1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十八日(金曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 古川 丈吉君
理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君
理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君
理事 久保 三郎君 理事 矢尾喜三郎君
有田 喜一君 浦野 幸男君
小渕 恵三君 木村 俊夫君
草野一郎平君 高橋清一郎君
高橋 禎一君 長谷川 峻君
増田甲子七君 松浦周太郎君
井岡 大治君 勝澤 芳雄君
泊谷 裕夫君 野間千代三君
山口丈太郎君 内海 清君
竹谷源太郎君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中村 寅太君
出席政府委員
運輸事務官
(鉄道監督局
長) 堀 武夫君
委員外の出席者
建設事務官
(道路局次長) 吉兼 三郎君
日本国有鉄道常
務理事 川上 寿一君
専 門 員 小西 真一君
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本日の会議に付した案件
踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(内
閣提出第八七号)
踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関
する法律案(久保三郎君外八名提出、衆法第二
五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/0
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001・古川丈吉
○古川委員長 これより会議を開きます。
踏切道改良促進法の一部を改正する法律案、及び、踏切道の改良促進及び踏切保安員の配置等に関する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/1
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002・野間千代三
○野間委員 この前に引き続いて若干の質問をさしていただきます。
踏切保安掛の職務問題が、この前局長から御回答があって、それが保留になっておりますから、その件から多少質問をしたいのですが、繰り返しますと、踏切保安掛の職務が非常に重要になってきている。特に踏切の数が減ったために事故は減ったのだが、踏切一カ所当たり平均事故件数はそう減少していないというのが現在の実情である。政府の提案による改良促進法によって、踏切の整備がされつつあることは事実である。にもかかわらず事故が多いということは、これはつまり極端に言えば、踏切における交通道徳といいますか、あるいは交通の実態といいますか、そういうものが必ずしも十分な体制でない。そこから事故が起きてくるということが言えるのじゃないか。そこで踏切保安掛の任務が非常に重要になってきているというのが、私の立論だったのです。したがって、もう少し法律的にある種の権限を与えて、踏切保安掛の職務内容の充実をして、職員をして十分な事故の減少のための努力ができる体制を、職務内容の充実によってもはかる必要があるのじゃないかというふうに実は思っておるわけです。
そこで局長さんのほうからは、まず第一に実際問題としてそういうことはあまりないのじゃないかということ、それから警察権との競合ということがありはしないかというのが二点、それから三点目に、権限を与えるに従って、その反面として罰則が適用される危険性がありはしないかというような御回答があって、実はこの件については私も、もちろん権限を与えた以上はその権限を十分に行使しなかった場合に返ってくる問題は、当然生じてくると思います。ただそれがどの程度であるかという問題などを考えると、相当慎重に検討する必要があるというふうには私も思いますから、きょう直ちにこの質疑の経過を通じてどうしなさいということまではなかなかいかぬかもしれませんが、局長の回答の内容を見て——実は私どもが提案をしております踏切保安員の配置等に関する法律案にも入っておりますが、そこで考えておりますのは、いわば指示権であるとか、あるいは制止権であるとか、適切な時期に制止をしたり指示を与えたりという程度といいますか、この踏切道なんかの法律、そういうものを踏切保安要員の職務内容の裏づけとして制定をしたらどうか、こういうふうにも考えてみたわけです。まずその程度から出発をして——当然いま踏切保安要員も実際問題としてそういうことについてはある程度やっておると思うのです。したがって、実情を職務内容にきちんと規定をしてやって、踏切保安要員の内容の充実をはかるということをしたらどうか、こういうふうに考えておるのです。実は外国にそういう事例があるというふうに聞いておりますが、まだ調査不十分なのでありますが、もし運輸省のほうで外国でそういう規制をしたものがあったら御発表いただきたいし、また、いま申し上げるような問題について運輸省として検討をしてみる考えはないかどうか、こういう点についてもう一回御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/2
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003・堀武夫
○堀政府委員 踏切保安員に対して指示権を与えるべきではないかという御意見でございますが、この指示権を与えるべきではないかという御議論はだいぶ前からあるのであります。それでわれわれとしては検討はしてきたわけです。今回の法案の改正にあたっても、もちろん検討をいたしたわけであります。しかし、特に法律上の権限としての指示権というものを与えなければならぬというほどの必要性はないのではないかという結論になったのであります。
その理由といたしますのは、前会においてお答えをいたしたわけでありますけれども、その中で一番大きな理由と申しますのは、私が最初に申し上げましたように、とっさの場合でございますから、そういうときに、とまれ、早く行けというような指示を与えた場合に、それが法律の根拠があるからとか、あるいはないからとかいって実行に相違があるだろうか。現在でも口頭による指示をしておるわけでありまして、これで十分足りておるのではないかというふうに思われるわけであります。事実上の口頭の指示ということで、現在ではほとんど支障がない。これが法律上規定ある指示権であるということによって、何か具体的に変わったことが起きるだろうか、ほとんど変わりがないのじゃなかろうかという考えを持っておるわけであります。
社会党提案の指示権を見ましても、別に罰則がかぶっておるわけでもないわけでして、危険が差し迫っておると認めるときに必要な指示ということでございますので、非常に切迫したとっさの場合の指示でございますから、受けるほうも、これが法律上の権限に基づいておるとかおらぬとかいうことで差異はないのじゃないか、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/3
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004・野間千代三
○野間委員 いま踏切というものが、たいへん重要な交通上の問題として浮かび上がっているわけです。そうして全国で踏切道における施設が、無人踏切以外ですけれども、無人踏初以外についても相当な事故の状態にあるというのは、これは否定できないと思うのです。国鉄がお出しになった昭和三十九年八月の「踏切について」という資料にもありますけれども、一日の平均列車回数と、同じく一日の列車百万キロ当たりの事故件数という表を拝見すると、平均列車回数では日本が大体七・五回で、外国で七・五回くらいは、スイスのスイス連邦鉄道というのがあるのですが、これが同じです。これが列車百万キロ当たりの事故件数になると、日本の場合はスイスの約三倍強ですね。大体同じくらいの平均列車回数にあるオランダの約二倍強という状態ですね。こういうふうに日本の踏切における事故件数がなかなか所期の目的どおりに減少していない、こういう状態になっておる。その他たくさん資料がありますけれども、そういうことを考えると——別に法律で規制すれば何でもそれがうまいぐあいにいくというふうには私も考えておりません。私が言いたいのは、そういうことよりも、踏切保安要員を日本ではよく踏切屋さんとか、あるいは踏切警手とか、軽視して言っているのじゃないでしょうけれども、そういう傾向がなしとはしないのです。これは国鉄なり私鉄なりで今日まで踏切保安掛を扱ってきた、局長の言われる歴史的な経過の中には、そういう感情といいますか、そういう気持ちなしとしないとぼくは思うのです。