1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十七日(水曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 齋藤 邦吉君 理事 澁谷 直藏君
理事 河野 正君 理事 八木 昇君
亀山 孝一君 熊谷 義雄君
小宮山重四郎君 坂村 吉正君
田中 正巳君 竹内 黎一君
中野 四郎君 橋本龍太郎君
松山千惠子君 粟山 秀君
山村新治郎君 亘 四郎君
淡谷 悠藏君 伊藤よし子君
小林 進君 滝井 義高君
八木 一男君 山口シヅエ君
本島百合子君 吉川 兼光君
谷口善太郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
大蔵事務官
(理財局長) 佐竹 浩君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚 生 技 官
(医務局長) 尾崎 嘉篤君
厚生事務官
(医務局次長) 大崎 康君
厚生事務官
(薬務局長) 熊崎 正夫君
厚生事務官
(保険局長) 小山進次郎君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
労働事務官
(職業安定局
長) 有馬 元治君
委員外の出席者
議 員 河野 正君
大蔵事務官
(主計官) 船後 正道君
専 門 員 安中 忠雄君
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本日の会議に付した案件
港湾労働法案(内閣提出第八六号)
駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案(中村
高一君外十三名提出、衆法第八号)
厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二号)
船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第三号)
医療金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の港湾労働法案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/1
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002・松澤雄藏
○松澤委員長 提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣石田博英君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/2
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003・石田博英
○石田国務大臣 ただいま議題となりました港湾労働法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
御承知のごとく、港湾は海陸輸送の連結点として、国際貿易その他国民経済にとって重要な地位を占めております。
しかるに、わが国の港湾の実情を見ますと、その機能を果たすための必須の条件である港湾労働の近代化は、欧米諸国に比し、また他産業に比較いたしましても、著しく立ちおくれており、雇用の不安定、労働災害の多発、福祉施設の未整備等の事情にあるため必要な労働力が確保できず、港湾における荷役にしばしば渋滞を来たしているのが現状であり、このまま放置いたしますと、近い将来において、国民経済の発展に重大な障害を及ぼすことも予想されるのであります。
もちろん政府といたしましても、従来から港湾における労働力の確保と港湾労働者の福祉の増進のために鋭意努力し、日雇い港湾労働者の職業紹介を専門とする公共職業安、定所を設置するなど、港湾労働者の職業紹介体制の整備、労働条件の維持、向上のための指導及び監督の重点的実施、関係業界における自主的災害防止活動の促進、雇用促進事業団による住宅等の福祉施設の設置その他各般の施策を実施してまいりましたが、わが国の港湾の複雑性、特殊性のため、現行法の運用による行政措置のみによりましては、遺憾ながら十分な効果をあげることができない現状にあるのであります。
このときにあたり、昨年三月、かねて港湾労働及び港湾の運営、利用の改善策について審議中であった港湾労働等対策審議会から、内閣総理大臣に対して、港湾労働者の登録制度の創設や日雇い港湾労働者の不就労特における対策等を骨子とする港湾労働対策についての答申が提出されたのであります。政府といたしましては、国民経済の中で占める港湾問題の重要性、貿易の伸張に伴う必要労働力確保の緊要性とあわせて人間尊重、社会開発の見地から、この答申の趣旨を十分尊重しつつ港湾労働対策についての検討を重ねた結果、港湾運送に必要な労働力の確保と港湾労働者の福祉の増進をはかる方策についてその成案を得ましたので、ここにこの法律案を提出することといたした次第であります。
次に、その内容につきまして概略御説明申し上げます。
第一に、この法律は、港湾運送事業法第二条第一項の港湾運送のうち、いわゆる船内、はしけ、沿岸及びいかだのいずれかの作業またはこれらに準ずる作業を行なう事業に適用することとし、また適用港湾は政令で指定することとしておりますが、当面は東京、横浜、名古屋、大阪、神戸及び関門のいわゆる六大港を中心に適用することとし、必要に応じ漸次これを拡大していく考えであります。
第二に、労働大臣は、毎年、港湾ごとに港湾雇用調整計画を定めることとし、その計画においては、港湾ごとに必要とされる港湾労働者の数及びそのうちの日雇い港湾労働者の数を定めるとともに、港湾労働者の職業紹介、職業訓練その他港湾労働者の雇用の調整に関する重要事項を定めることとしております。その際、日雇い港湾労働者の数を定めるにあたりましては、常用港湾労働者の雇用の促進に資するように配慮を加えることとしております。なお、計画の作成にあたりましては、港湾に関する施策の総合調整に関する事項を審議するため内閣総理大臣の諮問機関として設置される港湾調整審議会にはかることとしております。
第三に、港湾における日雇い労働者の確保とその雇用及び生活の安定をはかるため、日雇い港湾労働者を中心とする雇用の調整を行なうこととし、次のような諸措置をとることとしております。
その一は、日雇い港湾労働者の登録制度であります。
公共職業安定所は、港湾労働者としての適格性を備えた日雇い労働者について、その者の申請に基づき港湾雇用調整計画において定められた日雇い港湾労働者の必要数の範囲内で、これを登録することとし、登録日雇い港湾労働者には、荷役に従事する間、登録票を携帯せしめることによりその身分を明確にすることとしております。
また、常用港湾労働者については、事業主から公共職業安定所に届け出させることとし、港湾荷役に従事する間、常用港湾労働者証を携帯せしめることにより、その身分を明確にすることとしております。
その二は、日雇い港湾労働者の雇用の調整であります。
港湾運送事業者が日雇い港湾労働者を雇い入れる場合には、原則として公共職業安定所の紹介によらなければならないこととし、この場合公共職業安定所は、まず登録日雇い港湾労働者を紹介し、なお不足するときは登録された者以外の日雇い港湾労働者を紹介することとしておりますが、それでもなお不足する際は、例外的に事業主の直接雇い入れを認めることとしております。
また、登録日雇い港湾労働者は、公共職業安定所長の指示するところにより公共職業安定所に出頭し、その紹介を受けて港湾荷役に就労することを要することとしております。
なおこのほか、公共職業安定所は、労働条件に関する法令違反等があってその紹介する港湾労働者の福祉を害するおそれがあると認めるときは、その事業主に対し、港湾労働者の紹介を停止することができることとしております。
その三は、登録日雇い港湾労働者に対する雇用調整手当の支給であります。
雇用調整手当は、登録日雇い港湾労働者が公共職業安定所の指示するところにより出頭したにもかかわらず港湾荷役に就労できなかった場合において、公共職業安定所長の証明に基づき、雇用促進事業団が支給することとしております。雇用調整手当の日額は、その者の賃金等級に応じ賃金額のおおむね六割を目安として定めることとしております。
その四は、港湾荷役に就労できなかった登録日雇い港湾労働者に対して行なう訓練であります。
この訓練は、公共職業安定所長が訓練を受けることを指示した登録日雇い港湾労働者に対して、港湾荷役に従算するために必要な知識及び技能を習得させるために、雇用促進事業団が実施するものであります。
その五は、登録日雇い港湾労働者のための福祉事業であります。
これは、登録日雇い港湾労働者のための福祉施設の設置及び運営その他これらの労働者の福祉を増進するための事業として、雇用促進事業団が行なうこととしております。
その六は、登録日雇い港湾労働者に対する退職金共済制度の適用であります。
港湾運送事業者が団体を設立して労働大臣の認定を受けた場合におきましては、その団体の構成員である港湾運送事業者の雇用する登録日雇い港湾労働者に対し、その登録の期間に応じて、中小企業退職金共済法に基づき退職金を支給することとしたのであります。
以上のほか、この法律案においては、常用港湾労働者の雇用の促進、港湾労働者の労働条件の向上、職業訓練の実施、福祉施設の整備、はしけ内居住の解消等に関する事業主の努力義務及び国、地方公共団体の援助義務について規定するとともに、雇用調整手当の支給に要する費用に充てるための納付金の徴収及び国庫補助、不服審査、都道府県知事の権限、違反行為に対する罰則等について所要の規定を設けましたほか、その附則におきまして、関係法律の条文につき所要の整備をいたしております。
なお、この法律によるこれら諸措置の実施にあたりましては、港湾調整審議会、中央職業安定審議会のほか、適用港湾ごとに設置される地区職業安定審議会にはかり、その円滑な運営をはかる所存であります。また、港湾運送事業の近代化及び港海の運営、利用の改善に関する対策の実施を担当する関係機関とも緊密な連携を保ち、もって港湾労働対策の実効をあげてまいる所存であります。
以上、簡単でございましたが、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/3
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004・松澤雄藏
○松澤委員長 次に、中村同一君外十三名提出の駐留軍労働者の上雇用安定に関する法律案を議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/4
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005・松澤雄藏
○松澤委員長 提案理由の説明を聴取いたします。提出者河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/5
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006・河野正
○河野(正)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由の説明を行ないたいと思います。
御承知のように、この法律案は前に衆議院に提案いたしたものでありますが、残念にして成立しなかったものであります。私たちがこの法律案を再び提案いたしました理由は、この法律案が駐留軍労働者にとって必要欠くべからざるものとの判断に立っているからであります。
何度も強調しておりますけれども、駐留軍労働者の地位はきわめて不安定であります。一昨年においては、アメリカのドル防衛政策、その戦略変更によって六千人をこえる労働者が解雇されました。六千人の解雇というものはたいへんな数でございまして、政府もまたその再雇用の必要性を当時慰めていたのでございます。しかしその後の状況を見ますと、このうち再就職したものはわずかに二千人でございました。その他の者はなお安定した職場を得ていないというのが実情でございます。
いかに駐留軍労働者の雇用が不安定であるかはこの一事をもってしても明らかだと思いますが、私どもとしては、ぜひともこれらの労働者の雇用の安定をはからねばならないと考えている次第であります。
特にこれらの労働者は、政府が雇用主であり、国のために米軍の下で働いているものでありまして、これらの労働者がもし米軍の都合により解雇されました場合には、日本政府がその再雇用の責任を持つのが当然だと考えます。国のために働いている労働者に対しては、日本政府がその生活の将来にまで責任を持つべきだというのが日本社会党の根本的考えであります。
しかも駐留軍労働者というものは、いつなくなるかわからない職場に置かれているという特殊性を持っております。基地がなくなれば当然にその職場もなくなってくるのでありまして、この点は一般産業労働者に比して特殊、不安定な立場に置かれているのであります。
こういう理由から日本社会党が、特にこれらの労働者の雇用について法的な保障を必要と考え、駐留軍労働者雇用安定法案を提案した理由があるのでございます。
次に、法案の内容について御説明いたしますと、第一条、目的は、この法案の基本的な立法目的を示したものであります。それは、米軍の撤退等に伴って解雇される場合に、安定した職場への再就職を容易にするための必要な措置を講じ、これらの労働者の雇用の安定をはかろうというものであります。具体的に申しますと、米軍の撤退とか部隊の縮小とかいう理由で、形は政府雇用者でありながら、その雇用は常に不安定であり、再就職の保障もなく、いつ解雇されるかわからない状態に置かれている駐留軍労働者の雇用の安定をはかることがその目的であります。
第二条は、本法案によって保護される駐留軍労働者の範囲を定めたものでありまして、もっぱら政府雇用労務者だけを対象としております。
第三条について見ますと、第一項では、防衛施設庁長官は、アメリカ軍の撤退等の場合には余剰となった労働者を解雇しようとするときは、労働大臣の同意を得なければならないこと、第二項では、右の労働大臣の同意は、解雇されようとする労働者が安定した職業に再就職することが確実であると認めた場合にだけ許され、節三項では、かつ、その同意はあらかじめ駐留軍労働者雇用安定審議会の意見を聞かなければならないこととし、第四項では、右同意を得ないでなされた解雇は無効であることを確認的に規定したものであります。
第四条は、雇用計画について規定したものでありまして、アメリカ軍の撤退等による余剰の労働者を転職させる計画の作成義務を労働大臣に負わせたものでありまして、第三条による解雇制限を受けた労働者についてだけでなく、将来予想される余剰労働者の分も含めた計画が雇用計画であります。
第五条と第六条は、転職促進の措置の実施を規定したものであります。
第五条は、職業指導、職業紹介、公共職業訓練その他の措置が効果的に関連して実施されるような義務を労働大臣に課したものであります。
第七条と第九条は、第三条の労働大臣の不同意にかかる労働者に対する措置を規定したものであります。これは、第四条ないし第六条と異なって、第三条によって解雇制限を受けた労働者についての特別措置を明らかにしております。
その特別の措置とは、第三条によって解雇をストップされた全労働者に対し、第五条の転職促進の措置を必ず受けさせる義務を課したことであります。
第一条は、駐留軍労働者雇用安定審議会を規定したものであります。
審議会の役割りは、駐留軍労働者の雇用安定に関する事項を関係行政機関に建議することのほか、第三条による労働大臣の同意、不同意をするとき、及び第九条による不同意の取り消しのとき、意見を述べることであります。
以上が、本法案の提案理由と内容であります。何とぞ慎重審議の上、本法案の御採決をお願いするものであります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/6
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007・松澤雄藏
○松澤委員長 次に、内閣提出の厚生年金保険法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案及び医療金融公庫法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/7
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008・松澤雄藏
○松澤委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣神田博君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/8
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009・神田博
○神田国務大臣 ただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
厚生年金保険は、昭和十七年に発足して以来今日まで二十有余年を経過し、千七百万人にのぼる民間被用者を包含する年金制度でありますが、現行の給付体系、すなわち定額部分と報酬比例部分の二本建てによる年金納付の体系が整えられたのは、昭和二十九年の改正によるものであります。その後昭和三十五年には、給付及び保険料について若干の手直しを加えたのでありますが、この改正がきわめて幅の小さいものであったため、厚生年金保険の給付水準は、昭和二十九年以後の著しい経済成長、これに伴う生活水準の大幅な上昇に取り残され、労働者の老後の生活を保障するものとしてははなはだ不十分な状態に置かれているのであります。また年金財政をまかなうため労使が負担する保険料率も、他に例を見ない低い水準のまま推移しているのであります。
以上のような事情にかんがみ、本年度は保険料率再計算の時期でもあるところから、政府としてはこの機会に今日までの経済成長、生活水準向上の実態に即して厚生年金保険の大幅な改正をはかることが適当と考え、一昨年以来準備を進めてまいったのであります。今回の改正の主旨とするところは、まず何よりも、人口老齢化の趨勢がいよいよ明確化し、年金受給者も増加して厚生年金保険が成熟期を迎えようとする時期において、労働者の老後の生活を保障するに足る老齢年金として平均月額一万円年金を実現することを中心として、制度の内容を大幅に改善し、これに伴う所要の調整を加えるとともに、給付の引き上げ、賃金水準の上昇に応じて、保険料負担についても適正な水準にまで引き上げようとするものであります。同時に、最近普及しつつある企業年金と改正後の厚生年金との機能や負担の競合を調整し、老後の生活保障を企業の協力により一そう充実強化し得るよう、両者の調整を労使の合意によって行なう道も開くこととしたのであります。
以下、改正法案のおもな内容につきまして逐次御説明申し上げます。
第一に、基本年金額の引き上げについてであります。
まず、定額部分につきましては、現行の月額二千円を五千円に引き上げ、さらに被保険者期間二十年以降三十年までは一年につき二百五十円を加算することとし、これによって三十年では月額七千五百円となるようにいたしております。
また、報酬比例部分については、現行の平均標準報酬月額に被保険者期間一月当たり乗ずる率千分の六を千分の十に引き上げることにいたしております。
第二に、老齢年金の支給につきまして、現行では退職しない以上は年金が支給されない仕組みとなっておりますのを、高齢労働者の生活安定の趣旨に沿って若干緩和することとし、六十五歳に達したときは在職中でも老齢年金の八割相当額を支給することとしております。
