1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月十三日(金曜日)
午前十一時八分開議
出席委員
委員長 天野 公義君
理事 小川 平二君 理事 河本 敏夫君
理事 始関 伊平君 理事 田中 榮一君
理事 板川 正吾君 理事 加賀田 進君
理事 中村 重光君
稻村左近四郎君 内田 常雄君
海部 俊樹君 神田 博君
黒金 泰美君 小宮山重四郎君
佐々木秀世君 田中 六助君
三原 朝雄君 大村 邦夫君
桜井 茂尚君 沢田 政治君
實川 清之君 島口重次郎君
田中 武夫君 山崎 始男君
麻生 良方君
出席国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
建 設 大 臣 瀬戸山三男君
出席政府委員
内閣法制局参事
官
(第四部長) 田中 康民君
農林事務官
(大臣官房経理
課長) 稻垣 元宣君
通商産業政務次
官 進藤 一馬君
中小企業庁長官 影山 衛司君
建設政務次官 谷垣 專一君
建設事務官
(計画局長) 志村 清一君
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五月十二日
中国経済貿易展覧会開催に関する請願(倉石忠
雄君紹介)(第四四三〇号)
同(原茂君紹介)(第四四三一号)
同(増田甲子七君紹介)(第四四三二号)
電気工事業法制定に関する請願(田中榮一君紹
介)(第四三〇七号)
同(田中榮一君紹介)(第四三七九号)
同(田中榮一君紹介)(第四四一六号)
中国経済貿易展覧会開催に関する請願(小川平
二君紹介)(第四二九五号)
同(唐澤俊樹君紹介)(第四二九六号)
同(小坂善太郎君紹介)(第四二九七号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第四二九八号)
同(吉川久衛君紹介)(第四三二三号)
同(下平正一君紹介)(第四三二四号)
同(中澤茂一君紹介)(第四三二五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
官公需についての中小企業者の受注の確保に関
する法律案(内閣提出第一四二号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(板川正吾君外十八名提出、衆法第二
二号)
官公需の中小企業者に対する発注の確保に関す
る法律案(麻生良方君外一名提出、衆法第三四
号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/0
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001・天野公義
○天野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案、板川正吾君外十八名提出官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案、麻生良方君外一名提出官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/1
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002・田中武夫
○田中(武)委員 三法案中、政府案に対しまして質問をいたします。
それではまず最初に中小企業庁長官にお尋ねしますが、この法律の目的は何か、この法律は何のためにつくろうとしておるのか、大体法律は第一条の目的を見ればわかるわけなんです。これには「受注の機会を確保するため」云々とあるわけです。言いかえるなら、機会を与えるんだ、こういうことだと思うのです。機会を与えるということは、窓口を広げるということだと思います。現実に物を渡すのではなくて、もらえるように窓口を広げてやろう、これだけの内容だと思いますが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/2
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003・影山衛司
○影山政府委員 御説のとおり、受注の機会の増大をはかるということにつきましては、できるだけ中小企業者に官公需契約に参加する機会を与えてやる、広げてやるという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/3
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004・田中武夫
○田中(武)委員 その機会を与えるということだけならば、あえてこの法律を必要としないのじゃないか。機会を与えるだけだったならば、これはもう憲法のもとにおいても平等なんです。しかもいままで与えておらなかったことがかりにあるとすれば、そのほうが間違っておるのです。契約自由の原則からいって機会を与えるということであるならば、私はあえて法律を必要とすると思わない。問題は、機会を与えると同時に、中小企業が実をとるようにしなくてはならない。したがってこの法律は窓口を開くということでなくて、実を与えるという法律でなくてはならないと思うのです。ところが、第一条を見ると、機会を与える、窓口を広げる、それだけに終わると思うのですが、それではこの法律は、先日来通産大臣あるいは中小企業庁長官が画期的なとかあるいは踏み切ったとかこうおっしゃっておるが、それはことばだけにすぎぬ、そういうことになるのですが、特に機会を与えるということだけで、何のプラスがあります。いままで機会が与えられなかったこと自体がおかしいのです。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/4
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005・影山衛司
○影山政府委員 単純にチャンスを与えました場合にも、同質同価の場合に、同じ品質で同じ価格の場合におきまして、契約担当者といたしましては、大企業のほうに入札すればそれで安心なわけでございますけれども、この法律に従いまして、同じ価格で同じ品質の場合には、できるだけ中小企業者のほうに機会を与えるとかあるいはできるだけ中小企業者の中からそういう受注に適した中小企業者を発掘の努力をするというような意味を、この機会を与えることにも含ませておるわけでございます。一方におきましては、中小企業者のほうでは、自主的努力によりまして良質廉価な品物を提供するということ、両々相まちまして、この中小企業基本法の第二十条にも書いてございますように、「中小企業が供給する物品、役務等に対する需要の増進に資する」ということになるわけでございまして、この基本法第二十条に即しまして、この目的のほうにも中小企業者の受注の機会の増大をはかることによりまして需要の増進をはかるというふうに書いたわけでございまして、先生のおっしゃる御趣旨全くそのとおりを書いたというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、法律的に「中小企業者の受注の機会を確保する」というのと、中小企業者の受注を確保するというのと、どれだけ違いますか。法律的に解釈上「機会」があるのとないのとどう違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/6
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007・影山衛司
○影山政府委員 法律の解釈につきましては、先生のお教えを受けなければならないのでございますけれども、受注の機会の確保というのと受注の確保ということにつきまして、法律上どういう差異があるかということでございますが、私どもの解釈しておるところによりましては、これは中小企業基本法全体の精神から出てくるわけでございまして、中小企業の受注機会の増大をはかるという機会を増大させると同時に、中小企業基本法の第一条の政策の目標にも「中小企業者の自主的な努力を助長」するというふうな規定がございますので、その中小企業者の自主的な努力というものと相まちまして、結果的に受注の確保と申しますか、この官公需の法律に書いてございます需要の増進ということになるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 どうもわからぬね。法制局の田中さん、実はこの政府案の第一条でいま議論しておるのですが、第一条の中に「中小企業者の受注の機会を確保するため」云々とあるわけです。われわれは機会を与えるということは門を開く、窓口を開くということだけであって中身にはつながらない、こう言っているわけです。そこで、この「機会」をとったらどうか、こう言っておるわけなんですが、まず条文解釈上「機会」という文字があるのとないのとどう解釈法学的に違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/8
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009・田中康民
○田中(康)政府委員 受注の機会の確保と申しますのは、やはり発注を受けるにつきましての機会をある程度——ある程度といってはいけませんが、確保してやるということでありまして、受注の確保と申しますと、その間に「機会」がございませんので、受注そのものが確保される、結果的には受注そのものが確保されるということでございますから、機会の確保では、受注そのものが確保されるということには、そのまますぐにならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、この政府案第一条の、機会の確保ということば、これは法原則からいって私は当然だと思うのです。わざわざ法をもってうたわなくたって、機会は与えなくちゃならない。これは法の原則だと思う。機会均等の原則にのっとって当然だと思うのです。したがってこの「機会」という文字だけをつけて、あとの三条の「予算の公正かつ効率的」と二つ相まって、これは骨抜きになってしまう、こういうように考えているわけです。
そのあとのことはあとで触れるとして、機会均等の原則、これは当然なんです。だからあえて「機会」ということばを入れるなら法律を特につくる必要はないのじゃなかろうか、そのように思うのですが、法解釈的にはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/10
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011・田中康民
○田中(康)政府委員 確かに仰せられますように、機会を均等に与えるということは、これは憲法上すべてに保障されておるわけでございますが、それをあるいはことばの上からかもしれませんが、確保するということばになりますると、その機会の均等を与えるということだけではなくて、やはりその均等に与えたるものの中に、その受注が将来受注になるようなことについてある程度強力な確保という機会を与えたわけでございますので、普通の意味における機会均等とは違う、かように実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 憲法からいっていわゆる機会均等の原則、これは大臣とは憲法論議はやらないことにしておりますが、それはあまりにも抽象的な原則である。しかしここに目的の中に「機会」ということばを入れることによって、機会を与えることがいわゆる機会均等の原則というような抽象的なものからやや具体的になる、それだけの意味はある、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/12