したがって、そういうものをもっと補完をする必要がある。まず企業の面からも、あるいは法律上からでも補完をして、そして社会的あるいは企業の中における踏切保安掛の位置といいますか、もう少し強化をして、社会的な評価というものを充実してあげる。そういう措置をする必要があるのじゃないかというのが私の立論の趣旨なんです。道交法の中に「第五節踏切の通過」というところがあるけれども、これは別にそこに踏切保安掛がどうこうというのではなく、どこを見ても踏切保安掛が出てくるという法律はまずないですね。これほど重要な仕事をしている踏切保安掛を処遇する方法としては、少し片手落ちじゃないか。仕事だけはたいへんだけれども、内容は与えていないということになりはしないか。そこが社会的な評価が低いという結果を招来することになるのじゃないか。これほど重要なことであっても、踏切警手にしてやるといってもだれも喜ばない。こういう環境というものを改善をしてやる必要があると思うのです。そういう意味で、当然危険があるとき、あるいは防止をしなければならぬ危急なときに必要な指示を与えるという程度のことを何らかの方法で規定をするといいますか、そういうことをしてやる必要があるんじゃないかというふうに思うのです。局長のほうではそういうことはしないというふうに結論が出た。この法律を延長するということをきめるときに一度問題になって、そして結論がそうなったのかもしれませんが、踏切保安掛をどう扱うか、企業の中でも、法律の中でもどう扱うかということはもう少し——おそらくいまの踏切の実態は当分の間変らない。全部が立体化にならぬ以上は変らぬというふうに思いますから、もう少し国鉄なり私鉄なりの企業の中で、あるいは運輸省においても検討をしてあげる必要がありはしないかというふうに思うので、どうですか、答弁していただくことをこっちで言うのもおかしいのですが、もう少し検討の機会を持って、できれば国鉄、私鉄、運輸省を通じて担当者の検討の会議とか、そういう機関などつくって検討してみよう、それだけでもぼくは相当の効果があると思う。前向きで検討してみようというふうなことを運輸省として指導していく、そういう方針についてどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/4
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005・堀武夫
○堀政府委員 ただいまのお話で非常によくわかりましたが、指示権というものを法律的な根拠を持たして与えることによって、踏切保安員の士気の高揚と申しますか、あるいは地位の向上と申しますか、そういうところに非常に大きなねらいがあるという御趣旨のようにお伺いいたしました。非常にごもっともな御意見と存じます。私たちが検討いたしましたのは、指示権というものの法律的な実効性と申しますか、そういうものにおもに観点を置いて議論をいたしたのでございまして、少し観点が違っておったように思います。踏切保安員の士気の高揚ということも非常に大事なことでありますし、地位の向上ということも最近の交通事情から見まして非常に必要だということは私ども同感でございます。そういう観点からでありますれば、これは指示権を法律で根拠を与える与えぬということよりも、何か別途の、直接士気を高揚する方法はないか、あるいは地位を向上させる方法はないかという観点からむしろ検討をしたほうがいいのではないか、かように私存じます。
それで現在、踏切保安員の士気の高揚のために、表彰制度ということを、これは数年前からやっております。長年踏切保安員として勤務して、しかも無事故であったという方々に対しては、わざわざ東京までお呼びいたしまして、大臣表彰をやっております。これは非常に士気の高揚になっておるということを私は聞いております。これも現在やっておることで一つの効果がある方法だと思いますが、そのほかに、いま申し上げましたような趣旨から、効果のある方法はないかという観点から、さらに今後検討をしてみたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/5
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006・野間千代三
○野間委員 私が申し上げておる趣旨は、いま局長さんがふえんされたこととそう大差はないと思うのです。表彰制度もいいでしょうが、表彰程度ではなかなか実際の効果というわけにはいかないと思う。それはまあ属人的ですからね。そうではなくて、踏切保安掛そのもの、ぼくの言っておるのは保安職というものですからね。そういうことではなくて、やはり踏切保安掛の職務内容、職務規制、そういう点制度的に考えていただきたいというふうに思います。
それから私鉄の企業の中における踏切保安職員の給与実態と、それから国鉄のそれが受けておる給与実態というものとは、この前の御説明でもあったように、大体同じようなものだというふうに思うのです。これはやはり国鉄の取り扱いが私鉄に影響を与えるということだろうと思う。そこで国鉄の扱っておる扱い方がやはり問題になる。常務さん見えていらっしゃいますからちょっとお尋ねしておきたいのですが、いま申しましたようなことで、これは法律上のいま申しましたようなぼくの希望するようなことはそう簡単に結論が出ないような気がしますけれども、ひとつなるべく早く検討の機会を持ってもらうようにして、ただ、それと並行をして、やはり国鉄の方針としてどうですか。これはいま採用職ですね。これをやや一般的な、駅と施設がありますね、それのある部分を通ってきて、そして踏切に入ってくるというふうな階梯職というのですか、そういうことにこの位置を置いてあげる、置くというふうにすることによって、だいぶ給与の取り扱いなり何なりが変わってきやしないかというふうに思うのです。たとえば一ランクから四ランクというふうにありますけれども、ほとんどが一、二ランクのところに位しているわけですね。これは数は別にお尋ねしませんが、そう思います。ですから、そういうふうな職務の位置づけということもお考えになれるようなことだと思うのです。これは何もいま申しました、運輸省なり何なりで検討しての結論が出なければならぬことはないと思いますね。国鉄の踏切保安員に対する見方ということでできるはずなんです。いま申しましたように、非常に困難な仕事になってきておりますから、したがって、そういう意味での取り扱いを給与体系上されたらどうかと思うのです。これはどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/6
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007・川上寿一
○川上説明員 ただいま先生からいろいろ御指摘をいただきました点につきましては、実は国鉄におきます踏切保安係の実態は、保線関係あるいは駅関係の職員で相当に長い間国鉄に勤務をいたしまして、それから踏切保安係になるものと、新しく採用いたしまして、一定の教育を受けました後にすぐに踏切保安係になるものと、大体大きく分けて二つの型になっております。それで、踏切保安係の事故の実態をこれからながめてみましても、やや年長のものには、比較的事故が少ない。新しく入った人に比較的事故が多いという実態もございます。それから、先生がいろいろお話になりましたようなことは、国鉄の中でも、職階につきましていろいろ従来から議論をいたしておりまして、特に若い保安係で一ランク、二ランクにおります者は、踏切の勤務個所にもよりますが、実際には一段上げました手当をつけております。そういうことで、踏切保安係の職務の内容が重要であるということを従事員一般にも知ってもらうような措置を講じておりますが、現在ただいまの時点では、全職種の職務評価をやっておりますので、その結果を待ちまして、全般的な改定をやるつもりでございますが、これにだいぶ時間がかかっておりまして、ここ五、六年だいぶ長い間議論ばかりしておりましたので、全体の職務評価につきましてできるだけこの際早く結論を出したいと思っておりますので、それと関連いたしまして、先生御指摘のようなことを組み入れたいと思っております。
なお、私どもが考えております一種の連動化によりまして、踏切保安係の職務の実態が多少変わってまいります点もございますので、そういう点も加味いたしまして、できるだけ早く御趣旨に沿うような検討をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/7
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008・野間千代三
○野間委員 大体わかりましたが、ぜひこの問題、あとまだほかにありますから、あとはひとつ運輸省並びに国鉄のほうで、いまの踏切保安係の置かれている実態が私が言っておるようなことだろうと思いますので、十分な御検討をいただきたいという希望を申し上げて、この件は終わります。
