1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年二月一日(木曜日)
午前十一時五十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 松野 孝一君
理事
井川 伊平君
増原 恵吉君
亀田 得治君
大谷 瑩潤君
委員
青田源太郎君
林田 正治君
加瀬 完君
高田なほ子君
国務大臣
法 務 大 臣 植木庚子郎君
政府委員
法務大臣官房司
法法制調査部長 津田 實君
法務省刑事局長 竹内 壽平君
法務省訟務局長 濱本 一夫君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 桑原 正憲君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
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本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○行政事件訴訟法案(内閣送付、予備
審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(被疑事件の処理状況に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/0
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001・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
去る一月二十五日委員会に付託されました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案について提案理由の説明を聴取いたします。
本案につきましては、ただいま植木法務大臣、桑原最高裁判総務局長が出席しておられますので、法務大臣に提案理由の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/1
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002・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
この法律案の要旨は、第一審における訴訟の適正迅速な処理をはかる等のため、裁判所の職員を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点とするところを申し上げます。
まず第一に、下級裁判所の裁判官の定員を増加しようとする点であります。政府におきましては、第一審の充実強化をはかるための方策といたしまして、数年米逐次裁判質の定員を増加する等の措置をとって参りましたが、右の方策の一環として、このたび、特に裁判官の負担が重くなっている地方裁判所における事件の審理及び裁判の適性迅速化をはかるため、人員充足の見通し等を考慮した上、さしあたり判事の員数を十五人増加しようとするものであります。
次に、裁判官以外の裁判所の職員の員数を増加しようとする点であります。特許法による審決に対する訴訟その他東京高等裁判所が取り扱います工業所有権関係訴訟の与件数の増加に対処し、その処刑の適正迅速化をはかるため、裁判官の命を受けて事件の審理及び裁判に関し必要な調査をつかさどる裁判所調査官の員数を増加し、また、すでに述べました裁判官の定員の増加に伴い地方裁判所における事件の審理及び裁判の適正迅速化をはかる等のため、裁判事務についての補助的機関として重要な職務を遂行する裁判所書記官の員数を増加するとともに、近時少年の保護事件の数がますます増加する傾向にある事情にかんがみ、その専門の学識経験により事件の処理に必要な調査等の事務をつかさどる家庭裁判所調査官の員数を増加し、さらに、裁判所における庁舎の新営等に伴いまして、庁舎の監視、機器の逆転操作その他の業務に従事する行政職俸給表(二)の準用を受ける職員の員数を増加しようとするものであります。これら新たに増加しようとする裁判富以外の職員の員数の総数は、百二十四人であります。
以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ槙重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/2
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003・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。本案に対する質疑は後日あらためて行なうことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/3
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004・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 次に、行政事件赤訟法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。
