1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月七日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 濱地 文平君
理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君
理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君
理事 本名 武君 理事 東海林 稔君
理事 芳賀 貢君
池田 清志君 宇野 宗佑君
亀岡 高夫君 吉川 久衛君
笹山茂太郎君 高見 三郎君
中川 一郎君 野原 正勝君
藤田 義光君 細田 吉藏君
兒玉 末男君 千葉 七郎君
松井 誠君 松浦 定義君
小平 忠君 中村 時雄君
林 百郎君
出席政府委員
農林政務次官 舘林三喜男君
農林事務官
(畜産局長) 桧垣徳太郎君
食糧庁長官 齋藤 誠君
委員外の出席者
専 門 員 松任谷健太郎君
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本日の会議に付した案件
砂糖の価格安定等に関する法律案(内閣提出第
一三一号)
沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一
部を改正する法律案(内閣提出第一三二号)
加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案(内閣
提出第一二五号)
牛乳法案(芳賀貢君外十一名提出、衆法第一七
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/0
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001・濱地文平
○濱地委員長 これより会議を開きます。
砂糖の価格安定等に関する法律案及び沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、両案の補足説明を聴取いたします。齋藤食糧庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/1
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002・齋藤誠
○齋藤(誠)政府委員 砂糖の価格安定等に関する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。
この法律案を提出する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。
法律案の構成といたしましては、第一にこの法律案の目的及び主要な用語の定義について規定し、第二に砂糖の価格安定に関する措置として輸入にかかる砂糖の価格調整等及び精製糖の製造数量等の制限について規定し、第三に国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格支持に関する措置について規定し、第四にこれらの措置に必要な業務を行なう機関としての糖価安定事業団の組織、業務等に関する規定を置いておりますほか、報告及び検査、罰則、経過規定、関係法令の整備等に関する所要の規定を設けております。
以下その内容について若干補足して御説明申し上げます。
まず第一章は、この法律案の目的とこの法律案における用語の定義を定めております。すなわち、第一条においては、この法律案は、輸入糖の価格調整その他砂糖の価格の異常な変動を防止するための措置並びに国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格を支持するのに必要な措置等を定めることにより、砂糖の価格の安定をはかるとともに国内産糖及び国内産ブドウ糖にかかる関連産業の健全な発展を促進し、もって甘味資源作物及び国内産でん粉の原料作物にかかる農業所得の確保と国民生活の安定に寄与することを目的とすることを規定しております。
第二章は、砂糖の価格安定に関する措置に関する規定であります。まず第一節の輸入にかかる砂糖の価格調整等に関する規定から御説明申し上げます。
その一は、農林大臣は、砂糖年度ごとに、安定上限価格及び安定下限価格並びに国内産糖合理化目標価格を定めなければならないとしたことであります。安定上限価格及び安定下限価格は、輸入糖の価格を適正な水準に安定させるための指標として、砂糖の価格がその額をこえて騰貴し、またはその額を下って低落することを防止することを旨として、国際糖価の通常の変動の上下限を基準として定めることとしておりますが、なおこの決定にあたっては消費者に不当な負担と不利益を及ぼすことのないよう配慮いたす考えであります。なお、この安定上下限価格には国際糖価の通常の変動が反映されることとなりますので、これにより秩序ある精製糖企業及び関連産業の合理化への努力が期待し得ると考えられるのであります。
次に、国内産糖合理化目標価格は、輸入糖の価格が低落した場合に、これによる甘味資源作物の生産の振興及び国内産糖企業の健全な発展に及ぼす悪影響を緩和するため、輸入糖の価格を調整すすことが必要であり、この価格調整の基準としての意味を持つものでありますが、その価格は、一定期間の甘味資源作物の生産の見通し及び国内産糖の製造事業の合理化の目標並びに国際糖価の動向をも考慮して定める国内産糖の目標生産費を基準として定めることとし、もって国内産糖の合理化の努力目標といたしております。
なお、これら安定上下限価格等の決定につきましては、砂糖類の製造、販売、輸入または消費に関し学識経験を有する者の意見を聞かなければならないこととし、公正な立場に立って対処し得るよう特に配慮しておる次第であります。
その二は、糖価安定事業団のする輸入糖の価格調整についてであります。輸入糖につきましては、その通関のときに糖価安定事業団による買い入れ及び売り戻しの措置を通じて必要な価格調整を行ない、もって輸入糖の価格安定と輸入糖と国内産糖及び国内産ブドウ糖との価格調整をはかろうとするものでありますが、この買い入れ及び売り戻しは、買い入れと同時にその買い入れの相手方に売り戻すいわゆる瞬間タッチ方式により運用することといたしたいと考えております。
まず、国際糖価の低落時における輸入糖の糖価安定事業団への売り渡しを第五条に規定しております。農林大臣は、第七条の規定によりまして、過去の一定期間における国際糖価の平均を基準とした平均輸入価格を算定、公表して価格調整の発動の基準とすることといたしておりますが、この平均輸入価格が国内産糖合理化目標価格に満たないときに輸入される砂糖は原則として糖価安定事業団に売り渡さなければならないこととしております。他方平均輸入価格が安定上限価格をこえるときに輸入される砂糖は、第六条によりまして原則として売り渡しの申し込みに応じ糖価安定事業団が買い入れるものとしております。
これら価格調整の対象となる輸入糖の買い入れの価格は、その輸入の際の平均輸入価格によることといたしております。
次に、糖価安定事業団の買い入れる輸入糖は、必ずその相手方に売り戻すこととし、その売り戻しの価格に関する規定を第十条として設けております。すなわち、国際糖価が低落している期間においては、売り戻しの価格は、平均輸入価格あるいは安定下限価格に一定の額を加えた額とし、この加算額は、輸入糖と国内産糖及び国内産ブドウ糖との価格調整に必要な額として、国内産糖及び国内産ブドウ糖の総製造見込み数量を砂糖及び国内産ブドウ糖の総供給見込み数量で除して得た数を限度として農林大臣が定める率を、国内産糖合理化目標価格と平均輸入価格あるいは安定下限価格との差に乗じて算出することとしております。また国際糖価が高騰している期間においては、売り戻しの価格は、安定上限価格としております。この場合、売買価格が個々の輸入価格によらず一率に定められることとなりますので、個々の企業の買い付け努力のメリットは完全に確保されておることは申すまでもないところであります。
第十二条は、糖価安定事業団のする輸入糖の価格調整の補完措置を規定しております。すなわち、国際糖価の高騰時におきまして、糖価安定事業団のする輸入糖の価格調整によっては砂糖の価格を安定させることが困難と認められるときは、砂糖についての関税率の引き下げその他必要な措置を講ずることとしており、消費者の利益の確保のため、糖価の異常な高騰を国の責任において抑制すべきことを義務づけているのであります。
次に、第二章第二節の精製糖の製造数量等の制限について御説明申し上げます。
輸入糖について価格調整を行なう場合におきましても、輸入数量の規制のないため砂糖の需給が不均衡となり、国内糖価が予想される水準以下に低落することも自由化のもとにおきましては当然に予測されるところでありますが、国内糖価が安定下限価格に見合う水準を下回って低落する異常な事態となるに至った場合には、国内糖価の安定を確保するため、必要に応じ、農林大臣が精製糖企業に対し、精製糖の製造数量または販売数量の制限に関する共同行為を実施すべきことを指示し得ることと第十三条において規定しているのであります。なお、第十七条におきまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、精製糖企業が農林大臣の指示に従ってする共同行為については適用しないこととしております。
次に、第三章の国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格支持に関する措置について御説明申し上げます。
第十九条は、糖価安定事業団のする国内産糖の買い入れについてであります、現行の政府買い入れによる価格支持を糖価安定事業団の買い入れによる価格支持に改めるとともに、買い入れの発動につきましては、原則として、国内産糖製造事業者からの国内産糖の売り渡しの申し込みがあったときは、糖価安定事業団がその申し込みに応じて買い入れるものとしております。
糖価安定事業団の買い入れの対象となる国内産糖は、現行と同様最低生産者価格を下らない価格でその生産者から買い入れた甘味資源作物を原料として製造されたものに限ることとし、最低生産者価格及び国内産糖の買い入れの価格の算定の考え方も現行制度と同様としております。
次に、糖価安定事業団の買い入れる国内産糖は、必ずその買い入れの相手方に売り戻すべきこととしておりますが、この買い入れ及び売り戻しは、買い入れと同時にその相手方に売り戻すいわゆる瞬間タッチ方式により運用することといたしたいと考えております。この売り戻しの価格は、第二十四条に規定するところにより、農林大臣が定めることとしております。
なお、現行甘味資源特別措置法附則第二条におきまして、国内産糖製造施設の新設の当初においてその新設をした者が甘味資源作物の集荷等の面で受ける著しい不利を補正する必要がある場合等については、国内産糖の政府買い入れの特例規定が設けられておりますが、本法律案におきましても同趣旨の特例規定を附則第三条に設けております。
法律案の第二十五条から第二十九条までは、国内産ブドウ糖の価格支持に関する措置についての規定であります。
国内産ブドウ糖につきましては、国内産糖と異なり、原料たるイモでん粉の価格がそれ自体の需給によっても変動しております関係上、糖価安定事業団の買い入れの発動につきましては、イモでん粉の価格、国内産ブドウ糖の価格、砂糖の価格等を勘案して、国内産ブドウ糖の生産を維持しその原料でん紛の原料となる国内産のイモの需要の確保をはかるため必要があると認められる場合に、農林大臣が糖価安定事業団に指示を行ない、糖価安定事業団は、その指示に基づき、ブドウ糖製造事業者から、その申し込みに応じてその製造する国内産ブドウ糖を買い入れるものとすることとしております。買い入れの対象となる国内産ブドウ糖の種類等及びその買い入れの価格につきましては、現行と同様の考え方としております。
次に、第二十八条によりまして、糖価安定事業団が買い入れる国内産ブドウ糖は、国内産糖と同様に、必ずその買い入れの相手方に売り戻すべきこととしており、第二十九条に売り戻しの価格に関する規定を設けております。
なお、現行甘味資源特別措置法附則第三条におきまして、国内産ブドウ糖の製造事業の合理化を促進するため特に必要があると認められる場合については、国内産ブドウ糖の政府買い入れの特例規定が設けられておりますが、本法律案におきましても同趣旨の特例規定を附則第四条に設けております。
第四章は、糖価安定事業団の組織、業務、財務等に関する規定であります。
第三十条におきましては、糖価安定事業団は、輸入糖の価格調整並びに国内産糖及び国内産ブドウ糖の価格支持のための砂糖及びブドウ糖の買い入れ及び売り戻しの業務を行なうことを目的とすることを規定しております。
次に、役員につきましては、理事長一人、副理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置くこととし、このほかに、非常勤の理事三人以内を置くことができることとしております。
糖価安定事業団の業務につきましては、第四十七条に規定を設けておりますが、その目的を達成するため、この法律の規定による輸入糖の買い入れ及び売り戻し、この法律の規定による国内産糖及び国内産ブドウ糖の買い入れ及び売り戻し並びにこれらの業務に付帯する業務を行なうこととしております。
第四十九条から第五十八条までは、糖価安定事業団の財務及び会計に関する規定であります。国内産糖及び国内産ブドウ糖の買い入れ及び売り戻しの対価の差額のうち、買い入れの価格すなわち国内産糖または国内産ブドウ糖のコスト価格と国内産糖合理化目標価格に見合う価格の差額につきましては、これを財政措置によることとし、政府が交付金を交付するものとしております。対価の差額の残余につきましては、すでに申し述べました輸入糖との価格調整によって措置することとしております。また、平均輸入価格が安定下限価格に満たない期間内に糖価安定事業団が輸入糖の売買を行なうことにより取得した対価の差額中買い入れの価格と安定下限価格との差額に相当する部分は、糖価安定資金として管理することとし、その運用収入をも含めて国際糖価の高騰時における輸入糖の買い入れ及び売り戻しの業務に要する費用の財源に充てることとし、国内糖価の高騰を抑制する効果を確保し得るよう配慮しております。
第五章は、この法律の施行のため必要な報告の徴収及び検査に関する規定であります。
第六章は、罰則に関する規定であります。
最後に、附則の規定につきまして御説明申し上げます。
第一条におきまして、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、第二条におきまして、糖価安定事業団のする輸入糖の価格調整は、昭和四十年十月一日以後に輸入される砂糖について、国内産糖及び国内産ブドウ糖の糖価安定事業団による価格支持に関する措置は、昭和四十砂糖年度に製造される国内産糖及び国内産ブドウ糖について、それぞれ適用することとしております。
