1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十九年六月十六日(火曜日)
午後零時十一分開会
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委員の異動
六月十一日
辞任 補欠選任
向井 長年君 田畑 金光君
六月十二日
辞任 補欠選任
重政 庸徳君 小西 英雄君
六月十五日
辞任 補欠選任
近藤 鶴代君 上林 忠次君
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出席者は左のとおり。
委員長 三木與吉郎君
理事
石原幹市郎君
下村 定君
伊藤 顕道君
鶴園 哲夫君
委員
太田 正孝君
源田 実君
小柳 牧衞君
塩見 俊二君
林田 正治君
村山 道雄君
千葉 信君
山本伊三郎君
鬼木 勝利君
田畑 金光君
国務大臣
厚 生 大 臣 小林 武治君
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
政府委員
厚生大臣官房長 梅本 純正君
厚生大臣官房国
立公園部長 今村 譲君
厚生省公衆衛生
局長 若松 栄一君
厚生省環境衛生
局長 舘林 宣夫君
厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君
厚生省薬務局長 熊崎 正夫君
厚生省社会局長 牛丸 義留君
厚生省児童局長 黒木 利克君
厚生省保険局長 小山進次郎君
社会保険庁医療
保険部長 竹下 精紀君
農林大臣官房長 中西 一郎君
農林省農政局長 昌谷 孝君
農林省農地局長 丹羽雅次郎君
農林省園芸局長 酒折 武弘君
農林水産技術会
議事務局長 武田 誠三君
水産庁長官 庄野五一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○厚生省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○農林省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/0
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001・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
六月十一日、向井長年君、十二日、重政庸徳君、十五日、近藤鶴代君が委員を辞任され、その補欠として田畑金光君、小西英雄君、上林忠次君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/1
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002・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、これより質疑を行ないます。
政府側から、小林厚生大臣、梅本官房長、牛丸社会局長、黒木児童局長、小山保険局長、今村国立公園部長が出席されております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/2
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003・山本伊三郎
○山本伊三郎君 時間の、休憩の関係がございますから、大体六点ほどについてお聞きしたいのですが、長引くのをあとに回しまして、ひとつ広島市にある原爆病のアメリカの研究所——俗にABCCといっておりますが、研究所があるのですが、これは一体どこの所管になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/3
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004・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいまお話しのABCCはアメリカの民間機関でございますので、これについて所管という明らかなものはございませんが、日本政府として、国立の予防衛生研究所がこれと共同の研究をいたしておりますので、それの世話とかいろいろな協力ということは厚生省でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/4
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005・山本伊三郎
○山本伊三郎君 実はこの前向こうへ行って調査をしたのですが、民間だというが、向こうのほうでは、政府が予算、費用を負担して——アメリカ政府が負担しておるということは事実らしいですよ。そういう研究機関ですからね、あれは商売ではない。原爆病に対する相当科学的な、医学的な研究をしておるらしいのですが、向こうの、何といいますか、理事長とか——日本のことばで言うと理事長ですか、会いたいと言ったけれども、会えない、会わぬということで会ってないのですが、しかたないから日本の職員にいろいろ聞いてみると、きわめてあいまいなんです。それから、ずっと帰りまして衆参両院の議事録を調べますると、外務委員会で若干質疑があったのがだいぶ早くに見たのですが、いま言われた民間の団体である、そういうものに原爆病の研究をさすというそれは一体どこが許可を与えたのですか。原爆病の対象は日本人です。臨床医学はやっておらないらしいです。必要あれば出張していろいろやっているらしいのですが、こういうものを日本政府が全然関係ないというわけじゃないのですが、経過的に見て一体これはいつああいう広島市のどまん中に研究所を許したかわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/5
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006・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいま民間の機関と申しましたけれども、いわゆる正規のと言いますか、政府が直轄している機関ではないという意味で申し上げましたので、お話のように、この研究に要する費用は米国の原子力委員会から、米国の学士院を通じまして、学士院の委託を受けた団体として、日本で研究を行なっているという実情でございまして、いわゆる政府職員が働いている施設、米国の政府職員が働く米国の政府機関ではないという意味でございますが、この設置は昭和二十一年十一月二十六日に発足いたしております。で、この施設は、そのように政府機関ではございませんので、占領中におきましても、特別に何ら行政協定その他の対象にはなっておりません。したがって、講和条約発効後におきまして、この取り扱いをどうするかという問題が出まして、この問題について、米国から協定を結びたいという申し入れがございました。その際に、厚生、外務、大蔵という三省で協議いたしました結果、この施設は、特にそのような行政協定の対象になるような性格のものではない。したがって、一般の法律に許す範囲内の仕事であれば、特に取りきめを必要としないということで、この施設の存在につきまして、両国政府間の間に、正式の取りきめをした文書等はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/6
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007・山本伊三郎
○山本伊三郎君 政府間で何らの契約をされてないという施設を認めるというのは、一体どこで——一般民間の商社であれば、外務省あるいは通産省あたりで管轄をしてやると思うのですが、これだけは、もう全く治外法権のような形にあるのですが、この点は政府はもう責任はないと、かってにやっているんだということらしいんです。これは前の衆議院の議事録を見ましても、何かあいまいな答弁なんですが、ところが向こうに働いている人は、これはもう日本人なんです。したがって、向こうへ行くと、厚生省が管轄をしているのだから、厚生省にやっぱり見てもらわなきゃいかぬというような感じを持ている人が相当おるのですがね、一体、この働いておる人なんかは、どういうことになるのですか。もうアメリカが引き揚げてしまったら、あとはもうこの研究は終わり、そうしてあとはもう民間の団体のように、どういう条件でやめるか知りませんが、それは日本政府は何にも知らないということになるのですか、いまの場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/7
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008・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいま治外法権というようなことばが出ましたけれども、これは何ら、外交的な特権は何にも持っておりません。したがって、土地も借りるなりなんなり、有料で借用いたしておりますし、広島の施設は自分の所有の施設がございますし、長崎で使っている施設は、やはり借用の土地、建物を使って、民間その他と契約をして借料を払ってやっております。したがって、そういう外交的な特権のある特殊なものではございません。雇用関係につきましても、一般商社と同等な立場で日本人を雇用しておりますので、そこで勤務する職員につきましても、健康保険その他の関係も、日本の一般の雇用関係と何ら変わりがないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/8
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009・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ぼくは外交公館のような治外法権というようなことを言っておらないのです、それはもう当然のことですが、あれを監督する省がないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/9
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010・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) このABCCの事業につきましては、われわれ日本人も非常に関心が深くありますので、これに対して昭和二十三年から国立予防衛生研究所の支所を付置いたしまして、そして両方で協同しながら研究するという立場をとっております。したがって協同してやっておりますけどれも、監督という立場ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/10
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011・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それなんですよ。先ほどあなたに個人的に伺って、こちらの支所もあるということ、こちらの支所というのは厚生省が監督してそれでいいんですが、向こうのほうは、かってに研究のしっぱなしなんですね。そういうものが行政協定にもない、各省もそんなのタッチしておらない、自分かってに原爆病の研究をしている、こういうものが、一体諸外国にそういう特権的なものがあるのですか。まあ厚生省に尋ねると、これは厚生省の管轄かどうか知りませんが、ぼくはそれを聞いてどうも理解しがたいのですね。もちろん土地を借りれば土地の使用料を払いますし、税金も納めていると思いますが、しかし、そういうことでなくして、原爆病という相当困難な研究をしておるのですが、それが向こうのしっぱなしだということは、独立国としての体面というよりも、むしろ立場からいっても、何かの監督すべき機関があってもいいのじゃないかと思うのです。それはぼくらは国会議員という資格で行ったのじゃないですよ。一切入れませんよ。何をやっているかわからぬ。警察権が入るかどうか知りませんけれども、そういうこと調査されたかどうか。ぼくの言う治外法権というのは法的なものではないかもしらぬが、実質的には全く治外法権のような形ですよ。こういう点に日本政府のちょっとずさんなところがあると思いますね。厚生省の管轄でなければどこの管轄か言ってもらったら、そこへ行って話しますが、厚生省であれば、一体中でどういうことをやっているか調べられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/11
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012・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 管轄というようなはっきりしたことばが適当であるかどうかは存じませんが、実質的には研究内容、研究の方法については、日本の予研の支所と協議をいたしながら研究計画を立て、また、その発表等につきましても協議会を開きまして、そこで検討した上で日米語両文で発表いたしております。したがって、非常に協力もし、実質的にはこちらの意見がかなり入り得るということでございまして、私自身ABCCへ参りまして、向こうの責任者にも会い、こちらの支所の連中にも会って十分話し合いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/12
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013・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それでは開きますが、あなたらが行って、どういうことを協議しているか知りませんが、あなたのほうからこうせよという権限はもちろんないですね。ただ、協議をするということで、話し合いということで、向こうが紳士的に出ておる間はいいけれども、非常に重要な問題になってきたならば、いやこの研究資料は出せないといえば、あなたのほうからこれを出せと言うことはできない。これは向こうへ行って聞いてきたのです。それは、あなた対等でいろいろやっていると言うが、具体的には向こうのほうが主体になっているようですよ。だから、あなたここでそういう自信を持って言われるなら、一応ここでは私はそれはその点でおさめておきますが、ぼくはいまのようなままにはしておけないと思うのです。したがって、そういう協議とかいう問題じゃなくて、やはりそういう研究をさせるならさせるということで、はっきりと両政府間における協定があるか、あるいは何らかの法律根拠をもってやらすべきだというのが私の主張です。そういうことでもって、向こうに働いている人について一応の安定感が出てくると思うのです。いまの場合だったら、日本の政府はどこも知らない。しかも相手方はアメリカさんのほうですから、向こうが自分の研究が済んだら帰ってしまうと思う。一体どうなるんですか、向こうに働いている人は。一体、あの研究はどこの国のためにやっているんですか。それを聞きましょう。これはあなた言われなかったら厚生大臣に、どこのための研究をやっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/13
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014・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これは、やはり非常に人類の歴史における貴重な経験でございますので、詳しいデータをとりまして将来のために参考にするという意味では、全人類の福祉のための研究であろうと思います。ただ、アメリカの占領時代に、アメリカの機関が最初に手をつけて、非常にもう研究が地についているという点で、急に日本政府に転換するというようなことはやはり困難であろうということは、事実としてやむを得ない点だろうと思います。しかし、もちろん日本政府としても研究機関を設けてやっておりますので、もしそのような機関が撤退するようなことがあれば、日本政府としても、必要な研究は将来続けていくことになろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/14
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015・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それは厚生大臣としての意見ですか、どうですか、政府の意見……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/15
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016・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 局長が答弁して、私がここにおって了承している以上、私の答弁と同じである、こういうふうにひとつお考え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/16
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017・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはあなたそう言うけれども、そうでないときがよくありますからね。それで、いろいろ言いたいことがありますが、これが重要な研究所であるということはわれわれも認識しております。向こうは原子病については相当突き進んだデータを持っているということも聞いているのですが、いま言われたように、もしアメリカが研究は一応終わった。しかし、原子病、原爆病に対する研究というのは相当——あと五年や十年で終わらぬと思いますが、聞くところによると、向こうのほうも一応ある程度の段階の研究が終われば引き揚げていきたいというようなことも言っているのですが、そのあとやはり日本政府は、いま支所がありますけどれも、それを拡大して、あのまま引き継いで研究を進めていく、こういう意図であるという答弁を局長された、これを大臣が認められたということでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/17
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018・小林武治
○国務大臣(小林武治君) 規模とか内容とかについてはあのままということにいくかどうかわかりませんが、とにかく必要に応じてそれは継続されなければならぬのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/18
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019・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは局長も向こうへ行ったと言われますが、その点はひとつ、国会にこの問題を取り上げた議事録を二回ぐらい見たのですが、そのほかにまだあるかと思いますが、この点がぼくは心配になったのでお尋ねしたのですが、相当費用のかかる研究だと聞いております。したがって、厚生大臣がいま、規模などそのままにしておくかどうかは別として、続けていくということはわかりましたが、しかし、実際問題としてあれだけのものを引き継ぐとなれば、厚生省もある程度の腹がまえを持っておらなくちゃいかぬと思いますが、局長は、年間予算どのくらいでアメリカがやっているか、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/19
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020・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 具体的な数字は、現在私承知しておりません。ただ人間の点では約千名程度の職員がおると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/20
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021・山本伊三郎
