1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十七日(水曜日)
午前十一時五十分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 正示啓次郎君 理事 廣瀬 正雄君
理事 福永 一臣君 理事 三池 信君
理事 井谷 正吉君 理事 岡本 隆一君
理事 西宮 弘君
逢澤 寛君 天野 光晴君
稻村左近四郎君 大倉 三郎君
大野 明君 木部 佳昭君
木村 武雄君 佐藤 孝行君
篠田 弘作君 砂原 格君
丹羽喬四郎君 堀内 一雄君
山本 幸雄君 渡辺 栄一君
金丸 徳重君 久保田鶴松君
中嶋 英夫君 原 茂君
山中日露史君 稲富 稜人君
出席国務大臣
建 設 大 臣 小山 長規君
出席政府委員
農林政務次官 舘林三喜男君
林野庁長官 田中 重五君
建設事務官
(大臣官房長) 鶴海良一郎君
建設技官
(河川局長) 上田 稔君
委員外の出席者
建設事務官
(河川局次長) 国宗 正義君
専 門 員 熊本 政晴君
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三月十六日
委員佐藤孝行君辞任につき、その補欠として羽
田武嗣郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員羽田武嗣郎君辞任につき、その補欠として
佐藤孝行君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十五日
適正単価に基づく公共工事発注に関する請願
(野原正勝君紹介)(第一四四二号)
同(今松治郎君外三名紹介)(第一六八六号)
同(藏内修治君紹介)(第一六八七号)
同(倉成正君紹介)(第一七九三号)
不動産鑑定業に関する特例による営業期限延長
等に関する請願(原田憲君紹介)(第一四四八号)
同(砂田重民君紹介)(第一四九一号)
中村川改修計画反対に関する請願(木村俊夫君
紹介)(第一四六三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第四八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を開きます。
この際、都合により、暫時休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後三時五十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/1
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002・森山欽司
○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前会に引き続き、質疑を続行いたします。岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/2
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003・岡本隆一
○岡本委員 昨日は、災害常襲地帯の問題についてお尋ねをしたのでございますが、きょうは、この緊急措置法を裏づけるところの新五カ年計画の内容について、お尋ねをいたしてまいりたいと思います。
まず最初に、新五カ年計画の策定の理由でございますけれども、昨日来、大臣がしばしばお答えでございますが、昭和三十五年以来相次ぐ災害の発生に対処するため、もう一つは流域の経済の発展に即応するため、大体こういうふうな理由に基づいて新五カ年計画を策定するのだ、こういうお話でございました。しかしながら考えようによりますと、これは後期五カ年計画の実施ということになってまいると思うのです。物価の値上がりに伴う計画の是正、さらにまた災害に先食いされておりますが、そのために補正が必要になってくる、こういうことで、後期五カ年計画を補正するというふうな考え方もできるわけでございまして、また、実質的には、そういうふうな前期五カ年計画は三千六百八十億でやりました。後期五カ年計画は、四千八百五十億。しかしながらそれが補正する必要があるから補正するんだ、こういうことでいいと思うのでございますが、それをなぜ新五カ年計画と呼ばれるのか、その理由を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/3
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004・小山長規
○小山国務大臣 きのうも申し上げましたように、いまおっしゃったようなたびたびの災害で、最初の計画どおりやれない場所が出てくる。それから一方においては、緊急を要するために、そっちのほうをやってしまったということもあるわけでございます。そのほかに、流域の社会といいますか、人口、産業の模様が変わってきてしまって、緊急を要する場所がまた別のほうに移動したというような面もあります。が、やはり理論的な問題としましては、新河川法が施行されることになったので、そこで、いまの旧河川法によってつくっておったものとは、やはり法律的に違う新河川法の水系一貫の思想によって、五カ年計画をつくり直す必要が出てきたんだ。これは理論的な面としてはそうだと思います。以上、理論的な面と、それからもう一つは経済的な面と、こういう問題がある。それで新五カ年計画をつくり、また治山治水の法律を直す必要が出てきたのだ、こういうふうに申し上げたらいいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/4
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005・岡本隆一
○岡本委員 そういたしますと、新五カ年計画は、水系一貫主義に基づくところの河川管理に即応するために、事業の規模を大幅に拡大する必要があるから策定したのだ、こういうふうに理解してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/5
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006・小山長規
○小山国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/6
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007・岡本隆一
○岡本委員 それではお尋ねをいたしますが、政府のほうからちょうだいいたしました、「新治水事業五カ年計画について」というプリントでございますが、これの「参考表——1」というのがございますので、それをごらん願いたいと思います。これは治水事業十カ年計画の進捗表でございますが、この十カ年計画の進捗表を見てまいりますときに、前期五カ年計画の事業費は三千六百五十億でございますが、しかしながらそれの実施額は四千三百十七億、したがって差し引き六百六十七億の超過が出ております。つまり後期五カ年計画をそれだけ先食いした、こういうことになっておりますが、この後期五カ年計画の、つまり十カ年計画の残事業費、四千百八十三億というこの金額は、昭和四十年の事業の単価に直しますと幾らになりますか。これは事務当局からお答え願ったらけっこうだと思います。——概略でけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/7
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008・上田稔
○上田政府委員 六千七百億くらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/8
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009・岡本隆一
○岡本委員 それでは、今度は、後期五カ年計画の四千八百五十億、これを四十年度単価に直しますと幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/9
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010・上田稔
○上田政府委員 先ほどの数字はちょっと間違いまして、四千八百五十億に対応するものが、先ほど言いました約六千七百億でございます。それから、先生がいま言われました四千百八十三億に対応するものは、約六千百億ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/10
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011・岡本隆一
○岡本委員 それでそろばん合っていますか。四千百八十三億で六千百億でしょう。それからさらに七百億ほどふえまして、それが六千七百億ということになると、六百億よりふえておらぬでしょう。そろばん合わぬですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/11
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012・上田稔
○上田政府委員 いまのは四捨五入をいたしました値でございますので、正確に計算をいたしますと、もう少しその数字は変わってまいります。
いまここに手元にあります換算数字は、実績を三十五年度単価に直したものはあるのでございますが、三十八年度単価に直しますものは、実績は毎年換算率が違っておりますので、それを逆に計算をし直さなくちゃいけませんものですから、すぐにちょっと出ませんので、あとで提出をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/12
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013・岡本隆一
○岡本委員 私がお尋ねをいたしておりますのは、この十カ年計画の残事業費が四千百八十三億ある。その四千百八十三億を四十年度単価に直せば、六千百億であるということでございました。そこで、この当初の十カ年計画の後期五カ年計画四千八百五十億という数字を、四十年度単価に直せば一体幾らになるのか、こういうことをお尋ねした。それによりますと、私がいま計算いたしましたら約七千億でございます。そこで、お尋ねをいたしますが、そういうことになりますと、新五カ年計画は八千五百億でございますが、しかしながら、その後期五カ年計画の残事業費というものは、現在の単価に直せば七千億、そうすると新五カ年計画というものは後期五カ年計画を上回っておること千五百億ということになるわけですね。それは間違いないですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/13
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014・小山長規
○小山国務大臣 そのほかに、予備費の千億と、それから災害関連並びに地方単独事業の千五百億があるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/14
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015・岡本隆一
