1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月十三日(金曜日)
午前十時二十四分開議
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○議事日程 第二十九号
昭和四十一年五月十三日
午前十時開議
第一 地方公営企業法の一部を改正する法律案
(閣法第一〇七号)(趣旨説明)
第二 航空業務に関する日本国政府とソヴィエ
ト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締
結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第三 運輸省設置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一 地方公営企業法の一部を改正す
る法律案(閣法第一〇七号)(趣旨説明)
一、地方公営企業法の一部を改正する法律案
(衆第三八号)、地方公営企業財政再建促進
特別措置法案及び公営企業金融公庫法の一部
を改正する法律案(趣旨説明)
一、日程第二 航空業務に関する日本国政府と
ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の
協定の締結について承認を求めるの件(衆議
院送付)
一、日程第三 運輸省設置法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/0
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001・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/1
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002・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
日程第一の地方公営企業法の一部を改正する法律案(閣法第一〇七号)、並びに、
地方公営企業法の一部を改正する法律案(衆第三八号)、地方公営企業財政再建促進特別措置法案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を日程に追加し、四案を一括して、国会法第五十六条の二の規定により、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/2
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003・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。永山自治大臣。
〔国務大臣永山忠則君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/3
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004・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 地方公営企業法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
近年、地方公営企業は、事業量、事業数ともに急速な拡大発展を続けておりますが、一方その経営状況は、悪化の一途をたどり、昭和三十九年度における累積赤字は、六百六十億円の巨額に達するに至っております。地方公営企業の経営がこのように悪化した原因は、基本的には、企業の管理体制等、現行の地方公営企業制度に問題があると考えられるのであります。したがいまして、今後地方公営企業が健全な発展を続けていくためには、地方公営企業制度に所要の改善を加えるとともに、赤字を計画的に解消するための措置を講ずる必要があるのであります。このため、さきになされました地方公営企業制度調査会の答申の趣旨に基づきまして、地方公営企業法に所要の改正を加えることとしたのであります。
次に、この法律案の改正の要旨について御説明申し上げます。
第一は、地方公営企業制度の改正についてであります。
その一は、この法律の適用範囲の拡大であります。地方公共団体の経営する水道、工業用水道、交通、電気及びガス事業には、すべてこの法律を適用することとし、病院事業につきましては、この法律の財務に関する規定のみを適用することといたしました。
その二は、管理者の位地の強化であります。地方公営企業には、政令で定める基準以下の企業を除き管理者を必置制とし、予算の原案を作成する等その権限を強化いたしました。
その三は、企業会計と一般会計等との経費の負担区分の明確化であります。地方公営企業の経費の負担の原則を確立するため、地方公営企業に要する経費のうち、一般会計等において負担すべきものを明らかにいたしました。
その四は、職員の給与制度の合理化であります。職員の給与につきましては、職員の発揮した能率が十分に反映されるようにし、その決定にあたっては、同種の国及び地方公共団体の職員並びに民間企業の従事者の給与及び経営実績を考慮しなければならないものといたしました。
以上のほか、財務制度の改善、企業団制度の確立、その他所要の改正を行なうことといたしております。
第二は、地方公営企業の財政再建についてであります。まず、再建対象事業は、昭和三十九年度において赤字を有する水道、国庫補助を受けていない工業用水道、交通、電気、ガス及び病院の事業といたしました。これらの事業を経営する地方公共団体は、議会の議決を経て財政再建計画を定め、自治大臣の承認を受けて財政再建を行なうことができることといたしました。
次に、再建企業に対しては、財政再建債の発行を認めるとともに、その利子に対し利子補給を行なうこととするほか、企業債の償還の繰り延べ等の措置について配慮することといたしております。
なお、企業の健全経営を担保するため、政令で定めるところにより、赤字の企業は財政再建を行なう場合でなければ企業債を起こすことができないことといたしております。
以上が、地方公営企業法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/4
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005・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 衆議院議員安井吉典君。
〔衆議院議員安井吉典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/5
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006・安井吉典
○衆議院議員(安井吉典君) 私は、提案者を代表し、日本社会党提案の地方公営企業法の一部改正法案外二法案に関し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
水道、交通、病院等の地方公営企業は、地方自治行政の重要な一環として発展してまいりました。一方、近年赤字が累積し、法適用企業で、昭和三十五年度における赤字わずか六十億円でありましたものが、自民党池田内閣の所得倍増計画と軌を一にし、毎年度、前年度より赤字は倍ずつ上がってゆくわけであります。昭和三十八年度では三百七十六億円、佐藤内閣が引き継がれました三十九年度では六百六十億円、自治大臣はここまでの数字しかおっしゃりませんでしたけれども、自治省の推計においては、四十年度の決算では、九百億円から一千億円の累積となることが予想され、まさにこの五年間で赤字十五倍増であります。
この赤字の大宗は、東京をはじめとする大都市、次いで中小都市であり、高度経済成長政策の結果として、都市へ産業と人口が集中し、水道は拡張に次ぐ拡張で追い回され、交通は、路面電車は行き詰まり、収入が減退する上に、地下鉄への移行を余儀なくされ、これは一キロメーター当たり三十億円ないし五十億円という、とほうもない設備費を要するのに、これらの資金措置に、政府はろくな対策を行なわなかったことが、今日の公営企業の危機をつくった原因なのであります。(拍手)
