1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十八日(木曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 澁谷 直藏君 理事 河野 正君
理事 八木 昇君 理事 吉村 吉雄君
伊東 正義君 熊谷 義雄君
小宮山重四郎君 坂村 吉正君
田中 正巳君 竹内 黎一君
中野 四郎君 橋本龍太郎君
松山千惠子君 粟山 秀君
山村新治郎君 亘 四郎君
淡谷 悠藏君 伊藤よし子君
小林 進君 滝井 義高君
八木 一男君 山田 耻目君
本島百合子君 谷口善太郎君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
出席政府委員
大蔵事務官
(理財局長) 佐竹 浩君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚 生 技 官
(医務局長) 尾崎 嘉篤君
厚生事務官
(医務局次長) 大崎 康君
厚生事務官
(薬務局長) 熊崎 正夫君
厚生事務官
(年金局長) 山本 正淑君
厚生事務官
(援護局長) 鈴村 信吾君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局資金課
長) 竹内 道雄君
専 門 員 安中 忠雄君
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本日の会議に付した案件
医療金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四二号)
戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案(
内閣提出第六六号)
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案(
内閣提出第六七号)
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第六八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、審査を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/1
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002・松澤雄藏
○松澤委員長 提案理由の説明を聴取いたします。厚生大臣神田博君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/2
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003・神田博
○神田国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者特別援護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
戦傷病者特別援護法は、昭和三十八年に制定され、昨年その一部が改正されて、戦傷病者に対する援護内容の改善が行なわれたところでありますが、今般さらにその内容の充実をはかることといたしまして、この法律案を提案することといたした次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明いたします。
改正の第一点は、戦傷病者相談員に戦傷病者の相談業務を委託することについてであります。すなわち、厚生大臣は、戦傷病者の福祉の増進をはかるため、戦傷病者の更生等の相談に応じ、戦傷病者の援護のために必要な指導を行なうことを戦傷病者相談員に委託することができることといたしました。
改正の第二点は、長期入院中の戦傷病者に支給する療養手当の額を、月額二千円から三千円に引き上げることとしたことであります。
改正の第三点は、日本国有鉄道無賃乗車船の取り扱いをする戦傷病者の範囲を拡大することであります。現在、日本国有鉄道無賃乗車船の取り扱いをする戦傷病者は、恩給法の規定による傷病恩給を受けている者のみに限られておりますが、今回、この範囲を公務上の傷病について恩給法以外の法令の規定により傷病恩給に相当する給付を受けている者、たとえば戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定により障害年金の支給を受けている戦傷病者にまで拡大することといたしました。
以上がこの法律案を提出した理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。
次は、ただいま議題となりました戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
過ぐる大戦におきましては、多くの軍人、軍属、準軍属の方々が戦闘その他の公務等のために死亡されました。今日、わが国が戦前にも見なかった繁栄の道をたどりつつあるにつけましても、思いますのは、これらとうとい犠牲となられた戦没者の方々のことであり、また肉親を失われた御遺族の心情であります。本年は、あたかも終戦二十周年に当たりますので、国として弔慰のためこれら遺族の方々に特別弔慰金を支給する必要があると考え、この法案を提出することとした次第であります。
まず、第一に、本年四月一日までに、戦傷病者戦没者遺族等援護法による弔慰金を受けた遺族に対し、現に恩給法による公務扶助料等の給付を受けている者がない場合に限り、特別弔慰金を支給することといたしたことであります。なお、その遺族が死亡されている場合等で、あとに戦没者の子があるときは、その子に対しても特別弔慰金を支給することといたしました。
第二に、この特別弔慰金は、三万円とし、十年以内に償還すべき無利子の記名国債をもって交付することとし、昭和四十年六月十六日に発行することにいたしました。国債の償還金の支払いについては、昭和四十一年以後毎年六月十五日を支払い日として、一回に三千円ずつ十年間に支払うことにいたしております。
その他特別弔慰金についての譲渡の禁止、相続、特効、差し押えの禁止、非課税、実施機関等、所要の事項を規定いたしております。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族、未帰還者留守家族等に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び未帰還者留守家族等援護法によりまして各般の措置が講ぜられてまいりましたが、今般これらの援護措置の内容の改善をはかることとし、別途本国会に提案されております恩給法等の一部を改正する法律案とも関連いたしましてこの法律案を提出する運びとなった次第であります。
次に、この法律案の概要について御説明いたします。
第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。この改正は、恩給法等の一部改正による傷病恩給及び公務扶助料の増額に関連いたしまして、障害年金、障害一時金、遺族年金及び遺族給与金の額を増額いたすこととしたものでありまして、増額の程度、増額の実施時期等につきましては、恩給法のそれにならっております。
第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。この改正は、留守家族手当の額を、他制度との均衡を考慮いたしまして増額することであります。
右のほか条文の整理等、所要の改正を行なうことといたしました。
以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/3
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004・松澤雄藏
○松澤委員長 次に、内閣提出の医療金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/4
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005・小林進
○小林委員 昨日は、実は労働大臣の用事がありまして、夜おそくまでかかったのでございまして、帰ってまいりましてから、きょう党の指令で私が質問するという割り当てを受けておることに気がつきまして、若干この法律案に関する従前の速記録を、まあ寝ながらと言っては悪いのでありますけれども、軽い気持ちで読んでみたのでありまするが、私は、実はこの従来の速記録を読んで一つの大きな憤りを感じた。はなはだしい憤りを感じて、たいへんなことである、こういう感じを受けてまいりまして、そこでいままで質問をいたしたいと思っておりましたことの内容を私は変更いたしました。これ一点だけ、ひとつ責任ある回答を得なければこの法案を通すべきではない、実はこういう結論を出したのでございまして、これは私だけではございません。きょう早々に参りますると、党のほうにも私はその申し入れをいたしました。それでいまここへ来たような次第でございます。
その一点についてひとつ御質問申し上げまするが、ものの順序からいたしまして、この医療金融公庫法というのが初めて国会に提出されましたのは昭和何十年、自来今日に至るまでその後何回改正案が提出されておるか、経緯をまず伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/5
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006・大崎康
○大崎政府委員 医療金融公庫法が成立いたしましたのが昭和三十五年でございます。公庫の発足いたしましたのが三十五年の七月一日でございます。改正案は、次の年度から毎年御審議をいただいておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/6
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007・小林進
○小林委員 そういたしますと、三十六年、七年、八年、九年と、今年度を別にしても四回改正案が出たということになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/7
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008・大崎康
○大崎政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/8
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009・小林進
