1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月三十一日(水曜日)
午後一時三十八分開議
出席委員
委員長 矢野 絢也君
理事 小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君
理事 中曽根康弘君 理事 福井 勇君
理事 渡辺美智雄君 理事 石野 久男君
理事 三木 喜夫君
秋田 大助君 池田 清志君
岡本 茂君 桂木 鉄夫君
世耕 政隆君 増岡 博之君
箕輪 登君 松前 重義君
佐々木良作君
出席国務大臣
国 務 大 臣 二階堂 進君
出席政府委員
科学技術政務次
官 始関 伊平君
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁原子
力局長 村田 浩君
委員外の出席者
原子力委員会委
員 有澤 廣巳君
原子力委員会委
員 山田太三郎君
参 考 人
(原子燃料公社
理事長) 今井 美材君
参 考 人
(日本原子力研
究所理事長) 丹羽 周夫君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
原子力基本法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七二号)
動力炉・核燃料開発事業団法案(内閣提出第七
三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/0
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001・矢野絢也
○矢野委員長 これより会議を開きます。
原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。
最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君及び日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/1
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002・矢野絢也
○矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/2
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003・矢野絢也
○矢野委員長 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。どうかそれぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。
なお、御意見の聴取は、質疑応答の形式で行ないますので、さよう御了承願います。
質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/3
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004・石野久男
○石野委員 長官にお尋ねしますが、私は、今度の事業団ができるにつきまして、わが国の原子力開発政策について、いま一度われわれは思い返してみなくちゃいけない問題がたくさんあるのじゃないかと思うのです。従来わが国の原子力開発についてのあり方を見てみますると、どうも一貫した自主開発の計画性が見られないのじゃないかというふうに私は感じております。いたずらに安易な外国技術の導入ということに走り過ぎて、その模倣の上に立って、きわめて実利的、経済主義的にだけこれが進められてきておるのじゃないかと思うのです。すなわち、それは特に電力資本を中心とした性急なエネルギー対策として、民間資本のベースで、場当たり的に進められてきたのじゃないか、こういうふうに思います。だから、そういう段階では、自主開発への非常な熱意を持った研究者あるいは技術者の努力というものを、自主開発に集結するということが非常にむずかしくなっております。むしろそういう研究者なり技術者がこの点については失望を感じて、場を離れていくというような状態が出ているのじゃないか、私はそういうように思う。原子力の自主開発についての政府の一貫した方針、政策というものを、この際もう一度われわれははっきりさせなければならぬ、こういうふうに思います。原子力開発というのは、われわれの考えでは、実利主義的、経済主義的な側面よりはもっと高い次元で国の科学技術政策としてこれをとらえる。原子力の自主開発を通じて、わが国の科学技術の総合的な水準を高め、そしていわゆる日本の産業構造の高度化に寄与するというような考え方が大事なんじゃないか、今日、そういう必要性が炉の開発などについて切実に要求されているのじゃなかろうかと私は思います。
この際、私は長官に承りたいのですが、原子力開発というものを、ただエネルギー対策という側面だけでとらえるのか、それとも、科学技術政策の総合的見地からこれをとらえていくのか、政府のものの見方についての考え方ですね。どちらのほうを主としてとっておるのか、ひとつ長官から所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/4
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005・二階堂進
○二階堂国務大臣 原子力平和利用の開発の問題につきましては、国といたしましても十カ年に余る研究を続けてきたことは、石野さんも御承知のとおりであろうと思っております。その中心をなして開発研究を行なってまいりましたものが原子力研究所、ここが中心になって、一般的な基礎的あるいは純粋研究開発を行なってまいったと思っておりますが、原子力平和利用、特に電力開発が実際の実用段階になってきたのは、諸外国におきましても、ここ数年来のことではないかと思っております。さらに、今日まで開発されたものを基礎といたしまして、将来主として平和利用を中心とする電力の開発が目下の急務となってきておりますので、わが国といたしましても、電力需要の将来を考え、またこれに伴う燃料等のことを考えますときに、先般、原子力委員会におかれましても、長期計画を樹立され、その長期計画に基づいて自主的に、積極的に開発を行なうという態度を政府もとってきたと思っております。ただ、今日まで一貫性がなかったのじゃないか、電力資本にまかせ切りではなかったか、こういうような御批判も出ておるようでございますけれども、先ほどお述べになりましたように、私は必ずしもそうではなかったというふうに考るわけでございます。従来、十ヵ年余りの過去における経過等については、石野さんのほうが詳しいかもしれませんが、私は、先ほど申し上げましたように、この原子力の平和利用については、特に原子力研究所等を中心にして、政府がその開発の目標を明らかにして、そして基礎的な研究を積極的に進めてきたものと考えておりまして、この成果というものは、国際的にも相当見るべきものが出てきたのじゃないかと私は思っております。さらにこれを基礎といたしまして、先ほど申し上げましたような将来の電力需要、燃料対策等を考えて進めてまいりたいというのが政府の考え方でございます。
ただ、その際、これはやはり平和利用が目的でありまして、そのためには、電力開発だけじゃなくして、その他放射線の関係とか、生活全体、産業経済の向上に結びついた大きな産業の主体でございますので、ただ電力だけを中心にして考えていくというわけではないと思っておりますが、主たる目的というものは、いま電力開発が主であって、その原子力の平和利用に関する部面というものは生活万般にわたる面に応用研究がなされていくべきものではないかと考えておりますので、一つの部面に限ってというようなお説にはならないのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/5
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006・石野久男
○石野委員 原子力の平和利用、そうして開発という問題が、ただ電力開発、エネルギー対策というだけでなく、広範な日本の科学技術政策の中で大きな位置づけをもってそれが行なわれるというような観点からこの政策がとられるか、あるいは、ただエネルギーだけの対策としてとられるかということでは、たいへんな違いが出てくると私ども思っておるわけです。いままでこの十年間の歩みは、非常におくれておるという面もあったこともございましょうが、エネルギーの側面に非常な重点が置かれ過ぎて、また、したがって、電力資本の言い分というものが非常に強くそこに出てきているのではなかろうかというふうに私は思っておるわけです。ただ、政府が、原子力開発という問題については、そういうような総合的な見地から、ただエネルギー部門だけではなく、全体としての科学技術政策の高揚、そうして日本の産業構造への寄与、こういう側面で政策をとっていくように、今後のあり方というものを考えてもらわなければいけない、私はこういうふうに思うのです。
そういう点から見ますると、従来の行き方というもの、それから今度の動力炉・核燃料開発事業団のあり方というものの中に、主としてそういうエネルギーに対する方策が非常に先行しているのではないか、こういうような見方を私はするわけです。それであってはならないと思うので、いま一度、そういうような側面から長官はどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/6
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007・二階堂進
○二階堂国務大臣 石野さんの見解と私はそう違うとは考えておりません。もとより電力を中心とする開発、これはわが国の経済発展の基盤をなす動力でございますので、火力といわず、あるいは重油専焼の発電といわず、これは産業の発展に伴ってその基盤をなす相当な力でございますから、そのためには国も相当力を注いでまいった。したがって、いうならば、日本の産業あるいは国民経済全般からの要求というものが電力の需要確保に置かれた。そのために電力というものが中心になって、原子力の平和利用という面も相当力が入れられたことは事実だろうと思っております。しかしながら、そのことだけに限って原子力の平和利用ということを政府は考えておったのではないと思っております。これは産業全体——たとえば電気事業を引き上げて強くしていくということは、日本産業全体が強くなることであります。そのことによって生活の水準が上がってくるということもございますので、そのことから考えてみましても、これは電力開発が中心になったといっても、やはり国民生活全体に及ぼす影響が大きい、こういうことで、電力開発に原子力平和利用の開発のウェートが相当置かれてきたことは事実であろうと思っておりますが、しかし何と申しましても、こういう先端をいく科学の開発というものは、産業全体の水準を上げていく、科学全体の水準を上げていくというところに、政府としての基本的な考えがもとよりあるわけでございますので、その今日までとってきたウェートが、電力に重きが置かれておったことは事実であろうかと思っておりますが、考え方の基本は、いまおっしゃるとおり、科学水準全体を引き上げていく、こういう政策の中で考えられていくべきものである。このことについて私は石野さんと意見を同じくするように、私自身はいま考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/7
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008・石野久男
○石野委員 原子力開発というものを、科学技術政策の側面でこれを重要に取り上げるか、あるいはエネルギー政策の一部門として取り上げるかということでは、ずいぶん取り上げ方が違ってくるだろうと私は思う。特にこの原子力開発というものを進めていくにあたって、それが自主的に開発されるか、あるいは実利的に、経済主義的に、何でもいいからエネルギーの確保さえすればいいんだというような考え方で進められていくかによって、道はたいへんな違いが出てくると私は思うのです。もし長官が言われるように、原子力開発というものを、ほんとうに自主開発の側面で、そうして日本の科学技術政策の一環としてその高度化を期待するという形でやるとするならば、この原子力の開発における自主開発の側面、その政策、それの具体的な計画なりというものが出てこなければいけない、こう思います。
そこで、原子力開発利用長期計画というものがすでに原子力委員会では出されたわけです。私は、この委員会が出された長期計画の中に、自主開発というものについての側面でどういうような点を重視しておるか、そしてまた、そのためには、われわれはどういうことをしなくちゃならないのかということを、ひとつこの際聞かしていただきたいと思います。それを有澤先生からひとり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/8
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009・有澤廣巳
○有澤説明員 原子力平和利用の長期計画で、自主開発にどういう点に重きを置いているかという御質問だと承りましたが、これは原子力平和利用の面でございますから、先ほど長官からもお話がありましたように、その分野は非常に広く及んでおります。単に動力炉の開発ばかりじゃありません。たとえば核融合反応の開発、あるいはプルトニウム燃料の利用、あるいは放射線の医学方面における利用の面においての研究開発、各般に及んでおると思いますが、先ほど来の御質問に関連をして申し上げますと、動力炉の自主開発ということは、これはたいへん大きな仕事でございまして、一方では確かに日本のエネルギーの自主性を一あるいは対外依存度を減らすという面において非常に大きな意義を持つとともに、これを自主的に開発することによりまして、日本の科学技術の水準を一段と飛躍させることができると考えております。ですから、いまの石野さんの長官に対する御質問の中で、科学技術庁としての科学技術政策として、この原子力平和利用に重点を置くか、単にエネルギー政策として重点を置くかという御質問があったと思いますが、その点から申しますと、科学技術の振興ということは、同時に、産業経済の発達ということと裏表になっていることだと私は考えております。科学技術が進歩すれば産業もまた進歩する、また、産業の進歩の要請があれば科学技術も進歩する。科学技術をもし自主的に開発するならば進歩する。こういうふうに考えておるわけでございまして、その考え方が長期計画の中に盛り込まれていると私どもは考えております。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/9
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010・石野久男
○石野委員 動力炉の開発が、やはり自主開発の中で、いろいろあるけれども、特に大きな分野を占めておるし、そして動力炉開発の過程で産業の面でどんどん進んでいけば、それは同時に、科学の発展の裏表だ、こういう有澤先生のお話でございますが、私もそれは一応信じたいと思うのです。しかし、このように技術的にもおくれており、いろいろな面で開発を急いでやらなくちゃならないというわが国の実情からいいますと、原子力開発という問題は、ただ産業というものがよくなりさえすれば、あるいは進みさえすればというような、そういう論議とはまた別な形で政治的には取り上げられなければいけないのではないか。産業の側面をよくするために、あるいはそれを高度に発展させるために、やはり政治的な政策が必要になってくるだろうと私は思うのです。だから、科学技術に対する政策が、特にいまの日本の原子力開発という側面では大事なんじゃないだろうか。産業がよくなりさえすればということは、いまの日本ではちょっと本末が転倒しておりはせぬだろうかと私は思うのです。むしろ今日の段階では、まず政策を樹立することによって、そして産業の面で寄与するという方向が打ち出されなくちゃいけないだろう、こういうふうに私は思います。
したがって、いま有澤先生からお話がありましたが、原子力開発にあたって、特に炉の開発にあたっての面で、たとえば熱エネルギーを必要とするのだからというので、原子力発電というものに積極的な努力をすること、これはけっこうでございます。けっこうだけれども、その開発に関する日本のいわゆる政策面を別にして、世界的な経済関係の中で、ただ熱エネルギーの確保をするということを民間業界なり産業界がえてかってにやるということなりますと、政策の側面では非常におくれたものになってしまうだろう。特に自主開発という側面からすれば、それはやはり収拾のつかないものになりはせぬだろうか、こういうふうに私は思っておりますが、そういう点について有澤先生はどういうふうに御理解でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/10
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011・有澤廣巳
○有澤説明員 ただいまの御質問は、日本の技術の開発を自主的にやるかやらないかということに私はかかっておると思うのです。むろん産業は、外国の技術を導入しましても、ある程度の進歩をすると思いますけれども、しかし、もし日本がある産業政策上の目標を国の目標としてこれを自主的に開発する。そのためには、各方面といいましょうか、大学とか、研究所とか、あるいは民間の研究者、科学者、技術者をこれに結集し、このプロジェクトを一体となって遂行するということになりますれば、私は、それによって科学技術というものの水準が一段と飛躍することになるだろうと思います。むろん、一般に科学技術の推進をはかるということは、一般的な命題として存在することは私も否定いたしません。しかし、原子力科学技術のように、そのそもそもの出発から先進国に比べまして著しく立ちおくれている。日本はいまから十年前に原子力の平和利用に踏み切りまして、自来十年間いろいろ研究開発を進めてまいりましたけれども、先進国もまた、あるいは日本よりも一そう大きな努力をしてその技術水準の向上につとめておるわけです。したがって、なかなかその開きというものは縮まらない。そういう時期におきましては、何か一つ目標を立てて、その目標を実現するという形において、国が目標、つまりナショナルプロジェクトを立てて、そのプロジェクトを実行するという形においてより一そうの推進をはかる必要があるのではないかと私どもは考えておるわけです。
ただ、その場合に、国の目標、ナショナルプロジェクトでございますから、そのプロジェクトは科学技術の水準を一般に引き上げるというふうなわけにはまいりません。何か特定の目的が必要だと思います。その特定の目標というものは、国の利益、国の要請にとって最も基本的な要請、目的というものと直結することが望ましいと私どもは考えております。
そういうものは何かということを考えてみますと、日本においては、現在のところ、一つ大きな問題としてエネルギー政策、エネルギーの問題があります。これはおそらく今後十年、十五年ということになりますと、日本のエネルギーの供給はその八〇%以上を外国に依存しなければならないというふうな事態になることは明らかであります。この点から考えてみましても、その事態を放置しておけばいいというわけには国としてもまいりますまい。国のいろいろな政策あるいは対外政策——対外政策におきましても、エネルギーという非常に重要な要素が、その圧倒的な部分が海外に依存しておるというふうな状況のもとにおきましては、国の対外政策の自主性をもどの程度確保し得るか、私どもは心配せざるを得ないのでありますが、それはともかくとしまして、エネルギーの海外依存度がこんなに高まるということは、たとえばヨーロッパ諸国において聞いてみましても、六〇%をこえるような海外依存度は、これはもうその国としてはおそろしいことであるということを現にみな申しております。それが日本の場合には八〇%をこえるということに相なるのでありますから、これは国としては、長期の問題ですから放置することもできない。国として現在取り上げるべき最も重要な課題である。その課題を取り上げてみる場合に、原子力発電というものは、まさにこの課題を日本として解くのに最も適当な課題であるということが考えられます。したがって、その課題をナショナルプロジェクトといたしまして、これに向かって国の科学技術の総力をあげて自主的に開発しよう、こういうたてまえをとった次第でございます。ですから、この点から考えてみますならば、私は、動力炉を自主的に開発するというこの行き方は、また科学技術を大きく推進する道でもある、こういうふうなことを申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/11
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012・石野久男
○石野委員 先生のおっしゃることと私もあまり変わりはしないのですけれども、ただ、やはり原子力開発という問題を日本の科学技術政策の一環として取り上げるか、その熱エネルギーを充足させるためだというだけでいくかということとは違う。私は、依然として大きな違いがあると思っておるのです。しかし、これは先生の考え方もそう違わないだろうと私は思うのですが、どうも先ほどのお話では、やはり原子力開発を熱エネルギーだけのものに追い込んでいくというふうに受け取れるので、これは私の誤解かもしれませんが、そうであっては困ると私は思っております。
そこで、原子力委員会が昨年の三月に、総合エネルギー調査会の原子力部会の中間報告として、原子力発電の開発規模という一応想定したものを出しておりますが、この想定という中間報告は、今度のこの長期計画の中にもそのまま入っておるだろうと思います。それからまた、同時に、今度の事業団を設定するについても発電の計画の基礎になっておるだろうと思いますが、それはその通りと見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/12
