1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十五日(金曜日)
午前十時二十八分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 徳永 正利君
理 事
青柳 秀夫君
藤田 正明君
成瀬 幡治君
中尾 辰義君
委 員
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
大谷 贇雄君
栗原 祐幸君
西郷吉之助君
西田 信一君
日高 広為君
木村禧八郎君
柴谷 要君
野溝 勝君
須藤 五郎君
小林 章君
国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
政府委員
大蔵政務次官 竹中 恒夫君
大蔵省主計局長 谷村 裕君
大蔵省主計局次
長 岩尾 一君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省関税局長 谷川 宏君
大蔵省銀行局保
険部長 上林 英男君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
大蔵大臣官房財
務調査官 細見 卓君
大蔵大臣官房財
務調査官 堀込 聰夫君
大蔵省主計局法
規課長 赤羽 桂君
大蔵省関税局企
画課長 植松 守雄君
国税庁次長 中嶋 晴雄君
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本日の会議に付した案件
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内
閣送付、予備審査)
○地震保険に関する法律案(内閣送付、予備審
査)
○地震再保険特別会計法案(内閣送付、予備審
査)
○アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法
律案(内閣送付、予備審査)
○関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○関税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関
係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/0
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001・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
それでは、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件、地震保険に関する法律案、地震再保険特別会計法案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案、以上四案件を一括して議題とし、審議を進めます。
四案件につきましては、提案理由の説明はすでに聴取いたしておりますので、これより補足説明を聴取いたします。中嶋国税庁次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/1
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002・中嶋晴雄
○説明員(中嶋晴雄君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件について、補足説明を申し上げます。
最初に、東京国税局管内の雪谷税務署の設置について申し上げます。
現在、東京国税局管内の大森税務署は東京都の旧大森区を管轄しておりますが、同署の管轄区域である旧大森区は、田園調布、馬込、山王等の高級住宅地及び京浜工業地帯の一翼としての工場地区並びに大森駅ほか私鉄駅周辺の商店街などが中心となっており、最近の経済的発展は目ざましいものがあります。
これに伴いまして、大森税務署管内の納税者数、徴収決定税額等は、最近十年間について見ますと、法人数は二・二倍、徴収決定税額は七・九倍となっており、その増加は著しく、税務署の事務量の限界に達し、税務指導等納税者に対するサービスの面でも支障を生じようとしております。また、同署の職員定数も定員二百八十一人を有し、事務管理上少なからず支障を来たしております。
そこで、今回、大森税務署の管轄区域を分割して、旧大森区の西北部の地域を管轄する雪谷税務署を設置しようとするものであります。
次に、福岡国税局の西福岡税務署の設置について申し上げます。これにつきましては、次に申し述べますような福岡税務署の事情に基づくものであります。
福岡税務署は福岡市の中央部及び西部、糸島郡並びに早良郡を管轄しております。福岡市は、北九州地方の政治、経済、文化の中心地として、その発展はまことに目ざましいものがあり、これに伴いまして、納税者数、徴収決定税額等の増加も著しく、最近十年間について見ますると、法人数は二倍、徴収決定税額は三・五倍の増加を示しております。一方、同署の職員数も二百二十六人となっており、また、管轄区域は四百五十平方キロと広大であります上に、市街地と農村地帯という異なる性格の地域をかかえておりますので、事務処理上のロスや納税者に対するサービス面での不便も生じております。
そこで、納税者に対する便宜をはかり、あわせて事務処理の適正を期するため、福岡税務署を分割して、福岡市の西部、糸島郡及び早良郡を管轄する西福岡税務署を設置しようとするものであります。
以上申し上げましたように、今回の税務署の設置は、事務処理体制の確立をはかり、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかろうとするものであります。
簡単でありますが、これをもちまして補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/2
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003・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 上林銀行局保険部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/3
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004・上林英男
○政府委員(上林英男君) 地震保険に関する法律案につきまして、若干補足説明をさせていただきます。
わが国におきまして地震災害を普遍的な保険制度によってカバーしようとする試みが、戦時中の特例を除きまして、今日まで実現しなかった理由は、地震災害が発生の頻度、損害の程度を統計的に把握しがたく、保険数理に乗りがたい特性を持っておりますことと、そのもたらす被害が時には非常に巨大なものとなる可能性を持っていることにございます。
しかしながら、これに対しましては、第一に、通常の企業ベースをこえた長い期間で収支を考え得る国が関与すること、第二に、一地震による支払い保険金の総額が過大とならないよう措置すること、第三に、契約者が逆選択することを防止し、保険収支の推算が可能となるような方法を講ずること、等の条件を加えますれば、地震危険を保険制度によって担保することも決して不可能ではないと考えられるのでございます。
今般の法律案も、このような諸条件を基本的な考え方といたしまして、保険審議会の答申にのっとりまして立案いたしました次第でございます。
以下、その内容について御説明申し上げます。
まず、この法律案は、国が関与する方式といたしまして一定の要件を備える地震保険契約を民間保険会社が締結したときに政府が再保険することにいたしておりまして、その要件につきましては、法案の第二条第二項に列記いたしておるわけでございます。
その第一は、保険の目的、すなわち保険の対象物件についてでありますが、これは住宅と家財に限定をいたしております。政府の再保険によって普及をはかるべき地震保険の目的は、第一条に規定いたしますように、何よりも地震等による一般被害者の生活の安定に寄与することにあると考えるからでありますが、さきに述べました損害の過大集積を排除する意味からいいましても、工場等の企業物件は対象外といたしました。住宅と申しましても、一部は店舗、一部は住宅に用いられておりますいわゆる併用住宅は対象となるわけでございます。
第二は、てん補する損害でございますが、これにつきましては、地震もしくは噴火またはこれらを原因とする津波に基因する火災、損壊、埋没または流失の事故によって保険の目的がこうむった全損と規定いたしております。ただし、物理的には全損でなくても、修復費用が建物の価額以上になるような場合は、いわゆる経済的全損と認めて、これを含めることといたしました。
第三に、地震保険契約を単独の保険とせずに、既存の家計保険に付帯することといたしましたが、これはいわゆる逆選択を防いで、できるだけ普遍的に多くの加入者を求め、保険集団を安定させようとする理由からであります。具体的には、最近家計保険の分野で次第に大きなウエートを占めつつある総合保険に自動的に付帯することを根本とし、なお普通の火災保険にも任意に付帯する道を開きたいと考えております。
第四に、保険金額を制限いたしまして、付帯されます主契約の保険金額の百分の三十とするたてまえをとっております。ただし、一物件につき限度を設けることといたしておりますが、具体的には、政令におきまして、建物につきましては九十万円、家財につきましては六十万円といたす所存であります。これは損害の過大な集積を避けることが第一の理由でありますが、同時に、自動付帯をたてまえとしております関係上、契約者の保険料負担についても配慮をしなければならないと考えたものであります。しかし、特別の事情があるときは政令でこれにかわるべき金額とすることができることといたしました。
次に、政府の再保険でありますが、その方式につきましてはいわゆる超過損害額再保険方式によることといたしました。すなわち法第三条第二項に規定するところでございますが、一回の地震等により支払われるべき保険金の合計額が政令で定める金額以下の場合は、全額民間保険会社の負担とし、支払い保険金額がこれをこえる場合に政府が所定の割合によって再保険することといたしております。政令で予定いたしておりますその金額は当面百億円で、ございまして、したがいまして、百億までは全額民間保険会社の負担になります。百億円をこえ五百億円までは政府と保険会社が二分の一ずつ、すなわち二百億円ずつ負担することにいたしました。五百億円をこえる部分につきましては、全額政府が負担することといたしております。この結果、民間保険会社の負担額は三百億円となります。一方、一回の地震等によって政府が支払うべき再保険金の総額については、毎年度国会の議決を経ることといたしておりまして、四十一年度特別会計予算総則におきまして、その額を二千七百億円と予定いたしております。したがいまして、民間の負担額と政府の負担限度額の合計は三千億円ということになるわけであります。今日、かりに関東大地震程度の地震が再来したと仮定いたしましても、前に得説明申し上げましたような条件による保険金は十分支払うことができるという金額で、ございます。
しかし、一方、万が一にも関東地震の規模をこえるような超異常の大震災が発生しないという保障は必ずしもないわけでございますので、その場合には、支払われるべき保険金の総額が三千億円をこえるような事態になりました場合には、支払い総額がこの限度内におさまるように、個々の契約ごとの保険金を削減することができることといたしたものであります。この削減は従来の保険には見られなかった異例な措置でありますが、政府の支払い額に財政上、法律上限度があります以上、損害の過大集積を避ける方途としてまことにやむを得ないことと考える次第であります。もっとも、四十一年度におきましては、ただいま御説明を申し上げましたとおり、まず削減の事態は生じないと考えられるのでございます。この限度額は、将来地震保険の普及度合いが進むにつれて、それに応じて検討を行なっていく必要があると考えているのでございます。
そのほか、地震保険審査会というものを設けることができることといたしておりまして、ただいま申し上げました支払い再保険の削減の事態が生じましたような場合には調査をし審議していただくほか、再保険金の支払い等に対しまして保険会社の不服審査等も行なうことにいたしておりますが、国の措置といたしまして、保険会社が保険金の支払いのため特に必要があるときは、政府といたしまして資金のあっせん、融通につとめるということにいたしております。
この制度には、保険会社のみでなく、特別の法律に基づきまして火災保険類似の共済事業を行なう法人も参加し得る道を開くことといたしております。
以上、簡単で、ございますが、この法律案の概要を補足して御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/4
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005・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 岩尾主計局次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/5
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006・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 地震再保険特別会計法案につきまして、補足して説明申し上げます。
まず、この会計の歳入歳出の科目でありますが、その主たる歳入は、申すまでもなく、再保険契約に基づいて損害保険会社等から払い込まれる再保険料収入であります。そのほか、この会計の歳入としては、再保険事務費の財源に充てるための一般会計からの繰り入れ金及び会計の余裕金等の資金運用部預託による運用利殖金収入などがあります。他方、この会計の歳出としては、再保険金、再保険事務取り扱い費等であります。しかして、毎年度の再保険料収入等を上回るような再保険事故が発生しない限り、その年度の歳入超過額すなわち決算上の剰余は、将来の再保険事故に備え積み立て金として積み立てることとし、これに対応して、この会計の損益計算上の処理といたしましても、各年度の総収益が総損失をこえる額を責任準備金に組み入れることといたしております。
昭和四十一年度予算におきましては、この再保険料収入は十一億九千万円を予定しています。そのほか、再保険事務取り扱い費財源に充てるための一般会計からの繰り入れ金六百六十万円、運用利殖金収入等二千百万円、計十二億一千八百万円の歳入を見込んでおります。一方、歳出としては、再保険事務取り扱い費六百十万円を、また予備費として五十万円、計六百六十万円を計上し、これらの金額と歳入との差額十二億一千百万円を再保険費として歳出予算に計上し、不時の地震災害に備えることとしております。もし、四十一年度において、再保険料収入等をこえる再保険金の支払いを要するような地震災害が発生しない場合は、歳入超過額が生じ、その額はただいま申しましたように、同年度の決算上の剰余として積み立て金に積み立てられることになるわけであります。しかして、将来において再保険金の支払いを要するような地震が発生し、その年度の再保険料収入等をもってしては支払い財源が不足するときは、このような積み立て金を取りくずしてその年度の歳入に繰り入れ、再保険金の支払いに充てることとなるものであります。
しかし、発生した地震災害の規模が大きく、これらの歳入をもってしても、なお再保険金の支払い財源が不足するときは、その不足する金額を限度としてこの会計の負担において借り入れ金をすることができることとしており、また、財政事情によっては一般会計から、再保険金の支払い財源に充てるため繰り入れをすることもできるよう措置いたしております。
右の借り入れ金は、翌年度以降のこの会計の歳入をもって償還しなければならないこととなるのでありますが、借り入れ金の元利支払いに伴うこの会計の収支採算状況を考慮いたしまして、必要があると認めるときは、一般会計から借り入れ金の償還金及び利子の財源に充てるため予算で定めるところにより繰り入れ金をすることができることとしております。なお、これらの繰り入れ金は、この会計の再保険収支が長期的には均衡するものであるという前提のもとに、後日、この会計の収入支出に余裕が生じましたときは、その繰り入れ額に達するまでの額を一般会計に繰り戻すことといたしております。
そのほか、この会計の資金繰りといたしまして、会計の現金支払いを円滑にするため一時借り入れ金の借り入れまたは国庫余裕金の繰りかえ使用をすることができることとし、なお、その年度の歳入をもって償還することができない場合があり得ることも考慮して、一時借り入れ金の借りかえを定めているものであります。
以上のほか、この特別会計法案におきましては、会計の予算及び決算の作成、提出の手続、歳出予算の繰り越し手続等を定めております。
以上、この法律案の提案の理由を補足して御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/6
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007・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 堀込財務調査官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/7
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008・堀込聰夫
○説明員(堀込聰夫君) アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして、補足説明をいたします。
アジア開発銀行は、エカフエ加盟国及び準加盟国並びに国連または国連専門機関に加盟しておりますその他のエカフエ域内国及び域外先進国に加盟資格を認め、十億ドルの授権資本をもって発足することとなっておりますが、本年一月末の協定署名期限までに、ビルマ、モンゴルを除くエカフエ域内加盟十九ヵ国と先進国十二ヵ国の署名を得、その出資予定総額も九億九千二百万ドルと、授権資本のほぼ満額に近い応募を得ております。
わが国は、銀行設立構想が発表されて以来、わが国が応募すべき額を種々検討してまいりましたが、国力等から見て、域内国出資額の約三分の一程度の出資を行なうことが適当と考え、二億ドルの応募を申し出たのであります。この法律案におきましては、このようにして協定上わが国の出資義務額となりました二億ドルの範囲内で銀行に出資し得ることを定めております。
次に、この出資額の払い込み方法を述べますと、まずわが国の応募額中実際に払い込みを要するのは払い込み資本部分に対応する一億ドルでありまして、他の一億ドルは、銀行自身が行なった借り入れまたはその保証業務に関連して銀行の債務が発生し、その債務履行のため必要と認めて銀行が要求した場合にのみ払い込みを要する請求払い資本部分となっております。協定によりますと、各国はこの払い込み資本応募額を五回に分けて、毎回二〇%ずつ払い込むこととなっており、また、各回の払い込みは、その半分を金または交換可能通貨で、他の半分を自国通貨で行ない、このうち自国通貨払い込み分は現金にかえて国債をもって払い込むことができることとされております。なお、各回の払い込み時期につきましては、第一回は原則として協定発効後三十日以内、第二回は協定発効後一年目、第三回以降はその後順次一年目ごとに払い込むこととなっております。したがいまして、わが国といたしましては、昭和四十一年度以降四十五年度に至るまで、毎年度二千万ドルに当たる七十二億円を、現金、国債各半々で払い込んでいく必要があるわけであります。なお、わが国としては、銀行への出資は、全額交換性を付与した円で行なう予定であります。
このような状況から、政府といたしましては、昭和四十一年度一般会計予算案にアジア開銀出資金として三十六億円を計上するとともに、他方、合計百八十億円にのぼる国債による出資を可能とするため、本法律案において、政府に出資のための国債の発行権限を与えることとするとともに、その償還方法等につき、すでに施行されております国際通貨基金、国際復興開発銀行、国際金融公社及び国際開発協会への加盟措置法の例にならい、所要の規定を設けた次第であります。
以上がアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案の背景及び概要の説明であります。銀行設立協定におきましては、協定批准の終期は本年九月末となっておりますが、提案理由説明で申し上げましたように、本銀行設立計画に積極的に協力してまいりましたわが国としましては、できるだけすみやかに協定を批准するとともに、加盟に伴う国内手続を終える必要があると考えております。
以上をもって補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/8
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009・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 四案件につきましては、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/9
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010・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 次に、関税定率法の一部を改正する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案、関税法等の一部を改正する法律案及び関税法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、以上四案を一括して議題とし、審議を進めます。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/10
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011・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/11
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012・柴谷要
○柴谷要君 関税というのは、どうもしろうとで非常にふえてな内容なんで、こまかい質問になるかと思いますが、ひとつわかりやすく教えてもらいたい。勉強させていただきたい。衆議院ではわが党は賛成法案としてこれを処理してきておりますから、まあわが党としては、私が代表質問のような形で質問すれば終わりになる。それだけに責任もありますので、しろうとの私が質問することでばかばかしいような質問があるかと思いますが、ひとつ懇切丁寧に御答弁をいただきたいということを、まずもってお願いを申し上げておきます。
第一に御質問申し上げますのは、税関の事務量が最近非常に増加をしておる。それは日本の経済が発展をしていけば、もちろん貿易面においても非常に増大をしているのは当然でありますから、税関業務が著しくふえていくことはこれは明らかであります。一体どのくらい増加をしているかという問題、これをひとつ伺いたい。
それから、税関業務の合理化とか能率化というようなことが、前の関税局長さんあたりからもよく言われていることなんです。そのことがそれならば税関で働く労働者諸君に悪影響を及ぼしてはいないか、こういう問題についてひとつお答えを最初にいただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/12
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013・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 税関の事務量の増加の実情について御説明申し上げますと、昭和四十年の事務量と昭和三十五年の事務量とを比較してみますと、外国貿易船の入出港隻数におきましては一・四倍になっております。それから、輸出の申告の件数につきましては一・六倍、輸入の申告件数につきましては一・五倍と、このように大幅に増加しておるわけでございます。で、それより前の三十年と四十年を比較いたしますと、この十年間でいま申しましたいろいろな指標は、大体三倍近くの伸びになっております。一方、定員の増加でございますが、これは昭和三十五年に比べまして、昭和四十年度におきましては一・二倍ということになっておるわけでございます。このように税関で扱いますところの輸出入の貨物、あるいは旅客の数が相当多くなっておるわけでございますが、定員がそれについていけないということで、私ども税関といたしましては事務の合理化、能率化を積極的に進めなければいけない、かように考えておるわけでございます。
で、従来とも合理化、能率化に努力してまいったわけでございますが、その内容といたしましては、まずこの事務組織を合理的にする、そうして合理的な組織の上に立ちまして、事務を重点的に処理をするという方針をとっております。そのために、各税関におきまして、通関事務の渋滞を排除するために進行管理センターというものを設けまして、たとえば輸入の通関事務の進行状況を常に集中管理して、そうして事務の流れを円滑にするというくふうを講じております。それからさらに、計算管理室というのを設けまして、計算事務を集中いたしまして、そうして計算事務時間の短縮と能率の向上をはかっております。それからさらに、輸出の通関事務につきましては、従来数人の人がそれぞれの分担によって仕事をしておりましたのを、一人一貫処理方式というものを打ち立てまして、この事務の重複を排除して、輸出の事務の促進をはかっております。このようなことによりまして事務の重点的な処理体制をはかっておるわけでございます。そういうことによりまして浮きました余剰の人員を重点的、集中的な検査に振り向けて、そうして密輸出入の取り締まりに一そう効果をあげるように努力をしておるわけであります。
なお、検査につきましては、保税工場に対する検査がいつも問題になるわけでございますが、この保税工場、全国に八百以上ございますが、これに対する検査につきましても、機動的、重点的に検査をする体制をとっておるわけでございます。また、輸入貨物の検査につきましても、輸入の注意品目というのを過去の経験によりまして選び出しまして、注意をしなければいけない品目については重点的な検査を行なう。そこで、従来の経験からいってあまり検査をしなくてもいいようなものにつきましては、手を抜くというようなことで、検査事務の迅速化と能率化をはかっておるわけであります。
さらに、事務の手続の面におきましても、たとえば輸出入の申告書の様式が従来非常に複雑でございましたけれども、これを簡素合理化する。あるいは輸入の許可前に貨物の引き取りを行なう場合の担保の手続も、従来複雑でございましたが、これも簡素化する。あるいは少額の貨物であるとか特殊貨物の通関方式を簡素化するというようなことによりまして、事務手続の簡素化をはかっております。
それから、第三に、事務の機械化の問題でございますが、できるだけ機械によって処理できるものは機械化をいたしております。たとえば計算機でありますとか、分析の機器等を整備しております。また、機動力として、自動車、船舶の整備活用をはかっております。なお、密輸入の防止の問題につきまして、私どもいつも頭を悩ましておりますのは旅客の携帯物品でございますが、これにつきましても、たとえば鉄片探知器という小型の器械があるわけでございますが、これを税関職員がポケット等に持っておりまして、旅客が飛行場に着いた場合、検査を受ける場合に、こういう鉄片探知機を利用いたしまして、申告していないものを持っているか持っていないかということを迅速に見分ける。そうしてそれ以外の普通の旅客に対する検査を簡素化しまして、そして早く旅具検査を済ませるというようなことをやっております。
