1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
本小委員会は昭和三十九年四月二十四日(金曜
日)委員会において設置することに決した。
四月三十日
本小委員は委員長の指名で次の通り選任された。
池田 清志君 仮谷 忠男君
谷垣 專一君 長谷川四郎君
藤田 義光君 細田 吉藏君
松田 鐵藏君 赤路 友藏君
角屋堅次郎君 芳賀 貢君
湯山 勇君 中村 時雄君
四月三十日
長谷川四郎君が委員長の指名で小委員長に選任
された。
—————————————
昭和三十九年五月二十二日(金曜日)
午後三時三十六分開議
出席小委員
小委員長 長谷川四郎君
池田 清志君 仮谷 忠男君
谷垣 專一君 赤路 友藏君
角屋堅次郎君 芳賀 貢君
湯山 勇君 玉置 一徳君
出席国務大臣
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
出席政府委員
農林政務次官 丹羽 兵助君
水産庁長官 庄野五一郎君
小委員外の出席者
議 員 角谷堅次郎君
農林水産委員長 高見 三郎君
専 門 員 松任谷健太郎君
—————————————
五月二十二日
小委員中村時雄君同月八日委員辞任につき、そ
の補欠として玉置一徳君が委員長の指名で小委
員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
漁業災害補償法案(内閣提出第一二三号)
漁業災害補償法案(角屋堅次郎君外十一名提出、
衆法第三五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/0
-
001・長谷川四郎
○長谷川小委員長 これより農林水産委員会漁業災害補償法案審査小委員会を開会いたします。
内閣提出、漁業災害補償法案及び角屋堅次郎君外十一名提出、漁業災害補償法案を一括して議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告があります。順次これを許します。角屋堅次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/1
-
002・角屋堅次郎
○角屋小委員 きょうはたいへん重要な法案の審議でございますが、大臣の時間の御都合がありまして、約三十分ということでありますので、重点的にお尋ねをいたしたいと思います。
大臣も御承知のとおり、漁業災害補償法案につきましては、政府からも法案が出ておりますし、同時に社会党からも独自の法案を出しておるわけでありますが、衆参両院の本会議並びに衆議院の農林水産委員会の代表質問の経過を経て小委員会が設置をされ、さらに小委員会におきましては小委員長以下の了承を得て、政府原案と社会党案とを対比しながら、政府原案をより充実をさせるという方向で、私と漁業関係のベテランであります仮谷さんを窓口として、過去ずっと話し合いを進めてまいりました。さらに長谷川小委員長も話し合いに加わりまして、正式に八回、さらに非公式を加えますと、優にこの二十日近くの間、ほとんど連日のように話を進めてまいりました。お互いに漁村を思う気持ちから、法案の充実のために、政府原案の修正に努力をして今日進んでおるわけでございます。私どものほうから、社会党案の中で特に政府原案をぜひ前進をさせてもらいたいという希望から、十八項目にわたる修正を出したわけでありますが、それをもとにしながら今日まで相談をしてまいりました。十八項目ありますけれども、何といってもポイントは、真に漁業災害補償制度の名に値するように、国の保険事業というものを災害補償制度の三本の柱の中の一つに据える、これが重要な最重点のポイントでありまして、これが政府原案では本法の中で踏み切る段階にいかなかった。したがってわれわれの主張からすれば、社会党案のように一条、二条、さらにそれに基づく特別の章を設けて、国の保険事業というものを加える。これが基本的な主張でありますけれども、少なくとも附則二条で、政府原案にあります「検討」の焦点というものは、国の保険事業というものを最重点の焦点にして、そしてこれはすみやかに実施の方向で検討を前向きに進めていくのだ。私どもきょう午前中参考人を招致した中で、漁業共済制度研究会のメンバーでありました園さん等の御意見によりましても、いまの資料でもっても国の保険制度に踏み切ることはできるのだというふうに述べておりましたが、私どもも、要は政府が国の保険事業に踏み切るということ、その腹がまえが基本の問題だというふうに承知しております。かりに政府の案の考え方で、共済団体の共済、再共済事業ですべり出すにいたしましても、やはりことしの十月から本格実施、さらにそれから来年の実施状況というものを見ながら、少なくとも昭和四十二年からは国の保険事業というものを加えた抜本改正の中で、本制度が本格的に漁業災害補償制度の名に値する制度として実現をされていく、こういうことを強く希望しているわけでありまして、従来の相談の経緯からかんがみても、お互いにそういう方向でいくべきだというふうに意見をまとめている段階でありますが、この際農林大臣として、特に漁業災害補償法案の重要な柱になるべき国の保険事業というものについて、両三年を待たずとも、体制ができれば実施に移すというかまえで、今後積極的に進める御決意だと思いますが、その点まず冒頭にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/2
-
003・赤城宗徳
