1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年四月二十三日(木曜日)
午前十一時三十六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 米田 正文君
理事
金丸 冨夫君
谷口 慶吉君
天坊 裕彦君
吉田忠三郎君
委員
井野 碩哉君
河野 謙三君
木暮武太夫君
野上 進君
平島 敏夫君
村松 久義君
相澤 重明君
大倉 精一君
岡 三郎君
国務大臣
運 輸 大 臣 綾部健太郎君
国 務 大 臣 宮澤 喜一君
政府委員
運輸大臣官房長 佐藤 光夫君
運輸省海運局長 若狭 得治君
運輸省港湾局長 比田 正君
運輸省自動車局
長 木村 睦男君
海上保安庁次長 有田 毅君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
運輸省海運局参
事官 高林 康一君
海上保安庁警備
救難部長 猪口 猛夫君
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本日の会議に付した案件
○海上衝突予防法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○運輸事情等に関する調査
○(公共料金に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/0
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001・米田正文
○委員長(米田正文君) ただいまから委員会を開会いたします。海上衝突予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/1
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002・相澤重明
○相澤重明君 前回の質問に際しましての参考資料が手元に届いておりますが、ひとつ当局から御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/2
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003・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) お手元に配付いたしました参考資料を御説明いたします。
昭和三十六年から三十八年に至る三カ年間につきましての船舶救助の状況でございますけれども、三十六年二千二百七十五隻、三十五万総トン、三十七年千八百六十六隻、四十四万総トン、三十八年千八百四十七隻、四十二万総トンという状況でございます。
なお、救助財産の見積り価格は、三十六年四百三十一億、三十七年六百二十七億、三十八年六百十億という状況でございます。
また救助人員は、三十六年百五十六名、三十七年二百九名、三十八年二百五十五名という状況になっております。
なお、先日お尋ねのございました船舶の衝突の場合に外国の船主から損害賠償を取ったというような事例につきまして、統計的な数字はございませんけれども、一、二例を申し上げさせていただきます。日本船のアイラス丸という大阪商船の船でございますが、ギリシャ船エレン号という船と衝突いたしたのでございます。事故の発生いたしましたのは一九五六年九月二十九日、これはだいぶ前でございますが、北米東岸のボルティモアの港外におきまして衝突いたしたのでございます。それで、ボルティモアの連邦裁判所において審理されまして、日本船の側の勝訴によりまして千六百万円の損害賠償を受けたという事例がございます。
それから、同じく大阪商船の船でございますけれども、アメリカの船舶と昭和二十六年の八月七日浦賀水道において衝突いたしまして、大阪商船の武蔵丸という船が沈没したという例がございます。これは審判庁におきまして審判いたしました結果、アメリカ船が不当な運航をしたということになりまして、審判庁の裁決が下りまして、この結果、勝訴によって武蔵丸は完全な賠償を受けたというような事例がございます。
先日御要求の資料は、完全にまとまっておるわけではございませんけれども、そういうような事例がなお多少あるような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/3
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004・相澤重明
○相澤重明君 いまの事例をあげていただいたわけですが、これは国際法上の問題もありますし、まあ衝突を少なくするということが目的でありますから、不幸にしてそういう事故が起きた場合にどういうふうになるかという事例をあげていただいたわけです。
そこで、この参考資料を見せていただきますというと、やはり非常に海難が多いということですね。非常な多くの損害、あるいはまた人も救助されているわけでありますが、その中で海上保安庁の救助しているものが非常に目立つわけですが、同時に、その海上保安庁以外の救助、特に三十七年と三十八年の人員を見ましても、かなり多く出ているわけですが、これがいわゆる海洋、外に出たものと、それから港湾——港関係、そういうものとに区別したならば、どちらに事故が多かったかという点についておわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/4
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005・高林康一
○説明員(高林康一君) 救助人員につきましては、やはり全体といたしまして港湾内のほうが多いかと思いますけれども、区分けして統計をしておりませんものでございまから、明確には出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/5
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006・相澤重明
○相澤重明君 先ほどの委員長の理事打ち合わせ会の経過もございましたので、私の質問を中断いたしますが、いまの救助問題について、海難救助については、やはり運輸省としては統計的にはひとつぜひいまのような区分けをしてほしい。これは港則法の関係や港域法の関係の問題等も含んで、将来問題点が出ると思います。したがって、海洋の場合と、港湾と、そういうものをひとつ将来は統計をつくってもらいたい、こういうことを申し上げまして、質問を中断いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/6
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007・米田正文
○委員長(米田正文君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/7
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008・大倉精一
○大倉精一君 きょう宮澤長官に来てもらったということは、いわゆる物価対策ということで、公共料金ストップ、こういう政府の措置について、いろいろ各方面で問題が起こっておりますので、さらにまた先般のこの委員会におきましても、あるいはまた予算委員会の分科会におきましても、この問題に触れましたけれども、肝心の長官がおいでにならぬので、中途で終わっているわけでございますので、きょうはひとつじっくりと宮澤長官に、政府の物価政策と公共料金ストップの関係についてお聞かせを願い、勉強したいと思っております。
まず冒頭に、物価政策と公共料金ストップという、こういう関連性について長官から基本的なお考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/8
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009・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ここ二、三年来、消費者物価が毎年相当大幅に上がっておりまして、その上昇の程度というものが金利水準に近いといったような場合がしばしばありまして、そういう結果、国民生活を脅威をする、また経済政策全般の健全な運用をいたします上に害がある、こういうふうに判断をいたすに至ったわけであります。で、政府としまして、この問題につきましては、すでに昭和三十六年ごろから留意いたしまして、幾たびか閣議等を通じて消費者物価抑制についての各般の措置を決定をいたしております。いまその原因について、きわめて多岐にわたるので、詳しく申し上げませんけれども、一方において需給関係のバランスがくずれておると思われますものについてできるだけ増産をする、あるいは生産、流通を通じてのコトスの引き下げをはかるということを考え、また他方においてわが国の経済の中で生産性が立ちおくれていると思われる部門に対する体質改善の処置を行なう。さらには、いわゆる管理価格等がかりに存在した場合には、これが物価の硬直性をささえることになるわけでもございますので、こういうものについても、もしそういうことがあれば公正取引に反することでございますから、そのような調査も行ない、各般の措置をここ何年かにわたって政府としてもやってまいりましたけれども、しかし、それにもかかわらず、消費者物価の高騰というものが押え切れなかった。なお、昨年のような場合には、これはわが国及び世界全体における異常気候が関係しておったと見られる形跡もございますけれども、ともかくも依然として消費者物価の高騰が続いておる。このような情勢におきまして、昨年の夏ごろでございますが、この消費者物価の問題をいかに考え、いかに処置すべきかということについて、私どもの役所に消費者物価についての物価問題懇談会というものを設けまして、これは非公式に設けたわけでございますが、学識経験者及び女性の方をも含めまして、かなり詰めてこの問題についての討議をいたしてもらいました。その結論が年末に出たわけでございます。これにつきましては、いろいろなことが答申の中で述べられておりまして、ほぼそのラインに沿いまして、各般の問題を経済閣僚懇談会で政府の施策として実施することになったわけでございます。この懇談会の答申の一つに、政府は、いわゆる政府の規制し得るところの料金について、ともかくこの際一年間据え置きを決断すべきであるということが書いてございまして、この点をいかにすべきかということで、政府部内にも非常にいろいろ議論がございました。また、国会におかれましても、委員会、本会議等を通じまして、答申に沿って措置すべきであるという御議論もしばしば聞かれたわけでございます。しかし、何ぶんにも本来自由経済を基調とするわが国の経済で、そのような措置に出ることは、どこかに無理が生ずる種類のことでございますので、これを実行すべきやいなやについては、相当真剣に政府部内でも考えたわけでございます。この答申の理由といたしますところは、そのこと自身が経済法則にそっくり合わないということは認めるが、しかし、政府がいわば率先をしてその規制し得るところの額を動かすということは、一般に消費者物価が上がっても差しつかえないのだ、これは許容するようなムードをかもし出すということになるので、そういう意味で、そのムードを今度は逆に、そういうことがあってはならないのだ、政府は万難を排してそれを食いとめるのだという、逆なムードを醸成する意味においてそういう決心をすべきではないか、こういうのが答申の主張であります。そういう問題をめぐりまして、政府部内でも幾たびか議論をいたしたわけでありますが、その末に、昭和三十九年中においては政府の規制し得る価格についてはこれを原則として据え置くという決断を下したわけであります。もっとも、そういう決断を下します際に、政府の規制し得る価格の中でも、一般の国民生活にほとんど関係のない種類の技術的なものもございますし、また、そういう処置に出ました結果、関係の企業の経営を極端に悪くいたしまして、その結果経営が危殆におちいるような場合がないとは申せませんので、そういう場合については、経済閣僚懇談会を開いてこれを許すべきかどうかを検討する、そういう条件を付しました上で、事務的にそのような政策を決定いたしました、このような経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/9
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010・大倉精一
○大倉精一君 いろいろ説明を聞いておりますというと、たくさん矛盾点があると思いますけれども、逐次指摘をしてお伺いをしたいと思います。
その前に、これは私が言うまでもなく、物価の問題は、経済政策の象徴だと私は思うのです。ですから、池田内閣が経済政策の成功あるいは功績を言われても、いまおっしゃったように、自由主義経済の原則に反するようなことをしなければ物価が押えられぬということは、経済政策の大きな失敗だと私は思う。こう言っても、あなたは失敗だと言われまいけれども、大体これは世間一般に常識として考えられておる。しかも、経済政策については、池田内閣は数度にわたって大方針を変更されておる。その一つは、総選挙を前にして、中小企業、農民を中心とする政策を変えた、これも一つの大きな方針の変化です。もう一つは、物価の問題については、ついこの前まで総理は、物価の問題に特段手を打つことはしない、こう言っておる。本会議で言っているわけです。その特段の手を打つということはしないと言っていて、その舌の根のかわかぬうちにといいますか、間もなく公共料金ストップという非常にたいへんな手を打たれた。長官自体も、どこかの委員会において、これは全く非常手段でありますと言っている。こういう非常手段を打たなければ物価の問題は解決しない、こういうことです。これは池田内閣の経済政策としての大きな失敗である。こういう問題について、総理はときどきこういうことを言われた。私は秋田で街頭演説を聞きましたけれども、金融の引き締めにつきまして、馬が走り過ぎれば手綱を締めるのが政治家の役目だというようなぐあいに大みえを切られましたが、そういう考え方が今日の事態を招いたのじゃないかと思う。政治家というものは、手綱を引くのが政治家じゃなくて、走り過ぎないようにするのが私は政治家だと思う。これを走り過ぎさせておいて、急にブレーキをかければ、方々にけが人が出ますよ。こういうところに私は池田内閣の経済政策の大きな特徴があると思う。現在、いま説明があったように、こういう物価異常に対して、政府は非常手段をとるということでありまするが、そこで、こういう一年間ストップをした現在において、こういう現象が起こっておるが、それは長官把握されておりませんか。特に私は、運輸委員会でありまするので、交通運輸関係の公共料金の問題にしぼってもけっこうですけれども、どういう現象が具体的に起こっておるか、そういうことを把握しておいでになればお示しを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/10
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011・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の点について、あえて反論をいたすというつもりはございませんけれども、やはりわが国の経済が、国民生活全体の生活水準を向上し、将来福祉国家に到達するということを目ざしております以上、ある段階においては急速に成長をし得る潜在力を持っておったと思うわけであります。したがって、政府は、その潜在力を顕在的なものに引き出すために、成長ということを確かに政策としてもこれを掲げてやってまいりました、そのことは、やはり成長すべき時期に成長させるということ自身は、大きな政策目標に私は合致している、そのこと自身に誤りはなかったと思うわけでありまして、大局的に見るならば、その間に消費者物価の値上がりが生じましたけれども、しかし、国民全体を平均する限り、名目所得の増加ははるかにそれを上回っておりますので、実質上の国民生活が平均として考える限り向上したということは、私は確かであると思います、もちろん、限界にはいろいろな人々がいるわけでありますから、それはそれとして処置をしてまいったつもりでありますが、平均的に私はこういうふうにしてとられた政策は誤りであったとは考えていないわけであります。
ただ、その結果、消費者物価の高騰が、かりに名目賃金を下回っているといたしましても、国の金利水準に非常に近づいているということになりますと、これはそれ自身で経済政策そのものの運営を困難にもいたしますし、またその面から国民の貯蓄あるいはいわゆる健全な意味での投資等にも害があることであります。そういう段階に立ち至ったというふうに私どもは認識をいたしたわけであります。したがって、万般の施策とともにこのたびのようなことをいたしたわけでありますが、こういう政策そのものは、本来自由経済の原則には合致しておらないものでありますから、そこからいろいろなそれなりの弊害が生じているということは間違いないところだと思います。要するに、要はその弊害と国民全体がこの政策から受けるところの利益とがいずれが大であるかという大局的な判断をいたしたということになるのでございますから、弊害がないということは、これは決して私は申せないと思います。現実に起こっておりますことは、そのような政府の抑制し得る価格を形成いたします関係の企業、ことに中小のものについて、かなりの御苦労をかけているのではないか、御難儀をかけているのではないかと思います。また、たとえばバス事業のごときものは、かかる処置は法律で定められたところの適正な運賃の決定というものと背反をするものであるという趣旨から、政府が運賃の料率引き上げの申請に対して可否いずれかの決定をいたきないということは、政府の不作為であって、その不作為は違法であるという趣旨の訴願並びに訴訟を提起しているといったような現象が起こっております。政策そのものが本来の自由経済の原則に例外となる種類のものでありますから、国民経済にそれから生ずるところのひずみが生まれているだろうということは、想像にかたくございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/11
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012・大倉精一
○大倉精一君 私は具体的な問題についてお尋ねしようとしているのだけれども、その前にやはり、いろいろ御発言を聞いていると、そうでございますかといって聞いておくわけにはいかぬことがあります。
その一つは、物価に対するあなたの考え方——先ほども所得は物価を上回っている、こういう御発言がありました、これは方々でもあります。ありますが、国民生活の実感、実態からは、はるかに物価よりも所得は下回っております。つまり、あなたの言う七%とか何とかいう物価は平均数字であって、つまり上は自動車から、下はイワシ一匹、ネギ一本まで物価の中に入っておる、でありますから、この中で、たとえば自動車が下がる、テレビが下がる、電気洗たく機が下がる。そういうものは一般国民の生活には関係ないのです。これがために、ちょうどあなたのところで設けられましたところの物価問題懇談会でも、主婦連合の春野副会長が、だれでも買わんならぬものを五十品目くらい集めて、そうして一年間の物価を調べたら、二四%上がっておる、こういう数字を出しておる。これはあなたもお聞きになっていると思う。これが生活物価ですよ。ですから、かりに給料が一割上がっても、毎日買わんならぬものが二割四分上がったら、生活は窮屈になってきます。でありますから、いまの状態が、確かに消費水準は上がったと言われますけれども、なるほど消費は豊かになっておるかもしれませんけれども、それなりに一方貧困感というものはつのっております。これは、でありまするから、まずもって、あなたの公共料金ストップに関連しているような発言があるが、どうも私は納得できない。どうですか、実際国民生活の実態からいって、あなたは所得は物価より上回っておるとほんとうに思われるかどうか、もう一ぺん伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/12
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013・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) その点に関します限り、私の申し上げておりますことに誤りはないと思うのであります。消費者物価指数は総理府統計局が毎月調査しておるものでありますが、その基本になっておりますものは、いまから三年くらい前になるかと思いますが、その当時、全国の現実にあります消費者家庭のその時点における消費支出を数万軒にわたって調査をいたしたわけであります。これは、したがって、その時点における全国都市農村全部を含めましたところの国民の消費生活のパターンをそのまま示しておるはずのものであります。たまたま、ですから、その月にテレビを買った家庭もございましょうけれども、これは何万といううちでは、おそらく経験的に、平均的に月に何軒新らしくそのようないわゆる耐久消費財を買うかという平均率をいずるものではないはずでありまして、大部分の家庭は、すべての家庭は、現実にその時点においてあったところの消費支出を総理府統計局はとらえておるわけであります。そうして、その消費支出にウエートをつけまして、そのものが次の月に幾らになった、現在幾らになっておるということをやっておるわけでありますから、当時の生活のパターンを今日そのまま維持されたものとの仮定のもとにやっておるわけでございます。したがって、現実に起こっておりますことは、おそらくは、それらの家庭は、その後に、たとえばイワシの値段が高騰したということであれば、なるべくイワシを食べないようにするということをやっておられるに違いないと思いますけれども、これは消費者物価指数という形では出ておりませんで、その時点におけるパターンを、そのまま今日まで受け継いでおる、こういう形になっております。それでございますから、特定の品目の特に値下がりしたものを大きなウエートで消費者物価指数の中にとらえておるのではないかということについては、さようなことはございません。全くありのままの生活のパターンを今日まで持ってきておる。もちろん極論いたしますと、三、四年前の生活のパターンと今日の生活のパターンとは違うであろうということは、それは私はそのとおりであると思います。しかし、 それならば今日の生活のパターンにそれをもう一ぺん調査し直すかということになりますと、それは最近の調査を今度は一〇〇といたすような結果になりますので、そこから出てまいりますものは、消費者物価が高騰せずに、むしろ鎮静しておるというような統計上の結果になりやすいのであります。ですから、そういうことをすることは、まあ政治的な意味ではあまりフェアではない。学問的には、そういうことをときどきパターンの変わったごとにやるべきだと思いますけれども、それでは過去何年間にこれだけ消費者物価が上がっているではないかという議論が非常にしにくいことになります。したがって、三、四年前のパターンをそのままとっておるわけであります。そういう意味では、ただいま大倉委員の仰せになりましたようなことは、総理府の消費者物価指数の中には入っておらない、そうでないたてまえでやっております。
他方で、しかし、生活の実感として、物価の高騰のほうが大きいではないかという議論になりますと、これは実感というものをどういうふうにとらえるかということになりまして、数字の議論に持ち込むことが非常に困難であります。思うに、消費者物価が六%なり七%なり上がったということは、たとえその間に名目賃金がどうなっておろうと、主婦が買いますマーケット・バスケットのコストというものが上がっているわけで、かなり急速に上がっているわけでございますから、そのような圧迫感を与えるということは、これはあろうと思いますし、また主婦の方々が現実にそういうことを感じておられるということは私は否定はいたしません。いたしませんが、これを数字に持ち込んで議論をいたします限りでは、総理府統計局の統計のとり方に私は間違いはないと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/13
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014・大倉精一
○大倉精一君 数字でもってものを言っておられるのですけれども、まあ実感実感と言われますけれども、国民はやっぱり自分の生活を通じて物価の問題をちゃんと知っております。ですから、七%という数字の出し方——統計をとるといいますとむずかしいと思うのですけれども、統計のとり方、計算のし方によって数字が違ってくると思います。早い話が、十円の新聞が十円で買えないで、十二円でなければ買えない、週刊誌が三十円が四十円になっている、あるいは近距離の運賃が倍になっているということが、いろいろあります。ありますが、物価と消費の問題はいろいろ議論もあるでしょう。あるでしょうが、今日政府がこういう非常手段を消費者物価にとらなければならぬというところに、消費者物価の異常性があるでしょう、平均数字はそうですよ。ですから、前々からのあなたの主張どおりに、消費者物価が幾ら上がっても御売り物価が上がらなければ経済は健全なんだ、健全な手を打たなければならぬという以上は、非常手段を打たぬでもいいと思う。そこにも私は矛盾があると思うのです。ですから、物価の中身の問題はこの程度に置いて、先ほどあなた、こういう非常手段をやれば確かに被害をこうむる部面があるが、国民全体の利益とてんびんにかけてどっちだろうかと、こうおっしゃった。一体、そうなりますと、被害をこうむった連中はどうするか。国家施策のために、その失敗のために——あなた失敗とおっしゃらぬかもしれませんけれども、そういうしわ寄せを受けるこういう階層は一体どうなるか。これを公共料金一年間ストップというそれだけで、あとは精神訓話をやっている。特に民間企業に対しましては、一年がまんしておけ。こうなってきますと、そういうことは言いたくないが、池田さんが、経済全体のためには少数の人のことはやむを得ないというようなことがありましたが、これと同じことになる。ですから、いま公共料金一年ストップということで非常に困っている部面がたくさんあるのです。あるのですが、これは長官どうでしょう、公共料金一年ストップと言うならば、それに対応する施策がなければならぬと思うのですが、そういうものはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/14