○小林委員 その四回の改正案に対する内容を概略お聞きいたしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/9
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010・大崎康
○大崎政府委員 まず、昨年度から申し上げますと、昨年度の改正がまず二点ございまして、第一点は、それまで資本金の額が法律で定められておりましたものを、予算の議決いたしたものはそのまま公庫の資本金に加えられるというふうな改正が一点でございます。それから公庫の監事の機能を強化した改正が一点。二点の改正がございました。それまでの改正は資本金額の増加の改正でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/10
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011・小林進
○小林委員 三十七年度には、資本金の増加だけではございませんね。ちょっと答弁にうそがありますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/11
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012・大崎康
○大崎政府委員 三十七年の改正につきましては、調べて後刻お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/12
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013・小林進
○小林委員 三十七年の二月には、理事長制度を総裁制度に変更したのでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/13
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014・大崎康
○大崎政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/14
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015・小林進
○小林委員 それはいまあなたに教えてやったとおりでございます。したがって過去四回の改正の中に、その金額のみの改正は二回、あとは、三十九年度と三十七年度には内容の改正もあったわけです。しかし、その点はそれでいいといたしまして、結局三十九年度からは、いまおっしゃるように、予算の中で資金額がふえれば自動的に公庫の資金がふえていくというふうに、金額の改定があるたびに法を改正する必要がないように改められた。それから監事が主務大臣に対して監査の結果を必要に応じて報告する、こういうふうに改正せられた、これが三十九年である。
私のお伺いしたいことは、そういう改正ではなくて、三十五年度から昨年度までにおける四回の改正の中で、この委員会においてしばしば最も重点的に論じられた——単に金額をふやす、理事長を総裁にする、そういう形式だけの問題ならば、実際この委員会においては、こんな法案は一時間か三十分で通ってもいいのだ、それが通ならいでこの委員会で何回も繰り返されて議論のかわきのなかった、一体審議の中心は何であったか、議論の中心は何であったか、それを私はお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/15
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016・大崎康
○大崎政府委員 御審議をいただきました中心点はいろいろあったかと思いますが、私どもが感じております問題点のおもなものは、公庫の貸し付け条件の問題でございます。なかんずく公庫の融資の利子の問題であったかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/16
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017・小林進
○小林委員 そのとおりなんであります。その融資の条件の問題、特に同じ医療機関に貸し付けるその貸し付け金の中で、年金福祉事業団等と医療金融公庫と、金の客体には差がないにもかかわらず、しかも同じ政府から、医療機関に貸す金にもかかわらず、年金福祉事業団が貸す利率や期間やあるいは据え置き期間等も含めて、条件にこう差があるのか。これほどの矛盾はないのだから、これをお直しになったらいかがですか、これをお直しにならぬ限りは、われわれはこの法律に賛成するわけにも、お通しするわけにもまいりませんよ、これが議論の中心になっておる。そのときに、大臣も何回かかわりました。
実は私、きのう寝ながら読んでとうとう徹夜をして、三十五年から四回の速記録を全部読んだ。あなた方もたいへんだろうけれども、質問するほうもたいへんなんですよ、寝ないで速記録を読んでおる苦労なんというものはたいへんなものです。これを読んだ。議論はそれだけです。歴代の大臣も全部確約しておる、全部約束しておる、一人も反対だと言う者もございませんし、責任を持ってやりますということをみんな答弁しておる。今度は大臣、どのように改めていただきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/17
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018・大崎康
○大崎政府委員 医療金融公庫は、御案内のように中小企業金融公庫から分かれてできたものでございます。それから年金福祉事業団は、いわゆる地方債の転貸をやっていたものの系統から生まれたものでございまして、おのおの、医療金融公庫においては私的医療機関、それから年金福祉事業団におきましては公的な医療機関を融資の対象といたしておるわけでございます。したがいまして、一方の年金福祉事業団におきましては、いわゆる被保険者に対する還元という趣旨も相まちまして、歴史的な沿革の理由から、当初貸し出しの条件につきましては種々の差があったことは御指摘のとおりでございます。私どもにおきましても、その歴史的な沿革から差があるということにつきましては、若干やむを得ないものと考える点もあるわけでございますが、しかし、同じ医療機関に対する融資でございますので、その条件につきましてはでき得る限り同じように持っていきたいというふうに考えまして、毎年度御審議をわずらわしまして、そのたびごとに御趣旨を尊重いたしまして、今日まで漸次利子その他の貸し出し条件につきまして改善をはかっているところでございます。本年度におきましても、前年度から改正をいたしておる点が数点ございまして、たとえば乙種増改築資金の利率を現行八分を七分に改めますとか、あるいは新築資金、増改築資金の償還期限をおのおの有利に改善をいたしますとか、あるいは薬局、助産所の機械購入資金を新設いたしますとか、そのような点につきまして、前年度のいわゆる融資の基準というものを緩和いたしたいということで御審議をいただいておるわけであります。この点は、こういうふうな改善をはかりまして、ほぼ年金福祉事業団というものと同じような貸し出し方針になっているというふうに考えますが、将来ともこれが改善に尽くしたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/18
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019・小林進
○小林委員 いまあなたのおっしゃった医療金融公庫と年金福祉事業団と発生の由来が違うのだ、片方は私的医療機関に貸し付けを主とし、片方は公的医療機関や済生会に貸しているのだ、だから発生事由も違うし、還元融資の関係もあるという理屈は、大崎さん、あなたに聞かなくてもいいんだ。こういうことはこの委員会で繰り返し議論され、論議し尽くした事実だ。そういう事実の上に立って、あとで私はみんな言いますよ、灘尾さんが何を育った、当時の厚生政務次官の森田君が何を言った、その次の厚生大臣の西村君が何を言った、政務次官のだれが何を言った、当時ここにいた中野委員長がこの問題に対して何を約束したか、そのあとの田口君が何を約束したか、今度は三代目の委員長の松澤君がこれから約束しなくちゃならぬと思うのだが、そういう何を約束したか、ちゃんとみんな速記録があるのだから、それを私はあとで申し上げます。勧進帳を広げるように読み上げますが、その読み上げる前にあなたに聞きますけれども、いわゆる甲種、乙種に分けて、乙種の八分を七分にしましたとか、増改築に有利にしたとか、いろいろありますが、いま少し、年金福祉事業団の六分五厘、あるいは大企業に対してはそれを七分にした、こっちのほうの公庫の甲乙の甲は六分五厘、乙は八分を七分にした、そのほか据え置き期間から、貸し付けの期限から、並べて比較して具体的に言ってください。そんなあいまいなことじゃなしに、比較一覧表にするようにきちっとひとつ話してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/19
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020・大崎康
○大崎政府委員 年金福祉事業団と公庫の貸し付け条件の異同につきまして申し上げます。
第一点は、貸し付け対象から申し上げますと、公庫のほうでは薬局、助産所が含められておるわけでございます。
それから貸し付け限度額、これは年金福祉事業団と、医療金融公庫とは差異がございまして、公庫のほうにおきましては所要額の八割が貸し付け率になっております。年金福祉事業団のほうは九割、ただし大企業のものにつきましては八割を限度とする、こういうふうなことになっておるわけでございます。
次に、増改築、機械購入の限度額でございます。これは医療金融公庫のほうにおきましては限度額を一応きめておるわけでございますが、年金福祉事業団には限度額がございません。ただし、これは両方とも同じように必要程度を貸すということでございますから、実際上の差異はないかと存じます。
それから、医療金融公庫には長期運転資金の貸し出しがございますが、年金福祉事業団にはございません。
それから、貸し出しの利率の問題でございますが、いわゆる甲種増改築につきましては六分五厘でございまして、両方の差は原則としてございません。乙種増改築につきましては、年金福祉事業団も医療金融公庫も今年度から変わりはございません。七分になったわけでございます。年金福祉事業団の日赤、済生公等、公的医療機関に対する貸し付け利率は七分でございます。
