1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月二十六日(金曜日)
午前十時三十六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 西田 信一君
理 事
佐野 廣君
西川甚五郎君
成瀬 幡治君
田畑 金光君
委 員
大竹平八郎君
岡崎 真一君
栗原 祐幸君
津島 壽一君
林屋亀次郎君
村松 久義君
木村禧八郎君
佐野 芳雄君
鈴木 市藏君
国務大臣
大 蔵 大 臣 田中 角榮君
政府委員
大蔵政務次官 鍋島 直紹君
大蔵大臣官房長 谷村 裕君
大蔵大臣官房財
務調査官 吉國 二郎君
大蔵省主税局長 泉 美之松君
大蔵省関税局長 佐々木庸一君
大蔵省国際金融
局長 渡邊 誠君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
大蔵省主計局主
計官 平井 廸郎君
国税庁間税部長 松本 茂君
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本日の会議に付した案件
○所得税法案(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法案(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の
整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○国立学校特別会計法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する
特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○財政法の一部を改正する法律案(内閣送付、予
備審査)
○交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣送付、予備審査)
○石油ガス税法案(内閣送付、予備審査)
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001・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
所得税法案、法人税法案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案、以上四案を一括議題とし、一括質疑に入ります。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/1
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002・成瀬幡治
○成瀬幡治君 議題から若干はずれるわけですけれども、まず一つだけただしておいて、あとはまあ大体議題のほうに戻っていきたいと思うのですが、大臣、この大蔵委員会は、まだきまってはおりませんけれども、例の農地被買収者報償法案と称するものが本委員会にどうも付託になる気配があるわけです、まだきまっちゃおりませんが。そういう関係上、しかも会期の関係がありますから、問題になっている日銀法は一体この国会に提案されるとするなら当然この委員会に付託されるわけですが、一体日銀法はどうされるのか。この大蔵委員会全体の進行状態とも関連しますから、これをまず最初にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/2
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003・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 日銀法につきましては、ようやく政府としての成案を得まして、今国会に御審議をわずらわしたいと、こう考えておりましたが、どうも国会の状態を見ますと、参議院の選挙も間近でございますし、審議をやるならば徹底的にやはりやりたい、そういうことになりますと、なかなかいまの状態ではむずかしいのじゃないか、こういう衆議院側の意向もございます。私も、日銀法ですから、提案をした以上まああまりたなざらしにしたりなんかしないで、なるべくひとつすみやかな御審議をと、こういうことをお願いしておったわけですが、いずれにしても、今度の国会ではどうもめんどうだ、こういうお気持ちがありましたので、まあ心に残っておりますけれども、他の法律案も上げていただかなければならぬということもありますので、この国会には提案を見合わせる、こういう考え方になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/3
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004・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私たちは新聞を通してしか知らないわけですけれども、日銀総裁と大臣との間で、たとえば政策委員会の名称なりあるいはその存置等の問題について、若干の意見が違っておるというようなことが一応報道されたことがございます。いまお聞きしますと、大体日銀との間においては話その他は全部できてしまった、成案はできたということになっておる。しかし、期間等の問題等があるから、あくまでそれは時間的な問題として、今国会においては無理であるからやめるのだ、こういうふうに話が落ちついたと。これでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/4
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005・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) よろしゅうございます。日銀総裁と私の間に意見の相違があったということはございません。事務当局が法律条文を整理をしていく上において、多少その過程において調整を必要としたというような事態はございますが、まあこまかいものも通じまして、日銀と大蔵省が対立しておったというようなことはほとんどございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/5
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006・成瀬幡治
○成瀬幡治君 所得税のことに関してお尋ねをしたいと思いますが、最初にこれは事務当局からお答え願いたいわけですが、税制調査会は所得税中心の減税でなきやならぬとか、いろんなことは、この税制調査会が出しておる「税制改正に関する答申及びその審議の内容と経過の説明」という中で、所得税の減税というものを非常に重要視していろいろとやっておるようでございます。ところが、その税制調査会の答申と政府原案との間の差を拾ってみますと、いろいろな点があるわけですが、そこで、まず最初に伺いたいのは、この税制調査会の資料の六ページに、平年度千二十五億、初年度八百九十億、それが地方税にはね返っていきまして、地方税と国税の総計では初年度八百九十億、平年度千百十億になると、こういう資料があるわけですが、これが政府原案になりますとどういうふうに数字が変わってくるか。この資料で所得税のうちの(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、あげてございますね、この資料に政府原案の数字を入れたいと思いますから、この資料に基づいてちょっと数字を入れていただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/6
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007・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) これは所得税のほうで申し上げますと、まず基礎控除の引き上げでございますが、政府案では平年度二百二十九億、この四百三十億というのが二百二十九億になるわけでございます。それから、初年度三百八十億というのが二百一億。それから次に、実は税制調査会の答申にはないのでございますが、配偶者控除の引き上げというのが政府案には加わりまして、それが平年度百十四億、初年度百億。それから、扶養控除の引き上げでございますが、これは内容は変わらないのでありますが、税率改正をやるかやらぬかで数字が違ってまいりますので、それでいきますと、ここに二百八十億と二百四十億とございますが、平年度二百九十八億、初年度二百五十七億になります。それから、給与所得控除の引き上げ、これも政府案と税制調査会の案とは変わりはないわけでございますが、税率をやらないことのために差が出まして、二百十五億というのが二百二十五億に、それから百九十億というのが二百二億になります。その次の専従者控除の引き上げ、これは白色申告のときだけ違うわけでありますが、この四十億というのが五十三億、三十億というのが四十億になります。税率改正は政府案ではございません。そのほかに医療費控除の引き上げというのが政府案に加わりまして、これが平年度三億、初年度二億。で、トータルいたしますと、この千二十五億というのが九百二十二億になります。八百九十億というのが八百二億になります。それから、地方税のほうの八十五億は変わりございません。したがって、国税、地方税合わせたところで申し上げますと、いまの四百三十億というのは二百二十九億、それから三百八十億が二百一億、これはもう移っていくだけでございます。違ってまいりますのは、給与所得控除のところに八十五億が加わりますために、給与所得控除が国税、地方税合わせまして、平年度三百十億、初年度二百二億。初年度は変わりございません。そうしてトータルで、千百十億というのが千七億、八百九十億というのが八百二億、このようになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/7
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008・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、その取り組む姿勢の問題になってくるわけですが、そういう問題については、まあいろいろと議論もしたくもありませんし、まあ平行線にこの問題はなるかとも考えますから、やりたくはないわけですが、なぜその基礎控除あるいは税率の改正というものを答申と違えて独自な見解をとられたかという根本的な理由は、財源がない、あまり所得税の減税をしちゃ困るということに尽きるかと思いますけれども、しいてどういう理屈をおつけになったか、大臣から一応お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/8
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009・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) まあ財源がないということも一つのことでございますが、この基礎控除の引き上げ等は、一年間でやるということではなく、毎年毎年この問題は重点的に取り上げてやってまいりますので、今年度は基礎控除の引き上げでは十二万円を十四万円にと二万円引き上げるということでありましたが、十二万を十三万円、一万円引き上げるということにしたのであります。そのかわりに配偶者控除引き上げというのを十一万から十二万、一万円引き上げるということをとったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/9
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010・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いや、基礎控除とか配偶者控除の問題はあと回しにして、最初に税率の改正のほうで、答申は税率の改正ということをしているわけなんですね。その趣旨は中堅——いわゆる三百万前後と申しましょうか、その中堅所得者の生活が非常にえらいじゃないかと。だから、基礎控除も非常に大切であり、あるいは配偶者控除の問題も非常に大事だということは、私たちはわかりますけれども、この税率改正というのも非常に私は有意義な大事な点だと思うわけですけれども、こういうことがさらっとこう見送られているというところに、非常に残念に思っているわけです。ですから、この税率改正はやらなかったのだ、それは八%の問題があるやつを一〇%に下を切れと言ったと、それだからこっちのほうが有利なんだという勘定は私はできないと思うのですよ。だから、中堅所得者の層の減税をやらなくちゃならぬという点は、これは私は議論をする余地はないことだと思うのですよ。それが今回の改正で見送られたということで、非常に残念なことだと思っております。したがって、そういうことに対して、財源の、何と申しますか、財源上やむを得なかったという、その一言で見送られたとするならば、私はいろいろなやり方があると存じますが、これをそうじゃなくて見送ったんだと、なぜ今回の改正は見送ったんだという理屈が何かあれば、一応納得するだけのものについてお聞かせ願えればいいのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/10
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011・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) この点につきましては、実は税制調査会の答申が出ました後、与党であります自由民主党の税制調査会でいろいろ審議があったわけでございますが、その内容は、これはまあ非常に税制と申しますか、所得税の減税のしかたに対する考え方の問題に帰着するわけでございますが、税制調査会のほうの答申は、諸控除を引き上げまして課税最低限を引き上げると同時に、昭和三十二年に行なわれて以来今日まで実質的にほとんど行なわれておらないところの税率を緩和して、中堅所得層の負担の軽減をはかるということに重点を置いておったわけであります。ところが、問題になりましたのは、課税所得三百万円以下の税率を緩和することによって実は四百六十億、平年度でございますが、四百六十億の減収になるのでございます。それを、税率の最低限の八%を一〇%に戻すことによって四百億バックいたしまして、税率緩和によっては六十億しか減収にならない、こういう案になっておったわけであります。
これにつきましては、実は私どもその後いろいろ反省いたしておるのでございますが、この税率を、最低税率の八%を一〇%に上げることによって課税最低限のほうの基礎控除はどうしても二万円上げなければならないわけですが、そういたしましても、問題になりますのは、税率の刻み方を変えますので、この所得階層に応じて低い所得の人の負担軽減率が高くて上の階層の方の負担軽減率が低いということが税制改正によっては望ましいわけですが、税率の緩和を行ない、しかもこの最低税率を引き上げておりますために、その負担の軽減の状況が必ずしもなだらかに出ない。非常に負担の軽減になる階層もあれば、あまり軽減にならない階層も出てくる。そこにまあ税制改正としてはいろいろ問題があった。できればこの最低税率を引き上げないで税率の緩和だけやればそういった点は少ないわけですが、それでは減収が非常に多くなり過ぎる、こういう問題が出てまいりまして、ことにこの給与所得者の場合は給与所得控除の引き上げがありますから問題がないのでありますが、事業所得者で年の所得三十万円くらいのところ、つまりいろいろな基礎控除などをいたしまして課税所得が十万円くらいになる階層では、ほかの人たちは今回の減税によって何らかの負担の軽減を受けるはずなのに、その階層では全然負担の軽減を受けない負担のふえることはもちろんないわけでありますけれども、負担の軽減を全然受けることがない階層が出てくる。そこがこういう税制改正をやる際にたとえわずかの人員であっても負担の軽減を受けないものが出るのは政治的に好ましくないということになりまして、税率緩和の方向は望ましいのだけれども、それについてはいま少し考える必要があるのではないか。緩和の方向だけやれば、先ほど申し上げましたように四百六十億財源が要ってとうてい減税財減をまかなうことができない。そういうことからいたしまして、今回は税率改正を見送って、まあ税制調査会も言っておりますが、できるだけ低額所得者の負担の軽減をはかる、こういう意味でまあ控除の改正に重点を置いて行なう、こういうことになったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/11
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012・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そういう問題はその基礎控除の問題と関連してくるわけですけれども、私はまあそういうことをおっしゃっても実は納得できないわけですが、ほんとうは、まあ政党内閣ですから、自民党政調会で、税制調査会で一番初めにぶった切られたという実情も新聞が報じておりますから、この真否の点は別として、まあ大蔵事務当局としては税制調査会の答申をまあのんでいってもいい。しかし、政党内閣のたてまえ上、自民党の税制調査会において一番先にこの問題を取り上げられて、そして一番最初に落とされたのだ、だから出ないのだということなら、これもまたやむを得ないことだと思っております。しかし、方向は何としても、この中堅所得者層の減税というものをやっていかなくちゃならぬという姿勢は、あなたがいま理屈上課税最低限度の問題に触れられましたけれども、それは基礎控除等の問題で私は勘案していけばいいと思う。税制調査会の問題は、基礎控除の問題でどうするか、しかも中堅の問題については税率改正のほうでいくという、そういう姿勢を示しておったときに、この問題が切られたということは非常に遺憾なことだ。
そこで、大蔵省としては、次の税制調査会の答申はどうなるかということは、それは考えられないかもしれませんけれども、事務当局の方針としては、税率改正というものはやはりこの次の改正の中では、基礎控除の問題あるいは配偶者控除の問題等々もございますが、やはり次の改正が行なわれることが当然でございますが、その場合には税率改正というものは最優先に取り上げなければならない問題だというふうに考えておりますが、これはどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/12
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013・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) まだ本年の税制改正が成立いたさないのに、明年の話を申し上げるのはいかがかと存じますけれども、来年減税財源を確保して減税をするということができるような事態になりますれば、これはもう先般大蔵大臣もおっしゃっておられることでありますけれども、税率の緩和をぜひ行ないたい。まあ何を再優先するということになりますと、いろいろ問題があろうかと思いますけれども、税率の緩和をぜひ行ないたいと思いますが、その際には私が先ほど申し上げましたようないろいろな難点を克服した案にならないと、実行上いろいろ問題が出てくるだろう。したがって、私どもといたしましては、今後税制調査会におはかりいたしまして、税率緩和のやり方につきましてさらに検討していただきたい、その上で実施に移すようにお願いしたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/13
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014・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は税率改正というものは非常に大事な点だと思っておりますけれども、これは木村さんがこの前のときに、配偶者控除の問題については約束があったとかというふうに木村委員あるいはわれわれは受け取っておりますが、大臣はなかなかそういうところは答弁がうまかったようですが、あるいはどうかなっちゃって、配偶者控除を基礎控除並みに引き上げるということについては、それが全然税制調査会のほうでも答申案の中になかったのだ。なくなった。その前の答申案の中にはこれはありまして、基礎控除と一緒にしたらいいじゃないか。今度は配偶者控除の問題はやってはおりますけれども、同額にする必要はないという意見に変わってきておる。
そこで、私、これは木村委員があとからお見えになりますから、いろいろなことで意見を言われ、あるいは質問されると思いますが、一体今度引き上げられたということについては、われわれはいいと思いますが、しかし、基礎控除のほうを答申では二万円引き上げておることに対して、政府案は一万円にしておる。そのかわりに配偶者控除において一万円引き上げたからいいじゃないかということになるかもしれませんが、配偶者のある人は所得税を納めておる中で何%の比重を占めておるか、私はよくわかりませんけれども、少なくとも独身者のあるということは確かだ。ですから、この配偶者控除で基礎控除の減税をするのを少しすりかえて、配偶者のほうにすりかえたようなふうにやって、最終的な結論はやはり減税総額では少なくしたというか、そういうテクニックでおやりになったような感じがするのですが、これは非常に政策的な意味がございましょうか。
配偶者控除を基礎控除と同額にしなければならぬという意味が一つある。もう一つは、基礎控除を、答申が十四万円ということを言っておるのに対して、改正案ではこれを一万円削られたことによって、約百億円減税が損しておると思う、減税側のほうでいえば。そこで、基礎控除を一万円答申より少なくしておいて、今度配偶者控除を入れることによって、差し引き減税総額が減っておるわけです。しかも、国民の受け取る側のほうでいえば、独身者のほうは実はまあ損をしたことになるわけですが、配偶者が非常に得したかということになるんですけれども、これは税率改正と私はからんでくると思う。何かこの辺のところはもう少しすっきりした形でおやりになれぬものかどうか。特に、基礎控除を答申案よりも去年もたしか一万円少なくおやりになった。今度もまた一万円値切って——違うかな、去年は違うかな。どうもここら辺のところ値切ったような気がしてしようがないんです。どうかなりませんか。基礎控除を引き上げるということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/14
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015・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 理想的なものに持っていきたいという気持ちはあなたと同じ気持ちでございますが、その間における財政の事情もございますし、それだけではなく、やはりこういう項目別に毎年毎年それだけやるということよりも、やはり要望の強いもの、そういうものも手がけなければいかぬということで、過去十年間もずっと減税政策をやってきたわけでありますから、ある過程において二万円引き上げるものを一万円にしたけれども、長いこと問題になっておる配偶者控除の問題に手をつけると。そしてこれからだんだんと二年、三年、五年とたつうちに、より合理的な税制をつくりたいと、こういうことでありますので、過程における議論としては、基礎控除を削って配偶者控除をやっても金額にしては違うじゃないかということは、金額が八十億ばかり違うことは事実でございますが、それよりもやはり税制の中の項目によって、バランスをとるという問題もあるわけでありまして、そのような立場で御了解賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/15
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016・成瀬幡治
○成瀬幡治君 政府はいろいろな御説明があろうかと私は思いますけれども、こうした所得税の減税はもう少し答申を尊重して、私はうんとやっていただかなければならないという結論だけ申し上げます。というその理由は、たとえば、三十九年度の納税者のうち約九一%が年所得百万円以下だということは、いろいろな意味合いで出ておりますね、調査会の資料によって。もう一つは、納税人員が約二千万、こういわれておるわけです、そこで、あなたのほうが理想図を描いておられるとするなら、一体納税人員というものは所得税の中でどのくらい、何%までくらい持っていったらいいものか。たとえば納税人員は二千万おって、これどんどんどんどんふえていくわけですが、所得税を納める人が二千万あるいは二千二百万というふうにだんだんだんだんとふえてくるんですが、一体納税人員というものはどの程度までに押しとどめておいたらいいかという一つの目標がなければならぬと思うんです。
もう一つに、年間百万以下の階層で税金を納めている人たちがほとんどだということになれば、こういうのは低額所得層だと思うんですが、こういう人たちにはもう少し課税最低限度というものはぐっと上げていって、そして所得税納税者のうち百万以下の人がこんなにおらぬようなふうにしてもらいたいと思っておるわけです。ですから、こういうものについてもある程度目標というものを立てておやりにならなくちゃならぬじゃないか。
もちろん、減税をする場合には、それは増税分の、自然増の何%をもってやらなくちゃならないとか、あるいはいろいろな基準があるかと思いますけれども、こちらのほうからの観点ではおよそどの辺のところを政府は目標にしておいでになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/16
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017・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 納税人口を何千万人に押えたい、こういうことではありません。これは国民所得がふえていけば当然納税人口はふえるわけでございますから、そういう納税人員に対する目標ということを定めることはむずかしいところでございますが、しかし、現実問題からしますと、こういう税体系をとっておる場合、どうしても徴税人員というものは並行してふえていかなければならないわけであります。しかし、現在税務署の職員がおるにしても、非常に専門的な職能でございますから、非常にむずかしい、こういう意味で、現在でも少額の所得者に対してはなるべくはずしていきたいと、こういうせっぱ詰まった考えを持っていることは事実なんです。ですから、二千万人をこしたからこれを千八百万人に下げたいといっても、これは国民所得がうんと上がれば当然納税人口がふえるわけでありますから、そういう数字的なことは申し上げられませんが、徴税機構の面から考えましても、低額な所得者はできるだけ課税最低限を上げてはずしていきたい、こういう考え方を原則にしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/17
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018・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私もそういうことはわかりますけれども、捨てておけば、減税をやらなければ、このままでいけば、所得は成長率に従って上がってまいりますから、納税人口というものはどんどんどんどんふえていくわけなんですね。ですから、そういうことにならないように、やはり片一方では減税というものを忘れずにやっていかなければならぬじゃないかという議論があると思うのです。したがって、一体納税人員というものはなるたけふやさないようにするというような、まあそこのところは非常に問題かもしれませんが、片一方では私は減税というものを絶えず考えていかなくちゃならぬのじゃないか。幾らでも納税人口がふえるということは喜ばしい傾向だと、こう取るほうは思われるかもしれぬが、やはり減税というものは、私はそのテンポに合わせて減税というものを考えていかなくちゃならぬのじゃないかという立場で言っておるわけです。あなたはどうも、いやいや、成長して国民所得というものは年々歳々上がっていくのだから、幾らでもふえるのだ、好ましいことだ、これが国力の発展だというふうに言われることは、ちょっと私もその点残念に思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/18
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019・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いや、納税人口がふえることは好ましいことだということを申し上げているのじゃないのです。大体あなたと同じ考えでございます。同じ考えでございますし、現実的には、納税人員がふえれば徴税組織もふえなければなりませんから、そういう意味からいっても、徴税の人員をふやすということもむずかしい状態でございまして、だんだんと課税最低限を上げて低所得者ははずしていきたい、こういう考え方は同じ考えですと、こう申し上げておるわけです。
ただ、すぐに千八百万が二千万になり、このままにしておけば二千二百万になるから、二千二百万を二千万に押えるとか千八百万に押えるとか、こういう目標を立てることはなかなかむずかしいと、こういうことを申し上げておるわけであります。その意味で、合理的には、自然増収の二〇%を目標にして減税をしたい、こういう考え方でありまして、今年度は一九%でございますが、しかし、これから三年、五年の間には二〇%という目標。これが二五%になることもあるでありましょう。そういうことを十分考えながら減税政策を進めてまいりたい、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/19
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020・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) ちょっと補足して御説明申し上げますと、実は税制調査会の長期税制の答申のほうに出ておるのでありますが、この所得税の減税を考える際に、従来からやっておりますようなマーケット・バスケット方式によって食糧費を基礎とした基準生計費の見地から課税最低限を定める方法と、いま一つ、新しく有業人口に対して所得税の納税者の割合がどの程度になっておるか、それも一つ目標にして課税最低限の引き上げを検討すべきだということになっておりまして、およその考え方は、有業人口に対する所得税納税者の割合を大体半分、五〇%程度くらいに持っていったらどうか、そうすれば有業人口がふえるのに応じて納税者もふえることはふえますけれども、しかし、その半分をこえないということを一つの目標にすべきだということがいわれております。まあその点からいたしますと、この四十年度の場合におきましては、有業人口に対しまして五〇%少し上回った数字になっておりますが、それも今後の一つのめどになろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/20
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021・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これもまあしばしば議論されておりますが、あなたが例の一日百六十八円というので計算をされて、どうやって数字をお出しになったかということについては、しばしば御説明も実は陰ながら聞いておるわけです。本委員会ではまだ聞いてはおらないかと思うわけですが、これを実際あなた実質的から、たとえば自衛隊はどうやらこうやらと聞かれて、二千五百カロリーをとるにはこれでいいと。あなたまだほかでそういうことについて実際にやらしておみえになったのか。たとえばそれは料理学校でやらせるとか、あるいは家庭でやるとか、いろいろなことがありますが、どこかで実際におやりになったことはございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/21
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022・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) まあいつも申し上げておるわけでありますが、この献立は大蔵省献立というのではございませんで、成年男子が一日に必要とするカロリー、二千五百カロリーを得るように適当な献立をつくってみてくれということを国立栄養研究所に頼んで、一つのものをつくったわけであります。あの献立を見ておりますと、私も、タケノコだとかイカのさしみだとか、そういうものばかりで、もう少しあれがイワシにかわったりサバにかわったりすれば、もう少し理解が得られると思いますが、どうも少しあそこは問題があるように思われますが、しかし、標準献立、こういう考え方でございます。私もどうも国会で答弁をしておって、理論的には納得して答弁をしておりますが、実際には一体どうなのかと、こう思っていろいろ計算をしてみました。みましたが、まあ国民の半数に近い人はやはり標準献立としては納得しておるという結果を得ました。
これはなぜかといいますと、私は新潟県の出身でありますから、農村の食糧費計算をやってみたわけであります。農村の食糧費計算をやりますと——これは農村は豊かでないというところに問題がありますから、いまの状態で甘んずべきではありませんが、農村の食糧費計算をやりますと、普通でもあの半分くらいというものもございます、実際において。五人家族で一日五百円くらい一体とれるのか、こういう問題も実はあります。私も、自分の発言に対してはどうも自分で納得しなければいかぬ、あの献立ばかり見ておりますと、どうも納得できないというような面もありますから、よく調べてみますと、標準献立ということになりますと、まあ間違いのあるものではない、こういう結論に達したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/22
