1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年三月十八日(木曜日)
午前十時三十八分開会
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委員の異動
三月十七日
辞任 補欠選任
木内 四郎君 鈴木 一司君
青柳 秀夫君 鈴木 万平君
山本 利壽君 中山 福藏君
野上 進君 後藤 義隆君
三月十八日
辞任 補欠選任
鈴木 万平君 野知 浩之君
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出席者は左のとおり。
委員長 石井 桂君
理 事
木島 義夫君
後藤 義隆君
稲葉 誠一君
和泉 覚君
委 員
源田 実君
迫水 久常君
中山 福藏君
野知 浩之君
岩間 正男君
国務大臣
法 務 大 臣 高橋 等君
政府委員
警察庁警備局長 秦野 章君
法務大臣官房司
法法制調査部長 鹽野 宜慶君
法務省民事局長 新谷 正夫君
法務省入国管理
局長 八木 正男君
郵政大臣官房電
気通信監理官 畠山 一郎君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局給与
課長 宮崎 啓一君
最高裁判所事務
総局経理局長 岩野 徹君
最高裁判所事務
総局経理局総務
課長 田宮 重男君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
法務省入国管理
局参事官 池上 努君
日本電信電話公
社総裁 大橋 八郎君
日本電信電話公
社総務理事(技
師長) 佐々木卓夫君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(在日朝鮮人の法的地位に関する件)
(電話通信の秘密の侵害に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/0
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001・石井桂
○委員長(石井桂君) これより法務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
三月十六日、後藤義隆君が委員を辞任せられ、その補欠として野上進君が選任され、三月十七日、野上進君が委員を辞任せられ、その補欠として後藤義隆君が選任されました。
なお、本日、鈴木万平君が委員を辞任せられ、その補欠として野知浩之君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/1
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002・石井桂
○委員長(石井桂君) 次に、理事の補欠互選についておはかりいたします。
ただいま委員の異動について御報告いたしましたとおり、後藤義隆君が一時委員を辞任せられましたため理事に欠員が生じておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/2
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003・石井桂
○委員長(石井桂君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に後藤義隆君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/3
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004・石井桂
○委員長(石井桂君) 次に、裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法律案については、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/4
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005・稲葉誠一
○稲葉誠一君 「裁判所法の一部を改正する法律案提案理由説明書」というのがありますから、これに基づいて大体お聞きしていきたいと思います。
裁判所法と裁判所職員定員法との関係ですが、これは両方合わせて一本という形にはできないのですか。ちょっとぼくは研究していないので恐縮ですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/5
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006・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) もとの法律そのものを一本にするかどうかという問題は、裁判所法はいわば制度的なものを規定したものでございますし、それに対して定員というものは常時変更もございますので、そういう意味で裁判所法と定員法とを別個に作成されておるわけであると存じます。
その改正の法律を一つの法律にまとめてするかどうかということは、あるいはこれは技術的な問題じゃないかと存じますし、むしろ法務省のほうから御意見を伺えばいいのかも存じませんが、いろいろこれは準備その他の関係もございまして、そういう関係で国会には二つ別々の法案としてお出し願う、こういうことになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/6
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007・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、法務省のほうで、基本的に裁判所法と裁判所職員定員法とを合わせて一本にするということについては見解はどうなのかということと、いま寺田総務局長が言われたように、今度のような改正の場合、二つに分けないで、どっちか一本の改正でできないのかどうか。あとのほうの問題はちょっと疑問があるのですがね。前のほうはどうなんでしょうか。ということは、法務省の場合には、法務省設置法一本で制度的なものと職員の定数とが一緒になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/7
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008・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) ただいまのお尋ねでございますが、裁判所法は裁判所制度の基本法でございまして、その中に定員の分も入れるということは考えられないことではないと思いますけれども、やはり基本法は基本法として一つにまとめていきまして、その職員の数についての問題は別の定員法できめていくということのほうが制度としてはすっきりするのじゃないかというふうに考えております。
それから御承知のとおり、定員はそれぞれの年度によりまして増減がございますので、その年その年で必要な手当てをしていかなければなりませんが、その際に基本法である裁判所法を一々手直ししますよりは、定員だけを規定いたします定員法によって手直ししていくということのほうが合理的ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/8
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009・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、法務省設置法の場合はどうなっているのですか。それは制度的なものは別にないですか。これは一本ですか、制度的なものと職員定数と。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/9
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010・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) 一本でございます。これは各省そういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/10
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011・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはどういうわけなんでしょうが、そっちが一本であって裁判所のほうは二本になっているというのは。裁判所は違うといえば違うでしょうけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/11
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012・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) たとえば法務省設置法というようなものと裁判所法とは多少性格が違っているのではながろうか。まあ申してみますれば、法務省設置法は、さらにその上に行政組織法というような基本的な法規がかぶっているわけでございますが、それを含めたものが裁判所法という形になっているのだろうと思いますので、多少行政各省の設置法の場合と裁判所法との場合には性格の違ったものがあるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/12
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013・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それからたとえば裁判所の管轄や何かをきめる場合は、これは単独法でいっておるわけですね。裁判所の管轄の変更だとか設立とか、そういうふうなものなども裁判所の一つの基本制度になるのだと思うのですが、これは裁判所法の中で改正という形をとらないで単独立法にしておるのはどういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/13
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014・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) 下級裁判所の設置、管轄区域等につきましては、御承知のとおり別の単独法ができておる次第でございます。これは、御承知のとおり、この法律は管轄区域を示すために非常にこまかな一覧表になっておりますので、これをいま申しましたような基本法である裁判所法の中に織り込んでいくということになりますと、裁判所法の形が非常にこまかな形になります。それから管轄の問題につきましては、たびたび市町村の統廃合等がございまして、そのたびに手当てをしなければならぬという問題がございますが、そういう場合に、その基本法である裁判所法を一々いじるということよりは、その分だけを特別立法の形にしておきまして、それをそのつど動かしていくということのほうが形がすっきりするのじゃなかろうかというふうな考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/14
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015・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはそのとおりだと私も思うのですが、そこで、裁判所法がいままでどういうふうに改正されてきたのが。これは何か表でもありましたか。どういうふうなことでいままで改正されてきたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/15
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016・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) 裁判所法の改正経過でございますが、これは前回御審議いただきました裁判所職員定員法に関連いたしまして政府から関係資料として御提出いたしました資料の中に改正経過を詳しく記載してございます。この資料の中の五でございます。非常にこまかい技術的な問題から内容のむずかしい問題まで年度を追って順に一覧表にいたしておりますので、御必要がございますれば、御要求がございますれば、その内容についてさらに御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/16
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017・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これを見ると、簡裁の裁判権の拡張なども裁判所法の改正でいっておるわけですが、これはこのとおりだと思いますが、事物管轄を今度広げるという話があったのですが、これは提案されていないのですが、それはやるとすればやっぱり裁判所法の改正という形でいくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/17
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018・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) さようでござます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/18
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019・稲葉誠一
○稲葉誠一君 昭和二十四年七月一日から新たに裁判所書記官が設けられたのですか。そうすると、その前はどういうふうになっておったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/19
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020・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) 裁判所書記官という官職が設けられましたのは、ただいまお話しの昭和二十四年からでございます。そこで、それ以前はそれじゃどうなっていたかと申しますと、裁判所事務官の中から最高裁判所の定めたところにより各裁判所が裁判所書記を補すという形になっていたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/20
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021・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それがどういうふうな合理的な理由から——これは法律第百七十七号ですか、で改正されるようになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/21
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022・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 裁判所の内部の制度の問題でございますので、便宜裁判所のほうからまずお答えさしていただきたいと存じますが、御承知のとおり、裁判所の書記の仕事というものは、まことに程度の高いものでございます。そうして、裁判所法では、記録その他調書等の作成、保管その他の事務ということになっておりまして、私ども俗にこれを訟廷事務と呼んでおるわけでございますが、そういう書記官の調書作成事務その他の訟廷事務というものは、これは法律的にもかなり程度の高いものであり、またかなり技術的なものでございます。そこで、先ほど鹽野部長から説明がありましたように、事務官の中から補するという制度がいいのか、あるいは別個の書記官という官職を設けるほうがいいのか、これはむろん考え方としては両方あり得るところでございますが、私どもといたしましては、やはり書記官の地位の特殊性というものにがんがみますれば、単なる補職ということではなしに、独立した官職ということにして、それに伴う任命資格、あるいは教育、あるいは待遇といういろいろな面で十分なことをするためには、補職では不十分である、別個の官職を設けるべきである、大まかに申しますればこういうような考え方から書記官という独立の官職を設けいただきまして、従来の補職という制度から一歩前進したと、こういうようなわけ合いになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/22
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023・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、裁判所法ができたのは昭和二十二年ですか、そのときにそれじゃなぜ裁判所書記官というものが当然設けられなかったんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/23
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024・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まことにごもっともなお尋ねでございますが、これはまあ私どもも当時直接関与しておったわけではございませんので、いろいろな資料で検討いたしておるわけでございますが、御承知のとおり、敗戦になりまして、その後憲法が改正される、そうして憲法の付属法律として裁判所構成法を裁判所法に改める、この作業というものは、きわめて短い期間の間に、しかも非常に大きな改革であったわけでございます。で、ほかの方面でもそうでございましょうが、特に司法の分野におきましては、従来の大審院というものが最高裁判所になって完全に政府から独立すると、こういうようなことでございまして、その裁判所法の改正の作業というものは、非常に大きいなことをきわめて短い時間にやるということで行なわれまして、その関係で、まあこう言ってはなんでございますけれども、書記官とか事務官のようなほうのところまで十分な配慮が行なわれなかった。むろん検討はされておったわけでございましょうが、それについて直ちに結論を出すというところまで審議が熟しておらなかった。これはいろいろ裁判所法の改正の経過を見ますと、やはり裁判所法は非常によくできてはおりますけれども、急いでつくったものであるという点が出てまいりまして、そういうようないろいろな観点がございまして、二年ばかりたちましてからあらためてこういうふうに変えたと、こういうことになるように見受けられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/24
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025・稲葉誠一
○稲葉誠一君 独立した官職だという意味はどういう意味なんでしょうか。事務官から独立したという意味もあるし、裁判官から独立したという意味もあると思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/25