○岡本委員 そのことはあとでまた申し上げます。私は、そういうものは勘定に入れるべきでないという考え方に立っておる。治水事業というものは予防行政です。したがって、予防行政としてこれだけのものをつぎ込むんだというところの考え方に立った金額というものは、千五百億増ということになる。そういたしますと、それは約二〇%ぐらいの増にしかならないですね。つまり、後期五カ年計画の残事業費四千八百五十億、これはもう昭和三十五年にすでにきめられたのです。昭和三十五年にきめられたところの十カ年計画の後期五カ年計画は四千八百五十億、これを現在の単価に補正いたしますと約七千億、そうすると、七千億を上回ること千五百億というのが、今度の新五カ年計画の治水事業費です。その治水事費業千五百億の増というものは、七千億で割ればこれは二〇%増ということなんですね。そういうことになってまいりますと、新たなる災害に対処するというのには一千億の予備費がある、また災害関連費があるとおっしゃいますが、しかしながら、新河川法の制定に伴い、水系一貫主義の、合理的な、また一つの画期的な治水行政をこれから推進するんだ、さらにまた、流域の経済の発展に即応して、新時代に対処するのだと銘打って、今度新五カ年計画ということを大きく打ち出されるにしては、実質的には二〇%増の治水投資である、こういうことになってまいりますと、新五カ年計画というものは、これは一皮むいてみれば二〇%増の手直しであって、全く看板倒れだ、こう言うことができると思うのでございますが、建設大臣は、そのことをお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/15
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016・小山長規
○小山国務大臣 それは岡本さんのなにですが、やはり一兆一千億円ときめますときには、治水事業としてやるわけですね。ただその内訳は、八千五百億のほうは治水であり、そして予備費が一千億、災害関連が千五百億と内訳はしてありますが、これは全部治水費なんですよ。ただ、一方は災害が起こる場合を予想して、起こった場合に関連の治水費をこれで見ましょうということであるし、片一方予備費のほうは、思わざるところに、産業人口と河川との関係で、危険度が増してきたという場合に、やはり治水費として使うわけです。ですから、岡本さん流の計算をしましても、やはり四千億はふえておるわけです。そう私は見るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/16
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017・岡本隆一
○岡本委員 そのことは、先ほど申しましたように、あとでまた御意見を承りたいと思います。
それでは引き続いて、その表を見ていただきまして、当初の計画額三千六百五十億、実施額は四千三百十七億であるということでございますが、しかしながらこれを物価の値上がりで補正をしていきますと、一番下の欄に計画達成率というのがございます。その計画達成率で、三十五年度は一〇一%ですね。それはそのときの価格ですからいいです。その次に昭和三十六年度です。ただいまは、昭和三十五年度の事業費と昭和四十年度と比べると、四千百八十三億というものが六千百億になるということでございましたから、相当の工事費の値上がりというものが現実にあったということは、建設省も認めておられるわけですね。それでは伺いますが、その工事費の年々の値上がり率、それは一体平均してどの程度と建設省では踏んでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/17
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018・上田稔
○上田政府委員 三十五年を一〇〇にいたしまして、三十六年は一一四・二でございます。三十七年は一二二・四、三十八年は一二八・六でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/18
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019・岡本隆一
○岡本委員 三十九年は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/19
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020・上田稔
○上田政府委員 三十九年は出ておりません。まだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/20
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021・岡本隆一
○岡本委員 そういうことになってまいりますと、三十五年の一〇一は確かに計画量を上回った事業量が実施されている。しかしながら三十六年になりますと一一四%消化して当初の計画事業量が実施されたことになるわけでありまして、一〇六でありますと、これは計画達成率というものは当初計画より落ちているということです。さらにまた、三十七年の一二二が一〇九であるということは、相当下回っているということです。三十八年の一二八が一一三であるということは、著しく下回っておるということです。そういたしますと、昭和三十五年から三十九年に至るところの前期五カ年計画においては、なるほど金額の上では、達成率は平均して一一八とオーバーいたしておりますけれども、しかしながら、工事の実施量というものにおいては、実質的には大きく下回っておる、こういうことを言わなければならぬと思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/21
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022・上田稔
○上田政府委員 御説明を申し上げます。三十六年度におきましては、実施額は一〇六%でございますが、いまの換算をいたしますと、九九%です。それから三十七年度は一〇九%でございますが、実施にいたしますと九七%でございます。三十八年度も同じく実施は九七%でございます。三十九年度は九九%でございます。いずれも九五%以上でございまして、おおむね予定どおりに実施をいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/22
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023・岡本隆一
○岡本委員 九七%から九九%で、おおむね実施しておるという、非常に苦しい御答弁でございますけれども、しかしながら、あなたのほうの発表では、平均して一一八%と大幅に事業量は上回っておる、そしてそのために、前期五ケ年の間に後期五カ年のほうを先食いしたのだというふうな表現をしておられまして、物価の値上がりというものを全然織り込まずに、計画は、このように私どもは消化いたしました、治水事業はりっぱにやっております、しかしながら新事態に即応するために、新たに大幅な計画の改定をやるのです、こういうふうに、非常に美しく粉飾されておりますけれども、実質は物価の値上がりのために事業量は消化し切れませんでした。さらにまた、新五カ年計画と銘打って、新たに新事態に即応するのだといいながら、実際上はわずかに二〇%の増にしかなっておらない。これが新五カ年計画の実態であるということになってまいりますと、これは私どもは、看板に偽りあり、こう言わざるを得ないと思うのでありますが、建設大臣、御所見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/23
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024・小山長規
○小山国務大臣 いま局長が答弁しましたことは、私もちょっと納得しかねるのですが、ここに書いてある数字は、計画の年度割りにしてありまして、三十六年は五八〇やる予定のところが五八七やった、それから次は六四七の計画を七〇九やった、そういうパーセンテージが出ているわけですね。それを物価換算をしてみた場合に、はたして九九というような数字になるのか、その辺のところをもう一度確かめさせます。
〔委員長退席、福永(一)委員長代理着席〕
いま私が申し上げましたとおりのようでありますが、やはり数字は、局長が読み上げたとおりのようであります。したがって、おっしゃるように、ここからいえば、数字の上では一八%増になっておるが、実際は計画のとおりやった、こういうことであるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/24
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025・岡本隆一
○岡本委員 計画のとおりというよりも、計画以下であったわけじゃないですか。しかも、わずかではありましても、計画以下で、計画を十分消化していない。物価値上がりのために消化できておらない。さらにまた、その改定の理由にいたしましても、事業費を災害その他に食われて、事業をたくさんやり過ぎたんだ、やり過ぎたから金が足りなくなったから、今度新たに大幅に改定するのだ、こういうふうな表現でございますけれども、それは、いままでの御説明に誤りがあるということはお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/25
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026・上田稔
○上田政府委員 工事に対しまして工事計画の金額がございますが、その工事を実施いたしますときには、その計画に対しては、ある程度請負残とか、そういう圧縮率とかいうものが、災害でも考えておりますが、ございますわけであります。そういうものを考えますと、計画どおりよりも少し上回っている程度くらいで、大体計画どおりくらいにできておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/26
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027・岡本隆一
○岡本委員 まあこれ以上追及しても、済んだことでございますから。しかしながら、私は、やはりこういう数字というものは、すなおに読んでいただきたいと思うのです。そして事実上治水十カ年計画ができまして、前期五カ年計画三千六百五十億でございます。そして年度別にこういうふうにしてございます。しかしながら、物価がどんどん所得倍増計画とともに上がったから、実質上消化し切れませんでした、だから今度の新五カ年計画はやはり新しい物価の段階において大幅に改定する必要がある、こういうふうなことをはっきりと私はやはり打ち出していただきたい。きれいごとばっかり表面に出してきまして、そして物価の値上がりというようなことをこそっと——書いてないことはございませんよ。しかしながら、やはりそういう現実をはっきり見詰めた表現というものをしていただきたかったのです。元来、こういうふうな計画というものをあらわすのに、これはほんとうは事業量できめるべきなんです。それを投資規模できめておられる。今度の新五カ年計画もそうであります。投資規模できめておられます。ところが、その事業量をあらわすものさしに適当なものがないから、金額であらわしてあるのでしょうが、そういうふうな場合には、やはり工事費の値上がりとともにスライドをして年々補正していかなければいかぬ。全然その補正をせずに、一たんきめたものはそのまま据え置きだ、こういうふうなこと自体に大きな誤りがある。しかも、それで消化されたかのごとく、為政者自身も錯覚を起こしておるし、国民もそれにうまくだまされておる、こういうふうなことであってはならないと思うのです。やはり政府が、現在の物価の基準において投資額何ぼの治水計画を立てる、新五カ年計画を立てました、こういうことであるといたしますなら、これはそのとおり、政府が新五カ年計画を策定したとおりに実施しているかどうかということを、これから五年間年々見ていくのには、絶えず物価の値上がりというものを織り込んで、それで補正しつつ、それだけの事業量が消化されておるか、されておらないかということを、はっきりやはり国民に知らしていただかなければいけない。ところが、それがいままでの経過においては全然行なわれておりません。そういう点は今後改めていただきまして、はっきりとしていただきたいと思うのでございますが、大臣の御見解いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/27
