1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月六日(火曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 中村庸一郎君
理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君
理事 小川 平二君 理事 島上善五郎君
理事 畑 和君 理事 山中日露史君
仮谷 忠男君 佐藤 孝行君
鈴木 善幸君 中野 四郎君
藤田 義光君 田原 春次君
堀 昌雄君 山下 榮二君
出席政府委員
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 日原 正雄君
自治事務官
(選挙局長) 長野 士郎君
委員外の出席者
議 員 鈴木 善幸君
議 員 山中日露史君
議 員 山下 榮二君
検 事
(民事局第二課
長) 星 智孝君
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四月三日
公職選挙法の一部を改正する法律案(三木武夫
君外十一名提出、衆法第二二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公職選挙法の一部を改正する法律案(三木武夫
君外十一名提出、衆法第二二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/0
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001・中村庸一郎
○中村委員長 これより会議を開きます。
去る三日、本委員会に付託になりました三木武夫君外十一名提出の公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/1
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002・中村庸一郎
○中村委員長 まず、提案者から趣旨の説明を求めます。鈴木善幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/2
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003・鈴木善幸
○鈴木(善)議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、その提案理由及びその内容の概略を御説明申し上げます。
御承知のとおり、昨年七月十日に公職選挙法の一部が改正され、衆議院選挙または参議院選挙につきましては、それぞれ次の総選挙または次の通常選挙から実施することとされたのでありましたが、これが制度面及び運用面についてさらに検討を加えました結果、さしあたり改正を行なうことが適当であると認められる事項を取りまとめ、公職選挙法の一部を改正する法律案として、今日提出することといたした次第であります。
以下、そのおもな内容について概略御説明いたします。
第一は、補充選挙人名簿の登録手続及び調製手続の合理化をはかるため、補充選挙人名簿は、選挙期日の公示または告示の前日までに登録の申し出をした者について調製することとし、選挙期日の公示または告示後に登録の申請ができる制度を廃止することといたしたのであります。
また、登録の申し出をするにあたり、必要がある場合には、現に努力を有する選挙人名簿またはその抄本の閲覧を求めることができることといたしたのであります。
なお、右に伴い、登録の申し出及び選挙人名簿等の閲覧の請求は、市町村の選挙管理委員会の職員の執務時間内にしなければならないことといたしたのであります。
第二は、運行中の選挙運動用自動車または船舶の上において選挙運動のための連呼行為をすることができる時間が、衆議院選挙及び知事選挙の場合と参議院選挙の場合とで相違しておりますので、これを統一して、一律に午前七時から午後八時までの間に限ることといたしたのであります。
また、運行中の確認団体の自動車の上において政治活動のための連呼行為をすることができる時間についても、右の場合と同様に統一することといたしたのであります。
以上がこの法律案の要旨であります。何とぞすみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/3
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004・中村庸一郎
○中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/4
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005・島上善五郎
○島上委員 ただいま提案されました一部改正に関しましてお伺いします。
選挙人名簿の調製については従来もいろいろ意見があり、検討されてきたところでありますが、一つは永久名簿にしてはどうかという点、それからもう一つは基本名簿を作成する際も補充名簿を作成する際も住民登録と完全に一致させるようにしてはどうか、こういうような意見が従来強くあったのでありますが、そういう点に対して提案者はどのようにお考えになっていられるか。これは簡単でよろしいですから、各党からひとつ御意見を伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/5
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006・鈴木善幸
○鈴木(善)議員 ただいまの島上委員の御質問、御意見にありましたように、住民登録と選挙権の登録というものは常に一致させることが必要であり、また、処理上におきましてもそういう観点で処理されるようにカード式等を採用することが合理的である、このように考えるわけであります。私どもは、すみやかに政府の関係各部局においてこの問題を検討されまして、合理的な手続ができるようにすみやかに処理すべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/6
