1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月二十七日(金曜日)
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議事日程 第三十四号
昭和四十一年五月二十七日
午後二時開議
第一 防衛施設周辺の整備等に関する法律案
(内閣提出)
第二 官公需についての中小企業者の受注の確
保に関する法律案(内閣提出)
第三 農地管理事業団法案(内閣提出)
第四 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を
改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、
参議院回付)
日程第一 防衛施設周辺の整備等に関する法律
案(内閣提出)
日程第二 官公需についての中小企業者の受注
の確保に関する法律案(内閣提出)
日程第三 農地管理事業団法案(内閣提出)
日程第四 農林漁業団体職員共済組合法等の一
部を改正する法律案(内閣提出)
午後二時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/0
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001・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) これより会議を開きます。
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失業保険法の一部を改正する法律案(内閣提
出、参議院回付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/1
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002・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) おはかりをいたします。
参議院から、内閣提出、失業保険法の一部を改正する法律案が回付されました。この際、議事日程に追加して右回付案を議題とするに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/2
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003・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
失業保険法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/3
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004・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 採決いたします。
本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/4
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005・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
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日程第一 防衛施設周辺の整備等に関する法
律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/5
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006・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 日程第一、防衛施設周辺の整備等に関する法律案を議題といたします。
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007・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長木村武雄君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔木村武雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/7
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008・木村武雄
○木村武雄君 ただいま議題となりました防衛施設周辺の整備等に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、防衛施設周辺対策を積極的に実施するため、その対策の基本を法律に定めようとするもので、そのおもなる内容を申し上げますと、
第一は、自衛隊等の特定の行為により生ずる障害を防止しまたは軽減するため、地方公共団体等が行なう工事については、国が補助するものとすること。
第二は、防衛施設の運用により、住民の生活または事業活動が著しく阻害されている市町村が、その障害緩和のため、民生安定施設の整備をはかるときは、国が補助することができるものとすること。
第三は、自衛隊等が使用する飛行場周辺住民のこうむる障害を軽減するため、国は、一定の区域内にある建物移転等の補償及び土地の買い入れができるものとすること。
第四は、障害防止工事または民生安定施設の整備を行なう地方公共団体等に対し、国は、資金の融通、あっせん、普通財産の譲渡等の援助につとめ、かつ、関係行政機関は、防衛施設周辺における生活環境及び産業基盤の整備につとめるものとすること。
第五は、自衛隊の航空機のひんぱんな離着陸等により、農林漁業等特定の事業に経営上の損失を与えた場合には、国が補償するものとすること。等であります。
