1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年三月二十五日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 加藤 高藏君
理事 有田 喜一君 理事 壽原 正一君
理事 中川 俊思君 理事 中村 寅太君
理事 多賀谷真稔君 理事 滝井 義高君
小笠 公韶君 上林山榮吉君
田中 六助君 西岡 武夫君
野見山清造君 三原 朝雄君
田原 春次君 中村 重光君
出席政府委員
農林事務官
(農地局長) 丹羽雅次郎君
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 吉瀬 維哉君
大蔵事務官
(理財局資金課
長) 竹内 道雄君
農林事務官
(農地局総務課
長) 安藤文一郎君
通商産業事務官
(石炭局鉱害課
長) 佐成 重範君
参 考 人
(石炭鉱業合理
化事業団理事) 町田 幹夫君
—————————————
三月二十五日
委員岡田春夫君辞任につき、その補欠として田
原春次君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員田原春次君辞任につき、その補欠として岡
田春夫君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七〇号)
臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五九号)
石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第六〇号)
産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七一号)
産炭地域における特定の公共事業等に要する経
費に対する国の負担又は補助の臨時特例に関す
る法律案(細谷治嘉君外七名提出、衆法第一〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/0
-
001・加藤高藏
○加藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案、及び細谷治嘉君外七名提出の産炭地域における特定の公共事業等に要する経費に対する国の負担又は補助の臨時特例に関する法律案を議題として質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/1
-
002・滝井義高
○滝井委員 ただいま議題となりました諸法律案について質問をいたしますが、農地局長に来てもらってください。それから大蔵省はできれば主計局長、主計局の次長——次長はちょっと来てもらわなければいかぬと思うが、それと、主計官と理財局長を呼んでください。
まず第一に私がお尋ねいたしたいのは、最近無資力の鉱害が非常に多くなってきておるわけです。そこで、無資力鉱害の復旧を一体どういうように今後合理的にやっていくかという問題を一、二の角度から質問してみたいと思います。
まず、われわれが無資力鉱害を議論する場合には、現在石炭鉱業の採掘のために未復旧の鉱害というものが一体幾らあるかということですね。もちろん、これは今度の新しい鉱害政策の中で全国的な調査をやるという問題も重要な問題になっておるわけです。しかし、ただいま福岡県の議会の議長からも言われたように、三百五十六億の二倍、三倍ある、こういうようなおことばもあったわけです。まず、政府としては現状で未復旧の鉱害がどの程度あると推定しておるのか、それが一つ。それから、ずいぶん山もつぶれるのだけれども、やはりあがり山ともなれば、撤退作戦というのは相当払って乱掘をやってくるわけです。そこで、炭鉱の数は減ったけれども、年々発生する鉱害というものは相当ふえつつあるというのが現状だと思うのです。そこで、現在残っている未復旧の鉱害量は一体どの程度あり、年々発生は一体どの程度と推定をしておるのか、この二点をまず御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/2
-
003・井上亮
○井上政府委員 滝井先生お尋ねの第一点は、現在無資力の既発生鉱害量はどの程度か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/3
-
004・滝井義高
○滝井委員 有資力、無資力合わせて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/4
-
005・井上亮
○井上政府委員 有資力の既発生鉱害量につきましては、三十八年度末の調査で、大手が大体三百三十五億円程度、中小が百四十四億円、合計しまして四百七十九億円程度と私ども想定いたしております。
それから、三十八年度末の無資力の既発生鉱害量といたしましては八十六億円。
それからなお。御参考までに申し上げますが、将来発生鉱害といいますか、大体年々どの程度ずつふえていくか、私どもは年々二十五億程度ずつふえていくというふうに考えております。したがいまして、これは三十九年から四十六年まで八年間というふうに考えますと、大体二百億くらいさらにふえていく見込みだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/5
-
006・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、無資力のうちの既発生分八十六億というのは、大手がないので、全部中小だ、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/6
-
007・井上亮
○井上政府委員 そうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/7
-
008・滝井義高
○滝井委員 いまお述べになったとおり、四百七十九億と八十六億と二百億、七百億をこえる八百億近くの鉱害があることになるわけです。したがって、今後無資力の鉱害というものが非常に多くなっていく傾向があるわけです。無資力の鉱害が多くなるということは、無資力の鉱害の復旧工事が多くなることを意味するわけです。そこで、過去から現在まで無資力鉱害の推移というものは、一体どういう推移で工事が行なわれてきておるのか、それを簡単にずっと推移を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/8
-
009・井上亮
○井上政府委員 年度別に臨鉱復旧関係の無資力、有資力関係について調査したものがあるのですが、そのうち無資力の関係について申し上げますと、昭和二十七年度には二百十五万円、昭和二十八年度には二千五百三十八万円、二十九年度には三千六百七十三万円、三十年度は一千七百五十七万円、三十一年度は千九百四十万円、三十二年度は六千九百二十二万円、三十三年度は八千五十三万円、三十四年度は一億一千七百十六万円、三十五年度は二億三千三百九十七万円、三十六年度は二億二千三百万円、三十七年度は二億一千八百万円、三十八年度は三億五千八百万円、なお御参考までに、三十九年度は六億九千八百万円、さらに四十年度の計画は、三十九年度の約倍になりまして十二億九千万円、これらを総合計いたしますと三十三億九千万円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/9
-
010・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、この三十三億九千万円は、既発生八十六億の中には入っていないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/10
-
011・井上亮
○井上政府委員 お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/11
-
012・滝井義高
○滝井委員 四十年度は十二億九千万円で、四十年度は入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/12
-
013・井上亮
○井上政府委員 あれは三十八年度までで御説明申し上げましたから、その後の分は入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/13
-
014・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、三十九年度、四十年度は入っておる。
無資力鉱害の復旧事業量を見てみると、昭和二十七年に二百十五万円のものが、四十年度では十二億九千万円と、五、六百倍の増加になっておるわけです。まずこれが非常に問題のところです。
そうしますと、無資力鉱害の復旧の主体というものは一体だれなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/14
-
015・井上亮
○井上政府委員 無資力鉱害の復旧につきましては、ただいま御審議いただいております臨鉱法で処理いたしおりますが、したがいまして、復旧の主体は復旧事業団になるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/15