本案については、植木法務大臣のほか、浜本訟務局長、津田司法法制調査部長が出席しておられます。法務大臣に提案理由の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/4
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005・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) 行政事件訴訟法案の提案理由を御説明申し上げます。
御承知のとおり、行政事件についての訴訟は、日本国憲法の施行に伴いまして、司法裁判所の管轄に属することになりましたため、とりあえず応急措置を講じますとともに、早急に所要の規定を設けることとなりまして、昭和二十三年七月、現行の行政事件訴訟特例法が制定施行されるに至ったものでございます。しかしこの特例法は、何分忽々の際に制定された法律でありますので、各般の事項にわたりまして十分に検討を加える余裕もありませず、そのため、解釈上幾多の疑義を残しましたのみならず、各種の行政法規との関連につきましても、不統一であり、かつ多岐にわたっておりまして、その結果、実際上の運用の面におきましても、幾多の困難な問題に逢着いたしまして、国民の権利を伸張し行政の運営をいたしますのに少なからぬ支障を来たしている次第であります。
よって、政府におきましては、行政事件訴訟に関する法令の全般にわたって再検討を加え、従来の欠陥や疑義をできるだけ除去した一般法を制定する必要を痛感いたしまして、昭和三十年三月、法務大臣より法制審議会に諮問をいたしました。自来同審議会において慎重審議の上、昨年五月ようやくその改正要綱を答申して参ったのであります。この答申は先に述べました現行法令中の改正を必要とする請要請を十分に満たしたものでありまして、現在といたしましては最も妥当な案と考えられますので、これをすみやかに立法化しようとするものでございます。
次に、この法律案のおもな要点を申し上げます。
まず第一に、現行法と異なりまして、訴訟の種類を類型化し、これに適用される法規を明確にいたしております。すなわち、行政事件訴訟を抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟の四種類に分け、さらに抗告訴訟の態様としまして、処分の取り消しの訴え、裁決の取り消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え例示しまして、それぞれについての定義規定を設けますとともに、適用もしくは準用する規定の範囲を明らかにしまして、これによって現行法上生ずる解釈上の疑義を取り除いておるのであります。
第二に、国民の権利救済の面より従来とかくの批判がありました訴願前置主義を原則として廃止することとしております。ただし、例外的に訴願を前置する必要のある行政処分も少なくないことは否定できませんので、そのような行政処分につきましては、個々的にそれぞれの特別法で所要の規定を置くことといたしました。
第三に、現行の専属管轄の制度を廃止しますとともに、一般管轄のほかに特別管轄を認めることといたしております。これは、管轄裁判所の範囲を拡げまして、国民の権利救済の便宜をはかるためのものであります。
第四に、訴えの提起があった場合における行政処分についての執行停止の制度を整備することといたしております。また、現行の執行停止に対する内閣総理大臣の異議の測度につきましては、これによって国民の権利の救済が不当に阻害されることのないように、その政治的責任を明らかにするための規定を設けることといたしました。
第五に、行政処分の取り消しの判決は、公法上の法秩序安定のため第三者に対しましてもその効力が及ぶものとしますとともに、これと関連しまして、現行の非訟参加の制度を改め、また、第三者保証のために再審の訴えを認めることといたしております。
第六に、行政処分の無効等確認の訴えは、現行の法律関係に関する訴えによりましては目的を達することができない場合に限って許されることを明らかにしますとともに、これと関連しまして、行政処分の効力等を争点とする私法上の法律関係に関する民事訴訟につきましても所要の規定を設けることといたしております。
右のほか、出訴期間、当事者適格、関連請求の併合、処分の取り消しの訴えと裁決の取り消しの訴えとの関係、事情判決その他各般の事項にわたりまして、現行法の規定を改正し、あるいは新たに規定を設けることといたしております。これらもすべて前回様に現行法の欠陥を是正し、また解釈上の疑義を除去するための所要の措置でございます。
なお、この法律案による改正に伴いまして、他の多数の法律中の行政事件訴訟に関する規定を整備する必要があるわけでありますが、これに関する法律案は、本法案とは別途に後刻提出いたす所存でございます。
以上をもちまして、本法案の提出理由の説明を終わります。何とぞ御審議の上すみやかに可決をいただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/5
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006・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。本案に対する補足説明、質疑等は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/6