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015・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的には、公共料金を据え置きましたときに、二つの例外措置を考えた。ということは、また現にそういうふうな決定をされているということは先刻申し上げたわけであります。
で、まず、非常に御難儀のところへこういうことを申し上げるのは、幾らか人情に反するかとも思いますけれども、一方では合理化——経営の合理化ということは、これはやはり困難な状態のもとにおいて一番可能であるということも、いささか人情に反する表現でありますけれども、偽りではありません。したがって、そのようなできる合理化はやっていただきたいという気持ちがございます。他方で、できるだけ、こういう措置の結果、倒産とまではいかなくても、金融的に困られるという向きに対しては、政府としても金融上のお世話をいたしましょう、こういうことは経済閣僚懇談会では予解をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/15
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016・大倉精一
○大倉精一君 どうもこれ、こうやっておりますと、あなたが一言言われると、反騒したくなることがたくさんあるわけです。だから、苦境のときにこそ、合理化だとおっしゃるけれども、合理化のやれない部門がたくさんあるのです。たとえば、昭和二十八年以来ほとんど上がっていない、わずか五%ぐらい上げられたという通運の場合でも、小企業の場合何もそんな余裕はないでしょう。それはあとからいろいろお伺いすることといたしまして、これは長官、非常に大きな行政上の問題が私はあると思うのですね。それは、陸運行政、運輸行政の責任者は運輸大臣ですよ、運輸大臣にある。運輸大臣が陸運行政あるいは運輸行政の全員責任を持っておられる。運輸大臣が、いわゆる公益事業あるいは公共事業の料金、運賃というものを認可する権限を持っておられ、そうして適正な運賃を判断する責任を持っておられる。で、閣議決定かあるいは経済企画庁の決定か知りませんけれども、内閣のほうで上げちゃいけないといって、きめてしまって、それで運輸大臣に運輸行政の責任をとれと言ってみても、これは非常に無理なことになりはしないかと思うのです。これを心配するのです。こういうところに行政の混乱があるように思うのですが、こういう面は長官どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/16
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017・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) もし詳しい法規的なことであれば、法制局から御説明を願ったほうがよろしいかと思いますが、ごく大ざっぱに申しまして、憲法、国家行政組織法、あるいは内閣法等において主任ということばを使っておりますけれども、行政各部を主任する大臣がきめられておりまして、しかもそれらの決定は内閣の責任において行なう、あるいは総理大臣がそれに対して必要と思う場合には指示をすることができる。いろいろな規定がございます。御入り用であればもう少し詳しく私からでも申し上げられるかと思いますが、そういうことの結果、本来ならば、通常の場合にはこれは主任の大臣が専権を持っておられるわけでありますけれども、事と次第によっては、それが内閣のレベルにおいて、特定の法律なら法律の運用をする、決定をする、方針を決定するということは、法規上許されておると思うのであります。そこで問題は、しかし、内閣といえども法律違反の決定をいたすわけにはこれはまいらないわけであります。もとより法律の明文がこれに優先するということは明らかなことであります。そこで、道路運送法等に申します、かりに適正な原価でありますとか、あるいは適正な料金でありますとかという観念は、かなり幅のあるこれは観念でございますから、したがって、適正とは何を意味するかといったようなことについて、内閣全体がそれについての意思統一をするということは、これ自身は私は違法であるというふうに考えておりません。かりに内閣が料金の決定は適正なものでなくてよろしいという決定をいたせば、これはやはり法律に違反すると思いますが、適正とは何か、原価をどういうふうに見るかといったような法の運用の面では、これは私法規裁量だと思いますので、いわゆる法規裁量としての余地があるものである、大体法律的にはそういうことであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/17
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018・大倉精一
○大倉精一君 また何か反駁したくなってくるのですがね。われわれは政治家で、別に行政官でないのですから、法律がこうなっているからどうとか、そういうことでなくて、政治家としてものを考えていかなければならぬと思うのです。それは非常に重大なことをおっしゃったと思うのです。適正なる運賃や料金とは何だ、こうおっしゃる。内閣全体として適正なる運賃、料金について意思統一をするということは、これはあり得るとおっしゃったのだが、しからば今度の一年間ストップというのはそんなものに関係なく物価政策としておやりになっているのでしょう。適正なものだとお思いになってやっておられるのですか、運賃、料金というものはどっちですか。適正なものでないとお考えになっておって、なおかつ物価政策上しかたがないということになれば、これは厳密に言えば法律違反です。これはどうでしょう、ストップされた基本的な理念は。いまおっしゃったところによると、適正なるとは何か、適正なるということについて意思統一をする必要があるというのは内閣として当然だとおっしゃるから、それでは一年間のストップというのは、現行運賃料金が適正なるものだ、こういう判断の上でおやりになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/18
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019・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、現実に政府の不作為が法律違反であるという趣旨の訴訟が提起されておりまして、政府は被告になっておるわけであります。で、それが違法であるかどうかということは、これは裁判所の決定にゆだねなければなりませんが、私どもは被告の地位に立たされておるわけであります。そこでそういう現実がございますので、私がここでお答えを申し上げますことも勢いかなりこまかい法律論にならざるを得ないということはひとつ御了解をいただいておきたいと思います。で、政府が公共料金、政府の規制し得る価格を一年据え置くということを決定いたしましたのは、もとより違法なことをしようという決断をいたしたわけではございません。ただ、法律を運用いたします際にかなり——かりに法規裁量でございましても、その裁量には幅があることでございますから、したがって、その幅を決定するにあたっては、このような閣議の意思を考えながら行政をやろうではないか、こういうことに法律論としては私はなると思います。どうもたいへんにかた苦しいことを申し上げるので、私もあまり実は気が進まぬわけでございますけれども、現実にそういう事態で訴訟が起こされておるということ、及びここが公の場でございますので、そのようなお答え——もう少し人情味のあることを申し上げるわけにいかないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/19
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020・大倉精一
○大倉精一君 これはどうも、どうしても長官らしくない、つじつま合わぬですよ。私の質問しておるのは、裁判に関係ないのです。裁判に関係なくて、一年間ストップされたということは、大体現在の運賃、料金というものは適正であるという、そういう御認識のもとに一年間ストップされたのかどうか。といって、これは裁判には関係ありませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/20
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021・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それが最も端的な御質問だと思います。それに対しては、端的にそのとおりでございますとお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/21
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022・大倉精一
○大倉精一君 そうなってくると、またややこしくなってくる。あなた先ほど非常手段とおっしゃった。一年間公共料金ストップということは非常手段である、いわゆる自由経済の原則から離れた非常手段だということになれば、これは適正料金であるからという、そういう御認識ではないと思う。ただあなたの逃げ道は、そうやるのだが、つぶれかかっておるような中小企業には特別手を打つ、こうおっしゃる、これは私は、政府の抜け道をつくったのであって、政治的ゼスチュアだと思う。そういう例がありますか。いままでつぶれかかったところに手を差し伸べた例がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/22
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023・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) まず前段からお答えいたしますけれども、自由経済の原則に例外を設けるような閣議の決定であるということは、これは認めます。第一であります。次に一般に自由経済においては価格というものは需給関係で自然に形成されるのが本来であると思います。しかし、道路運送法に定められておりますような種類の料金価格については、何らかの理由でこれが行政庁の許認可にかかっておるわけでございます。そんたくいたしますのに、これは一つには、多数の国民が利用者でございますから、ただこれが需給関係だけで一方的に決定をされることは適当ではない。その間にいろいろな合理化をはからなければならないという意味から、行政庁の許認可にかかっておると思うわけであります。そうして、その許認可という基準として与えられておるものが適正云々というのでございますから、何が適正であるかということは、これは不適正であれば適正でないことは明らかでございますけれども、適正の範囲というものは行政庁のこれは裁量にゆだねられておる、不適正でない限度まではゆだねられておる、こういうふうに考えます。したがいまして、閣議決定で申しますところは、その適正の内容を判断するにあたって、このような物価の情勢も考慮して判断をしなければなりません、こういうことが閣議決定の、閣議了解の趣旨である、こういうふうに申し上げることになると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/23
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024・大倉精一
○大倉精一君 どうもぴんぴんと響いてくるものがないんですけれども、許認可料金の問題についても、なるほど自由主義経済のもとにおいて、需要、供給その他の条件、要素によって働くものですが、ただ公共であり、公益であるという点から、政府がこれにセーブを加えるというのは、いわゆる自由経済の原則だけに放任しておいたのではいけないということと、もう一つは保護政策という面もあるんですよ。政府が免許をしておる事業でありますから、これに対して適正な保護を加えるという面も多分にあると私は思うんですね。そういう面もある。そこで、あんたの回答は得られませんけれども、私はあんたの回答と違って、適正なものであるかないかということは一応度外視をして、物価政策上やむを得ず公共料金ストップしたんである、理屈はないんだと、こういうことであろうと思うんです。そうでないとおっしゃるに違いないから、答弁要りません。
そうなってくると、これは自由主義経済の原則から離れたものですから、国家の権力によって強制的にストップしたものでありまするから、すでに政策運賃なり政策料金になっていると思うんです。政策運賃であり、政策料金であるということになっているとすれば、これは政府としてもただストップしっぱなしじゃどうにもならぬでしょう。何かやっぱりそれに対応する政策手段がなければ、政策運賃にならぬですよ。政府は都合いいかもしれません。当面ストップで、あるいは池田さんの公選にも都合がいいかもしれませんけれども、やられるのがかなわぬということになるんですよ。先ほど私が言ってるように、すでに政策運賃ということをお認めになると思うんです。そうとすれば、どういう対応策がとられておるか、こういうことですね。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/24
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025・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 公選のほうにもあまり都合がよくないかもしれないと思いますが、やはり金融等々の処置を通じてできるだけこれから生ずる当該企業が受ける打撃を緩和をするということであろうと思います。ただ、融資をいたしましても、これは借りた金でございますから、運賃という形で収入される金とは性格的に本来違います。したがって、借りた金が所得である金に置きかわるということは、これはもう突き詰めてあり得ないことでございますので、そういうごめんどうを見ましてもなお御難儀が残るということは認めざるを得ませんが、できるだけのごめんどうは見なければならぬということは閣議でも基本的に了解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/25
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026・大倉精一
○大倉精一君 中小企業の困っておる向きには金融を考えるとおっしゃるけれども、どうも実態は一向に考えてもらっておらぬらしいです、これは。そこで、公共企業の場合におきましては先般来いろいろ問題になっておりまする起債とか何とかあるんですけれども、私企業の場合については何らそういう措置がないですね。ありません。そこで、逆に、交通運輸関係——バス、ハイヤー、通運トラック等におきましては料金はストップ。ガソリン税は一〇%アップされる、あるいは損害賠償保険料は三倍以上上がっていく、軽油引取税も上がっていく、運賃ストップ。労働者の賃金も当然上げんならぬですよ、食っていくんだから。これで一体そろばん勘定合いますか、どうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/26
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027・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はそこへいきますと具体的な経理の問題になってまいりますが、当面訴訟を提起しておられます民営バスでありますが、東京都に乗り入れております九社の決算を見ますと、昭和三十六年度においては八億に近いところの黒字であります。昭和三十七年度におきましても四億余りの黒字であります。したがって、こういう決算上から見ます限り、これらの会社が賃率を上げなければ経営が困難になるといったような結果が出ておりません。
しかし、他方で賃率をとめます結果、これらの各社が金融的に困難をされるということは想像し得るところでありますから、お申し出があれば、何らかの政府もあっせんをしようということは、これはおそらく運輸大臣もお考えに違いないと思います。私も考えております。しかし、実際はそうではなくて、そういったもののめんどうを見てもらう必要がない、むしろ政府のやっていることが法律違反である、こういう事態として展開していると思います。なお、タクシー等につきましては、現在私どものほうで、運輸省から協議を受けて、私どものほうで研究中のものはございません。タクシーにつきましては、何らかの形で従来のものが全部処理をされております。小運送につきましては、最近問題がございますことは承知しておりますが、これはまだ十分御協議を受け、十分に検討いたしたという段階ではございません。
それから、港湾の荷役の料金につきましては、運輸省から御相談を受けまして、ある程度理由があるものというふうに私どもは現在では判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/27
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028・大倉精一
○大倉精一君 何しろ初めがちゃらんぽらんですから、方々ちゃらんぽらんになるわけですが、これは自動車局長にちょっとお伺いします。交通運輸関係の民間業者ですね、零細業者もたくさんあるだろうと思うのですが、そういうことでほんとうに困っているところはないのですか。いまお話を伺うと、大体もうかっている話ばかりしておられるのですが、たくさん困っている例はあると思うのですが、どういう実情になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/28
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029・木村睦男
○政府委員(木村睦男君) 自動車関係の事業につきまして申し上げますと、バスにつきましては、三十六年以来すでに九〇数%、大半は運賃改定を終了しております。これはいずれもやや経営が苦しくなってきたために運賃改定の必要があるということでやったわけでございますが、事務的な進行の都合であとになったところもありまして、現在企画庁に協議しております件数は三十件くらいございます。いずれもその必要ありということで協議いたしている段階でございます。
それからなお、現在訴訟になっております東京都関係のバス事業につきましても、三十六年のころは黒字が出てまいっております。三十七年になりまして一部赤字が出、三十八年の上期になりますと約半数近くが赤子になっている、こういう状況でございます。われわれ運賃改定の責任上から申しますと、決算面が黒字であるから改定しなくてもいいというふうに必ずしも交通事業では考えておりません。ということは、公共事業であると同時に、収益事業——企業でございます。借入金あるいは配当、そういう必要上から無理をして、決算面で苦労する場合もございます。どういう現象が起こっているかといいますと、そういうことのために、サービス事業である交通事業につきまして、採算の悪いところは回数を減らすというような、いわばサービス事業である交通事業としてはよくないことですが、企業防衛的にやむを得ずこういうようなことをやっているというような現象がちらほら出てまいっております。そういうことをやっても決算面はなるべく黒字を維持しようというような状況が企業の状態でございますので、われわれとしては、運賃改定を必要とした場合、幅の問題が問題なのです。そういうことを考えて、幅をどうするかということに特に検討を向けるわけでございます。それから、タクシーにつきましても、全国的に申し上げますと、大体四割くらい見当は、すでに運賃引き上げをいたしております。残りの六割程度が、陸運局長の権限でございますが、陸運局長に運賃値上げの申請が出て、これらもただいまの段階では、本省においてそれらをよく検討いたしまして、必要があるものは努力の段階——提出して、そして了解を求めているという仕儀になっておるわけでございます。それから、貨物につきましても、区域貨物につきましてはすでに二年ほど前から運賃申請が出ております。タクシーあるいは区域トラック事業については、九八%までは零細または中小企業で、非常にこれらも経営が苦しくなっておることは事実でございます。そういうのがいまの交通自動車関係事業の実態である、かようにわれわれは認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/29
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030・大倉精一
○大倉精一君 運賃、料金値上げの場合、運輸省から企画庁に相談をすることになっておるのですけれども、これは相談をするんでしょう。ですが、相談を受ける側の経済企画庁というものは、これは運輸行政事業を的確に把握する責任と義務がありますよ、相談される以上は何とか回答しなければならぬから。そこで、いま局長が実態の一端をお話になったのですけれども、事実非常に困っておる経営者が末端地方にあるわけですね。しかも、この事業は、国家がその事業の開始が必要であるということを認めて免許しておる免許事業です。一般の自由営業じゃないのです。国家が必要であると認めて、業者が免許事業を一部を停止しなければならぬという状態が出ておる。これは国家が大きな原因になろうと思うのですけれども、先ほど長官は、あまり困っておらぬというお話でありましたが、いまの木村局長の実情報告からいけば、相当下部では苦しい状態が続いておる。しかも、運賃値上げの要求をしておる。これはある程度認めなければならぬ。しかも、黒字なるがゆえに全部認めないというわけにいかない。これは企業であるから当然適正利潤は認めなければいかぬ、こういうお話でありますが、この辺がどうも考え方の違っておる者が集まって相談しておるものですから、だんだんややこしくなってくるのじゃないですか。現状把握が違い、考え方が違っておる。先ほど港湾の問題がお話ありましたけれども、これも初めの長官の説明とは違います。初めは、この公共料金ストップは一つのムードをつくるのだと、こうおっしゃった。ムードをつくるということになれば、港湾だろうが、どこだろうが、ここだろうが、許すべきものじゃない。つまり、あなたのほうは、消費者物価に影響ない、いわゆる直接影響ないとおっしゃるかと思うと、ムードをつくるためにやるのだとおっしゃった。これもちぐはぐがある。それはさておきまして、これはいまの木村局長の報告とは少し違うようですが、どうですか、実情把握というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/30
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031・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま運輸省の政府委員の言われましたことは、私は間違いではないと思います。業界の実態を一番把握しておるのは問題なく運輸省の当該行政官でありますから、そのことは私は間違いないと思います。で、経済企画庁が協議を受けるということになりましたのは、昭和三十五年でございますか、六年でございますか、閣議決定からそうなっておりますので、実は私どもとしてもそれだけの十分な業界についての洞察力を常に持っておるわけではございませんので、協議を受ける立場もなかなか楽な立場ではないわけでございます。ただ、申せることは、おそらくは運輸省としては、これを指導育成するという当面の行政の責任者でありますから、そういう観点からおのずからものを考えられるのでありましょうし、私どものほうはそれ全体が物価にどういう影響があるかというようなことをやはり何としてもおもに考えますので、査定のし方なり見方なりがおのずから、それほどあたたかくない、いわばやや突っ放した見方をしようとする、そういう傾向は、これはございます。で、財務諸表などをしたがっていろいろ検討いたしまして、黒字だからいいじゃないですかというようなことはとかく申しやすい、申す場合が多いわけでございます。もちろん、その財務諸表がそうできますまでには企業側のいろいろな考慮があって、ある場合にはウインドー・ドレッシングがある場合もあると思います。そういう場合も、できるだけウインドー・ドレッシングであるかどうかということまで突きとめようとは思いますけれども、まあ表向きの財務諸表がそうであれば、その辺のところは何とかがまんをしてもらえるのではないかというような態度苗私どもの役所はとりやすいので、そういう両者の協議の結果、その間に妥協ができて、妥協点で協議が整う、こういう場合が多いように思います。これはおのずから持っております行政の重点の置き方が違うというところから出てくるものと思いますので、私どもは、いま運輸省の政府委員の言われましたことが、一がいにこれは間違いであるといったようなふうには申し上げないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/31