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028・小山長規
○小山国務大臣 おっしゃる趣旨はよくわかります。ただ岡本さんもおっしゃったように、金額であらわす以外の方法がないわけですね。たとえば堤防を何メートルふやしますとか、その容積は幾らでありますとか、ダムは何立方メートルでありますとかいうようなあらわし方ではできないわけですね。そこで同時に、金額であらわしておることについても、私は利益があると思いますのは、その金額におさめたいということで、設計とか、あるいは工事の単価とか、そういうもののくふうが相当この間に織り込まれて、少々物価が上がっても、その物価をある程度消すくらいの技術的な改良とかあるいは工事のくふうとか、そういうものがそこに入ってきて、実際名目的な物価は上がっておっても、工事量そのものには、物価が上がったほどの影響はないということは、必ずあり得ると思うのであります。そういう努力は、建設省としては、これはもう日夜分かたず研究し努力しなければならぬ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/28
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029・岡本隆一
○岡本委員 御努力はわからぬでもありません。しかしながら現実に物価が上がれば、業者はとても請負えません、引き受けません。だからやはりそれに見合う工事費というものは必要になってまいりますし、また無理に工事費を圧縮されますと、そこに、セメントを抜いたり、いろいろ工事に間違いが出てまいります。また現実にいま決算委員会で問題になっているように、あまり安く請負わしたらいかぬ、だから最高のやつに請負わさなければいかぬというふうな、九頭竜ダムのようなことすら、現実に政府はやっているではないですか。だからいまの大臣のお答え、私はそのまますなおに受け取るわけにはまいりません。しかし、そういう努力はしていただかなければならぬことはわかりますし、努力されておるということもお察しはいたします。しかしながらやはり適正な価格でもって工事はさすべきでありますし、そしてまた、それでもってりっぱな安全な工事をさせるべきであります。したがって、また物価が上がれば、それだけスライドさして換算して、それだけの事業量が正しく消化されているかどうかということを、やはり政府自身も認識していただかなければいけませんし、国民自身にもそれがわかりやすくしていただく必要があると私は思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/29
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030・小山長規
○小山国務大臣 最初から申し上げますとおりに、岡本さんのおっしゃる意味はよくわかるのです。そういう発表をすることがいいか悪いかは別といたしまして、それはわかります。ただ物価が、たとえば、去年とことしと、総合物価で幾ら上がったとなっても、いま現在の情勢でごらんになるように、セメントは一般物価よりも下がっておりますね、あるいは鉄は下がっておりますね。ですから、工事に使うものは必ずしも物価のとおりに動くものとは限らぬわけです。そこで、われわれは毎年度の予算の要求のときに、計画したとおりの予算をもらわなければならぬ、その面で予算の補正はするわけです。そういう努力はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/30
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031・岡本隆一
○岡本委員 いかがでしょうね。これはくどいようでございますけれども、しかしただいま局長から承りましたのでは、昭和三十五年に一〇〇であったものが、三十六年には一一四と工事費が上がっておる、こういうふうなことであります。一般の物価のなには、私はいま正確にその数字を持っておりません。ただ概略はわかる。一〇一、一〇六、一〇九というこの工事達成率は、年率物価六%の値上がりとして、私が計算してみても、計画工事量は消化できていない。それが、それをはるかに上回るところの物価の値上がりというふうな、物価というよりも、これは工事費の値上がりです。工事というものは資材だけで行なわれるのではありません。なるほどセメントは横ばいかもしれない。しかしながら、こういうふうな建設工事に一番大きくものをいうのは労賃です。労賃はどんどん上がっておる。だから、そういうふうな、年々、今後ともまだまだ大きく上がっていく要素がある場合、建設費の値上がりというものを織り込んだ数字を正直に出していただいて、そして当初の計画というものはきちんと消化してもらいたい。治水五カ年計画を何ぼきめましても、新五カ年計画を何ぼきめましても、物価が上がり、仕事が三分の二よりもできておらぬということでは、われわれは治水効果を期待することができないわけです。私どもが期待しているのは計画ではないのです。また金を使うということだけではないのです。実質的にそれだけの治水効果があがるということを、この新五カ年計画に期待しておるわけです。だから、それだけの治水効果があがるだけの工事をやっていただかなければならないのに、物価が上がって、いつの間にやら工事はだんだん縮小しておった、その計画は達成されておらぬ。しかも、金額では進捗率がこういうふうに書いてあって、いかにもどんどん工事ができておるように、この数字だけ見ておるとなっております。ところが実質的には全然消化されておらない、当初計画を下回っておる、というふうなことなんですね。この表は国民を瞞着するもはなはだしいのです。九七ないし九九%だとおっしゃるが、私はこのパーセンテージには疑問を持っております。私が年々六%の物価の値上がりと計算してすら、消化されておらぬ、一〇〇%を切っておるというのに、それにもっと強い工事費の値上がりに対して、こんな九九%も昭和三十九年に達成されているはずがないのです。これは間違いです。三十九年度の消化率はもっと下回っております。だから、今後私はそういう点、もっとわれわれにわかりやすい数字を出していただき、そして正直に、政府がどれだけの当初計画の消化をやっておるかという進捗表を出していただきたい。こんな数字だけで、物価の値上がりというものが全然補正してない、織り込んでない進捗率を出していただいたら、これは金だけ使うておって、仕事はしていないということです。そういうことでは、私は国民を欺くものと思いますから、今後、そういう点はひとつ是正していただくように、要望いたしておきたいと思います。
そこで、さらにお尋ねをいたしますのは、この前期五カ年計画の進捗表を見ていきますと、これは建設省から出ておる「建設月報」に出ておった何でございますが、前期五カ年計画の進捗率は、高潮対策は二五八%である、地すべり三五〇%である、こういうことでございます。そうしますと、これを物価補正をいたしますと、おそらく約二〇〇%ぐらいが高潮対策、それから地すべり対策費としては三〇〇%くらいが使われておる。それに対しまして、直轄河川は一一八%、中小河川は一一九%、ということは、物価補正をすれば一〇〇%を少し切っておるということになると思います。直轄砂防に至っては一一〇%でございますから、これは補正いたしますと、九〇%くらいであろうと思うのです。つまり前期五カ年計画の実績を見てみますときに、高潮対策や地すべりは大きく金を食っておりますけれども、直轄河川や直轄砂防というものは、当初計画を下回ったところの事業量より消化できておらないということです。このことはどういうことを意味するかといえば、これは伊勢湾台風であるとか由比の地すべりであるとか、そういうふうなことに大きく金が使われて、予算が食われ、当初計画が食われておるということ。元来治水というものは予防行政、災害を防止するための先行投資なのです。しかるに前期五カ年計画の実績を見てみますと、伊勢湾であるとか第二室戸であるとか、そういうふうな災害に事業費が大幅に食われて、いわば日本の治水事業は、この五カ年間というものは、予防行政というよりも、むしろ災害の手当てをして回っておった、災害のあとを治水事業がついて回っておった、こういうふうなことになると思うのであります。だから、こういうふうな行政のあり方を、災害待ち行政だというふうなことをいうのでございます。だから、そういう意味において、私は、先ほど大臣がおっしゃいました、新たに一千億の予備費がつき、さらにまた災害関連費、地方単独関係に千五百億ついたということはけっこうなことだと思います。しかしながら、私はそういう意味においては、やっぱり災害というものは、予備費一千億あるいはまたその関連費その他千五百億というふうなものは別ワクとして、最初に組まれたところの八千五百億という当初の事業費というものは、やはり先行投資分、予防行政分として、はっきりと使っていただきたいと思うのでございますが、これについての大臣の御方針、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/31
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032・小山長規
○小山国務大臣 方針としましては、いま岡本先生の言われたように、八千五百億というものは、元来の治水といいますか、おっしゃった予防行政といいますか、そういう面に使う。いままでの前期五カ年計画にかんがみて、やはり一定の予備費あるいは災害関連費を持っていないと、いまおっしゃったようなほかの方面に使ったかどうか知りませんが、本来堤防を築くべきところの堤防がおくれたり、ダムをつくるべきところのダムがおくれたり、したかどうか知りませんが、それがないようにという趣旨でありますから、おっしゃったように、八千五百億というものは、本来——本来というとおかしいのでありますが、予防的な治水費に使っていく、こういう方針で五カ年計画を組む考えであります。
〔福永(一)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/32
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033・岡本隆一
○岡本委員 それは日本の治水行政面におけるところの新たなる方針、しかも大きな進歩であると思います。だから、せっかく計画を立てていただきましても、それが災害にどんどん食われてしまうというふうなことでは無意味でございますから、せっかくの計画が、先行投資として、予防行政としての治水の実績をあげ得るような方針を堅持していただくように、お願いをいたしておきたいと思います。
そこで、農林大臣にお尋ねをしたいと思いますが、委員長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/33
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034・森山欽司
○森山委員長 副大臣がおりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/34
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035・岡本隆一
○岡本委員 私は、ことさらにいやがらせというふうな意味ではない。やはり党の方針として、法案採決の場合には大臣に出席していただいて、はっきりといろいろな点のお約束を大臣にしていただく、こういうふうなたてまえに立っておるわけでございますから、きょうは、政務次官のお答えを、ずばりそのまま大臣のお答えとして承っていきますので、その点については責任を負っていただきたいと思います。