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007・山中日露史
○山中(日)議員 ただいま鈴木委員からもお話がありましたように、私どももやはり同一の考えを持っております。いろいろ自治省のほうにもお聞きいたしたのでありますけれども、昨年度から住民台帳制度合理化調査会というものがございまして、その方面においてもやはりこれに関連していろいろ調査を進めているというようなことも聞いておりますが、私どももこういった機関をさらに活用といいますか、進めて、政府等からも強くこういった調査会にそういう方向を打ち出していただいて、ぜひそういった方向に持っていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/7
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008・山下榮二
○山下議員 島上さんの質問の要旨のようにわれわれも考えておるわけですが、大体民主国家完成のためには民主政治が確立せなければならない、そのためには選挙がその基礎をなすものでありますから、有権者というものが全員投票でき得るような体制をつくることが選挙法としては一番好ましい姿であると考えておるのであります。ところが、最近あります補充選挙人名簿等につきましてはきわめて繁雑であります。これのできましたそもそもは、いま申し上げるような趣旨に基づいて、戦後引き揚げ者等々の便宜のためにこういう便法が講ぜられてまいったと思っておるのであります。その後われわれも、これは何らかのかっこうで調整をして、あるいはいわゆる住民登録をしておる住居並びに本籍あるいは居留等と合致せしめるような方策をとることが一番好ましい姿ではないか、こう考えておるのであります。しかしながら、御承知のとおり住民登録は厚生省、法務省の関係があり、あるいは市町村役場の行政上の関係等もありまして、一挙にそこまでできませんので、漸次これを正常な姿に持っていくためには、この程度の改正をさしあたり行なうべきではなかろうか、かように考えて提案を申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/8
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009・堀昌雄
○堀委員 ちょっと関連して。いまの山下委員のお答えは、この法案については私どもさようだと思うのですが、島上委員の質問の趣旨であるところの住民登録と選挙の登録と同一にあらしめたいという点は、これは可及的すみやかにやるべき問題であって、それが事務的なりいろいろな問題があって障害があるならば、その障害をやはりここで明らかにしていきながら、各省がそのセクトにとらわれることなく、可及的すみやかにやることがきわめて必要だ、当面この改正案が必要でありますが、同時に、可及的すみやかにこの問題は要請をされておる、こういうふうに思いますが、ちょっと山下委員の御答弁がその点はっきりしておりませんでしたから、あわせてひとつ御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/9
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010・山下榮二
○山下議員 お説のとおりできるだけすみやかに、いま申し上げたように合致するようにしたいというのがわれわれの希望であります。しかし、御承知のとおりまだそこまで用意が整っていなかった、こういうのが今回の提案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/10
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011・島上善五郎
○島上委員 それでは自治省に、これはどなたが適当か私よくわかりませんが、所管の方からの御答弁でけっこうです。昭和三十七年五月の法改正で、公職選挙法の附則にこういうことが改正されたのであります。附則七項に、「選挙人名簿については、住民登録法(昭和二十六年法律第二百十八号)第三条の住民票に基づきこれを調製し、毎年定時に及び選挙を行なう場合においてはそのつど、これに登録されていない者を登録する制度をすみやかに実施しなければならない。」こういう改正がされたわけですが、それ以来もうすでに満三年近くに今日なっているわけです。すみやかにこの制度を実施しなければならない、こうなっておりますが、この制度を実施するために自治省はその後どのような準備なりあるいは行政指導なりを行なってきたかということを伺いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/11
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012・長野士郎
○長野政府委員 住民登録法に基づきますところの住民登録と選挙人名簿の関係でございますが、確かに法律の附則でそういう規定が設けられまして、その統一的な運用のすみやかな実施を要求されておるわけであります。ただ、現在、現行制度におきまして、選挙法におきますところの選挙権の要件あるいはそれの運用の実態、選挙人名簿の調製の手続というものと、住民登録法におきますところの住民登録の手続その他等が、そのままで必ずしも合致するというわけにはいかない。そこでこれの調整をしなければならないということが問題になるわけでございます。そこで、住民登録の運用の実際等を考えまして、住民が市町村等の窓口を通じまして登録をしなければならない。行政上要求をされておるものが相当な種類にのぼっておるようでございます。一般的なものにおきましても大体二十種類くらいあるそうでございます。