○山本伊三郎君 厚生大臣どうですか。それくらい、大体千名くらい従事しておる、しかもそれが研究関係の方々がまず三割くらいあるようですが、それを日本政府は引き継いでやるというくらいの政府に原爆病に対する熱意はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/21
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022・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いま申し上げましたように、研究の進行の程度もございましょうし、しかし、これはなかなかもう何年で片のつくという問題でもあるまいと存じますから、いま申し上げましたように、規模とか程度とかこういうものは別にいたしまして、もし将来そういう事態になるならば、日本政府としてもこれをある程度引き継いでやっていくというふうな考え方は持つべきであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/22
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023・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃこれはお願いしておきますがね、向こうが一方的にいま何でも押しつけてやっておるようですが、特に研究家ですからね、だいぶ変わった性格の人が来て管理をしておるようです。しかし、私はいいか悪いかそういうことは言っておらない。したがって、労務管理、人事管理もきわめて一方的にやられておるようです。そういう点で、できれば、法律上何とも干渉することのできない立場に厚生省はあると思いますが、ある程度やはりそういう点についてサゼスチョンか何かしてやって、問題の起こらないように努力をしていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/23
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024・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これは、当時、そういう協定を結びたいという申し出がありましたが、日本政府としては、日本の国内法に従って万事をおやりになる以上は特別の協定は要らないと、こういうことで当時具体的の協定をしなかったということで、原則的にはすべて日本国内法に従う、こういうことに相なっております。ただいまのような御心配があれば、私どもはいまの権限とか、そういうことでなくて、やはり要望すると申しまするか、御注意申し上げるというか、そういうことはあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/24
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025・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/25
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026・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。
午前の質疑はこの程度にとどめ、午後は一時三十分再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時三十三分休憩
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午後二時七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/26
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027・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) これより内閣委員会を再開いたします。
厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、午前に引き続きこれより質疑を行ないます。
政府側から梅本官房長、今村国立公園部長、若松公衆衛生局長、舘林環境衛生局長、尾崎医務局長、熊崎薬務局長、牛丸社会局長、黒木児童局長、小山保険局長、竹下医療保険部長が出席されております。なお、小林厚生大臣はただいま衆議院本会議に出席いたしておりますが、間もなく本委員会に出席いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/27
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028・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それでは午前に引き続きまして若干の質問を続けたいと思います。
最初に、婦人相談員についてですが、これは非常に現在重要な役割りを演じておると思うのです。そこで現在婦人相談員というものを一体どれくらい全国に配置しておるのか、これをちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/28
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029・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 全国で三十八年四月初め現在で四百七十五名でございます。これは婦人相談所というものが各県一カ所ずつございまして、大体そこを中心として活動をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/29
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030・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは主として何ですか、都会中心に駐在しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/30
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031・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 各府県の大体県庁所在地というような、そういう都市に婦人相談所がございまして、そういうところに婦人相談員が配置されておるわけでございますから、大体都市が多いわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/31
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032・山本伊三郎
○山本伊三郎君 三十九年度予算で約四千五百万円ほどの増額になっておる、これはぼくの見ておるのは間違っておるかどうかわかりませんが、婦人保護費といっておりますね。四千五百万円、約一〇%程度の増額になっているんですが、これは何か婦人相談、そういう婦人対策について新しい計画というものがあってなっておるんですか、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/32
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033・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 婦人相談員に関連する増額につきましては、これは主として相談員の待遇改善費がおもでございます。特に三十九年度におきましては婦人相談員の活動旅費及び事務費として一人当たり月額二千円を支給するということが予算措置されましたので、大体現存は相談員一人当たりの月の手当が一万二千円でございますので、実質上給与の改訂というような意味を含んで二千円の手当の増額、そういうものが新規でございまして、そのほかは一般のこういう社会福祉施設の職員の待遇改善の一環といたしまして、本俸諸手当の増額を昨年の公務員並みにこの四月から引き上げる、そういう予算措置がなされたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/33
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034・山本伊三郎
○山本伊三郎君 婦人相談員の待遇の問題は、あとでちょっと聞きますが、現在婦人相談員は常勤でないと思うんです。私も三カ所ほど視察をしましたが、婦人相談員に、これはこう言うて失礼ですが、適格な人がおのおの選ばれているんですが、歴史的に見ると、その土地の有力者といいますか、あるいは有識者といいますか、そういう人が当たっておるわけです。その当たっておる人はいいんですが、相談に来る人の立場から見ると、何か寄りつきにくいような環境というか、そういうものがあるんじゃないかという私は見方をしたんです。婦人相談員の方々にもいろいろ尋ねてみたんですが、相談に来てもあとは続かないと、こう言うのですね。したがって、何かこれをそこへ相談に来る人は、一つ間違えばどろ沼に落ちようという境の人が多い、しかし、どうも一ぺん相談に来るけれどもあとはどこへ行ったかわからない、こういうことで都会へ出てきた人が悪い道に入っていく人が多いのじゃないかと思う。したがって、自分らにもう少し常勤というか、何か余裕があれば、住所がわかっているんだから調べにいっていろいろ指導もしてあげたいんだが、いまの実情ではそれがいかない。ただ気の毒だと思いながらも、実はそのまま若い婦人が悪の道に落ちる人も多いように思う、こう言っているんですが、厚生省としては、そういうものに対してもう少し積極的な設備といいますか、そういうものを強化するという考え方はどうなんですか。あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/34
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035・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) 御指摘のように、婦人相談員は結局は人を得ることが一番の要諦でございまして、相談員業務というものは非常にむずかしい、人情の機微に触れるようなわけでございまして、いままで大体四百七十五名の職員全部非常勤でございます。これはいま御指摘のように、常勤にして非常にそういう業務に専念できる方もおられるわけでございますが、一般的に申し上げますと、常勤ではなかなかそういう仕事はできない、むしろ非常勤ならばお手伝いもできるというような方々が多かったような経緯もございまして、いままでは非常勤ということできているわけでございますが、これは今日の段階におけるいろいろなそういう実態もよく勘案いたしまして、将来はたとえばその中で常勤にできるほうがむしろ本人もそういう希望があるし、また、業務の実態からいっても適当な者もおろうかと思いますので、そういう点はこれからの問題として検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/35
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036・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあこれから検討されるということはけっこうなんですがね、都会へ出てくる婦人で、非常に何といいますか、思想的にも家庭的にも固まっていない人が相談に来るのですが、私は非常勤の人はそれだけの役割りを果たしておると思うのですが、何かその下に、下にというと悪いのですが、補助的な人で常勤の人がおって、いろいろ家庭調査なり、その人方の行くえとか、職業の、人権を侵さない程度の相談に乗ってやるいわゆる出張指導と申しますか、そういう制度が私は必要でないかという、そういう考えを持ってきたんですがね、この婦人相談というものについてはまだほんの初歩的だと見ておるのですが、もう少し充実していく必要があると思うのですがね、厚生省としては、たくさんそういう社会保障とかいろいろの関係がありますから、そうこれだけに力は入れられないでしょうが、大体これができたというのは、私は現場で聞いたんですが、売春禁止法ができてその人方の御相談にあずかるということから出発したと聞いておるのですがね。今日はそれ以外の婦人相談が相当出てきておると思うのです。そういうものは厚生省のあなたのほうで何かキャッチされておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/36
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037・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) これが設置されました経緯は、ただいま山本先生がおっしゃったように、いわば現に売春をやっている人たちの相談相手ということから出発したわけでございますが、三十八年度からはそういう要保護女子の保護更生はもとよりやるわけでございますが、そのほかに転落の未然防止についての積極的な活動もやるというようなことで、現在はむしろそういういなかから家出をしてきて、そのまま放置すれば売春婦に転落する危険があるというふうな者が、警察なりその他からの連絡がある、あるいは自分たちの活動によって発見された、そういう人たちも相談所に誘致しましてそうしていろいろと相談業務をやる、そういうむしろ防止の面を積極的に三十八年度からはやっておる、そういうふうな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/37
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038・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いや、私はこの制度は非常にいいと思っておるのですよ。それで、もう少し積極的に何とかそういう措置、設備なんかはやれぬかと思うのは、これはたとえば私の思いつきですが、上野駅とか、大阪であれば大阪駅とか、そういう地方から来るようなところにいろいろ相談所があるのですよ、警察署の出張所があるのだが、婦人というものは特殊な感情を持っていますから行けない。そうすると、客引きみたいな者に引っぱられて悪の道に走っておるというような実例もありますから、そういうことで、そういう婦人の保護ということを積極的にやれぬかということを、具体的に言ったらそういう意味なんですがね、厚生省はそういう気持ちないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/38
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039・牛丸義留
○政府委員(牛丸義留君) そういういわば要所々々に専門のそういう相談所のいわば出張所をつくるとか、あるいは現在警察とかそういうふうなところで一応把握されたものを連絡によってやっているというような状況でございますが、その辺のやり方につきましては、ただいま御指摘の点もございますし、むしろもっと相談員がそういう相談所にむしろ出向くようなやり方もございましょうし、あるいは別個につくるというやり方もあろうかと思いますので、その辺は前向きで将来早急に検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/39
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040・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは婦人の数からいくと、ほんのまれな件数だと思います。警察の婦人警官というのがおるのですが、ところが、警察になると、そう簡単に純真な婦人はよう相談に行かない、むしろ警察は悪に走ろうという者を摘発するというのが役目ですからね。そういう点で、いろいろ厚生省はこういう社会施設を持っておるのだから、なかなか金は要ることですが、現在の婦人相談所というのは何か、こう言うと非常に悪いのですが、こういうことをやっておるのだということで積極的に来た人には相談に乗るけれども、実際そういう迷っておる婦人に対して保護しようというところまで私は積極性はないと思うのですが、また、いまおられる婦人相談員もいわゆる相当な有識者で一応の社会問題に対する考え方を持った人です。だから私はそれは非常にいいのですが、それだけでは私は婦人の保護ということはなかなかできないと思います。この点はひとつ、きょうはここで結論をどうこうというわけじゃないですが、将来婦人問題として、売春禁止法から離された人だけでなくして、新しく婦人でそういう方面に誘惑されようという人を救う、保護するという立場から積極的にやる考えがあるかどうか、これをひとつ厚生大臣に答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/40
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041・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いまのお話のことでありますが、これはもう売春禁止法ですか、あの法律に基づいてできた婦人相談員でありますが、一般的な問題は民生委員が相談にあずかる、しかも民生委員を全国的にも相当数これから婦人を増していこう、こういうふうな傾向で、漸次婦人がふえておる。さしむきは婦人の民生委員の活用によって一般婦人問題についての相談に乗りたい、こういうふうに考えておりますが、今後推移を見まして、また、そういう特別の必要があれば考えたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/41
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042・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それは現実に厚生大臣もそういうととろに出くわしておられるかどうか知りませんが、なるほど民生委員あるいは婦人相談員、これはりっぱな人がおられて指導はしていただいておるのだが、実際入ろうという入り口でこれを保護するというのが重要な問題になっておるんじゃないかと思うのです。特に東京あたりでは上野とか新宿などでは相当そういう悪の道に連れられていくということはあるのです。現在それを警察が一応取り締まるという立場から保護しておるようですけれども、しかし、もう一歩突き進んでその人らの身のうちに入って相談してやるというような施設を、ああいう福祉事務所とか、あるいは役所の一角に相談員がおってくれれば、相談してやるというのじゃなくして、そういう事件を起こすようなところにそういう厚生省の婦人相談員というものがおるのだということを私は一つの保護するいわゆる施設じゃなかろうか、こう思っておるのです。婦人の感情から聞くと、困ったときには何か寄りつきたいというところが必要なんです。まず最初は身寄り、親戚をたよろうとする、これはだれかの小説にあるように。ところが、警察というと、やはり入りにくい、役所といってもなかなかそこまで相談にいくという勇気もつかない、そのうちに甘言につられて悪の道に入るというのが相当おるように聞きますが、厚生省というのは非常にそういうことで印象もいい名前でもあるわけですし、そういう意味で、私は自分の着想というわけじゃないのですが、今後そういう方面も若干積極的に考えてもらったらいいじゃないか、こういうことです。いま厚生大臣は民生委員とか言われたけれども、それもいいけれども、そういうものも必要でないか、こういうことです。ひとつ概念を区別して考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/42
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043・小林武治