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023・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あなた、その半数はどこをさすかというのをお聞きしておりましたら、どうも農村を意味しておられるようですが、そうして新潟は単作地帯で米どころですが、大臣、一番問題になるのは、たとえば貯蓄なんかの数字を見ましても、所得の大体一五%くらい貯蓄しているわけですね、日本銀行の預金総額を見ますと。ですから、そういう点は非常に、片一方では貯蓄しておって、日本の国は所得がふえたから貯蓄をしておるのだ、こういう意見もあるかと思うのです。この百六十八円も、それならできるという議論と、それから百六十八円以下の人もあるのだという——片一方は、ぼくは、ほんとうに社会保障制度やいろいろな問題ができておりませんから、他人にたよれませんから、ある程度貯蓄をしなければならぬということになると思うのですよ。自分が病気になったときに、あるいは子供の教育のため、あるいは災害等のことを考えれば、何としてもやらなければならぬというところに追い込められておるのだろうと思うのです。そこで値切られるのはどこかというと、やはり食べるほうに来ざるを得ないと思うのですね。そこで、あなたがおっしゃるような、いわゆる生活程度を低くせざるを得ないのです。だから、したがって、からだが、早死にするとか、あるいはかからなくてもいい病気にかかるとか、あるいは体力が云々だというような、いろいろな問題が出てきておると思うのですよ。ですから、この百六十八円は、あなたがおっしゃるように、なるほど大蔵省献立で自分も食べてみた、あるいはこれでいいかと思って自分でも行って聞いてみた、それは非常によかった、半数は支持しておるので安心だわい、こう言われるけれども、普通、都市生活がいわゆる所得税を納める関係の中では非常に多いと思うのですね。こういう人たちはやはり私は納得できないと思うのですがね。あなたは選挙区が新潟だとおっしゃっているが、新潟の農村ばかりじゃないと思うのですよ。都市でも相当あなたはあると思うのですよ。あなたを支持している人たちも相当あると思うのですがね。あなたの家庭でも、この百六十八円では、ちょっと奥さんも娘さんもやり得ぬのじゃないでしょうか。それは一ぺんはできるかもしれないが、三日、四日と続かぬじゃないかと、こう思います。とともに、こういう数字を出して、やれ百六十八円でやっていけるのだからというようなことを言われることは、私は、日本全体としてはいかにも日本の生活が低いということを、逆にいえば証明しているようなことだと思っておって、もう少しこういうようなものは上げるのが実態に合っておって、こういう数字を出してこれでもまだいいのだ、これ以下の人があるのだということを言われるというのは、高度成長政策の中で日本の国は強大国の中に入っている、こういうような話があって、片一方に日本は世界の強国の中で高度成長で非常にりっぱな国だと言われている中に、片一方では百六十八円でこれは標準食糧費というのは、私たちはどうもこのくらいおかしな食いつかぬ話はないと思うんですがね。まあ逆算をしてきたらこうなったんだ、こう言われるなら話は別だ。これでやっていけるのだと言われるならば、私は議論をせなくちゃならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/23
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024・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 百六十七円四十八銭というのではたして食っていけるかどうか、いろいろ議論のあるところでございます。しかし、先ほど大臣は農村を加えてというお話でございましたが、総理府のこの統計でありまする勤労者世帯の三十九年中の一カ月平均の統計が出ております。これで見ますと、この世帯は平均でございますので、四・一三人ということになっております。世帯数は五千百十七の調査でございますから、必ずしもこれで十分全部を推測できるとは限りませんけれども、これによりますと、一世帯当たりの一カ月間の食糧費支出額が一万七千二百六十五円、こういうことになっております。そこで、この四・一三人として計算いたしますと、一日の食糧費は百三十九円三十四銭ということになっているのであります。これはまあ総理府の統計でそうなっている。私どものほうの百六十七円四十八銭がそれを上回っているというようなことは申しません。この百六十七円四十八銭というのは成年男子の場合でございますので、子供などを加えて計算いたしますと、まあ標準世帯の場合ではかりますと、大体この百三十九円くらいの数字になるわけでございます。
そういう意味では、現在の日本の勤労者は、これはあるいは総理府の統計の中には、たとえば主人が昼を外で食べたというようなのは食糧費としてついておらないというような心配はございます。心配はございますけれども、この家計調査でずっと統計をつけてもらったものの数字ではそういうことになっているのであります。こういうのが国民生活の実態であるということをまず認識して、その上に立ってこれではいかぬのでもっとその向上をはからなくちゃいかぬということになるのではないかと思うのでございます。まあいろいろ論議のあるところでございますけれども、数字的にはそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/24
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025・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まあ予算委員会等で相当おやりになった問題じゃないかと実は思っているわけです。私は予算委員会を傍聴しておりませんからわかりませんけれども、総理府のほうでこれは男子、子供をみんな分けてカロリーはどのくらいになっているかということは、資料は出ておりませんですか。——出ていない。あなたのほうは大体成年男子は二千五百カロリーをとるということを認めておみえになるわけですか、必要である、最小限。まああなたのほうはあなたのほうなりに私はいろいろなことをやっておみえになると思いますから、このことについてやれば水かけ論だということになる。とにかく大蔵省献立表というのが一つあった、税のためにつくられた、こういうことだけはよくわかりました。しかし、非常に国民に不評判で、主婦はこれではやっていけないということを言っているということも大臣は御存じのことだと思いますから、まあその問題はそれにとどめましょう。
次に、租税特別措置法の問題について少しお伺いをしておきたいと思いますけれども、まあ税制調査会と相当なこともあり、いろいろと議論があったのでございますが、最初に交際費の問題についてお伺いしておきたいと思いますが、交際費が四千五百二十億あったんだ、三十八年度に。このことが、一方では中小企業の倒産とかいろいろ問題出てきているわけですが、必要経費というものは、私らも交際費の中に必要なものがあるということはわかるわけなんだけれども、どうもこういうものが少し多過ぎるようなことに常識的に判断されるわけですが、これを何かもう少し、必要悪というふうな解釈じゃなくて、もう少し交際費というものが使われなくて、それで資本蓄積のほうに回っていくとかなんとかというようなことについて、税制面からチェックしていく。今度それを損金不算入率を二〇%くらい上げられたようですけれども——二〇%にはなりませんか、千分の二十ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/25
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026・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 割合でございますか。二〇%上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/26
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027・成瀬幡治
○成瀬幡治君 千分の二十上げられたわけですが、交際費は三〇%を五〇%にしたわけですね。ですから、もう少しこういうものについて、何か交際費を資本蓄積に回るようなことを税制面の上でもう少し思い切ったことは考えられないのか。何かありませんですか。これはやっぱりやむを得ないわいと、こういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/27
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028・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 交際費というものの内訳でございますが、交際費で飲んだり食ったりばかりしておる、社用消費の名において重役でもなんでもみな飲んでいる、家庭のサービスまでに会社の交際費でもってつけさしておくと、こういうことになると、これは交際費という問題に非常に批判があるわけであります。ですから、そういうものでなく、営業をやっていくために、交際費という名目ではありますが、その経理処理で交際費という項目の中で処理をしても、こまかくやると必要な経費というものはあるわけであります。特に外国との商売をやるというような場合になると、交際費は非常に多いわけであります。ですから、交際費、特にいまの社用消費が物価とかそういう問題にも非常に悪影響を与えておる、国民も社用消費というものに対して非常に苦々しく思っておる、こういう面の社用消費を節約さしたい、こうやはり考えなければならぬわけであります。税制調査会もその意味で三〇%を四〇%に損金不算入の割合をしろ、そのように答申されたわけでありますが、こういう面に対しては、党とも審議をいたしました結果、もう一〇%損金不算入の割合を引き上げようということになったわけであります。
これが理想的であるかということは申し上げられませんが、企業を経営していく上において、交際費という項目で整理をされておるものをどういうふうにもつと明らかにするのか、純然たる交際費というものの限度をどこまでに一体きめるのかという問題に対しては、検討が必要だと思います。同時に、私はもっと一番根底をなすものは、もうかれば必ず税金に取られてしまうから、どうも多額納税議員の制度があるわけじゃないし、かえって税金を納めない人のほうがいばっているようなそういう状態に対しては、これは使ったほうがいいのだと、よく若い社員がそういうことを言う。これは全くふまじめな話であります。そういう考え方や、非常に利益があるから、これを将来のために、税金を納めることよりも消費してしまったほうがいい、無形の資産をつくるとか必要以外の宣伝をじゃんじゃんやる、これは宣伝費と交際費は絶えず議論をしておるわけでございますが、なかなかうまい結論が出ない。こういうことで損金不算入割合を引き上げたわけでありますが、あなたの御発言の中にあるように、こういうものをもっと整理する、合理化することによって、その反対給付として社内留保を認めたらどうか、こういう考え方、こういう面でひとつもっと深刻に検討する必要がある、こう思います。でありますから、宣伝費、交際費、こういうものは健全な事業経営の上に将来にも役立つような合理性というものを私はもっと追及をして税制上も考えなければならぬだろう、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/28
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029・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これはぼくは調査会の資料しかありませんが、この八一ページに売り上げ千円当たりの支出交際費というのが書いてある。一番多いのは、千円に対して割合でいえば、サービス業が一番使っているわけですが、金融機関などは少ないようでございますが、二番目が不動産業、三番目が建設業、四番目が料理飲食旅館業、あるいは運輸通信公益事業が五番目になっておるわけですが、この中でどんなことにそれじゃ、いわゆる世に言う必要欠くべからざる交際費じゃなくて、少しこれは交際費としておかしいじゃないかというようなことについて、何かモデル的なものでもいいですから、頭のほうから五番目くらいまでのものについて、中身について何かお調べになったことがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/29
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030・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 交際費の範囲につきましては、現在のところ、盆暮れに配る手ぬぐい、うちわなどの類は交際費の範囲には入れない、それから会議をいたします際に出すお茶とか菓子程度まで、これは交際費に入れない。主として交際費というのは、飲み食いの飲食費を中心といたしまして、そのほかにいろいろな接待用のために使うとかいったもの、盆暮れにいろいろな贈答品を送る、こういったもの、これを中心に交際費と考えて、それについて一定限度をこえるものについて課税をする、こういうことになっているわけでございます。
交際費の額が多いということ、これは必ずしも日本だけではなくて、外国でも最近税負担がだいぶどこの国も高いものでございますから、それを免れるために相当交際費を社用的に使うというのがふえておるようでございます。しかし、これが決して望ましい方向ではないことはお説のとおりでございますので、私どもとしては、こういった課税のやり方以外に何らかもっと、たとえば交際費を節約したならばそれに応じた社内留保がもっとできやすいようになるというようなことを、大臣にも言われましていろいろ検討いたしておるのでございますが、何ぶんにも交際費というのは、売り上げが伸びれば交際費がふえるのはあたりまえじゃないかというような考えもございます。したがって、その交際費を減らしたというのを何を基準にして考えるか、これがなかなか技術的に非常にやっかいでございます。売り上げといって、臨時的にたとえば土地を売って何したという場合に、その土地を売るのに交際費がそんなにかかるはずはないじゃないか、普通の商品を売るのと違うじゃないかというようなことでいろいろ議論をいたしておりますが、何ぶんにもそういう制度を取り入れるのには税制が非常に複雑になってしまうので、もう少し何とか簡素化された姿でそういうことができないかということをしきりに検討いたしておるのでございますが、まだ十分な成案を得ない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/30
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031・成瀬幡治
○成瀬幡治君 どこかの週刊誌を見ておったら、交際費は四千五百二十億、そうして片一方では、キャバレーその他をはじめそういう飲食上の何というのですか、第五次産業従業員と、こう書いてあったと記憶しておりますが、これはべらぼうにふえてきている。片一方では、中小企業は求人難に悩んでおるというような取り上げ方で話が進められておったのを見たことがありますが、何しろ、ぼくは諸外国の話は全然わかりませんけれども、少し——交際費というものは必要だということをわれわれは認める、これはあると思うのですね。しかし、どうも四千五百二十億というのは、何か片一方の、これを読んでいるうちに、法人税と比較して法人税の半分ですか、法人税のほうが半分なんですか、何やらそんなのと比較してちょっとやったようなことが中に書いてあったのですが、少し考えてもらって、私は知恵を出すならこういうところで出して、そうして企業が健全化の方向に向かうようなふうに努力するというのがいわゆる政策じゃないか、行政じゃないか、そのやるべき当面しておる大きな問題じゃないだろうかと思う。したがって、ゼロにせよということじゃなくて、片一方では、交際費をあなたがおっしゃるように、何か交際費は使わなければ、それが会社の健全化というか何かの上に残っていくのだというようなふうのことも一つの方途だと思います。いろいろな方途でお考え願うとともに、もう少しこれは、交際費は認めないぞということでどしどし落としていく。それはなるほど接待費のほうに入っております、あるいは機密費がありますというようなことも、そういうようなものは初めから認めないぞで否認していくというような、そういう行政指導も考えられたらいいのじゃないかと思いますが、ここら辺のところは税務署も抜かりなくやっておると、こうおっしゃるかもしれませんけれども、どうも交際費の問題としてはすっきりしないのです。まあ検討するというお話ですから、十分ひとつ御検討願いたいと思います。
その次に、配当の問題ですが、片一方では証券界は非常に悪いというようなことはわかりますが、貯蓄をしてもらわなければならないということもわかるから、少額所得の人に対して、そういう利子課税の問題についてもいろいろと優遇されなくちゃならないという点もわかりますけれども、これは時限立法になっておりますが、今回前よりも上回って優遇をされなければならないほど、貯蓄関係の問題と、それからもう一つは、証券界の事情ということを判断をされておやりになっておるのか。このことをおやりになるとどういう人がもうかるかということですね。この減税は、だれを対象としておやりになっておるかということを考えますと、どうも納得がいかないわけです。ですから、これはもう時限立法にしなければならないということは、恒久立法じゃないということ自体が、これは悪い法律だということを大体前提にして私は——あるいはいまは必要なんだという、非常に局限された必要だったかもしれませんけれども、そういうことかもしれませんけれども、これを今回またより減税をされる必要というものはないように考えますが、これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/31
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032・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) この御指摘の利子の問題、それから特に証券配当の課税についての問題に対しては、どうも相当な御批判がございます。御批判がございますが、いまの段階においてはどうしてもこういうことをしなければならないという必要性を感じまして、こういう処置をとったわけでございます。これが現在の税負担公平の原則を非常に乱すものだ、こういう御意見もございますが、いまの日本の状態、また世界に、国際情勢に対処する日本の姿を考えますときに、いままで資本蓄積ということと貯蓄というものに対してもっと深刻なものの考え方が必要ではなかったかということを私はまじめに考えております。特に、昨年の四月一日から開放経済に向かいまして、好むと好まざるとにかかわらず、将来の日本のわれわれの生活をより豊かにしていくためには、どうしても日本の産業自体に国際競争力をつけていかなければなりませんし、日本の産業の体質改善ということが必要なわけであります。現在物価の問題とかいろいろの問題がございますが、私は公平論、分配の公平ということは当然考えなければなりませんけれども、どうもそれよりももう一歩進めた議論というものに対してもっと深刻に考える必要はないのかと。まあ山陽特殊鋼が更生会社になる。なってしまってから、これはいろいろ自己資本比率が非常に少なかったとか、また政府も金を出さなければいかぬ、金融でめんどうを見なければいかぬ、そういう問題を私もよく理解できるのでありますが、やはり日本の産業全体というものの基盤をつちかって、そして山陽特殊鋼やサンウェーブのようにならないようにしなければいかぬということに対して、いつでもそこまでは言われるのですが、そのためにはどうするか。自己資本比率を上げる以外にありません。私は、率直に申し上げます。ですから、そういうところに追い込んでおけば、だれもが納得することだと私は思います。
西ドイツのようになぜやらぬのか。西ドイツは確かに戦前と同じ資本の状態でありましたが、資本蓄積、自己資本比率を上げるということに対しては、非常に努力いたしました。あらゆるものに最優先してやった。ちょうど日本が先進国の状態に変えるために社会保障に優先して思い切って前進体制をとっているときに、彼らはそういうものを押えても、どうせ国の力が強くなれば当然やるべきことであるから、とにかくそういう社会保障の支出を待っても、まず国の産業基盤をつちかう政策をとらなければならないと言ったことは事実であります。これは明らかな事実でございます。
でありますから、私は、利子の問題とか、配当の問題とか、ここまで追い込まないうちに、私は昭和二十年に、そのころ一番困ったのは何かというと、資本が無資本の状態になったということなんですから、あのときに、こういう政策をとるべきだったと思うのです。いまでも自己資本比率が非常に低いといわれておりますが、戦前六一%の自己資本比率が現在二三%になっておる。これは一体上がる可能性があるのか。ほとんどない。ほとんどありません。下がる可能性は大いにある。こういう状態を一体続けていけるものかどうか。私は、会社につとめておる従業員が、利益があるないにかかわらず定期昇給ができる時代ですから、みながみな石炭企業のようになってしまって、初めてそこで自己資本比率をふやさなければならぬというような、私はそういうものの考え方自体を直していかなければならぬと思っております。
ですから、少額貯蓄免税点を百万円に上げても、税でもって優遇しても、必ずしもそのときには貯蓄はふえておらないじゃないか、また特例を廃したときには逆に貯蓄はふえておるじゃないか、こういう議論がございますが、私はそれよりも重要な施策を行なうためには、政府はあらゆる施策をやる。私は税法に対しては、あまり税法の中にいろいろな政策を盛り込むことは反対であります、基本的には。これは一律わかりやすい税法で税は徴収して、そうして国が恩恵を与えるものに対しては補助金とかそういうものではっきりするほうが一番簡単だと思います。どうも自分は国の恩典を受けているのか受けていないのか、受けておらないと、恩典を受けている人はそういう恩恵に対して感謝の気持ちもないし、その自覚がないというようなことはよろしくないわけであります。でありますから、税制というものは、ほんとうに単純にわかりやすいものにして、支出するものは別に支出をすることが正しいと思いますが、しかし、現に現行の税法の中には、いろいろな政策が織り込み済みであります。でありますから、いま主税局長が申したように、これ以上にいろいろな政策を入れようとすると、ますます複雑になって、専門家でなければわからない税制になるわけであります。だから、現在政策を盛り込んでおるということから考えますと、資本蓄積や貯蓄がどうしても必要であるということであるならば、税法上の特例を認めるということもある時期やむを得ないと思います。
それで、私は最後に一番これは重要な問題ですから申し上げますが、物価の問題とか、特に社会党の皆さんも、フランスのように金の裏づけを持つようにせよ、金本位制に返るわけにいかないが、日銀信用によってどんどんとやってもいつかつぶれるにきまっているじゃないか、つぶれないにしても、物価がどんどん上がってくるという悪循環が必ずくるということを言われますが、日銀信用をもっと収縮をせしめて、そうして適度な成長を続けながら産業資金を得ていくということになると、一体どこから得るのかということをもう一つ検討してもらわなければならない。外国から借りても返さなければならないから、外国からの借金政策はやめなさい、日銀信用をうんと押えなさい、そういうことになると、産業の成長もやめてしまうか、もしくは、あとに残る手は公社債市場や証券市場というものから資本を得て自己資本比率を上げる以外にないのであります。ですから、成長は続けなければならぬ、日銀信用や借金政策はやめなくちゃいかぬ、貯蓄はもう限度だ、こういうことになると、もう前進の道というものはそこにないわけであります。私は、資本蓄積や貯蓄の増強というもののみがわれわれの将来の前進をささえるものだ、こういうことを端的になぜもっと考えないのか。私はまあ自分で事業をしてきましたから、いまの銀行のように貸してくれるならもっともっと事業を大きくできたと思うのです。中小企業もほんとうに金があるなら、貸してくれるなら、もっともっと合理化もできるはずであります。だから、一五%とか一〇%の高度成長、八・一%の中期経済計画といっても、その中に金融機関から幾ら借りるのか、自己資本比率を幾らにするのか、外国から幾ら借りて、そして八・一%の成長をやるのかという、資金計画を一つも持たない。資金計画を持たないところに大きなひずみが出たのではないでしょうか。私は、そういう意味で、いまこそ、こういう政策をとるとらぬに対しては問題はあるでしょうが、少なくとも自己資本比率を上げて貯蓄の増強を思い切ってはかる、こういう政策を政府がとらないとしたならば、これはやはり国民に迎合だけして、私は少なくとも政府の責任を果たすものではないと非常に深刻に考えまして、私もこれを出したことで戦後最悪の大蔵大臣だと、こう言われてもおりますし、そう言われることを承知をしながら、あえてこの政策の必要性を認めた、こういうことでございますから、まあひとつ十分その間の事情を御了承賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/32
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033・成瀬幡治
○成瀬幡治君 非常に突っ込んだお考えからおやりになったということをるる御説明なんですけれども、しかし、実際問題として、あなたのほうの資料で、それなら配当所得を受けておる人、あるいは利子所得というような問題で、貯蓄をしなければならない、貯蓄奨励の一環、あるいは公社債、あるいは証券市場の育成の問題からこういうことをやったのだ、こういうことなんですが、一体それなら配当所得だけで日本でいま最高の人が、それは松下幸之助さんくらいですか、これは五%の持ち株の制限がある、あるいは五十万以上の制限がありますからですが、配当所得だけで生活をしている人がどのくらいあって、そうして配当所得だけの人で最高といえばどのくらいの人がありますか、いま。あるいは配当所得を受けておる一番多い層は、何万から何万くらいの見当が一番多いわけですか。そういう資料はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/33
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034・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 総所得の中で配当所得の非常に多いというのは、これはもう言うまでもなく、二千万円超のような大所得者はその所得の大部分が配当であるということがいえます。しかし、配当の金額のほうで申し上げますと、一番多いのが、これは人数にもよりますが、所得二百万円から五百万円くらいのところが人数的には一番多いということになっております。そこの間の、実は個人の受け取る配当のうち相当程度のものは源泉徴収だけで、申告のほうにあらわれてきませんので、申告にあらわれてきたほうで見ますと、全体の申告額が一応千六百九十二億くらい申告されておるわけですが、そのうちの五百五十八億というのがこの五百万以下二百万超というところにあるわけでございます。その意味では、その辺の階層が相当たくさんの配当を得ておるということがいえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/34
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035・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ぼくは地方税との関連でこういうことが起こりやしないかということを心配しておるわけですが、選択課税になりますね。そうしますと、もし悪く考えれば、確定申告ですね、総合所得申告をやるときに、選択課税になったから、片一方のほうは全然申告せない。そうすると、地方税の算定は、総合課税の場合には御案内のとおり自分が計算をして、そうして市役所に出す、市町村に出すと。その場合に、今度悪意でということかもしれませんが、とにかく落としてやっちまったと。それを見つけるのは市役所が見つけなくちゃならない。ところが、選択課税でやっておるのだという、その書類は税務署のほうに行っているわけです。税務署から回って市町村に行く、それを今度は総合して合算をして、市役所があなたは幾らですよと、こういう形をとることになると思うのですよ。そうしますと、市役所、市町村にそれだけの私は能力があるかないかという問題が一つある。なかなか、そういう脱税を追っかけてやる能力があるかないかというようなものがあって、どうも今度の選択課税にされると、少なくとも片一方じゃ一五%、それの税金を払っていることは確かだ、国税のほう。しかし、地方税のほうはすっと抜けてしまいやしないかということを心配しておるのですが、そういうような点はどういうふうにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/35
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036・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 源泉選択をやった場合、基本税率を入れまして三〇%の税金を払っているわけです、国税としては。そうすると、源泉選択したもので、地方はどうするかと、こういうことでございますが、地方に対しては住所と名前をいままでのように通知をするということになっております。これは、地方税はいままででも国税を納めたものを基本にして計算をしておるのでありますから、この分だけはプラスになっても、地方の人員がうんとふえてどうにもならないというような状態にはならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/36
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037・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いやいや、その報告は、それは税務署へ行くのか、市町村の役所に行きますか、どちらに行きますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/37
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038・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) これは国の税務署のほうに出てくるわけでございます。支払い調書という形で出てまいります。これはいつもそうでございますが、市町村の税務当局は税務署のほうに資料を写しに来られるわけでございますね。それを基礎にして市町村税務職員の方がいままでもこの住民税の処理をやっておられたわけでございますから、それと同じことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/38
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039・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いや、非常に——心配はないですか、ほんとうに。私が心配しておることは、たとえば小さいところならば員数が十人とか二十人ということになっておりますね。少なくとも東京とか、大阪とか、名古屋というように、百万とかあるいは百五十万都市になってまいりますと、なかなかことじゃないかと私は心配しておるわけです。そういうことに対して、地方税ですから、住民税ですから、それは市役所のほうでそれだけの能力があるかないか。いままでも、私ならば私が選択課税だから、やらずにおるわけだな、悪意でもって。見つかりゃ見つかったときにしようがないから、というような感じでやられたら、たいへんじゃないかというようなことを心配しておるわけです。そういうことはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/39
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040・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) まあその点、御心配ごもっともでございますけれども、私どもから申し上げるのはおかしいかもしれませんが、自治省のほうからお聞きくださったほうがなお正確かと思いますが、自治省の税務当局のほうと打ち合わせた結果、それでやっていける、地方税のことは、まあ心配すればいろいろ心配がないわけじゃありませんけれども、自治省としてはそれでやっていくということでできております。
で、まあこれは源泉選択する人員の見込みの問題でございますけれども、先ほど成瀬委員からお話がございましたように、一銘柄年五十万、それから一会社の総株数の五%というので切っておりますために、わりあい大所得のところでは選択があまりきかない。まあそれは銘柄を分けてほかの株を持てば別でありますが、概して自分の会社の株を持つのが精一ぱいで、ほかの銘柄まではなかなか持ちにくいというのが実情で、ございますので、そういった点からいたしますと、源泉選択をする人員は、私どもはいろいろ推計はいたしておりますけれども、そう多くの人員にはならないというふうに思われますので、まあこれらにつきましては常に自治省の税務局と接触を持ちながらやっておりまして、まあ自治省当局としてはそれくらいの人員なら十分やっていけるこういうことを言っておられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/40
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041・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、総合課税の申告というのはやらねばならないというふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/41
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042・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 地方税法のほうではそういうふうになっておりまして、国税のほうは源泉選択でありますけれども、地方税のほうは一年おくれで申告しなければならないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/42
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043・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは一銘柄について五万円以下のものについては、国税のほうでは全然対象にならない。で、地方税のほうではいままでこれは税金対象に——いままで三万円でしたけれども。で、地方税のほうもこれは全然。ですから、税金は納めなくてもいいという解釈をとられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/43
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044・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 国税のほうで確定申告を要しない一会社一銘柄年五万円以下の配当分につきましては、これはまあ地方税のほうでも、第一、国税のほうで資料が出てまいりませんので、地方税のほうで課税しようとしても困難であります。したがって、地方税法のほうでもそれは申告が必要ないということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/44
