1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月九日(木曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 中川 俊思君
理事 大石 武一君 理事 倉成 正君
理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 東海林 稔君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
金子 岩三君 小枝 一雄君
坂村 吉正君 笹山茂太郎君
白浜 仁吉君 綱島 正興君
中川 一郎君 野原 正勝君
長谷川四郎君 藤田 義光君
森田重次郎君 小川 三男君
兒玉 末男君 千葉 七郎君
西宮 弘君 松浦 定義君
森 義視君 湯山 勇君
玉置 一徳君 林 百郎君
出席国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
国 務 大 臣 上原 正吉君
出席政府委員
総理府技官
(科学技術庁資
源局長) 佐々木 即君
農林政務次官 仮谷 忠男君
農林事務官
(農林経済局
長) 森本 修君
農林事務官
(農政局長) 和田 正明君
農林事務官
(園芸局長) 小林 誠一君
林野庁長官 田中 重五君
委員外の出席者
農 林 技 官
(農地局参事
官) 佐々木四郎君
日本国有鉄道常
務理事 今村 義夫君
専 門 員 松任谷健太郎君
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六月九日
委員山本幸一君及び玉置一徳君辞任につき、そ
の補欠として小川三男君及び西村榮一君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員小川三男君及び西村榮一君辞任につき、そ
の補欠として山本幸一君及び玉置一徳君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
野菜生産出荷安定法案(内閣提出第一三一号)
派遣委員からの報告聴取
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/0
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001・中川俊思
○中川委員長 これより会議を開きます。
野菜生産出荷安定法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/1
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002・兒玉末男
○兒玉委員 時間が非常に制限されておりますので、問題点をしぼって御質問したいと思います。
先般の予算委員会並びに本会議で、長官にもお尋ねしましたが、あまり具体的な御答弁をいただくことができないで、たいへん不満に思っておるわけですけれども、今回の野菜法案が提案され、その内容等から判断いたしますと、いま科学技術庁が進めているところのいわゆるコールドチェーンの構想の中で、特に海上輸送分野における問題というのが非常に焦点になっております。この前の長官の答弁では、いつこれが実現するのか、その辺の目安についても、具体的な答弁を引き出すことができなかったわけでございますけれども、今日生鮮食品の中で、特に野菜等の輸送距離というものが、比較的中、遠距離の地域から相当量が運ばれている現状でございますけれども、特に鮮度が低下する、こういう点から、輸送時間の短縮あるいは輸送形態の改革、こういうことが特に強く主張されているわけであります。いま技術庁が行なっているところのこの海上輸送関係について、現在どのような状況にあるのか、この点、まず長官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/2
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003・上原正吉
○上原国務大臣 生鮮野菜の海上輸送を実際に実施してみましたのは、御承知のとおり、宮崎県が県の力でこれを実験的におやりいただいた、これが最初でございまして、私は、到着の荷物も、それからその後現地に参りまして、栽培状況、それから輸送の御準備なども拝見いたしてまいりましたが、予期以上に好成績がおさまっている、かように考えておる次第でございまして、まだ科学技術庁自身で実施いたしまする事例的実験というのは行なわれておりませんけれども、これに非常な参考になった。そしてこれは成功するというふうな確信に似たものを抱いて帰ってまいりました。科学技術庁自身が行なっているというところまでまだまいっておりませんのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/3
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004・兒玉末男
○兒玉委員 資源局長にお伺いしたいのでありますが、いま長官がおっしゃいましたが、特に宮崎県が先月の十二日と今月の五日、二回にわたって輸送テストを行なっておりますが、これはもちろん初歩的な段階であり、しかも長期の構想に立ったものでなくて、まだまだ相当改善しなければいけない。しかしながら、このような問題は、単に一県だけでできる問題ではないと私は思うのですが、現在科学技術庁として、いま長官の御答弁もありましたが、まだ技術庁自体が実際に運用する段階にはほど遠い感を抱くわけですが、現在具体的にどういうふうな作業が進められているのか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/4
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005・佐々木即
○佐々木(即)政府委員 御質問の点に関しましては、いま長官から御説明がございましたように、いわゆるコールドチェーンの事例的実験というものを本年度から実施するように予算を準備いたしまして、その問題につきましては、なお農林省といろいろ実際にやる場合の方式等について相談をいたしておりますけれども、いわゆる遠距離の海上輸送という問題に関連いたしまして、その中で、遠距離海上輸送の中の特に低温輸送というものを取り上げまして、本年できるだけ早い機会に準備を進めまして、遠距離海上輸送に関連があるコールドチェーンの技術的開発ということに手をそめることにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/5
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006・兒玉末男
○兒玉委員 大体現在の宮崎県の行なっているテスト輸送では、約三十七時間くらいかかっているわけです。しかし、今後技術庁が考えている輸送時間というのは、大体どの程度を目標として検討し、進められておるのか、この点お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/6
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007・上原正吉
○上原国務大臣 実は、最初に科学技術庁が試算いたしました予定時間よりも、少々でございますが、早く着いておるのでございます。そうして今後この時間はまだ短縮できると思うのでございます。御承知のように、八百トンの船でございまして、そう新進気鋭の船でもないのが事実でございますから、まだ短縮できるつもりでございます。それにまた科学技術庁が予定をいたしました時間でも相当早いのに、御承知のように、一日半で着いておるということでございますから、相当なスピードでございます。陸路輸送することなどを考えますと、非常に早くて、そうして荷いたみなどもほとんどございませんでしたから、これは短距離と変わりないと考えて差しつかえないと思うのでございます。それからまた、輸送の状態も、汽車、トラックで運びますよりは、はるかに荷いたみのない完全な状態で、新鮮な鮮度のものが送られてまいったという事実でございまして、これは非常に成功だったと思うし、さらにこれを科学的に検討を加えてまいりますれば、時間も短縮でき、鮮度もまた一そう十分な鮮度で輸送ができる、こういう考えを抱いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/7
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008・兒玉末男
○兒玉委員 資源局長にお伺いしたいのでありますが、構想は確かにいいといたしましても、やはり形成の問題、あるいはこの輸送によって、現実的に他の輸送機関に比較してどの程度の運賃等が節減できるのか。もう一つは、何といっても輸送量というものが、やはり相当数、しかも計画的に生産をさせなければ、せっかくの輸送船の効果というものが十二分に発揮できないと思うのですが、この辺をどのように分析されておるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/8
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009・佐々木即
○佐々木(即)政府委員 この海上輸送問題につきましては、一応いろいろな仮定を設けまして、そうして一種の試算をいたしまして、そうして海上輸送について、今後特に遠距離については見込みがあるといろ一つの報告を昨年の九月にしたわけでございます。ただ、これはやはり何と申しましても、大量に物が運ばれるというところからいわゆる輸送費の低下が考えられるわけで、最近宮崎県でやられました実験につきましても、量が少のうございますから、勢い輸送費はコスト高についておるということはやむを得ません。私どもが考えておりますこの実験につきましても、やはりそう大量のものはできませんので、いわゆるコストそのものが非常に安くつく実験というところまではなかなかまいりませんけれども、こういった試算を通じまして、今後改良すべき点は探り出せると思います。また、先生の仰せになります大量にという問題につきましての現地の体制でございますが、これもやはりたとえば専用船が動けるようになるというような問題とからみましては、それに応じた生産体制というものができなければなりませんし、勢いそれに関連いたしまして、たとえば集団産地の形成の問題、あるいはそういった主産地から港まで計画的によどみなく品物が流れてくる、それがまた船待ちについても十分な施設が整えられまして、港でものがかわいたり、腐ったり、いたんだりということがないようにする、こういったような問題につきまして、今後検討を続けていかなければならない問題だと思います。また、そういう体制ができるところから、初めて大量の輸送ということが実現できるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/9
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010・兒玉末男
○兒玉委員 この点、私は、やはり今回の法案にある指定産地との関係もありまして、将来指定産地を拡大するという方向に努力してもらうように、昨日も要望しているわけですが、その辺の関連ということを十分考えていかないと、せっかく国がばく大な金を投じて輸送船をつくりましても、その効果はなかなか期待できない。その辺のかね合いについてどういうふうなお考えを持っておるのか、お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/10
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011・佐々木即
○佐々木(即)政府委員 私どもは、この遠距離海上輸送、特にコールドチェーンというものに関連しまして、差しあたりどうしても必要な技術的な問題、新しい技術の開発を追うことにいたしております。それも各省の御協力を得まして追うことにいたしております。当然、その実験の経過を見ながら、だんだんに実施部門にそういった成果をお伝えし、そうして実施部門がいろいろお考えくださるときの御協力を申し上げたいと思っておりますし、さらに進んでそういった方面にも実験の成果、また考え方というものもお伝えして、そういう部面の努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/11
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012・兒玉末男
○兒玉委員 今後の問題として指摘されるのは、輸送された青果類が、東京なら東京の市場における出荷状況等から判断しまして、やはりある程度市場へ出すのをコントロールしなければならない。そうなりますと、当然一定の期間貯蔵ということも考えなくてはいけない、そういうふうな施設等も並行的に進めていかなければならないと思いますが、その辺はどういうふうな措置をとろうとされるのか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/12
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013・佐々木即
○佐々木(即)政府委員 御説のとおり、いわゆる生産地の側の出荷体制ができ、そうして輸送という体制ができたといたしましても、これに関連いたしまして、生産地、中継地、消費地、こういったところで貯蔵庫を設けまして、そうしていわゆる低温帯というものを最後の小売り店まで届ける中の重要な一環として、これをどこにどれだけ——生産地、中継地、消費地、どこにどれだけということは、実際問題としてのいろいろな関連がございましょうけれども、とにかくそういったものを体系的に整えるということが当然必要でございます。これが輸送あるいは生産地体制と相まって、初めて野菜の遠距離の輸送ということが実現するものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/13
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014・兒玉末男
○兒玉委員 それと関連しまして、特に現在の日本のいわゆる青果関係の生産から消費までの過程を見ておりましても、非常に零細な小売り業というのが非常に多いわけです。ですから、今後のこのコールドチェーン構想の中にも、そういうふうな零細な小売り業等についてもある程度統合するような形で持っていかないと、せっかくのコールドチェーンの構想が十分効果をあげることができないのではないか。アメリカ等の先進国においても、やはり三十数年の長い経験の中から現在の段階に達しておるわけでありますけれども、そういうふうな流通全体を通ずる一つの合理化といいますか、あるいは改革といいますか、この点をどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/14
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015・上原正吉
○上原国務大臣 おっしゃるように、産地から東京あるいは大阪の市場まで完全に運んでまいりましても、それから先が問題であると思うのでありす。そして、アメリカで行なわれておりますような、消費者に対する供給機関というものが完備いたすまでには、相当な期間が日本でもかかるのではないかと思いますし、それには科学技術庁の管轄外ではございますけれども、流通関係でございますから、通商産業省の管轄になると思いますけれども、通商産業省にお願いして——つまり、せっかく産地から東京、大阪の消費地の市場まで持ってまいりましても、市場から先、コールドチェーンの最終形態としての冷蔵冷凍の貯蔵が小売り店で行なわれなければ、効果が十分あがらぬわけであります。これにはぜひ通商産業省にも力を入れていただいて、産地から消費者の台所まで、新鮮で、安価で、しかも安定した生鮮食料品が送られ、配給されるようにいたしたい、そして有終の美をなしたい、この努力を一そう重ねてまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/15
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016・兒玉末男
○兒玉委員 とにかく各省にまたがる仕事であって、これが実現の段階までには相当困難が予想されるわけでありますけれども、やはり科学技術庁はその推進役でありますから、積極的な取り組みを私は要望したいと思うわけであります。
次に、局長にお伺いしたいのでありますが、この輸送船の構想について、西日本新聞というのがございますが、この報道によりますと、大体四年後にはこの専用船が実現するというふうな記事が出されております。この点、おそらく長官が先般宮崎に行かれ、そのほかいろいろな情報が流されたものと思うのですが、その辺は大体具体的にどういうふうな見通しなのか。また、四年後にこの冷蔵船の実現が可能なのかどうか。この点、ひとつ作業を進めておる立場から、どういうことでこういう線が出たのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/16
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017・佐々木即
○佐々木(即)政府委員 輸送船の実現できる見通しが四、五年先と、こう仰せでございましたが、科学技術庁といたしましては、その辺はいささか守備範囲の外になりますし、特に具体的にいつ実現できるというふうなことを申したことはございませんが、私どもが研究いたしました南九州の農産物の海上輸送についてという一種の報告のようなものを四十年の九月にしたわけであります。その中のいろいろな試算の中に、南九州も農産物の生産態勢がだんだんよくなり、そして増産もできるというようなことを前提に、当然この輸送ということが問題になりますので、この試算の過程の中で、昭和四十五年というものを一応試算の目標に立てまして、その間における南九州の野菜の伸び、こういったものを前提に試算したものでございます。あるいはその辺から、実際にそれが四十五年ないしはその前後におきまして実現ができるような見通しをわれわれが立てておるというふうに、船のほうをお考えになったのかもしれませんけれども、当庁といたしましては、その点は具体的に四十五年のめどを立ててということはございません。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/17
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018・兒玉末男
○兒玉委員 もう一点お伺いしたいわけですが、この点は長官にお伺いしたいと思います。この計画が実際に行なわれる場合、一般に民間資本等を投入してこの輸送が行なわれるということも聞いておるわけですが、大体このような特殊な輸送というものは、やはり国の資本で行なうべきだ、特定の企業にこれを独占させるべきではないと私は考えます。というのは、生産と需給の関係、あるいは生鮮食料品の輸送という特殊な形態から考えましても、また生産者と消費者を守るという点等からも、これは特定の企業等が行なうべき筋じゃないと思うのです。また経済性の面から考えましても、一年じゅうを通じてオールにこの輸送船が運航できるという状況にもないわけですが、その辺の立場から、経営の形態というものをどういうふうにお考えになっておるのか、この点お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/18
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019・上原正吉
○上原国務大臣 仰せのように、こういう仕事は初めから営利を目的にやって成功するとは思えないことなのでございます。各省にまたがる関係上、科学技術庁がその試験をやってみようというのが、ことしの予算をちょうだいした、また来年ももらうであろうところの予算の使い道なのでございまして、これを国営でやろうという考えは実はないのでございます。これでやれる、これが有利であるという結論を、実験の結果動かぬ証拠をあげて出しまして、それならやってみようということになれば、企業者でもよし、あるいは公共企業体でもよし、こういうのが、正直なところいま考えておるところなのでございます。この点、宮崎の知事さんなどとも話し合いましたけれども、知事さんも、県営でやれという意見が県内に強いけれども、どこまでも県営でやるということは無理だ、だが、試験、実験の段階では、国も県もそのリスクを全部負担して、安心して出荷ができ、安心して販売ができ、安心して回収ができるという方法でやってみて、それでしっかりやれるんだということになってから、公社をつくるか、あるいは農協を統合してやってもらうか、そういう形にしなければなるまい、こうおっしゃっておいででございました。また、その点は、今後の運営は主として農林省にやっていただくことになりますから、農林省ともお話し合いの上で、何らかの経営形態を考えなければならないと思いますけれども、国営あるいは公営でやるというところまではまだ考えておりません。これが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/19
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020・兒玉末男
○兒玉委員 資源局長にお伺いしたいのですが、先般二回行なわれました海上輸送のテストというのは、今後科学技術庁が作業を進める上においてもきわめて重要な問題ではなかろうかと思うのですが、先般の輸送の結果をすでに分析されておるのかどうか、あるいはまた輸送経費の問題その点等、どういうふうな一応の結論を得ているのかどうか、もしおわかりであればお聞かせをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/20
