1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十二日(木曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 矢野 絢也君
理事 小宮山重四郎君 理事 中曽根康弘君
理事 福井 勇君 理事 渡辺美智雄君
理事 石野 久男君 理事 三木 喜夫君
理事 内海 清君
池田 清志君 岡本 茂君
桂木 鉄夫君 佐々木義武君
世耕 政隆君 増岡 博之君
箕輪 登君 村上信二郎君
石川 次夫君 石田 宥全君
松前 重義君 森本 靖君
吉田 之久君
出席国務大臣
国 務 大 臣 二階堂 進君
出席政府委員
科学技術政務次
官 始関 伊平君
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁原子
力局長 村田 浩君
委員外の出席者
原子力委員会委
員 有澤 廣巳君
原子力委員会委
員 山田太三郎君
宇宙開発推進本
部長 高木 昇君
文部省大学学術
局審議官 清水 成之君
参 考 人
(原子燃料公社
理事長) 今井 美材君
参 考 人
(日本原子力研
究所理事長) 丹羽 周夫君
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六月二十二日
委員加藤勘十君、松前重義君及び佐々木良作君
辞任につき、その補欠として石川次夫君、石田
宥全君及び吉田之久君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員石田宥全君及び吉田之久君辞任につき、そ
の補欠として松前重義君及び佐々木良作君が議
長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
原子力基本法の一部を改正する法律案(内閣提
出第七二号)
動力炉・核燃料開発事業団法案(内閣提出第七
三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/0
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001・矢野絢也
○矢野委員長 これより会議を開きます。
この際、三木喜夫君、石田宥全君及び石野久男君より発言を求められておりますので、順次これを許します。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/1
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002・三木喜夫
○三木(喜)委員 この前理事会でお話を申し上げ、御了解を得ておりました追加資料の要求をいたしたいと思います。
東大宇宙研に対して、第一は四十二年度の実行予算書。第二は四十二年度の実験計画書、三番目は、高木昇、玉木章夫、野村民也、斎藤成文、森大吉郎、平尾邦雄、糸田英夫、各氏の公用履歴書を出していただきたい。四番目、鹿児島宇宙空間観測所の十八メートルパラボラアンテナの建設経過、改造経過の詳細な説明書。五番目、十八メートルパラボラアンテナの設計開始から現在に至るまでの全経費の支払い先、支払い年月日、支払い内容の明細、金額。六番目、十八メートルパラボラアンテナの発注仕様書と最終検査成績、改造仕様書とその検査成績。いずれも原簿の複写でけっこうですから、出していただきたいと思います。
それから、この前、東大宇宙研に御無理を申し上げまして、急遽この資料を出していただきました。非常にけっこうな資料をいただいてありがたいと思うのですが、五月十七日の委員会では、一カ月たてばこれが印刷できる、こういうことでありましたので、この東大の研究所の貴重な報告書というものを印刷していただいて、科学技術振興対策特別委員会の全員に配付していただきたい、そして貴重な報告資料にしたい、こういうふうに思います。これは前にもそういう話がありましたけれども、重ねてお願いしておきたいと思います。
それから、先般の理事会でもお話し申し上げましたように、技術関係で追加資料を学者、研究者に見せた上で要求することがある、こういうふうに言っておきましたので、以下十数点について資料の提出をお願いしたいと思います。高木さんにおいでいただいておりますので、ひとつ記録を願いたいと思います。
ラムダ4S関係では、第一は、各般エンジンの地上及び真空燃焼試験データ、オシログラフの添付をしていただくこと、第二、各段エンジン推薬燃焼速度の分析(地上及び飛しょう試験)、第三、推力ミスアラインメントの解析、第四、尾翼の寸法、取りつけ角等に関する検査成績、第五、全機の検査手順とその成績、第六、尾翼の振動、剛性に関する解析、第七、全機の質量及び剛性分布、八番、飛しょう経路(XY面)、第九、全機の振動、剛性に関する解析、第十、全機の風洞実験データ、第十一、各部品及び全機の信頼性に関するデータ、第十二、全機の発注仕様書。
ミュー関係で、一、ミュー4S、4SSの計画書(将来の月、惑星探測計画書を含む技術計画書)、二、ミュー4Sのエンジン、機体及び制御系の諸元、性能、三、ミュー各段エンジンの地上燃焼試験データ。
学者に見ていただきました結果、これだけの資料を出していただいて、ラムダ4S一、二、三号機の成果について検討したい、こういうことでありますので、追加要求をいたしたいと思います。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/2
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003・矢野絢也
○矢野委員長 石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/3
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004・石田宥全
○石田(宥)委員 政府に対して資料の要求をいたしたいと思います。
五月二十九日に私が水俣病事件並びに阿賀野川における水銀中毒事件に対する質問書を提出いたしました。六月九日に答弁書がまいったのでありますけれども、きわめて抽象的でございまして、私どもにはとうてい理解しがたい部分が多いのであります。何と申しましても、水俣においては、現在なお十九名が入院加療中であり、五十一名が自宅療養を続けておるという状況で、四十一名が死亡しております。その原因はほぼ明確であるにもかかわらず、これが政府の決定とならない状態のもとにおいて、重ねて阿賀野川における水銀中声事件が発生をし、さらに新潟県の糸魚川地方においても、水銀が発見をされておるという事態のもとにおいて、これを明らかにしなければならないと考えるのであります。そこで、以下十数項にわたる資料の要求をいたします。
第一は、熊本県水俣病事件の年度別及び月別推移とその概要、二、熊本県水俣病事件後、厚生省、通産省の指導、通達文書と発送先、三、阿賀野川事件の月別概況、たとえば病気の発見、研究班の編成、調査研究日程、昭和四十一年一月−四月の中間取りまとめなど、四、内閣衆質五五第四号、答弁書五の報告書検討の過程と何回会議を開きだれが参加したか、また、水俣病関係者は参加したか、参加していればその氏名と役職名、五、熊本県水俣病事件にあたり、昭和三十四年十月六日、食品衛生調査会が厚生大臣に提出した答申書、六、昭和三十四年十一月、経済企画庁が自後この種の問題はすべて経済企画庁において取りまとめをする旨の各省庁に出した公文書、七、昭和三十五年二月から昭和三十六年三月までの間に連絡協議会は四回の会議を開いているが、その間の事情と年月日別に往復文書等を添えた資料及び四回分の各省庁の分担報告書、会議資料並びに会議録、八、連絡協議会の委託を受けた清浦雷作教授を含む十名の学者の氏名、住所及び役職名と事務局担当者の氏名及び役職名、九、昭和三十四年七月二十二日、熊本大学医学部の中毒原因を有機水銀と発表した文書またはその内容、十、熊本大学が昭和四十一年春ごろにまとめた水俣病に関する論文集「水俣病」、十一、熊本大学の水俣病に関する医学論文の全部、たとえば熊本医学会誌、日進医学、日本医事新報その他(日本衛生学会誌など)十二、阿賀野川中毒事件にあたり、厚生省編成の臨床研究班、試験研究班、疫学研究班三班全員の氏名、住所、役職名と班長名、十三、食品衛生調査会特別部会員の氏名、住所、役職名及び発足年月日と審議経過、十四、昭和三十一年以降、通産省より科学技術庁及び厚生省に転出した人員と氏名並びに前、現役職名、十五、旧昭和電工鹿瀬工場における年次別アルデヒドの生産設備能力と生産量、十六、昭和四十二年四月十八日発表の厚生省特別研究班の報告書、以上であります。
これはきわめて重要な問題でございまして、本問題に対する結論を政府の結論とするために欠くことのできない資料でございますので、委員長におかれて早急に政府をして提出せしめられるよう御要望を申し上げて、私の資料要求を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/4
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005・矢野絢也
○矢野委員長 石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/5
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006・石野久男
○石野委員 私は、先般の委員会で動力炉関係についての技術者の資料要求をいたしました。本日それを御配付いただいたわけですが、この資料だけでは私どもなかなか理解に苦しむところがありますので、すでに関係の方にも話してありますけれども、この際、第三表に出ております推定所要人員、技術者の要員についてのもう少しこまかい、たとえば専門別あるいは産業別、それからまた、学校卒業の年、そういう計画をひとつ出していただきたい。同時にそれらの、ここに出ております所要人員をどういうふうにして充足するかという、やはり教育関係での方針なり、そういうものをひとつこの際補足して提出願いたい。この提出は法案の審議の上に非常に必要でございますので、できる限り早く出していただくようにお願いしたい。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/6
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007・矢野絢也
○矢野委員長 ただいまの各資料要求の件につきましては、委員長においてそれぞれしかるべく取り計らいたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/7
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008・矢野絢也
○矢野委員長 原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。
最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君及び日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/8
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009・矢野絢也
○矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/9
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010・矢野絢也
○矢野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/10
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011・三木喜夫
○三木(喜)委員 きょうおもな質問に入る前に、関連のある問題を二つお聞きしたいと思います。
十七日、中国は最初の水爆実験の成功を発表しました。中国が原爆をつくってからわずか二年八カ月という驚異的な早い開発で世界四番目の水爆保有国になったのでありますが、これに対して日本では、政府並びに各党、各界の人々から見解が述べられております。それぞれ政治的な立場、平和の立場から、また核爆発に対する世界の世論の立場からでありますが、いまわが国では、原子力の平和利用に徹しようという一大決意をもって動力炉開発を強力に進めようとしておるときであります。したがって、科学的立場から見て、中国の水爆実験の成功をどう見るか、この点について、まず最初に科学技術庁長官の見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/11
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012・二階堂進
○二階堂国務大臣 中共の核爆発実験は今回で六回目になるわけでありますが、核の爆発実験に取りかかったのが昭和三十九年ごろだといわれておりますが、以来わずか三年くらいにして水素爆弾の実験を行なうようなところまで到達したということは、これは非常な開発技術と申しますか、そういう面におきましてもテンポが非常に速い、こういうことはいえると思っております。そしてまた、人材あるいは資金、そういうものを軍事的なこうした核実験に集中して投じてきておる、その結果であろうと思っております。遺憾ながら私どもは、その詳細についてはまだ十分承知をいたしておりませんが、しかしながら非常に高い水準にまでわずかの期間において到達したということは、きわめて注目すべきことであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/12
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013・三木喜夫
○三木(喜)委員 短日月に急速に進歩した中国の核研究開発体制についてお聞きしたいのです。
原爆、水爆の実験は、いかなる国であろうともわれわれは反対です。その点は見習うべきではございませんけれども、原子力委員会におかれては、この開発体制がどういう体制であるかということはキャッチしておられるだろうと思います。有澤先生からお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/13
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014・有澤廣巳
○有澤説明員 中国における核爆発の開発体制につきましては、私どもはあまりよく存じておりません。いろいろなことが新聞、雑誌その他においていわれておりますけれども、それがそのとおりであるかどうかというようなことにつきましても全然わかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/14
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015・三木喜夫
○三木(喜)委員 原子力局長に聞きたいのですが、プルトニウムより原爆を製造することは簡単にできるようによくいわれております。また、世界の世論からいたしましても、日本は核兵器の潜在的保有国だ、こういうこともいわれておるわけでありますが、日本としては軍事との結合は絶対やらない、そういう立場からこのことを解明しておく必要があると思うのでお聞きするのでありますが、プルトニウムからどのようにして原爆を製造するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/15
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016・村田浩