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013・田中康民
○田中(康)政府委員 いま仰せられましたように、抽象的なものがさらに具体的になる、その具体的になる、なり方の問題だと思います。具体的になる場合に、やはりその機会を確保するというのと、確保しないというか何も書かないということとは、そこにはニュアンスも違いますし、また形式上われわれが実際考えます考え方といたしましても、非常に異なってくるというように実は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 その機会を与えないということは、いままでそういうことがままあった、そのこと自体が誤りなんですね。したがってここで機会の増大をはかることをもって目的とする、こういうことは、いわば当然のことを注意的に書いたにすぎないのじゃないか。この法第一条目的から、特に有意義なものが出てくるかというと、出てこないのじゃないか。いままでは与えなかったことが間違いなんですからね。当然機会均等の原則からいって与えるべきだ。それがまま与えられていなかったことが誤りであって、それを是正するための注意規定くらいにしかこれはとれないのです。そうすると内容のあるものとは考えられない、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/14
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015・田中康民
○田中(康)政府委員 公平の原則と申しますものは、やはりその社会上の地位とか経済上の実力というようなものに応じまして与えられてくるわけでありまして、そのために中小企業が従来与えられなかったということは、これはしかしながら憲法に違反してまで与えられなかったわけではございませんで、やはりそこにはそういう一定の違いがあったために与えられなかったというふうに私たちは考えるわけでございます。今度はそういう違いがあるから、よけいそういうものについて機会を確保するという特段の措置を講ずるという意味で、第一条でこれをうたったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 この機会を与えるということは、窓口を広げる、チャンスを与える、こういうことであって、中小企業のために具体的に受注を確保してやる、こういうことには直接結びつかない、当然なことを宣言したにすぎないと解釈いたします。そこで、これを抜いたらどうか、こういうことに対しまして、中小企業基本法第二十条に同じく機会を与えなければならぬという条文があるから、中小企業基本法との関係上同じ文句でなくてはならないのだ、こういうことなんですね。私は基本法のもとに具体的単独法をつくるときに、基本法のことばと同じことばを使わなくてはならぬという原則はないと思うのですよ。むしろ基本法がより抽象的なものに対して、よりそれを実施する具体的文言があってしかるべきだ。したがって、政府の主張する、基本法の二十条に同じ文句があるから、ここでこの字句は削除することはできない、基本法と同じことばでなくちゃならぬなんということは法律的には通らない、こう断言しますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/16
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017・田中康民
○田中(康)政府委員 全く純粋に法律論として申しますと、基本法に「機会の確保」ということばがあるから、その「機会の確保」を具体的な法律でもっていろいろ形式づける場合に、同じことばを用いなければならないということは当然ございません。私もその点につきましては先生の御意見と全く同様でございますけれども、ただ実際問題として、ここに書いてあります「受注の機会を確保」ということばがそれだからいけないというふうには実は考えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 影山さん、法制局がいまお聞きの答弁をしたのですよ。そうすると、あなたの答弁は必ずしも法律的には正しいものではないと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/18
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019・影山衛司
○影山政府委員 法律的にはやはり法律の法律でございまして、後法が前法に優先するというような原則で、後法につきましていろいろと異なった規定はできると思うのです。ところが、私どもの施策は中小企業基本法にのっとりまして施策を講じておるわけでございまして、御承知のように、この基本法の第一条の「政策の目標」におきましても「中小企業者の自主的な努力を助長し、」ということになっておりまして、第二十条におきます「中小企業者の受注の機会の増大を図る」ということと両々相まちまして需要の増進をはかるということになっておるわけでございます。これを直ちに「受注の確保」あるいは「発注の確保」ということをこの目的にうたいますと、たとえば高くても悪くても中小企業者のために発注を確保してやらなければならないという誤解を生むおそれもございます。そういう趣旨もございまして、この基本法の第二十条に、特に「中小企業者の受注の機会の増大を図る」と書きました趣旨は、まさにその二つの理由によりまして書いてあるわけでございますので、その中小企業基本法の趣旨、根本の精神から申しまして、私どもの官公需の法律の目的の書き方というのは基本法の趣旨に沿っておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来あなたが言っておった基本法にこうあるから直せませんということではないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/20
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021・影山衛司
○影山政府委員 それは必ずしもそうではございません。純粋に法律論的にいけばそうでございませんが、法の基本精神から、あるいは私どもの考えております中小企業政策の基本から申しまして、こういう規定のしかたがいいであろうということで規定をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/21
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022・田中武夫
○田中(武)委員 現在の制度なり中小企業庁がどの程度中小企業のことを考えているかというものさしにはなりますね。しかしながら、この「機会」ということばを削除したらどうかということに対して、基本法第二十条に「機会の増大」ということばがあるから、同じことばにしなければならないのだということは通らないのだ、ここだけは確認しておきます。いいですね。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/22
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023・三木武夫
○三木国務大臣 私は基本法の立案に参加したわけではないのでありますが、非常に考え抜いたことばだと思っております。やはりこの機会の増大というものは民主主義の大原則で、私は大好きですよ。だから、これは田中博士のように立法論ばかりではいかないのですよ。政策論も加えて考えてみると、やはり何らか中小企業者の努力というものもそこに加味するということが政策理論としてはベターで、教育の機会の拡大とか雇用の機会の拡大というような働く者、労働者が働く意欲であるとかあるいはまた勉強しようという意欲とか、この余地を残すことがやはりいいのではないか。こういうことで自民党がこういう提案をやろうというのですから、需要を確保してあげようという精神からこういう法案の提案になったのですから、それは疑う余地がない。その場合に中小企業者もやはり努力しなければならぬ。その努力の余地は政策論として残しておいたほうがいい。そういう意味で私は機会ということばは大好きです。民主主義における機会の増大ということばは、そのものずばりよりも、機会というものを与えて、やはり人間の努力する余地を残してあるということは、非常にこれは基本法でも考え抜いたことばである。それから今度の場合でもこれを使ったのは、民主主義の原理、原則であって、考えて考え抜いたことばであって、まことにただ偶然にできたことばでない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/23
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024・田中武夫
○田中(武)委員 大臣最初おいででなかったが、機会均等の原則は憲法でも保障しておる民主主義の基礎であるということは、論議が終わったわけです。そこで立法論ということでなく、政策論としてのいわゆる政府なり中小企業庁の中小企業のこの問題に関するわれわれとの深浅の違いという点だけはここでお認めになると思います。
もう一つは、これは先ほども笑い話のように出ておったけれども、政府のつくられる法律は羊頭を掲げて狗肉を売るというのですか、名前はいいけれども中身がないということをわれわれはよく言っておるのです。これは「受注の確保に関する法律」になっておる。だが目的は「機会を確保」となっておる。これは少し看板と中身が違うのじゃないかと思うのですが、それについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/24
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025・田中康民
○田中(康)政府委員 これは私ども法制局におきまして審議したときの議題でもございますので、私から一応御説明申し上げます。
法律の題名は、すべてその体をあらわすようにしなければいけないということが原則でございます。そこでわれわれといたしましても、当然法律における題名をいかにしなければならないかということについての審査をいたしたわけでございますが、ただ題名につきましては、やはり体そのものの内容につきましてそれをこまごましくあらわすということはできませんで、やはり簡潔を旨とし、しかもその簡潔の中に、国民がこれはどういうことを規定している法律であるかということがはっきりわかるようにしたほうがいい、こういうことでございまして、われわれといたしましても、受注の機会というようなものを入れる案につきましても検討いたしたわけでございますけれども、しかし、やはり題名にそこまでとる必要はないというふうに考えまして、実はいたしたわけでございす。
