1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年三月十六日(水曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 中川 俊思君
理事 大石 武一君 理事 倉成 正君
理事 田口長治郎君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君
理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 宇野 宗佑君
金子 岩三君 小枝 一雄君
小山 長規君 坂村 吉正君
笹山茂太郎君 白浜 仁吉君
高見 三郎君 中川 一郎君
丹羽 兵助君 長谷川四郎君
藤田 義光君 森田重次郎君
卜部 政巳君 兒玉 末男君
西宮 弘君 松浦 定義君
森 義視君 湯山 勇君
中村 時雄君 林 百郎君
出席政府委員
農林政務次官 仮谷 忠男君
農林事務官
(大臣官房長) 大口 駿一君
農林事務官
(農林経済局
長) 森本 修君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局金
融課長) 今村 宣夫君
農林事務官
(農政局参事
官) 横尾 正之君
農林漁業金融公
庫副総裁 大月 高君
農林漁業金融公
庫理事 和栗 博君
専 門 員 松任谷健太郎君
—————————————
三月十五日
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第一一五号)(予)
同月十四日
農林漁業団体職員共済組合法の改正に関する請
願(福田繁芳君紹介)(第一六七二号)
同(奥野誠亮君紹介)(第一六七三号)
同(中澤茂一君紹介)(第一六九六号)
同(増田甲子七君紹介)(第一七〇二号)
同(吉川久衛君紹介)(第一七〇三号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一七〇四号)
同(三池信君紹介)(第一七〇五号)
同(松平忠久君紹介)(第一七一三号)
同(小川平二君紹介)(第一七二七号)
同(羽田武嗣郎君紹介)(第一七二八号)
同(濱田幸雄君紹介)(第一七三七号)
同(堀川恭平君紹介)(第一七三八号)
同(小島徹三君紹介)(第一七五三号)
同(田村良平君紹介)(第一七五四号)
同外三百八件(中村寅太君紹介)(第一七五五号)
同(原茂君紹介)(第一七五六号)
同(森本靖君紹介)(第一七五七号)
同(上村千一郎君紹介)(第一七七八号)
同(小金義照君紹介)(第一七七九号)
同(小島徹三君紹介)(第一七八〇号)
同(黒田壽男君紹介)(第一七九八号)
同(砂田重民君紹介)(第一七九九号)
同外四十六件(早川崇君紹介)(第一八〇〇号)
同外一任(安藤覺君紹介)(第一八四四号)
同外四件(原健三郎君紹介)(第一八四五号)
同(木村剛輔君紹介)(第一八四六号)
同(小島徹三君紹介)(第一八四七号)
同外二十三件(田村元君紹介)(第一八四八号)
同外一件(塚田徹君紹介)(第一八四九号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第一八五〇号)
同(植木庚子郎君紹介)(第一八六五号)
同外二件(上村千一郎君紹介)(第一八六六号)
同外一件(浦野幸男君紹介)(第一八六七号)
同外三件(大竹太郎君紹介)(第一八六八号)
同外十八件(角屋堅次郎君紹介)(第一八六九号)
同外四件(小島徹三君紹介)(第一八七〇号)
同(佐々木良作君紹介)(第一八七一号)
同(砂田重民君紹介)(第一八七二号)
同(田中彰治君紹介)(第一八七三号)
同外五件(高瀬傳君紹介)(第一八七四号)
同外六件(高橋清一郎君紹介)(第一八七五号)
同外十一件(丹羽兵助君紹介)(第一八七六号)
同(野田武夫君紹介)(第一八七七号)
同外四件(原健三郎君紹介)(第一八七八号)
出かせぎ者対策に関する請願(日野吉夫君紹介)
(第一七五二号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九七号)
農業信用基金協会法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/0
-
001・中川俊思
○中川委員長 これより会議を開きます。
農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案及び農業信用基金協会法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。卜部君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/1
-
002・卜部政巳
○卜部委員 私は、先国会の本委員会におきまして、制度金融の問題点をとらえまして、いろいろとここで質問なり意見を申し上げたところであります。この問題につきましては、当局のほうといたしましても、積極的な取り組みの姿勢を示しまして、問題を提起されました現地等に調査団を派遣されるという誠意ある行動を示されたことにつきましては、冒頭敬意を表したいと思うのであります。しかしながら、今回の改正を見まして、若干の前進はあるといたしましても、最近の農業者の資金需要の動向に即しておるのか、またはその農業者の資本装備の高度化及び経営の近代化をこれによって推進することができるのかということになりますと、残念ながら、農業者の切実なところの需要と期待とに反しておるのがこの改正案ではないか、およそ現実とかけ離れたような改正であるということを私は指摘せざるを得ないのであります。
そこで、以下数点にわたりまして、質問をいたし、そしてまた意見なりを述べてみたいと思うのでありますが、まず第一点は、近代化資金の消化率が低下をしておるわけでありますが、せっかくワクをとりながらそれが余るというような状態は、一体どこに原因があるのかをまずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/2
-
003・森本修
○森本政府委員 先日の委員会でもお答えを申し上げたのでございますが、近代化資金の予算上の融資の予定額に対しまして、実際に融資をいたしました実績額が、若干比率としては低下してきておるわけでございます。その原因といたしまして、種々調査をいたしたのでございますが、必ずしもどの原因がどれだけの重みをもって働いておるかということは十分わかりませんけれども、一般的に指摘されております要因としましては、近代化資金の主たる融資対象でありますところの機械等につきまして、資金需要にある程度年々波動があるようでございます。そういった資金需要についての循環の問題、それから御案内のように、最近までの客観的な金融情勢のもとにおきまして、系統の機関といたしましても、外に対してかなり有利な運用先がある。そういったようなことから、ややもすれば員内に対する貸し出しが鈍りがちであるというようなことも率直に指摘されております。それから従来からございました保証制度、これが必ずしも十分その効用を果たしていないのじゃないか、こういうふうなことも指摘されております。そういう問題と、単協における貸し出し体制が必ずしも十分でないといったような要因と相まちまして、最近来の情勢といいますか、実績の推移を示しておるというふうに一般的に指摘されております。ただ、融資の予算上のワクと実績額の比率はそういう状況でございますけれども、何といいましても、年々近代化資金の融資実績そのものは増加してきておるということにひとつ御留意をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/3
-
004・卜部政巳
○卜部委員 いま御答弁が局長のほうから行なわれたわけでありますが、これを要約して申し上げるならば、私は率直に言って、制度的な欠陥があるのではないだろうかということを指摘してみたいと思うのです。
そこで、今度の改正などながめてみましても、何か先ほど私が消化率が低下をしておるではないかということの問題をとらえたわけなんですが、今回の改正は、その意味では消化率の低下を弁明するための改正ぐらいの措置にしかすぎないというような考えを私は持つのです。その制度的な欠陥という問題をやはりここで分析をしてみなければ、私は、おのずからそういう問題の討論というものが水かけ論になるというふうに考えるわけでありますが、制度的な欠陥というものについては、局長はどういうふうにお思いになるのか、まず御質問をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/4
-
005・森本修
○森本政府委員 近代化資金が創設されまして四、五年を経過して今日に至っておるわけでございますが、その間の経緯に徴しまして、先ほど来申し上げましたように、一つは、農家の信用力を補完すべき保証制度がいまだ十分機能を果たしていない、そういう点で、近代化資金の融資の円滑化をはかる上で一つの不備な点があるのではないか、こういうふうに思っておりますことが一つと、それから農家の資金需要、ことに近代化資金の大きな目的であります固定資本の投資、それに対する資金の融通を円滑にするといったようなことにつきましても、単に施設資金の導入なり家畜の導入に対する資金の貸し出しのみでは、必ずしもその目的を十分達せられない。それにあわせまして、家畜あるいは果樹等についての育成資金をあわせて貸す、あるいは新しいことでありますが、農村における環境整備、そういった資金についてもかなり需要が多いわけでございますから、そういった意味で、従来からの資金の対象についても、やや拡大すべき点があるというふうなこと等々を運営の経緯から考えまして、現在私どもが改正に当たっておる点、そういう点が従来欠けておった点ではないか、そういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/5
-
006・卜部政巳
○卜部委員 局長、こう思うのです。制度ができた当時と今回とは、私は農業の内容が激変をしておると思うのです。そういうことによって、やはり資金に対するところの需要も、私は大きく変わってきておるというのが現状じゃないかと思うのです。いま御指摘になったような問題もありますけれども、率直に言って、今回の制度改正などを見ても、小幅にしか変わっていない。そこにズレがあるというふうに私は考えるのです。そういうかっこうから機能を低下せしめるような結果を招来しておる。そういうような状態であって、この総ワクの消化というものが困難になるというのも、そういうところに私は原因があるように思うわけです。そういう面について、今度の改正そのものによって、こういう農業者が困っておるところの問題が解決し得るかどうかという問題が一つ残されておるわけですが、その点はどのように理解されておるわけですか。この改正で、いままで苦しんでおるところの農家がこれによって救われるとでもお思いになっておるのかどうか、ひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/6
-
007・森本修
○森本政府委員 今日までも、近代化資金の制度につきまして、あるいは三十七年度に金利の引き下げ、またそれ以降融資の貸し付け限度の拡大、あるいは融資率の緩和といったような数点の改正を実施して今日に至っておるわけでございます。
残りました問題は、先ほど申しましたように、数点ございまして、ほぼ従来の経緯に徴しまして、現在この制度について不備であると思われる点について所要の改正をしたい、われわれとしては、精一ぱいな改正を立案いたしまして御審議をお願いしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/7
-
008・卜部政巳
○卜部委員 私は率直に申し上げたいと思うのですが、現在農業者が切実な思いを訴えておることは、今回のように資金の総ワクをふやすということではなくて、何といいますか、量的な問題の拡充強化よりも、償還期限等の長期化、それからそういうふうな質的な思い切った需要というものを、私は改善を期待しておるというふうに考えるわけなんです。そういう面において、この償還期限の問題等については、これでもって十分に果たし得るのか、同時にまた、いま局長がおっしゃったように、これはできる限りのことをしたということをおっしゃっておるけれども、それが万全であるのかどうか。しかも、いままで行なった調査の中で、それが万全であるといえるのかどうかも、あわせてひとつ御質問をしたいところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/8
-
009・森本修
○森本政府委員 近代化資金の従来の償還期限、これは系統原資を活用しておるといったような制度本来の姿等から考えまして、あるいはそれぞれの施設の耐用年数といったようなことを考えますれば、ほぼ適正なものではなかろうかと思っております。ただ、今回の改正案にもございますように、果樹等の据え置き期間につきましては、実情を調査いたしますと、やや短過ぎるというふうな問題がございましたので、その点については大幅に据え置き期間を延長する、拡大するといったふうな改正を予定いたしておるところであります。
農村の実情等を調査いたしますと、確かに御指摘のように、個々の農家あるいは個々の地帯につきましては、いろいろな事情がございまして、たとえば災害に遭遇するとか、資金を借りましてから価格条件が変化するとか、そういったことで償還に困難を来たすという向きも必ずしもないではないと思います。しかし、これはいわゆるそれぞれのケース、個々のケースの問題でございます。それをもって直ちに制度全体として償還期限が適切ではないというふうには理解していないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/9
-
010・卜部政巳
○卜部委員 この償還期限の問題につきましては、最終的に問題点を出しまして、いろいろと意見をくみかわしてみたいと思います。
そこで、一応その点については保留をいたしまして、次に、政府が言っております自立農家の育成、さらには選択的拡大のスローガンを掲げておりますが、それに従って経営の改善に努力をした農家の大半は、現在大きな負担を背負っておる、これが現状の姿ではないか。非常に困っておる、こういう状態なのであります。この問題に対して、一応調査というものはどの程度なされておるのかをまずお伺いをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/10
-
011・森本修
○森本政府委員 若干個々のケースについて調査したものはございますけれども、全国的な実態調査ということになりますと、必ずしも十分ではございません。ただ、近代化資金等につきまして、償還期限を過ぎてどの程度延滞があるかといったようなことにつきましては、定期的に報告を聴しておりますので、そういった形式的な統計数字といったようなものはございますけれども、全面的に実態調査をした資料は必ずしもございません。ただ、農業構造改善事業等につきましては、農業構造改善地区について実態を調査したものはございますので、必要があれば農政局からお聞き取りをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/11
-
012・卜部政巳
○卜部委員 じゃ農政局のほうからひとつ聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/12
-
013・横尾正之
○横尾説明員 ただいま経済局長からお話がございましたが、構造改善事業につきまして、昨年の九月に実情調査をいたしております。その概略を申し上げたいと存じますが、三十七年度、三十八年度に事業に着手しました一般地区、それからパイロット地区につきまして、四百七十四地域を対象といたしまして調査をいたしたわけでございますが、そのうち、回答のございましたのは三百十七地域でございます。それにつきまして概略の状況を申し上げたいと思います。
まず、計画の樹立と事業の実施についての状況でございますが、計画樹立の際におきます参加農家の態度の問題を最初に申し上げたいと存じますが、積極的な農家が七割以上あった地区が七割程度を占めております。ただし、一方、積極的な農家が一−三割で事業を実施した地区も若干、これは一〇%足らずでございますが、見受けられます。それから積極的な農家につきましては、農業所得階層別に見ますと、上中層ないしは専業が積極的な態度を示しておるという傾向がございます。
それから事業実施につきましての農家一戸当たりの自己負担額でございますが、平均三十万円未満の地区が大部分でございます。より具体的に申し上げますと、十万円未満の地区が三八%、十万円以上三十万円未満の地区が三三%でございまして、合わせまして七一%というものが平均三十万円未満の負担、こういうことになっております。このような農家のうち、借り入れ金額の平均を見ますと、いま申し上げました自己負担との関係からいたしまして当然のことでございますが、借り入れ金額の平均が三十万円未満の地区が大部分でございます。これが七五%、こういうような状況になっております。これらの借り入れ金の償還の見通しにつきまして、全農家に問題はないとしております地区が約半分でございます。中には、なかなか借り入れ金の償還がたいへんだと思われる農家もございますが、そういった農家のある地区というのは三割程度でございまして、しかも償還がたいへんだと思われる農家が半分以下であるというものが、この借り入れ金の償還がたいへんだという農家のある地区のうちの大部分、こういう状況になっております。それからもう一つ、借り入れ状況、これは御承知のように、農業構造改善推進資金というのがございますが、これについての状況でございますが、希望どおりの金額を借りることができた農家が八割以上の地区が大部分でございます。これは七一%程度にこの調査ではなっております。ただし、一方、希望金額の一部しか借りることができなかった農家のある地区も若干はございますが、そのうち大部分は、希望金額の一部しか借りることができなかった農家、つまり該当農家が四割以下のところ、こういうような状況になっております。
一戸当たりの借り入れの状況、事業実施の概略を申し上げますと、以上のようなことでございます。
結論的に申しますと、当該調査であらわれたところでは、事業の成果、見通しにつきましては、大体のところ、当初の構想の実現の可能性があるというところが多くあらわれております。そういうような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/13
-
014・卜部政巳
○卜部委員 私はたいへんその資料がふかしぎだと思うのです。ということは、いろいろと本なんかにも書いてありますが、日本の農業の規模の拡大の状況なんかが、いわゆるコメントなんかに農林省の大和田さんの発言が載っておるわけです。いろいろとこの問題を取り上げた中の最終的な座談会というかっこうなんですが、そういう中でも明確に書いてありますよ。規模を拡大していく形の中で、その隘路は一体何かという状態の中で、大和田さんは、そのときの農林省の官房企画室長ですか、そういうふうなかっこうの中でも、いまおっしゃっておるようなこととは全然逆なことが出ておる。そういう問題については、いまおっしゃったように、借り入れ状況の場合に七一%ですか、三割以下だというような御答弁でございますが、実際問題としては、そういう形の中ではこの問題点はどこにあるのかということで指摘をし、そういう問題をとらえた見方というものがここで行なわれておるわけですが、そうすると、農林省内部においてもそういう違った見解があるということなんでしょうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/14
-
015・森本修
○森本政府委員 私がお答えすることかどうか、必ずしもはっきりしませんが、おそらく、量的な問題と、それから質的な問題といいますか、そういう関係があるかと思います。大部分の農家があるいは地域がうまくいっておりましても、なお一部について問題があれば、その問題の性質はどうかということを究明していく場合がございます。実は引用されましたコメントはどれであるか、私もちょっといま思い当たりませんので、正確に申し上げることはできませんけれども、一般論としてはそういう問題がございまして、はたしてそういう問題点に突き当たっておる量的な広がりはどの程度あるかといったようなことと、若干違ったケースがあるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/15