それから償還期限でございますが、償還期限そのものにつきましては、従来変わりはございません。
据え置き期間につきましては、これは変わりがございます。年金福祉事業団と医療金融公庫との間に変動がございます。たとえば、医療金融公庫につきましては据え置き期間が病院の場合は二年、診療所は一年となっておりますが、年金福祉事業団では、五年以内、三年以内となっております。ただしこれは、実効上はあわせて運用をいたしておるわけでございますので、その差はございません。
それから標準面積の問題、これにつきましては若干の差はございますが、実効上はほぼ同じでございます。
それから標準の建設費につきましても、区分のしかたには差がございますが、実際的にはほぼ同じ金額で定められているわけでございます。
以上、大体御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/20
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021・小林進
○小林委員 なかなか巧みなことばが出てまいりましたが、法律上、政令上区分はあるけれども、実効上区別がないということは一体どういうことなのですか、私はわからない。実効上区別がなかったら、なぜこんなにやかましく言っていることを、法大系の上においても明らかに区別をなくしないのか。これは、ごまかしておいて、行政的にあなた方がそういう医療機関をいじめる材料にむしろ使われているとしかわれわれには考えられない。実際上に差がないならば、なおさら同じにしたらいかがですか。
それから、乙種の新築、増改築について、どっちも七分七分というのは、これは間違いありませんか。年金福祉事業団のほうは六分五厘で、済生会とか日赤とか、大きなほうのだけが七分、その他は六分五厘じゃありませんか。それから、片方の八分を七分にされたというならば、一体いつから七分にされたか、今年の四月から七分にするというのか、これをひとつ明確に教えていただきたい。
それから据え置き期間が片方のほうは五年、三年だ、片方は二年、一年だというが、いわゆる実効上においては差はないという、これはどうしても私はのみ込めない。大蔵省来ていますか。大蔵省の資金課長が来ているそうですか、あるいはあなた方は、大蔵省が頑迷で聞かないから、表面だけでは大蔵省の顔を立てて少し違うようにしているけれども、実際的には大蔵省のほうには内緒でやりくりをしておるというか、同じようにしているのか。そういう行政事務の上で小手先の細工をしては何もならぬ。お役所間のそういう小手先の仕事ならば、おやめになったらよろしい。やはりきめられた規則どおりにおやりになればいいのであって、規則に矛盾あるならば、実効上に差はないなどと言わないで、ちゃんと規則を改めて正々常々とおやりになればいい。一応いま私が申し上げました点に御答弁をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/21
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022・大崎康
○大崎政府委員 年金福祉事業団と医療金融公庫につきましては、日赤、済生会、それから北海道社協等、いわゆる公的医療機関に対する乙種増改築資金につきましては、これは今回七分になったわけでございます。これは新年度、四十年度から七分になったわけでございます。ただし、年金福祉事業団の中には事業主病院等に対する貸し付けがあるわけでございます。これは従来どおり六分五厘、ただし、大企業については年七分というのがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/22
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023・小林進
○小林委員 大蔵省さん、いまの厚生省の御説明でおわかりになるように、これはやはり差があるわけです。借りる病院がお客さんを預かって病気をなおしてやろうという、そのお医者さんの客体に差があるわけなんです。これはあなたのところの大蔵大臣の答弁がみなありますよ。それからこの前の政務次官の纐纈さんも、ちゃんと明確に答弁をしていらっしゃるのです。はなはだ矛盾ですよ。大蔵省もこれを直しますということをちゃんと言っている。直っていないじゃないですか。直っていないでしょう、同じになっていないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/23
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024・佐竹浩
○竹内説明員 お答え申し上げます。
私の承知いたしておりますところでは、昨年の三月十三費の衆議院の本社労委員会におきまして、纐纈政務次官は滝井委員の御質疑に対しまして、「医療金融公庫の乙種増改築資金の貸し付け利率八分につきましては、昭和四十年度におきましては年金福祉事業団の貸し付け対象のうち、日赤、済生会等の開設する病院に対する貸し付け利率と統一をはかるよう検討をいたしたいと思います。」という答弁をされておるのでございまして、四十年度からの貸し付けにつきましては、乙種増改築の分を八分から七分に下げまして、片方、年金福祉事業団の貸し付け対象たる日赤、済生会等も同じく七分に合わせまして、両者の統一がはかられておるというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/24
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025・小林進
○小林委員 あなた、それで答弁になっていると思うの。年金福祉事業団のほうは、先ほども言うように六分五厘で貸しているけれども、その中で日赤、済生会等一部というのがあるかどうか知りませんけれども全部じゃない、そのものだけはひとつ七分にしてやろう——全部の改正じゃないじゃないですか。原則は六分五厘じゃないですか。六分五厘の中で例外的に七分のものを設けたいというだけじゃないですか。片一方の医療金融公庫のほうは、いままでは八分であったけれども、これは四十年度は全部七分にするんですか。八分のほうを一分下げて全部を七分にするというのか。全部を七分にするというであっても、まだそこで原則的には、法律の上では五厘の開きがあるじゃありませんか。約束が違うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/25
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026・佐竹浩
○竹内説明員 どうもよく御質問の意味がわからないところがあるのですけれども、医療金融公庫の乙種増改築につきましては八分を全部七分に下げたわけでございます。片一方の日赤、済生会等におきましては……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/26
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027・小林進
○小林委員 年金福祉事業団の貸し付けは幾らかと言っているんだ。六分五厘じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/27
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028・佐竹浩
○竹内説明員 それは六分五厘でございますが、日赤、済生会等に対しましては七分でございます。昨年纐纈政務次官が御返事申し上げておりますのは、年金福祉事業団の貸し付け利率と同じようにするという答弁はしておらないのでございまして、年金福祉事業団の貸し付け対象のうち、日赤、済生全等の開設する病院に対する貸し付け利率と同一にするという返事をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/28
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029・小林進
○小林委員 そこが君たちの小手先の答弁だと言うんですよ。私どもが国会の中で数回も論じてきたのは、済生会や日赤病院だけの利率と医療金融公庫の利率を同じにしろということを言っているんじゃないのです。年金福祉事業団で医療機関に貸し付ける利率と医療金融公庫が医療機関に貸し付ける利率との間に一分五厘の差があるから、なぜそれを同一に扱わないかということをわれわれは数年間論議しているのです。君は、年金福祉事業団の利率の六分五厘の中から日赤、済生会だけ七分にして、こっちも七分になったんだから同じだと言うのは、それを称して官僚の小手先の答弁だと言うだ。そういうようなことではいかぬ。同一にしなさいと言っているんだ。私どもは、あくまでも年金福祉事業団と医療金融公庫との条件、利率等を同一にしなさい。据え置きの期間も違うじゃないか。返還期間も違うじゃないか。同じですか。違うでしょう。二十五年と二十年じゃないですか。そこをひとつ明確に言っていただかなければならぬのでありますが、纐纈さんが、そういうようなあなたの言うように、済生会と日赤病院だけを同じようにいたしますなんという答弁は、残念ながらここにないわけです。私がみんな読み上げましょうか。滝井君のは昭和三十九年三月五日だ。十三日のは、君は滝井さんと言ったけれども、滝井君の質問じゃない。これは河野君の質問だ。そこが君も違っておる。みんな大蔵省はデマだ。滝井君の質問というのは三月五日なんだ。纐纈政府委員は何と言っている。読んでみようか。
先ほど来小林委員等からの御質疑も伺っておりましたが、年金福祉事業団と医療金融公庫との利率が非常に違っておる、さらにまた、医療金融公庫におきましても三つの段階によってやっておられるのはけしからぬじゃないかという御意見であり、しかもそれに対しましては、厚生大臣以下政務次官等が、委員会において、できるだけ御趣旨に沿うように努力するという答弁をしたというような応答がございましたことを十分に拝聴いたしました。
大蔵省の立場から申しまするならば、滝井先生も御承知でございましょうが、一応医療金融公庫の問題は中小企業金融公庫の問題から分かれた問題でございまして、
ここら辺はわかったようなわからぬようなことを言っている。