あと、実質的には中小企業庁長官のほうから御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/25
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026・影山衛司
○影山政府委員 法制局第四部長のおっしゃいましたことと同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/26
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027・田中武夫
○田中(武)委員 ともかくこれは看板がきれい過ぎる、中身よりかわいい看板を掲げた、こういうことだけを確認しておきます。これをどっちかに直せということは、またあとでするとして、看板と中身がだいぶん違う、こういうことだけはお認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/27
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028・影山衛司
○影山政府委員 題名のことでございますので簡潔を旨といたしております。それから官公需ということばにつきましても、内容とは関係なしに、熟しておる、通常使っておることばを使っておるようなわけでございまして、題名と内容とは別にお考え願ったほうがいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/28
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029・三木武夫
○三木国務大臣 私から一言。いまの内容と題名が違うとか羊頭狗肉とかいうのには私はちょっと承服できない。全体の立法の精神に流れておるものは、中小企業の受注、需要を確保したいということ、これは全条に流れておる精神であります。だから社会党の場合も、何も高くて内容の悪いものをやれとは言わないのですから、機会というものが入っているからといってこれを骨抜きにするということは少し思い過ごしであって、やはり機会を増大して努力の余地を中小企業者に残しておるということ、このほうが好ましい。ほかに機会を入れてないものがあれば入れたほうがいいと思うくらいです。ほかの法律でも機会の増大をすべきである。中小企業基本法なんぞにも入っていることはもっともなことなんです。もしそういうことがなければ、社会党は高くても、内容が悪くても、必ず中小企業にこれで確保しろというなら別ですよ。そうでないのですから、やはり増大すべきは機会であって、そして増大された機会の中で中小企業者が需要を確保できるような競争的な条件を中小企業は持たなければならぬ。こういうことで、あなた方の主張とこの法案がそんなに違うとは私は思わぬ。ただ、国民から見ればそういう感じを受けやすいと思う面はありますけれども、内容に至っては、この法案が羊頭狗肉だとかいうようなことは、あまりにも批判としては正鵠を得ていない、だからそれは承服できないということを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/29
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030・田中武夫
○田中(武)委員 大臣が承服できないということになるとこっちも承服できぬということになるのだが、それはそれとしても、少なくとも題名は中身をあらわす、名は体をあらわすでなくちゃならないが、名前が少しきれい過ぎる、そのことは確かだと思います。それから、とにもかくにも、こういう名前を持つ法律案を出されたことにはわれわれは大きな敬意を払っております。したがって、現在そこにおられる三木大臣なり影山長官のときにはそれはそういう気持ちかもしれません。しかし、法というものは、一たん成立すると、立法者の意思にかかわらず一人歩きをするものなんです。じゃあとの人たちは何によるかといえば、あらわれた条文の解釈で動くわけなんです。いつまでも大臣が通産大臣におられるならよろしいが、総理大臣になっていただかなければならないし、また影山君もいつまでも企業庁長官で終わるわけでもないでしょう。法律は、一たんできると永久にといいますか、ともかくこの法が廃止されるまでは立法者の意思とは離れて一人歩きをするのです。したがいまして、立法者の意思を十分に法の表現に盛らなければ、立法者の意思は貫かれないということになる。そのことだけを申し上げておきます。
これ以上申し上げても、あまり法律論をあれしてもどうかと思いますので、その次に、この法律がかりに実施せられた。そういたしますと、実施の状況、たとえば第四条の方針、第五条の通知、報告等々も含めて当然基本法の第八条の年次報告の対象となると思うのですが、なりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/30
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031・影山衛司
○影山政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/31
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032・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、四十年度の年次報告、いわゆる中小企業白書を見ると、四八八ページから四九〇ページの三ページにわたって官公需受注についてなにが出ております。そしてその三ページのうち一ページは表なんです。これは法律がないから一応こうしたということだけだろうが、私は、もっと詳細に、もっと緻密に、そしてさらにこの次は四十二年度に施そうとする施策の中へもこれが出てこなくちゃいけないと思います。それがはっきりとなされる。そのことによって、若干われわれが危惧しておるところの、われわれが義務だと言っておるところが努力だとか、あるいは公表だとか通知だとか要請だとかいうことばになっておることは、それは運用で補充していくということはわかる。同時に、基本法に基づく年次報告に、より詳細により具体的に報告することによってわれわれは運用のあとを見ることができると思うのです。そのことは確認できますね。ただ三ページか二ページでこの次の年次報告はごまかさない、こういう審議の中における議論等も考えて、もっと具体的な、われわれの言っておる、社会党案のような詰めをしていったと同じような効果があがるようにしていく、そしてそのあとを国会へ基本法第八条によって報告する、それはいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/32
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033・影山衛司
○影山政府委員 この四十年度の中小企業白書ができます当時には、まだこういう法律を出すかどうかということも決定してなかったような段階でございます。もちろん法律はございませんので、従来のやり方を踏襲したわけでございますけれども、一たびこの法律が通過成立いたしました以上は、詳細具体的にこの中にも報告をいたしまして一般の御批判にもこたえていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/33
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034・田中武夫
○田中(武)委員 それはあとで両党間の話し合いの話題にもなろうと思いますので、「機会」ということばについてはその程度にします。しかし、成立いたしました暁における立法者の意思をどこまで生かして運営せられるかということは、われわれは白書をもってあとで確認するわけですから、そういう点だけをひとつ希望し確認しておきたいと思います。
次に、第二条の一項四号にこの法律における組合の定義があがっておりますね。これは先日の板川質問だったかにも、中小企業等協同組合、団体組織法による組合、あるいは商店街組合、こういうように具体的に答弁せられたのですが、その組合は先日の長官答弁のまま受け取ってよろしいか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/34
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035・影山衛司
○影山政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/35
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036・田中武夫
○田中(武)委員 第二条第一項四号の規定だけ見ると「特別の法律によって設立された組合及びその連合会」、こういうことで読むと、たとえば生協、農協、水産協同組合、いろいろあるわけだ。そこで少なくとも四号で「特別の法律によって設立された」ということなら、いま申しましたようないわゆる商業的なあるいは工業的なものだけでなく、それ以外の協同組合もあり得るわけです。それについてはどうです。この法律をそのまま読めばそう解釈するのですがね。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/36
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037・影山衛司
○影山政府委員 「特別の法律によって設立された組合」という中には、特別の法律で設立がございますれば何でも入るわけでございますが、その中で「政令で定める」というふうになっておりまして、この法律の目的に照らして妥当と思われる組合を指定するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/37
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038・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、たとえば生協であるとかあるいは農協は政令で指定しないつもりであるので、先日の答弁のとおりだ、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/38
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039・影山衛司
○影山政府委員 中小企業問題をいろいろやっておりますと、生協と農協と中小企業との問題というのはいろいろとむずかしい問題がございますので、そういうところも見きわめませんと、どうするこうするということが、なかなか言えないわけであります。さしあたりは、やはり農協等はこれには指定しないというつもりにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/39
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040・田中武夫