本案は、四月五日本会議において趣旨の説明及び質疑が行なわれ、同日本委員会に付託、四月六日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、五月二十六日、質疑を終了、討論に入り、日本社会党を代表して大出委員より反対の意見が述べられ、直ちに採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案により、全会一致をもって、民生安定施設の助成については、その対象となる市町村の認定、対象施設の選定、補助率等につき特に配慮するとともに、都道府県についても、市町村のそれに準じ行政措置を講ずるよう配慮すべきである旨の附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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009・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 討論の通告があります。これを許します。大出俊君。
〔大出俊君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/9
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010・大出俊
○大出俊君 ただいま議題となりました防衛施設周辺の整備等に関する法律案に対し、日本社会党を代表して反対の討論を行ないます。
この法律案は、足かけ五年前に、全国一の基地県といわれる神奈川県、特に厚木基地周辺における爆音防止期成同盟の諸君等を中心とする方々が、基地周辺民生安定法の名のもとに要求を起こし、全国の各基地団体、基地県に働きかけを行ない、対政府要求として数々の苦心を重ねた結果、基地周辺民生安定法の要求とは似て非なる内容を持つ今回の政府提案となったという経過があるわけであります。
いま、これらの運動推進の中心となった方々は、まことに複雑な気持ちでおられます。つまり、長年苦心を続け運動を積み重ねて、ようやく形は出てきたものの、はたしてこの法案を通すことによって基地周辺住民あるいはまた基地をかかえる自治体は一体救われることになるかどうかという疑問であります。さらに突っ込んで言えば、一つ間違うと、この法案を通すことによって基地周辺の住民はさらに不安と問題をふやすことになりかねない。今後制定される政令できまる適用地域、同対象、補助率によって大きく左右されることになります。また、周辺住民、自治体にとりましては、適用地域の拡大、補助金のふくらみが逆に自治体財政を苦しめ、基地の実質的拡大、特に基地の恒久化につながることになるのではないかという、二律背反的な悩みがあるということになるわけであります。
そこで、私は、安保廃棄、基地撤去の社会党の方針に従い、基地の長期固定化の方向に進むこの法案には明確に反対の立場に立っておりますが、人の住んでいるところに基地が存在をするわけでありますから、現実的な立場から、各団体の皆さんの気持ちをくんで三日間にわたる詳細な論議を積み重ねてみたわけでありますが、その結果、この法案の内容は、民生安定法の推進に当たった皆さんの気持ちに立ってみましても、とうてい賛成いたしかねるものであることが明確になった次第でございます。
厚木基地爆音防止期成同盟の皆さんは、この法案が提出されました直後の三月二十八日に同盟の特集号を発行されましたが、その内容はきわめて切実なものがあります。かつまた、この間の事情をまことによく物語っていると言えるわけであります。
いわく、「いま政府最終案として登場したところのこの案を見ると、われわれの要望にはほど遠いものであることはもとよりのこと、当初原案からもかなり色あせたものになっている。はたしてこの法律は、基地周辺住民の民生を安定させ、福祉の向上に寄与することになるであろうか。元来、基地周辺の住民の生活が真に安定し、健康で文化的な生活が保障されるためには、端的には基地がなくなることにある。しかしながら、それをこの法律に求めることはできない。何となれば、この法律は、基地の所在を前提とし、かつその維持運営の円滑化を目的とし、この目的の限りにおいて周辺住民の生活安定の策を講じようとしたものにほかならぬからである。したがって、この種の法律がたとえどのようにすぐれたものであったにせよ、航空機の墜落その他生命の危険感が絶無となり、戦争への危惧が払拭されない限り、われわれは基地移転の要求をやめるわけにはいかない。いわんや、この法律が数多くの不備と問題点を内包するにおいておやである。」と言っております。
さらに続けて、「かつて池田内閣は、一貫して、基地問題は法制措置によらず、ケース・バイ・ケースの行政措置で足りるとしてきたが、一昨年二月、同じ自民党の佐藤内閣が誕生し、わずか一年有余にして急転直下法制化に踏み切ったということは、一体どのように解すべきであろうか。それは言うまでもなく、四年後に迫った安保対策、その長期固定化の裏づけにあることは明らかであろう。とすれば、大幅な修正を実現しないときは、この法案は、基地周辺住民にとって一顧の価値もないものとして黙殺し去る。」とまで問題を提起しておる部分があるわけであります。
以上のごとき期成同盟の皆さんの主張は、人の住んでいないところに基地があるのではないのだというところのきわめて現実的な立場に立って、基地周辺民生安定法制定の要求を掲げながらも、その究極において、法律でジェット機の墜落を防止することはできないという周辺住民諸君のイデオロギーを越えての不安として、社会党の主張と相通ずるものになっていると言うことができるわけであります。この点を強く指摘申し上げる次第でございます。
以下、具体的に反対の理由を明らかにいたします。
まず第一に、この法案の内容は、その大部分が、旧来地位協定に基づく特損法の規定により、あるいは予算措置により、見舞い金等の名称をもって行なわれていたものを整理したというにすぎないわけでございます。単に第四条及び第五条の一部に新たな措置が加えられている程度でございまして、その他は特に自衛隊の行為を合法化しようと試みたまことに賛成いたしがたいものを含んでいるわけであります。
