1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十七年四月二十六日(木曜日)
午前十一時四十三分開会
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委員の異動
四月二十四日委員井川伊平君辞任につ
き、その補欠として大谷藤之助君を議
長において指名した。
四月二十五日委員最上英子君、白井勇
君、小山邦太郎君、大谷藤之助君、谷
村貞治君、野溝勝君及び中村正雄君辞
任につき、その補欠として加藤武徳
君、林田正治君、井野碩哉君、井川伊
平君、西田隆男君、亀田得治君及び赤
松常子君を議長において指名した。
本日委員千葉信君辞任につき、その補
欠として山口重彦君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 松野 孝一君
理事
青田源太郎君
井川 伊平君
亀田 得治君
委員
井野 碩哉君
西田 信一君
林田 正治君
高田なほ子君
赤松 常子君
辻 武壽君
政府委員
警察庁警備局長 三輪 良雄君
法務省訟務局長 浜本 一夫君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局行政局長 仁分百合人君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
法務省訟務局参
事官 杉本 良吉君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○行政事件訴訟法案(内閣送付、予備
審査)
○行政事件訴訟法の施行に伴う関係法
律の整理等に関する法律案(内閣送
付、予備審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(労働争議に伴い発生した暴力事件
の処理に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/0
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001・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
この際、委員の異動について御報告申し上げます。
四月二十五日付をもって野溝勝君、中村正雄君が辞任され、その補欠として亀田得治君、赤松常子君が選任されました。
本日付をもって千葉信君が辞任され、その補欠として山口重彦君が選任されました。以上であります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/1
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002・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 理事の補欠互選を行ないます。
去る四月二十三日、理事亀田得治君が一時委員を辞任し、また四月二十四日には、理事井川伊平君も一応委員を辞任され、現出に二名の欠員が生じておりますので、この際、その補欠互選を行ないます。互選の方法は、慣例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/2
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003・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 御異議ないと認めます。それでは私より、亀田君の補欠として亀田得治君、井川君の補欠として井川伊平君をそれぞれ理事に指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/3
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004・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 行政事件訴訟法案及び行政事件訴訟法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。前回に引き続き質疑を続行いたします。ただいま出席中の当局側は、浜本訟務局長、杉本訟務局参事官、仁分最高裁行政局長であります。御質疑のおありの方は、順次御発言下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/4
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005・井川伊平
○井川伊平君 最高裁判所のほうにお伺い申し上げますが、ただいま議題となっております法案の第二十七条には、「第二十五条第二項の申立てがあった場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があった後においても、同様とする。」という規定がございますが、このことについてお伺いするのでありますけれども、先般当局側に御質問を申し上げた内容に、すでに司法裁判所の事件として行政処分が取り扱われている以上は、内閣総理大臣がその裁判所のなそうとしておる、あるいはなした執行停止の決定に異議を言うということは憲法違反、裁判官は法律と志法と良心に従って自由にできるのだと、この原則に反することになるのではないかという趣旨の問いを試みたのでありますが、それに対しまする政府側のお答えは、元来、行政処分の執行を停止するという事柄自体は行政の事務の範囲に属するのだ、それだからして、その行政の事務に反することであるがゆえに、総理大臣がそれに対して異議を言うことは少しも差しつかえないことである、司法裁判所が執行停止の決定ができるということは、行政処分に対する決定ではあるけれども、法の委任によって司法裁判所がそういうことができるのであるにすぎないのだ、だから、本来の行政処分の内容になっていることであるから、総理大臣がこれだけのことはというように、問題を区切りまして、執行停止に異議を言うということは、憲法違反にも何もならないという趣旨のお答えがあったのでありますが、もしこの先般の政府側のお答えを私が間違って解釈しているとすれば、この際是正を願わなければなりませんけれども、そういう趣旨であったように私は考えるのだが、裁判所はこの点どう考えるか、こういうことをお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/5
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006・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) ただいまの点につきましては、昭和二十八年だったかと記憶いたしますが、すでに最高裁判所の大法廷におきまして、総理大臣の異議という制度が合憲であるということを前提とする判決がなされているのでございます。はっきりした理由は示していなかったように記憶いたしますが、私どもも、憲法に違反するというふうには考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/6
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007・井川伊平
○井川伊平君 たいへんその点ははっきりいたして参りましたから、次に移りますが、司法裁判所の裁判官が終局判決をなすに適するだけの証拠の調べがないうちに、その事件に関する執行の停止の決定をするという、この場合には単に、疎明の審査はするでありましょうけれども、それらの疎明の審査をするということによっては、まだ終局判決をなすには至らないという段階におきまして、当事者の申請または職権によって執行の停止をするというような場合は、これは、終局的には間違いかもしれないというような考え方、言いかえれば、絶対的の確信が持てるという、そういうのではなくして、疎明の資料の上で一応そうしてよろしいという、そういうような考え方から執行の停止が決定されるのではないかと思いますが、どの程度の自信を持って、執行の停止をする場合には行なうものであるか、この点に関しまするお答えを聞かしていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/7
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008・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 結局、証明と疎明との関係になるかと思いますけれども、疎明ということになりますと、申し上げるまでもございませんけれども、証拠方法が非常にせばめられるわけでございます。したがいまして、絶対確信が持てるという証明の程度よりははるかに低い心証で処置できるというようなことに相なるかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/8
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009・井川伊平