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026・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) むろんその意味もございますけれども、ただ、それは従来戦前でも裁判所書記というものは判事とは一応別個の官職であり、しかも一定の限度において独立した執務をしておるわけでございます。すべての点で独立ではございませんけれども、一定の限度では独立した職務を行なっておる、また、一定の限度では裁判官の命に服すると、こういう関係でございまして、その点は特に戦後変わったわけではない、こういうふうに了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/26
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027・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その独立したというのの意味が、一定の限定ではということで、これはちょっとこまかい点になるかもわかりませんけれども、裁判官の命の及ばない仕事の範囲というが職務の範囲というものが書記官にあるんだと、こう思うんですがね。だから、裁判官がこういうふうにしろと言っても、それを断わることができるというか、自分の権限として裁判官の命の及ばないところの職務権限というものが裁判所書記官に与えられておるんだと、こう思うんですが、それはどういう点なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/27
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028・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まあごく一例を申し上げますれば、たとえば執行文の付与というようなものは、書記官が自己の判断においていたすものでございます。その執行文の付与につきましても、たとえば数通付与する場合には裁判長の命を受けるとかいうような規定もございますし、そういう意味合いでは一〇〇%独立というわけでもないと存じます。しかしながら、まあ一定の限度では独立しておると、こういうことになろうと思います。
なお、また、調書の作成につきましても、一応は自己の判断で作成するわけでございまして、これは裁判所法にもございますように、裁判官の命令がございますと変更をしなければなりませんけれども、その変更についてまた自己の意見を書き加えるというような権限が与えられている。これもまあその限度において自己の主張ができる、意見が述べられる、その限度で独立であると、こういうようなわけ合いになっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/28
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029・稲葉誠一
○稲葉誠一君 問題になるのは、検証調書なんがの場合によく問題になると思います。検証調書などの場合に書記官の権限と裁判官の権限というものはどういうふうに違ってきているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/29
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030・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいまの稲葉委員の御質問は、たいへん専門的な非常にむずかしい問題に触れてまいっておりまして、私もここで即座に明快なお返事がしにくいわけでございますが、まあ検証というものは本質的には裁判官の認識を付したものが検証の結果であるということになれば、裁判官の認識の結果を記述するものが検証調書でなければならないというふうに考えられるわけでございます。したがって、たとえば合議体で検証した場合には、その合議の裁判官の認識の結果が分かれれば一体どうなるかという問題もあるわけでございまして、その辺は非常にむずかしい問題になってまいろうかと思います。しかしながら、その検証の結果、認識したところが書記官の認識と違う場合に、一体調書上どういうふうにしていくかということになりますと、なかなかこれは法律問題としてむずかしい問題であろうと思いますが、検証の結果が裁判官の認識をあらわすものであるとすれば、やはり裁判官の認識を記述すべきものではないか。しかしながら、書記官がそれについて違う認識を持っておれば、またそれの違うことを書くということもある程度認められてよいのかとも存じます。その辺は非常にむずかしい法律的な問題ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/30
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031・稲葉誠一
○稲葉誠一君 あまりむずかしい法律問題になってきますし、この法案と直接のものでもありませんから、その程度にしておきますけれども、昔から非常に議論のあるところで、定説があるといえばある、ないといえばないようなところなんですが、これはまあ別な機会にしたいと思うのですが、いろんな点で今後検証調書の場合における裁判官と書記官との職務権限の差といいますか、それがどういうふうな上下の関係というものになってくるかというふうなことも非常にむずかしい問題になってくると思うのですがね。これは一つは裁判の結果を左右するということも現実に起きてくることが考えられるので、これはまあきょうの質問の議題ではありませんから、この程度にしますが、いま一定の限度では独立しているという一定の限度というのは一体何と何と何なのか。それに限定をされるのか、あるいは限定をされないでそれ以上のものがあるのだというのか、この点はこれはいまでなくてもけっこうだと思うのですよ、ちょっとここですぐというわけにいかないと思いますが、どういうふうな一定の限度の職務の権限というものを独立して書記官なり書記官補が持っているのか、こういう点についてこれは何かできれば統一した形で表なり何なりを出していただければと、こう思うのですが、いますぐ明確なものが答えられればそれでもけっこうですけれども、相当研究しなければならないということならば、きょうでなくてけっこうだ、こういうふうに思います。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/31
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032・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) たいへんむずかしいまた重要な問題でございますから、あるいは詳細な資料を提出したほうがよいかとも存じますが、抽象的にはただいまでもお答え申し上げられるわけでございまして、これは要するに法律にはっきりした規定のございます場合にはその書記官の権限になるということでございます。それは、たとえば裁判所法の六十条の二項にも、「書類の作成及び保管その他他の法律において定める事務を掌る。」その限度におきまして、たとえば書類の作成につきましては一〇〇%自己の権限において行なうということになるわけでございます。ただ、この書類の作成そのものでは、すぐそのあとで裁判官の変更命令の規定がございますので、その限度で修飾されてまいりますけれども、そのワクの中では一〇〇%できるということになりましょうし、それから先ほどちょっと一例を申し上げました民事訴訟法の規定がございますが、そういうふうにそれぞれの法律で規定のございまするところにおきましては、これが権限がある、独立である、こういうことになるわけでございます。ただ、それを網羅的に洗い出しますということになりますと、あるいは少しおひまをいただいたほうがいいかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/32
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033・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは非常にむずかしい問題で、基本的な問題になってきて、いままでも相当議論があったところだと思いますが、網羅的というのか、もう少ししっかりとした形で統一的に整備して資料を出していただきたいと思います。これはいまとてもすぐというわけにはいきませんから、相当日にちはかかると思いますが、決してこの法律案を延ばすとかなんとかいう意味でなくてこれはかかると思いますから、来週にでも出していただきたい、そういうふうに思います。四、五日がかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/33
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034・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは私ども手元にはできておりますので、すぐ提出いたします。ただこの場に用意いたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/34
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035・稲葉誠一
○稲葉誠一君 では、あとで出していただくことにして、問題は、書記官ができた。ところが、書記官の研修所というのはそのときできなかったのですね。次の年にできたのですか。これはまたどういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/35
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036・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは、先ほどの鹽野部長からお話しの資料の中の七番のところにございます昭和二十五年の法律で設けていただいたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/36
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037・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかったですけれども、どうして一緒にできなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/37
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038・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これもその当時の資料で見るだけでございますが、やはり予算その他の関係もございましたし、こちらの体制を整えるということではなかったかと見受けられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/38
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039・稲葉誠一
○稲葉誠一君 前の裁判所構成法のときには、裁判所書記というのは一本だったのですが、事務官という制度はなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/39
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040・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そのとおりでございます。一本でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/40
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041・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それが裁判所法ができたときにも一本であって、できて二年くらいたってから分けたというのですが、分けたことによって書記官と事務官との職務は違ってきたということはわかりましたが、待遇などでも相当差が出てきたのですか、その当時。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/41
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042・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 戦前が一本であったことは、先ほどお尋ねがあり、申し上げたとおりでございますが、戦後当初から一本であったという表現はあるいはやや不正確かと存じます。つまり、事務官の中から裁判所書記を補するという制度でございますから、裁判所書記に補されない者はやはり事務官であった、補せられた者は裁判所書記たる事務官である、こういう意味ではいわば二本立てでもあるわけでございます。別個の官職でなかったという意味では一本でございます。補職の関係では二本になっておったわけでございます。そうして、二十四年の法律ではっきり別個の官職として二本立てになったわけでございます。これは当然任命資格、教育その他を区別するということが前提になっておりますので、待遇も違っておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/42
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043・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ですから、そのときどういうふうに待遇が書記官と事務官とが違ってきたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/43
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044・宮崎啓一
○最高裁判所長官代理者(宮崎啓一君) 現在、いわゆる号俸調整という問題があるわけでございます。当時はまだ号俸調整という制度はなかったわけでございます。したがいまして、そのときにおきまして書記官といわゆる事務官との給与の違いと申しますのは、当時はいわゆる十五級の職務の給与という時代でありまして、古いことでよくは存じておりませんが、大体当時におきまして一級上の等級に格付けされるというような関係になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/44
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045・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、そのときに、裁判所書記官というのは何名くらい設けられたのですか、それから書記官補というのは何名……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/45
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046・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 発足当時は、書記官が二千百三十九人、官補が二千四十九人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/46
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047・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、そのときに、書記官になる、書記官補になるというのは、事務官の中からどういうふうな形で選んだのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/47
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048・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは先ほど来書記官の問題を申し上げておりまして、書記官補の問題を十分申し上げなかったわけでございますが、先ほど来申し上げましたような趣旨におきまして、書記官というものを非常に地位の高い、専門的な高度の職務内容を持ったものとするということで設けられましたけれども、一面におきましては、そういうものに充てるべき実際の職員というものが必ずしも十分には当時備わっておらなかったわけでございます。これは終戦直後の時点でございますので、やむを得なかったと考えられるわけでございますが、そういう関係で非常に高い理想を持って書記官制度というものを発足はいたしておりましたものの、実際にその中身に盛り込むところの人材という点から不十分な点がある。しかしながら、裁判所事務というものは一日もゆるがせにできませんし、むろん書記官の仕事も一日もゆるがせにすることはできませんので、書記官補という制度を設け、さらになお代行制度というものを設けて、官補であるけれども当分の間書記官の仕事ができる、こういう制度になったわけでございます。したがいまして、その当時、いわゆる裁判所書記たる事務官の中で学歴、経歴、あるいは経験、実力その他において上位にあるものが書記官に任命せられ、下位にあるものが書記官補に任命せられた、こういうふうに定員を振り分けて任命される、こういう関係になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/48
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049・稲葉誠一
○稲葉誠一君 裁判所書記官、書記官補のその振り分けは別にして、全体の事務官の中から書記官か何かの希望を募ったという形なんですが、それとも、書記に補せられた者をそのまま書記官にしたと、こういう形ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/49
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050・宮崎啓一
○最高裁判所長官代理者(宮崎啓一君) 新しい裁判所書記官制度ができる直前の時点でそれじゃ裁判所事務官の中から裁判所書記に補せられた書記が何名おりましたかという点でございますが、それは三千五十五名おったわけでございます。ところが、新しく裁判所書記官制度が発足いたしましてできました裁判所書記官の定員は、いま総務局長から御説明申し上げましたように、二千百三十九名でございます。したがいますと、発足前の書記の総数から千三百六十六人少なくなった人員が書記官としたおった。したがいまして、従前の書記のの中で、いま総務局長が申し上げました経験年数、あるいは従前の裁判所書記の登用試験をいつ通ったかというふうな点を勘案いたしまして、従前の書記の中から上のクラスの人を裁判所書記官に発令しまして、それ以外の方は裁判所書記官補のほうに発令した。したがいまして、当時の裁判所法の改正法の附則におきましても、書記に補された方で書記官になれないものは、事務官になって、それは書記官補を兼任をされる、そのようにたしか附則の経過規定を置いておったように記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/50
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051・稲葉誠一