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045・成瀬幡治
○成瀬幡治君 必要がないということじゃなくて、そうしますと、これは住民税の対象には全然ならないのだと、そういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/45
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046・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/46
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047・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、一銘柄五万円超の場合、そしてしかも総株式の五%、それから五十万円以下ですね。五%以下、五十万円以下、そういう場合には選択課税をやって分離課税にしようという場合ですね、分離しておいた場合には、確定申告はそのときには両方合算をしてやる必要ないわけでしょう、初めから分離課税になっちゃっているのですから。ですから国税のほうも総合課税はそれで済んでいるのですが、もう一つ地方税の住民税をやる場合には、これは地方税のほうの関係になりますけれども、それは合算して申告をせなくちゃならぬというふうに法律はきめてございますか、それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/47
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048・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 念のために正確を期する意味で申し上げておきますが、この源泉選択ができないのは、一会社の総株数五%以上の株主、それから年間の配当が五十万円以上の場合は源泉選択ができません。したがって、源泉選択ができるのは五%未満または年五十万未満の場合でございます。五十万以上となりますと、実は源泉選択できないわけでございます。
それから、いまお尋ねの点は、国税のほうは源泉選択いたしますとそれで済みまして、総合申告の際には、源泉選択分は総合申告の中に入れる必要はございません。しかし、地方の住民税のほうにおきましては、これは申告しなければならないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/48
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049・成瀬幡治
○成瀬幡治君 申告をしなければならないということになっておれば、そうしますと、いままでの形式が変わってくるということで、わかりました。
その次に、利子課税のほうの問題ですが、利子所得のほうですが、五十万から百万に引き上げられたわけですが、百万というと、これは相当元本がなければならぬ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/49
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050・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 元本百万。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/50
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051・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、いままでは郵便局のあれは最高限度は百万でしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/51
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052・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 五十万。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/52
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053・成瀬幡治
○成瀬幡治君 今度百万になる……。それと合わされてやられたということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/53
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054・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/54
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055・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは郵便局へせっせと、十くらいにやれば、一千万までいいということになりますか、そうはいかないですか、そこら辺は。しかし、わかりようがないじゃないですか。たとえば私が二千万持っている、そうしますと、それを二十の郵便局に入れる、あるいは銀行に分けてやったら、それは少額貯蓄の非課税限度額の中にうまく入ってしまうことになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/55
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056・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いままで郵便局は五十万円でございました。郵便局だけではなくて、これは簡易生命保険も五十万円。簡保だけは早く百万円にしたわけであります。これはずっと過去においても、ほとんど並行して上がってきたわけでありますが、今度は非課税限度を百万円にしたいということであります。百万円にする場合には、少額貯蓄免税五十万円にしましたときも御審議をいただきましたが、何枚も何枚も分割をするということは許さないというようになっております。実際問題として、無期名定期と同じように、いろいろなことをすればということが言われますが、まあたてまえでは、一人の者が何日も、非課税限度までの金額を別のところに預金をしたら非課税になるというようなことはないように、処置をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/56
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057・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いや、処置しているとおっしゃられることもわからぬわけじゃないですけれども、実際問題として、それじゃ郵便局から郵便局へ、田中角榮という名儀が、Aの郵便局から百万円あったと報告する、Bも報告する、Cも報告するというふうなことはあり得ないでしょう。やろうとすればできるじゃないか、またそれを追っかけてつかむことが困難じゃないかということを私は言いたいわけです。あなたは、そういうことはないように、許さぬぞということは実際法律のどこかにきめてあるかもしれないが、実際は守られない。もし条文にあるとすれば、これは守られないじゃないですか。だから、実際はそういうふうに分けてやることは可能じゃないだろうかということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/57
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058・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) この郵便貯金の場合は、御承知のとおり少額貯蓄の対象じゃなしに、郵便貯金の利子は非課税利子のほうに入っております。そこで、ただ郵便貯金の預入限度額として、いままで五十万、今度、いま法律が出されておりますが、その法律が通りますれば、百万円に引き上げられるということになるわけです。その際に、お尋ねのように郵便局を違えれば、あっちへ百万、こっちへ百万預金できないかということでございますが、これにつきましては、私ども郵政省の当局といろいろ打ち合わせいたしておりまして、郵便貯金の種類、これが定額があったり普通があったり積み立てがあったりというようなことで、いまの郵政省のやり方は、定額とか普通とか、そういった貯金の種類によって管理局が違っておるので、そのために、定額だけでございますと、管理局はたとえば山梨の甲府にあるとかいうようなことでございますと、そこでチェックがきくわけです。ところが、定額とそのほかの預金に分けられますと、いまのところそれができ得る形になっております。そこで、先般来から郵政省当局と打ち合わせいたしまして、そういうことをチェックする方法は、いまはそういう管理局が分かれているために実行上困難でございますが、その管理局、これは戦時中に実は疎開したのがそのまま今日残っておる姿になっておりますので、これを郵政省当局としても何らか改善したいと言っておられます。そういうことで管理を統合するということによってそれを防ぎたい、こういうことでいませっかく努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/58
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059・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あなたのほうからそういうふうに言われちゃうと、私のほうは毒づきようがなくなっちゃうわけだ。これは困ったことで悪いことだから、うんと言いたいことなんですけれども、自分のほうからそういうことを言われては、これは何ともしようがないんですけれども、田畑君も何か用事があって退席しなければならぬ、大臣の時間もきまっているそうですから、最後に一言だけでおしまいにしておきますが、時間がありましたら、またお願いしたい。
コンサルタントですね、ぼくもよく知りませんけれども、少しそういうほうの業界の話を伺ってみると、たとえばフランスなどでは、三億のあれがかりにあるとしますと、その三分の一はフランス政府が補助するというのですね。したがって、コンサルタントの仕事をやるときに、三億で入札すれば、向こうは三分の一補助があるから、二億でやれるというわけだ、早い話が。そういうことになると、日本は非常にそういう点でやられてしまうのだ。ひいてはそのことが今度は建設の仕事のほうにも、そういうことで、何といっても国内で情報が流れていきますから、入札のときに、今度は建設のほうで負けてしまうことになってしまう。日本の建設の技術なりあるいはコンサルタントのそういう技術等はなかなかいいんだ、特に農業用水の問題あるいはダム等の問題については非常にすぐれているのだけれども、そういう点でどうも諸外国に負けてしまう。特に東南アジア等あるいはアフリカのああいうようなところで、どうも競争に打ち負けてしまっておるのだが、もう少しこういうような問題について、技術でありそれの輸出にもなることだから、何か恩典は考えてもらえないだろうか。今度少し出ておりますが、もう少し思い切った政策をとってもらえないだろうかというような意見を聞いたことがございます。そういうようなことについては、大臣等にもいろいろと私はお話が通じておると思いますが、そういうような点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/59
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060・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) コンサルティング業務からの外貨収入につきましては、現在、技術の海外取引ということで、従来利子所得控除がありましたと同じように所得控除を認めておるわけでございます。これによりまして、日本の優秀な技術でそういった外国に出かけて行ってコンサルティングの仕事をするということにかなり役立っていることと思っております。ただ、いままでは、コンサルティングをやっている人がすぐ外国に出かけて注文の発注を受けるというわけになかなかまいりません。海外に支店を持っております商社がそれを受注を受けまして、日本のそういうコンサルティングの仕事をやっている会社に、下請といえば語弊がございますが、それに頼むということになるわけでございますが、そういう場合に、いままでは第三者を通じて行なったそういうコンサルティングの業務の場合には、技術の海外取引の対象に入れない。コンサルティングをやる人が契約の対象になっていなきゃならぬということになっておったのであります。今度の改正でそういった商社を通ずるものも認めますということにいたしました。
それから、従来は一つの契約が一億円以上のものでないとだめだという、大きな契約に限っておったわけですが、これも実情から見て少し大き過ぎやしないかというので、今度は三千万円以上から適用するというようなことにいたしまして、できるだけ実情に即することにしたのであります。
このコンサルティングの場合におきましては、収入金額の二〇%とか、または総所得金額の五〇%とか、いずれか少ない金額を控除できるというので、かなり大きな特典になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/60
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061・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) いまのコンサルタントの問題は、戦後急速にこういう問題が出てまいりました。いままであまりそういう実例がなかったというところにも問題があったと思います。しかし、いま御指摘になったように、低開発国等でダムの設計とか鉄道の設計とかをいま日本に持ち込んできているものがある。代表的なものは、日本の久保田さんがいろいろなことをやっておられますが、外国との競争の上ではハンディがあってはならないということは十分理解できます。いま主税局長から申し述べましたように、適当な処置はやっておると思いますが、新しい時代でありますので、こういうものに対しては十分将来も検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/61
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062・成瀬幡治
○成瀬幡治君 技術の輸出ですが、これは非常に金のかからぬというか、元のかからぬといえば元のかからぬことでありますので、私はひとつ前向きに検討されて、今度はいろいろなことでかつての輸出控除の恩典くらいまでいくようなことについて、何かガットの関係はこういう問題にはないと思いますから、十分優遇して、そうして大きく外貨の獲得のために役立てるようにしていただきたいと思います。
最後と言って悪いのですが、もう一言。物品税で自動車の問題にからんで、今度の自由化を、これは通産大臣の権限になるわけですが、九月にするとかあるいは十一月にするとか、あるいはどうとか、いろいろな問題が出てきておるわけですが、それと一緒に、今度は直接投資の問題も議論されておるようですね。そういうことと関連して、物品税が一六、一八、二〇と、基本税率にすぐ戻るという改正案が今度出されたわけですが、十分検討されて、二〇%の基本税率に戻るという、そういう姿勢だということは私はわかりますけれども、少なくとも戦略産業と称せられておる自動車産業が、ある程度保護していかないと、ヨーロッパなりあるいはアメリカ資本に牽制されてしまう。あるいは今度はカナダとアメリカとの間には部品についてのああいう協約ができたわけですね。ですから、日本もこの戦略産業が食われるというようなときなら、むろん問題だと思うのです。そこで、自由化を、業界の推移を見られて、これはとてもたいへんじゃないかというような場合には、基本税率に四十二年度には戻るということには一応法律上ではなっておるけれども、そういう場合には再検討される余裕というものはあってしかるべきだと思いますが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/62
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063・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 自動車の自由化につきましては、昨年やろうということがことしに延び、六月にやろう、あるいは六月ではなく慎重にやらなければいかぬというように世論があるということも私は承知をしております。まあしかし、日本の自動者産業も非常に成長いたしまして、現在の状態では、自由化は何とかやっていけるのではないかという自信がだんだん出てきた。業界でも前向きの姿勢で体制整備をやっております。また、そういう事態に対処して合理化をやらせるということで体制金融の道を開いた、こういうようなことをやっておるわけであります。
今度も基本税率に一挙に戻すということが考えられたわけでございますが、いまあなたが申されたような、もちろん慎重に検討しなければならないということで、一応二〇%に戻るまでには段階的な措置をとったわけであります。自由化自体が、いま新聞にも出ておりますが、きょうの新聞あたりでは、もう年末まで延びたのじゃないかというような断定的な記事さえもございますが、まあ政府としては、これらの産業が大型な産業でありますから、これが自由化によって壊滅的になるというのはたいへんなことであります。でありますので、自由化のスケジュールということにこだわらず、今日まで慎重にやってきたわけであります。これが自由化という際に、いまの基本税率に返るということは、国際競争にたえるかたえないかという見きわめが必要なわけでありますから、これらの事情を十分検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/63
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064・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あなたがおっしゃるように、自由化自体が非常に問題なのです。したがって、自由化にしたときに、しかし片一方の物品税のほうは、この法律が通れば自動的に一六、一八、二〇といくわけです。そこで、自由化した、そしてそのときに業界がどういうふうになっているかということは、私は半年ぐらいたてば大体見当はつくと思うのです。そのときにもう一ぺん検討し直すということを、これは言ってしまうと大問題になりますが、しかし、私は十分検討してもらわなければならぬものではないかと思うのです。これは、たとえば今度の物品税法の改正によりますというと、カラーフィルムとか小型レコード盤とか、これはその業界、当事者にとってみればたいへんな問題だと思いますけれども、戦略産業というものと普通の一般産業というものはおのずからウエートが違ってくるのではないか。そこで、そういう問題については私は慎重な態度で臨んでいただかなければならない、こういうことなんですから、それで、あなたのほうにどう言ってもらったらいいか、あなたのほうにどういったお答えを要求したらいいかわかりませんが、率直にいえば、自由化したと、その段階で半年たったら一ぺんこの物品税の問題について、特に自動車に限っては検討をする心がまえがあるとかというくらいのことは言ってもらいたいと思うのです。それでは、おまえ、今度の改正は無意味ではないかということになるから、非常にそこはあなたのほうとしてもまた苦しい点かもしれませんが、私はそういうふうに考えておりますが、もっとよく検討していただかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/64
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065・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) あなたの御発言の要旨は十分理解をいたしました。いま御審議をいただいておることでございますので……。しかし、重要な問題でありますので、先ほども申し上げましたとおり、自由化自体に対しても慎重な態度をとっておるわけでありますので、諸般の情勢を慎重に検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/65
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066・鈴木市藏
○鈴木市藏君 さっきの成瀬委員の質問に関連して。泉さんは郵便貯金のことはかなり詳しく利子の問題については申しましたけれども、銀行の場合は一行一口ですね。じゃ、十行一口の場合はどうするのですか。一口ずつ十行に分けるとか、あるいは税のかからないすれすれの、たとえば百万円以下ですけれども、百万円には満たないけれども、百万円以下のやつをたとえば幾口も銀行を分けてやった場合はどうなるのですか。そういうところまで押えられるような方法を何か講じておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/66
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067・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 郵便貯金以外の金融機関に対する預貯金につきましては、預貯金をいたします際に少額貯蓄非課税申し込み書というのを金融機関を経由して税務署長のほうに出していただくことになっております。そこで、金融機関を経由して税務署に参りますものを、税務署で名寄せをいたしまして、同じ番地の同じ人が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/67
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068・鈴木市藏
○鈴木市藏君 無記名の場合、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/68
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069・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 各金融機関にいまのようになっている場合はチェックできると思います。なお、非課税貯蓄の場合は無記名は認めないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/69
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070・鈴木市藏
○鈴木市藏君 名前を変えたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/70
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071・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 名前を、たとえば泉一郎、二郎、三郎、四郎というようにやる場合に、これは住民登録がございますから、税務署のほうはそれとチェックして、これはおかしいじゃないか。いずれにしても、非課税貯蓄の申し込み書が出まして、それが全部税務署に集まることになっております。これは実は枚数からいたしまして、二千五百万枚集まっていますから、全国ではたいへんな枚数でございますけれども、それを税務署のほうではチェックをいたしまして、非課税貯蓄の申し込み書の出ているものについてはそういうことでやります。申し込み書の出ていないものにつきましては、分離課税ではございますけれども、源泉徴収で課税することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/71
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072・田畑金光
○田畑金光君 大臣に最初に租税特別措置の問題で若干お尋ねしたいんですが、私も税調の答申を幾らか読んでみましたが、この答申によれば、昭和三十二年以来、租税特別措置は整理合理化の方向でいくようにと、こう書いてあるわけですね。先ほどのお話のように、この特別措置が経済の高度成長に寄与したということは私も認めるわけです。いろいろな特別償却制度とか、新しい技術の導入とか、企業の設備拡大について積極的な貢献をやっていること、また、新技術の導入や生産規模拡大によるいろいろな損失の危険の防止にあたって準備金、引き当て金その他の措置がとられている。こういう意味においては、特別措置の果たしてきた役割りもよくわかりますが、同時に、一面においては、過大な企業の設備投資をこれがやはり招いて、そうしてそれが高度成長に拍車をかけて、今日のわが国経済界のひずみをつくった原因もやはりここにある。これはいい面もあったが、半面においてまたそういう欠点もあった。こういうことは当然認めてもらわなくちゃならぬと思うんですが、だからこそ、税調においても、いろいろな角度からでもありましょう、これを整理統合化、合理化の方向にやっていけと言っていると思うんですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/72
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073・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 特別措置でございますから、あくまで政策目的が達成されましたらこれは廃止する、こういう方向であることは間違いございません。また、その措置を必要とする時代であったということも、これはもう十分お認めいただけると思います。何ぶんにも二十年間でここまでになったんでありますから、その過程において税法上もいろいろな恩典を与えるし、場合によっては補助金も与えたり、いろいろなことをして、今日ようやく開放体制を迎えるような状態になったことは事実でございます。
ただ、特別措置が高度成長、超高度成長を促した、ひずみのもとだ、こうばかりは考えておらぬのであります。私が今度お願いをしている利子課税とか、源泉選択の制度とか、こういう資本蓄積や利子に対してもっと優遇する、そうして自己資本比率をうんとあげておく、また一面、日銀信用によって信用膨張が起こらないように、金融機関は実際の預金の総額によって産業資金を供給するということでバランスがとれておったならば、いまあなたの指摘されるようなひずみというものは、起こらないとは言いませんが、いずれにしても起こる可能性は非常に少なかった。でございますから、おそまきながらも、この法律で一つの制度をつくるということをお願いしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/73
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074・田畑金光
○田畑金光君 特別措置の整理合理化の方向に検討をしているというようなお話でしたが、現在特別措置の対象としていろいろなことが出ておりますね。その中で、どういう問題を、どういう方面を整理検討されるのか、何かそういう大蔵事務当局として準備などありますか。これは事務当局でけっこうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/74
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075・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 特別措置を現在こまかく計算いたしますと、三十数項目にのぼっております。これらにつきましていろいろ検討いたしておるわけでございますが、そのうち、従来から税制調査会で問題になっておりますものは、医師の社会保険診療報酬の経費率の特例、それから米の予約減税の特例、これは毎回税制調査会から、不合理な特別措置であるからこれを廃止すべしという答申が出ております。それから、そのほかの特別措置につきましては、たとえば航空機の乗客の通行税の問題、これは航空機産業というのが戦後一時崩壊しまして、それからやっとやっていけるようになったというので、各国とも航空機産業には相当補助を出しているというようなことでございますが、これを税でやるよりは、むしろ必要なら補助金でやるのが筋ではないか。汽車に乗った場合は一〇%の通行税、飛行機に乗った場合は五%の通行税というのは不合理ではないかというような点がございまして、こういった点が問題になったわけでございます。そのほかにつきましては、昨年実施いたしたのでございますけれども、大企業の設備投資が特別償却ということで大きくなり過ぎるのではないか、日本の現状から見ますと、中小企業はまだまだ設備の合理化の必要があるけれども、大企業では相当設備投資が進み過ぎたくらい合理化がかなり進んでいるので、この特別償却をある程度圧縮したらどうかというようなことで、昨年の改正で、従来初年度三分の一特別償却を認めておりましたのを、三割三分から二割五分に圧縮する措置を講じたのであります。それをもう少し圧縮するかどうかといったような問題がございます。
それから、もう一つは、これもなかなかむずかしい問題でございますが、特定公共事業に対しまする譲渡所得課税の場合には七百万円控除ということになっております。ところが、普通の土地収用の場合におきましては四分の一課税でございまして、特定公共事業の場合には七百万円控除しました上に四分の一課税ということで、非常に大きな特典になっております。特定公共事業を推進するためにはやむを得ない点もあるかと思いますが、七百万というのはいかにも控除としては大き過ぎはしないか、もう少しほかの場合とのバランスを考えると、それほど大きな控除でなくてもいいではないか、こういったような点の検討もいたしております。
それから、これはなかなか問題のあるところでございますが、現在、生命保険料控除というのは、社会保障制度がまだ十分に発達していないので、納税者の自己負担においてその目的を達するという意味で、生命保険料控除を認めております。これはアメリカ以外はどこの国も生命保険料控除を認めているので、これを特別措置という必要があるかどうか、いろいろ問題のあるところでございます。金額的には実は相当大きな金額のものになって、四十年度におきましては、これによって三百三十億減収になっておるわけでございます。しかし、これは所得税の課税上は、いわば当然ともいえる面もあるわけでございまして、これをはたして特別措置として考えておくのがいいかどうか、現在でも所得税のほうにありまして、特別措置法のほうにはないわけでございます。今度三法を整備いたします際に、租税特別措置はできるだけ措置法のほうに集めたわけでございますが、その際にまだ集めておらないといったような点、損害保険料控除についても同じような点がございます。そういった点からいたしますと、そういったものが特別措置と考えるべきかどうかということになります。
それから、有価証券の譲渡所得の非課税の問題があるわけでございますが、これは実際問題として、現在有価証券取引税を課税いたしておりまして、そのほかに譲渡所得を課税できないことはないわけでありますけれども、課税技術上非常に困難である。どちらかというと申告納税制度でありますから、損失の申告のほうばかり出てきまして、もうかったほうというのはあまり申告が出ない。税務署のほうで、そのもうかった人の課税を追及していくということに非常な難点がある。そういうことから、有価証券の取引税を課税することで今日やってきております。これを今後どうするか、そういった問題がございます。
そのほかいろんな準備金、ことに価格変動準備金は日本独得のものでございますが、このいろんな評価方法、ことに後入れ先出し法とか低価法といったような評価方法をとっておる上に、なお価格変動準備金を認める必要があるかどうか、こういったいろいろな点がございます。そういった点を検討いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/75
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076・田畑金光
○田畑金光君 いろいろ検討すべき問題があるようですが、さらに税調の答申の中にも、はっきりこれこれはすみやかになくするような方向で配慮しろ、こうきておるわけですね。この間、租税三法で参考人を呼んで聞いたときも、やはり税調の専門委員をなさっておった大学の先生も、特に具体的な例としては、米穀所得課税の特例、社会保険診療報酬の所得計算の特例などは、これは答申の中でもはっきり廃止しろと言っておるわけですね。しかし、また一面から見ると、米穀所得の廃止などというのは、農家の今日の所得の実態から見たとき、どうかとわれわれ自体は考えておる一人ですが、問題は、たとえば社会保険診療報酬などは、これは三十九年度を見ると九十億にのぼっておるわけですね。米穀の場合は、これはわずか九億にすぎません。その中でも、いろいろ政府の立場に立って検討すると、やはり税調の答申の中に入れるべきものは入れ、入れざるものはさらに検討するということになりますが、大臣としてはどうでしょうか、この租税特別措置の合理化あるいは再検討についてどんな心がまえで今後やられるのか、ひとつ簡単にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/76
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077・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げましたが、政策効果が終わったというもの、また政策効果が非常に薄い、こういうようなものにつきましては、だんだんと整理をしていくという方針にいくべきだと思います。しかし、あなたがいまお触れになりましたが、予約減税につきましては、これは答申をもらっておりながら、どうも超党派で御反対のようであります。これはどういうことかといいますと、税調の学者とか、そういう理屈ばかり言っておったって、あなたがいま言ったような、農民というものに対して何と心得ているんだ、こういうことで何回も、閣議でもってきめても、また国会の御意思を尊重してそのままにとどまっておるという、こういうものもございますので、よくひとつ検討してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/77
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078・田畑金光
