1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十九日(水曜日)
午後四時十八分開会
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委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
二宮 文造君 白木義一郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 中村 順造君
理 事
稻浦 鹿藏君
川野 三暁君
熊谷太三郎君
瀬谷 英行君
委 員
小沢久太郎君
小山邦太郎君
高橋文五郎君
米田 正文君
安田 敏雄君
大和 与一君
白木義一郎君
田上 松衞君
村上 義一君
委員以外の議員
議 員 田中 一君
国務大臣
建 設 大 臣 小山 長規君
政府委員
建設政務次官 白浜 仁吉君
建設省住宅局長 尚 明君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
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本日の会議に付した案件
○住宅協同組合法案(田中一君外六名発議)
○地方住宅供給公社法案(内閣提出、衆議院送
付)
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001・中村順造
○委員長(中村順造君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
まず、委員の暴動について御報告いたします。
本日、二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/1
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002・中村順造
○委員長(中村順造君) 次に、地方住宅供給公社法案及び住宅協同組合法案を一括して議題といたします。
前川に引き続き両案の質疑を行ないます。御質疑のある力は、順次御発言を願います。
なお、おはかりいたします。
委員外議員田中一君から発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔異議なし、と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/2
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003・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/3
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004・瀬谷英行
○瀬谷英行君 地方住宅供給公社法案の質疑、昨日に引き続きまして若干の質問をしたいと思います。
提案理由の説明の中に、最近の宅地価格の高騰等により、住宅の建設費が増大をした。したがって、中略階層の勤労者にとっては、持ち家住宅の取得が困難になってきたということがあげられております。そこで、宅地価格の高騰といったようなことは、一体どこの役所の調べたどういう数字によって判断をしてよろしいかという問題もありますので、その指数とか実態の掌握、これはどうやっておられるか、このことをまず最初にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/4
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005・尚明
○政府委員(尚明君) 宅地価格の上がり方の指数につきまして御説明申し上げます。これは日本不動産研究所の資料によったもので、都道府県の県庁所在地の価格の平均指数で、その価格は市街地価格の数を使っております。そのうち住宅地につきまして申し上げますと、昭和三十年三月を一〇〇といたしますと、たとえば三十四年三月では二一九になっております。それから三十八年三月では五四二になっております。この統計は毎年三月、九月というふうに半年ごとに数字が集計せられまして発表せられております。以上のようで大体三十年から三十八年の八年間に五倍半ぐらいに上がっておるという数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/5
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006・瀬谷英行
○瀬谷英行君 今度の国会で例の農地報償法の問題が非常に大きく注目をされているわけなんですが、なぜ旧地主に対して報償金を出さなければならないかということの大きな要因として、土地価格の異常な値上がりということが言われているわけであります。だから、新聞の投書にもありましたが、政府、自民党が土地価格の異常な値上がりを抑制をするという努力をなぜ積極的に払わないのか、というような投書が出ているわけであります。ですから、もしこの異常な土地価格の値上がりというものがなければ、農地報償ということもそんなに表面的な問題にならずに済んだかもしれないし、千五百億だの、千六百億だのという膨大な国家予算を支出をしようと考えていざこざを起こすようなことをしないで済んだかもしれないということにもなるわけなんです。一にかかって今度の国会の混乱のもととたっている農地報償の、さらにその原因というものを探ってみると、土地価格の異常な高騰ということに相当大きな要因があるというふうに考えられますが、それにもかかわらず政府の機関が、これらの宅地価格の高騰といったようなことについての資料を持ち合わせていたいということは、私はふしぎだと思う。不動産研究所というのは別に建設省の機関でも何でもないと思います。本来ならこういうことは当然役所の機関が実態を把握をして、その指数についても、実態についても十分に掌握をしてしかるべきだと思うのでありますが、依然として民間団体にこういうことをゆだねたままでよろしいのかどうか。政府としては積極的にこのような実情調査を行なう、その調査のための専門の機関を設置するという考えがないのかどうか。以上の点を大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/6
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007・小山長規
○国務大臣(小山長規君) おっしゃいますとおりに、政府にそういう地価調査の機関がいままでなかったということは、まことに遺憾であります。で、私どもとしましても、非常におそまきで恐縮でありますけれども、過密都市の問題にいたしましても、すべて地価の問題にからんでまいります。そこで、地価の調査というものをどうしていままでやらなかったのかと私自身も実はふしぎに思っておるわけでありますが、歴代の建設省の予算に地価調査の予算が組まれておりません。それで、私どもとしましては、私どもがやりますか、企画庁がやりますかは別としまして、今後はこの地価調査、地価の推移というものについては、権威ある調査をしておかないと、あらゆる問題が手おくれになってしまうという、こういう感覚でいま私おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/7
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008・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それでは、大臣自身がふしぎだと思っておられたというくらいでありますから、これから政府自体として、建設省がやるか経済企画庁がやるか、どこの役所がやるかということは別としまして、直ちに責任をもって政府機関が地価の調査等を行なう、こういう計画はあるのだというふうに解釈をしてよろしいのかどうか。また、それはいつからどのような形でもって行なわれるのか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/8
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009・小山長規
○国務大臣(小山長規君) 実はまだ今年度の、四十年度の予算に、私どものほうではそれがございませんので、そこで来年度の予算の要求のときには、これをぜひ出したい、こういうふうに思ってはおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/9
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010・瀬谷英行
○瀬谷英行君 こういうようなことを、本年度の予算の中に入れてなかったということは、私は手落ちだという気がいたします。来年と言いますけれども、一年たちますとだいぶこれは異同が大きいという気がいたします。だから、こういう調査は万難を排して早急にやるべきだと思います。
それから宅地を取得をするための資金を何とか積み立てを行なわせるのだ、こういうことでありますけれども、一体、資金の積み立てなんですが、この法案でもっていっております積み立て金の受け入れというようなことは、資金がどのくらいあって、どのくらい積み立てを行なわしたたらば事実上今日住宅を建設することができるか、採算ベースとしてどの程度を必要とするかという数字も明らかにしてもらう必要があると思います。その数字は今日の勤労階級の現実の所得に見合うものでなければならないと思うのでありますが、現実の所得に見合う資金の積み立てといったようなことは一体どの程度に考えておられるのか、この点もお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/10
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011・尚明