選挙人名簿の関係もその一つでございますが、そこで、住民登録を含めまして、また選挙人名簿の登録を含めまして、住民台帳と申しますか、住民が登録する制度を合理化いたしますために、住民台帳制度合理化調査会というものが法律に基づきまして三十九年の五月から発足をしております。そうして、それが任期二年でございまして、現在、台帳のそういう意味での立法化と申しますか合理化について、学識経験者や、関係の各省の行政に必要なこういう手続の合理化に関係の深い人たちが集まりまして、現在審議を行なっておる最中でございます。選挙法のたてまえから申しますと、これは私どもはやはりそういうほんとうに住所を証明するに足る。実際に生活の本拠というものがはっきりと証明されるようなものでございますと、それに基づきまして選挙人名簿をつくることが非常に正確を期するわけでございますし、それから手続の上でも非常にいいことだと思います。それぞれの行政の分野にわたる人たちがお互いの立場におきまして住所の認定をするなんということは、非常に繁雑でもあるし、また相互に矛盾するおそれもありますので、やはりそういう合理化ができることが非常に望ましいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/12
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013・島上善五郎
○島上委員 選挙人名簿は多くの有権者に確実に投票権を与えるように調製されなければならぬと思います。そこで、これは法務省の方に伺いますが、どこに欠点があるかは存じませんけれども、現在の住民登録の確率と申しますか、正確な登録の率ですね。都市においては確率が非常に低い。非常にといっても、私の聞いているところでは、三割くらい間違いがある。間違いというか漏れというか、現実に住んでいる人との漏れというかズレがあると思いますが、そういうことを伺いましたが、それは事実であるかどうか。もし事実であるとすれば、どこにそういう原因があるのか。住民登録法が不完全なのか、あるいは調査なりその他行政措置の面で粗漏があるのか。その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/13
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014・星智孝
○星説明員 お答え申し上げます。
住民登録の正確性につきましては、全国的に全部の完全な調査をいたしたわけではございませんけれども、抽出して調査いたしましたところ、一般的に申しますと、正確性は九〇%以上と申し上げることができると思うのでございますが、ただ、ただいま御指摘がありましたように、都市部におきましては、これは数字はちょっと正確なところはわかりませんけれども、正確性がかなり落ちるということは遺憾ながら事実のようでございます。その原因といたしましては、結局、都市部におきましては、住民の移動が非常に激しい。入ってくる者、出ていく者が非常に激しいために、なかなか正確なところがつかみがたいというのが実情のようでございます。そこで法務省といたしましては、毎年定期に実態調査をやって住民の居住の実態を調べるようにということを指導いたしておりますが、かなり成績があがっておるようでございます。住民登録は、原則といたしましては住民の申告によって登録する制度でございますけれども、職権でも登録ができる仕組みになっておりますので、結局は市町村側で住民を把握するために、実態調査をいまよりももっとひんぱんに行なうということ以外には正確に住民を把握するということはむずかしいのではなかろうかというふうに思われるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/14
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015・島上善五郎
○島上委員 住民登録が移動の激しい都市部において確度が落ちるということは、二週間以内に登録しなければ五百円以下の過料に処するという規定がありますけれども、その住民登録さしてもしなくとも、その人の日常生活や、あるいは今度選挙権を行使するといったようなことや、そういうことにほとんどといってもいいほど関係がない。そういうところに、まあ忙しいし、めんどうくさいし、どんなになってもいいわということになって、届けがあまり励行されないという原因がありはしませんか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/15
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016・星智孝
○星説明員 確かに御指摘のようなこともあろうかと思います。やはり何か住民登録をしたことによって権利義務の行使に直接つながり、影響があるというふうになりますと、励行がもっとできるのではなかろうかというふうに考えておりますので、この点につきましては、先ほどちょっとお話が出ましたように、市町村の住民台帳制度合理化調査会におきまして、そういうような点も考慮に入れましてただいま研究しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/16
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017・島上善五郎
○島上委員 自治省の選挙局に伺いますが、選挙人名簿の確率はどのくらいのものでしょうか。これはいまわかっておる範囲でけっこうですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/17
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018・長野士郎
○長野政府委員 法律には詐偽登録その他の罰則の措置もございますことでございまして、それは多少誤って登録をいたしましたり、あるいは脱漏をいたしておるようなときがあるかと思いますけれども、私どもはこれは常に一〇〇%正確に調製されておるものというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/18
