1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年六月二十三日(金曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 亀山 孝一君
理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君
理事 奥野 誠亮君 理事 和爾俊二郎君
理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君
理事 門司 亮君
木野 晴夫君 塩川正十郎君
辻 寛一君 渡海元三郎君
登坂重次郎君 永山 忠則君
古屋 亨君 山田 久就君
井上 泉君 太田 一夫君
河上 民雄君 島上善五郎君
依田 圭五君 小濱 新次君
林 百郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 藤枝 泉介君
出席政府委員
警察庁保安局長 今竹 義一君
自治政務次官 伊東 隆治君
自治省行政局長 長野 士郎君
委員外の出席者
議 員 依田 圭五君
警察庁刑事局捜
査第一課長 田村 宣明君
大蔵省主計局主
計官 秋吉 良雄君
通商産業省化学
工業局保安課長 矢野俊比古君
自治大臣官房参
事官 志村 静男君
自治省財政局交
付税課長 横手 正君
専 門 員 越村安太郎君
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六月二十二日
戦傷病者に対する地方税減免に関する請願(田
村元君紹介)(第一四〇号)
同(藤井勝志君紹介)(第一五四一号)
同(大橋武夫君紹介)(第一六四三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
住民基本台帳法案(内閣提出第一〇九号)(参
議院送付)
地方自治法の一部を改正する法律案(太田一夫
君外七名提出、衆法第二一号)
昭和四十二年度における地方公務員等共済組合
法の規定による年金の額の改定等に関する法律
案(内閣提出第一一〇号)
警察に関する件(山陽電鉄爆破事件に関する問
題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/0
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001・亀山孝一
○亀山委員長 これより会議を開きます。
この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
内閣提出にかかる道路交通法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/1
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002・亀山孝一
○亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお日時、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/2
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003・亀山孝一
○亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/3
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004・亀山孝一
○亀山委員長 内閣提出にかかる住民基本台帳法案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。藤枝自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/4
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005・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 ただいま議題となりました住民基本台帳法案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
市町村が住民を対象とする行政を適切に行ない、また、住民の正しい権利の行使を保証するためには、住民に関する正確な公の記録が常に整備されていなければならないことは申すまでもありません。そのためには、住民の住所の変更等に関する届け出が、住民にとって簡易な方法で正確に行なわれる必要があるのであります。しかしながら、現在市町村における住民の届け出に関する制度及びその住民たる地位を記録する各種台帳に関する制度につきましては、各種行政ごとに個々に定められているため、かなり繁雑であり、住民の利便を増進するという見地からいたしましても、また、行政の近代化及び能率化の見地からいたしましても、改善を要する点が少なくないのでありまして、これを統合し、一元化することが必要であることは、つとに指摘せられていたところであります。
この法律案は、このような事情にかんがみまして、去る昭和三十九年政府に設けられました住民台帳制度合理化調査会から二年余にわたる調査審議の結果提出されました答申の趣旨にのっとって立案いたしたものであります。
すなわち、市町村において住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに、住民の住所に関する届け出等の簡素化をはかるため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行なう住民基本台帳に関する制度を設けようとするものであります。
以下、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、市町村は、住民基本台帳を備え、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておくとともに、これに基づいて住民に関する事務を行なうことといたしたのであります。
この住民基本台帳は、個人または世帯を単位とする住民票よりなり、住民からの届け出または職権によって住民の氏名、本籍、住所等をはじめ、選挙人名簿の登録、国民健康保険及び国民年金の被保険者の資格並びに米穀類の配給に関する事項を記載することといたしております。
なお、住民基本台帳の整備に伴い、選挙人名簿の登録は、住民基本台帳に記録されている者で選挙権を有する者について行なう制度に改めることといたしました。
第二に、住民基本台帳の正確性を確保するための措置といたしまして、住民基本台帳と戸籍とを結びつける役割を果たす戸籍の付票制度を存置することといたしております。
第三に、住民は、住所等の変更をしたときは、市町村長に届け出をしなければならないこととするとともに、その変更に伴う届け出はすべてこの法律の定めにより一つの届け出で足りることといたしたのであります。したがいまして、国民健康保険、国民年金及び食糧配給に関する届け出等もこの届け出に統合いたしたのであります。
その他台帳に関する不服申し立て、調査、助言及び勧告、罰則等に関して所要の規定を設けております。
なお、この法律の施行に伴い、住民登録法を廃止することとするほか、公職選挙法、地方税法その他の関係法律の規定を整備することといたしております。
以上が、この法律案を提案する理由及び法律案の内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/5
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006・亀山孝一
○亀山委員長 この際、本案の補足説明のため、長野行政局長から発言を求められておりますので、これを許します。長野行政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/6
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007・長野士郎
○長野政府委員 お手元の資料の中にございます住民基本台帳法案要綱によりまして補足説明をいたしたいと思います。
第一に、総則に関する事項でございますが、先ほどの提案理由の説明にもございましたように、この法律は、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに、住民の住所に関する届け出等が、いままで各種の法令によって非常に複雑でございましたのを簡素化いたしまして、統一的に行ないますとともに、市町村の窓口事務の改善をはかりまして、住民の利便を増進いたしますとともに、国や地方公共団体の行政の合理化に資することを目的としておる、こういうことであります。
その次に、こういう制度をつくりました以上は、国、都道府県としてもこの住民基本台帳に即して行政処理を行なってもらうということが一番大切なことでございます。また市町村長もそのための責任をとるというかっこうで行なうことが必要でございますので、国及び都道府県、市町村長等の責務について規定をしております。一つは、住民の住所の変更等に関する届け出を一本化し、合理化し、そして基本台帳を整備し、基本台帳に基づいて住民に関する事務を行なう、こういうことに尽きるわけでございまして、国や都道府県におきましても、住民の権利または義務の異動とか住民としての地位の変更に関する届け出とか、そういう行為はすべて一つの行為で行なわれるようにしなければならない。こういうことによって、住民に関する事務の処理が住民基本台帳に基づいてすべて行なわれるように、法制上その他必要な措置を講じなければならない、こういうことにいたしておるわけでございます。
要綱の三ページにまいりまして、第二に「住民基本台帳に関する事項」でございますが、基本台帳は個々の住民について記録するわけでございます。基本台帳の作成は市町村長の責任において作成をするわけでございますが、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成をいたしまして基本台帳を作成するということにしておりますけれども、適当な場合には住民票の全部または一部について世帯を単位とすることもできる、まあ弾力性を持たしておるわけでございます。
それからその次に、要綱の第四ページのところにまいりまして「住民票の記載事項」でございますが、現在の住民登録法による住民票と原則として記載事項はほぼ同じでございまして、ここに書いておりますように、氏名とか出生の年月日とかずっとございますが、住民登録法の住民票と異なりますものは、この中では九号以下のところでございまして、選挙人名簿に登録されておるものについてはその旨を記載する。十番目に、国民健康保険の被保険者であるものについては、その資格に関する事項を記載する。国民年金の被保険者の場合にもその資格に関する事項を記載する。それから米穀類の消費者であるものについては、その米穀類の配給に関する事項を記載する。この九から十二番目までのものが直接これらの関係の行政に結びついた住民票としてつくられる、こういうことになるわけでございます。
それから住民票の記載、消除等につきましては、届け出と市町村長の職権によって行なうということを、四の「住民票の記載等」というところで明らかにしております。
それからこの住民票そのものは、現在の住民票と同じように、何人も利用できる、何人の利用にも供することができるということにいたしております。したがって基本台帳の閲覧とか住民票の写しの交付をいつでも求めることができるということにしておるわけであります。
それから、要綱の六ページのところにまいりまして、「選挙人名簿との関係」でございますが、この基本台帳法が施行になりまして、直ちに選挙人名簿との結びつきをいたすということは技術的に困難な面がございます。と申しますのは、基本台帳法の施行は、準備のできましたところからそれぞれの市町村におきまして実施をしていくというたてまえをとらざるを得ないことでございますので、選挙人名簿との結びつきにつきましても、結びつきの時点が市町村によりまして異なってくることは、選挙人名簿が国の選挙においても用いられますものであります関係上、適当ではないわけであります。したがいまして選挙人名簿との関係につきましては、基本法の中には、名簿の登録は住民基本台帳に記載された者で選挙権を有する者について行なうということで、選挙人名簿の登録と住民基本台帳と結びつけておりますが、それは附則におきまして、公布の日から二年以内において政令で定める日からこの本則というものを実施に移すのだということを明らかにしておるのでございます。そういうつながりが附則で実はつけてございます。
それから第三番目に、戸籍の付票に関する事項でございますが、これは住民登録法の場合と同じように、戸籍との結びつきをつけますために、戸籍の付票制度というものを踏襲をいたしました。これは住民票の記載を正確ならしめるために適当な制度でございますので、継承することにいたしました。
第四に、「届出に関する事項」でございますが、住民としての地位の変更に関する届け出という意味は、転入届け、転居届け、転出届け、世帯変更届け、そういう種類に分けまして届け出を要する場合というものを規定をしております。世帯変更届けと申しますのは、住所の変更を伴わない世帯または世帯主の変更についての届け出でございます。届け出の方法につきましては本人が行なうことを原則にいたしておりますが、世帯主の行なう届け出ということで、世帯主が本人にかわって届け出ができるようにも道を新しく開くことにいたしております。届け出に関しましては、届け出の特例という意味で、先ほど申し上げました国民健康保険の被保険者とか、国民年金の被保険者、米穀類の消費者であるところの関係についての必要な届け出をあわせて行なうようにいたしております。
