1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月二十六日(金曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 内田 常雄君
理事 原田 憲君 理事 藤井 勝志君
理事 三池 信君 理事 毛利 松平君
理事 吉田 重延君 理事 平林 剛君
理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君
足立 篤郎君 大村 襄治君
菅 太郎君 小峯 柳多君
小宮山重四郎君 河野 洋平君
笹山茂太郎君 砂田 重民君
永田 亮一君 西岡 武夫君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 山中 貞則君
渡辺美智雄君 阿部 助哉君
広瀬 秀吉君 堀 昌雄君
村山 喜一君 柳田 秀一君
横山 利秋君 春日 一幸君
永末 英一君 田中 昭二君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
出席政府委員
大蔵政務次官 小沢 辰男君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
委員外の出席者
自治省税務局府
県税課長 石川 一郎君
日本専売公社販
売部長 斎藤 欣一君
専 門 員 抜井 光三君
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本日の会議に付した案件
印紙税法案(内閣提出第三四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/0
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001・内田常雄
○内田委員長 これより会議を開きます。
印紙税法案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/1
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002・村山喜一
○村山(喜)委員 印紙税法は、ことしの税法改正による増加額が百五十一億という数字が出ているわけでございますが、いままでの法律を全文改正して、今度整理合理化された形のものが出されておりますが、その内容が、非常に何といいますか、技術的な内容になりますので、私のほうでもそういうような立場から逐次質問をしてまいりたい。
そこで、まずお伺いをいたしますのは、現行法に三十一号証書というものがございます。いままで実際の実務に当たる税務署の人たちもその取り扱いに困る、実際は通達やその他によって、あるいは判例等によって状況を補完しなければならないというような内容のものでございますが、今回この三十一号証書が全面改正の中でどのように法律の中にあらわれているのか、これについてまず承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/2
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003・塩崎潤
○塩崎政府委員 御指摘のように、三十一号証書をめぐりましての争いは非常に多かったわけであります。今回、全文改正を機会に掲名主義に改めまして、限定列挙いたしましたものだけ課税するという趣旨から、三十一号証書を、一方あるものはそのうちから拾い上げまして特掲いたしまして、一方その中で課税の値打ちもないようなものにつきましては排除いたしました。
その例を申し上げますと、新たに三十一号証書から掲名したものは、鉱業権、無体財産権、航空機または営業の譲渡に関する契約書、これは一号に規定してございます。その次は、証券投資信託もしくは貨付信託の受益証券、これは五号に規定しております。その次は、合併契約書でございまして、第六号に規定してございます。その次は、継続的取引の基本となる契約書、これは八号でございます。その次は信用状、これは十二号でございます。それから、租鉱権、採石権、漁業権または入漁権の設定または譲渡に関する契約書、十四号でございます。無体財産権の実施権または使用権の設定または譲渡に関する契約書、十四号でございます。債務の保証に関する契約書、十五号に規定してございます。委任に関する契約書、十七号でございます。物品または有価証券の譲渡に関する契約書、十九号でございます。債権譲渡または債務引受けに関する契約書、二十号でございます。配当金領収証、二十一号でございます。
なお、三十一号証書からこれまでの課税の経緯から考えましてはずしましたのは、共済証書、身元保証書、権利の消滅に関する証書、労働協約書、工事負担金契約書、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/3
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004・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、非常にこまかな質問になってまいりますが、例のガソリンの給油券等はどういうような措置になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/4
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005・塩崎潤
○塩崎政府委員 私が国税庁におったときに給油券の通達が出るか出ないかということで検討中でございましたが、今度の改正の結果は、給油券ははずれることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/5
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006・村山喜一
○村山(喜)委員 旅行あっせん業者が発行いたします旅館の引きかえ券というのがあります。前は三十一号証書として指定しておりましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/6
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007・塩崎潤
○塩崎政府委員 明白に請負に関する契約書に該当すれば別でございますが、一般的にクーポン券は非課税になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/7
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008・村山喜一
○村山(喜)委員 例のワイシャツとか洋服なんかの仕立て券はどういうふうになっておりますか。請負の中に入れるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/8
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009・塩崎潤
○塩崎政府委員 契約書ではないという意味におきまして、課税にはならないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/9
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010・村山喜一
○村山(喜)委員 前のこの解説書なりあるいは判例書を調べてみたのですが、洋服の仕立て加工の承り証というのがございますね。これは請負の中に今度入れられることになったんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/10
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011・塩崎潤
○塩崎政府委員 いままでは、三十一号に関する証書ということで、いま申されました仕立て承り証ですか、これは入るという解釈でございましたが、今度の請負に関する契約書、つまり双務契約書ということを重視いたしまして、そういう契約書という意味では今度は入らない、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/11
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012・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、これは請負の中には入らないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/12
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013・塩崎潤
○塩崎政府委員 いま申し上げましたように、証書の場合には三十一号証書だと広く課税されますけれども、今度は、請負に関する契約書、つまり双務契約書の意味には入らない、そういった意味で掲名表文書からはずれますので、そういった点から課税にならない、こういう意味で申し上げておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/13
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014・村山喜一
○村山(喜)委員 前に監査契約書などというのがありましたね。これは公認会計士と監査を受ける会社との間における契約、こういうようなのは請負契約の中に入るんだということで定めてありますが、今回請負契約の中にこういうようなものは入れ込んで考えていかれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/14
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015・塩崎潤
○塩崎政府委員 監査に関しますところのサービスを請け負うという意味におきまして、私は、請負契約書に入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/15
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016・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、印紙税法の中身を見ましても、何というんですか、非常に解釈の幅が広過ぎて、一体こういうようなものはどの何号に入るのかはっきりわからないのが多いわけです。
そこで、その内容について、たとえば十七号の委任の場合等は二十円の印紙をはればいい。ところが、請負ということになりますと、これは非常に金額がかさみまして、二十円から二万円というふうに今度拡大をされている。そうなってまいりますると、一体請負と委任とはどういう関係にあるんだということをこの際やはり明確にしておかなければ、それを実際適用いたします場合において困ると思うのです。今回は、映画出演契約書というようなものは、俳優と映画会社との間の請負契約だということで当然新しい請負条項に入ってまいるわけでありますし、あるいは放送契約書、これもその中に入るだろう。あるいは広告をいたしますという広告契約書、こういうような関係のものも、いわゆる請負契約という中に従来入れてありました。そういうようなことから、一体これはどういう関係になるのか、今度法律を全文改正されるわけですから、それがどういう関係で成り立つのかということをこの場合明確にしておかなければ、実際処理に当たります者たちが困るわけでございます。権利義務の関係が発生いたしますので、そういうような点から困るわけです。
それで、従来これは請負の部類に入っているんだということでわれわれは聞いておりました、たとえば洋服の仕立て加工承り証というようなものは、今度はオミットするとおっしゃいましたね。そうしますと、工事施行に伴う電力需給契約書というのは入りますか入りませんか。これはいままでは請負の中に入るんだということで解説等はなされているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/16
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017・塩崎潤
○塩崎政府委員 電力需給契約書、これは双務契約書の典型的なものだと思いますので、請負契約書の中に入ると解釈せられます。
なお、いま御指摘の点でございますが、非常に大事な点でございまして、私どもも今回の全文改正にあたりましてはその点に相当配慮をしたつもりでございます。基本的には、民法の請負、委任という定義を私どもも採用せざるを得ない。民法の請負という概念は非常に広いことは、御案内のとおりでございます。そこで、お尋ねの請負と委任との区別は、御案内のように、委任とは当事者の一方が相手方に事務を委託するということでございます。請負は仕事の完成を目的とするものである。こういう点で区別されるといわれております。受任者は委任事務の処理のために費用を要するときには当該費用の前払いを請求することができるが、請負人は仕事の完成がなければ報酬の請求ができない。典型契約の民法の解釈は御案内のとおりでございます。しかし、こういう解釈は別としましても、実はなかなか個々にわたりますといろいろな混合契約的なものが出てまいります。
ところで、私どもが今回配慮いたしました一点といたしましては、いま御指摘のように、委任ならば二十円、請負に関する契約書は段階的な階級定額税率、これは民法の定義以上の非常な差が出てくる。そこで、考えましたのは、大体委任とかいうものは請負と違いまして金額の小さいものが多い、だろうということも考えられますが、これが二十円、こんなような点を着目いたしまして、委任との関係も非常に微妙でございますので、百万円未満の請負ならば、委任とのバランスを考えて二十円、こういうふうにいたしまして、両者のバランスをできる限りとろう、こういうつもりであらわしております。
なお、第二段と申しますか、野球選手の役務の提供を内容とする契約、これも、中身は問題はございまするが、相当高額のものがある。雇用あるいは委任とか、いろいろな解釈ができる場合もありますけれども、こういったものは、主としてサービスの提供を請け負うという意味におきまして、請負にしたほうが世の中の常識に合致しているのではないか、こういうことで、この点につきましては法律上明らかにしようということで、少し法律上の性質が明らかでない場合に備えまして、印紙税だけで明らかにしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/17
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018・村山喜一
○村山(喜)委員 請負と委任との関係は、いま説明をいただいたとおりであろうと思うのですが、実際適用をいたします場合に非常に迷う場合が多いのではなかろうかと思うのです。というのは、請負は仕事の完成を目的とする、請負人は仕事の完成後でなければ報酬の請求ができない、こういうことになっておりますが、具体的にこういうような場合は請負に入るのですか。放送契約書、広告業者と広告をしたいという人と、それから放送事業主との問における契約書、こういうような場合は従来どおり請負契約の中に入るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/18
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019・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは、私は、サービスの提供を約することにおきましての請負契約になると解釈されると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/19
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020・村山喜一
○村山(喜)委員 そうすると、広告契約書もそうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/20
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021・塩崎潤
○塩崎政府委員 委任の場合、代理店の事情その他デリケートな場合もございましょうけれども、一般的に申せば、広告を請け負うという意味においての請負契約だと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/21
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022・村山喜一
○村山(喜)委員 エレベーターの機械の補修契約書というのはどういうようになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/22
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023・塩崎潤
○塩崎政府委員 請負契約に該当すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/23
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024・村山喜一
○村山(喜)委員 一軒の家をつくるのに、普通は請負だということで発注しますね。だけれども、出来高払い制というのですか、完成前に、ここまでできたからそれによって支払いをいたします、こういうことで、工事の現在の施行の段階においての前払い制がありますね。でき上がってから残りを支払います、こういうことになりますと、これは委任ですか請負ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/24
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025・塩崎潤
○塩崎政府委員 私は、一つの完成基準と申しますか、進行基準と申しますか、進行基準による請負だと思うのです。でき上がった部分を一つの完成したものと見まして提供するところの請負契約だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/25
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026・村山喜一
○村山(喜)委員 そうすると、その場合は、文書作成者が印紙を納税しなければならない義務がいつ発生するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/26
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027・塩崎潤
○塩崎政府委員 文書を作成したときでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/27
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028・村山喜一
○村山(喜)委員 その報酬を前払いで一応もらうという形のものをとっても、その前に契約を取りかわしたときに発生するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/28
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029・塩崎潤
○塩崎政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/29
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030・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、これは、法律の解釈の上からは請負者は当該費用の前払いを請求できないのに、請求したということになりませんか。もちろん全額ではありませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/30
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031・塩崎潤
○塩崎政府委員 それは、前払いと申しますか、両当事者の契約によりまして、一定の進行したもの自体をもう完成したものと見て、それに対して対価を払った、こういった意味の契約だと私は思うのでございます。法人税法でも進行基準ということで収益の計上を認める慣習がございますが、進行して一定のところで打ち切るということは、そこででき上がったそれ自体を完成したものと見ても十分成り立つことではないか、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/31
