1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年五月十二日(水曜日)
午後一時二十六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 紅露 みつ君
理 事
大谷藤之助君
中野 文門君
北村 暢君
北條 雋八君
委 員
木島 義夫君
久保 勘一君
草葉 隆圓君
栗原 祐幸君
後藤 義隆君
丸茂 重貞君
林 虎雄君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
通商産業大臣 櫻内 義雄君
政府委員
大蔵政務次官 鍋島 直紹君
厚生政務次官 徳永 正利君
厚生省環境衛生
局長 舘林 宣夫君
通商産業政務次
官 村上 春藏君
通商産業省企業
局産業立地部長 馬郡 巖君
運輸大臣官房長 堀 武夫君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
説明員
大蔵省理財局資
金課長 竹内 道雄君
厚生省年金局資
金課長 出原 孝夫君
工業技術院総務
部技術開発官 金森 隆君
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本日の会議に付した案件
○公害防止事業団法案(内閣提出、衆議院送付)
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001・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。
公害防止事業団法案を議題に供します。
御質問のある方は順次御発言願います。柳岡委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/1
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002・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まず、最近の公害の問題について、全国的に大きな問題を巻き起こしておるわけでございますが、この公害というのは一体何かということについて、先般の本会議において一応、質問はしたの、ですが、明確な政府の答弁が出ておりませんので、まず政府の公害に対する定義についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/2
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003・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 公害の定義につきましては、まだはっきりしたものが確定されていないのが現状でございます。学者の意見の中には、特定または不特定多数の原因によって不特定の人が迷惑または損害を受けている現象を公害と言うというふうに主張されている方もいらっしゃいますが、このうち産業活動に伴って生じますいわゆる産業公害について見ましても、工場、事業場などの産業活動に伴いまして発生源から直接的に生じます大気汚染、水質汚濁、騒音、振動というようなもののほかに、間接的に申しますと、たとえば農薬の被害だとか、まあ嗜好品——たばこの害というものまで範囲に含める方もいらっしゃいます。まだ、こういう状態でございまして一般的な、定型化された定義というものははっきりいたしていない状態でございます。したがいまして、この定義につきましては今後まだ学者の方々の御検討もさらに願っているような状態でございますが、一般には私どもは産業公害としては、現象的に申しますと、工場等から出ますいわゆる水質の汚濁とか、あるいは工場から出ます煙によります大気汚染あるいは騒音、振動、悪臭、あるいは用水のくみ揚げに伴います地盤沈下、自動車排気ガス等によります大気汚染というようなものも含むものというように考えております。しかし、このほかいわゆる一般公害というふうなことで、たとえば家庭下水によります河川の汚濁というようなものも、広く申しましていわゆる公害全体というふうになりますと、そういうものも入ってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/3
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004・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 厚生省はこの公害の問題について、まず公害基本法というものを制定して、基本的な考え方と申しますか理念というものを確立をして、積極的に公害対策、公害の防止に当たろう、こういう考え方を前々から持っていたように伺うのであります。そしてまた、この国会にぜひともその法案を出して審議をしていただきたい、こういう話も伺っておったのでありますが、これがこの国会に出されなかった理由について、ひとつ大臣から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/4
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005・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまのお尋ねでございますが、公害対策を十分に立ててまいりますには、公害の実態をまずつかまなければならぬことは論を待たないところだと思います。公害とは何ぞやということになりますと、いま通産省の担当官からお答えがございましたように、なかなかまだ明確に学説もきまっておらないようでございます。ただ、私どもといたしましては、御承知のように公害というものは現に非常な問題を起こしておることでございます。大気汚染あるいは騒音、あるいは水質汚濁とか、その他いま述べられたような各般にわたって、その公害を起こしつつある現状にかんがみまして、できれば公害基本法というものをつくりまして、そしてまず公害の実態を把握して、そうしてそれが施策を立てていくということが望ましいと考えたわけでございますが、繰り返すようでございますけれども、なかなかそれにつきましては議論がございまして、これを解決するにはまだ相当の時日を要するのじゃなかろうか、こういうことでございます。しかるに、公害の実態は口々また時々刻々と進んでまいって、その被害たるや実にこれは放置できない、こういうような実情でございまして、そのほうがあと回しと申しましょうか、その前に公害の諸般の準備をし対策を立てていこう、こういうことで今回の処置に出たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/5
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006・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いま大臣も言われましたように、公害の問題は一日もゆるがせにできない、早急に手を打たなければならない問題だということからいっても、当然、政府はもっと積極的に、この公害防止対策というものについて基本的な考え方なりあるいはその姿勢をとらなくちゃならぬ、こういうふうに思うのです。ところが、現在の公害防止に対する行政機構というものを見てみますと、非常に各省にまたがっておりまして、ばらばらにやられているのではないかというふうに思うのです。したがって、その中心になってこの公害防止を推進していく機関がどこにあるのかということを、私は疑いたくなるのでありますが、政府はそういう点で、この公害防止対策の中心的なといいますか所管庁は一体どこなのか、このことを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/6
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007・神田博
○国務大臣(神田博君) 公害問題は、いまお述べになりましたように現に日々発生している問題、それから公害を事前にひとつ防止したい、たとえば新産都市とか工特地域の設置というものが現に行なわれておりまして、これらをそのままにしておきますと公害発生地域になること、これは明瞭でございます。そこで現に発生しつつある公害対策と、将来やがて発生しようとする公害対策と、両方あるのでございます。これを一体だれが主管してやるかということでございますが、総理府に公害対策推進連絡会議がございますので、これがいまのところ音頭をとってと申しますか、元締めになっておりまして、実際御審議願っております。公害対策を推進してまいりますのは、厚生省と——これは厚生省は国民の側に立って公害の防止をやっていく、また通商産業省は、大体公害の中心は工場、事業場等でございますが、この管轄が通商産業省でございますので、そこで両省の共管にいたしまして十分連絡いたしまして、その万全を期したい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/7
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008・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まだ、公害に対する基本的な定義なり、あるいは考え方といいますか、理念といいますか、そういうものがきまっておらないということでございますが、この産業公害の問題を一つとってみて、その場合に一体、公害防止のための考え方をどこに置くのかということをお聞きしたいのです。たとえばこの法案を見ましても、国民の生活環境の改善とか、同時に産業の発展、こういうことをうたっているわけです。したがって両方うまく調和させて——佐藤内閣のいわゆるキャッチフレーズじゃないけれども、調和させて推進されていけば問題はないと思います。しかし、いまのように統一した、中心となる機関が二つに分かれておるという場合には、やはりその省の力関係によってどちらかに傾くということも懸念されるわけですね。したがって、産業公害防止の理念といいますか、考え方は一体どこにあるのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/8
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009・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいまのお尋ねでございますが、これは私は、やはり公害対策というものは先ほども申し上げましたように、工場あるいは事業場等によって、生産活動を通じて出てまいりまするいろいろの公害を、ひとつ除いて、地域住民との摩擦をなくするといいますか、共存共栄をはかるということが、私はそのねらいだと思っております。そこで、極端なことになりますると両立できないというようなことであるならば、これは一体人間不在の問題になってくるわけですから、これは私は、やはり多少は地域住民が優先していく、地域住民を優先的に考えていく。そして、いかにして工場が調和するかというようなことが、やはり基本だと考えております。そういう観点に立ちまして、十分ひとつ通商産業省と厚生省とが提携して、いかにしたならば公害というものが未然に防げるか、あるいはいかにしたならば現在の公害が除却できるか。しかもそれは経済的に一体どういうことになるのか、ペイするのか、しないのかということが問題だと思います。しかし究極のねらいは調和の問題でございますから、調和はどこでできるかということがねらいでございまして、調和ができないのだということでありますならば、これは遺憾ながら工場というものはやはり手を引いてもらわなければならぬ、かようになるのであります。まあ、だいぶ科学技術も進歩してまいっておりますから、公害防除の問題につきましても、ある程度これは、そういうことについては十分の処置ができると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/9
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010・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まあ、いま大臣の言われたことは理解できるのですが、しかし、いままでの、たとえば、ばい煙規制法にしても、あるいは水質二法にしても、どちらかというと、同じような目的を掲げておりながら、まあ産業のほうを、工場、企業、そのほうを優先さしたような行政指導と申しますか、そういうことが行なわれてきているように思うのですね。したがって、先ほどから言われているような大きな問題になってきているというふうに思う。だからここで、こういう目的を掲げて、そしていま大臣が言われたように、国民の福祉、生活の向上というものを重点にしていくんだと言われても、やはりそれを監督指導していく所管庁が二つに分かれているということは、私はやはり、いま大臣の言われたような形での、適切な監督指導というものが、はたしてできるかどうか。やはり厚生省ならば厚生省が、これは国民の立場に立って、そして中心になって推進をしていくということが、私は非常に法の目的にもかなうし、また、そうなければならないことではないかというふうに思うのですね。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/10
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011・神田博
○国務大臣(神田博君) いまの柳岡さんのお尋ね、まあ御心配の点はごもっともと私も感ずるわけでございます。しかし、これはまあ行政が分かれておりますが、政府としては一体でございまして、やはり完ぺきを期するということになりますと、それぞれの機能を動員して、その最善を期するということが、これは行政のねらいでなかろうかと思います。いままでは、生産面については通産省が担当されておる。また当該地域の生活の実態については厚生省が担当してまいったんだが、その間のいろいろトラブルがあったことは御指摘のとおりでございます。しかし、それを今度は一体になって、科学技術の進歩と相まって、しかもまた、あるいは地域団体等の企業に対する資金の裏づけも考えて、いろいろ総合的な観点に立って解決していく、そういうことになりますと、いまの制度からまいりまして、通産省が単独でやる、あるいは厚生省が単独でやるというよりも、両省が気脈を通じて、そしてほんとうに取っ組んでいったほうが、公害防除は、私は期せられるんじゃなかろうか。問題は、これは古いことをお話ししていかがかと思いますが、両方のほんとうの緊密な連絡がとれるかどうかという問題に帰するのではないかと思います。この事業団は、両方が緊密な連絡のもとで、ここまでまいっておるわけでございまして、将来なお一そう、緊密の度を増してくるだろうと思います。そういう観点からいたしますれば、お互いの技術なり、お互の視野なりというものが、有無相通じまして完ぺきを期していくのではなかろうか、また、そうすべきものだと、こういうふうに考えております。どの省がこれをとりましても、やはり十分でない点があるということから考えますれば、両省の共管で、しかも責任のなすり合いをしないで、ともに責任をとっていくということでやっていったほうが、この種の新しい仕事を完成するにふさわしいと、こういう考えのもとにスタートしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/11
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012・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/12
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013・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/13
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014・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 一つの例をとってみましても、公害防止のための予算というものが、それぞれの省に計上されているわけです。これに関係しておりますものが、全部で八省と三庁ということになっておるのです。通産省のほか、警察庁とか、あるいは総理府とか、そういうのと、九審議会がこれに関係しております。したがって、それらの総計を見てみますと、百五十二億以上の予算が、それぞれいま言った八省、三庁、あるいは九審議会という形で細分されているわけです。したがって、少ない予算の中で、さらにこういうふうな形になっておるということになりますと、予算の有効な、あるいは適切な、重点的な使用といいますか、そういう面に非常に欠けるうらみがあるのではないかと思うのです。ですから、やはりそういう公害防止のための行政機構というものをある程度まとめて、そして重点的に予算をつけていくというほうが、もっと強力な公害防止の推進をはかれるのではないか、こういうふうに私は思うのですが、これはまた大臣が来てからひとつ質問することにして、それでは委員長のおことばに従いまして、具体的に問題に入っていきたいと思います。
