1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月十二日(水曜日)
午後二時三十四分開議
出席委員
委員長 多賀谷真稔君
理事 神田 博君 理事 藏内 修治君
理事 西岡 武夫君 理事 三原 朝雄君
理事 岡田 利春君 理事 池田 禎治君
齋藤 邦吉君 進藤 一馬君
田中 六助君 野田 武夫君
渡辺 惣蔵君 田畑 金光君
大橋 敏雄君
出席政府委員
厚生政務次官 田川 誠一君
厚生省年金局長 伊部 英男君
社会保険庁年金
保険部長 網野 智君
通商産業省石炭
局長 井上 亮君
委員外の出席者
厚生省年金局数
理課長 淵脇 学君
労働省職業安定
局失業対策部長 上原誠之輔君
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七月十二日
委員石川次夫君辞任につき、その補欠として渡
辺惣蔵君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
石炭鉱業年金基金法案(内閣提出第一四〇号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/0
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001・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 これより会議を開きます。内閣提出、石炭鉱業年金基金法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。大橋敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/1
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002・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 石炭鉱業年金基金法案について若干お尋ねいたします。
この年金法の創設の趣旨は、石炭鉱業界の安定、特に労働力の安定確保にあると思われるのでありますが、法案の内容を見てまいりますと、その主たる対象は坑内員とし、例外的に坑外員も考慮してあるというふうに読み取れるわけですが、このように基本的に坑外員を除いたという理由は何かということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/2
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003・伊部英男
○伊部政府委員 本年金制度の適用の問題でございますが、この年金制度が出てまいりました石炭鉱業審議会の御答申におきましても、坑内員につきまして、特に地下労働という特殊性にかんがみ、かっこの方々を確保するということがきわめて重要であるということから、かような、事業主が共同して年金制度を行なうべきであるということがございまして、この線に基づきまして、石炭年金審議会の小委員会を中心として関係者の間に研究が進められてきたのでございます。
そこで、坑内に限るという点をまず石炭鉱業審議会において言われましたのは、やはり労働力確保という点につきまして、最も坑内夫についての問題があるという点が出発点であったのでございます。
また一方、年金制度というたてまえで申しますと、坑外夫につきましては、一般の厚生年金基金制度をつくることが財政上可能である。したがってその制度で問題が解決できるではないか。坑内夫につきましては、提案理由にもございましたように、厚生年金基金という制度を利用することが困難である、そういう事情で、坑内員に限るという線が打ち出されてまいったのでございますが、その後の研究過程におきまして、特に労働者側のほうから、坑外夫につきましても問題を解決してほしい、かつ各方面とも研究いたしました結果、厚生年金基金をつくる可能性は制度上あるわけでございますけれども、坑内員につきましては、石炭鉱業年金基金、坑外員につきましては厚生年金基年ということになりますと、事務的にも非常に煩瑣である。したがってこの際坑内員に対する石炭鉱業年金基金をつくる機会に、坑外員につきましても、この小委員会の考え方に示されているような線で同時に解決をしてまいりたい、こういうような経緯から坑内員と坑外員につきまして、若干この法律の上における取り扱いが異なっているという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/3
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004・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 では十八条の坑外員に関する給付の項でありますが、「会員の二分の一以上の者が希望したとき」とありますけれども、その希望したということはどんな状態をさすのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/4
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005・伊部英男
○伊部政府委員 具体的には同意書をとる、同意書は、希望する旨の書面が二分の一以上あれば提出するということになると思いますけれども、具体的には、この基金が成立すると同時に坑外員につきましても問題解決していくつもりでございますので、実際問題としては定款に対する賛成という形で問題が解決されていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/5
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006・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それはわかるのですが、たとえば、会員が二分の一以上希望した場合に坑外員にも受給資格を与えるのだということだと思いますけれども、そういう状態を聞いているわけですよ。具体的にちょっとそこがわからないわけですが、たとえば何かこういう事柄があるものに対しては、みんなにはかって二分の一以上の者が希望した場合はその資格を与えるのだということだろうと思うのですけれども、その状態ですね、一般的に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/6
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007・伊部英男
○伊部政府委員 一般的に申しますと、二分の一以上の会員の者が、坑外員の老齢について年金たる給付の支給を行ないたいという希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/7
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008・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは会員のほうから、いわゆる事業主側からそのように見た場合にのみ、そうした結論というものを出されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/8
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009・伊部英男
○伊部政府委員 この鉱業基金年金制度が、そもそも事業主が共同して行なう年金制度という考え方でございますので、御指摘のとおり事業主が希望した場合に坑外員に適用されるということになるわけであります。ただ実際問題といたしましては、この考え方にございますように、坑内員の問題と坑外員の問題とは同時に解決してまいるよう指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/9
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010・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 この法案の主たる対象は坑内員に置かれているということは、地下労働という特殊事情にかんがみたことだと思いますけれども、坑外員といえども炭鉱労働者でありますし、特に炭鉱というのは一般的に非常に魅力をなくしている状態にありますので、やはり何らかの姿で、坑内員と同等の受給資格でなくとも、格差をつけてでも受給資格をつけてやるべきではないか。たとえば現在のところ大体七千円支給されることになっておりますが、その半額ないしはそれ以上とか、そういうふうな考え等もおありなのでしょうか、その点お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/10
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011・伊部英男
○伊部政府委員 御趣旨のとおりの線で問題を解決してまいりたいと考えておるものでございまして、給付の内容につきましては、先ほど来申し上げましたように、年金問題小委員会の御結論に従って給付の内容を定めてまいるよう指導をしてまいりたいと思っておるのでございますが、この考え方によりましても、おおむねただいま大橋先生御指摘のような線に年金問題小委員会の考え方も伺っておるので、御趣旨のような線で問題を解決してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/11
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012・岡田利春
○岡田(利)委員 ちょっと関連して。会員構成ですから、たとえば三井鉱山のような大きい会社もありますし、中小炭鉱、小さい炭鉱もあるわけですね。会員というのは一社一会員であるとするならば、当然二分の一以上の賛成を得る場合とは、会員数の二分の一以上ということになるのかどうかですね。そうなりますと、中小炭鉱のほうが数が多いわけですね。だから法のたてまえから言いますと、要するに二分の一以上の賛成がなければ、坑外員の場合には希望しないわけですから、年金を出さない。したがって基金の積み立てばしない、こういうことになるわけですよ、法のたてまえは。しかし局長のいまの答弁を聞いておりますと、いやしかし答申の線もあるのでこれは大体了解しておって、これが発足するときには、坑外員の場合も、当然対象になるのだという大前提が確認されて、この法案が出ているのだというような意味のことを説明しているように私は聞くわけです。この点どうもいまの大橋委員の質問に対してピントが合っていないのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/12
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013・伊部英男
○伊部政府委員 大体御指摘のとおりと申し上げてよろしいかと思います。坑内員と坑外員につきまして、それぞれ、ただいま申し上げたようなことで取り扱うことにいたしておりますが、石炭年金小委員会の考え方がまとまる過程におきましては、いずれも関係者の意見を煮詰めてあの考え方が出ておりますので、政府といたしましては、あの考え方に従いまして、必要な組織及び給付が行なわれるように指導してまいりたい、かつそれができるという確信を持つものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/13
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014・岡田利春
○岡田(利)委員 ここが大事なところなんです。指導してまいりたいということになりますと、これは限界があるわけです。しかも会員が一対一の権利を持つとすれば——私はこのたてまえはそうでないかと思うのですけれども、そういたしますと、中小炭鉱が非常に多い、組織も非常に弱い中小炭鉱がやはり会員になるわけですね。数からいうと、半分はおれは反対だ、こういってしまえば、法のたてまえからいって、これは希望しないわけですから、ほかの大手が希望するといっても、中小が、会員の過半数が希望しない場合には、坑外員は対象にならない。この法の解釈からいけばそうなるわけですね。その点がぴちっとしてないと、これは問題が残ると思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/14
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015・伊部英男
○伊部政府委員 十八条の法律案の規定といたしましては「二分の一以上の者が希望したときは、」という表現でございますので、政府として、お答え申し上げますときはまあそのように指導するということになろうかと思うのでございます。希望することを強制するわけにもまいらないわけでございますから。しかしながら、この坑外員問題を解決する過程におきまして、関係者の意見を煮詰めて出てきておりますので、二分の一以上の希望が——この法律はもちろん成立しておりませんし、現時点において文書として正式に出ておるわけではございませんけれども、実態としては、そういう二分の一以上を上回る希望があるというぐあいにお考えいただいてけっこうだと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/15
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016・岡田利春
○岡田(利)委員 ここは非常に大事なところなんです。法のたてまえとして、希望しなければこれは坑外員は対象にならない。しかし、年金小委員会の場合にはいろいろ議論されて、坑外員についても、政令で定める範囲内においてこれは対象にする。もちろん金額その他については変わってまいる、受給資格についても変わってまいるわけですけれども、そういう精神で答申になったわけですね。そうであれば、坑内員及び坑外員、これこれの別に政令で定める坑外員については対象にするのだ、こうしておけば何も指導もへったくれもないわけですね。非常にわかりやすいわけです。ただ私は、どうしてこういう法の立て方をしたのか。言うならば、石炭答申では坑内員に限るという面があったが、坑外員にもということを希望したからつけたのだ、そういう点の過程的な、技術的なあれがあるのじゃないかと思うのです。しかし、遺憾ながら、やはり法のたてまえからいけば二分の一が希望しなければこれは対象にならないわけですから、会員が一社一会員であると想定すれば、これはたいへんですからね。中小炭鉱のいろいろな経営者もおるわけですから、へそ曲がりもおるわけですから、代表が入っていても、全部の炭鉱が白紙委任状を出しているわけじゃないんですから、坑外員については希望しない、こういわれて、その数が過半数になれば対象にならぬというわけですね。指導するといってもおのずから限界があるわけですから。そうしますと、私どもが受けておったものとこの法からくる内容というものにズレがあるのではないか、こう指摘せざるを得ないわけですね。どうしてこういうややこしい法の立て方をしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/16
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017・伊部英男
○伊部政府委員 先ほど大橋先生の御質問にお答え申し上げた次第でございますが、沿革的にかような年金制度あるいは年金給付を坑内員について行なう。坑内員の労働力が非常に緊要であるということから出発したということが第一点でございます。
それから第二点は、坑内員につきましては普通の厚生年金基金をつくることがきわめて困難である。こういった事情を背景として石炭産業の置かれておる現状をも考慮いたしまして、かような厚生年金基金のいわば変形としての合同厚生年金基金といっていいと思いますが、かような石炭鉱業年金基金というものを考えたのでございますけれども、その際非常に法律的な議論をいたしますと、坑外員につきましては厚生年金保険法でそのまま厚生年金基金をつくることができる。あるいはある企業によりましては非常に被保険者が少ないということでありますれば、たとえば合同してつくることができるということになるのでございます。しかしながらさような場合におきましては非常に事務的に煩瑣である。つくる企業もございますれば、あるいはそれこそ全くつくらないという企業もできるかもしれない。非常に心配もあるし、また事務的にも非常に煩瑣ではないかということで、それではこの坑内員に関する石炭鉱業年金基金をつくります機会に坑外の問題も一緒に解決をしよう。しかしながらこの解決の方法として、やはり厚生年金基金を法律上つくり得るということがございますので、やはりたてまえといたしましては会員のほう、つまり事業主のほうから希望したといったようなことがないと、一緒にやってしまうということはむずかしいということもございまして、かような十八条のような法律的な構成を考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/17
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018・岡田利春
○岡田(利)委員 次官、お聞きのとおりなんですよ。私も大体本法の成立経過をずっと聞いておりますからわかるのですけれども、ただ法律がこうなっていますと、労働者に対して与えている感じというものは、坑外員も対象になるんだということになっているわけですが、しかし法の立て方としてはいま局長が説明したように、坑外員については一応会員の二分の一以上が希望しなければならぬ。ところが会員の構成というものは先ほど申し上げたとおりなんですね。ですから少なくとも行政指導するといってもおのずから限界があるのですから、ここは坑外員についても行政指導によって間違いなく年金支給の対象になるんだという確信のほどを示してもらわないと、この法が不十分だということになりますので、この点だけぴちっとしておいていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/18
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019・田川誠一
○田川政府委員 ただいまの坑外の問題につきましては、いまこの案ができます過程から、法律案がこういうことになったということを局長から説明いたしましたが、われわれ政府といたしましては、坑外員も含めていただくということを行政指導して実施ができますように努力をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/19
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020・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 年金問題小委員会で次のように述べられておるわけです。支給要件について触れて、年金の給付水準は、制度創設後の坑内員としての実働期間二十年以上の者に月額七千円、過去勤務期間十五年及び制度創設後の坑内員としての実働期間五年の者に月額二千五百円程度とする、とあります。この中に出てきます過去勤務期間十五年というのは、これもやはり坑内勤務のみに制限された考えなのか、それとも坑内坑外込みで十五年働いておればその資格と見なすのか、その点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/20
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021・伊部英男
○伊部政府委員 坑内夫に関しましては、やはり過去勤務期間は要件として要求されるのは十五年間の坑内夫の勤務期間である。坑外夫に関しましては、その十五年の期間が坑外夫であっても坑内夫であってもよろしい。ちょっと何でございますが、今後五年間経過をして、その他の条件を持続をして坑外夫としてのこの制度による年金を受けるという場合におきましては、この制度発足前の十五年間が坑内夫であろうと坑外夫であろうとを問わない。しかし出てくる給付はやはり坑外夫としての給付である。しかしながら坑内夫としての年金をもらうという方につきましては、この十五年間は、やはり厚生年金でありますから、第三種被保険者としての十五年でないといけない、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/21