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032・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、たとえば、家屋の新築をいたします場合に、あなたとの間においては主体工事だけは契約をして委任をいたします、材料は私のほうから提供します、それから、あなたの場合には、屋内工事についてはこういうふうにいたします、あるいは、それに伴う付帯工事あるいは屋外の場合等については別の人と契約をする。そうして最終的に一つの家ができ上がる。こういうような場合には、それぞれについて請負の文書契約ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/32
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033・塩崎潤
○塩崎政府委員 契約が下請まで含めましてたくさんの方々と行なわれることも非常に多い事例でございまして、その一つ一つが請負契約に該当する、こういうように考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/33
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034・村山喜一
○村山(喜)委員 どうも質問の内容がきわめて具体的にこまかい内容にわたって恐縮なんですが、法律そのものがそういうような内容のものですから、その点は御了承願いたいと思うのです。
そこで、文書税として、補完税としての性格を持っているこの印紙税なんですが、やはりこれの限度というものをどこら辺に置くかということが非常に問題であろうと思うのです。今回の場合には二万円というようなものもあらわれておるわけですね。それで、そういうものがはたして適当であるかいなかという判断の基準と申しますか、これは一体どこに基準を設定をされてこういうような改正をされたのか、これについて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/34
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035・塩崎潤
○塩崎政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、まず第一には、これまでの税率がどんな負担関係にあったか、それがまた経済に対してどういうふうな影響をしておったかということがまず第一の判断の基準だと思います。そして、第二には、その税率がきめられたとき以降の経済の発展状況、これを考えまして、どの程度の税率を新しく盛り込んだらいいのか。こういった二つの角度から大体きめられるべきものだ、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/35
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036・村山喜一
○村山(喜)委員 所得なり物価水準というものを一つの基準としてお考えになったのだという法案説明をなさったのですね。そうなりますと、いわゆる所得は一応の統計的なものがありますし、物価もあるのですが、物価が上昇をしたから印紙税も上げるのだ、こういうような考え方に基づいて出されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/36
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037・塩崎潤
○塩崎政府委員 御案内のように、たとえば一通十円という表示をいたしておりまして、これを貨幣価値——おそらく、きめたときには、その当時の貨幣価値で十円ということを念頭に置いてきめたと思うのでございます。そしてまた、歳入をそれで予定しておったと思うわけでございますが、そういう貨幣価値の変動がございまして、一通十円ということで据え置きますと、これはもう負担の面から見てもおかしくなりますし、また、国の歳入の見地から申しても非常に実際にそぐわない税収になる、こういうことだと思います。私どもは、インフレ時代には、昭和二十三、四年くらいまでは、毎年毎年、こういった低額税率につきましてはインフレーションの程度に応じまして上げてまいりました。その中では、印紙税ではなくて、酒税までも上げないと、やみ物価のほうがどんどん進んでまいりますのでわずかな税収になってしまうし、税負担といたしましても消費者には非常に軽いものになる。こんなような関係で、過去には貨幣価値の点を私どもは非常に注目いたしまして上げてまいったことは事実でございます。私は当時二課長でございましたが、この印紙税は、昭和二十九年に、長らく据え置いておったという理由から五倍に上げて、二円の税率を十円に上げまして、現在までに至っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/37
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038・村山喜一
○村山(喜)委員 先ほど私がお伺いしましたときに聞き漏らしたのですが、仕立て券というものが例の三十一号証書で処理されておりましたね。これはどういうふうに今後はなるのですか。
それと、乗車伝票、タクシーなどに乗る場合の乗車伝票ですね。こういうようなものは今度は何号証書になるのですか。
こういうような具体的なものが先ほど説明の中では抜けておったと思うのですが、これはどういうぐあいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/38
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039・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほど来御指摘の三十一号証書には、証書という理由で、いま申されました仕立券あるいは給油券、こういったような、一方的に物品あるいはサービスを提供することを約する証書も入っていたのであります。仕立て券は、御案内のように請負に関しますが、今回の契約書ではないということで、二号の請負に関する契約書には入らないと思います。一方、それでは物品切手に入るかということでございますが、サービスの給付を証する証書はそれに該当しないことになっておりますので、いずれもそれは入らない、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/39
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040・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、それは整理された、こういうふうに承ってよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/40
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041・塩崎潤
○塩崎政府委員 三十一号証書の広範な解釈の中に入っておりましたものとして整理をしたことは間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/41
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042・村山喜一
○村山(喜)委員 ほかのものでもこれは新たに追加するなりしてはいないわけですね。従来は三十一号証書として印紙税を納めなければならなかったが、今度はもうそういうような必要性がない、こういうふうに見てさしつかえないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/42
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043・塩崎潤
○塩崎政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/43
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044・村山喜一
○村山(喜)委員 しからば、買い物のクーポン券等のものは、一体これは物品切手としての取り扱いを受けるのか受けないのかという問題があるかと思うのですが、いまのようなものと同じような性格を備えるものだと私は思うのです。従来は一定限度まで掛け売りを約して発行されるものは物品切手ではないという解釈でございましたね。この前、今度の税制改正の説明のときに、クーポン券というものは物品切手の中に入れて考えるのだというようなことをたしか承ったように記憶しているのですが、その取り扱いはどういうふうにされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/44
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045・塩崎潤
○塩崎政府委員 クーポン券にも種々の形態がありますけれども、まず第一に、売買契約書に該当するかしないかといいますと、これは売買契約書、双務契約的なものではございません。それには該当いたさない、こういうことにまず第一になるわけでございます。第二には、物品切手となるかと申しますと、これも物品切手のような物品の給付請求権を表象する証書ではないという意味で物品切手にも該当しない。こういった意味で、三十一号証書でこれまでいろいろな問題がございましたクーポン券はその対象からはずれる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
なお、形態にもよりますけれども、売買契約書に該当するようなものもあろうかと思いますけれども、そこはひとつ個別的に——一般的にクーポン券といいましても、先生の頭に置いておられるクーポン券と、世の中の人が考えますクーポン券というのとは違う場合もありますので、売買契約書に該当するようないわば双務契約書的なものをクーポン券といわれても、それは困るわけでございますが、普通商店会あたりが発行しておりますようなクーポン券、これは売買契約書でもなければ物品切手でもないという意味で掲名文書には該当いたしませんので課税からはずれる、こういうふうに申し上げておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/45
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046・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、百貨店等の商品券というものがございますね。商品券は物品給付請求権を表示する有価証券だということで、いままでは物品切手の代表的なものとして取り上げられておったのですね。ところが、そういうようなものは今度はやはり物品切手として残るわけでしょう。ところが、買い物のクーポン券のようなものは、一定限度までの掛け売りを約して発行されるものは、これは物品切手ではないのだ、こういうことになりますと、それとのバランスという問題はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/46
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047・塩崎潤
○塩崎政府委員 バランス、これはいろいろな考え方がございますが、物品切手は、御案内のように、金を前払いをいたしまして、そして、物品の給付を請求する証書、請求権を表示する証書をいただくわけでございます。ところが、クーポン券は、御案内のように、別に金を払っていくものでもございません。そこにバランスと申しましても経済的な性格が相当の差がある、こういうふうに考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/47
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048・村山喜一
○村山(喜)委員 私はやはり、従来は三十一号証書とみなしまして、その間における物品切手との間のバランスをとっておったと思うのです。ところが、そういうような仕立て券とかクーポン券が三十一号証書からはずされた。けっこうなことだと思うのです、そういう意味においては。だけれども、物品切手としての商品券等は、そういうふうになってまいりますと、勢い今度は営業の形態という面からそういうような方向に移行していくというようなことは考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/48
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049・塩崎潤
○塩崎政府委員 バランスをとる意味においてクーポン券もいままで三十一号証書として入っておったというお話でございますが、そういったバランスも大事でございますが、おそらく、いままでの私どもの印紙税の解釈では、すべての文書は何らか財産権の創設、移転、変更、消滅に関するものだという意味で、定額の十円を課税しておったと私は思うのでございます。ところが、物品切手は、御承知のように百分の六というきわめて低率の、いわば百貨店税のようなものでございまして、これとのバランスをとるといっても、なかなか十円くらいではバランスがとれるものではございません。むしろ、いま申しましたように、課税の趣旨は、三十一号証書というものが非常に広範な、印紙税のすべての文書に課税するという趣旨から来ておる、こういう意味でございますが、今回は、私どもは、支払い能力、それからまた課税上のトラブル、これを考えますと、明確にしたほうがよかろうということで明確にし、除外したわけでございます。
若干の移動はあるかもしれませんけれども、いま百貨店がクーポン券のほうに変わる、金も支払わないで掛け売りの証拠みたいなものに変わるというふうなことには、私は直ちになるとは思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/49
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050・村山喜一
○村山(喜)委員 じゃ、次にまいりますが、現行法の第五条の整理をされたわけですね。非常に雑多な事項がずらりと掲載されているのを整理されて、そうして別表の一から三にかけるそういうような整理をされたわけですが、この中で、前はいわゆる労働金庫等に対するところの特別な措置が現行法の五条ではあるわけですね。ところが、法案の六十ページの二十三号ですか、「信用金庫その他政令で定める金融機関の作成する預貯金通帳」というようなことで、労働金庫等の名前がなくなっておるわけですね。
そこで、一体これが政令の中でどういうふうに考えられるかということが問題になろうかと思うのですが、私が御質問しようと思っているのは、現行法の五条では非常にたくさん列挙されてありますので、一体どういうようなものがどの事項に該当するのだということが明文化されておるわけですけれども、しかし、今度整理合理化するということで、法体系の上ではなるほど整理合理化されていると思うのですが、それが政令に委任をするような事項も中にはあるわけです。そうなってまいりますると、現在までそういうようなふうにして、何といいますか、保護されておったものが、政令の段階で落とされる心配というものはないのかどうか。この点については、政令をつくられる場合等における問題として、現行法でそのような措置がとられていたものは全面的にこれを認めていく方針であるのかどうか、この点を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/50
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051・塩崎潤
○塩崎政府委員 現在印紙税法は、過去の沿革もございますが、いま申されましたような非課税法人あるいは非課税証書、これは一々法律で書いていくような慣行が相当これまで行なわれてきております。そのために非常に税法がわかりにくくなっております。これが第一点でございます。第二点は、各種の法律をつくります際にも一々また印紙税法を附則で直さざるを得ない。そういたしますと、ほかの法律なりまたほかの委員会にかかっていくようなことにもなりますので、その点がどうも非常に繁雑であり、時期的にも問題でございます。そんなような意味で、今回は、他の法律とのバランスも考えまして、はなはだ恐縮でございますが、こういった非課税法人あるいは非課税文書の一定のものを政令に移すことにさしていただいております。
しかし、その考え方は、別にここで整理するということではございませんで、技術的な意味でございますので、これは現行の法律そのままを政令に乗っけていきたい。したがいまして、御指摘の労働金庫は、私どものいま予定しております政令案の、預金通帳の非課税となる金融機関の範囲の中にこれは当然予定しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/51
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052・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、今度新たに追加されました非課税法人と非課税文書の内容ですね。ちょっと、新たに追加されたものを説明願いたい。それから、その必要性……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/52
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053・塩崎潤
○塩崎政府委員 非課税法人をこれまでのバランスから見まして追加いたしましたのは、まず第一に港務局、御案内の港湾工事等をやります港務局、これは国といってもいいわけでございますが、別の人格をとりましたので、これを新たに指定いたしました。そのほか、やはり国とは別人格でございますが、全額国が出資しておるような意味においての日本中央競馬会、さらにまた、国の行なう事業を代行してやっておるという意味におきまして土地区画整理組合、この三つを追加いたしました。さらにまた、これは従来は出資証券のみが非課税となっておりますが、御案内のように国鉄が非課税法人となっております。そういった意味で、出資法人のみが非課税となっておりまして、しかもその他個々の内容を見てみますと政府あるいは地方公共団体しか出資のない帝都高速度交通営団を非課税法人の中に入れたのでございます。したがいまして、四つ追加したと言っていいかと思います。
次は、非課税文書の追加でございますが、社会保険診療報酬支払い基金が市町村その他の保険者との問で業務委託契約を締結する際の契約書を、健康保険組合との権衡から非課税とする必要があると考えましたので、これを追加いたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/53
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054・村山喜一
○村山(喜)委員 今回追加されたものは、それぞれの理由が明白でありますので問題はないわけですが、ここに掲示されてあります中で、まあ行政監理委員会あたりでも、一体この公社、公団といわれる機関はどういうような業務をやり、どのように業務運営がなっているのかさっぱりわけがわからぬと言われるようなものがあるのですね。ありますよ、百七ですか。特殊法人というのですか、そういうようなものが現在ある。中には、補助金だけはもらっているけれども、業務は一体何をやっているのかわからぬし、役員が二、三人しかいない、こういうような団体もあるようであります。そういうようなものがないのかと思って私も見てみましたら、この中にもあるのですが、あなた方はこういうようなふうにして非課税法人として指定される。そうすると、それらの団体がどういうような業務内容を行ない、どのように活動し、何のためにこういうような非課税法人の扱いをしなければならぬのか、その必要性については全部調査をされておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/54
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055・塩崎潤