○政府委員(尚明君) この供給公社ができました場合の資金の積み立てをどのくらいを目標にして行なうかという御質問と存じますが、それにはまず第一に全建設費、すなわち、土地、建物とも合わせましてどの程度の住宅を建設すれば、いまの中堅階層の負担にたえる家ができるか、そういう点につきましていろいろ研究いたしました結果、ただいま私ども考えておりますのは、大都市地域でも、おおむね二百数十万の住宅、それから地方都市におきましては、土地とも百五十万程度の住宅をつくる、その住宅はおおむね十六坪から十八坪くらいの建築にたって、部屋数としては三部屋、そのほかに便所、浴場、台所等のついたものでございます。そして形態といたしましては、大都市におきましては、鉄筋コンクリートアパートの四階建て、三階建て等考えております。それから地方都市で地価の比較的安い所は、在来のような一戸建ての住宅というのをそれぞれ集団的に建てる、こういうふうに考えております。で、そのような全体価格のうち、三年ないし五年をかけて積み立てていただく額は、私どもとしては、地方都市の場合は、五、六十万、大都市の場合は、八十万から百万程度を積み立てていただくというふうに考えて、残余の資金は住宅金融公庫から融資する、さように計画いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/11
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012・瀬谷英行
○瀬谷英行君 政府が宅地価格等の指数を把握をするための責任ある専門の機関を持ってなかったということと、それから来年度予算でそういうことを考えるということでありますが、しからば、今年度は従来どおり不動産研究所といったような民間機関の数字をたよりにしていくのだということになります。そこで、民間機関の数字をもとにしていくということでありますけれども、住宅の様式あるいは規格、こういったようなことは、話によりますと、一つの構想としては、土地が狭いのですから、上のほうに伸びるような建築様式も考えたければならぬということを聞いておりますけれども、今日の状態は、先般ヘリコプターで首都圏一帯を回ったときにはおそらくごらんになったと思いますけれども、団地等でアパートが整然と並んでおります。私も写真をとって見たのですが、団地は整然としておりますけれども、団地からはずれた所はたちまち無秩序に、狭い所にこまかい家が、しかも家と家との間隔もほとんど密着したようなかっこうでぎっしり建っている。まあていのいいスラム街的な様相を呈しているという所もあるのでございます。こういう所の建築様式であるとか、あるいは住宅地としての規模だとかいうものも野放しにしておけば、ああいう無秩序なごみごみした町ができてしまうと思うのですが、こういう点についての指導を政府としてどのように行なっていくつもりなのか、その点もお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/12
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013・尚明
○政府委員(尚明君) 公共的な住宅は、その土地の利用と一貫した計画のもとに相当の環境をつくって利用することができるわけでございますが、一般民間の所は、それぞれの所有の所で建築物を建てるわけで、公共の場合ほど整然としたことをやるのはかなり困難でございます。これらにつきましては、環境の保持、安全を維持するために、都市計画法及び建築基準法の規定に従いまして、それぞれ敷地の利用のしかた及び建物の建築のしかた等を規制しているわけでございます。それによりまして、おおむね最低限の安全及び環境の保持はできるというふうに制度をつくっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/13
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014・瀬谷英行
○瀬谷英行君 すでにでき上がってしまったごみごみした住宅地ですね、この中には、あるいは不法建築、大げさにいえば、いわばその基準を無視した建築もあるのじゃないかという気がいたしますけれども、家と家とがほとんど密着をしたようなかっこうで、火事でも起きたら逃げ場もないではないかと思われるような所もかなりあるわけです。最近にたって雨後のタケノコのようにどんどんふえてきた住宅街でありますが、こういうものを何とか整理をしていかなければならないじゃないか。都市の美観の面からいっても、あるいは安全の面からいっても、衛生の面からいっても、このまま放置するということは感心できないというような実例がたくさんあるわけです。そういうような地域に対する今後の指導というものは政府として考えられないものかどうか、その点もお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/14
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015・尚明
○政府委員(尚明君) いまのお話は、当然私どもとして今後積極的に考えていかたければならない問題でございます。で、その第一の問題といたしましては、やはり都市計画事業等をもっと拡大して、都市周辺等の区域の道路、下水道の環境等、まず公共の面について、なるべく住宅が建つのに先立って施設を整備するということが一番望ましいことだと考えます。
次に、これが都市計画としてでなく、宅地開発事業として、計画的に一定の地域を公共の資金をもって住宅地の開発をいたしまして、そこに家を建てさせるようにしていくことが二番目に考えられるわけです。
それから一つは、そうした環境のいい住宅地を早く提供するためには、ただいまも申しました公共の力以外に、民間がいろいろの宅地造成をいたしておりますが、これにつきましても、昨年住宅地造成事業に関する法律を制定していただきまして、この四月から、一定の知事の指定した区域につきましては、三千坪以上程度の住宅地開発につきましては、知事の認可にかかわらしめて、道路、下水道を全部整備させる、こういうふうに指導していくのがよろしいと思っております。
なお、さて、個々の敷地につきまして、家が建てられまするに際しましては、やはり建築基準法の励行によりまして——これは実際問題として、今日非常に多くの家が各所に建てられて、やや指導行政のほうがこれを十分監督し切れないために、違反の例というものが間々見られるわけでございますが、これにつきましても、その監視員等をふやして事前にそうした建築物が建てられないようにできるだけ規制をしていくということが必要かと思います。
なお、既存の市街地の中でもう非常にひどくなって、いわゆる不良住宅地と称せられるようかものにつきましては、もう御承知のとおり、住宅地改良法というもので地区を指定いたしまして、これは強制的にその地区を整備するというようか制度を行なっておるわけでございますが、いま申しましたそれら各種の事業をいずれも拡大いたしまして、都市周辺の住宅地が秩序ある建設になっていくようにするということが、私どもの指導方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/15
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016・瀬谷英行
○瀬谷英行君 住宅公団が団地を建設しようとしたところが、地方自治体から断わられたといったような話が先般あったわけです。地方住宅供給公社が住宅を供給をするという仕事についた場合に、やはり住宅公団と同じような問題に今日の状態では直面する可能性がないとは言えないという気がいたします。なぜかというと、現在住宅地として可能な土地は非常に限られておるわけなんです。限られたところは東京都を中心として外へ外へと伸びていくと思います。外へ外へと伸びていくと、これに関連をして交通の問題も生じてくるわけです。道路網の整備、あるいは上下水道の整備よりも住宅の建設のほうが先行するという例が今日非常に多いわけであります。そうたってまいりますと、たちどころに通勤問題が出てくる。道路も一ぱい、鉄道も一ぱいという事態が生まれてくるわけです。そういう可能性を予見をすれば、当然その前の都市計画との調整ということも考えなければならぬわけでありますが、この住宅供給公社にそういう大きな計画に参画するだけの権限をどの程度持たしているものなのか。先日ヘリコプターで参りました地域は、上から見ればまだあき地が一ぱいあるようでありますが、残っているようなあき地にどんどん家が建っていくと。京浜東北線のある一駅の例によると、駅を設置をしてから十年間に、乗降客が八倍ないし九倍になったと、こういう実例を聞いているわけなんです。そのために、常に朝のラッシュ時には駅が大混乱をする。窓口も少ないし、改札口も少ない、そこへ予期しない大ぜいの乗降客でもって大混乱をするというのはもう今日実際あるわけです。だから地方自治体が、これ以上人家がふえたんじゃたいへんだからというので、断わるという問題が出てきているわけです。そこへ住宅供給公社がまたまた一枚加わって、もんちゃくを起こすといったようなことはありそうなことだと思うのですが、そういう点は一体どうなんでしょう、大きな計画と関連をして考えなければならぬと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/16
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017・尚明
○政府委員(尚明君) いまお話にございました諸点は、今後の住宅地開発及び住宅建設で非常に重要な問題でございます。このことは今後住宅地の造成が大規模になればなるに従って、これに伴う公共関連施設がより多く要る。すなわち、町づくりというふうな方向へ行くわけでございまして、単に住宅のみならず、都市計画的な諸施設あるいは輸送の施設というようなものにまで、整備すべき問題が拡大していくことでございます。そこで、この地方住宅供給公社法をつくるにあたりまして、第二十八条で、地方住宅供給公社は、この住宅の建設または宅地を造成しようとするときは、この建設計画あるいは宅地の造成計画について、あらかじめ、その区域の地方公共団体の長の意見を聞かなければならないということを義務づけております。この二十八条の精神は、ただいまお話しにありましたような、その地元公共団体との調整によって、地元公共団体の考えている都市計画その他にマッチしたように、この住宅供給公社が建設を行なうようにせしめるためでございます。また逆に、地方住宅供給公社側から見れば、その住宅地をつくることについて、地元の各種の援助を受けるようにしていただきたいと、こういうような観点から両者の意見を調整するように法律で明記したわけでございます。