ただ、私も大体はわかっておるのですが、踏切保安掛で、事故があったために起訴をされた方がおるわけですね。これは全国的に私鉄、国鉄を含めて相当な数で、しかもそれが起訴をされますと、大体最近の傾向はほとんどが実刑ですね。これはやむを得ないといえばそれまでですけれども、つまり、交通取り締まりといいますかそういう面が非常に大きくなってきて、もちろん犠牲者を少なからしめるためにそうなってきておるのでしょうけれども、踏切保安員が一生懸命にその職務を遂行をしている過程で、中には通過をする人の無理によって生じてきた事故で起訴されているのも実は実態としてはある。私も二、三そういう方々の実情について接触をしたことがありますけれども、これが実態です。したがって、そういう実態に置かれていることもひとつ御勘案をいただいて、できるだけ十分な処置をしてもらいたいと思います。この問題は以上で終わります。
次に、遮断機ですね、門扉がつけてある踏切、手動の場合、自動の場合があります。つまり第一種ですね。第一種の踏切で事故が起きるということが相当あるわけですね。これはもちろん保安掛の過失の場合もあるでしょうし、あるいは制止を聞かなかった場合もあるでしょうし、あるいは通行者の無理があって起きたという場合もある。いろいろありますね。ありますが、とにかくそういうふうに第一種の踏切であっても、やはり交通事故が起きているというのが事実であります。最近のお調べになった統計などで、一種踏切での事故件数、もしきょうお持ちでしたらひとつ御発表願いたいのです。何年の統計でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/8
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009・堀武夫
○堀政府委員 第一種でございますが、三十九年の実績で申しますと、国鉄で二百三件、私鉄で二百五十七件、合計四百六十件、それで、全体の事故件数は三十九年で四千六百九十九件でございます。この四千六百九十九件のうち四百六十件というのが第一種の踏切の事故、こういうことでございます。それで、一年前の三十八年を見ましても、国鉄、私鉄合わせまして四百五十二件ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/9
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010・野間千代三
○野間委員 国鉄、私鉄を合わせて一年間に四百六十件というのは一種踏切ですから、一種踏切での四百六十件というと、一日一回以上あるわけです。これはおそらく皆さんのほうでもちょっと意外な数じゃないかという気がすると思いますが、私も実は一種だけのというのはちょっと見落としておったのです。まさか全体の一割あるというように思いませんでした。つまり、遮断機が設置され、あるいはここには踏切警手さん、保安係がおるわけですね。この率はちょっと見ればわかりますが。おるものとおらない踏切がありますけれども、相当なパーセントになるわけですね。そうすると、やはりこれは相当意外な数だと思わなければならぬと思います。そこで、最近国鉄のほうで、やや自動化された踏切であっても、そこに保安係を設置をする必要があるということをお認めになられておるように伺っておるわけですが、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/10
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011・川上寿一
○川上説明員 第一種の最近の踏切事故の傾向を見てみますと、ただいま運輸省のほうからお話がありましたように、国鉄で三十九年度二百三件でございます。そのうちで一種手動の踏切が六十四件でございます。それから、その他の百三十九件は、一種自動踏切。この一種手動踏切のうちで私どもが責任事故と呼んでおります踏切保安係の過失によると思われます事故が、六十四件のうちの二十件を占めております。そうしますと、その残りの四十四件というものは、踏切を遮断しておるにもかかわらず、自動車が飛び込んでくる、あるいは締めかけておりますところをくぐってまいります、そういう事故なんです。したがって非常に交通量の多いところにおきましては、自動にいたしましてもそういう事故がかなり出てくることが予想されますので、連動化をいたしまして、なお保安係をつける理由は、とっさの場合に、指示権はございませんが、通行者に注意する、あるいは自動車の運転手、バイクに乗っておる人に注意するとか、あるいは踏切が締まりかかりましたときに入って、少し長い距離の踏切でございますと中でとりこになってしまう場合があります、そういった場合を見ておりまして、自動的に締まるのを一時ちょっととめて、そうして中に入っておる交通機関を外へ出してしまう時間だけ待ってまたおろす、そういったようなことをしてもらうために保安係をおきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/11
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012・野間千代三
○野間委員 いまのお話はたいへんけっこうだと思うのです。それで、この一種自動の百三十九件、それから手動のうちの四十四件、こういうものの傾向をもちろん調べなければ即断はなかなかできないとは思いますが、あるいは常識ではそういうことはあり得ないようなところで、ある場合がありますね。ぼくは考えてみて、大体は非常に締まっている時間が長い、つまり構内入れかえのところ、あるいは線がたくさんあるところ、そういうところがおもじゃないか、それ以外に傾斜勾配のところ、道路のほうが傾斜のところ、あるいは中には私鉄と国鉄が並んであるところがあるところ、それから幅員が相当広いところ、それから見通しが困難なところ、付近の道路状況が、たとえば踏切を出てすぐ十字路があるというような状況、それから交通量と通行量が相当多い、こういうふうにいろいろ言えると思うのです、こういう踏切のいろんな状態をとらえてみて、それに幾つかが該当する、たとえば一つの踏切があって、その踏切は、いま私が列挙したようなものの中での二つか三つに該当するというところは、どうも事故が発生する危険性があるのではないかと思えるのです。したがって、ある程度の基準をつくってみて、これに該当するところは、いままでに事故があったなしにかかわらず、自動にしても踏切要員を設置をしておくというふうにしたほうが安全ではないかというふうに思うのですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/12
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013・川上寿一
○川上説明員 大体いま先生の御指摘になったような方針で私どもも、連動化いたしましても踏切保安係をつけることにいたしておりますが、いま申されたような場所につきましては、立体交差化の基準の一万台時を上回らないところでも、できるだけ早く立体交差ということを考えまして、今回の第三次長期計画につきましても、ただいま提案されております法律案にかかわらず、私どもとしては立体交差化の候補に含めまして数量を計上しておりますので、そういう場所につきましては可能な限り早く立体交差化する、それまでの間は、先生の御指摘のような保安係をつけておくという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/13
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014・野間千代三
○野間委員 それではその件は以上で終わることにいたします。
次に別の問題に触れたいと思いますが、運輸省から出されました踏切道法律案参考資料によりますと、四十年十二月三十一日現在の状況が、法指定の踏切が六千七百四十七、これの竣工したものが五千九百二十、工事中が百二、達成率が八九・三%。これが立体化、構造改良というふうに分かれておるわけですが、それで今度は、四十一年から四十五年までに予定される数というのが第五番目にあるわけですね。法指定の予定されるものが六千九百五十、立体交差が六百、構造改良が二百五十というふうにあるわけですが、そうすると、四十年十二月三十一日現在までのうち、これは延長される法律が施行されてからの大体の数字だというふうに見ていいだろうと思う。今度は四十一年から四十五年まで法律を延長するのだが、大体それによるとこういう数字が生まれてくる。したがって考え方としては、これを法律の延長によって施工をしていく、こういうふうになるのだろうと思います。そこで三十六年から四十年までに国鉄が踏切改良に投じた費用は、国鉄の資料によると三百一億四千万円だったと思います。それで、私鉄が三十六年から四十年までに投下した費用、それから建設省が援助をした額、こういうものはお手元の資料で出るでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/14