○井川伊平君 行政庁が処分をしたということは、十分の研究の結果した処分でありましょうが、それを最後的な確信を持てない程度におきまして裁判所が執行停止することには、よほど御留意と申しますか、注意深いものがなくてはならぬと存じますが、しかし、注意深くしても、終局判決をするに足るだけの全部の資料というものは調査ができていないという段階ですね。そういう場合に、行政庁の最後の責任者である総理大臣から異議を言われるというようなことがあったという場合に、裁判所はどういうふうに感じましょうか。感じ方ですね。総理大臣の異議の受け入れについての心理状態はどういうふうになるかという、むずかしい問題かもしれませんが、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/9
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010・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 私も、面接異議を受けた経験もございませんし、各個の裁判官個人によっても違うのじゃないかというふうに考えますので、どういう受け取り方をするかということを申し上げるのは、ちょっとむずかしいのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/10
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011・井川伊平
○井川伊平君 もう少し、じゃ砕いて申しますると、裁判官といえども、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあると、こういうことを認定すれば、執行の停止はしてはならぬことは申すまでもない。また、総理大臣のほうのいう異議も、公共の福祉に重大なる影響を及ぼすおそれがあるという、同じ事柄についての異議なんですから、そういう公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあると総理大臣は主張する、裁判官は疎明資料によってはそこまで考えられないという、意見の相違でありましょう。意見の相違の場合に、何の感情もないということでしょうか。何らか自分には、どういうふうな受け取り方をするか。仕方がないからやるのだというのか、自分たちの調査の範囲は終局的な研究でない、終局的な研究をしたと思われる行政庁の最高の府であるというところの総理大臣が言うのは当然であると、こう考えるのか、あるいは司法権の侵害であるといったような不満を感ずるのかというような、そういうことを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/11
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012・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) その点につきましては、やはりあまり愉快な感じは持たないかもしれないと思います、端的に申しまして、ただ、人によっていろいろ程度の差はあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/12
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013・井川伊平
○井川伊平君 それじゃ、その点はその程度にいたしまして、これは聞かなくてもわかっておる問題かもしれませんけれども、確かめる意味でお伺いいたしますが、裁判官が行政処分に関しまする行政事件を扱って、最後の終局判決を与えるという段階において、そのさきに執行の停止を裁判官がみずからした場合、あるいはなそうとしたけれども、総理大臣より異議が出た場合、この両方の場合のどれかがあった場合に、終局判決をする場合、その判決に影響を及ぼすか及ぼさぬか。終局判決については、違法の事実を確かめたとしても、ときによりましては、その処分の取り消しのできない場合がありますね。そういう点から考えまして、内閣総理大臣の異議の申し出、それから、あるいは裁判所の申請に基づきもしくは職権をもってなした執行の停止、こういうことが中間にはさまっておる場合に、終局判決をするときに何らかの影響があるものかないものかということを確かめたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/13
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014・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 私は、影響はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/14
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015・井川伊平
○井川伊平君 それは過去においてもなかったし、将来もそういうことはあり得ないと思うというようにお答えになったと聞いてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/15
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016・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/16
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017・井川伊平
○井川伊平君 これは、一つの裁判所内部の空気、この問題に関しまして裁判所内部の空気といいますか、まあそういうようなことがあるかないか知りませんが、あるとすれば、お聞きしたいと思うのでありますが、裁判所の判事諸公にしてみますと、内閣総理大臣の異議など言うてもらいたくないと、こういうような考え、それは、司法の独立の観点から、そういうような観念が一部においてはできてくるだろうと存じますが、そういう空気があるかないか。もう一つ、こうした問題は、非常に行政面に触れております関係から、世論がやかましい、執行を停止したほうが世論に合うか合わないか、あるいはその処分の効力を存続せしむるほうが世論に合うか合わないかという、こういう事実問題ができてくる。その場合において、終局的な資料の収集まで至っていない裁判官としては、その最後の責任までは背負いたくない、こういうような考えから、そうした行政上の責任は内閣総理大臣に背負わせればいいじゃないか、だから、総理大臣に干渉してもらったほうが司法裁判所としてもやりやすいと、こういうような考え方もあろうかと存じます。それで、そういう対照的な考え方を今、二つ申しましたが、そういうことについて判事諸公の、何と申しますか、一つの空気が流れたものがあるかないか、あるとすればお聞きしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/17
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018・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) ただいまの点でございますが、行政事件訴訟特例法の改正要綱の試案、これは小委員会の案でございますが、これが公表されました後に、私ども、各庁の意見を聞いたことがあるわけでございます。その際出ました数字でございますが、反対意見が二十八、無条件賛成が六というような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/18
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019・井川伊平
○井川伊平君 ただいまの賛成反対の数字ですね、これは、反対が二十八で賛成が六だと言いました。反対はどういう理由か、その理由を聞かないで、ただ反対という結論だけをとったのですか。あるいは反対の理由を付してとったのですか。理由を付してとったとすれば、理由が幾つくらいに分類されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/19
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020・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 特に理由を徴したわけではございません。ただ、回答を寄せました者の中に、若干理由を付した者もあったように記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/20
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021・井川伊平
○井川伊平君 それでは、当時の裁判所の見解としては、裁判官の反対の理由はどういう点にあったというお見通しでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/21