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013・有澤廣巳
○有澤説明員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/13
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014・石野久男
○石野委員 私は、今度の事業団をつくるにあたって、自主開発という側面をなぜこういうふうに尋ねるかと申しますと、事業団で動力炉及び核燃料の開発をしていく過程において、言われるところの動力炉の自主開発、たとえば高速増殖炉にしましても、あるいは新型転換炉にしましても、意図されるように、はたして自主開発の側面で進むかどうかということを心配するわけです。
と申しますのは、この長期計画によりますと、高速増殖炉は大体昭和六十年にならなければ実用化してこないというわけですね。それから新型転換炉にしましても五十年代にならなければやはり実用化しないということです。この計画でいきますと、昭和六十年代までの間に炉の台数は四百二十七台ということになりますね。そうじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/14
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015・有澤廣巳
○有澤説明員 炉の台数ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/15
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016・石野久男
○石野委員 この計画によりますと、総発電力は三千四百九十九万キロワットになるのでございますね。そうじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/16
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017・有澤廣巳
○有澤説明員 私どものほうは三千万ないし四千万キロワットというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/17
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018・石野久男
○石野委員 だから、これは三千四百九十九万キロワットですから、三千万から四千万キロワットというものになるだろうと思います。これによりますと、たとえば、ここで出ております台数の計は、私のこの資料が間違っておるかどうか知りませんが、台数にいたしまして四百二十七台というのが出ておりますが、これは間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/18
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019・有澤廣巳
○有澤説明員 どういう資料かわかりませんが、私どものほうは、その台数はまだ計算をした覚えはありません。
原子力発電におきましては、大規模化というもののメリットが非常に大きいものでございますから、どんどん原子力発電は大きくなっております。現在でも一台で五十万くらいのものがつくられておりますけれども、これからそれが八十万になり百万キロワットくらいになるわけですから、どれくらいの平均の規模になるかはいまちょっと計算ができませんけれども、かりに五十万といたしましても三千万で六十台ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/19
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020・石野久男
○石野委員 それじゃ私の見方が間違っておるのかもしれません。これは場合によれば合計して六十台かもしれません。それでは六十台でよろしゅうございます。
そこで、この六十台という台数が各地に点在して設置されるのだろう、こう私は思います。この六十台という台数は、大体軽水炉型のものになるのじゃなかろうかと思いますが、それはどういうふうにお考でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/20
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021・有澤廣巳
○有澤説明員 原子力発電の規模としましては三千万、四千万をわれわれはいま考えております。しかし、これはわれわれが新型転換炉の開発を成就する暁には——これはこれから御議論もあろうと思いますが、十年後にそういう新型転換炉が私どもの考えどおりに完成するということになりますれば、その新型転換炉もその中に入ってくるわけでございます。ですから、それがどの程度に、どういう割合で入ってくるかということは、いまのところ、まだ予想は立てにくいのですけれども、私どもは、三千万、四千万というふうな非常に大きな規模の原子力発電が将来十五年から二十年くらいの間に行なわれるということになりまして、それが全部軽水炉になったということになりますと、これはゆゆしい問題が起こってくるんじゃないか、こういうことを憂えているわけです。
先ほど来、エネルギー政策の問題でも申しましたけれども、なるほど、石油よりは核燃料のほうが、日本にとりましてはぐあいがいいような点もあります。しかし、その原子力発電の燃料がことごとく軽水炉による濃縮ウランということになっても望ましい状態とは考えないのでありますから、その状態がこない前に、高速はもう少し時間を要するかと思いますので、まず新型転換炉を開発して、その中の一部分にそれを導入する、導入するというか設置する、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/21
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022・石野久男
○石野委員 御趣旨はよくわかりますが、たとえば昭和六十年代までには大体三千ないし四千万キロワットの発電をする、その間、新型転換炉は五十年代に実用化されてくる。十年間にどのくらいのものが出るかわかりませんけれども、この資料でたとえば炉の台数を六十台といたしまして、百万キロワットのものが、この表によりますと、たぶん十五基くらいという計算になるのですが、新型転換炉がそのうちのどの部分をどのように占めるのか知りませんけれども、問題はそれが非常に大事だと思います。ですから、いま原子力委員会で出しました四千万キロワットというものの発電が、新型転換炉でどの程度まかなえると予定しておるのか、これをひとつ先に聞かしていただきたい。
というのは、この点をはっきりしませんと、実は自主開発についての私たちの考え方がはっきりしない。先生がただいまおっしゃられたように、もしこれが全部軽水炉型になってしまいますと、おそらく燃料の面ではとても自給なんかできはしないだろうと思いますし、また、そういう段階になりましたときに、はたして自主開発の路線が進むのかどうか私は疑問に思いますので、三千万ないし四千万キロワットに及ぶ発電が行なわれたときの炉は、新型転換炉がそのうちどのくらいを占めるか、その予定をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/22
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023・有澤廣巳
○有澤説明員 たいへんむずかしいいろいろな条件が加わっておりますので、はっきりしたことは申し上げかねる御質問だと思いますが、われわれが考えておりますように、新型転換炉は経済的な規格で、軽水炉とコスト、発電費が全く同じである、これよりも安ければ、むろんそれ以後はみな新型転換炉になるといって差しつかえないと思いますが、しかし、かりに半分半分だ、ちょうど同じだということになりましても、私は半分は入ってくるだろうと思います。だから六十台だというふうになりますれば、十年間ぐらいは軽水炉がずっと入っておりますから、小さい炉が半分。時期がだんだんおくれるにつれて新型転換炉のほうが大きな割合を占めてくるという形になると思います。私どもは、そういう趣旨から、核燃料につきましてもなるべく多様化して——濃縮ウランは、御承知のとおり、アメリカにしか大体供給力はない。ところが、天然ウランを使うということになりますれば、これはカナダもあり、オーストラリアもあり、南アもあり、各方面に供給先がありますから、核燃料の供給先をいろいろと分散化することもできますし、また、この法案にも書かれておりますように、天然ウランそのものを、海外においてその資源を確保する道もあり得るわけでございますので、そういう趣旨から、われわれは新型転換炉を、なるべく早く経済的な発電炉として使えるようなものを自主的に開発したい、こういうことを念願しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/23
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024・石野久男
○石野委員 いま有澤委員から、三千万ないし四千万キロワットの発電を原子力で出すにあたって、昭和六十年までの間には新型転換炉は、その六十台のうちの半分くらいになるだろうというお話ですが、大体五十年代に実用化されて、そのときまで、この表でいきますと、炉の数は十三基ぐらいですね。それで、五十年代に実用化されてからのものは、そうすると、ほとんど新型転換炉でやるのですか、それとも、軽水炉でいくのか。たとえば軽水炉で入れたものを、すぐ新型にその炉をかえるわけにいきませんから、結局新型転換炉でやるのには、自主開発ですから、おのずから国内でこれは炉もつくるのでございましょうし、設置もするのでございましょうから、われわれの常識からいきまして、かりに五十年代に実用炉が出てまいりましても、それにメーカーがいろいろ手を加えて、あちらこちらの発電所に据えつけていくということになりましても、おそらく五十五年度くらいからでございましょう。そうすると、あと五年間くらいに各メーカーが年に一基ずつつくっていっても、実際問題でいいますと、知れたものです。そんなにたくさんはつくれないだろうと思います。したがって、おそらく六十年代のうちで、たとえば電気機器メーカー、産業会議グループ、五大グループがありますが、このグループが年に一基ずつつくっていったとしても、せいぜい二十五基ですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/24
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025・有澤廣巳
○有澤説明員 年に一基はとてもつくれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/25
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026・石野久男
○石野委員 できないでしょう。そうすれば、三千万キロワットの中で、新型転換炉で出る発電量というものは、およそどのくらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/26
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027・有澤廣巳
○有澤説明員 私が申し上げたいことは、先になれば先になるほど原子力発電の規模は大きくなるということでございます。最初にでき上がりますのは、御承知のように、三十何万、四十何万というふうなものがだんだん設置されていきますけれども、行く行くはこれが八十万、百万となるわけですね。そうなりますと、いまの新型転換炉におきましても、大型のものほどコストダウンになるということでございますから、新型転換炉が出てくる時分には、その規模はかなり大きなものになっている時期だと思います。ですから、台数も必要なことですけれども、三千万、四千万の中に占める発電量が、どの型の炉から発電されているかということが重要なことだと思います。その観点から、大体半分くらいまでひとつ進めたい、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/27
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028・石野久男
○石野委員 おっしゃるとおり、問題になるのは発電量だと思います。けれども、台数も非常に大事なんです。それは、自主開発について人材をどういうふうに補てんするかというような問題になりますと、大きなところでは一人か二人でもいいだろうけれども、小さなものを十も二十も持てば、そこに十人なり二十人なりの人が要るから、この台数は決して無視できないと私は思います。そういうふうに見てまいりますと、新型転換炉の発電量というものは、この計画どおりいけば、昭和五十五年に一基できまして、五十六年に三基になりますから、二基ふえていくということで、六十年代で十五基、これが百万キロワットですから千五百万キロワット出てくるわけですね。しかし十五基を除いたあと四十数基というものはおそらく軽水炉になるんだろうと私は思うのです。
ところが先日、私が本会議で質問をしましたときに、この新型転換炉の開発にあたって、大蔵省は、この開発については三年ごとにチェックをしていくということを言っております。特に大蔵大臣のことばを引用しますと、一定の期間ごとに成果を見直すということが必要であるということを主張したんだ。だから成果のないものならやめるのだということをはっきり本会議でおっしゃっております。先ほど私が長官に、政策として原子力開発を取り上げるについての立場を聞いたのは、こういう点にひっかかってくるのです。政府は三年目ごとに開発の事情を見て、より安いものがあるならやめさせるんだということを本会議では言っているわけでしょう。本会議ではそう言っているのでしょう。「適当な期間ごとに研究開発を一ぺん見直す、」こう言っているのです。そして、その成果を評価して、検討して、そして次の段階の研究開発を具体化していく。私が尋ねて、やめるのかと言ったら、そうだと言っているわけだから、そうなってまいりますと、この原子力の自主開発ということについて、三年目ごとに政府がチェックして、そして、よりコストの安いものがよそさまにあるならば、何も無理してそこへ金をつぎ込む必要はないのじゃないかという考え方があるとしますと、これは原子力開発についての基本的な政策路線の中に一貫したものが出てこないと私は思うのです。それでは今度の四千万キロワットの計画はくずれてくる。それにもかかわらず、熱エネルギーとして原子力で三千万ないし四千万キロワットの発電を昭和六十年代に必要だとすれば、新型転換炉の具体的な自主開発はできない事情になってしまったとしても、熱エネルギーの形からすれば、原子力発電を必要とするのだから、軽水炉を持ってくることにもう間違いはないのです。そうなってくると、日本のいわゆる原子力開発についての自主開発の路線というものは雲散霧消してしまうのではないかということを私は心配しております。そういう点について確固とした方針を政府が持っているのかどうか。この動力炉の開発事業団というものに、どこかで歯どめのきくようなものがあるのかどうかということですね。私はこのなにを見ておりまして、政府の方針がこういう状態になってまいりますと、おそらく歯どめはきかないと思うのです。そして目標を掲げた法案の目的というものはどこかへ吹っ飛んでしまうのじゃないか、こういう心配をするので、そういうことをどこかでチェックするために何が必要なのかということをこの際お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/28
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029・有澤廣巳
○有澤説明員 この事業団で開発します二つの炉の中の新型転換炉につきましては、高速増殖炉はまだ研究の段階で、当分まだ時間がかかるから、こちらは別でございますけれども、新型転換炉はもうさっそくプロトタイプの建設のための研究開発をやるわけです。これはまあはっきりと三年目といって、何も時間は三年に限るわけではないのですが、三年とか四年とかいうふうに研究開発を進めてまいりまして、次のいよいよプロトタイプの建設を始めるという前には、いままでの研究の成果を、評価委員会を設けまして——評価委員会というのは大蔵省で設けるわけではございません。原子力委員会のほうで適当な委員を御委嘱申し上げて、この評価委員会でさらにこの研究開発を進めていっていいかどうかというエバリュエーション、評価をやってもらうわけです。これは大きな研究開発で非常に巨額の金を要するし、また長い間の努力を傾けていかなければならないようなプロジェクトの取り扱いと申しますか、プロジェクトを推進していく場合の一つのいき方だと思います。ですから、評価委員会でこの点が悪いということでありますれば、その点を開発すればいい。そうすれば時間は、われわれが十年くらいといっているのが十一年になったり十一年半になったり、若干延びるということはあるかもしれませんけれども、しかし、そういう評価を重ねて、そして最後のプロトタイプの建設まで進めていきたいということでありまして、自主開発を放棄するというためのエバリュエーションをやるという意味ではごうもないわけでありますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/29
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030・石野久男
○石野委員 私もそうありたい、そう願います。事実上、私たちはそういうことを願っているのだけれども、しかし大蔵大臣はそう言っていない。大蔵大臣はこう言っています。「新型転換炉、高速増殖炉、この二つはすでに海外諸国で開発が進められておるものでございますので、したがって、海外での開発の成果を直接取り入れるほうが効果的であるというようなことも、研究の過程においては起こり得る問題だと考えます。したがって、長期間にわたる計画を初期の段階で固定化してしまうということは、私は不適当だと考えております。」こう言っている。だから、そのあとで「一定の期間ごとにこの成果を見直す」という大蔵大臣のことばの意味は、有澤委員が言う見直すという意味とは違うのですよ。だから、この事業団をせっかくつくって、そして原子力委員会の長期計画がその路線に乗っかっていく、その過程で再検討を加え、これではまずいからというので研究の過程を変えていく、これはもう当然のことだと思う。しかし、いくら皆さんがそうおっしゃっても、政府から金が出なければ何にもならない。政府の金を押えているところで出しませんと言われたら、これは政策はなっちゃいないことになってしまう。私はこの点では、大蔵大臣の考え方と皆さんの考え方とは方向が違っていると思いますよ。これをまず統一しなければ、この事業団というものはスムーズには動かないと私は思います。大臣、こういう点で、いまも申し上げたとおり、いま有澤原子力委員のおっしゃることと、それから大蔵大臣の言っていることは違っていると思うのです。私はこの点を実は本会議でも尋ねたのです。私が尋ねたことに対して、少なくとも有澤委員のいま御答弁になるようなぐあいのごまかしの答弁でもあるのじゃなかろうかと私は期待した。ところが、そうじゃない。ずばり、検討します、とこういうふうに大蔵大臣は言っているのだから、もっともこれは大蔵大臣に聞かなければ、長官にはちょっとわからないと思いますが、政府の考え方はどういうことなんだろうか。一定の見解をもってこの長期計画に対する自主開発を考えているのかどうかを明確に答弁していただきたい。大蔵大臣には、またあとで聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/30
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031・二階堂進
