1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年四月二十七日(水曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 天野 公義君
理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君
理事 河本 敏夫君 理事 田中 榮一君
理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君
稻村左近四郎君 内田 常雄君
小笠 公韶君 海部 俊樹君
神田 博君 田中 六助君
三原 朝雄君 早稻田柳右エ門君
石野 久男君 大村 邦夫君
沢田 政治君 實川 清之君
島口重次郎君 麻生 良方君
栗山 礼行君
出席政府委員
通商産業政務次
官 進藤 一馬君
委員外の出席者
中小企業庁長官 影山 衛司君
—————————————
四月二十六日
中小企業合理化機械貸与制度創設反対に関する
請願(田中榮一君紹介)(第三四三九号)
同外四件(佐々木秀世君紹介)(第三四四〇
号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
官公需についての中小企業者の受注の確保に関
する法律案(内閣提出第一四二号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(板川正吾君外十八名提出、衆法第二
二号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(麻生良方君外一名提出、衆法第三四
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/0
-
001・天野公義
○天野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案、板川正吾君外十八名提出官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案、麻生良方君外一名提出官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案を議題として審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。麻生良方君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/1
-
002・麻生良方
○麻生委員 この法律につきましては、私どものほうの党におきましてもすでに提案をいたしておりまして、大体の基本的な方向については、政府案も私どもの案も、また日本社会党から提案されております案も相違点はないと思うのでありますが、ただ私はこの際一つだけ大局的な立場に立って、この法律の具体的な要項に入る前に、政府のこの法律を出すにあたっての基本的な考え方を少しお伺いを申し上げておきたいと思います。
初めに、つかぬことのようですが、この法律を何のためにお出しになったのか。この目的はここに書いてありますけれども、特に経済全般の情勢の中でこの法律をお出しになった基本的なお考えをお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/2
-
003・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
今回、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律を提案いたしますに至りました理由でございますが、御承知のように、ただいま日本経済全体が不況の中に沈淪しておるわけでございまして、その中で特に中小企業者がその不況の影響を強く受けておりまして、私ども中小企業者の人たちの声を聞いてみますのに、まず何をやってほしいかということに対しましては、受注が非常に減少をいたしておるから受注の増大をはかってほしいという声が非常に強いわけでございます。そういう声を背景にいたしまして、政府といたしましても、今回の予算等におきましても財政支出の増大によりまして、有効需要を確保いたして景気の回復をはかろうという措置をとるに至ったわけでございますので、政府が責任を持って景気の回復をはかるという場合におきまして、やはり中小企業者のほうにそういう発注の場合のシェアを拡大してあげるという配慮が必要ではないかということが、こういう法律を提案するに至りました理由でございます。また、基本的には御承知のように基本法第二十条におきまして、中小企業者のために受注の機会の増大をはからなければならないということが規定をされておりますので、またそれに基づきまして法律を提案いたしたような理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/3
-
004・麻生良方
○麻生委員 そうしますと、この法律は要すれば、政府の中小企業の対策の一つとして取り上げられたと解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/4
-
005・影山衛司
○影山説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/5
-
006・麻生良方
○麻生委員 そうしますと、私は少し一般論から入りたいと思います。あなたは今度中小企業庁長官におなりになったわけですけれども、今日の中小企業の不況、それから景気の不況、これをあなたは単に中小企業だけの問題であるとお考えになっておられるかどうか、その辺の所見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/6
-
007・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。現在の不況と申しますのは、単に中小企業の不況というだけではなくて、日本経済全体が不況に悩んでおるということでございますので、そのために財政支出による有効需要の拡大ということも、日本経済全体を含めまして景気を回復していこうという努力のあらわれであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/7
-
008・麻生良方
○麻生委員 そうしますと、やはりあなたのお考えの中にも、中小企業の今日の不況は日本経済全体の問題であるというお考えが基本にあると思うのですが、そうすると日本経済全体の問題として、なぜ中小企業が不況に追い込まれているか、それからしばしば言われている、日本経済の二重構造というものがどういう形で国民生活に影響を与えているかという点について、大まかな御見解をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/8
-
009・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。日本経済全体が現在不況に悩んでおりますのは、何と申しましても過去におきますところのいわゆる高度成長のひずみを受けまして日本経済の過剰投資とかいうようなことになりまして、有効需要がこれに伴わないというような現象があらわれておるわけでございまして、長期的に見ますならば、そういう設備投資等によりまして日本経済全体を近代化していくということが必要なわけでございますけれども、短期的に見ますと、そういうふうに設備投資と有効需要とが合っていないというような状況も出てきたわけでございまして、そういうところが大きな原因であろうかと思うわけでございます。中小企業はその中におきまして元来が生産性の格差等におきましておくれがあるわけでございまして、そのおくれの回復ができていないうちにまたこういう不況にあいましたわけでございますので、そういう点で特に中小企業のほうに影響が強いというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/9
-
010・麻生良方