次に十一ページにまいりますが、住民基本台帳の記録が住民の権利義務に重要な関係を持ちますために、台帳の記載が不備である、間違っておるというような問題が起きてまいりますので、不服申し立ての制度を設けますとともに、関係市町村長の間の意見が異なります場合の決定をする手続もあわせて規定をしております。
要綱の十一ページの三の「調査」のところでございますが、住民基本台帳の正確性を確保いたしますために、市町村長は定期に調査をいたしますほか、必要がありますときには、いつでも調査できることにいたしております。また、調査に従事いたします者の秘密保持の義務等の規定も整備をいたしました。
それから、四の「資料の提供」でございますが、国の行政機関とか都道府県知事は、所掌事務について必要がありますときには、住民基本台帳に記録されておりますところの事項についての資料の提供を市町村長に求めることができる、こういうことにいたしております。
それから、住民基本台帳に関する事務は市町村の事務でございますが、報告の要求とか、助言、勧告とかいうような点で主務大臣と都道府県知事というものの関係づけをいたしております。この法律の主務大臣は自治大臣といたしておりますが、戸籍の付票に関する事項については法務大臣と自治大臣といたしております。それから、助言、勧告の場合に、国民健康保険の被保険者あるいは国民年金の被保険者に関する事項につきましては厚生大臣、米穀類の消費者に関する事項につきましては農林大臣に協議をして助言、勧告を行なう、こういうことにいたしております。
その次の罰則の関係でございますが、要綱の十四ページ以下、簡単に申し上げますと、秘密の漏洩とか質問または文書の提出の非協力、虚偽の陳述、虚偽の届け出あるいは届け出の過怠というものについては罰則を科することにいたしております。
最後に、この法律の実施でございますが、この法律は、先ほど申し上げましたように、昭和四十四年の三月三十一日までに市町村ごとに住民基本台帳を整備することにいたしました。これに伴いまして、選挙人名簿でございますとか、名簿の登録あるいは市町村民税に関する規定というものは台帳の整備をまって実施することにいたしまして、附則において関係の法律の改正もいたしておるのであります。すなわち公職選挙法あるいは地方税法、国民健康保険法、国民年金法、それぞれ住民基本台帳に基づきまして事務の処理ができますように関係法令の規定の整理をいたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/7
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008・亀山孝一
○亀山委員長 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/8
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009・亀山孝一
○亀山委員長 太田一夫君外七名提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、提出者から提案理由の説明を聴取いたします。依田圭五君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/9
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010・依田圭五
○依田議員 私は、提案者を代表し、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたしたいと存じます。
特別区における自治行政の円滑化をはかるため、区長の選任方法を議会による選任制から、住民による直接公選制に改める必要がある。これがこの法律案を提出する理由であります。
御承知のように、昭和二十二年特別区は市と同様の権限を有して発足し、以来区政は目ざましく進展してきたことは御承知のとおりであります。しかるに昭和二十七年に現行制度のごとく地方自治法が改正され、区長は都知事の同意を得、区議会が選任するという制度に改められました。
日本社会党といたしましては、このような地方自治法の改正では行政機構の中央集権化を強め、住民自治の原則にもとるものであるという態度を、その当時より今日に至るまで一貫してとってまいっております。
改正案が成立して以来十数年を経過しましたが、その間に、私たちが指摘したとおり、各種の欠陥や矛盾が顕著にあらわれてきました。特に区長選任のために長期間を費やし、区政の渋滞を生じ、区政運営上重大な悪影響をもたらしているという事態は、一刻も早く解消させねばならないと考えます。
区の処理する事務は直接住民の日常生活に結びつくものでありますから、それらの事務を処理すべき区長は、区民の意思を反映して選ばれ、区民に対し直接責任を負うべきものでなくてはなりません。そのことにより、区民の意思が直接行政面に反映し、民主的かつ能率的に遂行されることにより区民の福祉は増進し末端行政の円滑化により区民生活の向上は疑いのないところであります。
加えて、昭和三十九年七月の地方自治法の改正により、区民生活に身近な事務事業の移管が実施された現在、区民はより強く区長の公選を要望しており、歴代の東京都知事、都議会、特別区の区長、特別区の議会もあげて区長の公選制の復活を強く要望しているところであり、美濃部都知事の掲げた区長公選の公約に対しても広く都民の支持してきたところであります。
この際、都民の声を反映し、民主政治の根底である住民自治の発展を期するため、現行地方自治法第二百八十一条の二とそれに関連する法規を改正し、二十七年八月の改正以前の状態に戻し、特別区の区長の選任を住民の直接選挙によるように改めることにするというのが、この改正案のねらいであります。
以上がこの法律案の提案の趣旨でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに可決下さるようお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/10
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011・亀山孝一
○亀山委員長 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/11
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012・亀山孝一
○亀山委員長 内閣提出にかかる昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。山口鶴男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/12
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013・山口鶴男
○山口(鶴)委員 昨日に引き続きまして、幾つかの点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
まず、財源率の問題でありますが、昨日、今回の提案されております法律改正に基づきまして、追加費用で本来見るべきものに対して見ないことに関連をいたしまして、共済組合の長期給付の会計に穴があくのではないかという点を指摘をいたしました。また、給与改定に伴う給与の変動についても、今回の財源率にはその要素は含まれていないわけでありまして、こういう点に対する措置を行なわない、国庫負担の導入というものを行なわなければ、これまた長期給付の会計に大きな穴があくという点を指摘をいたしたわけであります。
そこで今度は、違った面からお尋ねをしてみたいと思うのでありますが、昨日お尋ねをいたしましたら、この長期給付の会計のもとになっております財源率の利子は、五・五%でもって計算をいたしているということであります。実際の運用は一体どのくらいになっておりますか、まずお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/13
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014・志村静男
○志村説明員 実際の運用利回りにつきましては、共済組合によりそれぞれ違っておるわけでございますが、四十一年度でございますと、推定になるわけでございますが、全体平均いたしますと、大体六分五厘程度にはなるわけでございます。ところが、組合によりましてはもちろん六分を割っている、こういうものもあるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/14
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015・山口鶴男
○山口(鶴)委員 個々の会計別でどのくらいになっているかわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/15
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016・志村静男
○志村説明員 四十一年度で申し上げますと、これはいま申し上げましたように見込みになるわけでございますが、地方職員共済組合の場合が六分一厘程度、それから公立学校共済組合の場合が五分九厘程度、警察共済組合の場合が六分三厘程度、それから東京都職員共済組合の場合が六分六厘程度、それから横浜市職員共済組合の場合が六分七厘、同じく大阪市の場合は六分九厘、市町村職員共済組合の場合が六分九厘、都市職員共済組合の場合が六分五厘、そういうような見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/16
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017・山口鶴男
○山口(鶴)委員 公立学校共済の五分九厘を最低としまして、最高は六分九厘、一分の差があるのですが、これは利子で一分の差というのは非常に大きいと思うのですが、どのような運用のしかたによってこのように著しい差異というものが出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/17
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018・志村静男
○志村説明員 長期経理資産の運用につきましては、長期経理資産構成というものは法定をされておるわけでございますが、たてまえといたしましては、共済組合がそれぞれ自主的に民主的に運用するようになっているわけでございます。この点につきましては、たとえば長期経理資産の増加見込み額の三分の一というものは義務的に地方債あるいは公庫債というものを取得するようになっておるわけでございますが、このような場合におきましても、公庫債でございますと、たとえば利率が年七分一厘、それに対しまして地方債の場合でございますと六分五厘というような違いがあるわけでございます。それからさらにそれ以外に組合員の福祉増進のための資金というものを多くいたしますと、これにつきましてはやはり利回りというものが低くなってくるわけでございます。この場合、たとえば公立共済の場合は六分を割っているわけでございますが、これにつきましては、たとえばいわゆる他の共済組合でございますと投資不動産というようなかっこうでもちましてやっているものを住宅経理というようなもので受けて、住宅経理からさらに貸し付けるというようなことになりますので、長期経理そのものといたしましては利回りが下がる、こういったような事情になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/18
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019・山口鶴男
○山口(鶴)委員 この長期経理の運用状況につきましては、また他の委員から具体的にお尋ねがあることと思いますから、その点は私のほうは省略をしたいと思います。
とにかく相当な差異がある。公立学校共済は六%を若干割っているようですが、他の共済につきましては、おおむね六%を相当こえているということになります。そうしますと、財源率計算のV五・五%と相当違いがあるわけですが、これをかりに六%でVを計算をした場合の財源率はどのくらいの移動がありますか。各共済組合別にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/19
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020・志村静男
○志村説明員 大体私どもの見当では、利回りが五厘上がりますと一割程度財源率というものが低くなるのではないか、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/20