-
016・卜部政巳
○卜部委員 局長の答弁はわからぬでもないわけです。それ以外に答弁は私はおそらくないと思うのですが、少なくともこれは全体をとらえた評価だと私は思うのです。部分的な問題云々ということではないと私は思います。
それで、ひとつこの点について以下私は進めてまいりたいと思いますが、仮谷政務次官、私が言っておるような償還期限の問題なんかについて、これはいま局長が答えられたように、さらに農政局の横尾さんが答えられたように、改善事業だとか、さらには選択的拡大について、そういうような安易な評価をしていいものなのかどうなのか、その点をひとつ仮谷政務次官にお伺いをしてみたいと思うのですが、どうでしょう、そういう評価でいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/16
-
017・仮谷忠男
○仮谷政府委員 いいかどうかという問題になりますと、これは必ずしも最善であって、これがすべてだというふうには私ども決して申し上げられません。ただ、近代化資金をその趣旨に沿って十分に農民が借りられ、それが大いに活用されるという方策を考える上において、現時点においては、過去のいろいろな問題を取り上げ、その問題を解決する方法として、今度の法案としては一応整っておるのじゃないか、こういう考え方を持っております。詳細は先ほど局長からお話を申し上げたとおりでありまして、もちろん、不備の点があるかもしれませんが、そういった点はさらに今後改善を加えていかなければなりませんが、少なくとも現時点においては、可能なる程度の改正を加えたものと、そういうふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/17
-
018・卜部政巳
○卜部委員 政務次官えらい含みのあるような御答弁でありますが、この点はその点でおきます。そういう問題のみをとらえて論議しておっては進みませんから、次へ進みます。
償還期限の問題が私はまたここに出てきたように思いますので、ちょっと触れさしていただきたいと思うのですけれども、償還率の問題なのですが、延滞率の問題です。延滞率の問題はどういうふうになっているのか、ちょっと現在までのパーセンテージを示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/18
-
019・森本修
○森本政府委員 近代化資金の延滞率でございますが、計数的に見てまいりますと、三十七年度に償還するといったような金額、それから三十八年度に見合う償還額、それに対応いたします延滞額でありますが、私どもの調査で、いろいろな時点をとらえまして延滞の額、比率を計算したものがございますが、かりに償還期から一年を経過してまだ償還が行なわれていないといったようなものの計数をとりますと、三十七年度、三十八年度のものを平均いたしますと、約三%といったような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/19
-
020・卜部政巳
○卜部委員 それで、大体三%から六%ということを同じような本にある人が書いておりますけれども、そういうような状態の延滞率であって、そういうものについては、たいして問題でないというような言い方がされておるわけですが、その延滞の三%ないし六%残っておるという原因は、一体どこにあるのかをちょっとお伺いをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/20
-
021・森本修
○森本政府委員 一つお断わりをいたしておきたいと思いますのは、近代化資金が本格的に貸し出しをいたしましたのが三十七年ころからでありますから、据え置き期間もあるわけでして、本格的に償還が始まるというのはごく最近のことでございますので、ある一定の計数で直ちに近代化資金の償還問題を判断するというのは、必ずしも現在適当な時期ではないというふうにも思うわけでありますが、しいてお尋ねがございましたので、先ほど計数をあげたわけでございます。
どういう事情によって延滞が発生しておるかということ、これまた実はきわめて分析がむずかしいのでございますが、一つは、御案内のように、一時的といいますか、経過的な延滞といったような表現で呼ばれておりますように、たとえば貸し方である農協側にしましても、単に組合員との間は経済的な関係のみでつながっておるわけではございませんので、いろいろな農村の社会的あるいは人的なつながりといったようなものもございますから、期限が来たからといって、的確にその償還を求めるといったようなことも必ずしもない。そこいらに多少の弾力性がある。それから返すほうの農家にいたしましても、それぞれ一時的な資金繰り等もございまして、期限が来たからすぐ返さなければいかぬといったような観念も必ずしもストリクトにはないといったような、いわゆる一時的といいますか、経過的な延滞といったようなものがあるように思われます。それからさらに、事業がうまくいかない、俗なことばで言えば、経営に失敗をして、資金を返すことが困難だといったような、いわゆる本格的な延滞といったようなものも含まれておるわけでございます。またあるいは、貸し付けをいたしました後に、災害あるいは価格条件の変化といったようなことで、一時的に経営が不振であるということで資金繰りに困って、期限までに返済ができないといったような、いろいろの種類の延滞がこの数字に含まれておるというふうに、一般的にいわれておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/21
-
022・卜部政巳
○卜部委員 そういたしますと、これも「日本の農業」に載っておったある人の発言ですが、これは農林省当局の人なんですが、特に名をあげて言いませんけれども、単協の怠慢によるところの延滞率というものがこういうふうな伸びを示しておる——こういうような言い方というものは誤りだということで理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/22
-
023・森本修
○森本政府委員 単協が怠慢で延滞が多いといったようなことは、必ずしも適切な表現ではないと思います。先ほど申し上げましたような単協と組合員の特殊な関係といったようなものがございます。農村におけるそういった社会環境といったようなものもあるわけでございますから、先ほど言いましたような一時的な延滞といったようなものも発生するわけでございますが、それをもって単協が怠慢であるといったような表現は、必ずしも適切ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/23
-
024・卜部政巳
○卜部委員 それで理解をいたしました。
そこで、いま局長が前段に申されました、延滞率の問題とからめたよってきたる原因について尋ねるわけですが、債務負担が多いために、実際問題として延滞が出てきておる。部分的な問題じゃない、基本的な問題について残念ながら若干欠ける面があったと思うのですが、率直に言って、私もこれは開拓営農資金で取り上げた問題もありますけれども、開拓者の固定負債は全国平均一戸当たり三十五万円にのぼる、こういうような問題もありますし、加えて、先ほど申し上げた改善事業、さらには選択的拡大の場合におけるところの、この問題に着手したがゆえに困っておる全国農民の方々の負債状況というものに対する、もう少し突っ込んだ分析というものが行なわれていないのかどうかを、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/24
-
025・森本修
○森本政府委員 いま例にあげられました開拓の問題は、御案内のように、数年前開拓政策について御指摘のような実情でございましたから、新開拓政策ということで、いろいろな開拓農家の類型を分けまして、それぞれ所要の対策をしてまいったわけでございます。特に借り入れ金の問題につきましては、償還がきわめてむずかしいといったような農家につきましては、必要な履行の遅延といいますか、そういった償還条件の緩和といったようなことで、各種の開拓農家の借り入れ金についてはそれぞれ所要の措置をいたしてまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/25
-
026・卜部政巳
○卜部委員 まあ、局長としてはそういう答弁しかないと思うのですけれども、これも開拓営農資金の中で取り上げたように、実際問題として、この固定負債というものが順繰り順繰り雪だるまのようになっていく、加えて、離農していく人の借金まで背負っていかなくちゃならぬという状態じゃないかということを私はここで訴えたわけであります。私は、この開拓者の営農資金の問題はあまりここで取り上げておるとは思いませんけれども、しかし、現実に選択的拡大とか、構造改善事業とか、こういう問題をとらえた農民の方々の姿というものも、私は大同小異であろうというふうに考えるわけです。そういう現在苦しんでおるところの借金、このいわゆる負債に対する対策というものが、じゃ今度の法案の中にどこにあるのですか。そういう点はどういうふうに解決しようとしておるのかをちょっとお伺いをしてみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/26
-
027・森本修
○森本政府委員 今回の改正の中で、保証制度を整備拡充するというふうにいたしましたのは、一つは、農家が借り入れる際の信用力の補完という点に着目いたしたのでありますが、他の面を申し上げますと、万一借り入れ金が返済できないという場合に、各県における基金協会が農家にかわって金融機関に代位弁済をする、そういう二つの機能を備えておるわけでございます。そのいずれの機能をも充実整備しようというのが今回の保証制度の改正の眼目でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/27
-
028・卜部政巳
○卜部委員 それはこれから起きてくる問題についての対策であって、旧債に対してはどうするかという問題についての対策ではないと私は思うのです。そういう点はどうなのかという問題であります。しかし、私は答弁を受けようとは思わない。ということは、実際改正の中にないのですからね。これをどうだこうだといって追及したところで、どうしようもないことだ、こう思うわけでありますから、その点は私は追及をいたしませんが、やはりそういう問題も織りなした一つの改正でなくては意味がない。冒頭申し上げたようないわゆる質的な改正、こういうものでなければ意味がないということを申し上げたところであります。
そこで、次に進んでいきたいと思うわけでありますが、いま局長がいろいろと措置を講じた、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、ではひとつ教えていただきたいという問題が一つあります。現在、近代化資金というものを借りるけれども、この近代化資金が遅延をしたり、さらには評価の問題等においても、先ほど横尾さんのほうからは満足に借り得たと言いますが、借り得ない人が多いわけですから、当然つなぎ資金として単協の資金を借りてやっていっておるというのが現実の姿ですね。そういうような状態でいま経営をやっておる、努力をしておる農家の負債を有利な資金につなぎかえていく、いわゆる経営をその意味から伸ばしていくという対策があるなら、ひとつ示していただきたいと思うのです。より有利な形の中でつなぎ資金としてこれをつないで、そうしてこの経営を伸ばしていくというような方法があれば示していただきたい、こういうわけです。ただし、横尾さんがおっしゃったように、いや、そうは言っても、十分に近代化資金でまかなえますからだいじょうぶですなんと言われたらそれまでの話でありますが、実際はそういうつなぎ資金によって行なっておるというのが現状なのです、自己負担の問題があるわけですから。そういう問題はどうなっているか、ひとつ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/28
-
029・森本修
○森本政府委員 先ほどのお答えを補足させていただきますと、農家が災害あるいは経営上の問題で非常に困ってくる、相当な負債を負って、農地等の資産を処分しなければ立ち行かないといったようなものにつきましては、御案内のように、自創資金というのがございます。本年相当な額を農林漁業金融公庫から貸し出しをいたしておるわけであります。そういうものもあるいは御指摘のようなことについて役立つのではないかというふうに思っております。
それから、従来農協の普通貸し出しにたよっておりましたものについて、有利な制度資金に乗りかえるといったような方法はないかというお話でございますが、今回の近代化資金の融資対象の拡大という中にも、いわゆる中期育成資金といったようなものも加えることになっております。したがって、そういうものに該当する肥料代でありますとか、あるいは飼料代、農薬その他の諸経費につきましては、従来農協の普通貸し出しにたよっておりましたものが、近代化資金に乗り移ってくる、こういう関係になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/29
-
030・卜部政巳
○卜部委員 ではこういうふうに確認をしていいわけですか。——その確認の前に局長に申し上げたいのですが、仮谷政務次官もこれは災害関係でお詳しいわけですが、自創資金というのは災害にしか実際つきまとわぬ——というとおかしいのですが、出てこないわけですね。これは全然関係のないことですし、これを借りようとしてもなかなか借り得ない問題も出てきておりますが、その問題は別としましても、いま局長がおっしゃるように、全国農家を調査をして、近代化資金が不足をして、近代化資金ではまかない得なくして、単協から金を借り、そうして拡大の方向に向かって努力をしておる農民の方々、しかもその中で負債に悩んでおる方々については、調査の結果全部近代化資金に統合して貸し出す、こういう確認でよろしゅうございますか。そうしたらもう何も言うことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/30
-
031・森本修
○森本政府委員 今回の改正部分の適用は、今後こういう形で借り入れをするといったようなものについて適用するという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/31
-
032・卜部政巳
○卜部委員 ですから、私が先ほど指摘をいたしておりますように、それは今後の問題で、旧債はどうするかという問題ですね。旧債に悩んでおる、これが開拓を含め、現実の農民の方々の姿であるということですね。それで、その調査の問題については、横尾さんが言ったように困っていないという評価のしかたと、大和田さんが言ったように困っているというしかたと、さらに県信連なんかの新聞が大々的に訴えているように困っているという姿というものとが織りなしているわけです。私は、やはりこの全農家の叫びというものは、いま言うように、旧債に悩んでおるという姿のほうが正しいと思うのです。私は、そういう面においてそういう措置がとられていないということが実際残念でなりません。局長、いろいろと旧債の問題にも触れられたような感があったわけですが、最終的な答弁は、今後の問題だということになってしまいまして、まことに残念であります。この問題については、ひとつ今後の問題としていろいろと御相談も申し上げなくてはならぬと思いますが、十分なる配慮が必要ではないかと考えております。
それともう一つ、いま申し上げた問題と関連をいたしますが、先ほども申し上げておった事業に対する補助率だとかいう問題、それから融資率のきめ方についても、総事業費に対してきめられるということでなくて、その中のごく限られた部分の事業費や施設に対して行なわれておるのですね。そういうために、総事業費に対する自己負担分が非常に大きくなってくるという問題の要素があると思うのです。そういうようなかっこうの中から、自己負担の部分が短期高利な農協からの資金の借り入れとなっている。こういう状態なども十分に勘案をされなくちゃならぬと思いますが、そういう問題については、横尾さんどうなんですか、そういうことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/32
-
033・横尾正之
○横尾説明員 つぶさに調査したものを持っておりませんし、ございませんので、的確な答弁にはなりかねますが、近代化資金の場合ですと、八〇%融資ということでやっておりますので、所要資金との関係で考えますと、自己負担が非常に大きくなるという実態は、例外的にはございましょうが、一般的にはそれほど考えられないのではないかというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/33
-
034・卜部政巳
○卜部委員 そうすると、次の問題として、補助率や融資率をきめる場合の基準単位が実情よりも低い、そして基準単価がきめられない場合は、計画変更の段階で実情より引き下げられる傾向等があって、率直に言って、超過分の負担は自己負担でまかなっている、そしてその部分だけ単協資金で借りておる。こういう問題についても、同じような理解でありますか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/34
-
035・森本修
○森本政府委員 先ほどの事業費の算定及びそれに対する融資率の話でございますが、金融のサイドにおきましては、事業費はそれほど窮屈に査定をするというふうな運営はいたしておりません。地方の実情に合うように、また実際の経費に見合うように事業費を算定するように、厳重に指導をいたしております。
なお、近代化資金につきましては、少し前までは事業費の八〇%を融資するということになっておりましたが、昨年から、御指摘のような事情もございますので、八〇%にこだわらないで、弾力的に運用するように制度の運営を変更いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/35
-
036・卜部政巳
○卜部委員 仮谷政務次官にお伺いしますが、この間も仮谷政務次官が御答弁の中で明確な答弁をされておったわけですが、農協の理事長をやっておられた政務次官でありますがゆえに、よく実情を御承知だと思うのです。いま私が指摘をした一点、二点の問題と、それに加えて、さらに補助金や融資金の交付遅延に伴うつなぎ資金、こういう問題等について、農協等において現実にそういう問題がどのように取り上げられておるのか、同時にまた、現実に仮谷政務次官がその中で見た農民の姿というものは、私の言っておるとおりのものなのか、いま局長がお答えをされておるような状態なのか、その実態の中から、経験の中からお答えを願いたいと思います。そういうことがなかったのかどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/36
-
037・仮谷忠男
○仮谷政府委員 私は、実は農協の運営をやった経験を持っておりますが、実質的には組合員個々のそれぞれのいろいろな条件がありまして、一律に問題を解決することは非常にむずかしいことです。たとえば甲の人にはこういう貸し方をしてこの程度の金を貸した、乙は同じ組合員だから同一条件で同一金額を出せるかといえば、そういうことのできない場合もいろいろありまして、そこの間に運営上非常にむずかしい問題があるということと、それから保証人とか担保とか、あるいは場合によったら農協の役員自体が一切の責任を負わなければならぬというような責任問題等がありまして、農協の運営というものには、われわれが国でこういう政策を立てたからそのとおりすっきりやりなさいというふうに、現場ではなかなか割り切ってやれない問題があることは、確かな事実です。それをできるだけ運営のしやすいようにしてやる、その実態に即した制度金融等を考えていくことが、ほんとうの誠意のある、愛情のある政治のやり方であるというふうな考えを私は持っておるわけでありまして、卜部さんの御意見と一致するかどうか知りません。現実に個々のケースをとらえないとお答えができぬ面もありますけれども、ただ、つなぎ融資の問題を先ほどからいろいろ申されておりましたけれども、つなぎ融資というものは、せっかく国の資金を出しながら、その資金を清川して実際の目的を達するまでの間に、やはり自己資金が非常に要るという場合に、農協に走り込んできて、何とかひとつ助けてくださいという農民があったことも確かです。そういうふうなものも、つなぎ融資ができて、最初の資金が目的どおり計画を進めて選成されることを考える場合においては、その面は十分に考えなければならぬ。そういう面では、今度の近代化資金は、もちろんある程度限定されておりますけれども、かなり道を開いたものではないかというふうに考えております。