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022・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 もう一回確認の意味でお尋ねしますが、過去の十五年ということは坑内員であろうと坑外員であろうとよろしい、ただし保険金の支給にあたっては坑外員としての立場の支給になるのだ、こういうふうに聞いたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/22
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023・伊部英男
○伊部政府委員 説明があまり明瞭でなくて恐縮でございますが、一応過去勤務十五年の期間は坑内員であっても坑外員であってもよろしいといってよろしいと思います。過去勤務が坑外員であった場合、その後五年間の坑内勤務があれば二十年間になりますので坑外員としての年金が出ます。坑外員が十五年で、その後五年間は坑内員として勤務したという場合におきましては、坑内員と坑外員がまじっておるわけでありますから、その場合は坑外員の給付がたてまえになる、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/23
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024・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これは創設される法案でございますので、過去のことはいままでどおりでよろしいと思います。坑外員であろうと坑内員であろうと通算して十五年ということを認める、その後またさらに五年間というこの期間において坑内員としての労働であるならば、あくまでもこの法案の趣旨に沿った坑内員としての支給をやるべきではないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/24
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025・伊部英男
○伊部政府委員 この制度は労働力確保という趣旨でございます。坑内員としての給付はやはり坑内員としての勤務が二十年間必要であるという前提に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/25
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026・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それはわかりました。要するにいま十四年と創設後五年、合わせて二十年になりますね。ですから私が言っていることは、過去十五年の分は坑内員であろうと坑外員であろうとかまわない、両方なった人もおるかもしれませんから。そこで創設後五年間は、坑内員であるという実績を残せば、当然坑内員としての支給を受けられるのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/26
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027・伊部英男
○伊部政府委員 そうじゃないのです。ただいま御指摘のようなことにはならないのでございまして、ただ過去勤務期間にまたがらなくとも、将来とも坑内員としての勤務は坑内員としての勤務で二十年間必要である。その場合において、坑内員としての年金が出る。坑内と坑外とが入りまじって二十年間になったという場合におきましては、いわば年金の資格期間としての二十年間は満たすわけでありますけれども、年金としては坑外の年金になるわけです。ただし、坑内の期間につきましては若干の優遇がされるということはあろうと思います。しかしながら年金のいろいろな条件におきましては、坑外夫としての年金が出るということでございます。その場合の年金は、含む場合も含まない場合も同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/27
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028・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そこで要望ですけれども、あくまでも創設の年金法ですから、いわゆる若干の優遇措置というのではなくて、この際は全面的に優遇措置を与えて、創設後五年間坑内員として働いた者に対しては、過去の十五年間も坑内員とみなすような措置をとっていただきたいと要望したいのですが、それに対して検討の余地はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/28
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029・伊部英男
○伊部政府委員 この年金制度のたてまえが、坑内員等の労働力を確保するという趣旨になっておりますので、ただいま先生のおっしゃったような考え方は、たいへん申しわけございませんが、非常にむずかしい問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/29
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030・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それではまたの機会に譲りますが、十五年と制度創設後坑内員としての実働期間五年とありますね。この実働期間というのは、たとえば十年働いて途中三年間あるいは五年間長期入院をした、その後また元気で働き出したというような場合、「実働期間」のこの実働の内容ですけれども、そうした長期入院等をやったことをも通算されるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/30
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031・伊部英男
○伊部政府委員 そういう場合は休職等の扱いになっておると思いますので、実働期間には入らないと考えてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/31
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032・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それではこれは問題ですね。というのは、炭鉱の仕事は非常に危険度が高いし、やはり入院する方も相当あると思います。そういう立場から、この実働期間というのはそういう明らかに炭鉱災害による事故等で入院した人たちには通算すべきではないか、このように私は考えるのですけれども、この点もひとつ検討の内容に含めて考えてもらいたいと思います。
それから過去十五年間と創設後の五年間、あわせて二十年になった者、これを一応認めて、それに対しては決定的なものじゃありませんけれども、月額二千五百円程度とするとありますね。これはあまり安過ぎるのじゃないかという感じを受けるのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/32
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033・伊部英男
○伊部政府委員 この年金は、年金原価で申しますと、過去勤務期間が非常に長いというようなこともございまして、厚生年金に対応する報酬比例部分としては七割程度になっておるのでございます。二千五百円ということ自体をごらんいただきますとそういう御感触もあろうかと思いますけれども、他の年金制度との均衡なりあるいはこれが一生支給されるわけでございますので、そういう点をお考えいただきますと、やはり相当の額と考えてよろしいかと思うのでございます。厚生年金保険による厚生年金基金のいわゆるプラスアルファ、これが最低三割ということになっておりまして、実際はもう少し上のほうの線が多いようでございますけれども、三割と申しますと、大体千五百円ということにいまのところなるわけでございますので、そういう点も御勘案を願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/33
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034・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは先ほどの年金問題小委員会の内容の続きになりますけれども、「この年金は、右の資格期間を満たした者が五一歳に達した後に坑内員でなくなったときに五十五歳から終身支給するものとする。ただし、在職中は支給停止するものとする。」とありますが、この在職中は支給を停止するというのはどういうことなんでしょうか。たとえば五十五歳に達して坑内員でなくなったんだ、それから初めてお金が来るわけでしょう。その五年間のうちに坑内員でなくても炭鉱に従事していた、こういう人に対してはどういう考えを持ったらいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/34
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035・伊部英男
○伊部政府委員 いわば合同企業年金の性格を持っております関係上、石炭産業に従事しておる期間はその労働に見合う収入源があるわけでございますので、そういう意味で在職中の労働者に支給は行なわないこととする、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/35
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036・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは変わった観点でお伺いいたしますが、現在の石炭鉱業従業員数の最後のページに出ておりますけれども、常用労務者が十万四千三百五十九人、職員が一万五千七百十七人、合計十二万七十六人と出ておりますが、その下をごらんいただきますと、坑内員は九万三千五百十六人となっております。この坑内員のいわゆる年齢構成ですか、たとえば平均年齢が大体何歳くらいか、もう一つ三十五歳以下と三十五歳以上、こういう人数がおわかりならば示していただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/36
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037・伊部英男
○伊部政府委員 坑内、坑外の平均年齢は昭和四十一年九月三十日現在で坑内三十九歳、坑外四十
一歳でございまして、三十五歳以下の人員は坑内に関しましては三五%程度のようでございます。坑外につきましてはただいま数字の持ち合わせがございませんので、なお調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/37
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038・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 この法案の内容を見ますと、要するに創設された後、とにかく二十年間たてば一応その資格が得られる。しかもそれが五十歳ということになれば、現在三十歳の者ならばこの法律どおりに的確に受けられるということになります。ところが実際の支給は五十五歳ですので、それから考えていきますと、三十五歳の人は五十五歳定年になってやめて即座に受給されるものであるかどうかということです。もう一回言いますと、五十歳に達して坑内でなくなったもの、そして五年間たてば支給されるでしょう。これが成規の支給の順序になっておりますね。ところが現在三十五歳の人が二十年といえば五十五歳の定年になるわけです。そしてやめたと同時にこの年金がもらえるのかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/38
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039・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/39
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040・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 そうしますと、三十五歳以下の人はこの法律の適用にほんとうに恵まれるわけでありますが、それ以上の人になりますと、これははずれてしまうという感じを受ける。たとえば三十六歳以上の人は定年までたっても十九年しかなりませんので、そういう人たちはかわいそうな立場に置かれるという感じを持つのですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/40
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041・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のようなこともありますので、十五年間の過去の勤務期間を見ておるということでございまして、三十九歳の方でもすでに十五年間おつとめになっておれば、あと五年つまり四十四歳までこの二十年間に関する限りは充足されるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/41
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042・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 過去に炭鉱に働いておる人の場合はそういう優遇措置を受けますけれども、いまから三十五、六歳から四十四、五歳の人が炭鉱に行って働きたいといってみても、この法律からはずされますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/42
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043・伊部英男
○伊部政府委員 そういう方々にはやはり今後二十年間働いていただく必要があるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/43
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044・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは年金をもらいたい人は、四十五歳の人は六十歳まで何が何でも働けということになるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/44
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045・伊部英男
○伊部政府委員 この制度に関する限りそういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/45
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046・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これも一考してもらいたいところであります。要するに若年労働者を確保するという立場から見れば、非常にりっぱな法律であろうと思いますが、そうした中高年齢者は一般的にもほんとうに働く場所がなくて困っている状態でありますので、こういう人たちを何とか確保するためにも、七千円全額でなくても、この半分くらい、三千五百円でも支給するようなことを考えてもらいたいという強い希望を持っておるのですけれども、その点どんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/46
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047・伊部英男
○伊部政府委員 この年金制度は労働力確保という一つの目的を持った合同企業年金と申しますか、プラスアルファの制度でございますが、本体の厚生年金保険につきましては、御指摘のような比較的高年齢で新たに被保険者になったという方々につきましては、優遇措置を講じてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/47
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048・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それではもう一つお尋ねしますが、五十歳から五十五歳まではいわゆる期待権ということばであらわされておりますけれども、五十歳で十分その資格を持っていた人が五十五歳に達する期間にもし死亡をしたという場合は、これは一時金だと思うのですけれども、そういう一時金の積算の基準はどこに置かれたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/48
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049・伊部英男
○伊部政府委員 これもやはり石炭年金小委員会の考え方におきまして「受給権者(受給待期者を含む。)が受給開始後十年以内に死亡した場合には、十年に達するまでの残存期間に対応する年金総額の半分程度は死亡一時金として支給すべきであろう。」というようなことが示されておりまして、ただいまのような場合は全然受給されてないので、五年分に見合う程度のものを死亡一時金として考えるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/49
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050・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 五十歳から五十五歳まで、どうしてこの期間が置かれたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/50
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051・伊部英男
○伊部政府委員 厚生年金において坑内夫の老齢年金の支給開始年齢が五十五歳と定められておりますので、それによって五十五歳ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/51
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052・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 それでは掛け金の問題に入りますが、「掛金の滞納があった場合には、厚生大臣の認可を受けて、国税滞納処分の例により処分することができる」とありますけれども、常識的に考えてみますと、今日でも一ぱい一ぱい何とかやりくりをして息をつないでいるような中小炭鉱が多いわけですが、その中には多少掛け金の滞納も出てくるのじゃないか、こう私予想するわけです。かりにそうした中小炭鉱に国税滞納処分等をやれば、それは実質的な閉山を意味するのじゃないか、このように思うのですけれども、その点についてはどんなもんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/52