まず、今年度からこの産業公害の事業団をつくってやっていこうということなんですが、これからの年次計画と申しますか、現在起きておる公害の除去のためにどういう計画を持ち、また新しい公害の発生を防止するためにどういう計画を持っておるのか、まずその辺からお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/14
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015・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 公害を除去いたします計画と申しましても、たとえば、隅田川をとって考えてみましても、隅田川の浄化というためには、たとえば、四十年度予算で申しますと、水資源公団が利根川の水を荒川に落としております導水路事業がございますが、それによりましていわゆるフラッシュ・ウオーターを流しまして隅田川の浄化をやる事業が一つございます。
それから荒川河床のしゅんせつ事業、これは東京都がやっております。
それから、なお下水道の整備もございます。これも下水道の計画は年次計画をもって進められているわけでございますが、それと並行いたしまして、さらに工場から排出いたします水、これは最終的には下水道に流されるわけでございますが、その事前に、下水道に流しますまでに前処理をやるという工程がございますが、前処理工程にいたしましても、かなり工場が集中いたしております地域におきましては、中間の処理場をつくるということで、これも現在計画が進められておるわけでございます。そのほか個別の企業自身が処理してまいるものもございます。あるいはこの事業団がやっていくものもございます。非常にそういうふうに多岐にわたっておりまして、個々にはそれぞれの計画がございますが、そういうものがすべて総合されて公害防止ができていくというような関係になっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/15
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016・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 ちょっと質問の内容が抽象的だったものですからあれですが、たとえば今度の産業公害の事業団に対して二十億と、こういう形で融資されていくわけですが、これが今後、財政投融資の面でどういう計画をもってやっていくのかということが、まず一つあると思います。
それからさらに、二つ目としては、いろいろ公害防止のための関係法律が現在ありますけれども、そういう法律をどういうふうに手直しなり、あるいは規制のための強化をしていこうとするのか。それから特に問題になるのは中小企業対策だと思うのですけれども、中小企業に対して、どういう助成と近代化のためのそういう計画を進めていくのか、あるいは今後の公害発生防止のために工場立地の計画なり、あるいはその他の地域計画などの用途別の立地計画を持っておるのか。こういう問題についての年次計画というものをお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/16
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017・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 御審議願っております公害防止事業団の事業計画でございますが、四十年度は二十億の計画でございまして、これは共同公害防止施設四億五千万、それから共同工場アパートが四億五千万円、それから地方移転用の工場敷地の造成が二億五千万円、それから事業団法の業務にございます第四号業務と申しております共同福利施設事業が五億円、それから貸し付け事業が三億五千万円、合計二十億でございます。その内訳は第一は、共同公害防止施設を二カ年間で着工するという計画でございます。それから工場アパートは、これも約十億の総工事費のものを二年計画で着工するという工事でございます。それから地方移転用の工場敷地の造成、これも総事業費七億五千万円の工場敷地造成を二カ年間で着工いたすという考え方でございます。それから共同福利施設は総事業費二十二億円の事業費を三カ年計画で着工する、こういう計画でございます。それは明年度以降におきましては、この継続事業をさらに進めていくということはもちろんでございますが、これと並行いたしまして、こういうふうな事業というものを、各地で行なう必要があるというふうに考えておりまして、これは事業団ができまして、さらに詳細な計画をつくりまして、進めてまいりたいというふうに考えておりますので、いまここで、はっきりしたことを申し上げるのは、いかがかというふうにも思われますが、大体、厚生省と私どもの間で予算折衝上の過程におきましていろいろ相談いたしました数字は、大体三百億くらいの業務をここ数年の間に行なってまいりたい。こういうふうに一応頭に描いておりますが、これは事業団ができた上に、さらに詳細に計画を検討いたしまして、具体的な計画といたしたいというふうに考えております。
それから、お尋ねの第二点でございますが、ばい煙規制法におきます地域の指定でございますが、三十八年度に京浜、阪神地区、北九州地区を指定いたしまして、三十九年度にも四日市、千葉、名古屋、大牟田地区というものを指定いたしました。四十年度におきましては一応現在の予定では、室蘭、釜石、姫路、宇部、小野田地区、それから徳山地区、こういう地域を指定いたすつもりでございます。今後の指定の予定といたしまして、四十年度に調査に入りたいと考えておりますのは、川口、大宮地区、それから新潟地区、富山、高岡地区、下関地区、それから四国の新居浜地区というものを一応予定いたしておる次第でございます。
それから、水質保全法に基づきます水域の指定でございますが、現在すでに指定いたしておりますのは石狩川、常呂川、江戸川、荒川、木曽川、淀川、財田川というものがすでに指定になっておる河川でございますが、四十年度に指定水域として考えておりますのは、多摩川、加古川、四日市・鈴鹿地先海域、渡良瀬川、釧路川、荒川放水路、寝屋川、神崎川、和歌川というものを一応予定いたしております。さらにそのほか、大和川、八代地先等につきましても、近く水質審議会に審議の企画をいたそうという考えで作業をいたしておるところでございます。
それから、中小企業の助成策でございますが、御指摘のとおり、中小企業に対しまして公害防止行政を進めていきます場合に、やはり中小企業の体質から申しまして非常にむずかしい問題がたくさんございますが、従来から中小企業に対しましては特段の考慮を払っておる次第でございまして、従来からございます中小企業近代化資金というものがございまして、これは総所要資金のうちの半額無利子貸し付けという制度でございますが、これを三十九年度は貸し付け額としまして二億五千万円、これは前後いたしましたが、国が半額を持ち、地方公共団体が半額を持つという制度でございますが、その国と地方公共団体と合わせまして三十九年度二億五千万円でございましたものを、四十年度には約六億に増強する予定でございます。なお、償還期限につきましても、従来、償還期限が七年でございましたのを、四十年度からは償還期限を九年というふうに延長して、この利用の徹底をはかりたい、こういうふうに考えております。そのほか、中小企業金融公庫からの融資というものは、従来比較的これは微々たるものでございます。統計的にはほとんど出てこないような数字でございますが、本年度からはこれを極力活用するということで、特に、従来金利が九分でございましたものを、中小企業金融公庫からの貸し付けにつきましては七分というふうに引き下げを行なったような次第でございます。
それから、先ほど厚生大臣からも申し上げましたように、従来の、既存の工業都市におきます公害というものは、その原因も非常に多岐にわたっておりまして、その解決というものは非常に総合的ないろんな施策を要するわけでございますが、その経験にかんがみまして、今後新しくできます新産都市等につきましては、こういうふうな公害問題を起こすことがないようにという配慮が必要であろうかと考えまして、四十年度におきまして、これは厚生省と通産省と共同いたしまして、新産都市等の新しい工業地域に対します事前調査というものをやってまいりたいというふうに考えております。その調査の結果によりまして、今後の新しい工業都市におきます都市計画のあり方、工場の配置のあり方、あるいは工場地帯が持ちます公害防止施設の姿というものを、どういうふうにしたらいいかということをあらかじめ調査いたしまして、それによって、今後の新産都市等におきまして公害というような問題が起こらないようにという配慮をやってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/17
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018・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 大蔵省の方がおられますので、この資金的な面について入っていきたいと思いますが、大蔵省は、厚生、通産両省がこの事業団の資金として百億円を要求したにもかかわらず、その五分の一の二十億しか認めなかったということなんですが、いま、通産省からの説明によりますると、二十億の資金ではほんとうに限られた二、三の地区の施設なり、あるいはその他の公害防止のためのものしかできない、こういうことです。したがって、いま大きく問題になっておる、現在起きておる公害を防止するだけでも相当な資金が予想されるわけでございますが、大蔵省として、この事業団の資金と申しますか、公害防止のための予算について、どういう考え方を持ち、また、今後どういうふうにいこうとするのか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/18
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019・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) 通産あるいは厚生省から相当量の資金が要求されまして、大蔵省と資金的な面で折衝したことは事実でございます。また、この公害防止の問題が新規事業として佐藤内閣が取り上げておる大きな問題であることも、またそのとおりでございます。ただ、御承知のとおり、四十年度予算の編成につきましては、そのほか非常に多くの資金というものを必要といたしますし、それに伴う原資もなかなか経済不況その他を反映して十分ならざるものがあり、精一ぱいの予算をそれぞれ配分したというのが実情でございます。したがって、公害事業団に対します融資の面も一応二十億ということで発足をしていただきました。さらに今後、その事業が進歩し、あるいはその事業の効果等が出てまいりました後において、資金需要と見合わせながら、この仕事をやっていこう。こういうことでございまして、決して百億を二十億に切って軽視したということではなくて、一応、新規事業でございますので、十分わからない点もございましょう、またやってみなければわからないというような点もございますし、そのほか御承知のとおり、中小企業金融公庫あるいは中小企業近代資金等の面からも予算を増額してございますので、それらを合わせて目的を達成していこうということでございます。決してほかに他意があるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/19
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020・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 佐藤内閣の重点施策として社会開発というようなことから、とにかく高度成長のひずみをなくしていく。そのために特に高度成長の過程で生じてきたひずみの是正のための施策と申しますか、政策を重点にしていく、こういうことが言われてきておるわけです。したがって私は、この公害の問題、特に産業公害の問題は、いま言った高度成長政策からきた一つの問題として、やはり大きく政府としては取り上げていってしかるべきではないか、こういうふうに思うのです。しかし、いま言われたようにわずか二十億、しかもその資金の内容を見てみますと、いわゆる財政投融資として一般財投から十億、厚生年金の還元融資として十億、こういう非常におざなりと申しますか、とにかく金がないから、あるところから持っていけということのような感じを私たちは受けざるを得ないのです。この問題はあとにしますが、ひとつ大蔵省としてもっと本腰を入れて、この公害防止のための予算の確保をひとつやっていただきたいと思います。
次に、通産大臣も参られましたので、先ほどの行政機構の非常にまちまちな点について、もう一度考え方をお伺いしておきたいのですが、たとえば、技術の開発の面を見ましても通産省には工業技術院というものがあり、また建設省には土木研究所というのがあり、また厚生省には公衆衛生院ですか、こういうものがあるということで、この非常に同じような目的を持ったものが相当あると思うのです。それがこうしたばらばらな研究所でなされておるということ、あるいは現在の法律の面から見てみますと、水質関係はこれは経済企画庁でやっておる。あるいはばい煙規制法等については通産省あるいは厚生省が担当しておる。こういうことからして、この下部の地方団体に対しても非常にまちまちな指令なりあるいは通達なり、指導が行なわれておるわけですね。たとえば水質関係でいいますと、都道府県では農林水産部というようなところが担当しておる。あるいは騒音関係ですと、これは県の警察とか保健所あたりが担当する。大気汚染ですと、このごろ公害課とか公害係というようなものができてきた。このように、非常に、中央における行政機構の不統一と申しますか、ばらばらな行政機構が、下部末端において、それぞれ統一されない、非常にまちまちな住民に対するサービスが行なわれておる。こういうふうになっておるわけです。したがって、こういう問題について、まあ先ほど厚生大臣は、総理府に公害対策推進連絡会議というようなものがあるから、そこでやっていく。あるいは、これからは通産省と厚生省が緊密な連絡をもってやっていくのだと、こういうことを言われておりまするが、しかしそれだけでは、このような現状を私は打開することはできない。やはり中央に統一した行政機構というものをつくって、そうして中心になって推進していくものがなければならない。こういうふうに思うのですが、幸い通産大臣も来られましたので、この点についての御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/20
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021・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) すでに厚生大臣から、この問題についてはお答えを申し上げておるようでございます。また御質問の中にもございましたが、確かに公害問題の行政当局が各省にまたがっておるということについては否定はできないと思います。しかし、その弊害をできるだけ除去し、また円滑にやっていこうということで、公害対策推進連絡会議を設けて調整をするというように、対処はいたしておるわけでございます。公害問題がやかましくなりましたのが最近のことでございまして、行政機構の問題については、あるいはお話のように検討の余地があろうかと思いますが、しかし、通産省は通産省の立場、厚生省は厚生省の立場、あえて申し上げますならば、通産省のほうは工学的な分野である、厚生省のほうは医学的な分野であるというようなことで、それぞれの所管省の特徴を生かしまして、公害行政に善処しておるというのが現実の姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/21
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022・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 たとえば総理府に公害対策推進連絡会議ですか、そういうものがつくられたけれども、そこでは、いま大臣が言われたような形での調整と申しますか、公害防止のための政策立案とか、そういうものはやられていないと思うのですね。つくられてからどういうことをやっておったかというと、大体、水質、水の関係について指定水城をどうするとかいうようなことをやられておって、たとえば、公害防止の技術の開発のために、厚生省では公衆衛生の立場から、こうしてもらわなければ困るという場合に、それに相応した工場の施設をする、公害排除の施設というものはどういうものが必要かというような点についても、具体的な調整とか、あるいは相談というものはおそらくやられていないんじゃないかと思うんですよ。ですから、そういうのを統一的に、総合的に推進していくためには、やはりどこか中心になってまとめていくところが私は必要じゃないかと思うのです。たとえば通産省の工業技術協議会の総合部会ですか、ここの第一次答申を、三十九年九月七日に出しておりますが、この中では、いわゆる技術の開発について、国立産業公害防止技術研究所の設立をすべきであると、こういう答申を出しているのですね。だから、まあこれはどうなっているかということもひとつお聞きしたいわけでございますけれども、この答申なんかを見ましても、やはりばらばらな技術の開発でなくて、もっと統一した技術の開発が必要だということを述べているわけです。したがって、そういう面からも、私はもっと中心的な行政機構というものをこの際、はっきりしてやっていかなければ、強力な公害防止の体制ができないのではないか、こういうふうに思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/22