○国務大臣(小林武治君) お話のあれもありますから、ひとつ急いで検討していくことにいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/43
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044・山本伊三郎
○山本伊三郎君 次に、母子福祉関係ですが、これも相当今度約一億ほどの増額をされたようです。予算委員会でそんなにこまかいことを一々聞けなかったのですが、これは相当三十九年度から母子福祉に対して新しい試みもあるようですが、ここに載っているようですが、概括してどういうことを新しく考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/44
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045・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 母子福祉に関しましては、昭和二十七年に議員立法で、母子福祉資金の貸付等に関する法律というのができたのでありますが、それに基づきまして、母子世帯に対して事業資金とか、あるいは子弟の入学資金等を貸し付けておったのであります。これは国が三分の二を貸し付けまして、残りは都道府県が特別会計をつくりまして出資するというたてまえになっておりますが、現在までに約百億円ほどを貸し付けております。人員は四十八万人でございますが、しかし、十数年たちますと、いささかこの施策もマンネリズムになりまして、と申しますのは、いわゆる戦争未亡人というものがだんだん減ってまいりまして、生別、死別の母子世帯というのが総体的にふえてまいりまして、そこで新たなる観点から、母子福祉対策というものを取り上げ直す必要がある。特に社会保障制度審議会の御答申の中に、低所得者たる母子世帯に対して重点的に国費を投入すべきだという勧告もございまして、これによりまして、今国会に母子福祉法の法案というものを立案をいたしまして御審議を願っておるところでございます。これは従来の資金の貸付等に関する法律に、最近、母子休養ホーム、母子福祉センターといったような母子の福祉のための施設の予算化ができましたから、これを新しい法案の中に取り入れまして、母子福祉の向上をはかっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/45
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046・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは前の婦人相談員との関連もあるので、一括して聞きますが、母子福祉に関しても相当相談に乗る人もいると思うのです。この人らの待遇がきわめてということはどうか知りませんが、よくない。そういうことから私はそういう実績があがっておらないのじゃないかと思うのですが、今回は若干先ほどの質問にありましたが、婦人相談員に対しての若干の手当をふやしたようですが、これはもう少し常勤化して充実するという考え方は、厚生省は持っておらないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/46
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047・黒木利克
○政府委員(黒木利克君) 実は御指摘の問題は、参議院の段階におきまして修正を受けまして、この母子相談員は非常勤でありますが、相当な知識経験のある者は常勤とすることができるというような修正がございまして、現在衆議院へまた回付されまして御審議を願っておるのでありますが、厚生省としましては十数年たちまして、母子相談員の中には大学を出た人も、あるいは専門家もだんだん多くなってまいりましたし、勤務の形態も常勤的な状態になってきた者が多くなりましたから常勤化したいと思っておったのでありますが、たまたま先ほど申しましたような国会の修正で、厚生省の日ごろ考えておりましたことが一応実現の一歩を踏み出したという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/47
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048・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは何と言ったって予算の伴う問題ですから、いいからといって私はすぐそれが実現するということにはならぬとは思っております。がしかし、ひとつ芽だけは、はやしていかなければ生長しませんから、その意味において、私は婦人相談員と同様に、母子相談員についても常勤の人を配置して、積極的に私は指導してやらなくちゃならぬと思ってるのです。これは婦人は特殊な感情といいますか、性格というか、社会的環境に育っておられますから、やはり婦人でなければ相談がなかなか無理だと思うのです。金だけ貸したから、必ずしもそれで更生し、生活、職業指導と、そういうふうにはならぬと思うのです。そこにやはり精神的なものが根強くあると思うのです。その点は私は強調したいと思うのです。それがためには、相談員の充実と申しますか、待遇をよくしなくちゃいけない、この点は特に今後年とともに強化をしていただきたいと思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/48
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049・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いまの母子相談員の給料というものは国庫補助の形でなくて、交付税の算定基準に入っておる、こういうことでその基準をひとつ引き上げてもらうということを自治省にお話をして今後もそれをいたしたい。それから、やがてこれが常勤になりますれば、もっとほかのことも考えなくちゃならぬというふうに考えております。すなわち、ある程度国から補助金を出すというふうな問題も起きてくると思うのでありまして、参議院の修正で来年四月一日から、ある部分が常勤になるということにきまっておりまして、その法律もいま衆議院の本会議を通りましたから、決定をいたしたのでありますから、お話のような向きにひとつ進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/49
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050・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ婦人相談と母子福祉については一応この程度に置いておきたいと思うのです。
次に、これは一番大きな問題ですが、これは厚生大臣も非常に自信を持って発表されておるのですが、健保と共済のプール制の問題です。これは私もいいアイデアだと思っているのですが、なかなかその実現がむずかしいのじゃないかと思っておるのですが、これは厚生省としては、相当計画なり、また、それに対する法律案あるいはまた、資金の面というものについては、相当前進しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/50
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051・小林武治
○国務大臣(小林武治君) この問題は、もういわば数年来検討されておる問題でありまして、次の通常国会には、この問題についての法律案を出したい、こういうふうな考え方を持っております。内容等につきましては、さしむき新聞等に発表をしまして、そして一般の批評なり検討なりを得たい、こういうことで一応の試案という程度のものを発表いたしておりまして、さしむき私どもの考えとしましては、職域の健康保険組合、また、政府管掌健康保険、また、共済等を一応対象といたしまして、分担金をもらって一つのプール資金をつくる。それによって、いままでの共済組合の欠陥であった定年等によってやめられて当然国民健康保険に入る方々をこの対象にして、ある程度の給付をいたしたい、こういうふうな考え方、すなわち、退職者あるいは中途離職者を対象にしたい。それにつきまして、いろいろの方法が、給付の程度についても問題がありまして、一応は家族あるいは世帯主も七割というふうなことを発表しておりますが、国民健康保険が七割になるから、それでは利点がない、こういうこともありまして、いろいろの御批判を受けて、御注意を受けて、そして内容を改善して、そういうものを法律案といたしたい。それについては、国庫がどれだけ見るか、こういう問題も出てまいりますが、いずれにしろ、できるだけ各方面の御意見を承りたい、こういうことをいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/51
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052・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは考え方としてもおそきに失する問題ですが、ただ問題は、経費の負担という問題が一番大きいと思うのです。私は新聞で見、また、関係者に若干聞いておるのですが、直接きょうは厚生当局が見えておりますので、何もこれが最後の原案でないと思うのですが、現在省の負担は、現在ある職域健保、政府管掌、それから共済健保、これの単位グループおのおのの分担の割合はどういう程度に考えておりますか。国のほうの負担はどういう程度に考えるか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/52
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053・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) その点は今後の問題でございますが、ただいま大臣が例示的に申されたことについて申し上げますが、一時的な離職者の医療の問題を解決するための費用としては、全体の四分の一を国が負担する。それから二分の一をプール基金が負担をする。残り四分の一を本人が負担をする。一応そういうめどをつけております。こういうふうなめどを立てましたのは、離職者はいずれにしても収入の源泉が断たれるわけでございますから、失業保険金等をもらうことになりますので、収入は従来の六割程度になるわけであります。そういうようなことを考慮いたしますと、従来納めておった保険料のやはり半分くらいでなくちゃ無理であろう、こういうようなことで、本人が出し得るものとしては全体の費用の四分の一ということを一応めどとして考えております。それから国庫負担の四分の一というのは、先生よく御存じのとおり、失業保険の国庫負担をいま四分の一にいたしておりますので、少なくともこの離職者の医療の問題については、国もこの程度は負担すべきではあるまいかというような考え方をもとにして四分の一、結局二分の一というものを現役の労働者及び事業主全体で持つということで考えてみよう、こういうことでおおよそのめどを考えたのであります。
それから老齢者の医療のほうの関係ですが、このほうが費用としては将来大きな問題になるわけでありますが、大臣も申されましたように一応、試案として掲げております七割給付というのは、実は給付としてはあまり魅力のあるものではございません。しかし、一応めどとして七割としました場合に、七割のうち四割分は国に持ってもらう、こういう考え方をとっております。残りの三割は、二割をプールの基金で持ち、一割を老人が持つ。これは非常に老人にとって分担率の低いような数字に見えますけれども、御承知のとおり、老人の医療費というのは非常にたくさんかかります。ほんとうにやるということになりますと、普通の人の医療費の八割増しくらいな医療費を見ておかなくてはならぬ。そうしますと、いま申し上げました一割を持つという程度でも、その老人があまり収入がなくて、国民健康保険にいたとしたら、ほぼその程度は持つだろうというめどのものがそこにくるわけであります。
それから国庫の四割というのは、現在、こういう老人に対して国は国民健康保険をつくってある程度の負担をしているわけであります。その場合、現在、基礎率として御承知のとおり、二割五分国が負担している。目下、世帯主及び世帯員を七割に引き上げる計画が進行中でございますが、その場合に、五割を七割に引き上げる二割分の四分の三、つまり全体の率から見ますと、一割五分を国が持つというめどで補助金を組んでおります。そういうようなことから、二割五分と一割五分合わせて四割というものを持つと、少なくともこういう施策をすることによって国がいままで医療保険に持っていた国庫負担を減らすということは考えたくないというので、まあ横に移しておる。それから三番目の大きい施策としては、いま被用者保険では法定給付率五割になっておりますが、これを七割に引き上げるということを考えております。七割に引き上げるための二割分は、これはひとつプールで全体として持とうじゃないか。おもな費用はそんなものでございますが、そういうようなものをプールで受け持っていく。その場合に、金の集め方としては、一応の考え方として標準報酬と、それから各保険の被保険者の数をもとにして納める。それから配分の場合には、ただいま申し上げた離職者の医療のための分担金と、それから老齢退職者の医療のための分担金は、これは優先的に差し引いて、残りの分は今度はそれぞれの保険制度の財政状況あるいは被扶養者の状況、その他の状況を勘案した一つの基準をつくりまして、そういう基準によって配分をしていく、いまのところ大体そういう筋道を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/53
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054・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは本人の退職者の負担が一番重要な問題だと私は見ておるのですが、ちょっと聞き漏らしたか、聞き違いか知りませんが、最初の説明では、職域の健保、共済が全費用の二分の一、それから国の負担が四分の一、本人が二分の一というのは、これは従来かけておった掛け金の保険料の二分の一と、こういう意味ですか。それともう一つ、退職者のうち老齢者と区別して説明されたというのですが、それはどういう意味で区別されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/54
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055・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 前段の点は、先生仰せのとおりでございます。一時的な離職者のために必要な費用の四分の一分を保険料として負担をさせる。しかし、その保険料は、先生がおっしゃったように、本人がいままで現役の労働者として納めておった保険料のほぼ二分の一に当たる、こういうことでございます。それからいま申し上げました一時的離職者の医療の内容は、健康保険の現在の内容と全く同じにするという考え方でいるわけであります。
それから老齢退職者のほうの医療の内容は、本人も家族も七割、こういうような考えで一応おりまするので、両方の制度のそれぞれの費用が若干違ってくると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/55
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056・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この老齢者というのは、厚生年金の要するに支給開始年齢の六十歳とか、そういうのを基準に持っておるのですか、年齢の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/56
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057・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 遠い将来の制度の問題としては、おっしゃるように、厚生年金の老齢年金の受給資格を持った者で、職場を離れた者を将来ともずっとめんどうを見ていく、そういう考え方をとっておるわけであります。ところが、先年御承知のとおり、現在まだ厚生年金の受給資格を満たした者が非常に少のうございますので、こういう段階でこの制度をそのままやりますと、当分の間、国家公務員の系統の者だけが受給資格をたくさん持って、一般の労働者は比較的持てないということになりまするので、少なくとも五年ないし十年ぐらいの間は、五十五歳から六十歳までの間は過渡的に一つの緩和された受給資格要件を設けまして、公平に全部の者に行き渡るようにしていって、時の経過とともに恒久的な姿に移していく、こういうふうにしたいという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/57
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058・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これからの労働力の需給関係から見て、老齢者以外のいわゆる被保険者から除かれるという人はきわめて私はわずかな人数になるのじゃないかと思うのです。しかも失業期間というわけじゃなしに、そのまま職を離れるという人がこれに該当するのじゃないかと思うのですがね、老齢者以外の場合。この場合どうなんですかね。そういう必要が、老齢者に対する医療給付以外にそういうものの対象が相当ある見込みですか、職場を離れるということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/58
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059・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) ごもっともな御不審でございますが、私の説明が少し省略されましたので、その一時的離職者というのは、先生がおっしゃる失業者をはじめ、まあ事実上制度をやるとなると失業者と区別できないので、そういうものも含めて一年間だけこの制度でめんどうを見よう、こういうわけであります。御承知のとおり、いま一つの職場から次の職場に移ります場合に、統計によりますと、ほぼ一年のうちに八割四分くらいの人は次の職場に移っております。現在の制度では、こういう人は一時健康保険から離れて、制度上は国民健康保険に入って、職場にまたついたときに健康保険に戻っていく、非常に複雑な出入りをするわけであります。これは制度上そうでありますが、実際上はとかくやめたあと国民健康保険への届け出が十分でなかったりして、事実上はその間保険の保護を受けないような結果になるおそれがあるわけであります。今後労働力の移動というものが横の関係でもっと活発に動く、また、それが望ましいという情勢だとすれば、ここのところはもっとスムーズにいくようにしなくちゃいけないというので、まあ考え方の基本としましては、やめてもほぼ一年間は従来の健康保険と同じような保護が受けられるようにしていって、ずっとその人が現役の労働者で働いている間は被用者保険で守っていこう、こういうことが考えになっておるわけであります。人数は、失業者及びこれに準ずる者を入れまして大体年間六十五万前後というふうに一応推算をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/59
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060・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そうですがね、六十五万人もありますかね。そこで、そういう失業的な、被保険者を脱退するということはそれはあることはあるでしょうが、その場合常に職場保険、健保に入っている人が病気でやめた場合は、給付期間がそのまま前の健保の資格でなしに受けられますから、ぼくはそうたいしてこれには不利益はないのじゃないかと思うのですね。しかもこれは何ですか、二分の一本人負担するのですが、いまの健康保険法による強制加入ということにもちろんなるのですね。この場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/60