料金値上げ問題で地方議会は混乱し、企業合理化の強行で各地で労働組合とのトラブルが絶えません。それにもかかわらず、かかる事態に対するものとしての政府の地方公営企業法改正案は、危機の原因をつくったのは政府御自身であるにもかかわらず、その反省がなく、困り果てている地方に対し、国の援助措置は、昭和四十一年度予算でただの一億五千万円の利子補給だけで、すべて地方自治体の企業責任を追及するだけに終始しております。このような政府案では、危機打開は全く不可能であるのみか、住民は料金値上げに、企業で働く職員は首切りのそれぞれの不安に、おののくのみであります。そこで、わが党は独自の法案を提出し、ここに御審議を願うことといたしたわけであります。
以下、わが党三法案の内容につき、政府案と対比しながら、その要点のみを御説明申し上げます。
第一は、いわゆる独立採算制の問題であります。政府案では、病院等を除き、公営企業はすべて経営収入のみでまかない、独立採算制を強めるものとされておりますけれども、わが党案では、公営企業を二種類に分け、水道とか交通、ガスの各事業は、公共性が高く、住民生活に直接つながる事業ですから、一般会計からの繰り入れを認め、独立採算制によらないものとし、工業用水道と電気事業は、直接には営利会社への供給なので、独立採算制によるものとしているのであります。なお、病院、簡易水道等は、条例の定めに従い、法の一部または全部を適用し得ることといたしました。
第二に、企業管理者について、政府案では、これを任期四年の特別職とし、経営がうまくいかないときには罷免するとし、契約の締結、資産の取得や処分等の権限を強化しておりますが、われわれは、その反面、首長や議会の地方公営企業に対する権能を縮小している点は、誤りであると思うのであります。わが党案では、管理者は必ず置き、その運営において地位の強化をはかるべきであるとしており、首長や議会の権限は、これを弱めることなく、公営企業の危機打開のためにも、首長や議会が住民から直接選挙された立場で全責任を持って当たるべきであると、かように考えるのであります。
第三に、公営企業の料金については、政府案では、能率的な経営における適正な原価を基礎とすることとしておりますが、わが党案では、工業用水道等の料金については、相手が負担能力のある企業でありますからそれでよいとして、水道、交通等の料金については、その基礎はもとより原価に置くといたしましても、住民の負担能力、その他経済事情を勘案し、公共の福祉の増進についても適切に考慮した妥当なものとすることにいたしているわけであります。従来、池田内閣時代は、公共料金を抑制するかまえでありましたのが、佐藤内閣になりましてから、国鉄運賃、郵便料金など、政府自身がまず模範を示して値上げを行なっており、政府案のように、財政援助なしに公営企業にかかった経費だけ料金を取るということでは、地方公営企業料金値上げの前に青信号を掲げることになり、企業の財政難が、ことごとく住民負担に転嫁されることをわれわれはおそれるからにほかなりません。
第四は、職員の身分及び給与制度についてであります。
政府案では、企業職員の身分取り扱いは、地公労法及び地公法により労働基本権を剥奪したままとしておきながら、給与制度は民間並みの能率や経営業績を反映することに改めようとしているのに対し、わが党案は、当面現行どおりで改正を行なわないことといたしたのであります。その理由は、政府案のような給与制度の根本的変革を行なうのなら、職員の労働基本権も民間産業並みに付与すべきであり、権利関係は制限をそのままにし、給与制度だけを改悪することは明らかに誤りであり、とりわけ、現在公務員制度審議会が地方公務員の労働問題を含め検討を重ねている際でもあり、いま改正は行なうべきではないと考えるのであります。
最後に、わが党案の最重点である国の財政援助について申し上げます。
政府案では、ごく内容の貧弱な赤字企業に対する財政再建債と利子補給を行なうだけで、その反面、自治大臣の公営企業に対する統制権を大幅に拡大しておるのであります。つまり自治大臣は、赤字事業に再建計画の樹立を強要することができることとし、計画の樹立を渋る団体には、一切企業債を許可しない、再建計画に適合しない予算執行は停止させる等、地方にきびしい要求を行ない、それに応じなければ利子補給を停止するなど、地方自治の本質にも触れるような規定を置いている点は問題であります。四十一年度の補給金は、たかだか一億五千万で、地方がこの補給金の分け前をもらっても、スズメの涙ほどにすぎず、これと引きかえに、地方公営企業が、中央政府の統制のもとに準禁治産者扱いにされることは、断じて容認することができません。
わが党案の国の財政援助措置の第一は、まず累積赤字たな上げでありますが、これは特例措置なので、企業法と別建ての単独法案といたしておりますが、再建対象赤字額は、四十年度末、利子補給限度は三分五厘、償還期間十五年以内等といたしまして、かつ政府の干渉を極力排し、自主再建の方向を貫くことといたしております。
次に、水道法第四十四条の改正を行ない、上水道にはすべて、その新設、増設、改造に対し、国庫補助の道を開くとともに、さきにわが党が今国会に提案済みで運輸委員会付託となっております都市鉄道整備促進法案により、地下鉄のトンネル等には全額国庫補助を行なうことといたしているわけであります。
企業資金については、水道、交通等の事業にも高利資金が多額に使われ、財政を圧迫しておりますので、企業債は一般会計の事業並みに六分五厘の政府資金の金利をこえず、償還期間は少なくとも耐用年数を下らないものとするよう借りかえの措置等を講じ、公営企業金融公庫の地方公営企業の長期及び短期の中心的金融機関としての役割りを高めるための、所要の改正を行なっているわけであります。
要するに、わが党案は、地方公営企業の公共性を尊重した正しい制度を確立するとともに、これまでの赤字を解消し、今後も赤字を生ぜしめることなく、地方公営企業の健全な運営を確保するため、国の財政援助措置を強化するものであり、わが党の年来の主張のうち、当面、現自民党政府でも実行可能と思われるものを遠慮がちに提案いたしたものであります。
何とぞ、慎重御審議の上、政府案にかわり、わが党案を御可決あらんことをお願いいたしまして、説明を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/6
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007・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。占部秀男君。
〔占部秀男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/7
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008・占部秀男
○占部秀男君 私は、地方公営企業法の一部を改正する法律案並びに安井吉典君外九名から提案されております地方公営企業法の一部を改正する法律案等に関しまして、日本社会党を代表して質問をいたします。
今回の政府案は、地方団体の経営する公営企業に対しまして、制度上の改革をはかるとともに、これらの事業の累積赤字を処理するために、この改正を行なうものであると説明されておるのであります。
一体、地方公営企業法は、去る昭和二十七年制定されましてから、すでに十五年になっておりますが、この間、わが国の社会、経済の姿は大きく変化しておるのであります。いわゆる高度成長政策による産業基盤の開発に伴い、工業地帯への過度な人口集中が起こり、特に都市における国民の生活環境はあらゆる面で行き詰まりつつある現状であります。したがいまして、この事態に対処して、住民福祉につながる交通、水道をはじめ、地方公営企業のあり方に関し、抜本的に再検討を行なう必要のあることは、われわれもまた同感でございます。
さらに、六百六十億円にのぼる交通、水道その他の累積赤字を解決することは、事業経営の安定と近代化のためにも当面の緊急課題でありまして、われわれも積極的に望むところであります。しかしながら、今回出されました政府案の内容は、はたしてこの要請にこたえるものと言えるかどうか、多くの疑問を持たざるを得ないのであります。
質問の第一は、この事態に対応した地方公営企業のあり方について、政府の基本的な見解を承りたいと思うのであります。