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021・佐々木即
○佐々木(即)政府委員 二回にわたります中間報告、それは県のほうからもいただきましたし、別途日本通運等からもいただきまして、目下検討中でございますが、総括的にこれをどうこう申し上げるほどまとめておりませんけれども、私どもが主として注目いたしましたのは、私どもの実験の中に、県の実験でまずい点があれば再びそれを繰り返さないようにという意味で、そういう検討をやっておるわけでございます。たとえば、最初運ばれました第一回の輸送船の場合に、中にそれを冷やす施設をおつくりになっております。サーモキング程度の施設であるが、大量の野菜を運ぶときの野菜の呼吸熱が室内の温度を押えるまでに至らなかったので、そこで、私どもの実験の際には、あらかじめ港でよく冷やしておきまして、それを船に積み込んで輸送するといったような技術的な点につきまして、逐次検討を続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/21
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022・兒玉末男
○兒玉委員 時間がございませんので、最後に、長官にお願い申し上げたいことは、この種の輸送ということは、今後非常に重要な使命を持つものと私は考えます。でありますので、この遠距離輸送なり、また、高知なり南九州のように、地理的、気候的にいろいろ自然的条件に恵まれておりますけれども、いままでそういうような輸送面の解決ということが困難であったために、いろいろな条件に恵まれておりながらも、今日まで成功を待ていなかった、こういう点から、今後技術庁の構想とこの輸送船の問題は非常な期待を持っておるわけでございますので、とにかくこれから早期運航ができますように格段の御努力を要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/22
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023・中川俊思
○中川委員長 先般、入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案の審査に資するため、各地に委員を派遣したのでありますが、この際、派遣委員からその報告を聴取いたします。第一班舘林三喜男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/23
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024・舘林三喜男
○舘林委員 入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案の現地調査第一班として、六月三日から六日までの四日間、秋田、山形の両県に派遣され、入り会い林野等の実情について調査してまいりましたので、調査内容を簡単に御報告申し上げます。
調査班は、東海林稔君、千葉七郎君、林百郎君、それに私を加えた四名の派遣委員と、現地参加委員として秋田、山形両県の全調査日程に参加された笹山茂太郎君の五名で編成されました。
われわれは、まず、県庁において、知事をはじめ関係係官から、県内における入り会い林野等の現状と問題点及び県としての要望事項等について、総括的な説明を受けた後、町村会、森林組合連合会等地元関係団体から意見聴取を行ない、さらに、各県とも一カ所ずつ入り会い現地において調査を行なってまいりました。そこで、本報告の内容といたしましては、時間の都合もありますので、調査日程に従い、以上の調査内容の要点のみをかいつまんで申し上げることといたします。
まず、秋田県について申し上げます。秋田県における入り会い林野等の現状は、その面積十六万五千ヘクタールで、民有林野中に占める入り会い林野等の比率は全国第一位となっておりますが、そのうち、原野がかなり多く、また複数の部落が入り会う、いわゆる村々入り会いの形態が残っているという特徴があります。
県においては、これらの入り会い林野等の利用増進をはかることを農林業施策の重点として取り上げ、未利用地開発計画を策定し、草地開発公社、林業公社等の設立を見て、その実施に着手する段階にきております。しかしながら、入り会い林野等の権利関係が整備されていない現状に当面して、これらの施策の有効な推進が妨げられているという悩みをかかえている状態にありまして、その打開策として、国による入り会い林野等の権利関係の整備についての制度上の解決が望まれているのであります。この点について、秋田県知事は、今回の法律案は、このような県の開発計画を推し進めるにあたって時宜を得たものであるとし、歓迎の意を表明したのであります。しかしながら、同知事は、法律案は、あくまでも権利関係の近代化そのものを内容としているにすぎないのであるから、それは入り会い林野等の開発のための糸口となるものと理解すべきであって、権利の近代化のみに終わってはならない、近代化の施策とあわせて、農畜林の総合的な国の助成施策が講じられなければならない旨を強調し、その点についての配慮を特に要望したのであります。
次いで、秋田県における市長会、町村会、森林組合連合会等の団体を代表して、町村会長より、法律案についての賛意が表明された後、その早期成立が要望されました。さらに、近代化後における農林業経営の健全な発展、特に協業経営の発展をはかるため、新しい農林業を含めた協業組織、現行生産森林組合の制度上の規制の緩和等について、今後の課題として検討を要望する旨の陳述がなされたのであります。
以上、県当局及び関係団体の陳述を受けた後、南秋田郡昭和町豊川地区の現地におもむき、部落の代表者らより事情を聴取いたしました。当入り会い地は、秋田市内の部落との入り会い山であり、旧来の村々入り会い地の残存したものでありまして、両部落の持つ旧来よりの持ち分の割合と現在の利用の実態とが異なっているために、部落民自身の積極的な労資の投入がはかれないという実情にあり、それを反映して、入り会い林野の大部分は利用が放置されている状態にあったのであります。これについて、関係者らは、法律の制定を機に、県当局等の助言指導を得て権利の調整を行ない、新しく造林を進めていきたいという熱意を表明したのであります。
以上が秋田県における現地調査の概要でありますが、次に、山形県について御報告いたします。
山形県における入り会い林野等の面積は八万六千ヘクタール、実測すれば十万ヘクタールをこえ、民有林野面積の約三〇%に達しております。本県におきましては、秋田県の場合とは異なり、村々入り会いは比較的少ないのでありますが、利用が粗放であるという点は、秋田県の場合と同様の状況にあると見られております。また、町村合併を契機として、生産森林組合に移行した入り会い林野等が二十近く存在している点が、秋田県とは若干異なった特徴であります。
県当局におきましては、昭和三十六年度から部落有林野整備促進事業を行なってきており、モデル地域を指定し、権利関係の近代化と利用や経営の合理化に要する経費の助成を行なっているのでありますが、登記、税制等の問題が制度的に解決されていないため、県単補助事業としては限界があると説明しております。これらの問題意識の上に立って、県は、入り会い林野等の権利関係の近代化の措置を強く望んでいたところであるとし、今回の法律案の早期成立を要望し、特に昭和三十九年度から開始された林業構造改善事業の推進のためには、入り会い林野の近代化事業が可及的すみやかに行なわれる必要があるとしているのであります。また、近代化の措置と相まって、関連農林業助成施策を要すること、及び協業推進のための生産森林組合の制度上の改善を検討すべきことを要望され、この点につきましては、秋田県の場合と同様であります。
県当局の説明について、派遣委員から、近代化の際の全員同意という法律案の考え方が実施上問題はないか、また、既存の生産森林組合の活動状況はどうかという点について、質問がなされました。これに対して県当局は、全員同意は、県として適正な指導につとめることによってその実現は可能であること、また、既存の生産森林組合については、町村合併の過程で新町村に財産が引き継がれることをおそれるのあまり、単に所有名義を組合名にすることを目的として設立されたものであるから、なお旧来の慣習による運営が続けられているために、組合活動はきわめて不十分である旨を答え、協業組織がその目的を発揮するためには、権利関係の近代化とともに、経営意欲の盛り上がりが不可欠の条件であることの示唆を受けたのであります。
県当局の説明及び要望に続いて、市町村代表、町村会代表、県森林組合連合会代表、県林業協会代表等よりの法律案に対する意見及び要望がなされ、要約すればおおむね次の点が述べられたのであります。
一、林業経営基盤の充実をはかるためにも、法律案の制定に賛成であること。
二、林野の細分化、集中、分散のおそれがあるので、生産森林組合などの協業経営の方向に指導推進するとともに、これについて税制上の優遇措置を検討すること。
三、権利関係近代化の場合の登記の簡略化、登録税の減免等の特別措置が必要であること。
四、林道開設などを進めて、立地条件の改善整備をはかること。
五、近代化事業の補助率、補助単価等を構造改善事業並みに引き上げること。
六、特別融資制度を検討すること。
七、生産森林組合が施設森林組合に加入して、その協業を進めるようにすること。
以上のほか、これらの説明の中で、本県では、近代化して個別分割利用を望んでいる例も比較的あることが注目されたのであります。
現地の実情調査は、上山市菖蒲地区公民館において、上山市当局及び部落代表者の説明及び意見を聴取して行なったのであります。同地区の入り会い林野面積は、登記簿上は八十九町歩で、見込み面積では六百六十ヘクタールに及び、権利者は部落総戸数八十六戸のうちの六十七戸であります。この地区の入り会い林野は、筆数が三十三に分かれ、各筆ともに所有名義者が異なっていて、延べ百六十六名に及び、その大半はすでに死亡しておりまして、その子孫で地区外に住所を持ち、実質上は権利がない者が多いのであります。大正二年と昭和十三年の二回にわたって一部の分割利用を行ない、現在十二筆が個人利用にゆだねられており、残りは共同利用となっているのであります。分割利用地は、個人による造林が若干行なわれ、また一部はその山の利用権が他部落民に移動しております。共同利用地のほうは、薪炭需要の減少もあって、ほとんど利用されていないのであります。
この地区の特徴としては、部落が私設登記簿を持ち、移動があれば、権利証のごときものを発行したり、裏書きしたりして、その帰属を把握しておることであります。これは、正規の登記簿がすでに実質的な利用権とは乖離しているため、それにかわる土地の管理支配の権能を部落の入り会い権者が確保するための窮余の策として行なっているものであると考えられるのであります。しかし、この私設登記簿があるからといって、それを利用して国の融資を受けるわけにはまいらないのでありますから、そのためにも、権利の形式と実質とを一致させることが必要となっているのでありまして、部落の人々が今回の法案の成立を望んでいることが強く印象に残ったのであります。
なお、部落民の今後における経営についての意見は、立地条件に応じて数戸ないし十数戸による複数の生産森林組合等を設立して、協業により主として造林を行ないたいとのことでありまして、比較的労働力流出の少ないこの地区では、その方向は非常に有効なものであると見られるのであります。また、本年度より林業構造改善事業が行なわれることになっているということから、早急な法律の制定が望まれておるのであります。
入り会い林野等に関する秋田、山形両県における現地調査の大要は以上のとおりでありますが、われわれは、今回の調査目的外の問題ではありますが、せっかくの機会でありましたので、秋田県において、八郎潟新農村建設事業団による新農村建設事業の進捗状況について現地調査を行ない、関係者が熱心に事業の推進に挺身されておる姿を見てまいりましたことを特に申し添えます。
以上で第一班の調査報告を終わりたいと思いますが、われわれは、今回の調査を通じ、入り会い林野等の現状と問題点について十分なる認識を深めることができたわけでありまして、今回の調査に対し絶大なる御協力を払われた秋田、山形両県当局、秋田営林局、東北農政局、その他関係者各位に対し、この機会に衷心より謝意を表明し、簡単ながら報告を終わる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/24
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025・中川俊思
○中川委員長 次に、第二班田口長治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/25
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026・田口長治郎
○田口(長)委員 現地調査第二班の御報告を申し上げます。
第二班は、六月四日から七日までの四日間、高知、奈良の両県に派遣され、入り会い林野等の実情について調査してまいりました。
調査班は、森田重次郎君、芳賀貢君、松浦定義君、それに私を加えた四名の派遣委員と、現地参加委員として全調査日程に参加された赤路友藏君、森義=君の六名で編成いたしました。
まず、高知県について申し上げます。
高知県では、知事はじめ関係係官より、県内における入り会い林野等の現状と問題点及び県としての要望事項について説明を受け、次いで幡多郡西土佐村村長、安芸郡馬路村村長及び幡多郡大方町蜷川部落区長より意見の聴取を行ないました。
高知県における入り会い林野等は約一万八千ヘクタールで、県下林野面積五十五万ヘクタールに占める比重は高くはありませんが、これらは地域的に偏在しているため、県当局では、入り会い林野の有効的活用を偏在地域の後進性克服策の重要な課題の一つとして取り上げております。
ところで、これら入り会い林野等の現状は、そのほとんどが団体直轄利用であり、投下労働力は入り会い権者の無償提供、収益は部落の公共的事業費負担分として公費に振り向けられ、個人に分配される例は少ない、いわゆる最も初期の形をとっております。また、これらの入り会い林野等は、蜷川部落の例に見られるごとく、かつて官行造林事業によってかなり成績をあげたところもありますが、大部分は薪炭林として、従来から薪炭原木を供給しておりました。しかし、最近の薪炭需要の減少により、入り会い権者の一部からは、個人分割または入り会い林野等の解体を望む声が高まっております。しかし、入り会い林野等を分割したり解体するにいたしましても、権利関係の調整問題、登記、登録税等の費用負担の問題、及び入り会い林野等のまま個人分割したとしても、造林に必要な資金の確保、森林開発公団または県林業公社等による公営的造林の対象地たり得ず、このまま推移するならば、入り会い林野等は放置されるおそれが十分にあります。
ちなみに、これら入り会い林野等の人工林率を西土佐村の例によって見ますと、国有林、民有林の人工林率は七〇%ないし八〇%でありますが、同村の入り会い林野ではわずかに一四%にすぎないということであります。
このようなことから、今回提案されております法案の早期成立を期待する向きが大きいのではありますが、なお、この法案に対し次のような意見が述べられております。
その第一は、入り会い林野の整備にあたり、権者全員の合意を必要とするという点でございます。この点について、馬路村長及び大方町蜷川部落区長から、一部権者の反対により多くの部落民の希望と熱意が踏みにじられたこともあり、今後もそのおそれがあるので、多数決による解決策が望まれたのでありますが、この点、県関係者にただしたところ、今後この法律によって入り会い林野等を整備するにあたっては、地域振興対策の一環として取り上げるものであり、この施策との関連で関係者の説得に努力するので、問題の解決は可能である旨答弁がなされております。
その第二として、入り会い林野等を協業経営の対象とする場合、生産森林組合がその有力なにない手であるにもかかわらず、その設立、運営、管理等は、施設森林組合と同様にかなり煩瑣な手続等を必要とするので、これを手軽に設立でき、かつ現実に即した運営ができるような制度とするよう検討すること。
第三として、入り会い林野の整備に要する事務費の二分の一が県に対して補助されることとなっているが、このほか、市町村の啓蒙指導事務費、さらに整備計画作成のための調査費、測量、境界設置事業に対しても補助する必要があること。
第四に、入り会い林野等整備後の林業経営を安定させるため、政府関係機関または国の助成による造林の推進、林道網の整備等を強力に行なうことなどの意見が述べられました。
次に、奈良県について申し上げます。
奈良県では、県庁において関係係官より県内における入り会い林野等について説明を受け、次いで奈良県森林組合連合会専務理事及び五所市吐田郷生産森林組合長より意見を聴取し、その後、宇陀郡大宇陀町の現地調査を行ないました。
奈良県は、わが国有数の林業県として、早くから入り会い林野等の解体が進み、優秀な林業経営が行なわれている反面、残された入り会い林野等は権利関係が複雑で、このため集約的な利用がはばまれているのが現状であります。しかも、入り会い林野等の存在する地方は、わが国でも有数な美林地帯であり、まわりの民有林経営は単位面積あたり百三十立方メートルと、全国平均の約二倍に及ぶ蓄積を誇っておるのであります。
このため、県では、入り会い林野等に対し潜在する資源価値を引き出すことを林政の主要な目標の一つとしており、また、入り会い林野等に関係する市町村または部落においても、主として権利関係の調整をはかり、その有効利用をはかることに過去幾多の努力が重ねられてきたようであります。しかし、権利関係の調整、登記等に要する経費の問題、及び個別に私権化した後権利の集中または分散の問題があったため、今日いまだに約二万ヘクタールに及ぶ入り会い林野等が残っているのであります。このような問題は、今回の法案の成立によってそのほとんどが解決される見通しでありますので、入り会い林野等を持つ関係町村並びに住民は、この法案の早期成立を期待しているのでありますが、なお、次のような意見を述べております。
その第一は、高知県の場合と同様、全員同意によってのみ入り会い林野の整備が可能であるため、一部の反対者のため整備がおくれ、またははばまれるのではないかとの不安があること。
第二に、入り会い林野等を個別に分割化するならば、取得面積が少ないため、権利の集中、分散が行なわれる可能性があり、これを防止するには、生産森林組合等による協業の推進または施設森林組合に対し施業の委託を行なうよう強力な指導が必要であること。
その第三として、生産森林組合に対する税法上の取り扱い、特に法人税については個別経営のごとき恩典が与えられていないため、吐田郷森林組合の例に見られるような多額の税負担の問題が起こるので、税制の検討が必要であることなどの意見が述べられました。
以上のような説明並びに意見を聴取したあと、宇陀郡大宇陀町におもむき、町長並びに同町五貫山入り会い関係者より現地の実情について説明を受けました。五貫山入り会い林野は総面積三百ヘクタール、権利者一千戸を有する林野で、古来からまぐさ場として利用されておりましたが、昭和十七年官行造林事業による造林を進めるべく、住民はこれを町有林として無償提供し、その後慣行使用林野として利用しているものであります。しかし、現在は利用する者も少なくなり、原野笹生地として放置され、まわりの民有林に比べ対照的な林相を示しております。かかる現状から、町当局はこの地に造林を進めるべく、昭和三十三年以来権利者と協議を進めたのでありますが、一部の者の反対によって現在に至るも解決されず、原野のまま放置されているのであります。これらの反対は、今後この法案の成立によって、県当局のあっせんも期待でき、早急に解決されるものとして関係者は大いに期待を持っているのであります。
以上をもって入り会い林野等の調査報告を終わりますが、なお、高知県におきまして、去る五月二十日の集中豪雨による農林水産関係災害の復旧に関する要望及び農林水産業振興に関する関係団体からの陳情を受け、あわせてせっかくの機会でありますので、野菜生産に関する現地調査を行ないましたことを御報告いたします。
このたびの調査にあたり、御協力を賜わった高知県、奈良県及び関係地方農政局並びに営林局に対し心からお礼を申し上げ、この報告を終わる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/26
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027・中川俊思
○中川委員長 以上で報告は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/27
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028・中川俊思
○中川委員長 引き続き野菜生産出荷安定法案を議題といたします。
質疑を続行いたします。小川三男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/28
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029・小川三男
○小川(三)委員 野菜生産出荷安定法案に関連しまして、野菜の生産と出荷の安定を確保するためには、まずその基礎である農地を確保しなければなりません。ところが、東京都を中心に南関東ではほとんど農地の非常な壊廃が行なわれている。工場の建設あるいは団地の建設等によって、農地は無計画の状態の中で放置されている。こういう状態に対して、農地を確保するために農林当局はどんな具体策を講じられておるのか、その点伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/29
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030・佐々木四郎
