1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月四日(火曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長代理 理事 吉田 重延君
理事 藤井 勝志君 理事 三池 信君
理事 毛利 松平君 理事 平林 剛君
理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君
足立 篤郎君 大村 襄治君
菅 太郎君 小宮山重四郎君
河野 洋平君 笹山茂太郎君
永田 亮一君 西岡 武夫君
村上信二郎君 村山 達雄君
山下 元利君 渡辺美智雄君
只松 祐治君 野口 忠夫君
広沢 賢一君 広瀬 秀吉君
堀 昌雄君 村山 喜一君
山田 耻目君 永末 英一君
田中 昭二君 広沢 直樹君
出席政府委員
人事院事務総局
給与局長 尾崎 朝夷君
大蔵政務次官 小沢 辰男君
委員外の出席者
総理府恩給局恩
給問題審議室長 大屋敷行雄君
大蔵省主計局給
与課長 津吉 伊定君
厚生省年金局年
金課長 河野 共之君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 黒住 忠行君
日本国有鉄道厚
生局長 中西 幸雄君
専 門 員 抜井 光三君
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七月四日
委員砂田重民君及び福永一臣君辞任につき、そ
の補欠として堀川恭平君及び河野洋平君が議長
の指名で委員に選任された。
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七月三日
公認会計士特例試験延長等反対に関する請願(
坂本三十次君紹介)(第二二四一号)
同(大村襄治君紹介)(第二三二六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会における参考人出頭要求に関する件
通関業法案(内閣提出第一一三号)(参議院送
付)
資産再評価法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一一四号)(参議院送付)
昭和四十二年度における旧令による共済組合等
からの年金受給者のための特別措置法等の規定
による年金の額の改定に関する法律案(内閣提
出第七五号)
昭和四十二年度における公共企業体職員等共済
組合法に規定する共済組合が支給する年金の額
の改定に関する法律案(内閣提出第一〇一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/0
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001・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が所用のため、私が委員長の職務を行ないます。
通関業法案及び資産再評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/1
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002・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 政府より提案理由の説明を聴取いたします。小沢大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/2
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003・小沢辰男
○小沢政府委員 ただいま議題となりました通関業法案外一法律案について、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
初めに、通関業法案について申し上げます。
現行の税関貨物取扱人法は、貨物の輸出及び輸入に際し、荷主にかわって通関手続を専門的に行なう業者に関する法律でありますが、その制定が明治三十四年に行なわれ、その後実質的な改正がなかったため、その内容において現状に即さなくなっている点が少なくありません。
このような事情に顧みて、最近における貿易量の増大等に対処して、貨物の通関手続の適正かつ迅速な実施を確保するとともに、これら業者に通関手続等を依頼する者の利益の保護をはかるため通関業務従事者の一部について特別の資格を要することとする等、制度の整備合理化をはかる必要がありますので、税関貨物取扱人法の全文を改正し、その名称を通関業法に改めることとして、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして、その大要を申し上げます。
第一に、税関貨物取扱人の名称を通関業者に改めるとともに、その営業は、従来どおり税関長の許可を要することとしております。また、その業務の範囲、許可の基準及び欠格事由について、実情に即した規定を設けることとしております。
第二に、通関士制度を新たに設けることとしております。すなわち、通関業者は、一定の資格試験に合格した通関士を各営業所ごとに少なくとも一名以上配置して、輸入申告書等の重要な通関書類を審査させなければならないこととしております。ただし、地方港における通関業者及び特定貨物のみを取り扱う通関業者の場合は、例外とすることにしております。
第三に、通関業者の業務の遂行につきまして、秘密を守る義務、料金の掲示義務、信用失墜行為の禁止等の規定を設け、利用者の利益の保護をはかることとしております。
第四に、通関業者によってされた納税申告について、通関業者と税関との間の見解の相違に基づいて増額更正が行なわれることになる場合には、税関長は事前にその通関業者の意見を徴し、また、税関職員に貨物の検査をさせる場合には、通関業者またはその従業者に立ち会いを求めるため、その旨を通知しなければならないこととしております。
その他、通関業者及び通関士に不正があった場合の処分、罰則等につきまして所要の規定の整備をはかることとしております。
なお、従来の税関貨物取扱人については、三年間は従前どおり営業を認め、その新許可への切りかえについては、許可の基準を緩和する等の措置を講ずることとしております。
次に、資産再評価法の一部を改正する法律案について申し上げます。
企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法により再評価が強制されております一定規模以上の会社の再評価積み立て金の処理につきましては、その資本組み入れ措置は、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度まで適用されることになっており、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度以降につきましては、別に法律で定めることとされております。一方、最近におきましては、強制再評価会社の再評価積み立て金の資本組み入れも、特定の業種を除き一般的に相当程度進捗しており、今後、配当制限などのような資本組み入れ促進措置を継続する必要はないものと認められるに至りましたので、この際、強制再評価会社のほか、その他の株式会社及び有限会社を含めて、再評価積み立て金の最終的な処理を行ない、再評価積み立て金の経理の簡素化をはかるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、株式会社または有限会社が、昭和四十八年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度の終了の日において、なお再評価積み立て金を有している場合には、当該再評価積み立て金を当該終了の日の翌日において、資本準備金に組み入れたものとみなすこととして、再評価積み立て金の最終的な処理をはかることとしております。
第二に、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度から昭和四十八年三月三十一日を含む事業年度の直前事業年度までの五年間においては、再評価積み立て金を任意に資本準備金に組み入れることができることとしております。なお、この期間においては、現行どおり抱き合わせ増資による再評価積み立て金の資本組み入れも行ない得ることとしております。
このほか、以上の措置に関連し、株式会社の再評価積み立て金の資本組入に関する法律を昭和四十八年三月三十一日に失効させるとともに、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法及び中小企業の資産再評価の特例に関する法律を廃止する等、所要の規定の整備を行なうことといたしました。
以上が、通関業法案外一法律案の提案の理由及びその概要であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/3
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004・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。
両案に対する質疑は、後日に譲ります。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/4
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005・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案を議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。山田耻目君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/5
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006・山田耻目
○山田(耻)委員 共済組合の改正につきまして若干質問を行ないたいと思いますが、この共済組合の問題につきましては、さきの国会以来ずっと審議を展開しておりまして、新たなる角度からの審議の展開というよりか、むしろ処理すべき問題をどう処理していくのかという事柄のほうに重点がかかっておるように思いますので、そういう立場から二、三お伺いをしていきたいと思います。
まず、大蔵省関係に伺っておきたいのでありますが、昨年のこの委員会におきまして議論されましたことを思い出していただきたいのでありますが、短期、長期の共済組合の資金の非常に枯渇して、値上げのほうにも限界があるし、やりくりできない部分が、特に短期のうちの医療費の高騰に伴って、かなりむずかしくなってきた。だから、三公社を含めて、国に対して定率の国庫補助の要請をしばしばいたしておる、どういう話があったのでございます。これに対して、大蔵省側の答弁というのは、いま定率の国庫補助をしておるのは、国民健康保険、日雇い健保、それに政府管掌保険が四十一年度において百五十億円、しかし、いずれにしても、医療体系の抜本的に改定を検討しなくてはならない、特に四十二年度においては臨時健康保険等の審議会を開いて、そこで抜本的に検討して何らかの答弁をしたい、こういうふうに昨年の審議では留保の形を伴っております。
そこで、一体、短期のことしの共済に対して、どのような見解を持ちながら具体的な作業を続けてきたのか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/6
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007・津吉伊定
○津吉説明員 お答えいたします。先生すでに指摘されましたように、短期につきましては、国民健康保険及び日雇い健康保険につきまして、それぞれ四〇%及び三五%の国庫負担がございます。抜本的な医療保険体系の基本的な検討に待ちまして、われわれ共済組合におきましては長期給付とともに短期給付をやっております。その短期給付は、いわば職域における健康保険でございまして、健康保険の諸般の基本的対策とともに、われわれ、短期給付あるいは負担、その他基本的体系の問題について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。当面、国庫負担は申すまでもなく、財政能力、それから低所得者対策、あるいは国民健康保険におけるような事業主が関与しておらないという地域保険という性格にかんがみまして、効率的、重点的に財政負担を行なっておるという状態でございまして、共済と健保のバランスといたしましては、掛け金の水準それから給付の水準、両者考慮いたしまして、やはり共済に対しては、現在のところ特段の定率国庫負担を導入するという結論は出しておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/7
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008・山田耻目
○山田(耻)委員 地域社会の保険的な、あるいは職域的な保険的な性格を持っておる関係の部分については、政府が定率国庫補助をするということは、そのシステムの上からむずかしいということは、さきの国会でも繰り返されてきたところでありますが、政府管掌の保険も職域的性格を持っております。これに対して、昭和四十一年には百五十億円の補助をいたしておりますが、四十二年度はどういう形になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/8
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009・津吉伊定
○津吉説明員 お答えいたします。
先生御指摘のように、政管健保に対しまして、四十二年度二百二十五億円の国庫補助金を計上しております。しかし、反面、諸般の対策を総合いたしまして、保険料を千分の七十二に引き上げる、あるいは入院初診時の本人負担、それの増額をする、それから一日一剤十五円を限度といたしまして、薬剤の一部負担の新設をしておる、それからまた、相当の行政努力をするというようなことをかみ合わせまして、健保においては、近く抜本的な体系の検討を了するというたてまえのもとに、臨時応急措置としてそういう諸般の措置がとられておるわけでございます。
われわれ共済組合について見ますと、先ほど申し上げましたように、掛け金の水準、給付の水準、これを考えてみますると、まず、掛け金につきましては、釈迦に説法でございますけれども、健保におきましてとられておる掛け金の基礎報酬は、これは標準報酬額でございます。われわれ共済組合のほうは本俸でございまして、標準報酬、これはいわゆる基準内給与、諸手当を入れまして、きまって支給される給与、これを足しましたものが標準報酬でございますので、標準報酬と本俸との比率は八三%ちょっとということで、その基礎俸給にかかります掛け金率を見てみますと、政管健保につましては、引き上げられますと千分の三十六という掛け金率になります。これが、先ほど申し上げました基礎俸給の相違に基づきまして共済ベースに換算いたしますと、共済の千分の四十三という計算になります。といいますことは、繰り返しになりますが、標準報酬と本俸との割合で割り戻してみますと、千分の三十六は共済の本俸ベースかける千分の四十三ということに相なるわけでございます。現在の共済の短期の最高の状態にある掛け金率を見ますと千分の四十一ということでございまして、掛け金水準のバランスというのは、一応現在のところ、いまだ共済のほうが低いわけでございます。
したがいまして、政管健保に国庫補助が先ほど申し上げますように行なわれるといたしましても、その面から直ちに国庫補助をすべきものであるという判断は、財政力の配分の見地から見ますると、直ちには出し得ない。それからまた、給付水準の相違を見ますと、健保と共済との給付水準の差は、法定給付、付加給付、福祉財源等込みにいたしまして、合計で二〇%程度共済のほうが健保の給付水準より高いということでございまして、掛け金水準、給付水準両面から見まして、直ちに政管健保における対策を共済に導入するというふうには考えなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/9
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010・山田耻目
