1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月七日(水曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 松澤 雄藏君
理事 井村 重雄君 理事 小沢 辰男君
理事 藏内 修治君 理事 齋藤 邦吉君
理事 澁谷 直藏君 理事 河野 正君
伊東 正義君 亀山 孝一君
熊谷 義雄君 倉石 忠雄君
坂村 吉正君 竹内 黎一君
中野 四郎君 橋本龍太郎君
藤本 孝雄君 松山千惠子君
粟山 秀君 山口喜久一郎君
山村新治郎君 淡谷 悠藏君
小林 進君 五島 虎雄君
多賀谷真稔君 滝井 義高君
八木 一男君 山口シヅエ君
山田 耻目君 本島百合子君
吉川 兼光君 谷口善太郎君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 松浦周太郎君
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
総理府総務長官 臼井 莊一君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房審議室長) 松永 勇君
運輸政務次官 大久保武雄君
運 輸 技 官
(港湾局長) 佐藤 肇君
労働事務官
(大臣官房長) 和田 勝美君
労働事務官
(大臣官房労働
統計調査部長) 大宮 五郎君
労働基準監督官
(労働基準局
長) 村上 茂利君
労働事務官
(職業安定局
長) 有馬 元治君
委員外の出席者
専 門 員 安中 忠雄君
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四月七日
委員長谷川保君辞任につき、その補欠として五
島虎雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員五島虎雄君辞任につき、その補欠として長
谷川保君が議長の指名で委員に選任された。
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四月六日
健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請
願(河野正君紹介)(第二五二五号)
同(黒田寿男君紹介)(第二五二六号)
同(中井徳次郎君)(第二五二七号)
同(門司亮君紹介)(第二五二八号)
同(本島百合子君紹介)(第二五二九号)
同(吉川兼光君紹介)(第二五三〇号)
同(久保三郎君紹介)(第二五五〇号)
同(横路節雄君紹介)(第二五五一号)
同(八木昇君紹介)(第二七八三号)
同(秋山徳雄君紹介)(第二八二八号)
両(八木一男君紹介)(第二八二九号)
人命尊重に関する請願(濱田幸雄君紹介)(第
二五三一号)
茅野市立病院のがん研究に対する国庫助成に関
する請願(吉川久衛君紹介)(第二五三三号)
同(中澤茂一君紹介)(第二五三四号)
同(小川平二君紹介)(第二五四八号)
日雇労働者健康保険改善及び厚生年金適用に関
する請願(大原亨君紹介)(第二五四九号)
同外五件(田口誠治君紹介)(第二八二五号)
理学療法士制度化に伴う経過措置に関する請願
(佐藤觀次郎君紹介)(第二七七六号)
日雇労働者健康保険制度改善及び老後の保障に
関する請願(淡谷悠藏君紹介)(第二七七七
号)
同(小林進君紹介)(第二七七八号)
同(多賀谷真稔君紹介)(第二七七九号)
同(細迫兼光君紹介)(第二七八〇号)
同(松平忠久君紹介)(第二七八一号)
同(八木昇君紹介)(第二七八二号)
国民健康保険の財政措置に関する請願外三件
(三木武夫君紹介)(第二八二六号)
原爆被害者援護法制定並びに原爆症の根治療法
研究機関設置に関する請願外十一件(山内広君
紹介)(第二八二七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
港湾労働法案(内閣提出第八六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/0
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001・松澤雄藏
○松澤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の港湾労働法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。谷口善太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/1
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002・谷口善太郎
○谷口委員 大臣、先にお願いしておきますが、堂々の大論文を発表せんといてもらいたい、時間が二十分ですから。港湾労働の中における暴力支配の問題ですが、この法律を施行すれば、大体それが排除されるというふうに考えておられるかどうか。少なくともこの法律でその期待を持っていたのか。そうであれば、この法律のどこでその効力があるか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/2
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003・石田博英
○石田国務大臣 きのうもいろいろ議論になっておりましたけれども、現在の労務確保のためには、いろいろ職業安定法違反行為を犯しているのは、われわれの取り締まりにもかかわらず事実であります。これが今度の法律が施行されますと、すべて職業安定所を通ることになりますし、それから例外の場合に、直接雇用いたしましても、職業安定所にあとから届け出しなければならないことに相なっておるわけであります。したがって、労務供給ということにからむ安定法違反その他の事犯、いわゆるやみ手配師というふうなものの活動の余地はなくなるもの、したがって、そういうものに依存しがちであった暴力団というようなものの存在がなくなるだろう、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/3
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004・谷口善太郎
○谷口委員 そういうお答えだろうと思っておったのですが、それは甘いと思うのです。と同時に、この法律の内容から言いまして、道理に合わぬ虚偽の御答弁であるような気がする。御承知のとおりに、港湾労働法における暴力支配の問題は、第一、業者の中に暴力団がある。これも私は、ここでいまさらいろいろ例をあげて言わなくても、大臣御承知のことと思います。新聞などにも書いてあります。それからその親分のもとにたくさんの暴力団がいて、これがいま大臣がおっしゃったようにやみ手配師になったり、あるいは横浜などでは優先班の班長などもやっている。これが全体として港湾労働者を暴力的に支配してこれを食いものにしている、こういうのが実情だと思います。ところが、もしこれをこの法案で排除できるというふうに考えていられるとすれば、この連中を一人残さず、たとえば登録のときに拒否する、そういうことをなされればできるかもしれません。しかし、そういうことは、大臣、できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/4
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005・石田博英
○石田国務大臣 暴力団員であるかどうかということが明確に、そういうような規定があってはっきりしているなら、それはやりやすいのでありますが、しかし実際問題として、ただいま御説のようにそういう分け方はむずかしいと思います。むずかしいと思いますが、大体港湾の中に巣くっておる暴力団というものの活動の有力なる財源がなくなりますし、活動の余地というものが非常に少なくなるわけでありますから、それと警察の取り締まり、それから運送業の認可にあたっての運輸省の御協力というようなものが相まって、効果をあげられると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/5
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006・谷口善太郎
○谷口委員 暴力団であるということがはっきりわかれば、それは排除できる、看板でもかけておればね。そうじゃないんだから、大臣おっしゃるとおりに、私も登録で排除することはできなかろうと思います。ところが、もしそれが排除できないとすれば、これは警察の手を入れて弾圧すれば、労働組合であろうとどこであろうとそういうことはやれるでしょう。そうでなくて、この法律でやるといたしますとできないということは、結局親分から子分に至るそういう組織が温存されるのですから、これはどうにもできない。なるほどやみ手配師というようなものは、登録制度になればなくなるでしょう。けれども、問題は、海湾労働者が苦しんでおりますのは、雇用されるときのそういう形式にあるのではなくて、この連中が、一方ではやみ手配師あるいはその他の形態で労働者をまとめて送り込むという、そういう人買いといいますか、人を集める仕事をやっておるが、地方では親分の子分としての身分を持ちながら、各業者の中のいわば労働者支配の現場監督をやっておる。そこで苦しめられるのが港湾労働者の一番苦しいところだ。やみ手配師がなくなる、しかしそれは、現状では温存されるのですから、厳存するのですから、こういう労働過料での暴力的な支配、搾取、寄生的な彼らの人を食いものにするようなやり方、この苦しみはそのまま残るわけです。そのまま残るだけではありません。今度は、業者あるいはやみ手配師にかわって、職安自身が労働者を登録して、この地獄のようなところへ労働者を送り込むということになる。そういう意味では、この法律は、一方には労働者を登録するということで束縛する、国家統制をやる、他方ではこういう地獄のような労働形態が行なわれているところに、政府の手を通じて労働者を送りつけるという反動的な性格を持っていると思うのです。その点どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/6
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007・石田博英
○石田国務大臣 この法律だけで完全にできるとは、われわれはむろん思っておりません。これに伴って、警察の暴力団に対する現在までとっておりますような処置の継続、強化、それから運輸行政の御協力というものもむろん必要でありますが、しかし有力な財源がなくなるということが一つ。もう一つ、いまそういうような個々の業態の中における一種の暴力支配を排除する。これはわれわれのほうでは、基準行政を強化いたしましてそういうようなことのないように、労働条件が守られていくように、これから鋭意努力してまいるつもりであります。法律と行政的効果と相まって暴力支配の排除に努力してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/7
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008・谷口善太郎
○谷口委員 資金源が断たれると言いますけれども、資金源が人夫を送り込むというところから出るのではなくて、港湾労働者全体の中にある暴力組織が、それぞれの段階で親分は親分、子分は子分、この組織でもって労働者を食いものにして資金をかせいでいる。だから、法律だけではそういうものは断たれはしません。
それから、警察警察と言いますけれども、警察にたよってやろうという労働行政なんてありませんよ。これど犯罪を犯している者であれば、明らかに殺人をやったとかなんとかいうものであれば、また、たとえばピンはねをするとか、労働基準法違反をやった、いろいろ法律違反をやっているのがはっきりわかれば、それはできるでしょう。暴力団の組織の中でそれが温存される形でやられているのだから、いままでだってどうにもできない。現場の役人の話を聞いてごらんなさい。そういうことで手をつけたら殺されると言っている。この法律によっては、そういうことは一つも排除されぬのです。私は、そのことだけにかかわっているわけにいきませんから、次に進みます。
その次に、私は問題にしたいのは、この法律案では、大臣は毎年港湾ごとに港湾雇用調整計画を立て、必要な労働者の数、その中での日雇い労働者の数をきめる、そしてその分だけ登録するという権限を持たれることになります。次の年には、業態いかんによりましては、労働者が必要でなくなれば、その分だけ減らして登録するという権限も持つわけです。これは非常に重大なことだと私は思うのです。つまり首を切るということも大臣の権限だし、それから数をきめるということも、これは法律にちゃんと書いてありますように、労働時間その他を勘案してやるということになっている。首を切るということは、登録の更新をするときに、必要でないと大臣が思ったら文句なしに切るのだ。この首切るとか、労働時間に関係することは、これは労働条件の問題で、わが国の法律のたてまえ上、政府といえどもここに立ち入ることは許されない。労働条件の問題は、大臣がいつも言っておるとおりに、労働者と資本家との間に対等な団交をやってきめるというのがたてまえでしょう。この法案は、その労働者の基本権を侵害していると私は思うのです。その点、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/8
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009・石田博英
○石田国務大臣 この場合は、労働基本権の問題を侵害するというよりは、労働者がそれぞれ個人として、いわゆる日雇い業態にございますためにそういう措置をとったのでありまして、労働大臣が労働者のよりよき労働条件を守り、失業したような場合にはそれに対して万全の措置をとる責任を当然持っておりますから、その立場から措置いたしてまいりたいと思っております。
なお、法律上の説明を、いま安定局長から簡単にいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/9
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010・有馬元治