そのほか一般事務職員、そういうような事務体制、組織、やり方を重点的に合理的に処理するとともに、職員の質の向上という点につきまして、私どもいろいろ事務の提要の整備をはかるとか研修の充実をはかっておるのであります。このようにいたしまして、非常に船舶、飛行機の出入の数がふえて、それに従いまして輸出入の貨物あるいは旅客の出入りが多くなったにかかわらず、定員があまりふえていないという点をカバーしております。これでもなお足りませんので、今後さらに一そうそういう点の検討を進めまして、税関の事務体制の合理化をはかってまいりたい。そのためにただいま御提案申し上げておりまする法案の中におきまして、たとえば保税工場の税関手続を簡素合理化する。あるいは輸入の通関につきまして申告納税制度をとりまして、そうして税関の事務量の圧縮をはかってまいりたい。と同時に、本年度の予算で認められたわけでございますが、通関業務に電子計算機を導入する。これは四十一年だけでできません。二、三年かかりまして、本格的に輸入の通関業務を機械によって処理すると同時に、統計も迅速に整備するということを計画しておるわけでございます。
なお、これらの点につきまして、私どもも努力いたしますけれども、相手の方々、すなわち輸出入を取り扱う業界の方々あるいは旅客の方々の御協力を得ないとうまくいかないわけでございますので、こういう点につきましても、各税関に通関相談室がございますが、これの活動をさらに一そう活発にする。あるいはパンフレットをつくるとか、あるいは税関貨物取り扱い人の質の向上をはかるとか、そういう協力体制につきましても、今後十分つとめてやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/13
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014・柴谷要
○柴谷要君 たいへんに克明に御説明いただいてわかってきたのですが、今後の関税政策というものを一体どう考えておられるのか。それから、今回四法の改正というものが出てきておるのですが、このねらいは一体どこにあるのか、これについてひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/14
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015・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) その前に、先ほどちょっとお尋ねで御答弁漏らしておった点がございますので、労働条件に対する影響の問題でございますが、先ほどのように合理化を進めるにあたりまして職員の労働負担が過重になってはいけないわけでございますので、その点についても十分配意いたしまして、各税関の業務量を慎重に検討いたしまして、そうして非常に仕事の多い税関、それから比較的仕事が少ない税関というのを見比べまして、人員の適正配置をすると同時に、勤務の体制等につきましても遺憾のないように職員の協力を得てやってまいりたい、こう思います。
それから、いまの御質問でございますが、関税政策のねらいは、ほかの経済政策と同じように、日本の経済の発展に寄与するということが一番大きなねらいでございます。
それで、長期的に考えますと、日本の経済が安定的に発展するという目標に対しまして関税面でどういう政策をとるべきであるかということが問題になるわけでございますが、将来の問題といたしましては、いまガットにおきまして交渉が進展しております関税の一括引き下げの交渉の帰趨に関係があるわけでございますが、私どもは日本の貿易の発展をはかるためには世界全体の貿易の伸長がなければならない、それによりまして日本の輸出が伸びる、それによって日本の経済が発展するということになりまするので、ガットの場における関税の一括引き下げ交渉に積極的に参加して、関係諸国と現在交渉を継続しているわけでございます。
もちろん、その場合に、関税の持つ意味といたしまして、国内産業に対する影響を十分に配慮しなければならないわけであります。国内産業に対する影響を考えた場合に、日本の輸入の関税率をどの程度の水準に各品目別に保つべきであるかということについて、それぞれ関係の各省とも十分に相談をしながら、ガットの関税一括引き下げの交渉に臨んでおるわけでございます。この問題は、いまのところ具体的に、じゃどの程度の数字になるかという点については、まだ交渉進行中でございますので、これから一年間の間かかりまして、日本の経済の発展のために私どもはどういう関税率を維持すべきかということについて十分検討を加えながら、相手の国の事情もございますので、日本の国の利益をはかるためにその交渉を十分生かしてやってまいりたい、こう考えております。
一方、関税率の問題だけじゃなくて、ガットや国連におきまして、低開発国の産品の輸入関税を下げてほしいという低開発国からの要求、あるいはまた関税以外のいろいろな障害になっている問題があるわけでありますが、そういう非関税障壁の撤廃の問題等につきましても、国際的に私どもは協調するという方向で、世界の各国と交渉を続ける方針でございます。
そのようにいたしまして、私どもは関税を通して世界の各国と協調しながらも、日本の関税率を適正な水準に保つ、同時に、国内産業の保護育成、また日本の経済の発展をはかるために各企業の合理化、近代化に寄与するよう、また当面といたしましては、物価の安定にも寄与するよう配慮して、関税政策をやってまいりたいと思います。
ところで、今回の関税改正の目的といたしましては、昨日提案理由の補足説明で申し上げましたように、当面内外の経済情勢の変化に対応いたしまして関税率の調整をはかる必要がございますので、その調整をはかろうとするものでございます。いま申しましたように、ガットにおける関税の一括引き下げの交渉が進展中でもございまするし、また低開発国からの関税引き下げの要請が日本に対しても行なわれておりまするし、また日韓会談、日韓貿易交渉がととのいまして貿易協定ができましたので、それに伴いまして関税の面で手当てをする必要が出てまいったわけでございます。こういうような外の情勢のほか、国内的にまだ日本の中小企業あるいは零細な農業に対する保護育成の必要がございまするし、また経済の不況を克服するために関税の面でどういう手を打つべきかという問題もあるわけでございます。こういういような内外の情勢を考えまして、今回とりあえず必要とするものにつきまして関税定率法あるいは暫定措置法におきまして改正を要する点を御提案を申し上げているわけでございます。
で、今回の改正の大部分は現行の暫定税率の延長でございます。これは昨日申し上げましたように、八十四品目、それから実行関税率の変更を行なうものが三十七品目あるわけでございます。この実行関税率の変更といたしましては、税率の引き下げが二十九品目、それから関税の割り当て制度の新設が二品目、それから割り当て制度の二次の税率を引き下げるものが二品目、それから割り当て制度の一次の税率を引き下げるものが一品目、それから砂糖でございますが、国際価格の高騰した場合に備えまして関税の減免を行なうもの、これが三品目あるわけでございます。そのほか従来ございます免税制度あるいは関税還付の制度を一年間延長するということ、それからまたガス製造用の揮発油にかかわる関税の還付制度を新たに設けるということが内容になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/15
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016・須藤五郎
○須藤五郎君 関連して。いま政府委員は、低開発国から第一次産品を輸入するためにということもおっしゃったし、それが日本の中小企業、農村に対していい影響を与えるというような意味のお話をなさったのですが、一例をあげると、日韓会談の結果韓国から第一次産品をもっと買えということを要求してきているようであります。それで、具体的にはノリの問題ですが、ノリが日本に大量に入ってくる。それで、それの関税が引き下げられる、こういうこと。そうしますると、いま日本のノリ業者がそのために非常な恐慌を来たしておるわけです。どうして日本の業者を育成することになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/16
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017・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 先ほど申し上げましたのは、私どもが関税率をきめる場合におきまして、日本の輸出の振興に寄与すると同時に——と申しますのは、日本の輸出品の相手市場である国の関税率を下げてもらうことによって、日本の輸出振興がはかられるわけでございますが、その相手国との交渉におきまして、場合によっては日本の関税を下げて、それによりまして相手国の関税も下げてもらうというような交渉が必要になってまいるわけでございますが、そういうような関税率をきめる場合におきまして、私どもは国内産業、特に中小企業あるいは農業に対する影響を十分に配慮してきめるということを申したわけでございます。
で、一方、いまお尋ねの韓国との関係でございますが、韓国と国交を回復いたしますのに伴いまして貿易交渉をやったわけでございます。そしてその結果、先方からいろいろな多数の要求が出てまいりましたけれども、日本の国内産業に対して影響を与えないようなものに限りまして、たとえば天然の黒鉛であるとか人造黒鉛でありますとか、いまお話しのノリ等につきまして関税率の手当てをしたわけでございます。ノリにつきましては、韓国と話し合いをいたしまして、先方はもっと関税率を下げてほしいと。いま従量税制になっておりまして、一枚について二円でございますが、これを一円五十銭にする、従価で申しますと大体三割程度に換算されるわけでございますが、この程度であれば国内のノリ生産者あるいはノリ販売業者に対して悪影響を与えない。と申しますのは、韓国から入ってまいりますノリは御承知のように品質があまりよくないノリでございます。そして私ども調べたところによりますと、この韓国のノリは、食べましても味も日本の国産のノリに比べましてあまりいいものではない。そういうようなものでございましても、食用として利用する向きも相当ございますので、韓国のノリで利用可能な面において買い付けができる数量の範囲内に限りまして、現在この輸入の制限をしておりますが、その数量につきましても国内の産業に悪影響を及ぼさない範囲において数量の取りきめをやって、そして関税につきましても国内のノリ業者に影響を及ぼさない範囲内におきまして話し合いをつけたわけであります。で、いまお尋ねの、国内のノリ業者に対する非常に悪い影響があるのじゃないかという点につきましては、決してそういう心配はございませんということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/17
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018・須藤五郎
○須藤五郎君 関連ですから、私はこれでしませんけれども、そんなこと言っていますけれどもね、実際に日本のノリ業者はこれで非常に恐慌を来たしているのですよ。ただ、政府としてはそう答えなければならないから、そういう理屈をつけるんでしょうけれども、実際的にはやはり日本のノリ業者は非常な恐慌を来たしているということをあなたたちは知っていなければいかぬと思うのです。全然日本のノリ業界に何らの影響も与えないなんて、そんなことはないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/18
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019・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) ノリ業界と申しましても、非常に業者の数も多いわけでございます。私申しましたのは、大勢としては影響がないし、また韓国のノリと競合するようなノリの生産者も若干はおると思いますけれども、そういう方に対する手当て等につきましても、ノリの業界として十分慎重に考えてやってまいるということによりまして、日本のノリ業界全体に対して韓国からノリが入ってまいりましても悪影響はない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/19
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020・柴谷要
○柴谷要君 後進国からの一次産品の輸入促進について、関税局としてはどういう措置を今後とっていくつもりか、これが一つ。それから、後進国からの一次産品の輸入促進のために、後進国一次産品輸入促進事業団というようなものが何か考えられているというようなことを聞くのですが、この点はどうなっておるのか。この二つについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/20
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021・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 低開発国との貿易を維持拡大していくことにつきましては、政府におきましても慎重に前向きの姿勢で検討を加えてきておるところでございます。で、低開発国と日本との貿易につきましては、多くの場合日本の国が出超となっておる国が多いわけでございまするので、これらの国から一次産品の買い付けを促進するということが低開発国に対する日本の態度としては望ましいということで、関税の面におきましてもできるだけ輸入促進できるような措置を講じてまいりたい。しかし、この問題につきましても、国内産業の保護の問題が関連してまいりまするので、この点も十分考えてやっていかなければならないわけでございます。
そういう点も考えまして、四十一年度の関税率の改正におきましては、ナツメヤシの実、これはイラクから入ってくるわけでございますが、あるいは落花生、これはナイジェリアあるいはタンガニーカ、こういうところから入ってくるものでございますが、こういうようなもの七品目につきまして、暫定減税を延長することにしたわけでございます。で、そのほかコーヒー豆、 カカオ豆、ソーダ灰、除虫菊かす、これらのものにつきまして税率を引き下げることを予定しておるわけでございます。コーヒー豆につきましては、現行暫定税率一〇%でございますが、これを無税にする。それから、カカオ豆は五%でございますが、これを無税にする。それから、ソーダ灰につきましては一キログラム当たり四円五十銭でございますが、これを三円にする。除虫菊のかす、これは一〇%を無税にする。ブラジルあるいはガーナ、ナイジェリア、ケニアというような低開発国からの輸入品につきましてこのような関税手当てをいたしたいと考えるわけでございます。
で、ただいまお尋ねの後進国一次産品輸入促進事業団というのを設立したらどうかという話が、昨年来関係各省から案が出ておるわけでございますが、私どもは、こういう事業団を設立することは適当ではないと、かように考えておるわけでございます。と申しますのは、原則論でございますが、この特定の一次産品につきまして事業団が瞬間タッチ的に輸入の深刻をして、そうして関税の払い戻しを受ける。こういう関税の払い戻しを受けて、これを事業団の財源に充てるということは、これは財政の原則、まあ関税というのはやっぱり一般財源に充てるべきものであって、こういう特殊なものについてだけ特殊な用途に充てるということは、財政の原則上これは適当ではないと考える点が第一点でございます。
それから、まあこのようなことをいたしまして、特定の一次産品の関税を財源としまして、一方別の後進国分から入ってきます割り高な輸入品の差損を埋めるための財源にこの特定な国の一次産品の関税を充てるということは、この充てられたほうの国から見ますると、自分の国の関税でよその国の物を安く日本が買うことになるんだというようなことで、それであれば自分の国の産品の関税率をもっと下げてほしいというようなことで、低開発国同士の間にいろいろおもしろくない雰囲気が出てくるんではなかろうかという点も考えなければならないと思うわけでございます。
したがいまして、私どもは、割り高な一次産品の輸入を行なうことにつきまして、じゃどうやったらよろしいかということでございますが、これはその関連業者の間でこの輸出入の調整措置を講ずる、まあこれも現在やっている向きもございますけれども、こういう民間のベースでいろいろ対策を講じてやる方向で検討を進めるべきである、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/21
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022・柴谷要
○柴谷要君 そうしますと、民間ベースでもって進めていくというほうがよろしいというお考えのようだというと、この促進事業団というものは設立をさせないと——まあさせないと言っちゃ語弊があるけれども、まあ必要はないと、こういう御見解と承ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/22
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023・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) ただいまのところはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/23
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024・柴谷要
○柴谷要君 それでは、次は、関税について申告納税制度を採用するというようなことが伝えられている。一体その趣旨及びその内容はどういうものか、これの説明を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/24
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025・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 申告納税制度を今回関税につきまして採用したいと考えておるわけでございますが、これは原則でございまして、例外としまして申告納税制度になじまないものもあるわけでございます。たとえば旅客の携帯物品であるとか、あるいは引っ越し荷物でありまするとか、あるいは郵便物等につきましては、従来どおり賦課課税制度を維持してまいりたい。で、輸入品の大部分を占めます普通の輸入貨物につきまして申告納税制度を採用してまいりたいと思うわけでございます。
その理由は、まあ国内の内国税につきましては、直接税、間接税とも現在はすべて申告納税になっております。で、先ほど御説明申し上げましたように、税関の業務量が非常にふえてまいっております。一方、職員がなかなか思うとおりふえない。ことしも大蔵省内部でやりくりいたしまして、十八名職員の定員がふえたわけでございますが、そんなようなことではなかなか、いままでと同じような仕事のやり方をしておったんでは、通関業務を的確に、また円滑に処理することが不可能になってくるわけでございます。それに対しましていろいろな合理化の対策を講じました。その一つの問題として、この課税の方法を変えるという問題をここ数年来検討を加えてきたわけでございますが、通関業務に関する合理化の一環として、内国税と同じように申告納税をとったほうが税関業務の合理化の面で適当であるという結論に達したわけであります。
ところで、内国税と同じように関税におきましても申告納税がなじむかどうかという点でございますが、さっき申したような一般の輸入貨物につきましては、商社でありまするとかあるいは税関貨物取り扱い人が関係するわけでございますが、これらの人々は、この輸入物品が国内で販売される場合に、その関税がどの程度であるかということを採算の中に入れて取引をしているわけでございまするから、貨物が港に着いた場合に、輸入申告をする場合に、その関税率がどの所属に属しておって、関税率の番号が何番で、それで税率が幾らで、このものは幾らの関税を払わなければいけないということを、商社であるとか税関貨物取り扱い人は十分承知の上で取引をしておりますわけでございますので、今回申告納税に切りかえるにつきましても、それほど支障はない。これは業界の意見等を聞きましてもそのとおりであったわけでございます。しかし、従来はすべて税関まかせで、輸入申告さえすれば、あとはそのものを検査をしてくれるのも税関であるし、そして税率をきめ、幾ら幾らの税金を納めてくれというのも税関からの通知があって初めてやっておったわけでございますが、それを今回の改正によりまして申告納税制に切りかえるにあたりましては、一そう商社でありまするとか税関貨物取り扱い人に勉強してもらうということは必要でございます。同時に、私どもも親切に、その税番であるとか税率について問い合わせがありましたら、丁寧に親切に教えてあげる。そして税関業務に関連する外部の協力団体の質の向上もはかりながら、外部の協力を得ながら、あわせて税関の事務の簡素合理化をはかって、両方お互いに助け合いながらこの輸入通関事務を促進して、それによって少しでも国内の産業あるいは国民生活に寄与してまいりたい、こういうことで申告納税制度に切りかえることにしたわけでございますが、その結果、そこで合理化が進みますと、ほかの合理化とあわせまして、税関の職員の人手が若干浮くわけでございますが、そういう職員を検査の充実に振り向けていって、そして密輸出入の一掃をはかってまいりたい、こういうような考え方で申告納税制度に切りかえることにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/25
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026・柴谷要
○柴谷要君 どうも、この問題だけはちょっと局長さんの御意見とは違うのですね、私の考え方は。いままでとらなかった申告制度をとることによって、むしろ複雑多岐になって、要員、事務量というものはふえるのじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、そうすると、ただいまの御説明だと、申告制をとることによって要員、事務量は浮いてくるから、これを検査のほうに充てんをする、回す、こういう御意見のようですが、逆なような感じがするのですが、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/26
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027・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) おことばではございますけれども、簡素合理化に非常に役立つわけでございます。もっと詳しく申し上げますと、従来は、輸入貨物が入ってまいりますると、輸入の申告をするわけでございます。申告書にはその税率も税額も書いてないわけでございます。税関の職員がそのものを見まして、これが二千七百もあります関税率のどこに当てはまるかということをさがして、自分でそろばんをはじいて、計算機を使いまして税額を計算して、記入して、納税告知書を出すわけでございます。それを今度は、業者の方が商売でございますから、そういう関税は幾らかかるかということは承知の上で取引をしておいでになりますから、商社の人も税関貨物取り扱い人の方も多少はそういう点知っていなければ商売できないわけです。それをみな自分でやってくださる。それは税関貨物取り扱い人に委任してもよろしいわけでございますが、原則として商社の方が、このものは関税率は幾らであるか、税額が幾らであるか自分で計算をしまして、自分で輸入申告書に書き入れまして、同時に、関税も払って、輸入の許可の手続をとる。そうしますと、そういう計算の事務であるとか、それからそのものがはたして何番に当たるかということをさがす事務も少なくなる。これは輸入貨物の通関事務について非常に大きなウエートを計算事務が占めておりましたので、これが非常に簡素化するわけでございます。内国税につきましても、申告納税制度に切りかえることによってだいぶそういう点の事務が簡素化されると同じようなことが、関税面におきましてもまあ言えると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/27
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028・柴谷要
○柴谷要君 それでは、いまの簡素化は確かにわかりました。ところが、今度はその逆に、いままでは税関のほうで全部取り調べをして、何トンの物資が入ってきた、こういうことで計算の上で明らかにして、これに税率をかけた、こういうことになるのですが、今度は業者ですね、いわゆる商売人ですから、だから申告の上にたとえばごまかしが出てくるというようなことを見破るのが、今度は検査官ということになるわけですね。そうなるというと、巧みに犯罪行為が組み立てられるような感じがするのですが、この点に対する対策というものはどうお考えになっておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/28
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029・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 一つには、事前指導を徹底させまして、商社でありますとか税関貨物取り扱い人がそういう不正な申告をしないように、十分指導徹底をはかりたいと思っております。もう一つは、従来にも増しまして、輸入申告書が出てきた場合に、申告書と現物との照合の点につきまして、これは商社の中にも、これは非常に怪しい、おかしい商社というのと、これは信用していいという商社、あるいは税関貨物取り扱い人の中にもそういう区分が従来もあったわけでございます。で、そういうおかしいという相手に対しましては、より一そう目を光らしてやるということ、それからさらに事後の問題といたしまして、もしそういう悪質なものがあとでわかったという場合におきましては、更正の措置を講ずるほか、関税法に照らしまして、罰則の適用等につきましても厳罰をもって臨みたい、そういうことによりまして、内国税がだんだん申告納税制度が軌道に乗ってきたと同じような私は経過をたどると思いますけれども、この関税の制度につきましても、申告納税制度も、初めはいろいろ問題があると思いますけれども、やがてはかえって非常に業者も喜ぶ制度に発展していくと考えるわけでございます。
で、関税の場合は、この輸入貨物は輸入許可をしない、許可を受ける場合におきましては、関税及びそれに関連する内国諸税を払わなければ輸入の許可はされないわけであります。税金を払うことによって輸入許可がおりるわけでございますので、許可を受ける立場の者は、何かそういう点をごまかして許可がおりなくなっちゃたいへんだというようなことで、おそらく誠実な申告を出す人が非常に多いというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/29
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030・柴谷要