-
016・滝井義高
○滝井委員 復旧の主体が復旧事業団ということは、同時にそのものが工事施行者であるということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/16
-
017・井上亮
○井上政府委員 お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/17
-
018・滝井義高
○滝井委員 これで大体無資力鉱害の工事施行者というものがはっきりしたわけです。
そうしますと、これは天日さんがおらないとぐあいが悪いところなんですが、きょうはこちらにいないそうで、次会には来てもらわなければなりませんが、石炭局長かわって答えていただきたいのです。
この無資力鉱害が飛躍的に拡大をする現状において、施行者としての鉱害復旧事業団は、五百倍六百倍とウナギ登りをしていく無資力鉱害を復旧する資金の確保は、一体順当にいっておるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/18
-
019・井上亮
○井上政府委員 滝井先生御承知のように、無資力鉱害の復旧につきましては、有資力の場合と違いまして、国と地方公共団体がまかなうという仕組みに相なっておるわけでございまして、その限りにおいては一応充足されておるわけでございますが、ただ、おそらく滝井先生の御質問は、まだ残存鉱害が相当多数残っておるので、むしろ、それについて十分かという御質問であろうと思います。そういった意味につきまして申し上げますと、先ほど御説明申し上げましたように、年々無資力鉱害の量もふえておりますが、予算も激増しておる姿になっております。特に四十年度の計画につきましては、三十八年度あたりに比べますと四倍近くになっている、また三十九年度に対しましても二倍近い予算を計上しておるという姿に相なっておるわけでございますが、しかし、率直に申しまして、現実はこれだけで十分だというふうには必ずしも私は考えておりません。今後とも逐次予算を拡大し、無資力鉱害の復旧を一日も早く施行するように努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/19
-
020・滝井義高
○滝井委員 今後の問題は、既発生の分は、これは三十九年、四十年は入っていませんけれども、八十六億あるし、予算の拡大も、なるほど数字的に見れば、二百十五万円程度のものが十二億というように拡大してきておるわけですから、その限りでは多いわけです。しかし、一方、無資力鉱害者の立場からいうと、何とぞの復旧のおそいことよということになるわけです。そこで問題は、工事施行者である事業団が順当に資金繰りができるかできないかということが、やはりこの際における大きな問題点になってくるわけです。
私は、きょうは、いまの法律を一挙に打ち破ろうという考え方を持って質問をしていないのです。全くいまの法律の範囲内で最大限やれることはやってみる必要があるという、きわめて現状維持的な保守的な立場できょうは質問しているのです。理事会でやるような革新的な主張でないということをひとつ頭に置いて答弁をしてもらいたいと思う。
そこで、工事主体の事業団の資金の確信というものは、借り入れ金をしたり、何か事業団債を発行することができますね。実際は事業団債やらは発行していないわけでしょう。そうしますと、事業団が資金繰りをやるときには、一体金はどこから借りておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/20
-
021・井上亮
○井上政府委員 現在は、つなぎといたしましては、市中銀行から借りているという姿であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/21
-
022・滝井義高
○滝井委員 市中銀行から事業団が金を借りるということは、事業団の経理を非常に圧迫することになる。高い利子の金を借りる、したがって、そのことは復旧費のコストを上げることになるわけです。それでここにひとつ考えなければならぬ問題点が出てきているわけです。
そこで、一つの提案というか、あなた方の意見を聞かなければならぬ。これからは少し革新的になるかもしれないが、幸いに鉱害賠償基金というのができているわけです。この鉱害賠償基金は、御存じのとおり、人間的にいうと、天日さんが基金の理事長であり、鉱害復旧事業団の理事長で、一人二役、二足のわらじをはいているわけです。このことは非常に両者の関係をうまくすることになるわけですね。そこで、鉱害賠償基金の金を復旧事業団は借りることができるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/22
-
023・井上亮
○井上政府委員 鉱害復旧事業団のつなぎ資金として現在市中から借りておりますが、政府資金から借りたほうが有利なことは、御指摘のとおりでございます。金利等も軽いわけでございます。そこで、鉱害賠償基金から復旧事業団が融資を受けられれば、お説のとおり非常に仕事もスムーズにやりやすいというふうに私も考えますので、この点につきましては、ただいま大蔵当局とも打ち合わせ中でございます。私の希望といたしましては、できるだけそういうことができるように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/23
-
024・滝井義高
○滝井委員 理財局は来ておりますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/24
-
025・加藤高藏
○加藤委員長 間もなく参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/25
-
026・滝井義高
○滝井委員 こういうことはタイムリーにさっとやらないと、言質がとれないのです。石炭局はよろしいと言ったんだから、来てもらわないと進法にくいから、至急来てもらってください。これ肝質問の大事なポイントなんです。
そこで、現在の市中銀行の問題について——合理化事業団、それから産炭地振興事業団、これは銀行から借りた金は利子補給が行なわれておるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/26
-
027・井上亮
○井上政府委員 産炭地振興事業団は、市中から借りるということは現在いたしておりません。これは全く一般会計予算と財投という面からまかなっておりまして、その資金で運用しておるという実態でございます。
合理化事業団につきましては、鉱害復旧事業団と同じように、つなぎを市中から若干借りておりますけれども、これに対する利子補給はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/27
-
028・滝井義高
○滝井委員 これは私そこまで勉強がいっておりませんが、市中銀行から借りた場合は利子補給の道は法律的には開かれておるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/28
-
029・井上亮
○井上政府委員 法律的と申しますか、これは政府の方針で利子補給の予算を組めば可能性はございます。しかし、現実には利子補給していないというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/29
-
030・滝井義高
○滝井委員 産炭地振興事業団はどうですか、これがもし市中銀行から借りた場合は利子補給の道は開かれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/30
-
031・井上亮
○井上政府委員 産炭地振興事業団は市中から借りることを予定いたしておりませんし、したがって、利子補給するというような考え方もないわけです。産炭地振興事業団は、御承知のように、市中から借りますと、つくります土地造成の費用もかさみますし、政府関係のみということで現在考えて運用いたしておりますので、そういうことはございません。また、するつもりもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/31
-
032・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、基金がいま資金繰りのために市中銀行から金を借りる場合に、それは担保はどういう関係になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/32
-
033・井上亮
○井上政府委員 無担保で借りております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/33
-
034・滝井義高
○滝井委員 無担保でばく大き金を貸してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/34
-
035・井上亮
○井上政府委員 やはり政府関係機関でございますから、その名の信用によりまして借りておるのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/35
-