したがいまして、その意味からいたしますと、御承知のように幾つもの金印あるいは公庫、公団というものがございまして、これに対しましては、全体を見合わせて大蔵省といたしましては金利政策というものが立てられておるわけでございます。もちろん医療金融公庫だけの立場から申されますれば、さような不合理等がございますが、しかしこれは、六分五厘、八分あるいは九分ということに区別したことにも、大蔵省としては大蔵省なりにひとつの主張があったことと思います。しかし、私といたしましてもいろいろ検討をいたしましたが、なかなか大蔵省の主張も強いようでございます。しかし、この問題はすでに数回委員会において論議されてまいっておることでございまするし、ただいまもお話しのように中小企業対策を革新的にやるというような声明をいたしました関係からいたしましても、何とか手を打たなければならぬじゃないかというふうに考えております。しかし、いままでのこの医療金融公庫の六分五厘というものはだんだんウエートが高くなっておりまして、七七%ぐらいの程度までいっておるように承知しておるわけでございます。したがいまして、当初から考えてみますと、平均的には利率は非常に低いと申してもなんですが、六分九厘ぐらいの程度まで下がってまいっておりまして、こうした大蔵省が努力をいたしたことも、おそらくいままで当委員会において論議された皆さま方の御希望が、もちろん完全ではありませんが、漸次改善されておるということでございまして、その点につきましては、大蔵省当局の努力もひとつ御了解願いたいと思うわけでございます。しかし、ここまでまいっておるものでございまするし、政府出資というような問題もございまして、財政全体の考え方も考慮いたさなければなりませんが、ここまで当委員会において御熱心に討議されておる問題でございまするので、ぜひともひとつ皆さま方の御期待に沿うような、いわゆる前向きの姿勢のもとにこの問題を検討いたして、できるだけ早い機会に皆さま方の御期待に沿うような措置をとることをいたしたい、かように考えておる次第であります。
明快じゃないですか。こういうことを答弁しておる。
そこで、君はさっきうその答弁をしたが、今度は三月十三日の河野委員に対する答弁なんでございますけれども、そこではいまあなたが言ったように三点にわたって答弁をしておる。
ただいまの河野先生の御質問は、前回の社労委員会において私が答弁いたしましたことに御不満がございまして、その後厚生省と十分検討いたしました。その点につきましてただいまから御答弁を申し上げます。
こういうことで一、二、三に分かれておるわけです。一は、君たちきのう研究したそうでありますから、省略いたします。
第二番目といたしまして、貸し付け限度が個人、法人について差別のある点につきましては、単に個人、法人という開設主体による差別は多少の問題があることと存じますので、今後は病床数の多寡によることとして考慮いたしたいと思っております。
これは一体四十年度の法改正の上でどう改められておるか、あとで厚生省、大蔵省に聞きましょう。第三点。
第三の償還期限及び据え置き期間等の点につきましては、問題の性質上なかなか容易ではありませんが、昭和四十年度を目途といたしまして、できるだけ同一にするように努力をいたしたいと存じます。
こういうことでございます。どうです、同一になっておりますか。
なお、先ほどの御質問の際におきましても、医療公団は、御承知のように民間ベースに合わないために特に開設されたその趣旨に基づきまして、大蔵省としても毎年出資金をふやしておりますが、もとよりほかの公団その他との関係もございますし、また政府資金にも限度がございますので云々。これはいいといたしまして、こういう三点を約束しておる。この第二、第三点はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/29
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030・大崎康
○大崎政府委員 三十九年度までは、これは新増改築、機械購入資金等を入れてでございますが、法人と個人とによりまして貸し付けの限度額が異なっていたわけでございます。本年度からは、その個人、法人による貸し付けの限度額をやめまして、病床数によって貸し付けの限度額を定めたい、こういうことでございます。
内容を申し上げますと、新増改築の場合におきましては、病床数四十床未満の病院につきましては三千万円、病床数が四十床をこえる病院につきましては五千万円、そういうふうな定めを原則としていたした、こういうふうに考えておるわけでございます。これは、私ちょっと言い間違えましたが、三十九年度から実施をいたしておりまして、本年度においても同じように実施をいたしておるわけでございます。
それから機械購入資金につきましては、病院について病床数五十床未満の場合は限度額が五百万円でございます。病床数五千以上百床未満、これは病床数に十万円を乗じた額でございます。病床数百床以上は一千万円が限度額でございます。診療所については百万円、共同利用施設については三百万円、それから、本年度から薬局、助産所の機械購入資金を対象といたしておりまして、これが五十万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/30
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031・小林進
○小林委員 いま一回聞き直しますが、機械購入資金は九分であり、運転資金も九分である。それが今度は、これだけ改良せられて一体幾らになったのですか。甲種、乙種の区別は、御承知のとおり、病床過剰地区と病床不足地区との区別によって甲乙に分かれたのですけれども、その乙種の地区を七分にしたというのですから、いま言う長期の機械購入資金や運転資金は一体幾らにしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/31
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032・大崎康
○大崎政府委員 これは九分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/32
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033・小林進
○小林委員 年金福祉事業団は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/33
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034・大崎康
○大崎政府委員 年金福祉事業団は、これは長期運転資金は対象といたしておりません。それから年金福祉事業団の機械購入資金につきましては、原則どおり六分五厘。それから大企業につきましては七分でございます。
なお、医療金融公庫におきましても、原則は九分でございますが、特定の医療機械等につきましては、これを八分にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/34
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035・小林進
○小林委員 そこで私は、中断委員もお見えになっておりまするから、先ほどの本論に返りまして、灘尾元の厚生大臣、当時の政務次官は森田厚生政務次官です。その次には西村厚生大臣が出て、当時の政務次官が渡海さんだ。そういうわけで、森田政務次官は前に約束しているのです。「三十七年から三十八年を経過していまでも言うけれども、依然として年金福祉事業団が病院に貸せる金は、六分五厘で全部貸している。」一部は、済生会と日赤だけは改められたと言うのだけれども、原則としては、法律の上では改められていない、六分五厘で貸しておる。「ところが、同じ厚生省管轄でありながらも、医務局の扱っておる医療金融公庫の金は、六分五厘があり、八分があり、九分があるという、こういう三本にも四本にもなって金が貸されている。」これははなはだしい矛盾でございまして、これを改めなければならぬということを確信をいたし、最善の努力を払います、こういう答弁をしておられる。渡海政務次官は、同じく三十八年の三月六日の社会労働委員会の会議録第十七号の一一ページ、「現在の標準が、大体運営面におきまして八割というふうな限度額で押えておるということを聞いておりますが、利率の面におきましては、現在八分と六分五厘ということでやっておりますが、私はこれはむしろ全部六分五厘に持っていかなければならないのではないかと思います。」それが進行していない。一年くらいの公約違反なら私もがまんしましょう、三年も四年もから手形を持たせられては、こうやってそのままだまされてきて、これで一体国会の実のあるような審議が行なわれていると三言われましょうかという質問に対しては、私も同感でございます。こういう御答弁をしている。直っていないです。ここで当時の中野委員長が、「お答えをいたします。委員長といたしましては、医療金融公庫の利率については、年金福祉事業団と同様に、利率六分五厘を実現するよう最大の努力をいたします。」こういうことを言っておる。ここで次に来た委員長の田口君がこれにどう答えておるか、田口君も約束しております。これは笑いごとじゃないですよ。重大な問題です。だから国会の審議が、同じことをこの委員会で三年も四年も繰り返しておる。われわれが心魂を傾けて汗を流して真剣にやっておることを、あなた方は馬耳東風と聞き流しておる。国民の負託を受けて国会議員の生活をやること、私もまさに十三年だ。だてや酔狂でめしを食っておるわけではない。そして心魂を傾けてここで繰り返しておることを、あなた方は馬耳東風に聞き流しておる。そして人の言うことをちゃらかして、自分のやりたいことだけやっておる。やれ理事をふやすの、やれ公社を設けて官僚の捨て場をふやすようなことをやっておる。これで一体国会の形態をなしておるのか。それはいかに寛大にして忍耐強い小林進といえども、おこらざるを得ないじゃないですか。田口委員長の言明を読みます。昭和三十九年三月五日の私の質問に対して、こういう答弁をしておられる。「これは当然委員長に引き継がれて、その努力というものが継続されていなければならぬのであります。」国会の生命は長いんだ。「いま一回田口委員長にその努力の引き継ぎがありましたかどうか、お尋ねいたしたいと思うのであります。」これに対して田口委員長は、「引き継ぎを受けておりません。」そこで私が、「そういたしますと、この年利率六分五厘にすることに対しては、委員長としては何も努力をされなかったということでございましょうか。」田口委員長が、「事情よくわかりましたから、ひとつ中野委員長同様に、党内外において努力をいたしたいと思います。」こういうふうに答えておる。そこでは田口委員長が、それほどまで委員長の責任において、中野委員長とも連絡をとって、内外ともに最大の努力を払うというならば、あなたに信頼をしてこの問題の質問は一応打ち切りましょう、私はこう言って打ち切っております。これができていない。