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023・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま後段でお話のございました公害防止技術につきまして、一元的な研究所を設けたい、こういうことにつきましては、これは今回の予算折衝中に通産省としては特に強調をしたのでございますが、遺憾ながらこれは予算全体の関係からいたしまして、認められなかったのでございます。しかし他面、産業公害防止技術の開発研究の大幅促進をしよう、こういうことで、工業技術院の傘下の産業公害防止技術部を新設する、あるいは研究調整官を新規に認めてもらうというようなことで、十分な施策ではございませんでしたが、まずまずというようなところまでこぎつけているようなわけでございます。
なお、前段で種々御指摘を受けましたが、確かに公害対策について、総理府の連絡会議におきましては、いままで十分なることをやっているとは言えないと思います。しかし今後におきまして、この総理府の連絡会議を十分活用いたしまして、お話のような御批判を受けることのないように努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/23
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024・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 次に、技術の開発の問題が出ましたので、少し具体的に質問をしておきたいのですが、やはり公害防止を完全にしていくためには、それに対応する基礎的な研究あるいは調査、技術の開発というものが必要ではないかというふうに思います。しかもそれは、私が先ほど申し上げましたように、統一的に、また総合的な立場に立っての研究調査、技術の開発というものが必要である、こういうふうに思います。で、現在、民間のこういう技術陣の力をかりるという面から、民間の技術者に対するどういう助成を行なっているか。また、それはどこでやっているのか、それをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/24
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025・金森隆
○説明員(金森隆君) 民間の産業公害防除関係の助成の問題につきましては、技術的な研究を助成するために、企業合理化促進法に基づきまして、鉱工業の技術、試験、研究の補助金という制度がございまして、これは大体年間七、八億円の予算をいただいております。それの中から、国といたしまして重点的にその研究を推進したいと思う指定研究課題を取り上げまして、それを指定課題といたしまして、申請を出す前に、国から指定課題を公表しております。その中の一つに産業公害処理技術という課題をあげまして、そうして応募を促進しておるわけでございますが、大体年々十二、三件の応募がございまして、そういった指定課題につきましては特に優先的にそれを採択するという方向できております。したがいまして、大体九〇%くらいは公害研究につきましては補助金を交付しております。ことし、四十年度は特に申請が多うございまして、二十数件の申請が出まして、目下それを審査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/25
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026・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 四十年度の工業技術院の予算は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/26
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027・金森隆
○説明員(金森隆君) 総額でございますか。——約八十五億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/27
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028・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 先般、この公害特別委員会へ参考人の方に来ていただいた、その中で出た意見でございますが、たとえばこの公害防止のための技術開発の一環として国立の東京工大あたりでやはり研究をしている。ところが、その予算が非常に少ないということが言われました。一講座で教授が一人に助教授が二人、あとその他三人、合計六人で一講座をやっておるわけですが、これが一カ月大体十万円くらいの予算しかない、こう言われておるわけですね。これは一体どこの所管でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/28
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029・金森隆
○説明員(金森隆君) 大学の予算は文部省の予算になっておるのでございまして、講座の研究費が少ないということは一般的にいわれておるわけでございます。それで科学技術庁のほうから、特別研究調整費というのがございまして、そちらのほうから大学のほうにも、一応、直接ではないのですが、通産なり各省を経まして大学のほうに回すというようなことも一部できるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/29
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030・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 こういう東京工大あたりに通産省あたりが一つの指定をして、研究してもらうというようなこともやっておるのですか。そういうことはやっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/30
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031・金森隆
○説明員(金森隆君) 大学の場合ですと、どうしても直接の所管は文部省でございますので、通産のほうから直接大学のほうに研究を委託するとか、あるいは研究の補助をさせていただくというようなことはできないわけでございます。したがいまして、大学の教授がその指導をいたしまして、ある民間企業の研究を指導するという形で、その民間の企業に工業技術院の補助金を出すといったようなケースはしばしばございます。直接は出されないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/31
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032・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 そういうふうに、せっかく国立のそういう先生を含めた優秀な大学というものがあって、そこで公害排除のためのいろいろな研究をやっておるというのに、それが単に学術的に文部省の所管になっていて、何ら通産省と一体となった推進をしていないというところに私はやはり問題があると思うのです。やはり通産省なりあるいは厚生省なりが、そういう問題については積極的に、そこに研究なり技術の開発をたのんで、そうしてやっていくということのほうが、もっと実態に即したものができるんではないかというふうに私は思うのです。それはそれとして、次の問題に入ります。次は、将来公議の発生が予想される対策ですね。いわゆる公害の事前防止というか、そういうためには現在の都市計画法なり新産都市法、あるいは工特法などについて相当改正なり法律の整備を行なわなければならない面が多々あるのではないか。こういうふうに思いますが、この点についての考え方をまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/32
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033・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) お話が概括的なことで、ちょっとお答えしにくいのでございますが、現在、調査の関係で法案をさらに整備しなければならないということについては、通産省としては考えておらないのでございます。何か具体的にこういう点はどうかということでございますれば、政府委員からお答えをさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/33
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034・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 工特法の中で、たとえば第三条の第四項では「内閣総理大臣は、——整備基本計画を承認しようとするときは、」、それぞれの大臣、厚生大臣にも「協議しなければならない。」と、規定しているわけですね。さらに第四条の二項では、「整備基本計画を定めるに当たっては、公害の防止について、適切な考慮がなされるようにしなければならない。」、こういうことが明確にされておるわけです。ところが、新産業都市建設促進法ではこの点若干違っておるわけです。と言うのは、第十条の第三項で、「内閣総理大臣は、——建設基本計画を承認しようとするときは」、それぞれ大臣の名前がありますけれども、厚生大臣がここから抜けておるわけです。それから先ほど言った工特法の四条二項の規定が新産業都市建設促進法の中にはない。こういうことはやはり公害を今後なくしていくためには法の問題点として私は検討していく必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/34
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035・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 御指摘のとおり、新産都市法と工業整備特別地域整備促進法との間には法律的には若干の差はございますが、新産都市法制定の際に両院の附帯決議にも、今後新産都市の計画の際には公害問題を大きく考えろというふうな附帯決議もいただいておりまして、それに基づきまして各地域ごとに新産都市の建設基本方針というものを関係各省協議いたしまして決定いたしたわけでございますが、この中には御指摘のような点を配慮いたしまして、新産都市地域内におきます工場用地なり住宅用地なり、公園、緑地等を合理的に配置し、住宅と工場の混在及び工場公害の発生を防止するよう土地利用の構想を立てるものとする、というふうにうたっております。その他工場廃水の処理のために、下水道の整備というようなものも特に配慮するようにというような配慮をいたしておるような次第でございます。御指摘のように、現在の都市計画というものにつきましては、従来こういう公害問題というものを考えました都市計画というような配慮が比較的少なかったようにも考えられますので、今後のこういうふうな都市計画につきましては、建設省ともよく連絡いたしまして、そういう点につきましては十分今後配慮してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/35
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036・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それからたとえば地方団体では、とにかく工業を誘致すれば非常に固定資産税等も入って、地方財政が豊かになるというようなことからして、非常にこの工場に対しては条件等をよくしたり、あるいはそういう公害の防除という面についてはあまり目を向けないで誘致をする、あるいは地域を指定するというようなことが非常に多いのではないかというふうに思うのです。そういう問題に対して一体通産省は、建設省はここにおりませんけれども、地方公共団体に対してどういうふうな指導をやっておられるのか、これは通産省としてはそういうことにはタッチしておらないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/36
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037・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 地方公共団体には工場誘致という観点から、従来御指摘のような弊害のありました地域もございまして、いろいろ問題のあったこともございますと考えられますが、最近におきましては地方公共団体においても公害防止条例を制定しようというところが多うございますし、また、こういうふうな公害防止条例を制定されておるところもかなり多うございます。また、私たちといたしましても各都道府県に対しましては、公害防止ということを工場立地の一つの新しい要因としまして、従来のいわば工場立地因子というものが経済的因子と申しますならば、社会的因子としての新しい工場立地因子というものを考えるべきであるというふうに考えまして、そのように地方公共団体を指導いたしておりますし、また各企業に対してもそういう指導をいたしております。それから先ほど申しましたような、新産都市なりあるいは工業整備特別地域というものにつきましては特に建設基本方針におきまして、その点を特に大きくうたい込んでおりまして、今後の新しい工場立地につきましては御指摘の点は十分考えていかなきゃならぬというふうに考えておりまして、今後ともそのように留意してまいりたいというふうに思います。具体的には、県への指導といたしましては研修会なり講習会なりを開催いたしまして、これらの点の徹底にさらにつとめておりますし、なお工場に対しましては施設基準——たとえばこういう業種ならば、こういう防止施設というものはひとつ標準的なものとして持っておらなきゃならぬというような施設基準をつくりまして、これに基づきまして企業を指導いたしてまいると同時に、各都道府県にもこれを流しまして、国、地方公共団体が一体となりまして、そういう点への配慮を現在進めているというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/37
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038・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 通産省の諮問機関ですか、産業構造審議会というものがあって、その産業公害部会でこの問題についての審議をしているようでございますが、ことしの春ごろには、一応一つの問題について結論を出す。こういうことが言われておるのですが、この審議状況と、その結論が出ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/38
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039・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 公害部会は昨年の十月から開催いたしまして、前後五回開催いたしたのでございますが、現在までのところ、従来とっております公害行政の実情なり、あるいは現状、過密都市なり新産都市におきます問題点というものを御説明申し上げ、最終的にはごく最近におきまして、今後一体どういう問題を問題として取り上げていくかという考え方を提示いたしまして、近くその考え方に基づきまして一つ一つ御批判を願うという予定にいたしております。先ほど、先生から御指摘ございましたように、公害の定義というものから始めまして、基礎的な議論をこれから展開していただく、来月ぐらいから、そういう基礎的問題から本格的な議論を展開していただく、こういう予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/39
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040・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それでは次の問題として、中小企業に対する助成の問題でございますが、先ほどから、大蔵省も通産省も特にこの中小企業に対しては十分な手当あるいは融資をやっておる、また今後もしたい。こういうことでございますが、たとえば近代化資金の中での公害の施設のための融資などの状況を見てみますと、貸し付けのワクと申しますか、貸し付け額というものが非常に少ないのではないかというように私は思うのです。たとえば三十八年度の融資を見てみますと、ワクが一億五千万円あるにもかかわらず、貸し付け額は四千三百ガ、しかも日本の産業の中の九九%くらいは中小企業だといわれておりながら、二十七企業しかこれを利用しておらない。こういうようになっておりますし、まあ三十九年度はどういうふうになっておりますか、お伺いしたいと思いますけれども、二億五千万のワクがありながら、どれくらいの利用率なのか、こういうふうにせっかく無利子で、償還期限はそう長くないんですけれども、無利子で融資するものがなぜ利用されないのかですね。その辺の原因等もお伺いしたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/40