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032・大倉精一
○大倉精一君 間違いでないということになれば、相当、逼迫し、困っている部面もあるということ、あるいはまた、黒字の場合におきましても、その事業単独でもって黒字になっておるかどうか、関連事業をひっくるめて黒字になっておるかどうかという問題点もあろうかと思っておる。この前も、運輸委員会でありましたが、たとえば通運の認可料金の問題につきましても、関連事業も含めて黒字になっておるものは云々というお話がありましたが、そういう考え方——これはちょっと脱線するかもしれませんけれども、そうなれば、極端な話が、パチンコ屋でもうかっておるところは、すぐに赤字になってもこれはいいのかということになる。だから、そういうようなこんがらかった議論でなしに、私はいまの御発言で、さらに一つの疑問を持ったのですけれども、運輸の調整、育成指導は運輸大臣、運輸省がおやりになることであると、こうあなたはおっしゃった。おっしゃったが、それには前提がある。運輸大臣の権限の行使というものがある。これをあなたのほうでストップしてしまった、内閣の責任において。しからば、運輸の調整なり育成指導ということも運輸大臣単独ではできなくなってしまった。内閣全体の責任として運輸行政を見なきゃならぬという、そういう事態になっておりはせぬかと思うのですが、こういう問題になれば、これはあなたは企画庁長官であるから、総理大臣の池田さんに来てもらわなければわからぬかもしれませんけれども、そういう考え方が正しいと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/32
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033・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 平常の場合においては、運輸大臣がその主任とせられるところの権限を行使されるのに、内閣が内閣全体としての考え方をきめる必要はない種類のものでありますから、平常の事態においてこういうことは本来起こらないはずのことだと思います。で、今回の場合には、冒頭に申し上げましたような、憲法、内閣法、行政組織法等の規定から、運輸大臣が権限を行使すられるにあたってかくかくの点に特に御配慮を願いたい、こういうことを閣議で了解をいたし、また、そのような行為を行政活動の中で、何と申しますか、代弁をする国務大臣として、私が選ばれておるものと、こういうことになっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/33
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034・大倉精一
○大倉精一君 まあこれは宮澤さんね、あれやこれやの問答はやめますけれども、当面の運輸行政責任者でもある運輸大臣も、非常に困ったものだというぐあいに言っておられる。そのとおりだと思う。そこで、確かにいまの物価は異常な状態でありまするから、公共料金のストップはやむを得ますまい。やむを得ないだろうと思う。これはもう一番——次善の悪い策かもしれませんけれども、しかたがない。しかたがないから、その上に立っていろいろな行政施策をやる方法があるわけなんだな。公営企業に対しましては、国家は直接めんどうを見るでしょう。私企業に対してはそれはできない。たとえば、さっき申しましたように、ガソリン税を一〇%上げるのではなく、軽油引取税も上げるのではなく、逆にガソリン税のごときは、公共料金が一年間ストップすれば、そのストップしている間だけこれは免除をする。軽油引取税も免除する、そういうことまであわせてやらないというと、これは国民は非常に迷惑するのではありませんか。しかも、いま言ったように、免許事業でありまするから、自由営業のように、パチンコ屋などのように、どうでもいい事業じゃないのですよ。この運営が不正常化すれば、ひいては国民経済に影響があるわけなんです。でありますから、そういうようなこれに並行した施策を内閣の責任においておやりになる、こういうことが必要である、責任があると思いますけれども、お考えをひとつお聞きいたしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/34
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035・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の暮れと今年の一月、二回の時点におきまして、ガソリン税、軽油引取税の引き上げの決定をいたしますに際しまして、ただいま大倉委員の御指摘のことは、当然私も実はとくと考えました。何かの形でこれをバス等に反映させない方法はないかと考えまして、かなり経営におけるガソリン税の負担の問題について検討いたしたことがございます。その結果私の得ました結論は、今回の一〇%の引上げの結果、これが全部企業に転嫁されたといたしまして、コストに占める割合はおそらく二%、こういうことでございました。しかも、事実問題として、これが全部従来企業に転嫁されておるかといえば、必ずしもそうではございませんし、またタクシーなどは、リクイファイド・ペトロリアム——LPガスをだんだん多く使っているということがございまして、まずこの程度は企業努力によって吸収をしてもらうということを期待してもさして非常な無理を強いることではあるまいというような結論になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/35
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036・大倉精一
○大倉精一君 これは、この程度は無理がないだろうとお考えになるところに、少し雲の上に乗っかっておるのじゃないかと私は思うのですね。それでまあ、ガソリン税のこともお考えになったというのですけれども足りなけれで、軽油引取税も考える、あるいは税金の延期納も考える、いろいろなことを最小限やはり考えていかないと、企業は生きものですから、そう机の上で案、数字をいじくっているわけにいかぬですよ。そういういうことを並行してやらなければ、この問題いけないと思うのです。したがって消費者物価政策なんていうものは、公共料金ストップすればいいんだというそんな簡単なものではないと思うのです。行政全般の体系を検討しなければならぬと思うのです。ですから、そういう点について、この際内閣でもってさらに検討されたらいかがですか。先般の衆議院の大蔵委員会におきまして、井手以誠君の質問に対して、農業用のガソリン税については来年度は検討する、考えます、こう田中さんが、おっしゃたけれども、同様に、政府の干渉し得る料金その他をあなたたちが抑制しようとするならば、政府のふところに入ってくるもの、こういうものもやはり並行して考えなければならぬ。しかも、今度の税金値上げは、消費者負担させる、石油の値段を上げるといっておる。そうなってきたらたいへんですよ。どうします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/36
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037・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 二%でかりにありましても、それは現実に転嫁されれば負担になることはなるわけでありますから、あまりいろいろなことは申し上げたくはございませんけれども、もう一つ大局的に見れば、それによって道路の政良が行なわれる。このことは、多少の年月をかければ明らかに運送業者の生産性の向上には役立つ、全く無縁であるというふうには考えられません。そういったようなことも考えまして、この際この点はひとつのみ込んでいただくしがなかろうということを考えたのでございますけれども、しかし、基本論として、大倉委員の言われましたように、政府としてできるだけのことを考えなければならないではないかということは、閣議の了解にもございますので、そういうふうにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/37
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038・大倉精一
○大倉精一君 これはガソリン税の議論をしているわけではないのですよ。誤解されると困ります。必要があれば別個にやりますけれども、たとえて一例を取り上げたまででありまして、ガソリン税の問題やら、軽油引取税の問題やら、あるいは自動車取得税の問題やら、あるいはまた損害賠償保険料等等の問題、政府の干渉し得る問題、政府のふところに入ってくるものもあわせてこの際考慮すべきではないか。その他の問題もあるでしょう。そういう問題もあわせて公共料金ストップと同時に考える、あるいは施策を講じる、こういうことも必要ではないかと思うのですけれども、どうもいまの場合、あなたのほうは公共料金値上げストップをして、一年くらいだいじょうぶだろう、がまんせいと言って、精神訓話だけですね、精神訓話だけ。そういうことでは、私は政治ではないと思うのですが、どうですか。そういう点について、ガソリン税——これは一例ですよ。そういうことを私は言っているのじゃないのです。その他もろもろの問題についてあわせて検討する、そういう考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/38
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039・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、できるだけ衝撃を緩和いたしますために、もろもろのことを考えるべきであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/39
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040・大倉精一
○大倉精一君 それはいつ考えますか。考えて、いつどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/40
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041・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう申し出のあった向きに対しましては、すでにかなり具体的に考えを進めておる部分がございます。したがって、実情について御説明——これは直接所管の官庁に対してまず第一義的にはあるものと思いますけれども、そういうことであれば、それを具体的に検討するに全くやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/41
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042・大倉精一
○大倉精一君 申し出のあるものについてというお話しがありましたけれども、申し出がなければやらぬのですか。そういうものは、大体公共料金ストップというのは、前にも言ったように、非常手段ですから、こういう非常手段をやった場合には、どういう影響がどこに起こるか、こういうことを検討しながらあわせてやっていかなければ、申し出があったらやるということは、私はどうも片手落ちであると思いますね。おそらく、申し出というのは、運賃、料金値上げの申請だろうと思うのですね。運賃、料金値上げの申請というものは、いま言ったように、あなたの方針からいっても、さらにまた物価の事情からいっても、これはストップしなければならぬ。ならぬとするならば、ガソリンをまけてくれ、免除してくれという申し出はないと思いますが、そういう申し出はありますか。なくても、それは一応検討すべき筋合いのものである、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/42
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043・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 申し出と申しましたのは、何も形式的に申したわけではないのでありまして、これらの業者のかなり多くの人たちが、実は分析にたえるような財務諸表を、書類を持っておられないところが実は多いわけであります。苦しいのは事実だと思いますが、それを計数的に内訳けていただかなければ、なかなかわからないのでございます。書類を見ましても。そこで、御相談をいただければということを申しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/43
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044・大倉精一
○大倉精一君 それは、宮澤さん、個々の企業についてあなたは検討するというふうにおっしゃるけれども、そんなものはたいへんですよ、個々の企業と言ったって。そうじゃなくて、ガソリン税を云々するというようなことは、全般について言い得ると思うのですね。ですから、まあ個々の企業は帳薄も何もそろっていないと言うけれども、零細企業に行ってごらんなさい。そういうものを専門的に雇うような能力ないですよ。そういうものを勘案をして政治をやってやるのがやっぱり政治であって、個々の企業が帳面を持ってきて教字を出さぬからほっておくのだ、こういうことでは、私はどうも政治ではないと思うのですね。ですから、運賃、料金値上げの申請の場合には、これは個々の企業からそういう資料を提出してやるでしょう。やるでしょうが、全般的に運賃、料金はストップするのだ、そのかわりにこういう施策をやるのだということは、これは政府の責任において実情を把握しながら施策を講ずるのは当然と思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/44
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045・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、もう一般論としては、私はお説のとおりだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/45
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046・大倉精一
○大倉精一君 まあ、だんだん話が進んできたような進んでいかぬようなかっこうですけれども、運輸大臣どうでしょうか、私は端的にお伺いしますけれども、われわれの運輸委員としての責任があるのですが、こういうかっこうで一年間放置された場合に、一体運輸行政の責任はしょっていけるのですか、われわれとともに、これは大事な問題だと思うのですが、責任云々という問題、やめろと言うのではありませんけれども、これはひとつ決意をしておかなければいかぬと思うのですね。ですから、これは、いま日本経済の非常に成長期にあり、開放経済に向かっており、オリンピックも控えて、運輸行政は非常に大事なときなんですから、そういう時期に一体こういうことでもって運輸行政責任が持ってるのか持てないのか、それが心配ですから、所信をひとつ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/46
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047・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 私どもといたしましては、あなたのおっしゃるように、免許事業なんで、自由企業ではない。免許した以上は、その事業が成り立つように努力するのが当然と考えて、私はその線に沿うて微力であるが努力いたしておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/47
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048・大倉精一
○大倉精一君 答弁になっておると思いましょう、
それで、宮澤長官、だいぶ終わりのほうですから、聞きますけれども、閣議で逃げ道をつくった一いわゆる中小企業等の倒れかかっておるものについては特別の手当てはあると、こうおっしゃっておるが、さっき木村局長がいろいろ運輸関係の事情を言いましたけれども、そういう部面に対してはどういうことをおやりになろうと思っておるのですか。たとえば、ハイヤー、タクシーにしても、あるいはバスにしても、群馬のほうでずいぶんつぶれたバスがあります。バスにしましても、通運にしましても、いなかのほうでほんとうに困っておるのがあるのですから、そういうのは一体どうしようというのですか、ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/48
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049・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 乱に流れますと運輸業界の基本をこわすことになりますけれども、そうでなく、具体的に地方にそういう問題があるということならば、迅速にこれを検討いたしまして、そうして料金引き上げ以外にこの企業の経営を救う方法がないということであれば、これは経済閣僚懇談会に持ち出しまして、例外的に料金の引き上げを認めるということになっております。
大倉精一君 作文の答弁でして、閣議ではそうなっておるのだが、具体的にどうしようかというのですね。たとえば、この前の木村局長の答弁によりますというと、通運の例を引かれましたけれども、駅ごとに調査をしておる、したがって、たとえばある駅が非常に困難をしておる業者があるが、こういう部面には手当てをしよう、こうおっしゃっておる、ところが、たまたま日通がそこにあるといえば、日通は大企業です。これは閣議の決定には入っておりません。ですから、日通は大企業でもうかっているからいいだろう、ほかの企業の運賃を上げたらいいだろう、こういうことになった場合、運賃を上げてもらったほうはつぶれてしまう、日通のほうが安いから、日通のほうにどんどん荷がきてしまいますよ。どうしますか、この場合。どういうことになるのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/49
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050・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それははなはだ困惑するお尋ねでございますが、運輸省が運輸行政をやられる上でそういう場合をいかにさばくかということをおきめいただいて御協議を受けるということしかございませんので、私どものほうで、その間の事情を、こうあるべきだ、あああるべきだと申すことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/50
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051・大倉精一
○大倉精一君 まあ、いろいろお伺いしましたけれども、なるほどと思うことが一つもなかった。要するに、いままでおやりになってきた経済政策が行き詰まったから仕方なしにこういうことをやったのだと、こうおっしゃる。したがって、厳密に言うならば、適正料金という問題を考えて、これは法律違反かもしれませが、そういうことを言うと、裁判所の決定に待つとおっしゃるからして、何ともいたし方がないわけです。私は重ねて要望いたしますけれども、運輸というものは、大きな企業、零細企業、取りまぜてたくさんあります。特に路面交通の面においては、零細企業のほうが九九%もある。もっとあるくらいです。この企業が、これによって非常に困惑をしておる。窮地におちいっておるのでありますから。あなたが先ほど国民全体の経済から見ればどっちが大事であろうと、こうおっしゃれば、九九%の零細企業は消えてなくなる。しかも、消えてなくなっていく企業は免許事業である。国家が免許した事業である。こういう重大な問題です。ですから、いまおっしゃったように、具体的な救済措置等については運輸省でもって検討する。相談しにこい、こうおっしゃるのですが、相談しにこいとおっしゃるけれども、これもやはりあなたのほうも実情把握ということにつとめておかなければならないと思っております。そういうような面で、私はあえて再度申しますけれども、運輸行政というものは、これは運輸大臣一人ではやっていけない事態に立ち至っておる、こう断言せざるを得ないと思うのです。ですから、もちろん窓口は運輸大臣になりますけれども、内閣全体の責任においてこの運輸行政は動かしていかなければならない、こう考えておるのです。宮澤さんはこの公共料金ストップの張本人だと思いますけれども、それだけの責任があるのですよ。責任がありますから、そういう点について特にひとつ総理とも御相談願いたいと思うのですが、いかがでしょう。総理大臣に言って、相談してくれないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/51
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052・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の点はよくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/52
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053・大倉精一
○大倉精一君 わかったと言っても、やってくれるかな。わかっただけではぐあいが悪いですが、どういうぐあいにわかりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/53
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054・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、後刻運輸大臣とも御相談の上、なお御指摘の点は、両大臣、あるいはいずれかで総理大臣に伝えるようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/54
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055・大倉精一
○大倉精一君 最後に、いろいろ申し上げましたけれども、そういうものにこだわらずに一年間ストップに対応する行政措置を考えるというぐあいに受け取っても差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/55
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056・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) それはできるだけそういうふうにつとめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/56
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057・大倉精一
○大倉精一君 できるだけというのは気に食わぬな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/57
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058・岡三郎
○岡三郎君 時間がないので簡単にお尋ねいたしますが、念のために、一年間ストップというのはいつからいつまでなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/58
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059・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和三十九年暦年一ぱいということに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/59
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060・岡三郎
○岡三郎君 九年度一ぱいですか。九年の十二月までですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/60
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061・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 暦年一ぱいでございでます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/61
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062・岡三郎
○岡三郎君 暦年一ぱい。
もう一つは、公共料金という範囲はどこまでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/62