○麻生委員 もう少し一般論をお伺いしたいのですが、あなたは、高度成長政策のもたらした一つの結果として今日の日本経済構造のひずみが生まれている、こういうふうにお考えのようでありますが、御承知のように終戦直後は日本経済はやみ時代、戦国時代で、雨後のタケノコのようにやみ企業が繁栄をした。したがってその時期は中小企業も大企業もさして相違がなかったし、特に大企業の場合は財閥が解体されて一時滅裂になっておったわけですが、その時代をゼロとすると、今日の大企業の成長率をかりに一〇〇と考えた場合に、中小企業の成長率は戦後二十年の間にどの程度の比率で成長しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/10
-
011・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
中小企業者ももちろん終戦後私どもも努力いたしまして近代化の努力をいたしたわけでございますが、大企業も一生懸命近代化の努力をさらにやっておられるわけでございまして、徒歩競走の場合に大企業のほうが足が速いということで、中小企業も一生懸命努力をいたしておりますけれども、どうもおくれてきておるというのが実情ではないかと思います。その生産性の格差等ではかってみますと、大体五〇%程度というふうに大まかに考えていいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/11
-
012・麻生良方
○麻生委員 私の推定では五〇%までいっていない。大企業が一〇〇とすると、中小企業、特にこれは零細まで含めますと大体十分の一だというふうに私は推定します。しかしその数字の差はともかくとして、いまあなたは、中小企業も一生懸命近代化の努力をしてきた、しかしそれでも追っつかなかった、こういうお話ですが、それではちょっと初めの高度成長政策との結びつきがないので、大企業が一〇〇に成長したということの背景には、あなたが御指摘のとおりの高度成長政策があったという事実を否定できないと思うのです。そうすると、高度成長政策というのは、基本的にその裏づけをした政策は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/12
-
013・影山衛司
○影山説明員 高度成長政策が悪いとかいいとか言っておるわけではございません。高度成長政策の前提になりましたのは、やはり何と申しましても世界的な技術革新の波が非常に迫ってまいりまして、日本経済全体がその技術革新の世界的な進運におくれたらいけないということで、これを努力していかなければならない、あるいは消費の面におきましても、戦前と戦後におきましては、大量生産的な消費のパターンというようなものも変わってまいりまして、そういう経済環境の変化に日本経済全体が早く適応していかなければいけないということで、そういう面が高度経済成長という面になってあらわれてきたわけだろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/13
-
014・麻生良方
○麻生委員 私の聞いているのはそういう抽象的なことじゃないので、経済政策というのはもっと具体的な裏づけがあるはずなんです。高度成長政策がとられたのは必ずしも池田内閣のときじゃない。第二次吉田内閣のときあたりからすでに、日本の大企業を高度に成長せしめることによって、日本の資本主義の戦前以上の復活をはかろうという基本的な構想に基づいて、歴代の自民党の政治がとってきた政策です。しかもこれは経済政策なんです。だからいまみたいな抽象的なことじゃなくて、大企業が今日異常なまでといわれる繁栄ぶりを示した背景には、高度成長政策にささえられた具体的な政策があったはずです。その具体的な政策、特に私は金融と税制面からそれをささえた政策をあなたからお聞きをしたい、こういう御質問を申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/14
-
015・影山衛司
○影山説明員 非常に広範な御質問でございまして、私として十分答えられるかどうかわからないのでございますけれども、やはり日本経済がそういう技術革新等にもおくれておりますので、それに追いつくために開発銀行等を通じまして、大企業のそういう設備投資の拡大という点につきましては政府も助長いたしておるわけでございますけれども、それ以上にやはり日本政府といたしましても、中小企業者の近代化のおくれということにつきましては、金融面、財政面あるいは御承知のように中小企業対策につきましても国の財政を投入いたしまして、あるいは予算を投入いたしまして、中小企業の近代化、合理化という具体的な施策を相当広範に打ち出してまいったわけでございます。そういう点で日本経済全体が、金融面、税制面等において全般ができるだけバランスのとれた成長をいたすようにしてまいったつもりでございますが、やはりその点については中小企業者のほうがおくれてきたという点は否定し得ない事実じゃないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/15
-
016・麻生良方
○麻生委員 それはあなたのお答えに矛盾がある。政府が中小企業も大企業もともにコントロールされたバランス政策をとってきたのなら高度成長政策ということばや政策はなかったので、端的に言えば、大企業をとりあえず戦前並みに復興せしめようというのが高度成長政策である。それがいいとか悪いとかいうことを言っているのじゃないのです。
そこで、企業が成長する条件というのは、あなたは何だと思いますか。あなたが御商売をやっておる立場で自分の商売を繁盛させようと思う場合に、何が一番ほしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/16
-
017・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
安定した注文と、それからその裏づけになりますところの金融、それが第一であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/17
-
018・麻生良方
○麻生委員 もう一つあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/18
-
019・影山衛司
○影山説明員 税金の面もあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/19
-
020・麻生良方
○麻生委員 もうけた金を税金で取り上げてくれなければ、こんないいことはないと思う。いま中小企業の大部分がそれを望んでおる。しかし、きょうは別に税制に関する法律の審議じゃありませんから、それを取り上げません。要すれば、高度成長政策というのは、大企業を成長せしめるために、その背景としての財政投融資の面それから税制措置の面、この二つにささえられて大企業が今日のような繁栄を見た。その結果として、あなたが初めにお話をされたように中小企業が取り残された。つまり低い成長率のまま今日に追い込まれている。この把握がなくては、あなたが中小企業庁長官におなりになって中小企業の問題を中小企業だけにとらえてもこれは解決しない。あなたがおっしゃるような日本経済全体の中での中小企業の現状と、それからなぜそういう現状になってきたかというその把握がないと、せっかく長官におなりになってもたいした功績をあげることができまいと思います。
そこで、私はもう少しあなたにお伺いしたいのですけれども、あなたは中小企業は、従業員を入れますといま全国で二千万と言われておりますね。農村企業のことは別といたしまして、このような日本経済のひずみ、いわゆる企業格差でありますが、それが現実の国民生活の中にどのような格差を与えてきているかということをお伺いしたい。
私は一つ例をあげます。いま大企業に働いているA、かりに家族四人といたします。それの給与所得。それから百人前後の中小企業で働いているB、これも同じく家族四人、それの給与格差がどのくらいあるか、あなたからお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/20
-
021・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
