの取引というのが非常に増大している。これは最近東南アジアから来た商社の人に会って聞いたのですが、非常にイギリスの場合は便利だと思うのです。それは便利ですね、信用状なしで取引できるんだから。それで、非常にイギリスの場合はふえてきておる。どういうふうにふえているのか数字的に私知りませんけれども、日本の場合はなかなかそこまでやっておらぬ、窮屈だ、それでコストも高くつく、こう言っておりましたが、イギリスの場合はどの程度になっているのか、調査されたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/55
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056・福田久男
○政府委員(福田久男君) イギリスの場合の具体的な計数等は実は調査いたしておりません、不勉強で申しわけございませんが。想像いたしますと、イギリスと東南アジアの諸国の中では英連邦諸国と申しますか、イギリスと縁の深かった国がだいぶ多いわけでございます。それらの地域においてはイギリス系の事業がだいぶ入り込んでおるんじゃないか、言いかえますと、イギリスの海外投資等において、それらの諸国に企業を起こしておるとか、あるいは商社活動をそこに積極的にやっておるというような事情が特に多いんじゃなかろうかというふうに想像されます。かりにそういたしますと、東南アジアにあります企業とはいえ、いわば英本国の企業から見ると親類づき合いみたいな企業でございますので、信用状態なりなんなりの状態が比較的高く信用し得る状況にある場合が割合多いんじゃなかろうか。そういたしますと、おのずから信用状なしの取引もふえ得ると、そういう基礎的な条件もあるんじゃなかろうかというふうに想像されます。実情はよく調べておりませんので、計数的なお答えのできないことをお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/56
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057・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私は、もう少し芸のこまかい対策、実地の指導というものがまだ日本の場合は欠けているんじゃないかという感じを持っているんですが、これは外務省関係に聞かないとよくわからぬのですが、特に最近フィリピンにおける日本の商社ですね、非常に困っている問題が起こっているといいますが、少し説明してもらいたいと思う。あなたのほうでわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/57
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058・福田久男
○政府委員(福田久男君) フィリピンにおきまして最近日本の商社の活動あるいは商社の職員の入国等について何らかの制限的な取り扱いをすることになったように聞いておりますけれども、実は詳細承知しておりませんので、抽象的にそういうふうに情報は聞きましたが、詳しく外務省からなお聞いた上でないと、お答えできないことをお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/58
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059・荒木正三郎
○荒木正三郎君 これは外務省を呼んでもらわないと困ると思いますが、私、最近フィリピンから帰って来た日本の商社の人に聞いたんですが、一斉手入れを受けたというんです。これはどういう事情で手入れを受けているのかですね、そういう点の説明をちょっとしてもらいたいんですが、あなたのほうでわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/59
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060・福田久男
○政府委員(福田久男君) 外務省からもう少し正確な詳しい情報を得ました上で、申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/60
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061・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それでは、この問題をちょっと私まとめて質問したい点があるんで、外務省はだれですかね。担当は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/61
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062・上林忠次
○理事(上林忠次君) 経済局ですかね。呼びましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/62
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063・荒木正三郎
○荒木正三郎君 呼んでもらわないと、日本とフィリピンの関係は非常に悪化しているように聞きますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/63
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064・上林忠次
○理事(上林忠次君) 午後呼びましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/64
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065・荒木正三郎
○荒木正三郎君 午後ね。それからにこの問題の質問はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/65
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066・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まず具体的な問題を一つ聞きますが、借り入れ限度を三倍にしますね。そうしますと、だんだん借入金が多くなると資金コストが高くなるんじゃないか、そこで貸し出し金利に影響してくるんじゃないかという疑問が出てくるんですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/66
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067・大月高
○政府委員(大月高君) 今回御提案申し上げております輸出入銀行法の改正案の一点は、今お話がございました借り入れ限度が自己資本の二倍になっておりますのを三倍に上げるという点でございます。で、この趣旨は現在の輸出入銀行の出資に関連いたすわけでございまして、出資金額及び準備金の合計額に二倍をかけて、それが借入限度になるわけでございますが、ところが、産投特別会計の資金には必ずしも全体として余裕があるわけじゃございませんので、非常に苦労をして輸出振興のためにこの出資を出している、こういう実態でございます。それで、資金運用部の金を使うといたしましても、そういう限度の上で限界が自然にできてくる。ところが、輸出入銀行の業務といたしましては、普通の銀行業務と若干ニュアンスが違っておりまして、たとえば輸出契約ができる、繰り延べ契約ができるということになりますれば、輸出入銀行としてはそれを貸してやることが、ある意味では前提となるわけでございます。せっかく輸出契約ができますのに輸銀が融資をしないということになりますと、この輸出は事実上とまってしまう。輸出振興上非常に都合が悪いというような事態になりますので、この輸銀の資金は必要に応じてできるだけ確保する努力をいたしたい。そういたしますと、今の産投による出資に限界があることから、資金運用部にかりに余裕がございましてもこれが資金の充実ができない、こういうことになるわけでございます。それで、今回の改正によりまして、二倍を三倍にすることによりまして、その出資の制約から来る制限を緩和するということになるわけでございます。
それでは、この三倍にいたしました結果、相当借り入れ限度がふえるわけでございますので、これを限度一ぱいまで借りるつもりかという問題でございますが、われわれといたしましては、お話のございましたように、資金コストの問題もございますので、大体二倍におさまるような当初の計画でこの輸銀の融資を実行して参りたい、しかし年度の途中でどうしてもこれをふやさなくちゃいけない、資金が足りないという場合に、二倍では困るというような場合があると思いますので、そういう臨時的な感覚といたしまして二倍を三倍に上げる。それじゃ、二点幾らというような倍率ということも考えられますが、これは一般の常識といたしましてそういう端数をつけることも適当でない、二倍をこえ得るという意味におきまして三倍といたしたわけでございます。そういう意味で、輸出入銀行のコストを高めないためにも、三倍ぎりぎりまで金を借りるということをしないで、二倍程度のところで問題を処理して参りたい。臨時に二倍をオーバーする場合の臨時的な事態に対処するために三倍にする、こういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/67
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068・木村禧八郎
○木村禧八郎君 少し長期的に見ますと、しかし、その問題はやはり起こってくると思うのですね。自己資本をふやさないで、借入金が多くなってくれば、どうしてもコストの問題と関連してくると思うのですよ。この輸出入銀行の目的が、先ほど御説明あったように、一つは国際競争力をつけるという点にあるわけですね。それは延べ払いということはいつでも国際競争力をつける一つの条件ですが、しかしまた、金利というものも一つの国際競争力をつける重要な要因ですから、長期的に見ますと、この問題はやはり起こってくるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/68
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069・大月高
○政府委員(大月高君) ただいまお話のございました輸銀の金利についての考え方でございますが、これは国際競争力という意味におきまして、日本の金利が高いわけでございますので、その水準を国際金利水準まで引き下げまして、競争上不利がないようにいたしたい。これを積極的にいわゆる輸出補助金的に使用いたしますことは、国際関係からいいましても、諸外国の非難を招くことになりますし、適当でない。そういう意味で、割高な金利を国際水準程度まで下げるというのがわれわれの目標でございます。
具体的な輸出入銀行の金利につきまましては、協調比率がございまして、市中金融と協調融資をやっておりますので、市中金利の上がり下がりと輸銀の金利の上がり下がりと相関関係がある、そういうことでございます。現在輸出金利として輸銀が持っておりますのは、年四分を最低といたしまして、建前は七分まで金利は上げられる、こういう建前でございますが、現在は、昭和三十年に四分にいたしまして以来、ずっと実質上据え置かれておる、こういうことでございます。ところが、国際的な金利はその後ずっと上昇して参りまして、当時三十年に、たとえばワシントンの輸銀の金利は四分から四分七厘五毛であったわけでございますが、現在は五分七厘五毛から六分軽度に上がっておる。国際的な金利水準は大体これに反映されておると思うのでございます。それから、一方、日本の国内金利につきましても、ときに上がり下がりはございますけれども、当時三十年に二銭四厘でございました一般プラント向けの輸出金利が、現在の状況におきまして、三十六年の上期二銭二厘、下期二銭三厘というふうなことでございます。逐次全体として下がってきておるわけでございます。それから、船舶は三十年二銭七厘でございましたのが、現在二銭四厘程度というふうなことになっておりまして、全体としての国内の金利水準は下がっておる。こういうようないろいろなことから、われわれといたしましては、ある程度輸出入銀行の金利は上げてもいいのじゃないかということを考えておるわけでございますけれども、これは一般的な感じでございまして、現在のようにできるだけ輸出を伸ばさなくちゃいかぬ、こういう緊急的な総合的な対策を講じておる際でございますので、輸銀の金利を上げるということは今の感覚に合わない、そういう意味で据え置いております。そういうことから考えますと、ある意味で長期的に考えますれば、輸銀の金利四分というものの調整はある程度可能でございますので、そういう全体の感覚を考えまして、またこの三倍の問題の運用も考えて参りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/69
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070・木村禧八郎