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061・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) おっしゃるとおり、やるとしますならば強制加入にすべきだと思っております。ただしその場合、今度は場合によっては所得のない人を強制加入して対象者にするわけでありますから、普通の被用者保険とは違って、やはり保険料について場合によって免除できるという制度は導入する必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/61
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062・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあこれは法律案が出たときにやっていいのですが、出されるときに、ぼくはまあえらい口はばったい言い方ですが、間違いを起こしちゃいけないから尋ねているのですが、職を離れるのですから給与所得がないというのが原則であろうと思うのです。健康保険においては財産収入とか、そういうものは考えられないのですから。所得というものは、給与所得というものが原則ですからね。その場合に何を基準に保険料をきめるか。標準報酬というものがなくなっちゃうのですから、前のやめた当時の標準報酬を基準に掛け金をかけるということになるのですか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/62
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063・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) さように相なると思います。やめたときの給与がもとになって失業保険金も出るわけでありますから、広い意味ではそれとリンクさせたような保険料のきめ方になるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/63
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064・山本伊三郎
○山本伊三郎君 その場合どうですかね。もういわゆる保険料を徴収する義務者もない、いわばまあ任意加入のような形になっていくと思うのですがね。その場合に、これは事務的に考えると、本人負担というのは無理でないかと思うのですがね。負担公平の原則からいくと、離職者、いわゆる被保険者でない者に医療給付をやる場合に、本人は一文も払わずに国と既存のいわゆる健保組合なり政府管掌の組合から負担するということは、何かそこに不公平なような感じがするのだが、せっかくこれをやるということになれば、やはり国がもう一歩前進して、そういう本人の掛け金というものを考えずに、職域のほうの負担と国の負担でその期間まかなうという考え方にもう一歩前進さすわけにいかないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/64
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065・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) まさしく先生おっしゃるように、そういう考え方というものが十分あり得るわけであります。そういうことも含めまして、大臣が先ほど申し上げたことですが、これから関係団体との間にとくと相談をいたしまして、何とかいいものに練り上げていこう、こういうふうにしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/65
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066・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは厚生省の皆さんには釈迦に説法ですが、現在の長期給付も私そうだと思うのですが、短期給付の場合は、被保険者である場合にはいわゆる保険料という負担をしておるのですね。その場合は病気にかかろうとかかるまいと、一つの財源率の計算で一応負担しておるのですね。たまたま職場から離れたからといって、おまえはもう被保険者でないからといって仲間はずれにするということは、これは労働者の連帯責任から見ても、また、政府の労働対策からいっても私は間違いだと、私は昔からそう言っておるのですが、そこへ踏み切ってきたことはいいのですが、そうかといって現在の職域保険組合なりあるいは政府管掌もそうだと思いますが、共済組合もそうですが、それだけの費用負担を保険料に見てないですね。それに、プールに金を出すということは、これはまたいまの保険経済からいくと問題がある。私はこれをやる場合に、財源負担というものをはっきりと把握して、できれば私は、失業しあるいは離職して後にも、本人負担なく、やはり医療給付、短期給付は受けられるという原則を踏まえてこの案というものを考えなくちゃならぬと思う。そうでなければ結局、本人は二分の一にしてもまた一〇%にしても、負担をしてやるということになれば、そうありがたみはないと思う。しかも老齢者に対する医療給付については、国保と同じように七〇%ということで抑えるとなれば、これは魅力も何もないですよ。ただ厚生省が——厚生省というと悪いですが、政府が人気取りにアドバルーンを上げたというものになって、結局羊頭を掲げて狗肉を売るというようなものになるんじゃないかと思う。あまりひどい言い方か知りませんが、できない先から私はこういうことを言うのはどうかと思いますが、できる前に発言しておかないといけないと思いますから。この点どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/66
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067・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 先生がおっしゃるような批判が現にございます。それで先ほど大臣も申されましたし、私も申し上げましたように、まず、第一次的にはそういった仕組みをつくっていくということに重きを置いて考えたいということであります。それから第二には、先生おっしゃったように、その仕組みの中にはんとうに喜ばれるような内容を入れていく、こういうことになるだろうと思います。ただ先生よく御存じのとおり、私は老齢退職者の医療については、非常にへりくだって申し上げたわけですけれども、ただ現実の問題ですと、やめた直後、所得は何もないときに、実は前の年に退職金をもらったということだけのために非常に多くの国民健康保険料を納めにゃならぬということになって、退職者がみな泣いておるわけであります。少なくともそういう問題はなくなる、それから将来にわたって七割ということは私必ずしも基準にはならぬと思います。おっしゃるように、よくするという道は幾らでもあります。それからなお詳しく申し上げませんでしたが、かりに七割にしましても、本人の負担分については天井を設ける必要があると思います。少なくとも月の本人負担が、たとえばの話でございますが、二千円をこえるときは二千円にとどめるとか、そういうようなことで老齢退職者が将来長い間安心をして医療が受けられるようにしていく体制をつくり上げる、こういうふうにしたいと思っておるわけですが、先生の御批判の点は何といっても、こういう問題を考えていく場合に絶えず考慮に置かにゃならぬ点だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/67
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068・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私の言わんとするところは、言かなくても厚生省の人はよく専門家で御存じだと思いますが、国保も私あれじゃ不満なんですが、一応国保は別にしましょう、この職域短期給付の場合は、働いておる間にすべて一生の間の医療給付を受くる権利をとるのだ、そのかわり義務も果たさなければならぬということはわかります。これは単なる公的扶助じゃないのだから、本人の負担もこれはある程度やむを得ない。そういう意味において私は国の負担にあまり依存するということは好まない。国で負担するといっても税金で全部出しておるのですから、今日の税制から見ると、労働者のほうの勤労所得の負担というものは、いわゆる国税、地方税を見ても相当ウエートが高いのですから、自分が出したやつで補助をもらっておる。私はもう少し事業主の理解を得たいと思う。現在すべて国保、政府管掌は折半主義だと思うのですがね、組合管掌のほうは負担割合は若干自由になっておりますが、それを厚生省は最近折半主義を指導しているということを聞いておるのですが、それはほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/68
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069・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 最近特に折半主義を強く言っておるという事実はございません。数年前からたとえば組合などであまりに本人の負担が少なくなってしまって、政府管掌の負担との間にあまりひどい違いが出過ぎるというような場合には、もう少しつり合いをとるようにという指導をしてまいっておりますが、その場合でも相当のゆとりを残しております。その後において特にそれを強く言っておることはございません。なお、先生の仰せの制度論として、一体均分負担の考え方というものを墨守するのかどうかという点は十分これは検討に値すると思っております。たとえば所得の低い被保険者の場合に、必ずしも事業主と被保険者が均分でなければならぬというふうに機械的に考えるということは、世界の傾向から見ても必ずしも必要ないことでございますし、また、現に社会保障制度審議会も昭和三十七年にそういう考えを一部答申の中に入れておりまするので、それらを含めて研究をしておる、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/69
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070・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ぼくはこの均分主義には賛成しがたい、大体あの職場保険、被用者保険においては、いわゆる疾病それ自体は、これは職業病の場合はもちろんのこと、それ以外でも、職場の施設その他環境からくる疾病というものが私相当ウエートが強いと思う。これが同じように事業主と被保険者と均分で負担するということについては私は反対です。ある一説では、賃金さえよく上げたらそれでいいじゃないか、私それでも賛成しない、幾ら労働者の賃金を上げても私は制度の上では反対だ、したがって、私はある程度事業主の負担が重くなるというのが、被用者保険の原則だ。そういうことから考えて、私は退職者の後における医療給付についても、その在職中にそれだけの財源をみたものを一応蓄積して、本人が在職中被保険者というだけでなくして、あなたのほうの生命表でも財源の計算が出ると思う。その間のものも一応とっておく、そうして、やめたあと職のないのに年いってから保険料取るのだ、こういう考え方は、私は制度として間違いだ。働けるときにはある程度の負担割合を負担していく、そういう制度でなければいかぬと思う。この点についてどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/70
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071・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 私も先生のお考えが特に将来を目ざした場合に非常にりっぱなお考えだということは感じます。ただ現実の問題としては、先生御存じのとおり、年金についてさえまだ先生のようなお考えによる賦課式が日本ではとり切れないで、積立式というものをとる現状でございますから、医療保険に、先生のおっしゃるほど進んだのがにわかに取り入れられるかどうかということはなかなかむずかしいと思います。絶えずそういうことを考慮に入れて、昔流に何か保険だからということで、私保険と同じような方向に持っていくことが制度をほんとうに現実にするやり方だというふうに考える態度だけは十分考えてまいりたいと、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/71
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072・山本伊三郎
○山本伊三郎君 厚生大臣はえらいむずかしい顔をしてすわってよう聞いておられますが、私は現実の問題はよくわかっております。社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会等の議事録もよく読ましていただいております。だれがどういう感覚で発言されておるかということもわかるのですが、しかし、厚生省としての一つの行政指導と申しますか、考え方というものは、率直に出せる出せぬは別として、持っていてもらわなければ困ると思います。それはあの審議会あるいはその他によりますと、構成しておる人々がおのおのの立場の人がおりますから、今日は事業主、経営者のほうの意見のほうが相当強く出ておる。これは長期給付の場合もそうだ。しかし、一応国の施策として考える場合は、一つのものをもってやらなければ、結局いいアイデアが出されても、実施したときには何だこういうものかということになってしまう。それでは将来の指針が狂ってくるから、いま言っているのです。私はすみやかにそういう方向の考え方を基礎にして、いま現在現実の問題はそこまでいけないが、一歩前進だということでやるということでやってもらわなければ困る。職域組合の負担金が二分の一といわれますが、現在のままで一応何とかかんとかして負担できても、将来を展望したときには、保険経済というものは破綻してしまうと思う、それだけの保険料を取っておらぬのですから。それを現在職域健保は少し金を持っておるから取ってやろう、こういう考えではないと思います。思うけれども、私はあんなものはわずかだと思うのです。少し医療費が上がるとあれはすぐ赤字になります。こういうことをやろうと思うときには、財源率というものを根本的に考えた上で制度というものをつくらなければ、そういう妥協的な産物であればやめたほうがいい。かえって各方面から不満を聞いて回答した人から五十歩百歩であまり喜ばれない。負担するほうから考えると、こんな負担はできない。国のほうは相当負担しなければいけない。こうなりますから、現実に合わす制度でもって一つの方向というものを見つけて、こういう制度をやっていただきたいと思う。私はなぜこれを執拗に言うかと言いますと、先ほど厚生大臣は、これは来年にも実現したいと言う。したがって、おそらくこの国会終わって、そういう制度というものは具体的に考えられてくると思いますから、ぜひその点は、参考にしてもらうもらわぬは別として、そういう点を考えてもらわなければ、結局こういうものをつくってもらってもわれわれは賛成しがたい。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/72
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073・小林武治
○国務大臣(小林武治君) これは厚生省あるいは政府が独善的にやろうという考えは持っておりません。したがって、いまのようなこともいろいろな方面から言うてくださることは非常にけっこうでありまして、新聞等におきましても社説でいろいろな取り扱いをされておりますが、また、関係団体からもいろいろな意見が出されております。これらの意見を総合して、そうして歓迎されるような案でなければちょっと出せないという状態にございますので、いまももっぱら御意見を歓迎申し上げているときでありまして、十分ひとつ拝聴していきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/73
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074・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それは、ぼくは厚生省の立場はよくわかるのですが、今度の厚生年金の改正案でも、予算委員会でも厚生大臣が言われておったのでありますが、私は割り切れないところが残っているのですが、実際問題として、きょうは触れないが。特に短期給付の場合には、日常被保険者に影響する、長期給付の場合には五十五歳とか六十歳というあとの問題だという気持ちもあるのですが、そういう短期給付の場合には直接自分に関係ある問題であり、しかも、厚生省とは言わぬが、政府がああいう一つのアイデアを発表されると非常に歓迎すべき空気が出ております。やってみたが、さて実際はどうかと言われたときに、これは腰を折ったらいけないから、こういうことになる。したがって、私は社会保険審議会がどういう答申をしようとするか、社会保障制度審議会がどういう答申するか私は識者にまかせておりますが、私としては、少なくともこういう制度をつくる場合には、退職後の人に負担させるべきでない、これは所得のあるときにそれだけの保険料をかけるならかける、また、事業主もそれだけの負担をする、また、政府が国庫負担をしてもよろしいが、やめた後にわずかでも掛け金を取って医療給付をするということは価値がないという私の説でありますから、法案は出ておりませんからこれ以上言いませんが、その点は十分厚生省としても御検討の資にしていただきたいと思います。専門家の局長どうですか、大臣は政治家だからうまいから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/74
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075・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 先ほど来とくと伺っておりまして、私ども先生のおっしゃること正確に理解したつもりでございます。十分そういう問題意識を持って検討を進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/75
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076・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃこれはこの程度にいたしまして、次に医務関係ですが、看護婦さんのことでちょっと聞いておきたいと思います。
厚生省設置法については、各委員から相当いろいろ質問されましたので、私は議事録を見て漏れている点だけを拾ってやっておりますから、決して議事を引き延ばそうとは考えておりませんから、その点御了承願います。
そこでこれは実はいま民間経営の病院で、正看護婦はもちろんのこと、准看護婦の資格も持たずに医療業務に当たっておられる方が相当いるようであります。私の聞いている範囲では十二、三万の人がそういう看護婦的な仕事に当たっておられると聞いてますが、厚生省ではどういう把握をされておりますか、それをまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/76