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041・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 御指摘のとおり、中小企業設備近代化資金によります無利子貸し付けは、公害関係に対します貸し付け実績というものが非常に低いのははなはだ残念でございますが、この原因はどこにあるだろうかという点でございますが、貸し付け金額が三十万から三百万までというふうになっております。公害防止施設の少しまとまったものとなりますと、半額にいたしましても三百万円では少し金額が小さいという点が一つ問題ではなかろうかと思います。それからもう一つは、これは半額の貸し付けでございますので、あとの半額の融資につきましての問題があったわけでございます。これらの点にかんがみまして、この貸し付け金額、貸し付け限度と申しますものを、もう少し引き上げたいというふうに考えまして、四十年度からはそういうふうにやりたいというふうな考え方で、目下、四十年度の実施計画を作成中でございますが、そういう点は今後配慮してまいりたいと考えております。
なお、近代化資金のあとの半額の融資につきましては、今回、中小企業金融公庫からの融資も、従来と比べましてさらに積極的に行なうように考えておりまして、先ほども申しましたとおり、金利の引き下げも行なった次第でございまして、この近代化資金と中小企業金融公庫からの融資というものを両方併用いたしまして、その活用につとめてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/41
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042・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 二分の一の貸し付けなり、あるいはその三百万を限度としておるというようなことで、借りる人がないんじゃないかということなんですけれども、四十年度の中で、償還期限を七年から九年にする。で、限度額を今度は幾らにするのか知りませんが、それぐらいの改善で、はたしてこの近代化資金が十分中小企業のために使われるのかどうか、私は非常に疑問があるのですがね。しかも、そういう二分の一というところに、私は確かに大きな問題もあると思いますけれども、無利子で貸すものが使われておらないということであれば、今度この事業団でやりまする事業にしても、利子が七%から中小企業の場合はつくわけですね。はたして、中小企業がこれを十分受け入れてやっていくことが考えられますかどうか、これは非常に疑問なんですね。無利子の近代化資金も使えないような中小企業が、七分の利子のつくものを——償還期限は、これは二十年から十年となっていますが、まあたいして変わらない。しかも、据え置き期間がないわけですからね。ですから、事業団で、事業をうまくやっていけるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/42
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043・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) ただいまの中小企業近代化資金の不振の理由の中に、若干まだ申し忘れた点がございまして、申しわけございませんですが、これは、実際問題といたしまして、従来各府県が窓口でございますが、各府県の窓口におきまして、やはりこの近代化資金と申しますのは、いわゆるほんとうの意味の近代化資金と一種の込みの運用でございまして、かなり業界からの希望が多うございますので、どうしても各府県の窓口で、普通の生産向けと申しますか、そういうふうなものの興味がやはり窓口としては多いということも一つの原因であろうというふうに思われます。したがいまして、これはもう一つ、私たちの水質保全法なり、あるいはばい煙規制法によります規制と相まつ問題でもございますが、だんだん法律の規制範囲を広げてまいりましたので、今後におきましては、具体的に個別の企業につきまして、個々の技術指導というものとかね合いまして、この近代化資金の活用につとめてまいりたいというふうに思っております。
で、御質問の、公害防止事業団との関係でございますが、この点につきましては、償還期限が、近代化資金のほうで、従来七年でございましたということが、ことし九年で、二年延びましたということも一つの効果があろうかと思いますが、さらに公害防止事業団におきましては十年ないし二十年というふうに、期間によってかなりの差があるという点が一つでございます。それから、近代化資金の場合におきましては、個別の施設でございます。ところが、公害防止事業団のほうは共同処理施設ということでございまして、共同処理の場合と個別処理の場合ということのメリットの差と申しますか、そういう点におきまして、かなりの差が出てくるのではないかということでございまして、いま各業界とも、具体的にいろいろな下相談と申しますか、御意見も聞いておるわけでございますが、大体これだったら何とかやれましょうというようなことばも聞いておりますので、今後さらに、これらの施設がいかに安くつくれるかということと相まちまして、この運用に万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/43
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044・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 大蔵省にお聞きしたいのですが、この事業団の資金について、一般会計から出資をしないで、財投から出したということが、そもそも資金のコストを割り高にしていると思うのですね。七分から七分五厘でもってやらなくちゃならぬということになってきたと思うのですけれども、しかもその財投の中で、厚生年金の還元融資の中の分としての十億円を使っているという点について、なぜこの厚生年金の積み立て金をこれに回したのか。私は、この厚生年金の積み立て金、しかも二五%のワク内ということは、こういうところに使う筋合いのものではないというふうに思うのです。その点をひとつお伺いし、また、厚生省のお考えもお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/44
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045・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) 二十億の資金ワクの中の十億、いわゆる厚生年金の二五%ワク内において財投を行なっておるということはそのとおりでございます。で、この点につきましては、先般本会議等においても御質問があったかと思いますが、大蔵省と厚生省との間に、御承知のとおり、いろいろ資金のワクにつきまして、あるいは資金をどこへはめ込むかということにつきましてのいろいろな交渉の末、実はこうなったわけでございますが、大蔵省自体とすれば、一般会計のワクあるいはその他のワクにおいて、現実の四十年度予算編成においては非常に資金の需要が多くして、なかなかそれができ得なかったという点と、もう一つは、厚生年金の十億を出すことについても、御承知のとおり、いろいろ厚生年金の資金の使い道が規制されております。しかしながら、一般公害、いわゆる大衆の被害を防止するという意味からいって、生活環境をよくし、そして全体のためになる事業に対して、あるいは事業を行なう事業団に対して融資するということについては、決して厚生年金のワクを使用することについて、そういった制限といいましょうか、方針に違反するものではないというような見解のもとに、各省において話し合った末、これを行なったのでございます。それ以外に意味はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/45
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046・徳永正利
○政府委員(徳永正利君) 公害問題は、たびたび御指摘いただきましたように、国民の保健衛生の維持増進というようなことはもとよりでございますが、産業の健全な発展のためにも放置できない問題であるということは、たびたびいままで御指摘いただいたとおりでございます。この問題の解消をはかりますことは、国民生活の安定向上と申しますか、あるいは福祉の増進のために、緊急な必要事でございますから、今回新たに発足いたしました事業団は、産業集中地域における公害問題を、抜本的に、しかも緊急に解消するために、各種の施設を総合的に整備することを事業内容としているわけでございますが、この分野に、そういった意味から年金融資を充当するということは、必ずしも時宜に適しないものでもないというふうに考えておるわけでございます。その点御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/46
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047・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 厚生省自体がそういうことを言われると非常に困るのですけれども、厚生年金を今度一万円年金とするというために掛け金を引き上げる、したがって積み立て金も多くなる、だから十億くらいこっちに回しても何でもないだろうという、そういう安易な考え方が大蔵省にはあったのじゃないかと思うのですが、私は、いまでも、年金福祉事業団にしても、あるいはその他の地方公共団体の地方債、一般債なんかの要求にしても、非常に多いと思うのですよね。しかも、いままで何回となく、私どもは、この積み立て金はできるだけ、二五%といわず、半分くらいは労働者の福祉のために使わしてもらえないか、こういうことを強く要求しているわけです。だから、今度掛け金を上げて非常に金額が多くなったから、そこから出すということでは、結局は前と同じ結果になってしまうのであって、私は非常にこれは問題があろうと思います。
特に、この事業団の貸し付けの利子は七分か七分五厘となっているのですね。ところが、還元融資の利子は、これは六分五厘なんですね。したがって、まあかりに、その住民の福祉のために使うのだからいいのだ、こういう立場に立ったとしても、六分五厘のものを七分なり七分五厘にしてやるということは、これは、その問題をとらえても、非常に問題のある、いわゆる何かもうけるような仕事になるのではないか、こういうふうに思うのですよ。たとえば、医療金融公庫の利子を見てみますと、これは六分五厘で貸しているわけです、工事なり新築の場合は。それから年金福祉事業団の場合は、大企業の住宅だけは七分ですが、その他は全部六分五厘で貸しているのです。だから、もしかりに、この十億円のもので、住宅を含んだ中小企業の一つのアパートをつくるという場合には、他の振り合いから見れば、七分とか七分五厘でなくて、当然これは六分五厘で融資をすべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/47
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048・竹内道雄
○説明員(竹内道雄君) 先生おっしゃいましたように、資金運用部から公害事業団に貸します金利は六分五厘でございますけれども、御承知のように、公害事業団の融資対象は主として中小企業を中心に考えているわけでございます。全部が中小企業というわけではございませんで、大企業及び中小企業に出ますが、主として中小企業を中心に考えられているわけであります。中小企業に対しましては七分、大企業に対しては七分五厘ということになっております。結果的には七分に比較的近い平均金利、七分と七分五厘の金利では、七分に近い平均金利ということになると思います。それで事業団は、もちろん、先生おっしゃいますように、もうける必要はないのでございますけれども、事業団として一つの人格を持って行動するわけでございますから、損をするわけにもいかないということだと思うのであります。
そこで、融資をいたしました結果といたしましては、あらゆる金融機関、政府機関も含めまして、やはりそこには、多少の焦げつきとか回収困難があるという事態の発生も予想される。これがどの程度になるか、現在のところ、まだ実行いたしておりませんから、わかりませんが、そこに多少のマージンというものを用意しておかなければいけないと思うのでございます。もし全部六分五厘で貸しますと、一件でも焦げつきが出ますれば、事業団が赤字になってくる。その赤字をどうするかという問題も発生してくるかと思うのであります。当面、七分・七分五厘ということでともかく発足いたして、事業団の状況をもう少し見たいというふうに考えまして、厚生、通産とも話し合いの末、七分・七分五厘という金利がきまったという次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/48
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049・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この事業団の事業はいろいろありますが、たとえば、工場の公害防除施設をつくるために金を貸すとか、あるいはつくって譲渡するとかいうことであれば、これは、企業の財産というか、むろん企業そのものの設備になるのですから、これはある程度わからないことはないが、この中で、社会福祉のために福祉施設をつくるものもある。こういうものは、何も事業団でやらなくても、一般地方債なり、あるいはその他の還元融資を利用して、六分五厘でもって地方公共団体がつくってもいいじゃないか、わざわざ事業団を通して、五厘ですか、高い利子を払う必要はなくて、六分五厘の利子でもって地方公共団体がやるということも可能ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/49
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050・竹内道雄
○説明員(竹内道雄君) 福利厚生施設につきましては、御承知のように、先生お話がございましたように、地方公共団体を通じて貸し付けるという方法もございますし、それから今度の公害事業団で考えておりますものは、やはり公害防除施設と同じように、福利厚生施設につきましても共同で福利厚生施設をつくり、それが同時に公害防止に役立つというようなものにつきまして公害事業団で融資をするということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/50
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051・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 いや、その目的とか結果は同じだと思います。住民の福祉、そういうことにあるわけですよ、公害防止の施設をつくるにしても。そうすれば、公共団体あたりが、事業団がつくったものを譲り受けて、それで金を返すときに七分の利子を払っていくと、こういうことでしょう、公害防止事業団を通せば。そうでなくて、公共団体自体が還元融資の一般地方債なんかを借りてそんなものをつくった場合は、六分五厘で返すでしょう。そうすれば、こういう福祉施設をつくる場合は、こういう事業団を通さないでやったほうが地方財政のためにいいじゃないですか、なぜこの事業団を……。そういう矛盾があるからこそ、私は、そういう福祉施設のものについては七分ということでなくて、あるいは七分五厘ということでなくて、同じ利率である六分五厘でやるべきではないか、こういうことになると思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/51
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052・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 保健福利施設というような観点から考えますと、お説のように同じ利率であるべきであるという考え方も考えられると思います。福利保健施設についてこの事業団が扱います本来の目的は、まず、公害発生源の周囲に緩衝地帯を設けまして、その緩衝地帯を利用する形において保健福利施設を設けるわけでございまして、したがって、主目的は、むしろ公害防止のために設ける施設とも思われるわけでありまして、その意味から多少利率が違いまして、他の公害防除施設と同じ利率のほうに合わせてあるということでありまして、また、普通の場合でございますと、地元がつくります厚生福利施設は、各工場自体がつくる場合が多いわけでございます。この事業団がつくります福利施設は、共同施設という形でつくりますので、そのような公害防止の観点から、他の公害防止施設とそろえた扱いをするということで、五厘の差がついておるわけでございまして、先生のような御意見の、両方とも同じ率であるべきであるという御意見も、そこらの観点からは一応ごもっともな御意見でございますが、事業団の発足としては、そのような形をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/52
