1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年四月七日(水曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 加藤 高藏君
理事 有田 喜一君 理事 藏内 修治君
理事 壽原 正一君 理事 中川 俊思君
理事 中村 寅太君 理事 多賀谷真稔君
理事 滝井 義高君 理事 細谷 治嘉君
田中 六助君 中村 幸八君
西岡 武夫君 野見山清造君
三原 朝雄君 岡田 春夫君
松井 政吉君 伊藤卯四郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 岡崎 英城君
通商産業事務官
(石炭局長) 井上 亮君
委員外の出席者
議 員 細谷 治嘉君
大蔵事務官
(主計官) 吉瀬 維哉君
通商産業事務官
(石炭局産炭地
域振興課長) 西田 彰君
自治事務官
(財政局財政課
長) 岡田 純夫君
参 考 人
(九州鉱害復旧
事業団理事長鉱
害賠償基金理事
長) 天日 光一君
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申し入れに関する件
臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案
(内閣提出第五九号)
石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第六〇号)
産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第七一号)
産炭地域における特定の公共事業等に要する経
費に対する国の負担又は補助の臨時特例に関す
る法律案(細谷治嘉君外七名提出、衆法第一〇
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/0
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001・加藤高藏
○加藤委員長 これより会議を開きます。
連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。
ただいま商工委員会において審査中の第四十六国会、内閣提出、鉱業法の一部を改正する法律案は、本委員会といたしましてき わめて関係の深い法案でございますので、この際商工委員会に同法案について連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じま すが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/1
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002・加藤高藏
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、連合審査会開会の日時等につきましては、商工委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/2
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003・加藤高藏
○加藤委員長 次に、内閣提出の臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案及び細谷治嘉君外七名提出の産炭地域における特定の公共事業等に要する経費に対する国の負担又は補助の臨時特例に関する法律案を議題として質疑を行ないます。
本日も、参考人として九州鉱害復旧事業団理事長で、鉱害賠償基金理事長の天日光一君に御出席をいただいております。
質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/3
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004・細谷治嘉
○細谷委員 自治省と大蔵省の担当者のおいでを待っておりますけれども、時間がかかるようでありますから質問をいたしたいと思います。
今度、産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案というものが出されておるわけでございますが、まず第一にお聞きいたしたいことは、昨年の十二月十六日に第二次石炭調査団の答申が出されたわけでありますが、その答申の七ページに、こういうふうに書いてございます。「産炭地域の経済の疲弊は、依然として著しいものがある。その経済的疲弊の影響は、非行少年の増加、スラム街の発生等好ましくない社会状況を現出し、これまで中核企業としての石炭鉱業を基礎として形成されていたこの地域のコミュニケィ自体が崩壊の危機にひんするに至っている。」こういう認識のもとに、「地方公共団体の財政負担について充分な配慮を払いつつ、道路、工業用水、工業用地等産炭地域の産業基盤の整備を急ぎ」云々と書いて、そして締めくくりといたしまして、「以上のような方向で産炭地域の振興を図るに当たってとくに留意すべきことは、産炭地域振興対策が、新産業都市建設、低開発地域工業開発等他の地域開発政策と比べ、急激に落ち込んだその経済水準を回復して前述のようなコミュニティの崩壊をくいとめなければならないという特殊な緊急性をもっているということである。」こういうふうに指摘をいたしまして、そして「各論」の二十三ページにおいて、「産炭地域の地方公共団体の財政は悪化しており、公共事業を通常のテンポ以上の速さで促進するのに要する経費を負担し得ない実情にあるので、道路、工業用水等の公共事業のうち産炭地域振興上とくに緊要と認められる個々の事業を推定し、当該事業に要する経費については、国の負担率、補助率の引上げを行なう。」こういうふうに答申はうたっておるのでございます。ところで、今度政府案として出されました産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案の内容を拝見いたしますと、ほとんど同じ内容のものが、新産都市と工特地域に対する財政援助の特例という形で、政府案として法律案が出されております。この答申では、そういう新産都市なりあるいは低開発地域の開発よりも特殊性、緊急性があるのでということで、優先性をうたっておるのでございますけれども、この法律を検討いたしますと、優先性は全く認めておらぬという内容になっております。そこでまずお尋ねいたしたいのは、この答申をどういうふうに受け取って、どういう姿勢でこの問題を検討して、こういう政府案ができたのか、その辺のことをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/4
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005・井上亮
○井上政府委員 ただいま細谷先生から御指摘がありましたように、第二次石炭鉱業調査団の答申におきましては、特に産炭地域の経済がきわめて疲弊しておる、そのために、関連いたしまして地方財政も窮乏の状態にある、こういった状態の中で、やはり国におきましても、産炭地域の振興を相当鋭角的、重点的に取り上げて施策をやるべきだという答申になっておることは、御指摘のとおりでございます。政府といたしましても、この答申を受けまして、これを尊重しながら、こういった線を今後推進していくという方針をとっておるわけでございます。
私どもといたしましては、産炭地域振興対策といたしましては、御承知ように、まず第一点として申し上げますれば、産炭地域振興事業団の業務の拡大を通しまして、できるだけ産炭地域に鉱工業が誘致されるように、御承知のような土地造成、あるいは産炭地域に企業を興こしますための設備資金の低利の融資というようなことで、さらに従来にも増して事業量を拡大しておるわけでございます。さらに、水の問題。産炭地域におきましては、特に水の問題が大きな問題としてございますので、そういった水の問題につきましても、今後具体的に小水系ダムの建設というようなものについて、具体的に実施していくための前提としての調査、単なる調査でなくて、実施を前提としての調査というようなことも、予算を獲得いたしまして、現在調査を始めておる次第でございます。いずれにいたしましても、しかし、これだけでは、産炭地振興対策として、私は必ずしも十分であるとは言えないと思います。そういった意味で、従来の予算獲得を増加いたしますとともに、今回産炭地域振興臨時措置法の一部改正をただいま国会に提案いたしておりますように、新産都市が現在同じような構想を持っておるわけですが、少なくともそれと同程度の助成策をこの際従来の産炭地振興対策に加えましてやっていきたいというような趣旨で、ただいま提案しておりますような措置を実施しようという考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/5
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006・細谷治嘉
○細谷委員 私の質問のそのままつぼをお答えいただいたとは思えないわけですけれども、明らかにこの答申は、新産業都市建設あるいは低開発地域の工業開発等のものよりも、そういう地域開発政策よりも優先さして行なうべきだ、こういうことが明瞭に書かれてあるわけなんです。いま石炭局長のお答えによりますと、新産都市の措置と全く同様の内容なんであります。それはそのとおりでございます。しかし、これには低開発地域の工業開発も同じに並べて、それよりも優先性を与えるべきだ、そういう実情なんだ、こういうことをいっております。あとで詳しく質問いたしますけれども、低開発の問題を見ますと、たとえば第五条には、税の措置が新産都市よりも優遇されております。新産都市と同様でありますから、低開発の問題よりも、この事業税の問題を一つとってみても、明らかに優先性が与えられておらぬ、こういう内容になっております。
ただいまのおことばでは、この答申を尊重しつつ、こういうふうに言われますけれども、私の気持ちとしては、新産都市の立法に連れられてこれが浮び上がってきたんだ、こういうような気がしてならないのであります。優先性という姿勢でこの問題に取り組み、検討したのではなく、付随物として浮び上がってきたのではないかという気がしてならないのであります。私が本会議で新産都市の法律案について質問をした際に、佐藤総理は、そういう優先性の問題については、たとえば従来も見ておった特交等の財政措置で考えてまいりたい、こういうことでございますから、立法上の措置というものは何らなされておらないということなんです。
特に私が申し上げたいのは、事業税の問題一つとってみても、この答申の中には、検討をすべきだということが明瞭に書かれてある。低開発よりも優先だ、こう書いてあって、しかもその上に事業税の問題については、「産炭地域への企業の導入をさらに促進する趣旨から、事業税について減免措置が講ぜられた場合、国がその財政補てんを行なうよう検討する。」こういうふうに答申の二四ページにうたってございます。しかも「検討」という字句を見てみますと、炭炭地振興に関する答申の中では、「検討」というのはただ一カ所しかないんです。こういうところに私は、姿勢と産炭地に対する熱意の不足があらわれているのではないかという感が強くいたします。重ねてこの点についてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/6