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077・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 昭和三十七年末におきましての病院、診療所——歯科診療所も入れまして、そこで働いております方々の調査によりますと、いま先生のお話の無資格で看護関係の仕事の補助をやっております者が十万六千三百三十一人、これは単に民間だけでなくて官公立のものも入っている数でございます。その区分した数字はここにちょっと持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/77
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078・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは官公立の区別は、十万六千幾らですか、これの中で出ていませんか、官公立と民間との区別ということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/78
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079・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) ちょっといま手元に持ち合わせがないわけでございますが、あるいは調べれば出るかと思いますが、この中のやはり官公立は比較的大きな施設がありかつ看護婦さんなどの数も——施設としては多うございますが、補助者の数の大部分はやはり開業医のほうの診療所だとか民間病院のほうが相対的には多いんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/79
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080・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これはぼく聞いたことですが、官公立の場合は、ほとんどそういうものは病室には実際タッチさせない、することによって相当問題があるからということでいま避けておるようですと聞いておるんです。主として民間のほうにはそういうものが多いということを聞いておるんですが、厚生省として、そういう資格のない人をいわゆる臨床診療の補助として使っていくことについてどういう考え方といいますか、持っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/80
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081・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 医療の補助をいたしましたり、また、患者の世話をいたします場合に、できるだけ十分教育を受けた資格のある方々によってやってもらうことが望ましいわけではございますが、しかし、その仕事の一部といたしましてお湯をくんでくるとか、いろいろなものの配達をするとか、そういう雑用的な仕事がかなり看護の仕事の中にはあるわけでございまして、国立病院におきましてそういうインベスティゲーションをしてみたりしますと、現在、看護婦さんのやっておる仕事のうちでも三割ぐらいのものが看護婦さんじゃなくてもいい仕事だというようなデータが出たりしておりますし、したがいまして、そういうような場合には資格のない人でもいいんじゃないかという考え方をいたしております。で、現在、現実にも保険におきましては、基準看護の場合には四、四、二といいまして、全体のうちの四〇%以上が正看護婦、四〇%が准看護婦、あとの二〇%は補助者でもよろしいというような看護要員の編成を認めておるような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/81
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082・山本伊三郎
○山本伊三郎君 あなたの言われたことは、私は納得できないのです。で、現実にはそういう湯をくみにいったり、それから何といいますか、薬台を運んだりしておるという者は、別に看護の資格がなくても、運搬と同じだから必要がないといえるのですが、現実の問題は総体の看護婦さんの数が足らないから、結局そういう補助看護婦——補助じゃないが看護婦でない看護婦というとおかしいのですが、そういう人もやはり注射器をとったり、注射はしませんけれども、——これは看護婦でもできないのですけれども、そういうことをやらざるを得ないように、実態はそういうふうになっているのです。私はきのう、実はこういうことを言うのはおかしいのですが、親戚の者が自動車事故を起こして病院に行ってきたんですけれども、そういうことになっておる。それは十分看護婦さんがおって、いま言われたように、二〇%程度はそういう運搬婦とか医療に関係のない作業をしておるといえば話はわかるようですが、実際はそうではない、そういう実例はたくさんあるのです。したがって、私はもちろんそれによって事故を起こしておるとは言わないのですが、やはり医療上一つの大きな問題があると思う。で、昔は開業医の方のところでは、全然看護婦の資格がなかった者がいわゆる看護婦だといって白衣を着てやっておったんですが、そういうのが民間では現在もうざらになっておるようですがね。そういうことから医師会であるか看護協会であるか知りませんが、補助看というもの、補助看護婦というものの制度が必要でないかということを言いだしたようです。これは厚生大臣は予算委員会で、そういうものは医療低下だからだめだと、はっきりした答弁があったから私は了解しておるんですが、実際はやはりそういうものがやりつつあるんですね。厚生省はそういう医療監督といいますか、指導と申しますか、そういうものは指導しておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/82
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083・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) お話のように、診療所とか一部の病院におきましては、看護婦が十分入手できないからという立場もありましょうが、無資格な看護補助者をたくさん使っておるというふうなところがあるのは現実でございまして、私もその点存じております。昔からそのような状態がありましたが、それは医者がその医者の責任におきまして、医者の手足と申しますか、そういう立場で実は使っておるのだと一応了解しておりますが、しかし、医療の補助者といたしましては、看護婦さんのやるべき点は看護婦さんがやはりやれるように、その需給をはかっていかねばならない、こう思いまして、看護婦、准看護婦さんの数をふやすように努力しておるところでございますが、まだいま微力ではなはだ申しわけないと思っております。
なお、お話のこの看護の助手に当たります者、法的には資格が准看護婦として認められていない者の養成が各地方の医師会等で行なわれております。たしか十都府県ぐらいでやっておられると思いますが、この点は看護関係の助手を少しでも訓練いたして資格をとるという意味でなく、自分たちの仕事のしやすいように訓練しておるものだと一応了解いたしますが、教育におきましても一カ月ぐらいのものから三月、半年、一年といろいろございますが、しかし、そのときに助看護婦だとか補助看護婦だとか、まぎらわしい名前をつけて、また看護婦なり准看護婦になれるようなイリュージョンを与えておるというふうなことがあれば、これは困る問題だと思いまして、そういうふうなまぎらわしい名前はつけないようにという指導は府県を通じてやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/83
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084・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は医者の立場から考えると、やはり自分らの医療経済から考えていろいろとそういうつらいこともあると思うのです。しかし、やはり医療ということになると人の生命をあずかるんですから、これは一つの基準というものは厳格にやらなくちゃならぬと思う。そこで先ほどちょっと触れたと思いますが、どうなんですか、看護婦の需要が多くて供給が足らない、言い方は悪いんですが、希望者が少ない。これはどこに原因があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/84
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085・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 看護婦の需要の急増は、まず病院とか医療機関の増加、したがいまして、病床の増加、また、医療技術の向上に伴いまして、いろいろ看護婦さんの仕事がふえてくる、また、生活程度の向上に伴いまして、病院に入院した方々が看護婦さんをたくさん要求する。基準看護の設定によりまして、基準看護をする要員が多くなったりするというような、いろいろな要因で看護婦さん自身の数も昭和三十年末におきまして、病院だけで言ってみますと、実際に働いております看護婦さんが八万四千人ぐらいなのが、三十七年度には十四万人ぐらいに——これは病院だけでございますが——ぐらいになっておりまして、一人当たりのベッド数は六・一から五・四三、こういうふうにずっとよくはなっておるのでございますが、好転はしておるのでございますが、しかし、実際において、大きな病院とか都会のほうに集中しまして、いなかのほうとか小さい病院で看護婦さんがいないというような状態になっております。これのやはり一番基本には養成施設の問題もございましょうし、さらにそのもとには待遇また労働条件——夜間勤務がしょっちゅうある。病院づとめだとことにそうでございますが——また、いろいろ危険なもの、きたないものも扱わなければならぬ、患者の不平も聞かなければならない、そういうものに対して待遇も必ずしも一般の職に比べまして十分でないというふうないろいろな問題がからみあって、現状かようになっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/85
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086・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は、厚生省にどれだけ権限があるかどうか知りませんが、しかし、医療行政を担当する厚生省としてはよほど考えておかなくちゃならぬと思う。だんだんと労働力が非常に逼迫をしてくる。昭和四十二年がピークではないかと労働省が言っておるんです。これは日本は非常にぜいたくに人を使っておるといわれますが、現在百貨店でエレベーターのところで案内を言うて頭だけ下げておって相当の給与を出す。そういうことを考えると、非常に重要な医療関係者の看護婦さん、こういう希望者というものはなくなっていく。いまあなたが言われたとおりに、夜間は働かなくちゃいかぬし、また、非常に神経を使う仕事をしなくちゃならない。こういう事情からいくと、だんだんと看護婦志望者は私は少なくなると思う。養成所の不備もあります。もう少し養成所も待遇をよくしてそういう人を養成しなければいかない。待遇もいまのようなことではいかないと思う。そこで、私は医師会なりあるいは看護協会ですか——これ私直接聞いたことないんですが、いわゆる雑な補助看護婦というようなものをつくって安上がりのそういうものをつくろうと、こう考えておる。それも私は失敗すると思うのです。今日の婦人といえども私は相当そういう点では頭が進んでおりますから、四年も五年も養成所を出て、しかもいまの給与でそれでいこうと思う人はないと思う。こういう点は、私は、厚生省は根本的に看護婦さんの需要を満たすための措置というものは、いまから考えておかなければ、だんだんと、それがどうなるかというと、医療の低下ということに私は変わってくると思う。私はそれを憂えるからいまこれを言っておるのですが、そういう点について医療関係を担当する局長は自然にまかそうというふうな考え方ですか、そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/86
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087・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) お話のとおりだと思いますが、ただいま看護婦、准看護婦の養成所の志望者は、ちょうどベビー・ブームがきておりますのでいまわりあい志望者がありまして、ことに三十八年、三十九年には、われわれの予想しておりましたよりも五千人くらいも余分の入学者も出たようでございますが、しかし、これがあと五年、十年になりますと、ずっとさらにこれは困難になるだろうと思っております。そういうような状態で、いまできるだけ待遇をよくし、こちらのほうに、看護婦さんの確保を十分にできるように努力をしておかなければならない、こういうふうに思います。そういうような立場から全体を、看護関係の体系を十分考える、また、養成に力を入れるというふうにして努力をしておるところでございまして、いまの看護婦の補助者の問題につきましては、十分誤解の起こらないようにわれわれといたしましても府県を通じて指導をしていきたいと思っております。現在、もし、申されましたような誤解が起こっておりますとなれば、准看護婦の府県の試験を受けますのに、特に志望者としてあらわれてくるとかいう間違いが起こってきはしないかと思って調べてみたのでございますが、一例迷い込んできたものがあったくらいでありまして、案外この点は、私たちは心配しておりましたほど誤解は生じてないようにいまのところ思っています。しかし、将来これは大きな問題でございますし、大臣からもこの点しじゅう御注意を受けておりますが、将来の医療確保のために質のいい看護婦さんをある程度多数確保するようなことをいまのうちに十分手を尽くしておくということが必要だと思って努力しておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/87
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088・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあ厚生省としてもその点にはある程度自信を持っておられると思うのですが、しかし、実際問題として、私は日本の医療というものが低下していく傾向が出てくるのじゃないかという心配がいまある。というのは、私が言った言い回しは遠回しに言っているからぴんとこないかもしれないが、看護婦さんの資格を低くといいますか、軽くすることによって看護婦さんのいわゆる志望者が少なくなる、逆に。そういう一つの——これは山本理論とは言いませんけれども——現象を生じてくる。というのは、待遇と言ったってお医者さんより飛び切りよくない。ただその資格を持っているという一つの誇りが看護婦さんの志望に大きく役立つ。それが看護婦さんだれでもなれるんだということになれば、それならばこう言っちゃ悪いけれども、百貨店の手っとり早いきれいな仕事に入ろうか——これは私は何も百貨店の女性の悪口を言っているんじゃない。やはり人間の感情、婦人の感情というものがそうなってくる。したがって、医療に携わる一つの責任とプライドを看護婦さんに持たせるべきである。それがやはり看護婦さんの志望者が多く出るかどうかは別として、まじめな医療関係者をつくる道だと思う。それがいま民間ではあなたの言うている二〇%ぐらいそういう運搬関係の人がいるだろう、そういうのはしかたないのだと言うけどれも、だんだんとそういう人が悪貨は良貨を駆逐するということですよ、こういう表現は悪いかもしれないけれども、そういうことにならざるを得ないですよ。そういう点はもう少し今後、そこまで厚生省の権限あるかどうか知りません、知らぬけれども、十分今後調査して行政指導すべきだと思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/88
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089・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) お話のとおりに、いまの看護補助者を看護婦と一緒にしてしまいますと、看護婦の質の低下が起こってくるわけでございますが、看護婦、准看護婦とその看護補助者とは全然別個の、資格のないものだという立場をはっきりさしていくというふうなことでございます。さらに看護婦、准看護婦の方もただの養成所だけでなく、もう少し学校教育にのっとりました、たとえば高等学校の職業高校の制度に入れるとか、また、短大にするとかいうふうな学校教育の線に乗せていくような努力を文部省と一緒になってやっていこうと、こういうようなことを心がけております。質の低下は来たさないように努力をするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/89
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090・小林武治
○国務大臣(小林武治君) ちょっといまの問題で、民間でもって看護婦という名称を使うことはいま禁止しておりません。しかし、一つの問題として、いま看護婦法という法律がありますから、看護婦でない者が看護婦という名称を使ってはならぬという、こういうことを法律できめることができますから、こういう問題があるので、これはわれわれも皆さんもひとつ考えてもらいたい。いわゆる登録の名称となっておりませんから。したがって、いま御心配のようなことは、看護婦という名称は看護婦法で使っちゃならぬと、こういうふうな制限をする方法があるということもわれわれ考えております。そこまで進むことがいいか悪いかということには一つの問題がありますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/90
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091・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これはだいぶわかってこられたと思いますので、私も言うだけ言ってしまったのですが、実際問題で厚生省の考え方は間違いだと私は言っておらないんです、現状はこうだがどうだということを言っておる。だからいま病院に行ってもみな看護婦さんじゃない人を看護婦さんと言っている、同じ衣装をつけているんですから。ぼくに言わせれば正看護婦さんなら正看護婦さんのマーク、准看護婦さんなら准看護婦さんのマーク、そうでない人は何をつけるということも、私は一つの方法じゃないかと思います。そうすれば、医療を受ける人も、ある程度考えて受けられると思うのですね。私は、間違いがあるといわないのです。それは大きい間違いないと思います。それは家庭でも注射してもらうということもあると思うのです。人間のすることですから、資格があろうとなかろうと、問題のないときは私はそれでいいと思う。しかし、少なくとも医療機関に携わる人で資格のない人がいるのだという不安というものを、何かの形で取り除く必要があるのじゃないかというのが私の結論的な言い方ですね。しかし、そうかといって、その人をのけてしまうということも、自分らの立場から何も好むところじゃない。そういう人を徐々にどういうぐあいにうまくやっていくかということを厚生省が持っているかどうかということを聞いたのですが、そういうことについては、まあ准看護婦、あるいは正看護婦の教育をもってすると、また、いま厚生大臣がちょっと味のあることを言われましたが、名称をつけさせないといいますが、名称の問題でも、現実、それをどう区別するかという問題が一つの問題になるのじゃないかと思います。これは私ひとつ問題点だけ言っておきます。現実に医療関係に携わっている人の中には、看護婦さんといっているが、そうでない人も実際医療に携わっておる。それでいけるならば、准看護婦とか、正看護婦というような人でなくという思想はそこから起こってくる。その人も同じようにやっているじゃないか、やれるじゃないかと、こういう感じを私は持たすことは、日本の医療制度全体に対する低下を意味するので、まあくどくど約二十分しゃべりましたが、結論をいえばそういうことになるのですが、どうですか、厚生省としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/91
