1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年二月十七日(水曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 渡海元三郎君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 坂田 道太君 理事 南 好雄君
理事 八木 徹雄君 理事 三木 喜夫君
理事 山中 吾郎君
木村 武雄君 熊谷 義雄君
田川 誠一君 床次 徳二君
中村庸一郎君 橋本龍太郎君
松田竹千代君 松山千惠子君
高橋 重信君 長谷川正三君
前田榮之助君
出席国務大臣
文 部 大 臣 愛知 揆一君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 西田 剛君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 福田 繁君
文部事務官
(体育局長) 前田 充明君
文部事務官
(管理局長) 齋藤 正君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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二月十二日
委員鈴木一君辞任につき、その補欠として佐々
木良作君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐々木良作君辞任につき、その補欠として
鈴木一君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十二日
著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七二号)(予)
同月十六日
オリンピック記念青少年総合センター法案(内
閣提出第七四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
オリンピック記念青少年総合センター法案(内
閣提出第七四号)
著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七二号)(予)
文教行政の基本施策に関する件
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/0
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001・渡海元三郎
○渡海委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。一、文教行政の基本施策に関する事項二、学校教育に関する事項三、社会教育に関する事項四、学術研究及び宗教に関する事項五、国際文化交流に関する事項六、文化財保護に関する事項以上各事項について、その実情を調査し対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法により、今会期中国政に関する調査を行ないたいと存じます。
なお、今回体育に関する事項を国政調査承認申請からはずしましたが、御承知のように、体育は第三十七回国会までは学校教育、社会教育の中でこれを取り上げてまいりました。第三十八回国会に至りまして、新しく体育に関する事項を国政調査に関する事項に加えましたが、今回体育振興に関する特別委員会が設置されました関係上、これをはずしたわけでありまして、本委員会といたしましては、第三十七回国会までの例にならい、学校教育、社会教育の面からこれを取り上げてまいりたいと存じますので、さよう御了承願います。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/1
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002・渡海元三郎
○渡海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/2
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003・渡海元三郎
○渡海委員長 次に、オリンピック記念青少年総合センター法案及び著作権法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。愛知文部大臣発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/3
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004・愛知揆一
○愛知国務大臣 このたび政府から提出いたしましたオリンピック記念青少年総合センター法案につきまして、提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
オリンピック東京大会は、昨年秋、全国民あげての絶大なる御支援と御協力のもとに、大成功裏に終了いたしました。この大会は、単にわが国スポーツ界にとって画期的なできごとであるばかりでなく、すべての国民特に青少年にとって永久に記念されるべき世紀の祭典であったのであります。このことにかんがみ、大会に際し、世界各国からつどい来たった若人たちのいこいと交歓の場となった選手村の施設は、このオリンピック東京大会を記念するとともに、これを次代をになうわが国青少年のために最も有意義に活用される施設とすることをかねて念願してきたのであります。
幸いにして、このたび、これを青少年のための宿泊研修施設として用いることになりましたので、この施設を国より出資し、適切に運営させるため、特殊法人オリンピック記念青少年総合センターを設立することといたしました。
この法律案は、特殊法人オリンピック記念青少年総合センター設立の目的を定めるとともに、この特殊法人の資本金、組織、業務、財務、会計、監督等に関し、所要の規定を設けたものであります。
すなわち、第一に、オリンピック記念青少年総合センターは、その設置する青少年のための宿泊研修施設を適切に運営し、青少年の心身の発達をはかり、もって健全な青少年の育成に寄与することを目的とするものであります。なお、青少年総合センターは、これを法人とし、その設立当初の資本金は、さきに申し述べました政府が出資した財産の価格の合計額に相当する金額といたしてわります。
第二に、この法人の業務についてでありますが、第一は、青少年のための宿泊研修施設を設置し、運営することであります。第二は、この宿泊研修施設を利用して、法人みずからが、青少年の心身の鍛練その他心身の健全な発達をはかるため必要な業務を行なうことであります。第三は、オリンピック競技大会に関する内外の資料を収集し、整理し、保存し、及び利用に供することであります。
なお、この法人は、これらの業務を行なうほか、この法人の目的達成に支障のない限り、その設置する宿泊研修施設を一般の利用に供することができることといたしております。
第三に、この法人の役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年といたしております。
次に、この法人には、その運営の適正を期するため理事長の諮問機関として、評議員会を置くこととし、所定の重要事項について、理事長は、あらかじめ評議員会の意見を聞かなければならないことといたしております。評議員は、十五人以内とし、この法人の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命することといたしました。
第四に、この法人は、文部大臣の監督を受けるのでありますが、その業務の公共性にかんがみ、業務方法書、事業計画、予算、財務諸表等については、文部大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしたのであります。
第五に、この法人は、所定の準備を経て、昭和四十年四月一日に設立されることとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。
次に、今回政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現行の著作権法は、明治三十二年に制定されて以来数回の部分改正を経て今日に至っておりますが、基本的な体系は立法当時のままであり、現在の複雑多岐な著作物の利用状況にかんがみますると、再検討を必要とする多くの問題点が生じております。そこで去る昭和三十七年四月、著作権制度の全面的改正について審議するため文部省に著作権制度審議会が設置されることとなったのでありますが、その際著作権制度の全面的改正の実施までの間に著作権保護期間の終了する著作権者を救済する趣旨をもって、議員の御提案により著作権法の一部が改正され、当時著作者の死後三十年を原則といたしておりました著作権の保護期間を暫定的に三年間延長する措置がとられたのであります。
著作権制度審議会は、同年五月発足以来今日まで、鋭意審議を重ねてきたのでありますが、事の重要性と問題の複雑性のため成案を得ますまでには、なお若干の日時を要する現状にあります。