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007・井上亮
○井上政府委員 お話のとおり、今回の法律改正による措置につきましては、新産都市と同様かつ同等の助成策を考えておりますので、御指摘のとおりでございます。
ただ、私どもそれにもかかわらず、第二次答申にありますように、産炭地域につきましては、他の地域開発の問題よりもその深刻性においてより強い問題がありますし、同じ地域開発といいましても、単におくれた地域の開発という意味合いだけでなしに、産炭地にはそういった意味合いのほかに、いままで石炭産業の繁栄とともに育ち、そして衰退する地域におきましては、相当コミュニティの崩壊という姿すら見られるわけでございますので、そういう見地から、他の地域開発よりもむしろ重点的に施策をやるという趣旨でございまして、私ども産炭地振興対策としましては、単に今回提出しました法案だけで能事終われりというふうに私ども考えておるわけではございません。先ほど申したように、産炭地振興のために特にその実施の機関としてつくりました事業団をさらにその業務を拡大するとか、あるいは事業量を増大させるとか、あるいはその事業をさらに、たとえば企業誘致ができやすいような条件、誘致条件の緩和というような政策をさらに強力に進める。全体として見ますれば、私どもは他の後進地域に対する対策とか、あるいは新産都市の政策に対して、産炭地域振興の政策は決しておくれをとっておるものではない、むしろより手厚い措置が全体として考えればあるのではないかというふうに考えております。ただ遺憾ながら、これは先生からすぐ反撃をされるだろうと思いますので申し上げますれば、私自身、じゃいまの政府の施策だけで産炭地振興対策は十分かと言われますれば、これはまだ十分でない点も多々あると思います。たとえば産炭地振興事業団の業務にいたしましても、さらにもう少し将来拡大していい事業がやはりあるのじゃないかというふうにも考えております。しかし、そういった点につきましては今後さらに検討を加えまして、私は実現に努力していくつもりでございます。
それから御指摘の事業税の問題につきましても、答申にも御指摘のように、これについても相当配慮して検討して実現するように努力すべきだという趣意になっておりますが、この考え方につきましては、私どもとしましても全く同感でありまして、私もできますならば今後さらに関係省と連絡をとりまして、そういった措置ができますように今後ともに、単に検討だけでなしに、努力してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、今回提出の法案につきましては、新産都市と同等ないし同様の措置でございますが、全体としてひとつ御判断をいただきたい。ただこれも率直に申し上げれば、産炭地域の疲弊した現状に対しては、私もこれでまだ十分だとは決して考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/7
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008・細谷治嘉
○細谷委員 事業税の問題については若干石炭局長の決意のほどが示されたわけでありまして、この問題については後ほどさらに詳しく御質問いたしたいと思います。
委員長にお願いしておきたいのですが、低開発の問題との重要な関連でございますから、この問題については委員長においてもひとつ格段の、いまの局長のお答えもありますから、御尽力をお願いしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/8
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009・加藤高藏
○加藤委員長 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/9
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010・細谷治嘉
○細谷委員 そこでいま、交付税等もむろんのこと、事業団等の強化というものがあるから、総体的にはかなり前進しておるのだという自信のほどを局長示されたのですけれども、この答申全体を完全に実施してすらも、四十二年ごろになったら石炭産業の七割くらいがどうやらひとり歩きできる、こういう事情になっておるわけです。なるほど事業団も一つの柱でございます。しかし何といっても、産炭地の振興をはかるには、崩壊しておる地方財政、こういう問題、いわゆる地方団体の大きな柱というものが絶対必要であろうと思う。ところがその地方団体というのは、残念ながら財政的に完全に危篤の状態にあるということが問題点としてあるわけです。
まだ自治省見えておりませんけれども、私はそれでは、地方財政の問題については専門の担当でありませんから、これは自治省のほうにお伺いするわけですけれども、少し述べて、通産当局も産炭地振興の大きな柱をなす地方団体の事業——道路にいたしましてもそうでしょう。事業団の業務内容を拡張したからといって、それで全部やれるということではないわけですから、少し地方団体の財政事情を申し上げてみたいと思うのです。
全国鉱業市町村連合会という、産炭地関係の百二十ばかりの市町村が集まった連合会があります。そこでまとめた数字によりますと、全国の産炭地の市町村の財政事情はどうなったかといいますと、まず第一に、そこの市町村税、こういうものを拾ってみますと、昭和三十四年には四三・二%歳入に対して占めておった。全国の市町村の平均は当時どのくらいであったかといいますと、四四・一%でありますから、〇・九%程度地方税のウエートが下がっておる、こういう程度であったのでありますけれども、昭和三十八年を見ますと、全国の市町村の平均は四〇・一%となっておる。ところが産炭地の市町村は二八・五%と、こういうふうに下がっております。いわば全国平均より一一・六%税の収入が少ない、こういうことでございまして、三十四年から三十八年のわずかの期間に自主財源の税のウエートというのは一五%近く下がっておるのです。これをごらんいただいても、産炭地の財政というのが瀕死の重症状態にあるということをまず御認識いただけると思う。
ところがそういう状況でありますから何がふえたかといいますと、地方交付税、これは財源が減りますから地方交付税はふえておりまして、三十四年に一一・八%であったものが約二倍の二二・八%と、こういうふうに伸びております。ところが全国の平均というのはあまり変わりませんで、わずかに伸びて一一・四%というのが一四・三%でありますから、三%程度しか上がっておらない。地方財政というのはだんだん税の財政じゃなくて交付税財政になっておる、こういうふうにいわれているのですけれども、全国の市町村を見ますと一一・四%が一四・三%になっただけですからわずか三%くらいでございますが、産炭地の場合は二倍くらいになっておる。さらに国庫支出金を見てみますと、三十四年には一七・六%であったものが二五・三%と、こういうふうになっておるのです。全国の市町村は一二・五%が一二・六%でありますから、あまりこの歳入構造というのは変わっておらない。こういう状況なんです。
ところで、歳出のほうを見てみますとどういうことになっているかといいますと、時間もありませんからおもなものを拾ってみますと、人件費は二三・六%が二四・八%、全国の市町村の平均は二四・九%が二六・八%と、こういうことになっているわけですから、人件費もかなり抑制をしておる、こういうことがうかがわれます。物件費等に至っては、全国の平均が昭和三十八年一〇・五%でありましたけれども、九%に押えておる。大体普通一一、二%くらいの物件費が必要だと、市町村ではいわれております。それを九%、八%と、こういうふうに押えて紙や鉛筆の節減につとめている状況なんです。ところが今度は生活扶助費、これが全国平均の倍以上です。普通建設などを見ますと、金がありませんからそういう普通建設はできませんから、一番代表的なものはいわゆる単独事業、こういうものを見ますと、全国平均が一七%であるにかかわらず、産炭地は八・一%しかやっていない。補助事業については一四%が一一・五ですからまあまあ大きく変わっていませんけれども、一番市町村がやらなければならぬ単独事業なんというのは半分にも満たないような状況に置かれておる。何のことはないのです。瀕死の財政状態にある人たちがやはり生活扶助なり失業対策事業になけなしの財政を赤字をかかえながらやっておるというのが、今日の産炭地の実情なんです。そういう実情をいみじくも正確に調査団はとらえてこういう答申を出したにかかわらず、やはりいまおっしゃったようなことでは——なるほど事業団も不十分でありますけれども強化いたしました。しかし、これが指摘したそのほんとうの精神あるいは認識に立った姿勢でこの問題に取り組んだとは言えないとは申し上げませんけれども、きわめて不十分だと申し上げなければならぬと私は思うのです。その辺についてひとつ通産当局、ちょうど自治省からも財政課長がいらっしゃいましたが、財政課長はいま来たばかりで私の質問の内容がわからないと思いますけれども、産炭地の振興の大きな柱である地方団体の財政についてどういうような御認識を持っておるのか、これをひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/10
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011・井上亮
○井上政府委員 ただいま細谷先生が数字をあげて言われました産炭地域の実情は、私も全く同じような認識を持っております。先生の言われるとおりであるだろうというふうに考えております。先ほども申しましたように今回の法律改正では、新産都市と同等かつ同様の措置でございまして、御指摘のように、答申の線で産炭地は他の地域開発よりもより優先的に、より重点的にという思想は、その面だけから見ますれば私は言えないと思いますけれども、先ほども申しましたように、産炭地域の振興対策はその面だけでなしに、他のいろいろ事業団業務その他の措置を通じまして今後ともに拡大して、答申にありますような、また先生御指摘のような線に沿いまして、私としても最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。地方財政の問題は自治省がおいでになりましたから、そちらからお答えしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/11
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012・岡田純夫