036・滝井義高
○滝井委員 利子は高くとられておるでしょうから。
そうしますと、大蔵省が来てからいまのところはやるとして、農林省にお尋ねするわけですが、御存じのとおり、無資力鉱害がだんだんふえていく、その場合に、復旧費の中に占める農地の比重というものは非常に高くなってきつつあるわけです。その場合に、農地の復旧というのは、十一月の終わりから十二月にかけて稲の刈り入れが終わってしまってから、三月までの短い間に工事をすることになるわけです。そうしますと、当然、四十年度なら四十年度の工事が認可になってからやっておったのでは、今度は稲の植えつけができなくなることになるわけです。どうしても冬季の日照の少ない短い間に大車輪をかけて三、四ヵ月の間に工事を完成してしまわなければならぬわけです。そうなりますと、いまの無資力鉱害を中心に——有資力であっても結論的には同じですが、考えてみますと、事前着工ということが非常に問題になってくるわけです。実はこのことが同時に資金繰りにも関係してくるわけですが、事前着工が問題になる。そうしますと、一体鉱害復旧における農地の事前着工というものは、これは許されるものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/36
-
037・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 事前着工という御趣旨がちょっとわかりかねるわけでございますが、復旧事業を承認いたしまして、復旧事業に着手する。いまおっしゃいましたような事情もございますので、あるいは下部におきましては単年度の事業を承認いたしております。そこで、みすみす同じことをやることがわかっても、翌年度はまたもう一ぺん同じことをやらなければならぬ。そこで、一年の事業でなく二年にわたる事業も承認をいたすことによって、その翌年度の事業の着工がすみやかにいけるような措置を考えるという方法を最近とっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/37
-
038・滝井義高
○滝井委員 ちょっともう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/38
-
039・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 つまり、一年度ごとに計画を承認いたしまして、その承認後復旧事業に着工すると、いま先生がおっしゃいましたように、スタートが非常におくれるわけであります。そこで、単年度事業計画の承認ということでなくて、一年、二年にわたる事業を合わせてきめることによりまして計画承認ができておりますから、新しい年度に入りましては、計画承認、着工の準備等の措置を経ないで、継続して次の仕事に入る、そういう方法を最近できるだけ活用する考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/39
-
040・滝井義高
○滝井委員 わかりました。したがって、農地については、単年度計画でなくて多年度計画をやるのだ、こういうことになるわけです。そうしますと、ここに必然的に事前着工、施越し工事というのですが、これが出てくるわけですね。これは、鉱害復旧のような特殊のものについては、災害復旧なんかもそういう場合があるのですが、会計検査も大目に見る、それから通産省のほうも農林省のいまのような多年度計画を認めるということになれば大目に見る、こう理解をして差しつかえないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/40
-
041・丹羽雅次郎
○丹羽政府委員 災害復旧につきましては施越し工事が認められておりまして、その他の農林省の土地改良事業は認められておりません。ところが、鉱害復旧に関しましては、いま先生がおっしゃったような問題もございますし、先ほど来のお話にございましたように、できれば予算の不足を少しでも現業的に解決していきたいという立場で、本年度当初来、施越し工事につきまして大蔵省と交渉いたしまして、了解を得ました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/41
-
042・滝井義高
○滝井委員 吉瀬さん、来られて早々で非常にあれですけれども、いまだんだん鉱害復旧の費用の中に占める農地の復旧費が非常にばく大化してきた、したがって、これを単年度でやっておったのでは農地の復旧がスムーズにうまくいかない、そこで、二年度とか三年度とかいう多年度計画で総合的に農地復旧をやる、そうしますと、必然的にそこに出てくるのは、これは労働力の離散を防ぎ、あるいは仮設工事をやったり機械設備をそこへ持ってきてやっておるわけですから、それが単年度で切られてしまうと、労働力は離散し、機械はまたよその工事に持っていかなければならぬ、能率的にいっても非常にロスが多い。そこで、多年度工事として認可をして、施越し工事、事前着工を認めるということについては、通産省も農林省も、やむを得ない、こういうことを言っているわけです。そこで、それは大蔵省もよろしいかということなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/42
-
043・吉瀬維哉
○吉瀬説明員 ただいまの施越し工事の件でございますが、いまお尋ねのような実態も勘案しまして、通産省、農林省といろいろ御相談の上、特に本年度から一定のものにつきまして施越し工事を認める、こういう線で了承しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/43
-
044・滝井義高
○滝井委員 農地について施越し工事を大体確認してもらうことになったわけです。
そこで石炭局長に少しお尋ねしますが、無資力鉱害の工事施行者が復旧事業団だということになりますと、復旧事業団は、自分自身の事業団の機構を運営する事務的なプロパーな経費と、それから無資力鉱害を復旧するについてのいろいろの経費と、両面の経費が必要になってくるわけです。そこで、その潤滑油の役割りをやるそれらの二面の経費が順当に回転をしないと、無資力鉱害の復旧ができないことになる。そこで、無資力鉱害復旧に伴う復旧事業団の経費の推移というものはどうなっておるのかということ、特に、昔からはいいですよ、三十八年、三十九年、四十年はどの程度両面の経費が要るのか、それをひとつ御説明願いたい。——ちょっと待ってください。資金課長が参ったそうですから、いまのはあとでもう一ぺん質問します。
来られた早々で申しわけございませんが、無資力鉱害が非常に多くなってきたわけです。その無資力鉱害の施行主体は鉱害復旧事業団である。そこで、復旧事業団の資金繰りを円滑にするためには、どこからか金を借りなければならぬ。これは銀行からもいま借りる道がある。ところが、銀行から借りれば担保も要ると思っておったのだが、担保は要らないそうです。しかし、これは高い利子を払わなければならぬ。高い利子を払えば、それだけ事業団の経理を圧迫することになるし、復旧費の資金コストを高くする。そこで、銀行から借りる道もあるし、事業団債を発行する道もあるけれども、一番手近いのは、鉱害賠償基金というものができた、そこで、この新しくできた鉱害賠償基金から鉱業権者、租鉱権者と同じように金を借りる道を開くことが一番手っとり早く、一番安上がりである。そこで、それを借りたらどうだ。石炭局は、当然それはいいことである、そうしたい、こう言うわけです。しかし、これは石炭局がそうしたいと思っても、あなたのほうがノーと言えばこれはだめになる。そこで、あなたのほうはイエスかノーかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/44
-
045・竹内道雄
○竹内説明員 実は鉱害賠償基金のほうは三十九年度予算でどのくらい予定しておるか、ちょっとあれですが、鉱害賠償基金の財政投融資で予定しておりました三十九年度分の資金はすでに全額鉱害賠償基金に出しておるはずでございまして、したがって、基金の資金繰りをよく調べてみないとわかりませんが、おそらく賠償基金としてはそのような余裕はないのではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/45
-
046・滝井義高
○滝井委員 三十九年度はしかたがないのです。四十年度のことを言っておるわけです。そこで、これはちょっと調べて基金の金を見てみるとわかるのですが、主事が認可になると、いまあなたの来る前に——順序がちょっと逆になりましたけれども、事前着工もよろしいということに、これは大蔵省の吉瀬さんのほうも、農地局長も石炭局もみんなよろしいということになったわけです。そうなりますと資金繰りというのは非常に重要になってくる。なってくれば、資金をどこからか供給しなければならぬ。供給源としては賠償基金が一番いいだろう、こういうのが私の結論なんです。そこで、三十九年度はもう過ぎたことですからやむを得ませんが、四十年度については賠償基金から金が貸せるかどうか、こういうことなんです。そして工事が認可になればそれはどんどん返していけばいいわけですから、これは返す金は持っておるわけですから、銀行でさえ無担保で金を貸してくれるという信用のある復旧事業団ですから、返せるのはすぐ返せるわけです。そこで、それを認めるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/46
