1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十九年三月十七日(火曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 川野 芳滿君
理事 有田 喜一君 理事 關谷 勝利君
理事 塚原 俊郎君 理事 西村 直己君
理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君
木村 俊夫君 佐々木義武君
進藤 一馬君 壽原 正一君
高橋清一郎君 中馬 辰猪君
西村 英一君 長谷川 峻君
細田 吉藏君 増田甲子七君
井岡 大治君 野間千代三君
山口丈太郎君 内海 清君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
出席政府委員
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房審議室長) 松永 勇君
厚生事務官
(大臣官房国立
公園部長) 今村 譲君
運輸事務官
(大臣官房長) 佐藤 光夫君
運輸事務官
(航空局長) 栃内 一彦君
運輸事務官
(観光局長) 梶本 保邦君
委員外の出席者
運輸事務官
(観光局計画課
長) 小林 正興君
専 門 員 小西 真一君
—————————————
三月十三日
委員田中織之進君辞任につき、その補欠として
島上善五郎君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
三月十六日
旧小倉駅に電車駅設置等に関する請願(藏内修
治君紹介)(第一三四三号)
諏訪市中浜大踏切道拡張に関する請願(原茂君
紹介)(第一三四四号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
小委員会における参考人出頭要求に関する件日
本観光協会法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八四号)
航空に関する件(富士航空機の事故に関する問
題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/0
-
001・川野芳滿
○川野委員長 これより会議を開きます。
この際、航空に関する小委員会における参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
本委員会において参考人から意見を聴取する必要の生じた場合、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/1
-
002・川野芳滿
○川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/2
-
003・川野芳滿
○川野委員長 航空に関する件について調査を進めます。
昨十六日、鹿児島空港において発生しました富士航空機の事故につきまして、説明を聴取することといたします。綾部運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/3
-
004・綾部健太郎
○綾部国務大臣 どうも、たびたび事故を起こしまして、何とも申し上げようがございません。事故の概要を御報告申し上げます。
一、事故の概要。富士航空株式会社所属ビーチクラフト式C18S型(陸上双発・六旅客座席)JA五〇二八は、昭和三十九年三月十六日、機長三宅一郎外一名が乗り組み、旅客五名を乗せ、同社の三〇一便(鹿児島−中種子)として十時五分ランプアウトし、鹿児島空港の滑走路三六から離陸を開始した。離陸滑走開始後間もなく滑走路の東側に逸走し、右回りにほぼ一回転して欄座した。この事故で、旅客中の一名が全治十日程度、他の一名が四日程度の打撲傷を負いました。
二、航空機の要目及び経歴。発動機
二基、各四百五十馬力、巡航速度二百四十八キロ時、航続距離千五百七一十六キロ、耐空証明の有効期間は昭和一三十八年十二月十七日より昭和三十九年十二月十六日に至る。製造年月日は一九四五年(昭和二十年)六月二十七日、製造後飛行時間八千五百九十七時間、前回大点検後の飛行時間七百六十二時間、前回点検後の飛行時間六十五時間であります。
三、機長及び副操縦士の略歴及び最近の飛行時間。機長三宅一郎、昭和五年九月十三日生まれ、昭和三十一年七月防衛庁海上自衛隊入隊、昭和三十八年九月富士航空株式会社入社、総飛行時間二千二百十一時間(内、海上自衛隊二千三十八時間、富士航空百七十三時間)、上級事業用操縦士第二二〇号
(昭和三十八年十一月十五日)。副操縦士佐藤勝己、昭和十三年三月十七日生まれ、昭和三十四年一月防衛庁海上自衛隊入隊、昭和三十七年十月富士航空株式会社入社、総飛行時間八百九十九時間(内、海上自衛隊五百六時間、富士航空三百九十三時間)。事業用操縦士第一二五一号(昭和三十七年十二月一日)であります。
四、気象。概況快晴。風向北西。風速十五ノット、視程二十マイルであります。
五、富士航空株式会社の概要。創立年月日は昭和二十七年九月十三日。社長名松嶋喜作。資本金十億八千万円、事業内容は、路線、東京−高松−大分−鹿児島、鹿児島−種子島、鹿児島−屋久島、種子島−屋久島、新潟−佐渡島、大阪−新潟。免許業種は定期航空運送事業、不定期航空運送事業及び航空機使用事業。所有機材は、コンベアCV240型二機、D・Hヘロン一機、ビーチクラフトC18S一機(今回の事故機)、。ハイパーアパッチ一機、セスナ172一機、ベル47G四機、シコルスキーS62一機。所属航空従事者は、正操縦士四十三名、整備士二十二名であります。
六、とりあえずの事故防止措置、富士航空株式会社から、事故の続発にかんがみ、運航及び整備について全面的に再検討を行なうため、全路線の運航を明十七日から一時中止したい旨の申し出があったので、これを了承した。
当局は右の再検討に際し、同社の東京基地及び鹿児島基地に係官を派遣してこれを指導するととも一に、機長の技能の再審査、航空機の整備状況の再点検等を行なうこととした。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/4
-
005・川野芳滿
○川野委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/5
-
006・久保三郎
○久保委員 ただいま報告がありました富士航空の事故でありますが、たび重なる事故でありまして、あまり言うことばも出ないほどであります。結局その原因についてはいずれも当委員会には調査中ということになるわけでありますが、大体機体の整備はもちろんでありますけれども、そのほかに操縦士の訓練あるいはミス、そういうところにも大きな問題があろうと思うのです。それからきのう、あの辺はどうでありましたかわかりませんが、大阪空港付近は、午前中は大体強風注意報が出て、きのう大阪に所用があって航空機に乗ってまいったところが、途中で名古屋に着陸をして風がおさまってから大阪へ入ったのであります。そういう状況の中で実はきのう起きた富士航空の事故は、気象に関する問題というか、とらえ方も的確ではなかったと思うのであります。こういう点についてまず第一に気象の関係は、当日というか、きのう富士航空の事故に関連して、あの辺の気象情報はどういうふうに取って、それをどういうふうに利用しておるか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/6
-
007・栃内一彦
○栃内政府委員 気象情報につきましては、鹿児島の保安事務所に気象庁の分室がございまして、そこでは、ここに書いてございますように、風速十五ノットというのが十時現在の状況でございます。なお突風があるというような、かなり気象状況は平穏ではないというふうな情報が出されておったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/7
-
008・久保三郎
○久保委員 そういう平常な状態でない、突風のおそれもあるというときに、そういう状況の中で、しかもこういう飛行機を発進させるということについては、航空局長はどう思っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/8
-
009・栃内一彦
○栃内政府委員 この飛行機は横風で十五ノットというのが制限になっております。しかし十五ノットというのはぎりぎりの制限でございませんので、もちろんゆとりはあるわけでございます。それは真横から十五ノットという場合の問題でございまして、風向きが北西ということでございますので、この程度の風であるならば、飛行の安全ということは一般的に言っては支障はない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/9
-
010・久保三郎
○久保委員 いまの航空局長の御答弁は、何かまだ事情もよくお調べにならないと思うのです。一般論としてあなたは御答弁になったようで一ありますが、実際は新聞報道によりますれば、突風が来て、あるいは風向きが変わって、実はああいう事故を起こした、こういうふうにも伝えられているのです。こういう状況の中で、強硬に飛行機を出発させなければならぬということ自体は、一般論としては通用しないのじゃないか。むしろあなたのおっしゃるように、普通はそう心配はないのだということにとることはどうかと思うのです。きのうの気象条件からいけば、突風のおそれがあるのですから、しかもそのときに大体十五ノット以下であったか知りませんが、相当風が吹いていたのでしょう。そういうところに無理に出すことに問題がありはしないかと私は聞いておるのです。だから航空局長とすれば、そういうものをやるべきでないだろう。いまのお話だと多少無理でもそれはやるべきだというふうにとれます。そういうことはやるべきじゃないと私は思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/10
-
011・栃内一彦
○栃内政府委員 私は十五ノット云々の問題について申し上げたのでございまして、パイロットがいろいろな気象情報を出発する前に気象庁の分室でもって取るわけでございます。その場合に大事をとるというような判断、これは必要だと思いますが、昨日飛んだこと自体が違反であるというようなことではない。慎重な態度をとるということは必要だと思います。したがって、きのうの場合、結果的にはパイロットの技量上の問題もあったかと思いますが、不幸な事故が起きたわけでございますので、結果的に見れば非常に遺憾なことでございますが、北西の十五ノットである場合に常に飛行を停止するということは、また一面問題があると思います。したがって、そこの判断ということは非常にむずかしいと思います。したがって、できるならば、やはり安全サイトでもって飛ぶかどうかということを十分慎重に検討する必要がある、この点は率直に認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/11
-
012・久保三郎
○久保委員 この当該航空機は定刻に出発しようとしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/12
-
013・栃内一彦
○栃内政府委員 ほぼ定刻に出発しようとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/13
-
014・久保三郎
○久保委員 この航空機の運航はどういうふうになっているのですか。飛行場から発進して飛んでいって、そのあとの要するに航程は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/14
-
015・栃内一彦
○栃内政府委員 この飛行機は種子島の中種子飛行場行きの飛行機です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/15
-
016・久保三郎
○久保委員 中種子行きの飛行機だというが、これは鹿児島との間の往復だけですか。ほかには利用していませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/16
-
017・栃内一彦
○栃内政府委員 中種子、それから屋久島の路線も一行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/17
-
018・久保三郎
○久保委員 昨日のこの当該航空機のスケジュールはどうなっているのですか、おわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/18
-
019・栃内一彦
○栃内政府委員 詳細な時間は払いま承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/19
-
020・久保三郎
○久保委員 まだ詳細な時間というか、スケジュールはお知りになっていないそうですか、後刻調べていただきたいと思うのです。というのは、無理なスケジュールを立てますれば、多少無理でもきのうのように発進する——やや定刻だそうでありますが、こういう状況の中でもう少し三十分なり一時間なり様子を見て出せば事故はなかったかもしれぬですね。そういうことを考えると、これは航空機の飛行スケジュールというか、そういうものに非常に制約があったのじゃないかとも考えられるのです。この点は一ぺん調査してほしいと思います。