○岡田説明員 自治省といたしましても有沢調査団の答申等も十分尊重いたしまして、また現地にもそれぞれ職員を派遣いたしまして、常に認識を深めるように努力いたしておりますが、具体的には御承知のとおり地方債の配分でございますとか、あるいは普通交付税の算定でございますとか、特別交付税の配分でございますとか、そういう財源措置をいたすべきときごとにできるだけの措置をやっております。また今後も続けてまいるつもりでございます。しかしながら、やはり国としても十分な力を注いでもらいたいというようなことから、たとえばボタ山の処理の問題でございますとか、あるいは終閉山炭鉱の水道の問題でございますとかいうふうな問題についての国庫負担率について極力是正するように、通産当局ないし大蔵省へも呼びかけまして改善されたのでございますが、そういうふうな方面について今後一そう努力してもらいたい、そういうふうな呼びかけを強くやってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/12
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013・細谷治嘉
○細谷委員 先ほど石炭局長の御意向も聞き、委員長にもお願いしたのでありますが、ちょうど自治省と大蔵省が見えておりますから、この答申の基本的な姿勢の問題に関連してひとつお伺いいたしますから、自治省と大蔵省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
この答申では、先ほど来申しますように、新産都市なりあるいは低開発の振興よりも優先性と緊急性というものを与えておるわけですけれども、この答申の二十四ページに「産炭地域への企業の導入をさらに促進する趣旨から、事業税について減免措置が講ぜられた場合、国がその財政補てんを行なうよう検討する。」こういうふうに答申がうたっておるわけでございますけれども、検討した結果が今度の法律案には出ておらないのです。これについて自治省なり大蔵当局はどういうようにお考えになっておるのか、ひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/13
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014・岡田純夫
○岡田説明員 御指摘のとおり、調査団の報告書に、税の減免及びそれに対する普通交付税による補てん措置という問題に関連いたしまして、事業税にも触れておることは承知いたしております。また事業税につきましては、企業が誘致された後の所得があるという点に着目して、やはり他の地域の企業と同様に納めるべき税は納めてもらうという立場をとっております。したがいまして固定資産税あるいは不動産取得税のように、利益が上がらないにかかわらず、企業が誘致された時点において、あるいはまた企業が誘致されたことをもって課税されるというふうなものについては、これはやはり減免をし、交付税による補てんもいたさなければならない。御承知のとおり、そのように現行制度がございますので、事業税についてまではさようにやるべきものというふうには現在判断いたしておりませんので御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/14
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015・吉瀬維哉
○吉瀬説明員 私、地方財政の担当をしておりませんので正確にはお答えしかねますが、基本的にはいま自治省からお答えいたしました趣旨と同じような見解を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/15
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016・細谷治嘉
○細谷委員 この問題については、いまはこれ以上触れませんけれども、そうなってまいりますと、低開発の場合になぜそういうものを入れたのか、こういう議論も出てまいるわけでございまして、特に産炭地の誘致企業についてはかなりの犠牲も払って誘致しておる、進出しておる、こういうこともあるわけでありますから、現行法がそれよりも優先性を与えた、この場合にも当然考慮してしかるべきもの、こういうふうに私は考えております。しかし、いずれこれは委員長も御検討いただくそうですから、いまの段階では、きょうはこの程度にしておきたいと思います。
次にお伺いしたい点は、今度のこの法律案を見ますと、県と市町村について違った措置を講じようとなさっております。これはどういう考えから出たのか、これをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/16
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017・井上亮
○井上政府委員 県と市町村と違った措置につきましては、これは先ほど申しましたように、一応新産都市と同等同様の制度を従来の産炭地振興施策に加えまして実施をしようという措置でございますが、一応特に今後前向きの事業をやっていくという場合に、それに対する国からの助成措置としてただいまありますような、県については利子補給、市町村については補助率の引き上げという、それぞれの地域の、地方公共団体の特性、性格に応じて最も妥当だと思われるような助成のしかたを考えるということでございます。特に市町村におきましては、起債とかいうことよりも、むしろ端的に補助のほうがより市町村の実情に適しているというような趣旨から、このようなことにいたしたわけでございます。実際には新産都市の方式と同等同様という趣旨でこのようにやったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/17
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018・細谷治嘉
○細谷委員 新産都市と同等同様というお答えでありまして、決して優先性は考えておらぬということをはからずも暴露しておるわけですけれども、この法律を見ますと、新産都市に対する財政特例の法律と一字一句違わぬわけですね。内容は同じですから一字一句違わぬというのは当然なんですけれども。そうなってまいりますと、どうも通産省はこの問題について自主性がないのじゃないか、姿勢が消極的だ、私はこういう感がするのです。私はこの新産都の法律の際に、この法律を自治省が主管することが妥当なのかどうかという質問もいたしたわけでございますけれども、この法律案もどうも種はやはり自治省から出ているのじゃないかという感がいたします。種はどこから出たにいたしましても、内容が問題なのでございますけれども、そういう感が非常に強いわけです。私は県に対しても、やはり県の財政事情というものも、先ほど市町村のことを申し上げましたけれども、非常に困窮しているわけですから、県に対しては起債の充当率の引き上げと利子補給とこういう形、市町村に対しては補助率の引き上げ、こういう形になっておって違った措置を講じておる点には若干問題があろうかと思うのですけれども、これはひとつ自治省はどうお考えなのかお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/18
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019・岡田純夫
○岡田説明員 法案の直接のイニシアチブと申しますか、主管は通産省と心得ております。
御疑問の県と市町村との取り扱いが多少異にされておるというのは、後進地域の特例に関する法律、あれがいま県にのみ適用されております。県の場合に現在の産炭地に対するかさ上げの案と全く同じように高率助成をいたしておりまして、その際に財政力から判断いたしまして、財政力のあるところと申しますか、財政力が比較的に高いと思われるところにつきましては薄く、財政力が比較的に乏しいと見られるところについては手厚く、最高二五%までのかさ上げをいたす制度がございます。したがいまして、産炭地域の県についてさらに同じような制度を設けるということは、制度的に現行制度上重複であるということになるわけでございます。ただ市町村については、現在県においてあるような公共事業の受け入れのための特例立法はございません。で、産炭地域につきましては、県の場合の後進地域と同じように、財政力に応じまして、また処理しなければならない財政事情に応じまして、かさ上げをしなければならない。したがいまして、産炭地域の県であるがゆえにいまの高率助成ということは、先ほど申し上げましたように制度的に重複するのでいたさないのでございますけれども、そのかわりと申しては何でございますが、起債をつけ、起債については利子補給をいたす。起債をつけようというのは、スピードアップと申しますか、公共事業を産炭地域にはすみやかに導入しなければならない、したがって関係の団体としては相当に資金的に苦労をするであろうというところに着目をいたしまして、起債をして利子補給をする、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/19
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020・細谷治嘉
○細谷委員 ただいまの岡田財政課長のお答えによりますと、後進地域に対するかさ上げ方式がある、制度上重複するということであります。現実問題として、この産炭地振興の中心的な、被害を受けこれを推進しなければならない産炭地の県が全部その制度の適用を受けておりますか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/20
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021・岡田純夫
○岡田説明員 後進地域の特例立法は、福岡県、山口県につきましては財政力が比較的に高い団体に属しておりますので、したがいまして後進地域の特例立法の適用はございません。それ以外の産炭地域の被害地、たとえば茨城、福島といったような産炭県はかさ上げがございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように福岡、山口につきましても、いまのような産炭地域の側からの起債に利子補給はいたそうというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/21
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022・細谷治嘉
○細谷委員 現実に後進地の適用を受けておらない府県が、いまのお答えでは存在するわけです。今日の産炭地の府県の財政事情というものは、市町村と同様に悪いわけでありますから、他法との関連はこの法律案にも規定があるように別途装置を講ずればいいわけでありますが、どうしてそういう形がとれなかったのか、たとえば後進地域の問題、この法律に基づく措置、そのいいほうをとる、こういうことをうたえばいいわけでしょう。そういうことをとらなかった理由をひとつお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/22