○赤城国務大臣 御意見のとおり、私どもは政府の保険事業をしていくという方向を前向きに強く考えておるわけでございます。でありますので、漁業災害補償法という名前等も、そういう前提で国が保険事業を行なうということを考えますればこそ、内容に少し値しなくても、名前は強く打ち出しておるのを見ても御了承願えると思います。三年とか何年を待たずしてやったらどうか。もちろん私どもは組織の整備状況とか、加入の状況等を見まして、いまのデーターでもできると思います。できないことはないと思いますが、しかし組織の整備とか状況とかを考えまして、一年でも早く政府がその措置をとって、これが実現するように、この名前に値するようなところへ持っていきたい、こういうぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/3
-
004・角屋堅次郎
○角屋小委員 大臣の答弁は、御見解としてはまことに明瞭でありまして、今日までの資料をもってしてもやろうと思えば可能である。しかし共済団体の組織加入、いろいろな点から慎重なかまえですべり出すということにいたしましても、体制さえできれば両三年を待たずともやっていきたいというお気持ちでありまして、そういう方向については、最小限そういう気持ちで、ぜひ前向きにこの問題については対処してもらいたいということを強く希望しておきたいと思います。
第二点は、農林水産委員会における質問の中でも触れた点でありますけれども、両三年なら両三年、国の保険事業が実施されるまでの間に期間がある。その場合に通常の災害状態であれば、共災団体内の運営、あるいは漁業共済基金の調整機能というもので、カバーできていくだろうということが判断されるわけでありまするけれども、しかし伊勢湾台風であるとか、あるいは昭和二十八年災害であるとか、チリ津波であるとか、そういうかっての異常災害事態が、国の保険事業を実施するまでの間において起こってくるということがあります場合においては、政府の本法内で考えておる内容では、支障がくるということが十分予想されるわけでありまして、これは政治の責任として、当然そういう場合においては必要な財政措置等についても積極的に講ずるというお気持ちには私は変わりないと思うのでありますが、これらの点はやはり今後の運営の中で、災害の態様によってそういうものが生じた場合にどうするかということは、一つの立法の審議として重要問題でありますので、この点について農林大臣のお考えを承っておきたい。つまり国の保険事業を実施するまでの間におきまして、本法の施行で十分消化し切れないという共済団体の運営なり、漁業共済資金の資金量というものに支障がくるような事態の場合、財政措置等の所要の措置は、積極的に講ずるのだというお考えであろうと思いますが、この点についての御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/4
-
005・赤城宗徳
○赤城国務大臣 いまお話のように、国が保険事業を行なうまでの間、大災害がないとは限りません。そういう場合にどうするか。通常の場合には、御承知のように団体で運営しましたり、漁業共済基金の設置でこれをまかなっていくということは、ただいまの御意見のとおりです。大きい場合はどうするか。そういう大災害の場合につきましては、いまもちょっとお触れになりましたが、いろいろの災害対策がありますが、そういうものとの関連において、具体的に措置をとっていきたいと思います。ではそういう場合に、国の保険を早く繰り上げてやるという体制が整っておればそういうこともありましょうし、あるいは財政的な措置でやっていくという場合もありましょう。具体的にその他の施策を伴ってやっていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/5
-
006・角屋堅次郎
○角屋小委員 第三点の問題は、この前の私の質問のときにも触れた点でありますが、十月から漁業災害補償法が本格実施という段階になります場合に、従来の経過の中で措置をしなければならぬ問題の一つは、試験実施中の赤字についてどう処理をするか。新団体がこの赤字を背負っていくということは、あくまで避けなければなりませんけれども、別個の問題としてこれは処理をしなければならぬという見解を持っておるわけでありまして、同時に四月以降九月の間において、全水共が実施する問題について、赤字が出た場合にどうするかという問題も、今後の問題として一つあるわけでありますが、重要な問題は、試験実施中の一億五、六千万あるいはそれ以下であるかは別として、出てくる赤字の問題については、これは水産庁には若干の意見もあるようでありますけれども、やはり基本的には政府の責任において新団体がそういうものを背負うということでなしに、別個の問題としてこれは処理をするというお考えで臨むべきだろうと思いますが、この点についての御見解を承りたいと思いますし、また同時に、新制度に切りかえた場合に、従来全水共がやってまいりました漁獲なりあるいは養殖なり漁具なりというものは、新団体に受け継がれる。あと全水共としては、任意共済事業というものを過渡的にやる形が出てまいることが予想されるわけでありますけれども、任意共済の問題については、きようの午前中の意見の中でも、片柳全漁連の会長なり、安藤北海道漁連の会長なりの意見からいたしましても、やはり災害補償法の本制度の中にこれを入れて、そして総合的な運営をやるべきだという意見を述べておりますし、私どももなるべく早い機会に任意共済の問題については、新団体がこれを受け継いで、そして総合的に運営すべきだ、こういうふうに考えておるわけでありますが、この二点の問題についてお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/6
-
007・赤城宗徳
○赤城国務大臣 試験実施中は、国の債務負担行為によりまして、共済的に支払い資金の補助をしてきたのでありますが、これが新団体に引き継ぐ場合に、赤字が出たらどういうふうに措置するか。いまはっきり新団体に引き継がせないのだということは言い切れませんけれども、これは四十年度中に決算が出るわけでございます。決算の額、あるいはそのときの情勢等、いろいろ勘案いたしまして、適当な措置をとっていくべきだ、こう考えておりますが、その時期まで少し検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/7