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022・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 多少私どもの推測もまじるかもわかりませんけれども、即時抗告の制度が完備したから、それで一応まかなえるのではないかということ、それから、司法権に対する侵害というような気持、あるいはまた、総理大臣の異議が乱用されはしないか、そういうおそれ、大体三点に帰着するかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/22
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023・井川伊平
○井川伊平君 先ほどのあなたの私に対するお答えには、総理大臣の異議の申し込みは司法権を侵害しないという趣旨においてのお答えであったように思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/23
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024・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 憲法には違反しないということでございます、先ほど申し上げたのはこれは、最高裁判所の大法廷でもそういう判決を下しております。ただ、裁判所のやったことに異議が出たために、それを取り消さなければならないというのは、何か侵害を受けるような感じがするという、そういうことだろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/24
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025・井川伊平
○井川伊平君 そうしますと、この反対をなすった方々も、総理大臣のこの異議は憲法には違反しない、憲法上の司法権の侵害ではないという見解はとっておるけれども、事実上裁判官が扱っておることだから干渉してもらいたら、司法権の侵害になるといったような言葉で表示したにすぎないのだ、こういうのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/25
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026・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/26
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027・赤松常子
○赤松常子君 ちょっとこの問題に関連してでございますが、今、憲法に違反しないとおっしゃっていらっしゃいますが、いろいろこの解釈があると思うのです。一応外国には、こういう最高元首が司法裁判にこういう場合に執行停止をお命じになるということがございますか、いかがでしょう。外国の例をお知らせ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/27
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028・仁分百合人
○最高裁判所長官代理者(仁分百合人君) 私の知識の限りでは、こういった事例はないように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/28
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029・赤松常子
○赤松常子君 どうも私、その点が納得いかないのでございますが、たとえば、従来ともこういう内閣総理大臣が執行停止をお命じにならねばならぬというような事態、それがあったのかどうか、たとえば、今予定されているそういう事態というものは、一体どういう事態でございましょうか。その予想があって、この二十七条ができたと思うのですが、どういう事態を予想して、内閣総理大臣の権限というものをこういうところにまで拡張されたのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/29
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030・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) ただいまの赤松委員の御質疑は、おそらく私のほうに向けられた御質疑であると思いますので、お答えいたしますが、特に本法案で内閣総理大臣の権限を拡張したということではございませんで、実は、現行行政事件訴訟特例法にも、同じく十条に内閣総理大臣の異議という制度がございます。ただ、今最高裁判所のほうからお答えになりましたように、やはり私どもの知る限りにおきましては、これと同じ制度は外国にはないようであります。どういった場合を予想するかというお問いでありますので、私どもが従来経験いたしましたところを申し上げますれば、まず第一番に、最近実は具体的な事案があったのでありますが、市町村の分合もしくは境界の変更に関する行政処分につきまして行政訴訟を起こして参りまして、執行停止を求めるので、さような場合に、裁判所がそういう執行停止をされますと、ときあたかも選挙が間近に迫っておるというような場合に、選挙に関する事務を全部やりかえなければならない、それが時日的に間に合わないということで、その地域に関する限りは予定された選挙が執行できないというような事態が起きる場合が考えられます。現実に、最近にそういった事例があったのであります。まだそのほかにもいろいろ考えられるかと思いますけれども、私どもが最も憂慮いたしましたのは、さような場合が考えられるので、やはり行政事件訴訟特例法を改正するにあたっても、この制度は制度として維持する必要があるというふうに考えて、存置することに案をきめたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/30
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031・赤松常子
○赤松常子君 ちょっともう一点だけ。従来、何件くらい内閣総理大臣の異議の申し立ての事例がございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/31
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032・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) ちょっと私、どさくさで、正確な資料をここに持参いたしておらないのですが、すでに御配付申し上げてあります資料に詳しくあります。それをごらんいただきますとわかるのでありますが、最近ではあまり事例がございません。行政事件訴訟特例法が施行されました冒頭のころには相当数ございまして、今から顧みますると、私どもが見ましても、かような事件には異議を申すべきでなかったと思われるような事案にも異議を申し立てておるような事例がございます。最近はきわめて自粛をいたしまして、真にやむを得ない以外には異議を申し立てておらぬつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/32
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033・赤松常子
○赤松常子君 これは、今拝見いたしました次第で、申しわけないのですけれども、いろいろ事件の内容が異なっておるわけでございますが、これをちょっと拝見しましただけでも、何か私は、異議申し立ての乱用が行なわれるような危惧を抱くのであります。今おっしゃったような都市の合同ですか、そういうことよりももっと、長崎市吏員の免職処分であるとか、あるいは神戸市吏員の免職処分であるとか、人権に関することもさまざまございますようですが、一見しただけでも、こういうことがはっきりここに明記されてあると、私は乱用されるおそれがないかということを非常に心配するのであります。その点についての危惧をどういうふうにして御解明なさいますでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/33
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034・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) ちょっと先ほど私が申し上げましたとおりなんでありますが、実は、当初のころは、何といいますか、異議申し立てについての行政慣行といいますか、私どものほうの慣行が確立していなかったきらいがありまして、まあいわば、行政庁から要求がある場合に、それを検討する、ふるいにかけることが少し甘かったきらいがあるかと思うのでありますが、昭和二十六、七年のころであったと思いますが、これの資料を御提出申し上げてあるはずでありますが、その点に関して反省を加えまして、特に次官会議の議題といたしまして、この内閣総理大臣の異議の申し立てについては、所管の省の大臣と、それから法務大臣との協議に基づいて、その連署で内閣総理大臣に申請をする、そういう手続を経なければ申し立てられないという申し合わせを作りまして、それ以後は、そういった厳重なふるいにかけることにいたしておりますので、私どもの見るところでは、そういった申し合わせができましてから、そういった行政慣行が確立されましてから後は、私は乱用にわたるものはないというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/34
