1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年三月一日(火曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 三池 信君
理事 金子 一平君 理事 原田 憲君
理事 坊 秀男君 理事 山中 貞則君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 堀 昌雄君 理事 武藤 山治君
岩動 道行君 大泉 寛三君
奥野 誠亮君 木村武千代君
小山 省二君 砂田 重民君
田澤 吉郎君 地崎宇三郎君
西岡 武夫君 藤枝 泉介君
村山 達雄君 毛利 松平君
山本 勝市君 渡辺 栄一君
渡辺美智雄君 有馬 輝武君
小林 進君 佐藤觀次郎君
只松 祐治君 野口 忠夫君
平岡忠次郎君 藤田 高敏君
山田 耻目君 春日 一幸君
永末 英一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 藤井 勝志君
大蔵事務官
(主計局次長) 岩尾 一君
大蔵事務官
(主税局長) 塩崎 潤君
農林政務次官 仮谷 忠男君
農林事務官
(農林経済局
長) 森本 修君
農林事務官
(農政局長) 和田 正明君
水産庁次長 石田 朗君
委員外の出席者
農林事務官
(大臣官房企画
室長) 小暮 光美君
専 門 員 抜井 光三君
—————————————
二月二十六日
委員山本勝市君辞任につき、その補欠として今
松治郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員今松治郎君辞任につき、その補欠として山
本勝市君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員砂田重民君、山本勝市君及び春日一幸君辞
任につき、その補欠として今松治郎君、相川勝
六君及び今澄勇君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員相川勝六君、今松治郎君及び今澄勇君辞任
につき、その補欠として山本勝市君、砂田重民
君及び春日一幸君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
三月一日
委員渡辺美智雄君辞任につき、その補欠として
周東英雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員周東英雄君辞任につき、その補欠として渡
辺美智雄君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
二月二十五日
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二〇号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五六号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二〇号)
法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二一号)
相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
五六号)
農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出第四一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/0
-
001・三池信
○三池委員長 これより会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/1
-
002・三池信
○三池委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。藤井大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/2
-
003・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、昨年八月「経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策」について、税制調査会に諮問いたしたところでありますが、昨年末、同調査会から、最近における経済情勢の推移に応じて、現行税制につき、さしあたって改正を必要とする事項について「昭和四十一年度の税制改正に関する答申」が提出されました。その後、政府は、この答申を中心にさらに検討を重ねた結果、昭和四十一年度におきましては、国民生活の安定をはかるとともに、有効需要の拡大、企業の体質改善等を通じて経済の安定的成長に資することを目的として、所得税、法人税、相続税、物品税等の減税を行なうほか、当面要請される諸施策に対応する税制上の措置を講ずるため、国税において平年度約三千六十九億円の減税を行なうことといたしたのであります。今回は、これらの税制改正のための諸法案のうち、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかっていることであります。
すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、扶養控除に関する年齢区分を廃止するとともに、給与所得控除について、定額控除を一万円引き上げ、また、二〇%または一〇%の控除率の適用限度額をそれぞれ十万円引き上げることとしております。
さらに、中小企業の体質強化に資するため、専従者控除の控除限度額についても、青色申告者の場合には、年齢のいかんにかかわらず一律二十四万円に、白色申告者の場合には十五万円にそれぞれ引き上げることとしております。
以上申し上げました諸控除の引き上げにより、所得税の課税最低限は、夫婦子供三人の標準世帯の給与所得者を例にとりますと、現在の約五十六万円が約六十三万円となるのであります。
次に、税率につきましては、その大幅な改正が昭和三十二年以来見送られてきているため、中小所得者に適用される税率の累進度が急であると認められるところから、課税所得三百万円以下の階層に適用される税率の調整緩和をはかることといたしております。
さらに、生命保険料控除については、全額が控除される保険料の限度額を五千円引き上げるほか、寄付金控除における控除対象限度額を所得の三〇%に引き上げることとしております。
第二は、所得税法の整備をはかっていることであります。
すなわち、通勤手当について、通勤に通常必要であると認められる金額を非課税とするとともに、勤労学生控除及び寄付金控除の対象範囲の拡大、予定納税を要しない予定納税基準額の限度額の引き上げ並びに更正の請求期間の延長を行なう等所要の規定の整備をはかることとしております。
次に、法人税法の一部を改正する法律案の内容について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、法人企業の内部蓄積の増加を通じてその体質の改善に資する等のため、法人税率を引き下げることとしていることであります。
すなわち、普通法人の留保分に対する法人税率を現行の三七%から三五%に引き下げるとともに、年三百万円以下の所得に対しては、特に資本金が一億円以下の法人について、現行の三一%を三%引き下げ二八%の税率を適用することとしております。
また、この税率の改正に準じて、協同組合等の留保分に対する税率及び清算所得に対する税率も引き下げることとしております。
第二に、中小法人に対する税負担の軽減とその内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げることといたしております。
すなわち、同族会社の留保所得に対する課税についての控除額は、現在、所得金額の二五%または年百万円のいずれか多い金額とされているのでありますが、これを所得金額の三〇%または年百五十万円のいずれか多い金額に引き上げることといたしております。
第三は、法人税法の整備に関する改正であります。
すなわち、損金算入のできる寄付金の範囲、更正の請求期間及び税額還付について所要の改正を行なうことといたしております。
次に、相続税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
第一は、相続税の軽減であります。すなわち、最近における国民財産の保有及びその階層別分布の状況並びに相続税の課税人員の推移等を考慮して相続税の課税最低限を大幅に引き上げるとともに、税率の緩和を行なおうとするものであります。
まず、課税最低限の引き上げであります。通常の農家及び中小企業者並びに大都市近郊の勤労世帯その他の一般世帯の相続について相続税の課税が生じないようにするため、遺産にかかる基礎控除を被相続人については現行の二百五十万円から四百万円に、法定相続人一人については現行の五十万円から八十万円にそれぞれ引き上げるとともに、相続人のうちに婚姻期間が十五年をこえる配偶者がある場合には、遺産額から十五年をこえる年数一年につき二十万円、最高二百万円の特別控除を行なおうとするものであります。この結果、課税最低額は、配偶者を含めて相続人五人の標準的な相続の場合は現行の五百万円が一千万円に引き上げられることとなります。
次に、相続税の税率の緩和であります。現行の税率は昭和三十三年以来据え置かれているのでありますが、当時予想しておりました相続財産の階層分布はその後の国民財産の増加、財産価格特に土地価格の上昇等によって現在全く異なった姿となっているのであります。また、今後もこのような傾向はしばらく続く見込みであります。これらの点を考慮し、さらに国民の健全な財産形成に資するよう一般的に税率を緩和することといたしました。すなわち、中小財産階層の税負担の軽減に重点を置きつつ、最低税率の一〇%から最高税率の七〇%の全般にわたり、最近の財産分布の状況等に即応してその累進度を緩和しようとするものであります。
第二は、贈与税の軽減であります。贈与税の税率につきましても、先に述べました相続税の税率の緩和と関連して、課税価格千五百万円以下の贈与財産階層に適用される税率を引き下げることといたしました。
また、夫婦間における財産の贈与につきまして、その贈与の実情及び老後における配偶者の生活の保障を考慮し、婚姻期間が二十五年以上の夫婦間において居住用財産の贈与が行なわれました場合の贈与税につきましては、二百万円まで課税が生じないよう贈与税の配偶者控除の制度を新たに設けようとするものであります。
以上が、この三法律案の提案の理由及びその概要でございます。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/3
-
004・三池信
○三池委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
各案に対する質疑は、次会に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/4
-
005・三池信
○三池委員長 農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。野口忠夫君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/5
-
006・野口忠夫
○野口委員 農業近代化資金の取りくずしについて、若干の質問をしたいと思っております。
農業近代化資金助成法の第一条の目的を見ますと、農業者等に対して、長期、低利の施設資金の融通を円滑にするために、都道府県が行なう利子補給に対し国が助成をして、農業者等の資本装備の高度化、農業経営の近代化に資するという目的であるわけです。要約してみますと、農業設備資金の供給をして、資本装備の高度化をして農業を近代化するという政策意図をもって金融上に加えられた一つの方策であるわけです。このことは、戦後における農政の新しいあり方の農業基本法の中の骨格的な問題を含んでいることだと思うわけでありますが、この第一条の目的というものを、近代化資金を論ずる場合には、十分頭の中に入れて、その政策意図が十分この制度を通じて実現するような方向になければならぬという考えの中で近代化資金を考えていかねばならぬと思うのです。そこで、この第一条の目的に即して行なわれた資金の設置について、その長期的な性格の上に安定的なものをもたらすために、財源措置として資金が設置されたわけでありますが、今回この資金が取りくずしされるということになってきたわけであります。これは、財政が困っているという理由によって、この戦後農政の基本骨格ともいうべき近代化資金の財源的な安定性を持つためにとられた資金制度をこのようなことによって取りくずされてしまって、利子補給的な性格を持った方式から、直接交付方式にこのことが移っていくということは、すでにその財源措置としてとられてきた四十年度の支出を見ましても、前年度の大体四分の一程度の支出に終わっている。これは、短期的には政府の負担を軽減し、しかし、長期的な財政のあり方についての弾力性を失われて、近代化資金というものの前途に大きな不安を残す措置になるのではないかというように思うわけであります。第一条の目的で、資本装備を高度化し、農業を近代化するというような政策を訴えておきながら、五年の間に、財政因難の理由でそうした財源措置を取りくずしていくというようなことは、何と考えても、竜頭蛇尾的な姿を思わざるを得ないわけでありますが、資金取りくずしによって起こってくるこうした問題について、大蔵大臣の見解を承りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/6
-
007・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 申すまでもなく、農業近代化資金の助成は、農業協同組合などが行ないます近代施設に対して都道府県が利子補給をする、それに対して政府が補助をする、こういうたてまえをとっておるわけであります。政府が都道府県に対しましてそういう道筋から補助をする方法は、一つに限らないわけです。つまり、資金を持っておって、その運用益から出していこうという方法も考えられますし、また、一般財政の中から直接的に出していくという方法も考えられるわけです。そのいずれをとるかということは、その時点で考うべき問題でありますが、御承知のように、財政の状態で租税収入がずいぶん多額に集まってまいる、こういうような過去数年間の状態下におきましては、相当余裕のあるところの租税収入を積み立てて、そして都道府県に対する補助財源にしよう、その運用益を補助財源としていこうという考え方が成り立つわけでありまして、そういうことで今日まできたわけです。ところが、今日になってまいりますと、一般会計が非常に苦しい、四十一年度は、減税もしなければならぬ、公債も出さなければならぬ、さらにまた、社会保障、あるいは建設諸事業、農業施設の改善というようなことをしなければならぬ、一般財源が非常に足らない、そこで、積み立てておきましたこの資金を一時取りくずそう、しかし、考え方自体を全部撤廃するというわけではないのです。十億円というものを残して、そしてこの制度は、また財源に余裕がある場合には復活というか、また積み立てを行なって、そして増強していこう、こういう考え方をとったわけなんです。そういう考え方にしたからといって、決して近代化資金の助成の仕事をおろそかにしておるわけではないのでありまして、近代化資金の貸し出しワクの拡大をはかるとか、あるいは、こういう際でありますけれども、六分五厘という融資の利率の引き下げを行ないますとか、保証業務を行なわしめることを考えるとか、そういうふうな内容の充実をいたしていくことは、予算において御承知のとおりであります。したがいまして、基金は取りくずしますけれども、この法のただいまお話のような趣旨にはいささかも支障はない、これをゆるめていくという考え方のものではない、かように御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/7
-
008・野口忠夫
○野口委員 農林省のほうの見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/8
-
009・仮谷忠男