ただ、過去の問題でなしに、それは前向きの問題ではないかというふうにおっしゃられますけれども、これは現実の運営として、つなぎ資金がこれから現実に要るのだということになれば、そのつなぎ資金を借りて、借りたもののうちから旧債を返済するということは、現実の問題としては必ずしも不適当でないのではないか、そういうケースもあるのではないかというふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/37
-
038・卜部政巳
○卜部委員 わかりました。ですから、私が指摘をした点については、必ずしも一部の農民の叫びではない。これは率直に言って、各県において農民の方々がそういう痛切な叫びを上げておるということは間違いない事実なんです。その点について仮谷政務次官のほうからも明快な御答弁がなされましたが、そこで、一つ問題になるのは、これは過去の問題だからということで、私は固執はしたくないのです。しかし、実際の問題は、構造改善事業だとか、さらにはいま言うように選択的拡大に向かってやれ、やれ、そういうような推奨をされて、それに従ってやっていった農家の方々がいま悩んでおるのだというこの状態を考えたときに、正直者がばかを見るということではいけないと私は思うのです。そうすると、当局のほうからは、いや、それはやり過ぎた——やり過ぎというとおかしいのですが、ちょっと資金的な問題について長期展望に欠くる面があったのではないかというようなことが言われるかもしれません。しかし、そういう農民の方々が全然経営に詳しくなく、さらにまたそういう問題に対して取り組む姿勢がでたらめであってこうなったということではなくて、少なくとも私がいま申し上げたような事情等が織りなして、自然的にだれでもそういう方向になるのだというようなとらえ方のほうが正しいのではないかというふうに私は考えるわけです。しかし、そのことは別問題といたしまして、次へ移ってまいりたいと思います。
先ほど申しましたつなぎ資金の問題とからめまして、単協の資金の貸し付け部分の中には、当然低利長期な資金的な制度というものが相当にあるということは、皆さま方御承知のとおりだと思うのです。ですから、そういうふうな単協の資金の貸し付けの割合を低下させるための具体的な対策というものはないのでしょうか。その点をお伺いをしたいと思います。——ちょっとわからなかったかもしれませんが、わかりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/38
-
039・森本修
○森本政府委員 御趣旨がちょっとわからなかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/39
-
040・卜部政巳
○卜部委員 単協の資金の貸し付けの部分の中には、相当低利で長期の貸し出しをするところの制度の資金というものがあるわけですね。ですから、それに対して単協資金の貸し付けの割合を低下させるための具体的な措置というものが行なわれないだろうかどうだろうか、こういうことをお伺いしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/40
-
041・森本修
○森本政府委員 御指摘の点は、農家がいろいろな借り入れ金をいたします中で、単協の普通貨し出しに依存する割合が大きい、それをもう少し制度資金の融資対象を拡大して、比率としては、単協の普通貸し出しの比率に依存する部分を縮小するといったような考え方はないか、こういうふうに理解をいたしましてお答えを申し上げますが、御案内のように、公庫資金におきましても、農家が個々に経営をいたします際に借り入れをするといったような融資の種類が、最近三十八年以来かなり増加をいたしてきております。たとえば畜産経営拡大資金あるいは果樹園経営の改善資金といったようなもの、いずれも農家の個々の経営に必要な資金を貸し付けるといったようなものでございます。あるいは先ほど来御議論になりました構造改善推進資金もその種類に属するかと思いますが、そういうものが漸次公庫の資金量の中におきましても最近ウエートを占めてきておるわけであります。ただ、何といいましても、三十八年に創設をしたわけでございますから、計数的な実績といったようなことで実態調査等から判断いたしますと、まだ十分末端まで浸透していないといったような部面があろうかと思いますが、そういう制度の改正をいたしております。今回の近代化資金も、先ほど申し上げましたように、従来単協の普通貸し出しに依存をしておりました大部分の農家としては、依存をしておりましたものを近代化資金の制度の中に融資対象として取り入れるといったような形にもなりますので、そういう面から見れば、御指摘のような方向に制度資金が拡充しつつあるというふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/41
-
042・卜部政巳
○卜部委員 その問題については、改正点の中でひとつまた御指摘をしたいと思いますが、先ほど申し上げた事業に対するところの補助率、それから融資率のきめ方等、総事業費に対してきめられている云々ということについて指摘をしたわけでありますが、補助事業については困難な面があるにしても、せめて融資制度だけでも新年度から単位事業対象から総事業を対象にした融資に切りかえて、一〇〇%の融資をする必要があると私は思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/42
-
043・森本修
○森本政府委員 融資率の問題でございますが、従来必ずしも一〇〇%貸し出しをしていないということでございますが、これは趣旨といたしましては、やはり経営を拡大していくといったような場合に、多少の自己資金を用意していただいて、そういうふうな事業に取り組んでいくということが、やはり事業の健全性を確保する上からいっても必要なことではなかろうかというふうに思っておりまして、各政府機関の金融関係機関におきましても、やはりそういうふうな状況になっております。たとえば農林漁業金融公庫とよく比肩をされます中小企業金融公庫でありますとか、国民金融公庫といったようなものにおきましても、やはり自己負担部分というものを一定量予定をして貸し出しをしておる。比較をいたしますと、むしろ、いま申し上げましたような金融公庫のほうが融資率としては低いということになっておりますので、農業関係においては、そういう比較の問題からいえば、かなり検討しておるというふうにも申し上げていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/43
-
044・卜部政巳
○卜部委員 そうすると、そういう問題について改正するということの考え方はないということですね。先ほど私が指摘をいたしましたから、もう重複することは避けますが、やはりそういう問題が、仮谷政務次官も指摘をされているように——指摘をされているというよりも、御答弁の中にありますように、やはり問題として残されているわけです。そういう問題に対して、私は、総事業費を対象にした一つの融資の切りかえということにならなければ、今後の問題についても問題が出てくるのではないかというふうに考えるわけですが、改正の要はないという考え方ですね、端的に言うならば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/44
-
045・森本修
○森本政府委員 お説のようなこともございますので、こういう問題はある程度弾力的に考慮する必要はあろうと思いますけれども、全く一〇〇%自己負担なしで貸し付けをするということについては、かなり慎重に考えなければいかぬ問題であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/45
-
046・卜部政巳
○卜部委員 そうすると、弾力的にというところは、若干含みがあると思うのですが、当面弾力的にやりながら、将来に向かってはより一歩、よりよく前進をしていくということを私がここで確認をしてもいいかどうか、ひとつその点についてお伺いをしておきたいと思いますが、確認をしてもよろしゅうございますか。弾力的に将来はそういう方向に向かっていく、こういう考えであるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/46
-
047・森本修
○森本政府委員 当面そういう実情でございますから、弾力的に検討をするという必要はあろうかと思いますが、一〇〇%融資ということについては、これはなかなか実現がむずかしいのではないか、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/47
-
048・卜部政巳
○卜部委員 わかりました。
そこで、先ほど残しておきました償還期限の問題に、いまの問題とからみますが、やはりそういう問題を抜本的に改正するのでなくては、私は、仮谷政務次官が将来はかなりいい方向にいくのではないかとおっしゃっておりますが、将来これはデッドロックに乗り上げるという危険性を指摘したいと思うのです。先ほども、償還期限の問題についてはたいしたことはない——たいしたことはないとは申しませんが、三%くらいの滞納率だということの指摘があったわけですが、これは実際問題として、これも先ほどから私が主張いたしておりますように、各県の農業者が口をそろえてこの問題を訴えておるところです。そういうところがまだ届いていないということになりますと、私は悲しい限りでありますけれども、少なくとも償還期限の問題は、三十六年にこの制度ができたときから問題がある。そのときにも、乳牛一頭、乳牛四頭の場合におけるところのこういうような経営を行なったときの償還期限等については、実際の問題として立ち行くことができないという分析が三十六年に行なわれておるのです。その点はひとつ十分に認識をしていただきたいと思いますが、局長はそういう問題については誤りとお思いになるかどうか、この点をひとつ今後の問題として償還期限に取り組む姿勢の中で聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/48
-
049・森本修
○森本政府委員 先ほどお答えを申し上げましたように、最近の実情を調べまして、われわれとしては、一部償還期限あるいは据え置き期間について延長を予定いたしておるわけであります。大体、ほぼ実情から見ても無理がないのではないかというふうに思っておりますけれども、今後またいろんな実情その他について調査をいたしまして、もちろん検討を加えていくことにはやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/49
-
050・卜部政巳
○卜部委員 局長、まあ、いままでの状態の中では問題がないように思うとおっしゃっておられますし、同時にまた、その調査の結果に基づいて訂正をするということについてはやぶさかではない、こういうことをおっしゃっておるわけです。しかし、私は、調査の結果云々じゃなくて、現時点の中でもう慎重に考慮すべきじゃないかと思う。ということは、もう三十六年の時点の中でさえ、この問題が大きく取り上げられておるじゃないかということです。それで、三十六年の問題について、あなたはそういうことを言うけれども、じゃそういうような問題の資料等がありますかということになりますと、私、いまここで皆さん方に提示をしてもいいと思うのですね。それで、一つの参考として申し上げておきたいと思いますが、三十六年の日本農業新聞、トップに書いていますよ。これは、もう乳牛一頭でも四頭でもだめだ、こういう償還期限ではやっていかれないということが書いてあるのですね。その計算方式その他について、皆さん方のほうで私の言うのが誤りだということでありますならば、私はその計算方式を全部お上げをいたしますから、十分ひとつ読んでいただきたいと思います。私は、おそらくそういうことを知っておられるのではないかと思うのです。知っておられながら、私はまあ率直に言って、仮谷政務次官がおって、まことに恐縮でありますが、自民党のてれんばれんの農民不在の政策のためにそういうようなかっこうが出てきておるので、農林当局はやむを得ずやっておるというのが現状の姿じゃないかと思うのです。もしそうでなければ、私はたいへんな問題だと思うのですね。少なくとも農民が切実な声を上げておる。これはもう全農民の声だと思う。あなたたちが調べていることとは違うのです。そういう声を上げておるのに——それを守るのはやはりあなたたちですよ。だれにたよるか。こういうようなことを考えたときに、この償還期限の問題は、そういうゆるがせにできる問題では私はないと思うのです。そういう問題について、やはり知っておるなら知っておる、そして、まあそういう問題に検討を加えたけれども、当局はそういうことになったのだというような明快な答弁がなければ、全農民は納得できないと思うのです。その点をひとつはっきりお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/50
-
051・森本修
○森本政府委員 御指摘の新聞は、私、ちょっと拝見をしていないのでございますが、先ほどお答えいたしましたようなことで、まずまずこの程度のことでいいのではないかというふうには思っておりますけれども、重ねての御指摘でございますので、われわれとしても、十分そういう点については将来実債調査の上、検討を続けていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/51
-
052・卜部政巳
○卜部委員 局長、その点の善意はよくわかるのですよ。だけれども、私は将来じゃおそいのじゃないかということを訴えておるわけです。そういう点で、仮谷政務次官、ひとつこれは法改正を行なう現時点の中で御答弁を願いたいのですが、若干でもやはりそういう面におけるところの制度の——制度といったらおかしいのですが、いわゆる改正へ向かっていく姿勢がなければならぬと私は思うのです。ひとつその点に対する政務次官からの御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/52
-
053・仮谷忠男
○仮谷政府委員 今度の近代化資金では、かなり現時点でわれわれは取り上げるものは取り上げ、しかもその他の一般的な事項は、特に据え置き期間の延長といったようなことで手を加えておると思うのです。家畜の場合、おっしゃる点は、地域的にもいろいろ違う点はあると思うのですけれども、確かに現時点ではそれで十分とは私どもも考えておりません。この問題は、先ほど局長から答弁しましたように、十分ひとつ検討しなければならぬ、かように思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/53
-
054・卜部政巳
○卜部委員 ひとつ十分なる検討のもとに、全農業者が当面苦悶しておる問題について、真剣な検討と、それから早急な改正措置というものを行なっていただくように要請をしておきたいと思うのです。
時間もございませんし、委員長からせかれておりますので、次に進んでまいりますが、次に、農業金融制度の総合運用の体制について、要望をしておきたいし、お伺いをしておきたい点が一点あります。これは前回中川君のほうからも指摘をされておりますけれども、現在の制度金融だけの例をとってみても、その内容は実に複雑多岐にわたっております。そうしてその運用に至っては、県庁の農林部の例をとってみても、各課で関係資金のワクを握っておりまして、さらに系統金融だとか団体取り扱いの金融、農地だとか土地関係などというものがありますので、たいへん複雑になっておりますが、こういうような金融制度を総合的に運用して、資本装備の高度化と経営の近代化、さらにその推進体制というものを整えていかなくちゃならないと私は思うのでありますが、現在そういうものはどこにも見当たらないわけであります。せっかくある制度でありますから、今後において大いに活用しなければならぬと思いますが、やはり農業者の経営活動にこれを適用させるために、コンサルタントなんかの制度でも設置してはどうかという考え方を私持っておるのでありますが、これはひとつ政務次官のほうからお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/54
-
055・仮谷忠男
○仮谷政府委員 ちょっと御質問を聞き漏らした点もあると思うのですけれども、農業関係のいろいろ総合的な指導というものは、御承知のように、改良普及員等がありまして、かなり積極的にやっておることは、卜部さん御承知のとおりであります。それから構造改善あるいは畜産関係では一応コンサルタント式に指導いたしていることも御承知のとおりだと思うのですが、総合的な問題としてこれをどう集約して効果的にやっていくかという問題については、実はいま御意見を承った程度でありまして、これは専門的な問題ですから、ひとつ十分検討させてもらいたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/55
-
056・卜部政巳
○卜部委員 局長、いまそういうふうな段階にあるのかないのか、専門的な立場からひとつ…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/56
-
057・森本修
○森本政府委員 ただいま政務次官のほうからお答えがあったのでございますが、われわれといたしましても、現在県に改良普及員がおりまして、しかもこの中に経営の専門の改良普及員がおるわけでございます。それに重ねて新しく総合的なコンサルタント制度といったようなものを設けるということでございますが、まあ、それらの関連等も考慮いたしまして、将来十分検討すべき課題であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/57
-
058・中川俊思
○中川委員長 では午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
————◇—————
午後一時二十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/58
-
059・中川俊思
○中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き質疑を行ないます。卜部政巳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/59
-
060・卜部政巳
○卜部委員 午前に引き続きまして質問を行なってみたいと思います。
今回のこの改正の問題に入っていきたいと思いますが、今回の改正のおもなる理由というものは、すでに補足説明等において明らかにされておりますから、その問題については触れませんが、ただ、ここにいわれております。農業信用基金協会が行なったところの債務保証をさらに再保証するという制度をつくる、こういうようなことがいわれておりますし、さらにまた、この基金協会の保証私二〇〇%にするということもいわれておるわけであります。私は、このことに関する限りは問題はないと思うのでありますが、先ほど指摘をいたしました問題の中で、苦悶を続けておりますところの農家の方々が、今度は担保不足のために融資が受けられないという問題が出てきておるだろうと思うのです。そういう問題がこれに伴って根本的に解決されるであろうかということが問題になると思うのでありますが、担保不足のために融資が受けられない云々という、この問題に対する私の投げかけに対する当局の御答弁をお願いして、そこからひとつ論議を重ねていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/60
-
061・森本修