○田畑金光君 先ほどから大臣は、租税特別措置を認めるについては、非常に政策的な効果、目的、これを強調されておりますが、それはまさにそのとおりだと思うんです。「租税特別措置が認められるのは、まず、税制以外の措置で有効な手段がないかどうかを検討し、他に適当な方法が見出し得ない場合に限られるべきである。」といい、さらに「政策目的自体の合理性の判定、政策手段としての有効性の判定、附随して生ずる弊害と特別措置の効果との比較衡量などのテストを厳格に経たうえでなければならない」と税調は答申しておりますね。今回の利子配当所得の改正ですか、これは答申の線から大幅に優遇措置を講ぜられたわけですが、先ほど大臣のほうからいろいろな優遇措置の効果についてたいへん礼賛がございましたが、しかし、この優遇措置をやる政策目的は何なのか、これですね。これは何ですか、資本の蓄積だの、あるいは企業の体質改善だとか、あるいは国際競争力強化の基盤をそれによって進めていくのだ、こういうことだと思いますが、しかし、この答申の中の説明を見ますと、先ほどもこれも大臣の答弁の中にございましたが、こういうような資本蓄積、貯蓄奨励の優遇措置を講じたからといって決して貯蓄は伸びていない、むしろこんな措置をやらなかった年が皮肉にも貯蓄は伸びておる、こういうようなこと等も統計的にきちんと出しておりますね。
でありまするから、私の言いたいことは、こういう少数の人方の資産所得を優遇する措置をやっても、それが貯蓄の奨励あるいは資本の蓄積に役立たないとすると、いつまでもこんな措置を続ける必要があるのかどうか、私は深く疑問に思うわけです。政府はよく、あるときは調査会の答申を尊重したと言い、またこれを曲げたときはそんなことばは使わないで、いろいろと弾力的な答弁に逃げておりますが、私はこういう問題こそもっと答申の精神を尊重するというのがほんとうではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/78
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079・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども成瀬さんに十分お答えをいたしました。あまり長くやってはいかぬということでありますから、二年間と、こういうことで御審議をいただいておるのであります。五年間で効果があがるかどうかということは、十分見きわめなければならないと思います。これはしょっちゅう申し上げておるわけでありますが、私はただ田畑さんにはおわかりいただけると思っておったのですが、やはり田畑さんもおわかりにならないと、こういうことでありますならば、悲しいことでございます。とにかく、戦後、分配することばかり考えておって、もとをもっと直すということを考えることはもっと私は必要だと思うのです。私はいまの状態で、非常に山陽特殊鋼の問題だけではなく、いままでの高度の成長に対してひとつ腰を入れながら、もう一ぺん整理をしながら、第二のスタートに立ってておる、こういう非常に重要なときでありますから、私は将来に対して何を一体重点施策にしなければならないのか——石炭に対しても、石炭は国家管理法案から重油ボイラーの規制、石炭の買山、いろいろなことをやったけれども、もう少し前に徹底した政策をやればこのようにならないと思うのです。死にそうになってから金をかけるということは、これはあたりまえのことで、だれも反対がありません。反対ありませんが、国の効率の面から見たら、もっと手があったろうということは確かにあるわけであります。私が、そこまで参りましてから、すぐ例の問題になっておった肥料工場の問題を片づけました。非常に評判が悪かった。こんなものをなぜやったか、こんなことをやるならば減税をやるべきであった、こういうことがありましたが、私はああいう措置をやったことによって——あのままにしておけば、あの倍、三倍の赤字になったと思う。やはり応急措置をやったことによって、今日肥料工場は立ち直った。また、海運企業というものはどうにもならない。これはあらゆる意味で海運企業というものは戦時補償というやつを復活でもしなければならないといったのですが、てこ入れをしたら今日の海運企業の集約もあった。ですから、やはりいまあらわれている現象、とにかく食えない人には金を出せ、とにかく病気の人には国でもって何かしてやれ、こういうことは確かに重要であります。だれも反対しない。だれでも賛成なんです。しかし、そのもとをもっとどうするか。そのもとを培養しておけば、また社会保障もできるわけでありますが、そういう分配論に対しては、公平論、これは私もそのとおりだと思います、思いますが、もともと、もっとつくらなければいかぬというところに重点を置いてあるわけであります。ですから、私は田畑さんには議論はあるけれども、まあやむを得ぬという御思想だと思っておったのですが、どうも御理解いただけないことは、私ははなはだ遺憾であります。
まあこういう政策をとって、いま国民自体が少数の人しか株主でないじゃないか、また食えない人のほうが多いので、貯金をする人は少ないのだ、少数の人の利益を守るための特例と言われますが、そうじゃない。乏しい中からも貯蓄をしてもらう、そして貯蓄をすることによって日本の産業の基盤をより強くしなければならない、こういう考えであります。同時に、国民全体が資本参加をしてもらう、こういう政策目的を持っているわけです。いまの人たちに対してだけ利益を守ってやるというような狭い考えではありません。こういうような政策を明らかにすることによって、国民自体が資本蓄積や貯蓄というものがまことに重大だということをわかってもらうだけでも、政策目的は達せられたわけであります。ですから、田畑さんの御意見もさんざん聞いたのですが、何回かお聞きしますと、金を借りるな、日銀信用でもって膨張させるな、物価を押えよ、月給は上げなさい、減税はしなさい。——何で一体やるのか、こういう問題をどうしてもう一歩進めて考えていただけないか。ここがやはり御批判をいただくことはありがたいことであったわけでありますが、やはり自民党の政府は責任の地位にありますので、あなた方におしかりを受けても、やはりどうしてもやらなければならぬところはやる、悪評を承知しながら、あえてイバラの道を歩んでおるのでありますから、そういう事実も十分御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/79
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080・田畑金光
○田畑金光君 私も、時間が制限されておりまして、いろいろ反駁するあれもないわけですが、田中大蔵大臣の信念的な政策遂行については、その信念には敬意を表しますが、ただ、しかし、山陽特殊鋼の例その他をとられましたが、山陽特殊鋼のようなばかげた企業経営というのは、たといこんな利子、配当、資産所得の特例措置をやろうが、あれは別の問題ですね。実際そうなれば、自己資本の比率というのはだんだんだんだんよくなるはずですけれども、統計から見ると、日本の企業の自己資本比率というのはかえっていま低下しているでしょう。そういうようなこともやはり考えてもらわなければならぬと思うのですね。それからまた、大衆が貯蓄をするということも、確かにそうでしょうけれども、日本の大衆の貯蓄というのは、銀行で定期預金をしてみても、一年五分五里、消費者物価の値上がり六%ないし七%、貨幣価値の下落からみるならば、だれも預金はしたくないのだが、しかし、社会保障の不十分だという心配があるから、やはり大衆は貯蓄をする。私はやはりそういうところに大衆の心理はあるということを御理解いただかなければならぬと思うのですね。
それからまた私はこういうような形で資本蓄積をする、これは一つはこれによってだんだん経済を明るくし、あるいは特に証券市場なんかもこれによってよくなるというわけなんですが、証券市場を見ると、皆さん方が努力したダウ千二百円が千百五十円に落ち込んだでしょう。こういうことを見た場合、一体、田中大蔵大臣が特に力を入れた証券市場の安定化というのはくずれてきておるわけですね。それについては、この間、いや、大企業については落ちついて、むしろ株はよくなった、中小はこうなって平均するとこうなったという話をなされておりましたが、それもよくわかりましたが、これも私の言いたいことは、やはりただあなたが先ほど来いろいろお話しになりましたが、そういう政策目的は単にこういう資産所得を優遇する措置だけで遂げられるものではない。それはやはり金融政策なり財政運営の基本的な施策なりがよろしきを得なければ政策目的を達成することはできないのじゃなかろうか、こう私は考えておるわけです。
まあそこで、端的にお尋ねいたしますと、この間二十三日の衆議院の大蔵委員会で、佐藤総理も、利子、配当所得税特別措置についてはできるだけ短い期間に正常化することが望ましいと思っておる、こうお答えになっております。これはおそらく田中大蔵大臣の意向と同じだと思いますが、これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/80
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081・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 必要であっても、議論の多いこういうものでございますから、できるだけ早く正常なものにしたい、こういう考えであります。ですから、まあ二年間の時限法でございますから、これが必要なくなれば二年間でやめるということを言っておるわけでございます。そうなることが望ましい、こういうようなことが廃止できるような事態こそ望ましい、こういう基本的な姿勢を明らかにしておるのでありまして、総理大臣と私の考えは同じでございます。
ただ一つ、ここで田畑さんに考えていただきたいことを申し上げますと、いま利子や配当というものを優遇するとその利子や配当を受けている少数の人たちだけが利益を得るのだと、こういう考え方が私にはわからないのです。いま一体あなた方が御支持をされておるいわゆる労働者というもの、私たちの親戚にもたくさんおりますが、こういう人たちは現在のように物価が上がるような状態では困るのだ。ですから、金融の正常化はしなくちゃいかぬ。借金政策をできるだけしないで、自己資本比率を上げなければならぬ。こうしなければ国民全体がよって立っておる産業基盤というものは保障されないのです。ですから、こういう政策は少数の利子や配当を受ける人のためのものでは絶対にありません。そうじゃないのです。国民の消費が幾らかでも抑制されて、確かに貯蓄性向は非常に高い。高いけれども、敗戦後の日本でありますから、よりつらい目をしながらも将来に期待をかけなければならぬわけであります。ですから、国民がとにかく貯蓄をする。貯蓄というものの裏づけによって貸し出しがなされる。そうして外部資本と自己資本との比率がバランスがとれる。戦前の六一%に一体なれるのかどうかということ自体がもう論議にならないのです。なれないということがもう前提でありますから、現在の自己資本比率二三%を上げられるということすらも議論になっていないじゃございませんか。なぜか。非常にむずかしいからであります。そういうものを前提にして日本の産業や産業労働者の質の向上、賃金の向上が一体願い得るのでありましょうか。ですから、こういう政策をとることは国民全体の利益をはかるために私はやったんです。そういうことを考えないで、あなた方の、銀行からは金を借りるな、日銀信用でやってはいかぬ、物価は下げろ、外国から金借りるな、減税はしろ、こう言われるが、一体何をお考えになっているのか。私はほんとうにまじめに考えておったのです。先ほども私は成瀬さんに言われましたが、戦後最悪の大蔵大臣になりますよ、こういうことをやればと、こう言われて私はひそかに考えたのです。しかし、大蔵大臣になった以上やはり所信に向って進むべきだ、こういう責任を私は感じてこうしたのであって、少数の人たちの利益を守るという狭い視野で考えないで、こうすることによって日本の労働組合もだんだんと実質的に向上する、社会党や民主社会党や共産党の支持も拡大されてくる、こういうことにつながっておるのだということをよくひとつ評価をしていただければ、私はそういうとんでもない政策だというような御批判は出ないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/81
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082・田畑金光
○田畑金光君 諸外国の配当課税というものがどのような取り扱いを受けておるのかということが問題ですね。私の調べたところでは、アメリカの場合は、総合課税、配当金のうち百億ドルまで所得控除しておる。イギリスの場合は、グロスアップという方式をとっている。西ドイツの場合は、配当所得はすべて総合課税、源泉徴収が二五%、フランスの場合は、配当所得はすべて総合課税、源泉徴収二四%、イタリアは、日本と同じように源泉選択制度を、分離課税の場合は三〇%になっている、こういうことですね。ですから、やはり諸外国の例を見ますと、配当課税については日本と違った制度を、イタリアは別でございますが、とられている。こういうことを見ましたときに、日本もとにかく三本柱の一つです。これはアジアにおける最大の工業国家であるわけですね。そういう点は、これはやはり田中大蔵大臣はこれをささえてこられた有力な一人であるわけですから、大いに誇ってよろしいが、しかし同時に、ヨーロッパの先進国においては、課税制度についてはこういうような行き方をとっているということ等を振り返ってみた場合に、もっと私は、たびたび自分のやっていることはこうだといって自画自賛されるだけではなくして、ヨーロッパの国々等においてはこういう制度がとられているが、なぜ日本がこういうようなところまで行き得ないのか、それともやらないのか、こういう問題だと思うのですが、この点はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/82
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083・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 確かに今度の利子や配当に対してとられていることの同じ国は、これはイタリアだけでございます。そのほかは状態が違います。いずれにしても、日本のような制度をとっておりませんことは御指摘のとおりでございます。
これはただ、しかし、イギリスが一番困っているのは何か。非常に景気がいいといわれておりながら、国際収支の問題が一番悪い。一体五月になってポンドの切り下げがあるかないか、非常にたいへんな状態になっていることは事実です。それから、フランスはどうか。フランスは間接税がある。七十何%と非常に高い。別な税制をとっております。西ドイツはどうか。西ドイツは八十億ドルの外貨を持つまでに、やはり自己資本の蓄積と貯蓄の増強はかつてさんざんやってしまった。非常に強い政策をとって今日になったわけです。ですから、金持ちのアメリカと豊かならざる日本と同じ税制をとっている、こういうことであります。はっきり申し上げると、比較すると。ですから、ソ連のような大国といわれるこういう国でも、国際収支が問題になって、ドルを持ってきた者に対しては二重価格で、換算率だけではなく外貨を得る道を荒らっぽくとっているじゃありませんか。
ですから、日本でいま物価抑制とか安定成長とかいろいろなことが言われておりますが、国民生活を安定的に発展させるために何が一体必要なのかということを考えるときに、私は資本蓄積と貯蓄だと思う。この二つの問題が解決しないうちは日本の物価問題に対処できない。もしそのことでもって物価問題を片づけるならば、賃金ストップをやり増税をやったりする荒らっぽいものになる。こういうことが一体でき得る状態かといえば、そういうことができ得る状態でないという認識のもとに、もっとすなおな政策によってこの難局を乗り切れないか、こう考えた結果、こういう施策をとったのでありまして、私はアメリカのような金持ちになれば、いまのような税制で何もこういう特例をやることはないと思います。同時に、イギリスと同じ状態をとるならば、あえて私は問題はないと思う。ただ、一体コストインフレでもって非常に困っているイタリアと日本はどう違うのだということは、世界各国でも議論されております。日本はイタリアのような状態になってはいかぬ、こういう考え方で、私はこういう政策に踏み切ったわけでございますから、ほかの国でもってとっておらないから日本はとっていかぬ、こういうことではない。日本人の利益を守るためには、この日本にある、これこそ自主外交と同じように自主的な感覚、考え方で日本には最も得意な政策をやるということは、これは必要であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/83
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084・田畑金光
○田畑金光君 大蔵大臣たいへんどうも勢いよく御答弁、またうんちくを傾けて議論を展開されております。私は、突き詰めてみると、物価の安定とかあるいは消費者物価の上昇を押える、こういうような問題等については、資本蓄積、貯蓄奨励、そういうことだけでこれがうまくいけばできるんだという御議論ですが、私はそういう単純なものじゃないと思うのです。私は、結局は経済の運営の基本的な姿勢にあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/84
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085・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 過去のことですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/85
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086・田畑金光
○田畑金光君 過去のことでございましょうがね、いままでの経路を振り返ってみますと、高度成長であまりにもふかし過ぎたというところに私は原因があると、こう思うんです。私はきょう時間がないので、あれこれ質問しようと思いましたが、これは私はこのエコノミストを見ますと、ある大学教授の財政等についての論文ですが、泉局長、読みますよ。たとえば「三十七年度の資料で利子配当減免税のウエイトをあげておこう。同年度の利子支払総額は、八千三百億円(ただし法人分を含む)、これに対し課税された所得税は三百七億円にすぎず、配当の場合は総支払額約五千億円(ただし法人を含む)、うち個人申告額は百十五億円を下回るという。」こういうようなことで出ておりますが、これらの根拠等について根掘り葉掘り聞き出すには時間がありませんから、申しません。
ただ、私の言うのは、大臣の趣旨もわからぬでもないが、さっき成瀬委員の質問にありましたように、特にこの給与所得者、源泉徴収を受ける者が、所得税を納める者が急角度にふえていって、ことしあたりは二千万円を突破するであろうと、こういわれておるわけですね。そしてまた、最低生活の基準というものが、先ほど論議されたように成人一日当たりが百六十七円四十八銭、二千五百カロリーなどと、こういうわけでなされておりますが、しかし、この答申の一番基本的な精神は、所得税をもっと安くしなさい、それから特に給与所得者について十分配慮をいたしなさいと、こう書いてあるわけですね。ところが、この給与所得等については八百九十億ですか、国税ですね、減税しようというのが八百億程度にとどまっておりますが、所得税において約九十億くらい値切っておるということです。私は、田中大蔵大臣の先ほど来の自信のほどは、信念のほどは敬意を表しますが、私の言いたいのは、そういうところも手をつけるならば、やっぱり給与所得者なんかに、いまの税制体系の中で重みを感じておる、非常な負担だと感じておるこういう人方にもっと私は具体的な措置、少なくとも答申の線くらいは実行するだけの、一〇〇%実行するくらいの私は情熱を持っていただきたい、そういうことを私は言いたいわけですよ。その点は大臣としても私は異論のないことだと思いますがね、これは。あれもやるならこれもやっぱりやると、同時に並行的に両者を均衡させるところに私は租税負担の公平の原則が生まれてこようと、こう思うので、その点についての大臣の所見を承っておきたい。
それから、もう一つは、いま大臣の言うフランスの場合は特に間接税が七割——七一%とおっしゃいましたね。そこで、あんたは非常に間接税はいいもんだと、こういうことをあっちこっちでお話しになっておるのです。そこで、この間事務当局に物品税の質問をしたときに、あんたのお隣にすわっている泉局長に聞いてみたら、そんなことはわれわれは聞いてはおりますが、まだどうするかなんということは考えておりませんと、こういう冷たい返事ですよ。ですから、直接税、間接税の関係についていろいろお聞かせ願っておりますが、あんたの、間接税を非常に尊重されるという、今後それを検討してみたいというのは、将来わが国においてもそういう方向に具体的に税体系を進めていこうとするお気持ちなのかどうか。もしそういうようなお気持ちなら、事務当局に命令して検討くらいさしておかないと間に合いませんよ、そういうことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/86
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087・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 所得税中心の減税をやれということに対しては、私も賛成であります。賛成でございますから、過去何回もやってまいったわけでございます。今度の税制でも、利子と配当が入らなければ満点だと、こう言う人もございます。これが入ったので相当その後評価が減殺されておるという評価がございます。しかし、私は私なりにいまの財政で可能な限り最善の努力をしたと、こういう考えを持っておるわけでございます。それはいま八十億という、税制調査会の答申よりも所得税減税が少なくなったと。こういう利子、配当所得等に対して特例をやることによって日本がだんだんよくなって、そうしてもっと大きな所得税減税をやれるというところまで持ってくるためには一時忍んでもらわなければいかぬ、こういうことを考えたわけであります。それはいまいろいろなことを言われておる。カキの種と握りめしと、こういう議論になって、田中の税理論はカキの種と握りめししかないのじゃないかと、こういうんですが、私はやっぱり一つの真理だと思うんです。それはいまつらい。いまつらいからといっても、将来のためにやっぱり乏しきを耐えながら、よりよい生活を望むために耐乏生活をやる。これは公選で出ておる者が国民に対して耐乏生活を要求することは非常にむずかしいことであります。われわれ落選を覚悟でなくてはそういうことはできません。そうじゃなくても、あえてこういうことをやれというのですから、これは責任の地位に立っている者の避けられない宿命だと、こういうふうに私は考えて、みずからを慰めておるのであります。どうぞひとつ御了承願います。
第二の、間接税中心ということを私は事務当局に指示をしておるわけでもありませんし、将来こうならなければならぬという考え方を持っておるわけではありません。ただ、どう考えてみても、いまの所得税中心の直接税中心でものを考えるときに、まあ私たちが四十万円まで課税最低限を上げるときには野党の方々は五十万円まで上げろ、五十万円まで上げると今度六十万円に上げなさい、今度五十六万円まで上げると八十万円だ。それはいまの制度の中での問題ですから、どうしてもそういうものしか出ないのです。ですが、私はやはり中学を出てから一万五千円の月給で三カ月以上の期末賞与をもらえば課税の対象になるのだ、こういうことはやはり避けていきたい。少なくも百万円、百二十万円くらいまでは課税最低限を引き上げたい、こういう熱意があるわけです。熱意がありますが、いまの状態で超高度の成長でも続けていかなければ名目所得が上がってまいりませんから、どうしても税収はふえない。そうすると、結局、毎度毎度減税をやりながらあなた方にいろいろ批判を受けて、そのときにフランスや西欧諸国でやっているような間接税をもう少し考えられないか。間接税は逆進的である、大衆課税だという議論も承知をしておりますが、税制というものをもう少し実体的に究明をして、より合理的なものがないか、そうしてその過程において所得税中心に思い切った減税ができないかと。いまの税制は、私は大蔵大臣としては一番完ぺきな税法だと思っております。これはいまの税法は、大蔵省として税をいただくのには非常にいい税法であります。これはもう名目所得が上がれば確実に税収は、自然増収はふえるのですから、非常に財源を得るためにはいい税制でありますが、しかし国民大衆が取捨選択をする、やはり高い物を買った者に対しては高い税金ということも一つの考えじゃないか。
まあ私はこの間ガソリン税の例を申し上げましたが、昭和二十八年には二百四億であります。今年度は二千六百八十億であります。これは私は大衆課税であるといえば、そういう問題はあると思いますが、まあ酒は、一本飲んだ人が納める税金よりも三本飲んだ人によけい納めてもらう、こういう家庭でも喜ぶようなものも見つけて見つけられないことはない。だから、検討できないか、こういう考え方を明らかにしておるのでありまして、間接税に対しては逆進論もありますから、十分慎重に検討します。
この利子、配当所得でもって非常に御批判を受ける、その上また逆進税でもって御批判を受けるということは耐えられないことでありますから、私も慎重にはいたしますが、しかし、やはり勇気を持たなければいかぬ、こう思うのであります。現状に甘んじてはならぬ、こういう考え方で、私は税制も日本に最も適当な税制は考えられないか、こういうことでございますので、その間の事情は御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/87
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088・田畑金光
○田畑金光君 私、時間がきましたので、まだたくさん質問したいこともございますが、最後にお尋ねしたいことは、今度の税調の四十年度の答申を見ると、自然増収の二〇%程度を減税に回したらどうかという意見ですね。その前は国民所得について二〇%程度、こういうような意見でしたね。これは理論的にどっちが正しいのか。あるいはまた、今後大蔵省、政府あたりがやっていくについては、国民所得を基準に考えるのか、あるいはまた自然増収を中心に考えていこうとするのか、これはどっちをおとりになりますか、これが一つ。
それから、もう一つお聞きしたいことは、私は結論的に言うと、やはり国民所得について考えていくのが理論的にも実際的にも正しいのじゃないか、こういう感じを持っているのですがね。それから、もう一つ、かりにまた国民所得に対して税負担が何%でいっても、それは平均的なあれだから、国民の最も税金の重圧感というと言い過ぎでありますが、一つの負担感というものが正しく反映しないですね。そこで、やはり各所得別に、国民の各所得階層が一体どの程度負担しているのかという問題、これは私のさがした資料によれば、昭和三十五年現在、月収一万円から十万円までの各所得階層についての直接税、間接税の負担比率というものが出ておるわけです。これは大蔵省にも資料としてあるはずですがね、この資料を出していただきたい。で、やっぱり税金というものは、各階層がどの程度負担しているかということで見なければ、重いか軽いかなんということはいえないと思いますがね。この点についてもひとつ皆さまの考え方を承りたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/88
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089・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 国民税負担を軽くしなければならないという基本的な姿勢に対しては同感でございます。ただ、税制調査会が答申をした自然増収の二〇%程度の率ということに重点を置くか、国民所得に対する税負担率ということに重点を置くかという問題は、両方とも十分検討していかなければならぬと思います。国民所得に対する税負担率は、これは現在二二・一%と、こういわれておりますが、こういう面にも、ただ外国は二八%——三一%だからということではない、実質的な国民収入というものから十分考えながら税負担率というものは考えていくべきだと思います。同時に、今度は一九%の減税を行ないましたが、これから歳出要求も非常にたくさんありますけれども、やはり自然増収の何%程度を目標とする減税ということもあわせて検討すべきだと考えます。
残余の問題は主税局長から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/89
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090・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のように、国民の税負担というのは、単に直接税だけでなしに間接税も合わせて、階層別にどういう負担になっているか、これは十分調べて行なわなければならないことでございまして、普通に考えられますことは、間接税は逆進性が強い税でございますから、どうしても所得の低い人がわりあい負担率が高い。直接税のほうは逆にこれは累進構造のために所得の高いほうの人の負担率が高い、そういうことになっておりますが、その実態は常に十分究明しなければならぬわけでございます。ただ、それには実はよるべき統計資料が必ずしも十分でございません。
そこで、総理府の家計調査を基礎にいたしまして、そこからいろいろ推計をいたしておるわけでございますが、家計調査には必ずしも、たとえば酒なんかでございますが、家庭で飲んだ分として出てくるものは当然出てきますが、そのほかに家庭外でどういうふうに酒が飲まれているかという数字、これがなかなかつかみにくいのでございまして、そのために相当推計を加えざるを得ないわけでございますが、いまお話しのように、三十五年の状態につきましてはそういう調べたものがございます。これは毎年実施するわけにまいりませんので、相当手数がかかる調査でございますので、何年かおきにやりたいと思っております。実はその後できておりませんので、本年くらいにはぜひそれを実施いたしたい、このように考えております。三十五年の資料は資料として提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/90
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091・田畑金光
○田畑金光君 それ以降は調べていないのですか、とっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/91
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092・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/92
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093・鈴木市藏
○鈴木市藏君 時間があまりありませんので、こまかいことは事務当局とやりますから、大臣のいる間に基本的な問題について二、三だけ質問します。
いままでの税制の改正とは基本的に今度の改正はその性格が違うという点が非常に重要だと思います。それは先ほど来、同僚議員の質問に対して、あなたのいかにも独占資本主義体制強化のための立場からの発言を聞きましたけれども、私たちはその考え方には基本的に賛成できないのです。で、私は、今度のこの税法の改正の中にきわめて濃厚に出てきたものが二つあると思う。
一つは、イデオロギー的な面がいままでにないほど強く出てきた。あなたはさっきはっきりとおっしゃったけれど、戦前の日本の六一%の自己資本と現存におけるところの二三%ということを問題にされて、日本は——やはり戦前の日本というものは明らかに日本帝国主義ですよね、これは。この日本帝国主義の時代における自己資本の率、そこまでいくことを目途として、このような非難をあえて覚悟して税制を変えたということは、あなたがはっきりと、やはりいままでとは違って、経済学のことばでいえば、つまり国家独占資本主義の体制を強化して、日本帝国主義を復活強化するための、そういう形におけるところの一つのあらわれとしてこの税制が出てきた、いままでにないほどそういうイデオロギーが濃厚にこの税法の中に組み込まれたという性格が、一つ今度の問題点だと思うのですよ。ここの委員会のやりとりは、比較的問題の現象面にあらわれた点でいきますから、こういう点から、基本的な考え方、イデオロギーの問題についてはあまり出ませんでしたけれども、私はこれは非常に重大な問題だと思っているんですよ。これは決してあれこれと話を飛ばすわけじゃございませんけれども、たとえば三矢作戦なんかにおけるああいう考え方と、あなたのこの税法の中に持ち込んでくる日本帝国主義の強化の考え方とは、一脈通じているものがある。つまり、この考え方、あなたは非常に一見善意であるかのごとく、あるいは自分自身が意識しているかいなかにかかわらず述べられている点はわかります。しかし、その方向は非常に危険だ。それが今度はむき出しにその考え方が税法の中に出てきたという点で、今度の税制改正はまさに戦後最悪とは言わないが、私はむしろそういうことについては法則的な一つのあらわれだという点で重視しているんです。この性格が一つ。
もう一つはですね、この税法の中に所得政策というものを、まだ日本政府は所得政策をとるということは言っていませんけれども、この税法の中には明らかに所得政策的なものを潜行さしているという面が出てきているんです。
この二つの性格です。ここが私は非常に重要だと思うので、あなたとここで討論をするわけじゃございませんけれども、質問の形でそういうことを言うのもどうかと思いますけれども、この二つの基本的性格についてあなたの考え方を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/93
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094・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) イデオロギー的な面で税法を変えたと、こういうことでございますが、それは思い半ばに過ぎる御判断だと思います。そういうことはございません。国民がみな全部、国民すべてが家を持とうという考え、家も国民所得の一つでありますし、資本の一つでもあります。家を持つために減税政策を行なう、また日本の産業自体がよくなるために資本蓄積を行なったり、貯蓄を増強することによって物価上昇等を終息せしめて国民生活を豊かにするという考え方でありまして、イデオロギー的なものではございません。しかも、帝国主義に連なる、こういうものでは絶対にございません。
大体において、日本が敗戦で何もなくなった。しかも、海外からは膨大もない人間が裸で帰って来た。原材料は何もない。膨大もない原材料を海外から輸入して、日本人の英知によってこれを加工して海外に送り出す。そしてそのマージンによって日本人の生活が向上される唯一の道がそこにある、こういう事実を踏まえて考えますときに、戦前のような独占資本が日本に存在するかどうか。私は存在するとは思いません。財産税によってたたかれ、実際において見る影もない。しかし、その中から今日の発展を来たしたのは何か。国民すべてからの資本の力が今日になったわけです。これからも私はそうだと思います。何か戦前の自己資本比率六一%と二三%を比較したことによって、そういう思想に出るものだとは、これは断定だと思います。独断的な断定じゃないかと思います。