なお、この法律の附則の第十項におきまして、この地方住宅供給公社は、新住宅市街地開発法の事業主体となって同事業を行なうようにいたしました。この新住宅市街地開発法は、御承知のように、一定の指定した区域一都市計画の手続を経て建設大臣の指定した区域におきまして、そこに先買い権とそれから収用権が働きまして大規模な住宅地を開発することのできるようにした法律でございます。そうして大臣の認可を得るにあたりましては、当然諸般の都市施設等もこの中で完備しなければならないようになっております。しかし、そのような権限を持ちます法律でございますので、在来は、この事業主体となり得るのは地方公共団体及び日本住宅公団に限られておりましたわけでございますが、今回、この特別法で地方住宅供給公社ができるに際しまして、この供給公社も、日本住宅公団と並んでそのような権限を持って計画的な宅地開発ができるようにいたした次第でございます。
さて、そのような権限を与えて宅地開発ができるようにいたしましたわけでございますが、何と申しましても、日本住宅公団も同様でございますが、主として住宅地と、それからその上の住宅あるいはこれに伴う利便施設の商店等をつくるのが主眼になりまして、まあ最近いろいろ法改正等によりまして、学校建設まではそれらの事業主体があわせて立てかえて建設するというようなこともできるような道も開いたわけでございますが、実際に大規模な開発をいたしますにつきましては、それのみならず、たとえば、じんかいの焼却場とか、その他いろいろなものが要るようになってまいります。そこでそれらのものは、いまの日本住宅公団や今回できます地方住宅供給公社としては容易に建設できることではございませんので、そういった問題も起きるほど大規模な開発につきましては、これはやはり国の諸施策を総合的に運用してこれを援助しなければならないということでございまして、それに関連する機関といたしましては、御承知のように建設省は、住宅局はもちろんでございますが、都市局の事業、それから厚生省関係の事業、これは水道等いろいろございます。それから場合によっては、鉄道というわけで、運輸省というようなものも関係いたします。また、地元の地方公共団体が整備すべきものの負担といたしましては、自治省からの特別起債あるいは特別交付税というような財政的な援助も必要にたってくるわけでございます。で、このような問題は、先般来、公団を中心にして、いろいろ地元が公団団地を忌避するというような問題から、最近政府においては真剣に取り上げまして、これらの大団地に伴う諸関連施設の整備は、できるだけ各省が時世を得た応援をするというようなふうにいたしたいと考えておりまして、いま寄り寄り関係の省と協議をしております。幸いに、財政当局である大蔵省も、この問題につきましては熱心な関心を持っておりまして、これから今後いろいろな問題について、次第にその設置については、これはどの省がどういう予算でもって整備する、この問題はどの省が掌理するというようなルールをつくっていくようにしようという話が出ております。たとえば、ちょっと申し上げますと、いま一番一応形で整備できておりますのは、小中学校等義務教育のために必要な学校施設の建設でございますが、これは大蔵省、自治省、文部省、省の四省が、次官の覚え書きによりまして、団地をつくりましたために急激に小中学校が要る場合には、その建設を、とりあえず日本住宅公団の場合は日本住宅公団が行なう、それから地方公共団体あるいはいまの供給公社等が行ないます場合には、住宅金融公庫からの融資を受けて、それらの事業主体が一応学校の建設をする、その後二年とか三年の間に、文部省からは、その小学校を買い取るための補助金——これは建設と同様の補助金でございますが——を地方公共団体に出す、そうして自治省からそれに伴う起債をつける、それによって住宅建設の事業主体が建てた学校を三年ないし五年ぐらいの間に買い取ると、こういう制度ができて円滑に運用しておるわけでございますが、それらの予算をふやすことはもちろん、この学校のみならず他の諸施設についても、そういった種類のルールを逐次つくっていこう、こういうことで鋭意研究中で、私どもはこれは今後の住七問題に関連した再重要の問題と考えまして、鋭意そういったルール化をはかりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/17
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018・瀬谷英行
○瀬谷英行君 学校の問題、それから交通の問題といったようなことは当然考えていかなければならないことだと思うのですが、こういうことを考えていけば、都市計画そのものをあわせて考えていく必要が出てくるし、工場の誘致といったようなこととも、分離して考えるわけにはいかないだろうという気がいたします。地方自治体の長の意見を聞くということで、ある程度問題は解決できるかもしれませんけれども、地方自治体だけでもなくて、今度の交通といったことを考えますと、国鉄もしくは私鉄といったような輸送機関の面を相当考えていかないというと、事実上、家はできても、あとたいへんなことになる問題が生じてくると思います。で、これらの点は、地方公社の権限として、関係のある機関とどの程度折衝ができるようになっているものか、あるいはまた、それらの関連のある機関に意見を申し出て、そうして大きな都市計画の中に参画をできるようにしたければならないかという気もいたしますが、その点はどのように考えておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/18
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019・尚明
○政府委員(尚明君) ただいまお話にございましたように、他の交通機関等との関連につきましては、地方住宅供給公社の力のみでは解決することはなかなか困難な問題でございまして、この問題はもちろん、この二十八条にございますように、地元の地方公共団体の長の意見を聞きつつ協議していく、さらに実際問題としては、この地方公社は、監督官庁である都道府県知事、あるいは、市が設立しましたところは市長でございますが、そういう監督者のほうにもこの問題を提起いたしまして、それがこうした問題につきまして参川して、たとえば地方の鉄道等の問題で、知事限りで片づくものは知事も、すなわち都道府県も加わって協議する、さらに、もっと大きな問題になりますと、やはり建設省に持ち上げて、建設省が国としてそうした輸送機関との間の話の調整をはかるというふうにいたすわけでございます。今日でも新住宅市街地開発法の認可を建設大臣がいたします際には、農林省——これは農地の関係が主でございますが——及び運輸省と協議して、そうして後初めて地方公共団体等が行ないます新住宅市街地開発事業を認可するというような手続をとっております。この地方住宅公社も、小さい問題は知事等の参画によって行なう、さらに大きな問題になりまして、新住宅市街地開発法で行なうというような大規模なものになりますと、やはり建設省を通じていろいろ話し合う、こういう仕組みになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/19
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020・瀬谷英行
○瀬谷英行君 都道府県、または人口五十万以上の大都市が出資して建設大臣の認可を受けて設立する特別法人ということになっておりますけれども、人口五十万以上の大都市という意味ですが、これは都道府県とは別に、この五十万以上の大都市の場合には、別個に設立できると、このような趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/20
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021・尚明
○政府委員(尚明君) さようでございます。都道府県及び人口五十万以上の都市、これは都道府県はもちろん県下全部の住宅供給の当面地方の最大の責任者でございまして、日本じゅういま住宅問題に悩んでいるわけでございますので、これは各都道府県とも設立できると、それから人口五十万以上と申しますのは、やはり人口五十万以上の都市におきましては、今日の事情におきましては、やはり相当住宅困窮のはなはだしいところでございますから、これに設立されることが適当というふうに考えたわけです。
なおまた、この地方公社にあわせて、住宅のための積み立て金の受け入れというようなことをいたすと、かつ、住宅供給をするというわけでございますので、あまり小さな公共団体等におきましては、その能力がいかがかと、こういうふうに考えまして、ただいま申した住宅事情と両方を勘案いたしまして、五十万といたしたわけで、これは都道府県と別個に設立することも、この法律上はできるわけでございます。しかしながら、これはそれぞれの地方の事情にもよりますが、私どもとしては、でき得べくんば、県とこれらの五十万の都市とが共同して設立することも、より一そう強固になると思いまして、そういうことのできます地域、あるいは地域の事情によってそのことの必要たところは、できるだけ共同して設立するようにというようなふうに指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/21
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022・瀬谷英行
○瀬谷英行君 人口五十万以上というような規制は、その理由としては、出資能力を考えて人口五十万以上というような規制をしたものなのかどうか。
それから、二以上の都道府県または大都市が共国して設立することをも認めるという意味は、まあ大都市が、というふうに抽象的に書いてありますが、三十万の都市が二つあったら、その三十万の都市二つが共同して設立をしてもかまわないというような意味なのか。それとも、二つ以上の大都市が共同して出資をする、設立する場合にも、これは五十万以上の大都市でなければならないというような意味を含めておられるものかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/22
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023・尚明
○政府委員(尚明君) まず第八条の「五十万以上の市でたければ、設立することができない。」といたしましたのは、やはりただいま申しましたように、住宅の供給能力及び住宅事情等を勘案して五十万以上といたしたわけでございます。それから共同設立の四十三条におきます各種の組み合わせは、これはいずれも第八条で設立できることになっている公共団体同士の共同でございまして、五十万以上のところが二つ集まって五十万となったから設立をし得るというふうにはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/23