○柴谷要君 まあ大体わかりましたが、輸出入通関事務処理ですね、輸出入通関事務処理の実情の一環として申告納税制度をとるという考え方が私どもにはわかったのですが、今後なおこの改善をするという余地があるのですか、何か考えられておられるのですか。おられましたら、おついでにひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/30
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031・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 現在の通関事務の所要日数につきましては、輸出の場合におきましては申告日に大半が許可になるわけでございます。長いものでも二日ぐらいで処理が終わっております。問題は輸入でございますが、無税品の場合で二日ないし三日、それから簡易扱いの有税品で四日、その他一般の有税品または免税品はほとんど一週間くらい。四、五日から一週間以内に処理されておる。この輸入の通関に要する期間を何とか短縮したいということで、いろいろ私ども合理化を、機械化その他の合理化をはかってきたわけでございますが、今回申告納税制度を導入して、そして納税の民主化をはかるとともに、納税者の協力を得まして、ただいま御説明しましたように、輸入の通関事務に要する期間を短縮したいと考えております。
さらに、輸入通関事務に対しまして、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、電子計算機を導入いたしまして——現在輸入の通関業務の場合に、他法令確認というのがございます。為替管理法に沿って適法に行なわれておるかどうか、あるいはほかの厚生省関係の法律に違反していないかどうか、あるいは輸入禁製品でないかどうか、ほかの法律との関係も税関で確認をしているわけでございますが、さらに輸入物品はいろいろな新製品が最近どんどん出てきております。そういうものについての税率適用の場合における現物の審査についても非常に手間どっておるわけでございますが、こういうようなものを電子計算機に記憶させまして、そして輸入申告書が出てきた場合に、それを符号化しまして、機械にそれをかけるならば、すぐそれが機械によって処理、検討が行なわれるように、機械の処理ができるように、それによりますると、私どものいまの計算によりますると四、五日から一週間かかっておりました輸入の通関業務が、まあ一日か二日で済む。これには相当多額の予算措置が必要であるのでございまして、また私どももこの電子計算機の業務に対する研究をさらに一そう深めなければいけないわけでございますので、二、三年はかかると思いますけれども、将来そういう方向で通関の時間の短縮をはかってまいりたい。
そのほか航空貨物でございますとか、郵便物あるいは小額の貨物につきましては、通関方式を再検討しまして、さらに一そう現在よりも簡素化する余地があるかどうかということにつきまして、現在検討を加えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/31
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032・柴谷要
○柴谷要君 私がそういうまあ事務的な問題をこまかく聞きました理由は、税関関係の職員の皆さんが鋭意努力をされておっても、最近の密輸というものは非常に多い、こういうことを聞くわけです。そういうことを聞いてみるというと、ただ密輸が多いというだけでは明らかでございませんので、最近の密輸の動向は一体どうなっているのか、それからこれに対する取り締まりはどういうような方法でやっておられるのか、これもひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/32
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033・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 件数をまず申し上げますと、四十年中に関税法違反として処分した総件数は四千七百二十四件でございます。そのうち輸出関係が四百十八件、それから輸入関係が二千七百九十八件、そのほか臓物犯でありますとか、秩序犯、特別法違反等があるわけでございますが、いずれにいたしましても、総検挙件数が四千七百二十四件でございます。そしてこの密輸出入の動向として顕著な傾向は、密輸出が減少しておるに反しまして、密輸入犯が激増しておるという傾向があるわけでございます。で、密輸入犯について見ますると、前年に対しまして件数で四七%増加しているわけでございます。で、私どもこういう意味におきまして、密輸入犯の検挙取り締まりに重点を置いて仕事をやっておるわけでございます。件数はいまのようなことでございますが、密輸入の物件の金額で申しますというと、四億四千八百万円ほどになっております。
それで、相手の国別に調べてみますると、密輸入は香港が一番多うございますが、そのほかアメリカ、琉球、あるいは台湾、韓国から入ってくる船、飛行機におきまして、犯罪が行なわれておるということが言えると思います。また、密輸出は減りましたけれども、まだ相当数あるわけでございまして、これは韓国関係が一番で、そのほか香港、台湾があるわけでございます。
密輸入の状況は、これは私ども非常に取り締まりに苦心しているわけでございますが、一番多いのは何と申しましても船舶、飛行機の乗り組み員によるものが非常に多い。そしてもちろん旅客につきましても相当密輸入する人が多いわけでございますが、この乗り組み員についての密輸入、これに対する取り締まりに対しまして非常に力を入れておるわけでございます。
最近、新聞でも出ておりますように、金の延べ棒であるとか金塊を密輸入する犯罪が行なわれておるわけでございますが、四十年一カ年で摘発いたしました状況を数字で申し上げますと、金の延べ棒、金塊で二億三千七百万円相当のもの、六百キログラムの金が税関で発見されておるわけでございます。スイスとかレバノン等から入ってきておる。そのほかダイヤモンドあるいは貴石等が密輸入の物件として多いわけでございますが、最近は装飾用のダイヤの普及が見られまして、それに伴いまして最近ダイヤモンド等の密輸がふえているわけでございます。
それから、一番困りますのは麻薬とか拳銃の類でございますが、この麻薬、拳銃等に対する税関職員の密輸入に対する検査取り締まり、これは非常な苦労が要るわけでございますが、こういうものを撲滅するために機動力を使いまして、あるいは取り締まりの機器の充実をはかり、また警察当局との連携を保ちながら情報収集の徹底をはかりまして、一そうの取り締まりを期してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/33
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034・柴谷要
○柴谷要君 別にあげ足を取るわけではないんですが、先ほど信用ある商社あるいは不信用の商社、こう言われたんですがね、それは長い間事件を起こした商社と、それから全然そういうことのないまじめな商社、こういうふうに区分けをされて言われたのだと思いますが、資本の増大、大資本によって、これは信用できるのだ、これは信用できないのだ、こういうふうにきめつけて、小さなまじめにやっている商社あたりを痛めつけられるようなことのないように、信用とか不信用とかというのは、ひとつ根拠を聞かしてもらいたいと思うのだが、資本の大小によってそれをきめられたりなんかするとたいへんなことになると思うんですがね。これは別にあげ足を取るわけではないんですが、どうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/34
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035・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 全くおっしゃるとおりでございまして、私ども先ほど申し上げましたのは、今後申告納税制度を新しい姿に持っていく場合に、税関職員の人手も不十分でございますので、そういうこともあわせて考えてやってまいりたいということを申し上げたわけでございまして、過去の経験等によりましては、決して資本の大小によってこの関税法違反をするかしないかということがきめ手にはならないということはそのとおりでございまして、同時に、輸入をいたします場合には、商社は多くの場合税関貨物取り扱い人というものを代理人として使って、実際の申告事務をやらしているというのが通例でございますが、この税関貨物取り扱い人の信用のあるなしということが、これは大問題でございまして、この点につきましては資本の大小は関係ないわけでございまして、誠実に申告をする者かどうか、もちろんこれはその税関貨物取り扱い人が関税法の勉強あるいは商品知識の勉強、こういう点について非常に勉強している人と、そうじゃない人と、それから正直な人とそうじゃない人、こういうようなことは、これは過去のいろいろな実例等に徴しまして、ある程度リストがつくり得るわけでございまして、こういう点につきましても、今後私どもそういう方々に対する指導に対していっそう力を入れてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/35
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036・柴谷要
○柴谷要君 時間がだいぶ切迫してきましたので、数多くある質問の中ではしょっていきたいと思うのですが、保税工場の最近の利用状況はどうなっているか、それから扱う品目は一体どのくらいなのか、それから資本金の別、区分はどうなっておるか、こういうことでお聞きしたいのですが、これはどうも御説明を聞くより資料をいただいたほうが簡単でいいと思うのですが、これにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/36
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037・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) これにございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/37
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038・柴谷要
○柴谷要君 これにあれば、これはけっこうです。
今後における利用拡充の方策ということについて、ひとつお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/38
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039・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 利用状況はここに書いてございますが、この参考にない点が一つございます。資本金別の数字でございますが、必ずしも保税工場を利用しているものは大資本だけではないということが、私ども調査によりましてもはっきりしているわけでございます。昨年の四月一日現在の調べでございますが、保税工場の調査の対象になりました八百五十二のうちで、資本金五百万未満のものが百二十四、それから五千万未満のものが三百二十九、一億未満のものが約四百、半分近くは一億以下のものであるということでございます。
今後の対策でございますが、今回提案申し上げておりまする関税定率法の改正の中におきまして、輸出振興のたてまえから加工貿易を促進する必要があるわけでございますが、そのために輸入原材料を保税工場で使いまして輸出をする、こういうことによりまして輸入原材料の関税を排除するというための保税工場の活用を一そう促進するために手続を簡素化する。たとえば保税工場の増改築をやった場合に、従来一々税関長の承認を受けておった。そういうようなものは、あと届け出だけでいい。あるいは歩どまりが非常にはっきりしておりますが、保税工場であれば原材料の利用状況、製品の流水等、一々税関に見てもらうかわりに、毎月一回定期報告で済ませるというようなこと、そのほか簡素合理化をはかるためのいろいろな施策を、今回の法案の中に織り込んであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/39
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040・柴谷要
○柴谷要君 大臣がお見えになっているので、忙しいからだだろうから、二つだけちょっと聞きたいのです。いいところに見えられたと思うのです。大臣忙しいから、ぼくはいいと言ったのだが、せっかく顔を出していただいたので、二つばかり。
ガットの関税一括引き下げ交渉というのがEECとの関連で停滞している状態だということなんだが、ケネディ・ラウンドの今後の見通しについて大臣に所見を伺いたいということなんです。この点をひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/40
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041・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ケネディ・ラウンドの今後につきましては、これは経済的な問題もあるように思うのです。つまり、経済的問題というのは、EEC内部におきまして農業問題の取り扱いですね、これが一つあるわけです。それから、もう一つの問題は、政治的な問題がからまっていると思うのです。つまり、ドゴールとジョンソンといいますか、この関係があると思うのです。それで、やはり政治的な関係がうまくいきませんと、経済的関係にも影響する、こういう状態があるように思うのであります。
で、まずEEC内部の足並みの問題、これは経済的問題が多いのですが、農業関税をどうするか、農作物に対する処置につきましてフランスとその他の国との間の意見調整がうまくいかぬ、そういうようなことも原因しまして、フランスがEECから脱退するというような事態になっておったわけです。その復帰がことしの一月に実現されまして、そういう障害が取り除かれてきておる。これはケネディ・ラウンドの前途に対しましては非常に好材料と思うわけであります。
それから、米仏の関係につきましては、時に対立し、時に密着し、いろいろな変化を来たしておりますが、私は当面対立状態というものがやや緩和されておる、こういうふうに見ておるわけであります。
そういうようなことを、政治的、経済的の両面から考え合わせまして、来年がケネディ・ラウンドの期限になりますが、非常に調子が改善されてきておる。それまでに大体ケネディ・ラウンドの所期の目的が実現されるのじゃないかというような観測をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/41
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042・柴谷要
○柴谷要君 最近、後進国問題が国際的な場で重要な問題として取り上げられてきているのですが、この問題について大蔵大臣の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/42
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043・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) やはり一つの基本的な考え方としては、世界は一体である、連帯であるという考え方をとらなければならないと思いますが、そういう際において、日本はともかく先進工業国の地位にあるわけでありまするから、できる限りそういう立場に立っての責任を尽くすべきものである。こういうふうに考えます。
ただ、日本は、工業的には非常に進んでおり、工業生産は世界でも第五位というような地位まで来ておりまするが、人口が多い。その一人一人の人口割りの所得を考えてみまするときには二十一位、先進国ともとても言えないような状況かと思うのであります。そこをまた一つは考えておかなければならぬと思います。
いま、私が昨年の秋IMFの総会に出席をする、そうするとアジア、アフリカ、南米などの国国の代表の人がずいぶんたずねてきて、日本にいろいろな協力を要請するわけでありますが、これらをできる限り充足さしてやるという心がまえが必要だと思います。それがまたはね返って、わが日本の輸出というようなことにもなってくる。
それで、そういう協力を要請する問題として、OECDのDACにおきまして二つの意見が、日本に対しても、またほかの国に対しても述べられておるわけでありまするが、一つは、国民所得に対する経済協力のパーセンテージを上げろ、この二、三年のうちに一%のところまで上げろということ、それからもう一つは、その協力の質の問題であります。つまり、協力の条件を緩和すべしと、こういうことでございます。その条件につきましてはいろいろなことを言っておるのですが、償還の期限の問題とか、あるいは協力のための利率の問題とかいうことでありまするが、私はただいま申し上げましたような基本原則から考えまするときに、国民所得に対する。パーセンテージ、つまり量の問題につきましては、大体この二、三年のうちにはDACのいうような方向でいけると思います。それから、条件の問題になりますると、その条件を緩和するということになりますると、日本の財政負担の問題になってくるわけなんです。財政がそう裕福ではございません今日のわが国といたしますると、なかなかこの要望を満たすわけにはいかない。つまり、税を取る、日本の国民所得の何がしかを諸外国に出すという、こういう性質の問題になりまするもんですから、普通の融資を中心とする量の問題——パーセンテージの問題とは性格が違うのです。そういうことを考えますと、なかなかこの質の問題、条件の問題につきましては、DACのいうようなわけには実はいかない、こういうふうに思いまして、DACの席上におきましても、日本の態度は、努力はするがそうはいかぬというような旨の留保をいたし、DACにおきましてもこれを了承しておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/43
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044・野溝勝
○野溝勝君 ちょっと関連して、この際お聞きしておきたいと思います。
私、直接これとは関係ありません。間接には関係あるわけですが、この間、大臣、私この委員会で質問しましたね、国際収支の問題。特にあなたは、経常収支のうちで本道のところの貿易収支が非常に黒字だったから非常によいと言われた。しかし、私は、それは一つの本道ですけれども、事態は資本収支の面やその他の面で非常に急迫を告げておるということを申したですね。だから、そういう楽観の考え方でなくて、真剣に考えてもらいたい、こういうことを申しておきましたね。ところが、大臣は、真剣に考えなければならぬということでしたが、最近の新聞その他雑誌などの動きを見ても、容易ならぬ事態になってきているわけですね。特にアメリカの一流銀行、そういう主要銀行たちが最近、プライムレート、一流銀行の引き受け手形の金利、これをまた引き上げておるというわけです。そうすると、結局、日本の先般もお話し申し上げたとおり貿易上の輸入ユーザンスの問題、あるいは輸出入ユーザンス、あるいはユーロダラーの問題、短期資金の問題なども、非常に大きく異変を来たしてきておるわけですね。こういう点に対して私は心配しておったんですが、年々ドル防衛が強化されてくる、あらゆる面に。もちろん、一つはアメリカの金融逼迫にもありますが、そうなるというと、今度は輸出金利の調整なども積極的にやらなければならぬ事態が来ておるのですが、日本の自民党の政策は低金利政策でありまするが、この間国際収支の関係をどういうふうににらみ合わせてやろうとするのですか。この一点だけは非常に私は重要だと思いますので、この際大臣に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/44
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045・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先般もお答えしたのですが、国際収支という問題は財政経済を運営していく最終にして最大の機軸でなければならぬと思う。そこに着目せられておる野溝先生の御見解は私は非常に尊敬をいたしておる、こういうふうに考えております。
ただ、当面の国際収支について野溝先生が非常に御心配のようでありまするが、私は当面の事態についてはそう心配していない。財政経済を運営していく上においては、ほんとうに常に国際収支を頭に置いてやっていかなければならぬ、常に神経質になってやっておらなければならぬけれども、現在の時点で心配があるかというと、そう心配はしていない。それはもう申し上げるまでもないのですが、三十六年までは外貨資金の手持ちも二十億あった。三十六年からその内容が悪化してきております。つまり、貿易収支が赤字、したがって経常収支が赤字になる。経常収支を短期長期の資本収支でまかなった、そしてずっと二十億ドル水準を維持してきたわけです。ところが、二十億水準がどうもあぶないというので、いわゆるゴールドトランシュという外貨準備の計算方法を改定して、二十億ドルというのをずっと維持したわけでございます。が、一昨年の半ばごろからだいぶ国際収支のパターンと申しますか、変わってまいりまして、輸出超過、したがって経常収支の黒と、こういうことになってまいりまして、そうして逆に資本収支は赤字ということになったわけです。したがって、国際収支とうらはらをなす国際貸借、つまり日本全体の外貨のバランスシート、これは非常に改善され、この間もIMF方式による昨年の国際収支を発表いたしたのでありますが、これによりますと、経常収支の黒が九億ドルになるわけです。つまり、それだけ国際貸借、バランスシートの内容が改善をされたと、こういうことになると思う。しかも、外貨準備といいますか、外貨の手持ちは一億ドルふえておる。非常にいいんです。
それから、ことしも相当の改善を見ると思うのです。ことしは輸出が昨年に比べて鈍化する形勢だと思いますが、それにしても経済計画では十八億ドル、これはわりあいに消極的に見ていると思うのですが、十八億ドルの黒字になるわけです。それに対して貿易外の赤字が半分食っちゃうわけです、九億ドルくらいです。それにしても、九億ドルの経常収支の黒字が出る、こういうようなことが、よほどこれは消極的に見ましても、そういうことになるわけです。それに対して一体ドルの流出がどうなるか、これはいま野溝さんの御指摘の海外の金利高の問題、そういうようなものを考慮いたしましても、大体五億ドル前後であろう。そういうことから、この四十一年度という年は相当また改善をされる。しかも、それが外貨保有高、これの増加となってあらわれてくる。二十一億ドル内外の保有でございますが、これが二十五億を上回ると見られるくらいになってきておるわけです。そういうような状態でありまするが、いま二十五億ドルにいたしましても、あるいは二十億ドルといたしましても、わが国の貿易量からいいまして、決して十分な手持ちじゃございません。もっともっとふやさなきゃいかぬと思います。それで、外貨の手持ちがふえるように努力していきたい。そういうふうに考えますが、ともかく国際収支というものは常に最大の経済運営のかなめとして運営していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/45
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046・野溝勝
○野溝勝君 私、もう一点だけ意見をも加わえて特に要望を強く申しておきたいのは、確かに池田さんが総合収支がよければ国際収支は心配ないというようなことを言われましたが、私はそんなものじゃないと思うのです。よくこの委員会で言われましたが、何としたってやはり貿易ですよ。当時と違って、その点では福田さんの言われるように、私はそれは正道だと思います。しかし、いまの貿易の黒字というのは特殊事情があったわけです。御承知のごとく鉄鋼ストがあったり、そういうような条件があったので、わりあいに貿易もよかったと思うのです。それといま一つは、あなたは御承知だと思いますが、丸紅をはじめ特殊の会社がダンピングをやりましたね。そうして御承知のごとく国際問題を起こしています。ですから、あなたが希望なげ期待する気持ちは私も同じことなんですよ。だけど、それを将来も持続されるというこの見方に対して、非常に私は不安なんです。あなたは持続すると。希望的、努力的目標でしょうけれども、そこに私は非常に心配なのは、最近有力なる新聞、地方新聞その他雑誌にもこの資本収支の問題を中心にして論評されています。特にいわば国債資金などについても、半分ぐらいしか起債のほうもいっていないというでしょう。そんな関係で、まあ有力新聞が言われるまでもなく、私が個人的に非常に心配しておるのです。
結局、一つの国際金融機関といいましょうか、経済機関といいまするか、たとえばスワップ協定あるいは先ほどおっしゃったIMF、こういうような機関が、これも機関を有効にひとつ利用することを考えろということも言われておりますが、その前に、打つ手は、この貿易をふやすためには、通産大臣ぐらいにまかしておかないで、失礼ですけれども三木君はしろうとですから、貿易業者の数字にオペレーションされていますから、酔わされているから。そこへいくと、あなたのほうはたたき上げですからね。ですから、私は、正直にですよ、時間があれば委員長にお願いして、通産大臣からも伺いたい。農林大臣なども少しぼけているのです。ほんとういうと、まことに困る問題で、日本のいわば農業政策なり食糧政策を自給自足態勢でいくのか、それならば農業基本法との関係をどうするのかという重大な問題、これは農林委員会で希望を述べてありますから、あなたにも列席してもらって、十分この際お話ししたい。これなども、大臣、国際収支に非常に関係があるわけです。きのうもちょっと同僚委員などのお話もありましたが、食糧はずいぶん輸入されておりますね。これは一体どうするんですか。さらに、きょうの新聞を見ても、坂田君が、どうも後進国開発について米を輸入しろというが、これは困ると言っているが、あれだけ困るというなら、いままで食糧だけで二十億ドル近く入れておりますから、こういう問題はどうするかということをなぜ坂田君は大蔵大臣と四つに取り組んでやらないのか。あなたは農林大臣をやった経験があるし、特に財政方面で非常な経験がありますから、こういう点は真剣にこれは考えなければならない問題だと思うんですよ。これはきょうは時間がございませんから、あとの機会に譲りますが、大臣、総合的にひとつこれを考えてもらいたい。私は、日本の財政経済も出直せと言いたい。日本の財政経済の一環としての貿易、産業、全部——農業もひっくるめてですよ、こういう点を総合的にひとつ真剣に考えていただきたいと思う。これは政党政派の問題ではありません。それを私は強く希望して、これに対するあなたの気持ちをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/46
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047・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 野溝さんは、国際収支は非常に重大である、それに着目されまして、貿易構造、そういうようなことも出直せと。これは私は全く同感です、そのとおり考えます。