第三に、障害年金及び障害手当金の額の引き上げについてであります。一級障害年金につきましては、現行の基本年金額に月額千円を加算する方式を改め、基本年金額の百分の百二十五相当額に引き上げ、一級障害年金につきましては、現行の基本年金額の百分の七十を百分の七十五に引き上げるほか、さらに月額五千円の最低保障を設けることとし、また、障害手当金につきましては、現行の基本年金額の百分の百四十を百分の百五十に引き上げることといたしております。
第四に、遺族年金につきましては、妻についての年齢制限及び若年停止を撤廃し、さらに年金額については月額五千円の最低保障を設けたことであります。
第五に、任意継続被保険者について、新たに被保険者期間中の軍政に基づく障害年金、障害手当金及び遺族年金を支給することとしたことであります。
第六に、年金額の調整についてであります。
年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に署しい変動が生じた場合には、すみやかに変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとしたことであります。
第七に、標準報酬につきましては、最近の賃金水準の上昇等の実情に即し、現行の三千円から三万六千円までの二十等級を、七千円から六万円までの二十三等級に改めたことであります。
第八に、保険料率の引き上げについてであります。
今回の給付の大幅改善に伴い、保険料の負担につきましても、相応に増加すべきことはやむを得ないところでありますが、厚生年金保険におきましては、従来いわゆる修正積み立て方式のたてまえをとっており、五年ごとに再計算することとして暫定的な料率を採用しておりますが、今回もこの方式を踏襲いたし、急激な負担の増大を避けるため、とりあえず第一権被保険者(一般男子)については、現行の千分の三十五を千分の五十八に、第二種被保険者(女子)については、現行の千分の三十を千分の四十四に、第三種被保険者(坑内夫)については、現行の千分の四十二を千分の七十二に、第四種被保険者(任意継続被保険者)については、現行の千分の三十一五を千分の五十八にそれぞれ引き上げ、さらにこれらの料率については、将来にわたって段階的に引き上げていくこととしたのであります。
第九に、既裁定年令の引き上げについてであります。
現に支給中の年金が、所得保障の趣旨から見て著しく低水準にあるところから、既裁定年金につきましても今回の改正方式を適用いたし、改正後の計算例によってこれらの年金額を大幅に引き上げることといたしております。
第十に、旧陸軍工廠の工員などの旧令共済組合員であった期間を厚生年金の被保険者期間に算入し、通算老齢年金に準じた特例老齢年金を支給することとしたことであります。
第十一に、厚生年金の老齢年金及び通算老齢年金のうち、報酬比例部分につきましては、民間職域において設立されたいわゆる企業年金で一定の要件を備えるものについては、申請により厚生年金基金を設けてその代行給付を行なう道を開いたことであります。
厚生年金基金は、事業主及び被保険者で組織される特別法人とし、一定数の被保険行を使用する事業主がその被保険者の二分の一以上の同意を得て規約をつくり、厚生大臣の認可を受けて設立することとなりますが、その行なう事業は、厚生年金の給付のうち、老齢年金及び通算老齢年金の報酬比例部分の代行として少なくともそれを上回る額の年金給付を行なうほか、任意給付として、死亡または脱退に関して一時金の支給を行なうことができるものとしております。
また、厚生年金基金は、信託会社または生命保険会社と給付の支給目的として、信託または保険の契約を締結しなければならないほか、その事業に要する費用に充てるため、掛け金を徴収することとしたのであります。
なお、国庫は、年金給付に要する費用のうち、老齢年金及び通算老齢年金の報酬比例分相当額に要する費用の一五%(坑内夫たる加入員期間に対応する部分についで、は、二〇%)を負担することといたしております。
第十二に、厚生年金基金は厚生年金基金の中途脱退者にかかる年金給付を共同して行なうため、厚生年金基金連合会を設立することができることといたしております。
最後に、実施の時期につきましては、諸般の準備等もあり、主たる部分については、昭和四十年五月一日からといたしております。
以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。
次に、ただいま議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
今回の改正の主要な内容は、職務外の事由による年金部門の給付につき厚生年金保険法の改正と同趣旨の改正を行なうこと、標準報酬の額を引き上げること、障害差額一時金を新設すること、船内診療の給付制限を緩和すること等であります。
今回の船員保除法の改正につきましては、各方面から種々の要望や意見がありましたが、政府としましては、これらの要望や意見をできるだけ尊重し、関係審議会の意見をも徴して慎重に検討を重ねてまいりました、結果、現段階における国の財政事情、厚生年金保険の改正内容等をも勘案して、この際できる限りの改善を行なうこととした次第であります。
以下、改正法案のおもな内容につき御説明申し上げます。
第一に、職務外の事由による年金部門の給付につきましては、厚生年金保険法の改正と軌を一にして、老齢年金の給付額を引き上げ、高年齢船員に対して在職中でも老齢年金を支給することといたしたのであります。
次に、職務外の障害年金及び障害手当金につきましては、障害の程度を整理、区分し、給付内容の充実と制度の合理化をはかろうとするものであります。
その他、遺族年金につきまして妻に対する支給要件を緩和し、任意継続被保険者につきまして新たに障害年年金及び遺族年金等に関する給付の道を開きますほか、すでに決定しております年金につきましても、これらの改正に準じて給付の引き上げを行なうことといたしたのであります。
以上のような給付の改善に伴い、現在千分の四十二となっております職務外の年金部門にかかる保険料率を、当分の間千分の七十二といたし、将来にわたって段階的に引き上げていくことといたしております。
第三に、標準報酬につきましては、最近における船員の賃金水準の上昇等にかんがみ、現在、七千円から五万二千月までの二十一等級となっておりますのを、九千円から七万六千円までの二十五等級に改めようとするものであります。
第三に、船員保険固有の問題として、職務上の障害年金受給者の障害の程度が軽減し、障害年金の受給権がなくなりましたときに、新たに障害差額一時金を支給することといたし、また、船舶内における療養の給付の制限を大幅に緩和すること等の改正をいたそうとするものであります。
以上のような改正を行なうことがこの法律案を提出する理由であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました医療金融公庫法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
改正の第一の内容は、医療金融公庫は従たる事務所を設置することができることとするとともに、従たる事務所の業務に関して一切の権限を有する代理人を選任できることとすることであります。
医療金融公庫は、昭和三十五年設立以来、逐次貸し付け原資の増額をはかるとともに、貸し付け限度額の引き上げ、貸し付け利率の引き下げ等その貸し付け条件を漸次改善し、医療の適正な普及向上に寄与してまいりました。
昭和四十年度におきましては、政府は公庫の貸し付け原資として百七十億円を予定し、これに要する資金として資金運用部資金の借り入れ金百四十億円及び貸し付け回収金二十五億円のほか一般会計から五億円を出資することといたしております。
このような状況に伴いまして、公庫の業務量も増大の一途をたどっており、さらに将来も引き続いて増加することが予想されるのであります。したがいまして、事務所を東京に置くこととされておりましたのを改めて、公庫は主たる事務所を東京に置くほか主務大臣の認可を受けて必要な地に従たる事務所を置くことができることとするとともに、公庫の総裁は従たる事務所の業務に関して一切の行為をすることのできる代理人を選任できることといたしまして、業務執行体制の拡充強化とともに業務運営の合理化をはかることを期したのであります。
改正の第二の内容は、公庫の理事の定員を一名増加することであります。
理事は公庫の役員として総裁を補佐し業務を掌理するために置かれているものであり、総裁のもとで業務をそれぞれ分担して処理しているのでありますが、業務の増大に対応してこれを十分に管理し得るようその定員を増加して、公庫の業務の運営管理体制の確立をはかることといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/9
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010・松澤雄藏
○松澤委員長 医療金融、公庫法の一部を改正する法律案に対し質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/10
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011・滝井義高
○滝井委員 議題になっております医療金融公庫法の一部を改正する法律案について、少しこまかく質問をさしていただきたいと思います。
まず第一に、医療金融公庫法が昭和三十五年の第三十四回の国会で制定をされて、主として私的医療機関の設置、整備あるいは運転資金というようなものすなわちコマーシャルベースに乗らないものについて金を貸していこう、できるだけ長期低利のもので融資をする、こういうことの趣旨で制定をされて、昭和三十五年七月一日から業務を開始することになったわけです。そこで、いまの提案理由にもありましたとおり、四十年度においては、政府は公庫の貸し付け原資として百七十億を予想しておるわけです。昨年が百三十五億、約四十億程度ワクが拡大をしておるわけですが、その原資の内訳をいまの提案理由で見てみますと、資金運用部資金の借り入れ金が百四十億、それから貸し付け回収金が二十五億、一般会計から五億円出資することになっておるわけです。
それでお尋ねをいたしたいのは、一般会計からの繰り入れは、三十五年に公庫が発足をして以来どういう形で入れられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/11
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012・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 政府出資は、三十五年度は十億、三十六年度が二十億、三十七年度が二十五億、三十八年度が二十六億、三十九年度が二十九億、四十年度が五億ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/12
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013・滝井義高
○滝井委員 大臣、いまお聞きのとおりでございます。三十五年発足の当時が十億で一番低いのですね。今度は、四十年度は五億で歴史的に低いわけです。これは一体、どうしてこういうように利子のつかない政府出資が少なくなったのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/13
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014・神田博
○神田国務大臣 いまお尋ねのございました政府出資金が多いほど、利子がつきませんから運用には非常に好都合のわけでございます。借り入れ先もそれだけの受益をするわけでございますから、われわれ厚生省側といたしましてはできるだけそういうような措置をいたしたい、こういうことで折衝をいたしたわけであります。したがいまして、設立以来十億円を基本といたしまして二十億円台を保ってまいったわけでありますが、御承知のようにこの四十年度は非常な財政難と申しましょうか、最近数年間にかってないような一般会計予算が窮乏しておるようでございます。そういうような事情もございまして、一般会計からの原資をわれわれの当初の計画どおり十分に達することができなかったことは、いまお尋ねもございましたように、まことに遺憾でございます。しかし、さればといって公庫の貸し付け原資を少なくするわけにもまいりません。むしろそのほうを多くすることが医療機関の充実に必要じゃなかろうか、こういうようなことではございまして、そしてその方面に努力いたしまして、百七十億というものをとった、こういうことでございます。原資の少なかったことは一般会計が非常に窮屈だったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/14
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015・滝井義高
○滝井委員 一般会計で窮屈だったら五億だと言うけれども、三十六年以来ずっと入れてきているわけです。ことしになって突如として六分の一ぐらいに押える、あるいは五分の一に押えるということは納得がいかないわけです。昨年も、医療金融公庫の資金コストを下げるのだという約束をしてきているわけでしょう。ここでも附帯決議をつけている。そうすると、こういう金が入ることが少なければ、資金コストが上がることは明らかです。それだったら去年、ここで附帯決議なんかをつけて、政府のほうで了承しなければよかったのです。財政が苦しくなるということは、少なくとも財政の専門家がおってわかり切っておることなんです。あれだけの高度の成長を何年もかん年も続けておって、日本経済にひずみが出ないということがうそであることはさまっておる。わかり切ったことをしておるのだから、全くこれは見そこないです。苦しくしたのは、あなた方の内閣が苦しくしておるので、われわれが苦しくしたのではありません。いまのように財政が苦しいから五億と言うのならば、一応それは承っておきます。承っておきますが、それなら一体、四十六国会での三十九年三月十三日の附帯決議は御存じでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/15
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016・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 三十九年三月十三日の衆議院社労の附帯決議は存じておりますし、またそれの貸し付け条件の改善も、この四十年におきましては大体実行できる見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/16
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017・滝井義高
○滝井委員 そうすると、四十年度には実行できると言うが、当時大蔵大臣のかわりにやってきた政務次官は纐纈さん、いまはいないけれども纐纈さんですね。当時の資金課長は海堀さんですしここにやってきて、そして私がこの法案を三日か四日ねばった、その結果、私は、ことしからやりなさい、三十九年からおやりなさいと主張した。ことしはどうもいきませんから、来年は必ず年金福祉事業団と条件を同じにいたしますから通してください、こういうことで、よろしい、それならばその言明を信頼しよう、そして同時にこの附帯決議がついておるわけです
そこで、時間がありませんから、のっけから問題の核心に入っていく。そのとおりになっているかどうかということです。年金福祉事業団のとおりに、少なくとも償還率期限、据え置き期間、利率というようなものはしておるかどうか。しておればこの問題については公約を守った、国会の意思を行政府が尊重したということになるわけです。そこで、貸し付け限度額は、年金福祉事業団は九割まで貸すことになっておりますね。ただし、大企業は八割です。これは九割になるのでしょうね、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/17
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018・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 貸し付け限度額は、年金福祉事業団の関係が大企業の八割というので、その線と医療金融公庫は大体合っておりまして、現行どおり八割ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/18
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019・滝井義高
○滝井委員 それはおかしいし大企業の八割はやむを得ない。しかしながら、事業団の九割という線があるから――零細な診療所、コマーシャルベースに乗らないところに金を貸すのですよ。それを今度は、市中銀行から残りのものを借りたり自己資金でまかなうということはなかなか困難だ、コマーシャルベースに乗らないものだということをあなた方は言明しておる、法律にも書いておる。そうしますと、これは当然九割にしなれけばならぬですよ。これは約束を実行できるでしょうね、大臣。九割にするんでしょうね、これはまだ法律も通っておらぬのだから、きまっておらぬのだから。国会で約束して三日も四日ももんだものを、今度通ってしまったらのど元過ぎれば熱さを忘れるで、もとのもくあみに返って現行どおりなんて断じて許されぬですよ。そういうように、まるきり国会をばかにしておるじゃないですか。まず、これを絶対に九割にしなければいかぬ。
それから増改築です。乙種の増改築は事業団が六分五厘、これはすべて六分五厘です。ここが一番この前の論点の中心であった。六分五厘にしますという言明をとったはずです。これは六分五厘になるんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/19
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020・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 福祉事業団の六分五厘のものを、日赤、済生会、北海道社会事業協会等に対します増改築の貸し付けを七分、ただし病床不足地区は六分五厘、こういうふうに事業団のほうを引き上げまして、それに合わせまして医療金融公庫のほうは現行八分を七分に引き下げる、そして医療法、薬事法に基づきます命令指導によります増改築を六分五厘とする、大体こういふうに姿を合わしていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/20
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021・滝井義高
○滝井委員 年金福祉事業団のほうを上げてつじつまを合わせるなんという、そういう非合理なことをすべきではないわけです。いま医療問題がこれほどの大問題になっておるわけでしょう。資金コストを安くして、そしてできるだけ患者負担の軽減をはかる、こういうことが趣旨でしょう。そうすると、資金コストを上げるような政策をとっておきながら、一般会計からの受け入れを去年の五分の一か六分の一に下げておいて、今度は、やかましく言われたら一方の年金福祉事業団のほうを上げて、そして約束どおりやらず一分だけ下げて七分でお茶を濁そう、そんな矛盾した政策はないですよ。何で六分五厘にできないのですか。あれだけここへ纐纈さんを呼んで二日も三日ももんだ問題でしょう。当然これは六分五厘にしなければいかぬわけです。これは業務方法書ですから政令でできることなんです、政令と同じですから。約束したことは、あなた実行しなければだめです。大臣、六分五厘でやるんでしょうね。縦にうんと首を振っておるのですが、業務方法書で六分五厘でやるとはっきり言明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/21