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019・島上善五郎
○島上委員 ただいまの答弁からうかがってもわかりますように、現実に住民登録の確率は選挙人名簿の確率より低いようです。もし住民登録に基礎を置いて選挙人名簿を調製するということになって、その確率が低下するようなことになると、問題だと思うのです。むしろ確率をいままでの選挙人名簿よりも高めるというふうにならないと、これはわれわれがせっかく住民登録と基本名簿、補充名簿を合致させようとする目的なり意図なりと反するわけですから、これについては、住民登録法のとこを改正するとか——これはいずれ合致させるためには、住民登録法も選挙法もあるいは地方自治法も一部改正をしなければならぬかと思いますが、いま調査会がせっかく案を検討しておるということでございますけれども、現在の住民登録法について考えられる主要な欠点と申しますか、住民登録法をこういうふうに改正をしたならばもっと確率が高まる。それとも、法律はこのままでもよいが、本人の申し出以外に職権でも登録することができるようになっていますから、先ほど毎年定期的にやっておるということですが、毎年定期的にやっておる職権登録をもっと完全にするということによって確率を高めることができるかどうか。法改正をしなければむずかしいのか、この法律のままでも確率を高めることができるかどうかということについて、ちょっと法務省から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/19
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020・星智孝
○星説明員 お答え申し上げます。
ただいまお話にありましたが、選挙人名簿より住民登録のほうが確率が低いという点につきましては、多少問題があろうかと存じます。私、ごく控え目に約九〇%以上の確率と申し上げましたが、法務省としては、必ずしも選挙人名簿より住民登録のほうが確率が低いとは考えておりません。ただ、これは両方突き合わしての正確な数字ではございませんから、どちらが確率が高いかということは、それぞれ所管省で自分のほうが高いというようなことになりますので、その点はおきまして、住民登録自体につきましては、やはり実態を調査するということが一番重要な点だと存じます。
そのほかに、ただいまのところは、住民登録制度には転出制度というのを設けておりませんで、ある市町村から他の市町村に住居を移すという場合には、住層を移した先の市町村で転入の届けをいたしまして、その転入の届けによって、もとの住所地の市町村に通知がいきまして、その通知によってもとの市町村の住民登録からこれを消すというような制度になっておりますので、その点若干の市町村間の連絡のための応問的なずれがございますので、私どもといたしましては、やはり住民登録法に鞍掛制度を設けて、そうしてある市町村から転出すれば、すぐその瞬間においてそこの住民でなくなるということが当該市町村で把握できるという制度にしたほうがいいのではなかろうかということで、ただいま検討を進めております。その転出制度を設けることと、先ほど申し上げました実態調査を積極的に行なうということと二つ相まちますれば、住民登録制度の正確性をほぼ完全に近いところまで高めることができるのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/20
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021・畑和
○畑委員 関連して。自治省とそれから法務省両方にちょっと伺いたいと思います。
自治省のほうの関係では、いまの選挙人名簿の作成、これには全然住民登録それ自体は参考にしていないのか。全然それとは関係なしに、実態である九月十五日現在で——何か各戸に調査員なんか回ってきまして、そしてこれに書いてくれとかと来ますね、それはぼくら覚えているのですが、それだけでやっているのか、あるいは、いま言った住民登録をまず最初に基礎にして——法律的には基礎じゃないけれども、法律的じゃなくて事実上基礎にして、それをさらに間違いなかろうかということを調査するやり方でやっているのかどうかということです。
それから、法務省のほうには、大体職権調査はどういうふうな形でやっているのか。私は、選挙のときの基本選挙人名簿のときの九月十五日というのは、家にいてときどきそういうのが来ますから覚えておりますが、住民登録のほうは、何か定期的にそういうことをやっているのかどうか。そうでないとすると、結局、住所が移転してもたいして必要がなければ届けをしないでほうっておくということがあるのです。まあ印鑑証明をもらうとかあるいは登記をするとかそういうようなときには、どうしてもやはり住民登録がはっきりしていないと不利だからほうっておくことができない。あるいはそのほかに例の米穀通帳云々、ああいうものもそんなに必要なくなったということになってくると、実利がないから、ほったらかしておく例が多いのであります。それにはやはり定期的にやっているのか、どんなふうにして戸別調査をやっているのか、その辺を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/21
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022・長野士郎
○長野政府委員 選挙人名簿の調製のために住所の調査をいたします際に、もちろん住民登録されておるかどうかということをまず一番有力な資料にはいたしております。そうして、ただそれだけではあれでございますので、ほかの生活環境をあらわすような資料、及びそれでも確証が得られない場合には、実態調査をあわせて行なうというようなことをいたしておりますが、いずれにしても、住民登録が済んでおるかどうかということは、住所の認定にあたりましては非常に有力な資料の一つとして用いておることは、お話のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/22