○村田政府委員 私どものほうでは軍事利用関係については一切これを勉強いたしておりませんので、プルトニウムが得られました場合にこれをどういうふうにすれば原爆になるのかということを正面から取り組んだことはないわけでありますし、今後もないわけであります。ただ私ども担当する者として、いわば一般常識的に諸外国における報道、情報等、そういったものから察するに、こういうことらしいということが言える程度でございます。その点は御了承願いたいわけであります。
御質問のプルトニウムがどうして原爆になるかということでございますが、これまでいろいろな報道に載せられたところによりますと、プルトニウムをまずある一定量つくりまして、この一定量というのが臨界量というわけでございますが、プルトニウムの場合には、純粋のプルトニウムでございますと、この臨界量は五キロないし十キログラム、こういわれておるようでございます。それだけのプルトニウムを集めまして、これを一つところにくっつけますと爆発いたすわけでございます。それが適当な時期に適当な形で爆発をするためには何らかの爆発装置としてのくふうが要るわけでございますが、伝えられておるところでは、二つの方法があるそうでございまして、一つは、いわば標的に向かって鉄砲玉をぶち込むような形で全体の臨界量を一カ所に集めるというやり方、他の一つは、臨界量に大体なるプルトニウムを中空の球の形にいたしまして、それに必要のときに外側から火薬等で圧力を加えて中心部においてこれを密着させる、そうして爆発させるやり方、こういう二つの方法があるということがいろいろな情報等に載っておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/16
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017・三木喜夫
○三木(喜)委員 広島型の原爆と長崎型の原爆の説明がなされたように思うのですが、こう簡単にできるというような考え方から、財界あたりにプルトニウムより原爆を製造せよという意見があるように聞いておるのですが、それは事実ですか。原子力開発の軍事と結合しないところの歯どめは一体何ですか。この点についてお三方、どなたからでもけっこうですから、ひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/17
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018・有澤廣巳
○有澤説明員 原子力の平和利用と軍事利用、技術的にはどうも境がなかなかつきにくいという点もあろうかと思います。それをさせないために、私ども原子力委員会が存在している。これは基本法、設置法によってそれが定められておる。その役割りが非常に重要である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/18
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019・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に、核拡散防止条約についてお聞きしたいと思うのです。核軍縮と原子力の平和産業についてお聞きしたいと思うのですが、核拡散防止条約と部分的核実験禁止条約と対比して、今回の条約案は不平等性が強いといわれております。原子力の平和利用、特に動力炉開発にナショナルプロジェクトとして取り組むわが国にどのような不利があるのか、これは二階堂長官からお聞きしたいと思います。
第二は、査察について商業機密に触れず、不当な蓄積をせず、爆弾に使用しないという立場を堅持する必要があるが、これはどうすればよいか、査察について有澤先生からお聞きしたいと思います。
三番目に、これは局長からお聞きしたいと思いますが、五月七日英国政府は、わが国外務省国連局長あて、発電炉の燃焼資料を提出するように要求してきたということです。文書の内容は、炉心部の燃焼量チャンネル、それから月間平均燃焼度、二番目は使用済み燃料のデータ、こういうようなものらしいですが、一体わが国は原子炉に対して、IAEAにかわってAEAが査察を代行するというような権限を英国に与えておるのかどうか。また、英国はそういう権限を持っておるのかどうか。それから日英動力炉協定において英国からこのような義務を負っているのかどうか。これも私、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との問の協定を読んでみましたけれども、そういうものは見つからぬわけです。それだけ最初お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/19
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020・二階堂進
○二階堂国務大臣 ちょっと三木さん、私に対する質問、聞いておらなかったので、もう一ぺんお聞かせ願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/20
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021・三木喜夫
○三木(喜)委員 申し上げます。核拡散防止条約というものに日本が入るといたしますなら、動力炉を開発しようとするわが国にとってどういう不利があるか、平和利用の立場からいたしますならば、査察がひっかかってくるのか、あるいは核爆発の平和利用という点がひっかかってくるのかという点ですね。日本は核爆発の平和利用というようなものはない、ここ十年ほどはないという立場を堅持しておるようですが、さすれば、やはり査察の面が私はひっかかってくるのじゃないか、これは外務大臣にまかせておく問題ではないと思うのです。科学技術庁長官が、当然こういうものをやられたら、われわれ原子力を平和利用することを主体にしておる科学技術庁としては、どんな不利があるかということを一応押えてもらわなければ困ると思うので、お聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/21
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022・二階堂進
○二階堂国務大臣 私も、御承知のとおり、原子力の委員長をいたしております。したがいまして、この核拡散防止条約の問題につきましては、外務大臣とも密接な連携をとりまして、私としても意見を外務大臣を通じて米ソ、関係諸国に伝えてもらうようにいたしておるわけであります。御承知のとおり、西村原子力委員が外務省の特派大使としてヨーロッパ諸国、関係諸国をお回りになった、そのときに直接お目にかかりまして、平和利用の問題、特にこの査察の問題について私どもの考え方をお伝えいたしておるわけでございまして、決して外務大臣にまかせきりにいたしておるわけではございません。
それから、何と申しましてもわが国は平和利用に限るという大鉄則を持っております。したがって、核拡散防止条約の内容がまだ明らかにされておりません、また新聞等の伝えるところによりますと、査察のことにつきましてはユーラトム諸国との関係もありまして、何かここは抜いて出されておるような新聞情報もございますが、この査察の問題が一つ大きな問題になっておるわけでございますが、この平和利用に対して査察が、持てるものと持たざるものとの間において不平等であってはならない、平和利用に対する研究についてはあくまでも平等でなければいかぬ、平和利用に関する阻害がもたらされるような内容のものであってはならぬ、こういう主張を私は繰り返し申し伝えておるわけであります。また、核拡散防止、核爆発の平和利用の問題は、まだ今日どういう爆発が平和利用になるのか、あるいはどこまでが軍事利用であるのかというような明確な点も明らかにされておりません。将来ほんとうにこれが平和利用に使われるのだ、そして放射能その他の被害も全然これは措置ができるのだというような、世界各国もそういうような確認がされて、そして安全その他についての措置が確認されるというような時代がまいりました場合には、これは日本も平和利用に応ずべきだと私は思っております。しかしながら、少なくとも現在におきましては、どこまでが平和であり、どこまでが軍事であるかというようなこともわかっておりませんし、また、それに対する措置も明確になっておらないのでありますから、私どもといたしましては、核爆発の平和利用ということは現在においては考えていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/22
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023・有澤廣巳
○有澤説明員 日本の原子力平和利用の確保ということは、わが国自身がこれを宣明しておるところでありますとともに、また、イギリスとかアメリカとかカナダ、あるいはIAEAというような関係におきまして、条約におきましても軍事利用を一切排除して平和利用に限るという方針になっておるのでございます。それで当該国におきましては、日本の原子力平和利用が確保されておるかどうかにつきましていわゆる査察が行なわれるわけであります。日本の原子力平和利用は、原子力基本法にありますように、言ってみればガラス張りの中で行なわれておりますので、外国の査察員による査察が行なわれましても、そのこと自体においては何ら支障がないということに相なっております。ただ、その間におきまして、この査察が非常に繁雑になりますと、動力炉の運転に若干支障を来たすというふうな場合もあり得ると考えられます。
もう一つは、技術上の、秘密はないのですけれども、新しい技術を査察員によって盗まれる、というと少し言い過ぎでございますが、言ってみれば盗まれるおそれもないではない。そういう点が私ども、この査察関係におきまして注意すべき事項かと考えております。
それで、この点につきましては、査察の方式をどういう方式でやるか、御承知のように、査察は書類の検査ばかりでなく、立ち入り検査もできるわけであります。ですから、立ち入り検査をしていただいても何らやましいところはないわけでございますから、差しつかえがないようなものの、あまりこまかく微に入り細にわたって行なわれるということになりますと、ややもすると、特に動力炉の場合におきましては運転上の支障を来たすということも起こりかねないのであります。それで、一方では軍事利用でないという証明を十分できて、しかも動力炉の運転に支障を来たさないような方式、この方式をひとつ考える必要があるのじゃないかと私どもは考えております。伝えられるところによりますと、核燃料がどういうふうに消費されて、また一方では、どういうふうにプルトニウムが蓄積されているかというような事柄がオートマチックに記録できるような計器が開発されるということになりますれば、その問題は一ぺんに解決するだろう、こういうふうに考えておりますし、また、そういう計器の開発についても努力がされているということを承っておるのであります。いま、さしあたって、査察の問題についてはそういう点を十分留意しなければならないと思いますが、現在まで行なわれている査察におきましては、そういう支障は起こっておりません。
ただ核拡散防止条約、この内容がまだはっきりわかっておりませんから断定的に申し上げることはできませんけれども、核拡散防止条約の第一次——第二次でありますか、そこはよくわかりませんが、私どもの一応承っておるところによりますと、査察の対象がニュークリアアクティビティーといいましょうか、核を使う活動、これは場合によりましては研究そのものも入ってくるかと思いますが、非常に広い対象になるおそれもあるのではないかと考えております。
また、いままでの査察でいきますと、国産の燃料を使った国産のファシリティーといいますか、施設、純国産の施設で国産の燃料を使った場合には査察の対象にならなかったわけでございますけれども、核拡散防止条約の案ではそれも対象になるというふうにいまのところ伝えられております。
そういうこともありますけれども、いずれにいたしましても、日本の立場から申しますと、軍事利用は一切排除して平和利用に限定しておりますので、そしてこれらの査察は、日本において行なわれておる開発が平和利用に限られておるかどうかを主眼としている査察でございますから、査察自身についてはわれわれにとっては何ら支障はない。ただ、査察のやり方について若干問題がありはしないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/23
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024・村田浩
○村田政府委員 東海村にあります原子力発電株式会社の発電炉並びにそれに使用しております燃料につきましては、日英原子力協定に基づきましてイギリスの保障措置下に置かれております。もちろん日英両国政府とも、この保障措置というものをできるだけ早く国際原子力機関の保障措置へ移しかえるということが両国の一致した見解であることを認めておるわけでありますが、今日まで東海発電所の建設、運転が予定より延びたというようなこともありまして、ただいまのところは、まだイギリス政府の保障措置下に置かれておるわけであります。そこで、従来から、イギリスからの要求によりまして、毎月一回政府を通して東海発電炉の運転状況の報告をいたしてきております。今回特に、先ほど御質問のございましたように、イギリス側から保障措置の移管が当初予定したよりもだいぶ延びておるということ、また、この協定に基づきます責任を果たすためには、燃料の照射歴を詳しく知る必要がある、こういった理由から、追加情報を要求してきたわけでございます。
この点につきまして、どういう根拠でそのような要求ができるかという御質問でございますが、これは日英原子力協定の第五条にございますように、原子力施設及び燃料等イギリスから購入しますものにつきまして、これを使う施設等の設計につきましてはあらかじめイギリスの承認を受けること、それからまた、このような施設あるいは燃料が軍事目的へ転用されていないかどうかをチェックするために、イギリス政府の命ずる査察員による査察を行なうこと、さらにまた、この原子炉による運転操作につきましての記録を保持することが義務づけられ、先方の要求があった場合にはそのような記録を提出する義務、このような内容が第五条で規定されておるわけでございまして、今回の要求はその中の記録の提出の事項に当たるものと了解しております。
これにつきましては現在関係省とも相談いたしておるところでありますが、私どもの考えといたしましては、もともと日英両国とも、この保障措置を国際原子力機関に移すことが両者の一致した希望でもありますし、この移管の時期もそう遠くないことと思われますので、それにつきましての点と、それからあわせて、今度は国際原子力機関に移管しました場合にどのような報告をすることになるか、そういった点等を勘案いたしまして、適切な措置をとりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/24
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025・三木喜夫
○三木(喜)委員 核拡散防止条約がまだ正式に議題にはのぼっておりませんが、われわれの周囲を見ましても、こういうような規制がやはり加えられようとしておるわけであります。なお、原子炉を導入いたしますと、勢いこういう手かせ足かせがはまるということが私たちははっきりしてきたわけなんでありますが、大臣、できましたら、御答弁のありましたように平等でなければならぬというような論語調なことをおっしゃらぬで、大臣としてやはり不利な点はひとつインドとかあるいはドイツとか、平和利用しかやらないというような国——ドイツはまた別問題かもしれませんが、こういうところはひとつお互いに協調して、そういう不利なことのないような主張を続けてもらわなければ困ると思います。
それからもう一、二不利な点をあげたいと思うのです。核拡散防止条約を成立させることによって、非核保有国の核兵器の製造を禁止する、これはもちろんですが、核活動を国際査察というもので押えて、米ソの核燃料、原子力発電プラントを輸出するという裏の意味があると私は思うのです。そういう点はどうですか。この点は有澤先生、ひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/25