そこで、お尋ねをいたしたいと思いますが、前期五カ年計画におけるところの治山事業の事業達成の状況でございますが、事業費は、計画では七百二十九億であるが、実績は八百五十八億、進捗率は一一八%である。ところが、一方、事業量は九万九千ヘクタールに対しまして、実績が九万一千ヘクタール、それに災害によるところの追加分なんかを加えますと、消化率が五八%である、こういうふうなことでございますが、この達成率の低い理由については、昨日の連合審査会におきまして、政務次官から、予想しないところの災害に対処したものであるということと、第二には、労賃や資材の高騰によるものである、こういうふうな御説明でございましたが、事業費の増大に比しまして進捗率があまりにも小さいのは、私のふに落ちない。もう少ししろうとにわかるように、このように、最初の計画量に対して、事業費が相当オーバーしておるのに、事業量がなぜこんなに少ないのかということを、もっとわかりやすく御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/35
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036・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 赤城農林大臣が本日出席できませんで、ほんとうに申しわけございません。
事業につきましての進捗率でございますが、事業費につきましては、岡本委員すでに御承知のとおり、一割八分の増加でございます。しかし、事業量につきましては、お手元に配付いたしましたように、五割八分にしか達しておりません。この理由につきましては、きのう申し上げましたように、各地に集中豪雨が起こりまして、荒廃地が非常に続出いたしましたし、その工事のために費やしましたために、全体としての進捗率が五割八分にとどまったわけでございます。事業量といたしましては、たとえば集中豪雨等の災害によります復旧の追加は五万七千ヘクタールという膨大な量を示しておりまして、かような点が進捗がおくれました大きな原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/36
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037・岡本隆一
○岡本委員 この治山事業の単位は、金額であらわされておりませんで、ヘクタールであらわされております。これはどういう意味ですか。それで、そのヘクタール当たりの事業費というものは一体幾らと見積もって予算がつけられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/37
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038・田中重五
○田中(重)政府委員 復旧治山、あるいは予防治山その他、治山事業の中身といたしましては、崩壊地復旧のような面積で表現されるものと、防災林造成、これは延長で表現をしておりますが、そこで、メートル当たり、あるいはヘクタール当たり、そういう単価を積算をいたしまして、そうしてその個所当たりの単価を出しておるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/38
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039・岡本隆一
○岡本委員 つまりこれがヘクタールであらわされるということは、治山事業というものは、崩壊してはげ山になっておるところを緑化する、こういうふうな意味で、ヘクタールであらわされておる、こういうことに私は理解しておるのですが、間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/39
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040・田中重五
○田中(重)政府委員 そういう御理解でけっこうだと存じます。また、いま申し上げましたように、防災林造成、いろいろな保安上の指定の目的を持った保安林がございますが、そういう保安林造成については、延長であらわしたりする場合がございますから、面積で表現されている場合も、決して誤りではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/40
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041・岡本隆一
○岡本委員 そういたしますと、農林省の治山事業というものは、すべて山腹工事をやるものだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/41
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042・田中重五
○田中(重)政府委員 農林省の治山事業と申しますのは、主として森林造成が中心になるような工事を主体といたしまして、渓流工事であっても、造林を伴うというような工事は農林省の所管というふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/42
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043・岡本隆一
○岡本委員 砂防の仕事には、山腹工事と渓流砂防とございます。私の理解では、農林省は山腹工事をやり、そうして渓流砂防は建設省が担当する、こういうふうに理解しております。ところが、それがしばしば混同されている。そこで、その治山砂防の一元化ということを私どもよく耳にするわけです。今度のこの事業費と事業量の大きなアンバランス——山腹工事をやるということであるといたしますなれば、それは山腹工事のいろいろな工法がございます。その工法に基づいて植林をやっていくということであれば、労賃が何ぼ上がりましても、こんなに倍以上になる——事業費は約一二〇%、消化は五八%、六〇%を切れておるというようなことになると、工事費が倍になった、こういうことになるわけですね。だから、こういうふうな非常にはなはだしい事業量と事業費のアンバランスというものは、私は、事業の内容、質に転換があったのじゃないか、山腹工事だったら、あまり材料が要りませんし、一定の金額でわりあいに金がかからない、しかしながら、渓流工事になれば、砂防堰堤をつくれば相当金がかかります、だから、山腹工事にあまり金を使わぬで、渓流工事をどんどんやられた、こういうことのために、私はこのようなアンバランスが出てきたのではないか、こういうことになると、前期五カ年計画において計画をきめるときには、山腹工事をやりなさいというところの任務、山の緑化をやりなさいという任務を受けておりながら、実質的には緑化よりもむしろ渓流砂防に重点を置いてやったというところに、私は事業費と事業量とのアンバランスがあるのではないか、こういうふうに理解するのでございますが、そういうことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/43
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044・田中重五
○田中(重)政府委員 建設省と農林省との事業調整につきましては、ただいまも申し上げましたように、基本的な考え方としては、建設省の場合は渓流工事、それから傾斜が非常に急峻で造林の見込みのないような地域の工事。それから農林省の場合には、先ほど申し上げましたような森林造成が中心になるような、そういう工事であると同時に、渓流工事であっても、森林造成を伴うというような場合は農林省、という基本的なそれぞれの了解事項がございます。それからさらに、工事の個所の調整につきましては、これは建設省、農林省両省がよく協議をいたしまして、水系ごとに、図上とそれから現場ごとに、その個所の重複を避けながら、しかも両方が緊密に有機的につながらないと治山治水の効果は発揮し得ないだろうという観点から、この個所の協議をするわけでございます。それからさらに、この年度別の事業につきましては、その都道府県、あるいはまた営林局、それからまた地方建設局、この三者がよく相談いたしまして、その効果のあがるように仕事をする。そのほか、昨日も申し上げましたような、関係課長の交流、係長の交流というようなことをして、そうして有効に予算を使用するということにいたしております。
そこで後段の御質問のように、山腹工事から逸脱して、いわゆる砂防堰堤のような仕事が多いのではないかという御質問でございますけれども、その工事の種類についても、もちろん建設省とよく協議の上きめている仕事ではございますが、この山腹工事を効果あらしめるためには、その根固めといたしましての渓流工事、あるいは基礎固め工事、その他の工事がやはり必要でございます。ことに、きのうも申し上げましたように、予防治山を積極的に進めていく、そして下流の災害を未然に防ぐという場合に、このいわゆる山腹工事、この階段法切りで植林をするという工事とあわせて、その山の根を固める意味で、そういう渓流工事も必要であるので、あわせて実行しておるという現在の状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/44
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045・岡本隆一
○岡本委員 治山治水緊急措置法で、こうして法律の中でもはっきりと緊密な結びつきがうたわれておる。また、その山の崩壊というものを防がなくては、幾ら渓流砂防をやってもだめなんだ。だから、農林省の治山事業に課せられた任務というものは、あくまでも山の崩壊を防ぐということを第一にしていかなければいけない。ところが、私どもの知る範囲では、しばしば渓流に重点を置いて渓流を——ここに写真も持ってきておりますが、その近辺では植林の必要なんか全然ない。木のうっそうとはえておるところに砂防ダムをつくっておる。しかもそれからずっと上のほうの崩壊はほったらかしになっておる。はげ山はほったらかしになっておる。そういうふうな姿を、私たちはときとして、しばしば見るわけなんです。なるほど、渓流砂防は目につきます。山の中腹でいろいろな苦労の要る山腹工事をやっても、目立ちません。すぐ木ははえないのですから、植えたときには木が植わっているのやら植わっていないのやらわからないから、工事としては実にじみな仕事です。そのじみな仕事を真摯に着々とやっていただくことには、私どもは敬服もしますし、感謝もします。しかしながら、あくまで本分だけは忘れないようにしてもらいたい。農林省が、治山事業としてこれだけの予算をつけられて、計画を消化せよ、こういうことで、治山治水緊急措置法に基づくところの新五カ年計画で、これだけの事業量というものを担当をさせられたら、少なくともやはり何万ヘクタールということを任務として課せられているのだ。やはりそれだけの山の緑化をやっていただきたい。渓流工事については、なるほど仰せのとおり、それは根固めに必要なところもございましょう。だから、渓流工事は最小限にして、山腹工事に重点を置いていただく。これはやはりそれぞれの任務、仕事の分担というものを明らかにし、自分のすべきことというものをはっきりと認識してやっていただきたいと思うのでございますが、従来、ややともすればはでな渓流工事に予算が流れ、そのために山腹工事がおろそかにされている。だから山の崩壊は相次いで起こってくる。そういうようなことの結果が、今度の事業量のアンバランスになってきているのですよ。事業量と事業費とのアンバランスになってきている。前期五カ年計画においては、この治水五カ年計画というものには大きな誤りがあった、私はこのように断定することができると思う。だから、これは政務次官からお答え願いたいのでありますが、少なくとも新五カ年計画においては、治山事業をやるにしても、治水事業をやるにしても、おのおのその本分に基づいて、自分の仕事として分担させられたことを忠実にやり、その上に立ってはっきりとしたりっぱな日本の治水行政の全きを期する、こういうふうにやっていただきたいと思いますが、ひとつ農林大臣にかわって、はっきりとした御答弁をちょうだいいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/45