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023・岡田純夫
○岡田説明員 これは先ほど申し上げましたように、自治省自身が立案し御提案しおはかり申し上げているのじゃございませんので、あくまでも受けまして、そういうふうな制度によってもなおかつ起こるところの地方負担に対してどのように対処するか、今後ともこういうものに苦慮していかなければならぬ、こういう立場にあるわけでございまして、御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/23
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024・細谷治嘉
○細谷委員 石炭局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/24
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025・井上亮
○井上政府委員 御指摘のように、ただいま提案いたしております法案につきましては、いろいろ御意見もあろうと思いますたとえばこの制度そのままでいった場合に、特に疲弊の著しい産炭地域に対して恩典が及ぶかどうかというような御意見があろうかと思います。私どもとしましては、しかし今回の措置によりまして、全国の産炭地域市町村二百三十市町村の中で、半数までいきませんけれども、それに近い市町村はやはりこの法律の恩典に浴するというふうに考えておるわけでございます。しかし半分をこえないというところに、非常にまだ問題もあるという認識はいたしております。しかしながらこの法律自体が、先ほども言いましたように、産炭地域の振興対策のすべてではございませんで、産炭地振興対策は先ほど来申し上げておりますように、特にこの産炭地域については、他の地域開発と違いまして、産炭地域振興事業団というような実施の機関まで設けましていろいろやっておるわけでございまして、ただこの活動がまだ不十分だということについては十分私どもも認識を持っておりますけれども、その他産炭地振興計画を国がつくって関係の各省庁の御協力のもとに、特にこういった計画をやっておるというような点は、従来に比べますれば、その前進の度合いがおそいというおしかりはあろうと思いますけれども、やはり前進しておるというふうに考えておるわけでございまして、今度の改正がすべてだというわけでもございませんので、逐次そういった問題点を私どもとしてもさらに検討して、実情に沿うように今後とも努力していきたいという気持ちを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/25
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026・細谷治嘉
○細谷委員 答弁には不満なんですけれども、次に移りたいと思います。
この法律は、国会を通過しますと、いつまで適用されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/26
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027・井上亮
○井上政府委員 この法律は、四十一年十一月まででございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/27
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028・細谷治嘉
○細谷委員 四十一年十一月といいますと、この答申に基づいて一この答申というのは、先ほど私が申し上げたように、また有沢団長も言ったように、とにかくこの答申をそっくりそのまま実施して、大体四十二年くらいになったら七割程度の石炭産業というのは安定するんじゃないかということでございますね。そういたしますと、四十一年の十一月では、時限立法でありますからなんですけれども、来年の十一月ですから来年は適用されますけれども、あとは適用されないということでありますが、これはどういうふうにお考えになっておるのか、これをひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/28
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029・井上亮
○井上政府委員 御指摘のように、一応法律の限度はただいま申しましたようにわりあいに短期間になっております。しかしそれはそれといたしまして、私の考え方を申し上げますと、やはりこの法律をつくりましたときには、産炭地振興につきましてはそのころまでが一番問題が多い期間であろうという認識のもとに、この法律がスタートいたしたわけでございます。少なくとも四十一年度を越えまして、四十二年度ごろになれば、第二次答申では、中小炭鉱まで含みませんで、大手の主要企業の三分の二ぐらいが何とかなるだろうというぐらいのことでございますので、確かに今日の時点で考えますと、先生御指摘のようにやや短い感じがいたします。しかしこの法律をつくりました当時には、少なくとも四十二年度には安定するというような考え方があったわけでございます。それを背景につくられております。しかしその間は産炭地域の疲弊は相当のものであろうという想定でつくられておりますので、私は四十年度の推移を見まして、これについては延長すべきかどうか、さらに内容を補強すべきかどうか、こういった点は今後あらためて検討いたしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/29
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030・細谷治嘉
○細谷委員 いま石炭局長おっしゃるように、この法律改正をする以上は、もとの法律に合わせただけであって、今回は触れてないということでありますけれども、当然これは延長されるべきものと私も考えております。この点についてひとつ政務次官、これはやはり現実にははっきり延長すべきものだというお考えに立っていらっしゃるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/30
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031・岡崎英城
○岡崎政府委員 ただいまのお話のように、この法律は産炭地方面の振興並びに石炭関係の諸事情が確立してまいるようにいたしたいという目的をもってつくりましたものでございますから、事情その他によってその目的が完成できないような見通しがつきましたときにはぜひ延長いたしたいというわれわれの方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/31
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032・細谷治嘉
○細谷委員 現実は事情を見てぜひ延長したいというお答えでございますから、次に進みたいと思います。
法律案の第十条についてお尋ねしたいのでありますが、「国は、産炭地域のうち政令で定める地区内において、」こういうふうに書いてございます。第十一条には、「前条に規定する地区内において」と、こういうふうに書いてございます。この「政令で定める地区内」というのはどういうお考えに立っていらっしゃるのか、これをお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/32
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033・井上亮
○井上政府委員 先ほども申しましたように、今回の改正の趣旨は、必ずしも従来私どもが考えております疲弊の特に著しい地域について、特に土地をつくり、あるいは低利の融資をしてぜひ企業を持ってきて、そして少しでもその疲弊しあるいは停滞している地域を何とかしたいというような政策と若干趣旨を異にする点がございます。もとより根本的な方向なりねらいは産炭地域の振興でございますから、その意味においては同じでございますが、少し違う点は、特に今回の改正の主眼は、単に非常に疲弊した地域を救済するという思想ではありませんで、やはり疲弊した産炭地域において今後、閉山等によって疲弊する石炭産業にかわりまして、新しい工業都市といいますか、新しい産業を誘致して新しく生まれ変わった、そういう繁栄をもたらすための施策という点に力点が置かれておりますので、そういった観点で政令をつくってまいりたいというふうに考えておるわけです。ただこの点につきましては、若干新産都市とは違ったセンスも、産炭地域の特殊性がございますから、加味してまいりたいというふうに私は考えております。しかし、ねらいはあくまでも単なる純粋の意味の救済というのではなくて、工業都市をつくっていきたいというような趣旨からやはり検討せざるを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/33
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034・細谷治嘉
○細谷委員 現行法の産炭地域振興臨時措置法によりますと、二条指定というのがある。これは政令でやられております。それから六条指定というのがあって、二つございます。十条でうたわれておる政令というのは、いまのおことばによりますと、工業開発という面にある程度のウエートを置いた、むろん新産都市と同じような工業開発を考えておるわけではないけれども、ということでございますけれども、現行法の二条指定と六条指定とこの十条でうたっておる政令の指定地域というのは、どういう関係に立つのか、これをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/34
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035・井上亮
○井上政府委員 先生御承知のように、二条指定と六条指定との違いは、簡単に一言で申し上げれば、特に疲弊の著しい地域を六条指定といっております。それから一般的な産炭地は、そうかと言って、一般的にやはり疲弊している現状でございます。したがいまして、やや広い地域を二条地域ということで指定いたしております。そういう関係になるわけでございますが、今回の法律改正による地域の指定に際しましては、二条も六条も全部加えまして、もちろん二条といえば六条地域の中に包含されます。したがいまして、二条、六条地域を通じまして、先ほど申しましたような趣旨に照らして地域を指定したい、私どもの気持ちとしましては、できるだけ広く指定いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/35