-
008・角屋堅次郎
○角屋小委員 清算の問題が出た時期までに検討させていただきたいという慎重な答弁でありますが、私はこの機会に政府の赤字処理の基本方針についての見解は、明確にできるというふうに期待をするわけでありますが、われわれといたしましては、政府が本格的な実施の前に、政府の方針に基づいて、全水共が委託を受けて試験実施を過去六年間やってまいったわけでありますので、設計と実際の実施面との若干のズレとか、いろいろなことを理由に、赤字の一部を団体側も受け持ってはどうかという意見も、水産庁の一部にあるようでありますけれども、この際赤字の問題については、国が責任を持つという姿勢でもって、ぜひこの問題には臨んでいただきたい、こういう希望を強く申し述べておきたいと思います。十八項目でいろいろ話をしてまいりました中には、私どもとしてぜひ政府案の中に充実させる意味で十分織り込んでもらいたいという、強い要請のものが、重点的にも幾つかあるわけでありますけれども、その中で漁獲共済における共済限度額という問題について、これは安定漁業の場合の特約というものは、私どもの党の主張しておるように、九五%というところまでぜひ押し上げてもらいたいという強い要請を持っておったわけでありますが、魚価修正の問題、あるいは共済の限度額率の問題、こういう問題については、さらに今後とも十分国の保険事業を実施するまでの間において検討して、前向きにこれらの問題について善処したいというのが水産庁等の御意向のようでありますけれども、この際漁獲共済の柱になる共済限度額という問題については、さらに政府案よりも前進すべきではないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、これらの点について農林大臣としての御見解をひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/8
-
009・赤城宗徳
○赤城国務大臣 先に水産庁長官から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/9
-
010・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘の共済限度額の問題でございますが、政府原案は共済限度額の負担の算定につきましては、魚獲共済につきましては過去三年の売り上げの価格を基準にいたしまして、限度額を九〇%の範囲できめるということになっております。これにつきましてはこれまでお答えいたしましたように、再生産に必要なコスト部分を保険するということで、九〇%というのが現在私たちが持っております資料といたしまして出てくるわけでございまして、これを越すことに相なりますと、利潤部分も共済に付するというようなことで・モーラル、リスクの点もあるというようなおそれも出てくるわけでございます。ただし魚価修正の問題等も非常に技術的にも困難な点もあろうかと存じますが、魚価修正並びに限度額率の引き上げということにつきましては、共済制度を実施していく、その実施の段階において、十分御指摘のような点については検討して善処していく、こういう姿勢でいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/10
-
011・角屋堅次郎
○角屋小委員 次に損害評価会の問題でありますけれども、政府原案を読んでまいりますと、損害評価会あるいは損失あるいは損害の規定に関するような条文が明記されていないわけであります。考え方としては、定款の中の必須記載事項にはないけれども、運営の問題としては考えておるのだという、折衝の過程における見解の表明もありましたけれども、これは漁業災害補償法の公正な運営という面では、支払い団体である共済団体が同時に損害評価までもやるということは、問題のないときはトラブルも起こらないと思いますけれども、やはりこの種問題というのは、二重人格で常にいけるわけではない。したがって今後共済の加入がさらに拡大をされる、地域的にも業種的にも非常に複雑になる、そういう中で災害を迎えて、公正な損害評価をやるという場合には、当然必置機関として国、中央並びに県段階に損害評価会を設けて、適正なやはり第三者の意見というものを十分織り込んで、損害評価の万全を期するということが、私は当然必要なことだと思うのでありまして、それらの考え方に基づいてやられると政府のほうも考えておられると思いますが、大臣からこういう損害評価の公正、適正化という問題についてどういうお考えか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/11
-
012・赤城宗徳
○赤城国務大臣 適正化をはかる意味において、金を出すほうで算定するのはちょっとおかしいと思います。第三者のような形がいいと思いますが、なお水産庁長官から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/12
-
013・庄野五一郎
○庄野政府委員 損害評価を適正にやるということは、御指摘のとおりこの共済事業を円滑適正に健全な発達をはかるという意味におきまして、大事なことでございます。損害評価会という制度につきましては、政府原案には明定してございませんが、これは従来お答えいたしましたように、損害評価会の設定につきましては、定款に記載するよう、模範定款例を通達いたします場合にそれに載せて、損害評価会を設置するように指導していく、こういうことにいたしまして、自己評価並びに客観的な評価というものによる評価の適正化を期したい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/13
-