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023・星智孝
○星説明員 ただいまお尋ねの住民登録の実態調査の方法につき接しては、法務省といたしましては、画一的な方法でやるようにという指導はいたしておりません。それで、各市町村の規模に応じまして、それぞれの最も適切なと思われる能率的な方法でやるようにというふうに指導をいたしておるのであります。
その一例を申し上げますれば、あまり大きくない市町村では、一定の日をきめまして、市町村の職員のほとんど大部分の者にそれぞれの担当地区をきめまして、そしてそれに従来の住民票から所要の事項を帳記したカードを持たせまして、そうして各戸に調査をして、それと従来の住民票とを突き合わせて、事実上転入してきていながら転入届けの出ていない者にはその場で転入届けをずっと書かせて、それから、事実上転出していないということがわかった者は、職権で住民票から消除をするというような方法でやっておりますし、もう少し規模の大きいところになりますと、一般の住民のうちから調査員を委嘱いたしまして、それに何がしかの報酬を出しているようでございますが、そしてただいま職権を使ったと同じような方法で調査をするというようなことをやっているように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/23
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024・畑和
○畑委員 そうしますと、市町村によって相当規模が違う、やり方が違うというようなことです。そういった調査の経費というようなものは、法務省で出すのか、市町村で自弁で出すのか。市町村自体で全部それをやるということになれば、どうしても資金の少ない市町村、財政の悪い市町村はそれを怠りがちだということにもなるので、どうしても全国画一的に調査がまんべんなく同じような程度に行なわれないという傾向が出ると思うのです。特に今度のような方向で、住民登録を中心として、これを選挙法のほうにまで法規的、法律的に同じ、それを基礎にしてやっていくという方向になればなるほど、どうしても住民登録が正確に事実に合ってないといかぬ。これの正確を期することが重要だと思う。
ところで、いま自治省のほうの話では、そういうことで位民登録を一応基礎として、それを参考として、それにさらに実態調査をやるということになると、いま法務省のほうではその確率度が平均して九二%ぐらいはあると思っておる、そういう話であるけれども、どうもそういうところからすると、市町村によって度合いも違うし、完全に規制してもいないしということになると、選挙人名簿のほうが確率がよくて、住民登録のほうが悪いような感じがするのですが、その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/24
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025・星智孝
○星説明員 実態調査の費用につきましては、ちょっと数字をいま覚えておりませんけれども、交付税の中に算入されておりまして、そして年に一度は行ない得るというようなたてまえになっておるはずでございます。市町村が自分の住民を把握するということは、市町村としてはもちろん重要なことなわけなんでございますから、これはもう市町村が率先してやらなければならないはずなんでございますけれども、実情はやや完全とも言いがたいところもあるようでございます。市町村としては、できる限りの範囲で正確を保つようにやっていることは事実なんでございます。したがいまして、そういう意味では、選挙人名簿とどちらが正確かという点は、必ずしも選挙人名簿よりも正確じゃないというわけではなかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/25
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026・島上善五郎
○島上委員 ぼくはいまこの住民登録法をざっと見て気がついたことですが、この住民登録法では正確を期するにはやはりなかなかむずかしいというような気がするわけです。たとえば、第十九条には「届出は、世帯主がしなければならない。」、二十条には「届出は、本人の住所地でしなければならない。」、二十一条には「届書には、本人の氏名及び届出の年月日を記載し、届出人又はその代理人がこれに署名し、印を押さなければならない。」、こうなっておりますが、これだと虚偽の届け出もしくは二重の届け出をしようとすればできるのじゃないかと思うのです。いま、選挙権を得るために、そういったようなことが行なわれているといううわさがもっぱらある際ですから、この住民登録法がそういう点きちっとしていませんと、あとで三十条に「正確な実施を図るため、第四条に規定する事項について、事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるときは、事実の調査をすることができる。」というように、事実の調査をすることができるようになっていますけれども、「事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるとき」ということになっていますが、この届け出の際には、以前にどこに住んでいて、今度どこに移転したということを立証するに足る書類の添付が特に必要とされていないようですね。ただ本人が行って、こちらに引っ越してきました、届け出の年月日と、届け出人またはその代理人がこれに署名して、判を押すということだけでことが足りることになっておりますから、これでは、もしやろうとすれば、虚偽の届け出でも二重の届け出でも登録できるではないかと思うのです。そうしてこれに対する「五万円以下の罰金に処する。」という処罰の規定はありますけれども、事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるときは調査するといっても、町村などで人口の比較的少ないところは、それはわりに調査も可能かもしれませんけれども、大都市のようなところでは、この提出書類だけでは「事実に反することを疑うに足りる」という、その疑うということがなかなかむずかしいと思うのです。疑うに足りる理由がなければ調査もできないわけですから、こうなると、二重の登録、不正の登録をすることが少なくともできる。そういうざる法的な欠点がある、こう私はいまちょっとこれを見て感じたのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/26