しかも、第四条とは、民生安定施設の助成という名の補助金でありまして、市町村が生活環境施設や事業経営の安定に寄与する施設の整備を行なうときは、国はその費用の一部を補助することができるというものであります。つまり、具体的には、道路、排水、用水路、消防施設、開田、老朽田の改修、畜産振興、かんがい施設などが考えられるわけであり、基地からこうむる被害として、住民の生活や産業活動が著しく阻害されているという実態が救済の対象とされるのでありますが、何とその予算はわずかに五億円でしかないのであります。二階から目薬式のまことにお話にならぬしろものでございます。
にもかかわらず、これがきまるまでの経緯を見るときに、まず、防衛庁は、米軍の基地内にある建物などのドル資産約四百四十億円相当のものに対しまして、固定資産税に見合う二分の一の交付金として、これを関係市町村に配付して、いわば迷惑料、がまん料と考えたわけでございますが、これは当然のことでありまして、今日までの怠慢が大いに責められなければなりません。ところが、大蔵省は、現在基地の所在する市町村には、いわゆる基地交付金、正しくは国有提供施設等所在市町村助成交付金が交付されているので、新たな交付金を設けると二様になる、つまり、一つ間違えば交付金増額の大運動さえ起きかねないということで、助成補助金と名を変えたわけであります。ところが、さらにまた問題が起こりました。助成する仕事の性格によって、建設、農林、厚生各省が、行政の一元化ということで、各省に分割して予算をつけろというのであります。住民不在のなわ張り争いといわなければなりません。しかも、基地があるということは、明らかに国の責任であります。してみれば、基地周辺住民という限られた人たちが被害を受け負担をしなければならぬ理由は、どこにも存在いたしません。明らかに全額国庫負担が正しいのであります。にもかかわらず、これはほんの一部の補助金でしかないのであります。五億円の金があるばかりに、今後、全国の基地市町村は、金の取り合いのために骨身を削り、やっと何がしかの金の配分にあずかったといたしましても、それはほんの一部なのでありますから、基地があるためにより一そう窮乏しているこれらの市町村財源を大幅に捻出しなければならぬ、こういう結果になるわけであります。しかも、この財源がまた、基地によって苦しみ続けている住民の税金であることを考えるときに、こんなばかげた法案に一体だれが賛成をするのかといわざるを得ないのであります。(拍手)
別途大幅な基地交付金の増額があわせ考えられません限りは、基地住民の民生安定を真剣に考えた政治はどこにも存在しないわけであります。
第二に、第五条の特定飛行場周辺移転の補償等についてであります。
これは、防衛施設庁長官は、政令で定める特定の航空基地周辺において住民のこうむる障害を軽減するために、周辺の一定区域を指定して、区域内にある建物、立ち木、その他の定着物の所有権者が、これを区域外に移転したり取り除いたりする場合には、国は、その所有権者や、所有権以外の権利、たとえば借地借家権等でありますが、を持つ者に移転料などを補償することができ、また、区域内の土地所有者が土地の買い上げを申し出たときは国が買い取ることができるとするものであります。これは単に旧来行なわれていた措置の法文化であり、昭和三十五年十月の閣議決定によりますと、飛行機の進入正面一キロの範囲と運用の面で定めており、今回これを多少範囲において広げたというにすぎぬのであります。
また、旧来土地買い上げ等の補償措置が施設庁の査定におきましてきわめて低額でございます。大和市における宅地買い上げは、三十七年坪当たり四千五百円、三十八年坪当たり五千六百円であることを見ましても明らかなところであり、紛争が今日なお絶えぬのであります。まして、移転料や土地の買い上げで金を受け取った者、また新たに土地を取得した者が、免税についての何らの税法上の特別措置も講ぜられていないのであります。ベトナム特需の物品税の免税や、正確な徴税内容さえつかんでいないと答える政府のやり方を見るときに、旧来の措置を法文化した意味は全く見受けられず、まさに旧幕時代の悪代官的やり口というほかはないのであります。
第三点として、損失の補償、第九条についてであります。
本条は、自衛隊の行為によるその損害の救済を規定したものでありますが、ここには二つの大きな問題があります。
その一つは、この条文には米駐留軍は含まれておりません。米駐留軍の行為に基づく損失の補償は、現行の特損法、正しくは「日本国に駐留するアメリカ合縦国軍隊等の行為による特別損失の補償に関する法律」により行なわれるわけでありますが、当初の原案では、現行の特損法は廃止をして、この法律一本立てとするはずでありました。特損法は、昭和二十八年にできたものでありまして、今日の実情に合わぬばかりでなく、本来新たな法律がつくられていなければならぬ性格のものでございますが、にもかかわらず、この九条、つまり自衛隊の行為による損失補償を特損法に逆に合わせたのであります。ここでもまた、住民の救済よりも、特損法廃止に伴う適用範囲の拡大、予算の増大等をおそれた政府の意図が読み取れるわけでございます。
特損法とこの第九条は、かくて同じものであり、救済の対象となる者はだれかといえば、「従来適法に農業、林業、漁業その他政令で定める事業を営んでいた者」であります。これらの者が「事業の経営上損失をこうむったときは、国がその損失を補償する。」、またその損害は「通常生ずべき損失」であることということになり、まず戦争等の非常災害による損失の救済はなく、救済の範囲もきわめて狭いことになり、商工業者、給料生活者、勤労者その他の一般庶民については、いかに日常生活の面において肉体的、精神的、経済的に基地による被害をこうむっておりましても、何ら救済の措置はないのであります。措置を求めようとすれば、民事法による損害賠償なり慰謝料請求なりの訴訟の提起以外に道がありません。この点はまさにこの制度上の致命的欠陥といわなければなりません。