-
047・竹内道雄
○竹内説明員 お答え申し上げます。
滝井先生御承知のように、鉱害復旧事業団は補助金と納付金で仕事をしておるわけでございまして、原則的にはその二つの金で予定された仕事はできるはずでございますけれども、万一もしその金で足りないというようなときには、やはり資金繰りの事情等を見てそのときの事情に応じて検討いたしてみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/47
-
048・滝井義高
○滝井委員 それなら少し開き直ることになるのだけれども、一体、復旧事業団は、法律的に見て、基金から金を借りられることになっておるのか、なっていないのかということです。いまのように政治論でなくて、金がなくなったときには、補助金と納付金だから、その補助金と納付金に行き詰まりができたときには検討しましょう、こういうことは、貸すということを前提にしてのものの言い方なのか、貸すか貸さぬかわからないけれども、そのときの事情で検討してみようということなのか。まずこれは法律論をやってみればわかると思うのです。一体、復旧事業団は鉱害賠償基金から金を借りる法的根拠ありゃいなやということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/48
-
049・竹内道雄
○竹内説明員 法律的には可能であると私は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/49
-
050・滝井義高
○滝井委員 それがわかればいいわけです。
そこで、法律的に可能だとすれば、いまあなたの言われるように、納付金と補助金でやってみる、しかし、すでに他のものに許さない事前着工、施越し工事というものを認めておる段階においては、単年度計画でなくて多年度計画ですから、当然金が不足してくることは明らかです、客観的に見ると。そこで、そのときに、法律的には貸してもよろしいということになれば、それから先は、基金に金があるかないか、ないそでは振れませぬから、そこに余裕があり、貸す金があって、しかも返す金は認可になればすぐ返せる、資金の運用上貸しておいてもたいして支障がないということになれば、法律的にいいというなれば、貸していいということに理解して差しつかえないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/50
-
051・竹内道雄
○竹内説明員 そのときの鉱害復旧事業団の資金繰りの状況、それから鉱害賠償基金のほうの資金繰りの状況をそのときどきにおいて検討いたしまして、そこできめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/51
-
052・滝井義高
○滝井委員 それはわかるのでけれども、そのときは余裕ができれば貸しますね、こういうことなんです。法律的に考えて根拠あり、こういうことでしょう。法律的には根拠はあるのですからね。その法律上の根拠はどこにあるのですか、ちょっとそれを先に明らかにしましょう。法律上の根拠はあると言ったのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/52
-
053・井上亮
○井上政府委員 石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の第三十条でございます。これは基金の業務の範囲をうたっておる条文でございますが、「基金は、第十二条の目的を達成するため、次の業務を行なう。」としまして、二に「鉱害の賠償(復旧工事の施行を含む。)に必要な資金の貸付け」特にこの鉱害の賠償の中にカッコいたしまして、(復旧工事の施行を含む。)こうなっておりますので、法的には一応貸し付けができるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/53
-
054・滝井義高
○滝井委員 そうすると、資金課長さん、三十条の二号ですね、業務の範囲の御説明をいまいただいたのですが、「鉱害の賠償(復旧工事の施行を含む。)」と書いてあるから、貸せる。あなたも、法律的にはよろしい、こうなったわけですよ。そうしますと、結局あとは借りなければ動かないという必然性があれば、これは貸すという言明をしても差しつかえないのではないでしょうか。——どうも資金課長はこだわっておるようであるけれども、これはちょっとあなたで答弁がぐあいが悪ければ、少し上の人に来てもらって——ここは一番大事なポイントですよ。だから、理財局長か政務次官か、もうちょっと上の人に来てもらって、これはあとになってから、いや、あれは資金課長の思い違いだったなんて言うのでは困るのでね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/54
-
055・竹内道雄
○竹内説明員 お答え申し上げます。
従来、御承知のように、三十条の二号の規定は実際においては発動されていなかったものなんでございますけれども、滝井先生のお話は法律的にも非常にごもっともなお話でございまして、さような場合にはこの規定を発動するかどうかということにつきまして、通産省ともなおよく相談したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/55
-
056・滝井義高
○滝井委員 それではいかぬのですよ。もうここで発動するということは、法律的に——法治国家ですから、何も支障ないでしょう。復旧事業団に金を貸さないという規定は、探してみてもどこにもないのですね。貸すという規定しかないわけですよ。だから、通産省と相談をしてなお検討してみようというのでは、きょうの答弁にならないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/56
-
057・竹内道雄
○竹内説明員 お答え申し上げます。
多少答弁がはっきりしなくて申しわけございませんでしたけれども、そのときの事情をよく考えまして、どうしても必要であるという場合には、法律的にも可能でありますので、貸し付けをすることを考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/57
-
058・滝井義高
○滝井委員 それでは、いま言ったような施趣し工事等もありまますから、基金は復旧事業団に金を貸すという確認を得たものとしますから、ひとつ間違いないようにしっかりお願いしますよ。これで基金が金を貸してさえやれば施越し工事も非常に順当にいくわけで、それで鉱害復旧の多年度計画も実が実ることになるわけで、これは非常な前進なんですよ。金がないときには金を貸してくれとは申しませんから、ぜひひとつお願いいたします。
次は、途中でちょっとやめた無資力鉱害の復旧に伴う復旧事業団の負担金の状況です。これは三十九年、四十年度でけっこうです。三十八年度でもかまいませんけれども、三十九年、四十年度の内容をちょっと説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/58
-
059・佐成重範
○佐成説明員 鉱害復旧事業団の負担でありますが、全国の鉱害復旧事業の九割を占めます九州鉱害復旧事業団について申し上げますと、負担金、これは無資力鉱害の復旧に伴います鉱害復旧事業団の義務的な支出でありますが、無資力の鉱害農地を復旧いたしました場合に暫定補償金を支払う、これが三十九年度三千七百八十九万円であります。四十年度はおおよそ七千五十七万円という額に達するものと考えております。それから、無資力で地盤等を復旧いたしまして、家屋自体の復旧費、これが三十九年度千二十万円、四十年度におきましては三千十七万五千円というふうな想定を立てております。また、農地の復旧に伴いますかんがい排水ポンプの維持管理費、これが三十九年度三十五万四千円、四十年度におきましては百六十七万五千円というふうに現在想定いたしております。これら三つの義務支出を合計いたしまして、三十九年度四千八百四十四万円、四十年度一億二百四十二万円という額になるものと想定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/59
-
060・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、いまの四千八百四十四万円というのは、これは復旧費の一・八三%に当たる分がこれになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/60
-
061・佐成重範
○佐成説明員 ただいま御説明申し上げましたように、無資力鉱害復旧に伴います復旧事業団の義務支出がこの三項目になるわけでありますが、臨時石炭鉱害復旧法の法律上の制度から申しますと、この三つのうち、無資力鉱害農地の復旧に伴います暫定補償と、それからかんがい排水ポンプの維持管理費、この二つにつきましては、国が工事施行者を通じて支出いたします補助金の中からこれを支弁いたすということになっております。それから無資力鉱害家屋自体の復旧につきましては、鉱業権者から徴収いたします賦課金の一部をもってこれを支弁するという法律上の制度に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/61