○稲葉誠一君 裁判所のことは非常に複雑でわがりにくいんですね。書記官あり、書記官補あり、代行あり、事務官あり、調査官あり、調査官補があるというので、普通の人ではとてもわからない、私らもよくわからないのですが、そこで、ここにあります「書記官補に裁判所書記官の職務を行なわせる」ということは、最高裁判所の何できめたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/51
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052・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 基本的には裁判所法の附則にございまして、その附則に基づきまして最高裁判所の規則できめておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/52
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053・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは何条ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/53
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054・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは裁判所法のほうは附則でございます。附則が改正のつどふえていくような形でございますが、さしあたりいま問題になっておりますのは、昭和二十四年六月一日法律第百七十七号、裁判所法の一部改正による附則の第三項でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/54
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055・稲葉誠一
○稲葉誠一君 規則——ルールのほうは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/55
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056・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 規則は、昭和二十四年六月二十九日裁判所規則第十一号、裁判所書記官補の職権の特例に関する規則という単行の規則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/56
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057・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、今度は、その附則も、それからそのルールも、まあルールは国会に関係ないでしょうけれども、それも廃止になるわけですか、それに伴って。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/57
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058・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そのとおりでございまして、御提案いただいております裁判所法の改正法の附則の第三項で、裁判所法等の一部を改正する法律の一部改正として、「附則第三項を削り、」となっております。
なお、規則は、この法律が制定されますれば直ちに廃止の手続をとる手はずになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/58
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059・稲葉誠一
○稲葉誠一君 附則を削ることになっているのですか。ちょっとわからないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/59
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060・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ここで御審議いただいております法律案の附則の3というところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/60
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061・稲葉誠一
○稲葉誠一君 四項を三項にするわけですね、削って。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/61
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062・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/62
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063・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それはわかりました。
そのときに、すべての人を書記官にするなりあるいは書記官補にしても、書記官補の人全部が代行になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/63
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064・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) これは最高裁判所が認定いたしまして、一定の資格要件と申しますか、実力を備えた者のみを代行にしておったわけでございまして、全員ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/64
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065・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その辺がまた非常に複雑になってくるわけですが、書記官と書記官補ができた、書記官補の中から一部の人を最高裁が認定して裁判所書記官の代行にしたと、こういうことになると思うのですが、その当時は書記官補の中からどの程度を代行というふうに認定したのですか。また、認定するについての根拠といいますか、どういうふうにして認定しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/65
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066・宮崎啓一
○最高裁判所長官代理者(宮崎啓一君) 大体、当時、裁判所書記の方々の中で、書記になられて原則として一年六月以上たっておる方であります。各裁判所において書記官が足らないから代行として発令する必要があるという場合に、形式的な基準としては、いま申し上げました一年六月以上経過しておるというふうな線でしぼったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/66
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067・稲葉誠一
○稲葉誠一君 一年六月経過している人は、みんな代行になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/67
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068・宮崎啓一
○最高裁判所長官代理者(宮崎啓一君) 一年六月経過しているというのが代行指名をするための絶対的に必要な要件であります。ところが、代行指名をするかどうかという問題は、いま申し上げました最高裁判所規則におきましては、必要があるという場合で、具体的に裁判所で書記官の総数が足らないということがら、代行でまかなわなければいけないという必要な人員の限度内で代行を指名するというふうなことになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/68
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069・稲葉誠一
○稲葉誠一君 書記官補の中で、そうすると、代行になった人と代行にならない人との割合はどういうふうになっておりますか。何か資料がありましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/69
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070・宮崎啓一
○最高裁判所長官代理者(宮崎啓一君) 現在は代行書記官という人は一名もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/70
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071・稲葉誠一
○稲葉誠一君 現在ないのは、これはわかっているのですが、何か表がありましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/71
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072・鹽野宜慶
○政府委員(鹽野宜慶君) 「裁判所法の一部を改正する法律案参考資料」という資料を差し上げてございますが、それの一番最後の表に最近の状況が記載してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/72
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073・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、裁判所書記官補の中で大体九割くらい代行していたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/73
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074・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/74
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075・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、代行になると、具体的に仕事の範囲がどういうふうに違うのかということと、それから給与の面で違ってきたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/75
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076・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 代行になりますと、先ほど申し上げました裁判所書記官補の職権の特例に関する規則というもの、これは裁判所法の附則が前提でございますが、これによりまして、「裁判所書記官の職務に関し、当該裁判所の裁判所書記官の権限を有する。」ということになりますので、大体において裁判所書記官の権限は全部できる——あとで申し上げますように全部ではございませんが、大部分のものができると、こういうことになるわけでございます。裁判所書記官補は、これは単に書記官の補助をするだけでございますので、これはきわめて程度の低い仕事、補助する仕事をするだけでございますが、代行書記官補になりますと、ほとんど書記官と同じ権限を持つということでございます。これは発足当時は完全に同じであったわけでございますが、その後裁判所法六十条三項の改正がありまして、いわゆる調査事務というものが書記官の職務の内容になってまいりまして、これはまたさらに程度の高い仕事であるということから、この点は代行書記官補からはずしてございますが、それ以外については書記官の権限を完全に行なうということでございます。
そういたしまして、代行書記官補の給与につきましては、これはそれぞれ書記官補として昇進いたしてまいりますことは当然でございますが、その通常の昇進のほかに、さらに四%の号俸調整と申しまして、つまりそれだけまあ高い給与を受ける、こういうことになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/76
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077・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この表を見ると、ほとんど九割以上の者が裁判所書記官補であって代行しているのですから、現実にこれをもっと早くやめるならやめて、全部を裁判所書記官という形にはできなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/77
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078・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まことにごもっともな御意見でございまして、まあ私どもとしても大いにその点で努力してまいったわけでございますが、何と申しましても、終戦後裁判所の仕事が非常に拡張され、それに伴って裁判所書記官の定員というものも逐次かなりふやしていただいておりますことの関係におきまして、実際に実力を備えた人を養成するという問題が、毎年裁判所書記官研修所から卒業いたす者、あるいは書記官昇任試験を通ってまいります者で補充をいたしてまいりましても、これを相当高い程度のものにしぼっておりました関係で、なかなか充足しないというような面がございまして、そういうことでややおくれてまいっておったわけでございます。しかしながら、先般来、研修所の教育も非常に進んでまいりましたし、また、昇任試験で合格する者もふえてまいり、そうして先般来の国会の御支援によりましていわゆる書記官補から書記官への切りかえということが行なわれまして、書記官の定員がふえてまいりました。そういうことで、ちょうど人材もふえる、定員もふえるということで、やっと代行制度を廃止できるという見通しが立つに至ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/78
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079・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この表を見ると、現実にはもう裁判所書記官補というものはいないわけですね。いつからいなくなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/79
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080・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) 書記官補は、先ほど盤野調査部長から指摘のありました表の中に、三十九年度というところにございますように、二百三十九人、これは昨年の十二月一日現在の数字と理解いたしておるわけでございますが、カッコの中で代行書記官補はゼロでございます。四十年度は、これはそこに「予定」と書いてありますように、この法律が通過すればということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/80
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081・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いまいる二百三十九九名の書記官補ですね、これがどういうふうになるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/81
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082・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) この二百三十九人と申しますのは、これはすべての現在書記官研修所に入所中の者でございます。従来、書記官研修所には書記官補を入所させておりましたので、書記官研修所に入っておる者が書記官補の肩書きと申しますか資格を持って研修を受けているわけでございます。しかしながら、これは当然逐次卒業してまいるわけでありますし、三十九年度末にも百四、五十人程度は卒業することになりますので、そういたしますれば、これは卒業すれば当然書記官になるから書記官補ではなくなるわけで、あとはつまり四十年度に研修所に在所する百名足らずの者が、これが書記官補ということにまあ何ら手を打たなければそのままで研修所在所の百人ぐらいが残ると、こういう計算になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/82
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083・稲葉誠一
○稲葉誠一君 代行していた者がすべて書記官にならなくて、一部分の者だけが書記官になって、代行の中から書記官にならないで、まあ落とされたといいますか、そういうふうな者があるというふうに聞いているのですかね。それはどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/83
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084・宮崎啓一
○最高裁判所長官代理者(宮崎啓一君) 昨年のいわゆる切りかえで大体六百九十人ぐらいの予算の組みかえ措置ができたわけでございます。したがいまして、その関係で昨年度大体六百六十名特別研修の方式によりまして研修を施した結果書記官に昇任さした。その場合に、代行書記官としましては大体七百名を若干上回るぐらいの数字であったわけでございますけれども、その中の大まかに申しますと三百五、六十人程度が書記官のほうになりまして、残りの半数近い人員は裁判所事務官のほうに振りかわったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/84
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085・稲葉誠一
○稲葉誠君 そうすると、その場合、これはまたあとで聞きますが、いわゆる六百三十九号の通達というものによってそれが行なわれたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/85
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086・宮崎啓一
○最高裁判所長官代理者(宮崎啓一君) さようでご、さいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/86