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015・堀武夫
○堀政府委員 三十五年から三十九年までの五カ年間について申し上げます。
国鉄と私鉄を合わせまして、三十五年十五億、三十六年十六億、三十七年が三十五億八千百万円、三十八年は六十億七千二百万円、三十九年は五十九億七千八百万円、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/15
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016・野間千代三
○野間委員 それで四十一年からこの法律がまた延長をして、四十一年から四十五年までのうち予定をしている計画、国鉄の場合には七カ年計画で約五百五十億ですね。それから私鉄の場合には、たしか保安対策計画が出ておると思いますが、私鉄の場合、それと建設省なりで補助をする予定をしておる金額、こういうものはこの法律を延長することに基づいて考えておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/16
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017・堀武夫
○堀政府委員 お答えをする前に、先ほど申しました数字は立体交差だけの数字でございます。
さらに、踏切保安の数字を先に申し上げておきます。三十五年が五億九千五百万円、三十六年が十三億五千百万円、三十七年が二十一億九千四百万円、三十八年が四十九億六千三百万円、三十九年が六十六億四千九百万円、これが踏切保安設備のほうです。
それで、今後の四十一年から以降の五カ年間の計画でどれくらい投資することになっておるかという御質問でございますが、国鉄につきましては立体交差で五カ年間だけとりますと四百五十億、それから構造改良に三億、それから踏切保安設備に七十六億。それから私鉄を見ますと、私鉄は立体交差化に四百五十億、それから構造改良に六億、それから踏切保安設備に四十六億。合計いたしますと、国鉄、私鉄合わせますと、立体交差化に九百億、構造改良に九億、踏切保安設備に百二十二億、こういうことになります。
それで、道路のほうでございますが、道路のほうでは、三十九年から四十三年までの計画で一兆四百億という計画の数字がございます。これは建設省の方が来ておられますから、そっちのほうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/17
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018・野間千代三
○野間委員 いまの数字を見ると、四十年が明確でありませんが、三十五年から三十九年と、四十一年から四十五年までの金額とそう大きく増加するということにはなりがたいのじゃないかという感じですね。そうすると、大体三十五年から進んできた改良と同じようなテンポで四十一年からも進んでいくというふうに概括していえるのじゃないかというふうに考えられるのです。それでまいりますと、先ほどから問題になっている踏切事故を解消するための諸方策が——もちろん三十五年から三十九年あるいは三十六年から四十年までが、相当大きな踏切問題が起きてきての措置であったのでありますけれども、最近の傾向を見ると、四十一年から以降の踏切対策というものが、現在の状況でやはり相当重要性を帯びてくるという状況ですね。そういうものを考えてみると、せっかく踏切道改良促進法の延長をするというふうにしても、従来のテンポと同じような延長の方策だというふうになってくると、これはやはり、踏切道改良という観点から見ると、多少どうも問題がありはしないか。もう少し急速に改良する必要があるのじゃないかというふうに思えるのです。そういう点で、踏切道改良に対する投資額の増加というものをもう少し考え、あるいはこの一、二年、四十一年、四十二年、四十三年と、三年計画あたりに相当重点的に投資をする必要があるというふうに考えられるのですけれど、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/18
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019・堀武夫
○堀政府委員 国鉄の七カ年計画がございますわけですが、その中でも保安対策というものを一つの柱にしておるわけでございます。それで、当然この踏切改良に重点はあるわけでございますが、年次計画というものは、来年度の分は立っておりますが、それ以後の分はまだ具体的に年次計画というものは立ってない。ただいまの御趣旨をよく尊重いたしまして、これからの年次計画の樹立の際には、当然そういうことを十分考慮に入れて国鉄のほうで立てていくように指導したいと思っております。
それから私鉄のほうにつきましては、三十九年から四十一年までの三カ年計画があるわけでございますが、四十一年は三カ年の最終年度になるわけであります。
さらに四十二年以降の分につきましては、これから新しい長期計画を立てるように指示をしておりますので、その際にも、ただいまの先生の御趣旨を十分盛り込んでいきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/19
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020・野間千代三
○野間委員 国鉄のほうは七カ年計画で一応の予定を五百五十億ですか、組んでおるわけですね。この五百五十億という国鉄の考え方にも、二兆九千七百二十億ということから考えてみると、踏切改良に回してくる金額をもう少し四十一年、四十二年、四十三年あたりに詰めていく、国鉄としてはそういう措置はできると思うのです。ですから国鉄のほうでは、そういう点についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/20
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021・川上寿一
○川上説明員 七カ年計画で踏切関係に五百五十億、その他空頭というようなところの改良に五十億、総額六百億を考えておりますが、私ども現在四十年から四十三年までを前期と考えまして、それ以後を後期としてややこまかい計画を立案中でございますが、現在前期におきまして、踏切ばかりでなく保安設備一般につきましては、ほかの項目と別に、できるだけ前期にたくさんの金を投じて設備をつくるというところで、ただいま正確な数字を覚えておりませんが、五六%くらいを前期に使う予定でございます。全体の平均といたしますと、前期に四十数%だと思いましたが、踏切及びその他の保安設備については五十数%というふうにパーセンテージを上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/21
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022・野間千代三
○野間委員 いま国鉄から御回答があったのですが、前期のほうにやや重点が置いてあるわけですが、この法律の五カ年というのは、いまの踏切状態から見ると五カ年というよりも前半の三年に重点を置くべきである、社会党が提案をしている計画もそういうふうな考え方で提案をしておるのですが、私鉄のほうでも四十一年までの三カ年で一応終わるとして、国鉄と合わせれば四十二年、四十三年、この二年が私鉄のほうでは相当重要な年になるというふうに思いますので、ぜひ前半のほうに重点が置かれるように改良促進の指導をすべきだというふうに思います。
それから金額のほうは、総体として非常に少ない。これは特に私鉄などでは国からの補助の条件がきびしいわけですね。法律、省令によって規制されておる、こういう関係で相当きびしいので、これは私鉄という企業の形態から見ると、こういう保安のほうに回すというのは相当困難性があるのではないか。そこでああいうふうな省令、施行令等で規定されている方法でなくて、もう少し積極的に政府のほうで私鉄のほうのめんどうを見るとか、保安設備についてめんどうを見るということは、起債等に対する援助ではなくて、補助そのものについてもう少し考えてあげる必要があるのじゃないかと思うのですが、これは運輸省ではいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/22
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023・堀武夫