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053・伊部英男
○伊部政府委員 当面石炭産業全体に対しましてかような負担ができ得るような全般的な対策が講ぜられつつあると考えておるのでございますが、いずれにいたしましてもやはりかような基金が発足をいたします以上、年金の資格がつくかっかないかということはきわめて重要な労働者にとっての関心事になろうかと思いますので、そういう意味合いにおきましては、やはり滞納しないで払っていただくということが事業主の大きな利益にもなろうかと思いますので、そういう点は基金ともよく相談をし、十分さような趣旨の普及をはかってまいりたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/53
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054・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 説明はよくわかりましたが、いまも申し上げましたように、中小炭鉱の経営というものはほんとうに想像以上に苦しい状態にありますので、その点深い配慮を払っていただいて対処していただきたいと思います。これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/54
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055・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 田畑金光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/55
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056・田畑金光
○田畑委員 いまの質問に関連いたしまして局長にお尋ねしたいと思います。
いまの局長の答弁を聞いておりますと、これはやはり大臣に来てもらって大臣の見解を聞かないと理解しかねる点が出てきたわけです。
その第一は、先ほどの十八条の坑外について二分の一以上の者が希望したときということです。この点について、先ほどの答弁によれば、坑外に対する適用については会員の希望が二分の一以上の数に達しないと、あとは行政指導によって会員の人方の協力を求める、この限度しかこの法の解釈から出てこないとすれば、われわれがいままでこの法律案について考えてきたことと大きく食い違っているわけです、なるほど答申の趣旨を見ても、年金小委員会の意見を見ても、坑内夫については強制規定になっているわけで、したがってこの法律もそれを受けて強制規定になっているわけでありますが、しかし坑外員を無視しては炭鉱の実情に即さない、こういう点からいって、この際関係者の意見も強く出されておるので、年金小委員会においても、坑外員を同じく適用するという気持ちで、この小委員会の考え方も出ておると思うのです。それを受けて十八条というものになったわけであります。なるほど十八条の分離解釈から見ると明確を欠くうらみがありますが、しかし沿革的に見ると、その行政指導は単なる行政指導ではないと思うのです。私は当然経過的に見ても、あくまでも会員の理解と納得に基づいて坑内に準じ坑外員もこの年金制度の適用を受けるんだ、受けさせるんだ、そういう立場でこの法案は出てきているものだと見ていたわけですが、先ほどのお話を承っておると、単に行政指導をやるだけだということになれば、われわれとしてはこの法律に対する考え方も、これはおのずから変わってくるわけで、その辺をひとつ明確にしておいていただきたい、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/56
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057・伊部英男
○伊部政府委員 前回の御質問に対しても政務次官からもお答えがあったと思いますが、年金問題小委員会において示されましたいろいろな考え方と申しますものは、これは法律に生かされておりますし、定款に譲られておるものもあるわけでありますが、定款に譲られたものにつきましては、この年金問題小委員会に示されたとおり実施する所存でございます。この点は政府部内におきましても関係省いずれも協議した上の結論でございますので、そういう意味合いにおきましてはこの坑外員の問題につきましても、この考え方に示されておるものが実現するように強力なる行政指導を行なう、行政指導ということばが適切でなければ、その考え方が定款という形で実現するように、政府としても十分責任を負って努力してまいりたい、かように考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/57
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058・田畑金光
○田畑委員 年金額であるとか受給資格期間、支給開始年齢、その他年金たる給付の支給に関し必要な事項は定款をもって定めるということが第十六条の二項に出ております。これは当然坑内員だけでなく坑外員についても定款の中でうたうのだということを前提としてできておるものだと思いますが、その点はそのように理解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/58
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059・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/59
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060・田畑金光
○田畑委員 そうしますと、私は、特に今後、もし事情の変更などがあって、第十八条を条文どおりに解釈した場合に、坑外夫についてはいろいろ異論があって二分の一以上の希望がなかったという場合、一体どうするかという問題が、当然予測される将来の事態として考えられると思います。しかし、厚生省当局としては、行政指導といっても強くそれは坑内に準じて取り扱ってもらうのだというようなことになれば、ではそのときにこの法律のどこからそのような強い行政指導がなし得るかという問題です。
そこで、三十二条に、「基金に対する命令等」とありますね。その第二項に、「厚生大臣は、基金の業務の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、期間を定めて、基金に対し、その定款の変更を命ずることができる。」となっております。だから、もしかりに十八条に基づいて会員の二分の一が希望しないというようなことなどで坑外員を除外するというようなこと等が起きた場合には、三十二条の第二項の定款変更命令で厚生大臣は強くそれを是正せしめるぐらいの心がまえは当然あってしかるべきだと思うし、そういうようなことも将来予測し得る、こう思うのですが、この点はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/60
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061・伊部英男
○伊部政府委員 この三十二条二項にございます基金に対しての定款の変更命令は、たとえば財政が非常に不健全である、給付を非常に下げる、あるいは保険料のほうを非常に下げていくといったような場合を念頭に置いておるのでございまして、十八条のような場合、つまり事業を実施するかどうかということが基金の自主性にゆだねられている部分につきまして、この第二項の適用があるというものではないと法律的には考えられるのでございますけれども、ただ、この法律が提案されるまでの過程におきましては、先生御承知のとおり、年金問題小委員会を中心として関係者の意見を煮詰めての考え方が示されておるのでございまして、かような点、あるいは政府部内におきましてもこれらの取り扱いにつきましては、十分協議した上での結論でございますので、十八条の法律的な趣旨あるいは十八条のような形に法律が表現された経緯につきましては、先ほど来大橋先生の御質問にお答え申し上げたとおりでございますけれども、しかし坑外員につきまして、考え方に示されたような適用をし、かつその給付を行なうということは、政府としてもこの際責任を持って実施するように努力をしたい、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/61
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062・田畑金光
○田畑委員 政府が坑外員へも責任を持って給付ができるようにするためにも、私が指摘したいのは、給付については坑内についても坑外についても定款で定めるということになっておるわけですから、したがって、もし将来事情があって、会員が二分の一の多数で十八条をもって坑外員ははずすんだという定款の変更をかりに申請してきたような場合は、当然三十二条の第二項に基づいて、あなたのいまの説明では三十二条二項の内容は沿革的にこうであるという説明はありましたが、しかし表向きこの文章だけから解決するならば、定款の変更を命ずることができるというのは厚生大臣ということになっておるわけですから、先ほど言ったように、もし坑外についてこれの適用をはずす、給付をやらないなどという定款になった場合には、当然この三十二条二項でもって厚生大臣はその変更命令を出すくらいの一つの強い行政指導というものがとられてしかるべきだ、こう思うのです。その点は単なる杞憂かもしれぬか、しかしないとも限らぬ。そういうことになれば、当然予測される事態であるだけに、三十二条二項の定款変更命令でいく場合には、あなたのお話のように、坑外についてもきちっと給付の継続が確保できるように指導すべきであるし、指導するんだという約束をはっきりしておいてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/62
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063・伊部英男
○伊部政府委員 十八条によりまして、坑外員がこの基金の対象として仕事が始まったことを前提にして考えますと、その後坑外員についての支給をやめさせるという事態が出てくる場合は、定款の変更ということになるわけであります。しかもその定款の変更は非常に重要な事項でございまして、三分の二以上の総会の議決事項になるわけでございますが、この議決の議事の手続等につきましては政令で定めることになっておりますが、定款の変更は少なくとも三分の二以上の多数とすることが一般的な例であろうかと思うのであります。その上に定款の変更は厚生大臣の認可が必要なわけでございます。
なお石炭鉱業合理化措置法等が施行される限りにおきましては、厚生大臣が通産大臣と協議をした上での認可が必要になるのでございまして、さような定款の変更が万一行なわれましたような場合におきましては、この厚生大臣の認可権によりまして、どういう事情であるか、納得できる状況であるのか、坑外について適当なその他の措置が行なわれておるかどうか等につきまして十分審査をしたいと考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/63
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064・田畑金光
○田畑委員 私は審査するとかしないとかいう意味ではなくして、坑内夫に準じて坑外員にも年金を支給するのだということがこの法の趣旨であり、政府の方針であるとするならば、もし坑外夫をはずすなどという定款変更の申請が出た場合には、厚生大臣としてはそのような定款変更については承認しない、あくまでも坑外夫についても坑内に準じて年金の給付を保障する、そういう強い態度で臨んでもらいたいし、臨むべきだ、こう思うのであります。その点を、この際厚生省としては坑外についてはっきりこういう方針で臨むということだけを明確にしておけば、あとはその途中のいろいろな説明なんか要りませんから、そこだけはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/64
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065・伊部英男
○伊部政府委員 御趣旨のとおりに運営してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/65
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066・田畑金光
○田畑委員 わかりました。それから私、この法律を読んでいささか心配することがある。厚生大臣がこの年金を所管するわけですね。通産大臣と協議する場合はかくかくの場合だと、幾つかの場合をあげておるわけですが、実際厚生大臣が石炭業者あるいは石炭業界を指導するということは、なかなかこれは威令行なわれずという私は心配が予測されるわけです。ということは、御承知のごとく、いまの石炭行政というものが、あげて通産省、通産大臣の政策的なものに待つ面が多々あるわけです。そういうことを考えてみますと、やはり通産省あたりが強力に指導することによって、この年金の運営も円満にいくと考えるわけです。ただ金を取るだけの、そうして基金を獲得するだけの、日常石炭行政の面において何ら関係もない厚生大臣が、こつ然と年金だけの面を通じ、石炭業界を指導するといっても、これはなかなかうまくいかないような感じがするのです。にもかかわらず、通産大臣と相談するというのは、定款を承認するとかあるいは変更を承認するとか、そういうような場合に通産大臣と相談するということしか書いてないわけですね。それでうまくいくと局長は考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/66
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067・伊部英男
○伊部政府委員 従来厚生省も石炭関係につきまして、たとえば健康保険組合の指導援助でございますとか、あるいは厚生年金事業団を通ずる還元融資でございますとかあるいは産炭地域の市町村に対する特別地方債といったような形で、いろいろな形で関連はあるわけでございます。
この年金の問題につきましては、やはり広い意味の年金制度の一環として、かつまた記録その他の利用につきまして、第三種保険者としての記録を利用するといったような点もございますし、厚生大臣が責任を負うことが適当であると考えるのでございますが、ただいま御指摘のように石炭産業が当分の間いろいろ財政的な援助を必要とすることもまた事実でございまして、かような状況が続きます限りにおきまして、この年金問題を処理していく上におきまして、厚生大臣あるいは通産大臣その他の関係大臣、関係省の協力が必要であることは御指摘のとおりでございまして、この法律案あるいは考え方をつくります過程におきましても、あるいは両省緊密なる連絡をし、協議をして今日まで至っておるのでございまして、この法律の上におきまして、協議すべき事項というものを法律の上に明らかにいたしておりますが、その他の問題につきましても、御指摘のように両省十分協議し、協力をして、この年金が円滑に実施されますようにいたす覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/67
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068・田畑金光
○田畑委員 その辺はいろいろ話し合って、この法律の制定ということに至ったものと考えておりますので、よくひとつ横の連絡をとりながら、この法の運用が所期の目的を達成できるように、双方御努力願いたい、こう思っております。
条文の質問になりますけれども、第十六条の第二項を見ますと、先ほど指摘しましたように、「基金は、定款をもって、年金額、受給資格期間、支給開始年齢その他年金たる給付の支給に関して必要な事項を定めなければならない。」第十七条を見ますと、「基金は、政令の定めるところにより、坑内員又は坑内員であった者の死亡に関し、一時金たる給付の支給を行なうことができる。」これを見ますと、一時金の給付は政令の定めるところにより支給するというようなことになっておりますが、第十六条の二項によれば、年金額の支給については定款をもって云々ということになっておるわけですね。これはどういう関係になるわけですか。特に私がはっきりしていただきたいと思っているのは、定款に載せるのはこれこれこれ、政令に載せるのはこれこれこれを予測しているということだと思いますが、その辺明確にひとつ区別をして御説明を願いたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/68
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069・伊部英男
○伊部政府委員 十七条の政令は「坑内員又は坑内員であった者の死亡に関し、」一時金の支給を受けることができる遺族の範囲を考えております。遺族の範囲であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/69
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070・田畑金光
○田畑委員 そうしますと、一時金の給付の額あるいは条件については定款で定めるが、政令にゆだねたのは要するに遺族の範囲とか順位とか、それをさしておる、こういう意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/70
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071・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/71
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072・田畑金光
○田畑委員 同じようなことになりますが、二十一条の「掛金」の条文ですか、第三項、「掛金の額は」、「厚生省令の定めるところにより」云々、こうなっておりますが、この厚生省令で定めるという内容はどういう内容になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/72
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073・伊部英男
○伊部政府委員 この厚生省令は再計算の基礎になる数字でございまして、予定利率、死亡率、脱退率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/73
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074・田畑金光
○田畑委員 これも先ほどの質問に関連いたしますが、この年金の給付の額についてはいままでの御答弁のごとく定款にゆだねられるわけでありますけれども、定款の内容に予定されるものは、この年金小委員会の意見に出ております。先ほど来指摘された、たとえば坑内については実働二十年以上の者については月額七千円、あるいは過去勤務期間十五年及び制度創設後の坑内員としての実働期間五年の者に月額二千五百円、これはそのまま定款に予定されるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/74
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075・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/75
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076・田畑金光