言うまでもなく、水道、交通、病院など、地方公営企業の中心をなしている事業は、国民の日常生活にとって欠くことのできないものでありまして、住民福祉につながる強い公共性を持っております。したがって、地方公営企業法では、事業経営の基本原則として、「本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」と、その公共性が強調されております。企業としての経済性は、そのワク内で保たれるよう規定されておるわけであります。
今日、これらの事業について根本的な改革を必要とするのは、単に当面した経営の赤字を処理するためだけではないのであります。無計画に過度に人口の集中した都市の現状に対して、すでにこれらの事業は、経営そのものが、現行制度のままでは、ついていけない限界点に来ているからであります。たとえば水道事業を取り上げてみましても、激増する給水人口に追いつくためには、物価の高騰も大きく影響いたしまして、巨額の建設費、維持改良費を必要とするのであります。ところが、現在、地方公営企業には独立採算制がとられておりますので、これらの建設改良費は、すべて起債と金融機関からの一時借り入れ金に依存しておりますが、通常の経営管理費だけでなく、この借金の元利償還分まで、すべて料金収入によってまかなっていかなければならない仕組みになっているのであります。給水人口がふえればふえるほど、新しい給水のための建設改良費が大幅にかさみ、その元利償還分に追われて、料金の引き上げが行なわれますが、最後に、料金収入だけでは、とうていまかない切れなくなったところに、今日の問題が生まれているのであります。実に、三十九年度決算では、水道事業の元利償還額は、全料金収入の三一%にのぼっており、三百五の都市では、それぞれ料金収入の五〇%以上がこれに充てられている現状でございます。しかしながら、地方団体は、採算がとれてもとれなくても、住民に給水しないわけにはいきませんし、事業経営の経済性を越えても、拡張投資をやめるわけにはいかないのであります。地下鉄の建設に巨額の資金を必要としたり、赤字路線を住民の足として、苦しいながら維持新設していかなければならない都市の交通事業の場合も同様でありますし、科学の進歩に伴い、最新の医療設備に更新せねばならぬ公立病院の場合も、また同じであります。
いま地方公営企業は、その本来の公共性を実現し、住民福祉を守れば守るほど、独立採算制のワクに縛られて、経営の危機を招く、矛盾した制度の中に置かれているのであります。政府は、この危機の原因を、ことさらに事業経営の経済性の中だけでとらえようとし、人件費、資本費のコストの増加や、経営の合理化の不足、建設資金の累積などをあげておりますが、これらは、前に述べました仕組みの中から生まれた現象面にすぎないのでありまして、事態をここまで追い込んだほんとうの原因は独立採算制にあると思うのであります。
さらに突っ込んで言えば、かかる事態を招いた究極の原因は、人口の無軌道な社会増や物価の高騰を引き起こした自民党内閣の高度成長政策の破綻にあることを、措置しなければならないと思うのであります。
政府は、この無理な独立採算制をこの際廃止して、これにかわって、国と地方の出資金制度や、建設、改良についての国庫補助金制度等を確立し、地方公営企業が住民福祉に役立つよう、国と地方団体がともに責任を持ち合う制度に改革すべきではないかと思うのでありますが、佐藤総理大臣の御見解を承りたいのであります。
なお、政府は、補助金制度については、企業的性格からして、とるべきではないと言われているのでありますが、たとえば、今回の改正によって新しく地方公営企業として適用される工業用水道については、年間八十数億円の補助金が出されているのであります。ところが、同じ水道でも、住民生活のための上水道には一銭の補助金制度もありません。このことは、独占資本には優先して奉仕するが、住民福祉についてはまことに冷淡である佐藤内閣の資本家的性格を明らかにしておりますとともに、やってやれないことではない補助金制度を、ことさらにサボっている証拠であると思うのでありますが、福田大蔵大臣、永山自治大臣の御見解を承りたいと思います。
なお、この補助金制度については、安井吉典氏らの改正案はどういうふうに考えておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
第二の質問は、改正案の内容についてであります。
今回の改正は、企業の組織、財務、運営など、制度の全般にわたっておりますが、一貫して、公共性を無視し、企業の独立採算制を強化することによって、当面の行き詰まりを打開するとともに、将来の経営を確保しようとしているように、われわれには見られるのであります。
問題点の一、二を指摘してみますと、まず、法の適用範囲でありますが、直接住民生活と関係の遠い工業用水や発電事業にまで、その適用を拡大することによって、この法の定める地方公営企業の性格を、公共性の強いものから、単なる企業的なものに近づけようとしております。また、企業の経費関係に関しましては、経営に伴う収入の範囲を、民間企業の方式にならった厳格な規制をすることによって、独立採算制の強化を財政的に基礎づけようとしておりますし、その事業経営については、地方団体の長や地方議会の権限をできる限り排除して、管理者の権限を拡大することによって、民間経営者方式を導入しているわけであります。
住民に一番響く料金については、私企業的な原価計算方式を明確にさせ、独算制の維持を前提とした料金のきめ方を強化しているのでありまして、「適正な原価」の名のもとに、資本報酬分や、一般会計からの借り入れに利息をつけた分まで、それぞれ料金のコスト計算に入れるなど、民間企業の利潤追求に近い方法が、この改正案の中には盛られております。職員の給与についても、公務員給与の体系から切り離そうとして、そのときの経営状況によって左右され、かつ、能率給的な性格を強調した民間給与方式に改変しようとしております。
こうした数々の改正の結果は、事業の公共性よりは、経営の独算制を保つことに急となりまして、住民に対しては料金の引き上げとサービスの低下を起こし、職員に対しては労働強化と給与条件の切り下げを来たすことは、火を見るよりも明らかでございます。永山自治大臣の、この点についての見解を、特に、今回の改正案が将来の料金問題に対してどんな影響を与えるかを、明らかにしていただきたいと思います。
また、この改正は、形式的には、事業管理者の権限を強化させたように見せておりますけれども、事業運営の急所の点は、ほとんど政令事項としてワクをはめているのであります。結局は、地方団体の長の権限や、地方議会の関与を排除した後に、政令というクッションを通じて、この地方公営企業と管理者に対する中央支配を行なうことができるように、巧妙に仕組まれていると思うのでありますが、永山自治大臣の御答弁を伺いたいと思うのであります。
最後の質問は、赤字再建問題についてであります。この法律案によりますと、六百六十億円と見られる三十九年度末までの累積赤字を、長期の再建債に切りかえて、たな上げをさせ、年六分五厘以上のものについては、国から利子補給を行ない、ほぼ五カ年間をめどに赤字を解消させようという仕組みになっております。しかし、それには自治大臣の承認できる範囲の財政再建計画を、地方議会の議決を経てつくることが条件となっているのであります。ちょうど十年前に地方団体は同じような経験をいたしました。当時、七百億円の赤字をかかえて、地方財政再建整備促進法による再建問題と取り組んだのであります。そして、再建計画に対する自治大臣の承認を取るために、自治省の意向のままに、住民に対してはサービス業務の切り下げ、職員に対しては首切りと給与の引き下げ等、大きな犠牲をしいられたのであります。今回の場合も、法の定める赤字解消への仕組みは全く同じでありまして、違うところは、前回は一般会計について行なわれましたが、今回の場合は、独立採算制をとった特別会計について行なわれているということだけであります。
