1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年四月二十八日(金曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 藤井 勝志君 理事 三池 信君
理事 毛利 松平君 理事 吉田 重延君
理事 平林 剛君 理事 武藤 山治君
理事 春日 一幸君
足立 篤郎君 大村 襄治君
奧野 誠亮君 鯨岡 兵輔君
小峯 柳多君 小宮山重四郎君
河野 洋平君 笹山茂太郎君
砂田 重民君 永田 亮一君
西岡 武夫君 村上信二郎君
村山 達雄君 山下 元利君
山中 貞則君 阿部 助哉君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 村山 喜一君
柳田 秀一君 横山 利秋君
竹本 孫一君 永末 英一君
鈴切 康雄君
出席政府委員
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省主計局次
長 岩尾 一君
大蔵省関税局長
事務代理 細見 卓君
農林省畜産局長 岡田 覚夫君
農林省園芸局長 八塚 陽介君
通商産業省通商
局長事務代理 原田 明君
委員外の出席者
専 門 員 抜井 光三君
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四月二十日
委員和田耕作君辞任につき、その補欠として永
江一夫君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
委員竹本孫一君辞任につき、その補欠として永
末英一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員永末英一君辞任につき、その補欠として竹
本孫一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
委員竹本孫一君辞任につき、その補欠として永
末英一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員永末英一君辞任につき、その補欠として竹
本孫一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
委員村上信二郎君辞任につき、その補欠として
中野四郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員中野四郎君辞任につき、その補欠として村
上信二郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員永江一夫君及び広沢直樹君辞任につき、そ
の補欠として永末英一君及び鈴切康雄君が議長
の指名で委員に選任された。
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四月十九日
石炭対策特別会計法案(内閣提出第四五号)
同月二十二日
国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第九一号)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内
閣提出、承認第二号)
同月二十四日
登録免許税法の施行に伴う関係法令の整備等に
関する法律案(内閣提出第九二号)
同月二十七日
税法簡素化のための国税通則法、酒税法等の一
部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
昭和四十二年度における公共企業体職員等共済
組合法に規定する共済組合が支給する年金の額
の改定に関する法律案(内閣提出第一〇一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
四月二十四日
入場税撤廃に関する陳情書
(第一一五号)
燃料関係税の増税等反対に関する陳情書
(第一四五号)所得税法の一部改正に関す
る陳情書(第一
四六号)
音楽、舞踊、演劇、映画等の入場税撤廃に関す
る陳情書外一件
(第一四七号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)
日本専売公社法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四二号)
石炭対策特別会計法案(内閣提出第四五号)
税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一
部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
日本専売公社法の一部を改正する法律案、石炭対策特別会計法案及び税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/1
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002・内田常雄
○内田委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。小沢政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/2
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003・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま議題となりました日本専売公社法の一部を改正する法律案外三法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
最初に、日本専売公社法の一部を改正する法律案について申し上げます。
第一は、たなおろし資産に対する資金手当の円滑化をはかることであります。
日本専売公社のたなおろし資産は、たばこ事業の業務量の拡大に伴い、近年著しく増加しております。このたなおろし資産の増加に対する資金手当は、現行法のもとにおいては、政府からの借り入れ金によらざるを得ないのでありますが、これはたなおろし資産の増加の著しい現在のような事態に適しているとは申し上げかねるわけであります。
そこで、たなおろし資産に対する資金手当を円滑にするため、その方法として借り入れ金の借り入れ先について、現行法が政府に限定していることを改め、政府以外からも借り入れをすることができるようにするとともに、たなおろし資産の増加額を限度として利益金の一部を公社に留保することもできるようにいたしております。
第二は、日本専売公社の監事の権限に関する規定を整備することであります。
すなわち、監事が監査の結果に基づき必要があると認めるときは、総裁または大蔵大臣に意見を提出することができるようその権限を明確にするとともに、公社が大蔵大臣に提出する決算書類に監事の意見を付さなければならないことといたしております。
次に、石炭対策特別会計法案について申し上げます。
御承知のように、昨年七月、石炭鉱業審議会は石炭鉱業の抜本的安定対策について政府に答申したのでありますが、政府といたしましても、この答申の趣旨に沿って石炭対策を強力に推進することとし、このためすでに昨年度におきましても閉山交付金の単価の引き上げ等の措置をとったところであります。本年度からは、さらに、石炭鉱業の借り入れ金債務一千億円に対する元利補給、中小炭鉱等に対する安定補給金の交付等、石炭鉱業の生産の合理化あるいは経営経理の改善及び安定のための措置を強化するほか、引き続き炭鉱離職者の援護、産炭地域の振興及び鉱害復旧の促進等の諸措置を推進することにより、石炭対策を抜本的かつ総合的に実施することといたしております。
他方、石炭対策のための財源につきましては、昭和三十五年四月以降原重油関税の税率を引き上げて対処してきたところでありますが、今回の抜本的対策の実施にあたって、石炭対策に要する費用とその財源との関係をより明確にし、あわせて、石炭対策に関する政府の財政措置の全貌を明らかにするため、特別会計を設置することとしたのであります。
次に、この法律案の概要を申し上げます。
まず、この会計のおもな歳入は石炭対策の財源に充てられる原重油関税収入でありますが、当分の間、歳入不足を埋めるために、一般会計から必要な金額を繰り入れることができることとしております。なお、この繰り入れ金については、後日、その繰り入れ金相当額に達するまでの金額を予算で定めるところにより一般会計に繰り戻すこととしております。
次に、この会計の歳出とされるのは、石炭対策に要する費用でありますが、そのおもなものを要約いたしますと、その一は、石炭鉱業の生産の合理化、経営経理の改善及び安定並びに石炭の需要の確保または流通の合理化をはかるための事業にかかる補助金または出資金、その二は、炭鉱離職者援護のための事業にかかる補助金または炭鉱離職者に対する就職促進手当、その三は、産炭地域の振興のための事業にかかる補助金または出資金、その四は、鉱害復旧工事にかかる補助金等であります。
昭和四十二年度予算におけるこの会計の石炭対策費は約五百二十二億円であります。これは、昭和四十一年度の一般会計当初予算における石炭対策費約二百八十一億円に対して約二百四十一億円の増加となっております。
一方、この会計の歳入となる原重油関税収入は、約四百七十五億円でありまして、差額の約四十六億円は一般会計からの繰り入れによることとしております。
以上のほか、この会計の管理は大蔵大臣、通商産業大臣及び労働大臣が行なうことといたしますとともに、この会計の予算及び決算の作成提出、一時借り入れ金の借り入れ及び借りかえ、支出残額の繰り越しその他この会計の経理に関し必要な事項を定めております。
なお、この会計の終期を昭和四十五年度末と定めておりますが、これは、石炭鉱業合理化臨時措置法に定める石炭鉱業合理化基本計画の目標年度及び関税暫定措置法に定める原重油関税の暫定税率の適用期限を昭和四十五年度末とするようこれらの法律の改正案を今国会に提出し、または近く提出する予定でありまして、これらの目標年度及び適用期限とこの会計の終期を合わせる趣旨であります。
また、昭和四十二年度におきましては、この会計の予算が成立するまでの間は暫定予算が施行されることになりますので、昭和四十二年度の予算が成立して暫定予算が失効することとなっな場合には、同年度の一般会計暫定予算に基づく支出または債務の負担で石炭対策に要する費用にかかるものは、同年度のこの会計の予算に基づいてしたものとみなし、かつ、暫定予算期間中に収入した原重油関税収入は、この会計の歳入とみなすこととしております。