○田中(武)委員 農林省見えてますね。——この法律が通れば、農林省の発注あるいは購入の問題は当然この法律にのっとってやってもらわねばならぬということになるのですけれども、その場合、農協から——それはいわゆる単協だけじゃなしに系列全部含めていわゆる農協系列から農林省へ物を納めたり、あるいは農林省が購入しておるものがたくさんあると思うのです。そういうのは一体どちらへ入れますか。農協を大企業ともいえないと思うのです。またこの法律でいう中小企業ともいえない。そうするなら農協はどう取り扱いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/40
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041・稻垣元宣
○稻垣政府委員 ただいま先生の御指摘の点につきましては、まだ通産省のほうから政令の内容につきまして具体的な御相談がございませんので、農林省といたしまして最終的な結論は得てございません。したがいまして目下検討中でございます。ただ先生御心配いただいているような点につきましては、現在でも、予算決算及び会計令の随契で、農協関係はかなり優遇されているようなかっこうで、物件の買い入れその他において優遇されておるような形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/41
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042・田中武夫
○田中(武)委員 ほかの省庁にもあるかもわかりませんが、ことに農林省は系列農協の関係から入るものも相当あると思うのです。これは単協の意味ではなしに、経済連だとか全購連だとかも含めて系列農協といっていますがね、相当あるわけですよ。その場合に一体どちらに入れて考えるのか。あるいは中小企業庁からまだ相談を受けていないということなんだが、中小企業庁の長官の話では、先ほど来言うように農協等は含まない。そうするなら、農協等の購入については、この場合大企業とみなすのか、やはりこの法律でいう組合とみなし第三条による組合を通じての契約をする、こういうことになるのかどうか、影山さん、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/42
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043・影山衛司
○影山政府委員 この予決令の九十九条におきましては、その第十六号で農協が随契の対象になり得るということになっております。それから十八号では事業協同組合等が随契の対象になるというふうになっておりまして、十六号と十八号とおのおの号を分けて書いてあるわけでございますが、やはりおのおの、十八号のほうは中小企業対策という意味から、それから十六号のほうは、農協については農協対策という意味で別な考え方をしておるようにも受け取れますので、この法律全体の趣旨から申しまして中小企業対策という点にしぼっておりますので、農協を指定するのはあまり適当ではないというふうに考えておりますけれども、また法制局とかあるいは農林省とも相談をいたした上で決定していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/43
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044・田中武夫
○田中(武)委員 たとえばこの審議に関連して中小企業庁が出されておる官公需確保対策関係資料の中にも、いわゆる大企業と中小企業の受注の割合と金額、件数が出ておるわけですね。それから先ほど私が示しました経済白書の中にも、大企業と中小企業と出てますね。それじゃいままで、農協の納めたものは統計上どちらに入れておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/44
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045・影山衛司
○影山政府委員 農協の納めたものは入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/45
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046・田中武夫
○田中(武)委員 それじゃ大企業と中小企業というときには、農協は別扱いにしておる。統計上はそうなるのですね。そうすると実際の場合において、農林省は農協から買う場合、あるいは中小企業、いわゆる中小企業等協同組合のほうの商売に入るものを買う場合に、やはりこの問題で混乱が起こるのじゃないか。同時にまた、現に農林省へ物を納める場合に、農協といわゆる商業的な事業協同組合との間にいざこざとか紛争とかがあるでしょう。それをどう割り切っていくのです。どちらに入れて解釈していくのか。大企業としていくのか、ここでいう組合として考えていくのか。この問題は、実際の場合にあたって混乱を起こすのじゃなかろうかと私は思うので、いまここではっきりと政令をこう書きますと言うことができなければあとでけっこうです。これは交通整理をしておく必要があります。私は何も農協を大企業だとは言っていません。しかし、ここでいう組合でもないとするなら別個の関係である。予算決算令に基づいては随意契約の相手方としてあがっているということは、国なりあるいは機関に物を納めたり契約する資格があるということなんです。資格があるからこそ、よけい問題になるわけです。その点ひとつはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/46
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047・影山衛司
○影山政府委員 私どもの資料で統計上まとめております場合には、大企業、中小企業その他というふうになっておりまして、これはその他に入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/47
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048・田中武夫
○田中(武)委員 実際これからの運用はどういうようにしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/48
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049・影山衛司
○影山政府委員 さしあたり農協は政令で指定するつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/49
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050・田中武夫
○田中(武)委員 そうすると、農林省は実際の場合にどうするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/50
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051・稻垣元宣
○稻垣政府委員 農協関係につきましては、現在本省だけのあれでございますが、あまり物件を買い入れる例はございません。ですから特に問題になっている点はございませんけれども、なおただいまの御質問の点もございますので、農林省としての考え方をまとめまして中小企業庁のほうにも相談し、また法制局の考え方も取り入れまして御相談申し上げていきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/51
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052・田中武夫
○田中(武)委員 いまここではっきりさすということも無理かと思うので、これは両省の間で実際にあたって混乱のないようなことを取りきめてもらう必要があると思います。大臣よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/52
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053・三木武夫
○三木国務大臣 それでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/53
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054・田中武夫
○田中(武)委員 それでは、建設大臣が見えたので、建設大臣に質問します。
これは事務次官通牒ですが、四十一年三月七日、第十一号という次官通牒で「中小建設業の受注機会の確保について」というのが出されています。これは、いまこの委員会では官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案を審議しておるのですが、この法律と関係を持たして通達を出されたのか、それともこれは別個で出たものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/54
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055・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 基本的な思想については関連があると思いますが、私のほうはこの法律が提案される前に建設業の中小企業の問題がなかなかいろいろありますので、その前に従来から検討しておりましたことを通達として出させたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/55
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056・田中武夫
○田中(武)委員 日付から見て国会提出以前ですから、おそらく閣議決定以前だと思うのです、通達が出たのは。しかしこれが出れば当然この法律との関連の上においてこの通達が出ておる、このように思っていいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/56
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057・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 ざっくばらんに申し上げて、今度の法律を、こまかくどうなっているか私よく承知しておりませんが、もちろん中小企業対策の一環として、私ども従来建設省の考えております建設業の特殊事情に応じてそれに応ずる措置として出しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/57
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058・田中武夫