-
062・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、暫定分とポンプの維持分は補助金から出す、それから家屋の復旧費については鉱業権者の賦課金から出す、こういうことになるわけですね。そうしますと、同じ事業団の出す経費でも、二つのものについては国の補助金から出、家屋等の復旧については賦課金から出すということは、これは復旧事業団のベースから出すことになるわけですが、どうしてこれをこういうふうに分けなければならないことになるのかということです。家屋等の復旧費は、昭和三十二年から臨鉱で国土保全の立場から取り上げられることになったわけですね。そして地盤等の復旧費については国と県が金を出す。そして家屋復旧費で地盤等の復旧費と見られない部分については補助対象外で、これは有資力ならば鉱業権者が出す、賠償義務者が出すことになるわけですね。そうすると、無資力になったときに、賠償義務者でない事業団がこれにかわって負担をしなければならぬという理論的な根拠——法律は、臨鉱法の五十三条の二か何かにたぶんそう書いてある。しかし、これは鉱業権者が当然負担しなければならぬものを、なぜ復旧事業団がかわってそれを復旧することになるのかということがちょっとわかりかねるのです。ポンプの維持管理というものは当然鉱業権者がやらなければならぬものだが、国が補助金から出している。それから暫定補償は、理論的に言うと、復旧費の中に入る可能性のものなんです。そうすると、国の理論というものは、当然鉱業権者が負担をしなければならぬポンプの維持管理については補助金から出しておきながら、鉱業権者の負担しなければならない家屋の復旧費については復旧事業団に持っていくというのは、この三つのものをこう並べてみると、一貫した筋が通っていないですね。したがって、私の言いたいのは、家屋の復旧費についても、これは復旧事業団のなけなしの金の中から取り上げるのじゃなくて、当然国の補助金の中に入れるべきだ、こういう理論なんですよ。そうしないと筋が通らないのじゃないか。非常に微に入り細をうがった分析になりますけれども、やはりこういうところまで筋は筋として通しておかぬと、今後の復旧事業団の経理をわれわれが見る場合に、非常に混乱してわかりにくいのですよ。この点は、通産省ばかりでなくて、大蔵省の吉瀬さんのほうにも一体理論はどういう形でこういうことにしているのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/62
-
063・佐成重範
○佐成説明員 ただいま御質問の中で、有資力鉱害復旧の場合と無資力鉱害復旧の場合の制度につきまして、若干補足と申しますか、御訂正申し上げたいところがあるわけでございますが、ただいまの御質問の中で、無資力鉱害農地につきましては、暫定補償とポンプの維持管理費を国が間接的に補助しているということは御指摘のとおりでございます。有資力鉱害復旧につきましては、暫定補償の全額とそれからポンプの維持管理費の全額、これを全部鉱業権者が負担しております。それから有資力の地盤等復旧の場合には、家屋自体の復旧費は全額鉱業権者が負担しております。
そのことをあらかじめ申し上げまして、お答えに移りたいと思うのでありますが、有資力、無資力を通じまして暫定補償並びにポンプの維持管理費というものにつきましては、復旧費の補助という補助体系の対象にはいたしておらないわけであります。これは国の全体の補助体系というものとも関係あることかと存じますが、たとえば農地の陥落と申しましたときに、これを物理的にかさ上げするという、この物理的な復旧につきましては、直接的にこれは国土の保全、回復ということでございまして、これを補助対象にいたすということであります。暫定補償、これは物理的な復旧と申しますよりは、地力の回復費を補償する制度であります。それからポンプの維持管理費も、でき上がりましたそのポンプの設置、これを維持管理していくための経費でありまして、どうしても金銭的な賠償になるわけであります。金銭的な補償でございますので、これにつきましては、直接的にこれを補助対象にするということは、国の補助体系全般の観点から申しましてふさわしくないのではないかという観点から、有資力の復旧につきましては全額鉱業権者の負担といたしまして、それから無資力の鉱害復旧につきましては、これを事業団の事務経費補助ということで間接的に国が補助いたしまして、そのことによりまして結果的には国土の保全と民生安定を全うしておるという制度となっておる次第でございます。
それから経費の支弁の財源でありますが、先ほど先生御指摘のように、三十二年度に臨時石炭鉱害復旧法の改正に伴いまして地盤等復旧というものが認められるようになりまして、その際におきましては、確かに、これは無資力の地盤等復旧でございますから、賠償すべき者がいないわけであります。賠償すべき者がいないということは、家屋自体の復旧費が出ないということであります。これがために、復旧事業団が支弁する。それで、復旧事業団が支弁する財源は、鉱業権者に賦課する賦課金である、この有資力鉱業権者から徴収いたします賦課金をもって無資力の家屋自体の復旧をまかなう、これはこの臨時石炭鉱害復旧法の根本的な理念であります。鉱害復旧の促進ということが石炭鉱業全体の発達に資するものであるという観点から、石炭鉱業者のいわば連帯と申しますか、共同的な理念に立ちまして、有資力の石炭鉱業者が無資力の家屋自体の復旧につきましては、その支出を行なうことが妥当であろうという観点から、そのような制度になっている次第でございます。
昭和三十八年にさらに臨時石炭鉱害復旧法が改正になりまして、無資力復旧におきます暫定補償、ポンプの維持管理費というものを支出するようになった、この際におきましては、非常に額も多くなりますので、これを国の間接補助という形で支弁するように制度が制定された次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/63
-
064・滝井義高
○滝井委員 いろいろ詳しく御説明がありましたけれども、事業団が鉱業権者から徴収する賦課金というのは、復旧事業団はいま一体どの程度持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/64
-
065・佐成重範
○佐成説明員 三十九年度におきまして鉱業権共からの賦課金は八千八百十六万八千円ぐらいに相なっております。四十年度におきましては、これが九千五百九十四万四千円という程度に見込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/65
-
066・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、八千八百万円程度と九千五百万円程度の三十九年度、四十年度の賦課金になるわけですが、こういうものは当然復旧事業団の人件費その他に充てられてしまうわけでしょう。現在復旧事業団で、たとえば請負師が仕事をやりそこなって、手直し工事をやろうとしたときに、手直し工事をする金もない。それほど復旧事業団というものは資金的に行き詰まっているわけですね。したがって、さいぜんせっかくいい言質をもらったわけですが、賠償基金から金を復旧事業団に貸します、そうして繰り上げ工事をやります。そうなると、これは事務的経費がなかったら、せっかくのいい言質が動かないことになるわけです。ちょっとやりそこなっても、それを手直しする金もないとなれば、そうすると、やりそこなったままでほっぽり出すことになるわけですね。そこで、いまの賦課金から無質力鉱害の家屋等の金をお出しになる、こういうことになってきた。しかし実際は、四十年度に九千五百九十四万の賦課金が入ったところで、これは人件費その他が要るわけですね。調べてみたら、退職金の積み立て金もやっていないのです。そういう形ではあそこに働く職員も不安定ですよ。山陽製鋼が倒れて、社内預金ももらえぬようになった、重役だけもらっておったということでも困るのだけれども、そういう実態ですから、そこで私が言いたいのは、さいぜんから言うように、ちょっと計算をしてみたら、いまあなたの言われたように、家屋の四十年度の復旧費が三千十七万円あるわけですね。これが大体復旧費の〇・八ちょっとぐらいに当たるのですよ。計算してみると、全復旧費の〇・九までにならぬようである。そうすると、いまの事務経費支弁分として三%ことし出すようになりましたね。これは吉瀬さんのほうになるわけですが、予算要求のときはこれはたぶん四・八だったと記憶している。四・八要求したと思うのです。ところが、四・八要求して、大蔵省がこれを三%に削ったわけです。四・八あったら、手直しやら、それからいま言ったような家屋の復旧までみなやれることになるのですよ。三千何十万、〇・八ちょっとしか当たらぬわけですから、四・八要求したのを三%に削ったのだから、大野伴睦式に、足して二で割るわけじゃないけれども、その三%に〇・八か九足してくれるといい。だから、端数を切り上げて四%にしてやると、復興事業団の事務経費というものは、賦課金を取らずに潤沢にまかなっていけるわけです。そうすると、賦課金を今度は人件費やら、いよいよ困ったときの手直し工事、積み立て金等にも回すことができるわけですね。こういうわずかな金を切ったため、潤滑油にならないのですね。そこで私がお願いしたいのは、そのくらいの手直しは、予備費五百億もありますから、二、三千万の金ですから一ゆうべ徹夜で勉強したから、このくらいの金の修正はやっぱりやってもらわなければいかぬと思うのですよ。この修正は、一体法律の改正をしなくてはできぬのか、それともあなた方の行政のペースで何か政令をちょっといじればできることになるのか。家屋の復旧費を復旧事業団の賦課金から出すのじゃなくて、特鉱のポンプや農地の暫定補償と同じように事務経費から出す。いまの三%を四%に一%だけ上げてもらうということは、これは法律の改正を必要とするのか、それとも政令のベースでやっていけるのか。これは大蔵省でもどちらでもいいから、ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/66