○佐々木説明員 お答えいたします。従来とも、農地の壊廃に対しましては、そのつどいろいろな条件がございますので、対策を講じてまいりましたけれども、この趨勢が非常に激しく進んでまいりますので、実は今後の長期の見通しといたしまして、去る三月に農林省で決定いたしました土地改良の長期計画、これにおきまして今後十年間ぐらいの将来の農地の壊廃に対する対策、こういうものを確立しなければいけないということから、この長期計画に基づきますと、大体毎年つぶれていくであろうところの農地、水田、畑の面積をほぼ現状の程度には確保しておく、そのために、大体三十数万ヘクタール程度の新しい造成をしなければならない、こういうふうにしております。それからなお、それだけでございませんで、そのほかにも、今後に伸びてまいりますところの飼料の問題がございますので、草地の造成を四十万ヘクタール程度さらにそれに加えまして、十年間ぐらいに造成してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/30
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031・小川三男
○小川(三)委員 いまのお答えで、この十年間ぐらいに三十数万ヘクタールの土地を造成するとあなたのほうでお答えになっておりますが、具体的な例として私お尋ねしたいのは、あなたのほうですでに御存じのはずですが、千葉県の富里地区です。あそこは関東といわず、日本でも最も有数な農村の地帯でございます。ところが、一村が壊滅するような新国際空港の設置を運輸省は発表している。それについて農林省に対して陳情、要請あるいは抗議、おそらく百数回にわたってこれらのことをやっておる。ところが、それに対して、あなたのほうは、一方では土地を造成すると言いながら、一方でこういうように一村が壊滅する。一村のみではない。これは富里、八街を中心として、運輸省の発表によれば、あそこに七百万坪の飛行場をつくる。そうなると、北総台地に約十万の人口を擁しているあの地帯は壊滅せざるを得ないような状態になるのです。こういうような問題に対して、農林当局としては一体どんな具体策を講じられているのか、その点伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/31
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032・佐々木四郎
○佐々木説明員 富里村を中心にいたします農地は、御承知のように、たいへん農地としては豊かな土地でございまして、しかも相当経営規模の大きい地帯でございます。一方では、いまお話のございましたように、七百万坪程度の非常に大規模な空港の建設が計画されるということでございますが、この全部が全部農地であるかどうか、これはまだ私どものほうではその位置や区域というものがはっきりわかっておりませんので、おそらくその全部が農地とは考えられませんでしょうけれども、いずれにいたしましても、いまお話のように、この土地が農地としてつぶれるということは、もしそれが実現するならば、そういうことになるわけでございます。そこで、もしそういうことになるといたしますならば、農地を確保していくという一方の大きな目的もございますし、また現実に富里のつぶれていく農地を耕作しておる人々の問題もございます。その人たちの将来が困らないように、先ほど申し上げましたような、全国的な大きなワクの数字はございますけれども、そういう個々の問題につきましては、そのつど代替地等のあっせんをしなければならないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/32
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033・小川三男
○小川(三)委員 あなた、いま七百万坪の飛行場の土地は農地のみではないとおっしゃったが、一体農林省当局は、この問題が起こってからすでに三カ年、あなたたちは一度でも現地調査をなさったかどうか、その点、政務次官、あなたからひとつ、農林省全体の立場から、現地調査をなさったかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/33
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034・仮谷忠男
○仮谷政府委員 率直に申し上げまして、現地調査はまだいたしておりません。これは御承知のように、富里空港というものがまだ確定をいたしたわけではございませんし、御承知のとおり大問題でございまして、地元にもたいへんな反対があることは、われわれも十分に承知をいたしておりますが、そういったいわゆる国の大方針というものがまだ確定いたしておりませんので、そういう矢先に現地調査を行なうということは、これは必要以上に混乱をせしめることにもなりますから、そういう意味で、現地調査等もいささかまだいたしておらぬ状態であります。したがいまして、そういう方針がはっきりきまるということになれば、われわれは、農民の救済と申しますか、その犠牲を最小限度に食いとめて、そうして将来の農民生活を発展していくために、あくまでも努力をせなければならないという考え方は持っておりますけれども、まだそこまでに至っていないというのが現在の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/34
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035・小川三男
○小川(三)委員 それではお尋ねいたしますが、昨年の十一月の十八日に政府は内定を発表しているわけです。この内定の発表にあたって、農林省当局は参加していないのかどうか。これは閣僚会議の決定として内定を発表しているはずですが、農林省はこれに対して参加していないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/35
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036・佐々木四郎
○佐々木説明員 実はいまのお尋ねでございますが、その前に霞ケ浦の埋め立て問題がございまして、これは私どもも相当周辺農地に対する被害、影響等がございますので、その技術的な問題につきまして検討を重ねてまいっておりますが、これは別にまた利根川の洪水問題とか、あるいは経費の点で非常に大きな建設費用がかかるとかいうようなことで、空港としては適当でないというようなことになりました。そのあとで富里の問題が出まして、富里につきましては、特に技術的にどうこうということが霞ケ浦ほどは問題がございませんので、いまの段階では、その後、空港建設当局、つまり運輸省のほうで、この土地に対する補償とか、あるいは地元、県等に対する交渉等をおやりになっておられまして、私どもは直接これには関係しておらないような段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/36
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037・小川三男
○小川(三)委員 私が伺っているのは、昨年の十一月十八日に政府は内定を発表しているのだが、その内定発表に際して、農林省当局はこれに参加しているのか、していないのか、全然つんぼさじきにあって、何ら関知していないのかどうか、その点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/37
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038・佐々木四郎
○佐々木説明員 私どものほうでは、政府が内定する段階は、もちろん政府として内定をしておるという意味におきましては、農林省も政府の中の一つとして、これを全然知らなかったということではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/38
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039・小川三男
○小川(三)委員 先ほど参事官は、富里村に飛行場ができるにしても、七百万坪が必ずしも農地ではないと言われたが、あなたのところに富里村の地区別の地目構成の資料がありますか。富里は五十三平方キロのうち、ほとんど三十平方キロは畑地です。この畑地を除いて、どうしてあそこに飛行場をつくることができますか。七百万坪の土地をとって、そのほかに危険区域があり、騒音の区域を含めたら、富里村は完全になくなってしまうのです。なくなってしまうような状態で、どうして農地を避けてそういうことができるなどということをあなたは答えられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/39
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040・佐々木四郎
○佐々木説明員 私が申し上げましたのは、運輸省のほうでいま検討していることと思いますけれども、七百万坪と申しますと、二千町歩以上の広大な土地でございますが、この土地の飛行場の区画や位置がどういうふうになるのか、富里と申しましても、お話のようにかなり広大なる平たんな土地でございまして、その大きな場所を集団的に一つの団地として七百万坪をとるためには、相当いろいろ問題があるように伺っております。そこで、その位置の決定のしかたいかんによっては、七百万坪の内容の地目が、農地が幾らとか、山林が幾らとか、その他が幾らというふうにきまってくるだろうと思うのでございまして、そういう意味において、全部が全部農地ではないのじゃないかというふうに申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/40
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041・小川三男
○小川(三)委員 一体、内定に際しては聞いている程度で、これに対しては参加していないのですか。農林省としては、少なくとも農民の立場に立って農地を擁護しなければならない立場にあるはずです。一方で三十数万ヘクタールの土地を造成しようという反面に、一方ではこれほどの大きな土地がつぶれていってしまうのです。こういうような重大な問題に対して、農林省はただ聞いている程度の話で、運輸省の方針に対して無抵抗のまま農地を明け渡そうというのですか。その点、農林省の心がまえというか、いままでの態度について、ひとつ明快に政務次官からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/41
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042・仮谷忠男
○仮谷政府委員 ごもっともな御意見だと思うのです。私どもは土地改良十カ年計画を策定して、圃場整備をやるとともに、農地の造成をやろうというふうな計画を立てておる、そのやさきに広大な農地がつぶれるということは、農林省としてはまことに残念なことであり、そういうことは決して好ましいことではないのでありまして、でき得るなればそういうことは避けてもらいたいという考え方は、これはもう大臣もおそらくそういう考え方を持っておられると思うのです。しかし、空港そのものの問題は、日本全体の問題であり、国際的にも大きな問題であるということになってきますと、一つの国策として問題が進められるとするなれば、それに絶対反対だという立場をいわゆる省としてとれるかどうか、これはひとつ現実の問題として御理解をいただかなければならぬ問題だと思うのであります。決して積極的に賛成をいたしておるというわけのものじゃございません。しかしながら、もし大きな国の政策のためにそういうことがやられるということになると、しからばその農地、その農民をいかなる形によって救済していくかということを積極的に考えるのが私どもに与えられた職務ではないか、こういう考え方を持っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/42
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043・小川三男
○小川(三)委員 野菜の生産地としての富里村の構成ですが、富里村は耕地の地目からは畑地が圧倒的に多くて、全耕地の約九〇%、正確には八七%、端数が出ますけれども、九〇%の土地は畑地なんです。耕作地なんです。しかも農家の戸数千八百、この一戸当たりの耕作面積は一町五反なんです。個々の作付面積では、百町歩以上のものは落花生、小麦、ビール麦、水稲、陸稲、大麦、スイカ、カンショ、サトイモ、白菜の十作目、百町歩以下であるけれども、非常に大きな収穫量を持っているのはバレイショとショウガです。富里地区において、以上の十二作目のうち、十一作目は、水稲を除けば全部細作なんです。特に落花生の生産は、千葉県が全国の約五〇%の数量を占めている。これは農林省の当局は御存じなんです。千葉県が五〇%のうちで、八街、富里が千葉県の約七〇%を占めているわけです。こういうような耕地なんです。
さらに、三十九年の調査ですが、落花生の売り上げ金額が二億六千九百二十五万円ですよ。これは、ここではっきり言いますが、税務署との関係がありますから、この数字は公式に出した数字ですよ。大衆のメロンといわれているスイカが二億六千二百五十九万、ビール麦が一億二千六百二十六万、小麦が六千八百七万、白菜が六千四百六十四万、サトイモが五千八百六十五万、ショウガが三千九百五十七万、メロンが一千二百五十一万、カンショが一千三十万、バレイショが七百三十四万、この総額が九億一千九百十八万、ここには水稲を除いてあります。たんぼの作物は除いてあります。そのほか、ホウレン草とか、東京市場へ出しているこまかい野菜、大根だとか、そういうようなものは除いてあります。富里一村で少なくとも十億以上の売上げを持っているわけです。こういうような土地を——いまあなたのほうで、野菜の生産と出荷、価格の安定についていろいろ努力されているときに、これほど大きな農地をつぶそうとしているんですよ。こういう実情に対して、農林省は無抵抗のまま、これを運輸省の航空当局にまかせてしまうつもりなのかどうか、その点明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/43
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044・仮谷忠男
○仮谷政府委員 富里一村の農産物は十億になんなんとする膨大なものであるということも、私ども承知をいたしておるわけでありまして、そういう農地をつぶし、農民をたいへん苦しめるということについては、これは決して私どもも進んでこれをうのみにするとか、あるいは無抵抗だとか、そういう考え方は絶対持っておるわけじゃございませんけれども、先ほども実は申し上げたとおりであります。率直に申し上げますが、実は私も高知県であって、ダムの問題では、いつも農民のそういうふうな非常に気の毒な状態をいままで見てきております。現に、吉野川開発で四国の大々的な開発をやろうということの基本方針が数年前決定されて、早明浦ダムというのが実は二百億余りをかけて高知県で現に行なわれるように計画が進められております。しかもその中で、大川村、本川村という二つの村は全部なくなってしまう。しかも役場さえも湖底に沈んでしまうという状態になっております。非常に強い反対があり、そうしてそのことによって、二村の村民というものをどう救済するかという問題が非常に大きな問題になっておりますが、結論的に言って、四国の大開発というその基本線の上に立てばやむを得ないじゃないかということで、関係者の方々にもようやく了解してもらって、現に立ち入り調査だけができるところまで進んでおります。そういう実情を私はよく知っておりまして、したがって、富里村民の現在の実情はほんとうによくわかり過ぎるほどわかるわけでありますが、やはり国の大目標のためには、場合によってはそういった面も忍んでもらわなければならぬのじゃないか。そういう場合に、そういう人々に犠牲だけをしいるといったことは絶対にあり得ぬわけでありますから、少なくとも現状を維持し、さらに現状以上のもの、その補償というものは、絶対責任を持って私どもは処置せなければならぬ、こういう考え方でおります。基本的方針、基本的態度というものは、そんなものじゃございませんが私どもはそういう考え方のもとに、あくまでも農民の立場に立って今後の問題を考えなければならぬ、こういう考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/44
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045・小川三男
○小川(三)委員 いま政務次官から懇切なお答えをいただきましたが、富里村を中心に富里、八街、酒々井、芝山、あの辺の町村は全部反対を議決しているわけです。富里村は村有財産の提供をしないという決議もしているわけです。そのほか、先日農業協同組合からも反対の書類が特に農林省へ出ているわけです。富里、八街、酒々井、八街南部農協、芝山農協、芝山二川農協等、これら八農協で、この組合員は八千六百三十、この人たちは全部反対の議決をして、農林省当局に、われわれは先頭に立って農地を守るために戦っているのだから、農林省はわれわれに対してどういう対策をとってくれるのかという点で、これは要望書が農林省に出ているはずです。そういう扱いについて農林省当局はどう処置されるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/45
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046・佐々木四郎
○佐々木説明員 この富里及びその周辺の農民の方々からたびたび私どものほうにもお話がございまして、その実情、それからそこに住んでおる方々のお気持ち等も十分聞いております。私どもは、ただいま政務次官のお話もございましたけれども、農業を続けていくというその気持ち、その気持ちと申しますか、そういう態度につきましては、まことに富里の土地の条件からいたしまして、見るに忍びないような気持ちでおりますけれども、一方、空港を建設するということが別な観点からもし決定されるとするならば、その土地と同等あるいはそれ以上のりっぱな土地をできるだけ提供できるような方法を講じなければならない、そういう立場にあることをその方々にも申し上げているわけであります。いまの段階では、先ほども申し上げましたように、空港をつくる側のほうでいろいろ折衝をされておられるようでございまして、まだ私どもが直接そこへ出向いたり、あるいは具体的にいろいろな問題を取り上げるというような段階ではございませんので、差し控えてはおりますけれども、もしそういうことになりますならば、あの土地にまさるとも劣らないような条件のところをどうしても見つけなければならない、そういうものをさがさなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/46
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047・小川三男
○小川(三)委員 あなたは、先ほど、新たに三十数万ヘクタールの土地を造成しなければならないと言ったが、南関東全体を見ても農地はどんどんつぶれているのです。これはあなたのほうに詳細な資料があるでしょう。その中で、富里にまさる土地が一体千葉県のどこにあるか、千葉県のどこにそういう土地があるのか。いいですか。農林省が農地について一度も現地を調査しないで、そうして運輸省の国策であると言うけれども、じゃ農業政策は国策じゃないのか、農地を守ることは国策じゃないのか。重大な国策でしょう。国策であるがゆえに、ここに法案も出しているのです。その中で、富里の農地にまさるような土地が千葉県のどこにあるか。あなたのほうに確保してあるならば、どこにあるかということを詳細に説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/47
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048・佐々木四郎
○佐々木説明員 いまの段階では、先ほど申し上げましたように、私ども農林省といたしまして、千葉県あるいは地元町村の方々から具体的にそういう御要望も出ておりませんし、それから私どもがそういうふうなことを具体的にいろいろさがすとか計画を立てるとかというような段階ではございませんので、まだ何とも申し上げられないわけでございますけれども、われわれといたしましては、いろいろ農地の造成、土地改良等もやってきておりますし、そういう経験あるいはそういう技術というものからいたしまして、近傍のところにそういうものがあれば非常にいいし、またなるべく地元の人たちの条件、希望を満たせるような、そういう土地を見出すような努力をしなければならない。まだ具体的にどこがどうなっているというふうなところまではやっておりませんけれども、そういう努力を、もしそうするならばやっていかなければならない、こう申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/48
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049・小川三男
○小川(三)委員 あなたはそういうお答えをしておりますが、昨年の十一月十八日に内定を発表したときに、運輸大臣は三日くらいで決定するのだということを千葉県当局へ来て言っているのですよ。いいですか、あのときに、十八日に内定して、三日後に決定したとしたら、一体どこに農地があるのですか。いまの段階ではいまの段階ではと言うが、すでに三年間にわたって地元の農民をほんろうしているのですよ。こういうような重大な問題について、何らあなたのほうではこの問題に全く関与してないような御答弁をなさっているけれども、一体、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/49
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050・仮谷忠男
