1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十三日(火曜日)
午前十時十九分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 藏内 修治君 理事 河野 正君
理事 八木 昇君
伊東 正義君 熊谷 義雄君
小宮山重四郎君 坂村 吉正君
田中 正巳君 竹内 黎一君
橋本龍太郎君 松山千惠子君
粟山 秀君 山村新治郎君
淡谷 悠藏君 小林 進君
五島 虎雄君 多賀谷真稔君
滝井 義高君 松平 忠久君
八木 一男君 山田 耻目君
本島百合子君 吉川 兼光君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
厚生政務次官 徳永 正利君
厚生事務官
(保険局長) 小山進次郎君
運 輸 技 官
(港湾局長) 佐藤 肇君
労働政務次官 始関 伊平君
労働事務官
(大臣官房長) 和田 勝美君
労働事務官
(労政局長) 三治 重信君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 村上 茂利君
労働事務官
(職業安定局
長) 有馬 元治君
建設政務次官 白浜 仁吉君
建設事務官
(大臣官房長) 鶴海良一郎君
委員外の出席者
専 門 員 安中 忠雄君
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三月十九日
委員長谷川保君辞任につき、その補欠として石
野久男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員石野久男君辞任につき、その補欠として五
島虎雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員五島虎雄君辞任につき、その補欠として長
谷川保君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十八日
精神衛生法の一部を改正する法律案(内閣提出
第八五号)
母子保健法案(内閣提出第九六号)
同月二十二日
戦争犯罪裁判関係者の補償に関する請願(中村
寅太君紹介)(第一八〇四号)
健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請
願(茜ケ久保重光君紹介)(第一八一二号)
同外一件(加賀田進君紹介)(第一八一三号)
同外百六十四件(松浦定義君紹介)(第一八一
四号)
同(重盛寿治君紹介)(第一八六三号)
同(島上善五郎君紹介)(第一八六四号)
同外一件(茜ケ久保重光君紹介)(第二一三七
号)
原爆被害者援護法制定並びに原爆症の根治療法
研究機関設置に関する請願外二件(石橋政嗣君
紹介)(第一八一五号)
同(坂本泰良君紹介)(第一八三二号)
同(井手以誠君紹介)(第一八六二号)
同(竹本孫一君紹介)(第一八六七号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第一八六八号)
同(本島百合子君紹介)(第一八六九号)
同(稲富稜人君紹介)(第一八七〇号)
同外一件(永末英一君紹介)(第一八七一号)
同(小平忠君紹介)(第二一四〇号)
同外四件(泊谷裕夫君紹介)(第二一四一号)
日雇労働者健康保険制度改善及び老後の保障に
関する請願外九件(横山利秋君紹介)(第一八
一六号)
同(安宅常彦君紹介)(第一八一七号)
同(中村高一君紹介)(第二〇〇八号)
同外一件(米内山義一郎君紹介)(第二〇〇九
号)
日雇労働者健康保険改善及び厚生年金適用に関
する請願外二件(森本靖君紹介)(第一八一八
号)
同(中澤茂一君紹介)(第一八一九号)
同外一件(前田榮之助君紹介)(第一八二〇
号)
同(安宅常彦君紹介)(第一八二一号)
同外五件(山内広君紹介)(第一八二二号)
同(松原喜之次君紹介)(第一八二三号)
同(只松祐治君紹介)(第一八三四号)
同(矢尾喜三郎君紹介)(第一八三五号)
同(山中吾郎君紹介)(第一八六五号)
同外四件(湯山勇君紹介)(第二〇〇六号)
同(中村高一君紹介)(第二〇〇七号)
同(泊谷裕夫君紹介)(第二一四二号)
失業保険法改定等反対に関する請願(安宅常彦
君紹介)(第一八三〇号)
理学療法士及び作業療法士制度化に伴う経過措
置に関する請願(中川一郎君紹介)(第一八三
一号)
同外三件(小川半次君紹介)(第二一三八号)
同(川崎寛治君紹介)(第二一三九号)
原爆被害者援護法制定等に関する請願(楢崎弥
之助君紹介)(第一八三三号)
原爆被害者援護法制定並びに原子爆弾被爆者の
医療等に関する法律改正に関する請願(永末英
一君紹介)(第一八七二号)
失業保険法及び健康保険法改悪反対に関する請
願外一件(茜ケ久保重光君紹介)(第二〇〇五
号)
国民健康保険の財政措置に関する請願(秋田大
助君紹介)(第二一三六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
港湾労働法案(内閣提出第八六号)
労働関係の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の港湾労働法案を議題とし審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山田耻目君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/1
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002・山田耻目
○山田(耻)委員 議題となりましたこの港湾労働法は、もうすでにその必要性が強調されまして手がけられてからかれこれ十年近くになります。今日、昨年三月三日の審議会の答申を得まして、一応政府の手によりまして法案の提出がされたのでありますが、きわめておそきに失したという感じが強くいたしております。日本のおくれた労働者の人々の幾つかの悲劇を繰り返してきながら、その現実を十分監督官庁である運輸省並びに労働省も承知をしながらも、今日まで必要な諸施策が講ぜられなかったということについては、きわめて遺憾に思っております。しかしながら、今日一事業の中に独立した港湾労働法の制定の具体化というものが生まれてきましたことは、何といいましても、やはり画期的なものだというふうに考えます。しかし、この法案全体を通してながめてみますと、三・三答申に盛られておる港湾労働者の雇用の安定、労働条件の確保、必要な福祉にかかわる諸対策といいものが大幅に減ぜられて、労働法という形態で提案されておるということは、きわめて遺憾でありますし、中身については多くの不十分さを指摘することができると思うのであります。
本日は、時間が午前中でございますので、個々の問題について質疑を深めていくことは困難に思いますので、三・三答申以後、労働省のほうで手がけられました港湾雇用調整法と申しますか、調整案といいますか、この大綱をつくられて、港湾労働法に移行していく過程まで、二・三答申を受けての労働省の態度と、直接主務官庁でありました運輸省の答申を受けての態度の中に、幾ばくか意見の食い違いがあったように見受けられます。この食い違いが、今日の労働法という体系を必要とする港湾労働法の中に、幾つかの矛盾と弱さを露呈したのではないかと懸念されておりますので、この三・三答申を受けてから法提案の過程に至るまでの問題点について、おもに雇用の調整の問題、労働条件を策定をしていく中における労、使、政府の協議会設置の問題等を中心に、ひとつ労働者の立場、運輸省の立場を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/2
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003・石田博英
○石田国務大臣 具体的な問題や経過については訓練局長からお答えをいたしますが、労働省といたしましては、三・三答申を受けまして、これを尊重し、あとう限り、その内容を法律の中に盛り込んで、港湾労働者の福祉の増進、生活の安定をはかりますとともに、港湾労働における必要労働力の確保という面もあわせて期待をいたすベく、鋭意立案に努力をいたしてまいりました。
その間において、運輸省との間でいろいろの意見の相違、調整を必要とする事項があったことは事実でございます。この三・三答申を生かしていきますためには、むろん労働側の立法も必要でございますが、しかしながら、同時に港湾行政の近代化もこれと並行していかなければならないのでありまして、ある程度と申しますか、運輸省側の意向、運輸省側の作業の速度、そういうものと歩調を合わせていかなければならない点が多々あるわけであります。それで当初私どもが考えましたものを相当程度変更せざるを得なくなったことは、私としてもはなはだ遺憾に思っておりますが、先ほど申しました趣旨にかんがみまして、歩調を合わせていかなければならないという趣旨を尊重いたしまして、やむを得ず同意して提案をしたというところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/3
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004・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 大臣は参議院の予算委員会に出ておりますので、港湾局長でございますが、お答えいたします。
三・三答申におきましては、港湾労働者の雇用の安定と運送事業の近代化並びに港湾運営の近代化ということが三本の柱となっておるわけでありまして、私どもといたしましては、港湾管理の近代化並びに港湾運送事業をいかに合理化すべきかということと同時に、港湾労働法の設定にあたりまして積極的に労働省と協議いたしまして、この法律の達成に努力したわけでございますが、ただいま労働大臣からお話がございましたように、われわれのほうの事業の合理化というもの、また集約化というものと並行してやっていくことが、港湾運送というものを近代化し、またこの労働者というものを安定させるために一番必要なことである、かように考えまして、その精神で調整いたしまして、この労働法が提案されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/4
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005・山田耻目
○山田(耻)委員 港湾局長にお尋ねしますが、法制定の趣旨を私は伺っておるのではございませんで、三・三答申以後十二月七日に労働省のほうでお出しになりました港湾雇用調整法、これが今日の港湾労働法に発展をしてくるのでありますけれども、この港湾雇用調整法の段階で、運輸省はこれに反対をするという立場をおとりになっておると見受けられるわけでございます。
そうなってまいりまして、いま労働大臣もあなたもおっしゃっておりましたけれども、港湾事業の近代化の問題と事業法との調整の関係があるからという立場が、これに反対をなさるという趣旨であったものか、それとも三・三答申の中で、非常におくれている今日の労働者の雇用の安定なり労働条件なり、こういうものを取りきめていくのにふさわしい各種会議等の設定について具体的に反対をなさって、今日のこのような不十分な、だれが見ても内容に非常に矛盾を含んでいるような港湾労働法というものをつくり出していく主因となっておるのではないかという気がしてなりませんから、その点についてお伺いしておるのでありますから、そのようにひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/5
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006・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 私どもはこの港湾労働法をつくることに決して反対ではなかったわけでございます。ただ、唐突にといいますか、この港湾労働法が急速に施行された場合に、われわれとして不安がないわけではございませんので、その不安について一々労働省と話し合いをした、こういうことでございます。
一つは、波動性の大きな港湾において、労働者の定数というものをどのようにきめたならば、船込みの解消がなされ、労働者の確保が過不足ないということから、料金にもそう響かないという合理的な点はどうやってきめ得るだろうかということもありましたし、また現在の日雇い労働者の実態というものが、はたして登録制をしいたときに確保し得るかどうかという現実の不安もございました。そういう問題について協議をして積極的にまとめたわけでございまして、決してこれを成立させないという意味で反対したのではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/6
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007・山田耻目
○山田(耻)委員 この事業の近代化ということの必要性と、労働法が制定されていく場合の今日の事業法との関連と、現実の港湾における港湾事業の実態、この間にそれぞれの調整をいたさなければ、より困難が起こるからだ、こういう御趣旨からの運輸省の態度であったというふうにお伺いいたすのでありますが、私は今日の六大港を中心とする日本の港湾の実態というものは、今日の問題として議論されるのには、あまりにも時期を失しておる問題であろう、少なくともこの港湾労働法の提起の問題がなされたのは十年前でございますよ。そのときからいまあなたがおっしゃっているような問題点というものは、日本の港湾事業の中には存在しておったのです。その問題について鋭意検討が進められてき、しかも昨年三・三答申が出て、そのことについて積極的な施策を必要としたこの事態において、あなたのおっしゃっているようなことばというものは十年前のことばでございまして、今日のことばとして私はやはり受け取るわけにはいきません。しかしながら、現実の問題として、今日の港湾事業の中には非近代的なものがたくさんあります。こうしたものを具体的に近代化していく施策の推進というのは、私は主管官庁である運輸省の責任であると思うのです。その立場からいまのお気持ちをお持ちであるのなら、どのようにして近代化施策を具体的に進めていこうとなさっているのか、これをつけ加えて説明していただきませんと、あなたの主張というものをいただくわけにはいかないわけなんです。それをひとつ述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/7
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008・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 ただいまお話がございましたように、わが国の六大港における港湾運送事業のあり方というものは、非常に不満足な点が多いわけでございまして、われわれといたしましてはこの三・三答申を受けて、まず第一に、昭和三十四年に改正されました港湾運送事業法による免許の切りかえというものを急速に完了いたしまして、法律に基づく基準の励行ということを監視すると同時に、荷役の機械化を進めていくということでございます。
なお先ほど申し上げましたように、波動性があるものをなるべく常用化を進めていくという見地からは、やはり集約化いたしまして企業の規模を大きくすることが必要でございますので、来年度の国会におきまして、港湾運送事業法を修正して基準を上げることによって事業を集約化するということが一つ。さらに近代的な埠頭の運営というものを通じまして、埠頭業というような形の集約、こういうものも立法化したいということで、現在その検討を進めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/8
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009・山田耻目
○山田(耻)委員 三十四年の港湾事業法の改正で、いわゆる免許の切りかえを措置をしてきた、では、今日免許を持たないもぐり業者というものはいないわけでございますね。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/9
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010・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 改正法律は昭和三十四年の改正でございますが、昭和三十七年、三年後に免許切りかえの申請のあったものにつきまして、これを法律の基準に従いまして、免許していったわけでございますが、現在までに八五%その切りかえが終わっております。残りの一五%につきましては極力指導をいたしまして、これを統合する等の手段によって資格に該当せしめると同時に、この三月以降においては三カ月の期間を置いてなお統合その他によって資格を得ないものについては却下をする、こういうことで進んでおるわけでございまして、現在は届け出によってやっておるものと免許によってやっておるものと、両方が併存しておる、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/10