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021・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そうすると財源率が具体的に千分の幾つになるということですか。各共済別にお答えをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/21
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022・志村静男
○志村説明員 各共済組合のすべてにつきまして私どものほうでまだ試算をしてないわけでございます。
一例といたしまして、市町村職員共済組合の場合を例にあげますと、再計算の結果におきましては千分の百五ということになっておるわけでございますが、利回りを年六分ということにいたしますと、財源率といたしましては千分の九十四・五程度になるのじゃないか、かように私ども考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/22
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023・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そうなれば、今回十二月一日から組合の掛け金率を再計算によって上げる、こういう案になっているようでありますが、いまのお答えならば、六分の計算でいけば、掛け金を上げなくても済むのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/23
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024・志村静男
○志村説明員 確かに、六分というようなことで計算をしますれば、現在予定されておりますところの再計算の結果に比べましてある程度下がるわけでございます。しかしながら、長期経理資産の運用利回りにつきましては、やはり将来の問題でございまして、現在五分五厘を上回っておるからと申しまして、将来必ず常に五分五厘を上回るという保証はないわけでございます。いわば五分五厘を下回った場合の安全弁というような面もあるわけでございます。さらに、私ども地方公務員の長期給付の財源率の再計算につきましては、国家公務員のそれにならってやっておるわけでございまして、各種公的年金制度を通じまして、利回りといたしましては五分五厘ということでやっておりますので、それにならってやっておる、こういうような事情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/24
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025・山口鶴男
○山口(鶴)委員 地方職員共済では財源率が幾らになりますか。公立学校共済では六%で計算すれば幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/25
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026・志村静男
○志村説明員 再計算の結果でございますが、地方職員共済組合の場合は、財源率といたしましては千分の百七・五、それから公立学校の場合も同じく百七・五でございまして、先ほど申し上げましたように、大体六分ということにいたしますればこれが一割程度下がる、かように私ども考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/26
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027・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そうすると九十幾らになるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/27
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028・志村静男
○志村説明員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/28
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029・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そうしますと、地方共済の中で一番主であります地方職員共済、公立学校共済、まあ市町村職員共済は先ほど聞きましたが、そうすると一割程度動くということになれば、現在の財源率が九十九でありますが、あるいは公立学校は百でありますけれども、これが一割下がる、再計算の結果が百七・五、地方職員共済も公立学校共済もともに同じ数字でありますから、一割下がるということになりますと、九十七か八ぐらいになるだろうと思いますが、そうなれば現行の財源率よりも下回るわけでありまして、したがって掛け金率も千分の四十二、現行を据え置いても十分会計が回る、こういう結果になると考えます。ただ、お話のように、公立学校共済との関係、あるいは六分の利子を維持できるかという問題、こういう点が懸念があるというお話でありますが、そういうことを問題にせられるならば、昨日私が問題にいたしました、これは財源率をふやすほうの要素になるわけでありますが、給与改定というような大きな要素を財源率計算ではネグレクトしている。それからまた、恩給法の改正に伴いまして共済組合の会計に影響を及ぼす問題については、それを遮断するとするならば、当然追加費用でこの分は見なければいかぬというものを、三者負担で見ている。これも財源率に大きな移動を生じさせるものであります。私は昨日以来の議論を一貫して感ずるのでありますが、この財源率なら財源率を一つの根拠としていろいろお答えになっておりますけれども、これにはいろいろな要素がある。しかし、当局のほうは、要は、組合の掛け金を上げるほうについては、別段、その影響があってもそれはあまり問題になさらない、掛け金を下げるほうのことについては非常に抵抗をされる、こういう感じが強いわけであります。だから、財源率というものを一つの根拠にしてお答えになるのは、それはけっこうでしょう。とするならば、片方の要素のほうは目をつぶるというなら、そうすれば、現在六分で運用していることは事実なんですから、そういう面でこの実態というものを見詰めて、組合員の負担を軽減しようという観点に立つならば、再計算をし、それによって財源率を大きく見て、そうして組合員の掛け金を十二月一日から上げるというようなことは、これはやらぬでも済むはずじゃないですか。
局長にお尋ねしたいと思うのですが、おかしいじゃないですか。組合の掛け金を、負担を重くするほうのことはどんどんやろうとするけれども、下げようというようなことについては非常に渋い。青森県の例を指摘をしましたが、そういうものをほっておく。そうして、長期給付の財源率については、いま私が指摘したような要素があるのに、これを認めて、組合の負担を軽減しようとはなされない。おかしいとは思いませんか。局長のほうからひとつ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/29
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030・長野士郎
○長野政府委員 現在の資金の運用の利回りだけから考えますと、御指摘になりましたように、公立学校共済は六分ということではちょっと問題があるとしても、ほかはみないいじゃないか、だから、そういうことで六分でものを考えれば済むじゃないかというお話でございます。確かに、将来のことはわからないから、現在やっている点だけを考えて財源率計算をするという考え方に立つという以上は、そのほうが理屈があるではないか、こういうお尋ねだと思いますが、ただ、もう一点、現在共済その他こういう予定運用利回りを計算してやっておりますところの各種の公共企業体なり、私学、農林その他の共済につきましても、これは政府資金との関係も実はあるのだろうと思いますけれども、あるいは厚生年金、いずれも全部五分五厘ということで問題を考えておるわけでございまして、そういう現実問題からいたしますと、いろいろなところに波及してまいるということになってくるわけでございます。単に共済の運用利回りだけという問題から少しそれるかとも思いますけれども、やはり全体のこういう資金の予定運用利回りのものの考え方というものは、いまのところは、そこにひとつ固定をしておる。そうしてそれは長期に考えてみなければならない性質のものだから、やはりその点でも、安全性も考慮するのだという点も含まれているのだということのようでございます。これも一種の現実論といえば現実論でございまして、この両方のかね合いで考えました場合、もう少し上げてもいいじゃないかという御議論もなおあるかもしれませんけれども、やはりそこまでのことが、こういう問題についてなかなか踏み切れないのであります。そういう意味で、おまえさんのほうは上げるほうは自由に上げさせるけれども、それ以外のことはばかに渋い話をする、こういうことになるわけでございますが、結局将来を見越した場合に上がるか下がるか、両方問題があるわけです。と同時に、共済というのは長期で考えるわけでございますから、いまの者の給付というものは、後年の者の給付を行なうという部分はどうしても残ってくるわけでございます。そういうこともございますので、やはり現在のところでしょえるだけの荷物はしょっていくということも、長期給付という財源率を考えます場合に横の連帯に対する縦の連帯ということを言っておるようでございますけれども、そういう縦の連帯という意味でもやはり一つの大きな考え方の柱としては考えざるを得ない。現在すれすれのところで行って、すべてだいじょうぶというわけにもなかなかいかない。この辺の考え方がございまして、おっしゃるような点は確かに現状を見ればあるわけでございますけれども、結局すべての関係もありますし、そういうものの考え方の何ぽかの点もございますので、なかなか踏み切れないということになっておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/30
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031・山口鶴男
○山口(鶴)委員 いまの利子の状態を見るということもあるが、しかし将来の安全性というものを考えればなかなか踏み切れない、こういうお答えだと思います。とすれば、私きのう問題にした恩給の改定に伴う共済組合がしょわなければならぬ部分について、本来、恩給法はああいうかっこうで改定するのですから、追加表で見るべきなんですよ。それを三者負担にする。当面は少ないからいいのだというようなお話でしたが、しかし、将来大きくなるということはやはりお認めになったわけでしょう。とすれば、いまの理論と矛盾するじゃないですか。利子の問題は将来を見通した場合に安全性を確保したいということならば、恩給法の改定に伴って共済組合がしょわなければならぬ部分は、いまは九十万、平年度二百万というような額であっても、将来共済に及ぼす影響というものは大きいわけなんですから、そういった意味での安全性を見れば、これは当然追加表で見るべきじゃないですか。きょうの理屈ときのうおっしゃった理屈とは相反すると思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/31
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032・長野士郎
○長野政府委員 今度の恩給改定に伴います部分についての新法施行後に事由の発生したものについての三者負担、これはしかし今回のもので考えますと、その負担は将来同じかあるいは下がっていくわけです。さらに再び改定が行なわれるというようなことを予想すれば、お話しのとおりだと思います。しかし、そこまで考えますと、ちょっと考えるめどがつかないということもありまして、現在までのところでその点は考えないと、あとの負担は非常に大きく考えなければならないのか、どうならなければならないのかということが、物価事情とか経済変動、いろいろな要因も加わってまいりますので、見当がつかない。見当がつかないというのは言い過ぎかもしれませんが、よくわからない。不確定要素というものははずして考えないと計算ができないというのが現状の偽らない考え方だろとう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/32
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033・山口鶴男
○山口(鶴)委員 しかし、計算は確かにつかないでしょう。将来どういう形で恩給改定があるかわからない、計算上にはこれを見ることは不可能だと思います。それは私も数学の面からいってわかります。しかし計算はわからなくても、追加表で見るという原則を打ち立てれば、計算はどうなろうと会計には影響を及ぼさない原則でもってこれは解決することじゃないのですか。しかし、将来どうなるかわからぬとはいうものの、最近の趨勢を見れば、改定のあることはわかり切っているのです。ですからこの際、最初において原則を確立をして、共済の会計に影響を及ぼさない、こういうことが必要ではないか、それが将来の、きょうお答えになった安全性を確保する道じゃないか、こう言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/33