○仮谷政府委員 近代化助成資金の設置が、野口委員の仰せられたような趣旨によってできたことは、われわれも十分承知いたしておりまして、それがまた大きく活用されてきたことも率直に認めなければならぬと思います。ただ、今回の場合は、ただいま大蔵大臣から説明もありましたように、租税収入が非常に少なくて、いわゆる公債によってまかなわなければならないような財政状態下にあって、この資金がそのままで温存されるということについていろいろ議論があったわけでありまして、れれわれは、できることならば、ぜひこれを続けていきたいという考え方を持ってたびたび折衝いたしたわけでありますけれども、ただいま大臣から説明されたような事情等もございまして、やむを得ず取りくずしをすることに相なったわけであります。ただし、これは決して制度そのものをくずしてしまったわけじゃございません。制度は存置いたしておりまして、そのためになお十億円という金も残してあるわけでありまして、そういう意味で、今後この設置された趣旨がくずれるということは絶対ない、こういう考えのもとに、またそういうことを大蔵省のほうでも十分に承知をしてもらって、了解せざるを得なかったというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/9
-
010・野口忠夫
○野口委員 大蔵大臣から、暫定的な措置としてこういうことが行なわれたのであって、近い将来において再びこうした積み立て方式による財源の安定性を回復していきたいんだというお話があったわけでございますが、農林省のほうからは、こうしたことがないことが望ましいということで予算折衝の過程においては臨んだけれども、それが国の財政上の都合からやむを得なかったというのですが、私は、国家財政が非常に困難だということはよくわかるわけでございます。そういうような中でいろいろな面に苦労をしなければならないということはわかるのですけれども、先ほど言いました第一条の目的に沿うような、戦後における農民の暮らしを引き上げて、他産業との所得の格差を解消していく、その所得を向上しなければ、日本の農業は滅亡してしまうんだというような、そういう一つの転換期にあたってとられた農業基本法の骨格的な農村の近代化のための資金の融資という道を開いたその財源的措置は、一般会計の中からその年度ごとに支出をされるというあり方よりは、資金制度を設けて、その中から安定的に、しかも、貸し出される金は零細な農民に貸し出す中ではなるべく長期的であるべきであろうと思うのです。そういうことを考えていきますと、なおこうした資金制度というものが非常に必要であろう、こういうように考えるわけでございます。その意味で農林省としても設置については考えたんだろうと思いますが、残念ながら、何か国家財政の中でという理由で、農林行政的な面からこれを引っ込めたということは、少し折衝の過程で弱腰ではないかというような感じがするわけであります。他にもいろいろな面で基金制度はあるだろうと思うのです。そうしたものが全般的な中であるのではなくて、特に近代化資金にそういうようなことがあったということになりますと、なお一そういまの農民の皆さん方、政府の施策に対してよい結果を待っている農民の立場からいえば、何ともこれは納得しがたいものが残るわけであります。ただいまの国家財政の状態の中での暫定措置だというおことばでわかりますが、ただ、何か国家財政が苦しくなってきたから、こうするのはやむを得ないというだけのことばで——わずか五年の間に、あれほど張り込んで、農業近代化資金創設というようなことで、だいぶ農民はこれに期待をし、乗りかかったわけだろうと思うので、それが制度的に改善されてしまうという制度改正に対する態度というものについては、やはり慎重な態度をもって臨むことが必要ではないかというふうに思うわけであります。もちろん、大臣が軽率な考えでそんなことをしたのではないことは承知の上でございます。ややもすると、こういう法案を出すことによって、せっかく期待した制度が雲散霧消してしまうような傾向もないわけではないのでございますから、その意味では、こうした制度をとることによって、そうした不安の起こらないようなことを望むし、さらに、そういう安定した資金の設置の上に立って、農業近代化による農民の救済というようなことをなるべく早い機会に回復されんことを要望したいというように思うわけであります。
第二点に、それに関連してでございますが、私は、近代化資金の法律案というものを論議する場合に、大蔵関係の中で論議されてくるのは、取りくずしというような問題の中から出てくると思います。近代化資金創設以来もう五年たっているわけでございますが、この五年間に、農業をめぐる客観的な情勢は非常に大きく変わっていると思います。その中で、農業近代化資金というものが、何か兼業化促進の資金みたいになったり、ハンドトラクターを買うための資金であるというような考えが出たり、しかも、あとで御質問申し上げたいのですが、最近ではこれの償還に対する延滞という問題が起こっているような姿もあるとすると、農業近代化資金をめぐる諸問題に対して、その内包する農業近代化資金の持っているいろいろな問題に対して、近代化資金の性格や、近代化資金の効果や、農協金融に依存している農協金融との実施上における新たな密着度や、あるいはその農業近代化資金の持っている限界と、五年間の実施の実績の上に立って、農業近代化資金をこの各変化に対応しながら前進させるのだというような、そういう法律案の提案がなさるべきではないかというように思うわけであります。それが、農業近代化資金に対してあれほどの期待を持った農民にこたえる一つのあり方ではないかと思うのですが、取りくずしというような姿でばかりこれを扱われておったのでは困る。農業近代化資金という新たな制度金融方式をとって、農民の資金は農民に返そう、これをひとつ制度的な中で運用していこうではないか、こういうあり方について、五年間に、いろいろ内容的にその変化に対応しながら内包する問題がたくさんあったと思うのです。そういうことについて再検討をして、この近代化資金の改正案を提案するというような姿が望ましかったと思うのですが、これらの点について、農業近代化資金に対する農林省の見解をお聞きしたいというように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/10
-
011・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、農業近代化資金は昭和三十六年にできまして、創設以来四、五年を経過しております。また、その実績、あるいは果たしました機能なり役割り、そういうようなことにつきまして、いろいろな角度から評価がなされ、検討がなされつつあるわけでございますが、一口に言いますと、われわれとしましては、近代化資金の従来目的としておりましたこと、つまり、農業者の資本装備を充実する、また他方、系統金融機関の農業への融資を促進するといったような観点から見まして、農協系統機関が、最近、従来よりも長期資金に対して貸し出しをかなり促進をいたしております。そういう傾向に対して農業近代化資金が果たしました役割りについては、ある程度高く評価してしかるべきではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。ただ、他面、四、五年を経過しまして、その間制度をやってまいりました経験あるいは実績に徴しまして、この際さらに制度の充実をはかるという観点から、数点について改正を要する点があるというふうに考えまして、四十一年度予算あるいは法律案といたしまして御審議を願う予定でございますが、あるいは資金ワクの拡大、また、新しい資金需要に対する融資対象の拡大、あるいは農協の貸し出し体制、また、農家の信用力の補完といったような観点から、従来の信用保証制度に対してある程度抜本的な改正を加える、こういうふうな数点の改正案を、先ほど申し上げましたように、予算あるいは法律案として四十一年度御審議をわずらわしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/11
-
012・野口忠夫
○野口委員 大蔵委員会で農林関係の問題を質問するのは、こういう取りくずしなどのないような、農林省の近代化資金に対する熱意がほしいと思うから御質問申し上げるわけでございますが、いま、だいぶ伸びてけっこうだというようなことをおっしゃいますが、従来までの実績を見ますと、大体農業近代化資金の融資対象の施設としては、建物、構造物、農機具等の個人施設に対して大体八〇%から九〇%貸し出されており、土地等に結びついている施設についてはわずか一%内外、融資対象部門を考えますと、一般農業関係には六三%程度の割合であって、畜産部門などについては、三十六年には四二%もありましたが、三十九年度には二五%と、これは減少している。果樹関係においては六%から七%程度の近代化資金の融資状況であるようであります。借り入れの主体を見ますと、個人農業者に貸し付けたものが全体の九六%、協業関係においては四%から六%ぐらいきり貸し付けてない。その借り入れの規模を見ますと、大体二十万円前後の借り入れだということになる。融資期間も、だいぶ長いとおっしゃいましたが、据え置き期間一年、二年から、償還期間が六年、七年というのが、大体償還の範囲であろうと思うのです。農家は、大体零細規模の中農がその中心となっている。こういういままでのあり方を見ますと、近代化資金というような意味での資本装備の高度化と、農業の近代化というような意味からいえば、非常にあいまいではないだろうか。農家の個人施設を対象として貸し付け、その対象が零細規模農家の大体中期的な融資資金みたいな形になっているのではないだろうか。こういう形で利子補給を行ない、制度金融にした近代化資金というものの政策的な意図というものが、五年の間に非常にはっきりしなくなっているのではないだろうか。近代化資金が、第一条の目的に沿うて、農村の近代化ということを考えていくという姿の中でこういう実績を見ますと、そういう近代化資金の性格や政策的な意図に対して、何か中期的な資金としてただ貸し出しをしておったというだけの話で、この近代化資金を通じてなさねばならないものというものは、これはどうも実際上出ていないように思う。この政策的な意図に対する明確な確立のないままに行なわれる近代化資金の中から、この辺で再検討しなければならない大きな問題が、運営上やその資金の運用上において、いま非常な混乱を起こしつつあるというように私は見ざるを得ないわけです。近代化資金が、農家の個人的な、零細な、いわば兼業化資金として使われているとか、ハンドトラクターのための資金であるというようなこういう姿の中で近代化資金が扱われることについては、その政策の一貫した意図というものが疑われるわけでございますが、この辺について、ひとつ御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/12
-
013・森本修
○森本政府委員 農業の近代化をやりますためには、御指摘のように、各種の事業なり仕事があると考えます。あるいは、いわゆる基盤整備といったような事業もやらなければなりません。あるいは、いわゆる構造改善事業といったような形でも推進をしていかなければならない。また、個人個人が自己の施設あるいは機械、家畜を導入するといったような仕事もあわせてやらなければならない、こういう関係になっております。制度金融上の観点から見ましても、主として前者の基盤整備でありますとか、あるいは、いわゆる経営構造改善事業といったようなものに対しましては、主として農林漁業金融公庫が分担をしております。そういう方面でかなり低利長期の融資が行なわれておる。金融上の交通整理といたしましては、近代化資金は、主として個人個人の施設に対して貸し出しをする、こういう整理になっております。したがいまして、前者の資金に対しましてどうしても貸し出しの件数が多い、しかし、一件当たりの金額はやや少ない、こういうようなかっこうにならざるを得ないわけです。そういう制度金融上の分担といいますか、組み合わせといいますか、そういう観点から言いますと、ある程度制度本来の性格ではなかろうかというふうに思っております。ただ、御指摘がございましたように、単にハンドトラクターの購入によって、兼業化を促進しておるといったような評価も、一部にはないわけではございません。しかし、これは、制度本来の目的というよりは、それの利用の結果というふうなことでございまして、われわれとしても、こういう近代化資金が農業の近代化のために積極的に役立つというふうな方向には今後指導を強化していきたい、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/13
-
014・野口忠夫
○野口委員 農業基盤整備、構造改善事業、そういうものが主であって、近代化資金が若干そのあとに位置しておるようなお答えで、現状のままでけっこうであるようなお話でございますが、農業近代化資金の持っている法の目的というものは、いわばそういうものと前後して、どっちが主、どっらがあとという問題ではなくして、農民の生活全体を引き上げようという一つの方策だとしますと、農業近代化というもののための一つのプログラムというものがあって、そのプログラムの上に乗って、五年たってみたら農村がこのように近代化してきた、こういうことのためにそれぞれの資金が配分され、農村に大きなしあわせを与えているという結果になると思うのですが、ただいまのお話でいうと、何か、近代化資金というものは、その任務において若干他のもの上りも劣っているかのようなお答えがあるわけでございますけれども、農業基本法にうたっている、農村の零細性を救い上げて、他産業並みに引き上げていこうとするときの近代化の意義というものは、長い間の農民の歴史の中からは、新しい制度としてこれは出発したものと受け取られておると思うのです。こういう実態の中で、農業近代化資金が、従来そうしたような中期的な資金としてくらいの役割りしかないような印象の中でその融資ワクが決定され、その金利水準が決定されて、農協金融の制度金融化したというような、こういう政策的あいまいさは、これが県段階に入ったり、市町村段階に入ったりしますと、非常に自主的に、県や市町村の段階での農業近代化のための利子負担の軽減といったようなものを、大幅に、国を上回った上げ幅でやっておるような県が相当あるわけでございますが、そういうようなものが、一つの規制の中にとどまることがなくなって、統計的に見ても、全体的に制度金融として把握することを困難とするような、そういうあいまいさを結果的には残していくと思うのです。やはり、中央段階における農林省の近代化資金の使い方についての、近代化するための政策実現のためのプログラムというようなものが十分組まれてなければならぬと思うのですが、ただいまの御返答では、近代化資金というものがそのような中期的資金で終わっていることでしかたがないのだというような御返事であったように思うのですが、もう一度お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/14
-
015・森本修
○森本政府委員 先ほど申し上げたのは、多少ことばが足りなかったので誤解があったと思いますが、私が申し上げましたのは、何が先で何があとだということを申し上げたのではございません。各種の制度金融の受け持ちといいますか、分担といいますか、そういうふうなことを申し上げたわけでございまして、公庫資金が先であり、近代化資金があとであるというふうなことで申し上げたわけではございません。それぞれ目的と機能が分担されておる、もちろん、その境界線は、必ずしも分明でない部面がございますけれども、大体そういうことで制度金融を分担しておるということを申し上げたわけでございます。
それに関連いたしまして、近代化資金を改善する、活用することに熱意がないのじゃないか、こういうお話でございましたが、申し上げた趣旨は、そういうことでございますので、決して、近代化資金の活用ないし改善に熱意がないということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/15
-
016・野口忠夫
○野口委員 一つお聞きしたいのです。だいぶ近代化資金の融資額が増加されているようでございますが、それについて、融資ワクがだんだん減じているような傾向に見るわけでございますけれども、この融資額並びに融資ワクの消化率等について、農林省のほうからひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/16
-
017・森本修