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007・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査中、被疑事件の処理状況に関する件を議題といたします。
本件については前回調査を行なった際に、当局内で御調査の上迫って御報告を願うこととした事項がございますので、この点について御報告願います。
なお本件につきましては、竹内刑事局長が出席しておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/7
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008・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) さきに亀田委員から九州産交労働組合の告発事件につきまして御質疑をいただいておりまして、当時答弁を留保いたしました三点につきまして、お答えをまず申し上げたいと思います。
その一つは、熊本地検の某副検事が、本件は起訴にきまっているという趣旨のことを発言している事実があるかどうかという点でございますが、さっそく右の点につきまして熊本地検に調査を命じまして、その責任ある回答を求めた次第でございますが、それによりますると、本件の捜査に補助検察官として関与いたしました副検事は矢田部輝雄でございます。同人につきましては、部内はもちろん部外の何ぴとに対しましても、かような発言をしたことはないということでございます。さらに、熊本地検には右の矢田部副検事のほかに、副検事は四名おりますが、その四名につきまして調査いたしました結果、これも同様にさような発言をしたことはないということを明らかにいたしております。しかも他の四名につきましては、本件には全然関与してない検事でございます。
第二の点は、昨年の七月、野口検事正が岐阜地検の検事正に転勤になりましたが、その直前である七月五日、本件の主任検事苑田検事を伊津町検事に変更した点につきまして、検事正はすでに自分の転任することを承知しておりながら、あえて右の主任検事の変更をしたのではないだろうかという点の御疑念でございます。この点調査をいたしましたところ、野田検事正の転任につきましては、七月十二日電信によって同検事正に交渉がなされていることを、当省の人事課長の言葉並びに現在同課に残っております電信の原議によりまして確認をいたしたのでございます。当時私は他の理由をもって、さようなことはない、承知しながら配置がえをするということはなかろうという推測をいたしまして、その旨をお答えを申し上げた次第でございましたが、ただいま書面と、責任ある人事課長の言によりまして確認することができたことをお答え申し上げたいと思います。したがいまして、野田検事正が御自分の転任を承知いたしましたのは七月十二日以降のことでございまして、したがって、主任検事を変更いたしました当時においては、何ら自分の転任についてはあずかり知らなかったというのが実情でございます。
第三点といたしまして、当時熊本地検ではどのくらい三井鉱山関係の事件を取り扱っていたであろうかという点でございます。当時、三井鉱山関係事件のすべてが当方に報告があるわけではございませんが、おもなるものは三井三池労働争議をめぐる暴力事件であったと思いますが、昭和三十五年度におきましては、五百十七人、同三十六年には九人の受理をいたしております。三十五年の五百十七名につきましては、百四十二名を起訴し、三百六十九名を不起訴処分にし、さらに三名は家裁送致等の処置を完了いたしておりますし、三十六年度の九名につきましては、二名は起訴処分としてすでに最終決定をいたしておりますが、他は捜査中ということに相なっております。
以上が御疑念に対するお答えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/8
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009・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 本件についての御質疑のおありの方は御発言下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/9
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010・亀田得治
○亀田得治君 この前、さらにもう一点調べてもらいたいと申し上げていた点ですが、野田検事正が三十六年の七月八日に、三井鉱山あるいは九産交の重役と一緒に宿泊をしておるわけですが、その際、翌日三千円戸上という人に渡した、こういうことが答えられておるのですが、事実そういうものが渡されたとしても、はたしてそれが適正な金額と言えるのかどうかというふうな点についても、全体を調べないとこれはわからぬわけでして、その点も調べてもらいたい、こういうふうに私申し上げたはずですが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/10