それから時間もありませんし、原因その他も一いつもはっきりしませんから、後刻また航空小委員会もありますから、そのところでさらに詳細に検討させてもらいますが、いずれにしてもこの航空会社は続いてこういう事故を起こしておるわけです。無理なかっこうです。そこでいま運輸大臣からの御説明によりますと、本日から一時その全路線の運航を停止するという申し出だそうでありますが、これは当然のことだと思うのです。しかし航空会社は自発的に一応再検討するまでの期間として申し出られたそうでありますが、運輸省自体としても一別な観点から、この当該会社のあらゆる問題について検討をして、検討が十分なされて、その結果こういう航空会社には事業を始めさせるという方向をとるべきだと思うのです。これは運輸大臣にお尋ねしたほうがいいと思いますが、単なる航空会社の自主的な判断だけで事業再開を許すということは、この際いかがかと思います。ついては運輸省自体も、検討の結果、これならよろしいだろうという確信が得られてから初めて事業を再開するというふうにしてほしいと思うが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/20
-
021・綾部健太郎
○綾部国務大臣 もちろんお説のようにするつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/21
-
022・川野芳滿
○川野委員長 肥田次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/22
-
023・肥田次郎
○肥田委員 いま久保委員がおっしゃったように、航空小委員会がありますから、そこで質問をする時間もあると思うのですが、私がなお一、二点お聞きしてみたいのは、この富士航空のこのたび事故を起こした飛行機は一九四五年の製造になっており、製造後の飛行時間が八千五百九十七時間ということになっておるのですが、これは富士航空だけというよりも一、日本全体の航空会社が一体どの程度の飛行時間の飛行機を現在使っておるのか知りたいわけです。このビーチクラフトのC18Sを富士航空が購入したときに、どれくらいの飛行時間をこの飛行機は費やしておったのかということをひとつ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/23
-
024・栃内一彦
○栃内政府委員 このビーチクラフトという飛行機は、日本でも一非常にたくさん使われております。ただ定期的にお客を乗せて使うというものは、現在離島関係に使っておりますが、主として訓練用機として、私の記憶では現在十数機現実に稼働しております。それから主として測量あるいは新聞社関係というのでかなり使っております。
それから当該飛行機は、ここにございますように、昭和二十年の製造でございますが、富士航空に入りましたときに何時間使っておったかという点は、後ほど調査して御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/24
-
025・肥田次郎
○肥田委員 それからもう一つお聞きしたいのは、この機長、操縦士の経歴なんですが、大体前回の富士航空で事故を起こした操縦士も、自衛隊の搭乗員であった者が民間におりてきて民間航空の操縦に従事しておるということであったと思います。このたびの三宅一郎という人の飛行時間は二千二百十一時間ということになっており、そのうち海上自衛隊に二千三十八時間、富士航空で百七十三時間という飛行記録がここに書いてありますが、ここで問題にするのは、私はいまこれをどうこうということではなしに、この次に当局のほうで富士航空の自発的な運航停止について検討される事項の中で、いわゆる自衛隊出身の操縦士が民間におりた場合に、そのまま操縦士として採用するような形をとることについて少し問題があるのではないかと私は思うのです。前回の場合も、いろいろ専門家の見方はあるでしょうが、あれはまだその結果を詳細に御報告されておりませんから、したがって、われわれがここでお聞きしたいのは、要するに自衛隊という場で操縦している場合と、それからこういうふうに一般旅客を乗せて操縦する場合との考え方に何かまだ未熟なものがあるのではないか、未熟なものということが語弊があるのならば、まだいわゆる自衛隊気分というものが抜けないのではないか、こういうことがえてしていろいろな、言うところの勘の誤りから着陸接地地点を誤ったり、あるいは滑走路から逸脱するということになったりということが起きるのではないかと思うのです。いわゆる粗野な運転ぶりというものがまだ抜け切れないような場合があるのではないかということも考えられます。したがって、当局のほうで、ここに書いてあるように、「機長の技能の再審査、航空機の整備状況の再点検等を行なうこととした。」というふうに書いておられますから、その中で、特にこの点については十分ひとつ検討をしてもらいたいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/25
-
026・栃内一彦
○栃内政府委員 たまたま自衛隊出身の民間パイロットで事故が起きたという結果になりましたので、いまのような御質問があるいは出たのではないかと存じますが、今度事故を起こしました三宅一郎という操縦士は、海上自衛隊でビーチクラフトにかなり長い時間乗っております。したがって、この飛行機には十分慣熟しておった、海上自衛隊出身でございますが、決してこれは戦闘機操縦士でも何でもないのでございまして、いわば民間とほぼ同じような飛行機に乗っておったという点がございますので、それほど民間に行ってもまごつかないのじゃないか。もちろん自衛隊と民間とでは任務が違いますので、操縦のやり方にも一おのずから違ったところが出てくると思います。この点におきまして、民間に入りました場合には、民間のやり方に十分習熟させるという必要は痛感しております。したがいまして、今回の事故後の措置におきまして、従来になかったような異例な措置としまして、航空局もともに入りまして、富士航空の整備面なりあるいは操縦士の技量という点を再点検いたすことになりましたので、いまおっしゃいましたような点も十分注意いたしまして、よく調べたい、また必要があれば改善を勧告いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/26
-
027・肥田次郎
○肥田委員 航空局長の言われることはよくわかりますが、私は航空局長にもう一点強調しておきたい点があるのです。それは、あなたのおっしゃるように航空時間が非常に長い、それからビーチクラフトの操縦時間も長い、こういうふうにおっしゃっておるのです。それで、常識なら万々このビーチクラフトを操縦したために事故が起きるような問題じゃないのだけれどもと、こういうふうにわれわれは受け取れるのです。そこに私は問題があると思うのです。ですからその点を、その人の経歴が長い短いにかかわらず、もう少し検討する必要があるのじゃないか、こういうことを私は言ったわけです。前回の事故の場合でも、民間に入って四百五十時間以上操縦している飛行時間があるようですが、そういうものはとにかくその人の固定した技術になっておるには違いないと思うけれども、それでもなおかつああいう事故が起きる。今度の場合でも、これほどの熟練者であってなおかつ滑走路を逸脱するような事故が起きておるのです。ですから、本質的に何かそこに欠点があるのじゃないか。欠点がないとするならば、何かそういう起こり得べからざるような技術上の失態が起こる原因がどこかにあるのじゃないか、こういうふうに考えるのです。ですから、その人の経歴が絶対に間違いないりっぱな人なんだということは、これは否定するわけじゃありませんけれども、事故が起きたという現実の上に立って、どうして事故が起きるのかということについては、いろいろな面から検討してもらう必要があるだろう、こういうふうに思いますので、特に強調しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/27
-
028・川野芳滿
○川野委員長 井岡大治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/28
-
029・井岡大治
○井岡委員 ;口お尋ねをしたいのですが、事業内容のところに、富士航空は九つの基地があります。読み上げますと、東京、高松、大分、鹿児島、種子島、屋久島、新潟、佐渡、大阪、これだけ基地があるわけです。そうして整備員は二十二名という。そうしますと、各基地に整備員を配置しておるのかどうか、この点をひとつお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/29
-
030・栃内一彦
○栃内政府委員 いま基地とおっしゃいましたのは、路線上使っておる飛行場という意味でお数えになったのだと思いますが、整備上の基地は必ず飛行機の寄るところに全部あるわけでございませんので、富士航空の場合には、主として東京と鹿児島と新潟というものが整備の基地になっております。そのうちで最も一大きな基地は東京でございます。そのほかのところは整備員は派遣しておりませんが、これはいずれの航空会社でも整備基地というものは何個かに限定しまして、いわば途中通過の飛行場におきまして、飛行機に乗っておる操縦士はもちろん整備上の知識がございますが、これが点検をしているということになっております。したがって、整備基地といたしましては、すべての離着陸する飛行場にはないというのが現実でございます。したがって、ここにおきます整備士二十二名は、東京なり鹿児島なりというところに集結しておる、こういうかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/30
-
031・井岡大治
○井岡委員 そこに問題があるのじゃないですか。一九四五年に製造をした飛行機です。したがって、年数からいうとかなり古い年数だと思います。たとえばいま二十年の法定償却を持っておるのは汽車と電車と船だけでしょう。ほかのものは全部、法定償却としては、自動車は五年、あるいはその他のものはせいぜい十年です。もちろん飛行機は航程キロで償却の点をお考えになるのですが、これすら十分おわかりになっておらない。そういう場合、少なくとも整備その他に万全を期さないと、私は不測の事故が起こると思うのです。そういうようにお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/31
-
032・栃内一彦
○栃内政府委員 航空機は確かに自動車その他に比べまして長い間使う、これはそのとおりでございます。しかしこれは決して飛行機が安全でなくなるということではございません。古い飛行機にしましても、必要な部品は定時に全部取りかえます。これは悪くなくても定時に取りかえます。ただ、飛行機が古くなりますと、いわゆる快適性がなくなるというような点で、商業採算的に古い飛行機は廃棄されていくということは現実でございます。ただDC3というような非常に優秀な飛行機は、戦前にすでにできました。それがずっと使われておる。そして新聞にも出ておりましたように、全日空でもやっと今度DC3を引退させるということでございますが、これはDC3が古くてあぶないから引退させるのでなくて、さらに優秀な旅客機、と申しますのは、スピードの点につきましても、快適性の点につきましても、な旅客機が入ってくる。そうすれば型式の古い、たとえば高空に上がった場合にいわゆる圧力の関係で耳が痛くなるというような飛行機は、商業的に好ましくないというような点で引退させるということでございまして、DC3自体が古いから危険である、こういう意味ではございません。現に航空局で現在フライトチェックに使っております飛行機もこれまたDC3でございまして、私どもは安全性を信頼してやっておるわけでございます。
それからもう一つは整備の点でございますが、整備にしましても、オーバーホールというような非常に大きな修理は、大きな基地でもってやるわけでございます。あるいはこれを場合によっては外注いたします。外注すること自体は、決して私は悪いことではないと考えます。むしろそういうことの専門の会社に外注するということのほうが、自分でもってやるよりもはるかに安全であるという点があると思います。それから整備にしましてもいろいろな段階がございまして、定時点検というような場合、たとえば百時間なら百時間で点検するというような場合には自社でやる。あるいは、私どもライン・メーンテナンスと称しておりますが、飛行機が出発する場合に、その基地でもって最後の点検を行なう、そして目的地に行く、そして帰ってくる、そしてまた次に出るときにはそこで点検する。それから途中で、離発着はもちろん中間地点でいたしますが、その場合には、普通はそこにその会社専属の整備員がおらないというのが現実でございまして、機長がその場合にはいままでの飛行の状況を見て、そしてそこに懸念があればそこでとまりますが、懸念がなければ離陸前の点検をいたして飛ぶ、すべてそういう方法でやっておりますが、富士航空だけが、たとえばここにございますように大分に整備員がおらないということで、決してそういう意味でサボっておるというわけではございません。これはおそらく、全日空も大分を使っておりますが、全日空も大分には整備員は置いてない、私はかように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/32
-
033・井岡大治
