1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二十五日(土曜日)
午後一時五十三分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 江藤 智君
理 事
岡本 悟君
金丸 冨夫君
岡 三郎君
吉田忠三郎君
委 員
井野 碩哉君
木村 睦男君
源田 実君
河野 謙三君
谷口 慶吉君
平島 敏夫君
前田佳都男君
森田 タマ君
相澤 重明君
木村美智男君
浅井 亨君
中村 正雄君
岩間 正男君
衆議院議員
修正案提出者 田邉 國男君
政府委員
大蔵省銀行局保
険部長 上林 英男君
運輸政務次官 福井 勇君
運輸大臣官房長 深草 克巳君
運輸省海運局長 亀山 信郎君
運輸省船舶局長 芥川 輝孝君
運輸省自動車局
長 坪井 為次君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
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本日の会議に付した案件
○自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○小型船造船業法案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/0
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001・江藤智
○委員長(江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題といたします。
吉田忠三郎君及び浅井亨君から委員長の手元に修正案が提出されておりますので、この際本修正案を議題といたします。
吉田君より修正案の趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/1
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002・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 修正案を提出した一人として、その説明を行ないます。
日本社会党、公明党は、本改正案に対し、次の諸点の修正をいたしたいと考えているものであります。法案の内容については、お手元に配付した案どおりであります。この際、その要点を申し上げますが、これも、法案と同時に修正点の要旨を配付してありますので、ごく簡単に御説明をいたしたいと存じます。
第一点は、第十条でございます。農業用小型特殊自動車、いわゆるテイラーでありますが、修正の要旨は、農耕作業用小型特殊自動車は、強制保険の対象外とするにとどめ、責任保険の契約が締結されていない自動車によって生じた事故によるその損害についての国のてん補義務に関する規定等その他の規定は適用することとしたものであります。
この意味は、自民党の改正案は、自動車の範疇からテイラーを除くということであります。これが被害を受けた者は、この法律の国家保障と申しましょうか、この恩恵には一切今後浴することができないということであります。これではあまりにも片手落ちであり、過酷なものと言わなくてはなりません。われわれは、まさに時代逆行のやり方だと考えて、この点を中心に修正したものであります。
第二の点は、四十条の改正に関する部分を削除するということであります。質問の中で各野党委員が申し上げたとおり、本改正案は、原付自転車を保険の対象とすることと、また従来の自動車はそのまま国家の再保険に付することになっておりますが、新たに加えようとする原付自転車だけは再保険をしないというのが、いわゆる自民党の改正案であります。これは本法律のたてまえ、本制度からいっても好ましくない取り扱いであり、改正案は今日的段階では時代逆行と言えるのでありまして、したがってこの改正部分を削除するということであります。
第三点は、責任共済の対象はこの法律で定める自動車全部とするための修正であります。
さらにもう一つ申し上げますが、「同意及び協議」のことであります。自民党案では、運輸大臣及び大蔵大臣の同意を農林大臣が得るものとなっているわけであります。私どもの修正案では、第五十四条の九、すなわち「同意及び協議」の中には、大蔵大臣は入れていません。つまり、大蔵大臣に同意を得、または協議をすることを要しないものとしたのであります。なぜならば、あまり関係がございません。ですから、関係のない大蔵大臣を入れても、たいした意味もなければ価値もないと考えたからであります。
以上、簡単にその要点を申し述べましたが、私どもの修正案は、あらゆる角度から検討してみても、これぐらいりっぱで筋の通った案はないものと確信をいたすものであります。これは決して自画自賛ではございません。したがって、満場の御賛成を得たい、かように考え、私の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/2
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003・江藤智
○委員長(江藤智君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより原案並びに修正案について討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/3
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004・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/4
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005・相澤重明
○相澤重明君 ただいま討論の議題に入ったわけでありますが、先ほど吉田委員が修正について説明をいたしましたが、日本社会党並びに公明党の修正案に賛成であります。したがって、その修正案について意見を申し上げるわけでありますが、今日まで数回にわたる本委員会の慎重審査の中で、やはりこの自動車損害賠償保障法の点は、国が責任を持つというのが何といっても原則であるということ、この点について、今回の政府提案にはその趣旨が盛り込まれておらない。こういう点をわが党と公明党が修正をしたことについて、私は基本的に賛成をいたします。
さらに第二の問題点は、農耕作業用の小型特殊自動車、いわゆるテイラー関係等について、すでに多くの日本の農民の組織しておる協同組合あるいはその連合体というところは自主的にこれを推進をするのでありまして、なぜいわゆる今日までこの扱いをしておった関係の会社がこれを扱うことができないのかという問題点を摘出をされて討議をされましたが、まさにいわゆる保険会社の育成をだけ考えておるような政府の考え方には私は反対をするものであります。あまねく国民の利益を守るというのが政府の態度でなければならぬと思うのでありまして、この点についても、修正提案者の考え方に私は賛成をいたすものであります。
第三は、いろいろ質疑がかわされましたが、いわゆる自動車事故による被害者、この被害者の、特に死亡者に対する金額はもとよりでありますけれども、いわゆる後遺症を残した人等の保障というものが十分行なわれていない。こういう点を考えてまいりますると、各委員から質疑がかわされましたように、そうした治療等を行なう場合の根本的なやはり解決策というものをこの機会に推進してもらう、こういうことは、各委員の発言どおり私は賛成をしておる。特に私自身その被害者の一人でありますから、その感を深くしておるものであります。したがいまして、いま社会党並びに公明党の提案をされた修正に対し賛成をし、今日までの政府の提案をしておることに強く反省を求めるものであります。
以上によりまして、修正に対する賛成の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/5
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006・岩間正男
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案並びに社会党、公明党共同提案による修正案に反対するものであります。
まず修正案について述べれば、修正点に関する限りその労を多とするものでありますが、これだけでは後に述べる本法案の本質を根本的に改めるに至らず、残念ながら賛成できません。
次に、原案に対する反対理由を述べます。
一、政府は、一昨年二月保険料率の大幅引き上げをするかたわら、今度は交通事故被害者保護の名のもとに、原動機付自転車までも強制保険の対象にし、一方この保険は営利目的はないと再三にわたって言明してきました。しかし、政府資料によっても明らかなとおり、政府の再保険事業は、昭和三十八年度十三億五千万円、三十九年度二十九億五千九百万円、四十年度は実に百五十八億円と、年々大幅な黒字を計上し、しかもその資金は、厚生年金、国民年金等と同様に、大蔵省資金運用部資金を通じて独占資本の利益のために投入されているのであります。一方これを取り扱う保険会社も、年々ばく大な利潤を生み出しており、その資金運用による利息、また保険金支払いの大幅遅延による金利など、保険会社の利益のためにこの自賠責保険制度は十二分に活用されているのであります。さらにはまた、再保険の対象とされない原動機付自転車からの保険料収入はそのまま民間保険会社の管理資金となり、自己の資本蓄積に流用されるのであります。これらのことは、明らかに収奪と営利を目的としてこの保険業務が営まれていることの何よりの証明であり、全国七百万両に及ぶ原動機付自転車に対する年額二千五百四十円にのぼる保険料の強制収奪は、米価や国鉄運賃、郵便料金など一連の公共料金値上げと軌を一にする政府の大衆収奪政策のあらわれにほかなりません。
第二は、わが党は交通事故の絶滅と被害者に対する万全の保障、とりわけ現行保険金の大幅引き上げを強く要求するものであります。戦後二十一年、交通事故による死者は二十万人をこえ、負傷者は三百万人にのぼっており、今後も減少する見通しすらないという事態を見るとき、私は政府の交通道路行政そのものに最大の欠陥が存在していることを指摘せざるを得ません。政府は、独占資本や自衛隊の輸送力増強のためには、あえて住民の意思を踏みにじってまでも、ばく大な資金を投入して、急速な勢いで高速道路網を整備拡張し、一方事故発生率の多い人家の密集した道路については、全然やらないかあるいはわずかの改修工事等で事を済ませ、交通安全施設の整備についても予算不足を口実に一貫してサボり続けてきました。また、政府の独占資本本位の政策は、車両数を無制限に増加させ、東京都においては百万台を突破し、狭い道路にひしめきあうという事態を引き起こしております。これが事故発生の一つの要因を形成していることは事実であります。これら交通事故発生の原因を根本から取り除くことをせず、もっぱら運転者に対する交通取り締まりと罰則の強化、強制保険への加入促進に奔走し、責任の一切を運転者に転嫁しようとする政府の態度を、われわれは断じて許すことはできません。
以上の理由により、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に強く反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/6
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007・岡三郎
○岡三郎君 私は、日本社会党を代表して、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に対して反対をいたしたいと思います。
その根本的な問題は、最近における交通戦争の原因を探究してみますると、道路に対する施策というものが非常におくれてきたわけです。その間における自動車産業の拡大という面のみに重点が置かれて、そのために非常に雑多な車種が道路にはんらんし、そういうふうな問題点がやはり事故の基本的な問題になっておるというふうにも考えます。私はそういう点で、これは本法案についてまだ質問が十分なされておりませんでしたけれども、やはり被害者保護という立場、国民を交通禍から守るという立場からいうて、やはり自動車産業における車種の統一とか、総体的に雑多な車が道路にはんらんしているというこの問題について、基本的に生産方面からも統一ある、また車検制度においてもある程度集約された形の、能率が上がるところの方法というものが総体的に勘案されなければいかぬじゃないか。この問題については特段にまだ触れておりませんでしたが、自動車産業の育成と道路の拡大強化、こういう総体的なものが跛行的にいま政治の中で放置されてきているのではないか、こういう点が第一に指摘されます。
それから第二は、あくまでも被害者保護の立場に徹してもらわなくちゃ困る。で、質問の中から、大蔵省はですね、これは損得なしにやられるということを言っておりまするけれども、その答弁の端々にわれわれはやはり独占企業としての保険会社の立場というものを国家機関が擁護しておるような強い印象を受けたのでありますが、これはまことに遺憾だというふうに考えます。したがって、われわれとしては、交通安全の面における保険会社のいろいろな施策というものが、あわせて今後特に原動機付自転車がここに強制保険を課せられるのでありますから、新しい見地に立って被害者のアフターケアの問題についても積極的な施策を講ずる立場をとってほしい、こういうふうに考えるわけです。特に再保険の問題については、われわれとしては、今後、先ほど吉田さんが言われたように、全面的に原動機付自転車についても再保険をすべきであるという点については変わらないのであります。それから、運輸省がやはり自賠法の一部改正を提起する中において、これも同じように申し上げたのでありまするが、被害者に対して百万円を百五十万円にする、まことにけっこうであります。しかし、その中において、再保険になっておる金が相当の利子を生み出しておるし、そういうふうな観点から、運輸省当局として積極的にやはり被害者保護のためにやっていかなければならぬということは、これは自明の理であります。特に本年度の予算編成期において、身障者の保護センターとも言うべき案が出たわけでありまするが、大蔵省のいれるところとなっておりませんが、これは本委員会を通して特に日本社会党としても強く要請した点でありまするので、ここで案をひとつ十分に練り直して、昭和四十二年度においては必ずこれを実現するという態度でやってもらわねば困ると思うのです。そういうふうなことがありまするし、さらに総体的に、国といたしまして、身障者の問題についてあらゆる方面から強く要望されておる点にもかんがみて、一そうのひとつ検討をここに要望するわけですが、総体的にいってますます今後国民の自動車による事故という、そういう被害が拡大するというふうにも考えられます。そういう点で、一そうひとつ運輸省は、被害者保護の立場に立って、交通安全の面においても強力に指導されることを要望したい。こういうふうな点が今後生かされる中において、次回はひとつ自賠法の改正が参議院で満場一致で強力に推進されるようなことを期待して、私は討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/7
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008・金丸冨夫
○金丸冨夫君 自由民主党を代表いたしまして、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に賛成の意を表しまして討論を行ないます。
本法案は、政府提案に対して衆議院において修正せられ、送付せられたものでございます。この原案はまことに適切、妥当と認めますので、賛成をいたします。したがって、ただいま提起せられました修正案については反対でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/8
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009・江藤智
○委員長(江藤智君) 他に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/9
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010・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、吉田君及び浅井君提出の修正案を問題に供します。吉田君及び浅井君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/10
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011・江藤智
○委員長(江藤智君) 少数と認めます。よって、吉田君及び浅井君提出の修正案は否決されました。
それでは、次に原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/11
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012・江藤智
○委員長(江藤智君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/12
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013・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/13