○二階堂国務大臣 これは私も本会議の答弁を聞いておりまして——約三年ごとにチェックするということは、一応了解事項として私ども科学技術庁もこれを了解して予算編成に臨んだわけですが、そのときのいきさつは、今度の事業団をつくるということについては、科学技術庁も原子力委員会も、それから大蔵省も長い間かかっていろいろな議論をいたしたのです。その議論の過程において、いま大蔵大臣が、と言われましたが、大蔵大臣の意見は、必ずしも役に立たなければこれをやめるのだという意見ではないと私は考えておりますし、また了解しておりますが、そういう意見が大蔵省の一部にあったことは事実であります。事実でありますけれども、この事業団というものを将来のわが国の産業政策、特にエネルギー政策の中で電力をどう考えていくかという、高いところからいろいろ議論をいたして、やはり少なくとも燃料政策というものは真剣に取り組んでいかなければいかぬ。これはエネルギー対策の審議会においてもそうですが、その中で、二十年後における油の輸入なんかを考えてみましても、二十六億トンですか、たいへんなウエートになる。この燃料をいかにセーブして、そうしてまた、産業の原動力である電力というものをどうして開発していくか、こういうことを考えたならば、やはりこれは自主的に原子力エネルギーの開発にどうしても踏み切っていかなければいかぬ、こういう議論を重ねて、そして結局大蔵省と了解がついたことは、新しい事業団をつくろう、つくるためにはこれだけの資金を出そう、特殊法人も議論がありましたが、こういうものをつくろうということに踏み切ったわけです。ですから、大蔵省の全体の考え方との間には、これをつくるんだ、つくるためにはこれだけの金が要るんだ、法律もつくるのた、事業団もつくるのだ、こういうことを政府の政策として理解を願って、これはきめたものでございます。ところが、いま大きなプロジェクトに取り組むためには、たいへんな仕事であります。また、外国におきましても、新型転換炉はまだ実用段階に入っておりません。英国あたりにしましても、実験段階に入るのは新型転換炉は七年後と、この前英国の公社の副社長が来て申しておりましたが、そういう状態なんですね。これはわが国においても、これから大きな規模で取りかかろうというときですから、やはりこれをやめろということじゃないのだが、いま有澤先生がおっしゃったようなことで、いろいろ疑点が出てきたり欠陥が出てきたりする、そういうものをひとつ三年ぐらいに見直しながらさらに積極的に前進しようということで了解ができておるわけでございます。大蔵大臣の言われるのは、これはだめであったら金も出さぬということではない。私はあの演説の直後、大蔵省当局に、若干私個人の意見でありましたが、それは少しことば足らずじゃないか、こういうことを率直に言って、理解をさらに深めておいたわけでございますけれども、いま石野先生のおっしゃるように、政府部内の考え方が違っているのだ、特にお金を出すほうの大蔵省が熱意がないのだということではこれはないのでございます。いずれまた大蔵大臣も出席願って聞いてもらえばわかりますが、政府全体としてこういう政策をきめて、そうしてエネルギー政策の一環としてこの原子力の平和利用の電力開発をやろう、こういうことがきまって、そうして予算がつき、法律を政府として出すわけですから、そこを、こんなものをつくっておいて、二年先になったらやめてしまえというような、そういうものじゃない。これはやっぱりエネルギー政策の一環として、その具体的な政策の一つのものとしてこういう法律をつくり、事業団をつくって積極的に取り組むのだという姿勢は、そう簡単なものじゃないということだけはひとつ御理解願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/31
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032・有澤廣巳
○有澤説明員 ちょっと私、補足申し上げたいと思います。
新型転換炉は、海外におきましても、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、それぞれ開発をやっておるわけです。その新型転換炉の構想といいましょうか、アイデアというものは、それぞれの国のエネルギー状況にとりまして最も適当なというか、一等適合しておる考え方のもとにこの新型転換炉を開発しておるわけです。日本の場合におきましても、いま新型転換炉と一口には申しますけれども、特殊な日本のエネルギー事情にとりまして最も適合するような構想、アイデアのもとにおける新型転換炉を開発しようとしておるわけです。ですから、外国におきましても、なるほど新型転換炉で、ある開発が成功するかもしれない。しかし、日本の考え方のとおりのものが、大蔵大臣が言われたように、同じものがすぐできるというふうには私はとても考えておりません。ですからかりに日本と同じものを——いま現につくっていないからそういうことはないと思いますけれども、かりに日本がやっていると同じ構想のものがどこかで日本よりもずっと早くできて、われわれがエバリュエーションをやる時期にはそれができ上がっているというようなことがありとするならば、そのあとを日本で引き続いてやるというのは、これはむだなことであろうということは言えると思いますけれども、まあ私はそういうことはあり得ないと実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/32
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033・石野久男
○石野委員 私はやはり新型転換炉がその国の特有のものとして開発されるということの理解は持っております。ただ、しかし、大蔵大臣は、先ほどの話のように金を出す元締めですから、金の面だけでものを言ったということかもしれませんけれども、今日事業団をつくって高速増殖炉並びに新型転換炉で自主開発の路線を進んでいこうという決意をしてわれわれがこれを進めていこうとするにあたっては、プランも必要でございますけれども、それに対する資金と人材をどういうように供給するかということについての一貫した方策がございませんと、これは成功しないと私は思うのです。私のいま心配しているのは、自主開発という名においていつの間にかやはりイージーなやり方で他国のものを入れてきてしまうというふうに変ってきはしないかということの心配を実はするわけです。いまわが国のようなこういう資源の事情のもとでは、やはり原子力発電というものを積極的に開発すべきである、できる限り自主開発に力を入れるべきであるというふうに私は考えているわけなんです。しかし、いままで見ていると、電力産業資本が非常に先行しまして、わが国の科学技術政策、特にエネルギー政策の中で占める原子力開発というものに対するむしろ混乱をさえ導いてきているのじゃなかろうか。一貫性を欠くような方向が民間産業の中から、特に電力資本やあるいは電気機器メーカーの中から打ち出されてきておりはせぬだろうか。たまたま原研があり、燃料公社があって、国が一つの一元化した形でそういうものをやろうとしても、それをはばんできたものは、そういう過去における電力産業資本、あるいはまた、電気機器メーカーの恣意的な方向からきたいわゆる統一性のないやり方の結果だと思っておるわけです。たまたま新型転換炉がこういう形で事業団によって開発されていこうとするときに、やはり大蔵省の考え方は、私の聞き取り方が違ったかどうか知りませんけれども、少なくとも大蔵大臣が本会議で答弁した意味は、三年目ごとに外国でもっといいものがあったらチェックしてもいいではないか、こういう意味を言ったわけです。大蔵大臣の言う意味は、なるべく資金を効率的に使いたいという側面だったと思いますけれども、しかし、わが国の原子力開発という側面からいうと、ある時点では国が相当程度の負担をしてでも、この国の自前の開発をするという決意がなければいけないだろう。そういう決意について、すでに事業団を発足する段階において大蔵当局との間に意思の疎通を欠いているということであるならば、これは画竜点睛を欠くことになってしまうのではなかろうか。それだけではない。私たちはむしろこの事業団がこういうようになるについて、たとえば燃料公社がなくなってしまったり、原研との関係についても、あとでまた原研の理事長さんや何かにもお話を承りたいと思いますけれども、そういう使命感的なものとの食い違いが出てきはせぬだろうかという心配さえ持っているわけです。だから、大蔵大臣の答弁は、いま大蔵大臣はいませんからあとでまた承りますけれども、少なくとも政府にこの開発についての意思統一があり、財政的な裏づけというものについても、一貫して、大臣がかわってもかわらなくても、政府としてはこの事業団が自主開発の側面をやる以上はこうやるのだというはっきりしたものがありませんと、われわれは法案を審議したって意味がないと思うのです。そういうことで私は長官に先ほど尋ねたのです。この点は、いま大蔵大臣がいませんからあとでまた大蔵大臣に承ります。また原子力委員会としても、やはり大蔵省がこういうような態度であるような場合、計画の遂行にあたって責任を持てないだろうと私は思います。そういう点は、原子力委員会としても、こういう政府の態度に対してはもう少しはっきりした自分たちの意見を出すようにしなかったら、今後の原子力開発というものはできないんじゃなかろうか、私はそう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/33
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034・二階堂進
○二階堂国務大臣 いや、この法案審議をしてくださるこの際に、そういうことを念を押してくださることは、私は非常にいいことだと思っております。これが政府の方針もあいまいなものを出して、そうして御審議願うということはあってならぬことだと思っております。この政府の方針につきましては、先ほど申し上げましたように、ずいぶん議論をいたしまして、そうして政府がその政策を、具体的な一つの問題点を取り上げてこれを進めようということで事業団もつくるし、法律も出す、これが二年くらいでだめになるというものを政府がどうして法律を出すか、お考えくだされば御理解願えると思っております。また、資金の面で大蔵省と二千億もかかる、こういうことで話を始めたところが二千億はどうだという話がありまして、それを掘り下げて積極的に努力を重ねて、その中で了解をつけて、それじゃよかろう、こういうことになったわけです。大蔵大臣の、私は速記録も持っていますが、これは「巨額な資金を要するこういう動力炉開発計画というようなものについては、」という、この「資金」ということを非常に言っているわけですね。資金の面から見て効率的に資金が使われるかどうかということは、大蔵省が初めて取りかかるわけですから、これは大蔵省の当然の考え方だと思っておりますが、私はこの計画については適当な進め方じゃないか、こういうふうに考えております、こう書いてあります。何も適当なものじゃないと言っていないのですからこの点はひとつ石野さん、よく御理解願っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/34
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035・石野久男
○石野委員 大蔵大臣の答弁は、いま長官が読んだところを読めばそういう意見もあるけれども、その前も読めばたいへんな問題が残るわけだ。だからこれはあとで大蔵大臣に意見をしっかり聞かねばいけませんし、やはり事業団をつくるにあたっての総理大臣のはっきりした考え方も聞いておきませんと、率直に言って、長官はそう言うけれども、大蔵大臣は、前のほうに、海外での開発の成果を直接取り入れるほうが効果的であるというようなこともはっきり言っているのですから、これはやはりもう一ぺん念を押したいと思います。特にこの法案を審議するにあたっては、ここからはっきりしていきませんと、幾ら法律案の内容がよくても金が出てこなければ何もできはしないのだ。だから、やはりこれは総理にも大蔵大臣にも私はもう一ぺん聞きたいと思いますから、これはあとにします。
問題は、その次にお伺いしますが、新しくできる事業団の——私は先ほどからしばしば申し上げておりますように、この事業団は単なる熱エネルギーを解決するための炉を開発するのだ、燃料を開発するのだというような意味ではなしに、日本の科学技術政策の中の一環としてつくられるものだと私は理解するわけです。だから、言うなれば、先ほど有澤先生からお話があったように、こういう事業団の中には、むしろ核融合の問題までも、率直に言いまして、はっきりとその目的の中へ入れるべきじゃなかろうかとさえ思う。そこまであるべきだろうと思うのです。それはまた別につくるなら、あっちゃこっちゃいろいろなものがたくさんできますが、そこでこの事業団が科学技術政策の中で占めている位置づけ、そういうものをまず先にはっきりしなければいかぬじゃないかと私は思っているのですよ。国の科学技術政策として原子力開発の意義が非常に大きいのでございますから、原子力基本法の精神を踏まえて、今度できる事業団は、そういう立場からすると、私自身には位置づけが非常にわかりにくくなってきている。
そこでこの事業団が設立されますと、先ほど来申しているように、燃料公社はなくなってしまうわけですね。原研は、あとでお尋ねしますけれども、私どもの見方では、その本来的な任務、性格というふうなものが非常にゆがめられてくるような気がします。それからまた、そういう立場の中で原研の持っている性格が多分に事業団の下請機関的なように見られる面が多くなってまいります。それからまた、有澤先生のいまなにしておられます原子力委員会そのものも、どうも私は権限の縮小が行なわれてくるのじゃなかろうかというふうな気がするのですよ。これは私はこの前本会議でも聞きまして、長官はそんなことはないのだと言っておりますけれども、しかし、法案の中には、明らかに権限縮小が出てきているわけです。だから、そういうような点がいろいろありまして、事業団が科学技術政策の観点からすると、何か政策という時点ではなくして、実利主義、経済主義的な側面で主として運営されていくのではなかろうか、こういうような感じがする。ことに、先ほど申しました大蔵大臣の答弁なんかも含めて、私はその感を強くするわけなんです。そういうことから、この事業団に対しての科学技術政策の時点における位置づけといいますか、そういうようなものを政府はどういうふうに位置づけておられるのか、そこをひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/35
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036・有澤廣巳
○有澤説明員 事業団は二つの動力炉の開発並びにそれに関連する燃料の研究開発、これをやることになっておりますが、これをやるためには、原研はむろんのこと、大学の原子力関係の先生方、それから、その他の研究所の方々、それからまた、民間にいられる技術者、科学者、こういう人人の研究を一そう推進してもらわなければならないということなんです。ですから、これは言ってみますれば、この事業団がそういう原子力関係の科学技術を推進する一つの媒体だというふうに考えられるわけです。この媒体を通じて、各方面の原子力研究をされておる者が相互に力を結集するという関連をつけて、そうして一つの目標に向かってですけれども、一そう大きな研究の成果をあげることができる。そのことがつまり原子力に関係する科学技術の水準を引き上げることになるわけです。ですから、科学技術政策を遂行する点から申しますならば、この事業団が一つの媒体だと私どもは考えているわけです。一般的に科学技術研究を推進すると申しましても、結局、大学のほうの研究に金をたくさんつけるとか、あるいは個々の研究所における特定の研究課題に対して研究費をよけいつけるとか、あるいは人員をふやすとかいうことしかできないわけでございますが、それでは各個ばらばらにそれぞれの分野において研究が進むかもしれませんけれども、相互の関連を通じての科学技術の水準の引き上げということは、一つの何といいますか、契機といいますか、媒体、そういう媒体がなくてはなかなかできないのではないか、こういうふうに考えます。その媒体も、単にそれだけの意味を持っている媒体では、国のほうも思い切った金の出し方はなかなかできないだろう、そういうのですが、この場合には、先ほど来申し上げておりますように、日本のエネルギー問題を解決する大きな一つの方法である、つまりそういう原子力の発電の新しい方式を生み出すということがその媒体の目的になっておりますので、両者ともに手を結んでやっていくことができるのではないか。私は、科学技術者の点から申しましても、自分の研究しておること、開発しようとしておることが、こういう大きな国の目的と結びついているのだというその認識のもとにおいて行なわれる研究というものは、一段と熱が入ると申しますか、科学技術者は、いずれも自分の研究に熱を入れておるとは思いますけれども、特に一段と相互に励み合って熱が入るものと考えるわけであります。その意味において媒体だという考えをひとつ御理解願いたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/36
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037・石野久男
○石野委員 事業団の位置づけというようなものが一つの科学技術政策遂行の上で実際の実務と、それから研究、あるいはそれの技術者、そういうようなものを一つの媒体的な形でこの事業団が処理していく、こういうふうにおっしゃられるわけですが、そういうようなあり方、これはしかし媒体といいましても、具体的には仕事をせねばなりませんから、その仕事をするにあたって、たとえば原子力研究所との関係でございますとか、あるいはまた、一般の民間産業の会社との関係、そういうような中にありまして、ただその連絡機関のような形で仕事をしていくというだけではなかろうと思います。ここ自体がまた一つの事業体というような形にもなるのでございましょうから、原燃は解消して含めてしまうのですから、それ自体中に入ってしまいますけれども、しかし、もともと、原子力基本法に基づいて原子力の開発を平和的に進めていくんだという精神から、原子力研究所が片方にあり、片方には原子燃料公社がありまして、その原子燃料公社をここで統合してしまいますと——統合といいますか、解体してここでかかえ込んでしまうということになりました場合、かっての原子力研究所やあるいは原子燃料公社というものの持っていた意義が非常に違ってくるんじゃなかろうか、その場合、原子力基本法に基づいた研究所並びに公社を設立した精神、そういうものがゆがめられはしないだろうか、どうだろうかということの疑義を私は持ちますけれども、そういう点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/37
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038・有澤廣巳
○有澤説明員 この事業団ができますと、当初原研なり公社の設立された意義というものが変化するんじゃないかという御質問のように承りましたが、私どもは、むしろ、原研について申しますと、原研はいままで一般に原子力の平和利用に関する研究開発を進めてきておったわけでございますが、いま事業団にこういう一つのナショナルプロジェクトが立てられますと、従来の原研の研究開発、あるいは研究員として、つまり人員として——研究者として養成されてきた人々の力、そういうものがこのナショナルプロジェクトの遂行に大いに役立つ、あるいはそれに積極的に参加して、従来の成果をこのプロジェクトの中に発揮することができる、こういうふうに考えておりますので、原研につきましては、私は、いよいよここで原研の従来の設立の意義というものが、一そう発揮できるようになるのじゃないかと考えております。
それから、燃料公社のほうにおきましては、なるほど、公社につきましては、あの設立当時は特殊核物質——まあ特殊はなかったかもしれませんが、核燃料物質まで含めてですけれども、全部が国の管理というか、国有に置かれる、こういうたてまえのもとにあの公社が設立されてきたわけですが、しかし、その間におきまして、天然ウランはもう除外される、いよいよ今度は特殊核物質につきましても民有化の時代になってきておる、こういう時代の変化に伴って、従来の公社の形式のものがこの事業団という法人の形に変わるというだけのことでございまして、本来基本法で持っておりました、つまり原子力の平和利用を計画的に推進するというその面においての公社の意義、機能というものは、今度事業団と合体いたしましてもちっとも変化しないどころか、むしろ今度は燃料の開発、たとえば先ほど来問題になりました新型転換炉におきましては、プルトニウムを天然ウランにまぜてこれを燃料にするという考え方を持っておるわけです。そういう新しい燃料の開発、こういうものについても真剣に取り組まざるを得ない事態に置かれておるという面から見ますならば、私は、燃料公社の設立当時の意義というものは、これもまた、この場合、この事業団の設立によりましていよいよ真剣になってくるものと考えております。ですから、この事業団ができますと、原研の位置が低下するとか、あるいは公社の機能を弱めるとかいうような御心配はないのじゃないか、私はこういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/38
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039・石野久男
○石野委員 有澤先生にお尋ねしますが、こう事業団ができますと、昭和六十年までに三千万ないし四千万キロワットの開発をするにあたって軽水炉を中心とした開発がどんどん行なわれていきます。これはもちろん民間側が主としてやることになると思います。事業団は、この軽水炉の開発なり、それから出る発電の問題について、どの程度のことについて事業的に仕事の上で関与といいますか関係づけられるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/39
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040・有澤廣巳
○有澤説明員 軽水炉についてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/40
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041・石野久男
○石野委員 六十年までには約三千万ないし四千万キロワットの発電が行なわれます。私の見方では、それはほとんど軽水炉型の炉で発電されるだろうと思うのです。五十年後期にわたって新型の炉が若干出てくるでしょうけれども、これは微々たるものでございましょうから、ほとんどはやはり軽水炉の開発になるだろうと思います。これはおそらく民間で行なわれるのでしょうけれども、しかし事業団は、その軽水炉の発電についての技術的な関係だとか、あるいは研究開発とかいうような問題とあまり関係なく進められるのかどうなのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/41
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042・有澤廣巳