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011・山田耻目
○山田(耻)委員 いわゆるもぐり業者というのがいろいろと港での労使問題の中に非常に好ましくない現象を生んでおるのでありますけれども、免許の業者と届け出の業者と併存させてやっておるということが、運輸省の監督行政の中で当を得たものでないという指摘は、前々から続けられておるわけなんですね。それがある意味ではもぐり業者というものをあなた方の運輸行政では温存させておるのだという指摘まで、これは過ぎた指摘かもしれませんけれども、されておるわけなんでございまして、厳重に取り締まるという施策は今日までにとられたというふうには見受けられないわけなんです。このことは、あなた方の港湾行政における怠慢だというふうに指摘をされる要素もあろうと思うのです。
二番目に、このことがいまの港湾労働法をつくり上げていく上に、かなりこれを弱める力になったり妨害する力になっておったということも、私は指摘ができると思うのです。
これらを総体的にいえば、運輸省の監督の中で一番大切な事業の近代化という方向の中で重要なかなめになっておる労働者のあり方、事業形態のあり方について、積極的に手を染めていくという努力が足らなかったのではないだろうかという気がしてならないわけです。これらについてあなた方は今日の段階でお考えになろうとしておるのか、港湾運送事業法の一部改正を次の国会に出したい、あるいは埠頭業の立法、これはよくわかりませんけれども、俗にいわれておる何々公団という性格を意味しておるのであろうか、よくわかりませんが、これもひとつ説明を願いたいと思うのでありますけれども、こういうものによって今日の港湾労働法の不備な点が充足されていくというお考えに立っておられるかどうか、それとも業者関係をこの法律によってもっともっと保護していこうとする立場にお立ちになっておるかどうか、重大な関連がございますので、ひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/11
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012・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 いま御指摘のございましたもぐり業者と称されるもの、その他中小の業者が非常に数が多い。これが港湾運送事業というものを弱体化しておることはいなめないと思います。したがいまして、答申におきましても事業の系列による集約化または一つの系列的な集約化というものを検討せいということがいわれておるわけでございまして、集約化を押し進めるということが労働者を確保しまたこれの労働条件を改善するためにはきわめて必要なことであると思いますので、そういう集約化ということを中心にしてこの問題を取り上げていくことが必要と思うわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました埠頭業というものもその一環でございまして、公団というものではございませんが、これは埠頭の運営を一人の人がやる、そういう意味におきまして、たとえばニューヨーク航路ならニューヨーク航路の船が埠頭に着く、したがってそれに載る貨物は全部そこに集める、かようにいたしますれば労働者の数もふやさなくてもいいし、また機械化も促進される、こういうような意味のものであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/12
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013・山田耻目
○山田(耻)委員 どうもあなたの答弁では私の問いに十分答えていただいていないと思うのでありますが、港湾労働法ができ上がったから、あるいはでき上がる可能性が非常に強いから、事業法の一部を改正したり、港湾のそうしたいろいろ特殊の問題を整理することによって、労働法と併存させなければならないというあなたの根拠は、事業を近代化するという目的達成のために行なわれようとする以外の気持ちというのが今日の労働法制化の過程の段階で懸念されておるので、そのことをお伺いしておるので、心配がなければ、ないとおっしゃっていただければ私はいいと思うのです。ただいろいろといままでの審議の過程で、現在の港湾運送法を改正しなくてもいい、この労働法制定によって、不備な点については政令等で補なっていけば足りるのだ、こういう議論があったように私は見受けるわけでありますけれども、その段階からもう一歩進めて、港湾事業法を改正しなければならないという立場にお立ちになったこの経緯との結びつきの中にも、私は不自然さがあるような気がしてならないわけです。この点について何度お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/13
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014・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 ことばが足りなかったかもしれませんが、三・三答申をいかにして具現するかということに端を発しておるわけでございまして、事業の近代化と港湾労働の近代化というものは併用していく、こういうことで、全く意見は一致しておるわけでございます。ただそこに至ります過程において、個々の問題がどのように考えられるかというような議論の中には、いま御指摘のような議論もあったかもしれませんけれども、われわれは当初から港湾運送事業法は改正すべきものである、かように考えておったわけでございます。したがいまして、あくまでもわれわれが労働省と協議いたしたことは、三・三答申を具現するために、労働行政と港湾運送事業行政とどのように調整さしていこうかということであったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/14
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015・山田耻目
○山田(耻)委員 いずれこまかい法案審議になりましたら、具体的な面から、またお伺いしなければならないのでありますけれども、一般的なこの部分に関する質問は、これで終わっておきたいと思うのです。私の問いに対しては、非常に不十分な回答だという気がしてなりません。これは具体的な面から、これから逐次明らかにしていきたいと思いますので、そのようにひとつ御理解いただきたいと思います。
労働大臣にお伺いするのでありますが、この労働法の制定も、三・三答申も、ILOの内陸運輸委員会で決議されております二十五号、このことと無関係で私は今日まで議論され、努力されてきたものではないと思っているのです。深い関係のもとに私はやられてきたと思うのでありますが、このILOの内陸運輸委員会の決定というのは、一つは共同雇用である登録制の問題、一つは収入の安定の問題、この二つが二本の柱になって、内陸運輸委員会の決議というものはされておるわけであります。ところがこの二本の柱というものが相互に密接な関連を持ちながら具現をされていくのは、労使双方の意見というものがみごとに調整される機関を必要とするわけであります。あるいは労、使、公の三者協議機関が必要である、これを労働力委員会という名称にいたしておるのでありますけれども、このつくられてまいりました労働法の中には、こういう労働法にふさわしい法体系、この部分を見つけ出すことができないわけでございます。労使の意見というものが、労働者の労働条件の策定にあたって反映させられるべき機関というものを存置してないということは、このILOの内陸委員会の二十五号の決議に違反するものではないだろうかという気がしてなりませんが、法を立法なさる立場がどのようにこの点を組み込まれてきたものか御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/15
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016・石田博英
○石田国務大臣 労、使、公益の意見の一致点を求めますために、中央には中央職業安定審議会、地方には地区職業安定審議会を三者構成で設けるようにいたしておりますし、また内閣には、港湾調整審議会を設け、この構成の中にもそういう精神を盛り込みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/16
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017・山田耻目
○山田(耻)委員 それでは総理府に設置されます港湾調整会議は、労働代表、経営者の代表、公益の代表という三者で構成されるというふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/17
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018・石田博英
○石田国務大臣 総理府のものは、原案では公益代表の学識経験者だけになっております。ただその中に、いま言われたような、労働代表あるいは経営代表というものを入れたいと思いまして、いまそういう面の折衝を行なっている途中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/18
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019・山田耻目
○山田(耻)委員 あなたの努力目標は私伺うことに別に不服はございませんが、いま私が伺っているのは、いま御提案になりました港湾労働法の中にいう、港湾調整審議会というものはどういう性格、どういう権限を持っているのか、まずその第一の構成である問題について、労、使、公三者構成でおやりになるのかという問いに対して、そうだとおっしゃいますから、そのように理解したのでありますが、努力目標であってはいけませんので、もう少し構成についてその性格、審議会の構成、こういうものについて、ひとつ局長からでもけっこうでございますから、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/19
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020・石田博英
○石田国務大臣 法律に出しておるのはおっしゃるとおりでございます。ただ、それでは不十分だと思うので、――努力目標ということは、これはやってみてだめな場合もあるということにもなりますが、御審議をいただいておる一方において、そういう構成の要素を含めたいものだと思って、いま鋭意努力中でございますが、こぎつけたいと思います。なお詳しいことは局長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/20
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021・有馬元治
○有馬政府委員 総理府設置法の改正によりまして、港湾調整審議会という審議機関を設置することになっております。これは性格は八条機関のいわゆる審議機関でございますが、構成は学識経験者をもって構成する。大臣が御説明いたしましたように、学識経験者の中で、経験者をできるだけ充当したいという気持ちで総理府のほうに人選をお願いしたいと思っております。
それから労働省の中央職業安定審議会、これは今度の港湾労働法の施行に関する重要部分については、必ずこの審議会の意見を聞くという手続をとりたいと思いますし、また六大港の関係府県におきましては、地区職業安定審議会を新たに設置いたしまして、この港湾労働法の施行について万全を期してまいりたい。もちろんこの中央職業安定審議会も、地区安定審議会も三者構成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/21
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022・山田耻目
○山田(耻)委員 もう一度くどいようですけれども、総理府に設置されます港湾調整審議会は、港湾問題全般について審議されるところでありますが、この審議会に対して、その構成は、もちろん公益といわれる人は学識経験者ということでありましょう。そこの中に経営者側を代表する人、労働者側を代表する人、こういう三者構成でおやりにならなければILOの内陸委員会できめておる労働力委員会に見合うべき機関がどこに一体存在するのか、私はこういう質問をしているわけであります。これに対して大臣は、労働力委員会に見合うように労使の代表が入れるように最大可能をやっていくというお話でございますので、そのように受け取ってまず前提はよろしいかどうが、まずそこからお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/22
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023・有馬元治
○有馬政府委員 内陸委員会の決議二十五号による労働力委員会のお話でございますが、これはこのたびの港湾労働法の審議機関といたしましては中央職業安定審議会と、それから関係の都道府県に設置されます地区職業安定審議会、これをもって審議機関といたしたいと思います。これはもちろん三者構成されておりますので、ILOの労働力委員会のいわゆる三者構成組織と大体一致するのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/23
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024・石田博英
○石田国務大臣 いまの有馬局長の答弁のほかに、総理府に設けられまするものについても、学識経験者、その経験者という解釈でありますが、経験者という解釈のしに労使――経営者と労働者の代表を入れられるように努力をいたしたいと思っております。ただILOの条約に見合う機関としては、いま局長の答えたとおりでありますが、しかし内閣に設けられる、港湾行政全体について設けられる調整会議におきましても経験者という解釈でそういう措置をとるよう努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/24
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025・山田耻目
○山田(耻)委員 大臣と局長のおっしゃっていることを二つ合わせて聞けば多少かっこうがつくのですけれども、やはり下部の労働者が一番心配をしておるのは、おれたちは、今度港湾労働法というものがつくられて、これによって保護されていく、長い間の暴力組織の中で苦しんでおった道がこれによって解消されていくのじゃないかというやはりほのかな期待を寄せていることは間違いありません。しかし看板はそうであるけれども、一体中身に偽りがあるのかないのかということに対する不安が、やはり消滅しておるというふうには考えられないわけなんですよ。まあこれはドライヤー委員長の残されていったことばじゃないけれども、政府、資本家と日本の労働者の人々の間には深い深い不信感がある。そういう気持ちがやはりここの中にもごまかしとして存在しておるようなことではいけませんので、やはり全国的なレベルにおける労使問題というものを、特に港湾に働く人々の労働の諸条件なり雇用の安定化というものを、整理をしてあげる機関というものが中央にになければいけないわけなんであります。地方には、確かに有馬さんのおっしゃっているように、地区職業安定審議会の中に労働代表を入れましょう、経営者代表もそこに入れてやりましょうとおっしゃっておられるけれども、もともと中央職業安定審議会と地区職業安定審議会が六大港に求めるこの法律的な結びつきというのは、本来ならば港湾労働法の中から生まれ出る機関じゃないと私は思う。この職業安定審議会というものは港湾労働法に定められた問題だけを審議する問題じゃないのでございますから、当然港湾労働法がつくられたたてまえからいきますならば、港湾労働者に関するこうした問題を、それのみを審議し、それのみを取りまとめていく、共通な全国的レベルをきめていく機関というものが当然なくちゃなりません。これが内陸運輸委員会の決議二十五号に基づいている労働力委員会をさしているわけでありますから、一体どこに結びつきがありますか。それは詭弁というものなんです。それじゃせっかく、画期的かどうかわかりませんけれども、おっしゃっているような港湾労働法というものが制定をされたその看板に偽りがあると労働者大衆が不信感を持ってもやむを得ないじゃありませんか。私はいろいろな内部の事情というものはわからぬことはございませんけれども、こういう法体系が生まれ出るときに、法体系の持つ精神というものを十二分の中に生かしておりませんと、いつの日、日の目を見ることができますか。私はやはり出発が大事だと思います。この出発の時期にあたって、私は一番その苦しみを承知なさっているのが労働大臣のあのことばだと思うのだが、何とか調整審議会の中に、学識経験者ということばを使っているが、あの中に労使の代表を入れるように考えてやりたい、こういう気持ちのほうが私は一番すなおで聞きがいがあると思う。しかしそれが、事情が詳しいだけに、何とかしなければかっこうがおかしいぞ、こういう気持ちがそこの中に一つの道を見つけ出されたのでありまして、この部分については、私は大臣ここでひとつ確約が願えるかどうか。私もりっぱな一つのすっきりした労働力委員会を設置してほしいのだけれども、当面この段階で中身を満たしていくために、この港湾調整審議会の中に、公、労、使三者構成によって全国的レベルの港湾の諸問題について審議をし、取りまとめていくのだ、こういうふうにこの調整審議会の性格を規制づけることをあなたも同意いただけるかどうか、このことについてひとつ御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/25