○田畑委員 そうした場合、これは先ほど指摘しました二十一条でございますが、第三項によれば「掛金の額は、年金たる給付及び一時金たる給付に要する費用の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生省令の定めるところにより、将来にわたって、財政の均衡を保つことができるように計算されるものでなければならず、」この条文というのは、年金小委員会が意見として、坑内外を含めてこの制度を実施するために要する費用はトン当たり四十円程度と考える、これを受けて計算の基礎というものがなされておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/76
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077・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/77
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078・田畑金光
○田畑委員 そうしますと、トン当たり四十円の計算で保険財政を展開した場合に、保険財政の能力としては七千円とか二千五百円とか、坑外についてはその半分とかというのが精一ぱいなのですか。もっと余裕がありそうな感じもするのですが、その辺について計算の基礎などがあれば、この際もっと親切に説明を願いたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/78
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079・伊部英男
○伊部政府委員 年金の現在の予定利率等を基礎にして計算をいたしまして、給付及び保険料は見合ったものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/79
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080・田畑金光
○田畑委員 厚生省年金局で、いまの掛け金と保険料と給付についての何か試算というものが出ておると思うのですが、それはどうですか。資料として出してくれませんか。一応どういう計算に基づいて保険財政というものが今後展開されるのか。特にトン当たり四十円の負担が、いまの炭鉱の企業にとっては非常な過重であるかそうでないかは別問題としまして、やはりその計算の基礎を把握しないと、七千円とか二千五百円とか、あるいはさらに坑外員はその半分だとかいうようなことでは、はたしてこれで労働力の確保、雇用の安定という魅力ある年金制度にふさわしいかどうかということが、もっと数字の裏づけなくしてはどうもなかなか結論を下せないうらみがあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/80
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081・淵脇学
○淵脇説明員 年金局の数理課長でございます。年金計算について御説明申し上げます。
年金制度の財政を確保いたしますときに、このように特定の企業につきまして年金制度を設けますときには、積み立て方式を用いるのが普通でございます。なぜ積み立て方式をこういう場合に採用するかと申しますと、従業員の労働期間中に老後の費用をひとつ用意しておくということでございまして、そういう企業が非常な困難におちいった場合、たとえば石炭産業みたいに、将来企業が思わしくなくなった場合にも、年金受給権のある者については将来ともずっと年金を確保しなければならないということがありますために、あらかじめその費用を積み立てておくという積み立て方式を採用しておるわけでございます。したがいまして単年度で、ことしはこれだけいるからこれだけの費用が要る、来年はこれだけの人間がおるからこれだけの費用を積み立てるという方式ではございませんで、一たん年金権を獲得すると見られる者については死ぬまでの年金というものの積み立てをしておかなければならないということが、被保険者の保護のために必要だということになるわけでございます。したがいまして、そのような積み立て方式と申しますか、よくいわれるアクチュアル計算に基づく保険計算に基づいた保険料の算定をいたしておるわけでございます。
それで一番最初に、まずこの計算は加入期間が二十年であって、五十歳以上を対象という条件、支給開始年齢が五十五歳である。坑外員については六十歳。年金月額七千円、坑外員については坑内員の二分の一、そういったようなことのほか、経過措置としまして若干の条件を設定いたします。
それからまた死亡一時金についても、給付でございますので、先ほどの局長の御説明にあったよりな設定をいたしまして、この設定から逆算によって保険料を計算することになるわけでございます。その逆算に使用いたします計算基礎は、第一に資料としまして石炭鉱業従業員特別調査というものによっておるわけでございますが、脱退率はまさしく石炭鉱業の従業員の実情を調査いたしました特別調査によるものでございます。御参考までに申しますが、この脱退率は厚生年金の中の坑内夫の脱退率とほとんど同じように出ております。また死亡率につきましては一般に国民生命表を使用することになっておるわけでございますが、この場合は最も新しい第十一回の生命表を使用しております。なお、参考まででございますが、五十五歳の場合にこの人たちの平均余命は十九年ということになっておりますが、十九年分の年金額というものは、五年あとに出る受給者についてはもうすでにその時点においてしかるべき費用が積み立てられておらなければならないのでございます。そして先ほど申しましたように平均年齢坑内夫三十九歳、坑外夫四十一歳、平均従業年数が坑内夫十四年、坑内夫十二年というこまかいデータのもとにおいて、財政方式としましては閉鎖型総合保険料方式すなわちクローズド・アグリゲイト・メソッドという方法を用いております。以上と予定利率を組み合わして年金計算をいたしまして、トン当たり四十円という計算をいたしたわけでございます。
簡単でございますが、このような条件を踏まえて逆算したものが四十円であるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/81
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082・田畑金光
○田畑委員 課長さんあなたの説明よくわかりましたが、こういう算定基礎に基づいて四十円が出たという、いま説明された資料を出してください。これ委員長からひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/82
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083・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 ひとつぜひその資料を、いまの要点を書いて計算の基礎を出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/83
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084・田畑金光
○田畑委員 いまの課長の説明はごもっともですが、こういう前提に立って保険料を計算すると四十円になったというお話ですが、そうじゃなくて、四十円しか出せないからこういう保険財政の展開しかできないんじゃないかということじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/84
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085・淵脇学
○淵脇説明員 そんなことはございません。それがもし三十五円ならば三十五円、四十円ならば四十円、四十五円ならば四十五円とお答え申し上げるよりほかないわけであります。国民年金だとか厚生年金というものはすべて給付というものが先に出されまして、それを満たすに必要な費用というものを逆算して出す。それについて保険料とか国庫負担とかを算出いたします。そういう態度をとりますので、われわれのほうとしては一銭も負けられませんということで保険料の計算はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/85
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086・田畑金光
○田畑委員 これは、給付が始まるのが早くて五年後ですね。五年間に積み立て金というのはどれくらいになりますか。五年後初めて給付が始まるわけですからね。五年後の給付対象人員というのは幾らくらいになるのか。これはしろうとから見たときに、トン当たり四十円の積み立てをやっていくならばそれだけの給付財源があるとするならば、たとえば過去勤務十五年、これから五年勤務の坑内夫については二千五百円しか見られないというそんなけちな数字ではないような感じもするのです。しかし保険財政というのは、あなたの説明のように将来のいろいろな危険も考えながら健全な運営ということがたてまえでありましょうし、制度本来の意味はそうであるかもしれないが、私はやはり二千五百円などという数字ではないと思うのです。もっとはじき出せるのじゃないですか。あまり危険率を高く見ておりはせぬかということをおそれるのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/86
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087・伊部英男
○伊部政府委員 ただいま数理課長から御説明申し上げましたように、この給付を前提といたしましてかような保険料を算定したのでございます。保険料と保険給付とのどちらから考えていくかということでございますが、これはもちろん両々見合ってということでございますが、今回の場合にはどちらかといえば、給付の面に重点を置いてものごとがいままでの過程においては進んできたように感ぜられるのでございます。
そこで今後の推移でございますが、五年ごとに再計算をいたすのでございます。そこで、年金原価は、たとえば平均年齢が何歳であるかということによって非常に大きな差があるのでございます。そういったものの推移あるいは予定利率の推移等によりまして、実際の年金財政はまた相違をしてくるわけでありまして、五年ごとにその基準によって再計算をするのでございます。そこで、これは別の形で財政主体になっておるわけでありますので、もしそういうものへプラスがあれば当然給付の改善に回されることになろうかと思うのでありますが、現時点におきまして一定の予定利率その他の基礎におきまして計算をすると、この給付に見合う保険料は四一円である、かような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/87
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088・田畑金光
○田畑委員 いまの局長の答弁の中にありましたように、五年後にまた計算し直すわけですね。そのことは五年後には当然給付についてもまた保険料についても再検討して、少なくとも二千五百円などと——五年後それがさらにどういう評価になるか、いまから考えてみただけでももっと評価は下がると見ておりますが、また五年後の時点を考えてみますならば、その他の公的年金なども物価とのつり合いその他で基準も相当高い線になってくると思うのです。そういう節はこの給付額などについても当然検討し直すということは明確に約束できるわけですね。その点どうですか。翼発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/88
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089・伊部英男
○伊部政府委員 二十一条三項の趣旨は、五年ごとにその後の状況によって掛け金の額が財政が維持できるかどうか再検討せよという趣旨でございます。したがいまして、その後いろいろな事情、たとえば予定利率より実際の利率が下回ったというようなことがございますれば、掛け金の額は引き上げなければならないといった事態が出るのでありますけれども、しかしながら実際には予定利率等は五分五厘よりは多いと見込まれますので、そういった点を考えますと、給付につきましてもさような余裕ができた場合におきましては、当然給付の改善に回されるという趣旨のことを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/89
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090・田畑金光
○田畑委員 この制度は、一にも二にも石炭産業、企業の今後の推移と関連するわけでありますから、確かに今年度の問題も控えておるわけでありますが、この法のねらいが石炭産業の雇用の安定と労働力の確保だということに照らして見た場合、それにふさわしい制度に改善していくということは、年金をあずかられる厚生省として当然の将来の展望だと思うのです。そういう意味においては、十分御努力をいただきたい。このことを、ひとつ強く要望しておきます。
もう一つ承っておきたいのは、この基金の役員というのは、理事、監事でしたか、全部互選によって選ぶわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/90
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091・伊部英男
○伊部政府委員 基金の役員として理事及び監事を置くわけでございます。第九条の二項に「会員のうちから選任する。ただし、特別の事情があるときは、会員以外の者から選任することを妨げない。」ということが示されてございますので、会員外の方もあり得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/91
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092・田畑金光
○田畑委員 会員外からとる役員というのは、どういう人を予定しておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/92
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093・伊部英男
○伊部政府委員 いわゆる特殊法人ではございませんが、法律による公法人の場合におきまして、通例かような規定が見受けられるのでございますが、これは本来、会員だけに限りますと、会員がそれぞれ事業主でございますので、自分の会社を持ち、事業をお持ちになっておられるわけでございますので、石炭年金の仕事に十分な時間をさくことができない。そのような場合に、特別の事情のあるときには、会員外の者もお願いすることができるという趣旨でございますが、この場合は、特に年金という長期的、かついろいろな保険計算その他の問題もある関係上、そういう専門家が基金の側からほしいといったようなことが多くあるのではなかろうか、と予想をしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/93
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094・田畑金光
○田畑委員 そうしますと、会員外から選任される役員も、会員の互選によって選ばれるというわけで、監督官庁である厚生大臣などは、何らこういう人事問題については意見を差しはさまない、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/94
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095・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/95
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096・田畑金光
○田畑委員 これはどういうわけで、厚生大臣がこの役員の問題については、監督官庁であるにかかわらず、何ら発言もしなければ、介入もしないのか。この基金はどうも前途多難で、あまりうまみもないし、厚生省から役人を天下りさせるにも気の毒だからという意味で、そういうような規定がないのですか。というのは、私この種基金について監督官庁である厚生大臣が、理事長や監事などについて何らの介入をしないというのも珍しいことだなという感じがするわけです。この国会にただいま出ておる、あるいはもうすでに成立を見ました中小企業振興事業団法というものを見ましても、理事長及び監事は、通産大臣が任命する。今度は石油開発公団法案、これは総裁及び監事は通産大臣が任命する。動力炉・核燃料開発事業団法、理事長及び監事は内閣総理大臣が原子力委員会の意見を聞いて任命する。外貿埠頭公団法案、理事長及び監事は運輸大臣が任命する。さらに最近、これは与党がいろいろ政治的な事情やいきさつもあって、いま国会に提案しております勧業基金法案、これは旧地主補償の国債を集めて勧業基金をつくろうという法律ですね。それからついこの間出た在外財産基金法案、これは今回の在外財産補償に伴う国債を持ち寄って基金をつくろうという法案ですね。この基金法案を見ましても、いずれも理事長及び監事は出資者総代会が推薦した者のうちから主務大臣が任命する。基金についてもそれぞれ大蔵大臣がちゃんと介入しているのに、これだけは珍しく厚生大臣が人事について介入しない。まことに民主的な運営のあり方ですね。その他の公社、公団、基金、全部に同じように、政府が、人事については民主的な運営に一任されるなら、これはわかるけれども、どうもこの石炭の基金だけは、将来政府がしょい込むことになるかもしれないという不安が先に立って、人事などについてはこういうやり方をしたのかどうか。やるならば、あなた、その他の、いま天下の非難を受けている天下り人事と言われている一うまいところだけは全部大臣が握っていて、大蔵省以下役所の皆さん方がちゃんとこれからそこにおすわりになるわけですが、これだけ、石炭鉱業年金基金だけは役員の構成を見ますと、何ら大臣が介入しないことになっている。これはどうしたわけですか。政務次官にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/96
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097・田川誠一
○田川政府委員 いろいろお話がございましたけれども、この石炭鉱業年金は、あくまでプラスアルファということの考え方からできているわけでありまして、しかも、石炭事業者が共同して出資されるということで、非常に自主性を重んじているわけであります。こうした人事に政府側の承認を得るとか、そういうようなことが行なわれていない例も厚生省の中にございます。現に厚生年金基金の人事におきましては、この法案と同じようになっているわけでありまして、ただ石炭鉱業年金基金、この基金だけが例外的にいまおっしゃるようなことになっているわけではございません。われわれといたしましても重大な関心を持っておりますし、この基金だけがそういうような取り扱いをしているのではございませんので、この点は十分御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/97
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098・田畑金光
○田畑委員 まず一つ、いまの政務次官の御答弁の中にありましたが、プラスアルファだという考え方ではなくして、この基金としての使命とねらいがあってこの制度が生まれるわけですから、十分ひとつこの基金のよって生まれた今日までの沿革にかんがみて、この制度が充実されて、ほんとうに将来の石炭産業における雇用の安定と労働力の確保にもっともっと寄与するような魅力あるものに、これを厚生省が所管としてあずかるわけですから、御努力をいただきたい。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/98
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099・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/99