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026・有澤廣巳
○有澤説明員 核拡散防止条約で米ソが動力炉の輸出をはかっているという御質問かと思いますが、その点は、査察の点はやかましく申しておりますけれども、輸出の点については別に何も制限を加えておるわけではないし、また日本側のほうから申しましても、日本で平和利用のために動力炉を開発するとか、その他の原子力平和利用を進めることにつきましては、別に規制があるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/26
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027・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に、アメリカ政府は核燃料の民有化を認めております。民間ではいまやウラニウム鉱床の手当てをし、大規模な核燃料の確保につとめているようです。ウラニウム精鉱、イエローケーキの段階でしょうが、国際価格がポンド当たり四・五ドルから八ドル近くはね上がっております。民有化こそ私は商売の手段ではないかと思うのです。前の私の質問に有澤先生は、核拡散防止条約や査察というものは日本の原子力の平和利用、いわゆる動力炉の開発に何ら支障がない、このように言われておりますけれども、私は手かせ足かせがはまるんじゃないか、そういう気がしてならないわけなんです。そういう裏面があるような気がするわけです。核兵器の独占をねらうとともに、平和利用の面でもこれら二国が世界制覇をねらっておるんじゃないか、——イギリスも入れ、そういう気がするわけなんであります。これは別の問題かもしれませんけれども、燃料の民有化というものに踏み切ったアメリカにおいては、すでにこういうように燃料の価格が高騰しておりますし、それを受けて日本がアメリカから燃料を買わなければならぬ、こういうことになってまいりますと、民有化というものにすでにそういうアメリカの意図がはっきりと出てきておる、私はこう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/27
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028・有澤廣巳
○有澤説明員 アメリカの核燃料の民有化はアメリカの核燃料の独占政策の一つのあらわれじゃないか、こういう御質問のようでございますが、アメリカの濃縮ウランについて考えますならば、現在非常に安い、グラム当たり十ドルの濃縮ウランを供給するというような国は、ほかには世界にありません。その意味において、もうすでにその点のアメリカの独占はほとんど確定的になっております。イギリスが最近かなり大規模な濃縮ウラン工場を運転するようになっておりますので、イギリスからもあるいは供給を受けられるかもしれませんけれども、まだその点が、どの程度の値段でどうだとかいうことははっきりしておりません。いずれにしましても濃縮ウランの供給におきましては、アメリカの支配的な地位があるわけでございまして、これは国有になっておりますが、かりにやがて民有化いたしましても、私はこの点においては別にそうたいして変わりがないのだと思います。私どもは濃縮ウランだけに依存しておる動力炉が日本で非常に増大するということにつきましては、これは十分の考慮を払わなければならぬ傾向だと思っております。それがために私どもも、高速増殖炉であるとかあるいは新型転換炉を自主的にこの際開発したい、こういう考え方に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/28
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029・三木喜夫
○三木(喜)委員 動力炉開発については、燃料というものは欠かすことのできないものでありますから、これがすでにアメリカでは民有化したために値段が高騰した、こういうことになっておるようですし、日本でも民有化をすれば、いろいろな問題が私は起こると思う。値段の問題もあるでしょうし、あるいは供給の問題も起こってくるでしょうし、さらに安全性の問題も起こってくると思うのです。これはこの前のときに質問が出ておりました。したがって、私はその点にくどく触れませんけれども、いずれにしましても、民有化というものは、アメリカがやっておるから日本がやるというのでは、私はまだ時期尚早ではないかと思う。四十一年にこれはすでに閣議で決定したんだ、こういうことですけれども、公社法によっても、あるいは原子力基本法によっても、これは総括的な管理ということが法にうたわれておるわけなんであります。私は日本が国策として動力炉を開発するという段階においては、燃料は国の力で絶対にしっかり確保しなければならぬ、こういう基本線を持っております。後ほど燃料の問題について触れますから、核拡散防止条約に関連した質問はこれくらいにおいて、主題に移りたいと思います。
これはひとつ大臣にお聞きしたいのですが、この間から当委員会において、動力炉と核燃料開発体制について各委員の質問がありました。その答弁を聞いて、私は二、三非常に気になる点があるのでお聞きしておきたいと思うのです。
まず第一は、去る六月十五日の吉田委員の質問であります。今回の動力炉・核燃料開発事業団について、燃料公社など合併吸収しないで別の事業団をつくり、総合的計画を推進していきたいという、いままで言っていた方針と全然異なるじゃないかという、そういう質問に対して、有澤先生は三つの重要な発言をされております。その一つは、原子力委員会は、動力炉開発をやる事業団をつくりたい、ぜひ実行されるよう総理に意見を述べておられるのです。法の規定は、原子力委員会の決定を総理は尊重しなければならないというのでありますが、これは尊重していないことになる。これが一つの要素であります。二階堂長官は、あなたは原子力委員長です。これではこの間から原子力委員会の力とか、あるいはパワーをつけよとか言われておりますが、現実この姿では一体どうなるのかということです。
第二は、これに対して総理は、考え方はよくわかるけれども、公社、公団、特殊法人をつくらない方針をきめておるのだからというのであります。そこで新事業団が今回の形になったようでありますが、しかし事実はどうですか。中小企業振興事業団、外貿埠頭公団、石油開発公団が新設されようとしておるのです。総理は、これは食言したことにはならないですか。それとも力で押したものが勝ちを制した結果ですか。それなら二階堂長官の力が足らないといわれてもしかたがないわけです。
私は、一国の科学と技術の振興と革新、それに産業の興廃を決する第四のエネルギー源としての動力炉開発について、さきに述べた三つの公団、事業団より値打ちがないものと判定されておるということが問題だと思うのです。失礼ですが、長官、これぐらいのものを誠意を込めてなぜあなたは総理に主張したり、あるいは自民党の中の政調会の行政調査会にこの主張を通されなかったのですか。私は非常に悔やまれてならないわけです。この二つの点について長官のお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/29
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030・二階堂進
○二階堂国務大臣 この新事業団ができるに至る経緯につきましては、私が長官に就任する以前から、原子力委員会等においても一つの案を持っておられたようであります。それはいま三木さんがおっしゃったとおり、原子力研究所があるし、燃料公社があるし、その上にもう一つ新しい事業団をつくる、こういうお考えがあったことも私は就任してお聞きをいたしたわけであります。
しかし、さっき三木さんがお述べになりましたとおり、総理の考え方も、臨調の答申を尊重する、新しい事業団は一切認めない、もしつくる場合には整理をせよ。そうするならば、新しいものをつくるについても数がふえないのだ。こういう強い臨調の答申もあって、それを総理も尊重するということをいわれておるわけであります。私の政治力が足らなかった、遺憾だ、これはまあそれに尽きるかもわかりませんが、しかし、新しい原子力の平和利用の開発については、日本は燃料の対策等から考えてみましても、また先進諸国の進んでおる状態を考えてみましても、自主的に、積極的に取り組んでいかなければどうにもならないというきわめて現実的な強い要求もあるわけであります。
こういう一方においては、新しい事業団をよけいつくってはならぬ、あるいは一方においては、国家的要請において新しいものを、自主的開発をするものをどうしてもつくらなければならぬという新しい要請がある。これらのことをいろいろ、原子力委員の有澤先生を中心としての従来からの主張もありましたし、議論もいたしました。また党内におきましても、いろいろな議論もいたしました。これはたいへんな議論をした結果、やはりそういうもろもろの意見を勘案いたしまして、とにもかくにも核燃料が国有から民有化になるという事態を迎えておるときでもありますので、しかも、燃料は新しい動力炉開発と不可分一体となって関連性を強く持っておるものでもありますから、動力炉開発を積極的に自主的にやるというこの事業団の中に、欠くことのできない燃料公社をひとつ一緒にして、発展的解消を行なって、そうして燃料についても、あるいは動力炉の自主的開発についても積極的に取り組もう、こういうことで実は最終的には私の判断によって意見をまとめて、そして大蔵省との折衝に入ったわけであります。大蔵省のほうにおかれましても、いろいろな議論がありましたが、結局私どもの主張を認めて、新しい法人をつくるということには賛成しよう、こういうことで今回のこの事業団の法律を御審議願うことになったわけでございまして、私は燃料公社と原子力研究所と二つあって、その上にもう一つ新しい、いま申し上げたような形のものができることが理想的ではなかったかということは、いまもって考えておりますけれども、しかし、予算の編成時において、しかもせっぱ詰まった時期でもありますし——私が就任いたしましたのは十二月でありますから、そういう時期でもありましたし、またあわせて臨調等の強い意見もありましたので、まあ板ばさみになって非常に困りましたけれども、しかし、とにもかくにもそういうことでこういう事業団が一年ないし二年おくれることは、わが国の産業の基盤を強化するという高い見地からいっても、これはゆるがせにできることではない、私はこういう決意をいたしまして、いろいろな御批判はありましょうけれども、こういうことの形を整えて積極的に取り組んでいくことがまず何よりも大事なことだ、こういう決意をいたしたようなわけでございまして、その点はひとつ政府の立場もよく御了承くださるようお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/30
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031・三木喜夫
○三木(喜)委員 動力炉開発の高次な目的というものは、これはだれもみなわかっておるのですし、それからいま申し述べられたようなお題目は、あるいはまた弁明はよくわかっておるのです。そうではなくて、いまおっしゃった積極的に取り組む態度として、この動力炉開発事業団というものをつくるのだとおっしゃいますけれども、それは違っておるんだ。それは積極的でありませんよ。やむを得ずそこに妥協しただけの話です。私はそう思います。
そして私の聞き捨てならぬ、という言い方は悪いかもしれませんけれども、この間の吉田委員の質問に対して有澤先生が、いままではこらえにこらえられたような発言をされておりましたけれども、こんなことを言っておられる。これは冗漫ですけれども読みますよ。聞いてください。「動力炉開発をやる事業団、そういう特殊法人をこの際設立することである、こういうふうに一応考えたわけであります。それですから、そのことを一応総理に、これはまだ総理に答申といいましょうか、委員会の決定を伝達するという意味ではないのですが、その考え方について総理の意見を聞いたのです。私どもはこういうふうに考えておりますから、ぜひそれをひとつ実行してもらうようにお考え願いたいということを申し上げました。」すなわち、原燃と原研の上に事業団をつくるという考えだと思うのです。こういうことをお願いしますという——これは私は有澤先生の態度も非常に弱いと思うのです。さきには中曽根委員が、有澤先生えらい保守的ですねと言われておりましたが、私はここでは態度が非常に弱いと思う。何でこんな下からほうて出られるようなことを原子力委員会を代表してやられておるのですか。法律にきちっと原子力委員会の一つの権限として規定してあるじゃないですか。こういう態度でお願いします、頼みます、拝みますで行かれて、その結果、長官、こういうことですよ。「総理は、その考え方はよくわかるが、しかし政府の方針としても、新しく事業団といいましょうか、公社、公団、特殊法人をつくらないという方針をきめておるのだから、そこに一つの問題点があるのだ、こういうお話でございました。」ああけっこうです、そうですがと引き下がられたところが私は問題だと思う。片方では新設をやっておるじゃないですか。今度の場合は、科学技術庁関係だけでは一つやりかえただけの話です。新設と違うのです。一方、先がた申しましたように、三つは、新設しないと言いながら完全に新設しておるじゃないですか。これは総理の食言と言っても私は言い過ぎではないと思うのです。これでああそうですがといって下がられたことは、結局、有澤先生、あなただまされたことになっているんですよ。また二階堂長官も、こういうことですから、私は積極的にやってまいりました、予算編成の時期が迫っておりましたから、前向きにしっかりやらなければいかぬと思いましたからやりました、それは妥協の産物で、妥協されたことはりっぱだと思います。そこの妥協のしかたはうまかったと思いますけれども、積極的にやられたとは私は思いません。こういった泣き言を最初から述べなければならぬような事業団は、一体どないになるのですか。私は、これは最も情けない出発だと思います。原子力委員会の委員長代理の有澤先生が、こういうようなことを言って、そしてあとのほうはどうなりましたか。「内面的なお話を申し上げることは控えますけれども、相当激論をいたしました。委員会はしばしば危機に陥ったことは事実であります。」こうおっしゃっている。こういう危機におとしいれておいて、いまからはあ、そうですか、こんなものをつくりますというようなものを幾ら形を整えてみても、魂が入っていないじゃないですか。私はそれを言いたいのです。このことは総理が食言したことにはなりませんか。つくりませんから、あなたのところはしんぼうしてください、こうだったのですよ。それならいたしかたございません。原燃の上につくって、そうして原燃を合併するか吸収するかというようなかっこうで、一つ一つを相殺さしていままでどおりのかっこうにしよう。こっちはこれでかっこうつきました、国の方針、臨調の方針に沿ったわけであります。それなのに、片方ではたくさん次々とつくっていく、こういう事態が出てまいったわけであります。私は、そのことをまず大臣にひとつ腹に入れてもらって、こんな状態ではいかぬということを総理に主張してもらいたい。いまからも主張してもらいたいと思うのですよ。私たちは、あとで申し上げますけれども、原子力委員会が二年近くもああでもない、こうでもない言うて、その結果つくり上げられた、積み上げられたいわゆる事業団というものですね、この方式を支持したいと思うのです。一方、絶対につくらぬのなら、あなた方が出されておるこの原案には賛成せざるを得ないと思うのですけれども、一方で現にいま申し上げたように三つつくっておるじゃないですか。そういう状況を踏まえて、大臣どうですか、中小企業振興事業団、外貿埠頭公団、石油開発公団、こういうものを新設しておるじゃないですか。これは何ということですか。その点をお聞きしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/31