○有馬政府委員 谷口委員から暴力団が排除されないという御指摘がございましたが、就労上の態勢としては、やみ手配師の介在する余地がないということは大臣御答弁のとおりでございますが、その点だけでは暴力団の根が絶えないのじゃないかというふうな御指摘がございました。この法案によりましてもいろいろなケースが考えられると思いますが、暴力団の子分的なものが日雇い労働者として登録されるというような場合、これは十条の三号によりまして適格性の判断といたしまして登録を拒否するということもできます。それからまた、一たん登録された後においても、そういった場合には登録の取り消しということが十条の規定にございます。
さらに、暴力団の資金源として一番憂慮される問題は賃金のピンはねだと思いますが、これは登録制に伴う日雇港湾労働者に対しましては労働者手帳を交付することになっております。この労働者手帳には、必ず賃金日額を明示させるという仕組みにしております。また常用労働者に対しては常用労働者証という証票を携帯させることになっておりますが、これは基準法による賃金台帳を整備させることによって、その間の賃金の支払い状況を明確に把握できる、こういう仕組みにいたしております。
さらに、海湾荷役事業そのものが、いわゆる暴力組織に支配されて非常に弊害を伴うというような場合には、この労働法案の二十三条に明記してありますように、当該事業主に紹介する港湾労働者の福祉を害するおそれがあると認めるときは、一カ月以内の紹介停止ができるという条項も準備しておりますので、かりに港湾荷役業者が全体として組織暴力に支配されて港湾の福祉を害するというふうな場合には、この二十三条の規定によって紹介停止処分をするということも予定しておりますので、いろいろな段階、いろいろな態様において暴力組織が介入することは予想されるのでございますが、いま申しましたような各条項を発動しながら暴力の介入を阻止していこうと考えておるのでございます。
それから取り消しの問題ですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/10
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011・松澤雄藏
○松澤委員長 政府委員に申し上げますが、持ち時間が非常に少ないものだから、簡潔に要領よく答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/11
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012・有馬元治
○有馬政府委員 取り消しの問題は、十一条に明確に規定がされておりますので、この慎重な規定によって取り消し処分をするという手続を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/12
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013・谷口善太郎
○谷口委員 そういうことは、いままでの委員会であなた方みんな言ています。言っていますが、そういうことは一々詭弁ですよ。あなた方は、さっき労働大臣が言ったとおり、ほんとうの犯罪者としてはっきりしておれば、登録を取り消すとか拒絶するとかいうこともできるでしょうが、わからぬのだからできぬ。いままでもやれぬじゃないですか。第一、あなたは登録して職安が支配したらできるように言っておりますけれども、現在だって一部の人たちはちゃんと職安に登録してやっているだろう。何がなされているか。暴力的支配をする連中が、十人なり二十人なりの連中を自分でかってに連れていって、労働者手帳は使いを出して職安へ行ってちゃんと印紙を張らしているんです。何を言っている、そういうことはできはしません。しかし、そういうことを一々やっていられませんから先に進みますが、私はこの法律で、そういう詭弁を言っているのじゃなくて、ほんとうに労働者の福祉を守るためだったら、この法律で労働者の直接の参加ということを認めるという点を打ち出すべきだという意見を持っている。これは私の意見だけじゃありません。大臣も御承知のとおり、全港湾労働組合の要求では、この港湾労働者の問題ではこういう要求が出ております。名港の港湾労働者の数を労働組合が管理すること。民主的に選出された労働組合の代表が雇用を管理すること。港湾労働者と業者との間に介在する人をすべて廃止する。これで初めて港湾労働者の中における前近代的な、前時代的なこういう暴力支配、これを排除することができる。または港湾労働者の福祉を増進させることができる。この点がこの法律案には全然ない、定数をきめることも大臣の権限なら、あくる年そいつを何人にして、残るやつを首切るということも大臣の権限なんです。こういう点が一番大きな問題になると思うのです。だから全港湾労働組合でも要求しておりますのは、労使対等の労働委員会をつくれというのが要求になっております。こういう点を大臣がこの法律案で一つも考えなかったというのが、やはり非常に大きな時代錯誤だと私は考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/13
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014・石田博英
○石田国務大臣 各港湾に地区職業安定審議会が設けられて、それは三者構成でありまして、労働側の代表もそれに出席をいたしておるのであります。そういうところの意見を聞きながらこの法律の運営に当たってまいりますから、労働者の意見も十分反映させられると思います。一足飛びに、一ぺんにこの法律で暴力支配というもの、あるいは前近代的な要素がなくなるということは直ちに期待できないにいたしましても、この法律の運営よろしきを得ますならば、私は効果があげられると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/14
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015・谷口善太郎
○谷口委員 この問題でも、おそらく大臣がそういうふうなお答えをなさると私は思っておりました。大臣は、各地区における審議会というものに第三者を入れた三者会議でやっておりますと言っているが、そんなことで、労働者のほんとうに基本的な権利である労使対等の立場に立っての団交、それによって労働条件をきめることにはならないのです。そんなことは、審議会を全部見てごらんなさい。労働者が入っている審議会は何をやっていますか。むしろ労働代表という名前でもって、労働者に非常に都合の悪いことがきめられて押しつけられているというのは、一々これは実例をあげませんけれども、実情じゃないですか。労働者の基本権を守るという点では、そういう審議会をつくるべきではなくて、大臣がいつも言っているじゃないですか、労使対等できめるのだ、そのことを貫くべきだというのが労働者の要求であり、われわれの要求です。
それから、この法案では、単に労働者を首切るとかあるいは労働時間について一方的に政府が干渉し、支配するという問題だけでなくて、この法案の性格そのものによって、労働賃金がむしろ低賃金にされていくという陥穽が、落とし穴があると私どもは思うのです。(「それはどうかね」と呼ぶ者あり)社会党が妙なことを言っておりますけれども、それはこういうことです。さっき大臣がおっしゃったとおり、労働者に対して拒否するとかあるいは取り消すとかいうことは、これはどういう条件が、その拒否や取り消しの条件になっておりますか。これは職安が行けというところへ行かなかった場合、労働者がいやだと言った場合、取り消すことができることになっておるが、一体職安では何をやっておりますか。労働者が、もし安い賃金のところではわしは食えぬから行かぬと言った場合、これが何回か重なってきた場合、登録を拒否したりあるいは取り消しをしたりする権限を持つわけだ。そうすると、どんな安いところへでも黙って行かざるを得ない。行かなかったら港湾労働者として働けなくなるのだから、排除されることになるのだ。登録を取り消されることになるのだ。現在の失業保険の問題だって、大臣、あなたそういう通達を出しておるじゃないですか。失業して失業保険を取りに行くと、失業登録をなかなかやらない。その先に、おまえさん、ここに仕事があるからと言って二、三百円のところを紹介する。そんなところへ行ったのでは食えぬからと言って拒否すると、そんなにおまえ仕事をする気がないなら、失業者として認められないと言って登録しないじゃないですか、そういう権限を持つわけだ。おまえいやだったら、いつでも首を切るという権限を持っておる。これは必然的に労働賃金が引き下げられることになる。そういう条件を内包すると私は思っておるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/15
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016・石田博英
○石田国務大臣 現在でも、私のほうの所管の職業安定所で、一般の水準常識から考えて、不当に低い職業を強制的にあっせんしておる事実はございません。これは明確に申し上げておきたいと思います。二、三百円のところにあっせんするということは全然いたしておりませんから、そういうようなことは明確に申し上げておきたいと思います。
それから、ただいま、職業安定所では登録した人に不当に安いところにあっせんして、拒否した場合には登録を取り消すと言っておりますが、もし不当に安いところに労働者をあっせんするということがあって、それを拒否したという場合は、これは正当な事由に基づく拒否でありますから、登録取り消しの要件にはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/16
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017・松澤雄藏
○松澤委員長 谷口委長に申し上げますが、申し合わせの時間がきておりますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/17
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018・谷口善太郎
○谷口委員 それでは最後に、結論としてもう一つ。質疑をやっておるわけにはいきませんから、私の考えだけを申し述べておきます。
この法案は、公布の日から二年間実質的に実施しないということになっておる。こういう反動的な法律案ですから、百年間実施しなくても私はかまわぬと思うのですが、少なくともこの委員会ではこれが問題になりました。しかし、この間の委員会での運輸省港湾局長の発言が、大体この間の事情を物語っておるのではないかと考えております。港湾局長はこう言っております。この二年間に日本港運協会を公益法人として強化する、特定船舶整備公団との共有で港湾荷役の機械化をはかる、次期国会までに港湾荷役事業の集中と一貫体制を目ざして事業法の改正の準備をする、近代的な埠頭業を確立する、荷役料金の原価計算を合理化する等々、こういうふうに言っております。すなわちこの法案のほんとうの目的は、近代化のおくれておる日本の港湾運輸事業において、業者の整理統合、集中を急速に行ない、業務の近代化、機械化、合理化を促進する、そうして現在、アメリカ帝国主義に従属して、日韓会談まで急いで軍国主義的に海外膨脹をあせっておる日本独占体に奉仕しようという、これが目的である。この法律案は、こういう独占の要求に港湾を奉仕させるという、この政府の計画とうらはらに、これに対して労働省を政府の国家統制で確保してこれに奉仕しようという、そういう本質を持っている。しかも驚いたことには、翌年合理化が進んで労働者が要らなくなった、そういうときに首切る場合に何にを考えるかと言ったら、つまり退職金共済制度、ああいうことで百を切るということを考えている、つまりあれはちゃんと首切りのときの用意だと私は思う。そういう本質をこの法案は持っている、こういうふうに私どもは思います。したがって、いずれ討論があると思いますけれども、私はこう言っておきます。われわれはこの法案に反対です。こういう点を明らかにして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/18
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019・松澤雄藏
○松澤委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/19
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020・多賀谷真稔
○多賀谷委員 港湾労働法案について審議をするに際して感慨なきを得ないものがあるわけですが、衆議院において、昭和二十六年に港湾労働小委員会が設けられて、港湾労働者の雇用の恒常化の問題でいろいろ論議をしました。さらに私は、昭和三十一年の五月に、当時の社会党左派として港湾労働者の雇用安定に関する法律案というのを提出して今日に至ったわけですが、当時に比べて、いわば港湾労働者を取り巻く環境というものが非常によくなくてきた。労働力の不足という問題も出てきたし、さらに私たちが法案をいろいろ作成するについて困った点、たとえば登録というものを雇用とみなす。とした場合に、登録を取り消された場合の何らかの手当をどうするか、こういう点について、いろいろ当時の現行法で問題を考え、あるいは予告手当という問題を入れるかどうか、こういう点も考えましたけれども、今日では、中小企業退職共済制度にのっとられて退職金を出すという制度ができておる。あるいはまた、登録を取り消された労働者の失業保険との関係はどうするか。これで登録をしておりました当時は、失業保険法の適用を停止しておりますから、これについて直ちに失業保険法の適用ができない。当時は日雇い失業保険というものがなかったわけですから……。ですから、結局失業手当といって国が全額出す制度の復活をしなきゃならぬ、こういうような問題があったわけですが、その点については、今度提案される法律では解決を見ておる。そこで私は、常用労働者——一体常用労働者というのは少なくとも退職金制度があることが必要である。それはなぜかというと、登録を取り消した者ですら退職金をもらえるのですから、常用労働者には必ず退職金制度がなくちゃならぬ。その次には休業手当を、あぶれた場合には必ず常用労働者はもらわなければならない。それは、常用労働者でなくて日々登録労働者は調整手当がもらえるですから、少なくとも常用労働者——常用と言いましても月給制ではないのです。ほとんど日給制の常用労働者が問題になる。ですから、日給制の労働者は休業手当がなくちゃならない。均衡を失するわけです。さらに、申し上げるまでもないけれども、失業保険、健康保険というものは当然加盟をしておかなきゃならぬ。これが常用港湾労働者証の交付の際には、当然資格要件として当局は交付されると思いますけれども、その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/20