そこで、自治大臣にお伺いをいたしますが、たとえ地方議会で議決した再建計画であっても、自治大臣が承認をしなければ再建債は許可しないのでありますから、事実上、地方議会の議決権限というものは、中央政府の意向のワク内に縛られる結果となるわけであります。憲法に規定された地方自治権の干犯であると思いますが、自治大臣はどうお考えになりますか。また、経営の独立採算制のまま再建が行なわれるのでありますから、たな上げ赤字の償還財源のために、住民に対しては、交通、水道等の料金の値上げが強行されるようになり、職員に対しては、首切り合理化、給与の引き下げ等が押しつけられることになると思うのでありますが、大臣の御見解を承りたいと思います。このような再建方式は、国の施策の破綻と独立採算制が生んだ経営の危機を、住民と職員へしわ寄せすることによって乗っ切ろうとする、悪質なやり方であり、むしろ法律案としては改悪であると思うのでありますが、自治大臣のこの点についてのお考えを伺いたいと思います。
なお、安井君には、同君の提案されている改正法律案は、この赤字再建の方式について、どういう形で、どういうところを急所に考えてされているか、その点を明確にしていただきたいと思います。
以上の点で私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/8
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009・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私に対するお尋ねは、公営企業に対しての政府の基本的態度はどうなのか、従前同様、独立採算制を維持するのか、こういうお尋ねでございます。結論から申しますと、今日まで私どもがとってまいっておりますその態度、また、独立採算制につきましても、ただいま変える必要はないと、かように考えておりますが、ただ最近は、御指摘にもありましたように、地方公営企業におきましては赤字が非常に累積いたしました。たいへんな金額に達しております。これをこのままにしておくわけにはいかない。ただ、抽象的な独立採算制というだけで自治体におまかせするわけにもいかなくなっておる。ここに中央政府といたしましても、適切な処置をとらなければならぬ。それが、今回の再建債の発行になったり、あるいは利子補給の制度になったりしておるわけであります。申すまでもないことでありますが、企業制度そのものが、やはりこういう赤字の累積を生じた原因でもあろう、かように考えますので、この企業制度そのものの根本について、さらに、管理体制の整備なり、さらにまた、財政のあり方についても、一般財政と企業財政との区分を明確にすることによりまして、企業の健全化をはかっていくつもりであります。とのことが、いわゆる独立採算制でありますが、しかし、過去の累積赤字は、一応処置する方法を別にいたしまして、ただいまのように、再建債を発行することにより、また将来も赤字が出てこないように、そういう態度といたしましては、この種の企業がたいへんな設備資金を必要とする、こういう点にもかんがみまして、長期低利の資金を供給するように、さらにまた、利子補給等についても、地下鉄の建設の場合にとったような制度を、さらに拡充し得るやいなや、これらを検討していく必要があると、かように私は思います。
ただいま、この独立採算制でいくならば、住民に対しては料金の値上げということによって、これを圧迫し、また、職員に対しては労働の強化を来たす、こう言って、独立採算制の示すそれぞれの弊害を指摘されております。しかし、私は、この種の事柄は、一般の税でまかなわれるとか、あるいは国費でこれをかわると、こういうわけにはいかないものだ、かように私は思っております。国費といっても、また、一般の地方財源と申しましても、これも国民の負担であります。このことを考えますと、やはり受益者負担と申しますか、利用者負担、これをまず第一に考えるのが当然だと思います。(「工業用水はどうする」と呼ぶ者あり)そういう意味では、さらに十分、企業の合理化をはかり、また、公共性が重いだけに、十分のサービスを提供するように、この上とも合理化等に努力することだと、かように私は考えております。
ただいま工業用水についてのお尋ねがございますが、工業用水については、後ほど自治大臣からお答えすると、かように思いましたので、私は省いたのでございます。工業用水に対する補助ができましたその経緯をお考えになれば、これは土地の沈下の防止のために地下水のくみ上げを停止した。そのために産業界がこうむる影響等を考え、国際競争力、これを保持する、こういう意味で工業用水を安くした、こういう経過は、占部君は御承知のとおりだと思います。また、簡易水道については、すでに助成をしておりますことも御承知のことでありますので、工業用水と上水道とを全然区別しておる、こういうものでないことは御承知おき願いたいと思います。(拍手)
〔国務大臣永山忠則君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/9
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010・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) この改正案は、やはり公共性と、受益者負担と、能率化の、三者を総合調和いたしてやる考えでございますので、問題の焦点は、その実際運用、実施の面で、ただいまいろいろお話のありました点は、十分ひとつ話し合いのできるものであると、基本的に考えておるわけでございます。ことに公共性の問題につきましては、お説のように、その度合いによりまして、十分に政府なり地方団体が、これに財政的援助をする必要があると考えております。その限度をどうするかという問題にしぼられております。たとえば地下鉄の関係におきましては、本年も補助金を去年よりは倍にふやしました。四億を八億にふやしております。しかし、大体、やはり相当国が補助すべきものであると考えまして、この一年間に十分ひとつ皆さん方と検討して、どの程度国が補助していいかということがきまりまして、そして十分補助率等も将来考えていきたいというように考えておるのでございます。また、水道等の関係につきましても、公募債の関係は、利子補給を、公庫債は利子を三厘下げるというようにいたしておりますし、さらにまた、政府債の関係におきましては、二十五年を三十年に去年いたしておりますが、なお検討の結果、必要ならば、それらの期限の問題についても検討をすべきである。さらにまた、非常に高くつくところに対しましては、将来これに対する助成措置に対しても考えるべきではないか。これらも十分ひとつ検討をいたしたいという気持ちでおるのでございます。
また、交通事業の問題に対しましても、政府債をバス等には出しておるのでございますが、この政府債の関係を強化するとか、いろいろの点において、やはり運賃値上がりを不当にならないような態勢に持っていきたい。
なお、今回の法律案は、負担区分を明瞭にしておるというところに公共性があるのであります。たとえて申しますと、病院経営で、看護婦等の学校はやはり一般会計で持つべきではないか。これをやはり病院会計にしておくととは適当でない。あるいは水道の使用に対しても、消火関係その他公共用の水道使用料金は一般会計で持つべきだ。すなわち、一般会計で持つべき区分を明らかにして、公共性の度を強化していくというところにねらいがあるのでございまして、その公共性の考え方によりまして、十分ひとつ執行面その他で御相談を申し上げることができる。こういうように、公共性に対しては、お説のように非常に力を入れてやるべきであるということは、観念的には一致いたしておりますので、具体的問題はまた委員会でひとつ十分に御指導を仰ぎ、御検討いたしたいと考えております。
ただ、受益者負担ということに対しましては御協力を願いたいと考えておるのでございまして、これを受益者負担という原則を排除して、ただ補助金を中心にしてやるというようなことには、同調をしかねる点があるのでございます。
さらにまた、工業用水の問題につきましては、地盤沈下を目的としているのでございますから、この地盤沈下地帯を指定をいたすような状態になっておりますので、この点はまた、皆さん方にも御了解をいただいて、旧来も進んでいる点でございますから、御了承を願いたいと存ずるのでございます。