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063・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これは実は当初非常に議論がございまして、各種のものをいろいろに分析をいたしました。その大要を御絡介いたすことはいまでもできるわけでございますが、結局結論として、公共料金というものの定義は下し得ない、厳密に言えば下し得ないということになりまして、したがって、閣議の了解では、いわゆる公共の料金、しかしそれだけでは足りませんので、及び政府の規制し得る料金価格と、こういったようなことで定義を補うということにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/63
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064・岡三郎
○岡三郎君 そうするというと、政府が規制し得る料金というもの全般、全部を含めて一年間ということなんですね。そうすると、それは原則ですか、原則でないのか、全部ですか、どっちです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/64
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065・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう基本方針のもとに、しかし政府の規制し得る料金、価格の中には、たとえば鉱業権の出願手教料といったような、国民生活にまず関係がなかろうというものもございますので、直接国民生活に関係のないものはその一つの例外とする、及び当該企業がなかんずく中小企業であって料金を規制した結果経営が極端に困難になるというふうに見られる場合には例外を認める、その二つの原則を設けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/65
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066・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、先ほどちょっと御説明があったですね。港湾荷役料金はわかったというような話があったのですが、これは一体どういう意味になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/66
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067・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これはきわめて奇妙な位置にあるわけでございます。と申しますのは、昭和三十七年であったと思いますが、昭和三十七年のある時点までに従来の港湾荷役業者は新たに運輸大臣の免許を受けると、こういう法律のたてままえになっておると承知をしております。そして、免許を受けたものについては、今後はその料金あるいはいろいろな条件等々は運輸大臣の規制にかかるということになっておると承知いたしますが、事実上はその締め切りの時点までに荷役業者の相当多くのものがそのような措置に出ませんでした。したがって、荷役業者の半分は現在でもそのような規制を受けておらないわけでございます。これに反して、登録をし免許を新しく受けましたものは規制を受けるということになっておるようであります。しかし、実態は、それらのものが共存をしておって、その間に二本の料金を設けるということは不可能である、これが実態のようでございます。したがって、一部は政府が規制し得ますけれども、一部は政府が規制し得ない、これを奇妙と実は申し上げたわけであります。したがって、現実に起こりますことは、規制し得ない部分の人々は、荷役料金を改定することは法律上自由であるわけで、しかもそれと共存するその他の人々は法律上の規制を受けるということが実情でございます。そういう実態の上に立ちまして、今回荷役料金の改定の問題が起こってきたわけでございますが、業態を見ますと、きわめて零細でありますし、かつこれに雇用されておる人々の生活状況は御承知のとおりでございます。そうして、荷役業者とこれを直接利用いたします需要家との間で各種の差等を設けまして、最低限度の料金改定について了解ができまして、その了解に基づいて運輸大臣に規制を受ける部分の人々から認可を求めてきた、こういう実情でございますから、したがって、これを簡約して申し上げますと、半分は規制を受け、残りの部分の人々は規制を受けない、規制を受ける部分についてはいわゆる零細な中小企業であって、おそらく現在のまま放置しておくと荷役そのものが困難になるであろう、こういう判断を私としてはただいま持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/67
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068・岡三郎
○岡三郎君 そうするというと、端的に言って、港湾荷役料金は、改定するということは、閣議等においてもすでに了解済みで、運輸大臣等についても話し合いは済んで、実施する段階にあるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/68
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069・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私としてはと申し上げました意味は、正式に閣議で決定をいたしておりませんので、さように申し上げました。運輸大臣と私との間では改定を認めてしかるべきではないかということで意見が一致しておるものと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/69
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070・岡三郎
○岡三郎君 港湾荷役料金は、私たちとしても特別にこれは改定すべきものであるというふうに考えておりますが、そうすると、改定するということになればその実情がそういうふうに認められるということになれば、やはり早目にするべきものだと思います。だらだらしているべきものではないと思う。いつごろすべきものであるか。これは運輸大臣、両者で了解しておるのだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/70
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071・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) これは閣議決定の例外規定の最初の適用でございますから、非常に慎重にいたしまして、諸般の手続を進め、なるべく早急に実行いたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/71
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072・岡三郎
○岡三郎君 そんな煮えたか煮えないような答弁ではだめだ。やはりきまったら、でれでれしないで、早くやるならやるということにしないと実情に適せぬということになるだろうと思いますだから、すみやかにやりたいというのは、いつごろですか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/72
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073・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) いつごろといって、何月何日と切られちゃ困るが、なるべく早くやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/73
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074・岡三郎
○岡三郎君 なるべく早くというのは、四月末日までと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/74
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075・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 私のほうの立場だけ申し上げますと、運輸大臣が適当とお考えになりましたら、かりに明日でも、私のほうは異存を申す気持ちはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/75
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076・岡三郎
○岡三郎君 運輸大臣、そうすると、少なくとも四月末日まででよろしいということですね。四月末までにやられると、それでなければ、おかしいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/76
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077・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) たびたび申し上げますが、これは政府といたしましても、企画庁だけではないのですよ。例外規定を設けるのですから、閣議の了解を得なければいけませんし、それからわれわれといたしましては業者ともよく話さなければいかぬし、いろいろありますから、四月中——私も四月中にやりたいと思っておりますが、諸般の手続上なるべく早くと申し上げておるのであって、あえておくらすという意味で申しておるのではないので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/77
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078・岡三郎
○岡三郎君 私はその点がおかしいと思うのですよ。話の内容はわかりますがね。しかし、一番がんこな企画庁があすにでもいいと言われておる、この趣旨にかんがみて、それならば、業者が上げてほしいと言っているのだから、これはすみやかにやられるのが当然であって、いろいろな手続上といっても、ほかに反対するところはないでしょう。どこが反対するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/78
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079・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 反対するかしないか、まだ聞いておらぬのですから、わかりません。企画庁だけは反対しないというのがわかったのですが、閣僚は、十五人もおりますから、各省の了解を得なければなりませんので、どうぞひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/79
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080・岡三郎
○岡三郎君 だいぶゆっくりした足取りで、木炭車ではないけれども、もう少しひとつガソリン車程度でやってもらいたいと思うのだが、まあその点はさておいて宮澤さんにお伺いしたいのですが、大体一年間、それでは今年の十二月三十一日に終わられるということになると、その前からいろいろと、いまからも御検討になっていると思うのですが、その場合において物価の情勢がどういうふうに変化していくかということは、今後の推移を見なければわかりませんが、かりに物価の情勢が企画庁で計算せられておるよりも上回ってきたという状況下においても、明年の一月一日から、その問題は、一応公共料金のストップは終わると、こういうことになるわけですね。つまり、物価がどういうふうになっていくかわかりませんが、公共料金のストップということは、昨年以来の物価の上界にかんがみてこれを何とかセーブしたい、こういう基本的な立場でやられてきておると思っておるのですが、今後の物価の推移に応じてまたこれを延長するのだということはあり得ないと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/80
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081・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ幸いな事情もございまして、消費者物価の足取りがかなりこの数カ月重くなっております。したがって、昭和三十九年度四・二%というのが私どもの目標でございますが、これはいけるのじゃないかという気持ちをいま持っております。その程度になりますと、これは冒頭に申し上げましたように、何でも物価は上がるのだ、上がってもしょうがないのだという一種の雰囲気を消そうという努力でございますから、その程度のことで物価が落ちつきますれば、なるべくならばこういうことは早くやめたいというのが私の本意でございます。非常に悪い場合を想像いたしますと、何かの事情でさらに物価の大幅な高騰が起こったという場合にどうするかということはございますけれども、ただいま普通に考えますと、まず年内をもって足りるのではないか。その後に、明年に入りまして、まあこれを全部一時に花が咲いたようにやるわけにもいかないかと思いますが、不合理のあるところから直していく。その場合には、もちろん、一年間足踏みをしてもらっておりますので、その部分についても何かこれは考えませんといけないということすら起こり得るかと思いますが、そんな心組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/81
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082・岡三郎
○岡三郎君 大体まあ物価の歩みというのはいま言われたとおりだと思うのですが、ただ、米の不足ムードとか、いろいろな問題があって、結局条件というものは今後いろいろと出てくるかもわからない。そういったときに、さらに延長する心配というものがあるかどうかという点をひとつお聞きしたのですけれども、その点がないようですから、そうすると、一斉に花を咲かせるわけにはまいらぬという言葉ですが、しかしこれは非常に重要な言葉でね。そうなるというと、アユの解禁じゃないけれども、いよいよ四十年一月一日から解禁になったら、ある人間は釣りに行かせる、ある人間は釣りに行かせぬ、そういうばかげたことはないので、そういう点はどうなんです。ほんとうに一斉に花を咲かせろというわけにはいかぬといっても、花を咲かされぬところはたいへんだと思うけれども、そういう基準についても御検討になっていると思うのですけれども、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/82
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083・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 極端に一月一日に全部解禁いたしますというつもりではございませんで、その時点から個々のケースについてどの程度の値上げを認めることが必要であるというような作業をいたさなければなりませんから、多少の時間がそこにかかるだろうということを申し上げておるので、今度は恣意的にかりに所期の目的を達しましたら、全く別に恣意的に物事を引っぱっていくという考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/83
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084・岡三郎
○岡三郎君 私は基本的に、物価を押えるために政府が端的にでき得る施策を講ずるということについては賛成なんです。実際にそうならなきゃならぬと思う。ただ、経済が非常に変動して動いている最中に、ある時点でぱたっととめるということによって起こる不合理というものは、非常にあると思うのですが、これはどなたがやられてもそういうことになると思うのです。したがって、そういう面について、アフターケアとか、いろいろな面についての施策を講ぜられておるけれども、実態としては、さらに停止したあとの変動によっては、やはりそれを十分考えていかれるという措置、つまり硬直性ではなくして弾力性を持ってもらいたいということは、悪い意味じゃなくて、いい意味において、やはりそのつどつど再検討して、一応そういう方針を立てられたとしても、十分その後における措置というものをやられておると思うのですが、そういう点で解禁が終わったあとでいろいろ推移を見て措置せられる一時間的なものは当然必要かとも思います。ただ、その中でわれわれが一番思うのは、政治力の弱いものはまた据え置かれていくという心配も私たちは持っているわけです。そういうふうな点で、いろいろな面における一つの配慮というものを現実に現在からひとつ検討せられて、われわれが今後ともこの問題についてはお尋ねしたいという問題があるわけであります。国鉄総裁は運賃値上げの問題についてもいろいろと言われておるが、国鉄企業全体についても運賃値上げというものは非常に大きな問題なんですから、これはわれわれとしてはそう軽々にやられては困る。では国鉄に対して一体、どういうふうに国として措置するのか。つまり、現実にいままでは公共企業体として独立採算制でやれやれと言われておるけれども、いろいろな面から見て、国有鉄道ということになるならば、やはり相当政府がこれに対して必要経費を分けて、他に現在あがっているところの、利潤とはいえないとしても、そういう面をほかに回す余裕を与えてやるとか、まあいろいろな方法があると思うのですね。そういう面で、予算全体として、ぼつぼつ夏ごろから明年度にかかるわけですから、そういう予算全体の面から考えて、やはりある程度是正すべきものは料金値上げをしなくてもやっていけるような措置が私は好ましいとも考えられるわけです、私企業は別ですが。そういうふうな点で、十分ひとつ御検討をやっていただいて、あとでまたいろいろとお答え願いたいと思うのです。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/84
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085・大倉精一
○大倉精一君 たびたび委員長に要求して申しわけありませんが、きょうの企画庁長官とのいろいろ質疑応答で、私はどうも納得できぬです。どうもわからない。これは非常に重大な問題であるから——先ほども、内閣総理大臣とも相談をしてくれ、こういうことを申し上げておきましたが、総理を一ぺんひとつ御足労願って、そうして公共料金のストップと物価の問題、特に運輸関係の問題について総理の所信をただしてみたいと思うのですが、総理をひとつ御出席願うように委員長から特段のお計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/85
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086・米田正文
○委員長(米田正文君) いまの御要求については、次の理事会において御相談をした上、御返事を申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/86
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087・大倉精一
○大倉精一君 それで、まあそういう御苦労をひとつお願いするわけなんですけれども、労働大臣をお願いしてもなかなか来てもらえぬものだから、労働大臣よりも総理大臣がえらいかもしれませんが、一ぺんくらいは運輸委員会にも来てもらって差しつかえないと思うので、別にむずかしい問題をお尋ねするわけじゃありませんから、この問題について総理にちょっとお尋ねしていきたい、こう私は思うのですから、ぜひこの実現に御努力願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/87
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088・米田正文
○委員長(米田正文君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/88
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089・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/89
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090・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 運輸大臣に、運輸行政の基本の問題について、時間がありませんから、一つだけお伺いしたいと思うのです。いま岡先輩あるいは大倉先輩からもお話がございましたように、国鉄の料金改正の問題等々が最近新聞面に石田国鉄総裁談などということで出てまいりました。前の委員会でも、私はこの点について本委員会で質問をいたしたことがございます。その当時は、運輸大臣は、運賃の改定については、つまり公共料金の一年間ストップ、こういう物価抑制政策とあわせて政府の方針が出ておるから、そういうことはまかりならぬ、やらない、こういう答弁がございました。
そこで私は、そのことを聞こうとするのではなくして、運輸交通全般にわたる行政の基本の問題がたびたびこの委員会で問題になりますそのつど、運輸大臣は、何か交通基本問題調査会等々でそうした問題は検討してまいりたい、こういうまあ答弁をなされたことがあると私記憶しております。で、それがこれまた先般新聞にも掲載されまして、それらしきメンバーも新聞面では出ておりましたのも私ども承知をしておるのですが、そうした問題を扱う場合に、どこでそういうことになっているのか、ひとつこれを聞かしていただきたいというふうに思うのです。新聞では、閣議の席上綾部運輸大臣がそういうお話をした、こういうことになっておりますので、このいきさつをひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/90
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091・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 交通基本問題調査会というのは、すでに現存して、去月その答申も出たようでございます。その答申をいま検討しておるのが現段階でございます。
吉田先生のおっしゃる、今度交通問題について懇談会あるいは話し合いをする場所を持とうということは、本年度の、すなわち三十九年度の予算を決定いたしまする、三十八年の十二月二十九日だったと思いますが、その閣議の席上で——本年度の国鉄予算というものは国鉄の当局者から言わしむれば非常に不満である、がしかし、国家財政のその他の現時点における段階においてやむを得ぬということを、国鉄の総裁以下了承してくれたのでありますが、そこで私は、閣議の席上で、運輸省、特に国鉄の予算については、非常に現国鉄幹部においては、不満があるが、財政の現状やむを得ないと認めて了承したが、来年度すなわち四十年度の予算編成にあたっては、ひとつ基本的に国鉄の問題について、国鉄のあり方、予算、その他一般国鉄の問題について権威ある意見をまとめて、それを実行に移すように、予算に移すようにしてもらいたいという要望を私が閣議の席上でいたしまして、内閣の記録にとどめて今日に至っておるのであります。その趣旨に基づきまして、ただいま内閣の官房長官の手元で、そのどういう懇談会をやるか、調査会をやるか等につきまして、いま検討しておるというのが実情でございまして、その調査会にかあるいは懇談会におきまして、国鉄を根本的にひとつ、基本的にこの調査をして、結論を出して、それを予算化するように努力しようという趣旨で、いませっかく組織を検討中のようでございます。日ならず、閣議で、そのなにがきまると思います。それがいままでの経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/91
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092・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 いま大臣の答弁を聞いておりますと、その持たれる組織の形態は、調査会であろうと、あるいは懇談会であろうと、話す場であろうと、これは大した私は問題はないと思いますが、ただ、その扱う問題が、大臣のお話では、全部国鉄の基本の問題を、この調査会なりあるいは懇談会でございますか——で扱う、こういうことの模様ですね。これは間違いないですね。——で私は、間違いないという大臣の——うなずくようですから、申し上げませんが、少なくとも毎度問題になりますものは、運輸交通政策全般にわたって、つまり鉄道、航空、それから海運、あるいは路面交通——いわゆる陸運、こういう関係についても、全面的に政府はきちんとした政策を持たなきゃならぬのじゃないか、こういうことを毎度毎度私たちは申し上げてきたところなんです。せっかくそういうものを、いま大臣のお説のように、基本問題として扱っていくということであるならば、なぜいま申し上げた、鉄道を除く陸運関係、あるいは海運関係、あるいは航空関係等々を含めてやるようにしないのかという、その点についてまず一つ。