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021・有馬元治
○有馬政府委員 常用労働者に対する各種の問題がございましたが、退職金は、現在八〇%程度、退職金制度を持っております。また、休業手当は基準法の規定に従って保障されておりますが、失業保険、健康保険等の適用の問題については、五人以上の強適についてはもちろん労働者の証の交付をする場合に検討いたしますけれども、任意適用の業者についてこれを任適に加入させるかどうか、この辺のことはこれから慎重に検討したいと思いますが、常用労働者の証を交付する場合が最もいい機会でございますので、そういった社会保険の完全適用に向かって行政指導を行なってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/21
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022・多賀谷真稔
○多賀谷委員 退職金制度は八〇%はあるというならば、これは非常にむずかしいですけれども、少なくとも常用労働者というのは、全部退職金制度がなければ、このいま提出されておる法案と均衡を失すると思うのですね。これは必ず退職金制度ということが前提になるかどうか、それから休業手当、基準局長に開きますが、一体常用労働者といっても日給制の者に二十六条の適用をしておりますか。現在の基準法……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/22
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023・村上茂利
○村上(茂)政府委員 御承知のように、基準法の適用関係は日給であるとか、月給であるとか、そういう賃金の支払い形態とは別に、御承知のように日々雇い入れられておるものか、あるいは二カ月以内の期間を定めて使用されるものであるかといった観点から扱っておるわけでありまして、いわゆる日給者、月給者という判断によらないわけであります。
ところで休業手当の支給の問題は、これはいわゆる常用者については一般事業場においても全く同様でございまして、二十六条所定の要件を満たす場合には休業手当が支給されるわけでありまして、港湾労働者におきましても全く同様に、二十六条所定の要求が満たされれば休業手当を支払うべきものである、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/23
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024・多賀谷真稔
○多賀谷委員 常用労働者が少ないというのは、企業の波動性によるわけですね。ですから、企業の波動性による場合を使用者の責めと考えていいかどうか。あなたは肝心な点を逃げておられるけれども、そういうようにいままで扱ってまいりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/24
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025・村上茂利
○村上(茂)政府委員 問題は、使用者の責めに帰すべき事由がどのような事由であるか、こういうことでございます。一般に経営上の理由による休業、これは使用者の責めに帰すべき事由として、休業手当を支払うべき場合の事由にされておるわけであります。しかしながら、港湾におきましては、御承知のように悪天候による作業不能とか、伝染病発生による立ち入り禁止だとか、労働争議の場合だとか、いろいろな場合があるわけでございまして、具体的な場合における使用者の責めに帰すべき事由に該当するかいなかの認定の問題があるわけでございます。しかし、これは何も港湾労働者に限ったことではございませんので、一般の事業場においても同様に、何が使用者の責めに帰すべき事由に該当するかいなかという認定の問題があるわけでありまして、同一に私どもは扱に、処理をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/25
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026・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうしますと、このいま出されておる法律と現在の常用労働者の格差が出るのですよ、そういう答弁をされるから……。その常用労働者は、日々日給制の場合は、悪天候で船が着かないというような場合には手当をもらえぬでしょう、あなたの言う方式でいけば。ところが、今度は登録をされている日雇い労働者はその調整手当をもらえるのでしょう。ですから、それを開いているのです。さっきからそれを聞いているけれども、まともに答えないで、ほかのことばかり答えるから時間が足らないのです。私が聞いていることをおわかりで答弁してもらえない、外輪のことだけ答弁しておる、肝心なところはそこなんですよ。そうすると、この法律と均衡を失するのじゃないか、一体常用労働者はどうするのか、こう聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/26
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027・有馬元治
○有馬政府委員 今度のこの法案によって、日雇い登録労働者に相当手厚い福祉措置が講ぜられるわけでございますが、これのはね返りとして、常用労働者の労働条件の向上の問題が御指摘のようにあるわけでございます。これはやはり私どもとしては、行政指導で強制をするわけにはいきませんけれども、行政指導で条件の向上をはかっていく。また当然労働市場の需給の関係から言いましても、日雇い登録労働者よりもいい条件でなければ常用化の促進にならないということに相なるわけでございますので、この法案の二十六条の事業主の努力義務規定もフルに活用いたしまして、そういった日雇い労働者よりも条件が思いということのないように常用化の促進をはかっていかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/27
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028・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この法律が常用化の促進になるのか常用化を少なくするかというのが、そういういま申しました条件が整うかどうかによって、登録労働者のほうがいいといって登録労働者のほうへ来て——両方とも登録労働者ですけれども、日雇い登録労働者のほうに入って常用化を阻害するおそれがある。だから、常用化を促進する法律になるのか阻害の法律になるのかというのが、非常にむずかしいところなんです。
そこで私は、二十六条のことを聞きましたけれども、民法の契約では、御存じのように、逆に言えば、労働者の責めに帰すべき場合でなければ全額休業手当をもらえることになっておるでしょう。ただ基準法は、行政官庁が権力を発動して、いわば訴訟までしなくてもとれるというのが二十六条でしょう。ですから、民法では当然、その労働者の責めでない場合には休業補償を出さなければならぬでしょう。そういうことになっておるのですよ。それを観念をごっちゃにすると、いま言うようにそういう問題が起こるのです。民法では当然、常用労働者である以上は、日給者であっても、労働者の責めでない場合には全額払わなければならない。ただ、基準法によって監督官庁が、そのうち使用者の責めの分については権力を発動して、早くとってあげますよという法律の立て方になっておるのです。ですから、少なくとも常用労働者である以上は、休業手当は必ず支給するんだ、こういうことがない以上、常用労働者と認むべきでないでしょう。局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/28
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029・有馬元治
○有馬政府委員 その点の穴があることは御指摘のとおりでございますが、これをやはり労働条件の向上という観点から、日雇い労働者よりも常用のほうが条件が悪いということになりますと、御指摘のような逆流の問題が出てきますので、条件の向上に努力させなければ、いまのような穴はいつまでたっても解決しないんじゃないか。この法律上の逆流の歯どめといたしましては、御承知のように四条の規定で、調整計画を立てるときに、全体の必要労働者数を設定して、その中に占める日雇港湾労働者の定数を定めるという仕組みになっておりますので、逆流は制度的にも抑制していくというふうな制度の立て方になっておりますので、条件を向上させることによって名実ともに逆流を防いでいく、こういうような考え方で指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/29
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030・多賀谷真稔
○多賀谷委員 指導だけでなくて、監督官庁としてのはっきりした見解を聞きたいと思うのです。常用労働者である以上は、あぶれ代を出すわけでしょう。悪天候であろうと、その労働者の責めでない場合には必ず出すのでしょう。出すべきでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/30
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031・村上茂利
○村上(茂)政府委員 私が御答弁申し上げますのが適当かどうか存じませんが、一応御答弁申し上げます。
先ほど先生が御指摘のように、民法第五百三十六条によりますところの使用者の債務という問題が問題たり得ることは、御指摘のとおりでございます。しかし、いま御指摘の点は、そういった民法上の問題より、むしろ日雇いと常用と、実質的に日雇いのほうが得するような法案になっておるじゃないか、こういうことであろうかと思います。ただ、この点は、私が御答弁申し上げるのは必ずしも適当でないと思いますけれども、一方は休業であり、雇用関係が継続しておるという面がありますし、一方は失業であるわけであります。そういった労働関係の継続性、その実質はどうであるかといったような考慮も払わなければならない問題かと存じます。したがいまして、一がいに、一方が有利で一方が不利であるというような判断をしてよいかどうかという点につきましては、なお慎重に検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/31
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032・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも答弁が的確でないのですよ。第一、基準局のほうの見解で言うと、悪天候とかなんとかというのは別なんだ、これは使用者の責めでないんだという解釈がおかしいのですよ。少なくとも経営者の、いわゆる使用者の権限の範囲内の問題は、船を着けるということ、これは使用者の責めと解すべきですよ、あなたのほうの解釈からすれば。あなたのほうがそう解釈しないから、私は民法を出したのであって、大体使用者の権限の範囲内に属する責任によって就業できなかった場合には二十六条を適用すべきだ。それをいままで業者からやかましく言われて後退して、そういうような解釈をしておるから、大体こういう混乱が起こるわけですよ。少なくとも使用者の責任の範囲ですよ、船を着けるということは。当然悪天候なり、そういうリスクは見なければならぬ。ですから、私は、この点をはっきりしないと、何のためにこれをつくっておるかわからぬですよ。常用化になるのか非常用化の法律か、はっきりしないですよ。こういう条件は、この際ぴしっと前提条件をはっきりしておくべきです。ですから、登録日雇い労働者の場合は調整手当がもらえるなら、常用労働者は必ずもらえるというはっきりした労働省の見解を出していただかないと、法律の不均衡になってしまうでしょう。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/32
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033・石田博英
○石田国務大臣 これは昨日、關谷委員の御質問の中にも同様趣旨の御発言がございました。その点は、先ほどから事務当局が答えたような気持ちでこの法案を出しておりますけれども、さらに検討して、予算的な措置をも必要があれば講じなければならない問題だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、基準法の使用者の責めということを、何か非常な故意または重過失でなければ使用者の責めに見ないのだという、民法の使用者の責めと同じように解釈しておるところに問題があると思うのですよ。少なくとも船を着け、そうして荷役作業のできる状態にするのが使用者の権限ですよね。そうして波が荒くなるというので——海のことですから、悪天候ということは、これは当然使用者が危険負担として見なければならない分野ですよ。ですから、それは当然休業手当の中に入れるのだという考え方を確立する必要がある。そうしないと、休業手当というものの趣旨が没却されることになるのですよね。少なくとも登録日雇い労働者に調整手当を出す以上、行政解釈としては変えるべきですよ。ですから、私はその必要があると思うのです。これはもう一度当局から答弁してくだざい。これがはっきりしない以上これはだめですよ、幾ら上げろと言ったって根本がはっきりしないのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/34