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022・神田博
○神田国務大臣 お答えいたしますが、八分を七分にしたというように政府委員が言っておりますが、それは違うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/22
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023・滝井義高
○滝井委員 そうじゃないのです。去年は八分だったのです。年金福祉事業団は六分五厘です。そこで年金福祉事業団の六分五厘に統一するんだというのが、去年の政府の約束なんです。これは大蔵省も来て約束しておるのです。厚生省だけでは手に負えないので、わざわざ大蔵省の海堀資金課長も来て、そして当時の大蔵政務次官の纐纈彌三君も来て、ここで言明してやることになった。しかし滝井さん、ことしはこらえてくれ。私はことしでなければだめだとせっついた。そうして来年は必ずやりますという附帯決議も出ている。ここにその当時の澁谷君その他みなおるですよ。与党も、そうしなければいかぬという意見だったのです。これは全く与野党一致したのですよ。ところが、これができない、原因はどこにあるかというと、私が冒頭申し上げた資金コストの問題なんです。五億だけしかとれなかったから、こんな小手先をごまかすことをやったのです。私は、これは六分五厘にすべきだと思うのです。ことしは絶対にこれをやらない限りは引けませんよ。法律を通すときだけはこんな公約を、そのとおりやりますと大蔵省と厚生省が一体になって言っておって、通ってしまえば、あとはのど元過ぎれば熱さを忘れるでまた翌年出てくる。天網恢々疎にして漏らさずですよ。悪いことをすれば、そんなことまたすぐにひっかかるのだから、だましてはいかぬですよ。昔だったら舌を抜くところなんです。だから大尉、いまの事務当局のあれじゃないですが、こういうときこそ大臣が政治的な決断を下して、六分五厘にしますということを言明しなければならない。これは政令事項と同じ業務方法書をつくるのですからね。だから六分五厘にすればいいのです。あなたも去年約束していますよ、六分五厘に下げるという約束なんですよ。去年の速記を持ってきてごらんなさい、七分なんというのは全無出ておらぬのだから。だから、いまになってあなた方がそういう言いわけをするなら、ぼくらはきょうこの法案の審議はやめますよ。そしてもう一ぺん理事と相談します。そんなように、国会で相談したことをしょっちゅう手のひらを返すなら、審議の意味がないですよ。附帯決議を読んでごらんなさい。七分にするなんて書いていない。ちゃんと一本にするということが書いてある。片一方を上げて一本にするという、そういうばかなことはないですよ。だから依然として六分五厘ですよ。他のものは六分五厘、日赤、済生会は別なんです、これは例外にしておるわけなんですよ。だからこれは去年約束をしておる。ことし文句を言うなら、去年文句を言わなければならぬ。去年は、与党はだれ一人として私の質問に対して文句を言わなかった。それは与党から期せずしてやらなければならぬという声が出た。だから、これ以上あなたが言いわけをするならこれで質問をやめて、理事と相談します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/23
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024・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 言いわけではございませんが、あのときの滝井先生の御質問に対しまして、大蔵省のほうともいろいろ相談いたしましたときの答弁の要旨をここに持っておりますが、速記録ではございませんが、要旨といたしましては、四十年において年金福祉事業団の貸し付け対象のうち、日赤、済生会等の開設病院に対する貸し付け利率率と医療金融公庫のそれとを統一をはかるように検討いたしたいというふうにして、このとき、たしか六分五厘ということは、ここまで全部おろしてするというふうにはお話はなかったように私は記憶しておりますが、この持っております答弁要旨にも、そういうように両方一致さすということを申し上げておったと、あとで速記録を調べてみたいと思いますが、大体そういうような状態で、八分を七分におろし、一方事業団のほうを七分に上げて統一する、こういうような考え方で当時もおったように私は記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/24
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025・滝井義高
○滝井委員 そういう詭弁を弄するものじゃない、去年は、あなたのほうからもらった資料で質問したんだから。去年は、七分なんということは資料にはどこにもない。そういうようなばかなことを、医務局長言うものじゃない。そういうことを言うなら、国会で質問したって意味がない。政府が国会で約束したことを、今度はそれを一方を上げて合わせるというような、そういうばかなことがあるんですか。そんな医療行政がありますか。医療行政がこんな大問題になって、そうして医療機関の負担を軽減して、できるだけ被保険者の負担を軽減していこうというのが政策じゃないですか。医務局長としての資格がないですよ。附帯決議を見てごらんなさい。附帯決議は両者を同一にする、引きあげてやりなさいというなら、片方を引き上げて統一をやりなさいと書きますよ。片方を引き上げておるのだから、そんなばかなことはないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/25
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026・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 いま速記録の写しがここにきておりますが、大蔵政務次官がお話しの点、「その後厚生省と十分検討いたしました。その点につきましてただいまから御答弁を申し上げます。医療金融公庫の乙種増改築資金の貸し付け利率八分につきましては、昭和四十年度におきましては年金福祉事業団の貸し付け対象のうち、日赤、済生会等の開設する病院に対する貸し付け利率と統一をはかるよう検討をいたしたいと思います。」こういうふうに言っておりまして、六分という線は必ずしもそのとき出ていなかったというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/26
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027・滝井義高
○滝井委員 それはあなた方が引き上げて統一しておるのですよ。そういうことはそこの議論には一つも出ていない。六分五厘で議論をしてきておる。年金福祉事業団は六分五厘が原則ですよ。それは例外なんです。例外のことを私は何もここに持ってきて論議をするつもりはない。例外で言えばこの、面積ですね、こういうものは私はそんなに強くは触れないです。そういうものは、公的医療機関、私的医療機関それぞれ違いがあるからいいです。しかし、少なくとも利率その他については同一にしなければいかぬのだということを極力私は主張してきている。私は、そんなものを、片一方を上げてしなさいなんということを絶対に言った覚えはないです。きょうと同じ主張をしてきているのです。一貫して同じ主張をしてきているのです。そうしてそういう姿勢で附帯決議もしておるのです。もしあなたの言うように日赤、済生会を引き上げるというなら、日赤、済生会を引き上げて一緒にしなさいと響きますよ。そんなこと言っていやしないですよ。いまここで詭弁をするなら、ここで質問したって意味がないから私はやめます。国会で、幾ら勉強してきて口角あわを飛ばして湯げを立てて質問して、政府がそのとおりでございますと言って答弁をして法案を通しておって、翌年になったら、今度は片一方を引き上げて一緒でございますと言たって、そんなことになったら意味ないですよ。われわれ何のために勉強してきますか。その当時は、七分にするということは一言半句も言っていないでしょう。七分にするということを書いてあるなら出してみてください。私が言って書いてあるなら出してみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/27
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028・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 できるだけ低いほうに統一するということは望ましいかもしれませんが、あのときのお話が、たしか公的のものについて六分五厘でやっておって、私的のものは七分、八分とはこれはおかしいじゃないかという話がございましたのを私は記憶しておりますが、あと医療金融公庫のほうにつきましては八分のものを七分に、そうして上医療法等によります命令、指導によりますものは六分五厘、こういうふうに下げてきておりまして統一をはかる、それで当時の附帯決議及び答弁には合致しておるわけでございますが、そういうような点、意思の疎通と申しますか、われわれの努力が足らなかったと申しますか、こういうような点について、当時といたしましては、こういうふうな考え方があのとき大蔵省との間では大体線としてあったように、私記憶しておるのであります。なお私たちも調べてみたいと思いますので、先生におかれましても少しその点、御調査を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/28
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029・滝井義高
○滝井委員 まず第一に、六分五厘についてもう不信感が出てきたわけです。それからいま言った八割と九割についても不信感が――据え置き期間は一本にしましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/29
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030・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 据え置き期間につきましては、一応形の上では、年金事業団が、病院が五年、診療所が三年となっておりますが、実行上におきまして、これは二年、一年として実行せられておると思います。医療金融公庫関係が、病院が二年、診療所が二年で、この点は新築の場合でありますが、この点大体同じに実行上はなっておる、こう考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/30
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031・滝井義高
○滝井委員 いまの答弁、わからぬですよ。もう少しすきっとした日本語を言わなければいかぬ。なっておるか、なっておらぬか。なっていないでしょう。片一方は五年と三年になっていないでしょう。私は、昨年はその三つしか論点を置いて言っていないのです。私と約束したことは何もやっていない。一分下げただけじゃないか。八分を七分に一分下げただけなんです。三つのうち一つを、しかもそれを二分の一だけやったということでしょう。点数にしたら何点でか、三十点にならぬですよ。そういうごまかすようなあれではいかぬですよ。私は三十五年にこの法律ができたとき以来毎年やっている、そんなものを四回も五回もやっておるのですから、もう少し頭を機敏に働かして、また滝井からやられるからというので、きちっとやっておかなければうそですよ。私は代議士である限りは同じことをやるのだから、一体いかなる理論的根拠から、年金福祉事業団と医療金融公庫と利率を変えなければならぬのですか。大臣ひとつどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/31
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032・神田博
○神田国務大臣 いろいろ事情があってのことだと思いますが、これは何か沿革的ないろいろな事情があったのだろうと思います。私、はなはだ不勉強でつまびらかにしないのはまことに遺憾でございます。ただ、いまの滝井委員のお話を聞いておりますと、感じとしてはおっしゃるとおりに私は理一解できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/32
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033・滝井義高
○滝井委員 この審議をするときに、みな厚生大臣はそういう答弁をする。滝井さんの答弁を聞いておると、まさにあなたの意見はそのとおりだと答弁するのだ。ところが、あなたの部下の医務局長になると、どこからか押し切られてだめなんです。それで私は大蔵省を呼んでおるのです。そこで主計官は来ておりますか。――これはあなたも来ておったはずです。当時は海堀さんでしたが、海堀さんはなかなかがんこだったのです。あとでまた私が触れる問題があるが、あとで私が触れる問題のごときは、田中さんはよ踏み切ったが、海堀さんはうしろからそでを引っぱってちょっと大臣待ったと言ってとめたけれども、とめられて大臣の答弁もちゃっとぐらついたのです。しかし、あとで大臣は踏み切った。踏み切ってまた間違いを起こしている問題もあるのですよ、この問題については、理財局長も来ておりますが、いろいろ理論的に言って、医療金融公庫と年金福祉事業団と金の貸しぐあいについて違うのは何かというと、片や公的医療機関、片や私的医療機関という違いだけなんです。だから私は、この理論を展開するときには、医療金融公庫と年金福祉事業団とを一本にしなさい、医療機関に金を貸すのに二つあることは間違いのもとだ――それでこういう差別が出てくる。いま公的医療機関と私的医療機関と違っているのはどこかというと、たった一つ違っておる。それは公的医療機関は税金を納めない。私的医療機関は税金を納める。この違いはどこにあるかというと、結局もうけた利潤というものが個人に帰着することだ、せんじ詰めていくとそこだけの違いだということです。それは税金で取っておるのだから解消しているはずだ。そうすると、あとは全部保険証で診療しているのです。しかも単価も十円で全部同じなんだ。したがって、資金コストその他も同じにして競争さしたらいいのだという理論ですよ。なるほどそのとおりだということを大臣も言っておる。そこでこれを別々にする理由はない。いま佐竹さんは新任の局長さんではなはだ迷惑でしょうが、しかし局長さんになられたのだから、これをひとつ六分五厘に下げてもらいたいと思います。いまの据え置き期間の五年と三年、それから八割と九割、この問題をやったって大局には影響はないですよ。今後やはり全面的に日本の医療機関に協力をさせようとすれば、それだけの英断をやっておかなければいけない。それができない理由はないですよ。この前それをやると言ったから、われわれはこの法律を通したんですよ。もし、きょうあなた方がこういうことを言を左右にしてできないと言うならば、私はできるまで質問をやめておいて、もう一ぺん理事会で話し合いをしてもらいます。そうしないと国会の権威というものは地に落ちてしまう。われわれは質問のために国会議員になったのではない。質問が目的ではないのだから、やはりわれわれの理想を貫いていく、自分の政策を実行し、党の政策を実行するということが目的なんですから、それを実行するということを政府が約束したからわれわれは引き下がったのに、それをやらないというのなら意味がない。それで船後さんは予算の担当、佐竹さんはこういう利子の責任者ですから、ひとつ両者で合議をして修正ができるかできないかを伺いたい。法律優先だから、法律が通らない限り動かない、これは業務方法書ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/33
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034・佐竹浩
○佐竹政府委員 ただいまの滝井先生のお話は、昨年の纐纈大蔵政務次官の答弁の内容をめぐってのお話のようでございますので、私からひとつお答えいたします。
第一点は、例の乙種の増改築資金の貸し付け利率の問題であります。この点は、先ほど医務局長から御説明がございましたように、第一点として、「医療金融公庫の乙種増改築資金の貸し付け利率八分につきましは、昭和四十年度におきましては年金福祉事業団の貸し付け対象のうち、日赤、済生会等の開設する病院に対する貸し付け利率と統一をはかるよう検討をいたしたいと思います。」かように政務次官はお答え申し上げておるわけでございます。つまり乙種増改築八分というのが問題である、これをどうするかといいますと、四十年度において日赤、済生会、つまり年金福祉事業団の貸し付け全体ということでなくて、貸し付け対象の中から特に日赤、済生会というものをとりまして、その開設する病院に対する貸し付け利率と統一をはかるように検討いたしたい、こういうことを申し上げておるわけでありますので、先ほど御指摘の、つまり年金福祉事業団の利率は原則として六分五厘のものが大部分でありますけれども、ここで申しておりますのは、特に日赤とか済生会とバランスをとりましょうということを申し上げたわけであります。その点は、先ほど医務局長からも御答弁がございましたように、四十年度においてはこの八分を一分下げて七分にすることによって日赤、済生会との統一をはかった、こういうことでございます。
それから償還期限及び据え置き期間の点についてでありますが、これはこういうふうに申しておるわけであります。「償還期限及び据え置き期間等の点につきましては、問題の性質上なかなか容易ではありませんが、昭和四十年度を目途といたしまして、できるだけ同一にするように努力をいたしたいと存じます。」これは速記のとおりでございますが、つまりここで申しておりますように、なかなか容易ではない、しかしできるだけ統一するよう努力する、こういうことを政務次官は申したのであります。それを受けまして償還期限につきましては、もう先生先刻御承知と思いますが、全く同じにすることにしております。病院の新築あるいは増改築、あるいは診療所につきましても。耐火構造その他構造に分けまして、この点はいろいろ検討の結果、年金福祉事業団の償還期限と全く同一にいたすことになったわけでございます。
そこで問題は、先ほど御指摘の据え置き期間でございます。据え置き期間につきましては、年金福祉事業団のほうがたてまえとして、五年以内、医療金融公庫のほうがたてまえとして二年以内ということになっておる。これは少しも同一になっておらぬではないかという御指摘がございますが、この点、実はいろいろ実態を検討いたしましたところが、なるほど年金福祉のほうは、たてまえとして五年以内というふうになってはおりますが、実行におきましは大体据え置き期間が一年ないし二年程度ということが実情でございます。したがいまして、この際これを特に医療公庫につきまして延長することなく、実情において二年ということであればほぼ均衡がとれるという判断から、この際据え置き期間については特に触れなかった。こういう状況でございまして、滝井先生おっしゃるように、国会軽視というようなことは毛頭ございません。実は私どもといたしましては、国会の御決議を非常に尊重いたしまして、極力改善につとめてベストを尽くしたという姿が今日の状況でございますので、何とぞ御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/34
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035・滝井義高
