1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月十二日(水曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
文教委員会
委員長 床次 徳二君
理事 久保田藤麿君 理事 坂田 道太君
理事 中村庸一郎君 理事 西岡 武夫君
理事 八木 徹雄君 理事 小林 信一君
理事 長谷川正三君 理事 鈴木 一君
菊池 義郎君 久野 忠治君
河野 洋平君 竹下 登君
広川シズエ君 三ツ林弥太郎君
唐橋 東君 川村 継義君
小松 幹君 斉藤 正男君
三木 喜夫君 山崎 始男君
有島 重武君
科学技術振興対策特別委員会
委員長 矢野 絢也君
理事 齋藤 憲三君 理事 石野 久男君
理事 三木 喜夫君
世耕 政隆君 石川 次夫君
三宅 正一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 剱木 亨弘君
国 務 大 臣 二階堂 進君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁計画
局長 梅澤 邦臣君
文部大臣官房長 岩間英太郎君
文部省大学学術
局長 天城 勲君
委員外の出席者
文部省大学学術
局審議官 岡野 澄君
専 門 員 田中 彰君
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本日の会議に付した案件
日本学術振興会法案(内閣提出第九〇号)
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〔床次文教委員長、委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/0
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001・床次徳二
○床次委員長 これより文教委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
日本学術振興会法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/1
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002・床次徳二
○床次委員長 本案の趣旨につきましては、各位のお手元に配布いたしております資料によりまして御承知願うこととし、直ちに質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、これを許します。石川次夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/2
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003・石川次夫
○石川委員 きょうは、科学技術振興対策特別委員会のほうから連合審査をお願いしましたところが、関係各位の非常な御好意でこの連合審査会を設けていただいたことに対しまして、心からお礼申し上げます。
私は、科学技術振興対策の面から、この前の科学技術振興対策特別委員会において一応質問をしたわけでありますが、実を申しますと、きょうここへ来て初めてこの提案理由の説明を見た、こういう程度で、学術振興会法案それ自体に対して知識はたいへん薄い次第であります。したがいまして、どうか納得のいくように御説明をいただければ、たいへん幸いだと思っております。
最初にお伺いをしたいのでありますけれども、今度の法案の第一条に、「学術研究の助成、研究者に対する援助、学術に対する援助、学術に関する国際協力の実施の促進その他学術の振興に関する事業を行ない、」と、たいへん広範囲な目的が書かれてあるわけです。提案理由の説明書をいま拝見したわけでありますけれども、これを特に特殊法人にして前進をはからなければならぬ、こういうことの理由につきまして一応念のために御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/3
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004・剱木亨弘
○剱木国務大臣 学術振興会は、財団法人としましてこれまでずっと、いま目的に掲げておりますような学術の振興及びその普及なり援助をやってまいったのでありますが、昭和三十三年ごろから業務内容がだんだん拡張されるに従いまして、特殊法人にするという要望が非常に強く起こってまいりました。今日まで経過いたしまして、今回特殊法人に切りかえるということに政府といたしまして決定しまして、お願いをいたしておるわけでございます。