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046・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 岡本委員の御説全く同感でありまして、治山事業と治水事業につきましては、従来よくいかなかったというようなお話もいろいろと伺っておりますけれども、しかし、今日におきましては、先ほど林野庁長官から御説明いたしましたとおりでございまして、建設省と農林省とは密接な連絡もとっておりますし、第一線におきましても、県庁とか、あるいは農政局とか営林局は絶えず連絡し合いまして、工事の打ち合わせをやっております。したがいまして、農林省といたしましては、お話のとおりに、水源涵養のための保安林の造成、あるいははげ山の植林というようなことが治山事業の重点であることは申すまでもないわけであります。ただ、現に集中豪雨等のために、たとえば崩壊地ができる、そのために堰堤工事も行なわなければいけませんでしょうし、あるいは床どめもやり、あるいは山腹工事もやるというような、相当金のかかる事業をやってきたわけであります。そんな意味で、これはアンバランスができたと思います。しかし、目的はあくまでもいまおっしゃったとおりでありまして、将来におきましてもやはり予防治山ということを重点に置きまして、森林の造成、保安林の育成、かような点に全力をあげたいということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/46
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047・岡本隆一
○岡本委員 その点は、従来からこれはお互いに入り会いのようなものである。私は医者でございますから、そういうようなところをグレンツ・ゲビート、境界線、境界域と申しますか、そういうふうなことばを使っておりますが、やはり農林と建設関係の治山事業というもの、砂防事業というものは、グレンツ・ゲビートにある事業でございますから、両方が手をつけていきます。しかし、両方が手をつける場合には、おのおのが自分の本分を忘れないようにということが私は大切であると思います。だから、お互いに自分の本分を守りつつ、相助け合って仕事を完全なものにしていくという努力をひとつお願いしたい。治水の一日も早くりっぱなものができることを願う国民の立場において、私はお願いをいたしておきたいと思います。
そこで、もう一つお尋ねいたしたいと思いますが、しばしば農地の造成と治水とが衝突する場合がございます。これは農地をつくるんだということでもって遊水地帯がどんどん取りこぼたれていく。私がそれを一番痛感いたしましたのは、石狩川の流域でございます。石狩川の沿岸でもって、どんどんいわゆる泥炭地であるとか、その他の湿地が堤防で囲まれて、そこへ農地造成が行なわれている。なるほど洪水のこない間はそれでりっぱな農地でありますが、一たび洪水がきたら、たちまちそれがやられる。そうすると、災害復旧に膨大な金がかかるだけでなしに、せっかくの収穫も皆無になる。それだけではなくて、遊水地帯を取りこぼつということは、周囲へのはんらんを非常に大きくいたします。だから私は、前の河川法改正のときに、遊水地帯を取りこぼつのには、それに身がわるところの調節機能をつくらなくては取りこぼつことができないことにしよう、そういうふうな河川法の修正案を、河川法が成立するときに出したのです。ところが、それは政府並びに与党の取り入れられるところとならずに、第六条でございますかに、遊水地ということばが一語入っただけで、そのままにされてしまっております。しかしながらその後、全国の災害地を見て回ったり、あるいはあちらこちらの川を見て回る間に、やはりそういうふうな遊水地というものが治水に非常に大切である、だから遊水地はみだりにこぼつべきではないということを痛感しておるのでございますが、政務次官、いかがお考えになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/47
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048・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 お話のとおりに、徳川時代以来、各地の大きな川の周辺には広大な遊水地があることは事実でございます。しかし河川の改修につきましての技術も非常に進歩いたしまして、農地といたしましては、かんがい用水を受け入れるとか、あるいは水害の防除というワクの中におきまして、遊水地が漸次減少していることは、私は、日本の技術を信頼する立場から、やむを得ないと思っております。しかしもちろんそれも限度があることは申すまでもないことでございまして、要は、技術の進歩と農業用水がどれだけ要るかということを勘案しながら、研究していく問題であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/48
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049・岡本隆一
○岡本委員 その技術を過信されるところに、大きな災害の原因があるんですよ。水というものは非常に重いものです。それだけに、ある一定の高さに積まれましたら、非常に大きな圧力になる。だから治水技術だとか、堤防をつくることだとか、堤防を一生懸命つくって水をせき上げていきますと、洪水のときには、平地よりもうんと高くなっておるので、一つ破堤すると大災害が起こるのです。だから、水を支配するのには、ある程度自然の力を利用しなければならぬということでもって、遊水地というものが、治水上非常に重要なものとして、保全されてきておったのです。ところが、最近どんどんその遊水地を取りこぼっておる。たとえて言えば、私は昨年の夏に石川県に参りました。石川県に羽咋市というところがございますが、そこには少し上流に邑知潟という大きな池と申しますか、潟がございますが、それはまるい楕円形の潟なんです。いまはどんどん干拓してしまって、三分の二ほど干拓してしまって、細長い帯のようなものになっておる。そのために、今度は下流には大きな水害常襲地——つまりそのところから遊水地がなくなったから、どっと水がはけて——海に出る河口には大きな島のようなものがある、せめてその島でも取りのけてやってから干拓すればいいのに、その水のはけもよくしたいままで干拓をやったものだから、その支川になっているところの子浦川が最近どんどんはんらんするんです。だから、これは何とかしてもらいたいという陳情も受けておる。その調節機能もつくらず、排水の施設もしないままに、どんどんそういうふうな遊水地帯の取りこぼちをやるから、水害が起こっていくことになるわけです。ところが、最近河北潟の干拓が進んでおります。私は河北潟の干拓を見まして、こういうことをどんどん進めたら、非常にはんらんがひどくなるということを指摘して帰ってまいった。御承知のように、河北潟というのは、銭屋五兵衛が干拓しようとして果たし得なかったという大きな湖のようなものです。それを内灘のほうから、ずっと約半分くらいの面積を干拓いたしまして、河北潟を帯状の川のようなものにしようとしております。そういうようなことになってまいりますと、またその地域にはんらんがひどくなりますから、その干拓をやるのについては、なるほど農林省の計画には、西のほうに一本排水路をつけることになっております。しかしながらその一本の水路では足りないから、もう一本東のほうにも水路をつけるということを、私は強く県側に主張して帰ったのでございますが、これは大臣、私は、遊水施設が大切だ、片方でちゃんとした別の調節機能をつくらずに、遊水施設を取りこぼったらたいへんなことになりますよ、だから遊水地域というものを指定しなければだめだ、そうでなければ、農林省その他のほうから、農地をつくるんだといってどんどん取りこぼたれたら、そういうようなことが治水にしわ寄せされて、みな建設省で引き受けなければならぬから、たいへんですよ、だから、河川法改正のときに、遊水地域の指定をやれ、こういうようなことを強く主張した。ところがしわ寄せがここに出てきている。ひとつ地図を見てください。
〔岡本委員、大臣に地図を示す〕
私は、そういう意味におきまして、遊水地域の指定が非常に大切であるというふうに思うのでございますが、遊水地域は政令で指定することになっておりますが、どういう政令で、どういうふうなものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/49
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050・国宗正義
○国宗説明員 遊水地につきましては、河川法第六条の河川の区域とは左に掲げるものをいうという規定に基づきまして、それの第三号、「政令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水地を含む。」といたしまして、遊水地の指定といたしましては、政令の内容は、洪水疎通の計画上必要である遊水池は指定するという内容でございます。具体につきましては、それぞれの個所について、告示をもって明らかにいたす予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/50
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051・岡本隆一
○岡本委員 もうひとつ意味がよくわかりませんので、あとでよく聞き直したいと思いますが、いまの御説明を承った範囲においては、遊水地域を洪水予防のために大きく役立たせよう、というふな意味におけるところの規定が私は十分でないと思うのであります。だから遊水地帯というものが今後もどんどん取りこぼたれていきますと、その取りこぼちを防止するということに、建設省としては大きな関心を持っていただかなければならぬと思います。たとえば現実に私の近くで、小さなものではありましても、二つの川の合流地帯の剣先のようになっている地域が、大体その遊水地域なのです。ところが、そういうところがどんどん埋め立てられて、ことにそれが都市に近ければ、大きな川の合流地域の間の剣先の部分に、どんどん護岸をつくり、そして地上げされ、そこが宅地化されていくというふうなことが起こってまいっております。そういうふうなことが行なわれないためには、河川台帳をはっきりさせ、同時にまた、河川台帳に載っていなくても、従来からずっと遊水地になっておるところは、そういうふうな地形の変更は許さないというふうな措置が必要なんです。それを遊水地の指定をおやりにならないから、その所有権を主張して、それで遊水地がどんどん取りこぼたれていくというふうなことが至るところにありますから、そういう点での河川の管理、あわせて遊水地の管理を今後厳重にやっていただきたい。おわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/51
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052・舘林三喜男
○舘林(三)政府委員 遊水地の機能につきましては、全く同感でございます。ただ、従来と同じような広さで遊水地を保全すべきかどうかということにつきましては、岡本委員と若干意見が違うわけでありまして、私も二十八歳のときに九州地方を視察いたしました場合に、熊本の緑川でありますか、あそこには広大な遊水地がかつてあったそうでございますけれども、やはりその後の治水工事の進歩とか、あるいは、農林省で申しますと、土地改良工事の技術の進歩等によりまして、遊水地というものが漸次減少することはやむを得ないと思います。もちろん、それは技術の限度によることでございまして、異常災害等も考えまして、その最高限度において遊水地を保存するということにつきましては、全く同感でございますが、すべて現状のとおり遊水地を保全しなければならないということにつきましては、必ずしも納得いたしかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/52
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053・岡本隆一