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053・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 どうも事業団は、金もうけというか、事業団をつくったために、還元融資を受ける側が犠牲になっているような気がするのです。たとえば、中小企業の住宅を今度工場へ一緒にしてつくるというのでしょう。住宅だけをつくるために、もし還元融資を受けるとすれば、六分五厘でいいわけですよ、中小企業は。それを今度は、住宅も含めてつくるばかりに、七分なり、あるいは七分五厘の利子を払っていかなければならぬということでしょう。そうなると、事業団をつくったために中小企業は余分に金を払わなければならない、あるいは地方公共団体はよけいに金を払わなければならないということになるのじゃないですか。ですから、そういう目的、このつくる内容によって利子を変えることはできないのですか。六分五厘にするとか七分にするとか、ここでは中小企業は七分で、その他は七分五厘と、こういうふうになっていますけれども、これを、施設の内容によって、住宅とか、あるいはいま言った保健施設とか、その他の体育施設とか、そういうものをつくる場合にはこれは六分五厘だ、こういう形のものはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/53
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054・出原孝夫
○説明員(出原孝夫君) 年金福祉事業団及びそれから特別地方債、還元融資のほうを所管しております私から、お答え申し上げたいと思います。
先生のおっしゃいますように、この対象施設として、住宅であるとか、あるいは厚生福利施設であるとかいったようなものにつきましては、現在、還元融資で、年金福祉事業団なり特別地方債でやっておる施設の、でき上がったものとして見ると、よく似たものであるということがあり得るわけでございます。ただし、特別地方債なり年金福祉事業団なりでお貸しいたすということになりますと、それぞれの資金の出し方の原則があるわけでございまして、公害防止事業団の関係の仕事として、まとめてやろうとしても、それだけの資金量をそちらに投入するということが原則からはずれることもあるわけでございます。したがいまして、公害防止の観点と福利施設の観点とあわせて、公害防止事業団、新しい事業団で事業団御自身がおつくりになって、それを償還していくについて事業団のほうで責任をお持ちになるという形にいたしました場合に、還元融資の一部分をこれにさくことによって御協力申し上げるということは、時宜に適した適切な措置ではないかというように考えたわけでございます。これを、まるまる、年金福祉事業団なり地方債なり、全部そのまま従来の条件でお貸しすることができるかということにつきましては、なお若干疑問がございますので、むしろ別個の事業団で、新しい事業団でおつくりになったほうがいいのじゃなかろうかという観点に立った次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/54
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055・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 どうもわからないのですよ。ほかの年金福祉事業団なり、あるいは医療金融公庫などでは、先ほど言ったように、大企業の住宅をつくる場合でも七分で貸しているのですよ。それを、公害事業団は、大企業には七分五厘、中小企業には七分という形で、利子がほかより高いのですよ。そうすると、何のためにこの事業団はつくるのかと言いたくなるのですよ。そうでなくて、もし事業団で回収不能になって、ちょっと赤字が多くなってきた場合には、そのときこそ私は、もっと政府が責任を持って補てんしていくということが必要じゃないかと思うのですよ。特に、先ほど大蔵省で言われたように、対象がほとんど中小企業だということであれば、なおさら私は、もっと政府がこの事業団に対する助成、いわゆる一般会計からの出資なり、あるいは厚生中金の還元融資じゃなくて一般財投から持っていくというような形、そういう形をとらないで、それでほかの事業団よりも高い利子でやっていかなければその事業団の運営ができないのだということでは、ほんとうに政府が責任を持って公害防止をやっていくのかどうかということも疑いたくなるわけですよ。
ですから、施設の内容によって利子を変えていく——それでもし赤字が出た場合には、これはあとでまたお聞きしたいと思うのです。いわゆる回収不能の場合一体どういう措置をするのか、中小企業で最近は非常に倒産が多いわけですから、倒産をした場合に一体この回収はどういうことになるのか、その辺もお聞きしたいわけですけれども、まず、利子の問題から、考える余地があるのかどうか。私はそうすべきだと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/55
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056・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) いろいろ御意見ございますが、普通融資をいたします場合には、多くの場合、その設置しようとする施設の、必ずしも全額でない場合があるわけでございます。この事業団は、事業団みずから施設をつくりますので、完全に一〇〇%融資対象になるわけでございます。その意味合いから、全般的に考えれば、この五厘程度の差というものはある程度縮められる、実際の企業の負担というものは、一般の融資の場合に比べて、それほど大きな差があるものというふうには、私どもは考えていないわけでございます。
なお、これは先ほど来御意見ございましたので、私どもも、そうできればと思っておりますが、この危険負担を事業団の財政の中でまかなっていくというところに、このような原資と貸し付けの差が出てまいるわけでございまして、六分五厘で原資を受け入れれば、どうしても危険負担の度合いを考えていかざるを得ないということで、このような計算を出してあるわけでございまして、石炭合理化事業団の場合でも相当なこういう危険率を見込んでございますが、それらを参考にして、今回五厘の危険率を考えたわけでございまして、そのような配慮のもとに、もし事業をやった場合に、これは貸し付け期限が相当長うございますので、十ないし二十年を予定しておりますから、その間に、お尋ねのような倒産するものもあるだろう、そういう場合にどうしたらいいかということでございますが、この施設は共同施設でございますので、共同責任でつくるということでございまして、これは譲渡する場合も、共同資産として譲渡することになりますので、それらの事業が共同して、倒産が起こった場合の負担をする、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/56
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057・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 この利子の問題は、私はまだ納得できないのですけれども、償還期限について、局長は非常に長いと言われておりますけれども、これはあまり長くないですよ。たとえば、先ほど言った医療金融公庫ですか、病院なんかに貸す場合ですね、耐火建築では二十五年まで貸しているのですよ。その他でも二十年ということになっていますよ。しかも据え置き期間があるわけでしょう。事業団は据え置き期間は何年でやっているのか、ここに明確になっておりませんからわかりませんが、おそらくないと思います。そうしますと、償還期限も私はもっと長くてもいいのじゃないかというように思うのですが、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/57
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058・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 確かに、お尋ねのように、一般の厚生年金の融資の場合に、二十年以上のものもあることは御指摘のとおりでございますが、しかしながら、また開銀の融資あるいは中小企業の融資等においては、むしろ十年以内の融資が相当多いわけでございまして、その意味合いから、今回私どもとして、この事業団の貸し付け期間を十年ないし二十年と考えましたのは、むしろ通常の場合ではやや長いかと思って、設定するつもりでおるわけでございます。で、できる限り長くするわけでございますが、貸与期間が短いものについては十年前後にいたして、そうでない貸与期間の十分あるものについては二十年近い返還期間にいたしたい、こういうことでございまして、普通の企業に対する融資の他の事例に比べれば、この事例は相当長いほうに属する、かように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/58
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059・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 返済不可能な場合に共同責任としてやってもらうと、こういうことなんですが、そうしますと、譲渡を受ける場合ですね、それを受け入れる側は、そういう倒産とかなにかでもって返済ができない企業というか、一部があって、それでその返済の方法についてどうするかというようなこと、あるいは共同でそれを譲渡されて返済するわけですが、その場合の各企業の負担割合はどうするのか、そういう点については、そういう業者に全部まかせるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/59
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060・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) この施設をつくりますにあたっては、まずあらかじめ、それらのことがきまりましてから、施設の作成に着手するわけでございまして、すなわち、通常のことばでいえば注文生産的な製造になると、かように考えております。したがって、あらかじめ各企業の納得を得てつくるということと、あらかじめ各企業の負担区分を明らかにした上で作成すると、こういうことになるわけでございます。その負担区分は、たとえば廃液の処理でございますれば、その廃液の量、質等を計算いたしまして出てまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/60
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061・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 その場合に、担保なんかは何か取るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/61
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062・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 担保は、その譲渡物件または貸し付け物件でございまして、いわゆる持ち込み担保というものだけを考えております。したがいまして、大体共同施設でございますので、まあ担保価値としては非常に低いものであろうと思いますが、それ以外の担保は取らないつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/62
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063・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それから、事業団の運営のために交付金というものが出されるわけですが、一つの問題点は、これは一番最初私が申し上げたのに関連するのですけれども、厚生省と通産省の予算を見てみますと、事業団の事務費の交付金は厚生省予算になっておりますね。それから事業団の監督費は通産省の予算になっておりますね。なぜこれは別々にしているわけですか。それで、この監督は、通産省、厚生省両方でやるわけですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/63
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064・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) この事業団の法律でごらんいただきますように、全く両省共管でございまして、両省対等でございます。役員任命に際しましての大臣の監督権も両省全く同じでございまして、ただ、いずれにか予算を入れなければなりませんので、便宜、厚生省へ交付金を入れてあるわけでございます。
なお、これの監督費は、厚生省としては一般公害監督費で扱います。通産省はそれを特に特記した、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/64
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065・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 非常に、こういう点からの、何かなわ張り争い的な、あるいは監督の面からも非常に区々といいますか、適切な監督指導がはたしてできるのかどうかということも疑いたくなるわけですが、この交付金の三千四百万円、これは一体、将来どういうふうに考えているのですか。おそらく、事業団が事業の実施を進めていくからには、あとでまたお聞きしますけれども、どの程度の規模をいま考えているのかわかりませんが、職員の数とか、その他について、将来相当拡張されていくと私は思うのですがね。その場合に、この法律では、予算の範囲内において事務費とかその他について交付金を出すということになっておりますが、医療金融公庫も初めそういう形になっておったのが、いつの間にか、事務費なんか出さないようになってしまった。事業団も同じように、七分とか七分五厘といって、もうかってくれば、政府は、大蔵省は、もうそういうものは出す必要はない、交付金は、だから、おまえらもうかった分でやれ、こういうふうになってくるのじゃないかと私は思うのですが、この点、所管省としてどういうふうに考え、また大蔵省は、あくまでも事務費は今後とも事業団のある限り全額交付をしていくつもりなのかどうか、その辺をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/65
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066・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 四十年度におきましては、事務費の一切を一般会計からの交付金でまかなうことになっております。したがいまして、職員の経費並びに銀行における扱いに要する経費等も、全部三千四百万円という本年度の交付金の中に含まれておるわけでございます。で、これで想定いたしております職員の数は約四十名でございます。将来は、お話のように、事業がさらに拡張いたしますので、この程度の職員ではとうてい不足いたしまして、かなり増員を必要といたしますし、また、各地に支所を設ける必要も生じてくるわけでございますので、この交付金もかなり増額することになるわけでございます。当面、私どもといたしましては、当然そのような時期になりましても一般会計からの繰り入れによって事業費をまかなうことにいたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/66
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067・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) 今年度が初年度でございますので、さしあたり、三省協議の上、三千四百万円の交付金を出しておるわけでございます。おそらく、将来におきまして、今日の現段階から見れば、融資対象あるいは事業等も拡張をしていくことであろうと推定されるわけでございます。現在のところ、その方針について特にきまっておりません。交付金を将来打ち切るとかどうとかいうことにつきまして何ら決定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/67