最後に、税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
納税者の負担の軽減と手続の簡素化の見地から、先般行なわれました税制調査会の税制簡素化の答申に基づきまして、直接税につきましては、すでに提出済みの所得税法、法人税法及び相続税法の各一部を改正する法律案にその具体的内容を織り込んで御審議を願うこととしている次第でありますが、さらに国税通則法及び国税徴収法並びに酒税法その他の間接税諸法につきまして、同様の趣旨から、所要の改正を行なうため、ここに税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容について、その主要なものを申し上げます。
初めに、国税通則法及び国税徴収法の関係であります。
この関係では、まず第一に、負担の軽減及び計算の簡素化の見地から、国税の端数切り捨ての基準を、原則として、課税標準については百円未満から千円未満に、税額については十円未満から百円未満にそれぞれ引き上げ、あわせて延滞税率が日歩二銭から四銭となる日について、現在、督促状の発付から十日経過日とされているものを、その発付までの期間を考慮して単純に納期限の一ヵ月後に改めることとしております。
第二に、納付方法の簡素化の見地から、口座振替による納付の方法を法定し、その場合における延滞税及び延納の要件を緩和し、また、滞納処分における公売保証金徴収の要件を緩和する等の規定の整備を行なうこととしております。
次に、酒税法等の間接税関係であります。
この関係では、第一に、課税物品の未納税移出等にかかる証明書の提出期限の延長の手続について、法定提出期限から三月以内の延長の場合には、現行の承認制を届出制に改めることとしております。
第二に、製造場等への戻し入れまたは移入にかかる税額の控除または還付を受けるための手続について、納税申告書に添付する書類を簡略化する等間接各税法の諸規定につき、手続または仕組みの簡素化のための所要の整備をはかることとしております。
以上が日本専売公社法の一部を改正する法律案外二法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/3
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004・内田常雄
○内田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
ただいま提案理由の説明がありました三案に対する質疑は、後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/4
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005・内田常雄
○内田委員長 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/5
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006・横山利秋
○横山委員 最近、豚の病原菌の問題で、国民は食用肉につきまして非常に関心を持ち始めました。政府においては、これに対して徹底的な追及やらなんかをしておるわけでありますが、多少、あつものにこりてなますを吹くような感じもいろいろな面でないではないのであります。おりもおり、私どもの手元に「中国産食肉の輸入解禁に関する陳情」なるものが参りました。この機会に、私は、ひとつ牛を中心として、食用肉を中心といたしまして、現在のわが国の食肉の事情並びにそれに伴う輸入の状況について政府にただしたいのであります。
農林省から私にいただきました「家畜飼養農家数および飼養頭羽数の推移」というものを拝見いたしますと、食用肉について、戦前戦後を通じて非常に変化が見られるのであります。これを簡略に私の感じたところを申しますと、乳用牛雌のほうは、基準年次昭和九年から十一年をすべて一〇〇にいたしますが、これを見ますと、一貫として増勢をたどり、四十一年には、一、三一一・八という指数をたどっておるが、肉用牛については、基準年次一〇〇に対してピークが三十一年の一六〇・九、四十一年に至っては九三・三と激減をいたしておるわけであります。馬に至ってはなおさらのこと、基準年次一〇〇、ピークが二十七年の七六・八で、四十一年に至っては一八・五、食用としての馬がその必要性がなくなったというほどの状況。綿羊はピークが三十二年の一、九六四・六で、四十一年が三〇四・一、ヤギも激減、豚は基準年次一〇〇に対して、四十一年は四九四、ウサギは激減、鶏が一貫して増勢をたどっておりまして、四十一年の二二〇・五であります。
そこで牛になるわけでありますが、肉用牛が基準年次一〇〇に対して九三・三でございます。この家畜の、特に牛の飼養が、ピークが一六〇・九から九三・三、まさに激減をしておる原因は一体何でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/6
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007・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 ただいま御質問のございました肉牛が減っているではないか、その理由は何か、こういうお話でございますが、昭和三十一年に肉牛の頭数二百七十万頭で、これが最高であったわけでございますが、その後減少してまいりまして、最近は大体百五十七万頭程度になっておるわけでございます。
このように、肉牛の頭数が減ってまいりました原因といたしましては、御承知のように、肉牛は農家に飼育されまして、農業の労働手段ということで主として飼養されておったわけでございます。ところが、農業の機械化が進展をいたしまして、逐次農業機械が肉牛に代替をしてまいったわけでございます。そういう関係から減ってまいりましたことと、もう一つは、国民所得の増大に伴いまして食生活が変わってまいりまして、肉の需要がふえてまいった、そういうことによりまして屠殺が行なわれてまいった、こういうふうな二つの理由から肉牛が減少してまいったわけでございますが、御承知のように、牛肉につきましては、今後需要は増大をしてまいると思うわけでございます。
しかし、世界的に見まして、肉牛資源というものは必ずしも十分であるという状態ではないわけでございまして、したがいまして、国内でできるだけ生産をするということで、現在いろいろな施策を講じておるわけでございますが、最近やや減少の傾向が停滞をしてまいりまして、今後は増大の方向に向かうのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/7
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008・横山利秋
○横山委員 このいただいた資料の三ページを見ますと「食肉需給の推移」が載っておりますが、これによりますと、三十年度に生産量が十二万四千八百二トン、ピークが三十九年で、二十二万三千九百二十七トン、四十一年に至りますと、どんどん減って十五万六千百トンになっていますね。いまのあなたの話でいきますと、これが好転をする可能性があるということですが、この表の中ではあまりそれが見られないようでありますが、生産量が好転をするというのは、どういう理由でおっしゃっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/8
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009・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 最近の統計によりますと一貫して減少いたしているわけでございますけれども、四十二年の統計、まだ正確な統計は出ておりませんけれども、いろいろな調査から推定をいたしますと、四十二年におきましては、頭数の減少の度合いはかなり減少してまいっておるというふうに推定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/9
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010・横山利秋
○横山委員 その推定の理由は何であるかと聞いておるのです。いきなり牛がこつ然として出てくるわけでもあるまい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/10
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011・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 一応、農業機械が代替をいたしまして牛が減少いたしておるわけでございますけれども、やや限度にきておるということが一つでございます。それからもう一つは、国内の生産が減りましたために価格が上昇いたして、肉の価格なり子牛の価格というものが上昇してまいっておるわけでございます。その結果、農民の間に生産意欲が出てまいったということでございます。さらに、肉牛を増産するということで、いろいろな点で生産対策を講じておるわけでございます。そういうことの結果、従来減少しておりましたものが、減少の度合いが非常に減ってまいるということになってまいっておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/11
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012・横山利秋