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027・星智孝
○星説明員 実際の運用の面におきまして、転入する際には前住所地からの住民票の写しをつけて、そして転入届けをさせるというような運用を指導しておりますので、御心配のようなことは比較的ないのじゃなかろうかと存じますけれども、ただ届け用制度をとっておりますので、本人が届け出た場合は、市町村はその場ですぐ実態調査をするわけにいきませんので、一応それを受理して、住民票をつくるという点は事実でございますから、あとの調査までの時間なりあるいは前住所地への通知で符号しないという通知がくるまでの間、時間的には若干の、事実に合わないことを本人がやろうと思えば、そういうことができる余地は確かにございます。それを防ぐ方法といたしましては、ちょっとどうも適切な方法というのが見当たらないように思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/27
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028・島上善五郎
○島上委員 いまはこの住民登録を二重にしてもあるいは虚偽の届け出をして登録をしても、そのことのために利害関係や権利関係にそうたいして影響するということがないから、故意にやる人もなかろうと思うのです。私が伺っておるのは、これが基礎になって選挙人名簿を調製するということになった際には、あるいはそうする際には、これでは不十分ではないか、これでは虚偽の登録もあるいは二重登録もやろうと思えばできる抜け穴があるから、住民登録を基礎にして選挙人名簿を調製する際にはこれでは不十分ではないか、こういうことを伺っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/28
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029・星智孝
○星説明員 住民登録だけで選挙人名簿がすでに完全であるということはあるいは申し上げにくいかもしれませんけれども、住民登録とそれから選挙人名簿の調製の際における調査と両方相まちますれば正確なものになるのじゃないかと思います。かりに選挙人名簿を調製するほうで住民登録を無視し、全然問題にしないで、その独自の調査だけでやるということではやはり不足な点があると思いますので、両々相まちますれば選挙人名簿の正確度をより高めることができるのじゃないかと私は存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/29
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030・島上善五郎
○島上委員 これで質問を終わりますが、それはそうでしょう。いまやっているように住民登録を参考にしてその上にさらに調査をする。あるいは補充名簿の申し出を受け付けるというようなことをやっておれば完ぺきを期することができます。住民登録のほうでも調査をし、こっちでも調査をするわけですから、できますが、私たちがいま考えておるのは、住民登録が一〇〇%完全なというわけにいかなくても、九五%以上完全なものであれば、それだけを根拠にして選挙人名簿をつくって、永久名簿式の名簿をつくってもよいことになるのではないか。むしろそのほうがよくはないかということを考えておるために、そうするにはこの法律ではまだ不完全であるように私はいま思うわけであります。先ほどの答弁によっても、ある時間はそれをやろうと思えばやれるし、完全に防ぐ手はないということでしたが、もし住民登録と完全に一致させる、住民登録だけを基礎にして選挙人名簿を調製するということをいたすといたしますれば、そういう時間的にもせよ何にしても、二重に登録したり虚偽の登録をしたりすることは、絶対なくするということはあるいはむずかしいかもしれませんが、最小限度に防止する方途は、法改正の点でも講じなければならぬというふうに私は思うわけです。別にこれは特に答弁は要りませんが、これは今後私たちそういう改正をするまでに検討を深めていかなければならぬと思います。
それから、これも別に答弁は要りませんが、さっき長野局長から御答弁がありましたが、どうも少しはっきりしないようで、これは希望しておきますが、せっかく附則に、先ほど私が読み上げたように、住民登録に基づいて選挙人名簿の調製の際にも、補充登録をする際にも、これに基づいて登録する制度をすみやかに実施しなければならない、こういうふうになっておりますから、そのような制度を実施するための準備なり行政指導なりをもっときちんとやってもらって、早急にそういう制度が実施できるようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/30
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031・中村庸一郎
○中村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804219X00619650406/31
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