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035・村上茂利
○村上(茂)政府委員 いわゆる常用労働者に対する基準法二十六条の休業手当の支給の要件ですが、労働省としましては、二十六条の規定にございます「使用者の責に帰すべき事由」という考え方につきましては、かなり厳格に解釈しておるつもりでございます。ただ私が先ほど御答弁を申し上げた中に、天候不良というような例を申し上げましたが、それにはあとのことばがつくのでございまして、天候不良のために作業が不能となった場合、つまり天候不良で船が着かぬでもほかの仕事があるという場合とか、いろいろな場合があるわけでございます。そういう問題を、個別、ケースに即しまして認定をするということでございます。したがって、天候不良の場合は使用者の責めに帰すべからざる事由になるか、こういう意味合いで申し上げておるのではございませんので、三十六条の規定の解釈につきましては、港湾荷役以外の一般作業も同様でございますので、これは厳格に私どもは解しておるつもりでございます。
なおまた、御指摘の点、確かに均衡論としては私どもはわかるのでありますが、それを基準法のような最低労働条件を定めた法律の場で処理すべきか、そういった問題は、さらに労使関係その他いろいろな手段、方法が考えられるわけでありますので、二十六条だけでこの不均衡を是正することがいいのかどうかという点については、なお慎重に検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、この立場の修正が必要なんですね。少なくとも常用労働者の資格要件として、この自己の都合または自己の責めに帰すべき事由でない場合に就労できなかった場合です。この場合には何らかの手当てをする、手当てをしておくということが常用労働者の定義の中に入ってこなければならぬ、少なくともこの法律の中に言う常用労働者とは。ですから、その前提がない以上、私はこれは不均衡になると思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/36
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037・有馬元治
○有馬政府委員 その問題は残るのですが、これはどうしても事業主の労働条件の向上の努力義務でカバーしていく以外に方法はない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 方法がないことはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/38
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039・石田博英
○石田国務大臣 これはきのう關谷委員の御質問にありました、いまの御質問にもございましたので、この問題、この法律上の議論をこれ以上繰り返してもあれですから、そういう、つまり常用工をふやしていくという方針に沿うような運用上の努力をしていくという方向で、ちょっと答弁と申しますか、打ち合わせしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/39
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040・松澤雄藏
○松澤委員長 滝井義高君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/40
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041・滝井義高
○滝井委員 それでは港湾労働法の質問をさせていただきますが、基本論から少し尋ねていくつもりでございましたけれども、時間の関係で河野理事から指令を受けたところだけ質問をせよということで、非常にむずかしくなったのですが、まず三条についてでございます。この法律で港湾というのは、「政令で指定する港湾をいう。」ことになっておるわけです。その場合に、現在の段階では、結局この法律の施行期日が二年をこえざる範囲でやるということから考えると、非常に限定された港湾しか指定を受けないことになると思うのです。そうしますと、二カ年の間に、結局この法律の実施体系が受け入れられる港湾というものは、政府としても、おそらく非常に限られたものになってくるのじゃないか。先日以来の質疑応答を聞いてみると、六大港ということですが、一体、いまの準備状況その他から見て、六大港以外に拡大をする可能性のあるものが、この二年以内に幾つか出るのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/41
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042・石田博英
○石田国務大臣 ただいまのところは六大港を対象といたしておるのでありますが、それと密接な関係のある港湾、たとえば名古屋港に対する四日市、それから大阪、神戸に対する尼崎というようなものも一体となって考えなければならないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/42
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043・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、関門に密接な関係のある洞海湾というようなものは、なるのかならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/43
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044・有馬元治
○有馬政府委員 洞海湾は関門に含めて考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/44
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045・滝井義高
○滝井委員 わかりました。あとでそれと関連して少し質問をいたしますので、とりあえず名古屋港に関連のある四日市と大阪に関連のある尼崎、関門に関係ある洞海という、それらの三つくらいのところは、二年をこえざる範囲内において何とかこの法律の施行の対象になるだろう、こういうことです。
次は、三条の三項です。簡単に要点だけいきますから……。港湾雇用調整計画ついてです。この場合に、「あらかじめ、港湾調整審議会の意見をきく」ことになつておるわけです。その場合には、これは具体案をつくって意見を聞くことになるのか、白紙で意見を聞いて具体案をつくることになるのか、これは一体どういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/45
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046・有馬元治
○有馬政府委員 具体案をつくって意見を聞くということに予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/46
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047・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、具体案をつくって意見を聞くということになれば、その場合に、次の項にある、必要があるときは、「関係都道府県知事その他関係行政機関の意見をきくものとする。」そうすると、地区職業安定審議会あるいは地方職業安定審議会、こういうものの意見も当然聞いて具体案をつくるだろうし、具体案ができたらまたそこに聞く、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/47
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048・有馬元治
○有馬政府委員 法律上の手続としましては、地区安定審議会の意見を聞くということにはなっておりませんが、関係都道府県知事の意見を必ず徴するというふうになっておりますので、その府県の諮問機関として設置される地区審議会の意見が当該知事にどう反映されるかということは、知事と地区審議会との内部関係になると思います。法律上はあくまで関係都道府県知事の意見を聞くという手続で足りると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/48
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049・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、具体案ができますと、まず第一に港湾調整審議会の意見を聞く、同時に県知事の意見を聞く、必要があれば。これは地方職業安定審議会にも、それから地区職業安定審議会にも、両方聞くわけでしょう、この条文からいくと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/49
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050・有馬元治
○有馬政府委員 海湾労働に関しましては地区安定審議会一本になりますので、地方職業安定審議会に諮問することは、おそらく知事といえどもないと思います。それから、この調整計画を策定する場合の知事に対する意見の求め方は、事前に意見を求めるのでございまして、その意見を聞いた上で案を作成して審議会に求める、こういう手続になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/50
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051・滝井義高
○滝井委員 この条文を見ますと、地方職業安定審議会は、「都道府県知事の諮問に応じ、公共職業安定所の業務その他職業安定法の施行に関する重要事項を調査審議すること。」と非常に包括的になっておるわけです。それから同時に、この地区職業安定審議会も同じ条文なんですね。ただ違うのは「港湾労働法の施行に関する重要事項を調査審議すること。」と、こういうようにつけ加わっただけなんです。海湾労働法の施行に関する事項は、広義の職業安定行政にも入るわけです。これはもう港湾労働に関するいろいろなことを職業安定行政を通じてやることになることは、定数その他をきめる場合だって当然なんです。だから、この二つのものが末端機関としてできておる。私は、こういう二つのものをつくることもふしぎだと思っておるのです。この二つの関係は一体どうなんだということも一つの問題点です。この条文を見ると、「必要があると認めるときは、関係都道府衆知事その他関係行政機関の意見をきく」という、関係行政機関というのはこの二つが入るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/51
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052・有馬元治
○有馬政府委員 ここの関係行政機関は、この審議会が入るわけではなくて、港湾管理者あるいは地方の海運局長、これを予定しております。先生御指摘の、地方職業安定審議会と地区職業安定審議会と二つ並べてありますけれども、これは地方の段階においては、海湾労働法の関係は地区職業安定審議会の専管になるわけでございまして、構成的に改正技術として並べて書いてありますけれども、前段のほうの地方職業安定審議会は関係ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/52
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053・滝井義高
○滝井委員 わかりました。それなら地方職業安定審議会にこの分をつけておったらいいんですよ。わざわざ地区職業安定審議会なんという、行政を複雑化する必要はちっともない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/53
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054・有馬元治
○有馬政府委員 港湾の港域というものは府県の区域と若干食い違っている。たとえば関門のようなところがございます。将来四日中の問題を考える場合でも、そういった問題が出てくると思います。したがいまして、現在ありまする地方職業安定審議会をそのまま活用するというよりは、職業安定法で制度として設けられておりまする地区職業安定審議会というものを活用した方がよりベターだという考え方で、地方の段階においては地区職業安定審議会を活用するという考え方に踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/54
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055・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、地方職業安定審議会はもっぱら一般の職業安定行政をやり、それから地区職業安定審議会は港湾労働法関係の職業安定行政をやるのだ、こういうことできちっと割り切ってかまわぬわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/55
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056・有馬元治
○有馬政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/56
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057・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、新たに地区職業安定審議会をつくらなければならぬことになるわけです。これは今年一体幾らつくるつもりなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/57