-
067・井上亮
○井上政府委員 法律ではありませんで政令の改正になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/67
-
068・滝井義高
○滝井委員 その政令を私知らぬのだが、ちょっと読んでみてくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/68
-
069・佐成重範
○佐成説明員 臨時石炭鉱害復旧法施行令の十二条の第二項でございます。第二項を読みますと、「法第九十七条第二項」、これは復興工事の施行者の事業団に対する事務経費等の負担の規定でございますが、この規定により、「復旧工事の施行者が事業団に対し交付すべき金額は、当該復旧工事の復旧費の額に百分の一・八三を乗じて得た金額とする。」とございまして、この百分の一・八三というのが、現在の予算に基づきます比率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/69
-
070・滝井義高
○滝井委員 ことしは事業団の事務経費を三%に引き上げたわけでしょう。そうすると、これはいまの一・八三を三に変えることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/70
-
071・佐成重範
○佐成説明員 四十年度予算の議決がございまして、かつまた、臨時石炭鉱害復旧法の改正案、これらの議決がございますれば、政令の改正が三%ということで取り進められる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/71
-
072・滝井義高
○滝井委員 わかりました。そうすると、法律が通って、予算が参議院の委員会を通って本会議で議決されれば、それが自動的に今度は一・八三が三になる。今度ははっきりしてきた。そこで、それを四%にしてもらえば一切のものは解決するわけです。これははっきりしてきた。だから、あと一%出すか出さぬかということです。これは予算の大局にはたいして影響ない。やったところで、三千万かそこらですからね。そこで、これはあなたのほうはもうわかったですよ。大蔵省がこれだけのものをやるかどうかです。いま言ったように、私、復旧事業団の経理を洗ってみたら、とにかく退職金の積み立て等もうまくいっておらぬし、貸し倒れ準備金もうまくいっておらぬですよ。鉱害事業量の調査費も復旧事業団に入っておらぬ。そうすると、今後復旧事業団を工事の主体、工事の施行者として無資力鉱害を全面的にやらせようとすれば、やはりそういう少し弾力的な金がないとだめなんですよ。そこで、あなた方が三%と削ったから、大野伴睦さんの喜ぶ、足して二で割る式じゃないけれども、三%を一%上げて四%にする。幸い政令はこれから変えるのだから、これを今度ひとつ四%にしてもらいたい。しかし、これは大蔵省と通産省の話し合いで、もう三%で予算を了承しているのに何を言うかと一喝してやられたらだめだから、ここでひとつ政治的に、吉瀬さんも来ておられるから、これを考えるかどうかということです。一%です。たった一%考えてもらえば、四十年度は非常にうまくいくのです。繰り上げ工事はやってもよろしい、金は貸すということになったのだから、金を借りたからには、それをうまく動かしていく事務経費がなければならぬ。それがうまくいかないと、貸し倒れ準備金も積み立て金もうまくいかないから、それを何ぽかでも、スズメの涙でも、進むようにしてやらないと、これは話にならぬですよ。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/72
-
073・井上亮
○井上政府委員 滝井先生御指摘のように、当初予算要求に際しまして、事務費の補助は四・八%という試算をいたしたことは事実でございます。しかし、その後予算折衝に際しまして、三%で私は了承をいたしたわけでございますが、その理由は、当初予算要求に際しまして、まあこれは予算要決の常でございまして、私どもとしましては、無資力鉱害の復旧あるいは有資力の鉱害復旧、これをできるだけ早く、より多くやりたいという希望から、予算要求を相当多量に出したわけでございます。実際問題としては、予算を大蔵省が査定した——査定したことには違いないのですが、というよりも、実際に復旧事業団の事務能力、これを私どもの考え方では年々増大させていきたい。つまり、農地復旧をいたしますにしましても、これはやはり滝井先生御承知のように、相当高度のいろいろな設計技術その他を備えた人材をより多く増員しまして、それによって逐次そういったことが迅速に行なわれるようにという配慮をいたしておるわけでございまして、そういう事務能力の増大ということも来年度からさらに拡充していきたいという思想で考えておるわけでして、しかし一挙に飛躍的にそういう体制というのはなかなか困難であるというような意味から、事務量一ぱい、それからまた、そういった人材の獲得、それに伴って事務が進捗する、そういった限度一ぱいを一応考えまして、事務量についても当初の要求よりも少し減らざるを得なくなった。そういうようなことに伴いまして四・八%の補助は、一応三%程度でかすかすやっていける、それで穴が出るという計算にはなりませんので、一応そういうふうにしたわけであります。ただ、私といたしましては、滝井先生御指摘のように、ではそれでおまえ十分かと言われれば、それは必ずしも十分ではございまません。したがいまして、私どもの立場は、今後ともに鉱害復旧の事業量を拡大していかなければならぬ立場でございますので、そういった点ともあわせまして、復旧事業団の事務が経費のために遅延することのないように努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/73
-
074・滝井義高
○滝井委員 私はきわめて論理的に筋を通して質問をしているつもりです。事業団の無資力家屋復旧の負担金というものを出さなければならない理論的な根拠も、法律には書いてあるけれども、薄弱なんです。他のものはみんな国のほうから事務経費として渡しているわけですからね。したがって、これは筋論からいっても当然事務経費に加えるべきだ。たまたまその加えるべき家屋復旧費と総事業量を対比させてみたら〇・八ちょっとになるのですよ。だから、〇・八分だけ足してもらえば筋が通りますよ。いまの三%に一%くらいを継ぎ足してやって四%にすれば、きわめて筋も通るし、事業団の仕事もうまくいく。そうすると、それは三千万かそこらじゃないか。それなら何ぞ来年を待たんや。何ぞそのときに行き詰まってから検討する必要があろう。幸い政令も改正してないし、これからやるのだから、いまここでやったほうがいい。浅見綱斎がかつて通鑑綱目という本を教えてくださいと言ったら、その師が浅見綱斎にいわく、何ぞ来年を待たんや。大みそかからやったというのです。それと同じですよ。参議院で予算も通っておらぬし、衆議院でも法律は通っていないのだから、このくらいのものは、何もここで、よろしい、四%にいたしましょうと言ったところで、向こうに私たちが行って、待った、予算の修正をやらなければいかぬというようなけちなことは言いません。吉瀬さんどうですか。私は、当然そのくらいのことを言って事務を円滑に運ぶべきだと思うのですよ。政令でできるのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/74
-
075・吉瀬維哉
○吉瀬説明員 ただいまの先生のお話でございますが、ことしの予算の編成にあたりまして、通産当局と現行の体系でいろいろものごとを考えてきた場合に、一・八を三に引き上げるということで十分まかなえるということでお互いに了承したわけでございます。ただ、滝井先生のおっしゃるように、家屋の復旧までもこれでまかなえということになりますれば、いろいろ問題が生ずるわけでございます。私ども実は論理的に一貫しております点は、家屋の復旧と暫定補償とは違う、と申しますのは、現在の公共事業また災害復旧等の場合におきましても、農地と家屋の間には画然と一線が引かれているわけでございます。他の補助体系には個人関係もございますし、家屋はやや個人的色彩の強い資産になってくる。一方、農地は、国土保全という従来の補助体系の一つの体系がある。こういう点から、従来この点には大きな線を引いているわけでございます。今後この点を踏み切るということになりますと、他の補助体系全般との関連におきましてきわめて困難といわざるを得ないわけでございます。したがいまして、現行の体系で進む場合には、三%の現在の事務費、その他、賦課金、補助、それで十分であるというぐあいに考えているわけであります。もちろん予算のことでございますから、現行体系が十分であるかどうかということは、いろいろ議論も出ましょうが、これは予算全般を通ずるところでありまして、とにかく前年度の一・八を三に上げたということで何ぶん御了承を願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/75