○山田(耻)委員 これは直接あなたのほうの関係ではないと思いますけれども、いまおっしゃっているような立場から、いわゆる共済組合のほうが待遇がいい、給付内容がいい、だから、政府管掌保険というものは、ある意味では財源的に行き詰まるから、本人負担も高めていって、そうして国庫補助も出してやらざるを得ない、こういうお説なんです。これは昨年の国会のこの委員会でもそういう話でございました。ただ、その当時の審議を想起していただく一つの材料に——国民健康保険は家族給付が七割になるわけですね。ところが、いまの共済組合給付は、家族給付が七割のところもあれば六割のところもある。むしろ給付条件は悪いわけです。ところが、国民皆保険という立場から見ていきますと、少なくとも家族給付というものは同じにしていかなくてはならぬ、こういう立場の論議が深められてきたわけです。それを今度は、三公社関係を去年の場合呼びましていろいろただしますと、経理内容が苦しくてできない、値上げも本人負担が千分比の三十四、三十五というふうになっている。こういう立場からながめていくと、掛け金を増加させることにも困難がある。だから、理由は医療費の高騰にあるのであるから、そこらあたりは政府の配慮をいただいて、定率の国庫補助を受けたいという意見が、去年の委員会の審議の中で明らかになってきたわけですね。
そこで、私はやはり次の点をあなたにも答弁いただきたいのでありますが、今日の医療費の高騰というものは、政府の物価政策なりあるいは人件費の高騰なりを含めた広範囲な施策の中に大きな一つの原因をなしているものがあることを無視できないと思うのです。それが国民健康保険なり政府管掌保険の赤字の理由にもなっておるわけであります。だから、掛け金もふやしてほしい、政府の場合も、ことしは政府管掌保険では二百二十五億円の助成をしよう、その分野だけに議論がとどめられておって、共済組合関係の国庫補助の要請に対しては、いまのような結論だけでは回答を与えたことになりません。医療行政全般から見て、政府管掌保険と国民健康保険についてはそうする。その医療費が高騰した理由の中には、物価政策等に基づく政治的な施策の貧困から発しておるのだから、当然、共済組合の短期給付に対しても、どれだけの割合になるかは別といたしまして、国庫の定率補助というものをしてやるべきだという議論が去年果たされて、それに対して、臨時審議会等で抜本的に検討して、四十二年度の委員会ではできるだけ具体的な返事をいたしましょう、こうなっているわけであります。しかし、いまあなたの御返事ではそれに対する回答にはならぬし、去年の理由の繰り返しになっておるにすぎません。だから、去年の委員会で審議を深めて、次の委員会では、あるいは四十二年度の国会ではもっと具体的にそのことについて答弁をするという約束になっておるのでございますから、その点について、ひとつもっと具体的に答弁を願いたいと思います。どういう検討をしておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/10
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011・津吉伊定
○津吉説明員 医療費の高騰は物価の騰貴に基づくものであるというふうに割り切られまして、その責任は政府にあるので、医療費高騰によるいわば赤字対策といいますのは、これは国庫が定率負担をすることによって処理すべきであるという見地は、もちろんございますと思います。しかし、その問題は、これはまた別に御議論をいただく重要な点でございますけれども、長期における調整の問題、その後発過去勤務債務の基因する要因といたしまして物価の上昇ということが当然入ってまいりますが、この上昇に対しましても、議論はいろいろ分かれるわけでございます。当然物価の上昇を招いたということが政府の施策に一〇〇%基因しているのみであるといいますと、やはり医療費につきましても、物価上昇による分は一〇〇%国庫が負担すべきであるという見解になろうと思いますけれども、われわれは、やはりその物価上昇につきましても、職域における健康保険制度として、その掛け金の負担及び給付の考慮、バランスの総合的な検討ということを考えておるわけでございまして、非常に具体的な御答弁をしたいわけでございますけれども、健康保険における基本的な抜本対策の検討というものを見ないで、われわれのみでその具体化を進めるということは当然できない問題でございます。この点は、長期においても調整の問題等、同じことがあります。その点は健康保険の対策の検討の推移に応じまして、われわれのほうも総合的に十分検討を進めていくということを申し上げたいと思います。
現在のわれわれ共済組合における医療の状況を傾向として見ますと、受診率はわずかに増加しておる、それから受診一件当たりの日数はわずかに減じておるということであります。一日当たりの金額は増加をしておりますが、薬剤費の増加がその増加の大半であるという傾向はつかんでおりますけれども、これについて現在のところ、国家公務員共済において、重々申し上げますように、健康保険における基本的対策と切り離しまして具体的な御答弁を申し上げるという段階に至っておらないことを残念に存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/11
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012・山田耻目
○山田(耻)委員 それでは、なんですか、国民健康保険の抜本的な対策ができるときに、いまの共済組合関係の短期給付に対する国庫補助についても、過去勤務債のいろいろなその処理のしかた等も考慮に入れるたてまえの中で考えていく、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/12
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013・小沢辰男
○小沢政府委員 山田先先の、政府管掌に二百二十五億円の国庫負担をしている、あるいは、日雇い健保に定率補助、あるいは、国保について定率補助をやっている、しかるに共済組合の短期給付については国庫から何ら補助をしてないじゃないか、この点につきまして、昨年来、当然国もある程度関与すべきであるから補助を出すべきだ——ただいま現状を担当者から説明させたわけでございますが、根本改正のときに、共済の短期給付についても国庫負担を考えるのかという再度のお尋ねでございますけれども、私どもは、やはり限られた全体の財政の中で社会保障の全体の均衡というものを考えてみますと、共済組合法の本法律案の審議に際しまして、村山先生だったと思いますけれども、いろいろ御議論がございましたように、まだ実は、年金分に対する社会保障費の比率というものが、全体の短期給付に対する国庫の負担の率から見まして、年金の関係の分に相当する割合というものが非常に少ないわけでございまして、むしろ、諸外国のあれから見ますと、少し日本はそういう面で逆になっておるような感じでございます。したがって、社会保障全体から見ますと、やはりこの長期給付といいますか、年金部門の老齢年金の部分にもう少しウエートを置かなければいかぬじゃないかということは、これは大体各界各層、あるいはいろいろな御意見を総合しますと、そういうような傾向の御意見が強いわけでございます。したがいまして、限られた財政の中で短期給付につきまして考える場合には、できるだけ低所得の階層を中心にして、そこに厚くしながら、われわれとしては健康保険制度の健全な発展というものを考えているわけでございます。その意味で、国保の対象者あるいは日雇い健保の対象者等について国庫としては非常に手厚い介入のやり方をしておるわけでございます。
そういう意味で、根本対策がいかようにきまっていきますかはこれからの問題でございますから、いまから共済組合について、その際に国庫補助を考えるかどうかと言われましても、根本対策全体のきめ方によりまして、たとえば、全体を職域とそうでないものと分けて、そうして、統合していく姿をとるのか、あるいは国民全体を同じようなレベルに立って、全く根本的に医療保険短期給付というものを考えていくような制度をとるか、これによってもいろいろ違ってくるわけでございますので、国庫負担の介入のしかたというものを、どの程度に、どういうようなそれぞれのあり方でやるかということについても、あわせて根本対策のときにやはり検討をしてまいりたいわけでございますから、いま直ちに、根本対策をやるときには共済にも必ず国庫負担が出ますというわけにもまいりません。それらの点は専門家でいられる先生もよく御存じだと思いますので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/13
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014・山田耻目
○山田(耻)委員 国鉄三公社の当番幹事はお見えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/14
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015・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 国鉄は中西厚生局長が見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/15
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016・山田耻目
○山田(耻)委員 ことしは国鉄が共済組合三公社の当番幹事ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/16
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017・中西幸雄
○中西説明員 ことしは運輸省が当番幹事でございまして、実はその説明員として参ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/17
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018・山田耻目
○山田(耻)委員 ことしのベースアップ以後、短期給付、長期給付の組合員一人当たりの掛け金はどれくらいになってまいりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/18
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019・中西幸雄
○中西説明員 短期給付の四十二年度の予算額で申しますと、職員数が約四十六万、それで組合員の掛け金が八十一億円になっております。それから国鉄負担が八十一億円で、合計いたしますと百六十二億円が財源でございます。でございますから、一人当たり平均いたしますと、四十六万人の八十一億円ですから、ちょっと千八百円ぐらいになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/19
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020・山田耻目
○山田(耻)委員 大体小沢さん、三公社の共済組合の短期が千八百円ぐらいになるということですね。毎月これはかなりの高額な掛け金ですね。若干中西さんの数字に違いがあるかもしれませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/20
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021・中西幸雄
○中西説明員 ちょっと違いまして、月平均にいたしますと千四百円ぐらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/21
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022・山田耻目
○山田(耻)委員 千四百六十七円ぐらいでございますね。そういたしますと、今日の組合員の財政負担としては、長期と短期と合わせますと大体三千四、五百円のかなりの掛け金を毎月かけているわけですね。これは今日の働く人たちの負担としてはかなり重たい。しかも、そういうふうな高額な掛け金をかけていて、保険財政は苦しい。それは医療費の高騰でございます。
そういう面からながめますと、国民健康保険も政府管掌保険も共済組合保険も、医療費の高騰ということについては同じなのであります。しかも、国民健康保険なり政府管掌保険にはたいへんな国庫補助を行なっている。同じ医療費の高騰で被害を受ける共済組合関係については自前でやりなさい。しかも、短期と長期と合わせて、掛け金は三千五百円近くにもなっている。それでも自前持ちでやりなさい。ここに矛盾をお感じにはならないのでございますか。だから、さきの国会のこの委員会では、国民健康保険等の抜本的な検討の際に、しかもその抜本的なものを検討する委員会というよりか、もっとことばを縮められて、近く開かれる臨時審議会において何らかの結論を出します、そのときに共済組合の国庫の補助についても同じように検討いたしますという答弁があったわけであります。この委員会でも、いまの給与課長のお話では、抜本的な対策を検討するときに、過去勤務債務等も含めて共済の短期についても検討いたします——同じようなことばが次から次に流れていって、年月がたっていくのであります。こういうことでは、前向きにしっかりつかんで、行政的に解決をするということにはなりません。その解決できない間、組合員の負担というものは年々歳々増加をしていっているのであります。私は、そういうことばのやりとりよりか、やはりもっと明確な一つの期限をつけて、健康保険の抜本的な改定をする対策を立てる時期には、全般的な医療高騰の姿等も考慮して過去勤務債務等も考慮して片づける、こういうふうに、ひとつ明確に言ってもらいませんと、これは理論の空転になります。その点はいまの小沢さんの御意見だけをいただいて、三公社の組合員はちいっと裕福なほうだから、所得の少ない人々は国が補助していくのだ——三公社の中にも一月に一万七千三百円という人々もたくさんいるのでございますよ。これをあなた忘れちゃいけませんよ。こういうたくさんの人々は低所得ですよ。こういう人々を含んでおる三公社の共済組合員でございますから、それならば、そういう人に対しては、国民健康保険なり政府管掌保険と同じように、その相当数だけ国として助成をしていこうというのならわかりますよ。そうでなくて、おしなべて、プールでそういうふうに計算されたのでは、そこの共済の短期の財政はますます窮迫をしていく。だから、ここでひとつ、健康保険の抜本的な審議を始めるときには、その点を含めて必ずやります、こういうふうに答弁願えないものでございましょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/22
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023・小沢辰男
○小沢政府委員 おっしゃるように、根本的な改正をやります際には、その根本対策の内容いかんによりまして、先ほど申し上げましたように、職域関係の短期保険というものを統合し、一方において、地域社会、いわゆる国保を中心にするような方向と二本立ての根本対策にいくのか、あるいは、国民全体を、所得に応じてそれぞれ公平な負担をしてもらいながら全体を一本の姿で運営をする場合に——現在の総体の給付水準を考えながら運営をする場合に、一体どの程度国庫が負担をし、介入をしていかなければいかぬのか、こういうやり方いかんによってだいぶ違ってくると思うのでございます。その意味で、私が、いまおっしゃるように、全体を根本対策のときに国庫負担のあり方についても再検討すると申し上げたのですけれども、ただ、共済について、それじゃ、その際にはやはり補助を考えるのか、こう言われますと、根本対策の内容がきまらないうちに、個々の保険についての国庫の介入のしかたをいまここで私が答弁するのはなかなか困難なのでございまして、その意味で申し上げておるわけでございますから、したがって、いま山田さんの御質問のように、根本対策のときには、共済関係の短期給付も全部含めた上で、国民の健康を守る健康保険制度というものはいかにあるべきか、それについて国庫が何らかの措置をするかといいますと、それは国庫は何らかの措置をしなければならぬことは当然だと思うのでございます。
それから、現在の共済組合は、なるほど相当掛け金が高くなっておる、また、その組合員の中には非常に所得の低い人もあり、高い人もある、これは事実でございます。
しかし、いまの健康保険で二百二十五億円政府が補助をするようにいたしましたのは、何といいましても、政府管掌健康保険は、御承知のとおり一日に二億円ずつ赤字が出るような現状でございます。一方、共済関係は、それぞれ個々の組合員についての事情はありますけれども、短期給付の収支全体を総合的に見ますと、どうやら、いま、かつかつ運営ができるというような状況でございますので、それらを勘案して、健保については臨時の国庫負担を二百二十五億円をきめまして、さらに組合自体についても、政府管掌の内部で一部負担等あるいは料率改定等の措置によって負担をしていただいて、何とか臨時の意味でこの危機を乗り切りたい、こういうのがあのあらわれでございますので、この点も勘案していただきまして、将来は、もちろん根本対策のときに国庫負担全体を根本対策のあり方に関連しましてきめていきたいと思いますので、そういう意味においては、共済関係もその根本対策のときには含めて当然考えられていくものだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/23