第五条は、昭和四十年産のてん菜の最低生産者価格の経過規定であり、第六条から第十二条までは、糖価安定事業団の設立に関する経過規定であります。
第十二条は、この法律の制定に伴う甘味資源特別措置法の改正でありまして、国内産糖及び国内産ブドウ糖の政府買い入れに関する規定につき、所要の改正を加えております。また、これに伴い、第十四条によりまして、昭和三十九砂糖年度に製造される国内産糖及び国内産ブドウ糖の昭和四十年九月三十日までの政府買い入れについては、なお従前の例によることとしております。
第十五条は、甘味資源特別措置法の改正に伴う食糧管理特別会計法の改正でありまして、砂糖類勘定の廃止等の所要の規定を置いております。
以上のほか、関係の法律について所要の改正を行なうことといたしております。
以上をもちまして、砂糖の価格安定等に関する法律案についての補足説明といたします。
次に、沖縄産糖の政府買い入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。
この法律案を提出する理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下この法律案の主要な内容につきまして、若干補足して御説明申し上げます。
法律案の内容の第一は、砂糖の価格安定等に関する法律案の規定により設立されることとなる糖価安定事業団は、同法の規定により行なう業務のほか、沖縄産糖の買い入れ及び売り戻しの業務を行なうこととしたことであります。
内容の第二は、沖縄産糖の価格支持の発動の要件を砂糖の価格が糖価安定事業団の沖縄産糖の買い入れの価格を下って低落している場合において、農林大臣が必要と認めて指示したときとするように改めることとしたことであります。また、これに伴いまして、政府は、糖価安定事業団の沖縄産糖の買い入れの価格を毎年定めるべきことといたしております。
内容の第三は、糖価安定事業団の買い入れる沖縄産糖は、必ずその買い入れの相手方に売り戻すこととしたことでありますが、この買い入れ及び売り戻しは、国内産糖と同様の方式により運用することといたしたいと考えております。
内容の第四は、この法律は、公布の日から施行することといたしておりますが、昭和三十九砂糖年度に製造される沖縄産糖の昭和四十年九月三十日までの政府買い入れにつきましては、なお従前の例によることとしたことであります。
最後に、砂糖の価格安定等に関する法律案中輸入糖と国内産糖及び国内産ブドウ糖との価格調整につきまして、沖縄産糖をもこの価格調整の対象とし得るよう糖価安定事業団のする輸入糖の売り戻しの価格の算定をすることとする規定を設けております。
以上をもちまして、沖縄産糖の政府買い入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案についての補足説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/2
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003・濱地文平
○濱地委員長 以上で両案に対する補足説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/3
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004・濱地文平
○濱地委員長 次に、内閣提出、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案及び芳賀貢君外十一名提出、牛乳法案の両案を一括議題といたします。
前会に引き続き質疑を行ないます。松浦定義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/4
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005・松浦定義
○松浦(定)委員 いま審議に入っております今度の法案につきましては、実は先般来から与党の諸君の質問もあり、またわが党の芳賀委員からも質問がございましたが、私は、どうもこの法案の提案されるまでの経過について、非常に理解のできない点が多くあるわけであります。したがいまして、私どもがこの国会の場において審議する場合においては、その経過については何ら触れる必要がないといえばそれまででありますけれども、やはり世論というものについて、私どもがその動向を見きわめる必要があるわけであります。本法案が提案されるまでの過程については、ずいぶん紆余曲折といいますか、政府当局としてもいろいろ検討されたと思うわけであります。あるいはまた与党である自由民主党におきましても、それぞれの段階を経て検討されたと思いますが、それよりも、むしろ、今度の法案が、生産者あるいは農業団体あるいは酪農諸団体、さらにまた乳業メーカー、こういったそれぞれの立場においていろいろ意見のいきさつがあったようでありますけれども、この点につきまして特に私のお聞きしたいのは、私どもの手元へ、朝な夕なといいますか、いろいろそういう情報が入ってくるわけであります。あるいは新聞を見ても、ラジオを聞いても、特に農村等に行きますと、そのことで持ち切りだといったぐらいにまでいろいろ話があるわけでありますが、そういう問題は後刻いろいろ明らかにしていただくと同時に、まず、農林省と大蔵省との間において、本問題がそういう意味でからんで、いろいろな動きがあった、こういうことを実は私聞いておるわけであります。したがいまして、極端に申し上げますと、農林省の今度お出しになった政府原案といいますか、それを出されるまでの政府部内、すなわち、大蔵省との関係あるいは外部との関係によって動いた、そうしたような状態について、ひとつ局長から経過の一端として御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/5
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006・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この法案は、申し上げるまでもございませんが、一つは、国の財政による、加工原料乳の価格条件の不備を補正するいわゆる不足払いの制度、それから、その不足払いを原則として県単位に設置される指定生乳生産者団体を通じて行なう、また、指定乳製品等については、国内の価格安定措置の効果を確保するために、畜産振興事業団によって一元輸入をするという、大まかにいいまして、三本の柱を立てるということを目標に立案をいたしたものでございますから、したがって、この法案を政府内で検討いたしますにあたっては、当然、大蔵省その他関係省、かなり数多い各省にわたるわけでありますが、折衝が必要であったわけでございます。なかんずく財政支出による不足払い制度をとることでございますので、財政当局との折衝は念入りに行なったことは事実でございまして、農林省の担当官あるいは私ども局長段階に至るまでの折衝を数えますならば、大蔵省との折衝は、昨年の九月に大蔵省と協議を始めまして以来、おそらく六、七十回に及ぶ折衝をいたしまして、慎重に相互に検討をいたして、この法案の作成を確定するに至ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/6
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007・松浦定義
○松浦(定)委員 いかなる法案につきましても、いま局長の御説明のような経過は当然たどるだろうと私は思うのです。これはやはり農林省が何も予算に関係のない法案をそんなに出せるものではありませんし、むろん、財政当局との話し合いについての協議は、いまお話にありましたように、回数こそ違え、それはルールとしておやりになることはわかるわけであります。しかし、私は、そういう意味の通常行なわれるものでなくして、先ほど申し上げましたように、生産者あるいは乳業メーカーなど、その間におけるいろいろな動きの中でそういうような点があったということを申し上げておるのでありまして、そのことについてああだこうだということは、それはちょっと回答しにくい点があろうかと思います。そういう意味であったということにおいて、私は今度の法案が非常に重大である、こういうことを申し上げて、これからお尋ねする内容については、十分その点も配慮して御回答を願いたいと思うわけであります。
そこで、私は、農林省が二月の五日ごろにお出しになった原案というものは、生産者側すなわち原料乳地帯におきましては、非常に好感を持った、こういうことが言えると思います。しかし、二月の二十四、五日ごろですか、ここへ出されたときには、相当内容が変わってきておる。極端に申し上げますと、いまお話のありましたように、たとえば今度の法案の一番重点的だと思われる生産者団体の指定という問題等につきましては、やはり原料乳生産地帯では非常な関心を持ったところなのでありまして、こういう点がすでに変わってきておる。その変わり方について、非常な不満といいますか、そういうものが非常に多くあったわけであります。こういう点につきまして、今後の質問の中で御回答を願いたいと思うわけでありますが、とにかく一般の原料乳地帯の生活者としては、やはり不足払い制度というものができて、いままで安い乳価であったものが補足がしてもらえる。単にそのことだけでもこれはいい法案である、こういう形で実は期待を持っておった。しかし、その中心をなすのは、これから酪農を振興するために、年産者がどういう形で結束をしてその目的を果たすかということについては、生産者は生産者として、自分の参加しておる組織の強化確立によってこれを行なわしめたい、これは当然だと思うわけであります。そのことが、今度の生産者の指定団体の条項の中で、たとえば農業団体に行なわしめるというのが、農業という字がなくなってしまった。そして農業協同組合以外の者でもやれるといったような、そういう性格のものに変わっていった。こういうような一点が、この法案の作成上における非常な疑問な点だということを言っておるわけであります。そういうような、たとえば二転三転したという経過について、なぜそういうように変えなければならぬのか。いまの局長のお話を聞きますと、大蔵当局とは財政上の問題についていろいろ協議をしたというのでありますけれども、そういうことが財政上の問題にどういうような関係があるのか、そういう点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/7
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008・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この不足払いをいたします場合に、乳価の不足を補い交付される補給交付金を、生産者補給金として生産農家まで交付をするという団体の指定は、これは当初から農業協同組合ということを予定いたし、この法案においても農業協同組合を予定しておるわけでございまして、何ら変更をしたものではないのでございます。ただ、法律の規定のしかたといたしまして、第五条にございますように、「都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体」ということを書いてございまして、それをカッコして定義をいたしまして、「法第六条第一項の生乳生産者団体」、これは畜産物の価格安定等に関する法律をこの法案の中では法と呼んでおるのでございまして、畜安法の六条に定義がございまして、生乳生産者団体としましては、カッコしまして、「生乳の生産者が直接又は間接の構成員となっている農業協同組合又は農業協同組合連合会」という定義がございますので、その定義をこの法案の中へ引っぱってきております関係上、農業生産者をもって構成される農業協同組合という文字が整理をされただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/8
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009・松浦定義
○松浦(定)委員 その点についてはあとで詳しく御質問いたしたいと思いますが、どうも一般の酪農民が受ける感じあるいはまたいままでの質疑の過程からいきましても、いまお話しのありましたように、この法文の上でそうなっておるけれども、指定団体というものは農業協同組合であるということは書いていない、こういうふうに受け取れるわけです。しかし、現実の問題としては、それでは農業協同組合一本であるかといえば、そうでないということになっているわけですね。今度の指定団体というものは、たとえば農業協同組合一本である、こういうようにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/9
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010・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 ただいま御質問がありましたように、第五条で、生産者補給金の交付を受け得る生産者団体というのは、畜安法六条の、農民によって構成される農業協同組合もしくは農協連合会であるということを法律上明確にいたしておるのでございますから、農業協同組合もしくは農協連合会以外のものは、不足払いの交付を受ける団体たり得ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/10
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011・松浦定義
○松浦(定)委員 そうしますと、いまお話しになりましたようなことを真正面から聞きますと、今度の生産者団体の指定を受けるものは、農業協同組合または農業協同組合連合会以外のものについては該当しないのだ、こういうことをはっきりしているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/11
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012・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/12
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013・松浦定義