○堀政府委員 踏切保安設備につきましては、当然それを横切る道路の通行人に対する危険をなくするようにいろいろな設備をするということは、鉄道事業者にとっての社会的責任である。これは国の補助のあるなしにかかわらず当然やるべきものであるというふうに、まず原則的に考えておるわけであります。それでその社会的責任が、鉄道事業者が経営が非常に悪くてどうしてもできないというような場合には、それをほっておくわけにはいかないというので、そこで初めて国が補助をする、こういう考え方をいたしておるのであります。
それから立体交差とか構造改良ということになりますと、これは相当金もかかりますし、その立体交差化しなければならない事情というのは、鉄道を敷設した後において交通量が非常にふえたというようなことも最も大きな原因になっておるわけでありますので、立体交差化までにつきまして鉄道事業者に全部やれというのは酷であるということで、それはむしろ交通渋滞の除去という観点から、道路側が主体になるべきである。鉄道事業者側は、その受ける利益の限度において金を出す、こういう考え方をいたしておるわけであります。したがって立体交差化あるいは構造改良の場合には国が補助をする規定は設けてない、こういう考えです。それは自分が受ける利益の限度内において負担をするということになっておりますのでそうなっておるわけでございます。
それから踏切保安設備につきまして、もっと条件を緩和して、もっと補助できる範囲を広げたらどうかということでございますが、先ほど申し上げましたように、これは鉄道事業者の社会的責任であるということで、自分の力でできるものに対しては当然自分の力でやらすべきものであって、できないものにだけ国が補助をする、こういう考えに立っておりますので、したがって赤字会社あるいは準赤字会社というものに対してのみ補助をする、こういう考え方をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/23
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024・野間千代三
○野間委員 それはそのとおりなんですね。そういうことで省令や法律ができておるのです。確かにまた企業者が、社会的責任として交通の安全を確保する重責がもちろんございます。ただ企業者の責任において保安設備をするというのは、これは企業者として当然な措置なのですけれども、最近の特に急速に発達をしてきた都市の状況、これは政府の施策によってこういう都市の状況が起きてきたわけです。それが踏切にあらわれてきている状態が、人命の尊重なり、あるいは事故なりということに出てきておるわけです。私鉄という企業が利益を追求する企業であることは、これまた否定ができません。したがってその範囲で、やはり収入の期待されるものについては熱心に投資をするけれども、保安設備のような問題についてはなかなか手が回りかねるという点が、これは正直に言って実態としてあるわけです。したがってこの促進法という法律が生まれてきて、それによって規制をしてやらせるということまで出てきておるわけです。であるとすれば、やはりその法律が期待している状態に保安設備が進んでいくように、単に法律の規制によって指導するだけじゃなくて、財政的にある程度の裏づけをもう少しして、できるだけ保安設備が急速に完備される必要のあるときですから、そういう意味でもう少し政府のほうでも積極的に援助の方法を考えるべきじゃないかというのが当然だろうと思うのです。局長の言うような状態は、平時といいますか、通常の状態であって、いまのような踏切の、しかも促進法という法律までつくってやらなければならぬということから考えると、それに対する裏づけとして、政府のほうの積極的な姿勢が必要じゃないかというふうに思います。これは希望ですが、そういう希望を申し上げておきたいと思います。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/24
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025・古川丈吉
○古川委員長 内海君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/25
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026・内海清
○内海(清)委員 踏切道改良促進法の一部改正に関する法案が提案されておりますが、この踏切道改良促進法は三十六年にできて、四十年までの時限立法である。これをさらに延長しようというのでありますが、このことは今日までの経過を見まして、非常に重要な問題である。特に統計から見ましても、これができたために踏切の事故件数が非常に減少しておるということであります。しかし今後これは十分進めなければ、なお自動車の数がふえるとか、あるいはいろいろな交通機関が発達していきますにつれて、一そう今後に問題を残すのじゃないかというふうに考えておるのであります。
そこでこの参考資料に出されております五のところでありますが、四十一年から四十五年までにおきます指定予定踏切道数というものが出ております。国鉄、私鉄でそれぞれの種別が出ておるわけでありますが、それの中の立体交差化というものが、国鉄、私鉄合わせて六百カ所ということになっております。これが国鉄、私鉄でどういうふうな区分になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/26
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027・堀武夫
○堀政府委員 この六百カ所の内訳は国鉄が四百五十カ所、私鉄が百五十カ所でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/27
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028・内海清
○内海(清)委員 これははっきり国鉄が四百五十カ所ということと私鉄が百五十カ所ということで、これが一本でここへ出されておるのはどういう理由か。何か理由がありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/28
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029・堀武夫
○堀政府委員 この資料をつくるときまでにこの内訳がはっきりしなかったので、一応六百、こうやっておいたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/29
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030・内海清
○内海(清)委員 今後五カ年間に、その表にあるような個所がそれぞれ改良されていくわけであります。これはまことにけっこうだと思うのでありますが、今日私ども考えまして、大都市の周辺におきまする踏切の整備というものはかなり進んできた。これはもちろん大都市並びにその周辺における事故が最も多いということで、当然のことでありますけれども、地方の都市におきましても、御承知のようにだんだん産業の発展というようなことで、非常に踏切によって障害を受けておる個所が多いわけです。特に地方都市になれば、相当の交通量があるにもかかわらず、今日なお立体交差が一カ所もないというような地方都市が相当あるわけです。そのために非常に交通が阻害され、同時に危険度が増してきておるという状況があるわけであります。そういう点から考えますと、もちろん大都市並びにその周辺を早急に整備する必要もありますけれども、地方都市におきましても、その都市の実態を見て、やはり早急に考えなければならぬ個所があると考えるのであります。そういう点につきましては、どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/30
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031・堀武夫