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100・岡田利春
○岡田(利)委員 石炭鉱業年金基金法の目的と厚生年金法の目的を見ますと、大体その主たる目的は変わらないと思うわけです。厚生年金の場合には、廃疾あるいは死亡に伴うものが入っておりますし、あとは厚生年金の基金の業務の関係が目的に入っているわけです。しかし示している目的から見れば、全く同じものではないか、こう私は理解をするわけですが、そういうすなおな理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/100
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101・伊部英男
○伊部政府委員 厚生年金保険は、「労働者の老齢、廃疾、死亡又は脱退について保険給付を行ない、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的と」するということが明らかにされておるのでございますが、この石炭鉱業年金は、「石炭鉱業の坑内労働者の老齢について必要な給付を行なうことにより、その老後の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」ということになっておりまして、この石炭鉱業年金基金は構成年金を前提として、その上にいわゆるプラスアルファとしてさらに「老後の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」かようなぐあいに、並列的にあるものではなくて、厚生年金を前提としてその上に加わったものであるというぐあいに解釈されると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/101
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102・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほども聞きましたけれども、基金の会員は事業所単位ではなくして、石炭企業の各社単位で会員となるのか、この点を明らかにしておいてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/102
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103・伊部英男
○伊部政府委員 第七条にございますように、石炭鉱業の事業主が基金の会員となりまして、基金が設立されました暁におきましては、石炭鉱業を行なう事業場であって厚生年金保険の適用事業所であるものの事業主が当然この基金の会員となる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/103
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104・岡田利春
○岡田(利)委員 この場合の事業主というのは、現在厚生年金の事業主ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/104
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105・伊部英男
○伊部政府委員 厚生年金の事業主でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/105
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106・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、厚生年金の事業単位というのは、これは社別ではなくして、事業所単位ですね。鉱業所単位ですね。名称は違うところもありますけれども、そういう単位ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/106
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107・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/107
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108・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、総会は会員が集まるわけですね。「三分の一以上の者が会議に付議すべき」という総会の設立要件と関係するわけですが、総会の設立要件の場合は、その単位の会員が集まるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/108
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109・伊部英男
○伊部政府委員 適用事業所であるものの事業主でございますので、御指摘のような適用事業所がたとえば十ある、しかし会社は一つだという場合には、一つになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/109
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110・岡田利春
○岡田(利)委員 その場合の権利義務というのは、総会の議決その他については一対一ですが、たとえば三井の場合と、五十人なら五十人の事業主の場合と、権利義務は一対幾つですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/110
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111・伊部英男
○伊部政府委員 運営の面におきまして、非常に大きい事業所と小さな事業所といういろいろあるわけでございますが、その場合に同じものを与えるということはかえって運営上も適正ではないと考えられますので、定款の作成の面におきまして実情に合うような方法を十分基金と相談してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/111
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112・岡田利春
○岡田(利)委員 定款に定めるべき事項、これは大体告示されるわけですが、もちろん厚生大臣の認可を受けなければならぬわけですから、大体要綱と言いますか、これを明らかにされていると思うのですが、ほぼその草案的なものは出ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/112
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113・伊部英男
○伊部政府委員 この基金は先ほど政務次官から御答弁ございましたように、事業主が合同して自主性を尊重してつくっていくという性質でございますので、政府といたしまして定款の案といったようなものを用意はいたしておりませんが、ただ給付の内容等につきましては、年金問題小委員会の考え方に示された内容をこれに盛れるように十分努力してまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/113
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114・岡田利春
○岡田(利)委員 しかし定款の「事務所の所在地」とかその他「会員に関する事項」「総会に関する事項」あと事業その他についてはある程度制約を受けられてきますからいいとして、この基金を創設する以上、これらの点についてはある程度構想というか、いま答弁されたように会員はどう扱うとかあるいはその結果、総会についてはどういうことになるのかというものがほぼ明らかになっていないのでは、自主的にまかせるのだということにならないと思うわけです。したがって相当大幅に自主性にまかせるとしても、肝心なところは政令事項ではございませんけれども、行政指導の柱として明確に示す必要があるんじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/114
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115・伊部英男
○伊部政府委員 この定款は、厚生大臣が通産大臣と協議をして認可をいたすわけでございますので、その過程におきましていろいろ基金とよく相談をして問題を煮詰めてまいるという趣旨でございまして、政府におきまして定款案といったようなものの用意をしてこれを事業主側に、申しつけるわけではふりませんが、示すといったようなことは避けたい、そういう意味で申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/115
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116・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほどから議論になっておるように、坑外員の場合には、会員の二分の一以上の希望がなければならない、こういう法のたてまえになっておるわけですね。そういたしますと、その会員に関する事項が権利義務がどういうぐあいになるのか。これは一票一票なのか。あるいはまた会員の構成について別な点について検討する余地があるという答弁でもあるわけですから、そういたしますと、その基本になる会員に関する事項だけでも明らかになっていないと問題なんじゃないですか。この法そのものの前提がくずれるわけですからね。基本になる面がくずれるわけですから、これは明確にしておかないと、あとの坑外員の場合に重大な問題になると思うのです。場合によってはちょっと審議がむずかしくなってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/116
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117・伊部英男
○伊部政府委員 先ほど申し上げました実情に合うように相談したいというのは、総会における議決権の取り扱いでございまして、この点運営に関してはと申し上げたのでございますが、設立の際の会員あるいは先ほど問題になりました十八条の二分の一以上の会員、これは会員として大きな企業も小さな企業も一票を持つわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/117
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118・岡田利春
○岡田(利)委員 この基金の設立にあたって、この基金の対象になる事業所で厚生年金保険の適用を受けていない事業所はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/118
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119・伊部英男
○伊部政府委員 基金の対象になる事業で厚生年金の適用を受けていないという御質問でございますが、それはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/119
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120・岡田利春
○岡田(利)委員 いま適用事業所の厚生年金の保険料の納付状況はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/120
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121・網野智
○網野政府委員 保険料の納入状況に、きまして御説明を申し上げますと、昭和四十一年度の関係でございますが、昭和四十一年度の現年度分といたしまして、総数といたしまして、大体九六・九七%を納めていただいておるわけでございます。これは、ちなみに申し上げますと、健康保険料よりはいいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/121
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122・岡田利春
○岡田(利)委員 いま発表になった数字で、納めていない事業所はどういう事業所ですか、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/122
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123・網野智
○網野政府委員 こまかい具体的なケースは、ちょっと私資料を持っておりませんのでわかりませんがたとえば炭鉱がつぶれてしまった、したがって清算段階に入っておる、こういう会社につきましては、過年度保険料の滞納という問題がございます。これにつきましても、できるだけ納めていただくように督促状を出すなり、いろいろな手段を講じまして、できるだけ納めてもらうようにしておりますが、なお事実上取れないというような形も若干出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/123
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124・岡田利春
○岡田(利)委員 そうすると、この基金の見通しとしては、大体この程度の九六・九七という数字が出たわけですけれども、この程度でいける、こういう確信をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/124
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125・伊部英男
○伊部政府委員 この程度以上の数字をあげなくてはならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/125
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126・岡田利春
○岡田(利)委員 基金の運営審議会というのが設けられておるわけですが、これは学識経験を有する者のうちから理事長が委嘱する、しかもそれは十名以内である、こうなっておるのですが、この構想は具体的にどういうことをねらっているのか。また、これは基金の業務の適正なる運営となっておりますけれども、おもにどういうことを審議会に付託されるということで考えられておるのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/126
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127・伊部英男
○伊部政府委員 年金制度は長期にわたる制度でございますので、いろいろ世の中の状況に応じまして、給付その他の内容につきましても変更を加えていくような事態が生じようかと思うのでございます。その場合におきまして、いろいろ労使間におきまして意見の相違等もあろうかと思うのでございます。その場合におきまして、ちょうどこの法律案を提出するまでの過程におきまして年金問題小委員会が果たしたような機能を、この運営審議会に期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/127
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128・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、今後の情勢の推移等があれば、それに適合するように年金基金の内容等についても変わることがある、適応していかなければならない、こういう面を特に運営審議会に期待している、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/128
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129・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。
なお、それとともに、労使間がこの年金問題を契機としてまたいろいろ問題を起こすことは非常に好ましいことではございませんので、労使間の意見がこの運営審議会の場において十分煮詰まって、新しい事態に適応しつつ、労使間のそれについての一そう円滑な関係ということを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/129
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130・岡田利春
○岡田(利)委員 広い意味における学識経験者という中には、労使に所属する者が経験者として入ることが予想されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/130
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131・伊部英男
○伊部政府委員 これも先ほどの役員人事等々と同じように、政府としてこの運営審議会の委員に任命される人について、こういう人であるべきだということを発表する性質のものではない。いずれにしましても、この運営審議会の委員の方々は、労使双方から信頼されておられる方でなければならないということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/131
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132・岡田利春
○岡田(利)委員 私は広義に解釈して、十名以内ですから、一名くらいずつは労使の意見というものも反映できるような人が入っていていいのではないか。十名とすればその二割ですか、二名くらい、そういうほうがむしろスムーズにいくのではないか、実はこういう気がするわけです。もちろんこれは干渉することではないでしょうけれども、特にこの基金ができて、学識経験者を任命する場合には、そういう点についても検討してよろしいのではないか。またそういう点のサゼスチョンをすることは、別にどうということはないわけですから、基金の設立の経過にかんがみてそのほうが望ましいのではないか、こう私は考えて、学識経験者の範囲といいますか、中身になるわけですが、そういう点を実は希望いたしているわけですが、そういう考えについてはいかがですか。どういう見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/132
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133・伊部英男
○伊部政府委員 ただいま申し上げましたような趣旨におきまして、この運営審議会には労使双方からいわば信頼される方であることが望ましいわけでありますが、ただ法律の規定の上から申し上げまして、労働者の代表そのものは、やはりこの法律の解釈上入らないのではなかろうかという感じはいたします。
そこでこの運営審議会の委員を任命する際に、労使双方から非常に信頼の厚い方々を選ぶべきであるということを申し上げたわけでございますが、先生の御指摘になられたような点も、基金が成立した場合には、こういう議論がありましたということの国会の場における模様はもちろんお伝えいたしたいと思いますが、やはりいまの段階におきましては、抽象的に労使双方の信頼の厚い方であるべきであろうということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/133
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134・岡田利春