御親切な御教訓、どうもありがとうございました。そういう日本経済全体の中における中小企業の占める地位というものにつきましても、今度の四十年度の中小企業白書におきましても相当勉強して解明をいたしたつもりでございまして、そういう点を頭に置いて今後中小企業対策を推進していきたいというふうに考えます。
それから中小企業の施策の国民生活に与える影響等でございますが、具体的な問題とされて、賃金の問題をお出しになったわけでございますが、中小企業白書の中で賃金水準についての統計があるわけでございますけれども、賃金格差、これは大体三十人から九十九人のところをとってみた場合におきまして、大企業と中小企業との賃金の格差は七八・三%となっております。それから一人当たりの賃金動向でございますけれども、これは中小企業者が三十六年度におきまして平均二十一万三千円でございましたが、三十九年度におきましては三十五万九千円というふうに、賃金の上昇を示しております。中小企業対策と申しましても、中小企業の経営者だけの対策ではございませんで、やはり従業員ぐるみ、企業全体がよくなっていくということを心がけなければいけないというふうに考えておりますが、賃金の面におきましては、中小企業も相当に上昇いたしておるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/21
-
022・麻生良方
○麻生委員 もう少し具体的なお答弁をお願いをしたいのです。あなたは数字の上だけで、パーセンテージや比率の上だけでお考えのようですが、私はもっと具体的に考えておったのです。たとえば家族四人で一般的な大企業と言われる労働者の給与は大体三万七、八千円それから百人前後の中小企業、一応Bの立場に立つと二万七、八千円から三万円前後、その程度の格差がありますが、これは表面的な賃金格差で、今度はその二人の労働者の奥さんの家計簿の中から取り上げてみると、たとえば住居費といったようなものを取り上げると、また非常に格差があることがわかりますよ。大企業の場合は、大体住居費の支出が、奥さんの家計簿の中では千円から千五百円前後であります。御承知のようにこれは別な問題ですが、社宅あるいは持ち家その他を持っております。これは政府の政策の結果というよりかも、大企業の高度成長政策のおかげで、住居費もそこまで大企業の従業員の場合は減少されてきておる。それに顧みて中小企業の場合は、大体六千円程度、特に六大都市では六千円程度の住居費の支出を見ております。東京だけで大体このような六千円程度の支出、つまりアパートに住まっている世帯がどのくらいあるか、あなた御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/22
-
023・影山衛司
○影山説明員 まだ承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/23
-
024・麻生良方
○麻生委員 これは、ひとつ御記憶願いたいのは、五十万世帯くらいありますよ。しかも私の調査では、この五十万世帯くらいの人たちの企業別階層を見ると、ほとんどが中小企業階層ですよ。この人たちは要するに住宅も与えられないから、そういう四畳半住宅を余儀なくされている。これが中小企業で働く人の実態なんですね。そういうようなことが、つまりこの高度成長政策の結果として、いまあらわれた二重構造が、一人一人の国民の生活の中に具体的に与えてきた格差ということになっておる。そこで中小企業問題を取り上げるときに、この問題を踏んまえた上で取り上げなければ、中小企業の対策というものは一時的なカンフル注射に終わってしまうわけなんです。あなたが中小企業長官として考える場合に、このひずみを是正していくためにいろいろな措置があると思います。その措置の一つとしていまこれで政府が御提案されている官公需の問題も出ておるわけです。そのほかにあなたがお考えになって、こういう措置を当然講ずるべきだと思われる問題がありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/24
-
025・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
御承知のように今度の昭和四十一年度の中小企業対策につきましては、近代化、高度化あるいは金融の面あるいは税制の面につきまして、相当の拡充をいたしたわけでございますが、やはり何と申しましても今後の問題といたしましては、先生の御指摘のとおり、労働問題、あるいは中小企業者の福利厚生問題というようなことが、今後一番取り組んでいかなければいかぬ問題だろうというふうに考えておるわけでございまして、私どもも、今後中小企業対策の一つの重点といたしまして、その問題に取り組んでいくつもりになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/25
-
026・麻生良方
○麻生委員 あなたは中小企業長官としていろいろおやりになりたいことはあると思いますけれども、総理大臣ではございませんから、全部やるわけにはいかないと思う。しかしそういう角度からこの法律が出たとすれば、私はこの法律と同時にもう一つあなたに中小企業長官として考えていただきたい。それは、いまの産業分野の中では、自由主義経済でありますから大企業がどんな職業にでも、またどんな生産にでも資本の力を持ってかってに手を伸ばすことが野放しに許されております。たとえば大企業がかってにワイシャツをつくってそれを売り出す。そうするとワイシャツをつくっていた中小企業のメーカーは、産業分野が非常に圧迫されるということになる。したがってそれだけ企業は圧迫されてきます。したがって、この大企業と中小企業の産業の分野というものを、いまのような野放しの形にしておいて、この法律だけを通してみたところで、それは片手落ちのそしりを免れない。私はこの際特にあなたの御意見をお聞きしたいのは、近き将来において政府からこの産業分野の確保、特に中小企業の産業分野の確保についての法律をお出しになる御意図があるかどうか、それをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/26
-
027・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり中小企業分野に大企業が進出してくる傾向もなきにしもあらずでございまして、そういう点、深く認識をいたしておるわけでございますが、一応この問題につきましては御承知のとおり団体法におきまして、商工組合との団体協約、大企業との団体協約、それからそれの話のつきません場合には調停審議会にあげまして調停を行なうというような一応の制度ができております。これをやはり一定分野を中小企業者のために確保をいたしまして、その中には大企業は入ってはいけないのだというふうな考え方をとりますと、やはり経済の弾力性というものが失われてまいりますので、そういう方向ではなくて、やはり大企業と中小企業者の商工組合等が交渉いたしまして、その場合に中小企業庁なりあるいは関係各省原局がこれに加わりまして、中小企業者の発言権の弱いところを補充いたしまして、そこで話し合いによりまして具体的な問題としてこれを解決をしていくという基本的な態度をとっておるわけでございまして、そういうところから具体的な問題として解決をしていきたいというふうに当面考えております。さしあたり分野の確保のための法律というものを提案する意向はまだ持っておりませんけれども、なおよく実態等も検討いたしまして、この問題をさらに研究していきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/27
-
028・麻生良方