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024・山田耻目
○山田(耻)委員 共済をプールにして同率の給付を受け、国がめんどう見る部分を同じようにおしなべてやりたい、抜本的な対策を将来立てる中で共済組合の関係も検討していきたい。まあ、話としてはわかるのですが、いつごろにおやりになるのか。私は、どうも国民健康保険なり政府管掌保険は、場当たり的にこのように解決をしていき、そうして共済組合関係は、裕福でもないのに裕福だという前提に立ってこれは別の扱いとしてされていく、こういう場当たり的な姿の中にやはり矛盾が矛盾を生んでおるのでございますから、一体、こういう議論をなさるにあたっては、おおよそどれくらいの後に、どういうふうな検討に入る方向が今日考慮されておる、だから、その時期にはこういうふうなものを含めて検討してまいりたい、そういう答弁をしてもらわぬと、私は、五年たっても十年たっても小沢さんのような意見を繰り返して聞くような気がしてなりません。全く去年と同じ意見なのですから、少しも前進はないですよ。
こういう点を、ひとついかがでございますか。あなたも政務次官ですから、少し先について、このころにはそういうふうに根本的な討論が起こって解決されて、そうして結論を生むんだというふうな見通しを述べてもらわぬと、その易しのぎの場当たり的な答弁にしか聞こえませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/24
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025・小沢辰男
○小沢政府委員 おっしゃるとおり、一日も早く急がなければいかぬ問題でございます。しかし、非常にめんどうな問題でございまして、この点は、山田さんも専門家としてよく御存じだろうと思うのです。私どもは、目標としては、来年度は何とかひとつ国会で御審議を願うような成案を得たいと思っておるわけでございますが、鋭意、政府全体、特に社会保障、医療保障でございますから、厚生大臣を中心にしてこれから検討を進めてまいる、また並行的に、政党政治ですから党の側でもいま検討を願っているわけでございまして、何とか、できますことなら、来年中には国会にひとつ成案をお出しして、御審議をわずらわしたいと思っておりますけれども、私どもの予定どおりいきますかどうか。これは、御承知のとおり非常にめんどうな問題でございますので、政党政治の今日、はたして全般的に目標どおりまとまって、来年御提案できますかどうか、保証の限りでありませんけれども、私ども政府としては、厚生省を中心にしまして、何とかひとつ四十三年度には成案を得たいと思って、いませっかく努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/25
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026・山田耻目
○山田(耻)委員 どうも、プラスとマイナスと一緒に申されてゼロになるような気がしてならぬのです。私は頭が悪いせいか、どうもよくわかりません。来年を目途にひとつ国会に出すようにしたい、やはり自民党筋、政府筋でそういう腹をおきめになったら、私はできると思います。だから、私は期待をいたしますよ。しかし、できなかった場合のことも考えなければなりません。
いま三公社五現業の平均賃金が三万八千円程度でございます。年間四十六万五千円の所得です。この年間四十六万五千円くらいの所得で食って着て、そうして寝る、子供を養う。平均扶養家族は二・四くらいでございましょうか。国鉄あたりの平均扶養家族は二・八くらいになりますか、それだけの世帯をかかえていて、これだけの健康保険料を払っていくということは、国民健康保なり政府管掌保険の人々と並べてみて、多少の違いはあるにしても、私は苦しいと思います。だから、あなたのおっしゃっていることばを額面どおり受けて、四十三年度の国会には出しましょう。もしも出せなかったときには、そういう共済組合に対しても、短期に対して何ぶんかの国庫の補助をしていく、こういうふうな、やはりかけたひとつの話に御承知をいただいて、そういう答弁をひとつしておいていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/26
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027・小沢辰男
○小沢政府委員 根本対策がきまるまで、もし来年きまらない場合に、それぞれ短期給付について非常に苦しくなっているのだから、国庫はある程度補助すべきだ、これをここで言明せい、こういうお尋ねでございます。
しかし、この根本対策ができるまでの各保険に対する国庫の介入の程度なりしかたなりにつきましては、やはり現状の考え方が政府として妥当なのではないだろうか。と申しますのは、一応社会保険の形態をとっている医療保障でございますから、それぞれの社会保険の財政状況を見まして、政府管掌としては、緊急やむを得ない対策をとらなきゃいかぬようなときであるから、そこで国庫が大幅に介入をしているわけでございますので、一体、来年の共済関係の短期給付の総合収支がどうなるかということについて、いまから実は予定いまのところでは、先ほど申し上げましたように、一応かつかつの運営でございますから、そう国庫が健保並みに介入をしていかなきゃいかぬような現状ではないのじゃないかと思っているわけでございまして、それが、来年度の前半の経済成長率、給与の関係、それから医療費の動向というものを考えまして、非常に運営が困難をした場合とそうでない場合とでは、やはり国家の介入のしかたがうんと違ってくるわけでございますから、その辺は予算編成のときのできるだけ直近の収支等とにらみ合わせまして検討をしていかなければいかぬわけでございますから、そこで、いま直ちに御満足のいくようなお答えができないわけでございますが、この辺は、短期給付に対する私どもの介入のしかたというものは、現状においてはそれぞれやはり均衡をとっているつもりでございまして、先ほど給与課長も申し上げましたように、負担率、給付内容というものをそれぞれ検討し、均衡をとったやり方を進めてまいる、これが当然政府としてやらなきゃいかぬ措置だと思いますので、そういうような点から見て、必要性が起こった場合に、私どもは、共済だからといって国庫負担を全然考えないというような気持ちはございません。この辺のところは、そういう根本対策ができるまでのことにつきましては、従来どおりの考えで、それぞれの負担率やあるいは給付内容等の均衡を考えながら、国のほうで、一方また、社会保障費全体のワク内でございますから、社会保障全体のバランスというものを考えながらまいっておる今日の私どもの態度は、一応御理解願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/27
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028・山田耻目
○山田(耻)委員 時間がたちますので、大体この問題については終わりたいと思いますが、国鉄の中西さん、いまお話をお聞きになりましたように、来年の国会には、そういう短期関係の健康保険については抜本的な対策を立てて国会に出せるように最大の努力をする、しかし、むずかしい多くの要素がある、こういう話を小沢政務次官は言っておるわけです。
そこで、いま国鉄の短期が四十二年度で百七十四億四千六百万円、大体収入が入ることになっておりますが、私はこれが限度だと思います。だから、去年あなたが、やはり郵政、電電、専売もみんなおっしゃっていたように、共済としては、大蔵省に対して政府の助成というものを幾たびか要請をしておる、しかし、いまだなかなか色よい返事がもらえないのだ、こういう説明がるる述べられました。特にいまのような答弁がございますので、あなた方は大蔵省がこわいかもしれませんけれども、だからといって、申しわけ的にものを言っては、うしろへ下がって、組合員に対して、掛け金を引き上げるぞというおどかしをしながら、そうして現状の上に小康を保っておるという状態ではどうにもなりませんから、大蔵省に対して、思い切ってひとつ、来年できなければ大蔵省として助成をしろ、こういう強い申請をして、やはり動きを活発にしていただいて、そういう経過も来年の委員会ではここで答弁してもらいますから、十分ひとつしっかり働いておいてもらいたい。
次に、スライドについてお伺いいたしたいと思いますが、これも去年の委員会で共済組合法の一部改正のときにスライド調整を初めて挿入したわけです。その審議のときに、一体どういうふうにしてスライドしていく基準をつくったり、あるいはそういう発意をするのか、今日では、恩給が上がれば自動的に共済が上がる、恩給の従属機関のようになっておる、こういうことではいかぬじゃないかという議論が起こりまして、給与課長から、共済組合審議会でひとつ審議したらどうかという答弁が、武藤委員なり堀委員なりになされております。ところが、それでは三公社が抜けるのではないか、だから、こうしたものを含めて、農林年金なり私学年金を含めて公的年金審議会というものをつくって、そこでひとつスライドの基準などについて一つの案をつくり、それを具体化するように努力していってみたらどうか、こういう公的機関をつくったらどうか、それはいい考えだから、ひとつ検討しようということになって、またこの委員会を迎えたわけですけれども、公的年金審議会の動向等はその後どうなっておるのか、その点について、ひとつ答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/28
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029・津吉伊定
○津吉説明員 調整規定につきましては、すでに御承知のように、恩給それから共済はもちろん、厚生年金、労災というような諸種の恩給をも含めました社会保険全般について規定が設けられておる現状でございますが、それの具体的な運用につきましてどのように考えていくかということでございます。
これも先生御承知のように、六月の二十一日に社会保障制度審議会からの申し入れもございますように、恩給、共済、厚生年金、国民年金、そういう公的年金を含めましてスライド制の確立が強く叫ばれておるのに対しまして、公的年金の所管については非常に多数の省庁に分かれておる、これらの調整につきましても、思い思いの混乱を生ずることはもちろん困るわけでございますので、十分横の連絡をとりまして、これらの公的年金制度の共通的観念と個別的な観念を明確にして、その間の異同を明らかにした上で、調整方式、基準、財源の負担区分等の突っ込んだ検討をすべきである、政府の関係各省庁まとまりまして本件に関する責任官庁を定めて、早急に結論を出すべきであるというふうな申し入れもされておる次第でございます。
先ほど来御指摘をいただいておりますこの審議機関として特段に具体的な構想を持っておるかという点につきましては、これは三十八年十二月以来総理府の人事局が主宰いたします公務員年金制度連絡協議会という一つの連絡の場がございまして、その連絡協議会における問題としても日程にのぼり、検討が進められておるわけでございます。
要は、実質的に調整が——個々ばらばらでなくて、総合的に、いま申し上げましたように、各種の公的年金制度の共通性、個別性を識別いたしまして、もちろん均衡のとれた調整がされるべきであるという実質的な検討がいかに進められるべきであるかという点が問題であると思いますので、審議機関を特に設けるかという点につきましては、今後の推移におきまして、あるいは考えられることであろうかとも思いますが、現段階においては、そういう実質的な検討が取りまとめて行なわれる、少なくとも責任官庁を明確にして、総合的な検討を進めていくという体制をとっていく必要があるという段階であるように思っております。特に、名称のいかんということでございますが、公的な年金制度、この統一的な審議機関として何らかのものを現在具体的に構想しておるという段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/29
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030・山田耻目
○山田(耻)委員 社会保障制度審議会の大内さんのほうから、せんだって六月二十一日に佐藤総理に、スライドについてはどうなっておるか、それをやりなさいという意見書が出ておるわけでありますが、いま給与課長のおっしゃっているお話も、均衡のとれた統一的な調整をする機関を必要とする、こういう御意見で、それは私もわかるわけです。ところが、去年のこの委員会の附帯決議でそういう審議会を設置するんだ、こういう附帯決議までつけて作業の促進を求めておるわけであります。だから、去年の附帯決議のときに論議されたような事柄が、いまの答弁で全然進んではいないじゃございませんか。やはりそういう点について附帯決議をつけたり、審議をしたことは尊重していただいて、そうして作業を進めていただきませんと、同じようなことを繰り返していくようになります。やはりそれぞれの分野で非常に怠慢の度が強いんじゃないだろうか。このスライド調整の問題については、諸外国と比べて非常に劣っておるのでございますから、そういう点をすみやかに解決するために、これは仮称として去年申し上げた公的年金審議会——これはいま御答弁いただいたように、統一的な調整を行なうんだ、均衡のとれたものをやっていくんだ、こういうふうな内容を意味して公的年金審議会を一つの仮称として提起したわけであります。十分検討しようということになったまま今日になっておるわけでございます。
ただ、その中で少し進んでおりますのは、責任官庁を明確にする、そうして公的年金を一本でやっていくようなことを考えていこう、こういうふうな答弁がございましたので、その責任官庁をどこにして、どういうふうな統一的な均衡のとれた調整を行なって審議を進める機関をつくるのか、どういう内容のものなのか、構想を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/30
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031・小沢辰男
○小沢政府委員 昨年の国会で、先生おっしゃいましたように、調整規定の運用について、その実効ある措置が国家公務員共済組合、公共企業体の職員等の共済組合を通じて統一的に講ぜられるような適切な配慮をせい、こういう国会の御意思でございました。私ども、それを受けまして、なるほどおっしゃるように不十分かもしれませんけれども、公務員の公的年金制度全般を連絡協議をする機関を各省の責任者をもって構成しまして、つくったわけでございます。実は公的年金審議会という、名称はどうありましょうとも、一本の機関を置きまして、責任官庁をはっきり一つきめましてやるのが一番政治的にも私同感でございます。
ただ、御承知のとおり、今日のそれぞれの共済関係、あるいはまた中央と地方、それから他の厚生年金、厚生年金から分かれました農林関係の共済、あるいは私学共済、非常にばらばらでございます。それぞれ勤務のいろいろな状況によりまして特色がございましたり、また違いがあったりするわけでございます。それがそれぞれの法律でやはり現在としては生きておるわけでございますから、そういたしますと、その点を、全く根本対策ができない前に無視をして、そしてこれを一本のものにといっても、必ずしも妥当な運用といいますか、そういうことにはなかなかならぬだろう、そこで、それぞれやはり特色を持った、また法律で審議会がございますから、それはそれとして尊重しながら、この公務員公的年金制度の連絡協議会というものを適切に運用することによって、均衡をとったり、調整をしたりして進んだほうがいいのじゃないかという考えで今日政府はいるわけでございます。責任官庁をそういう方向で持っていきたいと思って協議はいたしておりますけれども、責任官庁をそれじゃどこにするのかというところまでまだ具体的にきめていないのははなはだ遺憾でございまして、私も政府部内にありますから、早急に御意見の趣旨は政府全体で——官房あたりで考えてもらいまして、きめてまいりたいと思いますけれども、今日のところは、まだ実は、はっきり厚生省にするか、総理府になるか、また財政を預かるわれわれのほうになるのか、まだ明確でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/31
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032・山田耻目