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032・二階堂進
○二階堂国務大臣 私が言ったことが積極的になっておらぬじゃないかということでございますが、私は少し意見を異にするのです。法人を新しくつくるつくらぬは非常に問題があったわけであります。いまお述べになりました通産省関係でありますか、二つの公団等も、既存のものを全部認めてその上に新しいものをつくったんだというふうに理解をされておいででございますけれども、これはやはりあるものを一つ整理して、そして一つの新しいものをつくった、こういうことになっておるようでございまして、石油資源開発公団は特殊会社の石油資源開発会社を改組して、また中小企業技術振興事業団は特殊法人の中小企業指導センターを改組してつくっておる、こういうことでございます。これはほかの関係の省にかかわることでございますから、私どもがとやかくここで言うのもどうかと思いますけれども、しかし全く新しいものが新設されたというわけではないと思いますし、また環境衛生の金庫あるいは運輸省関係の外貿埠頭公団、これはまあ新しくできたのではないかと思いますけれども、そんなところで新しいものをつくっておるのに、なぜおまえのところはできなかったのか、これは自主的じゃないじゃないか、あるいは積極的じゃないじゃないか、こういうふうにおしかりでございますが、理想から申しますと、私は先ほど申し上げましたごとく、もう一つ新しいものができたほうがよかったとは思いますけれども、しかし、私も政府の一員でありますし、また、原子力委員会の立場も原子力委員長として考えないわけでもなかったわけですが、非常に難儀をしたということだけはひとつお認めを願いたいと思います。私は、新しい事業団を、それじゃ新しいものをつくるといって主張していきますと、大蔵省も率直に申しまして非常な抵抗をいたしておりましたし、時間的にも、やはり強腰の主張ばかりしておると、結局できないことになってしまったのではないかという心配も当時非常に深くいたしたわけです。そうしますと一つのものをつくるということが先決である。魂が入っておらぬじゃないか、こういうことでありますけれども、今度事業団法という一つの法律を御審議願っておりますが、これにやはり一つの魂を入れるし、また主体を持って自主的開発をやるという一つの事業団ができますことは積極的に取り組む姿勢だ、こういうふうに私は考えております。できなかったらどうなったのかと考えますと、これはたいへんなことになったと思う。それをとにもかくにも、いろんな御批判あるいは御議論がありましょうけれども、一つのものをつくり上げた、またつくり上げるべくいま御審議願っておるわけです。まだできておりませんけれども、これをつくり上げることによって新しい動力炉の開発というものが進んでいく。産業界の意見もぜひこれをつくれ。最終的には原子力委員会の有澤先生たちのほうとも議論はいたしましたけれども、これをつくることだ、ことしこの事業団というものができなければ、もう原子力開発の将来は全く心配にたえない、憂慮にたえないという事態すら考えざるを得ないのだから、とにもかくにもこういうものを一つつくって、そしてこれに魂がないと言うが、私どもは魂が入っておると思いますけれども、そして自主的な積極的な開発体制をつくるのだ、こういうことが先決じゃないか、こういうことでございましたので、非常に私は難儀をいたし、積極的にこの問題に取り組んできたということだけは、ひとつ私の苦衷もお察しくださって、そう頭から、積極性がない、魂がない、こうおっしゃらぬようにひとつお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/32
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033・三木喜夫
○三木(喜)委員 そう大臣から言われると言うことばがないのですけれども、しかし、そういうような解釈が違うとか、私はこう努力して苦労したとか言うが、苦労はみんなつきものですよ。そういうことがこの事業団の出発に対するところの大きな推進役をするかということです。私はやっぱり意気込みやら熱意やらだと思うのです。その意気込みと熱意がやがて次々と連鎖反応を起こして、そして事業団のほんとうの成功がかちえられると思うのですけれども、こういう熱意あるいは意気込みというものが説得の段階で全然なかったのじゃないかと思うのです。いま申し述べました環境衛生金融公庫とか外貿埠頭公団なんか、これは新しくつくっていますよ。こんなものをつくられておいて、有澤先生もよう引き下がってこられたですね。これであなた納得しなさい、この二つはつくらないのだからということだったのでしょう。しかしちゃんとつくっておるじゃないですか。つくっておいて、ああそうでございますかといってあなた引き下がってこられて、それをうしろにおるところの原子力委員長は、いや私はああでもないです、こうでもないです、苦労した、私の苦衷を察してくださいとまるで女房の恋ぶみみたいな言い方をされた。昔の恋ぶみが出てきて、その言いわけをしておるみたいです。そんなことは何らそれに対するところの本筋ではありませんよ。だから私は申し上げておるのです。総理のこう言ったことは食言でありませんか。この有澤先生とのやりとりの中では食言のきらいがあると私は思うのです。それを長官に聞いておるわけです。後に総理がまたおいでになりますから、私はここを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/33
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034・有澤廣巳
○有澤説明員 私が前回の委員会で答弁をいたしましたことばがたいへん議論の種になっておるようでありますが、総理にお目にかかって私どもの意向をお伝えいたしましたことは、前回お話し申し上げたとおりでございます。その後いろいろ政府のほうの考え方も明らかになりました。その明らかになったところによりますと、ただいま長官からお話がありましたように、新しい公社公団はつくらないように、つまり増加するような公社公団をつくることは方針として困る、こういうことが明らかになりました。そこで私どもの委員会では、そういうもとにおいて、それではどういうふうに動力炉開発の主体をつくっていったらいいだろうかということを検討いたしたわけでございます。それまではむろん動力炉の開発には、中核になる組織、体制というものが必要であるということでありました。したがってその意味からいえば、この動力炉の開発の新法人をつくろう、こういう考え方になっておったわけでございます。いま、政府の方針もあることでございますから、それとの関係においてどういうふうに本格的な組織をつくっていくかということにつきまして、前回申し上げましたように、委員会の中でたいへん議論が行なわれたわけでございます。しかし私どもとしましては、この動力炉の開発をどうしてもやりたい、またやるべきであるという、これがまず第一の念願でございました。そこでその念願に立って考えますと、燃料公社も、だんだん十年もたってきた今日におきましては、燃料関係の事情も違ってまいりましたので、燃料公社につきましてもある改組の時期に立ち至っておる、そういう点から考えますと、燃料公社とこの事業団とを一緒にしてそこに一つの事業団というものを考えることもできはしないか、そのことによって動力炉の開発に支障を来たすということがあっては困るけれども、むしろ動力炉の開発にあたりましては、燃料の開発ということと不可分の関係にもありますので、その燃料公社と一緒になった動力炉開発の事業団をつくり上げるということば、動力炉開発にとりまして何ら支障のないのみならず、むしろある意味からいえば、この燃料公社を一緒にすることによって燃料開発をも一緒にこれを進めることができる、こういうふうな考え方になりまして、委員会の決定といたしましては、そういう決定に相なったわけでございます。しかしいま御指摘のありましたように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/34
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035・三木喜夫
○三木(喜)委員 途中ですけれども、あとでまた質問をしますから、その点はそのくらいにしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/35
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036・有澤廣巳
○有澤説明員 それでは簡単に申し上げますけれども、たいへん重要な話のようですから……。
ただいま御意見がありましたように、これがために動力炉開発の熱意が阻害されるということがあってはたいへんだと私ども考えまして、そこで前の懇談会のときのメンバーであった人々、あるいは大学の先生、あるいは原子力関係の評論家、あるいは原産というような方面の人々の御意見も聞いてみました。そうしましたら、いやこの燃料公社と一緒になった形でぜひひとつ進めたい、進めるべきである、こういう強い御意見でありました。それでありますから、私どもの委員会での決定も、いま御心配になりましたような動力炉開発の意欲というものがそれによって阻害されるという心配が全くないと私ども判断をいたしました。そういう形で、この動力炉・核燃料開発事業団というものの法案をつくることになったわけでございます。あと環境衛生の関係とかそれから埠頭の関係の事業団みたいなものができましたけれども、これは私どもがそういう形で動力炉・核燃料開発事業団を決定したずっとあとになって、最後の段階になってそういうものが飛び込んでまいったわけでございますので、それが飛び込んできたからといって、私どもの決定をいまさら変える、これはだまされたから変える必要があるというふうには、私どもは考えませんでした。そういう事情になっておりますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/36
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037・三木喜夫
○三木(喜)委員 私は有澤先生に聞いたのでなかったのですけれども、御答弁いただいてしまったのですが、私は大臣に、総理はやはり信念をもって公社公団はつくらないという考えを持っておられたと思うのです。それで皆さん方も納得して帰ってきた。ところが、あとだろうが先だろうが、つくったことは事実です。二つ新しいものができたのですから、こういうことは政治家の食言にならぬかということを大臣に聞いておるわけなんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/37
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038・二階堂進
○二階堂国務大臣 総理が強く主張されたことは、それは新しい事業団とか法人はつくらないようにという臨調の答申を尊重するというたてまえですが、いままでなされた答申が一〇〇%全部そのまま実施をされておるかというと、しばしばほかのことでも国会において御指摘されておるとおり尊重されておらないのではないかという御批判もあるわけでございます。これは率直に申しまして遺憾であったと私も思いますが、しかしいろいろな議論があるし、国民のほうから要請があるし、なかなかこうだと鉄則をきめてもそのとおりやれないというのが政治の現実ではなかろうかと思っております。私はそういうところですべて妥協していいというふうには考えません。総理の御意思はとにかく、何十も新しい法人をつくるという動きがあったということは事実なんです。その中で一つか二つ——二つですか新しいものができた。ほかのものは、あるものを統合して一つのものができたということになっておりますけれども、三、四十あったと思います。この新しい法人の要求があった、その中で二つですから、この二つができたからといって——私は、純粋な議論からいうと、それも食言じゃないかとおっしゃることもわからぬでもありませんけれども、そういう実情等を考えてみまして、当時の三、四十もつくれという強い要求の中で、整理統合すべきものは整理統合して、その中で新しいものが二つできた、こういうことですから、私はそれが総理の食言につながるのだ、食言だというふうには解しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/38
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039・三木喜夫
○三木(喜)委員 内閣の総理大臣のことですから、同じ内閣におられる大臣として、それは食言でございます、私はかくのごとくおこっておりますということは言えないでしょう。しかしながら、四十ほどそういう公社公団を出してきておって、その中の二つだからというような言い方はどうかと思いますね。その数の問題ではないですよ。質の問題を私は言っておるわけなんです。どっちがウエートが高いか、総理大臣はどっちのほうをウエートを高く考えたかということになると、先がた申しました環境衛生金融公庫のほうを——これは聞くところによると、たいへんな圧力団体が押しまくってやった公庫らしいじゃないですか。それと、一国の運命を決定するとあなた方が絶えず主張されてきた非常に重要な法律案、そういうものを踏まえておって、しかも科学技術庁はビッグサイエンスとこれから取り組まなければならぬのですよ。この門出のこれは大事な法律案じゃないですか。それをたった二つという、その二つという数よりも質ですよ。問題はどっちの質を大事に考えるかという、そういう主張を大臣はなされなかったのかということを私は非常に遺憾に思うのですよ。それと、子供をだますように総理がそんなこと言われたら、たいへんなことだと思うのです。二つだから、しておけ、こんなことなら、子供だましもはなはだしいじゃないですか。私はしつこく言うようですけれども、これは一番根底をなすところの考え方ですよ。だから申し上げるのです。それは言いにくいでしょう。総理のことですから、それは食言だった、えらい遺憾に思いますというようなことは言いにくいと思いますけれども、それを言いなさい。言って、いまからでもいいですから、これをやりかえるくらいの意気込みを持ってやらなんだら、これはできませんよ。有澤先生は、いま私、質問しなかったんですけれども、はしなくも言われた。あっちこっち相談してみたら、ユーザーあたりもそれでよろしい、やりなさいと言われたから、勇気百倍してやったといういきさつですけれども、しかし、どうですか。ユーザーの言うておるのは別のことですよ。あとで触れますけれども、(有澤説明員「ユーザーばかりではありません。」と呼ぶ)それはそうでしょうけれども、別の意味が多く入っているのですよ。これは一番初めに、不純なものが入っているということを言ったのは、こういうことですよ。そういうことで勇気を百倍されたら、下人民の、民の心を知らぬことはなはだしいと思うのです。有澤先生も上のほうへ上がってしまわれて、民の心を知らぬようになってしまわれるのは悲しいことですよ。下のほうの人はそんなことを言って、非常に動揺しております。中には、長いものに巻かれろ主義であきらめている人もありますけれども、心ある者は、これは残念なことだとみんな思っておりますよ。それくらいのことは、この際、私は言っていただきたいと思うのです。