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034・長野士郎
○長野政府委員 確かにそういうお考えもあるということは、私どももそう思います。ただ、スライド制の問題、それから三者負担という形が、現在のところまではまいっておりますけれども、これがどこまで維持し得るのか、そのほうが合理的なのかどうか、これは今後スライド制の実施とか、そういうものの検討との間でいろいろ検討いたしまして合理化を進めていかなければならないわけであります。そういう意味では、将来の予測をいたしましての新しい原則論を打ち立てるというところまで行っていないということが偽らないところではないかという気がするのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/34
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035・山口鶴男
○山口(鶴)委員 では角度をかえてお尋ねしましょう。いまのお答えには不満でありますが、それならばスライド制の問題でひとつ議論してみたいと思うのですが、昨日も社会保障制度審議会の答申というものについてお話をいただいておりました。社会保障制度審議会あるいは地方公務員共済組合審議会等が今回の改定について答申を出しておられるわけですね。ことしの三月二十三日に社会保障制度審議会の大蔵大臣に対する答申、それから国家公務員共済組合審議会が大蔵大臣のほうに出しておられます答申を拝見をいたしました。これを見ますと、「恩給のほか、各種年金制度を通ずるスライドの原則及び財源区分関係並びに通算関係については、総合的に、公平でかつ均衡のとれた調整手段をとることが、この際特に必要である。」ということを指摘をしておられますね。答申については大いに忠実におやりになるというのですから、スライド制についてはこういうお話もあるのですから、忠実にもう案をお固めになっているのじゃないかと思うのですが、この点をひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/35
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036・長野士郎
○長野政府委員 このスライド制につきましては、いまおあげになったような答申が出ておること、そのとりでございまして、恩給審議会等におきましても現在スライド制の実施につきましてのいろいろ検討を続けておる最中でございます。ここに指摘されておりますように、恩給のほか、各種年金制度を通ずるスライドの原則あるいは財源の区分というようなものを全部通じまして考えていかなければならないことは当然でございまして、現在恩給その他各種年金につきましても、スライド制の実施という点での研究を続けておるわけでございますが、いまどういうふうな具体化の結論が出ておるかということになりますと、現在までまだ結論が出ておるという段階ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/36
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037・山口鶴男
○山口(鶴)委員 答申がいろいろあるのですが、どうもお金のかかるような答申はあまりお好きでない。三者負担というようなことについては非常に忠実でありますが、スライド制というようなことについては不熱心だ。どうもこの点昨日以来解せないわけです。
そこで私は政務次官にお尋ねをしたいと思うのです。昨日も申しましたが、政務次官の御経歴を拝見しますと、外交官としての御経歴が長く、社会保障の発達しておられますヨーロッパ各国等に対する知識も、私どもの持っていないいろいろりっぱな豊富な知識をお持ちであると思いまして尊敬いたしておるわけでありますが、このスライド制について、ヨーロッパ各国においてはそれぞれ先進的な施策を講じておるようであります。次官、このような点については御承知でございますか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/37
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038・伊東隆治
○伊東政府委員 各国具体的にどういう制度をしておるかはつまびらかにいたしませんが、しかしスライド制は時節柄これを忠実に実行すべき制度だと思って、自治省におきましても、これからひとつこの問題を研究していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/38
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039・山口鶴男
○山口(鶴)委員 私の調べたところでは、物価水準によってスライドさせるものと、それから賃金水準によってスライドさせるものと、二通りあるようであります。先国会で改正になっております地方共済関係のスライド制の部分に対する規定のしかたを拝見いたしますと、「国民の生活水準、地方公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定の措置を講ずるものとする。」こう書かれてございます。したがって、この七十四条の二を見ますと、この物価水準の変動それから公務員の給与水準の変動、両方を勘案することが規定されておるようであります。ヨーロッパ各国では物価水準でスライドさせるものと、それから賃金水準でスライドするものとあるようでありますが、この点について、自治省のほうでも御調査になっておられると思うのですが、ひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/39
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040・長野士郎
○長野政府委員 手元にあります資料によりましてちょっと申し上げますと、イギリスとアメリカにおきましては、イギリスにつきましては、大体個別に恩給等の増額改定が行なわれるようでございまして、スライド制に関する規定はないようでございますけれども、改定はおおむね消費者物価指数に見合って行なう。アメリカにおきましてはスライドに関する規定かあって、そしてこれは物価指数が連続三カ月以上でございますか、三%をこえるときに、これに応じて改定する、こういうことになっております。それからドイツとかフランスにおきましては、ドイツにはスライド制に関する規定がありまして、給料に準じてとございますから、結局給料に準拠してと申しますか、増額改定をする、こういうことになっておるようであります。フランスにおきましては給与改定に応じて増額改定をするということでございますから、これも給料に応じてスライドする。まあ、物価にウエートを置いているところと、給料に結びつけているところと、二通りあるようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/40
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041・山口鶴男
○山口(鶴)委員 この点は、前に河上委員が質問いたしましたときにも、この共済組合を審議しておる過程において、少なくともスライドに関する考え方というものを当委員会に提出をするようにという強い要請があったわけであります。したがいまして、このスライド制の問題について、他の共済との関係もあってなかなかむずかしいというようなことを盛んに言っておられたわけですが、少なくとも地方公務員関係の、自治省が所管をしておられまする部面について、自治省としてのこの物価スライドに対する考え方、及びいま御説明のございました欧米各国がどのような方式でこのスライドをやっているか、その実態、スライドをやっております方式、こういうものを一括して、ひとつ資料として提出していただきたいと思いますが、お願いいたします。
行政局長は何か他の委員会に用があるそうでありますから、局長に、違う問題についてお尋ねしたいと思うのです。
御案内のように、この共済組合法の規定によりまして、いわば掛け金についても、給付についても、この十一万円という頭打ちがあるというようでございます。この問題でありますが、この点につきましても、他の共済との関係でございますとか、あるいは厚生年金その他、他の年金制度との関連でありますとか、そういう点でいろいろ検討すべき問題があるというようなことは、これは過般他の委員の方からの御質問でお答えになっているところであります。私どもはそういう点についてはいろいろ問題点のあることは承知をいたしておりますが、しかし、三十七年ですか、制度ができましてから今日まで相当な期間を経過いたしておるわけであります。そういう中で、いつまでもこの問題にこだわりになっておりますのは、私どもが指摘いたしますように、何か官庁の高級公務員の方は公社、公団に天下りをする、自治省の方はあまりないようでありますけれども、大蔵省をはじめとして公社、公団に対して天下りをしている、こういったものが非常に多い。しかもこの給料たるや、ひどいのは地下鉄の総裁でありますか、これは月給が五十一万円であったというようなことも聞いておるわけであります。その後都議会並びに国会の場において追及がございまして八万円ほど下げまして四十三万円に直したというようなお話も聞いておるわけでありますが、しかし八万円減俸いたしましても四十三万という月給は非常に高いわけであります。しかも退職をいたします際の退職金たるや、これはもう非常に高額である。二千万、三千万、はなはだしいのは五千万に近い、こういうような事例のあることも国会でいろいろと問題になっているところであります。このようないわば公社、公団に対する天下り、しかも公社、公団の役員の方々の待遇というものが非常に高い。しかも退職金もきわめて高額である。しかも人によりましては三つの公社、公団を渡り歩いて、そのつど高額のいわば退職金をもらっている。こういうような人たちが国会の場でも問題になったことは局長も御案内だと思うのです。こういったことがこの十一万円頭打ちを直さない、いわば十一万円の頭打ちを直さぬでも幾らでも他に収入を求める道があるということが、この問題に対していつまでも是正されない原因ではないか、かように考えるわけでありますが、ひとつ局長のお考えがあったらお示しをいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/41
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042・長野士郎
○長野政府委員 この十一万円頭打ちの問題は、お話しございましたように、三十七年以来改定を見ておりません。したがいまして実態に合っているかいないかということになれば、実態と相当隔たっておるということは明白な点があるわけでございます。ただ全体のこういう年金制度等の均衡と申しますか、そういう点からいたしまして、高額なものであれば、それを多少足踏みしてもいいのじゃないかという考え方が従来支配的であったと思います。ただし、それだから、あるいはむしろ必要がないからほっておいたのだろうというような御指摘のようでもありますが、必ずしもそういうことではございませんで、関係機関といたしましては常に検討をいたしておるわけでございますが、絶対に十一万円頭打ちというものはそのままでなければならぬというふうなかたい気持ちを持っておるわけではないと思いますが、それがいつ改定さるべきかという点についてなかなか結論をすぐ下しがたいという状況であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/42
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043・山口鶴男
○山口(鶴)委員 公社、公団を若干調べましたら、自治省が各種の公団に送り出していますものの一つに年金福祉事業団がございますね。年金福祉事業団の役員の中には自治省出身の方がおられますね。それから日本小型自動車振興会、この中にも自治省出身の方がおられますね。大体百八あるといわれる公社、公団の中に、自治省から一体何人の方を送り出しになっておられますか、お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/43
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044・志村静男
○志村説明員 お尋ねの件につきましては、現在資料がございませんので、調査をいたしまして御報告申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/44
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045・山口鶴男
○山口(鶴)委員 あわせて給料についてもお調べになればわかりますね。給与並びに退職金の規程です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/45
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046・志村静男
○志村説明員 その点につきましても調査をいたしまして、御提出申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/46