○岡本委員 私が申しておりますのは、遊水地を取りこぼつのには、それに身かわるところの調節機能をつくりなさい、それから取りこぼちなさい、調節機能をつくらずに、治水技術の進歩だといって、どんどん堤防ばかり高くしていったら、それを上回るような洪水ができたときには大破堤になって、水が高ければ高いほど大きな破壊力を持っておりますから、大災害の原因になる。だから、あなたはそういうふうな考え方で、おられると、これは治水の本質というものを御存じじゃない、そういうことではいかぬと思う。だから、もう少し考え方を改めていただきたい。河川局長、何か御答弁ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/53
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054・上田稔
○上田政府委員 遊水地につきまして、お答えを申し上げます。
農林省のほうの御計画と私どもの河川計画、こういう問題につきまして、御質問また御意見がございましたが、非常にありがたい御意見だと思っております。最近では、農林省と建設省とは、そういう点につきまして十分に検討をいたしまして、たとえば鳥取県の、島根県のといったほうがよろしゅうございますが、中海の干拓の問題につきましても、農林省と建設省、その他の学識経験者を入れまして委員会をつくりまして、これに調査費を出してもらって、いろいろな模型実験をやろう、あるいはまたいろんな計算をやって、その水面がどういうふうに変化するか、洪水の疎通がどうなって、その場合にどういうふうになるだろうかということで、それの対策はどうしたらいいかというようなことを十分に検討をして、実施していただくということにきめております。
先生のお尋ねの河北潟でございますが、この河北潟の周辺というのは、これもまた非常に治水上困難を感じておった地帯でございまして、河北潟自体の問題は、やはり堤防をつくらなくちゃならないというような問題で、これも干拓事業というものを農林省がお出しになったわけでございますが、それがためには、どうしても新しい川を、いまの川のほかにつくってもらわなくちゃいけないということで、これもいろいろ計算をいたしまして、そういう御計画でやっていただけばいいだろうということで、農林省のほうで新しい川の新設をお願いし、建設省のほうは、そういう計画がなくてもやらなくちゃいけない護岸堤を急いでやりましょう、そういうことで、計画をいたしております。
また邑知潟につきましても、いろいろお打ち合わせをいたしまして、先生の先ほど言われました下流の飯山川、これは名前はいろいろございますが、飯山川を農林省は急ぐといわれるので、三十八年度に着工いたしまして、調整費を三十九年度におきましていただいて、工事を急いでおるわけでございます。最近は、そういうふうな埋め立てが出た場合におきましては、公有水面埋立法によりまして、その出願をされましたときに、許可の条件といたしまして、私のほうでも十分に検討をしてやるようにいたしております。
それから、先生のおっしゃっておりました先生のお近くのところ、こういうところも、河川計画を立てて、いま鋭意工事を実施いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/54
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055・岡本隆一
○岡本委員 河北潟については、内灘のところへ放水路を設けるような計画があるやに聞いておりましたが、それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/55
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056・上田稔
○上田政府委員 これは、農林省のほうで新しい川をお掘りになるわけでございます。河北潟がこうございます。いままでの出口はこちらでございまして、この真北のところに、新しい川をお掘りになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/56
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057・岡本隆一
○岡本委員 農林省だけにまかしておきますと、農地が高うついたら困るというそろばんを置かれて、そういう放水路にしても、小さなものになるし、私は二本設けなければいかぬと言っているのですが、そういうようなものでも一本に節約なさる。節約されることはいいのですが、しかしながら、農地造成をやられまして、広い範囲の湖面を埋めてしまったら、その向かい側は護岸がないのです。それを一応護岸をつくることになっておりますが、しかしながら、それはやっぱりその地域への非常なしわ寄せがくるわけです。それで、その地域が災害常襲地帯になるおそれがある。だからそういう意味においては、農林省ももう一度この計画を再検討をしていただくようにお願いしておきたいと思うのです。
時間がないですから、進行いたしますけれども、先ほどおっしゃるように、予備費その他は別といたしまして、この新五カ年計画で、事業費は八千五百億である。その八千五百億の内訳はどうなっておるのでしょうか。河川事業に何ぼ、ダムに何ぼ、砂防に何ぼというふうなことが、いただきました議案にも資料にも、全然御説明がございませんが、八千五百億の内訳はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/57
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058・上田稔
○上田政府委員 これにつきましては、現在いろいろ検討作業中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/58
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059・岡本隆一
○岡本委員 検討作業中というのはおかしいですな。そんなばかなことはないですよ。これは八千五百億を治水事業に先行投資分として投資いたしますと、こういうふうなことで出てまいっておりおります。しからば、それを河川事業に何ぼ投入するのか、ダムや砂防に何ぼ投入するかということは、内訳を明らかにしていただかなければ、その仕事の性格がわからないのです。これは、どういうふうな形でこれからの五カ年の治水事業をやっていくのか、ということをはっきりと、これは赤い色なのか桃色なのか、あるいはこれは緑なのか、そういうふうな色分けを当然はっきりさしていただかなければ、この五カ年計画の内容というものが全然わからないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/59
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060・上田稔
○上田政府委員 この新治水五カ年計画の事業費の内訳でございますが、これにつきましては、やはり河川審議会にもおかけして、いろいろな御意見を出してもらって、そして大臣のほうで決定をしていただくことになるわけでございまして、まだ、その手続が十分に踏めておりません。でございますが、現在考えております考え方でいきますと、八千五百億円のうちの構成比でいきますと、大体五九%程度のものを河川、それからダムが一九%程度、砂防が二一%程度に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/60
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061・岡本隆一
○岡本委員 そういうことでございますと、大体それは間違いないのですか。いまの河川五九%、ダム一九%、砂防二一%という数字は、大体そのようにきまると考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/61
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062・上田稔
○上田政府委員 それは、ただいま私どもの考え方が一応その程度に考えておるということでございまして、いま申し上げましたように、河川審議会にかけ、また大臣に最後に御決定をいただくということになるわけでございまして、まだその辺の作業中でございますので、その辺は、私ども変わる変わらぬということは、ちょっと申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/62
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063・岡本隆一
○岡本委員 わかりました。
建設省では、治水水系計画八兆三千億というものを、たしか一昨年策定されておりますが、その八兆三千億の治水水系計画を、どういうふうなものとして考えておられますか——尋ね方が非常に抽象的で、お答えがしにくいのではないかと思いますが、承っておるところによりますと、大体一級河川については十二年、二級河川については十五年。昭和五十五年を目標にして、まず第一には洪水をなくするということ、さらにまた水利用の両方の面に、つまり治水と利水とに均衡のとれた治水施設の整備をやっていくということ、第二番目には、国民総生産に対するところの水害による年被害額の比率を、昭和五十五年ごろには大体アメリカ並みにしたい。現在の日本の年被害率といいうものは大体〇・六九%、それが現在アメリカでは大体〇・〇二八%で、日本とアメリカと比較しますと、国民総生産に対する年被害額の比率というものは、いまではアメリカの二十四倍。しかしながら、この治水水系計画をずっと実施していけば、昭和五十五年には、その被害額の比率は〇・〇一六%。だから、いまの大体四十分の一ぐらいに減る。そして、その当時になればアメリカの二・三倍になる。これは非常にうれしいたよりです。だから、こういうふうに建設省はやりたいのだ、というふうな意欲を示していただいたものとして、私どもは非常に喜んでいるのです。これに大きな期待をかけているのです。だからこういうふうな夢を私たちは持ってよろしいかどうか、こういうことをお答え願いたいと思うのですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/63
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064・小山長規
○小山国務大臣 私どもの計画としましては、いまおっしゃったような計画を持っておりまして、それの一環として、御承知のように、新五カ年計画としては、一兆五千四百億という計画で予算折衝したことは御承知のとおりでございます。それが一兆一千億になったわけでありますから、いまの単純な計算でいきますと、十二年のものが十三年か四年、十五年のものが十七年くらいになる計算になりますが、今度は次の五カ年計画でそれを取り戻したい、こういう希望を持っておるわけでであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/64
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065・岡本隆一
○岡本委員 そういうふうな八兆三千億という治水水系計画を前提として、十五カ年に八兆三千億、そうすると、前期、中期、後期と三期に分けるといたしまして、その第一期の五カ年が今度の新五カ年計画でございますから、その三分の一前半期といいますか、十五カ年のうちの第一期の五年の間に、八兆三千億がわずかに八千五百億、一〇%です。あんまりこれでは心細い。これじゃ大体十五カ年に、とても八兆三千億というふうなものは消化し切れない、こういうふうに思うのでございますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/65
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066・小山長規