有澤先生に一つ御質問申し上げます。われわれはかねてから、新しい動力炉開発、新しい核燃料の開発は、動力資源の乏しい日本としては至上命令だと考えているのです。科学技術対策特別委員会でも、前々から、岡、原委員長を出して、与野党の別なく協力して今日までやってきたのです。わが国が初めての大事業にこれから取り組むわけなんですが、私たちは基本的には協力を惜しまないのです。協力したいのですけれども、六月十五日の有澤先生の答弁は何と言っておられるのですか。委員会では激論をし、しばしば危機におちいったことは事実です、大事業の前にはしんぼうせいという呼びかけに応じて立ち上がった人々に、もう一ぺん幻滅を感じさせ、くたくたにしてはならないというようなことを言っておられるわけであります。しかしながら、身を殺して仁をなすというような考え方、そんな悲壮感だけでこんなものはできないわけです。それよりも、内面的な話は差し控えると言っておられますが、私はここで内面的な話をしてもらいたいと思います。委員会の中でどんなことが論議されたか、それで私たちもそうだったのかという気持ちに立って、初めて国の大事業に取り組む与野党の姿勢ができるのじゃないんですか。こんなべールをかぶせたままで協力せい、法案だけ早く通せでは、私たちは協力できないのです。そういうことを申し上げているので、きょうはひとつじっくと腰を落ちつけて——お昼が来ておりますが、そんなどころではありません。ひとつ腹を据えて、どんな悲壮な決意に立たれたのか、また内面的にどんな激論をされたのか、しばしばどんな危機におちいったのか、それをひとつ聞かせていただきたいのです。有澤先生の円満な考え方から、まあまあ主義で、妥協の産物を後生大事に、とらの子のようにせられる気持ちもわからぬことはありません。しかし、その三つの点はやはり明らかにしていただきたいと思います。これは先生にお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/39
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040・有澤廣巳
○有澤説明員 今回の法案の骨子を決定するにあたりましての原子力委員会で行なわれました議論のことでございますが、議論といたしましては、われわれのほうでは、長らくの間、中核的な動力炉開発の組織をつくりたいと考えて、それがための開発事業団をつくろう、こういうふうな考え方で大体進んでまいりましたけれども、いま政府の方針といたしましては、新しく増加するような事業団をつくることはこの際好ましくないという御意向がはっきりいたしましたので、その問題とわれわれの考え方とをどういうふうに調整するか、こういう点が議論の中心になったわけでございます。むろん、純粋理論的に、また理論的に申しますならば、われわれが事業団をつくろうといま考えていたのだから、そのとおりやるべきである。つまりその点で玉砕すべきである、こういう議論をされる方もおりました。しかし、玉砕をすることはいとも容易であるけれども、それで事柄が済んだと考えるのは間違っているのじゃないか、そういう議論もありました。その中で、先ほど御引用いただきましたように、われわれ自身が、動力炉の開発はナショナルインタレストを守る上から必要であるという呼びかけをしたんだ、そうして幸いにも各界でこの呼びかけに大きな呼応というか、レスポンスがあった。それなのにここでわれわれが自分たちの、何と申しますか、いさぎよい態度をとろうとするあまり、この動力炉開発というもののプロジェクトがだめになったならば、これはわれわれ自身呼びかけたものとして、それに対してレスポンスされた方々に対してはなはだ相済まないのではないか。つまり、もしこのときにおいてわれわれがただ単に論理的な、純理論的な考え方のみに終始するならば、そうしてそのことによって動力炉の開発が挫折するというようなことに相なりますれば、これは自分の身を切ろうとするだけで、ほんとうは国のナショナルインタレストに対する責任を果たしたものではないじゃないか、こういう議論も行なわれました。そうして何回かそういういろいろな議論が戦わされましたあげく、先ほど申し上げましたように、この燃料公社と合体した形において事業団を形成することは、われわれが本来考えている動力炉開発の事業を推進する上において何ら支障がないのみならず、また、場合によりましては、はるかにそのほうが燃料開発とともに一体としてこれを行なうことができる点から考えてみても、動力炉の研究開発の中核体として、今回法案で提案されているような形の事業団をつくることは、むしろいいのではないか、ちっとも差しつかえがないのではないか、こういう結論に最終的には到達いたしたわけでございます。一応われわれはそういう決定をいたしましたけれども、さらに各界の方々の——これは単にユーザーばかりではございませんで、大学のほうの協力も得なければなりませんし、また研究所の協力も得なければなりませんし、また、何といいますか、世論の——世論といいましても、評論家でございますけれども、評論家たちの御意見も聞いて見るがよかろうということになりまして、それで聞きましたところ、われわれの決定はこの際においては全く正しい、こういう御激励を受けただけのことでございます。でありますから、私ども最初は確かに動力炉の事業団一本やりで進もうというような考え方を持っておりましたけれども、そういう形でできたことを決して悔やんでおるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/40
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041・三木喜夫
○三木(喜)委員 有澤先生のお話を承って、なるほど苦境に立って、そうしてそれをどのように打開し、まとめ上げようかというような御苦心のほどはわかりました。しかしながら、確かに現状の上でどういうそごを来たしているかということの判断、将来行きつくであろうというところの支障の見通しというものが私はこの際必要だと思うのです。木に竹をついだとは言いませんけれども、こういう妥協の産物のために——私は後ほどお聞きしたいのですが、現状でもだいじょうぶだ、こうおっしゃいますけれども、私たちは食い違いがあると思うのです。そういうようなイスカのはしの食い違いができて、へたなクロスワードパズルをやるように、ごろだけは合わしたけれども、開発の意欲にさおさしていくところがなかった、こういうような結果になるのじゃないかと思って、非常に私は心配しておるわけです。いま先生に御苦心されたとか激論されたとかいうところをもっとざっくばらんに言ってくれ、こう言いましたけれども、これは言えないだろうと思います。時間にも限りがありますし、また内容もはばかられる点もあろうかと思います。与党の方もおられますが、私たちも一生懸命協力します。だから、大臣も、それから有澤先生も局長も出ていただいて、一ぺんどうしたらいいかということを、懇談会を持つかして、練り上げてみたいと思うのです。以下まだ不審な点もたくさんありますので、それを明らかにしておいてから、そういうことをひとつやっていただきたいと思うのです。とにかく、法案を通すことだけを念頭に置かずに、どうすればいいものができて、みんなが協力して喜んでやっていけるかというものにしなければいかぬのじゃないかと思うのです。まあ、とにかくそういう意味合いで、あとの問題をお聞きしたいと思います。
今度は体制の問題です。私は、体制を検討するのには、どうしても科学の進歩におくれた日本の国が敗戦を招いたのであるから、特に原子力の平和利用ということで、他国を見返すような研究開発をやって、この点で取り返すということが私は大事だと思いますし、そういう面で、今回の国是も立てられたと思うのです。しかし、過去十年間にやってまいりました原子力の開発の体制は、決して成功だったとは言えないわけです。そこで今回、動力炉の自主開発、核燃料を自分の手で持つという大問題を掲げたわけでありますが、さきにも申し上げましたように、出発から計画に狂いが出てきた。先般来の質問を通して、有澤先生や原子力局長の答弁で、濃縮ウラン、天然ウランの入手計画はうまくいく手はずができておるようで、具体的に海外の探鉱あるいは採掘に進出をしようとする企業もあるということを聞いて、燃料の面ではある程度の安心を持つわけであります。しかしながら、予算面と動力炉の技術開発のあり方に具体性を欠いておるうらみも非常に深いのです。
まず第一に、予算面で二階堂長官に私はお伺いしたいと思います。先がたから長官も言っておられますように、一国の伸展と運命に関するような大国策を遂行するのに、なぜ長期の総合的予算の見通しを持たれないのですか。二千億必要だろうと言われるのは、炉の開発主体の経費ではないかと私は思うのです。道路計面何年計画、住宅計画何年計画、そうして長期資金の見通しを政府は立てておるのです。なかんずく、三次防は二兆三千億も、国防会議という一国の首脳を集めた会議で、膨大な資金を計画しておるわけであります。動力炉開発計画こそ私は一国の産業を守り育てる平和の一大国防計画ではないかと思うのです。そして国民生活を向上させるところの活力源だと思いますから、こちらこそ国防の本義だと思うのです。本家だと思うのです。この本流を認識して、二千億の金の見通しを持つだけでは、これは足らないと思います。こんなことでは先の見通しが非常に心細いと思うのであります。佐々木良作委員の質問の中にもありましたように、民間の探鉱のリスクや電気業界の開発面のリスクなど、総合的な長期資金計画をなぜ立てないのか。防衛予算は堂々と立てているのに、こちらは何でこんなに日陰の子を育てるような形でやられているのか。私は第一にこれが予算面で気に食わぬのです。その点で二階堂長官からひとつお考えを聞かしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/41
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042・二階堂進
○二階堂国務大臣 私は三木さんのおっしゃることもわからぬではありませんが、この新しい動力炉の開発につきましては、原子力委員会におきましても、長期にわたる開発計画を立てておられるわけでありますし、それに必要な金が二千億要る、こういうことでございます。これからどんどん開発技術が進んでまいりますから、それに追いつくような体制を整えるためにはもっともっと金が要ることも私はわからぬでもございませんが、とりあえずことしから新しい事業団をつくって、そして自主的な動力炉開発を進めていくのには、先ほど申し上げましたような二十年にわたる長期計画を立てて、そしてこれに所要の資金が二千億要るのだ、こういうたてまえでございますので、一応この資金の計画は、私はこれで十分だとは申しておりませんけれども、めどを立てて進めていっているつもりでございます。
なおまた、詳しいことは局長から答弁させることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/42
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043・三木喜夫
○三木(喜)委員 局長の答弁はよろしいです。時間がないですから、決意だけ述べてもらったらいいわけです。
長官、私が申し上げるのはこういうことなんです。こういう大プロジェクトには長期の資金計画というものが当然必要だろうと思う。それも開発主体の問題だけではなくて、各般にわたって資金計画を立てておかなかったら、単年度予算、単年度予算でやっていかれたら、何割増しだ、何割減だというようなことでやられたら、こんな計画はできないですよ。そういう意味合いで申し上げるので、これはいまからでもおそくないと私は思います。そういう長期計画の上に立った資金計画を立ててもらいたいと思うのです。そうでなかったらたよりのうてしかたがないわけです。
次に、開発主体の動力炉の問題ですが、ずっとまとめて質問いたしますから、ひとつ分けて御答弁いただきたいと思います。
四十一年の五月の動力炉開発基本方針、それから動力炉開発臨時推進本部、そして今回の基本方針によって新型転換炉、高速増殖炉開発スケジュールはわかりました。しかし、さきにも申しましたように、今回の計画は波打ちぎわで計画を変更したために食い違いができ、へたなクロスワードのごろ合わせだと私申し上げましたけれども、この計画は、一九八〇年というタイムリミットを先に置いて、それから逆算して計算が出ているような感じがするのです。どういうオーダーでやるのか、議論が一向されていないような感じがします。自主開発というのなら、もっと親切に、外国では現在どういうものをやって、どうなっているかということを対比しながらステップをきめてやるべきだと私は思います。有澤路線というものがずれているように思えてしかたがないのです。二階堂長官のお答えを私はお願いしたいと思うのです。
次に、有澤先生と村田原子力局長にはっきり言ってほしいのですが、私はいま、有澤路線がずれた、このままではずらされてしまうのではないかと思うとともに、悪くすると十年前の原子力開発のコンバーターの輸入競争にならないかと心配するのです。これは佐々木委員からも指摘されておりましたが、今回の事業団は何をするのか、ファンクションを一つきめていただく、どういう人を連れてきて、どういう組織でやるのか、これが第一点の質問です。
前々回の質問にもありましたように、メーカーやユーザーの目が軽水炉に向かっているとき、どうして転換炉に魅力を持たせ、その力を糾合するのか。自主開発というからには、政府も原子力委員会もよほど腹をきめて一体化の紐帯にならぬといかぬと思います。そうでなかったら、原子力船事業団のように寄り合い世帯になってしまって、船が山にあがるだけでなくて、日本の運命の転落がここから始まると思う。事業団、メーカー、ユーザー、学界、その結集体というのなら、その青写真を示してほしいのです。
第三に原研、原燃、原電の役割りをどうするのか、一説によると、原研は実験炉までの段階である、事業団は原型炉だといわれている、また開発主体は原研だ、いや原発でやるのだともいわれているのです。また原研は従来どおりに置いて、必要に応じてその研究と人材を提供する母体のようなものである、そういうことをいう人もあるわけなんです。原研ではできないから、メーカー、ユーザーの協力のもとに民間との協約でやるというのなら、この事業団というのは予算のトンネル機関になってしまいます。
次に、原燃の吸収合併はわかっておりますけれども、人形峠の事業は一体どうするのか、廃止か継続か、人員をどのように配置するのか、こうしたもろもろの交通整理をして委員会に発表していただきたいと思うのです。
次に原子力局長にお聞きしたいことは、きのう原子炉開発課からプロジェクトマネージメントのサンプルと人材養成計画を持ってきていただいて見せてもらいました。このプロジェクトマネージメントからくる構想と事業団の性格は、ボード的性格またはヘッドクォーターで事業をやって、事業主体ではないような構想です。ビッグサイエンスに取り組む大プロジェクトのマネージメントは、やはりトップマネージメントがいかにあるか、これが勝敗を決しそうです。原子力委員会の権限強化、行政機関のいい意味での介入、そうして実際のプロジェクトマネージメントを私は示してほしいと思うのです。
文部省から見えておりますから文部省にお聞きします。人材養成計画ですが、ことばは悪いかもしれませんけれども、原子炉開発課から持ってきていただいているところの人材養成計画は、一応人数合わせはできておると思います。しかし、具体的には大学関係、文部省とどんな緊密な連携をとってやられたのか。私は連携を緊密にしなければいけないと思うのです。高度経済成長政策のときに人材開発、人材養成計画をどうするかということが大論議になったわけであります。今回も動力革命であり、技術革命でありますから、人材計画というものをしっかり立てておかなければいかぬと思うのですが、文部省は科学技術庁からどんな相談を受けて、どういう計画をもってこれに臨もうとしておられるのか、文部省にお聞きしたいと思います。
一気に質問だけ申し上げましたが、以下御答弁によりまして、私の考えを申し述べさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/43
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044・二階堂進