○堀政府委員 立体交差化が大都市はもちろんのこと、中都市におきましてもあまり進捗をしていないということはそのとおりでございます。この法律の目的であります交通の危険を除くということと、交通の渋滞を除去する、この二つの目的からしますと、都市周辺における交通の渋滞ということが、踏切があるために非常に難渋をしておるということも事実でございます。これはこの法律の目的からして、何とか促進する方法を進めなければならぬのでございますが、都市周辺における立体交差をやる場合には、用地買収とか、あるいは付近の商店街との関係とか、それから非常にばく大な経費がかかる、あるいは地元との折衝に非常に時間がかかるとか、その道路によって国道である場合もあるし、府県道である場合もあるし、市町村道である場合もある。いろいろ複雑な事情がございます。そういうような関係から、ただやたらに法律上の指定だけすればそれで済むというものでもございません。これはやはり資金的な裏づけがあって初めて効果が上がるのでございますから、できるだけ資金的な努力と申しますか、措置を進めていくことが、それを推進する一番大きなポイントではないかと思います。今後の予算においてそういうような努力をしなければならぬ、かように存じておるわけです。特に大都市におきましては、踏切が幾つもございまして、一つだけ立体交差できない。連続してある踏切に対処するためには、むしろ高架化、ずっと線路を持ち上げるというようなことが最も効果的な方法として考えられるのであります。ところがこれも一カ所だけでも相当金がかかるのでございますので、高架化すればもっと金がかかる。ところが鉄道事業者自身にとりましては、高架化することによって、そのことだけで収益が上がるというわけではないというところに、なかなか高架化に踏み切るということができない事情にございますので、やはり何か、そういう高架化を促進する措置が要るということで、この三、四年、鉄道高架化促進法というものをわれわれも考えまして、高架公団というものをつくってそれに当たらすとか、そして財政資金も導入する、こういう構想で予算要求をしてきたわけであります。これもいろいろな事情がございまして、なかなかそこまで実現の運びには至らなかったということでございます。今後におきましても、何らかこの構想というものを生かすように努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/31
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032・内海清
○内海(清)委員 この点については真剣に考えておられるようでありますけれども、大都市におきましては高架化という、このことが一番進められていかなければならぬ問題だと思うのであります。もちろんいろいろ困難があることは、私どもよく承知いたしております。でありますが、このことは真剣に考えて進めていかなければ、だんだんおくれるほど、これは地価の問題もございましょうし、あるいは補償の問題もいろいろかさんでまいりましょうし、ますます困難になると思うのであります。大都市におきましてもいまお考えになりましたような何かの方法で早急に進めていかなければなりませんが、私は特に地方都市におきまして、地方都市の高架化まではなかなか進みにくいという場合がある。ところがその都市が産業などが非常に発展した場合に、立体交差が一つもないということで非常な支障があるという都市があるのであります。もちろんこれらにつきましては、国鉄の各地方の局においてもそれぞれ地元と相談して、いま真剣に考えておられるように思いますけれども、各都市の実態をはっきりつかんで、そうしてその都市における最小限の踏切措置は早急に行なわれるべきでないか、こういうふうに考えるのであります。とかく大都市が中心になりますが、地方のそういう中小都市においてもやはり見のがせない問題があると思うのです。これらについていまどういうふうにお考えになっておるか、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/32
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033・堀武夫
○堀政府委員 先ほど申しました立体交差化の六百カ所の中には国鉄が四百五十カ所あるわけですが、国鉄の計画の中を見ますと、地方の中都市の付近というものも相当入っております。
それから私鉄はおおむね大都市周辺が多うございまして、大都市が中心になっておりますが、国鉄におきましては相当部分が、地方中都市のものが入っているということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/33
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034・川上寿一
○川上説明員 ただいまのお答えに補足させていただきますが、いま鉄監局長から御説明のありましたとおり、国鉄の立体交差の長期計画は約七百カ所を予定しております。そのうちで、先ほど申されましたとおり、今後法指定になりますと思われるものが四百五十カ所ほどございますので、それ以外のものは国鉄が独自の立場で立体化をしていきたい。ただ先生の御指摘のように、地方中都市でありましても踏切の数が非常に多くて、法指定はそのうちで一カ所か二カ所であるけれども、法指定でない踏切がその中間にあるというところでは、高架化をしなければあまり意味がないわけでございますし、国鉄側といたしましても線路が上がったり下がったりいたしまして非常にぐあいが悪いわけでございます。そういう点につきましては、地方の中小都市からのいろいろな御要望もございまして、ただいま私どもの手元に約五十カ所くらいの申し込みがあるわけでございますが、ただこれを全面的にやりますには、高架化がキロメータ当たり約二十億くらいかかりますので、そういう金は実は長期計画の中に見込んでないわけでございます。したがってこれら中小都市の大規模な高架化につきましては、国鉄としてはなかなか困難な問題だと思っておりますが、今後それぞれの個所といろいろ御相談をいたしまして、できるだけ進めていきたいという方向で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/34
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035・内海清
○内海(清)委員 よくわかりましたが、地方の中小都市のこういう施設につきましても最小限の措置は急ぐべきである、こういうように考えるのであります。もちろんこれは道路側との関係もありますし、あるいは一般の民家との関係も出てまいりますし、いろいろ複雑な問題があることは当然であります。地元ともよく御連携の上で、ひとつ今後真剣に考えて進めていただきたいと強く要望しておきたいと思います。なお、いずれまたこういうふうなものが具体的になってまいりましょうから、その節いろいろ論議をいたしたいと思います。
次に、国鉄に一つお尋ねをしたいと思いますのは、いま立体交差その他のあれにいたしましても、そこの表に出ておるようなことであり、ことに立体交差は指定よりもなお二百五十カ所も国鉄は考えておられるようであります。国鉄で一応表に出ておりますような個所を想定した場合に、それに従事しておる踏切の保安要員、これは数がどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/35
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036・川上寿一
○川上説明員 ただいま踏切保安掛の総数は約六千六百人でございます。それで、今回の長期計画で踏切除去をいたしましたり、あるいは一種自動化をいたしましたりということで、大体約半数くらい——半数よりよけいかと思いますが、人数が減ることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/36
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037・内海清
○内海(清)委員 踏切の保安要員が約六千六百、そして今度のこの保安設備あるいは立体交差、構造の改造というようなことで、この半数以上が過剰になって減る、こういうことであります。この問題は踏切の保安要員という、従来国鉄の中でいわば比較的職階の低いところに勤務しておった人であります。これが当然配転されるわけだと思いますが、これは非常に重要な問題だと思うのであります。従来こういうふうな者の配転の場合には、どういうふうな措置をとってきておられますか、それをひとつお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/37
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038・川上寿一
○川上説明員 踏切保安掛の配転につきましては、従来から三種化あるいは立体交差化あるいは自動一種化によりまして配転をやってきたものでございますが、前にもお話し申し上げましたように、保安掛の年齢層が比較的高年齢層と比較的若年層とに分かれておりまして、中間年齢層はわりあいに少ないわけであります。高年齢層で特に高年齢の方々につきましては、それぞれ就職をあっせんいたしまして、部外に出る方がございます。それから、その他の場合につきましては、希望職種を本人から聴取をいたしまして、できるだけ希望職種に転勤をさせるという方法をとっておりますが、その場合に、転職先によりましては転換教育を行なわなければ転職をさせられない場合がございますので、これは国鉄のほうで転換教育をいたしまして、その際にできるだけ転職の道を講ずるというふうにいたしております。また、宿舎その他につきましても、できるだけ宿舎を確保するというようなことで、場合によっては、その本人とその本人が属しております組合と話し合いをいたしまして、円満に転職あるいは退職をしておりますので、今後も、大体七カ年間にこの程度の数字でございますと、従来の経験から見ましてあまりトラブルがなくてそういうことができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/38