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036・細谷治嘉
○細谷委員 いまのおことばの、もちろん二条地域は六条地域に指定されるというのは誤りであって、逆に六条地域はもちろん二条地域に指定されるという内容なんです——いまの局長のおことばをお聞きいたしますと、どうも二条地域と六条地域とは別の、そっくりそのままでない指定が行なわれるような印象を受けたのでございますが、どうなんでしょうか。もっと明確に、この点については自治省のほうにもお考えがあるようでありますが、これもお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/36
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037・井上亮
○井上政府委員 先ほどお答えいたしましたように、現在の産炭地域の二条指定、六条指定、これらを通じまして今回の新しい政令指定をいたしたい。私の気持ちといたしましては、産炭地域の特殊性にかんがみまして、できるだけ広い地域を指定するように努力してまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/37
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038・細谷治嘉
○細谷委員 六条地域よりはむろん広い、しかし二条地域そのものでないということばのようでありますが、二条地域よりも大きくなるのですか、小さくなるのですか。一つの法律で、大体六条地域は二条地域に含まれているわけですけれども、おそらく政令の改正ということになるんでしょうが、指定が三木というのもどうもおかしな話じゃないかと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/38
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039・井上亮
○井上政府委員 先生も御承知のように、二条地域というのは、この法律をつくりましたときに、相当広く読める範囲に私ども実は指定したつもりでございまして、たしか、疲弊の著しいというようなことばも入っておったと思いますけれども、率直な話、あまり疲弊の著しいというようなことにとらわれませんで、石炭産業の現状と近い将来の姿を考えまして、二条地域というのは相当広範に選んでございます。したがいまして、今回の政令指定にあたりましては、この広い二条地域の範囲の中で指定される。しかし私どもとしましては、できるだけ二条地域に近く努力したいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/39
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040・細谷治嘉
○細谷委員 六条地域より大きいけれども二条地域より小さい、しかし二条地域に近づける努力をしたいということでありますが、この二条にはこう書いてあるのですね。「産炭地域とは、石炭鉱業の不況による疲弊の著しい石炭産出地域及びこれに隣接する地域のうち当該石炭産出地域における鉱工業等の振興と密接な関連を有する地域であって、政令で定めるものをいう。」これが二条地域の指定でございます。
〔委員長退席、藏内委員長代理着席〕
政令で具体的な市町村の名前が掲げられておるわけですが、これをどういうふうにしぼっていくつもりなんですか。これによりますと「石炭産出地域における鉱工業等の振興と密接な関連を有する地域」となっているわけです。これより小さくなるというのですから、どういうふうにおしぼりになるのですか。少し具体的にお漏らしいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/40
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041・井上亮
○井上政府委員 今後、新しい今回の改正案の地域指定をいたしますに際しまして、先ほど申しましたように、将来新たな鉱工業地帯として伸びることが期待できるような、また可能性を有した地域を指定したいというふうに考えておりますので、もちろん二条指定の中になろうかと思いますけれども、この要件といたしまして、ただいま申しましたような、産炭地域のうちで、その立地条件その他の状況を見まして、現在は非常に疲弊した姿であっても、将来やはり工業都市として伸びる可能性があるというような地域を指定するという表現になろうかと思います。ことばは法律政令きわめて抽象的でございますが、実際の指定にあたりましては、先ほど申しましたような趣旨を具現するように配慮してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/41
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042・細谷治嘉
○細谷委員 どうもはっきりしないのですが、少し具体的に言いますと、たとえば石炭合理化というのが進んでいった昭和三十年以降で、そのころ石炭は出ておったけれどもいまはもう石炭は出ていないという町村もございましょう。きわめて疲弊したところもありましょう。それは六条指定のところ、あるいは二条指定には全部含まれますけれども、その辺の問題になってまいりますと、いろいろ具体的な問題があろうと思うのですよ。これは政令にゆだねられるわけですけれども、六条より大きいけれども二条よりも小さいということで、どうもはっきりしないのですが、そういうのはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/42
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043・井上亮
○井上政府委員 やはり石炭産業に関連の深い地域についてはできるだけ指定をしてまいりたい。ただ私、二条地域の範囲内ということを申しましたわけですが、極端な例を申し上げますと、たとえば北海道の鉱工業地帯として将来期待するといっても、今後十年くらい考えてみても全く問題にならぬような地域は遠慮さしていただくというようなこともあろうかと思いますけれども、しかし石狩地帯なんというのは相当あれも山の中でございますが、私は将来鉱工業地帯として伸びる可能性もあると思っておりますので、石狩地帯なんというのは同じ山の中でも指定されると思います。ただ釧路からさらに奥へ入って行きますと、阿寒国立公園だとかいろいろなものがございますが、こういった周辺に鉱工業地帯といいましてもなかなかたいへんであろうと思いますし、そういう角度も配慮していきたい。大体においては私は入るのではないかと思いますけれども、そういった、将来だれが考えても鉱工業地帯として問題にならぬような地域は、今回の法律改正の趣旨からしまして、これは同じ二条地域の中に入っておりましても落とさざるを得ない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/43
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044・細谷治嘉
○細谷委員 昨日の新聞等を見ますと、石川一郎さんを会長とする経済審議会、ここで、どうも新産都市にいたしましても工特地域にいたしましても、工業開発、産業開発ということにあまり重点を置き過ぎておるいまの地域振興計画だ。そうじゃなくて、もっと観光なりあるいは社会福祉にウエートを置いた地域開発を進めるべきだということが報道されております。そういうような傾向が、社会開発というのが佐藤総理の一枚看板ともいえる基本的な政策になっておるわけですが、そういうことが出てきております。この問題については、工業開発ということばかりじゃなくて、産炭地振興計画というのがそれぞれの地区でつくられて、通産省もそれをお認めになっておるはずです。それはおそらく六条地域あるいは二条地域、全部そういうものを網羅して出しておると私は思うのです。そういう中において六条地域とも違う、二条地域とも違う新たなる指定を行なうということはずいぶん混乱があり、問題があると私は思うのです。あまりくどくどしく申し上げませんけれども、その辺の振興計画は持っておるはずです。この振興計画についてはむろん若干の批判がございます。どうもあまりに画一的じゃないかという批判がございます。ございますけれども、そういうものを持ちながら、しかも二条地域、六条地域では全部そういうものが出してあるにかかわらず、新たなるこの法律に基づく指定が行なわれるということに問題点がありますので、もう一ぺんこの点についてお答えを願いたいと思います。
〔藏内委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/44
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045・井上亮
○井上政府委員 ただいまのお説まことにごもっともな点があるというふうに考えておりますが、ただ今度の措置はやはり何と申しましても産炭地域に新しい産業都市をつくるというような観点で現在考えておるわけでございます。ただしかしお説のように、やはり産炭地域においては、単に産業都市だけでなしに農業の振興という問題も当然私どもは産炭地振興法の中では考えております。それからもちろんそれ以外の観光等につきましても、やはり産炭地振興の一環として大きな事業であるということは考えております。したがいましてそういった問題は、先ほど申しました今度の新しい法律の趣旨ともにらみ合わせながら、今後私どもは十分検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/45
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046・細谷治嘉
○細谷委員 さらにお尋ねいたしたいのですが、第十条「産炭地域のうち政令で定める地区内において、関係道府県が国から負担金若しくは補助金の交付を受けて行ない、」こううたっております。私がお尋ねしたい点は、道路等をつくりますね。道路等をつくった場合に、その道路だけでは効用をなさないわけですね。国道なり府県道ができるといたします。地区内を通る部分については、起債の充当率が引き上げられる。この地域外のところに同じ道路、たとえばある町からある町に産炭地をつなぐ道路をつくろうといたします。半分はその政令の地区内に入って、半分は入らないということにいたしますと、地区内の道路はできたけれども、道路としての効用をなさないという事態が起こってくるのではないかと思うのです。これはどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/46
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047・井上亮