特に御指摘の農作物の輸入の問題ですね、これはもう農作物、特に食糧の輸入くらいばかばかしいものはない。これは再産生性がない。食って消費してしまうだけのものです。これはなるべく少ないほうがいい。今日、食糧の自給率は八〇%をちょっと切っております。しかし、これがこれ以上落ち込むというようなことがありますと、私は国際収支に大きな影響がある。そういうようなことを頭に置きながら農業政策というものも見直してみる必要がある、そういうふうに考えます。
なお、貿易の問題につきましては、いまアメリカと三割、それからアジア諸国と三割やるが、非常に所得も購買力も多いEEC諸国との間の貿易が一〇%をこえるという程度の状態です。これは日本の貿易構造は非常にアンバランスな状態です。そういうようなことにも着目して、これが改善に努力をしなければならぬ。
それから、貿易外の問題ですが、これがだんだん赤字が大きくなる。これも非常に注意してかからなければならない。最近は日本自体の船ですね、日本の外航船の建造というものを一生懸命になってやってこれを改善して、いこうという努力も進んでおりますが、なおさらそういうものを進めて、貿易外の赤字をどういうふうに安定させていくか、これにも着目しなければならないと思う。今後大いに勉強しますが、ひとつ御教示のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/47
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048・野溝勝
○野溝勝君 あなたが一番財政経済をよく、基本的なことを知っているから、ほかの人は政治家だから、政治家もいいが、基本的なものをやはり真剣につかまなければならぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/48
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049・柴谷要
○柴谷要君 十二時半までということで、おつき合いをいただいて、もう二、三点質問したいと思うんです。
最近、港湾行政の一元化ということがいわれているんですが、この問題に関連してどんな措置を検討されておるのか、これをひとつ承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/49
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050・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 港湾行政の一元化の問題は、終戦後から幾多の経緯を経まして、いろいろの角度から議論されておるところでございますが、昭和三十九年の九月に臨時行政調査会が意見書を出したわけでございます。その中で、港湾行政関係についても、共管事務の改革をはかるべきであるという論点からいたしまして、次のようなことを言っておるわけでございます。その一つは、動植物、食品、医薬品等の輸入の検査業務等につきまして、利用者から提出する書類の受理でありますとか、その検査等の管理の権限を税関に与えるべきである。で、昔は税関が一元的に扱っておったわけでございますが、終戦後の行政機構の改革で、厚生省とか農林省そのほかの各省の出先機関が、こういう動植物、食品、医薬品等の検査事務をあわせて行なっておる、これを税関に統合したらどうか。これは私どもも非常に事宜を得た意見だというふうに考えておるわけでございます。
その次に、この意見書の中で、通関関連行政機関の職員と港湾利用者の団体の代表をもって協議会を構成する、その協議会を税関長の諮問機関として税関に設置すべきであるということ。それから、通関関連のいろいろな検査、また船舶の出入国管理に関する書類の手続が現在非常に複雑になっておりますが、これを改善するということ。それから、第四点としまして、合同庁舎の建設を促進するということ。そういうようなことを言っておるわけでございます。
この意見を受けまして、四十年の五月に行政事務運営の改善についての閣議決定がございました。そしてそれに基づきまして、事務次官会議におきまして、通関関連行政の改善具体策を検討するための各省の連絡会議を設置することが決定されました。その連絡会議が、行政管理庁を主体に関係各省の職員を構成メンバーとして、昨年の八月以降数回会議が持たれておるわけでございます。
で、その会議で協議されましたおもな事項といたしましては、先ほどの意見書にございましたように、合同庁舎の建設を促進する。で、港湾関係の行政を扱っておる各省の出先機関が一つの庁舎に入って、そして受付の窓口をできるだけ集中的にやるということ。それから、いろいろな事務が港湾行政に関連して起こってくるわけでございますが、そういうような事務の能率化を処理するために、通関関連行政連絡協議会を地方の各主要港湾ごとに設置する。と同時に、中央にもこの通関関連行政連絡協議会をつくる。その場合に、地方の連絡協議会の庶務は税関で処理するということで、現在税関が中心になりまして、港湾行政の改善合理化につきまして具体的に検討を進めておるわけでございます。
それから、書類手続の簡素化、合理化をはかる。たとえば輸入申告書につきまして他法令確認をする必要があるわけでございますが、各省にまたがるいろいろな手続を一つの様式に統一いたしまして、そして利用者の利便をはかるというようなことについて、具体的に現在検討しておるわけでございます。
それで、臨時行政調査会におきましては、別に、貿易関係の許認可事務の一本化の意見も出ているわけでございます。私ども税関当局といたしましては、輸出入貨物に関するこの規制が関係各省にまたがっており、そして窓口も中央、地方に分散されているために、いろいろな面でふぐあいな面があるわけでございます。そして税関におきましても関係各省との連絡を緊密にして仕事をやっておりますけれども、これでは不十分であるわけでございますので、通関関連の許認可の事務の簡素集中化について深い関心を持っているわけであります。特に運輸省との関係でございますが、いろいろ検数検量協会の監督の問題、あるいは保税倉庫の監督の問題、税関と関係があるところが非常に深いわけでございますが、また空港上屋の監督の問題、こういう点につきましても、どこか窓口を統一して集中的に管理監督するということが私はよろしいと思いますが、これは私は各省の権限のなわ張り争いで申すわけじゃございませんけれども、主体はあくまで税関、業務の主体は税関でございまするから、税関中心に各省と緊密な連絡をとりまして、利用者に不便がないように一そう輸出入の通関事務が促進されるよう、ひいては輸出の振興、また日本産業経済の発展のために、こういう事務の面でマイナスになっちゃいけないという角度で今度とも一そう研究を深めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/50
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051・柴谷要
○柴谷要君 最後の問題になると思うのですが、バナナの関税据え置きについて、七〇%依然として増税をしている。今後もこれは続けていくつもりでいるのか、それとも多少考慮する余地があるのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/51
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052・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) バナナにつきましては、現在暫定関税率七〇%でございます。基本税率は三〇%でございます。七割の関税率というのはいかにも高いと考えます。しかし、この問題は国内のくだもの産業との関係で微妙な複雑な問題がございまして、四十一年度におきましては、一年限り七〇%の暫定関税率を据え置くということで法律案を提案申し上げておるわけでございます。
この問題につきましては、昨年末の関税率審議会におきまして、いろいろな角度から検討がなされたわけでございます。一つは、国内の果実の生産者保護の必要上七〇%の暫定増税を継続すべきであるという議論、それからもう一つは、税率を引き下げいたしましても、必ずしも消費者の利益につながらなんではないか、中間の商社等がマージンを不当に取ってしまうおそれがありはしないか、また国際収支の上からバナナの輸入がこれ以上促進するということになるかどうかという点についても問題があるんじゃないかというような議論が活発に行なわれまして、そして関税率審議会におきましては、現状におきましては、果実生産者との関係もございますので、七〇%の暫定税率を四十一年度限り継続することはやむを得ないけれども、政府は今後このバナナの関税率の引き下げのための基盤の整備につとめて、できるだけ早い機会にこの引き下げをはかるべきであるという決議を行なっているわけでございます。私どもはこの関税率審議会の決議を尊重いたしまして、農林省とも連絡をとりまして、できるだけ早い機会にこの環境の整備を整えまして、四十二年度のバナナの関税につきまして引き下げをするという方向で慎重に検討をしたいと思いますけれども、情勢がそのときにどうなりますか、その国内のいろんな情勢との関係あるいは国際収支との関係等も慎重に考えて、四十二年度以降の問題は処理してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/52
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053・大竹平八郎
○大竹平八郎君 関連。いま審議会について局長のお話があったのですが、あなたが就任前に毎年にわたって、この七〇%の関税というのは、むろん国内生産品を保護するという立場はわかるのだけれども、あまりにひど過ぎる、これは国際的な立場から見てもひど過ぎるというので、年々五〇%、あるいはさらに年度を置いて三〇%にしなければならぬということが答申の中に盛られているんですね。ところが、ほとんどこれは無視をせられて、七〇%できているわけなんです。四十一年度は、いまお話しのような結論になったかもしれませんが、そこで、これは主としてバナナの供給地は大体台湾ですが、これもできるだけひとつ原価を下げて、御承知のとおり、八ドルが現在七ドルです。七ドルでまいりますと大体二千五百二十円、それから水揚げその他が四、五百円かかるとすれば、関税は約七ドルで来ても千八百円ぐらいかかるんですね。だから、これはもう日本のくだものを保護するということはよくわかるんですけれども、しかし、日本もバナナのたたき売り時代からバナナというものは高級品じゃないんですね。全く大衆品なんですよ。そうして最近のようにくだもののないときに、こういうようなべらぼうな、国際的指弾を受けるような関税をかけてある。しかも、審議会というものはたびたびこれを下げなければいかぬという答申をしても、大蔵省は全く無視してきている。この間も与党の中に、関税ばかりじゃありませんが、審議会の検討が加えられている。審議会というものの答申を尊重するということがたてまえなんだ。しかし、それを毎年毎年答申を尊重しないというようなものなら、これは必要ないじゃないかというような議論まで出ているくらいなんですからね。そうすると、いまお話しの四十一年度限りで大体五〇%か三〇%にする、こういう結論が審議会で出たんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/53
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054・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) そういう結論は出ておりません。ただ、昨年の十二月の二十四日の関税率審議会の答申書に、四十一年度は七〇%据え置き、ただし、附帯決議といたしまして、先ほど申し上げましたように、「バナナ関税については、現状においては現行七〇%の暫定税率を明年度も継続することがやむをえないと考えるが、政府は、今後暫定税率引下げのための基盤の整備に努め、できるだけ早期にその引下げを図るべきである。」、基盤の整備が問題でございますが、これはリンゴでありますとかミカン等の関係産業をどうするかという問題と、それから販売、輸入の体制をどうするか、あるいは流通機構をどうするか、せっかく関税を下げましても、消費者が安いバナナを食べられるような状態になるかどうか、そういった点を農林省のほうでも十分に研究して、一年かかって準備体制を整える、そういうことになっておりまするので、私どもは、その基盤の整備の状況を見ながらさらに審議会におはかりいたしまして、適切な措置をとってまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/54
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055・柴谷要
○柴谷要君 たいへん勉強さしてもらいました。本日は時間も来たようですから、これで私の質問を終わりたいと思いますが、この法律案は、前段に申し上げましたように、賛成の法律案ですが、まだ次回にもう少し質問をして、その上で結着をつけたい、こう思いますので、きょうはこの程度に質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/55
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056・須藤五郎
○須藤五郎君 今度飛行場で税関が設けられるところは四つ五つありましたね。二つですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/56
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057・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 税関空港として新しく追加されまするのは、名古屋空港と奄美空港でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/57
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058・須藤五郎
○須藤五郎君 私は一つふに落ちないのは、名古屋と奄美大島とを税関空港に指定する理由がぴんとこないんですがね。どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/58
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059・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 税関空港に指定いたしますると、飛行機の出入につきまして税関当局に対するいろいろな手続が便利になるわけでございます。そこで、私どもは、飛行機がある空港に恒常的に発着する、で、旅客、貨物が出入りするという場合に、できるだけ税関空港に指定をして、そして旅客、貨物の便利をはかると同時に、税関の取り締まり体制につきましても遺憾なきを期していきたい。
で、名古屋空港におきましては、御承知と思いますが、二千七百四十メートルの滑走路がございまして、四十一年の三月からキャセー・パシフィックが週二便やっておりまして、また近く日航も四月から週二便名古屋空港に着くことになっておるような状況でございます。また、奄美空港におきましては、千三百二十メートルの滑空路がございまして、全日空が沖縄線を週三回運航しておるわけでございます。で、かように飛行機が定期的に発着するという場合に、税関空港に指定しておりませんと、そのつどいろいろ許可を得るというようなことで、非常に不便でございまするので、場合によりましては貨物の発着もございまするので、輸出の振興という面からいきましても、この二港につきましては税関空港に指定する必要があると考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/59
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060・須藤五郎
○須藤五郎君 名古屋はともかく、奄美大島を税関空港にするということはも私も奄美大島へ行って飛行場もよく見ていますし、現地をよく見ているわけです。あそこを税関空港にする必要があるのかどうかということなんですね。それは、何じゃないですか、全日空の沖縄便が奄美大島へ寄るというだけのことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/60
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061・谷川宏
○政府委員(谷川宏君) 現在はそのとおりでございますが、奄美大島の産業の開発もはかるということは政府の方針でございまするし、また奄美大島との間の旅客の往復も今後相当ふえてくると考えます。で、現在週三便運航しておるのでございまして、なお今後、この利用のいかんによりましては、さらにふえるという可能性もございまするので、地元の御要望もございましたので、税関空港に指定することに予定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/61
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062・須藤五郎
○須藤五郎君 税関空港ということは、やはり国際空港ということなんでしょう。国際的な飛行機が来るということなんでしょう。奄美大島は何で国際空港としての必要があるのか。あの飛行場なんて狭い飛行場ですよ。へんぴな丘の上につくられたような飛行場で、あそこを国際空港にするということには、何かはかに目的があるのと違うんですか。かつてこの委員会で数年前に、鹿児島空港に税関が設けられるという法案が出ましたときに、私はその審議をしたんですが、そのとき問題になったのは、韓国から台湾に行く要するに軍用飛行機などがあそこへおりる、そういう一つの目的のためにあの鹿児島の空港が国際空港として指定される、こういうこともそのとき問題になったんですよ。今度この奄美がそういう空港にやられることにも、やはりそういうにおいがせぬではないと思うんですよ。どうなんですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/62
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063・細見卓
○説明員(細見卓君) 非常に技術的なことですから、申し上げますと、いま御承知のように奄美大島の空港はたいへん小さいわけですが、そこで、沖縄から週三便出入りしますと、名瀬から自動車で奄美大島の空港まで追っかけていきまして、旅客と一緒に税関の職員がまた戻ってくるというようなことで、しかも、おっしゃるように行きの道も帰りの道も片道通行というようなことなものですから、むしろ常駐しておってほしい、こういう要望があって、他意は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/63
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064・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、そうなった場合、国際空港になった場合に、来ようと思えば、台湾の軍用機も沖縄におるアメリカの軍用機も、また韓国の軍用機も、着陸できるんでしょう。できないということは、法的に何かあるんですか。できるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/64
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065・細見卓
○説明員(細見卓君) 国際空港にいたしますことは、軍用機とは直接関係ございませんで、民間飛行機が発着いたしまして、その間旅客なり旅客の運びます携帯品なり、あるいはまた一部の飛行機によりまする輸送貨物の検査をする、それだけのことでございます。軍用機の発着とは直接は全然関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/65
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066・須藤五郎
○須藤五郎君 それじゃ、今度の処置とは全然関係ないとしましても、実際現在奄美大島の空港にアメリカの飛行機や台湾の飛行機、そういうものは一度も来ておりませんか、どうなんですか。今後来ないという保証もあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/66
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067・細見卓
○説明員(細見卓君) 直接の責任者じゃございませんので、確たるお返事はできませんが、われわれが承知しております限りでは、全日空機だけが来ておって、それもあまりりっぱな飛行場でなくて、伝えられるところによりますれば、ハブさえ出るというような飛行場で、軍用機云々ということはいままでは聞いたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/67
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068・須藤五郎
○須藤五郎君 軍用機は来ないという何か根拠があるんですが、法的にいって。来るんじゃないですか、軍用機も。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/68
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069・植松守雄
○説明員(植松守雄君) 御承知のように、非常に滑走路も狭く、非常に貧弱な空港施設でございますから、軍用機——ジェット機なんかおりられるようなしろものじゃないのでございます。
ついでに補足して技術的な点申し上げさしていただきますと、税関空港の指定は全く技術的な点でございまして、関税法によりまして、現在税関空港、あるいは海の場合には開港でございますが、開港なり関税空港に指定されておらない場合には、一々税関で許可が要るわけでございます。許可が要るのみならず、不開港手数料というものを取られるわけでございますが、相当これはばかにならない金額でございます。これが開港の場合には、御承知のように片方にまたとん税、特別とん税という制度がございまして、不開港手数料ととん税、特別とん税が見合っております。したがいまして、実際的な負担の面におきましては、ただ手続が要るだけで、名目は手数料であれ、とん税であれ、同じ負担になるわけでございますが、航空機の場合はそういう仕組みになっておりませんので、不開港でありますと、一々そのつど許可を受けて、かつまた相当の手数料を払わなければいけないわけでございます。それで、全日空の沖縄との間の定期便が通っておるわけでございますが、そのつどそういう手続を要求される、これは非常に不合理でございますから、いやしくも国際線であればそれについては税関空港に指定する、開港の場合は非常に数も多うございますし、およそ外国貿易船が入ってくる場合に、すべて指定するというわけにはまいらないのでございますが、飛行機の場合にはその点がスケジュールできまっておりますものですから、それについて技術的に最近の機会において指定するという取り扱いにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/69
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070・須藤五郎
○須藤五郎君 国際空港になれば飛行場も拡張されて、将来やはり何じゃないですか、いまジェット機がおりられなくても、ジェット機がおりられるような設備になってくるのと違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/70
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071・細見卓
○説明員(細見卓君) たびたびお答え申し上げましたので、これ以上申し上げることはございませんが、先ほど私どもの課長が申しましたように、手数料——航空会社の払います手数料が免除されるという以上の何ものもこの法案には含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/71
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072・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 四案の質疑につきましては、本日はこの程度にとどめたいと存じます。
午後は一時三十分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。
午後零時四十二分休憩
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午後一時四十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/72
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073・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、三月二十八日、参考人の出席を求め、その意見を徴することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/73
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074・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 御異議ないものと認めます。
なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/74
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075・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/75
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076・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上五案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/76
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077・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まず最初に、四十一年度の予算から本格的に公債発行政策を導入したわけですが、この公債発行下における税制ですね、これは従来公債を本格的に発行しなかった年と変わってこなきゃならぬし、また実際変わってくると思うんですね。そこで、公債発行下における今後の日本の税制のあり方、これはまた税制調査会に諮問されるかと思いますけれども、これは当然変わってこなければなりませんし、変わることと思いますが、その点について大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/77