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014・江藤智
○委員長(江藤智君) 次に、小型船造船業法案を議題といたします。
質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/14
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015・木村美智男
○木村美智男君 おとといに続いて、時間の関係もありますから簡単にひとつ質問を続けたいと思うのですが、造船業法の関係はすでに伺ったわけですけれども、今回のこの小型船造船業法をあらためてつくるという関係から、ひとつ関連をして内航海運業法との関係が少し疑問があるので、この点について伺いたいと思うのです。
内航海運業法の場合には、大体いまの船腹過剰というものをある程度解消をする、そうして新しいものにつくり直す、いわばそういう意味では船腹を抑制をするという役割りを片方では一面持っているのじゃないかと思うのです。ところが、本法案は、どちらかといえば、これはこの間の質疑を通しても大体うかがわれるのですが、いわゆる中小造船業者をある程度法律によって助長をする、保護するという、こういう性格のものじゃないかと、こういうふうに思うので、その意味では内航海運業法というものと小型船造船業法というものとは相矛盾するような面が実際面として出てくるような気がするのですが、これは矛盾をしておらないのかどうか、実際問題としてはいま申し上げたような一方で助長しながら一方では抑制をするといったような関係について問題はないのかどうか、この点をひとつ聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/15
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016・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 内航関係の諸法律によりまして、最高限度もしくは適正量、こういうものがきめられまして、それに対しまして相当量の余剰船腹がある、こういう現状でございます。そこで、最近の内航関係の処理の方向につきましては、私はその責任者じゃございませんので詳細はここで申し上げることはできないのでございますが、早くなると申しますか、早く処理するという方向では、その船の製造者である木造船業者の将来の発展のための阻害には必ずしもならない、ただ当面非常に影響を受けることは確かでございます。
そこで、本法との関係でございますが、この小型船造船業法これ自体は、御承知のとおり、技術の適正水準を確保いたしまして、そして企業の振興につきましては別の法律、すなわち中小企業近代化促進法等に基づく措置に待つわけでございますので、本法小型船造船業法自体は矛盾するものではないわけでございます。
それから、内航船腹量が制限を受けましたことは確かに影響がございますが、ただ、現状のままでございますと、御承知のとおりに、非常に粗悪船が出ておりまして、そこで、貴重な資金を使いましてつくりました内航船も、所期の性能をあげ得ないという実情がございます。そこで、この点を十分考慮いたしまして、まず質の向上を小型船造船業法によりましてはかりまして、さらに中小企業近代化促進法に基づきまする近代化基本計画をつくりますときに、量の問題を十分考慮に入れて処理してまいりたいと存じております。
少し具体的に申し上げますと、たとえば船台を新設いたしますなどいたしますことは二の次にいたしまして、設計にあたってその現図場の拡充であるとか、もしくは運搬設備の整備であるとか、そういうほうを重点的にやってまいりまして、質の向上、設備の近代化にあたりましては品質の向上が確保できることを第一義にしたい、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/16
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017・木村美智男
○木村美智男君 そうすると、この本法ができ上がることによって、いわば中小造船業は、たとえ、ば、いま局長が答えられたように、設備の近代化とか、あるいは造船技術のいわば質的な向上とか、こういう関係のことがこの法律によってもたらされてくる一もたらされてくるというよりも、そういうことを意図してこの法案というものはつくられておるというふうにある程度わかるわけですが、端的に言って、この法律ができたら、実行に移されて、小型船造船業者にはどういう利益になるのか、プラスになるのかということを、個条的にもし答えられるなら、こういう点で利益になるのだ、こういう点が今度のこの本法の成立によってプラスになるの、だということをひとつ聞かしてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/17
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018・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) ただいまの御質問の点につきまして申し上げます。お説のとおり、本法は小型船造船業者に適正な技術水準を法的に強制する、そういうものでございます。で、法的に強制いたしますことによりまして企業振興等の基礎になっておりまする近代化促進法、これによる企業振興策を講ずる場合には、何と申しますか、小型船造船業という産業分野、これの基盤をまず固めたい、そういうふうな趣旨でございます。で、前回のときにちょっとお答え申し上げましたように、今日ただいまこれをいたしますと、われわれのほうの推定では約二、三割程度の、何と申しますか、技術水準が本法に対して劣る業者がございますので、これを二年間ぐらいで引き上げてまいりたい、こういうことを前回申し上げたわけでございますが、大体そうなりますと、一応小型船業者というものの産業分野の地ならしが技術的にできるのじゃないか。その上に企業振興策を講じてまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/18
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019・木村美智男
○木村美智男君 その趣旨はそういうことでわかるのですけれども、実際の問題としては、こういう仕事を進めていく場合に、やはり、いわば元手のないところは、いろいろの面で圧迫されるというか、一般の経済界でも同じようなことですが、結局小型船造船業者というものの——ある程度たとえばトン数によって規制をするとか、あるいは木造船のどの程度までは小型船造船業者にやらせるとかいうふうにしていかないと、実際は大企業のほうにみんな仕事を持っていかれるというような危険性はないのかどうか。せっかくこういう法律をつくっても、実際にはあまり仕事が来ぬというような現実になっていけば、これはあまり本法の意味がなくなるので、そこら辺の心配はないのかどうか。また、そういう心配のないように何らかの一つの指導なり規制をしようという考え方があるのかどうか。そういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/19
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020・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 大企業との生産分野の問題だと存じますが、理論的には、大企業は非常に小さな船までつくれるわけのものでございますが、実際の現状を申し上げますと、大企業は、御承知のとおり、巨大タンカー、あるいは鉱石専用船等、そういうふうな大きな分野で活躍しておりまして、大企業がこういう小さなものをつくりますと、実際問題としては非常に船価が高くなりまして、そこで、何といいましても工場規模に相応した船をつくることが一番経済的に安くできるというような現象がございますので、そちらのほうから言いましても、現在の状況は一応企業のシェアが確立しているように見えるわけでございますが、なお私のほうといたしましては、この確立の方向で行政指導をいたしておりまして、たとえば財政資金によりまする建造船につきましては、これを大企業でつくらないように、中小企業でこれをつくるように、そういうふうに公団と打ち合わせてやっておりましたり、また官庁船等につきましても、船の大きさによりまして、中小企業優先にやってもらうように指導しておるわけでございます。ただ、小さくても非常に技術的にむずかしいものにつきましては、これは中小企業ではできませんので、そういう分については大企業がつくっておるような現状でございます。大勢的には、中小企業のほうに適当な大きさの船をつくらせるという方向で指導しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/20
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021・相澤重明
○相澤重明君 ちょっと関連して。いまの局長の木村委員の質問に対しての答弁で、大企業がこの小型船をつくるということは、行政上の指導においてできるだけしないようにする、ただ技術的に非常に高度のものは、大企業でなければ設備等がないので、あるいはそれがやる場合もある、こういう答弁だけれども、私は、この法律を政府が提案されている全般的な中から見て、実はそこが」番心配なんです。一体小型船の造船業者というものをほんとうに政府が守ってやるのか、それとも大企業の自由競争の中に没落さしていくのか、こういういわゆる産業分野の確保に対する私どもはその考え方が、実は政府のこの提案しておるものは抜け穴があるのじゃないか、そういうおそれはないかという心配をしている一人なんです。ですから、私は、今回の政府が提案しておるこのことは、ほんとうに小型船造船業者が希望を持って、何とか最低線でもこれをやってもらいたいという希望なんです、最低線でも。しかし、その最低線がややもすると、私は、大業者によって、やはりいまの高度のいわゆる設備あるいは技術という名によって分野が荒らされていくという心配があると思うんであります。これは今日まで、まあ日本でいう大手メーカーの造船業者といえども、小さい船に実は手を出していないところはないんですよ。あるのです、現実に。小さい船を自分が受注しておるのですよ。こういうことから考えて、これは私は、もうこの法律を提案してつくった以上は、いま局長が答弁するように、絶対にこれは、小型は小型船業者に造船または修繕をさせると、こういう確固たる信念を持って行政指導をしてもらわなきゃならぬと私は思う。理屈をつけて、いやこれはもう技術的に小型船造船業者なり修繕業のものではできないんだということを言ったら、どんどん抜け穴になっていってしまうのですよ。そういうものをわれわれはおそれるのです。この点は、ぜひ行政指導として、そういうことは絶対させないと、こういう断固たる決意を表明されない限り、私は困ると思うんですよ。せっかくの政府の趣旨が生きない、こういうことになるので、いま一度その点はひとつ御解明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/21
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022・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 私が先ほど申し上げましたのは、ただいまお話しになりましたような趣旨でやっておるということを申し上げただけでございまして、小さな船を大造船所にやらせる場合があると申しましたのは、たとえば、例を申し上げますと、防衛庁の艦艇、それからホーバークラフト、ハイドロフォイル等、これはもう非常に高度な技術を要しますし、またこれらの施設をいたしましたら、数量が非常に少ないもので、非常に経済的に負担も残るというふうなものがございますので、こういうものにつきましては、これは大造船所のやらざるを得ない分野ではないか。それ以外のいわゆる普通の技術でやれるもの等につきましては、これは極力中小造船所のほうにやらせるように指導しております。
なお、財政資金の分につきましては、先ほど申し上げましたとおりに、これは中小造船所以外の建造を持ってまいりましても、それを認めないというところまでいっている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/22
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023・相澤重明
○相澤重明君 いま一度。いまの局長の言うのは、いまの時点に対する政府の説明をしているのですよ。ところがこの法律は、これから効力を発生しようとするもの、この法律によって、日本の中小企業の造船業者が生きるか死ぬかという大事なせとぎわに立つわけであります。これによって生きていきたいという希望を持っているわけであります。
私は実は先日、列国議会同盟の春季総会に出席したあと、ブラジルへ行ったのです。ブラジルへ行ったところが、ブラジルの国には、石川島造船が実は進出をしている。それで、ブラジルの国の船舶のほとんど大きいのは石川島造船が受注をしているわけです。ところが、この石川島造船所でさえですよ、このブラジルの国の中小のいわゆる造船は自分のところで受けないで、できるだけそういう関係の造船所にこれを渡していると、こういう努力をしているのですよ。外国でさえ、日本の進出をしている造船所が、そこまでの配慮をしている。それでブラジルでは非常に好感を持たれている、こういうことなんです。私は日本で近代化設備をさせて、合理化をして、できるだけこの小型船舶業者を生かしてやる、採算がとれる、生活ができるようにしてやるというその親心があるなら、財政投融資をしてですよ、そういうところを育てていくというのが本来の姿だと思う。だから、いまの事業所なり設備ではいまの局長が説明をしたような特殊なものはできないのだという、これはあたりまえなんですよ。しかし、そういうものも、政府が財政援助をするなり財政資金の融資をするなりするならば、これはできるのだと、そういう産業分野の確保をすることが今日の日本の中小企業を生かすことじゃないか。だから、そんなことを、いつまでも政府が、これは特別です、この問題は特別ですと言うこと自体が、ぼくたちは誤りだと思う。そういうことをしなければ、日本のこのいわゆる造船業者の諸君が非常な苦労におちいると私は思う。こういう面で、私はどうしてもいまの特殊性、特殊性とうたうことをやめてもらいたい。政府がこれからは、そういう困っている小型造船業者を育成することに重点を置き、登録をして、それだけの設備をさせる、合理化をさせる、そうして生活をさせるということで基本にこの法律はつくってあるのでありますから、その趣旨を私は今後生かすようにしてもらいたい。これだけはどうしても私は譲れない。これを特殊性、特殊性ということで、私は、政府が指導をするということがあったら、絶対許せない。こういうことで、この点はいま一度局長の、そういう点、今後はいわゆる中小企業のこの造船業者に対する財政資金の援助あるいは融資等を行なって、この法律に基づく中小型の造船についてはそういうところにやるのだと、これくらいの決意を表明してもらわぬことには、せっかくの法律が死んでしまう、こういう意味で、いま一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/23
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024・岡三郎
○岡三郎君 関連。これはね、結局他の業種でもいま言われていることでね、産業分野の確立といいますかね、大企業が不況の名のもとに、いろいろと系列化をしていくということと同時に、小企業者の分野まで大資本によって進出している、こういうことですよ。これは各方面でこの問題が指摘されているわけです。これはスチール家具なんかにしても、製鉄業者が原材料を出して、そうして一貫製作をするということになってしまえば、原材料を買って細々とやっているところの業者が産業の中において倒されていくということは、これは当然だと思うんです。だから、この大企業と中小企業の産業分野の確立という問題は、すでに言われて古いと思うんですよ。それをいま相澤君も木村君も言っておると思うので、その点の歯どめがないというと、結局小型船造船業を登録制にしようが何にしようが、結局大資本の名のもとに食い荒らされていってしまうということになれば、仏つくって魂が入らぬじゃないか、こういうことになるので、そういう面において、特に小型船という、こういう大きな難題をかかえているところの業界をほんとうに助けてやろうというなら、ここのところをひとつ明確にしてくれというのが皆さんの質問だろうと思うのです。そういう点で、いま局長は、特殊の技能の範囲は大企業にやらせざるを得ないだろう、こう言っておりまするが、そう言ってしまうというと、どこにけじめが出てくるのかということの心配がまたついてくるわけで、その点についてもう一ぺんひとつ確固たる方針を御解明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/24
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025・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 特殊の船舶について申し上げたのでございますけれども、これはきわめて例外的なものでございまして、その区分というのはなかなかむずかしいと思うのでございますが、一口に申しますと、安全法によりまして特別の規定を参照することなく、普通にこれが建造できるものと、それが大体普通の船舶と存じます。そういうものにつきましては、私が申し上げたように、船型に応じて生産分野を確立する。すなわち、中小船舶につきましては、中小型造船業者にやらせるそういう方針で従来とも行政指導をやってまいりましたし、今後も一そうその方向でやってまいりたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/25