旧来、神奈川県大和市等の補償対象となったものは、進入正面下わずかに一キロの範囲。なお、補償金額の計算方式は、航空機一機一回分の離着陸の場合の騒音による農耕阻害時間を一分半と見て、それに一日の飛行回数平均と年間投入する平均労働量及び労賃単価を掛け合わせて算出するのでありますが、施設庁の大幅な減査定により、常にその方式の十分の一にも満たないものであります。農耕阻害時間一分半とは一体何かといえば、飛行機の爆音に働いている農民が驚いて首をすくめる、とたんに手が休みになる、その時分だという。まさに、人間を対象にした計算ではなく、正気のさたとも思われないわけでございます。
これらの爆音調査もまた、本元の防衛庁が主体となってやり、調査の際には基地に調査の場所等の打ち合わせに行くというのでございますから、調査を知って米軍は飛行機を飛ばすことを加減したというばかげた実例さえあり、まさに子供だまし以外の何ものでもないわけであります。
その他、防音工事の助成等、第三条をはじめ、数え上げればまさに三日もかかることになります。
かつて池田内閣の方針を立法に踏み切った背景は、期成同盟の皆さんの特集号の内容を借りるまでもなく、明らかなところであります。基地周辺住民の反対の声と運動の盛り上がりをこのことによってごまかし防ごうというのであれば、まことに笑止千万といわなければなりません。
ベトナム戦争の行くえを考えますときに、日本の安全と平和のために、旧来の行きがかりを捨てまして、安保廃棄、基地撤廃の方途を真剣に見出すべき努力を尽くすべきときであることを最後につけ加えまして、反対の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/10
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011・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/11
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012・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/12
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013・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 日程第二、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/13
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014・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員長天野公義君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔天野公義君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/14
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015・天野公義
○天野公義君 ただいま議題となりました官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
御承知のとおり、中小企業者に対する官公需の確保につきましては、中小企業基本法において、中小企業者の受注機会の増大をはかるべきこととされ、そのための諸措置が講じられてきております。しかしながら、最近の不況を反映して中小企業者が受注を確保することに多大の困難を来たしている実情にかんがみ、中小企業者に対する官公需の確保策を一そう拡充するため、本案が提出されたのであります。
本案の内容について申し上げますと、
第一は、国及び公共企業体、公庫等が契約を締結するにあたっては、予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大をはかるようつとめなければならないこととし、この場合において、中小企業者の組合を契約の相手方として活用するよう配慮すること。
第二は、国は、毎年度官公需契約に関し、中小企業者の受注機会の増大をはかるための方針を作成するとともに、閣議決定を経てその方針の要旨を公表すること。
第三は、各省各庁の長等は、毎年度終了後、官公需契約の実績の概要を通商産業大臣に通知することとし、通商産業大臣及び中小企業者の行なう事業の主務大臣は、各省各庁の長等に対して、中小企業者の受注を増大するために必要と認められる措置を講ずるよう要請することができること。
第四は、地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるようにつとめるべきこととすること。であります。
本案は、去る四月十六日当委員会に付託され、四月二十日三木通商産業大臣から提案理由の説明を聴取して以来、きわめて熱心なる審議が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。
五月二十六日に至り質疑を終了しましたところ、国等の契約を締結するにあたっての予算の「公正かつ効率的」な使用については、これを予算の「適正」な使用に改める旨の三党共同提案による修正案が提出され、採決の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対し、官公需契約の総発注量に占める中小企業者の割合等の明示、資格基準及び指名基準の適正な運用、官公需確保に関する小委員会の設置、官公需確保対策についての機構の整備拡充等を内容とする附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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〔参照〕
官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案に対する修正案(委員会修正)