○松浦(定)委員 それじゃあとからまたいろいろこれに関連する問題が出まして、さらにまた明確にしておいていただきたいと思いますが、それではこの法案の中で、まず目的の中で、「当分の間」こういうことをうたっておるわけであります。しかし、先般の倉成委員の質問にも、その他の委員の質問に対しましても、「当分の間」というものについては、これはあまり意味がないのだ、たいした深い意味はないのだ。特に農林大臣の説明では、当分の間とかあるいは暫定措置というようなものについては、いつ幾日という期限を切っておるのではない、生産性の向上とか近代化とにらみ合わせてという意味で、別に重大な意味はない、こういうふうに言っておるのです。そうしますと、たとえば当分の間とか暫定措置法案というものは、そういう規定のない一般の法案と同じである、こういうふうに理解していいのですか。
〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/13
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014・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 形式論といたしましては、当分の間ということは、この法律は恒久的に永久にこういう措置をとるという意味ではないという、そういう性格を持っておりますから、一般の、暫定法という用語を使わない法律もしくは当分の間というような用語を用いない法律とは、法律の性格としての相違は私はあると考えますが、ただ、当分の間ということは、一定の明確な期限を予定しておるわけでもございませんし、施行の必要のある間はこの法律を適用するという趣旨でございますから、それほど他の法律との間において相違はないという意味のことを大臣が申し上げたように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/14
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015・松浦定義
○松浦(定)委員 しかし、この当分の間とか、あるいはまた暫定措置法ということになれば、それは説明ではそうおっしゃいますけれども、やはり一般の法律とは違うということは、私は明らかだと思うのです。たとえば大臣の説明では、先ほど申し上げましたように、生産性の向上あるいは近代化とにらみ合わせてということだ、こういうふうに言っておられるので、この加工原料乳生産者の法律は、もしも生産性の向上とかあるいはまた近代化というものができなかった場合——これは必ずしもこの法律でできるとは断言できないと思うのです。努力はされますけれども、できない場合もあるかもしれない。できない場合には、この法律というものは、いつでも改正し得るのだというような性格のものとしか受け取れないと思うのですが、そういう場合にはどういうふうな見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/15
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016・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 先般大臣からお答えをいたしましたのも、この法律は、牛乳ないし乳製品というものの生産性を向上いたしまして、合理化、近代化をし、また生乳の用途向けの変化の結果、価格として相対的に有利な飲用乳の比率が高まってきておるということから、加工原料乳についての価格の不利を財政によって補正をするということの必要性がなくなる、あるいは日本の乳製品に対外競争力ができて、輸入についての特別の調整措置を必要としないという時期がくれば、この法律は少なくとも現行の畜産物の価格安定等に関する法律の本法へ戻るということに、法形式的にはなるわけでございますが、そういう時期がまいりますまでの間、つまり、この法案の適用を必要とする事態が続きます限りは、改正等は考えてないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/16
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017・松浦定義
○松浦(定)委員 おそらくこの酪農問題につきましては、先般の酪振法の審議の場合にもありましたように、私は、そう簡単に一片の法律によってこの目的が達成し得るなんていうことにはならないと思うのです。ですから、農業基本法をつくって、そして酪振法の中でさらにまた枝葉になるような今度の法案が出てきたわけでありますから、やはりこういうものにつきましても、農業基本法と同じように、ある程度、そういう当分の間とか暫定とかいうものではなしに、やはり恒久的な法案にして、しかも、もし実情が変えなければならぬ場合においては、これは他の法律とて一部改正は毎年あるわけでありますから、そういう点でこれをさらに善処するということであるにかかわらず——今度一般の酪農家は、この内容については非常に期待を持っておるものもある。しかし、その期待を持っておる法律が、いまお話しになりましたようなそういうものであると、これに対しては、あまり自信を持った内容であるというふうに安心をして酪農に当たることにいかない点が出てくるわけでありますから、私どもとしては、この当分の間とかあるいは暫定とかいうことではなくして、基本的な問題としてこれをやるべきであるという見解を持っておることを理解していただきたい、こういうふうに実は思うわけであります。
そこで、さらに先ほどの話にちょっと戻りますが、生乳生産者団体の指定のほうで、七条の一号に、「農林省令で定める相当の割合を占めているか又はその割合を占めることとなる見込みが確実であること。」、こういうことになっておりますけれども、その見込みが確実である、こういう断定はどこの機関でだれがするのか、この点はどうなっておるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/17
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018・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 農林省令で定める相当の割合を占めておるかどうかということは、これは当該生乳生産者団体、つまり、農協もしくは農協連合会というものが従来の集荷の実績というものを持っておりますから、これはその実績に照らせば明らかになるわけでございます。
次に、その割合を占めることとなる見込みが確実であるということは、従来の組織あるいは集荷範囲では農林省令で定める相当の割合に達しておらなくとも、この法律が施行せられて、その指定の申請を出すという段階までに組織の統合を行ないまして、集荷範囲の拡充をはかるということになって、その新しい体制のもとではその割合を占める見込みが確実であると見られる事態があり得るわけでありますので、そういう場合に備えて規定いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/18
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019・松浦定義
○松浦(定)委員 先ほどの局長のお話にありましたように、この生産者団体の指定というものは、農業協同組合あるいは連合会一本である、こういう御説明であります。そういう一本であるという説明でありますならば、こういうような二元的に考えられるような規定というものは必要でないと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/19
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020・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 農業協同組合または農協連合会一本であるという意味は、この生産者団体というものは農協もしくは農協連合会でなければならないのだという意味で、その他のものは指定生乳生産者団体たり得ないということを申し上げたのであります。農協もしくは農協連合会でなければいけないのだということであるならば、こういう相当の割合を占めておるとか、占めることが確実であるというような規定は要らないのじゃないかというお話でありますが、私から申し上げるまでもなく、松浦先生も御承知のように、現在の状態では、平均的に申し上げまして、各都道府県における生乳の集荷販売をいたしております農協等の団体の数は五十団体くらいあるわけでございます。でございますので、ここで私ども考えておりますのは、それらの従来の集荷の組織というものを農協もしくは農協連合会という形で、原則として一県一生乳生産者団体になっていく、そうしてそれがその県の取り扱い比率として中心的なウエートを持ってくるというふうにし向けてまいる必要がある。またそういうことでなければ、この制度が農民のために公平かつ円滑に行なわれるということが期しがたいということで、こういう農林省令で定める相当の割り合いということを指定の要件にいたしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/20
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021・松浦定義
○松浦(定)委員 そうしますと、先ほどもちょっと申し上げました生産者団体による一元集荷というものは、この内容を確立するためには、私はもう当然のことだと思うわけであります。したがって、いまお話しになりましたように、農業協同組合または連合会一本である、こういうふうなお話でありますから、もしそうだといたしまするならば、先ほども申し上げましたように、二月二日ごろの原案では、指定生乳販売受託機関というものは、農協またはその連合会で、一定の要件に適合するもの、こういうふうになって、都道府県一本の直接販売が考えられておった、いまお話しになりましたようなことであったと私は思うのであります。ところが、二月二十四日ごろに至りまして、農林省の原案では、先ほど申し上げましたように、農協という字を消して、生産者が直接または間接の構成員となるもの、こういうふうに現在はされている。それの理由を私はもう少し明確にしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/21
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022・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 法律の要綱的な書き方の時代には、指定生乳生産者団体、あるいは一時は受託販売機関とか、そういう名称を用いておりましたが、名称は、これは政府部内で、主として法律用語としての検討の立場から、指定生乳生産者団体という用語にまとめたといいますか、規定を確定したというだけのことでございまして、その指定生乳色産者団体は、先ほど申し上げましたように、五条の定義のところで、畜安法六条一項の指定生産者団体というのだ、その六条一項では、生乳生産者を直接または間接に構成員とする農協もしくは農協連合会をいうのだというように規定しておりまして、すでに法律規定のあるものから定義を引っぱってきたにすぎないということでありますから、二月に法案についての要綱を固めておりました段階の考え方と、この法案に至りまして規定をされております書き方とは、表現に相違は出ておりますが、考えとしては全く同じことを貫いたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/22
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023・松浦定義
○松浦(定)委員 そうしますと、その当時からやはり生産者団体からいろいろな要望がありました。たとえば一元集荷、多元販売、こういう表現でずいぶん要請があったと思うのです。そうしますと、いまのお説ですと、一元集荷、多元販売というものは、もう確立しておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/23
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024・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 一元集荷、多元販売ということは、生乳生産者の組織の問題として、また有利な販売を行なう方法として、私は、農林省としてもあるいは農業団体としても、当然指向すべき方向であるというふうに考えておるのでございますが、との法案では一元集荷、多元販売を法律的に強制するということは、私は、この法案の範囲を逸脱するものであると思うのでございますけれども、基本的にそういう方向を是とする立場から、先日来申し上げておりますように、都道府県については、原則として一集荷機関、一生乳生産者団体を指定するという方向で、行政的な指導の方針は強力に進めてまいりたいということを申し上げております。私もそう考えておるのでありますが、七条一項の規定も、そういう配慮の上に立って、不足払いのための交付金の交付対象というものをきめる際の要件のバックの思想としては、当初私どもが考え方としてあげておりました一元集荷、多元販売の方向に沿って法律の規定をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/24
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025・松浦定義
○松浦(定)委員 一元集荷、多元販売というものの強制は法律の上からできないのだ、こういうようなお話です。ところが、一方では、指定生産者団体というものはやはり農協または農協連合会である、こういうふうにはっきりしているわけで、そうしますと、農協または農協連合会がそのものを扱うわけですから、これは地域が一本になって、それで全部やるということになれば、一元集荷はできるし、それぞれの会社関係が地理的にありますから、これは多元販売になるということは当然なのですから、その一元集荷、多元販売というものと、それから生乳生産者団体の指定というものの一本化というものとは、全然別であるというふうに——別というわけではありませんけれども、そこのところに何かまた別な意味のものが入ってくるような、そういうすきを与えておるようにしか考えられないような御回答にしか受け取れないのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/25