○山田(耻)委員 大体去年の国会で調整条項を入れましたときに、そういうものをちゃんと用意なさって、このスライドの調整についてはこういう機関でひとつ審議をして、統一的均衡をとって運営をしていきたいと、裏にちゃんとくっつけて、提案なさるのが、私はやはり政府の正しいやり方だと思うのですよ。法律のスライド調整を修正して入れて作業をしていくというところはほったらかしておいて だから、去年その法律を通すときに、そういう専門の機関を設置してやらなければ有名無実になっておりますよ、じゃひとつそれをやろうということで附帯決議をつけたのでしょう。それが、まだ責任官庁がよくわかりません、やりたいと思う気持ちだけはあって、いま相談をし合っておりますと言うが、私は、そういう調整措置を受けるということを当然の権利として考えておる人々の立場にもなってあげて、そういう措置は、やはりどうしてもこの国会で急いで片づけていかなくちゃならぬと思うのです。そういうふうな作業を非常に渋滞させておる一つの原因には、いろいろ各省の関係もあろうかと思いますから、人事院お見えでございますか。 公務員法百八条に書いてあることを一体どのように今日まで実施をなさってきたか。それをひとつ条文をお読みいただいて、人事院のおとりになった作業を報告を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/32
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033・尾崎朝夷
○尾崎政府委員 国家公務員法の百七条には「職員が、相当年限忠実に勤務して退職した場合、公務に基く負傷若しくは疾病に基き退職した場合又は公務に基き死亡した場合におけるその者又はその遺族に支給する年金に関する制度が、樹立し実施せられなければならない。」とございまして、百八条には「人事院は、前条の年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。」という規定がございます。つまり、との規定は、申すまでもございませんが、われわれといたしましては、いわば現役の職員に対する給与でいま忙殺をされておるわけでございますけれども、退職後の職員の生活の保障につきましても十分責任を持ってやらなければならぬということでございます。この規定に基づきまして、人事院といたしましては、昭和二十八年に従前の恩給制度の改正につきまして勧告を行ないました。これは申すまでもございませんけれども、こういう制度は非常に長期の問題で、ふだんの給与の問題とは違いますので、非常に大がかりな、何年ももたせるという意味合いのものでございますので、当時人事課長会議その他にいろいろ機関を設けまして、各省の意見を十分練りに練りまして、数年がかりで勧告をしたものでございます。その内容につきまして、その後いろいろ検討がなされました結果、御承知のとおり、昭和三十二、三年でございましたか、公企体共済の実質的な内容になりましたし、現在の国家公務員共済の内容は、実質的に勧告の内容に基づいたものでございます。もっとも、たてまえが、人事院の勧告はいわゆる恩給方式でございましたのですが、そのたてまえが共済制度という形で変わっているのは御承知のとおりでございます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/33
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034・山田耻目
○山田(耻)委員 私はたてまえを聞いておるのじゃないですよ。この法律はおわかりになっておるでしょう。だから、年金というものは、年金受給者の生活の維持に相当できるように絶えず配慮してやりなさいというのが百七条でしょう。百八条について、あなた方は政府並びに国会に対して、そのことに必要な意見を述べなさいというのが百八条でしょう。これに忠実でないじゃないですか。忠実でない。忠実でないということは、職務怠慢ということになるのですよ。職務の怠慢は、一体国家公務員はどういう制裁を受けるかということははっきりしておるでしょう。そういうふうなことをのべつまくなしに、百七条の主張する法の精神というものを具体化するための努力を百八条で規定しているんだから、そういう努力がずっと続けられていたら、いまの小沢次官のような答弁はとうの昔に片づけられておるのですよ。少なくとも私が言ったように、去年の委員会で提起されましたスライド調整挿入のときに申し上げたような、年金を統一的に調整をしていく何らかのふさわしい機関が生まれていたものだと私は思うのです。だから、その点は私は、やっぱり今日あらゆる法律によってそれぞれの分野が規制されておりますけれども、それぞれの怠慢がこのような結果をもたらしたものと、きわめて遺憾に思っております。過去のそういう状態を責めるばかりが能じゃございませんから、前向きでものごとを解決しなければなりません。
そこで、この国会におきまして、おっしゃっているような統一的な立場で、しかも、均衡を失しないような公的年金審議会的なものを設置して、必ず法律のいっているところに即応していく、こういうことをひとつ大蔵省も一応主管の省としてお考えいただかなくちゃならぬ。ただ、言われているように、責任官庁をいずれにするかまず定めて、それから統一的なそういう審議会的なものをつくりたい、この気持ちだけはわかりました。わかりましたから、この会期中に、そうした問題について責任官庁も明らかにし、そうして統一的な審議会も設置をする、こういうことについて私はお約束願いたい。そうしなければ、去年の委員会でスライド調整条項を入れたことの意味がなくなります。それだけの親切心は私は持ってほしい。いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/34
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035・津吉伊定
○津吉説明員 これは申すまでもなく、われわれのほうで、御指摘をいただきましたように、直接に主管をいたしておりますのは、国家公務員共済でございます。先ほど来申し上げましたように、調整の問題といいますのは、公的年金制度全般にわたりまして、特に恩給も含めましてある問題でございます。したがいまして、われわれといたしましては、そういう責任官庁を明確にして、統一的な均衡のある調整がはかられるということを期待をしつつ、われわれも国家公務員共済組合審議会において検討を進めておるという状況でございますし、また、非常に広く、いま申し上げる厚生省所管あるいは公企体の関係の各主務官庁あるいは地方の共済の問題というものもございますし、御指摘いただきましたように農林共済、私学共済という共済グループもあるわけでございます。したがいまして、この全般についてどうこうということは、私の立場からは御答弁ができないのを遺憾に思う次第でございまして、特に国家公務員共済組合につきましてはそういう分野においていま申し上げるような検討について努力を重ねておるということを申し上げるにとどまるという点は、遺憾ながらそういう立場でございますので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/35
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036・山田耻目
○山田(耻)委員 大蔵省の所管は国家公務員共済組合である、そのほか国民年金とか厚生年金、たくさん所管の違うところがある。しかし、共済組合関係の法案を審議するのは大蔵委員会でありまして、大蔵省がやっぱり責任者でございます。それは、それぞれが持っておるものは確かに国家公務員の関係でございますけれども、それを統一的に公的年金審議会等、そういうものを設置をしてやるのだという附帯決議がなされておるわけでございますから、それを、そういうなわ張りだけで、今日まで、ほかのほうは私は知らぬ、うちのほうは国家公務員共済組合の関係についていま議論をしておる、こういうことだけでは、一体この問題の解決はどこでつきますか。やっぱりこういう問題を審議するのは大蔵委員会でございますから、大蔵委員会で審議し、大蔵委員会で附帯決議のついたものはやっぱり大蔵省がそういうことの音頭をとり、附帯決議の実践に向かって努力をしていく、こういう関係が明らかにされてまいりませんと、この種の問題というのはなかなか日の目を見、実を結ぶということになりません。
そこで、私はそういう全般的な問題についてはまだ後ほどの意見を保留することにして、じゃ、大蔵省で所管をしておられる国家公務員の共済組合関係に対するスライド調整について、今日どういう審議がなされて、どういう結論をいつごろまでにおつけになるのか、これはあなたの所管の関係ですから、私はうやむやの話では済まぬと思いますから、その点ひとつはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/36
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037・津吉伊定
○津吉説明員 どういう審議が行なわれておるかという御質問でございますけれども、審議の対象を明確にするといいますか、調整の問題についての諸種の資料を取り集めた上で検討を進めるという体制になっておりまして、もちろん、国家公務員共済組合審議会における会合がございますつど、本式の審議会あるいは懇談会というようなことで、その資料の収集をもとにしまして若干の議論が出ておるということで、統一的に継続的審議が定期的に進められておるという状態では実はないのでございます。
それで、しからば、その検討についてはどういうめどでおまえはやるのか、こういうことをおっしゃっておるわけですが、われわれのほうは、先ほど来申し上げたように、非常になわ張り根性でほかのほうをはねのけたような話に聞こえましたならばお許しをいただきたいのですが、これはわれわれのできる範囲で正直に申し上げておるところでございまして、御指摘の点、十分御趣旨はわかるわけでございます。
恩給におきましても本年度末恩給審議会の設置期間がまいるわけでございますが、そういう期間における審議、検討、それから厚生年金、国民年金等の調整についての検討、それらのものとともに広く資料を収集して検討を進めていくというテンポでございますので、いつまでにその結論を出すかということについて、われわれのほう限りの国家公務員共済組合についてだけは、所管しておるというのだからそれだけは具体的に言えるだろう、こうおっしゃいましても、明確に、一年後必ずその結論は出ます、あるいは二年後出ますということは、特に具体的には申し上げかねるわけでございますけれども、もちろん、十分な検討を精力的に進めまして、可及的すみやかに調整の実現をはかる、これは先ほど来申し上げております一緒に走っておる線が非常にいろいろあるわけでございまして、社会保障制度審議会の申し入れられたところの御指摘を待つまでもなく、非常に所管省も多数にわたっておるわけでございます。これらを総合した結論というものは、われわれのほうとしても、それを右左を見ながら渋滞するというつもりではございませんが、促進を特につとめてはかっていくについて、それぞれやはり各種の公的年金制度における性格に基づく仕分け、それからそれぞれの実態に応ずる議論も並立して、並行して出てまいるわけでありますので、それらを参考にして、できるだけすみやかに成案を得て調整の実施段階に移してまいりたいというふうに、誠意を持って検討する体制をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/37
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038・山田耻目
○山田(耻)委員 小沢さん、去年の委員会のときにはそこにはいられなかった。たしか藤井さんだったと思いますが、やはりスライド調整についていまのような答弁があったわけですよ。大蔵省は国家公務員共済組合についてやる、審議をする。どういう方法でやるかといえば、共済組合審議会でそのスライドの基準とか内容について議論をする、こういう話がありまして、武藤委員のほうからいろいろと意見が開陳をされまして、そうして、私のほうから、それでは一体私学とか農林だとか三公社というものはどこで審議をするのか、それがはずれるから、公的年金審議会的なものを設置して、全部の共済組合関係を網羅した調整のための基準を見つけ出す機関をつくろうじゃないか、それじゃ、そのとおり検討いたしましょうということで、最後に附帯決議となったのです。いまの給与課長の意見というのは、去年の一番初期の意見に返っておるのですよ。こういうことで一体——国会の委員会の決議というものが実行されない、しかも国会がかわるたびに初歩の意見から始まってくる、こういうことでは一体どうするのですか。あなたは、次官は交代なさったけれども、やはりそういう事柄については受け継がれておるはずでございます。いまのような答弁で私は満足するわけにはまいりません。何のために審議をしてきましたか。そういう附帯決議をつけて、公的年金審議会的なものを設置をして、均衡のとれた統一的なものをやろう、こういうふうになっておるのでございますよ。それがいまの話では、恩給の関係もあるし、大蔵省所管以外の地方共済もあるし、私学もあるし、そういうものもあるんだから、そういうものもひとつ進めてもらって、大蔵省の所管する国家公務員の共済の関係だけについてはだいぶ討議を深めております——何という答弁ですか。これからどういうふうにやっていくのか、その附帯決議をどのようにまじめに守っていくのか、実践をしていくのか。よもや、こういう附帯決議はわしゃ知らぬ、こんなものは犬に食われてしまえという態度で仕事をなさっておるのじゃございませんでしょうね。答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/38
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039・小沢辰男
○小沢政府委員 御承知のように、調整規定がそれぞれの法律に入るようになりましたのは、まず、恩給法の改正のときに調整規定が非常に問題になりまして、恩給法の改正のときにその調整規定が先行したわけでございます。そこで厚年あるいは国年、それから昨年この共済組合等の改正の際にそれに応ずるような調整規定というものをそれぞれの年金制度の中に取り入れてきたわけでございまして、恩給法の改正の結果できました調整規定の運用について、その内容、基準をどういうふうにするか、また、それの経費の財源の分担等についてどうあるべきかということを、いま内閣の恩給審議会で鋭意検討中でございます。しかし、物価、経済事情の変動等もございますので、それを待っておったのでは恩給の増額が時勢に合わなくなる、こういうことから中間答申が昨年秋出まして、それに基づいて、私ども、恩給の引き上げあるいは共済年金の引き上げ額を七十歳以上は二八・五%とか、いろいろ御審議をいただいておるような改正案を出したわけでございます。
御承知のとおりでございますから、そういう意味においては、私どもは、やはり恩給審議会の調整規定の内容がきまってくる、これがやはり中心になっていくべきじゃないだろうかというふうに考えるわけでございますが、やはり共済関係は、御承知のように、そのもとは恩給法であったわけでございますので、そういう点から考えましても、恩給関係のほうの審議会がどのように進行していくか、それが非常におくれるような場合には、当然これは私どもとして、やはりそれぞれの法律の中に規定があるわけでございますから、行政府としては法律の忠実な運用、施行というものを考えていかなければいかぬ立場でございますので、実行について十分考えていかなければいかぬと思いますけれども、幸いにして恩給審議会のほうが一歩前進いたしております。したがって、その審議会の結論を待ちまして考えていきたいというのが、いまの政府の考えでございます。
ただ、たまたま先ほど議論がありましたように、つい最近制度審議会から総理大臣に答申も出たことでもございますので、この点も含めまして、政府部内全体として、その取り扱いをさらに前向きで真剣にひとつ検討さしてもらいたい、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/39
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040・山田耻目
○山田(耻)委員 昨年恩給法改正に伴う年金額改定の法律案がありまして、国家公務員共済組合審議会、地方公務員の共済組合審議会に諮問されまして、その答申が出ております。その答申は、恩給追従主義は排除さるべきである、恩給に追従していく共済組合のあり方というものは排除さるべきであるという答申が出ておるのであります。いまの小沢政務次官のおっしゃる言い方というものは恩給が主であって共済組合が従的立場にある、こういうものごとの考え方で律せられておるところに、私が申し上げたような公的年金審議会が育っていかない原因の一つがあるような気がいたします。恩給追従主義は排除さるべきであるというこの答申は、あなたは、そんなことを言うたってそんな答申は何になるかというお気持ちでこの答申をお受けになったのですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/40
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041・小沢辰男