○森本政府委員 近代化資金の最近の予算上予定をしております資金ワクと、貸し出しの実績でございますが、三十六年は、出発当初でございますので、三十七年、三十八年は、消化率といいますか、予定に対する実績の比率から申し上げますれば、大体九四、五%といったような状況でございます。三十九年度は、予算のワクもふえました関係がございまして、予算が約六百億円、実績が五百三億円ということで、先ほどのような比率にいたしますと、約八四%ということになっております。四十年度は、まだ実施中でございますので、ちゃんとした実績は出ておりませんけれども、大体予算上のワクが七百億円、それに対して実績の見込みといたしましては六百億円をやや上回るというふうな見込みを現在持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/17
-
018・野口忠夫
○野口委員 年度ごとの融資ワクと、それの実績額と、それのパーセント、こういうふうに分けて、もう一度御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/18
-
019・森本修
○森本政府委員 それでは、お尋ねのような形で申し上げます。
三十七年度は、予算上のワクが五百億円、これに対して、実績が約四百八十億円、三十八年度は、予算上のワクが五百二十億円、これに対して、貸し出し実績が四百九十億円、三十九年度は、予算上のワクが六百億円、これに対して、実績が五百三億円ということでございます。それぞれ比率をとってみますと、三十七年度が約九五%、三十八年度が約九四%、三十九年度が約八四%、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/19
-
020・野口忠夫
○野口委員 いまのでいいますと、近代化資金というものの目的は、非常にりっぱであり、いいものであるにもかかわらず、三十八年度と三十九年度を比べますと、一〇%の差があるわけです。約一割借りない。それを融資額でいいますと、ワクよりも百億円ばかり借り手がないということ、これが五年間の結果です。この中で、近代化資金というものについて、もっと飛びついてくるような、もっと農民がこれを心から期待して歓迎するような方向にあるならば、こういう結果は出てこないのではなかろうか。問題は、そこでの近代化資金の性格が単なる中期的なものであって、生産を向上したり、所得を向上したりするような、そういう近代化資金としての意味を十分に持ち得なかったということが一つの原因であろうと思うのです。原因は幾らもあると思いますが、こういう実績で、農業近代化資金がいいとは言えないと思うのです。百億円もの金を残しておる。これは、もっと近代化の貸し出しのためのいい方策というものが、五年目なら五年目なりに、近代化方式のプログラムの中で農民に対して呼びかけるような姿があれば、こういう実績ではなくて、むしろワクよりもよけいになって、貸し出しに困るというような現状が止まれてくるのではなかろうか。一体、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/20
-
021・森本修
○森本政府委員 先ほど申し上げましたような実績でございますが、われわれのほうでも、最近のこういう傾向がどういう原因から生じてきているものであろうかということを実は検討をいたしました。
一つは、予算上のワクでございますが、何といいましても、農村における資金需要を把握することはきわめてむずかしい、われわれが大蔵当局と予算を折衝いたしますときも、実は正確には資金需要というものはなかなか把握しがたい、そこで、配慮といたしましては、予算上のワクが足りないということでもって、近代化資金の伸び方をチェックするというふうなことでは困るということで、できるだけ、俗なことばで言えば、たっぷりした予算上のワクを設定するというふうなことになりがちでございます。ただ、それにしても、近代化資金の伸び方が必ずしも計数的に順調でないというふうな点がございます。もちろん、その原因をいろいろ検討いたしましても、これというきめ手になるような要因が必ずしも見つからない。それは、あるいは地域の事情により、あるいはそれぞれの個別の事情があろうと思います。一つは、ある意味では、先ほど御指摘がありましたように、近代化資金の最も大きな融資の対象は、施設なりあるいは機械なり、こういうものでございます。そういうものが、四、五年やってまいりまして、ある程度資金需要に一巡の時期がきたのではないか、こういうふうな見方もございます。それから、これもまた計数的に把握するのはむずかしいのでありますけれども、御案内のような金融事情でございましたから、系統の金融機関としましても、どうしても員内に貸し出しをするといったような熱意が、ある意味では不足する点があったのではないか、こういうふうなことも言われておるのであります。また、考えられる事情としましては、地方公共団体の財政負担というのが、漸次資金ワクの拡大に伴いましてネックになっておるというふうなことを指摘する人もございます。また、農家の受信力が、現在の信用保証制度をもってしても、まだ完全にはいかないというふうな点があるのではないか、こういうふうな、それぞれの指摘をされる原因があるわけでございます、そういったことがおそらくからみ合いましてこういった状況を生んでおるのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。四十一年度としましては、そういったそれぞれ思い当たる要因に対しまして、必要な対策あるいは改善の措置を講じていきたいというふうに、先ほど来申し上げたようなことで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/21
-
022・野口忠夫
○野口委員 このパーセントが下がってきて、百億もの金が余っている、近代化資金の融資ワクが消化されないという消化率の低下の問題は、私は幾多の要因があると思うのです。これは一々あげていけばたいへんだと思いますが、若干その中の問題点をあげたいとは思いますけれども、幾多の要因があるのです。その要因は、四十一年度からやっていきますというような農林省のお話のようですけれども、それは、やっていくという口だけの話ではとうてい解決のしないような奥深い問題を内包しながら、農業近代化資金をめぐって、これが生きるか死ぬかというような問題についての多くの問題があるわけで、これは、やはり私が先ほど指摘したように、農業近代化資金によって行なわれていく農村の近代化というものに対する農林省の近代化への政策、プログラムというようなものが、この資金実施の五年間、まことに手抜かりの点があったというように考えるわけでございます。こういう点で、逐次一つ一つその問題点を指摘をしながら私は質問をしていきたいわけでございます。
一つは、農協金融の問題でございますけれども、いまのだんだん下がってくる中で、農協が融資するのに不安があって、いわば農民にそれを貸し付けることが不安だというような結果を来たして、貸し付けを断わっているというような現状もこの中には含まれているというようなお話があったと私は思うのですけれども、実際のところ、農協関係の信連、中金などに行きますと、現在の段階では資金がだぶついているという傾向になっておる。大体、農協の信用事業というものは五百四十億円くらいの黒字を持っておるようでございますが、他の事業の赤字のために、全体黒字は百五十億円くらいにおさまっているようであります。この信用事業の五百四十億円の黒字を出している中金あるいは信連のあり方が、現在における金利引き下げ——不況というような状況の中で、不況打開のためにとられていく金利引き下げの中で、この資金の融資先が逆ざや的な傾向をもって、いま農協やこの中金、信連等においてこうした信用事業の拡大方向に不安を与えていて、ことしの秋あたりからは、農協自体の信用事業にささえられてきたものが、他の事業の赤字によって、また再び赤字に転落するのではないかというような状態の中で、この農協資金というものは系統機関の中ではまことにだぶついているところもあるわけでございます。このだぶついている系統資金を、政府の援助によるところの近代化資金というものによって農民に還元するというような方式の中で、農民就業向上のための助成措置が、さらに金利の問題を機関の中で十分考えられて、系統機関というものに対しての赤字から救い上げられなければならない。かって農協がそのような状態で再建をしたわけでございますが、再びいまの農協の段階は、信用事業にささえられた黒字のみある限り、農協自体のあり方が、信連、中金を通じてまことに危険な状態に立ち至ると思うのです。だいぶ農林関係ばかりなので、大蔵大臣に伺います。
大蔵大臣の所管する金融財政という問題の中で、一体この系統金融機関に対するこうした不安な状態や、それと近代化資金と結びつけて農民の資金を農民に返していこうというような施策の中での金融の見解というようなものがあるべきではないかと思うのでございますが、これについて、ひとつ御所見を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/22
-
023・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 私は、かって農林大臣をしておりました。そのとき、いろいろ金融問題を考えてみたのですが、そういう際に考えられますことは、どうも末端というか、農協段階の預金のコストが高い。したがって、その貸し出しも利率が自然に高くなる、こういうことで、系統資金が系統内において消化されるという上に非常な支障があることが、私どもの頭痛の種だったわけでございます。それには、何としても、一般的な考え方としましては、やはり末端農協段階の近代化というか、合理化というか、こういう問題ですね。そういう角度の問題がいろいろむずかしい問題でありますが、今日なお追及されていかなければならない問題である、こういうふうに考えるわけです。それで、その農協が預かる預金利率のほんとうのコストは一体どのくらいが適切であるのか、どのくらいあれば農協へ金が集まるのか、その辺につきましても私は問題があると思う。大体、表面的な利息のほかに、なお追加的にいろいろな奨励策も講ぜられておる、こういうような点も、またコストを高めるゆえんになっておる。そこに一つの問題があるので、その辺を詰めていかなければならぬという問題と、もう一つは、いま三段階制というふうになっておるわけです。これを二段階制にするかどうか、これはずいぶん長い間の議論でありますが、その問題もあると思います。そういうようないろいろなむずかしい問題を内蔵しながら、しかも急がなければならぬ問題は、近代化資金が出ていかなければなりません。つまり、系統金融がそのワク内において消化される方法を講じなければならないということで、この資金の設置ということになった。つまり、財政資金を補給して、貸し出しの金利を下げていこう、それによって系統資金が農村に還元されるようになるべくやりたいということで、こういう資金の設置になったわけなんですが、根本問題として、いま私が申し上げましたような問題がありますので、今後とも皆さまの御協力も得まして、この問題はそういう方向をもう少し詰めていく必要があるのじゃないか、そういう所感を持っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/23
-
024・野口忠夫
○野口委員 大蔵大臣は所用があるそうですから、大臣関係だけ言いますが、いま金利の問題等も出ましたけれども、そういう手当ての中で、近代化資金を通じて農民の資金は農民に返そう、農協自体もその中で活発化していこうということの中で、やはり金利の問題と期間の問題が残ると思うわけです。この期間は十五年ということになりますけれども、実質的には、先ほど申し上げましたように、大体六、七年、据え置きが一年、二年、農業を近代化して、その近代化した収益性の中から元本の返済をしていこうという形をとっていくべき、いわば一般的な金融の中で、都市銀行や市中銀行の銀行金融の考え方の中で農村の金融というものを安易に考えて、それですぐに近代化ができたり、それで農村がすぐに救われたりするようなことは、農村の特殊的な条件の中で私は不可能だと思うのです。ですから、農協資金が系統外資金に流れて、実質、農民のところにいく資金というものは全く限られたものになっている。こういう現状を、系統外資金にたよって、それの利子によって農協が黒字になるということではなくて、近代化された農民の所得の収益が上がった中から、その投げ与えられた一つの資金というものがはね返ってくるという姿において、近代化資金というもののほんとうの価値が止まれてくるだろう、こう思うので、その意味で言いますと、あまりにも金融メカニズム的な姿の中で一律に農村に金をおろして、これを一年、二年の据え置きをやり、六、七年で返してもらおうという、そういうようなあり方では、ほんとうの意味の農村の近代化はできないのですが、そんな意味では、期間の問題が一つあるだろうと思います。金利も、基準貸し付け金利水準でございますが、これが六分五厘、今度五厘引き下げるということでございますが、ここにも問題はあるようでございますけれども、一体、六分五厘ないし七分五厘でいまの農民に貸し付けるということが、農民の農家経営の中における近代資金の意味というものをどのように考えられておるのかということが疑問にならざるを得ないわけです。この利子をつけてこの金を借りて、これを返済できる農家というのは、ごく限られた一部の優秀農家であって、返せないのはもう返せないというようなところで、借りたい人が五〇%もあるのではないかというように、あるところの調査では出ているようであります。そういうことを考えますと、農民の経営のための金利、農民の経営を近代化するための期間ということになりますると、金利や期間の問題は、大体三分五厘というのが出ておるようですから、その三分五厘程度、期間は三十年というような、こういう長期的な姿の中で、そして、農協の利子補給的な性格を強めた中で、いわば農民系統資金というものを擁護しながら、農村の近代化というものが、農民自身の手で行なわれていくような方向に、これを財政措置として考えていくというようなことが非常に望ましいと思うのですけれども、その点のところをひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/24
-
025・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 農村に対する考え方は、ひとり利子補給だけの問題の角度からでなくて、総合的に考えなければならぬ。農林省の予算というものは、これはあげて農村の生産性の向上——米の食管関係の問題はありますが、それをとれば、ほとんど農村の生産性を向上しよう、それを是正しよう、こういう意味の予算なんです。いろいろな角度から農村は援助をしておるわけでありますが、農村というものが、今日、鉱工業と肩を並べて発展していくというためには、助成政策をとらなければならぬ。それが非常に直接的な、あるいは所得補償的な形になったのでは、これはいかぬと思う。やはり、農村の自主的な努力というものを刺激していくという形の助成でなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。ですから、これはいま何分の金利がいいのかというお話でございますが、金利だけの問題でなくて、総合的に農家をあらゆる角度から助成していく、その助成のしかたが、農村の生産性を農村の自主的な意欲でどういうふうにささえていくか、こういう角度から総合的に考えるべき問題だと思うのです。ただ単に金利だけの問題から考えても、これは実るはずはない。何か人の援助に寄りかかるような風潮を生ぜしめるおそれがある施策というものはいけない。やはり自立、それを目に見えない形で助成するという形こそが、私は、農村対策として一番いいのだ、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/25
-
026・野口忠夫