014・角屋堅次郎
○角屋小委員 最後に、時間の関係もありまして、大臣に希望と同時に御意見を承りたいと思うのでありますが、政府案によりますところの共済掛け金の助成あるいは事務費の助成、これは農災と比べてどうかという対比の問題は別にいたしましても、さらにやはり関係漁業者の負担能力というものとも十分にらみ合わせて、今後充実をしていかなければならぬ問題であるというふうに考えておるわけでありますし、また調整の機能を果たすべき漁業共済基金というものについて、当面五億ですべり出すわけでありますが、その五億の出し方として、政府から半額の二億五千万、あとは自治体と漁業団体、こういうふうになっておりますが、今後この資金量が増加する場合に、いまのような考え方の率でいきますると、関係漁業団体の負担というものが、負担の限度を越えてくるという場合だってあり得る。私どもとしては当面そういうすべり出しをするにいたしましても、今後の資金童が増大するに伴いまして、政府の負担部分というものの比率を拡大をして、漁業団体には相応の負担程度にとどめて、過剰な負担にならない配慮が必要である一こういうふうにも考えるわけでありまして、これは明年度以降の予算の問題と関連をして、いま申しました掛け金あるいは事務費、特に事務費については、研究会としても先行投資的配慮で、事務費については十分充実すべきだという強い意見等も出ておった経緯もございます。漁業共済基金の今後の出資に対する政府の出資比率というものを、さらに高めていくというような重要な問題について、今後善処されるつもりであろうと思いますが、お考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/14
-
015・赤城宗徳
○赤城国務大臣 掛け金の補助あるいは事務費の補助、これはぜひ逐次充実していくように考えます。あるいは基金の五億円に対するいまの負担割合が、政府と半々になっておりますが、こういう点につきましても、団体等の負担が軽くなるような方向において、予算やその他におきましても検討していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/15
-
016・角屋堅次郎
○角屋小委員 時間の関係もありまして、大臣並びに長官に湯山委員からも質問があるようでありますから、質問を譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/16
-
017・長谷川四郎
○長谷川小委員長 湯山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/17
-
018・湯山勇
○湯山小委員 すでにただいまの角屋委員その他から委員会においての質問、あるいは本小委員会においての詳細な質問でございますから、重複を避けまして、なるべく角度を変えて幾つかの点についてお尋ねをいたしたいと思います。
最初に、この漁業災害補償法を提案された政府に、これは正直に敬意を表したいと思います。それはなぜかと申しますと、沿岸漁業等振興法が提案されましたときに、私は沿岸漁業等振興法の中身をなす法律は一体何かということをお尋ねいたしましたところが、長官は漁業共済だという答弁をしております。それはいつからやるかと言いましたところが、来年——昨年の話ですから、来年度から実施する、こういうことでございましたので、私はそれまでの政府の準備に若干不十分な点があると思いましたから一重ねて、はたしてほんとうに来年度からおやりになるかということを質問いたしましたところが、長官は、そうはっきり言われるとというふうに、そのときは答弁をはっきりなさいませんでした。これは私はそのときに、従来の役所の通例である言質をとられないための答弁なのか、あるいは長官としての責任を持った良心的な答弁なのか、これは今度この法律が出てから判断しようというつもりでおりましたところが、その答弁のとおりに、ともかくも今回この法律が提案された。それであのときの答弁は、長官が良心から発したものであったということをこの際確認をいたしまして、敬意を表する次第でございます。
ただそうであればあるだけに、私はこの制度が実際には順調に育っていってもらいたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。ところが私を含めて、おそらく政府部内においても、これではたしてやれるのだろうかという心配は、さきの農業災害補償制度と比較し、あるいは現在の漁業の状態から見て、そういう不安は私は水産庁内部にだって皆無ではないと思います。それから大臣のお気持ちの中にも、そうは言ってやったものの、はたしてこれでうまくいくだろうか。いってくれればいいという気持ちはもちろんあるだろうけれども、その中の何%かは、あるいは何割かは、やはりそういう気持ちが長官といえどもおありになるだろうと思うのです。そういう気持ちがおありになると思いますので、ほんとうにこれでやっていける自信があるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。やらなければならないし、やってもらわなければなりませんけれども、いまだに私は政府案においてはそういう不安が切れない。どうしても切れません。そこでほんとうにこれでいくか、やれるか、その点についてどうなんでしょうか。これは大臣、長官、御両所から願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/18
-
019・赤城宗徳
○赤城国務大臣 この法案を出すまでにつきましては、いろいろ御協力を願ったり、いまおほめいただいた水産庁長官も誠実にいたしたわけでございますが、成立すればこれは必ずやっていける。ことに非常な熱意を持って関係団体、関係者等も、この問題につきましては推進してくださっておるわけでございます。私はやっていける。まだまだ先々のことですから、やっていけないものはどんどん改めていきます。そして完全にこの法律の目的が達するように私どもは進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/19