○岡田(利)委員 もちろんこの基金は、事業主が共同基金として負担するわけですから、厚生年金とは違うわけです。政府、被保険者、事業主と、こういう三者の関係とは違うわけですが、しかしその基礎が厚生年金であり、設立の経過、その目的、設立の趣旨というものを考える場合に、そういう点は許容でき得る面で消化したほうがよろしいのではないか、私はそう考えますので、特にこの点については意見として述べておきたいと思います。
それから基金の行なう事業でありますが、「坑内員又は坑内員であった者の死亡に関し、一時金たる給付の支給を行なうことができる。」ということになっているわけですが、死亡脱退金の問題でございますが、ただこの場合、これも先ほど若干議論が出ておりますけれども、いま制度ができて、五年後に初めて給付が行なわれるわけです。そして過去十五年間通算期間があれば、一応めどとして二千五百円、こう言われておるわけです。しかし長期にものごとを考えてみますと、二十年間ないし三十年間この基金が積み立てられる、そうしてそういう対象労働者が死亡する、二十年であれば七千円、ということになっておるわけですね。これも、死亡一時金で消化をされるとうい点について若干私はどうかといういような考え方があるわけです。たとえば、厚生年金であれば半額、遺族年金として支給される。あるいは、いま炭鉱における民間企業の年金制度を調べてみますと、大体これは本人が死亡した場合には十年に限り年金を給付する、こういうたてまえになって民間の炭鉱の退職年金制度とういものはつくられているわけですね。私はそういう面から考えれば、死亡の場合、その年限にかかわらず、発足以降の年限にかかわらず、すべて死亡一時金とうい形で処理されるということについてどうか、こういう気持ちを持っておるわけなんですが、そういう長期的な展望に立ってこのように規定をされたのか、あるいは別な理由があるのか。そういう長期的な展望に立つ場合には、それもずいぶん時間のある問題だから、その点は研究をして、民間でもやっている十年間に限っては支給をするというような考え方に立つのか。こういう点についての検討はどの程度まで行なわれてこういう考え方に立たれたのか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/134
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135・伊部英男
○伊部政府委員 この死亡一時金は、年金問題小委員会の考え方にございまする老齢年金受給の期待権を尊重する意味において、受給権者が受給開始後二年以内に死亡した場合において、年限に達するまでの残存期間に対応する年金総額の半分程度を死亡一時金として支給すべきであろうということになっておるのでございまして、老齢年金受給の期待権を尊重するという意味でございます。
先生の御指摘の問題は、私のほうで誤解があるかも知りませんが、何年でもとにかく、多少時間を要するといたしましても、老齢年金受給の資格がつかないでも、それ以前になくなっても一時金を支給せよという趣旨でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/135
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136・岡田利春
○岡田(利)委員 私の言うのは、極端に言えば、これから二十年たって受給資格を持った、そして支給を受けないで死亡する、その場合も一時金で処理されるわけでしょう。しかし、民間企業の、たとえば炭鉱でいまやっている年金の場合でも、そうい場合には十年に限って遺族にこの年金をやるとか、そういうような方法もあるわけです。あるいはまた厚生年金の場合には、これは半額支給をする、こうなっておるわけなんです。二十年なら二十年つとめて資格を持ったけれども、主人が死んだために半額だけ一時金で処理をされるという点については、基金の趣旨からいって若干弱いのではないか、こういう私は見解を持つわけです。その点についてはやはり厚生年金もしくは、年数を限って遺族給付をするとか、そういう点が考慮される、べきではないか、こう思うのですが、そういう点が出てこなかった理由は一体どういう理由によるのかということです。あるいは検討されたかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/136
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137・伊部英男
○伊部政府委員 先ほど来申し上げましたように、この制度は、老齢年金受給の期待権を尊重する、さらに、この制度自体が老齢年金の支給を目的といたしておるのでございます。その点では厚生年金基金もまた同様でございまして、厚生年金基金でも、ただいま先生御指摘のような意味での遺族年金はここでは実施いたしてならないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/137
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138・岡田利春
○岡田(利)委員 厚生年金の場合は遺族年金があるでしょう。それは給付額の半分は遺族年金として給付されるようになって、いるわけですね。その目的とするところは、やはり労働者の老齢についての生活の安定、もちろんこれは本人はもとより家族を含めて生活安定ということが考えられて定められておるわけですね。その点私は同じ趣旨ではないかと思うわけです。
したがって、特別年金というものを設ける。それは今日の石炭産業の置かれている現状から、雇用を確保するという問題もある。炭鉱というのま、御存じのように、一産業一社会的な傾向にございますし、比較的都市炭鉱というのはまれなわけです。そこに家族とともに、家族の協力を得てでなければ、炭鉱に長期的に働くということは不可能なわけです。そういう面ではほかの産業とは特殊な面が特にあるわけです。私は、そういう面で、厚生年金の上に特別基金制度をつくって、年金をプラスアルファで出すという魅力が、本人だけでなくして家族を含めて、魅力がなければならぬと思うのです。
そういたしますと、今後二十年なら二十年、年金の積み立てをした、ところが死亡したという場合に、単にそれが一時金で処理をされるというのはどうか。むしろそれは厚生年金の遺族年金にプラスしてある程度の年金が支給をされるという方向のほうが望ましいのではないか、こう私は考えるわけなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/138
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139・伊部英男
○伊部政府委員 厚生年金におきましても遺族年金は厚生年金の本体で解決をいたしているものでございます。厚生年金基金は老齢年金が中心でございまして、他に死亡等の一時金はございますけれども、遺族年金はやはり厚生年金本体で解決をいたしておるものでございまして、これに準じましてこの場合も遺族に関する部分は厚生年金本体で遺族年金として支給をされるというぐあいに考えておるのでございます。
さらにまた、遺族年金といったような問題につきましては、やはりそういう取り扱いをいたしましたのも、なるべく大きな分母でやったほうがよろしいということがその基礎にあるわけでありまして、遺族年金の問題につきましては、厚生年金本体の今後の一そうの改善の問題として考えていきたいと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/139
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140・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、この石炭鉱業年金、特別年金も、厚生年金本体で解決してもいいわけです。だから、遺族の部分についてはこの基金の本体で解決すればいいじゃないですか。同じ考えでいいのですよ。でなかったら、炭鉱労働者の特別年金そのものを全部厚生年金の本体で解決する。しかしそれは他産業のやつが食い込んでおるという答申があって、こういう特別基金、共同年金制度ができたわけですね。したがって、死亡した場合には一時金で処理をするのではなくして、その上積みなんですから、その半額なら半額は遺族年金で、この基金の本体で解決すればいいのじゃないですか。そういうことは不可能ではないのじゃないですか。私はそう思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/140
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141・伊部英男
○伊部政府委員 厚生年金全体の改善で考えてはどうかという点も、一つの検討の過程におきましては出た問題でございますが、それはやはり厚生年金自体におきますバランスがあるのでございます。すでに坑内夫が厚生年金の中におきまして非常に優遇を受けておるということから、そのバランスの問題もございますし、さらに、御承知のとおり、この石炭鉱業年金基金は全額事業主負担で行なわれておるのでございまして、厚生年金はたてまえとして労使折半負担ということになっておるのでございます。坑内夫なりあるいは石炭産業に関する部分だけこの原則をくずすことも非常にむずかしい面もございますし、結局年金制度全体としては、先ほど来申し上げましたような、厚生年金基金のいわば変形ともいうべき合同石炭鉱業年金基金という制度で問題を解決しようと考えたわけてございます。
その場合遺族年金をどう考えるかという問題でございますが、遺族年金という形で問題を考えますと、やはり一そう、問題といたしましては狭いグループでありますと、死亡事故が遺族年金のコストとして大きくかぶってくるわけでございまして、やはりそういった趣旨で厚生年金保険法におきます厚生年金基金でも遺族年金、障害年金は厚生年金の本体で政府管掌部分で解決する、基金につきましてはその老齢年金のプラスアルファ分を中心に考えていくという整理をいたしておるのでございます。
なお遺族年金につきましては、昨年の二月の法律改正によりまして、業務上の死亡に関しましては労災と厚生が併給をされることになっております。それから基本的に遺族年金につきまして、特に子供のある遺族につきましていま少しく給付を改善すべきではないかという議論が厚年部会その他の審議会等におきましても行なわれておりまして、かつILO百二号条約におきましてもそういうような議論がございますので、次の改正の機会に遺族年金の改正問題につきましては十分前向きで取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/141
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142・岡田利春
○岡田(利)委員 私はこの二十年ということを問題にするわけです。結局炭鉱に定着してもらいたいという意味を込めて、こういう年金制度ができるわけです。これは家族の理解と協力を必要とするわけです。したがって二十年つとめた、そして本人は死亡した、そして一時金でそのまま消化されてしまう。ですから二十年つとめた場合には、たとえば十年間なら十年間、民間でやっているように遺族に対して十年間に限ってある程度の見合う給付額を差し上げるということも、これは決して悪いことではないわけです。別に体系をくずすこともないわけです。範囲内でやるわけですから。むしろそういうことをくふうされたほうがより魅力的ではないか、実際的ではないかという気がするわけです。企業で働いておるのは本人だけなんだ、家族は別なんだという感覚はどうも理解ができないわけです、特に炭鉱労働の面からいけば。この点私は検討されていいんじゃないか。しかしこの基金が発足して五年後から給付が始まる。だから十五年を認めるという、この二十年と分離をして考えないといけないと思うのです。私は二十年以内については一時金で消化をする、二十年の権利が発生した以降についてはこの年数を限るとかあるいは給付額で見る、こういう方法がやはりこの年金のたてまえでは実際的ではないか、こういう気がするわけですが、そういう点の検討は別にされていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/142
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143・伊部英男
○伊部政府委員 厚生年金は、先ほども説明申し上げましたように労使折半負担でございまして、労働者も相当の負担をいたしておるわけでございますが、その場合老齢年金の長年の積み立てを経て老齢年金受給資格ができた。ところが日ならずして死亡したというような場合においては、遺族年金、いわば労働者の負担した分の掛け捨て防止といったような趣旨もあるのでございますが、この石炭鉱業年金基金の場合は全額事業主負担でございまして、この点多少厚生年金の考え方と違う面があるのでございます。もちろん厚生年金本体で坑内夫の老齢年金をもらっておる方がなくなって遺族年金を受けることは当然でございますけれども、そのロジックをこのまま石炭鉱業年金基金に持ってくるわけにはいかない面がございます。
さらに先ほど数理課長が、平均余命を十九年と申し上げたわけでござますけれども いま先生御指摘のようなことにいたしますと、事実上その十九年が相当伸びるという結果と変わらぬわけでございまして、現在の数理計算上は、ただいま申し上げましたように、死亡後十年の残存期間に対応する年金相当額の半分程度を見込んで保険計算をいたしておる、かような状況であるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/143
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144・岡田利春
○岡田(利)委員 これはやり方ですからね。そういうこともやれとか、おかしいということにはならないのだと私は思うのです。ただ組み立て方がこう組み立てたからこうなるんだということだけであって、そういう点については別な基金なわけですから、おかしいとかなんとかという問題でなくして、組み立て方が違ったのだと思うのですけれども、私はやはりこういう点について、いま五年後の話ですから、しかも私が言っているのは二十年後の話ですから、時間がある話ですけれども、ぜひ記憶にとどめておいてもらわなければならぬではないか、こう考えるわけです。
それと同時にこの基金の運用にあたって、これは事業主が負担することになっていますけれども、この基金に対しても労働者が負担をして参画したいという希望が出た場合、より魅力あるものにするために、そういう希望が出た場合には、これは別に方法はないわけですね。いまの基金の性格というのは事業主負担だ、こうなっているわけですから、将来そういう希望が労働者から出た場合には、そういう点については考慮することができる性格のものですか。それともあくまでも事業主負担一本という考え方に立っておるのか、この法案を出すにあたって、そういう点についても検討されたことがあるかどうか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/144
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145・伊部英男
○伊部政府委員 この制度を考えますときにあたりまして、当初から労働者の安定的確保ということが目標でございまして、そのために事業主の合同した年金制度をつくるということが石炭鉱業審議会でも明らかにされておるのでございまして、その趣旨から申しますと、やはり費用は全額事業が負担をして、それによって給付を考えていくということが本筋であろうというぐあいに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/145
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146・岡田利春
○岡田(利)委員 この基金の運用の問題なんですが、過去十五年間の通算期間があり、五年間つとめれば坑内夫は五十五歳から二千五百円、二十年後は七千円を支給する、これは年数によって違うわけですね。この点は費料をぜひ出してもらい一たい。
それから坑外員の場合、これはさまれば六十歳から支給をされるわけですね。この場合についても同様その年数によって一応試算されているわけですから、額がきまっておると思うのです。これはぜひ資料で出してもらいたいと思うのですが、これはできているわけでしょう。五年何ぼ、六年何ぼ、二十年何ぼ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/146
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147・伊部英男
○伊部政府委員 やってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/147
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148・岡田利春
○岡田(利)委員 それは資料として、いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/148
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149・伊部英男
○伊部政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/149
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150・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほど質問が出ておりましたけれども、坑内に十五年間働いていて、その後坑外に五年間働いた場合には二千五百円出るわけですね、五十五歳になれば。坑外に十五年いて坑内に五年いた場合にはこれはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/150
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151・伊部英男
○伊部政府委員 さような場合は坑外夫の取り扱いになると思います。ただし坑内員として働いた期間につきましては若干の優遇をすべきであろう、こういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/151
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152・岡田利春
○岡田(利)委員 そうすると逆に、坑内に十五年働いて、坑外に五年間働いた場合には、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/152
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153・伊部英男
○伊部政府委員 その場合も坑外夫の扱いになります。そうして坑内期間について若干優遇される、つまり坑内が二十年にならない限り坑内の年金にはならない、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/153
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154・岡田利春
○岡田(利)委員 そうすると、過去の通算期間が二十年いて、坑外に五年いた場合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/154
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155・伊部英男
○伊部政府委員 その場合は坑内夫の年金が支給されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/155
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156・岡田利春
○岡田(利)委員 いや過去です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/156
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157・伊部英男