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047・山口鶴男
○山口(鶴)委員 結局、先ほどの地下鉄総裁の四十三万円はこれは論外でありますが、日本開発銀行の総裁が四十万円、海外経済協力基金の理事長が四十万円、農林中央金庫の理事長が四十万円等を筆頭にいたしまして、おおむね理事長クラスは少ないところでも二十八万円から三十二万円というような状態があるようであります。理事の方も二十一万円から二十五万円、多いところは二十三万円から三十万円、こういうような給料をとっておられるようであります。(大石(八)委員「あまり教えると自治省もどんどん行きたくなる」と呼ぶ)だから、そういう大石さんの御指摘もありますから、十一万の問題については検討せいというきわめて温情あふるる質問をこちらはやっておるわけです。そういうわけでありますから、この点については資料を提出していただきまして、あとまた他の委員のほうから、御意見もあるかと思いますから、一応この点についてはそれでは資料の提出を求めて、また質問をすることにいたします。
局長さんのほうはけっこうです。
次にお尋ねをいたしたい点は、財政計画上の問題でありますが、私どもがいただきました地方財政計画交付税算定の基礎がございますが、これの一一ページ、共済組合負担金の都道府県、市町村分、この算定の基礎は一体どういうことでございますか、お教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/47
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048・横手正
○横手説明員 実は財政計画関係は財政課の主管ということになっているわけでありますが、したがいまして先生お手持ちの資料を私持ってまいらなかったのですが、大体財政課のほうから聞いております点で申し上げますと、今回共済組合負担金等につきましては、長期給付につきましては従来の率によりましてこの十一月まで、それから新たな率によりまして十二月以降の四カ月分を見込む、こういうような考え方に立ちまして率の平均化を求めまして、その平均率をとりまして必要な財政需要額を計上、算定いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/48
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049・山口鶴男
○山口(鶴)委員 そうしますと地方職員共済の五八・八というのがありますが、これは従来までの負担分の五七を八カ月分、それから十二月以降四カ月の分については負担率六二・五で計算をして、その平均でもって出しておる。他の共済についても同じというふうに理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/49
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050・横手正
○横手説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/50
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051・山口鶴男
○山口(鶴)委員 数字のほうはその点で了解をいたしますが、ただ昨日もお尋ねをいたしたのでありますが、地方職員共済の、都道府県の場合もそうだろうと思いますし、公立学校共済の教職員の場合もそうだと思いますが、交付税で見るということは、地方職員の場合においては、富裕団体については、これらの計算の根拠はありましても、現実には負担金についてもさらに追加費用についても、当該団体には流れていかない。それから公立学校共済の場合についていえば、二分の一の交付税分については流れていかないし、また残る二分の一の国庫負担金の場合も頭打ちになる、こういう形になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/51
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052・横手正
○横手説明員 この点は先生も御承知のように、交付税は財源調整的な機能のほうが強いわけでございます。財源保障面におきましては、総額において各団体の財源を保障する、こういうようなたてまえになっておりますので、おっしゃられるようなとおりの結果になる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/52
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053・山口鶴男
○山口(鶴)委員 その点は、交付税法上のたてまえはわかります。しかし長期給付については組合員の負担が四二・五%、使用者の負担が四二・五%、あとの一五%は公的の負担ということになるわけですね。これまで交付税で一括して見るということは、この公的な負担、本来の趣旨からいっておかしいとは思いませんか。他の財源調整の意味もあるのだから、その使用者が負担する分については富裕団体は当該団体の財源で見ることはやむを得ない、その点は了承いたします。しかし残る一五%の公的負担分については、これも交付税で見るということは、本来の公的負担として国が見るというそのたてまえからいってはずれてくるのじゃないか、かように考えるのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/53
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054・横手正
○横手説明員 交付税の仕組みは、先ほども申し上げましたように総額として、全体として個々の団体の財源を保障する、こういうようなたてまえになっておりまして、各事務、事業につきまして、いわば国庫補助負担方式の算定方法をとるというようなたてまえにはなっておりませんので、交付税の仕組からすれば現行どおりでやむを得ない方法ではなかろうか、かように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/54
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055・山口鶴男
○山口(鶴)委員 財源調整という面で見ればそうでしょう。しかし公的負担の一五%を見るということについては、これは交付税からはずして、そして国の補助として見るということも一つの考え方ではないかと私は思うのです。
あわせて追加費用についてもお尋ねしたいのですが、追加費用も、これは本来恩給法の関係で運用してまいりましたものについて、共済組合が新たに出発をして、共済組合がいわば恩給分も肩がわりして見なければならぬ、その本来恩給で見るべき分について共済が肩がわりする分を追加費用として見る、こういうたてまえからすれば、これも交付税で見るということになれば、財源調整的な意味になっていくところといかないところができる、これもたてまえとしては少しおかしいじゃないかという感じがするのですが、その点同じくどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/55
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056・横手正
○横手説明員 いづれの問題にいたしましても、現行の交付税の仕組みからいたしますと、そういうようなかっこうになるわけでございます。先生のお話の面は、共済組合の負担金についてどういう制度が望ましいかということによっておのずから財源措置のほうもきまってまいりますし、またそれによりまして、交付税の仕組みのほうでは、国庫補助金とは違いますが、そうしたものを基準財政需要額の算定の基礎の中へ織り込んでいくというような形しかとれないことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/56
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057・山口鶴男
○山口(鶴)委員 交付税の制度のもとではそれはそうかもしれませんが、この分については交付税で見ることより、私が申し上げておるような形で見るべきではないかという点については、ひとつ御検討もしていただきたいと思うわけです。
秋吉主計官がお見えになっておりますので、最後にお尋ねしてこれでやめたいと思いますが、とにかくきのうからきょうにかけまして、共済の財源率の関係でいろいろ議論をしてまいりました。特に大蔵省にお尋ねをしたい点は、今度恩給が改定になります分について、三十七年の十二月一日以降退職をいたしました方で、この恩給法改定の影響を受ける方については、社会保障制度審議会あるいは公務員制度審議会等の中でも、これは当然追加費用で見るべきではないのか、こういう意見もあったことは主計官も御案内だと思うのです。答申自体としてはそういうふうに明確に書かれておりませんが、組合員を代表する委員の中から、当然これは追加費用で見るべきではないかという意見があったことは、主計官も御案内だと思うのです。金額は確かに少ないわけです。地方共済に影響する面は少ないけれども、たてまえとしては、これはやはり私は追加費用で見るということが、この共済組合本来の趣旨からいって、当然そうなければいかぬのではないかというふうに思うわけです。こういう点に対する大蔵省のお考え方を聞きたいのが第一。
それから各種年金との関係等もございますし、さらに現在短期給付等につきましては、特に市町村共済の場合は財源率が一一〇、そして組合の負担金が五五というような、これは青森県の例でありますが、著しく掛け金が高い。しかも長期給付については、同じく千分の四十四というような負担もしているわけです。そうすると、短期給付で一番高い人が、しかも長期給付を合わせました場合は千分の九十九というような掛け金を負担しなければいかぬ、こういう事例もあるわけです。こういったはなはだしい事例を考えた場合に、当然短期についてもこの際国庫負担を二割導入をいたしまして、そうして著しい掛け金の負担というものを軽減をしていく、こういうことは当然あってしかるべきではないのか。政府管掌の共済の場合も、赤字に対しては国が負担をして、赤字解消に努力をしている例もありましょうし、それから組合管掌の健康保険については、組合員の掛け金が千分の三十をこえる分については使用者が持つという、そういう制度であるわけです。そういうことからいきまして、地方公務員の短期給付のみが千分の五十五というような著しい負担を強いているというのが現にあるという状況を考えれば、この地方公務員共済組合についても、国庫補助をすることは当然ではないかというふうに私は思うのですが、大蔵省の御意見を伺いたいと思うのです。
長期についても同じであります。今回の再計算によりまして、相当組合員の負担というものがまた上がるわけです。しかも財源率計算の中で、それでは給与改定の分はどうなるのだといえば、それは見ていない、こういうわけですね。それからまた今後恩給法改定に伴って、先ほど申し上げたように追加費用でこれを見ないとするならば、その面から共済組合の会計に対して大きな悪影響もあるでしょうということを考えていきましたり、さらにはスライドの問題もありますが、スライドの問題はおくといたしましても、長期給付に対しても、現在の公的負担一五%をやはりふやしていくということでなければ、これは組合員の負担というものは上がるばかりではないか。しかも財源率計算上非常な無理もあるではないかということから、お考えは一体どうでしょうか、この点をお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/57
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058・秋吉良雄
○秋吉説明員 非常に根本的な制度上の問題で、私よりも給与課長の御答弁のほうがしかるべきかと思いますが、私で答弁させていただきます。
いろいろの根本的な問題のお尋ねでございますが、まず長期給付の点からお答えさせていただきます。長期給付の追加費用について、これはむしろ公的負担で持つべきじゃないかという一つの御質問でございますが、そういう議論も、特に識者の間あるいは職員側から御意見があることも私ども十分承知をいたしております。これにつきましては問題がいろいろございまして、何せ共済制度に移行いたしました以上は、それはやはり相互扶助のたてまえで貫かれるべきたてまえでございます。そこで、そういった社会保険関係の機関でございます厚生年金の関係でございますが、この厚年のほうも逐次ベースが上がってまいります際に、やはり追加費用というものが要るわけでございますが、これとてもやはり相互扶助という制度に徹しまして、三者負担の原則できております。そういった問題との関連もございまして、この長期給付の給付水準を上げることによる追加費用の原資をすべて公的負担という議論につきましては、いろいろ今後慎重に検討すべき事項かと思います。現在の段階は、先ほども先生の御指摘がございましたように、幸か不幸か掛け金率それのみではいかないというふうに私ども承知をいたしておりますが、いずれにいたしましてもこの問題は組合員の負担能力あるいは財源事情、そういった点を総合勘案しつつ、また他の社会保険制度との関連をも十分きわめつつ、慎重に今後とも検討すべき問題かと思っております。