○有澤説明員 民間が導入する軽水炉につきましては、事業団は特別の関係がないだろうと思いますが、ただ軽水炉に使います燃料につきましては濃縮ウランを使うわけですが、できればプルトニウムを原料として、それを軽水炉にも使えるような、そういう燃料の開発はすることと思います。しかし、それも燃料の研究開発です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/42
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043・石野久男
○石野委員 先ほど有澤委員から、原子力研究所あるいは原子燃料公社につきましては、それぞれやはり十年間の成果をこの事業団の中により効果的に発揮できるような状態になるだろう、こうお話がありました。原子力研究所と事業団との関係、そしてまた、十年間の蓄積された成果というものを事業団が吸収する、あるいは協力を求めるという、そのあり方は大体どういうふうに関係づけていこうとしておるか、一応有澤先生から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/43
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044・有澤廣巳
○有澤説明員 事業団は、目的は、二つの型の炉を開発する、プロトタイプを建設するということでございますが、この二つの炉、ともにこれを開発するとなりますと、それの開発する主体というか主力になるものは、私はやはり原研かと思います。なぜならば、原研はいままで数百億の金を投入してりっぱな施設もつくりましたし、人員も相当の人員、二千人近い人員を持っておる。二千人が全部研究員じゃないのですけれども、オペレーターも含めたら二千人に達している。そういう大研究所がここ十年間研究を重ねてきております。それも、ただやっておるわけではなくて、いまの動力炉関係の基礎的な研究はやってきておるわけです。ですから、たとえば高速増殖炉について申しますと、その高速増殖炉の実験炉をつくるための相当の研究的な準備も、もうある程度蓄積されておると思うのです。そういう原研が現在あるわけです。そこにいまこの動力炉を開発しようということになりますと、その開発の大きな部分を原研が引き受けてやらなければならぬ。むろん事業団ですから、事業団がそういうものの事業の主体になっておりますから、そこで全部の研究は取りまとめるわけでございますけれども、しかし、その実際の研究開発をやる舞台としては、これはもう原研が大きな分野を占める。原研ばかりでなく、大学の先生方にも基礎的な分野——これは原研にも基礎的な分野がありますから、原研並びに大学関係の先生方の基礎的な研究もあわせてやってもらわなければなりませんし、あるいは所要の機器を開発するというエンジニアリングの面におきましては、民間のほうの技術者たちの創意くふうに待たなければならない分野もあります。しかし、原研との関係で申しますならば、私は、原研が最も大きな主力舞台になる、こういうことは言えると思います。事業団は、私どもの考えでは、自分のほうであまり大きなスタッフは持たないで、必要な研究開発は、これをそれぞれ委託して研究開発をしてもらって、その成果を統合し、その統合した結果、この動力炉開発の事業を進めていく判断を——次にどういうステップで開発するか、ステップ・バイ・ステップに動力炉の原型炉の開発を進めていく、その判断はこの事業団がやるわけです。ですから、その判断を下す必要な程度のスタッフは、理事者とともにそういうスタッフがなければ、事業団の判断が下せないのですから、その判断が自主的にできるだけのスタッフを必要としますけれども、実際の研究開発というふうな面におきましては、私は、これを各それぞれ適当した部署にお願いをして研究開発を進めてもらう、こういうようなあり方になるだろうと思います。
その点から申しまして、先ほど申しましたように、原研というものは、このナショナルプロジェクトの遂行において、非常に大きな役割りを演ぜざるを得ないし、演じてもらわなければならぬ。また、原研のほうから申しますと、おれたちがやらなければ、このナショナルプロジェクトは実現できないのだという、それだけの自負心は持ってもらわなければなりませんし、持っておることと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/44
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045・石野久男
○石野委員 丹羽理事長さん、お忙しいところ、おいでいただきまして……。お尋ねいたしますが、いま原子力委員会のほうでは、やはり事業団ができましたときには原研さんに自負心を持って協力してほしい、こういうお話でございました。私は、大きなプロジェクトが設定されて、それに各機関が協力することにはいささかも異議はございませんですけれども、ただ、原子力研究所が従来原子力基本法に基づいて一つの自主的な立場での研究開発をしてまいりましたというたてまえ、そういう原研の設立の趣意なり、また研究者の十年の積み重ねた成果、それから、これらへの自分たちの期待なり意欲というようなもの、それをこの事業団の中にいまのような形で協力していくということは、ある意味では非常に気やすくやれる場合もありましょうが、また他面からいうと、自負心を持ってと有澤さんが言われたけれども、研究者のほうからすれば、いろいろまた問題もあろうかと思います。ことに理事長さんとして、原研がこういう事業団とタイアップしていくということについて、まあ政策的にはそうやらなければならぬでしょうけれども、問題がいろいろあろうかと思うのですが、そういう点でやはり障害になるとか、あるいはまた、やりにくい面があるとかいうようなことは全然ございませんでしょうか、率直なところをひとつこの際……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/45
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046・丹羽周夫
○丹羽参考人 少しさわりが長いかもしれませんが、私、まず第一番に、今回できようとしております新法人、あるいは事業団ですか、あれはたいへんけっこうだったと思います。
ただ、御承知だろうと思いますが、ここ数年来、いろんな時期といいますか、ステージを経て今日のことがきめられかかっておるわけですね。最初の、まだこういう事業団というものの構想がはっきりしていなかったころは、原研というものはやはり研究開発をする機関でもある。そして、どちらかといえば、いままでは基礎的な——この基礎研究ということばが非常に誤解を招きやすいことばでありまして、この基礎研究ということば一つで、いろんな機会にいろんな方々が述べておられるので、非常な間違いを今日までにたくさん起こしておりますが、それの実例なんというようなことはやめまして、基礎的な目的研究をやってきたのであります。したがいまして、初めのうちはその色彩が最も濃いと思われまする高速増殖炉の実験炉というものは、原研が、一口で言いますと、何もかもやってしまうのだということに、早いころのステージではなっておりました。
ところが、しばらくたちまして、原子力委員会の方針としまして、ああいう性格の新事業団というものをつくるのだということにだんだんとなってきまして、私も商売柄いま臨時推進本部議長なんというものもやらされておりますし、新事業団の性格とかなんとかかんとかいうことにも意見を求められておりましたので、そのときに私が初めて申しましたことは、いやしくもああいう種類の動力炉の開発研究を進めていくための事業団というものができるからには、原研といえども、こと動力炉開発に関する仕事に関しては、全部この新事業団の傘下といいますか、管轄下といいますかに入るべきである、したがって、いま申しましたように、実験炉というものは、初めは、先ほど申しましたような方向においてきめられかかっておったのでありまするが、これは私自身がむしろ自発的に、原子力委員会なり何なりに積極的に申し上げまして、高速増殖炉の実験炉の仕事といえども、これはやはり大きなプロジェクトの一つではあるけれども、動力炉開発の事業の一つの部分であるので、このことは新事業団というものが無関心であり、あるいはつんぼさじきに置かれるということはあっちゃならないのだ、したがって、こまかいことを言えばいろいろありましょうが、予算なり何なりというようなものは全部この新事業団がテークケアすべきものである、と同時に、科学技術的なRアンドDにおきましても、やはり原研がかりに取りまとめとか主体的な仕事を仰せつかりましても、かってにやらないで、あるステージになりまして、たとえば実験炉の設計なら設計を、メーカーも学者も集まっていただいてでっち上げましたならば、さあそれによってすぐつくるというようなことをやっちゃいけないのだ、やはりある案ができたならば、新法人にまず提案して、こういうものを、こういう理由で、こういうふうにつくりました、見てください、こういって評価なり判断なりを仰いで、それじゃそれでやろうときめられたならば、初めてその実行に移るべきものである、こういう意見を内外でたびたび私は述べてまいりました。
そこで、いま石野さんがおっしゃいましたように、同じことばが理事会でも、部長会議のようなところでも、その他数回出ております。それは石野さんの本会議における御議論の速記録も、実は私、拝見いたしました。こういうエピソード——エピソードというほどのものではないのですが、ほとんどそれと同じ発言を今日まで私はしてまいりましたが、ある男が、それは一人じゃないのですが、そうなりますと、原研というものは新事業団の下請になるのですか、こういう質問が出たのです。私は下請なんということばは実に俗っぽいことばだが、まあかりに下請なら下請でよろしい。原研が、ある部分の仕事において、下請ということばは私はいやなことばだが、かりにそれを使うとしても、原研が下請になったがために、原研の権威というものは絶対に損失されるものではないぞということを言ってまいりました。
要するに、実験炉は原研がやるのだとされておったときの直後に、いま申しましたように、こういう事業団ができるということがだんだんとわかってきましたので、それならば、動力炉開発の事業の重要なる一環である実験炉といえども、やはり何と申しますか、新事業団の制御下といいますか、監督下といいますか、コントロールの中に入るべきものである、私はもっぱら対外的にもそういう発言をしたのであります。したがって、とかく、人間というものは、うぬぼれもあるし、従来の伝統もありますし、何となく権威をそがれるような気持ちも出たのもわからないことはありませんけれども、私はそれじゃいかぬ、総合的に、一貫的に動力炉開発の事業をやるべき事業団であるからには、たとえ実験炉といえども、その他のものといえども、全部それを見る義務もあるし、権利も持たせなければならぬ、これが私の従来の議論でありました。
ただ、そこで、ちょっと御質問に沿うと思いますので、つけ加えさしていただきますが、こと原型炉に関するいろいろなことは、これは多分私が自発的に原子力委員会等に申し上げたと思いますが、これは原研がいわゆる主体とか主務とかいうものにはならないほうがいいんだ、そのわけを申し上げれば切りがありませんが、私、長らく新しい機械なり何なりの開発なり設計なりに従事してきた経験もありますし、その他いろいろな理由から、原型炉に関する仕事は、原研が主体なり主務にはならないほうがいいんだということを、内部でも言い、外部でも申し上げてきました。
そこで、ひとつ、はっきり正直に申し上げますと、主体でないということは、だれかが主体にならなければならない。それは、すなわち開発事業団であるべきであると私は思いますが、そうなると、両型の原型炉のプロジェクトリーダーといいますか、そういうようなものになられるべき新事業団の、それを担当される理事さんは非常に大事であり、また、むずかしくもあり、重要な仕事をすべき方であると思いますのは、いままでは、とかく、ほかになかったものですから、原研が何でもかんでも原子力開発に関する研究開発をやってきたのでありますが、それの主体性というものが他に移るとなると、とかく人間の通弊といたしまして、御命令なり御委嘱なりがない限り自発的にやらないのだ、ああいうこともやるべきだと思うが、お尋ねもないし御要求もないので、まあ黙っておけ——黙っておけと積極的に思わなくても、そういうテンデンシーというものは自然に人間の中にはあるのであります。それが私は一番こわいのだということをたびたび対外的にも対内的にも言ってまいりました。
そこで、私はそれがはたして有効であったかどうか知りませんが、先ほど有澤委員がおっしゃいましたように、たとえばアドバンストリアクター、新型転換炉でも、高速増殖炉の原型炉でも、諸君が過去十年間蓄積して持っておる、何と申しますか、能力、いわゆるポテンシャルエネルギー、これは非常に大事だぞ。したがって、君たちのその方面の知識というものは、必ずや積極的にいろいろな面において参加なり提供なりを要求されるであろうと思う。また、そうされなければいかぬ。したがって、その場合には、頼まれないことは決してやらないのだ、知らないのだという態度はよくないぞということを、部内では強くしばしば私は言ってまいりました。しかし、それがどの程度に徹底しているかは、若干疑問がないとも言えないと思いますし、したがって、先ほど申しましたように、そういう方面の、つまり原型炉関係を担当される理事さんは、よほどしっかりした、何といいますか、指揮棒をふるってもらえる方でなければいけない、こう私は思います。
まだ、これに関連して申し上げたいことは多々ありますが、結論的に申し上げますというと、石野委員の御質問に対しましては、私は、いま申しましたような点が、若干の気になる点ではありますけれども、おおむね、すでに原研内部といたしましては、こういう新事業団の事業に対する協力——この協力のしかたはいろいろありましょうが、準備は一応できておるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/46
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047・石野久男
○石野委員 下請機関化するということばはいやなんだけれども、やはり協力するということは積極的にやるべきだという御趣旨は、私は趣旨はよくわからないわけではないのですが、ただ問題は、事業団は、先ほど有澤委員もおっしゃっていたように、なるべく人員を少なくして、各所の能力を結集するように持っていきたいと言っておるし、いま丹羽理事長さんのほうからは、やはり積極的に協力するということ、それはけっこうであります。その場合、原子力研究所が、これは極端なものの言い方でありますけれども、本来の原子力研究所というものの、自主的な側面での仕事というものが、事業団から与えられたプロジェクトに協力するということに大部分を持ち込んでいくという、そういう事態がおそらく当面出てくるのじゃなかろうかと私は思うのです。これは少しオーバーかもしれませんけれども、しかし、当面、原子力の開発という問題が、主としてこの高速増殖炉または新型転換炉というものに集約的に行なわれていくだろうという傾向を見ますから、多分そういう形になるだろう。もちろん、ほかにもいろいろな仕事はありましょうけれども、そうなってまいりますと、原子力研究所というもののそういう所在が必要なのだろうか、どうだろうか。そうなるのなら、むしろ事業団の中の一部署にしたらいいのではないか。スタッフを全部そっちに持っていってしまう、そうしたらいいのじゃないかという感じが私はするのですが、そういう点は理事長さんはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/47
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048・丹羽周夫
○丹羽参考人 私は、石野委員にお答えしている途中で、ちょっとその点にも触れようかというひらめきがあったのですが、新事業団の仕事のやり方といいますか、新事業団のあり方といいますか、につきましては、有澤委員が先ほど明確に申されましたので、ひらめきはしましたが、あえてやめました。しかし、再びと申しますか、石野委員のお尋ねがありますので、はっきりと私は申し上げます。
かつて、これは雑音に終わっておると思います。と申しますのは、先ほど有澤さんがはっきりとおっしゃいましたので、現在では、過去においての雑音であって、現在はその雑音はない、こう思っておりまするが、いま石野委員がおっしゃいましたような点等につきまして、これは当然大事なことでありますので、各方面で御議論になったことは当然であると思いますが、その途中で、私は、必要に応じていろいろな方に、いま石野委員がお尋ねになりました点に触れて、意見をたびたび吐いてまいりました。そこで私は、これはちょっと簡潔に申し上げると誤解を招きやすいのでありますが、時間のせいもありまして簡略に申し上げますが、私は、そういう議論をいたします際にいつもつけ加えますことは単に原子力研究所というちっぽけな立場からものを言っているのじゃない。
二つの点から言っている。
そのうちの一つは、人物経済的に、たとえば原研のものから実際にやっておる人間を何十名か引き抜いて、そうして新事業団が、みずからの手で、みずからの設備をもって、みずから行なうんだということになりますというと、原研のような性格の機関であるならば、何十名か何百名か知らぬが引き抜いて持っていくことはできましょう。しかし、御承知のように、原研といえども、原研だけでできない仕事がだいぶあるのであります。たとえば、ある物をつくるためには、いろいろな段階における設計という業務が要りますが、そのイニシアルステージ、これは実験から始まらなければならぬのですが、その次は、実験の結果によって計算ということがある。計算の次には、材料の選定だとか、チーフダィメンションをきめるとか、いろいろなことがありますが、そういうイニシアルステージの設計というものは、あるいは原研なり大学の皆さんにはできましょう。しかし一たび物を製作するとなると、石野さんのような実業界におられた方には釈迦に説法でございますが、マンパワーからいいますと、五〇%以上の仕事をメーカーがやらなければいけない。ところが、メーカーの人間というものは、何十名、何百名も新法人に専属にとるということは不可能であります。大学の技術者だって、電力会社の技術者だって同様であります。と同時に、これはまた前置きがなかなか長いのですが、よく世の中に、設計という一言で片づけられる場合があるのですが、設計も、いま申しましたように、非常にステージが、段階が多い。特に新しい原子力機器のごとく——これは原子力機器ばかりではありません。ほかでも同様でありまするが、イニシアルステージの設計者、これが即実験者であり、研究者でなければならないのであります。ところが、そういう人間をぽんと二つか三つに分断してやっていくとなりますと、これまた人間の通有性で、分断されてあるところにひっつけられた人間は、もうもとの仕事には、それこそ無関心になりがちであるということであって、人物経済上非常に悪いということが一つ。
それからもう一つは、先ほど申しました自発性がなくなる、意欲がない、命令がなければやらないということになってしまう、これが一番おそろしいんだというような立場から、私は、いま石野さんがおっしゃいましたような点におきまして、強く主張してまいりまして、今日では先ほど有澤委員のお話しのような御方針であると承っております。私はいまの——これはちょっとものによっても違います。原型炉というものになると、また少し性格が変わりまするが、原研というものの一番大事な取りまとめ的な性格を帯びさせられるであろうと思っているのは実験炉でありますが、原型炉におきましても、原子力研究所という機関が、オルガニゼーションというものにおいて、いろんな形において新法人に参加または招集を受けて、そうして仕事をしていく個々の人間をピックアップされて、残ったものでは人数が五〇%ずつにかりになるとしましても、残った五〇%のそれぞれは、能率的にいいますと、もう一〇%か二〇%に下がってしまうと私は思うのであります。したがって、機関の今日までたくわえて持っておるポテンシャルエネルギーというものはなるべく分断しないこと、これが私の主張であります。そういうようなしかたにおいて協力なり参加なりをするようにすべきものである。これが原則論であります。もちろん、その間に、こまかい点におきましては除外例も私はあっていいのじゃないかと思いますが、原則的にはいま申し上げたように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/48
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049・石野久男
○石野委員 いま理事長さんからお話しのありました原研の能力を分散させない形で協力させる、これは大事なことだと思いますし……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/49
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050・丹羽周夫
○丹羽参考人 石野さんの御指摘になりました点について、大事な点を言い忘れましたが、先ほど申しましたように、今日、過去におけるいろいろな機会における議論をさせられましたときに、二、三回、こういういま石野さんが極端なことだがとおっしゃいましたが、もし分断するようなことならば、いっそのこと原研も、ラジオアイソトープとか高崎のラジエーションケミストリーというものはそうまでいかぬかもしれないけれども、原研というものをこの際すばっと原燃と同様に併合されたらまだしもだ、人物経済的あるいは能率的に……。これは極端なことだがと申し上げながらそういう議論も過去において吐いたことがあったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/50
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051・石野久男