○井岡委員 それは一般論としてはわかりますが、たとえば汽車でも、全部こわれてしまってから法定年限が来る、それからオーバーホールするというのじゃないのです。汽車は三年にはオーバーホールしているはずです。ですから、法定償却だって二十年であるけれども一、二十年、二十五年使っている。自動車だってそうです。五年の法定償却はあるけれども一、いままで一年だった車検を一年半に延ばして、そしてやっているんじゃないですか。ですから、私は、二十年だからといって少しもオーバーホールをしてないとか、あるいは定期検査をやっていないとか言っているのじゃない。かなり長い年数がたっておるじゃないか、したがって細心の注意を払わないと問題が起こり得る原因を持っているのじゃないか、こう言っているのです。この点について一般的にあなたは申されているわけです。DC3だって戦前にできたのだ、しかし優秀なんだからと、私はそんなことを言っているのじゃない。優秀であるか優秀でないかというのは私にはわかりません。わからないが、少なくとも安全ということを考えるならば、細心の注意を払うだけの指導をしなければいけないのではないか、こう申し上げている。ですから、どこの基地はどうであるとかあるいは飛行機の整備を専門家にまかすほうがいいのだ、こんなことを私は一つも言っていない。そういうことはあなた方の仕事の中における判断の問題であり、指導の問題だと思うのです。私は現実に営業しておる飛行機についてどのようにあなた方が指導をするかということを尋ねている。ですから、営業としてこの基地には、この飛行機には、飛行機会社にはいわゆる整備員を置いているのは東京だ、こう言っている。あるいは鹿児島だと言われた。そうすると、たとえば種子島で、あるいは屋久島で飛行機に故障が起こった場合はどうするのですか。あるいは故障ではないけれども、若干どうも変だ、こういうようなことが起こった場合どうするのですか。結局基地から、鹿児島から持ってこなければいかぬわけでしょう。そこにこう頭をかしげるような、あるいはかしげるまでにいかないにしても、このくらいだったら飛べる、こういう判断が飛行士の中に、操縦士の中に潜在的にあったとしたらどうなるのです。そこに問題があるのじゃないのか。ここで飛行機の数を数えたら十何機あるわけです。十何機あって、これが毎日飛んでいるのでしょう。一台か二台は休んでおるのもあるでしょうけれども、しかし、少なくとも十何機かのうち十機は動いている、こういうように数えるべきだと思う。判断すべきだと思うのです。そうすると、これは二十二名です。毎日二十二名出てないはずだと思う。やっぱり休みもあるでしょう。おそらくこれは昼夜交代とするならば十人です。あるいは十人以下です。そうすると十分な整備とか点検とかということができないのではないか、こういうように判断するのが常識だと私は思うのです。こういう点についてあなた方はどう指導されているのか、こう聞いているのです。整備の問題なんで、いわゆる専門家でこうである、ああであると言われたって、それは私にはわかりません。わからないが、常識的に考えて、十何機の飛行機で基地が二つ、整備士が二十二名、これは毎日出るわけじゃない、こう考えたら、整備士なんというものはおらないということになるのじゃないですか。この点どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/33
-
034・栃内一彦
○栃内政府委員 二十二名の整備士がおるわけでございまして、飛行機の数は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/34
-
035・井岡大治
○井岡委員 それは毎日出ておるのか、毎日は出ていないはずだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/35
-
036・栃内一彦
○栃内政府委員 もちろん休みの日はあると思います。ただ、富士航空におきましては、夜間に飛ぶということは、ほとんどございません。ここに掲げてあります機種から申しましても、運転しておる路線から申しましても、夜間に飛ぶことはございませんので、昼夜交代というようなことはやっておりません。したがって二十二名の整備士で、私どもは必要にして十分な整備要員を持っておるというふうに判断しております。ただ、いま御質問のように、いろいろな点で、しかし事故が起こるではないかという点は現実の問題でございます。したがって、ここにも書いてございますように、今後それらの点も十分考えまして、はたして二十二名でいいのか、二十三名にする必要があるのか、二十五名にする必要があるのか、そういう点も一もちろん検討することを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/36
-
037・井岡大治
○井岡委員 委員長からもう時間がきたからやめろと言うから、これでやめます。
それでは、整備士のおるところはどことどことどこで、どこの基地には何人、どこの基地には何人、そうして労働時間は何時間、朝出勤が何時で、退所が何時、このことを明らかにしていただきたいのと、それからあなたは、二十二人で十分な整備員だ、こういうようにお考えになっておる。そうであると、将来事故が起こらない、こういうように言明するだけの自信があるのかどうか、私はこれだけ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/37
-
038・栃内一彦
○栃内政府委員 私は二十二名で必要にして十分であるというふうに申し上げました。将来事故が起こるか起こらないか、私は起こらないことを祈っております。しかし今後、日本の航空界におきまして絶対に事故がないかと言われましても、これは私としてはお答えいたしかねます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/38
-
039・川野芳滿
○川野委員長 次に、日本観光協会法の一部を改正する法律案を議題として審査を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/39
-
040・久保三郎
○久保委員 観光の問題については、この法案以外にも審議する機会がありますので、私は、本日は、あと他の委員が質問するようでありますから、二、三の点だけお伺いしたいと思うのです。
まず第一に、五年前に観光協会法ができまして、国内観光と国際観光の両組織を一括したわけです。その法案審議の際に、ちょうどこれは三十四年の三月十日の当委員会で、当時の運輸大臣である永野さんに、私から質問をいたしておるわけです。これは綾部運輸大臣は御存じないことだと思うのでありますが、当時私が非常に疑問に思った点を質問しておるわけです。これに対しては必ずしも的確な説明がなくて、当時の永野運輸大臣は、まああなたのおっしゃるとおりであるが、要約するならば、大蔵省から金を引き出すということのために万やむを得ずというような意味にとれているわけです。これはそうはっきりは申しておりませんが、ことばの中から全部そういうふうに読み取れる。そこで一番問題の点は、観光行政の中で、一つは国際収支の改善ということで、なるほど国際観光は重要な部門として取り上げられなきゃならぬということは当然であるけれども、これの受け入れの国内整備は、何といっても国内観光の面からいわゆる積み上げていかなければ、そういう受け入れ体制も十分にいかないだろうというようなこと、さらには最近における国民生活の中で観光の占める分野というか、比重というのは非常に重くなってきた。だから、いうならば単に国際収支の改善というだけに観光が利用されてはならぬ。むしろ国民生活を健全に発展させるという意味からも、そういう前進的な意味から国内観光はやらねばならぬ。ところがこの国際観光振興会に一本にまとまるということになりますれば、当然国からの助成ということは国際観光振興ということで、国際観光に力点が置かれて、一番問題になっている最近におけるこの国民的ないわゆる国内観光の面が後退するというようなことを忠告を含めて実は質問をしておるのです。今度のこの分離案は、いうならば私が五年前に指摘したとおりになって、国内観光は国際観光部門と一緒にしていたのでは振興はしかねるということであるのか、それとも国内観光を含めてやると国際観光が後退するというので分離するのか、いずれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/40
-
041・小林正興
○小林説明員 ただいまお尋ねの国際観光と国内観光を一本にしてやるかあるいは今回の改正案のように分離してやるかという問題でございますが、これはやはり国際観光あるいは国内観光いずれにいたしましても、国がどの程度施策について力をいたす必要があるかということで、その当時の情勢といたしましては、やはりこれを一本にしていろいろな施策を講じていくということがふさわしいということであったろうと思うのでございます。と申しますのは、当時の国際観光にいたしましても、当時の実情というような点は、五年後の今日、来訪外客数で見ましても倍以上ということになっておりますし、また国内観光というようなものに対します国全体の認識というようなものも、昨年の基本法で明らかなとおり、当時と今日の状態では講ずべき施策というようなものが量的にまた質的にも非常に変わってきたといいますか、重要性が増してきたわけでございます。したがいまして、今日の時点におきましてもやはり方法論といたしまして二つの体制に分けて、そうしていずれも強力に実施していくというのが適切ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/41
-
042・久保三郎
○久保委員 観光局長はお見えにならぬのですが、課長さんの御答弁では、まあ両方ともうまくやるのには分離するほうがいいと言う。私がお尋ねしているのは、五年前に私が言ったことのためにやむを得ずそういう結果になった、だから分離するのだ、そういう心配が現実になってきたということなのか、それとも別な理由から分離するのかということを聞いているのです。——局長はお見えになるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/42
-
043・川野芳滿
○川野委員長 見える予定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/43
-
044・久保三郎
○久保委員 法案を始末つけようというのに、当該の局長が来ておらなければ困りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/44
-
045・川野芳滿
○川野委員長 参議院の委員会に行っておられて、もう見える予定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/45
-
046・久保三郎
○久保委員 その問題は、それでは局長が来てからもう一ぺん尋ねましょう。これは重要なポイントでありますから、ただ単にそのときの大蔵省の考えや、あるいは金を出してももらう都合や、あるいは統制というか、牛耳るのに都合がいいというので、合わせたり離したりというのでは、観光行政に一貫性がないと思うのです。去年観光基本法ができたことを何と思っているかというのです。観光基本法の精神が出てきているかというと、ちっとも出てこないのです。実際を言えば、機構いじりなのです。こういうことでは、われわれとしてはどうもまた再び問題ができはしないか、こういうふうに思っている。
それで、もう一つ法案そのもので聞きますが、理事の数はやはり同じ数ですね。ものの考え方でいけば、国内観光を含めたときに、役員の数が何人かかわりました。今度は国内観光を分離するのでありますから、算術的計算からいけば、これは少なくてよろしいということです。そうでなくても観光協会は財政的に行き詰まったかっこうが出ているから、理由としては分離ということが出てきたのでしょう。われわれは決して役員が多い、少ないということだけで論じているのでなくて、必要のないところへなぜ置くか。大体、いま理事が五人ですか、監事が二人、会長、副会長、これをそのまま継承するというところにも私は問題があると思う。これはいかなる考えで、これだけはこのとおり継承するのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/46
-
047・小林正興
○小林説明員 改正法案におきまして、日本観光協会が国際観光振興会になりました場合に、お尋ねの会長以下役員の数あるいは権限と申しますか、そういった点につきまして変更をいたしておらない理由といたしましては、先ほども若干申し上げましたが、今回の改正の要点は、国際観光の振興ということに日本観光協会をして専念させるというところにあるわけでございまして、その観光協会の業務量そのものは飛躍的にふえておるわけでございます。また、今後それをさらに強化していかなければならないという情勢にございますので、役員の数というようなものについても減らしてないわけでございます。また減らすことは不適当だと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/47
-
048・久保三郎
○久保委員 それでは、会長、副会長はわかるとして、理事五人はいま担当の部署は何と何か。それからこの法案が成立すれば、その五人の部署はどういうふうに担当させるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/48
-
049・小林正興
○小林説明員 現在理事五人のうち四人が常勤でございまして、総務、企画と申しますか、そういったものを総括する理事、それから経理関係を総括いたします理事、それから国際業務といったものを総括する理事、それから四人目がいろいろ業務全体を——国内観光を含めました、国際観光の振興には関係ございますが、いろいろ資料といいますか、そういったも一のを整備するとか、あるいは調査をいたすとかいった、業務全般についていたします理事、この四人がおります。これは業務担当でございます。一人は非常勤でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/49
-
050・久保三郎
○久保委員 その振興会に移行したら、理事の担当はどういうふうにきめるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/50