○井上政府委員 ただいま御指摘のような場合も起こり得るかと思います。しかしその場合には、やはり指定されました地域と指定されない地域との間、これは道路の計画になるわけですが、そういった点についてはやはり実情に合うように、あまりおかしな姿にならないように考えていかなければならない。特に道路の建設につきましては、国が補助金を支出するというようなことにもなりましょうが、特に地方におきまして起債計画等があるわけでございます。指定された地域の県の起債もありましょうし、指定されない県の起債計画もありましょう。そういった問題はやはり自治省におかれましても総合的に見ておられるわけでありまして、私ども今度の改正法案を実施するにあたりましては、自治省とは緊密な打ち合わせのもとに今後とも運用してまいりたいという気持ちでおります。先ほどの地域指定等につきましても、これは産炭地域の特性の問題もあるし、それから同時に、地方財政との関係もあるというような関係でございますから、これらにつきましては十分自治省と打ち合わせをして実施をしていきたいという方針でやっておるわけでございまして、したがいまして、ただいまのような問題が起こりましたときには、当然これは私どものほうからも自治省に問題点を提起して、全体としておかしくないような姿にして計画を実施するようにさせてもらいたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/47
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048・細谷治嘉
○細谷委員 おかしくないように計画を実施していきたいということでありますけれども、政令で地区を定めるわけですね。私が知っておる例を一つ具体的にあげて申し上げます。たとえば福岡市を中心にして福岡−行橋線という筑豊のまっただ中を通過しておる道路がございます。そういうものを改修し、築造しようといった場合に、六条地域の指定にも入らない、二条地域の指定にも入らない、指定されないところがあったとする。同じ一本の路線なんです。その一本の路線の、あるところは起債の充当率が高くなる、あるところは補助率が上がるのだ、あるところは従来どおりだ、ということになりますと、ずいぶん複雑な問題が起こるだろうと私は思うのです。そうしますと、この地区内ということは意味をなさなくなると思うのです。道路一本例にとりましてもそうですし、港湾等の問題でもそういう例がございます。そういうものを具体的に不都合ないように解決するということでありますけれども、いざ政令で十条に基づく指定が、二条でもない、六条でもない形で指定が行なわれたとなると、ずいぶん複雑になると思うのです。したがって道路なら道路をそうやるなら、道路として効用を発揮できるように、たとえば何々線といいましたら、そのある部分がその地区内に入らなくても、道路の効用を発揮するという意味において、これはやはりその措置を適用すべきではないかと私は考えます。この点についてもう一度石炭局長、あるいはこういう起債等の問題については自治省が担当しますから、自治省の御見解もはっきりひとつ承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/48
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049・西田彰
○西田説明員 さすがに先生お詳しいので、私ども事務官僚がまさにこれから適用しようとしますこの法律につきましていまいろいろ検討をいたしております一番要点の技術的な点に触れられて、しかもその点は、先ほど御論議になっておりました地区指定の問題と非常に密接な関係がございます重要ポイントでございますが、ただいま例にあげられました福岡−行橋線の途中が寸断されるというようなものにつきまして特例措置がしかれました場合には、確かに計算が困難になる。しかし県道あるいは国道といったような場合には、総合的な全体の予算と、それからその道路の延長面積との案分比例によって計算方式としては出てまいります。しかしこの特例措置は、そういったただ技術的な計算でできるじゃないかということだけではなくて、やはり地区指定の際にその地区というものを一体的に、ただある基準でもってその市町村が該当するしないということよりも、工業都市建設ということを総合的に考えてまいります性格を持っておりますので、地区指定の際にも一括して、一団としてその地域が振興されるということを観点に置いて、飛び地飛び地をでたらめに指定をして総合的な建設計画がばらばらになるというようなことにならないような配慮をしつつ地区指定すべきものと考えております。先生が御指摘になりました点はまことにつぼをつかれた点でございますので、今後地区指定の際及びその補助率なり特例措置なりを適用いたします際に、十分に配慮いたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/49
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050・岡田純夫
○岡田説明員 道路につきましては、自治省といたしましては交付税の計算の際、金額的には一〇〇%と考えておりますが措置いたしております。しかしながら、産炭地域をはじめとして、要するに事業を普通の標準以上にスピードを上げて集中的に先行的に投資しなければならないということが、関係地方団体の負担問題を起こしますので、そういう点につきましては、四十年度から道路の直轄事業債という起債を特別に考えておりますし、また三十九年度末におきましては、特別交付税の配分の際にも検討したところでございます。
いまの指定地域の問題は確かに御指摘のとおりでございますが、それは道路で申し上げますと、道路が通過するところの地方団体に普通の標準的な財源付与をもってしては受け入れが非常に困難であるということが、道路の円滑な建設に支障を与えてはならないということもございまして、関係市町村あるいは関係府県の受け入れ能力を増すように、あるいは市町村の場合にはかさ上げをやる、県の場合には起債等によって当該通過する地域が受け入れられるようにしてまいろうというのが、いまの案になっておるというふうに心得ております。しかしながら、いろいろ具体的な問題といたしましては、問題が起こってくる場合も十分あろうかと思いますので、そういう点につきましては通産省のほうからもいろいろ御相談もありましょうし、また、たとえば道路で申しますと、建設省自身のどの程度まで先行的に集中的にやるかという配分の量の問題、ないし路線設定の問題等もございまして、建設省の意見も聞きながらできるだけ御趣旨に沿うように努力いたしてまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/50
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051・細谷治嘉
○細谷委員 少しこまかくなりますけれども、私が心配しているのは、そういう問題が一つあります。それからもう一つ、今度はこういう問題が出てくるのです。
国道なり県道ができた。いま不合理が起こらないように何か考えようということでありますけれども、その道だけでは役に立たない。たとえば事業団が団地造成をやったとします。取りつけ道路が要ります。その取りつけ道路はおそらく、市町村等でやるという場合も起こるでしょう、事業団でやる場合も起こりましょう。そういう場合に、現行法における二条指定と六条指定との変な問題も起こるわけですが、もう一つ今度は指定がふえてまいりますから、二条、六条、今度は十条、十一条指定ですか、そういうものが出てくるわけです。二条、六条、十条という問題が出てまいりますと、これは取りつけ道路の問題にあたってもずいぶん問題点が具体的に起こってくるのじゃないかと私は懸念いたしております。たとえば国道から市町村道へ入っていく。その場合に二条指定の地域もある、六条指定の地域もある、さらには今度の十条指定も起こってくる、こういうことになるのではないかと私は思うのです。たいへん複雑な問題が出てくるのじゃないかと思いますが、これはどういうふうに対処するお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/51
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052・西田彰
○西田説明員 いま御指摘の取りつけ道路等の場合、市町村道でありますればわりあいに処理は簡単でございまして、市町村道は市町村の地域内に大体ございますので、当該市町村がその十条なり十一条なりの適用地域内にあるかどうかということによりまして処理は簡単でございます。先ほど御指摘になりましたむしろ国道のような場合、その特例措置の適用をどういうふうにするかという問題につきましては、先ほど私が申し上げましたように、これは県に対する措置でございますので、県が全体のその道路の事業計画の中で起債相当部分というものを、その道路がどのような指定地域を一体どういうように通過しておるかという面積等によりまして案分比例することも技術上は可能でございますので、技術上の問題としては、先生御指摘の問題はかなり重要な問題でございますが、解決可能であると思います。ただ私が先ほど申し上げましたのは、それは解決可能だからそれでいいということではなくて、一体的にやはり工業都市建設を指向するものでございますので、地域の指定等は一団となった地域になるように指定すべきものという理論上の問題は存在するというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/52
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053・細谷治嘉
○細谷委員 人間のやることでありますから、不可能ということばは西田さんの辞典にはないかもしらぬけれども、現実にはこれはたいへんなことだと思う。取りつけ道路にしても、一市町村の中でおさまればいいけれども、二市町村にわたったというような場合に、指定が三種類になるわけですから、二種類くらいの指定が加わったり何かする可能性もあります。現実にどれがどうなるということは申し上げませんが、なる可能性はあります。そういうことでございますから、なかなか問題点があるのじゃないか。それで私は二条指定、六条指定に新たにまた十条指定なんというものを設けると、問題が複雑化するばかりで、混乱を起こすのじゃないかということを強く申し上げて、この点については善処をお願いしたいと思っております。
次にお尋ねしたい点は、十条の三号に「その他政令で定める主要な施設」とあり、それから十一条の五号にも「その他政令で定める主要な施設」と、こういうふうに書いてございます。この「その他政令で定める主要な施設」というのは、一体どういうものをお考えになっておるか、これをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/53
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054・井上亮