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092・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 私たちも患者の世話とか、また、医療の介助におきまして、資格のある人間でなければ危険なような仕事は、全部有資格の看護婦、准看護婦にやらすように、それだけの看護婦さん、准看護婦さんの確保、それも質のいい方々の確保に努力していきたい、それと一緒に、その下に使われます看護助手も必要ではないかというような考え方をしておるわけでございまして、いま確かに看護婦さんでなければいけないような仕事を、無資格の方で一部行なわれておる点も事実ございます。そういうような点は徐々に直していかなければならぬ、そう思っております。病院におきましては、准看護婦と正看護婦は、これも私の承知しておりますところでは、服装とか帽子で区別をしておるように存じておりますが、一部やはり混乱しておるところもあると思いますので、そういうような点も徐々に直すようにしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/92
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093・山本伊三郎
○山本伊三郎君 あるいはそうかもしれませんが、私専門家でないから、こまかいところまで、帽子の形までわからないのですから、あるいはそういうことで区別しておるかもわかりませんが、一般のしろうとが見てもわからぬ状態です。しかし、私は資格のない人が働いておる事実というものは、これは捨ておけないと思います。したがって、私はこういう人をどういうぐあいに救っていくかという問題を、私は社会的に考えるべきだという考えでおるのですよ。こういう人を排除してやめさすということを考えておるのじゃない。せっかく、まあいままで資格はないけれども、医療に関係してきている人を、どういうぐあいに看護婦さんの資格を与えるように指導していくか、これを私はやってもらいたいというのが質問のすべての要旨なんですよ。ただ、そういう者は資格がなくてもいいのだということでほっておくと、一つも進歩はないと思う。私は、そういう人に実は聞いてみたのですが、なかなか試験がむずかしくてなれませんのでというようなことを言っておるのですが、せっかく、そういう方面に志望しておる人が、大体、私の知るところでは、六〇%以上はやはり看護婦を志望しておると思うのです。やはり資格を取りたいけれども、なかなか取れないというので、そういう仕事に携わっておることを聞いておるのですが、こういう人に対し、何らかの行政指導といいますか、行政に血を通わして、なるべく准看護婦の資格をとらしてやるというような方法をとれないかということが一つ。
もう一つ最後に聞いておきますが、看護婦制度自体の問題でありますが、そういう医療関係者が、先ほど局長言われましたが、運搬をする簡単な仕事、ベッドのふとんの敷きかえ、簡単な仕事だと言われますが、私は詳細に医療の実情を見ておると、ふとんの敷きかえ、敷くということ自体も、ある程度看護知識がなければこれは十分な医療、完全な医療ができないと見ておる、自分の経験からもそう思っておる。簡単な仕事は資格がなくてもできるのだと言われますが、私はそうでないと見ております。この点は厚生省どう見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/93
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094・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 物の運搬は、私は例として申しましたが、ふとんの関係は申し上げなかったように思う。患者さんのふとんの問題は相当重大な問題だと思っております。このやり方によりましては、患者さんの痛み、また症状の悪化もございます、褥瘡の減ることもございます。だからふとんの整備の問題は、これは看護婦当然の仕事だと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/94
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095・山本伊三郎
○山本伊三郎君 しつこいようですが、先ほど、前言ったいわゆる資格のない人の行政指導、これを看護婦さんに指導していくというような考え方について厚生省の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/95
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096・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) 資格のない方を看護婦にするという問題は、実は一部そういうような要求があることは聞いておりますが、やはり准看護婦さん自体、中学を卒業しまして二カ月間の訓練、教育の実習をやっておりますが、そのこと自体でも世界のレベルからもいろいろ問題がございますので、それ以下の方々を講習とかなんとかで看護婦にする資格を与えるということにつきましては、ちょっと看護婦さんのレベルを落とすことになりはしないか、こういうふうな考え方をいたしておるものでございます。仰せの点もございますので、また、看護婦さん全体の需給の点もございますので、一応検討はしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/96
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097・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ぼくの言うこと非常に間違ってとっておられるのですが、ぼくの言うのは、そういう資格のない仕事をしておりますから、病院当局が何らかの待遇をして資格を取らすような環境に置いてやれぬか、こう言うている。何も資格、程度を落として厚生省は見てやれ、そういうことをぼくは言っているのじゃない。そういう指導といいますか、病院当局にそういう親心といいますか、あればいけるんじゃないか。現在夜間でもやっておるんですから、制度があるんじゃないですか、准看護婦の。そういうことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/97
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098・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) そういうような仰せでございますから、すでにやっておる病院もございます。たとえば国立病院でも看護助手を入れまして、夜間の高等学校に入れまして、そうしてあと成績のいい者は自分のほうの正看の養成所に入れるというようなことをやっておりますし、また、夜間の准看護婦を養成所に通わしながらやっていくというような病院も施設によってやっておりますので、そういうふうな熱心な若い方に対しましては、できるだけ医療機関が、援助いたしまして、そういうものは指導してしかるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/98
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099・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはやっているのは知っている。それは一般的な大きな病院とか、そういうところはよくやっている。そうでないところについても、これは厚生省の指導以外にはやれないから、これは自由開業、営業ですから、そこらが強制できませんけれども、そういうものをやっていれば将来看護婦として認めないのだから、医療上の問題があるのだからということで、何らかの方法でそういう人を養成をするような機関に通わすように病院当局に指導できるか、こういうことなんですが、いまの厚生省できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/99
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100・尾崎嘉篤
○政府委員(尾崎嘉篤君) いまのお話し、看護力をできるだけ拡大したいときでございますし、十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/100
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101・山本伊三郎
○山本伊三郎君 厚生大臣、どうですか。これは医師会が相当問題にすることなんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/101
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102・小林武治
○国務大臣(小林武治君) いまのところ、局長がお答えしたよりほかにないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/102
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103・山本伊三郎
○山本伊三郎君 相当言いたいことはあるけれども、言わないけれども、現実の問題として真剣に考えておるのです、実際問題。これはすべてだれでも病気しますからね。そのときにみな経験することです。だからいまいい病院いい病院と言って、いい病院は全部満員です。それで残されたところは施設が悪いし、そういうところが残されておるし、特に開業医が一番問題だと思います。こういうものを捨てておいて日本の医療行政だと私は言えないと思います。しかし、病気というものは、大体日本人は昔からあまり医者にかかるという考え方が何といいますか少なくて、売薬で病気をなおそうという人が多かったから問題にならぬけれども、ほんとうに真剣に医療を考えたち、いまのままでは非常に危険ですよ。そういう点はこれ以上言ったって早くこの法律案をあげてもらいたいということで一生懸命になっておるからどうも話が合わぬ。そうなればよけい泰然となってくる。まあそれはよけいなことだ。医療関係は一応これで終わっておきます。
次に、そうならばもう一ぺん尋ねておかなければならぬ。それじゃたまたま質問の資料をここにもらったのですけれども、生ワクチンの問題ですが、これはいろいろ出ておりますが、厚生省も非常に力を入れて児童の保健ということをやっておられますが、生ワクチンをやった後において児童の——これは医務関係者おられませんか。それじゃもう一つだけ保険局長ちょっともう一ぺんやりますから、ちょっと先ほど尋ねるのを忘れたのですが、健康保険の標準報酬の改定ですね。早くから厚生省でいろいろ立案されておったというのですが、現在の実情に合わないと思うのですが、標準報酬の改定ということについてはどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/103
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104・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 先生仰せのとおり、いまの健康保険の標準報酬の最高限は五万二千円になっております。これは現在の給与の実態から見ましてかなり低過ぎるという実情でございます。特に組合のほうになりますというと、場合によっては組合員の六、七割が天井までいってしまっておるというようなことで、その意味でもうほとんど所得再配分の機能が非常に阻害されておるという実情もあり、かたがた保険財政もかなり苦しくなってきておるというような実情もございますので、これはぜひ引き上げたいと思っております。ただ何ぶん御承知のとおり、健康保険法の改正ということになりますと、これだけでは済まない面がございますので、来年度はぜひこれを含めましていろいろお願いをしたい、こういう心組みで準備を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/104
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105・山本伊三郎
○山本伊三郎君 昨年も厚生省はあれを引き上げたいという御意向であるということを聞いたのですが、ことしは厚生年金の改正があるから一応待ったということを陰口を言う人もあるのです。これはその現状に合わないのですよ。したがって、低所得者が、低所得者といいますか、中所得者というか、そういう人が多く負担をしておるということになると思うのですが、一体何ですか、どの程度引き上げるという考え方ですか、引き上げるとすれば。ちょっと言いにくいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/105
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106・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) はなはだ申し上げにくいのでございますが、まあ説としては少なくとも十万円ぐらいまで上げるべきだという説、十万円は少し多過ぎるから八万円ぐらいという説、いろいろございます。なお、組合につきましては、これは私ども今度改正の機会に機械的に政府管掌をそのまま適用しておる方式を改めて弾力的にいたしたいと思います。最高限はもちろん一応適用いたしますけれども、組合が正規の手続を経てそれより上の最高限を設けるという申請をした場合には、厚生大臣が十分審議をした上で適当だという場合には上までを設ける、こういうことにいたしまして弾力的に操作できるようにしたい、こういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/106
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107・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それは一つの考え方ですね。最高限だけ法律で規定して、あとは組合の実情に応じてその範囲内で規約できめる、これは私は一つの方法だと思う。しかし、いまの五万二千円ではこれは保険経済に相当影響する問題ですから、そこでやるならば国家公務員地方公務員の場合は十一万円だと思うのですね。そこまでつらを合わしたほうが私は理由が立つと思うのですが、あなたの立場から言いにくいと思いますが、厚生大臣が言うと、また相当むずかしいことも私は聞いているから言わさないのですが、十一万円にやはり引き上げるべきであると思うのです。一般では七万五千円か七万二千円に引き上げるというふうな案を聞いたのですが、私はそれに反対です。できればいま言われた最高限十一万円、それ以下は組合の実情に応じて、必要でないところもありますから、各組合でやる。それから政府管掌の場合は、思い切ってやはりこの機会に十一万円ということで規定してしまうしかしかたがないと思いますね。政府管掌の場合はどうなんですか。実際問題でそこまで引き上げるだけの事業主の——これはもう一にかかって事業主の問題が大きいのですよ。それだけの気がまえがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/107
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108・小山進次郎
○政府委員(小山進次郎君) 従来最高限をきめます際に、およそ被保険者の五%程度がおさまる程度のところを最筒限に押えているわけであります。そういうものをもとにしました場合に、一体いまの政府管掌の健康保険の最高限がどのくらいにおさまるかということは検討したことはございますが、先生御推定のように、七万五千円では低過ぎる。したがって、その意味で今後検討する場合としては、当然それよりも相当上のものを頭に置いていろいろ調整をはかっていく、こういうことでなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/108
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109・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それではぼくの質問は一応これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/109
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110・千葉信
○千葉信君 私は厚生大臣に御質問申し上げるのですが、中に全く事務的なこまかい内容も含んでおりますから、そういう場合には必ずしも厚生大臣でなくちゃいかぬのだとは私は言いませんから、その点を含んでおいて御答弁をいただきたい。
最初に、厚生大臣の知識を正確にするために、概括的な点を申し上げておきたいと思うのですが、私の質問しようとしている問題は、国の行政組織の基本の基準をきめた法律、その法律に明らかに抵触している部分がかなりある。厚生省関係ではいまのところ約五つぐらいあるわけですが、その点についてはこれからこまかくお尋ねをしていきたいと思います。この法律に抵触する行政機関の存在については、この委員会でこれまでしばしば問題にして、大体その主張するところという目標とするところは達成をしてきている。大きいところではたとえば外交問題懇談会であるとかあるいは輸出会議であるとか労働問題懇談会であるとか、その他等々百以上にのぼる行政機関内の不正なもしくは法律に違反する存在について私は今日まで追及してきました。いま大体各省ともこの委員会の席上で大臣みずから正式な答弁を行なって、廃止をするかもしくは近く立法化するという約束を取りつけて、一応了解して今日に至っている。あと残っているところは、大きいところでは池田首相のやっている国つくり問題懇談会、人つくり懇談会、これが違法だということについては、この委員会で行政管理庁当局とも大体の打ち合わせば終わっていて、あとはその本域に迫るばかりなんです。ちょうどその本丸に迫る行きがけの駄賃に厚生省がさらされている、しかも私は厚生省のやり方について非常に不愉快な印象を受ける。一番激しい攻撃の材料になるのは、これは前に臨時医療報酬制度調査会ですか、当参議院で廃案になったあの法律案の換骨奪胎みたいな存在が現在厚生省の存在。これは一番あと回しにします。その換骨奪胎のかっこうで設けている医療費基本問題研究員の設置に関する省令、これは一番あと回しにします。しかし、その前に明らかにしておく必要のあるのは、一つは成人病予防対策協議会、これは途中で名前が変わって連絡打合会になりました。——そんなものじゃだめだ。官房長、そんなものじゃあやまったってあやまったうちに入らぬ。その次は中央保健所運営協議会、これは途中で運営打合会に名前が変わった。それから防疫調査会、これは防疫調査打合会、その次は公害防止調査会、この公害防止調査会も途中で公害防止調査員と変えられている。これは変えた原因がどういうところにあるか私は知っております。知っておりますけれども、この際はそこまでこまかく私は追及しません。ただいろいろ当委員会等における論議の経過にかんがみて、この四つの打合会もしくは調査会について厚生省では若干内容を変えられたようでございます。一番初めに承りたいのは、その四つのうち変えられた内容、つまりそれまで民間人等の含まれていた調査会から民間人をはじき出してこれならうまくやれるだろうと思ってやったらしいけれども、そういうやり方をしたのも中にあるようですが、どれとどれがそうなっているのか、この際ひとつ、これは大臣では無理だろうから、事務当局から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/110