○仮谷政府委員 たびたび申し上げておりますように、それは内定ということはあるかもしれませんけれども、まだ本格的に決定というところまでいっておらぬ。この種の問題は、一方的に決定ということはなかなかできにくいし、やはり関係者、直接被害者の意見も十分聞いて、そうしてそういう人々も了解、納得された上で決定するというのが、いままでのこういう問題を処理した一つの例じゃないかと思いますし、それがまた当然だと思うわけであります。そういうふうになりますと、本格的に実施、決定というところまではまだなかなかそう簡単に片づかないのじゃないかというように、最近の情勢で私もそういうふうに見受けるわけでありますが、いずれにしましても、はっきり決定しないのに、代替地を考えるとかあるいは現地調査をするとかいうことは、これはどうも農林省としては実際問題としてできにくい問題でして、必要以上に摩擦を起こし、あるいは混乱さすということ等も考えますと、そういうことが決定されたら、もちろんわれわれは積極的に考えなければならない問題ですけれども、まだそこまでに至っていないということでございますから、御了承をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/50
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051・小川三男
○小川(三)委員 参事官、あなたは、富里にまさる代替地を用意しなければならないとさっき言われましたね。その代替地をどこに用意する目標があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/51
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052・佐々木四郎
○佐々木説明員 たびたびのお尋ねでございますけれども、具体的に私どもがいまどこがどうという目安は実はないのでございます。しかし、具体的にいま手持ちがないからといって、それが全然不可能だとは考えておりませんので、土地改良あるいは開拓等のいままでいろいろなことをやっておることから考えまして、あれだけの土地は、もしそういうことになるなら何とかしてつくるという覚悟はきめておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/52
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053・小川三男
○小川(三)委員 あなたの覚悟を伺ってもしかたがないのです。千葉県内に、あなたのほうで保有している、いわゆる農林省の所管の国有地が一体幾ら、どことどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/53
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054・佐々木四郎
○佐々木説明員 いま千葉県下の国有地はどれくらいあるかというはっきりした数字は手持ちがございませんけれども、千葉県では、国有林等は主として房総半島の脊梁地帯のようなところでございまして、それらのところが農地として適当なところであるかどうかに対しましては、かなり疑問があるのじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/54
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055・小川三男
○小川(三)委員 千葉県当局は、富里にかわるべき代替地は、面積としてはあるけれども、農地としてはない、こう答えているのです。あなたは、国有地は南房州のあの脊梁地帯——鬼涙山なんというのは石ころの山ですよ。そんな山が農耕地なんかになるはずはない。この付近にはないのです。それから運輸省当局ももちろん何ら現地についての調査をしてないです。農林省も調査してないです。この農地の問題については、少なくとも農林省は非常に大きな責任があるはずです。それと、富里には、立川の飛行場で追われて八街へ移って、戦時中に八街の飛行場で追われて富里へ移った、こういう農家がたくさんあるのです。それから村山の貯水池で水没するために八街へ移って、これまた八街の飛行場で追われて富里へ移った、こういうような農家がたくさんあるのです。この人たちが、生涯の間三回も移されるなどということに対してどうして承服しますか。ですから、富里の人たちが、あえて流血も辞さないといって、おばあさんたちまでが行動隊を編成している。いまつくらないのは少年の隊だけです。青年はつくっています。中学生、高等学校の生徒、そうして全部行動隊までが編成されているのです。農地を断じて守る、こう言っておるのです。それはなぜかといえば、そういうような実情があるからです。そして富里の中で営々として開拓してきておる。そういう農地を運輸省は全く現地も調査してない。運輸省も現地を調査してなければ、農地を守り農民の立場で政策を行なわなければならない農林省自体も、現地を全然調査してない。いま調査に行くといったら混乱の問題があるでしょう。その問題は、あなた、起こってからすでに三年経過しているのですよ。地元で発表したのが三十八年の六月ですから、この六月でまる三年間を経過しているわけです。その間に、農林省当局としても一度も現地を調査しないなどということは、私は無責任だと思う。その点について、当局を代表して政務次官からお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/55
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056・仮谷忠男
○仮谷政府委員 先ほど参事官のほうから、より以上のものを選ぶ、こういうふうなことを申し上げたのは、われわれの立場からいえば、現状よりも悪くしない、より以上のものにしなければならぬという、そういう積極的な考え方を持っておるという意味で申し上げたわけでありまして、御了承いただきたいと思います。
それから現地調査の問題でございますが、これは私ども先ほどからたびたび申し上げておりますように、私も実は経験があるのですが、現地調査というものは、大体話が一応まとまって、そうして現地調査を認めようという空気になって、初めて現地調査が行なわれるのがいままでの事例なのでございます。絶対反対をして流血の惨事もいとわないというような態勢のところに、現地調査なんかとてもできるものではありませんし、より以上に混乱を増すことになるわけでありまして、確かに、この種の問題の決定は、三年も四年も前に、私の県の例からいいますと大体しております。そして地元が反対で何年か続いておるうちに、いろいろと実情がわかってもらい、理解をされて、それなら現地調査くらいは一応認めようかということになって、初めて現地調査が行なわれるというのが、この種の問題の一つの処理のしかただと私どもは考えております。そういう観点から、そういう時期でないし、事前に現地調査なんかやりますと、まとまるものもまとまらない、非常に感情的な問題になる事例がたくさんございますので、そういうふうな面から考えて、現地調査ということはいま遠慮しておる、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/56
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057・小川三男
○小川(三)委員 それでは端的に伺いますが、運輸省の案である新国際空港の八街設置という内定に対して、運輸省は賛成しておる立場ですか。賛成か反対か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/57
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058・仮谷忠男
○仮谷政府委員 運輸省は、やるということに大体決定しておるわけですから賛成でしょう。しかし、それは地理的にここが適地だということで、一応内定といいますか、賛成をしたのであって、しかも現実にやる場合には、地元の人との話し合い、補償の問題があるわけですから、決定したからといって、すぐその決定で現実にそれが行なえる問題でないということは、それは過去の事例を幾らあげても同じことなんでありますが、その点は、私どもは、やるということになれば、地元の了解が得られれば現地調査を十分にして、そして地元の人の納得を得るような今後の対策を立てて実施するということは当然だと思います。それは私どもの仕事だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/58
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059・小川三男
○小川(三)委員 富里の農地については、非常に重大であるので、少し文章をはしょりますが、ここにこういうのがあります。「すなわち、富里村は、日本の将来の合理的畑作農業を率先して試みるのに格好のところである。もし富里村で畑作農業が成立しえないとすれば、日本の他の地域の畑作農業の将来は非常に困難だと予想されよう。以上のように考えると、富里村の農業者たちが真剣に新しい畑作農業にとりくむ意気ごみをもっているとするならば、この地で本格的な農業の基本改良の原理を見出す目的の仕事が為されることが、独り富里村の農業者のためだけでなく、日本の畑作農業の進展のために大いなる意義をもっているといえる。富里村及びその周辺の畑作農業は、日本農業の一つの将来像を託するに値するところと考えられる。」この案は農林省の皆さんのお書きになったものなんですよ。これは富里村の人たちがみずからりっぱな農村をつくらなければならないというので、コンサルタントの意見を求めたのです。これに答えておるのは全国農業構造改善協会、しかもここにお書きになっておるのは、全部農林省の技術者の諸君です。農林省の技術者の諸君が富里で畑作農業が立っていかないならば、日本の畑作農業は立っていかない、こういうふうに答えておるのです。それほど重大な立場にある富里村の農業に対して、農林省の農地局や農政局が何ら関知せずに、無抵抗のまま運輸省の言いなりになっておるなどということはあり得ないと思います。この人たちは、ここできようこれが問題にされることを非常に困ると言っていたのです。困るけれども、この末尾にも国際空港の問題で書いてありますが、このコンサルタントの活動は、富里地区の問題、国際空港の設置が再燃して、本意見書は村当局の依頼によってつくったものであるけれども、国際空港の問題にこの資料が巻き込まれることは困るということを付記してあります。これはあなたのほうの、少なくとも農林省の技術者の諸君がつくった資料なんです。これに基づいて、富里村の当局はいまみずから自分の力で構造改善をやる、こう言っているのです。県当局や農林省のお世話にならなくていい、自分たちでやる、こう言って、自力での計画の資料としてこれを求めているわけです。こういうような農地をいま運輸省はつぶしてしまおうとしているわけです。しかも富里村の七百万坪の飛行場ができれば、これは運輸省が言っているとおり、いま参事官は飛行場の位置がわからないと言うけれども、どんな位置につくろうとも、飛行場の用地が七百万坪なんですから、その周辺の危険の区域や騒音の区域を数えたら、富里村は壊滅するのです。なくなるのです。これははっきりしているのです。したがって、あなたが畑地、農地だけがつぶれるのじゃないと言っているのは、それは現地を知らない、また運輸省の計画についてあなたたちが全然タッチしていないからですよ。運輸省の飛行場計画に対して、農林省はもっと真剣にどんどん発言すべきじゃないですか。そういう点でひとつ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/59
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060・仮谷忠男
○仮谷政府委員 私どもも発言すべきことは十分に発言をするつもりでありますし、富里地域が畑作のいわゆる耕作地域として非常にりっぱなものであるということも十分に承知をいたしております。いまお読みになりましたことは、われわれも十分認めておる問題であります。ただ、申し上げたいのは、運輸省の言い分なりに農林省がなっておるというような意味のおことばでございますけれども、私どもが運輸省の言いなりになるとか、そういう問題ではない。運輸省とけんかをして問題が解決をするなら、これは坂田大臣先頭に立ってけつをまくってけんかをしますよ。しかし、それは単に対運輸省としての問題ではなく、日本の国策の問題として取り上げられるとするならば、そうした大きな目的のために富里地域はまことに犠牲になりますけれども、その点を御了承いただいて、そうしてその人たちが生きていくより以上の道を考えなければならぬということに思いをいたさなければならぬじゃないかというふうに実は考えておるわけでございまして、決して運輸省の言いなりになっておるというわけのものではございません。その点をひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/60
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061・小川三男
○小川(三)委員 運輸省の言いなりという点で、一体、この飛行場の計画書あるいは位置の決定、設計図その他について、あなた方は少なくとも運輸省の航空局の関係者との間に討議をされたのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/61
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062・佐々木四郎
○佐々木説明員 運輸省との話し合いで、いまの七百万坪というのは、私ども専門でございませんのでよくわかりませんが、滑走路の方向とか長さとか、そういうものがどういうふうに南北に行くかとかいうことは、なかなか大きなむずかしい問題であるというような意味のことは聞いておりますが、具体的にどこの区域がどういうふうなことになるというようなところまでは、こまかくはまだ何も聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/62
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063・小川三男
○小川(三)委員 何も聞いていないのが、私は運輸省の言いなりになっていると思う。結果としてはそうなるのですよ。少なくとも農地を守り、農業を守る立場からするならば——しかも千葉県で最もいい畑作農業地帯である。東京都の人口五十万に野菜を供給していると富里自身が自負しているのですよ。その土地をつぶしてしまおうとしている運輸省の計画に対して、あなたのほうで待ったもかけなければ、実情がこうであるという説明もしないということであるならば、これは運輸省の言いなりになっている。結果的にはそうなるででしょう。もっと積極的に運輸省の計画についてあなたのほうで発言すべき責任があるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/63
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064・仮谷忠男
○仮谷政府委員 いろいろ御意見はあると思うのですけれども、御承知のように、この問題は、いわゆる羽田空港の現在の狭隘からさらに空港周辺に大国際空港をつくらなければならぬという、日本の国の大国策と申しますか、そういう基本線に立って、いろいろ専門的に検討されておる大きな問題でありまして、農林省の一役人が運輸省と土地がどうだこうだということをけんかして言い合って、そういうことで問題のけりがつくほど小さい問題じゃないと私どもは考えております。非常に大きな問題で、大きな問題だからこそ、七百万坪というものを犠牲にし、一村を犠牲にしなければならぬというほどの重大な問題になってきておるわけでありまして、そういう点から考えますと、単に役人自体が運輸省といろいろ話し合って解決する問題じゃないということは御理解がいただけると思いますし、この問題自体が、実はここで議論すること自体、私どもはほんとうにもっと大きな立場で、大きな観点に立って議論をしてもらわないと、ここで実は農地局を相手に議論されても、ほんとうは解決がつく問題じゃない。結局結論が出れば、われわれは農民のために最善を尽くすという方針で、それをよりしかたがないじゃないかという考えを実は持っておりまして、私がここで反対とか賛成とか言ったところで、この問題がけりがつくほど簡単なものではないと思っております。これは御答弁としてはまことに失礼かもしれませんけれども、この点は小川さんも御了解をいただけるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/64
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065・小川三男
○小川(三)委員 時間がありませんので、最後に伺っておきますが、あなたが、いま一役人の問題ではない——もちろんそのとおり。しかし、あの航空審議会の答申を尊重すると言うけれども、航空審議会を運輸委員会に参考人として呼んだときに、現地など一度も調査したことがないとはっきり言っている。したがって、航空審議会の答申は、運輸省の航空局の役人がつくったものである。役人の諸君のつくったものに政府当局がほんろうされているのです。それで、役人の問題でなかったら、これは少なくとも坂田農林大臣は、運輸省当局と閣僚会議でどんな折衝をやっているのか、農林省としての立場を強力に主張しているのか、していないのか、あそこの農地はつぶしてしまってもいいんだということを簡単に言ってのけているのかどうか、それともそれは困るのだという点を主張しているのかどうか、その点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/65
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066・仮谷忠男
○仮谷政府委員 決して坂田農林大臣が無条件で賛成しているとは私は考えておりません。きょういろいろ御意見のありましたことは大臣にも十分お伝えいたしまして、今後は農民の立場に立って、どういう決定をされようとも、どういう形になろうとも、農林大臣は農民の立場に立って最善の努力を払うということは、これは私が申し上げて差しっかえないものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/66
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067・小川三男
○小川(三)委員 運輸省へはもちろん、坂田農林大臣のところにも地元の人たちの反対書がいっているはずです。八百何名かの人たちが血書を書いて、陳情書がいっているはずです。ところが、一番陳情を多くしている人は富里の反対同盟の副会長である久保忠三氏、この人は二百八回にわたって運輸省航空局、もちろん農林省へも行っているのです。そうして嘆願陳情を繰り返したにもかかわらず、政府が一方的に内定を決定した以上、われわれは死力を尽くして、この土地を守る、こう言っているわけです。したがって、この農民をあそこまで追い込み、農民も流血を辞さない——あなたのほうで現地を一度、少なくとも農林省当局は現地を見るべきです。現地を見ずに、航空局の役人のつくった意見書に従って、単にほうっておくということはあり得ない。少なくとも現地を調査すべきです。農林省が現地を調査しないなどというに至っては非常に無責任だ。いまからでもあの土地を十分に調査されて、農林省自体の対策方針というものを決定すべきだ。参事官は代替地が簡単にあるかのように言っておりますが、千葉県のあの周辺地帯に代替地はありません。また富里にかわるような土地はあり得ない。農林省のこのコンサルタントの言によっても、日本にあれほどの畑作農業地帯はないと言っているのですから、そのような土地を他に求めて、どこで得られますか。これは得られません。したがって、農民があの土地を死守するという考え方になるのは当然なんです。政務次官、坂田さんおりませんけれども、農林省として、あの土地を現地調査されるべきですよ。その場は私が御案内しますよ。決してあなたたちに指一本でも触れるようなことはさせません。農民はそんな簡単に軽挙盲動している人たちじゃないのです。ただし、ここではっきり言っておきますが、岐阜県の郡上のお百姓のような形に農民を追い込んでしまった責任は、少なくとも政府当局にある。しかも、重大な農地、農業を守るべき農林省の立場が、一度も現地も調査せずにほうっておくこと自体、私は、これについてすみやかに現地調査されて、あなた方の方針をきめられたい、その点を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/67
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068・仮谷忠男
○仮谷政府委員 小川先生の御意見はよくわかりましたから、この点はひとつ大臣ともよく相談をいたしまして、後ほどまた御返事を申し上げることにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/68
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069・中川俊思
○中川委員長 西宮弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/69
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070・西宮弘