○石野委員 私は、原子力研究所というものは、基本法に基づいて負わされた一つの任務があると思います。そして、その任務は、事業団ができた段階でどういうふうに遂行されるのかということを私はいままで非常に危惧し、また問題にしているわけでございます。いま理事長さんがお話しになりましたように、たとえば、炉に関する開発研究という問題については、場合によれば事業団にごっそりそのまま持っていってもいいじゃないか、もしこういうような考え方があるとするならば、これは私はいろいろ問題が出てくる、こう思うのです。実を言いますと、そういうことになりはせぬだろうかという心配を私はしておったわけです。しかし、先ほどのお話の中では、やはり事業団に対して協力するにあたっては、分散させないで協力をさせるというお話でございますから、私はこれはそれだけ当を得ていると思っております。そうは思っておるけれども、事実上そういうことができるだろうか、どうだろうか。それを可能にするかということをやはり私は心配しているのです。実を言いますと、具体的に事業団の仕事がどんどん進んでいきます。研究所はそれに積極的な協力をしていかねばいかぬということになってまいりました場合に、もちろん研究所が本来持っている仕事もありましょう。その中で、その本来の目的を持っているけれども、やはり事業団に協力しなければならないような情勢に置かれるという立場が出てくるだろうと思うのです。こういうときの事業団と研究所との関係でございますね。ここらのところをうまくやっておきませんと、研究所が本来やらねばならぬ使命なり、より高次の段階、次の段階への——もちろん、事業団も、これは開発の段階ですから、次から次へ追っかけてくると思いますけれども、それにはまた別な次元で、あの研究所は研究所としての任務を持っていると思います。こういうものとどういうように結合させるんだろうか。ここらを理事長さんがどういうようにお考えになっているかということを私は聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/51
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052・丹羽周夫
○丹羽参考人 具体的な事例によって御説明するべくあまりにもいろいろな事柄がありますので、大いに観念論的になりますが、私は、先ほど申しましたように、原子力研究所、この仕事は大別すれば二つありますけれども、そのうちの一番大きなものは動力炉開発に関する仕事と思います。したがって、いまは動力炉開発だけに触れますが、原子力研究所という大事な機関のメンタルパワーと申しますか、これをごっそりそのまま同時にではなく、いろいろな形において参加するなり何なりの形において協力していくということが一番いい。要するに、勢力分断は、分断されたあとエフィシェンシーが非常に下がってしまうことをおそれるからでもあり、かつ、そうなりますと、御命令なり御委嘱がなければ知らぬ、これがむしろ一番おそろしい。ですから、いけないと言ってきたのですが、具体的にいまの御質問の点に触れますと、私はいい例がカナダのCANDU−BLWの進め方だと思います。あそこは、もちろん最高責任はカナダ原子力委員が持っておられますけれども、CANDU−BLWというものの開発のプログラムというものには、カナダの持っておるいろいろな研究所の所員はもちろんのこと、メーカーなり何なりは、何と申しますか、ちょっといいことばが見つかりませんが、参加しておるわけですね。そしてその参加の総人員は約二百名と、一年か二年前には聞きました。その参加のしかたにはいろいろあるようでありますが、要するに、相当大部分は派遣元から給料をもらい、そして、ある期間、おそらくBLWというプロジェクトがあると思いますが、原子力委員会の指導のもとに、そこへ一年なり二年なり行って参加する、そうしてまた交代するというようなやり方でやっているそうであります。それはりっぱに書いた説明書きがございます。そのようなやり方がよかろう。したがって、いま有澤委員が御説明になりましたように、命令したり委嘱したりしたことの成果が出てくる、それの統合整理等もなければならぬのですが、その結果の評価を可能ならしめるくらいの、キーメンバーといいますか、スタッフは当然お持ちになってなければならぬ。また、それには原研といえども相当有能なる人間を派遣しようと私は思っております。そして、こういう結果であるし、こういうふうになった、それじゃこれに基づいて来年度はどうしよう、再来年度はどうしようかというふうな根本方針は——もちろん、そのもっともとは原子力委員会がお立てになることになっておりますが、新事業団がその方針に従って、さあ来年はどうしよう、再来年はどうしよう、ものによってはこの研究はこれでやめようかとかいうようなことは、最高責任において新法人がやられるべきだと思います。やるためには、判断すべきこと、あるいはエバリュエートすべきことは非常に多いと思います。したがって、何々メーカーやってこい、あるいは何々研究所のだれだれやってこいというふうで、しょっちゅう集合を命ぜられまして、そこで大いに衆知を集めて議論して、そして最後的にはその法人が権威と責任を持って判断して次のステップをきめられるということであるべきであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/52
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053・石野久男
○石野委員 理事長さんの言われることは大体わかるのですが、もう一つ、こういう点を聞いておきたいのです。原子力研究所が事業団に協力する、その体制は、いまおっしゃられたような状態だということは大体わかりましたが、その際、この原子力研究所としては研究所自体のテーマを持っているだろうし、それからまた、いろいろ各部署の年間活動方針というものがなければならないだろうと思う。その問題と事業団に協力するものとのかね合いです。そのことについての理事長の研究所運営の考え方、ただ、事業団から命令があればいつでも出しますよというようなものであったのでは、研究所というものは要らないだろう、私はこういうことを言うのです。研究所は研究所としての独自の方針を持って年間運営をするのだろうし、長期計画を持っていろいろな研究開発をやっておると思いますから、その問題と事業団とのかね合いをするにあたって、そごを来たしたり、あるいは研究所自体の目的達成ができなくなるようなことがないだろうか、こういうことを私は心配するのでお尋ねしておるのですから、そこのところをひとつ理事長さんからずばりお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/53
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054・丹羽周夫
○丹羽参考人 御承知のように、科学技術的研究開発というものには、画然たる一線を画すことは非常にむずかしいと思います。しかし、私は、数年前に就任いたしましたときに、いろいろ内外の方々の御意見を聞いた結果、例外はあろう——事実例外はあるのです。たとえば、ラジオアイソトープというものの製造そのものにつきましても、化学者あるいは物理学者の協力を現在得ております。ラジオアイソトープ製造部というものだけが単独にやっておるのではなくて、研究部なり何なりの部からもずいぶんそこに兼務的に参加したり、臨時的に参加したりしてやっております。高崎の放射線化学の研究も全く東海と無縁かというと、そうではございません。ではありますけれども、大体において、いまのラジオアイソトープとかラジエーションケミストリーを除きますと、大なり小なり、程度の差こそあれ、原研がやってきた。それから、これからやろうとする仕事は、大なり小なりといいますか、ウエートの程度は違いますけれども、やはり動力炉研究開発というものにつながるべきものである。したがって、諸君はほとんど、事務屋さんといえども、ある意味ではつながるぞと言っておるのでありますが、原則論的には、そうやっていろいろな点で動力炉開発に寄与しなければならぬ。そのしかたにおいては、先ほど申しましたように、新法人が存続する限り——これは交代することはありましょうけれども、向こうの職員として、重要なるキーメンバーとして働くような人間もありましょうし、また、そのキーメンバーあるいはそのキーメンバーをコントロールされる理事さんの要請によりまして、月に何回となくいろいろな関係の委員会的なものといいますか、相談会的なものを持たれるであろう。そういうときには、諸君のうちには、いろいろな専門的な立場からの会議に出席することが非常にたくさんあるであろうと思うというふうに言っております。と同時に、職制それ自身ももう少し——いま、たとえば実験炉につきましては、あるプロジェクトリーダーなり、それに対する首脳者の人間はもうきめて辞令を渡しておりますが、それだけでは足らないし、もう少し職制的にも変える必要がありはせぬかというようなことで考え中でありますが、参加のしかたは、ほんとうに一〇〇%向こうへ行きっきりの参加のしかた、あるいはしょっちゅう招集によって専門的知識を持って参加するというようなしかたの二種類に分けられる、こういうふうに思います。したがって、これは臨機応変というと非常に変ですが、臨機応変的な点もだいぶあるのではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/54
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055・石野久男
○石野委員 原研の趣旨、目的は法によってちゃんときめられておるわけですね。ですから、今度新しい事業団ができましたときに、それに原研が協力することは別にいけないことだとは私は申し上げないのです。しかし、ただ事業団に協力することにあまり熱心過ぎて、原研が本来持たなければならない仕事がいろいろ多岐にわたってあろうと思いますが、それがおろそかになるようなことがありますれば、これはたいへんなことだ、こういうふうに思っておるわけであります。そういう意味から、いまの理事長さんのお話を聞いておりますと、事業団は非常にけっこうなんです。また、このプロジェクトを達成するということは、ただ電力を出すというだけではなしに、日本の科学技術の政策を推進する上からいっても非常に大事なことでありますから、非常にけっこうなことなんだけれども、原研の体制というものをむしろ事業団に乗っけてしまうという形になりますならば、原研そのものは不要じゃないかという極論が出てくるのじゃないかということを言うわけでありますから、そういう点では理事長さんにもう少し——協力する体制のことは、私はいまよく聞きました。だけれども、原研を原研として守る——守るといっても、別個のものにしようというのではないのだけれども、法の趣旨、目的に従って原研の権威をそれ自体持っていくということが大事だろう。下請ということばに私はそんなに下品な感じを持つわけでもございませんが、しかし、原研は、少なくとも日本の原子力開発における平和利用のためへのその二本の柱の一方の位置づけを持たされておったと思うのです。いまや原子燃料公社は事業団に足をかっさらわれていったわけですが、結局は原子力基本法によるところの原子力委員会の唯一のささえ棒は研究所だろうと私は思っているのです。もちろん事業団も一つの足でしようけれども、しかしこの事業団に対する——私はまたあとでお尋ねしたいのですけれども、原子力委員会の権威なり何なりはどういうふうに出てくるのか、非常に疑問だと思っております。そういう意味でこれは理事長さんに——原子力研究所が事業団に協力することはもうよくわかりましたから、研究所を法のたてまえでがっちり守っていくということを考えると、こういう大きいプロジェクトに多数の人をばぁっと出してしまった場合に、研究所はがらあきになりはせぬかということが私は心配なんです。そういうことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/55
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056・丹羽周夫
○丹羽参考人 私は、こういう席でこんなことをざっくばらんに申し上げていいか悪いかさえ疑問に思うのですが、原研というのは、何しろ設立後、正確に申しますと満十一年になりまするが、当時は原研しかなかったものですから、と同時に、これは原子力委員会のほうには非常に差しつかえのある表現でございまするが、過去五、六年間ははっきりした総合性を持った、一貫性を持った、動力炉なら動力炉というものの開発研究方針というものがなかったわけですね。ということも加わり、かつ、当時は原研というなものしかなかったというようなこと等々からして、原研は、事いやしくも原子力の研究開発につきましては何をやってもいいんだ、極端なことを言いますと、かってに自分でもってあるテーマを選んで、そうしていろいろな実験をしてその結果を集めて論文を書けばいいんだというような観念もだいぶあったわけですね。そのイナーシアというものはずいぶん大きかったわけです。したがって、私は、少しオーバーな言い方であると自覚しながら、原研はいわゆる純粋基礎研究的なことは原則的にはやらないんだ、しかし動力炉開発なら動力炉開発ということについて、必要なる非常に深遠なる研究があり得る、また、なければならぬ。おそらく大学の先生あたりが純粋基礎研究というものはおやりになるのが原則でありましょうが、その大学の先生がおやりになるいわゆる純粋的な基礎研究よりももっと深遠なる目的基礎研究を原研はやらなければならぬと思うが、その場合には、たとえそれが深遠であろうがなかろうが、あくまでも、私に言わせると、目的基礎研究である、こういうふうに極端に引っぱっていくためにそんな表現を用いてきました。その結果、今日ではこれは大体わかっておってくれると思いまするが、特に若い、そうして優秀なる、いわゆる今日までの表現を借りますと、基礎研究者は、私の真意を、ことばも足りませんし、誤解もしておったと思いますが、丹羽というやつは基礎研究をないがしろにするやつだというようなことで、内外の人々に訴え歩いたという事実も私は知っております。しかし、それは私の真意じゃありませんで、原研のやる基礎的な研究は、たとえそれが非常に深遠なものであろうとなかろうと、原則的にはこれはあくまで目的基礎研究でなければならぬと思っております。この目的基礎研究のうちでも、先ほど申し上げましたように、画然とした線が引きにくいものはたくさんあるわけですね。たとえば低温度における照射試験というテーマをいま与えてやらしておりますが、これははたして純粋基礎研究か目的基礎研究かということになりますと、どちらつかずとも言えないこともないものであります。したがって、そういうものに近いものも事実やらしておるわけです。そういうものは、おそらく石野議員の御趣旨では大いにしっかりと考えて今後もやっていけ、こういう御趣旨だろうと思いますが、研究テーマの選定については、年に約二回、予算案をつくるときと実行予算を立てるときと二回こまかいヒアリングをやりまして、数日間かかりまして、これはよせ、これはこういうふうにやれというふうな指導もいたしております。しかし、これはなかなか一人ではむずかしいような困難な仕事でありますが、御趣旨はよくわかりましたし、なお、私もその方面には努力はいたしていくつもりでありますが、たいへんむずかしい点があるということは御承知おきいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/56
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057・石野久男
○石野委員 別に理事長と論争するつもりはありませんけれども、おっしゃるように、純粋な基礎研究は大学でやりなさい。そうして研究所は深遠な目的基礎研究だ、こうおっしゃったわけです。深遠というのは、奥深くということでございましょうから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/57
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058・丹羽周夫
○丹羽参考人 そういうものもあるという意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/58
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059・石野久男
○石野委員 ですから、とにかく純粋よりももっと深遠だろう、奥底は深いのだろうと思うけれども、そこはことばじりのことですが、いずれにいたしましても、その深遠な目的基礎研究というものは原研自体として持たなければならぬだろうと思います。だから、そういうものが事業団に協力することとの競合の中でおろそかになるようなことがあったのでは、もう研究所の意味はなくなると思うのです。だから、私は、そういうことの関連性というものを先ほどから聞いておりました。これは、あとでまた有澤先生にも一つお聞きしなければいけませんが、そういう問題でも規制というものがいずれ必要になってくるのだろうと思います。これは、ただ理事長さんだけの判断でそれをやっていいものなのかどうなのか。いま理事長さんは年間に二度ほどテーマ設定のためのヒアリングをやるのだとおっしゃいましたから、その年間の研究目標というものは出ておると思います。しかし研究所が持っておる年間研究目標と、それから事業団が要求するところの人的要請やあるいは研究課題への要求というものが競合し合いまして、そうしていわゆる深遠な目的基礎研究というものができなくなるようなことのないように私は十分注意しなければならないことだと思うのです。こういう点は、有澤委員のほうでは何か規制するような措置を考えておられるのですか。原子力委員会としては、それは、そのとき、そのときの判断でやるようにするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/59
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060・有澤廣巳
○有澤説明員 いま原研が事業団に協力をするという場合に、原研本来の姿というものがどうなるかというお話が問題になったと思いますが、私その問題について考えますのは、こういう科学技術の研究開発につきましては、言うまでもなくベーシックなスタディと、アプライドスタディあるいはリサーチ、それからデベロプメント、これもリサーチが伴います。この三つの段階を経るわけでございますが、今度事業団が引き受けたやるべき仕事は、その中で新型転換炉と増殖動力炉の二つのデベロプメントの仕事をナショナルプロジェクトとして事業団の仕事にきめるということであります。原研は、おそらくベーシックリサーチの面におきましても、ある程度やっていたと私は思うのです。いま丹羽さんがおっしゃいましたように、このリサーチの研究開発のいろいろな段階は一応三つの段階に分けることができるといたしましても、どこがベーシックで、どこがアプライドであるか、そのけじめというか、限界はなかなかつかないと思います。ですから、だんだんベーシックからアプライド、それからデベロプメント、こういうふうに研究開発がだんだん進んできて、デベロプメントのほうで成功するというか成就するならば、そこに一つのはっきりした技術上の成果が出てくるわけですね。原研はいままではデベロプメントの中の一部門も引き受けていたと私は思います。これはなぜならばデベロプメントリサーチが伴うわけです。ですから、その面においては、原研は協力をすべきだ、あるいは事業団に協力してもらいたい、こういう意味です。しかし、他方においては、ベーシックな面におきましては、原研といたしましては、むしろ本来ベーシックリサーチをやっている大学の研究と提携をして、そして原研のベーシックなリサーチと大学の純粋なベーシックなリサーチとが相互に協力する関係をつくるべきだ、これは従来においても私はその必要を感じておりましたが、最近ようやくそれがかなり具体的な形をとってあらわれてきております。と申しますのは、四十三年度の予算には東大の原子力工学教室の施設が原研の内部に設けられるようになりました。その施設担当の教授、助教授というものが、原研のその施設内に常住といいましょうか、そこで常時研究を始めることになりました。これらの人々はむろん原研のベーシックリサーチをやっておる人々と協力をしてやりたいこういう考え方であります。
なお、その点では、これは単に東京大学の原子力工学教室の出店と言っては悪いですが、施設の拡充でありますけれども、これは少なくとも関東の大学の先生方が、この施設をつくること、その施設を利用することまで、運営としてはお考えになっておるわけです。ですから、そういう面で、ベーシックのリサーチは、そういう形になります。ベーシックのリサーチも、アプライドのリサーチとやはり相互に密接に関連をとってやらなければ、アプライドのリサーチも進まないと思います。ですから、そのアプライドリサーチとベーシックリサーチの関連も原研の中で行なわれていく。さらに、アプライドリサーチがいよいよデベロプメントに入ってくる段階におきましても、その原研にいる人々は、この事業団のデベロプメント、二つの特定の炉の開発について参加協力をしていただかなければならない。これらのデベロプントリサーチャーは、いまのアプライドリサーチの結果をどんどん吸収することによって、それをデベロプチメントリサーチのほうへ自分を通じて流していくわけですから、その連関を断つということは、これは研究開発を阻害することになるし、ひいては事業団の、つまりいまの事業遂行に大きく支障を来たすことになるだろうと思います。