○木村禧八郎君 ちょっと資料を要求しておきたいのです。あとで質問したいのですが、経済協力基金の問題ですね、それから今の投資金融と関連が出てくるわけなんですね、やはり出てくるのですが、この経済協力基金の内容ですね、それは今どうなっておるのか。これは海外経済協力基金という機関ができているわけですね。柳田さんが会長ですか、そこの資金運営の実情、国別、事業別、商社別貸付条件等、なるべく詳しく。その実態がよくわからぬのですがね、われわれには。これを資料として出していただきたいのです、なるべく詳細にね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/70
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071・大月高
○政府委員(大月高君) 経済協力基金の所管は現在企画庁でございますので、企画庁に依頼いたしまして、提出してもらうようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/71
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072・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、これは質問するときに、企画庁の人に来てもらいたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/72
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073・上林忠次
○理事(上林忠次君) 午前中はこれをもって休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後一時三十二分開会
〔理事上林忠次君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/73
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074・上林忠次
○理事(上林忠次君) ただいまから委員会を再開いたします。
午前に引き続き、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の質疑を続行することといたします。
質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/74
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075・荒木正三郎
○荒木正三郎君 輸出の場合の融資ですね、通常四%、年四分ということになっていますね。先ほど木村委員からも質問がありましたが、これで輸出振興にどの程度役に立っておるかという質問なんですがね、それについてはっきりした答弁がなかったのでありますが、この四分といえば日本の国内では非常な低金利ですね。で、これで実際に融資を受ける必要がないという場合でも、この融資を受けて利ざやをかせぐという傾向はないですか。私はそういう点で相当あちこちから聞くのですがね、利ざやをかせいでいる例を。そういうことがあるんじゃないかと思って質問をするんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/75
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076・大月高
○政府委員(大月高君) ただいまの四分の金利が輸出振興にどの程度役に立つかという問題でございますが、午前中若干御説明申し上げましたように、諸外国の金利水準が昭和三十年以降の統計から見て少しずつ上がってきております。輸銀の金利は据え置くと、それから日本の国内金利が若干下がっている、こういうことを総合いたしますと、金利の面からする国際競争力は総体的に上がっておると見ていいと思います。そういう意味で、この輸出入銀行の機能といたしまして、まず金利面からは十分国際競争に耐えるだけの援助をしております。
それから、第二の問題は、融資の期限の問題でございまして、市中金融機関におきましてはどうしても貸し出し期限が短くなるわけでございます。これを補完するために輸銀で長期の金融をやっておるわけでございますから、これは市中銀行としてどうしても乗り出し得ないものをこの輸銀でやっておるという意味におきまして、延べ払い金融については十分の寄与をなしておるものじゃなかろうか、こう考えるものでございます。
それで、次に、それじゃ、具体的に輸銀の金を借りなくてもやれる企業が輸出振興という名において不当の利得をしておるんじゃないか、こういう場合があるのではないかというお話だと思いますが、今申し述べましたように、金利は総体的には有利になっておりますが、それによってマージンをかせぐという趣旨ではございませんので、コスト計算等十分いたしまして、必要な限度において輸銀の金融をつけておる。特に計算の方式といたしましては、たとえば契約価格が十億なら十億といたしましても、その中から会社が利潤を得るわけでございます。その利潤部分は当然融資の対象にしないと。それから、残りの部分につきましても、市中銀行との協調がございますので、それを差っ引きますと、全体の契約価格の約四七、八%、半分足らずの金額の融資になるわけでございまして、特に利潤部分を排除して融資するという建前を堅持いたしておりますので、この輸銀融資を受けたために不当の利益を得るということにはならないと思います。また、輸出振興でございますから、どちらかといえばマージンは国内の商売をやるよりもいいというほうが気持の上ではあるわけでございますけれども、そういう意味も含めまして、特に不当な利得ということにはならない。けれども、若干それは非常にぎりぎりの線ということにもならないような感覚だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/76
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077・上林忠次
○理事(上林忠次君) 政府側の人の御紹介をいたしますが、経済企画庁調整局から羽柴参事官、外務省経済局和田参事官、大月銀行局長等であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/77
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078・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほど、この輸出入金融によってどの程度日本の国際収支に貢献しておるかということを質問したのですが、融資による外貨の回収の残高ですか、だんだん多くなっておりますね。三十四年三億四千万ドル、三十五年三億四千万ドル、三十六年末六億ドルくらいと。これは長期的に見ますとだんだんふえていく傾向にあるのですけれども、そういう傾向になっていくものですか。今後の見通しは大体どういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/78
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079・大月高
○政府委員(大月高君) やはり輸出の規模が増大して参りますと、全体としての延べ払い金融の金額もふえて参りますし、金額の少なかった分の何分の一かずつ回収していくと、しかしそれに対して新しい融資の額はふえていくわけでございますから、残っております債権はまあ逐次増大していく。これはやはり貿易が拡大していけば当然でございまして、その中身が不健全でないという条件さえ満たしておれば、将来の外貨回収力も含んでおるわけでございますから、いいのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/79
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080・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この輸出入金融、特に東南アジア向けが非常に多いということは、先ほど御説明でわかったのですが、これは目的は東南アジア方面における国際経済競争力を強めるということが一つと、それから輸入の資源を確保するということが一つ、それが目的になっておると伺ったのですが、そのほかに、低開発国に対する援助という意味ですね、そういうものもやはり含まれておるのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/80
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081・大月高
○政府委員(大月高君) 御存じのように、インドに対する円借款、あるいはパキスタンに対する円借款、その他各国との協定によりまして輸出をいたしておる分がいろいろあるわけでございますが、その他ベトナムに対する円借款、あるいはベトナムに対する経済協力、こういうようなもの、あるいはインドネシアに対する経済協力、その他いろいろな協定によりまして輸出をいたしておりますので、今申し上げました数字は、こういう協定に基づく輸銀の融資というものを全部含んだ数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/81
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082・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、日本はDAGに加盟していますね。そういうDAGに加盟しているああいう精神に基づいての融資なり投資というものも含まれていると見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/82
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083・大月高
○政府委員(大月高君) DAGの関係は、直接日本からの輸出でございませんので、これは統計の外になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/83
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084・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、その考え方ですよね。日本はOECDにはまだ参加できないけれども、その下部機構であるDAGには、低開発の援助についての委員会ですか、それにはまあ辛うじて参加を認められているわけですが、そこでいろいろこの低開発援助について、前に、御承知のようにあれはイギリスが提案したのですか、国民所得の一%とかですね、そういう説も出たわけです。それから、日本の低開発国に対する援助というのは、この輸出入銀行からの援助というものは低開発国に対する援助とは認められないじゃないかと、日本は非常にがめつくて、そういう商売を通じて援助ということも行なっているのであって、低開発国援助というのはそういうものじゃないのじゃないかというようなことがいわれておるのですよ。そういう関係で聞いておるのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/84
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085・大月高
○政府委員(大月高君) 結局、低開発国の援助になるかならないかという実体の問題は、一つはコマーシャル・ベースをはずすかどうかという問題が一つあると思いますが、これは各国の経済援助におきましても、回収ができるということは前提にいたしておるわけでございまして、回収ができるうちで一般にコマーシャルと考えられておる分野を踏み越えておれば、これは援助的色彩が非常に強い。しかし、実際には、感覚的に考えまして、はたしてどこまでがいわば援助といわれておってどこまでがコマーシャルであるというのかは、なかなか抽象的にはきめがたい問題かと思います。それはたとえば償還期限が非常に長いというふうな場合に問題になるのじゃないかと思うわけであります。それから、第二の問題は金利でございますが、金利がどのくらいならばコマーシャルであって、どのくらい低くすればまた援助になるかということも、その当時の世界の金利水準、あるいは各国の国内の金利水準、あるいは日本で申しますれば輸出入銀行が平生一般にやる場合の金利水準、そういうものとの関連でやはり具体的に議論される問題だと思います。そういう意味で、いろいろな国際会議において、日本がインドに出したりあるいはほかの国に出す円借的なものは単なるコマーシャルなものであって援助ではないのじゃないかという議論も率直にあるわけでございますけれども、そこらの分界につきましてはなかなかデリケートなものがあるわけでございまして、実際の条件といたしましては、必ずしもたとえば延べ払い金融を七年程度にしておるというようなそういうものではなしに、それが十年になっておりましたり、あるいは十五年になるというものがあったりいたしまして、そこはそれぞれの具体的な事例に応じて相当好意的に配慮はされておるわけでございます。それをまあどちらに範疇づけるかということはなかなか微妙な問題でございますけれども、やはり低開発国の援助という思想がまあ当然入っておるというふうに考えるわけでございます。ただ、輸銀が実行いたす問題でございますので、輸銀のペースを完全に離れてしまうわけにはいかない。そこらがちょうどまあその中間のところにあるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/85