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026・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 一元集荷、多元販売と申します場合には、これは酪農行政の基本的な考え方として、そういう方向を考えるべきだ。またその一元集荷、多元販売という考え方は、不足払いの問題と離れても、なおかつ考えなければならない問題である。また地域と流通の範囲等につきましても、これまたいろいろと弾力的に考えなければいけない思想であると思うのであります。本法案におきまして、第七条で、原則として、農林省令では、県内の集荷量の二分の一以上の集乳比率を占めておる農業協同組合もしくは農協連合会というものを指定いたしたいということにいたしておりますのは、先般来御説明申し上げておりますように、不足払いを行なう前提として、県単位という、おおむね統一乳価水準であります地域の乳価プールというものを行なうための条件として、そういう条件がなければ実効はあがらないということで、指定要件を定めようとしておるのでありまして、その結果として、一元集荷、多元販売という酪農行政上の基本的な考え方に資していくことができるということでございますから、その指定を通じ、また不足払い制度というものを通じて、一元集荷、多元販売の方向で指導をしてまいりたいということを考えておるのでございます。観念としては、一元集荷、多元販売の問題と、法律の要件としての指定生乳生産者団体の一県一団体主義というものは、必ずしも同じものではない、ただ、方向としては同じ方向にあるものであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/26
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027・松浦定義
○松浦(定)委員 そうしますと、具体的にお尋ねいたしますが、従来からたとえばいろいろの工場傘下で取り扱いをしておった。しかし、今度の場合、そういう形で指定団体というものがかりにできるわけですね。そうすると、たとえば二分の一以上あればいいわけですが、そうでなくても、先ほどお話しになりましたように、将来それが見込みのあるものいうことで、もう一つそういうような指定を受けるといったような動きは出てこないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/27
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028・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 これは私どもの現在の考え方としては、原則論として集乳比率五割以上ということを考えております。したがって、この法律が施行せられ、指定をいたします段階までには、先ほども申し上げましたように、集荷比率の拡大なりあるいは組織の統合等を指導をいたしまして、法律上の要件に合する農民の組織というものをつくらせ、つくるように誘導をいたしまして、われわれが理想といたしております一元集荷、多元販売の方向へ持っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/28
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029・松浦定義
○松浦(定)委員 もしそうだとするならば、やはり政府からそういう金を出す、そうしてこれをかりに保護しようということであるならば、一応多くの酪農民の所属をしておる機関といえば農協あるいは農協連合会なんですが、そういうものだというふうに頭からおっしゃっておるならば、この指定団体というものは農協あるいは農協連合会である、したがって、一元集荷、多元販売はそれと同一条件のものであるといったような、そういうものをはっきりするために、この法律の中で、農協という字句がなくなっておるわけですが、こういうものははっきり入れて、そういう点を明らかにする必要があるのではないかと思うのです。この点は、そうしなくても目的が果たせるのだ、こういうようなお考えのようにいま説明をされておりますけれども、農民というものあるいはそういう農業団体というものは、今日までの経過からいきまして、それぞれの工場関係で、それは地域的なものもございますが、やはり自分の出しておる工場に対しては出したいという意向があることは間違いないと思うのです。しかし、そのことが、今度の法律に適合して効果をあげるための一元集荷、多元販売をして、酪農民の生活を安定しようという主たる農業団体の事業としては、やはりそこに何かまだもの足りないものが出てくると思うのですが、こういう点はひとつ明らかにして、法文の土からもはっきりしてやったほうがいいのではないかと思うのです。そういう自主的にといったようなことは、従来からそうあることは認めるけれども、それは自主的におやりなさい、指導するということではなくて、明確に一本にして、しかもその会社へ牛乳がいかないというわけではないのですから、多元販売でありますから、それはもうどの会社だって誠意をもってやっておると思うので、そういうものはいくわけであります。ただし、その取り扱いだけは、少なくとも生産者団体として今日いろいろな意味で農村の基盤の確立に努力しておるそういう団体に、はっきり表現の上でそうおっしゃっておるなら、やはりここで明らかにしていったほうがいいのではないかと思うのですが、そのできない理由というものも、私はどうも非常に不安でならない点があるわけですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/29
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030・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 御説明が十分でなかったためかと思いますが、この法案で生乳出産者団体というのは、農協もしくは農協連合会でなければならないというのは、先ほども申し上げましたように、五条の冒頭のところに、他の法律であります畜産物の価格安定等に関する法律の定義を引っぱってきておるものでございまして、法律的に申せば、きわめて明確になっておるのでございます。これを書きかえましても同じことでございます。これは法律表現の一つのテクニックにすぎない問題だと思います。その農協もしくは農協連合会でなければならない、そういう生産者団体で、かつ集乳の比率が相当のウエートを持っておるものでなければ、この法律がねらいます不足払いの前提としての農民の受け取り価格の公平を期することができないわけでございますので、それを七条の一号で要件として掲げておるのでございます。ただ、この場合に、全生乳を集荷するものでなければならないというようなことを書きますと、事実上それは非常に窮屈な問題になるわけでございまして、そういうことは私どもとしては適当でない。また、集乳量がどんなに小さくてもいいということになりますと、むしろ、これは原則的に複数主義の指定をするということを法律上許すことに相なりますので、これは、先ほど法案検討の経過についての御質問がございましたのですが、政府内部におきましては、こういう相当の割合を占めておるという集乳比率を要件にあげるべきではない、政府の交付します交付金というものは、すべての農民に均てんすべき性質のものであるから、むしろ、複数あるいは多数の指定団体であってもよいではないかという議論があったのでございますけれども、それは農林省の考えております基本的な酪農の指導方針というものに適合しないことになるということと、この不足払いの前提となるべき同一県内における農民の受け取り価格の公平を期するということができなくなる、そういう二つの論点から、私どもは集乳比率の要件を加えることについてずいぶん強行に意見を吐きまして、最終的に政府部内においてもこの規定を入れるということになった経過があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/30
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031・松浦定義
○松浦(定)委員 いずれにいたしましても、この問題は、生乳生産者としてはやはりこれは理解をしていない点がたくさんあるわけであります。いまお話のありましたような点につきましても、非常に理解しにくい点がたくさんあるわけでありますから、私どもとしては、やっぱりそういうふうに二分の一以上を占めるものでなければならないとか、あるいはそうでないものについては云々ということになりますと、非常に現地に問題が起こりますので、全生乳に適用すべきであるということを言っておるわけであります。それがやはりなかなか全生乳に適用しなくて、加工原料乳だけに限るということでありますから、なお混乱をするのではないか、こう私どもは思うのですが、そういう点は、どういうようなお考えでこういう考え方をお出しになったのですか、お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/31
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032・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 指定生乳生産者団体をいかに指定するか、あるいはそれについていかなる要件を課するかという問題は、加工原料乳に対する不足払いであろうと、あるいは全生乳を補給金交付の対象としようと、それは私は変わらないと思うのでございます。加工原料乳に対する不足払いということは、加工原料乳というものが、最初から生産をされるわけではないのでございまして、しぼりました乳は、結果として工場において加工向けに当てられ、あるいは市乳用に向けられるわけでございますから、そういう意味におきましては、加工原料乳であろうと全生乳を対象にしようと同様であると思うのであります。原則として、五割以上の集乳比率を持っておるということは、要するに、五割の集乳比率を持っておる団体を指定いたしますれば、もうあとは指定のしようがありませんから、結局一県一生乳生産者団体ということに相なるわけでありますが、もし五割ぴったりであるというような場合には、その他の生産者は将来指定されているその団体に加入をする、それは農民もしくは農協でございます場合は、農協なりあるいは農業協同組合の連合会に加入の道を開いておく必要があるということで、七条二号にその規定を置いております。また、何らかの事由で構成員たり得ることができないというような事情のある農民もしくは農業団体につきましては、当該指定生乳生産者団体に対する員外利用の形で販売委託ができるということを要件とするために、第三号の規定を置いておるのでございまして、これだけの規定がございますれば、法律的には府県内における全加工原料乳に対する交付の道が法律的に用意されておるというふうに私どもは考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/32
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033・松浦定義
○松浦(定)委員 そうしますと、いまの御説明ですと、先ほどから申し上げますように、一般酪農民あるいは農業団体が主張いたしておりますように、一元集荷、多元販売というものは、法律の上では強制できないが、指導をしてできるだけそういうふうに持っていきたい、こういうお考えであるようであります。したがって、その地域におきまして、農協なりあるいは連合会なりがその指定を受けるということになれば、他のものは、一つできれば二分の一以下でありますから、一切何であろうとそういう第二元的なものはできないのだ、こういうふうにはっきりしておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/33
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034・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 私どもが現在考えております考え方としては、当該県に五割以上の集乳比率を持っております農協もしくは農協連合会であります場合には、単数の指定をいたしまして、その余のものについて、つまり、第二の指定生乳生産者団体の指定はできない。法律的にもできない。指導の方針としても、一県一生乳生産者団体の思想をとりますし、将来実績として五割以上を占めるというような団体でございますれば、法律的にも一個の生乳生産者団体しか指定することはできないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/34
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035・松浦定義
○松浦(定)委員 かりにいま五割をやや上回っておるということで、一つの団体を指定する。しかし、それがここ一年、二年の間に別のものができてきて、これに対しては、今度は逆になったというような状態が出てくる心配がありますが、そういう心配はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/35
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036・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 設問のような事例は、観念的には私はあり得ると思うのであります。そういう要件を欠くに至りました場合には、あとの規定で、第十条で指定の解除をしなければならないということになっておりますが、事実問題としては、生乳生産者団体が知事の指定を受けて不足払いの交付をするという事業を始めますれば、これは集乳比率がふえることがありましても、集乳比率が減るということはおよそ考えられないというふうに私どもは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/36
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037・松浦定義