○麻生委員 あなたのお考えに基づくなら、この法律もいま提案されておる法律もさして出す必要はないのであります。それぞれ話し合いによって受注発注をしていけばいいということになります。なぜこれを出したかということは、やはり資本主義社会のもとにおいては勢い大きな資本を持つものが支配力を持ってくる。したがってそこに持ってきて、またなおかつ高度成長政策で大企業に対しての特典が与えられ過ぎておる。そういう中小企業の立場を育成しなければ国民経済のバランスがとれないという観点からこの法律が提案されておるのですよ。したがって産業分野の確保についても同じ観点から、あなたのおっしゃるようなことであるとするならば、これはやはり話し合いということで法律は必要ない。これをお出しになった根拠は、当然産業分野の確保に関しても同じ立場から取り上げられてしかるべきである。ですからこの点についてもあなたは勇気を持って、いま最後にもう一度考慮するとおっしゃっておりましたけれども、資本主義社会の持つ一つの傾向をチェックしていくためには法律の力によらなければならない。それは私は社会主義だとは申し上げませんけれども、この法律がなければ産業分野の中小企業の分野と大企業の分野とのバランスもなかなかとり得ない、これが現実でありますから、その点は十分お考えになって、私の希望としては近い将来これと同様に、産業の分野に関する法律も御検討願いたい。これを御注文申し上げておきたいと思います。−まだたくさん御質問申し上げたいことがございますが、実は参議院で提案理由の説明をしなければならないという通知がきておりますので、最後にこの法律の内容についてでありますが、私どものほうは審議会をつくることを要望いたしております。政府案の中には必ずしも審議会をつくるということが明確にはうたわれておらないのですけれども、やはり適正に受注が行なわれているかどうかを判定する、また必要に応じては若干大企業の方面に向ける発注を規制してでも中小企業に向けなければならないような根拠を与えるためにも、審議会の必要があると思いますが、その点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/28
-
029・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
この官公需関係の法律の実施にあたりましては、まず第一番目に、協議をしあるいは審議をしなければいけないものは役所同士でございまして、そういう観点から官公需の発注推進のための連絡協議会というものを役所の間でつくりまして、従来もやっておりますけれども、今後もそれを推進していくということで、これは法御事項ではないので閣議決定ということで拡充していくことになるわけでございますが、そのほか、やはり学識経験者あるいは中小企業者の声を聞くというような意味におきまして、審議会を活用するという必要性も否定するわけではございません、そういう必要性にもかんがみまして、中小企業政策審議会が現在ございますので、必要に応じその中に部会あるいは小委員会をつくりまして活用していきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/29
-
030・麻生良方
○麻生委員 私の希望は必要に応じということではなくて、やはりある一定の機関を設けて、きちんと審議会の答申を出させていく、その審議会の持ち方はいまあなたの言われたような、中小企業政策審議会の中に専門の部会をつくっていただいて、それにこれをゆだねていくという方向でもけっこうでありますから、ひとつ御考慮を願いたい。
それからもう一つ、ここに私パンフレットを持ってきておりませんが、たとえばこんなパンフレットがあります。このパンフレットをある刑務所で印刷させると、印刷屋で印刷をする場合の半値以下で印刷をしてくれる、こういうところがたくさんございますが、この法律ができますとそういうものについての関連はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/30
-
031・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
刑務所におきまして各種の印刷、特に役所の必要とする書類等につきましての印刷をやっておることは御指摘のとおりでございますが、刑務所において行なっておる印刷は、服役中の囚人に対しまして技術を習得させるということが趣旨のようでございまして、そういう趣旨の範囲内におきまして適当な運営をしてもらうということを私どもとしては要望しておるわけでございまして、それが一般の民需を阻害するというようなことになりますと相当問題でございますので、これもまた具体的な問題が起こってまいりました際には、私どもも法務省のほうともよく相談をいたしまして、適正な運用をはかっていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/31
-
032・麻生良方
○麻生委員 技術の習得とでき上がったものを販売するということとは別個なことで、あなたもいまおっしゃられるように、相当量のものが刑務所の中で印刷されて、政府関係の書類、一般の民間の印刷物の中にも出ておりますよ。この法律をつくりながら、政府みずからこれを打ち破るようなことを認めていたのでは何にもならない。私は民間の事業を圧迫するようなことがあればというようなことではなくて、やはりこの際この法律ができることを機会に、そういうところでつくる印刷物も中小企業を圧迫しないような公正な価格で政府なりあるいは一般が購入できるような仕組みにしていくことがまず何よりも先決でありまして、政府みずからこの法律を例外として打ち破ることを認めていくというようなことはやはりこの法律の趣旨に反することで、これはひとつ明確に措置を講じていただきたい、こういうふうに思います。
そのほかたくさんお伺いしたいことがございますけれども、先ほど申し上げたように時間がありませんので、以上をもちまして私の質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/32
-
033・石野久男
○石野委員 中小企業庁長官のほうに資料をひとつお願いしたいのですが、実は各官庁の発注がどのように受注会社に配分されているかということを知りたいわけです。それで公団とか各地方官庁みな入れまして、各省別の発注が受注会社の資本別にどういう比率になっておるかということをひとつ調査の上、資料をいただきたいのです。本法案の審議にあたって、中小企業はどの程度各省別の注文をもらっているものかということを知っておきたいので、資料としてひとつそれを出していただきたい。このことについて長官のほうからひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/33
-
034・影山衛司
○影山説明員 御要求の資料につきましてはできるだけ努力したいと思うわけでございますが、各省庁別の支出簿等の会計法上の帳簿といいますのがそういう資本金別につくっていないような状況でございますので、はたして各省と連絡いたしました際に先生の御希望のとおりの資料ができるかどうか、私自信ないわけでございますけれども、御要求の趣旨に沿いまして各省と一度相談をしてみまして、できるだけ提出するように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/34
-
035・石野久男
○石野委員 いま長官からお話しのように、非常に細密な形での資本別発注量がどういうふうになっているかということはあるいは困難かとも思いますけれども、およその傾向を各省別に出していただければ、本案の審議上非常によろしいかと思いますので、長官がいま私の要求に対してお答えになったような厳密なものがとれなければ、傾向的なものを出していただいてもけっこうです。ただし、各省別に、あるいは各公団、地方官庁というようなもの別にやってほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/35
-
036・影山衛司
○影山説明員 至急調査いたしまして提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/36
-
037・天野公義
○天野委員長 浦野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/37
-
038・浦野幸男
○浦野委員 まだだいぶ午前中の時間がありますので、簡単に二、三の点を御質問申し上げたいと思います。