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026・石田博英
○石田国務大臣 私の考え方はお察しいただいているとおりなんです。そのために最善の努力をするつもりでおりますが、その努力をするということは、やってみてできなかったらしかたがないといってあやまるという意味の努力ではありません。実現を目ざして全力をあげます。ただ、任命権は御承知のごとく総理府にあることでありますので、私が約束する立場ではないのでありますけれども、私は全力をあげてその実現を目ざすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/26
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027・山田耻目
○山田(耻)委員 きょうは総理府お見えになっていないかと思いますが、せっかくこの港湾労働法という法体系が生まれ出るという時期にあたって、この種の問題が一つの努力目標であるということで置きかえられたのでは、これは私はやはり提案をなさる政府の側としては不十分だと思うのです。少なくともこの点については、労働大臣はこういう答弁をなさる、任命権を持つ総理府は何を言うかわからぬ、こういうことでは、私はこの法案審議にあたって質問する私自身の中にいろいろな懸念が生まれてくるのです。だからこの問題につきましては、私はやはり労働大臣の御答弁いただきました方向というものが政府内部で統一をされるべきものであろうと思う。この点について、次の委員会までに整理をいただきまして、統一された政府の見解というものをお示しいただかなければ、私はやはり懸念を打ち消すわけにはまいりません。この点について、ひとつこの件はげたを預かっていただきたいと思います。
それからひとつここで、これは運輸大臣、港湾局長お見えになっておりますので、お伺いしておきたいと思うのでありますが、日本の港湾行政というものが欧米諸国と比べますと非常に立ちおくれているわけでございますね。しかも日本は世界有数の海運国でございます。その世界有数の海運国でありながら、労働行政を含めた港湾行政というものは非常に立ちおくれを来たしておる。この中でいろいろと暴力犯罪等が発生をするまだまだ多くの弱点を露呈しておるのでありますが、特に監督官庁であるあなた方あるいは経営者の気持ちの中には、こうした港の幾つかの特殊事情というのは労働省がストライキなどを行なって大切な陸と陸の連結点である海の荷役について騒動を起こすことに、今日の取り締まりの強化が必要であったり、港湾行政の中でゆるめることのできない部分があるのだというふうな印象を長く与えてきたと思うのであります。その意味で、一九六二年の九月にイギリスで幾つかの問題を並べて議会で報告書をもとに討議をいたしております。もちろん関係の深い港湾行政を担当なさっている港湾局長はこうした進んでおる国々の港湾行政のあり方について御研究なさっておると思うのでありますが、御存じであればひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/27
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028・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 わが国の港湾行政全般がおくれておる、こういうことでございますが、港湾法ができましたのが昭和二十五年、戦後でございます。それまで港湾の管理というものについては地方公共団体が国の出先機関としてやっておったわけでございまして、六大港のうちでも横浜、神戸それから関門というものは国営港ということになっておったわけでございます。それが昭和二十五年にできました港湾法によりまして地方自治に移った、こういうようなことから、港の明治以来の発生過程がやはり欧米に対しておくれておったということはいなみ得ないわけでございまして、その後十五年でございますか、地方自治の精神に徹して港湾管理者もいろいろと施策をやってまいっているのが実情でございます。
なお、いまお話しになりました一九六二年にイギリスの国会で議論の対象になったというのはロッチデール報告書ではないかと思っております。ロッチデール報告書というのは、やはりイギリスの今後の港湾をどうするかという問題を、委員会をつくりまして、そこでロッチデール子爵が委員長になってまとめたものでございまして、内容その他については私ども詳しくは知りませんが、港湾施設をどのように開発するかということ、また港湾の労働者の需給をどのように調整していくかということが主眼であったと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/28
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029・山田耻目
○山田(耻)委員 ロッチデール委員会で終わりのほうにいわれていることだけを申されておられるわけでありますが、ロッチデール委員会で一番かなめとして申しておりますのは、港湾における労使の問題で起こってくる幾つかの紛争、ストライキというものは世界の共通的性格を持っておる、しかもその中で、一方的にその行為を労働者に帰せしめる判断というものがあるけれども、これは間違いである、特に港湾労働の場合は、その施設の不完全利用等をはじめとして、経営者が負うべき責任がきわめて多いという前提を明らかにしておるのであります。このことは、特に港湾の近代的、民主的管理方式の中にかなめとして採択されるべきものであろう。この精神をあなたが十分御理解なさらぬで、いま御答弁になっておるようなことだけを頭の中に描いておられるから、日本の港湾行政というものが今日の域を脱し切れない状態にあるというのは私は間違いないと思う。だから、あなた方のお気持ちの中に、特に港湾労働者の非常に不幸な実態というものに目をまっすぐに向けて、その中で行なっておる事業家、管理者というものが果たさなければならない多くの責任に対して、きびしい監督的立場の発動というものがなされないと、こうした問題は正常な姿となって実現することは私はむずかしいと思っている。それだけに、特にいまの港湾における幾つかの争議は、労働者が悪いという経営者並びに監督官庁の見方を改めていただくということで、特にあなたに意見を聞いておるわけでございまして、港湾に発生する幾つかのこうした問題は、その責任のほとんどが事業家にある、あなた方監督行政の立場にある人にあるのだという立場を、このロッチデール委員会の結論と並べて肯定できるかどうかということを伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/29
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030・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 イギリス、日本、おのおの歴史的な発展のしかたも、現状における制度その他も違うわけでございますが、日本におきましても、港湾労働の問題というものが、港湾全体の運営の中においておくれておるということはいなみ得ないわけでございまして、それに対する対策として三・三答申というものができておるわけでございます。したがいまして、これはまだ事業も近代化されていない、また労働行政も近代化されていない、この両者がこのようなことをもたらしているわけでございまして、それを両々相待って合理化し、近代化していこうというのが、一方においては港湾労働法の提案でございますし、われわれが運送事業法の改正を通じて事業の合理化をほかっていこうという精神であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/30
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031・山田耻目
○山田(耻)委員 もう一歩進めまして、日本の港湾労働法とからめて御答弁いただきたいのでありますが、このロッチデールの第二項の結論は、労使のこの種の問題については合同会議をつくって、全国レベルの問題についてはここで決定をする、そうして全国の港湾労働者に適用していくという会議構成が明らかに示されております。港湾労働法を審議するに必要な、いまの私と労働大臣のやりとりの中の、総理府に設置される調整審議会、この構成とかなり比重に違いはございます。ILOの内陸運輸委員会の決議二十五号のいう、労働力委員会を設置して、労使問題については労働条件等、全国レベルの決定をしなさい、この決議とも、この調整審議会の資格、権限はウエートは違います。しかし、労働大臣のおっしゃっているような、不十分であっても三者構成を実現をして、そこで港湾労働者の労働条件等、安定の諸条件を協議をしてきめて、下部の指導の骨組みにしていくという考え方について、ILOの立場から、世界の海運国のとられておる立場から並べてみて、あなたの考えはいかがでございましょう。運輸省として、調整審議会に対する三者構成については、どのようにお考えになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/31
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032・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 ロッチデール報告にいろいろなことが盛られているわけでございますが、これにつきまして、まだそのおのおのがすべて実施に移っているというようには聞いておりませんが、わが国におきましては、やはり内閣に設けられました港湾労働等政策審議会が出されました昨年三月一日の答申というものが、われわれの努力目標ではないかと思っているわけでございます。いまここで問題になっております港湾調整審議会というものは、この答申の中に、港湾調整会議という名前で載っているものの一部が、そういう形で出ているものだと思います。私どもの立場といたしましては、やはり港湾それ自体が合理的に運営されるということが労働者の福祉にもつながるし、企業の安定にもつながる、かような見解から、広く事業者、それから労働者、さらには利用者の意見も反映できるようなものでありたい、かようなことで労働省のほうにはそのようなことをお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/32
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033・山田耻目
○山田(耻)委員 どうも私が伺っているのにずばり答えていただけないのは残念でございますが、調整審議会を合理的に運営をしたい、この合理的に運営をするということばは、私はよくわかるのです。合理的な運営の中身は何なのか、それを私は、三者構成で十分意向を反映させて取りきめていくのだということになるのかと聞いておるのです。あなたの意見はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/33
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034・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 先ほど来申しております答申の中には、もっと広範囲なことが、この審議会なり委員会の任務としてあるわけでございまして、私はいまお尋ねになりましたことだけではないと思いますので、さらにこの問題はわれわれが研究して、答申の趣旨を実現するようにしなければならぬと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/34
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035・山田耻目
○山田(耻)委員 調整審議会の仕事も、それは私が聞いておることだけ、ではないのですよ。そしていろいろと三・三答申の中身を具体的に生かすためにはどういう形をつくり上げていくかということについても、それは見方によっては意見の違いがあるかもしれません。私がここで端的にお伺いしておりますのは、ILOの内陸運輸委員会の決議二十五号の問題、あるいは単独立法として生まれてくる港湾労働法が多くの封建的残滓を内蔵しておるこの実情の中で、港における労働者の雇用の安定なり、労働条件の安定をつくり上げていくためには、中央のレベルにおいて、労使の意見が、人を置いてでなくて、まっすぐに開陳でき、議論でき、取りまとめられていくという機関の設置がなければいけない。これが法の精神を忠実に具現をしていく具体的な施策であろう、こういう立場から、必ずしもストレートで私はこの調整会議という名称が適当かどうかわかりませんけれども、用意されているこの会議にそういう三者構成を行なうことが、全体の問題を集約をしていくのにきわめて適切ではないかという意味で聞いておるのでございますから、その部分について御答弁をいただければ私はいいと思うのです。その構成についていかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/35
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036・有馬元治
○有馬政府委員 先ほどから、内陸運輸労働委員会の決議にうたわれております労働力委員会と、今回の港湾労働法に盛られた審議機関との関係について、いろいろ御質問がございましたけれども、私ども今回の港湾労働対策といたしまして考えております。総理府に設置されます港湾調整審議会、これは労働関係のみならず事業面の総合調整も行なうわけでございます。これはもちろん三・三答申にうたわれました中央港湾調整会議がそういう名前に改まったわけでございますが、性格的にはこの審議会と答申の会議とは異なっていないのでございます。この下部機構につきまして、答申は地方港湾調整会議というふうにうたっておりますが、これを私どもの港湾労働法によりまして地区職業安定審議会という名称で関係の都道府県に設置する、あわせて労働省に置かれております中央職業安定審議会で港湾労働法の施行に関する重要事項を審議する、こういうことで中央職業安定審議会を活用する、この三者がいわゆる労働力委員会の持っておる機能をそれぞれ分担するというふうに私どもは考えておるわけでございます。もちろん職業安定審議会の系統は初めから三者構成でございます。中央職業安定審議会には、港湾労働法を審議させるために、特に港湾労働部会というものを設置いたしたいと思っております。また総理府に置きます調整審議会、このメンバーは、先ほど大臣が申し上げましたように、学識経験者からなるということでございますけれども、そのほかに専門委員を二十名ほど設置する予定にしておりますので、この専門委員には労使の関係者が入ってくる、こういうことで労使の見解というものは専門調査委員の形で反映される、それが港湾調整審議会に直接反映される、こういうふうな仕組みをとっておりますので、労働力委員会の三者構成の構想に大体準じた構成をとっていける、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/36
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037・山田耻目
○山田(耻)委員 お聞きしていることについて、大体私も理解できるのでありますが、特にさっき大臣の申されております努力目標というものをめぐる運輸省の側の回答と何かストレートでないために、どうも私しっくりこないのですけれども、きょうは運輸大臣がいないですから、いずれ十分政府内部で調整をいただきまして、次の委員会でひとつ御回答をいただきたい。
それから、大臣お急ぎでございますので、一つだけお伺いしておきたいのですが、この法律の施行は二年後ということになっておりますね。この種の法律制定でそれだけの準備期間を考えるということはいけないのではないか。しかも現実がきわめて逼迫した事情の中にあるのですから、すみやかに実施ということをおとりにならずに、半年とか八カ月とか一年とかという期限ならば、私は常識としてまあわかるのですけれども、一年間という期限をおつけになったのは一体何だろうか、きわめてふまじめではないか、それほど逼迫感をお感じになっておられないのだろうか、こういう気持ちが強くするわけであります。この点についてひとつお考えを述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/37