○滝井委員 いや、了解はできないです。うまくないのだ。それは、当時の議論は六分五厘を基礎にしておる。当時、いま言ったように七分にしておるということを政府がここで言明しておって、それに近づけるなと話はわかるけれども、当時日赤、済生会は六分五厘ですから、それを検討して統一するということを議論しているので、これを上げて統一するという議論は一回だって出ていない。いまになってそういう顧みて他を言うような詭弁をやってはいかぬのです。われわれは純真ですから、あなた方みたいに詭弁をやるようなことはしない。だから、そういうことでは納得できないのです。
こういうふうに政府が言明したことをひるがえしてやらぬという原因はどこにあったかというと、結局五億円しかことしとれなかったということが原因なんです。いままで三十七年以来二十五億、二十六億、二十九億と入れておったのを、たった五億にするというのが一つの間違いのもとだ。これを入れておいて、もらっておれば資金コストはぐっと下がってくる。こういうところで一生懸命口角あわを飛ばしてやって、そして役所で今度はくるっとひっくり返していくということでは、政党政治はないです。政党政治の権威は落ちてしまう。これは私は、二つは譲ってもよろしい。しかし、一つの六分五厘だけは絶対六分五厘にしてもらわなければならぬ。それから日赤、済生会も七分に上げるべきではない。六分五厘そのままでけっこうです。私も妥協するところはぴちっと妥協しますから、据え置き期間やあれは言いません。貸し付け限度額の、貸し付け率が所要額の八割、九割の点はそれでもいいです。しかし、六分五厘だけは、日赤、済生会が滝井義高が言うたために上がったんだという、そんな汚名は着たくないのです。日赤、済生会も下げてください。こっちも六分五厘、この一点だけ、大臣、政治的な判断できちっとやってください。それであなた方のほうができなければ、ここに大蔵大臣に来てもらってやります。理論的な根拠がないのだから。大臣、いま医療問題の激しいときに、医療コストを上げるような、日赤、済生会のような、いわゆる博愛人道を持っている病院に貸す金を上げるなんというばかな政策を一体いまとれますか。こういうところはあまりにも経済的です。まるで目標を見失っておるじゃないですか。だから日赤、済生会を下げる、こちらも一挙に六分五厘に持っていく、こういう形です。あとの二つはいいです。妥協します。これをきょう答弁ができなければ、留保して次会に回して、もう一ぺんあとで理事会で相談さしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/35
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036・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 去年の国へ会でいろいろ利率がもめましたときに、いまの線が大体出て、おったように私は記憶しておるのでございます。乙種の増改築の八分を七分に下げ、また福祉事業団の六分五厘のものを日赤等につきましては七分にする、それで統一するというような線がその当時出されておったように私は記憶しておるのでございますが、もう少し私どものほうも、その当時の事情を調査いたしましてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/36
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037・滝井義高
○滝井委員 それは、引き上げるなんという線はどこにもないのです。もし当時それを引き上げるなんと言ったら、与党が承知しなかったです。いまでこそ与党は、政府がきめたからうやむやになっていますけれども、当時はごう然としてみんなの声が起こったのです。そんな頭を振っておるけれども、私、こればかりは専門にやってきているから間違いないです。それで、とにかく政府の出資金なんかも減らしたということはけしからぬです。医療問題がこんなに重大問題になっているのに、医務局長自身まるきり認識不足ですよ。いまの問題については了承いたしません。話がつくまでは、ぼくらこれを上げるわけにいかぬですから。
次は、もう一つ公約です。ことし国立病院の特別会計に還元融資の金を貨すことになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/37
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038・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 国立病院の特別会計に借り入れを還元融資からいたすようになっております。全体の借り入れ金二十五億のうち、厚年から十二億、国年から一億借り入れることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/38
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039・滝井義高
○滝井委員 労働者の福祉に還元する金が少なくてみんな困っておるのに、国の機関に、二割五分というワクを労働者にもらったものをやるとは何事だということを、私はおととしやったのです。そうして当時、海堀資金課長がこれを大蔵大臣にやったのです。そうして大蔵大臣が、これはなるほどもっともだ、ことしはもう滝井君、やってしまったからこらえてくれ、そのとき大蔵大臣は、これはもうやめようと言った。ところが私がいま言ったように、海堀君が引っぱって、それは大臣たいへんだ、これを大臣がいまのように言明されたら資金計画が狂うからたいへんです。それは当時は五億円です。三十八年ですね、おととしは五億円ですよ。そうして大蔵大臣が、これはこらえてくれ、そのかわり来年以降は絶対やらないのだということになっているのですよ。そこで三十九年にはやらなかった。そうしたら、私が忘れておると思って、またことしやってきているのです。こういう人をだますようなことはいかぬですよ。資金コストが、不足して困っておるのです。あとで医療金融公庫のことが出てきますけれども、国立病院が、労働者の福祉の金を借りなければできないのですか。労働者が住宅を建てなければならぬとかいって困っておるのに、こういう二割五分をわれわれは努力して池田さんから言明をとったでしょう。毎年積み立てる厚生年金、国民年金の積み立て金のうちから二割五分は労働者の福祉に還元するということなんです。こうやって忘れておるかと思ったら、けろっとして舌を出して、一年だけは変わらないけれどもすぐ翌年はやるという、こういうきたないやり方というのはいかぬです。そうでしょう。去年はやらなかったでしょう。去年は資金運用部から二十億借りただけで、国民年金と厚生年金の還元融資あるいは特別融資からやっていないはずです、これは私、やかましく言ったのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/39
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040・佐竹浩
○佐竹政府委員 ただいまの厚生年金の還元融資を国立病院特別会計の貸し付けに充当する問題をめぐりまして、滝井先生の御指摘のとおり、三十八年度には充当はございました。三十九年度はございません。全くその点御指摘のとおりでございます。それで新たに四十年度に十三億円だけ充当ということになっております。これにつきましては、実は私ども従来からいろいろ検討いたしておりまして、四十年度の厚生年金の還元融資充当の各機関の表も滝井先生十分御承知かと思うのでございますが、これは第一は、御承知のように年金福祉事業団でございます。次に特別地方債がございます。さらには医療金融公庫、これに七十億円融資しています。それから社会福祉事業振興会に六億円。さらに公害防止事業団、これは新設される予定のものでございますが、これに十億円。そこで、それと並んで国立病院時潮会計に十三億円、年金福祉事業団には三百七十億円、特別地方債四百十九億円でございますので、合わせて九百三十八億円、これが大体新規預託の還元融資、二五%相当の還元融資の総額に相なるわけでございます。そこで、これをごらんになりましておわかりになりますように、年金福祉事業団からの融資先――これは先生、釈迦に説法のようなことではなはだ恐縮でございますが、病院等に融資をいたしておるわけでございます。さらには医療金融公庫、これはまさに、先ほどから御指摘のように、私的、医療機関に対する融資でございます。そういうようなことでございまして、医療機関の施設の整備、拡充、改善といったようなことは今日の非常な急務である。同時に、厚生年金被保険者を含めた一般国民大衆にとって非常に大事な問題である。これは公的医療機関、私的医療機関、あるいは国立医療機関を問わない、全体としての医療機関の整備というものを促進しなければならぬ、こういうような趣旨から、かねがね厚生省のほうからもそういう御意向がございまして、私のほうも、なるほどそれはそういうことかというので、四十年度からこれが再び入るようになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/40
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041・滝井義高
○滝井委員 二五%のワクの中で、国立病院ですよ、労働者の福祉に還元する金を十三億巻き上げていったのと同じじゃないですか。なぜ一般会計から出さないのですか。こういう特別会計をつくるときに、私は、こういうことになったらいかぬからというので反対したのです。当時、こういうれっきとした国立病院特別会計に幾ら貸すとは出てこなかった。どうして出てきたかというと、医療金融公庫等と出てきた。「等」の中に国立病院が入っているのを見つけた。それもずっとあとになって私が見つけたのです。それで「等」とは何ぞやということを詰めてみたところが、実はそれば国立病院特別会計の中に金を入れるのです、こういうことがわかった。当時は隠しておった国立病院というれっきとしたものを出さなかった。等として出した。そういう歴史的沿革があった。そこで田中さんに文句を言ったら、田中さんはどうもこれは申しわけなかったということになって、そうして翌年はやめた。私から言ったからやめた。そこは良心があった。ところがもう翌々年になれば、おそらく滝井義高のやつは忘れているだろうと思って、ころっと出してきた。そうはいかぬですよ。天網恢々疎にして漏らさずです。だから頭がいい悪いの問題じゃないのですよ。これはやはり約束は守らなければいかぬ。しかも、いまいろいろ平然とし言ったのですけれども、社会福祉事業振興会とか公害防止事業団というものは、これは公の天下のことですよ。労働者の福祉だけの問題じゃない。九千八百万の国民一人一人の問題ですよ。それを労働者の福祉に還元すべき二割五分のワクの中から、社会福祉事業振興団とかなんとかいって、政府の施策が悪くて貧しい大衆が出て、福祉政策をやらなければならぬものからとっていくということは、厚生省のいままでの主張と違うのです。厚生省はいままで、一般地方債とか、そういうものまでやることは反対だと言ってきた。年金課長はおらぬですか。いままでそれを厚生省は頑強に主張してきて、われわれにも応援を頼んだ。そういうことでなければ年金の金が集まりません、とまります。われわれもそう言っておったはずです。そして年金勘定というものをつくって使途を明白にするんだと言った。ところが、大蔵省からのこの予算書に出ているような、こんな変な使途の分類表でいまごまかされた。これでは納得ができぬというので、徐々にいま反撃態勢を整えおるところでしょう。こういう使途別の分類表でごまかされているわけです。それで、これもひとつのけて資金運用部から借りなさい。借りるのは、もう特別会計ができたんですから、私は目をつぶります。しかし、これを労働者のこの中から借りるのはいかぬです。そしてその分だけはひとつ医療金融公庫へおまかせ願いたい。あるいは労働者の住宅に回す。(「そういう議論はいかぬな」と呼ぶ者あり)そういう議論といっても、私的医療機関とか国立病院というものは、国が責任を持つべきものですよ。労働者の分け前の中からとるべきものじゃない。そういう形で出てきている。それなら国立病院も年金福祉事業という中に入れてしまうなら入れて、しまう、何かこういうようにすっきりしなければいかぬですよ。一方は年金福祉事業団で病院ができ、それから今度は特別の地方債が出ていくでしょう。それから医療金融公庫が出ていくでしょう。そしてその分け方だって、あとでまたやりますけれども、とにかく金を貸すのに理論の一貫性がないですよ。もう少しここらの貸し出しというものはきちっとどこかで握って、そしてそれを公的なものと私的なものに分けて、その利率を一緒にするならする。しかし公的、私的に性格の違いがある。たとえば私的な機関は何十億のものを建てるというのは不可能だから、大きなものは公的なものを建てていくならいくということで、もう少し戦線を整理しないとこういう議論になってくる。だから私はここで何回か戦線整理論をやったが、賛成するがごとくせざるがごとくして、ますます分裂をして、いつの間にかまた国立病院の特別会計なんかおつくりになって、そうして金が得られないというので労働者に食い込んできているじゃないですか。これだって私をペテンにかけた。一年だけは私の言ったことを実行した。ことしはもうペテンにかけて十三億出したでしょう。出すのなら、もう少し相談をして堂々と、困るから滝井さんああやって言っておったものだけれどもと、どうして言わないですか。野党といえども、一寸の虫にも五分の魂があるように、魂を持っておりますよ。それをばかにして、少数野党だから、なにやってしまえば、それから先はしりくらえ観音でやってしまえというなら、おやりになってけっこうです。こういうようにして、幾らわれわれが言ったって、あなた方が言ったこと、大蔵大臣が言明したことなんかを役人がかってに破ってしまうというなら、もう審議する必要がないです。どうですか、これを厚生大臣取り済すでしょうね。取り消して、全部資金運用部からもらうとはっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/41
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042・神田博
○神田国務大臣 いま滝井委員のお話を、承っておりますと、なかなか沿革のあるお話でございまして、筋の通ったお話のように私も伺っております。しかし、これは十分検討いたしますが、私の政治感覚で申しますと、いまお述べになったような、じゃ変えたらどうかというようなことはなお以上にむずかしい問題じゃなかろうか、こういうような考えでございます。要するにこれは、おっしゃったような案でいくことが一番私もけっこうだと思いますが、国立病院の整備がおくれていることはもう天下公知の事実でございます。この整備をすることは労働者の福祉の増進ということに相なるわけでございまして、早く病院をりっぱにしなければいかぬ、また民間の病院も、診療所等もよくしなければいかぬという医療行政の一環から考えますと、来年度は来年度といたしまして、今年度はひとつそういった大局で滝井さんにごしんぼう願っていただいて、今回の御意見は私どもも十分尊重してまいりたいと思いますが、これはおしかりを受けている気持ちはよく私もわかりますが、ご了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/42
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043・滝井義高
○滝井委員 去年は資金運用部資金の金を全部借りたのです。ことしは資金がふえておって、そして労働者の中に食い込んでくるというのは論理が合わないのですよ。これなら、今度のこの財政投融資の資金計画というのは、率直に言って、厚生年金の一万円年金の実現の財源をうんと見込んでおるわけです。これが五月の末まで、ぎりぎりにしか通らなかったら、これはだめになるのです。いまの情勢はそんなに簡単に通る情勢じゃないですよ、厚生年金は。大臣御存じのとおりです。そうしたら一体どうするのです。医療金融公庫のあとに厚生年金をたとえばやったとしても、そんなに簡単に四月中に通ってしまうという客観情勢じゃないですよ。これは五月一日から実施でしょう。そうすると、一カ月分の穴があくと八十億あくのです。六月一日から実施になれば穴が八十億になるのです。全部狂うじゃありませんか。そういう客観情勢もあるわけですから、あなた方が言うことを聞かなけばぼくらも言うことを聞かない、聞く必要はないわけですから。だから、力でとにかくやろうというのなら、こちらも力でいかざるを得ない。一寸の虫にも五分の魂があるのだから、ここで約束したことをやらなければ、もうこれから附帯決議なんかやらないです。これでがんばっていきます。うちの理事があれなら、ぼく一人でもがんばっていく。だから、いまの医療金融公庫の貨し出しの利率その他の問題、それから国立病院をこういうところに入れないと言ってまた入れてきたという二点については、私は留保しておきます。
次は、今度の改正で従たる要務所を置くことになるのですが、この設置の場所、その目的、構成の人員、それに必要とする予算をひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/43
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044・神田博
○神田国務大臣 この従たる事務所をどこに置くかということでございますが、これは大阪に置きたい。御承知のように、公庫の事務内容が非常に増加してまいっておりまして、全部東京にこれをまとめてやるというよりも、関西に一カ所待ちまして、そして大幅な権限を委譲いたしましてこの事務をスムーズに行なっていきたい、こういうことでございます。だんだん大きくなるに従って事務も繁雑になりますから、そういうことも避けまして関西のほうは大阪だけでやれる、また本店のほうも、そういうことになりますれば非常に簡素化できますから行政能率があがるのではないか、こういう考え方でございまして、その機構、職員等の問題につきましては政府委員から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/44
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045・大崎康
○大崎政府委員 予想される業務量といたしましては、本店におきまして百四十五億の貨し付け決定量を予定いたしております。それから大阪支店におきましては二十九億の決定量を予定いたしておるわけであります。
本店が百四十二人の人員でございまして、支店が二十三名の人員を予定いたしておるわけであります。二十三名の人員に対しまして、人件費その他の雑費を計上いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/45
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046・滝井義高
○滝井委員 業務の開始は何月からやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/46
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047・大崎康
○大崎政府委員 一応七月を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/47
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048・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この従たる事務所の権限、これは本店で行なう権限と同じように何でもできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/48