そこで、松澤現委員長にお伺いをいたしますが、この問題について田口前委員長から申し送りがありましたかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/35
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036・松澤雄藏
○松澤委員長 何も聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/36
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037・小林進
○小林委員 こんなに私どもが真剣にやることが、委員長がかわるたびに泡沫のごとく消えていくということは、委員会の審議に非常に支障を来たすということを私は非常に残念に思います。この問題は、この前にも法制局から来ていただきまして、こういう問題について法的根拠について質問をしておる。これは法律上一体引き継ぎの責任があるのかないのか、政治的に一体引き継ぎの責任があるのかないのかという質問に対して、法律上は責任はございません——これは法制局の見解は正しい。けれども、政治的にはこれは責任はあります。同じ政党なんだから、自民党ですから、中野さん、田口さんのときには同じく池田内閣でありましたから同一政党、しかも同一首班のもとにおいては当然政治的責任があるといわなければならぬ、首班が変わっても、同じ政党が継続して行なわれる限りは、やはり同一の責任があるものと思わなければならない、こういう法制局の答弁がある。なお加えて私は言いますけれども、法律的責任がないなどと言って——責任の軽重の点からいえば、政治的責任は法律的責任に劣るとは言えない、むしろ考えようによっては政治的責任のほうが重いと見なければならぬ、こういう答弁もせられておるのでございまして、この点はひとつ松澤委員長においても十分政治責任はお考えくださいまして、前任者にこの点をただして、責任を継続して全うせられるように御努力あらんことを切に要望をする次第であります。
要望をしておきまして、それで厚生大臣に移りますけれども、いまは委員長、政務次官の話なんです。大臣のほうはもっと明確に答えられておる。灘尾さんから西村さん、最も明確にこの問題を答弁せられておる。必ずこれを訂正しますと言っておる。できていないじゃありませんか。大臣、責任をお感じになりませんか。これでよろしいとお考えになりますか。こんなことで国会がこんな法律を通したのでは——これは私個人の問題ではない。国会の構成それ自体に附する重大問題と私は思いますので、この問題は、私情は私情、私はあなたと個人的には非常に親しいのでありまして、まさに兄弟友人の仲、先輩後輩の仲でありましょうけれども、世の中には泣いて馬謖を切るということばがあります。小林進は、私情をもって公ごとを誤るわけにはまいりません。断じてこの問題ではほこをおさめるわけにはいかないのでありまして、私は大臣の責任ある答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/37
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038・神田博
○神田国務大臣 年金福祉事業団の貸し付けの利率と医療公庫の貸し付けの利率が、同じ対象の場合に異なっている。このことにつきまして、数代前から厚生大臣が約束されておる。政務次官も善処を約束されて、なかなか実行ができない。これは一体どういう事情かというような意味に受け取っております。私も先ほど来小林委員が非常に御熱心にこの問題を述べられておることにつきましては、心から同感でございます。長い間いろいろ論議されながら、なおかつ結果が十分でないという点につきましても、お述べになっておられる気持ちが了解できるわけでございます。厚生省といたしましても、十分この委員会の御要望にこたえるように努力してまいっていることも事実でございます。ただ、役所間等におきまして、またいろいろ事情等もございまして、一気に全部が解決できなかったということはまことに遺憾でございますが、しかし、先ほど来政府委員また大蔵省の担当者からも御答弁がありましたように、その御趣旨にかなうような方向に進みつつあることも御了承願えると思います。今後なお一そう努力いたしまして御期待に沿わなければいかぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/38
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039・小林進
○小林委員 私は大臣の御答弁がそう出るのではないかと思って、それで冒頭、一体この法律の改正は何回行なわれたかということをお尋ねした。四回改正せられておる。その四回における論議の中心はみんなこれだけだ。この問題で改正のたびに同じ論議を繰り返しておる。そうしているにもかかわらず、大臣はさらに努力をするとおっしゃることは、これは改正のたびに言われたほかの大臣の御答弁よりも、もっと後退しているなまぬるい御答弁です。
私はそれで最後に申し上げますけれども、ここにはいらっしゃいませんが、この法案を上げる昨年の三月十一日の最後に、与野党の理事がもみ抜いてもみ抜いて、われわれはどうしてもこの法案を上げることができない、この先、断じてもうこういうことはいたしませんから、そのためにこういう附帯決議をつけて、附帯決議は必ず実行いたしますからこの法案を通してくれ、こう言われて、附帯決議を三派の合同で出しておる。その附帯決議を代表して読みましたのが、いまいらっしゃいませんけれども、粟山秀先生でございました。粟山秀先生がこのように附帯決議を読んでおられる。「私は、」——私はというのは粟山秀委員であります。「自民、社会、民社三派共同提案にかかる医療金融公庫法の一部改正法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。医療金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 年金福祉事業団は、日赤、済生会等公的医療機関の増改築資金等をその融資対象としているが、その貸付利率等貸付条件は、医療金融公庫のそれとなお相当の相違が認められる。従って最も近い将来において、」——これは私どもは断じていかぬ。社会党は期限を付しておるのです。けれども、期限を付してまでも厚生省を縛ることは信頼感の問題だから、絶対間違いないからその何月何日という期限だけは厚生省を信頼して削除してくれということで、そこで私どもが一歩譲歩いたしまして、「最も近い将来」ということばに改めた。「最も近い将来において、両者の貸付利率その他貸付条件を統一すべきである。本決議案の内容は、本委員会の質疑応答において明らかでありますので、説明は省略いたします。何とぞ全員の御賛成をお願いいたします。(拍手)」そこで、「○田口委員長 本動議について採決いたします。本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕
〇田口委員長 起立総員。よって、本案については、粟山秀君外二名提出の動機のごとく附帯決議を付することに決しました。この際、小林厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。小林厚生大臣。
○小林国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を尊重して善処いたしたいと存じます。」こういうことで終わっております。
この決議に至るまでの経過は、だてや酔狂ではなかった。もみ抜いてこの附帯決議を付して、ようやく私どもは妥協したのです。それが今日のこの委員会に、何ら統一するという形があらわれていない。若干の手直し、スズメの涙、そういうことでわれわれの命をかけた審議というものをないがしろにして、先ほども申し上げたように、皆さん方の言いたいことだけ、やれ理事を一名ふやしますの、大阪に支所を設けますの、そこで古手官僚のおば捨て山をつくりますの、そんなえてかってなことで、国会の審議を一体尊重したことになりますか。これは私どもをでくの坊扱いじゃありませんか。まるで枯木も山のにぎわい扱いじゃありませんか。そんなことで唯々諾々として私どもがこの法案をのんだということになれば、国民の負託に何ぞ報いるところあらん、われわれは死しても帰れませんよ。選挙民、国民の方向へ顔を向けることができない。でありますから、この問題は、まだ法案の審議過程ですから、結論に至るまでの間いま少しわれわれが納得するような改正、いま申し上げました条件等について明確な改正をやっていただかない以上は、残念ながらわれわれはこの法案に対して賛意を表するわけにまいりません。今度だけは通すわけにはまいらぬのであります。どうかこの点は御了承をいただきたい。利率の問題はこの程度にして、あとは一般論のほうへ移っていきたいと思います。
時間の関係もございますから、あとはひとついま一時間ばかり利用いたしまして、次に問題を変えますが、一体資金の需要額は——資金の需要額というよりは、問題の角度を変えて、公的医療機関、私的医療機関を通じまして、三十八年度から九年度でよろしゅうございますが、一体一年間に行なわれる医療投資と申しまするか、この設備の改築、新築等にどの程度の資金が投資をせられておるものか、お伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/39
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040・大崎康
○大崎政府委員 三十九年度の医療機関関係整備の投資額は、総額にいたしまして、四百六十九億でございます。ただし、これには私的医療機関の自己資金によるものは入っておりません。したがいまして、三十九年度で申し上げますと、四百六十九億に私的医療機関の自己資金を加えた額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/40
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041・小林進
○小林委員 そうすると、四百六十九億円は、その私的医療機関でも、金融公庫や年金事業等、政府資金等を借り入れているものがこの四百六十九億の中に入っている。たとえていえば、医療金融公庫の金を借りるにしても、二割は自己負担しなければならないというが、その二割というのは、ほとんど銀行の借り入れ金ですね。そうすると、この銀行の借り入れ金等は、この中に含まれていないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/41