○井上政府委員 主要な施設につきましては、この法律の中でも「道路、港湾施設等の輸送施設」「住宅」「その他政令で定める主要な施設」というふうに道路、港湾、住宅につきましては特に指定されているわけでございます。それから市町村につきましても、ただいま申しました道路、港湾、住宅以外に「下水道」 「教育施設及び厚生施設」というような規定があるわけでございます。
「その他政令で定める主要な施設」といたしまして私どもいまいろいろと研究をいたしておるわけでございますが、やはり産炭地域の実情に照らしまして特に指定したほうがよろしいと思われるような施設は、政令で特に指定してまいりたい。たとえば県に対する措置といたしましては、道路だけでなくて街路とか、そういうようなものについても研究してまいりたい。あるいは、ややとっぴでございますが、まだもう少し研究しなければいかぬと思いますが、空港というような問題についても検討してまいりたい。
それから市町村に対する措置といたしましては、これはまだ研究の段階を出ませんけれども、たとえば、公園、緑地の問題とか、こういった問題もひとつ考えていきたい。その他まだ私申し上げませんけれども、申し上げない問題についても研究して地方の実情に合うような施設をなるべく指定してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/54
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055・細谷治嘉
○細谷委員 実情に即するようにということでありますけれども、ここに書いてあります教育施設とか厚生施設といっても、教育施設というと社会教育等も含めればきわめて広範なものにもなるわけでありますし、厚生施設といっても、あれもこれもということになるわけでありまして明確でありませんが、できるだけ実情に即するようにやるということでございますから、ひとつ実情に即するように——たとえば厚生施設というのは具体的には保育所とか、あるいはいろいろな問題もあります。そういう問題をどうやるのか、これは「その他政令で定める主要な施設」とも関連がありますから、十分にひとつ実情に即するように御検討いただかなければいかぬと思うのです。
簡易水道の問題とか鉱害復旧の問題とか、あるいはボタ山とか、あるいは工業用地の造成に対する問題とか、あるいは厚生施設の問題等ありますが、ここで一々聞きませんが、二点だけお聞きしたいと思うのです。
第一点は、工業開発ということに力点が置かれていくのだというお答えでありますけれども、産炭地域振興臨時措置法の第一条に「鉱工業等」というのがあるのです。この「等」はただ単に「等」という字句が入ったのじゃなくて、やはり歴史的な経過があるわけなんです。これは農業施設も含めるのだというようなことを含めて「等」というのが原案につけ加えられたといういきさつがございます。そこで農業施設、たとえば農業用のダムとか、あるいはいろいろな施設というのが必ず起こってまいります。産炭地振興の重要な要素の一つとして農業の振興ということもあげられておるくらいでありまして、ある人に言わせますと、その振興計画自体が、画一的に酪農ばかりどこでもやるというようなことなのじゃないかという批判をするくらいに、農業問題というものが振興計画の中で取り上げられている。これも大切な問題です。そういう農業用の施設について考える意思があるのかどうか。
もう一つの問題点は、県等で事業をやってまいりますと、この法律では補助事業あるいは直轄事業に対する負担金、こういうことに限られておるわけですけれども、市町村の場合には県に対してもやはり負担金というのがあるわけなのですね。・県に対する地元負担金というのがございます。たとえば道路の舗装をしますと、三分の二は国庫補助でありますけれども、六分の一が県費負担で、六分の一が市町村の負担という問題があります。産炭地の財政事情は先ほど来申し上げたとおりでありますから、こういう問題はどうするのか。この二点についてひとつ明快な御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/55
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056・井上亮
○井上政府委員 二点目の御質問の趣旨がちょっとわかりにくい点がありましたので、あとで補足させていただきたいと思います。
まず第一点でございますが、御指摘のように産炭地域振興臨時措置法におきましては、単に鉱工業の振興だけをはかる目的ではございません。御指摘のように「等」とあります内容は、農業等も当然入るというふうに解釈いたしております。現在私どもはそういった趣旨に沿って、農業問題についても産炭地振興計画の中に入れまして、これはもちろん関係省である農林省にも参加していただいてそういった計画を組み、推進いたしておるわけでございます。今後特に事業の指定に際しまして、それに対する配慮はどうかということでございますが、この点につきましては、産炭地域振興臨時措置法の趣旨にも照らしまして、農業関係、特に農業振興のための事業、この必要性は十分わかるわけでございますから、できるだけ対象事業とするように検討してまいりたい。しかし適用した場合に実情は一体どうなるかというような点、この点についてはしばらく研究さしていただきたいと思いますが、私としてはこの産炭地域振興臨時措置法の立法の趣旨に照らしまして、できるだけ前向きに検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/56
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057・西田彰
○西田説明員 先生の御質問の後段の問題でございますが、県道等につきまして県がさらにその負担を市町村に分担させておるというようなものについてこの臨時措置法の適用を認むべきではないかというお説でございますが、これに関しましてはこの法律制度の適用は技術的にも困難でございますし、また、いま申し上げましたような負担の問題は県と市との問題でございまして、県が市町村に対しましてその分担をさせる場合には、当然市町村の財政事情等を勘案してなすべきものでごいざますので、私どもといたしましては、その負担をさせる場合につきまして、ものごとがうまくいくように適当な指導をいたしてまいりたいと思います。
なお、蛇足でございますが、市町村のほうに補助率アップのこのような措置をとりまして、全体の市町村の公共事業関係の支出負担が楽になりますれば、反射的にそういった負担というものもなし得る実力がついてくるのではないかと思っておりますと同時に、市町村に対しましては、多少おくれております産炭地市町村の都市計画の健全な樹立を指導いたしまして、りっぱな都市計画をつくってもらって、その都市計画の中でこの助成制度をうまく適用させながら工業都市建設に励ませるという指導をやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/57
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058・細谷治嘉
○細谷委員 確かにおっしゃるように府県道なりあるいは国道等の舗装——今度国道は一級国道、二級国道の差がなくなりましたからかなり整理されますけれども、府県道の場合には、舗装するにしても何するにしても、現実にはやはり市町村の相当大きな負担額になっておる。この対象事業について、国の補助事業あるいは国の直轄事業の負担金、これだけを対象にしたのではやはり問題点があるのであって、市町村が国なりあるいは県に対して地元負担としてやるものも考慮すべきじゃないかと私は思うのです。西田課長さん、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/58
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059・西田彰
○西田説明員 お説のとおり問題点があると存じますが、御答弁といたしましては、先ほど私が申し上げましたような、その問題についてはやや間接的な、あるいはまた都市計画に励むというような別途の方向におきまして、ものごとを全体の中で解決してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/59
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060・細谷治嘉
○細谷委員 そういうことになりますと、先ほど言ったように、単独事業というものは全国の市町村平均は一七%です。予算支出総額の一七%単独事業をやっておるのです。ところが産炭地の市町村というのは、三十八年度の決算額で八%しかやっていないのです。きわめて不十分、不満でありますけれども、この法律が適用されるということになりますと、補助率の引き上げも行なわれ、起債の充当率も上がる。こういうことになりますと、これが国がきめた一定の補助事業だ、直轄事業だということになりますと——八%でも全国平均の半分にも満たない単独事業しかやれない。単独事業というのは、やはりすべてが産炭地の振興に集中してやっているにかかわらず、これだけしかやれない。産炭地の実情は、もっともっと、これは八%というものを半分あるいは三〇%ぐらいに減らして、あるいは単独事業を一切カットして、そうしてこの補助事業に応じなければ、国が個々に認証した事業の補助の地元負担をしていかなければ、にっちもさっちもいかぬということになりますから、地方団体というのはもう死んだ形骸にすぎない。地方独自の施策というものができない、こういうことになる懸念が十分にございます。これをどうお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/60
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061・西田彰
○西田説明員 ただいま先生の御指摘の点は、市町村の公共事業に関する本質的な問題でございます。市町村がわずかにいろいろな形態で単独事業をやっておりますが、これを私が申し上げておりますのは、市町村がりっぱな都市計画をつくってこれが国家的に認められますと、都市計画にのぼった街路その他のものは国の補助事業として取り上げられるようになりまして、そうなりますとこの法律の適用がされるようになるわけでございます。ただいま、現在の産炭地域の各市町村の公共事業、建設事業に対する認識と申しますか、いままでの態度と申しますか、あるいは計画というものは比較的おくれておるというふうに率直に申し上げなければならないと思いますが、これは現在の混乱期に際しましての当然のことでございまして、今後私どもの指導といたしましては、やはり産炭地の各市町村も将来工業都市建設に向かって励み得る実力を持っておるのだという認識を持ってもらいますれば、各市町村の部内におきまして、あるいは県の指導を受けまして、いろいろ検討をいたしまして、わが市町村はどのような計画をもって都市建設をやればいいかというような方向について都市計画をつくるというような段階にだんだん勉強してなってまいってくると思います。そうしていい都市計画ができますと、これは建設省のあるいは認可措置でございますか許可措置でございますか、そういうものを受けますと、その中に拾われました補助事業につきましては、公共事業につきまして応分の国の補助が出るわけでございます。そうなってまいりますと、だんだんとこちらのほうの財政措置の適用を受けてまいるというようなことになってくるわけであります。私が申し上げましたのは、ただその筋道と理想を申し上げたわけでございまして、確かに先生御指摘のように、現在の産炭地の各市町村の現状とこの法律との間に、そういった意味のいろいろな各人の努力が間に入らなければならぬというギャップがございますけれども、やはりこういうものは、ものごとの方向としましては、私の申し上げましたような計画樹立の方向に沿って処理していくべきものだというふうに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/61