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038・石田博英
○石田国務大臣 前段の問題は政府部内の意見の統一をいたしまして、お答えをさらにいたすつもりでおりますが、私はやはり審議会の中にどういう人選をし、どういう形にするということは、これは別といたしまして、やはり労働側の意見を代表し得られる、経営側の意見を代表し得られる方を入れることを考えておるということを重ねて申し上げておきたいと思います。
それから施行期日の二年以内ということになっておる点については、これは私も必ずしも満足をいたしておるわけではございません。率直に申し上げます。現在港湾労働者の実情はしばしば御指摘になるように、またわれわれが認識しているところのとおりです。一般の他の労働に比べて常用雇用率が非常に低い。それから災害度が高い。さらにまた、住宅、福祉施設、そういうものが非常に乏しい。その上に、雇用の仕組み、あるいは労務管理の仕組みの中にいろいろ問題の点を含んでおる。そういうことがそれ自体労働者保護という立場から、すみやかに改善しなければならぬことは言うまでもないことでありますが、同時に産業界に貢献をするという立場から言いましても、そういうことが原因となって、現在労働力の充足率というものが非常に低い。そういう意味で、でき得る限りこれはすみやかに、全面的に実施すべきものだと私も考えております。ただ先ほどから申しましたように、他の行政あるいはそのほかの準備、それと並行していかなければならない面がある、これは私もわからぬわけではございませんので、そういう部面については、その準備を促進していただくことを条件といたしまして、不満ではありますけれども、ああいう政府で政府部内の意見の統一をはかったわけであります。ただし全面的に二年以内という意味ではないのでありまして、その中で相当部門については、直ちに実行し得られるものもございます。予算に計上してあります部分のうち、今度八割以上は四十年度内に確実に実施し得られるもの、その以外のものについてもすみやかに実施させたいと思っております。二年以内となっておりますが、努力をいたしまして、でき得る限り早く実施をするようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/38
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039・山田耻目
○山田(耻)委員 これは有馬さんに引き続いて御答弁いただかなければいかぬと思うのですが、いまの大臣の見解というのは、担当局長であるあなたにもまっすぐに伝わっておることであろうし、理解いただけるものだと私は思いますから、あなたに、かわってこれから答弁をいただくわけでありますが、二年以内というのは、半年でやってもいいことなんですよ、以内ですから。いまの大臣の答弁の中には、一年以内に八割程度はできるという言い方もされておるわけであります。一年以内に八割程度できるというものは、一体何と何がどうできるのか。二割の残りのものは一体何と何で、何のためにこれは残るのか。こういうことについてひとつ明らかにしていただかないと、法案審議上非常に困るわけであります。ですから、少なくともこの法案を提出されて、行政官庁として、運輸省もあるわけでございますから、一体どのように法案の完全施行というものを行なうのだという手順は、私はできあがっておるものだと思います。特に、いまの一年以内に八割はやりたい、二割は残していくというが、それはどのようにしてやっていく、こういうことについて、ひとつ労働省側から答弁をいただき、そうしてあわせて港湾局長のほうからも答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/39
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040・有馬元治
○有馬政府委員 このたびの港湾労働法案の附則におきまして、二年以内に逐次実施するということに相なりました経緯と考え方につきましては、大臣から答弁があったとおりでございますが、これによりまして法律が公布されまして、直ちに施行になる部会は総則の部分、これは適用対象港湾の決定、一応六大港を予定しておりますが、これがすぐ発動してまいります。それから次に、雇用調整計画に関する部分、さらに港湾労働者の福祉に関する条項、それから地区職業安定審議会等に関する条項、こういうものは公布と同時に実施をいたす予定でございます。また二年の準備期間を置いて、やや施行がおくれてまいります部分は、登録制度、それからこれに基づく雇用調整手当の支給、手当に必要な事業主あるいは労働者が負担する納付金の条項、あるいは中小企業の退職金共済制度の適用に関する部分、こういったものが施行に相当の準備期間を要する、こういう条項でございます。
先ほど来年度の四十年度予算の執行につきまして、八割程度はすぐに執行する、こういう大臣のお話でございましたが、この内訳を申しますと、港湾労働対策の予算の総額といたしまして、十億四千八百万円を予定しております。そのおもなものは、第一には、港湾労働者の福祉施設の充実のために福祉センター、あるいは簡易宿泊所、あるいは訓練施設、こういった施設を設置するわけでございますが、これに要する経費が三億一千七百万円、それから港湾労働者の雇用の促進のために促進融資を予定しておりますが、これが五億円、それから安定審議会の活動に必要な経費、これは微々たるものですが、六十四万円等がございます。この合計が八億一千八百万円に相なるわけでございます。これらの予算は、すぐ執行いたしたいと思います。ただ実施がおくれるために、あるいは次年度に繰り越されるものが雇用調整手当の国庫負担分に相当する約二億一千万円、それから登録、紹介等に要する事務経費の千六百万円、それから共済制度の運営に必要な経費の四百万円、合計二億三千万円程度が、あるいは法律の施行の時期によっては執行がおくれる、こういうことでございます。ただ、この雇用調整手当の支給に要する費用は、交付金として事業団に交付する仕組みになっておりますので、かりに調整手当の支給に関する部分の施行がおくれたといたしましても、予算としては事業団に交付をいたしまして、事業団において年度をあるいは繰り越すというふうな事態が起こり得るものでございます。そういう意味で予算の執行につきましても、約八割は法律の成立後、施行と同時に執行する、こういうことに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/40
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041・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 ただいま労働省のほうからお話がございましたように、労働者の登録制度の確立や定数のきめ方その他というものが、先ほど来お話がございました港湾調整審議会においてその意見を聞くことになっておりますので、そういうようなことを積み重ねていくうちに時間がかかるということで二年以内ということになっているのだと思います。したがいまして、私どもといたしましては、四十年度内に次のようなスケジュールでやっていきたいと考えているわけでございます。
第一は、全国で港湾運送事業の店社の数が千八百以上でございまして、そのうち六大港におきましては千百社をこえるわけであります。したがいまして、これらの業界というものが一本になって、みずからが合理化をはかるという案をつくっていただきたい。それと相談してわれわれもそういう指導行政をやっていきたいということから、日本港運協会というものを六月までには公益法人化して、一つの団体でそういう問題をやっていただくようにしたいというのが一つでございます。
次は、先ほどお話しいたしました港湾運送事業法の改正に基づく免許の切りかえというものを、六月までに終わりたい。
もう一つは、機械化というものを進めることが非常に必要でございますので、特定船舶整備公団との共有方式によって荷役の機械化をはかっております。それは三十九年度においては一億円の融資をいたしたわけでございますが、四十年度においてはその倍額の二億円でこの機械化を促進したいと思っております。
四番目は、中小企業近代化資金助成法によりまして融資を促進して企業の健全化をはかりたいということと、さらに合併等をしやすくするために、中小企業近代化促進法の対象事業にも港湾運送事業をしたいということで、これは通産省と現在協議中でございます。また料金のきめ方というものが常用化を進め、合理化をするために必要でございますので、料金の原価計算をどのように合理化していこうかということを検討したいと思っております。
さらに先ほど申し上げましたように、次期国会提出を目途にいたしまして事業規模を拡大して一貫体制を強化するということを貫くための港湾運送事業の一部改正を検討する。さらに先ほど申しましたような近代的な埠頭業の確立、その法的措置及び助成についても検討をしていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/41
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042・山田耻目
○山田(耻)委員 八割は直ちに手をつけるというのでたいへん期待をしておったのでありますけれども、残った二割のほうがたいへん大切でございますね。この残った二割のほうを労働者というものは非常に重要視しておりますし、私たちもこの法案審議をするにあたってやはり重要視いたします。問題は、この中にある登録制の具体的な実施というのがある意味では港における港湾労務者の安定を形づくるものでありますから、こうしたものが取り残されていくということは、ある意味ではこの労働法をつくった根本の趣旨の実現が非常におくらされている。二番目には出頭手当といいますか調整手当といいますか、あぶれたときの手当というものについて、やはり一番この法のかなめとして指摘をされていることでありますし、特に内陸委員会の二本の柱のこの二本の柱とも残されておるわけなんです。こういうことはいまあなた方のおっしゃった説明の中では私は納得できませんよ。前段の総則の問題とか調整計画の問題とか福祉の問題とか地区協議会とかいうような問題は、こういう意味では手続的な問題ですからね。私はやはりこの法案の持っておる根本の精神というものをこのように放置されておるというところに多くの不信感があるのですよ。だから、私がそういうことをここで大きい声で言わなくても、手を染めておられるあなた方自身がお感じになっておることだと私は思っておる。だからこの部分について二年以内という抽象的なことでなくて、もっと具体的に実施面に対する御計画があるものだと私は思っておるので、その部分についてひとつ述べていただきませんと質問を打ち切るわけにいかないのでございますけれども、その点についてひとつ触れていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/42
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043・有馬元治
○有馬政府委員 二年以内ということで、ぎりぎり延ばすつもりは毛頭ございませんので、その間に準備ができ次第できるだけ早くいまの登録制度あるいは調整手当の支給という事務を開始してまいりたいと思います。
〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
これに至る準備の問題といたしましては、この七月ごろまでに審議会関係の設置をいたしまして、その審議会に雇用調整計画をはかる、あるいは適用港湾を決定するというふうな基本的な問題がございまして、これらの作業を通じて登録の準備体制をわれわれとしては鋭意急いで整備いたしてまいりたいと思っておるわけでございます。これらの調整計画がきまりますと、それに基づいて港湾ごとの必要定数が策定されますので、登録の準備体制が整えられるわけでございますが、これらに若干の日時は要すると思いますが、法案成立の暁にはできるだけ早い時期に御指摘のような一番この法案の大年な中身について早急に実施をはかっていくように最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/43
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044・山田耻目
○山田(耻)委員 できるだけ急いで二年以内にやりたい、こういう答弁だと思うのですが、これではいけないと私は言うのですよ。私は鉄道に長いこといたのでよくわかりますけれども、頭とうしろの両方に機関車がついておって、両方が反対の方向に引っぱりあっておれば、なかなか汽車は進みません。やはり二年以内の中で実施をされるということになりますと、いまあなたのおっしゃっておるような抽象的なことでなくて、登録制の一切の準備が完了するのはいつごろ、そうしてそれによって直ちに支給されていく調整手当の時期はいつ、こういう目安を置かれて作業が進められていませんと、懸念される頭としっぽの機関車の役割りがだんだんひどくなっていくのではないかということが気になってなりませんから、私が持っておるだけの懸念かもしれませんけれども、私が聞いておるのですから私の懸念を晴らしてもらわなければ困ります。そのことについてひとつ触れていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/44
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045・有馬元治
○有馬政府委員 御指摘がございましたように、頭としっぽに機関車がついて逆の方向に引っぱり合っているようなお話でございますが、私どもは逆の方向に引っぱられているとは思っていないので、うしろの機関車も前進させるようにあと押しをしてくださっておるものというふうに理解をいたしております。したがいまして、二年以内という施行期間をきめた際にも、できるだけ早くという点においては運輸省と食い違いはないわけでございます。かりにこの法案が五月に成立いたしまして施行になりましたといたしました場合に、各種の審議会の設置が夏ごろにできると思います。それに伴って調整計画以下の準備事務が開始されます。私どもの大ざっぱな目安といたしましては、やはり来年の七月あるいは下半期の十月ごろからというような目安で、できるだけ早い機会に、二年ぎりぎりを待たずに実行に移していきたい、かように考えておるわけでございますが、何せいままでの複雑な港湾労働のいろいろな慣行を、この港湾労働法によって打破していかなければならない面もございますし、それから事業主には相当の納付金を負担していただくという関係もございます。それから手当については、いままでの社会保障としての日雇い失業保険の事務以上に、いろいろと新しい事務がふえてまいりますので、この支給事務の準備体制も整えなければなりませんし、そういった多少言うわけになるかもわかりませんが、事務的な準備にも相当の時日を要する、かように考えておりますので、私どもとしてはいつからということをはっきり申しかねるわけでございますけれども、来年の七月ないし下半期の始まる十月ごろからは施行にこぎつけたい、かような念願で準備を急いでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/45
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046・山田耻目
○山田(耻)委員 大体努力目標の時期が浮き彫りになってきたのですが、この港湾労働法を閣議で提出することをおきめになったのが二月の十日ごろでございましたね。そのときの閣議で、やはり同様のことが議論されたのじゃないかと私、仄聞するのですが、大臣がいらっしゃらないのでお聞きできないのでありますが、いずれにいたしましても、事業法の問題、埠頭業の確立の問題等が、片側で押しているのか引っぱっているのかわかりませんけれども、一つの関連がございますし、そういう面から考えてまいりますと、来年の通常国会が終わるのは六月前後でしょうけれども、そのころを目安にこの労働法の完全施行ということが可能なのではないかということは、かなりそれぞれのところで話し合いがされているのではないかとこれは私流に理解するのでありますが、いまの有馬さんのお話の中に、やっぱり六、七月ごろが一つの目安になっている、おそくとも下半期の十月ということでありますが、今日、この法律がおれたちのためになる法律であるという気持ちと、何となく看板だけでごまかされていくのじゃないかという不信感の気持ちとが錯綜しているみじめな港湾労働者に対して、一刻も早くこたえてやるのが行政上のあなた方の立場だろうと思うし、この法律を審議する私たちの立場でもなくちゃならぬと思うのです。その意味から、これから法案の具体的な内容を審議していく中で、初めて実施の期限が浮き彫りになっていくのだと思いますけれども、きょうの総括的な立場からお伺いする段階では、いまの有馬さんのお気持ちの中に、おそくとも来年の通常国会が終了する時期までには、すべてこの法案を実施していくのだというふうな決意で、いま作業が進められておるというふうに理解をしてよろしいかどうか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/46