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111・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいま御指摘の成人病予防対策連絡打合会から御説明いたしますと、当初は成人病予防対策協議会という名前で出発しまして、当委員会の御指摘もございましたので、昭和三十六年九月にこれを廃止いたしまして、その後関係行政機関の職員のみによる打合会を開いている次第でございます。次に中央保健所運営打合会でございますが、これは中央保健所運営協議会という名称でございましたが、昭和三十六年の九月に、民間人等を一切委員会から排除いたしまして、関係行政機関の職員のみをもちまして会議を行なっております。名称も中央保健所運営打合会というふうに変えております。それから防疫調査打合会でございますが、これは防疫調査会という名称でございましたが、三十六年の九月に民間人を委員から排除いたしまして、関係行政機関の職員のみをもちまして構成しまして、名称を防疫調査打合会というふうに改めた次第でございます。それから公害防止調査員でございますが、これは公害防止調査会という名称でございましたが、これも三十六年九月に廃止いたしました。そうしてもう打合会ということでなくて、随時専門家に必要な調査を依頼するということにいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/111
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112・千葉信
○千葉信君 そうしますと、この公害防止調査員の関係については、あとから問題になります医療費基本問題研究員の場合と問題が非常に同じようなかっこうになってきておりますから、これもこの際若干あとに回して、その前の三つ——成人病、中央保健所、防疫調査会、まあこれは私は民間人を排除して、行政部内の職員だけを対象として、そういう打合会という形に持っていったことは、一応厚生省の意向としては私はまあ大体六十点ぐらいやってもいいと思う、六十点ぐらいやってもいいですがね、問題が残っているのです。あなたたちはそういうふうに名前は変えた、それから民間人は排除した、そうして組織を全く行政官諸君の打合会——こうだから、これはまあ国家行政組織法第八条に触れないという見解をおとりになったと思う。たぶんそうだろうと思うのですが、そうだというならそうだと、この際一回答えを聞いておいたほうが進めやすいと思う。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/112
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113・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 行政管理庁と打ち合わせいたしましたときにも、関係行政機関の職員のみの会合は、国家行政組織法第八条に該当しないというふうな解釈と承っておりまして、われわれも関係しないと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/113
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114・千葉信
○千葉信君 そこまではあなたのほうでりっぱにやったかっこうですがね、三十九年度の厚生省本省の各目明細書によりますと、成人病予防対策の場合には諸謝金が一万二千円、旅費は十六万三千円、中央保健所の場合には謝金は五千円——金額はまあたいしたことはない、旅費は十万一千円、防疫調査打合会の場合には諸謝金というものが十一万二千円、旅費が十二万九千円、こうなっております。御答弁のように、民間人は排除されて改組されたとこれはいいながらも、三十八年度の予算も三十九年度の予算も、同じに計上されておる。しかも民間人は入っていないといいながら、諸謝金、——諸謝金って一体何ですか。国家公務員法上によると、これはかなり重要な問題になりますよ。諸謝金という名前をつけようと、お菓子代にしようと、お菓子を出そうと、それは公務員法違反であるし、給与法違反である。なぜかというと、給与の関係等については、公務員の場合には厳格にその給与の規定が給与準則に基づいて決定されて、それ以外のいかなる金銭、いかなる物品といえども支給してはならないというはっきりしたものがある。これは、それにそむくと罰金ですよ。体刑も食いますよ。そういう問題をあなた方は忘れて、この改組の際に重大な手抜かりをやっているというかっこうになっていると私は判断するのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/114
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115・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 予算の措置につきましては先生おっしゃるとおりでございますが、この該当の打合会におきまして、関係行政機関の職員の連絡調整のための打ち合わせでございますけれども、打ち合わせの過程におきまして、高度の専門的な事項に関する場合につきましては、随時、大学教授の出席を求めて意見を聞いてみたらという場合がございます。そういうときにおきまして、ほんの、そういう要求が出ましたときに大学教授が出席されるという場合には、旅費が要る人につきましては旅費、それから、やはり特別に専門の知識を提供していただくという意味におきまして謝金を差し上げるということで、この点につきましては公務員法あるいは給与法上から見まして問題がないものというぐあいに考えておった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/115
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116・千葉信
○千葉信君 旅費のほうはぼくはそんなに追及するつもりはないのです。旅費の場合には、この事項に関連して他の省の公務員諸君等が出張する場合でも、それは厚生省のほうで負担しなければならない場合もあるかもしらぬし、また、厚生省の職員の中から出張をさしても、その旅費は考えておく必要がある。私はそういう点はここで追及しようとは思わない。問題は、その諸謝金なんです。いま大学教授ということを言われましたが、それは国家公務員でない大学教授をさしているのですか、それとも国家公務員である大学教授に対して謝金を出しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/116
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117・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいま申し上げましたことばが不十分でございましたが、この大学教授は、国立大学その他国家公務員である、いわゆる教育公務員である大学教授をさしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/117
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118・千葉信
○千葉信君 国家公務員である教育関係の職員を動員した場合に、それに厚生省では謝金を出したというのですか。これは官房長、性根を据えて答弁しなさいよ。これは公務員法の禁ずるところですよ。公務員法出してお目にかけましょうか。公務員法の第二条第六項には「政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払ってはならない。」、その次は同じく公務員法の第六十三条——いま言った、特別職から一般職、両方含めてですよ、「職員の給与は、法律により定められる給与準則に基いてなされ、」いまその給与準則まだありませんから、これは暫定的に一般職の職員に対する給与法の法律ということになっています。つまりこの場合には、その一般職の職員の給与に関する法律をさしているわけです。——「これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない。」こうなっているのです。つまり職を行政府に奉じている者、これは大学の教官であろうと何であろうと、国家公務員である限り、特別職も一般職も同じです。この条項に律せられる。それをあなたはいま、国立大学の教授もしくは教育関係の学校の先生ということを言っておられる。民間人ではないということを言われようとしたのだが、私はその点は了解するけれども、民人間が入っていないから、打合会のかっこうは、行政組織法第八条に違反しないけれども、そのかわりに今度は謝金の関係で公務員法、給与法に違反するかっこうになってきている。しかもこれには、そういう賃金の出し方、これはお菓子でもなんでもみんな同じことなんです。お菓子でも、扇子を出しても、お盆を出しても、金銭であろうと、物品であろうと同じだという、この規定が六十三条なんです。それに違反して、そういう賃金を支払い、もしくは物品を支給したものは今度は罰則の適用を受けるわけです。これは百九条から百十条にかけて、どっさりありますが、大体軽くて一年の懲役、軽くて三万円の罰金、こういう非常に厳格な法律が一方にあるわけですよ。あなたのおっしゃったその大学教授、名前言えるなら言ってごらんなさい。国家公務員であるところの大学の教官もしくは国家公務員であるところの国家の教育関係職員、言えたら言ってごらんなさい。これによると、罰則の適用を受けますよ。まさか、同じ参議院議員の小林さんを、これはそういう刑罰を食らわせようとして質問しているのじゃないけれども、話の筋として、ちゃんと筋を通してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/118
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119・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいまの委員会のメンバーにつきましては、一応関係行政機関の職員につきましては予定してございます。ただし審議の過程におきまして、もしそういう場合が、いわゆる国立大学の教授をお願いするというふうな場合が出ましたときに謝金を支払うということで、現在のところは特別に予定したものはございません。年度の初めでもございますので予定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/119
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120・千葉信
○千葉信君 そうですかね、官房長。いまは年度の初めだから格別に予定していないといっても、予算を組んだ以上それを使用しようとする考えで国会を通したのでしょう。まさかこの年度中そんなものは頼みませんとは言えないでしょう、予算を通しておいて。それなら予算の詐欺だ。でたらめな予算を国会に出したことになる。やはりこの年度内にはだれかを頼むつもりでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/120
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121・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) その点先生に御了解を願いたいと思いますが、われわれの厚生省の行政におきましては、いわゆる医学的な部面あるいは予防医学的な部面、治療部面におきまして、御承知のように、非常に技術的な点がございます。そういう意味におきまして、たとえば最近の例でこれを見ましても、たとえばポリオの生ワクチンというふうな問題が起こりましても、これは厚生省といたしましては、いわゆる国家行政組織法第八条に基づきましたいろいろな薬関係あるいは医療関係の審議会に正式に諮問をいたしまして、その答申に基づいて予防接種法の一部改正をお願いしまして、法律に基づいて予防接種をやるという過程をとるのでございますが、そういう法案の提案をいたしましたあとにおきまして、やはりいろいろの問題が起こりました場合に、やはり国会が参考人をお呼びになりましたように、行政機関の責任者におきましてもやはりときどき東大の医学部長、慶応の医学部長、慈恵大の担当官、そういうふうな方の御意見も聞きつつ反省して行政をしていくという場面が非常に多いわけでございまして、そういう意味でこういう成人病あるいは防疫、そういう場合におきましては、過去の例から見まして、関係行政機関の職員だけではなかなか十分に意を尽くさない点がある。そういう場合にやはり特別にこういう技術的な行政という意味で予算も、予算の積算でございますから、一応は先生御承知のように、大学も予定してお願いをするというふうなことでございますが、この点厚生省におきましてもあまり社会福祉、保健というふうなそういう関係にはあまりございませんで、やはり医学あるいは予防医学、薬、そういうふうな関係につきましてどうしてもそういう必要がございましたものでございますから、関係機関の職員のほかに、そういうことを従来の経験から見て必ず呼ぶ必要が出てくる、意見を聞く必要が出てくるということで予算をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/121
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122・千葉信
○千葉信君 官房長の答弁さっぱりぼくの質問に答えていないのだ。くどいさまざまのことを言ったけれども、ぼくの聞いておるのは、要するに大学教授などという国家公務員、慶大の先生であろうと東大の先生であろうと、公害の権威であろうと、成人病の権威であろうと何であろうと、国家公務員法の、はっきりとここで明定された給与以外に支払ってはならないと、金銭も有価物もだめだ、これ以外に。そうはっきり規定されているその対象でしょう。大学の先生、東大の先生も慶大の先生もあなたの言われた範囲ではみなそうだ。払ってはならぬと法律が規定しておるのに、あなたたちは何で一体謝金などという——積算の関係とはいうけれども、ちゃんと厚生省の過去の予算の金額に出ているのです、三十八年度も三十九年度も。あなたたちは三十六年の九月に改組をして打合会にした。民間人を排除した。民間人を排除したから第八条には抵触しないと言っているけれども、、実体はこの予算の関係から見ると同じじゃありませんか、実体は。民間人が排除されているということだけで。今度は、かわりに、あなたたちはやっちゃならない公務員にまで諸謝金を払う。何と名前をつけようといかぬといわれておる謝金を出しても、あなたたちは第八条だけの違反で済んだのが、今度は別のほうの国家公務員法なりあるいは給与に関する法律のほうに抵触するかっこうになってきている、この三つの打合会は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/122
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123・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) ただいま少し見当違いと御指摘を受けましたが、厚生省の行政につきましてそういう学者の高度の知識が必要だということを申し述べたのでありますが、国家公務員である大学の教授にどうして諸謝金を出したかという点にお答えを申し上げますと、私たちのほうは教育公務員特例法第三十一条というものを頭に置いたわけでございます。読んでみますと、「教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。」ということでございまして、もちろんほかの省の職員には一切何も出しておりませんが、教育公務員につきましては、この特例法によりましてやはり一定の、大学からわざわざおこし願って非常に知恵を貸していただいたという場合には、この条項におきまして謝金を支払うということが合法的であるというふうに確信してまいった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/123
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124・千葉信
○千葉信君 あなたは教育公務員の関係を出しましたから、私はそれにかわって今度は一般職の職員の給与法の関係を引っぱり出してみますが、一般職の関係では、一般職である非常勤の職員の分については賃金額はここに規定されています。給与法の第二十二条に最高制限が規定されています。支払っていい程度の標準の金額はここに規定されております。民間人の場合にはこの規定で払ってもいいんです。いいですか。というのは、民間人ではないところの国家公務員等の場合、あなたはおそらく教育公務員という地方公務員を含めた職員の場合のことをさしていると思うのですがね。私はそうじゃなくて、国家公務員である者の場合以外のものを含んだ場合には、これは今度行政組織法第八条の関係になってきて、そっちのほうから追及しなければいかぬが、いまはそうじゃなくて、この賃金の関係にきているわけですから、その場合支払う条項というのはこの二十二条の賃金額の最高の制限、それからその賃金決定に際しての大体の標準、ここに賃金関係の立法がありますが、あなたのほうではこの条項を利用してもしくは適用をして、その大学の先生なり教育公務員に謝金を払う場合、この点を考慮したというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/124
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125・梅本純正
○政府委員(梅本純正君) 先ほどお答え申し上げました国家公務員である大学教授につきましては、教育公務員特例法の二十一条によりまして、一般の民間人という方については、別の制度で手当、そういうものを払う場合には、一般職の職員の給与に関する法律の第二十二条の根拠によりまして、支払うのが至当だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/125
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126・千葉信
○千葉信君 どうも答弁聞いておりますと、国家公務員法の適用の対象内にあるものか、それとも適用外にあるものなのか明確な答弁がないので、私はいま厚生省のほうで、官房長のほうで利用されました教育公務員の関係について、若干調べる必要があるのです。かつ、先ほど問題としてあとに残しました公害防止調査員の問題、それから医療費基本問題研究員の関係について、だいぶまだ質問がありますようで、きょうはいろいろな理事会の打ち合わせ等もあり、本日のところこれくらいにして、次にただいま御答弁の点について、十分私のほうには引用されました法律等を納得できるところまで研究をして、それから次回に質問をすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/126
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127・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/127
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128・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。
議事の途中ですが、暫時休憩いたします。
午後四時二十一分休憩
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午後四時三十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/128
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129・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