○横山委員 価格が高くなったから生産意欲が出ておるというのでありますが、食べるほう、消費者の立場に立ってこの価格の推移を見ますと、これじゃかなわぬという感じがしますね。二十八年の卸売り価格二百三十二円が四十年に至って四百三十九円、小売り価格が二十八年、四百四十五円が八百五十四円。卸売り価格の比率に比べますと、小売価格というものがきわめて高騰していますね。しかもこれは三十九年あたりからずっとふえておる。三十三年ごろまではあまりその推移が変わらないけれども、小売り価格は三十六、七年、特に三十九、四十年に至っては非常に高騰をしておる。こういうふうな状態で、あなたのほうは牛の生産者にごひいきなさるつもりかもしれませんけれども、これだけ高騰さしておくということは、怠慢じゃないか、今日消費者の立場が非常に重要なときに、牛が足らぬ、牛が足らぬと言うておるのに、これだけ食べる肉がどんどん上がっていくことについて放置するのは怠慢ではないかと私は感ずるのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/12
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013・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 ただいまの点でございますが、先ほど申し上げるのを一つ落としたわけでございますが、実は、肉牛の生産というのは、非常に生産性が低いと申しますか、収益性が非常に低いわけでございます。そういうことの結果、肉牛の生産というものが減退をしてまいったわけでございます。最近価格の騰貴もございまして、やや生産性が上がるといいますか、収益性が高まってきて、生産意欲が出てまいっておるという点があるわけでございます。牛肉につきましては、かなり国際的にも高いわけでございます。もちろん、肉の価格が非常に高いということは、消費者物価等の点からも問題があるわけでございます。したがいまして、価格が妥当なところに落ちつくように、一方におきましては畜産振興事業団で食肉の輸入、民間でも食肉の輸入をいたしまして、の安定ということにつとめておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/13
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014・横山利秋
○横山委員 一向実績があがっていないではありませんか。
これの六六ページを見ますと最近における内外の国際比較が載っておりますが、これによりますと、牛肉の海外価格は、たとえばオーストリアを例にとりますと、輸入商社販売価格がキロ当たり三百六十五円ですね。国内の卸売り価格が、大宮の例を引きますと六百七十円。これが小売り価格になったらどのくらいになるか私は承知しませんけれども、海外価格は非常に安いのに、われわれの食ぜんの上にきます価格になりますと、倍にはなっておるでしょう。ニュージーランドの枝肉一級去勢カタ十リブ、これの輸入商社販売価格が二百八十八円ですね。東京では卸売り価格が七百三十円。ことほどさように高くなっておる。これはもう少し知恵が出そうなものだという気がしてならぬのでありますが、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/14
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015・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 御承知のように、オーストラリア、ニュージーランド等から食肉の輸入をいたしておるわけでございますが、肉の輸入につきましては種類がいろいろあるわけでございます。したがいまして、高級肉につきましてはかなり高いわけでございます。並み肉だとか、そういうような比較的下級な肉につきましてはかなり安いという面があるわけでございますけれども、現在国内の流通消費の状況を見てみますと、国内で生産されました和牛の肉というものはかなり高いわけでございます。ところが、外国から大衆的な肉を輸入いたしますと、これは比較的安いことになるわけでございますけれども、日本の国民の食生活の慣習といたしまして、国内の和牛の肉に対する需要というものが非常に強いわけでございます。したがいまして、その面につきましては、価格がかなり騰貴をいたしております。ところが、外国から輸入いたします大衆肉に対しましては、必ずしも強い需要はないわけでございます。四十一年に事業団で五千トン輸入をいたしたわけでございますけれども、その五千トンの肉に対しまして、現在二千トン程度しか売れておらないという状態でございます。
御承知のように、世界的に肉牛にはいろいろな種類があるわけでございますけれども、おいしさという点からいいますと、わが国の和牛の肉が最もおしいということで、日本人の嗜好に合っておるわけでございます。そういう意味から、日本の和牛の肉に対します需要が非常に強い、こういう点が、日本の食生活における肉の需要の特徴的なものではないかというふうに実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/15
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016・横山利秋
○横山委員 その点はかなり納得できるところではありますけれども、しかし、それにしても、絶対数の需要と供給のアンバランスが消費者価格をどんどんと高くしていく、そして、国民の生活水準の向上に伴って肉の需要がどんどんふえていく今日の状況は、思い切って相当の改革をしなければやはりだめではないか、こういうことが痛感をされるわけであります。
いま各国からどのくらい食用肉が輸入されておるか、その比率を一ぺん聞かしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/16
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017・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 食肉輸入量でございますが、昭和四十一年をとってみますと、牛肉が約一万三千五百トン、豚肉が二十八トン、馬肉が二万六千五百トン、羊肉が九万二千トン、鶏肉が約八千トン、合計いたしまして十四万トン程度の肉が輸入されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/17
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018・横山利秋
○横山委員 国別に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/18
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019・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 牛肉の国別の輸入状況を申し上げますと、オーストラリアが九千三百四十五トン、それからニュージーランドが三千二百九十三トン、琉球が八百十一トン、米国が三十六トンという数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/19
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020・横山利秋
○横山委員 そこで、最初申し上げた中国産食肉の問題なんですが、中国産食肉は、まず第一に伺いたいのですが、あなたのほうで考えておられる第一の味の問題はどういうことですか。お食べになったこと、あるいは評判を聞いたことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/20
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021・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 中国食肉については、食べたことは実はないわけでございまして、どういう牛がどういうふうに飼われているかという具体的な事情も、必ずしもつまびらかにいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/21
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022・横山利秋
○横山委員 私どもは、もう同僚諸君相当中国へ行っておると思うのでありますが、日本の牛肉の味ほどはまいらぬにしても、欧米へ行きましたときの大味の肉と比べましてそんなに劣るものではないと思います。
そこで、中国食肉の輸入解禁についてのいろいろな経緯を含めて陳情を受けたわけでありますが、これによりますと、日本政府も一たんはいいという判断をしたということ、内定をしたということを報じておるのでありますが、四十一年の五月でございますか、中国食肉輸入禁止を解除する方針を内定したといわれておる。ところが、四十一年の八月に松野さんが農林大臣になって、中国食肉の輸入は解禁しないことになったといわれておるというのでありますが、まず、この事実が一体あったかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/22
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023・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 中国の牛肉の輸入につきましては、国内の牛肉の生産が減少をしておるということに伴いまして、できるだけ外国から必要量は輸入する必要がある、こういうことで、しかも、そのソースとしては、できるだけ広い範囲が適当であるというふうな考え方から食肉を輸入する国について検討をいたしておったわけでございます。その一環といたしまして、中国についても検討がなされたわけでございます。
そういうことから、中共の牛の輸入につきましては、できるだけ前向きの姿勢で検討するということで内部的に検討されておったわけでございまして、口蹄疫等の国内施設が完備いたしますということとあわせまして、中共の衛生状態その他をはっきりさせまして輸入をするというふうなことに内部的には考えておったわけでございます。しかし、調査団が参りました結果の報告等を検討いたしまして、なお調査をいたして、中共の衛生状態につきまして明白にしなければ、現在の状態のままで直ちに輸入を行なうということはできないということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/23
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024・横山利秋