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039・内海清
○内海(清)委員 踏切が改良されまして、そうして余剰人員になった者はそれを配置転換する、その中で高年齢の者は部外に出る、これは本人のそういう希望があれば問題ないと思います。中間の年齢層あるいは若年の人であって希望の職種というものを本人が出しまして、それによって必要があるならば教育する、あるいは居所の関係からいえば、必要であるならば宿舎も提供するということでありますが、これは私ども工場などにつとめておりまして、配転の問題は非常にやっかいである、従来自分の従事しておった仕事とかなり変わるというような場合には、やはりそこには教育訓練をして出さなければならぬが、教育訓練していっても、ことに相当の年齢の人であるならば、その職場に入ってほんとうに溶け込んで、その仕事になじんでやるということはなかなか困難な問題が多いわけでございます。そのためにいろんな問題を起こすことがあるのであります。なるほど教育訓練して、転換します職場の仕事に十分なれてくるということ、あるいは宿舎の面などもありますが、先ほど申しましたように、比較的職階の低いランクの人である。したがって、給与の点等におきましても、あるいは行く職場、こういうふうなものによってはなかなかそこらの均衡と申しますか、むずかしい問題があると思うのであります。そういうふうな給与面ではいままで何も別にございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/39
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040・川上寿一
○川上説明員 これは従来の配転の場合に、国鉄の近代化によりまして配転をするという場合には、近代化等に伴う特別手当に関する協定というものがございまして、その協定に従ってやっております。従来私どもが普通の近代化に伴う場合はすべてこれでやってきておりますので、これを適用してやってまいりますと、昇給の起算点が少しさかのぼりますのと、配転の手当が少し出るということがございます。それから、ごく特殊な例といたしまして、志免鉱業所を廃止いたした、こういったような場合には特例をつくりましてやりましたが、踏切の場合は、ただいまのところ普通の近代化に伴う配転というふうに考えて扱っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/40
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041・内海清
○内海(清)委員 給与については、近代化ということで特別手当が出ておるということです。これはもちろんそれによって本人なり労使の間で十分な理解、合意ができればけっこうだと思います。ところが、いまお話しされました志免鉱業所を閉鎖した場合には、その上にいわゆる特例というものを設けたということであります。これは全然仕事が変わってくるということか、あるいは大量であったということか、これはどっちの部類に属しますか。どういうことでこの特例が設けられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/41
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042・川上寿一
○川上説明員 これはただいま先生がおっしゃいましたように、非常に短期間に大量であるということと、全く違う職場に転出しなければならないということと両方ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/42
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043・内海清
○内海(清)委員 両方ということでありますが、こういう問題が一度出ますとあとの話し合いは非常にむずかしくなるのではないか。今度は七カ年間に三千五、六百人か四千人ということであります。これも決して少数ともいえないわけであります。踏切の場合は非常に短時間というわけにもいかない。あらかじめ予定されて、それに対する訓練も行なわれ、教育も行なわれていくということかもしれませんけれども、こういうふうな点が、新しい職場に移ってそこでなかなか仕事になれないということ、職場に溶け込めないということ、さらに給与面でそこに格差が出てきますと、これが一番その後におきまする生産の面に影響してくる問題だと思う。これもやはり本人の気分の問題ですね。そういう点でことに給与側としても、従来の点から見ればいわゆる配転に二通りあるということですね。ここらに私はやはり今後問題を残しはしないかというふうに考える。だから近代化というのはどの範囲を言うのか、あるいは特例はどういう場合を言うのかということも問題になると思う。いずれにいたしましても、この場合一番重要なことは、踏切の保安要員で不要になった者の配転については、あくまでも労使の間で十分話し合っていただいて、お互いの理解、合意の線に沿ってこれがやらるべきではないかというふうに思うのです。これに関する教育訓練、あるいは宿舎の問題を解決してやることもちろんでありますが、さらにいまお話のございましたような配転における手当の問題につきましても、十分話し合いで理解と合意の上でやっていただきたいと思います。こういう二通り出てきますと、どうしてもいいほうばかり——私はかわりとうない、他の職場に行きとうないという問題は当然起きてくるのです。でありますから、いままで実際にそういうことがありますので、今後におきましてもこの点は十分労使の間で検討していただいて、お互いの理解と合意の上に立ってこれを進めていただかなければならぬ、こう思うのであります。そうしてこの踏切の整備が行なわれるように強く要望いたしまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/43
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044・古川丈吉
○古川委員長 泊谷君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/44
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045・泊谷裕夫
○泊谷委員 私の質問は二十三日にやらしていただきますけれども、資料をお願いしておきたいのです。
まず国鉄関係ですが、昭和三十六年の白紙ダイヤ改正前とその後の列車密度の対照をひとつお願いしたい。
二つ目は、過去五カ年の運転事故の実績と列車衝突、脱線事故、踏切事故その他に分類して、そのうち部内の責任事故、職員の責任事故になる件数を別にしていただきたい。あわせて国際連合の資料にあります世界各国との事故件数の対比、これが二つ目です。
三つ目は、人口十万、五十万、都市の選定はおまかせいたしますけれども、これらの踏切実数、事故実数。
それから四つ目は、郊外踏切の事故の多発実績とその事故の原因について国鉄でいままで見る事情、これをお願いしたいと思います。
次は委員長のほうを通じてお願いしたいのですけれども、建設省に、道路建設計画の中に占める人口集中率の動向と道路拡張方針、特に踏切廃止計画とその財源措置。それから警察関係にお願いしたいのですが、大体五年程度に割りまして、昭和三十年、三十五年、四十年の交通渋滞の実績、大体東京、大阪、福岡、札幌程度のところのものを、二十三日の質問が始まる前までにひとつ提出していただくようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/45
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046・古川丈吉
○古川委員長 高橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/46
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047・高橋禎一
○高橋(禎)委員 時間がございませんから率直に、簡明にひとつお尋ねいたしたいと思います。