○松浦(定)委員 しかし、考えられないといっても、事実、その団体が正常な形で酪農民自身に信用があって、どんどん拡大をしていくということのみは、私は必ずしも考えられないと思うのです。他のほうに別な団体がかりにできる、そうしてそのほうが非常に酪農民としても支持がある、あるいは地帯的にいろいろ動きがございまして、とにかく都道府県で一地域、一ヵ所指定ということになりますと、地域的にはいろいろ条件の違うところでも、ある程度無理をする場合があり得ると思うのです。そういう場合に、非常に優劣が出てきて、新しいものが出てきた場合に、それをしなければならぬ、こういうことは私はあり得ると思うのです。そういう点で、ただ単に交付をする団体に知事が指定したのだから、そういうことはあり得ないと言っても、それはやはり一つの団体ですから、その団体のやり方によっては、酪農民がある程度、これはいかぬ、だからだから別なやつに変えようではないかということになる場合がないと必ずしも断言できない。そういうことがいまのお話ですと、絶対あり得ないとおっしゃるのですが、そういう点はもう少しはっきりしておいていただかぬと、指導の面からいっても、あとで追及をされる憂いがあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/37
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038・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 農業協同組合というのは、農民の理解と相互扶助の精神によってつくられる自主的な団体でございますから、そういう自主的な団体が指定生乳生産者団体としての指定を受ける、そしてこの法律に基づく事業を行なうということになりますれば、およそ事実問題としては、それが従来の集乳比率を失っていくということは考えがたいということを申し上げたのでございますが、お話のように、指定を受けた団体が農民の不信を買う、あるいはより理想的な形の農協の組織を農民自身が自主的につくっていくというような事態がありまして、そのために七条一号の要件を欠くに至りました場合には、ただいま申し上げました第十条の規定によりまして、知事は指定を解除する。解除いたしまして、新しい団体が七条の要件を満たしておりますれば、新たに申請を出すことによって、指定生乳生産者団体たり得る道があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/38
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039・松浦定義
○松浦(定)委員 そうしますと、その場合は、必ずしも農業協同組合とか連合会というものでなくてもいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/39
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040・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 その場合も、先ほど来申し上げておりますように、第五条の規定がございますので、農協または農協連合会でなければ指定することはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/40
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041・松浦定義
○松浦(定)委員 その点を明らかにしていただく必要がある。現にそういう動きは将来ないということは断言できないと思う。農民の中で、現在の農協そのものが不信を買って、そしてそのものが好ましくないということが出てこないとは私は断言できないと思う。その場合には、農協は幾らでも加入脱退自由でありますし、また、地域的にも二つの農協でもできるわけです。現に一本であっても、二つになることはできるわけです。たとえば現在は一つの団体でもって、その団体が知事の指定を受けておるけれども、何か問題がありまして、これだけで問題が起こるわけではないかもしれませんけれども、広範な事業をやっておる農協でありますから、地域によっては、この農協を二つに割ろうではないか、こういうようなことが出た場合には、やはりあわせて、その問題も私はウエートが変わってくると思う。そういう場合に別な農協が力が強ければ、変えていかなければならぬ問題が出てくると思う。しかし、そういう場合は、これは同じ農民同士の仲間の中の組織でありますから、まあそういう心配はないと言っても私は過言でないと思う。もしそういうことがありとするならば、農協法不備の点がたくさん出てくると思うので、そういう点は、別な意味である程度指導すればいいのですが、農協以外のものがもしそういう形で酪農をやっておる場合におきましては、現在一つの地域では、極端な話を申し上げますならば、北海道なんかはホクレンという一つの農業団体がありまして、そこで一括しておるわけです。そういう場合に、酪農はやはり酪農でなければならない、そういうことで、一つの酪農組織というものができておる。これは当然だと思う。そういう場合に、酪農組織というものが、農協全体のそういう総合的なものの行き方ではいけない、この問題だけは別に切り離してやろうじゃないかということがかりに出た場合、同じ農協の中でも、そういうものが別にできる可能性というものは、農協自身に不信が出た場合には全然ないとは思わない。そういう場合に、これは同じ酪農ですから、農協の名前もつけられますし、しかも専門的な事業でありますから、集乳のウエートというものはうんと強い。水田なんかと違いまして、そういう地帯のものが固まれば、やはり五〇%以上のものは当然そこへ集結されるわけでありますから、出てくる心配があるわけです。そういう場合でも、これは同じ農協あるいは農協連合会とみなして、許可をしなければならぬということになると思うのですが、そういう場合にはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/41
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042・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この法律に限りませず、農業協同組合もしくは農協連合会というのは、農協法に基づいて設立をされますものをすべてさすわけでございますので、お話のように、いわゆる総合農協系というものと、別に酪農家によって専門の農協がつくられ、それが集乳比率二分の一以上のウエートを持つような力を持っておるということになりますれば、これは第七条の規定の適用上は、他の要件も同時に備えておりますれば、指定生乳生産者団体たり得るわけでございまして、これは農協の組織の実態に応じて指定をしてまいるということにせざるを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/42
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043・松浦定義
○松浦(定)委員 どうもそういう点が私は心配といえば心配な点なんです。いまお話しのありましたように、農協法できめられておる団体ということになれば、もう明らかなんです。ところが、それだけの力がついてくれば、それに該当し得るものであるというふうに認定せざるを得ないということになりますと、私は、現にそういう動きというものは、やはりそれがないということは断言できないと思うのです。これは北海道ばかりでなくて、どこでもそうだと思うのです。したがって、私はそういう点をもう少し明らかにしておく必要があると思うのだが、いまのお話で、その点は将来出てくるものを押えるわけにいかない、予定してやるわけにいかないということで、現行法の農協法に示す、俗にいういまの農業協同組合、農業協同組合連合会、こういうふうにいっておられると思うのですが、私は、そういう点を現に動きつつある諸情勢の中でいま少し明確にしておく必要があるのではないか、こういうことをお伺いしておるわけですが、私のいまのお尋ねは、同じ仲間である生産者が中心としてやるわけでありますけれども、他のものがやる場合には、それは全然該当しないということは明らかであると理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/43
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044・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 農協法に基づかない団体、たとえば任意組合というような形のものは、これを指定することはできません。これは法律上明らかであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/44
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045・松浦定義
○松浦(定)委員 それはまた後刻そういう点につきましていろいろお伺いいたしたいと思いますが、次に、保証価格の問題であります。従来から、われわれは、やはりこれは何としても生産費及び所得補償方式でやるべきである、こういう点を主張いたしておるわけでありますが、米以外のものについてはなかなかそれはできないという先般の大臣のお答えもあったようであります。したがって、この法案によって酪農民の生活を安定するためには、やはり私は何としても生償方式をとる以外には安定できないという見解を持っておるわけでありますが、この点についてもう一度明確にしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/45
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046・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 保証価格の決定について生産費・所得補償方式をとるべきではないかという御意見のあることは、私どもも承知をいたしておりますが、現在の日本の酪農の生産の事情、また消費の水準の事情等、いろいろと流動的な段階にあります。その段階におきましていわゆる生産費・所得補償方式をとるということは、いろいろな面で現段階としては問題が多過ぎると思うのであります。その一つの点は、現在の酪農生産者の規模等におきましても、一、二頭のものが過半を占め、三頭以下ということになりますと六割をこす、九頭以下は九九%であるというような事情のもとで、生産費・所得補償方式をとるということに相なりますれば、これはざっくばらんに申し上げまして、酪農の合理的な進展というものになるかどうか、すこぶる疑問がある。また、生産費・所得補償方式というものをとるということにまで至りますれば、牛乳生産の地域的な分布の問題についても、非常に不合理な形が起こり得るということでもございます。さらにまた、生産費・所得補償方式、要するに、自家労賃というものを他産業従事者の労賃に均衡するように、あるいは生活水準を均衡するようにということは、農政全体の将来の目標ではあり得ましても、財政による保証の限度としてそこまでいきますことは、他の諸政策との均衡の上でも問題があるということでございまして、今後合理化が期待され得ます日本の酪農について、政府が財政によって価格条件の不利を是正するという立場から考えますならば、農林省で調査をいたしておりますいわゆる生産費というものを基準に保証価格をきめてまいることが、現段階においては妥当であるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/46
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047・松浦定義
○松浦(定)委員 米と違うということについて非常に強調されている点についてはわかるわけでありますが、この目的におきましても明らかにしておるように、やはり最終的には、本法の目的は「国民の食生活の改善に資することを目的とする。」こういうふうにいっておるわけでありますから、いまの国民の食生活の改善というものは、非常に重要な政策の一つであることには間違いないわけであります。しかし、実際問題として、米だけに依存しておるということについては、私は疑問があると思うのです。現在の日本の農業事情からいきましても、やはり米だけに依存しておっていいというものではないのです。今日、米の政策については、米価の決定につきましても、その他増産対策につきましても、大体において農業の内部においては最優先の線をたどっておると思うのです。したがって、その線に到達するまでに持っていくためには、やはりこの目的にありまするように、「国民の食生活の改善に資する」こういうことになれば、米と同じものだというふうに理解してもいいと思うのですが、それが他のものとの価格の決定等によって、特に米と同じような生償方式はとれないのだという理由をおっしゃっておるようでありますけれども、特に私は最近の米の事情を見ましても、やはり昨年あたりも一昨年も、最近あまり凶作ではないのです。平年作もしくは豊作に近い収量をあげておるにかかわらず、米が不足しておる。今年あたりは、これはいろいろ問題が出てまいりますが、おそらく北海道から東北、もっともっと北陸地方にかけて大冷害であるといったようにいまいわれておるわけであります。しかも聞くところによりますと、農林省において災害対策本部をいち早く——私はいち早く設置したというのはおかしいと思うのです。これは当然であるにかかわらず、ようやくやった。その年その年のものであるならこれは早いほうでありますけれども、農林省の政策として、私どもは昨年の北海道の冷害対策についてもずいぶん言っております。九州からの災害等を見ましても毎年ある。そういうものを考えても、対策本部をつくるのは、もう当然何十年も前につくって、ようやく万全を期するといっていいと思うのです。今度つくったことによって、またすごく国民に対してアピールをされておるようでありますけれども、これはまた別な意味で、私は重大な責任を負われたと考えてもいいと思うのです。昨夜も大蔵大臣がいろいろテレビでやっておりましたけれども、こういう点については、やはりことしこれはたいへんだと思うならば、米がもしとれなかったらどうするか、牛乳なりあるいはその他のものに依存しなければならぬ。とれなかったら輸入するのだ、そういう場当たり的な国民生活の不安定なやり方というものはとるべきではないと思うのです。そういう意味からいけば、いま大冷害を目前にして、そうしてこの法律をつくろうというときに、やはり米と別だといったようなことで、今度は逆に、この牛乳によりましてあるいは酪農民の努力によりまして、国民食生活が安定するか不安定するかという危機に——ことしの六月、七月になれば明らかになりますが、もしそういう点について言われたとき、ああそうだったといったような、そういうことをお考えになるとったようなことについては、私は非常にどうかと思う。いまお話しになりましたような、米と違うというだけでこの生償方式がとれないというならば、私は極端なことを言えば、酪農家から見れば、あるいは畑作農家から見れば、米というものがなぜそんなに優遇しなければならぬかという矛盾も出てくるわけです。ですから、この生償方式をとらなければならぬということについては、そういう一点もございます。