官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案の一部を次のように修正する。
第三条中「公正かつ効率的な」を「適正な」に改める。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/15
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016・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/16
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017・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
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日程第三 農地管理事業団法案(内閣提出)
日程第四 農林漁業団体職員共済組合法等の
一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/17
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018・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 日程第三、農地管理事業団法案、日程第四、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/18
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019・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。農林委員長中川俊思君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔中川俊思君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/19
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020・中川俊思
○中川俊思君 ただいま議題となりました両案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。
まず、農地管理事業団法案について申し上げます。
本案は、最近における農業の動向にかんがみ、農業構造の改善をはかるため、農地等にかかる権利の取得が農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資することとなるよう適正円滑に行なわれることを目途として、その促進に必要な業務を行なう農地管理事業団を設立し、その組織、業務、財務、会計について所要の規定を設けるものであります。
本案とおおむね趣旨を同じくする法案が第四十八国会において審議未了となり、これがため、本案は、その内容を若干改めて二月三日提出されたものでありまして、三月二十九日、本会議で趣旨説明が行なわれた後、本委員会に付託されたものであります。
本委員会におきましては、四月六日政府から提案理由の説明を聴取した後、四月二十一日以降数回にわたり質疑を行ない、五月二十六日、質疑を終了したところ、自由民主党及び民主社会党の両党から、本案附則の地方税法の特例に関する規定の条文整理を行なうための修正案が提出され、次いで、修正案並びに修正部分を除く原案について、日本社会党及び日本共産党が反対の、自由民主党及び民主社会党が賛成の討論をそれぞれ行なった後、修正案並びに修正部分を除く原案をいずれも多数をもって可決し、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
次に、内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、いわゆる農林年金の給付内容を国家公務員共済組合等の共済組合制度に準じて改善すること等をおもなねらいとして、去る四月二日内閣から提出されたものであります。
以下、本案のおもな内容を申し上げますと、
第一に、標準給与の月額を最低八千円としたこと。
第二に、旧法の組合員期間にかかる平均標準給与の算定基礎期間を退職最近時の三年に改めるとともに、月額五万二千円の最高制限を撤廃したこと。
第三に、国家公務員共済組合制度等に準じ、減額退職年金制度を創設したこと。
第四に、既裁定年金額について平均標準給与の算定基礎期間を退職最近時の三年に改めるとともに、厚生年金期間にかかる減額を行なわないこととし、この場合、二十年を越えるものの年金額を他の共済制度との均衡を考慮して引き上げたこと。
第五に、給付に要する費用に対する国の補助率を一五%から一六%に引き上げたこと。
第六に、組合は、その業務の一部を農業協同組合連合会等に委託できることとしたこと。
第七に、監事に関する規定を整備したこと。等をその骨子としております。
農林水産委員会におきましては、四月六日政府から提案理由を聴取した後、社会党議員提出の農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案とともに一括議題に供して質疑に入り、その後数次にわたり慎重審査を進め、五月二十六日、一切の質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案により、既裁定の障害年金の最低保障について二十年以上の組合員期間の制限を削除すること、及び国は財源調整に必要な費用の一部を補助することができることを内容とする修正案が提出され、引き続き採決に付し、修正案並びに修正部分を除く原案をいずれも多数をもって可決し、結局のところ、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対し、旧法の組合員期間の給付については、新法の給付を適用する等の改善措置を講ずることなど、四項目にわたる附帯決議が全会一致をもって付されましたことを申し添えます。以上、報告を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/20