○横山委員 十分に調査をするのはいいのでありますが、報告によりますと、しばしば中国側でも誤解をし、国内側にも報告に対する判断が違うというような場面があって、順調な推移をたどっていないような気がするのであります。
これによりますと、
昭和三十一年十月 日本生物科学研究所学術部長高松泰人博士は約六十日に亘り中国の家畜衛生管理状況を視察した結果、昭和三十二年四月、長文の報告書を農林当局に提出し、中国の家畜衛生管理が良好である旨の報告を行った。
昭和四十年七月 中国、農業部畜牧獣医局発行の「家畜伝染病月報」を毎月中国当局より廖承志事務所を通じて高碕事務所に送付されることになった。その報告によれば、中国に於ける家畜伝染病は予想以上に良好に防除された、病疫の発生は極めて僅少である事が報ぜられている。
昭和四十年八月 大石武一氏を団長とする中国食肉輸入視察団が訪中して各地を視察した結果、かつて高松博士が訪中した当時に比較し遥かに良好に家畜の衛生が管理されていることが判明した。
昭和四十一年三月 前記各報告が予想以上に良好の為日本側に疑惑を抱くものがあった為、元農林省畜産局衛生課長であった田中良男氏(現在日本獣医師会副会長、日本畜産事業団副理事長)を再度確認の為中国視察の為派遣した。此の時は、中国側は日本側の根拠のない疑惑に憤慨していたが、廖事務所、高碕事務所関係者の斡旋により、田中氏帰国後必ず輸入禁止を解除するとの約束の下に田中氏の訪中が認められた。
田中氏の現地視察の結果は中国の家畜衛生管理に関する技術水準は相当に高く、且、獣疫の予防体制も良好である旨の報告があった。そこで、先ほど話をしたように、農林省は、四十一年の五月でありますか、これらの報告に基づいて中国食肉輸入禁止を解除する方針を内定したといわれておる。ところが、昭和四十一年八月、松野さんが農林大臣になるや、中国食肉の輸入は解禁しないことになったと報告を受けたわけであります。
こういうことでは、何ぼ調べても同じじゃないか。また、少なくとも前の畜産局衛生課長であり、獣医師会の副会長であり、日本畜産事業団の副理事長という、まあ一応とにかく経験者、権威者を派遣して、紆余曲折の結果、中国側も了承してやったものを、それすら気に入らぬということではいかぬのじゃないか。派遣する前に農林省と全然関係がないとは言わせぬという政治的情勢にあるのに、なぜそれすらもだめなのか、この機会に歯にきぬを着せないで、この報告書にどういう点で不十分な点があったか、農林省として、原則的に中国食肉を輸入してもよろしいという態度であるかどうか、それを明らかにして、どういう条件ならば、どういう状況ならば輸入をしたいのかという点をこの際明白にして、関係者はもとより、中国側の協力を得るということにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/24
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025・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 それでは、その点につきましてはやや詳細に御説明を申し上げたいと思います。
中国大陸においては、もともと口蹄疫とか牛疫とか牛肺疫だとかいうような家畜の悪性伝染病が非常にたくさん発生する土地であったわけです。終戦後、わが国と中共との間はいまだ正式の国交が結ばれていないということと、それから、国際的な獣医機関があるわけでございますけれども、現在中共はそれに入っておりません。したがいまして、家畜衛生状況についての公式的な統計が出されておらない、こういうふうな経緯がありまして、わが国といたしましては、現在なお悪性伝染病の発生するおれがある地域として、家畜伝染病予防法に基づきまして、同地域からの偶蹄類及び奇蹄類の動物並びにこれらの肉の輸入を禁止しておるわけでございますが、この中共の衛生問題につきましては、何といたしましても、一番重要問題は口蹄疫でございます。
口蹄疫と申しますのは、先生御承知のとおりと思いますが、家畜の病気としましては最もおそるべき病気でございまして、ビールスに起因をいたしまして、偶蹄類、牛だとか羊だとか豚にかかるわけでございますが、これにかかりますと、爆発的な流行をいたします。一度発生しますと、数万頭、数十万頭という牛がこの病気にかかる可能性があるわけでございまして、その結果、食事をとることが困難になり、あるいは起立することが不可能になるということで死ぬる可能性が非常に強いわけでございます。そこで、世界各国とも、この口蹄疫に対しましては非常に神経質な態度をとっておるわけでございます。終戦後現在まで口蹄疫の発生しない国としましは、アメリカ、カナダ、日本、豪州、ニュージーランドという国が発生をしないだけでありまして、それ以外の国はおおむね発生をしている。特に一九五一年から五二年にかけましてはヨーロッパで爆発的な大流行がございまして、その損害は一兆円に及ぶ、こういうふうに言われておるわけです。昨年も英国におきまして口蹄疫が発生しましたために数万頭の牛が殺処分されるというような事態が出ております。わが国は終戦後口蹄疫が発生したことがありません清浄国でありますので、この病気に対しましては非常な警戒をいたしておるわけでございます。
そこで、中共からの食肉の輸入の禁止を解除するかどうか、という問題は、かかって口蹄疫がどうであるかという問題になるわけでございます。
そこで、これは慎重な調査をする必要があるということで、民間団体が過去三回にわたって調査をいたしてきたわけでありますが、その報告書の結果を見ますと、明らかにされておりますことは、近年、中共におきましては家畜衛生状態が従来に比べて著しく改善されている、われわれが予想したよりも非常に改善されておるという点は、各調査者とも認めておるわけでございます。疫については、現在顕著な流行あるいは被害はないというふうに思われるという推定もいたしております。しかし、口蹄疫が絶滅したかどうかということについての確証は得られておらないわけでございます。それから、口蹄疫の予防液に使用される目的だとか性質だとか製造方法等については、一切技術的に明らかになっておらないわけでございます。それから、口蹄疫の血清学的な検査は行なわれておりません。そういうことから、中国全土の清浄化の免疫学的確認はなされていない、こういうふうなことが報告されておるわけでございます。
そこで、先ほど口蹄疫について申し上げましたが、口蹄疫につきましては、ビールスに非常に種類がございまして、これに対するワクチンはございますけれども、それぞれのビールスについてそれぞれのワクチンでないとなかなかきかないということで、これに対しましてなかなか有効な予防方法が現在ないわけでございます。そこで、口蹄疫が発生いたしますと、殺処分をしたり、移動禁止をしたりということにいたしておるわけでございます。そこで、従来どういう口蹄疫が中共において発生したのであるか、その型は何であるか、ワクチンはどういう種類のものであるか、製造方法はどういったものであるかということについての知識が得られない状態にあるわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、現在なお明らかにされてないこういう点について所要の資料の提供を受けまして、その資料について専門的な検討を進めたいというふうに実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/25
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026・横山利秋
○横山委員 私も口蹄疫については十分な知識はございませんけれども、しかし、少なくともたいへんな病気であるということは承知いたしておるわけであります。この報告書を拝見しますと、そのことについては中国側もたいへんな努力をしておるということは承知ができます。
あなたもごらんになったと思うのでありますが、一応記録のために読んでおきますと、中国における「口蹄疫撲滅の状況」を見ますと、
一九五一年秋から口蹄疫が東北地方の一部に発生した。上級からの命令で、撲滅の責任者としてその任にあたった。
現地でとった方法はまず、東北と旅大地区を完全に隔離するためその中間にある西河地区を防衛線とし、ここに予防薬を撒布する一方、その一線上にすべて民兵を配置し、昼夜を分たず監視し、東北地方からの一切の動物の侵入を防いだ。山にいる猪、キジでさえ射殺したり、ドラ、タイコ、爆竹などで追い返したりしてしまった。東北地区からきた汽車、自動車も完全消毒をして通過させた。汽車は駅に入る前に車両を消毒し、乗客の持物全部のみならず、人も全身消毒を行なった。自動車も同じで、道路に穴を掘りワラをつめてアルカリ液を入れその上を通過させて車輪を消毒し、さらに車体人を全部消毒した。その際の一例であるが、ある地方に肉が不足したため、軍が東北地区から大量の食肉を運んできた。ところが、民兵がこれをとめ、例え軍用物資でも通過を許可しなかった。そこで結局その場に大きな釜をもってきてその肉を全部沸煮させ、はじめて搬出を許可した。このように徹底した他地域への汚染防止の措置をとった。以上は五一年当時の状況である。その後、数年前にソ連に口蹄疫が発生し、私の所属していた畜牧獣医研究所の専門家全員が中ソ国境に出張し防疫に直接あたった。とった措置は中ソ国境から二十キロにわたり、無獣地区をつくり、そこにすべて予防液を撒布し侵入を防いだ。
まあ、中国式らしいやり方ではありますけれども、少なくともこの口蹄疫撲滅のために中国がとっておる措置の一端を、いまから六年も前でありますが、それにしても、中国は中国として徹底した措置をとっておることは容易に見られるわけであります。あなたのお話によりますと、なるほどと思わないではありませんが、しかし、それならば、一体、この中国食肉を輸入したほうがいい、安くもあるし、そして近くもあるし、味もそんなに落ちないというものであるならば、国内におけるこの食肉の払底の状況からいって、一歩前へ進めるためには、いま手詰まりの状況ではないか——中国が、おれのところをそんなに疑うのかといったのを、まあまあと、高碕事務所、寥承志事務所があっせんをして、政府の了解のもとに派遣をした権威者の調査について、なおかつそういうことを言うと、今後輸入のための方策としては、あなたの御説明によって、こうありたいということはわかるけれども、じゃ、その方法について手詰まりの状況ではないか。そうだとすると、これからしばらく放置をしていくということになるのか。食肉の不足について、国内の飼育を、今度特別措置法によって課税上の措置をとるのも一つの方法であるけれども、それは急速に間に合わぬではないか。よその国からさらに輸入量を増加するといいましても、結局、この中国食肉というものがわれわれの課題の焦点になってきておるではないかと私は思うのであります。