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062・細谷治嘉
○細谷委員 大体、だんだんなんという認識、これがいかぬと言うのです。瀕死の重病なんですよ。もう単独事業なんというものは三十八年度決算で八%、ほとんどやれない。ということは、だんだんなんということではなく、いまこそ投薬をしてもらわなければ、起き上がることもできない。だんだんなんという未来はないですよ。そういう実態だということをまず認識していただかなければならぬと思う。
そこで私はお尋ねしたいのですが、この法律によりますと、補助率の引き上げに関連いたしまして、十分の一という数字をとりましたね。これは新産都市、工特地域と同じような十分の一ということでやる。ところで新産都市、工特は全国平均の市町村等をとった際に十分の一だ、こういうことで十分の一を選んだのだそうであります。私三十八年度の産炭地市町村の決算に基づいて計算をしてみますと、百三十ばかりある市町村の平均点は十分の一にならないのですよ。具体的に私の住んでおります県内の実情等、あるいはせんだってこの委員会に佐賀県の県議会の代表が来て陳情した資料から見ますと、十分の一どころではなくて、十分の〇・二とか〇・三とかが多くて、たとえば福岡県の平均なんて見ますと、大体十分の〇・六くらいだと私は思う。にもかかわらず、この法律では新産都市に右へならえして十分の一をとったというのは一体いかなる理由なのか、いかなる根拠なのか聞きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/62
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063・西田彰
○西田説明員 先生ただいま御指摘の点は、先ほど局長が答弁申し上げました、この法律体系が新産都市に対します制度と同等同様のものであるというところとの答弁と関連した問題でございまして、非常に基本的な問題でございます。私どもの考え方を申し上げますれば、産炭地域につきましてはなすべきことは非常にたくさんある。しかしその産炭地域の中で、いろいろ市町村がございますが、救済すべきものあるいは伸ばしていくもの、いろいろそれぞれのニュアンスを持っておるわけでございますが、私どもとしましては、産炭地域についていろいろの政策をとるうちの一環といたしまして、この財政援助の措置をとるわけでございます。その趣旨は、先ほど局長の申し上げましたように、今後伸び行く可能性のあるものにつきまして、新産都市が目ざしておりますような工業都市建設の方向にこれを持っていくためにこのような措置を準備したわけでございます。したがいまして、全国の平均よりもなお増して仕事をしようとする意欲と実力を持っておりますものは、それを伸ばしていこうという措置でございまして、産炭地域振興対策のすべてではなくて、その一環であるというところから、そのような伸ばすべきものを伸ばすという制度の趣旨に従いまして、この全国平均の十分の一あるいは百分の十という数字をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/63
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064・細谷治嘉
○細谷委員 全国平均十分の一というのですけれども、私の言っているのは、産炭地の平均は十分の一じゃないでしょう、幾らになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/64
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065・西田彰
○西田説明員 この制度の趣旨は、産炭地の各市町村が全国の平均を越えて仕事をするときに適用しようという趣旨でございます。産炭地域の平均は十分の一よりも低い、あるいは十分の〇・八程度かと存じますが、平均を越えて産炭地域の中で、自分たちのグループの中でと申しますか、これはむしろ産炭地域で従来よりもよけい仕事をやったらこれを適用するという趣旨ではなくて、人よりもよけいにやったらこれを適用する、つまり国の財政負担の特例措置でございますので、人よりもずば抜けてやる意欲があるというところにそのメリットを認めようという趣旨であります。従来よりもよけいにやろうとするところにメリットを認めるというところまではいかないで、人よりもよけいにやるというところにメリットを認めたものでございまして、その趣旨は、先ほど局長が申し上げましたような工業都市建設の意欲と能力を持っているものに対して適用するという趣旨になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/65
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066・細谷治嘉
○細谷委員 全国平均、全国平均と言いますけれども、私が冒頭からずっと申し上げているように、何とか立ち上がりたい、立ち上がりたいと努力しつつも、財政構造が先ほど申し上げたとおりなんです。どうにもならぬわけなんですから、重病人なんですから、重病人に人並みの仕事ができぬのは当然のことですよ。人並み以上やったらごほうびをやりますというのですから、これはもう不可能を強要しているやり方じゃないかと思う。それならば全国の平均ではなくて、答申もはっきり言っているように、これはやはり大きなくぼんだコミュニティの問題なんですから、産炭地の平均値というのが十分の〇・七なら十分の〇・七、十分の〇・六なら〇・六、そういうものを基準にして、そしてやはり病気であるものをなおして、しかる後に、人並みに働けるようになった場合には人並みのつき合いをさせる、こういうこともいいでしょう。それを、産炭地の平均ということならばともかくとして、全国の市町村の平均とは全く構造を異にする、体質を異にする市町村にそれを強要するのは全く不可能なことであり、意味のないことだ。現実には十分の一ということになりますと、ほとんどが適用されない。通産省は産炭地にウナギのかば焼きをかがせるだけで、それで終わりだという考え方ですか。かがせるのではなくてウナギの頭くらいは食わせるくらいのことは、やはり考えてやらなければいかぬのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/66
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067・西田彰
○西田説明員 御造詣の深い細谷先生と地方財政論議をするには私ははなはだ学識がございませんが、一言申し述べさしていただきますれば、産炭地市町村の財政問題の根本としまして、そもそも公共事業をちょっとでもやる能力がないというところの問題は確かにございます。その問題に関しましては、私はその問題に対する直接の答えがこの法律制度であるということを申し上げているのではございません。その問題に対しましては、国はいま自治省がやっておられますところの地方財政対策といたしまして、いろいろな措置をとっているわけでございまして、産炭地の財政が非常に困っておりますのは、やはり先ほど先生がるる申されましたように、収入が減り、生活保護等の支出がふえておるという実態でありますので、この実態に対する直接的な措置を十分に手厚くする、まず市町村の財政の窮乏を救って、そうしてそのあとで公共事業をやる潜在的能力をつけることをやらなければならぬというのが急務であります。この急務に対しましては、私どもとしては自治省にいろいろお願いいたしまして、交付税等におきましていろいろな配慮をしていただいておるわけでありますが、なお先生御指摘のように、産炭地の市町村が立ち直らない点があるとすれば、その範囲内の問題としてもなお指摘さるべきいろいろな問題があると存じます。それに対しましては、いろいろな事業ごとに交付税の算出のしかた、あるいは単価の問題その他いろいろな諸問題についてなお解決すべき問題が指摘されておりますので、その問題を各省あるいは自治省におきましていろいろ御検討願って改善していっていただくことが、まず第一の急務であるというふうに思っております。
〔委員長退席、藏内委員長代理着席〕
そこで、この法律措置は、それに関しましては確かに私はウナギのかば焼きほどの高級措置とも考えません。むしろ先生のいまの比喩にありましたように、多少その面からはやや側面的な、かけ離れた措置という御指摘も受けると思いますが、その問題はおのずから問題の性質上面が違うというふうに私ども心得ておりまして、純粋の地方財政措置と、今度の新しい財政対策の臨時措置と両両あわせまして産炭地市町村の全体の財政の問題というものは解決していくべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/67
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068・細谷治嘉
○細谷委員 面が違うなんていうのではなくて、あなたのほうの考えておる面が、かば焼きのにおいだけかがせようとしているから問題になってくる。せっかくこの法律をつくったのだから、産炭地の十条指定がどうなるかは別として、まあとにかく、まんなかのいい肉でなくとも、頭かしっぽくらいは食べさせるくらいの措置をしなければならぬと私は思う。この問題については、そんなことじゃなくて、もっと産炭地の実態を認識していただいて、もっと掘り下げた御検討をお願いしたいと思います。
この問題についてはもっと突っ込んで質問したいのでありますが、時間もありませんから、きょうはこれで打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/68
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069・藏内修治
○藏内委員長代理 次会は明八日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104804589X01719650407/69
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