-
020・湯山勇
○湯山小委員 長官も御同様だと思います。そういう一まつの不安があるのは、一番大きいのは、いま小委員長を含めていろいろお話し合いの中にも出ておりましたし、先ほど角屋議員の御質問の中にもございましたが、実はこの法律の検討事項というのがあります。これがさか立ちしているという感じがいたします。つまり災害補償制度であれば、国の再保険をどうするかという問題が、実は検討事項で残っている。ここに私は問題があると思うので、災害補償制度であれば、とにかく国が責任を持って、法律を持ってやるのだ、これが基本になって、その上にいろいろなものがくっついていく。つまり家を建てる場合には、ふすまの色をどうするか、ガラスをどうするかというのではなくて、まず家を建てる。それが先でなければならないのに、この法律では、家を建てるそのことが、実は一番基本になることが検討事項になっている。ここに私は非常に大きな不安があるのであって、先ほど大臣も角屋議員に対して、非常に大きな被害があった場合、それはまた災害対策として国がどうせ見なければならないという御答弁でございました。いずれにしても最終責任を国が持つのであれば、国の再保険を検討事項などという、あとからくっつける中に入れるのではなくて、それは家を建てるときの柱に当たり、この柱をしっかり建てて、その上で一体どんな色にするのか、どんなふすまを入れるか、これはあとでいいのですから、ここの前後の関係、本末の関係が、実は残念ながら政府案においては明確にされていなかった。ここに私は一番大きな不安の原因がある、このように思うわけでございます。これは決して言い過ぎではないと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。なおこれについては社会党案の提案者である角屋議員にも、いまの点についてはひとつ御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/20
-
021・庄野五一郎
○庄野政府委員 御指摘の点、まことにごもっともな点もあろうかと存じます。私たちといたしましても、国の再保険につながるという点については、いま御審議願っています法案を提出いたしますことにつきまして、ずいぶん検討いたした次第でございますし、また漁業共済の研究会も設けまして、そこでもいろいろ御検討願って答申を得てありますので、まだ試験実施の段階で、なかなかそのデータがそろわない面があって、やはり今後共済団体を結成いたしまして、その組織づくり、それから事業の伸長、そういった点も十分加味しないと、なかなかそういうところまでいかないということで、現段階におきましては、われわれとして実施し得る最善の制度の法案だ、こういうふうにわれわれ考えております。それは御指摘のように、いろいろと理想図から申しますと、御指摘のような点もあろうかと思います。こういう点は漸進的に確実にやっていくということが大事だろうと思いますので、先ほど大臣からもお答えがございましたような方針で、国の再保険につながるよう最善の努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/21
-
022・湯山勇
○湯山小委員 もう一点お尋ねしたいのは、角屋委員の質問と重複しますけれども、試験実施中の赤字は、基準をオーバーしたものがあるとかなんとかいうことを事務当局は言っておりますが、試験実施は大体そういう性格なものなので、オーバーするのもあるし、足りないものある。それでなければ試験実施は役に立たないわけです。それでこまかいことを言わないで、試験実施中の赤字については、何らかの形で責任を持っていただく。国が全部出すかどうか、そういうことじゃない。政府が責任を持っていただく。試験実施の性格がそういうことですから、そういうことについては政府で責任を持っていただきたいと思いますが、その御答弁をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/22
-
023・赤城宗徳
○赤城国務大臣 決算が近いうちに出ますから、それに従って私もそういう方向でいきたいと思います。私が大蔵大臣なり総理大臣なら、すぐにここで答弁してしまいますが、いろいろありますから、そういう方向で進みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/23
-
024・湯山勇
○湯山小委員 この制度に対する不安を除くのに一番重要なのは、本来国が責任を持つことが先にいって、検討事項ではなくて、先行して——検討事項は、壁はどう、ふすまはどんなかっこうにするか、これが検討事項であって、本来の柱である国の再保険は、柱としてきちっと立てるべきであった。そこにこの法律の不安があるのではないかと思う。それについてどう考えるのか、社会党角屋議員御提案の法律ではそれをどういうふうにお考えになっておるか、これをひとつ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/24
-
025・角屋堅次郎