そういう点について、どうこの手詰まりから一歩前進をさせるおつもりであるか。その技術的な方法と、それから、いまおっしゃった調査報告書に対する見解を具体的に推進するにはどうあるべきかという点について、率直な意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/26
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027・岡田覚夫
○岡田(覚)政府委員 中国の牛肉につきましては、どの程度どこの国に輸出されておるかということについても、全くわれわれは資料を聞かされておらないわけでございます。したがいまして、どの程度輸出余力があるのかということも、実ははっきりいたしておりません。
ただ、この中共の問題が出てまいりましたのは、国内の牛肉の不足を輸入によって補う場合に、できるだけ買い入れる地域を広くしたほうがいいではないかというふうな考え方に基づいておるわけでございます。現在のところ、主として豪州、ニュージーランドから輸入しておるわけでございますけれども、その輸入量によって、不足する、つまり輸入に困るというふうな事態は全くないわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたようなところから、中共の問題につきまして、食肉が将来輸入されるということであれば——適当な食肉が妥当な価格で輸入されるということであれば、それはいろいろな条件が整えばいいことではないかというふうにも考えられるわけでございますので、そこで、先ほど申し上げましたような条件が明らかにならなければ、直ちに輸入の禁止を解除するということにはならないというふうに考えておるわけでございまして、接触する方法といたしましては、政府間の交渉というわけにはまいりませんので、民間団体によります接触ということを考えておりまして、先般もLT貿易で交渉に参られます際にわがほうの考え方を申し上げまして、そこで、中共側の意見を伺ったわけでございますけれども、それにつきまして十分な回答が得られてないというふうな状態にあるわけでございます。
その際、こちらから主として申し上げておりますことは、過去における口蹄疫の発生状況と、このほか、いままで行なわれた口蹄疫の撲滅方法の具体的な経過、口蹄疫ワクチンの種類、製造方法、使用目的と、口蹄疫の診断方法、その他、最近における不明疾病の発生とその状況ということであったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/27
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028・横山利秋
○横山委員 食肉の需要がどんどんとふえてまいります今日において、豚の最近における状況やら口蹄疫のお話の点からいきましても、十分な念査をする必要はございますが、しかしながら、だからといって、消費者に高い牛肉を食わせるというのを放置するのは、消費者保護の見地からいっても許されませんし、中国のみならず、他国もそうでありますが、特にきょう問題にいたしましたのは、中国関係の食肉が輸入できる状況にあり、そして国際関係、日中の状況からいって、くつを隔てて足をかくようなことではあるけれども、そこに豊富かつ低廉な肉があるということであるならば、一歩を進めて、ひとつ、この問題について努力されんことを要望いたしたいと思うのであります。
次はバナナの問題であります。
バナナの問題につきましては、同僚議員もすでに質問もいたしておるようでありますが、私どもの手元に「台湾バナナ輸入の正常化について」と称して、きわめて激烈な文章がきておるわけであります。私は、この文章を多くの陳情書の中から見まして、多分に疑問の念を禁じ得ないのであります。
一体、こういうような激烈な文章がわれわれの手元に配付をされ、たとえば、「正に封建時代の「前借ある女郎」の地位そのままに、最低の苦界に沈淪しているのが自己枠のない加工卸売業者であります。」というのでありますが、こういうような文章や、黒い霧を一掃しろとかいうような、表現のしかたにもいろいろあるけれども、こんな文書が出されるほど何か問題があるのかという感じを私どもは非常に濃くしておるわけであります。
台湾バナナにつきましては、今日までいろいろの紆余曲折をたどっておりますが、この際ひとつバナナの輸入について事態を明白にいたしたい、そして、疑惑や不正や、いわゆる黒い霧がほんとうにあるのかないのかという点も明らかにしたい、また、過当競争と、それから不公正な取引があるならば、それも正常化をしなければならぬということを痛感をいたしておる次第であります。あらましのことは一応承知はしておりますが、一応正式に、簡潔でよろしゅうございますから、バナナ輸入の数年間の経緯をまず説明をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/28
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029・原田明
○原田政府委員 バナナにつきましては、昨年の国会におきましても各種の御批判をいただきました。私どもといたしましても、深く反省をいたしまして、バナナ輸入に関する問題が、正常な、望ましい姿に一刻も早く立ち返るように努力をいたそうと考えてやっておるところでございます。
御指摘のとおり、バナナにつきましては各種の問題がございます。終戦後は、バナナは奢侈品、ぜいたく品という感じがございましたので、その輸入のワクが非常に制限をせられておりました。
この輸入制度といたしましては、輸出をしたものでなければ輸入ができないとか、あるいは先着順に割り当てるとか、各種の方策がとられてまいりました。しかし、需要のほうが強うございますので、たとえば、先着順という方式をとって、どなたでも先着で来られさえすれば差し上げられるというような制度をとりますと、一日で申請が何倍にもなるというような状態でございましたので、先着順で自由という方式は、結局抽せんという制度にならざるを得ない、抽せんでまいりますと、今回割り当てをもらった人もその次にはもらえないかもしれないという不安定もございますので、結局輸入体制としては望ましくないということで、実績を持った者に割り当てをやるという制度がかなり長い間とられて、三十七年にまいったわけでございます。ただ、そのころになりまして、国内果樹との関係等から見ましても、ある程度自由化しても問題がないのではないかというようなことから、三十八年の四月に自由化に踏み切った次第でございます。
三十八年度におきましては、わが国のほうが自由化をいたしましたにもかかわらず、主要供給先でございます台湾側におきまして依然として輸出統制を続けられ、特に三十九年になりましてからはその統制が強化された形で、日本の業界は台湾のオファーをもらいにいかなければならないという状態になり、さらに四十年度に入って四月以降というようなころにはその過当競争がきわめて激しい実情になったわけでございます。したがいまして、激しい過当競争をやるということは国益上望ましくないということで、国会においてもその問題をお取り上げになりました。
結局、四十年の七月から再び今度はAIO制度、自動割り当て制度のもとでの割り当てという形で台湾バナナだけが割り当ての対象になるという制度になってまいりました。四十年七月に割り当てをいたしました以後は、日本側と台湾側とはそれぞれ窓口を一つにして商取引をするという状態が実現をいたしましたので、台湾との交渉の関係では、価格の安定という、やや取引秩序の確立という問題が出てまいりました。その結果、日本国内におきましても再びバナナがかなりもうかるという商品になってまいったわけでございます。
先進各国の状況を見ますと、一人が一年に何キロぐらいバナナを食べるかというような指標がございますが、これも学問的なものではございませんので、非常に正確なものとは言いがたいかと思いますが、まだまだ、そういう状況から見まして、日本の国民所得水準では若干需要が供給よりも上回っておるという状態があるように存じます。したがいまして、輸入をすればもうかるという状態が出てまいります。
しかしながら、一方におきまして輸入秩序を確立をしなければならないという要請がございますので、その見地から考えました場合には、過去のいろいろの割り当て制度にかんがみましても、結局、輸入の割り当てをもらった実績者にその比率に応じて割り当てるということが、最も妥当、やむを得ない方策であるという結論に達しまして、そういう方策を続けてまいっております。
その結果、割り当てをもらえないアウトサイダーの方々がおられます。この方々は割り当てをもらえないということに対する御不満がございます。その場合、特に加工業界の中でも小さな方々はほしいだけのバナナがなかなか手に入らないという状態がございますので、それを解決する方策として一番手っとり早い割り当てをもらうのがよろしいということで、割り当てをくれという運動を強力に御推進されたようであります。
ここで、バナナという青果物の特徴を若干考慮に入れたいと思うのでございますが、青果物でございますので、季節性がございまして、四月、五月、六月というようなころに最盛期として非常に多量のバナナが入ってまいります。ところがまた、バナナはくだものの中でも特に腐りやすい商品でございますので、加工設備と申しますか、熟成させるための室がその最盛期を一ぺんにまかなえるだけの施設、キャパシティーを持っております。したがいまして、その最盛期以外の時期などにおきましては、特に加工設備が余っておるという状態が生じております。さらにまた、青果業界は元来非常に自由な流通形態になじんでこられた業界でもございますので、お互いに協調して、ある程度のところで事態に応じて秩序維持の努力をするという傾向に乏しいような面が見られたようであります。そういう各種の状況、つまり、基本的には需給がいまだアンバランス、それから青果物として季節性があり、かつ、業界としての協調性に若干乏しい面があったというようなことから割り当てをほしいという運動が非常に激烈になってまいりました。それが各種の問題の発端になってきたように存じております。