○二階堂国務大臣 この予算の問題につきましては、私も一番心配しておるところでございますが、何と申しましても、これだけの大きな仕事に取りかかるわけでございますから、四十二年度の予算が満足すべきものでないことは、私どもも百も承知をいたしております。したがいまして、長期の計画に従って、相当な決意を持って、私は来年度予算の折衝には当たろうと考えております。これは非常な決意を持って当たらなければならないと思っております。また、単年度の予算ではどうにもなりません。お説のとおりでありまして、今年度も三割はワク外の予算要求もいたして、ある程度はこれも債務負担行為等によって認めてもらっておりますが、そういうことにつきましても、来年度の予算もおそらく何割増しだという一応の大蔵省からの申し入れがあろうかと思っておりますが、そのワク内ではどうにもならない、こういうふうに考えますので、ワク外等の要求につきましても、私は事前に総理なり大蔵大臣等にも話を進めてまいりたい、かように決意をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/44
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045・有澤廣巳
○有澤説明員 私は、事業団がどういう組織をつくって、どういうファンクションを営むか、その点についてお答えを申し上げたいと思います。
事業団は、御指摘もありましたように、言ってみれば参謀本部的な役割りを演ずるわけでございまして、参謀本部的な役割りというものは、何もしないというわけじゃむろんありません。この事業の研究開発計画をみずから立てなければなりません。その研究開発計画は、かなり詳細なものになると考えております。そしてその計画に従いまして、あるものは原研に研究委託をする、あるものはメーカーに研究委託をする、また大学に委託することもあり得ると思います。また自分自身のほうにおきましても、この研究開発計画を立てるのでございますから、たとえば設計につきましても、ATRならATRの設計はどういう形のものになるという研究と開発を進めなければなりません。そのようなファンクションから考えてみますと、事業団自身にもキースタッフと申しましょうか、この参謀本部的な役割りを演ずるに必要な最小限度のスタッフをみずから持たなければならないと思います。何もかも動力炉事業団でやるというわけにはまいりません。また、やるという方針でもありません。すでに日本にある原研であるとか大学であるとかいろいろな研究所あるいはメーカーというものの頭脳を十分使って、そしてその頭脳によって得られた成果を自分の立てた研究開発計画に沿ってステップ・バイ・ステップに原型炉の建設に進んでいく、こういう役割りを果たさなければなりませんので、したがってこの事業団が責任を自分みずからに集中して、そして一元的な責任体制のもとに、このみずから立てました研究開発計画を推進していく、こういう役割りを演じなければならないのであります。
人はどういうふうになるだろうかという御質問がありましたが、その点では、いま申し上げましたように、事業団自身が持つキースタッフは、むろん新しく事業団が雇い入れると申しましょうか、調達する人もおりますが、また原研やあるいはメーカーやその他から出向という形で来て協力をしてもらうという形も考えております。そして研究開発の委託につきましては、事業団の立てました研究開発計画のそれぞれの部面を担当するに最も適当したところに委託をする、こういう考え方になっております。こういう形で実は日本でナショナルプロジェクトを開発していったという事例はまだないようであります。しかしイギリスのSGHWという一つの新型転換炉の開発の組織、機能というものを調べてみますと、いま私どもが申し上げたような形に相なっておるのであります。イギリスは御承知のようにAEAがございまして、そのAEAのもとにSGHWを開発する組織、中核体ができまして、この中核体がみずから研究開発計画を立てて、その研究開発のそれぞれの項目をAEA所属の研究所ばかりでなく、民間、大学その他の研究所に委託をいたしまして、このSGHWを開発しております。むろん各機関で研究開発されました結果をみずから立てました研究開発計画の中に織り込んで、そしてそこで総合して、ねらいは原型炉の建設でありますから、その建設に向かって一歩一歩研究開発を土台にして進んでいく、こういう形に相なろうか、こう考えております。
もう一つ、燃料公社と一緒になりますので、燃料公社がやっておる国内のウラン鉱の探査についてはどうなるかという御質問がありましたが、これは当分の間は、私どもはこの探査をなお続けていきたいと考えております。と申しますのは、まだ全部の日本のウラン資源の調査が終わっているわけではありません。ですから、ぜひとも一応日本のウラン資源に関する調査は一わたり探査を済ませたい、こういう考え方を持っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/45
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046・村田浩
○村田政府委員 動力炉開発計画に関連して人材養成計画の点でありますけれども、この事業団を中核体として行ないます高速増殖炉並びに新型転換炉の研究開発、原型炉の建設まで含めまして、これに必要な科学技術者の数、それが大体年次的にどういうふうに必要になってくるかというような点につきましては、お手元に資料「動力炉関係の技術者について」というのをお配りしてございますので、こまかくはそれに譲らしていただきまして、結論的に申し上げますと、事業団を中核として行ないます高速増殖炉並びに新型転換炉の開発——これは原型炉建設、試験運転まででございますが、直接これに必要な科学技術者は、昭和五十年度におきまして合計約千二百名程度と考えております。この千二百名と申しますのは、その中には原子核工学科を卒業したいわゆる原子核の専門の方も必要ですし、さらに材料、燃料等に関連して、冶金工学的なあるいは材料力学的な勉強をした人も必要でありますし、さらに原型炉でありますから発電も行ないますので、電力あるいは機械関係の技術者も入っておらねばならないわけであります。それでこの人数を全体の原子力研究開発利用の推進に必要な科学技術者数から見ますと、アイソトープの利用とか、あるいは核融合とか、動力炉の研究開発とは若干フィールドの違う、そういった分野を除きまして、在来型炉を含めていわゆる動力炉関係に従事すべき科学技術者の数としては、昭和五十年に約一万三千人余りと推定されますので、全体の中の一割あるいは一割足らず、こういった程度の人数が確保されればよい、こういう見通しであります。
そこで、今度はその中身になるわけですが、ただいま有澤委員から御説明がございましたように、この千二百名という人をすべて新しく大学から出てくる人でやるというわけではございません。むしろこの事業団は、特にプロジェクトの中核体としてこれを取りまとめ推進する責任機関でございますから、相当な経験を有する人が必要だと思います。そういう相当な経験を有する人は現に電力会社あるいはメーカーあるいは原研、大学等におられるわけで、それらの方々に協力していただいていわゆる出向の形でこの事業団に参加する、あるいはそういったそれぞれの機関で今後養成されて中堅科学技術者になられた方を漸次供出していただくというような面が相当大きいのではないかと思っております。また、そういった点で総力を結集するという具体的な事実が発現されなければならないと考えております。
なお、この千二百名程度と申しますプロジェクトに関係します科学技術者は、すべてこの事業団が採用し、事業団職員とならねばならないとは考えておらないわけでありまして、先ほど来の説明にございますように、中核体としての機能を十分果たし得るのに必要な人、その範囲でよろしいわけでありまして、先般私からも御答弁申し上げましたように、その人数がどの程度になりますかは今後の推進の状況等にもよりますが、おおよそ多くてその半分程度で事業団としては十分やっていけるのではないかと考えております。
それからプロジェクトマネージメントの問題でございますが、これもただいま有澤先生の御説明にございましたように、諸外国においてすでに新しい動力炉をいわゆるナショナルプロジェクトとして開発してきておりますし、また開発しつつございますので、そういった諸外国の経験をわれわれ十分勉強して取り入れる必要があると考えております。その観点から、一つの実例としてはイギリスの原子力公社が行なっております幾多の動力炉開発プロジェクトでございますが、特にわが国でこれからやろうとしております新型転換炉とも非常に密接な関係のございますイギリスの原子力公社のウインフリス研究所で行なっておりますところの重水減速沸騰軽水冷却型の原子炉の開発体制、こういったものの資料等もいろいろ取り寄せ、あるいは原子力公社の人たちの意見も聞きまして、十分有効に参考として取り入れるようにしたいと考えておるわけでありますが、その要点は、プロジェクトとしてこれの目標を掲げ、期間をきめまして進める、それを有効に行うためには非常に大きな権限と責任を持ったいわゆるプロジェクトリーダー、イギリスではチーフプロジェクトエンジニアといっておるようでございますが、われわれはプロジェクトリーダーと申しております。そういったプロジェクトリーダーが中心におることが必要でありまして、この事業団が設立されました暁には、高速増殖炉関係及び新型転換炉関係、それぞれ一名ずつのプロジェクトリーダーをきめまして、このプロジェクトリーダーのもとに、このプロジェクトを推進するにふさわしい体制を、ただいまのイギリスのSGHWRの計画の実態等を十分勘案して進めてまいりたいと思います。それにはいわゆる原型炉あるいは実験炉のデザイン設計事務所から、種々の大型のコンポーネントの開発についての担当、さらに、そういったものに必要な資材等を必要な時期に、必要な場所に十分供給できるようにいたしていく係、こういったことに関連して部外の研究機関等に委託研究を行ないますが、そういったことについての委託研究なりが十分円滑に行なわれるようなこれに必要な組織、そういったものをプロジェクトリーダーのもとに置きまして、それぞれの責任を明確にし、それらの作業がプロジェクトリーダーのところにおいて円滑に統制されるようにしていかなければならない。そういたしませんと、ある部面だけが進み、ある部面が非常におくれておって、それが相当期間たった後に発見され、それからでは、どうしても計画の引き延ばしになってしまうというおそれもございます。そういうことがないように、与えられた計画期間に必要な研究開発が進められるようにするには、そのような強力ないわゆるプロジェクト体制というものが必要であると考え、そういった組織につくり上げていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/46
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047・清水成之
○清水説明員 ただいま御質問いただきました人材養成計画の文部省と科学技術庁との関連でございますが、実は三木先生の御質問の点の取り違えがございまして、私出てまいりましたが、担当審議官がちょっとかわっておりまして、的確なお答えをいたしかねるのでございます。
きょう御配付になっております資料につきましては、私どものほうで最近いただいておるようでございます。ちょっとお聞きしております範囲内におきましては、特に四十五年度以降の部分が問題になりはせぬか。私ども文部省といたしまして、理工系の増、それから大学院の充実ということは、急増期中、また急増期を終わりました四十四年度以降の問題につきまして非常に重視をいたしておる点でございますので、なお科学技術庁とこなし方につきまして十分御相談をいたしてまいりたいと思いますが、担当が違っておりますので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/47
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048・三木喜夫
○三木(喜)委員 最後にひとつお願いをしたり、念を押しておきたいと思うのです。まず大臣にですが、これはきょう朝日新聞を見ておりますと、岸田純之助さんが「自主開発を目標に体制づくりを急げ」「技術格差を縮める道」ということで書いておられますが、この中でドイツと比較してあるのですね。研究者はなるほど日本は多いわけなんですが、しかし人口比にいたしますと、千人の中でこうした研究者は日本は二・五、それからドイツは二・六、大体似ておるわけですね。しかし研究費がまた全然段違いになっておる。ドイツでは倍、こういう統計がここに載っておるわけで、どこまでいっても研究とか技術とかいう問題に対しましては、それに対するところの研究費というものがどうしても裏づけにならなければいかぬと思うのです。先がたから大臣も決意のほどを申し述べておられましたけれども、長期的な計画を立てて、そうしてこれにひとつ予算的な裏づけをしっかりしてもらわなければやっていけぬということですね。この点をひとつ念を押しておきたいと思います。
それから、文部省からおいでいただいておりますので、私いま文教委員もやっておりますから、文教委員会に日本学術振興会法案が出ておりますから、そこで論議をしたいと思うのですけれども、いまのお話では、国のこの大きなプロジェクトをやろうとするのに対しましては、どうやら文部省と科学技術庁とはまだ何らの話もないらしい。事務レベルでは話をされておるのかもしれませんけれども、まだそういうところに至っていないようであります。人材養成というものは喫緊の問題であると思うのです。そこで文部省と科学技術庁とはいろいろな点で競合することがあってもいいと思うのですけれども、ひとつここは仲よく協調し、計画を立て、そしてその計画に合わしてやっていただきたいと思います。いま大学院の問題が出ましたし、あるいは研究者、技術者の問題がいま正面に出てきておるわけです。大学院も、非常にお粗末な状況ではこれは研究者、技術者を養成するという体制になっていないと思うのです。こういう点は私、また別に論議いたします。
特に申し上げたいことは、この間湯川さんの研究に対して研究費を削減してしまった、なくしてしまった、こういうことで、これはまあ週刊誌が書いておるのですからさほどのこともないかもしれません。しかしながら、その一番しまいには、どうも東大と京大との一つの争いみたいになって、その結果負けたほうは海外流出かあるいはゼネストかというようなことが書いてある。これは私はまことに嘆かわしいことだと思ったのです。これも結局のところ、せんじ詰めれば研究費を出さないからです。あるいはアメリカ軍から研究費がやってきて、大学の先生がこれに飛びついて、そうして研究費をもらう、こういうようなこともいま問題になっておりますけれども、これは総理に来ていただいたり、あるいは大臣やその他局長の間で十分レベルアップするといいますか、こういうことに気をつけていただかなかったら立ち消えしますよ。いま渇水期がきておるように、水がなくなって、いよいよ水を飲みたいというときには飲めませんよ。こういう人材の渇水を来たさないように、ひとつやってもらいたい、こう思います。