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024・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この地方公社が建設大臣と都道府県知事または市長の監督のもとにあって、仕事自体は公益性を確保しなければならない、こういうような形になっておりますが、供給公社の職員の身分というものは一体どういうことになるのか、これは公務員に準ずるような身分になるものなのかどうか。この職員の身分は一体どんな形になるのか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/24
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025・尚明
○政府委員(尚明君) 職員の身分そのものにつきましては、特別に規定はいたしておりません。ただ第二十条におきまして、この公社の役職員は、ちょうど日本住宅公団の役職員の場合等と同様に、刑法その他の罰則適用につきましては、「公務に従事する職員とみたす。」ようにいたしております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/25
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026・瀬谷英行
○瀬谷英行君 「法令により公務に従事する職員」ということでありますが、地方公務員といったわけでもないわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/26
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027・尚明
○政府委員(尚明君) 特に地方公務員というわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/27
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028・瀬谷英行
○瀬谷英行君 公務には従事するが、いわゆる法人の職員、民間の職員といったような形になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/28
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029・尚明
○政府委員(尚明君) 日本住宅公団等の職員と同じように、特殊法人の職員でございます。したがいまして、公務員そのものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/29
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030・瀬谷英行
○瀬谷英行君 そうすると、この地方公社の職員の場合は、労働組合を結成をする場合には、公務員法、地方公務員法といったような、そういったような適用はなくて、普通の労働法の適用を受けるところの組合員という形になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/30
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031・尚明
○政府委員(尚明君) さようでございます。普通の労働三法の適用になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/31
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032・瀬谷英行
○瀬谷英行君 職員の問題なんですけれども、どうやって公社の職員というものは集めてくることになるのか。すでに地方自治体その他から人間をかき集めて、引っぱってくるようなかっこうになっておるものなのか、その辺は一体どういう構想になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/32
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033・尚明
○政府委員(尚明君) まず、この地方住宅供給公社は、大部分の府県におきましては、既存の民法三十四条に基づいて設立されました各府県、市の住宅協会、住宅公社が組織がえして、この地方住宅公社になる仕組みにいたしております。その場合に、今日の実情で、大都市あるいは大府県で設立されました今日の民法によります住宅協会、住宅公社は、すでに相当の職員を持っております。大きなところは百数十人というような職員をもって建設に従事しているわけでございますので、これらのところは組織がえをするだけで、その職員は事業の進展につれて漸次ふやしていけばいいわけでございます。
それから、いままで十分の職員がいなかったところがこれからこの充実を行なうという場合には、これは新たに地方住宅供給公社が人を募集して集めるというのが原則でございます。しかし、私どもも実際のこの公社の円滑なる運営を考えますと、やはり住宅供給その他について相当の経験があり、かつ、実力のある地方の公務員がこの公社にも容易に行き得るように、共済組合法の施行令の、政令の一部を改正いたしまして、地方公務員とこの供給公社との間に人事の交流ができて、共済年金等が通算してもらえるというような制度をつくりたいと考えまして、いま関係庁と、その相談をいたしている次第でございます。これができますと、若手の地方公務員の人も、要所において、この供給公社の仕事を手伝うことができるということが可能になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/33
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034・瀬谷英行
○瀬谷英行君 役員の問題なんですが、現在の住宅協会とか住宅公社とか、そういう組織の代表者としては、知事とか副知事とか、こういう人が代表におさまっているという事例がかなりあるようなんですが、この公社ができた場合には、たとえばそういう公務員が兼務しちゃいけないとかいいとかいう規定は別にないようなんですが、代表者に従来のような知事とか副知事のような人が据えられてもかまわないものなんですか。この役員の点はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/34
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035・尚明
○政府委員(尚明君) 役員の欠格条項におきましては、この法律におきまして、第十五条で規定いたしております。これは、この公社と工事の請負とか物品の購入等につきまして密接な関係のある者が役員になれない、こういうことを規定しているわけでございます。そこで、いまお話がございました現在の公社、協会が、知事、副知事等がその理事長等を行なっている例が多い、それは実態として事実でございます。私どもとして、この法律の上からは、その現状のような知事、副知事が、新しくできました地方住宅供給公社の理事長になることについて、これを妨げてはおりません。それから現実の実態といたしまして、いまの段階では、そういう併任等があっても、特に支障等はないものと考えておりますが、少し長い目で大きく考えますと、だんだんこの公社が拡充して、実際の仕事を行なっていく量がふえていく等のことを考えますと、やはり専門の理事長等を置くことが適切と考えますので、これは法律の上には書いてございませんが、行政指導としては、それぞれの府県の実情等に応じて、漸次専任の理事長のほうへ移行するように行政指導いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/35
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036・瀬谷英行
○瀬谷英行君 役員の欠格条項でいうならば、具体的には建設会社の社長さんのような、たとえば熊谷先生のような、こういう人はなっちゃいけないのだ、こういうふうにとれるわけですね。それ以外は、ことさらに、たとえば議員がなっちゃいけないとか、知事がなっちゃいけないとかいう点は書いてないわけですね。そういう点は、今後の指導としては、いままでの住宅協会といったようなものは、いささか名誉職的な意味もあって、会長とか理事長とかいうのに、相当知事あるいは市長といった人がなっているようですけれども、今後は、一つの法人としてこの仕事に専任する人間が役員となることが望ましいというのが建設省としての指導の方針になると、こういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/36
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037・尚明
○政府委員(尚明君) さようでございます。事業が大きくなるにつれて、理事長の職務も非常に重要になってまいりますので、さよういたしたいと考えるわけでございます。しかし、今日、副知事、知事等が理事長になっているのは、たとえば対外的信用とかいうような問題で、相当その意味で効果もあるわけでございますので、急にそういうふうに入れかえをするということが必ずしも適切とは考えておりません。法律の上には、在来どおりでもよろしいことにいたしまして、漸次事業の拡大等につれて、いまお話のあったような方向へ持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/37
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038・瀬谷英行
○瀬谷英行君 土地の収用権を認めるということで宅地の取得を容易にするというのが出ておりますけれども、現在まで土地の収用権をもって宅地の取得を容易にしたという実績が一体あるのでしょうか。土地収用法の改正も行なったわけなんですけれども、各地でやはり宅地の収用といったようなことは相当トラブルを起こしております。土地収用法の実績としては、今日まで、収用法の改正以来、相当、件数としては上がっているかどうか、その点お伺いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/38