○田中(武)委員 そこで大臣、この次官通牒に対して法学博士の肩書きを持ち、現に与党の参議院議員であり、大手も超大手の土建業の会長をしておる鹿島守之助氏が四月十日にこの次官通牒に対する反駁の意見書を出しておる。またそれに対しまして、今度は五月十日ですか、財団法人全国中小建設業協会からその反駁書が出た。この三つのいきさつは御存じでしょうね。次官通牒、それから鹿島氏の意見書、それに対する中小建設業協会の反駁、これは御存知でしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/58
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059・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 鹿島守之助氏から何か私どもの措置について意見を出されておるということは承知しております。それについてまたさらに反駁の意見といいますか、反対の意見が出ておるということは、私直接承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/59
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060・田中武夫
○田中(武)委員 そこで確認をいたしますが、次官通牒は鹿島意見書によって解釈上もあるいは何といいますか、これを改めて変えるというようなこと害めて、何らの影響受けない——鹿島氏の意見書はこれは大手の立場に立って言われておる。しかも法学博士の肩書きを持つ人が憲法論と会計法とをあげてやられておる。一度この委員会に来てもらってじっくりと法学博士の法律のうんちくを聞きたいと私は思っているのですが、それは別の問題として、そのことによって建設省の従来の態度、すなわち次官通牒は変わりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/60
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061・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 結論を申し上げますと、変わりません。鹿島氏は鹿島氏としてお考えを述べておられますから、それをとやかく私どもは申し上げませんが、憲法に違反する、あるいは事業施行の適正を害するというふうな趣旨の御意見でありますが、私どもはそういうふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/61
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062・田中武夫
○田中(武)委員 まことに明快であります。そこで建設省が直接発注する工事あるいはその他をも含めてですが、この土木建築、土建業は特に下請、再下請という関係が多いと伺っておりますが、その実態はどうでしょうか。それからこの建設業法の第二十二条に「一括下請負の禁止」という規定がありますね。実際は一括下請に出しておるような例はあるのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。その実態をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/62
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063・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 建設業の下請ということは間々あることであります。しかし法律上一括下請は禁止されております。なお部分下請ということがありますが、これは禁止しておりません。しかし事業の施行が適切であるかどうかということを見なければなりませんから、国あるいは地方公共団体の公共事業等に関する下請については事前に承認を得る、こういう措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/63
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064・田中武夫
○田中(武)委員 その承認の中に、建設業法二十二条三項による一括下請除外の承認をした例はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/64
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065・志村清一
○志村政府委員 お答え申し上げます。
建設省関係で一括下請を認めた例は、私の知る限りではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/65
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066・田中武夫
○田中(武)委員 それと、部分的に下請に出す。しかしその部分的下請を五つなら五つ合わすとそれで一括と同じようなことになるということは、自分で直接施工せずに五つくらいに区切って五つの下請にさすというような実例はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/66
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067・志村清一
○志村政府委員 ゼネコンと申します総合請負業者が幾つかに分けまして、各下請につきまして総合的な企画、段取りをつけ、機械を貸し、資金を貸すというようなことでやっている場合はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/67
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068・田中武夫
○田中(武)委員 それを裏側からみれば一括と同じことじゃないですか。この一括下請の禁止は元請者、契約者がそのままぞろりと特定の人に請け負わせることだと思う。しかしそれを五つに区分して五者にまかせても、この元請者が直接工事はやらないということにおいては、一括下請と同じじゃないですか。二十二条の一括下請の禁止の精神はどういうところにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/68
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069・志村清一
○志村政府委員 おおむねの場合はただいま申し上げたようなことでなく、主体部分は元請がやっております。元請が下請を使いまして、主体部分につきましても下鞍朗にまかせるということは、ごく少ないのであります。しかし施工監理とかあるいは仕事の段取りあるいは機械の貸与というような点につきまして、全体を元請が統括して行なうという事例は、例外としてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/69
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070・田中武夫
○田中(武)委員 だから例外としてある場合は、建設業法二十二条でいう一括下請と同じことじゃないか。法の精神から同じことじゃないか。そういう点が一点。いまここで私は何も建設業法について議論をしようと思っておりませんので、いろいろありますが簡単に言います。あらためてまた建設委員会の場でひとつやらしてもらってもいいと思いますがね。そういうことで一括下請と同じような、分割して下請をさせておるが実際には一括下請と同じような状態、いうならば建設業法二十二条の一括下請禁止条項に違反した業者がある。ないと言うならば資料を出してもよろしい。それをひとつ調べてください。それで建設業法違反の場合は適当な処置をとってもらいたい。それからそういうような場合、あるいは一部は直接でやるが他は下請でやった場合、元請契約と下請契約との間の金額の差、そういうものは、一説によれば六割くらいだなんて言われておりますがね、これは私も科学的なデータに基づいていませんが、四割くらいのものだと言われているが、そういうような点はどういうようになっているのか。
もう一つ建設における労働災害、これが最近多いようですが、ほとんどが下請の人夫に出ておる。そういうような下請制度について建設大臣はどう是正しようと考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/70
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071・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 実例あるいは法の解釈についてはもう少し検討する必要があると思いますが、先ほどの部分的なものを何人かにやらせる、これは法律違反じゃないか、要するに、実例については調査しなければなりませんが(田中(武)委員「いや、もう例外的にはあると言っておる」と呼ぶ)一括下請は禁止しておる。責任の所在を請負者に持たしておる。それからなお他のものに請け負わせてそして責任を免れるということはできないという意味において禁止しておる、私は法律をそう解釈いたしております。先ほど事例として局長から申し上げましたけれども、その施工全責任はやはり元請が持っておるという体制で認可を受けてやれば、それはあえて法律に違反することでない。一括下請を禁止しておりますのは、その者の施工能力、資金その他を信用して注文を出しておるわけで、それをまた他の者に、自分が全体の責任からのがれるという意味において請け負わすということは許されない、こういうことであろうと思っております。
それから、労働災害等の場合についてお話が出ましたが、よくそういうことがあります。さらにまた、賃金不払いということが事実上あることはあります。この下請がいろいろ複雑になっておりますとわけがわからなくなる、こういう事態もありますので、この点については、建設業法等についてもう少し検討して秩序を正す必要がある、こういう意味でいま建設業法の改正を検討中であります。ただ実際に行政といたしましては、かりに下請でありましても、賃金不払い等はいわゆる元請で責任を持つべきである、そういう責任を持たないような賃金不払いがあったら、将来指名を停止するという行政措置を現在講じておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/71
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072・田中武夫
○田中(武)委員 建設業法二十二条の解釈については、いささか私は違います。この禁止規定があってもなくても、契約者が施工の責任を持つのは当然なんです。責任の所在の関係ではないと私は思うのです。しかし、いまあなたを相手にここで法律論争はやりません。しかし、いまのあなたの答弁は、法律的に見ると私は納得できませんが、それはそれとして、下請代金が元請の代金とどの程度違うか、そういうことについてお調べになったか。俗に、六割くらい——四割くらい天引きだ、ピンはねだといわれておるんです。それと同時に、元請から下請に払ういわゆる下請代金、これがおくれておる。そこで、もう十年ほど前から、これは公正取引委員会の所管になっておりますが、下請代金支払遅延等防止法というのがある。しかしそれはまずさしあたって発足の場合には加工と修理だけの問題に適用する、こういうことで土建業には適用になっていない。しかし土建業にこの下請代金支払遅延等防止法を適用すべきであるということで、当委員会においてもそういう附帯決議がなされております。そこで、公正取引委員会なり通産省では、大体その用意があると思うのですが、直接土建業を監督しておる建設大臣は、下請代金支払い遅延の問題についてどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/72