-
051・小林正興
○小林説明員 これは協会が新しい体制になりまして後、事務分担というようなものは振興会として正式に定めるべきものと思いますので、正確に確定案はありませんが、一応の考え方だけを申し上げますと、総務関係につきまして一人、それから経理関係について一人、それから従来国際というものを担当するというかっこうでいっておりましたが、これについて、宣伝事業というか、宣伝業務、そういうものを中心にいたしました理事が一名、それから宣伝に使いますいろいろな資料、これが一番あれでございますが、資料を整えなければならぬ、こういうようなかっこうの仕事が考えられます。それからもう一人につきましては、調査というものが考えられます。ただこの五つの部門について五人というような理事が考えられるわけでございますが、常勤あるいは非常勤というような問題につきましては、具体的な予算ということと関係いたしますので、これについてはまだ決定しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/51
-
052・久保三郎
○久保委員 いまお尋ねしますと、現在いる理事五名のうち一人が社外理事というか、非常勤、あとが総務、経理、国際関係、それから全体の陣容というか業務だ。大体経理一つとっても、経理担当と総務担当と別々に置くほどの経理がありますか。大体金は幾ら扱っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/52
-
053・小林正興
○小林説明員 三十九年度の予算について見ますと、総額は六億五千八百万円強ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/53
-
054・久保三郎
○久保委員 この協会自体の要員というか、人間はどの程度ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/54
-
055・小林正興
○小林説明員 先ほど申し上げましたように、理事五名、監事二名以外に、本部に五部で五十四名でございます。それから日本国内にございます総合観光案内所というのが東京と、羽田空港に東京案内所の派出所、それから先週の十四日に京都に新しく開設いたしました京都総合観先案内所、この三カ所の総合観光案内所の要員は二十一名を見ているわけでございます。東京に十一名、羽田に三名、京都に七名、こうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/55
-
056・久保三郎
○久保委員 在外は何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/56
-
057・小林正興
○小林説明員 それ以外に在外観光宣伝事務所というものが三十八年度までに十三カ所で、三十九年度になりますと十四カ所になりますが、この定員は二十八名でございます。それから今年度の予算で認められましたジュネーブについては二人でございます。それ以外にいわゆる定員ではないわけでございますが、現地雇員と申しておりますが、現地において職員を採用するような予算があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/57
-
058・久保三郎
○久保委員 大体金のほうは六億五千万で、七億にはならぬ程度です。そして人間全体が大体百名ちょっと、本部にとれば五十四名の職員がいて、それを五人の理事で統括している。ずいぶん頭でっかちだと私は思うのです。理事でなければできないのでしょうかね。大体経理とか総務とかいうのは、大会社であるなら別だが、しかも機動性を帯びなければならぬために協会という名前でやるのでしょう。それに役人の異動が多いんじゃないかと私は思うのです。だから太平洋地域の観光調査の中でも、運輸省があまりタッチしちゃいかぬというようなことを勧告されている。観光局長はこの意味がわからぬというお話でありますが、私もそれをおやりになっておることがわからぬ。しかも今度国際観光をやるというならば、宣伝、その土台になる資料、こんなものは一緒の部門ですよ。言うならば、一緒の理事が統括しないで、宣伝するほうとその材料を集める資料とばらばらな理事がやっていて、どんなにうまくいくかというのです。大体親玉一つですよ。どんな宣伝をしたらいいかまず考えて、その資料はどこからとったらいいか考えるのがあたりまえでしょう。しかも一大きな機構じゃないのですよ。五十何人本部におられるから、十人の頭に理事が一人ずつ乗っかっている。そこに問題が一つあると思う。これは五年前にも言ったことであります。今度は会員制度がなくなって、運営審議会というものも一切なくなるわけですね。ただし寄付金だけはいただこうというのですね。いままでは運営委員会というか審議会というのがあって、そういうものを通して会長が意見を吸収して、民主的な運営ができた。今度は一切会員としての資格はなくなるから、寄付だけは出すけれども、発言する正規の場所はない。そうだとするならば、これは大いに社外理事を入れて意見を取り入れるという方向が一番望ましい。私はあえて定数を、この際法案の審議途中で減らせとは言いませんから、妥協の方法としては社外理事を二人なら二人にしなさい。あとの三人がいまあなたがおあげになったものを全部担当するようにする。そうすれば、私は民主的だし機動力があると思うのです。
大蔵省からも理事になっておられる方がございますか。運輸省もありますか。その前歴を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/58
-
059・梶本保邦
○梶本政府委員 参議院のほうにおりましたので、まことに失礼いたしました。
現在の理事五名の中には、大蔵省からの方が経理担当理事として在籍しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/59
-
060・久保三郎
○久保委員 運輸省は何人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/60
-
061・梶本保邦
○梶本政府委員 運輸省は一人です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/61
-
062・久保三郎
○久保委員 あとの二人の常勤理事はどういう方でしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/62
-
063・梶本保邦
○梶本政府委員 一人は東京都と申しますか、自治省関係の方が一人、それからもう一人は国鉄から来てもらいました。もう一人は厚生省から来ておられますが、この方は非常勤でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/63
-
064・久保三郎
○久保委員 理事はみんな役人です。これでいいのかどうかというのです。私は全面的に否定しろとは言いません。しかし観光という特殊なもので、今度は切りかえて国際観光一本でやるのですね。その場合に観光のかの字も知らぬ人iと言っては語弊があるが、ほんとうにその道の権威者であるならどういう人でもいいと思うのです。役人でなくてもいいと思う。しかしいまお尋ねをしている範囲では、どうも各省関係でお金を出してもらうほうの、たとえば運輸省はもちろん一人、大蔵省はさいふのひものほうだからこれも二人、国鉄もいわゆる株主の一人だからこれも一人、東京都、いわゆる自治省からも二人来る、これは東京都も大きな株主というか、それで一人来る、厚生省は金を出さぬから、これは常勤にはしない、こういうことでしょう。本来ならば厚生省は実際は観光資源のほうを扱っておるんですから、そういうものを入れるならば話は筋が通りますよ。資金が出てくるところだけが行くというのならば、話は違うと思うのです。だからこんなものは膠着して、五年前に私が警告したとおりだ。国内観光は全然振興できません、だからこれは分離するんだ、私はその点を警告しておる。そのとおりになっておる。観光局長にお伺いしますが、あなたの代ではないが、五年前にいまの事務次官が観光局長だった、永野さんが運輸大臣のときに、これは一本になったんですよ。そのときに私は注意した。だから、今度の分離についてはあらためてあなたにお聞きしたい。運輸大臣にはあとからお聞きすることにして……。五年前に僕が予測したような、心配したような点からこれは分離するのか、それとも違う意味で分離するのか、その点簡単にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/64
-
065・梶本保邦
○梶本政府委員 私は全日本観光連盟という社団法人と、国際観光協会という財団法人が一緒になったことは間違いだとは思っておりません。これはやはりその当時にはそういうふうになることが必要であったと考えております。しかし、その当時から今日までもうすでに満五年を経過するわけでございます。国際情勢も変わっております。OECD加盟の問題も出ております。IMF八条国移行という問題も出ております。そのように国際観光市場というものにおける競争がものすごく激化してきた。諸外国の観光に対する各国政府の力の入れようというものも非常にふえてきた。かてて加えて観光基本法の制定によりまして、国内観光分野におきましても、やらなければならない部面というものが非常に多くなってきた、そのような状況でございますので、おのおのの分野においてそれぞれ専心する機関を設けたほうがより観光を発展さすことになるんだ、かように考えております。いわばこの五年というものは一つの歴史的な経緯をたどったのであって、決してそれが間違いであったとは考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/65
-
066・久保三郎
○久保委員 間違いでないというふうに御答弁があるというと、ちょっと問題がまた別になるのでありますが、なるほどそういう御答弁になるとは思いますけれども、最近における国際観光が、いわゆるOECD加盟、IMF八条国移行などということでおっしゃいましたが、これは当時も同じようなことを言っておるんですよ。それじゃお尋ねしますが、国内観光は基本法からいってどういう処遇になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/66
-
067・梶本保邦
○梶本政府委員 これは基本法の中にございますような国内観光、国民観光についての国がやらなければならない施策というものが書いてございますが、これは今後国内観光について施策の重点になっていくものだと考えております。まことにこの前文の冒頭に書いてございます「観光は、国際平和と国民生活の安定を象徴するものであって、」これに尽きると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/67
-
068・川野芳滿
○川野委員長 運輸大臣が参議院の予算委員会のお呼び出しを受けておるそうですから、運輸大臣に対する質問をお先に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/68
-
069・久保三郎
○久保委員 運輸大臣、先ほど申し上げたように、役員の問題ですが、理事、こういうものについて私がお尋ねをしたことについて、同意されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/69
-
070・綾部健太郎
○綾部国務大臣 私もかねてこういう公団その他について役人がいわゆる天下りをやるということについては賛成いたしかねます。それの一語で尽きると思いますが、あなたの言うこともよくわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/70
-
071・久保三郎
○久保委員 大臣の答弁はどうもはっきりしないので、何かあやふやな答弁でありますが、私が申し上げたのは、理事の定数をいま減らせとは言わぬ。言わぬけれども、もっと本来の姿に戻るようなかっこうと、それからもう一つは、寄付金はいただくが、運営委員会というか、そういうものはもうなくなってしまう。そうすると、いわゆる一般の関係業者の声も一聞けなくなる。だからせめてその中間をとって、理事の中に何名かは、二名なり三名なりは一般の人も非常勤の理事として入れなさい、そういうことなんですよ。これは簡単だし、そうあるべきだと私は思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/71
-
072・綾部健太郎
○綾部国務大臣 御趣旨ごもっともでございまして、ある適当な時期にふやすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/72
-
073・久保三郎
○久保委員 御用があるそうですから、どうぞいらっしゃってください。
それでは観光局長にお尋ねしますが、あなたは、国際平和と国民生活の安定を期すること、この一語に尽きる、こうおつしゃったのですが、国民生活の安定とはどういうことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/73
-
074・梶本保邦
○梶本政府委員 やはりこの前文の中にございますけれども、「国民生活の緊張の緩和等国民経済の発展と国民生活の安定向上に寄与するものである、」こういうふうな文言が観光基本法の前文の中にございますけれども、これだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/74
-
075・久保三郎