また、給与の関係につきましては、やはり団交が中心になっておるのでございまして、経営者の独善は排除されておることは旧来と同じでございまして、そうして、実際上、民間給与あるいは公務員の同一職種で、たとえば運転手であるとか単純労務であるとか、こういうものとのやはり見合いをよくしていこうというようなことで、現在の規定に、その他の事情等を勘案してということを、きわめて明確化いたしておるのでございまして、決して独善的にきまるというようなことはございません。物価の事情あるいは民間給与の状態、公務員の給与の状態あるいは生活状態、こういうものを総合してやるという、きわめて合理的にやりたいと考えておりますので、御了承を願って、執行面にあたりましては、やはり管理者の独善を排除するようにやるべきであるということは申すまでもないと考えております。
なお、管理者の問題につきましては、管理者が十分能力を発揮するということが目的でございますけれども、しかし、議会で予算の面も決算の面も基本計画も全部きめるのでございまして、ただ執行に関して十分ひとつ能力を発揮するということを明記いたしておるのでございます。しかも、その管理者は手腕力量のある者を持ってきて、ただこれが職員をすぐ配置すればいいということでなしに、手腕力量のある人を特に選ぶ態勢をとっておるのであります。政令に譲ることは、大きいところに必置制を設けるということが政令の中心でございまして、管理者の関係を中央で操作するというような関係の政令は考えておらないのでございまして、能力一ぱい活動していただくということが管理者の目的でございます。
なお、再建整備の関係につきましては、この予算が通りまして計画を立ててやるのが九月過ぎになりますので、予算は少ないようでございますけれども、しかし、相ともに一体になってこれをやることになりますれば、十分予算はあるものだと考えております。なお、これが再建整備をやるために、必要ならさらに努力をいたしたいと考えるのでございますが、こういうことを言うのはどうかと思いますが、わかりやすく申しますと、大体、病気でございますから、病気をなおすときには、やはりお医者さんと相談してやらにゃあぐあいが悪いのでございますから、やはり中央、地方は一体の観念で、一体となって相談してやるということが目的で、自治大臣の権限を強化して、中央集権、権力政治でやろうということは、私が根本的に反対をいたしていることでございますから、執行にあたりましては、十分ひとつ、皆さん方の今後の委員会の審議の過程におきましての御意見を尊重いたしまして、独善におちいらないように配慮いたします。
なお、金利の問題、年限の問題等に対しましても、実態を見まして、非常に不利であるようならば、また御相談に応じるようにいたします。すべて前向きで、弾力的に、民主的にやろうといった考えでございます。よろしく御協力を願います。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/10
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011・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対する質問は、独立採算制を言いながらなぜ工業用水に補助金を出しているか、こういうことでございまするが、これは独立採算制とは申しますが、必ずしも、これが鉄則である、例外は一つもないのだというものじゃない。現に御承知のとおり、農山村のためには簡易水道に対して補助をしております。また、一般の水道としても、一般財源の補給はいたしませんけれども、政府資金つまり低利資金を供給するという方法において政府は助成をしておるわけであります。過去数カ年間におきまして非常な勢いで設備投資が行なわれ、御承知のような状態であったことであります。新産都市も生まれてくる。あるいは特別工業都市も整備しなきゃならぬ。非常に急速に地方開発、都市開発が行なわれたわけであります。これを国が刺激を与えないでほっておく、これじゃなかなか水道——先立つものである水道が整備されない、こういう特殊な事情を考えて、工業用水に対して助成をする。それぞれ独立企業採算ではありまするけれども、そのときどきの状況に応じて適切なまた除外的な考え方をしていく、これも私は政治のあり方である、かように考えます。決してへんぱな考え方をいたすわけじゃございません。(拍手)
〔衆議院議員安井吉典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/11
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012・安井吉典
○衆議院議員(安井吉典君) 占部議員にお答えを申し上げます。
第一点は工業用水道と上水道との補助の問題でございますが、昨日から衆議院地方行政委員会は本法案に関する審議を始めまして、昨日と今日、参考人の意見聴取をいたしておりますが、その中におきまして、政府案の基礎になりました地方公営企業制度調査会の委員でありました人も、政府案に対する不満を示しております。その不満は、答申におきましては、工業用水道は独立採算制でない形にして——現行法はそうでありますが、ない形にして、ただでさえ非常に困っている地方自治団体の一般会計から金を入れさせるのは矛盾があるから、上水道との比較においてこれはやるべきである、独立採算制にすべきであるというのが答申の内容であったのが、政府案においては、財界の横やりが入って、また現行法どおりに独立採算制でない形にしているわけでありまして、これについての強い不満が出されました。自治体の代表も、この法案に対しては、財源措置が不十分だということで不満、労組の代表も不満、全参考人が不満の意を表明し、ただ評判のよいのは社会党案だけでありました。
そこで、工業用水道の問題でありますけれども、たとえば多目的ダムがあります。洪水調節や、農業用水や、工業用水や、上水道が、それで水源が確保されるわけでありますけれども、洪水調節は全額国庫が持つ。農業用水にも補助がある。工業用水にもさっきからお話がありますように補助がある。ただ、上水道だけは、その同じ水源でつくった水をすべてを使用者の料金でまかなわなければならないという、こういう問題があります。しかも、このアロケーションにおいては、上水道はきわめて不利な立場に置かれております。工業用水道については地盤沈下がある関係だというふうに、総理や自治大臣はおっしゃいましたけれども、現実には、工業用水道は、地盤沈下だけではありません。すべての工業用水道に国庫補助があり、地方の補助もさせられるわけであります。新産都市の建設が進んで、その先行投資で工場もないところにいま工業用水がどんどん引かれております。しかし、それのほうは料金が四円から六円くらい。しかも上水道のほうになりますと三十円くらいになるわけでありますから、いまは県によりましては、工業用水道でつくった水を上水道に回して使っている県さえあります。しかも、地盤沈下については、工業用水道に対する補助に何かいわくがあるようにおっしゃいますけれども、もしそれなら、人間の飲む水道についても同じではないかと思います。住宅ができる。みんなポンプをつくって水をくむわけです。そこへ家が立て込んでくる。工場ができる。大腸菌がうようよしだす。そういうような公害の中からこれは水道を引かなければならないのではないでしょうか。だから、地盤沈下の工業用水に対して国庫補助や地方の補助をどうしてもさせるのならば、人間の飲む飲み水に対して国庫補助や地方団体の一般会計からの繰り入れを許さないということには、これは全く筋が通らないと私は考えます。工業用水道には、福田大蔵大臣は低利の資金を渡してあるから、それでいいとおっしゃいますけれども、実際は、昭和四十一年の政府の資金を見ましても、水道の所要資金は千二百億円余り、ところが政府資金はこのうち六百億円余りであります。それ以外はすべて高利の金で割り当てしているわけであります。そういう事実をおおい隠していただいては私は困ると思います。社会党は、これらの中から、工業用水道に対していま国庫補助がありますけれども、これは、いまやめろというわけにはまいりませんから、私どもはそれを存置すべきだ。しかし、上水道も国庫補助を工業用水道並みに——企業が尊重されるなら、もっとそれより人間が尊重されるという立場から、企業並みの国庫補助を受け、そして地方公営の独立採算制を解いて、繰り入れを認めるべきだと、かような考え方で貫いていることを申し上げたいのであります。