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042・大崎康
○大崎政府委員 含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/42
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043・小林進
○小林委員 そこでお伺いしますが、しからばこの四百六十九億円の中で、国立病院、診療所等に対する投資、それから公的医療機関の、県立だとか、できれば公共企業体等に対するところの投資額、それから私的医療機関に対する投資額、三つに分けて、その区分をお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/43
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044・大崎康
○大崎政府委員 総額が四百六十九億でございます。そのうち、国みずからが行ないますものが、総額百四十七億でございます。さらにそれを区分いたしまして、厚生省所管の国立病院、国立療養所等への投資が、七十五億でございます。それからその他の各省が三十九億、国有鉄道、電電等、公社が三十二億でございます。それから地方公共団体、その他日赤、済生会のいわゆる公的医療機関の投資額が、百四十八億でございます。それから社会保険関係団体、それが二十五億、それから会社が九億六千、その他の医療機関が百三十七億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/44
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045・小林進
○小林委員 その他百二十七億円の中には、主として開業医等が公庫等を通じて借り入れた金が含まれているわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/45
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046・大崎康
○大崎政府委員 その他の百三十七億の内訳は、医療金融公庫の百三十五億が大口でございます。したがいまして、私的医療機関でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/46
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047・小林進
○小林委員 三十九年度の総医療費というものは概算九千億円になっておりますか。ちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/47
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048・大崎康
○大崎政府委員 いまちょっと調べましてお答えします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/48
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049・小林進
○小林委員 大体総医療費は九千億内外、八千何百億から九千億近くのものと推定せられるのでありまするが、そういたしますと、そのうち総医療費に対する四百六十九億が医療機関に投資をせられておるという勘定でございまするから、総医療費の大体五%強が医療機関の新、増改築等に使われている、こういうふうに目途を定めてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/49
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050・大崎康
○大崎政府委員 三十九年度の総医療費がまだ計算をいたしておりませんが、推定から考えますと、約五%程度になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/50
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051・小林進
○小林委員 これは大臣にお伺いするのでありまするけれども、現在のわが日本の医療制度の中で、まだ不完全な地域が多いのでございまするが、この程度の設備あるいは増改築の設備投資、総医療費の五%程度で日本の医療行政あるいは国民の健康が一体完全に保たれるものかどうか、この点をひとつお伺いいたしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/51
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052・神田博
○神田国務大臣 医療機関の設備でございますが、投資が一体何%が医療費に比べて至当かということは、計算のしかたもあれば、いろいろこれは議論があることだと思います。しかし、いまお尋ねがございましたように、現に行なわれているのが、計算的な数字で見ると五%くらいしかない、こういうことでいいかどうかということでございますが、私も概数観察から申しまして、五%じゃ少ない、こういう感じでございます。しからば一体どの程度がよろしいかということになると、これは議論もございますが、五%では十分な医療機関のサービスとして、そうして将来の方向に向いていくということは、どうも他の施設等に比べてたいへん立ちおくれているのじゃないか。これはやはり適当な機会にもっと上げたい、今度そういう意向でございましたが、いろいろ資金上の問題等ございまして、十分でなかったことを遺憾に思っております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/52
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053・小林進
○小林委員 大臣からも御答弁がありましたとおり、これは日に月に進歩いたしておりまする医学の進歩、医療技術の進歩に対応していくためには、いかにも投下される資本が少な過ぎるのではないか。特に、私ども外国の医療施設を見て、社会主義国家等の、医療施設等をながめてみると特にそうでございます。病院等が非常に完備いたしております。日本は所得、生産の関係においては世界で五番目の、六番目だのいいながら、こういう人間の健康や社会保障に関する医療施設というものは実に貧弱だ。単に医者の個人的技術、学問は確かに世界の水準をオーバーしているのではないかと思いますけれども、持つものはそれだけだ。世界に誇るものは医師個人の技術だけだ。もっともこれ以上悪口を言うと井村君あたりに支障がありますから、これ以上言いません。例外もありまするけれども、概して世界的な水準を日本は行っておりまするけれども、病院の設備等に至っては実にこれは貧弱きわまれりです。そこら辺を——これは民間病院だけではありません。国立病院自体もそうであります。実に国立病院等、非常にりっぱな先生がいられるけれども、設備は非常に貧弱きわまる。私は、日本にはいろいろ恥ずべきことがあるけれども、こういう医療施設とか医療をする建物、設備の貧弱さというのは世界に恥じゃないかと思っておるのであります。いまお話しのとおり、国立病院、国立診療所等に政府みずからが投資をされる金額はわずかに百四十七億円だ。こんなことでは片の陸軍病院や海軍病院等、戦時中のあのボロ病院がいつ一体更新されて近代病院になるのか見通しもつかない。もう少しこちらのほうへ私は力を注いでいかなければならぬと思うのであります。
時間もありませんから、まあそこら辺は省略をいたしまして、医療金融公庫の問題について言い得ることは、主としてこの金は民間の私的医療機関に貸し付けられる金でございまするが、この私的医療機関に対する貸し付けも、一体需要額と供給額はどんな比率になっておりますか、三十九年度をお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/53
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054・大崎康
○大崎政府委員 三十九年度の借り入れ申し込み受理額が三百十八億でございます。その内訳は、前年度の繰り越し分八十七億、新規受理分が二百三十億でございます。それから貸し付け決定をいたしました額が百六十一億でございます。これが昨年の十二月末現在の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/54
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055・小林進
○小林委員 これは私の資料は違っておりますかな。三十九年度の借り入れ申し込みが一万八千三百五件、七百五十二億二千五百五十五万円。貸し付け決定というのはちょっとおかしい、まだ三十九年度終わったわけではありませんから。いままでのあれでは、そのうち一万四千三百二件、総額四百七十九億六千三百九十万円というのは、これは違いますかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/55
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056・大崎康
○大崎政府委員 資料でも差し上げてございますが、昨年十二月末現在の数字は、金額にいたしまして、借り入れ申し込みの受理が三百十八億でございます。それから、それに対しまして貸し付け決定をいたしました額が百六十一億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/56
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057・小林進
○小林委員 再び調べてみまするまであなた方の資料を正しいものという仮定の上において申し上げます。
それによりますると、申し込みに対する決定額の比率はどのくらいになりますか。需要に対する供給額です。申し込みに対する貸し付け額。その比率がどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/57
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058・大崎康