よつて、当初の暫定措置の趣旨にかんがみ、著作権制度の全面的改正の実施されますまでの期間を考えまして、さらに保護期間を暫定的に延長する必要があると考えられます。
本案の内容は、以上の理由により、現行著作権法第五十二条により三年間暫定的に著作権の保護期間が延長されている著作物に関し、その著作権の保護期間をさらに二年間再延長し、当分の間三十五年とするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/4
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005・渡海元三郎
○渡海委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/5
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006・渡海元三郎
○渡海委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/6
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007・三木喜夫
○三木(喜)委員 私は私学の問題、なお時間がありましたら、大学生急増の問題と高等学校の問題、この三つを聞きたいと思っております。
慶応大学の全学ストが口火となりまして、従来種々論議されてまいっておりました私学の問題が非常に大きな社会問題となって、慶応の全学ストは一応おさまったものの、問題は根本的な解決を見ておりません。そして予算委員会でも当委員会でも私学の問題を取り扱われましたけれども、答弁が保留になっておったり、あるいはまた予算委員会では寄付金の問題だけが強調されたりして、根本的な問題に触れていないと私は思いますので、きょうは私学の本質論からあり方、国の助成はどうあるべきか、というようなことについて質疑をして、大臣の所信をただしたいと思うのであります。その一番大きなねらいは、まず初めに大学生急増対策に関連して、私学の危機にどう対処されるつもりか、その腹がまえを私は聞きたいと思うのであります。
そこで、第一に過去、現在私学が果たしてきたところの役割り、それから地位、業績、そういうものをどういうようにお考えになっておるか。根本的な問題で、もしこれが認識を誤っておれば、やはり私学が一つの会社のような考え方で国の助成をしなくてもいいのだというところへ話がいってしまいますので、まずその認識をはっきりしていただいて、そうして未来の私立学校、特にきょうは私立大学の問題について申しますが、私立大学がどうあるべきか、いわゆる文相がよく言われるところの未来から呼びかける私立大学であってもらいたい、こういうぐあいに思うわけですから、最初大臣として私立学校の過去の業績、そうして現在果たしつつあるところの役割り、こういうものをひとつ明確に御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/7
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008・愛知揆一
○愛知国務大臣 私学につきまして、過去から現在に至りますまでの国家的に果たした実績、その功績というものは非常に高く評価しなければならないと考えておるわけでございます。
そこで、そうした過去から現在に至りますまでの間、政府の立場において私学に対してどういう態度をとってきたかということにつきましては、大きく分けますと、財政的な援助あるいは税制上の免除というようなことが資金的な援助の面であるということが言えるかと思います。しかしその中には特定の、国の特に要請にこたえるための、たとえば理科教育の問題でありますとか、特殊の研究施設というようなものについては直接に、ストレートに国が補助、援助を与えておりましたけれども、大きな役割りは主として私学振興会を通ずる融資の方法にあったと思います。
そこで、これからだんだんと御論議を承ることになると思いますけれども、四十年度までのところにおきましては、その方法論においては大体従来からの考え方を踏襲いたしまして、特にいわゆる大学志願者の急増に対しても同様にやはり今後においても非常な期待をかけなければならない。従来はたとえば大ざっぱに言って、大学、短大等を通して七割程度の学生が私学のお世話になっておるわけでございますけれども、たとえば四十年度においての定員の増加などにいたしますれば、大ざっぱに申しまして二万人弱の定員の増加に対して私学が一万五千人をお引き受け願うというような計画になっておるわけでございます。そこでいま申しましたように、四十年度におきましては私学振興会で申しますると、政府の出資並びに財投からの資金の補充と申しますか、財政投融資の面におきまして百億、合計百十億、これはちょうど昨年の倍になっておるわけでございますから、とりあえず四十年度に対しましてはその私学振興会を通じまする、いま申しました百十億は、融資の資金計画から言うと百五十億程度になります。そしてその中で一万五千人の定員増に対する計画としては六十数億円の融資計画が私学に対して行なわれる。これはもちろん十分ではないかもしれませんけれども、当初考えられておりましたワクよりも若干下回って人員が計画されております。これにはいろいろの原因もございますので、また御説明をあとでも申し上げたいと思いますが、大ざっぱに言って一万五千人の四十年度における定員の増加については、まずこの私学振興会を通ずる六十数億円の特にこの目的のためにする融資計画でもってほぼ計画が充足できる、こういうつもりでおるわけでございます。
そこでこの四十年度についてはそういったやり方を政府としては決定しておるわけでございまして、当面四十年度の充足の要望にこたえつつ、かたわら、その間においていよいよ四十一年度からは大学志願者の急増がさらにピークになります関係もございますので、こうして四十年度についてのとりあえずの手を打っておきますと同時に、相並行してその間において特に大学の志願者急増に対する対策を練りたい。あわせて今後恒久的に私学に対する問題のとらえ方、あるいはわれわれの態度、対策というものをがっちりひとつ打ち立てなければならないというので、臨時私立学校振興方策調査会というものを法律によってつくっていただいて、そこで当面する緊急問題はもちろんでございますけれども、でき得るならばおおむね二カ年間くらいの間に恒久的な私学に対する態度、対策というようなものを各方面の御意見を伺いながら練り上げてまいりたい、ごく大筋でございますが、そういうふうな考え方でただいまおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/8
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009・三木喜夫
○三木(喜)委員 愛知大臣は前の灘尾文部大臣から引き続いて私学についてはたいへんな熱意を持っておられるということを承っておりますし、その気持ちが出て、いま私が質問しましたことについて御答弁が非常に御熱心に、丁寧にありました。まず最初に申しました過去の業績については教育、文化、産業、日本の各般にわたりまして私学は人材を輩出しておるというこの業績を認められ、なお現在果たしておる役割りとしましては、大学生急増に対しては七〇%以上の学生を今後私学にお願いする、こういう立場から、続いて、しかしながら、私学は非常に財政的に窮迫してまいっておりますから、その危機感として、当面なすことと、それからなお恒久的な策はこういう方法である、こういうようにお話しになりましたので、私はその点は了承いたします。
続いて、次に当然認識してもらわなければならぬのは、これは昨年度の予算委員会でもそういう論議がなされておって、私は非常に遺憾に思ったのですが、大臣さえ、私学の公共性について、この前の予算委員会では憲法の八十九条ですか出して、そして公共性というものに対する認識がちょっと薄いのじゃないか、こういうようなこと、これはことしではございませんよ。去年の大臣答弁、必要があればあとで読みますけれども、そういうことを思いますので、この前の山中さんもそれを指摘しましたが、この私学の公共性、私立大学の公共性というものについて私はぜひ認識してもらわなければならないと思うわけです。それで大臣に、教育上の公共性と、それから法規上の公共立と、私立大学運営上の公共性、この三つに分けて簡単に御認識になっておる点を言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/9
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010・愛知揆一