○西宮委員 つい最近でありますが、栄養白書というものが発表されております。これは五月二十八日に発表になっておりますが、それを見ると、日本人の食料がだいぶ向上してきたけれども、特に劣っておるのは、ビタミン食料が非常に不足をしておることだということが指摘されておるわけです。その点が特におくれておりまして、過去五年間で全くふえていない、あるいは四十五年の目標に比べると、わずかに六、七割である、こういうようなことが、これは新聞記事でありますから、まだ本物が私どもにも入っておらないので、私は新聞記事を見ただけでありますが、そういう点が指摘をされておるわけであります。したがって、これに対する対策は、当然に蔬菜なりあるいは果樹なり、そういう方面でこの対策を考えなければならぬと思うのですが、まず、それに対する対策といいますか、一言お聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/70
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071・小林誠一
○小林(誠)政府委員 私まだ栄養白書を見ていないのでございますけれども、やはり大体の筋としまして、昨年の秋にいろいろな食料の調査をやったようでございます。そのときに、野菜から補給されますビタミン——Cが多いと思いますが、ビタミンCにつきましては、大体目標の九〇%くらいであったというふうに聞いておるわけでございます。もっとも、これは秋口でございまして、野菜が非常に豊富なときであったというふうなことでございまして、年間を通じたことではございませんが、確かにお説のように、まだビタミンの補給というものが足らないというのが現状でございます。したがいまして、その補給源でございます野菜の生産につきましては、今後ますます力を入れていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/71
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072・西宮弘
○西宮委員 そうしますと、現在ビタミンが足らない、そういう情勢のもとに、将来野菜の需要は相当大幅に伸びる、こういうふうに見込んでいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/72
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073・小林誠一
○小林(誠)政府委員 野菜の需要の関係でございますが、これはいろいろものによって違うと思うわけでございます。総体におきましては伸びるのだと思います。ただ、品目構成によりますと、たとえばトマトでありますとか、キュウリでございますとか、そういうような家庭生活の食事が洋風化することによりまして、ものによっていろいろ違うと思います。中には減少するものもありましょうが、全体としては、一人当たりの消費量というか、需要というものは伸びるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/73
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074・西宮弘
○西宮委員 これは私の常識でありますが、野菜の場合はそう多く伸びないのではないか。なぜならば、日本人は今日まで野菜を相当多量に食ってきたわけです。したがって、野菜の一人当たりの需要が将来大きく伸びるということは、あまり考えられないのではないか。今後野菜の種類内容が変わったり、これは当然あり得る、あるいはビタミンの不足ということからくる、たとえばくだものの需要というものが、相当広範に伸びるのではないかと思うが、野菜としては、日本人の食生活からいって、ずいぶん今日までたくさん食ってきておるのですが、そういう点では、総体として伸びるというふうには見られないのではないかというように思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/74
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075・小林誠一
○小林(誠)政府委員 果樹に比べれば、伸びないと思います。それともう一つは、果実を食べますと、これからもやはりビタミンの補給ができるわけでありますので、そういう意味におきまして、相互の代替関係にあると思います。三十九年でございますか、一人当たり約百キロ食べておるわけであります。数年前に比べまして、相当程度上がっておるということで、そういう意味におきまして、従来の長期見通しの場合には、あまり伸びないのではないかという見通しを立てたこともあるわけでありますが、それに比べましては相当伸びておるわけでございますので、そういう意味では今後も伸びるであろう、しかし、その伸び率は果樹にはとうてい及ばないであろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/75
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076・西宮弘
○西宮委員 いま私が申し上げたのは、要するに、私の常識にすぎませんから、もっと科学的な調査をしなければならないと思いますが、きのう配られた農業観測、これなどを見ましても、最近あまり生産のほうは伸びないわけですね。いわゆる西洋野菜みたいなものはかなり伸びておるけれども、全体としては伸びない。むしろ停滞ぎみだというような点が、特に特徴的に今度の報告の中にあらわされているわけですが、私は、その辺はこれから伸びるのか伸びないのか、これは今後の政策を進めていく上についての全く基本的な問題だと思いますので、この点はひとつ十分に検討してもらいたいと思うわけです。むろん私のは常識論でありますから、もっとよるべき根拠があればそれでけっこうだと思いますけれども、伸びるということを前提にして行なった施策が、かえって今度は生産がだぶついてしまうというような結果になるおそれがある。だから、これはそういう見通しをその意味で十分厳格にやってもらいたいということを要望しておきたいと思います。
ところで、生産が相当過剰になるというか、相当生産がふえるんじゃないかというふうに考えられますのは、今度の新しい政策で価格が安定をする、いままで生産にブレーキをかけておったのは、むろんその価格が動揺するという点にあったと思う。今度の政策で価格が安定するということになると、それだけでも生産は相当に伸びるのではないかというふうに思われるわけです。したがって、そこからも生産が需要を越えるというような問題が起こりはしないかということを懸念するわけですけれども、その心配はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/76
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077・小林誠一
○小林(誠)政府委員 価格が安定いたしますれば、農家所得も安定するわけでございまして、したがいまして、安心して野菜がつくれるということから、これは伸びる要因になろうと存じます。その結果、生産が需要を越えるのではないかということでございますが、現在のところ、野菜は非常に生産が伸びておるわけでございまして、この四十年で、これを戦前に比較いたしますと、約七七%の伸びになっております。また三十五年に比較いたしましても、約三〇%くらいの伸びになっておるわけでございます。ところが、価格は、三十五年に比較いたしましてそれぞれの段階で約倍になっておるということから、まだいまの段階におきましては生産が需要に追っつかないということであろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/77
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078・西宮弘
○西宮委員 今日まで生産を妨げておった最大の要因あるいは最大の要因の一つが取り除かれるわけでありますから、その意味で生産が増加する、あるいはいままで遊んでおった土地などが都会地周辺にもずいぶんあったはずですが、そういうものが全部動員されるということになって、それで生産がふえる、したがって値段がくずれるというような心配が出てくるんじゃないか。そういう値段がくずれるというようなことになった場合、今度は協会がその値下がりを防ぐための役割りを果たすわけですが、その際に、その協会の負担し得る限度ですね。つまり、非常に大幅にそういう問題が起こってくるということになったときには、どの程度協会がそれに耐え得るか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/78
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079・小林誠一
○小林(誠)政府委員 現在予算措置をしております金におきまして、大体三品目でございますが、それについての対象の数量と申しますか、これは三十四万トンでございます。その三十四万トンの対象数量につきまして、過去五年間に一回くらい暴落があるわけでございますが、その暴落については十分耐え得るだけの資金量が準備してあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/79
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080・西宮弘
○西宮委員 協会の問題については、従来のタマネギ、カンラン等の実績等もありますから、なおもう少しお尋ねしたいと思いますが、私は、さっきの価格安定が誘因になって、生産が増強するという問題、あるいはさっき言ったように、大都会周辺に遊んでいる土地がたくさんある、そういうものが野菜の生産に動員されるということになると、大消費地周辺に相当な供給量が出てくる、したがって、地方の指定生産地は相当引き合わないというような問題、あるいはそれがさびれてしまうというような問題も想像できるし、あるいはまた逆にその大消費地の値段が安定しているので、地方の生産品も全部そこに殺到してくる、そうなりますと、地方での需給関係が逼迫をしてしまう、こういう問題なども想像されると思うのですが、そういうような起こり得る情勢に対しての見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/80
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081・小林誠一
○小林(誠)政府委員 近郊野菜でございますが、現在のところ、軟弱蔬菜が中心でございます。やはりそういう意味におきまして、従来は近郊地帯でいろいろな野菜がつくられておりましたけれども、たとえばキャベツであるとか、高原白菜であるとか、それぞれだんだん地帯が移動しているわけでございまして、そういう意味で、近郊地帯と遠隔の産地というものにつきましては、その地域の労働事情等いろいろございまして、そういう分化も行なわれているのが実情だと存じます。近郊地帯が、野菜におきまして、これまでは土地の壊廃でございますとか、そういうようないろいろな事情がございまして、だんだんその生産が停滞し、あるいは減少しているというのが実情でございます。野菜価格が安定されれば、当然近郊地帯で野菜が生産される、あるいは生産が伸びるということは考えられるのでございますけれども、その結果、指定産地の野菜が引き合わないというようなことにはならないのではないかというふうに考えるわけでございます。
それから、大消費地に出荷されることによって地方市場が圧迫されるのではないかという問題でございますが、これは、大消費地は大体全国の野菜の価格を形成するというような指導的な役割りを果たしておるわけでございまして、大消費地の価格が安定すれば、地方都市の価格も安定するということになりましょうし、また指定産地で生産されます野菜の相当部分は地方都市へも出荷されることにもなるわけでございますので、指定産地の生産が安定すれば、当然地方都市に対する出荷も安定するということになろうかと考えております。相互の利害が相反するということはないのではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/81
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082・西宮弘
○西宮委員 先ほどお尋ねをした協会の問題でありますが、いままでありました二つの協会が相当の資金の残がありまして、これを新しくできた協会に引き継ぐということになっておるのですけれども、これなどは従来そういう意味での役割りを十分果たしておらなかった。つまり、安定価格、保証価格ですか、これがむしろ非常に安過ぎて、それがために十分生産者の損失を償ってこなかったのではないかというような感じがするのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/82
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083・小林誠一
○小林(誠)政府委員 現在タマネギと白菜についてそれぞれ財団法人で仕事をやっておるわけでございますが、過去におきまして二億六千万円ぐらいの交付金を交付しておるわけでございます。それにつきましては、価格下落時に農家に対する打撃を緩和したという役割りは十分果たしていただいたというふうに考えるわけでございます。今回野菜の対策を本格的に実施しますにあたりまして、これらの協会を統一することによりまして、従来二つでありましたことによって発揮できなかったような機能をやはり大きなものにして発揮したいということで、出荷者団体が自主的にこれをつくりました場合に、国がいろいろ緩助するというたてまえにしたわけでございまして、決してこれまでの協会がその機能を果たし得なかったということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/83
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084・西宮弘
○西宮委員 調査室からもらった資料でありますが、これには昭和四十年は二つの協会とも交付金を出していないというような数字になっているのですが、これは何か理由というか、私の見方が悪いのか、それはどういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/84
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085・小林誠一
○小林(誠)政府委員 昭和四十年には出しておりませんが、三十八年と三十九年に出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/85
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086・西宮弘
○西宮委員 そうすると、昭和四十年の分はどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/86
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087・小林誠一
○小林(誠)政府委員 昭和四十年には幸いにして交付金を交付するような下落が起こらなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/87
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088・西宮弘
○西宮委員 そういう該当が全然なかったというならば、それはたいへんけっこうだということも言えるのかもしらぬが、いわゆる保証価格が低過ぎて、そのためにそれに該当しなかったのだ。これだけの広い範囲でやっていれば、それに該当する事項が全然ないというようなことでは、ずいぶんわれわれの常識に反すると思うのですが、そういう懸念はありませんか、低過ぎたために出なかったのだということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/88
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089・小林誠一
○小林(誠)政府委員 四十年は御案内のとおり、卸売り市場価格が総野菜につきまして四十三円ということで、三十九年に比較しまして非常に高い水準にございました。それの対象になっておりますキャベツとタマネギにつきましても、前年に比較しまして相当高い価格でございましたので、決して保証価格が低いからこれが交付されなかったということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/89
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090・西宮弘
○西宮委員 大臣にお尋ねをいたしますが、六月一日の新聞によりますと、六月一日に院内で経済閣僚協議会を開いて、そこでいろいろ経済問題を——いまもやっているわけですが、その中で特に問題になりましたのは野菜の問題で、それに対して、生産対策に力を入れるとともに、生産地と消費地を結ぶ流通過程にも問題があるので、機構と制度の両面から抜本的な再検討を加えるべきである、こういうことを、これは新聞によると自民党の田中幹事長、前尾総務会長ということになっておりますが、そういう意見を発表しておられるのであります。これはことしの六月一日の経済閣僚懇談会であります。しかし、私は、そういうところでいま時分に、生産地と消費地を結ぶ消費過程に問題があるからそれを検討しろとか、あるいは生産地対策に力を入れろ、こういうことを言っている程度では、ずいぶんこの経済閣僚懇談会なるものも野菜に対する認識が足りないというか、手当てが非常におくれているという感じがするのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/90
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091・坂田英一
○坂田国務大臣 この野菜問題については、現在いわゆる指定産地の生産及び出荷に関する近代化をはかって、いま御質問をいただいておるような問題についての振興をはかっておるわけでございます。これは根本的なことでございまして、これと、いままでの制度は相当の効果をあげてはおりますけれども、もっとこれは制度を拡大強化していく必要がありますので、本年予算を拡大もいたし、またいまいろいろ御質問の点についても、お答え申し上げたように、予算も拡大し、そうしてなお法案をいま御審議を願っておるというのでございます。ところが、御存じのとおり、野菜の問題は、その出荷の面についてはいま御審議を願っておるが、その出荷後におけるいわゆる消費者に渡るところの問題という点は、これは昭和三十八年以来検討が加えられまして、そして市場に対する、あるいはまた小売りに対するいろいろの施策を講じ、また手数料も、いま御存じのとおりくだものは七分五厘、それから野菜は八分五厘に下げるというような手当ては拡大したわけでございまするが、物価のいろいろな変動を見ますと、やはりそれによって相当緩和をされておる。たとえば四十年のときよりも、四十一年、今年の場合は、相当やはり消費者に対する価格も下がっております。その点は、去年に比較しますと非常によく進められておるということはそのとおりでございまするが、なお一般の物価から見ますと、野菜のごときものあるいはその他生鮮食料品というものは、一般の物価の変動よりも非常な変動が激しいということは、これは御存じのとおりでございますので、そういう激しい、むずかしい問題ではあるが、これはひとつさらに一段とこの問題を検討してまいりたいというので、こういう点、こういう点、いま御質問のあったような点について、さらに一段の検討を加えようじゃないかということで進んでおるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/91
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092・西宮弘
○西宮委員 相当いろいろやって、しかもその実績をあげている。しかし、大事だからさらにさらにこれに力を入れるよう、こういうことで問題にしたのだということであれば、これはいまの御説明はわかります。ただ、これはわれわれは新聞で見ただけですが、新聞によると、そういうことが初めて強調されて、みんながそれで感心しているというような——感心しているとも書いてないけれども、そういうように新聞で読めるので、いまごろそういうことが閣僚会議で問題になるというのでは、まことにおそ過ぎるのではないかということを指摘をしたわけでございます。
なお、その問題等について、あとでまたもう一ぺんお尋ねをします。局長でけっこうですが、今度のこの法律のたてまえが非常に天下り式なコントロールのしかただというふうにわれわれは感ずるのです。たとえばその生産地を大臣が指定をしたり、あるいは知事が申し出るという場合もあるわけですが、それにしても、生産者あるいは生産者の団体、その意思が積極的に発動するという面はないわけですね。それがずいぶん天下り式だと思うのですが、その点どうですか。簡単にお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/92
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093・小林誠一
○小林(誠)政府委員 私は天下り式だとも考えておりませんが、実は近代化計画を立てます場合には、農業団体の意見を聞くということになっておりますし、また資金協会にしましても、これは出荷者団体が自主的に組織します場合に、これにつきましていろいろ援助をするというたてまえをとっております。したがいまして、そういう意味におきまして、農業者並びに農業者の組織する団体が自主的な活動ということを合わせまして、この法の目的を達するものだというような考え方で、法案の仕組みも必ずしも天下り式にはしていないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/93
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094・西宮弘