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058・有馬元治
○有馬政府委員 六大港に対応する府県に設置する予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/58
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059・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、港のそばにそれをつくることになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/59
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060・有馬元治
○有馬政府委員 港のそばといいますか、その県に置くことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/60
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061・滝井義高
○滝井委員 わかりました。これはとりあえず今年六カ所にできる。そうすると、予算書には地方港湾雇用調整協議会の設置となっておるが、これは予算書が間違いであって、地区職業安定審議会に変わるということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/61
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062・有馬元治
○有馬政府委員 予算書は仮称でそういう名称にしておきましたけれども、この法案によって名称は地区職業安定審議会というふうに変わるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/62
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063・滝井義高
○滝井委員 わかりました。そうしますと、地区職業安定審議会の構成は、労使公益の三者構成になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/63
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064・有馬元治
○有馬政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/64
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065・滝井義高
○滝井委員 この地区職業安定審議会は、予算書の仮称からすると地方港湾雇用調整協議会となっておるのだが、ちょっと総理府のものと名前がよく似ておるわけですね。おそらく総理府のものと関連があると思うのですが、臼井さんが御用件があるそうだから先に臼井さんのほうにお尋ねすることになるのですが、総理府の港湾調整審議会、これはいままでは総理大臣だけだったのが、今度は労働大臣に意見を述べることができることになるわけですね。そうしますと、いままでの海湾に関する各行政機関の施策のうち総合調整を要するものということのほかに、労働問題が入ってきたわけです。そうしますと、労働問題というのは、いまILO問題その他で臼井長官が御承知のとおり、労使関係に政府が介入するとかなんとかいう問題が出てくるので、なかなかうるさいところなんです。ここの委員の構成は若干名となっておるが、一体どの程度委員を置くことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/65
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066・臼井莊一
○臼井政府委員 港湾調整審議会は、すでに御承知のように、港湾に関する各行政機関の施策のうちで総合調整を要するものに関しまして、総理大臣の諮問に応じてこれを調査審議するという機関でございます。したがいまして、他の審議会とは多少人数の構成等は違っている面があるのでございますが、事例は、審議会委員は五名くらいでよろしかろう、つまり利害関係者を除いてそれ以外の学識経験者、そういう方でよかろうというふうにも考えたのでございますが、しかし、もちろん利害関係者、たとえば港湾事業者、港湾労働者、また利用者等の意見をこれに反映することは必要でございます。したがって、この専門委員のほうに——専門委員は約二十名という予定でございますので、そのほうにお入りいただいて御意見等をこの審議会のほうにも反映したい、こういう考え方であったわけでございます。しかし、いろいろ御意見等もございますので、そこで五名という審議会の委員を七名くらいにいたしまして、その人選につきましては、利害関係各方面の御意見等も考慮いたしまして人選をいたしたい、こう考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/66
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067・滝井義高
○滝井委員 今後における港湾の近代化をやり、あるいは港湾労働の近代化をはかっていくためには、この諮問機関というものが今後きわめて重大な役割りを演ずると思います。したがって、その人選については、十分関係者の意見を聞いて七名をきめていただきたい。
それから、いま御発言のありましたように、この審議会の下部機関というか、補佐機関というか、専門部会ができるそうですか、その二十名の委員構成については、ぜひひとつ労働者代表を入れていただいて、この運営に万遺憾なきを期していただきたいと思いますが、さよう了承して差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/67
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068・臼井莊一
○臼井政府委員 ただいまの御質問、御意見のように、そういう方向に沿って組織をし、運営をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/68
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069・滝井義高
○滝井委員 ありがとうございました。臼井さんはけっこうです。
次は、四条についてでございます。四条を見ますと、「(港湾労働者及び日雇港湾労働者の数)」でございます。この数のきめ方については、法律できちっと書いておるわけです。それは「港湾運送に必要な労働力の需要の合理的な予測的に基づいて、労働省令で定める業務の種類ごとに、港湾労働者に係る適正な労働時間、就労日数等の諸条件を考慮して」きめることになっておるわけです。したがってこのことは、過去における歴史的な事実というものが非常に重要になってくるわけです。そんなに大きな変化はないわけですからね。過去における港湾労働者の就労延べ数を三十六年から三十八年までずっと見ても、労働者の数は漸減傾向です。それから四十三年ごろにおけるあなた方の統計資料を見ても——これはちょうど中期統済計画の完成のときですが、このときの状態を見ても、就労人員は延べて三割六分くらい不足なんです。したがって客観情勢は、不足する方向は明らかです。それから日雇いの依存率というものは、昨日の六大港における港湾局長等の御説明でも、これは六分、四分ということになってきておるわけです。これは大体そういう実態です。それから災害は、他の建設なり通運業に比べて、度数率等も非常に高いということも昨日明らかになくてきておるわけですね。それから労働時間は、これは昨日はあまり具体的でなかったけれども、沖仲仕で十時間、沿岸仲仕が九・三時間というように、労働時間も、三十八年八月くらいを見ると土建の土工や重作業に此べて非常に高い。そうすると、過去の客観的な資料、この定数をきめる資料というものは、もう昨日の御答弁以来あるわけですが、あなた方はことしの予算の中でもいろいろ金を要求されて、港湾労働者の雇用対策の推進のためのいろいろな施策をやっているわけです。そうしますと、過去のいろいろの事実も、客観点に四十三年までの見通しもおつけになっておるのだが、一体この数のきめ方というのを、なかなか日にちがたたなければきまらぬときのう關谷さんも言っておった。しかし、客観的な資料は全部そろっている。しかも将来への展望は、四十三年までの見通しというものはある。しかも港湾を包む日本の客観的な労働情勢というものは、労働力不足の状態は多賀谷君がいま言ったとおり明らかです。そうしますと、その中で一体およそどのくらいだということがきまらぬはずはないですよ。昨日、滝井君きまるならきめてみいと言ったが、これはきまらぬことはない。就労時間も長いし、労働力も不足しておるし、災害率も多いし、客観情勢は全部そろっている。これは一体どうしてきめられないのですか。私、きめられぬというのはおかしいと思うのです。私は昨日もちょっと不規則発言したのだけれども、失対打ち切りのときには、あの激しい情勢の中で、けっこう労働省はやってのけたじゃないですか。これをいま六大港、六つの港だけで、しかも三十万おった日雇いを相手にして、日雇い打ち切りのものをやれた職安局長が、二万か三万の港湾労働の数をきめるのをきめ切らぬなんということは、それだったら日本の労働行政はないじゃないですか、これがきめられない理由というのはどこにあるのですか。しかも三・三答申のように、四分の一に日雇いをやれないという理由はどこにあるか。いま多賀谷君の質問にも出てきたが、日雇いを全部常用化したらいい。その常用化がどうしてできないか。炭鉱地帯における日雇い労働者については、常用化するのだ、安定雇用するのだといって失対法を改正した政府が、港湾について、とたんにそれができなくなる、数をきめることができないというのは、私納得しないです。これはどうして数がきめられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/69
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070・有馬元治
○有馬政府委員 この定数の策定が一番大きな問題でございますが、これは、この四条に書いてありますように、「需要の合理的な予測に基づいて、」こういった要素を考えて確定するというふうにうたってございますが、現状を申し上げますと、労働時間も、平均しますと九時間半ないし十時間、それから就労日数も、これは港によって非常にまちまちでございますが、現状は十五、六日という平均になるかと思います。こういった労働時間とかあるいは就労日数を適正なものにして、そうしてこの必要数を策定していかなければならない。こういうことで港ごとに積み上げをやらなきゃなりませんので、この点には相当時間がかかると思います。また定数を定める場合には、納付金の額あるいは料金へのはね返り、こういったものもからんでまいりますので、そういう面の準備もしなければならぬ。こういうことで、数を三万なら三万にすぐきまるじゃないかというふうにおっしゃられますけれども、三万にきめることについて、いろいろな問題があるわけでございます。これらを十分検討した上で決定するというので、相当時間がかかるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/70
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071・滝井義高
○滝井委員 港湾労働者の数が三十六年で二万四千、三十七年が二万三千、三十八年が二万二千と減ってきているのですから、二万二千の中で幾ら日雇いをきめるか、こういうことなんですから、これはもう私は四分の一なら四分の一に思い切ってきめても差しつかえないと思う。どうせ日雇いを紹介する、不足したときばあなた方まだ職業紹介を通じてやることができる、補充することができるのですから、いま数をきめておっても、ちっとも差しつかえないじゃないですか。これをきめることが港湾労働安定の先決問題です。それをこれから二年間もきめずに、春の日のようにのたりくたりしておったら話にならぬでしょう。もう統計資料というものはそろってしもうておるから、そのそろってしもうておるワクの中でどうきめるかということは、一、二カ月もかからぬ、すぐできてしまう。そんな子供だましのことを言っていても、これはわれわれがいままで客観的に見てみて、そんなことはむずかしいことはない。むずかしいことは何かと言うと、それは事業者側の反対があるからだろうと思う。そんなことを押し切らなければ、労働者のときはあれほど強く押し切ったあなたが、一握りの事業主のためにへこたれておっては何にもならぬじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/71
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072・有馬元治
○有馬政府委員 その定数の策定は、経験に基づいて簡単に予想できるじゃないかという御意見ですが、私どもは、これを設定しますことによって納付金あるいは料金へのはね返り、これが非常に重大な問題でございまして、この定数のきめ方いかんによっては、非常に大きな影響があるわけでございます。したがって三万人がいいか三万五千人がいいか、これは非常に慎重を要する問題だと思いますので、相当時間がかかる、こういうことを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/72
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073・滝井義高
○滝井委員 それじゃ時間がないから、もう少しいまのところを詰めたいのですけれども、十六条に移ります。
この十六条の日雇い労働者の雇用というところが、非常に重要になってくるわけです。「日雇港湾労働者を雇い入れることができないことについて労働省令で定める理由があるときは、この限りでない。」と、こうなっておるわけです。この労働省令で定める理由、これは一体どういう理由かということです。ここをしっかりしておいてもらわないと、結局親分、子分関係の門前雇用がのさばってくることになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/73