○森本政府委員 今回の保証制度の整備が十分効果をあげるかという御質問でございますが、実は先日もお答えを申し上げたわけでございますが、現在の保証制度で不備であると思われます点は、一つは、各県に基金協会というのがございますが、基金協会が保証いたします場合には、国が県の補助を半分持っているわけですが、県、国、農業団体等が出資をいたしました基金にたよっておるわけでございます。不幸にして延滞が起こりまして、債務が返済できないというふうな場合には、基金協会としましては、直ちにその基金を取りくずして代位弁済をしなければならない、そういうふうな形になっております。ところが、その基金たるや、現状では基金協会の運営費のもとになっておる。あるいはその基金を代弁に使いますと、保証の倍率が足らなくなる。保証を続けていく、あるいは拡大していくとすれば、さらに基金を造成しなければならない、そういった難点があるわけであります。そういう点から、保証なり代弁なりに対して現在の基金協会が必ずしも活発に動かないといったような実情になっておるのではないかと思っております。
そういう点を回避するため、一つは、中央の保険機構を設けまして、地方の基金協会の保証債務についてのリスクを肩がわりしていく。それからもう一つは、融資制度を設けまして、直ちに基金を取りくずさなくても代位弁済に充てるような資産ができるというふうなかっこうにしようというわけでございます。そういう点からいきますれば、従来保証ないし代弁に対して必ずしも十分でなかった現行制度は、制度的には整備をされまして、基金協会の活動が活発になっていくのじゃなかろうかと思っておるわけであります。
なお、そういうふうな基金協会の能力の向上に伴いまして、従来保証の率を八〇%にしておりましたのを、少なくとも農家が借り入れるものにつきましては、一〇〇%まで保証の率を拡大するということをあわせて今回の改正の要点にいたしておるわけでございます。そういうことを考えますれば、十分運用よろしきを得れば、担保保証問題についての従来の難点が改善を見るもの、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/61
-
062・卜部政巳
○卜部委員 この保証制度そのものについては、また若干私も意見を申したいところがございますが、いまは担保不足という問題に限ってとらえての質問をしておるわけでありますので、その面にしぼって質問をしていきたいと思います。
それで、担保不足のために融資を受けられないという問題について、私は第一点を指摘したわけでありますが、担保の追徴率という問題も、そうきびしくないなどということがいわれておりますし、これは本なんかにも発表をされておるわけでありますが、そういう問題はどういうふうになっておるかということを御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/62
-
063・森本修
○森本政府委員 当面議題になっております近代化資金の貸し付けの状況から申し上げますと、協会の保証がありましてもなお保証人を徴取しておるもの、あるいは協会の保証がありましてもなお物的担保と保証人をあわせて徴求しておるもの、こういう貸し付けの状況が過半数を占めておるようでございます。先ほど申し上げましたようなことで、協会の保証が八〇%といったようなことになっておりましたから、金融機関としてはなお自己のリスクが残るわけですから、協会の保証がありましても、なお保証人なり物的担保を徴取せざるを得ないといったような実情になっておったかと思うわけですが、今回の改正では、この点は制度的には協会の保証が一〇〇%カバーし得ることになるわけですから、あわせて保証人なり物的担保を徴収するということについても、われわれとしては、そういう点はできるだけ軽減するように強力に指導をしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/63
-
064・卜部政巳
○卜部委員 いま御指摘になった担保の問題になってきましたので、ここにまた焦点を合わせていきたいと思うのですが、現実に僻地なんかにおきましては、実際問題として、担保が不足のためにもう融資を受けられないという状態が随所に出てきておるわけです。これは大体全県的に調べてみても、私は間違いないところだと思うのですが、信用基金協会が債務の保証を行なうにあたっては、五十万円以上はほとんど物的担保をとっておるというようなかっこうになっておると思うのです。ですから、物的担保を持たない者は、いかに経営能力を持ち、意欲を持っても、制度金融の恩典に浴していないというのが現状の姿ではないだろうか、私はこういうふうに思うわけです。
そこで、経営の拡大などといいましても、農地の拡大の場合には、それをさらに担保として提供できるのですけれども、資金集約的な経営拡大の場合、たとえば養鶏だとか養豚だとかビニールハウスというような、ばく大な資金を必要とする、こういう一般的なものについては、物的担保というものがない。特に農地を持っていない場合が多いわけです。そういう場合におきましては、投下施設の担保価格なんというのは非常に安く見られてしまうということで、中途はんぱな資金しか借りることができないために困っておるようなことが出ておるわけですが、こういう問題に対してはどういうふうに対処されますか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/64
-
065・森本修
○森本政府委員 近代化資金につきましては、先ほども申し上げましたようなことで、担保保証問題は将来かなり改善できると思っておりますが、もう一つの制度金融であります公庫資金につきまして、従来からも農地担保の評価等につきまして、その評価の掛け値が必ずしも実情に即さないといったような点がございます。そういうことも考慮いたしまして、四十年度から農地担保の評価につきまして、従来は時価の五割程度といったことになっておったようでありますが、八割程度まで引き上げるというふうなことで、御指摘のような点についても漸次改善しつつある、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/65
-
066・卜部政巳
○卜部委員 先ほどもちょっと触れました制度金融の問題のほうからこの面をながめてまいりますと、局長が指摘をされておりますようなそういうスムーズな姿というものは、私は出てきていないと思うのです。また出てくるとも思えないのです。そういうふうなかっこうの中で、わずかでも保有しておるところの物的担保が全部制度金融のほうに取られてしまう。そして先ほども指摘したように、単協から借りなければならぬという分に対しては担保が提供できないという問題が出てきておるわけです。ですから、貸し付けの保全という立場からするならば、制度金融のほうは非常に安全な貸し付けが行なわれておる、単協は非常に危険な貸し付けを行なっておるということが出るのです。だから、そういうような制度金融の悪い面のしわというものを一手に引き受けているところの単協のいわゆる貸し付けという状態、さらにまた保全の面においても非常に大きなリスクを単協は負担しておる、こういうような状態になっておるわけです。そういうことでもって、はたしていま局長が言われておるように、そういう前段に指摘をしたような問題等あわせてこの改正をながめてみた場合に、それがどれほど役に立つかということになると、率直に言って、私ははなはだ疑問であると指摘をしないわけにはいかぬわけです。でありますから、今度はこの改正にあたっては、能力、意欲のあるところの農家に対する新しい信用付与というような方式が打ち立てられた上でないと、今回のような改正がなされても意味がないのではないか。だから、それを極論して言うならば、今度のそういう意味の改正というものは、むしろ農業者のための改正ではなくて、制度金融そのもの自体の貸し付け保全のための改正だ、こういうことを言われても私はしかたがないと思うのですが、この点の見解について、具体的にお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/66
-
067・森本修
○森本政府委員 今回の改正は、確かに二つの側面がございまして、保証制度の整備拡充ということによって、金融機関側から見て安心して資金の融通ができるというふうな面もございますし、また借り受け者たる農家の側から見ても、先ほど言いましたように、担保なり保証人を徴求することがなくても、基金協会の保証にかければ融資が受けられるといったような、借り受け者側から見ても相当な改善措置になる、こういうふうにわれわれは理解をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/67
-
068・卜部政巳
○卜部委員 これはお互いの理解の相違なんですが、午前中に指摘をいたしました、そうした一つのワクの拡大というものがまず第一点に取り上げられて、その次には償還期限の問題が出てくる。こういうような論議の中で明らかにされたことは、農林省当局が考えておるような農業者の実態ではなくて、そこに深刻な状態をもたらしておることが私は言えると思うのです。そういうかっこうの中で、当然担保という問題も無関係であり得るはずがないのです。そうした面から私はこの問題をとらえて、そのような私の見解を申し上げたところ、いま局長がおっしゃったような、そうした農業者の切実な要望に対する問題とは若干かけ離れたような御答弁があったということについては、遺憾に思うわけであります。
そこで、私は、この問題に対してさらに指摘をいたしたい点があるわけでありますが、そういうようなかっこうの中で農林中金の行なっておった過去の問題についでも、若干指摘をいたしたいと思うのですけれども、率直な言い方をいたしますと、ついこの間まで、年末になると単協に入った米代金を集めて、それをコール金融に運用して、第二日銀などとまでいわれたときがあったわけです。そうしてかせぎまくったことは、これはもう局長も御承知のとおりなんです。ところが、それが最近になって、経済界が不況になった、いわゆるコール需要が減退をした、コール金融のうまみがなくなった、そういうふうなことから、今度は農業近代化資金の直貸し方法をとるなどということによってそのうまみを得ようとするところの、変わった政府相手のコール金融を始めたのじゃないかというような勘ぐり方をされても、私はしかたがないと思うのです。それはそれといたしまして、現実的にはこのだぶついた資金の効率運用の問題について、どのようにこれを対処しようとしておるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/68
-
069・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、系統機関を通じて農協から信連、信連から農林中金というふうに預金があがってまいりまして、最近相当貯金の量もふえておるというようなことから、農林中金にいわゆる余裕金が増大してきておるということでございます。われわれとしましては、こういった事態で、しかも客観的な金融情勢が昨年以来かなり変化をしてきているわけですから、こういう機会をとらえて、系統金融が従来の高利回り、高コストといったような体質を改善しながら、できるだけ員内貸し出しを促進していくということに努力宿すべきではないか、またそういう方向にわれわれとしても極力指導を強化していきたい、そういうふうな考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/69
-
070・卜部政巳
○卜部委員 大体単協の上にある農林中金だというとらえ方がされておるわけですが、もちろんそのとおりだろうと思います。ことばをかえるならば、農林中金の末端組織であるところの農協なんですが、こういうところに対する補償や救済措置というものが何ら行なわれずに、系統とはいいながら、単協組織の上に君臨する、全く異質な体質を持った農林中金と直接取引をするような制度の新設というものは、私はやはり本末転倒もはなはだしいのじゃないかというふうに思うわけです。しかし、局長のほうからそのようなおことばもありましたけれども、この点については私は十分配慮されてしかるべきではなかったかと思うのですが、仮谷政務次官、そういう問題については、政務次官としてどのように理解をされるかやちょっとお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/70
-
071・仮谷忠男
○仮谷政府委員 どうも御質問の趣旨が十分のみ込めませんでしたが、今度新しく農林中金に利子補給をして、中金自体から貸し出しをさせよう、そういう問題についての御意見のようですが、御承知のとおり、単協だけでは貸し付けのできない対象のものが間々あるわけでありまして、たとえば地域的に二つの農協にまたがっておるものとか、あるいは資金そのものが非常に大口で、単協だけではとても引き受けできないとかいったようなもので、しかも近代化資金を利用することがきわめて必要だというものが確かにあるわけなのであります。そういうものについては、農林中金のほうで直接貸し付けを行なう、そうしますと、それについて利子補給を行なう、こういう制度を今度開いたわけでありまして、これは現実の問題としてそのことの必要性に応じてきたわけでありまして、御指摘のように、中金が単協の上に君臨をしておるといったような、そういう考え方のもとに設けた制度ではございませんので、御了承をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/71
-
072・卜部政巳
○卜部委員 ただいま政務次官がそういうふうにおっしゃられたのですが、近代化資金の原資は、私は、単協で提供して、それでなおかつ足らなければ県信連で提供すれば十分だと思いますけれども、私は、いま政務次官のおっしゃったように、そういう資金がないなどということは、率直に言ってないと思うのです。そういうふうな段階で、私は、この原資が不足するなどということはちょっと考えられないのですが、その点どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/72
-
073・森本修
○森本政府委員 別段原資が不足してどうこうということでこういう改正をするわけではございませんで、御案内のように、近代化資金の原資につきましても、あるいは単協の自まかない率というか、そういうものが上がってきております。また信連においても、かなり資金が充実しつつあるということはそのとおりでございます。ただ、最近のようにかなり大規模で数県にまたがるような受益範囲の施設をつくる、あるいは農業協同会社、農業法人といったようなもので、業務区域が二県以上にまたがるといったようなものについては、必ずしも信連なりあるいは単協なりで——一信連でカバーし切れないといったような問題になってくるわけです。そういう場合には、中金が直接融資をしていく、また借り入れるほうにとっても、それが便利であるといったようなケースが漸次増加してきておる。そういう借り入れ者の実態なり実情に即しまして、いま言ったような中金の直接融資といったような道を開いていこう、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/73
-
074・卜部政巳
○卜部委員 これは銀行の例をとってもそうですか、銀行保証というものがあるわけですね。金がダブついておるところの人たちは、銀行保証があれば金を貸すと、こう言う。銀行が銀行保証をするくらいだったら、おれが金を貸してやる、こういうふうな状態があるわけです。そういうふうなことから、保証制度というものが確立をされたら、それはだれだって金くらい貸す。私は、いまのような単協にしても県信連でも、持っておったらそれは出せると思うのですよ。そういうような問題も織りなしてまいりますと、何もここに中金が出てくる必要はごうもない。それより先に、単協の保証と、この救済措置、事業援助などの具体的の方策を政府がやはり講ずる必要があるのではないか、こう私は思うのですよ、実際には。それがやられなくて、そっちのほうへさっと持っていくということは、あまりにも県信連とか単協に対して冷たい仕打ちじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、その点の善後策というものを講じようとするのかしないのか。さらに仮谷政務次官のほうにお伺いしたいのですが、実際にそういうような状態に私はあると思うのですが、その点もあわせて御両人からひとつ答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/74
-
075・仮谷忠男
○仮谷政府委員 これは決して単協の領分を侵すとか、信連の領分を侵すとかいったような問題じゃございません。単協にできるだけひとつ大いに働いてもらって、そうして系統資金を十分に伸ばしていこうという趣旨から出発したものでありまして、単協で貸し出しのできる範囲のものを決して侵そうというものではない、あるいは信連でやろうというものを、その領分を侵そうというものでは決してございませんが、それでなおかつその上に、足りない、不便だというものを補完する意味で、中金から出していこう、こういう観点でございまして、より充実を期そうという考え方からきておるのであります。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/75
-
076・卜部政巳
○卜部委員 政務次官、私が指摘した単協にに対する保証や救済措置や、さらにそういうふうな事業援助の具体的な問題も、やはりそういうことでありますならば織りなすべきではないか。当然にそういうことをやるならやってやるべきではないか、こういうことなんですが、その点はどうでしょう。当然やってやる、こういうことでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/76
-
077・森本修
○森本政府委員 農林中央金庫としましては、別段みずからが貸し出すことをよしとするわけではございませんで、むしろ系統金融機関として、資金の調整といったようなことが本務でございますから、最近におきましても、たとえば近代化資金でありますれば、その原資について単協が必要とするものを低利で貸し出しをする、そういうふうなことも始めておるわけでありまして、そういう意味におきましては、中金としても、単協に対してかなり資金面についても援助を強化しつつある、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/77
-
078・卜部政巳
○卜部委員 局長、これはあらゆるところで聞くのですが、農林中金と県信連とのトラブルをいままで率直に言ってよう耳にするのです。そういう制度と相関連をして云々ということは、これはおかしな言い方かもしれません。しかしながら、実際問題としてそういうようなトラブルが那辺にあるかということに思いをいたして、そしてさらに今回の改正案というものをながめたときに、県信連にしても単協にしても、おれたちの上に君臨をするというような、そういう疑惑を断ち切ることはできないと思うのです。同時に、そうするならば、われわれの余裕金があるのに、そういう余裕金をなぜそういう面に支出させないのか、ダブつく問題の資金を……さらにまた、そういう問題が行なわれると、もしかりにそれを認めたとしても、そういう救済措置なんかを優先すべきではないか、こういう切実な叫びというものには、私は耳を傾けていいと思うのです。そういう点を、何も中金が君臨をしておるのではないとか、そういう点の資金援助を行なうなどということでは、いままで一生懸命近代化資金に取り組んできた単協にしても、県信連にしても、これは私は納得のできないものだと思う。その点について、具体的に私が言っておりますそういう救済の措置、さらにまたこの保証、こういう問題について、考慮するなら考慮するということをはっきり言ってもらいたい。こういう点について考慮するのかしないのか。いや、しないなどと言ったら問題があるから、するというようにここでは御答弁を願いたいと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/78
-
079・森本修
○森本政府委員 先ほど来申し上げておりますように、農中に対する直接融資、直接利子補給という制度を設けましたのは、あくまでも、組合なりあるいは信連が融資が適当ではない、扱いにくいというものについて、借り入れ者の希望があれば、農中が貸し出しをする、そういうたてまえで道を開いたつもりでございます。なお、具体的な運用にあたりましては、系統機関内部のことでございますから、それぞれ融資の分野については適宜調整をはかっていくもの、こういうふうに思っております。