第二点は、再建の考え方でありますけれども、政府案はきわめて問題が多く、特に、ほんのわずかの利子補給しかしないのにかかわらず、ものすごい中央干渉を準備しているという点であります。なるほど自治体のほうは、永山さんのおっしゃるように非常に病気でありますけれども、この病気にはなるほど医者が要りますが、やぶ医者では、しかし困るわけであります。(拍手)特に今度の政府案の、きわめて圧迫的な、干渉的な内容は、まさに試験管の中にチフス菌を入れて飲ませるような医者のあれのように、私どもには受け取れるわけであります。社会党は、あくまで自主再建を進めるべきだ、つまり地方公共団体がみずからの責任において立ち上がる、その意欲をわれわれは認めていくべきだ、その自主再建という立場に立ちながら、その自主再建ができるように激励をしていく。そのために、たとえば政府案は三十九年度末現在で赤字を押えているわけです。そういうことになりましたら、間もなく四十年度決算が終わりますが、四十年度決算で九百億円余りの赤字、三十九年度で押えれば六百六十億円、この差額は政府案では何ら措置がないわけです。私どものほうは、あくまで自治体の主張いたしておりますように、四十年度末で押えるべきである。あるいは利子補給も一分五厘の一億五千万円では何にもならない。東京都などは、そんなお金をもらうならば、余った土地を二坪、三坪売ったほうがましだというふうに言っております。私どもはどうしても、これを三分五厘にしなければならない。それから政府案の五年以内というような考え方は、これはあくまでも十五年以内ぐらいにしなければ、問題の解決ができないと私どもは考えているわけであります。何かずいぶん社会党案は虫がよ過ぎるようなお考えを持っておるような御発言がありますけれども、実は、これは、同じ政府部内の自治省が大蔵省に予算要求したのをけられた、その原案であります。政府自体の中でも、自民党の地方行政部会の中でも、こういうような考え方を持っていたわけであります。私どもは、もっともっと進んだ考え方を持っておりましたが、いまの自民党政府の中でも、少なくともこの程度はやってもらえるのではないかということで、そういうかまえで出しております点を申し上げて、御答弁といたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/12
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013・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 原田立君。
〔原田立君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/13
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014・原田立
○原田立君 ただいま地方公営企業法の一部を改正する法律案が提案されました。私は、公明党を代表して質問をいたします。
現在の地方公営企業は幾種類もの企業があり、その公共性を強く要求され、国民生活の中にあっても、非常に重かつ大なる比重を示しております。水道にしても電車にしても、また、バスにしても、私たちの生活に密接につながっております。今後も、よりよき内容の充実、業績の発展を期さねばなりません。
まず、総理にお伺いいたしますが、今回提案された法律案によって、多くの地方公営企業は、はたして現在の赤字を解消し、健全に発達するという自信がおありなのかどうか、この点お伺いいたします。
第二に、地方公営企業は、多くの国民が利用し、その恩恵を受けているのでありますが、その事業の運営をはかるについては、公共性を十分重んずべきであります。しかるに、今回の法改正案に見られることは、明らかに、この公共性を無視して、企業性を重視した独立採算制を強化しようといたしております。本質論からいっても公共性を貫き通すべきだと考えますが、総理はどのようにお考えになるか、お伺いいたします。
第三に、負担区分についてでありますが、水道事業についてはもっと補助金を増額して、健全なる事業の運営をはかるべきだという答申が出ているのに対して、今回の改正案は、国が財政を負担すべき項目等を排除して、企業性のみを強く前面に打ち出したのは、片手落ちの措置ではないか。また、水道法等を改正して、補助金制度を確立して、水道料は低料金にすべきであると、こう思います。このように国が十分なる補助金を出すべきだと思いますが、いかがですか。
次に、福田大蔵大臣、また永山自治大臣、担当大臣にお伺いいたします。現在の累積赤字は実に六百六十億円にのぼっておりますが、これは明らかに政府・自民党の政治の貧困をはっきりと証明するものであります。この赤字解消策としての財政措置でありますが、当然将来の収支が見合う計画を立てねばならないと思います。しかし、今回の法改正によると、その財政再建計画を立てて五年以内に解消するようにせよとなっておりますが、これは非常に困難なことであります。政府は従来、赤字になれば、何でも料金値上げを行なってきておりますが、公共料金の値上げは国民生活に影響するところ甚大であります。今回も、明らかに値上げをせよと言わんばかりの五年解消論であります。五年で再建計画が十分できるという見通しに対して、はたして自信はおありなのかどうか。むしろ十五年ぐらいに計画延長をすべきであると思いますが、いかがですか。
国が打ち出した経済の高度成長により、都市人口の急増、消費生活の向上などのため、事業数や規模が著しく拡大して、三十九年度末には全国で五千七百九十八事業、決算規模は八千九百五十六億円にも達しております。とのような飛躍的な発展を見せ、地域住民の福祉の向上に大きな役割りを果たしている反面、その経営状態は、現在の赤字事業数は約四百有余にのぼっております。三十九年度末の累積赤字も六百六十億円、四十年度末には一千億円にも達するであろうといわれております。このような現状では、政府の言うように独立採算制に徹することは不可能と言わざるを得ないのであります。一地方自治体、一公営企業の能力では、この解消は不可能であります。大衆負担によらず、自己資本を充実して、事業の運営と発展に必要な資金を確保するために、政府は、公営企業金融公庫債を発行して資金調達を容易にし、かつ充実せしめるとか、低廉な政府資金を公営企業金融公庫に貸し付けするとか、はたまた、地方公営企業体へ貸し出す場合に、七分三厘という高利息ではなく、企業特別融資という立場で、できる限りの低利資金を貸し付けするようにすべきだと思いますが、いかがですか。
次に、地方公営企業の建設投資の財源は、現在八割近くも企業債でまかなっております。この元利償還が年々ふえ続け、料金収入のうち、水道は三五・七%、工業用水道は七七・九%、地下鉄等は実に八〇・二%というものが借金払いに充てられており、さらに、料金収入の全額をこれに充てている事業が全国で三十二事業もあると聞いております。このように元利償還が増加して、公営企業会計を圧迫しているのでありますが、政府はどのような援助策を講ずるのですか。地方自治体の一般会計からのその繰り入れ金は、三十九年度で見ると六百十二億円にものぼっております。これが地方財政全体への大きな圧迫要因となっていることは周知のとおりでありますが、このようにしても、なおかつ、財源不足に悩んでいるのが実態であります。地方公営企業財政の健全化からいけば、一般会計からの繰り入れもまたやむを得ないものと思いますが、政府は、これに対し企業の合理化のみに頼って、財政の健全化をはかろうとしておりますが、国自体において、もっと積極的に地方公営企業の育成をはかるため、財政的、制度的に援助をするお考えはないか、お伺いいたします。
次に、再建債の利子補給についてでありますが、年六分五厘をこえるものについて、一分五厘を限度とするものを出そうと言われておりますが、かつての財政再建債等と同様に、三分五厘をこえるものについて、五分までを限度として十分見てやるべきだと思いますが、いかがですか。
次に、給与の問題でありますが、今回の案によれば、職員の能率を十分に反映せしめるということが述べられておりますが、このことによって、職員が現在の給料より切り下げられて、生活の保障が危ぶまれるようなことはありませんか。附則第八条には、職員の受ける給料に著しい変動がないように適切な考慮を払うといわれておりますが、これは法改正のために給料に著しい変動があり得ることを証明しているようなものであります。国民所得水準はまだまだ低い段階にあり、したがって、職員の給与水準についても、これが合理化をはかるについても十分慎重を期さなくてはならないと思いますが、政府としては、この点、どのように考えられるのか、お伺いいたしたい。