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078・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 税制につきましては、昭和四十一年度では史上最大の規模の減税をやるわけですが、減税はこれでやめたというわけじゃないんです。これから少し長い目で税制というものを見直していきたい、こういうふうに考えておるわけです。
公債との関連いかん、こういうことでございますが、公債を発行することは何ゆえであるかというと、私は、社会資本のおくれの取り戻し、それからもう一つは、国が措金しても企業にも家庭にも蓄積をということですね。それから、第三には、景気調整。こういうことなんですが、やはりその中で企業と国民の蓄積強化、これが直接的には税制の問題と関連をしてくるわけであります。
それで、私は、とにかく企業でも家庭でも、いま先進諸国に比べると、実に惨たんたる蓄積の状態である。これを取り戻すこと、蓄積の薄さを取り戻すこと、これが経済安定の大きなかなめである、こういうふうに考えておりますので、そういうことなども含めて、今後長期的な観点から税制というものを検討していかなきゃならぬ。
そういうことからいいますと、まず第一に、何といっても国民の負担軽減、企業及び家庭における可処分所得の増大、こういうことを常に心がけていかなきゃならぬ。減税ということが一つの問題であります。
それから、第二の問題は、その減税の構想を進める中において、家庭やあるいは企業においていかなる程度の負担をすべきかということを、少し目標を立てて、それを追求していくようにしたいと思うんです。まあ家庭についていえば、所得税の課税最低限というものの近いうちに達成すべき目標、それから企業については、いわゆる配当軽課、そういうような問題も含めて、法人税率というものはいかなる高さであるべきかということを目標としてきめ、また同時に、税の簡素化、これは非常に複雑だというふうに思っておるんです。これを国民が理解しやすく、国民に親しみやすい税制にするということも一つの柱として取り上げていきたい。そういうようなことで、長期的な観点から税制というものをやり直していく。
また、そのためには、税制調査会というものを再開いたしまして、そうしてこれにそういう諸問題を諮問していきたい、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/78
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079・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大体の大きな方向は、企業の資本の蓄積、企業と個人の蓄積をまあ強化するという、そういう方向ですね。で、公債発行下の今後の税制を考えていきたい、まあ要約すればそういう点だと思うんですね。
そこで、問題なのは、企業の蓄積を強化するという場合ですね、いまの日本の企業の蓄積が十分でない原因は、何も税制にのみあるのではないと思うのですね。税制以外のほうにかなり大きな問題があると思うんですね。この前も予算委員会で私は質問しましたが、たとえば金利の問題が一つありますね。非常な借金をして、それで利払いが大きい。それから減価償却も、これも減価償却を大きくすれば法人税が軽くなりますけれども、しかし、これまで再評価をやり、それから耐用年数をどんどん短縮しまして、ものすごく減価償却が大きいわけですよね。これは蓄積にならぬというわけじゃないんですけれども、これが企業の利潤率を、総資本利益率ですね、これをきめていく。
諸外国に比べましても、日本の法人税はちっとも高くないわけですよね。地方税、国税を通じまして、そして名目じゃなく、実質課税で見ましても。いろんな統計がありますがね、これは一九六一年の比較ですがね、日本の場合は、地方税と所得課税を含めて四四・九八%、アメリカは五〇・七一、イギリスは五六・二五、西ドイツは五八・四七、フランスは五〇%、日本は諸外国に比べて決して法人税は高くないですよ。
問題は税制にあるよりは、税制以外のほうにあるのを、企業のほうは企業努力のほうを怠って、景気が悪くなるとすぐに税制のほうにたよってくる、政府のほうにね。そのために非常に課税が不公平になる。今後公債発行によって財源調達が容易になると、これまでシャウプ税制改正以後の日本の税制を、もっと大蔵省は一そう民主化しなければならないわけです。まだ完全に民主化されているわけじゃないのですから、まだその過程にあるのですからね。その非民主的な税制を固定化してしまうと、そういうことになるのです。
具体的にいえば、きのう大蔵大臣が衆議院の大蔵委員会で答弁されて、租税特別措置の中で特に利子及び配当について非常に消極的な意見を述べているのですね。これは来年度で期限が来るわけですね。再来年度はどうするかということが問題です。どうも大蔵大臣はこれを廃止するような方向で考えるのじゃなくて、これを続けるような方向で御答弁なされている。
で、利子、配当の分離課税が貯蓄に貢献している、あるいは資本蓄積に貢献しているようにどうも思われていると思うのです。しかし、実はこれは何回ももう問題になったんでありまして、大蔵省でも非常に前から調査しているわけですよ。調査結果は出ているわけですね。まあ福田大蔵大臣だったらこの点は率直に認められると思うのですけれども、田中大蔵大臣のときに、これは前の大蔵大臣のことを欠席裁判で言っちゃ悪いですけれども、むちゃくちゃな答弁をするわけですよ。大蔵省で利子の分離課税をやってから、これを廃止したり、強化したり、また緩和したり、ずっとしているわけですよ。昭和二十五年ごろからずっと特別措置やっているわけですね。そのときのそれと貯蓄との関係を、ずっと調べているわけですよね、大蔵省は。ところが、直接関係ないんですね。廃止したときに貯蓄がふえたり、それから強化したときに貯蓄がふえたり、廃止したときに貯蓄が減ったり、強化したときに貯蓄が減ったり、そこは必ずしも一致していないのですね。ですから、そういう実証をして研究やっているわけですよ。せっかく大蔵省が研究やっているのに、そういうものを基礎にしてやはり考えなきゃいけないのじゃないかと思うのです。それから、配当につきましても、はたしてそれが資本蓄積に役に立つのかどうかということも、これはやはり具体的にいろいろ研究されているわけなんですよ。
ですから、やはり公債発行を財源とする、それも一七%ぐらいですか、全体の財源のうち。公債財源にたよるのはずいぶん大きいですよ。そういうかなり大きい部分を公債でまかなえということになると、これからもっと日本の税制を民主化し合理化しなければならない。そういう点がどうもおろそかであると。
それで、当然税制調査会の前の答申によりましても、利子とかあるいは配当の分離課税というような特別措置は、特定の階級に不当に利益を与えるものである、しかもその実質的効果はあまりないと大蔵大臣言われていますので、デメリットのほうが大きいと。もちろんメリットとデメリットと比較してこれは論ずるものなんです。税制調査会が前から非常に長い間研究してるんですね、これはもう。そうでしょう。長い間の調査の結果、そして政府から諮問があって、「今後におけるわが国の社会、経済の進展に即応する基本的な租税制度のあり方」、こういう諮問に対して答申されている。「一部の高額資産所得者を著しく優遇するものであって、この措置に伴って生ずる弊害が大きく、しかもその弊害を償うに足るほどの政策的効果も実証し難いので、これを廃止すべきものと考えられる。」、こういう答申なんですよ。
ですから、これはここに答申もあり、税制調査会の答申は尊重するというたてまえを政府はとられているのですからね。大蔵大臣、これはもっと前向きな形で、積極的に廃止する方向でお考えになれないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/79
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080・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、その問題につきましては、前向きでもうしろ向きでもなく、いま白紙の立場でいるわけなんです。私はこういう考えを持っておりますが、あの利子、配当に対する特別措置ですね、これはただいまの御指摘では、その効果が的確に数字としてあらわれてきておらぬじゃないかと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/80
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081・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いや、あらわれてきていると言うのです。関係がないと言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/81
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082・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 関係がないというふうにあらわれてきているということでございますが、特に利子の面ですね、つまり貯蓄につきましては、私は非常にその関連を数字に求めることはむずかしいのじゃないかと思う。なぜかというと、貯蓄が伸びるか伸びないかという問題は、これは税ばかりに依存しているんじゃない、他の大きな要因があるわけなんですね。他の大きな要因が実に浮動している。他の大きな要因とは一体何だといいますと、一つは、その時点における企業、家庭の可処分所得、これがどういう状態であるか、こういう問題ですね。それからもう一つは、社会的環境です。一体レジャー、バカンスというような風潮、そういうものに貯蓄というものは左右される。それともう一つ、物価を含めて金融情勢その他の経済環境、これが大きな影響を持つと思うのです。その他にもいろいろな影響する問題があると思いますが、ともかく税だけがこの貯蓄を動かす要因だというならば、貯蓄との関係を測定する数字的なものが出てくるわけなんですが、そうじゃない。それもありますが、しかし、他の要因もあって、したがって、貯蓄と税制との関係いかんという角度からながめますと、関連のないようなところが出てくる。これはやむを得ないと思うのです。ですから、税制と貯蓄の伸び縮みの数字で表現をするということは、また数字でこれを実証するということは、非常に困難であるということは、木村先生もそうお考えになられるんじゃないかと思いますがね。
それからもう一つは、配当の問題ですね。配当の問題も同じような状況だと思うのです。ただ、最近は株価が堅調に動いておる、これなんかは、分離課税の影響が少なくとも私は含まれておると、こういうふうに見ておりますがね。
この特別措置を廃止するかしないか、こういう問題になりますとね、もう一つ申し上げておきたいのは、利子、配当について、そういう善悪の議論はさておいて、そういう一つの秩序ができておる。その秩序を変更するということになりますので、今日非常に経済が流動的で大事な段階にあるときにおいて、私がここで、これはもう来年でおしまいです、こう宣言いたしますことは、きわめて危険である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/82
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083・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは大蔵大臣はもう少し私は理解があると思ったけれども、これは見直さなければならぬ。かなり福田大蔵大臣は大蔵大臣として高く評価していたつもりだったが、いまの御答弁では、これはうしろ向きですよ。大体いまの税制がね、利子あるいは配当に対して分離課税をとっていることが、全体の税秩序を維持しているということを言っているでしょう。そんなこと言ったら、いまの鉄道運賃とか、消費者米価とか、あるいは医療費とかその他を、いままで引き上げなかったことが国民生活の秩序を維持しておったのですよ。そうでしょう。そう言えますよ。鉄道運賃は安いという前提で、いろいろな価格形成が行なわれてきた。消費者米価が上がらぬという形で、価格秩序ができてきておったのです。そういう秩序を尊重するなら、なぜ急に八・六%も消費者米価を上げるか。消費者米価だけでない。鉄道運賃は上げ、私鉄運賃は上げ、それから社会保険料は上げるでしょう。これなんか、昭和三十六年の六月ですね。値上がりムードがいかぬと言った。値上がりムードとは何だといったら、いろいろなものを次々と一どきに上げることが値上がりムードだ。やらぬということが経済企画庁の経済白書にはっきり書いてある。一度にいろいろなものを上げちゃいかぬ。これは値上がりムードというものだ。これはやっちゃいかぬ。それをやるというと、次から次へと連鎖反応が起こる。そういうほうの破壊、いままでの価格秩序を破壊しておるそっちのほうは何とも言わないで、そして民主的に税制を改正しろ……。
特に公債発行になりますと、具体的に利子については、公債の利子は六分八厘でしょう。ところが、銀行の定期預金は一年もの五分五厘。所得の多い人は、いますぐ五分五厘を六分八厘にかえられるのですよ。たとえは松下幸之助さん——例にあげるのは、あの人が長者番付の一番だったから例にあげるので、何も恨みはないですが、松下さんはいままでの五分五厘の定期預金を、一千万円の公債一枚買えば六分八厘になっちゃう。ところが、所得の少ない人は、一枚十万円ですから、十万円なければ買えない。五万円の貯蓄のある人が、五分五厘の定期預金を六分八厘にかえることはできないのです。そういう状態があるから——この公債の利子も、これも分離課税の対象になるでしょう。利子のこんな私は不合理はないと思うんですよ。しかも、利子は不労所得でしょうが。税制の民主化ということは、不労所得と勤労所得の権衡ということを考えなければいけないと思うのですね。
そういう面からいっても、この資本蓄積に積極的に——多少はかりに貢献するとしましても、しかし、そのマイナス効果のほうですよ。国民に対して非常に税制が不公平だ、そういうマイナス効果を与えるデメリットのほうが大きい。メリットとデメリットを比較した結果、デメリットのほうが大きいから、将来の税制に重大な悪影響を及ぼし、納税思想に悪影響を及ぼすと思うんですよ。ですから、税制調査会ではもっと前向きでこれを考えなければいけないという答申なんでしょう。大蔵大臣のお考えは答申を尊重しない意見で、これはむしろだんだんに——これは一挙になくするといったって、それは無理かもしれませんよ。しかし漸進的に廃止するという方向と廃止しないという考え方はたいへん違うのですから、税制調査会の答申では、とにかくこれは廃止しろと言っている、いつ廃止するかということは言っておりませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/83
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084・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、廃止しないのだということを言っているのじゃないのです。私は、あなたも言われているように、これにはデメリットがあることを承認しているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/84
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085・木村禧八郎
○木村禧八郎君 していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/85
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086・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ええ。それで、租税は一般原則でいかなければいかぬ、これは特例を設けちゃいかぬ、そういうふうに逐次持っていかなければならぬ、これはもう基本方針なんです。ただ、いまこの席で、この重大な経済状況下において、来年から撤廃せよ、こういうようなことをおっしゃるから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/86
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087・木村禧八郎
○木村禧八郎君 来年からとは言っておりませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/87
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088・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 来年から撤廃せよというようなことを言われるものだから、それを私がここで撤廃をいたしますというような宣言をすることはできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/88
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089・木村禧八郎
○木村禧八郎君 廃止の方向で考えるのかどうかというんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/89
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090・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) だから、私は、このやり方自体については、これを修正しなければならぬというふうに考えています。ただ、そのタイミングなり、程度なり、そういうものにつきましては、慎重に考えなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/90
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091・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/91
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092・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) そういう意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/92
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093・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/93
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094・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/94
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095・木村禧八郎
○木村禧八郎君 じゃ、主税局長に伺いますが、さっき大蔵大臣に質問したときに、私のほうにこれまで利子の特別措置と貯蓄との関係について大蔵省からちょうだいしたものがある、私が前に資料としていただいたことがあるのですが、きょう持ってこないものですから。その調査の経過あるいは結果、あれは二十五年から実施したか知りませんが、その実施後どういうことなのか。それから、この本法ですね、本法の三十七条だと思うのですね。まず三十七条ではどういう規定になっているか、そういうところがら御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/95
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096・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) お答え申し上げます。
御質問が二つございまして、最初は現在の利子所得に対します基本的な課税のたてまえはどういうふうになっているかという御質問でございます。御承知のとおり、所得税法は、私はいつも申し上げているのでございますが、最も税らしい税、法人税以上に累進的な構造をもちましたところの税でございます。そんなたてまえに立ちます個人所得税でございまして、個人に帰属いたしますすべての所得は総合課税いたします。そうしてまた、累進課税を現在ならば八%から七五%の刻みを持ちますところの累進税率で課税いたしております。これは基本的な、さらにまたどこの国でもとってるような累進所得税でございます。利子も本則では個人所得の一部を構成することはもちろんでございますし、なお利子、配当あるいは給与所得等につきましては、御存じのように予納という意味で源泉徴収制度がございます。給与所得につきましては、木村委員御存じのように、年末調整までを含めました納税者の便宜を考えました累進税率で計算いたしまして、できる限り清算の必要のないような源泉徴収方式をとっておりますが、利子、配当につきましては大ざっぱな税率を盛りまして、源泉徴収をしております。その源泉徴収税率が現在二〇%でございます。つまり、利子、配当が発生いたしますれば、その支払いの際、支払い者は二〇%の源泉徴収の税率を適用いたしまして利子取得者に支払う。利子取得者はそれを三月十五日までに確定申告をいたしまして、いま申し上げました総合累進課税の適用を受ける、これが本法でございます。
第二は、大臣との間に質疑応答のございました、利子課税と、個人貯蓄と申しますか、貯蓄の動向との関連いかんという数字的な問題の御質問でございます。この点は、大蔵省と申しますか、税制調査会が昭和三十九年十二月に、先ほど御指摘になりましたように、長期答申の一部といたしまして、昭和二十五年からの、利子税制と、個人の可処分所得と、国民所得における個人貯蓄、さらにまた預貯金の増加傾向、この四つの項目に分けまして、時系列的にその相関関係を見たものがございまして、それが御指摘になった資料だと思います。詳しくは、大事な資料でございますので、あとでひとつ今国会中にも差し上げましていきたいと思いますが、そこで、ここで論じておりますことはこういうことを言っております。
まず、結論はこういうことでございます。「個人可処分所得の伸張と個人貯蓄の増加について昭和二十五年度から昭和三十八年度までの相関度をみると〇・九八二という高い相関係数となって表われており、これは個人貯蓄は個人可処分所得の伸びに相関しつつ、着実に伸びることを示している。」、これが結論でございます。その前に、ただいま御指摘のありました利子税制が変わったときにどういうふうに貯蓄が反応したかという点に、こういうことばで触れております。「第八十三表は利子課税の沿革と個人貯蓄の動向の推移を示す表であるが、これによれば、個人貯蓄は個人可処分所得の伸びに相関しつつ着実な増加を示しており、税制の変せんとの相関はほとんど認められない。すなわち、個人可処分所得の伸びが大きければそれを反映して着実に個人貯蓄も増加しており、」これからでございますが、「利子課税の特例の圧縮にもかかわらず貯蓄が前年より大幅に伸びているような年、」これは昭和三十四年でございます。これは昭和三十四年にいままで長期貯蓄が非課税でございましたが、一〇%の課税を三十四年に長期貯蓄の利子につきましても行なったことがございますが、そのような「利子課税の特例の圧縮にもかかわらず貯蓄が前年より大幅に伸びているような年(昭和三十四年)もあれば、逆に、利子課税の特例が拡充されたにもかかわらず貯蓄の伸びが鈍化している年(昭和二十八年)もある。」、昭和二十八年には、これまで源泉選択五〇%という利子税でございましたのを、分離一〇%課税という四〇%を軽減した年でございますが、その年には貯蓄の伸びが鈍化している、こんな例を示したのでございます。
いずれにいたしましても、これは昭和三十八年までの数字でございますので、比較的最近までの数字を入れまして、木村委員のところに、本委員会に提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/96
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097・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いまの利子所得は、所得税法三十七条によると、二〇%源泉で、それで総合課税ということになってくる。これは三十九年度は五%まで下げたんですから、ものすごく下げちゃったわけですよ。今度は一〇%に上げたわけですね。これは今度所得税法を改正しまして、最低の税率八・五%にしていますね。この低所得層との権衡はどうですか。前は、これは非常に不権衡であったということは明らかですよ。三十九年は五%に対して、低所得層の所得税は最低税率八%ですからね。勤労者の低所得層の最低税率が八%、そうして利子、配当の源泉税率が五%、こんな不権衡ないと思う。ですから、これは一〇%に上げた。上げたんですけれども、今度は八・五%に上げるわけですね、最低税率のほうも。この程度の権衡でいいのか。従来二十%の源泉の場合と、それから最低税率の権衡はどうであるかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/97
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098・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 木村委員の御指摘の、今回の所得税法におきまして〇・五%最低税率が上がることとの関係において、この利子に対するところの税率はどうか、権衡はどうかという御質問でございます。まず第一の、〇・五%を引き上げることについての御提案は、これも衆議院でずいぶん御質問がございましたが、私どもは一つの所得税の体系の中で控除との関係におきまして考えておるのでございまして、これは諸外国に比べましても、最低税率はまだまだ低いような感じでございます。この点につきましてはともかくといたしまして、確かに利子所得、配当所得につきまして分離課税を行なうような場合に、この最低税率との関係、最低税率のみならず上積み税率との関係から見て、私は問題もあろうかと、むしろこういった資産所得につきましては、上積み所得になるといたしますれば、そこは最低税率のみならず平均的な税率あるいは上積み税率との関連において相当考えなければならぬ要素があるのではないか。しかし、ともかくこれは政策的な要請というわけで、過去古くからでき上がっております。しかし、過去には源泉選択で五〇%という税率があった時代もございます。これらの分離課税のあり方につきまして、御指摘のように、来年三月が期限でございます。ひとつ根本的に検討してまいりたい。大臣も先ほど、現在は白紙である、やり方につきましてはなお検討しなければならぬ、こんなようなお話もございましたので、私どもも、これはいま御指摘のような点もひとつ加味いたしまして検討しなければならぬ、かように思っております。
ただ、一〇%ができましたのは、多分に沿革的なことだと思いますが、しかし、分離課税でございますから、理論的にはすべての所得者は分離課税の影響を受ける。たとえば無税の人も高い——高いと申しますか、税金を取られるような場合が文句なしに出てまいります。分離課税でございますから、基礎控除、配偶者控除、あるいは扶養控除といった控除がございませんので、文句なしに取られてしまうという面があるので、こういった低い税率が盛られていることの一つの根拠でございます。