○小沢政府委員 決してそうではないのでございます。したがって、昨年の附帯決議あるいはまた共済組合の審議会のほうから出ました御意見等に基づきまして、公務員の年金制度連絡協議会というものを設置いたしまして、先ほど来申し上げているような方向でやっているわけでございます。ただ、私が先ほど申し上げましたのは、現実問題として非常に、一歩も二歩も先んじて調整規定が入りましたのが恩給法でありますものですから、そういう意味で申し上げたのでございますが、したがって、その答申そのものあるいは附帯決議そのものを無視するような考え方は、私どもございません。そういう意味では、まだ結論が出ないのでたいへん申しわけないのですけれども、そういう方向で鋭意検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/41
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042・山田耻目
○山田(耻)委員 いろいろと過去勤務の関係もありますけれども、恩給というものに追従していく共済組合というものでないことは、もうよく御理解いただけると思うのですよ。しかし、現実が恩給が先行しておるので、結局、それが主になって、恩給の独走的な考え方が共済組合に押しつけられておる、こういう弊害を無視するわけにはいかないのですね。だから、この審議会の答申が、恩給追従というものは排除していかなくちゃいかぬという、このものごとの考え方というのは、私はやはり正しいと思うのです。だから、それはそういうふうに気持ちの中で整備しながら、共済組合制度のあり方、あるいはスライド調整に対する審議会の設置のあり方、こういうものについて結論を出していただきませんと、非常に混乱がより深まってまいりますから、その点は、私はひとつ留意をしていただきたいと思うのです。
そこで、かなり時間も過ぎたようでございますが、いまの去年つけた附帯決議、これは性格上、ことしもどうしてもまたつけなければおさまらぬものなのですよね。そこで私は、この問題については、もう二年がかりになりますから、お約束をしてほしい。来年のこの委員会には、公的年金審議会的な、統一的な均衡のとれた年金スライドの審議会を必ずつくって、そういう提案をしていただく、こういうことのお約束、ないしはそれに近いお約束、こういうものは私はしていただいてもいいと思う。去年のこの委員会の附帯決議そのものの実施は、この国会に出ていいはずなんです。それが、いまいろいろおっしゃったような理由もありまして、できませんでしたことは、私は遺憾です。次の国会にはそういうものが整備されて出てくるように、これはひとつ十分配慮することをお約束願っていいんじゃないかと思いますが、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/42
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043・小沢辰男
○小沢政府委員 ごもっともな御意見でございますので、私も努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/43
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044・山田耻目
○山田(耻)委員 努力のことばもなかなか幅が広いのでございます。いままで努力する、善処するということで、なかなか日の目を見たことがないのです。この問題については、昨年の法改正で、スライド調整条項を入れて、そうして附帯決議がついた、そういう経緯がございますし、行政府としては、あの法律改正をするときに、こういう委員会でやりますよということをつけておくことが、法律を提案する人の責任だと思うのです。しかし、それができなかったので附帯決議がついた。その附帯決議がついて一年、来年は二年になります。来年には、努力するということではなくて、そういう方向で結論をつけて提案をしたい、そういうふうな濃度の強い、濃い努力、そういう意味の努力と理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/44
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045・小沢辰男
○小沢政府委員 ぜひ御理解のような方向に私はしたいものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/45
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046・山田耻目
○山田(耻)委員 この点については、私のほうの理事さんにもお願いしておきますが、委員長もよく御承知をいただいて、理事間で相談いただいて、いま小沢さんが答弁なさったような努力は、濃い、実現に近い努力であるということを含めた附帯決議をつけていただくようにお願いいたしておきたいと思います。
以上で、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/46
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047・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/47
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048・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 旧令共済、公企体共済の一部改正に関する質問をいたしたいと思います。
最初に、国鉄の厚生局長にお伺いいたします。退職一時金の問題ですが、国家公務員の共済組合法によれば、二十日から五百十五日、こういうことになっているわけです。公企体の場合は二十日から四百八十日、こういうことで、両者の間に最長期の場合三十五日の差があるわけでありますが、これは一体どういう理由であるか。そして、私どもとしては、やはり同一に、少なくとも四百八十日という公企体の退職一時金の限度額を国家公務員共済組合法並みに引き上げるべきである、こういう考えを当然に持っておるわけでありますが、その点に対して、これを直す意思があるかどうか、この二点について、まずお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/48
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049・中西幸雄
○中西説明員 国家公務員の共済組合法と公共企業体の共済組合法とで一時金の日数が違うという問題は、この法律ができましたときに、公共企業体の共済組合法は、年金の支給のほうを充実するというほうに重点が置かれておりまして、それに比べて、一時金のほうは国家公務員と比べた場合に若干薄くなっている、それで、公共企業体の共済組合のほうは掛け金の限度において支給するというたてまえになっておりますためにその日数に違いができてまいったわけでございます。
第二点のほうは、これは国鉄だけの問題ではございませんで、三公社、この法律が一緒になっておりますし、また、この問題につきましては監督官庁とも御相談はいたしますが、やはり全体のたてまえということを念頭に置かないと、この法律のできたいきさつその他から、国鉄自体だけで御答弁いたすわけにはまいらぬと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/49
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050・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いまの答弁を伺っていますと、国鉄や公共企業体関係では、年金を重視していきたいということで、退職一時金は控え目にというような考えが成立当初あったようでありますが、しかし、実際問題として、これは給与課長に伺いますが、国家公務員関係のほうが、年金を受給しないでやめる人が公共企業体よりも多いのだ、あるいは、そういう政策的意図があるのだという、そういうものはありますか。公共企業体は、もう年金受給年限以上越えてつとめる、これがたてまえであり、国家公務員のほうは、いまの中西さんのお話を聞くと、年金重点ではない、途中でやめた者にも十分見てやろう、こういう考えを裏づけるような具体的数字というものがあるんですか。そういう政策意図なりというものがあったということでございますか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/50
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051・津吉伊定
○津吉説明員 特別そういうことを裏づける資料はわれわれ持っておりませんが、ちょっと蛇足かと思いますが、昭和三十六年に、これは申すまでもございませんけれども、通算年金制度というのができましたわけでございます。そういう通算年金ができました段階においては、退職一時金の給付を受けると、そのまま一〇〇%受けるというたてまえではなくなりまして、できるだけ年金を受ける、いわゆる国民皆年金という方向で通算年金制度ができたわけでございまして、退職一時金からその通算年金の原資を凍結するといった措置が法定されておるわけでございます。その段階におきましては、年金をもらう者がいわば少なくなるということは、国民皆年金のたてまえに反するということは申し上げるまでもない次第でございます。われわれ国家公務員共済におきましても、これは当然通算年金の規定もございますし、その全般的なたてまえに即して通算年金者が発生してくるという状態でございます。特にそのたてまえにおきまして、われわれ、そのたてまえとおっしゃることについて、実態が違うという資料は持ち合わせてはおらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/51
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052・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 答弁が蛇足だということでございましたけれども、確かに、できる限り皆年金という立場からいけば、退職一時金の問題というのは、全体の比重としては低下する議論になるだろうと思いますけれども、しかし、同じような立場をとって、同じような運営をされている公企体と国公の関係で、特段に取り立てた理由というものがなくてこういう二本立てになっておるという問題については、私どもやはりおかしいと思うのです。どうしてもこうでなければならない積極的な理由というものは、現在では——先ほど中西さんが言われたような点も消滅をしているということだろうと思います。したがって、これは早いところ統一して、この適用を受ける場合もそれほどではないような状況になっておりますから、こういうおかしなものを統合して五百十五日というように直すように努力する、こういうように要望をしておきたいと思いますし、それから、国家公務員のほうは退職時からさかのぼって三年間の平均だ、それから公企体のほうは退職時の給与が年金算定の基礎になる、こういう差別もあるわけであります。そういうものも、これは当然公企体並みに国公を直す、そのことについて、国公は、やはりどうにもそうでなければならない、過去三年間にさかのぼってその平均が基礎となる、そうでなければならないんだという積極的な理由というものは、私はやはりいまないのじゃないかと思う。それはただ年金額をできるだけ低く押えようということ以外にない。さっきの議論を裏返ししたような形にすれば、やはり公企体と同じように、退職時の給与というものを、その他の場合にもそういうことがずっと長い間やられてきたわけでありますから、そういう点でこれも統一をする、そういう方向に私は行くべきだと思いますが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/52
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053・津吉伊定
○津吉説明員 いろいろ御答弁をしながら申し上げようと思う項目を先に言われまして、非常に困惑するわけですが、先生御指摘になりました相違といいますのは、これは確かに最終俸給と、われわれ退職前にさかのぼりまして三年間の平均の俸給という点、非常に大きな違いがございます。また、これは当然お触れになるでございましょうが、最低保障という制度が国公にはございますが、公企体のほうにはない、もう一つ基本的にさかのぼりますと、給与体系が違う、いろいろ基本的な相違があろうかと思います。
そこで、まず第一点の、三年間の平均というのは、どうでもそうでなければいかぬ絶対的な理由があるか、こういうお尋ねでございますが、これは私どもは、三年ということに特段の理由があるというふうに、三という数字を尊重するという意味合いで三に固定しておるということではございません。これはすでに御承知のように、社会保険制度といいますのは、保険料と給付が、いわゆる保険公平の原則によりまして、できるだけ見合うということが一つの原則になっておりますので、その掛け金と給付がやはりできるだけ公平に対応していくという意味合いでは、あるいは、厚生年金でとっておりますような、在職期間全般を通ずる平均の標準報酬という基礎も考えられるわけでございます。あるいは、いま御指摘になるような、最終俸給だけを給付の基礎俸給とするという方式も考えられはするわけでございます。しかし、先ほど来山田先生からも基本的な突っ込みをいただいたのでございますけれども、一体、社会保険は、いわゆる定額部分と報酬比例部分というようなものをどのように考えて生活保障的な部分を確保するかということがございますし、反面、公平の原則というようなことも合わせまして、やはり最終俸給という基礎によりました場合に、御指摘のありますように、財源の問題ということは当然ございます。しかし、最終俸給のみをとりました場合には、その財源率が、国庫負担でも増強しない限り、あるいはその他何らかの方法で財源を充足しない限りは、掛け金によりましてまかなわれる給付という部分は、相対的には減ってくるといいますか、少ないわけでございます。そこで、いわゆる後発過去勤務債務というものが、毎年ベースアップが行なわれておるような状況に照らしてみますと、その過去勤務債務を負担するものはだれか、その区分はどうするか、これはまさに調整規定において、先ほど来御質問のありました重要な諸点でございますが、それらの基本的な検討とともに、やはり三年でいいのか、あるいは全期問平均でいいのか、あるいはその他何年でいいのかというようなこと、あるいは最低保障とか公務廃疾があるとかないとかいう制度上のバランスということも同時に総合的な検討を進めていかなければいかぬ事柄であろうというふうにわれわれとしては思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/53
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054・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 国家公務員法の百七条を見ましても、あるいはまた共済組合法の規定を見ましても、本人が退職した当時、あるいはその後の生活を安定さしていくんだ、こういうことですね。扶養家族がある場合には、扶養をするというようなことを含めて生活の安定、国家公務員なりあるいは公共企業体職員なりの生活の安定と福祉の向上をはかっていくんだ。少なくとも在職当時よりは三割なり四割なりというものが減額された形で、年金があるいは五割近くのものにもなる、そういうことになっておるわけですね。そこにやはり生活の安定と福祉の向上、退職の当時というようなことをうたってあるのだし「その後における」ということもうたってあるわけですから、したがって、いろいろな方式は、それは財源的な問題を持ってくれば考えられないことはない。しかし、公企体でやっておることは、公務員関係でできないということもないわけでありますし、また、いまおっしゃったように、国家公務員のほうは最低保障があるけれども、しかし公企体はないのだ、そういうようなことでも、ある程度バランスといいますか、そういうものもとれているのじゃないかというような御見解もあったわけです。しかし、公共企業体で年金をもらうというような場合に、八万四千円とかあるいは遺族給付の場合に六万七千二百円とかいう形が実際に出るケースというのは、現状においては、大体において公企体も二十年以上勤務をするという場合なんかは出てこないわけです。そうすれば、そういうものは、いまの給与課長のお話を裏づけるような趣旨としてはもう時代おくれのものにもなっている、どういうようなことを考えますと、やはり公企体でやっている程度のことを公務員に対してやってもいいのではないか、これは素朴な議論かもしれません。私ども専門家でないから、財源等、保険数理はよくわからないわけですけれども、しかし、公企体で現にやっている程度のことをやっても、これは当然じゃないか。そこに差をつけなければならぬ積極的な理由というものが、大体いまのお話でいえば財源じゃないかということでありますが、その点、私どもは遺憾ながらここで突き詰めて洗うわけにもいきません。もし、ほんとうにそうでなければどうにもならないのだ、掛け金を著しくふやさなければならぬのだ、そういうことを具体的にこの場で説明できますか。できるとすれば、これはまた別途検討しなければならぬと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/54