それから有澤先生にひとつお聞きしておきたいのです。交通整理をしてひとつ話をしていただきたいということを申し上げましたけれども、やはり仮定の上に立って、こういうものもある、あるいはメーカーに頼むものもある、ユーザーに頼むものもある、大学に頼むものもある、あるいは事業団自体で研究開発するものもある、こういうことで、みな仮定の上に立っておるわけでありますから、やはりどういうものを頼んでどうするという青写真を出して、交通整理をしてもらわなかったら、われわれもう何が何やらわかりません。そういうことばだけで納得するわけにいかぬと思うのです。少なくとも一年何カ月もこの問題について取り組まれたのですから、そういうような交通整理、青写真をぴしっと委員会にひとつ出していただきたい。そうでなかったら論議できないと思うのです。きのう原子炉開発課からいま局長が言われたところのこのプロジェクトマネージメントの訳したものを持ってきていただきました。これは倉本さんから持ってきていただいて非常にありがたいと思ったわけですけれども、これとてもこの日付を見ると最近発行されたことになっております。四十二年六月十六日ですから、やはりこれが完全に計画の中に融合していないのじゃないかと思うのです。こういうものを織り込んだところのプロジェクトマネージメントというものを青写真にしてひとつ出していただいて、お互いにわれわれしろうとではありますけれども、政治家の立場から検討していって建言もし、また皆さんからもお説を承って、それで大きな了解の上に立って進めていくのが賢明じゃないかと思います。こう申し上げますことを二階堂長官ふしぎな顔をしてこっちを見ておられます。あれは法律案を延ばすところの手段にそんなことを言うんじゃないか、そういうような顔で見ておられるような気がするのですが、そうじゃないのです。夜を日についでもよろしいから、そちらのほうから出してきていただくなら、相撲と一緒ですよ、あうんの呼吸でやろうじゃありませんか。そちらが何やらごまかすようなことを言ったり、実態を少しも言わなくて、苦しみだけひとりかみしめておるというような有澤先生のさびしい行き方ではわれわれも非常にさびしい気がいたします。どうかそういう意味合いにおいて真実を吐露し、実情をみなさらけ出して、そうして計画図をみな出していただいて、その上で論議を進めようではありませんか。そのことを申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/48
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049・二階堂進
○二階堂国務大臣 私は真剣な気持ちで三木さんの御高説を拝聴したいと思っておりまして、決して疑いをもって見ておるような態度ではないのであります。
技術格差の問題、まさにお説のとおりでありまして、技術を制するものが経済を制する、もうすでに西欧諸国におきましても、アメリカとヨーロッパ諸国との間に技術の格差が問題になっております。OECDにおきましても専門部会をつくって、この問題と真剣に取り組んでおる。私はそういうような情勢から、わが国における科学技術の推進と取り組んでいかなければならない課題は、原子力にしましても、宇宙開発にしましても、電子関係の産業にしましても、たいへんなものがあると思うのです。しろうとでありますが、六ヵ月問いろいろ勉強してまいりますと、どうもこのままではわが国の将来はどうなるかというような心配まで私はしろうとなりにいたしておるような状態でございます。この国会を通じて、先生方のこのままではどうにもならぬじゃないかという御議論を非常にバックにいたしまして、来年度から、いやことしからもそうでありますが、私は非常な決意をもってこの科学技術の振興、開発には取り組む覚悟でございます。
研究費の国民所得に対する割合を考えてみましても、あるいは国の投資の割合を、アメリカとかソ連、これは比較になりませんが、西ドイツなんかと比べてみましても話にならない。こういうことを考えますと、まず国の科学技術開発に対する取り組み方はもう少し大胆であって真剣でなければならぬ。そしてまた、官、民、学界一体となって総力を結集する、世論の結集も必要であろう、こういうように考えております。
また、人材養成等につきましても、文部省とよく連絡をとって将来に備えていかなければならぬと思っております。
また、研究者、技術者の処遇改善等につきましても、私は格別の処置を考えていかなければならないのではないか。先日も人事院総裁に私は直接お目にかかりまして、こういう問題について強い申し入れをいたしたようなわけでございますので、今後とも一そうの御協力を賜わりまするようにお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/49
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050・矢野絢也
○矢野委員長 松前君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/50
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051・松前重義
○松前委員 私はこの委員会で初めて質問いたします。いまの科学技術庁長官の御覚悟はわれわれまことに喜びにたえません。その覚悟でやっていただきたいと思います。
そこで、私は別に質問というわけではありませんが、せっかくの機会でありますから、ただいま三木さんが非常に切々たる科学技術振興に対する御意見があり、しかもこれを背さん方に熱意をもってお聞き取りいただいたということに対して、また非常に積極的な意味においてこれが取り上げられたことを私は喜ぶものであります。
そこで、この科学技術振興に関する一番最初のときからの歴史はすでに御承知だろうと思うのでありますが、どうしても科学技術を振興しなければ日本の将来はないということで、まだまだ科学技術庁も何もできないときに、何とかして科学技術をつかさどる官庁を一つつくっていかなければならない。そうしてそこを中心にして科学技術政策を推進していきたいということを私ども超党派で考えたのはいまより十数年前のことであったのであります。そこで超党派をもって、いろいろのいきさつはありましたけれども、まずそれをやるのには当時ほかの科学技術、すなわち原子力以外の科学技術というものでやりますと方々につかえる。まず文部省につかえますし、通産省に差しつかえができるというようなことで、各省間のセクショナリズムに災いされて、とうてい原子力以外のものでやったのでは困難だ、だからして原子力を突破口として、これを中心にして科学技術庁をつくり、あるいはまた、原子力委員会その他をつくって科学技術の発展を促進していきたい、こういうふうな考えを持ったのであります。いろいろ努力いたしました結果、科学技術庁が曲がりなりにもわずか一千万円くらいの予算で実は最初は出発をし、各省からのいろいろな局長さんその他の定員を借りてきましてでき上がったのが科学技術庁の最初のスタートであった。こういうふうにして原子力を中心にした科学技術庁というものがようやくでき上がったのであります。その後におきましても、予算その他は原子力を中心として大体科学技術庁というものの運営が行なわれておるようであります。
そこで、ことに予算の面においては、何といっても原子力が優先しておるのであります。しかし、原子力というものの発展が単なる原子核技術者をつくるということだけで発展するものでないことは、先ほど村田さんのお話のとおりであります。原子核技術者というものはそうたくさんこれを必要とするものではないのであります。研究者としてはこれは必要でありますが、技術者としては必ずしも必要としない。むしろこれに関連するところの各種の技術者、金属だとか化学その他の技術者というものが必要なのでありまして、今日において原子力工業というものが成り立つといたしますならば、これは総合科学の上に立ったところの工業でなければならない。この段階に到達してくると、また再び各省との関連性がここに生まれてくる。ことに人材の養成において生まれてくる。ことに文部省との間において生まれてくると思うのであります。この点に関しまして、ただいまの科学技術庁長官の非常に熱意あふるるお話はまことに頼もしく承ったのでありますが、しかし、今日までの短い歴史ではありますけれども、各省間の摩擦相克というものは相当なものでありまして、大臣からしばしばわれわれは一生懸命やりますということを承ってはおりますけれども、これはなかなか実現が困難であります。よほどの覚悟をもってかからなければ、各省間の調整というか、円滑なる運営のもとに総合的なバランスのとれた体制を樹立することは困難であります。この点に関しましてのただいまの御発言はまことに頼もしいのでありますが、私は、特に原子力を中心として開発し、そうしてこれがだんだん総合科学としての発展にまでなってきたこの段階におきましては、いよいよここで勇気を鼓して、各省間のこれらのかきねを取り除いて、そうして、挙国一致というと語弊があるかもしれませんが、全力をあげて各省が協力してこの推進につとめていただきたい。その中心として科学技術庁長官の御努力をひとつ願いたいと思うのであります。
第二の問題は、事業団の話がいま出ておるそうでありますが、まことに不勉強で、私もまだ詳しく教わっておりませんし、いま二、三ここでいろいろ話を承った程度でありますけれども、しかし今後この事業団の事業を推進する上におきまして、まず第一に通産省との関連性がここに生まれてくると思うのであります。すでに電力会社等におきましては、もうそれぞれ原子力発電所の計画を進めておられるのであります。その技術の内容はともかくといたしまして、先般も私のところに相談に見えたのは、原子力発電所を陸につくったらめんどうくさいから、ひとつ海の中につくろう、海ならば、これは大いに放射能を遮断するからよろしい。まことにこれはおもしろい。私の大学には海洋学部がありますから、これはひとつ海洋学部を生かそうということで、いまわれわれのほうでは教授陣が張り切っております。宇宙開発はソビエト、アメリカが一生懸命やっておりますから、私の考えでは、まあおつき合い程度にやっておいて、ほんとうは海洋の開発に日本の将来はあると私は思っておりますけれども、そういう意味におきましても、この原子力発電所と海洋との関係、こういうような点において、すでに東京電力等においては調査に着手し、それぞれ研究を具体的に進めておられるのであります。こういう意味におきまして、通産省と事業団との関連性、何の関連もなくて、ただ、それぞれ自分はこう思うというところで、お互いに連絡なくやっておるということでは、開発はなかなか困難であります。といって、事業団がいまから出発して、あれはいかぬ、これはいいというようなことにすると、開発はおくれてしまう、こういうことにもなりますので、これに対しまして、どういうようなお考えを持って今後事業体との間において——どうしても原子力を開発しなければ将来日本の電力事情は許さないというような現状にある今日において、この間においてのいわゆる事業団との関連性、いわゆる各省間の障壁を除去して、相互の協調を保つという意味において、具体的なお考えをお持ちであるか。これはちょっと質問としてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。これは事業としての第二の問題であります。
それから研究の問題でありますが、原子力研究所を最初につくりまして、これは池田さんが大蔵大臣のとき、私ども交渉して、最初に四十億か出していただきました。そういうようなことからだんだん整備されてまいったようでありますが、しかしその整備も遅々たる姿で、われわれの期待には沿っておりません。けれども一応の体制はできたかのごとくに見えるのであります。西独の半分の予算であるというようなことでございますが、こういう意味におきましても、原子力だけの問題にあらずいたしまして、総合的に、総合技術としてのものである。原子核の技術というものは、これは先ほども申しましたように、そうたくさんの人がいる必要はないのであります。研究所には必要でありますけれども、今後のいわゆる人材養成の目標としては、そうたくさんは必要でないかもしれません。けれども、総合技術としての問題でありますから、どうしても他の技術面における研究というものが必要になってくるのであります。こういう点につきまして、単に原子力だけでなく、先ほども村田さんからほかの技術もあるというお話がありましたけれども、原子力だけに重点を置かれるのあまりに、他の最も必要なる要素が欠けてくる、すなわちアンバランスになる、こういうような憂いさえも考えられるのであります。研究費の大幅の増額と研究者の処遇の問題もありましょうし、あるいはまた、個々の原子力以外の研究体制、それに対するところのオーケストラ的な一つの総合力を発揮し得る体制、こういうことに対してどういうようなお考えをお持ちであるかを御当局より伺いたいと思うのであります。
この三つの点を御質問いたしますが、第二、第三の点につきまして、事業との関連性、それから電力会社その他と通産省との関連性、それから研究費の問題と、他の技術、総合技術としてのお考え方、それに対して文部省あたりともどういう関連性をお持ちになっているか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/51
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052・有澤廣巳
○有澤説明員 ただいまの御質問の中の第二の御質問、動力炉開発事業団と通産省との関係の問題でございます。
通産省には、御承知のように、エネルギー調査会というのがありまして、この調査会の中に原子力部会というものがありまして、今後の原子力発電政策をどういうふうに進めていくべきかということに関する調査が行なわれまして、その中間報告がすでに出ております。この中間報告の決定までの間には、われわれ原子力委員会との間におきましても緊密な連絡をとりまして、そうして私どもの考えている動力炉開発という問題を、このエネルギー調査会の答申の中にも織り込んでもらってあります。ですから、いまのところ、この動力炉開発の問題につきましては、通産省との連絡を非常に密にして事柄を運んでおりますが、何と申しましても、最初のうちは研究開発が中心になるのでございますから、その研究開発につきましては、原子力委員会のほうで責任を持って進めていく、そして、やがて原型炉が開発されました後には、今後はそれがどういうふうな形で実用化のほうに進んでいくか、この実用化につきましては、通産省のほうがある程度主導になってこれを行なっていくことに相なろうかと思いますが、しかしわれわれのほうにおきましても、将来の原子力発電の基本的な考え方がありますから、その基本的な考え方につきましては、十分通産省に御理解願った上で、通産省の原子力発電の実用化の指導について取り運んでいただきたい、こういうふうに考えております。要するに、現在の段階におきましては、通産省と、この動力炉開発につきましては、十分緊密な連絡をとってやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/52
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053・村田浩
○村田政府委員 ただいまの有澤先生の御答弁に尽きるわけでありますが、行政事務的に、この事業団ができました場合に、その運営を通じて動力炉開発業務を推進するについて、通産省とどういうふうにやっていくか、その点でございますが、ただいま松前先生が御指摘のとおり、大きな開発でございまして、だんだんそれは実用化につなげていかなくてはならないという点で、通産業務とも非常に関連を持ってまいります。そういった点で、この事業団の行ないます動力炉開発関係の業務につきましては、その基本になりますところの原子力委員会の議決を経て総理大臣が定める基本方針並びに基本計画をつくります際には、通産大臣と協議する、その他必要な事項につきましては、十分両省庁間で協議しまして定めていくということを、この事業団法案の上でも明確にいたしまして、その点で通産行政と私どもの行なっております科学技術行政との間に疎隔が生ずるようなことのないようにいたしてまいるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/53
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054・松前重義
○松前委員 研究の問題をまだ御答弁になっていらっしゃらないですが、ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/54
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055・村田浩