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087・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その点については、これはまた次の機会に少し聞きたいと、こう考えています。
現在、裁判所書記官補というものを廃止するという理由は、ここにちょっと書いてありますけれども、もう少し説明をしていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/87
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088・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) まず、代行書記官補の問題は、これは先ほど来の御質疑で私どもが申し上げましたことによって大体御理解いただけたかと存じますが、要するに、そういう代行制というようなものを設けなくても、書記官の資格のある人で書記官を充員してそして書記官事務をやっていただくことによって十分まかなっていける、代行制度という変則的なものをとらなくてもいいということでございます。
次に、それでは書記官補制度そのものを廃止する理由はどうかという点かと存じますが、この点につきましても、これはまあいろいろな考え方があり得るわけでございます。結局、要するに、書記官の仕事を補助する者についてどういう官職の者、どういう身分の者に補助させるのがいいが。書記官の仕事は非常に広範にわたりますので、些細な例をあげて恐縮でございますが、たとえば記録が参りました場合に、その表紙を書くとか、あるいはそれをとじるというような仕事もあるわけでございます。そういうものを一体どういう官職の者にやらせるか。必ずしも書記官みずからおやりいただく必要もないようなことでございます。そういう場合に、それを書記官補という特別の別個の官職を設けてやらせるほうがいいのか、あるいは、事務官といういわば裁判所の仕事の全般について裁判所の事務をつかさどるという広範な職務を持った者にやってもらったほうがいいのが、非常にこれは議論の分かれ得るところであろうと思います。ただ、しかしながら、先ほども一例で申し上げましたように、書記官の仕事の補助と申しますと、これはかなりの程度に事実的な行為、ほんとうの補助的な行為になるわけでございます。非常に観念的に申しますれば、裁判所書記穴はいわば裁判事務を扱うものであるから、その裁判事務の補助者であれば、これはプロパーの裁判系統の官職を設けて補助させるべきだという考え方も十分立ち得るわけでございますが、しかしながら、観念的にはそのとおりでも、実際の内容は、たとえば記録の表紙を書くという仕事を一例にとりますと、非常にこれは事実的な、そう裁判部門としての特殊性を持った仕事ではございませんので、そこにむしろ行政事務部門その他を担当する事務官の包括的な職務内容の一端としてやってもらったほうが事務の処理として円滑にいく。また、実際問題としても、書記官補にそう特殊の高度の法律的知識を要求いたしておりませんので、そういう人たちと事務官との交流というようなことも絶えず行なわれるわけでございますし、また、協力ということも当然必要になってくるわけでございます。そういう面から申しますと、別個の官職で行なうよりは、これは共通の官職、つまり事務官という官職で補助してもらったほうが円滑であると、こういう結論が書記官補制度を廃止することに踏み切りました動機でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/88
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089・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、書記官と事務官という二つの官職というものがあって、そこで給与の関係というものも違ってくるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/89
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090・寺田治郎
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) そのとおりでございまして、書記官は号俸調整その他でかなり高い給与を受けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/90
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091・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはいずれまた聞きますけれども、どうも裁判所で書記官と事務官というものに分けていかなければならない合理的な理由というものがはたしてあるのかどうか。そういうふうなものが違い、給与も違うということで、かえってあの中で、何といいますか、対立でもないでしょうけれども、変な空気が出てきてというようなことも考えられるのではないかというようなこともちょっとうかがわれるのですが、それはまたいずれ研究課題としておきたいと思うのですが、法務大臣が来ておられますのでお聞きしたいのは、聞いてみるというとそれほど複雑な法案でもないように考えられるこの法案が、なぜこんなに提案がおくれて出るようになったのですか。これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/91
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092・高橋等
○国務大臣(高橋等君) 臨時司法制度調査会でこの裁判所法の改正に関しまするいろんな案件があったわけで、たとえば事物管轄の問題、そういう問題をどう扱うかということについて慎重な検討をいたしております。したがって、そういうものをいまの段階で出すには少し時期が早い、もう少し調整を要するという結論に到達をいたしましたわけで、このたび簡単な法律でありますのをお願いをしておるわけで、提案がおくれましたのはそうした事情であったことと御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/92
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093・稲葉誠一
○稲葉誠一君 裁判所法の質問は、これはまた次にやりたいと、こういうふうに考えまして、きょうは一応この程度で私の裁判所法の一部を改正する法律案についての質疑は終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/93
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094・石井桂
○委員長(石井桂君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/94
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095・石井桂
○委員長(石井桂君) 速記を始めてください。
それでは、本法律案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/95
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096・石井桂
○委員長(石井桂君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、在日朝鮮人の法的地位に関する件について調査を行ないます。
本件について稲葉委員から発言を求められております。稲葉委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/96
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097・稲葉誠一
○稲葉誠一君 在日朝鮮人の法的地位の問題がいま日韓会談の中で分科会としていろいろ進行しているわけですが、現在どういう点が問題となっておるのか、それで日本と韓国との主張というかそれが対立しておるのか、こういう点をちょっと簡略に御説明を願って、それから入っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/97
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098・高橋等
○国務大臣(高橋等君) 御承知のように、在日韓国人の法的地位という問題につきましての問題点でございますが、一つは、この協定の、永住権といいますか、そうしたものを与える範囲ですね、どういう人にそれを与えるのかという範囲の問題でございます。第二は、強制退去の事由でございます。また、社会保障その他の処遇に関しまする問題。大体大きくしぼりますとこの三点にしぼられておるのでございまして、ずいぶんだびたび事務レベルにおきまして折衝をいたしておるのでございまするが、だいぶ進捗はいたしておるように思いますが、その範囲の問題にいたしましても、大きな問題がいろいろ意見の食い違いがあるようでございます。また、強制退去の問題も、いろいろ話が進んでおるのでございまするが、まだ意見の一致しない問題が残っておりますし、その他の処遇に関する問題も、いよいよ本格的にはこれからという状況でございます。そこで、現在そういう段階の交渉中でございまするので、いろいろお聞きくださいましても、申し上げられますことと申し上げることを遠慮せにゃならぬ点があるということをどうぞ御了承くださいまして、よろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/98
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099・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま進行中の外交交渉ですし、それを洗いざらいここへ出せというわけにもいきませんから、その点は私のほうも、限度といいますか、それは一応心得て質問をしていきたいと、こう考えますが、そこで、いまの日本にいる朝鮮人が約六十万いるといわれていますが、その全部にこれが適用されることになるのですか、かりに批准されたとして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/99
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100・高橋等
○国務大臣(高橋等君) 現在交渉の対象になっておりますのは、現在及び将来におきまして韓国国籍を取得した人に対しまする法的地位についての話をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/100
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101・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その韓国国籍というのは、どういうふうにして取得することになるのでしょうか、いわゆる在日朝鮮人の中で韓国国籍を取得するというのは。そうすると、韓国の国籍を取得する者と、それから韓国の国籍を取得しない者は朝鮮民主主義人民共和国の国民だと、こういうふうに分けるのですか。そこのところはどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/101
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102・高橋等
○国務大臣(高橋等君) どういう人が韓国国籍を持っておるかという問題につきましては、これはいろいろな問題が考えられますが、本人の意思ということがまず非常にこの決定の要素になると思いますが、客観的に申しますと、たとえば韓国旅券によって身分を証明され、あるいは韓国によって国籍が証明されるものとか、いろいろなことが考えられますが、まだ最終的にどういう方法によるかということは、これから決定をいたしたいと、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/102
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103・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いま、外国人登録証に、大韓民国だとか、朝鮮とか、あるいはもう一つ書き方がありましたが、何が国籍欄に書いてありますね。あれが大韓民国と書いてあるものはそのまま韓国国籍だというふうに認めるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/103
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104・八木正男
○政府委員(八木正男君) そうではございませんので、あれは、本人が韓国とぜひ書いてほしい、こういう希望を言った場合にそれを書くことは書いておりますが、ただ、外人登録証というのは、あくまでこういう人物がこういう名前でこういう経歴の人間で外国人であるということを政府が証明しただけでありまして、その国籍を日本政府が証明した文書ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/104
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105・稲葉誠一
○稲葉誠一君 初めは全部朝鮮と書いてあったのでしょう。それが何か朝鮮じゃいけないからというので韓国というふうに書くようになったのじゃないで十一か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/105
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106・八木正男
○政府委員(八木正男君) 稲葉先生のほうがはるかに私よりよく御承知だと思いますが、たしか占領中に、占領軍の韓国代表部——その当時の占領軍のもとにアクレジットされておった韓国代表部からの強い要望があったらしいのであります。それで、司令部のほうから、本人がぜひ韓国と書いてもらいたいというときにはそう書き直すようにしろという連合軍司令部からの指示がありまして、たしかそれに基づいてそれをやっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/106
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107・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その韓国代表部というものの性格などは、これは非常に議論があるところだと思いますが、日本が韓国というが独立を承認しない前から韓国代表部というものは日本にできているわけでしょう。ここら辺のところは非常に疑義があるところですけれども、いまはこれはまあ別にして、そこで、いまの国籍欄というのは、朝鮮というのから韓国というふうに変更することはその後もずっと認めておったのじゃないのですか。初めは全部朝鮮だったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/107
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108・八木正男
○政府委員(八木正男君) それはずっと認めておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/108
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109・稲葉誠一
○稲葉誠一君 逆に、韓国という国籍欄を朝鮮に変更するということは、これは認めないのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/109
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110・八木正男
○政府委員(八木正男君) これは、実は、日本政府は、国籍欄に韓国と書くか朝鮮と書いて残してあるかということはほとんど実質的な意味がないということであまり問題にしておりませんので、最初にそういった占領時代に司令部からの要請によって韓国と書くという希望にはなるべく応じるようにということで書いておりましたのですけれども、その後、これを書き直してほしいとか、また朝鮮にしてほしいとか、いろいろの申し入ればあったようでございますが、何ぶんにも日本には六十万前後の朝鮮人がおりまして、しかもそれが全国的に分散しているのじゃなくて集団的にかたまっているものですから、大ぜい住んでいる市町村の職員は登録事務のそういう書きがえとかなんとかいう変更は非常に事務に支障を来たしてかなわぬという苦情がわれわれのほうにたびたび参りまして、そういうことから、もう、一ペんそういうふうに書きかえたらあまりうるさく言わんでくれというふうに言っておるようであります。しかし、決してそういうことを受け付けないと言って拒否しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/110
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111・稲葉誠一
○稲葉誠一君 朝鮮というふうに前に書いておったのを韓国に直すのは、これはもうどんどん受け付けているのじゃないですか。それはむしろ歓迎しているのじゃないですが。歓迎するというのはおかしいが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/111
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112・八木正男
○政府委員(八木正男君) 私どもは常に中立であろうと思っております。ただ、韓国と書きかえてほしいという希望を言ってきた場合、おそらく本人は韓国の旅券とかあるいは韓国の政府の出した国籍の証明書のようなものを持って来ると思うのであります。その場合、国交のある国のそういった文書があれば、本人がたっての希望で申し出られた場合には韓国の書きかえは認めておりますが、ただ、先ほどの前段の御質問にありました、韓国と一回書いて、その人間が今度それを朝鮮というふうに書きがえてほしいと言って来た場合でございますが、そういうような場合には、いまのところそういう要望に対して一々すぐにそれではきょう朝鮮と書くというふうにしていないのは、一つは、国交のある国の文書、その国籍証明の文書というものはないものですから、それが一つの理由でございますが、もう一つは、われわれとしてそういうことはどちらでもかまわない、別に登録証にどう書いてあろうと日本政府の外人登録証の立場というものは全然変化がないものですから、そういう証明する文書もついていないような場合にはあるいは断わっているかもしれません。しかし、これが是が非でもこれを書きかえてほしいという強い要望がありましたら、私どもいつでも直すことにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/112