その観点から申しますと、原研というものは、いかに事業団ができましても、やはり一つのオーガニゼーションとして、いまの大学のほうの連携を通じてアプライドからデベロプメント、そこまでの関係を一体として進めていかなければならないだろう、こういうふうに考えておりまして、事業団ができるから、いままで原研の動力炉開発のほうをやっていた人はそのままこっちに移ればいいんだというふうな、そういう機械論的な考え方には私は賛成できません。そういうことをしたならば、必ずや原研の研究も衰えてくるでありましょし、また、事業団の事業も十分完成できないのじゃないか、こういうふうに考えておりますので、いま申しましたように、原研はますます本来の原研としての活動を十分に果たすことのできるような体制をもって、あるいはその体制をもっと拡充して、といいますのはいまのベーシックの方面などはまさに拡充しつつあるわけです。拡充することによって一体としての原研の活動を発揮してもらいたい、こういうふうに考えておりまして、それが基本法にいわれておる原研の本来の使命ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/60
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061・石野久男
○石野委員 いま有澤先生からお話のあるように、原研が本来の目的を達成するためにあるべき一つの形が、いま東大の原子力工学教室を原研につくるというような形で具体的になってきている。これは非常にけっこうなことである。しかし、これは別に政策として原子力委員会がそういう政策で導いていったというよりは、必要に迫られて自然発生的な形で出てきたものだろう、私は、そこまで言ってしまっては極端かもしれませんけれども、大体そういう形のものだろうと思うのですよ。
私がいまここでお尋ねしているのは、先ほどから丹羽理事長がいろいろお話しされているように、事業団に原研が協力するという体制のあり方はわかりました。しかし、その形が恣意的に行なわれたのでは、いま有澤先生の言われたような本来の目的を阻害するような状態が出てくるだろうと思うのです。ですから、そういうことでないようにするのには、原研の体制というものについて、いわゆる事業団との協力体制あるいは大学との協力体制、こういうようなものについて、ある種の指導といいますか規制といいますか、そういうようなものをここではっきりしておきませんと、原研というものがまかり間違えばほかへの、特に事業団なんかへの協力に身をとられてしまって、本来の方向に力が入らなくなってしまう。やろうとしてもできないような事情が出てくるのじゃなかろうかと私は心配いたします。たまたま、東大のほうで原子力工学教室というもの、そういう形で緊密な連携をとる具体的な形が出てまいっておりますけれども、こういうようなものをもう少し原子力委員会が指導するとか、あるいは裏づけをするような処置をするとか何かそういうことがありませんと、今度の事業団がつくられたということに関連して、研究所のあり方というものが、足元がぐらついてきはせぬかというふうに思います。
そういう点で、原子力委員会で何かそういうふうなことを自然発生的なものにしないで、もっと具体的に指導するとか政策的にやるとかいうようなことを何かしてもらわなければならぬじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/61
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062・有澤廣巳
○有澤説明員 東大のいまの原子力工学教室の方々とはわれわれは数回会合いたしまして、この問題を、うまく原研との連携がいくように考えるということで話を進めております。東大の工学部の原子力工学教室の先生方も、これは物理の方もおれば、化学の方も、エンジニアリングの方もおりますし、いろいろの専門家がおります。こういう方々が最初に私どもとお会いしたときにおっしゃったことは、今回原子力委員会のほうが動力炉開発という大きなナショナルプロジェクトを立てられたということがわれわれを大きく刺激した。これはわれわれとしてもベーシック——東大の工学部ですから、物理のほうとは、ベーシックといっても少しベーシックの程度が違うと思いますけれども、そういう人々も、これはわれわれ自身が原研と手を組んでといいますか、大型な実験施設を利用して——工学部には小さいものがあるにしましても、大型のものがなかなかないものですから、大型の施設を利用して、積極的にこのベーシックリサーチを進めなければいけない。それが何といっても自主開発の場合の土台であるという考え方で、その関東の各大学の先生方と御相談の上、いま形はそういう形で、原研のほうに東大の原子力工学教室として施設を拡充、延長する、こういうふうな考え方に相なってきたわけでございます。ですから、私は、これは自然発生的といえば自然発生的ですけれども、先生方は、言ってみますれば、原子力委員会が呼びかけたその呼びかけに呼応した形になっていると私は考えています。それで、その呼応が非常に重要だ、私はこういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/62
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063・石野久男
○石野委員 私のいま言いたいことは、呼びかけたということよりも、いま現実にはこういう研究施設とかなんとかというものは、当然予算的措置が必要になってくるわけです。だから、大学などでそういう教室を持とうとすれば、相当程度文部省なら文部省の中の予算措置の上でむずかしい、どこかを削ってくるという形だと思います。だから、原子力研究所が大学と協力しようとするときには、原子力委員会が呼びかけるということの意味は、原子力研究所自体が大学との協力する予算的措置の側面でも、半々になるかどうか知りませんが、むしろそういうところ持っていかなければ、片方だけの要求で出てくるものでありますると、この効果は半減してしまうだろうという意味なんです。だから、私は、そういう意味で、事業団と協力する面も大々的にやっていただきたい。けれども、大学と協力する体制ももう少し原子力委員会が指導することによって、原研が予算的措置などでもそういう面での場を大幅に広げていく。そうなってくれば、先ほど丹羽理事長が言われたように、かりに事業団に対して原研が下請だといっても、その内容はもっと成果のあるものになってくるだろうと思うのです。そうでなければ下請が下請になってしまうという心配を持つのですから、そこらのところは、この際どうしても考えてもらわなければいかぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/63
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064・有澤廣巳
○有澤説明員 確かに予算の措置が一等むずかしい問題です。四十三年度の予算を東大のほうから出すにつきましては、これはわれわれ文部省の審議官とその話をし合って、一応文部省の予算として出すのです。また、大学の予算ですから文部省から出すのは当然でございます。ただ、皆さんも十分御記憶を呼び起こしていただきたいのは、原子力委員会設置法が通った場合に、議員の方々の附帯決議がついておりまして、原子力委員会は大学の予算関係については発言をしてはいけない、こういうことになっています。これはやはり尊重すべきだとわれわれは考えておりますので、委員会が積極的に文部省に行って予算をつけなさいと、つけてもらうようにあまり動くというわけにもまいらぬ点があります。そこで、一応大学から文部省に出てきた予算が、文部省からこれはどうだろうかという御相談があります。それの御相談で、われわれも動力炉開発を自主的にやるというこのナショナルプロジェクトの遂行にとりましてはほんとうにそこを基礎的にやってもらうことがきわめて重要なんだから、文部省でなるべく御採択願いたい、こういうふうにお願いをしたということになっておりますが、要するに、いま申し上げましたような附帯決議の精神がまだ生きておりますので、これは学術会議のほうにおきましても、先般学術会議の原子力部会と申しましたか、原子力の委員会の先生方にお会いしたときにも、その要求が非常にありました。けれども、どうもいまの附帯決議がある限りは、文部省関係の予算におきましてはわれわれは積極的になかなか動きにくい面がある。そういうわけで、この点は、いずれまたわれわれのほうで文部省とも十分相談をいたしまして、何か今日の段階においてもう少し合理的な処置がとれますように、今度は皆さん方にもう一ぺんお願いを申し上げるつもりでございますが、まだその準備はできておりません。いずれ近くその準備を整えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/64
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065・石野久男
○石野委員 有澤委員は私の言うことをちょっと誤解していると思います。私は文部省の予算についてあれこれ言えというんじゃないのです。文部省というよりも、大学は研究をするにあたって、研究所との間の協力関係をもっと深めていくという中で基礎研究を進めていきたいという願望を持たれる。それから原子力研究所は原子力研究所で、先ほども理事長は深遠ないわゆる目的基礎研究ということを言っておられて、いわゆる純粋基礎研究は大学にまかせなさいと、こう言っている。しかし、大学にまかせなさいといっても、やはり原研と大学との関連性は出てくるわけです。だから、大学との関係は大学だけが負担すべきものじゃなくて、研究所の側でもその要望は出てくるわけです。ですから、大学の予算に対して原子力研究所がとやかくくちばしを入れることは不要だと思います。けれども、原子力研究所が大学と協力をしようという意図、また、その必要性がある場合には、これは、原子力研究所が科学技術庁なら科学技術庁をして文部省との間の協力体制の中でそういうものをつくる努力というものをリードしてやる。これは原子力研究所などのお仕事だろう、こういうふうに私は言っておるので、それで質問したわけです。これはひとつ考えてもらいたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/65
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066・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連して。動力炉・核燃料開発事業団体法の審議の第一の問題点にただいまはかかったと思います。したがって、この際、私は、関連でありますので関係各位に十分確かめておきたいと思うのです。そういう意味合いでお伺いいたします。と申しますのは、一つの機構を変えるとか、あるいはまた、国家の大きな目的の前に新しい事業団とかあるいは機構をつくるという場合には、十分に配慮をしなければならぬ点が多いと思います。
そこで、私はこれについて三つの心配を持つのです。
その一つは、こういう事業団をつくられることに対しましては、なるほど高次な目的を先に置いて立てられたことはわかるのです。しかしこういう事業団をつくるその中において不純なものはなかったかということ、これが第一です。それから第二は、行政的に不自然な面がなかったかということ、第三は、既設のものを殺さないかということです。いまの石野さんの場合は、この三番目の問題につきまして皆さんによく聞いておられたと思うのです。この三つの心配を私は持つのです。
そこで、きょうは燃料公社のほうからも御意見を伺った上で私質問しようと思ったのですが、しかし原研の理事長と原子力委員会の有澤さんのお話しになった中にも大きな心配がクローズアップされてきたわけです。したがって、その心配に対して確認をしておきたいと思います。
いま有澤さんなり、あるいは二階堂長官なり、あるいはまた、丹羽理事長のお話を聞きますと、なるほど新しい事業団をつくるところの産みの悩みはよくわかります。非常に苦労されておることもわかりますし、それから一つの基準をしっかり立てて、そうしてこれをやり抜こうという決意のほどもわかりました。しかしながら、決意や苦労をしましても、せっかくつくったものがうやむやになってしまったり、また、効果を発揮せぬことになれば、これは国家的な大きなあやまちをおかすことになるのですから、この際十分に考える必要があると私は思うのです。その第一点がいま提示されたのでありますので、そういう意味合いでひとつ申し上げたいと思うのです。
いま聞いておりまして、こういうことが言われたわけです。丹羽理事長のほうから、原型炉は原研が主体にならないほうがよろしい、これが一つ。それから新事業団の理事がむずかしい仕事をやられる、しかしりっぱに指揮棒をふってくれということ、これが第二。第三は、これからは原研の中において、事業団がやるんだから自発的にやらないで黙っておれというような、そういう風潮ができてきたときにはおそろしい。この三つを御指摘になったわけです。しかしながら、有澤さんのお話の中では、なるほど精神訓話的なお説は承る。しかし、そのとおりいくかどうかです。有澤さんのお話では、エネルギー問題解決の方法として、動力炉開発ということを媒体にして科学技術者が国の目的を理解することによって一そう励みとなる。なかなか高次な説です。このとおりになってくれれば私たちは何をか言わんやですけれども、こうなり得るかということです。私は、そう楽観的にものを考えてはならないと思うのです。
その一つの理由は、私は現在委員会で宇宙開発の問題を追及しておるわけです。一元化体制につきましても、科学技術庁と東大の間においても、いまだに一元の体制ができない。宇宙開発推進本部の高木本部長は、私は何回も指摘するのですけれども、あなたは科学技術庁と東大の間のかけ橋になって当然やるべきところの推進本部長ではないか、その本部長が過去三回にわたるところの体制委員会の中で何を言っているか。私は一元化反対です、こんな一元化というごときは、これはことばの魔術です、こんなものにだまされてはだめですよということを主張しておる。こういうようなぐあいで、人によってまるきり反対の体制が出てくるわけです。一例をあげますと、宇宙開発の一元化の問題です。東大の自主的な——私は大学の自治の中におけるところの研究まで押えようという考え方はないですけれども、しかしながら、そんなかけ橋の役割りをする人がそういうことを言ってのけておるわけです。
いま丹羽さんのお話の中では、われわれ原子力研究所は、この体制になればいたし方ございません、ごもっともです、お従いいたしましょう、しかしながら、それには条件がついておりますよ。あなた方はりっぱな指揮棒を振りなさい。それから原子力研究所の中の体制はくずしませんぞ、これをくずされてはたまったものではございませんということが言われておるわけです。そういうことを踏まえて、今度の事業団の中でそれだけの指揮監督といいますか、それができるかということが第一の問題です。そういう自信があるのですか。それがなかったら、これをやるところの二階堂長官の責任も大きいし、原子力委員会の責任も大きいわけです。
第二に、私が心配することは、これが一つの参謀本部的な役割りになって、日本の国の動力炉開発の大きなセンターになる、そういう役割りをもたらすのですけれども、そのときの原子力委員会の役割りは一体どこに置くのですか。私は、原子力委員会が指揮棒を振るべきだと思うのです。そうすると、私たちが考えておるところの事業団というものは、事業を推進するところの主体である、それに対してのいわゆる頭脳を働かすところの仕事というものは、むしろ原子力研究所にある、こういうふうに考えておるわけであります。また、そういうようなことを丹羽さんはいまおっしゃった。大体最初に申しましたように、不自然ではないかということ、まず原燃があり、原研があり、その上に事業をするための事業団をつくるというのならわかるのです。これを宇宙開発について申しましょう。開発は、東大で研究はやる、そうして開発事業の一切の仕事は科学技術庁でやる、そうして打ち上げ業務を法人でやるようにすればうまくいくのじゃないですかと私たちは言っておるのです。その二本立ての上に立って事業を進めるというならわかるのです。それをあなた方の説明は、こうでしょう。原燃の中にこれを置いた、それは公社、公団というものをつくることがいまは御法度になっておるから、したがって、原燃の中に置きました、行く行くは原燃というものは発展的に解消して、新事業団の中に入るのです、こういうような説明をしておられるわけです。そういうところに逃げてきておるわけです。ほんとうの形は、動力炉開発の仕事はこっちでやらせるということで、あなた方は前に方針を立てたではないですか。動力炉開発臨時推進本部というものを原研の中に置いてやってさておいて、いま機構をぐるっと変えるのですから、いま私が一番心配するのは、その中でスムーズに日本の国の研究体制というものが、国の責任において絶対に狂いなしにやれるかということをきょうお聞きしようと思っている。それをひとつお三方から言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/66
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067・二階堂進
○二階堂国務大臣 私は、三木さんの御意見を聞いておりまして、少し誤解があるのではないかという気もいたすわけです。この新しい事業団をつくる真意というのは、さっき私もちょっと述べましたし、また、有澤先生、丹羽理事長からもお述べになったとおり、これはどうしてもやはり国が、官民一体となって、総力をあげてこの原子力エネルギーの開発を行なわなければならない。おくれておるこの燃料政策の観点からいっても、技術の上からいっても、これはもう総力をあげて進めていかなければならない。そのために、国がその方針をきめて、法律をつくって、事業団をつくるのだ。ですから、このことについては、産みの悩みはよくわかったとおっしゃる。たいへん悩みはございました。心配がございました。議論もいたしました。しかし、原子力委員会におかれても、また、丹羽さんの原研の立場からも、これはよく了解して、そうあるべきだという主張は一致したわけです。そこで、こういうものをつくって真剣に取り組んでまいりたい、こうしていかなければいけないということで、私は精魂を傾けて、今日まで全く知らない未開発の分野に頭を突っ込んで勉強もいたしておりますが、これは、先ほどの丹羽さんのお話じゃありませんが深遠なものがありまして、なかなかわかりにくいところもあります。しかし、私はその情勢とその決意だけは、これはもう政府は持っておるということを、ひとつ御了解願いたいと思っております。
それと、丹羽さんがおっしゃった、新しい事業団ができるからそっちはそっちでやれよ、おれはおれのほうを守るのだ、そうしてうまくさいはいを振れ、私はそういう傍観的な立場で丹羽理事長がおっしゃることはないと思うのです。何かちょっと私は聞き違いかもわかりませんが、そういうようなこともございましたが、それは私はないと思う。これは先ほど原則論が一致したと申し上げた、そのことでおわかりくださると思っております。
それから原子力研究所の中にそういう立場をわれわれは考えておったが、今度は方針が変わったのじゃないか、というのは、燃料公社の中に今度は事業団を持ってきた、こういうようなことをおっしゃいますが、私はそういう説明をした覚えはございませんし、こういうものが必要だということで、新しい事業団をつくるということは、これはもう最初からの基本方針でございます。ところが、御承知のとおり、燃料が国有から民有化にされた。昨年アメリカにおいてもされた、したがって、それを受けまして、わが国におきましても、昨年の十月ですか閣議において民有化というものが確認されたわけですから、そういうこともありまして、そしてまた、新しい炉の開発には燃料というものが不可分の関係にあるわけですから、どうしても燃料の開発、確保というものをやらなければならぬ、そういうものは不離一体のものであるということに立ちまして、今度燃料部門を一緒にして、そして新しい事業団で仕事をやっていこう、こういう主張をいたしてきておるわけでございますから、この形が変わったとか方針が変わったということは、私は考えられないわけでございます。この点は、私は三木さんに少し誤解があるのではないかと思っております。いろいろこれから御議論も伺っていきます。
それから、何か不純なものがあったのじゃないか、行政的に不自然じゃないかということですが、私は、不純なものというのは、どういうことかよくわかりません。これはひとつお説を聞かなければわかりませんが、これは私は純粋な学者、それから産業界——産業界が入ってきたから不純だという議論でもないと思いますが、これはまじめな意味で取り組んでおる仕事でございますから、しかも、国家的要請に基づいてこういうものをつくらなければいかぬということで、情熱を燃やして、決意をもってこれをつくっていこうということになったわけですから、その間にこれができ上がることについて、いささかも不純なものがないということだけは、私は三木さんの説明を聞かけなればわかりませんが、そういうものがないということだけはひとつここで申し上げておきます。またあとで何かお教えいただけば、それに対して私の考えを申し上げるわけでございますが、そういうことでございますので、産みの悩みをよくわかっていただいたわけですから、これからひとつこれを成長させて、そして国益のためにこれが働き得るように心から御協力を賜わりたいというのが私の信念、お願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/67
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068・三木喜夫
○三木(喜)委員 あとのお二方から答弁をいただく前に、いまの長官の話に私、つけ足します。一つは、私が、方針が変わったじゃないか、こう言うたことですね。これは動力炉開発ということについては、原研の中にはちゃんとそれがあったわけです。推進本部を設けていままでやっておられたのでしょう。それをこちらへも持ってきたということは、取り出したといいますか、それは両方で同じことをやるのですか。やはりこっちが主体でしょう。これに原研を協力さすのでしょう。そうすると、方針が変わったのじゃありませんか。それを言うのです。よろしいですか。