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073・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 支払い遅延防止法については、直接、いまお話しのとおり建設業には適用されておらない。しかし、これは適用するという意味で検討すべきじゃないかという国会の意思が出ております。ただ建設業の場合にはほかの業種と違った各種の問題がありますので、必ずしもそれだけで解決するかどうかということについて検討すべきところがある。そういう意味で、先ほども申し上げましたように、そういうことも含めて建設業法の根本的な改正をしなければならない。責任の問題、いまの下請の問題を含めて建設業審議会でいま検討中でありますので、私どもはその検討を待って処理をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/73
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074・田中武夫
○田中(武)委員 私は何も建設業法をいま直ちに改正しなくても、その運用で解決する問題である、こう申し上げておきましょう。建設業法の関係ではないのですよ。下請代金支払いの問題はまあその程度にしておきましょう。
それから建設業の業者の格づけといいますか、そういうのに点数制度——客観的総合的数値というのですか、そういうのがとられておりますね。これはどういうような考え方の上に立って、どのようにしてつくられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/74
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075・志村清一
○志村政府委員 建設省は、毎年大臣登録の業者につきまして、点数制による格づけ審査を行なっております。これは工事の発注の基準といたしまして審査をいたしているわけでございますが、建設業法の二十七条の二という規定がございますが、これに基づきまして公共工事の入札に参加しようとする建設業者の申請によりまして、経営規模その他経営に関する事項を、あらかじめ定められました客観的な標準に基づきまして審査を行なっております。その結果を公共工事の注文者とかあるいは申請をした業者に通知することといたしております。これは公共工事の入札にあたりまして、各発注機関が、会計法等に基づきまして建設業者の入札参加資格を審査するとともに、指名基準を設定する場合の資料に供しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/75
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076・田中武夫
○田中(武)委員 そういう総合数値による点数でその企業の実体といいますか、これを格づけして、それをさらに何点から何点まではAとかBとかいうようにして、そして請負金額幾ら以上はA級だとか、幾らまではB級とかというようなやり方をしておられるわけですね。そこでそういう客観的総合数値による格づけはABCDEとなっている。そのことと今度この中小企業者の受注の確保に関する法律、これが実施せられたときにはどういう関係になりますかね。この法律の第二条で、定義があって、中小企業者という定義が下されておるわけですが、第二条一項一号によって、建設業は五千万円以下の資本金並びに常時使用する従業員三百人以下、こういうことになるわけですね。そうすると、この法律でいう中小企業とあなた方のABCDEの格づけとはどういう関係になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/76
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077・志村清一
○志村政府委員 現在建設業として登録を受けておる者は約十万ほどございますが、そのうちの九八%は今回の法律に書いてございます中小企業、資本金五千万円以下の業者でございます。そういう意味におきまして、ABCDEと五つのランクをつけておりますが、Aを除きましてB以下は、ほとんど全部この中小企業に該当する、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/77
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078・田中武夫
○田中(武)委員 そこで、このABCDEというような格づけをする、そしてその中においてこの程度のものはこのクラスだ、こういうことはある意味においては、社会党案を御存じじゃないけれども、社会党案の第五条等にうたっておることからいえばいいと思う。しかしまた一面、あなたの説明によると、A以外はみんな中小企業だ、こうなると、中小企業を今度は四ランクに分けるわけですね。そういうこととこの法律の趣旨とはどういうことになるかね。影山さん、どう考えていますか、こういう格づけと法律の定義との関係は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/78
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079・影山衛司
○影山政府委員 中小企業者の中にも、御承知のように中規模、小規模、零細規模とあるわけでありまして、やはりおのおのその受注の機会を確保してやるというきめのこまかい措置をやってあげなければいかぬということでありまして、建設省のほうのおやりになっておることは非常にきめのこまかい中小企業対策だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/79
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080・田中武夫
○田中(武)委員 いや、きめのこまかいということはいいんだが、一面においては、先日来議論をいたしております社会党案五条の契約の特例にむしろ合ったようなシステムだと思う。ところが一面において、この法律でいう中小企業の中にランクを設けるということですね。これは矛盾しないか。もっと言いかえるならば、この法律が通ることによって、このランクなりその請負限度金額なりを検討し直す必要はないか、そう思うのですが、これはいまここで結論は出ないかと思うのですが、どうですか、検討し直す必要があるのじゃないか。それは中小企業庁あるいは通産省と建設省とがもっと打ち合わせる必要があると思う。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/80
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081・志村清一
○志村政府委員 その問題につきましては、通産省とも十分相談をいたしたいと存じますが、この一応の基準をきめました場合におきましても、中央建設業審議会等におきまして、建設業者の実態等に応じて相当調査をいたしました結果の答申でございますので、にわかに変える必要はあまりないのじゃないかと存じますが、念のため通産省とも打ち合わせをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/81
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082・田中武夫
○田中(武)委員 建設大臣、建設業法による中央建設業審議会ですか、これに対して、この法律が通ることによっていままでの格づけとかあるいは総合数値の、建設の請負金額五千万以上とか一億五千万以上とかなっておる金額を、少し変える必要があるのじゃないか。最近変えられたようですが、もっと変えられる必要があるのじゃないかと思うのです。そういうことについて、建設業法に基づく権限によって審議会へ諮問をする、そういうことは考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/82
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083・瀬戸山三男
○瀬戸山国務大臣 いま局長からお答えいたしましたように、いま御審議中の法律が制定されましたら、それとの関係を検討いたします。検討いたしますが、格づけに応ずる受注量、受注単位というものについては、最近これは審議をお願いして改訂したばかりでありますから、その点、よく今後の検討に付したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/83
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084・田中武夫
○田中(武)委員 最近変えたということは私も知っています。しかし、こういう法律ができた上に立ってもう一度検討する、そのためには中央建設業審議会に諮問をする、そういう必要があると思いますので、それを要望しておきます。
それから影山長官あるいは三木大臣には、これは一長一短だと思うのですが、われわれが言っている契約の特例ということと関連して、この行き方も一つの行き方ではなかろうか、そういう点も、いいところは組み入れるように検討してもらいたいと思うのです。
そこで、次にお伺いいたしますのは、そういうことで総合的数値というのをつくるのですが、その契約だけでなく、ほかの面に総合的数値というのが動いておるわけですね。たとえば、設備近代化助成金の貸し付けに対して、二十五点から三十点、三十何点とか回答があったけれども、たしか私は二十五点から三十五点と変えられた、これは兵庫県ですが、そう記憶しています。ところが、設備近代化助成法の第二条では、もう定義がきまっておるのですよ。設備近代化助成金の借り入れのできる資格者は、この法律によってきまっておるのです。しかるに、そういう行政措置といいますか、審議会から示された基準による行政的な点数によって、何点以上でなければ資格がない、こういうような行き方はいかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/84
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085・志村清一