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026・福井勇
○政府委員(福井勇君) 局長はこういう問題について熱心過ぎまして、若干寸足らずのところがあったと存じておりますが、あくまで中小造船業の育成確保ということについては、抜け道のない本筋を運輸省としては堅持してまいりたいと存じます。現時点におきまして、たとえば大型の造船所でやるのが高度であって、小型の造船所は貧弱であるというふうにおとりになったのではないかと、寸足らずのために私は思いますが、決してそういうわけではなくて、現在の時点では日本の造船工業界ではそういうふうになっておりますが、だんだん——この造船所の基礎機械が工作機械でございます。その工作機械の製造のいまの流れを見ますと、大工業製造会社は専用機械は小型の会社にやらせるようになってきておりますから、その小型のほうがむしろ精度が高いというふうに、いま分業化されつつございます。これは木村委員など専門の方でございまするから、御判断はつくと存じますが、だんだんこの専用機械は中小、小型の工場に移りつつあるのが現状でございますから、この点をよく注意いたしまして、後々の運輸省の方策にも誤りのないことを期したいと存じます。大臣がおりますれば、もっと御期待に沿う、りっぱな答弁をするかと存じますが、以上お答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/26
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027・谷口慶吉
○谷口慶吉君 関連。二、三伺いたいのでございますが、主任技術者を置かなければならないということをば規定するんですが、主任技術者は、いまここに運輸省から出されたこの資料によりますと、鋼船の業者が三百七十二、木船の業者が一千四十二、これの主任技術者がいない業者が何名おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/27
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028・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) その点につきましては、前回もお断りいたしましたとおり、全体についてまだ詳細調査済んでおりませんが、アンケートをとりましたところから類推してこの前申し上げたわけでございますが、二割ないし三割が主任技術者が資格が欠けておる——いないか、もしくはそういう者がおりましても資格が欠けておると、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/28
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029・谷口慶吉
○谷口慶吉君 まあほかの県のことを例にとると、あるいはおしかりを受けるかと思いますが、鹿児島県で例をとってみますと、鹿児島県みたいなところでも鋼船の業者が三、木船の業者が十三。全国的にこれずっと数えてみますと、四十六都道府県なんですけれども、鋼船と木船を合わせますと大体千四百。こんなによけいおって、すべて経営が健全であるかどうかという、何かこう疑問を感ずるんですよね。先ほどから木村委員や相澤委員がおっしゃることはよくわかりますので、こういう状態でも、いま政府がこの法律によって企業を守ってあげるんだということのためには、この辺にはメスを入れぬでもいいのかどうか。やるなら、メスというのは、企業の合理化とか、あるいは合同とか、そういう方面もあわせてお考えになったほうが、他の大企業と競争するような体質、体力ができるんじゃなかろうかという考えに基づいていま質問しているんですがね。このままでよろしいのか、将来はこれを何とか行政指導によってでももっと強い造船業者として育てていこうとなさるのかどうか、その辺を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/29
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030・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) その点につきましては、本法の直接の目的ではございませんけれども、近代化促進法による指定業種にすでにしておりまして、そちらによりましてただいま御指摘のような造船業者として健全な経営のできるように近代化基本計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/30
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031・谷口慶吉
○谷口慶吉君 そういたしますと、この千四百幾らの中に、いまあなたのおっしゃるような近代化資金の対象にならない業者もいるにはいるのだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/31
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032・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) これは対象になるのだけをここで拾い上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/32
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033・谷口慶吉
○谷口慶吉君 ではまだ対象にならないのもこのほかにもあるのだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/33
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034・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) それはございます。二十トン未満あるいはそれ以下の小さなところだけをやっている業者は、これは対象になっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/34
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035・谷口慶吉
○谷口慶吉君 これでも多過ぎると思っているのですよね。まあ船舶局のほうじゃどういう御判断か知りませんけれども、常識的に考えたときにですね、これでも多過ぎやしませんか。業者の体質の向上をはかるというならば、何かもっと政府のほうでも設備資金もうんと投入して、いま木村君や相澤君が言われるように、大企業にも負けないような、何といいますか小さいけれども内容は充実しているのだぞというような、そういう方向にお持ちになっていくのがこの法律をつくられた私は趣旨でなければならぬと思うのですよね。それはいまここでいろいろと論議したって何ですけれども、そういう、やはり何といいますか、小型船造船業者をば育成していくのだというたてまえに立つならば、何だかまだちょっと不十分なような点も感ぜられるのですがね。もう一度お尋ね申し上げます。関連ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/35
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036・福井勇
○政府委員(福井勇君) いまお話のありました、育成していくべきだと、強化していくべきだという意味のことと解釈いたしますが、当然これはこの小型の造船、これは近代化させるという場合には、やはり資金面の御指摘のとおりな援助がなければ、十分なことは、先ほどもちょっと触れましたが、基礎はほとんど工作機械でございます。その近代化のためには相当な資金とまた指導が必要でございますので、皆さんの御協賛と御指導を得てその方向にぜひ進むようにしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/36
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037・木村美智男
○木村美智男君 いまのこの千四百七十六というやつは、これは対象になるのであって、これ全部が近代化資金を使って近代化計画の中で何とかしなけりゃならぬものばかりをあげた数字ではないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/37
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038・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) これは、そこの備考につけておりますように、四十年四月一日現在の造船所名簿、それによったものでございます。したがって、近代化計画にこれが全部入るということにつきましては、対象は一応全部入っておると申し上げて差しつかえないと思うのでございます。ただ、先だっても申し上げましたように、この中央計画として取り上げていきます場合に、若干その造船所のある地域でございますとか、あるいはその造船所がつくっておるその地方に役立つというふうな特殊な船もあるわけでございまして、そういうものはこれはいわゆる近代化計画の対象としては第二義的になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/38
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039・木村美智男
○木村美智男君 そうすると、大体近代化計画によって対象にするその造船所の数は一応どのくらいに見当しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/39
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040・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) ただいま対象として研究しておるのはこれが全部でございますが、私はその企業の集約化あるいは共同化等の条件に入ってこないものも若干あるだろうということを申し上げたわけでございます。研究としては、これを全部を対象としておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/40
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041・木村美智男
○木村美智男君 一応全部を対象とするということになると、たとえば前回の質問のときに聞いたように、大体これに使う金が十億というんでしょう。そうすると、せいぜい一つの造船所に七十万かそこらしか渡らないわけですね。そんな微々たるものでいわゆる設備の質の向上ということは、これは常識的に考えても七十万やそこらではどうにもならぬのじゃないかと思うんですがね、この辺はどういうふうに考えるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/41
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042・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) この前申し上げたのは、全体を申し上げたのではなく、年間約十億をもって設備の改善を行ないたいということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/42
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043・木村美智男
○木村美智男君 いや、それは年間でも同じなんですよ。それはこの計画がかりに二年間の余裕をもってこれから四十三年度までですか、だから一応かりに三カ年計画くらいでいくにしても、これではちょっとどうもどう考えてみてもやっぱり足らないように思うので、せっかくこういう法案をつくるのだから、一応合理化何とか、あるいは振興会とか、いろいろある、そういうところから借りてくる金の十億というのは、これは本法の少なくとも目ざすところの趣旨からいうと、この金ではこれはもうきわめて少なくて問題にならない、こういうふうに実は思うので、この点は、これはあとでもう一回融資対策については検討し直してもらわないと、こんなものでよろしいというわけにはいかないということが一つ。
それから、さっきの例の生産分野の問題ですがね。この中で、いわゆる企業の系列化的なもので、たとえば下請の、大企業につながった造船所というようなものが、これが相当やっぱりあると思うんです。こういったようなことについては、一体どういうふうに考えておるのか。という意味は、つまり下請というやつを一々チェックをして、そこには造船の仕事をやらないというふうにはなかなかできぬだろうと思うんですけれども、しかし、いわゆる大企業としては、それは設備も小さなものについては持っていない、だからあまりそう心配はないんだと言ったけれども、いわゆる系列下にある下請的なものはたくさんあるわけだから、自分自身の造船所はやらなくとも、仕事は大企業が取って、そうしてその下請でやらせるということになれば、実際的にはそれは私は何か生産分野の問題については全然先ほどの答弁が意味をなさないような気がしますので、そういう点はどういうふうに考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/43
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044・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 融資額の問題につきまして再検討せよという仰せでございますが、そのとおりでございます。前回申し上げたのも、これは五百十一工場にアンケートを出しまして、そのうち三百七十六から回答が来ております。それを基礎にして、われわれの推定を加えて、これを出しておりますので、実際のときには十分検討してまいりたいと思っております。
それから、下請の関係を申し上げたいと思います。大企業が受注をいたしまして、そしてトンネル式に下請を小造船所と中造船所で行なわせるということは、これは厳に避けたいと考えております。ただ、たとえば輸出船のような場合で、輸銀の融資対象として取り上げてまいりますと、これは担保力の問題その他問題がございます。で、その場合には、どうしても大企業の信用を使わざるを得ないという問題がございます。なお、さらに技術指導を受けなければ船ができないというふうな場合も多々ございますので、これらの場合につきましては、大企業の名前で受注をいたしまして、実際船をつくるのは中小企業であるという場合もあるわけでございますが、そういうやむを得ない場合は別といたしまして、いわゆるマージンを取って下請を使うというようなことは、これは厳に避けるようにつとめております。現状では大体そういうものはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/44
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045・木村美智男
○木村美智男君 もうこれで終わりますが、いままでいろいろ聞いて、本法で対象にしているのは大体二十トン以上の船舶をこれは対象に考えているわけですけれども、一体ボーダーライン以下と言って適当かと思うんですが、二十トン以下の船舶の対策というやつはどういうふうに把握をして、それからどういうやり方をやろうとしているのか。現状がどうなっておって、今後これはどういうふうにしようとしているのか。相当やはり零細な船舶であるだけに問題も多いと思うんで、その点が一つと、それから、これから主任技術者を配置をしてやってはいくけれども、これに全部まかしてオーケーというわけではなくて、船舶検査官というようなものが絶えずそれを監督し、あるいは指導をするという仕組みになっているだろうと思うんですけれども、特にこれからの事故防止をしていく、あるいは技術指導を——検査という仕事が単にいい悪いという検査をするだけでなしに、悪い点について、あるいは不足しているところについてやはり技術的に指導するという役割を持っているきわめて重要な仕事だと思うんで、これについては大体ことしは定員の増加の問題、あるいは十分なそういう仕事がなし得るように予算的な裏づけがあるのかないのかといったようなことについて、どうなっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/45