しかしながら、御存じのように、元本百万円までの預貯金の利子につきましては非課税という制度が別途にございますので、それと加味してみますと、また御指摘のように、なお分離課税の税率は少しバランスを失するではないかという御批判が出ようかと思います。いずれにいたしましても、きわめて政策的な意図を含んだ特別措置でございますが、来年三月期限が参りますし、またこの点根本的に検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/98
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099・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今度公債を七千三百億発行しまして、その利子所得が分離課税になることによりまして、どのくらい減収になりますか、本法と三十七条と比べて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/99
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100・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 国債だけは私どもも詳しくは計算いたしませんが、利子所得の分離課税による減収額は、先般木村委員の御要求により提出いたしました資料に示しておりますように、四十一年度の減収額は二百七十億円でございます。したがいまして、その中に国債の利子に対しますところの分離課税分が入っておるということに御理解願えれば幸いに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/100
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101・木村禧八郎
○木村禧八郎君 税務当局としては、事務当局の考え方としては、これまでの税制の基本、税制調査会の答申にももちろんはっきり示されているのですけれども、やはり所得税を中心として累進課税というものを中心にして手がけていく、そういうことが中心で、それで間接税は第二義的に——第二義的というか、所得税の補完的というか、そういう基本の考えでやはり今後も進めていくのかどうか。私は、従来の所得税中心の税制は、これはシャウプ税制がそうであったのですけれども、いろいろな形でこれまでの改正によりまして、税体系というものがめちゃくちゃになっていると思うのです。ですから、ここで公債発行下における税制はまた再検討して、それで税制としても体系をここではっきりさせなければいかぬと思うのです。もうシャウプ税制のときは、たとえばシャウプも言っているように、シャウプが打ち出した税制で一つどこかいじっても全体が狂うということを言っておるのですが、それなのに、たとえば有価証券の譲渡所得、昭和二十八年までやりましたけれども、あれをやめちゃって、ほかの不均衡になる面を何でカバーしたかというと、何もカバーしていないのです。みんな部分的に企業減税に都合のいいようなことをやってきて、それで税体系としては支離滅裂といっては言い過ぎかもしれませんが、そういうような状態になってきた。ですから、税制調査会でもその点はしょっちゅう指摘をしており、答申しているのですけれども、問題は、政府がそれを尊重する、尊重をすると言いながら、実際にそのとおりの方向でやっていないところに問題があると思うのですけれども、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/101
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102・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 確かに、現在税制全般をも見直すべき時期に来ていると思うのでございます。ことしの四月からはひとつ、税制調査会におきまして、できる限り、当面の税制改正というような見地ではなくして、根本的な税制のあり方、ことに御指摘のありましたような昭和二十五年以来のシャウプ税制の何と申しますか、修正の結果起こっておりますところの現在のなかなか説明しにくいような税制、これについてやはり日本の土壌に合ったような、また日本の所得水準とかあるいは日本の蓄積に合ったような税制をひとつぜひ検討していただきたい、かように考えております。
なお、事務当局の意見はどうかというお話でございますが、私ども、個人的な意見になるかもわかりませんけれども、やはり所得税というものが税制の基本であり、法人税にいたしましても、間接税にいたしましても、私は多分に補完的なものであろう、やはり税制の中心は個人所得税であり、もう一つは資産課税としての相続税であろうかと思います。これにシャウプのように富裕税というものが加えられますれば、またそれも中心でございましょう。これは税務の執行から見まして、さらに、現在の蓄積の程度からはたしてこれがいいかどうか、まだまだ問題もございましょう。しかし、そんなような税が加えられますれば、少なくとも中心的な税制になろうかとも思います。さらにまた、所得税、相続税の間、あるいは富裕税の間はきわめて密接な関連のある税でございます。これに続く税が企業税としての法人税であろうし、間接税はその次ぐらいに補完すべき税目ではなかろうか、かように考えております。
しかし、現在の税制は、御承知のように、シャウプ勧告の法人擬制説もきわめて中途半ぱな形で残されており、さらにまた、その法人擬制説が、木村委員御指摘のように、配当所得なら二百十四万五千円までかからないというような、所得税がかからないというような形で評価されているような法人擬制説が、はたして、シャウプの意図ではありましたけれども、日本の土壌に合ったものであるかどうか、これあたりも御検討を願わなければならぬ。一方、企業は、そういいながら、配当損金算入というまた別の角度の法人税制を望む声もある。このように考えてまいりますと、やはりひとつこの際基本的に考えていきたい。しかしながら、所得税制も中心的な税制に持っていきたいのでございますが、これも所得水準の上昇に応じました所得税の構造にいつもしてないと、累進度があまり速いと、やはり勤労意欲を阻害するとか、社用消費が多くなるとか、種々の問題も出てまいります。さらにまた、木村委員も常に御指摘のように消費者物価が上がるような際には、減税の実感すらないというような問題もございます。したがいまして、わが国のように所得水準の伸びの速いところ、さらにまた消費者物価が現在のように上昇の傾向のあるようなときには、所得税についても中心的なものは据え置かなければならないといいながら、やはり減税の声は聞いていかなければならないと思うのでございます。昭和三十年、三十一年ごろには千百万ぐらいの納税者が、現在二千万もこえるような所得税でございますので、中心といいながら、これは検討は所得税についてまっ先にやらなければならないと思っております。
さらにまた、私は、いま申しました利子配当にいたしましても、課税標準はできる限り抜け穴のないようなものにして、所得税を完ぺきなものにするということは、やはり常につとめていかなければいかぬ。しかし、その間、政策的な要請も多いわけでございます。政策と税負担の公平との妥協、調整、これをどうするか、非常にむずかしい問題でございますが、これらを念頭に置きまして、税制の改善に常につとめていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/102
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103・木村禧八郎
○木村禧八郎君 配当所得の最低課税限二百十四万五千円、これは地方税はどうなったのですか。地方税のほうもやはり免税なんですか、配当だけの所得の場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/103
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104・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 御承知のように、地方税は地方税といたしまして昭和三十七年から別途の税制をとってまいりましたので、地方税は地方税として課税されることになっております。ただ、地方税制も過去の国税の配当控除のなごりで低目の配当控除がされておりますので、かからない限度はございますが、国税よりは低目の限度になっております。これはいずれ計算いたしましてお示ししたいと思いますが、国税とは違った住民税がかかる限度、こういうふうになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/104
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105・木村禧八郎
○木村禧八郎君 昨年の四十年度の配当の分離課税、源泉選択のね、あれを採用するときに、地方税のほうはこれを免税にするかしないかということがだいぶ問題になったわけですね。それで、衆議院の山中君は、地方税についてはやはり税金を取るというふうに改める。前は地方税も取らなかったらしいですね、三十九年までは。そういうことを聞いたものですから、現在どうなっているのか。いまお話承ると、国税のほうの二百十四万五千円よりは低い限度でやはり非課税になっている、こういうお話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/105
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106・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 私が二百十四万三千五百二十五円という、木村委員の御要求によりまして提出いたしました配当の非課税限度、この問題は総合された場合の話でございまして、分離課税になりましたら、こういったことは全く御破算になってしまうわけでございまして、分離課税になりました際には地方税はどうするかということの議論になりまして、その点をいま木村委員御指摘だと思います。したがいまして、この問題と全く別な角度の御質問かと思いますが、御存じのように、配当所得が年五十万円、一銘柄でございますが、五十万円以下のものにつきましては、もちろん同族、いろいろな制限がございますけれども、それにつきましては源泉選択一五%という選択ができるということが去年大騒ぎしました改正の内容でございます。それまでは、先ほど申し上げましたように、所得税も住民税にいたしましても、すべて総合でございます、源泉選択課税というようなものではありませんので。国税だけ去年からその原則が破れまして、一五%だけで済むということになったわけでございます。しかし、地方税はそういった特例措置を設けておりませんし、昭和三十七年から所得税と住民税は、控除にいたしましても税率にいたしましても、完全に国税から分離いたしました。したがいまして、税制上のたてまえといたしましては、地方税は依然といたしまして総合課税のたてまえが残っておる、こういうことでございます。
先ほど申し上げました国税の二百十四万三千五百二十五円も、総合課税がたてまえとして現在も残っておりますから、自分が税負担が安いと思う方は、総合しても二百十四万三千五百二十五円までは税がかからない、これを上回って税がかかって、上積み税率一五%こえる方だけが税がかかる、こんなかっこうになってくるかと思います。住民税は控除が国税と違っております。若干技術的な説明になりますが、二百十四万三千五百二十五円の計算根拠というのは、配当控除が一五%でございますから、実効税率が一五%になるところの総所得は何かということを調べてみますと、二百十四万三千五百二十五円になるわけでございます。つまり、ある所得から基礎控除、配偶者控除、これは夫婦・子三人で計算しておりますから、夫婦・子三人の扶養控除を引いて、そうして残りを課税所得といたします。そういった所得に課税いたしました実効税率が一五%になるところはどこかということを求めますと、二百十四万三千五百二十五円でございます。二百十四万三千五百二十五円に一五%かけました税額は、そこまでは配当所得についてはかからないということから、配当所得は御存じのようにその税金が所得税で一応計算されます。しかし、配当所得に一五%かけたものを差し引くから、そこでゼロになってしまう、そういった計算をして求めたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/106
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107・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうすると、源泉選択をやって、一五%じゃなく一〇%の場合は、分離じゃないわけですね、一〇%の場合は。そのかわり配当控除があるわけですね。ところが、一五%の場合は配当控除がないわけですね。それで、配当所得どのくらいの場合、源泉というか、総合と分離、その境目ですよ。幾ら以上が分離したほうが得で、幾ら以下が総合で配当控除をもらったほうが得であるのか、その分起点というのか、何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/107
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108・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) ただいま御指摘のように、総合課税の際には一五%の配当控除がございます。源泉選択一五%を選ぶ人には配当控除なしということでございます。そこで、どのあたりから得になるかという御質問でございますが、まあ、こういうことだと思います。現在配当控除が一五%でございますから、源泉選択一五%という方は三〇%の税金が課税されると考えればいいわけでございますね。そうしますと、現在三〇%の上積み税率の適用をいたしますところは、課税所得にいたしまして百八十万円までが三〇%でございますから、百八十万円をこえますと三五%になってまいります。したがいまして、この課税所得百八十万円以上の方は源泉選択を取ったほうが得だということになるわけでございますね。課税所得でございますから、夫婦・子三人の課税最低限をこれに大体プラスすればいいということになります。現行法では五十六万をプラスすればいいわけでございますから、百八十万円に五十六万足しますと、まあ二百三、四十万。そういう総所得のある方は、これは給与所得者で見ております。事業所得者とは違ってまいります、一応の計算でございますから、絶対的な資料としてお使いいただいてはあれですが、これは大ざっぱな目安というふうにお考え願いたいと思います。二百三、四十万の総所得を持つ方で上積み所得として配当を持たれる方は、源泉選択のほうが得である。もちろん、上に行けば行くほど源泉選択したほうが得になりますが、一応はそういったところが一つの目安かと——私も主税局長にことしなったばかりで、去年どんなような資料がこの委員会で提案され、どのような論議があったか知りませんが、私の大ざっぱな見当はそんなふうに、見積もればいいのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/108
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109・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、少しこまかい質問なんですけれども、たとえば配当所得五千万円の人を仮定しまして、その人が配当の分離課税をしたほうがもちろん得であると思って、一五%の源泉課税を選択しまして、その場合に、この改正前と改正後、どのくらい税金が違ってくるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/109
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110・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 五千万円ぐらいになりますれば、おそらく現在の税率が課税所得が四千五百万円をこえれば七〇%まで行くことになっております。そこで、控除等はありまするけれども、おそらく実効税率といたしましては、まあ六割ぐらいが税金になろうかと思います。そういたしますと、五千万円で税金が三千万円の方が、ただそれが全部配当所得だといたしますと、それから上のほうになりますと、課税所得千万をこしますと、現在の配当控除は七・五%でございますので、したがいまして、そこで七・五%を引きますと、大体五〇ぐらいになりましょうか。そうしますと、五千万円の方が二千五百万ぐらいな所得税を源泉選択課税ができる前は納めておったであろうと。配当所得が相当多いものであろうと仮定いたしますとそうなりますが、それが一五%に下がりますので、五千万円の一五%でございますから、まあ七百五十万というぐらいが——これもきわめて大ざっぱな目安で、基礎控除とか人的控除は全く配慮いたしておりませんし、こまかい税負担は計算しておりません。おそらく去年こんなような資料が出たかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/110
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111・木村禧八郎
○木村禧八郎君 一応まあ去年もそういう資料をいただいたわけなんです。こうした資本蓄積のための利子、配当の分離課税によりまして、やはりこの特定の所得階層がものすごい減税を受けるわけですよね。それを一般の国民は知らぬと思うんですよ。こういうことを知りませんよ。利子、配当分離課税とはどういうものかといったって、それはわかりませんよ、むずかしくて。ところが、いまの主税局長の御説明で、五千万円全部配当所得と仮定した場合、そういう人が旧法ですと二千五百万円の税金を払ったものが、源泉選択やると七百五十万円で済むと。わかりやすくいえばですよ、そういうことになる、具体的にいえば。まあ多少の出入りがあるとしましても、こういうことをはっきり国民に知らしたら、こんな不公平な一体減税があるかということになると思うんですよ。こういうことを国民が十分知らぬから、この利子、配当の分離課税について、たとえば大蔵大臣が昨日の衆議院大蔵委員会で、この廃止には消極的だと、こういう新聞記事が出ましても、わからないと思うんですよ。なぜわれわれ革新政党が、税制調査会の答申に基づいてこれを廃止すべきだと、こう主張しているのか。具体的にこの計数によって計算すれば、いまお話したようなことになるのです。これによってまあメリットがそれ以上に大きければ、われわれもそんなむちゃなことを言うわけはないんですね。デメリットとメリットを計算して言うのであって、いまお話ししたように、具体的に計算してみると、これではね、納税意欲をこれはもう減殺してしまうと思うのです。こういうことがわかればですね。
ですから、私は前向きな形、つまり税制調査会の答申にあるような方向でね、来年すぐに全部これを廃止するということになるとショック受けるかもしれませんから、しかし、来年はこれをどの程度に縮めるか、まあ二ヵ年計画、三ヵ年計画でこれを廃止するかですね、そういう点についてははっきりさせるべきだと思うのですね。これは非公式でありますから、われわれ言質とるわけじゃないですけれども、前の山中試案では三ヵ年間に廃止するというそういう試案だったわけですよ。自民党の山中試案でさえ三ヵ年間くらいで廃止するという方向であったわけですよね。それがね、また非常に後退してしまうということになると、これは非常に今後の税制の民主化にとって問題です。特に公債発行下のこの税制が一そうまあ後退してしまうということにまあなると思うのですがね。
それで、まあ大蔵大臣が来てから最後の詰めをこれはどうしても質問しておかなきゃならぬと思いますが、じゃあそれまで事務当局にお伺いしておきたいことがまだあるのですが、それはこの財政法四条です。主税局長、これはあなたのほうの係じゃない。法規課長にでも聞かなければいかぬかな。法規課長いますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/111
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112・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) ちょっと、私も財政法は全く無知でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/112
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113・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/113
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114・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/114
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115・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それじゃ、ほかの質問いたします。
最近株価が非常に上がってきたですね。いまのこの有価証券の譲渡所得は、これは取引税になっちゃって、シャウプのときの有価証券の譲渡所得税は廃止されているわけなんですね。最近、これは目の子勘定でいいんですけれどもね、ことしの一月ごろからダウがどんどん上がっている、こういう場合に、一応有価証券の譲渡所得を復活した場合にどのくらいの税収があるものか。
それから、もう一つです。土地のほうの譲渡所得はですね、現在どういうふうに捕捉しているのかですね。どういうこの課税のしかたをしているのか。非常に地価がこう上がっているわけなんですが、もしこの土地の譲渡所得が適正に把握され、特にまあ投機的な土地売買も問題になると思うのです。これが正確に把握されたらね、この土地の譲渡所得税というものが非常に大きなものになり得るのじゃないかと思うのですがね。この実態は一体どうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/115
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116・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 二つ御質問がございましたが、いずれもまあ譲渡所得に関連する御質問でございます。
まず第一は、シャウプ勧告があそこまで力を入れました譲渡所得のうちの有価証券に関するものでございますが、これを現在非課税にいたしております。で、御承知のように、なかなかその課税がむずかしい、実態がつかめないのは、有価証券譲渡所得でも、私も昭和二十八年までその経験がございまして、非常にむずかしい問題でございます。
まあ特にその取得価額をどういうふうに見てまいりますかということが、なかなかまあむずかしい問題でございますが、現在の状況のもとにおきましてまあどの程度の減収となっているかを、これも木村委員の御要求に基づきまして、特別措置の減収額一覧表の中に出ておりますが、三十億円ばかり。これは過去の株式を取得した取得価額をどういうふうに見るか、これにもよりましょうけれども、去年、おととしくらいは有価証券の譲渡所得税はむしろマイナスといった状況だと思います。長く通算してみますと、そういうような過去の損失を引かなければならぬようなこともありましょう。現在の所得税法は損失は五年間繰り越しというような制度もございますので、その場合をも一応考慮いたしますと、三十億円ばかりの税収が生じようかというふうに私どもは見ております。
もう一つ、この次は土地の譲渡所得でございます。これは現在譲渡所得のうちで基本的なものとして残っております。こまかいといいますか、実際における譲渡所得の把握関係につきましては国税庁のほうから御説明があろうかと思いますが、これは個人、法人とも——法人の有価証券譲渡所得税は、これは現在課税になっておりますが、個人の有価証券の譲渡所得は非課税でございます。土地の譲渡所得税は法人、個人ともに現在のところ課税になっております。私どもは、幸いにいたしまして、土地のほうは、登記所から、登記という第三者に対する対抗要件があるために、登記所から資料をいただきまして、これに対しまして譲渡所得税を課税しておるわけでございます。
ただ、御存じのように地価が上がっておりますが、大部分その土地価格は相対売買で、継続的な記録を持たない。企業だけが売ったものではございません。そのためになかなかおっしゃるように、おそらく国税庁から御説明があると思いますが、捕捉もむずかしい点がございます。
第二は、これは御存じのように、収用、買いかえ、交換、こういった税制が非常に複雑になっておりまして、納税者はもちろん、税務官吏ですら理解できないような制度になっております。こんなような関係で、実は譲渡所得というのは発生したように見えましても、たとえば収用の場合とか、あるいは一ぺん売りましたけれども、またその金で資産を買いかえたような場合には、課税にならないというようなことになっております。そんなような関係で税務の面若干の混乱があろうかと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/116
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117・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから次に、物品税について伺いたいのですが、新聞によると、物品税を減税しても、それだけ価格が下がらないのじゃないかといわれているわけですね。それで、たとえばきょうの日本経済新聞によっても、通産省は四月一日から物品税減税によって小売り価格を引き下げるよう関係業者に正式に通達したというのですね。そうなっているのですよ。で、通達はしたのでしょうが、多少下がるものもあるにしても、減税分だけ下がるわけでもない。
しかも、今度この物品税減税の目的がどうも非常にはっきりしないのですよね。まあぜいたく品とまではいわなくても、日常の必需品でないものについてかなり免税点を引き上げたり、あるいは税率を下げたりしているわけですよね。その目的がどうもはっきりしないのですよ。それで、もし物価値上がりによる国民の家計負担を軽くする、そういう意味での物品税の減税なら、いま逆進性の一番強い、たとえば酒税とか、たばことか、そういうものを減税すべきであり、今度の物品税減税の対象になったようなものを減税してもそんなに私は物価値上がりによる家計負担の増加を緩和するというような効果はないんじゃないか。業者の利益を多くする。もちろん、業者の利益が多くなれば業者自身が物を買って、多少は有効需要もふやすかもしれませんが、私は一般勤労者のほうの家計負担は緩和されない。何をねらってやったのか、そこのところをはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/117