厚生省設置法の一部を改正する法律案に対する質疑は、本日はこの程度でとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/129
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130・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入るのでありますが、衆議院において修正が加えられておりますので、右修正点について、まず便宜政府から説明を聴取いたします。中西官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/130
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131・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 修正の趣旨並びに内容を申し上げます。
二点ございます。第一点は、原案ではこの法律案の施行期日の点につきまして、原則的に昭和三十九年四月一日からとなっているのでございますが、その期日はすでに経過しておりますので、これを公布の日からというふうに修正された点でございます。
第二点でございますが、定員関係の改正規定及び経過規定を昭和三十九年四月一日に遡及しまして適用することといたした点でございます。
以上の二点が修正の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/131
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132・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) それではこれより質疑に入ります。
政府側からは、赤城農林大臣、昌谷農政局長、武田農林水産技術会議事務局長、庄野水産庁長官、森林野庁職員部長が出席いたしております。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/132
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133・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この法案は、私ども反対している法案ではなくして、賛成している法案であります。そういう法案でありますが、若干疑問の点があるわけであります。それから一つ、どうも納得できないものが一つあります。でありますから、そういう点をお尋ねをいたしておきたいと思いますが、きょうは時間がございませんですから、一点ぐらいになろうかと思いますけれども、今度の法案でどうしても納得のできにくい点は、納得できないというのは、賛成なんですけれども、過去の経緯からいって納得のできない点が一つあるわけです。それは昨年農林省設置法がこの委員会にかかりまして、その際に水産庁の次長を廃止するというわけなんですよ、それで私はそのときに、十分念を押しまして、これは次長というのは要るのではないか、従来の水産庁の経緯からいって、あるいは現況、これからの見通し等からいって、水産庁に次長をなくするわけにいかないのじゃないかということを再三にわたりましてお尋ねをしたわけなんです。ところが要らないと、こういうわけですね。そういうことになって、昨年の五月に農林省設置法は施行されるようなことになって、地方農政局もできるということになったわけでありますが、それから一年たたないうちに、わずか六カ月、七カ月の間に水産庁次長が要ると今度は出てきたわけです。要らない要らないと言う、私は要るだろう要るだろうと言う、理屈からいっても要るだろうと言ったけれども、要らない、要らないと言って削ったんです。削ったところが、今度はわずかな期間の間に次長は要ると、こう言うんです。こういうことはどうも私どもとしても理解がつかない。私は賛成です、次長を置くことは。置くべきだということを主張したのですから、削るときに。ですが、こういうようなことをされてはこれはまことに何というんですかね、わけがわからぬというのか、わけがわからぬというのではなくて、程度を越しておりますね。一体水産庁長官というのは一年のうちどの程度役所に出ておるのか。これは外国交渉もたくさんございまして、アメリカに行ったり、カナダに行ったり、ソビエトに行ったりしなければならぬ。たいへんなんですよ。だから一年のうち二百日くらいしか本省にいないと思う。だから次長は要るのです。それを要らない、要らないと言って、それを今度は六カ月、八カ月たたないうちに次長が要ります、次長を設けますと言うんです。これは私は容易なことでは納得できないのです。水産庁長官にまず答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/133
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134・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 御指摘のとおり、昨年地方農政局の設置その他農林省の局の新設等にからみまして次長の廃止と、こういうことに相なったわけであります。当時の見通しといたしまして、何とか水産庁の機構も改正し、また、事務の簡素化をはかるということでやれるものと、こういう考え方で次長の廃止ということを提案申し上げた次第でございます。ただいま御指摘になりましたように、やはりその後の国際関係の会議あるいは日韓交渉あるいは予定しない会議等も出てまいりまして、なかなかやはり次長なくしては物理的にも非常に困難な面がある、こういうことで、先生が御指摘になったとおりでございますが、次長をあらためて設置していただきたいと、こういうことで設置法の改正をお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/134
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135・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 だから、長官のお話はわかるわけですよ。私も賛成です。ですが前回はそうおっしゃらなかった。要らないとおっしゃった。私はいま長官のおっしゃったような話の趣旨で、われわれは、外交交渉というのは非常にふえているから、次長を廃止されましては、長官だけではどうにもならないのではないか、廃止すべきではないという主張をしたが、いや要らないと、やめたのです。いまになって要ると、こういう話は、これは一体どういうお考えなのか、まことに私は理解がいかない。あるいは二等級なら二等級という官職をやり繰りするために、いろいろ配慮があったということはわかります。わかりますが、こっちが要るんじゃないかと言うのに、要らぬ要らぬと言って、半年ぐらいの間に、今度は要るというようなことは、これは定見がないのもはなはだしいと私は思うのですがね。そういうものでは、どうも私は、何といってもひっかかるわけです。これは最後までひっかかります。この問題を大臣、どういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/135
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136・赤城宗徳
○国務大臣(赤城宗徳君) これはまことに面目ない問題だと思います。私は去年、農林大臣でございませんでしたが、部外者としては、やはり水産庁の次長というものは置いたほうがいいと私は考えておりましたが、農林省といたしましては、大体役所は機構を広げるほうが好きなほうで、縮めるのはあまり好まないにもかかわらず、去年は縮めようというような考えで、次長を置かないという案を出したわけでございます。農政局というようなことで、一方の機構を拡大するので、そういう関係から次長なくてやっていこうという気持ちで提案したと思いますけれども、私はこれはやはり見通しが実態とも間違っておったと、いまのお話の鶴園さんの見通し、意見のほうが正しかったと、こう思います。私、前にも農林大臣やっていましたが、今度もやってみまして、いまお話のように、国際会議が多い。アメリカ、カナダ、韓国の問題もあります。あるいはまた、ソ連との関係もあるし、あるいはクジラ等の国際会議、国内におきましても、漁業の問題は非常にやかましくなってきておりますし、去年、沿岸漁業の振興法等も御制定にあずかったわけでございます。そういう意味におきまして、一言で言えば、見通しが誤ったといいますか、実態を正確に把握してなかった。そういう意味で、今度は実態に即した形において、やはり次長を復活するといいますか、置いたほうがよろしいと、こういう観点から御審議願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/136
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137・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この問題は一応おきまして、水産庁の問題として、もう一つお尋ねしますが、これは私は、時間がありますれば、詳細に内容をもう少し縦から横から詰めてみてお尋ねしたいと思うのでありますが、時間の関係もありますから、端的にお尋ねいたします。
それは今度日光の、いままでは養魚場であったものを、淡水区の支場にするということが出ておりますが、設置法をいま審議しておるわけですけれども、現実にこの日光の養魚場というのは、養魚場であることをやめて、すでに研究所になっておるんじゃないでしょうか。それはどういう理由でそうなっているか、今度設置法で出ておるわけです。繰り返して申し上げますが、養魚場を今度設置法を出して、これを試験場の分場にする、支場にする、だが現実はすでに養魚場ではなくなっているのじゃないか、試験場になっているのじゃないか。それはどういうふうに御説明なさるのかお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/137
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138・庄野五一郎
○政府委員(庄野五一郎君) 日光の養魚場を今回設置法の改正によりまして、淡水区の水産研究所の支所ということにいたしたい、こういうように考えております。日光養魚場につきましては、現在はやはり養魚場ということでマスの養殖等をやっておりますが、その執務体制や職員構成その他につきましては、日光養魚場として運営されておりますけれども、設置法の改正をいたしますについて、予算面では淡水区の水産研究所の支所といったような形で経営せざるを得ないような状態でございます。こういうような状態になっておりますることは、まことにわれわれといたしましても御指摘のとおりでございますが、こういう事態を一日もすみやかに解消して研究所支所ということに運営いたしたい、こういうように考えております。と申しますのは、養魚場のマスの養魚ということにつきましては、やはり種苗の配付なり、稚魚の養殖ということを主体にいたしておりますけれども、やはりそういう面におきましても、えさの与え方、そういう面で研究的の色彩もあるわけでございますが、そういう面を研究体制に持っていこうという形でございます。というのは、マスの種苗の配付という事業も長くやっておりまして、各県でももうすでにそういった事業が、大体需要に即応するような、種苗の配付施設ができてまいりまして、日光の養魚場の職務というものが果たされつつあるのでございますので、これをさらに必要なマス類、特ににじマスを中心にいたしました試験研究に切りかえていきたい、こういう形でございます。御指摘のとおり、一日も早く改正さしていただきまして改めていきたい、こういうふうに考えております。執務体制や職員構成は、やはり養魚場のままでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/138
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139・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 水産庁長官が、そう言うなら、養魚場の体制だとおっしゃるから、ですから私はもう少し中から入って、結論として聞きたいというふうに思っておったわけです。いずれにしましても、この問題は、私は水産庁長官としても、なかなか説明がむずかしい問題だと思いますよ。ですが、それは一応それだけにいたしまして、あと、この水産庁の問題について、いまの養魚場の問題若干伺いたいと思いますけれども、しかし、きょうは時間がありませんので、もう一つ林野庁の問題についてお尋ねをしておきたいのですがね。林野庁は今度各営林局にできるわけですか、国有林野管理審議会というやつが、——これはすでに各営林局に昨年の秋から年末にかけまして、国有林野管理協議会というのですか、設けたわけですね。それが今度は審議会という形になるわけですが、これはどういう——、長官見えていませんですね、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/139
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140・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) お話の国有林野の管理協議会というのを、昨年の農業構造改善事業を始めまする際に、次官通達に基づきまして国有林の適正な活用というようなことが問題になりましたが、農業構造改善事業というものとからめて、何といいますか、暫定的な懇談会のような形で学識者に集まってもらって知恵を借りようということでとりあえず出発をいたしたわけでございます。その際行政組織法との関係もよく吟味したのでありますが、学識経験者の御意見を聞くということも一回か二回かやればということでやったのでございますが、その後の経過でさらに構造改善事業そのものが山村を対象にするというような展開をいたしまして、他方、国有林全体についての問題も日程にのぼってまいりました。その辺の調整をするためには暫定的な取り扱いでなしに、法律上のものとして恒久的な制度としたほうが、農業構造改善のためにもあるいは林業の構造改善のためにも、国有林のあり方のためにもいいのではないかというふうに考えまして、今回の法律案で審議会の設置をお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/140
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141・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これは私も、この内閣委員会でいつも問題になるのですが、先ほども厚生省設置法で千葉委員が問題にしておったわけですけれども、内容は、前にありました協議会と今度できまする審議会とは内容は違うわけでありますか、内容は違うというか、そのことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/141
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142・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 内容的には何といいますか、政府の側で聞こうとします内容についての性格的な差はさほどないと思いますけれども、ただ農業構造改善なり、山村の農業構造改善、林業構造改善、国有林のあり方というふうな問題が大きく政策的に展開しつつあるという意味で、実質的にそういうケースが非常に多くなっているという点で、当初考えましたのとは何といいますか、量的に相当な違いが出てくるというふうに考えております。なお、出席していただいておる人たち等については、現在の具体的な、個人は別としまして、学識経験者という意味で選びます対象の範囲は、従来の経験を参酌しながらほぼ同様の構成になろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/142
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143・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それでは次に食糧庁のやつをひとつ聞きます。
食糧庁のやつはこまかい数字です。ですから事務的に御答弁いただくといいのですが、食糧庁の人員が今度減りますね。食糧庁から十六名減になるわけですが、定員が十六名減る。その中の十名がちょっとわからないわけです。これは食糧庁から官房の事務強化のために本省に振りかえるという、十名振りかえる、こうなっているのですね、この十名はどうなんですか。これは私は前に臨時食糧管理問題調査会設置法というのをつくる、それが出ておったですね。そのときに食糧庁から大体十名ぐらいの人で官房へ振りかわって、それが臨時食糧管理問題調査会というのができた場合にはその事務をやるというふうに見ておったわけです。ところが、今回はそういうものが出ないわけです。そういう法案が出てないのですが、この十名、官房の事務を強化するために入るという理由はどういうことなんでしょう、官房に振りかえるということは。それだけ食糧庁でわからぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/143
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144・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) お答えします。お話の臨時食糧管理問題調査会というようなことでの人員の移しかえではございません。一つは四名でございますが、官房に農林省の職員の研修の施設をつくる予定がございます。これは浅川の国有地に目下施設を建設中でございますが、農林省の各局に関連のございますことで、食糧庁から十月以降でございますが、四名官房に移しかえしましてそちらの事務に振りかえるという予定でおります。さらにこれはきわめて事務的な点でございますが、電話の交換事務を集中管理いたします。で、その関連で、これは年度初めからということで予定しておったんでございますが、食糧庁から二名を移しかえることにいたしております。で、さらにそれだけでは足りませんので、林野庁からも三人移しかえるという計画をいたしております。なお、残りの四名でございますが、これはかねて農林省として懸案になっております価格政策の総合調整に官房で相当力を入れてやってまいるというふうに考えまして、価格関係で政策的に非常に大きなウエートを占めております食糧庁のほうから四名移しかえるというふうにしたわけでございます。で、合計、初めの四名とさらに二名、いま申し上げた四名、合計十名ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/144
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145・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 きょうは、委員長、時間の関係もありますから、これで私の質問一応終わることにいたします。食糧庁の分はこれでもうないわけですが、あと水産庁と林野庁が少し残っております。これらは次回に回すということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/145
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146・三木與吉郎
○委員長(三木與吉郎君) 他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
これにて本日は散会いたします。
午後四時五十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104614889X04019640616/146
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