○久保委員 それで私が言いたいのは、国民生活の緊張を緩和するということ、それはとりもなおさず国内観光である。国際収支の関係は国民生活の安定にも一寄与するかもしれないが、緊張の緩和を忘れては困るのですね。いわゆる観光というものは、単に国際収支の改善に尽きるものではないのだ。むしろ最近における世相からいけば、緊張緩和が重大な問題だと思うのですね。これもいわゆる国内観光するのに、分離したらどういうメリットがあるか、それをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/75
-
076・梶本保邦
○梶本政府委員 御説のとおり、この基本法の一つのねらいは、最近いわれておりますような消費者行政という観点から観光問題を取り扱っております。消費者行政というものを観光に当てはめてみますと、結局観光旅行の安全の確保、それから観光旅行者の利便の増進、こういうことが二つの根幹、柱になっていると考えております。それが九条と十条でございます。そのほかなお、家族旅行その他健全な国民大衆の観光旅行の容易化、こういうようなことがいわゆる消費者行政の観点から観光基本法の中に盛り込まれた、かように考えております。この方向は、今後の国民観光としての重点施策としてなっていくべきものだというふうに信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/76
-
077・久保三郎
○久保委員 そこで、いまのメリットは概念的にはわかったが、今度の法案で、この法律改正で、この協会と振興会の目的は変わった点はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/77
-
078・梶本保邦
○梶本政府委員 今度の振興会は、一言にして申しますと、寝ても一さめても四六時中国際観光の振興のことばかり考える、これに徹する協会でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/78
-
079・久保三郎
○久保委員 国際観光の中で振興を考えると言うが、その国際観光の中で、いまの法律で協会と違う点があるかどうかと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/79
-
080・梶本保邦
○梶本政府委員 現在の協会はいわゆる国際観光と国内観光とを一元的にやっておるわけでございますが、それが先ほど申し上げましたような理由で専念したほうがいい、また業務量の面から考えましても、合併した当時には在外事務所がわずか四つでございました。それが今日では十三、来年度ジュネーブを入れますと十四になり、十もふえるわけでございます。そういたしますと、業務量の面からいたしましても、それに専念する政府機関がほしい、こういう気持ちに尽きるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/80
-
081・久保三郎
○久保委員 そこでこの法文を見ますと、いままでの観光協会法の中には外人観光旅客に対する接遇の改善という文字があるのだが、今度はそれがない、これはどういうふうに考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/81
-
082・梶本保邦
○梶本政府委員 接遇の改善は、今後新しくできる社団法人、国際観光振興会のほうでやってもらう、あるいはまた国のほうでその施策を考えていく、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/82
-
083・久保三郎
○久保委員 そうしますと、今度はもう宣伝、誘致だけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/83
-
084・梶本保邦
○梶本政府委員 宣伝、誘致と案内——案内と申しますのは、東京と京都にございます総合観光案内所をさすわけでございますけれども、これが業務の範囲になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/84
-
085・久保三郎
○久保委員 そうすると、接遇の改善は、いわゆる社団法人のほうにまかせるというが、政府としては社団法人に対して何らかの助成をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/85
-
086・梶本保邦
○梶本政府委員 接遇のほうは、社団法人とそれから国みずからが施策を行なっていく、こういう考え方に立つわけでございます。この分離と申しますか、新しく発足する社団法人に対しては、来年度は国からの補助はございません。ただ、いま話がついておりますのは、例のモーターボート競走法によるところの日本船舶振興会の剰余金の観光事業への補助、この中で約千六百万円の補助がいま話がついた次第でございます。これが一つの大きな有力なる補助財源となっていくと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/86
-
087・久保三郎
○久保委員 国際観光ルートの設定は、政府自身でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/87
-
088・梶本保邦
○梶本政府委員 当然そういうことになっていくと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/88
-
089・久保三郎
○久保委員 それでは政府自身では、今日まで基本法ができて一年になるが、その問いかなる施策を講じましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/89
-
090・梶本保邦
○梶本政府委員 基本法の精神にのっとりまして、現在ある法律で、基本法の精神に照らして改正を要する問題はどんどん改正していこう、これがまず第一の私ども一の根本態度でございます。そのような前向きの気持ちから、このたび今国会に三つの法律改正案を観光局としまして提案をさしていただいた次第でございます。今後は新しい法律の立案という問題に取っ組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/90
-
091・久保三郎
○久保委員 そこで政策審議会のことで総理府にお尋ねしますが、基本法ができてから政策審議会が諮問を受けたのは十二月五日に答申した当面必要な国際観光振興に関する事項だけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/91
-
092・松永勇
○松永(勇)政府委員 政策審議会ができましたのが昨年の七月の五日でございます。それ以来総会を開いたこと三回、部会を開いたこと六回になっております。現在までにこの審議会に対しましては、所得倍増計画に伴う長期観光施策いかんということの諮問が発せられて、まだ答申になっておりません。この答申を行なう段階におきまして、オリンピックを目前にいたしまして当面政府に意見の具申を行ないたいということで意見の具申がございましたが、昨年の十二月、「国際観光振興上当面必要とする事項に関する意見について」という意見の具申があったわけであります。これに対しましては、別途政府ではそれに伴う措置を講じております。
なお審議会といたしましては、そのほかこの基本法に基づきまして国会に提出します年次報告及び三十九年度に政府がとろうとする観光施策というものについての意見を求めております。先般その意見の具申、答申がございました。政府としましては、それに基づきまして近く国会に報告書を提出する運びに至っております。これが大体審議会の活動状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/92
-
093・久保三郎
○久保委員 そこで、いま所得倍増と観光政策に対して諮問中であるそうでありますが、その中身は、大ざっぱにいってどういう点でありますか。国際観光だけの面でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/93
-
094・松永勇
○松永(勇)政府委員 政府から諮問いたしておりますのは、いま申したとおりでございます。包括的な諮問と申しますか、答申は審議会自身において考えて答申していただく、実際に何か政府の具体案をつくっての諮問ということではございません。したがって、審議会が目下検討しておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/94
-
095・久保三郎
○久保委員 当然国際観光と国際収支の関係で、所得倍増計画と観光の問題は、一つの討議の柱になると思うのです。しかし、もう一つ忘れちゃいけないのは、さっきから申しておりますように、国内観光といわゆる国民生活の問題所得倍増計画におけるところの緊張、それを緩和するということ、そういう問題を含めておやりになるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/95
-
096・松永勇
○松永(勇)政府委員 政府から諮問いたしましたのは、先ほど申したとおりでございますが、これは審議会の中で現在この諮問に対する答申の基本的な考え方を種々検討いたしております。その中にはもちろん国際観光、国内観光の総合施策というような面につきまして多面にわたっての検討をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/96
-
097・久保三郎
○久保委員 それでは観光局長にもう一つお尋ねしますが、この国内観光に対していままで観光局というか運輸省としては、どういう指導というか、施策というか、そういうものはどんなふうにやっていますか、いままでいわゆる観光協会を通して指導されておると思うのでありますが、この一年間何か注文をつけていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/97
-
098・梶本保邦
○梶本政府委員 まず観光基本法の中に、観光関係団体の整備というのが第十七条にございます。この観光基本法の十七条の精神に基づきまして、国際観光、国内観光、それぞれの分野における諸団体の整備促進というふうな考え方を一つの根底にいたしまして、今度やらんとする社団法人国際観光振興会というものの誕生、こういうふうなことを考えておる次第でございます。まず組織づくりと申しますか、それぞれの団体の整備というところからスタートいたしたい、かように考えた次第でございます。もちろん組織は組織といたしまして、そのほかにユースホステルに対する補助金というものを通じてユースホステル網を日本の各地に整備していくというふうな考え方をとっておる次第でございます。また国際観光との関連におきましては、例のレストハウス、案内観光地図板、こういったものは外人も一見れば日本人もそれによって便利をするという性質のものでございますので、そういったことが具体的に予算化した問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/98
-
099・久保三郎
○久保委員 観光局長にもう一つお尋ねしますが、この分離をするということは、観光協会そのものの中から出てきたものか、それとも運輸省なり関係省の中から毒そうすべきだという論が出てきて今日法案提案ということになったのですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/99
-
100・梶本保邦
○梶本政府委員 これは全く両方から同じような意見が出てまいったわけでございます。これは先般平山副会長が参考人として当委員会において述べられたとおりでございまして、両方の意見が円満に一致いたしまして、このような方向に踏み切った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/100
-
101・久保三郎
○久保委員 どちらも始末に負えないということで踏み切ったというふうにとってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/101
-
102・梶本保邦
○梶本政府委員 私は始末に負えないという日本語はどうもこの場合には当てはまらないと思う次第でございまして、まるで始末に負えないということになりますと、夫婦であった者が夫婦げんかをして出るというようにお感じになるかもしれませんが、そういうことではなくして、二人で一緒に住んでおったのだけれども、うちが小さくなったので、お互いに独立したうちを持とうじゃないか、こういうような意味だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/102
-
103・久保三郎
○久保委員 お互いに大きくなったということなら話はわかるのですが、国際観光だけが大きくなって、どうも国内観光が住むところがないということで分離ということにとれそうなんですが、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/103
-
104・梶本保邦
○梶本政府委員 決してそういうことではございません。今後の国内観光の発展の躍進ぶりをごらんいただけば、おのずと御了解いただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/104
-
105・久保三郎