いま一体ほかの国はどうなっているか。アメリカは七十何%であり、フランスも七〇%をこしておる。イギリスも非常に高い。西ドイツも高いとはいいながら、西ドイツは日本と同じようにたたかれたから、まだ自己資本比率は四十何%、五〇%にのぼらない段階、日本は二三%と。借金政策ばかりやっておると、独占資本が日本をねらうかもわかりません。しかし、国民九千万の金を集めて、そして日本人の力で日本の産業を興そうと、こういうんですから、これは独占資本などというものから全く逆なものの考え方。そんなことをやっていると財閥ができて、また昔のようにと、こう言われるかもしれませんが、日本にいま非常にいい税法がありまして、高額所得者から相当税を取るということでありますし、旧憲法下とは違うのであります。日本に、新憲法下における現在、あなたが不安にお考えになられるような状態が一体起こり得るかどうか。私はそういうことは絶対にない、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/94
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095・鈴木市藏
○鈴木市藏君 所得政策はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/95
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096・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 所得政策につきましては、イギリスでも始めておりますし、日本でも必要だと思います、まじめな立場から。必要だと思いますが、所得政策などというと、すぐ賃金ストップだ、こういうことで、所得政策そのものと取り組まないうちに、もういろいろな障害が起きるので、なかなか前進をいたしません。私は、今日の状態においてほんとうに日本としては所得政策を十分検討する必要はある、こういう考えであります。
池田内閣の最後に、所得政策をやろうと大蔵大臣がそれを言ったら、もう反撃があることは必至だから、これはひとつ経済企画庁とやろうというので、大蔵省の三階におりますから、ひとつ一生懸命やろうというので、閣議の席上で高橋経済企画庁長官から、所得政策に対してまじめに取り組むべき時期であります、こう言ったのですが、当時池田総理は、そんなことはまだ早いということで、そのままになっております。おりますが、どうにもならなくなって所得政策を考えるということでなく、私はやはりいまから将来を思いながら所得政策を考えていくべきだと思います。思いますが、そういう思想があったからこんな税制改正をやったのだと、この税制改正に結びつけられることは、これは間違いでございます。
そういう先入観を持ちながら、前提を持ちながら税法の改正ということを考えたわけではありません。国民すべてが豊かになるということを考えておるわけであります。これは共産党の皆さんも全部含めて、国民全体がいまよりよりよい生活になる、そうすれば共産主義のような過激なものはまあだんだんなくなるだろうと、こういう考えはありますが、しかし、そんな独占資本というものを想定しながらこういうものをやったというような考えは全くありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/96
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097・鈴木市藏
○鈴木市藏君 これはね、あなたの昨年の速記録を私は持ってきているのです。投資信託に関する五%の源泉分離課税を去年やりましたね。私はこれは必ず株式配当についても道を開くものになるのではないかと去年念を押した。そうしたら、あなたは、イタリーの例を引いて、イタリーは三〇%やっているから云々と言われ、そういうことはあるけれども、いまはもちろん考えていない。野々山委員の質問に対しても、そういうことは考えていない、私の質問に対しても、そういうことは考えていないと言ったが、現実はどうか。一年たったら、今日これが出てきた。私ははっきり言っておきますけれども、あなたが主観的にどう考えようといないにかかわらず、あなたの出してくるところの政策の持っているところの基本的な性格は、私の言っている方向へ行っているのですよ。行かざるを得ない、それは法則的なものだから。いい、悪いを言っているのではない。法則的なものだから必ずそこに行くでしょう。あなたは戦前自己資本率は六一%だということを言っておる。あるいはまた、西ドイツの例をあげ、フランスの例をあげ、イギリスの例をあげておりますけれども、それらの諸国は周知のごとく帝国主義強国ですよ。そこをやはり目ざしてあなたが言っているということは、何も必ずしも新憲法下ですから戦前のような形には行かないかもしれないけれども、やはり目ざすところはそのような帝国主義強国群の方向へ持っていこうと考えておることは、あなたが否定しようといなとにかかわらず、あなたの原理の中から出てくるのです。私はそれが出てきていいと思う。それが本音なんです。それをことばとして国民のためという修飾を使っているだけであって、やはり日本は帝国主義の方向にぐいぐい進んでいるし、その鼻づらを財政的金融的な面で引っぱっていく代表者はあなただ、こういう立場でやはり問題を見ている。私たちははっきりそういうような方向へ必然的な道を歩いていくと思うのです。そこで、まああなたがさつき同僚議員の質問に対して、国民の貯蓄を増し産業の発展をはかるということがつまりもとを強めることになるのだということを言われましたけれども、これはいまのような形でいくと、私はますます日本においても貧富の差というのは顕著にあらわれてくる。いま以上に富の偏在を来たす方向に行って、階級間の矛盾というのは先鋭化しますね。必ずそうなる。だから、あなたの方向でもし進むとするならば、日本の資本主義はいいでしょう。頭部にあるところの独占資本主義はいいでしょうけれども、一般の勤労者、特に労働者階級に対してはその考え方は決して正しくない。そして、それは一そう日本においても階級的な矛盾を深刻にする方向へ持っていく危険がある。今度の税法の改正では、税負担の公平の原則なんというものはほんとうに投げ捨てられた戦後最悪の税法であるということも、この間の本会議でも、質問した木村委員が言っておりましたけれども、そういう意味で、この税法の持っている性格は片手落ちである。だから、そういう点であなたは、この公平の原則が基本的にくずれて、そうしてそれによるところの階級間の矛盾がいまよりももっと深刻になってくるという事態に対して、やはり税法の面から、もしあなたがほんとうに国民の立場に立って税法をお考えになるならば、当然、負担公平の原則をもっと勤労者階級の面において徹底しなければいけないのじゃないかと思う。これは何回も繰り返して質問されたことですから、同じような答弁が出るかと思いまするけれども、具体的にこの点についてお聞きしたいことがあります。
それは、いまの日本の所得税の一つの特徴は、控除ということによる課税最低限をきめていることですけれども、問題は免税点の引き上げです。少なくとも利子において百万円まではいま言ったような特別な措置が講ぜられる。また、今度は相続税法の改正によって百万円までは生命保険に関する限りは免税になるという措置がとられる。百万円ということが一つの社会的な通念になっていくような方向においてとられつつある税制の中で、免税点が非常に低い。ここで課税最低限を、やはりこれらの相続税における生命保険の百万円、利子におけるところの百万円と見合うように、百万円の線に引き上げるべきが至当であると考えますが、この方向に向かっての努力、どうやっていくのか、これについてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/97
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098・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) そういう考え方はあなたと同じことであります。私も、先ほど申し上げた百万円、百二十万円まで免税をしたい、こういう考え方は基本的にございます。ございますが、なかなかいますぐそういうことになりませんので、これからおいおいにそういう方向に行くようにという考えであります。そういう考えが前提になっておりますから、いまの税法を、もう少しいいことがないかと、間接税などでどうかと、こういうことを先ほど申し上げたわけであります。間接税は逆進的だからいかぬと、こういうおしかりでありますから、これは慎重に検討をしますと、こうすなおにお答えしたわけです。ですから、私はいまの状態を静かに見るときに、やはり百万円といわず、百二十万円くらいに上げたいと、こういうまじめな気持ちがございます。そういうことをやるためにどうするか、日夜苦心をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/98
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099・鈴木市藏
○鈴木市藏君 時間をかけてたいへん申しわけございませんけれども、あなたがその気持ちなら、税調にそれを諮問をするという積極的な措置をおとりになる考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/99
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100・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 税調に諮問するということになれば、それはやることでございますから、これは財政事情もございますし、いろいろな問題もございますので、いますぐそういうことができるという状態ではないと思います。思いますが、税調自身も、所得税中心に大いに減税をしなさいと、こういう姿勢でございますし、課税最低限をどんどん上げていくべきだと、こういう考えでありまして、政府も何ら変わるところはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/100
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101・鈴木市藏
○鈴木市藏君 そこで、もう一つの問題は、大臣は去年イタリアの例を引いて、イタリアはたしか株のあれは三〇%でしたね、その例を引いて、そういうこともあるということを昨年申しておりましたけれども、イタリアのその後におけるところの経済状況はちょっと先ほど申し上げたような実情で、やはりコストインフレが進行して、イタリアの産業経済の状況は決して好転していない、いいほうに向いていないというように私たちも見ているわけです。だから、イタリアで三〇%のこのような特別措置をとったということを一つのためしにして日本でやるのだと、昨年来おそらくあたためておったあなたの考えだろうと思いますけれども、結局、基本は、イタリアでもいまこれらの問題をめぐっていろいろ論議が起きておりまするけれども、どこに問題を、経済安定あるいは基盤の強化をどこに置くべきかということで、ほとんどいま定説として出てきているのは、やはり物価の値上げを押えることなしにはあらゆる施策を行なってもだめであるということが、ほぼイタリアにおいても定説として出てきておるわけですよ。ですから、あなたが昨年イタリアの例にならって日本でもこういう方針をとりたいといって、ことし出てきましたけれども、今日のように公共料金やその他ウナギ登りにのぼっていくという物価の高騰に対して正しい抑制の道を講じない限りは、このようなことをやったって決してよくなっていかない、こういうように思うのですけれども、物価抑制に関するところの考え方はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/101
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102・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 物価抑制ということは非常にむずかしいことでございます。これからますますむずかしくなると思います。新しい憲法のもとに国民全体が自由意思に基づいて行動しておる、こういうときには、こういう物価問題は非常にむずかしいです。むずかしいから、具体的には、増税を行なったり、それから賃金ストップを行なったり、また貯蓄の増強や資本蓄積、こういういわゆる国民消費というものが押えられるような状態を一時とるわけであります。しかし、私たちは、いまの状態は、とても賃金ストップだとか増税とか、こういう状態ではないと思います。ですから、せめて資本蓄積や貯蓄の増強ということには努力をしょう、こういう考え方であります。これで物価の抑制ということで、賃金ストップでもやろう、減税は取りやめだということにでもなろうものなら、内閣は飛んでしまう。こういうことでありまして、やはり暫時すわっておらないと政策は行なえないということで、そう手荒なことはできないというので、現在、消極的といわれるかもわかりませんが、このような方法をお願いしておるわけであります。
あなたもいま言われておるのですけれども、物価と賃金の悪循環ということが一時いわれましたが、このごろそういうことを言うと非常に反論があります。ありますが、関係がないとは言われないと思います。少なくとも物価上昇に寄与しておるものは何かといえば、国民消費が第一であります。第二としましては財貨サービス、こういう数字があらわれておりますから、これは無視できない。しかし、賃金と物価との悪循環というような——物価が上がるから賃金を上げなきゃいかぬ、そういうことであるならば、一体どこでもってそういう悪循環を断ち切るかということを考えますと、なかなかむずかしいのです。あなたがいま言われたとおり、公共料金を上げないなら上げないで、電車を運行しないというのなら、簡単なんですが、そうじゃないのです。公共料金を上げないという場合には、どこかでもってそれを穴埋めしなきゃいかぬ。まず第一番には、金利の安い長期のものということになると、大体財政投融資から金を出す。財政投融資から金を申すには、貯蓄をもっとしてもらわなければ原資がないわけです。もう一つは、一般会計で利子補給したり、一般会計でまかなえということになる。そうすると、減税財源がなくなるわけであります。ですから、あなたは、公共料金を上げるな、上げないためには政府は金を出せ、政府の金を出すためには減税はやらぬでもいい、こういうところまでおっしゃると、私のほうは非常にやりやすいわけでありますが、そうじゃない。ただ公共料金を押えなければならぬと。こういう考え方だけで物価問題が片づくというほど単純なものではないわけであります。ですから、やはり国民消費というものが健全な消費になる、そうして貯蓄や資本蓄積が旺盛に行なわれる、同時に、政府も財政的に正しい姿勢をとる、財政がいやしくも経済を刺激しない、こういうものが両々相まって、物価が安定するわけであります。
私は、いまの状態を見て、いままでは物価を安定さすのは非常にむずかしかったと思いますが、ここ一、二年間という将来を見ると、物価の安定ということは可能な状態になりつつあるのではないかというようにも考えるのであります。それは国際的な経済が非常に安定的な状態になってきたということも一つでありますし、日本の産業自体においても量的拡大から質的拡大に入っている、だんだんと物価抑制というような面に作用してきておる、こういう見方も成り立ちます。ですから、私たちも公共料金を一挙に上げられるなどと考えておりませんが、国民の前に、減税はしなさい、それから国庫補助はうんと出しなさい——ちょうどこの前の選挙のときに、農村に行っては、生産者米価は安いから上げなければいかぬ。東京に来ては、消費者米価は据え置きだ、下げなきゃいかぬ。減税はやるんだ。どこから一体何をするのか、こういうことで非常に国民が困ったときもございますが、やはり責任の立場にあるお互いですから、やはり国民がわかるようなことで、物価を上げないために公共料金は据え置きましょう、そのためには政府から金を出します、減税は一、二年待ってくださいと、こういうところまで言うと親切なわけですけれども。ですから、そこまでわれわれも言う元気がないので、せめて貯蓄の増強というようなところでもって押えていこうと、非常に無理でありますが、こういう努力をしておることをひとつお認めいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/102
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103・鈴木市藏
○鈴木市藏君 私は、今度のこの税法の具体的な問題については、泉さんなんかがおられるから尋ねますが、大臣は何か午後から衆議院の本会議へ出るそうですから、私はこのくらいにしておきますけれども、必ずさっき申しましたように、あれですよ、もう税法の中の一つの性格に出ている所得政策の方向は必ず出てくるだろうと思う。またそのときにはひとつ徹底的にやってやろうと思っているのだけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/103
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104・西田信一
○委員長(西田信一君) 午前はこの程度とし、午後は二時三十分に再開いたします。
暫時休憩いたします。
午後一時三十二分休憩
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午後三時五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/104
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105・西田信一
○委員長(西田信一君) これより委員会を再開いたします。
午前の委員会において議題といたしました四つの法案に加えて、物品税法の一部を改正する法律案、国立学校特別会計法の一部を改正する法律案、国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案、財政法の一部を改正する法律案、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案、石油ガス税法案、以上八法律案をあわせて議題とし、これらの法案を一括して質疑に入ります。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/105
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106・大竹平八郎
○大竹平八郎君 酒団法につきましてごく簡単にお尋ねいたしたいのですが、今度の法案の主たる点は、組合員が販売する酒類の販売方法についても規制ができるという点で、従来はこの原材料の購入とかあるいは酒類の品種等について規制を行なってきたわけでありますが、今度販売という点について規制ができるということになっておるわけですが、ひとつその根拠を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/106
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107・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 現在、御承知のとおり、酒団法に基づきまして不況カルテルというのと合理化カルテルというのがございます。現在、酒類業八団体がございますが、八団体のうち製造、卸で七団体あるわけでございますが、その製造及び卸の七団体のうち、ビールの製造及びビールの卸、この二組合を除きまして、清酒、合成清酒及びしょうちゅうの製造組合、それから洋酒の製造組合、それと全卸の組合、これらの組合におきましては、それぞれ不況カルテル——それぞれ内容は若干違いますが、不況カルテルを結びましてやっておるのでございます。
ところで、御承知のとおり、昨年六月に基準販売価格の告示を廃止いたしまして、いよいよ自由価格になりましたわけでございますが、その結果相当販売面において競争が行なわれてくるということになったわけでございます。酒類の消費全体は年々相当ふえておるのでございますが、酒の種類によりまして必ずしも消費がふえない、たとえば合成清酒であるとかしょうちゅうであるとかはなかなか消費がふえません。これは国民の所得が豊かになったにつれてだんだん嗜好が変わってきた、そうして高級品に対する需要が多くなってきた、こういったことの事情に基づくわけでございますが、そういうことでだんだんと販売の競争が激しくなってまいったわけでございますが、小売り業界におきましては、全体としては消費がふえておりますので、まだ不況要件というのを認めるわけにまいりません。
ところで、現在までの合理化カルテルでは、先ほどお話がございましたように、原材料の購入数量、購入価格または購入方法に関する規制とか、販売する酒類の品種または意匠に関する規制はできるのでありますけれども、組合員が販売する酒類の販売方法についての規制ができないということになっております。そこで、小売り業界におきまして合理化カルテルを設けたいのでありますけれども、その合理化カルテルの内容として考えられますのは、景品つき販売とか、招待行為を伴う販売、こういったものを自粛さしたいわけで、現にこれは先ほど申し上げました不況カルテルを結んでおります各組合では、そういういろいろなカルテル行為で、そういう招待行為とか景品つき販売というのは行なわないという約束になっておるのであります。ところが、小売り業界におきましては不況カルテルを結ぶことができませんので、合理化カルテルでそういったものを結んだらどうかということになったわけでございます。
御承知のとおり、カルテルの結成ということは独占禁止法の除外例になるわけでございます。そこで、合理化カルテルとして認められるのは、やはりそれによってコストが引き下げられて、それによって消費者が利便を得るのでないと合理化カルテルの意味がない。そこで、招待とか景品つき販売は規制するにしましても、カルテルで高い価格を維持していくというようなことになったのでは消費者のためにならない。そういうことからいたしまして、消費者のためにならないような、価格を不当につり上げるようなカルテルは適当でないというようなことで、公正取引委員会といろいろ折衝したあげく、合理化カルテルとして認められるべきものは、酒類の販売方法に関する規制のうちでも、酒類の価格あるいは数量に不当に影響を及ぼすようなものは除いて、そうでないところの景品つき販売であるとか、あるいは招待行為を伴う販売というものを規制して、販売の秩序を保っていくという程度ならばけっこうであろうということになりまして、その程度の合理化カルテルでも結んで、あまり乱売行為によって結局共倒れになってしまうことを防ぎたい、こういうことで今回法案を御提出いたしまして、合理化カルテルが結べるような基礎をつくっていこう、こういうことで改正をお願いいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/107
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108・大竹平八郎
○大竹平八郎君 いま局長から酒類の販売の現状に対する断片的な御説明があったわけですが、たとえば高級酒がふえているとか、それから合成酒が減っているというようなことの説明があったわけでありますが、国税庁の方おられると思うのですが、ごく最近の酒の販売のたとえば特級、一級、二級、合成酒、この程度の販売高ですね、それからそれが前年についての比較ですね、そういうものがお手元でおわかりでしたら、ひとつ御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/108
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109・松本茂
○説明員(松本茂君) 最近におきます清酒の売れ行きの状況でございますが、特級について見ますと、三十七年は五万六千キロリットルでございまして、前年に対しまして六〇・九%増でございます。これが三十八年になりますと五万四千キロリットルになりまして、前年に対しまして九六・四%、これが三十九年は、これはいずれも暦年でございますが、五万一千キロリットルになりまして、前年対比九四・二%、そういう数字になっております。
また、一級について見ますと、三十七年は七万九千キロリットルで、前年に対しまして非常にふえておりますが、これは税制改正等がございましたその結果でございます。それから、三十八年は十七万五千キロリットルでございまして、前年に対しまして二二〇%、こういうことになっております。それから、三十九年は二十三万六千キロリットルでございまして、前年に対しまして三四・七%の増、こういうことになっております。
二級酒について見ますと、三十七年は八十一万二千キロリットルでございまして、一一%の増でございましたが、三十八年は八十九万六千キロリットルでございまして、一〇・三%の増、それが三十九年になりますと、八十八万二千キロリットルになりまして、九八・五%、こういうふうな数字になっております。
以上のように、一級につきましては、三十九年を例にとって見ますと、前年に対しまして三四%もふえておりまして、かなりな伸びでございますが、二級が横ばいをやや下回っている、こういうふうな状況でございます。
それから、ビールのほうでございますが、三十七年が百四十八万二千キロリットルでございまして、前年に対しまして二〇・二%の増、三十八年が百六十八万五千キロリットルでございまして、一三・七%の増、それから三十九年は百九十九万二千キロリットルでございまして、前年に対しまして一八・一%の増、こういうわけでございまして、ビールのほうは昨年もかなりな伸びを示しているわけでございます。
次は合成酒でございますが、これはちょっと手元の資料がごく最近の資料だけでございますが、三十九年の三月から十二月までで七万一千キロリットル、前年に対しまして八七・一%というわけで、かなり減少いたしております。
次に、しょうちゅう甲類でございますが、やはり同じ期間をとりまして、十五万九千キロリットル、前年の同期に比べまして八九・五%、これもかなり減少している状況でございます。また、しょうちゅう乙につきましては、三万六千キロリットルでございまして、前年の同期に対しまして七・三%の増、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/109
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110・大竹平八郎
○大竹平八郎君 そこで、いまこまかく数字を伺ったわけでありますが、特に一級酒が非常にふえているわけですね。それは何ですか、販売基準価格というものが廃止されたということが第一で、したがって、その影響が一級酒にはいい影響を与えた。それから、先ほど泉局長が言われた、合成酒が減ってきている。これはやはり基準価格の廃止による影響だ、こう見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/110
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111・松本茂
○説明員(松本茂君) 最近一級が非常に順調に伸びておりますのは、やはり経済の発展に伴いまして国民の所得水準が向上いたしまして、消費の高級化と申しますか、せっかく飲むならいい酒を飲みたいという、そういうふうな気分が高まってまいりました。そういったことで、二級酒じゃなしに一級を飲もう、そういうふうなことが一番大きく影響いたしているものと、こういうふうに考えておりますが、同時にまた、三十七年の税制改正によりまして、一級と二級との間の格差が縮まったという点も一つの原因になっている、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/111
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112・大竹平八郎
○大竹平八郎君 裏表の話になるのですが、販売数が多くなるということは、結局また醸造高も多くしなければならぬということになるのですが、したがって、醸造高自身も年々非常にふえている。しかし、そのふえ方というものは、いまのあなたの御説明の販売量のようなふえ方ではないのではないですか。これはそれと全く並行していっているのですか。その点ひとつ御説明願いたい。醸造高ですね。さっきのは販売でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/112
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113・松本茂
○説明員(松本茂君) 最近の清酒全体の醸造の状況でございますが、三十八酒造年度におきましては、これは石数でございますが、六百九十五万石ということでございます。昨年の三十七酒造年度では五百五十八万石でございまして、三十八年は前年に比べまして約二四%の増ということになっております。ところで、本酒造年度——三十九酒造年度でございますが、これの見込みは、清酒全体といたしまして七百二十五万石になる見込みでございまして、三十八年度に比べますと大体四・三%くらいの増になっておる、こういう状況でございます。
そこで、清酒の特級、一級と二級の区分と申しますのは、地方酒類審議会におきまして鑑定をいたしまして、その鑑定の結果非常に優秀であるというのが特級になるわけでございます。優良であるというのが一級になるわけでございます。したがいまして、その鑑定を受けて初めて特級という資格が与えられ、また一級という資格が与えられるわけでございます。つくりそのものの初めから、これは特級である、これは一級であるということではございませんので、もともと一級を幾らつくったかという数字というのは、つくるときそのときにそういったことが把握できるかといえば、そういうことはできないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/113
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114・大竹平八郎
○大竹平八郎君 そこで、その二四%もふえている、醸造高が。しかし、その醸造元はふえていないでしょう。どうなんですか、醸造元も相当ふえているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/114
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115・松本茂
○説明員(松本茂君) 醸造元と申しますか、その清酒の製造免許を受けている人の数でございますが、これはほとんどここ数年大差ございません。三十八年におきましては三千九百十三という数字でございます。たとえば三十七年は三千九百四十、三十六年は三千九千七十八というふうな数字でございまして、やや減少いたしておりますが、清酒の製造免許を受けた業数はあまり大差はございません。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/115
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116・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それから、酒類の小売り販売というのは所轄税務署の許可を得なければこれは販売ができないのですが、この販売店はどうなんですか、酒の売れ行きのふえ方に比例してどんな状態なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/116
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117・松本茂
○説明員(松本茂君) 酒類の販売をいたしますときには免許を受ける必要があるわけでございますが、まず卸の状況について見ますと、全酒類の卸免許を受けております業数は、三十九年三月末で千九百六十六でございます。これが三十七年の九月末におきましては千九百五十九、三十六年九月三十日には千九百三十九でございまして、卸の全酒類の販売業数というのはややふえておりますが、あまり変化はございません。ところが、小売りのほうにつきましては、全酒類の小売り免許を受けておりますところの数は、三十九年三月三十一日におきまして十万七千、三十七年九月三十日では十万二千、三十六年九月三十日では十万一千、こういう数字でございまして、かなり増加してきている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/117
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118・大竹平八郎
○大竹平八郎君 そこで、お伺いいたしたいのは、その酒自体の販売高というものはどんどん伸びている。それから醸造元はそうふえていない。やや小売り店がふえておるというようなことなんですが、それが指摘せられておるようないわゆる乱売化、リベートとかあるいはあきびんの取引とか、それから何ですか、景品つきの販売とか招待販売とか、こういうのをやらなければならぬというのは、ちょっとわれわれにはわからないんですが、その点は泉さん、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/118
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119・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 小売り業者でそういう景品つき販売とか招待つき販売をしようというのは、実は一般消費者に対してではなくて、料飲店など酒類を大量に消費しますところへ、小売り店といたしましてはそういうところを客にすれば非常に自分の売り上げが伸びるわけでございますから、家庭に一本、二本売るのと違って、一ぺんに大量に売れるところを自分のお得意にしたいということから、競ってそういう料飲店を相手に販売競争にうき身をやつすということがあるわけでございます。そこが取引の乱れのもとになるわけでございます。そこをやはりある程度規制しておこうというのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/119
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120・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それはあくまでも小売り店自身でやることで、メーカーのあと押しというか、あるいはメーカーの後援というか、そういう方面の乱売というものもあるんじゃないですか。要するに銘柄を売りつけることですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/120