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011・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 三千円が適正な額であるかどうかということにつきましては、当時私はおおむね適正な額だと思うという趣旨のことを申し上げたのでございますが、特に現地につきましてこの点を調査しておりませんが、なお私がそういう方面の経験者につきましていろいろ聞いてみましたところによりましても、三千円という公費は、普通会員としてゴルフをやります場合には、グリーン・フィーとかキャディー・フィーを含めまして、大体千円前後であるということでございます。それから測光ホテルの宿泊料を二千円と見ますると、三千円という金額はきわめて妥当な金額であるというふうに聞いております。したがいまして、この前御答弁申し上げたとおりでさしつかえないというふうに考えまして、現地につきましては特に聞きませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/11
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012・亀田得治
○亀田得治君 そういうことですと、これはまた再度もう少し調べてもらわなければならぬことになろうかと思うのです。
まあ最初にお答えになった第一、第二、第三の点は一応承っておきますが、今私が申し上げた点が、野田検事正のやはり非常に適切でない行動ということで、これは相当指弾されているわけです。週刊雑誌なんかにも取り上げられているくらいなんです。週刊雑誌はごらんになったでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/12
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013・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) 私拝見いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/13
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014・亀田得治
○亀田得治君 そういうわけですから、今掲示局長がお答えになったようなことでなしに、実際にもう少し調べて、それがほんとうに適正かどうか。私は三千円渡されたということにも疑問を持っているのですが、渡されたとしても、ほんとうに適正かどうかということについては、やはり疑いを晴らす必要があると思うのです。私たちも、いろいろないきさつで問題がそういう問題に発展してきたわけですが、やはり検事正という非常に重要な立場にあるへのことですから、軽率な発言もできません。そういう関係で昨年の十二月二十六日から二十七日にかけまして、現場の調査に私たち行ってきたわけです。行きまして、そして検事正が泊まったという部屋とか、あるいはその当時検事正たちをいろいろ世話したホテルの人なり、そういう人に直接当たりまして、そうしてこれは単なるうわさでないということを実は確認してきているわけなんです。そういう関係で、もう一、二点、これは追加してお尋ねをしたいのですが、第一は、この前のお答えの中だったかと思うのですが、野田検事正が偶然、たまたま一緒になった、そういう重役諸君と会食をするようなことになったような印象のお答えがあったように私記憶するのですが、速記録を見直せばよくわかりますが、ところが私たちが現場で実際によく調べてみますると、決してそういうことではないのでして、合計十四名、七月八日に観光ホテルに泊まっておりますのは。これは検事正が一人、それから地検の運転手が一人、それから三井鉱山の橋本、村田、古賀、田坂、増本、戸上、三井鉱山の運転手が一名、それから九産交の大即、竹林、桝田、そのほかに九産交の運転手が二名、合計十四名です。当日の客室の日報なども私はあらためて見せてもらった——調べたわけですが、それによりますと、到着時間などもちゃんと一緒に、同時刻になっておるわけです。野田検事正がお泊まりになったのは二一五号室です。到着時間も七時三十五分というふうにちゃんとはっきり書いてあるわけです。七時三十五分に到着された方は、増本とか戸上とか村田、古賀、大即、こういうような人が七時三十五分に到着しておるわけなんです。まあそういうわけです。それからもう一つは、部属の予約の関係も調べましたが、この部屋は九算交の竹林常務から予約されておるわけなんです、事前に。そうして今申し上げたように、この十四名全部が一緒に行ったわけではありませんが、到着時間は多少違っておる人もありますが、少なくとも野田検事正だけが一人ぶらっと行ったんではないんでして、ほかの重役の方と一緒に到着しておるわけです。しかもそれらの部屋というものは、今申し上げたように、九産交の竹林常務が以前から予約してあった。で、竹林常務がそういう部屋割りをやっていたもんですから、竹林常務より先に三人ほどホテルに着いたようです。ところが先に着いた人は、竹林常務がまだ着かないからということで、ホテルのロビーで待っておられたようです。で、竹林常務が来たので、部屋割りがそこではっきりして、そうして部屋に入った。こういったようなことがはっきり出ておるわけでして、したがいまして、私はこの事件は単なる偶然にたまたま一緒になったといったようなものではない。これはひとつ私たちの調査では非常に明確なんです。だから、その点もひとつもっとはっきりした調査をしてほしいと思うのですね。