昭和三十九年から四十年にかけて、非常に不況ムードが国内をおおってまいりました。その不況の要因というものはいままでしばしばお話がありましたけれども、その中には設備投資の行き過ぎだとか、そのほかいろいろな要件があるのですが、なるほど設備投資の行き過ぎ、あるいはひずみができた、こう言って不況の問題を片づけておりますけれども、もっとほかに大きな問題があるのじゃないか。とにかく今日日本の貿易が八十億をすでに突破する、昭和四十一年度には百億ドルの壁を破るだろうというくらい、貿易はどんどんと伸びておる。さらに一方では、国民の貯金高は今日非常な勢いで伸びております。貿易がこれだけ伸びていって、そして国民の貯金、銀行預金も、郵便貯金も、あるいは農協の貯金にいたしましても、保険にしても、非常な勢いで伸びておるわけです。貿易が伸びて貯金がふえて、それで不況ムードが非常に強い。不況だ不況だといっておるのだが、一体この要因というのは、いま設備投資の行き過ぎとかいうことだけでなくて、何かほかにもっと大きな欠陥があるのじゃないかと思うが、長官はどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/38
-
039・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
貿易が伸びました点につきましては相当有効需要の増大があったわけでございますけれども、先生御指摘のように、貯蓄が伸びるということにつきましては民需のほうが伸びていない。消費に向けるべきものを貯蓄に向けている傾向が相当ございます。そういう点で有効需要が足らないという点が一つの大きな問題点ではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/39
-
040・浦野幸男
○浦野委員 有効需要が伸びておらない、それが一つの不況の大きな原因になっておる。そうすれば、有効需要を伸ばす方法を考えなければ、いかにどういう対策を打っても景気の回復は望めぬわけでございますが、有効需要を伸ばす具体的な方法は何か考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/40
-
041・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
有効需要を拡大いたしますためには民需、直接の消費需要を増大する場合とそれから政府の需要を拡大するのと両方ございますけれども、本年度政府全体といたしまして日本経済全体の景気の振興をはかっていくために、財政支出の増大によりまして有効需要の喚起をはかっていくことを目標にいたしまして大型予算あるいは積極財政をとってきておることは御承知のとおりでございまして、そういう施策を通じまして、政府が責任を持って財政投融資を通じましての有効需要の喚起岳はかっていこうということになっておるわけでございます。今度提出いたしました法案もそういう有効需要の拡大を政府の責任においてはかっていきます場合におきまして、できるだけ中小企業に対してその分け前を向けてあげようということを趣旨にしてこの法案を提案いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/41
-
042・浦野幸男
○浦野委員 いま有効需要の拡大をはかるために政府は大型の予算を組んで、あるいは財投等によってその拡大をはかろう——今度の予算審議がありましたけれども、その中に住宅政策とかあるいは公共事業の繰り上げ等が具体的に出ておりますが、そのほか通産省として何か有効需要を喚起するような方策は考えておられないか、ちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/42
-
043・影山衛司
○影山説明員 通産省全体といたしましてやはり有効需要の喚起という点には力を注いでおるわけでございますが、御承知のように有効需要の喚起の場合に民間設備投資を通じましての有効需要の喚起という点につきましては、すでに相当の設備投資の過大という点もございますので、ある程度そちらのほうは節度のある有効需要の喚起、設備投資の拡大ということをやっていかなければいけませんので、そういう点につきましてはある程度の限界があるわけでございます。しかしながら、中小企業の部面におきましてはそういう設備投資等につきましてはまだまだおくれておりますので、中小企業の設備投資の拡大を通じましてそういう民需のほうの有効需要の喚起をはかっていくということは特に必要なので、私ども今度の中小企業向けの財政投融資の拡大等をはかりましたのもそういう点が一つの趣旨でございます。また輸出の振興につきましても、従来以上に積極的に通産省全体として取り組んでおるわけでございますので、そういう点を通じて、輸出を通じての有効需要の喚起ということも努力をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/43
-
044・浦野幸男
○浦野委員 通産省としては貿易の拡大をはかる方法をとろう、それから中小企業の設備投資をやろう。ただここで問題になることは、今度の不況の要因が、よくいわれておる設備投資の拡大によって投資の行き過ぎということからその不況の要因の一つが出てきておるというところへ、また中小企業が通産省の指導によって設備投資を拡大することによって、昭和三十九年に起きた不況の要因のそのあとをまた追って回るような結果になりはせぬかと思うのだが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/44
-
045・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
まず第一番目に、やはり御指摘のとおりに設備投資の過大のあやまちをまた繰り返すということでは何にもなりませんので、一方におきましては官公需の拡大等によりまして中小企業者の安定した需要を確保してあげるということが一つと、それから第二に、設備投資をいたします際にやはりよく需要の測定等を、中小企業者のほうに材料等を提供いたしましてそういう需要の拡大、あるいは行き方に応じました設備投資をやるということ、それから単に設備投資だけを、物的な拡大をやるだけでは不十分でございまして、やはり経営管理の合理化という点も相応じまして行ないませんと、せっかく設備投資が拡大いたしましても企業の内容自体といたしましてはウドの大木というようなかっこうになりますので、経営管理の合理化という面とバランスのとれた近代化、合理化をはかっていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/45
-
046・浦野幸男
○浦野委員 去年一年で中小企業の倒産が非常に多くて約六千件近い倒産があった、こういうことになっておりますが、八千件の倒産は、大きく分ければ製造部門と流通部門を担当しておるものと二つになるのですが、特に倒産が多いという業種がわかっておったら、製造部門と流通部門でお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/46
-
047・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
詳しい資料は後ほどお答え申し上げますけれども、大体業種的に申しまして、従来高度成長の過程におきまして相当伸びていった業種、機械、金属というようなものが倒産の数が多いというふうに出ておるようでございます。それから繊維等につきましては、これは平均して数はあまりふえてもおらず減ってもいないというような傾向ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/47
-
048・浦野幸男
○浦野委員 それは金属関係が一番多い、それから繊維、これは製造部門ですね。流通部門もやはりそういうふうな金属関係あるいは繊維関係というのが多いのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/48
-
049・影山衛司
○影山説明員 お答え申します。
商業関係も件数から申しますと、全産業で六千件のうち二千百件に及んでおります。そういうわけで商業関係も相当多いわけでございます。その中の業種別につきましては、まだ詳しい調査もできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/49