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039・尚明
○政府委員(尚明君) いままでは住宅地について土地収用法を適用して収用した例というのはあまり多くございません。また、在来の民法法人である住宅協会、公社等がやった例はほとんど皆無に近いと思います。しかし、地方公共団体自身は、在来からも土地収用法による収用の主体になり得る収用の権限を持っていたわけでございますので、これにおきましては、例はそれほど多くございませんけれども、収用法の手続によって土地収用を行なう、あるいは収用までいかない前に話がついて買うといったような例はございます。たとえば千里の丘陵開発等におきましても、大阪府としては土地収用法の手続をとって土地の取得をしようというふうに、一部買い残った土地等においては、努力をしていたことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/39
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040・瀬谷英行
○瀬谷英行君 私は一時間たったからやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/40
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041・田中一
○委員以外の議員(田中一君) 要は、この法律を提案した根本的な理由としては、どこにねらいを、ピントを合わしたらいいのか教えてほしいと思うんですよ。御承知のように、住宅金融公庫の資金を原資とする住宅供給事業を行なっている団体は、全国に数十ございます。都道府県、市町村に及んで数十ございます。これらのものを乱立しちゃ困るから一応整理をしよう、あるいは不十分な業務を営んでいるものもいるから、この際少しきれいにして単行法によって監督権も十分できるような形に持っていこうというねらいできているのか。あるいは現在あるところのこれらの供給団体を強化して住宅金融公庫の持っておる窓口、業務範囲を広げてその支所、出張所的役割りを果たさせようとするのか。その点の立法の最初の考え方というものはどこにあるのか、ひとつこれ、小山さんに聞いたほうがいいと思うのだが、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/41
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042・小山長規
○国務大臣(小山長規君) この供給公社というものをやろうと考えましたのは、一つには、いま現在の法制でいきますと、県宅金融公庫から金を借りて持ち家を建てる制度はあるのであります。あるのでありますが、中堅層の人たちがそれじゃそれを利用できることになるかというと、なかなか実際は困難でありまして、これにはいろんな理由がありますが、たとえば土地の取得がなかなか個人としては困難である、そこでまた、勤労者でありますから勤務時間中にむろん行けませんから、日曜なら日曜に土地をさがしに行く、なかなかうまい土地が見つからないという問題もありましょう。それから、最初まあ普通の金融機関に頭金を積み立てて見て、三十万あればよかろうとか五十万あればよかろうと思っておったのが、さて実際その頭金をもとにして住宅公庫から金を借りて建てられるかといいますと、土地が非常に上がってしまっておったり、それから住宅金融公庫のいわゆる貸し付け割合というようなことがひっかかったりいたしまして、実際問題として、せっかく自分の家を持とうとした勤労者も、むしろ自動車を買ってしまえというような気風になりがちである。そこで私は考えまして、中略階層の勤労者に持ち家を計画的に持てるという一つの夢を与える必要があるのじゃないか。それには一体どういう仕組みにしたらよかろうというふうに考えまして、いろいろ事務当局に命じてやりましたところが、こういうような法律案になったわけであります。したがいまして、このねらいは、まず第一は、勤労者が計画的に積み立てをして、そうしてその積み立てで——積み立てをする人が相当たくさん出てくるわけでありますけれども、そのたくさんの人たちが積み立てをしたもので土地の先行取得をまずやる、むろんそれだけじゃありませんが、そのほかに供給公社自体がつくる資金もありますけれども、そういう土地の先行取得をやって、そうしてそこに集団的な一定の規格の住宅をつくることができれば、比較的個人個人が自分自分でつくるよりも安くできますから、そういうひとつ仕組みをつくってみたい。それからもう一つは、そういう積み立て金をしますについては、協同組合とかいろいろなことを考えてみたわけでありますけれども、やはりこれは、積み立てた人が——この法人ならば自分たちが積み立てた金はむだにならぬだろう、また、それが返ってこないというようなことはないだろうというふうな信頼性のある団体でなければならぬだろうということで、そこで、まあ地方自治体が所掌する団体に積み立てをしてもらうということを考えたわけであります。
もう一つは、その中堅階層の勤労者が、せっかく頭金を積み立てましても、さっき申し上げましたように、地価が暴騰してしまって、最初は三年で五十万円とか五年で百万積み立てれば自分の持ち家ができるというふうに楽しみにしておったのが、実際はそういうことができない、実際積み立てが終わったときには、もう土地なり建築単価が上がってしまって、実際には土地、建物が入手できないということになっても困りますので、そこでその点は一体どうするかと考えたわけであります。その点は、これから供給公社が始まりますと、たとえば東京都の供給公社、神奈川県の供給公社には、全体が二万戸ですから、二万戸で来年から再来年と三年間で最低は六万戸ぐらいはいいわけでありますが、五年間でいいますと、十万戸ぐらいは計画が立つわけでありますから、最低といたしましても計画は立ちますので、そこで、そういう全体の数の中で、たとえば東京都には、大体持ち家を必要とする人たちのおよその数字も推定できるわけでありますから、その割合で東京都は幾ら、京都は幾ら、宮崎は幾らというふうな割り当てを一応考えまして、たとえば五カ年間にこれだけの住宅は建てるのだ、その計画を立てなさい、立ててください、こういうふうな指導をし、同時に、その人たちが積み立てを終わったときには、住宅供給公社は確実に相当する資金を貸し付けるという約束といいますか、そういう約束といったほうがいいか、ともかく当てになるということが確実でなければなりませんし、そして積み立てが終わったときには、住宅ができておって、そしてそれに入っておって、そして分譲代金を納めていくと、こういうふうにならなければなりませんので、その点を一体どうしようかと考えまして、その点は大蔵省との間に、大体の計画を建設省と大蔵省がきめておきまして、そして先ほど申しましたような東京都とか、宮崎県あるいは岩手県はどう、というような割り当てをしましたならば、その供給公社が三年後あるいは五年後に供給する人員は、そこでまあ大体確定するわけでありますから、それを募集をする、これは一般募集をするわけでありますが、その一般募集で計画の人数に足りません場合は、いろいろ方法がありますが、オーバーした場合には、たとえば抽せんその他で一定の数に限りまして、そして供給公社の積み立てでやってもらえば、そういうふうなやり方をすれば、積み立てをした人は必ず住宅金融公庫の資金が、借りられて、そして住宅が建って、そして積み立てが終わると同時に自分たちも入れると、こうなりますので、そういう仕組みにひとつしようということで、今度の供給公社法案をつくったわけであります。
でありますから、いま法律案の全文は、いま私が申し上げましたようなことになるようにこの法律案はでき上がっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/42
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043・田中一
○委員以外の議員(田中一君) そうすると、いまのお話を伺うと、現在の既設の機関よりももっと信用度の高いものにしようということが一つと、それから入居志望者は、金を持っている者に貸すのだということが第二のあれだ。金を持っている者に貸すのだ、したがって、相当な給料のいい者だけが選ばれると、書類審査の上選ばれると、これはやっているのですよ、現在。現在でもやっているのです。ここにあるのは六十か七十かありますが、この公社、公団は全部その業務を営んでいるのです。ただ違うところは、貯金の受け入れと、それから収用の行使ができないということになっているのにすぎないのであって、強化をしようとするつもりで考えたのか、あるいは整理をしようとするつもりで考えたのか、どっちかということを聞いたのです。あとの業務範囲というものは、建設大臣が言っていることは全部やっているのですよ。現在やっているのです。かりにその中でもって支障があるならば、どういう支障があったかということを伺いたいのです。だから問題は、現在あるものをどうするかということに結局あとの質問はくるわけですけれども、いたずらに一つの地域で信用され、秩序を持っているものを統合するのか、あるいはそれぞれの既得権を認めようとするのか、それが明らかでないのです。たとえば、大きな府県はいいですが、小さな町でも、小さな県でも三つ四つ持っているところがあるんです。村が持っているところもあるんです。むろんこれは五十万なんという村はございません、そんなものは大都市ですから。そうでないものもある。これらのものを全部つぶすのかどうか。つぶせといって命令しなくても、融資をしませんよといえば簡単につぶれてしまいます。こんなことは簡単なんです。あなたのほうには融資をしませんよ、一つのものにできますか、できたらいらっしゃいといえばつぶれてしまう。しかし残るのは、いままでの原資を住宅金融公庫に求めて何年間か行たっているものの業務は残るわけなんですね。そういうものを悪い声があっていけないからこうするというのか。ただいたずらに組織いじりのような傾きがあるのではないかということを私は心配するわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/43
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044・小山長規