○角屋議員 ただいま湯山委員からお尋ねの漁業災害補償法の中に、政府の保険事業というのを重要な一つの柱にしなければならぬということは、まことに御同感でございまして、しかるがゆえにこそ、社会党の案の中でも、民間団体である共済組合の共済事業、共済組合連合会の再共済事業と政府の保険事業、この三本の柱を災害補償の制度の三つの要素にするのだということを明らかにいたしておりまして、以下その第二条の考え方に基づいて、政府の保険事業の一章を設け、さらにそれに関連をして、漁獲、養殖、漁具と、具体的にどうあらわれるかということを全条的に明らかにしておることは御承知のとおりでありまして、問題は、政府あるいは農林省も、そのこと自身は従来の経過からも否定していないと思いますが、ただ今度の法を出すにあたって踏み切れなかったということでありますけれども、この踏み切れなかったという理由の中に、従来の試験実施の調査資料では、国の保険事業を実施するまでの十分な体制に必ずしもいってないということを、非常に大きなウエートの理由にしているわけであります。私は委員会の質問でも明らかにしておりますように、またきょうの午前中の園参考人の意見にもありましたように、そういうことをいつまでも言っておったのでは、実際にいつ国の保険事業に踏み切れるかということが、一つの問題になるわけでありまして、要は国の保険事業を実施するという政府の決意、踏み切り方というのが、私は重要なポイントだと思います。同時に異常、通常と分ける分け方の問題にいたしましても、従来資料で万全とは言えなくても、やはりこれは統計理論に基づいて若干のヴァリアンスはありますけれども、しかし国も過重な負担にならないように、漁業者にも過重な負担にならないようにという形における異常、通常の分け方は、従来の試験実施のデータ並びに統計調査部の資料等で十分できる。そしてそれらの問題について、今後の実施過程を通じてフレが出てくれば、これは補正をしていけばいいのであって、資料が必ずしも十分でないということを理由に言っておったのでは、百年河清を待つとは言いませんけれども、いつまでも延びていくということであろううかと思うのであります。したがって私は、今日の時点においても国の保険事業を実施するということは可能であるし、またそういうふうにすべきだということを基本的に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/25
-
026・湯山勇
○湯山小委員 長官にお尋ねいたします。今回の政府案では、加入者についてチェックできるような制度になっております。しかしながら沿岸漁業の今日の状態から見て、実際に必要な沿岸漁業というのは本来零細なものであって、いろいろむずかしい規格を設けてこれをチェックしていけば、一番救わなければならない沿岸漁業者が、この対象からはずされるという懸念が多分にあるのではないか。しかも零細な漁獲をあげているものが、先ほど角屋議員の御指摘のような限度額率によるチェックがまたそれに重なってくるということになってくると、この制度がほんとうに沿岸漁民のためになるかならないかというような問題が、これは別な意味で心配になってくると思います。そこで本来ならばなるべくそういうものは、希望するものは全部入れる。むしろ魅力がある制度にして積極的に入ってくる、こういうふうにしていくべきではないか、こう考えるわけですが、それとの関連において、一体どれくらいが加入する、こういうことについての見当をお立てになっておられるか、それと、いま申し上げましたことについてどのようにお考えになっておられるか、これは長官から御答弁をいただきたいし、またこのことは、先ほど来角屋議員の御指摘の中にもありましたことでございますから、角屋議員からもそれについては御所見を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/26
-
027・庄野五一郎
○庄野政府委員 共済契約の締結に関する制限の問題でございますが、政府原案におきましては、八十一条第一項にこの規定を設けてございます。これはここにも書いてございますように、漁獲共済あるいは養殖共済、漁具共済、こういうものにつきまして、共済事故の発生する見込みが確実であること、その他当該共済契約の締結によって漁業共済事業の適正円滑な運営を阻害することとなるおそれがある事由として農林省令で定める事由がある場合は、締結してはならない、こういうことになっておるわけでございまして、これは保険事業としては当然なことを規定したわけでございまして、先生が御心配になっているようなそういう運用はしない、こういうふうに考えております。また希望するものについても、こういう事情があればこれは断わらなくてはならぬことは、保険事業の適正な運営から当然必要なことだろうと思いますし、これにつきましては、この運営上において、八十一条の一項が先生の御指摘になるような心配が起こるようなおそれのないような適正運営をはかっていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
なお加入の見込みでございますが、大体沿岸漁業、中小漁業等の資格のある者の中で、われわれの考えておりますのは、大体六〇%程度が加入するということでございますが第一年度等につきましては、やはり初年度というようなこともございまして、これは逐次六〇%に近づくように努力する、こういうような考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/27
-
028・角屋堅次郎
○角屋議員 ただいまお尋ねの共済契約の締結に関する制限——政府案によりますと八十一条に関する問題でありますが、八十一条の第一項で示されておる政府案の考え方というものは、本来漁業災害補償法の対象になる中小漁業者というものは、広くこの制度の中で災害の場合にめんどうを見ていこうという精神からいたしますと、これが非常にシビアに運営される場合には、法本来の目的を阻害することになるのではなかろうか。元来漁業者の団体である共済団体でありますから、弊害の生ずるという危険がないかどうかということは今後の問題でありますけれども、適正かつ円滑な運営というふうなことから、八十一条の第一項ということを理由に、加入申し込みをやりましても、この加入の拒否を非常にシビアにやるというケースが、県によっては出ないとも限らない。したがって私どもとすれば、できればこの第二項であらわれておる点で、正当な事由がない場合は拒否できない、正当な事由というものは政令なり省令なりで明らかにする——考え方としては、やはり対象になる中小漁業者をこの法案の中にあたたかく包んで、そうして災害の場合にめんどうを見るのだという精神を基調にしてやるべきではないか、そういう点では、政府案の八十一条の第一項は、今後の運営いかんによっては、弊害の生ずる危険性があるということを強く指摘してまいったところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/28