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068・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 大蔵省は「予算の範囲内」というものをうまく利用して、当然国が負担すべき、たとえば国民健康保険の事務費にしても全額負担しないとか、あるいは失業保険の事務費をほとんど負担をしないとか、ずいぶんごまかしてくるわけですよ。したがって、私は、少なくともこれから事業団が発足をしようというこの段階で、やはりはっきりと大蔵省の考え方を聞いておかないと、またあとで問題が起きるのじゃないかと思うのですよ。だから、いまの政務次官のお話では、いまのところということで、まだ将来については全然約束がなされておらないわけですが、その点は、大蔵大臣がおらないから、はっきり言えないかもしれませんが、言えなければ言えないでけっこうですけれども、私としては、大蔵大臣が来てから、ひとつこの交付金については、先ほど言ったように、事業団そのものが営利を目的とする事業団でないわけですから、これはあくまでも事務費については、交付金については、全額持つということを確約をしていただきたいと思うわけです。
そこで、この三千四百万円の中で、先ほど職員は四十人程度と、こう言われたんですが、一体その職員の給与は、どういうふうに考えておられるのですか、お聞きしたいわけです。たとえば、理事長は幾らで、刑事はどのぐらい、職員の給与は一体どういう給与にしていくのか。そのことが一つ。
それから、これは当然、政府関係機関でございますから、労働者は労働組合をつくって、いわゆる労働三権を保障されるわけですね。したがって、その場合に、この法律でいきますと、給与の基準等については厚生省と通産省の大臣の承認を得なければならないということになりますと、これは、ほかの事業団とも同じであろうと思いますけれども、やはり今後の労使関係の中で、相当また問題が起きると思うのです。この点について、どういうふうなお考えを持っておられるか、お聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/68
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069・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 全くこの事業団と同じではございませんけれども、たとえば、厚生省所管の事業団でも、年金福祉事業団もございますし、他省の所管の事業団もございますので、それらとの関係を考えて、おおむねそれらの事業団に類似した取り扱いになることと予定いたしております。具体的に申しますれば、職員の給与は、一般国家公務員よりやや多いということでございまして、理事等も、一般のこれに類似する事業団の理事の給与に相当する、かように予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/69
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070・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) 交付金の問題でございますが、現在のところ、その将来においてどうこうという段階にまでは至っておりませんが、出発にあたりまして三千四百万円の交付金を出して全額事務費を持とうという方針でございます。したがいまして、その方針に従って今後も進められるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/70
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071・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 資金関係についてはこの程度にいたしまして、これらの事業団がつくる福祉施設の利用について、地域の住民は利用の保証がはっきりされるのかどうかというのも、やっぱり問題があるわけであります。たとえば、これはおそらく、そういう体育施設なり、あるいは保健施設をつくった場合には、有料施設にならざるを得ないのじゃないかと私は思うのですが、そういう面では、入場料とかなんとかいうような面で、一般地域住民がほんとうに利用できるということになるのかどうか、そういう保証ですね、それはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/71
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072・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 福利施設をつくりまして譲渡するにあたりましては、本来の目的は、工場、事業場の職員、家族のみならず、一般住民が利用することが大きな命題でございまして、したがいまして、それを条件として譲渡するというような扱いにいたしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/72
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073・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それからもう一つは、この前この委員会の参考人として来られた方の意見の中で、たとえばこの公害防除の施設を企業がそれぞれ、まあ買うというか、施設をする場合に購入をするわけですね。その場合に、政府のはっきりした検定基準なり、保証されたものでないと問題が残るということを、ちょっと言われたことがあると思うのです。そういう点について、そういう設備機械の製造とか販売のルートですね、そういうものについて、どういうふうに対処していこうとするか。公害防止のための設備あるいは機械、そういうものの製造に対する監督指導、あるいは販売についての指導監督、そういうものについて、どういうふうに対処していきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/73
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074・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 公害防止事業団がつくります施設につきましては、これはもう、専門家の意見によりまして十分性能を発揮し得るようなものとすることはもちろんでございますが、一般的に、公害防止施設につきましての製造、これは、実のところ、製品自身も、技術的にはまだ発展の段階にございますので、なかなかむずかしい点もございますが、できるだけ早急に、日本工業規格、JISをきめまして、そのJISに従って製造されるように、できるだけ早急にそういうほうに持っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/74
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075・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 それから未規制の公害ですね、これに対する問題、また、現在のばい煙規制法なり、あるいは水質二法なりについての問題について若干質問をしていきたいのですが、このばい煙規制法について、今後これを実態に即した改正を行なう考えがあるかどうか。いわゆる現在の発生施設の中には、交通機関とか、あるいは家庭で発生するそういう施設については、全然含まれていないわけですね。ところが、最近における自動車の増加によって、大気汚染も大きな影響を受けていると思う。ですから、ばい煙規制法は、やはりこの際、そういう実態に即した改正をする必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/75
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076・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) このばい煙規制法は、御承知のとおり、現在、すす、粉じんなり、あるいは亜硫酸ガスを主体とするものを対象にしておりますわけでございますが、御指摘のような自動車の排気ガスというのも、最近非常に大きな公害の一つの原因、要因となっておるわけでございます。自動車の排気ガスにつきましては、昭和三十五年ごろから、私どものほうの試験研究機関におきまして研究を行なっております。現在の予定では、本年度、四十年度には試作品をつくってまいりたいというふうに思っております。四十年度に試作品をつくり、四十一年度からは実用化試験をやっていきたい、こういうふうな計画でございますが、要するに、この自動車排気ガスにつきましても、この防止技術と申しますか、防止機器ができますのを待ちまして、そういう法的な規制等につきましても検討をしてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/76
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077・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 何ですか、いまのあれは、そういう試作品をつくってやってみてから、ばい煙規制法というものを書き面していきたい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/77
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078・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 現在、御承知のように、自動車排気ガスにつきましては、道路交通法だとか、道路運送車両法に基づきまして、非常に煙を出して走っておる車なりは、車体検査の際におきましていろいろ注意をするということになっておりますが、やはり、何と申しましても、自動車排気ガスは、その発生源におきましてこれを防止するような機械というものが必要だと思います。世界的に申しましても、この機器というものは、現在のところ、これはというような機器が発見されてないというような段階でございまして、この機器が、もちろん、私どもの試験所におきまして行ないますものが成功いたしますれば、それでございますし、またそのほか、世界各国におきまして、さらにより早くそういうものができますれば、その時期と合わせましてそういう規制というものも検討してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/78
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079・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 もう相当、厚生省もこれらの調査はやられていると思うし、また、技術の開発についても、何か、まだできてないことはたしかかもしれませんけれども、非常に先の長いような話にちょっと伺えるわけですが、それでは、いまの自動車排気ガスによる大気汚染は、通行者のやはり生命に非常に大きな関係があると思うのですよ。したがって、これはいま言われたことも当然なことでございますから、技術の開発の面で、重点的にそういう点を取り上げて、早急にこれらの対策を立てるということをひとつ考えていただかなければならぬと、こういうふうに思います。
それから排出基準ですね、ばい煙の。これについては、どういう考え方できめておるわけですか。私は、生活環境の保全ということよりも、企業の経済の負担というものを考え過ぎているんではないかというように思うのですけれども、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/79
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080・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 排出基準を決定いたしました際の考え方でございますが、これはもちろん、公衆衛生上の被害の発生を防止するというような、生活環境という要請も考えたわけでございますが、同時に、現在の公害防止技術の水準から見まして実行可能なものというふうに考えているわけでございます。具体的に申しますと、非常に多重にばい煙を発生いたします施設につきましては、特に荷性能の集じん装置をつけるということでございまして、大体現在世界のトップレベルと考えられますものをつけました場合に、大体集じん効率九五%ぐらいになりますか、そのくらいのところを目途にいたしまして基準を設定したような次第でございます。で、まあばい煙の排出量があまり大量でないというものにつきましては若干の配慮をいたしましたわけでございますが、先ほど申しましたように、非常に排出量の多いものにつきましては、集じん効率九五%以上という、かなり高度のものの排出基準を考えた次第でございます。
それから、これはばい煙についてでございますが、水質につきましては、川ごとに、この川が上水道の水源であるとか、あるいは下の漁業に影響する、あるいは農業に影響する、そういうものの影響度合いというようなもの、たとえば隅田川につきましては、生活環境といたしまして、においのしないような水にするためというような、その川の効用に従いまして、この川をどのくらいの水質まで持っていきたい、そのためには、上流の工場におきましては、どのくらいの水でなければならぬというようなところで基準を決定している、そういうような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/80
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081・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 速記をちょっととめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/81
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082・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) それでは速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/82
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083・柳岡秋夫
○柳岡秋夫君 まあ、委員長のおことばでありますから、私も、きょうは相当残したままでこれは終わらざるを得ないと思いますが、いま言った、この公害防止のための、いまある法律ですね、ばい煙規制法あるいは水質二法、そういうもの、あるいは工業用水の法律ですね、いろいろありますが、これを何か、ざる法だとかなんとかいわれておりながら、これを直そうとしないのですね。そこにやはり、現在の公害がますます大きくなっていく原因があると思うのですよ。ですから、これは技術の開発とも関係がありますけれども、やはり早急に検討をして、そして必要な法改正をしていく、規制をもっと厳格にしていくと、こういうことをぜひ考えていただきたいと思うのです。
それで、最後に一つですが、これは最近というよりも、たびたび東京湾等におきましては、油によるノリの被害ですね。そういうものが非常に大きくなっているのですけれども、この点について国際条約があるわけです。これは、運輸省の方はよく御存じかと思いますので、特に申し上げませんけれども、この国際条約を世界各国の中でも相当批准をしておるわけでございますが、油による海水の汚濁防止のための国際条約というもの、これは一体、政府はいつ批准しようとするのか。日本は貿易国として船舶の出入が多いわけでございますし、この点は、当然早急に政府は批准をすべきではないかと思うのですけれども、この点についてのお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/83
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084・堀武夫
○政府委員(堀武夫君) 海水の汚濁防止条約はできておりますが、わが国はまだ批准をいたさない状態になっております。しかしながら、公害防止の観点から非常に望ましいところでございまして、できるだけ早い機会に本条約の批准をすべきであるというふうには考えております。しかし、その批准をするためにはいろいろな受け入れ体制と申しますか、たとえば船舶が投棄する廃油の規制措置等、船舶内の油水分離機の設置、陸上における廃油の受け入れ施設の整備が必要であります。このために、従来からも国内では実情に即した措置をとることを目標といたしまして、鋭意研究中でありますが、特に陸上における廃油の受け入れ施設の整備を行なうことが先決問題でもありまして、汚濁の最も著しい区域等につい、効果的な措置がとられるように、いま関係機関といろいろ協議をいたしておりまして、早急に批准できるように準備を進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/84