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086・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その輸銀の投資金融の場合ですね、これはタイド・ローン的なものなんですか、それともアンタイドですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/86
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087・大月高
○政府委員(大月高君) これは出資のための金融でございまして、それが直接物の輸出には結びついておりません。ただ、現実の問題としましては、その出資しました金が向こうの側で一部延べ払いに輸出に使われる面もあるかと思いますけれども、大体においては出資は出資で先方のいろいろな設備その他の金に使いまして、延べ払い輸出で原材料あるいは機械を輸出いたしますときには、別に延べ払い金融をその外ワクとしてつけておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/87
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088・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、私が質問しているのはですね、そのタイド・ローンの場合は、日本が金融した場合ですね、それによって日本から建設資材とかなんとかを、物を買うということが条件になるわけですよね。で、アンタイドのときは、御承知のように、日本から買わなくてもいいわけで、どこから買ってもいいということになるわけですね。ですから、タイド・ローンのときは日本の貿易と結びつくわけですよね。そうでしょう。ですから、そういう結びついているのかという質問なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/88
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089・大月高
○政府委員(大月高君) 先ほど申し上げましたように、一つの、たとえばミナスを例にとって考えますと、ミナスに対する輸銀の融資の方式は、こちらに日本ウジミナスという会社がございいまして、ブラジルにブラジル・ウジミナスという会社がございます。それで、日本のウジミナスが先方のブラジル・ウジミナスに対して出資する、及び日本のウジミナスが機械その他の建設資材を輸出すると、こういう格好になっておるわけでございます。で、輸銀はもっぱらこの日本のウジミナスに金融をいたしておるわけでございまして、その金融の方式としては、一部は日本ウジミナスがブラジル・ウジミナスに出資をするための金の金融をつける、これがいわゆる投資金融でございます。輸銀の面から見ますと、これは投資金融になります。それから、日本ウジミナスが日本の機械メーカーその他から物を買いまして、それをブラジルのウジミナスに売るという格好において建設をやっておる。その場合には機械の輸出という形になりますので、輸出入銀行といたしましてはその延べ払い輸出に対しまして別途輸出金融として金融をしておる、こういう二本建てでございます。そういう意味で、別にタイド・ローンという格好で金融をしなくても、機械の輸出そのものを金融いたしておりますから、実質上において日本の資材が輸銀の援助によりましてブラジルに供給されておる、こういうように考えられるわけでございまして、外国から機械を買う金としては事実上使われないようになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/89
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090・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはアラパルの場合も同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/90
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091・大月高
○政府委員(大月高君) プリンシプルは同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/91
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092・木村禧八郎
○木村禧八郎君 では、タイド・ローンというようなものじゃないですね。それで、貸し付けたときですね、日本から品物を、機械なりその他の物資を買わなきゃならぬというそういう条件がついておるわけじゃないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/92
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093・大月高
○政府委員(大月高君) むしろ、タイド・ローンの感覚は金を貸すという観念が先に参りまして、その金でまあ何を買うかということがはっきりいたしますとタイド・ローンになると思いますが、今のウジミナスその他に対する金融は、観念的でございますが、物の輸出が先行いたしまして、その輸出に金融をつける、こういうことでございますから、もっとはっきり金融的に申しますと結びついておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/93
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094・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、基本的な問題なんですけれども、この輸出金融は、東南アジア向けの、後進国向けの輸出金融あるいは投資金融が多いのですが、今後の見通しとして、日本の輸出市場としての東南アジア、これはどういうふうに考えて今後輸出入銀行の運営をやっていくのか。提案理由では、国際収支の均衡回復のためにも積極的な輸出振興が必要であるというふうになっておるのですが、最近日本の今後の輸出市場としてのいわゆる後進国の、特に東南アジア等の位置というものをどういうふうに考えるかということについて、いろいろ議論があるわけです。ことにEECに対してイギリスは参加しましたが、そのイギリスが参加した意義についてはいろいろ見方があるでしょうが、一つの見方は、これまで先進工業国が後進国に援助をしたりなんかして、そしてさっきお話ありましたように、後進国から安い原料をひとつ獲得する、そういう形はもう時代おくれではないか。イギリスがEECに参加したのは、そういう従来の何というのですか、先進国と後進国の経済の結びつき方、そういうことを清算というのは言い過ぎかもしれませんが、むしろ先進工業国との連携を強めることによって貿易を拡大していくべきである、こういう今後の国際貿易に一つの新しい形を示した、こういわれておるわけです。そういう見方はあるのです。それで、後進国に対する経済的な開発ですか、そういうものは非常な長期を要するのであって、ことに東南アジアあたりの外貨不足は、これはそう簡単に解消できるものではないわけです。そういう見方と、それから日本はだんだん重工業化していくべきである。だから、重工業化していく場合に、アメリカとかあるいはヨーロッパ等日本より進んでいる重工業国、そういうところに輸出をふやそうとしてもそれは困難ではないか。やはりそういうところに軽工業品を輸出して、重工業品としては後進国への輸出、そういうものに重点を置いていくべきである、こういう考え方が二つあるわけです。今後輸出入銀行が輸出振興のために積極的に輸出金融とかあるいは投資金融を行なっていく場合に、どういう基本的な考えで行なっていこうとしているのか。これは長期的に見た場合、非常に重要な問題だと思うのです。このまま今までのような惰性で、とにかく東南アジアだ、東南アジアだと一生懸命に力を入れてやってきているのですが、ただ今までの惰性で産投会計からの出資をどんどんふやす、あるいはまた借入金限度をどんどんふやして、そうして東南アジアを重点的にどんどん輸出金融なり投資金融をやっていっていいのか。そうして残高が今後どんどんとふえていくのですよ。そういう残高の回収が順調にいくのかどうか、そういう点、私は疑問がある。事務当局としてもそういう点十分に経済企画庁あたりとも意見を交換されて、そういう点については作業されておると思うのですけれども、輸出入銀行の運営を考えていく場合に、そういう点についてもやはり考えておかなければならぬのじゃないかと思いますので、この際参考に聞いておきたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/94
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095・福田久男
○政府委員(福田久男君) なかなか大切な問題で、またいろいろと議論の多い点を含んでおると思いますが、基本的に考えてみますと、たとえば日本の輸出構造から考えてみまして、アメリカの占めるウェートが非常に高い。それからまた、欧州も日本品の欧州諸国の輸入、日本からいえば輸出ですが、たとえば国民一人当たりについて見ましても、非常に日本よりの輸入量は少ないというような点がまず一つ問題になると思うのですが、アメリカについてみましても、あるいは欧州の工業国について見ましても、かなり工業水準の進んでおる国は日本の工業品を輸出する余地があるのかどうかという議論があると思いますが、やはりそれぞれ特色を持った業種あるいは持色を特った製品というものにつきましては、それらの諸国に対しても輸出力を持っておるというふうに言えると思いますし、日本の産業そのものがだんだん合理化され高度化されて参りますと、そういう分野もおいおいと広がっていくということも考えられるのじゃないかというふうに思います。当面、特に欧州に対しましては、先ほど申し上げたように、日本からの輸出がまだ非常に少ない。言いかえますと、相手国の側で日本からの輸入について差別待遇をしておるというところに一つの大きな間拠点があると考えられるわけであります。最近、それらの点についていろいろと外交交渉、貿易交渉等を通じまして努力を重ねて参りました結果、幾分とも改善されつつあるのでございまして、今年度、三十七年度におきましても、そういう欧州方面への輸出の伸びはかなり大きく伸びるのじゃないかというふうに見込まれるような状況になっております。現在対英——イギリス関係、あるいはフランス関係、あるいはイタリアなども交渉を続けておるわけでございますが、漸次対日差別というものは緩和される方向に進んでおると申し上げていいと思います。
やはり問題は、東南アジアとかあるいは中南米とか、そういった後進国に対する輸出関係で、それらの欧州その他の先進工業国と日本とが輸出競争の場として競争的立場に立つという点が、たいへんにまた大きな問題でもあるわけであります。したがって、それらの国に対しましては、購買力は、購買する意欲はあるけれども、日本よりの輸入する力を伴わないという点に問題があるわけであります。欧州では、買う力はあるけれども門戸を開いてくれないので日本から買ってもらえないという問題があるのに対して、後進国については、買いたい気持はあるのだけれども買う金がないというところに問題がある。したがって、それらの地域においては、それらの先進工業国と競争するにあたっては、やはりどうしても、午前中にもお話がありましたが、延べ払いとか、そういう形において相手国のほうも競争に出て参りますので、それらの競争条件を勘案しながら、日本としても延べ払いについて適当なる輸出ができるような配慮を加えていかなければならない。そういう意味で、輸出入銀行の今度の活動はもちろんそれらの後進諸国がどうしても中心になるんじゃなかろうかというふうに考えられるわけです。で、EEC諸国は経済の状態が非常に相互の間で似通っておるという、同じ程度の進み工合であるということから、適業適地主義というものが最も進んだというか、最も工合のいい姿で進行して参っておるわけですが、先進工業国相互のそういった競争は現実には後進国に対する輸出という面で露骨に現われてくる可能性が非常に強いということは申し上げられるのじゃないかと思います。で、購買力がない、それからほかの先進工業国との競争場裏になるという点から、繰り返して申し上げますが、それらの後進地域における延べ払い輸出というものが、やはりどうしても今度の輸出入銀行の業務の大きな部面を占めるということにならざるをえないのじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/95