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021・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 両案中、日程第三につき討論の通告があります。これを許します。千葉七郎君。
〔千葉七郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/21
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022・千葉七郎
○千葉七郎君 ただいま議題となりました農地管理事業団法案に対しまして、私は、日本社会党を代表して、反対の意思を表明いたします。(拍手)
この法案は、昨年の第四十八回国会に提案され、わが党の反対によって、六月一日、会期切れのため参議院において廃案となった法案の再提案であります。
本案について、坂田農林大臣は、「専業自立農家の規模を広げ、戸数をふやし、かつ、農業の生産性を高めるために、年々移動しておる七、八万ヘクタールの農地を農地管理事業団が買い取り、規模拡大を望む自立専業農家に集中的に売り渡す。さらに、その取得資金の供給を行なうことによって、政府の意図する専業大経営農家を育成し、日本農業発展の基盤を整備する。」との趣旨の説明をなされたのであります。この説明に対して行なったわが党松浦定義議員の質問に、佐藤総理大臣は、「この法案が昨年成立して事業を開始しておったなら、農業基本法による政府の諸政策が進展して、自立農家が育成され、また基本的な体制を整えることができたのに、一年おくれてまことに残念に思う。」との答弁をなされ、この法案が成立すれば、日本農業発展の基盤が完全に整備されるがごとき主張をなされたのでありますが、私は、これに対して賛成できないのをまことに残念に思うのであります。
法案の内容を昨年のそれと比較いたしまするに、業務の範囲に未墾地を加え、指定町村百を四百にふやし、事業資金二十億円を四十億円に増額した程度の変更で、基本的には何ら進歩改善の姿が見受けられないのであります。特にわが党が強く指摘した売買価格二重制の問題、離農農家の宅地、建物、農機具等の買い取り、離農者対策、小農共同経営の育成推進等については、何らの前進が見られないことは、政府機関による小農切り捨て強行政策以外の何ものでもなく、廃案に追い込んだわが党反対理由の諸提言を何ら取り入れることもなく、大同小異の愚案をおくめんもなく再提案した政府の厚顔を強く指弾せずにはいられないのであります。(拍手)
主要な反対の第一点は、計画されておる農地管理事業団の事業の範囲と量では、経営規模の拡大には見るべき効果は期待できず、むしろ小農いじめに終わるおそれさえあるという点であります。
農地の売買移動の実態は、経営規模拡大のための移動は全耕地のわずか一%に満たず、移動農地の約半分は大都市周辺の用途変更、小農間における隣接農地などの売買、あるいは兼業小農の飯米確保のための零細農地の買い増しなどが非常に多いのであります。したがいまして、村の東の端、西のすみなど、点在する農地が多いのであります。この条件の悪い農地を事業団が先買権で買い取っても、これを買い受ける農家があるかどうか、全く疑問とせざるを得ないのであります。村の実態をよく御存じない方々の構想でありますから、これで経営規模の拡大が大いに進むと思われるなどは、まさに白昼の夢と申すべきでありましょう。(拍手)
経営規模拡大が進まないのは農地の制度の関係ではないのであります。農地の価格が高い、農畜産物の値段が不安定だ、農業資材が高い、農地の集団化や土地改良費の負担が重い、生産費が増大するので中・上層の農家まで出かせぎをする、零細兼業農家は出かせぎ先の雇用が不安定で賃金も低く、社会保障制度もきわめて不十分であり、このため農地に対する執着が非常に強いなどなどが積み重なって規模拡大が進まないのであります。しかも、最近の経済不況による相次ぐ中小企業の倒産などのため、一度離村した農民が失職をして再び農村へ還流するという現象がふえているのが現状であります。このように農家が経営を伸ばす条件がない、また零細兼業農家も農地を手放さないという現状をそのままにして、農地管理事業団をつくって無理に農地の流動化を進めようとしても、何ら実効があがらないのみか、かえって農村の社会、経済にゆがみをもたらす結果を招くであろうことを政府は強く自省すべきであります。(拍手)
反対の第二点は、売買価格についてであります。
事業団の農地売買価格は時価主義でありますが、現在農地価格は、水田の場合十アール二十万円から三十万円であります。このような高い地価の農地では経営は成り立たないのであります。法案によれば、事業団が融資する取得資金は年利三分、償還期限三十年でありますから、元利均等償還金は十アール当たり年に約一万円から一万五千円であります。粗収入の半分近い金額を支払わなければなりません。これでは農家経営が成り立たないことは明白であります。とすれば、立場の弱い零細農家に対して農地を安く手放せという行政がとられることは必定であり、この法案が貧農に対して心理的、経済的圧迫を加えて、小農の離村を強制する結果になることは火を見るより明らかであります。
第三に、離農を強制される小農に対する離村対策が全く欠けている点であります。
農地の付帯施設は買い取るが、農家の宅地、建物、農機具等々を買い取らないというのは、小農の立場を全く無視するものであります。農地を失った農村の家屋、農機具等は、ほとんど価値を失ったものとなるでありましょう。この法案は、小農の財産を無価値同然のものにする法案であるとさえいえるのであり、しかも、離農年金、手当、あるいは再就職のための有給職業訓練も考えようとしない。これが小農切り捨て政策でなくて何でありましょう。
最後に強調いたしたいのは、資本主義社会における資本家中心の経済機構のもとにおいては、いかような農地制度を立てましても、それは農業発展の基盤にはなり得ないということであります。