なお、農中と信連の間に多少トラブルがあるようなお話を承りましたけれども、もしそういうことがございますれば、われわれとしても、実情調査の上、適宜善処をするつもりでございますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/79
-
080・卜部政巳
○卜部委員 いま局長のほうから御答弁がありました前者のほうなんでありますが、その問題についてはひとつほんとうに、ただ委員会における答弁ということだけではなくて、いままでそういう問題と真剣に取り組んできた単協なり県信連に対するあたたかい思いやりというものを施策の中で示していただくように、ひとつお願いをしておきたいと思うのです。
それから後段のほうでありますが、県信連と中金との間のトラブルがないなど——ないではありません。知っていないということでありますが、しかし、大体これを知っておらないということ自体がおかしいのでして、私なんかでもよう知っておるわけです。しかし、それは局長として知っておるということになりますと、この委員会の席上における発言としてかなり問題もあるようなところがあっての含みのあることばだと思います。しかし、そういう問題については、どこからそういう問題がきたのかという根本的な問題を——ただ感情的な対立じゃないのですから、そういう問題にひとつメスを入れて、前段のほうの問題と同じく、そのよってきたる根本の問題を解決する、こういう方向でひとつ善処されんことを要望いたしたいと思うのです。
そこで、たいへんお待たせをいたしましたけれども、農林漁業金融公庫の方にひとつ質問をしてみたいと思うのであります。
現行の制度資金の中で最も有利な資金だと当局が言っておりますところの、現実に有利でございますが、この経営構造改善資金が、一〇〇%消化されてないということは一体どういうことなのか、お伺いをいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/80
-
081・大月高
○大月説明員 経営構造改善資金のわれわれがいただいておりますお金が、かなり出が悪いというお話でございますが、全体といたしましては、毎年大体において所要の資金の貸し出しをいたしておるわけでございます。改善資金のうちで、三分五厘の資金が一部余っておるという事実はございます。これは経営構造改善資金の中に、補助金の残りを融資する制度と、われわれの公庫だけが単独で融資を実行いたします三分五厘の資金、この二種類ございます。補助残の融資は金利は六分五厘でございますけれども、何ぶん補助があるという意味で、借り入れ者のほうがどちらかといえば有利になるわけでございますので、まず補助残の融資のほうに需要が集中いたしまして、その残りが三分五厘の資金にくるというような事情がございまして、年間締めてみますと、三分五厘のほうが若干悪い。それからその三分五厘の資金につきましては、農政局のほうの認定の御作業をいただいておるわけでございますけれども、やはり利用者のほうの需要の面におきまして、金利が安くても自分の負担になるということもございまして、借り入れ者が相当慎重である。実質的な需要が若干足りないというような面もあるかと思います。しかし、大勢といたしましては、四百億ばかりの資金が年間あるわけでございますけれども、それをほぼ融資に使っておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/81
-
082・卜部政巳
○卜部委員 先ほど御答弁がありましたように、いろいろな問題が出されておりますが、私率直に御指摘をいたしたいと思うのですけれども、貸し付け基準の硬直化ということが問題になるのではないかと思うのです。一つの例をとってみますと、これは林道金融の需要がかなりある地域の問題なんでありますが、従来は県庁なんかで出先機関でもって係が兼務でこれを取り扱って指導していたわけですね。ところが、それが相当の需要があった、こういうことから今度はこれを専任にして職員を配置した。ところが、そのとたんに林道がつかなくなったという事例があるわけです。そしてまた、その融資を申請をしても、貸し付け基準に照らして、受益面積が少ないとか、林道の傾斜が急だとか、さらにはカーブが狭過ぎるとか、率直に言って、申請書と設計書の一個一個についてけちをつけられるために、採用にならないということが多いのですね。そういうような点について、これは基準が悪いのか、その運用が悪いのか。とかく、貸し付け基準に忠実ということになれば、基準そのものが悪いということになりますし、それで、現にこの傾斜等は、いまオート三輪等とは違って、かなりの車が能力を上回っておるわけでありますから、あまり問題ないと思うのであります。ただ基準は一応の原則を示すものであって、ある程度の地区の実情を勘案して弾力的な扱いが行なわれるというものでなければならぬ、こういうふうに考えるわけですが、その点についてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/82
-
083・大月高
○大月説明員 ただいま林業に関しまして具体的なお話がございましたが、お話の林業の融資につきましては、まず補助残の融資と単独融資とございます。補助残の融資の場合には、県庁におかれまして、その補助金を出すについていろいろ条件をつけられることはあると思います。ただ、補助金でございますので、やはり一般の融資に比べては、相当厳重な査定があるというように考えております。われわれの単独の融資の関係におきましては、特にそういうこまかい基準はつくってございませんので、実情に応じまして査定をする。ただ、県庁で査定されますときには、補助残の融資と単独の融資と両方比べてみて、そう極端に違った扱いもできないのではなかろうかと考えております。特に一般の常識を越えまして、非常に強い査定をしておるというようにもわれわれは承知いたしておらないのでございますけれども、もし何か具体的な例でもございましたら、われわれも十分実情を調べて、また改善いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/83
-
084・卜部政巳
○卜部委員 実際問題としてそういう事例がないということで、もしあるとすれば、そういう問題について調査をするということでありますが、私たちの県の中にもそういう問題があるわけでありますから、ひとつこの実情を調査して、そういうことのないようにお願いをしたいと思います。私は、これは島根県だけじゃない、全般的な問題ではないか、こういうふうに考えるわけです。というのは、この基準の硬直化という問題から、幾ぶん不利な条件の資金でありながらも、弾力性という点で、この近代化資金のほうがより多く利用されているという原因をながめてみると、いま副総裁がおっしゃったように、前段では大体利用されておるということと、それから今度はいまのこの問題とからめてみますと、若干矛盾をしておるような面もあるわけです。その点にやはり十分な配慮をしていただいて、そういう一番有利な資金なのですから、一番多く使われなくちゃならないのに、不利な資金がより弾力的なものとして利用されるというところに問題もあろうかと思いますので、その点もひとつ十分に配慮をしていただきたい、こう思います。
こうした問題に対して、いま言うような調査ということでなくて、具体的な対策がもしあるとすればお聞かせを願いたいと思うのですが、対策はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/84
-
085・大月高
○大月説明員 われわれ政府機関の仕事をやっております者といたしましては、せっかくの低利の資金が利用者のほうに円滑に流れないということは、最も戒心すべきことだと思っております。そういう意味におきまして、いろいろ地方の声も常に周到な注意をもってお聞きいたしておるわけでございます。数年前から業務改善委員室をつくりまして、そういうような手続でございますとか、審査の基準でございますとか、そういう点について何か借り入れ者に御迷惑をかけておる点があれば、どんどん簡素化していくということで、逐次実行に移しておるわけでございます。
なお、そういう作業も進めながら、今度の四十一年度に至りますと、資金も千四百億を越すということでございまして、一段とわれわれの努力を必要とする段階になりますので、新たに融資業務改善委員会というのをこの一月に設けまして、専任の理事を委員長といたしまして、ささいなことにつきましても、少しでも借入者の御便宜をはかり得るように、鋭意検討を続けております。ただ、何ぶん政策金融でございまして、需要者が欲するままに何年でも貸すということでもございませんので、どうしてもその辺で御迷惑をかけておる点はあろうかと思いますが、極力御趣旨に沿うように努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/85
-
086・卜部政巳
○卜部委員 いろいろ愚見なり御質問を申し上げてまいりましたけれども、何といいましても、私がここで取り上げた、総ワクをふやせ、量的な拡大よりも質的な拡大をやってもらいたいという私の声というものは、端的に言って、苦悶しておる全農業者の叫び声だということを自負するものです。こういう観点に立って、この償還期限の問題、さらにはまた総ワクをふやすという問題、そしてまたそこにある負債という問題等について、これから十分な配慮というものと、全農業者に対して農林当局が誠意ある応答をもってこれに報いていかなければならないだろうということを申し上げたいと思うのです。同時に、そのことを期待をするわけでありますが、ひとつそうした問題につきましても、ただ一つの机上のプランではなく、机上における一つの法案でもないように、これからも調査を重ねていただきまして、そういう全農民の叫びというものを直剣に取り上げていただきたいことを要望いたしておきたいと思います。
なお、この問題に対して、制度金融の問題で大臣にいろいろと御質問申し上げたいわけですから、政務次官のほうから明確な答弁もなされた問題をさらに織りなして、大臣にもひとつ確認をとっておかなければならぬこともありますので、大臣に対する質問は保留をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/86
-
087・中川俊思
○中川委員長 湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/87
-
088・湯山勇
○湯山委員 私は、主として信用保険協会の問題を中心にお尋ねをいたしたいと思います。
端的にお伺いいたしますけれども、今度信用保険協会をおつくりになったのは、従来の基金協会というものがあまり役に立たない、これではどうも目的を達することができないというような観点からおつくりになったのかどうか、その点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/88
-
089・森本修
○森本政府委員 役に立たないからということではございませんで、御案内のように、各県の基金協会は、すでに基金としましても全国を通じますと百億近い基金を擁しまして、それぞれ活動に必要な基盤を確立しつつあるわけでございますけれども、先ほど来御答弁を申し上げましたように、現行制度の中には、その基金協会の活動をもう一つ十分にできないような不備の点が、運用をしてまいりました結果わかってまいりましたので、基金協会の活動を今後さらに十全にするという意味で、中央に保険協会をつくり、保険事業並びに融資事業をやっていこう、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/89
-
090・湯山勇
○湯山委員 いまの点もう一度お尋ねいたしますが、もし基金協会がなかったら、はたしていまのような近代化資金等は消化ができなかったかどうか、これは先ほどの卜部委員の質問にも関連するわけですけれども、その辺はどう御把握になっておられますか。私の気持ちを率直に申し上げれば、いまの基金協会だと、つくったからといって、近代化資金の消化が非常に進んだというふうにも受け取れない、これがなくてもいまとあまり変わらないところまでいくのではないかという感じを持つわけです。と申しますのは、農協あたりが近代化資金を貸し出す場合に、基金協会のほうに重点を置くわけでなくて、むしろ本人の担保力、返済能力のほうに重点が置かれておる。形式的に基金協会というものが使われておる面もありますけれども、これはなければなくても、あまり変わりはなかったのではないか、率直に申しましてそういう感じがいたすわけです。その辺はいかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/90
-
091・森本修
○森本政府委員 基金協会があったからどの程度融資の促進に役立ったかということは、計数的にこれを把握するというのはむずかしいと思いますけれども、御案内のように、融資をいたしております六〇%、あるいは最近それより若干上がってきておるのでありますが、基金協会の保証にかかってきておる。しかも保証依存率というものが、年々高まりつつあるというようなことから考えましても、融資を円滑にする意味におきまして、基金協会がある程度の役割りを果たしておったということは言えると思います。また基金協会がない以前におきましても、各県の実情によりまして、そういった信用補完のための協会というのが、国の補助なしに自然発生的に成立をしつつあったというようなことから考えましても、やはりそういうものの必要性なり機能なりというものが期待されておったということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/91
-
092・湯山勇
○湯山委員 それでは、信用基金協会が形の上ではできておるけれども、実際にはその役目をしていないという協会も相当あるのではないかと思うのです。その数は、それは時点の取り方、いろいろな区分のしかたによって違うと思いますけれども、どのくらいがその役目を果たしていないというふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/92
-
093・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、各県かなりその活動状況が違うというふうな実情にあろうかと思います。それはやはりその県におきます県内関係者の指導の問題、それからまた、先ほど申し上げましたように、現在の基金協会は、従来各県においてできておりました財団法人を引き継いだという関係もありまして、そういった資金運営のあり方がいまだ残っておるというようなことも影響しておると思います。そういうことで、計数的にどの程度活動の不活発なものがあるかということは、なかなか判断がしにくいのですけれども、保証の依存率が極端に低いといったような協会もあるようであります。そういう意味からいきますと、県によっては、必ずしも活動の十分でないというものがあるだろうというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/93
-
094・湯山勇
○湯山委員 この基金協会の最終的な重要な業務といえば、代位弁済の業務だと思います。これがなければ一向役に立たないわけですから、その代位弁済が三十九年、四十年あたりで全然行なわれていないというような例、そういうものが幾つくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/94
-
095・森本修
○森本政府委員 代弁を全然行なってない基金協会の調べというのは、ちょっといま手元にございませんけれども、全国的に見まして、代弁額が案外少ない。従来の代弁の合計を見ますと、もちろん代弁の要求がありまして、それをどの程度受け入れ、断わっておるかという調べは必ずしもございませんけれども、従来の代弁の実績額を見ますと、必ずしも全体に対して代弁が減っておるというふうにも思えない節がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/95
-
096・湯山勇
○湯山委員 これは非常に重要な問題ですから。私の手元にある資料によれば、三十九年度において代位弁済の実績がなかった協会が約半数の二十三協会ある、こういう資料があるのですが、これは間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/96
-
097・森本修
○森本政府委員 先ほどもちょっとお断わり申し上げましたように、いまその資料が手元にございませんので、後ほどまた確認をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/97
-
098・湯山勇
○湯山委員 こはは基金協会がその役目をよく果たしたかどうかを判断する一つの重要なポイントなので、これがもし半数近くもあるというようなことだと、これは非常に問題であると思うわけです。そこで、私が最初役目を十分果たしておったかどうかということをお尋ねしたのは、ここへの関連でお尋ねしたわけで、この問題のお答えもお尋ねも留保いたしまして、次へ移ることにいたします。
これは出された資金が、いま公庫のほうからもございましたが、公庫が来年度千四百億、それから近代化資金を含めて信用保険協会、これに関連する資金というものが八百億ですか、それ以上になる。そうなると、農業金融としては非常に重要な役目を果たさなければならないということですが、はたしてそれが役目を果たしているかどうかという判定は、どういうところでしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/98
-
099・森本修
○森本政府委員 主として、公庫資金にいたしましても、あるいは近代化資金にいたしましても、短期資金というよりは、やや長期の資金を貸し出しておるわけです。おそらく農家の使い方としましては、いわば固定資本の投資に対する資金の調達というふうな面に使われておるというふうに思うわけでございますが、個々の農家がどういうふうな使用のしかたをしておるかといったような実態に基づいた詳細な調査は必ずしも十分ではございませんけれども、御案内のように、農業におきますところの固定投資というものは、三十五年から三十九年を見ましても、四千億から六千億といったような形でかなり増大をしてきております。そのうちで原資を源泉別に見ましても、政府の補助金のあったものもございますが、いわゆる制度賞金にたよって固定資本投資脅しておるといったようなものも相当あるわけでございまして、先ほどの農家の固定資本投資額のうち、制度資金の割合といいますか、そういうものが漸次増加をしてきております。たとえば三十五年にはそのうち約一〇%になっておりましたのが、三十九年には二〇%軽度までシェアが増大しているということから見ましても、あるいはその中における近代化資金の役割りというふうな点に限りましても、三十五年にはなかったわけでございますから、三十九年には農家の固定投資の中に八%ぐらいの比重を占めてきているというふうな点から見ましても、やはり相当の効果を発揮しておるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/99
-
100・湯山勇