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035・井川伊平
○井川伊平君 これはどなたでもお答え願いたいのですが、西ドイツでは、今日でも司法裁判所のほかに行政裁判所が設けられておると聞いておりましたが、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/35
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036・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) 私もさように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/36
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037・井川伊平
○井川伊平君 その西ドイツで、行政訴訟の裁判所が司法裁判所から独立して存在しておる場合には、その行政裁判所の行政訴訟において、処分の効力を停止するというようなことを行政裁判所が決定しようとするときに、ドイツの最高の行政担当者がそれに待ったをかけることはできないのですか。できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/37
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038・杉本良吉
○説明員(杉本良吉君) ただいまの御質問の点でございますが、ドイツにおきましては、日本と建前が違いまして、先ほどのとおり、行政裁判所がこれを執行停止というような制度で、運用いたしておりますが、ただ、その執行停止と申しましても、ドイツの場合と日本の場合とは違うのでございます。ドイツのほうでは、一応訴訟が提起されますと、執行は原則として停止されてしまう。そうしまして、その停止になりますと、不都合があるということになった場合に、今度は、大臣が執行をしなきゃいかぬという執行命令を出すわけです。その執行命令につきまして、裁判所がそのいいか悪いかということを判断するということになっておりまして、日本のこの案でもそうでございますが、日本のほうでは、一応二十五条の第一項で、その執行の停止をしないと、訴訟の提起は執行の停止をしない、そういう建前です。それで、ある要件にかなった場合には、今度は裁判所が執行を停止する、こういうふうでございまして、ちょっと建前が違うわけでございます。
それからもう一つ、これは当然のことでございますけれども、行政裁判所という、そういう性格から当然のことでございますが、これは、構成などについて私詳しいことは知りませんけれども、日本のように、純粋の司法裁判官が裁判をするという建前ではございません。行政に通暁している、そういう行政官その他の人によって構成されている、いわゆる行政裁判所がそういう事件を取り扱う、こういう点につきましても根本的に違うわけでございます。それと比較されまして、日本の内閣総理大臣の異議の制度がどうのこうのということは直ちに出てこないというように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/38
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039・井川伊平
○井川伊平君 今のお話のうち、さらに一つ承っておきますが、ドイツの行政裁判所は、法律では行政処分の執行力を停止されるが、それを逆に、執行の効力を生ぜしめるために、今異議の申し立てができることを聞きましたが、裁判所の職権によりまして、あるいは当事者の申請によりまして、法律とは違った内容になる、処分の執行を進行せしめる、そういうことの決定もできるのですか。言いかえれば、そうしてくれという政府の申し出のあった場合のお話はありましたが、申し出がなくても、職権でもできるのか、あるいは当事者の申請のあった場合はどうなるかと、こう聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/39
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040・杉本良吉
○説明員(杉本良吉君) 私の今御説明申し上げた趣旨がばく然としておりまして、補足さしていただきたいと思いますが、ドイツのほうでは、訴えの提起がございますと、法律上当然に執行は停止されるという、そういう建前のようでございます。それで今度は、法律上当然に執行停止されますと、困る場合には、各行政府の長官が執行命令を出すわけでございます。それで、その執行命令のいい悪いということはまた裁判の対象になるのでございますが、裁判所が判断することになるでございましょうけれども、いわゆるその法律によって、裁判所の手をわずらわさないで、法律によって当然に執行が停止されるという建前をとっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/40
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041・井川伊平
○井川伊平君 よくその点わかりました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/41
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042・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) ちょっと私、先の赤松委員の御質問に対するお答えをもう少し補充したいと思うのでありますが、私が先ほど申し上げましたのは、現行行政事件訴訟特例法のもとにおける状態を申し上げましたので、なお、本法案によりますれば、御承知のように、第二十七条には、第六項というものが新設されておりまして、この法案が施行されました暁には、そういった単純に行政慣行だけからではなしに、総理大臣はやむを得ない場合でなければ異議を述べることはできませんし、また、異議を述べるときには、次の常会において国会にこれを報告しなければならぬことになっておりまので、そういった方面からも、まあ有効に、乱用がないように担保されておるというふうに私どもは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/42
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043・赤松常子
○赤松常子君 どうぞその乱用のないようにということを重ねて私要望したいのでございます。今までの事件の内容を見ますと、今あなたのおっしゃった市町村の統合問題は、いつからいつまででございましょうか。これにはなくて、県会議員の懲罰決議であるとか、県会議員の除名処分に関することであるとか、こういうことまで内閣総理大臣が一々異議を申し立てておられるのですね。私、びっくりいたしました。これから推測しても、今おっしゃるように、第六項の条文で非常にそれが拘束されるとおっしゃっておりますが、ぜひこの乱用のないということに力を入れていただきたいと、重ねてお願いいたしたいと思います。
それから、私しろうとでございますので、この前、参考人をお呼びしまして、いろいろ勉強いたしました、その中で、ちょっと納得のいかないことが二、三ございますから、お尋ねしたいと思います。
この第二条の「行政事件訴訟」という項の中に、どなたでございましたか、参考人の方が、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟のほかにまだある、訴訟の方法がある。それも明記すべきだというお言葉でございましたのですが、これ以外にどういうものがあるのか、それを明記なさらなかったということは、どういう意味があるのか、お教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/43
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044・杉本良吉