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096・木村禧八郎
○木村禧八郎君 御承知のように、最近世界的に、国際的に経済が非常に大きく変わってきておりますね。特にEECの問題、それからイギリスの参加の問題、それからアメリカのEECへの協力の問題等非常に変わってきているんですが、今後まあ輸出入銀行を中心として日本の輸出振興、国際収支の改善のために積極的に運営していくといいましても、やはり最近のそういう世界経済の情勢の変化も考えながらやっていく必要があるんじゃないかと思うのですね。どうも東南アジア、東南アジア。これはまあ日本は中国市場を失い、まあ失わされているといってもいいと思います、政治的に。共産圏貿易はあまり振わない。そこで、東南アジアへ日本は行かざるを得ないようにまあされておるのですがね。この東南アジア、東南アジアと、ずいぶん重を置かれておりますが、しかし、どうもどれだけそれが実際の効果があるのか私は疑問に最近思っているのですよ。むしろ経済的よりは政治的な意味が強いのじゃないかというような考えを出しているのですよ。たとえばドル防衛のために、アメリカは海外援助とか軍事援助を節約をせざるを得ない段階に来ておりますね。そういうのをほかの国に肩がわりさせるという、そういう方向に向いておるように思われるのですが、そこで、その輸出入銀行のこれまでの輸出金融なり投資金融なりの実績をさっき伺ったわけなんです。
そこで、もう少し具体的にその点を、どの程度に効果があるものかをもう少しはっきり知りたいのです。で、さっきのウジミナスのブラジルの開発の状況はどうなっているのですか。これは経済協力基金から融資されているのじゃないのですね。輸出入銀行のほうの融資対象になっているのですね。現状は一体どうなっているのですかね。少し詳しく聞きたいのですが、最近継続投資やられたんですか、そういう実情を少し詳しく伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/96
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097・大月高
○政府委員(大月高君) では、やや具体的な話になりますので、特別金融課長から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/97
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098・橋口收
○説明員(橋口収君) ミナス製鉄所の建設の状況でございますが、本年の六月に高炉に火入れをするということで、建設計画は順調に進んでいるように承知をいたしております。ただ、六月の火入れが若干おくれまして夏ごろになるというような情報を最近得ております。建設自体は順調に進んでおるわけです。お示しにございました最近追加投資の問題でございますが、昨年ブラジルからミナスに関するその後の建設の促進とそれから資金調達の問題について、日本側との間に商談があったわけでございます。その結果、ブラジル・ミナスの資本金を増額すると、それに伴って日本側の負担分に相当するものについて日本ウジミナスが出資の払い込みを行なう、それに必要な資金として輸出入銀行からさらに三十五億円の追加融資を行なうということがきまったわけでございます。で、そのほかに、あるいは為替局長のほうからお答えがあるかと思いますが、ブラジルに対する債権国の集まりがございまして、日本側もオブザーバーとしてそれに参加いたしました結果として、ブラジルの外貨事情を緩和するために日本側が援助を行なう。その援助の方式としまして、ブラジル・ミナスの所要資金を補てんするという形におきまして、輸出入銀行からブラジル側に対しまして新たに資金供与をするという二つのことがきまったわけでございます。製鉄所の建設は、先ほど申し上げましたように、順調に進んでおりまして、高炉に火入れを行ないまして、逐次生産段階に入って参るということで、少なくとも当面の資金事情は、ただいま申し上げましたような二つの措置をとることによりまして、順調に進んでいくという状況になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/98
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099・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうして、これは私は計画内応をよく知らぬのですが、ミナスの製鉄所を作って、そこでできたものを日本に持ってくるのですか。で、その経済効果はどれだけあるのか、そういうことがはっきりわからぬのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/99
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100・大月高
○政府委員(大月高君) ブラジルのウジミナスの建設につきまして、わが国が全体として援助をすると。そこでりっぱな製鉄所を建設することによって、まあブラジル国内において良質の鉄ができる。あすこには非常に良質豊富な鉄鉱石がございますので、それを開発するという意味を持っておるわけでございます。
それで、このことが日本経済とどういうつながりがあるかという問題でございますが、まず第一に、これは日本とブラジルとの相互の認識を深めまして、資本及び技術の両面から両国の経済交流を促進するという目的を持っておると思います。日本の製鉄技術は相当進んでおりまして、先進国に負けないような技術を持っておるわけでございますので、その技術とブラジルにございます豊富な良質な鉄鉱石と結びつけまして、一つの製鉄会社の建設をやるわけでございまして、そういう意味で、両国の広い意味の経済協力と申しますか、あるいは経済交流に役に立つというのが基本的な感覚でございます。
第二の問題といたしましては、そこでできました鉄は日本へ輸入するということではございませんので、そこでできた鉄を使いましてその地方に重工業を起こすと、こういうことでございます。それはブラジル自体の工業化にも役に立つわけでございますが、広い意味におきましてはわが国からの企業の進出に役に立つであろう。そこでできます鉄を原料といたしまして、いろいろな重工業的な産業を起こすと、それによって日本からいろいろな物が出ていく基礎になるわけでございます。
それから、第三の問題におきましては、面接建設の過程におきまして日本の建設資材が出るわけでございます。これが輸出入銀行の輸出金融の対象として出ていっておるわけでございますので、そういう意味において大いに日本の輸出に寄与しておるわけでございます。
さらにまあ大きく見ますれば、だんだんそこらに大きな工業地帯ができますれば、農業移民的な問題もあるいは考えられるかというようなことでございまして、ブラジルの資源の開発、日本の技術の進出、それからひいては大きな意味の日本とブラジルとを含めました経済圏を築こう、ある意味では夢のような話でございますけれども、この製鉄所の経済的基盤が非常にいいわけでございますので、長い意味におきまして日本経済に相当の寄与をするであろうかと、こういうところから始まった話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/100
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101・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まだ輸出入銀行自体の問題についていろいろ伺いたいのですが、それはあとにしまして、先に経済協力基金ですね、その内容について伺いたいんですが、まあ経済協力基金は、あれは一萬田大蔵大臣のときですか、一応基金を設けましたですね。で、今基金は幾らあるんですかな。それが国別、それから事業別にどういうふうに今運営されているのか、それから貸付条件等はどうなっておるのか、それから今後計画としてどういうものが予想されておるのか、そういう点についてなるべく詳しく伺いたいんです。この内容がちっとも知らされていないんですよ。本来なら、こういうものは私は国会の審議の対象にならなければならぬと思うんですが、国会では全然こういうものを審議する機会がないんです。ですから、この機会にこれを詳しく伺っておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/101
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102・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) まず第一に、出資の点でございますが、現在のところ、経緯がございまして、実は昭和三十五年の三十七国会で海外経済協力基金法が可決されたのでございまして、三十五年十二月の二十七日に公布をされました。施行は三十六年の一月十六日でございます。その基金法によりまして、まず資本金は約五十四億をもって海外経済協力基金は三十六年三月十六日に基金といたしましては設立をされたのでございます。で、その後に三十六年度に至りまして五十億円の政府出資が行なわれました結果、前の五十四億円と五十億円の政府出資を合わせまして百四億円と相なったのでございます。で、三十七年度におきましては、さらに六十五億円の政府出資が行なわれる予定になっておりまして、これが行なわれますると、前の百四億円に六十五億円が加わりますると、百六十九億円となる見通しでございます。これが第一の出資でございます。
その次に、運営でございますが、運営といたしましては、いろいろな案件が今までもございまして、いろいろ審議をされました結果、今までの段階におきましては、全部で結果といたしましては三件融資または出資ということを行なっておるわけでございます。で、そのうち融資が二件でございまして、出資が一件ということになっております。で、それにつきまして、その要点を御説明申し上げますと、まず第一に、融資といたしましては、アラブ連合共和国スエズ運河の浚渫の工事の着工準備資金、これが第一でございます。それから、第二といたしましては、ボリビアの国のカランガス銅鉱山探鉱調査費、これが第二でございます、それから、出資といたしましては、北スマトラ石油開発協力株式会社の問題でございますが、これはインドネシア共和国北スマトラ油田復旧開発のための協力事業資金でございます。
この三点につきましてそれぞれ御説明いたしますると、まず第一に、アラブ連合共和国のスエズ運河の浚渫工事でございまするが、これは実に淵源は遠くさかのぼるのでございますが、アラブ連合共和国のナセル政権、これが一九五二年に革命がありまして、それ以来いろいろな目標を掲げまして近代化政策というものを行なってきたわけでございます。アラブといいますと、まずスピリット、これが歴史的精神と申しますか、それからマインド、これが現代精神、それからハート、これが未来への希望を意味しているものでございまして、こういう近代化政策を掲げまして、その一環としての産業開発、これを強く推進して参ったのでございますが、このスエズ運河の改良工事計画というものは最も力を入れて行なってきたものでございまして、このスエズ運河の計画といたしましては、まず二つの点がございまして、一つは今度もっとそれを掘ると、それによって大きな船がもっと自由に出入りできるという点が第一点でございます。現在はせいぜい四万トン級の船より通行できないのでございますが、これが世界の最も大きなタンカーが通行できるようにしたい、これが第一点でございます。第二点といたしましては、運河全体の複線化の問題がございまして、こうした二大目標を掲げまして、工期が大体一九六〇年から十年間、このように予定されておるわけでございまするが、非常に大きな工事でございますので、一挙にこれを完成することは困難であって、これを段階的に完成していこう、こういう考え方を持っておるわけでございます。そこで、今やっておりますのは第一の段階の工事でございまして、大体三年間の目標で四万五千トン級の船が通行できるように増深をするということでございます。幅を広げる、深さを広げるということでございます。
そこで、本件に関しましては、水野組というのが請け負いまして、その事業計画は、これから浚渫を五年程度継続受注いたしまして施行しようというものでございます。去年の六月に第一段階工事のうちの一部分を落札いたしまして、これが十五億八千万円でございますが、そうして現在やはり水野組の五千馬力のポンプ式浚渫船がスエズにおきまして就役中でございます。そこで、エジプト側といたしましては、国際入札の日本の参加を非常に希望しておったようでございまして、現在に至りましても非常に好意的な態度をもって迎えておるわけでございます。それで、スエズ運河につきましては、これは前から非常に国際的性格を持っている運河であるということもいわれておりましたし、また世界銀行といたしましてもその改良工事の資金の一部といたしまして、一九五九年でございますが、五千六百万ドル借款を供与しておるわけでございまして、またその工事は、現地、それからアメリカの一流業者と緊密に連携して行なわれることになっておりまするところの、いわゆる国際協調的な問題、そういうふうな雰囲気のうちに工事が進められておるような状況でございます。