○湯山委員 私かねがねそういうことを一ぺんお尋ねしてみようと思っておったのですけれども、こういう資金がどれだけ出たかということで評価することも大事だけれども、それがほんとうに目的に使われたかどうかということは、それよりももっと大事なことではないかというように思います。そこで、それが正しく使われるということのためには、それらの資金の性格が、この場合であれば系統団体及び農民によく理解されるという必要があると思うのですが、その点で、従来の基金協会の場合もそうでしたし、今度の場合もそうなんですけれども、農業の生産性の向上をはかるということが、とにかくこの基金の一つの大きなねらいになっております。生産性の向上をはかるというのは、一体どういうことなのか。なぜこんなことを聞くかというと、従来労働掛雄性が取り上げられておりました。その場合ならば、非常に極端な言い方をすると、寝ておって少し収穫があるほうが、働いてそれより若干多くても、それよりも有利である、半分の日数働いて七割の収穫があれば、十働いて十あるよりも生産性が高い、こういうことになるわけです。それから資金の生産性からいっても、資金をたくさん使って、たとえば水田なら水田で四石の収量があった、それに対して、資金を半分しか使わないで三石あれば、資金生産性もそのほうがいいわけです。逆な言い方をすれば、たくさんの資金をこうして出すということは、資金の生産性を実は低下させている。事実そうなんでしょう、多くの場合。こういう現象がずいぶん見られます。そこで、一体、この生産性の向上というものが至上命令なのかどうなのかここらに非常に疑問があるわけです。ここでいう生産性向上はどういうことを指すのか、今日までいろいろなところで生産性向上ということを言ってきましたけれども、何をやってどうするのか、はっきりしないわけです。この辺ひとつどうだということをはっきり御解明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/100
-
101・森本修
○森本政府委員 たいへんむずかしい原則的なお尋ねでございますが、生産性の向上をはかるということが、農業基本法にも施策の目標として掲げられております。最近の農政の目標としては、よくいわれることでございますが、概論的に申し上げますれば、おそらく生産のための諸要素、それの能率をあげていくというふうなことになると思うのであります。生産に投下されますところの諸要素をできるだけ少なくといいますか、単位当たりのそういった諸要素に対する生産の上がり方が相対的に高いほうに向かっていくということが、おそらく生産性向上の概論的な話だと思うのですが、何といいましても、生産の諸要素のうち、従来は土地が限られておったのでありますから、土地生産性を上げるということに非常に力点がいままでの日本の農業はあった。したがって、新しく出てまいりました経済環境、ことに労働力が流出をする、また農家の所得の向上、従業者の福祉の向上といったような観点から言いますれば、最近においては労働の生産性を高めていくことがかなり大きな課題であるというふうなことがいわれてきております。ただ、その際にも、もちろん、土地の生産性なりあるいは資本の効率を無視して、労働の生産性のみを上げるというわけではございません。土地生産性、資本の効率といったものを上げつつ労働の生産性を高めていく、こういうことが必要なことではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/101
-
102・湯山勇
○湯山委員 いまおっしゃったとおりだとしても、具体的に農民はそれをどういうふうに把握するでしょうか。おそらくいまの説明を聞いても、一体どうしたらいいのだろう、労働生産性も上げなければならぬ、土地生産性も上げなければならぬ、資本の効率も高めていかなければならない、それらの間には相互に矛盾がございますね。ことにいまのような集約経営が高度に達している状態で、資本を投下したってそうむやみに生産が上がるわけではありません。労働の生産性を高めたからといって、生産が上がるわけじゃありません。生産性も上げなければならない、それから時間も少なくする、それから資本もなるべく少なくしてというような、そういう観点から資金を出すということも、それ自体にまた矛盾があるような気もします。そこらがはっきりしないと、一体何に使っていいのだろう、貸すほうの側もどういうことに貸したらいいのだろう、それでいいのだろうか。ただうしろのほうの項目の中に入っておるから、これはまあいいということで、法律の目的を理解して貸し付けるのじゃなくて、うしろのほうのこまかい規定に入っているから、それでいい、それで悪い、こういう判断しかできないじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/102
-
103・森本修
○森本政府委員 必ずしも、先ほど申し上げましたような、たとえば土地生産性と労働生産性をともに高めていくということができないというものではないと思います。たとえば、土地の生産性を上げてまいりますと、当然労働の強度が同じであれば労働の生産性も上がってくるといったような関係になるわけです。ただ一方だけ和あまり強調してまいりますと、他方とバランスをとって生産を上げていくという点に無理が生じてくるというふうな関係に相なろうかと思うわけであります。ただ、お尋ねはそういうことでは必ずしもないと思います、が、そういう点を十分考慮して、資金借り入れなり営農の設計なりをうまく指導できるかどうかというふうなお話であろうかと思います。もちろん、そういった精細な形ではなかなかやっておる点がむずかしいのでありますけれども、いずれにせよ、農業経営の改善なりあるいは基盤の整備なりといったようなことを通じて、いま言ったようなことで、矛盾のない生産性の向上に施策としてはつとめるというふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/103
-
104・湯山勇
○湯山委員 局長のおっしゃることはわかりますけれども、その内容について、そうだと言い切れないものがあります。というのは、この法律で規定しているのは、いまのような複雑な情勢をちっとも考慮に入れてありません。ただ単に農業の生産性の向上をはかる、こうなっておるだけです。これから読みとられるものは、普通の場合からいえば、労働生産性ですね。そうだと思います。そういうふうに考えていくと、それじゃこの資金がそのためにどれだけ効果を上げたか、生産性において何%上げたかということになってくると、一向わけがわからないのです。そういうことになりはしませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/104
-
105・森本修
○森本政府委員 われわれのほうでも、実は関係機関と打ち合わせをいたしまして、資本の投下とその収益性の関係とか、投資の効率といったようなことについて、若干調査をいたしたことがございますけれども、ざっくばらんに言いますと、こういうものの測定といいますか、判定が実はなかなかむずかしいのでございまして、たとえば自然科学のように、その点だけを捨象して分析をするということもむずかしいわけでございます。経営の効率といったようなものが、あらゆる条件に左右をされて変化していくといったようなこともございます。自然条件の変化といったようなものもございましょうし、あるいは収益といったような点では、価格の条件といったようなものもございましょうし、いろいろな諸要素に影響されながら変化をしていくわけでありますから、そういう変化花、資本の投下なりあるいは融資を受けたものの効果のみを取り出して調査をしようとしても、なかなかむずかしい点がございます。われわれとしても、御指摘の御趣旨はよく理解できるわけであります。いたずらに融資をしても効果が上がらないではむだであるという点、またそれをよく調査をした上、将来の施策に資すべきであるというふうな御趣旨は、十分了解ができますので、そういう点についても、今後研究を深めていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/105
-
106・湯山勇
○湯山委員 と申しますのは、たとえば、豚を買い入れる資金というような資金を貸し出される場合に、あるいは二頭、三頭の豚を買い入れる、それは一体生産性向上になるのかどうか、あるいは十頭、二十頭ならどうか、そういうようなことの分析はしなければならないと思います。そうしないで、やたらに小規模経営をふやしていっても、これは生産性向上にはつながってこない。私の申し上げておる生産性の向上というのは、土地生産性、資本生産性をひっくるめて労働生産性で総括して申し上げておりますから、その点は決してごっちゃに言っておるわけじゃないということを御理解願って、それから機械にしても、その買い方、その使い方によっては必ずしも生産性向上になっていかない、こういうこと、が実際にあるわけです。そのためにも、この法律の目的というものがよく理解されていく必要がある。その点で、私の判断では、基金協会がうまくいってないと思います。その原因の一つはそこにあるというように感じまして、いまの点を先ほど来お尋ねしたわけです。このことは、もうあまりごたごた申しませんけれども、ただ金を貸せばいいというのじゃなくて、目的に合うように貸す場合にはどういう形態で貸さなければならないか、その研究分析がなければ、八百億のお金の四百億は生産性を低下するために使われておる、こういうこともないとは言えないのです。あり得ることなんですから、これをひとつ第一の問題として御留意を願いたい。
それから第二の問題も、これと関連をしてまいります。特に今度の法律で、第一条に「近代化資金」というのをお加えになった理由はどこにあるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/106
-
107・森本修
○森本政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨がよくわからない点もございますが、今回資金として加えましたのは、いわゆる中期の育成資金というのを加える予定になっておるわけでございますが、これはこの前から申し上げておりますように、従来は近代化資金の融通の対象になっておりましたのは、主として施設資金ということで、法律にも書いてございます。あるいは農舎とか畜舎の新設等に必要な資金、あるいは家畜の導入に必要な資金、そういうもののみを融資の対象にしておったわけですが、そういうものだけでは必ずしも十分ではない。たとえば果樹にいたしましても、植栽資金だけを貸しておったのでは、植栽後一定の年数、いわゆる育成に要する資金というものがかなりかかるわけであります。あるいは家畜にしても、そういうことは同じであろうと思います。したがいまして、そういった固定資本の投資を促進するという意味からいきますと、単に取得に要する資金のみではなしに、取得後一定の期間育成をする資金もあわせて融資をしませんと、必ずしも効果が上がらない、こういうふうなことでございますので、いま申し上げましたような資金を追加することにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/107
-
108・湯山勇
○湯山委員 私のお尋ねしておるのは、信用保険協会法のお尋ねをしておるので、今回信用基金協会法が信用保険協会法に変わった機会に、第一条に「近代化資金」ということがわざわざ加えられている。それはどういうわけでしょうかというお尋ねをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/108
-
109・今村宣夫
○今村説明員 お答え申し上げます。
今回の農業信用基金協会法の一部を改正する法律案によりますと、第一条が、従来「農業経営に必要な資金」とありましたのを、「農業近代化資金その他農業経営に必要な資金」というふうに改めてございます。それは従来の農業信用基金協会法でございますと、農業信用基金だけについての規定が盛り込まれておったわけでございます。御存じのとおり、農業信用基金は、一つは近代化資金に対する保証を行ないますと同時に、農協のプロパーの貸し付けについても保証をやるという事業を行なっておったわけでございます。今回新たに一部改正によって設立されます農業信用保険協会は、近代化資金の融資についての農業信用基金協会の保証責任を補てんするという業務だけをやるわけであります。そこで、法律の条文の整理といたしまして、従来のように「農業経営に必要な資金」というだけでは、近代化資金とプロパー資金とが両方含んで読めるわけでございますので、うしろの条文の保険の分を書きます際の便利に供するために、それをわざわざ内容を二つに分けまして、「農業近代化資金その他農業経営に必要な資金」というふうに書き改めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/109
-
110・湯山勇
○湯山委員 従来も近代化資金も農協プロパーの資金も対象にしておった。そうですね。今度の場合も同じでございましょう。「近代化資金その他農業経営に必要な資金」こうなっておりますが、やはり対象は変わっていないですね。変わっていないなら、別に「近代化資金」というのをつけ加えなくたっていいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/110
-
111・今村宣夫
○今村説明員 信用基金協会の業務といたしましては、従来と変わりございません。したがいまして、法律の書き方といたしましては、「農業経営に必要な資金」ということで、それを別途保険のほうで「近代化資金に係る債務の保証等につき」というふうに、うまく条文を整理して書いてくるのも一方法でございますし、この第一条のところで「農業近代化資金」を特記いたしまして、あとで信用保険協会の事業にそれを引いてくるというのも方法でございますので、この法案の条文の書き方としては後者の方法をとったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/111
-
112・湯山勇
○湯山委員 いまの御説明は、あとのほうは別として、いま書いてあるのは、「農業経営に必要な資金」、それを二つに分けて書いたというだけであって、あとがどうこうということとは無関係でしょう。あとはあとでどうせやらなければならないことなんです。そこで、従来ももちろん近代化資金が中心であったけれども、特に実情が近代化資金が中心なのだから、そのことを明らかにしたと言われるならば、それは幾らかわからないことはありません。しかし、あえてこうしなくてもよかったのだけれども、よくわかるようにしたのだということ以外に何もないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/112
-
113・今村宣夫
○今村説明員 御存じのとおり、一部改正法になってございますので、第一条は目的ということになっております。そこで、目的のところで、先ほど申し上げましたように、新しい保険制度を創設するということにいたしますと、先生もおっしゃられましたように、近代化資金ということが相当制度上浮き彫りにされてくるということがございますので、ここの条文の整理としては、「近代化資金その他」というふうなことにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/113
-
114・湯山勇
○湯山委員 ですから、対象になる資金の性質というものは、これによって変わるものではない、結論はこうですね。ちょっと答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/114
-
115・森本修
○森本政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/115
-
116・湯山勇
○湯山委員 それでけっこうです。
そこで、お尋ねしたいのは、一体、近代化資金の、近代化というのはどういうことなんでしょう。これがわからないのです。さっきの生産性よりももっとわからないのが、この近代化ということなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/116
-
117・森本修
○森本政府委員 近代化資金の名称でございますが、実はざっくばらんに申し上げますと、この資金の性格から言いますと、農業近代化資金といったような名称のほうがあるいはその実をあらわすようにも思えるわけでございますが、三十六年に法律を制定いたします当時、もう少し名称を簡単にするという意味もございましょう、あるいは広く言って、農業の近代化に資する資金であるというふうな大目的といいますか、そういうふうなことからいいまして、農業近代化資金といったような名称をつけたのじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/117
-
118・湯山勇
○湯山委員 近代化資金の使途の中に、豚を飼う資金とか防風林をつくる資金とか、近代化といえるかどうかわからないような対象事業がたくさんありますね。ですから、近代化というのはどういうことなのか、これが実にわかりにくいので、貸すほうの側も困るし、借りたほうの側も、近代化ってどう使ったらいいのか、ただとにかく利子補給されて安いから使うということだけになって、さっきも御指摘がありましたし、あるいは局長も、なおこれについては考えるべき余地があるというような御答弁もあったように思いますが、一体、近代化というのはどういうことをするのか、何が近代化かということがわからないで、近代化資金を貸してやるといっても、借りるといっても、これはどうにもならぬのじゃないでしょうか。だから、どういうことをさしておるのか、近代化の定義をひとつはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/118
-
119・森本修
○森本政府委員 この資金の融通の大きな目的という点からいたしますと、農業の近代化といいますか、農業経営の近代化に資するというふうな趣旨があろうと思います。農業経営の近代化ということはどういうことかというお尋ねでございまして、必ずしも私、答弁をする適切な担当であるかどうか、よく存じませんけれども、一般的にいわれておりますのは、農業経営の零細性の打破といいますか、たとえば土地の保有の規模を拡大する、あるいは土地保有の状態を合理化する、分散した保有を集団化するといったようなこと、あるいは経営の内容につきましては、資本装備を充実いたしまして、たとえば機械化の促進でありますとか、家畜を導入するとか、あるいはまた近代的な施設を設置するとか、そういったことで経営のあり方を高度化していくといったようなことをすべて包含して、農業経営の近代化というようにさしておるようでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、そういった農業経営の近代化に資するための施策というのは、きわめて多くの施策、手段によって実現をされるわけでございまして、この近代化資金の持っております守備範囲といいますか、そういうものは、主として資本装備の高度化といったような面に資するための資金である、そういうふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/119
-
120・湯山勇
○湯山委員 いま御指摘になった中で、近代化資金というのは、規模の拡大には寄与しないというのですね。それから保有の集団化ということにも寄与しない、ただ装備の機械化、こういうことに寄与するのが近代化資金だ、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/120
-
121・森本修
○森本政府委員 この資金の中にも、御案内のように、家畜の導入資金といったようなものがございまして、家畜を集団的に飼育をしていくというような面におきましては規模の拡大——あるいは果樹園の植栽資金、また今回育成資金といったようなものが加わってまいるわけでありますが、そういう面におきましては、規模の拡大に役立つ資金もあるわけでございます。ただ、資金の種類としましては、先ほど申し上げましたように、施設資金の融通ということが主たるものであることは申し上げるまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/121
-
122・湯山勇
○湯山委員 たとえば豚の子を飼うのがどうして近代化になりますか。ただそれだけですね。子豚を飼う資金が出る、別にそれは近代化ということとは無関係じゃないでしょうか。ただ、その飼い方、飼ってどうするということがつかなければ、局長がおっしゃったように近代化ということは言えないのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/122
-
123・森本修
○森本政府委員 豚を飼うこと自体が近代化に役立つかということでございますが、確かに、豚を導入してそれをどういう形で飼育するか、また従来の耕種生産の部門等とどういうふうに有機的に結合して経営がなされるか、そういう点が十分合理的に行なわれませんと、農業経営の近代化という方向に向かうということは、一がいに言い切れないと思います。しかしながら、まあ大部分の場合には、家畜を導入していく、しかもかなり大規模に導入をして多頭飼育をしていくといったような方向に向かう場合には、農業経営が一般的にいって近代化の方向に向かうのではないか、そういうふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/123