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113・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これはまあ現実には朝鮮から韓国のほうはどんどん書きかえていて、韓国から朝鮮というふうにするのは書きかえを認めていないわけですよ。これは従来の説明からいえば、国籍論でも何でもないので、用語の問題だというので書きかえをしていいということであると思います。どうしても本人が書きがえてくれというのであれば書きかえる、こういうふうな答弁なら、これはこの程度にしておきます。
そこで、日本にいる在日朝鮮人には、いままで、法務省の民事局長の通達で、韓国の国内法を婚姻とか相続とかその他身分上の問題で適用しているわけでしょう。これは民事局長もおられるし……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/113
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114・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/114
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115・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、そうすると、今度は韓国籍の者とそうでない者とはっきり分かれるわけですね。いずれにしても、そうすると、韓国籍でない者にも韓国の国内法を適用するのですか、今度。いままではそれがはっきり分かれていない段階だから、韓国の国内法を適用するということもあるいは一つの理論があったかもわかりませんが、今度は韓国の国籍を持つ者とそうでない者とはっきり分かれてしまうということになれば、韓国の国籍を持っていない者に対して韓国の国内法を法務省民事局長の通達によって適用するというのは、これは非常に大きな問題になってくるのじゃないですか。私権の侵害になってくるのじゃないですか。そこはどういうふうにするのですか、今後。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/115
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116・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) これは御質問が必ずしも具体的でございませんので、一般的に申し上げますが、いまの国際私法上、これは身分法上のもののほかに財産法上の法律行為がありますが、その法律行為の当事者の選択によりまして本国法によるかあるいは行為地法によるかという余地が残されます。そこで、私法上の行為につきましては、これは私ども政府の立場で各人の行為をどうすべきだということを申す筋のものでもありませんし、これはそれぞれの個人の法律行為について、どの法律、あるいは慣習法によるとか、慣行によるとか、いろいろな問題がございますので、それはそのとおり各人間の法律行為として行なわれておるこの状態はおそらく今後も同じように行なわれるものじゃないかと思います。ただ、日本政府として公法を適用するというふうな問題になってまいります場合には、これは日本政府が承認した国の法律を適用するというふうに見ざるを得ないわけでありまして、そういう意味で従来の民事局長の通達が出されておる、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/116
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117・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、相続だとか養子縁組だとか、こういうふうなものでは、それから婚姻の場合も離婚の場合もそうだと思いますが、韓国民法と北朝鮮の民法と違うと、こう思うのですが、そうなってくると、私法の場合には、韓国籍を取得した以外の日本にいる朝鮮人が本国法として北朝鮮の朝鮮民主主義人民共和国の民法を選びたい、身分法を選びたい、こういうふうな場合には、その適用を日本政府としては認めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/117
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118・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) それは、日本政府として認めるというわけではございません。そういう意味ではなくて、個人の法律行為が行なわれます場合に、個人がどの国の法律を適用するか、あるいはその慣行あるいは慣習法に従うかということは、結局その個人がきめるべき問題でございます。そういう意味合いであるいは韓国以外の法規に従って法律行為が行なわれるということもあり得ると、こう申し上げておるわけでございます。ただ、いま婚姻とか養子縁組というお話が出ましたが、それ自体でとどまる場合には、おそらく個人間の法律行為としてそれぞれの準拠法がきまることになろうかと思います。ただ、これが国籍の問題に関連してまいりまして、国籍法の適用という問題になってまいりますと、日本政府としては未承認国の法律をそのまま適用するというわけにはいがないという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/118
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119・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、国籍法の適用というと、これは公法ですから、それに該当する場合には未承認国の法律を適用するわけにはいかないが、そこまでいかないいわゆる私法の範囲内では、本人が本国法の適用を希望すればそれは認められる、そこまで政府は介入しないと、そういうふうに承ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/119
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120・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) そのとおりでございます。国籍法の問題でございますが、国籍法を適用して帰化を認めるとかいうような場合になりますと、それは政府がその公法を適用してやるわけでございますが、その場合に、相手国である国が政府の承認した国でありますれば、その国の公法を前提にして日本の政府としてもその事務を処理しなければなりません。そういう意味合いにおきまして、従来の民事局長通達も、日本政府の承認しておる韓国政府の法令に準拠してやっておると、こういうことでございます。
ただ、いま御質問の北鮮の関係の私法、それから韓国の私法、これはあまり大きな差異はないようでございまして、実際問題としては私どものいままで取り扱ってまいりました事務の処理上は、特に北鮮系といわれておる人たちの身分上の行為についても特に不利益は生じていない、むしろその本人の意思に従って行なわれているような結果を現在私どもの取り扱いで十分招来し得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/120
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121・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、韓国籍を取得することになると、もうこれは当然だと思いますが、属地主義で日本の法律も適用になるし、属人主義で韓国の国内法も適用になると、こういうふうな形になると思うのですが、その点はどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/121
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122・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 先ほど申し上げましたように、各個人の法律行為でございますので、行為地法によることもございますし、あるいは本国法による場合もあります。それは個々の具体的なケースによりましてそれぞれやっていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/122
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123・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、韓国の国内法でたとえば兵役法がある。そうすると、今度、はっきり韓国人が在日朝鮮人のほうから分かれてくるといいますか、国籍を取得してきますと、日本にいる韓国人に対して韓国の兵役法が適用になるということも当然あり得るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/123
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124・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) まあそういうこともあり得るかもしれませんが、これは韓国政府と在日韓国人との関係でございまして、日本政府の関知するところではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/124
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125・稲葉誠一
○稲葉誠一君 日本にいるいまの朝鮮人の韓国の方の役場から、徴兵の適齢になったから延期申請をするなら延期申請をしなさいとか、あるいは、免除の手続をとるならとりなさいというふうなことが、現実に日本にいる人に、いまの場合はまだ在日朝鮮人ですが、届いているという場合もあるんですね。ですから、韓国の国内法である兵役法が日本にいる今度はっきりしてくる韓国人に適用になるということは、韓国の国内法の問題として、日本の政府としてはもちろん関与しないのですけれども、そういうようなことも当然あり得るということは法律的には言えると、そういうふうに承ってよろしいですね。そういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/125
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126・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 大体そういうことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/126
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127・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それから退去強制の問題がいま法的地位の問題で問題になっておりますね。そうすると、退去強制の場合に、現在は在日朝鮮人というのですから、それを韓国に退去強制するということはいまの場合はできないのですか、あるいは、北朝鮮のほうに退去強制するということはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/127
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128・八木正男
○政府委員(八木正男君) 現在退去強制が実行されております韓国につきましては、たとえば不法入国した、そうしてそれが発覚して退去命令を受ける。あるいは、入管令上規定されている退去事由に該当するような犯罪を犯して退去命令を受ける。そして、現在の段階では、韓国は最近不法入国した人の場合はすなおに引き取っていますけれども、御承知のような一二六でございますとか終戦前から引き続いているような人たちに対しては、向こうはいまの段階ではそういう場合は引き取りを拒絶いたします。そのため、われわれやむを得ず一たん収容してからいわゆるマル学該当者として特在釈放するという形をとっております。
それから北鮮のほうでございますが、これは御承知のとおり国交がございませんので、そういうことを折衝する手段もございません。ただ、本人が自分は北鮮に行きたいという場合には、自費で北鮮に行くというための便宜をはかってやるわけでございます。したがって、これは強制退去というよりも、自費による出国ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/128
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129・稲葉誠一
○稲葉誠一君 不法入国の場合は別として、戦前から日本にいる、たとえば一二六の場合だとか、そういうような者は、退去強制に該当するような日本の法律でのあれになった場合、現在では韓国がそれを認めない、受け取らないと。しかし、今後はっきりした形で法的地位がきまってくれば、これは相手側の義務として受け取らざるを得なくなってくる、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/129
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130・八木正男
○政府委員(八木正男君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/130
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131・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、現在の場合ならば退去強制が事実上韓国に対してはできない。日韓会談で法的地位がお互いの協定として成立する、こうなってまいりますと、今度は逆に退去強制が可能になってきて、韓国はそれを義務として受け取らざるを得なくなってくると、こういう結果が生まれてくるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/131
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132・八木正男
○政府委員(八木正男君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/132
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133・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは考え方によってはかえって法的地位がまとまることによって日本にいる韓国人が逆に不利になるというふうにも考えられるわけですね、これは見方によりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/133
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134・八木正男
○政府委員(八木正男君) 私どもに雑音として耳に入ってくる中には、現在在日朝鮮人の間には日韓会談をめぐっていろいろもめておるようでございます。それのまた一つのファクターとして論議の対象になっているのは、いわゆる北鮮系の人、韓国系の人、ないしはいずれをもとらない中立的な人、そういう人たちの間でお互いの勢力分野の拡大競争が非常に行なわれておるようでありまして、その一つの宣伝のことばの中に、日韓協定ができると、韓国人の国籍を持った者は強制退去事由に該当する場合は退去させられる、われわれ北鮮人は絶対に日本にいられるということを言っておるそうです。結果的にはそういうことになっても、これは北鮮とは国交がないものですから、いかんともいたしかたがないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/134
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135・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それから、前にちょっと出た永住権の問題で、これはまあいまやっている最中ですから、ここまで聞くのはどうかと思いますが、そうすると、いずれにしても、日本にいるいわゆる在日韓国人というものの中で、親と子供とで在留資格が違うということも当然できてくるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/135
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136・八木正男
○政府委員(八木正男君) 現在いろいろ交渉の段階でございますから、具体的なことを申し上げることは差し控えさしていただきますが、これは今に始まったのではなくて、ずっと前からの法的地位の委員会で日本側の根本的な考えといたしまして、戦前から引き続いているいわゆる協定の対象になる朝鮮の人とその子供、これは現に一緒の家の中で一緒に生活しておる子供でございますから、その間で資格といいますか立場が全然違うようでは非常に人道的と言えない。したがって、その子供が一人前になるまでは親と同じに扱うというのがわれわれの従来からの考えでございます。で、一人前になったあとは、これはもう日本で小学校、中学校とりっぱに義務教育を受けて、年も二十歳になり、十分自分の意思については自分で判断できる、親の世話になる必要のない人たちでありますから、そういう人たちに対してはわれわれ別に考えておりませんけれども、少なくとも未成年の間は親と一緒に置きたいというのがわれわれの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/136
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137・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは未成年を過ぎるというと親子の間が在留資格が違ってくる、こうなってくると思うのですが、こうなってくると、何かそこに悲劇というか、いろいろなトラブルというものが生まれてくる可能性が出てくるのじゃないでしょうが。それはあとはどうですか、帰化すればいいという考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/137
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138・八木正男
○政府委員(八木正男君) これは実はまだ議論いたしておりませんけれども、この点について私どもの考えを申しますと、そのときになって本人が自分の判断で自分の立場をきめる。われわれとしてはそれに対して十分に人道的考慮を払い、好意的に考えるという立場でやっておりますので、その程度で御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/138
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139・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま交渉中ですから、あまり立ち入ったことを聞くのもあれかと思いますが、ただよくわかりませんのは、たとえばいまの永住権ですか、この申請をするときに、韓国の駐日代表部の発給文書の添付が要件になっておるわけですね。その場合、韓国代表部では、外国人登録のところの国籍が朝鮮と書いてあると、これを受け付けないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/139