-
050・浦野幸男
○浦野委員 一ぺんそれはこれからのいろいろな対策をとるために、どういう業界が一番不況の波にさらされておるかということは、これは当然中小企業庁としても調べておかなければならないことだと思いますので、ぜひ調べていただきたいと思います。
そこでさらに倒産問題ですが、最近景気もある程度回復の見通しが立ってきた、あるいはだいぶ各通産省の局長会議あるいは大蔵省のほうからの銀行局の関係等から見ましても、だいぶ景気の回復ができてきたというふうに一般に言いふらされておる、また私もそういうふうに実は考えておりまして、政府の施策が着々と実を結んでくるというふうに感じておったわけです。ところが昨日ですかの新聞を見てみますと、四月になってが然倒産がふえてきたというようなことが書いてありました。一月、二月、三月に比較しますると、三月の二十八日から四月の二十七日までの間の倒産が五百二十四件ある。その倒産の金額というのが四百九億五千万円だ、一件当たり七千八百万円の負債があるというふうに出ておったわけでございまして、実は私は意外に思ったわけでございます。一方、大蔵省のほうの調査では、輸出は新記録になったんだ、四月の中旬で五億一千九百六十八万ドルで、輸入が五億一千四百三万ドル、差し引き五百六十四万ドルの輸出がふえてきた。一方では非常に何か大きく貿易も伸びて、景気の回復ができたようなふうにも考えられるわけですが、一方ではいま申しましたように倒産が四月に入って非常にふえてきた。これは何か一月、二月、三月に比較して、四月には特に倒産の起きるような要因があらわれておるわけですか。その点通産省でわかっておりましたらお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/50
-
051・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
景気の回復状況につきましては、基調的には上向きの方向に向かっておるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、通商産業局長会議の局長の報告におきましても、私どもが一般的に調査をいたしておりますよりも、実感を受けておる窓口の局長たちの話は意外にいいわけでございます。だから私どもは今後中小企業の部面におきましても、景気の回復というものがだんだん浸透していくんだろうというように期待をいたしておるわけでございますが、先生御指摘のとおり、この四月の倒産件数が五百二十四件というふうに、昨年が六千件でございますから一平均五百件でございますけれども、そういう台にまたなってきたということ、これの特別の理由があるかという御質問でございますが、私どもはこの三月が年度末でございますので、年度末に決済等が集中をいたしまして、この三月に倒産の数がふえるんじゃないかということを考えておったわけでございますが、ところが先生御承知のように、三月におきましては四百二十九件ということで、意外に数が少なかったわけでございますが、四月に倒産が五百件をオーバーいたしましたのは、結局のところ三月の期末の決済というものが、私どもが三月末と期待しておったのが四月にずれ込んだというふうに解釈をいたしておるわけでございまして、これも多少イレギュラーな現象ではないかというふうに考えております。基調的にはやはり倒産件数も逐次少なくなっていくということを期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/51
-
052・浦野幸男
○浦野委員 いま長官の話を聞いておると、そう心配したことはない、ところがわれわれ一般国民から見ますと、景気の回復がある程度自信ができてきた、どうにかこうにかこれは不況ムードというものをぬぐい去ることができるのだというふうな一つの希望をずっと持ってきたところへ、こういう非常に多くの倒産件数が出てきた、しかもその金額においても一件当たりの倒産金額が七千八百万というような形が出てまいりまして、意外に思ったわけでございますが、いま三月の決算が四月にずれ込んだという理由だということを言われましたが、ただ単にそうしたことだけの理由ならば、心配の中にもまあまあという気持ちがしますけれども、何か新しくそうした不況に対する要因というものがほかにはありはしないか、こういうふうに感ずるわけですが、この点長官のおっしゃることを信用して、もうしばらく状態を見ることにいたします。
そこでこの去年六千件倒産した、さらにことしも三百件なり四百件あるいは五百件というのが一月からずっと倒産してきておる、ところがこれだけ倒産したならば、もっと失業する人あるいはもう少しこの状況が悪くなるという感じがわれわれはするのですが、私のほうの一つの例をとってみますと、今日倒産をしたといっても実際にそれでは——過去のわれわれの観念では、倒産すると工場も閉鎖してしまう、あるいは土地も競売してしまう、社長は無一文になってどこかへこそこそと逃げていってしまうというようなのが、われわれのいままでの倒産の観念ですけれども、最近の倒産というのは、倒産したといってちょっと一日か二日休んだと思うと、もう相変わらず工場をいままでと同じように生産をあげておる、もちろんそこに働いておった人はそのまま働いておるというような状態が非常に多いと思いますが、この六千件なりあるいは七千件、八千件、おそらくいままでには一万件以上の倒産があるわけですが、その倒産の状況あるいは内容、一々はわかりませんが、いま私が申し上げたような状況であるとするならば、私はまだ倒産といってもわれわれの考えておる倒産と多少違うという感じがするわけです。ほんとうに店をしめてしまう、閉鎖してしまうといったようなのと、仕事を相変わらず続けておる、借金だけたな上げして倒産の一つの宣伝とか、いわゆる計画倒産、こういったものと二色あると思います。通産省のほうで実際に倒産したものと、どうも計画倒産的な感じの深いものとあるのですが、その比率ははっきりわからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/52
-
053・影山衛司
○影山説明員 先生御指摘のとおりの傾向もあると思います。昨年じゅうに倒産いたしました六千件の中で、計画的と申しますとそれはちょっと語弊があると思いますけれども、倒産したあとも形を変えて復活をしておるものがどのくらいあるかということにつきましては、まだ調査をいたしたものはございませんけれども、私の乏しい経験によりましても、例の東京発動機が会社更生法の適用申請をいたしまして、その際関連の中小企業が二百件くらいございましたけれども、そのうち倒産をいたしましたものが約二十件ございました。そのあと、東京通産局を通じて調査をいたしてみましたところ、やはり十七、八件というものは形を変えて残っておられるようでございます。これは小さい人たちでございますので、計画倒産と申しますよりも、一応店を閉じたけれどももう一度復活をはかるということで、経営者及び従業員の努力によりましてそういうことになったのだと思いますけれども、しかしながら、そういうもう一度形を変えて復活した会社と申しますのは、やはり規模の点につきましても多少小さくなっているようでございますので、やはり全体的な傾向といたしまして、方針といたしましても、そういう倒産を起こさないということがまず第一ではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/53
-
054・浦野幸男
○浦野委員 倒産を受けたうちでは、何といっても中小企業の関係が一番多いわけでございまして、政府は、この不況対策の一番中心を中小企業に向けて何とか手を打たなければならない、こういうことでいろいろと努力をしておられるのですが、いままでの通産省の中小企業に対する不況対策の打ってきておる手というものは、大体組織がえとか機構をかえるとか、こういう指導方面とそれから金融ということにほとんどしぼられてきておるわけでございます。今度、こうした官公需についての中小企業の受注確保に対する法律が出て、何となく、不況対策あるいは中小企業に差し伸べた手がほんとうに何か具体化してきたような気がいたしてくるわけです。もちろん、いままで設備近代化にしてもいろいろなものにしても、それはある程度具体化しておるわけですけれども、ほんとうに大きく広く具体化してきたというのは、私はこの官公需の受注確保の法律が初めてだと思いまするが、先ほど麻生君からも申されましたけれども、一体この官公需の受注確保という法律を出してこられて、次に打つべき手というものは何か考えておられるか。もし考えがあるならばお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/54