○志村政府委員 先生のお話の分は、中小企業設備近代化資金の貸し付けについての一つの基準の問題かと存じます。御承知のとおり、これにつきましては、都道府県が通産大臣の基準に従って中身をきめておるわけでございますが、私どもと通産省と相談いたしまして、貸し付けの金額がわりあい少のうございますし、建設業自体が、機械、たとえばブルドーザー一台にしましても、六百万円ぐらいするわけでございますので、そういった面で、特に設備の近代化が急速に必要とされる企業層がどの辺だろうかというふうなことを考えまして、そういうところに対して優先的に考えてほしいという要請をいたしたわけでございます。点数で一応考えましたのは、大体点数に応じまして、企業の大きさと申しますか、それらがわかるわけでございます。ただいま先生おっしゃいました客観的数値三十五程度のものでございますと、いわゆるABCDEの中で、Dクラスでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/85
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086・田中武夫
○田中(武)委員 そこで私が疑問に思うのは、その近代化助成金の運営にあたって一つの基準を持つことは、私はいけないとは言いません。しかし、現実に行ったときに、おまえ一点足らぬ、資格はないと言うことは、いかがなものですか。これを借り入れられる資格は、この中小企業近代化資金助成法第二条の一項一号によって、きまっておるのですよ。それを、おまえは資格がないと言うことは、行政措置をもって法の定義を修正する、言うならば行政権といいますか、これも行政指導になるのかどうか知りませんが、行政指導によって法の定義を変えるということになりやしないですか。私は、あらゆる委員会において、これから行政の行き過ぎ、法に対する行政の挑戦、そのことを取り上げていきたいと思っておりますが、これもその一つだと思うのです。中小企業の定義がちゃんと法律によってきまっておる。ところが、あなた方は、もとは契約基準をつくるために総合数値というものをつくった。それを、何点から何点までのものでなければ貸さないというような行き方は、いかがなものですか。そのこと自体が、それを主管する中小企業庁ではわからなかったのですよ。かってにあなたのほうでつくっておったそういう点数があって、あなた資格がないと言われたので、私は聞き合わしたのです。ところが、中小企業庁でもそのことは十分把握していなかった。そういう行き方は、まさに行政権をもって法を修正する、こういう結果になるが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/86
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087・志村清一
○志村政府委員 先生のおっしゃる点につきましては、中小企業庁の通達の中におきましても、大体基準といいますか、こういった建設業者に優先的に貸すのだという趣旨が盛られております。私どもだはが、建設省がかってにやったわけではございません。通産省とともに相談をしてやったわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、建設業の特殊な事情等がございますし、資金の限度というものもございますので、特に設備近代化が急速に必要とされる企業層に重点を置いてやってもらいたいというのが私どもの趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/87
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088・田中武夫
○田中(武)委員 企業庁は、私がそういうことが現実にあって聞いたときには、よくわからなかったのですよ。相談にあずかっておるのかどうか知りませんがね。幾ら幾らのものならばこの程度ということの基準を設けて運用することは、あえて私はいかぬとは言っていないのです。しかし、あなたは何点でこういうところだから三百万円のやつを二百万円とかというなら話はわかる。資格がありませんと言ったのですよ。それなら、まさに行政指導をもって法の定義を修正しておるじゃないですか、変えておるじゃないですか。行政の行き過ぎを認めますか。立法に対する行政の挑戦、これを認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/88
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089・影山衛司
○影山政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、基準を聞かれましたときに知らなかったのは、これは私が知らなかったわけでございまして、基準としては中小企業庁と建設省と協議してきめたわけでございます。この基準をきめます趣旨は、先生御承知のように、中小企業の近代化資金助成法で近代化の補助金というのは、零細層に無利子の金を貸してやろう。それで設備の近代化をできる、だけはかっていこうということでございますので、そういう趣旨にのっとりましての基準でございます。そこでその基準は、それでは全然弾力性がないものかどうかということになりますと、その基準にあてはまらないけれども、やはり法律の趣旨から近代化資金を貸し付けなければいけないものにつきましては通産局あたりが県と協議いたしまして、それで弾力的に配慮をするという仕組みになっておりますので、法律の定義を基準によって変えるという意図は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/89
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090・田中武夫
○田中(武)委員 それはそう答えなくちゃしょうがないと思うのですが、あなたが総合数値が何点オーバーしておるからというのなら話はわかるのだ。より零細に貸すようになっておるというのなら何点足らぬから資格がないということは、どうなんだということなんです。私は、もちろん無条件に運用すべきではない、基準があってしかるべきだと思う。しかもこれは県等では、本省、すなわち建設省からの通達によってこちらでたとえ一点たりとも動かすことができませんと答えておる。そういうばかなことはあるかということです。それならばまさに行政措置をもって法を修正しておる、二条の定義を変えておるということなんです。現にそういう運用が行なわれているので、中小企業庁とそれから建設省はその運用についてあらためて弾力性ある運用をするように通牒を出しますか。どうですか。通牒を出しなさい。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/90
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091・影山衛司
○影山政府委員 建設省と相談いたしまして御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/91
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092・田中武夫
○田中(武)委員 建設省はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/92
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093・志村清一
○志村政府委員 企業庁長官の言われたとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/93
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094・田中武夫
○田中(武)委員 いろいろと建設省にお伺いしたい点もありますが、本来の委員会に帰られるそうですからきょうはこの程度にしておきます。あらためて建設行政については一度対決をする機会を与えてもらいます。いかなる場合も、どんな委員会でもこれから出ていって行政権の行き過ぎとか不法性の挑戦には片っ端からやっていくから、挑戦状をここで投げかけておきます。それでは建設大臣けっこうです。
もう、だいぶ各委員から質問もありましたから、私もあと二、三点で終わりたいと思います。
一つは、この法律が通れば会計法との関係で会計法の二十九条の三の二項の政令等を変えていく必要があるんじゃないかと思うのです。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/94
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095・影山衛司
○影山政府委員 二十九条の三の二項におきましては、一般競争入札に「加わろうとする者に必要な資格及び同項の公告の方法その他同項の競争について必要な事項は、政令でこれを定める。」ということになっておりまして、当然この政令で資格基準等がきまるようになっていますが、この政令は、予決令の第七十二条におきまして先生御承知のとおり「契約の種類ごとに、その金額等に応じ、工事、製造又は販売等の実績、従業員の数、資本の額その他の経営の規模及び経営の状況に関する事項について一般競争に参加する者に必要な資格を定めることができる。」相当包括的な規定がしてございまして、むしろ政令そのものの検討というよりもその運用の実施の基準の問題であろうかというふうに考えるわけでございますけれども、とにかくこの法律の趣旨に照らしまして、会計法上の政令等につきまして検討を加えるべきものは検討を加えるということにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/95
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096・田中武夫
○田中(武)委員 私は、この会計法の二十九条の三、二項に基づく各政令がどんなものだということを見ていないので何とも言えませんが、この政令なりこれに基づくいろんなとりきめがあると思う。省令になっておるのかどうかしりませんが、そういうものを改正をして、中小企業者が自由にといいますか、いわゆるそういう機会に参加する、このことがこの法律の目的でしょう。したがって会計法あるいは予算決算令等々に基づく政令あるいは省令あるいは規程ということになるかもしれませんが、そういうものについては、ひとつ十分にこれは通産だけでなくて各省で検討をしていただきたい。そうでなければ、この法律は意味をなさないわけです。ひとつ大臣、頼みます。十分やっていただきたい。それだけ答弁していただいたらけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/96
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097・三木武夫
○三木国務大臣 努力するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/97
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098・田中武夫
○田中(武)委員 もうみんながやったと思うのですが、たとえば要請と勧告ということばが、社会党案と政府案とでは使い分けてある。この要請と勧告というのは、一体どの程度違うのか。あるいは義務と努力、これは大体わかると思うのだが、社会党案と政府案との違いを拾うと、そういうことばが違っておるわけです。そこで努力と義務、要請と勧告、これは一体どう違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/98