学術振興会を財団法人としてまいりましたのは、大体学術の振興なり普及につきましては、本来文部省といたしましてこの振興の業務をやってまいるわけでありますが、しかし、その種類、範囲によりましては、文部省が直接いたしませんで民間の流動的な事業としてやることにまかせるほうが適当であるという部面につきまして、実は財団法人学術振興会におまかせしてやってまいったのであります。ところが、だんだん学術振興会の業務内容が拡充されてまいりまして、政府の行ないまする事業を代行してまいるという面もありますし、またその事業の中におきまして、国際協力の面もだんだん強くなってまいりました。そういたしまして、国際協力をやっておりますと、外国のほうの関係から申しますと、私法人たる財団法人というよりも、公法人であります特殊法人ということが、だんだん相対的な関係におきまして必要を生じてまいりました。また、業務内容におきましても、国の相当な補助金が出支されまして、補助金の支出等につきましても、これが的確に使用されなければならない状況になりまして、これを特殊法人にするという必要に迫られてまいり、また、一般の学界その他からも非常な強い要望が出てまいりました。この特殊法人にいたしますことは、政府の方針としまして、できるだけ公社、公団その他特殊法人の設立は差し控えるという方針でございますが、特に行政の円滑化をはかる意味におきまして、今回、この学術振興会は特殊法人として認めるということに政府として決定をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/4
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005・石川次夫
○石川委員 いま文部大臣のほうからも御説明がありましたけれども、特殊法人、公団、公社、これは極力減らさなきゃいかぬ。これは御承知のように、自民党の総裁佐藤総理大臣が非常にきびしく言明をしたばかりであります。そうなりますと、いまの説明の範囲では、どうしても特殊法人にしなければいかぬ、こういうことの根拠は私は非常に薄いんじゃないか、こういう感じがするわけであります。特殊法人にする、あるいは公社、公団にするということは、全面的に私は悪いとは申しません。どうしてもそうしなきゃならぬ場合が出てくるわけであります。実は科学技術振興対策特別委員会で今回審議をいたしました動力炉・核燃料開発事業団というふうなものも、民間の資本を集め、民間の衆知を集めるという国内全国をあげての協力体制をつくるということのためには、どうしても事業団というものをつくらなきゃいかぬということで、われわれもこれに賛成をいたしておる。しかし、核燃料の原子力燃料公社というものを、これは将来アメリカに全部濃縮ウランというものを押えられるというきわめて重要な課題で、これはこれなりに独立をさしたい、別に動力炉の事業団をつくるべきであるという非常に強い要望があったわけでありますけれども、特殊法人は絶対つくることはできないのだということで、将来の日本のエネルギーの基本をなすところの動力炉の開発については、燃料公社と一緒くたにしてやっと一つ認められたという苦しい経緯をたどっておるわけであります。それに比べますと、財団法人でいままでもやってきたし、これからも円滑にやっていけるのではないかと思われるものは、特に特殊法人にしなきゃならぬという根拠は、いまの大臣の説明だけでは何としても納得できない。いま事業の内容につきましては御説明がなかったわけでありますけれども、流動研究員制度、奨励研究生制度、それから外国人の流動研究員や奨励研究員というようなもの——あるいは日米科学協力研究事業というもの——これは昭和三十八年のころから非常に大きなファクターを占めて、一億五千万ということで出発して、現在は大体二億というようなところに来ております。この一億五千万ないし二億円という予算を抜きますと、全部で一億一千万円ですか、昭和四十一年、四十二年あたりはやっと一億をこした程度の仕事で、全部合わせても三億くらいの予算にしかなっておらぬわけであります。この程度の仕事でなぜ特殊法人でなければならないのか、それとも将来大いにこれが飛躍的に拡大をするという見込みがあるのか、あるいは特定の新たなる目標というものが生まれてきたのかどうか、この点についてあと少し納得がいくような御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/5
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006・剱木亨弘
○剱木国務大臣 もちろんただいまの予算は、特殊法人に移行することを予定いたしまして一応予算を計上いたしておるのでございますが、しかし、特殊法人にいたします一つの大きなものは、私も申しおくれましたが、今後ずっと学術の国際協力をやってまいりますとか、あるいは研究者の養成あるいは助成をやりますといった面の事業を拡張してまいりますにつきましては、いわゆる従来の財団法人ではどうしてもその負担能力に限界がございまして、特に優秀な方が財団法人ではどうしても集まりにくい。そこで特殊法人にいたしまして、その従事されます方々の給与を国家公務員に準じまして、あるいは待遇なり処遇なりその身分保障なりをいたしまして、やはりそれだけの事業をやるだけのスタッフをどうしてもそろえなければなりません。そういう意味におきまして、今回の予算におきましても事業の拡大よりもまず一応受け入れ態勢と申しますか、特殊法人となりました場合の事業能力なり管理能力と申しますか、こういうものをまず充実してまいる。そして、今後におきまして事業の拡張に備えてまいりたい、こう考えておるのでございます。たとえば国際協力にいたしましても、いま御指摘のようにアメリカとの科学協力、学術協力をやっておりまして、単にアメリカだけでなしに、東南アジアその他の諸国とも、今後とも学術研究の協力を拡大してまいる使命があると思うのでありまして、そういった面におきましても、今後やはり学術振興会の事業の拡大というものに備えて、まず受け入れ態勢を完ぺきにすることをねらったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/6