○野口委員 農民の自立心によって立ち直ってこい、こういうことは、たいへんなあれだと思うのです。ただしかし、農業近代化資金をつくった法の精神というものは、実は、金を貸し付けて利子を取れるような農民でないということの中から出発しているのではないかと思うのです。従来まで補助金制度が非常にとられてきましたが、この補助金政策について、一つ一つはがれてしまいました。そういう政策を必要としなくなったからはがれていったのではなく、国の財政的な要因によって補助金政策はずんずんはがれていって、いわゆる融資政策というものに変わってきた中で今回利子補給という助成措置が生まれてきたわけです。私は、その意味では、自立的にいきなさいと言われている農民の現実が、いろいろな総合施策の中で行なわれているものが、いわば融資政策というようなことの中で、金融機関ベースにおいて農協が個人的な貸し付けをする。元金も返せないで、利子だけを返して、毎年毎年こげつきになっているというような状態が過去においてあったものが、信用事業の膨張の中から農協が黒字経営になってきて、そうしたものを温存していったような傾向も多分にあると思うのです。そういう意味の中で、いわば金融ベースに乗る以前の農民というものがあるということを想定して、その農民に農民の資本を使って、そこには社会保障的な意味もある、保険的な性格もある、そうして進めていこうというような形のものが農業近代化資金であったとすれば、農業近代化資金の、いわば利子とかあるいは期間というようなものは、この農村の実態の上でその法の精神を生かすために再検討を要するものだと思うのですが、大蔵大臣はいま自立だけを望むようなおことばであった。この前お聞きしたときも、あなたの減税措置というものは、農民からいえば七・二%きりない。稲田さんの恩恵に浴する者は全農家の七・二%くらいきりない。あとは三千六百億円の減税措置というものに何らの恩典というものがない。そういう所得状態だから、これが国税も納められるような所得に引き上げていこうという措置として農業近代化資金があったと私は考えていたわけです。だとすると、農業近代化資金の利率あるいは償還期間等について、これはもっと検討する必要があると、どうしても私には考えられるのですけれども、もう一度御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/26
-
027・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 つまり、おっ放しておくというのじゃないのです。私は農業保護政策論者なんです。しかし、その保護ということが、何かこう、農村が寄りかかるような形になってはいかない。農村が国、他人に寄りかかるというようなことでなくて、借りた金は返していくのだ、しかし、その返せるような助成について、大いに国は農村の生産性の向上につとめてやるべきである、こういうふうに基本的には考えます。また、農協にしても私はそうだと思うのです。もっと近代化、合理化に自主的な努力をしなければならぬ。そうして、農家に還元さるべき融資、これを下げることを努力していかなければならぬ。それを、農協はそういうふうな努力はしない、もう県のほうから補助金が幾らでもきますから、こういう形になったのでは、農村はいつまでも昔の農村のままで続いておる、ただ単に、国あるいは地方団体の恩恵で生きているのだという形になる。そうじゃいけないので、農協にいたしましても、農家個人にいたしましても、できる限り自主的に立ち上がれるような態勢に置くということが、農村に対する考え方の出発点でなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/27
-
028・野口忠夫
○野口委員 そういう自主的な、依存をしないでやっていくというお気持ちはよくわかりますけれども、ただ、それ以前の実態の中で、農民が出かせぎをする、あと取りがなくなる、よめの来手もなくなったというような状態に農村がある現状の中で、やはり助成措置というものについて、私はさらに一歩進めてお考えをいただくことを望みたいと思うのです。
もう一つ、先ほどの御返事の中にあったのですが、この利子補給のために県が負担をし、国が負担をし、なお保証協会のために、国は四分の一、県は二分の一、こういうような状態でこれは持っているわけです。この地方負担というものが、先ほどありましたように、四十年度においては千五百億円の赤字である、四十一年度は二千億円の赤字だというような地方財政の困窮の中で、この近代化資金の前途に非常に暗い影を残しているのではないだろうか。この問題について、長野県の県費の負担分でございますが、負担の状況、この状態を見ますと、県自体の赤字が十一億円もあるうちに、この近代化資金のための赤字が一億二千六百万円もでき上がっている。こういう状態が県、市町村段階に出てまいりますと、これは、島根県ですか、島根県では年度内償還ができなくて、その年の要請額に対してこれを繰り越したというような実態もあるわけです。こうなってきますと、利子補給という施策によって、資金としては何十倍もの資金を動かすという利子補給制度、この安上がりな利子補給にさえもたえないような現実が、いま地方公共団体の中にあるわけでございますが、地方公共団体は、近代化資金に沿うてやはり自主的に農業近代化を進めていこうというので、そういう農業県、農業を中心とする県においては、自主的に、いわゆる上乗せしたものがたくさん出ているのですけれども、こういうものも漸次地方財政の悪化の中で消えていくのではないだろうか。近代化資金創設によって非常に高まってきた農村近代化への意欲というものが、地方財政の困窮度の中での負担にたえられないという現状がある中で、だんだん利子補給の負担にたえなくなれば、おのずから貸し出しを制限するというようなことになって、特別なそういう上乗せもやめていくというような現状になっていけば、近代化資金の前途に非常に心配なものが残るわけでございますが、これに対する大蔵大臣の所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/28
-
029・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 そういう農業の施策などを含めまして、地方の負担もふえまするものですから、国におきましてはその地方財政のしり全体を見よう、こういうので、今度交付税率の引き上げを行なう、あるいは、たばこの本数に比例しての特例交付金を出そうとか、また、その他の交付金を出すことを考えたわけなんです。そういう中で、ただいま御指摘の問題なんかも消化されていくのですが、つまり、農業近代化資金助成による負担を、地方の財政需要として見るということなんです。そして、交付税の配分においてこれを解消していく、その交付税の財源は国から補給をする、こういうことですね。ですから、大体これは、全部というわけにはなかなかいかぬと思いますが、大部分はそういうルートを通じまして織り込まれていく、解消されていく、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/29
-
030・野口忠夫
○野口委員 国の財政は公債発行等によって何とかまかなっていけるという問題であろうと思いますが、地方財政においては、そういう点について非常に苦しい負担の重さの中で赤字をかかえて苦しんでおる声があちらこちらで聞かれるわけでございます。いまお話によりますと、この近代化資金に限っていえば、近代化資金の負担分というのは地方交付税の中でまかなっているので、それによって生まれる赤字というようなことで近代化資金の前途に暗い影を残すようなことはないというような御返事でございますが、これは地方交付税の中に見込まれて、そしてその地方交付税額の赤字分を出さないような措置がとられている、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/30
-
031・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 大体において解消できるような措置がとってある、こういうことです。全部が全部というわけにまいっておりませんということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/31
-
032・野口忠夫
○野口委員 まあ、大部分とは言わないけれども、一部という意味は、全体の交付税の中でそれがまかなえるという意味だと思いますが、赤字はあにこれだけではございませんので、近代化資金というものの将来に対して、特に国がもう一段と考える施策がなければ、この近代化資金の運用にあたっての地方段階の自主的なあり方というものですね。これは国の政策に従って、先ほどから申しますように、上乗せなども六県くらいではもうずいぶん行なわれておって、その率においても三分五厘を実現しているようなところもあるわけでございますから、そういう意味では、県独自の負担分を出しておる県もあって、国と折半の割合が赤字負担の中の重荷になるというようなことになりますと、これは地方に対して、国としては非常に大きな負担を与えたことになりますが、そういう点については十分御検討を願って、御考慮のほどをお願いしたいというふうに思うわけでございます。
農林省のほうにもう少しお聞きしたいのでございますが、先ほどからお聞きしました、いわば近代化資金というようなものについての五年間の実績の上に立って考えなければならない幾多の問題の中で、いま大蔵大臣と話し合っておることと重複するようなものもあるわけでございますが、大体、利子補給制度について考えてみても、債権者である農民の低収益性の補完ということのために、近代化資金の政策的金利として、金融面でこれを考えていくという補完制度であるわけですが、ここでの貸し付け金利水準ですね。これは一体、農家経営に対してはどのような意味を持っていると農林省ではお考えであろうか。その検討が十分なされてこの貸し付け金利水準というものが生まれてきたのかどうか。私の承知する範囲では、この貸し付け金利というのは、一般的な金融メカニズムの中で政策的便宜的にこれを決定したような傾向が強いと思うのですけれども、いやしくも近代化資金をもって近代化をし、その利子を補完して、資金に乏しい農民に豊かな資金を与えようとする近代化資金の性格からいえば、この貸し付け金利水準というものが十分検討をされなくてはならぬと思うのですが、農林省としては、現行体制がいいとお考えですか、これでけっこうだと思っておるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/32
-
033・森本修
○森本政府委員 貸し付け金利の問題でございますが、先ほど言いましたように、近代化資金の制度といいますのは、一つは、やはり系統金融機関の原資を使って利子補給をしておる、こういう性格になってございます。しかしながら、系統金融機関のコストでもって貸しますと、農家の資金需要に対して必ずしもマッチしない、もう少し低利で貸し出す必要があるということで、利子補給制度をいたしておるわけであります。ただ、系統の原資を使います関係から、利子を軽減いたしますにも、やはりそういう性格上一定の制約が実は出てくるわけであります。たとえば、預金の金利といったようなものとの関連も考慮しなければならない、こういうふうな点がございます。そういうことを考慮しながら、貸し出し金利につきましては極力下げてまいるということでここまできておるわけであります。四十一年度も御承知のとおりでございますが、末端の金利につきましては五厘程度引き下げておるというふうなことで、まずまずこの程度のことでやっていけるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/33
-
034・野口忠夫
○野口委員 私は、これもそういうお答えきりなさらないのだと思うのですけれども、農業近代化をしなければならぬというこの命題というものは、農林省あたりで考えてもらうものとしては、せめて低利な、長期的なという意味、これは、農家の戸別を対象にしてやるような場合は、その農民が一体そういう資金を借り受けて収益を上げることができているのかどうか、いわば近代化して、農民の生活をよくしていこう、こういう考え方だとすれば、あくまでも、そこで貸し付けられた資金が、農民の近代化を要請し、推進していくような方向で返済されるという状態がたければならぬと思うのですが、県の実情の中でいいますと、近代化資金があるということで、この近代化の波に乗って大じかけな近代化に乗り出した農家で、現在その償還期にあたって延滞をしているものの相当数がそういうものになっているわけです。少額の金を、つまり兼業農家的な方が牛一頭飼うということで一つ一つ積み上げているようなあり方の中では、これはそれほどのととがないのでございますけれども、いわば近代化をするということの中で大じかけに乗り出したところが、そういう点では、延滞というような姿のものが出ているわけであるし、あるいは専業農家の皆さん方も、そういう中で近代化資金に対して、借りても返せない、借金をすることは、やがては自分がつぶれてしまうことなんだというような、そういう姿の中で資金を借りようとするときには、親類じゅう集まって相談をして金を借りるというような現状の中にあるわけですから、そういう農民の大多数の階層というものを対象として貸す場合の金利水準というものがすでに三分五厘というような姿もあるとすれば、これはもっと引き下げて考えられなければならぬというふうに私は思うのです。現行体制の中で、全般的な農政の推進の中でこれだけきりないとすれば、農民の近代化資金に対する期待というものは現状においては全く薄くなりつつあるということが、先ほどの融資の消化率の中でも明らかであろうというように思うわけでございますが、新しい近代化資金のあり方の中で検討をなさる一つの素材として、この問題もやはり重要ではないかというふうに思うわけであります。なお、六分に今度引き下げるということでございますが、この五厘の引き下げは、実は、国では何にも影響はないということになっているわけであります。いわば基準金利を、従来まで農協単位で九・五%、信連で八・五%であったこの利率を九分と八分に五厘ずつ下げたということの意味は、九分五厘という基準金利の中で、農協の資金コスト、金利コストの中でこれがはたして妥当性があるとして決定されたのかどうか。さらにそれから五厘引き下げて九分にするということが、いまの農協の実際の運営の上において、この基準金利というものははたして妥当性があるのかどうか。他の個人貸し付け、あるいはその他のコストの中では農協自体はこれよりも高い利率でやっておるわけであります。制度金融として農協に縛りつけていった基準金利というものが、農協自体の運営の中で妥当性があるかどうかについての一つの問題提起がなされると思うのですが、これはいかがでございますか。なお、こうした基準金利制度によって、全国一律的であるということにおいて、地域的な特殊性というものが非常にそこなわれていくとも思われるわけであります。利子補給制度を実施するための基準金利制度、なお、農家負担を軽減するためにこの基準金利を引き下げるというようなあり方が、現在の近代化資金の運営の中で妥当性があるかどうか、その辺のところを承りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/34
-
035・森本修
○森本政府委員 農協の基準金利の問題でございますが、基準金利は、従来は九分五厘ということで、当時におきますところの農協の実勢貸し出し利回りというものを基準にして決定をいたしております。その後、農林省として毎年農協のそういった実勢の利回りを調査をいたしております。その調査の結果によりますと、最近は、ほぼ全国平均をいたしまして九分程度に実勢が低下してきておる、こういうふうな結果が出ましたので、その調査の結果に基づきまして、現在の九分五厘から九分に引き下げるということが適当な処置ではないか、こういうふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/35
-
036・野口忠夫
○野口委員 だいぶ時間もたちましたが、近代化資金を五年間実施をしてきて、いまになって、いわばその利用状況が下落してきたり、まだこの近代化資金の取り扱いをやっていない組合が存在したり、こういう状態の中で五年目を迎えた近代化資金については、農林省としては、やはりもう少し抜本的にメスを入れて、近代化資金の本質というものを、農民の期待しているものにこたえるような方向に持っていくべきではないかと思うのです。政務次官はきょう御臨席になっておりますが、局長さんから答弁されると、どうもこれはこちらで議論にもならぬわけなんです。次官は大臣の代理だから、私の申し上げていることが、話がへたですから御理解しにくいかもしれませんが、農業近代化資金というものを、あの目的に従って創設をして、まだ協同組合の中で実施しない組合もある、だんだん貸し付け額が下がってきている、こういう現状の中で、農業近代化資金が持っている内部的な諸般の問題というものを検討をし、農民に対する資金供給をふんだんにしていくんだというような国の助成措置というものは、これは考えられるべきであろうと思うのですが、予算折衝の中では、取りくずしには反対はしたけれども、まあ、国の財政に協力してしまった。それもやむを得ないでしょうけれども、しかし、農林省の姿勢としては、せっかく農民の期待をになって、戦後農政の基幹ともいうべき近代化資金を創設をし、新しい系統金融機関の利用というようなものをその助成の中からやっていく、こういう姿で生まれたものが、現在のところだんだん低下状態にあるということが見られると思う。