-
055・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
御承知のように、中小企業の施策につきましては基本法がございまして、各条ごとにいろいろと方針を示してあるわけでございまして、その方針に従いまして関連法規を作成し、あるいは予算を提出いたしまして、中小企業の近代化、高度化等につきましての施策を講じておるわけでございます。大体、今度この官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律を提出いたしました結果、ほぼ基本法の関連法規というものの一応体系ができたのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/55
-
056・浦野幸男
○浦野委員 中小企業基本法ができて、そうしていろいろの具体策を練っておいでになると思いますが、できてからずいぶん期間があるわけですが、ようやく新しいこうした施策が出てきたわけです。この間、実際に、中小企業基本法を土台としていま申しました官公需の受注の確保の法律以外にもう少し何か具体的な方法を考えていかなければならぬじゃないかとわれわれ思っておるわけでございます。先ほどからいろいろとお話がありましたが、やはり金融の面について中小企業に特殊な措置をとるというような方法はまだ考えておられないか、あるいは将来考えていこうというお気持ちがあるか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/56
-
057・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
中小企業に対する金融の面につきましての施策の手当てでございますけれども、御承知のように中小企業の政府関係の三機関というものが政策金融及び補完的な金融の面を受け持っておりまして、その面につきまして金利の引き下げあるいは資金量の拡充ということは相当程度行なってきたわけでございます。しかしながら、先生御承知のように、政府関係金融機関の中小企業金融に占めるシェアと申しますものは大体一〇%以下でございまして、結局のところはやはり中小企業金融は市中金融機関に依存せざるを得ないということになるわけでございます。その際に、中小企業者は、先生御承知のように、担保力が非常に不足いたしておりますので、そういう点を補完するという意味におきまして信用保証協会の制度があるわけでございまして、昨年末不況対策といたしましてもいろいろと拡充をいたしましたけれども、今度そういう点も総合的に考え直してみまして、金融対策の拡充というものを今後基本的にさらに推進をしていきたいということで、中小企業政策審議会の中に金融小委員会という委員会がございますので、そこにかけまして、基本的な点から根本的に研究をいたしてみようということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/57
-
058・浦野幸男
○浦野委員 先ほど、需給の増大ということが一つの不況対策の大きなものになっておるからこれを増大しなければいかぬ、こういうお話がございましたが、たとえば官公需のこの法律ができて大企業と中小企業との受注の比率がある程度きめられたとしても、大企業で買い入れても中小企業で買い入れても、需給というものは実際変わりないと私は思う。大きな企業で買っても小さな企業で買っても国全体の需給関係というものは私は変わりないと思いますが、あるいはそこで購入すれば利益はあるかもしれぬけれども、中小企業そのものに対する国全体の大きな景気調整政策に対しては利益はないような気がするのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/58
-
059・影山衛司
○影山説明員 先生御指摘のような点もあるかと思いますけれども、国全体の景気の振興と申します場合に、大企業のほうはやはり何と申しましても民需の面におきまして相当程度進出していく分野があるわけでございますけれども、中小企業者は資本力なり信用力というような点につきまして劣っておりますので、中小企業者に対しましては官公需の面で発注の機会の確保をしてあげるということが重要かと思いまするので、そういう点で中小企業者のほうの景気振興なり受注の増大をはかるということはやはり政府の責任でございます。官公需だけの範囲から見ますと、日本経済全体の有効需要の範囲は一定なわけでございますけれども、その中の分け前を、先ほど申し上げましたように中小企業者は弱い立場でありますので、できるだけそちらに回してあげようというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/59
-
060・浦野幸男
○浦野委員 法案の中で一、二点ちょっとお尋ねしますが「国等の当該年度の予算及び事務又は事業の予定等を勘案して、中小企業者の受注の機会の増大を図るための方針を作成するものとする。」こういうふうに最初出ておるわけですが、受注の機会を増大するためのこの方針というものはどの程度の方針を示すのか。先ほどもちょっと話題になっておりましたが、大企業と中小企業との受注の割合を明記するのも方針だし、あるいは各省の受注の金額を大企業にはこれだけ、中小企業にはこれだけというように明記をするのも方針だし、一つの抽象的なことを書いておるのも方針になると思いまするが、これは中小企業庁としてはどの程度まで示すことをこの方針の中に考えられておるか、この点ちょっとお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/60
-
061・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
本法の第四条におきます方針の内容でございますが、この方針の内容として考えておりますのは、第一番目に、国等の契約の中小企業に対する発注のための量的な努力目標というものと、それから第二に、そういう努力をいたします際の裏づけになりますところの施策の方向という二つの大まかな範疇に分けて方針を作成することにいたしておるわけでございますが、その前者におきますところの発注の増大の努力目標というものの作成の方針といたしましては、先生御指摘のあるべき割合を明記する場合、あるいは各省と協議をいたしますので、その積み上げによりますところの中小企業の発注見込み額という量を明記する場合、あるいは昨年の実績がこれだけあって今度予算が一〇%なら一〇%の増大をしたということでその伸び率を書くような場合と、いろいろ場合があるわけでございまして、理想的に申しますと、やはりあるべき割合というものを方針の中に制定するのが理想的な行き方だというふうには考えておりますけれども、何ぶんまだ各省各庁のそういう方面に対する官公需の中で、中小企業に対してどれだけ発注いたしておるかというような仕分けあたりにつきまして、まだ事務の合理化等も進んでいないような状況でございますので、各省各庁のほうの受け入れ体制の進みますに応じてだんだんといい形にこの方針の内容を、努力目標の内容を改善していきたいというふうに考えておりまして、昭和四十一年度それではいかなる具体的なる方針の内容にするかということにつきましては、各省各庁ともこれから相談をしてきめるということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/61
-
062・浦野幸男