それからもう一つ、私どものほうの党で牛乳法というものを出して、盛んにこの政府案に対してその賛否を明らかにしておる点は、やはり何としても酪農民の生活を安定すると同時に、そのことがそれこそ国民食生活の安定に資することを目的として、学童給食等についてはやはり全面的な実施をすべきである、こういう点も含めて今度問題になっておるわけであります。
私がお伺いしたいのは、今度の法案が先ほど申し上げましたように、当分の間という暫定法である。おそらくいままでの常識からいきますと、この当分の間とか暫定法というものは、大体三年ないし五年くらいを目途にしておる。五年以上では当分ではない、しかし、三年では当分としてはあまりに無責任過ぎるということで、大体五年前後というものを目標にされておると思うのですが、この五年を目標としてのこの暫定でありますと、大体これが四十五年ころになるわけですね。それから先般も、学童給食の完全実施は、昭和四十五年をめどにもって三百五十万石を実施したい、こういうことで、文部大臣もこの席へ来て回答をして、それによって五ヵ年間の計画数字を資料としてお出しになった。これは三百五十万石というものが五ヵ年後になる。そうしますと、この暫定法の切れる五ヵ年後、あるいは牛乳法が完全実施されるのがらょうど五ヵ年後、同じ年度にこの三百五十万石というものが、市乳としてこれはもう完全にその用に供さなければならぬというふうになると思うのです。それまで加工原料乳というものはだんだん市乳との均衡をとっていく、だんだんそれを市乳化して、しかも国民食生活の安定に資する、少なくともだれも反対しない学童給食から実施していこうということになると思うのです。そういう重要な任務を持っておる。いま非常に安い原料乳地帯の保証価格をきめる場合、政府が保証しようという価格をきめる場合に、生償方式をとれないという理由はないと思うのですが、そういうような関連については検討しましたか、しないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/47
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048・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話に出ました、この法律が当分の間と書いてあるから、おそらく五年くらいを考えておるのだろうというお話でございますが、五年というふうなことは全く考えておりません。先ほど申し上げましたように、わが国の現在の酪農事情というものに立って将来を考えます場合に、その合理化の余地が大いにあり、またその合理化は可能であるというふうに信じておりますけれども、これは一朝一夕、五年や十年で達成できるものとは私は考えていないのでございまして、そういう意味で、この法律の施行の期間を五年あるいは十年というふうには考えておりません。
お話にございました中で、学校給食については、お話のとおり、四十五年に全面実施をするという考え方で、別途酪農振興法の改正の中で条文を起こしまして、これを政府の態度として明確に出してまいりたいというふうに考えておるのでありますが、そのことと、この加工原料乳に対する不足払い制度をとるということとの期限については、何の関係もないのでございます。市乳化を促進するという方向と学童に対する体位保健の向上ということの見地から、学校給食を進めるのでございまして、加工原料乳についての補給金交付の法律の施行期間とは関係がないのでございます。
それから生産費・所得補償方式による保証価格がなぜとれないかということでありますが、なぜとれないかというよりも、いかなる保証価格をこの際政府として考えることが妥当であるかという判断の問題だと思うのでございます。現在、米について生産費・所得補償方式がとられておるのでありますが、それは政府が全面管理をしておる物資である、また全面管理をしておるということの実態的な問題といたしましては、三十八年度の数字を見ましても、米は全農産物の中で四五%に近いウエートを持っておる、また生産額にいたしましても一兆円をこえる、一兆二、三千億になるかと思いますが、それだけの生産量を持っておるということでございまして、国民の食生活、あるいは農家の経済に対する決定的な大きな農産物であるという観点に立ってされておるものと思うのでございます。また米については、生産も、冷害等の特異の場合を除きましては、豊作といい、あるいは凶作ということでございましても、ほぼ安定的な段階であるわけでございまして、しかもこの米の生産に投下される労働の投下日数というものも、年間かなり限られた日数になっておるというような諸点を考えられまして、あの米価の算定方式が生まれておると思うのであります。生乳、加工原料乳につきましては、なお今後生産の合理化の余地も大きいわけでございますし、また政府が生産を刺激するという立場からの保証価格というものは、需給の事情を離れて判断をすべきものではないと思われるわけでございまして、現段階におきまして生産費・所得補償方式をとりますことは、現在の酪農事情に合わない結果を生むということもおそれられるのであります。なお、財政措置による不足払いをとっております諸外国の例を見ましても、多くは過去において形成されました市場実勢価格というものに対して一定の比率を乗じて、むしろ生産費というような観念を導入しておる例は少ないと私どもは了承いたしておるのでございますが、そういう個々の水準等から考えましても、今回の保証価格の算定の方式は、主要原料乳地帯における生乳の再生産確保という観点から、生産費主義をとるという私どもの考え方は、政府としては妥当の線であるというふうに信じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/48
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049・松浦定義
○松浦(定)委員 米だけがいままで非常に長い間のあの中で生償方式にようやくとりつけたのだ、ある程度、酪農にしましても、特に乳価の面については再生産ができるような形になってきて、もうこれでいいということにならなければ、そういうものに該当させないのだというふうに受け取れると私は思うのです。米の場合でもそうなんですから、それと同じような形になるといいますと、いま局長の言われるように、五年も十年も二十年もかかって、ようやく米並みの生償方式に持っていけるというような段階を経なければならぬというような、何といいますか、旧態依然の考え方にしか立っておらないという点については、私は非常に不満なんです。私の申し上げるのは、何も米の算定が適正である、不適正であるということでなくして、先ほど申し上げましたように、生乳は、やはり何としても学童給食といったような国民的な義務の中で、だれも反対のない中で、これをひとつ実施しよう、それのためには相当の生産を上げなければならぬ、あるいはまたそのためには、いまこの生償方式をとることによって、出産が拡大される、こういうことであるなら、非常に近道である、やり方としてはもう一気にこれを実施してもいいのではないか、こういうことを私は申し上げておるのであって、いま局長のお話のようなことでありますと、生償方式をとるばかりでなく、いまのようなやり方にしましてもそう簡単にはできないのだというような結論に受け取りますと、やはり生産者としても、このことについてあまり意欲的にならないのではないか、こういう心配が実はあるわけであります。先ほどちょっとお話がありましたように、この法案が五年や十年のものではない、目的は果たせないのだから、こうおっしゃいますけれども、当分の間とか暫定措置法として出ておる限りは、私どもは少なくとも三年ないし五年でこの目的が果たせるのだ、もし目的が果たせない場合には、さらに内容を変えていってこの目的に到達させるのだ、こういう意欲的な法案であると思っておるにもかかわらず、暫定措置法案ということで出しておいて、五年や十年ではどうにもならぬのだ、あるいは十五年も二十年もかかるかもしれない、そういうようなものではいけないと私は思う。それは内容がそういうことを示しておるから、そういうことでしか御答弁ができないと思うのですが、もし十年以上かかってもこの法案の目的が達せられないというようなお考えのものであるならば、暫定措置法案というものでなくて、普通法案でいいわけであります。そういう点が、どうも暫定措置といいながら、十年くらいかかってもとうていできないのだ、あるいは十五年、二十年かかるかもしれぬというような、そういう誤解を招くような内容であるとするなら、私どもはこの法案は非常に不備ずくめの法案だというように考えるのですが、そういう暫定措置というものと、いまおっしゃった十年も十五年もかからなければ目的が果たせないのだというお考えとの関連はどうなんですか。これは先ほどもお聞きしましたけれども、もう一回この点は明らかにしておいてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/49
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050・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 暫定措置法という法律の表現をとり、当分の間という規定を置いておるから、三年か五年が常識だというお話でございますが、私どもは必ずしもそう考えていないわけでございまして、暫定措置法といい、あるいは当分の間といいましても、その法律の規定の対象になります実態というものに即して、やはり暫定ということあるいは当分の間ということに弾力性があるべきであるというように思うのであります。現在農林省の関係法でも、たとえば大豆なたね交付金の法律にしましても、暫定法ということでございますが、御存じのように、ほぼ半恒久的な制度として働いております。私は先ほど申し上げましたように、日本の酪農及び乳業というものの合理化が進展をして、そして国際的な関係における競争力も持ち、また農家の所得、生活水準等において、牛乳の生産、販売を通じて、その水準が高い位置に達するということは、これはなるべく早く実現するように努力をすべきでございますけれども、日本の酪農の歴史の浅い段階におきまして、急速にそれを望むことは容易なことではないという趣旨で、三年、五年というようなことで酪農政策の目標が達成されるというふうには考えにくい。でありますので、この法案も暫定法あるいは当分の間という表現をとりつつも、相当な長期にわたって、加工原料乳についての価格条件の不備の補正をするという政策は継続すべきものであると考えておるのでございまして、この法律自身の目的としますところは、先ほど申しましたように、加工原料乳についての価格条件の不備についての補正、それから乳製品の価格の安定を確保するための集乳の一元化という問題等が目標なのでございまして、酪農の健全な発達を期してまいるということは、より総合的な行政政策の上で実現すべきものでございまして、直ちにそのことをこの法律のみによって達成するということは、私は考えてもおりませんし、また不可能なことであると考えておるのでございます。でございますので、そういう長期的な政策目標というものが実ってまいるという段階に至るまでは、この法律を適用してまいる考えである。しかし、それは決して不可能な道でもなし、可能性というものも十分期待されるところでございますので、暫定法という法律表現をとり、かつ当分の間という規定を置いておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/50
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051・松浦定義
○松浦(定)委員 他に例があるということでございますから、この点についてはそれで一応了解をいたしますが、やはりこうした法案については、暫定といいますと一般のものはすぐまた変わるのではないかという心配がありますので、そういうことをお聞きしておるわけです。そういう点で、本法案の目的を達成するためには、やはりその内容というものがこういうものであるというものが明らかにならなければいかぬと私は思うのでありますが、どうもいままでの御答弁では、まだ納得のいかない点がたくさんございますし、実はきょうは午前中ずっとあるいは午後もと考えておりましたけれども、他にいろいろ質問したいという同僚の方もおられますので、次の機会、すなわち、十一日ないし十二日、大臣もお帰りになりましてから、いろいろお聞きをすることにいたしまして、この程度で本日は打ち切りまして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/51
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052・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 次に谷垣專一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/52
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053・谷垣專一
○谷垣委員 市乳と本法の関係を中心に、簡単に政府の所信を問うてみたいと思います。