で、今申しましたように、このナセル計画の、アラブ連合共和国産業開発上の重要性ということをあわせて考えてみまするというと、この事業計画というものは、非常に経済的意義も高く評価できると思うのでございまして、この工事は、日本企業といたしまして最初の浚渫工事ということになるわけでございまして、日本の土本技術が海外へ今後出て参りますための一つの最初のテストケースということにも相なるのではないかと思って注目しておる状況でございます。
それで、これの先ほどお話がございました条件につきましてもお話を申し上げますが、この融資条件は六分五厘ということになっておりまして、この六分五厘というのは、あとでお話しいたしまするところのボリビアのカランガス銅鉱山探鉱調査費、これも同じ条件になっております。ただ、この条件は、全部この経済協力基金に対しましては同じ条件かということになりますと、必ずしもそうじゃございませんが、今までの二件につきましては、この六分五厘ということで条件を定めたわけでございますが、これはいろいろな条件、それからその当事国、相手国等との交渉その他を通じまして、かような条件にいたしたわけでございます。
それから、融資の第二といたしましては、ボリビアの銅鉱山の探鉱計画でございますが、このボリビア共和国、これは非常に高い国でございまして、すなわち海抜がほとんど大部分が三千メートル以上というような高い国でございます。したがいまして、農耕の面積も非常に狭い、乏しいわけでございますが、しかしこの国は非常に天然資源に恵まれておりまして、たとえばすずとか、タングステンとか、鉛、銅、このような非常に豊かな資源に恵まれておりまして、主として国の経済はマイニングによって維持されており、また輸出もこのマイニング関係の鉱産物というものに依存をいたしておるわけでございます。ただ、何と申しましても、技術が非常におくれておりますることと、外貨が不足いたしておりまするために、設備が非常に老朽化しておるというようなことで、この鉱物資源の開発はあまり順調に進んでおらない状況でございます。
そこで、わが国におきましては三菱金属鉱業株式会社でございますが、これが銅鉱山の探鉱計画というものを作りまして、先ほどお話ししましたように、カランガス銅鉱山を探鉱しようということになったのでございまするが、この国は非常に対日感情もいいわけでございまして、この会社の進出を非常に望んでおるわけでございます。また、日本といたしましても、今後銅鉱石の需要というものが著増を予想されておりまするおりから、この鉱石輸入の増大というものは非常に避けがたいわけでございまして、したがいまして、緊要な課題といたしまして、海外における長期安定的なるところのこの銅鉱石供給源を確保するということが最も重要な課題の一つでございます。しかも、このカランガスの銅鉱山は、銅の合有量が五%以上、それから予想埋蔵量が約五百万トン以上という非常に有望な鉱床でございまして、また貴重なるこれが海外の資源を形成するものとわれわれは考えておりまするので、その意味におきましても、非常に高く評価されなければならないのではないかと思っております。
それで、三菱金属鉱業といたしましては、昨年の四月に十二万五千ドルでございますが、十二万五千ドルを払いまして、この鉱山を探鉱する調査の権利を収得したわけでございますが、現在さらにこの山を買うかどうかということにつきましてはまだ未定でございますが、この山を買う問題まで出ておるわけでございます。そこで、先ほど言いましたように、こういう山ばかりからなっておるところでございますが、かような非常な有望なる銅資源というものを持っておりますので、これが相当な、五百万トン以上になりまするところの鉱量が確認されました暁には、わが国の海外銅資源といたしましては非常な大きな役割を果たすものと考えまして、このカランガスの銅鉱山の探鉱調査費というものを組んだわけでございます。探鉱調査費といたしまして、これは承諾年月日は三十七年、ことしの二月でございまするが、四億二千万円承諾いたしまして、そのうち実行されておりますのが、 これが二億円ということに相なっております。期限は四十二年の二月まで、こういうことに相なっております。
それから、先ほど言い忘れましたが、水野組のスエズ運河の浚渫工事は、承詰年月日は三十六年十月でございまして、承諾金額は三億三千万円であります。これは全部実行されております。期限は三十九年十月まで、かように相なっております。したがいまして、融資金額は両件合わせまして七億五千万円ということに相なります。
次に、出資でございますが、出資といたしましては、北スマトラの石油開発協力事業、これが一件でございます。これは戦前におきましては、北スマトラはオランダがやっておったのでございますが、一時戦時中に日本軍が占領いたしたこともございますが、戦後インドネシア、共和国がこれを国有化いたしまして、三二年からは国営の石油会社といたしまして、プルミナが管理経営をいたしておるわけであります。このインドネシアにおきましては、北スマトラの油田の復興開発というものを重点的なる国策として取り上げておりまして、三十三年から日本に資金、技術血の援助を求めて参っております。わが国といたしましては、この協力事業が非常にインドネシア共和国との経済協力、こういうものを促進するという一つの大きな意味を持っておることと、それから重要資源でありますところの石油を十年間にわたって安定供給源が確保できる、こういうような見地のもとに、基本協定を締結をいたしたのでございます。これが三十五年の四月でございます。
それで、北スマトラ石油開発協力会社という会社がこの事業を推進するためにいろいろな会社を集めましてできたのでございますが、これができましたのが三十五年の六月でございまして、資本金が五億ということで設立されました状況でございます。この北スマトラの協力事業の構想といたしましては、これはいわゆるプルミナ方式というふうにいわれておるわけでございますが、この北スマトラ社が——今の北スマトラ石油開発協力会社というものが、相当の設備と——これはちょうど百八十八億くらいになるわけでございますが、これに当たるところの設備と資材、役務というものをクレジットとしてこのプルミナに与えまして、そうして北スマトラ油田の生産能力を協定締結時の年八十万キロリットルから二百五十万キロリットルに引き上げますために、十年間にわたりまして技術面で協力していく。そうして増産されました原油は、四〇%無位でプルミナから受け取りまして、代金をクレジットの返済に充てていこう、こういうよう協定になっておるわけでございます。それで、向こうの油出でございますが、これは非常に面積も広くて、そうして油の層の枚数が多いわけでございまして、回収率もいいわけでありまして、日本の内地の油田に比べまして、非常に恵まれた条件ではないかと考えておるわけでございます。それで、事業といたしましては、大体逐次軌道に乗りつつあるわけでございまして、日本人の技術顧問団が大体六十名今北スマトラの現地に参りまして、非常に暑いところでございますが、日夜努力を続けておるというのが現在の情勢でございます。
それで、この条件でございますが、これは払い込み金額といたしましては一株五百円、これは額面金額も一株五百円でございますが、株式数におきましては八十万株、それで三十六年度といたしましては全部で四億円ということの出資になったわけでございまするが、この四億円を前の融資の七億五千万円に加えますると十一億五千万ということに相なるのでございます。今後の計画といたしましては、さらに三十七年度におきまして三億五千万円の出資というものを予定しておるわけでございまして、これを合わせますると、将来のことでございまするが、十五億程度の出資並びに融資に相なるのじゃないか、かように考えております。
これが大体出資並びに融資をいたしました今までの海外経済協力基金の運営並びに条件というものの御説明でございますが、最後に、現在しからばいかなる計画があるかという御質問でございますが、実はこの経済協力基金につきましては、非常に輸銀との調整の問題、これは御承知のとおりに、輸銀、それから市中銀行で貸付が困難なものに限りまして貸付をするということになっておるわけでございますので、なかなか手間がとれる。それからまた、今まで、発足が今お話しいたしましたように昨年の春でございまして、なかなか最初のうちはいろいろ問題もございまして、進捗状況もうまく進んでおらなかったのでございますが、逐次軌道に乗って参りまして、今後は非常に活発なる運動、活動を期待しておるわけでございまするが、現在計画といたしましては、まあこれはいろいろな計画が出てきておるわけでございまして、これを一々御説明しますと非常に詳細にわたるのでございますが、当面内談といたしまして来ておりまするものを例を拾ってみまするというと、たとえて申しますると、北ボルネオにおきまする水産基地、これを建設していく、こういうような問題がございます。それから、ナイジェリアにおきますところの水産基地を建設するというような問題、これはインドネシアも同じことでございます。それからマレー、それからインドネシアにおきまするところのニッケルの開発の協力というようなこと、それからカリマンタンの森林開発調査、それから開発協力、それから台湾のウルシの開発協力、それからチッタゴンの製鋼の出資の協力、それからマレーのすずの製錬の協力であるとか、それからそのほか海外鉱物資源株式会社への出資を通じまする協力、非常にいろいろなケースが出てきておるわけでございまするが、三十七年の四月五日、まだ今月の五日でございまするが、現在におきまする内淡状況を申し上げますると、大体十六件でございます。十六件で、これは全部で基金期待額は二百八十億に及んでおるわけでございます。ただいま例をあげましたが、大体地域別に申し上げますると、東南アジアが大体十件で、それから中近東、アフリカ、それから中南米等が三件ずつございまして、十六件ということになっております。業種別に申しますると、マイニングの関係が五件、それから農林水産関係が五件、それから土木関係が三件、それから工業の関係が三件、これで十六件ということになっております。ただ、問題はこの二百八十億の十六件というのが、そのまま全部協力基金から貸すかどうかということは、今後の内談の進捗状況いかんによるわけでございまして、結論的にはまだなっておりませんが、現在内談がありまするだけでもそれだけの件数がある、こういうことをお話しいたしておく程度にとどめたいと思います。
それから、先ほどお話しいたしました内談状況というものに加えまして、やはり調査というようなことと、それからこれは実際の活動に対しまするところの出資または融資、それから調査、この開発に必要なる調査というものに関連いたしまするところの出資融資両方にまたがっておりまするので、この二本建で進んでおるということをつけ加えさしていただきたいと思います。
大体以上で、現在の計画、それから今までの事業の概要につきまして御説明を申し上けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/102
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103・木村禧八郎
○木村禧八郎君 基金は大体育六十九億になっているわけですね。ところが、実際に融資されたのは大体十一億五千万円、そうして三十七年の予定三億五千万円を加えて約十五億というわけですね。基金は非常にたくさん、ここに三十五年、六年、七年ですね、毎年そういう出資が行なわれていて、その一割にも満たないのですがね。その融資は、こういう運営の仕方というのはどういうのですかね。この資金は、余ったやつはどういうふうに運営せられているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/103
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104・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) この基金があまり活発じゃないじゃないかというような御質問と思いまするが、これは実はいろいろな理由が今まではあったわけでございまして、まず第一には、第一条にもございまするが、輸銀、それから市中銀行で困難なものについてこの基金でやるということになっておりまして、金融技術上にも非常にむずかしいような案件が多いわけでございまして、相手国の政府並びにまた相手国との交渉にも非常な時日を要するものが多かったわけでございます。それで、窓口内談案件というものがふさわしい程度に成熟いたしまするためには、相当長期にわたりまして懇切な指導誘導を行なっていく必要のあることが多いわけでございまして、この案件が成熟するまでには大体半年あるいは一年という期間を要するわけでございますので、三十六年度中の指導案件の大部分は三十七年度の投融資承諾となるとゆうような公算が非常に多いわけでございます。これが第一の理由でございます。