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、私学の国家的に尽くしてこられた功績というものは非常に高く私ども評価しているわけでございますが、そういったようなことが私学に対する法規上の公共性ということに通ずることかと思います。ところが率直に申しまして、どちらかといえば、もう一つの自主性と申しますか、そういう方面のところが少なくとも過去においては強調されるというか、比重が重かったのではなかろうかというようなことから、国家的な資金的な助成というようなことが率直に言えば少し陰に隠れていたきらいがあるのではないか。ところが最近も文部省でも調べてみたわけでありますけれども、今日の私学の経営の状況がどうなっているかといえば、これはこまかく数字を申し上げるといいのでございますけれども、これを総論的に申しますと、たとえば収支で申しますと、収入で目立って大きいのは、学生納付金というようなものに依存する割合が非常にふえてきているわけであります。それから私学自体としての借り入れ金が非常にふえてきておる。こういう関係からいって、経費として、支出のほうでいえば資本的な支出と債務償還費というものが大きな比重を占めてきております。こういう点をとらえてみますと、私学の公共性ということを考えました場合にこれでいいかどうか。私学の経営難という問題だけではなくて、私学というものの公共性に対して、こういう傾向なり現状というものに対して国家としては積極的にどう対処していくべきかということがあらためて非常に大きな問題になってきている、こういう認識を私は持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/10
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011・三木喜夫
○三木(喜)委員 時間もございませんから、私、一つ一つ指摘して大臣の了解点をひとつお聞きしたいと思うのです。いまは学費が非常に増加してきて公立との差が激しい。こういうところから公共性というものが非常に問題になる。こういう現実の問題からいまお話しになったのですが、私は教育上から見まして、いままで私学というものは、たとえて申しますと、私立の医、歯、薬学部は厚生省の医師、歯科医師、薬剤師養成計画の中に完全に組み入れられておる。それから二番目に私立の農、獣医、畜産学部は農林省の獣医師養成計画の中に完全に編入されている。それから三番目に私立の理工系学部は政府の経済企画庁、文部省、科学技術庁、大蔵省の策定した科学技術者養成計画の中に完全に組み入れられておる。現在大学の理工系学部の学生は私立大で約十万人、国公立大で五万人あるが、この両者を合わして国が科学技術者養成ということで前の高度経済成長政策の中でこのことを明らかにしております。その次は昭和四十一年から始まる大学進学希望者の急増受け入れ対策として、政府は大部分を先がたもおっしゃったように私立に持ってきておられる。それから判事、検事、弁護士の養成、国家公務員の養成、地方公共団体の職員の養成などに対しましても、私立の各大学の学部が大きな役割りを果たしておるということ。それから小学校、中学校、高等学校の教員の養成に対しましても、国の教員計画を果たしておるわけなんです。その他法、経、商、文学を考えてみてもそうですし、女子大学教育も私学が大部分受け持っておると言っても私は過言ではないと思うのです。それから勤労青少年の教育の夜間部、通信教育部というものは、これまた私学が受け持っております。そう考えてみたときに、これらは全部私は教育上から考えた公共性だと思うのですが、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/11
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012・愛知揆一
○愛知国務大臣 大体において私御同感と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/12
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013・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に、行政法規上の公共性ですね。これは大臣の御答弁になかったのですが、これはどういうようににお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/13
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014・愛知揆一
○愛知国務大臣 これはもう申すまでもございませんで、法規上の公共性というのは教育基本法にその源を発しておるものと思います。それから私立学校法におきましても「その自主性を重んじ、公共性を高める」云々と書いてございます。ですから法規上におきましても、先ほどもちょっと触れたつもりでございますが、かねがね法規上も公共性というものははっきり認識されておる。したがって、またそういうことに基づいてただいまお示しもございましたような点に国家もお願いをしてまいったのかと思うのでありますけれども、それの裏打ちとなる国としてのやり方があるいは陰に隠れていたうらみがあるのではないか、こういうふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/14
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015・三木喜夫
○三木(喜)委員 私大の運営上で公共性を先がたもちょっと大臣の答弁の中に触れておられましたが、これは運営上学校教育法に基づいて設立された公共機関でありますから、学校法人法により設置、運営されており、役員、評議員、組織、権限、財政、その他一切が同法に基づいて公共機関としての運営がなされておるということ、それで先がた申しましたようにちょっと混乱したのは、私大は憲法八十九条にいう公の支配に属さない教育ではないかというようなことが昨年度論議になっております。しかしながら公の支配に属する教育機関であり、それゆえに私立学校法第五十九条に、国または地方公共団体は、私立学校に対し、補助、貸し付けあるいは国の財産の譲渡ができることになっている。それからこれも先がた答弁になっておりましたが、現に私立学校は国または地方公共団体から補助を受けた場合は、会計経理上の監督についても同法同条に明載されておる公金を受け入れて使用する機関としての条件が整えられておるわけなんです。それで、答弁にありましたとおり、私立学校の理科研究設備の助成補助金、それから私立大学の理科特別助成補助金を毎年支出しておる、これは現実の姿で補助をしておるわけです。この点に触れられたわけでございます。
さて本論に入りまして、私立大学の経営が非常にいま困難である。どういう点が困難なのか、その困難点をひとつ大臣の分析によってお答えいただきたいと思うのですが、私がお願いしたいのは、まず現状維持についてどんな困難点があるか。それから現在の学部学科の規模のままで教育、研究の内容充実をしていく場合にはどんな困難があるか。第三点といたしまして、これを国が希望するならば、あるいはまた国の基準に合わしていこうとするならば、そこに当然規模拡大の困難点があろうと思うのです。この三点に分けてひとつ簡潔にお答えをいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/15
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016・愛知揆一
○愛知国務大臣 私学の現状並びに将来予想される困難性ということについて申し上げますならば、簡潔に申し上げますためには、たとえば昨年の八月に私学関係の各団体から私に対しまして要請がございました。そのことを申し上げるとよろしいかと思いますが、これはたとえば教職員の人件費の一部に対して国庫補助を行なうということを提案されておりますが、これはやはり私学における教職員の待遇改善、それから資質のよい教授陣容を求めたいというごもっともな希望から発しているものと思います。ただ、この人件費について国庫補助を行なうことが適正であるかどうかという点については、十分真剣に今後の研究課題にさせていただきたい問題であると思います。
それから、施設設備がやはり非常に増高している。これは先ほど申しましたような収支のほうから見ての現状の分析からいって、これもまたごもっともなことだと思うのでありまして、施設費が非常に増高している。現にそれに苦しんでおるが、今後においてはますますこれが問題であるということで、一般的な施設につきましても、補助率を特定制度として国庫から補助してほしいという御希望が出ていることも御承知かと思います。こういう点が、簡潔に申しますと、問題の焦点であるかと考えます。
それから、私どもから見ますと、たとえば四十年度の学生の収容定員の増をいろいろと私学側とも御相談いたしましたことでありますし、同時に、御承知の学部、学科等の新設について審議会その他がございますけれども、そこではいかにいわゆる急増の時代であっても、大学の資質を落としたくないという観点からも十分の審査をいたしておるわけでありますが、その過程を通して見ますと、やはり教授陣容をりっぱに充実をし、かつこれを維持していくということが、これはただ単に金の問題だけではなくて、もっと根本的な問題である。そこで私学側としても、この際相当大きな拡充をはかりたいあるいは新設をしたいという計画をされた場合においても、物理的によい教授がかかえられない、あるいは将来それを引き続き充足できるかどうかというところに現実の隘路があるということが、その経過を通してもはっきりと浮かび上がってきたわけでございます。これについては、ただ単に私学助成ということだけでなくて、文教行政全般の問題として大きな対策を必要とするのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