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140・八木正男
○政府委員(八木正男君) 私はそういう点をまだ向こうに質問したことはございません。しかし、会議の上で時々おりに触れて彼らに言っておりますのは、外人登録というのは、ただ市町村がこういう外人が住んでいるという届け出を受けたというだけのものであって、別に国籍なり何なりを証明する文書とはわれわれ絶対に見ていない、そういうことをはっきり言っております。先方も必ずしもそうじゃないとは言っておりませんから、その点は私は問題はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/140
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141・稲葉誠一
○稲葉誠一君 もう一つ、いろいろ問題になってまいりますのは、いま日本にいる在日朝鮮人なりが経済活動をいろいろやっておるわけですね。それが在日韓国人というものがはっきり出てきて、国籍を取得して一般外国人並みになるわけですね。そうなってくると、財産取得に関する法律の関係ではどういうふうに適用されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/141
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142・八木正男
○政府委員(八木正男君) 私まだ法律知識がなくて恥ずかしいのでございますが、一般的にもしこまかい問題がございましたら、池上説明員から補足して申しますが、大筋を申し上げますと、外国人であるという理由によって制限されている経済活動の分野、たとえば水先案内人ですとか、鉱業権とか、そういったごく少数のものを除いては、外国人の場合に特に日本人との間にひどい根本的な差別というものは経済行為の上ではないと思いますけれども、そういう点で実は韓国の日本にいる人たちから経済活動の上でいろいろ不便があるということを聞いております。そういうことから、日韓法的地位協定に何らかのそういった経済活動の上での保障のようなものを書いてほしいという気分が一般的に非常に強いようでございます。これは、先生御承知のとおり、法的地位の問題とだいぶ性質が違ってきますので、現在議論の対象になっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/142
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143・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは池上参事官からももう少し詳しく説明していただいていいと思いますが、そうすると、現在在日朝鮮人というものには経済活動についていろいろな制限はあるのかないのかということが一つと、それから法的地位によってこれがいわゆる特殊な在日朝鮮人というものではなくなって、普通の外国人になってくるということになってくると、そこで財産取得に関する法律というか政令というか、そういうふうなものの中で、その外国人になったからということでの制限というか、そういうようなものが現実には起きてくる可能性があるんですか。いまの場合と違ってくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/143
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144・池上努
○説明員(池上努君) 先ほど入管局長から申し上げましたように、特殊な制限業種、たとえば鉱業権——山を掘る権利とか、水先案内人など、そういった社会活動なり経済活動の面では国の立場上制限を課しておりますが、それは別に韓国人であるからとかなんとかというわけじゃなくて、すべての外国人に制限しておるわけでございます。
それから先ほど来お話の出ております外国人の財産取得に関する政令では、すでに主務大臣の告示で、大韓民国の国民は主務大臣の認可を得なくても財産取得できるというふうになっておりまして、今度の会議が成立して韓国民であることがはっきりしても別にそれとは特に変わる要素はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/144
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145・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、いまの点で言うと、現在の段階では、たとえば水先案内人とか鉱業権とか、それだけですか、違ってくるのは。いまの場合といわゆる法的地位が妥結したということを考えた場合とで違いが出てくるというのは、そのほかにも何があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/145
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146・八木正男
○政府委員(八木正男君) 私の存じておる範囲では、ほかにはちょっと心当たりはないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/146
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147・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、外国人の財産取得に関する政令では、韓国人は、現在でも、法的地位がかりに妥結したということになった場合でも、変化はないと、こう承ってよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/147
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148・池上努
○説明員(池上努君) そのとおりでございまして、さっきちょっとことばが足りませんでしたが、不動産、工場その他の財産を取得する際に、主務大臣の認可の要らない国の国民としてすでに大韓民国を指定してあるわけでございます。したがいまして、会談の成立には何ら影響を受けないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/148
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149・稲葉誠一
○稲葉誠一君 韓国人はいまの主務大臣の認可を得ないものに指定されておる。そうすると、今度は、在日朝鮮人が、韓国人というものと、いわゆるその他の朝鮮人というのですか、まあ何というか、に分かれるという形になってきた場合に、韓国人とそれ以外の朝鮮人との間で財産の取得なり経済活動で差が出てくることが考えられるのですか。ちょっと質問がごたごたしていて恐縮ですが、いまの大韓民国ならば不動産の取得やなんかの場合に主務大臣の認可を得なくてもいいということになってくると、それ以外の者は一体どうなんだということになってくるわけです。そこのところはどうなんですか。いまは在日朝鮮人ということで韓国人というのをラフに適用したというか、何というか、よくわかりませんが、二つに分かれてくると、そこに差別が出てくるのですか。質問の趣旨がちょっとはっきりしないかとも思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/149
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150・池上努
○説明員(池上努君) 私ども主管でございませんので、正確なことは申し上げかねるわけでありますが、協定の内容としてはそのような点には何ら触れておりませんので、全然変更がないものとお考えになっていただいていいかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/150
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151・稲葉誠一
○稲葉誠一君 きょうは一応これで終わりにしておきますが、最終的に取りまとめとして法務大臣にお伺いしたいのは、この法的地位の問題に関連をして、韓国人と、韓国人でないいわゆるその他の朝鮮人ですか、ことばはどういうふうでもいいですが、一応できてくると思うのですが、それとの間で、あらゆる場合に、経済だけでなくて、社会保障の問題とか教育の問題とかいろいろあると思いますが、日本の政府としては差別はしないんだ、現実に差別が起こり得ることはないんだ、こういうことがはっきり法務大臣としては言えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/151
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152・高橋等
○国務大臣(高橋等君) 協定が成立しますと、先ほども政府委員から答弁した中にもありましたように、強制退去事由が起こった場合に、一方は引き取りますが、一方は相変わらず引き取らぬとか、いろんな問題があるのであります。そうしたものについては、どう打開するかということについては、非常に問題点がありますので、いろいろ苦慮いたしておるのでございますが、大体、日本におりまする朝鮮人は、これは申すまでもなく、終戦の結果自己の意思によらないで日本人の地位を取られた人である、それまでは日本人として生計の基礎を築いた人、そういう特殊の立場を考えまして、このたびの日韓交渉の法的地位の協定にあたっての安定した永住権をできるだけ与えたいということをわれわれも骨子として交渉を進めておるのでございます。一般の韓国籍を取得しない朝鮮人についても、その点においては特殊的地位ということにはもちろん変わりはないのでございます。しかし、いろいろな点も考えねばなりませんので、この協定ができましたあとで、いま言った特殊の地位を考慮しながら法的地位を検討してみたい。大体そう違ったことが起こるというようなことは考えておらないのでございます。いろんなまだ問題があるということにつきましては、なお検討せにゃいかぬ点があるのでございますが、いま申したことで私の方針はおわかりくださると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/152
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153・稲葉誠一
○稲葉誠一君 きょうはこの点はこれで終わりますが、いま大臣や入管局長や民事局長等が言われたことは、相当含みがあるというか、いろいろあると思いますが、私のほうでもよく内容を再度検討をして、もう一ぺんこの問題に対しもっと具体的ないろんな例をあげて質問を次の機会にさしていただきたい、そういうふうに考えまして、きょうの質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/153
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154・岩間正男
○岩間正男君 関連して。ただいまの法務大臣の御答弁ですね、協定ができてから韓国籍を取得しないという人たちの問題について考える、こういうことなんですね。協定ができてからでは、これはやはり非常に問題なんじゃないですか。日韓交渉を非常に急いでいる、そういうことのために、事前にこの問題というものを——ことに在日朝鮮人六十万、しかも国籍の状態を見ればはっきりしていると思います。これは一々お聞きしませんけれども、圧倒的に朝鮮民主主義人民共和国のほうが多いのです。そういう人たちの意向というものを十分に政府としては把握する、そういう立場に立たないで、すでに協定ができてからその上に立ってその問題を解決するというと、非常に困難な事態が起こるということは当然予想されるんです。その点についてはどうなんですか。いまの御答弁ではちょっと私は問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/154
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155・高橋等
○国務大臣(高橋等君) 私は岩間さんのお話に反論するようなことになるかもしれませんが、現在在日の韓国人の法的地位について協定をやっているわけなんです。そして、これは入管令等にいろいろ規定しておりましたいわゆる朝鮮人としての強制退去のものをどこまでしぼるかという問題等もあるわけです。そういうような問題が両国間で成立をした後に、それを基礎にしてほかのやはり同じケースにある人々のことを考えていきたい。ほかの人々のことを考えて同時にこれを解決しろと言われることは、私は、やり方としては無理だと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/155
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156・岩間正男
○岩間正男君 まあこれはこの程度でやめますけれども、そういうことを言われますけれども、実際だれのためにそんならこのような協定を結ぶのか。問題は、六十万の在日朝鮮人の幸福のために結ばれるという立場に立たなければ話にならないと思うんです。そういう事前の調整というものを十分にし、また、在日朝鮮人の意見というものを十分に法相は聞いて、その上に立って協定を考えなければ、一方的にもしその協定が結ばれたら、それは当然また在日朝鮮人に適用されるという結果になって、非常に縛られるという事態が起こるんです。そういうことを考えれば、ほんとうに事態の円満な解決という立場に立たれるならば、当然そういうような配慮をされるのが政治的な立場だと思うんです。しかし、きょうは時間もありませんから、いずれあらためてお聞きしたいと思うんですが、その点を考慮に入れておかないと、非常に問題を急ぐような形で拙速なものをつくり、その結果が非常に在日朝鮮人の不利益になる、そういう事態が起こり得ないという保証はないんですね。保証はないんですから、この点ははっきりやはり胸に据えて置いてこの事態というものに当たってほしいと思うんです。この点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/156
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157・高橋等
○国務大臣(高橋等君) いま両国間でお互いの立場を考えながら、しかも法的地位というものは相当長きにわたってその人に適用されるものですから、慎重な討議をいたして、特殊事情は十分考慮いたしております。しかし、その交渉をいたすときに、事前にもちろん朝鮮人のほうでどういう要望を持っているかということは存じております。しかし、これは韓国側のいま交渉している側から主張されてきている問題であって、われわれはわれわれの主張を考えながらお互いに合意点に達するという行き方をしているわけです。ですから、いま御指摘の点は、私としましては順序としては誤っておらないという考え方を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/157
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158・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いま実は私の質問に対して法務大臣が最後に言ったことに対していろいろ考えておりまして、実はゆっくり検討して、この次に具体的にいろいろ聞こうと思っておったんですが、いずれにしても非常に重要な問題を最後の法務大臣の答弁は含んでいると思いますので、よく内容を検討して再度質問をしたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/158
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159・石井桂
○委員長(石井桂君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/159
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160・石井桂
○委員長(石井桂君) 速記をつけて。
本件については、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/160
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161・石井桂
○委員長(石井桂君) 次に、電話通信の秘密の侵害に関する件について調査を行ないます。
本件について岩間委員から発言を求められております。岩間委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/161
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162・岩間正男
○岩間正男君 警備局長のあいさつを先に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/162
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163・石井桂
○委員長(石井桂君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/163
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164・石井桂
○委員長(石井桂君) 速記をつけて。
この際、新任されました秦野警備局長から発言を求められておりますので、許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/164
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165・秦野章
○政府委員(秦野章君) 先般警察庁警備局長を命ぜられました秦野章でございます。どうぞよろしく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/165
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166・岩間正男
○岩間正男君 この前当委員会で問題になりました盗聴器容疑事件ですが、これについてその後の警察側のこの物件の鑑定、さらにこの事件全体の捜査に当たっているんだろうと思いますが、その概要、経過をまず御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/166
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167・秦野章
○政府委員(秦野章君) お答えを申し上げます。
去る三月四日に告発文書を受けまして、富来連日捜査を続行しているわけでございますが、これが捜査の体制といたしましては、所轄の該当署に対しまして警視庁本庁から応援をいたしまして、現在十数名の陣容で捜査をいたしております。
ただいまお話しの物件の問題につきましては、警視庁の科学検査所に鑑定を委嘱いたしまして、専門の技術を持っている人にいろいろ検討してもらったのでありまするが、その結果、警視庁の科学検査所の技術では十分解明することができないということがはっきりいたしまして、現在第三者の専門の鑑定人に委嘱すべく関係方面と折衝しているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/167