-
076・滝井義高
○滝井委員 家屋等の復旧費の形で出すと目をはじくわけです。そこで、目をはじかないように、事業団の事務経費というトンネルを通してろ過して出すわけですから、これは全く目をはじかないわけです。そういう形でお出しなさいということですからね。だから他のものに影響するところはないのじゃないですか。しかもこれは何だったら賦課金から出して、賦課金が不足するから賦課金を補てんしてやるという形でもかまわぬわけです。だから問題は、今後どういうように鉱害地の——あとで触れていきますが、農地の復旧を円滑にやるかということが私は問題だと思うのです。これは法律の改正でなくて、行政ベースの政令の書きかえだからいい。しかもこれから書きかえるので、一・八三を三にするというのを四にすれば一切の問題が片づくのですから、これくらいやさしいことはない。あなた方が話し合ったからこれが金科玉条である、コンクリートされたものであるというわけではないのです。上手の手から漏れた水を上げる、そういうためにこそ国会があるわけだから。だから私の言っているのは間違いじゃないと私は確信しているのですよ。これはあした佐藤総理もいらっしゃるから、総理までひとつ上げたいと思うのです。これは復旧事業団の事務がうまくいかなかったら何にもならぬのですからね。まだどうせやらなければならぬことがあるし、きょうは、十二時になりますからあと二つばかりで終わりにしますが、これはちょっとペンディングにしておきましょう。
次は、今度の復旧費の負担区分を変えるにあたって地方自治体の負担の問題があるわけです。これはさいぜん福岡議会からも陳情がございましたが、ちょっと調べてみましたら、無資力については約五%ずつくらい負担率は軽くなっていますね。ところが、有資力の農地と家屋については、三%から三・四%ずつくらい負担率が上がっておるわけです。冒頭にお聞きしたように、三百四、五十億くらいの鉱害でも、現行の負担率とそれから改正後の負担率とで計算をしてみると、福岡県の資料で四十年から四十六年までの有資力鉱害を見ますと、三十九億くらいの現行負担が、改定をすると四十七億くらいになるのです。だから七億七千万ばかりの負担増、すなわち一割九分、約二割近くの負担増になるわけです。一方、これは鉱業権者の負担を経減するためにやったのだから、鉱業権者の負担は、百二十三億から負担しなければならないのが、七十二億になって、四割一分の負担軽減になるのです。これは四十年から四十六年までの鉱害を見てちょっと計算したものです。復旧費はそのときは三百五十六億くらいなんですが、国の負担増は二三・九%くらいの増です。だから国が二割三分程度の負担増、自治体、特に県が二割程度の負担増、こういうことになるわけです。そして鉱業権者は四割一分程度の軽減、市町村は一割三分ちょっとの軽減です。市町村の軽減したのはいい。鉱業権者の軽減したのもいいけれども、県の負担を二割程度増加するということには問題がある。なるほど、無資力鉱害、有資力鉱害ともに、国土保全の意味からいったら県には幾ぶん受益者負担の意味もあるから、するのが当然だというけれども、何せ財政が火の車の産炭地の県です。これも法律でなくて政令であるわけでしょう。ここらあたりにも何か非常に問題があるのです。それで、やはりこれを直せという意向がきゅう然として自治体から起こってきておる。だからきょうも議長なり知事がやってきたと思うのですけれども、こういう点は石炭局なり、大蔵省は一体どう考えるのかということですが、これは自治省もいずれ次会には来てもらってもう少し聞かなければいかぬと思います。これほど自治体負担、特に県負担を有資力の場合にふやしたという理論的な根拠ですが、これをまず先に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/76
-
077・井上亮
○井上政府委員 御指摘のように、今回臨鉱法に基づきます補助率の引き上げを政府としてはきめたわけでございます。特に、無資力関係につきましては、国の補助率は大体三割アップということで今回予算を組み、そういった方針でやってまいりたいというふうに考えておるわけでありますが、ただいまも御指摘がありましたように、県の関係につきましては、無資力につきまして現在一一%くらいの負担が、農地でありますれば一四%くらいの負担になるということは事実でございます。ただ、同じく御指摘のように、逆に県の負担率は減っている面もございます。私どものほうの計算によりますと、福岡県を例にとって、この補助率の引き上げによりまして県当局とされましては大体三千六百万円程度の負担増ということになろうかと思います。しかし、滝井先生御承知のように、県財政につきましては、特別交付税の制度あるいは普通交付税の制度等もございますので、そのうちの約六割程度はそういった交付税体系によって補てんされるというふうに考えております。したがいまして、先ほど御指摘がありましたような何十億というような負担にはならないというふうに考えております。なお、御承知のように、臨鉱法の体系によりまして、無資力関係につきましては、これは国と都道府県で負担して復旧をするという制度にただいまなっておるわけでございまして、有資力は、言うまでもなく、鉱害賠償の責任は鉱業権者にありますので、これは当然主体が鉱業権者になるということになるわけでございますが、無資力につきまして特に金銭賠償をする主体がなくなるわけでございますので、臨鉱法におきましては、国土保全あるいは民生安定という見地からとにかく荒れ果てた耕地その他を復旧しようというような思想から、国が主体になって復旧しよう、しかし、その場合に、趣旨が国土保全であり民生安定であるというような見地から復旧するわけでございますので、単に国だけがやるのでなしに、受益者——というと語弊がありましょうが、民生安定等の見地もあってやはり府県におかれましても一部負担されるのが適当でないかというような考え方で現在の臨鉱法の体系が組まれておるわけでございます。そういった見地から、やはりこの程度の国の補助率の引き上げに伴いまして府県におきましても御負担をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/77
-
078・滝井義高
○滝井委員 県が全然負担をしないとは言わないわけです。これはやはり負担をするのには限度があると思うのです。それで、いま三百五十六億程度と言いましたけれども、さいぜん、八百億になんなんとする鉱害が出てくると御説明になったように、そういうことになりますと、この県の負担が、七億というのが十四、五億というようなことになってしまうのです。四十六年度までを計算するとですね。そうすると、なるほど、六割程度は普通交付金や特別交付金でくれるかもしれませんが、特別交付金は御存じのように全然ひもつきでないし、入っておるか入ってないか、はっきりわからぬわけです。そういう不安定な財源でなくて、きちっとしないと話にならぬわけです。そこで、やはり交付税は交付税として、自治省のベースでものを解決するのでなくて、個々の通産局ベースで一応ものを解決して、その上で最小限のものは自治省のベースでやる、こういう形でやらないと、いたずらに政策が複雑になってくるわけです。そこで、受益者負担として、あるいは民生安定上の責任を地方住民にきわめて密接した政治を行なっておる県なり市町村が持つとすれば、負担し得る限界はやはり一割ですよ。生活保護は二割。いま生活保護でも、八割国の補助で、二割ではたいへんだから、国の補助を九割にしてくださいという要望が非常に強い。なかなか大蔵当局はイエスと言わいけれども……。しかし生活保護よりも、県の立場というものはもっと被害者の立場にあるわけです。自分の県の県主の下を掘りくり返されてしまったわけですから。しかし、いままで鉱産税は県が取ったわけではないし、市町村が取っておった。事業税、法人税は取っておったかもしれませんが……。だから現実には非常に大きな被害を受けている。だから、全然負担しないとは言わないが、一割七分では多過ぎるのではないかということです。これは地方財政の問題と一緒に問題がありますけれども、とにかく多い。だからこれは何らかの形で負担軽減をやる必要がある。多賀谷さんも細谷さんもいろいろの角度からの御質問すると思いますが、もう少し残しておきたい。
もう一つ最後に、昭和三十七年から合理化の新方式が発足したわけですね。そしていま三十九年度が終わろうとしておるわけですが、閉山炭鉱がその新方式にかかって、交付金以外に鉱業権者が鉱害賠償に充当しなければならない自己資金というものは一体どの程度必要と見ておるか。三十七年から三十九年までの買い上げの見通しは大体ついておるわけですから、そのついてしまった炭鉱の交付金は持っております。積み立て金なり保証金として押えておる。しかし、それ以外に自己がやらなければならぬものが相当あるわけです。これは一体どの程度自己資金というものを必要とするかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/78