それからもう一点申し上げますが、お金の点でありますが、これもホテルのほうに行きまして、どういう支払いになっておるかということを直接お聞きしたわけです。そういたしますと、この支払いの仕方が二つになっておりまして、一つは三井関係のグループとして九名が一括して支払いされておるわけです。この九名の中に野田検事正並びに熊本地検の運転手の一名も含まれておる。こういうことです。そしてこの九名分の合計は三万七千八百八十五円です。これは当日入金になっておりませんで、昭和三十六年八月二十八日の入金になっております。ホテルとしては割引は一切しておりません、こういうことです。そこでこの野田検事正のお泊まりになった部属は二一五号で、これは浴室付のAクラスの部屋でして、部屋代は二千五百円はするクラスのものです。それからあそこは全くホテル式でありまして、部屋代には食事料は全然含まれておらない。食事は全然別なんですね。したがって一人一泊食事を入れますと五千円ないし六千円はかかるのではないかと、こういうふうに想像されるわけです。食事代の内訳を見ますると、部屋代、定食のほかに、ほかの飲みもの——お酒なども取っておりますからね、したがいまして、一人分に換算いたしますと、——運転手の場合には少なくなるでしょう、部属のよしあしとか、そういう点も勘案いたしますと、五千円ないし六千円にはなるだろうというふうに、ここにちゃんと料金表からみんなこうあるわけなんです。そういう計算が成り立つわけです。
それからさらに熊本のゴルフ・クラブのほうに参りまして、これはゴルフ・クラブのちゃんと野田検事正は会員でありますから、野田検事正分という伝票がちゃんと残っておりまして、それによりますと、八日と九日と二日やっておりまして、二千二百二十円という数字がもうちゃんと出ておるわけです、その伝票の上に。したがいまして、これらを合計いたしますと、七、八千円の金額にこれはどうしてもなってくるわけなんです。それから念のためにと思いまして、三井グループ以外の九産交のグループの支払いについても、これはホテルでお尋ねをいたしました。これは全然伝票が別になっておりまして、そうして九産交はホテルとは特別の関係だから割引はしてある、こういうことでして、これは九千三百三円です。これは五人分ですね、九産交の関係の人たちは。こういうふうに非常にはっきり金額の計算などが出ておるわけなんです。で、私たちは戸上君にも実はぜひ会いたいと思っているのですが、何かその後後はほかへ転勤になって熊本におらぬとかいうようなことをあちらで聞きましたけれども、まあそういう関係で、三千円受け取ったかどうかについての確かめはこれはいたしておりませんが、たとえ局長が報告を受けているように、三千円を翌日渡したといたしましても、計算関係は、今申し上げたようなことになっておるわけでして、はなはだもって、そういうことでもういいのだということにはならぬと思うのですね。第一の問題点は、そんなたまたま偶然に起きた事件じゃないということが一つ。それともう一つは、そういう計算関係が数字が合わぬじゃないかということが一つです。そこら辺を調べてほしいと思ったわけですが、私たちのような、そういう捜査権も持たない者でもこれだけ調べることができるわけですがね、もう少しこういう新聞や、いろいろな週刊誌などにも取り上げられているようなことですから、あなたのほう自体が積極的に事態を明らかにしてほしいと私たちは思うんです。どうしてこれができないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/14
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015・竹内壽平
○政府委員(竹内壽平君) それはできないのではなくて、私どもの調査をお願いしました責任ある庁からの回答に基づいて、ここでお答えを申し上げておったわけでございますが、私の申し上げていることと亀田委員のお調べになりましたこととの間に、まあ詳細と抽象的とのすこぶる違いがあると思いますが、非常にこまかく御指摘がございましたので、さらに立ち入って調査をしてお答えを申し上げたいと思います。
なお、申し上げておきますが、本省自身が調べることの可否につきましては、この所管は人事課になるわけでございまして、すでに聞いているところによりますと、検適のほうにも出願が出ているということでございまして、人事課のほうにおきましても、みずから調査をしていると思いますので、そのほうの結果は、私どもはまだ承知をいたしておりませんが、いずれにいたしましても、事態の真相を明らかにいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/15
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016・亀田得治