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121・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、小売り店がそういう景品つきとか招待つきでそういう拡売をやろうとする場合には、小売り業だけでやる場合もありますけれども、そういうメーカーがあとにおって、自分のところの商品を拡売してほしいということから、そういうものが出てくることがかなり多うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/121
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122・大竹平八郎
○大竹平八郎君 そういう点は、わかれば何ですが、行政指導とかあるいは何か注意を与えるとか、何かそういうことはおやりになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/122
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123・松本茂
○説明員(松本茂君) 業界の取引の正常化という点、リベート等はできるだけ減らすようにという点につきましては、機会あるごとに製販三層それぞれに対しまして注意を促しておるところでございますが、たとえば最近清酒につきましては原料の米代等が値上がりいたしましたことと関連いたしまして、若干の値上げが実施されておりますが、さような場合にも特に注意をいたしまして、従来のリベート額等はこういった際にできるだけ圧縮するようにと、そういったことを私ども国税庁のみならず税務署におきましても、製販三層に対しまして重ねて強く要望し、行政指導をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/123
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124・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それから洋酒ですね、日本には洋酒の代表的なメーカーというのは二つか三つだと思うんですが、これはこのごろ町にもたくさん前と違って出てきておるんですが、まあ洋酒といってもやはりスコッチ物の輸入が非常に多いんですが、この輸入洋酒というものについては、国内の醸造高に見合って、輸入というものの一応数量の制限とかなんとかやられておるんですか、自由化だからどんどん入れるものは入れろこういうことなんですか、これの規制は何かあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/124
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125・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 現在、洋酒のうち、ウイスキーとブランデーはまだ自由化いたしておりません。ブドウ酒も一部しか自由化いたしておりません。いま自由化いたしておりまする洋酒というのは、リキュール類でございます。ただ、まあそういう状況でありますがウイスキーにつきましてはイギリス、ブランデーにつきましてはフランスが、日本の貿易交渉に際しまして、輸入酒量をふやせということをしきりに言ってこられます。そこで、日本の向こうへ売り込みたい品物とそれぞれ貿易協定を結びまして、その際お互いに貿易の促進をはかるという見地でやっております。ただ、消費数量全体の中に占める輸入品の割合はそれほどたいしたものではございません。
ただ、御承知のとおり、日本のウイスキーは非常によくなりましたけれども、まだ国民の間に洋酒に対するイメージと申しますか、向こうのほうがいいんではないかというような印象が非常に強いものでございますから、どうも輸入品がふえると国産の洋酒業者に及ぼす影響が著しいということを考えまして、現在のところ、まだウイスキーとブランデーは自由化いたしておりません。しかし、いつまでもそういう態度も続けられませんで、いつか将来自由化しなければならぬという前提のもとに、国内の洋酒業者には、早く基盤を強化して輸入の自由化に対処し得るようにやってもらいたいということで指導いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/125
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126・大竹平八郎
○大竹平八郎君 これは貿易政策上まあそうするのでしょうが、われわれ日本人のこの古い頭だというと、ウイスキーというと、まあやはりいま局長のおっしゃった輸入のものでなければならぬ。まあこれは確かにアメリカ人よりも日本人のほうがそういう点、ある意味において発達しておるかもしれぬと思うのです。そういう意味で、町に洋酒がはんらんしていることはわれわれ非常にけっこうだと思うのだが、しかし、今度は逆にわれわれがアメリカあたりに行って、ときおり出てくる洋酒が日本のものであったりなんかして、非常におまえのところにこういううまいよいウイスキーがよくできるなと。まあアメリカ人は、いまお話ししたとおり、日本人よりウイスキー教育はむしろ低いかもしれぬが、そういうことを聞くのですが、逆に日本の洋酒というものの輸出というものは幾らか伸びているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/126
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127・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のように、アメリカでは、ウイスキーといっても、バーボン・ウイスキーで、あまり品質のよくないウイスキーが多かった。そこで、まあスコッチ・スタイルのウイスキーとして日本のウイスキーが出ていきまして、品質を比べてみると、いい、値段が少し安いというようなことから、最近急激に日本のウイスキーがアメリカに伸びていっております。具体的な数量はまだたいしたことではございませんけれども、三十五年に八十七キロリットル、それが三十六年に百二十二キロリットル、三十七年に百三十六キロリットル、三十八年に百九十六キロリットルということで、三十五年から三十八年の間に倍増いたしております。まだ数量的にはそれほどたいしたことでございませんけれども、つまりスコッチ・スタイルとしては日本のウイスキーはなかなかいいというのがアメリカでは評判になっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/127
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128・大竹平八郎
○大竹平八郎君 いま二点ほど伺って質問をやめたいのですが、この不況事情の有無、中央酒類審議会に諮問して定めるということが今度の法案に盛られておるわけなんでございますが、私は寡聞にしてこの中央酒類審議会の構成というものを知らないのですが、これはそんなに権威のあるものであり、また権威を持たせなければならない存在なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/128
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129・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 中央酒類審議会は、現在でも酒団法におきましていろいろな権限が認められております。同時に、この基礎は酒税法にございまして、酒税法と酒団法との両方の規定によって権限に属せしめられる事項を調査審議させるため、中央酒類審議会と地方酒類審議会とが設けられております。
で、普通やっています仕事は、先ほど間税部長からお話がありましたように、特級、一級の品質の審査の仕事でございますが、そのほかに、酒団法によって、不況要件について、大臣は不況要件がある場合には勧告をしようとかあるいは命令をしようとする場合には、中央酒類審議会の議を経なければならない。また、今度新しく、従来はこの不況カルテルにつきまして、不況要件の判定の際に「基準販売価格を著しく下廻る」という要件がありましたので、これは客観的にある程度はかれたわけでありますが、今度の法律で「基準販売価格を著しく下廻る」という表現を直しまして、基準販売価格をやめましたものですから、今度は何をもって不況要件を判定するかにつきましては、従来中小企業団体法でとられておりますように基準を告示してやっていく。その告示については中央酒類審議会に諮問しまして、その答申に基づいて告示をしたい、こう思っているわけでございます。そういう意味では、中央酒類審議会は権威ある機関ということになっております。
この構成につきましては、酒類業界の各団体の会長、それから大学教授の学識経験者、それから消費者代表、こういった人が加わっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/129
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130・大竹平八郎
○大竹平八郎君 その不況要件の判定の問題なんですがね、これは何ですか、審議会自身が活動的にやる場合と、それから大臣の諮問によってこれを審議判定する場合という、これは両方あるのですが、この点いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/130
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131・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) まあ基準につきましては、酒類業の組合が不況カルテルを結びたいということで申し出てくるわけでありますが、そのときに大臣が認可するについての基準でございますから、まあ大臣が、こういう条件になれば認可したいと思うが中央酒類審議会の御意見はいかがですかということで諮問するわけでございます。もちろん中央酒類審議会から大臣のほうに、意見として、こういう条件であれば認めたらどうかという御意見をお出しになることはもちろんできることになっておりますが、したがって、一方通行ではございませんで、両方のあれを意見として申し出ることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/131
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132・大竹平八郎
○大竹平八郎君 最後に伺いたいのは、この酒類業組合事務所の固定資産税、それからこの都市計画税ですね、これを課さないということがあるのですが、何ですか、このほかに業者組合でこの種の適用を受けておる業種というものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/132
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133・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) そういった団体としましては、中小企業団体法に基づきます中小企業組合、こういったもの等の事務所なんかはそれに当たっております。それから、輸出入業組合、これもそういう対象になっております。まあ今回はそういう酒類団体につきましても、本来酒類業のそういう団体は調整事業を行なうことが主たる目的でありまして、収益事業は全然営まない、もっぱら公益的な法人でございます。そういう意味で、固定資産税、都市計画税を非課税にしていただきたいということで、自治省のほうにお願いいたしまして、今回こういう改正をお願いいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/133
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134・栗原祐幸
○栗原祐幸君 三、四お尋ねをいたしたいと思うのですが、まず地方交付税の税率の問題についてお尋ねをいたします。
昭和四十年度の地方交付税率の引き上げですが、一番最初自治省は三十九年よりも一・五%ばかり引き上げてもらいたい、こういう要求をしたように聞いておりますが、現実問題としては〇・六%にとどまったと。それで十分だという意味で〇・六%にとどまったと思うのですが、上げるほうは。しかし、地方の実情というのは〇・六%の交付税率の引き上げではとても不十分だということです。〇・六%上げればそれでまかなえるのだという前提に立ってきめたと思うのですが、地方の実情、特に、私は静岡県出身ですが、静岡県あたりはどっちかというと非常に豊かな県ですよ。この静岡県の、県はもちろんのこと市町村長等からいろいろ聞くことは、このくらいの税率のアップではとてもやりきれない、地方の単独事業なんというものはできないのだと、非常に財源難を訴えているわけなんです。〇・六%の引き上げでよしとした理由ですね、それから地方のそういう窮状に対してどういうお考えを持っておるか、交付税率をもって引き上げるべきじゃないか、こういう意見に対してどうお考えになっているか、御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/134
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135・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。
今回の交付税率の引き上げは、いま御指摘のとおり、現実の問題としては従来の二八・九から〇・六上がりまして二九・五になっております。当初自治省との交渉の間におきましては、三〇%以上というようないろいろなお話があったわけでございます。交付税の率の引き上げという問題については、御承知のとおりそのときそのときの、たとえば減税が行なわれたからその補てんというような問題、あるいは災害があったからその財源が要るから補てんという意味じゃなくて、もっと、率が一たんきまりますと、将来を見通してまいりますいわば恒久的といいますか、そういった性質を持っておるものでございまして、そういう関係からこの率の引き上げが過去において数カ年続いてきて、あるいは何か地方財政の事情によってこの率が上がってきたというのが今日までの経過でございます。
そこで、地方の、現実に単独でやる事業、それからベースアップとかあるいは公共事業が行なわれて、それに伴う地方負担、県負担、市町村負担というようなものの計算の上から地方財政計画が立てられ、地方財政計画の中には、さらに、増収、いわゆる税の増収あるいはその他の事情によって自治省において地方財政計画をお立てになる。当初におきましては、いろいろな意味で実は三〇%くらいに交付税を上げないとどうしてもつじつまが合わないというお話があったわけでございます。しかし、その後税の増収の問題なり、特に今回における国の予算の編成の上から見て、一二・四%のいわば規模の拡大しかできない実情、あるいはその他の四十年度国税の増収見通し等々から考えていきますと、相当やはり経費を節約し合理化をしていかなければならぬ。したがって、その意味から見て、むしろ地方におかれてもやはりそれもひとつぜひ行なっていただきたい。また、公共事業の伸び等も、従来よりも国の財政そのもの自体が、国の予算そのもの自体がやはり多少場合によっては鈍っているところもあるというようなことから、大蔵省の立場として計算をしますと、交付税の税率はあまり引き上げる必要はないのじゃないか。極端かもしれませんけれども、そういう両者の見解があったわけでございます。
そこで、その両者の見解の実情を詰めてまいりまして、自治省にもできるだけ御節約を願い、あるいは公共事業裏づけ分の御節約といいますか、もっと精細な調査をしていただく。さらに、単独事業等はどこが適正であるかということについては問題がございます。現実に単独事業といった一つのものを自由にやりますと、これはどこまで伸びていくか、これはわかりません。したがって、単独事業の事態についてもひとつできるだけ四十年度の国の財政の実情から見て地方のほうもひとつそれに準じて合理化し、あるいは重点的にお願いしたいというようなことから、いわば詰まってまいりまして、大蔵大臣と自治大臣との折衝の間におきまして、大体〇.六を上げることによって、二八・九を二九・五に、いわば四十年度ベースでいいますと、これは百四十数億になりますが、そのくらいのところでがまんをしていただきまして、話し合いがついたというのが実情でございます。おそらくそれは確かに不満の点もあったと思いますけれども、一応それによって地方財政計画ができるということで、この〇・六%の引き値上げになったわけでございます。
したがいまして、今後におきまして、これは地方自体としての御希望によってはさらに〇・五あるいは〇・四上げて、何といいますか、自由に事業ができるように財政を豊かにしたいという事情はよくわかるのでありますが、現実の今日の段階においての国の財政及び地方の財政という点から見て、妥当なところでいわばまとまった数字になったというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/135
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136・栗原祐幸
○栗原祐幸君 事情は、一応お話の点はわかるのですが、しかし、地方へ行ってみると、現実に非常に苦しい。たとえば人件費はアップする、あるいはいろいろな公共事業をやらねばならない、あるいは健保の赤字をしりぬぐいしなければならない、いろいろな問題があるわけですね。私どもの考えますのに、国の事務と地方の事務ですね、こういうものを明確にして、それぞれこの事務の再分配といいますか、国で行なう事務と地方自治体の行なう事務というものを再分配する、そういう観点に立って地方財政計画というものが立てられなければいけない。それについて国税はどの程度まで取るか、あるいは地方のほうの財源はどうするか、そういうことをしないで、交付税率引き上げだけで云々するというのは、私ども本来どうかと思いますから、そういう国の事務と地方の事務の再分配、それに伴う税の財源の確保ということについて本格的に取り組まないといけないんじゃないか。そうでなかったら、健全な地方自治というものは育成されないんじゃないか。この点についてどうお考えになっているか。もし考えているならば、具体的な作業があるならば、その作業の概要を知らせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/136
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137・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) いまの御質問のとおりだと思います。現在におきましても、地方の事務と国の事務は一応各法律によってきめられている形となっておりますけれども、ほとんどの自治体において、市町村ないし県に行きますと、国の事務、地方の事務というものが、いわゆる国庫補助、国庫支出金の形で出ますから、それに伴っての都道府県の裏づけあるいは市町村の裏づけ、あるいは受益者の裏づけというようなことで、国の事業という名目でありながら、あるいは四割、五割は地方が負担している。全額国庫なんていうものはあまり、数えるほどしかないというのが実は実情でございます。したがって、さらにこれが国庫とか、あるいはいわゆる社会保障関係等々にまいりますと、さらに国の支出、県の支出、あるいは各個人の支出という点においても、実は国の事業という名前がかぶされながら、実際において国でやっておるかというと、まあ半分くらいあるいは三分の一は自己負担をしておるというので、いわゆる国と地方との事務配分というものがどうしても必要であるという点につきましては、異存はないわけでございます。現在におきましては、地方制度調査会におきまして数年前からこの問題について実は審議をされ、何とかして国と地方との事務配分をしていこうじゃないかということをやっておるわけなんです。これはどうも大蔵省という立場から少し逸脱するかもしれませんけれども、地方の行政を担当した私の個人的な気持ちを申し上げますと、そういうはっきりした区分をする方向に移りながら、一面においては国の出先機関が地方に非常にふえてきておる。したがって、そういう面から見ますと逆行したような形も見えるところがあるので、しかし、この問題は重大な問題でありまして、やはり地方制度調査会において国の事務と地方の事務、その責任というものを明らかにしていくことがどうしても大切なことであろうと思います。具体的には現在まだそれぞれを申し上げる段階には至っていないかと思いますが、私の気持ちとしてはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/137
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138・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) ただいま政務次官から御説明のありましたとおりでございますが、若干補足的に御説明申し上げますと、地方制度調査会で数年来検討を進めてまいりますと同時に、その裏づけとしての財政面につきましても、税制調査会で一昨年以来検討を続けておられまして、昨年の答申におかれましてもこの点については、結論は出なかったけれども、今後もさらに検討しようということで議論をされているところでございます。もちろん、財源の問題と制度の問題、行政制度の問題とはなかなかからみ合っておりまして、一度に全部ほぐして完全につくり上げるということは困難であろうと私ども考えておりますけれども、できるだけそういう方向で、できるものから一つ一つ片づけていきたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/138
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139・栗原祐幸
○栗原祐幸君 それで、地方のほうが非常に財源が不足するというので、今度自動車税とか軽自動車税の税率の改定をするということなんですが、これはどういう車種のものをどの程度改定されるのか、ひとつ説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/139
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140・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) 自動車税の改正でございますが、まず自家用の乗用車につきまして、普通自動車と四輪以上の小型自動車に分けて区別されております。まず普通自動車につきましても、軸距三・〇四八メートル以下のものにつきましては、現行三万六千円のものを五割増しの五万四千円にいたすことにいたしております。それから、軸距三・〇四八メートルをこえるもの、これにつきましては、現行六万円でございますが、これをやはり五割増しをいたしまして九万円にいたすことになっております。次に、先ほど申し上げました四輪以上の小型自動車でございますが、総排気量一リットル以下のものにつきましては一万二千円を一万八千円に、総排気量一リットルをこえ一・五リットル以下のものにつきましては一万四千円を二万一千円に引き上げることにいたしております。さらに、総排気量一・五リットルをこえるもの、これにつきましては一万六千円を二万四千円にいたしたわけでございます。いずれも五割増しにいたしておるわけであります。
次は営業用の乗用車についてでありますが、この営業用乗用車の普通自動車につきましては、軸距三・〇四八メートル以下のもの、これにつきまして現行一万五千円を二万二千五百円に、軸距三・〇四八メートルをこえるものにつきましては三万円を四万五千円に改めることにいたしております。また、観光貸し切り用のバスにつきましては、三万円を四万五千円に引き上げるということにいたしたわけであります。
これが自動車税の改正でございます。
次に、軽自動車税につきましては、自動車税の税率の引き上げと同趣旨によりまして、四輪以上の乗用軽自動車の税率を、現在三千円でございますものを四千五百円に引き上げるということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/140
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141・栗原祐幸
○栗原祐幸君 この自動車税のうちで普通自家用ですね、現行三万六千円のやつを五万四千円にする。この型のものは所有者はどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/141
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142・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) ちょっと手元に資料ございませんので、早急に取り調べましてお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/142
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143・栗原祐幸
○栗原祐幸君 これは五割アップすることによって税額はどのくらい、まあこれは員数とも関係いたしますが、どのくらい増収になるのですか。増収額がわかれば、ある程度あれもわかるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/143
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144・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 自動車税の今回の増税によりまして、平年度百一億円、初年度九十四億円の増収がはかられることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/144
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145・栗原祐幸
○栗原祐幸君 いま御案内のとおり、自家用車というのは、このたぐいの自家用車というのはほとんど——ほとんどというと語弊があるのですが、非常に普及しているのですね。この普及している自動車の税額を一挙五割引き上げるということは、非常にそういう所有者に対して大きなショックじゃないかと思いますね。この点はどうなんですか。たいしたショックじゃないと、こういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/145
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146・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) これはまあ私からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、実は自動車税の税率は昭和二十九年にきめられまして以来、その後ほとんど変更しないで今日に来ている。その間若干の変更はございましたが、ほとんど変更しないで今日に至っております。その間、御承知のとおり自動車の販売価格は相当値下がりをいたしてまいっております。そのために、当時この自動車税の税率というのは自動車の価格を基準にして固定資産の税率で見た場合にはどの程度であろうかというようなことでできておったのでありますが、その後、自動車税の性格からいきますと、固定資産税と同種に見るよりも、むしろ、だんだん普及してきたけれども、まだまだ自動車を持っている階層というものはそれほど多くはない、そういう段階で自家用車を持てる人にはある程度の負担をしていただいていいのではなかろうかということで、まあ今回特に地方団体単独事業をやっていくための財源が非常に少ない、そこでぜひそういう税種で財源を確保したいということで引き上げるということになったわけでございますが、お話のように一挙に五割の引き上げということは相当、需用者といいますか、自動車を持っておられる人に対してはかなりの負担であることは負担であると存じます。ただ、その標準的な中型自動車についていいますと、その負担の上がる額は年々数千円程度でございますので、それほど耐えがたいというほどの負担ではなかろう、このように思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/146
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147・栗原祐幸
○栗原祐幸君 自動車を持っておる人は持っていない人よりも生活がいいんじゃないかというのは一般論としてうなずけるのですが、しかし、もう昔の自転車と同じように、だんだん自動車も自転車がわりにするというのが常識ですよ。あまりむずかしいことを言わぬでも、常識としても、小型自動車くらいを持つ時代にだんだんなりつつある。だから、貿易の自由化に即応しても、自動車業界はそれに太刀打ちできるような態勢を整えつつある。問題はあるようですけれども、そういうような趨勢になってきている。自動車をどんどん売っていかなければならない。また、自動車も自転車がわりに使う世の中ですから、したがって私は、それは持っていない者よりも持っているほうが生活がいいんだと、そういう一般論はわかりますが、余裕はあるのだというのはわかりますが、しかし、いまの据え置き程度でいいんじゃないか。何もそれを上げる必要はないのじゃないか。しかし、上げるのもそういう意味で上げるのでなしに、財源がないので上げるのだということになりますと、先ほどの質問のように、これは抜本的な問題を直さなければいけない、そういうことになるわけです。まあこれは私の意見ですが、一挙に五割を、二十九年以来上げていないから、一年で刻んでいけばたいして上げたことにはならないという、そういう計算も頭の中ですればそうですが、感覚としては非常にショックですね。そういうことを言うのだが、なぜ刻んで上げてこないのか、いままでに、それは非常に行政として怠慢ではないかということにもなると思うのですよ。この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/147
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148・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) その点はお話のとおり、まあ二十九年からいままでの間にもっとそういった点を検討しておくべきであったと思います。ただ、まあ今回急に自動車税を引き上げるようになりましたのは、御承知のとおり、この三十九年から新道路整備計画ということになりまして、従来二兆一千億の道路整備計画が急に四兆一千億に伸びまして、しかも地方の単独事業がその中でも非常に多くの割合を占めるようになりました。そのために地方の財源が非常に苦しいということから、自動車税の引き上げの問題が起きたわけです。
最初は、これは私どものほうでやっておるわけではございませんので、的確な答弁になるかわかりませんが、自治省といたしましては、自動車税の引き上げではなしに、新しく自動車取得税という税を取りたい。土地、家屋の不動産の取得につきましては不動産取得税がございますが、それと同じように、自動車についても取得税を取りたいというお話であったのでございますが、取得税ということになりますと、まあ御承知のとおり、自動車につきましては物品税がかかっておりますので、物品税と取得税とダブるではないかということから、すでに国税としてある物品税のほかにさらに地方税で取得税を取るのは好ましくない、したがってその構想はやめてもらいたいということになりまして、そうなると、まあその道路整備財源のために必要な財源を確保する方法としては自動車税しかないということになって、今回の改正案の立案をされたものと思うのであります。
お話のとおり、もっといままでに検討してやったほうが望ましかったのは確かですが、これなども昨年制定された道路整備計画というものに関連して、急に財政上引き上げを必要とするという事態に至ったために、このようなことになったのでございまして、一挙に五割も引き上げることは好ましくないことはお説のとおりだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/148
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149・栗原祐幸
○栗原祐幸君 次に、地方公営企業の赤字の問題で若干お尋ねいたしたいと思うのですが、まず少しこれは初歩的な問題かもしれませんが、公営企業というものですね、公営企業というのは一体どういうようにしてできてきたんですか。この沿革ですな、たとえばガスとか水道とか電気とか、そういうものは公営企業でやるのだと。どういう沿革でできてきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/149
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150・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) まあ公営企業の出てきた沿革でございますが、御承知のとおり、公営企業にはバス、電車等々の交通関係、あるいは水道事業、あるいはガス事業等の、そのほか最近では発電そのほかそういうものがございます。御承知のとおり、これはもう端的に申し上げまして、資金の面そのほかから見て公共性が一般的に非常に強いので、そういう意味から低廉な価格でもってこの公共性をカバーしていくというような意味から当初発足をしていったかと思います。ただ、その種類によりましては、御承知のとおり、水道等の場合には、やはりこれを行なう場合、民間企業よりかどうしても地方公共団体がこれを行なうことが便利である。あるいは発電事業のように非常に公共性を持っておるので、地方公共団体の長または公共団体自体がこれを行なってきたというような意味から、結論的にいうと、非常に公共性が強い、しかも料金そのほかにおいて、いわゆる企業利益というものをある面においては犠牲にしながら低廉な価格でその公共性を十分発揮していくというような意味においての公共事業ができてきたわけです。そういうふうにまあ感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/150
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151・栗原祐幸
○栗原祐幸君 まあ私の私見もございますが、時間がございませんので、その点は本日は触れませんが、まあそういう公営企業というのは非常は公共性の強いもの、国民生活に欠くべからざる仕事であると、そういう認識に立った場合に、それに大きな赤字が出たとなれば、これを国が補てんをするのがあたりまえじゃないかと、これまた常識上当然出てくる議論なんですが、これに対するお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/151