なお、近代化資金の償還時期は大体七年から六年でございますから、だんだんその時期にきているわけでございます。この償還時期が近づくに従って、延滞ということの問題が起こっているわけでございます。これは一体どのくらいになっているかということを、私の調べたものでいいますと、その延滞の額というものは統計的にはなかなか把握されてないようでございます。それの報告がない、農協の中でこれを隠しておく、こういうような実態の中で、いわばふるさと的な、人間がほんとうにお互いに助け合っていくようなあの農協の中で出てこないものがあると思うのですが、大体これを推量してみると、償還予定額の一割、約六、七億はいま延滞ということになっているのではないだろうか。通常、金融機関では六、七億、一割の延滞が出るというようなことは重大問題であろうと思うわけであります。この一割屯、平均でございますから、ある県によっては二割近くこの延滞の状態が出るようなことにもなっているわけであります。その中から、期限の延長の問題や旧債借りかえ、そういうような問題が、これらの近代化資金を利用した農民から、五年にして数多く出つつあるわけでございます。こういうような問題の前に立って、農民の所得を向上して農村を近代化し、豊かな生活をつくり上げようというあの基本法をつくった当時の近代化資金の政府の宣伝や、与党の皆さん方のあのときのものの言い方からいいますと、いまになってみると、いろいろやっているんだということはおっしゃってはいますけれども、近代化資金というもの一つからいえば、まことにこれは成績が下がっているように思うわけです。この延滞の問題についての資料と、これに対する考え方とをひとつ述べていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/36
-
037・仮谷忠男
○仮谷政府委員 近代化資金についていろいろ御意見がありましたが、資金の創設の趣旨については、野口さんの考え方とわれわれも全く同感であります。ただ、近代化資金が最近需要が伸び悩みをしている、低下をしておるといったような状態にありますことは、御指摘のとおりでございまして、その理由につきましては、先ほど局長からも御答弁を申し上げたのでありますが、やはりこれは、県負担の問題とか、あるいは農協の貸し出し能力の問題とか、そういったもろもろの事情はありますけれども、やはり一番大きな問題は、信用保証機能の問題、こういうことが大きく影響しているのではないか、あるいはまた、金利の問題等も大きく影響しているのではないかというふうに考えます。したがって、保証機能もひとつ充実をしていこうというので、御審議を願うことに相なっておりますし、さらに、利子等の引き下げ、あるいは償還期限の延長等についても御審議をわずらわさんとしておるわけでありまして、そういう面について、近代化資金の問題は今後さらに努力を進めていかなければならぬと思っております。これが系統資金の活用ということでありますので、そういう面から、やはり農協自体の今日の問題も基本的に十分検討していかなければならぬ、そういうものと相まって、将来はさらに近代化資金の利率の引き下げ等にもできるだけ努力をいたしていかなければならぬ、かように私は思っておるのであります。
さらにもう一つは、延滞の問題が出てきておりますが、私どもの現在の資料におきましては、大体三十七年から三十九年を通しまして、三カ月程度延滞というのが五、六%程度と見ておるわけでありまして、これは、私どもは率直に言って延滞というふうには考えておりません。ただ、一カ年以上の延滞というのが大体二ないし四%程度現在あるわけでありまして、この程度のものは、中小企業あるいは中小漁業等の延滞関係と比較いたしますと大体同程度の率を呈しているのではないかと思うのであります。しかし、この問題については、まだ発足以来数年しかならないのにすでにこういう事態が生じたということは、私ども十分に反省をしなければならぬと思う。したがって、そういう意味において、近代化の問題あるいは資金の供給の問題にしても、今後さらに検討をいたしていかなければならないし、もし近代化を続けていったけれども、それでなおかつ延滞が出てくるようになれば、近代化の仕事そのものにもさらに検討を加える必要があれば、補完事業もやっていくべきじゃないか、こういう考え方も持っておるわけであります。いまのところ、延滞関係はただいま申し上げたとおりであります。
なお、こまかい数字につきましては、局長から御答弁を申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/37
-
038・野口忠夫
○野口委員 いま私が申し上げた数字とちょっと違うわけです。ですから、そちらではどういう方法で御調査になったかわかりませんが、その延滞の状況についての資料を、後刻印刷して出してもらえればけっこうだと思います。だいじょうぶですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/38
-
039・三池信
○三池委員長 いいそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/39
-
040・森本修
○森本政府委員 後刻資料を提出することにいたしますが、先ほど政務次官が申し上げました数字は、全国の保証協会から調査をいたしましたものであります。したがいまして、保証にかかっておるものについての延滞の状況、こういうふうに御承知をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/40
-
041・野口忠夫
○野口委員 だいぶ時間をとりましたので、最後に御要望申し上げて、終わりたいと思うのですが、近代化資金がいま当面している諸般の問題というのは、制度金融の持っている基本的な欠陥が顕在化してきている。ですから、近代化を進めるという一つの基本的な政策、アプローチを持った中でその近代化への道筋を融資の中から立てていくのだという、そういう政策プログラムを、一つの法律の目的と、それを推進していく方法との中で明確な打ち出し方をしておくということが重要であろうし、その中でそうしたプログラムに従って近代化される農業というものは、決して、いわば金融というようなメカニズムの中で普通一般の姿と同じような形で扱っていくことはできない。農業というものの近代化を推進するところの一つの資金制度であるということを、そういう一つの段階の中で明瞭に考えていかなければ、近代化資金というものは、まったくその性格があいまいの中で——農協と国と県と市町村と、こういう入り乱れたもののかってなおのおのの立場の中で責任は明確でなくなる、分担は乱れてくる。そういう中で、どこの限界で、どのようにして近代化資金が真の意味で農村におろされるべきかをわれわれは考えなければならぬと思うが、そういう現状が近代化資金の中には内包されているというように思うわけでございます。この意味では、十分ひとつこれを御検討あって、真に農業近代化の第一条の目的が達成されるような近代化資金にひとつお進め願うことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/41
-
042・三池信
○三池委員長 佐藤観次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/42
-
043・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 森本経済局長にお尋ねします。農業の近代化がなぜおくれたかという原因があると思うのですが、その点はどのようにお考えになっておられますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/43
-
044・森本修
○森本政府委員 きわめて根本的な問題でございまして、私、実は経済局長という立場から見ますと、お答えをするのが適当かどうかということを思うのでございますが、何といいましても、御案内のように、農業は自然的な条件あるいは経済的な条件あるいは地域的な条件、いろいろな点からいいまして制約のもとに行なわれておる産業でございます。そういうことでございますので、近代化についての要請はきわめて強く、かつ急ぐわけでございますけれども、いま申しましたような基本的な条件がございまして、われわれもできるだけ近代化に努力はいたしておりますけれども、いろいろな条件の変化に対応できないといったような面も若干出てきております。そういうことも十分考慮をいたしまして、できるだけ農業の近代化について促進をしていきたい、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/44
-
045・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 ちょっと岩尾主計局次長にお願いしたいのですが、近代化資金ということでいろいろ問題になっているのですけれども、大蔵省は、この近代化資金のために、あなたが担当だと思うのですが、積極的にはどういうお考えを持っておられるのか、これは主計局としての考えをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/45
-
046・岩尾一
○岩尾政府委員 私は、予算といたしましては農林の担当ではございませんが、一応お答えいたします。
ただいま局長からもお話いたしましたように、近代化につきましては、その制度創設の意義から見まして、その意義のとおりに進んでいるかどうか、いろいろ問題があると思います。金利の問題あるいは期間の問題あるいはそれに対します財源措置の問題、いろいろございますが、財政の状況等も見まして、できるだけ制度創設の趣旨に沿いますように、融資が確実に行なわれるように諸般の措置を講じていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/46
-
047・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私たち農村におって最近のいろいろな情勢を考えますと、農村はまことにあわれな状態で、三ちゃん農業といわれるように、極度に衰退をしております。そこで、農林省は、こういうような非常におくれをとった農業に対して、いま近代化の問題についていろいろお話がありますけれども、ちょっと手がつけられないような状態になっているのじゃないかと思うのです。先ほど同僚の野口委員から金利の問題を盛んにやっておりましたが、私たちは、そういう問題と同時に、いまの三ちゃん農業がいつ改善されていくのかということについて非常に心配しているのですが、この点は農林省の森本さん、どういうようにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/47
-
048・森本修
○森本政府委員 これも、実は私の所管ではないのでございますが、御案内のように、最近数年間の高度成長下にありまして、労働力の流出が激しい、そういう関係から兼業農家がふえていく、御指摘がありましたように、三ちゃん農業といったようなことも、都市近郊その他においてはある程度広範に見られる、そういう状況になってきております。それに対しまして、いろいろな対処の方法があると思うのでありますが、そういった兼業農家自体をどういうふうにして生産力の向上に結びつけていくかといったような問題もございます。あるいは、農業の後継者をどういうふうに確保していくかといった問題もございます。いろいろな角度からその対策を考えていかなければならぬ、非常に多面的な問題であると思います。兼業農家等の問題にいたしますれば、あるいは協業を促進していくといったようなことも一つの対策になりましょうし、あるいは後継者を確保するということになれば、根本的には農業の生産性を上げる、所得をふやす、そうして農業が経済的にも非常に恵まれる、あるいは環境においても恵まれるといったようなことで、農業あるいは農村を近代化するということが基本的に必要なことだと思います。なお、その他、後継者対策と、あるいは生産性の向上対策、各種の対策がそれにつながるというふうに思いますが、農林省としてもそういった観点から各般の施策を行なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/48
-
049・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 これが三ちゃん農業になる理由は、やはり農業、農民の収入が非常に低くなっているということが現実だと思うのです。私の選挙区は濃尾平野の中にあって、昔から農業の非常に発達したところでありますが、このごろ実際農村に行ってみると、農業に対して将来こうしようなんていう意欲はない。これは名古屋市という大都市の近接地点にあるという理由もありますが、現実にはほとんど農業の改良とか——私とも三河に行くと、安城の農林学校というのがあるが、昔、山崎延吉という農聖といわれる人が指導したのでありますが、このごろほとんどそういう農業についての明るい面がない。これはやはり昔のように、農業が国の基本の産業であるというような、そういう考え方から後退しまして、少なくとも現在ではその収入の多いほうへいく、だから、私からのほうの大部分の農家は、ほとんどいまのおじいさん、おばあさんにまかして、自分たちは一日千五百円ぐらいになる日雇い労働者として働くような、そういうことを現実にやっておるわけです。こういうことがある限りは、あなた方が農業近代化というようなことでいろいろなことを考えておられるようでありますけれども、これは非常にほど遠いのじゃないか。全く、現在の農村のあり方と現実の農業近代化というのは、ただかけ声だけで実質が伴わないような、そういう傾向があるのじゃないかと思うのですが、この点は、仮谷政務次官もおられますし、いま農政局長を呼んでおりますが、この点はどのように解釈しているのか、また、どのような方向で現実の経済から見放された農家に対して農業近代化の道を進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/49
-
050・仮谷忠男
○仮谷政府委員 佐藤先生の御質問は、ごもっともでありまして、たいへんむずかしい問題であり、農林行政の当面する大きな課題ではないかと思っております。先ほど、いわゆる三ちゃん農業のお話もあったわけでありますが、これも当面する一つの大きな問題でありまして、率直に言って、いますぐそれをあとへ引き戻して、完全に後継者をつくっていくという、そのものずばりのきめ手というものはないわけであります。しかし、われわれは最大の努力を払って進めておるわけであって、先ほど局長から話しましたように、いわゆる後継者対策としては、後継者資金あるいは生活改善資金あるいは経営伝習農場等を設けて後継者の育成につとめていく、あるいはまた、今度国会に提出しております中央青年研修所を設けまして、農村指導者を育成していくといったような問題、さらに、農村の環境整備を行なっていくという問題、こういうもろもろの問題を取り上げて、そして、それらを一貫して農村を魅力のあるものにし、後継者をとどまらしめようという考え方を持って臨んでおります。それで、私は、後継者が全くない、非常に暗いという言い方、見方もありますけれども、また、一面を見ますと、せんだって実は全国の農村青少年会議というものをやったわけでありますが、全国から四、五百人ぐらいの若い青年が集まってまいりました。技術の問題その他経営問題について、きわめて熱心な研究発表を行なわれ、農村に対して非常な情熱を燃やしておるという面も見まして、必ずしも暗い面ばかりではないじゃないか、そういう人に続く人がまだまだ農村にたくさんあるのじゃないか、問題は、そういう農村にとどまってやろうという情熱のある青年に対して、いかに国がこたえていくかという施策の問題である、私はそういうふうに考えます。そういう意味において、いま少し農村の後継者対策についての政府自体の柱を立てなければならない、そういう考え方、そういうものの一環が今回の一つの政策として予算に計上され、御審議をわずらわしておる次第なのであります。