なおまた、ちょっとこれはいまの御質問に当たらないかもしれませんけれども、公共性ということの場合におきましては、私学は企業であってはならない。普通の企業のような、利潤を目標とするような企業的な存在であってはならないということが、また大きなここで考えていかなければならない問題ではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/16
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017・三木喜夫
○三木(喜)委員 現状把握という上に立って、あるいはまたその要請に応じても、いま私学の経営の困難点というもののお話があったわけです。私は、端的にいって、私立大学は公立大学の四分の一大学だと思う。まずその四分の一大学という根拠は、総支出を見てみますとわかると思うのですが、学生にしますと約三倍です。それに、この総支出を見ますと、国立の場合は千二百億、私立の場合は一千億足らないわけなんです。ここで六分の一ないし四分の一の経営しかないわけですね。それから教授の数におきましても、教授一人当たりの生徒は、国立は七・二、私立は二六・七で、これも四分の一。そのかわりに、学生一人当たりの教育費の負担になりますと、これは四分の一でなくて四倍、五倍、こういうことにっなておるわけです。先がたは教授の問題にも触れられましたけれども、教授の給料においても、これは四分の一とか五分の一とか言えませんけれども、国立と非常に差があるということです。そういうような、現状が四分の一だということ、これは大臣、この四分の一大学であるということをはっきりいろいろな方面からひとつ分析してもらいたいと思うのです。恒久策を立てられる場合にですね。そこに私学の問題点がある。
それから、これは私は頭から非常に離れなかったのですが、慶応大学のストライキのときに、こういう標語を掲げております。忘れたか福沢精神、銭のないやつ来なくていい、金は金の上に人をつくり、人の下に人をつくる、こういう標語が出ておりました。これは私はたいへんなことばだと思います。こういうことになりますと、慶応大学の学生が大学の理念を掲げて今度のゼネストをやりましたことが、私たちはわかるわけなんですね。こういう大学の理念を掲げて学生さえこうやってくるということになれば、いま危機の現状の中には、やはり大学の学問研究、大学教育の危機というものも踏まえなければならぬと思うのです。
そこで、私は一つ実例を申し上げたいと思うのですが、まず、これは高村塾長も言っておられたと思うのですが、いまの大学の非常に困っておるのは、これは一般的な社会的なあるいは政治的な分析、判断は別にしまして、経営者のことばをそのまま持ってきますと、いま人件費はベアに八%、自然昇給に七%、一五%要る。しかし一五%をストレートで全部の生徒の上にかけるわけにいかないので、これを新入生にかける。ここに配慮がありますが、こんな配慮の問題はやめまして、一五%をかけるにしましても、せいぜい三〇%、三割くらいしか上げられない。三割上げても、新入生にしわ寄せをしても、それでもやっていけない、したがって水増しをする。これの分析、把握もひとつしていただきたいと思うのです。私学側の意見も聞きますと、一八〇%の水増しだといいますし、多いところは倍生徒を入れて、それによって経費をまかなっていく。そうなると、また悪循環がきまして、教室が不足になってくる。そこで目に見えたところの理科とか工学関係は施設が要りますから、これはどうにもしかたがないですから、文科系統で実数が押えられないくらいたくさん来ておるような状況が現出しておるわけなんです。これが現状だということです。
そこで、私は教育研究の内容充実の困難点を一つ申し上げますと、国立大学の施設あるいは設備、教員の数、これが平均値が四分の一程度である。これでは実際に教育の質をよくする、研究の実質を高める、実効あらしめるというような任務は果たしていけるかどうか、こういうことを私は考えると、私学の現状は非常に憂慮すべきものがあるのじゃないか。いわゆる内容的なものとして、大学の使命を果たすのに困難である、こういうように思うのですが、この点は大臣はどういうようにお考えか、その点をはっきりと聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/17
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018・愛知揆一
○愛知国務大臣 実は慶応大学のようなところにああいうふうな問題が起こりましたことは、やはり私どもはじめ大きにこれは目をさましていかなければならない問題である、常識的にそういうふうな印象を私は受けているわけであります。
そこで先ほど来のお話にございましたが、たとえば学生、生徒一人当たりの経費というようなことをとってみましても、国立の場合、大学では三十三万円、それから私立の場合は十四万円、半分以下でございます。その反面、今度は父兄のほうの負担ということから見ると、これは逆に非常な大きなあれになる。そこで四分の一会々はともかくといたしまして、そういう点の認識は私どもとしても十分にしておるつもりでございます。
それから水増しの問題についてもお触れになりましたけれども、これもざっくばらんに申し上げるわけですけれども、これは御承知のように届け出制度になっておりますので、実情がどのくらいオーバーしているかということはなかなかこれは捕捉が困難でございます。
それからもう一つはそれに関連する問題ですが、現在までのところで申しますと、理工系とそれ以外のところの比率は国立の場合と私立の場合が反対になっておりますので、あながち平均の数値だけで比較することは私は科学的でないと思いますので、そういうような点も現状の分析についてはもっと掘り下げてやる必要があるといったようなところから、先ほど申しましたようにいろいろの点の権威者の方々の御意見も伺い、またこの機会に徹底した分析をひとつやる必要がある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/18
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019・三木喜夫
○三木(喜)委員 ひとつそうした内容的な面から御検討を今後十分いただきたい。非常に質の低下、質ということをおっしゃっておりますから、質の問題を踏まえてお願いいたしたいと思うのです。
それから慶応の問題で、慶応のようなところと、こういうお話がありましたが、実に慶応のような名門、と言いますと他の大学に対しまして語弊があるかもしれませんが、そうした大学が、高村塾長の病床の手記を読んでみましてもたいへんな苦哀を訴えられておるわけなんです。しかしながらこれは大学の経営者の立場からですね。しかし今度は大学を受験する父兄の立場から考えてみた場合に、来年度、いわゆる四十年度に入る者はいま発言権はないわけです。じっと父兄はこれだけ学費が上がってきてもくちびるをかみしめて耐え忍んでおるこの姿、それから高村塾長が病床の中で大学のいわゆる質を落とすといいますか、襟度を落としたくない、こう考え、いろいろな事例をあげて申されておりますけれども、ここにもくちびるをかみしめて日本の国の大学教育というものを守っていこうという、こういう強い熱意があろうと思うのです。父兄それから現在の生徒それから大学側と、こういうぐあいに三者を考えても、現在の生徒も父兄も大体一緒になるかもしれませんが、そうして考えてみたときに、政治の場で、いわゆる政府においては十分この点は考えなければならぬ問題があろうと思うのです。その点は今後十分検討するということですからまずおいておきます。
施設、設備だけで現状のものを国立並みにしようとすればどれくらいのお金が要ると思われるか、教員数を現在の大体四倍、国立並みにしようとすればどれだけの人件費が現在見込まれるか、そういうおおよその検討はされたかどうか、あるいはどういうように把握されておるか、ひとつそれもお聞きしておきたい。現在の学部、学科の規模のままで教育研究の内容を充実するためには非常に困難だから、それを充実するためにはどれだけ要るかという立場に立ってお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/19
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020・愛知揆一