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152・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) 公営企業そのものの問題だと思います。現在まあ御質問の対象になっておるものはおそらく地方におけるいろいろな公営企業、現在においてバス料金をストップされ、あるいは水道料金等が問題になっておりますので、そういう面における公営企業、それがまた御承知のとおり大部分赤字になっておりまして、この赤字の累積をしますと大体二十億とか三十億とかいわれておるこの公営企業であろうかと思います。で、この点につきましては、根本的に考えますと、地方公共団体がおやりになっておるわけでございますから、その範囲内において、公営企業だって採算ベースがとれないでよろしいという意味ではないわけで、おそらくこれは独立採算制をとって特別会計でやっておられる。したがって、極端にもうける必要はないわけでございますけれども、全然赤字でいいという問題ではないのじゃないかと。そういう意味からいうと、経営の合理化をはかり、またその限度におけるできるだけ安い料金で、しかも経営が独立して成り立っていく方向に経営を持っていくことが必要であろう、場合によれば多少の料金の値上げ等もやむを得ない面があるというふうに、原則的には考えるわけでございます。しかし、現実は実は赤字があるわけです。
で、この赤字があるのですが、これについて直接すぐどうしても国家が補償しなければならないかという問題になってまいりますと、国としては、一時公共料金のストップをした関係上、そういう責任があるのではないかという議論も成り立つわけです。しかし、それはそれとして、その責任は責任といたしまして、やはり公営企業をやっておるところの公共団体が一応それに伴う赤字解消策についてのまあいろいろな合理化なり料金の問題なりをやって健全に経営をしていくようにし、しかも次の段階においてその公共団体が実は非常に資金が不足であるとかどうとかという場合においては、やはり起債とかどうとかという措置において、自治省を通じて国がこれを見ていくというのが筋ではなかろうかと考えます。したがって、国として全然これをほっとくというわけではなく、自治省を通じ地方公共団体を通じて、そうして大きな起債ワクの中からその措置はとられていくと。しかも、どうしてもそれでいかぬ場合においては、自治省と大蔵省との話し合いによって、やはり自治省を通じてその公営企業を持っておる公共団体を通じて、その赤字解消策で何らかの、資金なら資金の手を打っていくというふうにいくのが本筋ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/152
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153・栗原祐幸
○栗原祐幸君 いまお話しの中で、地方公共団体も公営企業そのものを体質の改善とか合理化をしなきゃならないと、これはまあ私はそのとおりだと思うのです。ただ、企業の体質改善とか経営の合理化ということばはことばとしてわかるんですが、具体的にどう企業を合理化するのか、体質改善というのはどうしてできるのかと、そういう具体的な筋というのは——これはちょっと質問するのはおかど違いかもしれませんが、自治省のほうへやらなければいかぬかもしれませんが、自治省は来ておりませんか。——質問だけ言いますよ。企業の体質改善とか合理化とか、ことばとしては観念的にはわかるんですが、具体的にどういうことをするのが合理化なんですか、体質改善になるわけなんですか、そういうのをひとつお示しをいただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/153
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154・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) 自治省当局が参っておりませんので、私からお答え申し上げるのは筋違いかもしれませんが、私どもの知っております範囲内でのお答えを申し上げたいと思います。
一口に公営企業と申しましても、電気もあれば上水道もあり、工業用水もあり、あるいは交通もありで、その態様はまちまちでございます。したがいまして、その合理化の問題についても実はいろんな考え方があるわけでございますし、また企業の態様によってかなり差がある。たとえば水道事業等については、一つの考え方としては、まあたとえば自治省当局の御見解では、現在の償却年限の見方が相当問題があると。設備投資についての償却年限の延長と、それに見合う起債の年限延長、あるいは起債の利子の低利化、こういった問題が行なわれればかなり企業の体質改善は行なわれていくであろう、こういう御議論もございます。また、交通事業等におきましては、これは常に民間のバス等と比較されて議論されるわけでございますけれども、同じような路線を同じように走っておりながら公営金業のほうが非常に高いと。それには一つの問題として、たとえば人的構成が民間企業の場合に比して非常に高齢化しておると、こういった問題がございます。ただ、こういった問題については、いま直ちにこれを一〇〇%解決するということは現実の問題として不可能でございます。ただ方向としてはそういった問題についても、やはり民間企業との格差と申しますか、そういったものについてのメスを入れていく必要はあるであろう。さらにまた、給与ベース等についても、一般の公務員なりあるいは同じ地方職員に比べても高いというようなケースもないとは申せません。そういった問題についてはまた考え直す必要があるのではないか。また、不採算路線というものもございますが、こういったものの中に、地方団体としてどうしてもやはり地方公共の福祉のために維持していかなければならぬものもございましょうし、場合によってはある程度整理をするということも可能なものもございます。いろいろございますけれども、そういったそれぞれの事業に即応してできるだけこまかくそれぞれ施策を積み上げていくという以外には、体質改善の道はなかろうというのが正直なところでございまして、これでやれるというような、一つできまりがつくような非常に名案というものはどうもないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/154
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155・栗原祐幸
○栗原祐幸君 それでは、この問題はこの程度にしまして、あとひとつ配当の分離課税の問題についてお尋ねいたします。今度の配当分離課税ですが、これは利子の分離課税、これに見合った意味合いで配当分離課税を認めたのかどうか、そういう要因もあったのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/155
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156・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 従来、利子と配当につきまして、御承知のとおり、利子は五%分離課税、配当は源泉徴収税率は五%ですが、総合課税ということになっておりますために、証券業者を中心といたしまして、利子と配当との間の課税のバランスがとれていない、これは一部新聞雑誌等でもその点の主張はいろいろあったわけでございます。ただ、それに対しまして私どもは、なるほど課税に差異はあるけれども、その差異については、何と申しましても、預貯金というのは比較的に高額所得者というよりもわりあい所得の低い者が相当預貯金をしておる。ところが、配当になってくると、所得の非常に多い人の中には、所得のほとんどの部分が配当であるという、こういう人が非常に多い。それからまた、配当の場合には、株の譲渡所得が非課税になっております。それによってずいぶん株のほうが有利な面もある。そういう点を考え合わせますと、完全に株の配当と預金の利子とバランスを同じようにして、預金の利子のほうが分離課税だから株の配当のほうも分離課税にしてくれというのは、どうも筋が違うのではないかということを申してまいっておったのでございます。
基本的には、税制調査会が答申いたしておりますように、利子が分離課税になっているから配当も分離課税という要望を認めるとすれば、まあ、本来、利子とか配当といったものは資産所得でありまして、勤労者が額に汗してかせぐところの所得に比べると、担税力は多いと見なければならぬ。にもかかわらず、利子は分離だから配当も分離ということになったのでは、税制の基礎がくずれるのではないか。したがって、もしバランスをはかる必要があるとすれば、利子に対する優遇を狭くして、配当もそれにバランスをさせたらいいのではないか、こういうようなのが答申になって、利子については源泉選択二〇%程度を導入するという答申になっておったわけであります。
ところが、政府案をつくる段階になりまして、昔から利子については日本の税制史上総合課税されましたのは昭和二十五年一年だけであります。いまだかつてその年を除いては総合課税されたことがない。そういう点と、貯蓄の奨励がいまも非常に必要であるということから、利子について分離課税を継続する。源泉徴収税率のほうだけは税制調査会の答申にあるように五%から一〇%に上げるけれども、分離課税そのものはなお二年間継続する、こういうことになったわけでございます。そうしますと、従来から利子と配当とのバランスが問題になり、また税制調査会もそのバランスを、政府案とは逆の方向でありますけれども、バランスを一応とろうとしておった関係上、利子について分離課税を継続するならば、配当についても何らかの措置をとらなくてはならないというふうに、だんだんと詰められていったわけであります。その結果といたしまして、税制調査会の答申は、一銘柄年三万円以下の配当は確定申告を要しないという程度でバランスをはかろうとしておったのであります。その一銘柄三万円というのが、一銘柄年五万円以下の配当は確定申告は要しないということになり、さらにイタリアでやっていることでもあるしするから、源泉選択税率一・五%——源泉選択一五%と申しますのは、配当控除の一五%を合わせますと三〇%の税率による源泉徴収額ということになるわけでありますから、そういう制度を導入するということになったわけでありますが、しかし、先ほど申し上げましたように、配当所得者の中では高額の所得者ほど配当所得の割合が多いわけでありますから、そういう面をチェックする意味で、一銘柄年五十万円以上の配当を持っておられるような方、あるいは一会社の総株数の五%以上の株を持っておられるような人、そういう人のその配当には源泉選択は認めないということで、まあ若干のチェックをはかったという経緯でございます。
したがって、税負担の公平という点からいきますと、勤労者の税負担とそういう資産所得の税負担という点ではいろいろ問題があるとは思うのでありますが、貯蓄の奨励とか資本市場の育成強化という必要からいたしますと、税負担の公平論からだけでは片づかない問題がありますが、今回のそういう改正のやむを得ないものと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/156
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157・栗原祐幸
○栗原祐幸君 これは大蔵大臣が、利子にしてもあるいは今度の配当の優遇にしても、資本蓄積のためだと。資本蓄積のためというならば、それがほんとうに資本蓄積のためになるならけっこうだと私も思うんです、これは。ただ、沿革的に見まして、利子の分離課税を認めたというのは、私はよくわかりませんけれども、終戦直後非常にインフレの盛んなときに貯蓄奨励をしなきゃいかぬと。それと同時に、物がなかったものですから、金より物というときですから、何でもかんでも貯蓄貯蓄と言うてみても、まあ物をほしいというんで、物価でもどんどん上がるならば物のほうに行ってしまうという、こういう傾向があるから、貯蓄奨励、資本蓄積という意味合いで、利子に対する優遇措置を講じたものと思うんですよ。そういう歴史的な沿革があるんじゃないかと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/157
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158・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) いまの沿革、ちょっと申し上げます。利子課税に対する沿革といたしましては、ずっと明治の昔から、利子所得というのは所得税のうちの第二種所得としまして分離課税をずっと続けてきております。それを、昭和十五年に御承知のとおり税制大改正がございました、そのときに、本法ではぜひ総合課税にしたいということで、いろいろ主税局と銀行局との間で論争がありまして、結局昭和十五年のときには源泉選択の制度を認めるということになりまして、当初は源泉選択の税率は二五%であったんであります。まあその後戦時中だんだんと戦争が苛烈になってまいりまして、もうそういう不労所得に対する課税はきつくしろということでだんだんときつくなりまして、二五が三〇、三五、四〇というふうに上がりまして、シャウプ勧告が昭和二十五年に出ましたが、その前、昭和二十四年当時は六〇%の税率による源泉選択、まあかなり高い源泉選択税率だった。それを、シャウプさんが来られまして、昭和二十五年に、そんな税制はおかしい、そういう資産所得はすべて合算課税すべきであるというので、昭和二十五年の税制改正のとき、まあこれは当時のGHQがおりまして、ぜひそのシャウプ勧告どおりやれということで、一年間だけ総合課税が行なわれたのでございます。しかし、翌年には源泉選択の方法が講ぜられまして、このときは五〇%の税率によって源泉選択であった。しかし、当時の所得税の最高税率は五五%でありまして、したがって五〇%の税率による源泉選択というのはかなり高い源泉選択である。別に地方税はかかりませんから地方税のことを考え合わせますと、まだまだ余裕がありますけれども、しかし、所得税の最高税率五五%に地方税を多少加えましても、五〇%の税率はかなり高い源泉選択でありました。そうやってまいりまして、昭和二十九年から今度は資本蓄積に非常に必要だということで、一切非課税になった。それから、昭和三十二年に一切非課税というのもひどいじゃないか、長期の貯蓄は優遇してもいいけれども、短期の貯蓄はどうであろうかというので、長期の貯蓄は非課税にするけれども、短期のものについては源泉課税で一年未満のものに一〇%の課税をすることになったのであります。それが三十四年に、まあ当時は佐藤大蔵大臣でありますが、長期も短期もともに一〇%の分離課税ということになったわけでありますが、それが三十八年に一〇%から五%に下がってなお分離課税を続けている。これが今日の状況になっているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/158
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159・栗原祐幸
○栗原祐幸君 この問題については、いましばらく沿革を調べましてから、適当な機会に再質問をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/159
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160・西田信一
○委員長(西田信一君) この際、御報告いたします。
所得税法案、法人税法案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法及び法人税法の施行に伴う関係法令の整備等に関する法律案、以上四法案は先刻衆議院から送付せられ本委員会に付託せられました。
このうち、所得税法案は衆議院におきまして修正議決されております。この際、本案の衆議院における修正部分の説明を便宜政府委員から聴取いたします。泉主税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/160
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161・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 所得税法案につきましては、衆議院におきまして一部修正の上議決されておるのでありますが、その修正部分の趣旨について、便宜、私から御説明申し上げたいと存じます。
所得税法案の政府原案におきましては、昨年所得税法の一部を改正する法律におきまして、不動産業者が不動産の売買のあっせんをいたしました場合、そのあっせんについて調書を提出する制度を設けておったのでありますが、今回の所得税法案におきましてもその制度をそのまま踏襲することとして政府原案を提出いたしておったのであります。ところで、衆議院におかれましては、この制度が売買の当事者以外の第三者である不動産業者にその取引の内容の報告を求めるものであること、またこの制度は登録不動産業者からのみ調書を提出することにいたしておりましたので、登録不動産業者を通ずると政府にその売買の報告がなされる、したがって登録不動産業者を通じない取引をしたいというような風潮があらわれまして、宅地建物の公正な取引が阻害されるおそれがあるということ、この二つの理由によりまして、こうした制度は廃止することが適当であるということで、不動産業者の売買に関するあっせん調書の提出制度を廃止するという趣旨の修正がなされたのであります。
この修正にあたりましては、所得税法案の原案二百二十八条の条文を削除いたしますとともに、原案の二百二十七条第二項の規定、これは業務に関連して他人のために名義人として配当の支払いを受ける場合に、その配当に関する計算書を提出するという制度があるわけでありますが、この規定を二百二十八条として移しかえまして、他の部分に変動を来たさない、こういうような趣旨での修正がなされておるのでございます。
以上、所得税法案の一部修正につきまして、その内容を御説明申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/161
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162・西田信一
○委員長(西田信一君) 以上で修正部分の説明は終わりました。
引き続き御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/162
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163・岡崎真一
○岡崎真一君 先ほど交付税の問題に関係して自動車税の問題があったんですけれども、まあいろいろその間財源処置として自動車税が上がるという御説明であったと思うんですけれども、別の観点からこれを見た場合に、先ほど大臣のお話もあったと思うんですけれども、自動車の輸入に関して、自由化の問題に関連しまして、国内の自動車製造業者あたりの保護とかいう問題のことで、踏み切る踏み切らぬという問題があったように私は聞いたんですけれども、それと少し関連があるんですけれども、こういうふうに五割もたくさん上がるということになると、自動車を買う者の立場からいえば維持費が高くなるということになると、日本の自動車の売り上げ高といいますか、こういうものが減るということは、自動車の製造業者にとっては、これはむしろある意味においては、いまのような販売台数が、もちろんふえるとは思いますけれども、もしかそうじゃなかった場合に、むしろいま自由化を促進しようということでいろんな配慮をしておられることに逆行するような考え方が起こるんじゃなかろうかと、こう思うんです。これは財源としての交付税がかかっているわけではありますけれども、そういうことに対して、きょうは通産省が来ていませんから、通産省のこれに対する意見はどうかということを聞くわけにいきませんが、大蔵省の税の立場からいって、そういうことを通産省のほうとも連絡をとってやられたんではないかと思いますけれども、そのとき製造者側として、自由化という問題とこの税という問題と結びつけて、何かいろいろお話し合いがあったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/163
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164・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のように、この自動車税を引き上げますと、その保有者に毎年毎年かかってくるわけでありますから、その自動車を購入したあと、毎年の負担のことを考えますと、まあ自動車の購入についてちゅうちょするという空気が出ないことはないと思いますけれども、しかし、先ほどちょっと申し上げましたように、一五〇〇CCの中型自動車につきまして上がるのが年に九千円でございます。それの負担という点から見ますと、現在それを購入する場合はたいてい六十五万円くらいで購入するわけでありますが、それについて九千円の負担がふえるということは、まあさして大きな負担の増加とはいえないんではないか。お話のように、自動車の自由化が問題になっておりまして、そのほかにこの物品税の税率の引き上げの問題があり、この自動車税の税率引き上げの問題がある。そのほかに、まあこれは考えようでありますけれども、揮発油とのバランスから、石油ガスに対する課税を設ける、こういういろんな問題が重なりまして、実は自動車業界としてはおそらくたいへんなことだという認識で、いろいろお話がありまして、通産省のほうとももちろんそういった点をいろいろ打ち合わせました結果、この程度でやっていこうではないかということになったのでございます。
まあそれは、税が高くならないでおれば、それが一番望ましいことは確かだと思いますけれども、地方財源の状況、それから物品税はほんとうはこの四月から二〇%になるはずであったのを、その二〇%に一挙にしないで、だんだんとするというようにしたというような事柄でございまして、自動車業界もたいへんだとは思いますけれども、相当今日まで合理化につとめてこられまして、自動車の技術的な性能としては外国にひけをとらないという程度にまで参っておりますので、そういう点からはまあやむを得ない点ではなかろうかというふうに考えておられると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/164
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165・岡崎真一
○岡崎真一君 それで、いまのはわかりましたが、それをもう少し突っ込んでみますと、いま自動車を買っている、ことに自分の自動車を買おうというような人は、月賦販売で買っている人が多いと思うので、それからいうと、九千円ですか、幾らか上がるということは、やはりそれだけ荷がふえることになりますから、私は足踏みをさせる一つの理由になるのではないか、こう思うので、いま聞いたわけですが、それがもっと私の意見が進んでいくと、いまメーカーの過当競争をやっている最中だから、それのために、その自動車の価格を安くしなければならぬ、定価を下げなければいかぬ。それは結局、いまの自動車の実情からいけば、下請にそれがさや寄せが来ているという事実は、これは御承知だと思う。そういう下請業者が困るという問題が一つある。これは製造メーカーでなしに下請業者、そこへさや寄せが来るという問題が一つあると思う。それと同時に、下請業者は中小企業にかかるという問題が一つ起こってくるかもしれないという懸念が一つある。
それから、今度はメーカーとして、そのためにいろんなトラブルがあって、弱体化してきて、いま十何社あるのですね、自動車つくっているというところが。そういうところがひとつ自主統制してやろうというようなことになるかもしれませんけれども、しかし、これはなかなか自由競争の激しいときだからいけない。そうすると、にっちもさっちもいかなくなったときにどうするかという問題、これはまたいろいろ整理統合しろといったような、政府でそれを助成してやるからというような問題でも、これは先々の話なんですけれども、そういうところまでずっと掘り下げて考えていくと、そういう懸念もあるのではなかろうか、こう思うのですがね。
まあ今日の、これは交付税との関係から一つの財源ということからいろいろ御説明もあり、質問の趣旨もそういうようなことでありましたけれども、私は別の角度から、この自動車税を取るということについては、もちろん慎重にいろいろ研究なすったと思いますけれども、その辺まで気を配っておやりになったかどうかということだけ一言聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/165
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166・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) お話のように、自動車業界にはかねてから自由化を目ざしましていろいろ問題がありまして、ことに御承知のとおり日本の自動車業界というものは一社の生産数量が比較的少ない。諸外国と対抗し得るような業者は二社ほどでございまして、そのほかの業者はまあ非常に生産量が少ない。そのために、今後自由化されました場合に、現在の企業の姿のままではたしていけるのかどうか、非常に問題のあるところでございます。しかし、その点は、そういう業者がいるからというわけになかなかいかないので、やはりその業者自体が今後世界的な競争にうちかっていくような態勢になっていかないといけないわけでありますから、そういう生産量のわずかな業者がいるからそういうものを助けるために、この地方財政のほうもそれに処してどうこうというわけになかなかいかない。やはりその業界としてはそれだけの努力を続けてやっていただく必要がある。まあできれば、地方財政強化の必要があるといっても、そういう税率を上げないで済ますことができればなお望ましかったとは存じますけれども、道路整備財源の所要ということのためにやむを得ずこういう措置をとらざるを得なかった。これがたまたまもう少し時期がお互いにずれておりますれば、そういった刺激も比較的少なかったと思うのであります。たまたま同じような負担の増加の問題が重なってまいりましたので、いろいろたいへんなことであろう、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/166
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167・成瀬幡治
○成瀬幡治君 租税特別措置法の問題で、例の懸案になっておった生活協同組合が、前国会では、大蔵大臣の答弁によると、近い将来前向きで検討すると。あたかもこの国会には改正案が出るかのごとき答弁になっておる。また、私たちもそういうふうに実は了承をしておった。ところが、これが全然出ていない。そこで、あのときも議論されたことは、基本法がないという点が一点、それからもう一つ、員外利用の問題、この二つであった。今度、森林組合が入ってきた。これは森林基本法ができたから入れたのだろうと、こういう御説明であろうと思います。永久に生活協同組合では基本法ができぬであろうと思うのです。そうすると、これは永久に入らぬということです。ところが、この前の改正をされる前には、これは租税特別措置法の中に入っておった。あなたのほうも基本法がないから入れないということは、それは一つのものさしかもしれぬけれども、片一方ではやはりバランスということがあると思うのです。何か生協をまま子扱いにするという姿勢にとれるわけなんです。
もう一つは、税制調査会のあれも触れておらぬということもいえる。あなたのほうは改正を出さなかった理由になるかもしれぬが、しかし、少なくとも国会で議論をし、そして速記録のことばの上でいえば、いま申したように、近い将来前向きで検討する、こうなっておる。しかし、その前には事前の折衝もいろいろとあった。ですが、これは抜かしたというのは、私はあなたのほうのちょっと手落ちだと思うのです。手落ちじゃないという話かもしれませんが、その間の一応事情を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/167
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168・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) これは租税特別措置法の一部改正につきまして昨年御審議をいただいたとき問題になったことと、私も十分承知いたしております。私どもといたしましては、そういう意味で消費生活協同組合の課税に対する優遇の問題として、まず消費生活協同組合の実態を十分調べようじゃないかということで着手したわけでございます。御承知のとおり、これは厚生省の所管になっておるわけであります。ところが、厚生省にはそういうことについての統計が非常に不備でございまして、私ども一番問題なのは、昨年申し上げましたように、やはり員外利用がどういうふうになっておるか、員外利用をしていないような消費生活協同組合は幾らあるのか、員外利用をしておればそのしておるのはどの程度の組合が幾らあるのかというようなことをいろいろお聞きしたわけでありまして、そういった資料がほとんどわからないということでございます。それでは困るではないかというようなことで、いろいろ折衝をしたわけであります。そうしているうちに税制改正の時期に入りまして、結局、資料が十分ありませんために、税制調査会にも事柄としてはおはかりいたしましたけれども、十分の資料を提供しておはかりするまでに至らなかったわけであります。そして税制調査会の答申では御存じのとおり載らないで、そのまま参りまして、自由民主党の税制調査会に参りましたときに、自由民主党の社会部会のほうからはこの問題が提起されまして、そして税制調査会でいろいろ論議があったのでありますけれども、これは党のほうとしては、そういった実態がまだ十分究明されていないからこの際は見送るべきである、そしてもっと実態を十分把握した上で、基本法の問題がございますけれども、もっと実態を把握した上で検討すべきではないかということで、この際は見送りということに相なった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/168
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169・成瀬幡治
○成瀬幡治君 この前のときは、員外利用の問題と基本法のない話。きょうのお話を聞いていると、資料がなかったというようなことに今度は変わってきておるわけですが、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うということがあるようですが、大体それに当てはまるようなことで弱ったことだと思うのです。のれんに腕押ししておるようなことはいかぬので、いまのあなたのお話をまともに承りますと、資料はこれは集める集めないというのは本人の意思いかんですから、やろうと思えばこれはできることなんです。
そこで、今度は税制調査会等にそれは大蔵省としては積極的にはかる用意があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/169
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170・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) この点につきましては、私のほうで資料をとるわけにまいりませんので、まず所管官庁である厚生省にそういう資料を十分に準備していただいて、その上で私どものほうと打ち合わせた上でそういう資料ができますれば、税制調査会におはかりいたしたいと思っております。ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、非常に微妙な点でございますが、党の税制調査会におはかりいたしましたところこういうふうになりましたと、そこも問題であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/170
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171・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ぼくは自民党の政調会というのは、先ほども言いましたように、政党内閣のときですから、これは当然尊重すべきだと思うのです。しかし、そうでなくて、大蔵省の諮問機関である税制調査会に対して今度はかる用意があるのかないのか。あまりいろんなことを言われると、また速記録に載って、やってもいいようなやらぬでもいいようなことになるから、今度ははかってやるのかはかってやらないのか、それにしぼって返事をしなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/171
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172・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) これは先ほども申し上げましたように、厚生省のほうで資料が十分整いましたならば、おはかりいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/172
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173・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、厚生省のほうに資料を云々するというのは、それはどこが中心になって、主体になってやることですか。あなたのほうが黙っておれば、厚生省はやらないと思うのです。そこで、大蔵省が音頭をとって、資料を集めてどうだ、こういうことになってくると思うのです。ですから、あなたのほうが責任を負って税制調査会に対しておやりになるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/173
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174・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 私のほうは厚生省に資料を照会いたしておるのでありますから、それに応じて厚生省に資料を出していただくのが普通の筋合いだと思うのであります。もし厚生省が出すつもりがないとおっしゃられると、これは私のほうで無理に出せというわけにまいりません。やはりそれは厚生省に出していただくお気持ちになっていただかないといけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/174