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046・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 二十トン以下の小さな業者のことについて申し上げますが、これは率直に申し上げまして、私のほうではほとんどこれをつかんでおりません。と申しますのは、御承知のとおり、大体安全法にいたしましても、船舶法にいたしましても、その他あらゆる法規が一応二十トンで線を引いております関係がございまして、したがいまして、われわれのほうでは現在までのところ手が届かないところでございます。今後必要に応じまして、そういう分野につきましても、本法等の施行の成果等を見まして、逐次手を広げるということも考えなければならないのではないかと存じております。
次に、船舶検査官の指導性等についてのお話がございましたが、これはもちろん、現在では、特に小造船所につきましては、船舶検査官が技術指導をいたしまして、それで船をようやく合格の最低線に持っていっておるというふうな現状になっておりまして、たとえば検査回数等の統計を見ましても、予定検査回数と実際に臨検いたしました回数は、大体二倍、もしくはそれ以上に達する例が多いわけでございます。そこで、検査官の定員につきましては、現在は約二百十名——二百十二名おりますけれども、これは本年度につきましては、旅費等の予算を増額してもらいまして、それを機動的に運営して何とか検査事務をやっておるわけでございますが、来年度につきましては、増員のことを考えて予算要求をやってまいりたいというふうに存じております。
〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/46
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047・相澤重明
○相澤重明君 関連。いまの木村委員の質問に船舶検査官の問題が出ましたが、これは局長も答弁をされておりますけれども、検査官足りないんだよ。たとえば四国の問題を取り上げても、四国では、高知にしろ、高松にしろ、ずいぶん苦労したんですよ。やっと高松に一人派遣しただけでしょう。そんな検査官の足りないのを、もっと一生懸命予算要求をして人員をふやす気にならなきゃだめですよ、実際。私は何回も各地方海運局長からのそういう申請も見ているわけです。四国の場合でも、わざわざ高知から高松へ来なきゃいけないんですからね。こういうようなことでは、これはもう行政指導なんという大きな口をきけるわけはない。そういう意味で、できるだけこの造船業の集団をしているようなところには、やはり検査官が実際に駐在ができるというぐらいの私は配慮をしてもらいたいと思うんです。少なくともそういう配慮ができることによって、技術の向上したものに対しても十分な検査ができて、船舶の航行安全を確保することができると私は思うんです。そういう意味で、まあ局長の後段の、来年度以降の努力のことばがあったから了承はしますけれども、現実は非常に不足しておる。とにかくしかたがない、やっと何とかごまかしておるというのが船舶検査官に対する定員の実情なんですよ。この点はぜひひとつ、いま木村委員の指摘されたように、早急に政府が予算的措置を講じて、ひとつ人員の確保をしてもらいたいと思うんです。
それからいま一つ、ついでに小型船の問題に関係をして、二十トン以下の場合どうするかという質問がありました。これについては、いま政府の答弁するように、確かに規制というものはない。けれども、今度はその船——ヨットにしろ、あるいはそういう小さい船にせよ、たくさん業者がつくっておるわけです。必要があるからつくっているんですよ。必要がなければつくる必要はない。必要があるものは、やはり私どもとしては、そういうものを何もつぶす必要はない。ただし、ここで一つ私が政府に言っておきたいのは、いわゆる小さい船で、もう必要がなくなったものが、比較的河川等に廃棄されている。河川等に捨てられたままになっておって、そして実は航行を阻害している、あるいは都市の美観を阻害をしておる。これはいま、たとえば横浜港の実態を申し上げると、横浜港から出ておるところの河川に、そういうだるま船と俗にいわれるようなものがたいへん多く捨てられておる。これを揚げるにしても、これは相当の費用がかかって、自治体でもなかなかこれは掃除をするのにたいへんなんです。昔はおふろ屋さんがそういうものを拾い上げてそしてまきにしたこともあったかもしれないけれども、今日はやってももうそれはつまらぬ、採算に合わない、こういうことで、実際には捨てられたまま。しかも、都市の美観を損ずるばかりでなく、航行にこれは非常な不便を与える。これは私は、やはり清掃法の問題ばかりでなくて、運輸省が、いわゆる河川湖沼というものの監督権等の問題に若干の問題点はあるけれども、これは自治体等もそういう苦労をしておることを考えれば、自治省、運輸省が、どうしたらそういうものを直すことができるかということを私は検討をしてもらいたい。これは船舶の航行という問題からくれば、若干そういう河川湖沼等について、現在の法律上の適用からいけば問題があるだろうと思う。あるだろうけれども、それでいいというわけじゃない。いいというわけじゃないんだから、いわゆるせっかくのこういう木船なり小型鋼船なりをつくっておって、実際に要らなくなったものが、そのために非常に地方で迷惑をこうむるものもありますから、そういう処分の問題について、ひとつこれを政府は検討をしてもらいたい。このことは、私は、近代都市化を進める上において、ひとつ強く政府に要望をしておきたいと思う。
それから、いま官房長どこに行ったと聞いたんでありますが——この前も申し上げた、港湾等における船舶航行の安全確保ということは非常に大事なことであるが、この中で非常に火災が起きる。これは、海水汚濁の問題は、ILO条約を批准をすることによって、いわゆる海水の汚濁の問題はある程度進められるにしても、いわゆる産業公害ともいうべき船火事についての対策が十分でないということは、この前も申し上げたように、京浜運河におけるところの火災が起きた場合に、これを消火する消火艇が不足しておる。あるいは前の北海道の室蘭事故の問題もしかり。いっどこに災害が起きないとも言えないこの現状において、災害が起きた場合にはできるだけこれの被害を少なくとどめると、こういう意味において、海上保安庁等におけるいわゆる化学消火艇の配備というのは緊急性を持つものだと思うんです。その意味で、私は、昨年、四十一年にそういう消火艇の配置を政府に要求をしたのでありますが、どうもそのことは運輸省と大蔵省の中で十分な対策が講じられていない。つまり予算がとれなかった。こういうことを考えると、大蔵省は実際にいまの火災予防についての認識が不十分である、こういうことが思われるわけです。これはやっぱり一面において、大蔵省が認識不十分であると同時に、運輸省の熱意が足りない、運輸省はもっと一生懸命やらなければそういう問題をやはり解決することはできない、こういうことになりますので——いまやっと官房長も見えたようでありますが、やはり積極的に運輸省としては、一面においてそういう生産問題については努力をするということはわかったけれども、他の面の、いわゆる産業公害について、どうこれを少なくしていくかという面についてのまだ努力が不十分であると私は理解をしたい。まあ、一部、海上保安庁で、いまの消火艇を改造をして当面間に合わしていくというような話も聞いておるが、現実にいつごろそれが実現できるのか。三月の予算が通って、すでに六月も終わりに近づいておる、三カ月もたっておって、具体的なそういう作業というものが行なわれておるのか、おらないのか。私は、京浜港について化学消火艇の配置を強く要望したわけです。あるいはこの四日市の工業地帯、水島工業地帯、こういう地帯の現地を見ても、やはり化学消火艇は必要である、こういうことをさきに申し上げておいたのでありますが、海上保安庁の計画というものが実際にどうなっておるのか、こういうことも私は説明をしてもらわなければならぬと思うのであります。したがって、きょうは、少し小型船造船業の問題から見れば直接の関係はないようだけれども、これは実は大きな問題であるので、この機会にひとつ政府から具体的な説明を求めておきたい。私は、せっかく予算はとったけれども、実際に計画ができてない、実行の段階でないというようなことを答弁されたら、運輸省なんというものは予算なんてとったってしかたない、このくらいに思うわけであります。そういう点で、私としては運輸省にもっと予算をとってもらいたいし、われわれこの委員会としてぜひそう進めていただきたいのだが、政府の決意のほどをひとつお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/47
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048・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 化学消防艇の件でございますが、まず大蔵省との予算折衝の経過もございますが、いろいろな強い要望がございまして、大型の消防艇の要求をいたしたわけでございますが、何しろ日本では初めての試みでございますし、諸外国でもあまりまだ使われておらない。イギリスその他数ヵ国がございますが、したがいまして、とりあえず本年度は外国旅費をたくさんつけるから、それで外国の化学消防艇の運用状態をひとつ視察をしてこいということでございまして、大型につきましては今年度は見送りになったわけでございます。小型の改造につきまして若干の予算ももらいましたし、目下改造中でございまして、どこどこの港にその改造されたものを配分するかという点につきましては、改造ができ次第きめるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/48
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049・相澤重明
○相澤重明君 いつごろできるのか、その見通しを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/49
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050・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 見通しにつきましては、現在のところ私は承知をいたしてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/50
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051・相澤重明
○相澤重明君 答弁まだあるのだ。処理の問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/51
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052・福井勇
○政府委員(福井勇君) 河川湖沼においての船の処理のことだと承知しておりますが、ただいまのところ運輸省船舶局の管轄になっておりませんために、よく検討させていただいて、御趣意のほどをりっぱに生かすように進めたいと思います。
〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/52
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053・岩間正男
○岩間正男君 私も、あまり時間がないようですから、関連して三、四点聞きたいと思うのであります。
第一に、先ほど二十トン以下の船に対するデータもつかんでおられない。それから、この法案の直接対象にならないというので、この問題についての対策というものはほとんどなかったので、それがどうもこの法案の性格を物語るように考えるのです。この点で、やはり非常に重大な問題を含んでおると思うのであります。私お聞きしたいのですが、大体いま関連業者が、この資料によるというと、これは一千四百二十六ですか——くらいあるわけですね。関連事業所が一千四百、これを一体何社くらいに統合しようと考えておられるのか。それから、その資金計画はどうなっておるのか。何年計画で、年間に一体どれくらいの資金を出そうと考えておるのか。それから、そのようにしてつくられた船会社が、今後造船の工事量を年間どのくらいにこれは押えようと考えておるのか。私は、少なくともいまこのような法案を出してくるのだから、これに伴うところの青写真というものを持たないというわけにはいかないだろうと思う。その青写真あるでしょう。その青写真をここで概略でいいから説明をする必要がある。そうでないと、こんな抽象的な法案だけ議論をしてもわからない。あなたたち少なくとも一つのビジョンを持って、それでこうするのだという計画をここで出すべきだと思う。さっきから聞いていて、その点が非常にケース・バイ・ケース、何だか先は野となれ山となれという感じを受ける。こんなことでは海運業の担当を直接扱っておる官房長としては非常にまずいと思いますから、どうですか、その青写真あるかないか、それからあるとすればどういうような計画を持っておるか、この点を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/53
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054・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 二十トン以下につきましては、先ほど正直に申し上げたとおり、いろいろな船の関係の法律が一応二十トンで線を引いておりますので、われわれのほうではこれをつかんでおりません。
それで、ただ船舶の安全につきましては、二十トン未満におきましても、これは都道府県と協議をいたしまして、そこで都道府県の規則によりましてこれを取り締まるというふうにしておりまして、その都道府県が規則を制定する場合に、船舶局と協議をして、そうしてこれをきめるというふうに取り運んでおります。
それから次に、この近代化措置法による措置と存じますが、何社くらいにこれを一体整備するかというようなことでございますが、これは現在のところ近代化基本計画の骨子をきめた段階でございますので、府県別にそれではこれを何社にするというふうなことはまだきめておりません。ただ、一例を申し上げますと、たとえば福島県では、これを全県一社にしたいという、そういう動きがございますが、これはなかなかむずかしい問題がございまして、固まりかけると、複数でいこう。福島にはそういう動きがあるということで、東北の海運局におきまして、この具体的な指導につきましては、現在もう少し情勢を待たないと結論を得ないというふうな実例はございます。
次に、資金計画については、先ほど申し上げたとおりでございまして、現状を正確にはつかんでおりませんけれども、一応年間十億程度の財政資金、したがいましてこれがおおむね五十、五十の負担になりますので、業者の分を合わせますと一応年間二十億くらいというふうに推定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/54
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055・岩間正男
○岩間正男君 それから工事量。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/55
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056・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 工事量につきましては、一応現状の横ばい程度というふうに考えておる次第でございまして、と申しますのは、漁船におきましても、代替、これの置きかえ建造、それから内航船も適正船腹量の中におきます代替建造でございます。そうしますと、残りますところは、輸出船、それからもう一つ、いわゆる漁船、内航船によらない雑船等ですが、これらにつきましては現状横ばい程度に考えておるわけでございまして、その概数を申し上げますと、鋼船におきましては、これは年によって浮動いたしますけれども、一応二十万トンくらいというところでございます。それから木船につきましては、これは逐次生産量は落ちておりますが、一応二万トンから二万四千トンくらいというあたりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/56
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057・岩間正男
○岩間正男君 どうもやはりね、これは計画としては、非常にもう初歩的な、何といいますかな、試算程度のもので、青写真にもなっていないのだという感じがするのですね。そこで、資金量の問題、先ほどからも出ているんですが、この資金量の結果は、当然これは選択融資をしなくちゃならないことになりますね。全体に均てんするということにいかないわけです。そうすると、そこで非常にやはり問題起こってきませんか。この資金計画は非常に足らない。実際の量から、実際のいま業者が要求しておるような額からいったら、ほんとうにこれは五分の一になるか十分の一になるか、とてもこれを満たすことはできない。そうすれば、結局、その中小企業の中の大きなところ、しかも、大きな関連業者なんかが保証ができる、そういうところで推薦するとか、そういうような制度をとるのじゃないですか。そうでなければ資金は回らないというような方向になるんじゃないですか。そうしますと、結局、この中の一千四百ある業者の中でも、中小零細なそういうところというのは、その資金のワクから落ちていくという、そういう危険が非常に出てくるんじゃないか。こういう点はどうなんですか。そこのところ、とにかく平均でやれば、さっき木村委員も計算したように、年間に七十万——七十万ではこれは造船会社に対しては焼け石に水程度のものにしかならない、こういうふうに思うのですが、この点はどうなんですか。ほんとうにこれはこの中小造船業者を保護育成して近代化するというのがねらいなのか、あるいは、そういうような美名のもとに、実は整理統合を大きく強化するのがねらいなのか、この法案の性格というのは。そこのところが、これは明確になることが必要で、先ほども相澤委員からそういう点が出たと思う。これは本法案のまさに一番重点な点だと私も考えるのですが、その点どうですか。たとえば、いまの融資の面からどういう措置をあなたたちは考えているか、その点はっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/57