それからまた、耕地の長期計画を立てまして、いわゆる十カ年計画のもとに、耕地整理、圃場整理を行なっていこうという問題あるいはその他、先ほど申し上げました後継者の問題とか、近代化政策の問題、構造改善等も徐々に進めておるわけであって、もちろん、一挙に御期待に沿えるようなものではないと思いますけれども、私は、構造の改善自体も前進をしておるということを、確信をもって申し上げることができると思うのでありまして、そういうふうな面でわれわれはひとつ最善の努力を払って、いわゆる農業基本法に基づく農村建設につとめてまいりたい、こういう考え方で努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/50
-
051・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 仮谷さんから政府の明るみに出るような方策のことを聞きましたけれども、私たちは、いまの農村で青年が希望を持って農業をやろうというふうな風潮は全然ないと思うのです。そこで、何がそういうような原因となったかといえば、やはり農業の収入が非常に少ないということと、それから、つくったものが、おそらく非常にたくさん増産されれば非常に暴落するというように、価格政策がいまの制度の中にはないということだと思う。だから、キャベツが非常にことしは値がいいけれども、みんなまたキャベツをつくるということでは、これは結局、多くつくれば非常に暴落するということで、こういうことは、私たちが学生の昭和二、三年ごろに、農林省が推奨したことをまじめにやると、たとえば豚を飼えということになると、その翌年豚はうんと余って、暴落する、だから、農林省の言うことと反対のことをやればいいというような、そういう農業恐慌の時代があったことを記憶しております。そこで、現在私たちが一番心配しておるのは、この農業の中で一番大事なことは、最低の値段で買うという方策を講じなければ、最近鶏卵がちょっと値が上がりまして農村は幾分か息をついておりましたが、またきょうあたり、新聞を見ますとだいぶ下がってきたから、鶏卵のようなもの、あるいは牛肉とか豚肉というような、共通に農家のやっているものの収入に対して、やはり一定の保証がなければなかなか百姓はやれないのです。こういう点について、経済局の係かどうか知りませんけれども、一体農産物の価格政策についてどういう考え方を持っておられるのか、これもひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/51
-
052・仮谷忠男
○仮谷政府委員 私から十分なお答えができないかもしれませんが、私どもは、今後の農政を進めていくために、構造政策とさらに価格政策というものを進めていかなければならぬ。それが、考え方によれば、大きな柱だというふうに考えております。価格政策の問題は、やはり支持価格制度でありまして、米麦のように、いわゆる食管会計による買い入れの制度を政府はとっておりませんけれども、たとえば、牛乳の問題にいたしましても、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法によりまして最低価格を支持するという制度もできておりますし、あるいは、甘味資源対策の面からいって、砂糖の価格安定等に関する法律といったようなものを御審議を願って糖価を決定いたしておる次第でありますし、その他もろもろの、たとえば、ただいまお話のありました野菜等の問題にいたしましても、野菜の生産地の指定をいたしまして、生産、出荷の近代化をはかると同時に、価格の暴騰暴落を防くために民間と協力——団体協力ではありますけれども、野菜の基金制度も設ける、こういったような制度をつくりまして、最低の価格支持をいたしまして、いわゆる価格暴落に基づく農村経済の打撃を防いでいこうということの施策がとられておることは御承知のとおりでありまして、不十分な点がありますが、そういった面をさらに今後充実して御期待に沿えるようにしなければならぬというのが、私どもの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/52
-
053・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 農業は広範にわたっておりますし、多岐多様でありますから、なかなかむずかしいと思いますが、私どものほうの名古屋の郊外に麒麟麦酒の工場ができました。ビールは、御承知のように、ビール麦が必要なことはもちろんでありますが、地形上、そういうような農場がたくさんあるにもかかわらず、このごろ全く麦をつくらない。御承知のように、二毛作をやらないような情勢が全国的に——東北や北海道は無理でありますけれども、中部以西には二毛作はほとんど十分できると思う。ところが価格が合わぬので、ほとんど二毛作をやらないような状態になっております。これは、外貨の少ないわが国として、外国からビール麦を買わなければならぬということでは、わが国の農業政策としてはまずいのではないか。農家に聞いてみれば、ビール麦は、やはり生産に見合うだけの価格であれば自分たちは幾らでもつくるというようなことを盛んに言っております。そういうような矛盾を、いま農林省はどのようにお考えになっておられるのか。こういうような手近なことでけっこうでありますのに、こんなことを捨てておいて、そうして外国からビール麦を買うような、こういう経済政策は、みずから日本の経済を不況にする、不況にして墓穴を掘るような、そういうことに考えられるのでありますが、こういう点についてどのような政策を持っておりますか。仮谷さんでもけっこうでありますが、この点をひとつわかるように説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/53
-
054・仮谷忠男
○仮谷政府委員 麦の問題は、これは米価審議会におきましてもいろいろ議論をされ、政府においてもたびたび付帯条件をもって勧告をされておる問題であります。麦の生産が最近どんどんと低下をいたしておるのでありまして、したがいまして、それに引き合ういわゆる価格設定をすればいいことではないか、こういう御意見もありますが、しかし、いわゆる米麦の価格決定につきましては、これは米審の審議を経て決定するものであり、それはやはり周囲の経済情勢等を勘案して決定するものでありまして、ただそれを、農家が引き合わぬから、思いつきで上げるということができないことは御了承いただけると思います。しかし、そういう面も、もちろん今後考慮しなければならぬと思います。ただ、しかし、今日の麦作というものは、単に価格だけの問題でなくして、麦作の収益性と申しますか、そういった面で、どうも農家がほんとうにいやがる、それより以上に有利な作物がある、あるいはほかに所得を得るところがあるといったようなことで、やはり麦はだんだんと生産が低下していくんじゃないか、そういう意味で、麦の生産対策については、これは相当真剣に考えなければならないということで、政府、農林省の中におきましても、麦生産対策の審議会をつくりまして、実は検討を続けておるわけであります。ビール麦の問題につきましても、私実は、詳細なことを、まことに申しわけございませんが申し上げることはできぬのでありますけれども、やはり一般的な麦対策として今後考えていかなくてはならないのではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/54
-
055・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 私は、いまの農業というのは資本主義の経済から見捨てられたような感じがするのでありますが、最近農村が非常に悪くなったという原因は、池田さんの所得倍増という問題で、御承知のように、所得倍増なんて農業はできないので、非常に見離されたという感じがするわけです。だから、いま農村で盛んに政府が太鼓をたたいても、農民が乗らない。仮谷さんも御存じだと思うのですが、そういうような状態になったときに、農業近代化の資金を、国家がいつまでこれを続けられるかということについてはわかりませんけれども、私は、そういう点で、いわば時流にさからっていくような感じじゃないかと思う。いまや、日本の農村は全く退廃をして、田園まさに荒れんとするような、そういう情勢にあると私は思うのです。そういうときに農業の近代化資金をつくってやっても、これは全く無意味なように感ずるのでありますが、その点は一体どのように考えておられるのか。これは経済局長でも仮谷さんでもけっこうですが、その点をひとつぼくらに納得いくように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/55
-
056・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、農業の近代化は、そう急激にいくというわけにもいかない性質のものであることは、先ほど申し上げたとおりであります。しかしながら、また他面、農業の近代化の必要性は、重かつ急でございます。そういう観点からいきまして、われわれとしても農業の近代化に積極的に努力をしたいということで、近代化資金も、四十一年度は先ほど申し上げましたように整備拡充をいたしまして、農業近代化に役立っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/56
-
057・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 農業近代化と並行して、現在土地改良が農村で盛んに行なわれております。しかし、私たち、農民から相談を受けるときに、土地改良でたくさんの借金をするということは、農業経営それ自体に大きくひびが入るということを考えておりますから、国家の援助のあるうちはいいけれども、自分が土地改良に金を使うということはたいへんなことだということを私は戒めておるわけなんですが、この土地改良について、近代化の問題とからんで、農林省はどのような方策でやっておられるのか、これもついでに伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/57
-
058・仮谷忠男
○仮谷政府委員 近代化の中でも土地改良をやっておりますが、先ほどもお話申し上げましたように、さらに土地改良を積極的に計画的に推進をしていくために、土地改良十カ年長期計画を実は立てまして、それに基づいて実施をいたしていこうと考えておるわけであります。これは、特に圃場整備あるいはかんがい排水あるいは農道といったような、農民の特に必要な面を取り上げまして、これを実施していこうというわけでありますが、ただ、その問における農民負担の問題が一番大きな問題でありまして、これは私どもも十分に承知をいたしておるのであります。したがいまして、今年は若干農民負担を軽減するための国庫補助の増額もいたすことにいたしたわけであります。さらに、負担分につきましては、起債等によりましてこれを補完をしていくという制度もできておりまして、できる限り農民負担を軽減していこうという考え方のもとに土地改良を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/58
-
059・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 水産庁の次長来ておられますか。——農業近代化に関連して、漁業の近代化ということはどういうように考えておられるのか。ちょうど近代化の問題があり、漁業も同じように衰退の状態でありますので、これも関連してちょっとお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/59
-
060・石田朗
○石田政府委員 お答え申し上げます。
農業において近代化が問題となりますと同様に、ただいま先生御指摘のとおり、漁業における近代化というものも重大な問題があります。特に、漁業のうちにおきましても、沿岸漁業におきましては、農業と同じような零細なる経営でございまして、これをどのように近代化していくかということが非常に大きな問題であろうと考えております。この沿岸漁業につきまして、構造改善事業というのを実施いたしておりまして、大体三十六年から十カ年にわたりまして、全国にわたって逐次構造改善事業を実施してまいる、全国を四十二地域に分けまして逐次実施を行なっていくわけであります。これによりまして、その中の主要な事業といたしましては、一つは、先ほども御指摘ございましたように、世産されましたものの流通改善の諸施策も非常に重大でございますので、これにかなりのウエートが、現実事業の上でかかっております。さらに、養殖、蓄養関係の施設、さらに、漁船関係の近代化施設というようなものを実施いたしまして、逐次この近代化をはかってまいっておるわけであります。もちろん、農業における近代化がいろいろ困難性がありますと同様に、漁業におきましても、しかく簡単なものではございませんけれども、このような、あるいは養殖によりあるいは小規模漁船による近代化した経営によって、逐次漁民の所得を高めていくという施策を講じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/60
-
061・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 石田水産庁次長、現在の日本の近海漁業の問題について、魚を増殖するという意味でどのような施設が行なわれておるのか、現在のようた状態が続きますと、おそらく数年を経ずして近海の日本の魚は全部なくなってしまうほどの惨害を受けていると思うのですが、これは水産庁がかつて三枚網の推奨をしたというととも一つの原因をなしておりまして、私はいま釣りを非常にやっておりますけれども、おそらく現在の事情の中では、このまま捨てておくと、おそらく近海では魚がとれなくなるのではないかという心配も出てくるので、近海の魚の増殖についての御意見があれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/61
-
062・石田朗
○石田政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生御指摘のとおり、あるいは汚濁水によります問題であるとか、その他各種の問題によりまして、水産資源の問題、特に沿岸の水産資源の問題にいろいろ問題があることは、いま御指摘のとおりでございます。これに対しましては、実は水産関係の諸制度全体が、水産資源の維持ということのために体系立てられておるわけでありますが、さらに、この問題につきましては、一面におきましては沿岸漁場の造成、あるいは沿岸における漁礁の設置というようなことによりまして、沿岸における水産資源の維持をはかり、あるいは、一面におきまして、いろいろ種苗造成と申しますか、稚魚をいろいろ育成するというようなことを進めてまいる、そういう方面におきまして、水産資源の維持、造成をはかっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/62
-
063・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 石田さん御存じのように、日本の漁業というのは、いま世界一で、魚をとることにおいてはおそらく日本人は一番じゃないかと思うのです。
そこでお伺いしたいと思いますことは、内水面の川の魚が非常に減ってきました。これは、御承知のように、農薬だとか、いろいろいまの汚水等の問題がありますが、先日ソ連に行きましたときにいろいろ伺ったのであります。私は大正十三年に南樺太へ行ったことがありますが、そのころ、あそこの川にサケが非常にたくさんおりまして、その当時はサケ一匹が二銭ぐらいでございましたが、そういう思い出を持っておりましたので、たまたまモスクワの水産庁の人にいろいろ話を聞いてみたら、まだやはり南樺太の、日本が占領しておったところの川にはマスやサケがおるそうであります。これは非常に考えなければならぬ問題で、日本人の川になると全部がなくなってしまう。大正十三年ごろには信濃川にもマスやサケがおりました。ところが、日本ではどの川を見ましても、川に魚がおるというのはほとんどなくなったということが現実であります。こういうような問題について、これは水産庁だけの責任ではありませんけれども、何らかの近代的な方法を講じて、近海はもろちん、内水面の川につきましても何か適当な処置をとる必要があるのじゃないか。日本は水産国だといわれておりますけれども、そういうような魚の増殖については全く関心がたくて、私はモスクワへ行って非常に恥ずかしい思いをしたのでありますが、こういう点についてはどんな対策を持っておられますか。これはついででありますから、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/63
-
064・石田朗
○石田政府委員 お答えを申し上げます。