○久保委員 そこで観光局長と意見は違うのでありますが、これは国際観光は運輸省なら運輸省でもちろん従来どおり一本としてやる、国内観光は別なほうでやるというふうにしたほうがいいのじゃなかろうかとさえ私は考える。というのは、どうもくっつけたり離したりが頭にくる。それからもう一つは、政府自体が、国内観光については、あなたのおっしゃるように、政府も多少はお金を出していると言うのだが、全体として見ればこれは実際わずかなものです。全体としてはあまりにも微々たるものです。だからこれは分離してかかったほうがよさそうだというようにも思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/105
-
106・梶本保邦
○梶本政府委員 ただいまの御質問に対して運輸省側として答えますことは、関係各省に対しても非常にデリケートな立場にあるのでございますけれども、これまた観光基本法第十六条の中に、「観光行政に関する組織の整備及び運営の改善」ということで、すでにこの文言が入っておる次第でございまして、私ども運輸省としては国内観光を運輸省関係から分離したほうがいいというふうには毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/106
-
107・久保三郎
○久保委員 そうだとするならば、この基本法審議の際にも私から質問したとおり、関係各省庁の間のコントロールをどうするかということを前向きで考える時期じゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/107
-
108・梶本保邦
○梶本政府委員 その点につきましては、私、先生と全く同意見でございまして、これは前向きでみんなが考えなければならぬ大問題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/108
-
109・久保三郎
○久保委員 そうだとするならば、観光局長も政府の一員だろうから、いわゆる政策審議会に向かって諮問をする用意はないのか、あるいは審議会そのものが考える時期だと思うのですが、審議会のほうはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/109
-
110・松永勇
○松永(勇)政府委員 政策審議会は、必要があれば総理大臣及び関係各大臣の諮問に答え、あるいは意見の具申ができるようになっております。したがって、そういう必要があれば、いつでも諮問する用意はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/110
-
111・久保三郎
○久保委員 そういう必要があればじゃなくて、必要のことは国会で一年前、それ以前にも話をしているわけです。それから基本法の中には、先ほど観光局長が読み上げたとおりの条文が入っておる。だから当然意見を具申するということが審議会に課せられた使命じゃなかろうかと私は思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/111
-
112・松永勇
○松永(勇)政府委員 国内観光をさらに一段と振興すべきだということは、運輸省から先ほどお答えがございましたが、まさにそのとおりでございます。審議会が現在答申の段階で議論いたしておりますのも、もちろん国際観光と国内観光、これは二本の柱として当然それぞれの重要性を認めて現在審議しておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/112
-
113・久保三郎
○久保委員 運輸大臣がおられないからあとでお聞きしますが、厚生省国立公園部長がお見えだから申し上げます。
観光基本法ができてから、厚生省のあなたの部門で新たな施策は概括的に見てありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/113
-
114・今村譲
○今村政府委員 あの基本法が通りましてから新規のものは別にございませんが、その前後からでございますが、これは厚生省といたしましては、国立公園、国定公園、それから県立の自然公園と三段階ありますが、それと温泉地の関係、両方含めまして予算の増額をして、ここ二、三年国民大衆の利用者が非常にふえております。たとえば国立公園だけでも三十七年度で大体一億一千万人の利用者がある、これはラフな数字でございますけれども、五千円も六千円も出すような旅館とは別に、国民大衆のためにそういうふうな方向を考えなければならぬという線がありまして、公園等園地、それから清掃関係のものあるいは公衆便所、野営場というふうな手近に利用できるものについての予算的に重点的な配置をやるということで、ワクは小さいのでございますけれども、総体につきまして約六億前後というふうな額の増額が一つ。もう一つは、たとえば国民宿舎のようなもので、普通ならば二千円、二千五百円というふうに取られるのでは非常に手が届かないということによりまして、厚生年金の還元融資というものを財政投融資のほうから持ってきまして、これは細々と三十一年から始めたわけでありますけれども、大体ここ二、三年は九億前後というので、三十五、六億くらいのものを六分五厘、二十年償還ということで市町村につくらしておる。これは大体八百円ないし八百五十円くらいで一泊ができるというふうなもので、三十五、六億をすでに入れておりますが、これが百三十カ所ほど現在できております。まだ要望が非常に強いので、これをどんどん整備していきたいということが一つと、それからもう少し国立公園の中の一番景観のいいところに、単なる宿舎ばかりでなくて、テニス・コートもあり、水泳場もあり、それから散歩道もあるというふうな大規模なものを含めまして、国民休暇村、しかもそれも二けたの料金で押えようというふうなもので、現在まで三十八年度のワクも入れまして約十八億くらい、財政投融資のほうから相当思い切ったものを今後とも入れていきたい。したがって、そういうレジャー・ブーム受け入れの施設を至急に整備してまいりたい、こういうふうな方向でやっております。それから温泉地につきましては、端的に言いますと、非常に歓楽化したところもございますけれども一、そうでない静かな、保養なり静養なりあるいは湯治なりというところがございますので、そういうところにつきましては、公共的な施設、たとえば温泉館とか温泉プールとかいうふうなもので、これは予算を若干でございますけれども取りまして、そういうひなびた静養自由なところを保養温泉地として指定して補助金を出す、こういう三本の方向で現在やっておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/114
-
115・久保三郎
○久保委員 そこで厚生省から観光協会のほうへ理事が一名行っているそうですが、それはあなたですか、どなたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/115
-
116・今村譲
○今村政府委員 おそらく国立公園協会の専務理事をやっています千家さんという造園学者だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/116
-
117・久保三郎
○久保委員 それで、その人はおたくのほうと緊密な連絡をとっておられるのでしょうね。ついては、今度御案内のとおり、この法案が通れば国際観光一本にこの振興会はなるわけですね。国内観光のほうは、いわゆる社団法人ですか、そういうことになるのです。特に国内の観光資源を管理し開発するというか、そういう立場におられるあなたのほうとして、この法案を政府として出したのだから、これに異論があるとは答弁はしないでしょうが、この社団法人になった場合に、むしろ国際観光よりはあなたのほうは国内観光のほうが言うならば重点ですよ、資源のいわゆる保護と開発ですから。そうなった場合にうまくいくと思っておりますか、あるいはそうするのにはどうしたらいいか、そういうことについて御意見がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/117
-
118・今村譲
○今村政府委員 実は、申しわけございませんが、これが通りました後におきます委員の人選とかそういうことを厚生省としてはまだ考えておらないわけでございます。ただ、おっしゃいますように、なるほど国民全般のいわゆる国内観光というのが中心でございますけれども、国立公園というものをいわゆる海外にも宣伝をするということで、国際観光という問題も日本の国立公園に関します限りにおきましては相当の関心を持っておりますので、その辺は主管省たる運輸省といろいろ御相談を申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/118
-
119・久保三郎
○久保委員 特にこの際聞くのはどうかと思うからその辺でやめますが、先ほどもあなたがおいでになる前にちょっとお尋ねしたのですが、いわゆる観光資源の開発というか、保護というか、そういうものとあわせて国内観光がもっと着実に伸びていかなければならぬと思うのです。ところが、一つの例をとれば、どこかにある観光事業会社がその営利目的のためにあたら自然の景観を害するという例は間々あるのですね。そういうものに対して厚生省のほうの権限というのは必ずしも強くはない。言うならば事業者の観光意欲、企業意欲だけで持っていかれてしまう、大衆はその犠牲になって、結局疲労を増すために観光地に殺到するというような問題が今日の大きな社会問題になっております。こういう問題について、あなたのほうは積極的に意見を出すべきだと思うのだが、この点は今日までどういうふうになされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/119
-
120・今村譲
○今村政府委員 先生のお話のとおりに、最近の観光ブーム、したがってそれに伴うホテルなりいろいろな業者関係で、非常に膨大な、十億とかなんとかいうふうなものがしょっちゅう出てまいります。その規模によりましては、国立公園の一番いいような景観のところを、どんどん木を切らしてしまう、あるいはブルドーザーでひっかき回すというふうな事態の計画も出てまいりますので、非常に苦慮しておることは事実でございます。ただ先生がおっしゃいますように、それほど政治的に全部押えつけてしまうということではございませんで、自然公園審議会でも各界の学識の方がおられまして、できる限りの基本法にありますような観光資源の保護、自然の風致維持という点と、それから国民にそれが接近できやすいようないわゆる利用面との調和点をどこに置くかというのが、これは非常な苦しみでございますけれども、最善を尽くして努力はしつつある、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/120
-
121・久保三郎
○久保委員 あと一つ、これはきのうとある新聞に載っていたことでありますが、観光局長は新聞をごらんになっているでしょうな。ある新聞に、「ホテル増改築融資で不正」ということで、運輸省の幹部に云々と、こういう記事が出ています。これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/121
-
122・梶本保邦
○梶本政府委員 きょう現在ただいまの時点において、まだ運輸省の職員で取り調べを受けておる者は一名もございません。そういう段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/122
-
123・久保三郎
○久保委員 それでは、別に取り調べを受けていないというのだから、なんでありますが、このホテル融資などは、言うならば観光ブームで、あっちからもこっちからもいろいろな問題が持ち込まれると思うのです。持ち込まれるのはけっこうです、それは民主的に話を聞けばいいのですから。しかし、聞く反面、もしもこういう融資をめぐる三角関係とかなんとかいうことで、問題があらぬ方向へ発展する、観光基本法ができて一年たって、そこからどうもくさいものが出てきたということでは困るのでありまして、この点は、まあいまの御答弁で調べられておらないというのだから、ないと私も信じます。しかし、あっちゃ困るのでありますから、こういう点は十分警戒をしてほしい、こう思うのです。大丈夫ですね。
いままで申し上げた点は要点にすれば二、三でありますが、観光局長は十分配慮されていくことと、もう一つは、基本法ができて一年になるので、言うならばあなたにいろいろな注文をつけるのはまだ酷かと思うのです。だから私はあまり注文をつけたくはありませんが、基本法ができて、基本法の通過する際に、具体的な子法もそれぞれ出さなければいかぬ、出すべきだ、こういう約束であったのです。そういうことでありましたが、出てきたものはこの分離案が一つ、これから審議に入ろうとするあっ旋業法、あるいはホテル整備法の手直しというか、そういうだけのものなんですね。われわれからいけば、どうもこれでは基本法をつくってもなかなか進まぬのではなかろうかという気持ちがするのです。審議室長からお話を聞けば、そういう点には関心を持たれているようだが、具体的に審議にはまだ入っておらぬということでありますね。でありますから、これを機会にもう少し基本法を一つ一つ読み直していただいて、特に私が強調した国民生活の中におけるところの観光の問題についてもっと掘り下げてほしいと私は思うのだが、どうですか、これが通ったら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/123
-
124・梶本保邦
○梶本政府委員 お説のとおりでございまして、昨年の六月二十日に基本法が制定公布されたわけでございまして、直ちに運輸省としましては基本法の解説書の作成にとりかかり、あわせて観光に関する六法の編集を始めておりまして、もう近くでき上がることになっております。それと、新しい法律としましては、いろいろ考えておるものが運輸省としてあるわけでございまして、それもある程度までは検討を進めております。しかし、観光局はわずか三課でございまして、一課で一つずつ今度法律を持ったような次第でございまして、私どもとしましては全力をあげて基本法の精神を生かすべくやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/124