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168・岩間正男
○岩間正男君 科学警察研究所というお話だったのですが、警視庁の科学検査所だったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/168
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169・秦野章
○政府委員(秦野章君) 警察庁に付置されておりますのは科学警察研究所というのがございます。警視庁には科学検査所で、大体似たようなことをやるわけですけれども、警視庁の犯罪捜査では、主としていろんな鑑定なんかをこの警視庁の科学検査所というところでやっております。警視庁の中に設置されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/169
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170・岩間正男
○岩間正男君 まあ事実関係だけきょうは時間の関係からお聞きしたいと思うんですが、この点はだいぶ食い違いがありますね。この前は科学警察研究所でこの問題を調査しているということをはっきり言っていたのですが、これはどっちがほんとうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/170
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171・秦野章
○政府委員(秦野章君) 警察庁の科学警察研究所の所長の意見も聞いたようでありまするから、問題はそういう物件についての鑑定をするに最もふさわしい能力のある者が一番適当であるという考え方であったと思います。そういうことで、警視庁の科学検査所にはそういう経歴も知識もある人がおりますので、結局警視庁の科学検査所にこの鑑定を委嘱したという経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/171
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172・岩間正男
○岩間正男君 これはあとで明らかにしますが、参議院の予算委員会で私はこの問題を質問した。国家公費委員長は、はっきり科学警察研究所でただいま調査をいたしておりますと、速記録がありますが、こう言っております。これはまるで違うのでしょう。場所はどうなんです、同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/172
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173・秦野章
○政府委員(秦野章君) 場所は違ったところにございます。警察庁の科学警察研究所は三番町、警視庁の科学検査所は警視庁の中にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/173
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174・岩間正男
○岩間正男君 最初は科学警察研究所にも相談をしたというお話だったと思うが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/174
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175・秦野章
○政府委員(秦野章君) 警察庁の科学警察研究所の所長は、古畑さんという法医、科学警察の権威の方でございます。この先生に聞いたというふうに私は聞いております。したがって、いまお話しのように予算委員会のときの大臣の答弁云々のお話でございましたけれども、捜査機関としては、科学警察研究所ということを十分念頭に置き、そうしてまた所長の意見も聞いて、そうしてどこが適当かということで、最終的には警視庁の科学検査所にやらしたという経過になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/175
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176・岩間正男
○岩間正男君 警視庁の科学検査所ですか、そこにかけたのはいつです。それから、古畑さんと相談したのはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/176
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177・秦野章
○政府委員(秦野章君) 警視庁の科学検査所には、捜査の開始とほとんど間もなく、三月の四日に委嘱をしているようであります。そうして警視庁の科学検査所でいろいろ鑑定をしたのでありますが、十二日に古畑さんに相談をいたしまして、そこで警視庁の科学検査所では十分これを鑑定する力がないということで、東京大学その他いま適当な鑑定の委嘱について折衝をしておるというような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/177
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178・岩間正男
○岩間正男君 もう一ぺん確認しますが、三月四日に告発を受けて、それからすぐに警視庁の科学検査所でやっている、それでらちがあかないので、十二日に古畑さんに相談して、現在新たに物色中だと、それで確認してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/178
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179・秦野章
○政府委員(秦野章君) けっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/179
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180・岩間正男
○岩間正男君 そうすると、十二日まで何回検査しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/180
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181・秦野章
○政府委員(秦野章君) 何回検査というようなことを私も承知しておりませんが、これは科学検査所の専門の人がいろいろその間検討したのでございまして、回数とかそういうようなことについては、特にそういう性質のものではなかろうというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/181
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182・岩間正男
○岩間正男君 十日近く警視庁に置いたわけですね。その間ずいぶん騒がれておったはずです。そうして、このものは、これはあとでまた詳細にお聞きしたいと思いますけれども、専門家のなんにかかれば、おそらく一時間か二時間あれば十分に検査できるものです。これはもう明らかだと思う。そういうものをなぜ十二日まで置いたのかということですね、そこがちょっと理由がわからないものですから、その理由についてひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/182
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183・秦野章
○政府委員(秦野章君) その期間が長いのではないかというお話でございますけれども、長いか短いかという問題については、これはやはり専門的な技術者が担当していることでございますし、われわれとしてはそういう人を信頼して検査を委嘱しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/183
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184・岩間正男
○岩間正男君 科学検査所のだれが当たったのですか。おもに検査所で当たった人はだれですか。警視庁のどういう身分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/184
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185・秦野章
○政府委員(秦野章君) 目下最終的に鑑定する人を物色している段階でございますので、したがって、鑑定者の名前をここで申し上げることは、できるならば差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/185
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186・岩間正男
○岩間正男君 いや、新しい鑑定者のことを聞いておりません。警視庁の中で、いままですでに四日から十二日というと八日間ですか、その間どういうことをやっていたのか、何回やったのかもわからない、そういうことですね。そうすると、その検査所というのは、どういう機構になって、どういうふうな人たちがいて、どんな設備があるのか、その点は大体わかるでしょう。これがわからないと、何をやっているんだかわからないですよ、非常に疑惑に包まれておるのだから。これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/186
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187・秦野章
○政府委員(秦野章君) 警視庁の科学検査所は、法医課と物理課と文書鑑定係と化学課というような分掌に分けられておりまして、職員は六十五名でございます。その中で物理課というのがございますが、ここでは電気とか銃器とかいうような鑑定をやっておるわけでございますが、このたびの物件につきましては、当然電気係が担当をしておるわけでございます。従来、警察庁の科学警察研究所もそうでございますけれども、警察の犯罪鑑識で電気の関係と申しますのは、大体、放火とか失火とか、火災の現場に関しての電気の鑑定がほとんどであります。本件の物件のような問題になってくると、専門家ではありますけれども、いろいろ検討はしたようでありますけれども、最終的には十分でない、こういう結論に到達したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/187
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188・岩間正男
○岩間正男君 これは詳細はあとでやりますけれども、ここで問題になっているわけでしょう。やはり電気の専門家に見せて、それでその性能なり性格をはっきりする。それで、電電公社との話し合いでは、これは電気通信研究所でやるんだということをちゃんと約束で取りかわされているはずです。警察は八日間何をやっていたかということですね。世の中の疑惑が、あれだけ騒がれていた問題ですから、非常に深まるわけです。これはしかしここでいまやっておる時間がございませんので、もっと時間をかけてあとでお聞きしたいと思いますけれども、ちょっと解せないですよ、それは。科学警察研究所でやると言い、あと今度は警視庁の科学検査所と言い、そこで八日も日をむなしゅうしていたと言い、そうして最後になったら、どうも自分たちの力ではやれないだろうというので、今度は古畑さんに相談して専門家を選んだと、こういうことですね。これはいまのような御答弁ですけれども、重大な問題じゃないかと思います。警備局長はこの前の委員会のことを御存じなかったんです。実は、問題になったのは、盗聴器の問題はいままでたくさん起こっている。共産党の場合、あるいは労働組合の場合、民主団体の場合、そういう場合に非常に起こった。ほとんどその問題を洗ってみると、警察と公安調査庁がそういうスパイ関係に使用して摘発された。したがって、電電公社がちゃんと契約者との相談までしたのを、それを破って一方的に警察に引き渡してしまった、そういうことから非常に疑惑が深まっているということで、警察庁長官が、これに対しまして、あくまでそういうことのないようにこれはやるんだと、はっきりここで言明されておるわけですね。これはここの速記録にも出ております。さらに参議院の予算委員会におきましても、法務大臣、それから国家公安委員長、こういう人たちの言明がはっきりなされておる。そういう事態においてどうもいまのようなことを聞くのは、私は非常に解せない感じがするんです。いずれまたお伺いいたします。
秦野さんに伺いますが、告発されたのはいつでございますか。どこにだれが、こういうことをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/188
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189・秦野章
○政府委員(秦野章君) 三月四日午前十時三十分に口頭の告発がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/189
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190・岩間正男
○岩間正男君 四日の十時三十分にどこへですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/190
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191・秦野章
○政府委員(秦野章君) これが荻窪の電報電話局長から警視庁の高井戸署に対しまして口頭でございました。そのあと午前十一時二十五分に告発状が提出せられたわけでございます。この際、例の物件と写真五枚というものを提出してもらったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/191
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192・岩間正男
○岩間正男君 その点を総裁にお伺いいたします。この前総裁のお話では、だいぶ違うように思います。ここで委員会が始まったのは十時半でしょう。あなたたちは前の晩に告発したようなそういう話をされておった。それから日時からいうと、ここで委員会がすでに始まっておるのは十時半。ところが、大橋総裁は、はっきり十時半にこういうことを言っておりますね。「いずれにいたしましても、この状態は、現在の有線電気通信法第二十一条の規定に違反する不法な行為が行なわれたものと認めまして、本日所轄警察署に告発をいたしまして、その取り調べをお願いいたしておる現状でございます。」と。そうすると、だいぶ日時の上でこれは違いが出てくるわけです。しかも、様子を聞くと、その前の晩だ、こういう話も出ておる。この点については、ここでまたどうだこうだということを申しません。時日について非常にここのところの認識のしかたが違っておるという点はここで指摘をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/192
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193・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) 私は、この前、ただいま御指摘のように、四日の朝午前に告発したということを申し上げたのでございまして、前の晩に告発したということは申さなかったように心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/193
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194・岩間正男
○岩間正男君 これは話し合いの中で非常にそこのところがあいまいにされて、佐々木さんですか、佐々木さんが実にあいまいなことを言われておるはずですね。そうして、これは委員会の速記に載っておりませんけれども、あなたたちがここに十時過ぎに見えて、そうして私が総裁に向かって、物件を持ってきたでしょう、こういう質問をしたところが、いや持って来ない。約束違反じゃないか。そうしてすでにこれはもう警察に届け出たんだというようなことになっておる。それが十時半ですね。そうすると、非常にあれが違っておる。だれが持って行ったですか。告発人はだれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/194
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195・秦野章
○政府委員(秦野章君) 高井戸警察署長に対しまして先ほど申し上げたように告発があったわけでありますけれども、宮本書記長の代表ということで三名の方が見えておりますが、その前に荻窪電報電話局長が——これは高岸さんという方ですけれども、署長に対して見えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/195
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196・岩間正男
○岩間正男君 その告発状はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/196
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197・秦野章
○政府委員(秦野章君) 告発状は、告発人が日本電信電話公社荻窪電話局長高岸中治さんで、告発の事実は、「昭和四十年三月三日午前十一時ころ、東京都杉並区上高井戸五丁目二千百六十九番地宮本顕治方前電柱から宮本方に引き込まれている宅内線に異物を取りつけて電話に雑音を生ぜしめて有線電気通信事業を妨害していることは、有線電気通信法第二十一条に違反したものである。」という告発事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/197
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198・岩間正男
○岩間正男君 告発人の名前をちょっともう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/198
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199・秦野章
○政府委員(秦野章君) 告発人の氏名は、高岸中治という方です。これは荻窪電報電話局長であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/199
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200・岩間正男
○岩間正男君 これは総裁にちょっと聞いておいていただきたいんですが、この高岸氏には私も会っているんです、三月三日の夜七時ごろ。そのとき、私が立ち会って封印したんです。これはあくまで共同でこの実態を追及しましょう、これはゆゆしい問題だ、公社側にとってもゆゆしい問題だと非常に好意的な——公社とそれから契約者、つまりいわばお客さんですから、お客さんに対する儀礼からいっても、そういう事態を公社が起こしたとしたら、これは公社の全責任ですから、そういうような不当な盗聴器などをしかけられているとしたら、利益を侵害している、人権侵害の問題、憲法違反の問題ですから、当然また電電公社としてはそのような通信の秘密を保持するというそういう任務も一方では大きく持っているわけです。それがないとしたら、たいへんなことになるんです。そういう立場からであると思いますけれども、非常に協力的であったわけです。この方が、最初は口頭でやった。これは当人だったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/200