○小山国務大臣 これは、いまの中期経済計画によりましても、八・一%ずつ伸びていくわけですから、十五年たったときには、現在と比べてうんとふえるわけですね。二割幾らになる。二割以上ふえるわけであるし、そこで、国民総生産がそうなれば、資金の面も、あるいは税の面も相当程度期待できる。こういうふうに考えていけば、必ずしもこの計画は夢の計画ではない。私どもはそこまで日本経済を伸ばしていくのだ、こういう基本態度で進むわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/66
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067・岡本隆一
○岡本委員 その意図たるや壮たるものでまことにけっこうでございますが、しかしながら、われわれといたしましては、十五カ年のうちの最初の五年にわずか十分の一というふうなことでは、はなはだ心細い。今後、この五カ年計画はぜひとも五年の間にもっと大幅なものに改定してもらいたい、こういうことを特にお願いしておきたい。
さらに、先ほど御説明がございましたが、八千五百億の新五カ年計画のうち、河川は大体五九%、数字からいって、大体五千億程度。それからダムと砂防は一九%、二一%、大体同額でございますから、それぞれ千七百億前後ということになってまいります。そういたしますと、治水水系計画で、河川事業というものは四兆六千億が見込まれておる。四兆六千億見込まれておるのは、今度の新五カ年計画ではわずかに五千億である。そうすると、新五カ年計画の治水水系計画におけるところの進捗率というものは、わずかに一〇・八%、河川事業は一一程度である。ダムは六千億です。六千億のうち千七百億見積もられておるといたしますと、二八%進むことになるわけです。砂防は三兆一千億見積もられておる。その三兆一千億に対して千七百億でありますから、わずかに五・五%。そうすると、ダムがどんどん進みます。ダムは二八%で、三〇%近く進む。河川事業は一〇%程度、砂防は五%余りというふうに、非常に進捗度の中に大きなアンバランスがあります。私は、このことは昨年の九月十一日のこの建設委員会でも指摘いたしました。これは一兆五千四百億の新治水五カ年計画を建設省が発表されましたときに、この計画の内容というものは、河川とそれからダムと砂防との間に大きな進み方のアンバランスがある。そしてまた、こういうふうな進み方ではりっぱな治水事業ができない。のみならず、ダムばかりそんなに先につくっても、砂防が伴わなければダムがすぐ埋まってしまうのです。今日のダムの現状を御存じですか。ダムは、多目的ダムにいたしましても、発電ダムにいたしましても、半ば以上埋まっているダムが相当ある。いつか驚いたことがあります。私は恵那谷をどんどん下がっていきましたときに、落合ダムというのがあります。発電ダムがあって、その真横から支流が入ってきておりまして、そこから土砂、瓦れきが一緒に流れてきて、すっかり発電ダムが埋まってしまった。何とえらいことだと思って、私は見ておりました。私は現地を見に行っておりませんが、あれだけの膨大な費用をかけたといわれる小渋ダム、それが半分埋まっておるということを聞いております。そういうふうに上の砂防というものが完全に行なわれなかったら、ダムがどんどんどんどん埋まってしまって、せっかくつくったものが治水効果もなければ利水効果もなくなる。それは完全は無効投資に終わるのです。だから治水と利水とをダムによって期待していくのには、やはりあわせて上の砂防をも一緒にやっていかなければだめだ、こういうことを私はこの前の委員会で指摘して、だからこういうふうなちんばの河川行政ではだめだから、これから後、本格的な予算折衝が行なわれ、予算編成が行なわれるんだから、その過程においては、もっと均衡のとれたものとして、新計画を出していただきたい、こういうことを、特に私はこの前の委員会で大臣にお願いしておいたのを、大臣は御記憶があると思います。御記憶がなければ、私はここに会議録を持ってきておりますから……。いかがですか、こういうふうなことでは困るじゃないですか。この大きなアンバランスを大臣はどういうふうに理解しておられますか、これでいいと思っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/67
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068・小山長規
○小山国務大臣 おっしゃったことはいま思い出しましたが、事実、今度の五カ年計画も、いま申し上げましたような比率でいきましても、伸び率は砂防が一番伸びるようになっておるわけです。ちょっと数字で申し上げますと、三十九年の予算ベースでいきますと、砂防のほうは一九・三の伸びになりますし、ダムは一〇・一、河川が一一・六、機械が六・一、こういうふうな伸び率になっておりまして、おっしゃった趣旨は、五カ年計画に織り込んでおるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/68
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069・岡本隆一
○岡本委員 当初の計画は一兆五千四百億でございましたが、そのときの河川とダムと砂防との比率は、河川が八千五百、ダムが二千百で砂防が三千二百というふうになっておるように、河川審議会に出された資料の中で承知いたしておりますが、今度はそれがいよいよ新計画として、いま河川局のほうで考えておられるのは一体何ぼですか、数字で出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/69
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070・上田稔
○上田政府委員 当初の一兆五千四百億でございましたか、そのときに考えておりましたものを、大体七カ年に、先ほど大臣が御説明になりましたように、二年延びてやり上げるということになるわなけでございます。この場合の伸び率は等比級数にけりますから、少し数字が違うというのが、あとになってものすごく響いてくるのです。それの五カ年分ということでございますので、おおむねいま大臣が御説明になりましたような数字になるわけでございます。結局二カ年延ばしたという考え方でございます。したがって、伸び率が大きいものはあとになってぐんぐんふえてくるわけです。等差級数でなくて、等比級数であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/70
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071・岡本隆一
○岡本委員 初めに小さいものが少々伸びてもこれはだめなんです。今日の日本の治水行政というものは、一番目につく河川事業に金をかける、その次にはダムがようわかりますから。そしてまた、私ども河川の勉強を始めたときには、これは流量調節が大事だ、ダムつくれ、ダムつくれと言うておりました。しかしながら、だんだん勉強をしておる間に、洪水の半分以上はどろと瓦れきだ。そしてまたそのために洪水の水は非常に比重が高くなる。約二くらいになっておると聞いております。二くらいで比重が重くなっておるから、二・四から二・五の岩石を平気で押しころがしていく。それが大きな破壊力になって、堤防は切れるし、いろいろな災害を起こす。だから、砂防事業は洪水に対して治水効果が非常に大きい。同時にまた、この砂防なくしては堰堤をつくったって何にもならない。こういうふうなことから、少なくとも河川事業と砂防事業くらいは並行させなければならない、私はこういうふうに考えております。ところが、目に立つところの護岸だとかあるいは床固めだとか、河川事業ばっかりに手をつけて、同時にまた、利水に必要だからというので、いま一番利水優先に行なわれておる。ダム優先に行なわれている。そうして、その一番重要な砂防が、水系計画では、全体計画の中で三十幾%という、相当の事業が必要だというふうにきめられておるのに、その進捗率は、五カ年にわずかにその計画の中の五%より進まない。こんなちんばな片寄った治水行政では、日本の治水行政というものは全きを期することができない。だから、今後もっと均衡のとれた、治水治山といわれるように、山を治めるものは国を治めるともいう。水を治めるには山を治めなければいかぬといわれている。その山をなおざりにしたところの治水行政は、これではりっぱな行政であるということができないと思いますので、この点については、今後格段の配慮をしていただきたいと思います。
そこで、もう一つお尋ねしておきたいと思いますが、私は去年の夏現地を見てきてから、特にこれは大臣にお尋ねもし、お願いもしておかなければならぬと思うのですが、立山砂防、鳶山の大崩壊を見てまいりました。現地で働いている人はなかなかたいへんなんです、ひどい山奥で。しかもそこでは非常に大がかりな砂防事業をやっております。砂防があれほど大がかりなものかということもいい勉強になりましたが、しかしながらあの鳶山が崩壊して、現在あるところの砂防堰堤がすっかり埋まっておる。この次に大崩壊がま出したら、土砂はずっと下流へ流されてまいります。そういたしますと富山平野一帯はたいへんな洪水になってくると思いますので、緊急に何らかの措置が行なわれるべきであると思いますが、その事情を建設大臣は御存じかどうか。さらにまた、そういうふうな実情に対してどう対処されますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/71
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072・上田稔
○上田政府委員 まず第一点の、砂防について重点を置くようにということがございますが、こういう点におきまして、長期計画におきましても、先生が先ほど言われましたように、三兆何がしのそういう計画を立て、また五年計画においても、その伸び率を一番大きくいたしまして、そうして砂防の計画を立てて砂防の事業を大いに伸ばしていこうという意図で、その計画を立てておるのでございます。
それから、次に第二点の立山の砂防でございますが、これも先生がおっしゃいましたように、山の上におきまして非常な大きな土砂崩壊がございました。直ちに私どもは砂防課から人を出しまして、調査に行かしたわけでございます。上流の山の部分でございまして、これは県が現在管理をいたしております部分にあたっておるわけでございますが、県当局に命じまして、これの対策を立てさせております。それから直轄の部分につきまして、これが出てきますと直轄のつくった堰がだめになるおそれがありますので、これの対策をすぐに立てろということで、計画をしてやっております。現在では、土砂は一応おさまったような状態で、山のほうでおさまって、それがすぐに直轄のところにどんどん出てくるという状態ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/72
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073・岡本隆一
○岡本委員 治山治水緊急措置法、それを裏づけるところの新五カ年計画は、ただいまの質疑の中でも明らかにされましたように、きわめて貧弱なものであります。国民の期待を裏切るもの大きなものがございます。したがいまして、政府のほうでは、できるだけ早い機会に、これをさらに大きなものに、拡大改定をしていただきまして——、治水水系計画に国民は大きな期待を寄せております、いつになったら水害をなくしてもらえるのだ、こういうふうな非常な大きな期待を寄せているのでありますから、その国民の期待にこたえられるように、新しくもっと雄大な規模の治水計画を立てていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/73
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074・森山欽司
○森山委員長 他に質疑の通告がありませんので、本案に対する質疑は、これにて終局するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり、〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/74