○愛知国務大臣 全部についてぴしゃりとお答えはできないかもしれませんけれども、たとえば先ほども申しましたが、現状をもって四十年度に一万五千人の定員増を私学でやっていただくことに計画が決定しているわけでございますが、これにつきましては私学振興会の約百五十億円の融資の中で六十数億円をこの施設等に対する融資に充てればまず何とかやっていけるというのが、一番当面しているところの問題でございます。その間において先ほど申しましたように、今後における恒久的な対策を講じてまいりたいというように考えまして、そういう観点からいろいろの資料等も現に整備をいたしておるわけでございます。そういう点で現状を中心にして申しますと、私学の関係で言えば、たとえば学生の納付金が三百三十四億円、それから借り入れ金が百二十七億円、それから寄付金が五十四億円というようなことが大ざっぱな現状ということが言えるかと思います。これにいまお示しがございましたように、理想的なというか、国立大学と歩調を合わせた程度の教員の充足あるいは施設の整備をやった場合にどういうふうなかっこうで資金計画ができるかということについては、まだ的確に算術はいたしておりません。特に先ほど申しましたように、国立大学と同様と申しましてもなかなか——この私学に対してとりあえず理工あるいは医科、歯科等についてどの程度の規模でやって担当していただくかということは、これは国立大学の場合とだいぶ様子が違いますので、一がいに国立大学と画一的にということの計算ということはなかなかできてこまいかと思います。そういう点もございますので、現に御提案申し上げておりますように、たとえば理工系、それから医学関係、それから特に最近大きな問題になっております歯学関係というようなところでは、とりあえず国立大学のほうでこういう点の拡充をやりたいということで、四十年度予算案並びに法律案でも御審議を願っておるようなわけであります。
要するに根本は国立大学の系統でどこまでこれを自力で負担をするか、それから私学に、どういう学部、学科を中心にし、あるいは伝統というようなことを考え合わせて、どういうようなところにはどういうような拡充を、自主的な御計画を認めていくといいますか、指示していくというように、かなりきめこまかく分けて考えていかなければなるまいかと思いますので、一律に数字だけでちょっと申し上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/20
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021・三木喜夫
○三木(喜)委員 先がた四分の一大学のことを申しましたが、四分の一大学では実質的な教育の効果をあげることはできないわけです。そこで教育研究の実質的な効果をあげるためにまず大体国立並みに持っていくといたしますと、これは仮定の上ですよ。そうするのには非常な困難が伴うでしょう。しかし施設、設備だけで大体一兆円、それから人件費で、現在の四倍にするのには人件費において一千億、現在の上に要るわけなんです。そういうこともひとつ認識しておいていただいて、先がた申し上げますところの教育研究の実質を上げて大学の任務を果たす、こういうようなぐあいに考えてもらわなければいかぬわけです。それは大学人も非常にそれを願望しておるわけです。いまの大学のままで学問研究がやっていけるかという非常な憂慮があるわけです。国民もそれを希望しておりますし、国家もこの段階に来たらやらなければならぬ任務ができたと思うのです。私立学校振興法ができた昭和二十四年の国会の審議の状況を見ましても、私学の経営というものに対して、やかましく論議されております。それから何年になりますか、幸い愛知大臣、灘尾大臣と続いて私学に前向きの姿勢を示しておられるからいいものの、しかしこれも次に対策を立てられておるのも、二年以内ということになっておりますけれども、根本的な対策は二年先ですね。そこで、この意見は十分当委員会でも論議しなければなりませんし、考えの中に深めておいていただきたい、こういうぐあいに思うわけです。
それから、大学急増に対して、現状維持のままでも、実質的にやろうとしても、それだけの金が要るのですが、さてこれを拡大せいということになりますと、これまた非常な困難が伴ってくるわけなのです。しかし、一方では文明あるいは科学技術の進歩とともに新しい学問を設ける必然性が出てくると思うのです。勢い総合化の傾向も出てきます。科学の研究のためには分散しておるよりも総合したほうがよほどいいですから、これは国の一つの命題でもあると思います。こういう傾向を私学が持ってくるということ。それから大学の志願者の急増に応ずるためには、どうしても拡充ということが起こってくる。水増しで一つの教室へ後番と前番とにしてぐるぐるとわからなく子供が入ってくる、そして大きな会場の中で講演式の授業をやるというようなことは、今後許されなくなってくる。そういう問題もありますから、私学の拡充の上にも非常に困難があるということですね。現状のままでの困難、実質的に質を上げるための困難、そして拡充の困難と、私は三つあると思うのです。
そこで最終的に、いろいろいまお話しになりましたけれども、私学の経営のための財源というものを今後政府の立場に立って考えてみたときに、どこに主点を置くか。あるいは三つなら三つを分立した考え方の上に立ってやっていくのか、これをひとつ明確にしていただきたと思います。これは政府の考え方が次の調査会の基本的な考え方にもなると思うのです。そこでこれをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/21
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022・愛知揆一
○愛知国務大臣 いま三つに分けてのお尋ねでございましたが、私これはいまのところ私見として申し上げるわけでありますけれども、施設の問題については私はやはり私学振興会というものを通していくのが一番妥当ではなかろうかと思うのでございます。というのは、施設については私学という問題の特殊性はもちろんでございますが、そのほかにこれは後代長く利用活用のできるものであって、これをただ単に補助とかあるいは国庫の直接の支出をもって裏打ちをするというのは適当であるかどうか、さらにそこに私学の公共性と並んだ自主性ということからいっても、これは低金利であることはもちろん望ましい、また償還期限が長期であることはもちろん望ましい、しかし、長期で低利の財政投融資、あるいは場合によりましては将来の方向としてはさらに民間金融を動員するということだって私はあり得ると思いますが、そういう方向で行くべきじゃないかと思うのです。
それから人員の問題、教授の問題でございますが、これはちょうど先ほど申しましたように、現在私学関係団体の要望が出ておりますものを一例として申し上げますと、教職員の給与をかりに二分の一補助をしてもらえるとするならば、年間百二十六億円の補助金をもらいたいという提案といいますか陳情が出ております。これは私はなかなかむずかしい問題だと思うのでありまして、これも私の気持ちをざっくばらんに申し上げますと、できるならば私学に対しては金は出すが口は出すべきものではなかろう、あるいは私は考えが古いかもしれませんが、そこにおのずから限界があるのじゃないと思うのです。もし経常費においても相当の、こうした教授の給与等まで二分の一予算で支出をするというようなことになれば、これは納税者である全国民にかわりまして、経理の監査等はもちろんでございますが、あるいはそれにとどまらないというようなところが出てくるのじゃなかろうか。出てくると、これは私学の自主性あるいは私学の独立というようなことからいっても問題になってくるのじゃなかろうか。そういう観点をも加えて、できればこの臨時私学振興方策調査会等においてもそうした問題も真剣にひとつ取り上げて、大いに御論議を願いたい。私はもとよりでございますが文部省だけでは、こうした重大な問題については、なかなか一大臣、一省のよくするところではないと思いますので、これが調査会をあえて御提案申し上げた私の気持ちでございますので、それらの点についてはいまにわかに私も私見を申し上げるところまでいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/22
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023・三木喜夫
○三木(喜)委員 話が財源のところになってきますと大臣の答弁がにわかにぼやけてしまったという感じです。それからもう一つぼやけたところは、それで私は公共性に対する認識を最初に十分踏まえてもらいたかったわけですが、この認識が——冒頭に申しましたように、国の大学として、日本の国の産業、文化あらゆる各般にわたって人材を出して、私学の持っておるところの使命といいますか、果たした役割りは非常に大きい。そして、公教育として踏まえる公共性はしっかりと持っておるということは認識されたのですけれども、ここに一つの問題がある。これは去年の予算委員会の会議録ですけれども、相変わらずこの中に田中大蔵大臣が八十九条を出されております。公の支配に属さないのだ、こういうことを言っておりますけれども、公の支配に属するのじゃありませんが、八十九条、その点どうです。そういうことをいま何も大臣に質問するわけじゃないのですが、そういう論議をやっておりますから、私は予算委員会で田中大臣にこれをきのうやりたかったわけですけれども、突発的なことでできなかった。大臣も、私の一存だけではできない、各大臣の意向もこれには大であるということを言われましたが、それはもっともでございます。しかしながら、最後に言われました経常費の二分の一ということになれば、私学の自主性をそこなうかもしれぬ、これが問題です。自主性をそこなわないような法律案をつくったらいいのです、それを出すときに。自主性をそこなうかもしれぬということを逃げ口にして、私学に対する二分の一の経常費の援助支出というものを、こんなことだけをてこにして、これを拒否されていくというなら、問題ですよ。