-
029・湯山勇
○湯山小委員 いま明確に角屋議員が御指摘になったような懸念が、私もあると思います。それから長官の言われたように六〇%では、あとの四〇%がやはり心配です。ですから政令等をお定めになるとき、それから今後加入の指導をなさるときには、これは国が責任を持ってやるようになるのだからということを大いに強調されて一これはたくさん対象になるような措置をぜひやっていただきたいと御要望申し上げます。
最後にお尋ねいたしたい点は、特に漁業の場合は漁獲と魚価——それに伴う漁獲高、つまり金額です。これとは一致しない。そこで場合によりますと、特に沿岸漁業等でイワシだとか、そういうようなものがたくさんとれた場合には、逆に魚価の面においてはこれが下がるというようなことがないとは言えません。ことに過去三カ年の平均というものが基準になった場合には、ずいぶんとれたけれども、結局災害補償の対象にならなければならないという例も、最近のことは私存じませんけれども、私どもの子供のときにはそういうこともございました。そこで何によってそういうことが起きるかというと、結局災害補償制度をやったけれども価格対第が不十分であるという場合には、この災害補償制度の運用もなかなか困難になってくるし、見通しも立たなくなるし、指導も困難になってくる。特に魚価を中心にして共済制度が成り立つとすれば、漁獲共済の場合は価格保障というものは、非常に重要視されなければならないと思います。そこでこの機会に価格政策——従来もとっておりましたけれども、それははなはだ不十分であって、サンマ等においても、一体これで役目を果たしたのかどうかというような疑義も持たれている。価格政策というものは、さらに強力に政府が打ち出していかなければならない、このように考えますが、それについて政府としてはどのようにお考えになっておるか、また社会党案の提案者である角屋議員はどのようにお考えになっておられるか、御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/29
-
030・庄野五一郎
○庄野政府委員 政府原案の漁業共済の制度につきましては、御指摘のように水揚げ高ではなしに、水揚げ金額を基準にいたしまして、共済限度額を定めることになっております。そういうことで過去三年の平均を基準にいたしまして、共済限度額を定めることになって魚価の動向はその中へ入ってくるわけでございますが、御指摘のように魚価の変動も共済でカバーされる面がございます。これがほかの保険などと漁業共済制度が非常に違う点であろうかと存じます。魚価の問題でございますが、魚価につきましても、地域により、あるいは時期により、あるいは魚種によって、非常に変動があるものでございまして、それは過去三年の個人の漁獲金額というものでカバーしていこう、こういう考えでございますが、一方魚価の安定維持ということは、やはり非常に重要な施策でございますので、そういう面はこの共済制度と併行いたしまして、流通価格対策という面で、政府といたしましても、今後も非常にむずかしい事業でございますが、検討し、またそういう点につきましての措置を構じてまいらなくちゃならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/30
-
031・角屋堅次郎
○角屋議員 いまお尋ねの点は、一つは政府案の百十一条の共済限度額の中において、魚価修正ということを考えの中に入れるべきだという立場からの御意見も含んでおると思いますが、これは私どもの党の案では、共済の限度額をきめる場合であれば、過去三年の漁獲金額の平均というのを基本にするわけでありますが、定置であれば六年のうちの上下を除いて四年の平均、問題はそういう場合に、魚価の動向というものが全然加味されずに、単純平均ということになると、そういうことをもとにしてきまってきた共済限度額、それと共済の対象年限になりますところの漁獲金額との差というものが、いわゆる金がもらえるかどうかという基本になるわけですから、真に共済限度額が実情に即応し、適正なものであるというためには、技術的に非常に困難な問題を含んでおりますけれども、やはり魚価の動向というものを勘案事項の中に入れる。今日の時点で漁業種類別に、あるいはまた市場別に、地域別に、時期的に、言ってみれば魚価の動向をどうやるかということについては、万全の体制をつくることは非常に困難だと思いますけれども、特にやはり魚価の変動の非常に著しいものというのはあるわけでありまして、かねて本院でも議論になりました多獲性大衆魚の価格安定をどうするかというような、素材になりましたような点について婆これはやはり価格の変動が非常に大きい、豊漁貧乏の現象を呈するということがあるわけでありまして、そういう面の対策をやるということは、一面においては非常に重要でありますが、現実においてそういう変動を起こしやすい魚種であります。したがってそういうものを対象にする場合には、単純平均でなくて、当然どう織り込むかということについては、やはり必要最小限度のデータを収集しなければなりませんが、そういう努力の上に立って魚価の動向を勘案事項の中に入れるべきだ、こういうふうに考えております。