○大崎政府委員 十二月末現在のところ、借り入れ申し込み受理額に対しまして約半分の決定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/58
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059・小林進
○小林委員 たしか三十八年度は七〇%を凌駕したはずでありますけれども、そうすると三十七、八年時代の実績に照らし、三十九年度は非常に貸し付けの比率が下がっているな。これは改悪の形に、うしろ向きの形に進んでいると見なければならぬ。これはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/59
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060・大崎康
○大崎政府委員 三十九年度の新規の借り入れ申し込みは二百三十億でございまして、それが実は相当大きな額になっていることは先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、資金との関係で若干資金繰りが苦しくなっていることも御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/60
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061・小林進
○小林委員 せっかく制度を設けて、軌道に乗って、これでひとつ新しい機関や設備を設けて国民の医療に奉仕しようというかまえが出ておるにもかかわらず、だんだん希望に対して満たされる比率が減ってくるというのは、私は行政としてまずいんじゃないかと思うわけです。別荘でもつくるとか、あるいは娯楽場をつくるというなら、これはだんだん申し込みを制限して比率を下げていくのもいいだろうけれども、医療機関等、人間の生命と健康に関するものの比率を年々下げてくるというのは、これはどうも感心できない。これは申し込みの金額がふえたかもしれません。ふえたとしたならば、なるほど今年度の要求額に応じてその申し込みに見合うような予算を組んでいただかなければならぬと私は思うのでありますが、この問題は一体どのように解釈をしておられるか。どうも巷間、町あたりを歩いてみますと、だんだん医療金融公庫の借り込れがむずかしくなって、条件がむずかしくなり、申し込んでもなかなか借りられないということを聞きます。なるほど統計にあらわれている。これはたいへんなことだと思いますが、どう一体これを解決されるか。これは大臣にお聞きしなければならぬな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/61
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062・大崎康
○大崎政府委員 医療金融機関の貸し付け、原資につきましては、わが国の医療機関の現状から、これは私どもできるだけ多くいたしたいと考えまして毎年努力いたしているわけでございますが、財政上その他の都合によりまして、実は十分であるというところまで参っていないわけでございます。しかしながら、三十五年の貸し付け原資は三十億でございまして、それから累年増加をさせておりまして、過去三年間を見てみますと、三十八年度では貸し付け原資が百十億、三十九年度は百三十五億、四十年度は百七十億ということで、それ相当に増加をさせているつもりでございますが、なお努力の足りないところは認めざるを得ないわけありまして、今後とも努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/62
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063・小林進
○小林委員 私は先ほどから日本の医療機関の建物、設備、内容等が先進国に比較して非常に貧弱であるということを申し上げた。それをどう改めていくかということに対しては、やはり現制度の中に私は三つの柱を立てて、それを充実していく以外にはないと思う。一つは先ほど申し上げましたように、やはり国立病院、基幹病院といいますか、この基幹病院、並びにそれを取り巻く地方における公的基幹幹病院、こういうものの配置、配合等を考慮しながら、これをひとつ完成をしていく、第二番目には、この医療金融公庫の活躍に基づいて、民間の医療機関の要望に沿うように行政の画で努力をし、金融の側で努力をしながらこれを解決していく、これは第二番目の柱です。ところが私が申し上げるまでもなく、医療金融公庫から借りる民間の医療機関というものは、主として都会に集まる、これは独立採算制ではありませんけれども、そろばんに合わぬ医療機関はだれも金を借りて——年八分もするような高い金利でもってとてもこれは金を借りられるものではありません。したがって、僻地や無医村地区や患者の少ない地区には、この医療金融公庫の貸し付けというものは、ゼロとはいいませんけれども、たいして著しい効果を上げるわけにはいかない。そこで無医村地区や僻地地区における医療機関や医療設備の充実ということも、これはまた別個の立場で考えてもらわなければならぬ。この三つの線を、それぞれの特質を生かしながら行政的に指導し、便宜を与えつつ国民の健康を保持していくという方針を進めていかなければならぬ。私どもは医療金融公庫の問題に関係して、いまこの三つの柱の一つである民間の、特に都会あるいは患者が集中しておる地区の医療金融公庫の対象となり得る民間設備のことをお伺いいたしたのでありますが、この際、僻地地区、無医村地区における医療機関の充実というものを一体どういうふうに考えられておるのか、お伺いいたしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/63
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064・神田博
○神田国務大臣 いまの無医村地区の解消の問題でございますが、これは厚生省といたしましても、歴代政府の方針でもございますので、これを特に配意いたしてやってまいっておるつもりでございます。しかし御承知のとおり僻地のほうも人口の変動がございまして、計画当初より悪条件といいましょうか、なかなか至難な問題もまた加わってまいっておるわけでございます。しかし、できるだけその困難を排除して充実いたしたい、こういう考えを持っておりまして、各基幹病院等の系列派遣制度というようなこと、あるいはまた道路の拡幅なり改修によって無医村地区を、常駐はできないけれども、患者があったならばすぐ伺えるというような制度にいたしたいと思います。なお進んでは、なかなか道路改修も十分でないというところではヘリコプター等を発着させてやりたい、こういうような考えを持ちまして、鋭意努力いたしております。医療金融公庫の貸し出しも、できるだけ地域差等も考えまして、都会に偏重しないように、主として山村あるいは漁村等にもできるだけ配慮いたしたい、こういう考えでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/64
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065・小林進
○小林委員 時間もありませんから、僻地医療の問題は、私、日をあらためてひとつ大臣にお伺いしますけれども、一体厚生省は僻地医療や無医村地区の解消のために本腰を入れておやりになっておるかどうか、私は実はその真意を疑っておるのです。ほんとうに国立や公的医療基幹病院を中心にして、それから枝葉が立つようにやるという不動の計画表をちゃんとお持ちになっているのかどうか。国会の答弁では、よくそういう基幹病院だの、やれ道路改修だの、船をつくるの、ヘリコプターをどうのとかいう話だけは聞いておりますけれども、予算にあらわれてくるのはヘリコプターの一機や、だるま船の一隻や二隻だけ、そんなことでは、無医村の解消が、それこそ百年たって解消するのか、千年たって解消するのか、墓場の中に入ってコケむして、もう孫もひ孫もいなくなってから無医村地区の解消が軌道に乗ってくるのじゃないか、私どもはそんな長い話をしているのじゃない。今日この時限において、一体そういう僻地における人たちの健康をどう保障しているかということをお話し申し上げている。この点はいずれ場所を改めて、詳しい資料を御提供申し上げながら御質問申し上げたいと思うのでありますが、きょうはこれを省略して、主としてそういう公的医療機関の整備の問題についてお尋ねいたしますが、これも参考までに聞くのです。
三十七年度に厚生省は第三次医療機関の整備計画というものをお持ちになって、四十年度に完成をする予定で進めたはずでありますけれども、それがどんなぐあいに完成しつつあるかをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/65
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066・大崎康
○大崎政府委員 医療機関の整備の問題でございますが、医療機関の整備につきましては医療法の七条の二によりまして、公的医療機関の設置の一つの最局限を定めた省令がございます。この省令の基準がございまして、この省令の基準というものは、結局最高限を設けることによりまして余裕ができましたものは病床の不足地区に回すというのが趣旨でございます。したがいまして医療金融公庫等の融資もほぼそれに沿って融資基準が算定されておるわけなのでございます。したがいまして、その省令を中心といたしまして公的医療機関の適正配置につとめておるわけでございます。公的医療機関の適正配置の中で、私ども厚生省におきまして最も中心的と申しますか直接やっておりますものは、先生が先ほど御指摘になりましたように国立病院、国立療養所の適正配置でございます。国立病院につきましては、これは基幹十病院についてほぼ整備を終わりまして、その準基幹的な地位にあります他の三十病院につきまして目下整備を進めておるわけでございます。それから療養所につきましても、基幹療養所につきまして整備を進めておりまして、他の公的医療機関との連繋をはかりまして十分な考慮をいたしておるわけなのでございます。そのほかいろいろ公的医療機関に対する国の補助金もあるわけでございまして、それらの補助の際にそれぞれ適切な指導をいたしておるわけでございます。大体そういうふうなことでやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/66
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067・小林進