したがいまして、私ども第一番に解決しなければならない問題は、輸入業者が、輸入秩序を確立しながら、外国との関係において日本の国益を守るような輸入をし、かつ、それによって相手国との貿易についても健全な発展をもたらすというような形でなければならないという点が第一点でございます。
第二点としましては、入れました輸入業者が、流通業者、輸入業者としての自覚に立ちまして、もうかる事態であるから幾らでももうける、特に、割り当てをもらったので、その割り当てだけでもうけて、実際の輸入の実務を行なわない、輸入割り当てを利権化する傾向があるというようなことは厳に慎んでいただきたいという点が第二でございます。
第三番目には、そういう輸入業者からお買いになります加工業者、室の熟成者、あるいはまた、その加工卸売り業者から買って消費者にお渡しになります小売り業者というような方々が、同じく流通業者としての見地から、妥当、合理的な値段で、なるべく安く消費者にいいバナナを供給されるような体制ができるようにしたいという、この三点に集約されているのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/29
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030・横山利秋
○横山委員 私がお話を承って、政府側でも輸入組合の結成を四十年の五、六月ごろされて、そして、自主的にうまいことをやれと言うたところが、なかなかそうはいかぬで、もう一ぺん割り当て制度を実施した、そうしたらたいへんなことになってしまった、割り当てをしたのだけれども、その中にいまお話のあるようなペーパーやダミー業者があった、これはいかぬと思って、またそれをしぼるようにしたというような過程等を考えますと、政府の措置もそのときどきに妥当ではなかったんではないか、反省すべき点が相当あったんではないか、もう少し政府側がしっかりした長期の方式なりあるいは念査を入れてやれば、かかる割り当て合戦、それに伴う不正あるいはけんかというようなことはなかったのではないか、もちろん、これはいろいろなむずかしい問題を含んでおるけれども、政府の歴年の措置にもきわめて不十分な点があったのではないか、こう思うのでありますが、政府側としての反省の弁をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/30
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031・原田明
○原田政府委員 率直に申しまして、私どもといたしまして、バナナは非常にむずかしい商品でございます。この輸入行政が、どちらかと申しますと、実態の動きに対して先手を打つ、しかも、その先手を打った政策がきわめて強力であって、未然に各種の混乱を防止するに十分であったというようなことでなかった点につきましては、深く反省をいたしておるところでございます。
この上とも、こういうむずかしい業界の特性というものを理解をいたしまして、そういう後手に回らない政策ということでやっていきたいと考えておりますが、この点に関しましては、バナナ輸入業界の内部の立場の相違、それからまた、相手国側と日本側との立場の相違、それから売る側と買う消費者との立場の相違というようなものがそれぞれございますので、そういう点の調整をはかりながら、かつ強力な政策をやりますためには、やはり世論の力というようなものをバックにしていかざるを得ないと考えております。
この点におきましては、この問題に関して国会その他でお取り上げ願いました結果、非常にほうはいとして巻き起こりました世論の力というものが、たとえば利権化の防止、ペーパー、ダミーの整理というような点につきましても、ある程度までの成果をあげることができるようなことになったのではないかと存じます。今後とも、そういう世論の力をバックにいたしまして、深く反省をいたしながら努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/31
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032・横山利秋
○横山委員 政府の反省と同時に、いまお話がありました輸入業者のおそるべき過当競争、そして台湾政府に対する折衝のあり方には、まさに、私どもが聞きましても、ある意味では唾棄すべき国辱的なものすら痛感されるわけであります。
聞きますと、六百八十三社が二百五十社ぐらいに輸入組合の縮小がされたのでありますが、それは一体どういう方法でおやりになったのでありましょうか。
また、この割り当てというものが、実績主義という原則についてはある程度もやむを得ざる方針であるとは考えますが、零細な輸入業者と大口輸入業者とのつり合いなり、業者としての一つの店を張ってやっていく以上は、コンスタントに割り当てがなくてはならぬという、零細輸入業者の擁護という点についてはどうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/32
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033・原田明
○原田政府委員 輸入の利権化防止のための業界の整理のやり方でございます。
利権化という事態が具体的にあらわれましたのは、割り当てをもらっておりながら、その割り当てを行使しないで、実務のほうはだれかに頼んで、割り当ての権利だけを売ってしまったというようなところに基因をいたしております。したがいまして、私どもとしては、そういう事態が防止さるべく各種のチェックをいたしたわけでございますが、輸入の割り当てをもらった業者が輸入の承認書に切りかえ、その輸入の承認に基づきまして信用状を取り組んで品物を向こうから入れまして、関税を払って引き取るわけでございますが、これらの割り当て、承認並びに通関という業務が、書類上はすべて割り当てをもらった業者の名前でずっと行なわれておりました。したがいまして、うわさにはございましたが、われわれとしては、なかなか、だれがペーパーであるとかいうようなことをきめるきめ手に困っておった次第でございます。
したがいまして、整理の方法といたしましては、まず実態に関する綿密な調査をしたいと考えまして、昨年からことしにかけまして、企業の実態、輸入のやり方の実態等に関する詳細なる実態調査をさせていただきました。この調査には六百八十三社すべての業者に全面的な協力をいただきまして、その結果に基づきまして、実務を行なっておらないペーパー、ダミー業者というものがどれであるかという判断をしたいと考えておったわけでございます。
これに並行いたしまして、輸入業界の中におきましても、特に、昨年来国会並びに世論の動向に刺激をされ、反省もされたと思いますが、業界の内部では、大体売った人と買った人がおるわけで、御存じでございますので、そういうところから自主的な体質改善を行なうべきであるという機運が高まりました。その方法をいかようにするのがよろしいかということが再三検討されました結果、ダミーであったもの、そういったものは、ダミーを養っていたと思われる親会社が引き取る、あるいはペーパーであったところは、ペーパーでないところに結合をするといったような、合併または営業譲渡という形の業界の結合が、体質改善、整理には最も有効な方法ではないかという結論に達せられまして、自主的な任意な形でそういう結合をお進めになったわけでございます。そのお進めになった結論がかなり進捗をいたしまして、大体私どもが予想しておりました程度にまでほぼ進んだ形で私どものほうへ御相談があったわけでございます。
そのおり、ちょうど今回の輸入の割り当てをするという事態になってまいりましたので、その割り当てをいたします際には、私どもとして、そういうペーパー業者、ダミー業者であるかないかという実態を、各種の見地から、実態調査に基づきまして総合的に判断をいたしまして、申請があったもののうち、ペーパー業者またはダミー業者ではないかという疑いのないものについて割り当てを行なって、その疑いのあるものについては若干保留をいたしたわけでございます。その保留をされました会社につきましては、それならばということで、また体質改善の努力をされてきたところもございますので、そういうものについては、その体質改善の努力を認めるという形で整理統合が進捗をいたしまして、現在、約二百五十社というものになったというふうに御了解をいただきたいと思います。
それから第二の御質問の、大きな業者と零細業者とでは割り当て基準にも若干差をつけ、実績をとらなければならないという理由はわかるが、あまり少ない量だけを持っておったのではコンスタントな商売にも困るのであるから、小さな業者には少しよけいな割り当てをしたらどうかという御意見についてでございます。
これは、私どもといたしましても、バナナだけに限りませず、広く中小企業の育成、特に、自然のままにまかされた場合には中小業者は弱い立場にございますので、これを育成しなければならないという必要は十分痛感をいたしておるところでございます。
そこで、この問題について私どもでも深く検討いたしたわけでございますが、当初、自由化をいたします前にございました輸入業者の数は六百八十三社などという大きな数ではございませんで、その当時は台湾とその他の地域が分かれておりませんでしたので、台湾だけのバナナを扱っておった業者が幾つぐらいあったかということは正確には把握できないわけでございますが、大体、情報等によって推察いたしますに、百三十社くらいではなかろうかといわれております。その百三十社が三十八年と三十九年、四十年の初めまでの自由化時代に七百社近くにふえたわけでございます。したがいまして、そのふえた中には、大きなところがふえたのもございますが、数としては小さなところが非常にふえたという状態が出ております。したがいまして、四十年の七月に割り当てに戻します際には、三十八年の実績と三十九年の実績の二年間を基準にしたわけでございますが、そのわけは、三十八年度には日本側は自由化をいたしましたが、台湾側においては統制を続けまして、その前の年に実績を持っていた業者に割り当てをするというような措置がとられておりました。したがいまして、三十八年度は、いわば自由化前の実績が結果的に反映した年であると考えられます。三十九年には台湾側においてそういう制度を変えられまして、オファーを取りにきたものにやるという制度に変えられました。この時代は、自由な競争というものが実現した時代であります。そこで、割り当ての基準をきめて、輸入業者の中の混乱を静め、輸入秩序を維持した輸入制度をとるというために検討いたしました結果は、昔からやっていて、バナナ業界の正統派である、安定した業者と自称するような方々は、三十九年の自由競争ないし過当競争に近いような状態の実績はとるべきではないという主張をなされ、また、三十九年以後にふえられた方々は、三十八年以前は昔の実績に固定していた時代であるが、三十九年こそ自由に競争した時代であるから、その時代の実績をとるべきであるという主張をされまして、せっかくの輸入秩序維持のための話がなかなかまとまらなかったわけでございます。