-
125・川野芳滿
○川野委員長 肥田次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/125
-
126・肥田次郎
○肥田委員 私はこの法案について実は問題点を一つ二つまとめてお伺いしたいと思いますが、先ごろからの質問の中にも、いわゆる今度の一部改正は結局屋上屋を重ねるようなことになるのではないか、こういう質問がありましたが、その点では私もそういう理解に変わりはないのです。そこで、そうではなしに、これを一つの過去に行なわれた医薬分離的なそういう好意的な解釈で見た場合に、次のような問題点が起こってくるので、質問をいたしたいと思うのであります。
それは、まずこういうふうに、言われるように、観光の宣伝、観光の案内その他外国人の旅客の来訪の促進に必要な業務を専門的に行なうのだ、こういう振興会の分野と、それから現在各観光業者が持っておるところの外国におけるところの観光事務所といいますか、そういうものとの関係は具体的にどういうふうに分離をされてその事務の運営をやられるか、これをひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/126
-
127・梶本保邦
○梶本政府委員 結局国際観光振興会は政府機関でございます。政府機関は外国において観光宣伝、誘致を行ないまして、それじゃひとつ日本へ行ってみようかという気持ちを起こさせるまでは振興会の仕事でございます。その気持ちを起こした人に対して、今度は切符を売ったりホテルの世話をしたり周遊券の発売をしたりして、旅行についてのいろいろのあっせん等の仕事をいたしますのがいわゆるエージェント、あっせん業者の仕事になっております。このことは、日本だけがそういうふうな方向をとっておるのじゃございませんで、世界各国その方向でございます。国が切符を売ったりそこまでのことをやりますといわゆる民業圧迫になりますので、そこで一線を画しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/127
-
128・肥田次郎
○肥田委員 先般観光局長は勝澤委員の質問に対してもそういう答えをしておられました。これは答えとしてはそれでいいのです。私が聞いておるのは、具体的にどういうふうにそれがやられますかということを聞いておるわけなんで、そのどういうふうにということは、いままでやっておった形を具体的にどう分離することができるのか、それを聞いておるわけです。現実にあなたがいま言われるように、とにかく気分を起こさせるまでのことをこの振興会でやるのだ、そして気分を起こしたそのあとは、今度は切符を売ったり旅館を世話したりするのはあっせん業、これは別なあっせん業者がやるのだ、こういうことなんです。私が具体的に聞いているのはそのやり方です。そういうふうに手ぎわよく分けられるかどうかということを聞いておる。具体的にそれじゃどうしてそういうふうに手ぎわよく分けることができますか。たとえばその機関ではただももう気分を起こさせるだけのいわゆる業務というものをやっておるとしますね。そうすると今度は気分を起こして切符を買おうと思えばまた全然別のところへ行って切符を買うということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/128
-
129・梶本保邦
○梶本政府委員 お尋ねの御趣旨はまことに現在の一つの盲点になっておることは、私正直にそう思います。と申しますのは、おそらく事務所同士がお互いに近所に接近しておるとか、あるいは同じビルの中の一階と二階におるとかというふうなことでございますれば、先生のおっしゃるようないろいろの手違いあるいは不便さも起こらないと思いますけれども、事務所を設置する時期というふうなものも年度的に相違のあるものもございまして、必ずしも近くのビルにおるというふうなことでない場合もございます。そういうふうなことで事務所の移転をするというふうな場合は、できるだけその線に沿って近くへ集まるというふうな方向でいまお互いにやっておる次第でございます。かつ、また、出先機関同士は随時情報の交換を持ち寄るというふうな方向によりまして、国費をむだに投ずることのないように、これは当然のことではございますけれども、心がけておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/129
-
130・肥田次郎
○肥田委員 極端な例は、こういうことです。お医者さんに見立てをしてもらって、それで薬を買いに行くのはとんでもないところへ薬を買いに行かなければならぬというようなことのないような具体的な考え方、こういうものはどういうふうに持っておられますかということが一つ。
それからもう一つは、現在とにかくそれぞれの観光業者といいますか、それぞれの海外に持っておるところのそういう施設は、いま宣伝その他を兼ねながら、やはり自分のところのいろいろなあっせん事業というようなものもやっておりますね。そういうものを実際になお引き続いてやられるということになると、この法案にいうところの、政府が専門的にやるのだというこのことが相殺されてしまうことになりますが、むだをなくしようということが依然としてむだが残る。結局政府がやっておるところの宣伝誘致の一切の専門的なやり方というものは、それはとにかくやられておるとしても、一方ではまた民間の業者といものは、やはり政府のやり方がうまくいかなかった場合には、依然として同じような筆法で、あるいはそこに資力を投じて、政府以上の宣伝誘致の具体的な方策をとってやるだろう。たとえば、具体的にお客を自分らのなわ張りに引っぱってくるために、ということもやるのではないか、こういうことが考えられますが、そういう際の政府の対策を、この振興会が予算的にほんとうにやれるような状態にめるのかどうか。先般来の質疑を聞いておりますると、なかなか資金的にも貧弱な状態で、これは法律はできても容易にそういう切りかえはむずかしいのではないか。こういう気もするので、その二点についてさらにお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/130
-
131・梶本保邦
○梶本政府委員 まず第一点の医者と薬剤師との関係で先生がお話しになりましたように、これは医者に見立ててもらって、そこで薬をもらえれば一番便利かと思いますけれども、やはりそれぞれの専門の分野ということもあったほうが、よりベターであるというふうな考え方から、観光の面におきましても政府機関がする限度はおのずからあるというのが根本的な考え方でございまして、そしてむしろ具体的なあっせん——切符を売ったり何かするあっせんは民間業者にお願いしよう、そういう考え方、そのほうがより能率的ではないだろうかという立場に立っての考え方を進めておる次第でございます。
それから宣伝のほうで、それじゃ国が全部宣伝をやって、ほかのほうはちっとも宣伝をやらないのかとおっしゃいますと、それはそうじやございませんで、やはりあっせん業者が海外に支店を持ちましたような場合には、今度は自分の会社の宣伝を中心にやっておるわけなんです。わが国全体を考えますと、一つの会社の宣伝だけじゃ、これは困るわけなんでありまして、そういう意味におきまして、政府としてやるのと、それから会社が企業の立場から外国で宣伝するのとは、おのずから宣伝のやり方、性格も違ってくる、かように考えております。したがいまして、特にまた、宣伝というものの性質は、やはり絶えず耳なり目から相手方に訴えたほうが、より効果的だと思いますので、その点におきましては、別に私は必ずしもむだじゃないというふうに考えております。現に、現在の観光協会の在外事務所が置かれてないところで、たとえば日本航空の支店があるようなところは、その支店に宣伝嘱託を委嘱するというふうな方法もとっておる次第でございまして、一般旅行あっせん業者、キャリヤー等とは十分に連絡をとって協調を保ちつつやっておる、これが現在のわが国の国際観光宣伝の実情でございます。
それからこの観光協会の予算のふえ方でございますけれども、お手元に差し上げております資料を一度お目通しいただきたいのでございます。これはお手元の資料の十四ページにございます。この十四ページをごらんいただきますと、ここ一二カ年間の平均は一億以上ふえております。ですから毎年補助金としては大体一億以上ふえた。それからその間に政府出資が一億五千万円なされた。つまり一年平均五千万ずつ政府出資がふえてきた。こういうことで補助金と出資と合わせまして一億五千万円ずつここ三年間にふえてきております。もちろんこれで決して十分ではございませんけれども、とにかく過去の増加率と比べますと、非常に観光についての御理解を関係方面で得た結果だというふうに私ども一喜んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/131
-
132・肥田次郎
○肥田委員 観光局長はこの前のときにも同じようなことを言われたのですが、私が聞いている意味は、その程度のものじゃとうていこのお題目にあるような観光宣伝、それから一切のものを専門的にこの振興会のほうでやるということについては、いわゆる資金対策が十分ではないじゃないか、こういうふうに思うのですが。あなたはいま言うように一億五千万円ぐらいずつふえているからこれでやれるというふうにお考えですが、いままで何かこうヤドカリ的にやっておるような、あるいは四カ所くらいな出張所を置いている時代にはそれでやれたかもしれませんが、これから専門的にほんとに国外の観光宣伝を一手に政府がやる、それでお客を誘致するのはあっせん業者でやりなさい、これほど思い切ったことをやろうというのに、外国にそれぞれ出張所を置いて、そうして宣伝費もかけて、それでやれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/132
-
133・梶本保邦
○梶本政府委員 この点につきましては、お説のとおり私は十分じゃないと考えております。今後ともひとつ御協力のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/133
-
134・肥田次郎
○肥田委員 御協力ということですが、協力をする前に、できないものをつくってもしかたがないじゃないかという気もこちらにはあるのです。だから、そういう意味で屋上屋にならないか。いまのままでもやれるじゃないかという、こういう考え方もあるということをよく覚えておいていただいて、やる以上は思い切ったことをやれる対策というものが政府自身の中に出てこなければいかぬ、そういうことだと思うのです。
それからもう一つ、こういう場合には観光局としてはどういうふうに指導されますか。たとえばもう政府がこういう振興会のほうで一手に専門的に大大的な宣伝をやる、そしてこのいわゆるあっせん業者がどんどんそこでお客をくわえて日本に帰ってくる、そういうやり方にして、各商社がもう自由気ままに向こうに出張所あるいはその他の事業所を設けるということが好ましいと思われますか。そうあるべきであると思われますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/134
-
135・梶本保邦
○梶本政府委員 お尋ねの論旨が非常にいろいろな問題を含んでいると思いますけれども、現在のところでは日本の旅行あっせん業者、いわゆる一般旅行あっせん業者が海外に支店を持ちます場合には、別に運輸省の認可を必要といたしません。結局これは為替関係等のことで、大蔵省のほうでいわゆる為替送金が許可になりさえすれば、外国において支店なり出張所を設けることができる、こういうたてまえになっておりまして、運輸省のほうでチェックする仕組みにはなっておりません。しかし、仕組みになっておらないからといって、一つの個所に幾つもの支店が出るというふうなことは、これはやはり国としては考えていかなければならぬ問題だというふうには考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/135
-
136・肥田次郎
○肥田委員 私が心配しておるのは、これはあるいは杞憂に終わるかもわからぬし、杞憂に終わればそれでいいのですが、たとえば先般能弁の観光局長が何だかちょっと口重そうに言われた一国鉄がニューヨークに観光事務所を持つということですね。これはどうもわれわれは目的がわからない。だから、これはあまり観光局長に聞いてもしかたがないから聞きませんが、そういうようなこともすでに出てくる。片方の政府のほうでは、振興会のほうを通じて専門的に、大々的に、お題目にあるとおり、これから宣伝をやろう。そうすると今度は、国鉄の場合にいかがわしいとは言いませんけれども、いかがわしい観光業者が今度は政府の宣伝の陰に隠れて、そしていわゆる観光事業の本質的なものをそこなう、こういうようなことも、がめつい世の中ですから、決して私はこんなものは大丈夫だという安心感というものは持てないだろう、だからそういう点について規制ということではなしに、指導の面で積極的にやられる必要があるだろう、こういうふうに思いますので、その点をつけ加えておきたいと思います。結果的に屋上屋というふうなことにならないように、特に将来の運営について注意を払われるように要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/136
-
137・川野芳滿
○川野委員長 内海清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/137