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049・大崎康
○大崎政府委員 本店と支店の権限は相当違うわけでございます。
まず、本店と支店と対比して申し上げますと、病院に対するいわゆる代理貸し付けにつきましては、全部本店で取り扱うわけでございます。
それから診療所、助産所、薬局に対する貸し付けにつきましては、西の半分、すなわち京都、滋賀、三重、以西の二十三府県に関する分につきましては、大阪支店で取り扱いたいと考えておるわけであります。
それから直接貸し付けに関する分がございます。これは御案内のように、大学病院等の特定医療機関に対する五千万円をこえる事務でございますが、これにつきましては西半分に関する調査の関係、これを大阪支店においてとり行なう、残余は本店で行なうわけでございます。直接貨し付けに関する最終的な決定は、本店で取り扱うようにいたしたいと思うわけでございます。
それからもう一つ、直接貸し付けの中で一千万円から五千万円の分がございます。これにつきましては、近畿七府県につきます調査の分は大阪支店でとり行ないます。それから関東地方十一都県の調査に関する事務につきましては本店でとり行なう、かようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/49
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050・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、簡単に言うと代理貸し付けの病院分は本店だ、それから大学病院等の五千万円以上の大口は本店でやり、主として小さなものなり調査は支店でやらせる、こういうことに理解して差しつかえないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/50
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051・大崎康
○大崎政府委員 大体そのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/51
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052・滝井義高
○滝井委員 今度三名以内の理事が四名以内と一名ふえますね。いま理事の構成というのは、どういう経歴の人が理事になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/52
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053・大崎康
○大崎政府委員 総裁を除きまして理事は現在三名でございます。そのうち一名は厚生省の関係でございます。それから、そのうち一名は医者でございます。残りの理事は大蔵省の関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/53
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054・滝井義高
○滝井委員 三名のうち一名は厚生省、一名は医者、それはどういう医者ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/54
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055・大崎康
○大崎政府委員 厚生省、防衛庁に勤務しておりました技官でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/55
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056・滝井義高
○滝井委員 ここらあたりに一つ問題があるのです。私がこの前から歴代大臣に言うけれども、歴代の大臣、どうも勇気がなくて悲観しておるのですが、神田さんに勇気を出してもらいたいのは、建設省を見ますと技官と事務官とが交互に事務次官になるのです。厚生省は未来永劫に、あなたの横におられる医務局長のごときは非常に優秀ですが、こういう人はいかに優秀でも、これはさか立ちしたって事務次官になれないのです。もはや人間に甲乙はないですよ。高文が昔はありましたけれども、いまだって技術官は、技術官の資格試験を取らなければ役所にはいれないのですからね。そうしますと、これはやはり交互になすくらいの――人数の大小がありますから、交互が悪ければ三回に一回くらいはなすくらいのことをやらなければ、みんな希望を持たないですよ。片方は四十七、八か五十で事務次官になって、どんどん参議院、衆議院に出ていきますね。そうすると、技官は五十五か六十だ。私、このごろ保健所長の会議に出てみた。そうして見渡したところが、みんな私の大学の先輩ばかりだ。そうしてその年齢はといったら、鬢髪白きを加えて五十をはるかに過ぎておる。私が四十三か四。われわれの大学のはるかの大先輩が、また保健所長さんをしている。これでは一生懸命やれと言ったってなかなか無理なところがありますね。やはり希望を持たして、上まで行かせて、堂々と自民党の公認で参議院くらいに出られる形にしてやらなければ――率直に言って自民党の公認に出ているのですから。それがないでしょう。といって、社会党にもなかなか来れないでしょう。これが技官が勇気のないところですが、これをやはり勇気のあるようなくらいにしてやならければいかぬですよ。それと同じです。こういうところでも、いま防衛庁だってそうですけれども、厚生省はえ抜きの人も一名くらいは入れるとか、それから私的医療機関をやるのですから、開業医の味方をするわけではないけれども、そういうものもやはり一名くらい必要なんですよ、実情がわからないのだから、だから、そういう点では、四名になればそういうところも、厚生省、防衛庁、大蔵省、それでたとえば私的医療機関に貸すものなら、そういう開業医を入れる。年金福祉事業団には、これはやはり労働者の代表を入れるというようにしなければいかぬと思うのです。それがやはりこういう民主的な事業団の運営のしかたです。ところが、役所ばかりでみんな占めてしまうということはよくないです。だから痛くもない腹を探られて、何だおば捨て山をつくるのじゃないか、こういわれるのです。だから、そこは、人事はぴしゃっといくと必ずしもそうはならないのです。どうですか、ここら、今度四名ふえるというならば、そういう人がおるなら――滝井さんやれと言っておるのだが、何なら私がやってもいいです。こういう点の人事というものは、やはりよほど考えてやる必要があると思うのです。これが国会承認人事なら歯どめをかけていますよ。そうでない、大臣の胸三寸にあるのだから。もうきまっておるのですか。厚生省と防衛庁と大蔵省が出ておるが、あと、まさか自治省から出るということもないでしょう、自治省は直接関係ないから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/56
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057・神田博
○神田国務大臣 いま滝井委員のお話しになりました、役所の中の技術官の地位というものについての考え方、私も原則的には同感でございます。適材適所と申しますか、行政能率があがるように、その人材次第ではそういう道はあるわけでございますから、決してそれをふさぐという気持ちは持っておりません。適材適所主義で、そのときの一番かなったところでひとつ次官を採用したい、こう考えております。これはおそらく私だけでなくて、皆さんもそういう考えだろうと思います。
それから第二の、いまの医療公庫につきましても、今度増員される理事はもう内定しておるかどうかというお尋ねでございましたが、これはまだ考えておりません。法案の御審議を願っておりますので、人をきめてやっておるということでは、はなはだ大それたことになりますから、そういう不調法なことは考えておりません。いまの三人のうち一人が技官だということでございましたが、これは厚生省の技官だとお考えになってけっこうだと思います。厚生省におられまして、それから防衛庁の医務局長に栄進されて、退官されて入ったというのでございますが、いままでの前例から申しますと、防衛庁の医務局長は厚生省からいつも推薦して、そのあと始末をしておるということでございますから、形式的にはいまおっしゃったように厚生省、防衛庁ということになりますが、実質から申しますと厚生省はえ抜き、こういうことにお考え願っていいのじゃないかと思います。御意見もあるようでございますから、十分ひとつ大阪支店長につきましては――本店、支店とも法案の成立の上は適材適所、この公庫の能率があがり、みんなから信頼されるりっぱな方を選びたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/57
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058・滝井義高
○滝井委員 いまのように、年金福祉事業団の利率の関係等、役所だけではなかなかかゆいところに手が届かないのです。やはり民間の医療専門家を一名入れるということで御検討いただきたいと思います。首を縦に振っておるから、立ってもらってイエスノーを言われなくても、ひとつ大臣、私の意のあるところをくんで善処願いたいと思います。
委員長、ちょうど切れ目のいいところにきましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/58
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059・松澤雄藏
○松澤委員長 午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
――――◇―――――
午後一博四十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/59
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060・松澤雄藏
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続けます。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/60
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061・滝井義高
○滝井委員 午前中、医療金融公庫の、主として一般会計からの政府資金の導入が前年に比べて非常に少ないということ、再々約束をしておるにもかかわらず、医療金融公庫の貸し出しの金利その他が年金福祉事業団とは一本になっていないということ、あるいは国民年金、厚生年金の特別融資あるいは還元融資のワク内に国立病院の特別会計などを入れないというのに入れておったというような点を指摘いたしましたが、いずれこれらの問題は法案が上がるまでに理事会等で十分相談をさしてもらって、納得がいった上で法案の処理をしたいと思います。その前に、三十九年三月五日にも、実は私は医療金融公庫法の一部を改正する法律案が提出されて質問を行なっておるわけですが、その中で、三十五年以来足かけ五年間、医療金融公庫の利率の問題や貸し出しのワクを申し込みの金額に対してどの程度やるか、あるいは据え置き期間等についても再々言い続けてきておるわけです。その中で纐纈さんはこういう答弁をしたところがある。「六分五厘に決定するということは、先ほども申しましたように、金利体系のことからまいりましてなかなかそう簡単にいかぬようでございます。その影響するところも非常に多いのでございますから、それらの点を十分に検討しまして、滝井委員の御期待に沿うような措置を講ずることに政治的な責任を持ってひとつ努力いたしますから、御了承願いたい」、こう言っておるのです。政治家のことばとしては、これ以上のことばはないのです。政治的な責任を持って努力をする、こう、言っておるのですからね。そのあとに、今度法案を上げるときに話がまとまって、河野正さんから総括的に簡単にやったわけです。そういう歴史的経過もありますから、一応政府の都合のいいところの速記だけを、片言隻句取り出して言うようなことは許されぬわけです。そこで、いまのような点は保留をいたしまして、次に入ります。
お尋ねをいたしたいのは、年金福祉事業団の貸し付けの状況です。これは日赤、済生会等の公的医療機関のほかにも、いろいろ貸し付けをやっていると思います。そこで、日赤が幾ら、済生会が幾ら、そのほかに事業主の病院があるはずですね、そういうものが幾らと、こういうものを一々分けて御説明を願いたいと思います。年金福祉事業団の貸し出しは、三十六年以来、三十六年が三十億、三十七年が三十億、三十八年が三十三億、三十九年が二十九億、四十年が四十億、これが厚生年金の還元融資分。国民年金の還元融資分は、三十七年から始めて四十年、今年度までずうっと五億、この四年間みんな五億でやっているわけです。そこで、三十九年だけをひとつ例にあげてもらって、この二十九億の厚生年金の還元融資分と、国民年金の還元融資分五億ですが、済生会に幾ら、日赤に幾ら、事業主に幾ら、その他に幾らと、これをひとつ御説明願って、三十六年以来のものはあとで一括して資料で出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/61
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062・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいまの御質問でございますが、いま詳細な資料は手元にございませんが、三十九年度日赤の融資は十五件で七億三千八百二十万円、それから済生会が十八件で八億三千六百万円でございます。それから日赤、済生会につきましては、三十六年から三十九年までの合計額を申し上げますと、日赤は五十一件で二十一億八千九百七十万円、それから済生会は五十六件で二十四億一千八十万円、こういう数字でございますが、ほかの事業主等の分はあとで資料でお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/62
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063・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、たとえば三十九年を見ると、二十九億と五億ですから三十四億円ですね。そうすると、三十四億のうち十五億程度が日赤と済生会に出るわけですから、その他の中で大きいものは、事業主病院のほかにどういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/63
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064・山本正淑
○山本(正)政府委員 農協関係が大きなものでございます。これは主として国民年金の資金が充当されております。それから社会福祉関係でまとまっておりますのは、北海道の社協というのがありまして、これは病院を持っておりまして、これにつきましては、三十九年度では一億三千四百万出ております。それから、あとは健康保険組合の病院とか事業主の病院といったようなものがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/64
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065・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、農協とか北海道社協というものは額がたいして大きくないですから、事業主病院なり健康保険組合病院というのがあとの残りのほとんど大部分を占めておる、こういうことになるわけですね。
この利率は、事業主病院なり健康保険組合病院は六分五厘になっているわけです。大臣、ここなんですね、日赤、済生会だけは差別をされて、今度七分に引き上げるということは論理が通らぬですよ。そういう意味では、博愛と人道をもって鳴っている日赤を、これは営利主義になっておるからというのでおきゅうをすえて、博愛と人道の道を歩ませようとした。私なんか、その主張をしてきたわけです。今度利率を上げるということになったら、ますますこの博愛と人道でやらなくなる。いままで日赤や済生会がデラックスなものをつくって、健康保険証で見てもらえる病床というのが非常に少なかった。だから、けしからぬじゃないかといって、私たちは健康保険証で見てもらえる病床を日赤中央病院にふやさしたのです。そうしたら、今度政府のほうは、営利主義を奨励するように貸し出しの利率を上げるなんて、もってのほかのことです。これはいずれあとであなた方の矛盾はつきますけれども、この点は医務局長、もう少しヒューマニズムと医学的良心を持たなければいかぬ。これはあなた方の責任が八分で、大蔵省の責任が二分方ある。
事業主病院というのは六分五厘ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/65
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066・山本正淑
○山本(正)政府委員 事業主病院につきましても、大企業の事業主病院は七分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/66
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067・滝井義高
○滝井委員 ほんとうは、こういうとろの事業主の病院なんかに貸すことは問題があるのです。あるのですけれども、小さな事業主に六分五厘にするなら、コマーシャルベースに乗らないような私的医療機関に八分以上とるというのは間違いなんで、そういう点が政治的感覚がゼロです。それで、大体貸し出しの状態がわかりました。
そうしますと、今度それに対応するものとして、医療金融公庫から私的医療機関に、三十九年度にどの程度の申し込みがあり、どの程度その需要に応じておるかということですね。前年からの繰り越しもあると思います。三十八年に申し込んだけれども、借りられないで三十九年に繰り越されたものもあると思います。その三十八年から三十九年に繰り越されたものが幾ら、三十九年における申し込みが幾ら、そうしてそれに対してどういう決定が行なわれておるか、なおどの程度四十年度に繰り越さなければならなぬか、こういう四つの点を明確にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/67
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068・大崎康
○大崎政府委員 三十九年度、これは四月から十二月までの資料でございますが、借り入れ申し込み受理が三百十八億九百十九万円でございます。その内訳は、新規受理が二百三十億一千六百万円、前年度からの繰り越しが八十七億九千二百万円でございます。
そこで、貸し付け決定をいたしました額が百六十一億三千四百万円でございます。その残額につきましては、これは目下審査をしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/68
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069・滝井義高