先ほど内海委員の質問があり、それに対して当局からの答弁のございました地方中小都市における踏切の問題でありますが、これは御承知のとおりに、この踏切道の改良促進法に基づいて出ております省令の、しかも立体交差化の指定基準に該当しないで、すなわち法指定を受けることができないで、しかしながら非常に交通の不便を感じ、また事故も発生する、こういうことで地方の住民は非常に困っておるというのが実情であります。よくわかりやすく例を言いますと、私の住んでおりますのが広島県の福山市です。あそこは御承知のとおりに、福山駅を中心にして、構内にあるものをも含めまして、その付近にたしか六カ所ぐらいの踏切があるわけであります。一つ一つの踏切をとりますと、この指定基準には入りかねるのではなかろうか。もっとも最近の交通量等を調査してみておりませんから、その点わかりませんですけれども、あるいはボーダーラインじゃないか、こう考えられるわけです。その程度のものがその付近に六カ所もありまして、しかもこれが交通を遮断されましたときには、自動車その他が長蛇の列をなしてそこで待機をしておるというようなことがしばしばあるわけであります。そうしてその間における一般通行人の声としましては、国鉄に対して怨嗟の声がしきり、こういう実情であります。立って待っているのが、特に構内の場合には非常に長いものですから急ぐ、そして非常な不便を感ずる。その時間が長いということは、ほかにはもう話が出ないものですから、その間に非常な不平不満というものをぶちまけておるということを、毎日毎日その数カ所の踏切において繰り返されておるということは、愛される国鉄の姿ではない、こう私は思うのであります。
そうして最近の傾向としまして特に申し上げたいのは、ちょうどけさの新聞でありましたかに出ておりましたように、中国地方、四国地方、九州地方において人口の増加しておりますのは、広島県だけなんです。そしてその広島県だけで人口の増加しておる個所としましては、広島及びその周辺と、福山市及びその周辺の地区なんであります。しかもあそこは工業整備特別地域に指定されておって、いまや新しい産業都市建設のために一生懸命努力しておる。ですから、交通量は非常に多くなってくる傾向であります。現実の問題、毎日毎日その数がふえておるというようなときに、法指定をなされる場合には、一体どういうふうな態度で一それを一括して見られる方法があるものかどうか。特に省令等見ますと、必ずしもそれはそう簡単にいかないように思えるものですから、この法改正とともにこの省令改正等なさって、この指定基準というものについて、緩和と言ってはちょっとことばが当たらないかもしれませんですけれども、現地に即応して、それで困難な問題が解決し得るような方法を考えておられるかどうか、それについてのお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/47
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048・堀武夫
○堀政府委員 立体交差の場合の指定は省令がございまして、この省令によりますと、一日当たりの交通遮断量と申しますか、遮断しておる時間と、通る単数と掛け合わした数字が一万台以上になっておるところ、こういうような基準がございまして、これによって現在はやっておるわけでございます。これはもちろん省令でございますから、実態に即するように見ていくということは、これはむずかしくないことだと思います。それでまず今度延長するにあたりまして、われわれはまず一ぺん実態調査を全部やってみようということで、私鉄、国鉄を問わず実態の調査を近くやるようにいたしております。それを調査いたしました結果、この基準と申しますか、あまり適当でないということになれば、また変更することもあるかもしれません。とにかく実態を一ぺん調査した上で、今後のやり方というものを再検討してみたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/48
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049・高橋禎一
○高橋(禎)委員 御意思はよくわかりました。私の考えますことは、その付近の数カ所の踏切の問題を解決するために、一つの施設をもってやり得るというような場合には、既存の省令のしゃくし定木の解決ではどうかと思いますので、そういう基準というものも将来どうするかということを十分お考えくださって、総合的な解決ということがなされるのが適当ではないかと思うのであります。そういたしませんと、国鉄のある線路の一方は非常に発展をするが、他方は発展を阻害しておるというようなことでありまして、国鉄がその都市の均衡のとれた発展を阻害するというようなことじゃまことにどうも遺憾だと思いますから、それらの点を十分御研究願いたいと思うのであります。
そこでもう一つお尋ねをしておきますが、この法指定によって指定されたところは非常に促進されますけれども、そうでない場所が取り残されるようなことはないかということの懸念についてであります。それについては先ほど局長から高架線の問題等をお述べになる際に、大体の御意思はうかがえたわけでありますが、一方で指定されたものだけが促進されて、そうでない部分が取り残されて、しかもその土地の人がその踏切問題解決に対しての希望が持てなくなるというようなことになりますと、またこれはたいへんだと思いますが、それらについてもう一度ひとつお考えをお伺いいたします。
それからもう一つ、これで終わりですが、地方財政というものが御承知のように非常に貧困なわけでありまして、いわゆる立体交差に関する施設をいたします場合の費用負担の問題で、いろいろむずかしい面があるわけであります。特に先ほど例を引きましたような総合的な施設によって問題を解決しようということになりますと、多額の費用を要するわけでありまして、その財源ということについては、これは法律によりますと運輸大臣がいろいろその資金の確保に関しての措置を講ずるよう御配慮なさるというふうになっておるのでありまして、それらをも含めて、現在の地方財政の非常に困窮しておるということをお考えくださって、しかしながら踏切問題を解決しなければならぬ必要性にも迫られておるわけでありますから、それらをどう処置するかということについてのお考え等もあわせてお伺いをいたしまして、もう時間も参りましたからこれで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/49
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050・堀武夫
○堀政府委員 最初の点でございますが、立体交差の進むものはどんどん進む、それで取り残されたものをどうするかという御質問だと思いますが、これはわれわれといたしましては、法指定をする際に、できないものを——いろいろな障害があってすぐにはできないということがわかっておりながら指定をしてもあまり意味がございません。ですから指定する前に、可能性ということを十分確かめた上で指定をいたしておるわけであります。したがって取り残されたものというのは、相当な障害があるということでございます。その障害はどういうものであるかということを、取り残されたものについて具体的によく確かめないと、これは金が非常にかかるというだけなのか、それとも所有権その他の問題で何か非常にこじれてできないとか、物理的にできないという場合もございましょう、いろいろな事情がございますので、これが克服できる障害であるならば、克服するように対処するということであるべきじゃないかと思います。そういうことで、やはりケース・バイ・ケースについて何が障害になっておるかということを検討して、それに対処をしていきたい、かように存じます。
なお、法指定をしなければ立体交差ができないという筋合いのものでもございません。現に法指定によらないもので、三十七年以降四年の間に五百五十カ所も立体交差をしておる例もございますので、法指定がなくてもできるという場合もございます。
それから第二点でございますが、地方財政を圧迫することはないかということでございますが、立体交差をする場合に、道路管理者が国である場合は、これは建設省の予算で相当負担をしてもらうことになるわけであります。府県道等の場合、やはり地方財政にかかってくるわけでございます。鉄道事業者にかかってくる場合につきましては、私のほうでできるだけ開銀融資等の措置をいたしまして、資金の確保につとめております。府県のほうで分担される分につきましては、これは起債とかいろいろの、国でなし得る援助を建設省のほうでめんどうを見ていただいておるということでございます。今後もできるだけの努力をしていかなければならぬ、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/50
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051・古川丈吉
○古川委員長 次会は、来たる二十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105103830X01819660318/51
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