-
124・湯山勇
○湯山委員 そのあとのほうの御説明は、これはそのままいただくわけにはまいりませんが、申し上げたい点はそういう点なんです。実はこういう近代化というむずかしいことばで農民に臨んでも、農民は近代化ということの内容はわかりません。ただ豚を飼う金を貸してくれる、防風林をつくる金を貸してくれる、土地改良の資金を貸してくれるということだけであって、それじゃいまのように近代化に逆行する場合もある。この辺のしっかりした腹がまえといいますか、計画が貸し出す側になければ、こういう資金というものは生きて働かない。このことを私は今度の場合非常に痛切に感じましたので、特に金融の当面の責任者である農林経済局長に、いまのようなめんどうなことをお尋ねして、御配慮を願いたいということを申し上げるわけです。このことは、この近代化資金、それから目的の合理化、生産性の向上、そういうことだけでなくして、いまの農政の中にはこれに似たようなことが相当あるように思います。ひとつ徹底的にそういう点について再検討されて、ほんとうに農民のためになる効率的な施策を進めていただきたいと思います。仮谷政務次官からひとつ御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/124
-
125・仮谷忠男
○仮谷政府委員 先ほどから生産性の問題あるいは近代化の問題、いろいろ理論的なお話がございましたが、私は率直に申し上げまして、百姓というものは、そこまでに法律がわかり、あるいは理論で割り切って問題を進めておる、事業を進めておるというふうには一般的に考えておりません。たとえば、いまよりも農業をもっとよくしたい、所得をもっとふやしたい、こういう観点に立って果樹をやろう、豚をやってみようというふうな問題が出てきて、さて、そういうことをする場合にはどういう金が借りられるだろうということから出発するわけだと思うのです。そこで、そういう申し込みがあった場合には、これはこういう資金に当てはまるのだということによって、資金が円滑に供給されて、事業が推進されていくというのが現実の問題じゃないかと思う。ただ、そういうふうに百姓が申し込んできたときに、はたしてその計画がほんとうにたとえば近代化に適合するのか、生産性の向上をはかれるのかという問題を十分検討し、計画にそごを来たさないように指導し、それを十分に徹底さしてやる仕事に現在の場合向かっておるのではないかという面も考えられます。だから、そういった面で今後十分に検討していくべきじゃないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/125
-
126・湯山勇
○湯山委員 たいへんけっこうです。私も実際そう思っておりました。一々農家にそういうことを考えさすということはできることじゃありません。だからこそ、局長なりそれを進める人が、しっかりした認識を持って指導をなされなければならない。そういう点からお尋ねしたいのは、先ほど金融公庫の方がお見えになっておりましたが、制度金融と系統金融にはそういう意味での違いがあると思います。その辺をどう御理解になっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/126
-
127・森本修
○森本政府委員 たとえば公庫資金などでありますと、個人の経営の中に入っていきます資金、たとえば果樹園の改善資金あるいは畜産経営拡大資金、そういうふうなものを見ますならば、単に金を借りたいという者に金を貸すというだけではございませんで、やはり一定の、たとえば果樹園であれば、集団化した樹園地を造成する場合、あるいは畜産経営拡大資金であれば、一定の乳牛なら乳牛の規模の経営に到達するといったような、融資上そういった条件といいますか、規制といいますか、そういうものが加わっておる。そういう意味では、営農の改善に対してやや政策的にマッチしたような融資のしかたがあるというふうになっておるわけであります。系統金融におきましては、主として組合員の事業資金あるいは生活資金を貸し出すというふうに組合法にもありますわけですが、何と言いましても、組合員が自発的に必要な資金をまあ手軽に貸し出しをするというところに特色があると思います。そういう意味では、制度金融と系統金融の間に違いがありますけれども、それぞれ相補って機能を果たしておる、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/127
-
128・湯山勇
○湯山委員 局長の御答弁にあったように、政策的な結合の強弱、それから今度の話でいえば、中期のものと長期のもの、あるいは手軽に借りられる、条件がむずかしい、そういう区分もありますけれども、私が先ほどのことと関連して申し上げたい点は、系統金融の場合は、末端の農協が出口になりますから、そうすると、その貸し出した金のアフターケアといいますか、これが非常にできやすい状況にある。いまの目的に合うように使われておるかどうか、そういうことについての指導、アフターケアが非常に行なわれやすい状態にあるということは、私はこの系統金融の非常に大きな長所だと思います。これはどうでしょうか。
〔委員長退席、大石(武)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/128
-
129・森本修
○森本政府委員 系統金融では御指摘のように、末端の農業協同組合が貸し出すわけでございます。農業協同組合のほうは、単に金融事業のみではございませんで、いろいろな経済事業あるいは指導事業といったようなものをあわせて行なっておるわけでございますから、そういう面からいきますと、単に金を貸すだけではなしに、経営なり経済事業の利用等を通じて、いろいろな面で農家に対るす指導なり金融上のアフターケアがやりやすいというふうな点があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/129
-
130・湯山勇
○湯山委員 その非常に大切な長所をはたして今日まで十分活用してこられたかどうか、そういう指導をしてこられたかどうか。それができれば、資金効率を三割、四割上げるということは、私は簡単じゃないかと思うのです。今日までそれについて十分な指導が行なわれたかどうかについて、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/130
-
131・森本修
○森本政府委員 先ほど来申し上げましたような関係にあるわけでございますが、おそらく単協としましても、そういう点について十分配慮はしていただいておるというふうには思いますけれども、なお一般的には、金融をいたしました後の経営のアフターケアという点については、改善に努力すべき点が残っておるというふうにもいわれております。われわれとしては、従来からそういう点に十分留意をするように申してはおるわけでございますが、なお欠ける点がありますれば、十分指導いたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/131
-
132・湯山勇
○湯山委員 ちょうど官房長お見えになりましたので、お尋ねいたしたいと思います。
いま、制度金融と系統金融とでは、系統金融の場合は、末端の農協がいろいろ責任を持ってアフターケアもやっていく、そういうことによって資金効果を非常に高めていくことができる。そういう指導を今後も大いにやらなければならぬという経済局長の御答弁です。そのためには、やはり農協の職員が安心して仕事のできるような体制をつくらないと、農協の職員組織が悪いような状態では、あるいは待遇が非常に悪いというような状態では、なかなかそれができないと思います。そこで、農林省としては、そういう団体職員の待遇改善その他について十分御配慮あってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/132
-
133・大口駿一
○大口政府委員 いまの湯山先生の御指摘の点、農業団体の職員が安んじて仕事にいそしめるように農林省として配慮すべきである、これはまさに御指摘のとおりと思います。ただ、具体的な手段としてどういう方法かということになりますと、いろいろ方法があると思います。たとえば共済制度の問題等を頭に置いてお尋ねになっておるのではなかろうかと思いますが、農林省といたしましては、この問題につきましては、予算委員会の経緯等もございますので、前向きに検討いたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/133
-
134・湯山勇
○湯山委員 官房長のほうから先を越されましたが、お尋ねしたい要点はそういうことでございました。それを含めてぜひ御尽力願いたい。
そこで、最初保留いたしましたので、そこへ返るべきでしょうけれども、資料の関係もございますから、端的にこの協会のほうのお尋ねをいたしたいと思います。
その一点は、構成団体です。これは、中金と基金協会とが構成団体になる、しかもその加入脱退が自由だ、こういうことなんですが、この加入脱退が自由というようなこと、これだけ重要な何百億の資金を動かそうというときに、加入脱退自由、そういうことで一体いいのかどうか、この点について私は非常に不安を持つものですが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/134
-
135・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、保険協会のほうは、一応法制上は会員の加入脱退が任意であるというふうになっております。これは他の保険をやります機関について調べてみましても、大勢としましては、加入脱退自由が多いようでございます。もちろん、農業共済制度等は加入脱退自由ではございませんで、ある意味では強制加入といいますか、当然加入というか、そういう形になっておりますが、大勢としては自由のものが多いようでございます。ただ、こういった事業でございますから、ある程度の加入がございませんと、共済事業といいますか、保険事業は成立がしにくいといったような関係にございます。われわれとしましては、法制上はそういうたてまえにいたしておりますけれども、できるだけ多くの会員が加入をするように指導を加えたいと思っております。現在のところでは、四十六都道府県にあります基金協会はすべて加入をする見込みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/135
-
136・湯山勇
○湯山委員 それは御指導によってそういうふうになったことはわかりますけれども、当事者の一方であるたとえば中金が、私はもう脱退しようということになって、脱退するといってもとめるわけにいかない。そうすると、中金が抜けた場合、これはまたたいへんなことになるし、四十六の中の半分以上が抜けても、これまた制度の趣旨が失なわれる。なぜこんなあいまいなといいますか、ぼんやりした、しっかりしない組織をおつくりになるのですか。これだけ政府も出資をする、それからこれだけ大きな事業をやっていくということなら、もっとしっかりした組織、たとえば公団という考え方もあるでしょうし、あるいはまた何かもっと別な構想もあると思います。いかにもこれは、せっかくこうやって資金の効率を高めていこうといいながら、この機構を見ますと、そういう腹がまえが見えない。加入脱退自由である。四十六の基金協会と中金で構成する、その一番大きい中金が、わしはあすからもういやだ、どうにもなりません。これで一体やれるかどうかですね。非常に心配な点なので、ひとつはっきり安心できるように御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/136
-
137・森本修
○森本政府委員 この組織の性格から申しますと、それぞれ会員に対する事業というふうなことで十分やっていけるわけでございます。そういう性格を持っております。他の例を見ましても、先ほど来申し上げましたようなことでございますので、一応法制的なたてまえとしては、会員の構成する中央団体というような形で構成をいたしたわけでございます。脱退をするときにも自由ではないかというお話でございますが、少なくとも保険関係が成立しておる場合、あるいは中央機関として事業の実行上不適当だというふうな場合には、承認を得なければ脱退ができない、ちょっと語弊がありますけれども、そういうふうな形にもいたしておるのであります。われわれのほうの指導と相まって、保険事業に支障を来たすような事態にはならない、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/137
-
138・湯山勇
○湯山委員 支障を来たすと思うのです。中金が脱退すれば、これは全国的な規模において支障を来たす。一県でも多くなくなりますと、その県は近代資金についての保険がないわけですね。こうなってくると、これはたいへん不公平になってくるし、そのために近代化資金が十分使われないということになれば、これはたいへんな問題で、私の気持ちからいえば、各県に必ず一つ基金を設けなくちゃならない、それは全部加入しなければならぬ、一方、中金も加入しなければならぬ、こういう体制でなければ——それは一県や二県抜けてもいい、極端に半分抜けたってかまわないんだというたてまえの法律では困るんじゃないだろうか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/138
-
139・森本修
○森本政府委員 現在のような法律の構成をとりましたのは、先ほど来申し上げたとおりでございまして、形式的に法律をながめますと、そういう議論もあるいは成立するかもしれませんけれども、実態と両方読み合わせますと、現在のところでは、先ほど申し上げましたように、中金も喜んで参加するというふうな状態になっておりまして、各県もこぞって参加するという実態でございますので、実態上川ら支障はない、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/139
-
140・湯山勇
○湯山委員 局長は、御心配はない、こうおっしゃるし、私は心配がある。よく読んでみたら心配ないんだというのですが、私も読んでお尋ねしておるので、読み方が悪ければ、ひとつどこをどう読めばいいんだ、こう御指摘願って、それで納得がいけば安心いたしますし……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/140
-
141・森本修
○森本政府委員 繰り返しになりますけれども、法律上の形式的な点からいいますれば、先ほどのような御心配はあるいはあるかと思いますけれども、そういうふうな構成にいたしておりましても、実態上の見込みから申し上げますれば、十分加入が確保され、事業に支障がないということを申し上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/141
-
142・湯山勇
○湯山委員 あとは局長を信頼するかどうかという問題ですけれども、この点については、同じ答弁かもしれませんが、ひとつ大臣から明確にしていただく必要があると思いますので、委員長においてひとつ御配慮願いたいと思います。
その次にお尋ねいたしたい点は、包括保険と選択保険の区分です。これはどこを限度にして区別されるのか、そうい必要があるかどうか、このたてまえからいって。これも私の率直な気持ちを先に申し上げれば、こういう保険の制度ができた以上は、そういう区分は要らない、全部一括してやっていいんじゃないかという感じを強く持ちます。その辺はどうしてこういう区分をなさったのか、その区分の必要はどこにあるのか、これもひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/142
-
143・森本修
○森本政府委員 その区分の金額は五十万円程度を予定いたしております。選択保険と包括保険を分けたのはどうかというお話でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、現存全国の協会としてはかなり基金の充実をしてきておるといったようなことでありますし、将来もまたこの基金の充実をはかっていくという予定でございますので、ある程度は基金協会の自主的な判断といったようなことを残しておいてもしかるべきではないか、ことに小口のものにつきましては、一件当たりの金額も少ない、したがって、リスクも必ずしも多くはないといったようなこともございますので、すべてを包括として、選択の余地をなくするということもいかがなものかということで、もちろん自分でリスクを負担し切れないといったような協会がありますれば、選択でありましても、保険協会のほうで保険をかければいいわけでありますから、画一的に包括的な制度にする必要もなかろうということで、両制度を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/143
-
144・湯山勇
○湯山委員 この五十万というのはきまっておるわけですか。動くわけですか。あるいはまた、ことし五十万であっても、来年は三十万になることもあるし、あるいはさ来年は七十万になることもある、それはそのときそのときできめられるものなのかどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/144
-
145・森本修
○森本政府委員 まず五十万ということで出発をしたいと思っておりますが、もちろん運営の実情を見まして、この金額について調整をするということもあり得るかと思います。ただ、あまりこの金額の標準を上げますと、御指摘のような弊害も生じてまいりますので、検討して変更する際には、おそらくこの金額を下げていく方向ではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/145
-
146・湯山勇
○湯山委員 現在の平均はどれくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/146
-
147・森本修
○森本政府委員 ちょっといま保証額の平均を調べておりますが、大体五十万以上で切りますと、金額の割合にいたしまして、五十万以上の保証の額が約四〇%、五十万以下が約六〇%という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/147
-
148・湯山勇
○湯山委員 五十万以上よりも五十万以下のほうが——これは口数でしょうか、金額でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/148
-
149・森本修
○森本政府委員 金額です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/149
-
150・湯山勇
○湯山委員 そうすると、金額で六〇%が五十万以下とすれば、これは農家の数にすればずいぶん多いということになりますね。そうすると、大多数の農家が選択される側に回る。そうして上のほうのといいますか、少数農家は包括の中に入る。せめてまん中ぐらいで線を引くわけにまいりませんか。いま対象になっておる農家の戸数のまん中ぐらいに引けば、四十万になるのか、三十五万になるのか、それくらいにしないと、査定される側のほうが——査定というか、選択されるほうが多くて、自動的にいくのが少ないというのは、ちょっと了解がしにくい。むしろ、逆であってもいいんじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/150
-
151・森本修
○森本政府委員 この制度をつくりました趣旨は、全体として地方の基金協会のリスクを中央の保険協会で負担するということでございまして、必ずしも保険にかかる一件一件がどうこうというふうなことでもないと思います。基金協会の中で全体としてリスクが、経験でいけば、農家に対する保証なり代弁なりが的確に行なわれていく、こういうふうな回り合わせになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/151