それから第二の、不純なものということですね。これは、私はもうはっきり聞いておるのですから、申し上げたいと思います。あそこに原研を主体にして動力炉開発事業団をつくることはいけない。なぜいけないのか。これが主体じゃないですか。こういう論議がなされておることは事実でしょう。そういうことは、どういうところから出るとしても、私は純粋でないと思う。原研にそういう要素があるなら、それを直していくということが行政の責任じゃないでしょうか。ましてや人権思想に燃えていろいろ主張しておることを、それを危険だとか、ここをよけて通るというようなことは、私は一つには開発の意欲をそぐ大きな要素になると思う。丹羽さんもそういうことを言っておられた。体制としてやはりきちっと固めて原研はおいてくれ、そうして協力していくことについてはやぶさかではない、しっかり人材も出しましょう、こういうことを言っておりますけれども、原研それ自体を無視するような動きはなかったかということこれが第一です。
第二は 昨年十月核燃料については民有化の方針が打ち出された、こういうことなんです。民有化の問題についても、これは論議せねばいかぬのです。これは、国会においても十分に論議する必要があると私は思う。それが大前提で、だからこうしたのだという言い方はおかしいと思う。これは第二の問題点です。私たちは第一の問題点にいま当たったから、第二の問題点を言いよるわけです。大臣はそれが金科玉条のごとく考えておられることには私は問題があると思う。民有化についてはどういう意味があるかということについても、今後大いに論議しなければならないと思うのです。この二つが不純なものだということを私は言うわけです。正しいとは私は言い切れぬと思う。そういう意味合いで申し上げたのです。
それから、これも誤解があったらいけませんから、はっきり申し上げておきたいと思うのですが、いま丹羽理事長が申された三つの点は、新事業団がしっかり指揮棒を振ってもらうならば、言いかえれば、われわれは喜んでついていくということなんです。そういうように原研の内部をまとめてまいりたいという、私はまああきらめに似た言い方じゃなかったかと聞いておった。やはり長い論議の中で、あるいはあなた方の折衝の中でこういう結論にまで到達されるのには、なかなか苦労なさっただろうと思うのです。私はその苦労を言うのです。決してあなた方の指揮棒が悪かったらついていかぬぞというような、そんな消極的なことをおっしゃったと私は言っておりません。しかし、その指揮棒が振れますかということを言う。やってみなければわかるかいということですけれども、現に宇宙開発のごときは、この間うちから論議しておりますように、もうはっきりと指揮棒を振れないのです。宇宙開発につきましては私はまだまだいろいろな要素を出してまいりたいと思います。いろいろな問題点があるのですよ。いままた同じ問題点のところに差しかかっていっておりますから、体制をつくりよるわけなんですから、こういう心配をするわけなんで、いま聞いておるわけなんです。私はしろうとですからさっぱりわかりませんので、有澤先生や丹羽先生にひとつその辺の御決意を聞いて安心したいと思います。そういう意味合いで申し上げておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/68
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069・二階堂進
○二階堂国務大臣 ちょっとその前に、いま宇宙開発の一元化の問題にも触れられましたが、これはちょっと私もここで申し上げておかぬと、同じように考えておられると困りますから……。
これは、いろいろ先般来から三木先生の御議論を聞いております。私もこれはいろいろな問題があろうかと思っております。けれども、いま一元化体制を毎日のように検討いたしておりまして、やがてこれがある程度具体的になってまいりますれば、御説明も申し上げ、御理解も願い、また御批判をも仰ぎたいと思っております。
このことはさておきまして、いま方針が変わったという中の一つに、原研が動力炉までやるのだ、こういう方針だったが、これを変えた。これはいつの方針か、私もまだよく勉強しておりませんが、そういう方針があったことは事実でしょう。しかし、先ほどから申し上げますように、たとえば新しい高速増殖炉とか新型転換炉とかいうものの開発は、これはたいへんなプロジェクトなんですね。原研が、先ほど丹羽理事長からも仰せになりましたとおり、ベーシックなスタディをやる、あるいはアプライドスタディをやる、そしてまた、デペロップメントということになるわけでしょうが、デベロップメントに関する限り、いま申し上げたように相当な国費を投じて、そして官民一体の総力をあげて取りかかっていかなければならぬ、これは大きな事業なんですね。だから、その事業を——いま原研でやっているベーシックなスタディというものも、それは深遠なベーシックなスタディがたくさんあるということです。私もあろうと思っております。これは深いものがあろうと思っておりますが、そういう部面については、いままでもやってもらっておりましたが、今後もやってもらわなければならぬので、研究をするかたわら、かたわらというと語弊がありますが、こんな大きな仕事に取りかかってはたして効率的に、効果的にこれが運営ができるか、開発ができるかということについては、これはやはりいろいろ考えがあろうと思っております。研究者自体がそういうものも一緒にやるんだ、できぬことはないじゃないかという議論もあろうと思います。しかし、国といたしましては、やはり研究する者自体は真剣にベーシックな研究というものを次から次にやってもらう、そしてまた、その研究の成果をこちらに利用してもらうということも、これは当然あってしかるべきだと思っております。一方において、もうとにかく十年とか二十年の間に世界に追いつくようなものをやろうということになりますと、やはり一つの事業団というもの、責任体制というものをつくって、そうして国も学界も、それから産業界も力をあわせてこの開発をやっていくということがいいのじゃないか、こういうように政府としては考えまして、そのことの考えをまとめたわけでございますので、それが方針が変ったということであれば、それは多少方針が変わったと言えないこともないかもわかりませんが、私がいま申し上げた方針が、国民のため、国の経済のために、頭脳の面からいっても、金の面からいっても、よりベターではないか、マッチベターじゃないか、こういうふうに私どもは考えて、その構想をまとめたわけでありまして、百八十度も転換したということでは私はないと思っております。
それからもう一つ、原研を非常に危険視して、何かそういうものができたのじゃないかということでございます。その話を聞きまして、私もそれはわからぬでもない、多少頭の中で、ああ、あのことだろという感じはいたします。いたしますけれども、そのことは別な問題であって、特に丹羽理事長が御就任くださいましてからいろいろなことで苦労なさって、正常な姿に持っていくように努力をしておられます。また、その成果があると私は思っております。そのことと、いま新しい事業団をつくることとは全然別の問題だと私は思っております。私自身、そういうことで、こんなものをつくるのだったら、これは矛盾もはなはだしいと言わざるを得ません。そういうことでこういうものをつくるのではないと私は明確に申し上げておきたいと思います。
その他のことにつきましては、有澤先生や丹羽先生からお話があろうと思いますので、よくお聞き取りいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/69
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070・有澤廣巳
○有澤説明員 動力炉開発事業団の思想が生まれました経緯をちょっとお話し申し上げたほうが、方針が変わったかどうかという問題にもお答えすることになると思いますので、その点を非常に簡単に申し上げますと、原子力委員会では動力炉の開発を原研でやったらどうかと指示いたしましたのは、四、五年あるいはもっと前かもしれませんが、とにかく、四、五年前、原研のほうでいろいろ検討してくださって、どういうタイプの炉をどういうふうに開発するかということをよく検討してくださいましたけれども、ついに結論が出なかったのです。そういうことが二度あったのです。最後には、これはやはり委員会でおきめください、こういうのが原研の最後の結論として上がってまいりました。そこで、原子力委員会のほうにおきましては、動力炉開発のための懇談会という会合を設けまして、ここには各方面の、大学の先生もむろんですが、原研の方も入っております。それから、メーカーの方、ユーザーの方、各方面の約二十人くらいの専門家が集まりまして、ここで議論をしたわけです。その間に約一年半ばかりかかりまして、昨年の三月ごろにようやく結論が出たわけです。その結論が、今度出しております事業団の内容になっておるとお考えいただきたいと思います。と申しますのは、高速増殖炉と新型転換炉を自主的に開発すること、これが一つ。それを開発するための主体といいますか、体制といいますか、体制が要るのですが、その体制は原研でやれという説はちっともなかったのです。そのためには、そのときには公社と言ってみたり、動力炉開発推進本部と言ってみたり、あるいは新法人と言ってみたり、ことばは、はっきりした形態は整っておりませんでしたけれども、そういう新しい組織をつくって、この組織が中心になって開発を進めるべきである、こういう結論でございました。ですから、われわれのほうから言いますと、その懇談会の結論をさらに原子力委員会に持ち帰りまして、委員会で十分検討した上で、今日の法案の形に相なっておるわけでございます。
この事業団といいましょうか、法人が最も特徴的なものは、この事業団に各方面の知識能力、潜在的な能力も含めて能力を結集してかからなければ、この大事業を自発的に行なうことはとてもできないんだ。それを十分整えることが必要であるということでございます。幸いに懇談会に出席されておりました方々は、最初は実に千差万別の意見がありまして、その意見を毎回戦わし戦わしながら、ついにそういう結論に達したのでございまして、この動力炉開発のやり方にわれわれも進んで協力します。つまり、言ってみますれば、このプロジェクトに対しましては、自発的に進んで参加して、この事業を達成する意欲を表明されたと私は見ております。また、その意欲なくしては、こういう大事業は、単に命令を下したからといってできるものでもない。あるいは、そこに金をつけたからといってできるものではないと私は思う。ナショナルプロジェクトがうまく成功するためには、それに参加している人々の意欲がどうなのかということが一等重要な問題だと思います。私がいままで申し上げましたことを精神訓話のようにお聞き取りになられたかもしれませんけれども、私はその意欲を非常に強調したい、こう考えております。その意欲を十分に発揮し得るような体制が実はこの事業団でございます。これは、たとえば原研においてやったらいいじゃないかという意見もありましたけれども、それでは必ずしも全部の、たとえば民間なら民間方面の意欲を持った協力が得られないということがはっきりいたしました。そういうものではなかなかやっていけない。ですから、結局、先ほどは媒体ということばを使いましたが、つまり日本国内におけるいろいろな方面におられる原子力関係の人々のポテンシャルエナジーというものをこの動力炉の開発に結集できるような、そういう一つの組織といいますか、体制というものをつくらなければならない。それがつまり私は一つの媒体だ、こういうふうに考えたわけです。その媒体としてここに考えられたものが事業団なんです。もしそれでも成功おぼつかないということになりますれば、もう日本では自主開発なんていうことは言わないほうがいいと考えております。私どもとしては、どうしてもこれを成功させなければならない。どうぞその点で皆さん方にもこれを成功させるようにひとつ御援助を仰がなければいかぬ、実はそういうふうに考えておるわけでございます。その点、どうぞ御理解を賜わりたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/70
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071・丹羽周夫
○丹羽参考人 いま長官と有澤委員の御答弁と申しますか、お話で尽きておりますように思います。したがって、私がこれから申し上げますことは、多分に重複的であり、蛇足的でありまするけれども、簡単に一言申し上げさせていただきたいと思います。
まず、方針が変更されたのじゃないか、現に動力炉開発臨時推進本部というものが原研の中に置かれておるじゃないか、今度はその仕事を新法人に取り上げるのだからして方針変更じゃないか、こうおっしゃいましたが、その点は、私はそうじゃないと思います。はっきり申し上げて、動力炉開発臨時推進本部というものは、法律的根拠は持っていないと私は思います。これはあくまで原子力委員会の御委嘱によってやっておることでありまして、原子力委員会の名のもとに御委嘱によってやっておる。ただ、推進本部の議長は、原子力研究所理事長たる丹羽がやれとおっしゃっておることと、そうして、原研に一応付置するといいますか、原研にひっつけておいておこうということになっておりまするが、これは正確に言いますると原研とは無関係であります。というのは、一体なぜ原研に付置されて、原研理事長が議長になったか。議長になっておるということは、別の意味もあると思いますが、原研にとりあえず付置したような形になっておるわけは、やはりこういう推進本部というものの仕事をやるためには、事務局だとか、世話役だとか、幹事役だとか、幹事役にも事務屋も要りますし、また科学技術者も要る。そういうものはとりあえず原研に多いというような二ともありまして、原研のひさしを借りて原子力委員会の方針に従ってやってくれ、こういうことで現に推進本部の各委員及び幹事というものを設けておりまするが、幹事も全部原子力委員会の御任命であります。したがいまして、原研とは、あまり法律的でないのでどうかと思いますけれども、一応無関係であります。と同時に、この本部の性格は、新法人ができるということにはなっておるけれども、たださえ少しずつ外国におくれをとっておる大事な動力炉開発の事柄を、新法人ができるまで手をこまねいて何にもやらぬのだということはますますおくれを助長することになるので、新法人ができるまでにやれること、考えられることは極力ひとつ推進してやってくれ、こういう御委嘱によってやっておるわけです。したがいまして、私がしょっちゅう内外に言っておりますることは、推進本部はあくまで原子力委員会の決定された方針に従ってやるのだということを言っておりまするし、事実またそのとおりにいたしております。したがって、これはしいて言うならば、動力炉開発事業団ですか、これの一種の準備機関だとも言えないことはない、こう私は思います。したがって、政策は変わっていないと私は思います。
第二の点は、これは私いまあなたのお話を伺いまして、よけいなことを言ったものだなと思って若干後悔しております。単に新型転換炉なり高速増殖炉なりのいわゆる推進役である、たぶんそれは新法人の理事のうちのどなたかがおやりになるでしょうが、これだけが非常にむずかしい問題でなくて、第一その他のことも非常にむずかしい大事な仕事だろうと思います。が、特に私がなぜああいうふうに言ったかということについて若干御了解をいただきたいと思いますのは、先ほど石野議員のお話のときにも申し上げましたが、新法人というものは、特に原型炉については指揮棒をふるわれる。したがって、単に原研のみならず、メーカーだろうが、あるいは学者だろうが、電力会社の技術者であろうが、これの意思——意思といいますか、意欲を積極的に発揮させるようにぜひしなければいけない。特に原研に対してはそうであるというようなことで、これはそうでなければ非常におそろしいことになるんだと先ほど石野さんにも申し上げましたが、その点から、いま考えますというと、よけいなことを申し上げたというふうに私は思っております、あたりまえのことであると思います。何も私はああいうふうに新法人ができ、したがって、原研はもうしようがないわい、かってにしやがれ、したがって、しっかりやりなさいというすてばち的な意向は、これは大臣からも御説明いただきましたが、毛頭ございません。と同時に、石野さんに申し上げましたように、そうあってはいかぬので、若干そういう傾向は他の者が指揮棒をふるえば、かつて原研というものは少し鼻っ柱が高いですからね。そういうこともあって、それじゃいかぬぞということを対内的にも私はいろいろよけいな杞憂かもしれませんが、そちらの方向へ少しでもよけいに向くようにということを言ってきたというにすぎません。顧みますれば、ほんとうによけいなことを申しました。
それから、私は、これもまた投げやりのことばでは決してないのです。私は先ほども石野委員に申し上げましたように、原型炉の主務的な仕事は原研がしないほうがいい。積極的に、私が多分最初じゃなかったかと思いますが、私が申し出たという記憶があります。ほかの方もさようにお考えになっておったかは知りませんが、その理由の大半は、特に原型炉の設計、製作ということにおきましては、原研は先ほども触れましたが、ことばが非常に足りませんでしたが、いわゆる深遠であるかないか知りませんが、イニシアルステージの設計と申しますか、計算と申しますか、あるいは実験と申しますか、これらについては大いに参加しなければなりませんけれども、仕事の分量といいますか、マンパワーといいますか知りませんが、そのパーセンテージということも簡単に言えませんが、民間のメーカー及ど電力会社の技術者といったようなものが参与される仕事の割合が非常に多い。特に、たとえば例を申し上げますと、原研は材料実験炉というものを持っております。あれはたった五万キロの熱出力を持ったものでありますが、あれはオリジナルデザインはほとんど原研がやりましたけれども、メーカーの協力を得てつくり上げたものでありますが、あのときにはメーカーの手をある瞬間にはピークで百人以上手伝ってもらっております。それはいわゆる詳細製図をやることが主であります。そういうことは原研は非常にふえてであります。それだけの理由じゃない、ほかにいろいろありますけれども、省かしていただきますが、いろんな理由でもって原型炉の主務者は原研がならないほうがいいんだ、こういうことを申し上げてきております。そんなふうでありまして、私は、新法人ができる、したがって主体性がなくなったとすてばち的な観念から発言しておるというようなことは毛頭ございません。むしろ逆に、うまくいってもらうように、よけいなことだったかもしれませんが、いろいろ内外に対して言ってきたというだけのことでありますので、どうぞこの点も御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/71
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072・三木喜夫
○三木(喜)委員 お三方のお考え、よくわかりました。私は関連でありますから、そのお考えをよく私たちも検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/72
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073・石野久男
○石野委員 いま関連がだいぶ長くなりましたが、事業団の位置づけの問題でお話をずっとしてまいりましていまのようなことになったわけです。そこで、私はあとで、いま三木さんからもいろいろお話しになったようなことも聞こうと思っておりましたが、私がここで聞いておきたいことは、やはり事業団というのは、原子力研究所や、あるいは大学だとか、あるいは民間だとか、こういういろいろな原子力開発に関連して、特に炉の開発についての問題を集約する形で、事業団というものを持ってきたと思うのです。しかも、その事業団の構想は、いまお話のように、原研の中に臨時推進本部ができて、これは原子力委員会の命によってつくられたものであったにしましても、それがある程度の作業をやってまいりました。それが今日のような形に転化しようとしておるわけですから、問題になるのは、炉の開発ということだけでこの事業団を考えるのか、それとも、原子力開発の参謀本部的性格として、この事業団を持つのかということの性格規定が、ここでは非常に大事になってくると私は思っているのです。したがって、この事業団がただ高速増殖炉及び新型転換炉の開発に当たる事業部門を背負って立つのだということであるならば、それはそれでいいと思うのです。しかし、もし参謀本部的性格をここへ持ってくるとするならば、ここではやはり原研や、あるいは大学だとか、あるいはまた、民間のそれぞれの関係の機関、そういうようなものとの関係において、この事業団が持っておる位置づけといううものがおのずから規定されてこなければいけないだろうと私は思っております。そういう意味では、むしろ原子力開発の参謀本部的性格という内容の中に、先ほどちょっと触れましたけれども、核融合の問題とか、あるいはまた、別途な形で、今度原子力委員会の中にできます核融合専門部会ですか、菊池さんが部会長になるといわれる、そういうようなものとの関係ですね。そういうものはどういうふうになるのかということを、ここでもう一度あらためて構想を聞かせていただきたい。そういう関連性はどういうようになるのかということを承っておかなければならないと思いますので、その点ひとつ有澤委員から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/73
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074・有澤廣巳