○塩崎政府委員 法律を各省がつくりまして、このような特殊法人をつくる。その際には、その設立の目的あるいは業務内容、これらにつきまして十分詳細に私どもも意見を拝聴いたしまして、これまでの印紙税法の考え方の中に入るかどうか、これは非常な論議をかわすことは間違いございません。ただ、その後実際にこれがどう活動しているかという点は、ときどきいろいろな話を聞きまして注意を促す程度のことはありましても、厳密な意味で、行政管理庁のような意味で監査をし、あるいは印紙税法の非課税の趣旨をもう一ぺん再検討するという段階までの調査はしてないことは事実でございます。なお、しかし、そういった団体は非課税となっておりますけれども、これが特別な恩恵かどうか。これは、よく見てみると、大体が営業であります。大体印紙税は営業に関する証書、帳簿が中心的な課税物件だと私は思います。御案内のように、これらの団体は、営業とか事業とかいうものよりも、むしろ、いろいろな宣伝とか、そういった非営業、非事業的なものが多いのでございまして、そういった意味では、私は、その点やかましく言うことも、それほどの実益も乏しいような感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/55
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056・村山喜一
○村山(喜)委員 私たちは、どこということはきょうはもう指摘はいたしませんけれども、これが一体営業をやっているだろうかと思われるようなものまでこの中にありますよ。設立の目的から言っても、現在活動をしている内容から言っても、それが主たる活動ではない、そういうものがあります。そのようなものはやはり、この際全文改正をされるわけですから、非課税法人の一覧表をお出しになる以上は、当然その必要性がないようなものまでここに列挙する必要はないわけですからね。これだけの恩典を与えようというのですから、法律の上で恩典を与えられたけれども実際は何もならないというようなことでは、これは何のために法律をつくっておるのかわからぬということになりかねない。したがいまして、これはやはり、今後あなた方が実際これを適用される場合に、もっと厳密に内容を調査されまして、チェックされる必要があろうかと思うのです。そのことだけ私は申し上げたいと思いますが、その気持ちで取り組んでいただけますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/56
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057・塩崎潤
○塩崎政府委員 今回はもう全文改正に若干忙殺された感じでございまして、おっしゃるような非課税法人の中身あるいは非課税文書の実態、これらについての検討は、先生のおっしゃいましたように十分でない面のあることは私も認めるわけでございます。今後私どもは、やはり実態に即するような税制が大事でございますので、今後そういった角度からの検討は続けていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/57
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058・村山喜一
○村山(喜)委員 前は、労働契約に基づくものだとして、雇用に関する証書の中で三十一号証書として労働協約等は処理されてきたわけですが、今度からこれがはずされるということを先ほど説明で承りました。それとの関係で、労働慣行の中であります委任状というものがあります。いろいろな問題を委任を受けて交渉をする、こういうような場合には、やはり委任状には委任に関する条項で二十円の収入印紙をはらなければだめなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/58
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059・塩崎潤
○塩崎政府委員 委任状という広範な規定のしかたでございますので、株主総会の委任状のみならず、広い意味の委任状はこれに該当いたすと思いますので、二十円の印紙をはっていただきたい、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/59
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060・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、私はふしぎでならないんですね。労働協約ができた、これは当事者間で労働契約の形になっておるわけですが、これをはずしたということは非常にいいと私は思うんです。だけれども、それと関連をするような、別に営利を目的にするわけじゃないんですが、交渉の委任を取りつけて、そして交渉に行く、その場合にやはりそういうような収入印紙を一々はらなければならないのか。非常に繁雑でもあるし、むしろそういうようなものは労働協約締結の分が三十一号証書からはずされたわけですから、営利を目的としないようなものについては、これはもう必要ないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/60
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061・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃる実質的な意味は私も十分理解できると思うのでございます。ただ、印紙税ということの性格を考えてみますと、やはり外形的な文書の性質に着目した税、そこに多分の問題はありましても、やはり形式的な委任状というところで割り切る。委任状といっても、こういったものはどうか、こういったものは入れ、こういったものははずすということになりますと、また執行面から見ても非常なトラブルが起こる。そういった意味で、ひとつ長年の分類を尊重していきまして、この際は外形を基準として、委任状となれば全体的に考えざるを得ない、こういう考え方だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/61
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062・村山喜一
○村山(喜)委員 これは、広い意味においては労働権というものも財産権の中には入るとは思いますけれども、言うならば、一つの人権として、生存権としての労働権だと私は思うのです。したがいまして、身分に関する問題等を取り扱うので、あなたの委任状をくださいとかりに私がそれをいただきまして、そして私がその人にかわりまして交渉をするというのが今日労働慣習として成り立っておるわけですね。その場合、いままで労働契約の条項がありましたから、そういうような労働協約等に対しては三十一号証書として印紙をはらなければならないということで処理されてきたのだけれども、これは今度は整理をされたわけですから、それとの同じ面における共通の場として、そういうようなものをやるのに一つ一つ委任状に収入印紙をはらなければそれは成り立ちませんぞというのは、これはやはり問題があるのではないか。そういうような形において押えつけようというような考え方はないわけでしょうが、財産権の移転その他の流通段階における捕捉を中間段階でしょうというのとは筋合いが違うのではないかと思うのです。これはやはり法律の解釈の中で措置ができるのではないかと思うのです。労働に関する事項というのはオミットすることができぬことはないのですからね。その点はどうですか。これは小沢政務次官からやはり政治的にお答えを願わなければならないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/62
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063・小沢辰男
○小沢政府委員 おっしゃることはよくわかるのですが、労働組合の委任状のみならず、たとえば、私どもそれぞれ政党が県連で選挙対策委員会を開くとかあるいは役員会を開くとか、そういう場合に、やれ慣例として委任状を正式に出してくれというようなこともございますし、いろいろな意味での千差万別な委任状というものがあると思うのです。あれはいい、これはいいということをこまかく全部規定をしていくわけにいきませんので、どうしても印紙税の性格として画一的なものにしておかなければいかぬものですから、この点は、御趣旨はわかりますけれども、法律上の規定のしかたとして、画一的にやはり委任状はいただく、はらなければいかぬのだというかっこうにしておきませんと、私どもとしては、一々個々の事例を全部千差万別のものをあげまして、これはいいのだ、これは悪いのだというしかたもとても困難だと思いますので、御趣旨はよくわかりますけれども、その点は法律上一定の制約があることを御理解願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/63
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064・村山喜一
○村山(喜)委員 どうも私は納得できないのですよ。大体、財産権の創設等にからむ問題としてこの印紙というものは生まれてきたのでしょう。だから、これは明らかに身分権、身分権というよりも人格権ですよ。生存権なんです。労働運動の中において委任状をもってくる。何というのですか不利な不当労働行為あるいはその他の首切りを受けた、それは付随的には身分権が伴うし、それに伴う給与権というものがやがては発生するでしょうけれども、やめるかやめないかという問題についての具体的な問題等については、これはやはり、そこには人格権というものが、生存権ですから発生するんじゃないか。だから、法律のスタイルとしてはこういうような委任に関する事項ということで包括的に処理をかりにされたとしても、そういうようなものについては実情に応じてやはり何らかの措置をするということがなければ、片一方においては三十一号証書でそういうような労働契約に関するものはオミットしました、整理いたしましたとしておいて、片一方ではこういう委任状を含めるということはおかしいと思う。これは株主としての権利行使をするものとは違うと思うのですよ。そういうような点はやはりどうでしょうか。実情に応じてこれを解釈をするというわけにはまいりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/64
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065・塩崎潤
○塩崎政府委員 解釈というわけには、法律に委任状と書いておりますので、私はできないと思います。まあ今後の検討問題として十分検討しなければならぬとは思いますけれども、ともかくも、財産権の創設、移転に関することということで、これまでも身元保証書まで含めて課税しておったわけでございますが、今般掲名主義に改める際に、そういった社会的に問題になるようなものはできる限りはずした。しかしながら、委任状全般につきましては、いろいろなケースがあるから、これはやはり外形で委任状に該当いたしますれば課税物件に該当する、こういうことを考えておるわけでございます。一々その内容につきまして判断することも非常なトラブルを起こします。何回も繰り返しになりますけれども、今後十分そのような執行上の問題といたしまして検討してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/65
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066・村山喜一
○村山(喜)委員 この問題は、いまもお話がありましたように、身元保証書ですか、こういうものもはずしたのですからね。そして労働協約もはずしたのですから、やはり、人格権に伴うようなものは、委任状というものも私ははずすべきだと思うのですよ。そういうようなものはひとつ、これから具体的な事例等もたくさん出てくるだろうと思いますし、もう少し運用の中において検討をしていくように要望申し上げます。
次に、従来学校債というのがありますね。これば、私学あたりに子供たちを入学せしめる場合には、学校債という形で引き受けをせざるを得ない。これも、いままでの取り扱いは、今後有価証券的な働きをするものについては云々ということで、債券に該当するのだということで取り扱いをされておりましたね。そうなってまいりますると、今後はこれは五号証書として取り扱いをするのですか。非常に問題がありますのは、強度の有価証券性を備える学校債券は債券に該当するという解釈でやられたわけですけれども、こういうようなものは、父兄を対象にして資金調達をやるという形の中で規制をしなければならない筋合いのものかどうかですね。五号証書として今後取り扱いをされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/66
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067・塩崎潤
○塩崎政府委員 これまでは学校債は印紙税の対象としておりましたが、今度の規定のしかたでは、五号には少なくとも入らないことでございます。五号は社債券となっておりますので、学校は会社でもございませんので商法上の社債を発行することはできません。問題は、消費貸借に該当することになるかならないかということでございますが、それは契約の態様によろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/67
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068・村山喜一
○村山(喜)委員 これは、父兄を対象にして資金調達いたすわけですから、借りましたという消費貸借の対象として当てはめようと思えばできぬことはないでしょう。そういうような考え方で処理されるのですか。
それはあとで答弁を願うことにいたしまして、時間がありませんから引き続いてお尋ねしてまいりますが、今度租税特別措置法で、御承知のように漁協等の合併促進というのがありましたね。そういうような立場から、農業協同組合なりあるいは漁業協同組合、そういうものの合併に当たっては租税特別措置法の恩恵を与えるわけですね。そういたしますと、現行法の二十六号、新しい六号、七号ですか、これによりますと、合併契約書、それから定款、これは十円を千円に引き上げるようになっておりますね。そういうようなことで、印紙税は百倍に引き上げる。この中に入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/68
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069・塩崎潤
○塩崎政府委員 六号の合併契約書については、法律に基づきますところの特別法人、たとえば協同組合、これらの合併は入らない。いわゆる商法による会社、それから有限会社、相互会社、いわゆる営利会社に限定されておりますので、六号の合併契約書には入りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/69
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070・村山喜一
○村山(喜)委員 入らないというのはどこでそういうふうに限定しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/70
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071・塩崎潤
○塩崎政府委員 五十四ページの六号の三行目に合併契約書の定義がございます。それに、合併契約書とは商法第四百八条第一項云々というふうに、営利会社に限定するような書き方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/71
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072・村山喜一
○村山(喜)委員 最後に一つだけお聞きしますが、印紙税収入の課税捕捉率というのはどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/72
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073・塩崎潤
○塩崎政府委員 これも、印紙税の捕捉率がしばしば問題になるわけでございます。私どももこの捕捉率について知りたいと思うのでございますが、捕捉率がわかればもう少し収入も上がるわけで、実は相当な脱税があるやに言われておりますが、多分に受け取り書とかいった面、あるいは解釈の非常にむずかしい面、これらについて、課税漏れがあるように言われておるようでございます。しかしながら、御案内のように、株券とか社債券とか、あるいは預貯金の証書、これらのほうが課税物件としてはウエートが高いと思うのでございます。そういった意味で、言われるほどの課税漏れはない、こんなように見ております。犯則取締法の適用におきまして、私たちは相当の数の犯則の検挙件数を毎年毎年見ております。これはむしろ、一文書一件というふうに計算しますので、そういった数が出るわけでございます。また、そういうことによって印紙税の納税が担保されておるわけでございます。私は、言われるほどの、全体としての課税漏れというものは、そんなにはない、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/73
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074・村山喜一
○村山(喜)委員 言われるほどのものはない、しかしわからない、こういうようなさっぱりわからぬ答弁で、まことに政治的な答弁だと思うのですが、現行法によるものが一千六十三億でしょう。今度大体二倍に引き上げておきながら法改正によって百五十一億増収になる、それがどうも私たちにはわからないのです。整理合理化をしたとおっしゃるのだけれども、そうたいして整理合理化されていない。まあクーポン券とか仕立て券とか、あるいは乗車券とかガソリン給油券くらいが合理化された程度で、あとはほとんど倍に引き上げ、あるいは中には百倍に引き上げたようなものもあるわけですが、それにしてもえらく収入の伸びは低く押えておるのですが、これは一体どういうような積算に基づいてこのようにされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/74
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075・塩崎潤
○塩崎政府委員 私ども御提出申し上げておりますところの租税及び印紙収入の予算の説明からそういうふうに奇異に感ぜられたと思うのであります。租税及び印紙収入は、実は印紙税のみならず登録税も印紙の形で収入しておりますので、印紙収入は印紙税だけではございません。印紙収入は約一千億円ございますが、そのうちの印紙税は三百四十三億でございます。そうして、今回の二倍引き上げによって引き上がりますところの印紙税だけの増収見込み額は約百十一億円、こういうふうに考えております。これは、階級定額のものもございますので、必ずしも全部が倍には引き上がらない。さらにまた、御案内のように、受け取り書の免税点は三千円から一万円に引き上げた。したがって、全体としては、二倍の増収にはならないで、約三〇%の増収であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/75
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076・村山喜一
○村山(喜)委員 三分の一程度が増収になる。そういたしますと、こまかい資料になると思いますが、何号による分が幾ら、何が幾らというのはそこに積算されておる数字があると思うのですが、それはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/76
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077・塩崎潤
○塩崎政府委員 それは捕捉率にも関係するような問題ですが、印紙でございますので、統計資料は厳密には税務からは出てこないわけです。一応の推定を加えましてつくったので、非常に古いときの課税の実態から見込んでおりますので、御要望のような資料になるかどうか疑問でございますが、一応はあると言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/77