○国務大臣(小山長規君) 法律制度の上では、今度のねらいは、積み立て金を受け入れることができるという点が一つと、一方には、その法律上の権限としては収用権が発動できる、この二つの特徴であります。同時に、それじゃいままでの既存のそういうような団体はどうするのかという点は、これはたびたび住宅局長から申し上げておりますが、いままで住宅金融公庫が貸し付けておったようなところ、これは信用のあるところでありますから、そういう団体の金融を奪うという気持ちはさらさらありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/44
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045・田中一
○委員以外の議員(田中一君) 住宅金融公庫は、これらの団体に金を貸しているんじゃないんですよ。私が理解している範囲では、現在はどうか知りませんが、募集、建設、引き渡しまでの業務を行なって、したがってそれを行なう以上それには資金がかかります。それには先に建設までの融資をしてやろうといって融資をしています。そうして建物ができ上がると——これは供給公社ですからね、分譲の場合、でき上がった場合には、住宅金融公庫と、そのでき上がった建物を入手をして長期の分譲支払いを行なう人たちの間は新しい契約が結ばれて、公社がかりにもし頭金というものを貸し付けているなら、頭金を回収するまで頭金部分の業務は残りますが、本人が頭金を出した場合には、全部住宅金融公庫のすべてのものは移管されてしまう、何も関係ないんです。というのが、いままでの地方が持っている公社の営業の業務の実態のわけなんですよ。だから、建て売り業者なんです。建て売り業者にこれは地方公共団体が資金を幾ら出すか。大体の資金というものを見てみますと百万円か二百万円というところもありますし、あるいは一千万、一千万というところもあるし、また東京都のように、十億、二十億というものを国の予算から支出をしているところもあります。また、一般市中銀行から資金の融通を受けて、住宅金融公庫から資金が借りられるまでの業務を営んでいるものもございます。したがって、単なる請負業者なんです。これは下請なんです。下請じゃ困るから、 これの形態を立法化して、ほんとうに政府が持つところの住宅供給事業というものに対して一つの役割りを果たすというならば、政府自身が相当たる決意をもってこれに当たらなければならないんです。ただ単に設立業務だけ、設立の責任だけは、地方公共団体の出資によってでき上がったが、あとは、住宅金融公庫の金の融資だけでは、これはまかない切れないのです。したがって、現存するところのこの諸団体というものの実績はどうであるか。地方公共団体がこれを出資する、その上に、政府としてどのような力を加えようとするのか、その点がどうもはっきりしないんですよ。あるいは、今後これができた以上、住宅金融公庫の融資——予算に組んであるところの資金のうち、たとえば東京都住宅公社、今度の新しい公社ができたとするならば、おまえさんのほうには今後五十億ずつ毎年金を貸す、資金を貸すから、その資金の回収一切までおまえのほうでやりなさい、こういうことになるならば、そこに自主性があります。住宅金融公庫はしょせん住宅金融業者なんです。そして、その下請機関であるところの公社というものが現在あるけれども、これを単行法で法制化することによってだれがどういう得をするかとなりますと、国民というものが一つも得をするような前進の姿ではないのではないかというような心配を持つわけなんです。そうして、その上、金を持てる者だけが申し込みの資格があり、またかつ、支払い可能だという見込みがはっきり立っている者だけが、ほんとうの割り当てを受けるということになると、これは何がために、現在あるところの組織をゆさぶってまでも、このような組織形態をつくらなきゃならないかということに、非常な疑問を持つわけなんです。特別に住宅金融公庫の特ワクというものを別に持って、これはここに年間五百億のものだけはこの公社、公団に貸し、その場合には、五分五厘の金利であるけれども、もう少し安くする。そうして一般国民に対しても十分充足する、あと二千億程度のものは、公社の貸し付けに対してふやす。そのうちの中間層に対しては、あるいは、かつての住宅金融公庫から資金を受けてつくったうちは小さ過ぎるから、その人たちは今度は、これによってよりよいうちに転居なさいというようなことでくるならば、相当大きな前進の姿なんです。ただ現在あるものをちょこちょこと法律をいじって、貯金の受け入れをさせましょう、場合によっては収用権まで与えましょうということだけでは、住宅政策の根本的な前進になっておらないのです。私はこの点でもって非常に疑問に思っている。ただ消極的な面から見た場合には、どうもあまり数々のたくさん、同じ県に四つも五つもできると、先ほど瀬谷委員からも質問があったように、地価の高騰に拍車をかける窓口だということになるのです。ふやし過ぎるのです。ふやし過ぎれば必ず競合するのです。こういう性格のものが、住宅金融公庫は貸し付け業務並びに資金の回収の業務しかやっておりません。実施機関として建設省における地建的役割りを持たして、これに仕事をさせようというならば、これらの能力を全部統合して、そうして地方に散在する住宅金融公庫の支所を改編して、実施部門という形を持たしてやるならば、たとえば土地の買収にしても、おのおのがおのおのの業務を伸ばすために競合して土地取得に狂奔することがなくなるわけなんですよ。住宅政策はことごとく一元化することが望ましいのであって、多元化することによって、たとえば岡山県と広島県の境における土地の価格なぞは、岡山地区で高く買った場合に、広島県内の行政地区においても、それに足並みをそろえて上がってくるものなんですよ。こういうことに対する何らかの規制でも持つか——持たない、何もないんです。これは。何もない内容なんです。現在やっておって、いまでもない。これはもう少し前進すればまだいいです。そして建設大臣、あなた御存知じないか知らぬけれども、現在の住宅公社、協会は、六%ないし七%の手数料をとっておるのです。いいですか。住宅金融公庫からじかに借りますと、そのような手数料ございません。この機関を経ますと、なるほど、市中銀行その他地方公共団体の資金を借りてやった場合、市中銀行の金を使った場合ですね、七分の高い手数料をとっている。この手数料というと、はたはだ誤解があるが、内容には設計の原案料とか立案料とか、あるいは中間的な支払いの金利とか、あるいは公社、公団の従業員の賃金、生活費が入っていなければならない。当然これは金貸しの手先ですから、それでもって生活したければならないのですから、どうしてもそれも必要です。これではたしてほんとうに国民に対する前向きの住宅供給事業かということになると、これは相当大きな疑問がございます。それならば、金利を特別に安くする、この機関に来る場合には、従来ともに木造その他のものでも五分五厘で貸しておるけれども、四分五厘にして、その一分というものは、その経費を住宅金融公庫が負担をしようというならばいざ知らず、住宅金融公庫から借りる資金の金利よりも手数料的なものが六分ないし七分とられるのですよ。これがほんとうに前向きの国民大衆に対する住宅供給機関とは言えないというのが、私の見方なんですね。もしも消極的に見る場合には、乱立しているところのこれらのものを整理統合して、そうして、よりよい経費の節約をして、国民大衆に対して安い手数料であっせんをしましょうという程度のものならば、これはまあ一応認めてもいいのではないかというような見方をしているのです。私はこんなこと、大きな声で言うのは、おそらく、われわれ同僚の議員、知らないのじゃないかと思う。同僚の議員も知らないのじゃないかと思う。尚局長からの説明を聞いていると、なかなかいいように思うけれども、実態というものは、住宅金融公庫からじかに借りる金よりも、六%ないし七%の手数料を余分にとられるという機関なんです。自分の意見ばかり並べたのでは悪いから、そこで建設大臣は、私の思うことに、尚局長にしても私に抗弁できないと思うのです。長年どうすべきかを私も考えております。おそらく、尚君は局長になってまだ、二年くらいになったかな、ぼくは十五年こういう問題でもって前向きに一生懸命苦労している。これは私、社会党議員だからじゃないのです。国会議員として何とか住宅問題を解決しようとしている。だから、あらゆるものを献策しています。政府に。私は派閥や政党政派に関係しておらないのです。そこで、いま私が質問したことについて答弁をしにくいでしょうから、答弁できないならば、今後、私が申し上げているような点について、どのような前向きの方法で善処しようかという点について伺っておきたいのです。個々の問題に対して、おそらく答弁できないと思うのですよ。全体の、将来の問題をどうするかということです。この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/45
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046・小山長規
○国務大臣(小山長規君) これは先ほど申し上げましたように、この供給公社でもって住宅政策を解決しようというような、そういう大きな構想でないことは、御指摘のとおりであります。ただ、実際問題としては、住宅金融公庫から個々の人たちが金を借りてやるよりも、はるかにこのほうが合理的であるという点は言えると思います。同時に、やはり積み立ては、これはどこの金融機関でもいいわけなんです。ほんとうは、本来ならば、それは市中金融機関であろうが、信用金庫であろうが、相互銀行であろうが、自由に積み立てて一定の金額になったときに、金融公庫から融資を受けて借りることはできるわけなんです。できるわけでありますが、しかし、やはり一方において住宅の宅地の取得、それから住宅の建設というものが進んでいきませんと、実際問題としては、これは残念なことですけれど、地価をそうチェックする方法手段というものは非常に困難な今日においては、実際問題としては、せっかく貯金をしてみたけれども、頭金に足りなかった、また、頭金を借りてきても、家を一軒建てるだけの資金にならなかったのが実態でありますので、それを何とか排除したい。こうするにはどうしたらいいかというような発想から実はこういうことをやりましたということは、もう田中さんは百も承知の上でお聞きになっているのでありますから、申し上げます。