なお、これからの都市交通事業の需要はますます増大するものと思いますが、都市に乗り入れる地下鉄、バス、路面電車等の許可は、知事にはなく運輸省にあります。交通安全は地方団体の責任になっておりますが、このように交通行政の許認可がばらばらになっておりますが、その一元化をはかるべきだと思いますが、いかがですか。
また、過密都市の今後のあり方からいけば、モノレール、地下鉄事業等は当然発展していかねばなりませんが、この地下鉄事業にはほんのわずかしか補助金は出ておりません。地下鉄の補助金は大幅に増加せしめるべきではありませんか。
あるいはまた、料金の決定については利用者の意見を反映すべきであり、そのために経営内客を一般にわかるように公表し、一方的な値上げを阻止すべきだと思いますが、どのように考えられておられますか。
最後に、調査会の答申によれば、国の公共料金抑制措置により、料金の適正化が行なわれなかったために生じたバス事業等の収入の欠陥については、それを補うために、国において適切な措置を講ずべきである、かように答申されておりますが、どのようになっておりますか、お伺いいたします。
以上をもって私の質問を終わりにします。(拍手)
〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/14
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015・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 今回の改正で十分再建の実があがる、それだけの自信を持っているか、かようなお尋ねであります。私は、この種の地方自治体の赤字累積はまことに遺憾に、また、残念に思っておりますが、しかし、今回中央政府におきまして、これに対する援助の手を差し伸べる、このことと、自主的な再建努力、これが相まてば、必ず今日当面しておる赤字の累積は解消ができる、かように私は確信いたしております。
また、第二の問題といたしまして、この場合に、その企業の公共性に重点を置いて、あまり住民の負担にならないような方法でこれを再建するということを、ひとつ考えろというお話でありますが、これはちょうど先ほど占部君のお尋ねともこれが帰一するようであります。私は、今日独立採算制のもとで事業の整備をすることが最も望ましいことだ、かように考えておりますので、在来の方針を変更する考えはございません。
また、補助等の問題につきましては、これも非常な窮屈な独立採算制ばかりを言っておるわけではございません。すでに地下鉄の建設におきましても国の補助をしておりますし、また、簡易水道におきましても助成もしておる等々のことがございますので、十分再建の自主的努力、これに対応する国の施策をなお今後とも検討してまいるつもりでございます。
その他の点につきましては、それぞれの所管大臣からお答えいたします。(拍手)
〔国務大臣永山忠則君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/15
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016・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 詳細は委員会で十分ひとつ御意見を拝聴いたしまして、これに対しまして御審議をわずらわし、私のほうの意見も申し上げるのでございますが、一応要点について御回答申し上げます。
赤字解消は五カ年以内では無理ではないかという御意見もございますが、そのとおりに考えておりまして、おおむね五年といたしておりますので、赤字の情勢等によりましては、これを七年ないし十年というような点についても弾力的に考えていきたいと存じております。
また、公庫債の金利を低下しろということに対しても同感でございます。本年は、しかし、七分三厘を三厘下げるということでございますが、将来は、また経営状態を見、公益性等を見まして検討をさしていただきたいと存じます。また公庫債は、昨年十八年を二十三年に延ばしておりますが、やはり、これもまた経営状態すべてを見て、将来考える必要はないか。これはお説のように考えておるのでございます。
また、一般会計から繰り出して公益性を強化しろという問題についても、基本的には、公益性のあり方、その限度ということで考えていくべきでございまして、この点は負担区分の明瞭化ということを、先刻申しましたように、はっきり一般会計で出すべきものは出すという方向でいかなければならぬということで、一般会計で出すべきものをよく検討してやるようにということでいたしておりますから、内容によって、これらをまた委員会で十分検討さしていただきたいと存じます。
また、再建債を三分五厘にすべきである、六分五厘は高いということが言われたのでございますが、これらも現段階においては六分五厘でこれを解消できるというように考えておりますけれども、さらに状態等を見まして、三分五厘の問題は前向きで検討をさしていただきたいと考えておるのでございます。
給与の関係におきましては、給与を切り下げていくということは目的でございません。能率化をはかり、効率的運営をするということが原則でございますから、その原則に従って給与の合理化をはかっていきたいというように考えておるのであります。ただ、その際、法の意思に反して非常な激減をするようなことがある場合も考えられますので、そういう激減は緩和されねばならぬということを注意的に規定をいたしておるのでございます。
次に、交通行政の一元化に対しましては、運輸行政は特に広域行政でございますので、これらは臨調等の答申もございますので、近くこの問題について解決をいたしたいと考えております。
地下鉄に対しましては、お説ごもっともでございますので、先刻答弁いたしましたように、十分将来国庫の負担をどうしていくかということで、この一年間は御意見を尊重いたして検討を続けまして、来年度その補助率等を決定をいたしたいと考えて、とりあえず補助を増すということに予算面が落ち着いておるのでございます。
また、料金決定の問題につきましては、利用者の声を聞くということはごもっともでございますので、これはやはり議会というものがきめるようになっております。議会で公聴会を開くようなことをやっておりますが、そういう点に対しても十分指導をいたしまして、公聴会等によって利用者の意見を聞き、その際に経営内容等も公表をいたす。なお、運輸審におけるところの公聴会等についても、もっと開放的に、大衆にわかるように進めるような行政指導をいたしたいと考えております。
また、バスの関係の政府資金は、本年も十五億、政府資金を六分五厘で出すようにいたしておりまして、料金の不当の値上げを押えるようにいたしておりますが、これらの点に対しましても、また委員会で十分御意見を承りまして、御審議の途次、御指導、御進言をいただきたいと考えておる次第であります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/16
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017・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私にも幾つかの御質問があったのですが、たいがい自治大臣がお答え申し上げましたので、重複いたしますが、結局、いま地方財政問題として非常に差し迫った問題は、この公営企業の問題なんです。これを何とかして片づけなければならぬというのが政府のたてまえでございます。そういう際に、政府もできるだけの助成をする、この根幹は、いま御指摘のように累積赤字が多額にあるわけであります。この累積赤字を安定した資金に移しかえる、こういうための助成を中心にしてこの再建計画を進めていこう、こういう考えでございます。ただ、しかし、こういう問題は、国の助成だけで片づく問題ではないのであります。やはり、事ここに至った原因を探求してみますると、企業体の運営のあり方というものをここで考え直す必要があると、こういうふうに考えるわけでありまして、企業体に対しましては自治財政の一般財政からも援助をする、また、国からも援助をするが、しかし、同時に、自治体、企業体自体の反省合理化をこの機会にぜひ実現しなければならぬと、かように考えているわけであります。お話を伺ってみますると、国の援助ばかり強調されますが、それだけじゃだめなんで、企業体においても御協力を願わなければならぬという点もあるということにつきまして、どうかひとつ御理解をいただきたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/17