○有澤説明員 事業団は、この法案の「設立の目的」のところに書いてありますように、「高速増殖炉及び新型転換炉に関する開発」その「高速増殖炉」とはというので、第二条でそれぞれ定義を下しております。ですから、この定義に合っているような高速増殖炉と新型転換炉を開発するということがその目的でございます。ですから、その目的を達成した後には、一口にこれを申しますならば、先ほどちょっと問題になりましたエバリュェーション、評価委員会の評価もありますけれども、その評価も通って目的を達成した暁には、この事業団のこの部分は少なくとも解散をするというふうに私は考えております。
そこで、いまの核融合のほうでございますが、核融合のほうは、いま専門部会を設けまして、核融合を目標とする研究、開発並びにその体制をどうすべきかということをいまその専門部会で審議してもらっておるところでございます。これは結論が出るまでにはざっと一年近くかかるかもしれませんが、その結論が出た上で、核融合の研究開発についてはどうするかをきめたいと考えておりますが、さしあたってといいますか、この事業団でそれをやるような考え方はわれわれはとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/74
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075・石野久男
○石野委員 そうしますと、このプロジェクトを達成するための体制として、事業団が一つの中心になることだと思いますが、この事業団がそういう体制の軸になっていくということになりますと、たとえば、先ほど申し上げましたように、民間産業のいろいろな研究機関とか、あるいはそれぞれのメーカーそれ自体、それから研究所、原研、それから大学の研究所、そういうようなものを統合する、一元化するというような任務規定というようなものは持たせますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/75
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076・有澤廣巳
○有澤説明員 任務規定といいますと、ちょっと理解しにくいところがございますが、私どものほうでは、これは先ほどちょっと御意見の中にもございましたように、この事業団がどういう方針で、そしてさしあたって三年なら三年の間にどういうふうに開発事業を進めていくか、その計画につきましては、これは原子力委員会で決定しまして、総理大臣に報告し、総理大臣がそれを採択の上、この事業団に示すことになっております。ですから、その基本方針と基本計画の中に大体の仕事の割合というようなもの、仕事のやり方というものが出てくるはずになっております。ですから、その場合には、民間のほうの、たとえば技術者に協力をお願いするとか、あるいはエンジニアリングとしてどういう機器を開発してもらうというようなことを、命令でやれといってみたところで、これはだめで、民間のほうもそれをやろう、それをやることにこのプロジェクトに参加する大きな意義がある、また、自分自身の技術を高める一つのチャンスでもある、こういう意欲をもってこれに参加してもらわなければならないわけで、研究所の場合も同様だと思います。ですから、そういうことで、先ほど来申しておりますように、原子力関係の各分野の人々がこの事業団を盛り立てていくというか、事業団の考えているプロジェクトを成就するという意欲をみな持ってもらわなければいけないので、その意欲をどう発揮してもらうかというところに、ある意味ではこの事業団の成否がかかっていると思います。ですから、ここで思いつきで一ぺんに出したのではなく、先ほど申しましたように、一年半もかかっていろいろ議論を戦わした上で、皆さんの意見が一致した上で、その意見をここに出しておるわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/76
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077・石野久男
○石野委員 いままでの話をずっと聞いておりますと、結局、事業団をつくって、それに対して各方面から善意の協力を総体的に結集して仕事をしていくんだ、こういうことですね。それは非常にけっこうなんだけれども、先ほど三木君からも指摘されたように、長い間にわたりまして、図面に書いたようにうまくいくかどうかということが懸念されるわけです。
そこで、そういう問題を管理監督していくのは当然原子力委員会だろうと思いますが、原子力委員会はそういう問題についてどのような権限といいますか、どのような規制力といいますか、そういうものを持つのか。ただ、こういうものをあなた方やりなさいと言ったら、あとは事業団の思うようにしてもらうことなのか。とにかく、事業団を生成発展させるためにそこらのコントロールがやはり必要なんだろうと思います。これは各方面が全部協力するのですからね。たとえば、丹羽さんが先ほどおっしゃったように、原子力研究所はそれに協力するつもりだけれども、おまえらは頼まれなければやらないぞというような考え方ではいけないよということを私は言っているとおっしゃっているでしょう。そういう事態があるだろうという予測をするから、そういうことを言っているのだろうと思いますけれども、そういうふうな状態が出てくると、せっかく念願しているものも成果があがらなくなってくる。そうすると、どこかでコントロールするとか、あるいは規制するとか、あるいは指示命令を与えるとか、適切な処置をさせなければ具体的な成果は得られないのではないかと思うのですが、原子力委員会はそういう問題については全然関与しないのですか。どういうようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/77
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078・有澤廣巳
○有澤説明員 原子力委員会といたしましては、先ほど申し上げましたような基本方針を立て、基本計画を立てるわけです。それに従って今度の事業団の理事長をはじめ幹部の人々が最も各方面との協力が得られるように、自由と申しますか、自主的に自由にひとつやってもらいたい、こういう考え方で、それでまた、その推進を私どもも援護する。これは、何かコントロールということを申しますけれども、私はコントロールしてできる仕事でないと思っているのですよ。おまえやれという命令を下したって、命令下にある人々というのは原研の人でしょうか。公社はむろんのことですけれども、委員会あるいはお役所のほうから命令を下してやれやれと言って、やってくれるのは原研の人であろうかと思いますけれども、原研の人が、いや私はそれなら原研をやめますと言われたら、それきりの話なんです。だから、どうしてもみんなが自発的にナショナルプロジェクトの重要性を感じてやってもらわなければならない仕事なんだとぼくは思うのです。ですから、命令を下しさえすればできる仕事なら、これは何もわれわれ産みの苦労をしなくても済む問題だと思います。が、そうでなくて、民間も研究所も、まあ研究所にもいろいろあるし、大学の先生方も、原研、公社はむろんのこと、そういう人々の力が一つの点に結集されるように持っていくのには、なかなか運営が容易でないということは言えます。言えますけれども、それをどうしてもやり遂げてもらわなければならない、こういう意見なのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/78
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079・石野久男
○石野委員 いま有澤先生からのお話ですけれども、私は、これだけ大きなプロジェクトを持って、しかも、原燃をつぶしてこういう事業団をつくっていく段階で、いまおっしゃられるように、任意な善意な協力を軸にしてこの仕事が完成されるという期待は、非常にむずかしかろうと私は思うのです。むしろ、私は、この段階では、原子力委員会が事業に関する事業団の企画決定をしましたら、その企画決定をしたものを閣議決定の段階まで上げましてぴしっとした方針として、そしてそれを事業団が持つ、そしてそれを具体的にやるということをやらなければ、こういうふうにして事業団にはこうやってもらうのだというテーマを与えた、それはひとつ皆さん任意にやってくださいよと、それは私の言うのは極端かもしれません。むしろ、もっと皆さんが積極的にやっていると思います。しかし、私は事業家というのは、特にメーカーなどになりますと採算を軸にしますから、採算がとれるときは積極的な協力をすると思いますけれども、採算が成り立たないというときにはさっと潮の引くように引いてしまうだろうと思うのです。そんなにわれわれが理想的に考えているようにはいかないだろうと思うのです。だから、国が原子力委員会で一つのプロジェクトを設定して、それを企画決定しました場合は、少なくとも国がそれを裏づけする。そして、それは閣議決定の段階くらいまで上げまして、そしてそれを具体的にやるような実施段階におろしていかないと、これはとてもだめだろうと私は思うのです。そういう意味では、いま有澤さんのおっしゃることの中には、もっといろいろな規制されるべきものがあるのかもしれませんけれども、しかし、基本的な考え方の中の任意的な協力体制というものでは、とても私はこのプロジェクトを達成することは困難だろうと思うのです。だから、この点はもう少し考えてもらわないといけないのじゃなかろうか。何でもいいですから、ものごとを発展させていき、開発させていくためにテーマを与え、それに結集するということはけっこうです。だけれども、何としましてもこの、事業というものを国が軸になってやるか、ある事業団体にまかせてしまうかということで非常な違いが出てくるわけです。事業団は確かに国が法律によって設定するものだから、これは国の機関というふうに見るべきかもしれません。しかし、事業団は、御承知のように、資本構成からいいましても、ほとんど大半のものは民間の資本が入ってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/79
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080・有澤廣巳
○有澤説明員 大半じゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/80
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081・石野久男
○石野委員 それは二億何千万のもの金が入りますから有澤さんの言うように、かりに国が八〇%程度、民間が二〇%だといいましても、こういう事業団ができたときの二〇%は、これは大半ですよ。これはもうとてもじゃないが、力の関係からいきますと、国はこのものに対する権利要求というものは、実際の運用にあたっては、ほとんどできはしません。たとえば、原子力研究所の中に設置されました動力炉開発臨時推進本部の構成をひとつ見てごらんなさい。この委員のほとんどは——大学教授は大山さん一人でしょう。原子力研究所の理事長の丹羽さんは、原子力のなにだから、国との関係だと思いますけれども、この方だってやっぱり財界出身だ。あとはみな見てごらんなさい。関西電力の副社長の加藤さん、日立製作所の清成さん、三菱原子力工業の妹尾さん、それから東京電力の田中さんでしょう。これはみな財界の方ですよ。だから、こういう事業団ができまして、資本の構成は、確かに国は大きい。大きいけれども、その運営にあたって、それの理事者を見ればほとんど財界の方、ほとんどそうなるだろうと私は思うのですよ。そうなってまいりますと、国がこのプロジェクト遂行のための積極的な規制措置なり何なりありませんと、財界の方々の積極的な協力は、上向いているときは大きな期待は持てると思います。ちょっと事態が下向きかけたとき、それは大蔵大臣の言う、海外の事情がもっと有利な状態が出てきたときですよ。そういうときは、さっと水が引いたように引いてしまいますよ。いま、たんぼに水がないのと同じことだ。そんな状態になってしまう。だから、私は、この事業団をやるにあたって原子力委員会が持っておる任務は非常に大きかろうと思います。したがって、やはり原子力委員会がこの問題に対して、何か原研の規定なり、あるいはどういう形で指導なさるか知りませんけれども、運営の面にあたりまして、このプロジェクトを中途半端にしないための努力を、国に代行してやらなければいけないだろうと思う。そういうことをもう少しはっきりさせないと、この事業団法をつくられる意味が、ある時点ではほんとうに雲散霧消してしまって、足を突っ立てている場がなくなってしまうようなことになりはせぬだろうか、こういうふうに思うので、少なくともこの問題については、これは原子力委員会、特に委員長ですね。長官がひとつこれは考えるべきだろうと私は思う。いまの有澤さんのお話しのような形でいきますと、それはあまりにもユートピアを追っかけているような気がする。私は、あまり理想主義的であってはいけないと思うのですよ。財界はもっとシビアだし、現実的だし、少なくとも投資したものが何らかの形でバックペイが出てこなければ、そんなに積極的な協力はしないだろうと思います。特に私は、自主開発という側面がありますから、その自主開発ということは相当な危険を予想してかかるべきものだろうと思いますので、そういう点をここで、委員会の問答だけで了解したのでは、長い、あと三年なり五年の後にはその効果はありませんから、具体的に規制するか、何かそこらのところをはっきり落ち度のないようにしていく対策をここではすべきだろうと思うのです。その方法については、いま、まだ私にも具体的な案はありません。けれども、少なくとも考えるべきだと私は思うのだが、もう理屈はよろしゅうございますから、私の考え方はいかがですか、これは長官にもひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/81
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082・有澤廣巳
○有澤説明員 事業団につきましては、むろんわれわれ基本方針ばかりでなく、基本計画も示します。これは内閣総理大臣が了承されたものになるわけです。われわれは、言ってみれば一種の審議会ですから、総理大臣を通してしか実は権限がないわけで、だから総理大臣のほうに報告をして、総理大臣がそれを尊重して、これを了承して、承認してもらう。したがって、政府の方針になることは間違いないと思います。その計画に従って、事業団の運営がその計画の範囲内ならば、ひとつ創意を十分発揮してその計画を十二分に実現してもらうことにつとめる。それにつきましては、私どももむろん計画を立てた責任がありますから、その責任を果たすようないろいろな、監督といいますと言い過ぎでございますけれども、監視もやってまいります。それはやります。
それから、財界から出るお金といいますのは、これは大体財界から話をしておりますように、この二つの炉のRアンドDは政府が出すのだ、いわゆるプロトタイプの建設になった段階において、その半分を財界のほうで引き受けてもらう、こういう形になっております。ですから、財界のほうは、これは出資とは言っておりますけれども、私は必ずしも一種の投資というふうな形のものとは見ておりません。もし投資ということでありますならば、研究開発投資だ、こういうふうに見るべきものだと思いますし、また、財界もそういうふうに見ておると思います。しかし、いまおっしゃられたように、もし、財界というか、メーカーとか、その方面の人々の協力が水の引くがごとくさっと引かれるということになりますと、これは非常に大きな支障を来たすのでありますから、そういう方面についての配慮は十分にしておかなければならないということは、おっしゃるとおりだと思います。なお、その点については委員会でもよく検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/82
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083・石野久男
○石野委員 もう最後にしますが、いまお話しの、原子力委員会で企画決定しましたものは、総理大臣が承認をするのだから、政府の方針だというふうに——それは表面はそうなるのですよ。だけれども、これの規制力を出すのに、やはり閣議決定くらいの段階へ入れていくべきだ。そういうふうにしておきませんと、これは一つの方向が出てこないと思いますから、やはりそういう形にしていかなければならないと思います。それと同時に、そういう形になってきた場合の原子力委員会の権限というものについては、実際問題をいいますと、いまのような状態ではいけないと私は思っているのです。やはり行政管理庁の関係で検討を加えて、もう少し権限を持たなければいけないと私は思います。そういうことは、今後この法案をわれわれは立法として持つようになる段階で、少なくとも同時並行的に考えませんと、私は先ほど言ったような憂いが出てくるだろうと思います。有澤先生は、財界の出資は非常に少ないからたいしたことありませんというようなことを言っておりますけれども、たとえば、私がこの前の本会議でもちょっと引用したことでもございますが、二月二十二日の読売新聞に出ておりますることの中に、今度のこういう事業団ができるにあたって、もう燃料公社の持っている鉱山部門は採算が合わないから事業団から切り離しなさいよという要求が電力資本のほうから出てきていると出ている。これはうそかほんとうか知らぬけれども、新聞記事に出ているのだから、おそらくこれはあったことだろうと思うんだ。これは二階堂さんのところに出ていると書いてあるわけだから。それはほんとうかうそか知りませんけれども、新聞はそこまで書いている。少なくとも私はそれはほんとうだろうと思うのですよ。財界で会社の重役さんになっておれば、その人がどんなに国士であって国のことをお考えになっておられても、しかし株主総会へ行けば、やはり欠損を出せば責任をとらなければいかぬですよ。絶対におれは国のためにやったのだからがまんしろと言ったって、株主は承知しない。やはり財界の人はそんなむだなところへ投資したくはないのだ。むだというのは経済人が見たむだです。われわれの見たむだとは違います。全然違います。そういう意味で、私は、あなた方がこの原子力委員会できめた決定を具体的に遂行するにあたっては、それは権威あるものにならなければいけない、こういうように思います。したがって、総理がそれを認めましても、少なくとも閣議決定の段階まで入れていくということを片方でやり、また片方では、原子力委員会の権限というものをもっと強化させるというふうにしていくべきだろう、こう思いますが、長官の所見だけひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/83
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084・二階堂進
○二階堂国務大臣 原子力委員会のあり方についてのいろいろの御意見、私も十分拝聴いたしましたし、また、有澤先生からも先ほどお話がありましたが、原子力委員会が原子力基本法とか、あるいは規制法とか、賠償法とか、その他の問題について非常に議論をされまして、そこで結論を得たものが総理大臣に答申されてきております。政府といたしましては、それを十分尊重して生かしてきておるつもりでございますし、また、今回の新しいこの計画につきましても、原子力委員会の方々が長期計画もお立てになるし、その中でこういうことが取り上げられていくわけですから、その計画はそのまま閣議の決定もいたしております。閣議決定をいたしております以上、政府が責任をもってその計画を遂行するということは、これは当然のことだと思っております。でありまするから、原子力委員会がもっと権限を持って、もっと監視の役をつとめるべきじゃないか、結論を出すまで見張りをすべきじゃないか、こういう強い御意見でもあろうかと思っておりますが、私も原子力委員会が今日までに果たした役割り、仕事等を見ておりまして、原子力委員会の意見とか、あるいは答申とかいうものがおろそかにされたということはちっとも考えておりませんし、また、こういう重要な仕事に取り組む以上、また、この計画についていろいろ議論をされてまとまった意見を出された以上、原子力委員会の意を体して政府がこれを強力に推進していくということは当然だと思っております。原子力委員会のあり方については、先ほどいろいろな御意見を承りましたから、十分検討いたしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/84
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085・石野久男
○石野委員 私はまだ質問がありますが、きょうはこれでおきます。ただ、先ほどもお話があったように、原子力委員会の責任は非常に大きくなると思います。先ほど丹羽さんから、原研の原子力開発についての政策に一貫性を欠いていたやに思われるというちょっぴり皮肉めいたことがございましたが、私は、こういうような問題についてもやはり原子力委員会ははっきりした方針を出し、また、それを具体的に遂行するようにしていただかなければいかぬだろうと思うので、そういう意味で、原子力委員会の権限を拡大強化するというような方向でこういう事業団をやっていくようにしなければいくまい、こう思います。
あとの質問は、またあらためてさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/85
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086・矢野絢也
○矢野委員長 両参考人には、本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。
次会は、明六月一日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01019670531/86
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