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118・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) ただいまの御質問は、物品税の引き下げにかかわらず価格がそのとおり下がるかどうか疑問もある、そうなると物品税の減税というのは何がねらいでやったのかと、こういうふうに御質問されたように承ったのでございます。この点も、私どもは、衆議院の大蔵委員会におきましてもずいぶん御質問がございましたし、お答え申し上げたところでございますが、最近の経済情勢を見ますと、三千六百億円をこえる減税が行なわれたのでございます。そのねらいは所得税の負担の軽減を通じて有効需要の拡大というような趣旨が述べられておりますが、物品税につきましても同じような趣旨がまず第一にあろうかと思うのでございます。企業減税も行ないましたが、何といっても中心は所得減税であります。そのねらいはまた同時に、負担の軽減のほかに有効需要の喚起ということがあろうかと思います。
物品税も、おっしゃるように価格の引き下げは、基本的には消費者の負担でございますから、行なわれると思いますけれども、いずれにいたしましても、三百四十七億円の平年度の物品税の減税は、これは購買力のほうに向かうことはもう間違いない。一部はもちろん貯蓄にも向かうかもわかりませんが、大部分は、価格の低下がございますれば、同じような物品に向かう場合もございましょうし、その他の物品に向かう場合もございます。有効需要の喚起が第一でございます。
第二は、おっしゃるように、若干国民の必需品的なものを離れての減税も物品税に見られるではないか、こういった御主張がございます。この趣旨は、私どもは有効需要の喚起を通じ、国内市場を拡大いたしまして、輸出振興をはかりたい。コスト引き下げによるところの輸出振興をはかることもひとつ、減税のねらいであろう。これが第二のねらいでございます。
それから、第三には、消費税と申しましても、やはり市場の状況によりまして物品税の転嫁はむずかしいような場合がございます。これは大企業にもございますが、特にむずかしいのは中小企業の場合である。さらにまた、零細企業の場合には多かろうと思います。ぜいたく品は、小売り店等に並びますとまことにきらびやかでございますが、その製品は零細な企業がつくっておる場合が相当多いのでございます。これも私は究極的には消費者の負担になるものだと思いまするけれども、その間の苦しみは相当中小企業者に及ぼしているのではなかろうか、こんなようなふうに見られるのでございまして、第三には、零細企業者の負担の緩和、手数の軽減、こういった角度からの物品税の減税が対象として取り上げられる。
こういった三つばかり大きな改正のねらいがあるわけでございます。そんなような見地から見ますと、酒税、あるいはたばこ、こういった税よりもやはり物品税のほうが、私は輸出の面から見ましても、零細企業の面から見ましても、有効需要の観点から見ましても、酒税やたばこ消費税の軽減よりも効果があるのではなかろうか。もちろん、これも木村先生御指摘のように、価格引き下げいかんにもよろうかと思います。今後の経済事情にもよろうかと思いますが、そういった意味では、物品税は昭和三十七年以来取り上げられていないだけに、この際取り上げる、そして現在の経済情勢に即するような経済政策の一環として減税を打ち出したらどうかと、こういった点がねらいでございます。
もちろん、価格の引き下げ等につきましては、私どもも通産省、企画庁と協同いたしまして、現在努力中でございます。私どもは、四月一日からできる限り減税額そのまま引き下がるようにしたいし、働きかけております。三十七年にも減税が行なわれた際の結果を見ますと、中にはもちろんまるまるというところでないところもございましたが、おおむね所期するような減税の効果が見られたようでございます。このことは、やはり物品税がまだ残っておりますし、将来の減税への期待を考えてみますと、今回も、これからの指導いかんによりましては、物品税の減税による価格の引き下げは相当期待できるのじゃないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/118
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119・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、今度の税制改正と関連して非常に重要な点は、物価の値上がりと減税との関係なんですがね、この点はあとで大蔵大臣にも聞かなきゃならぬけれども、史上最大の減税をやっているということを盛んにPRしております。しかし、これは実質減税でなければならぬはずなんで、他方で政府の減税以上に、公共料金とかあるいは米価とか、そういうものの値上がりによる負担増加をもたらしたんでは意味ないんですけれども、政府はそういう場合、全然切り離して考えるかどうか、まず事務当局のお考えを承りたいのですが、政治的には大臣に伺いますが、事務当局は減税を考える場合、物価との関係をどう考えていますか。
特に、これまでも、昭和三十五年から始まりましてずっと、三十六年以後は六%以上ずつですね。ただ三十九年だけが四・八%の消費者物価値上がり、そういうものがあったわけですが、あとはみんな六%以上ですよね。そういうときに減税を大蔵当局として、事務当局として考える場合、物価と全然関係なく減税というものを考えているんですか。そういう減税の作業をやるものかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/119
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120・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 木村委員から、物価、特に公共料金によりますところの物価の値上がり、これと減税との関係いかんという御質問でございます。私どもはやはり、減税と御指摘の公共料金引き上げとは全く別の角度の問題であろうというふうに考えております。減税は減税といたしまして、そのときの納税者の負担力を考えまして減税をしようという財政経済政策であろうかと思います。公共料金の引き上げは、国鉄のサービスの改善等を目的といたしました、これは公共料金のみならず、すべての民間物資について値上がりがありますることと同じような観点からの、一つのサービス改善等に基づく引き上げであろう、国民健康保険にいたしますれば、これは適正な給付を目的とする引き上げであろう、かように考えております。
しかし、たとえば三千六百億円の平年度の減税がやはり三千六百億円ばかりの公共料金の引き上げで相殺されるのではなかろうかと、こういった御質問がよくあるんでございますが、いまのような角度からは、別途にまたこれは考えるべきであろう。しかし、木村委員御指摘のように、全く関係がないかといいますと、こういった公共料金の三千六百億円を引き上げます際には、これは消費者物価に及ぼす影響として税制上どう考えるべきかという問題はあろうかと思うのでございます。私は、各種の公共料金は四十一年度の消費者物価の五・五%の引き上げの中に入っておるものだと思うのでございます。そうなりますと、木村委員いつも御指摘のように、消費者物価五・五%上がったときに、所得税の消費者物価調整減税はどうなるかといった問題でひとつ御判断願えるのじゃないか。そういった意味では、所得税の減税は確かに消費者物価との関係において関連が出てくる、かように思います。しかしながら、公共料金との関連は私はないというふうに考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/120
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121・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それは非常に税務当局として重要な問題だと思うのですよ。関連がないという考え方では、これは私はいけないのじゃないかと思うのです。と申しますのは、単に国鉄料金の値上がりによる負担が多くなると、片一方の減税と比較して相殺される、そういう単純なものじゃないんですよ、それは。もし国鉄料金を上げなかったら、だれが負担するかという問題ですよ。そうでしょう。それは料金引き上げという形じゃなければ、たとえば国鉄の事業債を発行するとか借金の形、あるいは一般会計から国がこれをめんどうを見るという、そういう形ですね、そうなると、国鉄の建設の費用をだれが負担するかという問題に帰着するんですよ。ですから、負担の問題なんですね。
そういうときに、たとえば今度租税特別措置というのが問題になっていますね。租税特別措置、これは税制調査会で廃止しろということになっておりますから、税制調査会の答申どおりに廃止した場合、そこへ税源が浮くでしょう。そうした大企業とか大所得者が減税になる分を減税しないで、それを国鉄の面、建設費のほうに向けるということになれば、これはそういう人たちが、所得の多い人たちが事実上建設費を負担することになるので、公共料金の値上がりという形になりますれば、一種の間接税という形になる。大衆課税と同じことになるんですよ。間接税よりももっときびしい税金と見るべきですよ。間接税という場合なら、たとえばいままで晩酌二合やっていたのが一合に節約できますけれども、国鉄の場合は節約できないですよ。通勤者が、たとえば私は大井ですが、大井から東京駅まで通っている。今度は国鉄運賃が上がったから、有楽町でおりて、あとは歩いていくなんていったら、有楽町から東京駅分を節約すれば、それは出動に間に合わなくなる。そういうことはできないですよね、実際問題として。ですから、そういうふうに考えるべきであって、これは関係がないというふうにどうも私は考えちゃいけないのじゃないか、こう思うのですよ。
ですから、今後、事務当局として、この税制の問題あるいは減税の問題と取り組む場合、さっきの消費者物価の値上がりの場合の物価調整、これを考えるようになったことは、これは三十八年度の税制調査会の答申から考えるようになったので、これは一つの進歩ですよ。一つの進歩であると思う。ただ、それによる税制調整がはたして十分であるかどうかは別問題です。消費者物価が五・五%上がるから、基礎控除を幾らぐらいに、扶養控除を幾らぐらいにと、それの調整がうまくできているかどうかは別問題としまして、いまのような公共料金の値上げ、つまりこれは私どもは、独占的な価格、料金の引き上げは即実質的な増税と見るべきだ。それも、間接税よりもきびしい増税と見るべきだ。たとえばお米の値段が上がるでしょう。じゃ配給を辞退するというわけにいかない。水道料金が上がる。じゃ水道を使わないというわけにいきませんし、節約するわけにもいかぬでしょう。やはり日常使っているだけは使うのです。そう考えると、間接税の増税よりきびしい強制力を実質的に持っている。こういう見方でないと、今後料金がだんだん上がるときに、税務当局はですよ、関係ないという形で減税を考えたのでは私はいけないのじゃないかと思う。だから、そのときには、事務当局は、減税したって片方で実質的増税が行なわれたならば何にもならないじゃないですかということを大臣にも進言すべきですよ。この点いかがですか。あなたをあまり責めてもいかぬけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/121
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122・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 木村委員の御指摘の意味も、私もうなずける点があるのでございます。確かに値上げしないで、むしろ減税をやめて、その部分を一般会計から国鉄会計あるいは健保に、あるいは国保につぎ込んだらどうか、こういうふうに承るわけでございますが、私はやはり、これはまた繰り返すようでございますが、やはりサービス会計、一つの企業会計はそれ自体の収支でまたまかなうべきである、受益者がまたそれは負担すべきであるという考え方をとるべきだと思うのでございます。そうしなければ、受益者と離れて一般会計、すべての国民の納税者がこれを援助するということも私はおかしいし、このことは税制として財政上の分配としましても非常にゆがめられたかっこうになりはしないか、企業の採算もそういった意味で曲げられはしないか、これはそういうふうに思います。これは考え方の相違になりますので、くどく申し上げません。
しかし、いずれにいたしましても、公共料金等の引き上げのみならずすべての価格の引き上げは、消費者物価の引き上げの形になってあらわれますので、これは税制上ひとつ、木村委員の御指摘のように、常に私どもは注意してまいらなければならない、かように思いますので、その点はひとつ研究してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/122
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123・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それから、たいへん主税局にはめんどうな計算をお願いしたのですけれども、煩をいとわず試算をしていただいて、その点についてはお礼を申し上げたいんですが、この「消費者物価の上昇に伴う所得税の物価調整減税所要額の試算」というものをやってもらったわけですね。これを簡単に説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/123
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124・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 木村委員の御要求によりまして、二つ消費者物価調整減税につきましての所要額の試算を提出いたしております。前年も御要望によりまして提出いたしましたが、この御要望は、前年度の資料は今回提出いたしました中にも入っておりますが、(2)のほうの考え方でございます。消費者物価調整減税をどういうふうに見るか、なかなかむずかしい問題で、ございますが、前年も出しましたもので、つまりこれは税制調査会で指摘したものでございますが、ここに算式がございます。
この考え方はこのような考え方になっております。消費者物価が上がるような際には、五・五%消費者物価が上がりますと、すべての人の所得は何%か上がりますが、少なくとも五・五%は上がるであろう。そういたしますと、消費者物価が上がる前に納めておりました所得税が所得が上がることによって何がしかふえてまいります。そこで、税制調査会の考え方は、五・五%所得税が上がる部分は、これはしかたない。しかしながら、所得税は御存じのように八%から七五%まで所得の刻みに応じて上がっていきます。五・五%上がることによっても累進度が八からあるいは一〇に上がり、一〇から一五に上がり、一五から二〇に上がる方が相当出てくるわけでございます。その累進度を適用するのは酷ではないか。それはまさしく名目的な所得の増加であるのに、なぜ累進度を適用するかという考え方がありまして、その考え方をとりまして、そういった消費者物価の上昇に見合う所得の上昇分、この上昇に伴いますところの所得税の累進度の上がりだけを調整しようというのが税制調査会の答申の結果でございまして、御指摘の点は、昭和四十一年度には五・五%上がりますれば三百四十億円調整しなければならぬと、こういう考え方になります。備考にあります算式はそのことをあらわしております。所得税の弾性値というのはそういう意味でございます。
しかし、この考え方は、私がまあ気がついたのでございますが、はて消費者物価が上がるならば全部の所得者についてそういうふうな所得の上昇があると見るのがいいのかどうか。最高の四億円なら、松下さんまで五・五%上がっていくというふうに考えて、それを調整しなければならぬというのかどうか、少しこれは疑問である。で、私どもは、まあ消費者物価が上がった際に考えるべきは、所得が上がろうが上がるまいが、やはり生計費に及ぼす影響を考慮されておるのであろう。そうなりますと、生計費をつかまえていくのが至当であろう。そういたしますと、税法上の生計費、これをとっては恐縮でございますが、これをあらわすものといたしましては課税最低限があるであろう。現在は五十六万四千円ばかりの課税最低限でございますが、これを五・五%だけ上げなければ、その生計が苦しくなった部分に課税することになるではないかというふうな考え方をとりました。この考え方ならば、最高の所得者もやはり五十六万四千円の五・五%だけ、それに見合う税金だけ調整すればいいという考え方になるのでございます。したがいまして、この考え方ならば、五・五%を乗じますと四十一年度は二百九十億円となります。したがいまして、その差五十億円だけでございます。こういった考え方も一つお示しさしていただきまして、この問題のひとつ発展に寄与できればといった意味で、二つ出したわけでございます。
大蔵省は消費者物価調整減税について考え方を変えたのではないかという新聞報道が流れたわけでございますが、私は一つも変えておりません。税制調査会の考え方も一つの考え方でございます。で、私が今度御提案申し上げてお示ししておる数字も、考えて決して間違っておるとは思わない数字でございますので、これを出したわけでございます。
なお、七・七%という四十年度の消費者物価の上昇率を、まあ最近は七・五ぐらいになるだろうというふうに言っておりますので、これはまたちょっと直さなければなりませんが、御要求がございましたので、これをもう一ぺん再計算したも
のが示されておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/124
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125・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうしますと、四十一年度所得税を政府は千二百八十九億減税ということになっているわけですよね、初年度ね。この物価調整を考えると、大蔵省のこの考え方ですね、物価調整の考え方、これはまあ私も大蔵省の考え方のほうがどうもいいような気がするのですがね。こんなこう高額所得の人まで調整する必要はないと思いますけれどもね。だから、大蔵省の考え方を採用するとして、約三百億ですね、二百九十億か、物価調整すると千二百八十九億から三百億引いたものですね、まあ約九百八十九億ですか、これがこの減税というものではないかと思うのですよ。ところが、その物価調整分を加えて政府は減税減税と言うわけです。前に泉主税局長のときにもこの問題論議しまして、今後は誤解を与えないように、減税のうち物価調整分は幾らですとはっきり国民にわかるように発表すると、こう言っておりましたが、そういうことがどうもされていないようですね。これはやはりはっきりとさせるべきだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/125
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126・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 私どももこういった御論議があることが所得税制の進歩であろうと思いますので、こういった面はできる限り発表し、税制調査会の審議の際にも今後御指摘のようにいたしてまいりたいと思います。
なお、ただいま木村先生から数字の御指摘がございましたが、千二百八十九億円という所得税の減税が一応表になっておりますが、なお企業減税のほうに、専従者控除の引き上げの形で所得税の部分が企業減税のほうに入っておりますので、なお詳しく申し上げますれば、四十一年度の所得税の減税額は千三百四十四億でございます。したがいまして、二百九十億円引けば千五十四億円であり、三百四十億円引けば千四億というのが四十一年度の実質減税というふうに考えられるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/126
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127・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはいずれにしても、このたてまえとしては変わらないわけですよね。ですから、政府の千三百四十四億円の減税にしましても、それがいわゆる実際の減税ではないのであって、それから二百九十億あるいは三百四十億引いて残りを減税と見なければいけない、こういうことにしないと非常に不正確ですよね。
そうなると、戦後最大の減税ということが、これは非常におかしくなってくるのですね。ですから、前はこれより減税額は少なくても、物価が上がっていなかったから、物価調整しなかった場合もあるわけです。ところが、最近では物価がうんと上がりましたので、物価調整分の減税というものが相当含まれている。ですから、それは選挙対策として選挙民に錯覚を与える選挙戦術としてはいいかもしれませんが、しかし、それではいけないのであって、そういうものはやはり正確に国民に、家計に実際に及ぼす減税というものはこういうものであるということを知らせなければいけないと思う、こういう意味で私は質問しているわけです。主税局長はどういうふうにお考えですか、その点は。やはりそういうものは正確にする必要があるのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/127
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128・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 御指摘のように、消費者物価調整減税が所得税の減税のうちには含まれるというお話、これもまさしく一つの考え方でございますし、大事なことでございます。今後そんなような点も十分気をつけてまいりたい。
ただ、過去の減税額もそういった観点から調べてはみましたけれども、やはり調整減税、これを見ましても、今回の減税が大きいことはまあ大きいようでございます。絶対額ではございますが、それは事実でございます。しかし、消費者物価値上がりも今回は見られますし、まあ、しかし五・五%が過去に比べますと少しダウンしておりますので、こんなような結果になろうか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/128
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129・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そういう物価調整の問題、それから公共料金の値上がりの問題等、よく総合的に考えてみますと、戦後最大の減税ということは、これは実質的な意味で戦後最大の減税じゃないのですね。ただ、この減税の金額だけは、なるほど、調べた数字をいただきましたが、それは戦後最高額の減税ですよ。しかし、それがどれだけ国民の生活にとって実質的に意味を持っているかというと、そんな選挙民をだますと言っては悪いかもしれないけれども、税制に暗い選挙民に対して、ただたくさん名目的に減税したように見せて、実際に物価調整等、それから公共料金の値上がりによる負担増加等、しかもそれが実質的には間接税以上にきびしい増税ということなんですから、そうすると、戦後最大の減税というものは非常に怪しくなる。そういうふうにやはり具体的に減税というものも明らかにしなければいけないんじゃないかと思うんですよ。
ただ、何かわれわれからいうと、党利党略的にいかにもたくさん、佐藤さんが前に三千億円所得税減税すると言ったが、その公約に従って名目だけは三千億以上にしたけれども、その中身を見ると、実質的にそうではないというのではいけないんじゃないかというふうに思います。これは議論になりますが、これに対して主税局長は反対であるはずはないので、これは大臣と論争しなければならぬ。
それでは、今度、法規課長さん見えましたから、伺います。財政法四条制定の精神ですね、この間予算委員会で質問したとき、私はこれは三つある。
一つは、公債発行によって信用膨張をもたらし、インフレになる危険があるということ。それを防止するために、公債発行にきびしい制限を設けたということ。
それから、第二には、過去の経験から、防衛費、軍事費というものが、公債発行によって安易に一般会計の財源調達が可能であると、これが膨張しやすい。そこで、過去の戦争中、日銀引き受けで公債がどんどん発行されて、それで戦費調達が容易であった。これは税金で負担したら、とても国民は税負担にたえられないから、戦争に反対してああいう戦争に巻き込まれなくて済んだんじゃないかという反省もあるわけです。そういう防衛費なり軍事費の膨張を可能ならしめた、また軍国主義に逆転する危険もある、こういう点が公債の発行をきびしく制限した第二の理由だ。
それから、第三は、いままでずっと質問してきたんですが、公債発行下における税制の問題ですね。安易に公債によって財源が調達できると、租税負担公平の原則に基づいて取るべきところから税金を取らないで済ませる。むしろ逆に、利子とか配当というような不労所得のほうを資本蓄積の名によって、公債発行によって減税してしまう。そうすると、租税負担公平の原則にもとる。これは財政民主主義にも反するものであるから、むやみに公債発行を一般会計でできないようにきびしい制限を設けた。
この三つが財政法四条の根本の精神だということは、私はこれまで調べてそうだと確信しておったのであります。ところが、予算委員会で大蔵大臣にこの点聞きましたら、大蔵大臣は、自分は財政法四条ができた当時の立案者の意向をいろいろ聞いてみたところ、第一の、公債発行によってインフレになる危険がある、こういう点ですね、これのみが財政法四条を制定した根本の精神であって、私がさっき申しました第二、第三の理由は、これは四条を制定した精神に入っていないと、はっきり言われたんです。それを、そこで事務当局に伺いたいんですよ。その財政法四条を規定したあの当時の経過です。
それで、あの当時どういう論議が行なわれて、そしてどうしてあの四条の制定になったか。あんな非常に四条、五条はきびしい制限ですから、その点を政治的な考慮抜きで伺いたいんですね。その経緯を、大蔵大臣は何を根拠として、一体だれに聞いたか。あの当時の立案者にいろいろ聞いてみたというんですよ。そうしたら、木村君の言う三点じゃない、ただ一つの理由だということでございます。ですから、だれに聞いて、そうしてだれの進言によってああいう御答弁をされたのか、その点を伺いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/129
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130・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 大臣から答弁を申し上げましたのは、ただいまの先生のおあげになりました三つの理由のうち一つだけだというお話でございました。大臣に対してだれがそういったことを言ったかというお尋ねでございますが、私はちょっといま承知をいたしておりませんので、至急ちょっと確かめたいと存じますが、財政法四条のこの制定当時のいろいろないきさつは、当時立案にかかった責任者はいままだずっとおられるわけでございまして、その方たちにもよく確認をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/130
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131・木村禧八郎
○木村禧八郎君 さっきの利子、配当の特別措置についてはあとで伺いますが、いま法規課長に伺ったことは、この間の予算委員会で、財政法四条制定の精神はどこにあるかという質問をいたしました。私は三点あげたのですよ。大蔵大臣は、私があげた第一の、公債によって一般会計の財源を安易にまかなうと信用膨脹をもたらす、インフレになる、この一点だけが財政法四条を制定した精神である、それは当時の立案者等に意見を聞いたところがそういうことであると申されましたので、一体だれにそういう意見を聞かれて、何を証拠にしてそういう御発言をなすったか。これは重大な問題なんです。