もう一つは、日本住宅公団の支所をあちこちにつくったらどうだという点もありますけれども、これもまた、そんなにたくさんの公団の支所をつくれば、公団の人件費もいろいろかかってくるわけであります。その点はやはり、地方に一番なじみのある人たちでつくる公社のほうが、土地の取得も容易にいくであろうし、あるいはまた、いろんな運営の点においもうまくいくだろうという前提で、という考え方から、いま供給公社をつくることにいたしましたが、なお、先ほど田中先生が言われました関係で、少しわれわれのほうと解釈が違う点もあろうかと思いますので、その点ちょっと住宅局長から補足させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/46
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047・尚明
○政府委員(尚明君) 先ほど田中先生のお話の中で、在来の住宅協会、公社が住宅を建設するにあたっては、住宅金融公庫から融資は受けるが、でき上がったときにすぐ公庫融資との契約に入居者との契約を切りかえて、そこでもうこの公社は責任を免れて、一種の建設トンネル機関であるというふうなお話がございましたが、発足当初は確かにそういうような方法でやっておりましたが、最近アパート等の建設をいたしますと、当然共同住宅あるいは集団住宅として、いろいろ共通の道路や何かを使うことになりましたので、これは全部所有権をばらばらに持たすことは必ずしも適切ではないことが多うございます。したがいまして、ただいまでも共同アパートのような場合は、現在の公社自身が公庫と契約して、責任者自体となって、さらにそれから公社が個人と契約いたして、すなわち、割賦金等は公社の責任で、あるいは協会の責任で集めて、まとめて公庫に支払うというような制度を開いて、数年来、大都市のアパート等はそういう管理をいたしております。これは当然その結果、管理上の責務が公社にあって、入居者に対するサービスは公社が当面に立ってやるということになっております。今後も、この公社をつくりまして分譲住宅等を供給するときに、当然そのあとの管理上の問題というのは、住民に安心して住んでいただくために重要な業務になろうと思います。そのやり方はいろいろありまして、いまのように、所有権がそのまま公社にあって、公社が責任を持って管理し、割賦金をまとめて公庫に持っていくという方法と、それから先ほど田中さんが御指摘になられましたように、所有権だけは一応肩がわりして、公庫への割賦金は個人が直接公庫へ払うというようなやり方と、両方が並列すると思いますけれども、その場合でも、その共同部分。管理の責任というものは、当然この公社が一応当面の責任者にならなければならないと思います。そういう点におきまして、今後この公社は——そもそも公社法をつくって、それを設立いたします第一の動機としては、積み立て金の受け入れというような預金業務の必要上、こういう特別法をつくったわけでございますが、あわせて、在来の公社を強化いたしまして、いま申し上げましたような住宅供給として、また、その管理として、責任ある体制をつくらせていくように、行政指導してまいりたいと考えております。そのために、知事の監督あるいは建設大臣の監督というようなことが、この法律の中に明記されて、在来は建設省が直接いろいろな指導をするというような面は比較的少たかったわけでありますけれども、今回、厳重に取り締まったりなんかするということは別に考えておりませんが、前向きに国民のサービスになるような面の指導は、この法案を通じてずっとやりよくなったし、また、そういたしたいというふうな所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/47
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048・田中一
○委員以外の議員(田中一君) そうすると、賃貸住宅は当然そうしなければならないのだが、この所有権はもう公庫に移るのでしょう。賃貸だけれども、所有権だけ公庫に移って、管理権だけが委任されるのでしょう。公社、協会が全然自分の所有として管理権を持っておるのですか。管理権はあるけれども、所有権そのものは公庫のほうに移してくるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/48
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049・尚明
○政府委員(尚明君) 所有権について二つございます。たとえば賃貸住宅の場合は、所有権はこの地方住宅供給公社が持っております。これは在来とも同じです。入居者は単なる公社から——単なると申し上げては恐縮ですが、公社からの賃貸人として家賃を払うわけであります。
それから、それを建てますための建設費につきまして、公庫が債権者であり、この地方公社が債務者になるわけでございます。公庫には担保はとられておりますが、しかし、所有権はこの公社にございます。
それから分譲住宅には二種類できると思います。一つは、その分譲アパートの所有権は公社にあって、そうして住宅金融公庫に対する債務者はこの公社自体である。公社はその入居者に対して分譲金をとり、それをまとめて公社から公庫に払っていく。そうして、払い終わったときに初めて公社から個人に渡すというやり方のもの、これが一つ。それから、特に一戸建て等のときに使います方法といたしまして、建設されまして入居者がきまりましたら——その建設するまでの資金は公庫から公社が借りて建てて、その部分は公社の借金になっておりますが、その借金を、今度は買った方に肩がわりをいたしまして、その買った個々の人が公庫と契約して債務を支払っていく。この場合は、公社は所有権が抜けてしまいます。そうして、ただその場合でも、共通の道路やなんかの清掃その他いろいろなことを管理するという問題だけが残るというふうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/49
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050・田中一
○委員以外の議員(田中一君) 賃貸住宅に入居した場合に、公社の——新しい公社ですよ、永久に公社のものになるのか。住宅金融公庫のたてまえというものは、やはり資金の回収というものでなければならぬと思う。御承知のように、年金福祉事業団は、賃貸料という形で分譲金を払って、そうして本人のもになるという形式をとっております。これも変なものでありますけれども、割賦金を賃貸料という名前にして一定期間これを払い、それが完済すれば本人のものになるという仕組みをとっております。今度の供給公社は、その資金を住宅金融公庫からの融資を受けたこれは賃貸住宅ですよ。受けたというものが永久に残っていくのか、あるいは、ある期間でその建設資金というものを返済した場合には、それは公社の所有になるのか。また、公社の所有にならないような安い賃金で貸すのか。これは何でもない公共事業として見た場合には、投資と、それからその金利並びに諸経費というものが出れば、これは永久に持ってもかまわぬわけですから、そういう形になるのか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/50
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051・尚明
○政府委員(尚明君) 公社の所有及び公庫との債務の関係等について御説明申し上げますが、まず賃貸住宅、つまり、貸し家として経営するもの、これは住宅金融公庫から公社がお金を借りて建設いたします。そうして建設されたものは当然公社の所有でございます。ただ、公庫に対して債務がございますから、公庫に対して担保をとられております。そうして自分の所有のアパートを、募集して賃貸をいたします。で、賃貸料をとっております。その賃貸料をとって、その場合に、その賃貸料と公庫の債務とは、一応私どもは公庫の債務を払ってさらにお金が相当残るような営利的な業務をやってはいけないというふうにいたしておりますので、おおむね賃貸料をもらったそのままのお金を公庫へ返していくというようなことになります。その返すのは、出然大家である公社の責任でやるわけでございます。そうして、これを三十五年とか五十年とかで払い終わりますと、当然公社はもう担保も抜けた完全な自分の所有になるわけでございます。その後も、賃貸住宅でございますから、公社はあくまで賃貸住宅で一応経営していくものと思います。まあ、その当時の社会情勢でもって、これは賃貸住宅としてずっと経営してきたが、売ろうじゃないかというような問題がそのときに起きますれば、これは経営の変更で別の問題ですが、いまのたてまえでは、あくまでも賃貨住宅として経営していく、こういう考えでございます。
次に、分譲住宅のほうでございますが、分譲住宅は、先ほど申し上げましたように、二種類ございます。すなわち、公庫からのお金を借りて建設し、そうして所有権を公社がそのまま持ったまま分譲を行なうわけです。この場合は、やはり分譲代金といって入居者からとっております。で、分誤代金を完済したときに所有権を移すという契約をいたすわけでございます。これは鉄筋コンクリートアパート等で通常使っている方法でございます。それからいま一つは、所有権を直ちに個人に移します。そのかわり、公社が持っていた債務もあなたのほうで引き継いでくれということで、買われた個人は公庫に対して債務を持つというふうに、つまり、債務の切りかえでございます。そうして割賦金を払っていく、この二つがございます。この場合、公社は所有権がございません。こういう方法でやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/51
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052・田中一
○委員以外の議員(田中一君) どうも尚君、片しいね。だって君、たとえば賃貸住宅が公庫に対して建設費を、何年かかるかもしれないけれども、回収はこれは三十五年とか書いてある、完済した場合に、完済すればそれは公社のものになりますというような、公社のものにしたいで、居住者のものにしたさいよ、居住者のものにするのはあたりまえですよ。中間で仕事をしていたところの公社のものになるなんという考えがおかしいのであって、完済した場合ですよ、完済した場合は、いいですか、何年か知らぬが、公共事業というものは、住宅供給という国家的事業は——まあ、もっとも、自由経済のいまじゃ、そこまで踏み切りはつかぬだろうけれども、家賃で完済するという形であっても、完済は完済なんですよ。それが永久に公庫と公社の間には債務関係は残るのだという前提ならば、これはよろしゅうございます。家賃が安いだろうからよろしゅうございます。金利、経費を含めたものが。ところが、そうじゃなくて、何年かたったら、元金は返しちゃうんだ。元金返して残ったものは、浮いてくるものは公社の所有になるというのは、これは片からやっているいわゆる家主の経営方針なんです。私は、それこそすべてのものは、国から出ておるところの税金の資金というものは、これは全部完済した場合には、そのものは個人のものになるという考え方に立ったほうが、どのくらいいまの政府、自民党さんは手柄になるかわかりませんよ。これはおかしいですよ、そういうことを考えるのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/52