○西宮委員 いま局長の言われた近代化計画の場合には、地元あるいは農業団体、生産者団体の意見を聞くのだというけれども、これは局長も言われたように、近代化計画についてだけですからね。近代化計画について意見を聞くというので、たとえばそういう生産団地にしてもらいたいとか、もらいたくないとか、そういう意味での意思を聞く場合は全くないわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/94
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095・小林誠一
○小林(誠)政府委員 生産地の指定のあとに、都道府県知事は計画を立てなければならぬということになっておりまして、その計画に基づきます事業は、主として農業団体が行なうことになっております。したがいまして、指定の段階におきましても、当然農業団体なり、あるいは農家の意思に反して知事が指定産地の申請をするとか、そういうことをいたしましても、決してその事業は円滑に動かないわけでございますので、そういう意味におきまして、当然農業団体の意思を反映した指定産地の申請なり、また農林大臣から指定産地の指定について都道府県知事の意見を聞きます場合にも、知事が意見を述べます場合にも、農業団体の意見は当然反映されるものというふうに考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/95
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096・西宮弘
○西宮委員 実際の実施にあたって、そういう点を十分配慮してもらいたいと思います。
ところで、第五条の、知事は大臣に対して申し出ることができる、この申し出というのは、申請とは違うわけですね。これはどういう性格のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/96
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097・小林誠一
○小林(誠)政府委員 申し出をする場合は、これは指定産地の条件に適合している、自分としてもこれは指定したいという場合に、都道府県知事が申し出るということになっておるわけでございまして、当然、知事からその申し出がございますれば、その要件を審査いたしまして、それに合致いたします場合は、農林大臣が指定するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/97
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098・西宮弘
○西宮委員 つまり、ここの五条の知事の申し出は、大臣が拒否するということはあり得ない、法律のたてまえ上そういうことは全然ないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/98
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099・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この第五条でございますが、申請の場合は、当然この要件といたしましても、全体の需給事情というものも考慮して、指定産地を指定しなければいかぬということになっておりますので、そういうことも勘案いたしまして、なお、その指定産地が具体的に第四条の二項の各号に列記してありますような要件を備えます場合は、これは指定するということになります。
〔委員長退席、大石(武)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/99
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100・西宮弘
○西宮委員 それでは第四条の四項の場合あるいはさらに第五条の場合、つまり、知事が意見を申し出る場合、その際は、農業団体、生産者団体の意見も聞く、こういうことを法律上も明確にすべきだと思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/100
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101・小林誠一
○小林(誠)政府委員 ここでは特に法律にその規定を明確にしなくても、当然近代化計画なり、あるいはその事業の実施という段階において、農業団体の果たすべき役割りが大きいわけでありますので、この点について特に法律で規定しなくても、その間はスムーズにいくのではないかというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/101
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102・西宮弘
○西宮委員 つまり、法律に規定しなくても、実際上の扱いでそれは必ずそうする、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/102
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103・小林誠一
○小林(誠)政府委員 法律に規定してありませんから、必ずそうするという義務規定ではありませんけれども、当然その点については関係団体との間で意思が疎通するように十分配慮されるものというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/103
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104・西宮弘
○西宮委員 その近代化計画でありますが、第一、近代化計画の内容が、ここに羅列してありますけれども、たとえば作付面積云々だの、土地改良だの、いろいろあるけれども、あえて近代化というほどの内容でもないように思うのですけれどもね。それで、あるいは「農作業の機械化その他生産の近代化に関する事項」というんだけれども、実際にどういうことをやろうとしておるのか、あるいはどういう機械を備えつけさせようとしているのか、そういうことも実はもう少し詳しく聞きたいところなのです。ただ、それをやっていると時間が足らないと思うので、残念ながらいまここで問答できませんから、あとでこれはよく聞かしてもらいたいと思うのです。
そこで、いわゆる近代化計画を実施する主体はだれなのですか。計画は知事がつくる、しかし、近代化を進める主体はだれなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/104
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105・小林誠一
○小林(誠)政府委員 近代化を進めます主体でございますが、これは土地改良につきましては土地改良区ということになろうかと思います。それからあと、共同施設的なものにつきましては、農協でございますとか、あるいは場合によりましたら市町村ということもあり得ると思いますが、そういうことで、いずれにいたしましても、農民が組織いたします団体が、主としてこの事業の実施主体になるものというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/105
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106・西宮弘
○西宮委員 そうしますと、実施をする主体は、いまお話のように土地改良区なりその他そういうものが担当する、計画をつくるのは知事だということになると、ずいぶんちぐはぐじゃありませんか。知事はかってにつくっていいわけですね。それで、そのつくった計画に従ってやるかやらぬかは、別な独立な人格ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/106
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107・小林誠一
○小林(誠)政府委員 知事がかってにつくるのではございませんで、関係市町村及び農業団体の意見を聞くということで、農業団体の意見を十分反映するように計画がされるというふうに考えておるわけでございます。ただ、これを都道府県知事といたしましたのは、当然事業の実施主体が土地改良区でございますとか、市町村でございますとか、あるいは農協というような関係になります。しかも私たちが考えておりますこの指定産地の規模でございますが、これは一市町村内の場合ではございませんで、数カ町村にまたがる問題でございます。したがいまして、それを統合する意味におきまして、都道府県知事が関係団体の意見を聞いて適切な計画を立てることを期待しているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/107
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108・西宮弘
○西宮委員 次に、これは大臣に全体的な御意見を聞きたいと思うのですが、私は、今度のやり方が全体的な、総合的な構想といいますか、いわゆる総合性とでもいいますか、そういう点が欠けているのではないかという気がするわけです。内容的にはあとで局長から聞いてもいいと思うのですけれども、それに対する大臣の考え方をお聞きしたい。たとえば野菜の種類について言うと、特定の野菜を対象にしておるわけですね。しかし、人間の食う野菜は、何もそれでなくても、ほかのもので代替をしても一向に差しつかえない場合が非常に多い。それから全体の野菜をどういうふうににらんで、あるいはどういうふうに把握をして対策を立てるのかという問題、それから地域的に言うならば、特定の指定産地は指定をされるけれども、しかし、あるいは数府県にまたがって、あるいはまた全国的にどこでどのようにコントロールされるのかということがわからない。三つ目には、たとえば従来系統農協がやっております野菜団地というのがあるわけですが、そういうものとの関連性もない。四番目に、野菜の中でも加工ものがあるわけです。生食野菜についてはここで問題にされているけれども、加工ものも大量なものが売買されていると思う。そういうものについての対策がない。そういうことをいろいろ考えてみると、全体として総合性がないというととが言えると思うのですが、大臣のお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/108
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109・坂田英一
○坂田国務大臣 その点は非常に大切な問題だと思います。したがいまして、この蔬菜の種類等につきましても、それはできれば全体でもいいわけでございますけれども、もう西宮委員も御存じのとおり、野菜についてはあまりこまごましたところまでやっても、これはなかなか効果があげられませんので、大体いまのところ、全体の野菜の半分以上というところをねらいとして第一段は出発していこう、こういうのであります。そのうちにまた検討を加えて、だんだんと能力がふえてまいりますると、それに応じてふやしてまいる、こういう考え方でございますが、いまのところそういう程度で、ことしも二つばかりふやしたということで進んでおるわけでございます。
それから、この消費地帯につきましては、四大都市、こういうのであります。大体四大都市でいきますと出荷量の八分の三くらいになるわけでございます。それで一番問題は、この地帯が一番困っておる地帯でございます。それからまた、この地帯で価格がきめられますと、一般の地方市場等においては大体これに準じて、もちろん例外もございますが、準じて価格がきめられるという実態でもありまするので、まず、この四大消費地帯を見ていくのがよかろう、こういうことで進んだわけでございます。これらの問題は、さらにいろいろとその後における経験その他を生かしながらまた前進することは考えていく必要があろうかというふうに考えております。
それから地域的と全国的、たとえば全体をどう統制するかという問題でございまするが、これは需給調整の問題あるいは生産調整の問題等については、全国的にこれらの問題を農林省が中心になりまして、あるいは地方農政局が中心になったりいたしまして、それらの需給関係を、十分必要な時期ごとに会合いたしまして締めくくっておるようなことに相なっておるわけでございます。
それから系統農協の野菜団地の問題でございますが、今度、政府といたしましては、百九十八であったものを三百十というところへ伸ばす、将来は五百幾らに伸ばすわけでございますが、今度それをふやすことによりまして、若干の相違はございまするが、野菜産地が大体入ってまいろうと思います。若干例外的なものは出ると思います。
それから加工のものについてでございますが、これは完全に加工用として分かれておるものについては、今回は入っておりません。しかし、加工と消費というものがまざっておって区別ができないというものについては、同様に取り扱うという方向で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/109
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110・西宮弘
○西宮委員 いま大臣からそれぞれの項目についてお答えをいただきましたけれども、その中の、たとえば全国的な統制をとる、統制ということばは適当じゃないかもしれませんが、調整をはかるということは非常に重大な問題だと思うのです。それを国あるいは出先である農政局、そういうところだけで各県間のコントロールというようなことも十分にできるのかどうか。私は、むしろ現在ある農業団体の組織、そういうものが各県単位でも全国単位でもあるわけですから、そういうものを活用することによって、そういう団体の責任においてやらせるということにしたほうが、より能率が上がるのではないかという気がしますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/110
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111・坂田英一
○坂田国務大臣 お答えいたしますが、そのとおり進めてまいりたいと思います。ただ、締めくくりと申されたので、農林省なりが、話し合いをやるときにいわゆる音頭とりと申しますか、つまり中心になっていきますけれども、農業団体の問題の打ち合わせとか、あるいは中心となって話を進めてまいるということは、過去において、もとの農会が中に入りまして非常によくあっせんをやったという歴史もございまするし、また現実においてもそれをやっておりますので、そういう姿において進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/111
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112・西宮弘
○西宮委員 もしそうであるならば、そういうことを法律の中にも明らかにして、おいたほうがいいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/112
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113・小林誠一
○小林(誠)政府委員 法律の中にこれは特にうたいませんでしたが、農協につきましては農業協同組合法があるわけでございまして、その中では、農民の自主的な組織として経済活動をする、それについて十全の働きをしてもらいたいというのが農業協同組合法のたてまえでございます。したがいまして、この野菜について特にその点をうたわなかったわけでございますけれども、この中にございますように、それぞれ共同販売組織という点が近代化計画の中にも出てまいります。また、資金協会のメンバーとして農協というのが出てまいるわけでございます。そういう意味で随所に出てまいりますけれども、農協が野菜を取り扱うべきであるというような訓示規定は、特に置かなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/113
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114・西宮弘
○西宮委員 それじゃ、現行法を活用するなりあるいは実際上の運営でそういう点を完全にやっていきたい、こういうことでありますから、私はそれに期待をすることにいたします。
次に、いわゆる計画生産、計画出荷、それの責任者はだれだ、にない手はだれだということなんです。たとえば農協あり商協あり、あるいは個人あり、生産地の中にもそういう雑多なものがたくさんあると思うのですが、そういうもの全部を一つの計画にのっけるというようなことをどういうふうにしていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/114
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115・小林誠一
○小林(誠)政府委員 お説のように、農協が大部分でございますけれども、あるいは出荷組合もございますし、商協もございます。農協の関係につきましては、それぞれ独禁法の適用除外になっておるわけでございまして、農協が販売につきましていろいろ指導する、あるいはその間で計画出荷をするということは、独禁法の適用除外になっております関係上、その線でできるわけでございます。また、商協につきましても、そういう意味では独禁法の適用除外になっております。ただ問題は、全国調整というお話でございますけれども、先ほども申しましたように、全国で出荷調整の協議会あるいは各ブロックで出荷調整の協議会、あるいは四大消費地域ごとにそれぞれの協議会をやるというような、ところによってお互いに情報を交換し、どのように出荷を調整すれば一番均等に野菜が指定消費市場に流れるかということがおのずからきまってくるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、先ほども申しましたように、農協の系統組織の活動ということに期待をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/115
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116・西宮弘
○西宮委員 私がお尋ねをしたのは、いろいろ農協なりあるいは青果物の特殊の組合なり、出荷組合なりその他いろいろな団体がある。そういうやつ全部をひっくるめて、それをどこで調整をはかるのかということなんです。
それから、ついでにもう一つお尋ねをしたいと思います。五十九条に勧告のできる場合があるのですが、これは「計画的な出荷に関し必要な勧告」ということで、生産について勧告をするということはないんですね。その点、その関係はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/116
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117・小林誠一
○小林(誠)政府委員 生産につきましては、都道府県の近代化計画の中に、その前提となります作付面積、生産数量というものにつきまして個々に都道府県知事の立てます計画にのっておるわけでございます。ただ、どういう場合に勧告するのかということでございますが、当然共販組織ということは必要なわけでございまして、先ほどから申し上げましたように、当然その系統農協の組織の活動というものを期待いたすわけでございますが、何らかの事情でそういうような共販体制というようなものができない、計画出荷というものができないというような場合には、そういう計画出荷をするようにという勧告、あるいは計画出荷をいたしましても事態が克服できないというような場合に、たとえば農協、商協それぞれの系統に対しまして勧告をするということを考えておるわけでございまして、その根本といたしましては、やはり農協の自主的な活動というものをもとにおきまして、その力がどうしても及ばないという場合に、農林大臣あるいは都道府県知事からの勧告が行なわれるということを考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/117
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118・西宮弘
○西宮委員 実際問題として、毎日毎日の、その日その日の荷動きあるいは値段の動き、そういうものとの関連において荷動きを指図をしたり、さばいていくということはどうしてやるのか。その団体は、さっきお話のように、農協ありあるいは特殊農協ありあるいは商協あり、その他いろいろそういうものがあるわけなんです。実際、きょうはどこへ出したら一番高いんだといったようなことを、現実にその日その日の荷さばきの指導というか調整というか、そういうことをやっていくのは、だれがやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/118
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119・小林誠一
○小林(誠)政府委員 現実の状態を見てみますと、それぞれの系統農協でございますとか、あるいは場合によっては、特産品につきましては県がその指図をやっているという場合もあろうかと思います。いずれにいたしましても、全国的なそういう荷動きの問題につきまして、行政のルートで適時適切な措置を講ずるということは非常に困難な問題でございます。むしろそういうような仕事は、系統組織をもってやるべき仕事だろうというふうに考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/119
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120・西宮弘