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078・村山喜一
○村山(喜)委員 どうも塩崎さんの答弁みたいでない答弁をされるわけなんですが、やはりこれは、こうして法律として全面改正をされるわけですから、いままでの見積りは、こういうようなふうにわれわれは捕捉をしておるのだということで、ここにお出しをいただくのが当然ではないでしょうかね。非課税法人等の追加等も出されたわけだし、あるいはまた非課税文書の一覧表も追加して出されておるわけですから、これらに伴う分がいままで幾らあったのがこういうふうになるのだという一つの見込み数字だけでもけっこうですから、後ほどお出しを願いたいと思うのです。
もう時間がありませんのでこれで私はやめますが、いま印紙関係を取り扱っておる業界のほうからは、別に今度のこれに対して——取り扱い手数料とか、そういうようなものは変わりませんか。今度のこれをやりますると、納入の方法についてこれが簡素化される。これに伴います影響というものが、それらの取り扱いをされていらっしゃる人たちの上にはあらわれてくるのではなかろうかと思うのです。そういうような影響度合いというものはどうふうにお考えになっておるか、それを最後に説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/78
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079・塩崎潤
○塩崎政府委員 印紙売りさばき人の手数料の問題の御指摘でございますが、現在のところ、取り扱い手数料を変えてくれという要請はございません。印紙税も、また登録税のほうも、定額制部分は税率引き上げになっておりますので、そういった面からは自然と増収が出てくるかと思います。一方、現金納付の範囲が若干広がるというようなことで、大体相殺する要素が働きますので、私は、影響もない、むしろ手数料としてはふえるような傾向でないか、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/79
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080・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、この納付方法の合理化に伴いまして現金納付のほうがかえってふえてくるのではないかと思うのです。そういうようなところから、収入印紙等の売りさばきをしている人たちが、あなた方のところにまでは声が聞こえていないかもしれぬけれども、今度のこの法改正については問題があるのだということを指摘をしているように承っている。そういうような点については大体どういうような見込みになるのか、いまのところではかえって手数料はふえるだろうという見方をしておられるようですが、もしそういうような見方を裏づける資料がありましたら、これまたお示しをいただきたいと思うのですが、そういうようなのはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/80
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081・塩崎潤
○塩崎政府委員 これもまた推定でございますので、私どもの経験によります推定資料を提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/81
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082・村山喜一
○村山(喜)委員 では、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/82
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083・内田常雄
○内田委員長 次は、堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/83
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084・堀昌雄
○堀委員 今度の印紙税法で特に私罰則の問題を少し取り上げておきたいと思うのでありますけれども、これまでの印紙税法では、十一条、十二条、十三条、十三条の二というところで実は罰則を規定をいたしております。今度の印紙税法改正の中の一つの問題点として、刑法三十八条一項の適用の問題がこの中に導入をされておるわけでありますけれども、ちょっとお伺いをいたしたいのは、最近の過去五年間でけっこうですから、印紙税法十一条、十二条、十三条、十三条の二に該当する犯則があってその処分を受けたものは一体どのくらいあるのでしょうか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/84
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085・塩崎潤
○塩崎政府委員 犯則検挙件数、これは三十六年から四十年までの実績しかわかりませんので、四十年で恐縮でございますが、三十六年、六万五百八十三件、三十七年、八万一千二百九十九、三十八年、九万一千五百八十、三十九年、八万七千五百八、四十年、七万六千百十七で、うち通告処分になりましたものが、三十六年は五万九千三百八十、三十七年、七万九千四百九十七、三十八年、八万九千四百十九、三十九年、八万五千百三十八、四十年、これは繰り越しの関係で若干オーバーしておりますが、七万六千四百二十六、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/85
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086・堀昌雄
○堀委員 そこで、今度の第二十二条、これは刑法三十八条一項との関連で出てきたものでありますけれども、「偽りその他不正の行為により印紙税を免れ、又は免れようとした者」、こういう規定がついてきているわけですね。これまでは、実はこの項に該当するような形のものは、三十八条一項の適用を除外されておりますから、全部へ来るからその面はなかったわけだけれども、罰則の面では、一年以下の懲役または五万円以下の罰金というのは、印影の改変、計器不正操作、これはだれが見ても明らかに犯意を証明することがはっきりしたものですね。犯意を証明することがはっきりしたものだけが懲役及び五万円以下の罰金、こういうことになっておったわけですが、今度は、「偽りその他不正の行為により印紙税を免れ、又は免れようとした者」、こうなってきたわけですね。この場合に刑法三十八条一項の犯意なきものと犯意あるものとは、今度は一体どこで区別をするのかですね。印紙がはってありません、印紙がはってないのは、それはうっかりしていました、あるいはそこへはるとは知りませんでしたということになるのか、それはあなたは知っておったぞといったって、知っておったか知っていなかったかは、一体どういう処置によるのか。今度はここへ一年以下の懲役という問題が出てきておる。また、前回の印紙税法では、印鑑をつくり変える、計器を不正に操作をする、これはだれが見たって偽りその他不正の行為で印紙税を免れようとしたことが明らかである。ところが、今度はきわめて恣意的な判断に待つことになると思うので、今度の改正が一般的にちょっと聞くといいように聞こえるけれども、実際はこれは非常に国民の側にとって重要な、国民の権利に対する侵害を起こすおそれのある問題点だと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/86
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087・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもは全くそんなような意図もございませんし、法律もそういうふうになっていないと思います。
単純に印紙をはらなかった者に対しますところの刑事罰は二十五条のほうで、「第八条第一項の規定による相当印紙のはり付けをしなかった者」は三万円以下の罰金または科料に処する、これが刑事罰でございます。二十二条は、すべての税法にございますところの、積極的な、詐偽その他不正の行為をもちまして印紙税を免れた者に対する罰則規定でございます。
なお、御案内のように、これはもう説明を要しないかもしれませんが、これまでは、故意または過失を問わず、はらなかったならば通告処分によりまして簡単に罰則金相当額で印紙税の脱漏を補てんをしておったことは御案内のとおりでございます。今回は、そういったことは非常に御批判が多いわけでございますので、御案内のように、国税犯則取締法という相当強力なる規定の適用をいたします関係上、納税者から、罰金相当額という威嚇的な手段は何だ、単純にはってなかっただけでそういった強力なる手段で罰金相当額を徴収していくことはどうかという御批判もございますので、これをひとつ直接税式な過怠税で簡単に処理していく、こういうことにしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/87
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088・堀昌雄
○堀委員 そうすると、いま犯則件数をずっと述べられたけれども、この中で今度の二十二条に該当するようなものがありますか。これは私非常にむずかしい問題だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/88
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089・塩崎潤
○塩崎政府委員 私も税務署長時代に初めて経験した例をいつも申し上げるのですが、間接税の係の連中が酒の検査が終わりますと印紙税の検査ということに移るわけでございますが、そういったむずかしい事例は一つもないわけでございます。単純に帳簿を見て、これははっていないというわけで押収してまいりまして、署長の机の前に無数の帳簿が積み重ねられるような事例がございましたが、非常にむずかしいような事例はなくて、単純にはってなかったということだけがほとんどで、九九%までそれだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/89
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090・堀昌雄
○堀委員 法律のたてまえからして、印紙をはる、はらないという問題は、これは確かに税金なんですけれども、感覚としては税金の取り扱い的感覚を国民は持っていないんじゃないかと思うのですね。だから、それは印紙税といえば確かに税だけれども、普通町の人たちは、印紙を買ってはるんだと思っているのですね。だから、買ってはるということが税だという感じがするのは、お互いと税務署くらいのもので、国民はそういう感覚で問題を処理していないところに多少そういう問題があるから、そこで、この二十二条、そんなことが何か特別に脱税をしようという意図で起こるということは、いまお話しのようにあまりないことなんだろう。そういう意味ではその書き方はどうあってもいいんだけれども、やはりこの前の十三条の二のようなものだけが作為のあるもので、あとはまあ実際にはこれまでのものを刑法三十八条の適用除外をしておくという程度でもこと足りるのではないか。どうもそこらが、大げさに二十二条に、「偽りその他不正の行為により印紙税を免れ、又は免れようとした者」、「偽りその他不正の行為により第十四条第一項の規定による還付を受け、又は受けようとした者」とぽっと出てきたから……。これは印紙税の還付を偽りまたは不正な事実で受けようとした例はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/90
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091・塩崎潤
○塩崎政府委員 御指摘のように、確かに大げさな感じがありますが、印紙税法のみならず、税法の罰則は全般的にこういった体系をとっております。さらにまた、申告納付の範囲も広げておきましたので、たとえば株式会社の株券の印紙税、これはやはり相当な金額にもなりますし、むしろ町の商人の方々が受け取り証にはる印紙とは違った性格もまたあろうかと私は思うのであります。そういった意味で、体系の整備といいますか、全体の罰則の体系と合わしたわけでございますが、なお、御質問の詐偽その他不正の行為で還付を受けようとした事例はまず聞いたことはございません。大勢に合わしただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/91
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092・堀昌雄
○堀委員 これは他との権衡の関係というようなことでおそらくこういうかっこうになったと思うのですが、どうもこれは、ずらっとながめて見たところでは、いまの犯意によらざるものということは、これまでは処分されたけれども、今度も過怠金ということで、名前は罰金と過怠金の相違だけれども、金を取られることには違いないわけです。だから、何かそういう点では、どうも今度の改正は必ずしもそれほど罰則の点が改善されたというふうなほどにも感じない。
ちょっとこれを伺っておきますけれども、これまでは不申告は一万円以下の罰金ですね。今度は三万円になるでしょう。だから、これは物価が上がったからといえばそれは別かもしれませんけれども、そういう点ではこれまでとあまり変わりがないんじゃないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/92
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093・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは、法務省の刑事局とも相談いたしまして、全体の罰金の体系と申しますか、金額のバランスをとってつくっただけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/93
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094・堀昌雄
○堀委員 バランスかどうか知りませんがね。要するに、金を取られることにおいては変わりはないですね。だから私は、あなた方のほうのそういう親心がほんとうに生きているんなら何をか言わんやなんだが、どうもこれを読んだ感じでは、取れるものは取る、ただ感じとしては別だというような感じになるのは、私、いささかどうもすらっと理解ができにくいものですから、これをお尋ねをしたわけです。
最近はだんだんと物価が上がるから罰金も上げるんだ、こういうことのようですが、これまでのものですと十一条関係は三万円だったのが、二十万円になっていますね。そうでしょう。不消印は二千円以下の罰金または科料だったものですね。これはどうなっていますかね。前の十三条ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/94
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095・塩崎潤
○塩崎政府委員 二十六条の一万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/95
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096・堀昌雄
○堀委員 これは一万円以下、五倍ですか。七倍になったり五倍になったりいろいろしているわけですけれども、このバランスはどういうことですか。これは法務省を呼ばねばわからぬのだけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/96
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097・塩崎潤
○塩崎政府委員 法務省に聞いていただけば一番無難でございますが、税法の罰則の大体と合わしたわけでございます。
なお、印紙税につきましてはこういった罰則がほとんど適用になっていないと考えていただいていいと思うのです。過怠税で済むというふうにお考えになっていただけば、私は済むと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/97
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098・堀昌雄
○堀委員 まあ実際上に適用がないなら、ここで声を大きくして議論することはないと思うのですけれども、こういう形のものを書くときには、法務省もさることながら、やはり実行面の問題としてもう少し考えたほうがいいのではないのか。実際にあまり適用がないようなもの、過去にも適用がなかったし今後も適用がない、そういうものを、実際に税務職員がそれほど熱を入れて処置をしなければならないものでもないと私は思うのです。もっと熱を入れなければならない、きのう問題提起をしたようなことがたくさんある。きのう長官から帰りに、先生、ずいぶん宿題が出ましたけれども、あれだけ宿題をやるんだったら職員をもっとふやしてくださいよ、こういう話があった。私も宿題を出したから、職員をふやさなければならぬのですが、こういうつまらぬ罰則を書いて、こんなところへ職員がエネルギーを使うよりは、やはり本来の、国民として納得のできないような反則行為に対してももっとエネルギーをかけるべきだと思う。これは一応できておるものだからやむを得ないでしょうが、今後の税法改正では、やはりこれまでの罰則の事例を十分調べてみて、あまり反則がない、あるいはそれを反則として処理することが必ずしもそれほど重要なことではないというようなものについては、ただ単に法務省の意向だけを聞いてここへずらずらと並べて何か法律の体系だけを整えればいいということでなくて、税法というのはそういう式の法律ではないと私は思う。やはり実行面との関連でものを見る法律だと思いますから、そこらは直ちに今後検討していただきたい。この罰則はあまりにぎらぎらする罰則ですよ。今度まことにぎらぎらとする罰則が二十二条から二十六条までずらずらと並んでおる点は、本来の印紙税法の趣旨から見ても、私はちょっとどうかと思いますので、その点だけ注意を喚起して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/98
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099・内田常雄
○内田委員長 横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/99
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100・横山利秋
○横山委員 印紙をはらなかった場合に、これの証書は無効ではありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/100
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101・塩崎潤
○塩崎政府委員 無効ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/101
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102・横山利秋
○横山委員 いま堀君が言うておったのですが、印紙税の脱税というのはどういう部面で多いのでございますか。どのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/102
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103・塩崎潤
○塩崎政府委員 いま二つのタイプがございますが、第一には、単純なはり漏れ、これは受取書などに非常に多いことはもう御案内のとおりであります。第二は、これまでは三十一号証書というむずかしい包括的な掲名主義をとっておりましたので、課否があいまいであるという関係から、はってなかったというものが相当ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/103
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104・横山利秋