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085・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 北條委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/85
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086・北條雋八
○北條雋八君 私も、いまの柳岡委員の質問の点、伺おうと思っておったのですが、一体これを整備するのに、廃液の処理施設にどの程度の予算が必要なのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/86
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087・堀武夫
○政府委員(堀武夫君) これをどの程度やるかによっていろいろ違いますけれども、これを完全にやるためにはどの程度の予算が要るかにつきましては、船につける油水分離機、あるいは陸上における廃油の受け入れ施設、どの程度の港にするか、あるいはどの程度の施設にするかということについては、まだ算定は正確にいたしておりませんけれども、陸上施設だけについて申しますと、大体一カ所三億くらいかかるんじゃないか、それをどの地域にどれくらいつくるべきかということについては、まだ結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/87
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088・北條雋八
○北條雋八君 この国際条約は、いまから十年前にロンドンで制定されたわけでありまして、四十カ国がすでに調印しておる。批准をしておるのは二十三カ国ですか、だいぶ前から問題になっておるし、一方また、油の廃液の漁業に対する被害というものは非常に大きい問題でありまして、他の公害の防止については、今後この法律案によってだんだん手当ができますが、この廃油の被害というものは、そのままにしておけば、ますますひどくなる一方であります。かつて運輸省で一度計画を立って、出したことがあるように聞いておりますが、やはり予算の関係でこれは実行できなかったというふうに聞いております。その点、結局、金の問題だろうと思いますが、これはぜひ促進していただく必要があると思うのです。この点に関して、大臣から一言お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/88
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089・堀武夫
○政府委員(堀武夫君) 運輸大臣は参っておりませんので、運輸省の所管でございますので、私からお答えいたします。
ただいま先生おっしゃいましたように、海水汚濁防止法案というものを運輸省で三十七年に立案をしたことがございます。それで、これは相当審議をいたしまして、法制局まで持ち込んだのでありますが、いろいろ審議をいたしておりますうちに、まだ受け入れ体制もできてないのに法律だけつくるのはまだ早いじゃないかという議論がいろいろ出まして、そうしてそこでつぶれたわけであります。で、その後、その法律がつくれるような受け入れ体制をつくるために、いまいろいろと努力をしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/89
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090・北條雋八
○北條雋八君 その点は、この程度にとどめます。
なお一点確かめたいのですが、本法案の公害には、産業公害が主になっておるように、第一条の目的のところでも、そのように書いてある。ただ、「大気の汚染、水質の汚濁等」という「等」が入っておるので、その「等」の中に、先ほどから伺っておりますと、産業公害以外の、たとえていうと、大気汚染の中にも、産業に関係のない自動車の排気ガス、また、水質汚濁の中には、やはり産業に関係のないし尿の投棄とか、いまの船舶の廃油の流出、あるいは農薬の流出というものがあり、また騒音の中にも、飛行機とか自動車の騒音も入っておるように思うのですが、そういう産業公害の以外のもの一般公害も当然入るものと承知してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/90
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091・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) お尋ねのように、この事業団法の法の目的の中で示してございます「等」という意味合いは、この事業団の取り扱います対象はただに大気汚染、水質汚濁のみでないという意味合いも含めてあるわけでございます。ただ、先生からただいま御指摘いただきましたようなし尿処理のようなものは、また別途、し尿処理に対する予算措置、あるいは清掃法等の法律に基づきまして整備いたしておりますので、いわゆる公害と称せられるものが、すべてこの「等」の中に含まれる、事業団の事業内容になるわけではございませんけれども、ここに例示してございます部分のみに限られることでなくして、今後とも、できるだけ対象としてまいりたいと、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/91
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092・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、し尿処理は、この事業団は扱わないわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/92
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093・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) し尿処理の一番大きな公害防止的な処理方式は下水道でございますが、これは下水道法がございまして、工場廃液等を下水道へ流し込んで、それによって完全処理をするという措置が最も公害防止の上にいい処理でございますが、これは別途の下水道法がございまして、また、下水道に関する予算もかなり大きな予算措置で行なわれておるわけでございますので、それらに対しては、この事業団は取り扱わないことになるわけでございます。ただ、工場から廃液が出まして下水道へ結びますまでの間の処理、そのようなものは、この事業団が廃液の処理施設として扱うわけでございます。私が申しましたのは、一般家庭から出てまいりました汚水を集めて終末処理をするという部分について申したわけでございますが、そのような意味合いで、公害の対象となります施設がすべてこの事業団というわけではございませんということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/93
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094・北條雋八
○北條雋八君 そうすると、ちょっとはっきりしませんが、そういうし尿の処理に関しては、もう全然ノータッチでいくわけですか、事業団は。やはりそういうこともからみ合って、計画なり——予算はとらないにしても、計画には勘案していかなければならないと思うのです。切り離せないものだと思うのですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/94
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095・舘林宣夫
○政府委員(舘林宣夫君) 国の公害防止施策の総合計画の中には、当然それらのものも含めて計画してまいるわけでございます。その総合施策が立ちまして、公害対策として具体的に考えたうちの大部分を公害防止事業団が分担するかということになるわけでございますが、ただいま私が例示いたしました各家庭から出てまいりますような家庭汚水、あるいは水洗便所の汚水というようなものは事業団の対象となるものでなくて、下水道法あるいは清掃法等の対象として別個の処理をするということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/95
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096・北條雋八
○北條雋八君 それでは、なお一点伺いたいのですが、わが国は、御承知のとおり、公害問題として、水質保全法とか、ばい煙規制法が制定されましたのは、たしか昭和三十三年ぐらいでありまして、諸外国に比べて非常に対策がおくれておることは御承知のとおりでございます。したがって、公害防止技術も、今後できるだけ早急に進歩発達させなければならないと痛感しておるわけですが、公害対策の基本となる科学技術の調査研究がきわめて重要であるにもかかわらず、総合的な研究が行なわれてない現状であると思います。科学技術庁として、公害に対する試験研究は、いままでどのようになされておったのか、また、今後どのような方針で進めていかれるつもりなのか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/96
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097・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) 先ほどこの問題には若干触れたのでございますが、通商産業省内の工業技術院の各試験所におきまして、それぞれ分担して鋭意研究をしておるのでございます。本年度につきましては、実は、お話のような総合的な研究をいたしたい、こういうことでございましたが、全般的な予算編成の過程におきまして、われわれの希望どおりにいかずに、工業技術院の中に一つの部を設ける、あるいは公害研究調整官を置くという範囲にとどまった次第でございますが、お話の御趣旨に沿いまして、公害対策、技術の確立については、今後においても十分努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/97
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098・北條雋八
○北條雋八君 各省の試験研究機関がばらばらでありまして、まあ公害対策の試験研究費をそれぞれ別々にとっておるようであります。そうして、それをまあできるだけ効率的に配分をするというようなお話でありますが、この配分をきめるのは、一体どこで決定しておるのか。またもう一点は、民間会社にもいろいろ試験研究所があると思うのですが、それらとの関連といいますか、試験研究の利用というようなことまで考えてやっておられるのか、その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/98
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099・馬郡巖
○政府委員(馬郡巖君) 公害防止技術の研究につきましては、それぞれ、たとえば厚生省におきましては医学的見地、身体に及ぼす影響というような点からの予算の配分をいたされております。私たちのほうにおきましては、公害の発生源におきましてこれを防止するための技術の研究ということをいたしておるような次第でございます。
なお民間の研究との関係でございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、鉱工業技術研究費補助金というものを出しまして、民間の試験研究に対する補助制度を実施しておりますほかに、本年度新しく工業技術院の中に産業公害担当の研究調整官を設けまして、通産省の各試験所で実施しております研究の総合調整、さらに民間の研究者との連絡もはかりまして、公害の発生を防止するための技術研究というものの全体の調整というものを行なうということで、本年度から研究調整官を設けた次第でございまして、今後におきましては、これらの制度によりまして、官民協力いたしまして公害防止技術の開発の促進につとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/99
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100・北條雋八
○北條雋八君 時間がございませんから、最後に一つ。私は、この公害防止がこのようにおくれているということは、これは、もちろん企業者にもその責任の一端はあると思いますが、根本は、やはり政府の責任であると思います。特に、し尿の処理は、日本がこれを肥料に使っておりましたのが、非常におくれた原因だと思いますけれども、どうぞ今後この試験研究にも大いに力を入れられて、そうして政府の責任において一刻も早く公害防止に力を尽くしていただきたいと思います。
これで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/100
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101・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 北村委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/101
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102・北村暢
○北村暢君 私は、厚生大臣お急ぎのようですから、厚生大臣に一点二点お伺いいたしたいと思います。
まず、各委員が指摘いたしておりますように、日本は、先進国から比べて非常に公害対策がおくれている。おくれているのは、まあいろいろ理由はあるでしょうけれども、その公害の程度にいままで気がつかなかった点があると思うのですね。
〔委員長退席、理事中野文門君着席〕
ところが、何といっても、日本は人口の密度からいくというと、世界より非常に密度において高いわけです。でありますから、公害が起きていていままで等閑視されていたということは、ふしぎなくらいで、そういう事態ですから、やはり公害というものに対して今後もっと積極的な政府の考え方というものが出てこなければならない。その根本は、これはやはり企業体から言えば、なるべく金のかかるものはやりたくない、こういう基本的な考え方があるはずです。いろいろ法律はありましても、何とかして手を抜きたい、企業採算からいけば不経済的な施設でありますからやりたくない、そういう立場に立つのもやむを得ないと思う。ところが、やはりそういうことを見のがしているというと、公害は拡大していく一方であります。それを基本的にプッシュしていくのは、やはり私は、厚生省が本気になって公害対策というものについて考えないというと、公害対策というものは進まないんじゃないか、このように思うんです。したがって、私はまず厚生大臣に、今後における産業公害、一般公害を含めて、いまいろいろ出ておりますように、水質汚濁の問題についても、下水道あるいは共同処理ということで総合施策が必要である。そういう面からいくというと、どうしてもやはり根本的にそういう総合調整をはかるためには、公害の基本法的なものが必要であろう。これで、水質の基準なり、大気の基準なりというものを明確にして、現状では基準には触れないけれども、それが集積すると公害になってくるという問題が出てくるんでありますから、個々のものを取り締まっても、その成果があがらない。こういう実態からいって、どうしても私は公害の基本法というものを制定をして、そういう総合施策を行なうべきではないか。それを担当するのは、やはり厚生省が主体になってやらないというと、推進しないんじゃないか、このように思うのです。したがって、厚生大臣は、この公害の基本的な考え方に立って、いかようにこの公害の基本法に対して対処されているか。何か検討をされておるようにも聞いておるわけです。
〔理事中野文門君退席、委員長着席〕
この基本法ができないのは、この基本法についての基本的な考え方、どうしようとしているのか。また、検討されておるが、なかなか出そうとして出ないというようなことも聞いておるんですが、その支障になっているのは一体何なのか。この点、二点について、まずお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/102
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103・神田博
○国務大臣(神田博君) ただいま北村委員から、この公害問題を真剣に取っ組む場合の心がまえと申しますか、第一に、公害問題は特に地域住民の生活に関する重大問題でございますし、また、日本といたしましても、人口過密なる地域が相当ございまして、なおまた、そういうようなものの数が多くにのぼろうとしておる際でございます。よほど真剣な心がまえでなければ、公害対策というものは、うまくいかないんじゃないかということでございますが、そのために基本法をつくる考えはないか、もしこれがつくれないとしたならば、その事情はどこにあるかというような意味のお尋ねに伺いました。私どもといたしましても、いまお述べになられたようなお考えと全く同感でございまして、そういう気持ちで、ものごとをここまで進めてまいったわけでございます。