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007・石川次夫
○石川委員 実は文部省関係の特殊法人というのを一応調べてみたわけです。その中には国立教育会館、日本学校安全会——これは何をやっておるかよくわかりませんが、日本学校給食会、国立競技場、国立劇場、私立学校振興会、最後に日本育英会というようなもの、かなりある。これはいま御説明のように、民間から優秀な人材を集めるということのために特殊法人にしたんだと思いますが、これなんかも、文部省自体がやれるものは相当ある。特殊法人をつくらなければならないという必要性があるのかどうか、こう疑われるものもかなりある。これは、私はしろうとだから知ならいままにそういうことを言っておるのかもしれませんけれども、なるほどこの中には優秀な人材が集まっております。天野貞祐さんとか、西田剛さん、清水康平さん、りっぱな人だから、それなりに二十数万円の給料をもらって殊特法人の運営をやっておるのです。いまあげた人のことを言うわけじゃありませんが、この人たちはずいぶんいろいろな仕事をやっております。あちらこちらの委員長、会長とか、審議会の幹部とかいうようなことをやっておりまして、この特殊法人に民間の相当優秀な人材を集めたといっても、この人たちがほんとうにこの仕事に取り組んで専念しておる形になっておるかというと、私は非常に疑問だと思う。今度の学術振興会の理事長あるいは会長にどういう人を予定されておるか知りませんけれども、またこれと同じように、看板だけの人を持ってき、その人たちが振興会というものに熱心に取り組むような、時間的な余裕もないままに運営をされることになる危険性がきわめて多いのではないか。これはいままでの特殊法人だってそういう憂いが非常に強いと思うのです。これと同じような形でまた特殊法人を一つつくることによって、いまの財団法人でやっておるものが飛躍的に前進をはかれるかどうか、私は非常に疑問だと思う。御承知のように、公社、公団というものをつくることによって、いろいろな弊害があります。わが党でもいろいろな見解を出しておりますけれども、大体高級官僚に天下りの場所を与えるのではないかというような国民の批判が非常に強いということは、私から申し上げるまでもないことです。それから国の責任を回避するために、国営事業というものを公団、公社化するというような場合もあるわけです。非常に公益性が強くて、従来国営事業で行なってきたもの、あるいは国営事業で行なうことのできるものは、公社、公団にすべきではなくて、いまの特殊法人の文部省関係の中でも、文部省自体でやればできるのじゃないかと思われるものがたくさんあるわけです。こういうことにしないで、官僚制度というものを民主化することを通じて、あるいは財政運用というものに弾力性をはからなければならない面も多々あるでしょう。そして国営事業の弊害をなくして、機構の簡素化をはかって、何とか現在の制度のもとでやれるものは極力そうすべきではないか、こう思うわけです。公団、公社にした場合に、いろいろと利点もあることは、私は否定いたしません。それは政治的に自主性を持たせるというような効果もあると思います。それから行政的にはやはり自主性を持たせる、あるいは官庁あたりからの支配を受けないような自主性が保たれ得るというような可能性もあるでしょう。人事管理の自主性も、またはかれるということもあるでしょう。それから財政も自主的にはかれるというようなことで、すべて官僚制度というものから切り離された立場で、こういう自主性がそれぞれ保たれるというようなプラスの面を私は否定するわけではないわけです。しかし、私はこの法案を見ますと、この自主性というものが確立されるといういい面がほとんど出ておらない。逆ではないか。全部自主性を失わせる方向に、特殊法人をつくることによって逆行している面だけしか目につかないわけです。このことはあとで申し上げたいと思うのでありますけれども、いま申し上げたようなことで、どうしても特殊法人にしなければならぬ必要性というものは一体どこにあるのか。どう考えても、いまの御説明では私は納得ができません。御承知のように、自民党でも、あるいは国民の世論として、特殊法人を減らせ、高級官僚の天下りで税金をむだ使いするような形はやめてもらいたい、これは世論だと思うのです。いまの特殊法人の文部省関係のものを見ても、確かにりっぱな人たち、優秀な人材を集めておりますけれども、それぞれこの特殊法人の仕事に取っ組んでおるとはどうしても考えられない。それだけに、また一つこういうものができ上がってくるということには、私はどうしても納得がいかない。あと一回、納得のいくように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/7
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008・剱木亨弘