それから、あまりそうおそい時期じゃない段階で閣議できまるであろう、こういうことなんですけれども、その点については、行政的な措置としてやられるのか、つまり行政組織としてそういうものをつくり上げていくということなのか、この点をまずお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/92
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093・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) いわゆる行政組織による調査会等は法律を必要といたしますので、一方国鉄の明年度の予算につきましては速急を要しますので、法律的ないわゆる委員会をつくるというようなことは、事実上困難でございますので、それはやめまして、この法律によらざる、内閣でなし得る懇談会といいますか、調査会でそれをやろうと考えているわけでございます。
それから第一点の、交通問題全般についてという、それを何ゆえこの調査会または懇談会にかけなかったかと申しますと、さっき申しましたように、交通基本問題調査会というのがございまして、その答申を得ておりますので、その答申に諸般のいろんな問題が出ておりますから、それを検討して、必要があればやりたいと思いますが、今度やる懇談会には、そういうことについては——この懇談会か調査会をやる経緯にかんがみまして、国鉄を中心にして、しかもそれを速急に予算化するに必要な時限に間に合うようにいたすというためで、あなたのその全体についてのなには、この懇談会では討議いたしませんが、しかし、国鉄の問題を調査するときにあたりまして、自動車の問題をどうするかとか、あるいは鉄道とか、このごろの航空の発達の問題についてどうするかという議論は出るかもわかりませんが、それを中心にするのではなくて、ただいま申しましたように、四十年度の予算篇成にあたりまして、この国鉄に関する問題を基本的に考えまして、予算化するということに全力をあげたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/93
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094・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 そうしますと、大臣、こういう理解でよろしいですか。そのできる懇談会であるのか——まあ懇談会ということでしょう、あるいは調査会という名かもしれませんがね、あなたの答弁では。——そのできたものは、あなたの諮問的なものになるのか、調査的なものになるのかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/94
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095・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) これは内閣の官房できめたので、私の諮問機関ではありません。それによって結論できたものを、運輸大臣としてもその結論に従って善処するということでございまして、運輸大臣の諮問機関として運輸省に置くのではないのです。内閣に置くのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/95
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096・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 設置する場所は内閣であろうと、運輸省であろうと。それは私はいまの段階ではとやこう申そうとは思っていない。ただ、あなたは内閣に設置されるものだと——それじゃあ、そのメンバーが集まっていろんな調査活動をすると思うのですが、具体的に。その結果出される答えですけれども、当然いま大臣が言ったように、国鉄の本来のあり方、とりわけ昭和四十年の予算の問題をいろいろそこでやるということですから、あなたにそれは当然関係の出てくる調査会なりあるいは懇談会ということになると思うのです、現実問題として。ですから、その場合は、大臣は、どうもよそのほうの、内閣のほうに設置するのだから、出たものは尊重するんだと、こういうことだけではぼくは済まされない問題だと思うのですよ。たとえば基本の問題として、いろいろ構内改良の問題であるとか、あるいは輸送力増強の問題であるとか等々、国鉄には事故の問題等も含めて問題が山積しているわけですから、そういう問題は、やはりその新たにできる、つまり一種の機関、組織です、それにあなたは諮問をするようなぼくは立場になると思うのですよ。あるいは調査をしていただくというような立場になるのじゃないか、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/96
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097・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) そういうふうになるかもわかりませんが、初めの目的は、各、国鉄に関係が直接、間接あるような人々によってやられるので、もちろん私どもとしてもそれに非常な関心を持って、その成果を期待し、ことによったら出て意見も言いたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/97
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098・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 大体大臣のいまの答弁で、私はその性格がわかりました。
そこで、大臣に一つ申し上げますが、あなたも御承知のように、諮問的であろうと、調査的であろうと、そういう問題を目的として一つの機関、組織をつくるということは、今日の国家行政組織法との関係から見て一体どうなるかというのですよ。私は法律によらなければならないと思います。これは第三条に、その点はどういうものをつくるかということをきちんと示されています。しかも、いま申し上げた、調査的であろうと、諮問的であろうと、第八条で規制をしているんです。国家行政組織法の第八条の一項には、「第三条の各行政機関には、前条の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、」とこう書かれて、「審議会又は協議会(諮問的又は調査的なもの等第三条に規定する委員会以外のものを云う。)及び試験所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を置くことができる。」、この場合は法律がなければならぬ、こうなっているんですよ。そうしますと、あなたは、この国家行政組織法の第八条によらないで、内閣のやられる範囲内と、こうおっしゃいましたけれども、内閣には、組織を一つつくっていく場合に、この法律によらずしてやられる範囲というものはありますか。明らかに私は、いま運輸省で計画をしておるのか、あるいは内閣で計画をしておるのか知りませんが、そういう計画そのものが悪いとは私は言っていない。そういう動きというものは、明らかに私は国会軽視の疑いが十分ある、法律違反の疑いが十分ある、こう思いましたものですから、基本の問題ですから、運輸大臣に答弁を私は求めている。これはそういうことがなければけっこうですけれども、私ども聞くところによりますると、そうした問題があるだけに、内閣でそういう動きをしておるのか、あるいは運輸省がそういう動きをしておるのか知らぬが、内閣委員会の某理事等をいま説得をしておる、こういうことを私は仄聞しておりますけれども、この事実があるかどうか。もし事実がないとすればたいへんけっこうなことですが、おそらくないと言うのでしょう——あったにしても、おそらくないと、こういう答弁をすると思うのだが、それなどは明らかにこの第八条にもとる行為であるし、しかも国鉄の基本的な問題とあわせて四十年度の予算の問題まで含めてやるとすれば、明らかに運輸委員会を軽視するということに私はなると思うのです。
国鉄だけじゃないですよ、問題は。各省庁それぞれ問題があると思うのです、昭和四十年度の予算をからめて中身を審議をしたり検討するということになりますれば。ですから、予算の編成権というものが憲法にきちんと書かれておって、審議権は、国会で審議をする、こういうことにそれぞれ憲法に書かれているでしょう。そのために、大蔵省が主管となって、大体八月ぐらいには各省庁がそれぞれの予算要求をして、内閣が責任を負ってその年の十二月までに予算を編成して、翌年の一月に国会に提出する、こういうことが日本の国会始まって以来ずっと行なわれてきたものだと思うのですね。ところが、いまそういうあなたのお答えになったような動きが私どもあるやに聞いております。また、事実そういうことだと思うのです。だとすれば、一体審議権と、それからもう一つは提出権のことは別といたしましても、この国家行政組織法の第八条と一体どういうことになるのか。明らかに私はこの法律に違反する行為であるし、国会軽視、つまり具体的にはこの委員会を無視をしてこういう行為になる、ごまかしの、つまり官僚の得意とするやり方だと私は断ぜざるを得ないような気がするのですね。この点大臣はっきり答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/98
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099・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、内閣が自分の政務を行なう上においていろいろ調査をすることは自由でございます。その趣旨で国鉄の問題についてひとつ考えてもらいたいということを私は要求しておるのでございまして、ゆえに、その国家行政組織法による、法律による委員会でないということも申し上げたとおりで、数人の人間が内閣の施策の上でいろいろ討議するということについては、私はちっともかまわぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/99
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100・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 内閣が調査することは自由だ、こう言いますけれども、その法律の範囲内で調査をすることは自由なんですよ、大臣。しかし、法律をゆがめたり法律の解釈を拡大解釈をしてそうしたものをやるということについて、明らかにこの法律で禁止されているのですよ。ですから、さっき宮澤長官も、内閣といえども、政府といえども、法律違反することはできませんと、先ほど、この問題とは別な問題であったけれども、答弁しているゆえんのものは、この国家行政組織法の第八条にそういうものが規制されているから長官もああいう答弁になったものと私は理解しているのですよ。ですから、あなたのいまのお答えは、何でも内閣というものは自由に調査できるなどというものではないのですよ。しかも、調査するというものは、行政機関としていま現在組織されている中のものであればこれはいざ知らず、新たなものをつくるのですから、新たなものを組織化するのですよ。ですから、そういうものについては、ここの中にきめられた範囲のものよりいけない。その場合は、どうしても必要があってやる場合には、ここにちゃんと「法律の定めるところにより、」ということであるのですからその法律がいまないでしょう、どうですか、大臣。そういう懇談会をつくるという法律がないわけでしょう。ないですから、ないところにあなたがつくってやるということなんですから、この法律に基づかない。やることがいけないと私は言っているのじゃないんです。やるのはいい。だけれども、なぜ法律化して本委員会あるいは内閣委員会にかけないか、こういう問題があるではないか、そういうことを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/100
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101・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) そういう御疑念もあるだろうと思いますが、私がいま申し上げたのは、早急に、国鉄についてのいろいろな問題がありますので、これを運輸行政を行なう上におきまして、いろいろ衆知を集めるということは、私は悪いことじゃないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/101
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102・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 そういう調査をしたりあるいは基本問題を討議していくことについて私は悪いと言ってない。よいとか悪いとかという議論じゃないのです、いま言っているのは。そういうものを設置する場合に、組織化をしていく場合に、法律によらなければならないという一つの基本法がありますから、その法律に私は照らし合わせて、その法律にないのじゃないか、ないことをやろうとしているのじゃないか。だから、やるなら、いいことなんですからどんどんやってけっこうだけれども、そういう行なわんとするよりどころになる法律をとにかく出す必要があるではないか、出さずしてやるということは明らかにごまかしだ、こう言っているのですよ。ですから、このことについて行政管理庁長官が賛成しているのですか、あなたと話し合って了解点に達しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/102
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103・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 新聞紙上にそういうことがありましたが、そんなことについて行管長官と話したことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/103
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104・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 新聞にはそう書いてあったけれども、話したことがないとすれば、さらに私は問題だと思いますよ。私は新聞記事をどうこうここで言おうと思いませんが、あなたのお答えのように、新聞記事にはそうなっている。山村行政管理庁長官はそう簡単に運輸大臣のこの懇談会なるものに対して賛成はしていないというふうに書かれております。だから、その記事は、いまあなたはここでは話したことはないとこう言っておりますから、新聞記事でどうこう私はものを言いませんけれども、少なくとも、そういう一つの調査機関なりあるいは検討機関なり等々の組織をつくるとすれば、この法律に必ずひっかかるわけですから、行政管理庁長官が、やはりそこで非常に重要な機関でもあるし、また位置におられる人ですから、あなたはいま話したことはないと言うけれども、十分それは話し合う必要があろうと思うのです、こういう点については。
それからもう一つは、これがためにどこのだれかよく存じ上げませんけれども、私の聞くところによると、内閣委員会の某なる人に……。この問題については、こういう問題が現実的にあるわけです。だれが解釈したって、法律というものはそう変わるものでない。この法律がある限りにおいては、こういう意見——意見ではなくて、理論というものは生まれる。だから、その者に何か働きかけているというふうに聞いているのです、ぼくは。働きかけるのも大いにけっこうですけれども、こういう事柄が法律をゆがめたり、あるいは国会を軽視する。この委員会に少なくともこれは鉄道の問題をあなたがやるのだという答弁した限りにおいては、運輸委員会の仕事ですから、本委員会をいささか無視をしていやせぬか、軽視しているのじゃないか、こういうことをぼくは疑問に思ったものですから聞いているわけです。どうですか、行管長官と話し合う気持になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/104
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105・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 組織をこしらえるとかこしらえぬとかということは内閣官房でやることでございます。私は、あなたが、そういう問題に鉄道のなにが出た場合には関心を持つかと言うので持つと言うだけでございまして、組織の問題について私にいまあなたのような質問をされても、これは内閣官房でやっているのでございますから、運輸行政に関する限りにおいて、私はお答えしているのであって、組織そのものについては内閣官房でやるので、内閣に聞くべきことで、あなたのおっしゃるような御議論があると思います。しかし、私がここで答えているのは、どういう経緯でできたかと言うから、これはこれこれこういう経緯で、ひとつ根本的に国鉄は意見を聞く必要があるというふうに考えてやったのだということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/105
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106・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 どうも大臣の答弁というのは、わかったようなわからぬような、大臣そのものはわかっているのかもしれぬけれども、私には、聞いている人にはちっともわからぬ最初から筋道立ててあなたに聞いているのは、こういうものを発足させるにあたって、閣議でそういうことを話し合ったことがあるのかと言ったら、あなたは閣議でそういうことをはかったということを言っている。しかも、組織をつくっていくというのは、所管事項が内閣であるとか、あるいは運輸省であるとか、いろいろあると思うけれども、しかしあなたは大臣なんですから、池田内閣の閣僚の一人でしょう。ですから、私はあえてあなたに言っているのです。大事なことですから。運輸行政なんです、やられる内容は。組織はこれはどこかでつくるかもしれぬ。中身は運輸行政なんですよ。だからこそあなたは閣議でそういう発言をして、たまたま山村行政管理庁長官と話し合った内容が出ておったけれども、それを一回も会っていないと、こう言いますから、そういう議論はしません。しませんけれども、あなたは閣議で話したことは間違いないのです。この委員会で何回となくあなたは、そういう問題になりますると、基本問題調査会等々の答申を見て善処するというような、いわゆるありきたりの国会答弁をしてきたんです、今日まで。それをさらに今度推し進めようということは、きょうわれわれの手元にこの調査会の答申が配られましたけれども、これによってあなたは推し進めようとしておるのだろうと思う。そこで、それをやるなとぼくは言っておらない、やることが悪いと言っておらない、よいことだと思うのです。よいことならどんどんやればいいことであって、そこで、やることには賛成だけれども、一つには鉄道だけではないんじゃないか、基本的な問題というものは、海運問題にしても、たくさん問題が山積しているわけだし、陸運関係だってそうだし、航空関係だってそうです。だから、そういう点を私は主張しましたけれども、それはそれぞれの見解の相違でありまして、あなたは、今度つくられるものについては、そういうものはやらないのだ、鉄道のことだけやるのだ、こういうことですから、その点では私はどうこう言おうと思いません。基本の政策の問題ですから、これから大臣もいろいろやるわけですから、あえていま言いませんが、あなたのそうした閣議で、たとえば国鉄の問題をやるにしても、運輸の所管事項でしょう、中身は。そこでどこでつくろうと、できた機関なり組織に諮問したり、あるいは調査をするように、あなたは中に入って話し合う、ある意味においては依頼するかもわからない、そういう事柄だけに、私は、組織上の問題とすれば、行管長官との関係が非常に密接不可分の問題であるだけに、これは私はかってに言っているのではなくて、国家行政組織法の第八条にそういうように書かれておるから、老婆心だけれども、あなただって十分意見を統一しなければならないんじゃないかという意味で聞いている、これは。
それからもう一つ、いま言ったように法律的に非常に問題がある。ですから、へたをすると国会軽視にもなりかねないし、本委員会を軽視するということにもなりかねないから、そういう問題の扱いは、十分慎重にして間違いのないようにしていただきたいという気持を私は申し上げているわけです。新聞に書いた記事はうそだというならば、これは何をかいわんやだけれども、メンバーまで発表して、十一月ごろまでに答えを出す結論を出す、こう新聞に出ておったものですから、私は基本の問題だから聞いているわけです。その点大臣ひとつ誤解のないようにしてほしい。最後に私は二つの方向をある意味においては要望したわけですから、ぜひそういう方向でこれからこの問題を扱っていただきたい、こう思うのです、それから、これはあなたの答弁になるかどうかは別として、こういう問題が方々にあるから、おそらく事前に官僚の諸君が手回しをしているのだと思いますけれども、そういうこと自体が、国会というものを愚弄する、軽視する、そうしてごまかそうとする行動なので、もしないとすればけっこうですけれども、あるとすれば、あなた直ちにやめさせなさい、あなたの運輸省の関係において。よそがやることはかってです。あなたの所管事項ではないのですから、勝手ですけれども、しかしあなたの所管事項である運輸省関係でもしそういうことがありとするならば、直ちにあなたやめさせなさい。それは明らかに運輸委員会を軽視する、そういう行為になります。そういうことは、われわれ理事だって、何もそういうことを聞いていないのですから、委員長だって聞いていない。そういう行為というのは、これはもう国民全般から見ても許される行為ではありませんから、もしありとすれば一なければけっこうですが、ありとするならば、直ちにやめさせなさい、あなたに強く要望しておきます。どうですか、いま言うたこの要望に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/106
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107・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 御趣旨尊重いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/107
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108・米田正文
○委員長(米田正文君) 再び海上衝突予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。引き続き質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/108
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109・相澤重明
○相澤重明君 この度の改正の中で、第十五条ですかの、霧の中等における信号、いわゆる霧中等における信号の八号、「二十トン末満の船舶は、前各号の信号を行なうことを要しない。但し、これらの信号を行なわない場合は、一分間をこえない間隔で他の有効な音響による信号を行なわなければならない。」と、こうなっていますね。それで、これは先ほどの海上衝突という事故が、海洋における場合と港内における場合、そういうものがどういうふうになっているかという点について不明確であったわけですが、特にこの港の中においては、小さい船、機帆船、こういうものも非常に多いわけであります。そういうところで、大型船舶の航行がやはり相当問題になる場合があるわけです。そういう中において、なぜこの二十トン末満ということに規制をしたのか、こういう内容についてはっきりしないので、いま一度御説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/109
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110・高林康一
○説明員(高林康一君) ただいまの御質問は、十五条の九号、現行法の八号であるかと思います。改正法におきましては、これは九号になるわけでございますけれども、信号につきましては、やり方といたしましては、一回吹鳴し、そして長短音というふうにやっておったわけでございます。やはりこれは非常にまぎらわしいというような関係がございまして、特にその小さい船については、簡単な吹鳴をやるというようなことに改正になった次第でございます。
〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕
なお、先ほど私御説明を申し上げました中で、港湾内の海難の発生の比率でございますけれども、これ、統計がございまして、港湾内におきましては三三%でございます。この点、私間違っておりましたので、おわび申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/110
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111・相澤重明
○相澤重明君 要は、海上衝突を予防するというが目的なんです。しかも今回のこの改正の案は、漁労中であるとか、あるいはまた特殊作業中であるとかいうようなものについてまで、こまかくこういう予防をするようにということで特に出されておるわけですね。そういう中で、視界制限時におけるレーダーの使用の航法もきめるということまで進んでおるのですから、あらゆる面で衝突を予防するようにやはりしていくのが本来の私は趣旨だと思う。そうすると、二十トン以上についてはこれこれの設備を、これこれの条件を必要とするというのに対して、二十トン以下の場合はなぜそういうふうに設けなければならぬのか、実情把握というものが不十分ではないか。むしろ二十トンという規制が、二十トンがどういうふうに一つの基準になるのか、五十トンがいいのか、百トンがいいのか、これはいずれまた内航船舶の問題、あるいは小型船舶等の問題についても出てまいりますが、私は今回の場合はとにかく海上における衝突を予防するということが主眼なんですから、そのためのやはりあらゆる措置を講じておくというのについては、その基準のとり方が、二十トンときめたのはどこに問題の本質があるのかということをいま少し御説明いただかないと、港内におけるところのたくさんの機帆船をはじめとして、そういう二十トン以下の船舶に対しての私は安全性という問題に少し問題が残りはしないか、こういう点を考えるわけです。ですから、その二十トンというものをきめた、基準をきめた一体趣旨というものはどこにあるのか、これをひとつ御説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/111
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112・高林康一
○説明員(高林康一君) 二十トン——この改正案におきましては、今度は長さではかりまして、十二、一九メーターということで、長さでやっていくわけであります。大体この国際衝突予防法におきましては、従来の分け方といたしまして、二十トン、四十トン、あるいは五百トン、六千トンと、それぞれ船の大きさによりましていろいろの規定の変化がございます。この点につきましての二十トンの分け方につきましては、一九四八年国際規則以来ずっとこのような例を踏襲しておるわけでございます。なぜこのように二十トン、あるいは改正法におきましては十二、一九メーターというような一つの何といいますか、境い目をとったかと申しますと、たとえば十五条にございますように「十二、一九メートル以上の動力船は、蒸気又はこれに代るものによって音響を発し、その音響が他の物によって妨げられないように装置された有効な汽笛、機械的な方法によって音響を発する有効なフォグ・ホーン」というようないろんな装置を持たなければならぬと、こういうように規定しておるわけであります。ただ、二十トン以下になりますと、この場合におきまして、そのような装置というものは必ずしも持っていないような場合がむしろ多いような状況でございますので、そういうような実際の実態によりまして、国際規則におきましては、このように二十トンあるいは十二、一九メーターというような一つの区別といいますか、違いを置いたものというふうに解されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/112
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113・相澤重明
○相澤重明君 ですから、そこがどうも、私の質問をしておる中心なんでありますが、「長さ十二・一九メートル未満の船舶は、」と、こうなっていますね。それがいわゆる二十トン以下ということがいわれておるのでありますが、私はむしろ、なるほど海洋においては、外海に対してはこういう問題は起きないと思うのです。あまり起きないと思う。堀江青年の密航の問題のようなことは、それはあるかもしれぬけれども、私は、主としてこういう問題が起きるのは、いわゆる沿海あるいは港湾の中だと、こう思うのです。しかも、最近は、あまりに、たくさんのそういうこまかい船が港内にあるので、大型船舶の航行に非常に支障を来たしておる。こういうことが実は港内における事故のもとであるというふうに言えるわけです。そうすると、事故をなくするということが目的であるのに、長さ十二・一九メートル以下、二十トン未満ならそういう設備もしなくてもいいということに、かく私はなってはいないのじゃないか。こういうところを、国際条約あるいは国際的な規則というもので、各国がそういうふうだからということだけでは、私は本来の衝突を予防するという精神から離れていくんではないか、こういうふうに考えて、特に港湾の中における現状把握というものが不十分ではないか、こう私は思うわけです。そういう点について、基準やなぜ二十トンにしたのか、あるいは十二・一九メートルにしたのか。これは場合によれば、先ほどの御説明のように五百トンでもいいだろうし、あるいは百トンでもいいかもしれない——そういう基準になってくれば。ところが、衝突を予防するためには、あらゆる装置をしなければならぬ、設備をしなければならぬ、予防していかなければならぬ、こういうところで、私はこの今回の改正の中における一つのこれは問題点ではないかと私は思うんです。しかし、今後の事故がそのためにどのように減っていくか、あるいはふえていくかによって、また改正の問題点も出てくると思うんですが、私はいまからこの点は指摘をしておきたいと思うのであります。そういう点については、省内で議論はなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/113
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114・高林康一
○説明員(高林康一君) この現在の区別の基準につきましては、国際規則で全部きめておりまして、各国全部これを統一的に施行するということの観点が一番重要でございます。そこで、そういう点につきましては、やっぱり各国統一いたしました標準のもとでこれをやっていくというために、この点につきまして特に私どもといたしましては議論はしなかったわけでございますが、ただ、先生ただいま御指摘のございましたように、港湾内におきましては、きわめて海難の発生率が、先ほどちょっと申し上げましたように、全体の三割というものが港湾内の発生でございます。そういうような点につきましては、この衝突予防法におけるところのいろんな規則を守りますと同時に、これは先年の国会におきまして御審議いただきました港則法の改正ということによりまして、港湾内につきましてはまたいろいろな規制を——こういうような一般的な海上衝突予防法のほかに、港湾内の規制をいろいろと昨年強化してまいったわけでございます。こういうようないろいろな方法を通じまして今後海難の発生というものを極力減少せしめるというような考え方については、私ども常に検討を重ねており、また今後ともさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/114
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115・相澤重明
○相澤重明君 次に、私は今回のこの改正の中でやはり一つのよい点だと思うのですが、しかしそれがはたしてどういうふうに行なわれるかという問題で、一定の引き船及び引かれ船は昼間形象物を掲げるものとするということがありますね。これは、先日も私どもが横浜港を視察したわけであります。その中に、港内における航法の問題が当然出てまいりますね。この場合に、いまの改正の考え方については、たとえばなわが距離は長過ぎてはいけないとか、あるいはそれが見えるように形象物をつけるとか、私は非常に進んでおると思う。しかし、本来船の通る道というものは、相手側にとって、つまり右側であるのか左側であるのか、こういうことについて港内におけるところの航法によってずいぶん事故のやはり問題が出てくる。それからいま一つは、船をたくさん係船しますね、そうすると、接岸をしておる船からさらに横に六隻も七隻も幅を係船をすると、こういうような場合には港がそれだけ狭くなりますね。航法でおのずから規制をされておる航路というものが狭くなっていく、こういうこともありますね。こういうようなものをどういうふうに規制をしておるのか、こういう点についても、私は、船舶の航路のいわゆる方式、それからいま言った港の中における係船に対する航路上の問題、こういうことについて、いまの第二の一定の引き船等についての問題たいへん進んでおるが、そういうきちっとしたものについてはどういうふうに規制をされるのか、あるいはまたそれをもし犯したならばどうするのか、こういう点についてお尋ねをして、私の質問はきょうのところはこれで終わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/115
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116・高林康一
○説明員(高林康一君) ただいまの御指摘のような点につきましては、主として港則法でこれをいろい規制を行なっておるわけでございます。たとえば、ただいまの御指摘になりましたような点につきましては、たとえば港則法の十四条におきまして、航路に入る場合、あるいは航路から出ようとする場合には、他船の進行を避けなければならない。また、航路内において並列して航行してはならないというようなこと。それから、入港船と出港船とが入口付近でぶつかるときには入港船が待避するというような規定を置いておるわけであります。このようなことにつきましては、それぞれ港則法の規定によりまして、できるだけ港内の秩序あるいは整とんと申しましょうか、そういうようなことをはかってまいるというように、また現実にそういうような面で指導しておる次第でございます。
〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/116
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117・岡三郎
○岡三郎君 最近まあ陸海空全体的に事故が多いですがね、特に海上における衝突事故というものも最近において件数が多いわけですが、この事故についていろいろとここに件数がありますがね。この事故の原因を一応調査したものを一覧表にしたものはございませんか。事故の原因をずっと列記して、その発生した事故の原因ですね、それについて最近二、三カ年間における統計的なものを説明してもらいたい。あれば資料としてここに出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/117
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118・高林康一
○説明員(高林康一君) ございます。海上保安統計におきましては、原因別な、事故原因のそれぞれの区分をやっております。質料はすぐまた作成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/118
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119・岡三郎
○岡三郎君 その資料を出してあるかな。われわれに配ってあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/119
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120・高林康一
○説明員(高林康一君) 実は、本日の小委員会資料として、予定されておりましたところには、一応配付する予定でおりましたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/120
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121・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、この正規な運輸委員会に出せないというわけじゃないから、これを至急にひとついま出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/121
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122・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/122
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123・米田正文
○委員長(米田正文君) 速記をつけて。
暫時休憩をいたします。
午後二時十一分休憩
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午後三時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/123
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124・米田正文
○委員長(米田正文君) 休憩前に引き続き委員会を開会いたします。
海上衝突予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。休憩前に引き続き質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/124
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125・岡三郎
○岡三郎君 いま提出された資料について、ひとつ詳細な説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/125
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126・高林康一
○説明員(高林康一君) お手元の資料の二十七ページには、海難事故統計の、これは地域別に、各海運局ごとに、海難の状況を、三十二年から三十七年までのものにつきまして、それぞれ年ごとに件数を表示したものでございます。大体の傾向といたしましては、全体といたしましてやや減少している傾向を示しておるかと思います。
二十八ページの上欄は、海難の種別の発生状況、これを要救助海難につきまして、二十八年以降三十七年までの十カ年間につきまして、これらのそれそれの海難の種別発生状況につきまして表示しておるものでございまけれども、その中で、やはりこの平均の欄をごらんいただきましても明らかなように、種別といたしましては、三番目の機関故障、こういうものが平均的には一番多いわけでございます。それに次ぎまして、二番目にありますような乗り上げ、それから最初にあります衝突、こういうようなものが、海難の種別といたしまして、非常に大きいパーセンテージを占めておるわけでございます。
それから、同じ二十八ページの下の欄にございますところの原因別発生状況でございます。この点につきまして、先ほど御質問があったわけでございますけれども、この表も、二十八年から三十七年までの——二十九年からこれをとっておりますけれども、これらについての原因別にこれを出しておるものでございます。その中で、海難の原因といたしまして一番大きいものは、最初の欄にあります。運航の誤りによりますところのものがございます。これは、パーセンテージといたしましては、三九%を占めております。その次に大きいものが、次の欄にありますところの機関取り扱いでございまして、パーセンテージとしては一九%を占めております。この運航の誤り、機関取り扱いの誤りの両方を合わせまして、これが五八%程度を占めておりまして、こういうようなものが一番海難原因といたしまして大きい原因になっておりまして、これらの点についていろいろ問題が多いわけでございます。以上が、大体の原因別の発生状況でございます。
次に、二十九ページの左のほうの上欄には、何海里以内にどういうような海難が発生したかということを示してございます。先ほど相澤先生の御質問のありました点でございます。これにつきましては、やはり港内というものが大体三三%を占めております。それから三海里未満のものが、やはり同じようなパーセンテージを占めております。したがいまして、港内及び三海里未満のものが、いわば海難の発生地域といたしましては大部分を占めておるということでございます。
それから同じ二十九ページの右上の欄につきましては、けさほどの資料の根拠になっておるところのものでございます。
それから、次に、二十九ページの左下のほうに全損率を掲げてあります。最近、非常に遺憾でございますけれども、全損率の傾向が大きくなっておるということでございます。
以上が大体の状況でございまして、以下三十ページには、トン数別にどのような海難が多いかということを示しておるのでございます。
以上、簡単でございますが、御説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/126
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127・岡三郎
○岡三郎君 ずいぶん簡単に説明してもらったので、したがってよくわからないのですがな。まず最初に聞きたいことは、距岸別発生状況の中で、港内と三海里未満が非常に多い、この原因は一体どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/127
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128・高林康一
○説明員(高林康一君) やはり、何と申しましても、港内、それから沿海に近いところ、そういうところには船舶の交通が当然ふくそういたしております。そういうような点につきまして、どうしても近距離あるいは港内というところには、当然交通のふくそうによりまして、やはりどうしても事故の発生率が多くなるという状況になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/128
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129・岡三郎
○岡三郎君 船が多いから事故が多く起こるということはよくわかるのですが、港内、三海里未満の遭難、海難が発生した船の大きさは大体どの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/129
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130・高林康一
○説明員(高林康一君) この点につきましては、三十ページの資料が若干御参考になるかと思いますけれども、大体におきまして、この三十ページの資料でもおわかりいただけますように、やはり百トン以下というようなところ、あるいはまたこの百トンないし千トンというところが大きく分かれておりますけれども、この中でも五百トンというようなところ、そういうようなところあたりの、トン数階層といたしましてはさようないわゆる小型船という部分において海難発生率が多いように見受けられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/130
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131・岡三郎
○岡三郎君 二十八ページの衝突による海難、この教字がここに出ておるわけでありますが、これは天候別とか何とか——二十八年から三百九、三百七十二とありますが、こういうものについて気象上の関係というものはどんなことになっていますか。というのは、いろいろとこれから標識をつけたり、よくわかるようにあかりをつけたりする法律の改正がありますが、気象上からいって標識というものはどういうふうに役に立つものか、そんなことから考えてみて、気象というものと海難というか、衝突というものの関係は相当深いと思うんだが、そういう点の統計的なあれがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/131
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132・高林康一
○説明員(高林康一君) その点につきましては、二十八ページの下の欄の原因別発生、状況のちょうどまん中ごろの欄になるかと思いますけれども、気象海象の原因によりましてやっぱりこういうような発生をしております。これはパーセンテージで申しますと大体一〇%程度でございますけれども、そういうようなものがやはりいろいろなほかの原因も合わさりまして発生していくのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/132
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133・岡三郎
○岡三郎君 それから、運航上におけるいわゆる原因、こういうことが非常に多く出ていますが、原因が運航によるということは、運転士というんですか一の未熟に原因するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/133
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134・高林康一
○説明員(高林康一君) 未熟に原因する場合もありましょうし、あるいはその場合にやはり訓練、結局未熟といいますか、そういう場合が相当多いかと思います。運航上の誤りとここで一括してやっておりますのは、内容といたしましては、見張りが不十分であるとか、船がどこにおるかということがはっきりしなかった、確認しておらない、あるいは航法違反、あるいは操船が適切でなかった、あるいは水路調査が十分でなかった、あるいは気象海象に対する判断の誤り、こういうようなこと、これを大体運航上の誤りに一括しておるわけでございます。やはりそういうような実地訓練が十分でないという面も相当影響しておるかと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/134
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135・岡三郎
○岡三郎君 この運航上における未熟というのは、衝突予防法でいろいろな標識をつけても、これは免れない問題だと思うのです。根本的な問題がここにあるのじゃないかと思うのですが、こういう点についてはどういうふうに考えていますか。一応国際的なものに基づいていろいろとこういうふうに法規上の改正をする、これは一応いいと思いますが、しかし、われわれがいろいろと聴取したところによるというと、運航上のミスがずいぶんあるんじゃないか、そういうことを聞くわけですが、そういう点についての技術訓練というもの、そういう問題を重視しておられると思うんですが、そういうような点についてはどういうふうにやられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/135
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136・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 御指摘のように、運航のミスと申しますか、それに基づく海難が非常に多い状況でございます。これは、まず第一に、運航に当たる船員自体の教育の問題があるわけでございます。それから第二には、これを使っている船主の問題と、二つに分けることができるのではないかというふうに考えております。
第一の船員の訓練につきましては、厳重に海技試験を実施いたしておりまして、それによって資格を付与いたしまして、運航に当たっておるわけでございます。ただ、人間でございますので、いろいろ不注意もあるということでございますが、そういうミスに基づくものが非常に海難の原因になっておるというのが実情でございますので、われわれといたしましては、やはり海難防止思想の普及ということをもっと徹底的にやらなければならぬというように考えておるわけでございます。
それから、第二の経営者の問題でございますけれども、たとえば具体的な例をあげますれば、漁船につきまして、非常にたくさん油を積んで出港する、そうしてその油の積み過ぎのために沈没するというような例が比較的多いわけでございます。それから、最近のたとえば行楽期になりますと、たくさん人間を積ませる、定員以上の旅客を船に乗せるというようなことによってやはり事故を起こしているという例も相当あるわけでございます。そういう点につきましては、われわれ、毎年何回となく、もう恒例のように、そういう過誤を起こさないように定員を順守してもらいたいということを経営者に厳重に忠告をいたしますと同時に、海上保安庁に対して取り締まりを厳重にやってもらうようにしている現状でございます。したがいまして、運航上のミスにつきましては、経営者並びにその運航に当たる船員の自覚と海上安全思想の普及ということがどうしても必要になってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/136