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047・有馬元治
○有馬政府委員 先ほど申しましたような考え方で実施を急いでおりますが、その考え方は先生にも御指摘いただきましたように、運輸省当局においても先ほど答弁がありましたように、港湾運送事業の近代化について検討をいたしておりますし、それからまた再来年度予算にさらに一段と各種の施策が織り込まれるでありましょうし、そもそも私どもが当初の一年というのを二年に改めたゆえんのものは、やはり港湾運送事業の近代化という問題とあわせて、港湾労働の近代化を考えなければいかぬ、こういうふうな、これは答申の趣旨でもございましたので、そういう調整をいたしまして施行に若干の準備期間を置いたわけでございます。私どもとしましてはそういった立法措置あるいは予算措置というものを見ながら、できるだけ早い機会に施行に踏み切りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/47
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048・山田耻目
○山田(耻)委員 事業法が一部改正されて、より近代的性格を持つものか、より港湾労働者をいじめる体制を強化するものか、これは改正法案が出てみなければわかりませんけれども、いずれにしても双頭の何とかになるような懸念がしてなりませんが、そのことについての追及をいま私はいたしておるのではありませんで、せっかく一年以内のお考えというものが二年に延びてしまったというこの事実の中における不明朗さ、意図的なもの、こういうものに対してはやはり一つの指摘をしたいわけであります。ただ、あなたなり労働大臣の御意向の中には、できるだけ早く今日の事態に対する具体的な措置を行なわなくてはならぬというお気持ちが、非常に強いということを私は認めることにやぶさかではありません。ただ、そういう抽象的な気持ちのやりとりだけでは、この種の法案審議というものに誠意を出して議論をする情熱を失いますので、やはり為政者であるべきあなた方のお立場としては、努力目標である目安というものをおつけになって、作業が進められていかなくてはならないと思うのです。その目安というものを、二月十日のあの閣議の議論の中でどう言われたか、大臣がいらっしゃらないので私はわかりませんけれども、あなたのいまお話しになりました、おおむね六、七月ごろを目安に実現のために最大の準備を進めていく、こういうふうに本日の段階では受け取って、この部分の質問を終わっておきたいと思います。
次に、時間もございませんが、もう一点だけ伺っておきたいのは、いわゆるこの法案の適用港でございます。適用港につきまして六大港というふうに一応の幅が示されておるのでございますが、六大港というところに一応の幅をしぼった理由は一体何だろうか。これ以上その幅を広めていくということについて、大臣の法案の趣旨説明のときには、漸次全港に適用していくのだというふうに述べられておるように理解しておるのでありますが、一体そういう六大港にしぼった幅、その理由、それから将来に向けていく適用拡大の速度、こういうものについてひとつ御答弁を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/48
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049・有馬元治
○有馬政府委員 今回の港湾労働法の適用対象港湾につきまして、いろいろ検討をいたしておりますが、貿易の面から見ましても、また労働の重要性から見ましても、やはりいわゆる六大港にまず適用をいたしまして、逐次その実績を見ながらほかの港湾に適用を拡大していく、こういうふうな基本方針でまいりたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/49
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050・山田耻目
○山田(耻)委員 この適用港湾というのは調整審議会で相談をして政令できめていくわけでありますが、当面全部で九十二でございますか、これらについて広げていく具体的な展望とか計画――やってみた結果を見てそれから考えるということでたくて、この港湾労働法というものは港湾に従事するすべての労働者に適用していくというたてまえが立法趣旨だと私は理解しておるので、当面六大港だけやってみてその結果をというほど確信のない法案ではないと私は思う。確信のある法案でございましょうから、当面六大港にだけやってみるということは、その中で他の九十二港に向かってどういう時限で、どういう計画で押し広げていくかということについて、少なくとも関係各省では私は討議がなされ、展望が形づくられているものだというふうに理解するのでありますが、いかがでありましょう。
二番目に六大港には、付随をして隣接港がございます。このことを無視して雇用調整をやってまいりますと、ある意味ではそごが起こると私は見ております。さしむき関連する隣接港については一体どうするのか。この部分についても私は何らかのお考えがなくちゃならぬものだと思うのです。これらについて二点御質問しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/50
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051・有馬元治
○有馬政府委員 御指摘のように、いわゆる重要港湾というのが九十二港ございます。今回の港湾労働法の目的等から見まして、これら九十二港の重要港湾に全部一律に適用を広げるという必要は必ずしもないと思います。それは第一条の目的にもうたってありますとおり、港湾労働力の確保、港湾労働者の福祉の向上、こういった目的に照らしましても、九十二港全部に広げる必要はないと思います。また、日雇港湾労働者に対する依存度からいいましても、各港いろいろ事情が異なっておりますので、それら港ごとの労働事情も十分考慮して適用範囲を拡大していくべきではないか、現に諸外国の事例を見ましても、ニューヨークあるいはハンブルグというふうに特定の港湾について集中的に労働対策を講じておるというのが実情でございまして、私どももそういう意味で重要港湾全部に拡大をするというふうには考えておらないのでございますが、逐次広げてまいりたいということは先ほど御説明申し上げたとおりでございます。ただ、六大港に隣接をいたしまする四日市あるいは尼崎というふうないわゆる隣接港湾がございますが、これらにつきましては、この適用港湾を審議いたします場合に、港湾調整審議会等の意見も十分考慮いたしましてその隣接港湾を含めるかどうか真剣に検討をして結論を出したい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/51
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052・山田耻目
○山田(耻)委員 大体港湾労働法案を御提案なさいました政府のお考えの輪郭はおぼろげながらわかったような気がいたします。きょうは時間も予定の時間になりましたのでこれで終わりますが、特に委員長のほうで御配慮いただきたいのは、さっき労働大臣とお約束いたしました調整審議会の三者構成に対する政府部内の意見統一という問題、それから、私はきょうはほとんど前文となるべき部分についてしか質問をやっておりません、これから各論につきまして審議を深めていく中で問題を浮き彫りにし、矛盾は矛盾として、りっぱなものにしていかなければならないと思いますので、きょうはこの段階で発言を終わりまして、次の段階では十分中身について審議をしていきたいという希望を強く述べておきまして、これで一応終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/52
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053・小沢辰男
○小沢(辰)委員長代理 午後零時三十分まで休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
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午後零時四十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/53
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054・松澤雄藏
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/54
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055・河野正
○河野(正)委員 当委員会で今日までも何回か会を重ねて政府関係機関の労使関係についていろいろと論議を続けてまいったわけでございます。しかし、実際には政府関係機関の労使関係というものは依然として不安定な状態にあるし、また一部におきましてはこの不安定の度合いというものはますます深刻性を加えつつあるというのが今日の現況でございます。そこで、私どもも再三にわたってこの委員会におきましてもそれぞれ関係各省の大臣さらには政府委員に対しましても強く要望申し上げまするとともに、善処を期待いたしてまいったのでございます。しかし、いま私が指摘をいたしまするように、その労使関係というものは必ずしも改善の方向には進みつつないというのが今日の実情でございます。
そこで、私はあらためて政府関係機関の労使関係というものは不安定な状態に置かれ、さらに深刻な状態にだんだんと追い込まれておる、そういう原因が一体どこにあるのか、この点について、きょうは特に建設関係、厚生関係等についてもそれぞれお尋ねを申し上げたいということで御出席を願っておりますから、それぞれ政府関係機関を持っておられまする厚生大臣、建設大臣、それから労働行政の最高の責任者でございまする労働省、それぞれひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/55
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056・神田博
○神田国務大臣 お答え申し上げます。
いま、基金関係は非常に不安定じゃないかという趣旨のお尋ねのように承りましたのでございますが、私どもはそういうようには考えておらないわけでございます。賃金水準がどうかとかと、もっとよくしてやれ、そのために不安定だというような、こういうような意味でございますかどうか、その点具体的にわからぬものでございますから、抽象的に申し上げますと、現状ではまあまあである、こういうようにお答え申し上げるのが妥当じゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/56
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057・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 ただいま建設関係の公団の労使関係が不安定であるというふうなお話がございましたが、具体的に不安定ということが何を意味されておるかよくわかりませんが、われわれとしましては建設関係の公団における労使関係は不安定であるというふうには認識いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/57
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058・三治重信
○三治政府委員 政府関係機関のいわゆる労働組合の関係は政労協ということで連合組織を持っておられ、今日三十九年度の給与、新賃金をきめる点についてまあ大体最終段階を迎えていると思いますが、なかなかその間にいろいろ組合側にも不満があるようでございますけれども、いつも大臣が申し上げておりますように、この政府関係機関については労働三法が完全適用になっておりますが、一方やはり政府から出資金あるいは事業経費、事務費というものが出されておる関係上、法律に基づく予算上あるいはいろいろの認可というふうな手続関係で縛られております。そういうような関係で必ずしも完全な、民間の労使関係のようにはいきませんけれども、これは労使関係そのものではなくして、むしろ国の制度としての法関係からそういうふうな一面の制約があるわけでございます。これを組合の関係の人たちもよく認識して、その上で労使関係が正常化に向かって努力されることを望んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/58
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059・河野正
○河野(正)委員 さすが労働省ですから、まあやや合理的なお答えをいただいたわけですけれども、厚生大臣と建設省の官房長においては、全くその認識不足もはなはだしい答弁で、私どもは遺憾とするところでございます。
と申し上げますのは、一つは、厚生大臣が支払い基金の賃金問題等についてはまあまあだとおっしゃった。これは後ほど私は具体的に資料を示して反論いたしますので、その際に厚生大臣も陳謝されなければならぬような状態が生まれてくると思います。やはり私は、厚生大臣も、少なくとも国会で御答弁なさる以上は、もう少し実態というものについて十分認識を得てお答えをいただきたいと思うのです。うしろの小山君がどういうふうな入れ知恵をしたか知りませんけれども、いまのようなお答えでは、これは全く承知することはできません。いずれこれはあらためて具体的な資料を示してお尋ねしますから、その際に私は事態というものは明らかになってくる、こういうふうに考えます。
それから、建設省の官房長が、いまの事態というものは不安定とは決して認識しておらぬと言った。そういうことなら、ストライキをやっておる現況というものが、これは労使慣行の正常の状態だ、もしそういう認識でおられるとするなら、私はこれは非常に重大なことだと思うのです。私は必ずしも実力行使というものが好ましい現象というふうには考えたいし、また私ども今日まで国会でいろいろと論議を重ねてまいりましたが、そのこともひとえに労使関係というものを一つの軌道に乗せていこう、そういう配慮から、この委員会でも取り上げて、いろいろと論議を重ねてまいったと思うのです。しかるにもかかわらず、このいまの状態というものが不安定な状態と思わぬ。そういうことなら、今日まで国会で私どもがしばしば口を重ねてまいりましたが、この国政審議というものは一体どうなるのですか。これは国会審議を軽視するのもはなはだしいと思う。われわれいまの状態というものは安定した状態でないという前提に立って、いろいろお話を進めてまいっておるわけです。ところが、それらの私どもの努力にもかかわらず、いまの状態というものが正常な状態だ。言語道断だと私は思うのだ。国会を侮辱していると思う。こんなことを私は許すことはできませんよ。そういう姿勢だから、こういう問題がいつまでたっても解決しないのです。あなた方はいまの状態が依然として続くことを期待されておるわけですか。それなら別です。私は委員会でこういうことを言うことはあまり好まぬです。好まぬけれども、少なくともいまのあなたの答弁というものはまことに不謹慎だと思う。それはたまたまきょうの論議がここに出てまいったというような事態とは違うのです。これは何べんも政府関係機関の労使関係については、この委員会で取り上げてきた問題です。それで三治労政局長もいまのような御答弁をなさったと思う。ところが依然としてあなたが、いまの状態というものは正常な状態だということだとするならば、私ども今日まで国会で取り上げてまいったことは、全く無意味だと思うのです。ある意味においてはこれは国会審議というものを軽視するもはなはだしいというふうに断定せざるを得ぬと思うのです。ですから、私はいまの三名の答弁の中で、厚生大臣の認識不足についても承知することはできません。それから建設省の官房長のいまお答えになったいまの状態というものが正常だ、そういう見解については、断じて承服することはできない。ですから、あらためてもう一言お答えをいただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/59
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060・神田博
○神田国務大臣 お答えいたします。