したがいまして、結局、業界の話し合い等を参考にいたしまして、両者納得した上で輸入秩序が維持できる制度としては三十八年、三十九年をとったわけです。この二年間をやりました結果は、一応大きな業界も小さな業界も、自分の主張は全部通ったわけではないが、やむを得ない措置としてこの実績の基準によらざるを得ないということを承諾されたわけでありますが、その場合にも、私どもとしましては、やはり小さな業界がある程度の数量を持っていらっしゃるということは必要かもしれぬというような、先生御指摘の点も考慮に入れまして、四十年七月から、前回までの割り当ての場合には約二〇%程度の割り当て数量を均等割りというふうにいたしまして、小さい方々にもそういうものがある部分は適当にいくのであるという制度を採用した次第でございます。ただ、これをずうっと毎年やっておりますと、古い業界は、だんだん自分のシェアが少なくなって、小さいところに薄められていくという非常な強い不満を持ってくるわけであります。しかし、現在のところ、まだある程度業界の数は多いわけではありますが、理屈としては、小さい業界の立場もわかりますので、均等割りという制度を続行してまいったわけでございます。
しかしながら、今回、ペーパー、ダミー業者の整理という必要が生じました。六百八十三社が自主的な形で二百五十社程度に整理をされるという状態が起こりました。そうなりますと、この均等割りという制度が残るということは、結合、つまり、数を多くして、ペーパーであろうとダミーであろうと、自分の支配のきく業者の数をふやしておいたほうがよろしいという状態が生じますので、整理がなかなか進捗しないという情勢が生じてまいったわけです。したがいまして、この整理統合という問題に関連をいたしました場合は、均等割りという事態はなかなかとり得ない方策であるということで、今回はこの均等割りをやめたわけでございます。
実績というものは、あまり長くやっておりますと固定化する傾向もあるわけでございますが、しかしまた、とにかくその基準において業界の各位が何とか納得をされるという場合には、過去における輸入の実績、その輸入を実現されるに足る資金的、経営的その他の能力、あるいはそれを実行されたという事実というようなものが実績というものに結集されておると考えられますので、やはり皆さんが納得される一番基礎的な基準ではないのかと考えて、やむを得ず今回もこういう制度をとったということでございます。御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/33
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034・横山利秋
○横山委員 時間がなくなってまいりましたので、私の意見についてはまた後日に伺うこととして、その次の問題は加工業者との問題でございます。
日本バナナ加工卸売団体連合会なるところは、何ですか、二百万かごぐらいのワクをよこせと言うておるようですね。
それから、四月十七日に日本バナナ加工組合が発足したそうですが、加工業者との問題、割り当てに関する問題のあなたのほうの方針をひとつはっきりさせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/34
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035・原田明
○原田政府委員 加工段階以下の所管は農林省でいらっしゃいますが、御質問に対しまして、私の考え方を申し上げたいと思います。
加工業界以下の段階の合理化、正常化ということが、私ともに課せられました第三の——第三といいますのは、比重の意味ではございませんが、重要な課題であるということを申し上げましたとおりでございます。
現在のところ、加工業者の方々は約千軒余りあるといわれております。その中には、戦前からバナナの熟成加工をやっておる方々と戦後おやりになった方々とがございます。また、加工設備にいたしましても、最新式の電気室のようなものを持っていらっしゃるところもございますれば、床下を掘って、ガスで御自分でおやりになっておって、よく爆発事故が起こるなどというような、原始的な設備しかお持ちにならないようなところも非常にたくさんございます。また、非常に大きなキャパシティーを持った、能率的な業界の方もいらっしゃいます。卸、小売りが本業でいらっしゃいますが、加工もやっておる、自分では加工設備を持たないで、賃加工でやるとか、単に貸借契約を持っているにすぎない、あるいは、もし割り当てがもらえるならば賃加工をする用意はあるというような意思を表明しておられる方々とか、非常にたくさんおられます。
したがいまして、私どもは、この加工業界の育成という点につきましては、バナナの輸入、供給の側が需要より少なくて、売り手市場であるという状態におきましては、どうしても輸入業者の立場のほうが強くなりがちでございますので、やはり加工業界のほうを育成するという立場をとらざるを得ないと考えております。
ただ、その方法でございますが、加工業者に割り当てを与えて輸入業者にするという形が望ましいとは考えないわけであります。加工業者が加工業者としての本来の立場で強くなって、輸入業者と対等の立場で話ができる、そういう形で合理的な価格、条件で輸入業者から買われたものが、さらにまた小売りから消費者の段階には同じく合理的、妥当な安い値段で消費者に渡るような仕組みが確立されるという条件でなければならない。簡単に申し上げますと、輸入業者は輸入業者として、加工業者は加工業者として健全な立場において育成をしていくのが一番本格的ではないか、この目的のためにさしあたり私どもが検討いたしましたものは、第一は、輸入業者から加工業者にいきます段階における浜相場制度でございます。第二は、加工業者全体の組織化という問題でございます。
浜相場制度につきましては、これは業界の内部において、その業務の合理化のために自然的に発生をして運営をせられ、現在でもかなり能率的に運営をせられていると考えられる制度でございます。しかし、その委員の選定でございますとか、実際の価格のきめ方というようなものについてなお検討の余地がないかどうか。たとえば、相場をきめる委員がだれでもなれるというような——もちろん経験、技術のある方でないと困りますが、そういう方であるならばだれでもなれるという制度をとるとか、あるいは、浜相場制度自体を、そういう相対の売買方式をする前提としての価格をきめる制度という立場から、競売、せりという制度に移すことが是か非かというような問題も含めて検討すべき段階にきているのではないかと思います。ただ、この問題につきましては、バナナが非常に腐れやすくて、せりに一日も二日も時間をとることさえ惜しいというような問題とか、あるいは、高い時期、物が足りない時期には、せりをするとかえって上がるのではあるまいかというような心配とかがございますので、時期や方法その他について、せりと浜相場とどちらがいいかということを含めて広く検討すべきではないかというふうに考えております。
それから第二の、加工業者の組織化という問題でございますが、加工業者の中にも昔から幾つかの団体がございまして、その最も古いものは全芭連といわれる団体でございます。これはすでに輸入も行なって、輸入組合の中に入っておりまして、輸入業者でもある加工業者という立場を持っておられるようであります。そのほかにも幾つかの団体がございまして、先ほど先生御指摘のございました加工卸売団体連合会というのもその一つでありまして、私どもも非常にしばしば御意見も伺っており、かつ、その陳情の趣旨も十分に検討いたしております。この場合、やはりこの団体がまだ全国的な団体ではないという点と、それから加工業者という資格、そういう点に若干の疑問があるというような点から見て、この団体が輸入組合と対等の立場で話し合いをするまでにはまだ成熟をしておらないのではないかというように考えておったわけでございますが、これと並行いたしまして、全国の加工業者が一丸になって加工組合というものを結成をして、加工業者が輸入業者になるというのではなくて、加工業者本来の立場で、輸入業者と物の需給の状況あるいは売り買いのやり方といったようなものについて話し合いをして、双方の合理化、健全化のためにやっていきたいという動きが最近強まってまいっております。したがいまして、もしこういう全国的な、かつ加工業者本来の使命に徹した加工業者の組織化が行なわれますならば、私どもは農林省御所管のところと御相談をいたしまして、こういう団体が健全に育成されまして、輸入業者との間に円満かつ合理的な話し合いが行なわれていく、かつまた、それから以後の段階でも、流通合理化、消費者価格の引き下げという方向に向かって努力されるような体制が打ち出されていくということが望ましいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/35
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036・横山利秋
○横山委員 農林省がお見えになっておられるのでありますが、二つばかり聞きたいのであります。
一つは、いまの加工業者に関する通産省の方針に全く同意見であるかどうか。端的でありますが、それが一つ。
もう一つは、農業会の系統からしばしば陳情があるのでありますが、これらのバナナの方向というものが、どうしても国内産果実に対してたいへんな影響をもたらすから、この関税率の引き下げを阻止してもらいたいとか、あるいは輸入についてあまりルーズなやり方はやめてもらいたいとか、例示をしてたいへん熱心な陳情があるわけでありますが、農林省はこの二つの問題についてどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/36