○西宮委員 先ほどお尋ねをした例の五十九条ですね、これは、私ども聞いているところによると、いわゆる団体交渉を、果樹の場合には加工用について設けましたね。そういう考え方でいったのを公取で拒否されたというふうに聞いておるのですけれども、そのいきさつはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/120
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121・小林誠一
○小林(誠)政府委員 当初、原案におきましては、農協なりあるいは商協は組織も違いますし、そういうことも考えたことがあったわけでございますけれども、農協組織というようなものにつきましては、これは独禁法の適用除外になっておるわけでございまして、そういう意味におきまして、むしろ農協組織の自主的な活動に期待したほうがいいのじゃないかということから、政府の最終原案におきましては、先ほどお述べになりましたような独禁法の適用除外規定は設けなかったような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/121
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122・西宮弘
○西宮委員 その実際の現場の担当者として、あるいはその指導員であるとかあるいは情報連絡員、こういうものを置くという構想ですが、これにどういう期待を持てるか。これは現にある人を委嘱をするというだけのものですね。そういうことでどの程度、これからの発展的な期待が持てるかという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/122
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123・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この指導員でございますが、これは指定産地に一名ずつ置くという計画になっておりまして、御存じのように指定産地は数カ町村にまたがるものでございますから、現実におきまして、生産それから出荷というものにつきまして世話をするということを考えておるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきまして、現地に近い農協連の出張所あるいは支所というところに置かれることを期待しておるわけでございます。なお、情報連絡員は、各単協ごとにそれぞれそこの職員の方になっていただくことによって随時適切な情報を得るということを目的としておるわけでございまして、指導員、情報連絡員という方が現地におきまして時々刻々変わります野菜の現地の事情というものについて連絡していただくと同時に、現地の単協についてそれぞれ指導していただくということを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/123
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124・西宮弘
○西宮委員 局長は全体を通して非常に楽観的な見通しで、全部が非常にスムーズにいくというふうに考えておるように思うのだけれども、たとえばいまの問題等についても、ただ現におる人に片手間にお願いするということで、別に新しい人を任命するわけでも何でもない。ただ、従来おる人に片手間にやってもらうというにすぎないのだから、私どもはなかなか局長の言うような、そういう期待は持てないのじゃないか。そういう点、さらにあとで詳しくまた伺いたいと思いますが、大臣にひとつ御意見を伺いたいと思うのです。
それは、蔬菜関係だけを見ましてもずいぶんいろいろな問題が論議されておるわけです。一カ月の間だけで——一カ月にも足りないと思うのだけれども、五月の下句から今日までの間に新聞に載ったものだけを拾ってみましても、さっき申し上げた経済関係閣僚協議会であるとか、あるいは物価問題懇談会であるとか、価格安定緊急対策会議であるとか、各省の物価担当官ですか、そういうものであるとか、まだほかにもたくさんあるはずなんだが、とにかくそういうものが至るところにある。野菜問題で百家争鳴の観があるわけです。それは決して悪いことではないと思いますけれども、それでは一体野菜について責任を負うのはだれだ、こういうことを私どもは感ぜざるを得ないわけです。大問題には相違ないが、あまりあちこちでみんなが大騒ぎをしておって、その責任の所在がどこにあるのだということが不明確になってしまうのじゃないかという、むしろ懸念があるわけですが、大臣はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/124
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125・坂田英一
○坂田国務大臣 これは先ほども私から御答弁申し上げましたとおりに、いま、昨年から比較すれば非常に好転したのは事実でございます。したがいまして、その点についてさらに一段と、今度は生産地の生産及び出荷の問題についてしっかりやらなければならぬという実態にあることはおっしゃるとおりでございまして、それらについていま御審議願っておる、こういうので、これが基本であります。
それから流通の問題につきましても、昭和三十五年以来でありますけれども、特に三十八年以来改正を加えてきておるわけでございます。この点も、決して問題をゆるがせにしたことはないのでございますが、さらにこの際、消費者に対する物価の全般的な見方というものが必要であること、これは言うまでもございません。そういう意味で、野菜といわず、すべてにわたっての、消費者全体から見ての問題を見てまいりたいということから、まず最初野菜が問題になりまして、それで企画庁において消費者の物価は一体どういうことに相なるか、そういう問題に進んだわけでございます。したがいまして、いま新聞はいろいろ報道されておりましょうけれども、それらについてどういう点がなお検討を要するかという、消費者物価全体についての問題としてこれが述べられておるのでございまして、そのうちの一番最初に生鮮食料というものがまいったのでございます。これは御存じのとおり、昨年から比較いたしますと著しく改善されておるのは事実でありますけれども、しかしながら、また全般的に見てのパーセントの面から言うと、やはり生鮮食料品の上がり率が、改善はされておってもまだなお大きいという点がありますので、まず最初にこの問題が取り上げられておるという実態でございます。これらの問題につきましては、いまこの出荷の問題のみならず、消費全体にわたって農林大臣が責任を負うことは言うまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/125
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126・西宮弘
○西宮委員 最後に農林大臣が責任を負うんだということでありますから、私は、その点をさらに確認をするといいますか、そういう考え方を強く持ってもらいたいということを申し上げて私の質問を終わりにしたいと思いますが、要するに、いまお話のように、企画庁がこの問題を取り上げたり、あるいは官房長官が主宰する会議があったり、あるいはその他民間有識者を集めての各種の委員会、審議会があったりして、至るところで野菜野菜といって、全く野菜で大騒ぎをしているわけです。そういう中にあって——だから、へたをするとあっちでもやる、こっちでもやるということで、責任の所在がぼけてしまう、そういう懸念がなきにしもあらずだと私は思うのです。ですから、少なくともこの野菜の生産並びに出荷あるいは消費の面に至るまでの指導、こういう点は最後まで農林大臣の責任にあるんだということを明らかにしまして、これに全力をあげてもらいたい。つまり、責任があっちこっちに分散をしてしまって、そのために農林省の責任が希薄になるというようなことであってはならぬ、こういうことを申し上げたい。特にそれについて大臣のお考えがあれば聞かせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/126
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127・坂田英一
○坂田国務大臣 別にありません。農林大臣が責任を負うことを繰り返して申し上げますが、いま申しますことは、消費者全般を見る場合の点について、全体として各省ばらばらに消費者問題も一緒に見ておる、それを全体ひっくるめてどう考えるかという問題をいまやっておるのでございまして、その一番なには、やはり改善されたといえども一番上がり率の大きいものから着手をしておるということでございまして、そういう調査をするということについて全般的な問題が重要になってまいったということでありまするので、この野菜全体についての責任は農林大臣にあることは、これは言うまでもございません。その点重ねて申し上げて、御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/127
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128・西宮弘
○西宮委員 時間がなかったので非常にはしょりましたが、他日、もし時間がありましたら質問をさせていただくことにいたしまして、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/128
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129・大石武一
○大石(武)委員長代理 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。
午後一時二十五分休憩
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午後二時四十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/129
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130・倉成正
○倉成委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
野菜生産出荷安定法案を議題とし、質疑を続行いたします。兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/130
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131・兒玉末男
○兒玉委員 最初、国鉄関係の問題についてお尋ねしたいと思います。
第一点は、先般の野菜の価格の追跡調査等によりましても、野菜価格の中に占める運賃の割合、これはもちろん国鉄だけではないわけでございますけれども、やはり国鉄としましても、特に生鮮食料品は国民生活に与える影響は大でありますし、先般の運賃の改正等の際においてもこれらの点は十分配慮されておると思いますが、現在の国鉄の生鮮食品の中でも野菜類等の輸送については運賃対策上どういうふうな配慮がなされておるのか、この点、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/131
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132・今村義夫
○今村説明員 お話のとおり、国鉄といたしましても野菜類の国民生活におきますウエートを考えまして、今回の運賃改正についても特別の措置をとったわけでございます。御承知のとおり、今回の運賃改正におきましては、平均一七・二%の賃率のアップをお願いしたわけでございますが、その他に、貨物の問題といたしましては、等級の改正なりあるいは運賃計算、重量の変更なりというようなことで、野菜も計算どおりにまいりますと二五%ないし三五、六%というようなアップ率になるわけでございますが、これを、このままでは非常に国民生活に大きな影響を与えるということで、実質一五%ぐらいのアップ率になるようにということで割引をいたしまして、いささかでも値上げが価格に影響しないようにということで配慮いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/132
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133・兒玉末男
○兒玉委員 次にお伺いしたいのは、先般国鉄から出されている資料等によりましても、特に貨物列車等の輸送時間を短縮する、こういうことが表現されておりました。現在、科学技術庁等においては、冷凍輸送等のための輸送船の計画等も、いま試験的段階でありますけれども、経費の節減なりあるいは生鮮食品等の輸送に対して非常な意欲を持っているわけですが、国鉄の考えている輸送時間の短縮ということは、具体的にどういうふうな計画をお持ちなのか、また、輸送時間については大体どの程度を目標として輸送時間短縮が検討されているのか、この点お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/133
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134・今村義夫
○今村説明員 輸送時間と申しますか、私ども今度の第三次長期計画におきましては、いままで非常に輸送力が不足いたしておりましたので、量的な輸送にだけ追われて、質的な輸送ということが十分でございませんでした。したがって、今度第三次長期計画でかなり輸送力もふえますので、質的な輸送に重点を置き、いままで原材料も製品も同じような輸送方式をとっておったわけでございますけれども、それぞれの製品に応じた輸送をやっていこうという態勢でおるわけでございます。したがいまして、生鮮食料品につきましても、私どもとしてできるだけ輸送スピードを上げることを眼目としておるわけでございますが、ことし、第一には、高速列車の運転でございます。これは御承知かと思いますが、現在、貨車のスピードは一時間六十五キロでございますけれども、今回は百十キロのスピードが出せる貨車を開発いたしまして、この高スピードによる列車を運転いたしたい。主としてこれは生鮮食料品なりあるいはコンテナによる雑貨輸送に当てたいという考え方でございます。これによりまして九州から東京市場向けの、現在三日目売りが二日目売りになるというととが可能になるわけでございまして、こういう点で、流通界全体としても非常に大きなプラスになるのじゃないか。これが第一点でございます。
第二点といたしましては、現在の六十五キロしか走れない車を、これは非常に専門的になりますが、バネを改造いたしまして、二段リンクの貨車にいたします。これを大体四十一年と二年ぐらいで全部改造いたしまして、十トン車がございますが、これはもう改造することが非常に困難でございますので十トン車は別にいたしまして、中型車以上の貨車を全部七十五キロ以上のスピードが出せるように改造いたします。そういたしますと、四十三年の時刻改正からは貨物列車も旅客列車と同じようなスピードで走れるということで、これもかなりスピードアップになるのじゃないかと思っております。
全体的にはそういう方向、それから特殊的には、そういうハイスピードの貨車を開発してやっていくということで、われわれも流通問題全体に寄与したいということで考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/134
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135・兒玉末男
○兒玉委員 次に、やはり生鮮食品の一番大事な点は、いかにして鮮度を保持しながら短時間に輸送するかというところに問題があるわけですけれども、先般の説明でも若干は聞きましたが、いわゆる貨物の輸送形態の改善、いわゆる貨車等のいままでの通風車一本やりから冷凍輸送、こういうような方向に改善するようなことも聞き及んでおります。特に、今回の野菜法案の提案を契機としまして、国鉄の輸送に依存する部門は依然として相当な量があると思うのですが、そういった輸送形態の改善ということについてはどういうふうな措置をとられようとしているのか、この点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/135
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136・今村義夫
○今村説明員 輸送の改善の問題につきましては、ただいま申し上げましたスピードの問題と、もう一つは、貨車自体の問題、それから基地の問題があろうかと思います。
輸送のスピードの問題につきましては、ただいま御説明申し上げたとおりでございますが、貨車の問題につきましては、現在通風車で野菜の輸送に当たっておるわけでございます。現在、通風車が三千二百四十九両あるわけでございますが、こういう通風車を主体に輸送をやっておるわけでございます。さらに、今後におきましてはコンテナ等の開発をいたしまして、通風コンテナというような問題もぜひ開発をしていきたい。これをやりますと、先ほどのハイスピードの列車にも載せ得るという利便もございますが、そういうことで今後検討を進めてまいりたいと思っております。それから冷蔵車が四千八百九十四両ございまして、これも一般には鮮魚の輸送に当たっておるわけでございますが、時期によりましては、こういう冷蔵車の輸送もやるという考え方を持っております。
なお、基地の問題につきましては、これは国鉄だけではなかなかむずかしいわけでございますが、農林省なりあるいは業界の方々の御協力が得られますならば、ぜひ私ども基地を近代化いたしまして、そこで短時間の積みおろしができ得るような設備をこしらえてまいりたい。それによりまして基地と市場間のピストン輸送と申しますか、ヤードに入らない列車もできるわけでございますので、そういう発駅の集約というようなことについても、もし御協力が得られますならばやることによりまして流通問題に資し得るのではないか。こういう点も検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/136
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137・兒玉末男
○兒玉委員 国鉄関係にはもう一問だけお聞きしておきたいと思いますが、特に現在の貨物の積みおろし駅というのは、私は、時代の要請とともに相当設備の改善ということも必要ではないかと思うわけです。特に流通部門の一番要素をなす貨物関係の設備関係については、どういうふうな改善をされようとしておるのか、この点、最後にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/137
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138・今村義夫
○今村説明員 現在国鉄の貨物を扱っております駅が二千七、八百駅あるわけでございますが、将来、私どもこの全駅を設備改良するということは、運賃値上げはしていただきましたけれども、なかなか多額の投資を要しますので困難がございます。したがいまして、この二千数百駅の中でも荷物の多い、特に基地的な性格の駅を取り上げまして、この駅を徹底的に近代化していく。そうすることによりまして、荷役なりあるいは輸送の利便に資するということで、お客さんにも喜んでいただけるし、それからわれわれのほうにもプラスになるというような方向で今後の基地問題を考えていきたい。今度の第三次長期計画におきましては約五千億、これは基地ばかりではございませんで、ヤードなり基地なりという純粋の貨物部門に投資する額が約五千億でございます。旅客が七千億でございますので、その間に共通部門がたくさんございますが、かなりウエートを置いております。そういう基地の問題をどういうふうにするかということは、いろいろいま検討いたしておりますが、どこから手をつけていくかということを早くきめまして、できるだけ近代化した駅設備をこしらえる。それによって流通問題に寄与するというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/138
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139・兒玉末男
○兒玉委員 国鉄関係はそれでけっこうです。
次に、大臣にお伺いしたいのでありますが、今回のこの法案のねらいが、特に出荷、生産の安定ということでありますけれども、非常に価格が暴落した場合には、価格補てんの保護策が生産者にとられております。しかし、価格が暴騰した場合に対して、いわゆる消費者保護という点についてはあまり意が尽くされてない。特に値上がりする分については全く歯どめのしようがない。こういうことで、やはりこの際、生産者保護とともに、消費者にも安定した価格で供給するとするならば、標準価格もしくは価格暴騰の際における上限価格等の措置もやはり検討する必要があるのじゃないか。このことによって、やはり消費者保護というこの法案のほんとうの目的が達成できるんじゃないか、私はこのように考えるわけですけれども、消費者保護の場合から見た価格安定策について、大臣の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/139
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140・坂田英一
○坂田国務大臣 ごもっともなことでございます。現在、この法案におきましては、兒玉委員が仰せのとおりに、生産の安定、出荷の安定をはかってまいるということが根本でございます。それは、目的は、やはり消費者にも生産者にも価格の安定をはかっていこうということが根本の目的でございますから、これは両方から考えねばいかぬということは言うまでもございません。また、これだけではやはり十分でないことは言うまでもございませんので、昭和三十五年、特に三十八年以来卸売りと小売り全般にわたっていろいろと検討も加えてきておるのでございまするが、さらに一そうこの面についても十分検討を加えてまいりたい。これは併行してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