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055・津吉伊定
○津吉説明員 あるいは誤解を招きました点がございましたかもしれませんが、そういう点がございましたらお許しをいただきたいと思いますが、最低保障制度が公企体にはない、われわれのほうにはある、したがって、給付の基礎俸給が最終俸給である、われわれのほうは退職時さかのぼる三年平均の俸給である、これでバランスがとれておるのだという意味合いで申しておるわけではございません。口幅ったいようでございますが、基本的な社会保険の制度といたしまして、単に財源の問題だけではございません。先ほど来御議論ございましたように、負担者の負担能力あるいは国の負担すべき負担区分という基本的な問題もございます。そういう前提におきまして、公企体が現にやられておること、また、われわれ国公共済で現にやっておりますこと、これはそれぞれやはり基本的に検討をいたしまして、総合的に見ますとバランスがとれたという社会保険制度として検討されるべきものであろうかと思いますので、先生御指摘のように、たとえば基礎俸給を最終俸給に持ってくるということが絶対的に負担できないかどうかというような試算も特にいたしてはおりませんので、数字をあげて、こういう数字になってばく大な負担になりますから、それはわれわれのほうとしては基礎俸給にはとれませんというような説明は、遺憾ながら、申しわけないですけれども、できない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/55
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056・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その点、いま具体的には答えられないということでありますが、最終俸給を基準にしたのならば、いまの掛け金率その他、使用者としての国の負担あるいは国庫負担、こういうものをどうしても増額せざる限りそういうことはできませんという計数を、もしあれば検討して出してください。そうでないと、この点の論議はこれ以上続けてもむだになりますから、この点、数字を十分検討して、できるかできないか。いまの掛け金を前提にしながら、それから国庫負担についてもいまのやつをまず前提にしながら、そしてまた、私どもは国の国庫負担——使用者としての国の負担でなく、あるいは使用者としての公企体というようなことではなしに、国津負担分というものを少なくとも二〇%程度、厚生年金に対してやったと同じようにやってもらいたいという要求も持っているわけでありますが、そういうことになれば、それは当然できると思いますが、そのことも含めて、そういう場合ならこうだというようなことも資料として計算したものを、われわれの納得できるような形で提示をしていただきたいと思います。次の共済組合関係の質問がある際に提出をしていただくように、これは資料要求をしておきます。よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/56
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057・津吉伊定
○津吉説明員 技術的に、計算の問題でございますので、いつ、たとえばあしたというのに間に合いますようにできますかどうか、努力をいたしまして、できる限り提出をいたします。
ちょっと補足さしていただきますけれども、単純に財源の問題というふうにわれわれは考えておりませんで、先ほど長々と申し上げましたけれども、社会保険の中には、厚生年金のような基礎俸給のとり方もございますし、公企体共済のようなとり方もございますし、国公共済、地公共済のようなとり方もありますし、また、農林、私学のような三年間の平均ではございますが、標準報酬というようなとり方もございます。そういういろいろ条件の違いますものを基本的に検討して、社会保険制度としてはどうあるべきかという検討にまつべきものであって、現在の段階で直ちにどちらにならうかという決断はできない段階であろうということを申し上げておることが一点と、それから先ほどと重複いたしますけれども、保険の公平性という点から考えますと、最終俸給を基礎といたしますと、拠出額と給付額との均衡がとれない状態が大きくなる、不均衡が大きくなるというような面もございます。また、終わりにつけ加えますならば、公企体におきましては最終俸給を年金給付の基礎におとりになっておりますけれども、反面、退職手当の支給につきまして三%の減額によって調整をされておるという点もございます。
そういう非常に複雑な諸手段によりまして均衡を見ながら進められておるという諸制度でございますので、総合的な諸種の条件の基本的検討にまたざるを符ないというのがたてまえ論でございます。
先生の御要求になりました最終俸給を国公においてとったならばどういう財源が要るかということは、計算の問題でございますし、また、対象をどのように見るか、いろいろ技術的な問題もございますので、できる限り努力をいたしまして、早期に提出をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/57
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058・武藤山治
○武藤(山)委員 関連。
いまの給与課長の答弁で、今後検討し、数字も抽出して、十分前向きの姿勢を明らかにしたような気はいたすわけです。給与課長は新たに課長になられたわけですから、共済のことも前向きに改正していこうとか、改善をしようとかいう意識に乏しいと思うのですよ。いままでの経過をずっと反省してもらうならば、この段階ならとうに、いま広瀬さんが質問されておるような問題については数字をもって答えられるだけの大蔵省は時間的余裕があったはずなんですよ、これは二年も前からずっと議論が続いているわけですから。
そこで、ちょっと給与課長の頭に入れてもらいたいのは、いまは、物価騰貴がない時勢、あるいは給与のベースアップがない時勢とまるで違う情勢のわけですね。一年間に六%あるいは七%とベースアップが行なわれるわけです。三年間それを合わせてみると、とにかく二割近い賃金の差が出てくるわけです。フランスのスライド制を見てもヨーロッパ各国のスライド規定を見ても、大体過去三年間で二〇%の賃金変動があった場合には自動的にスライドが働くというような調整規定を持った国が多いわけですよ。ところが日本の現状は、もう三年間で大体二割近い変動が行なわれる情勢というものが長い間続いておる。したがって、それだけのベースアップが行なわれれば、当然掛け金の絶対額もふえるわけですね。率が大体きまっておるのですから、ベースアップが行なわれれば収入もふえる、給与のほうはある程度ふえてもそれでかなりカバーできるはずなんです。そういう数字は具体的に給与課は検討してしかるべきだ。きょうあたりの委員会においては、検討した結果、なるほどこれは退職時の賃金にしても差しつかえはなさそうです、運用のほうの利息でこれだけ収入はあるし、長期の原資はこのように使われているからだいじょうぶのようだという答えが私は出るものと実は期待しておって、いささかいまがっかりしたのです。しかし、いま給与課長は新たに給与課長に就任されて、粘力的に今後それらの問題を数字を合わせて検討しよう、こういう答弁があったのですから、できるだけこの審議期間中に、まあ、来週の火曜日の十一日ごろまでにそういう数字を早く集めてもらって、できれば、今国会で、よりはっきりした附帯決議なり大蔵省の姿勢なりが示されるように最善の努力をしてもらいたい。強く要望しておきますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/58
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059・小沢辰男
○小沢政府委員 武藤先生のおっしゃることはよくわかるのですが、私、これは当たっているかどうかわかりませんけれども、大体千分の五程度拠出が上がってこないとなかなか実行困難じゃないかというふうに思います。私年金関係のほうをやりましたときのあれでございますから大体間違いない。まあ千分の五くらいだったと思いますが、資料は提出いたします。ただ問題は、やはりたてまえ論、保険という制度をとっている以上、保険の公平ということから見て、最終の俸給を国共につきましてとるということについては、ただ単に財源だけでなくて、そういう観点からもやはり考えていかなければいかぬ問題があるということだけは、これは先生専門家でよく御承知だろうと思いますが、その点もひとつ含んでいただきたいと思います。
それから、過去三年間で大体二割くらい上がっている、ベースアップがある、だから、それに応じて拠出額といいますか、それも率でいっていますから上がっているのじゃないか。御承知のとおり、大体三年に一回恩給の改定というものに見合いまして、共済のほうも、今回もそうなんでございますが、若干改善をやっております。その改善のあれは、平均しますと大体二割から二割ちょっと強というようなことでございますから、その点はあまり不公平といいますか、片手落ちにはなっていないように思うのでございますけれども、なお、資料をお出しいたしまして、御検討いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/59
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060・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 時間があまりありませんので、この問題は資料が提出された後にまた詳しくやりたいと思います。
ただ一点だけ言っておきますが、この国家公務員共済組合法あるいは公共企業体共済組合法が制定された当時の実情というものは、過去三カ年間の平均とそれから最終時の俸給額というものをとっても、大体三%程度の差であったということがいわれておるわけでありますが、最近のように、毎年昇給まで入れますと大体一〇%をこえるような大幅な給与の引き上げというようなこともあるわけでありまして、そういう点での矛盾というものが、さらにこの制度が出てきた当時よりは非常に拡大している。そういう矛盾の度合いというものが拡大しているのだというようなことを十分念頭に置いて、前向きの検討をぜひひとつ要望しておきたいと思うわけです。
次に、年金の最低保障額の問題ですけれども、国家公務員関係では八万四千円というものがある。おそらく共済組合法に移行してから、あるいは旧令、旧法等を通じましても八万四千円程度の最低保障を受ける人というのは、特別なレアケースとしてだけしかないと思うのです。したがって、二十年満足に共済組合員として過ごした場合に、給料が低いために最低保障の適用を受けるというケースは、もうほとんどなくなってしまっているだろうと思うのです。おそらく、これは資格期間として見られている一部雇用人というような形の中で見られた資格期間、こういうものにこの最低保障の制度が働いていると思います。したがって、法律の趣旨からいいましても、老後における、退職後の生活を安定させていくんだということからいえば、やはり最低保障額というのも、生活の安定というようなことからいえば、もうすでに非常に縁遠い数字になっているというように考えざるを得ないわけであります。たとえば、主税局で税制の課税最低限をきめるにあたっての標準家計というものは、一日当たりの食費だけでも一人当たり二百五円だというような試算もしておるわけですね。そういうことからいえば、食っていくだけでも、どう少な目に見えても一人でやはり六千円以上のものはかかるんだという状態の中では、生活の安定、福祉の向上ということをうたっている以上、この最低保障額というのもまた非常に低いものになってしまっている。この引き上げをやはり当然に考えていくべきではないか。これは旧令あるいは旧法の共済組合法を含めて、また公企体には最低保障がないけれども、公企体においてもやはり最低保障というものはつけていかなければいけないんじゃないか、こういうように思いますが、この点について、給与課長、政務次官、それから公企体の責任者から見解をこの際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/60
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061・津吉伊定
○津吉説明員 国家公務員共済におきましては、先生御指摘になりましたような最低保障制度をとっておりまして、退職年金につきましては八万四千円、遺族年金については六万七千二百円という最低保障をとっております。これは申すまでもないと存じますけれども、その算定の基礎といたしまして、厚生年金の最低基準の額をもって保障額としておるということでございます。そういう考え方でございます。
先ほど武藤先生からもお話がございましたベースアップに関連をする保障の問題でございますけれども、それは直ちにいわゆる調整に全般的にかかってまいりまして、フランスの例をあげられましたけれども、フランスにおきましてその財源を負担しておるのはだれかといいますと、事業主と被保険者でございます。西欧において調整が行なわれておるという国でも、いわゆる三者負担というようなことがやられておるのが大半でございまして、そういう調整の問題としてやはり十分検討をすべき問題ではございますけれども、現段階においては、先ほど申し上げました厚生年金の最低基準の額をもちまして国家公務員共済の最低保障額としておるという制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/61
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062・黒住忠行
○黒住説明員 ただいま御指摘のように、われわれのほうの公共企業体の共済組合法におきましては、最低保障がございませんことは御指摘のとおりでございます。
先ほど来大蔵省から御答弁がありましたように、国共の場合と公企体の場合、若干ずつ相違がございますが、制度全体といたしましてやむを得ない点もあるかと思う次第でございます。制度全体として検討しなければならない点でございますので、今後その面につきましても検討を進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/62
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063・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いま私が申し上げたのは、一つの例をとって、生活の安定、福祉の向上という問題でその退職年金制度というものがつくられているわけですから、したがって、現在生活をしていくのに、しぶちんの大蔵省主税局ですら一日一人食べていくのに二百五円ぐらいはかかるのだということ、これはほんとうにやりくりの上手な献立表をつくってもそれぐらいかかるのだ、それで月に六千円をこえる、年額では七万二千円をこえる、こういうことになるわけであります。それから見ますと、福祉の向上なんということが法律に書いてあるけれども、八万四千円、その差額は一万二千円しかない。食うだけで手一ぱいで、その他のことは何もできない、そういうようなことにもなっているわけです。厚生年金と合わしたのだ、こう言われるけれども、しからば、これは厚生年金のほうもそういう立場で、これもやはり民間企業に働く労働者たちが二十年以上企業につとめて、掛け金もちゃんとかけて、そして年金をもらうわけでありますから、趣旨としてはやはり同じだと思うのです。そうだとすれば、やはりそっちも底上げをして、こういう生活保護基準と比較するのは必ずしも妥当ではないかもしれないけれども、生活保護基準ですら、六十歳の老夫婦二人でいるとすれば、一級地で一万五千円はこれは保護基準として支給される、給付を受けられるわけです。それから見ましても、あまりにも生活保護の算定というのは、もうほんとうの最低生活、最低ぎりぎりの文化的なとは言えない生活だろうと思うのです。それよりもなおかつ、掛け金をかけ、長い間企業に勤務をしていた人が、老後の生活が安定されるのだという楽しみでやっておりながらそういう状況になるということについては、やはりどうしても問題が残る。したがって、少なくとも生活保護基準程度までには最低基準というものは引き上げることが、これはやはり常識的な線だろうと思うわけであります。