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058・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) ただいまの点につきましては、現在の時点では、本法案に対しまして不適格になるのは約二割ないし三割であるということをたびたび申し上げたわけでございます。そこで、これを置き去りにするということは考えておりませんのであります。したがいまして、経過措置を設けまして、その間にこれを合格圏に達せしめるように指導してまいりたいと考えております。
それから、なお資金につきましては、この中小企業金融公庫、それから中小企業近代化資金助成法による都道府県の直接貸し、それから船舶振興会による設備近代化資金と、こういうふうな資金源から出るわけでございます。これにつきましては、やはり財政資金の貸し付け基準というものがございますので、そこで、その基準に合格したものから融資を受けていくというふうな意味におきまして、自由競争の原則というものは当然ここで行なわれるのではないかと思う次第でございます。われわれの運輸省からこれは全部に金は流すというような気持ちを持っておりましても、実際問題としては、財政資金の貸し付け基準に合格したものから逐次融資を受けるということに相なるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/58
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059・岩間正男
○岩間正男君 現在、合格の条件の中に、業界団体の推薦というものを非常に必要な要件とする、そういうふうにすでにこれは要望が出て、そしてこれは何ですか、指定業種団体協議会、日本小型船舶工業会を含めた六十八業者、そういうところがらそういうものが出されておる。そういうような推薦制度を採用する考えがあるのかどうか。いまの合格の条件の一つの重要な要件としてそういうことを考えておられるようですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/59
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060・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 推薦制度につきましてはまだ検討をしておりません。それで、われわれのほうでも、御承知のとおり、公務員の定員にも限定がございますし、また、対象工場も非常に多いものでございますので、そこらの補完的な意味におきまして、業界の自発的な活動を待ちまして、そして誤りなきを期したいと存じてはおりますけれども、まだ推薦制度をどういうふうにやるかという点については検討しておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/60
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061・岩間正男
○岩間正男君 一月に政府は、こういうような要求に対して今後優秀な団体には適用するという、そういう回答をやっているのじゃないですか。そうすると、結局、その中で中小企業の中でも大きいところ、それからいろいろな条件のいいもの、そういうところだけを選抜して、そこに融資をするという方向をやはりとるのでしょう。そうしますと、一千四百の中で三割程度を整理統合したいと言っているけれども、実際上、それは資金面からいうと、そこのところが満たされないというふうに考える。そうならざるを得ないのじゃないですか。そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/61
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062・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) その点につきましては、計数的にこうであるという結論をここで申し上げるわけにはまいらないのでございますが、先ほどから申し上げておりますように、昭和四十年四月一日現在のこの名簿に記載した当時の生産量は、先ほど申し上げた数字でございまして、これらの見合いを考えますと、十分とは申しませんけれども、事業として造船業を経営していくだけの需要はあるということの実績ではないかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/62
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063・岩間正男
○岩間正男君 推薦を認めるかどうかということは、これは中小企業の中でも零細な業者にとっては、非常に大きな問題を持つのではないですか。あるいは独占の系列に入っているようなところは、これは非常に推薦されやすい、それは系列化を非常に進めることができる。そういうところをはずれたほんとうに国内産業、民族産業的なそういう造船業者になってくるというと、その推薦からはずされて、つまり、整理統合の対象になるという、そういうことになると思うのですが、そういうところについては、いまのような推薦による選抜のそういう方法を認めないという方向をとらなければ、この法案でうたっている、業者の保護育成ということを言っているのですけれども、これは成り立たないと思うのです。これは政府の態度としては、これを認めるというような、そういう方向をとったとするならば、これは明らかに矛盾している、こういうふうに思うのですけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/63
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064・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 先ほど申し上げましたように、私はまだ認めるとも認めないとも、どちらとも申し上げておらない、今後研究したいと申し上げておるわけであります。したがいまして、現存する団体による推薦というふうなことをかりに考えたといたしましても、推薦母体としていまの形が適当であるかどうか、あるいは、その形をもう少し変える必要があるか、これはいずれ今後の検討問題として処理してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/64
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065・岩間正男
○岩間正男君 そこはやはりはっきりさしておかぬと、これはほかの、とにかくそういう系列のないところとか、そういう業者は非常に不安になってくるのですね。これは今後の運用の中で、ばらばら切り捨てられるようなかっこうに、これはなってくるのはまずいと思うのです。ことに、これはどうしても方針としては、整理統合、転廃業、それが中心なんでしょう、この法案の一番大きなねらいは。それはもうあなたたちの出しているこの「船舶の製造または修理業の中小企業近代化基本計画」というのをこれは私たちもらっているのですが、これによると、はっきりそううたっているのですね。「企業構造の高度化に関する事項、需要構造の変動に即応して需給の均衡をはかるため転廃業等を通じて企業の整備を促進する必要がある」、また、その実施計画を見まするというと、「企業整備を促進するため必要地域における協業化(合併を含む)並びに転廃業について指導を強化する」、こういうふうにあるのですが、この法案ではあまりその点を強くはうたっていないようですが、これがほんとうの方針じゃないですか、これが港湾局の方針じゃないですか、運輸省の基本的な方針じゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/65
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066・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) ただいまのは中小企業近代化促進法によります基本計画のことでありまして、この小型船造船業自体とは別法律になっております。今後、造船業法自体とは別法律になっております。で、小型船造船業法は技術の適正な水準と、それによって企業の健全な発達をはかるというところにとどめておりまして、それからさらに先の分につきましては、近代化促進法に譲っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/66
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067・岩間正男
○岩間正男君 しかし、そんなにばらばらにいくわけはないのですよね。いろんな形で法案というのは出していますよ。そういう一つの目的を遂行するために、こう枝葉が出ている。だから枝葉の先だけ見ていると、この法案のなには変わってるようだけれども、いまの中の適正化、それから非常に健全なという、そういうことになれば、結局、その健全とか適正とかいうそういう条件をずっと進めていけば、これは当然整理統合、そういうことになるのじゃないですか。そこのところがねらいで、それを技術化するための法案だというふうにはっきり考えられる、この点は。そうすると、あなたの立場では答弁できないかもしれないけれども、そういうねらいをちゃんと含んでいるじゃないですか。そういうところから出た一つのこれは技術的な問題としてこの法案が出てきているというふうに考えなければならない。だから、どうもやっぱりさっきからのいろいろの応答を聞いておりまして、そこのところに、一方では保護育成だ、保護育成だと言うけれども、その保護育成のしかたが、いま言ったような適正化とか健全化とか、そういうようなことで、実際は整理統合をはっきり目ざしている、こう見ざるを得ないということが明確に出ている。この点ははっきりしている。
その次に私がお聞きしたいのは、こういうことをやる現実的なねらいは何ですか。現情勢におけるねらい、これはやっぱりひとつここで検討しておく必要があると思うんですね。どうです。海運業、ことにいろいろな商船隊をつくってアジアの諸地域に大きく雄飛するのだというような方針を出しているのですよ。そういうものを考えてきて、特に韓国あたりとの関係はどうですか。韓国あたりから発注があるのか。そういうものに応ずるための国内の造船のそういう体制というものを整備化するという、そういうねらいは、これは含まれていないのかどうか、こういう点については何ら説明がなかったわけなんですがね、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/67
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068・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 先ほど需要計画のところで申し上げましたように、日本の漁船、内航船、いずれも一口に申しますると、現状船腹のいわゆる代替という程度にとどまるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、今後輸出増進に大きな期待をかけておるわけでございますから、ただいまお話しの韓国の分につきましては、韓国から漁船の建造希望が非常に来ておるような様子でございますので、小型船造船業者としては、とりあえずは賠償による漁船の建造というものに大きな期待をかけておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/68
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069・岩間正男
○岩間正男君 これは韓国との取引、あるいは台湾との取引ですね、これはいままで実績はどうなっておりますか。それから現に、これは本年二月に代表三名が韓国に行って市場調査を行なっている、こういう実態も出ているんじゃないですか。それから対韓経済協力協定の中でこれを具体化していく、そういう方面から、やはり国内の造船産業の基盤というものをもう少し、整理統合し、そして強化する、こういう形のねらいがこの法案には何ら出ていないけれども、実際は、現実的なねらいとしては、現状の中ではそういうことがこれは出ているんじゃないですか。どうなんですか、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/69
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070・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) ただいまの点は、手元の資料では、国籍別には出ておりませんけれども、台湾、韓国その他のアジア地域をまとめまして、輸出検査法の対象として、小型船の輸出について、輸出する場合に輸出検査をいたしております。その実績を申し上げますと、三十九年度は約十万トン、それから四十年度は十五万トン、トン数におきまして一・五倍にふえております。それから金額におきましては、三十九年度におきまして約二十五億円、四十年度におきまして約五十億円、金額において二倍に伸びております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/70
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071・岩間正男
○岩間正男君 そうしますと、いまの数字は大型も入っているわけですか。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/71
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072・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 失礼いたしました。数字を読み違えました。トン数は一万トンでございます。十万トンは誤りで、三十九年度が一万トン、四十年度が一万五千トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/72
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073・岩間正男
○岩間正男君 隻数はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/73
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074・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) これは五百トン未満のものだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/74
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075・岩間正男
○岩間正男君 一万トンだけでも、三十隻とか四十隻とかになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/75
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076・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/76
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077・岩間正男
○岩間正男君 そうしますと、フィリピン、台湾、韓国、こういうような輸出向けの造船ですね、そういうものが見込まれてくれば、当然これに対する体制強化、これがこの法案の一つのねらいになっているという点を私は指摘せざるを得ないと考えるわけです。現実がそうなのだ。先ほどあげたように、日本小型船舶工業会がそういうようないろいろな実際のなにをやっている。この事実は御存じですか。そういう、たとえば代表者を送って、そうして市場調査を行なっている、こういう事実はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/77
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078・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 輸出船舶のうちで韓国につきましては、業者の団体が、これは所属団体員の企業振興のために、輸出の話で韓国に行ったことは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/78
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079・岩間正男