それから、今度財源率計算を改定いたしますと、どうしても掛け金率が上がる。したがって長期給付の一五%さらにふやすべきではないかという最後の御質問があったかと思いますが、これにつきましては、御案内のように厚年でたしか二〇%になっておるわけでございます。これはしかしいろいろ議論ございまして、厚年が高いのは、やはり厚生年金は給付水準が国家公務員あるいは地方公務員共済に比べて六割ないし七割方低いというような問題がございまして、やはり国のあるいは公的負担の負担割合というものは、その率ではなしに、一人当たり幾らぐらいの金額という議論が至当ではないかという、特にそういう議論もございまして、率ではなしにそういった一人当たりの負担度合いということをむしろ考えるべきではないかという議論もございまして、厚生年金並みの二〇%でなくて一五%になっておるわけでございます。かりに財源率計算をいたしまして掛け金率が上がりましても、これは他の公共企業体とかあるいは国家公務員共済組合の組合員の掛け金率とあまり差はないというふうに私ども了解をいたしておるわけでございます。
それから短期給付の御質問でございますが、これは非常に、特に地方公務員の場合いはいろいろ問題があるように私ども十分承知をいたしております。国家公務員の場合も、各省によりましては高いところもございます。しかしながら地方の場合、特に青森県の場合に高いという御指摘がございましたが、何せこれも御承知のように労使折半という共済の体系でまいっておりますから、国家公務員共済組合の体系との関連もまた十分考えなければならないと思います。問題は、やはり医療費が非常にかさむという点については、なるべくそういう歳出面から極力節減、合理化の余地がないかどうかということをきわめる必要があるし、努力の余地もあるのではないかというふうに私ども承知をしておりますが、この労使折半の問題につきましては、これは基本的な問題でございまして、地方公務員だけの問題でもなく、国家公務員共済組合との関連も十分検討しつつ、今後とも慎重に検討させていただきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/58
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059・山口鶴男
○山口(鶴)委員 やめようと思いますが、せっかく大臣がお見えになりましたから、大臣にひとつ聞いておきたいと思います。きのう私の質問中、大臣お見えでありませんでしたが、きのうからいろいろ短期、長期両方について議論をいたしました。財源率というものを見ますと、いかにも数字で計算すればりっぱなものに見えるのですが、しかし数字というのは幾ら計算を精密にやっても、取り入れる要素が違っていれば答えが違ってくるものなんです。そういう立場から、財源率にあまりこだわることも問題がありましょうし、さらに高い政治的な立場からのものを解決していくということが必要ではないかと思うわけですが、特に短期について非常に高いところがあるわけですね。千分の五十から千分の五十五というような掛け金を現に負担している、しかも現に財源率再計算によりまして、長期給付のほうの掛け金も上がってくる、そうすると最高のところでは、青森県ですが、長期、短期をあわせて千分の九十九という負担が十二月一日からは出てくるわけです。こういうものは私は幾らなんでも無理じゃないか。ですから、自治省としては、短期については大蔵省に要求しなかったようですけれども、せめて長期については公的負担を一五から二〇にということで要求をしたということは承知しております。しかし残念ながら、秋吉主計官のお話を聞いたわけでありますが、大蔵省の意向が強かったのかどうか知りませんが、結局自治省のほうは負けて公的負担は上がらなかった。しかしこれは地方公務員の実態を見れば無理だと思います。特に長期給付に対する公的負担を上げていくことに対する大臣の決意をお伺いしたいことが一つと、それからさらに短期につきましても、いま申し上げたような著しい負担のアンバランスがあるわけであります。これを改善するためには、やはり短期に対してこの国庫補助二〇を導入をしていくということが解決の道ではないかと思いますが、この短期給付の面に対して国の負担をかちとること。組合員が一割の掛け金を払うということはたいへんだと思うのです。そういった組合員の負担力というものから見て、国庫負担を確保して負担軽減をはかるということに対する大臣の御決意というものをお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/59
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060・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 釈迦に説法ですが、共済制度というものは本来相互扶助の形でございますから、組合員並びに使用者側の負担においてその財政がまかなわれるべきものだと思います。しかし、それと同時に社会保障制度の一環でもございますので、社会保障制度の進展という点からいたしまして、国がこれに対して補助をする、その他のめんどうを見るということも必要だと思います。それで、具体的におあげになりました長期についての補助率の引き上げという問題は、われわれとしてもぜひ実現をいたしたい。もちろん地方公務員だけ独走するというわけにまいりませんけれども、他の制度と均衡をとりましてこの補助率の引き上げをはかってまいりたいという念願をいたしております。また短期につきましても、従来これらにつきましては労使折半という法則をとられておりますが、一つの社会保障制度の進展という意味におきましては、何らか国がまたこれにめんどうを見るということも必要ではないかというふうに考えて、十分検討してまいりたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/60
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061・亀山孝一
○亀山委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。
山陽電鉄爆破事件に関する問題について質疑の申し出がありますので、これを許します。井上泉君。
〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/61
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062・井上泉
○井上(泉)委員 大臣は山陽電鉄の爆破事件は御承知をしておると思いますが、それについて現行の火薬類取締法、これをどう考えておられるのか、この点について国家公安委員長としての立場から、火薬類取締法についての御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/62
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063・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 御承知のように戦前は火薬の取り締まりは警察の仕事であったわけでございますが、戦後これがいわゆる経済官庁、通産省でありますが、経済官庁のほうに移管をされたことは御承知のとおりでございます。しかし、現実を見ますと、火薬類の保管というものが非常にルーズな感じを私どもいたします。御承知のようにこれは通産省の所管でございますから、都道府県におきましては商工部関係のものが担当しておるわけでございます。人手の足りない点もございましょうとは思いますが、ルーズでありまして、たとえば盗難にあったものが必ずしも届け出られていないというような実例を警察の立ち入り検査によって発見をしておることがしばしばございます。ただこの行政の制度として火薬類をどう把握していくかということにつきましては、現在のような制度はそれなりの理由があろうと私は考えます。しかし、法改正によりまして警察官の立ち入り検査が認められるようになりましたので、この制度をフルに使いまして、火薬類のそうした不正使用についての防止をはかっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/63
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064・井上泉
○井上(泉)委員 火薬類取締法における警察官の立ち入りの場合にいたしましても、非常に限定された面が多いわけです。それで私はやはり戦前の法律では取り締まりの機関が国と知事、警察署長であった。この三つがその取り締まりの機関であったわけですが、それを法改正で立ち入り検査が認められたということだけで、火薬類取締法によって十分なことがいたされるとは私はどうしても思わない。大臣がいま申されましたように、火薬の取り扱いというものが今日非常に粗雑で、しかもまた広範にわたっておるし、そうしてその人員にいたしましても非常に少ない人員で自治体なんかやっておるわけです。そういう点から山陽電鉄の事故が、列車内であったからあれだけの事故で済んだのですが、かりに飛行機とか、また阪神とか阪急とかいうようなたくさんの乗客の乗っておったところであったら、たいへんな惨事になったと思います。そういう点で、火薬類取締法の全面的な改正とまではいわなくても、つまり火薬の行き先が一歩誤れば人を殺傷し、そうしてまた大きな危害を与える火薬類のことですから、やはり国家公安委員会としても立ち入り検査という従的な立場でこの取り締まりに当たるというのではなしに、やはりその機関の中でそれを位置づけるような法改正を考えてはどうかと思うのですが、それについての御所見をいま一度お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/64
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065・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 火薬につきまして、その行政をどこでやるか、製造という面からとらえれば、やはり産業官庁ということになるのだろうと思います。しかしその保管、使用等につきまして、現在必ずしも十分でないことは御指摘のとおりでございます。それらの点につきましては関係省庁とも十分連絡をとり協議を重ねて、よりよき方法を、法改正あるいは取り扱いの方法、行政のあり方等、すべてにわたりましてさらに再検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/65
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066・井上泉
○井上(泉)委員 たとえば火薬類取締法四十五条の二でも、「警察官は、火薬類による災害の発生を防止するため」云々ということがある。災害が発生したときには、そこで警察官がこの火薬類のことについての立ち入り検査とかいろいろなことが行なわれる。ところが、災害でない犯罪が起こった場合にも、やはりこれは火薬の行き先について火薬類に関する取り締まりで立ち入り検査等をするわけですけれども、やはりそれは、平素から警察がその火薬類の行き先というものを把握をする意味において、私は、戦前の警察と県と国との、この三つの火薬取り締まりに当たる機関というものは非常に必要だと思うわけです。それで、それはひとつそういう点で御検討願うとして……。ところで、一般国民としては安心をして乗っておるわけです。安心をして乗りものに乗った。山陽電鉄に乗った。ところが火薬取り締まりの不備のためにああいう災害が発生をして、二人が死に、十何人もが重傷を負った。こういう事件については、やはり国としても火薬取り締まりが万全であればああいう事故は起こらないはずだし、そういう起こったものに対する事故責任というものを、大臣どうお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/66
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067・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 その保管の責任者がだれであったか、犯人がつかまりませんのでわかりませんが、一般論といたしまして、やはり一つはその火薬類を保管するものの責任というものがあろうかと思います。一つは、やはり国といたしまして十分な保管がされていたかどうかという点については、国としても、もしそれがルーズに行なわれており、しかもそれを見のがしておったというときには、やはり国としての責任を負わなければならない面があろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/67
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068・井上泉
○井上(泉)委員 その犯人が逮捕されて、犯人はいろいろな刑罰で罰せられて、そして人を殺傷したことについての罰は受けるわけですけれども、今度はその命を失った者に対し、あるいは負傷した者に対する補償の問題、こういうふうな不測の事態というか、結局これは取り締まりの不徹底のためにそういう事故が起こったのですから、補償の責任がどこにあるのか。先般河上さんが質問されたときには、何か個人にあるとかというような話をされておったのですけれども、個人とはだれを指して言っておるのか、私その点についてわからないわけですが、あらためて大臣に、こういうものについてのそういう補償の国の責任というものの存在があるのか、ないのかあわせて承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/68