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018・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/18
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019・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第二、航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長木内四郎君。
〔木内四郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/19
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020・木内四郎
○木内四郎君 ただいま議題となりました協定は、わが国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間に定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれ業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国がこれまでに締結した二十一カ国との間の二国間航空協定に一般に規定されていることのほかに、ソヴィエト連邦が国際民間航空条約の加盟国でないことにかんがみまして加えられた規定を含んでおるのであります。この協定には、さらに、シベリア上空が開放されて協定上の相互乗り入れが可能となるまでの期間は、政府間の合意により、暫定運行を行なうことを規定する議定書が、協定の不可分の一部として付属しておるのであります。
この協定が締結されますと、両国の航空企業は、さしあたり共同運航の形式により東京とモスクワとの間の飛行を行なうこととなりますが、この東京−モスクワ間の飛行は、従来の欧州経由の場合と比較し、距離、運賃、所要時間等において著しく改善をみることになるのであります。さらに、シベリア上空が開放されて相互乗り入れが実現する場合には、わが国の航空企業にとって、モスクワ以遠第三国内の地点について運航することも確保されておるのであります。
わが国が世界にさきがけてシベリア経由モスクワ線を運航する権利を得ることは、わが国の国際航空界における地位を向上させることはもとよりでありますが、さらに、今後の日ソ両国関係の発展のために重要な意義を有するものと期待されておるのであります。
委員会におきましては、慎重審議、特に暫定期間中の共同運航の態様、北回り欧州線への影響、暫定期間後の本協定実施の見通しと政府の方針、モスクワ以遠乗り入れの具体的計画等につき、熱心な質疑応答が行なわれましたが、詳細な会議録によって御承知を願いたいと思います。
昨十二日質疑を終え、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して森委員より、「ソ連が、二年以内に相互乗り入れを実現するというわがほうの希望を了承し、かつ、その際は、わが国を優先的に扱うと約束した誠意は、高く評価したい。したがって、政府は、この誠意を具体的に実現すべく、本協定実施のために引き続き努力するよう希望して賛成する」との意見が述べられ、次いで採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/20
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021・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/21
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022・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって本件は全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/22
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023・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 日程第三、運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長熊谷太三郎君。
〔熊谷太三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/23
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024・熊谷太三郎
○熊谷太三郎君 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案の内容は、第一に、船舶航行の安全に関する事務の所掌を整備すること、第二に、船舶技術研究所において人工衛星による航法の開発に関する研究を、また、港湾技術研究所において滑走路の建設方法等の研究を行なうこととすること、第三に、港湾審議会において、二年間に限り、港湾運送事業の合理化に関する重要事項を調査審議すること、第四に、航空交通管制本部を廃止して、東京、札幌、福岡に航空交通管制部を新設すること、第五に、運輸省の職員の定員を改めること等であります。なお、本法律案は、衆議院において施行期日等について所要の修正が加えられております。
委員会におきましては、衛星航法の研究計画、航空管制空域を三分化する理由、航空保安のための施設、定員の整備計画、航空運送事業の再編成、航空気象官署の現状、海難事故の現状及びその防止対策等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、伊藤委員より、日本社会党を代表して、本法律案の内容では航空安全対策が不十分であるという理由をもって反対の旨の発言があり、採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次いで、八田委員より、本法律案に対し、「最近のたび重なる航空事故の発生にかんがみ、政府はこの際、航空保安の万全を期するため、航空保安要員については、すみやかに凍結欠員の解除等の措置を講じて、その充実をはかるとともに、施設、組織等についても再検討を加え、事故防止のため最善を尽くすべきである」との、自民、社会、公明、民社各党共同提案にかかる附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。これに対し、中村運輸大臣より、その趣旨を十分尊重して、全力を尽くしたい旨の発言がありました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/24
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025・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/25
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026・重宗雄三
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって本案は可決せられました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115254X02719660513/26
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