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075・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/75
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076・森山欽司
○森山委員長 委員長の手元に、岡本隆一君外二名から、本案に対する修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/76
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077・森山欽司
○森山委員長 まず提出者から趣旨の説明を求めます。岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/77
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078・岡本隆一
○岡本委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出するものであります。
修正案の内容は、ただいまお手元に配付いたしてありますので、朗読を省略いたしますが、その内容は、第三条に、第二項の次に一項を加えまして、治山並びに治水五カ年計画の策定にあたっては、政令に定める洪水常襲地域に対し、災害防除措置を優先的に講ずべきことを規定せんとするものであります。
次に、修正せんとする理由を申し上げます。元来、本法は、昭和二十八年の全国的な水害の発生より三十五年の伊勢湾台風に至るまで、台風に基づく相次ぐ大災害の発生にかんがみまして、治山治水事業の焦眉の急に迫られて制定されたものでありまして、いわば、本法は治水の基本法とも言うべきものであります。
しかるに、政府の本法を裏づける予算措置は、きわめて微温的なものでありまして、本法により災害防止のために緊急に抜本的施策を講ぜんとする政府の態度は、全く宣伝倒れに終わっておるのであります。
試みに治山事業の前期五カ年計画を見ましても、なるほど事業費においては計画を上回っておりますが、事業量においては五一%の進捗率を示すにすぎません。また、治水五カ年計画にありましても、事業費においては当初計画を上回っておりますが、災害に伴う事業計画の変更、物価の値上がりによる事業費の高騰等を織り込むときには、当初計画の進捗率は大幅に下回るものと見なくてはなりません。
私どもが本法に求めるものは、治水計画にあらずして治水効果であります。いたずらに災害のあとを追うぼろつづり式な治水事業でなく、災害を未然に防止する予防行政としての治山治水事業であります。新五カ年計画を策定せんとする治山治水緊急措置法は、それを裏づける計画の内容が充実していなければ、一片の空文にすぎないのであります。
さきに建設省は、昭和四十年を初年度とし、一級河川については十二年、二級河川については十五年の期間と八兆三千億の事業費をもって、治水問題に一応の終止符を打たんとする治水水系計画を発表いたしました。災害に悩む多くの国民は、大いなる期待をこれに寄せていたのであります。しかるに、今般政府より発表されました新五カ年計画は、わずかにその十分の一にすぎないきわめて小規模のものでありまして、かかる計画をもってしては、本邦治水問題の解決はいつになるとも全く見通しの立たないほどのお粗末なものであります。
佐藤内閣の当面の課題は、経済成長に伴うひずみ是正であると承知いたしております。経済の成長とともに、取り残された、国民の住生活をはじめとする生活基盤の整備、農林漁業等おくれた産業の基盤の強化、さらにおくれた交通、通信施設の強化等を当面の重点公共投資の方向としてあげております。
治水利水施設の整備とともだ、取り残されて、年々歳々の水害にあえぐ水害常襲地帯もまた、治水のひずみの中に苦しむものと言わなくてはなりません。治水事業の盲点の中に取り残されて、連年の水害で生活の基盤すら脅かされつつある国民を放置して、どこに人間尊重があると言うことができますか。人間尊重を唱え、ひずみ是正を施策の第一とする佐藤内閣の手をもって、私は水害常襲地帯の解消に強い意欲を示されんことを要望するのであります。
新河川法は、第十六条において、工事基本計画の策定にあたっては、かかる地域に特に配慮を払うべしとの規定はありますが、新五カ年計画の規模を見るとき、とうていこれに十分なる配慮が行なわれようなどと期待することはできません。政会をもって、年々歳々著しい水害に襲われる地域を水害常襲地帯と規定し、かかる地域に水害防止のための優先措置を講ずべきことを法律をもって規定する以外に、これら地域の住民を水害より救う道はありません。
私は、貧弱な新五カ年計画の内容の改定を要求するため、その前提となる本法の修正を要求するものであります。連年の水害に悩む水害常襲地域の住民の意思を代表して、委員諸君の御賛同をお願いする次第でございます。
以上をもって、提案理由の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/78
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079・森山欽司
○森山委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
本修正案について、別に発言の申し出はありません。
この際、本修正案について発言があれば、これを許します。小山建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/79
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080・小山長規
○小山国務大臣 ただいま、日本社会党を代表しまして、岡本委員から、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に対する修正案を動議として提出されましたが、政府といたしましては、このような趣旨は、五カ年計画の中で十分配慮するつもりであります。したがって、法律としましては、政府提出の原案を妥当なものと考え、遺憾ながら修正案には賛成することができませんので、原案のまま御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/80
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081・森山欽司
○森山委員長 これより本案並びに修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、岡本隆一君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/81
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082・森山欽司
○森山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
次に、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/82
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083・森山欽司
○森山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/83
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084・森山欽司
○森山委員長 ただいま議決いたしました、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、正示啓次郎君外七名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を求めます。正示啓次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/84
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085・正示啓次郎
○正示委員 私は、ただいま議決されました、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案による附帯決議を提出いたします。
いままでの審査等により、提出の理由はすでに明らかでありますので、理由は省略いたしまして、附帯決議の案文を朗読いたします。
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、左の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一、本法の裏づけとなる治山治水事業新五箇年計画は、わが国における治山治水事業の現状にかんがみ、その規模あまりにも過小にして、国民の期待に反するものである。よって、治山事業五箇年計画及び治水事業五箇年計画については、決定された投資規模のわくを更に早期に拡大改訂をなすべきこと。
二、各地において、連年の水害になやむ、その地域の住民の生活は、誠に不安なものがある。よって、政府は、治山事業五箇年計画及び治水事業五箇年計画の策定に当たっては、水害常襲地帯について、その地域住民の生活を安定させるため、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するに必要な措置を他の地域に優先してとるべきこと。
右決議する。
というのであります。全員の御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/85
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086・森山欽司
○森山委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議について、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/86
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087・森山欽司
○森山委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本案に対して、正示啓次郎君外七名提出の動議のとおり、附帯決議を付することに決定いたしました。
この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/87
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088・小山長規
○小山国務大臣 ただいま御決議になりました事項につきましては、政府といたしまして、その趣旨を尊重し、十分な努力を払いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/88
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089・森山欽司
○森山委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/89
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090・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/90
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091・森山欽司
○森山委員長 次会は、来たる十九日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804149X00919650317/91
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