○伊部政府委員 坑内の過去二十年とおっしゃいましたが、過去は十五年でございますからもう五年働いていただかなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/157
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158・岡田利春
○岡田(利)委員 優遇措置をとられるといいますけれども、この点が炭鉱の特殊事情なわけです。たとえば坑内に過去二十年も働いておった、そして災害にあって坑内労働は不適である、したがって坑外勤務をしなければならないという方も相当出てくるわけですね、炭鉱災害率は高うございますから。それからまた、もちろん疾病によって坑外に転換する人もあるでしょうが、いろいろ事由はあると思うのですね。そういう点で、特にこの面の優遇措置というのは単に年数だけで考えられるのか、事由によって考えられるのか、そういう点については検討されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/158
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159・伊部英男
○伊部政府委員 当初考えられておりましたのは坑内員だけでございましたので、坑内員として働いておられた方が、たとえば災害等によりまして坑外に出られる、そういった場合の特別の配慮をせよということが石炭鉱業審議会の答申にも明らかにされておるのでございますが、その後坑外員にも実質上適用する、そしてそれを合わせて考えるということでございますので、坑内員である期間について、たとえば十五年あれば十五年分について優遇措置を考える。その場合坑内員であった方が坑外に移った事由は問う必要はない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/159
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160・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、今度は坑外に十年いて、坑内に十年いた場合にはどうなりますか、十年ずつという場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/160
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161・伊部英男
○伊部政府委員 坑外夫の年金を支給されることになりますが、坑内員であった期間十年について優遇措置がとられるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/161
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162・岡田利春
○岡田(利)委員 そういたしますと、結局はその坑外員であった者が坑内に入った場合には、これからこの法が施行されてからとにかく今後二十年間坑内にいなければ、五十五歳からの坑内員の給付は受けられない、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/162
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163・伊部英男
○伊部政府委員 御指摘のとおりになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/163
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164・岡田利春
○岡田(利)委員 ここなんですね。優遇措置といっても、まず厚生年金では六十歳と五十五歳とこうなっているわけですから、これが一つもう違いがあるわけですね。それと同時に、いま石炭の合理化というのはずいぶん進んでまいりまして、坑内員がずいぶん減ったわけですね。昔は四分六分の割合で坑内員がおったのです。ところが今度はほとんど二割に満たない。極端なところは一割ちょっとですね。非常に減ったわけです。しかしさらに坑外員関係はどんどん縮小して、今日の石炭産業の合理化の趨勢の中でぜひ坑内で働いてもらう、こういう方向で坑内に転換をしておるわけなんですね。ですから坑内に十年おって坑外に出た場合と、逆に初めは十年間坑外員であって、あとから坑内が十年であるという場合、この場合は実際にはずいぶん意味が違ってくるわけです。鋭角的な合理化を進めたわけですから。そうしてこういう制度の問題まで発展してまいったわけですから。したがって同じ十年、十年の年数であっても、あとから坑内に入ったほう、このほうを優遇しなければならないのではないか。このほうが坑内人員の確保という立場からも、また設立の経過からいっても、当然配慮されてしかるべきではないか、こう思うのですが、その認識についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/164
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165・伊部英男
○伊部政府委員 坑内員の期間と坑外員の期間の評価を異にいたしておりますので、坑内員の期間が少ない方が多い方と同じような評価を受けるということは原則的には適当でないと考えられます。
ただ御指摘のような問題は、結局具体的にいいますと、通常そういう場合は相当高年齢で坑内夫に入ってきたということになろうかと思うのでありますが、相当高年齢で厚生年金に入ってきた場合におきましては、厚生年金本体におきましても優遇措置があるのでございますが、将来の問題として検討をしてよい問題だと思います。同じ期間を同率に扱うという意味ではなく、高年齢で新たに入ってきたという意味で、将来の問題として検討すべき問題であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/165
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166・岡田利春
○岡田(利)委員 御存じのように、昭和三十八年ごろから鋭角的な合理化が進められているわけです。そうして、坑外から坑内にもどんどん入ったわけですね。たとえば過去十年、十五年坑外だったけれども、三十八歳で坑内に入った、これは定年という制度があるわけです。五十五歳の定年、一般どこの炭鉱でも常識化されているのです。これ以上の定年はないわけです。おそらく、適用を受ける炭鉱は全部定年は五十五歳です。そうすると、十八年しかないわけです。しかし、過去、坑外の勤続年数というものは非常に長い、こういうケースも出てくるわけですね。しかし、年金のたてまえからいって、二十年という線が厳然としてあるわけで、二年間足りないために坑内の年金が受けられない、こういう面が出てくるわけなんですが、こういう場合に、坑外の過去勤続年数期間というものについて、やはり考慮されていいのじゃないか、こう思うのですが、そういう点については検討されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/166
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167・伊部英男
○伊部政府委員 坑外夫も適用対象といたします関係上、坑外夫の過去勤務期間も、従来とは違いまして生かされてくるわけでございますが、ただ御指摘のように、過去十年間坑外夫で、その後十年坑内夫であるという場合におきましては、年金の本筋としてはいわゆる坑外夫という支給になるのでございまして、その点が、現在の体制におきましては、やはりそういう坑内夫を中心に考えていきまして、坑外夫の期間も、坑外夫としての取り扱いを考慮していくということになるかと思います。その点は、坑内夫だけに当初計画がしぼっておりましたのに比べますと、坑外夫の取り扱いは非常に有利になっておるということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/167
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168・岡田利春
○岡田(利)委員 問題は、厚生年金というものが一つ基礎にどうしてもあるわけですから、そういう点でなかなかめんどうな問題だと思うのです。しかし炭鉱の坑内で二十年間働いて五十五歳から年金の適用を受ける、二十年から若干でも欠けて、炭鉱労働者だったけれども坑内員の適用は受けられないということになってきますと、五年間のズレがあるものですから——坑内勧誘という面では、いまほんとうに十八歳からぱっと若年労働者が炭鉱の坑内に入るか、それとも農業をやっておったりあるいはほかの坑外にいたりして、転換して坑内に入ってもらって労働力を確保する、いずれかなんですね。中途半ぱなんというのはないですよ。二十四、五歳からふらふらと来るというのは少ないわけです。大体、養成などしていますから、さっと入ってくるかあるいは中高年齢に近くなって坑内に入るわけです。転換してくるというケースが非常に多いわけなんですね。もちろん厚生年金の場合にはほかのお金を食うわけですからなかなかめんどうなわけですが、せめて基金の成立趣旨からいって、こういう面については弾力的に扱っていいじんゃないか。いわゆるある一定の中年齢層になって坑内に入る、そういう労働層も大事なわけです。どうしても労働力を確保しなければいかぬのですから、そういう面については基金の制度が違うのですからもう少し弾力的に考えられていいんじゃないか。計算は先ほど課長から説明があって年金ときちっと同じで積み立てられているのですけれども、そういう意味で四十円が三十八円になろうと四十二、三円になろうと、四十円でなければならぬという根拠はないわけです。ですから、そういう意味でほかの産業労働者に迷惑をかけないのですから実際的な面を重視をする、実際的な面をやはり考えていくという考え方がある程度強く打ち出されていいんではないか、私はこういう気がするわけですね。今度は審議会もできるわけですから、そういう実際面に対応して基金を運用するというような面についてある程度弾力を持たしたい、こういうふうに私は思うわけです。そういう面についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/168
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169・伊部英男
○伊部政府委員 ただいまの基金の積み方としては先ほど来御説明申し上げたとおりでありますが、ただいま御指摘の問題につきましては、この基金に設けられます運営審議会等におきましても十分検討してもらいたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/169
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170・岡田利春
○岡田(利)委員 坑外員の場合には過去年数十五年で五年間つとめる者、そして六十歳からですね。二十年間坑外員としてつとめて六十歳になった場合には、答申にはこの面は出ていないのですが、積算の基礎として年金給付額は幾らですか、その下限と上限は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/170
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171・伊部英男
○伊部政府委員 坑外夫は、期待する給付は六十歳支給でおおむね坑内夫の半分程度というのが年金問題小委員会の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/171
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172・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほど来から実は問題になっているんですが、この年金は、資格期間を満たした者が五十歳にならないときは五十歳までとにかくいなければならぬわけです。三十年つとめようが——十八歳から三十年つとめても四十八歳ですから、三十年つとめても五十までいなければこの年金の資格にないわけですね。これは厚生省は厚生省で積算があって、こういう答申の内容も小員会の結論もこういうような方向ですから、それに基づいて積算して一応先ほど来から説明があったと思うのですが、これは矛盾もはなはだしいんじゃないかという気がするわけですね。特にきょう労働省においで願ったわけですが、この点はいかがですか。十八歳から坑内に入るわけですね。三十年つとめても——たとえば二十年後の炭鉱というものはどうなるかわからぬですよ。山がつぶれることもあるわけです。自分の意思によらずして炭鉱をやめなければならぬという場合もある。あるいは炭坑災害が多いですから、重傷を負って、その結果就業できないという方も出るわけですね。それが二十年あと、極端にいえば三十年あとでないとこの年金の受給を受けられない。これは雇用慣行の面からも出ておるわけなんですが、厚生省は小委員会の結論でそういう積算基礎で出されておるわけですから、今日の労働政策の観点からいってこれをどう一体考えられているか、まず労働省の見解を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/172
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173・上原誠之輔
○上原説明員 今回の石炭鉱業の特別年金基金法につきましては、石炭鉱業審議会の答申によりまして労働力確保ということを主な目的として立案されておるわけです。先生いまおっしゃいました受給資格の要件でございますけれども、この点につきましても小委員会で相当専門的な立場から検討されました結論に基づいてそういうようなことにせられておるものと考えております。したがいまして、そういう意味におきましては労働力確保という目的からいたしまして適切な定めではないか、こういうふうに私ども考えております。ただ労働力確保ということにつきましてこのような年金法、年金制度だけで十分であるかと申しますと、そうはまいらぬので、いろんな条件を整備いたしまして、基本的には石炭鉱業に労働者が集まるような条件をつくり上げるということが必要であろうと思う次第でございます。
なお私どもの職業安定機関といたしましても、労働力の確保の面につきましてはあらゆる効力をいたしまして、措置を講じてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/173
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174・岡田利春
○岡田(利)委員 なかなか仁義がありますからこっちの期待しているような答えが出てこないのですけれども、石炭局長にちょっとお伺いしますけれども、四十五年度には石炭産業を自立、安定させるということで石炭特別会計法もできておるし、これから対策も進めていくわけです。しかしその場合、昭和五十年の炭鉱は一体どういう形になるだろうか。これは石炭ですから、工場と違って掘ってしまえばなくなり、またなくなったらやめなければいかぬわけです。そうして昭和六十年にはどうなるか。これから二十年ということになると昭和六十二年になるわけですね。しかし通産省はいま、五十年まではこうなるんだということで再建計画を立てさせておりますけれども、有沢答申では、昭和五十年、昭和六十年でも五千万トンの石炭を総合エネルギー調査会で確保するという数字が出ている。しかしその見通しというものは従来も明らかにされたことはない。私の判断では炭鉱が相当大型化していく、だから小さいところはつぶれるものはつぶれてしまう。そういう前提に立てば、大きなところも休廃山の形になって山が閉山をされるという場合もあるわけですね。しかも日本の石炭は九州と北海道に偏在をして、常磐がある、こういう形ですから、北海道内で炭鉱から炭鉱へ行くことは可能なんですが、一部は九州からも北海道に来ておりますよ。しかしこれから長期的な展望で北海道から、九州、九州から北海道の炭鉱に来るということは、日本の端から端ですから、これは言うことはできても実際問題として非常にむずかしいと思うんですね、部分的には行なわれても。そのことが雇用政策として当然であるなんということは言えないと思う。そういうような面から見て、どうもこの問題がひっかかるのじゃないか。当面は別に問題なくても、年金というものができた以上、これは未来永久に石炭がある限り続くものだと私は思うから、そういう展望に立ってつくらなければならぬと思うのです。したがって昭和五十年度、昭和六十年度のわが国の産炭構造というものはどういう変化を示すのか。相当な変化があると思うのですが、概略もし説明願えれば説明を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/174
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175・井上亮
○井上(亮)政府委員 私どもは、石炭鉱業の長期計画をつくるに際しまして、さしあたり四十五年度くらいまでの計画につきまして十分その内容について精査というような体制で臨んでおるわけでございますが、それ以後の問題につきましては、従来の石炭鉱業審議会の検討に際しましても一応展望程度にとどめております。しかしながら今度具体的に再建整備計画を審議するということになりますと、四十五年度までだけの精査ではやはり不十分だとい声うもありまして、少なくとも五十二年くらいまでの展望につきましては、ある程度炭量の問題とか、あるいは炭量につきましても相当経済性のある炭量の有無というような点、あるいは機械化の可能性についての長期展望というような点につきましてもただいま検討しておりまして、いずれにしましても四十五年度までだけの計画にとどまらないで、やはりもうちょっと長期の展望に立って施策を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ十年後の産炭構想はどうなるかということになりますが、私どもは各社個別にあたりまして、やはり十年後におきましても施策においてよろしきを得れば、少なくとも供給量につきまして五千万トン程度の出炭体制は可能ではないかというふうに考えております。しかし五千万トン程度の供給量といいます場合でも、やはり姿はだいぶ変わったものになろうと思います。と申しますのは、やはり今後十年たちますと、老朽炭鉱の閉山と申しますか、整理というものは避けがたい事実でございます。そういった変化は今後の四年間に引き続いてやはり動くというふうに考えております。しかしその反面ビルド山につきましての機械化体制の促進あるいはこれの増強対策というものが各社それぞれ計画されておりますので、要するに閉山によります出炭の減少は、このビルド山の生産の増強で補われる。またそれだけの炭量もあり、また山の条件についても十分耐え得るだけのものはあるというふうに見ておるわけでございます。
なお九北の姿でございますが、やはり北海道が九州よりも増強面のテンポは強いと申しますか、幅広いものになるのではないか。特に原料炭につきましては、御承知のように新鉱開発等も現在進めておりますので、この原料炭の開発等につきましても、また数年たちますと新たな原料炭開発の問題が始まるのではないかというふうに考えております。ただ九州におきましても、拠点的な、先生よく言われる大型化といいますか、そういう意味での拠点的なビルド山の増強というものは、今後十年、二十年にわたって続けられるであろうというふうに考えております。ただ炭量の少ない零細炭鉱については、今後十年を待たずして相当整理が行なわれるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/175
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176・岡田利春