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137・岡三郎
○岡三郎君 いまの問題、運航上のミスで海難が発生する、そういう件数がかなりあるということになれば、かなりそういう点については、再教育といいますか、技術教育というものを相当やらないというと直らないんじゃないか。ただ取り扱い上の注意とか、いろいろな面において厳重にそういう点については申し渡したとか、海上保安庁にそういう点について厳重に取り締まるように言ってあるといっても、それでは根本的にいわゆる運転の技術のまずさというものは直らぬと思うんですが、そういう点について特段の措置を講ずる必要がないのか。こういう点については、免許のやり方を厳重にするとか、いろいろな、陸運との比較は一がいには言えないと思うけれども、かなり衝突の原因がそこにありとするならば、海難の原因を除去するために、そういう点について運輸省のほうとして上達させるような具体的な方途を講ずるという必要があるのではないかと思うんですが、その点いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/137
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138・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 海難防止思想の普及につきましては、事業者において十分安全思想の普及ということを考えていただくと同時に政府といたしましても、これをさらに推進するという考え方からいたしまして、海難防止協会——社団法人がございますが、これにできるだけ海難防止の講習会を広くやってもらいたいということで、現在では約七千万円の補助を——政府の直接予算ではございませんけれども、各方面の協力にまりまして、約七千万円の補助を出しておりまして、昨年度は受講者数は約六千五百名というように増員されておるわけでございます。今後とも、こういう海難防止活動といりものをさらに積極的に進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/138
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139・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、政府の補助金ではなくて、一般の寄付とか何かのような答弁ですがね。これはどうなんです。七千万円——これは昨年度ですかな。最近における再教育といいますかね、技術教育というか、そういう面において、七千万円程度で十分できるとは思えないのだがね。船も多いし、地域も広いし、しかもそれが一般の寄付ということになるというと、どうも政府の力の入れ方が足りないのじゃないかという気がするのですがね。この点、運輸大臣どうです。衝突はさして減らないということになったんじゃ、やっぱり根本原因について、政府としても、そういう面について積極的に取り組むという必要があると思うのですがな、運輸大臣。政府は少しも金出していない、しかるばっかじゃしようがないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/139
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140・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 七千万円という、まあ御承知のように、競艇関係の協会から援助を得て、船の海難の防止に役立つようにというのでやっておりますが、政府といたしましても、さらに力を入れたいのでございますが、よりまだ力を入れることに金がよけいかかるので、実は弱っている。それで、ただいま申しましたように、寄付金でやっておるというのが実情なんです。で、御趣旨のとおり、たいへん大事なことですから、力を入れていきたいとは思っておるのですが、現状はそういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/140
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141・岡三郎
○岡三郎君 大臣に答弁させると、あまり苦しそうだから、あまりこれ以上追及しませんがね。私が聞くところによれば、まあ船も、十年一日のごとく変わらぬといっても、やはり新しいいろいろの型が出てくる。そういう面で、船も非常に多くなっているということで、やはり相当に技術訓練をやって、積極的にやる必要があるのではないかということを聞いているわけなんです。それで、そういう点について、国自体もやはりある程度、額は少なくても、やっぱり国がひとつ率先してやるから、そのほかの寄付金も集めて、もっと徹底的にやって、事故を防止する必要があるのじゃないか、こういうことを言われてきておるので、この点については、ひとつ運航の問題について十分御検討をわずらわしたいと思う。
まあそれはそれとして、次に、運転士さんなんかが、もちろん酒飲んだり——不眠不休でからだを休めるひまもなく、やっていないと思うのだが、しかしなかなかそうでもないらしいですね。この点どういうふうに取り締まりをやられておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/141
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142・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 御承知のように、船舶の乗り組み員につきましては、船員法という特別法がございまして、これによってその服務等につきまして詳細な規定を設けて、これを行なっているわけでございます。具体的にいまの海上安全の問題について申し上げますと、現在の船員法におきましては、航海の安全を確保するために、たとえば異常気象の通報であるとか、非常の際の操練とか、火災の予防、水密の保持、それから救命艇の艇手の選任等について、詳細な規定を置きまして、これを励行しているという状況でございます。御承知のように、船員は集団生活でございまして、一人の人間が運転するということでございませんので、法律によりまして、その関係等々について詳細な規定を設けているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/142
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143・岡三郎
○岡三郎君 詳細な規定はわかったが、それを一体どういうふうにして具体的に規定を順守さしているのですか。実際にはやっぱりときどき調べているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/143
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144・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 船員の労働保護につきましては、船員労務官というのが全国におりまして、これが各船舶を巡回いたしまして、労働安全というような面、あるいは労働保護の面について、常に監査を行なっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/144
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145・岡三郎
○岡三郎君 その人は全国にどのくらいいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/145
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146・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 各海運局に所属いたしておりますけれども、現在約七十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/146
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147・岡三郎
○岡三郎君 七十名でどの程度検査できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/147
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148・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 大体におきまして大型船、たとえば外航に参っております一万トンとか、二万トンとかという船舶については、現在この労務監査等も相当教育が行き届いておりまして、また労働組合等の関係、あるいは会社自身の規律というものも相当行き届いておって、現在ではそう監査を厳重にやる必要がないと、むしろ手を抜いてよろしいという状態になっているかと思います。そうして、現在のところでは、むしろ小型船の労働保護ということに重点を置いて、各港を毎日ように巡回いたしまして、監査をいたしているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/148
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149・岡三郎
○岡三郎君 労働強化の面について、いろいろな問題があるのではないかというふうにも考えられるのですが、やはり現在の小型船ですね、非常に仕事が過重になっているのじゃないか——運賃の問題もあると思うのですがね。そういうふうな点で、かなり運航にも無理をするし、非常に航海等において危険じゃないかと、こういうふうなことも言われておりまするが、この問題は次に回しましょう。
次に、機関取り扱いということになっておりまするが、その前に機関の故障というものもございますね。かなり機関の故障によって海難事故が発生しているようですがね。船の機関というふうなものについて——自動車についてはオーバーホールしたり、車体検査がありますが、これはどの程度やっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/149
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150・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 船舶安全法によりまして、検査の期間というのがきまっているわけでございますが、四年に一回定期検査、それから二年に一回中間検査ということで、船内のあらゆる機関、それから構造について、詳細な検査を受けるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/150
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151・岡三郎
○岡三郎君 最近においてはかなり、機関故障が減ってきているように見受けられるので、けっこうだと思いまするがね。四年あるいは二年、そういう点で、かなりよく検査ができるようにも思われまするけれども、機関が故障をして事故が起こるということは、よほど老朽船かなんか運航しているように思われるのだが、そういう点について、年間を通して、機関の検査等によって運航停止をしているような船はどのくらいありますか。ありませんか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/151
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152・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 機関が故障をいたしまして、船上で直ちに修理できる場合もございますし、また造船所へ引いてまいりまして修繕する場合もあるわけでございます。機関故障のために仕事を休んだというような統計はわれわれのところには持っておりませんけれども、統計にあらわれております機関故障というものは、船上で直し得たというものも当然入っておるわけでございます。また、造船所まで持ってまいりまして大修理を加えるという場合も当然あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/152
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153・岡三郎
○岡三郎君 火災、浸水、転覆、かじの故障とか、推進機の障害とか、いろいろな事故の原因がありますが、波をかぶってそのままぶくぶくっと沈んでしまったような例がかなり最近においても聞くわけでありますが、小型の漁船はもちろんかなり——この間ラワン材か何か積んできた船が、どういうふうに沈んだのかわけのわからぬまま、その後ボートとかそういうものによって沈没したことがわかったような例がありますが、かなり危険な船が運航しておるというふうにわれわれ率直に感ずるのですが、そういうふうな船はやはり、廃船にするというか、運航停止するとか、そういうふうなことが必要じゃないかと思うのだが、かなり無理して会社によってはまだやらなければならぬ船もあると思うのですが、そういう点については、思い切って、この船種は危険だとか、この船はかなり老齢で危険だというふうな場合に、その船を操業停止して、廃船という——廃船というのは船の仕事をやめさせるということですが、そういう措置はとっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/153
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154・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 一般的には、たとえば戦時標準船のごとく、船の種類によって全般的にもう危険であるというものがあったわけでございますが、これにつきましては、運航の期限を切りまして、これをつぶす、あるいは大修繕を加える、そのどちらかを選ぶというような政策をとったわけでございます。それから、普通の場合には、検査の期日がまいりまして、その修繕を十分行なって、そうして運航にたえるようにする。その際に、もちろん、機関、あるいは復元性、耐波性というようなあらゆる面からの検査を行なうわけでございますので、そういう検査に合格するようないろいろな改良を加えるということによって運航の安全性を保障するという制度になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/154
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155・岡三郎
○岡三郎君 制度はわかったけれども、それを具体的にどの程度やるかということはなかなかむずかしいと思います。まだこれは使えるのだと、こう向こう側が言うのを、これはもうあぶないからだめだ、じゃそれについてどうしてくれるのだという話に発展してくると思うのですが、ただわれわれが見ておると、小型船を含めてですよ、たいしたしけでもないのに、どの程度波をかぶったかよくわかりませんが、これはしかし、一般的にいって、台風とか暴風とかそういうふうな予報が出ていないのに遭難を受けるというふうな問題も見受けられるわけであります。まあ突風というやつもありますがね。そういうふうな点を考えるというと、船の質といいますか、そういうものがかなり海難の事故を起こしておるのじゃないかというふうな気もするわけです。だから、こういう点についてはやはり、制度上においてそういうふうになっておるということもさりながら、具体的な運営の面でやはり実地に危険なものはこれを運航させないということにならなければ、事故が起こってからではこれは取り返しがつかぬと思うのですね。だから、そういう点については、ひとつさらに具体的に、こういうふうな機関故障とか、その他転覆とか、いろいろな問題について、もう少し詳細に、どの程度の船がこうなったのか、いわゆる転覆をしたとか、浸水によって沈没したとか、そういう点について統計がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/155
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156・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 現在、小型鋼船の転覆による海難というのが非常に多いわけでございます。具体的な例をあげますと、三十七年度におきましては、百トンないし四百トン程度の船舶——小型鋼船でございますけれども、七隻、三十八年度の九月まで三隻、それからそれ以前にも大体年間平均五隻程度の小型鋼船が転覆して沈没いたしておるわけであります。船が転覆して沈没するということは、これは何か技術的な問題であるとか、構造の問題であるとか、いろいろな問題が考えられるわけでございます。非常に危険性が多いということで、われわれのほうでもこれに対して至急対策を検討しなければならぬというように考えておるわけでございます。それから、老朽船につきましては、具体的には、昨年から、船齢二十五年以上の国内の旅客船でございますが、これは二年間だけ現状のままで運航することは認めるけれども、二年以降につきましては、大修繕を加えるか、あるいはこれをつぶしてしまうか、どちらかにしてもらいたいという通達を出しまして、そのつぶすものにつきましては、特定船舶整備公団で代替船の建造をやるという措置を現在進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/156
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157・岡三郎
○岡三郎君 海上保安庁の人来ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/157
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158・米田正文
○委員長(米田正文君) 来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/158
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159・岡三郎
○岡三郎君 横浜港等の例で申し上げますが、港内、港外を問わず、パトロールする船が非常に少なくて、錯綜する船の航路指導とか、いろいろと海難防止に対して手簿でないのかと、こういうふうなことを聞いておるわけですが、この点について、先般南九州のほうへ行った場合においても、海上保安庁等のいろいろな仕事の関係上において、灯台とか、そういうものの設置要求もありますので、いわゆる巡回船といいますか、パトロールをしていく船の機能もそうだけれども、船が全体的にいって少ないのじゃないか。横浜港等においても、もう少し小型のパトロール船というようなものを建造してほしいというような意見があったんですが、海上保安庁から見た海難事故に対する見解を聞きたいのですがね。あなた方は救っているほうの専門だけれども、その前に発生する原因の予防という点についてもやっぱり積極的にやられていると思うので、そういう点について、海上保安庁から見た海難に対する見解、こういうものをひとつお聞かせ願いたい。専門的な立場でね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/159
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160・有田毅
○政府委員(有田毅君) お答え申し上げます。海難につきましては、先刻来お話が出ておりますように、総体的には減少をいたしておりまするが、内容的には、汽船の海難は増加し、特に小型船は増加しております。ただし、機帆船でありますとか漁船は漸減傾向にありまして、総数といたしまする、お手元の表にございますように、おおむね漸減の傾向でございます。しかしながら、私どもはなお、このような海難が発生いたしますことは非常に残念でございますので、先ほどからお話が出ておりますが、臨船指導をいたしましたり、あるいは各種の海難防止運動を展開いたしまして、未然に防止することも考えております。いま御指摘の、横浜港その他におきます。海上保安庁の所属の船艇の件でございまするが、海上保安庁は発足以来漸次代替建造を実行いたしてまいりまして、現在相当程度代替いたしましたが、総体数におきましてはそれほど増加いたしておりません。他方におきまして、日本経済の非常な発展、経済成長に伴いまして、かような船腹の増加も著しいわけでございます。この間に処しまして、限りある船艇をもちましてかような海上の巡視及び指導といったことをいたすわけでございます。したがいまして、特に横浜港のごとき大きな港におきましては、入出港数も非常に膨大でございまして、本来ならばそれに比例いたしまして私どもの海上保安庁船艇も増加が望ましわけでございますが、諸般の事情から、理想的にはまいっておりません。しかしながら、逐次代替建造等によりまして、古い老朽船にかわりまするに、性能のいい船艇を建造することができるようになりました。私どもといたしましては、かような精鋭な船艇でもちまして、足らざる船艇を補うという意味で、職員一同活動しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/160
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161・岡三郎
○岡三郎君 諸般の事情でなかなか思うにまかせないということは、いまの御答弁だけでなくして、われわれ聞いているわけですがね。なかなか運輸省のほうも積極的にやられているが、大蔵省のほうはなかなかこういう点については理解が行き届かないというふうな点もあるのですが、しかし、基本的に言うと、もう少し運輸省自体積極的にこういうものをやっぱり推進するパイロット船というか、こういうふうなことをなぜ言うかというと、港則法等によって港の中の航路とかいうものを規制しておりますが、船がうんと多いので、ときどきには、違法行為というか、早道を通って行くという、こういうふうなことが非常に多いわけです。特に人を輸送している船なんというものは、そういう点が非常にある、こういうことも聞いておりますが、そういうふうな法律を、まあたいしたことはないじゃないかということで便法を講じてやられるということについて、やはりパトロール船が非常に少ないのでそういうふうな点についての監視が行き届かぬ、こういうふうな状況にあるということを聞き及んでおるわけですが、これはわれわれが港自体を見ても、その他の港においてもそうでしょうが、全体的において不足しているのじゃないか、こういうことで、人命尊重だけじゃなくして、そういう船舶の保護による国の利益という面を考えた上で、積極的に海難防止のためには、衝突の防止といった問題については、やはりそういう面の強力なる推進が必要じゃないかということをわれわれ考えてきたわけですが、これは運輸当局としていかが考えておられますかな。これは保安庁じゃなくして、運輸省だ。運輸大臣のほうへは行かないのですか、この予算は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/161
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162・有田毅
○政府委員(有田毅君) 総体的に申しまして、先生のおっしゃるとおりでございます。しかしながら、私どもといたしましては、この海上保安庁の船艇増強につきましては、運輸省といたしまして従前より非常に力を入れておりまして、たとえば、本年度におきましても、おかげをもちまして、巡視船一千トン型、三百五十トン型、百三十トン型、こういったものをそれぞれ新造予算をいただいたようなわけでございます。先ほど申しましたように、海上保安庁発足いたしまして十六年目に相なりまするが、当初を考えますると、いまはその相当部分が代替建造されまして、当時の海上保安庁勢力から見ますると、いまは内容が非常に充実されておる次第でございます。最近におきましても、非常に高速の巡視艇を建造いたしまして、速力にいたしましても二十六ノットというふうな優秀船を完成いたしまして、これを配属いたした次第でございます。引き続き私どもといたしましては、この船艇の充実に大いに努力いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/162
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163・岡三郎
○岡三郎君 それはあなた、十年も前より比べてよくならなければ、それは問題にならぬから、そういう答弁を聞いているのじゃないので、実際問題として、いまのふくそうしている船舶量に対して、全体的に海上の安全を守るためにそれぞれ予算が出されて、それがどのくらい削減されてきているのか、そういうふうな具体的な面からいって、現状においてはこういうふうなものを最少限度つくらなければいかねというふうに言ってもらわないというと、わけがわからぬな、そういう答弁では。
あなたのいまの答弁聞いていると、海上保安庁は満足で、大体これ以上手がない、大体いいんじゃないか、こういうふうに聞き取れるね。わしの聞いているところとはだいぶ違うな運輸大臣がいたって遠慮することはないのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/163