○説明員(杉本良吉君) 今の御質問の点でございますが、たしか前回に参考人が意見を述べられた中に、大体今おっしゃいましたような趣旨の御意見が出たと思います。その意見は、私どももよくわからなかったわけでございますけれども、付度するところによりますと、第二条は、この法案では、「抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。」というふうに、この四つの型にきちっと分けてしまって、ゆとりがないのではないか、もう少しゆとりのあるように、広く規定したらどうかというような御意見で、その方の御意見によりますと、結局立法技術的には、一応やはり抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟その他の公法上の権利関係に関する訴訟をいうと、こういうふうに、ゆとりを持たした定義の仕方のほうがいいんじゃないかという御意見ではなかったかと私は思います。ところが、そういうことになりますと、立法技術的におかしなことになるわけでございまして、この案の第二条の中にあります民衆訴訟の中には、実はいわゆる納税者訴訟といいまして、地方自治法の二百四十三条の二というところに出ておりますが、その中には、実は公法上の権利関係に関する訴訟でないものがまざっているわけでございます。そういうものも、この法案では行政事件訴訟ということにしているわけでございます。したがいまして、この定義は最大限に広く定義しているわけでございまして、少しもゆとりのないような、狭い解釈の定義の仕方をしているわけじゃございません。
それからもう一つは、そういうふうに、その他公法上の権利関係に関する訴訟ということになりますと、この第四条をごらんになって、いただきますと、その他「この法律において「当事者訴訟」とは、「云々とありまして、」公法上の法律関係に関する訴訟をいう。」こういう定義づけになっておりまして、それはどうも繰り返しになってしまうようで、第二条といたしましては、定義づけの体をなさないことになってしまうわけでございます。それで、立法技術的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、今言いましたような観点から申しますと、この法案でそういう窮屈にしたとか、あるいは行政事件の範囲を狭くしたというようなことには絶対ならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/44
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045・赤松常子
○赤松常子君 では、ここに書いてある以外の訴訟事件、はみ出た訴訟事件はほかの条文で救われる、取り上げられるというふうにこれはできているのですか。これは私、しろうとでございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/45
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046・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) その点、御理解願うためにもう少し、何といいますか、違った、裏から御説明申し上げますと、行政事件訴訟であります限りは、すべて第二条にあげております当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟を除くそれ以外の考えられる訴訟で行政事件訴訟と申しますのは、第三条の第一項の抗告訴訟に当たることに概念上なるのでありまして、それを一々第二条で拾いあげる必要はないと私は考えております。つまり当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟以外の考えられる訴訟で行政事件訴訟と申しますのは、この定義から申しますと、三条一項の抗告訴訟にすべて含まれると考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/46
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047・赤松常子
○赤松常子君 第三条の第五項でございますけれども、ここでも、少し参考人の御意見の中で私ふに落ちないことがございました。それは、「相当の期間内になんらかの処分又は裁決をすべきにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。」裁決をすべきにかかわらず、それがなされなかったということに対して損害を受けたとかという場合の救済はどうなるのでございましょうか。これが一点。そうしてこれをもっと義務づける、「これをしないことについて」ということではなくて、これを義務づけるというような拘束は必要ではないでしょうか。この二点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/47
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048・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) 第三条の第五項に関連しまして、本法では、こういった不作意の違法確認の訴えというものを一つ類型を示しまして、本法案では、その類型についての規定を置いているわけでありますが、およそ行政庁の違法な不作意に基づいて損害を受けたという場合には、別に、本法案とは関係なく、国家賠償法の発動によりまして損害賠償請求の訴えが認められることは当然であります。また、さような場合に、単に不作意の違法の確認を遡及するばかりでなくて、積極的にある種の具体的な行政処分をする義務があるということの確認あるいは行政処分をしろという給付の訴え、そういうものが行政事件訴訟として、わが国の法制のもとにおいても許されるべきものであるかどうかということは、本法案は実は何もいっておらないのでありまして、その点につきましては、将来の学説並びに判例の健全な発達に待って処しよう。ともあれ本法案では、抗告訴訟に関する限り、ここにあげております四種類の類型について詳細な規定を設けて、裁判所に手続を明らかに示そうというようなのが本法案の目的でありまして、それ以外の抗告訴訟について、本法案は、これを許すとも、あるいは許さないともいっておらないつもりでございます。将来は、学説、判例がそういったものを取り上げて、わが国の法令のもとにおいて許されるということになりますれば、これを禁圧する趣旨ではこの法案はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/48
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049・赤松常子
○赤松常子君 もう一点だけ承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/49
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050・松野孝一
○委員長(松野孝一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/50
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051・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/51
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052・赤松常子
○赤松常子君 第十四条の取消訴訟は、処分または裁決があった日から三カ月ということに、非常に短くなっている点が心配なんです。従来とも六カ月という法律の例がございますのに今度三カ月と、半分に短縮されたいということに対して、はたして民衆の利益が守られるかどうか。これを現行法の六カ月にしないで、三カ月に短縮されたという理由を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/52
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053・浜本一夫
○政府委員(浜本一夫君) これは、きわめて数字的に明らかでございますので、現行法の六カ月を三カ月に確かにいたしております。これは、現行行政事件訴訟特例法実施の経験に徴しましても、実は、六カ月というのは、むだに走っておることが多い、三カ月ぐらいが相当だという、何といいますか、見込みといいますか、統計といいますかに基づいて、三カ月ぐらいがけっこうであろう。また、諸外国の立法例を見ましても、六カ月より長いものは実はないのでありまして、これくらいが相当だという一種の蓋然的な見込みから決定したのであります。ただ、現行行政事件訴訟特例法施行の当初のころには、御承知のように、農地買収に関連しましてたくさん訴訟が輩出いたしまして、それらのもののうちには、多少おくれて出して、却下の運命になっているような訴訟も実はございました。それはいささか、その当時においては、農地買収という制度が、急速にああいった過激な、まあ過激と申しますと語弊がありますが、処置がとられましたので、多少国民の間に混乱を来たしたきらいがあるのでありまして、その後ずっと落ちついた状態におきましては、三カ月で事を処しても、少しも私どもは不当に国民の権利を侵害することにはならないという見込みから、三カ月にいたしたのでありまして、そのかわりまた各行政法規によりまして、三カ月に満たないきわめて短い、不当に短い期間を定めておるものについては、それぞれまた妥当な期間を定めて、整理法のほうにおいて調整をいたしております。また、出訴期間が現実に及ぼします影響と申しますか、そういったものを考えてみますと、あまり本法において長い期間を定めておりますと、それぞれの特別法で、また不当に短いような出訴期間の傾向を馴致するような思わしくない結果を招かぬ限りではございませんので、やはり本法で、確然とした、しっかりした根拠のある相当の期間を定めておく必要があるというところから、三カ月ぐらいを私ども相当であると考えた次第でございまして、現実には、六カ月を三カ月にしたからといって、しかく国民の権利を侵害するような弊害を生ずるものと、私ども考えておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/53