こういう点で、運輸省のほうは前向きの検討をされるというのですが、大蔵省のほうは、その点、何か厚生年金に合わしたのだという木で鼻をくくったような答弁で、まことにけしからぬと考えるわけですけれども、検討の必要というものが、いま私が申し上げたような点からいって、いやそうじゃないのだ、一日二百円以下でも食生活はもう幾らでも可能なんだ、だからここらで適当なんだという、焦点を合わせた答えをひとつしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/63
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064・津吉伊定
○津吉説明員 おしかりをいただきまして恐縮ですが、この最低保障で絶対にいいんだというふうには考えておりません。先生御指摘の点も考慮をいたしまして、先ほど来議論のありましたスライドの問題に関連をいたしまして、その負担をだれがどの程度やるかという基本的な問題の一環といたしまして検討しなければいかぬ、これは前向きに検討するというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/64
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065・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 前向きに十分検討して、早くこれらを改善するようにしていただきたいと思うわけであります。
それから、共済年金受給者と老齢年金の併給の問題でありますが、これはいまのたてまえでは、恩給なり共済年金なり、一つの年金を受けている場合には老齢福祉年金は併給されないたてまえになっている。そのことはわかるわけでありますが、これは特に旧令共済、旧法共済等の非常に古くやめた人で、長生きをしておられる方たちから非常に強く希望があり、切実な要求として出されている問題なんですが、われわれにも今日の、たとえば国鉄あたりをやめて、この国家公務員共済組合法の最低保障額にも満たないような年金受給者がかなりおるわけであります。そういう人たちが七十歳になって支給を受けられない。またこれも生活保護と比較するのはどうかと思いますけれども、まあ一級地で一万五千円は生活保護でもらえる。そのほかに、この福祉年金を二人で三千二百円もらって一万八千二百円になる。こういうにもかかわらず、月六千円か七千円ぐらいしかもらえないというような人たちが、福祉年金をやはりわれわれにもくれてもいいじゃないかという、そういう要望というものは非常に強いわけであります。これは法のたてまえはそうなっているけれども、一つの年金をもらっているからというので、最低保障もないような制度の中では、当然これはその人たちも在職当時には、その当時としては安からざる相当な掛け金もかけて、老後は安泰だということで、幸か不幸か、年をとって長生きをし過ぎたためにそういうひどい思いをしなければならぬという、そういう状態に放置していていいものかどうかという点は、やはりこれは非常に問題だろうと思うのです。したがって、福祉年金については、これはたしか他に二十六万円ぐらいの収入のある人までは福祉年金ももらえるわけでございます。そういう状況だとすれば、世間一般の常識的な観点からいっても、わずか千六百円ぐらいの福祉年金をこの人たちにも併給してやってもいいのではないか、こういう考えを強くいたすわけでありますが、その点の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/65
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066・河野共之
○河野説明員 公的年金と国民年金の福祉年金の併給の問題でございますが、これは先生御承知のとおり、昭和三十六年に国民年金制度ができまして、いわゆる国民皆年金が達成されたわけでございます。こういうような制度のたてまえになったわけでございますけれども、その皆年金が達成されたにもかかわらず、あるいは高齢であったとかその他の理由でもって、拠出制の国民年金に乗りがたい人、あるいは他の公的年金制度からの年金を受けられない、こういう方々が現実に存在する、こういう方々に対して何らかの手当てが必要だ、こういうことで福祉年金の制度ができたわけでございます。したがいまして、制度のたてまえといたしまして、先ほど先生が御指摘になりましたように、これは国民年金の拠出制年金がもらえない人あるいは公的年金の支給を受けられない、公的年金の受給者以外の方に対して福祉年金を支給する、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、他の公的年金制度を受けられる方につきましては福祉年金は支給しない、こういうたてまえになっておるわけでございます。しかしながら、当時まだ他の公的年金制度のレベルが非常に低かった、こういうようなことから、一定の額以上に満たない年金をもらっている場合には福祉年金を暫定的に支給する、こういうふうなたてまえをとったわけでございます。
したがいまして、本来の考え方からいたしますと、公的年金が現在のように充実されるに伴いまして、福祉年金との併給措置を今後廃止するというのが本来の筋の方向であるわけでございます。これを申し上げますと、福祉年金というのは、他の公的年金制度の金額が低いのでそれを補うためにあるのではない、こういう形になっておるわけでございまして、福祉年金を併給するという考え方は、むしろ本来、他の公的年金制度の本質的な改善を妨げるというようなおそれも考えられるわけでございまして、私どもとしましては、そういう他の公的年金制度の充実を行なうことこそ急務である、こういうふうに考えておるわけでございます。
したがいまして、各省の連絡協議会を通じまして、それらの年金額の引き上げというものを従来から要望してまいっておりますし、それが今回の改正にも見られますように、逐次改善されてきておる、こういうことでございます。したがいまして、私どもとしましては、福祉年金というのは、他の公的年金制度を補う制度ではございませんで、本来の各種公的年金制度の充実を期することこそ急務であり、本筋である、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/66
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067・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 その議論は十分わかっての上で私はあえて質問をいたしておるわけであります。
先ほど私がいろいろ例などをあげたように、現実にそういう人が存在をして、その人たちは、常識的に考えて、法のたてまえがどうのこうのということは、非常にお年を召した退職公務員なり、あるいは退職した国鉄の職員なり、こういうような人たちは、理屈ではわかったにしても、実際、今日のそういう状態に置かれている立場から見れば、くれたってちっともふしぎではないじゃないかということがあるわけです。そういう点で、これは他の公的年金をそれじゃ引き上げる、これが筋である。それは理屈としてはそのとおりであります。しかし、それは一体どのくらいかかるのか見当がつかない。先ほどから山田委員とのやりとりを見ましても、これらの点について、進捗の度合いというものはまことに遅々たるものがあって、そういう中でこういう矛盾が出ておるわけです。したがって、政治はやはり生きものだし、政治的な配慮というようなものから実際には福祉年金制度が生まれたわけですよ。そういうような経緯から見れば、これは筋道どおりの改定なり改善なりというものがなされない限りは、特例的なそういうものに対する併給というようなものはここに一つの問題として最低保障額が八万四千円というものも出ておるけれども、それにすら満たないものだってあるわけです。
そういうような見地から、何らかそこに補正するといいますか、補完をするというか、法律を直せばやれることであり、絶対的に、物理的に必ずしもできないということはないのですから、そういう政治的配慮というものは、この福祉年金をつくったときにもあったからこそできたのであって、しかも額はきわめて微々たるものである。そういう状況でございますから、これらの点については、これこそ前向きにすみやかにやってもらわなければ、やがて消滅すべき制度なんだということでもありますから、これについては考慮の余地が十分あると思うのですが、その点について、ひとつ政務次官から、政治家としての答えを聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/67
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068・小沢辰男
○小沢政府委員 政治家として考えますと、先生のおっしゃることはよくわかるのですけれども、一方、政府に入りますと、いろいろ他の制度との関連、また、公的年金というものの本質的な面を考えていきますと、福祉年金というものは、拠出年金に対する補完的制度でございますから、これが主体になって考えを進めていくのは、私は年金制度の中では少しおかしいのではないか、むしろ社会保障の社会政策のほうで考えていくべきもので、たとえば福祉年金等についてはいま国民年金法の中に入っておりますけれども、ああいうものはむしろ老人福祉法なりあるいは母子福祉法なりのそういう社会保障のほうで、狭い意味の社会保障のほうで考えていくべきものではないか、理論的にはそうではないかという気がするわけでございます。
そこで、年金制度の中で、いま先生おっしゃるように、確かに非常に低い恩給あるいは低い年金をもらっておる、これらの、ことにお年寄りの家庭を見た場合に、先生のような御意見は、私は政治家として同じ感を非常に深くするわけでございますけれども、それじゃ、制度として法律改正なり何かを考えようとすると、これはやはりあくまでも年金額の最低の引き上げなり、あるいはその他制度の改正というものの本筋でいくべきものではないか、どうしてもそういう考えにならざるを得ないと思います。
一方、社会保障なり社会政策の生活保障の面から考えますと、国が、憲法の規定によりまして生活保護法というものを持っておるわけでありますから、そうなりますと、どうも福祉年金のほうで現実は現実として考えなければいかぬとは思いますけれども、その例外をつくる限度というものは、やはり遺族とか、そういうような範囲に限っていかなければいかぬのではないだろうかというようなことで、御承知のとおり、遺族の関係者につきましては、毎年限度を引き上げて、その差額の支給というものをやっておるわけでございます。したがって、制度的にはその辺が限度ではなかろうかというふうに思います。
しかし、いま言った公的年金制度のほうの本筋の改善がなされない、現実の問題としていろいろそういう気の毒な面があることは十分承知いたしておりますので、また、他の委員会においても常時こういう問題が出るわけでございますから、なお検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/68
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069・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 年金受給者が、その後のいろいろな情勢の変化によって生活保護を受けなければならないようなところに転落をしていくといいますか、そういう気の毒な状況になっていくというようなことについては、十分考えなければならぬことでございますし、これ以上議論をしても、次官ではよき答弁は得られないようでありますから、これはまたこの次の機会に移します。
次に、問題を変えまして、満鉄職員であった者が、現在官庁なり地方公務員なり、あるいは公共企業体等につとめている人たちの年金期間としての通算の問題について質問いたしたいと思います。
これはすでに十年来国会でも取り上げられ、論じられてきた問題でありますから、満鉄というものが一体どういう性格のものであったかということについて、いまさら議論を蒸し返すつもりはありません。しかし、いずれにしても、日本の官庁なり現在の公共企業体、かつては官庁であった、そういうところにおって、満州に渡って、満鉄等その他特殊法人、九つばかり今日あるわけでありますが、そういうところにいた、そして、また終戦後引き揚げてきてそれぞれの機関に入った、そういう場合、あるいはまた、日本で公務員であった、そして満州に渡って満鉄等に勤務をした、こういう場合における——まあこれを今日、日満日あるいは日満というような略称で呼んでおりますが、これは完全通算をされている。最初から満鉄に就職をして、終戦後内地に帰還をして、国家公務員なりあるいは公共企業体等に勤務をしている、あるいは地方自治体に勤務をしている、こういうような人たちについて、今日資格期間に満たない部分だけ資格期間として認めようという措置が一般になされたわけでありますが、しかし、現在もうそろそろ——その後の措置というのは、やめていった人たちに対しては幾ぶんでも救済の措置になったわけでありますが、これから先ずっとまだ何年かつとめる、あるいはまた、ことしの暮れなりあるいは来年、再来年あたりにやめるというような人が非常に多いわけでありますが、そういう人たちにとっては、もういままで満日の問題についてとった救済措置というものはほとんど効果がなくなってしまっている。そういう実情にかんがみまして、日満日、日満における満と、満日ケースにおける満、こういうものに一体どういう差があって差別をしなければならぬのか、このことについて、これは恩給審議室長来られておるようですから、まずその見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/69
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070・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先生いま御質問の点は、満日の場合に在職年の通算を制限しておるが、その理由はどういう点にあるかということでございますが、恩給制度は、これはやはり公務員に関する年金制度でございますので、したがいまして、年金制度の中心をなす在職年につきましても、公務員であったということに基づく在職年、これが中心になることは申すまでもないことだと思います。ただ、恩給制度も一つの退職年金制度でございますから、やはり人事管理上の退職制度という要請もございますので、恩給公務員以外の在職年を通算しておる場合も幾多あるわけでございます。しかし、その場合におきましても、やはり人事管理上の要請と申しますか、対象となる御本人がどういうような形で国以外の機関に異動されたか、また、どういうような形で国の機関に吸収されたか、こういう点が中心になるわけでございます。
それで、日満日とかあるいは満日の場合——日満日の場合は戦前からあった制度でございますが、国の公務員をその当時の満州国なりに派遣をするという意味が非常に強うございました。そして再び国へ返す、一極の国の約束に基づきまして満州国の政府の職員になったわけでございます。これが日満日、日満の場合は、終戦という非常事態によりましてあとのほうの約束が実現しなかった、こういうわけでございますので、こういう二つのケースにつきましては、従来から全面通算をいたしておるわけでございます。ただ、満日の場合は、これは恩給公務員でなかった方、すなわち満鉄なりに当初就職されまして、終戦後引き揚げられまして国の公務員になった方、こういう方でございますが、これの通算を認めました理由は、やはり満鉄時代の経験を買われましてそれぞれの企業に就職された、その経験が土台になるわけでございますが、それと、もう一つは、やはり引き揚げてこられました方の年齢が比較的高齢の方でございましたので、少なくとも年金権だけは保障してあげなければならぬ、こういうような理由から特例的に認めたような次第でございます。ただ、公務員としての通算する在職年の価値としましては同等に扱うのはどうかということでございました。これは同じ恩給公務員の中でも、いわゆる準公務員と私どもは申しておるわけですが、結局、学校の先生になる前の準訓導とか、そういうような在職年につきましては、やはりその措置を異にしまして、全面通算でなしに半減通算にしておる、こういうような例がございます。そのような点で、差別といいますか、取り扱い上の違いが出ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/70