○滝井委員 大臣お聞きのとおり、三十九年度の資金のワクは百三十五億円、百三十五億円に対して申し込みは三百十八億九百十九万円あるわけです。だから約三倍、二倍半の申し込みがあったわけです。そうして貸し付け決定額は百六十一億ですよ。すなわち、百三十五億の資金ワクをすでに二十五億もこえて決定されておる。そして三百十八億申し込んで百六十一億しか決定されていないわけですから、なお半分残っておるわけです。こういう実態なんですね。それでこういう実態の中に、なるほどニューフェースかもしれぬけれども、公害の事業団の金が入ってきてみたり、国立病院が入ってきてみたり、社会事業の振興会のものを持ってくるわけですね、二割五分の労働者のワクの中に。こういうものは、公害なんというものは当然国がやるべきものだ、こういう労働者の二割五分の中から借りていくべきものじゃないですよ。一般の資金運用部資金の中から借りるべきものなんでしょう。こんなことを許しておったら、もう大蔵省は何もかもこの二割五分の中に押し込んできますよ。労働者の福祉に関係しないものはないのだから、そういう意味で広義に解決すれば幾らでも広がる。なぜならば、国民の九割までは労働者に関係があるんだから、いわんや就業人口の中の四千五、六百万の中の二千五、六百万というのは雇用労働者なんですからね。いままで厚生省は、古井さんのとき以来一貫をして、われわれの国民年金なり厚生年金の積み立て金が、こういう形で何が何かわからぬような形で使われるのは困る、年金勘定をつくれと強く主張しておったわけですね。また、年金審議会等もそういう答申を出しておったわけですね。これを忘れたわけですか。これは一体、いまどのように大蔵省に主張しておやりになっておるのですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/69
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070・山本正淑
○山本(正)政府委員 ただいまの年金積み立て金の運用につきましては、御指摘のありましたように、従来から、厚生省といたしましては少なくとも特別勘定をつくって、その年金資金の使途を明確にいたしたいという主張は変えておりません。それは昨年度におきましても強く主張いたしまして、その結果、この問題に対しての扱いについては資金運用審議会にかけるということになりまして、その後資金運用審議会におきまして特別委員会をつくりまして、この特別委員会で厚生省の主張する特別勘定設置問題というものを根本的に検討なされておるという段階でございまして、省としては始終一貫した態度を主張してきた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/70
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071・滝井義高
○滝井委員 まず、ここのたがは締めておかぬことにはだめなんです。そういう主張をしておるだけで、ちっともがんばらぬからだめなんです。いつも寄り切られておるわけです。少なくとも大蔵省という横網にぶち当たるためには、もう少し訓練しておらにゃいかぬわけです。いつも寄り切られてばかりいる。訓練が足らぬ。だからいつも赤子の手をねじられるように寄り切られてばかりいるわけでしょう。少なくともこういうところは、もう古井さんのときから、法律ができたときから主張しているのですからね。国民年金の法律ができたときから主張してきているのだから、もう少しそれはきちっとしないと話にならぬですよ。大臣、この点は大臣として一体どうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/71
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072・神田博
○神田国務大臣 いまの滝井さんのお尋ねでございますが、私も古井厚相時代からの方針を堅持いたしまして、予算折衝の上には、これを土台にして折衝を続けてまいっておったわけでございます。ただ、問題は、御承知のように厚生省の予算が伸びていますものですから、こういう国の財政難が続いてまいりますと、どうしてもしわが寄ってくるのでございます。そういうようなことになっておりまして、これは私もまことに遺憾に思っております。今後もひとつ十分努力いたしまして、こういうことを取り除くと同時に、なお二五%をこえるようなことに極力努力いたしたい、こういう所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/72
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073・滝井義高
○滝井委員 国の予算が伸びているけれども、厚生省が資金運用部の資金計画に貢献する度合いも伸びているわけです。今度一万円年金で、去年まで厚生年金なり国民年金は、厚生年金が二千百八十億、国民年金が四百五十六億だったのが、二千百八十億が三千二百六十億とふえるのですから、一千億以上ふえるのですよ。しかも国民年金のごときも、四百五十六億が四百九十二億とふえてくるのですからね。だから、こういう問題についてもう少しがんばってもらわなければ話にならぬわけですよ。幾ら言ったってぬかにくぎみたいなもので、ちっともハッスルするところがないから厚生行政が前進しない。国の予算が伸びて他の経費がよけいに要るから、私のほうはしようがないということでは、これはもう話にならぬ。
そこで、いま年金福祉事業団のことを一応聞きました。それで今度は、医療金融公庫の状態を御説明いただいたわけです。この中で、大口の私立大学病院の建設の経費が入っているわけです。これは本来、年金福祉事業団に入れろという主張をわれわれはしておったわけです。ところが、最後のどたんばになって、これはひとつ医療金融公庫で見ておってくれ、こういうことでとりあえず見ることにしたわけです。しかし、いまの日赤や済生会その他のものをああいうぐあいにして年金福祉事業団でごらんになる。それから、今度国立病院の特別会計がまた新しくこういう形で見るとすれば、これもやはり別ワクにするか年金福祉事業団に入れてやらぬと困るわけです。なぜ困るかというと、さいぜん私が御質問をして皆さんが明白にしたように、とにかく三百十八億申し込んだのに百六十一億しか決定していない、半分しか決定していない。そうすると、そこにどかんと大きな私立大学の付属病院の施設の金を取ることになるわけですね。これは医療金融公庫から貸すようにして、一体毎年幾らずつ出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/73
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074・大崎康
○大崎政府委員 大学病院に対する貸し付けの資料は、現在手持ちをいたしておりませんので、あとで御回答申し上げたいと思います。
なお、大学病院等を含めました特定病院につきましては、三十七年度の貸し付け決定が十六億でございます。それから三十八年度が六億、三十九年度の貸し付け決定が十四億五千万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/74
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075・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、三百十八億の申し込みの中にどの程度入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/75
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076・大崎康
○大崎政府委員 後ほど調査してお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/76
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077・滝井義高
○滝井委員 私立大学の問題というのは、いつも一番大きな政治問題になっているのだから、そういう資料ぐらいここに持ってきておらぬと困るですよ。わからぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/77
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078・大崎康
○大崎政府委員 あとで御返事いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/78
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079・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、十四億五千万円というと、百三十五億ですから、一割ちょっとこえておるわけです。そうすると、ことしの全国の私立大学の状態その他を見ても、これは減ることはないですよ。もういまはデラックスにしないと患者は来なくなった。客観情勢は減ることはない。そうすると、私学振興会からの関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/79
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080・大崎康
○大崎政府委員 私学振興会からも大学病院に対しては融資をいたしておるわけでございます。その数字につきましては、現在持っておりませんが、文部省のほうに問い合わせましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/80
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081・滝井義高
○滝井委員 病院の財政投融資問題というのは、毎年医療金融公庫なり何なりで質問があったらすぐ出るんだから、一年にどの程度の財政投融資なり、資金の融資が、公的医療機関、私的医療機関に行なわれるかくらいのことは、右から左に準備しているのが当然ですよ。そういうことさえあなたのほうが全然握っていないのだから、医療行政ができるといってもできないですよ。一番重要なところじゃないですか。こんなことじゃ厚生行政はまかせられぬですよ。勇将のもと弱卒なしというけれども、どうも神田厚生大臣は勇将じゃないらしい。実際、これではまるきり質問が停滞してできやしません。もう少しこういうところは、毎年尋ねているところなんですから、財政投融資を尋ねますと言っておるのですから、いま右から左に答弁ができなくても、資料ぐらい持ってきておってやるということぐらいでなかったら話にならぬ。
百三十五億のうち十四億五千万円出ていることは確実です。そうすると、一割は出ていくということです。そうすると、一割が先食いをされてしまう。ことし百七十億ですから、この一割取られちゃったら、もうあとは、いま言ったように前年度からの繰り越しがあるでしょう。三百十八億申し込んでおって百六十一億しか決定されていないのだから、あと二百億ぐらいというものは繰り越してくるわけです。そうすると、一体ことしの申し込みはどうなるのだということです。四十年度に申し込んだ人は認められぬことになるのですよ。これで一体医療行政がやれるかということです。四十年度に申し込んだ人は借りれないのです。これは来年でなければ借りられない。来年借りれるかどうかもわからぬ。百七十億しかワクがないのでしょう。(「申し込んだ者は借りれないはずはない」と呼ぶ者あり)申し込んだ者は借りれないはずはないと言うけれども、借りたいということで申し込んでおるのだから、行政はやっぱり貸すつもりでやらなければいかぬわけですよ。そうしますと、論理が合うように説明をしなければならぬことになる。だから、それならば、いま言ったように国立病院その他をのけて、国の資金運用部から出す方法を講じなければいかぬわけです。だから、この問題は、いずれにしても王手飛車手です。ここらあたり倫理が合っていないのですよ。だから、ことし申し込んだ人は申し込みの順でみないくのですから、あとから申し込んだのは、よほど特別の事情がない限りはだめなんです。だから、そういう点で、私たちが申し込んでも、もはや申し込みの順序があとだったらだめなんです。大臣、この点は一体どう打開するつもりですか。ことしの申し込みは、もはや二百億余まりの先に申し込んだ人が、少なくとも全部落ちてもらわぬことには話にならぬことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/81
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082・神田博
○神田国務大臣 医療金融公庫資金の割り当ては、需要に応ずるほどあることが一番けっこうなことでございますが、こういうような金融公用が、大体いままでの例からまいりましても、たとえば中小企業金融公庫にしても、国民金融公庫にいたしましても、その他市中銀行等をごらんになっても、全部需要を満たすというようなところまでは国力全体がいってないと思うのでございます。また、申請した場合も、いろいろまた査定減というものもあると思いますし、いろいろの事情で取り下げるという問題もあろうかと思います。とにかく絶対量の少ないことは、滝井先生のお話を私もそのままそう感じますが、しかし、これだけあるからもっとふやしたいということも同感でございますし、努力いたしますが、これを全部これだけ充てるということはなかなか至難ではないかと思います。中小企業を対象としている三公庫が、いつも三倍以上の申込みがございますから、いまの日本の姿がやはりこうなんじゃないでしょうか。言いわけを申し上げておるわけではございませんが、とにかくこれは医療行政でございますし、特に人命尊重の一番大事な基礎でございますから、これはそれ以上に考えなければならぬということは私も当然そう考えておりますが、全部行き渡るようにするということは理想でございまして、理想に一歩一歩近づけていくということではなかろうか、資金需要に応じて資金のほうも用意されている、こういうことではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/82
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083・滝井義高
○滝井委員 大臣と同じように、申し込みを受けたものは全部借りられるという大それた考えを持っておるわけではないのです。しかし、資金のワクが二割五分ときめられてしまっておるわけです。それならば、なぜ二割五分を増加する方法をとらないかということです。二割五分の増加ができなければ、なぜこういうところに国立病院や公害防止事業団を割り込ませるかということを言っておる。これは王手飛車手ですよ。初めからちゃんと言っておる。だからこういうものを排除してしまって、労働者の住宅とか、私的医療機関とか日赤、済生会、事業主病院、こういうところへ持っていくというなら話はわかる。ところが、一般の地方債まで持ってきておるんでしょう。一般の地方債は上水道とか下水道ですよ。こういうような金まで起債のワクを、去年やかましく言ったから、九十億をことしは五十億に減らしておりますけれども、依然として五十億ある。滝井がうるさく言うからちょっと減らしておけということで減らしたのかもしれませんが、ちょっと減らしておる。大体こういうものを入れてはいかぬということで、去年、年金局長なんか口をすっぱくしてそれは反対したんですよ。反対だと言っておったのに、よそから力をもって入れさせられておるんでしょう。局長なんか、反対だと言ってここで答弁をしておる。特別勘定を設ける――特別勘定はこんなものを入れることになってないから、そうなればワクをふやしなさいということです。二割五分を三割、三割五分にするということです。ワクをふやせば百億くらいはすぐふえます。それがどうしてもできなくてワクの中でやるならば、こういう国立病院なんというものは、労働者の中から借りるというのは間違っておるのですよ。それを排除して資金運用部にいく、こういう形でなければいかぬです。結局どこからつついても、やっぱりこういうふうにもとのところに戻ってしまうのです。
そうすると、いまの私立大学の病院の問題ですね。これは年金福祉事業団さえ持っていかれませんが、業務方法書を削除して、年金福祉事業団の業務方法書の中に入れるのが当然でしょう。私立大学の病院というのは教育機関でしょう。なるほど、それは治療もやっております。しかしそれは、文部省の国立大学の付属病院だって同じことをやっているのだから、そうしますと、これは当然年金福祉事業団の公的なものに持っていくべきですよ。それをここに入れなければならぬという理由はない。当時は、われわれは、まあやむを得なかろう、あのときもそういう方針を大蔵省が決定してしまったから、やむを得なかろうということで黙っておった。しかし、こういう資金のワクがだんだん窮屈になってきて、コマーシャルベースに乗らないようなものの中から一割を天引きされて、そして私立大学の病院に持っていくということはできない。年金福祉事業団に持っていって、そして日赤、済生会と同じように並べることが当然です、それを大臣、ひとつできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/83
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084・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 先生のお話はよくわかるのでございますが、医療金融公庫と年金事業団との担当と申しますか、受け持ちと申しますか、関係を昔きめまして、それによりまして資金のワクを四十年度もきめておるわけであります。いまこれを急に移すということはいかがか、ここでやりますというふうにお約束することはちょっとできませんので、将来の問題として検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/84
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085・滝井義高
○滝井委員 農協の病院なんかは、もと医療金融公庫だったんです。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/85
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086・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 前にどうだったかよくわかりませんが、農業協同組合連合会のものはいま年金事業団でやるようになっておりますし、前もそうだったように私は思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/86
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087・滝井義高
○滝井委員 それならば、前に医療金融公庫から年金福祉事業団に移したものがあるはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/87
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088・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 ちょっと歴史的に、先生のほうがお詳しいのでよくわかりませんが、調べてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/88
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089・滝井義高