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164・有田毅
○政府委員(有田毅君) 私、海上保安庁といたしましては、船艇の増強、それから航空機等につきまして逐次勢力を増強いたしたいという予定でございます。一挙に実現いたすことはなかなか困難でございますので、逐次……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/164
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165・岡三郎
○岡三郎君 あなたが困難だなんと言ったら、始末がつかない。大蔵大臣じゃないんだから、あなた自分の実際の当局なんだから、こういうものがほしいというふうなことを率直に言ってもらわぬといかぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/165
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166・有田毅
○政府委員(有田毅君) ただいま考えておりますることは、かような巡視船艇の増強と、それから航空機関係を今後増強いたしたいというふうに考えております。職員につきましては、先ほどの御指摘の、たとえば横浜港におきまして巡視船艇がわりあい稼働が少なそうに見えるという先生の御指摘でございますが、実はかような巡視艇は宿直制をとっておりまして、船艇数はございましても、これが当直でもって勤務いたしておりまするので、一見稼働数が少ないように外観見受けられる場合がございます。こういった点につきまして、職員が当直、二直、三直が十分にとれるような人員でありますれば、保有の船艇も十二分に稼働できるという面もあるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/166
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167・岡三郎
○岡三郎君 その点、いま言われたことについて、やはり船も足りないが、人も足りない。それで、ふくそうする船についていろいろと取り締まりをしても、なかなか思うようにいかない。それは職員がなまけているというのじゃなくして、一生懸命にやってもなんですね。そういう点で、すみやかに優秀な巡視船艇の増強と、それに伴うところの人員の確保、こういうふうな点についてやはりやらないというと、港自体としても、ずいぶん困るのじゃないかという実情を聞いておるのです。この点については、大臣のほうに強く要望しておきますがね。
次に、いま述べられた航空機については、これは南九州等の管区において離島が非常に多い。そうして、職務分担をする区域が非常に広範になっている。そういうことになれば、遭難したという報を受けてそとこにすぐ行くということにおいて、一体どこの辺だかということを判断する時間の問題がある。そういうときに、やはり航空機があれば非常に便利であるということを陳情で受けたことがあるのです。こういう点について、乗った上のほうから直接的に遭難現場というものを知るというふうなことについては、緊急を要する場合は特に必要じゃないかという気がするわけですが、この点について運輸当局としてはどういうふうに心がけられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/167
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168・有田毅
○政府委員(有田毅君) 海難の救助につきましては、いま先生の御指摘のような役割りがあるわけでありますけれども、同時に、最近沿岸漁業が非常に不振になってまいりまして、漁船の出漁範囲というものが年ごとに長くなってまいっておるわけであります。したがいまして、遠距離の海難発生というものが非常に多くなっておるような状況でございますので、どうしても船では遭難現場まで到達するのに相当な時間がかかる。飛行機以外にこれを救助する道がないというような状態のものが非常に多いわけであります。われわれ、海難防止という面から見ましても、飛行機の拡充ということはぜひお願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/168
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169・岡三郎
○岡三郎君 ことしは航空機要求というものをどの程度したのですか。それに伴っての実現した状況をひとつ述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/169
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170・有田毅
○政府委員(有田毅君) ことしは四機要求いたしまして、一機実現いたしました。それから、今後の計画でございますが、希望といたしまして、現在航空機を十四機擁しておりますが、将来あと二十機を要求したい、三十四機程度にしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/170
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171・岡三郎
○岡三郎君 そうすると、現状において、本年は一機と言いますが、総計で海上保安庁は現在どのくらい持っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/171
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172・有田毅
○政府委員(有田毅君) 現在、それを加えまして十四機であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/172
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173・岡三郎
○岡三郎君 十四機ですか。それでは機種はどういうものですか。いわゆる性能のいいのと悪いのと入っているのじゃないかと思うのですが、種類ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/173
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174・猪口猛夫
○説明員(猪口猛夫君) ただいまの御質問の点は、ビーチクラフト——中型機でございますが、これが六機、それからその他ヘリコプターが、大型ヘリコプターと小型ヘリコプター等を入れまして八機ばかり持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/174
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175・岡三郎
○岡三郎君 これも大臣に強く要望しておきますが、やはり海難事故というものは時間を争う問題が多いわけですね。だから、そういう点で、特にいま局長が言われたように、沿岸漁業が不振になって、非常に遠くへ出漁に行く。まあすぐわかれば時間的に間に合うということも多いわけですね。それが間に合わないということで、航空機というものが非常に重要性を帯びてきた。こういうことで、この点については運輸大臣として明年度はもう少し画期的にひとつ措置をとられんことを強く要望しておきたいと思います。この点、大臣に御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/175
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176・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 私もなるべくたくさんできることを希望して、年々私は予算を二度編成いたしまして、二度ともなかなか成功いたしません。従来の予算に比べましては多いのですが、まだ満足する状態じゃございませんで、あなたのおっしゃるように、航空機はいま十四機あるのですが、少なくとも二十機はごく最近にひとつ実現いたしたいと考えておりますが、大蔵省がなかなか査定のときに、何ですから、御支援をくださいまして、その目的が達するようにひとつ運輸委員会で御声援を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/176
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177・岡三郎
○岡三郎君 御声援はうんとしますからね、ひとつがんばってもらわないというと、特にこれは、自分で好んで遠くへ行くのではなくて、仕事が沿岸でできなくなって、無理して生活のために出かけていくという実情ですからね。これはひとつ親身になって実現してもらいたいというふうに考えます。だんだんとやってきて、あまり時間が経過するというと困るようですが、なお一、二点ひとつお聞きしたいと思うのです。
この今回の海上衝突予防法について、国際海事会議において、国際海上衝突予防規則が成立して以来、いろいろとやられてきておるのですが、今回もそれに伴ってお伺いしておきたいということです。こういうふうに法改正して、あかりをつけるとか、いろいろなことをやって、確かにいいわけですよ。具体的に言って、私は、その国その国が、基本的に言えば、海難を防止する根本はやはり人にあると思うのです。それからもう一つ、それに続いては船舶の安全性の問題ですね。それから気象条件とか、いろいろな問題がそこに伴ってきますがね。この衝突予防法については、一応標識の問題から始まって、漁船についてもいろいろ標識をつけろとか、レーダーについて云々と言っておるけれども、なかなか経済競争上において無理して出航するという面も非常に多いわけですね。ですから、そういうふうな点について、労働組合といいますかね、働く人々が自分の生存をはかりますとともに、十分ある程度心の余裕を持って仕事に従事するようにできなければ、災害は免れぬというふうに思うわけですね。それで私は冒頭に、一方においては、技術上の訓練を十分にするとともに、一方においては雇用者に対してそういう面の強化といいますかね、船舶の代替等はいろいろ金がかかるわけですから、そういう点について思うにまかせないけれども、現状においてはとにかく、人命が尊重されるというよりも、経済効率というものが真先に優先して、そのバランスがちょっとくずれておるのではないかという気がするのですね。こういう点について、もう少しやはり、仕事の効率はきりながら、安全というものを確保するための強力なる行政上における指導というものがないと、海難事故というものは絶えないのではないかという気がするのです。先ほど海上保安庁のほうからああ言っているけれども、だんだん遠距離へ漁船等が出動するということになると、災害の原因はおのずからそこにあるような気がするわけですが、そういうふうな点で、海上衝突の予防という面も重要ですが、海難事故というものを全面的にやはり改善していく、なくしていくというふうな方向への強力な施策というものが、陸上とともにやはり講ぜられなきゃならぬというふうに考えるわけです。ここにある法律案そのものについてわれわれは異議がないわけですけれども、しかし、何かこう重要なことは抜きにして、表立ったことはそれに即して国際的並みにやろうということの方向にだけしかとれないのですがね。だから、こういうふうな海上衝突予防法がここで審議されることになっておるわけですから、これを契機にして、もう少し具体的にそういう事故のおもな発生原因を除去するようなことをお願いしたいのですが、端的に言って、一番驚くべきことは、先ほども言ったけれども、どうして沈没したのだかわからぬうちに船が消えてしまった、こんなばかげたことがあっていいのかということを考えるわけなんです。ですから、この前横浜の港を見に行ったときに、ボートがあった。だからこの船は沈没したんじゃないか。ここでどういうふうにその当時は沈んだのだか原因もわからなければ、行くえ不明ということばで表現されておったことがあると思うのです。あれは何という船だったっけね。ラワンを積んできた船です。言ってごらん。忘れてちゃ因る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/177
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178・高林康一
○説明員(高林康一君) 「洞南丸」と覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/178
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179・岡三郎
○岡三郎君 ああいった型の船はまだどれくらい動いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/179
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180・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) あの「洞南丸」は、ラワン材を積みまして航海中に転覆いたしたと推定されるわけでございますが、あれは戦標船でございまして、名古屋港に到着してから解撤するという計画になっておったわけです。ラワン材というのは、御承知のように、甲板に木材を積む量が非常に多うございまして、そういう原因ではないかというふうにわれわれには考えられるわけでございます。航海中にあるいはその積みつけが悪くて荷くずれするという場合もあったかもしれません。あるいは積み過ぎたために転覆したという場合も考えられますし、その原因ははっきりわかりませんけれどもいずれにいたしましても、ラワン材の積みつけに原因があったのではないかということで、これにつきましては、現在厳重なラワン材の積み荷についての規制をさらに加える。なお、いま先生御指摘のように、海難の原因というのは過半数が人的な要因によるものでございます。人的な過誤であるとか、不注意であるとか、訓練不足であるとかいうようなものが当然あるわけでございます。この点につきまして、われわれとしては今後いろいろ検討しなきゃならぬ。いま出しておる法律というものは、単に海上における船舶相互間の関係を樹立しておるにすぎないのでございます。しかし、根本に、たとえば事業形態の問題であるとか、あるいは先ほど御指摘の訓練の問題であるとかいう問題が背後にあるわけでございます。今日のところでは、大型船につきましては、いろいろと訓練も届いてまいっておりますし、事業主の考え方というものも、やはり人命の安全、船舶の安全ということが事業経営の根幹であるということが非常にはっきりしてまいってきておると思います。最も海難の多いのは、やはり漁船と小型木船及び小型鋼船です。これにつきましては、事業経営がいろいろと困難であるという面も相当影響しておるだろうと思います。私が先ほど例をあげました、漁船が燃料を非常にたくさん積んで、そのために沈没するというような、魚を取り過ぎて沈没するというような例もあるようでございます。これはできるだけ経費を節約することによって収獲を上げていこうという、事業主の非常な意欲と申しますか、そういうものから出てくる過誤でございます。それから小型船につきましては、たとえば三百トンないし四百トン程度の鋼船で、これが転覆いたしまして全損になるというような例が非常に多うございますけれども、これもやはり事業経営が、現在の内航海運の状態が非常に悪いために、なかなか船舶の安全性等についても十分な手当てができない、あるいは船員の訓練等についても十分な人が得られない、待遇もよくしてやれないというところにやはり問題があるのではないかというようにわれわれは考えておるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、単に人的な船員の訓練であるとか、あるいは規則の強化という問題以前に、やはり事業経営の問題も当然あるということで、今後の海難防止というものは考えていかなければならぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/180
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181・岡三郎
○岡三郎君 そこで、これは運輸大臣に最終的にお聞きしなければならぬことだと思うのですが、外航船舶についてはかなり政府は力を入れてここに至っているわけですよ。その当時のお話では、やはり外航船舶の問題について一段落したら、内航船に当然取り組むべきだし、大臣のほうもそういう方向で努力せられるということを言われてきたと思うのです。いま言われたように、あれこれ思ってもふところぐあいが悪い、経営がなかなか苦しい、そこに無理が起こってくるということで、最近においてぼつぼつ内航問題についていろいろ指導せられておるようですけれども、何か程度が微弱のような感じがするわけで、これはやはり外航、内航一体となって改善せられなければよろしくないと思うのですがね。こういう点で、内航について、われわれとしては、もう一歩も二歩も三歩もひとつ積極的に取り組んでもらいたいというふうに考えるわけですが、大臣のひとつ所見を聞きたいと思うのです。経済上大蔵省がということでなくて、ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/181
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182・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) ごもっともでございまして、私どもは、この前申しましたように、外航問題が一応の、まあ満足とまでもいかぬでも、これでやっていけよう、こういうところにきましたので、直ちに運輸省の中に内航に関する権威者を集めまして、どういう点に内航不振の原因があるか、いかにすればこの不振を脱却して、そうして、やはり内航船舶は日本の貨物の非常な輸送力の根源でございますから、これをよくするためにその結論を急いでもらいまして、昨年の秋ほぼ一応の結論を得ましたので、それに伴いまして、でき得る限りの対策といたしまして、いままでとは違った意味の、いままでに比べれば非常に画期的な内航海運対策を樹立いたしたのであります。予算の面におきましては、総計たしか二十五億の予算が初めてついたのです。そういうことをやりまして、順次改善をいたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/182
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183・岡三郎
○岡三郎君 二十五億初めてついたから、これにはあまりけちをつけませんが、しかし、外航船舶の問題と比較にならぬといっても、それでは焼け石に水と言っても過言でないと思うのですがね。やはり、現状を救済するといいますか、何とかこれをめんどうを見ていくということになるならば、単位がちょっと違うのじゃないですか、数字が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/183
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184・綾部健太郎
○国務大臣(綾部健太郎君) 外航が二百二十五億ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/184
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185・岡三郎
○岡三郎君 外航が二百二十五億といったって、利子補給や何か、あの手この手でずいぶんやって、それはわれわれもここで審議したのですから、いまそれについてとやかくは言いません。これは当然でしょうけれども、しかし根本的に言って、二十五億と二百二十五億の比較じゃなくして、総合的に厚みのある援助というか、そういう対策というものが要望せられておるわけだから、だからひとつ画期的に、昭和三十九年度の予算にはすでに通過したわけですが、四十年度の予算においては、内航海運に精力的に取り組むべき絶好の段階にきている、そういう点で、ひとつ画期的に三けたぐらいのところまでは持っていってもらわにゃいかぬと思うのですがね。この点は同僚の議員がゆっくりやるということになっておるから、ここでは一応はしょりますが、この点はひとつ強く要請をしておきます。
なお質問があるのですが、だいぶんお疲れのようですから、この程度で本日はひとつ質疑を打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/185
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186・相澤重明
○相澤重明君 ただ一つある、さっきの局長答弁で。船舶の安全性の問題で、規則や何かよりは何か人の問題の話をされた。人の問題の話をされたのはいいが、船舶についてはやはり安全性という問題は度外視してはいけない。これは当委員会で私が運輸大臣に、「ボーナストン数というものを知っておるか」、こういうことを言ったことがある。これはもうそういう答弁をされると、ぼくは黙っていられない。これはもうあらゆる規則から、あるいは建造についての問題から出さなければいかぬ。これは特に、私が一月決算委員会で四国の海運局に現地調査に行った結果というものは、やはりそういうものは、海難の事故件数から考えてどういうものが一番多いかということは、政府自身が発表した件数の中でも明らかになっておるわけです。そういう点で、むしろ岡委員が先ほども質問した中にも、これはもう長い間私から委員会で常に言っていることなんですから、やはり運輸省は、監督官庁として、何としても事故を起こさないということを基準に置かなければいけないのですよ。そのためには、人の問題もあるし、船の問題もある、こういうところをやはり置かないというと、ボーナストン数という簡単な表現で、経営者にはいいかもしらぬけれども、働いておる者にもよくないし、それから人命、財産も失うようになってしまう。こういう点をわれわれはおそれておりますから、ひとつ、せっかくの局長の答弁、局長の意見はそうじゃなかったと思うけれども、私が受けた、いまの岡委員に対する御答弁を聞いておると、船舶の安全性というものについて少し軽々しいような気がしたから、その点私から注意をしておきたいと思う。そうでなければいいが、そうであるのかどうか答弁を……、それによってはまた伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/186
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187・若狭得治
○政府委員(若狭得治君) 御指摘のとおりでございまして、われわれいろいろ規則は非常に詳細なものをつくっておりますけれども、それだけで問題が解決しないというところに非常にわれわれ困難があるということを申し上げたわけでございます。たとえば積み過ぎの問題、あるいは定員超過の問題等は、これは毎年毎年繰り返し厳重に忠告いたしましても、なおそれが守られないというのが現状でございまして、規則の完備だけではなかなか問題は解決しない、当然規則は先行すべきものでございますし、それをさらに安全の面から充実してまいることはわれわれの義務でございますけれども、同時に事業経営自体の問題にまでやはり立ち入って考えてまいりませんと、人命の安全とそれから船舶の安全運航という面も完ぺきを期することができないということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/187
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188・米田正文
○委員長(米田正文君) 他に御質疑がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/188
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189・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見がなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/189
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190・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないものと認め、採決を行ないます。
海上衝突予防法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/190
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191・米田正文
○委員長(米田正文君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続につきましては、前例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/191
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192・米田正文
○委員長(米田正文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104613830X02319640423/192
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