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071・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 満鉄に勤務をした期間、これがあとであるか先であるか、かつて国家公務員、当時官吏であった、それが先にきたら満鉄の期間も通算される、現在国家公務員であるが、満鉄が先であったら通算をしない。これではやはり何か筋が通らない。基礎になるものが先でなければならぬのだ、こういう理屈はいかにも説得的ではないと思うのです。しかも、人事交流で派遣をしたのだということは、ある種皮、これは事実の誤認ではないかという資料もあるわけであります。これは、たしか内閣委員会において矢倉恩給局長が答弁しているのですが、ある程度、本人の意思いかんにかかわらず赴任せざるを得なかったような事態もある。そういう事態も確かにある。しかし、このような答弁をなされたときのその具体的な——これは昭和十八年の法律第七十八号の恩給法特例の関係での質問だったわけですが、これは二年以上外国政府に勤務し、帰国後一年以上内地の官庁に勤務した場合は外国政府の在職期間を恩給に通算する、こういうようなことでありますが、そのときの実情というのは、必ずしも命令で行ったというようなものではなしに、やはり希望昔を募って、希望者が内地では任官がなかなかおくれるというようなことで、満州に行ったほうがよいというような形で自由意思で行った。ただ、政府としては、満鉄からの要請で、公務員、特に国鉄の職員を送るように要請をされて、希望を募って、本人の自由意思で行ったという見方のほうがむしろ正しいわけであります。そういうような点もございまして、これは公務員なり現在の国鉄職員、公企体職員なりというものが満州のあとにきたからということで——先にそうであったというのじゃなくて、現在あるものがやはり先でなかった、公務員期間なりあるいは公企体の職員期間が先でなかったというだけでその差別をつけるということは、筋としては私はやはり通らないんじゃないか、こういうふうに思うのです。
さらに、これは中西局長にお伺いしたいのですが、私鉄を国鉄の都合で買収をされて国鉄の職員にした例があるわけでありますが、これはたしか、私の記憶するところによりますと、準民間の、いわゆる私鉄でありますから民間企業である、その人たちが勤務したものはそのまま国鉄における実勤務年と同じように共済組合法で通算を認めておる、こういう措置も行なわれておると記憶しております。その点を確かめておきたいと思いますが、恩給局のほうと国鉄から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/71
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072・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先生は先ほど、在職年の前後によって通算関係を異にするのはおかしい、こういうようなお話でございましたが、単にそういう機械的に取り扱いを異にしておるわけではございませんで、先ほど申し上げましたような根拠がやはりあるわけでございます。ただ、中には例外的にいまお話のございましたような、単に半強制的に満州国なり満鉄なりに行ったというようなことがない場合もございましょうが、しかし、結局法律の形でございますので、一般的に申し上げましてそういうケースが非常に多かったというのでこの取り扱いに違いができておるわけでございます。しかしながら、終戦後恩給制度は、経済上あるいは行政上の機構だとか、また、終戦そのものといういろいろな事態で恩給法本来の趣旨というものから相当範囲を広めまして、いろいろな善後措置あるいは救済措置というものを講じてございます。特にこの問題につきましても長年いろいろ検討してまいりましたのでございますが、ただいま恩給審議会というのがございますので、恩給法のワクと、それから、ことばは悪いかもしれませんが、いわば終戦処理的な考え方というものとの調和をはかりつつ御検討をお願いするという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/72
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073・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 国鉄も、調べているならばあとでいいですから、質問を続けます。
先ほど審議室長は人事管理の面というようなことを言われたわけでありますが、たとえば満鉄から引き揚げてきて国鉄に就職する、あるいは国家公務員になったというような場合において、まず当時のことを私ども想起をいたしましてよく実情がわかるわけでありますが、大体において、たとえば、満鉄では駅長までやったというような人も、国鉄に入った場合には平職員に格づけされるというようなことが通例でございました。助役をやった人はもちろんそれ以下だというようなことであって、必ずしも向こうにいた実績というようなものがそれ相応に買われないで、しかも、当時は引き揚げ者も非常に多くあったわけでありまして、そういう形でまず第一に採用されたときの職務の格づけ、したがってそれに見合う賃金というようなものは非常に低いところに格づけをされて採用された。その採用時における非常なハンディキャップというのは厳然として存在をしたわけでございます。したがって、その後満鉄期間をよく見なければいかぬというようなこともしばしば労働組合あたりからも要求されましたが、これは竜頭蛇尾に終わって、ほとんどその是正措置というようなものは行なわれずに、ほんの一部特定の、特に勤務成績が抜群で優秀であった者というようなものについて若干それらしき是正を受けた例はないでもありません。しかし、全般的に非常な不利をこうむったからというので補正をされたというような、制度的な補償というものはなかったわけであります。そういうようなことからそのままずっと今日まできてしまって、五十五年の大体慣例的に確立されている今日の退職年齢といいますか、そういうものに大体きてしまっているというような人たちがある。同じような年に生まれて、同じような学歴であって、しかも満鉄に入ったのと国鉄に入ったのとがほぼ同じ時期であった人たちを実際に比較いたしてみますと、今日非常な差が生じておるわけであります。
ここに、同じ機関士をしている人で、国鉄にずっとおった人と満鉄に相当期間勤務して、引き揚げて国鉄に勤務した人の一例があるわけであります。かりに松木さん、この人は国鉄に勤続すること四十二年六カ月になる、高等小学校を卒業して五十七歳になっている、俸給は六万七千四百円にもなっている、退職手当は大体四百万円をこす、こういうような状況にもなるわけであります。それに対して、石塚という人は、満鉄に十八年七カ月勤務し、国鉄に十八年九カ月勤務する、俸給は四万四千七百円だ、退職手当は百二十六万円ぐらいしかもらえない。共済年金をこの俸給を基礎にして算定をしてみますと、松本さんは五十八万九千円くらいになる。石塚さんという満鉄に十八年七カ月、国鉄に十八年九カ月という人は十八万六千円、こういうような実に大きな開きが出てしまう。こういうような状態で、このことをそのまま放置していいのかというようなこともあるわけであります。今日まで資格年限に満たない部分だけ向こうの期間を通算するという措置をいたしましたけれども、これから先まだ何年かつとめるというようなことになりますと、もうすでに国鉄に入って二十年たってしまったということになれば、これは全然前にとった措置は生きない。それでも生活は非常に苦しいし、子供もまだ小さいというようなことから、人事管理の面なんかについても、五十五歳で普通の人ならばやめていくのだけれども、やめるにもやめられないというような状況にも今日あるわけです。
したがって、いままでの措置は、これから一生懸命国鉄へつとめようとすると、今日その救済措置としてやったものは何の恩恵にもならないばかりか、逆に引かれていくような形になってしまうという非常に不合理な状況も出ているわけです。こういうようなことを私どもどうしてもこのまま放置しておくことはできない。何らかの形で、退職金等の通算などでも、これは満鉄期間というようなものを三分の二程度は認めていこうじゃないかというような措置も実はあるわけでありまして、そういうような救済のしかたというものをとるべきではないか、こういう見解を持つわけでありますが、これらについて、政府などでも五十五歳ぐらいで定年制をしこうかというような腹づもりもかなりちらちら出しておるわけでありますが、給料も低い、年金額も低い、退職金も低いということで、やめるにもやめられないというような人もあるわけであります。そういう面などは、これはやめることを奨励するわけではありませんけれども、そういう気の毒な実情にある者を何とかしたい、こういう気持ちで私ども質問をしているわけです。
その点について、それぞれの関係者から考え方をひとつ聞かしていただきたいこういうように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/73
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074・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先ほどの答弁で恩給局がどういうことをやっておるかということに若干触れたわけでございますが、その問題につきましては、理論的には私が先ほど申し上げましたような点があるわけなのでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、このほかにいろいろな会社あるいは機関が終戦前にはあったわけでございまして、同じような問題が山積しておるわけでございます。先ほどもちょっと触れましたが、恩給審議会というようなところで、恩給問題について、こういう問題も含めまして重要事項としまして審議の爼上にのせておるわけでございます。ただ、その審議をしていただく際におきましても、政府側の説明ばかりじゃなしに、恩給受給者、満鉄引き揚げ者等の該当者からの御要望、御意見も審議会において十分反映できるような機会を設けつつ審議をいたしておりますので、その結論をまって検討をしたい、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/74
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075・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 関連質問を許します。足立篤郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/75
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076・足立篤郎
○足立委員 先ほどの広瀬委員の質問に対して恩給問題審議室長のお答えの中にあった日清の問題ですが、私、当時満鉄におり、また満州国にもおりまして、事情をよく知っているつもりですが、日清の場合納得できない点があるのです。
室長もおっしゃったように、国家的な要請に基づいて、おまえは満州へ行けと内命を受けて、自分の意思に反して——全然意思がなければできないでしょうが、まあ、命令によって行った。しかし、満州に渡る以上は国家公務員の身分は完全に切っている。しかし、これは形だけですね。内面はつながっている、いわゆるひもつきという場合のことをいま室長がおっしゃったと思うのです。終戦によって、日本に帰ってきて公務員になることができなかったという事情を考えて、約束が果たせなかったから、日満の場合は完全通算をしているのだという説明がありました。その点については納得できますが、私は実態を知っておりますが、満鉄へ来た者は、御承知のとおり満鉄が急激に膨張いたしまして、経験者が足りなくなったというので、鉄道省に要請いたしまして人をもらったわけです。これはもうひもつきの人間は一人もおりません。全部身分を切って、完全に満鉄社員になって来たわけでありまして、さような約束があろうはずはないのであります。
それから満州国の場合、私は交通部の一課長をやっておったのでありますが、満州国の場合は二通りございました。私が使っておった事務官あたりは、やはりいま申し上げたようなひもつきでございまして、将来鉄道省に帰るという約束で来ておりましたが、属官ですね、判任官以下の者はそういう約束はございませんで、完全に身分を切って、満州国の役人になってまいっております。したがって約束はないのであります。約束はないから、終戦後官吏になれなかったからといって、それは日本の政府が責任を持つという性質のものじゃないと思うのでありまして、終戦処理というお話があったが、これは満鉄なり、満州国政府なり、あるいは満州の電電公社あるいは華北交通、こういうような国策によってできた機関——満鉄はかつては行政権まで持っておった完全な国策機関であります。それが、その特殊性を認めて、やはり通算をするということに政治的に腹をきめたのでありますから、そういうへ理屈でなくて、いま広瀬君がついておるように、溝口の場合につきましても、これは完全に認めてやるべきではないか。そうでなければ、いま広瀬君が指摘したように、非常なアンバランスが出まして、やめたくてもやめられないというような非常な窮状にある。しかも、生活保護者よりも年金のほうが少ないのだというようなことになってくると、これはたいへんな社会問題になるのじゃないかと思います。おそらく恩給局がおそれているのは、それを認めると、満鉄なり、満州電電なり、あるいは満州国政府なり、これは政府と同じだということになると、たとえば満プロパーの場合、恩給を出さなければならぬということになるのじゃないか、これは一体何万になるかわけがわからないということをおそれていると思いますが、私どもは、正直申し上げて、そこまでは主張はいたしません。少なくとも、いま申し上げたような同類の場合に非常に不均衡だというのを何とか救ってあげたいという気持ちから申し上げておるわけでございまして、満プロパーの場合まで——かつては恩給制度も何もなかった。昔は、満鉄あたりは退職金制度ですべては片づいておったわけでありますから、これは曲がりなりにも、終戦後、全額じゃありませんけれども、当時の貨幣価値でもらっております。したがって、ここまでいま持ち出して政府を追及して、旧満鉄時代のものまで、あるいは満州国政府のものまで恩給を出せとは申しません。少なくとも、いま同類の者が非常に差があって、社会的な不均衡に悩んでおるその問題を解決してあげたいという純粋な気持ちで申し上げておりますので、政府もこれはひとつ真剣に取り上げていただきたい。私からも関連して、質問の形で御要請申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/76
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077・大屋敷行雄
○大屋敷説明員 先ほど広瀬先生にお答え申し上げましたように、目下のところ恩給審議会というのがございます。これを度外視しましてこの問題を考えるわけにもまいりません。ただ、さっきもちょっと触れましたが、恩給審議会に問題をかけるかけ方としまして、恩給受給者該当者の方々の御意見も十分聞くというような機会を設けつつ審議をいたしておりますので、その結果をまって検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/77
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078・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 本会議が二時からでございますので、これできようは終わりますが、国鉄に要求したものは、これは確実なところを調べて、十一日にまたやりたいと思いますから、それまでに返事をいただきたいと思います。それから、最後の満鉄の通算の問題については、十一日にまたもう一ぺんやらしていただきます。
きょうは、これで終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/78
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079・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 この際、参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。
金融及び証券に関する小委員会において、必要を生じた場合は、随時参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/79
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080・吉田重延
○吉田(重)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、明五日、水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504629X02819670704/80
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