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037・八塚陽介
○八塚政府委員 第一の加工組合あるいは加工業界の関係でございますが、ただいまも通産省のほうからお答えがありましたように、バナナの輸入から始まります流通の国内におきます第一歩が、輸入組合と加工業界との値段のきめ方と申しますか、そこから始まるわけでございますが、その点、輸入組合のほうが着々と秩序が立ってまいります。そもそも輸入組合自体が法的な組合であるわけでございますから、やはりそれに対して、国内の流通の、いわば第一番選手を承る加工の組合が、できるだけ輸入組合と、それぞれの立場を公正に、対等に反映できるという程度の力を持つことが必要ではないか、そういう意味におきまして、私どもといたしましては、バナナの加工業界ができるだけ団結をされて、そうして、そういう役割りを果たされることになるよう育成すべきであるというふうに考えておるのであります。
それから、第二の国内果実に対する影響の問題でございますが、私どもの立場といたしましては、もちろん国内果実に対する影響ということを考えることが第一でございます。しかし、一方、先ほど来の答弁にもありましたように、バナナについての需要、国民の消費、嗜好というものもこれまた相当強いわけでございますので、私どもといたしましては、その間の調整といいますか、その間をどういう形で両立させていくか、そういう意味におきまして、まず現在通産省等とお話をして申し上げておりますことは、あるいは、そういうことに相なっておりますが、大体、需要量といたしまして、あるいはバナナの輸入量といたしましては、目安といたしまして全体の果実の生産量の一割程度であればどうであろう、これとてもそれほど計数的なものではございませんけれども、大体戦前平常のときに台湾のバナナが約一割程度になっておったので、そのくらいの目安がどうであろうか、価格等につきましては、関税がありますことによって、従来リンゴその他の価格関係の防御になっておったわけでございます。それにいたしましても、やはり七〇%という現在の関税率は、国内果樹のほうからいたしますれば、必要であり、かつ、ありがたいというふうに感じておる税率であるかとも思いますが、やはり国際的には相当高い税率である、そういうことからいたしますと、私どもといたしましても、急激な、あるいは、かつ相当大きな深刻な影響を及ぼさない範囲で、ある程度そういう輸入ないしは国際的な御要望に応ぜざるを得ないのではないか、そういうふうな考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/37
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038・横山利秋
○横山委員 あらましのお話を伺いましたが、別途、いささか考えるところがございまして、きょうは具体的な私の意見は申し上げません。ただ、抽象的ではありますが、ひとつ注文を幾つかしておきたいのであります。
一つは、両省がこの問題について、常に意思統一、意見の統一を十分にしておいてもらいたいということ。
もう一つは、このバナナが積年ここまでうるさくなっていろんな問題をはらんでおりますが、いずれにしても、政府が相当の措置をとって、思い切った推進をはからなければいけないことは言うまでもないことであります。しかし、思い切った措置をとるために、ずいぶんと官僚統制的な疑い、あるいは反発を受けておることもまた事実であります。したがいまして、思い切った措置をとるためには、多少時間がかかりましても、民主的な方法を必ず配慮されることを切望してやまないところであります。
第三番目には、いやしくもこの問題に関連して、不当な、あるいは不正、あるいは不法な政治的介入というものを何としても厳禁をさせなければならぬと思うのであります。私の申し上げたいことは、具体的にきょうは申し上げませんけれども、いやしくも政府筋にその疑いがかかるようなことがあってはなりませんし、また、政治的介入によって、かつてありましたような誤解を生ずることもいけませんから、もし疑いがあるようなことは、二葉のうちから出処進退を関係者にも明確にさせて、厳禁をされるように私は要望いたしたいわけであります。
それから、長期的にバナナを自由に輸入をさせるということは、国内産果実の問題もあり、あるいは国際収支の問題もありますから、結局、この根本的解決として需給の状態を全くフリーにさせるということはできませんが、少なくとも、長期的にバナナの問題の安定をはかるための方途というものがどうしても必要であろうということが痛感をされるわけであります。
私は、いまのお話を聞きまして、また、手元にありますいろんな資料を見ましても、今回起こっておりますような、また、過去に起こりましたようなバナナをめぐるいろんな問題が、その発生の原因がなくなるとは思われません。したがって、バナナについては必ずつきまとう問題があると思うのであります。そういう点は、潜在的要因というものが常にあればあるほど、政府といたしましても、過去の経緯を十分に考えて、慎重に、民主的に、しかも、やらなければならぬことは勇敢にやるという態度が最も必要であろうと考えておるわけでございます。
いささか抽象的ではございますが、別な機会にまた問題点を具体的に提起をいたしたいと思いまして、きょうは、質問はこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/38
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039・平林剛
○平林委員 ちょっと関連をしてお尋ねしておきたいのですけれども、今度バナナの関税が幾ぶん変更されるわけですね。その結果、これはどういうふうになるか私もよくわからないのですけれども、差益が出てくるはずです。これは、全般の金額としてはどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/39
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040・細見卓
○細見政府委員 先ほど来の御説明でおわかり願っているかと思いますが、実際の価格は浜相場で関係者の間の一種のせりのような形できめられておりますので、この関税価格が下がりましたことが確かにその負担減少にはなりますが、同時に、これは生鮮果物でありまして、過去の趨勢をごらん願ってもおわかりかと思いますが、輸入量がふえれば必ず価格が安くなり、輸入量が減ってくれば価格が高くなる——いろいろ輸入機構上の問題もあるようでありますが、いずれにいたしましても、輸入の量によって価格が動いているようでありますので、バナナにいたしまして、一本二十五、六円のものがかりに五%下がるといたしますと四十銭か五十銭になるわけですが、これはおそらく浜相場の中で吸収され、あるいはまた、将来の問題としては、輸入が漸進的にふえてくれば、需給関係の改善によって消費者に転化されることも期待できる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/40
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041・平林剛
○平林委員 輸入量だとか浜相場、そうした取引の関係によって将来いろいろな変化があるということはよくわかるのですが、かりに非常に機械的に考えまして、全体においていま輸入量がふえるとか、あるいは浜相場が変わるとか、消費者にそれがいい方向に転化されるとかいう約束は何もないですね。機械的に考えると大体どのくらい違うかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/41
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042・細見卓
○細見政府委員 関税収入の減収として見込んでおりますのは、平年度十四億円でございます。ただ、ことしは、この法律のほうにも書いてございますように、いろいろ輸入組合の問題とか、あるいは台湾に対するリンゴの輸出を増進するとかいうような問題、あるいはまた、最盛期は避けたほうがいいとかいうような問題がございますので、そういうことを避けますと、今年度としては四億円を見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/42
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043・平林剛
○平林委員 結局、関税収入としては、バナナに関してだけ十四億円ということになるわけでして、これは今後どういうふうに取り扱われるという問題があります。また、変わりがないとすれば、このものは一体どこに吸収されるかというようなこともございますので、それが一部の業界に不当な利益になるのかならないのか、そうした点について大蔵省としては何か見解を持っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/43
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044・細見卓
○細見政府委員 申し上げます。
先ほど申し上げましたように、この法律の施行を政令にお願いしておりますのも、それはいま申しました通産省でいま実施しておられます輸入秩序の整備ということと相まって、これらのものが本来の国民の手に還元されるように推進することを一方でやってもらって、それとあわせて実施してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/44
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045・平林剛
○平林委員 これはまたあらためてこの問題について検討することにしまして、きょうはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/45
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046・内田常雄
○内田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X00819670428/46
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