○横山委員 過怠税が新設されるのですが、意図的な脱税というのはどういう部面にあらわれてきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/104
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105・塩崎潤
○塩崎政府委員 私どもは、故意、過失を問わないという印紙税法の規定に基づきまして取り締まりをしておりますので、意図的なものというのを見つけた経験はほとんどございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/105
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106・横山利秋
○横山委員 そうしますと、まあうっかりして印紙をはらなかったという場面における脱税というものがほとんどでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/106
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107・塩崎潤
○塩崎政府委員 そこらあたりは、私がほとんどないと言う意味は、そこを追及しなくて、単にはってなかったことを着目いたしましてこれまで犯則取り締まりをしてきた、こういう意味でございます。中にはこれははるべきだと思ってはってなかったものもあろうかと思いますが、印紙税は、そういったことよりも形式を着目して取り締まりをしてきた、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/107
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108・横山利秋
○横山委員 それは、塩崎さんは立法面ですから、行政面の現実の状況はあまり御存じないのです。この聞こういうことがあったのを御存じですか。法務局の職員が印紙を——印紙税は法務局が一番多いでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/108
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109・塩崎潤
○塩崎政府委員 登録税です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/109
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110・横山利秋
○横山委員 法務局で起こったのは登録税ですね。消し印を押さずに印紙をとっておいて、そして販売しておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/110
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111・塩崎潤
○塩崎政府委員 私はそれもよく知っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/111
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112・横山利秋
○横山委員 そういうことは印紙税の場合には大体ありませんか。登録税の場合はああいうようなことについてまだあると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/112
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113・塩崎潤
○塩崎政府委員 それは法務省の御意見を聞いていただけばよくわかりますが、御案内のように、登録税は、申請書に印紙をはりまして、それも相当高額な印紙が多いわけであります。そのために、たとえ消し印をいたしましても、それをときどき持ち出しまして薬品で消去いたしまして、これをまた販売するという事例が過去にもございまして、非常に問題になったことがございます。あるいは、いまおっしゃいましたように、わざと消し印をしないで——両者が結託したのでございましょう。消し印をしないで印紙を受け取って、またそれを再使用したという事例がございまして問題になったことは、先般大阪で新聞に出たことを私も十分知っております。こういった意味で、私どもも、納付方法につきまして——これは登録税法の御審議に入っていただければしあわせでございますが、そのときに十分御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/113
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114・横山利秋
○横山委員 しあわせとは……。(笑声)
たくさんの印紙をはらなければならぬというわけで機械があるそうでありますね。その機械に伴う脱税とか、機械に伴う問題というものはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/114
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115・塩崎潤
○塩崎政府委員 印紙以外の納付方法に三つございます。税務署に来ていただいて税印の押捺を受ける方法、また、特定の大量の書類につきましては、税務署長の承認を得まして、数量の確認をいたしまして一定表示を業者をしてやらしめる。もう一つは、先生がおそらく心に描いておられる印紙税納付計器という機械によりますところの、機械を自分のところに据えつけまして、これを印紙のかわりに表示さすやり方でございます。これは、税務署においてまず税金を納めまして、一定数しか表示できない仕組みになっておりますので、それが切れますともう一ぺん税務署に申請しなければならぬ、こういった装置になっておりまして、これは私どもがやっておりました昔にはなかった制度でございまして、何かベルギーとかヨーロッパにあるということで日本にも入れた制度でございますが、それに伴いますところの脱税はまだ聞いたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/115
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116・横山利秋
○横山委員 非常に低額な印紙を一枚ずつはっていくということについて、非常に非合理といいますか、非近代的といいますか、まだまだ方法は改善の余地が幾らでもあると思うのですが、知恵はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/116
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117・塩崎潤
○塩崎政府委員 税印を押捺するのと、一定表示のと、またいまの納付計器、さらにまた預金通帳のような一定期日残高納付方法、こういったものが、先生御心配のような過去の一枚一枚はることから見ると非常に進歩してふえてきたのでございまして、先ほど申しましたように、私のときには納付計器という方法はなかったわけでございますが、先般からこれが入っておりますが、今般もその範囲はできる限り広げていきたい。さらにまた、いままではまずもって承認を得なければ一定表示もできなかったわけでございますが、今後はまず、事後報告でもいいというようにひとつ範囲を広げまして、できる限り先生御心配の一枚一枚はるという手数を——また印紙は再使用という危険性もございます。国の歳入の面から見ましても非常に、脅威を来たす問題でございますので、できる限り現金納付の範囲を広げるような方法を考えてみたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/117
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118・横山利秋
○横山委員 印紙をはらなくてもいろいろな書類の形式は整って、その法律的効果は変わらないという点については、何か世間の常識から言ってもややひっかかるものがあるような気がする。さりとて、すべての商用書類が印紙をはらなければいかぬということもないのでありましょうけれども、何かその辺は調節ができそうなものだと思いますが、この点は検討されたことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/118
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119・塩崎潤
○塩崎政府委員 私は、取り締まりと申しますか、長い間の慣習で、やはり印紙をはらなければ証書としてのていさいをなさないという慣習は相当しみ込んでおるのが実態である、これは非常にありがたいことだと思うのであります。それは、過去、明治時代でございましたが、印紙をはらない証書は裁判上の証拠となすことを得ないという規定がございまして、これが非常に強力な作用を及ぼしまして、いまのような慣習をつくったのだと思います。その規定は廃止されましたが、現在では、その規定の影響かと思いますが、いま相当そういうふうな気持ちをみな持っておるようでございます。なお、そんなような点、私も非常にけっこうなことだと思いますが、これも、裁判上の証拠となすことを得ないという規定が廃止された経緯から見ると、やはり相当な問題があったようでございます。このあたりひとつ慎重に検討しなければならぬ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/119
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120・横山利秋
○横山委員 この脱税の問題については間税が所管をするわけですね。大体目に触れるものは、ほとんど所得税か、並びに法人税か、他の所管のところで脱税かどうかということが目に触れると思うのです。ところが、私の感覚では、そんなことを直税がいろいろやっておっても、つまらぬことはあまり言わないで、自分の調べた本質の問題を調べていくということになっておるのが大体の常識だと思うのであります。だから、印紙税というものは、あなたも御同感のように、ある程度の相当大きな仕事については常識になっておるけれども、他の方面におきましては、現状はずいぶんルーズだと思うのです。先ほど堀君が言っておりましたように、それじゃそれに対して一生懸命に念査する機構なり人員なりをかけるだけの値打ちがあるかどうかといいますと、それは確かに、全体を通じますとそれだけのウエートをかけるべきものでもなかろう。そうすると、結局ある相当部分は野放しという状況になっておる。したがいまして、そういう野放しの状況をこのまま放置することはできないものですから、ある意味では下を切り捨てる、そういうことにして実態に合わせることが必要ではないか、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/120
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121・塩崎潤
○塩崎政府委員 お説のような考え方から、受け取り書につきましての免税点の引き上げ、手形についての免税点を引き上げまして、できる限り、納税意識の進歩した、経済的な資金の富裕なところから取るという考え方で今回の改正案をつくったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/121
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122・横山利秋
○横山委員 しかし、それは、あなた方の提案理由から言うならば、長年ほうってあるから物価にスライドをしたということであって、私の言うような、課税の状況の実態に合わせるという考え方が濃厚に働いたとは思えないのでありますが、お考えになっての上ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/122
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123・塩崎潤
○塩崎政府委員 規模は小さいかもわかりませんが、それなりに考えたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/123
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124・横山利秋
○横山委員 この点は、不十分な状況である、もう一度考え直したらどうか、私はこういうように思うのです。
それから、過怠税を創設するというんですけれども、念のために伺っておきますが、過怠税をどうしてもつくらなければならぬその積極的な趣旨は何でありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/124
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125・塩崎潤
○塩崎政府委員 印紙税をこれまで維持してきたのは、先ほど申し上げましたような、裁判上の証拠となし得ないという規定もあったかもわかりませんが、取り締まりによりまして、はらない証書、帳簿を見つけまして、これに対しまして罰金相当額というものでこの印紙税の納税を担保してきたことにあると思います。その通告処分によりますところの罰金相当額にかえまして行政罰であるところの過怠税を設ける、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/125
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126・横山利秋
○横山委員 過怠税がぼくは少し高いように思います。いままでは故意、過夫を問わず刑事罰の対象としているが、これを故意犯のみに限定することに改める一方、過怠税を課する。だから、一方過怠税を創設するならば、他方において相当思い切った免税点の引き上げ、あるいは、もうこれらについては、理屈では取るべきであるけれども、もう実態に合わしてなくする、もう少しこの飛躍がなくてはいかぬ、私はこう思いますよ。
印紙貼付のない場合は印紙税額の三倍、印紙不消し印の場合は印紙の額面相当額、ただし印紙過怠税の合計が五百円に満たないときは五百円とする、こういう過怠税を創設して、三倍までも上げなければならぬという点について、他の関連はどうですかね。三倍というものと他の法律との関係は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/126
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127・塩崎潤
○塩崎政府委員 御案内のように、印紙税は二十円というきわめて低い税額でございます。そこを頭におきまして、過怠税といたしましては二倍でございます。三倍となっておるうちの一倍のほうは本税のつもりでございます。そういう意味で、二十円ならば、六十円いただいて、ひとつおまえのところは印紙をはりなさい、こういうことになるわけでございますが、しかし、六十円ではどうも執行上の費用も出ない。そこで、最低は五百円というところで納税を担保しよう。御案内のように、印紙をはっていないような方をよく調べますれば、そういう慣行から見ると、どうもほかでもはっていないような面も多分にあります。そういう面で、私は五百円というところに線を引いても酷でもないし、そういうことをしないと印紙税の納税というものは非常にルーズになってくるということを、税務の経験から感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/127
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128・横山利秋
○横山委員 要するに、私の意見は、印紙税法というものはあるけれども、大体社会常識にまかせて、印紙税法の的確な執行の方法については税務行政の中であまりウエートを占めておらぬ。そこで、全文改正をして印紙税法というものがあらためて脚光を浴びるならば、的確な印紙税の徴収ができる仕組み並びに機構というものにしなければならぬのではないか。この機会に、税務署の中でまあ放置されておるような状況から、取るなら取る、念査するなら念査する。これはもうほうりっぱなしにしておこうというなら、切ってしまうというような整理がもう少しされてもいいのじゃないか。ただこの際は、物価の値上げで上げるから、ついでに古い字であるから全部書き改めたというような感じがどうも私はしてならぬ。これが私のきょう一番申し上げたい焦点なんです。あなたは立案の立場でありますから、本来から言うなら、執行の立場で、一体いままでなおざりになっておったような印紙税をほんとうにこれからきちんとやれるのか、またやるのかという念押しをしたかったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/128
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129・塩崎潤
○塩崎政府委員 私も、国税庁へ来て三年間ばかりやってまいりまして、執行面の経験もあるつもりでございます。横山先生のお話も、私どもも十分考えてみなければならぬし、また、そういう方向に行くべきだと思うのでございます。しかしながら、私は、執行の第一線から少し逆な感じで、むしろ印紙税のような反則に対する陣容あるいは時間のさき方をもう少し省略したらどうかと思うくらい、間税官吏はまじめに印紙税の反則研究に従事しておるようでございます。そういう意味で、ときどきいろいろな問題が上がってまいりまして、これがはたして課税になるかならないかというような問題が局長のところまで上がってくる場合が多々ございます。そういう点は、この印紙税法はやはり税収から見ましても相当大きな税収でございますし、やはりこういった税金を少しゆるめますと、また印紙なんてはらなくてもいいのだということになりますと、だんだんと秩序がくずれるかと思いますので、これはやはりまじめにやっていきたい。しかし、おっしゃるように、これが、もう少し私どもが知恵を出し、労力をさくような方法を講ずるならば、取り締まりのウエートと申しますか、調査の重点はさいてもいいということにはなろうかと思うのでございますが、かような点を十分今後検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/129
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130・内田常雄
○内田委員長 永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/130
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131・永末英一
○永末委員 印紙を売りさばいている売りさばき所というものがありますが、この売りさばき所の性格ですね。売りさばき所というのは、小売り店みたいな感じですが、印紙、つまり税を表示した紙を売っておるわけでありますから、小売り店ではないと思うのですが、一体どういう性格だとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/131
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132・塩崎潤
○塩崎政府委員 これは私どもの所管ではございませんで郵政省の所管になっております。収入印紙切手売りさばき人というような資格が与えられておりますが、私もその性格を——私が申し上げても権威がございませんので、一度郵政省に伺ってからお返事したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/132
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133・永末英一
○永末委員 売っているところはそうだと思うのですが、納税するのはいつ納税するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/133
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134・塩崎潤
○塩崎政府委員 収入印紙を買ったときには納税ではございません。文書を作成いたしましたときに納税義務が発生し、収入印紙を張りまして消し印したときに納税義務が消滅する、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/134