ただいまソ連の例をお引きになりましたが、たとえばサケ・マスにつきましては、わが国におきましても、人工ふ化、放流事業というのをやっておりまして、たとえば、三十九年度におきまして、北海道において六十三水系を対象といたしまして、ふ化場が、支場が六カ所、事業場が四十一カ所でこれを実施しております。なお、内水面におきましても、アユ等におきまして、やはり同じように種苗の供給施設を実施いたしておるわけでございます。
そのような形で、たとえば、いま御指摘のござました内水面におきましては、一面においてはこのような種苗の供給施設、他面におきましてはそういうような種苗の発生地等を保護いたしますために、保護水面というのを指定いたしまして、個々について特殊な保護をするという制度が水産資源保護法にございますので、これに基づきまして措置をとる等、日本といたしましても、全面的に水産資源の維持、培養には手当てをいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/64
-
065・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 御承知のように、モスクワで日ソ漁業交渉が近く開かれると思うのです。私たちは日本人でありますから、日本のためになることならばむろん賛成でありますが、ソ連が日本の漁業に対して文句を言うのは、日本側にも手落ちがあるのじゃないか。毎年、御承知のように、日ソ交渉があるたびにサケ・マスが減ったからといって、減らされてくるということは、一応日本の漁業についても反省をしなければならぬ。日本では、御承知のように、どんな漁業をやっても、非常に小さい稚魚でも全部とって捨ててしまうような状態もあるのでありますが、外国に行きますと、こういう点は非常に綿密に事情を調べて、小さい魚はとらぬような観念が一般国民にあります。しかし、日本は昔からよく魚がとれた関係で、そういう道徳的な見地、あるいは魚を愛するという意味においても非常におくれをとっておるのではないかという感じがするのです。目下、日ソ漁業交渉がどのように結末がつくかわかりませんけれども、日本側にも反省すべき点があるのではないか。魚の増殖ということについて日本人が比較的無関心だというように感ずるのでありますが、その点はどのようにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/65
-
066・石田朗
○石田政府委員 お答え申し上げます。
ただいまお話がございましたが、われわれといたしましても、日本が世界的な水産国である以上、国際的な資源保護のために十分配慮をいたさねばならぬということは当然であろうかと思います。したがいまして、国際的な交渉におきましても、科学的な基礎に基づいて、相互に資源を維持しつつ、適正な漁労を行なうという見地から交渉を進めておるわけでございます。ただし、サケ・マス等につきましては、日本以外の各国は、川に上ってくるサケをとる、それに対して、日本のとり方は沖取りであるということからきます見解の相違等は確かにあるようでございまして、これにつきまして、十分討議を行なって、適切な結論を得なければならぬというふうに思っております。
それで、ただいま水産資源の保護について、さらに今後一そう水産資源保護の思想を維持、培養すべきではないかというお話がございました。その点はまことにごもっともだと思います。先ほどから申しますように、私ども従来とも努力をいたしてまいったつもりでございますが、さらに今後とも——現在もやっておりまして、ただいまも水産資源保護に関する特別な協会がございまして、その普及宣伝をやっておりますが、それらの事業、さらに国自体もこれに努力いたしまして、水産資源の保護思想というものを国内に普及するようにいたしてまいらねばならぬと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/66
-
067・佐藤觀次郎
○佐藤(觀)委員 いろいろ質問したい点もありますが、同僚委員がおられますので、最後に、これは農業の近代化と同時に漁業の近代化ということがおそらく近々に問題になると思うのです。こういう点を十分水産庁は考えてもらいたいと思います。
農林省に伺いたいが、近代化というものは、一体いつまでやったら完成するのか、いつごろまでをめどにして農業近代化をおやりになるのか、この点を伺って、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/67
-
068・仮谷忠男
○仮谷政府委員 農業近代化というものは、いつまでとかいう期限を切ってやるべきものじゃございません。農業の続く限り、あくまでも近代化を進めていかなければならぬ、こういうふうに私どもは思っております。ただ、構造改善計画というのがございますから、毎年四百、五百と指定をいたしておりますが、これは指定が一巡すれば、おのずからひとまず第一期は終わる。第一期が終われば、それで打ち切りかというと、私ははそうじゃないと思うのです。さらにそれを補完する計画が必要ではないか、こういうように考えます。したがいまして、近代化計画はさらに今後も進めていかなければならぬ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/68
-
069・三池信
○三池委員長 有馬輝武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/69
-
070・有馬輝武
○有馬委員 限られた時間でありますので、予定しております質問の何分の一できるかわかりませんが、この近代化助成資金法に関連いたしましてお伺いをいたしたいと存じます。
藤井政務次官と仮谷政務次官にお伺いをいたしますので、数字的な面は補足をして政府委員のほうから御説明があってもけっこうでありますが、私の質問はお二人だけに限っておりますので、お二人から御答弁をいただきたいと存じます。
まず第一番にお伺いしたいと存じておりますことは、現在、農家の目標といたしまして、百万円農業ということがいわれておりますが、全国的に粗収入合わせまして、これは農業外所得も合わせた形でけっこうでありますが、百万円をこえる農家が何戸あるか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/70
-
071・仮谷忠男
○仮谷政府委員 企画室長から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/71
-
072・小暮光美
○小暮説明員 農外収入を含めてという御質問でございますが、実は、農外収入を含めて百万円以上という数字は持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/72
-
073・有馬輝武
○有馬委員 いまわかっておる数字で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/73
-
074・小暮光美
○小暮説明員 粗収入と申しますか、農業所得で見てまいりまして、年間七十万円以上、これはおそらく販売額で申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/74
-
075・有馬輝武
○有馬委員 私は百万円以上をお伺いしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/75
-
076・小暮光美
○小暮説明員 百万円以上という調査はございませんので、七十万円以上で申し上げておるのでありますが、所得七十万円以上が、おおむね、営農の形態にもよりますけれども、販売額百万円にほぼ見合うかと思いますが、所得七十万円以上の農家が、農家経済調査の調査対象農家のおおむね一割でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/76
-
077・有馬輝武
○有馬委員 戸数にすると幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/77
-
078・小暮光美
○小暮説明員 御承知のように、農家経済調査で見ました場合に、これをそのまま全農家戸数に引き伸ばすことは不適当かと存じますので、農家経済調査の対象農家の一割というふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/78
-
079・有馬輝武
○有馬委員 ですから、戸数にして幾らになるかということを伺っておる。それから類推できるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/79
-
080・小暮光美
○小暮説明員 いま申し上げましたように、農家経済調査からそのまま全農家に引き直すということをいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/80
-
081・有馬輝武
○有馬委員 政務次官にお伺いいたしますが、率直に申し上げまして、三十六年度の農業基本法の真のねらいというものはどこにあったのか、お聞かせをいただきたいと存じます。いまお聞きのとおり、私、財政金融のベテランになるに反比例いたしまして、農業についてはきわめてうとくなっておりますから、きわめて素朴な質問をいたしておりますので、親切にお教えをいただきたいと思うのです。そういう意味で、三十六年の農業基本法のねらいというものがどこにあったか、ひとつお聞かせをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/81
-
082・仮谷忠男
○仮谷政府委員 これは有馬先生御承知のように、農業の持ついわゆる社会的、経済的、その他いろいろな条件から考えまして、農民の生産がいわゆる他産業と均衡するように、そういう施策を進めていこう、こういうのが目的であったと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/82
-
083・有馬輝武
○有馬委員 他産業と均衡するような農家、農業ということを考える場合に、その尺度は何かということになりますと、やはり農家の粗収入はどの程度かという角度から見ることが先決じゃなかろうかと私は思うのであります。たとえば、現在農家の所得がどうなっておるかという点について的確な把握がなければ、施策の遂行ということは無理なんじゃないか、そういう意味で私はお伺いをいたしておるわけであります。ことしの農業の動向に関する年次報告、いわゆるグリーンレポートを見ましても、私どもがどういう方向で農政を推進していかなければならないのか、そういう視野からこれは書かれてしかるべきであると思うのでありますけれども、そこら辺について、農林省のお一人、お一人というものが、われわれは農家をこのように育てあげていくんだ、日ごろの念願といいますか、それが具体的にグリーンレポートの中にもにじみ出てこなければいかぬし、この付属文書として出されておりますところの「昭和四十一年度において講じようとする農業施策」の中にもそれが具体的ににじみ出てこなければ、農業基本法をつくった意義というものは失われていくのではないか、農政というものが作文に終わっておるきらいが、そこら辺に根本的な原因があるのではないか、こう考えざるを得ないのであります。そういう意味で私はお伺いいたしておりますが、たとえば、この四十一年度講じようとする農業施策の中で、野菜生産出荷安定資金協会というようなものをつくる計画があるやに書いてありますが、これがどのようになっておるのか、未発足なのか発足したのか、そして、いわゆる指定地域との関連はどういうぐあいになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/83
-
084・仮谷忠男
○仮谷政府委員 本年度の野菜対策として、いわゆる指定産地の指定をいたしまして、生産、出荷の近代化をはかると同時に、その価格の暴騰、暴落を防ぐための制度を設けようという方針のもとに進めておるわけでありまして、従来の財団法人のタマネギのものは既存のものがございますけれども、それに今回は白菜を加えまして、そして、それを一つにした機構を考えていきたい、こういうのが今年の方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/84
-
085・有馬輝武
○有馬委員 仮谷さんにお尋ねする点、森本さんから答えていただいてもけっこうでありますが、四十一年度における野菜の需要というもの、これは単位のとり方が非常に問題だと思いますけれども、そのおもなる生鮮食料品の中で、野菜の需要というもの、それに見合って生産が何割程度になるのか、それから、その指定地域はおもにどのような地域を考えておるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/85
-
086・小暮光美
○小暮説明員 野菜の需要の測定は、御承知のように、大消費地域における需要の見込み、それから全国的な——農村地帯等も含めまして全部それぞれに消費しているわけでございますが、全国的な需要と見ますと、いろいろ考え方がむずかしいわけでありますが、現在農林省で施策の推進のために検討いたしておりますのは、京浜、京阪神等、いわゆる大消費地域に対する野菜の需要の伸びでございます。この点につきましても、ものが生鮮の野菜でございますので、いろいろ検討しにくい面がございますけれども、これまでの検討の結果では、おおむね需要が伸びてまいります種類の野菜、たとえばトマト、キュウリ、カンラン、タマネギといったような、最近の食生活の形から見まして需要が累年増大してまいるものにつきましては、年率おおむね一割程度の需要の伸びがあるというふうに判断いたしております。なお、これに対して指定産地を、京浜、京阪神等の大消費地域を対象に、今後年次計画で三百八十にふやす予定でございますけれども、これらの指定産地から大消費地域に対する指定野菜の出荷量を、将来指定産地で出荷量のおおむね七割程度を押えるところまで産地を育ててまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/86
-
087・有馬輝武
○有馬委員 生鮮食料品の問題が話題になりますときに、常に流通機構における隘路ということが抽象的に言われるわけでありますけれども、この流通機構の問題について、現在までの欠陥はどこにあったのか、その欠陥を克服するためにはどのような施策が必要なのか、そして、その助成策はいかなるものがあるか、これについて、農林省のお考え方を政務次官のほうからお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/87
-
088・仮谷忠男
○仮谷政府委員 詳細は室長のほうから答えさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/88
-
089・小暮光美
○小暮説明員 生鮮食料品につきましては、何と申しましても、特に野菜等の場合に、生産がきわめて零細であるということ、それと、消費の形も、一般家庭が毎日毎日少量に需要するということでありまして、生産並びに消費がきわめて零細であるということが、流通の問題を困難にしておる最大の原因ではなかろうかというふうに判断いたしております。
そのことと、もう一つは、増大いたします需要に対応して、時々刻々に生産がふえてまいるというふうになかなか短期的にまいらないという、生産と需要との不突合の問題がございます。特に気象条件等に災いされまして、暖冬異変あるいは異常乾燥等でしばしば暴騰暴落を演ずるというようなことがございますので、中間の段階でこれを取り扱います取り扱い業者におきましても、他の産品の場合のように、営業そのものを計画化すると申しますか、原単位等をきわめて明確にして、企業としての採算を考えるということがなかなかできませんで、いわゆるなまもの特有の一つの流通形態というものが長年の間に育成されておるわけでございます。
これらの点に着目いたしまして、農林省といたしましては、基本的には、需要に見合った生鮮食料品の供給の増大、これを第一点に置いております。それから第二点には、その生産いたしましたものを、できるだけ生産者の組織等を強化いたしまして、供給の体制を大型化すると申しますか、計画化するということを第二点に考えておりすす。さらに、こうした生産の計画的な増大と出荷体制の強化というものを通じまして、都市流通機構につきましても逐次近代的な形に指導してまいるように考えておるわけでございます。