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069・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 具体的な事態事態によって違うかと思いますが、私の申し上げた国の責任というのは、そういう火薬類が正確に保管をされておるかどうかということについて十分な注意を怠っておったというような問題については、やはり国としても責任を負わなければならぬと思いますが、そのことと、死亡され、あるいは負傷をせられた方に対する補償の問題とは必ずしも因果関係があるとも思われないわけでございまして、通常の場合はやはりその行為をした者、あるいはその原因をつくった行為をした者が補償の責任を負うべきものというふうに考えております。しかし場合によっては、これは具体の例にならないとわかりませんが、あるいは鉄道の管理者というようなものも責任を負う場合もあるのではないかと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/69
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070・井上泉
○井上(泉)委員 そういう場合に、行為をした者に賠償の能力がない、普通、鉄道とかあるいは航空あるいは自動車事故、こういうようなことが起こった場合に対しては、それぞれの賠償、補償の規定があるわけですけれども、こういう一般私鉄の乗りもの等の中で、しかもその私鉄の責任に帰すべきでないと思われる火薬類の爆発という不測の事態で被害を受けられた、こういうような方に対して、何らかの法的な補償の方法を講じておく必要がありはしないか。補償の責任というもの、その点についての大臣の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/70
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071・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 犯罪によって死亡され、負傷され、あるいは財産を傷つけられるという場合に、そういうもののすべてについて、あるいはすべてという仰せではないのかもしれませんが、そういうものについて国が補償をするという制度をつくることは、はたして妥当であるかどうか。いわゆる過失を前提としておる損害賠償の制度の現在におきまして、そういう制度をつくるかどうかということについては、私は非常に疑問があるのではないかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/71
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072・井上泉
○井上(泉)委員 これは火薬取締法という厳重な取り締まりの法律があるわけです。その法律の裏をくぐって、いわゆる法律が取り締まりができなかったためにこれは起こった。それは普通の個人が列車内で、あるいは刃物で傷つけられたとか、あるいはけんか争論をしたとかいうようなことで起こった事件ではないし、純然たる不測の事態で、こういうようなことは国だけが責任があるわけではないと私は思うのですけれども、やはり私鉄なりそういう乗客を輸送しておる機関とか、それから国の機関とか、国とかいうようなものでそういう場合における法的な補償の配慮をしてやるのが国の政治、いわゆる国民のための政治の姿ではないか、こんなふうに思うのですが、それでもまだ疑問とお考えになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/72
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073・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 無過失損害賠償という制度、もちろん現行法でも現在の日本の法律の中にもありますが、こういうのは非常に限定をされておるということをまず考えなければいけないと思います。ただいま、なるほど火薬の取り締まりが不十分であったために、ひいてそういう殺傷事故が起こったということでありますが、この辺はなお私ももう少し研究をしてみたいと思います。いまのところそういう感じがいたしております。
これは実は一般論でございまして、今度の事件は、すでに説明があったかと存じますが、塩素酸カリと硫黄とをまぜてみずから爆発物をつくったわけでございまして、塩素酸カリ並びに硫黄というもの、そのものはいわゆる火薬ではございませんので、火薬取り締まりの範囲のものではないことだけは申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/73
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074・井上泉
○井上(泉)委員 それはまたあとで質問を担当の方にいたしたいと思いますので、それは別として、やはりそういう火薬の事犯というものはこれからも引き続いて起こると思うのです。起こると思うし、やはりそれについて、国民が安心をしてバスにも乗れる、飛行機にも乗れる、それから私鉄にも乗れる、こういうことを国なりあるいは地方団体なりの間で話し合いがなされて、何か法的なものをつくるとか、あるいはこれは昨日のNHKの「私たちのことば」の中で、私鉄にも鉄道公安官のようなものをぜひ乗せてほしい、こういうふうな話もあったのですから、何か政治というものを国民のために前進さすために、こういう国民が不測の事態で殺傷されたんだから、それに対して政治として配慮するところの施策を講ずるのが当然だと思うのですが、その点についていま一度承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/74
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075・藤枝泉介
○藤枝国務大臣 確かにおっしゃるような考え方もあろうかと存じます。ただ、どういうものについてどういう程度の補償をするかというようなこともいろいろあろうと思いますので、なお私どももこの火薬の取り締まりに関連をいたしまして、さらに検討は進めてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/75
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076・井上泉
○井上(泉)委員 大臣はもうけっこうです。
その山陽電鉄の爆破事件は現在までの段階で、何かけさの新聞なんかにパイプで云々ということが載っておったのですが、現在までの段階で、一体どういうふうな装置によって爆破されたものであるのかどうか、わかっておる範囲でお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/76
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077・田村宣明
○田村説明員 ただいまの御質問の点でございますが、爆発いたしましたものは、先ほどもちょっと出ておりましたように、塩素酸カリと硫黄とをまぜたものでございます。これをいかにして爆破させたかという点でございますが、御承知のように、あれだけの爆発でございますので、相当のものがひしゃげたり変形いたしたり、あるいは欠損をいたしたりというような状況でございますので、そういうことを一応条件といたしまして、現在判断しておるところを申し上げたいと存じますが、現在のところ、そういう状況下でほぼ間違いないというふうに考えておりますことは、ただいまの混合した薬の中に、都市ガスに火を点火するのに用いますライターの点火線でございますが、この点火線を直接その爆発する薬品を混合したものの中に入れまして、それに電線をつないで、時計を用い、電池から電気を流しましてこれを爆発させる、現在のところまでの調査では大体そういうことでほぼ間違いなかろう、こういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/77
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078・井上泉
○井上(泉)委員 それで、あの程度の爆破で、たとえば普通の東京−大阪を飛んでおる航空機の場合、飛行機全体を爆破する、飛行機が航行に支障を来たすほどの障害を与えるのかどうか、その点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/78
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079・田村宣明
○田村説明員 飛行機の場合などにどのようになるであろうかという御質問かと存じますが、これは電車の破壊されました状況から推測するよりいまのところいたし方がなかろうかと存じます。それでこの破壊されました状況について申し上げますと、すでに御存じのところでございますが、電車は二両連結でございまして、その後部の電車の進行方向に向かって左側の前部で爆発をいたしております。左側にはドアが三つございまして、その一番前のドアの付近——まだその場所を断定するまでに至りませんが、大体そのドアの直近の後方ではなかろうかと思われる網だなの上というふうに推定いたしております。そこで一応爆発をいたしまして、それでどの程度の破損をいたしたかと申しますと、天井がそこから約数メートルにわたりまして、羽目板のようなものが上に持ち上がっております。それから一番目のドアから二つ目のガラス窓が両方相対しました位置で一枚ずつこわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/79
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080・井上泉
○井上(泉)委員 あれぐらいの爆発力が航空機の中であった場合には航空機を爆破するだけの能力があるのかどうか、その点についてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/80
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081・田村宣明
○田村説明員 そういうふうな状況でございますので、それを航空機にした場合にどうなるかということは、私、にわかに判断をいたしがたいと思うのございますけれども、ガラスをこわすという程度のことは起こり得るだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/81
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082・井上泉
○井上(泉)委員 私もこれは当局を究明するというような点で質問をしておるんじゃないのです。これは火薬の取り締まりを厳正に行なって、そうして国民の身の安全をはかってもらいたい、こういうことで申し上げておるのです。
ああいうふうな事件から見て、塩素酸カリと硫黄の混合したものだということですが、どのくらいの量の火薬であれが爆破されたものか。それを保安局のほうでお調べになっておるかどうか、あるいは通産省のほうでお調べになっておるかどうか。もうお調べになったことと思いますが、何グラムぐらいの火薬であれはやったものだとか、やられたものだとかいうことはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/82
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083・田村宣明
○田村説明員 現在までのところ、その点は判明いたしておりません。それで、この点につきましては、なお専門機関に鑑定を委嘱いたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/83
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084・井上泉
○井上(泉)委員 日本の警察の科学実験は世界に冠たるものだといってこの間説明されておったのですから、あの爆破ではどのくらいの量が使用されたものだというくらいのことは、もう調査できないものであろうか、その点非常に疑問に思うのです。
そんな出ていないことを幾ら質問してもつまらぬですが、これは警察庁の保安局の立場から、現行の火薬類取締法で十分だとお考えになるのかどうか、局長さんがおいでになっておるので、この点について局長さんにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/84
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085・今竹義一