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175・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは私は昨年来からの懸案になっておりますから、この次の三十日ないし三十一日に大蔵委員会があったら、一度厚生省も呼んでいただいて、そこで意見をひとつ聞きながらやっていきたいと思います。
それから次に、お尋ねしたい点は、先ほど岡崎さんのほうからも自動車の問題が出ておりましたが、ここは地方税関係ですからあまり触れたくないわけですけれども、問題は、物品税は上がったわ、自動車税は上がったわ、強制保険は上がったわ、こういうことになってくるわけですね。ですから、岡崎さんが言われるように、非常に販売は伸びているということは確かだと思うのです。ところが、今度はいま言ったような負担がずっとふえるわけですね。そこで、販売の伸びが落ちやしないかという点を心配しておみえになると思うのですが、あなたのほうでも試算はしてみえると思うのですよ。そこで、たとえば一五〇〇なら一五〇〇のものが今度は負担がどのくらいふえていくのか。物品税と地方税とそれから強制保険、ガソリン税は今度上がったとは言えないけれども、そういうようなものがふえていくわけですが、大体何割増くらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/175
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176・泉美之松
○政府委員(泉美之松君) 一五〇〇CCのものについて申し上げますと、物品税で四十年度に上がるのが四千円でございます。本則税率の二〇%に、いま一五%でございますが、それを二〇%にすることによって二万円ふえるわけでありますが、そのうち四十年には一%でありますから、その五分の一の四千円上がるということになります。それから、いまの自動車税が、先ほど申し上げましたように、八千円上がるわけでございます。それから保険のほうは、たしか昨年の改正で上がったのだと思いますが、今度の改正で上がるわけじゃないと思いますが、これは私詳しく存じませんが、昨年約倍額になったのだと思います。いまの物品税と自動車税とを合わせますと、両方で一万二千円。先ほど申し上げましたように、一五〇〇CCのものでございますと、小売り価格が六十五万円くらいでございますが、それの一万二千円ということであれば、さしたる負担とはいえないのではないか。もちろん、これは御承知のとおり、従来自動車業界はほとんど毎年三万円近いコストダウンによる値下げをやってまいっております。もちろん、そのコストダウンといっても、それは下請企業に相当しわ寄せされておるのじゃないかと。これは確かにあるいはそういった事情があるかもしれません。いずれにしても、自動車業界としては、毎年三万ないし四万の値下げはやってきておったのでありますから、そういう点から見ますと、一万二千円ということがそれほど大きな企業としての負担にはならないのではないか。
ただ、一万二千円でも、それが下請にしわ寄せされるということになれば、下請としてはかなり大きく影響を受けるということはあるいはあるかもしれませんが、しかし、いままでの、特に二大会社の収益の状況から見ますと、年間百億、二百億をこえる収益をあげております。そういった点から見ますと、さしたる負担にはならないのじゃないか。ただ、これが先ほど申し上げましたように、その二社以外の中小の業者にはある程度影響があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/176
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177・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私たちが心配しているのは、戦略産業としての自動車産業の会社の経営のあり方が一点、それからもう一つは、買う方の側に立って見たときに、物品税が上がれば、それがコストの中にプラスされるか吸収されるかという点は、この前のあなたの説明では、コストがアップせずに、大体コストの中に吸収されていくと、この自動車税は私はそうはいかぬと思うのです。もう一つは、強制保険のふえてくるのは、やはりこれは利用者の負担増になると思いますね。そこで、あなたは、七、八千円のそれが利用者のほうでいえば増になる、あまりたいしたことじゃない、こう言われるかもしれませんが、これは利用者のほうの側でいえばたいへんなことになる。
特に中小企業として、自動車は一つの店舗というのですか、あるいはショーウインドーくらいの役割りを果たすといいますか、なければならないところの人たちもあると思うのです。それからもう一つは、そうじゃなくて、ほんとにぜいたくの人もあるかもしれませんけれども、やはり物事を考える場合には、トラックは今度はいろいろな問題ではずされたということもあるというような点は、諸物価等にはね返るからじゃないか。同じような理論があるとするならば、中小企業等が使う小型乗用車というようなものは、私はもう少し考えられたほうがいいと思いますけれども、これは地方行政のほうでも相当議論される問題だと思いますが、少なくとも税制調査会の答申案を読んだり、あるいは審議の内容を見たときに、自動車はいいのだとか、外車に比べたらいいとかなんとかいうことはあったが、利用者の負担増になるということはあまり書いてない。こういうことは研究しておみえになるのか。あるいは自動車の一台や二台持っているのだから、少々上がってもこたえぬという議論なのか、少々このあたりずれているのじゃないかという感じがしたのです。あなたの説明で納得したわけじゃございませんが、これは意見ですから、よろしゅうございます。
その次にお伺いしたいのは、関税で少し伺っておきたいのです。こういうところでこのことを言っていいのか悪いのか、私のほうも少し遠慮しようかと実は思ったのですけれども、例のバナナの関税とからんで、御案内のとおり為替管理法違反の疑いです。いわゆる協力費というものを出しているところがある、あるいは要求されているから業者が泣き泣き出しているのだというふうなことを聞いているわけですが、そういうふうなことについて、事務当局のほうではどの辺まで実態をご存じになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/177
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178・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) お話にありましたのは、おそらく神戸に起きました事件ではないかと思います。私ども承知しておりますところでは、台湾に親会社があり日本に子会社があるところで、両万の取り扱いの値段は普通にいわれております一かご八ドルというもので行なわれておりながら、輸入されました日本側の会社から日本の青果業者に渡ります場合に、それに上乗せしまして、いまお話しのような、協力費という名前をつけておりますか、私はあまりはっきり知っておりませんが、上乗せする金額が一ドルであるという話ないしは百円という話があるわけでございます。
この問題、一体関税法上どういうことになるのか。これが、バナナが八ドルではなくして、現実に九ドルないしは八ドルと百円ということで入ってきているのを、八ドルとして輸入申告をし、それに七〇%の関税を納めて済ませているということになって、低価申告という問題にならぬかという問題が出てくるわけでございますが、関税をかけます場合にどのような価格を基礎にして関税をかけるかという、基礎となる価格のきめ方というのは非常にむずかしい問題でございます。通常、輸出国において取引されている価格というものをベースにとりまして日本着の値段を出し、それに関税をかけるということになるわけでございますが、その通常輸出国において取引されている価格というものが、なかなかつかみにくいことは御存じのとおりであります。この場合には、どうも通常取引されている価格というのは八ドルではないかといまのところでは見ている次第でございます。もしも方々で取るようになりましたら、やるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/178
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179・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あなたがおっしゃるように、神戸というのですか、兵庫の県警が当たっているようですが、そうして目下調査中のようですから、全貌が明らかにならないといえばそれまでですが、昨年関税定率法の改正の中で、やはりこの協力費の問題が取り上げられておったわけです。しかし、本委員会で議論されたことはないのです。ところが、そういう話があったことは私ども十分承知しております。そしてそのことは買うほうの側でいえば、輸入するほうの側でいえば、それは八ドルで輸入しようと九ドルで輸入しようとかまわないといえばそれまでかもしれませんけれども、御案内のとおり、台湾政府ではチェック・プライス制がとられているわけですね。ですから、一かごについては何ドルかかるということはきめられておるわけです。はっきりしておる。ところが、それに対して協力費を支払わされておるということは、これは当然に売り手市場だからそうなっておるといえばそれまでかもしれません。それにしても、関税の上では八ドル、実際は協力費を払っておるからそれが九ドルないし九ドル半になったということになると、少し問題だと思うわけです。また、そういうことを行なわれておるということになれば、日本全体の消費者側から見れば不当な取り扱いを受けておるということになると思うのです。ですから、こういう点については、私は関税というか、税関の行政としては非常にまずいと思うのですから、こういうことが行なわれないように十分監督をするというか、あるいは行政をする責任は、あなたのほうにあるんじゃないかと思うのですが、いままで全然知らずにおって、方々でやったら断固取るわというようなことを言わずに、実際は私らが知り得ておるのでは二十数社がもうやっておるというように出てきておるのですが、どうですか。ほんとうにあなたのほうは知らずにおみえになったわけですか、いままで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/179
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180・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 神戸においてわかってまいりました関係の社数は、先生お話しの分の半分くらいかと思っております。しかしながら、正式に表にかなりはっきりと向こう側の取引価格が八ドルということがあらわれておりますので、こちら側でそれに違反する実例がかなり多く出なければ、売り上げ価格を修正するということにはわれわれも慎重にならざるを得ないと思います。ただ、先ごろ起きました問題につきまして、そのようなことをやったのでは関税課税上問題が起きるのでやめてもらいたいという申し入れを神戸の業界に対して税関はやっておるわけでございます。今後はいたしませんということに実はなっておるわけでございます。もしなお出るようでありましたら、私ども極力御趣旨のように調べなければならないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/180
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181・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ずっと割り当て制の問題から今度の自由化になり、その間にいろいろないきさつがあったようです。少なくとも国全体の立場からいえば、協力費まで払って高いものを買わされるということは、日本全体から見れば不利のことですから、そういうことのないように十分行政指導をやっていただきたい。また、そういうことが行なわれたとするならば、関税法違反になりますから、為替管理法違反になりますから、ぴしゃっと押えてやっていただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/181
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182・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 輸入に関しましてはいろいろな問題が起きておりますが、どうも日本側の輸入側において過当競争が行なわれ、このように大量に買い取っているものであるにもかかわらず、また買い取り量がふえておるにもかかわらず、どうも売り手市場になって振り回されているという状況になっておりますことは、先生御指摘のとおりでございます。われわれは日本の業界の統一、自粛を希望いたしますとともに、私どもが直接いろいろ申しますことも何でありましょうけれども、農林省が非常に努力されておりますことに期待をかけておる次第でございます。御指摘のように、相当の外貨を使うに至りましたことにつきましての輸入秩序の問題と申しますか、それはわれわれも今後よく考えてまいりたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/182
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183・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これはあなたにお尋ねして御返事願うということはおかしな話かもしれませんが、たとえば小麦の輸入をいたしますね、日本が。その船はどこにチャーターしておるかというと、大体アメリカの船、外国船が多いですね。台湾バナナにしましても、せめて日本が輸入するようなものは、冷凍船のかげんもありましょうが、少なくとも日本の船が利用されるということが、日本の船の積み取り量をふやすということが、国際収支の上からいえば大切なことなんです。ところが、いま申し上げましたように、食糧庁が輸入する麦ですからね。全然日本の積み取り量じゃない。積み取り量から見たら、一割にも満たないものです。政府全体のあれですから、関税関係は。これをお尋ねするのはおかしい話ですけれども、もう少し日本政府全体の立場で、国際収支がどうだということを非常にやかましいことを言うとするならば、大蔵省もそういうようなことについてもう少し目を光らしてやられたらいいのじゃないかと思うのですが、これは政務次官、どういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/183
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184・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) 小麦あるいはバナナ等の外国船利用の問題だと思います。これは率直に申し上げまして、数カ月前から次官会議または政務次官会議で貿易外収支を縮小するためにあらゆる資料を集めて、実はこれは研究をしております。したがって、大蔵省としては、農林省等から言われる造船計画といいますか、あるいは小麦を運ぶ専用船あるいはくだものを運ぶ専用船というようなものもまだ固まっておりませんけれども、ある程度出てきておりますので、それは銀行局なりなんなりとして一応造船計画の中にできるだけ入れるようにしたいということでございますが、問題としては、はっきり申し上げましてコストの問題、つまり船会社がそれだけでもうけるかもうけないかという問題、したがって、こういうものよりももっといい荷物のほうに行ってしまう。せっかく船をつくっても、そういったような問題があり、あるいは小麦の問題については岸壁の問題があるというのであります。したがって、港湾局との話し合いによってこれはある程度解決をしていかなければならない。つまり岸壁の問題というものは、ちょっとバナナからはずれますけれども、小麦を大量に持ってきた場合には、埠頭におけるサイロの問題というか、そのサイロ建設の問題で、サイロ建設をやるには何十億かかかる。これをつくっておかぬと、せっかく持ってきても野積みはできない、こういう問題もあるわけでございまして、この点につきましては、いわば非常に抽象的な話でございますけれども、現在政務次官会議で、一応この結論を小委員会でもつくって、貿易外収支をできるだけ縮小するという、いわゆる外貨を払わないようにするという意味で検討中でございますので、経過だけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/184
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185・成瀬幡治
○成瀬幡治君 貿易外収支の問題の中で何が一番多いかということは、あなたのおっしゃるように、積み取りの問題が一番影響してくるわけです。せっかく検討中であり、そういう方向に努力中ということは——大ざっぱに八億かなんかの赤字じゃなかったですか、国際収支の中で。貿易外収支は総体的にこれを詰めてもらうようなことにせっかく検討中ということですからいいわけですが、そういうふうに早くなってもらえば非常にいいことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/185
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186・鍋島直紹
○政府委員(鍋島直紹君) 貿易外収支の赤字はちょっといま覚えておりませんが、大体十億ドル近く——十億ドルまで行っておりませんが、それに近いものだと思っております。したがって、全体的な目から見まして、貿易全体の収支から見ると、非常に大きな要素をなすわけでございますので、いまのような形で検討中でございますので、御了承願います。
委員長、ちゃっと訂正いたします。いまの貿易外収支の赤字は、三十九年度が約五億で、四十年度の見通しが大体六億ドルの予定で、訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/186
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187・成瀬幡治
○成瀬幡治君 一番高い関税が砂糖関税と、それからバナナくらいになるわけですがね。政府はこの前下げたのを出しまして、国会修正でたしか七〇になったいきさつもあります。しかし、この砂糖も高くて、砂糖のほうはてん菜糖の関係で高くしておるんだというような理由がございます。それから、バナナのほうはリンゴ、ミカン、そういうような果実との関係でなっておるという話ですが、一体バナナはどのくらいの関税額であり、砂糖はどのくらいですかね、関税額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/187
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188・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 砂糖の三十八年度の関税収入の実績は五百十八億でございます。三十九年度の見通しは、もうすぐ確定数字になるわけでございますが、五百四十億程度と見ておるわけでございます。四十年度も五百五十——まあ積算の内訳から申しますと五百五十六億というものを見ておるわけでございます。バナナは、三十八年度の実績が百五億でございます。三十九年度の見込みは百五十二億見ておるところでございます。四十年度の見込みは、さらに若干ふえまして、関税の積算は百六十三億見ておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/188
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189・成瀬幡治
○成瀬幡治君 数字を聞きますと、たいへんな数字なんですね。実はそれで、逆にいえばそれだけの高いものを消費者が負担しておるということなんです。そこで、砂糖関係ではこれが逆にてん菜のほうに補助金として出ておるわけですから、それは一般会計に入っておって出ておるから云々というわけにはいきませんが、あれはあちらのほうの、どう言ったらいいですか、価格差補給というのですか、奨励というのですか、何かてん菜関係のほうに、どう言ったらいいですかね、産業を発展させるために回っておるお金というのはどのくらいありますか、御存じないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/189
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190・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 国内甘味資源対策関係の歳出予算といたしまして、てん菜糖関係に出ておりますものをわれわれのところに集計してみましたところの金額は、三十八年度におきましては補助金が十二億七千万円、そのほかに日本てん菜振興会に対する出資が二億九千万円、三十九年度におきましては、補助金は十八億五千七百万円、さっき申し上げました日本てん菜振興会に対する出資が二億七千二百万円ということになっておりまして、補助金のおもなるものは、てん菜振興対策費補助金三十八年度一億八千九百万、三十九年度五億五千七百万、土地改良費のうち、てん菜糖の関係のもの、三十八年度十億、三十九年度十三億となっておりますが、これらの経費は四十年度案におきましては二十一億四千万と見ておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/190
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191・成瀬幡治
○成瀬幡治君 砂糖消費税もいろいろな観点からかけられ、あるいは関税、そういう問題等もあるわけでありますが、これ大体わかりました。
そこで、日本のくだものが外国に行って非常に評判がいいと思いますね。そこで、香港はこれは無税ですけれども、日本のたとえばリンゴなりあるいはナシですね、そういうものは外国へ輸出されておると思うのですね。それで、相手国はそれに対してどのくらいの関税をかけておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/191
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192・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 税率はちょっと調べます。御承知のように、伝統的に出ておりますものはミカンでございます。最近のところ、台湾がバナナを日本に買ってもらっておりますので、リンゴを三十万箱ですか、少し買い始めたところでございます。なお、ソ連が買うとかいう話がありましたけれども、見返りにニシンを引き取れという話があったりしまして、うまくいかなかったという実例があります。くだものの関税につきましては、ちょっと、調べてからお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/192
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193・成瀬幡治
○成瀬幡治君 せっかくお調べ中ですから、ほかのことを少しお尋ねしておきたいと思いますが、例の、今度災害戻し税の規定を新しく設けられたようですが、これは承るところによると、新潟災害等の経験でこういうことを今度考え出されたようなわけですが、非常にいいことだと思うわけですが、新潟災害のときに、一体、これは一ぺん輸入しておいたものだから、関税も取ってしまったのですが、だから、あれは石油会社がまるまる損してしまったのか。少しはあなたのほうで情状酌量等があってそういうことについてお考えになったのか。もし考えられたとすると、今度は基準、何に準拠されてそういうことをおやりになったかということに発展してくるわけですよ。たいへんなまあ損害だったと聞いているのですが、どういうふうに処置されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/193
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194・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 関税法のたてまえといたしましては、手続に瑕疵なく納められましたものにつきましては、その後の変動によりましてこれを変えるということは原則として行なっておりません。その原則はいままでたびたび災害がありましたけれども貫かれておったと見ております。したがいまして、新潟地震の場合におきましても、実はタンクいに入れましてから関税を納めまして、引き出すつもりにして置いてあったものがかなりあったわけでございます。それらのものにつきましては、まだタンクの中に現物があったのだから、関税は払い戻してもらえないかという要望はございましたけれども、それらに対してはいままでのところ応じていない次第でございます。したがいまして、今度やります規定につきましては、遡及する規定をお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/194
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195・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ちょっと、その遡及のところをもう少し御説明願うとわかるわけですが、大体新潟災害が、まあたいへんなことだと思うのですが、どこら辺まで遡及されるのですか。遡及されれば、それで新潟の問題は大体解決すると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/195
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196・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 昨年の六月までさかのぼることをお認め願いたいという附則をつけておる次第でございます。私どものほうでお願いしております法律案のおしまいから二枚目のところに附則がついております。附則の第二項に書いてございますのはそれでございまして、それにはごらんになりますように、「改正後の関税定率法第十条第二項の規定は、昭和三十九年六月一日以後災害その他やむを得ない理由により滅失し、」云云としてある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/196
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197・成瀬幡治
○成瀬幡治君 この六月一日というのは、非常にそこに意味があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/197
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198・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 新潟地震を救いますために、あれは六月の十六日でございましたか、それを入れますために、日にちを六月の一日までさかのぼらしていただきたいとお願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/198
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199・成瀬幡治
○成瀬幡治君 新潟のそれのことについて相当あなたのほうにいろいろお話があってのことだと思って、新設をされる、あるいは遡及されるということもやむを得ないことだと思いまするが、一体これはどのくらいの関税の払い戻しが、これがもし法律案が通りますと予定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/199
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200・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 災害に関連しまして、なぜ戻してもらえないかというようないろいろな要請がありまして、その際から調べております資料によっていまつかんでおりますところは、新潟の場合においては原油、大豆等の被害がありました関係上、七千三百万円程度のものが予定せられておらなければならないと見ておるところでございます。近畿地方にありました去年の九月二十五日の二十号台風の関係では、化学薬品や機械類、潤滑油類、豆類等がありまして、一千百万円足らずと見ておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/200
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201・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まだその税率はわかりませんか。これは後刻でなければわからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/201
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202・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) はなはだ恐縮でございますが、ちょっと調べさせております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/202
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203・成瀬幡治
○成瀬幡治君 向こうへ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/203
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204・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/204
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205・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、その関税率のことが出てまいりませんですけれども、まあ外国を旅行した人の話を聞きますと、日本のくだものというものは非常にりっぱなものでおいしいものだ、日本はぜいたくだと片一方では言われております。とするなら、これは冷凍船のかげんもありますですけれども、もしこれが輸出をされるというようなことになれば非常にいいことだと思いますね。しかも、日本のその構造改善事業からいえば、これからのくだものの生産というものは伸びてしかるべきだ、何も国内消費だけじゃなくて。私は香港におったときだと思いますけれども、日本のくだものを生産される組合の人と出会ったときに、日本でああいうような船をつくってくれたらいいがなあというような話をしておいでになったのを聞いたことがございます。で、定率法の審議の中で外貨のことをお話しするのもおかしいわけですけれども、もしそういうようなことで、日本に対してもそういう関税が相殺関税的な高いものであったら、たいへんだと思うのです。そういう点で、たとえば日本からくだものを輸入する場合に関税は高く取る、逆にいえば日本の果実が輸出をされるような場合に相手国が関税を高くしておるというようなことがあったら、たいへんだと思って、その辺がどうなっておるかということについて実はお尋ねしようと思って、どのくらいの数字になっておったか、こうお尋ねしたわけです。しかし、現実には日本のくだものがあまり出ておらないのが私は実情だと思うのですよ。だから、私は将来の展望に立っていろいろと税率の問題については御検討を願いたいと思う。外国の例等を引き合わして御検討を願いたい。これはお願いのほうでございます。
今度は開港が相生港と大分港になるわけですが、こうなれば当然税関というんですか、ああいうところが設けられなければならぬと思うのですが、そういう税関署というんですか、そういうものはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/205
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206・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 開港に認めていただきます以上は、その港におきまして通関の手続ができるような税関の機構を設けておかなければならぬと考えておる次第でございます。現実問題といたしましては、大分には出張所がございますし、相生には監視署がございます。これらの人間を基礎にいたしまして、入ってまいります荷物の税関上の手続につきましては支障ないだけのものを備えたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/206
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207・成瀬幡治
○成瀬幡治君 本委員会ではなくて、これは内閣委員会等にこの設置法の一部改正かなにかでかかっておると思いますけれども、そうなっておりますか。あなたはいま手をつけぬようにしておるとおっしゃったが、この設置法改正等で人員の増、あるいは出張所と支署とどちらが格が上か知りませんですけれども、そういうことは設置法の中でいろいろとおやりになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/207
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208・佐々木庸一
○政府委員(佐々木庸一君) 定員の増につきましては、今国会に百四名の増員をお願いしておる次第でございます。設置法の問題でございますので、内閣委員会のほうで御審議願っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/208
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209・西田信一
○委員長(西田信一君) 他に御発言もないようでございますので、これらの法案につきましては、本日はこの程度にとどめます。次回の委員会は公報をもってお知らせします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後五時三十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104814629X01919650326/209
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