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053・小山長規
○国務大臣(小山長規君) ちょっと誤解があると思いますが、分譲するほうは積み立てをした者に全部分譲するわけなんです。ですから、これはいまの賃貸問題と関係ありませんから、これは一応話の外に置きますと、賃貸住宅があるじゃないかとおっしゃるのですが、賃貸住宅は、別に賃貸するための金を公社が借りてきた場合に賃貸住宅が起こるわけです。あるいは地方公共団体から金を借りてきたりしました場合に、賃貸の問題が起こります。なぜそんなことをするのかといいますと、分譲住宅となりますと、やっぱり相当な給料取りで中堅以上の人でないと払えないような月賦代金になるわけですね。ところが、それだけを払えない人がおるわけですから、そこで、その分は賃貨住宅にして安い家賃で貸してあげるということをしなければなりません。そうして、その安い家賃をどうするかというと、これは技術的な問題ですから、あとで局長から説明させますが、要するに、償却期限と返済期限とを合わしていけば一冊安い家賃で貸せるわけですから、そういうようなことで、償却期限が済んだときに公庫からの借り入れ金も返済されておる。むろん、それからあとの残存額があるわけでありますから、残存額はどうするかということは、先ほど尚局長が言ったとおりでありますが、そういう趣旨ですから、そういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/53
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054・田中一
○委員以外の議員(田中一君) 金融公庫法には——これ金融公庫法なんです。そこで、住宅公団は建設して賃貨をするという形もとっております。償還は要らないんです。住宅金融公庫の場合には、そうした意味の——法律のそうしたものがいつ変わったのかな、尚君、ちょっと説明してください、条文で。しょせん、住宅金融公庫は、立てかえた金は返してもらいますよというたてまえでできておるわけです。いいですか。だから、今度の供給公社ができて、供給公社が借りた場合には、そっくりこれを返せば、これは個人のものになるべきはずであります。しかし、住宅供給公社というものができて、これが家主的役割りを果たすというならば、これもまああなた方のほうの政府としては、それはいまのような答弁するぐらいでしょう、それは——と思いますよ。しかしね、現に年金福祉市業団では、これは尚君も知っておるとおりだ、家賃的な形で分譲金を払って、そうして、これが全部完済した場合には個人のものに移るのだというたてまえでやっておるんです。それとこれと比較いたしますと、これは相当新しい家主階級というものを、家主団体というものをつくることになるのであって、これは住宅金融公庫法の精神ではないと思うのです。私は住宅金融公庫法の審議をずいぶんやっております。したがって、その精神でないと思うのです。やはり今日でも、はっきりと住宅金融公庫には借りた金を返すというたてまえでやっておるんではなかろうかと思うのです。その点はどうなんです。ぼくは法律の解説を忘れたのかどうか知らぬけれども、その点もう一度説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/54
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055・小山長規
○国務大臣(小山長規君) こういうことになるのじゃありませんか。賃貸住宅の場合は、家を建てて、そうして、その家賃を幾らにきめるのか、これはなるたけ安いほうがいいわけであります。いわば中堅階層以下の人ですから、安くしようとしますと、一体、何年間でこの建物は償却できるのか、あるいは、その元利に何年間で償却できるのか、それで金融公庫に返す期限内で償却するものとして家賃をきめるのか、あるいは、もっと、金融公庫の金を返してから後、十年ないし十五年後に、なおかつ残存価格、貸し家としての寿命があるものとするならば、十年ないし十五年間なお貸すのだという前提で、さらに安い家賃にきめるのか、家賃のきめ方できまると思うのです。ですから、おっしゃるように、もし家賃が終わったら、おまえにこの家の所有権は移してやるんだという約束のしかたもあろうと思うのですが、その場合には、あるいは家賃は高くなるかもしれない。ですから、そこのところは見合ってやらなければならない問題であって、私が先ほど申しましたのは、分譲となりますと、月賦の支払いが高くなりゃせぬか、そうして借家のほうが安い家賃で借りられやせぬか、この見合いの問題でありますから、ですから、おっしゃるようなやり方もあるかもしれません。この点は、私はそういう方面の専門家ではありませんから、いまはただ理論的に考えられる点を申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/55
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056・尚明
○政府委員(尚明君) この住宅金融公庫法の第十七条で、いろいろな場合に貸し付けられる事業及びその対象を書いておりますが、この中に明かに、第十七条の一項三号に、「自ら居住するため住宅を必要とする者に対し住宅を建設して賃貸する事業を行う会社その他の法人」に貸し付ける。第四号で、「自ら居住するため住宅を必要とする者に対し住宅を建設して譲渡する事業」となっております。すなわち、賃貸しようとする事業を行なう場合及び分譲しようとするもの、両方に貸し付けられることにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/56
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057・田中一
○委員以外の議員(田中一君) 当然賃貸をするのにも貸しております。それはどこまでも国民でございます。こうした公共性ある公社がですよ、そういう財産を取得する、結果において取得するなんというのは、公共団体じゃございません。公共事業としては、それらのものを、そうしたいつの間にか、国民から家賃をとって、財産が残るのだというのは、いわゆる家主です。これは家主の思想です。だから、貸すなら当然貸してもいいですよ。公社の場合にはこれはいけないと言っているのです。おかしいではないかと言うのです。個人の場合には、自分の土地というものを提供して、相当の教提供して賃貸する。そうして、いわゆる住宅金融公庫の——個人はともあれ、住宅の建設供給ということが、これが主眼でありますから、それは一向差しつかえございません。しかし、公社が行なう場合には、そのような、かすのようなものが、財産が残ったんでは、これはどうも庶民大衆に対する住宅政策というものにならないで、新しい家主階級をつくるというようなことになるのではないかということなおそれるわけなんですよ。その点は幾ら条文で言ったところが、それは尚君だめだよ。だから、これはここで答弁したって、君、これから業務方法書がどういうことになるか知らぬけれども、そういう形のものは何とかやめるようにしてほしいと思うのだな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/57
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058・尚明
○政府委員(尚明君) したがいまして、賃貸住宅をする場合の貸し付けと、分譲住宅をするときの貸し付けとは、条件を異にしておりまして、賃貸住宅は、公共的に安い賃貸住宅を供給するのが業務でございますから、たとえば鉄筋コンクリートのアパートにいたしますと、五十年というように長くして、もうおおよそ五十年も管理しておりますれば、まず家としては建てかえの状態になるわけでございまいます。そういうことで、わずか十年くらい貸したあとはもうけなさいなんというような供給をしているわけではなくて、当然建てかえなくちゃならない年限一ぱいまでの年限で貸して、それで計算以上の家賃をとってはならない。したがって低家賃になる。分譲のほうは、そういうことではなくして、もっと短くして、三十五年で売ってしまってもよろしいと、そういうふうにたって、これは短くたって所有権が移るというふうになっております。したがいまして、公共の賃貸住宅はすべて、建てかえの時期までをおおよそ想定して、長い割賦金にして、それに見合って家賃をとると、こういうふうに使い分けをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/58
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059・田中一
○委員以外の議員(田中一君) もう理事会で約束したという六時になりましたから、私はまだ質問がありますが、これで、まあ五分過ぎましたから、この辺で、ちょうど時間ですから、のどもかわいてきたから、留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/59
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060・中村順造
○委員長(中村順造君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/60
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061・中村順造
○委員長(中村順造君) 速記をつけて。
都合により暫時休憩いたします。
午後六時七分休憩
〔休憩後開会に至らたかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814149X02119650519/61
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