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054・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は次回に続行することとし、本案については、本日はこの程度にとどめます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/54
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055・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
この際、亀田君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/55
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056・亀田得治
○亀田得治君 私は、この際、東京都の山崎護謨工業という会社の労働組合並びに会社当局間の問題につきまして、検察関係の問題に関し若干御質問をいたしたいと思います。
警察当局では、すでにお調べによっておわかりだと思いますが、この職場は、従来から労働基準法違反が、それが摘発されたされないは別といたしまして、非常に多い。休みも月一回しかないといったようなことで、暗い職場であったわけですがそういう点を明るくしたいということで、今年の一月二十五日に組合が結成をされたわけです。そういたしますと、その以前からも若干そういう傾向もあったわけですが、会社のほうが、組合の結成ということに対しまして非常な妨害的な態度を事々にとるといったようなことで、諸般の紛争が起きておるわけです。この四月十一日からは、その前に組合員の有力な幹部の者が七人首を切られた、こういったようなこと等も直接の原因になりまして、現在ストライキに入っているわけです。もちろん、このストライキの解決自体の問題は、現在都労委等も取り上げておりまして、これは、いずれ適当に解決がついていくものと考えますが、ただ、私たちがお聞きするところでは、そういう状態になっておる労使の関係に対しまして、警察が必要以上に介入してきておる、これは非常に困る、こういう趣旨の陳情を強く受けておるわけなんです。警察の正当な任務の範囲内における出入りといったようなことは、これはまあ当然なことでしょうが、それ以上に出ておるのではないか、こういう疑いを私たち、関係者の陳情等を聞きまして、感じておるわけでして、まず、どういうふうな実情にあると警察庁当局は見ておるのか、最初に概括的な御説明をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/56
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057・三輪良雄
○政府委員(三輪良雄君) 御説明の前に、お断わりいたしておきますけれども、実は、正式な報告を受けておりませんで、お尋ねがありますので、急に聞くだけのことを調査をいたして参りましたので、不十分な点が多かろうと思います。わかっております範囲でお尋ねにお答えをいたしたいと思います。
この組合ができましたのは、今のお言葉のとおり、一月の二十七日から、月給制とか三千円ベース・アップ等の七項目を要求いたしまして、団交を重ねておったようでございます。お言葉のとおり、おそらく労使の間でいろいろとげとげしい気分もあったのかと思いますが、警察的な事故といたしましては、一月の二十八日に、労組員の数名の者が、非組合員であります者に対して、組合結成について社長に密告したということで殴打をしたということ、それから、二月一日には、社長に面会を求めましたが、社長も病気であったということで断わったところが、まあ言葉のやりとりであったのでしょう。その社長の実弟を組合の責任者でございますかがなぐったということがある。さらに、越えて二月二十四日になりまして、社長の実弟これは工場長のようでございますが、これが巡視をいたしておりますときに、怠業をしておると見て、そこで、班長に注意をいたすべく、二階の更衣室に行ったところがすでに一時を過ぎておる時間に食事中であったということで、これを諮問をいたしており、さらに、その日の夕方、かねて社長から、就業規則違反は始末書を取れと、こう言われておったということで、夕方、その班長に始末書を出せと言ったことから、これも言葉のやりとりがいろいろあったのでございましょうが、口論となって、現場に居合わせた他の執行委員がその社長の突如を突き飛ばした。それに、仲裁にはいったさらに下の弟がおるようですが、その者に対して、三名で二週間の傷害を与えたという事件が起こっておるのでございます。その最後の事件に対しまして、三名を二十八日に検挙送致をいたしまして、これは法務省からお言葉があろうかと思いますが、略式で罰金刑に処せられておるようでございます。それを理由といたしまして、四月の三日に、この三名を含みます七名というお言葉でしたが、私ども聞きましたのは八名と聞きましたけれども、それを就業規則違反ということで解雇をし、それが原因でございましょう、ストに入っておるということでございます。さらに、その後、四月三日以降に起きました問題として、四月六日に、朝の九時四十分ごろ、工員の一人がふろにはいって鼻うたを歌っておるのを社長が発見して、この時間にふろに入っておるのは就業規則違反だということで、引き出して顔面を殴打いたした。口の中に若干の傷をつけた。と同時に、その工員は、社長の弟が社長に手助けをしたということで、弟のほうを突き飛ばして、これに傷害を与えたということで、これは、社長と工員との両方を、任意でこれを調べまして、四月の十五日に地検に書類送致をしたというようなことが起こっておるのでございます。先ほど申しましたように、工場の闘争の状態、つまびらかにいたしませんけれども、こういった、ずっと経過を見ますというと、関係者がいずれも若い方でございます。二十才前後、あるいはまあ執行委員と申しましても、少年の方もあるようでございます。また、いわゆる町工場のように思われますので、労使の間も、組合団交というようなことに不なれであるということもあるかと思いますが、お言葉のように、いろいろそういった意味での感情の対立があるように推察されるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/57
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058・亀田得治
○亀田得治君 御報君のあった点に関連して若干お聞きするわけですが、四月六日ですが、今御説明のありましたけんかにつきまして、社長並びに工員の双方を任意で調べておるというわけでありますが、傷害を受けた工員というのは、小川という執行委員のはずですが、その点は、あなたのほうでわかっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/58
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059・三輪良雄
○政府委員(三輪良雄君) 受けましたのは、執行委員ということはここにございませんが、組合員の小川という人でございますから、執行委員であるのかどうかということはつまびらかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/59
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060・亀田得治