○岩間正男君 これはどういう——何か契約か何か行なったのですか。どうです。その後の経過はどういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/79
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080・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) これは団体契約というふうな具体的なところに進んでおりませんので、いわゆる需要者側の意向を調査したという範囲にとどまっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/80
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081・岩間正男
○岩間正男君 私はもう一つの課題についてお聞きしたいと思うのですが、この法案によりますというと、健全な今後の造船の運営、それから海運の安全にこれは寄与すると、こういうことをうたっているわけです、この法案の提案理由として。この安全の問題ですが、むろん小型船を中型化する、それから木造船を鋼船化する、こういう点も安全に寄与すると思うのですが、一つの問題として、どうです、気象問題ですね、これは私は、やはり安全という点から言うと、この法案と並行してやはり審議をしておかなければならぬと思うのですが、この海洋気象に対する対策は一体どうなんです。うまくいっていますか。マリアナの問題で、だいぶこれはこの前問題になったわけですけれども、こういう中で、たとえば今度の予算措置なんか見ると、どうです、運輸省の予算措置。海洋気象が非常におくれている。そのための犠牲がひんぴんとして起こっているのが現状だと思いますけれども、この点についてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/81
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082・福井勇
○政府委員(福井勇君) 気象庁はもちろん運輸省でございますが、その関係の者を呼んだほうが適当かと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/82
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083・岩間正男
○岩間正男君 官房長がおるから、今年度の気象庁の予算はよくわかるでしょう。
私はこの前、マリアナ海域における遭難問題でやったわけですよ。
〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕
このときの中村運輸大臣の答弁をここで繰り返してみたい。こう言ってますよ、「私はやはり日本の気象庁の設備の中に、あらゆる設備の完ぺきを期し、他国のお世話にならなくてもいけるような整備をすることのほうがやはり大切だ、かように考えておりますので、今度はそういう方向に向かって努力をいたしてまいりたいと思います。」、そういうような答弁をしたんですね。さらに「飛行機を何機にするとか船をどれくらいそろえるとか、数字の点には触れておりませんが、閣議でやはり今後こういう事故のないように万全の措置を進めていこうということは決定しております。」と、こういうことなんですな。まあずいぶんこれも問題になったんですけれどもね、気象庁の予算として具体的にどうあらわれているか、それが具体的に遂行される方向になっているか。先ほど相澤委員から海上の消火の問題が出ましたけれども、この海洋気象の問題というのは非常に重要な課題だと私は考えるのですが、どういうふうになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/83
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084・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 主として御質問は、遠洋気象業務の整備の問題だと思うんですが、四十年の十月に、マリアナ海域で漁船の集団遭難が発生をしました。それの緊急対策といたしましては、主要漁業用の海岸局と気象官署との間にテレタイプの回線を整備をいたすことになりました。それからいま一つは、二千トン型の巡視船を建造することにいたしまして一これは二カ年計画でございます——この二千トン型の巡視船の中に、台風観測のための気象用レーダー及び波浪計測器等も整備をいたしまして、ふだんは北海道その他の遠洋漁業の警戒に当たりますが、台風シーズンには、例を申し上げますと、マリアナ付近にその船を移動させまして、何といいますか、洋上気象基地と申しますか、そそういった運用をいたすように予算化ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/84
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085・岩間正男
○岩間正男君 総額は少しふえているようですね、総額。気象庁の予算を私当たってみたんだが、これはまあ十億足らず、九億ですか、九億ばかりの予算がふえている。しかし、ものによっては減っているものもありますね。通信器具費、観測予報器具費、船舶建造費、多少増額されているということになるが、ものによっては減っていますね。観測予報施設整備費というようなのは、これはどうなんです。たとえば昨年の六千八百四十六万円から五千六百四十七万に減っている。それから気象レーダー施設整備費、これなんかは一億二千六百万円、それがことしは三分の一に減ってますな、四千六百四万円、こういうことなんで、これは決算委員会でもこの前問題になって、特に今度の政府に対する勧告の決議案の中に盛り込まれている問題です。
〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕
しかし、実際はほとんど、これやられていないんですね。だから船舶の、これはいま言った健全、安全のために船舶の体質改善をするんだということを、造船の体質を改善するんだということを言っていながら、一方では、こういうようなかっこうでは、とてもいまの海洋の気象の不備から起こるそういうものを十分にこれやれないじゃないですか。これには、中村運輸大臣の先ほどあげました答弁によりますと、米軍にたよらないで、独自に日本の海洋気象条件を整備すると、こういう答弁をされておるのだが、全然これは具体化されていないじゃないですか。こんな予算では、これは官房長としてどうですか。次官どうですか。この点なしに、一方でどんなに船舶の問題をあげましても、私はあとを絶たないというふうに思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/85
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086・福井勇
○政府委員(福井勇君) 先ほど官房長が御答弁申しましたように、ちょうどああいう遭難事故がありました際でございましたので、かねがね運輸省といたしましては、そういう計画と希望を持っておりましたが、なかなかどうも大蔵省は、平生困難しておりましたので、先般のああいうときに、皆さんの御了解を特に得まして、ようやくあそこまで実はこぎつけたところでございます。これで満足じゃございませんけれども、ひとつ御指摘のように、外国の——私は、米国ということは大臣が申したかどうか知りませんけれども、よその国のお世話にならぬようにひとつ、運輸省で計画したときには、予算面でも何とかひとつ、委員各位の御支援を特にお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/86
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087・岩間正男
○岩間正男君 どうもこれはやはりこの前ここでも問題になったでしょう。米軍に依存しているからああいう事故が起こったんだ、米軍は日本のほんとうに民間のそういう漁船やその他の船の安全、そういうものを第二、第三にしか考えてない、頭にないかもしらぬ、そういうことですからね、そこに依存しておったんじゃ、これはたよりにならないものをたよりにしているわけだから、それじゃまずいということで、中村運輸大臣は、特にさっき言ったように答弁しているわけですね。そうすると、これはよほど大幅な増額をやらなければならない。決算委員会でもわざわざこれは十五だったかの勧告の中の一つとして、政府に対する勧告を行なっている。次官御存じないですか。そんなこっちゃこれは困ると思うのだけれども、そういうことですからね。非常に事故が発生しているのだ、これはね。そこへ持ってきて、日本近海は、御承知のように、いま米軍のですね、もう軍艦、軍用船が、ベトナムへ向けてどんどんこれは動いている。貨物船がラッシュだ。日本の海上——近海はね。こういうことですからね、事故が当然これはふえていますよ。こういう問題に対決しなければならぬのですが、私は大体二、三の例をあげますから、これをどういうふうに処理したか、お聞きしたい。
第一、三月十一日、和歌山県有田市沖で、紀伊水道で、「第五宝恵丸」百六十六トンと、アメリカのステート・マリンライン社所属の貨物船「ペルカンステート号」、この「ペルカン号」というのは、米軍の雑貨約五千三百四十トンを積んで、横浜から神戸へ向かう途中だった。この衝突事件、これはどういうふうにその後処理したか。
第二、四月二十六日に東京湾浦賀水道で、米海軍極東軍事海上輸送司令部の軍用チャーター船「トランス。パシフィック号」と、横浜から出港途中のリベリア船「ユニオン・ビーナス号」との衝突事件が起こっております。この「トランス。パシフィック号」は、ベトナム向けの弾薬輸送船、そのときはしかも爆弾を満載しておったのであります。これはどういうふうに処理したか。
第三に、昨年八月二日未明発生した「アリゾナ号」と「明興丸」の海難事故の第一回海難審判に、米国側は一人も出廷していない。政府としては一体その後どのような要請をしたか。これは当委員会でもしばしば問題になった問題です。最後には秘密会までして、この事情を聞いた問題です。米側は出てない、全然、これはもう問題にしてないのだ。こういう問題をこのままで放置するのはいけないと思うわけですが、海運局長、見えていますか。海運局長もついでに答弁してもらいたい。
それから、たくさんありますよね。第四が、機関と無線と故障した上、海がしけになったので、小笠原諸島に緊急入域したさんごとり漁船「第五神徳丸」六十五トンに米軍が五百ドルの罰金を科した。十二日後にやっと釈放するという事件が起きた。小笠原諸島では今年すでに三隻目だ。こういう事故が三隻目と言われております。これはすでに国際的な慣行になっている無害通航権を制限するものだとはっきり考える。しかも、小笠原諸島は日本領土です。だから、一体こういう問題について、これは政府はどのように対処したのか。安全操業を、一体どのようにして確保しようとするのか。
それから第五に、本年の一月にも、島出身者が乗り込む「第八勇喜丸」七十三トン、「第三福寿丸」四十トン、さんご船二隻が、しけのため海水が船に入って危険になったので、母島の島陰に退避していたところ、領海侵犯でつかまって、「第八勇喜丸」は千ドル、「第三福寿丸」は八百ドルの罰金を受けている。緊急に入域する場合、事前にマリアナ米海軍司令官などに通告しなければならない。オーケーとなるまでは短くて七、八時間かかる。緊急のこういう事態には間に合わない。こういう問題については、全面的にやはり解決しなければならない問題だと思いますね。こういうような問題の処理が非常に等閑にされ、なおざりにされ、そうして国会の答弁のときには、非常に重大でございますとか、米軍の助けをかりなくてもというような答弁をしていながら、実際はこれらはほおかぶりをされている。そうして、これは伏せられておいて、一方で海運の問題だけを、この造船の問題だけをここで解決している。こういうことでは片ちんばだ。安全は守られない。はっきりしてきている。だから、せっかくこういう法案のねらいというものは、私は、はっきりやはり整理統合です、そうして独占の系列化の中にはっきりこれを編入していく、あるいは韓国、あるいは台湾、あるいはフィリピン、アジア諸地域に進出するため商船隊を組むというそのための造船の融資、こういうものと深い関係ができてきている。そのための体質改善をしていくための法案じゃないかと思う。だから、いまあげた例については、これはここで答弁——海運局長見えているようですから、海運局長から答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/87
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088・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) ただいまの衝突事件その他の諸案件の処理状態でありますが、海上保安庁で処理をいたしておりますので、調査の上、海上保安庁のほうから、後刻報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/88
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089・岩間正男
○岩間正男君 官房長は聞いてないのですか。そういう報告を受けて、それから、そういうもののテストケースでもないのですか。一つ一つはいまかりにここで言えないにしても、基本的にはどういう態度をとる。さっぱりこういうものは解決してない状態じゃないか。ことに米軍との関係では、ちょっとしたところで、すぐやられて、小笠原のあれもだ、小笠原島近海で起こった——日本の領土なんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/89
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090・江藤智
○委員長(江藤智君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/90
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091・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/91
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092・福井勇
○政府委員(福井勇君) 岩間委員の御質問にありました三月十一日の和歌山の「第五宝恵丸」の件、四月二十六日、米軍「トランスパシフィック号」の件、第三の「アリゾナ号」の衝突事件のその後の状況についての件、第四が四月の「神徳丸」の機関、無線の故障によっての小笠原諸島における問題の件、第五、一月に「第八勇喜丸」の母島においての件等につきましては、委員長の御指摘の期日に御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/92
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093・木村美智男
○木村美智男君 あまり時間がないからね、簡単に質問をしますが、さっき二十トン以下の問題について聞いたところが、安全法の問題や、船舶局長の答弁では、船舶法の適用を除外されておる、実際問題としてはつかみょうがないんだ、こういう話だったんですけれども、大体五トン以上の客船については安全法適用があるんじゃないですか。だから、そういう点から考えれば、やる気になればこれは当然把握できるんで、少なくとも二十トン以下ということをこの機会に法適用をして、さっき岩間委員が指摘をした一面が特にそういうことではないとするならば、この際、この法案のできることを契機として、これはやっぱりそういう安全法の適用のあるものについては、当然規制をしていくという立場をとるべきじゃないか、これはいまここでいいとかどうとかいうことが言えぬかもしれぬから、これはひとつ強く要望をして、それから二十トン以下について検討をしますといったようなことじゃなしに、もう一歩前進をして、少なくとも安全法に規定をされている五トン以上の客船等については、これは規制をしていく。そういう方向で具体的に検討を始めると、こういうようなことにひとつ置きかえてもらわぬと、なかなかこれは了解できぬので、これが一つ。
それから韓国の船の話が出たんですけれども、ある意味では商売だから、それは設備を直したり、外国の注文があった船を実際につくったり、そういうことは一応この種の仕事としてはあり得ると思うのです。問題は、私はそのことをどこにやらせるかということのほうがむしろ問題なんであって、いま各国のいわゆる賠償の関係でやはり船を相当つくって出しているという関係が、少なくとも、私の聞いている範囲でも、大体七十隻前後ぐらいあると聞いているわけです。問題は、それをどこにやらせるかということについて、いわゆる大手の造船なり、あるいはどうもさっきから答弁を聞いていると、大中小の大と中のほうに重点が置かれて船舶局長の答え方があるようだけれども、もう少しやはりこの小型船舶業法の精神からいうならば、これは中小企業基本法の精神からいっても、もう少しやはりむしろ、この中以下のところに重点を置いて、こういった船舶のこの輸出船の関係についても、やはり十分な監視をして、そうして、この法の精神がそこでも生かされていく、同時に、そういうことを通してやはり設備の近代化あるいは小型船舶業の近代化をはかっていくということにやはり重点を置いて指導していってもらわなければ、これは、この法をつくった意味というものは半減をしてくる、こういうふうに思われるので、この点についても、ひとつ厳重なこれは監督指導というか、これを強く要望をしておきたいと思う。