第二の理由といたしましては、先ほどお話しいたしましたように、昨年の三月発足いたしたのでございますが、内部体制の整備に非常なる時日を要しまして、まあ本格化しましたのが大体昨年度の下半期というところでございますので、もう少し今後の積極的な活動を期待するためにはもう少しひとつ長い目で見ていただきたい、こういうことが第二点でございます。
それから、その次の原因といたしましては、最近先進諸国の低開発国に対しまする援助の状況にかんがみまして、政府といたしましても単なる低開発国に対しまするところの資本財の輸出、信用供与ということから進みまして、逐次相手国の経済開発に奇与するところの経済協力というところに重点を移す必要があると思うのでございまするが、そうなりますると、今後といたしましては、この基金の業務というものも逐次活発化していかざるを得ないのではないか、かように考えております。
以上、三点の理由をもちまして、今までのところはあまり活発化しておらなかった。活発じゃなかったということは認めざるを得ないのでございますが、先ほど言いましたように、三十七年度の今後の計画といたしまして、内談だけでも二百八十億現在ある。このことを考えますると、この百六十九億になりましても、あるいは少な過ぎるのじゃないかというような懸念すら生ずるような状況でございまして、今後は活発なる活動が期待されるわけでございます。
それから、余りました場合にどうなるかという問題でございまするが、これは一年だけの問題じゃございませんで、毎年引き続いてやっておるわけでございますので、余りましても、来年度で使うとかいうようなことになるのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/104
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105・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうじゃないのですよ。百六十九億基金があるのですが、まだそれの一割にも満たない十一億五千万円しか出資してないのですよ。それを今どうやって運用しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/105
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106・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) そういう余裕金につきましては、外為の短期証券を購入するとか、あるいは資金運用部に預けるとか、いろいろなそういう操作はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/106
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107・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この運営の機関として海外経済協力基金というのはあるのですね。この機構です、この運営の機構をちょっとお話し下さい。現在どうなっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/107
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108・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) 現在の機構といたしましては、総裁が一名でございまして、それから理事が二名、うち一名は輸銀理事との兼務でございます。それから監事が一名、まあ役員といたしましてはかような構成でございまして、それでまあ非常に今後仕事も活発化して参りまするし、現在の役員構成ではきわめて不十分であるというところで、現在理事二名というのを理事四名ということに、二名の増員方をお願いをいたしておると、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/108
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109・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはどういう仕事をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/109
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110・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) 総裁は全体の基金を総括するということになっておりまして、基金を代表して、その業務を総理する。これは総裁の職務権限でございますが、それから理事につきましては、これは、総裁の定めるところによりまして、総裁を補佐して基金の業務を掌理いたしまして、もし総裁に事故がありますときにはその職務を代理いたしまして、それから総裁が欠員のときにおきましてはその職務を行なうということになっておるわけでございます。それから、監事でございますが、「監事は、基金の業務を監査する。」こういうことに相なっておりまして、一応総裁、理事、監事は、法律によりましてかような職務及び権限を従来行なっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/110
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111・木村禧八郎
○木村禧八郎君 役員の仕事の内容を聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/111
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112・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) まあ、総裁は今申したとおりでございますが、理事につきましては、一名……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/112
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113・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういうことじゃないのですよ。海外経済協力基金は——まあそれではこう聞いたらいいでしょうか。この基金の目的はどういうところなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/113
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114・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) 海外経済協力基金の目的は、基金法の第一条にございまして、東南アジア地域その他の開発途上にある海外の地域の産業の開発に奇与するために設けられたものでございまして、で、その開発に必要な資金で、しかも日本輸出入銀行と一般の金融機関から供給を受けることが困難なものにつきまして、その円滑な供給をはかる等のために必要な業務を行ないまして、それによって海外経済協力を促進する、こういうことが目的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/114
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115・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これは一番最初は一萬田大蔵大臣のときに基金を設けられたのですが、最初は景気調整として資金のたな上げということが一つのその当時の目的になっておったのですね。それで、実際には、三十五年度に五十四億基金を設けておりますね、三十七国会ですか。そうして設立は三十六年三月十六日ですね。ですから、三十七年度の資金というものは全然そういう、何というか、経済協力に使われていないのですよ。三十六年の三月から始まっていますね。さっきお話しのように、まあこれは輸銀のベースとか市中銀行のベースに乗らないものを政府が経済協力をやるのだ、こういうふうに言われますが、それにしても、百六十九億の資金ができて、それを外為の短期証券を買うとか資金運用部で運用しているというのでしょう。このような運用の仕方をしていいのですかね、実際。大体一割にも満たないものを……。そんなら、各年度において必要に応じてこれを出資していったらいいのであって、それは将来二百八十億の案件があるからこれでも足りないかもしれない、そんなことは理由にならぬですよ、財政の見地からいって。それはタイミングの問題であって、将来要るものを、将来要るのだからここで積み立てておくのだ。それは多く積み立てておけばいいでしょう。しかし、資金の効率的運用からいったら、こんな不効率なものはないですよ。これは会計検査院で何とも言っていないのですかね。実際おかしいですよ。それが大体百六十九億の基金があって、半分くらい、あるいは六、七割くらい運用されて、あとの残りがまだ運用されていないというなら、まだ話はわかりますよ。必要に応じて各年度出資をしているのじゃありませんか、政府が名年度に。第一に、一番最初、三十五年度に五十四億貸したのだが、この五十四億に比べてもその大体五分の一程度なんですよ。しかも、そうして三十六年度にまた五千億政府が出資して、三十七年産にまた六十五億出資しているのでしょう。そうして全体の出資の一側にも満たないのですよ。こんな国民の税金の使い方なんというものは、これは非常に不合理ですよ。こんな使い方をして一体いいのですかね。私はこれを見て驚いたのですよ。それで必要なら各年度に出資していけばいいのであって、これだけの税金を取り上げておいて、外為の短期証券に運用したり資金運用部資金に運用するなんて、そんなばかな運用の仕方はないと思うのですね。一体これでいいと思っているのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/115
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116・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) 先ほどもお話しいたしましたように、最初の出発点におきましては、まあ今まで実績といたしましては非常に少ないわけでございますが、ただ現存のところではいろいろな内談が非常に多く殺到しておりまするし、調査、それからその他実際の活動等をあわせますると、まあ先ほど申しましたような案件になっておりまして、相当な金額に上っておりまするので、三十七年度におきましては相当活発なる運用が期待されるわけでございまするので、今までの初期におきまするところの、相当いろいろな期間がかかるとか、相当いろいろな長期にわたりまして内談が行なわれたとかいうようなことはございますが、今後におきましては私は活発に行なわれると、かように期待しておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/116
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117・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私は、今後、さっきお話しのように十六件ですか、二百八十億の内談があると言われますけれども、そうしてこれは輸銀あるいは市中銀行のベースに乗らぬものに対しての融資になるわけですが、これだけ資金がだぶついておりますと、 これはコマーシャル・ベースに乗らぬものですからね、非常に不健全なものになる。何か利権的にこれが使われる危険が非常に出てくるんじゃないかと思います。こんなに基金が余まっていますからね、アリの甘きにつくがごとくあの資金をひとつ使ってやれと。ですから、今後そういう点については私は非常に厳重に監視しなければなりませんし、そういう問題があると思うんです。
それから、これだけ国民から税金を取り上げておいて使わないということは、景気調整に役立つように思われますけれども、これはちっとも役立っていないと思うんですよ。日本銀行からあんなに貸し出しをじゃんじゃんふやしているんですからね。最初一萬田さんは、景気調整として資金をたな上げするというかまえを持っておったんですよ。この基金には景気調整という考えは最初あったんですね、今はどうか知りませんが。そんなものはナンセンスですよ。日銀から貸し出しをじゃんじゃんふやしていけば、ちっとも景気調整にも何にもなりゃしない。ですから、実際私は経済協力基金というのは非常に理解できない点がたくさんあるわけです。ですから、いろいろな、十六件ですか、十六件、二百八十億の基金期待額というものを伺っているんですが、東南アジア、中近東、アフリカ、中南米、その他、これについてもう少し何か具体的に、資料でけっこうなんですがね、東南アジアについてはこれは業種別にどういう案件があるとか、内談があるとか、あるいは中近東、アフリカ、中南米、これを何か資料的に出していただけると非常にいいんです。われわれもそういう問題をやはり知っておく必要があると思うんですよ。今後この資金が変に乱用されたのでは、これは国民としてはやはり切れないわけですからね。それで、こういう経済協力、海外投資によって日本の輸出なりあるいは国際収支にどのくらい奇与できるか、そういう点も明らかにしてもらいたいのですがね。何かそういう作業をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/117