○亀田得治君 じゃ、その明らかにしていただくときに、もう一つ突っ込んで明らかにしてほしいと思いますのは、八日の晩に夕食を皆さん集まった人が一緒にしているわけです。これも私たちホテルに行きまして、どの場所でということも確かめてきたわけですが、各人が自分の部屋でしないで、ホテルですから、原則として食堂でやるようになっているようですが、普通の並べ方を変えて、テーブルをこう集めて、そうして皆がぐるっと輪になって、そういう格好で夕食をしているわけです、そういうこともはっきりしておりますし、それからあすこのホテルの従業員の中の一番上のクラスの人ですが、名前はわかっているんですがそこまで、名前を出していいかどうかわかりませんが、その人からの話によりますと、検察庁、裁判所等で扱っている問題について話が出ていたことは間違いない。どんな話かは、これはまたまた聞きになりますから、若干こういうところで申し上げるのもどうかと思いますが、三井鉱山なり九産交が当事者になっている問題について話が出ていたことは間違いない、こういうこともはっきり言っておるわけなんです。だから、私は、そういうことは、そのことによって事件がどれだけ曲げられたとかなんとか、そういう因果関係についてまでは憶測はいたしませんが、はなはだもって不体裁なことだと考えるわけでして、これはどうせホテルについてあなたのほうが調べなければわからぬことだと思います。だから、どうせ先ほどのような点もお調べになるのであれば、今申し上げた点、そういう点についても確かめてほしいと思う。必要があれば、私は名前は内内あなたに申し上げてもいいと思います。それから私のほうでも、三井鉱山関係の事件ですね、これを調べてみたわけです。先ほど刑事局長からちょっと人数を基礎にして御報告がありましたが、私が調べたのは、これは起訴件数で調べたわけですが、熊本地検で現在刑事事件として三井鉱山の従業員が起訴されておるのが二十二件になっております。それから福岡の地検では二十七件。福岡地検大牛田支部も入っておるようですが、福岡関係では二十七件もあるわけですね。人数は私のほうで今ちょっとわかりませんが、ともかくこれは会社と労働組合が争って、その結果の事件ですね。それだけの事件を地検として扱っておりながら、そこの刑事事件の立場から見たら、やはりお互い相手方は、強く言えば敵対関係、そういうことになっておるそのときに、そこの会社の重役と、しかもこれはあなたちゃんと日を打ち合わせてホテルに泊まってゴルフをする。しかもお金の始末は、先ほど申し上げたような状況。こんなことは何としたって私は検事正たる立場から見ても適格性を欠くと思います。法務大臣からは前に李下に冠を正さずというようなことで遺憾の意の表明がありましたが、私はまああのころはちょっと慎重さを欠くなというふうに考えていたんですが、いろんな関係事件を調べたり、実際にホテルについて状況等を調べてみますと、はなはだもって私はけしからぬと実は思っているんです。で、今私が申し上げたことが、法務省のほうでお調べになって、事実はそのとおりだということであれば、これは法務大臣からもはっきりしたお答えを私はいただけると思うんですが、今私が申し上げたのを前提にして、法務大臣のお気持はどうですかということを聞くのも、事実がそのとおりかどうか、私が言うだけじゃはっきりしないということでお答えしにくいだろうと思うのですが、しかし、私がこれだけ言う以上は、これはやっぱりそんな軽率に言える問題じゃありませんわけでして、ぜひ、これは地元ではやはり大きな問題にもなり、ひいては検察の威信ということにも関係があるわけですから、真剣にひとつ検討していただいて、悪いものは悪いという事実がはっきりすれば、やっぱりはっきりとした態度をとってもらいたいと考えるわけです。きょうはまあ法務大臣に直接この段階で御意見を聞くのは無理かと思いましたが、ただ刑事局長から法務大臣が間接的に私の質問をお聞き下さるよりも、直接聞いていただいたほうが問題の性格をつかんでもらうのによかろうと思いまして、実は御回席願ったわけなんです。そういうわけでして、今無理に法務大臣に答弁は求めませんが、十分これはひとつ調べに並行して考えていただきたいことを要求いたしておきます。いや、今の段階でも答えるとおっしゃれば答えていただきたいのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/16
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017・植木庚子郎
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいま野田検事正の熊本時代におけるお話、お調べになったところを承りましたが、私のほうといたしましても、御要望のとおり、でき得る限り詳細に取り調べまして、その上でまた何分の意見を申し上げさしていただこうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/17
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018・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にとどめます。
次回は二月六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X00419620201/18
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