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099・影山衛司
○影山政府委員 政府案の三条におきまして、見出しが「受注機会の増大の努力」ということになっておりますが、本文を読みますと、「受注の機会の増大を図るように努めなければならない。」と義務を規定しておるわけです。これは単純に見出しの書き方の問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/99
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100・田中武夫
○田中(武)委員 そうしますと、「努める」ということは義務である。したがって、われわれが言う義務と実際においてはそう変わりはないということでいいのですか、法制局の部長さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/100
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101・田中康民
○田中(康)政府委員 「努めなければならない」というのは、通常やはり広い意味で義務と言われておりますけれども、その義務のうちでも、特にこれは努力義務と言われるものであります。そこで努力義務ということが法律上の効果はどうであるかということになりますが、その法律上の効果はやはり努力するだけの義務があるだけでありまして、つとめるということと何々しなければならないということとはもちろん違ってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/101
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102・田中武夫
○田中(武)委員 やはり違うですね。影山さん、義務だというなら法令違反に関する罰則がありますか。まあ、それはいいとして、それから勧告と要請はどのように違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/102
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103・田中康民
○田中(康)政府委員 勧告と申しますのは、通常その勧告によりましてあることを進められました場合にその行為をしなければならないかどうかというときに、その行為を特にしないからといって法律の罰則なりあるいは法律違反になるということではない。その点におきましては要請と同じでございますけれども、ただ要請というのはこちらが何ら上下関係に立っておらない。あるいは向こうに対しての一定の権利義務の関係にないという場合にこちらからお願いするというような意味合いが含まれてきて、そこで勧告というものと、要請というものとは、そういう二つの間、両者の間の違いから出てくると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/103
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104・田中武夫
○田中(武)委員 要請と勧告、それは両者が同等の立場であるのかどうかということから変わってくるということですが、一応そういうことにいたしておきましょう。そこでもう各委員からこの法律に対していろいろ質問がなされておるので、私はもうそう多くをなにしなくてもいいと思うのですが、最後に第七条、このことばも、基本法の何条かに同じことばが載っていますね。同じようなことば、したがってこれも抽象的であるけれども、これは自治省も呼ばなくちゃいかぬと思うのですが、われわれの案では、それに基づいて地方公共団体の施策に対し勧告をするとか、あるいは実績の報告を求めるとか、こういうことにしておるのですが、少なくとも報告は法律的に明確に規定がなくても求められますね。地方で幾ら受注したかということは報告がなければ統計にとれないはずだ。だから報告は求められると思う。それから勧告ということはどういうことになるかわかりませんが、いわゆる憲法の精神からいって、地方自治の独立性、自民党は中央につながるといっていますが、この独立性をやはり尊重するという意味において、こういう書き方をしたんだと思います。これは自治省とも十分に連絡をとってこの効果あらしめるようにしなければ、これも絵にかいたもちにすぎなくなる、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/104
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105・影山衛司
○影山政府委員 自治省とも十分連絡をとりまして、この法律の根本精神が生かされるようによく相談いたしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/105
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106・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来申し上げておるように、この法律に、ことに一条の「機会」ということば、それから三条の「予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ」というこの二つの文句が相互関連して動くならば中身はなくなってしまうと私は思うのです。しかし三木大臣も影山長官も運営によって補う、こういう明確な答弁があったのでその運営に待ちたいと思います。しかし、私の申し上げているのは、先ほども申しましたように、いかに立法者がそういう意思を持っておっても、独立すれば、もう法律として制定されれば一人歩きをする、そしてあとからの人は、その法律にあらわれた文言だけでものごとを解釈していく。そこで立法者の意思が入らないというなにがある。しかし一面、まずこれが実施されたときに、まず当初に影山長官のもとでどのような運営がされていったか、こういうことが足らざるところを補う慣例をつくっていくんではなかろうかと思う。したがって、まず本日のところは、三木さんと影山さんを信用して、一応げたを預けたというかっこうでこの質問を終わります。どうか運用で慣習を積み上げていって足らざるところは補えるような実績をつくっていってもらいたい。
以上をもって、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/106
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107・天野公義
○天野委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/107
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108・板川正吾
○板川委員 ちょっと確認しておきたい事項があります。その前にちょっと基礎的な数字を説明願いたいのですが、資料によると、昭和三十八年度における官公需の金額が出されております。一兆三千六百二十五億円調達が行なわれておる。こういうことになっておりますが、この中で官庁別じゃない、機関別ではなくて建設関係の需要というのはどのくらいの割合を占めておるだろうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/108
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109・影山衛司
○影山政府委員 工事契約に属するものが、中小企業者の受注が金額でしまして五一・七%になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/109
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110・板川正吾
○板川委員 そこで伺いたいのは、社会党案の五条には、この間も触れましたように「官公需契約につき、国等がなす契約に関する法令又は公社等の定めの規定にかかわらず、指定業種に属する事業を営む中小企業者のみの一般競争に付することができる。」いま考えてみると、一般競争というよりも指名競争といったほうがいいかもわかりません。原則的に一般競争と書いてあるが、指名競争といったほうがいいかもしれない。この数字は、すでに建設省の、いま田中委員の質問のように、数値による格づけによってすでに指名入札制度というのが中小企業に行なわれておる。それはたとえばABCDEと五段階に分けて、発注する金額を区分するとA級が一、二%、B級が六%、C級が二〇%、D級が三〇%、E級が四〇%、こういうふうに大体のパーセンテージが示されておる。そしてこれを全国の建設業者の点数表による格づけによって上から一、二%をA級とし、その次の六%ぐらいをB級とし、次に二〇%、三〇%、四〇%ということでC、D、Eというふうに分けてあって、A級からB級にあまり——若干越境しますが、あまり越境してはいぬ。B級から下へあまり越境してはいかぬというたてまえをきびしくやれというのが建設次官通達であろう、こう思いますね。ですから、従来もたとえばA級がC級の工事に指名を受けて参加するということはあまり行なわれないようなシステムで、建設関係はやっておった。これが建設省でありますが、ほかの官庁も大体これと似た扱いをしておるだろうと思うのです。そこで、社会党案の五条を政府案があげなかったということは、実質的にはそういう規模別に中小企業者が受注できるような指名契約制度をやっておるのだ、こういうことでこの趣旨は現行の制度の中にあるのだからあえて書かなかった、こういうふうに解釈をしていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/110
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111・影山衛司
○影山政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/111
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112・板川正吾
○板川委員 その点がこの前、私、確認してなかったものですから追加して質問いたしました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/112
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113・天野公義
○天野委員長 次会は、来たる十七日火曜日午前十時十五分より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104461X03519660513/113
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