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074・有馬元治
○有馬政府委員 ここは例外措置でございますので、条件をしぼらなければならないと思いますが、一応私どもが現在考えておりますことは、第一には、通信、交通の状態が非常に悪化して、事業主の責めに帰すべき理由によらないで安定所に求人の申し込みができない、こういった事態が考えられます。それからまた、安定所自体が火災になるということはめったにございませんけれども、こういった非常災害によって安定所の機能が喪失されるといったようなことも考えられますので、そういった場合には門前募集ができるという措置を残しておく必要があると思います。それから、安定所が適格者だと思って日雇い労働者を紹介するわけでございますが、業種によっては、なかなか適格者が安定所の紹介では得られないといったような、きわめて例外的な場合がございます。こういった場合も事業主が直接募集ができる道を開いておかなければならぬのじゃないか、こういうことをいま考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/74
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075・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、雇い主の側からいくと、職業安定所に通信、交通その他がなかなかうまくいかないという場合、安定所の側からいくと、不測の天災にあって安定所の機能が喪失したという場合、この二つは、いわゆる法律的用語では天変地変でしょう。だからこれは全くレアケース以上の場合ですよ。そうすると、こういう一、二のような場合は、これは緊急の事態だから、あるいは消防団も使わなければならぬでしょうし、おまわりさんも使わなければならぬ。だからこれはもうあれだ。そうすると、三番目の適格者と思って紹介をしてもらった、来てみたらそれはどうも適格者じゃなかったということば、これは職業安定所が目を光らして十分職業訓練をやっておけば、こんなことはなくなることになる。そこで、いわばこれだけ確認しておけばこれは防げます。そう簡単に門前雇用がいかない。あとは、いまあなたの言われたこの三つのことを、末端の地区の職業安定所がうまく実施するかどうかという問題だけです。その点については、ひとつきちっと確約をとっておきたい。一番大事なところを大臣は聞いていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/75
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076・石田博英
○石田国務大臣 安定局長の答弁が、私の答弁です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/76
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077・有馬元治
○有馬政府委員 御指摘のように、ここがしり抜けになっておりますと非常に大きな弊害ができますので、私どもとしましては慎重に条件を固めたいと思っておりますが、考え方としましては、登録労働者がない場合に一般の日雇い労働者を紹介する、それでもなおかつ不足する場合に、門前募集を例外的に認める、こういう立て方に、十六条と十九条の関係でなっておるわけでございます。したがって、例外中の例外の運用がルーズになるといかぬというので、いま申し上げましたような事態に立ち至ったときに初めて門前募集を認める、こういう考え方でございますが、天災地変以外の場合の適格者がどうしても得られない、しかも荷役が繁忙で、労働力を確保しなければならぬという場合がどうしても起こるわけです。そういった登録労働者を差し向け、その次に一般の日雇い労働者を差し向けても、なおかつ労働力が足りないという場合が起こり得るわけでございます。それは、抽象的にいま申し上げましたような表現をとらざるを得ないと思いますけれども、その実際上の運用については、非常に厳格に運用してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/77
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078・滝井義高
○滝井委員 したがって、いまのように私たちは、三・三答申で日雇いの数を四分の一以内にしてください、こういうことを再々にわたってここで言った。しかし、いまの段階では、とても四分の一ではどうにもなりません。こういうことで、そこはわれわれがまけておるわけです。まけている上に、しりが抜けて、自由に職業紹介でだれでも入ってくるということではたいへんですから、したがって、そこは、いまのようなところできちっとしていただいた。
そうすると、今後の努力というものは、できるだけ港湾労働者を常用化して、次の段階では日雇いの数を四分の一にしていただく、こういうことなんです。そうしますと、四分の一以内にするということは、少なくともあなた方の腹づもりとしては、この法律は実施するまでに二年をこえざる範囲ということで、最低二年はあるわけです。そうすると、二年こえたところからは四分の一ぐらいにできる自信はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/78
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079・有馬元治
○有馬政府委員 現状が平均的にいって三分の一が日雇い依存になっておりますので、これを答申の理想でございます四分の一以内に改善するというのは、非常に容易なことじゃないと思います。二年間の準備期間を置いて、四分の一の目標が達威できるかという御指摘でございますが、われわれとしましては、現状をできるだけ改善をしていって、四分の一に近づけていきたいとは思いますが、これは漸進的に努力をしていくということ以外に、数字で目標を年次的に示すということはちょっとできかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/79
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080・滝井義高
○滝井委員 現状が三分の一なのを、四分の一にすることさえなかなか明快な答弁ができないということは、きわめて残念です。それじゃ、ストライキの場合は一体どういうことになるか。ストライキの場合は、これはスト破りでどんどんかってにだれでもかれでも連れてくるということは困ると思いますが、その場合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/80
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081・有馬元治
○有馬政府委員 これは安定法の二十条に、争議の場合の不介入原則がございますので、安定所はそういった場合に紹介はいたさないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/81
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082・滝井義高
○滝井委員 ぜひそこらあたりも末端の職業安定所にきちっとしておいてもらわぬと、なかなかいま暴力団その他のあるところですから、そのように願いたい。
それから、二十二条の職業紹介の停止。事業主がいろいろ問題があったときには七日間しか停止しないのです。ところが労働者側のことになると、八条をごらんになると、一年の罰がくるわけです。この法律が如実に象徴しているのはこれなんです。結局、名は港湾労働法にはなっておるけれども、非常に事業主側を懸念している。食うや食わずの労働者がいろいろ拒否したり、いろいろ問題を起こしますと、登録について、八条の一項二号をごらんになると、一年の経過を要するのでしょう。ところが事業主側がいろいろ問題を起こしたりしても、職業紹介をたった七日間停止するということで、かよわい労働者については一年も糧道を断つけれども、事業主はたった七日しか糧道が断たれぬという、こういう不均衡というものは私は困ると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/82
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083・有馬元治
○有馬政府委員 八条の「一年を経過していないもの」というのは、再登録の場合の要件でございますが、二十二条の紹介停止は七日間ということで、非常に短期間だという御指摘でございますが、これに対応する手当の支給の停止というのは、一般の失業保険の給付条件と同じ要件で、手当の支給の停止を行なうようになっております。これは三十二条の一項で支給制限の規定がございます。それで七日になっておりますので、その辺は大体バランスがとれておる。こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/83
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084・滝井義高
○滝井委員 港湾労働の近代化をしようとする場合に、労働者のほうが隘路ではないのです。近代化の隘路はどこにあるかと言うと、港湾運送事業というものは、非常に小さい事業者をさして、一貫的なものでないというところにあるわけですね。そうすると、それらの人々に協力してもらわなければ、港湾労働の近代化を幾ら労働省がやろうとしても、松浦さんのほうの近代化ができなかったら、話にならないじゃないか。ところが事業主が協力をせず、てれんぱりんしておっても、紹介はたった七日間しか停止しないのはいかぬ。そういう場合には、断固として少し長期の紹介停止を、おきゅうをすえる意味で、やったらいいと思う。そのほうが近代化を促進することにもなるし、暴力団その他をはびこらせないことになる。きのうきょうの新聞をごらんになっても、港の暴力問題は「毎日」その他も相当取り上げている。昨日の労働大臣の答弁を、きょうの「朝日」は暴力のことしか取り上げていない。これはいかに暴力のことに関心があるかということなんです。そういう点では、こういうところは業者にきちっとおきゅうをすえる態勢をとらなければうそですよ。たった七日間の停止では、どこらでも連れてきて、働かせることになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/84
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085・有馬元治
○有馬政府委員 いまのような事態の場合には、むしろ二十三条を活用いたしまして、一カ月以内の紹介停止ということで善処してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/85
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086・滝井義高
○滝井委員 そのくらいでこれ以上言いますまい。
それから三十五条です。いま納付金のことで、いろいろ納付金の額を決定し、それが料金に相当はね返るということを言われた。この納付金は事業主と労働者も負担するわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/86
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087・有馬元治
○有馬政府委員 両方が負担いたしますが、労働者のほうは日雇失業保険の保険料に均衡した額を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/87
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088・滝井義高
○滝井委員 私はこういうところを日雇い労働者で、しかもなかなか労働力が不足しておるわけでしょう。したがってそんなわずかな納付金を、日雇い労働者の健康保険と同じようなものを取らずに、こういうのは全部国が見てやって、事業主と国とでやるぐらいの前進がないことには実際に話にならぬでしょう。そんなものを、百万人も二百万人もおるわけじゃないのだから、三万人以下のこんなものですからね。これは大蔵省と折衝しておるのを見るとなかなかあれだけれども、(「何でも国庫負担ではどうにもなならいじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、これは事業主負担をよけいにしてもらってもかまわぬですよ。国庫負担でなくてもいいのです。国の補助をちょっぴり出してあとは労働者と事業主だということも、これはやはりこういうところは問題だと思うのです。こんなことをしておったら、炭鉱もいま納付金をたくさん納めておるけれども、労働者も納めるということになる。炭鉱なんか、鉱害その他いろいろな納付金というのはみんな事業主が出しておるのです。それから、労働者には整備資金を出しておる。ですから、港湾労働という特殊なものに手当やって、そして全部が常用化したら、そのときには納付金を出してもいいですよ。貸金が安定して、そして常用化の形態ができて雇用も安定したというときなら、そのときの段階で納付金を出せというならいい。いまのような不安定のときにやることは問題だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/88
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089・有馬元治
○有馬政府委員 調整手当は失業保険制度にかわるものでございますので、やはり一般の失業保険の被保険者たる労働者との均衡も考えまして、失業保険の負担分くらいは負担をしていただく、こういうふうな考え方でつくっております。われわれの現在の推算によりますと、国が三分の一を負担いたしますので三三%、それから労働者側は大体一〇%程度の負担に相なります。残りの五六、七%が事業主負担になる、こういうふうな割合を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/89