○滝井委員 移したものがあるのです。いま私もちょっと名前を思い出せぬが、あることは事実です。やれたんです。だからこれはやれぬことはないわけです。
〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
大学病院というのは、なるほど私学です。私学だけれども、私的医療機関と同じに見るということは間違いです。少なくとも、国立大学の病院と同じようにそこでは研究が行なわれ、今後インターンの問題を解決するとすれば、重要なものになる。それを私的医療機関と同じような取り扱いをすることは問題がある。そういう将来の展望に立って今度直さなければいかぬです。これは、私は論理は間違っていないという確信を持っている。だから、それはあとで一ぺん調べてください。移したものが必ずあるはずです。業務方法書を二、三年前に書きかえている。いま私は思い出せぬが、たしか農協でなかったかという感じがしている。
次は、医療機関の配置の問題に入ります。福祉事業団なり医療金融公庫等の投資の状態を見ますと、特別地方債と医療金融公庫と年金福祉事業団と三つを合わせますと、大体今年は三百四十二億円、昨年は二百八十六億円、三百億円になんなんとするものが出ていっているわけです。このほかに、地方自治体自身の財源なりあるいは民間資金の私的医療機関の借り入れその他もありますから、これは相当な投資が行なわれておるわけです。そうしますと、この投資の中で、当然医療機関の配置ということが問題になってくるわけです。依然として無医地区はなくなっていないわけです。この配置の問題を一体あなた方はどう考えて、今後医療の万全を期していくつもりなのかということですね。かつて厚生省は、県庁の所在地に一番中心的な病院をつくって、それから地区の病院をつくり、地方の病院をつくるんですか、何か一応系列的なものを、川上さんが医務局長のとき出したことがある。その後、そういう病院の適正配置の問題については、医療法の問題でがたがたして以来、さっぱりはっきりしないのです。そこで、われわれが健康保険の財政を考え、国民の負担能力を考えるが、同時に、それらの保険制度がうまくいくためには、医療機関の配置というものがやはりある程度適正になっていないと、いなかに行っても病院がなかった、保険料を納めるだけで医者にはかかれぬじゃないか。あとでも触れますけれども、売薬が横行しておる、そうしてたまたまアンプルを飲んだら、アミノピリンのアレルギーでころっと参っちゃったというような悲劇があってはたいへんです。ですから、医療機関の配置の問題をどう一体お考えになっておるのかということです。この問題は、われわれが医療の財政投資をやる場合の非常に重要なポイントになってくるわけです。むちゃくちゃに野方図に、無規則に金をどんどん出していっていいものではないと思うのです。当然そこには、やはり何らかの形で、少なくとも公の病院については、適正な配置というものがまず行なわれなければならぬ。それが行なわれたあとに、私的医療機関がどういうことをするのだということになると思うのですよ。それについて、ひとつあなたのほうのかちっとした所見を述べてください。だんだん述べていっておるうちに、この前じゃないけれども、それは省議で決定したものではなかったのだといって逃げてしまって、詰めていったところが、何が何やらわからぬということが数年前にあった。だから述べるものは、厚生省として省議決定をして、内閣として責任のあるものを述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/89
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090・大崎康
○大崎政府委員 医療機関の整備につきましては、御案内のように、医療法の七条の二の問題がございます。この七条の二に基づきまして、現在、一般病床、精神病床、結核病床というようなものに分けて、それぞれ最高限の限度が定めてございまして、それに応じまして公的医療機関の規制を行ないますと同時に、余裕ができましたものは、これは病床不足地区のほうに資金を回す、こういうふうなたてまえをとっているわけでございます。そういうふうなたてまえをもちまして、これを一応の基準といたしまして、医療金融公庫の基準といものが現在できているわけでございます。その医療金融公庫の融資基準に従いまして、やはりこれは私的医療機関につきましても、適正配置という観念から資金的な規制を行なっているわけでございます。なおそのほか、国で直接開設をいたしております病院もございまして、これもやはり医療法の七条の二の精神に沿いまして、国においては設立をいたしておるわけでございます。そのほかに、公的医療機関につきましては、これは御案内のように国庫補助の定めがあるわけでございます。その国庫補助にあたりましては、私が申し上げましたような基準によりまして、さらに具体的に適切な場所を定めまして補助をいたし、そのおのおのの裏打ちの融資をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/90
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091・滝井義高
○滝井委員 私がお尋ねをしておるのは、医療法の七条の二によって――借り入れを申し出ると、その七条の二によって適当にやるというのが、これはいわば自然の流れに従っておるのですよ。そうではなくて、国のほうで何か積極的に、少なくとも公的医療機関については、こういうような配置をやるというような計画をお持ちですかというのです。かつて医療機関の整備五カ年計画というのをお立てになったことがあるのです。そしてここで私はそれを持ち出してみたところが、いやこれは省議で決定しておらなかったとかなんとか言って、ごたごたもめたことがあるでしょう。そしてうやむやになっているでしょう。大臣がかわると、厚生行政の長期構想なんて、うまいことアドバルーンをあげますけれども、そんなものはなかったのだと言って、企画室なんか資料を絶対出さなかったですね。だから、ここでそういうものがありますかと言っている。医療問題がこれだけ紛糾しているのに、何か公的医療機関の適正な配置でもお考えになったことがあるか。医療金融公庫なり年金福祉事業団の貸し出しの中で規制するだけであって、あとは野となれ山となれで、自然の流れに待っておるということで厚生行政がいくのか、それとも公的医療機関については何らか適正な配置を考えておるのか、考えておるならば、一体どういう案がありますか、その案も、私個人で考えておるというのじゃなくて、厚生省の決定したようなものがありますか、こう聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/91
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092・大崎康
○大崎政府委員 医療機関のいわゆる適正配置、なかんずく公的医療機関でございますが、これの配置につきまして、青写真といいますか、ぴたり当てはまるような青厚真を持っておるかということであれば、それは時っておりません。ただし、国立病院、療養所等につきましては、たとえば国立病院につきましては、基幹十病院がすでに整備をほぼ終わるような段階でございますし、現在三十病院につきまして、これは準基幹病院といたしまして、三十病院の整備が進行中でございます。それから療養所につきましても、ほぼ基幹療養所的な構想をもちまして中心となる療養所を整備いたしたい、かように考えまして、現在これもそれぞれ予算的な所要の措置を講じておるわけでございます。その他の医療機関になりますと、国が直接これの設置を定め得ないものも御案内のようにございまして、それにつきましては、指導なりあるいは補助金などの交付の際にいろいろ御指導を申し上げているところなんであります。そういうふうな個々の事例につきまして、できるだけ地域の実情に合ったような基幹の病院の配置をいたしたい、こういうふうに考えまして、現在進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/92
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093・滝井義高
○滝井委員 国立病院については、何か青写真みたいなのがあるような、ないような言い方をするけれども、あなたのほうは日本全体の医療行政を掌握されているわけです。そこで、医療法をつくった精神も、やはり厚生大臣の権限というものがきちっと確立されていなければだめだということで、あれは議員立法でわれわれに医療法をつくったわけです。何かあれで公的医療機関のできるのを抑制するがごときことを社会党までがやっておるなんという、あほうな言い方をする人がおるけれども、そうじゃない。いま公的医療機関がお互いに、競合し合ってむだな投資が行なわれるから、それを排除して、できればこういうものもどんどんりっぱな病院に持っていこうという考え方なのです。それを何か間違えて、社会党さえも公的医療機関をつくるのに反対しておるなんというばかなことを言うのがいるけれども、われわれの意思はそうじゃない。公的医療機関が都市に集中をして、お互いにむだな競争をやるのかやめさせようという考え方だ。そして都市に集中することを――都市でなければもうからぬから、そういうことになる。そういう公的医療機関が六分五厘の長期低利の金を借りておって、都市につくってもうけるような行き方はいかぬ。しかも差額徴収をやったりすることはいかぬ。こういう気持ちで私たちはああいう法律をつくったのです。これは非常に誤解がある、曲げて見る、ためにするのがおるのかもしれぬけれども。そういう形ですから、したがって、あなたのほうで、医療法で厚生大臣が一つのつかさを握ったわけです、他の大臣がつくるときはあなたと協議をすることになっているのだから。したがって、これは当然、全国の病院の配置というものを、少なくとも公的医療機関についてはどういう形で持っていくという方針くらいはきちっとしなければ、風のまにまにゆれて、金を借りに来たときだけちょこちょこやる、ベッドの数だけ数えてやるというのじゃ話にならぬ。いまのように人口が太平洋ベルト地帯に集中をして、そして投資のほとんど七、八割というのがそこにつぎ込まれて、生産も太平洋ベルト地帯で六割から七割あがるという事態になったときに、病院もそこに集中してしまうのです。そうすると、やはりそういう地区における病院のあり方というものも考えなければいかぬ、そういう点をもう少し科学的に綿密な調査をしてやらなければうそだと思うのです。そういう体制がちっともないでしょう。だからそういうことができなければ、あなたのほうでもう少し大臣に言ってスタッフをそろえて、そして全国的な調査をやって、経済の動向と病院の配置というものはマッチしていかなければいかぬですよ。新しくコンビナートができて、そこに人口が集中してくる、人口が集中してくれば、公害その他が出てくるから病院をどう配置するか、をどう予防するかということを当然やらなければならない。それが佐藤さんの社会開発でしょうが……。そういうことをちっともやられていないのですよ。やるのなら、そういう構想を、医療金融公庫の審議をするときには、率先して大臣の提案理由の中にも述べてやるくらいの前向き――よく神田厚生大臣や田中大蔵大臣の言うような前向きというのは、そういうことですよ。それが、何もそういう計画がない。そういう計画をもう少しきちっとやってください。
それから、最近は医者でない人が病院をやり始めたわけですが、この非医師に対する医療金融公庫からの貸し出しということは、どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/93
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094・大崎康
○大崎政府委員 御案内のように、医療機関の開設者というものは必ずしも医師であることを要しないわけであります。ただし、その管理者につきましては、医療法上必ず医師でなければならないことになっておるわけであります。その開設者が医師でない場合について、一体医療金融公庫の融資の上でどういうふうな取り扱いを受けているか、こういうふうなお尋ねだと思いますが、その実情によりまして、調査をいたしましてそれで貸すべきものには融資をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/94
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095・滝井義高
○滝井委員 融資をして悪いとは言っておらぬ。非医師に一体どの程度の金を貸しておりますかということをお尋ねしておる。この点は非常に重要な点ですよ。これは医療というものが――御承知のとおり、弁護士法では、弁護士でなければ弁護士事務所を持つことはできない。ところが医療は、非医師でもやってもいい。そこで、ここらあたりの点が、やはり医療の権威というものが地に落ちる一つの原因ともなってきておる。それは停止を受けたり何かしても、自分が免許を取り上げられるわけではないのですから、非医師はまたかわりを雇ってやればいいから、そこらあたりは、これはわかるはずです。こういうものは、小さなものはたいして問題でない、大きなところが問題です。それは、たとえば市町村立がやっておるとかいうのとは違う。こういうわけですよ。医療法人みたいなものをつくって出てくるわけですから、そういう点についてもう少し調べてもらいたいと思います。
それから、最近オープンシステムというのがはやり始めた。あれは臨床検査センター、こういうものに対するお金を貸す方針というものは、どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/95
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096・大崎康
○大崎政府委員 いわゆる共同利用施設といいますか、たとえば医師会立のオープンシステムをとっている、あるいは検査センターというようなものにつきましては、できるだけ重点的に融資をいたしたい、こういうふうに考えまして融資をいたしているわけでございます。
なお、ここのところで、御説明を申し上げるのも恐縮でございますが、先ほどお答え申し上げました中で間違いがございますので、訂正を申し上げたいと思います。まず、私学に対して三十九年度で貸し付け決定をいたしました額でございますが、これは七億六千万円でございます。したがいまして、先ほど申し上げました直接の特定病院に対する貸し付け額十四億五千万円の中で、七億六千万円を私学の病院に対して融資をしておる、こういうことでございます。なお、私学振興会におきましては、公庫で融資を始めてからこれを打ち切っているそうでございまして、この点私の答弁は間違っておりましたので、訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/96
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097・滝井義高
○滝井委員 そうすると、ますますそれは重大になる。私学振興会から金が出なくなった。そうすると、ワクの少ない医療金融公庫のワクの中へこれがせり込まなければならぬ。特定病院は、他のものはどういうものがあるかあとで説明してもらいたいのですが、とにかくそれが一割になる。その一割程度の中に私学が入っておるわけです。だからこれは――これも、あなた方がここで答弁できなければ、ぼくらは、鳴くまで待とうホトトギスで、答弁がはっきりするまでは法案を延ばしておけばいいのだから、あわてることはないので待ちますけれども、いずれこれは、前に言明しておった問題もありますし、河野さんが昨年総括でまとめておる問題点もありますから、それと一緒に理事会かあるいは別の場所でやっていただくとして、特定病院は、私学の付属病院のほかどういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/97
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098・大崎康
○大崎政府委員 特定病院は、私学の病院を除きますと、総合病院がおもなる対象になるわけでございます。すなわち二百ベッド以上の各科を置いている病院でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/98
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099・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、その総合病院というのはだれがやるのですか。これは非医師その他がやるわけですか、医師がやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/99
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100・大崎康
○大崎政府委員 私的機関でございます。開設名としては法人の場合もございますし、個人の場合もあるわけでございます。個人の中には非医師も入っている可能性があるわけでございます。ただし、その点は、現在資料を持っておりませんのでわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/100
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101・滝井義高
○滝井委員 あとからその特定病院の三十七年十六億、三十八年六億、三十九年十四億五千万円の内容を資料として出していただきたい。
それから同時に、非医師が公庫からどの程度金を借りておるのか、これは調べてみればわかると思うのですが、出していただきたいと思うのです。
いま一つ、医療機関の配置の問題その他については、医療法ができたにもかかわらず、厚生省は十分な準備をしていないようでございますから、あるいはこういう質問をしてもまたぬかにくぎになるかもしれませんが、最近非常に問題になっておるのは心臓外科です。それから交通事故における脳外科です。御存じのとおり、心臓の手術ができる人というのは非常に少ない。それから交通事故の二、三割というものは、早く脳手術をやれば、たとえば硬膜下の出血、硬膜外の出血あるいは脳の実質の中の出血、こういうようなものも早く診断をして、きちっと診断がついて、たちどころに手術をするということになれば相当の助かる率が出るということは、これは常識になっておるわけです。ところが、なかなかそういうものがないわけです。そこで、いまわれわれの友人の中にも、名前を言っては失礼ですけれども、参議院へ出ておった榊原さんの弟さんの榊原汗さんのところに紹介をしてくれ、紹介をしますと、ずっとつかえておるのです。ベッドがない。もちろん手術の名医も少ないですから、つかえて待って、大体あなたはいつ、ころだ――いまごろ申し込んだら、おそらくこの秋か冬か来年の春ぐらいでなければやってもらえないかもしれません。それぐらいつかえておる。そうすると、こういう問題は、東京とか京都とか大阪というような大病院のあるところでなければできない。こういうものについては、少なくとも優先的に年金福祉事業団なり医療金融公庫から金を出して、いわゆるプラント輸出と同じで、そういう専門家何人かをグループにつけて、ひとつ行ってやってくれ、あるいはその大学につける、そうして率先してやる形をとらないと、これは人命尊重の立場から言っても非常に問題のあるところです。こういう施策をすみやかにとる必要があると思うのです。病院の配置の問題だけじゃなくて、最近はプラント輸出といって、ちゃんと一つの一貫した機械に人間までつけていく、それと同じようにきちっと病院をつくる、こういう融資のときにそういうものを優先的にやるべきだと思う。医師会のオープンシステムのところには人間も一緒につけてやる、金もつけますよ、厚生省が人件費を持ってやるから、それをひとつ置いてやってくれぐらいの積極的なことを考えないと、医療行政というものは進まない。こういう脳の外科とか心臓の外科の大家というのは少ない。脳外科をやれるのは、おそらく二百人ぐらいしかいないのではないですか。だから、そういうのを養成することもやはり考えなければいかぬ。大学に四千、五千、八千人も無給の助手、副手をためておって、そして親のすねをかじってかじって、かじるのがなくなってやむを得ず泣き泣き出ていくというのではなくて、ひとつ心臓外科の専門をやってくれ、脳外科の再門をやってくれ、そうすると厚生省が病院をつくって、君をそこのキャップにするから行ってもらいたい、金は少しは出してもいいというぐらいの、隘路になっているところは積極的にやるだけの施策が必要なんです。何も国立病院だけじゃなくていい。そういう、もうちょっとかゆいところに手の届き、国民が望んでやまないようなことをずばり打ち出していくというのがほんとうの輝く医療行政になる。そういう点がどうもない。積極性がなくて、前向き前向きと、ことばでは前向きと言うけれども、行動を見たらカニの横ばいになっている。それではいかぬと私は思う。そういう積極的な施策というものはあなた方お持ちですか。これだけの三百億の金を使うのに、何かそういう積極的なものを打ち出していかないと、ただマンネリズムに、年々歳々花が咲くように同じような給料をもらって仕事を繰り返しておるというのでは話にならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/101