それから、この法案の二十二条の問題ですが、「小型船造船業を営む者は、当該小型船造船業について造船法第六条の規定による届出をしなくてもよい。」というこの問題は、先ほど局長の答弁の中で、仕事の分野というものをある程度行政指導においてやっていくということの答弁を得たわけですけれども、ほんとうは、この適用除外というものがある以上、これは実際には抜け穴になっているのじゃないかというふうに考えられるので、それがもし誤解だというなら、そういうふうに理解が間違いならば、それは正してもらいたいし、実際問題として私が指摘するような抜け穴だとするならば、これはこの二十二条そのものは、いわゆる小型船舶をつくることを大企業にやらせるという精神のもとにできておるのではなしに、つまり、登録だけを、届け出だけをしなくともいいという単純な省略規定であって、いわゆるそういう意図というものはないのだ、つまり、仕事の分野を乱していくという意図というものはこの条項にはないのだということをひとつ明確にしてもらいたい、大体その三点ぐらいが満足されるようなことであれば、大体小型船舶業法のつくられた趣旨からいって賛成をしたいと思うのですよ。したがって、答え方によっては反対だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/93
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094・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 安全法につきまして二十トン未満を適用しないと申し上げたのは、原則としてそこで線を引いておるということを申し上げた次第でございまして、御指摘のとおり、五トン以上の客船につきましては適用があるわけであります。したがいまして、現在そのやり方といたしましては、船舶局において基準をつくりまして、それを都道府県と協議しながら具体化して実施していくということでございまして、たとえば千葉県の例の「あやめ観光船」のようなものにつきましては、私が申し上げたようなことでやっておるわけでございます。この客船でも、五トンぐらいの客船でも、そういうものにつきましては重要であるから、小型造船法の適用範囲に入れろという仰せでございますが、まさしくそのとおりと存ずる次第でございますが、いま直ちにそこまで手を広げてもなかなか円滑な実施が期待できないと存じますので、まず現在の範囲でやらしていただきまして、次にその方向で直接人命に関係するものから逐次やってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
それから賠償船等につきまする輸出につきましてのお話でございますが、これは政府がどこまで関与できるかという点につきまして、いろいろ問題があるわけでございまして、御承知のとおり、相手国からいいますと、なるべく政府の干渉を排除して、そうして相手国が満足するところに注文したいというふうなことをよく経験しておるわけでございますが、仰せの点よく心得まして、できるだけの行政指導をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
それから最後に第二十二条のお話でございましたが、これは造船法六条によりまする技術的な届け出等をしなくてもいいという、単にそれだけの意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/94
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095・木村美智男
○木村美智男君 そうすると、重ねて聞きますが、二十二条はいまのような単純な意味であって、要するに、仕事の分野の関係をどんどん中小がやるべきやつを大企業がやってもいいという意味合いはこの中には全然ない、そういうふうに了解をしていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/95
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096・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 御指摘のとおりで、大企業に中小造船の分野をやらせるために二十二条を設けたというのでは毛頭ございません。重複して届け出たりするのは非常に繁雑になりますので、第二十二条をもって造船法六条の規定にかえる程度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/96
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097・木村美智男
○木村美智男君 最後に、この法案をつくるために長い間小型船舶造船業の人々が、何といいますか、いろいろ苦労して、しかも、要望をして今日こういうようなことになってきたという経緯から考えれば、これからいろいろ運用するにあたって、小型船舶工業会といったようなものに、いろいろの意味で相談をかけ、あるいは意見を聞き、そして、でき得る限りそういうものを窓口にして、この法案が意図するところにひとつ軌道に乗せていくと、こういう考慮というものは当然払うべきだというふうに思うのですけれども、今日の時点で何でもかんでも全部をそうしろという意味合いを言っているわけではないのですが、そういう精神でひとっこれから運用をしていくんだというふうに当然あるべきだと思うのですが、この点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/97
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098・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 小型船舶工業会の問題でございますが、これは仰せのとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、われわれのほうの人員も限度がございます。また、非常に業者の数も多いので、当然工業会の活用を考えてまいりたいと存ずる次第でございますけれども、かりにどういう仕事をそこにやらせるかということにつきましては、若干その性格等についても十分検討をした上、活用の方向で考えてまいりたいとも存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/98
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099・岡三郎
○岡三郎君 ちょっと、中国の広島の竹原造船所の問題について聞きたい。これは課長がよく知っているから、局長はどの程度知っているか別にして、一つの問題点は、長期にわたって労働争議が起こっておって、最近において造船所の技術者が草むしりをしている、こういうことが長期にわたっておるのです。そこで一方において、竹原造船所はブルネイ王国と協定を結んで、造船所をブルネイに設置して、このほうは着々といまやっておる。一時、竹原造船所は三百人ほどの労働者を擁しておったのですが、最近においては非常に激減して、まあ三十九名程度になっておる。こういうことでヘビのなま殺しのような状態でいる。これはいままで報告を聞いたところによるというと、特殊な要素がからんでいる事件である。それから労使の紛争として労働省の問題があるというふうに言われておりまするが、いよいよこれが登録ということになってくると、こういうふうにほとんど仕事もさしてないし、今後これがどうなるかもわからぬということになると、運輸省としての関連は、これから登録業者としていくかいかぬかという問題があるわけです。もっと端的にいえば、もうこの造船所はやめて、国内においては廃業してしまう、協定を結んだところのブルネイ造船所一本でいくんだということになっていくのかどうかということもつまびらかではないし、それから、かりに事業所が閉鎖になるとすると、それに伴うところの生活保障というものがどうなるのかという心配もここにある。そういうふうな点について、一時盛んであった竹原造船所が、いま言ったような衰微の状況の中において、特異な事件として、労働省も草むしりで遊んでいるという、こういう現状から見まして、これが一体どうなるのかという問題が、いまわれわれのほうに提起されておるわけですが、一応簡単に概況を言ったわけですが、これを詳しく言うと二時間ぐらいまたたってしまうので、アウトラインだけ言って、一体、登録制度なり、今後こういう近代化を進めるという一つの条件の中において、こういう造船所は一体どういうふうになるのかというふうなことも兼ねてひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/99
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100・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 竹原造船所の問題につきましては、ただいまの仰せのとおりでございまして、国内では労使紛争があって、一方ブルネイに企業進出をしている。非常に小さな企業としては大きな負担を背負っておる問題でございます。で、そういうふうないわゆるトラブルがあるような造船所でございますと、なかなか受注競争の激しいおりから、受注が行なわれがたいということによりまして、仰せのとおり、あるいは草むしりをしておるというふうな現象も起きておるかと存ずる次第でございますが、これを新しい小型船造船業法による登録業者にするかどうか、その点につきましては、まだこの法による審査をしておるわけではございませんし、また、仰せのとおり、一時非常に盛んな造船所であったわけでございますので、あるいは主任技術者等も資格がある者が残っておるのではないかというふうなことも考えられるわけでありますので、登録適当なりやいなやの点については、今後いろいろ審査してみないとわからないというのが現状ではないかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/100
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101・岡三郎
○岡三郎君 私のほうで船舶局のほうからいろいろと聴取したところ、これは中国海運局からの報告が五月九日です。とすると一月半ばかり経過しているわけですから、その後どういう状況になったか、もしも情報があったならばお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/101
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102・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) この点につきましては、その後、中国海運局のほうからまだ報告が参っておりません。
それからブルネイに進出した工場の状況につきましては、それを外務省に照会いたしまして、その後二、三情報が来ておりますが、一月前に比べましては、最近の情勢は、ようやく工場整備も軌道に乗り始めたということでございますので、前回の当時のブルネイにせっかく進出したが何もやっておらぬではないかという印象は若干訂正を要するのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/102
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103・岡三郎
○岡三郎君 竹原造船所がブルネイのほうに力を入れて、国内のほうは労働争議をかかえているからこれはまあ当座何ともならぬと、こういうことでやや放置した形で推移してきているのが現状だと考えるわけです。そこで、働いているほうから言うと、やめるのだかやめないのだかわけのわからない状態で時間がたってくるということについてこれは問題がある。だから、これは法的にいうと、まあ労働省の監督ということに、労使紛争になればなるわけですけれども、その造船業という業界の指導という行政当局の立場からいくというと、そこに働いている者が一体今後どうなるのかという点について、これはある程度指導するという立場が私は出てくるのではないかというふうに考えております。直接的な問題ではないとしても、当面する小型船造船業法の中にこの業者が入っているということになるわけです。そういう点で、借金あるいは脱税等で身動きができない、こういうふうなところにそういう問題もからんでいるのじゃないかということも言われているわけですが、一体この会社は、やめていく者に対して退職金なら退職金が出せるのかどうか、もう少し率直にこの事業の内容というものを——この小型船造船業法によるというと、書類等の帳簿の検査もできるようになるわけですね、今後。できるようになるわけですから、これが通った暁においては、帳簿を調べて一体どうなっているかということについて、もう少し積極的にひとつ監督をしてもらえないかというふうに思うのだがね。少々ちょっとこっちの言うことにも無理の点もあるわけで、それは労使関係の問題ですから、ただいま言ったような中途はんぱな形になるという点で、こちらのほうへ陳情が来てかなわない。かなわないということばはないが、もっとはっきりしてやらなければならぬのじゃないか、こういうことなんです。そこで、労働省のほうにも言っているけれども、いま言ったような点についてひとつ善処をしてもらいたいと思うのだが、どうでしょうな。これはやはり筋違いかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/103
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104・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) いまの点は非常にむずかしい点でございますが、この竹原造船所の問題につきましては、たしか、その後五月の初めだと記憶しておりますが、従来の給料の遅払いは全部払ったというふうに聞いております。そこで、中国の海運局といたしましては、やはり国内造船所としてもこれをできるならば育成したいというふうな努力をもちまして、労働省、それから労働組合、それから経営者というふうな間に立って、いろいろ紛争の解決策に何か手段はないかというふうなことで会議をしておるようでございますけれども、その詳細については、まだ具体的な報告が来ておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/104
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105・岡三郎
○岡三郎君 それでは、竹原造船所の問題については、いまここでいろいろ質問をしても無理な点もあるので、これは運輸省のほうにわれわれのほうで要望をするわけですが、ひとつ現状について、この前は五月の九日ですが、それから一月半以上経過しているので、現況についてひとつ御足労でも報告を願いたい。それに基づいてわれわれとしては、この法案と別途切り離して、ひとつこの問題についていろいろと検討してみたいと思うわけで、よろしくお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/105
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106・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 時間もあまりありませんから——時間はかなりありますけれども、いまの岡理事の質問と関連してでございますけれども、こういう機会ですから局長に伺っておきます。それから時間もありますから伺いますが、この法律は三十九年の六月二十五日までに一かなり前に審議されてきたのですね。そのときに附帯決議をつけているわけですよ。この附帯決議をある程度これは尊重しなければならないという立場でこの法案が提出されてきたのじゃないかと、こう理解するのです。当時の附帯決議は、私が提案しているのです。それで、一つには、「内航船舶の船質改善及び近代化を促進する必要性にかんがみ、特定船舶整備公団に対する財政資金の増大をはかるとともに、木船の極度老朽化の現状にてらし、木船の代替建造を全面的に推進するものとし、あわせて、木船造船所の仕事量を確保するため、所要の資金の確保、とくに財政資金及び政府関係金融機関の融資につき格段の配慮を行なうこと。」これが一つ。二には、「木船造船所の現状及び将来にかんがみ、これが近代化、合理化のため施策を樹立推進し、これに必要な資金を確保するとともに設備資金等に対する利子負担の軽減を計るよう努むること。」、それから三番目に、「内航小型船舶安全性を確保するため、満載吃水線制度等を設定し、合せて小型船舶の航行区域の設定につき、すみやかに検討すること。」、四、「最近における港湾を中心とした物資の流動状況の変化にかんがみ、本法の運用に当って港湾運送事業法との調整をはかるとともに、実情に即した港湾の区域の設定をするよう早急に検討すること。」、この四つが決議として満場一致この委員会で議了されているのです。これに対して、時の運輸大臣の綾部さんはこう答えている。「運輸省といたしましては、本委員会における質疑及び附帯決議の御趣旨に沿って、万全の運用をしていきたいと考えております。」、こういう答えになっているのですがね、どうなんですかね。いままでの質疑を聞いておりますと、この決議は、綾部さんが答えられたように、万全に運用していきたい、こういうことにちょっとなっていないのじゃないかというふうに思うのですが、ここのところをちょっと聞かせてくれませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/106