-
079・佐成重範
○佐成説明員 新方式の整理交付金が実施されまして以来、整理交付金の中から約三十五億の鉱害賠償分の留保をいたした次第でございます。その中から合理化事業団が約四億の鉱業賠償を鉱業権者にかわりまして代位弁済をいたしております。残額約三十億円が合理化事業団の手元に留保されておりまして、これは合理化事業団が代位弁済いたしますれば、そのまま鉱業権者の賠償ということで賠償が完済されるわけでございます。その間は鉱業権者がこれを別途自己資金あるいは鉱害賠償基金からの借り入れで充当してまいるというふうな形態で賠償を履行しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/79
-
080・滝井義高
○滝井委員 いま三十五億の留保をしておる、その中で四億円だけは鉱害賠償に代位弁済をした、そうするとあと三十億残っておる、これは当然のことです。これは押えられてしまっておるわけですから、鉱害復旧に使うのは当然です。そのほかに鉱業権者は、鉱害がばく大に多いわけですから、その交付金だけでは不足をするということは明々白々だから、その交付金以外の自己資金というのは一体幾らぐらい見ておるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/80
-
081・佐成重範
○佐成説明員 ただいまの御質問でございますが、これは復旧のための納付金等の一時賠償のための所要資金と、それから毎年賠償と、両方必要なわけでございますが、復旧をどの程度の速度で行ないますか、これによりまして毎年賠償等の金銭賠償の所要額も変わってまいりますので、この復旧等の一時賠償の処理、これは鉱業法上の当事者賠償の原則に基づきまして、鉱業権者と被害者と話し合いをして進捗させる筋合いのものでございますので、その成り行きいかんによりましてかなり変動的なものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/81
-
082・滝井義高
○滝井委員 そうすると、必要とする自己資金というものは、現在きわめて可変的なものであるためにやっていない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/82
-
083・佐成重範
○佐成説明員 可変的でございますのは、これは当事者賠償主義の結果やむを得ないところでございます。新方式の整理にかかります炭鉱の鉱害量、これをどのように臨時石炭鉱害復旧法に基づいて復旧を進め、あるいは自己復旧するかということの長期的な計画につきましては、四十年度におきまして、全国鉱害量調査の実施の結果を見まして国としても長期的な計画を立案し、それに基づきまして、一時賠償、これは臨時石炭鉱害復旧法に基づきます復旧も含まれて計画を組みまして、その上で、その間におきます毎年賠償と金銭賠償所要額を計算いたしますれば、総計としての所要額が出る次第でございまして、その中から合理化事業団の留保しております留保額を差し引きますと、鉱業権者の別途所要資金が算出される次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/83
-
084・滝井義高
○滝井委員 それじゃ、少し角度を変えてもう少しわかりやすくして終わりますが、あなた方は今年無資力鉱害の復旧のために幾ら要求をして、総額幾ら認められましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/84
-
085・佐成重範
○佐成説明員 当初予算要求におきましては、二十億円の無資力鉱害復旧事業をいたしたいということで要求申し上げたのでございますが、いろいろ工事能力の観点とか、あるいは一般のこういった予算の規模というふうな観点から、先ほど石炭局長が御説明申しましたように、十二億九千万円という事業量を四十年度において実施するということに相なった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/85
-
086・滝井義高
○滝井委員 そこで、二十億要求をして、六割二分くらいに当たりましょうか、認められたということになるわけです。そうしますと、これはどういうことが起こるかというと、あと四割というものは来年送りになるわけですね。そうすると、そこに一体何が要るかというと、結局補償が要るわけです。そうすると、その金だけがもうむだになる。むだといっても、国土保全の見地からいうと非常に農民についてはいい面もあるが、困る面も出てくるわけです。この復旧までの減収の補償が行なわれないままでほっぽり出される可能性があるわけです。ここを合理化事業団に買い上げてもらって、鉱区を抹消して交付金をもらった。しかし、三十億の金は留保されたままだ。その留保された金は、話がきちっとつくまで動かせない。あとは自己資金で払う能力があればいいが、大手はとにかくとして、中小は払えない。この自己資金を必要とするということは中小に非常に多いが、中小は支払い能力は皆無です。この農民はずっと泣いていかなければならぬことになるわけです。とにかく計画の半分しか認められていないのですから。だから、無資力鉱害が急速度にふえていく、鉱害の復旧も急速度にふえていけばいいが、そうならないのです。鉱害復旧の割合は、昭和二十七年に二百十五万円くらいのものが今回の十何億になったということは、なるほど五、六百倍くらいにふえております。しかし、事務経費やその他がそういう状態でずっとふえていくかというと、そうではない。事務的な面においてもチェックされる。それから復旧の総ワクについても、非常に大きな要求を毎年やるけれども、半分か六割くらいしか認められない、そうして年々補償というものは送られていくということになれば、そのしわはどこに寄っていくかというと、全部農民に寄っていくわけです。それから復旧に対する分については自治体の県に負担増がかかってくる、こういう形です。それで早期の復旧をおやりになろうとするならば、もはや、復旧費の予算を大幅にふやして、復旧事業団の事務的な経費というものを相当思い切って入れていかないと、これはとてもいかないのです。だから、ほんとうに農地が重要な国土であり、民主安定上必要なものだとするならば、ここらあたりに少し思い切った施策をとらぬと、いまのように大都会近郊の農地はどんどんつぶされ、日本の耕地が少なくなっていくという状態のもとでは、猫額大のたんぽしか持たない日本にとっては非常に不経済です。早く地方回復をしてやって、農民が喜んでそれを耕せる方策をすみやかにやらぬと産炭地の農民をますます困窮におとしいれることになるわけで。ことしも二十億要求して六割ちょっとしか認められなかったのですから、そのために起こる不払いというものはおそらく五、六千万くらいになるでしょう。四割くらい切り落とされておそらく不払いになるでしょう。そういう不払いになった農民は激高することになる。単に国土を回復して民生安定をはかるばかりでなく、そういう不払いの面からの社会不安を排除して民生安定をはかることも必要です。こういう意味でこれは私は相当考えてもらわなければならぬ問題点だと思うのです。こういう点はもう少し大蔵大臣なり総理に知ってもらってきちんとやらぬと、炭だけは掘らして、あとは野となれ山となれということでは困る。
きょうは一応そういうことで、また次会にさしてもらいます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/86
-
087・加藤高藏
○加藤委員長 この際、参考人の出頭要求に関する件についておはかりいたします。
すなわち、ただいま議題となっております五法案のうち、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案及び石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、九州鉱害復旧事業団理事長で鉱害賠償基金理事長の天日光一君に参考人として出頭を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/87
-
088・加藤高藏
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお、参考人には、右二法案の審査中、必要に応じて随時出席していただくこととし、その手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/88
-
089・加藤高藏
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次会は、明二十六日午前十時から理事会、十時五十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01319650325/89
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。