そこで、この最高、最低という意味で、いわゆる消費者から見ての高いほうの制限の問題についてはどう考えるかという問題でございますが、この点は、とにかく生産の安定、出荷の安定ということによって大体において目的が達せられるのではないかと考えておりますが、さらに一そうその点を的確ならしめる問題については、今後の問題として十分検討を加えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/140
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141・兒玉末男
○兒玉委員 次に、これは園芸局長にお伺いしたいのですが、特に今回の指定産地等については、産地の場合は面積で制限しますから基準がありますが、生産量について、特にこれが正規のルートにあがって、そして指定野菜が大体市場支配の七割程度を占めれば、いま質問するような心配はないと思うのですけれども、非常に野菜が出回って、一応出荷の予約数量がきまっているわけでありますから、その予約数量においても非常に過剰な状態が予想されると思う。せっかく市場に出しましても全く意味がない。また、受ける側も受け取らない。こういう事態もいまの段階では十分予想されるわけでございますが、そういうふうな異常の事態における価格保障なりあるいは出荷対策等についてはどういうふうな措置をとられようとしておるか、この点お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/141
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142・小林誠一
○小林(誠)政府委員 御指摘のように、作付面積が一定でございましても、豊況のときがあるわけでございまして、したがいまして、出荷数量が非常に多くなって価格が暴落する時期があろうかと思います。この問題は非常にむずかしい問題なので、各農協、出荷者団体というのがそれぞれ需要に見合って、とにかく必要な量を適時に出すということが必要なんでございますが、なかなかいろいろの事情がございますし、出荷者がばらばらであるということから、やはり市場が過剰な状態になるということも考え得るわけでございます。異常な状態における価格保障というのは、おそらく資金協会がどうするのだということだと思います。従来のカンランとタマネギでやっております例から申し上げますと、会員が出荷の計画をつくりまして、その出荷の計画をなるべく守る。それで、あまりそれを上下しないということで出荷を安定させていこうというのがいまの資金協会の運営でございます。あまりにもそれを暴落時期に出し過ぎるというような場合におきましては、場合によっては交付金の交付を制限したりあるいは停止をするというような措置もとっておるわけでございまして、いずれにいたしましても、カバー率からいいましてそう多くないという段階におきましては、その出荷を調整して、とにかく手取りがほとんどなくなる、荷づくり、包装賃だけでもう一ぱい一ぱいになってしまうというようなことがないようにするためには、やはり系統組織が各指定産地の間、あるいは県の間のといいますか、調整をとりまして、非常に異常の事態が生じた場合には、それに対処してこれを調整をしていくことが必要であろうというふうに考えるわけでございます。農林大臣からの勧告というのも、そういう事態が出ました場合はなるべくそれを発動するというようなことも考え得るわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、とにかく各出荷者団体の自的主な組織というものが、長い将来のことを考えて、当面の問題に惑わされないで対処するということが一番必要なことであろうというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/142
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143・兒玉末男
○兒玉委員 これに関連しまして大臣にお伺いしたいのですが、産地の野菜の生産が天候等に非常に支配されやすいわけです。特に問題となりますのは、いま園芸局長も答弁いたしましたように、予約数量というものがありますけれども、これは面積と関係なく行なわれているわけであります。もちろん予約数量は、そこの過去何年かの統計等によってきめられるわけでありますけれども、それにも増して、天候等により相当の予約数量を上回る生産ということも予想されます。そういう場合に、結局廃棄処分といいますか、出荷不能という過剰分が相当出る場合も予想されます。そういう場合に、生産農民に対しては何らかの形でこの廃棄処分等についても対策を講ずる必要があろうかと存じますが、廃棄処分、出荷予想数量以上のいわゆる過剰分に対する措置をどういうふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/143
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144・坂田英一
○坂田国務大臣 ごもっともでございますが、産地のこの面について天候に支配されるということはお説のとおりでございます。今度近代化をはかる場合においても、生産の確保という点についての問題を相当十分やらなければならぬ。そこで、生産及び出荷の近代化というところに特に力を入れてまいりたい。たとえばスプリンクラーのようなもので、非常にかんがいがうまくいかないというときには、それによって作柄の増減が非常に大きいということで、これは技術的にも、それから近代化計画を立てることにおいても根本的に修正していきたい。ここに非常に大きな目玉を置いて進めていきたいということを念願しておるわけでございます。
なお、廃棄処分が必要になるという場合、野菜の問題についていろいろあるわけでございます。ただ、この廃棄処分につきましては、数量の確認がどうか、それから廃棄の時期がどうかといういろいろの点について、たとえばこれに対して補給金を出すという場合を想像いたしますと、これに対する問題がまだ検討を加えるべきときでございますので、私どものほうでは、これをどの時期でどういうふうに確認するかといったような問題をいま検討を加えておるのでございます。できれば、そういう方向へ進めなければならぬと思う。同様に、補償の問題を進めていきたいとは思うけれども、こういう技術的な問題についていま検討を加えておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/144
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145・兒玉末男
○兒玉委員 次に、出荷調整の問題について大臣の御所見を承りたいのであります。
御承知のとおり、今回の法案制定の際、かなり調整という点については問題があったように聞いております。第五十九条では、「合理的かつ計画的な出荷に関し必要な勧告をすることができる。」こういう表現がとってありますけれども、少なくとも、需給関係なりまた市場におけるところの価格の変動というのは、特に野菜の場合についてははなはだしいわけでありまして、供給量の多寡によって価格の変動の差というのは非常に激しいわけでありまして、この法案の、合理的しかも計画的な出荷をすることについては、生産県同士の横の連携というもの、あるいは全国的な連絡調整機関、こういうもの等で強力な活動を展開しなければ、単なる五十九条の勧告という表現だけでは、計画的な、しかも合理的な出荷体制というものは不可能ではないかと思うんですが、この辺の連絡調整機関、また出荷に関するところの横の連絡等、どういうふうにしてこの趣旨が達成されるようにお考えになっておるのか、単なる勧告だけでは十二分に私は達成できないと思うわけです。この点については、農協中央会等からもこれに対する修正の意向も出されておるくらい、全販連また農協団体等はこの点に非常に神経をとがらしておるわけですが、この点に対する大臣の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/145
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146・坂田英一
○坂田国務大臣 この点はごもっともの点でございます。私どもとしては、やはり農協の組織を十分活動させていきたいということを考えております。これはずっと戦前において、農協の農会という時分においてその指導に当たったことがありますが、かなりの効果をあげておる事実もあります。私どもは、農協の組織の活動というものに非常に期待をいたしておるわけでございます。なお、この指定産地には、今度は特に指導員を配置いたしまして、生産並びに出荷に関する一切の事務的な取りまとめその他をやるために、特別にそういうものを設置する。これも、でき得るならば農協の支部等に置いていきたいと期待しておるわけです。そういうことも考え、さらに全体の問題としては、国、それからまた地方地方、さらに指定産地の県、それから指定産地というように、段階的にそれぞれ協議をいたすという点についても十分それを考えてまいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/146
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147・兒玉末男
○兒玉委員 この点、またあとでそれぞれ御要望申し上げたいと思います。
次に、今回の法案で一つの注目すべき点として、価格暴落の際に、特にタマネギ、カンラン、白菜が一応価格補てんの対象になっておるわけでございます。しかしながら、これはあくまでも中央市場を通すもののみに限定されております。流通機構の合理化、そしてその改革の根本は、生産と消費をできるだけ直結する形において、いわゆる中間経費の節減をはかって、消費者に安い価格で供給するというのが本筋であります。そういうことから考えますと、大口の荷さばき所なりあるいは大口需要者等々の直接取引、こういうことも今後十分予想されるわけでありまして、これらの点についてもやはり価格補てんの対象にすべきではないか。同時にまた、大根とかトマト、キュウリ、こういうもの等も価格補てんの対象品目にふやしていくべきではないかということを考えるわけですが、この価格補てんに関して大臣の御見解を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/147
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148・坂田英一
○坂田国務大臣 価格補てんの問題でございますが、まず第一に、この三品目でなしに、もっとふやしたらどうかという問題が一つでございます。これは、さようにだんだんと積み重ねてふやしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
それからもう一つは、大口需要のもの、つまり中央市場を通らずに大口使用のほうにまいりますものについてはどうか、それから加工のものについてはどうか、こういうことでございますが、これにつきましては、なかなか的確につかみにくい点もいろいろございますので、これらについてはいま直ちに実行に移すわけにもいかない、こう考えておるので、さしあたりの問題としては、中央市場を通すものということでまいりたい。これは全く実効を的確にするためにそういうふうに進んでまいりたい、こう考えておるわけでございます。
それから加工の問題については、これはまた別にひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/148
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149・兒玉末男
○兒玉委員 ここで経済局長にお伺いしたいのでありますが、今回の指定産地から出される野菜については、いままでの形態と違って予約数量であり、しかも非常に安定したベースで野菜類が市場に出されるわけであります。この点、三十九年にも手数料の改定がなされましたが、特に産地指定に関する分については、やはり値引き等がいままでよりも非常に容易になるわけだし、しかも、中間経費の節減という点から考えますならば、やはり手数料等の改定、引き下げということは当然配慮されてしかるべきだと思うのですが、この点について特に経済局長の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/149
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150・森本修
○森本政府委員 お話がありましたように、二、三年前に、それ以前の実績等を検討いたしまして、卸売り人の集荷手数料は引き下げるように措置をしたわけでございます。それ以降、実はまだ実績としましては、実行いたしましてから一年程度しかたっておりません。そういう関係がございまして、手数料を再検討する資料としてはやや期間が不足しておるのではないか、こう思っております。漸次そういった年限がたちまして、しかるべき機関で実績を検討できるような時期になりますれば、私どもとしてもその実態に即して検討するにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/150
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151・兒玉末男
○兒玉委員 次に、大臣にお伺いしたいのでありますが、何と申しましても、この一番基本である安定基金でございますけれども、これが総額でわずかに十二億そこそこといわれております。年間の中央市場を通す野菜の取り扱い金額に比較いたしましても、これはほんとうに微々たる基金であります。特に、これから生産農民が安んじてこの法案の示すとおりに指定産地におけるところの生産を高めていく、また、これも先般の質問でも明らかにされましたが、指定産地も拡大されていく、そういうふうな展望に立ちますならば、やはり基金の拡充ということが不可欠の要件ではなかろうかと思うのですが、これに対して今後どの程度に基金を拡大していこうとお考えになっているのか、この点についての展望なり、そしてまた、現在の金額ではこれは絶対十分じゃないということは、もう昨日来の質疑の中でも明らかにされたわけですが、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/151
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152・坂田英一
○坂田国務大臣 基金の問題はごもっともでございまして、これが進行に即応してでき得る限り基金の増額をはかって、遺憾のないようにしてまいりたいということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/152
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153・兒玉末男
○兒玉委員 大臣の時間がないそうですから、あと二問程度にしぼって御質問したいと思いますが、現在の計画では、昭和四十二年度までに指定産地が大体五百二十カ所でございますか、こういう点から、指定産地なり、また消費指定地域というものはこれから拡大していって、そうしてこの野菜価格の安定というものが、地方都市の場合においても、需給の関係の確立と同時に、安定した形において野菜の生産ができるためには、まだまだ五百二十カ所程度では不十分だ、私はこういうふうに考えるわけでございますけれども、指定産地の拡大あるいは消費指定地域の拡大等についてどういうふうなお考えをお持ちか、明らかにしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/153
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154・坂田英一
○坂田国務大臣 この点は、お説のとおり、現在は百九十八カ所でございます。これは御存じのとおりでございます。ことしは三百十カ所にし、二年後に五百二十カ所に増加をしたい。今後さらにそれを増加してまいるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/154
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155・兒玉末男
○兒玉委員 それから、今後の指定産地の運営というものは、何といいましても、現在までの生産方式から生産の形態というものをやはり近代化していかなければいけない。たとえば生産技術の改良、品種の改良あるいはまた製品の規格化、商品化としての品質の向上、また一番問題である集荷、選果場の整備、こういうふうな一つの共同化の方向に持っていかなければ十分の実効を期待できない、こういうふうに私は考えるわけであります。同時にまた、流通過程の合理化という面から考えましても、集団的な産地において、いわゆる規格を統一する等の初期の段階における加工施設、こういうもの等にも十分の思い切った措置がなされなければ、この出荷体制というものは十二分の効果を期待でき得ない、こういうふうに私は判断をいたすわけでありますが、このような生産団地におけるところの近代化ということについてどのようなお考えをお持ちか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/155
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156・坂田英一
○坂田国務大臣 いま兒玉委員がおっしゃったとおりの考え方を持っておるわけでございます。すなわち、生産については病虫害の防除あるいは共同化、あるいはかんがい排水の問題あるいは集荷の近代化、あるいは出荷についての計画化、近代化といったようなお説のとおりの問題を、これらの指定産地に対して推進してまいるわけでございます。本年は七十五カ所ぐらい現実に進めるわけでございますが、さらに一そうこれらを拡大強化してまいる考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/156
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157・兒玉末男
○兒玉委員 もう一ぺん、最後です。
これは特に総合的な問題として、第一点は、ちょっと話は前後しますけれども、野菜の名称が、特にカンランの場合は、キャベツがほんとうなのかカンランがほんとうなのか、これは局長でもけっこうですが、この名称はやはり統一すべきだと考えております。これについてどういうようなお考えなのか。
もう一つは、五月二十七日に行政管理庁から、生鮮食料品の生産及び流通に関する行政監察結果の勧告というものが農林大臣になされております。この点は、いままで御質問申し上げたようなことの総括でございますが、この中で、特に流通についてもかなりきびしい勧告がなされております。それからまた、生産関係におきましては、いわゆる需給関係の一番基本となる生産状況等の統計調査、こういう点をもう少し強化して的確な需給関係を確立すべきだ、こういうような点が指摘をされておりますが、今回のこの行政管理庁の勧告についても積極的な姿勢で取り組んで、これの改善に当たっていただきたい。同時にまた、今日の一番の問題は、やはり流通部門においても、中央市場における経営のあり方、またその内容の改善ということがきわめて重大な点ではなかろうかと私は考えますが、この行政管理庁からの勧告並びに先ほど申し上げました名称の統一という点について御質問を申し上げ、大臣に対する質疑を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/157
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158・坂田英一
○坂田国務大臣 この行政管理庁の御指摘を受けた点につきましては、私どもも同様にその考え方でもって努力を進めておりまして、私どもの考えと全く一致しておりまするので、さらに一そう努力を進めてまいりたい、こう考えておりまするので、御了承を願いたいと存じます。
なお、名称等の問題については園芸局長から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/158
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159・小林誠一
○小林(誠)政府委員 カンランかキャベツかというお話でございますが、従来私たちはカンランということばを使っておりまして、高原カンランとか、いろいろことばを上につけます場合にごろがよかったのでありますが、一般にキャベツというのが使われているということから、やはりキャベツということばを使ったほうがいいのではないかという御主張もございますわけであります。それらの点につきましては、農林省といたしましては、なるべく一つのことばで統一いたしますように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/159
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160・兒玉末男
○兒玉委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/160
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161・倉成正
○倉成委員長代理 次会は明十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04619660609/161
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