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090・滝井義高
○滝井委員 労働者は一〇%だからいいだろうということだそうですか、一〇%くらいなら逆にただにしてやったらいい。そのくらいのヒューマニズムがなかったら、港湾労働の近代化とかなんとかいっておるけれども、実際できはせぬですよ。こういうところに、私から言わせると、労働者のじょうずの手から水が漏れる姿があらわれておる。それはそれでいいでしょう。
それから附則第一条です。二年をこえない範囲でこの法律を実施することになるのですが、その場合に「各規定につき、政令で定める。」ということになっておるわけです。そこで、一体各規定をどういう順序で二年をこえない範囲の段階で実施をしていくのか、その政令の内容をちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/90
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091・有馬元治
○有馬政府委員 この法律が成立いたしますと、原則的には各条項を施行いたしまして、除外する条項だけをはずしてまいりたいと思いますが、そのはずすほうの内容といたしましては、登録制度に関する条項、それから手当制度に関する条項、納付金に関する条項、それから共済制度の適用に関する条項、こういった条項が施行を延期される条項に予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/91
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092・滝井義高
○滝井委員 手当制度に関するものが延期されるわけですか。そうすると、ことしの予算との関係は一体どうなりますか。ことしの予算を見ると、雇用調整手当支給費七十四万四千人。支給単価七百十八円、一億七千八百万円と出ておるわけです。そうすると、ことしの予算としてこれが出た限りには、そんなものは延期されずにことしやることになるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/92
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093・有馬元治
○有馬政府委員 調整手当の国庫負担分につきましては、事業団に対する交付金として一億七千八百万円を交付いたしまして、そしてその部分が施行が延期されますと事業団予算において繰り越しになる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/93
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094・滝井義高
○滝井委員 それではおかしいですよ。これは大蔵省に来てもらわなければいかぬ。それじゃわれわれをだましたことになる。ぼくらはこれを通すときには、当然七十四万四千人という予算があるから、これはことしからやるものだと思っていた。そしていまのように「各規定につき、政令で定める。」というから、この手当の分は当然ことしからやっていけるものだと思っていたけれども、そんなものなら来年の予算でやったらいいのですよ。これはわれわれ国会議員をだましたことになる。予算を通しておって、それはことしでなくて、事業団にやっておいて来年からやる分です。こういうことなら来年やったらいい。そんなばかなことはないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/94
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095・有馬元治
○有馬政府委員 いまの手当の施行が一年以上、来年度に延びた場合にはそういう予算上の措置になりますが、できるだけ早くこの法律全体の施行をしたいということでございますので、全然脈がないわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/95
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096・滝井義高
○滝井委員 だけれども、予算というものは単年度限りで組んでおるわけでしょう。だから、ことし、やるというのならこれでいいのですよ。大臣、これはわれわれはたいへんなぺてんにかかったことになる。予算を通すときには、あなた方は、この予算というものは来年でございますという説明は会計課長はしなかった。ことしは港湾労働法ができましてそして手当を出すことになっておりますということで、七十四万四千人もの支給人員の予算を組んで、そしてしかも単価は七百十八円でございます。それで一億七千八百万円です。それで金額をきちっと出して、これでことしは大前進ですと言って会計課長が説明しておって、いまになったら、これはことしじゃない、事業団に繰り入れて、それはいつの日にかやるのかわからぬのだということじゃ、これはまるっきりぺてんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/96
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097・石田博英
○石田国務大臣 これはなかなかむずかしい、いろいろ各方面との折衝のあげくの果ての産物でございまして、むずかしいところでございますが、でき得る限り行政労力をいたしまして、そして本年度に年度内に実施できるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/97
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098・滝井義高
○滝井委員 これはぜひ今年度内にできるようにしてもらわぬことには、まさかわれわれがこんなところまで気づくまいというて、知らぬ顔でほおかぶりして通そうとしておったけれども、案外……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/98
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099・石田博英
○石田国務大臣 いや、そんなことはない。そういう悪意はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/99
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100・滝井義高
○滝井委員 そうすると、登録はこれはすぐおやりになるわけでしょう。登録はどうです。登録はこれはことしおやりになるでしゃう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/100
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101・有馬元治
○有馬政府委員 調整計画がきまりましたら、登録の準備はできるだけ急いでやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/101
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102・滝井義高
○滝井委員 これは昨日は、あなた、調整計画はいつごろまでにできて審議会にかけると言いましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/102
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103・有馬元治
○有馬政府委員 審議会が発足するのが夏以降になると思いますので、その発足の時期とにらみ合わせてできるだけ早い機会に調整計画はおはかりをしたい、しかし始まってから相当時間がかかるだろう、このいうことを申し上げたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/103
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104・滝井義高
○滝井委員 だから、そこがあいまいだったのです。詰めて言わなかった。そして私がお尋ねしたいのは、登録は今年始まりますかということです。これも九万八千人の登録になっておるのですよ。九万八千人の登録で、いいですか、ここも予算がきちっとしていますよ。常用が六万五千七百人と日雇いが三万二千三百人です。そんなもの、いままでの歴史的な経過から、三万二千三百人も、さいぜん私は冒頭に言っておったが、日雇いはいないのです。それはこういう予算の計画になっておるから、ことしは登録やりますかということです。だから、そこはむずかしいむずかしいと言っておるけれども、それじゃ国会議員というものは何のために予算審議をしたかまるっきりわからぬわけですよ。こういう一番大事な登録といい、手当といい、やることになっておるけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/104
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105・石田博英
○石田国務大臣 調整会議の発足をできるだけ急ぎまして、そして登録も年度内に実施いたしたいと思っております。鋭意努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/105
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106・滝井義高
○滝井委員 そうすると、登録も年度内にやる、手当も年度内に実施する、これはひとつ、男の一言だから違えることはないと思う。運輸大臣、いまのように登録を今年はやると言っている。まあ雇用調整手当のほうは、ちょっとあいまいであったけれども、これもできるだけ今年やるということです。あなたのほうはそれでだいじょうぶですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/106
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107・松浦周太郎
○松浦国務大臣 労働大臣がお答えになりましたように、できるだけ努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/107
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108・滝井義高
○滝井委員 ぜひそうしていただきたいと思います。
それから、手当の問題その他で問題が起こった場合に、不服は失業保険審査官にいくのですか、労働保険審査官にいくのですか、どっちに不服を持っていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/108
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109・有馬元治
○有馬政府委員 失業保険審査官にいきます。それから二審が労働保険審査会に上がります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/109
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110・滝井義高
○滝井委員 労働保険審査官にいかずに、失業保険審査官にいくところにちょっと問題があるということです。これは、手当が失業保険に関係があるから失業保険審査官にいく、こういうことじゃないかと推定をしました。しかし、これは、単に失業保険に関連する問題だけでなくて、やはり港湾におけるいろいろ重要な労働関係がからまるわけです。むしろ失業保険でなくて、労働保険審査官にいく、労働保険審査会に上がる、こういうことのほうがいいのじゃないですか。どういう事情から失業保険審査官にいくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/110
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111・有馬元治
○有馬政府委員 いま失業保険審査官制度がございますので、この現行の制度をこの手当の争訟についても活用していこう、こういうことでございます。いま労働保険審査官というのはないので、失業保険審査官というのがありまして、その上に労働保険審査会というのが二審制度としてあるわけでございます。その現行の制度をそのまま活用していこう、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/111
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112・滝井義高
○滝井委員 これで終わりますが、そこでいま確実に明らかになったことは、本法を可及的すみやかに実施していく、特に登録やら手当の支給については、もう予算が計上されておるのだから、石田労働大臣、男の一言で今年必ずやります、こういうことになったので、これは非常に大前進です。われわれが思わぬところに予算を見つけたものですから、ぜひひとつ努力をしてもらいたい。それから適用港湾の対象については、六大港以外についても、密接不可分の二、三の港湾については拡大をしていく。それから門前雇用に、走らないように、底抜けにならないように、ひとつ職業安定行政は厳重にやっていく。それから本法の実施にあたっては、港湾調整審議会には十分労働者の意見が反映するように、それぞれ関係者の意見を聞いて人選をやるということが明白になってまいりました。これらの明白になりました四点については、十分政治的、道義的責任を両大臣には痛感をしてもらって実施できると思うが、ひとつ両大臣、最後の締めくくりとして明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/112
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113・石田博英