○浦野委員 まだこれから各省各庁との打ち合わせをしてその方針をきめるのだ、あるいはその中にパーセントあるいは金額、まあどこまで進めれるかまだわからない、こういうことですが、私は少なくともこういうものを各省各庁できめる、この方針が私はこの法律の生命だと思うのです。これがはっきりすることによって初めてこの法律をつくった価値があると思います。それがうやむやな線であっては、私はこの法律をつくってももう何も価値のない法律だというふうに見ておるわけでありまするから、大企業と中小企業、価格の問題あるいは請け負い業者の規模の問題、なかなか問題点が私は相当出てくると思いまするが、でき得る限り中小企業庁はがんばって、そうして各省の理解を深めていただくと同時に、その事業分野を確保するような方向に持っていっていただきたいと思います。しかもこれは方針がきまると閣議で決定しなければならない。閣議までかけていってそういうあいまいな方針を示すわけにはいかぬと思いますので、少なくとも閣議までかけて方針がきまったというからには、方針であるからちっとは違ってもいい、相当変わってもいいというようなことでなく、またしかもさらにこれは公表もしなければならない。閣議にかける、公表もしなければならないと非常に念入りな、しっかりした形になっておるけれども、もとがしっかりしておらなければ、どんなに閣議にかけても、あるいは公表したって、あまり効果は出てこないと思いますので、この増大をはかる方針というものに対して、ひとつしっかりときめていただくように強く要望いたしておきたいと思います。
それからもう一つ。そういうことをやるために各省との折衝をするわけですが、やはりこの法律の中に「特に必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。」これは非常に弱いと思うのです。いまの最初の方針を作成するために、その程度の各省庁に「必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。」ということになると、私は非常に弱い感じがする。それじゃその要請にこたえなかったらどうだというようなことにもなってまいりまするが、この必要があると認められたる措置というものはどんな措置があるか。ありましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/62
-
063・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。
この要請の規定が多少弱い感じがするではないかという御指摘でございますけれども、これは勧告ということばを使ってもいいわけでございますが、大体通産省関係の法律におきましては、対民間の場合には勧告ということばを使う例が多いわけでございまして、役所間の要求という場合には要請ということばを使っておるわけでございまして、決して語感の上におきましても弱い感じはないはずでございます。
それでこの要請のやり方でございますけれども、先生先ほど御指摘のとおり、各省各庁の長が責任を持って遂行できるところの方針を閣議決定をいたしまして、公表もいたすわけでございますが、その方針どおりの実績が上がったかどうかということにつきましては、第五条によりまして実績の通知を求めまして、それをチェックするわけでございます。方針どおり実績が行なわれていない場合には、なぜそれが行なわれなかったのかということをよく究明をいたしまして、その結果ふぐあいな点がありまするならば、この第六条の、要請の規定に基づきまして各省各庁の長に強く要請をいたしていくということでございます。これは方針を定め、実績をチェックし、それから要請をするということで相当強い規定であるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、その要請の内容は、その実態に即しましておのおの要求してまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/63
-
064・浦野幸男
○浦野委員 その場合、いま国のほうから官公需のいろいろな発注を出す場合、現在では大体四分六になっておると思うのです。六割が大企業で四割が中小企業関係というふうに私は承知をいたしておりまするが、さらに、この法律をつくってその効果をどのくらいまで高めていく予定をしておられるか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/64
-
065・影山衛司
○影山説明員 先生御指摘のとおり、昭和三十八年度の官公需の実績の中で中小企業が占めるシェアと申しますのは四三・八%でございます。これをどこまで持っていくかということでございますが、大体私どもの当面の目標といたしましては、中小企業の生産あるいは輸出が全体に占めますシェアが大体五〇%程度でございますので、少なくとも中小企業の官公需に占めるシェアというものを五〇%には持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/65
-
066・浦野幸男
○浦野委員 五〇%ということは、この法律をつくって五〇%まで上げるということは、もうほんのわずか上げるということだけにしか考えられないわけですが、せっかくこれだけしっかりした法律をつくって、そうしておそらく中小企業の方々もこういう法律ができたということは非常に大きな期待と希望を持っておるわけです。そこで、中小企業庁としてはまあまあ五〇%までぐらいはということになるが、もちろん大企業はあまり圧迫するようなことになっても一面まずい面もあるかもしらぬけれども、何といっても数の多い中小企業者のことですから、私の考え方は四〇%と六〇%、いまのシェアを逆にするというところまでぐらいは進めなければこの法律をつくった効果というものが私はあらわれないと思うわけであります。これはお答え願わなくてもいいわけです。
そこで最後にもう一点、これは中央の官庁がこういうことをやっただけではなかなか効果があがらない。この法律の中にも、地方の市町村にも県にも要請する、あるいはそういうふうに持っていくように努力をする、また協力を仰ぎたい、こういうことが言われておるわけですが、もちろん民需のほうまでそれをやるということはなかなかこれは困難だと思いますけれども、その地方の自治体にそういうことを要請するということはなかなかこれは困難な面もあると思いますが、通産省としては具体的にどういう方法を地方自治体に要請されるか、お聞かせいただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/66
-
067・影山衛司
○影山説明員 お答え申し上げます。地方公共団体につきましては、第七条におきまして「国の施策に準じて、中小企業者の受注の機会を確保するために必要な施策を講ずるように努めなければならない。」というように努力義務を課しておりまして、それによりまして地方公共団体は努力をする義務が生じてくるわけでございます。御承知のように、地方公共団体は地方自治の原則によりまして相当独立制を保っていかなければならぬわけでございますけれども、自治省を通じましてこの方針あるいは実績の通知あるいは要請というようなことも、地方公共団体に対して要求をいたしていきたい、実施方を要求をしていきたいというふう
に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/67
-
068・浦野幸男
○浦野委員 いろいろと御説明をいただいたわけですが、要は、この法律の目的が中小企業基本法が成立してから私は具体的な施策としては初めてだと思います。ほかにいろいろな問題を取り上げておるけれども、ほんとうに具体化してその官公需の問題をこれから中小企業者にもっと大きくシェアを広げるというようないわゆる温情のある政策としてはこれが初めてだと思うわけですが、どうかこの法律ができて、ただ方針とかあるいは措置をとらなければならないとかあるいは要請するというような抽象的なことだけに終わらずに、実際にこれが生きて動くようにこれから努力していただきたいと思うわけです。
以上をもちまして私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/68
-
069・天野公義
○天野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03219660427/69
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。