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102・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 医療技術の進歩に伴いまして、そういうふうな新しい高度の医療技術を提供する医療施設をできるだけ計画的に各地に設置するということは、お話のとおり望ましいことだと思います。われわれもできるだけ努力しなければいかぬと思います。
まず、何かやっているかというお話でございますから申し上げますが、ガンの関係につきましては、国立がんセンター以外に大阪、愛知、仙台というふうなところに、各府県でつくりますガンの医療施設にこちらも助成する、また融資等においてもできるだけ優先的に取り扱うというふうなことで、診療体系を全国的に整えていくように努力しております。さらに、その他の地域につきましても、全国的に各ブロックに一カ所ぐらいは、まず第一にしっかりしたガンの医療体系をつくっていきたい、こういうふうにいまやっておるところでございます。これは大体目鼻がついております。
それからお話しの心臓関係でございますが、これはいま先生が言われましたように、技術者がなかなか得にくい。それから心臓外科をやりますような設備を整えましても、やはり患者さんが、すでに経験のたくさん積んだ有名なところにどっと押しかけていくというような傾向がございまして、榊原先生のところなどは、いまお話しのように押すな押すなという状態になっております。そこにつきましても融資を特別に考えまして、別途いま考慮するようにお下伝いをしておるわけでございますが、その他の地域につきましても心臓外科の設備を充実させ、また技術者、医師等の訓練をやっていくというふうな考え方で、自分のほうに直接できます国立病院等につきまして助力し、またほかのところにつきましても、融資等でできるだけ考慮していくことをやっております。
それから救急病院の、特に脳外科の関係でございますが、脳の関係はなかなか十分進んでおりませんが、いま京都の日赤の第二分院でございますか、それから名古屋というふうなところに、救急病院の脳外科をしっかりやるようなものができつありまして、その他の地域でも、この救急病院の整備につきましては、われわれも将来努力していかねばならないテーマだと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/102
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103・滝井義高
○滝井委員 考えるだけでなかなか実践に移さなければものにならぬわけですが、ひとつそういう目のさめるようなやつを、ことしできなければ来年くらいはやるようにして、年金福祉事業団、医療金融公庫の中に少し金を取って、そういうものをプラント輸出と同じように、二、三カ所くらいぱっとつくるというくらいの迫力を持ってくださいね。週刊誌に脳外科のことや心臓のことを書かれて、そして厚生省は何をしているんだ、あるいは水上勉さんから、重度精神薄弱児はこうだ、おれのうちの直子という娘を見てくれ、こんなに手がかかるのだという手紙を総理大臣がもらわなければ、厚生大臣が動かぬというのは情けないですよ。だから、先手先手を打って国民を引っぱっていく厚生行政を出してもらいたい。
それから今度は、返すことです。借りた金を返す状態です。一体いまの医療費の実態で、借りた金をうまく返す計算になりますか。典型的な診療所、個人は、一番上は三千万円ですか五千万円ですか、何かそこらの金は貸してくれますね。――三千万円ですな、一番低いところは。普通、三千万円も借りるというのは相当のところであって、三戸万か五百万ですよ。川上さんのときに、的にどの程度の病院だということを一ぺん教えてくれたことがある。そのときには、このくらいの、三百万か四百万の金を借りる、そうすると、一日にどの程度の患者を見て、どの程度の収入が上がらないとこれは返せぬのだという説明をしてくれたことがあるのです。あれからずいぶん情勢が変わった。あれは三十五、六年ころだった。光陰矢のごとし、あれから五、六年流れたわけです。いまあなた方は、医療金融公庫から五百万円くらいの金を借りたら、一体どの程度の患者を見て、どのくらいの収入があったら、これが順当に返していけるような試算をしておりますか。万円のところでもいいです。そして働く医師なり看護婦の給与は国家公務員と同じだというように見たときに、どういうようにしておりますか。これは、もしいまここになければ、次会に資料で出してもらって、それから質問してもかまいません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/103
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104・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 現在そういうふうな計算はやっていないと思いますが、現実といたしまして貸し付け金の回収状況は順当に行なわれておりまして、三十五年には三百八十九万円、三十六年度には三億七千万円、三十七年度には十億一千五百万円、三十八年度には十九億九千万円、三十九年度には十二月末で二十億七千万円というふうに、予定いたしておりました予算よりもよけいな回収があるくらいで、回収状況は順当にいっておりますので、いろいろ計算をいたしますよりもこの事実のほうが――実際貸し付け金の債権の焦げつきもないようでございますので、あまり計算はいっていないのが現実だと思いますが、各医療機関によりまして経営のやり方等に違いがあるので、平均で言うのは、そういうような状態にいっていないところでございます。
〔小沢(辰)委員長代理退席、井村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/104
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105・滝井義高
○滝井委員 事実は小説より奇なりということがある。その事実は、案外、一番最後にあなたの言うた二十億七千万だ。ことしは二十五億くらい返すことになるのですね。しかしそれは、返した内容の実態が、どういうようにして返しているかということが問題なんです。返しておる医療機関の実態は、一体どうなんだということが問題なんです。そこらがわれわれの知りたいところなのです。そのことが、同時に、客観的に見ると医療費の問題に関連してくるのですよ。これは医務局長御存じのとおり、百人病気になると、百人がみな医療機関には見てもらわないのですよ。御存じでしょう。病気になったら何人医療機関に見てもらいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/105
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106・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 たとえば目が悪いとか、歯が悪いとか、神経痛等もありますので、その定義によりますが、大体疾病調査等によりましての有病の率と医者にかかっている者は、大体五〇%ぐらいの者がかかっているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/106
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107・滝井義高
○滝井委員 半分でしょう。そうすると、あとの半分というものは、はり、あんま、きゅう、柔道整復、売薬、こういうことでいくわけです。ここに一つ日本の医療問題における薬の問題が宿っているのです。そこで、この問題は、いずれ健康保険の審議等をやるときにもう少し詳しくやりますが、あなたの国立病院が、今度還元融資を十三億お借りになることになるわけですね。全部で去年は二十億資金運用部から借りて、自己資金十三億、ことしは資金運用部資金から二十五億借りるが、そのうちの十二億は年金の分だ。そして自己資金十三億、三十八億になりますか、これを返さなければならないわけです。これは国立病院の特別会計全体として返すことになるわけですが、個々の病院について見たときに、一体順調に返せる状態にあるのかどうかということです。
たとえば一つの例をとれば、AならAという病院が借りますね。借りた病院が、いまの医療費でこれを返すだけの能力がうまく回転をしておりますかどうですか、その実態を説明してもらうと医療費問題の一つの指標が出てくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/107
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108・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 今度借り入れ金によりました病院の実績を、ここで申し上げるほどデータをまだ持っておりませんが、その前に整備をやりました各ブロックの基幹病院と申しますか、十の病院のこれにおきましては、大体整備費を除きました普通の経常費と医療収入を見ますと、現在、年次によって迷いますが、いいときは二〇%くらいの黒を出しているところもあります。これは元利償却等を考えていない官庁く会計によるバランスでございますが、そういうような状態でございますし、それ以下のところももちろんございますが、大体整備いたします前よりは、整備をいたしますとずっと経営状態がよくなりました。こういうような実態がございますしただいま申しました十の基幹病院は大都市にあるというふうな、わりあい有利な条件にあるので、ほかの病院も、それと同じ状態になるということもここで断言はできませんが、しかし、大体において、いま借り入れ金によりまして整備をいたしております三十の病院の経営は、いまよりもよくなるという期待と予想を持って私たちはやっており、できればさらに残りの四十の病院のほうも、整備の利子の支払い等については引き受けてやってもらい、国立病院全体がよくなるようにしていきたいものだと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/108
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109・滝井義高
○滝井委員 きれいになると医療従事者も張りが出るし、また差額徴収その他も取れるようになるし、デラックスな病室もできてそこから何ぼか金が取れるということで、収入がよくなるのは当然です。よくならなかったら、なまけているということになる。そこで、よくなるのだが、例外を設けずして、いまあなたは、経常費と医療収入とは大体うまくいって二〇%くらいは黒字になる、こうおっしゃったわけですが、しかし、そのほかに整備をした、借りた金の元利を払わなければならぬのです。そういうものもひっくるめて、一体国立病院の経理がどういう形になるのかということを私は尋ねておるわけです。そこで、きょうは時間がありませんから、おととし五億円借りたところを一つモデルにして、その病院の収支決算の状態を一、二カ所くらい出してみてくれませんか。これはすぐ出るはずですよ。御存じのとおり、未収金も相当あるわけですからね。この前言ったように、療養所の未収金もあるし、国立病院の未収金も相当にあるわけですから、そういう未収金も含めて病院の経理がうまくいっているのかどうか。やはり私的医療機関の実態調査をやるんだということで、政府が支払い側と約束しているわけです。そこで、まず公的医療機関の実態をわれわれは洗う必要がある。だからこれは、まず国立病院でひとつ全部一ぺん資料を出してもらう、これは公然とやっていいですよ。政府は私的医療機関の実態調査をやると約束したわけですから、まず隗より始めよで、国立病院の全病院の一つ一つの経理を出してもらう。特に先に出してもらいたいのは、金を借りてやるところの実態ですね、これを出してもらって、そしてその借りた金が、特別会計だから今度は返さなければならぬ、まず一つ一つで返せるのかということです。一つ一つで返すのかプールで返すのかということもあるわけですから、ごめんどうだけれども、それを出してもらって、そして一ぺんわれわれは、公的医療機関の経理を全部洗ってみたいと思います。特に国立病院を洗ってみればわかる。そして、その上でこれは議論をしてみる必要があるわけです。そうすると、その中から、今度はできれば、薬が一体どういう買い方で行なわれておるのか。たとえば薬価基準に登載しているAならAという薬が薬価基準では十円だ。ところが国立病院では共同入札その他でやりますから、三円なら三円で買えておる、こういう実態がある。それをずっと三円で卸して薬価基準も三円にしてしまうと、一体病院の経理は赤字になるのか黒字になるのか。今度は徹底的に国立病院を全部洗う。だからこれを医療金融公庫の中で洗いたいのです。そこで金を貸すかどうか、ここから明らかにしていかないと医療問題はだめなんです。私的医療機関でなくて公的医療機関を赤裸々な状態の中で解剖していく。その中で論議をしていって、やはり神田さんに明白な知識を与えておく必要があるのです。だから、これをひとつ次会の私の質問までに全部出してもらいたい。これはできぬことはない。いままでそれをやってないということなら怠慢なんですよ、それは経理を洗うのが当然だから。
それから薬務局長が来ておりませんが、これも同じく資料――いまのと関連が出てくるから、それは国立病院も今度資金運用部から金を借りるのですから、この返すめどをわれわれは立てないとたいへんですよ。薬務局長に資料要求の件を伝えてもらいたいと思いますが、そうすると三%の薬価基準の引き下げをすでに医療協議会に出しておるわけです。私はこの前ここで質問をしたときに、いま社会保険には五千有余のものが使われております。現在申し込みはなお千二、三百の申し込みがあるが、これについては同町に薬価基準の問題を解決してから登載をいたしますという答弁をしておるわけです。それならば下げるものの資料を出してくれと言ったら、それはいま製薬企業の卸価格について全部申し出をさせておりますからということだった。ところが、この資料がまだ出ないうちに一・五の引き下げが新聞に出ているわけです。そこでわれわれとしては、現在厚生省のお持ちになっておる五千種類の卸の価格を全部一ぺん出してください。これがやはり今後の国立病院なりの借りた金を払う場合における重要な財源上の問題に関連してくるわけです。これはそれまで下げていけば、それだけ国立病院の収入は減るわけですから。それと、医師ないし看護婦の不足の状況ですね。
その三つの資料をぜひ出してもらいたいと思います。これによって医療金融公庫の返還の状態その他が一体いくかいかぬかということです。そこらは、その資料が出てからもう少し突っ込みますから。
以上できょうの質問は終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/109
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110・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 ちょっとお伺いいたしたいのですが、医師、看護婦の不足状況というのは、国立病院における不足状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/110
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111・滝井義高
○滝井委員 医療法で規定するとおりのものを置かなければならぬわけです、きまっておるわけですから。健康保険の保険医療機関というものは、結核なら結核は何人について何ぼの看護婦を置かなければならぬ、こうきまっておるわけです。だから、それを看護婦と准看護婦でまかなわなければならぬわけです。それを普通の看護助手なんという変なものは、これはだめなんで、それは一体どういう形になるか、それを今度私は徹底的に国立病院を洗いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/111
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112・尾崎嘉篤
○尾崎政府委員 国立病院ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/112
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113・滝井義高
○滝井委員 そうです。国立病院と療養所とを出してもらえばいいわけです。これは今度特別会計になっておるわけでありますから、あなたのほうは、決算は全部一つ一つの病院でやっておるはずです。それをひとつ、少し膨大になるけれども出してもらって、一つにまとめてもらう。これは御無理だけれども、あなたのところを国会が洗う以外に――私的医療機関は個人の財産になるから調査権はない。国立病院ならわれわれは国政調査権が出てきますから、これは国の予算もはっきりしておりますから、これの中から洗って、大衆の中に病院の実態を見せる。いままであなた方は秘密にして見せてないのだから、それを見せてもらう。そして今度は幸いに年金の融資から金を借りるのですから、これと関連して全部洗って薬価も明らかにしたい。それで、同時に卸売りの価格も全部出してもらえばわかるわけだから、ごめんどうでしょうけれども、ひとつぜひお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/113
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114・井村重雄
○井村委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次回は明十八日開会することといたし、これにて散会をいたします。
午後三時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00719650317/114
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