本法は非常に思い切った、画期的な法律であろうと思うのですが、この提案の根本の趣旨に、乳製品及び原料乳の需給が逼迫する状況であるから、こういうような対策をとるのだ、しかし、相対的に有利な飲用乳比率というものを高めるように将来はやっていきたい、あるいは基本方針としてはそういう考え方を持っておるのだ、こういう基本的な考え方の御説明を受けておるわけでございます。これはどちらに割り切ってやるわけにもなかなかいかぬ問題だと思いますが、少なくとも表面的に出てきております考え方からいうと、加工料乳の確保をするということと、それから飲用乳の確保をしていく、あるいはそれを増大させていくということとの間に、もう少しはっきりした考え方をしていただく必要があるような気がするわけであります。と申しますのは、もしも政策の基本として、飲用乳の比率を高める、こういう考え方に立っておられるとするなら、むしろ飲用乳地帯あるいはその酪農家に対する対策というものを強化していく必要がある。あるいは従来加工原料乳地帯であったものを飲用乳地帯に引き入れるために、その間の交通あるいは運輸の方式、そういうものを何とか改良助成していく、こういうような対策がとられるべきだと思うのですが、そこのところの対策はどういうふうに考えておられるのか。つまり、両方の関係をどういうふうに基本的な考え方として持っておられるか、それをひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/53
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054・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 この法律は、先日来の御議論に対してお答えしてまいりましたように、現在の日本の乳製品の需給事情、価格条件等から考えまして、加工原料乳に対して支払い得る乳価というものは、生乳の再生産を確保するに困難な水準にあるということに着目いたしまして、その価格条件の不利を補正しようという意図に出ておるわけであります。この加工原料乳に対します不足払いは、申すまでもなく、全国の地域に適用するわけでございますから、いわゆる加工原料乳地帯であると市乳地帯であるとを問わず、不足払いが行なわれるわけであります。なおまた、この制度実施の前提として、従来混合乳価による取引が行なわれておりましたものを用途別取引に改めるということを考えておりますので、飲用乳向けの原料乳価格の形成というものもさらに明確になり、かつ有利に形成されるということを期待されるわけでございます。でございますが、お話の中に含みとしてうかがえたのでございますが、この不足払いの絶対額というものは加工原料乳の比率の多い地帯に多いということは、制度の仕組みからいって、いなめないわけでございます。
市乳地帯に対しましては、市乳の豊富な供給をするという意味から、その生産についての対策というものを考えるべきだということは、御指摘のとおりでございますが、相対的に申し上げますと、原料乳地帯というのは、比較的生産条件には恵まれておるが、市場条件に恵まれない、飲料乳地帯は市場条件には恵まれておるが、生産条件において難点がある、むずかしい問題が多いというふうな特色があるかと思うのでございます。市乳地帯に対しましては、これはこの法律の問題ではございませんが、酪農振興法の根本的な趣旨に従いまして、今後酪農の近代化計画というものを立て、それに従って、近代化計画というものが今後の需要の動向に即して進められるというようなことは当然考えなければならないし、特に飲用乳の増大の傾向に対処して生産の拡大を考えていく必要があると思うのでございます。
でございますので、市乳地帯についての一つの問題は、飼料の自給の問題でございますが、この問題につきましては、市乳地帯について草地の造成の余地があるところにつきましては、もちろん進めますと同時に、既耕地における飼料作物の緊急増産というような点について施策をとってまいりたいと思います。また先般農林大臣からお答えいたしましたように、裏作休閑地、低位生産地の畑地等についての飼料作物の促進をはかる、また急速にはなかなか困難な問題でございますが、市乳地帯にとって粗飼料の不足という点から、流通粗飼料の生産の方策として、四十年度も若干の予算を計上いたしまして、モデル的な事業を行なおうといたしておりますが、将来市乳地帯における流通粗飼料の供給という点を農林省としては考えてまいりたいというふうに思っておるのであります。
また、市乳地帯にとりましての一つの問題は、乳牛の新しい供給という点、子牛の育成という点にございますので、子牛の集団育成、あるいは国が行ないます基幹となるべき雌子牛の育成事業等については、市乳地帯のそういう特殊な条件というものを考えまして、重点的に考えてまいりたいというふうに思っておるのでございます。
さらに、市乳向けの原料乳の輸送等に関しましては、輸送手段の施設というものについて助成を進めてまいりたいと思います。集乳路線等の整備のためのクーラーステーション等の設置というようなことにつきましても、助成あるいは金融等の措置を考えてまいるということで、総合的に市乳地帯につきましても、その生産の拡大、経営の安定ということに着目をいたしました施策を進めてまいりたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/54
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055・谷垣專一
○谷垣委員 先ほどのお話のように、加工乳生産農家は、一般的に見て再生産確保が不利な条件にある、再生産確保が困難なものがあるという認識で、こういうような補給制度ができたという御説明なんですが、そうすると、従来加工乳の原料地帯で生産が継続しておるのは、その地帯の酪農家が生産費を割ってやっておるということなのか、それとも乳価の問題として、従来混合乳価があったために、わりあいに市乳地帯に比べれば不利なものが若干カバーされておる、こういうことなのか、従来加工原料乳地帯において生産が行なわれて、しかもかなり増大しつつあるということは、一体どういうところに理由があるのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/55
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056・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 従来、加工原料乳地帯におきましては、価格条件が相対的に不利であるにかかわらず、生産が維持され、あるいは拡大をしてきておるが、それはどういう理由かという御質問でありますが、二つの点から考えられると思うのであります。
一つは、いわゆる原料乳地帯におきます農業生産拡大の方途として、酪農が適していたという点があるのだろうと思うのであります。でございますので、価格条件が不利なもとでも、経営の拡大なり経営の合理化なりをはかっていくということによって、酪農家が努力をしてまいったということが、生産の伸びなり増大にあらわれてきておるというふうに思われるのでございます。
いま一点の問題は、これは明確に把握することはできませんが、やはり将来の飲用乳を含めた生乳の生産基盤というものに着目をいたします乳業者の立場から、そういう生産拡大の余地の大きいところについての乳価形成の配慮が行なわれていたように見受けられるのであります。これは経済的に申せば、結局市場条件がいい地帯における価格的なゆとりというものが、原料乳地帯に対してもとられて、何らかのメーカー側の配慮、乳価等を含めます支払い、あるいは助成という形での配慮が行なわれたという点も、若干あるのではないだろうかというふうに思われるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/56
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057・谷垣專一
○谷垣委員 現在の加工原料乳地帯、東北、北海道あるいは九州の地帯で、他の農業生産に比して、酪農経営というものが安定度が商いし、そしてまた将来やれる見込みがある農業方法であるから、したがって、そういう方向に農民が出ていく、価格問題等ももちろんあるけれども、そこに住んでおる農民としては、そういうものに比較的有利な経営を見つけてやっていく、したがって、それを確保するということは、これはこの価格とかそういう問題を越えて、その地帯に住んでおる農民に対する当然の政府の政策だと私は思うのです。そういう立場から考えれば、そこの立地条件あるいは経営の状況等から見て、ほかに適切なる生産方式のない、産業がない場合に、それに補助していくということは当然のことで、そういう意味におけるこの加工原料乳地帯の補給金制度というのは、私は非常にすぐれた制度だと思うのです。
ただ、先ほどお話がございますように、この法律は、必然的に牛乳、生乳の用途別取引、用途別価格というものを今後生んでいくと思うわけです。そうなりますと、一体従来の混合乳価というものと、用途別乳価というものがどういう関係にあるかということは、これはもうはっきりせざるを得ないと思うのです。端的に申しますと、一体だれが今後用途別価格取引の場合の数量及び価格をきめていくのか、あるいは政府としては、加工原料乳の価格と、あるいは市乳原料、飲用乳原料としての取引価格というものは、すぐに目の前に出てくるわけでございますが、従来の混合乳価に比して、この原料市乳としての価格というものは——市乳としての原料乳と申しますか、それは一体従来の混合乳価よりも高くなるという見通しで、この用途別取引価格というものを進めようとされておるのか、どういう認識であるのか、そこのところをひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/57
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058・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 現在は御指摘のように、ほとんどが混合乳価による取引が行なわれておるわけでございまして、その混合乳価水準を見ますと、申し上げる必要もないと思いますが、いわゆる市乳地帯の乳価が高くて、加工原料乳地帯が低い。このことは、要するに、飲用乳向けの原料乳に対しては、より多くの価格が支払えるということを示しておると思うのであります。また九州の一部等では、すでに用途別価格が採用されておるのでございますが、そういう実例等から見ましても、飲用乳は相対的にかなり有利な価格形成がされておるということでございますので、用途別価格をとりました場合に、飲用乳価格というものの水準と、現在の混合乳価というものの水準を対比いたしますれば、飲用乳価格というものは、従来の混合乳価よりは、明らかに有利に形成されるはずである、またされるべきであるというふうに考えておるのでございます。
なお、御質問の中にございました、今後だれが用途別価格の決定をしていくのかということでございますが、加工原料乳につきましては、不足払いの前提といたしまして、政府が全国一本の基準取引価格というものを決定するのでございますけれども、それはいわゆる公定価格的な性格を持つものではございませんから、加工原料乳につきましても、現実の取引価格の決定は、販売者であります生産者団体というものとメーカーとの間で決定される。飲用乳についても同様に、メーカーと生産者側との間において具体的に決定をされるということに相なるわけでございまして、政府としては、それについて適正な価格形成が行なわれるような指導をしてまいるということが、政府としての責任であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/58
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059・谷垣專一
○谷垣委員 たとえば飲用乳地帯と加工原料乳地帯、それが五分五分になっておるか、六分四分に分かれておるかは別といたしまして、そういう地帯を考えました場合に、加工原料乳の価格については、政府がかなり関与をするということになると思うのです。たとえば基準価格等をきめますし、いろいろな形で関与していくかっこうになる。ところが、市乳原料のほうは、これはこの法律でも何もいっていないわけで、これは伏せたかっこうになっておるわけであります。ところが、乳価紛争というものは、これは依然として起きる可能性がある。また起きると見なければならぬ場合もあるわけです。その場合に、加工原料乳に対しても、もちろん乳価に関しての交渉が持たれることがあると思いますが、これはこの法律で補給金を出したり、それから政府が基準価格等を一応示しますので、そっちの部分に対してのいろいろな交渉は、かなり従来と違ったかっこうになると思う。ところが、市乳の部門についてのいろいろな交渉は、これは加工原料乳のこの法律には全然うたっていないわけです。しかし、うたっていないけれども、どうしたって——この中のある部門は府政がタッチをして、残りの部門は自由にやれ、こうなっておるわけです。やはり依然として、市乳が全般的にいままでの混合乳価よりも高くなるという見通しはあっても、はたしてそれがどの程度高くなり得るものかというような問題については、これはいろいろと関係者の間にむずかしい問題が起きることは考えなければならぬと思うのであります。これはこの数年来の乳価紛争の状況から見ても、この法律が出たからといって、従来の乳価紛争が解消するという筋にはならない。つまり、市乳部門というものは残されておるわけであります。そうしますと、市乳に関するいろいろな紛争が従来四、五年続いておるような状況というものは、これは一体どういうふうな措置になるわけでありますか。これは従来の法律に基づいて、いろいろ当事者が交渉して、それがいかない場合には、それの調停を申し立てるようなことをして、そうしてこの二、三年来非公式なかっこうでありますが、農林大臣がいろいろと指示をされておる状況になっております。これは少なんとも市乳の価格と市販の乳価をどのくらい上げるか下げるかというようなことまで議論がいって、そうなっておる。市乳部門は依然として問題が残っておるわけであります。それに対してはどういうかっこうになるのかという政府の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/59