それからもう一ついま言われたのは、私学振興会を通してやる、こういうお話でしたが、こうすればやはり借金政策はひとつも解消できないですね。その点どうですか、それだけ一つ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/23
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024・愛知揆一
○愛知国務大臣 私はまずいま非常に重要な御質疑がございましたからお答えいたしますが、私は文部大臣といたしまして、公の支配に私学は属する、これははっきりそういうふうな信念を持っております。
それからその次に、さっきもお断わりいたしましたように、御質疑がありましたから個人の意見を申し上げたいところもありますけれども、これは私のみで言うべきことではございませんからあえて差し控えたいと思うのでありますけれども、そういう点で御質疑がございましたから申し上げるのですが、私は私学というものを非常に大切にしたい、そうして、その伝統や過去のやり方を尊重したいがために、そういう角度からも月給の半分は国庫からもらうということはいかがであろうかという個人としての疑問、並びにそういう考え方は私学の中にもあるのではなかろうか、こういうこともあわせて申し上げたわけでありまして、これは私学を思うがゆえの問題であります。そうして同時に、いまのお話のようであれば、私立大学とか私学というものは全部国家に移管してしまったほうがいい、およそ教育というものであったら、大学でも何でも全部国営にすべし、そういう御意見になってくるのではなかろうか、その点については私も大いに意見を申し上げたいところですけれども、その点については後日の論争に譲るということでございますから、あえてそれ以上申し上げません。
それから、私学振興会をあれすれば借金は解消しないというお話でありますけれども、これはさっき申しましたように、長期で低利であるということはもちろん必要であろうが、ということを前提に申し上げたのであって、現在のようなやり方で、直接に大学なり学校法人なりが市中の民間企業と同じようなベースでお金を相当借りておられる。その償還費というものはたいへんなものであるということは、私もよくよく承知いたしております。したがって、私学振興会というようなところで、できるだけ長期で、できるだけ低利で、貸し付けの条件を緩和する。それは財政投融資でもって補完をするのでありますから、その限りにおいて国家が大いに援助しているわけです。私はそういうつもりで申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/24
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025・三木喜夫
○三木(喜)委員 これは納得できない点があります。私学は国でやったらいいじゃないかという意見になってくるのじゃないか、こういうことですが、この論議は二十四年にやっております。そうして第一条に、私学の特性にかんがみ、その自主性を尊重する。いわゆる特性の上において——「大学の庭」というのがジャーナルに出ましたが、それを見てみますと、いま私学の経営が苦しいから特性を失ってきた大学もありますけれども、この苦しい中で依然として特性を持っている私学はたくさんございます。慶応大学、早稲田大学、あるいはその他青山学院にしてもそうでしょうし、いろいろなところがそれぞれみな特徴を持って、いま私学は苦しいながらも襟度を失わずしてやってこられているわけです。そういうことは国民も認めているだろうし、政治の場におるものもそれこそ伸ばさなければならない大学の使命だと思うのです。一つの持つべき大事な点だと思うのです。その点はいままでぶいぶん論議をされてきましたので、そういう論議がもし今後出てくるとしたら、よく文部省自体でこういう点は警戒し、破砕をしてもらいたいと思うのです。
それから第二番目の、振興会に金を貸して、それは低利でしかも長期にいたしましても、やがてこの金は返さなければならない。だんだん雪だるま式にふくれてくる。私は私学の経営者がおられたら私学の経営者にも言いたいことは、この振興会に金を貸してそこから借りるということが、私は借金政策を助長した一つの罪でもあると思うのです。二十四年からこちらへ長い間あったのです。しかもこの私学の問題が論議されたのは、昭和三十八年、四十三国会でも非常にこれは分科会で論議されておりますが、この中でも、ちょっと読んでみますと、「仏の顔も三度で、二度ぐらいのところで何か文部省としては積極的な具体的な、父兄の満足のいくような具体策を私は出してもらわなければならぬと思うのです。」そうでないならば、いまどういうことが計画されておるということをはっきりしてもらいたい、こういうようなことが言われております。なぜこんなことを三十八年に言われたかといいますと、入学金の問題からこのことが言われておるわけなんです。去年は山中さんが予算委員会でこの問題を取り上げて、やはり具体策まで出してやっております。一年たった今日、愛知さんのときにおいて初めてこういう前向きの恒久策を考えるという調査会をつくられた。これはけっこうですけれども、しかしその中に流れておる思想、考え方というものが、振興会に金を貸してという、これは何とか長期の計画を立てるならばとっていただかなかったら、やがてまた次から次へ入ってくるところの学生の上にこれがかかってくる。どっかで払わなければならないのですから。そこで私は文部大臣に、この財政計画を立て直すところの基本的な考え方をただしたわけです。
私の考え方では、これはやはりこういうようにひとつお考えをいただきたいと思うのですが、いまそういう考えがなければひとつ考えを持っていただきたいと思うのですが、私大の経費の負担者というものは、やはり直接的にはその受益者であるところの学生——父兄といった意味でしょうね、父兄が三分の一持つ。それから三分の一は間接の受益者であるところの社会、産業界です。これは寄付してもらう。私学が寄付の上に立って諸外国ではやっておりますから。この寄付を三分の一。あとの三分の一は、究極の受益者であるところの国家。冒頭に申し上げましたように、私学の果たした役割りというものは実に大きいのですから、それは国家が受益したのですから、国家が三分の
一は持ったらいいと私は思うが、この三分制をひとつ立ててもらいたいと思うのです。
ここで特に私、申し上げておきたいことは、外国の例です。これは文部省当局もひとつ調べてください。一体諸外国としてどういうようにして私学の問題を打開しておるか。これはイギリスは大学は全部私大でありますからして、年間運営費の七〇%以上国家負担にしております。カナダは、州立であろうが私立であろうが、国の大学予算を平等に分配しております。文部大臣の先がた触れられた危惧の念とちょっと一致しますけれでも、中身はくちばしを出してもらわぬでもいいわけです。それからブラジルは私大経営の四〇%を国が負担しておる、そういうことです。そうしますと、三分制をここにしくということの外国の例がはっきりしてくると思います。
〔委員長退席、八木(徹)委員長代理着席〕
ただもう一つ、これはもうきょうは時間がありませんから、この次のときにやりたいと思うのですが、私学の寄付金に対して、これもこの予算委員会で問題になりましたこういう免税の措置では何ともなりませんから、この次は大蔵大臣に来てもらって、十分この点は論議したいと思いますが、しかし税がやはりひっかってくる。その点は大臣はどう思われますか。その税の問題、それから三分制の問題、この二つですが、端的にひとつお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/25
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026・愛知揆一
○愛知国務大臣 御議論が発展してまいりまして、こういうふうに分析してお話しいただきますと、私も非常に話がしやすくなるのであります。三分の一受益者、三分の一が間接受益者、国家が三分の一ということも確かに一つの考え方であろうと思います。ただ、しかしここで私に一言言わしていただきたいのは、私学の公共性ということは、国あるいは国民の側からの期待する公共性ということと、それから私学自身のあり方の中における公共性と、私学自体でもこの公共性ということの認識というか、ビヘイビアというものが絶対的に要請されると私は思うのです。これは両方からごらんになっていただくべき問題ではなかろうか、そういう前提をさらに分析して、その上に立って、こういう場合にはこれぐらいは国が負担してもいいではないかというような回答がだんだんと出てくるのではなかろうか。現状においては、遺憾ながら私学にもいろいろの考え方がございます。これを一律に私学だからといって、一つの固定した概念としてもっていきますことは、私は全国民の納得を得るゆえんではなろうと思います。それから免税の点については全く御同感でございます。どうかひとつ、これは超党派的に大いに私ども御鞭撻願いたい。私は私見といたしましては、一定額程度ぐらいの授業料は父兄の所得から控除してもらいたい。そこまで私個人としては提案を持っているくらいでございますから、どうかひとつ御協力を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/26