○岡田(利)委員 私は労働省もいま経験的におわかりだと思うのですが、炭鉱が閉山になってそのうち何割かはまた炭鉱に就職をしておるわけです。またそういう意味では制度の改正も行なっておるわけです。しかし中年齢層いわゆる四十代、あるいは高年齢層の場合なかなか就職がむずかしい。特に炭鉱から炭鉱という場合には四十代が問題なんです。いまの場合でも基準としては初めは三十歳以下の労働力を確保するということは、平均年齢が三十九歳、坑外が四十一歳ですから、どうしても平均年齢を若返らせるためには、平均年齢以上の者を採用しておったのではますます老齢化していくわけですね。こういう数字が出ているわけですから、結局三十九歳以下の者を採用しなければ若返らないわけですよ。そうすると炭鉱から炭鉱へ行く場合でも、結局四十歳あるいは中小炭鉱のような場合には四十五とか五十過ぎとかありますけれども、あと炭鉱で働くなら組夫でも入らなければ働けない。ところが組夫はこの年金法の対象にはなっていない。有沢さんの小委員会では、直轄夫に切りかえるべきである、まことに当を得たごりっぱな御意見なんですけれども、現実はそうはまいらないわけですよ。炭鉱というものは次々と堀進をするわけです、それが企業堀進であります、起業工事の組夫がやるわけですから、組夫は一定の数確保されている。これを全部直轄夫でやるなんて体制は、いまの場合は言うことはできても実際的には考えられないことだと思うのですね。こういう中に矛盾がある。五十歳というのは矛盾がある。一方においては山の閉山が自分の意思によらずして行なわれるということになるわけです。
そこで私は、この点は、もちろん五年後、各通算期間十五年あって五年たてば年金がもらえる、それと今後二十年間の人のために経営者、事業主が積み立てをして、二十年たっても、五十歳にならなければもらえない。ですからこの基金ができても、五年後から給付が始まり、しかも基準になるものは二十年だとすれば、その間各通算期間十五年あって五年の場合と、今後二十年の場合、これはずいぶん違いがあるわけですね。ここをある程度くふうをしなければならないのではないか。そういう面で実際的にも少しくふうをしなければならないのではないか。でないとなかなか魅力のある、あるいは年金というものが全部が生きてこないということになるのではないか、私はこう思うわけですね。この点一応厚生省としては年金の答申を受けてそれぞれ積算をしたわけですけれども、こういう実際面について、ぜひこれは労働省、厚生省、通産省、三者詰めて実際的になるように処置をすべきではないか、こう考えるわけなんです。
まあ端的にいえば、今後二十年つとめた者は厚生年金の受給資格があるわけですから、それには五十歳でなくても上げなさいということですよ。あとの各通算期間の問題点についてはなかなか御意見があろうと思うのですが、これは実際的に処置すればいいと思うのですね。まず基本になるものは今後二十年つとめた者については受給資格があるのだ、こうしなければならないと思うのですね。この点ぴしゃっとセットされたものではないでしょう、この積算基礎、どうですか、そこまで全部あれしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/176
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177・伊部英男
○伊部政府委員 三十五歳以下の人数がどの程度であるかということを積算基礎にしてそういう計算をいたしておると思うのでございますが、その点先生御指摘のように五十歳まで働いてその後退職をした人に対して五十五歳から年金支給をするというのは、財政上の理由もありますが、と同時に五十歳までは働いてもらいたいという意味がこの中に隠されておるのでございまして、この点関係各省におきましても、そういう中高年の雇用をすすめるという努力をお願いいたしたいと思うのでございますが、今後の問題といたしまして、今後二十年間、この制度が始まってから二十年やった人についてどう考えるかという問題でございますが、この点につきまして、今後の問題としてこれを運営審議会等におきましても十分検討してまいりたい、かように考えております。
ただ御指摘もございましたが、過去勤務期間が非常に長い間やっております方はこれを含んだ二十年間で単純に年金を支給するということになりますと、逆にその制度が労働力を確保するものではない、労働力を出してしまうという制度にもなりかねないおそれがございますので、過去の勤務期間を含む方につきましては問題がございますが、将来の問題につきましては運営審議会等におきまして十分検討すべきであろう、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/177
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178・岡田利春
○岡田(利)委員 この問題は私はぜひ、法案を出すにあたって統一的な見解というか、そういうものを、もう少しぴしゃっと示していただきたいと実は思うわけです。私は特に憲法の精神からいえば、職業選択の自由ですから、厚生年金の場合でもそれぞれどこへいっても通算になるわけで、これだけ特別年金なものですから、こういう五十歳というものが出てきているわけですが、一応憲法の精神からいっても、厚生年金法があって二十年ということで年金受給資格を持つとするならば、やはりそれはくずしてはならないのではないかと思うわけですね。五十歳まで、いまの場合は気持ちとしてはわかるのです。十五年やってあと三年、これが五十歳。まだ働いてもらいたい。この気持ちはいまの石炭産業の置かれている現状から、また年金のこういう制度をつくるわけですから、わかるわけです。しかしもう少し冷静に二十年というものを考えてみますと、どうも憲法の精神に反するような気がするわけです。そうしてその基礎になる厚生年金の受給資格の発生という面から考えても、ちょっと問題点だと思うわけです。したがって、あすの委員会になるか、あさっての委員会になるか知りませんけれども、私どもこの法案の審議を急いでおりますし、そういう意味ではぜひ一つこの点のある程度の見解というものを示していただきたい、こう思いますので、この点はよろしいですね。あらためてひとつ、もう少しまとまった見解を求めたいと思うのですが、政務次官よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/178
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179・田川誠一
○田川政府委員 いまの問題でございますが、統一見解といいましても、やはりいま私たちが述べた程度以外にはおそらくちょっと申し上げられないのではないかと思います。将来の問題といたしましては、局長も言いましたように、検討すべきことでございますので、そういうことで御了承いただければたいへんありがたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/179
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180・岡田利春
○岡田(利)委員 財源がトン当たり四十円ということなんですが、共同年金ですから、いろいろそれはとり方もあるんでしょうけれども、年金の立て方から言えば、厚生年金の受給資格者ばかりなんですから、厚生年金の場合にはそれぞれの事業所のその所得に応じて政府と事業主が負担するわけですね。そうしてその事業所は総まとめで幾らという納付金を納めるわけです。この場合トン当たりですから、能率百トン出しているところと三十トン出しているところとでは極端な違いです。百トン出しているところは人数が少なくてよけい負担しなければならない。能率の悪いところは負担割合が軽減される、これは非常に矛盾に満ちているわけです。普通、年金の立て方というのは個人単位なわけですから、それをこういうぐあいにトン当たりにした理由は、単に答申が一応財源として「トン当り四十円程度と考える。」こう述べているから、それで最も手っとり早く経費もかからぬ、そんなにめんどくさくなく、ばっと金を集める方法としてすかっと乗ったという感じ、すわり込んだという感じがするわけなんです。そうではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/180
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181・伊部英男
○伊部政府委員 年金問題小委員会がトン当たり四十円程度と示しましたのは、この年金制度に対する事業主の負担の総ワクを、この程度が妥当であろうという判定をされたものでございまして、実際にこれをどう保険料として徴収していくかということは、別にこの小委員会の考え方で示されておりませんし、かっこの法律の中でも示してはおらないのでございまして、これも定款にゆだねられておるのでございます。したがいまして、トン当たりでとる部分と、たとえば人間当たりでとる部分とがあってもよろしいのでございますが、ただいまの関係者との話し合いの方向といたしましては、文字どおりにトン当たり四十円で徴収あるいは負担をするというほうがむしろ簡単かつ明瞭であるというようなことで、そういう方向に落ちつきつつあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/181
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182・岡田利春
○岡田(利)委員 石炭局長、これはどうですか。一つは先ほどの、五十歳でなければもう三十年勤めてもやらないというたてまえ、これは石炭政策の立場から言って、いますぐ労力確保が急務なんです。将来はさらに大型化して合理化されて、そこに安定的な雇用の確保というものは、ある程度時間もありますから考えられるのではないか。いま確保するためには、おまえとにかく入ったら五十までいなければ恩典がないのだぞということはどうかと思うのです。私はこの点は財源等の問題も積算からいえば関係があるのだけれども、たいした問題じゃないと思うのです。ですから、この点は通産大臣も関係があるわけですから、先ほど政務次官も言われておりますけれども、通産、厚生で若干詰めて、いますぐできなくても、審議会もありますし、ある程度この面の問題点を解明する必要があるのではないか、こう実は思うわけです。もちろんわれわれ委員会としては各党相談して、これは最低修正もしくは附帯決議をつけなければならぬ部面なんですけれども、少なくともそういう点についてはあまりにも実際面とかけ離れておる。いま若い労働力を確保することが先決なのですから、そうすると五十までいなくても二十年働けばとにかく年金受給資格は発生するのだ、そうして五十五から要件が発生をしてプラスアルファの恩典を受けるのだということにして労働力を確保しないと、この法律の意味は欠けてくると思うのです。これは財源の問題——政府がやるなら、さあどうしましょうかということになるのですが事業主の負担なわけですから、その背景があるわけですから、この点せっかくの政務次官の答弁もありますけれども、ひとつ詰めておいてもらいたいということが一つです。
それと、トン当たりのこの四十円の問題ですね。通産省としてはトン当たりのはまだきまっていないと言いますけれども、しかしトン当たり四十円、四十円ととにかく言われてきたんです。そういう点についてはいままでの過程からいって、特段の何かあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/182
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183・井上亮
○井上(亮)政府委員 まず最初のお尋ねでございますが、今後二十年坑内で働いた方々に対する措置でございます。これは厚生省がお答えになりましたように、今後私ども検討問題にさしていただきたいというふうに考えております。要は、この問題を考えますときに労働者を炭鉱に定着させるという定着政策、それと公平の問題、この二つから見て、今後二十年働く者はいいかどうかということは、他のこの制度に乗る方々との振り合いもありましょうし、そういう見地から相当真剣に検討してみる必要がある。同時に、しかしその反面定着政策という問題が大切だ。それから第三点は、経営者の負担とのかね合いの問題があろうかと思います。そんな点を総合勘案して、今後労働省、厚生省とお打ち合わせをしていきたいと思います。
それから第二の御質問の経営者の負担の問題でございますが、これは経営者は、率直に言いますとトン当たり三十円というのが経営者の決議に相なっております。しかし三十円ではなかなか十分でないというような意見も、年金問題小委員会の検討の過程で出ました。今日経営者のほうから、条件つきで四十円を最高限度にしたという話が出ております。最高限度と申しますのは、年金問題を今後やっていきますに際しまして、そのつどまた少しこうしたほうがよりベターだ、また負担を上げろや、五円くらいはいいだろうというようなことでは、これはもう収拾がつかない。今日の石炭鉱業の現状では、この四十円の負担につきましても、これはいろいろそのほかに負担があるわけでございますが、その上積みとしての四十円はたいへな重荷であるというようなことからいたしまして、年金問題を運用するに際しまして、基金等におきましてもいろいろな経費も要るだろう、そういった経費に対しては国の補助もあるかもしれませんが、そういったもろもろの経費を全部含めて四十円を最高限度としてやられる場合には、この際炭鉱の労務者の定着政策が必要であるから、この趣旨に反対することはできない。むしろやはりこういう年金制度が必要だ、こういう意見になっております。
それからもう一つ条件がついておりまして、この四十円というのは、本来負担できるものではない。負担できる企業もあります。ありますけれども、負担のできない企業もあるわけでございます。しかしこれは強制年金でございますので、法律がとおりますれば強制徴収ということになりますので、やはり四十円の負担については、何らかの国の助成策がこの措置に伴っていないと困るというのが経営者の今日の意見に相なっております。これらについてどういうふうにするかということにつきましては、またもう少し早生省ともお打ち合わせをしてまいりたいと思いますが、私の感触では、四十円の負担というのは、いろいろな諸経費のすべてを含めて最高限度というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/183
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184・岡田利春
○岡田(利)委員 この点は、普通、厚生年金の場合には三者負担するわけですね。これはもうあくまでも事業主の全額負担という考え方ですね。これは国の石炭政策ともやはり関連があるわけなんですから、従業員の負担が伴わなくても、四十円とすれば、経営者が二十円負担するなら、国は二十円負担していいのではないか。五百二十億も石炭特別会計に出しているわけですから、それを経営にやってしまうとつぶれたところはもらえないわけです。初めから半額は国でもって見る。折半だということになれば、その分だけは確実に基金として積み立てられ、一〇〇%これは確保できるわけですから、非常に安定感も出てくるわけですね。また石炭産業の各企業はもらえるわけです。なぜこれは全額事業主負担にしたのですか。厚生省としては、いろいろこういう答申に基づいてやったのか知りませんけれども、石炭政策全体から見れば五百二十億、企業に対してそれぞれ項目別に助成策をとっているわけですよ。この部面だけ全額というのが無理なら、折半主義、そのことによって基金の安定、安全性を確保することは当然の措置ではないかと思うのですが、これはおたくのほうは石炭会計を設定をしたわけなんですから、この理由をひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/184
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185・伊部英男
○伊部政府委員 坑内夫につきましては、厚生年金におきまして、他の労働者に比べて倍程度の優遇をいたしておるわけでございます。これに対する国庫負担も他の被保険者に対する負担率が二〇%に対しまして、坑内夫は二五%であるわけでございます。これらの点を考えますと、国庫負担はすでに二倍を上回っておるのでございまして、厚生年金において、すでに相当の優遇措置を講じております。
それから、この石炭鉱業年金自信が厚生年金の上積みとしてのいわめるプラスアルファを支給する。厚生年金基金の変形であるという考え方で構成されておりますので、他の産業の厚生年金につきましては別に国庫負担が行なわれているわけではないというような、他産業との均衡との問題ということ。それからそもそも年金制度は非常に永続的な制度でございます。したがって、石炭産業が現時点におきましていろいろ困難な側面に際会していることは事実でございますけれども、しかしながら永久にさような事態が続くことは考えられないのでありまして、やはり将来は回復をするものという前提で考えるべきであると思うのであります。そこで厚生省といたしましては、現在の各般の石炭対策におきまして、かような負担が行ない得るような裏づけ措置が総合的にとれることを希望をいたすものでございますが、先ほど来申し上げたような趣旨によりまして、直接この制度に対する国庫負担を導入することは適当ではないと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/185
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186・岡田利春
○岡田(利)委員 時間がありませんから……。見解としていろいろあるわけですけれども、厚生省としての一応一般的な現実なり、そういうことから離れた考え方としてはわかるのですけれども、石炭産業が一本立ちできるなんということを考えること自体が、これはもうわれわれの認識と違うわけですよ。おそらく半永久的に一本立ちはできない。昭和六十年以降は原子力時代に入る、こういう趨勢が明らかなわけですから、そういう意味で競合燃料から考えて、石炭企業が普通一般企業として自立していける、何も国の補助がなくてもやっていけるという事態になるという想定は、これは日本のみならず外国でもないのですから、日本でもそういうことは特に考えられないと私は思うわけです。しかし、きょうはそういう一応の見解を示されておりますので、時間もありませんから、以上のような質問で終わっておきたいと思います。
ただ最後に、いまいろいろ言われておりますけれども、共済年金、厚生年金があるわけですが、一応この年金が最高水準である、この厚生年金プラスアルファから見れば、こう言われているのですが比較した資料を、質問をしていたら時間がかかりますから、ぜひあす資料として出していただきたいということです。
それから石炭局長に非常にむずかしいかもしれませんけれども、石炭鉱業の従業員が現在全国で常用が十万四千三百五十九人ですか、職員を含めて十二万人おるわけです。大体これが昭和五十年、六十年展望にしてどの程度になっていくのであるか、これは概略でいいです。別にこれはある程度想定できればいいのですが、これは労働省の関係ですか、両方の関係ですか、とにかくそういう資料で展望があれば——大体こういう趨勢になるだろうということですね。
それから労働政策からいって、答申がいうように、組夫、こういうものが直轄夫に切りかえられ得るのかどうか、石炭産業の見通しからいって、こういう点について臨時の雇用というのですか、組夫の雇用、これも含めて大体十年くらいの想定はどうなるのか、これも質問をしておったら時間がありませんから、もし相談して、大体こうなるだろうという概略でけっこうですから、出していただければ幸いです。
それでは以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/186
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187・井上亮
○井上(亮)政府委員 十年後の労務構成ということになりますと、これは非常にむずかしい問題で、事柄の重要性もありますし、私ども事務的な単純な見通しで責任のある国会に、あまり自信のない資料を出すのもどうかと思いますので、できますれば、何か懇談会のような形で私どもの何といいますか、単純見通しといいますか、そういうような姿を聞いていただければしあわせだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/187
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188・多賀谷真稔
○多賀谷委員長 明十三日午前十時三十分から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504589X02519670712/188
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