私がいまの関係はまあまあだというような意味の御答弁を申し上げましたところ、どうもそれは認識不足だというお話でございましたが、労使関係が一体どこが正常かということについては、これは議論があると思います。しかし、政府にいたしましても、逐年労使間の調停を十分尊重いたしまして、そうして所要の改善をはかってまいっておる。こういう観点に立ってまあまあということを申し上げたわけでございます。これはあくまでも自主的に労使間の調停に待ってきめられるものでございまして、たまたま監督者としての立場で厚生省として関与する、こういうことでございますが、十分そういうような考えでやっておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/60
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061・鶴海良一郎
○鶴海政府委員 建設関係の三公団におきましては、現在部分的にはストライキが行なわれておりまして、これが正常であるというわけではございませんが、しかしながら現段階におきましては、慎重に両当事者間におきまして団体交渉も進められております。昨日も夜を徹して交渉を進めておるような状況でございまして、両当事者も努力を重ねておる段階でございますので、まだ破局的段階に至ったというふうに考えるべきではなかろう、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/61
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062・河野正
○河野(正)委員 約束だから建設大臣呼びなさい。それまで待ちます。こんな答弁ではだめだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/62
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063・松澤雄藏
○松澤委員長 政務次官が来ましたから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/63
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064・河野正
○河野(正)委員 建設政務次官御出席ですから、非常に不満ですけれども、重ねてお尋ねをいたします。
先ほどから政府関係機関の労使関係というものが非常に不安定な状態になっておるというふうに御指摘申し上げたのです。そこで、これは次官も御承知のように、そういう不安定な状態――これは不安定ということについてはいろいろ解釈のしかたはございましょう。しかし正常な状態でないということはこれは明らかですから、そういう状態というものは必ずしも好ましい状態でないわけです。そこで私どももそういう好ましからざる状態というものを一日も早く終局させようということで、今日までしばしば当事者能力との関連において当委員会においても何回か繰り返して論議をいたしてまいりました。先般は私ども建設委員会に参りまして、いろいろその解決のために要望をし、また私どもの私見を申し述べてまいりましたことも御案内のとおりでございます。そこで、私どももそういう政府関係機関の労使関係というものをすみやかに軌道に乗せなければならぬ。ところが現実にはなかなか思うように改善のあとがないということを私どもは非常に残念に思っているわけです。そこで、そういう政府関係機関の労使関係というものが非常に不安定な状態にあるが、その根拠、理由、原因というものは一体どこにあるのだ、やはりそういう問題を解決するためには原因を除去しなければならぬ。また理由があればその理由を除去しなければならぬということだと思うのです。それですから、やはり私はその解決をはかっていく前提としては、その原因というものが一体どこにあるか、そういう点を究明する必要があろう、こういうふうに考えるわけです。そこで、一体現在の実情というものをどういうふうにお考えになっておるのかということを先ほど建設大臣にかわって官房長にお尋ねしたが、自分はいまの建設関係の労使関係というものは不安定な状態だと思わぬ、正常な状態だというふうに認識しておる、こういうお話があったから、それならば建設関係の労使関係というものは、いまのようなストライキをする状態というものが正常というふうに判断をされておるのか、ストライキをやることが、正常な労使関係であるのか、そういうことを官房長にお尋ねをしたわけです。
そこで、政務次官御出席ですから、あなたは大臣にかわって、いまのような状態というものが正常な状態である、こういうふうな誤った認識をあなたも持っておられるかどうか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/64
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065・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
河野委員がかねがねわれわれの関係団体の労使関係について御奔走をいただいておりますことは、私も十分承知をいたしておるわけであります。官房長からすでにお答えしたと思うのでありますが、ただいまの三公団の問題が正常な状態かどうかというふうなことにつきましては、おそらく正常であるというふうにお答えしたということは私も考えないのであります。私どもできるだけ正常な状態に復して、しかもいまの問題も年度内に解決することを私どもも希望し、河野委員にも御助力をお願いいたしたいと思います。そういうふうなことで、私どもせっかく努力をいたしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/65
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066・河野正
○河野(正)委員 努力されておることはけっこうです。私どももぜひ努力されなければならぬと思うのです。しかし努力するについても、一体現在の労使関係の状態というものがどういう状態に置かれておるかということを御認識になって初めて善処というものが有効になっていくと思うのです。いまの状態についての認識が浅くて、不十分であって、何ぼ努力したってこれは前進はあり得ない。これは当然だと思うのです。そこで、私は努力なさることはけっこうでございますし、また私どもも解決のための努力をはかっていただきたいということはそのとおりです。ですけれども、一体それならいまの政府関係の機関の労使関係というものがどういう状態に置かれておるのか。私どもはいまの労使関係の状態というものは安定した状態だというふうに考えない。これはさっき労政局長から御答弁があったとおりです。そういう根拠というものが一体どこにあるか。その原因を除去しない限りは、私は何ぼ努力してもらったってこれは解決し得るものじゃない、これは当然だと思うのです。そういう不安定な状態になっておる原因なり理由というものは一体どこにあるのだ、その点の認識が非常に大事だと私は思うのです。私がいま聞きたい点は、いまの状態が正常な状態だと思うというような官房長の答弁についてはこれはもう承服できません。不安定だとは思わぬ、こう言っておられるわけですから、ことばを返せば安定しておるというふうにこれは理解せざるを得ぬと思うのです。不安定だとは思わぬということですから、いまの状態というものは安定しておるということでしょう。安定しておるということはストライキをやっておることが安定しておるのかということになってくると思うのです。ですから、私はやはりそういう状態が生じてまいっておる原因なり理由というものが一体どこにあるのか、そこをしっかり把握をして、そういう原因なり理由というものを除去するということにならぬと、これは幾ら努力してもらっても私は解決の糸口を見つけることは困難だと思う。そこで、いまいろいろ不安定な状態に置かれておると思うが、その理由なり原因というものは一体どこにあるのか、その点についてどういうふうにお考えになっておりますか、ひとつ次官の明快なる御答弁をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/66
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067・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
御指摘の不安定、安定というふうな見方につきましては、これは私どものほうでは決して安定しているとか安定していないとかいうよりも、正常な状態でお互いが話し合って、話し合いをつけてもらいたいというふうなことを考えて、そのことを希望して努力をいたしておるわけであります。御承知のとおりいろいろな見方はあるかもしれませんが、法律できめられて、そうして予算の制約を受けるというふうな状態においての理事者の行き方にもおのずから限度があろうというふうなことも考えるわけでありまして、その他の政府関係機関等のこともあわせ考えて処理しなければならない問題もありますので、どうかその点も組合の諸君も十分お考えいただいて折衝していただきたい。私どもはそのことを希望し、同時にその面につきまして大いに期待をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/67
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068・河野正
○河野(正)委員 いまお答えを願ったようなことは今日まで私どもしばしば委員会で承ってまいったわけです。その際私どもがたびたび指摘をいたしましたように、公庫法なり公団法が規制を受けるという点は、私どもも法律ですからこれは当然承知をいたしておるわけです。しかしながら、政府関係機関の労働者に対しましては、基本的に労働三権というものが適用されておるわけです。労働条件についてはそれぞれ労使双方の話し合いで決定する権利を持っておるわけです。それと公庫法なり公団法の規制との関連だと思うのです。私どもは基本的には労働三法の適用を受け、庇護を受けておるわけですから、必然労働者の労働条件というものは労使間の話し合いできめられるべき筋合いのものではないか、その際若干出てきたものについてある程度の規制を受けるということですから、当然労働基本権でございまする三権というものが優先しなければならぬ。ところが現状ではむしろ公庫法なり公団法という規制のほうが優先をして、そうして完全に当事者能力というものを喪失をしておる。そこに私は問題があると思うのです。ですから私はこの政労協のいまの不正常な状態というものは、やはり当事者能力というものをきちんと確立する必要がある。当事者能力というものがきちんと確立されておらぬというところに紛争の一番大きな原因があるというふうに私どもは考えておるわけですから、したがって主管省でございます政府というものが、いま私が御指摘を申し上げた当事者能力の確立という点について十分配慮をしていただかぬ限りは、率直に申し上げまして、政府機関の労使関係というものは正常な軌道に乗らぬ、こういうふうな判断に立っておるわけです。ですから、いま白浜次官から御答弁になったことは私どもはしばしば聞いておるわけです。もう耳にたこができるほど聞いておる。ですけれども、それではいまの労使関係の状態というものを正常な軌道に乗せるということは困難だ、こういうように私どもはしばしば指摘をいたしてまいったわけです。そこで、やはり労使関係が正常な軌道に乗るということは望ましいことですから、もしさっきあなたがおっしゃったように、努力しつつあるということならば、私はその上に努力というものが注がれなければならぬというふうに考えるわけですが、その点については白浜次官はどういうふうにお考えになりますか。ひとつ明快にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/68
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069・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
明快に御答弁ということでございますが、繰り返し申し上げるのですが、当事者能力の問題その他につきましても、すでに河野委員は御承知のとおりでありますし、おのずから法律で縛られている範囲内での行為でございますので、私どももこれ以上どうこうというふうなことは申し上げられることでもないわけであります。ただ、願わくは年度内の解決を一日でも早くやってもらいたいというふうなことを期待し、希望するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/69
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070・河野正
○河野(正)委員 白浜次官は、政府委員というよりも、むしろ住宅公団の総裁か、道路公団の総裁になったようなお立場でお答えになっているように思うのです。いまのあなたのお答えは、住宅公団総裁が答える答えなんですよ。道路公団の総裁が答える答えなんですね。それらの総裁というものは主管省によって規制されるからいまのようなお答えをすると思うのです。しかし、あなたは主管省のほうの責任者ですから、当事者能力をきちんと確立させようというふうな御配慮があれば当然確立ができるわけです。それはあなたのほうで規制するから、実際に公団の中で当事者能力というものは確立されないわけですよ。あなたは何も将来住宅公団の総裁になられるかどうか知りませんけれども、いまあなたは建設政務次官ですから、政務次官としてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/70
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071・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
繰り返し申し上げるようですが、予算の範囲内というもので縛られている理事者の立場というものも考え、また私どもも同様に建設省としても予算で縛られているわけでありますから、当然、いかに大臣であろうと政務次官であろうとも、私どもとしてはそのことは守っていかなければならぬというふうなことを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/71
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072・河野正
○河野(正)委員 いま指摘をいたしました点については、後ほど建設大臣が御出席ということですから、あらためて建設大臣御出席のおりに重ねて申し上げたいと思います。このことは建設省に限りませず、支払い基金を持っておられます厚生大臣にも関係することでもございますから、両関係者にあわせてお尋ねを申し上げておきたいと思います。と申しますのは、この労働三権はなるほど認められておるけれども、公庫法なり政府関係機関予算総則なりあるいは公庫の予算及び決算に関する法律なり、そういう関連法によって規制を受けるためにというふうな話であるわけですが、しかしながら、われわれはこの政府関係機関が設立されました歴史的な沿革というものを十分お考え願わなければならぬというふうに考えるわけでございます。と申しますのは、これは厚生大臣御承知のとおり、昨年厚生省にも社会保障研究所法案というものが成立いたしまして、社会保障研究所というものが設立された。これは御承知のとおり特殊法人です。そこで、この社会保障研究所なるものを何がゆえに特殊法人として御設置になったのか、こういうお尋ねを当時の厚生大臣にいたしたわけです。ところが当時の厚生大臣は、私の問いに対して、人材を集めて能率的に運営するためには、国家公務員よりもむしろ特殊法人のほうがよろしいのだというようなお答えがあったわけです。というのは、わかりやすく言うと、公務員並みの給与ではいい人材が集まらないということです。そういうことで実は今日たくさんの政府関係機関の特殊法人がございますけれども、そういう特殊法人は、いまのような名目で誕生したという歴史的な沿革があるわけです。ところが今日では、むしろ給与等につきましても各機関で公務員に近づけるという傾向が非常に強まっておるわけです。
そこで、時間もありませんから、もう一つわかりやすく申し上げますと、国民金融公庫が公務員制からはずされるときに言われたことは、この給与というものを民間に近づけなければならぬ、そこで賃金格差というものは二〇%程度上積みしなければならぬ、あるいは政府関係機関というものは恩給制度がないわけです。厚生年金で行くわけですから、これが不利なことは明らかです。そこで、この恩給というものがないのだから、その補償というものも当然考慮に加えなければならぬ、こういうことも言われてまいっておるわけです。このことは、この特殊法人が誕生いたしました歴史的な沿革、あるいはまた国民金融公庫が公務員制というものからはずされるとき言われてまいりました経緯、こういうものを考えてまいりますと、やはりこの特殊法人には特殊法人としての処遇というものが当然考えられなければならぬ、こういうことだと思うのです。ところがそういう歴史的な沿革があるにもかかわりませず、今日では要するに法の規制があるのだからというようなことで規制をしていこうというところに、私は非常に大きな問題点があると思うのです。私は何も組合代表でございませんけれども、組合員諸君が言っておる言い分というものは私はそこにあると思うのです。ですから、ここでひとつお伺いをしておきたいと思います点は、この特殊法人の性格についてどういうふうに御理解をいただいておるのか。この点は基本的に非常に重大な点だと思うのです。その点については神田厚生大臣からも、さらに建設省の白浜次官からもひとつお答えをいただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/72