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107・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 私どもの担当は、この附帯決議の第二項で、木船造船所の件に関してではないかと存じますが、木船造船所の件につきましては、近代化、合理化の施策を樹立するように仰せでございました。その点につきましては、中小企業近代化促進法によりまして、その指定業種といたしまして、それは三十九年の六月でございました、そういたしまして、これに基づく近代化計画を策定したわけでございまして、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、木造船が鋼船化するというふうな点を中心に考えまして、その鋼船化をねらって、しかも、品質の確保あるいはトン数の削減等のことを計画の中心にいたしまして、近代化資金としては、五年間に約二十五億円を確保したいというふうなことを骨子とした基本計画を策定した次第でございます。
それから次に第三項でございますが、これは小型内航船舶の満載吃水線制度の問題でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/107
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108・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 これは内航二法のときなったから四つになっているけれども、君の方の関係は前の二つだけで、それでいいのだがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/108
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109・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 第二項だけかと存じますわけでございます。
それから仕事量確保の資金につきましては、これは御承知のとおり、造船所の側はつくる側でございますので、建造資金の確保のほうは海運局のほうにお願いいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/109
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110・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 だから、局長、ぼくが言っているように、たまたま、ぼくが当時の決議四項目を読み上げたけれども、これは内航二法をやったときの関係だからこういうことになっておるけれども、ところが、いま出てきているのは、参議院の運輸の調査室から出てきた資料によって明らかなようにこの二項を踏まえて、結果、この木造船業の近代化計画というものは、いまあなたが答えたのだが、出てきているのでしょう。出てきたけれども、当時のこの綾部さんの答えられているような、あなたの近代化計画なるものが、この精神を完全に踏まえられていないのですよ。これは、万全に運用しますと、こう言っているけれども、これでは万全じゃないですから、みんな質問しているわけでしょう。一つの例は、先ほど言ったように、二十トン以上の代替建造の場合の中小企業の仕事量を、たとえば大手のものは食うのじゃないか、こういうようなことも言われたけれども、五トン未満についても、何ら、これはいまの近代化計画では、中小企業の木船業——木造船の造船所の人々が安心してやれるようなものが何も明確にできておりません、この計画では。こういう点をどうこの決議と照らし合わせてわれわれは理解すればいいかということを、われわれは聞いている、二十トン未満の問題を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/110
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111・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 二十トン未満の点につきましては、先ほど申し上げましたとおりの実情を正直に申し上げたわけでございまして、なかなか一ぺんには手広くできませんので、とりあえず二十トンで線を引きまして施策を講じてまいりまして、その次、次第に二十トン未満の重要な船舶を製造しておる業者を次に対象にあげていくというふうなことで進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/111
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112・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 一ぺんにできるとかできないなどと言ったら1漸次重要な船舶からやっていきますなんて、そんなとろいことでいいのですか。あなた方、歴代運輸大臣が言っていることをちゃんとここで聞いているのですが、ちゃんとここで運輸大臣としては答えているのですよ。再び申し上げますと、運輸省といたしまして、附帯決議の趣旨に沿って万全の運用を行ないますと、こう言っている。万全の運用を——万全でないから聞くのですが、政務次官どうですか、これは政務次官、あなた大臣のかわりにいま来ているわけですから、いま局長の言ったようなことで、はいそうですかということになるのですか、それは。毎回こういう決議を行なっているのだけれども、われわれは、こういう決議はから決議に終わらせたくないですよ。問題をやはり次の段階で法律改正のときに生かしてもらうために、こういう決議をするのです、国会は。どうですか、政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/112
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113・福井勇
○政府委員(福井勇君) いま吉田委員から御質問がありました中の、三十九年六月以後の、いろいろ私、初耳のものがあるものですから、丁寧に先ほどから筆記しておるわけでございますが、残念でございますけれども、もう少し研究させていただく余地をいただかないと、階段的に来ておるようでございますので、大臣がおりましたら、きっと明快な答弁があると思いますけれども、もう少々研究さしていただきたいと思います。なお、御趣旨の点については、当然尊重しなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/113
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114・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 どうも次官、そんなことではぼくは了承できませんよ。大臣呼んで来なさいよ、大臣を。しかも、この大事な時期に、この法律をいま通そうというわけでしょう。あなた方もこれは通すつもりで来ているわけでしょう。われわれもこの法律を通そうとしている、より内容をよくしようということなんだから。その場合に、わずかいまから、あれじゃないですか、二年前の——二年前の決議なんですね、そんなに、あなたは確かにその当時は政務次官でなかったかもしれぬけれども、いやしくも関連したこの法律を出す限りにおいては、そういうものをみんな読んでやはり知っていなければ、ぼくは政務次官つとまらないと思うのです、これは。あなたはたまたま正直で、読んでおりません、知りませんと言うから、これはこれ以上追及はしませんけれども、そういういまの答弁だけではこれはいけません。やはりここのところは問題なんだから、階段的なんて言って、どういう階段をつけるのかわかりませんけれども、とにかく、この決議というものはちゃんと尊重しますと、こう言っておるのですからね。それならば、ここで附帯決議つけるとかっけないという岡理事の話もありましたけれども、そういう話は別にして、あた方の答弁いかんによっては、つけなくてもいいわけですから、努力とかなんとか言ってみたって、これは毎回そういうことばを使われるのだけれども、もう少しその人々の立場になって、この決議というものを尊重する立場に立って答えてもらわなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/114
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115・福井勇
○政府委員(福井勇君) 私の寸足らずのお答え、まことに恐縮いたしました。十分御趣旨の点は尊重いたしまして、処置いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/115
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116・吉田忠三郎
○吉田忠三郎君 処置をすると、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/116
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117・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/117
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118・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記をつけて。
先ほどの岡委員の要求は、運輸省として異存はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/118
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119・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) その状況を調査いたしまして、中国海運局から報告をとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/119
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120・江藤智
○委員長(江藤智君) そうして提出してください、報告を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/120
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121・芥川輝孝
○政府委員(芥川輝孝君) 報告をとりまして提出をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/121
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122・江藤智
○委員長(江藤智君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/122
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123・江藤智
○委員長(江藤智君) それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/123
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124・岩間正男
○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、小型船造船業法案に対して反対するものであります。
まず第一に、本法は造船業の健全な発達をはかるためと称しながら、実際は小型船造船業の整理、転業、廃業を目的としていることにあります。政府は、関連船会社千四百会社を整理統合して、その二〇%ないし三〇%を整理の対象にすることを答弁していますが、その具体的計画は何ら示されていません。ことにも、その資金計画は貧困をきわめ、年間わずか十億の投資では、勢い、中小造船企業の上層部分を助成政策によって育成しつつ、同時に、生産性が低く適正規模に達し得ない企業は、誘導政策を通じて整理、転換または合併、切り捨てを促進せざるを得ない結果となることは明らかであります。これこそ、所得倍増政策の結果推し進められている中小企業促進法、同近代化法の具体的なあらわれであります。
第二に、この法案は、これらの整理統合を通じて、近来とみにやかましくなっている韓国、台湾、フィリピン等の反共アジア諸国への船舶の輸出を強化し、そのための国内体制の強化と体質改善に資そうとするねらいを持っていることは明らかであります。
第三に、本法は以上のことを背景として、さらにこれらの施策を一そう的確に推進するため、造船技術の向上や海難の防止をうたい文句にしながら、企業存立の技術基準を強化して、届け出制を登録制に変え、中小零細企業の残忍な切り捨てと業種転換を含む造船業界再編成を推し進めようとしていることは明白です。日本の造船業は、昭和三十一年以来世界第一位の建造量を記録しております。しかしながら、その建造量の実に九〇%以上は大手十六社によって独占され、残された一〇%弱を中小零細企業千四百余社が競い合い、その争奪戦は激烈をきわめている現状であります。この独占資本中心の産業構造を変えることなしに、どうして政府の言う中小企業の健全な発達があり得るでしょうか。わが党は、中小零細企業に対する政府保証による長期低利の融資の大幅増額、零細業者の自主的共同事業、従業員の福祉施設に対する国と自治体の大幅な援助、中小企業の資金、資材の保障と独占価格の引き下げ、下請単価の引き上げと代金支払いの促進を要求し、これこそ中小零細企業発展に道を切り開くものであることを主張してきましたが、本法の制定は、これら中小零細業者の切実な願いをいささかもかなえるものではなく、かえってこれを切り捨てようとするものであることは明らかです。
第四に、政府は海難の発生原因を船質の劣弱さに求め、このことを重要な根拠として本法制定の口実としているのでありますが、昨年十月、台風二十九号のためマリアナ諸島沖で発生した漁船の集団遭難事件が明らかに示しているように、海難事故の発生は、その大半が気象観測施設の充実強化、気象海象状況の的確な判断、救助体制の強化等によって未然に防止でき得るものなのであります。もちろん、船体の構造上の問題もその一要因ではありますが、航行船舶に対する気象状況の的確な通報こそ、海難防止の不可欠の要件であります。にもかかわらず、政府はこのことは等閑に付して、あたかも海難発生の原因が船質の劣弱さにあることだけを強調しています。現にこれらの観測業務に必要な気象庁の四十一年度観測予報施設費、気象レーダー施設整備費は、四十年度予算に比べ大幅に減額されています。一方に、米軍の軍艦、軍用船、ベトナム向けの貨物船が日本近海をわがもの顔に航行し、また、米軍施設のある諸島には、たとえ日本の領土でも、緊急避難の場合といえども、漁船の接岸は厳格に禁止されているのが実情であります。さらに、南方の洋上の気象業務はもっぱら米軍に依存し、日本は独自で気象状態を把握する体制すら皆無なんであります。一体これらの実態を放置しておいて海難防止を口にすることができるでしょうか。政府は真剣に漁船の安全航行を考えるなら、まず、このような実態の根本的改善から着手すべきであります。
以上、本法の制定に反対するとともに、米日独占資本本位の政策をやめ、中小零細造船企業の自主的平和的発展のための政府の積極的な援助と、海難防止のための抜本的改善を強く要求して、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/124
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125・江藤智
○委員長(江藤智君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/125
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126・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
小型船造船業法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/126
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127・江藤智
○委員長(江藤智君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/127
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128・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X03119660625/128
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