-
138・内海清
○内海(清)委員 時間もだいぶ経過したようで、皆さんだいぶお疲れのようですから、なるべく重複を避けてお伺いしたいと思います。
今回の日本観光協会法の一部改正でありますが、これは端的に申しますならば、いままで一本でやっておりましたこの日本観光協会というものを分離して、そして新しく国際観光振興会をつくって、それによっていわゆる外人誘致、この観光の面一本にすべての精力を注ごうというふうなことだと思うのでありますが、わが国の今日やかましくいわれております国際収支の改善という点から考えまして、やはりこの問題は海運と観光が最も大きい柱じゃないかというふうに考えておるのであります。そういう点から考えましたときに、今後のこの振興会の活動というものが、わが国の国際収支の改善に大きく寄与する方向に向かっていかなければならぬことは当然であります。そういうふうな観点から私は主として簡単に二、三お尋ねしたいと思います。
それで、このことはあながち外国人の観光に対する考え方のみでございません。国内観光におきましても同様な、そういうムードが今日出ておるのでありますが、外国におきましても、やはり従来のような、金持ちが国際観光旅行に出るということでなしに、一般のいわば大衆が国際観光旅行をやるという、いわば旅行の積立金などいたしまして、国際観光に出るという空気がいま非常に強い。したがってそれに対しまする施策というものを考えていかなければならぬと思う。今日までわが国で大体国際観光ルートというものが定められておると思いますが、現在定められておりまするルートのおもなものをこの際一応お知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/138
-
139・梶本保邦
○梶本政府委員 国際観光促進のために観光ルートをより多く設置したほうがいいんじゃなかろうかというふうなお説のように伺った次第でございますけれども、国際観光ルートということばが使われだしたのが数年前からだと思いますけれども、実はちっとも効果があがっていないかと私は思っております。と申しますのは、ここは景色がいいからこれは国際観光ルートに適しておるぞということだけで、ちっとも施策が行なわれていない。これが今日までの実情じゃないかと思います。それで結局、観光基本法の中に、「国際観光地及び国際観光ルートの総合的形成」ということが初めて八条の文言に生まれ出たものだと考えております。つまりいままで国際観光ルートということは、数年前から言われておりますけれども、何らの法律的根拠がなかったものでありまして、ただ世俗で国際観光ルートと言っておったにすぎない。それを今度は基本法に基づいて、いわゆる母法として国際観光ルートというものの法律的な基礎づけをしなければ、ほんとうの国際観光ルートというものは生まれ出ないのじゃなかろうか。そういう立場を運輸省としては根本的立場としてとっておる次第でございます。そういたしますと、いわゆる新産業都市の指定と同じようなかっこうで、告示とかなんとかの方法で国際観光ルートの指定を行なうのが一番オーソドックスな方法であろうと私は考えております。それで初めてその法律に基づいて、いわゆる道路だとか鉄道だとか港湾だとか飛行場だとかあるいは宿泊施設であるとかヘリポートだとか、一切がっさいのものがそれにつれて生まれ出てくる。それで初めて国際観光ルートというものの真の意味が出てくるのじゃないか、こういうふうに考えております。ただ、いま国際観光ルートを非常に要望される声が、基本法ができましてから高まっております。それで法律の制定を待たないでと申しますか、それは待っちゃおれない、何とか国際観光ルートというものをもう少し早く具体化せよというような御要望が、実は全国各地でほうはいとして起こっております。したがって、私どものところはもちろんですが、総理府のほうでもこの問題が何らか早目に具体化する方法を打ち出さなければいかぬのじゃないかということで、いま協議をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/139
-
140・内海清
○内海(清)委員 従来国際観光ルートということばはあるけれども、実際にはこのルートとして指定されたようなものはいまのところない。したがって、これを今後早急にやらなければならぬ、こういう御答弁だと思うのであります。私がさっき申しましたように、外人の観光客の誘致にあたりましても、いわゆる大衆の旅行ということが今日非常に芽ばえてきておるときであります。そこでこれらの人が日本に参りましても、気安くあまり金をかけないで観光旅行ができる、こういうふうな立場に立たなければならぬと思う。そういう点から考えますと、最近このことばも出ておると思いますけれども、国際観光ルートの中に、いわゆる定額ルートと申しますか、これだけの金で、あるいは二百ドルなら二百ドル、三百ドルなら三百ドルでこことここは回れます、こういうふうな定額ルートというものも設定することが、今後の国際観光の観光客の誘致にはきわめて重大な問題だと私は考えておるのですけれども、これはあながち国際観光ルートに限りません。国内におきまする今日の国民生活の状況から考えましても、これは同様なことが考えられると思うのであります。それらについてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/140
-
141・梶本保邦
○梶本政府委員 この問題は、ヨーロッパでは十二カ国が一緒になって、国境を越えてただいまお話しのようないわゆる一定額の周遊券、これは百二十五ドルでアメリカで売り出しておりますけれども、百二十五ドルの乗車券を買ってくれば、それがいわば通学定期、通勤定期券と同じように、二カ月間一等のパスでヨーロッパ十三カ国を回って歩ける、こういうふうな制度が開けております。残念ながらまだ日本には、日本の国内すらそういったことがございませんので、この問題はオリンピックを控えて早急に何らかの手を打つべきであるというので、いま特に国鉄のほうではこの問題を検討しておられるように私ども一聞いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/141
-
142・内海清
○内海(清)委員 ただいまの観光ルートの設定、ことに定額ルートの設定ということは、国際観光に限らず、国内観光におきましてもこれを早急に設定すべきだ。そのことによりまして、やはり観光基本法の趣旨にもあってくるものである、かように私は考えるのであります。この面につきましてひとつ早急に御決定あるべきである、こう思いますが、大体それらの見当がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/142
-
143・梶本保邦
○梶本政府委員 同じくお手元に差し上げてあります資料の十ページをお開きいただきたいと思います。「普通周遊券の発売実績の推移」というのが十ページに書いてございます。この表をごらんいただきますと、三十一年から三十七年までの人員の合計、それから運賃の合計額がどのようにふえてまいったかというのが一目御了解いただけるようになっております。つまりこういった普通周遊券を発売することによって、国鉄の場合には、二カ所以上のいわゆる指定地を回って歩く場合に周遊券の発売が認められる、こういう制度になっておるわけでございますが、そのようにいたしまして観光地を回って歩く。それを割り引きした料金でやる。一枚の切符で回って歩ける。こういう制度が国内の観光客については開かれておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/143
-
144・内海清
○内海(清)委員 いずれにいたしましても、国内観光、国際観光ともどもだ、今後の方向としては、大衆が気安く安全に旅行ができるという方向を打ち出さなければ、観光の振興ということはきわめて困難ではないか、かように考えるのであります。ことに今回この振興会が生まれます趣旨から考えましても、この点を十分考えなければならぬ。ことにまたオリンピックを控えてのことでございます。オリンピック後における観光客の誘致の面から考えましても、これは早急に設定して、これを大いに海外にも宣伝しなければならぬ。もうすでにおそいのじゃないかというくらいに私は考えておるのです。至急にこれはひとつ設定していただきたい。これを強く要望しておきたいと思います。
それからけさほど来いろいろ論議がございましたけれども、やはりこの改正案は国際観光の振興法でありまして、そういう面からいって、とかく国内観光がおろそかになるのではないかという、ふうな印象を受けやすいのです。けさほどからのいろいろ質疑を拝聴しておりますならば、観光局長は、国内観光においてもひとつ今後の実績を見よという、非常な自信があるようでありますので、この面につきましてひとつ十分考えられたい。ことに国内観光におきましても、今日の国民生活の状況からいっても、どうしても大衆旅行の面に十分意を注がなければならぬ、こう思うのでありますが、これらにつきましていろいろお尋ねしたいこともございますけれども、重複する面も出てまいりますから、私は以上で一応終わりたいと思います。しかし、国際国内観光、この両面においてひとつ基本法の精神に沿うように、遺憾のないような方向でやっていただきたい、このことを強く要望して終わります。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/144
-
145・久保三郎
○久保委員 大臣が来られたから、一つだけお尋ねというより要望も含めて申し上げたいのですが、先ほど来申し上げたとおり、この法案が成立いたしますれば、当然観光協会は振興会になりましても、国内観光については社団法人ができるというのであります。われわれが心配したことがそのままなってきたと私はいまでも思っている。観光局長は、違った、そういうことはありませんということでありますが、政府の立場にすれば、それはそう言わざるを得ないと思うのです。ところが、今度分離されれば、言うならばこの法案一つとってみても、やはり国内観光部門は社団法人にまかせるんだ、たいへんでいさいはいいんだが、政府の力点はともすれば国際観光に比重を置き過ぎてというか、置いて、そのために国内観光はさらに衰退するというふうな心配もある。だから、先日の質問の中でも、いわゆる社団法人の財源についても御質問がありました。それの確保については十分運輸大臣には御努力を願わなければならぬと思うのです。まず第一に財源の確保でありますが、それと同時に、運営についてもこれはやはりいままでの欠陥その他もたくさんあると思うのです。これはやはり取り払って、十分に体制を築くべきだと私は思うのです。そういう点について即刻取りかかってほしいと思うのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/145
-
146・綾部健太郎
○綾部国務大臣 もちろん財源の確保等、民主的な運営については今後も努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/146
-
147・久保三郎
○久保委員 もう一つは、基本法ができて、子法は従来から幾つかありました。今度の法案は、言うなれば、法案の中の手直しである。あと出てくるあっせん業法の法案にいたしましても、あるいはホテル整備法にいたしましても、みな手直しであります。手直しは手直しだけの必要性があるから出てきたと思うけれども、少なくとも基本法に盛られたところの子法というものは、こういうものだけではない。むしろ私が当時から力説しているように、国内観光、その中でも大衆旅行に対する政策、それの法体制をどうするか、あるいは修学旅行の問題をどうするか、いろいろなことがございます。そういう点についての先ほどの観光局長の答弁では三課しかございません、手薄でありまして、能力がこれに伴わないというような御答弁であります。それはそれなりに一つの理由にはなります。しかし、基本法が成立して一年になるという今日、それだけの理由ではそれを容認するというか、認めるわけにはまいらない。これはあとでそれぞれの法案が出てまいりますから、そのときにまたわれわれからも意見を申し上げますから、十分そういう体制を整えてやってほしい、こういうことを最後に要望して私は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/147
-
148・川野芳滿
○川野委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がありませんので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/148
-
149・川野芳滿
○川野委員長 これより本案に対する討論に入るのでありまするが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/149
-
150・川野芳滿
○川野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、おはかりいたします。本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/150
-
151・川野芳滿
○川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/151
-
152・川野芳滿
○川野委員長 次会は来たる二十四日火曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104603830X01819640317/152
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。