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027・三木喜夫
○三木(喜)委員 銭のないやつは大学に来なくてもよい、こういうことにならないように、その点も考えてもらわねばならぬかと思います、税金の面からもね。
そこで私、まだ論議を展開していきたいと思いますけれども、午後私も科学の特別委員会に出なければならぬし、大臣も出られなければなりませんので、これはひとつ要望して、一つだけ高等学校の問題を質問して終わりたいと思うのですが、大臣もおられるところで文部省にひとつ要求しておきたいと思います。
大学の急増対策について新聞、雑誌等は、一体文部省は大学の急増対策を持っておるのかと書いてあることを見ますと、数字がみなまちまちになっておる。国民はあれでは迷います。だから急増対策というものを出していただいて、来年はうんとふやしてもらわなかったら、いまのままですとたいへんなことになります。浪人浪人で一ぱいになってしまいます。そこには犯罪も起こってくるでしょうし、国内に非常に陰気な考えが出てまいりますから、これはひとつ文部省は来年度の見通しの上に立って、あの予算計画を出してもらいましたが、はっきりした数字を出していただきたい。
それから給食の問題、南極観測の問題、それから教科書の問題、これはことしでストップになっておるが問題点があるわけなんです。これは大蔵大臣に今度来てもらって聞かなければならない問題ですが、ここで高等学校の問題について端的にひとつお答え願いたいと思います。四十年度、高等学校を卒業する者が百二十七万人でございます。そして文部省の説明されましたように、二%増加すると見ると七二%と見るべきだと思うのです。七二%の入学があるとしますと百七十一万人が入学いたします。そうするとこの間におのずから数字の差がございます。全部入れるならばもう少し多いですから、六万ほど多いのですが、こういうように非常に入学する人が多くなってきた、そして入れものの準備はありません。それから政府の財政措置もありません。富山県知事なんかはこの問題を称して、高等学校はもはや義務制だ、これくらいまで言い切っております。一体この高等学校の進学問題も、大学急増問題以上に、いまや高等学校ぐらいは出したいという父兄の念願に、私は文部省がこたえたものとはいえないと思うのですね。これは重要な問題だと私は思いますので、ここでひとつ大臣に端的にどうするかということを明示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/27
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028・愛知揆一
○愛知国務大臣 高等学校の現状はただいま御指摘のとおりでございます。そこで端的に言いまして、高校全入あるいは高校義務制というようなことに及んでどう考えるかというようなお尋ねであったと理解をいたしてお答えをいたしたいと思いますけれども、私は現在高校の義務制ということはまだ考えるべき段階でないと思います。と申しますのは、高校というような程度になってまいりますと、まず高等学校のあり方をどうするかということが先決問題じゃなかろうかというふうに考えまして、画一的な、義務的な、中学卒業生にさらに三年の義務制を課するということについては、もう少し慎重に検討すべきであって、現状どうかと言われれば、私は否定的にお答えせざるを得ません。同時にこれは小学校就学の年齢をさらに一年低下するかどうかというようなことも、また大きな文教上の今後の問題であると思いますが、それらともあわせて十分に検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/28
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029・三木喜夫
○三木(喜)委員 ちょっと問題がそれたと思うのです。全入のことはもちろんわれわれは主張しておるから、それも強調したいのです。しかしながら一歩下げてものを言って、現状を言うわけなんですね。そうすると、文部省は大体七〇%と押えておられますが、年々二%ふえる、こういうことも認めておられる。七二%とすると百七十一万の人が入るのだ、そして出ていくのは百二十七万で、その差が四十四万ある。これは各地方がみなかぶらなければならぬ、どうしてくれるのだどうしてくれるのだということで、いま県の責任になってきておるわけです。文部省も高校急増対策としてそういうものを最初立案されたはずなんですね。それがいまになったら文部省は六五・四%に押えておる。そうじゃないですか初中局長。初中局長おいでになっておりますから、その辺の数字の問題を言ってもらうこと、大臣に言いたいことは、こういう状況だから各地に授業料値上げということが起こってきております、設備施設ができませんから。入学金というものをとっております。これは大学の場合と同じケースになってきて、二万、三万、私立では六万から八万、東京都の平均では六万。私立高等学校の入学金ですよ。父兄の教育に対する熱望は先がた申しましたように、高等学校はもう義務教育ぐらいにしか思っていないわけです。それくらいの学校へは行かしてやって力をつけておきたい。これは父兄の切なる念願だと私は思うのです。その念願の上に立って、現実はどうかといいますと、文部省の低い、押えられた計画しか立っていないし、あるいは財政措置もゼロにひとしい、そしてその結果はまた父兄にしわ寄せがやってきておる、こういうことになっておるので、どうですかということを言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/29
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030・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまお話のとおりでございます。従来立てておりましたいわゆる高校急増対策から、立案当時からいえば、要するに進学率が非常に高くなった、あるいは進学希望率が非常に高くなっているというところで、従来の計画については若干問題があるということは私も承認いたします。しかし同時に、先ほど申しましたように、高校について現在の制度で全入を何でもかでも認めるようなやり方をしなければいかぬのではないかというような問題のとらえ方については、私は必ずしも賛成できないわけでございます。
それからまた、全入の比率の問題にいたしましても、先般発表しております白書でも明らかでございますように、たとえば東京と後進県とは非常な違いがある。むしろ地域格差というようなことから考えれば、私はもっといなかの方々も高校に入るようにしてもらいたい。それについては、たとえば農業高等学校であるとか商業高等学校であるとか、バラエティーのある高等学校というものについていろいろ努力をいたしておりますことは御承知のとおりでございますが、重点はむしろそういうところにあるのではないかというふうに私は考えております。
それから高校の授業料あるいは入学金の問題も御指摘のとおりでございますが、公立高等学校の授業料というものがその中では一番われわれとしては大きな問題であると思います。これは予算委員会等でも御説明いたしましたように、現状が六百円から八百六十円の幅がある。なるほど自治省では地方財政計画の基準計画の上では、今度は八百円ということにしておるようでございますけれども、これは各県それぞれの事情によっても違いましようし、かりに基準財政需要の基準になる指標の中に八百円ということがとられましても、公立高等学校の授業料については、県によってある程度幅も残るであろうと思います。それで私はよろしい、こういうふうに考えているわけですが、しかし現在お示しのような状況でございますから、約十年近くも六百円で据え置いたようなところについては、いまの上の幅になる、あるいはそれに近づくことになるというのは——この公立高等学校の授業料は先ほどもお話がありましたが、受益者負担という性格が経済的にあると私は思いますので、これをただ単純な公共料金的なものとして扱うのはいかがであろうかというふうな考え方から、いま申しましたようなことで、私としてはやむを得ない、こういうふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/30
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031・福田繁
○福田政府委員 ただいま数字をあげて御質問になりましたので、数字の点について補足いたしたいと思います。