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135・永末英一
○永末委員 そうしますと、普通の納税でありますと、国税を収納するところに持っていって、現金なら現金、その他のものを税額相当分を納めて、それがはっきりわかったときに義務が消滅するわけですね。この場合は、印紙を買ったときにも関係はない、金は出しても関係はない、それの課税物件である対象文書に自分がはって、これに対して何らかの消し印をする、これはしかし国とは関係がないわけですが、そういう行為が行なわれたときに納税義務が消滅する、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/135
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136・塩崎潤
○塩崎政府委員 大体さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/136
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137・永末英一
○永末委員 売りさばき人の所管というものはあなたのほうじゃないというので、質問ができかねるのでありますけれども、そうしますと、印紙というものを郵政省へ渡すときには何をやっているのですか。印紙というものはどこの省でつくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/137
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138・塩崎潤
○塩崎政府委員 印刷局でつくりまして、郵政省に渡しまして、郵政省が印紙売りさばき人に渡すということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/138
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139・永末英一
○永末委員 その大蔵省の印刷局でつくっている印紙というものは、印刷局で刷り上がった場合、それは一体どういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/139
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140・塩崎潤
○塩崎政府委員 質問の御趣旨が十分のみ込めませんけれども、収入印紙の実体を備えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/140
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141・永末英一
○永末委員 大蔵省印刷局で刷り上がった印紙を郵政省へ渡しますね。そのとき金はもらいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/141
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142・塩崎潤
○塩崎政府委員 まだいただきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/142
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143・永末英一
○永末委員 そうしますと、結局、一番末端の売りさばき人のところへ納まった金が郵政省へ来て、それから大蔵省へ来る、その瞬間に金が入るのですか。郵政省へ入ったときに入っておるのですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/143
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144・塩崎潤
○塩崎政府委員 印紙売りさばき人が印紙を売りまして、手数料を差し引きまして郵政省に入る。郵政省の会計になりますが、それから一定期間を経まして印紙収入の項目として一般会計に入れられることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/144
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145・永末英一
○永末委員 普通の税金の感覚から言うとだいぶ違いますね。つまり、あなたのほうが主税局で基準をつくる、そして国税庁並びにそのシステムで納税をさしておるというのと比べても、何かおかしな感じですね。
そこで、あなたのほうは売りさばき人というものの法律的性格は何だとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/145
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146・塩崎潤
○塩崎政府委員 先ほども申し上げましたように、私が申し上げても権威はないわけでございますが、国の代行といいますか、国の収入となる収入印紙あるいは切手を代行して消費者に売る、いわば小売り人の性格を持つものではないかという気がいたしますが、これは、先ほども申し上げておりますように、郵政省にお聞きになっていただいたほうが的確なお答えが得られると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/146
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147・永末英一
○永末委員 あなたは売りさばき人の手数料は何ぼか御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/147
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148・塩崎潤
○塩崎政府委員 ここにちょっと資料を持ち合わせておりませんが、最高九%から、だんだん上になりますと逓減するようでございますが、手数料が定められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/148
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149・永末英一
○永末委員 これは、税金といいますけれども、税額を表示した紙であるには違いないと思うのですが、政府がそういうものを出しておる。そして一般の国民はいわばその通路の一部分に関与しておるわけですね。似たようなものにたばこがあると思うのですが、たばこは政府の専売であるけれども、たばこの小売り人の手数料というのは幾らになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/149
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150・斎藤欣一
○斎藤説明員 お答え申し上げます。
現在の制度、これは昨年の下半期から行なわれておりますが、これも、ただいまの収入印紙の場合と似たような考え方でございまして、売り上げがだんだん大きくなるに従いまして逓減するような形になっております。具体的に申し上げますと、年額百八十万円までの売り上げに対しましては一割、それから、百八十万円をこえまして六千万円まで、この部分につきましては八%、それから、六千万円をこえる部分につきましては六%というふうに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/150
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151・永末英一
○永末委員 それから、塩、アルコール、これも専売ですが、その手数料は何ぼになっておるか。どなたかお答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/151
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152・斎藤欣一
○斎藤説明員 実は私は塩のほうの担当ではございませんので正確なことは存じておりませんが、たばこの手数料よりもある程度高い手数料になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/152
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153・永末英一
○永末委員 赤電話というのがありますな、政府機関が民間のあるところへ置いておる。これも手数料を払っておると思うのですが、大蔵政務次官、わかりませんか。——政府がいろいろやっておるその手数料はばらばらだと思うのです。それはいろいろ故事来歴があって手数料はきまってきたのだと思いますけれども、業態によっても違うかもしれませんが、どうも手数料が不統一である。統一せよという意味ではございません。収入印紙の手数料は、いまお調べ願っておりますが、きわめて低額だと思うのですね。
それで、ちょっと問題を別にしまして、売りさばき人というのは何人ぐらいおるのですか。これも郵政省ですか。それから、平均売り上げは何ぼかわかりますか。税額は全部わかってますね。そうしますと、どの程度売っているのかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/153
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154・塩崎潤
○塩崎政府委員 資料を取り寄せて至急御返事を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/154
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155・永末英一
○永末委員 それでは、その間自治省に伺いますが、先ほど売りさばき人の性格を伺ったときにいろいろ主税局長言われておりましたが、小売り人のごときということを言われたので、この点についてちょっと伺いたいのですが、印紙を売りさばくについて、収入があれば当然国税がかかるわけです。ところが、どうもその手続を見ておりますと、普通の小売り業務をやっているとは思えない。つまり、大きく言えば国の税務行政の一環をになっておるわけであります。これは完全な商売をやっておるとは思えないのでありますけれども、そこで、先ほどその性格を主税局長に伺ったわけです。ところで、この収入に対して国税はかかっておるのです。地方税としてこの部分について事業税を徴収している県と徴収していない県があると伺っておりますが、その実情を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/155
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156・石川一郎
○石川説明員 契約の内容も多少違いがあるというように聞いておりますけれども、私どもといたしましては、一般には物品販売業に該当するというように考えられますので、事業税の課税の対象になるというように考えております。もし課税をしていないというところがありますと、これは課税漏れの問題だろうと思います。課税できないから課税しないということではなくて、課税漏れになっているというように考えられますので、もしそういうことがございますならば、実情をよく調査いたしまして、課税をして適正を期するようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/156
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157・永末英一
○永末委員 それで、今度は主税局長に伺いたいのですが、自治省のお考えは物品販売だと言うのです。物品販売なんですか、この収入印紙を売りさばいて。売りさばくには違いない。適当な日本語がないので、税務行政の中で売りさばくという行為が一つ入ってくるわけです。どういうことなんでしょう。その手数料というのはどういう性格のものなんでしょう。たとえば、大きく言えば大蔵省はメーカーですね。そして、それを卸売り業者である郵政省に渡して、これが小売り人に渡して販売しておる。郵政省は物品販売業をやっておる。そんな感じがする。そこで、法律的性格を伺ったのであります。売りさばくというのは何をしておるのか、その手数料というものは法律上の性格は何か、この辺ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/157
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158・塩崎潤
○塩崎政府委員 たばこなら、もう先生も明瞭に物品というふうにお考えでございますが、収入印紙だけに疑問を持たれるのだと思います。しかし、その性格から見ますと、やはり私は、物品に類するものであろう、そしてまた、それを消費者に売ることによって手数料を得ているものだと思います。
なお、地方税では、普通物品といわないものを物品と、これは昔からの沿革的な規定でございますが、そういった規定がございますので、その点の問題はなかろうかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/158
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159・永末英一
○永末委員 つまり、大きく言えば、大蔵省印刷局で収入印紙を印刷する、そして最後に国民が当該課税物件であるところの文書に貼付をするという、これは一種の税務に関する行為が流れているわけですね。ところが、その中で、収入印紙というものはいわば税金、つまり印紙税の表示でしょう。それが売り買いされておる。どうもしっくりせぬのですけれども、そういうことはほかにないと思うのです。たばこの場合には、初めから商品だということで政府がやっておる。だから、たばこの小売り人の手数料は、手数料ではあっても、一般の物品販売の俗なことばで言えばマージンである、そういう感覚が出てくる。ところが、収入印紙の場合には、収入印紙というものは商品ではないと思うのです。これは税額表示の紙切れである。したがってその手数料とたばこの手数料とは意味合いが違うのではないか。収入印紙を大いに宣伝をして、おれは収入印紙を売っておる、新聞に大いに広告をする、あるいはチラシをまいて、その収入印紙を買うてくれ、こう申しましても、そんなのは買いに行く人はございませんね。そういう意味合いでも、私は商品でないと思う。そうしますと、一体手数料というものはどういうものでしょうか。普通の物品販売、商品販売による一つの収入としてつかまえられるものなんでしょうか。あるいはまた、逆に、こういう売りさばき所がなければ国は印紙税を収納するについてきわめて不便を感ずるに違いない。ところが、これをやらしておるというので国の事務の一部分を代行しておるとするならば、その手数料というものはその代行さしている国が当然支払うべきものを支払っておるということになりはしないか。こういう点についてちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/159
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160・塩崎潤
○塩崎政府委員 私、切手も同じような性格がありはしないかと思うのでございます。なお、切手のほうがより国の施設を利用することに対する対価、そういった対価を支払うことの表示をしたものだと思いますが、収入印紙を含めても、私は、特殊な物品と申しますか、価値を表現したものだと思います。したがいまして、あれを取得いたしましても、おそらくそのまま所有権を取得いたしまして使えるものだと思います。そういった意味では、物品、特殊な物品だと思いますが、その手数料は、たとえば国が金融機関に収納の手数料を払うとすれば、払うようなものではないか、こういうものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/160
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161・永末英一
○永末委員 その手数料の額、調べはつきましたか。——それなら手数料の額の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/161
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162・塩崎潤
○塩崎政府委員 売りさばき人の数は九万九千十八人、この売りさばき手数料は年間二十一億円、したがいまして、売りさばき人一人当たりの年間手数料の支払い額は二万一千円、さようになります。
なお、手数料の率は、月、一万円以下九%、一万円から十万円までが五%、十万円から百万円までが一・五%、百万円から百五十万円までが一%、百五十万円超が〇・五%、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/162
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163・永末英一
○永末委員 いまお話がございましたように、百万円ちょっと切れますと一・五%ですから、大体月一万数千円ですね。ところが、いまのあなたのお話によると、全体で年間平均は二万一千円だということになりますと、大部分の売りさばき人は実に月数百円から千数百円程度、そんなものが平均ですね。だから、その部分についてそう見ますと、これは言うならばほんとうの実費弁償であって、売りさばき人の収入には違いございませんけれども、一体普通の意味の収入と言えるのだろうか。ごく零細なもの、これに対してやはり税金はかかってくるわけであります。そういう意味では、物品販売の事業税の対象になるようなものなんでしょうか。これはこまかい数字でしょう。おそらく並べられたらほとんど大部分が年間一万にもならぬような人が多いのではないか。そうすると、月の収入が千円とか、そんなものじゃないか。問題は、税に関係のあることですから、これをしもきちっとつかまれるわけですね。やはりそこにもう一ぺん税金をかけますか。政府のやるべき仕事を代行させておいて手数料を払う。その手数料ですね。しかし、それは収入だから税金をかける、国税も地方税もかける、こういうたてまえなんだ。どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/163
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164・塩崎潤
○塩崎政府委員 所得があるところに税ありということは言うまでもありません。事業税もそういった考え方に立つことは、私が申し上げるまでもないところだと思います。
なお、先生も御案内のように、収入印紙の売りさばきだけで生活の資を得ている方は少ない。むしろ地方の素封家あたりがこういった資格を得ましてほかの事業と一緒にしておるということは御案内のとおりであります。したがいまして、これは全体の事業収入のうちの一部、こういったことで成り立っているものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/164
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165・永末英一
○永末委員 大体そういう形ですよね。だから、全体の事業収入というと、たとえば三割、四割やられるでしょう。そうすると、千円ずつ半分また税金を取られる、事業税がまたかかってくる、こういうしかけになってくる。御本人は、金額は少ないから痛くはありませんよ。しかし、政府がやらなくちゃならない税務行政の一環をになっておる者が、それだけまた別に税金を払う、この部分だけを抜き出しますとやはり五割程度の税金を払う、こういう形になってくると、一体手数料というものは何なんだろうかという感じがするのです。
あなたは、売りさばき人が郵便局へ行って印紙をもらってくるときの文書をごらんになったことがございますか。どういう文書になっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/165
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166・塩崎潤
○塩崎政府委員 見たことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/166
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167・永末英一