なおこの共済限度額における魚価の動向を入れると同時に、関係漁業者は、魚価の変動によって、高いときにもうけるということにねらいがあるのではなくて、安定した魚価というものを基本的に強く希望しておるというふうに私どもも思います。そういう点では、特に多獲性大衆魚における今日の政府の立法措置でやっている点はきわめて不十分であって、十分な効果を発揮していない。これらの魚価対策については、社会党では御承知のように独自の法案を提示しているわけでありますが、漁業災害補償法が今後実施される場合においては、今後の重要課題として、魚価の安定をどうするかということについて、政府の現行法律をさらに発展充実させるという方途が、今後この問題と関連をして重要な課題になるというふうに理解をしておるところでございます。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/31
-
032・赤路友藏
○赤路小委員 ちょっと二点だけ質問申し上げます。政府のほうへ二点だけ限って御質問申し上げます。少し皮肉な質問になるかと思いますが、御答弁をひとつ願いたいと思うのです。この政府の補償法案の第二条を読んで見ますと、「漁業災害補償の制度は、漁業共済組合が行なう漁業共済事業及び漁業共済組合連合会が行なう漁業再共済事業により、中小漁業者の相互救済の精神を基調として、その漁獲金額の減少又は養殖水産動植物、養殖施設若しくは漁具に係る損害に関して必要な給付を行なう制度とする。」こういうふうにうたっております。これを私なりに解釈いたしますと、中小漁業者の相互扶助の精神を基調として、損害のあったときは自分たちで給付を行なう制度、こういうことにしかならぬと思う。少なくとも漁業災害補償制度という限りにおいては、やはり政府の再保険というものが行なわれなければならぬ。この条文からいきますと、漁業災害補償ではなくして、単なる共済制度にしかすぎぬ、こういうふうにしか解釈できませんが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/32
-
033・庄野五一郎
○庄野政府委員 漁業災害補償の制度として、第二条にいまお読みになったように記載してございます。われわれといたしましては、この漁業災害補償の制度は、中小業者の相互扶助の精神に基づきまする共済事業を基盤にして、これに対して政府が適正な助成援助を行なう、こういうところでこの制度は補償制度に値する、こういうふうに考えているわけでございます。なお先般大臣がお答弁になりましたように、検討事項におきましても、そういった責任の負担区分というのは、将来国の保険事業を行なうということを目途に検討するわけでございますので、それとあわせ考えましても、漁業災害補償の制度ということでいいのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/33
-
034・赤路友藏
○赤路小委員 大体はっきりしているのです。ただいまこの第二条を基盤にして政府が適正な補助助成を行なっていく、こういうようなお話なんで、そこでもう一点お伺いしたいのは、これは第四節の監督の条項を見そみますと、六十八条が報告の徴収、七十一条が随時検査、七十三条が監督命令、七十四条が役員の解任等の命令、七十五条が議決の取消し、こういうふうに監督の条項の中では、農林大臣が実に大きな権限を発揮するようになっているわけなんです。これだけ十分な御監督をいただき、そうして指導をいただくことは、まことにけっこうだと私は思う。それでこそ正しい運営ができると思います。ところが裏づけがない。監督だけはばかに大きくて、裏づけが一つもないということになると、あまりにも監督権限ばかりが大きくて、あとはてめえたちでやれという、突き放したようなかっこうになると思う。ここのところを何か裏づけがございましたら、ひとつ簡単に御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/34
-
035・庄野五一郎
○庄野政府委員 第四節監督というところに、いま御指摘になりましたような条項があるわけでございます。国といたしまして、この漁業災害補償の制度が、健全にして円滑に運営されるということのための監督でございます。その補償制度が円滑にいきますように、これは掛け金の補助、あるいは事務費の補助、あるいは加入奨励のための補助、あるいはこの支払いに不足を生じた場合の措置といたしまして、基金に対しまする政府の出資、そういった政府は助成をいたしておるわけでございます。なおこれは国が助成するということとうらはらになるという御質問でございますけれども、必ずしもそうではないので、やはり団体が健全に運営され、そして適正に運営され、また健全に発達するということのためには、水協法等にも同じような規定があるわけでございまして、この点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/35
-
036・赤路友藏
○赤路小委員 いま長官から私の質問の二点について、忌憚のない前向きの御答弁を得まして、けっこうだと思います。政府がこの事業を推進するために、監督、指導はもちろんではあるが同時に補助、助成も行なっていく。ここで私は御答弁は求めません。一言だけ御希望申し上げておきますが、補助といっても多々ございますので、補助らしい補助、助成らしい助成、そうして十分事業が前向きに伸びるように、今後十分なる御処置を願うように希望を申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/36
-
037・長谷川四郎
○長谷川小委員長 本日はこれにて散会をいたします。
午後四時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104605019X00119640522/37
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。