第一段の生産の計画的な増強のためには、一つには、事務的な経費になりますけれども、できるだけ大消費地域における需要の見通し、あるいは産地における生産の状況というようなものを客観的に把握する必要がありますので、一両年前から統計調査部等におきましても、かなり本格的に生鮮食料品の流通統計の整備、約一億円近い経費を使いまして具体的な現業の基礎になるような調査も開始いたしております。まだ調査を始めまして日が浅いために、十分現業に役立つところまではまいらないと思いますけれども、従来の統計のあり方から申しますと、かなり展開した形で仕事を考えております。さらに、産地におきまして、単に作付の計画化を指導するということだけでは、干ばつ等の際に、せっかく計画的に作付せられました反別が力を発揮しないわけであります。明年度から特に指定産地につきまして逐次生産、出荷の近代化計画を立てまして、これに基づいて一産地——産地の大きさによって違うと思いますが、ごく概略申し上げまして、三年間に七千万円程度の規模で産地としての生産出荷体制の近代化のための事業を助成いたす予定になっております。
そのほかに、先ほど政務次官から御答弁のございました暴落の場合の組織の確保と申しますか、こういうことを頭におきまして、特に基金を強化して、安値補てんを行なう、こういうようなことを計画いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/89
-
090・有馬輝武
○有馬委員 いまの、たとえば基金の安値補てんの問題等について、これはここ二、三年の問題ではないわけです。その実施がおくれた理由についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/90
-
091・小暮光美
○小暮説明員 問題が、御承知のように、野菜の場合には具体的にきわめてむずかしいわけでございます。なまものの生産と流通の問題でございますので、具体的にこれを制度的なものに仕組みますためには、やはり実際上の経験を積まなければならないだろうというのが私どもの判断でございます。タマネギについて安値補てんの事業を仕組みましたのが、昭和三十七年でございます。三十七年から今日までの間にタマネギにつきましても大暴落の経験を一回いたしております。そうした具体的な経験を通じまして、組織が次第に強固になりつつあるというふうに観測いたしております。それから、キャベツにつきまして、安値補てんの制度を財団法人で発足いたしましたのは、たしか昭和三十八年でございました。これも発足当初の年にきわめて激しい暴落に見舞われまして、資金がほとんど枯渇するというような状況に立ち至りました。しかし、その後生産者団体と十分協議いたしまして、仕組みの再建をはかるということで、翌年度におきましてさらに予備費をいただいて、この財団法人の資金を再建いたしております。
とういう形で、タマネギとキャベツにつきまして、それぞれ何回かの暴落の経験を経ながら、その資金の再建につとめてまいったわけでございますが、これらの経験を通じて、明年さらに白菜を追加して、一つの制度的な資金にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/91
-
092・有馬輝武
○有馬委員 いまの御答弁を伺っておりますと、タマネギが暴落するのを待ち、キャベツが暴落するのを待ち、白菜が暴落するのを待ち、私のところなんかでつくっておりますグリーンピースが暴落するのを待たなければ、対策が立たないというぐあいにしか受け取れないわけであります。私が農業基本法のねらいというようなことでお伺いした焦点も、そこにあるわけでありまして、そういう意味で、小石黒といわれる和田さんから、こういうあり方について、私は出発点で問題があるのではないかと思いますが、農林省としての見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/92
-
093・和田正明
○和田(正)政府委員 必ずしもお尋ねの趣旨を理解していないお答えになるかもしれません。何か農政の手の打ちようが常に後手後手じゃないかということについて、私の所見をという御趣旨でございますが、先ほど来企画室長もいろいろと実情について御説明を申し上げたとおりでございまして、私どもも精一ぱい努力はいたしておりますけれども、そういう御指摘を受けるようなこともあろうかと思います。今後も十分努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/93
-
094・有馬輝武
○有馬委員 いまの問題に対する御答弁としては、これは私でなくても、皆さん方、和田さんの答弁らしくない答弁なんです。問題は、これはあとでお伺いする時間があればお伺いしたいと思っております。肉牛の問題についてもそうなんです。豚にしても、牛にしても、現在農政に対する不信があるとするならば、やはり基本法でうたわれておるところの農産物、畜産物の価格の安定に対して、私は、農業基本法ができますときに、運営の面でこの価格の安定をはかっていくということであったけれども、それが運営の面で常にいま言われるように後手後手に回っておる、新政策が新政策になっていないところに、農民の間における農政に対する不信というものがぬぐい切れないほど充満しておるのではないか、このように見ざるを得ないのであります。ですから、農林省が豚を買えというときにはやめておいたほうがいいぞ、やめろといったときに始めようという空気が、私どもの触れる地域においてはあります。これは百分の一か千分の一であればよろしいと思いますが、全国的な問題であるとするならば、これはゆゆしい問題だと思うのです。毎年出されるところのグリーンレポートというものに対する一つの役割りもそこに置かれておったのではないか、そこから農政の方向を国民が感じ取り、農民が感じ取り、どのような計画生産というものを行なうべきかということを読み取るためのグリーンレポートだと、私は個人的に理解をいたします。それにもかかわらず、たとえば、現在私のところのある市でもグリーンピースを年間二億円の生産をいたし、そうして、これが大阪なりあるいは東京に出荷されております。少なくとも、現金作物として非常に期待され、また、農民の意欲というものも非常に高まっております。がしかし、これが天災その他によって挫折したときのつなぎ資金なり助成措置というものがどのように準備されておるのかお先まっ暗な中で、希望に胸をふくらましておる諸君がそのような事態におちいった場合に、再度立ち上がれる余力を持っておるかどうか、そこら辺について——計画はこうなっておるのだ、需要の見通しはこうなんだから、そのような場合の需要の措置はこのような手が打たれておるからということが、私は農政の主眼ではなかろうかと思うのであります。
そこでお伺いしたいと思いますが、これと相関連することで、たとえば、ことしのそのグリーンレポートの中で、これは百九ページにありますが、肉用牛の飼養頭数の減少が続いておって、三十九年には飼養頭数に対する殺率は三六%となっておるというぐあいに書かれておりまして、しかも、その次のページに生産費の調査の項がありまして、「繁殖母牛一頭当たりの純収益は三万円の赤字であり、家族労働報酬でさえも一万四千円の赤字となっている。」こういうことが報告されておりますが、この肉用牛の本年度の需要見通し、そして、それが国内で幾ら生産され、輸入牛は幾らになるのか、ここら辺について、大まかな数字でけっこうでございますからお聞かせをいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/94
-
095・仮谷忠男
○仮谷政府委員 こまかい数字がちょっと手元にございませんから、その資料はあとで調査してお出しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/95
-
096・有馬輝武
○有馬委員 それではあとで出していただいてけっこうでありますけれども、ここで政務次官にお伺いいたしますが、これが四十五年、五十年に需要が幾らになって、その国内生産を幾らにすべしという計画が組まれておりますか、組まれてないか、その点をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/96
-
097・小暮光美
○小暮説明員 肉用牛につきまして、四十五年ないし四十六年を目標にした計画というようなものは現在ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/97
-
098・有馬輝武
○有馬委員 ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/98
-
099・小暮光美
○小暮説明員 御承知のように、昭和三十七年に農業基本法に基づいて公表いたしました農産物の需要と生産の長期見通しというものがございます。これは、御承知のように、計画というものではございませんで、それぞれ主要な動物性たん白質全体についての需要の見通し、これを肉類でどれだけ供給できるであろうかという供給の見通しでございます。肉牛についての年次別の計画と申しますか、あるいは年度を限った計画という形ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/99
-
100・有馬輝武
○有馬委員 政務次官、これは小林節じゃないけれども、まことに驚くべき事態だと思うのです。先ほど申しましたように、現在農村においては、農林省の言うことと逆なことをやればいいという風潮があるということを私は比喩的に申し上げましたけれども、、そういう計画がなくて、畜産行政というものをどうやって進めていかれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/100
-
101・仮谷忠男
○仮谷政府委員 ざっくばらんに申し上げますが、実は、きょうは私はぶっつけ本番にここへ呼ばれたわけです。したがって、そういう資料をここへ持ってまいっておりません。ただ、農産物にしても、畜産物にしても、その他の問題にいたしましても、一応長期見通しを立てて、その見通しに対応するものを考えていかなければならぬということは当然であって、それは持っておるわけであります。家畜の増殖計画ですか、そういうものも畜産局では一応立てておりますけれども、そういった数字についてここで詳細御説明申し上げるということはできませんので、まことに恐縮でございますが、後ほど資料をまとめまして御報告いたしますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/101
-
102・有馬輝武
○有馬委員 私が、あるのですか、ないのですかと念を押してお伺いしたのは、そこにあったわけです。あればけっこうなんです。問題は、その計画が進められる予算的な裏づけというもの、たとえば草地造成について、これは本年度の農業政策中、四十一年度の補助事業によって草地改良面積は二万五千ヘクタール、それから構造改善事業によるものが七千ヘクタール、合わせて三万二千へタタールとなっておりますが、大体現在の草地造成された草地というものは全国的に幾らあるか、概略の数字でよろしいですから、和田さんでもどなたでもけっこうですが、幾らくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/102
-
103・仮谷忠男
○仮谷政府委員 まことに恐縮ですけれども、実は、担当者が見えておらないものですから、ひとつ一緒に資料をまとめて申し上げますから、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/103
-
104・有馬輝武
○有馬委員 大体、午後一時半まで予定しろという理事さんのあれでありますので、藤井政務次官にお伺いいたしますが、今度四十一年度に七千三百億円の公債が発行されまして、とにかく、社会資本の充実ということに力点が置かれておったと思うのでありますが、いまお聞きのような農業部面に、どのようにこれが、その規模において、額において、効率において反映されようとしておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/104
-
105・藤井勝志
○藤井(勝)政府委員 具体的な規模の問題についてちょっと私数字をいま宙に覚えておりませんが、岩尾主計局次長から、一応手元に資料を持っておりますので、答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/105
-
106・岩尾一
○岩尾政府委員 農林関係予算の四十年度と四十一年度でございますが、四十年度は当初三千六百九十九億円というのが、四十一年度におきましては四千五百八十四億円というふうにふえております。中身につきましても、いろいろ対策を講じまして、できるだけ施策の円滑な実施を期するように増額をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/106
-
107・有馬輝武
○有馬委員 私の質問がぼやっとし過ぎておるせいもあると思いますが、岩尾さんの答弁にしても、ぼやっとし過ぎておる。これはひとつ理事さんに相談をいたしまして、明日、開発銀行の問題について論議する前に、具体的な数字について、先ほど農林政務次官からの計画についての御答弁もあろうと思いますので、それを論議しながら、いまの点についてもお聞かせをいただきたいと思います。
それで、本日最後にお伺いをしておきたいと思いますことは、先ほど野口君の質問に対しまして、三十九年度に近代化資金の計画ワクというものが六百億円あって、五百三億円しか使われなかった、八四%しか使われないで、前年度比一〇%落ちた最大の理由はどこにあったのか、これを仮谷政務次官のほうからお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/107
-
108・仮谷忠男
○仮谷政府委員 これは、局長からも先ほどお答えをいたしましたが、大体近代化資金では、農器具あるいは農舎、そういった比較的手軽なと申しますか、そういう資金がかなり旺盛でありまして、これが大体七五%以上七六%近く使用されておるのでありますが、そういった面で、ある程度こうした必要な資金というものが一巡をしたではないかという見方も実はあるわけであります。それから、さらに、利子補給の問題等で県負担の問題もあろうかと思います。また、農協の貸し出し能力と申しますか、そういう面も若干あるのではないかと思います。ただ、やりは資金の保証機能、こういった面にも一つの大きな問題点があるのではないか、これは今度の国会でぜひ御審議をいただきたいと思いまして、近代化法案の御審議を願っておるわけでありますが、さらに、金利の問題等、いろいろ問題があるのでございますが、ただ、資金需要というものが完全に六百億円要る、七百億円要るというふうに、十分にワクをキャッチして、そのとおりのものが供給されるというふうな行き方でなしに、やはりできるだけ多くのワクをもらって、そうして農民の要望にこたえようという考え方のもとに資金需要ワクというものを押えるのであって、そういう面にも若干の問題点があるのではないかというふうに考えておりますが、しかし、始めた当初と比較をいたしますと、少なくとも二倍以上の資金が供給されておるわけでありますから、そういう面からいって、最近の年次が若干予定よりも低下をいたしたということ自体が、それが直ちにその資金に特別に大きな問題点があって低下をしたというふうなものではないのではないか。しいていえば、先ほど申し上げたような問題等があげられるのではないか、こういうふうな考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/108
-
109・有馬輝武
○有馬委員 これは、あげ足をとるわけではありませんが、二倍ではなくて、二割しか伸びておりません。資金ワクが二割しか伸びないで、しかも、消化が一〇%落ちたという点をお伺いしておりますが、予定しておる時間が参りましたので、あすまた詳しくお聞かせをいただきたいと存じます。
本月の質問は、これにて終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/109
-
110・三池信
○三池委員長 次会は、明二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104629X01519660301/110
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。