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118・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) この海外経済協力基金を通じて国際収支にどの程度奇与するかというような作業は、今までのところはしておりません。しかし、今後は、これが活発化いたしまするといろいろな影響がございますので、検討いたさなければいかぬと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/118
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119・上林忠次
○理事(上林忠次君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/119
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120・上林忠次
○理事(上林忠次君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/120
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121・木村禧八郎
○木村禧八郎君 この海外経済協力基金の運営をやる場合、やはりその経済効果というものも、たとえば経済効果じゃ特に日本の貿易がですね、国際収支にどのようにこれは奇与するかという作業も必要なわけでしょう。そういう前提に基づいてやりませんと、もちろんこれは短期的な効果はすぐ期待できないのでしょうが、長期的に見なければならぬと思いますが、やはりそういう前提があってやるわけだと思うのですよね。そういう前提に基づいてやらなければ、経済効果はわからぬで、ただむやみに融資するわけにもいかないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/121
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122・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) まあ、この国際収支との関連につきましては、もちろんいろいろ考慮して逆用していかなければならないと思うのでございますが、今までのところは非常に案件も少なかったのでございまして、今後はさらに計画的にやっていかなくっちゃならぬと思いますが、特にこの法律の二十条でございますが、「基金は、第一条に掲げる目的を達成するため、次の業務を行なう。」とありまして、第一号に「東南アジア等の地域の産業の開発に奇与し、かつ、本邦との経済交流を促進するため緊要と認められる事業……のために必要な資金を貸し付けること」ということが規定されておるわけでございまするので、わが国の経済というものの動きというようなものから判断いたしまして、どのように経済との関連をもって考えるかということは、当然経済協力基金の運営については考えていかなければならないと私は思うのでございますが、ただ問題は、これは非常に効果が長期的にまたがるものでございまして、短期的なる見通しとか、そういうようなものとは必ずしも一致いたさないのでございまして、長期的な計画というものと、それから長期的な経済の動きというものと見合うのでございますが、しかし、やはり貸し付けまする場合におきましては、短期的なることもあわせて考慮しながら、この経済交流の促進というようなことも考慮しながらやっていかなければならないと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/122
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123・木村禧八郎
○木村禧八郎君 将来、東南アジア等の経済開発に協力していくというふうに言われましたが、これはさっきの輸銀の場合よりも一そうDAG的な精神ですよね。低開発国の経済開発協力ということですからね。これは私は非常に問題があると思うのですよ。それは東南アジアの低開発国の経済開発に協力するという原則はいいのですよ。それを私は決して否定しやしませんよ。しかし、アメリカとかイギリスとか、そういう先進国と、それから日本を考えた場合、そこに資力に非常に相違があるのですよ。そういうところと日本が大国意識みたいなものを持って同じように考えていった場合は、これは非常に私は問題があると思うのです。それで、日本の場合は非常にがめつい、がめついと外国は言うけれども、日本の場合は、やっぱりタイド・ローン的な形でいくべきだと思うのですよ。そういう貸付が日本の輸出に寄与するという、そういう形でいくべきじゃないかと思うのです。そうでない場合、特にアメリカなんかは軍事的な援助、経済的な援助といわれておりますが、それはどこまではっきり区別できるかわからないものもあるのですが、多分にアメリカのこの後進国援助などは、これは軍事的あるいは政治的な比重、ウエートが非常に大きいと思うのですよ。ですから、日本はDAGに加盟したと喜んでおりますけれども、これは必ずしも喜んでいいかどうか、私はわからぬと思うんですよ。それで、国民所得の一%を低開発国の援助にかりに向けるというようなことがきまったような場合、それに日本が義務づけられて、そういう協力をしなければならぬということになると、これは非常に問題があるんですがね。そういう点は、今後この基金の運用にあたってよほど考えていかなければならぬ点じゃないかと思うんです。ですから、これはコマーシャル・ベースに乗らないものをやるというのでしょう。それですから、それは今後どういうふうにその経済効果、日本の輸出なりあるいは国際収支に対する奇与をどういうふうに考えてやられるのか、この点が明確にならないと、やはり非常に私はむだな投資になる危険があるんじゃないかと思うんですよ。巣南アジアの経済協力、これは非常にたいへんな問題ですよ。東南アジアを開発して、それが将来日本の輸出なり国際収支なりに奇与し得るようになるということは、これはずいぶん金をつぎ込まなければならないでしょうし、かなり非常な長期的な展望に立たなければならぬ問題と思うんですが、その辺、どういうふうに考えられているか。どうも私は、東南アジア——あまり東南アジアついちゃって、もう少しそれは、何といいますか、きめこまかく考える必要があるんじゃないかという気がするんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/123
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124・羽柴忠雄
○説明員(羽柴忠雄君) ただいまの木村先生の御説、まことにごもっともでございまして、ただ問題は、この経済協力基金の最初の第一条に「中東アジア地域その他の開発途上にある海外の地域……の産業の開発」ということをうたっておる点が一番の問題と思うのでございますが、やはりわが国といたしましては、低開発国に対しまするところの経済援助ということについてもいろいろな面から考えていかなければならない。まあ経済協力といたしまして一番の問題は、やはり輸出信用供与というような形、それからまた、民間投資、それから技術協力、それから国際機関へ資金を出していく、賠償とかいろいろな形をとっているわけでございますが、まあ一番多いのはこの輸出信用供与、それから賠償というようなところじゃないかと思っております。これは、わが国といたしましては、この国民所得の水準が先進国に比べまして確かに低いわけでございまして、それからまた、国内におきましても、この二重構造の問題とか、あるいは道路、港湾等の社会的間接資本というものが不足しているとか、賠償の負担もだいぶあるとか、それからまた外貨準備額にいたしましても非常に問題になっているわけでございますので、この経済協力の余力というものがほかの先進国に比べまして割合少ないわけでございます。したがいまして、この経済協力ということも、輸出入市場の開拓確保というようなところに関連するところに重点を置かなければならないと、こういうような立場に置かれているわけでございまして、先ほどお話の出ましたGNPの合計の一%を低開先国援助に充てるというようなことも、まあこれはほかの国が言い出してはおりますが、これはバードン・シャリーングの問題かと思うのでございますが、日本といたしましては非常につらいということも言っているわけでございまして、この日本の低開発国に対しますところの経済協力という問題は、まあとにかく日本が先進国に伍してやっていかなければならないというところに非常な悩みがあるわけでございますので、それだからこそ、なお一そう国際収支とか、そういうようなこととの関連をよほど十分に検討いたしまして、そうして低開発国援助もやっていかなければならない、かように考えるわけでございますが、まあ今度の経済協力基金の第一条にございますように、はっきりとこの目的が明示されてございまして、こういうことに必要なる、円滑なる供給をはかるための必要なる業務を行なっていくのだ、それによって海外経済協力というものを促進していく、こういうようなことを目標といたしております以上は、かような目的に一応制約せられまして、この目的に奉仕するような運用ということをやっていかなければならない、これが基本的な立場じゃないかと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/124
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125・木村禧八郎
○木村禧八郎君 輸出入銀行法につきましては、大体私の質疑は、ほかの方は知りませんが、これで終わりにいたします。ただ、できるだけ詳細な資料を、ひとつ経済協力基金の資料を、今すぐじゃなくていいのですけれども、出していただきたいと思います。今後の問題がございますからね。今後成り行きをわれわれとしては十分監視していかなければならないと思うものですからね。そういう点でできるだけ詳細な資料を出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/125
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126・上林忠次
○理事(上林忠次君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/126
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127・上林忠次
○理事(上林忠次君) 速記をつけて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/127
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128・上林忠次
○理事(上林忠次君) 次に、外国為替銀行法の一部を改正する法律案を議題に供します。
質疑のある方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/128
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129・木村禧八郎
○木村禧八郎君 最近新聞で僕は見たのですが、市中銀行の為替の持ち高の限度を下げたということが新聞に出ていましたが、あれはどういうふうなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/129
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130・福田久男
○政府委員(福田久男君) 外国為替公認銀行の為替の売り持ち、買い持ちにつきまして、それぞれ従来から限度を設けておったわけでございますが、それはなるべく為替銀行のポジションというものをプラス、マイナスの差がそう多くならないようにという配慮から行なわれておったわけです。最近におきまして為替銀行の現実の持ち荷の状況の推移を見て参りますと、非常に従来よりも姿がスクウェアな姿に近づいて参っておるわけでございます。それにはいろいろな理由があると思いますが、為替銀行自身としてもなるべくスクウェアに近いほうへ持っていきたいという配慮も手伝っていると思いますが、かなり余裕が出て参りましたので、それらの実情を勘案いたしまして、ある程度限度を縮める措置をとったわけでございます。これは大体半年に一回ずつそういう限度をきめることにいたしておりますので、四月から九月の期間につきまして、前の半年間よりも若干限度を縮めるという措置をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/130