○亀田得治君 まあ同じ小川ですから、おそらく同一人だと思いますが、その小川君が五日間の傷害を受けておるわけです。そこで、小川君のほうが警察に参りまして、なぐられた事情というものを話をしたんですね。ところが、警察の取り調べ方というものがいかにも片寄っておるということを非常に憤慨して訴えておるわけなんです。たとえば「工場長とごたごたがあったことについて申し述べます、」こういうふうに冒頭にこちらは言うとるんですね。そうすると、警察のほうの書類の書き方は、「私は工場長に傷を負わしたことについて述べます」、こういうふうにすりかえられておる。それから、小川君は暴力をふるったほうじゃなしに、これはふるわれたほうなんですが、したがって小川君は、「私は暴力をふるったことは絶対ありません」、こういうふうに言うておるのに、調書では、「私は暴力はふるわなかったと思います」、こういうふうに、何か小川君と工場長との関係というものをことさらにあいまいにしている。この場合は、今御説明がありましたように、あるいは組合員、工員の中のだれかが会社側の人に手出しをしたのかもしれません。そのことは私は聞いておりませんが、あなたの今の御報告ですと、そういうふうになっているようですね。その関係は私は知りませんが、ところが、それに関連して、社長が小川君をなぐりつけておるわけなんです。小川君としては全く迷惑な話なんです。したがって、小川君との関係では、社長の暴行というものは、これはもう明確なんです。そこを、小川君はむしろ被害者、証人として言っておるのに、何かこう小川君を含めて、全体として工員たちのほうが不穏なことをやっておる、だから小川君、お前も飛ばっちりを受けたんだと感じられるような調書の取り方をやっておる。この点は、都会議員の大沢君がその後抗議に行ったようでありますが、何か問題が起きましても、両方手出しすれば、こっちが悪い、たとえば、御指摘になった二月二十四日の紛争ですね。これは両方やってるわけなんです、お互いに。ところが、警察に呼び出されたのは、その二日後の二月二十六日のようですが、会社側のほうは簡単にすらすらと聞いて全部帰される、こちらのほうは二週間もとめ置かれた、こういうわけなんです。しかしその場合は、おそらく警察にしても検察庁にしても、もうすでに略式の罰金まで出しておることであれば、いや、両者の度合いを比較したところ、一方のほうが強過ぎるとか、そういったような関係がそうしたというふうにお答えになるでしょうが、四月六日の小川君の処置というものは、はなはだこれはふに落ちない。そういう点は、はたせるかな四月六日のほうは、これは双方やってるものでしたら、おそらく二月二十四日と同じような処置になっているかもしれませんが、小川君たちのほうをそんなに強くやったんじゃ、社長のやつもどうしても取り上げなくちゃならぬということになるでしょうから、ともかく社長のやつをもみ消ししてやればそれでいいというような感じがありありと見えるわけですね。二月二十四日のやつを、そういうもうすでに刑まで言い渡されておるのに、六日のやつだけは、もういかにもこう手ぬるくやっておる。はなはだ不均衡のように感ずるわけですが、そこら辺はどういうふうに感じておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/60
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061・三輪良雄
○政府委員(三輪良雄君) これは、私もまあ事情を明らかにいたしませんが、今のお言葉の中で、工場長とのごたごた、あるいは工場長に傷を負わせたということでございますが、実は、事の起こりは、先ほども申しましたように、社長がまずその小川さんをなぐりつけたということがあるのでございます。その原因は、九時四十分ごろにおふろに入っているのが就業違反だ、こういうまあ規則違反だということのようでございますけれども、いずれにいたしましても、顔をなぐって、口から血が出る、お話のように、全治五日間の傷害を与えたというのでございます。ところが、その小川という人が、そのそれをやるについて見たところが、先ほど来出ておりますその社長の実弟、工場長でございますか、それが社長に加勢をしたということを憤慨をして、社長にでなく、実弟の工場長のほうに、右腰などをなぐって、これはまた全治七日間の暴行を与えたということになっおります。そこで、一番先に傷害を与えたのは社長でございますから、その傷害の事件としては、これは社長が被疑者に立つわけでございます。また、それと関連いたしたわけですけれども、その被害者の小川さんが、今度は、そこに居合わせた社長の弟という人に傷を与えるということになりますと、その第二の事件としては、小川さんが同時に被疑者になるということになるわけでございます。そこで、その訴えを受けまして、その両方から事情を聴取をし、四月の十五日に書類を東京地検に送致をいたしたと聞いておるのでございます。まあ六日に起こりました事件でございますから、十五日に送致したというのは、必ずしも故意におそくしたというふうには考えませんので、これはどういう調書か、内容を私もつまびらかにいたしませんけれども、検察側でまた再度両者をお取り調べの上適切な御処分がなされるものと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/61
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062・亀田得治
○亀田得治君 二月二十四日の紛争につきましては、両方でなぐり合いをしているのに、どうして一方だけが起訴されたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/62
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063・三輪良雄
○政府委員(三輪良雄君) これも、ごく簡単な警視庁からの報告でございますけれども、先ほども申しましたが、もう一度繰り返すことになりますけれども、二十四日の午後一時五分ごろに工場長が工場を巡視いたしておりますと、怠業しておると認めたので、その班長に注意を与えようということで、二階の更衣室のほうへおそらく班長を探しに行ったわけでしょうが、同人が昼食時間過ぎておるのに食事をしておるというので、就業時間中に困るじゃないかということを詰問をした。ところが、かねて、就業時間中に反則をやっておる者は誓約書を取っておけ、あるいは始末書を取っておけというようなことを社長から言われておるということでありましたので、午後五時二十分ごろに、工場の入口附近で、班長に、昼間の件で誓約書を書けということを促したということでございます。それを聞いてそこに居合わせました執行委員の少年でございますが、これが、その工場長ですか、実弟の胸を突き飛ばした上に、その班長がげんこで顔を数回殴打したというのでございます。この状況を見ていたさらにその下の実弟が仲裁に入ったところが、組合側の今申した二人のほかにもう一人加わりまして、三人の人でこの二人に対して殴りかかり、傷を与えたと、二週間の傷を与えたという、この二人について、それぞれ二週間程度の傷を与えたということであるわけでございます。まあそういういきさつですから、工場長なり、さらにその仲裁に入ったという下の弟の人なりも、おそらく黙って打たれるままにいたわけでございませんでしょう。そのときの格好は、まあ両方が殴り合ったということでありましょうけれども、こういういきさつのとおりであるといたしますと、これは、まあ傷害事件といたしましては、加害、被害という関係はそうならざるを得ないわけでしょうし、また、その打ちかかった組合の人たちのほうには、さしてけがというものがなかったといたしますと、一方が被疑者として立つということも、これは通常あり得ると考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/63
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064・亀田得治
○亀田得治君 だから、そういう報告がされるようなことだから不公平だと、私は考えるわけなんです。といいますのは、二十四日の夕方、そういういきさつから紛争があったことは間違いないのですが、この工場長が始末書を書けと言いまして、そうして副委員長の組合員のジャンパーを破っているのです。そういう手荒いことをするものだから、そこからけんかが起きたわけなんです。しかし、その段階では、まだそんな刑事事件のようなけんかじゃないわけでして、同工場長のほうは、今度は、けんかなら表へ出いと、若い者に負けるかと、一対一でやろうというようなことを口ばしり、そこにまた専務が来て、けんかならひとつやらしておいて、みんなで見とれという、まあこの辺のところは全くおかしなことですけれども、ともかくそういう調子なんですよ。それで、専務、工場長、そうして組合の役員三人一緒になって、こうみんな見ている所でやっているのです。だから、そういうものをですね。一方のほうだけ切り離して、そうしてそちらに都合のいいところだけをとって作り上げると、事件を、はなはだこれは、扱い方としては不公平だと私は思うのですね。で、組合員のほうにけがが実際なかったかどうか。おそらくはっきりしとらぬのだろうと思う。私たちは、けががあったことも聞いておるし、ジャンパーが破られたことも聞いているわけなんです。まあこれは、あなたも現場を見ておるわけじゃない。私も見たわけじゃないから、なかなか報告書だけでは判断のしにくい点がありますが、そうしてそのほかにもいろいろ問題があるようです。あるようですが、この会社がですね。赤羽警察署とのどういう平生からこう関係にあるかと、そういう点ですね。これを実はあなたに特に注意もし、お聞きしたい点なんです。それは、ことしの一月二十五日ですか、日ははっきり書いてありませんが、赤羽警察の警官が二、三人会社に来て、そうして社長らと一緒に酒を飲んで、裸踊りまでしていった。それから、警察官が会社に来て、ビールなどを飲むようです。これは、ときどきあるようですね。これは日は書いてありませんが……。そういうときに、警察をやめたら、ひとつ会社の守衛になったらどうか、そういうようなことを会社のものが口ばしっておる。それから、昨年の十一月ですが、社長とやはり赤羽警察署のもの四人くらいが料理屋で酒を飲み歩き、また帰りに、バーも二軒ほど飲み歩いた、こういう関係にあるわけです。それから団体交渉のときなどでも、警察にはちゃんと手を打ってあるのだ、警察は自分らの思うとおりになるのだ、こういう意味のことをときどき言われるようです。私がいただいた陳情書には、それは書いてありませんが、口頭でそういうことを言うておりました。だから、非常にそういう点も憤慨しているわけなんです。なるほど、両方殺気立っているから、それは、こちらも多少手出しをする場合もあるのだろう、また向こうもやり返してくるとか、と思いますが、そういう問題の処理をするものが今私が申し上げたようなことがあっては、これははなはだ疑惑を持たれるし、また、そういうことが言われるようでは、なかなか公平な取りさばきは実際問題としてはむずかしいと思う。そういう点は、あなたのほうでは全然お知りにならないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/64