-
152・湯山勇
○湯山委員 その辺、私は実態と若干合わないと思うのです。これはいまのようにリスクの負担をしてもらえないということになれば、それらの農家に対する取り立てというものは、一〇〇%非常にきびしくやらなければやれない、こういうことになると思うのです。事実そういう例は決して少なくありません。そこで、ただ基金協会の勘定だけということでお考えになる、それはおっしゃったとおりかもしれませんけれども、実際の農家に当てはめていくという点も考えれば、もっと配慮があっていい、なければならない、こう思うのですが、そういう必要はないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/152
-
153・森本修
○森本政府委員 基金協会としては、全体として一定のファンドをもって保証に当たっておるわけです。そのファンドの減耗をおそれて保証のほうをしぶるといったような傾向があるやに実は見受けられるわけでありますから、基金協会のほうの全体としてのリスクをある程度軽減していけば、保証活動が活発になる、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/153
-
154・湯山勇
○湯山委員 どうも違います。それじゃ借りやすいという点からいえば差異がありませんか。農民個人が資金を借りるという、その借りやすさという点からいえば区別ないですか。私はあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/154
-
155・森本修
○森本政府委員 ちょっとその点がわかりにくいと思うのですが、全体としてまあ考えておるということは、先ほど申し上げましたとおりでございます。また、他の残った部分に対しましても、融資制度というふうなものを併用いたしております。その点でも従来よりはかなり改善になるだろうと思います。それからまた、もし保険にかけないということで保証をしぶるというふうな協会が出てまいりますれば、かけられないわけではございませんけれども、選択といえども、われわれとしては、そういう事態であれば、中央のほうの保険にかけるように極力指導いたしまして、そういった御心配の点はカバーをしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/155
-
156・湯山勇
○湯山委員 いまの御答弁ならばわかります。それじゃ、その選択の場合、五十万以下の場合、申し出があれば全部入れるわけですね、いまの御答弁だと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/156
-
157・森本修
○森本政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/157
-
158・湯山勇
○湯山委員 重ねて失礼ですけれども、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/158
-
159・森本修
○森本政府委員 基金協会のほうから通知があれば、中央の保険協会はそれを必ず受けるように指導してまいりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/159
-
160・湯山勇
○湯山委員 そうすると、基金協会のほうでどれだけという制限を加えるということもありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/160
-
161・森本修
○森本政府委員 基金協会のほうは、先ほど申し上げましたように、ある程度選択の余地を残すわけでありますから、全部を中央にかけるというわけにはいかないところもあろうと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、そういうふうなことであって、末端の農家に対して保証を行なうといったような事態が生じてまいりますれば、われわれとしては十分指導していきたいということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/161
-
162・湯山勇
○湯山委員 どうしてもその辺がわかりかねるのです。こういうことですね。基金協会は、末端の農家に対しては、五十万以下であってもいまの保険に入れるように手続をする、その場合は、基金協会が一〇〇%持ってくれば、これは保険料を納めるわけですから、もう全部入れる、その判断は基金協会の意思によるのだ、どの基金協会も一〇〇%やれば、保険協会はもうそのとおり受けとめる、したがって、その選択をするような指導はしない、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/162
-
163・森本修
○森本政府委員 ちょっと話が違っておるかと思うのですが、基金協会のほうで、選択の部門についてこの程度保険にかければ、自分が行なう保証について支障はない、こういうふうに判断をすれば、もちろん一〇〇%保険にかけなくてもいいわけなんです。ただ、先ほど来申し上げておりますのは、基金協会のほうで保険にかけることをしぶりまして、その結果保証に支障を来たすといったような事態になりますれば、われわれとしては十分指導をしたい、そういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/163
-
164・湯山勇
○湯山委員 局長のおっしゃることは大体わかりました。ですから、いま言われるような点からいえば、結局基金協会がそういう方法をとるかとらないかにかかっておるわけですから、そこで、それなら、この制度がいいものであれば、これはもちろん全部入る。もしいまのような選択の余地を残せば、むしろうんとあぶないのだけ保険にかけて、絶対だいじょうぶだというものだけを自分のところに残しておく、こういう選択も可能になりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/164
-
165・森本修
○森本政府委員 抽象的には、そういうことはいわゆる逆選択ということで考え得るわけでございますけれども、元来、融資をいたしますときに、これはきわめて危険であるというふうなものについては、たとえその保証がありましても、あるいは代弁がありましても、若干の日にちがかかる等の事情があるわけでございますから、これは絶対返らないといったようなものは、まず融資をし保証をするといったような事態じゃないじゃないか。これは理屈になりますけれども、しかし、何といっても、これは長期的な資金でありますから、貸し付けをした後のいろいろな条件の変化によって、返済がむずかしい、こういう事態に対処する仕組みであります。そういうことを考えますならば、逆選択をする余地というものはきわめて限られておるのではないか。融資をし、保証をし、保険にすぐかけるわけでありますから、逆選択をする余地というものはきわめて限られておるのではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/165
-
166・湯山勇
○湯山委員 私は、先ほど言ったように、末端農民の借りやすい、借りにくいという条件がつくことと、それから今度融資する末端の農協においても個人個人の実情をよく知っているのですから、そういう点からいえば、局長の言われるほど楽観的なものではないと思います。そこで、むしろ、そういうようなことをしないで、全部包括にしてしまう、選択というようなものはなくするという方向をとるべきじゃないか。あるいは五十万というその境界線も必ずしも不変性を持ったものでもない。固定したものでもない。これも将来上げることがなくても下げていく、こういうことならば、いまは五十万で引くのも、私は御答弁によっては了解してもいいと思います。しかし、将来の問題は、この制度がうまく運用されていく、そして安定してくるという段階では、むしろこういう二つに区分するということをなくする、そのほうがいいんじゃないか。ことに五十万という区切りをつけて、五十万円借りる人は自動的に包括保険でいく。精密に計算して、これならやれるという四十九万の人は選択される。来年はその同じ人が今度は包括でいく。これも制度として必ずしもいいことじゃないし、こういう制度そのものは、制度に対する信用も大事なんですから、そういう点からいえば、とにかく段階を追ってこの二つの区分をなくするという方針をお立てになれば、そう二万、三万借りるとか、そういうようなこともだんだんなくなってくるし、およそその最低限も固まってくるだろうししてくるわけですから、こういう煩瑣な、しかもいろいろその間にあやのあるような、あるいはあやはなくても、あるように思われる制度は解消すべきではないか、なくすべきではないかというように思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/166
-
167・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、ことしは五十万、来年は七十万というように、あまりこういう制度を時に応じて変動させるということもいかがなものかと思います。ただ、先ほど来申し上げておりますように、とりあえずこれで出発をさしていただきまして、運用の実情を見まして、あるいはこの基準になる額を調整していく。またもし選択をやっていきますと、いろいろな弊害ができるといったような事態になりますれば、御指摘のような方法で検討するにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/167
-
168・湯山勇
○湯山委員 それでけっこうでございます。
その次にお尋ねしたいのは、これははなはだ理解に苦しんだ点なんですが、基金協会から保険協会に納める保険料、その率が、保証債務に年三%以内の率でかける、こうなっています。これは実際は三%以内というのは、幾らおかけになる御予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/168
-
169・森本修
○森本政府委員 現在の予定では、年率にいたしまして〇・三%程度を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/169
-
170・湯山勇
○湯山委員 これは普通の常識では、こういうきめ方というのは、ちょっと理解できないのです。三%以内といえば、三%に近いところ、二%とか一%半とか、その辺に落ちつくのが普通の常識なのです。ところが、この法律には三%以内となっていながら、実際の適用は年率〇・三%、その十分の一というのは、これは相当な理由がなければそういうことにならないと思いますので、その理由を御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/170
-
171・森本修
○森本政府委員 確かに御指摘の点はあると思います。法律をつくります段階で、ざっくばらんに申し上げますと、そういう議論もいたしたのでございますが、他の、たとえば中小企業信用保険、あるいは中小漁業の同様な制度、あるいは住宅金融関係等にも三%というふうになっておるわけでございます。そうした諸機関の実際の保険料を見ますと、やはり一%とか一%弱といったようなことで実行いたしておるわけでございます。多少、法律のていさいと実行の間にギャップはございますけれども、いま申し上げましたようなことで法律を作成いたしましたので、その点をひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/171
-
172・湯山勇
○湯山委員 いまの御説明ならばよくわかります。ただ、ここで心配な点は、金融情勢というものは、御存じのように、非常に動いております。そこで、あるいは場合によってこの協会の運営がむずかしくなってくるというような場合、あるいは負担が多くなってくる。そういう場合に、法律に三%と書いてあるんだから、〇・三を〇・五にするとか、一%にするとか、そういう操作が行なわれるおそれはないか。最高度に上がったとしても、たとえば〇・五%以内だというような、何かそこにお腹づもりがあって、ほかの法律との関連じゃなくて、この法律単独で出すとすれば、上限はどの辺だろうというお心づもりがあれば、これも記録に残しておくほうがいいと思いますので、ひとつお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/172
-
173・森本修
○森本政府委員 御案内のように、保険の料率でございますから、これは実際の事故率との関連を持って動くわけでございます。したがいまして、いま何%が最上限であるということはちょっと申し上げにくいのでありますけれども、元来、かなり長期間の事故率の推移を見て、こういうものはきめるべきものでございますから、〇・三%で出発いたしまして、数年を経過して事故率等の変動を見て、この率は調整されるべきもの、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/173
-
174・湯山勇
○湯山委員 それでは、〇・三%でやっていかれるというのですが、この〇・三%は何に充当するわけですか。これは協会の事務費とか、そういうものになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/174
-
175・森本修
○森本政府委員 保険の制度でございますから、この保険料は事務費等と混同をすることはございません。これは将来の保険金の支払いの財源として協会に確保されるべき性質のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/175
-
176・湯山勇
○湯山委員 初年度どのくらいを見込んでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/176
-
177・森本修
○森本政府委員 保険料の徴収は、金利のような形で取ってまいりますので、漸次年とともにふえてくる。一つの件数につきましても、そういうふうな関係になっております。初年度いまの見込みでまいりますと、四千百万円くらいを予定しておりますが、漸次二年、三年、四年、五年というふうに経過しますに従って、二億、三億というふうにふえてまいる、そういうふうな試算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/177
-
178・湯山勇
○湯山委員 一般の場合の保険料に比べると、非常に低いと思います。この〇・三%というのは、どういう根拠でお出しになったか、算定の基礎をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/178
-
179・森本修
○森本政府委員 〇・三%は、先ほど申し上げましたように、事故率を三%と押えまして、代位弁済がありますれば、保険金を支払うわけでありますけれども、それ以後若干の回収金が出てくると思います。回収金まで保険料に込みますと高額になるわけでありますから、保険料としては、事故率から回収率を控除いたしまして、〇・三%を割り出しておる。なお、通常の保険でありますれば、付加保険料というようなものを徴収するならわしがございますけれども、一般の事務費等については、保険料に込めないで計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/179
-
180・湯山勇
○湯山委員 事故率の三%というのは、これはどういうところから出てきた数でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/180
-
181・森本修
○森本政府委員 先ほど延滞率のところでお話を申し上げましたが、三十七年と三十八年の近代化資金の返済すべき額についての、償還期から一年を経過した後の延滞額、それが両年を通じて平均すると、率にいたしますと三%になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/181
-
182・湯山勇
○湯山委員 そういたしますと、一年未満のものもありますね。これも相当多いのじゃないかと思います。半年にしても、二つあれば一年と同じように理屈をいえばなるわけで、そういうものを全部省いて、一年以上というのだけで計算して、はたしてだいじょうぶなのかどうか。また、先ほどの選択保険の場合ですね、それとの関係等もあって、はたしてこれは保険設計がこれでうまくいくものかどうか、ちょっと心配になってまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/182
-
183・森本修
○森本政府委員 一つは、いわゆる保険準備資金というものを持つことになっておりまして、これは国のほうからの交付金と、それから各会員の出資金をもって充てることになっております。保険準備資金は、先ほどの保険料の収入をもって保険金の支払いが足りないといったようなときの異常危険に対応する準備金でございます。そういう点からいきますれば、多少保険料収入と保険金の支出との間にギャップができましても、一つの準備金を持っておるわけでありますから、十分対応できる、そういうふうに設計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/183
-
184・湯山勇
○湯山委員 いろいろいまからお聞きしたいところ、こまかい数字にわたる点があるので、いまそれを一々お聞きしておってもどうかと思いますし、私ももう頭の中が混乱しそうになりましたりしますので、保険設計の計算書のようなものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/184
-
185・森本修
○森本政府委員 いまここで申し上げましたようなものを整理して…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/185
-
186・湯山勇
○湯山委員 こういうふうに整理していただいたらと思うのです。近代化資金、それから経営資金、両方ありますけれども、これは近代化資金だけに限ってもいいと思います。それがどれだけ来年度出る、あるいは再来年、その次の年、三年ぐらいはこの説明にありますから、八百億、八百五十億、九百億というぐらいにして、そうしてその中で保証保険にどれだけ、融資保険にどれだけ、それからいまのような代行保証をどれだけ見込むとか、代行の弁済ですね、それをどれだけ見込むとか、それからいまの保険料がどれだけ入ってくるとか、運営経費がどれだけ要るとか、こういうのは何というのですか、損益計算書ですか、対照表ですか、そういう保険の設計と、それからその表ですね。そうすると、大体事故をどれだけ見込んでおり、それがどれだけ払われ、あとで回収されるものがどれだけあってというように、それを表でお示し願いますと、いまから質問申し上げたい五つ六つの事項が全部それに出てくるわけです。いまのような調子で一つずつお聞きしていきますと、今度はまた選択の率の問題がからんでくるし、ごっちゃになって、お尋ねするほうもぴんとしたお尋ねができないと思うし、お答えに対する理解も不十分だと思いますので、そういう資料をお出しいただいて、それからまたお尋ねいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/186
-
187・森本修
○森本政府委員 できるだけ早く出すことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/187
-
188・湯山勇
○湯山委員 それではいまちょうどそういう数字のところに入ってまいりましたが、入り口のところですから、これであとは留保させていただいて、資料をいただいてからにさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/188
-
189・大石武一
○大石(武)委員長代理 明十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X01419660316/189
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。