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131・木村禧八郎
○木村禧八郎君 政府のこの外貨準備ですね、この中には市中の為替銀行の手持ちというのはどういうふうに計算されているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/131
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132・福田久男
○政府委員(福田久男君) 外貨準備の金額は、市中の為替銀行の持っております外貨そのものは準備には入っておりません。政府及び日本銀行の持っているものの中で流動性の高いものを入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/132
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133・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはどのくらいかということはわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/133
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134・福田久男
○政府委員(福田久男君) 為替銀行の持っている外貨はどのくらいかという御質問かと思いますが、持っております外貨と申しましても、たとえば現金、預け金、あるいは有価証券、あるいは輸出手形の持ち高とか、いろいろあるわけでございますが、その中で税金、預け金、あるいはコール・ローン、有価証券などを入れますと、おそらく四億ドル程度にはなるのではなかろうか。もちろん、そのほかに輸出手形その他もございますので、非常に流動性の高いものというので見ますと、そういうものではなかろうかと思います。たとえば輸出手形等も四億ドル以上ございますので、為替銀行の資産全体を合計いたしますと、かなりの、十億ドルとか、そういった大きな金額になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/134
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135・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは貿易の資金としては、為替銀行のそういう外貨手持ちが多くなれば、それは一つの、何ですか、それだけ余裕があると見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/135
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136・福田久男
○政府委員(福田久男君) 見方はいろいろあるかと思いますが、為替銀行といたしましても、それに見合うような債務もございましょうし、資産だけ見ますと、それだけ運用し得る、あるいは運用している外貨資産がある、資産面から見ますと、それだけ弾力性を持っているということも言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/136
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137・木村禧八郎
○木村禧八郎君 最近、われわれ国際収支を見る場合、政府発表の外貨手持ち、そういうので見るのです。それで、結局、たとえば昭和三十六年度末の外貨保有高が十五億なんて言いますわね。それがふえたり減ったりということによって、何というか、国際収支が心配であるとか心配でないとか、そういう判断の一つの資料にするわけですけれども、その場合に、やはり外為に入っていない市中銀行のそういう為替の、これは債務もあるでしょうけれども、ユーザンスの関係もあるのですから、そういうものもやはり含めて見るべきであると思うのですね。そういう場合に、市中銀行のそういう余力というのか、そういうものはどの程度あるかということも含めて見る必要があるのではなかろうかと思うのですけれどもね。そういう点、どうなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/137
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138・福田久男
○政府委員(福田久男君) いろいろ立場々々によって見方があると思うのでございますが、政府あるいは中央銀行でございますれば、政府、中央銀行の持っているものでありますれば、いわば公的機関として外貨準備を左右し得ると申しますか、公的立場で措置し得る範囲というふうに限定して考えますれば、今まで私どもの考えておりました政府並びに日本銀行の持っている外資というものも外貨準備に入れるのが一番妥当なように考えられます。ただ、もっと視野を広げまして日本全体でということになりますと、銀行もありましょうし、商社もありましょうし、またそれらの統計がなかなかむずかしい問題もありますし、同時に、先ほど申しました銀行なりあるいは商社なり、それぞれの企業の立場での問題も含まれて参りますので、学問的と申しますか、別途の観点から、特殊な観点から見る場合には、そういう見方もあり得るともちろん思います。しかし、一応冒頭に申し上げたような趣旨から、私どもは政府並びに中央銀行の有する金外貨保有額というものを考えたい。諸外国も大体そういう考え方でいっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/138
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139・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、前にこれは公述人を呼んで意見を聞いたときにも問題になったのですが、今度東銀が、この今度の法律の一部改正によって債券発行の限度を資本及び準備金の合計額の五倍を限度として債券発行をするということですが、これはほかの金融に影響を及ぼすんではないかという問題が提起されたんですが、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/139
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140・大月高
○政府委員(大月高君) この為替専門銀行に債券を発行さすにつきましては、考慮すべき要件といたしまして、一つは今の金融債市場の中においてほかの金融債と競合する点をどう調整するかという問題、それからこれを発行するについて為替専門銀行の立場におきましてどの程度金額が要るのか、またコストの関係からどの程度がいいのかという問題、それから第三の点につきましては、これを引き受ける側の金融機関といたしまして、どの程度の長さでどの程度のコストのものなら引き受けやすいかという三つの点が論議の中心になったわけでございますが、そのうちのほかの金融債との競合の問題につきましては、現在ございます金融債は興銀、長銀、それから不動産債券、商工債券、一部農林債券、これだけのものが出ておるわけであります。それで、今度考えられております債券につきましては、貿易金融を主とする銀行の債券でございますので、そう長いものではない。いわば短期に近い準長期、中期のものだと思います。そういう意味で特別な特色を持っておりますから、条件として特別にまあ競合することはないであろう。量の面におきましても、大体において月十億程度の発行をすればいいのではなかろうかということが一応の目安でございますので、現在の金融債市場に対してそう大きな影響を及ぼすことはあるまい。それから、この金融債は、全体の為替銀行の協調ということを精神にして発行されるわけでございまして、主として為替銀行を中心にして引き受けるものでございますからして、そういう意味からも特殊な消化範囲を持つ。しかも、この消化につきまして特別の協議会を設けまして、どの程度の量にしてどの程度の条件かということも、金融界と相談してきめるというような機構にもなっておりまして、彼此勘案いたしまして十分調整が可能であろうと、こういう見通しのもとに結論が出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/140
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141・木村禧八郎
○木村禧八郎君 日本の銀行は非居住行の円預金、預かり金利はどのくらいなんですか。国内金利より高いといわれているのですけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/141
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142・福田久男
○政府委員(福田久男君) …預金でございますので、国内の円預金同様に臨時金利調整法に基づく定められた範囲内の金利ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/142
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143・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうですか、国内金利より高いということを聞きましたが、そういうことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/143
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144・福田久男
○政府委員(福田久男君) 円預金でございますから、先ほど申し上げましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/144
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145・木村禧八郎
○木村禧八郎君 高くないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/145
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146・福田久男
○政府委員(福田久男君) 一般の円預金金利と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/146
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147・木村禧八郎
○木村禧八郎君 国内の金利と同じですか。国内金利と同じなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/147
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148・福田久男
○政府委員(福田久男君) 同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/148
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149・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まだもう少しあるのですが、調べてきてないから……。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/149
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150・上林忠次
○理事(上林忠次君) この際、お諮りいたします。
財政法の一部を改正する法律案の審査のため、四月十七日に横浜国立大学教授井手文雄君及び慶応大学教授高木寿一君を参考人として出席を求め、御意見を拝聴いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/150
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151・上林忠次
○理事(上林忠次君) 御異議ないと認めます。
なお、手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104014629X02419620410/151
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152・上林忠次
○理事(上林忠次君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十八分散会
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