政府は、真に日本農業の近代化と農家経済の向上確立を意図するならば、第一に、日本農業の基本的、総合的、しかも長期的な政策を樹立、実行すべきであります。まず、今後十年間を一期として、国民食糧の需要供給計画と及びその作目別国内生産計画と国内自給目標を策定し、少なくとも、米、肉、野菜などは完全国内自給として、その他を含めて国内食糧の総合自給度八五%程度の確保を目標としてあらゆる施策を講ずべきであります。以上を基本として農用地の拡大、土地基盤の整備、栽培技術、経営技術の指導体制の拡充等を全額国庫負担で推進し、経営規模拡大のためには、共同経営を積極的に育成、さらに農産物価格支持制度の確立、農業用生産資材の価格引き下げ、社会保障制度の拡充等、農村における社会、経済体制の根本的改善をはかるべきであります。
しかるに、政府の農政にはこれらの基本がないのであります。政策の中心がない、全くの場当たり農政であります。食糧が足りなくなったら輸入すればいいという政策であります。政治の最高の目的は全国民に十分食べさせることにあります。そのためには、国民の食糧は国内において可能な最大限を生産し、供給することを農業の基本とすべきであります。
坂田農林大臣は、去る三月一日、四十年度農業白書に関するわが党湯山勇議員の質問に対し、「日本の農業基本法は絶対間違っていない、したがって、それに基づく施策は適正である。」との趣旨の答弁をなされております。私は、日本の農業基本法は全くくだらないと思うのであります。なぜならば、この基本法には基本が欠けております。背骨が抜けております。この基本法は、西ドイツの農業法をお手本にしてつくったそうでありますが、そのお手本には、第一条の冒頭に、「農業が国民に最善の形で食糧を供給することを確実に守る」ことを規定しております。これこそ農業の基本であります。坂田農林大臣が絶対間違っていないと力説される日本の農業基本法のどこにこの基本がうたわれておりますか。(拍手)どこにもこの基本の規定が見つからないのであります。国内農業が国民の食糧を最善の形で供給することを守らないことを基本とする日本の農政は、外国からの食糧の輸入を基本としているわけであります。国内の自給度をどんどん下げて、高度経済成長政策で生産過剰になった工業製品の輸出増大の見返りに農産物の輸入を増大する、いわゆる資本家擁護を基本とする農政にほかならないのであります。(拍手)
最近、国内大資本家の諸団体は、それぞれ日本農業に関する見解を発表しております。経団連関係の日本経済調査協議会の「国際的観点から見た農業問題」あるいは松永安左エ門氏の産業計画会議の「十五年後の日本農業」、また、経済同友会農業委員会の見解の新聞発表、私はいずれも繰り返し読んでみましたが、国内食糧の自給度を量において六〇%から七〇%程度に引き下げを目標としているようでありまして、それだけ工業製品輸出見返りの農産物輸入をふやそうというのであります。資本家本位の見解といわざるを得ないのであります。(拍手)
これらの見解と符節を合わせたように、佐藤総理大臣は、今後日本は東南アジアから長期継続的に米の輸入をはかるべきだとして、関係各大臣にこれを指示したと伝えられております。また、去る六日開催された東南アジア開発閣僚会議において、東南アジア農業開発会議が設置され、佐藤総理構想が具体化に踏み切ったと翌七日の新聞が伝えております。また、アメリカからもカリフォルニア米の長期継続的輸入の計画があるやに伝えられております。国内農業の軽視、外国食糧依存、独占大資本家擁護の農業政策がいよいよ強く推進されようとしているのであります。
このような政策を強行しようとする総理大臣、農林大臣をいただく日本の農民はまことに不幸であり、まことに悲惨であり、日本農業は荒廃の一途をたどるのみでありましょう。このような農業政策が、わが党主張のごとく根本的に是正されない限り、いかに農地政策をもてあそんでも、日本農業の発展と農家経済の向上はあり得なことを強調いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/22
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023・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
まず、日程第三につき採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/23
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024・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
次に、日程第四につき採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/24
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025・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/25
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026・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十一分散会
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出席国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
通商産業大臣 三木 武夫君
労 働 大 臣 小平 久雄君
国 務 大 臣 松野 頼三君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X05619660527/26
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