○小林委員 そこで、だんだん時間も迫ってきましたから、かいつまんで御質問いたしますけれども、医療金融公庫の金をお貸し付けになるときに、いま言ったように利率の面で甲種と乙種がある、そのほかその地区における病院の設立状況、住民に対する病床の数等、いろいろありましょう。あなたのおっしゃった医療法の七条の二等には、結核については一万人に対して二十三とか、精神病では一万人に対して十七とか、いろいろこまかい基準をお設けになっておるようでありまするが、この医療金融公庫の民間にお貸し付けになるその基準、これをしろうとでもわかりやすいように概観をここでちょっと御説明いただきたい。どの程度の者が申し込めば甲種の資格で六分五厘の金を貸し付けられるか、どれだけ過密であれば乙種の八分五厘の利息で貸してくれるかというような概算の基準をお示しいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/67
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068・大崎康
○大崎政府委員 融資基準につきましては、まず病院でございますが、一般病床と精神病床と分けて申し上げます。
一般病床につきましては人口三十万以上の市、特別区、これが一万分の五十五を基準としております。それから人口十万以上三十万未満の市、これは一万分の五十、人口五万以上十万未満の市町村、これが一万分の四十五、人口五万未満の市町村、これが一万分の三十。精神病床につきましては、これは従来一万分の十八でございましたが、新年度から一万分の十九にいたしたい、かように考えております。
それから診療所でございますが、一般診療所と歯科診療所と分けて申し上げますと、一般診療所で、人口三十万以上の市、特別区、これは千二百分の一でございます。それから人口十万以上三十万未満の市、これが千五百分の一でございます。それから人口五万以上十万未満の市町村、これが千六百分の一でございます。それから人口五万未満の市町村が千七百分の一でございます。歯科診療所につきましては、人口三十万以上の市、特別区、これが二千五百分の一でございます。それから人口十万以上三十万未満の市、これが三千分の一でございます。それから人口五万以上十万未満の市町村、これが三千三百分の一でございます。それから人口五万未満の市町村、これが三千五百分の一でございます。
いま申し上げましたのが、いわゆる病床不足地区の一つのメルクマールでございます。それから改築等につきましては、これはその地区を問わないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/68
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069・小林進
○小林委員 私は、この比率は義務教育のように強制的なものじゃない、一つの標準を示しただけでございますから、それほど重要とは考えないのでありますが、しかしその書かれた基準というものは定数制ということで、大体義務教育に関する限度の政令に似ているところがあります。こういう形でいかれると、私がさっきいった僻地僻村地区などというものは病床の割当数がなくなってしまう。そこでこういう基準をおつくりになるときには、そういう僻地僻村のためにはやはり特別の考慮が出てこなくちゃならぬですよ。ありますか。私がこういうことをかたく言いますと、社会党はまた医療国営を考えているなどといって思わざるところから誤解の非難をされますから、私はあまり強く義務教育のように子供が三人、五人いようとも先生は必ず配置せよなどという強制的なものの言い方はいたしませんけれども、教育よりは、預かるのは人間の命なんだから、私はそういう点においても別途の考慮を払いながら医者のない地区を埋めていくという考慮を払わなければいかぬと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/69
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070・大崎康
○大崎政府委員 一般病床の定め、たとえば人口五万未満の市町村につきましては限度が一万分の三十八でございますが、私どもの承知しております実情によりますと、これらの地区におきましては十分病床の余裕があるわけでございまして、お建てになるというふうな方がございますれば、公庫のほうにおきましてもこれは優先的に融資申し上げるというふうな方針でおるわけでございます。
それから公庫の特例というものがございまして、たとえば診療所を設置しようとする場所を中心といたしまして、半径二キロメートルの地域内に病院または診療所が全くない場合には、これは有利に取り扱うような方途も講じておるわけであります。しかしながら、かような地区におきましてむしろ私的医療機関そのものがなかなか採算が取りにくいということの事情がございまして、先生御案内のように、医務局研管の僻地医療対策費におきましても、いわゆる診療所の経常費につきまして補助をいたしておるようなぐあいでございます。したがいまして、これらのほんとうの僻地につきましては医療金融公庫の融資というよりも、むしろ僻地対策としてこれを処理するのが私どもは妥当ではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/70
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071・小林進
○小林委員 その点においては、はからずもあなたと私の意見は相一致したのでございますが、しかし私は先ほどから申し上げているように、金融公庫の金が僻地医療に役立っていない、ゼロとは言わぬけれどもほとんど役立っていないということは、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、僻地医療を中心にして、役立たぬでも、利率を下げたり特典を設けて、こういう中にもこういう特別の処置があるということを示していただくだけでも、政府の前向きの姿勢を示す一つの材料になるから、それをおやりになったらどうですか、私はこういうことを申し上げておるわけであります。それはあなたのおっしゃった、僻地対策を別途に講じていただくことは非常にありがたい、どうぞそのようにぜひお願いいたしたいと思います。
それでは、松澤委員長からもう質問をやめたらどうかという催促の紙が来ておりますので、用意してまいりました質問を半分ぐらいにしておきますが、いま一問にして終わりましょう。これは参考までに聞いておきましょう。
現在、国立病院、国立診療所が幾らあるか、ここ数年間ふえているのか減っているのか、この統計。それからあわせて、日本の病床数の総計が幾ら。政府は何か五カ年計画か六カ年計画をお持ちになっているようでありますけれども、その到達年度における病床の総数をどれぐらいと予定をせられておるか。しかもその病床の総数の中に、一般病床その他特殊の関係の病床のそれぞれの数字をどんなぐあいに現在は把握し、将来はどうする考えでおられるか。これだけお伺いいたして、まともな答弁を得れば、一応本日のところは質問を打ち切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/71
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072・大崎康
○大崎政府委員 三十八年度末におきますわが国の病床数を申し上げます。病床数が七十九万四千四百三十四床でございます。これには精神病床、結核病床、伝染病床、一般病床、らい病床を含んでいるわけでございます。それから一般診療所が六万二千三百六十三施設でございます。それから歯科診療所が二万七千八百六十九施設でございます。私どもで考えております病院の病床数の目標は、四十五年度におきまして百二万床にいたしたい、かように考えておるわけでございます。過去三年間の病床数の推移を見てみますと、三十八年度におきましては総病床数の増加は四万一千七百二十床でございます。それから三十七年は三万六千三百四十二床でございます。それから三十六年につきましては二万九千六百二十九床でございます。このまま推移をしていきまして、さらに私どもが財源的な措置につきまして相応の努力をいたしますと、百二万床の目標は十分到達できるというふうに私ども考えておるわけでございます。
それから、その中で国立病院の病床でございますが、これは三十九年一月の数でございますが、病床数が国立病院で二万八千百床でございます。療養所につきましては的確な数字をいま持ち合わせておりませんが、約五万四千程度であったかと記憶いたしております。療養所の数が百六十八カ所でございます。それから入院が約五万八千程度であります。病院の数は八十七カ所でございます。それにガンセンターを加えまして八十八カ所になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/72
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073・小林進
○小林委員 これは数年間ふえていますか減っていますか。国立病院と国立療養所の数は数年間の趨勢としてふえておりますか減っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/73
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074・大崎康
○大崎政府委員 異同はございません。ただ療養所から国病に転換したような事情がございまして、その間若干の異動はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/74
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075・小林進
○小林委員 まだこの辺ようやく序の口でありまして、それに対する所見を述べたいのですけれども、きょうはひとつ委員長に協力をいたしまして、きょうのところは質問を一応これで打ち切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/75
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076・松澤雄藏
○松澤委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00819650318/76
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