そこで、それならば、なぜ基本法をつくらないかという問題でございますが、一体公害とは何ぞやというようなことにつきまして、いろいろ学問的にもまだ意見が統一されておらない事情もございます。それから、御承知のように、現に公害が発生しつつある地区と、それから新産都市とか、あるいは工特地域とか、新しく指定された地域の将来起こるであろう公害問題とも取っ組まなきゃならぬ次第でございまして、公害の実質的内容、形式的な内容、いろいろこれは多面でございます。いま基本法をつくるということになりますと、なかなか各省間の意見をこの国会で間に合わせるというわけにはいかないというような見通しでございまして、御承知のように、内閣におきましては公害対策推進連絡会議というのがございまして、関係各省がそこでいろいろ討議を進めております。しかし、基本法をつくるというところまでまいりますと、なかなかものごとが進まない。しかるに、公害は一日一日進んでまいっておる。このまま放置できない。基本法も考えながら、基本法があとになった。最初に考えた基本法が、むしろあとになったということは、いま申し上げたような事情でございます。決して基本法を考えないで、ものごとを進めたわけではないのでございまして、基本法をつくりたかったのであるが、いま申し上げたような諸般の情勢が熟さないと申しますか、データが足りないと申しましょうか、そういうような事情で基本法に踏み切れなかった、踏み切っても成文化するわけにいかなかった、こういうことです。しかし、事態が現に進んでおる、あるいはまた、将来に及ぼすであろうということを考えますと、これは、地域住民のために、どうしてもひとつそういう問題と真剣に取っ組まなければならぬ。特に、取っ組む場合に、ただ監督行政というだけでは、これは成果をあげることはできない。産業振興を担当しておられます通産省と、われわれ地域住民の生活と密接に関係のある厚生省といたしまして、密接不可分の連絡のもとに、ひとつ両者強力に公害問題と取っ組んでまいりたい、こういうわけで事業団を進めたようなわけでございます。
そこで、これは、工場や事業場に十分に監督をいたしましても、資金の面にむずかしい問題があろうかと思います。あるいはまた、公共団体等にいろいろの施設を命じましても、なかなか今日の財政状態においては完ぺきを期するわけにまいりません。そこで、両者にまたこの事業団が介入いたしまして、そして総合的一貫的な方法で考えたならば、ものごとは話し合いでいくのではないか、いわゆる調和がそこにとれるのじゃないか、こういう考えで御審議をお願いした、こういう経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/103
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104・北村暢
○北村暢君 事業団のことを聞いているのじゃないので、公害対策の基本の問題をお伺いしているのですが、いまの御答弁で、大臣は、基本法というようなものを構想しながら基本法はおくれたけれども、それを勘案しながら具体的な施策を行なってきているのだ、こういうことのようで、今度の国会には間に合わなかった、こういうふうな御答弁のようでございますが、それでは、今度の国会に間に合わなければ、次の通常国会あたりには間に合って出る可能性があるのですか、どうですか。わが党においても——民社党においては、すでにこの国会に提案しているようでございます。そういうようなことで、与野党この問題についてはいま真剣に取り組みつつある問題であります。政府としても、便々として放置できない段階に来ているのじゃないか、このように考えまするので、厚生大臣のさらにその見通しについて明確に御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/104
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105・神田博
○国務大臣(神田博君) いま北村委員のお話のようなことでものごとを考えております。御承知のように、今度、公害審議会というものもひとつ発足したいと考えておりまして、この公害審議会において基本法も御審議願って、そして来たる通常国会には間に合わしたいというような強い考えのもとで、実は構想を練っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/105
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106・北村暢
○北村暢君 大臣、時間がだいぶ過ぎたようですから、もうこれで質問を終わりますけれども、公害の審議会というものをぼつぼつつくるとか、ぼつぼつ検討するというような、それで来年の通常国会に間に合わせる——ことばじりをとらえてまことに恐縮でございますが、どうも決心のほどが、神田大臣、ぐらぐらしているのじゃないか。ぐらぐらは本性のようでございますけれども、大臣がぐらぐらされるというと、基本法は生まれてこない、このように思いまするので、ぼつぼつだなんて言わないで、公害はどんどん蔓延しているのでありますから、ひとつ早急に、通常国会へ間に合わせてもらうように、審議会等も発足させるならさせるように、はっきりさせなければいけない。そういう気持ちでひとつやっていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/106
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107・木島義夫
○木島義夫君 関連質問ですが、実は、佐藤内閣の花形の両大臣がおそろいですから、ひとつ御質問したい。わが千葉県は、公害っていう字が違うんですよ。黄色の害です、東京のほうの。これはもう有名な話ですが、東京の汚物ですよ。これを船で東京湾の外側へ持っていくことになっておる。ところが、捨てるやつが途中で捨ててしまう。だから、それが流れてきて、ノリやなんかにみんな影響するのです。これは困る。もう実に大きな被害です。東京の近くであるから、いろんな公害のあるのはしかたがないのですが、ひとつこの機会において、東京都知事に進言しまして、東京都は肥料の会社を経営するようにアドバイスをしてもらいたい。この前、政府の相当の方が船の時代にアメリカのほうから来て、日本へ近づいてきた。緑の日本を見たいというので、デッキへみんな出た。ところが、向こうに黄色の帯がずっとつながっている。あれは何だと聞かれたときに、もう全く返答のしようがなくて、穴へでも入りたかったそうです。それが依然としてまだ続いているようですから、これは公害の最たるものですから、この問題を両大臣に、櫻内大胆と神田大臣にひとつ責任をもって解決してもらいたいと思いますが、一言、それができるかどうかを、ひとつ御返事願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/107
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108・神田博
○国務大臣(神田博君) いまのお尋ねは、私どもも非常に頭を悩ましている問題でございまして、もう実情も十分わかっておりまするし、監督を十分やるようにということで、督励しているのでございますが、事実は、いまお述べになったような事情を再々耳にいたしますので、非常に遺憾に思っております。しかし、この根本的の解決は、し尿処理施設の増設以外に方法がないということでございまして、これをいま設計いたしております。このし尿処理施設が完備いたしますれば、そのようなことはなくなるのでありまして、肥料会社をつくらなくとも、そのほうで十分被害は避けることができると思います。いつできるかということになるわけでございますが、これはそう遠からず、いま設計その他、予算等練っておりますから、これが整備をさせまして、そうして非難にこたえたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/108
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109・木島義夫
○木島義夫君 ひとつ、これもそろそろやらずに、大至急お願いいたしたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/109
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110・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/110
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111・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/111
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112・北村暢
○北村暢君 いまの委員長の提案に協力いたします。したがって質問もあまりいたしません。それで、直ちに採決するようなことになるだろうと思いますが、ただ、私は一問だけ通産大臣にお伺いしておきたいと思いますが、公害防止事業団、先ほども柳岡委員から言われておりますように、まことに貧弱でございます。したがって、私は事業団そのものについて、つくっていくということについて、あまり賛成はしません。きのうも、農林関係の管理会の設置について私反対いたしました。したがって、この事業団についても、二十億ぐらいの資金で施設をしていくといっても、ごく限られたところでございます。したがって、政府は、この公害防止事業団をつくって、公害防止に乗り出したから、これで公害対策はやったのだという大みえを切ってもらっては、公害というものは解決しない。どんなにこの事業団の事業を拡大しても、そう簡単に全国的な公害というものがなくなるとは考えられない。したがって、私はやはり、この事業団は、特定の効率のあがる地域にだけ実施せられる問題であって、一般に言う産業公害というものは、従来の水質汚濁法なり、あるいはばい煙防止法なり、いろいろやっておられるが、産業公害全体としては、やはり企業が責任を持って公害を防止する、この基本的な立場に立って政府はこれの助成をしていく、これが強力になされない限り、公害はなくならない、このように思うのであります。
それで私は、そういう観点からして、従来の通産省のとっておる公害対策の予算その他を見ましても、全体の設備投資から見て、藤原委員も指摘しているように、設備投資全体における公害防止の設備、これのパーセントというのは低いし、さらにこの問題を徹底していくためには、政府はもっと真剣にこの問題の方策というものを考えなければいけない。このように思うのです。
この点についての大臣の所見を承ると同時に、もう一つは、大企業は、ある程度能力を持っておるので、公害防止のための対策は企業みずからができないわけではない。しかしながら、問題はやはり中小企業であります。この中小企業の公害というのは非常に大切なんですが、やろうとしても自力ではできない。それで、この公害防止事業団法によって、主として対象は中小企業に向けられるのだろうと、このように思うのです。しかしながら、中小企業の場合には、中小企業近代化資金というようなものがあり、今後、工場団地形成というものは、どんどん通産省はやっていくわけであります。そういうものとの関連において公害防止ということは当然考えられていく筋合いのものである。したがって、公害防止事業団のやる仕事だけが私は公害防止の通産省の仕事ではない、このように思っておるのです。したがって、今後における中小企業の経営の高度化、あるいは近代化、経営だけじゃなしに、製造工業の設備の近代化、合理化、こういうことと十分勘案をしていけば、もっともっと公害防止の成果というものはあげ得るんじゃないか、このように考えるのであります。したがって、私は、その点について通産省はどういう考え方を持って今後臨まれるのか、この二点だけを質問いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/112
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113・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいまの御意見については、私どもも全く同感でございます。公害対策として、財政上の措置はもとよりでございますが、企業の自己責任を達成できるように、資金融資、助成は、これはどんどん推進すべきだと思います。特に、御指摘の近代化資金、高度化資金の貸し出し条件などを緩和してやってまいりたい、あるいは税制上の助成をいたしたい、それとともに、この公害に対する技術の開発を進めていくことも当然であろう、これらの諸点を総合して、われわれは熱意を入れて今後公害に対処すべきだと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/113
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114・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/114
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115・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにして御発言を願います。別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/115
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116・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 御異議ないと認めます。
それでは、これから採決に入ります。
公害防止事業団法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/116
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117・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/117
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118・中野文門
○中野文門君 ただいま決定されました公害防止事業団法案に対しまして、附帯決議をつけていかだきたい動議を提出いたします。
案文を朗読いたします。
政府は、本法施行にあたって、次の事項について措置を講ずべきである。
一、公害防止事業団による公害防止のための事業を強化するため、低利の事業資金を大幅に増額するとともに、中小企業に対する運用条件等の改善に努めること。
二、産業公害対策の基礎的調査並びに技術の研究開発に当っては、民間と協力し、統一的総合的に推進すること。
三、現行公害防止関係法を実態に即して所要の改正措置を講ずるよう検討すること。
右決議する。
以上でございます。何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/118
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119・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) ただいま述べられました中野君提出の附帯決議案を議題といたします。同君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/119
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120・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 全会一致と認めます。よって、ただいまの附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/120
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121・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
櫻内通産大臣から発言を求められております。櫻内通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/121
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122・櫻内義雄
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま本委員会で、全会一致で決議されました事項につきましては、その趣旨を尊重いたしまして実現に努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/122
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123・紅露みつ
○委員長(紅露みつ君) これにて散会をいたします。
午後四時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814381X00719650512/123
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