われわれは、財政法四条の制定の精神は、公債発行で単にインフレにならなければいいという問題だけではないのです、あれは。それは税制が非常に不公平になる危険がある。取るべきところから税金を取らないで、安易に公債で財源をまかなってしまう、そういう可能性も出てきてしまう。それから、戦費調達の問題、あるいは防衛費の調達の問題、この二つも第一の点に劣らず重要である、私はそう聞いている。また調べてあります。ですから、大蔵大臣は、私があげた、ことに社会党が非常に重要視しているところの、ただ公債発行でインフレにならなければ公債を発行していいという問題だけではなくて、インフレの問題も重要であるけれども、財政民主主義、税負担の公平の問題も重要なんであるし、それから防衛費の調達が安易になるということもこれも重要である。そういう三つの点を考慮して、財政法四条で公債発行を非常にきびしく制限したと聞いているのです。
それで、大蔵大臣は何を証拠に第一点だけであるということを私に御答弁されたか、その根拠を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/131
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132・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘のように、木村さんは三点ある、こういうお話です。私は、第一点、これが立法の趣旨であろう、こういうふうに思う、こういうふうに申し上げたのですが、あの当時この問題に最も関係しておりました河野一之さんなんかの意見は、いろいろ考え方はあったろう、あったろうが、つまるところは、公債が乱に流れる傾向を持つ、したがって、これは安易に公債を発行するということをしてはならぬ、こういうことを言っているんだろう。いろんな意見はあったということは私も聞いていますが、根本はそこにある、こういうふうに考えて、この間申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/132
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133・木村禧八郎
○木村禧八郎君 河野さんはどうも財政法制定について、当時主計局次長であったのですけれども、そういう経緯をよく知らないようなんです。そういう知らない人に意見を聞いて、それで断定を下すことは、私は非常に不見識だと思うのです。
それで、財政法四条の中の公債償還の問題について私質問したでしょう、あのとき。財政法四条で、その年度に発行した公債の銘柄について償還計画を立てなければならないという、そういう四条の規定になっている。実はこの規定に基づけば、当然政府は、四十一年度の今度の七千三百億についても、あるいはまたこの間の特例措置の二千五百九十億のあの赤字公債についても、あの赤字公債自体の償還計画を出さなければならぬ。今度の七千三百億は、これは特例法でなく財政法四条に基づいて出すわけですけれども、その場合も七千三百億という公債の銘柄についての償還計画を出さなければならぬ。ところが、政府の説明は、あの予算総則の中に全般的な公債償還についてただ説明しているだけなんですよ、予算総則の中で。その特定の銘柄についての償還計画は出してもおりませんし、これは財政法違反であることは明らかである。
私はそのことを追及しましたら、当時の財政法を制定した人たちにいろいろ話を聞いたら、どうしてああいう条項を規定してしまったのか、よくわからぬと言っていると。ところが、聞いた人がだれかといえば、結局河野さんとか、もう一人野田さん。野田さんはあのとき主計局長で、あるいは野田さんは知っているかもしれませんけれどもね。そういう当時の人に、どうして財政法四条が制定されたか、ことに償還計画についていろいろ聞いたところが、ようわからぬと言っていると。そういう人の意見を聞いて、そうしてそういう人の意見を尊重して、財政法四条は、乱に流れるから、それを乱に流れないように規定したのだ、そういう意見だけに基づいて御答弁されるということは、私はどうも事実としてもこれは慎重を欠いていると思うし、それから、実際問題としても私はそういう認識じゃ困ると思う。
インフレになりさえしなければいいという考え方で今後公債政策を政府がとっていかれたのでは、われわれは承認できない。社会党は単にインフレにならなければいいというだけではないのです。公債発行の問題は今後の財政経済にとって重大な転換のポイントになるのだ。その重大な転換というのは、私があげた三つの点を非常に重要視するからなんですよ。大蔵大臣が、単にこれは乱に流れることを防止するということだけで考えておられるのでは、これは事実とも違いますし、それじゃ困るわけです。しかし、この第二の点のほうは議論になりますけれども、第一の事実関係について、私のあげた三つの点に重点を置いて制定されたのだという資料を私は持っているのです。その資料に基づいて私は質問しているのです。そんなに無責任に自分の考えだけで質問しているのじゃない。その点、大蔵大臣ですから、少し認識を改めていただきたい。根拠を示せと言われれば、私は資料を持ってきておりますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/133
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134・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) あなたの言われるようなことを書いた本もあります。私も見ております。しかし、一番やっぱり詳しいのは河野君なんですよ。実はもっと詳しい人が海外におる。これは当時のGHQです。しかし、日本におってその当時のいきさつを知っておるのは河野君だけです。そこで、私は河野君の意見も聞いているわけです。まあ河野君は、いろいろな進駐軍の関係でそういうこともあったかもしらぬ、しらぬが、とにかく乱に流れしめない、これがこの法律の条項ができたその基本的な趣旨なんだ、こういうふうに言っておる。私はそのままこれを受け取っておるし、それはまた今日から解釈してみても、そう解釈することが正しい、こういう認識なんです。その認識をどういうふうにとるか、これはまあ意見の分かれるところでございますが、それでまた論争のふっかけになりますから、お答え申し上げませんでしたけれども、そういう根拠に基づいて申し上げているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/134
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135・木村禧八郎
○木村禧八郎君 その河野さんは当時主計局の次長ですよね。その本というのは、当時の大蔵省主計局の第二課長兼第三課長の平井平治君ですね。この平井君の書いた財政法逐條解説、これに主計局長の野田卯一氏が序文を書いているのです。それから、大蔵大臣の言われました大蔵省主計局次長の河野一之氏も序文を書いているのです。そうして河野さんはこう言っているのですよ。「畏友平井君は、永年大蔵省主計局において、豫算の編成及び實行の中枢部にあると共に、今回の財政法の企画、立案については、當初よりの参画者であった。従って、財政法の解説を行う者としては最適任者である。」、こういうふうに序文を書いているのです。これは実際の企画立案に当たったのは当時の課長さんなんですよ。やはり第一線でやったのは課長さんですよ。その平井君がその財政法四条の制定の経過を解説しているのです。
それで、これを見ますると、第一に、「第四條は健全財政を堅持して行くと同時に、財政を通じて戦争危険の防止を狙いとしている規定である。」、当時としては当然そうだと思うのです。それで、第二の理由として、「資本主義財政の一つの特色は公債によって二重に階級的利益を擁護することである。」、だから、これは財政民主主義に反するのだと、こう言っているのですよ。取るべきところから税金を取らないで、公債の利払いは一般国民が利払いをするのだと。だから、財政民主主義に反するのだと、こう言っているのですよ。それから、第三が、「公債による場合は公債が債権として擔保力を有し、信用の造出となって、通貨と信用の膨脹を來し延いては物価騰貴……インフレーションとなる要素をも包藏しているわけである。」、そこでこういうインフレを起こさないように公債発行について厳重な規定を設けたんだと。つまり「公債と租税の関係で述べた如く公債牧人を回避することは財政の健全化のみではなく、財政の民主化でもある。」、こう言っているのですね。
大蔵大臣が第一だけだと言い切りましたから、私は制定のあの当時から見まして、当然戦争の防止ということと、それから財政の民主主義というものをこれがあわせ考慮されたということは、これは私は明白だと思うのですよ。いまになって大蔵大臣は、そう解釈すると、情勢が変わってきましたから都合が悪い。つまり、資本蓄積のために租税特別措置法等を通じてどんどん資本の減税をしたい、それは公債発行をすれば容易になるのです、そういうことは公債発行に財源を求めれば。そういう腹づもりがあるから、その制定の精神をそのまま強調したんでは都合が悪いと。
それからまた、防衛費についても、第三次防等があり、今後中国の核武装等もあって、そういうことから防衛費がふえていく。何も防衛費のために直接公債発行するのじゃないのですけれども、公共事業費の範囲を拡げて、公共事業費の名によって公債を多く発行し、それによって生じた余裕財源を防衛費のほうに多く計上するということができるのでありますから、ここで公債発行が防衛費の膨張にも通じていくということになるのです。ですから、この点は非常に私は将来にわたっても重要な点だと思いますので、そこで、私は決してあげ足をとるわけでありませんし、今後の日本の財政経済にとって重要な分かれ道になるのですから、公債発行が。今後特にこの点ははっきりさしておかなければならぬ。私はちゃんとここに証拠がありますから。
そこで、あなたの聞かれた河野君が絶対信用して、そうして激賞しているその平井君自身が書いているのですから、これはお読みになったかもしれませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/135
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136・成瀬幡治
○成瀬幡治君 一ぺん参考人に呼ぶか……。
ちょっとそれに関連して。木村委員の心配しているのは、大蔵大臣が一点だけだなんて言い切られて、しかもそれはいま自分がそう思っておっても、そう解釈するのが妥当だというようなところにちょっと引っかかるのです。そうじゃなくて、今後公債等を発行するのだけれども、やはり精神はあの当時制定された精神で、それがたとえば軍事費に行かない。そうして租税の前取りであるから、何と言ったって。いろいろなことがあるから、そういうようなことについても、償還計画の場合についても慎重にやっていくのだと、こういう態度なら納得されると思うのです。
そこで、もしいろいろな、参考人と言ったのは冗談ですが、当時財政金融部会とかなんとかいったと思うのですが、そこなんかでも議論されていると思うのですよ。そうして赤羽君のところで調査されて、あの当時の速記録なんか。あれはあなたのほうが出した提案理由の中の柱は、これは財政のインフレを防ぐだけですと、こういうような一つの理由じゃないと思うのだ。きっと三つか四つの柱が立っていると思うのだ。そういうようなものを資料として一ぺん出されたらどうかな。あの当時のいろいろいろなものとして、私は提案をされた提案理由、それからそれに対する主たる応答というようなものを、速記録の中からリフレンスすれば簡単にとれますから、資料として御提出願えれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/136
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137・赤羽桂
○説明員(赤羽桂君) 第四条に関連いたしまして、財政法制定当時の提案理由説明、それから当時の関連資料もございますので、適宜調製をいたしまして提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/137
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138・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大臣、関連してお尋ねしておくわけですが、ほんとうにいま考えても一点だけだ、あとは何にも考えないでもいいのだと。それじゃ少し、大臣ももう少し幅のある私は大臣だと思っておるので、そうむきにならなくてもいいと思うのだが、それは心がまえとしては、いま言ったように二点、三点というのは、おのずから財政担当の最高責任者である大蔵大臣が当然考慮されておらなければいかぬと思うのです。それが並列になるのか、一が重点なのかということについては、若干主観的なものになるのかもしれない。しかし、そこら辺のところについてもう一度、木村委員の質問に対して答弁をされるのが私は妥当じゃないかと思うのです。私もその点はつかえますわ、やはりすっと入らないですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/138
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139・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 法律を制定するについては、いろいろそれは目的はありますよ。ありますが、主たるねらいはどこかということなんですよ。主たるねらいが三本柱だと言うから、私は、そうじゃない、公債政策、これは乱に流れる危険があるからこれは心せよと、こういう規定である、こういう申し上げ方をしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/139
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140・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まあ、大蔵大臣は一番よく知っているわけですよ。あの占領下のGHQのもとで、GHQがやはりある程度この制定にはインフルエンスを与えているわけです、影響を。大蔵大臣はよく知っているのですよ、社会党内閣のときのいきさつも。ですから、あのときGHQが占領政策として何に一番重点を置いたかというと、日本が再び軍国主義にならぬということ、戦争を再びやらぬということ、これを一番重要視したことは、これはよく御存じだと思う。そうでしょう。ですから、たとえば軍隊の解体とか軍国主義の基礎になった財閥の解体、地主制度の改革をやったわけです。ですから、財政面でもそれを受けて、四条ではとにかく、また日本が軍国主義になるといけない、そしてまたアメリカと対抗する戦力になっては困ると、こういうことから、やはり財政の面からその公債発行によってむやみに財源を調達して防衛費を増加させ得ないようにしたと、こう思うのです。ですから、平井君もそれを一番最初に書いている、理由として。ですから、当時の事情としてはそうであったと思うのです。それは大蔵大臣、理解いくでしょう。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/140
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141・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それはアメリカが法律制定のプロモーターだったと思うのです。そのアメリカの意図の中にはそういう要因もあったことは、そうだと思います。当時の政治環境から見まして、そう思います。思いますが、さあ今度は日本政府がそういう法律をつくった、国会がこれを議決した、その意図というものをそんたくするときに、おそらく私は公債を出すと戦争につながるのだと、これで戦争を防ぐのだというような感覚ではないと思うのです。そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/141
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142・木村禧八郎
○木村禧八郎君 あの当時は、まあ日本のこの社会、経済、政治も含めての大激変期だったのですからね、昔のような旧憲法下のような考えではなかなか理解できない点もあったと思うのです。ですから、この日本の何ですか、平和憲法九条につきましても、あれはアメリカの要請ももちろんありましたけれども、真剣に考えたと思うのです、日本としても。再び戦争に巻き込まれることはこりごりであるし、平和国家でいきたいということを、これはアメリカから押しつけられたにしても、アメリカもそうしたかったでしょうが、しかし、日本国民自身が私は非常に希望したところだと思うのです。ですから、率直にいって、その点が私は非常に重要であると。財政の面からそういう日本の平和を確保するという点、これが重点だと思うのです。
それから、当時櫻内さんが予算委員長で、なくなられました幸雄さんですね、あの当時ですね。私は理事だったのです。それで、私お堀ばたに呼ばれたわけです。それで、アメリカさんから日本の財政のレクチュアを受けたわけなのです。あの人はリードとかいう人でした。名前は忘れましたが、リードですか。そのときにいわゆる財政民主主義というもののレクチュアを受けたわけです。これもその司令部からわれわれそういうサゼスチョンを受けたというだけでなく、やはり今後日本の財政、税制というものを租税中心に先進国のような形でいくべきだということをわれわれまあすなおに考えて、それも四条の規定の場合影響していると思うのです。もちろん、あの当時ですね、その後インフレが非常にひどくなりましたから、インフレの問題も確かに重要な課題ではあったと思うのです。しかし、その後こういう規定があるにかかわらず、二十三年までは公債等も発行されておりましたしね。ですから、私はインフレのことも、つまり財政支出が乱に流れるということも否定しているわけではないのです。それも重要であると考えている。しかし、財政法全体の精神がそうなのです。全体の精神が。四条だけではない、全体の精神が。特に四条にこれは集約的に、いまお話しした三点に重点を置かれているということがあらわれているのです。ですから、これはすなおに、大蔵大臣、やはり一点だけが重点だなどということではないと思うのです。
そうなれば、公債発行によって軍事化の危険がない、それから公債発行によって財政の民主主義が阻害されない、公債発行によってインフレにならない、この三つの前提がはっきりすれば、何も私は公債発行に反対する必要はないのですよ。大蔵大臣は私が公債発行行に反対じゃないようだと言われますけれども、しかし、そういう条件が満たされないですよ、いまの現状では。だから、私は現実において反対だ、こう言っているのですよ。その点どうですか、大蔵大臣、率直にこだわらないで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/142
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143・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 率直に申しまして、第一の点は、つまり私が言う公債は乱に流れるかということは、私はこれは厳重に考えていかなければ乱に流れる可能性がある。それから第二の点、戦争とつながるか、つまり軍事費の増強という点については、私はそう考えておりません。軍事費を増強しようと思えば、これは増税したってできることなんです。これは政府が軍事費を増強するかしないか、こういう方針の問題なんです。それから第三の、これが国民所得の再配分に悪く働く、こういうお話でございますが、これは公債によって調達する資金がどういうふうに使われるかということと、それから公債はその元利ともいずれにせよ税によってまかなわれる、この税制が適正であるかどうか、こういう問題なんです。もし税制が悪ければそれは悪い作用をしますが、もしいい、今日のように非常に整った税制である、また今日公債を財源としてやろうという仕事は、これは直接的には社会資本の立ちおくれ、これは木村さんも非常に立ちおくれが、住宅だ、道路だ、水道だ、上水道だというものが立ちおくれているということは認められると思う。また、これは充足しなければならぬ問題であるということも異論はないところだと思う。それから、税制については、これは見解の相違があるようです。ありますが、私どもはこれは適切なる税制である、こういうふうに考えているわけなんです。そういう際には、公債発行というのはむしろ所得配分上有効に働く、こういうふうに考えておりますが、したがって、公債政策で一番心配しなければならぬ点は何であるかというと、これはそれが乱に流れてインフレの要因になるようなことがあってはならぬ、こういうことだと、そういうふうに申し上げているわけです。
しかし、何ですよ、いま申し上げた過程においても明らかなように、税制が適正でなければならぬとか、金の使い方が適正でなければならぬとか、これも配意しなければならぬ。しかし、最大の公債発行の関心事は何であるかというと、これが乱に流れない、この一点にある、こういうことを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/143
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144・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それはことばのあやであって、これは密接不可分の問題なんです、実際は。結局、防衛費が安易に調達されれば、乱に流れるわけですね。そうでしょう。それから、実際問題として大蔵大臣は増税によっても戦費は調達できるといいますけれども、増税によって戦費を調達したら国民が承知しませんよ。公債で調達するときは直接増税にならないから、そこで国民は抵抗がすぐにも起こらない。そこで公債政策というものは採用されるわけですよ。そこを言うわけです。それからまた、今度の税制でも、公債を発行して余裕ができたものを減税に回わす、こういうやり方でしょう。これなどはほんとうは財政原則からいったらおかしいわけです。減税する余裕があるなら、なぜ公債を減らさないかという議論も出てくるわけです。しかし、それは公債発行をてことして企業及び個人の蓄積を強化する、そういうてことして用いるということを、大蔵大臣は言われている。しかし、そういうときには、実際には、企業減税と所得減税との比率の問題にもなりますし、また、企業減税がはたして資本蓄積に役立つのかどうかという問題も、もっと掘り下げて考えてみなければならないわけですが、企業が借金をし、国がそれを肩がわりするというだけでは、単に企業の企業努力を怠らしめる作用をするだけで、企業がかってに過当競争をやっておいて、かってに借金をしておいて、そしてしりを政府に持ってくる。つまり、信用インフレを財政インフレに転嫁するというようなことは、私は許されるべきことではないと思うのです。ですから、これはこの三点について、一体にして考えていただきたい。
特に私が心配になるのは、これは大蔵大臣に一ぺん伺いたいと思ったのですが、機構上、防衛庁の予算につきましても大蔵省で担当の主計官がおりますが、現在では、主計官もかなり軍事技術なんかについて勉強もし、すぐれていると思うのです。それから、防衛庁のほうにも、今度は制服として防衛担当の制服がいるわけです。ところが、主計局のほうはだんだんに、何というか、それは実際に伺いたいのですが、職場をかわるでしょう。ずっと専任で主計官が長い間防衛費を担当してやっているわけじゃないでしょう。ところが、制服のほうはずっとかわらないでやってるでしょう。今後軍事技術が非常に発達してまいりますし、非常に専門的になるでしょう。ナイキハーキュリーズなんて、われわれもなかなかわからぬですよ。そういう場合に、いま文民優位のたてまえになっておりますけれども、長期になってくると、だんだん主計官がかわりますから、どんどんかわりますから、おくれちゃうのじゃないか。制服のほうは専門にやっているから、詳しい。制服の技術的な予算要求に対して説得できない、こういう問題も私はあると思うのですよね。これなんか制度的に研究していく必要があるのじゃないですか。主計官については、制服に負けないだけの、そういう何というか、知識を持った主計官というものを今後養成していかないと、押えられなくなる、どうもこういう点が私は気になるのです。大蔵大臣、お考えになったことがあるかどうか。研究はされているのじゃないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/144
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145・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは、そういうことは十分気をつけなければならぬと思います。やっぱり一年や二年で主計官が交代してしまう。特に防衛費の場合なんか問題だと思いますね。私は昔陸軍省担当の主計官というやつを八年やった。三年目からは陸軍省のだれよりも詳しい、こういう状態にありました、向こうのほうがかわっていくから。それは事情は私は今日でも同じだと思うのですよ。それは十分御指摘の点は気をつけます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/145
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146・木村禧八郎
○木村禧八郎君 いまは前と逆でしょう。何年くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/146
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147・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 二年くらいには一般にはなっておりますが、私の前任者の賀屋さん、賀屋さんは私よりか十五、六年先輩の人ですね。ですから、賀屋さんもそれだけやっておったわけです、十年くらいは。そうしてその後任が私ときたわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/147
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148・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それで押えられた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/148
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149・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01319660325/149
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150・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
五案につきましては、本日はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。
午後四時六分散会
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