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060・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 お話のように、加工原料乳につきましても、問題はございますが、特に飲用乳については、政府が価格面での関与を有権的にしないということでございますために、適正な価格水準の取引価格の決定ということが、当事者間で常に円滑に行なわれるという保証はないわけでございます。でございますが、用途別取引を始めるということに相なりますと、加工原料乳については、政府がきめました基準価格というものが、有権的な一つの取引価格水準としてあらわれるわけでございますので、これはまず問題は大きくなろうと思うし、また不足払いをいたしまして、価格の補正をやるということでございますので、問題は少なくなると思われます。飲用乳につきましても、用途別の取引をいたしますから、飲用乳のメーカーの販売価格、いわゆる卸売り価格というものは、地域地域によって変わっておりますけれども、年間安定的に取りきめられておるのが例でございます。でございますので、そういうメーカーの販売価格というものを前提として考えますと、乳価の交渉というもののめども非常に明確になってまいるという、交渉上の明確なよりどころというものが与えられることに相なると思うのでございます。でございますが、そういうことでございましても、お話のように、乳価交渉というものが円滑にいかない場合があるわけでございますが、その場合には、必要がございますれば、当事者の申し出によりまして、都道府県知事が酪農振興法に基づくあっせん、調停を行ない、また都道府県知事のあっせん、調停が成功しないということで、そのことが全国の生乳の取引に影響を及ぼすということでございますれば、中央における調停の問題になるわけでございまして、それらの行政的なあっせん、調停に際しましても、用途別取引を開始するということが、非常にやりいいよりどころになり得るというふうに思うのでございます。なお、それらの問題の行政的な臨み方といたしましては、私どもとしても、適正な価格水準というものの判定に役立つような資料等の提供は、都道府県等に対して遺憾のないように用意をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/60
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061・谷垣專一
○谷垣委員 いまの質疑で、政府当局としては、用途別価格に切りかえた場合に、市乳の価格というものが、従来の混合価格、従来の取引価格よりももっと高くなるであろう、市乳の原料乳というものの取引は高くなるであろうという見通しを持っておられることがはっきりしたわけでありますが、いま申しましたような用途別価格をきめることが、従来の乳価の取引においてあいまいであったものを明瞭にしていく、いわばどんぶり勘定のようなものがはっきり整理されていく、これは確かに今度の制度の非常に大きな効果だろうと思うのであります。さて、そこになってまいりますと、従来どんぶりではつかまえておったものが、中で、これは右のほう、これは左のほうというように分けなきゃならぬということに相なります。これが原料乳の数量、原料乳の価格、これが市乳の数量、市乳の価格と、そのきめるについての準備は、一体十分であるかどうかというところに、今度は問題がかかってくると思うのであります。制度としてははっきりするということに相なりますけれども、一体そのときに、その取引数量、価格をきめる、これは当事者は当事者だということでございましょうけれども、はたしてその現実の生産者とメーカーとの関係、あるいはそれに対して発言をしていかれる立場にある行政当局のほうの発言力の問題、一体、いままでどんぶり勘定の中で、これだけの数量は原料乳、これだけの数量は市乳で、こうなっているというような資料をだれがしっかり握っておられるかというところに、非常に問題があると思うのです。生産者のほうは、大体においてなかなかそういうものはつかめていないのじゃないかという想像をいたします。メーカーのほうは、これはわかると思います。そういたしますと、この中に立っての行政当局というものが、そういうものに対するはっきりした数字を持っておられるかどうか、あるいはそういうものを通じて、生産者団体がそれに対して発言するに足るだけの資料を持っておるかどうかということが、現実の場合には非常に大きな発言の左右されるところだと思うのでありますが、一番最初の問題の、行政当局では、それらの実績というものをはっきりお持ちになっておるのでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/61
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062・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 加工原料用の牛乳と市乳向けの牛乳との数量というものは、現在までは農林省の統計調査部で調査した全国的な数字というのがあるのでございますが、各工場ごとに明確にどこはどれだけのものを加工に回し、飲用に回したかというような数字は、それぞれの調査事務所にはございますが、本省としては持っておりません。おりませんが、今後用途別取引をやるということになりますれば、その点が明確でなければならないわけでございまして、私のほうも事前調査のような形で、数個の工場について調査をいたしたのでございますが、当然用途別の取引をするというところは飲用の施設と加工の施設を持っておるわけでございまして、全体の取引数量は、これは相互に伝票交換をいたしておりますので、供給者の側も、工場の側も、これは間違いがないわけでございます。その総体の使途というものがどういうふうに処理されたかということは、それぞれ用途別に工場内にその記録が明確にされております。これは一つは、工場自身も現在の段階になりますれば、飲用乳ないし乳製品についての原価の管理という観点から、原料をどれだけ使ったかということは、最も基本的なデータでございますので、工場記録というものに明確になっておるのでございます。それで、その点は、相互の取引の契約によって用途別の価格形成をするということに相なりますれば、取引相互間においてもそれを実証するだけのことをせざるを得ないわけでありますが、同時に、この法案の上では、全国非常に数多い工場でございますので、中央政府で一々やるというわけにはまいりませんから、第二十三条で、農林大臣または都道府県知事というものは、その飲用向け、加工向けの消費率というものを確認するための権限を含めまして、工場に対する報告聴取権、立ち入り検査権というものを認めることにいたしておるわけでございまして、不足払いの基礎数字になります加工原料乳の数量は、都道府県の職員の工場ごとの確認によって決定をいたしたいというふうに思っております。また、その確認する基礎的なデータは、私どもが事前調査をいたしました限りでは、工場ごとにきわめて明確になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/62
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063・谷垣專一
○谷垣委員 これは加工原料乳だけの確認というにとどまらず、当然残りは市乳の確認ということになるわけであります。本法は加工原料乳の確認という形に出発しながら、実際は市乳の数量も確認をせざるを得ない。それで、全国的な加工乳、市乳の数量問題は、おそらく今度の市乳価格をきめます場合には、そうたいした問題にはならなくて、実際問題としては、もっと末端における乳価をきめる場合に、それがどういうふうなデータでやられるかというところに非常に問題があると思います。一つの工場別で考えていくのか、あるいは生乳を生産いたしまする一地域の全体を含んだものとして考えていくのか、一つの工場に集まるといったって、これは数府県にわたる場合もありましょうし、あるいはまた同じ府県で生産されたものが他府県の工場のほうに持っていかれる場合もありましょうし、つまり、その価格形成をする場合に、どういう確認の具体的方法をとるかということは、これは工場におけるその資料を調べるというだけにとどまらず、非常に問題の多い点だと思うのであります、具体的な価格を決定いたします場合に。しかし、事は詳細な問題になりますので、それは私はきょうは質問いたしませんが、おそらくこれをやられた場合に、中立的な立場にあられるところの行政機関が、もっと実際の数量等の確認をするために、相当な材料を持つための人的配置等も考えなければならぬと私は思うのであります。それも十分お考えのことと思いますが、どうかそこらのところはそつのないように、ひとつやってもらいたいということを希望申し上げておきたいと思います。
それから、もう多くを質問いたしませんが、先ほど松浦委員から御質問がありましたように、日本の酪農というものは、将来飲用乳の方向に進んでいくだろうということはわかります。けれども、それだからといって、乳製品の原料というものがなくなるかというと、そういうわけではないと思うのであります。そこで、一体いまのところでその見通しは立ちにくいと思うのでありますけれども、先ほどからの、これが暫定法であるかどうかという問題も含めまして、できるだけ早い機会に、将来日本の酪農というものの市乳化はこの程度されるのだ、あるいはこういろ順序でこういうふうにいくのだという、やはり一つの構図は必要だと思うのであります。これはむずかしい問題であろうと思うのでありますが、ひとりこれも希望としてそういうほうへの努力をお願いしておきたいのであります。
それから最後に、価格問題、しかも価格問題の中で、用途別取引のできるようにしていこうということでございまするから、これは今後の乳価取引の上に非常な画期的な一つの試みになってくると思うのであります。しかし、酪農の問題は、決して価格問題だけではないので、むしろ価格問題以外の分野において非常に手をつけなければならぬところが多いと思うのであります。率直に申しまして、市乳地帯の諸君は、この運用等がはっきりいたさない点もあるのでありますが、原料乳地帯はこうして価格補給をしてくれるからいい、しかし、市乳地帯のほうはほとんどこれに対して関係ないじゃないかというような考え方が強い。むしろ、お隣のほうがよくなっだから、自分たちのほうは逆に困るのだ、こういう感じが強いことはいなめない事実だと思うのであります。また、えてして世間では、原料乳地帯が酪農地帯であって、市乳地帯は酪農地帯ではないかのごとき説をなす人もあるのでありますが、これはたいへんな誤りだと思うのであります。これは私たちも含めまして、どうしても従来の酪農対策に市乳地帯の対策が非常に欠けておったように私は思います。これはむずかしい点もあろうかと思いますが、欠けておったように思うのです。先ほど局長のほうから、市乳地帯に対する対策をいろいろと飼料問題から始まってお話がございましたけれども、市乳地帯に対する、いわば加工原料乳の補給法案に対しまする市乳地帯の諸君の、一つの期待はずれと言うと語弊がありますが、そういう感じを持っていることは認めざるを得ない。その点においても、また市乳というものが、飲用乳の増加ということが考えられる立場から見ましても、市乳地帯に対する対策をひとつ計画的に進めていただきたい。これを強く要望するわけでありますが、先ほどお話にありました中で、ことに重要な問題があると思いますのは、たとえば市乳地帯における子牛の供給なりあるいは生産というものをどういうふうに考えていくか、これとその地帯的な区分をやっていくいい方法があるのかないのかというふうな問題が出てくると思います。いろいろな問題がありますが、最後のその点についてどういう構想があるのか、もう少し詳しくひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/63
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064・桧垣徳太郎
○桧垣政府委員 市乳地帯における牛乳の生産の維持、増大をはかる必要があるということは、お説のとおりでございまして、私どもも、単に現在いわれております原料乳地帯が酪農の地帯であるというふうに限定的にものを考えておるのではないのであります。ただ、市乳地帯につきましては、先ほど申し上げましたように、市場条件としては恵まれた位置にあり、生産条件について原料乳地帯に比べれば不利な条件が多いということでございまして、なかんずく子牛の育成の問題は、非常に市乳地帯の悩みであろうと思っております。子牛の育成の政策は、四十年度から始めて本格的に取り組もうとしておりますので、まだこれが整備には若干の年数もかかることと思いますが、私どもは子牛の集団育成について本格的に取り組んでまいりたいというふうに思っておるのであります。当面私どもとして、国の種畜牧場、北海道と九州にそれぞれ一ヵ所、高等登録牛等の良質な雌子牛の周年育成をはかりまして、集団的な育成というものの技術的な問題の解明に資するためのモデル的な事業を行ないたいというふうに考えておりますが、これらの子牛の買い取り等につきましては、特に市乳地帯には問題がございますので、優先的に考えてまいりたいというふうに思っております。なお、地方公共団体、農協等が行ないます集団育成の事業につきましても、本格的な助成をしてまいる考えでございまして、市乳地帯の子牛の問題を特に念頭に置いて進めてまいりたいと思っております。
なお、草資源とかなりかけ離れたところにございますので、相当遠隔の地にそういう草資源を求めまして、市乳地帯のための子牛育成事業というようなものも、今後都道府県等を指導いたしまして、設置をしていくというふうに進めてまいりたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/64
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065・谷垣專一
○谷垣委員 これは意見というよりも、希望を申し上げておきますが、原料乳地帯の農家が、酪農というものにその比産の安定した方式を認めて、それでやろうというようなこと、これはもうこれに対する助成、保護、指導というようなものは十分にやっていただきたいと思います。しかし、市乳地域は、すでに全国の生産量からいえば、五割五分ないし六割ぐらいになってきておるわけであります。酪農というと、何だかすぐに原料乳、原料乳という考え方が強いようであります。加工原料乳の地帯があるという、直接そこに結びつける考え方が強いようでありますが、現実問題としては、市乳に関係しておる農家のほうが多いわけであります。でございますから、先ほど来お話がございますように、これは価格政策だけの問題ではございませんが、市乳地域に対する施策というものをぜひ十分これから考慮してやっていただきたいということを、これは御返事は要りませんが、希望を申し上げて、市乳地帯の諸君の意見をお伝えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/65
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066・仮谷忠男
○仮谷委員長代理 次会は来たる十一日開会することとし、本日これにて散会をいたします。
午後零時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805007X03419650507/66
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