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073・神田博
○神田国務大臣 特殊法人の性格をつくったということは、いま前の大臣がお答えをされたということを引用されておりましたが、そういう事情でございます。御承知のように、いまの公務員制度のままでは適当な人を得ることが困難だ。給料、処遇の点につきましてもそうでございますし、いまの機構からいって同一個所に長く仕事を担当していただくということもなかなか困難な事情でございます。そういう事点から考えまして、長期計画を展望してそして充実していくという上からいいますと、いまのような制度でやっていったほうがいいのじゃないか、こういうことでございます。待遇の問題あるいは処遇の問題、そういうことを十分考えて特殊法人にした、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/73
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074・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
私から申し上げるまでもなく、公団等ができた経緯につきましては、河野委員が十分御承知のとおりと思います。政府資金だけではなしに、民間の資金も動員して、そうして公共的なことに振り向けようというようなことで発足をいたしましたことは、御承知のとおりでございます。給与の面につきましての過去の経緯はわかりませんが、現在では公務員に比較しまして、大体私どもが知る限りにおきましては、一四・五%上回っているというふうな段階でございまして、先ほど御指摘になりました二〇%ぐらいはというふうな経緯につきましては承知いたしておりませんけれども、いまの公団の平均というものがその程度になっておるということだけをお答えの中に加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/74
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075・河野正
○河野(正)委員 厚生省にいたしましても、建設省にいたしましても、私生児と申しますか、生みっぱなしでそのあとの責任は全く持たないというのが厚生省なり建設省の態度だというふうに私は考えるわけです。私はやはり生んだ以上はそれだけの責任を持つという態度というものが当然必要だと思うのです。ところが、これは全く生みっぱなしで、あとのことについてはわれ関せずというような態度については、われわれは承知することができない。そこで、やはり臨時行政調査会の答申等によりましても明らかでございますように、いま私が御指摘を申し上げましたような趣旨というものが生かされておらぬから、そこで臨調の答申というものも、この政府関係機関においては自主性というものが全くない、運営の実態というものは一般官庁と全く同一である、これでは何のために特殊法人をつくったか意義がなくなっておる、こういうふうに臨時行政調査会も答申をいたしておるわけです。やはり特殊法人をつくるについては、いま申し上げましたような設立に関する歴史的沿革があるわけですから、そういう立法の精神というものが生かされなければならぬ。それを生かさぬから私は今日の労使間の紛争があり得る、こういうように思うわけです。それですから、この特殊法人発足の精神に立ち返ってもらえば、私はこういういまの労使間の紛争というものは一朝にして消えてしまうと思うのです。だから、きょうは厚生省と建設省ですけれども、これは農林省も関係がございますし、文部省にも関係があるということでございますが、それぞれの主管省というものは、やはりここで一度特殊法人が誕生いたしました設立の精神に返る、こういうことが確認されなければならぬと思うのです。そこから初めて、労使関係というものがあらためて軌道に乗る、こういうように考えるわけですが、それについては、厚生大臣、建設政務次官、いかがでございますか、ひとつ率直にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/75
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076・神田博
○神田国務大臣 いまお述べになりましたことは、私もさように考えております。それぞれみなその設立の際には、特殊の事情と使命を持ってできたことでございます。その後の運用についても、当然そういう配慮でいくべきものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/76
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077・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
私ども、政府関係機関としての発足、また特殊法人としてのそうした性格というものも十分考慮しながら、また同時に、臨調の答申等につきましても、目下検討をいたしておるわけであります。関係公団の職員の諸君が、われわれの仕事を十分理解して協力していただきながら努力をしていただいているということは、建設省当局としても十分承知をいたしておることでございますが、先ほどから繰り返し申し上げるように、おのずから制約を受ける問題もありますので、今後そういうようなこともあわせ考えながら、検討していきたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/77
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078・河野正
○河野(正)委員 本来建設大臣がおられると一番好都合でございますけれども、おられませんし、さればといって、これをこのまま猶予するわけにまいりませんから、あえてここで指摘をいたしておきたいと思いますけれども、いま白浜次官は、私どもが指摘をいたしました方向で鋭意努力をいたしておりますというお答えであったわけです。しかし、二月二十四日の衆議院におきまする建設委員会で、いろいろ建設大臣とやりとりをいたしましたが、その中で、建設大臣が最終的にどういうことをお答えになっておるかといいますと、労使間の自主性というものを根本的にじゅうりんするような発言がなされておるわけです。そういう発言を聞きますと、なるほどいま白浜次官から鋭意努力をしておるというようなことばがございましても、それは単に国会答弁であって、私は誠意ある答弁だというふうには理解できないわけです。どういうことかと申しますと、二月二十四日の衆議院の建設委員会におきまする大臣の答弁の中に、たとえ労使間でどういう話し合いをしてみても私は認めることができない、こういうことをおっしゃっておる。私はこれは明らかに不当労働行為だと思うのです。出てきた結果についてあなた方が公団法、公庫法で規制をされる、これは法律で認められておりますから、一歩下がれば私ども了承することにやぶさかではございません。しかしながら二月二十四日時点におきまする衆議院の建設委員会では、建設大臣は労使間でどういう話し合いをしても私は認めることができない、これがはたして労使の自主性を尊重した答弁と言えますか。全く労使の自主性というものをじゅうりんしておるじゃないですか。もう労使間の話し合いの前から規制を加えようとするそういう行為というものは明らかに不当労働行為だと私は思う。そうお考えになりませんか、次官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/78
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079・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
私その席にいませんでしたので、どういうふうなお答えになっているかも知りませんが、聞くところによりますと、三十九年度末のボーナスといいますか、そうしたものについての御答弁の中に、ただいま御指摘のような意味にもとれるのじゃないかというような、誤解を生むような御答弁があったということを承っておるわけであります。しかしながら、すでに御承知のとおり、年末のボーナスにからみましてこの問題は解決しよう、しかもこの年度末の手当につきましては労使双方で検討しようじゃないかというふうなことが約束されたと承っておるのでありますが、予算の関係その他もありまして、すでに解決した問題であるというふうな意味で、これは建設大臣がそれに近いことばを言われたのじゃないかというふうに承っておるわけでありまして、どんなことがきまろうとも受け付けるわけにはいかぬというような御答弁ではなかったというふうに承っておるわけでございますので、御了承をお願いしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/79
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080・河野正
○河野(正)委員 結論から申し上げますと、了承できません。
そこで労働政務次官、首をひねらぬでひとつ聞いてほしいのです。いまのことですが、労働条件については、政府機関の労働組合というものは労使対等の立場で話し合いできめる権利というものを持っておるわけです。労働三法というものが適用されるわけですから、そういう権利というものを持っているわけです。そういう意味で労使間で話し合うという権限は持っておるわけですから、年度末手当等についても労使間で一応決定する権限というものはあると思うのです。それを認める認めないは主管省の問題もあります。さればといって、話し合いをせぬ先からおれは認めることはできぬのだ、こういう圧力を加えることは、労使対等の原則で話し合う立場というものを明らかにじゅうりんする言辞だと私は考えますが、あなたはどのようにお考えになりますか。労働政務次官のほうから、労働省の立場からひとつ率直にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/80
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081・始関伊平
○始関政府委員 政府関係機関につきましては、労働法規に関する限りにおいては完全な当事者能力があるわけでございます。したがいまして、話し合いによって一つの結論に到達することができるわけだと思うのでございまして、それに基づきまして、一方公団法等のたてまえから政府は態度をきめるというのが大体の順序だろうと思います。しかし時と場合によりましてはいろいろな経緯等がございまして、こういったようなものはちょっとどうも当局としては認めかねるといったようなものにつきましては、あらかじめ注意するということがあっても差しつかえないと申しますか、やむを得ないことじゃなかろうか、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/81
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082・河野正
○河野(正)委員 それはたいへんなことですよ。労働大臣いまから聞いてください。いま私が申し上げているのは、政府関係機関の労働者は交渉権を持っておるわけですね。これは明らかです。たとえ主管省といえども、その交渉権を侵すことはできぬと私は思うのです。ですから、労使間で交渉権を持っているわけですから、話し合いをいたします。それに対して承認を与えるか与えないかという権限を持っているわけですから、その段階でイエスかノーかという決断はけっこうだと思います。ところが、労使間の話し合いをせぬ先から、どういう話し合いをしてもおれは認めることはできぬのだ、こういうことを建設大臣がおっしゃったわけですけれども、それは労使の自主権をじゅうりんしておる、私はこういうふうに思うわけです。ところがいま労働政務次官は、時と場合によってはそういうこともあり得る、こうおっしゃっておるわけですが、そういうことを労働省がおっしゃるとすれば、私はたいへんなことだと思うのです。この点大臣はどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/82
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083・石田博英
○石田国務大臣 制度上は河野さんのおっしゃるとおりだと思うのです。いま現実の事態を聞きますと、年度末手当という制度をつくることについての労使間の話し合いのことについて、予算的な事情からいって、本年度は実施することはむずかしいということを建設大臣が国会で答弁されたということなんですが、それは建設大臣が予算を管掌している立場としてそういう意思表示をされることはやはりあり得るのではなかろうか、こう思うのであります。あらかじめ交渉が行なわれる前に、何をやってもかにをやってもだめだぞと積極的にそういう指示をしたなら別ですが、御質問があれば、いま自分の預かっている予算の中にその余裕があるかないかという意思表示をせざるを得ないでしょう。ですから、自分のいま預かっている予算の中では、来年度は別でありますが、本年度はそういう予算の余裕はありませんと言うことは、御質問があればそういうお答えになるのはやむを得ないのじゃなかろうかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/83
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084・河野正
○河野(正)委員 いまの大臣の発言は、最初から私の質問をお聞き願っておらぬわけですから、私が責めることは酷だと思いますけれども、いまのようなお答えでございますと、今日の政府関係機関の労使関係を軌道に乗せるためには、やはり当事者能力も確立しなければいかぬ、これが私どもの主張なんです。ところが、いまのようなかっこうになりますと、当事者能力の確立どころか、当事者能力そのものを規制するというたてまえになっていくと思うのです。と申し上げますのは、財源があるかないかは、これは一応当事者同士の団交で話し合えばいいことなので、その出てきた結果について、これは均衡を欠くとか、あるいは政府関係機関ということで適当でないとか、そういう判断は主管省にあると思うのです。それは公庫、公団法で規定があるわけですから、それがいい悪いは別として、私はそれは一応肯定せざるを得ぬと思うのです。ところがその前段の、話し合いをしなければならぬ、それは法律で認められておるわけですね。その話し合いを、どういう話し合いをしようがすまいが、おれは認めることができないのだということを明らかにされることは、私は明らかに当事者能力を抑圧する、ある意味では圧力を加える言辞だというふうに考えざるを得ぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/84
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085・石田博英
○石田国務大臣 いま政務次官がおいででございますが、その言い方の問題だと思うのです。これは法律制度上、何といいますか、非常に巧妙なる答弁をいたそうとするならば、交渉はひとつ労使の間でお話し合いをいただきたい、でき上がったものについて、予算上資金上不可能な場合におきましては、これこれの処置をとります、とらざるを得ないでしょう、ただいまのところふところのぐあいでそういう余裕があるかどうかとお聞きなら、ただいまのところはないとお答えするよりしかたがございません、という程度に答えておれば無難であったろうと思うのでありますが、どういう御答弁をなさったか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/85
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086・河野正
○河野(正)委員 そこで私は、そういうことでは不当労働行為として話がうるさくなりますよという注意をしたけれども、大臣はあえてわれわれの発言に対してはあらためて発言をされておりません。ですから、いま労働大臣がおっしゃっておるようなことであるならば――腹は別ですよ。あなたがどう考えておるか、腹は別として、一応ことばの上では、私はやはり了承せざるを得ぬと思うのです。ところが、少なくとも建設大臣は、委員会においては、私が注意したにもかかわらず、そのままそれを放置されておるところを見ると、私が指摘したとおりでよろしい、こういう御判断だというふうに理解せざるを得ないと思うのです。そこでやはりこの問題は、あなた方は当事者能力を確立しようと努力するのじゃなくて、むしろ当事者能力を抑圧していこう、これが今日の建設省の態度だというふうに考えざるを得ぬと思うのです。白浜さんどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/86