○村田政府委員 研究費及び研究者というものの総合的、ことばは悪うございますが利用といいますか、そういった点からの御質問と思いますが、この動力炉開発に力を集中するのあまり、特定の分野のみに研究が集中し、あるいは特定の研究者のみが徴用されるという形でこういうことがあっては、全体の科学技術の推進という上にむしろ支障があるのではないかというふうに私伺ったわけですが、そういった点につきましては御指摘のとおりでございますので、原子力を、特に動力炉開発を中心にして推進しようとする場合の一つの重要な要素は、先ほど私が申し上げましたように、これが総合技術の上に成り立つものであるということだと思います。それで、単に原子炉だけの専門家ということでなくて、いわゆる科学技術全般にわたる各方面の研究者の支援のもとに進められなければならない。そういたしますと、動力炉開発計画につながっておりますのはもとよりでありますけれども、直接つながらないものでありましても、原子力の研究、開発及び利用につきましては、すべての政府予算を原子力委員会で総合調整していただくということになっておりまして、現にそのとおりやっております。各省におかれまして原子力に関係します研究開発を進めるについては、すべて原子力委員会の調整を受けて、全体的視野のもとに必要なところに必要な予算あるいは必要な研究者が行くような、そういうふうに考えつつ御調整を願っておるわけでございます。この動力炉開発計画といいますのは、従来むしろあまり広がり過ぎて中心的な柱というものが欠ける感じがあった。その原子力研究開発において一番大事な動力炉開発というものについて今回柱が打ち立てられ、先ほどの御表現で申しますとオーケストラにおけるほんとうの中心のコンダクター的な役割りがこの事業団において果たされていく、そういうふうにも考えられるわけでございますので、これまで原子力委員会が行なってきておられますところの予算の総合調整、研究費の見積もり等についての役割りをますます深めていただくとともに、この事業団の事業というものが、通産省と関係省庁の協力も得まして円滑かつ効率的に進むようにしなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/55
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056・松前重義
○松前委員 いろいろ御説明は承りましたけれども、大体ここで御説明を承ればその程度と言うとはなはだ失礼ですが、その辺だろうと思うのです。実際はそれが行なわれるか行なわれないかという具体的な、ある意味においては各省の力の関係と言ったほうがいいのじゃないかと思うのです。言いかえると、これは長官の政治力と熱意というところにあるかと思うのでありまして、この事業団の問題は別といたしましても、大体原子力を突破口として科学技術の振興をやっていこうということにしなければ、各省の摩擦のゆえになかなか科学技術庁もできなかったというこの歴史を顧みてみましても、これは日本の、過去の歴史を持っているお役所の存在する現状における特異性だと実は思うのです。ですから、ここはよほど勇断をもっておやりにならぬと、おざなりな答弁ということにあとでは批判されるおそれがなきにしもあらず、こういうふうに思うのでありますが、この点特にひとつ長官の御奮起をお願いしたいと思うのです。
そこで原子力委員会に最後に一言、この問題に対して私は問題がもう一つあると思うのです。それは何かというと、日本は広島、長崎に爆弾を受けてから原子力恐怖症におちいっております。それは当然のことであるかと思うのでありますが、その原子力恐怖症なるものは何かというと、原子力というとおそれをなす。最近はだいぶこの点は薄らいできました。戦争に対しては原子力といえば私は大いにおそれをなさなくてはならぬと思うのだけれども、平和利用に関してまでも、すべて何か原子力というと爆発するものだというふうに考えがちなものであります。そこで私、一言具体的な問題を質問したいと思うのですが、かつてわずか十ワットのアウトプットの原子炉の設置を申請したことがある。十ワットといえば、レントゲンよりも放射能が少ない。にもかかわらず、これは危険であるといって原子力委員会がお許しにならなかったことがある。そういうような、原子力委員会そのものが憶病な態勢の中にあるならば、これは何千キロ、何万キロ、何十万キロという原子力発電の認可はどこにもおろしてはならぬと思われるのであります。また、アメリカの原子力潜水艦の寄港も許してはならないと思うのです。その点についてずいぶん大きな矛盾、いわゆる平和利用に対して、しかも学生の実験用に対してまでも恐怖心を持たれる原子力委員会が将来の原子力の開発ができるかどうか、私は疑いを持って見ておるのでありますが、この矛盾に対してはどういうふうなお考えをお持ちであるか。原子力委員会当局の御答弁を最後に伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/56
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057・二階堂進
○二階堂国務大臣 先ほど来松前先生のいろいろな御意見、私も貴重な御意見として今後の施策を生かす上において参考にいたしたいと存じております。今日まで松前先生が科学技術の開発促進について非常な熱意と御協力を賜わりましたことに深く感謝を申し上げるわけであります。
先ほど来御意見がありますとおり、巨大科学に取り組んでいかなければならない時代になっております。むしろわが国においてはおくれておるという感を先ほど来申し上げたのでございますが、これにはやはり総力を結集していくという体制をつくり上げる、また総合的な技術を研修して科学技術革新に対処していかなければいかぬと思っております。科学技術庁ができましてから十年余りになります。そういう総合的な巨大科学に取り組んでいくためには、やはり関係各省とのいろいろな調整を要する問題もありましょう。しかし何と申しましても、やはり科学技術庁というものが中心になってこの技術開発に当たることが大事な点ではなかろうかという感を私は深くいたしておるわけでございます。現状においては、関係各省とのいろいろなこともありまして、これはなかなか一ぺんに思うとおりにはなりませんが、方向としては私はそういう方向で取り組んでいくことが大事ではなかろうかと思っておるわけでございます。先ほど来の先生の御意見を私は十分参考にいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/57
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058・有澤廣巳
○有澤説明員 もう一つは、非常に低出力の原子炉の設置につきまして委員会が恐怖心を抱いて、それを危険だというふうな判断を下したというような御質問だったかと思います。日本におきましては、いま御指摘のありましたように、原子爆弾の被爆を受けた国でありますので、原子力につきましては、日本の国民全体が、言ってみれば一種の恐怖心を持っておる。低出力の原子炉におきましても、何かそこからいろいろな放射能が漏れてくる、その危険がどの程度であるかということについては、全く国民は十分の知識をまだ持っていない時期であったわけでございまして、私がいま記憶しておるところによりますと——あれはもうだいぶ古いことですから、記憶に多少間違いがあるかもしれませんが、記憶しておるところによりますと、まだあれは安全審査にかかっておる途中でございまして、委員会のほうでこれが危険であるというような、つまり適当でないというような結論まで出したような記憶を私は持っておりません。ただ、しかし、住民たちがなかなか不安を持っていたということは事実だったと思います。その決着がつかぬうちにこの問題は片づいたという形に相なったのじゃないかと私は記憶しております。そういうわけでございますから、われわれのほうから見まして、安全性の問題はあくまでも十分やかましく言わなければならない問題でございますが、安全上支障のないものにつきましては、平和利用のことでございますから設置を断行いたしたい、こういうふうに考えております。この方針は前からちっとも変わりはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/58
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059・松前重義
○松前委員 いまのお話はだいぶ違います。結論を私はちょうだいしました。委員会としての結論なんです。その段階における何か審査委員会の結論をちょうだいいたしました。それから三木科学技術庁長官でありましたか、いまの外務大臣です。私は交渉に行きました。ところがこう言われました。レントゲンよりは弱い五ワットの電球程度しかない出力であるからこれを許せと幾らあなたがおっしゃっても、大衆が賛成しないものは許されません、こう言われたのです。それで、それならしかたがない。そういう信念のない、大衆の指導力のないような内閣のもとに、われわれ原子炉設置の認可なんかもらう必要はないと言って、私はたんかを切って帰ったことを覚えております。そういう腰抜けの態度では、反対運動が起これば片っぱしからだめだということになるならば、とうてい原子力の開発なんかできはせぬ、私はそう思うのです。だからして、大衆が動くならば、それに動かされて、その設置に対しては否定的態度をとるというような態度であるならば、これは今後の原子力開発に対して、ことに事業団がいろいろおやりになってもだめだと思うのです。やはりこれらを指導して、そうして安全性に対してだいじょうぶだという国民の教育というか、またPRをやる、それだけの責任は政府にあると思うのです。それだけの温床をつくってから種をまかなければいかぬと私は思うのです。だから、温床ができていないから種がまけぬ。現実は温床がないんじゃないかといえば、いまでも温床はないと私は思うのです。この問題についてどういうふうにお考えになるか。三木大臣のようなへっぴり腰でおやりになるかどうか、このことをひとつ伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/59
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060・有澤廣巳
○有澤説明員 私の記憶違いだったかもしれません。しかし安全審査委員会の報告は結論が出ていなかったんじゃないかと、私いまもってそう思っております。安全審査委員会のほうも危険であるという結論——設置は適当でないという、まだそこまでに至っていなかったんじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、大衆のPRをしなければならぬということは、これはむろんのことです。そのPRにつきましてはわれわれもずっと考えて、いろいろ努力をしておりますけれども、一部にはまだ十分学界において結論の出ていない問題もあろうかと思いますから、それにつきましては相当のアローアンスを考えて、安全であるという域まで引き下がって安全の問題を考えておるわけです。本来ならば、ここまでだいじょうぶと思うけれども、それについては若干の疑点があるというならば、それの十分の一とか、あるいは百分の一とかというところまで後退して、それで安全を確保していこう、こういう考え方でやっておるわけでございます。しかし、この問題は大衆の間で頑迷といいましょうか、事情を知らないから反対をする。反対したらそれに譲る、こういう考え方ばかりではむろんありませんが、大いにそういう大衆を納得させるような努力をしなければならぬ。これはおっしゃるとおりだと思います。しかし、その努力を十分尽くして——大衆にこの問題を徹底するまでには相当時間がかかるということもどうぞ御了承願いたいと思います。何しろ目に見えたりする問題ならば話は簡単でございますけれども、なかなか目に見えないインビジブルな一つの現象が問題になっておるわけでございますから、それが安全であるということを十分大衆に理解してもらうまでには相当の時間がかかると私は考えます。ですから一方、反対すればもうそれでへこたれてしまう、こういう考え方にも私は同調するものではありませんが、しかしもう安全だから何が何でも反対しても押し切るというふうにも、なかなか現在の一つの姿としましてはやっていけない点があろうかとも思います。いずれにいたしましても、大衆にとりまして原子力平和利用の安全性の問題は、ある意味からいえば、私どもからいえば、最近やかましく問題になっておりますいろいろな公害、それよりもはるかに安全性を持っておるものだと実は考えております。けれども、大衆は何か原子力に対する特別の恐怖心を持っていて、まだなかなか私どもの説得とか説明とかいうものをそのまま受け取ってくれる心理状態でない者もあろうかと思います。ですから、これはやはり時間も相当かけて、そして他方においては経験を積み重ねることによって、実物教育が進むことによって、この問題を解決しなければならぬのではないか、そういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/60
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061・松前重義
○松前委員 もう時間がたちますからあまり申しません。いまの御説明はもうよくわかっております。わかっておりますが、ことに科学技術のごときは新しい面の開発なんですから、現実を打破して進んでいくというのが科学技術というものの一つの使命だと思う。したがって、そこには抵抗があります。現状の上に乗っかっておったのでは科学技術は進みませんよ。新しい開発という面においては、どうしてもそこには抵抗がある、いろいろな障害もあるだろう、こう思うのです。その障害の一つとして、ただいまのような大衆の反対というような問題が政治的に出てきておる、こう思うのですね。そこで私が伺っておるのは、ああいうへっびり腰でなくて、それならばひとつ大衆啓蒙運動をやろう、そうして啓蒙運動を通じて設置可能なような社会的条件をつくろう、こういうような積極性をお持ちであるかどうかということを私は聞いておるわけです。というのは、大衆が反対するようなものに対しては政治家というものは無理をしてうっかり乗っては損だというような発言を私はこの耳で三木大臣から聞いたのです。こっちの三木さんじゃありませんけれども、私は聞いたのです。それで私は、政治家というものはそんなにへっぴり腰かと思ったことがあるのです。だから、そういうへっぴり腰ではなく積極的に、何とかしなければならぬからひとつやってみよう。しかしちょっと時を待ってくれというなら話はわかる。これはわかりますよ。だからそこのところに一体今後の原子力開発に対するどういう御覚悟があるか、このことを伺っておるわけであります。新聞その他も御利用になって、どんどん原子力に対する国民の認識を深めるという積極行動をおとりになるかどうか。そしていわゆる大衆の動きに乗っかっていくような考えでなくて、大衆を指導するという立場でおやりになるかどうか。それでなければこの事業団なんかつくる必要はないと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/61
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062・有澤廣巳
○有澤説明員 ただいまの御意見全く同感でございまして、大衆の原子力に抱いておる不安を払拭するという努力を重ねていかなければならぬ、これは私もそういうふうに考えます。また、そのつもりで今後動力炉開発の問題についても当たりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/62
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063・松前重義
○松前委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/63
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064・矢野絢也
○矢野委員長 両参考人には長時間にわたり、まことにありがとうございました。
次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105503913X01619670622/64
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