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065・三輪良雄
○政府委員(三輪良雄君) 私のほうは、先ほど申したように、急なことで、そこまで調べていくゆとりがございませんでした。お言葉で初めて拝聴したわけですけれども、現に争議が行なわれておる一方と必ずしも飲んだということでもない、それ以前のことからのお話のようでございましたが、しかし、いずれにいたしましても、警察官が工場に行って酒をごちそうになるというようなことは、これはもう、望ましくないことは申すまでもないことでございます。そういう意味では、誤解を受ける点があれば、これはもう重々遺憾なことだと思っております。よくその点は取り調べてみたいと思うのでございます。ただ、これは、事情に即さないでそういうことを申して恐縮ですけれども、間々、対立する争いの場合には、何か一方だけが不利な扱いを受けているように思われる。そういった意味で、相手方と警察官との関係が特に深いのだというようなことを言われる例がしばしばございます。私のほうもそういう先入観なしに調べてはおりますけども、一方側のお言葉そのとおりというふうに受け取っていただかずに、そちらのほうでも御調査をいただければ幸いかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/65
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066・亀田得治
○亀田得治君 それは、私もたえずそういう紛争などの相談を受けたり、判断もしなければならぬ立場ですから、できるだけそういう、一方的にならないようなつもりで聞いているわけなんです。したがって、まあけんかなどの判断は、なかなかこれは容易に――私も見てきてそういうことを申し上げているわけじゃない、ただ、社長の言動なり、警察に関する言動ですよ、あるいは警察官が一ぱい飲んで、そうして裸踊りまでしていった、こういうことは、私も念を押しているわけです。その背後の気持とか、そういうことは別として、そういう事実は間違いないのだな、あったかどうか、いや、それは見ておるのですから間違いない、こういうことなんです。ですから、それが事件の処理とどういうふうに結び付くかは別として、そういうことは私はあってはならぬというふうに感ずるわけでして、これはひとつお調べを願いたいと思います。
もう一つは、たとえば四月二十四日のできごとですが、夜、組合員の諸君が集まっておる場所があるわけですが、そこの電灯が消された。ところが、その電灯というのは、工場の隣に社長の家があるようでして、そこからずっと来ておるわけですね。社長のほうでスイッチを切って、こっちを暗くしたわけですね。それで、組合員の諸君がへい越えで、何でそんなことをするのだ、電気つけろということをだいぶやかましく言うたようです。ところが、翌日になって、すぐ今度は公安のほうがやって来まして、そんなでかい声を出しちゃだめだとか、いや器物毀棄になるとかならぬとか、そういうことを言って、ずいぶんおどかしたようです。組合員のほうも、そんな向こうの話だけ聞いてきて、こちらが電灯を消されてしまっているのを、それに文句を言うのはあたりまえじゃないかということでやったわけですが、ところが、向こうの警察のほうは、ばかやろう、お前らは今度は徹底的にやってやるというようなものの言い方をしておるというのですね。これでは、冷静な態度ではないという感じがするのです。もしそういうことがあって、それが刑事事件だということであれば、これは冷静にお調べになるのは、これはまあ場合によってはやむを得ない場合もあるでしょうが、おそらくそれは犯罪にもならないと思ったのでしょう、そんな程度のことは、そう思ったから、まあ社長から電話もあって頼まれたから、一ぺんおどしてやれというようなことで言ったのじゃないかと思いますがね。だから、この点も真相を調べてほしい。犯罪にならぬ程度のことにつきまして、争議をやっている諸君のところへみずから出かけて行って、そういう言動を弄するということは、なかなかこれは一方的なんです。
以上、私の申し上げた点は、個々の点になりますと、なかなか判断がむずかしい。要するに、まあ非常に疑惑を持たれておるという点ですね。もう一つは、会社も、たとえば署のほうに手を打ってあるとか、自由になるのだとか、こういうことを組合員の前で言うわけですね。で、打ってなくて、こちら側の勢いをそぐために言うておられるのか、事実、あるから言うのなら、これは事実そうだからということになると、これは警察としてはたいへんだと思うのです、実際にあることなら。ないことを言うておるなら、これは警察としても注意してもらわなければならぬ問題でしょう、はなはだ不名誉な問題ですから。こういうことが工員の間で非常な不満をかもしているわけです。ひいては、このような行き過ぎた介入ということがなければ普通にまとまっていく話も、こういうことがあるものですから、何か話の中心がそっちに移ってしまって、肝心の中心の問題はそっちのけで長引いてしまう、こういう事態にあるわけなんです。だから、ぜひこれはよくお調べを願いまして、そうして適当な機会に、今最後に申し上げた点だけはぜひ御報告を願いたいと思うし、もしそういうような疑いを持たれるようなことがありましたら、これは厳重にひとつ注意をしていただいて、そんな軽率な行動のないようにこれはやってもらわなければいかぬし、また、会社側に対しても、そんなむちゃくちゃなことを言いふらすようなことはやっぱりやめるように、注意もしてもらわなければ私はいかぬと思う。そういう意味で、ひとつよく調査をしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/66
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067・三輪良雄
○政府委員(三輪良雄君) お言葉の数々は、みなよく記録をいたしましたから、先入感なく調査をいたしてみたいと思います。また、そういうことがかりにありましたならば、これは非常に遺憾なことでございますので、私はないことを確信いたしますけれども、そういう先入感なしによくひとつ調べて、御報告すべきものは御報告し、処置し、注意を与うべきものは注意を与えるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/67
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068・亀田得治
○亀田得治君 まああまりないことを確信しないで、ひとつよく調べてほしいと思います。
私は、この党のほうに来ました陳情書をざっくばらんにあなたにもお見せしておいたわけですから、これはたどたどしく事実関係をつづってあるわけです。言葉などは決して上等じゃありませんが、飾りけも何もない、そのとおり書いているわけでして、ただ、けんかの部分なんかは、自分がやったほうは多少忘れて書かれているというような点があるかもしれません。しかし、それはまた、だれが書いてもそういうふうなおそれのある問題でして、警察官に関する点は、これは非常に私は遺憾だと考えているのです。こういうことは、下部の警察官が一般になかなかお認めにならぬわけでして、それで、全然そんなことがないというようなことなら、この組合員の人たちが警察を誹謗したということにもなりますし、そういうわけですから、よく調べてほしい。そこで、どうしてもはっきりせぬというなら、これは、関係者に来てもらって直接聞けば、現場を見ているわけですから、どの警察官かということはわかるわけですから、われわれとしても調べる方法はあるわけです。しかし、あなたのほうが第一次的には総括した責任者であるわけですから、「そんなことはないと思いますが」ということでなしに、「あるかもしれぬ」と、めったにそんなことを言えるものではないですよ。事実に反して言ったら、これはたいへんなことで、そういうことを言うたり書いたりしては困るわけです。ですからこれは、そういうことがあるかもしれぬという立場もやはり持って、厳正にひとつ調査をしてほしいと思います。これだけ要求いたしておきまして、一応この程度で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/68
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069・松野孝一
○委員長(松野孝一君) 他に御発言もなければ、本件については一応この程度にとどめて、次回は四月二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104015206X02419620426/69
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