○石田国務大臣 いままでの御質疑あるいは御意見の趣旨を体しまして、またお答えいたしましたような気持ちで、本法案の実効をあげるべく努力をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/113
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114・松浦周太郎
○松浦国務大臣 労働大臣の仰せになりましたように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/114
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115・滝井義高
○滝井委員 では、どうぞひとつよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/115
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116・松澤雄藏
○松澤委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/116
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117・多賀谷真稔
○多賀谷委員 先ほど質問をいたしました常用労働者の休業手当について、政府の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/117
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118・石田博英
○石田国務大臣 常用労働者につきましては、労働基準法第二十六条の休業手当は、解釈のいかんによって非常な違いが生じます。そこで、法の趣旨を労働者保護の見地から十分生かすよう、実際の適用にあたって格別の指導と配慮を加えてまいりたいと存じます。港湾労働法の施行通達を出す場合には、日雇いと常用とのギャップをなくするよう、同法第二十六条等の規定を活用し、善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/118
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119・多賀谷真稔
○多賀谷委員 続いて、十六条の問題になりましたただし書きについて、一、二点だけ質問しておきたいと思います。
職業安定所に日雇港湾労働者に係る求人の申込みをしたにもかかわらず適格な求職者がいないためにその紹介を受けることができないとき、それはだれが判定するのか、私はおそらく事業主ではないかと思う。一体これをチェックする方法があるのかどうか。すなわちこの問題については、二項で、例外措置の場合でも届け掛になっておる。ところが十七条では、雇用期間の延長の場合には承認になっておる。そうすると、十七条のような承認の条項が、むしろ十六条の二項の届け出の場合にも必要ではないか。最初の場合は行政官庁の介入する余地が全然ないじゃないか、こう考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/119
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120・有馬元治
○有馬政府委員 これは先ほど条件を御説明申し上げたとおり、非常に厳重な条件のもとに直接募集を認めていこう。そして二項によって、その場合には事業主が届け出るわけでございますが、もしこの条件に反するような直接募集を行なった場合には、七十二条の規定によりまして罰則がかかっております。だから、その条件の認定は当然安定機関がやるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/120
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121・多賀谷真稔
○多賀谷委員 省令で定めるというのは、これはその他の事項ですよ。省令で定める理由というのは、法律はそれにはかからぬわけでしょう。前の条項は、任意的に適格な求職者がないという判定をするわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/121
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122・有馬元治
○有馬政府委員 省令はなるほど手続事項でございますが、実体的な認定がこの場合大事でございますので、それは安定所が判断をして、もしこの十六条に違反するような直接募集があった場合には七十二条の罰則で処罰をする、こういうふうに相なっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/122
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123・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると、事前の承認はないけれども、一応七十二条で事後において罰則の適用をする、こう考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/123
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124・有馬元治
○有馬政府委員 御指摘のとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/124
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125・多賀谷真稔
○多賀谷委員 問題は、適格な求職者がなかったかどうかという判定が非常に重大になる。この判定いかんでは、ざる法になる可能性がある。これをひとつ十分、法の趣旨に従ってやっていただきたい。
次に、はしけ内の居住ですね。これは答申は禁止しております。しかし、事業主に、居住をしないようにという努力義務を課しておる。これは単に事業主だけの問題でしょうかね、この裏には、事業主が、はしけに居住する義務を労働者に負わしておるのではないか、こう考えておるのですか。これは任意にはしけに居住しておるのですか、あるいはいわば宿直のような、あるいは船の管理というものもあわせて、はしけの居住というのを事業主は課しておると認めておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/125
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126・有馬元治
○有馬政府委員 これは港湾労働法ですから、二十七条のような規定しかできないわけでございますが、その背後にどういう義務的なものがあるか、これは御指摘のように監視的な任務が付与されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/126
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127・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ですから、居住させないようにつとめなければならぬということは、少なくともはしけに居住さす義務は課してはならぬ、こう解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/127
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128・有馬元治
○有馬政府委員 そういうふうに解して差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/128
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129・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これはやはり、一つは住宅の国の政策の問題もあるわけですね。これはひとつ国の援助の場合に考えていただきたい。
そこで、適用港湾の範囲の問題ですが、関門港というのは、洞海、博多港も含むわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/129
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130・有馬元治
○有馬政府委員 博多は別でございます。洞海を含みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/130
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131・多賀谷真稔
○多賀谷委員 これば先ほどから質問がありましたように、適用範囲の拡大を行なっていただきたい。
以上で終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/131
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132・松澤雄藏
○松澤委員長 他に御質疑の申し出もありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/132
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133・松澤雄藏
○松澤委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/133
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134・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
港湾労働法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/134
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135・松澤雄藏
○松澤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/135
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136・松澤雄藏
○松澤委員長 この際、澁谷直藏君、河野正君及び吉川兼光君より、港湾労働法案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
その趣旨の説明を求めます。澁谷直藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/136
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137・澁谷直藏
○澁谷委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案の港湾労働法案に対し附帯決議を付するの動議を提出いたします。
案文を朗読いたします。
港湾労働法案に対する附帯決議
政府は港湾労働法の運用に関し次の事項について速かにその実現を期するよう要望する。
一、可及的速かに、本法の全面的施行をはかること。
二、本法の適用対象港湾の範囲を拡大すること。
三、港湾労働者の常用化を促進し、日雇港湾労働者に、依存する割合を出来るかぎり低減させる方途を講ずること。
四、本法の施行について労使関係者の意見が充分反映されるよう港湾調整審議会の組織構成について充分配慮すること。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/137
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138・松澤雄藏
○松澤委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/138
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139・松澤雄藏
○松澤委員長 起立総員。よって、本案については澁谷直藏君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、石田労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。労働大臣石田博英君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/139
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140・石田博英
○石田国務大臣 ただいま決議されました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、あとう限りの努力をいたし、御趣旨に沿うように努力いたしたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/140
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141・松澤雄藏
○松澤委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/141
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142・松澤雄藏
○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/142
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143・松澤雄藏
○松澤委員長 暫時休憩いたします。
午後零時三十五分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804410X01719650407/143
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