○今竹政府委員 直接の答弁になりますかどうかわかりませんが、現行の火薬類取締法で取り締まります場合に、この前の委員会でも御説明したのでございますが、ダイナマイトのようにそれそのものが火薬類である、爆薬である、こう規定されております物質につきましては、それの不正流出等がないように、保管、出納について立ち入り検査をし、あるいは不法の所持を取り締まるということを徹底することによって目的を達し得ると思うのでございます。ただ、今度の事案のような塩素酸カリと硫黄との混合物でございますと、塩素酸カリそのものは火薬類ではない、硫塩も火薬類でない、ただそれを混合すると、つまり無許可で製造の過程を経て混合したものが火薬類になるというものがあるわけでございます。これは理論的に言いますと、そういう無許可の製造行為の過程を厳重に取り締まれば防止し得るはずのものでございますが、しかし、なかなかひそかに製造するものを取り締まるということは、実際問題として困難でございます。戦前の銃砲火薬類取締法は、こういうような物質を火薬にあらざる爆発物質というような観念でとらえまして、これについて、たとえばあいくちと同様に、立ち入り検査とか仮領置とかいう権限を警察に認めておった例があるようでございます。そういうようなことによって、はたして十分に未然に防止し得るかどうかというようなことについても慎重に検討しなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/85
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086・井上泉
○井上(泉)委員 これはそういうふうに検討せねばならないというお答えですから、期待を持つわけですけれども、この火薬類にあらざる火薬、火薬類にあらざるものの薬品を調合して火薬をつくった。これをいまの現行取り締まり法で、それは取り締まりの対象にないからどうもならぬ、お手あげだ、こう言われると、ほんとうに条文も何もあったものでないですよ。そういう御答弁なんですが、これをやはり取り締まる措置を講じていただきたいと思います。
あわせて、最近火薬というものの消費量が非常に激増しておるし、一方ではどんどん戦争で人を殺しておるのですから、そういう火薬というものに対する国民の知識、よい意味にも悪い意味にも火薬というものに対する関心が高まってきておるのですが、それについての取り締まりの状態というものが非常に手薄なように私ども地方の自治体の中におって痛切に感じるわけです。十年前と現在との火薬の生産の状況、つまり消費の状況とそれに対する取締官の人数とかいうようなものはどの程度の増員になっておるか。これは警察庁のほうには火薬の取締官というものはないでしょうが、通産省のほうでそういう火薬の取り締まりをされておられる、火薬に関する保安をやっておられる方がどれくらいの状態になっておるのか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/86
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087・矢野俊比古
○矢野説明員 御質問いただきました火薬類の生産量、消費量でございますが、これはこの十年間でございますけれども、三十一年におきまして三万二千百二十五トンでございました。これが四十一年には五万六千六百十五トンということでございますので、三十一年に比べましていわゆる七六%アップ、大体年間平均一割ぐらいずつ増加されております。これに対します取り締まりの人員でございますが、こういう取り締まり人員について通産省が全国的に把握をいたしましたのが、三十五年から年報制度で把握をいたしておりまして、当時百三十四名ということでございます。その後逐次ふえまして、四十一年では二百二十二名という数字、いわゆる八十名ばかりの増加がされてございます。
ただ、この人員で現在の火薬の消費量を含めました全体のいわゆる取り締まり体制が府県で十分かということになるわけでございますが、この点は、遺憾ながら非常に不十分であると申し上げざるを得ないと思います。昨年私どもがいわゆる現在の火薬の取り締まりを、保安検査、立ち入り検査、一定限度で想定をいたしまして、それによりまして計算をはじきますと、少なくとも四十一年におきまして三百四人の定員が必要だということが出たわけであります。その結果を九月の二十六日に来年度の各都道府県の定員の増加要求として、各県別に全部詳細に出しまして、各県に要請をいたしました。その総数が三百四名という数字でございます。したがって、さらに八十二名の増員を各県でお願いしたい。その点は私どものほうも自治省の行政局のほうにも話をいたしましたし、かつ、それの同意を得て、そういう文書を出しております。
なお、最近におきましては自治省総務部長会議におきまして、私のほうからもさらにその要請をいたしました。現在どれだけふえているかという数字につきまして集計中でございますが、大体高圧ガスを含めますと、三十数名というものがいまのところの報告で承ってございます。おそらく全部の充足はできないと思いますけれども、そういう点でできるだけこの取り締まり体制というものの強化をはかりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/87
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088・今竹義一
○今竹政府委員 警察の面からの立ち入り検査でございますが、御指摘のような面もございまして、先般通産省とその点についていろいろ慎重に検討いたしまして、私のほうでも立ち入りをさらに強化するということで、全国一斉の立ち入り、県本部で指揮する一斉の立ち入り及び警察署長が指揮する管轄区域の立ち入り等を含めまして、少なくとも年三回以上定期立ち入りを行なう。そのほかに必要によって臨時立ち入りをする。さらに、立ち入りではございませんが、火薬の盗難事故等を防止するために、外勤警察官の警ら路線として火薬庫等を指定いたしまして、警らを強化する、こういう措置を講じております。
なお、今度の事案のような、それそのものは火薬でないけれども、混合することによって火薬になるものにつきましては、いまさっき申しましたような無許可製造として取り締まる方法をどうすればいいかということについて、さらにこれをくふういたしまして、励行してまいりたい、かように考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/88
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089・井上泉
○井上(泉)委員 火薬にあらざる火薬ですけれども、火薬類の行き先というものは非常に限定されて、もう末端まで消費者の名前というものはわかるはずだ。それで、私、今度の山陽電鉄の爆破がそういう火薬類にあらざる薬品を混合してつくってやってあるから、火薬の行き先をさがしてもだめだ、こういうことになるのですけれども、やはりそれも確定的なものですか。いま山陽電鉄の爆破に使用したのは、こういう薬品を調合したものであるということは確定しておるのですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/89
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090・田村宣明
○田村説明員 ただいままでの兵庫県本部の鑑定結果によりますと、塩素酸カリと硫黄を検出いたしておりますので、これが主体になっておるということは間違いないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/90
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091・井上泉
○井上(泉)委員 通産省のほうもそれはお認めになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/91
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092・矢野俊比古
○矢野説明員 この前御説明申し上げましたように、私どもも現地で調査されてまいりました限りにおいて、その二種であるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/92
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093・井上泉
○井上(泉)委員 いま火薬の犯罪でまだ解決してない犯罪というものはどのくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/93
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094・田村宣明
○田村説明員 ただいま詳細な統計を手元に持っておらないのでございますが、三十八年の初めから現在までに発生いたしましたおもなる事件でございますけれども、これは大体今回の事件を入れまして十七件ございます。それで、その中で一応解決をいたしておりますものが、十七件のうち五件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/94
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095・井上泉
○井上(泉)委員 これはいわゆる火薬の事案ですから、そうすると、火薬の行き先というものが究明できるようになっておれば、こういう犯罪はもう起こり得ない、こう私は思うわけですけれども、そこに現行の火薬類取締法の不備な面がたくさんあるわけで、その条文の一々でお考えを聞いておるとずいぶん時間がたちますので省略しますけれども、こういう火薬の事案が起こると、そこで初めて関心を呼ぶようないろいろな手が打たれるわけです。しかし、そのうたったことが現実に末端で行なわれておるかどうか、非常に疑問を持つものです。たとえばあなたのところから出された通達の中でも、火薬庫には火薬の番人を置くように指導しろとかいうことになっておるのですけれども、それは指導ではなしに、やはり法文を改正して、火薬庫には番人、監視人を置かなければならない、設置者は監視責任者を置かねばならないというような規定を設けるとか、あるいは末端の消費者には火薬の使用願いを県知事に出すと同時に、そのことは公安委員会に報告するようになっておるけれども、やはり所轄警察署に火薬の消費状況を絶えず確認をさすような、そういうふうな法的な改正を考える必要はないのかどうか、これは保安局長さんにお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/95
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096・今竹義一
○今竹政府委員 火薬の消費の状況につきまして、知事部局から許可がありました際に、公安委員会に通知がございまして、その場合はすべて所轄署に通知をするようにいたしております。
なお、火薬庫にすべて番人を置くというような法的義務を課する必要があるのじゃないかという御意見でございます。確かに火薬の盗難等の防止等については有効な方法でございます。ただ直ちにそういうことができるかどうか、いろいろな問題点もあろうかと思いますが、慎重に検討さしていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/96
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097・井上泉
○井上(泉)委員 ずいぶん時間がたって、自民党さんはだれもおらぬし、先輩の方に御迷惑ですからもうやめますけれども、どうもこういう事件の捜査というものは、何か十七件のうちで五件しか解決していないということですが、やはり私は火薬の取り締まりというものをもう少し厳正にやらないと、末端の土建、建設業者なんかは、ずいぶん粗雑な火薬の取り扱い方をしておるので、そういう点の注意を喚起しておくと同時に、これは警察予算のことでいろいろこれと関連して質問したいと思いましたが、その責任の方がいないのでやめるわけですけれども、警備関係の予算というものはもう非常な額で増大をしておるが、刑事警察とかあるいは保安警察に要する予算なんかは非常に少ないわけです。そういう点で、交通関係つまり国民生活に密接な関係を持つ方面の経費というものが、非常に警察予算の中で削減をされておるということに私ども非常に不満を持つわけで、きょうおいでいただいておる方たちはこれは熱心にできるだけのことをやろうと努力をされておると思いますけれども、一日も早く山陽電鉄の犯人の検挙ができるように、なお一そうの御奮闘を願って、そしてまたこの火薬類による犯罪を防止するために、火薬類取締法の全面的な検討を願って、そして取締官を増員をするとかあるいは法的な管理体制を強化するとかいうような措置をとっていただくことお願いをして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/97
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098・大石八治
○大石(八)委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105504720X02619670623/98
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