○永末委員 これは明治以来の伝統でございまして、つまり、国は権力者であって、官である、そこで、人民に印紙を売らせてやるのであるという意味合いの文面、お下げ渡しくだされるような形になっているのです。そうしておいて、手数料も、これは官の金をおまえにやるのである、こういう感覚のものです。ところが、いまや近代税務行政の中では、物品販売だ、税金だということになって、つまり、いままでやってきたたてまえといま扱っておるたてまえとが非常に食い違いがあるわけです。今度は、かたかなはいかぬからといって、法律は全部ひらがなにかわりました。ところが、実施面は郵政省だと知らぬ顔をしていらっしゃるか知りませんが、あっちのほうでは、かたかなの、明治以来の官民の段落のある、断絶のあるかまえで行政をやっておるということになりますと、変な封建的なものが残ってきます。もうちょっと近代的に、この意味合いではむしろ売りさばき人と国とは一対一の対等の契約関係でなくちゃならぬと思うのですが、権力的なものが入ってはならぬと思うのです。これはあなたの直接の所管ではないかもしれませんが、税務行政全般の目から見れば、私はやはり、あなたが考えなければならない問題だと思うのです。ちょっとお考えをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/167
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168・塩崎潤
○塩崎政府委員 おっしゃる点も十分理解できます。郵政省ともよく話しまして、相談してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/168
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169・永末英一
○永末委員 塩とかアルコールとかの手数料はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/169
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170・斎藤欣一
○斎藤説明員 塩の手数料のことについて申し上げます。
塩は、御承知のとおり、いろいろな種類がございます。同じ塩にいたしましても、包装の単位によりまして異なります。そういうわけで、各品種別、包装別にこまかく手数料が分けられております。たばこのように売り上げが多くなれば手数料が下がるということはございません。平均いたしまして、四十年度の実績で申しますと、一四・一六%の手数料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/170
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171・永末英一
○永末委員 政府の専売でやっているものの率と比べますと、印紙の売りさばき手数料は少ないですね。これでもうける人はないと私は思う。もうけたいと思ってこれを引き受けている人はないと思う。むしろ、印紙を買いに来たついでに、そこの売りさばき人が営んでおる他の物品の販売に資するというようなことかもしれません。しかしながら、いままでやってきたからといって、もし売りさばき人全部が、おれは売るのはいやだ、やめたということになると、さあ先ほど申し上げました脱税の問題が出てきますね。みんな払わなければならないけれども、印紙を入手しようと思えば探し求めてでなくては入手できないということになる。いまはどこでもありますから簡単に入手できる。これは明治以来の慣習に基づいてやっておるのであって、この手数料の点についても、税金の手数料を取ったらおかしいです、税金ですから。しかし、政府の業務を代行している、もし政府がそれぞれこの印紙売りさばき所を経営するとたいへんな金がかかる、その辺からお考えをいただかなければならぬ時点に立ち至っているのではないか。印紙税も上げ、罰則の過怠金も創設し、罰金も上げる。どんどんどんどんやられますけれども、手数料のほうは、印紙税が上がるからスライドすると言うのでありますけれども、金額で押えてありますから率は変わらない。こういうことになりますと、私はやはり、いままでの慣行どおりでいいのかどうか、疑問の点を感じます。お考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/171
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172・塩崎潤
○塩崎政府委員 永末委員のお話は郵政省に十分伝えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/172
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173・永末英一
○永末委員 政務次官、まさに郵政省は大蔵省が一番金科玉条としてやらなければならない重大なる税務行政の中身をやっているわけですね。なるほどそれはそうだと思うのです。昔々印紙ができたときには、郵便切手とどっちがどっちかわからなかったというので、郵便切手の売りさばき所を使って印紙を売ったのだと思うのですけれども、しかし、これは税金であって、郵便切手は税金ではありません。そういう点について、やはり税務当局は責任を持てるようなかまえというものはとっておいてもらわないと、印紙税法はやめたほうがいいと思いますね。税金として、しかも罰則までつけている税法をつくって、その実際の流れは郵政省がやっておって、大蔵省は知らぬ。形としてはおかしいと思うのです。しかし、大蔵省が全部やれということを申しておるのではない。そのようにもう手がつかぬような、実際責任の持てないような流れになっているのなら、これは税金という意味があるのだろうか。本質の問題です。税法上の観念の問題でなくて、これを売っている流れに即して、これは税金という性格を持ち得るのだろうかという疑問を持つのですが、政務次官、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/173
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174・小沢辰男
○小沢政府委員 だんだんの御議論でいろいろ先生の御意見はわかりましたが、印紙というものが一体どういう性格のものであるか、それを売りさばく売りさばき人というのがどういう性格のものであるか。先生の立論は、印紙税というものをわれわれが法律によって徴収する、その税務行政の一つの流れの中に入ってきているものだ、しかもそれが、国家の納税、印紙税という税の納入についてのいわば売りさばき人というものがもしなかりせば、非常な費用もかかり、手数もかかる、そういうようなものだから、ひとついまのような売りさばき人の指定の方法といいますか、あるいはその契約の方法といいますか、あるいは手数料というものについて、もう少しわれわれのほうと対等な立場に立たすべきじゃないか、その他いろいろお話がございましたが、私どものほうの印紙税は、印紙税を納める納税義務、課税物件その他をずっと規定をいたしまして、その印紙税を納めるという納め方の手段方法の一つとして、そういうそれぞれの金額に応ずる印紙というものを貼付せしめる、こういうことになるわけでございます。したがって、いま国家の要請によりあるいは税務行政の一端をになうものという御趣旨でございますけれども、現実にはそういうことになっておりますが、しかし、たとえばこの売りさばき人全国九万九千というものを指定をしないという場合には、納税者のほうが非常に不便になってくるわけでございまして、自分が郵便局に行かなければいかぬ、あるいはどこかきめられた官署に行かなければいかぬということで、非常に不便になります。一方、取り扱い物件がそういうような国が定めた切手なり印紙なりというようなものであるから、その売りさばき人についてもいろいろな申請者があって、おれも扱いたい、あれも扱いたいというようなことがあろうけれども、それはやはり、国家的な印紙という性格のものであるだけに、物件がそういうものであるだけに、慎重に考えまして、特に信用のある人でないといけない、資格というものを法律上もいろいろきめまして、そのうちから選んでお願いしているわけでございます。それはもちろん国のほうに協力をしていただくわけでございますが、また一面、それによって若干でも収入を得るのだということで、国民の側からの便不便から、そういう取り扱い者が多数あることが便利だし、同時にまた、そういう取り扱いをやって若干でも収入をあげようという希望があるという、両方の面があろうかと思いますので、まあ先生はおわかりの上でそれをおっしゃっておるのだろうと思いますけれども、先ほど来のお話ですと、何か国のほうが国の必要性に基づいて売りさばきをやらしているのだから手数料が非常に少ないじゃないかというおことばですが、この点はやはり両面があるのだということを考えていただきたいと思うのでございます。
手数料が九%といいますと、私は必ずしも率そのものは低いとは思いません。しかし、取り扱いの金額そのものが、たばこやその他のものと比べますと非常に少ないものですから、したがって、収入面から考えますと、これはある程度郵政省と相談しまして合理的なものに直していかなければならぬなという感じは受けましたけれども、そういう点は、おそらくいろいろな政府の関係の取り扱いをやっているもののその性格、あるいはいろいろな経緯、また、これを取り扱う方々の状態、たとえば、たばこでありますと、たばこの小売り人というものがたばこだけで生活をするようなこともございますので、いろいろな点を考えてきめられておるのじゃないかと思うのでございます。
しかし、おっしゃるように、私どもから見ますと、納税をそういう印紙の形で確保しているという面から見まして、やはり税務行政の大事な一環の機関であるということは、おっしゃるとおり私どもも考えますので、郵政省ともよくひとつ相談をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うような方向に改善をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/174
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175・永末英一
○永末委員 懇切なる御答弁をいただきました。しかし、まだいろいろ聞きたいのですが、時間がございませんので、これをもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/175
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176・内田常雄
○内田委員長 次は、田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/176
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177・田中昭二
○田中(昭)委員 いまのお話がさめないうちに関連したことをお尋ねしたいと思います。
いま出ました問題は、売りさばき人の収入が少なくなるということ、これは今度の改正で現金納付の範囲も大きく改正になりましたし、陳情書が出ているということを私もお聞きしましたが、まず、その売りさばき人が収入が少なくなるという面について、主税局はどのようにお考えになっておりますか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/177
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178・塩崎潤
○塩崎政府委員 私のところには陳情書は来ておりません。しかし、登録税の税額は相当な引き上げでございますし、印紙税も二倍という引き上げでございます。現金納付の範囲を広げましても、それはおのずから限度がございます。私は、特に収入が減るというようなことは想像もしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/178
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179・田中昭二
○田中(昭)委員 いままでわずかな収入でやってきた売りさばき人の収入が減らないということになれば、そういうお見通しであればけっこうなことだと思います。ただ、いまお聞きしますと、平均二万一千円ぐらいの収入で来ているということになるわけですが、この問題につきましては、いま永末さんのお話の中にずっとありましたように、私も理論的にそうだと思うし、また実際的にもそうであります関係をよく考えてみますと、やはりいま少しこの売りさばき人に対しては今後の処置も考えてやらなければいけないのじゃないか、このようにまず思います。
そういう観点に立ってお尋ねしますが、これがもしも専業で売りさばき人をさせたという場合に、かりに二万円の年間収入で、月に千五百円か二千円の収入で、その売りさばきをするところの経費をまかなえるかどうか、こういう問題が一つでございます。
それと、その収入に対していま課税をしているという問題がございます。これは、自治省のほうでは物品販売業、なるほどそのような解釈もできますが、私も実務をやった経験から申し上げますと、こういう収入に対しては営業税を課税しなかった時期があると思います。そうしますと、いま主税局のおっしゃった一慣した流れの課税体系の中ではちょっと矛盾する点もございますから、その点をお尋ねするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/179
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180・石川一郎
○石川説明員 お答えいたします。
事業税につきましては、先ほどお話がございましたように、専業で課税をされているという場合はごく少ないのでございます。ただ、ほかの事業を兼ねておられますので、その場合にすべての事業の所得を総合して事業所得になって課税する、その結果課税所得の中に含まれているということになっているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/180
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181・田中昭二
○田中(昭)委員 私がいま専業と言ったことは、その税金の問題とは別に考えてもらわなければならないものだと思うのです。いま永末さんのずっとお話にもありましたように、それは兼業だからさせておるのでありまして、私が提起しました問題は、その事業税を課税する問題とは別なんです。もしもこれが、ある人が、それでは私に売りさばき人をさせてください、専業でやらせていただきます、このような奇篤な人が出てきた場合に、その収入と支出が見合うのかどうか、そのことを聞いたわけなんです。
もう一つは、そういう収入に対しては営業税——昔は営業税と言っておりました。そういうものを課税したことがあるのかないのか、課税したことがあるとすれば、それが事業税という名目になって現在はその取り扱いはどうなっているかという問題をお尋ねしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/181
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182・石川一郎
○石川説明員 専業の場合にどうなるかということでございますが、収入と支出の問題はその内容によって違いがあるわけであります。収入が支出を越えない場合には所得がございませんので課税がされないということになろうかと思います。それから、課税所得につきましては、現在事業税では事業主控除が二十五万円ということになっておりますので、この事業主控除の二十五万円を控除した、これをこえる金額でございませんと課税されないということになろうかと思います。
なお、ちょっと正確ではございませんかもしれませんが、収入印紙の取り扱いについて事業税ないしは営業税を特に非課税とする規定はなかったというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/182
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183・塩崎潤
○塩崎政府委員 田中先生の御質問は、やはり登録税のときでも私はけっこうだと思いますが、郵政省が所管いたしておりまして、この売りさばき人の収入支出の関係あるいは財産の関係、それらを見ておると思うのでございます。私が申し上げましても権威あることにもなりませんので、別の機会にまた御質問いただければもう少し問題がはっきりしてくるのではないか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/183
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184・田中昭二
○田中(昭)委員 主税局長で十分だと思いますけれども、私は税務経験もあります関係上、昔営業税と言っておりました時代には、明らかにそういう政府の仕事をやる者に対しては営業税はかけておりませんでした。あなたは何年から事業税のほうをやっておられるか知りませんけれども、私がやっていたときにはそういうふうになっておりません。事業税というものが創設されまして、そういうこまかい区分までしなくて、所得税に右へならえをする関係上、事業税を課税している。ただいま説明のありました、事業税のある基礎控除までは税金がかからないというようなことは、これはあたりまえのことでございます。私がいま専業と申し上げましたのは、そのような収入で、かりにその収入だけに対する経費というものを見た場合に、そういうことがあり得るかということを聞いたわけでございます。一応これは参考までに聞いていただいてけっこうでございます。
それでは、本論に移ります。
最後のほうから申し上げますが、今回の改正で、税調の答申によりますと、自動車免許証に対する課税並びに旅券に対する課税が見送られておりますが、その理由と、また、今後はそのようなものに対してはどういう姿勢でいくのか、課税するのかしないのか、そういう点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/184
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185・塩崎潤
○塩崎政府委員 旅券と自動車運転免許証につきまして新たに印紙税を課税したらどうかという税制調査会の答申があったことは御指摘のとおりでございます。この点、政府の段階におきまして、種々議論をいたしまして、結局は今回見合わせたわけでございます。
まず、旅券につきましては、御案内のように、私どもは、税制調査会の答申のあげておりますように、この背後に経済力ありということで印紙税の対象にすべきだと考えたわけでございますが、何ぶん、慣行と申しますか、やはり渡航は自由にすべきであるという大きな思想が一つありまして、そういった関係から見ますと、出国するときに、たとえばその国の国籍を持つ者であっても課税するということは海外渡航の自由に逆行するではないかというような意見が一部にあるわけでございます。さらにまた、ことしは観光年でもございますので、観光の観点から見てもどうであろうか、これはもう少し慎重に研究すべきであろうということで、今回は見送った次第でございます。
もう一つの自動車運転免許税でございますが、これは、もう一つ地方税との関係で問題が指摘されたのでございます。現在自動車運転免許には免許証交付の際に手数料を取っておりますが、手数料との関係をどうするかといったような問題がございます。まあ手数料と税というものは別だと思うのでございますが、しかし、そういった両方を取ることの納税者の手数あるいはその統合の可能性、これらをもう少し研究する必要がございます。これが第一の理由でございます。それから、第二は、そういったことを考えますと、国で取るのがいいのか地方で取るのがいいのか、そこが一つ問題になってくるわけでございます。運転免許証を交付いたしますのは地方でございますので、地方でひとつ徴収することが考えられないか。そうすると、その場合には、財源の普遍性と申しますか、逆に言えば偏在性の問題、これから見てはたして地方税で徴収するのがいいかどうか、このあたりが問題になりました。なお、納税者と申しますか、自動車関係の面から申しますと、自動車につきましては、運転免許税だけではなくて、ガソリン税あるいは物品税あるいは自動車税、こういった多くの税金が課せられるときに、運転免許税まで取ることはどうであろうかという意見もございました。このようなことを考えまして、自動車の関係に対する担税力は十分あり、国の道路需要等を考えますと相当考えるべき担税力の源泉だと思うのでありますが、一応ことしはそういった種々の要素から見まして見送った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/185