昭和三十九年度の高校進学状況でございますが、三十九年度は中学卒業者の数が二百四十三万人の中で高等学校に進学しましたのは、公立、私立合わせまして百六十八万人、進学率で申しますと七〇・六%でございます。四十年度はもちろん推定でございますが、高校急増対策を各府県で立てました際に、施設等につきましては府県は前向きに整備をいたしております。したがいまして四十年度のピークになりますときにあたりまして、当然に四十年度に入れるべき生徒の数はある程度つかんで計画を立てております。したがって私どもの推定によりますと、昭和四十年度におきましては中学卒業者の数は前年度よりも減りまして二百三十五万人と推定しております。その中で高校に進学する者が大体三十九年度と同じ程度の数は収容できるだろう、そういたしますと公立が百十二万、私立が五十六万人、合計で百六十八万人ないし百六十九万人程度という数になるわけでございまして、この程度は収容できるという推定をいたしております。したがって進学率は、それによりますと七一・五%というようになるわけでございます。したがって私どもとしては従来からの府県あるいは私立学校当局の計画によりましても、昨年と同様程度の中学卒業者は収容できるという見通しを持っておりますので、さして混乱は起きないだろうというように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/31
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032・三木喜夫
○三木(喜)委員 時間がきましたので、どれもこれも中途はんぱになりましたが、最初ずっと論議を展開しておりました私立大学の問題について、まだ私は私大の財政の正常化方策をもう少し論議を深めていきたいと思うのですが、これはこの次にしたいと思います。これは党としてもこれに対しての方策を持っておりますから、それについてまた論議をいたしていきたいと思います。
高等学校の進学の問題についても、これは政府の数字の上にも疑問点がございますし、方策の上にも私たちの納得しない点がまだありますので、この論議もこの次に延ばしたいと思います。
それからきよう触れませんでした大学急増対策につきましては、この次までに文部省から本年はこうするのだ、これに費用はこれだけかけるのだ、来年度はこうだという見取図を来年度の増加分も見て出していただきたい、これは要望しておきたいと思います。委員長よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/32
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033・八木徹雄
○八木(徹)委員長代理 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/33
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034・三木喜夫
○三木(喜)委員 その上に立って大学急増問題を論議したいと思いますからよろしくお願いします。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/34
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035・八木徹雄
○八木(徹)委員長代理 山中吾郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/35
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036・山中吾郎
○山中(吾)委員 質問ではございませんが、私学の論議というものは方向を間違うととんでもない方向にいく心配があるので、私は次の機会に論議を進めたいわけですから、最初の出発点だけ要望しておきたいと思うのです。
それからこれはきようでなくてけっこうですが、この間いわゆる調査会の結論の出るまでの暫定措置としてこういうことはできないかということをお聞きしておったのですけれども、お答えはこの国会中でけっこうです。
そこで、きようもいまの論議の中に公共性という論議が出たが、これはまかり間違うと結論がさかさになってしまったりするので、その点をひとつ各関係者で十分論議をしておいていただきたいと思うのです。私は学問の自由、思想の自由という立場で、実は私学の自主性を考えておったわけなんです。公共性というのは、国の法律による、いわゆる教育基本法のコントロールの中にあって、教育は私立大学における教育も国立大学における教育も同質なんです。そういう意味において教育そのものの本質にすでに公共性がある。それと行政的に教育水準を低くしないという要請があることを含んで自主性を尊重することと公共性を強調することには矛盾はないはずだと考えて論議を進めていきたかったのですが、経費との関係だけが論議されるので、あるいは私学を権力で支配するというような方向にいってしまうかもしれない。その点をもう少しそういう考えの中で深めていきたいと思います。金は出すが口は出さないといういわゆる援助するが支配はしないということは常識的にお互いに賛成であるのですが、それだけでは中身は何も進展しないと思うので、そういうことをもう少し真剣に論議をしたいから文部省でも御検討願いたい。
それから現在の国立という概念と私立という概念を再吟味していただきたいと思うのです。私はすでに私立大学はないと思っている。法人立大学なのであります。したがってそこの施設は民間の所有であるから、民間有大学、私有大学だと思っておるのです。国立も施設は全部国の財産でありますけれども、教育は私立においても国立においても同じだけの経費を与えて、官立であろうと私立であろうと国の教育を受けた者は何の差別もないこれが教育だ、したがって国有大学だ、こう私は思っておる。国立教育会館というのは、特殊法人のもとに独立人格を持たしておる。そういう中に学問の自由、思想の自由の憲法的要請と、それから同時に、教育は憲法上の基本的条件としてある姿の中で一つの考え方を持っていかないと、この問題は解決しないんだ。同時に、したがって施設補助という場合には、大臣のほうでは振興会の融資、これはできた施設は国のものにならないから、私は融資というのは考えられると思うのです。しかし、教授というのは、私立大学の所有物でも何でもない。大学教員の資格というものは、国の資格に基づいておる。官立教授から私立教授に移っても、私立教授からその研究能力その他によって官立に移ることも、自由でなければ教育は進んでいかない。したがって教授の持っておる学問の能力と研究成果というものは、むしろ民族の所有であると考えるべき問題なので、私は、官私立にかかわらず、教授に対して一種の文化財保護というような思想においても、国が同じように負担するという思想のほうがいいのではないかと思う。そこに考え直すべき問題もあるんじゃないか。施設、設備は融資でやって、学者の学問的能力を維持するということについては、むしろ国の財政援助ということが、また逆に考えられる論議も出てくるんじゃないかということもあって、この問題も教育という思想を根本的に論議する中で、角度を変えた中で、私は日本の教育を高めるためのもっと前向きの論議をして、何とか結論を出したい。三木委員もいま一つのきっかけをつくって論議をしておるわけですが、出発点が違っておりますと、結論も結局わけがわからなくなってしまって、与野党が別な方向に走っていってしまって、それで終わりという、未解決の解決ということになっては困るので、その点はひとつ大臣のほうでよく御検討を願いたいと思うのです。
その次に、教育計画を立てない限りは私立の乱立が出てまいりますから、条件さえそろえば認可していくという、国の大学教育計画が立たないところに根本問題がある。しかし、一方、青年が大学まで行きたいという進学意欲が旺盛であることは、民族が若いということなので、ヨーロッパのようにすでに大学へ行く希望者が少なくなっているのではなくて、ほとんど大学に行きたいというのは、私は喜ばしい民族の若さだと思うのです。そういうものを含めて一体どう解決するのかという問題を角度を変えて論議をしていかなければならぬのじゃないかということもありますので、私たちも質問をするときは質問の内容をできるだけお知らせしますから、文部省のほうでもその場限りの答弁でなくて——あるいは私は、この文教委員会に私学小委員会をつくってもいいとさえ思うのでありますが、いずれにしても他の問題と違うのですから、思いつきの質問、答弁にならぬようにしていきたいと思います。そういうことを含んで一定の時期にさらに白熱した論議をいたしたいと思いますので、その点ひとつ、私もしますから、文部省も御勉強願うように要望いたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/36
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037・八木徹雄
○八木(徹)委員長代理 次会は、明後十九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104805077X00319650217/37
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