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201・秦野章
○政府委員(秦野章君) 口頭で高岸さんからございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/201
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202・岩間正男
○岩間正男君 さらに今度は、どこで注意したかわからないけれども、十一時過ぎになって今度は告発状を出した。告発状は問題になったんです、当委員会で。問題になったのは十時四十分くらいですか。ちゃんと時間的にもわれわれは明らかにしている。この問題は非常にやはり食い違いがあるし、それからほんとうに一つの方針によって貫かれてやられたとは考えられない点があるんですけれども、この問題もいずれもっと明確に私は明らかにしたい。
これは事実関係を明確にするのが時間の関係もありまして目的でございますから、その点についてもう一点だけ最後に伺っておきたい。それは、ほかでもありませんが、宮本顕治氏から青柳盛雄弁護人を代理弁護人としまして東京地裁に対して証拠保全の申し立て書が出されておること、これは大橋総裁は御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/202
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203・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) 私のほうへは正式なそういう通知はございませんが、ただ新聞紙上でそのことを拝見しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/203
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204・岩間正男
○岩間正男君 その申し立ての趣意というようなものについては、これはごらんになり、また、あなたたちも非常にこの問題に当然関心をお持ちになられなければならない筋合いのものだと思うんです。これは単に法の違反があった、そういうことだけで告訴をして刑事事件に問えばいいというふうな突っ放した問題ではない。全責任を公社が負わなければならぬ、こういう立場ですから、これはお聞きになったでしょうけれども、どういうことですか、その趣意をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/204
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205・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) ちょっと御趣旨が聞き取りにくかったんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/205
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206・岩間正男
○岩間正男君 この証拠保全の申し立てをした、その趣旨を新聞でごらんになったぐらいじゃ済まない問題だと思うんです。これをあなたのほうで検討されたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/206
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207・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) 現在の状態では、私ども新聞紙上で拝見しただけで、正式のそれぞれの方面から特に通知もございませんので、まだその内容についてさらに検討するという——応の拝見はしましたけれどもさらにそれをどうするという手続まではとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/207
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208・岩間正男
○岩間正男君 いいんですか、総裁。そんなことでこの問題はどうなんですか。公社と契約者の権利義務からいっても、あなたたちは義務を果たすということは当然だと思うんですよ。なるほど鼻をくくったような答弁で済むといえば済むが、そんなことで済む問題じゃない。あなたたちは責任というものを感じているんですか。いまのお話では、新聞で見たというまるで他人ごとのようなことを言っているが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/208
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209・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) 決して人ごととは考えておりませんので、事柄が重大であることは万々承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/209
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210・岩間正男
○岩間正男君 それじゃ、これを調べてほしいですね。これはわかりますよ。きょうは法務省関係は来ておりませんから、この真相については私はもう少し申し立ての趣意だけでも明らかにしたいと思ったけれども、きょうはやめますけれども、この中で非常に大きな問題になっているのは、当人の利益が侵害されたということも一つの大きな問題、それから書記長といっても、宮本書記長は単に一私人じゃない、日本共産党の政党の最も中心にいて総括的な責任を持っている立場の人です。したがって、これに対して今度やられた盗聴器事件というものは、全党に対する問題、政治活動の自由に対する侵害だ。さらに、憲法二十一条の侵害だ。こういう点については十分にこの問題を明らかにするための証拠保全をすべきだ。
それからもう一つ、公社としてぜひこれは検討してほしいと思うのですが、この中で問題なのは、一体公社の責任というのはどうなるのか。公社自身は、通信の秘密を保持するという憲法に規定されたところの非常に大きな任務を負っておるわけです。さらに、国民の通信の便をあくまではかっていく、このためにサービスをする公社としてのそういう任務もありましょう。国民に負っている大きな義務がある。これだから公社なんです。公社としての資格において、はたして一体今度の問題について責任を果たしておるかどうか。ことに契約者との話し合い、契約者とのちゃんと協定が、これも口頭です。あなたたち口頭でこの前告発しているのだから、ましてやこれは契約者との信義のある立場ですから、口頭ということは非常に大きな意味を持つと思う。そういう口頭というものは全くじゅうりんされておる、こういう点がその中で非常に大きな問題になっておる。それで、実際被害を受けているのはだれかという問題です。私はお聞きしますけれども、公社としてこのような被害を与えたということについての責任感というものはどういうふうに持っておられるか。これが一つ。
もう一つ、公社として、公的な意味で、通信の秘密というものの保持を侵犯されている、こういう事態について、どういう一体考えを持っておられるか。この点はあなた方の態度として、また、この問題を処理する今後の基本的な態度として、非常に重大な問題であり、しいて言えば、日本電電公社の持っておる性格そのものを明らかにする、この点は非常に大きな問題だというふうに考える。私はその点を問題にしているから、その点について総裁の決意を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/210
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211・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) いままでたびたび申し上げておりますとおり、現在の状態では、電話線に異物が挿入されて通信の作用を妨害したということだけははっきりしている。しかしながら、その異物なるものが、いま警察のほうでお調べになっておるのでございますが、その結果、はたして盗聴するという目的でやったものか何かということは、まだはっきりいたしておらぬ現状でございますので、その問題が警察の手ではっきりいたしますれば、さらにその結果について通信秘密漏洩というような問題がそこに起こってくるわけでございます。それは第二段の問題で、現在の段階では、そこまではっきりしていないという状態でございますので、今後その推移を十分注意をして、どういう結論が出ますか、その結論のいかんによってさらにいろいろ検討する問題が生ずるかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/211
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212・岩間正男
○岩間正男君 あなた、いつでもそういうような、全く官僚答弁に終始しているんです。損害を与えていないというんですか。契約者の宮本顕治に対する損害を現実には与えていないというんですか。その問題が明らかにならない前にあのような問題が起こり、そうしてあなたたちの管理の不行き届きから実際異物をとにかく引込線に挿入される、そういう事態を見のがしたというのは、どうなんです、この責任はないというんですか。その点についてあなたは一向触れたことはないわけですね。それが明らかにならなければだめだ、こういうことをしょっちゅう言っているんだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/212
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213・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) たびたび申し上げておりますとおり、現在の段階においては、有線電気通信法の二十一条に該当する程度のことははっきりしておりますが、それ以上に、さらに進んでお話しのような通信の盗聴というようなことまではまだはっきりしていないわけでございますから、そこで、先ほどから申し上げますとおり、第二十一条関係のことについてはむろん私どもその現実の事実をよく把握しておりますし、また、これについての責任は十分われわれ感ずるわけでありますが、もう少しはっきりしないと、盗聴いかんということの問題にはどうもまだ現在は触れ得る段階じゃないというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/213
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214・岩間正男
○岩間正男君 その事態を明らかにすることをかえって妨害したようなことをやっているじゃないですか。あんたたちの信義というものは、そんなもので言い尽くせないですよ。現に異物を——それじゃ、電電公社は責任はないんですか。かりにあれが盗聴器であろうがどうだろうが、ああいうことをされて、そうして世上に一つの利益を侵害する、人心に不安を与える、こういう事態については、あなた方は責任を感じていないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/214
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215・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) たびたび申し上げておりますように、現在は、その責任の範囲といいますか、程度といいますか、その根底がまだはっきりいたしませんので、いよいよ事態がはっきりした上でほんとうの責任の問題がまたはっきりすると思いますので、決して私ども責任を回避しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/215
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216・岩間正男
○岩間正男君 現在では責任をあなたは先にいってとると、そういうことなんですけれども、盗聴器であるかどうかということを確定することが非常に重要な本件の核心になるんです。しかし、それだけの問題でこの問題を処理されているところに、形式的なやり方、ここから問題が発生しているように思います。
もう一点だけ聞きますが、三月三日の夜、わが党の代表が立ち会いに行って、公社側の代表との間に当該物件、証拠品の取り扱いに対して大要次のような取りきめがなされた。これを聞いておられますか、どういう取りきめがあったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/216
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217・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) 私その場に立ち会っていた者ではありませんから、当日その場に立ち会った技師長から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/217
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218・佐々木卓夫
○説明員(佐々木卓夫君) 問題の物件の取り扱いにつきまして、共産党の方とお約束した記憶はないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/218
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219・石井桂
○委員長(石井桂君) ちょっと岩間君に申し上げますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/219
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220・岩間正男
○岩間正男君 時間ですから、もうやめます。これで終わります。
そういうことをあなたは言っているんですけれども、それは言い切れるのですか。そういう信義のないことでは話になりませんよ。あなたは別な部屋ヘコイルを持って行ってそしてそこで何か相談をされたという事態もあったんですから、あなたの口から信憑のほどは明らかにならぬと思います。これははっきりさしておきましょう。第一に、いわゆる異物は三月四日通信研究所において両者立ち会いのもとに性能テストを行ない内容を検査する。その次に第二の項、その間の保管は両当事者封印の上、公社側が責任をもって預かること。それから第三、封印された異物は両当事者立ち会いのもとでなければあけないこと。第四、この問題は重大であるので、お互いに慎重な態度で誠意をもってこれに当たること。これだけのことをちゃんと口頭であるけれども取りきめているはずです。そして、むろんこれは信頼できる封印までしたことですから、これについてあなたたちを信じて文書にはしなかった。文書にしないからといって、そのことをたてにとって存じませんと、この前のあなたの答弁もそうでありましたけれども、これはなんぼでもこれについてのなにがあるわけです。しかし、私はここでいまこの実体をやるそういう時間がないから、やめますけれども、大橋総裁、あなたはこういう当事者にずっと聞いて、佐々木技師長の話を聞かれてそういうことはなかったと、こういうふうに認定されているのか。まず第一に、そういう取りきめがあったのかないのか、わからないのか、どういう立場に立っておられますか。これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/220
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221・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) そういう取りきめはないというふうに私は報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/221
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222・岩間正男
○岩間正男君 だれから聞きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/222
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223・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) 佐々木技師長から報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/223
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224・岩間正男
○岩間正男君 佐々木技師長は信頼できません。われわれは信頼できない、ここに説明員でいることはいるけれども。そして、いままでの話の中でも非常に食い違いがあります。こういうことですから、私は時間の関係がらこれでやめますけれども、もっと明確にこの事実を追及します。あなたの部下なのか同僚なのかわかりませんけれども、そういうような人たちについて大橋総裁は調べないで、あくまで佐々木技師長の話だけでこの問題はそういう取りきめはなかったと、こういうふうにおっしゃるのですか。あなたは調べてみないんですか。電電公社も調べないんですか。差しつかえないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/224
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225・大橋八郎
○説明員(大橋八郎君) 私は、責任がある私のほうの技師長の言でありますから、十分これを信頼いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/225
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226・岩間正男
○岩間正男君 そんなことを言っておっては……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/226
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227・石井桂
○委員長(石井桂君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/104815206X01019650318/227
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228・石井桂
○委員長(石井桂君) それでは速記を起こして。
本件については、本日はこの程度にとどめます。
次回委員会は三月二十三日に開会いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後一時一分散会
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