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087・白浜仁吉
○白浜政府委員 先ほど申し上げましたように、おことばを返すようですが、何でもかんでも、労使双方できめたことは承知まかりならぬと答弁したというふうには私は聞いてないのでありまして、あくまでも三十九年度末の手当のことにつきましての問題と考えるのであります。ところが当事者能力の問題につきましては、私ども決してこれを抑圧しようなどということは考えていないのでありまして、小山大臣もそういうふうな意味での御答弁でなかったと私も承っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/87
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088・河野正
○河野(正)委員 少なくとも私どもは、二月二十四日の衆議院の建設委員会における発言というものは、多分に自主性なり当事者能力なりを抑圧するというふうに理解せざるを得ないことばであったと理解しておるわけです。ですから、あなた方はどこまでも当事者能力というものは助長しなければいかぬ、だんだん当事者能力というものを擁護していかなければいかぬというふうにお考えになるとするならば、二月二十四日の発言というものが誤解を招いたならば、それは適当でなかった、こういうようにお考えになりますか。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/88
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089・白浜仁吉
○白浜政府委員 先ほどから申し上げますように、私その席にもいなかったのでありますが、決して当事者能力などを抑圧しようとか、あるいは抑えていこうということでお答えしたというふうには私承っていないのであります。したがいまして、今後、先ほどから申し上げますように、臨調の答申などもあわせて考えてわれわれも検討していかなければならぬ問題だというふうに考えておるわけであります。大臣の答弁の中に、舌足らずと申しますか、ことばが足りなかった点がありましたとすれば、ひとつ御了承願いたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/89
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090・河野正
○河野(正)委員 舌足らずということでなくて、これは考え方の相違を言っておるわけです。さっき労働大臣から御説明になったようなことが舌足らずなんです。ですから私は、あなた方の大臣というものが舌足らずであったというふうには理解しておらぬわけです。これは明らかに労使間の主体性、自主性、あるいはまた当事者能力を抑圧する言動だというふうに私どもは理解をして、その委員会の席においても激しくその点は追及しているわけです。ですから、その委員会の席上においてそういう理解をされたということは事実なんですから、もしそういう精神でなかったということならばお取り消しになる御決意があるかどうか、この際ひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/90
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091・白浜仁吉
○白浜政府委員 大臣の答弁を私が取り消すというわけにもまいりませんが、先ほどから申し上げましたように、三十九年度末の手当についての問題でありまして、そのことが労使双方で話し合いをされている最中の御質問であったわけであります。したがいまして、年末手当の問題につきまして、年度末のものも含まれて解決されているというふうな考えをもってお答えしておると思いますから、私はその点で大臣のお答えも十分御了解いただけるものだというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/91
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092・河野正
○河野(正)委員 了解できぬから、そういう発言にもし誤解を招くような点があったならば取り消しますというふうにお考えにならぬですかとお尋ねをしておるわけです。あなたが発言されておるわけではなく、大臣が発言されておるわけですから、大臣が発言されたことについてお困りになるということならば、大臣を連れてきていただきたいのです。大臣が出られぬから、あなたは代理だから、当然大臣に対する責任を持っていただかなければならぬと思うのです。そういう意味でお尋ねしているわけですから、もし、二月二十四日の時点における発言の中で、そういう当事者能力を押えるという印象を与えたようなことばがあったとするならば、それは取り消しますということならば了承いたします。あなたが大臣の答弁だからできないと言うならば、大臣を出しなさい。これは官房長と約束しているのです。もし大臣が出なければこの委員会はだめですよと言って官房長と電話で約束しているわけですから、あなたがそういう発言の取り消しができなければ、大臣を出しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/92
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093・白浜仁吉
○白浜政府委員 先ほどから繰り返し申し上げますように、大臣の答弁は先ほどから申し上げるような意味で申し上げておると思うのでありまして、決して当事者能力などを制限するとか制約するとかという意味で申し上げているとは私は考えていないのであります。ほかの委員会の都合で大臣が出席できなくて、その点おわびを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/93
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094・河野正
○河野(正)委員 くどくなりますから、私もことばを重ねることはちゅうちょいたしますけれども、しかし、この点は非常に重大な点です。というのは、当事者能力というものが抑圧される、当事者能力というものがだんだん奪われていくというところに、政府関係機関の労使間の紛争というものがあるわけですから、したがって、政府関係機関の労使関係というものを一つの軌道に乗せていくためには、やはり当事者能力というものは確立しなければならぬ、こういうことなんです。ところが、その当事者能力を抑えていこうというふうな印象を与えたことばを、主管省でございます建設大臣が出されたことについては、これはまことに遺憾だと言わざるを得ぬと思うのです。私は何も建設大臣を責めようということで申し上げているのではない。いまの労使関係というものを軌道に乗せていこう、そういう熱意から私どもは言っているわけですよ。ですから、私はやはりそういう労使関係というものがだんだん紛糾を重ねていくということが、当事者能力を奪う、あるいは当事者能力を弱めているということだとするならば、私はその点はきちっとしてもらわなければならぬと思う。ですから、もしそういうふうな誤解を受けたということについて遺憾だと思うならば遺憾だとはっきり言ってください。それを依然として……。私はもう時間もございませんけれども、この問題のキーポイントは、当事者能力ですよ。ここなんです、ここが中心なんです。そういう意味で、その点はきちっとしておいてもらわないと、私は話が進められません。厚生大臣もいまからやるですから始められませんよ、進められませんよ。ですから、その点きちっとしてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/94
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095・白浜仁吉
○白浜政府委員 お答えいたします。
先ほどから申し上げますように、当事者能力を制限しようとかなんとかいうようなことは、毛頭大臣も考えていなかったと思うのでありまして、二十四日の発言に誤解を生むようなことがありましたとすれば、まことに遺憾であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/95
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096・河野正
○河野(正)委員 そういうように、やはり謙虚に出なければいかぬです。
そこで、せっかくあれこれ用意してきておるわけですから、時間もございませんので、触れるだけは触れてまいりたいと思いますが、その一つは、せっかく厚生大臣に御出席願っておりますから、支払い基金の給与問題について、若干お尋ねをしておきたいと思います。
この支払い基金の給与問題については、すでに四十三国会で支払い基金の給与問題というものは改善しなければならぬ、改善することが妥当だ、こういうふうに言われておるわけですけれども、今日依然として改善のあとが見られない。これはいろいろありますけれども、これが柱ですから、なぜ支払い基金の給与問題については改善のあとが見られないのか。これは国会の私どもの論議に対する約束ですから、約束がなぜ守られなかったかということです、一言にして申し上げると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/96
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097・神田博
○神田国務大臣 お答えいたします。
給与改善の御要望のあったことは、おっしゃるとおりでございまして、厚生省といたしまして給与改善をいたしたいということで、種々検討いたしておりますが、収入の面等もございますので、直ちにそういう是正ができなかったというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/97
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098・河野正
○河野(正)委員 時間がございませんから端的に申し上げますと、第四十三国会、昭和三十八年二月三十一日の参議院の社会労働委員会におきまする保険局長の発育でございますが、その一節を読み上げますと、「私はいずれにしても、その基金の諸君の待遇というものを、ほかの公社、公団に比べて低い状態におくいわれはないと思っております。これはあくまで同じでなくちゃいかぬ。」こういう答弁を小山さんがなさっておるわけです。ところが、今日においても他の公団と比べますと、二年昔のものよりもなお安い、そういう実態に置かれておるわけです。
そこで、もう時間がございませんから、一、二例をあげて申し上げますと、たとえば三十歳で六千円から七千円、四十歳では八千百七十円から一万二千六百七十円、四十五歳で一万一千八百七十円から二万九千七百七十円、こういうふうに他の公団と比べると格差がついておるわけです。ところが、そういう格差というものは適当じゃない。やはり他の公社、公団並みに頭をそろえるべきだ、こういうので、厚生省は二年前に御答弁をなさっておる。それが依然として、いま申し上げますように、他の公社、公団と比べてその二年前より安い、こういう実態に置かれておることは、私は国会で御答弁をいただいた約束と非常に違っておると思うのです。それだから、努力いたしておると大臣はおっしゃったけれども、努力のあとは一つも見えぬわけです。どういう努力をなさったのか、ひとつその努力をなさった経過を具体的にお聞かせいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/98
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099・神田博
○神田国務大臣 いま数字でお示しございましたように、他の公団と比べて基金の処遇がよくないということはおっしゃるとおりでございます。そこで何とかこれを改善したいということで検討いたしておったわけでございますが、御承知のように、保険財政全体が非常な窮乏をしておる際でございますので、直ちにその処遇を改めるということができなかった。しかし、これは大事なことでございますから、引き続いて検討いたしまして、早くその引き上げをやりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/99
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100・河野正
○河野(正)委員 支払い基金の取り扱い数を見てまいりましても、昭和三十年におきましては一億六十一万五千六百二十四件、ところが三十八年におきましては二億一千三百十五万六千四百六十五というふうに、取り扱い件数は倍以上になっておるわけです。といって、この仕事を担当いたしております業務要員というものは、昭和三十年が二千四百三十二名にもかかわりませず、今日は三千五百九十二名というふうに、人員はそう伸びておらぬ。このようにこの取り扱い件数の伸びに対して人の伸びが少ないということは、過度の労働を職員にしいておる、こういうことになっておると思うのです。ですから、もともと小山保険局長が三十八年の委員会においてお答えになっておるその際においても、他の会社、公団に比べますと非常に劣悪な賃金に置かれておる。しかもいま私が一、二の例をあげて申し上げましたけれども、取り扱い件数というものは倍以上になっておる。ところが人間はふえておらぬということですから、私は基金の労働者にとっては全く踏んだりけったりというふうなかっこうに終わっておると思うのです。それは保険財政が赤字だから、支払い基金の職員の給与というものは非常に悪くてもよろしいということでもなかろうと思うのです。これは大臣としても当然お考えにならなければならぬことだと思うのです。
そこで問題は、事務費の単価との問題になるわけですけれども、これらについても考慮が払われておらぬ。やはりこの一円二十銭を六十銭に抑えたという具体的な経緯もあるわけですね。やはりこの支払い基金の事務費単価というものは、取り扱い件数当たりの単価になるわけですから、その諸経費の考え方というものが問題になると思うのです。そして、やはり人件費なら人件費の伸びというものを当然加えて、諸経費に含んでもらうということにならぬと、諸経費の見込みが少ないと、取り扱い件数というものはどんどんふえているのですから単価というものは安くなるわけですね。ですから、この単価の決定のしかたというものはいまのような状態であるとしても、その経費の算定のしかた、この辺が私は非常に重大な問題をはらんでおると思いますので、いまの人件費その他についても当然考慮されて経費というものは割り出されなければならぬ、こういうふうに思うわけです。ところがそのほうはどっちかというと抑える。反面においては死亡退職金の積み立て金をくずしたという例もいままでにあるわけです。これはタコが自分の足を食っているようなものだ。そういうことでなく、小山局長が三十八年当時国会でお約束になったわけですから、その約束、公約というものは一日も早く果たされなければならぬと思うのです。それは保険財政が赤字だから多少やりづらい点もあるでございましょうけれども、といって支払い基金の職員が低賃金でよろしいということではない。労働過重でよろしいということではない。そのために退職者がふえていくという問題もございます。そういうことがあると能率も悪くなるわけですから、私はこの支払い基金の退職者の問題についても早急に解決される必要があると思う。これは厚生大臣の所管ですから前向きで率直にお答え願いたい。時間もきましたから、納得のいくような答弁をしていただければやめますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/100
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101・神田博
○神田国務大臣 いまお述べになりました事実はおっしゃるとおりで、私もそういうことではいけない、かように考えまして、処遇を一日も早く改善したい、こういう熱意でございます。ただ御承知のように保険者等におきまして財政があのような状態でございますので、いろいろ御意見もあるようでございます。しかし、御意見は御意見として、いまもお尋ねがございましたように、だからといってそのままにしておいてはいけないということはおっしゃるとおりでございます。私も同感でございますので、これはひとつ急いで検討を進めまして善処したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/101
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102・松澤雄藏
○松澤委員長 次会は明二十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X00919650323/102
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