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186・田中昭二
○田中(昭)委員 なかなか丁寧な説明で、よくわかったようなわからぬような気がしますが、それは何もあれしておるわけではございませんけれども、こちらの質問の最後の、今後課税するかしないか、いままで御議論なさった中において、今後ある時期においては課税するというお考えか。たとえば。パーセントでもけっこうでございますから、八〇%なら八〇%あるとか、これは議論したけれども、ごく最近のうちにおいては見込みがないとか、そういうお考えをもう一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/186
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187・塩崎潤
○塩崎政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、今後の財政事情等を考えまして慎重に検討したい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/187
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188・田中昭二
○田中(昭)委員 いまの旅券の問題にしましても、経済力云々あるいは観光年云々ということですが、観光年なんというのは、これは毎年観光年にしてもらっても日本の国策に沿わないはずはないのじゃないか、こう思うのです。ですから、ここで御答弁なさるときにもう少し——それはもちろんおっしゃる意義はございます。日本の国としまして今後毎年観光年にしていくということになれば旅券には課税しないという考え方をとっていいのか、そういうように御答弁になりましたから、そのように私のほうは解釈いたしまして、この問題はきょうは終わっておきたいと思います。
いまの問題にもちょっと関係いたしますが、この印紙税は財産権の移動に関する事実というものが形式的に行なわれた場合に課税する、このようになっておりますと、いま主税局長の御答弁の、旅券並びに自動車免許証に対する課税という問題はもう少し考えてもらわなければいけない問題じゃないか、このように思いますから、十分その点はお考えいただきたい。財産権の移動につきましては書類を作成しなくて行なわれる場合もあるということでございますし、この案内の要綱を見てみましてもそのようなことが書いてございますし、どうかその点ははっきりひとつ結論を出していただきたい、このように思います。
そこで、そういう財産権の移動を書類にあらわさない場合もある、また、案内によりますと、補完税としてという性格もある、並びに国税の収入に占める割合は四十一年度においては補正後の〇・九%である、また、もちろん初めには物価上昇に関連して印紙税を上げるのだ、このようなことでございます。私どもとしましては、税金はなるべく上げないほうがいいのじゃないか、こういう観点に立ってその点をお伺いするわけでございますが、四十一年度以前、昭和二十九年度まで、補正後予算決算額ですか、それに対しますこの印紙税の占める割合、これをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/188
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189・塩崎潤
○塩崎政府委員 印紙税だけで申しますと、二十九年が〇・七%でございますが、三十二年から大体〇・九%程度維持しております。四十二年の現行では〇・八%でございますが、今度の改正で一・〇%、こういうふうになると見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/189
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190・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、昭和二十九年から〇・七くらいのものでずっと来まして、四十二年の現行法でいけば〇・八で、今度の改正によりますと一・〇になる。そうしますと、だいぶふえたのですから、占める割合は大きくなった。こういうことが、先ほどの案内にありました補完税としての名目とか、そういうことから考えて、明らかにやはり国民の負担を増すものではないか。国民の負担を増す、その国税の収入に占める割合も大きくなる、こういう点については根本的に反対しなければならない、こう思うのでございます。所得税では減税をしたといいましても、印紙で百十一億の増税、これは、国民はもう簡単にそうとしかわからないと思うのです。そういう面につきましてはよく御配慮をいただきたいと思います。
問題は、罰則の適用、こういうことになってまいりますが、その罰則の適用につきまして、先ほどからお話のありました過怠税の問題でございますが、この過怠税のお話を聞く前に、現行法で、受け取り書に故意にしろ過失にしろ印紙をはらなかったという場合には、幾ら納税者は金を払うのか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/190
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191・塩崎潤
○塩崎政府委員 現行におきましても、通告処分によりまして罰金相当額五百円を最低といたしまして、その犯則の態様によりましてそれ以上の罰金相当額を納付さしていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/191
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192・田中昭二
○田中(昭)委員 そうしますと、たとえば現行法で一番軽い五百円というものを見れば、今度の改正の過怠料も五百円ということになると、実質的には変わりないわけですね。そうしますと、現在のこの社会の近代化されました諸般の事情から見ました場合に、この五百円というものに対しましては、出すほうは五百円ですから、そうたいした金額でない言いえば言えますけれども、取り締まるほうとしまして、この五百円というものについては納得がいかない、というよりも重荷を感じている、私はこういう点があると思いますが、これに対する主税局長のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/192
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193・塩崎潤
○塩崎政府委員 十分質問がのみ込めなかったのでございますが、取り締まりの費用その他を考えますと、やはり五百円という程度の限度は置かざるを得ない。先ほど申し上げましたように、一件の犯則ということは、その人の犯則から見ますと多分にほかにも犯則が予想されますので、やはり五百円程度は最低限度とせざるを得ない、こういうふうに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/193
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194・田中昭二
○田中(昭)委員 質問の要旨がわからなくて申しわけないのですが、私が申し上げたのは、簡単に申し上げれば、いままでも五百円、今度も五百円、そういうことにおいて、結局改正された比率が反映されていない。それが一つと、それから、五百円の過怠税を取ることにおいて、実際の実務をやる人たちが、先ほど言われましたようないろんな事情から考えてみて、重荷に感じている、これをどうするかという問題でございました。もう一回それじゃ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/194
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195・塩崎潤
○塩崎政府委員 確かに、手数を考えますと、五百円を千円にということも考えられますし、また、そういったことが、取り締まりに専念される方々にとっても、その心理状態に合うのかもしれません。しかし、何と申しましても、全文改正のこの機会でもございますし、通告処分からこういった過怠税への改正は非常に大きな転換でございます。そういったことから見ますと、やはり、この問題につきましては、現状維持、現状をスタートとして、これからの研究問題にするほうが適当ではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/195
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196・田中昭二
○田中(昭)委員 最後の一つ手前に、この、税法の施行期日の問題でございます。登録税のほうは八月以降というふうになっておるようでございますが、印紙税は一カ月の準備期間で七月からと、このようになっておりますが、これはやはり、これだけの改正をやるならば、二カ月、三カ月、半年ぐらいの準備期間はあっていいんじゃないか。それを申し上げれば、すぐ財政的需要というようなことになってまいりますけれども、財政的需要をおっしゃるならば、この前から私が言っておるような問題もございますし、それだけで片づけるのじゃなくて、納税者の国民がいまでもあまり知らないそういう税制について、たった一カ月ぐらいの準備期間ということでなくて、もう少し政府はあたたかい思いやりを持ってするべきじゃないか、このように思います。それについて、ひとつ主税局長のところで、これはいろんな事情があって期間を延ばそう、こういう考えに傾いてもらいたいと、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/196
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197・塩崎潤
○塩崎政府委員 この点は、もう先生のおっしゃる点は十分加味いたしましてこういった施行期日を延ばしたつもりでございます。昭和二十九年に改正いたしましたときは、即日公布、施行ということでございましたが、私は、最近の情勢から見ますと、やはり増税といったような場合には準備期間を置いたほうがいい、こういう気がいたしますし、同時にまた、減税率、免税点の引き上げは相当幅広く行なわれるわけであります。それは一つ早めに施行したい。そういう点も勘案いたしまして、七月、こういうふうにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/197
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198・田中昭二
○田中(昭)委員 なるほどそうでございます。免税点が引き上げになろうとなるまいと、国民は、この印紙税について現在まで、先ほどから言われているように、脱税しようとか、そういうことがあまりないんです。まずはっきり言いましてあまり興味がないものを、一カ月早くしようがどうしようが、免税点を引き上げようが、そうそのこと自体に国民は不満を持つということではないと思うのです。
そこで、最後と申し上げましたから、いよいよ最後になりますが、次官なり大臣に最後にお答えをいただきたいと思います。
ずっといままでの話の関連上、印紙税の改正は明らかに国民には増税になる。次官もおわかりいただいたですね。国税の中においても、いままでは〇・七か八程度の割合を占めておるものも、一・〇ですか、そのように割合を余計占めるようになった。こういう増税ということに対しまして、最後に大臣のお考えをちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/198
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199・水田三喜男
○水田国務大臣 増税ということでございましたが、御承知のように、この増税は普通の増税と違って、実質は税の調整であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/199
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200・田中昭二
○田中(昭)委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/200
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201・内田常雄
○内田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/201
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202・内田常雄
○内田委員長 これより討論に入ります。
通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/202
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203・村山喜一
○村山(喜)委員 印紙税法について、日本社会党を代表いたしまして、反対の理由を申し上げます。
第一、印紙税法の全面改正をなすにあたりまして、政府は課税範囲の整備合理化を目標として限定列挙方式に課税文書を改めようとしております。現行法は、財産権の創設、移転、変更または消滅及び財産権に関する追認、承認を証明すべき証書を作成する者に印紙税を納入する義務を課しているのでありますが、改正法案によると、別表にこれをゆだね、人格権及び身分権に付随するものについても課税をする道を開いていることを認めることは、印紙税制度の歴史から見ましても、印紙税の本質から見ても、許せないことであります。
第二点といたしまして、通告処分制度を廃止し、過怠税制度の創設によって罰則の整備合理化と印紙税の納付の確実な履行を行なわしめようといたしておりますが、行政罰としての過怠税は過重であり、それによって納税意欲を高めようとすることは問題であります。それよりも、趣旨を十分に徹底して、納入意欲を高めることが必要であると思います。
第三に、免税点及び税率の調整と称して、所得及び物価上昇に籍口して、定額税率を現行の二倍程度に引き上げ、百十一億の増税をはからんとしていることは、認めるわけにはまいりません。
第四に、全文改正がなされるにあたり、非課税法人や非課税文書を追加しておりますが、財産の流通取引を本来の業務としないものまで含まれているものが残され、政令や解釈にまかされているものもなお多く、不十分な法改正であるといわなければなりません。
さらに、印紙税の課税捕捉にあたっては、これが十分になされていません。
これらを考えますときに、権力的大衆課税の性格を持つ本法案に対しまして反対を表明いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/203
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204・内田常雄
○内田委員長 次は、永末英一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/204
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205・永末英一
○永末委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、本法案に反対をいたします。
以下、反対の趣旨を申し述べます。
印紙税は、もともと明治六年に「受取諸証文印紙貼用心得方規則」というようなものが出まして、それから発足いたしたのでありますが、考えてみますと、明治初年の大変動を起こした日本の経済の中で、商工業者から何らかの政府の必要とする金を取ろう、こういうことで発足したのでございます。しかし、現在の印紙税の考え方並びにその執行のしかたを見ておりますと、はたしてこれが税であるのかどうかという点についてきわめて疑問な点がございます。
たとえば、財産権の移転を証する文書は、お互いの者がこれに合意を与えた場合には、それは法律行為として成立するのであって、この印紙を貼付することによって何らその法律行為に対して政府がオーソライズするというような意味合いのものではない。しかも、そういうものが行なわれておるのであります。
そういう点を考え、また同時に、これが一連の国民の納税行為であるとするならば、その印紙の作成、そしてまた売りさばき、それらの過程について、その税を収納する大蔵省が一貫した責任ある体制をとるべきであるのに、それがとられていない、こういう点にも疑問がございます。
さらにまた、その行為の一端をになっておる印紙の売りさばき人の処遇の問題につきましても、その手数料率といい、あるいはまたこれに対して課税をしている点といい、いろいろな疑点がございます。
政府がこのような財産権移転に対して何らかの手を加えようとする場合には、これらの点をきれいに洗いかえずして、はたして税という観念で対処し得るのかどうか、私どもは基本的にこの点に疑問を持つものであります。
同時にまた、なるほどかたかなからひらがなに全部書き改められた、その点はよろしい。しかしながら、そういうことの反省なくして税額をぽかっと上げてくるということにつきましては、現在国民が物価値上がりの経済的な環境のもとで何とかしてこの値上がりを食いとめたいと思っておる心に、うらはらの行為をやろうとしておるのでございます。
これらの諸点を考えますときに、この印紙税法案に対し、わが党は反対をいたすものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/205
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206・内田常雄
○内田委員長 次に、田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/206
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207・田中昭二
○田中(昭)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております印紙税法案に対しまして反対を表明し、討論をいたすものであります。
政府は、その改正理由として、印紙税の税負担が最近における所得及び物価水準に適合するものとなるよう、その税率及び免税点について所要の調整を行ない、あわせて課税範囲の整理合理化等、制度全般にわたって合理化をはかるとしておりますが、その実態は、税率におきましても二倍に引き上げられ、国民感情とは離れたものであります。
さらに、課税範囲の整備合理化等も、税制調査会がかつて指摘した問題点が解決され、前進も認められますが、政府にあっては、印紙税の本質から判断して、さらに検討を要すべきであります。特に、政府の言われるその補完税としての使命とも逆行いたしまして、国税の中に占める割合も多くなっております。
このような増税に対しましては反対の立場をとって、討論を終わるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/207
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208・内田常雄
○内田委員長 これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/208
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209・内田常雄
○内田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/209
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210・内田常雄
○内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/210
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211・内田常雄
○内田委員長 次回は、来たる三十日、火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X01919670526/211
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