○剱木国務大臣 文部省の所管の特殊法人の中で、会長に当てられております方で天野貞祐先生とか森戸辰男氏とか、いろいろ有名なりっぱな方がおられますが、これらの先生がなっております会長は大体非常勤でございまして、いろいろ兼職がございましたりお忙しい方もございますけれども、しかし、おのおのやはり会長としての職務は十分にお尽くしをいただいておると確信いたしておるのでございます。常勤の理事長及び理事等につきましては、これはもちろん兼職はいたしておらないのでございまして、専心その業務に従事をいたしております。
なお、この学術振興会の事業の内容について自主性の問題でございますが、これは学術振興会が学術研究に関しましていろいろの援助を与えましたり、あるいは研究員の選定をいたしましたり、こういったようなものをいたします場合においては、文部省の役人が直接にこういったものをやるよりも、実際に学術振興会におきまして学者の意見を尊重しまして、その組織の中において学者がその選定をやるという形をとるほうが、学問研究の自主性を保持する上においてきわめて適当ではないか。そういうことから、文部省でやることよりも文部省以外の、前には財団法人学術振興会においてこれを行なってまいりましたし、今度も学術振興会で行なってまいるわけでございますが、これらの実際の業務の遂行に関しましては、全くこの振興会の自主的に運営されることにおまかせいたすのでございまして、そういう意味において私は、文部省が直接この学術研究にタッチすると申しますか、携わってまいるよりもずっと学問研究の自主性を保ち得る、こういう情勢になると確信をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/8
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009・石川次夫
○石川委員 いまの文部大臣のお話はちょっとおかしいのじゃないですか。いま現在、財団法人学術振興会というのは、学術会議が推薦をした配分審査委員というのがおります。これは文部省の学術奨励審議会の中に研究費等配分分科会というのがございまして、これが学術会議から推薦された人で構成されたメンバーによって非常に民主的に運営されておるわけです。今度特殊法人ができたらこれをやめるかといったら、そうじゃないですね。どういうことになるのかまだはっきり内容はわかりませんけれども、文部省が事ごとに干渉できるという形に変えられます。民主的な方向にいっているわけじゃない。逆行しているのですよ。いまの御説明では、大いに民主的にやるために、いまの民主的な形よりもあと一歩民主的にするためにということですけれども、いまの法案を見ると、文部大臣が全部任命するとか、全部がんじがらめにしておいて文部大臣の権限の強化をはかって、それで一体民主的な配分方法がとれるというふうにはどうしたって考えられない。この特殊法人をつくる理由には私は絶対承服できないのです。その点、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/9
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010・剱木亨弘
○剱木国務大臣 学術奨励審議会の科学分科会についてお話がございましたが、これは文部省自体の中にある審議会でございます。文部省が大学及び大学付置研究所等に対しまして科学研究費を配分いたします場合においては、これは文部省が所管いたしますし、当然文部省自体がやらなければなりません。そこで、この配分につきましては、ずっと以前からの学術会議との関係におきまして、密接な関係で配分をやっておるわけでございますが、この分科会のメンバーも全部学術会議から出していただきまして、その配分の基本的方針も学術会議の意見を承りまして、そしてこの大学の教官の科学研究費及び研究費の配分をこの会議にかけていたしておるのでございます。この配分につきましても、文部省自体のと違いまして、学術振興会自体が配分の組織なり委員会をつくってまいるのでございまして、これはもちろんいま問題になっております学術会議との関係等もございますけれども、学術会議とも十分な連絡をとり、そして学術振興会自体がこれを選定してまいりますので、これは文部省の干渉の外にあるのでございますから、文部省としてはあくまでもこの振興会の自主性を尊重してまいるつもりでございますし、文部省の監督なり支配を強めるというような意思は毛頭ございませんので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/10
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011・石川次夫
○石川委員 どうも文部大臣の答弁で私は納得できないのですけれども、この予算は、先ほど申し上げたように三億円内外ですね。そのうち二億円までは日米科学合同会議、残りはわずか一億円、この配分をどうするかということがいま問題になっているわけですね。そうしますと、この一億円くらいの金を、わずかだとは申しませんけれども、財団法人学術振興会では不可能だ、十分ではないと言われる根拠はどこにあるのですか。しかも学術会議で推薦をする配分審査委員を今後とも尊重していくとおっしゃるのですけれども、学術会議との関係はあとでまた質問したいと思います。いままででも十分やっていけるのではないですか。なぜこれが特殊法人でなければならないのか、どうしてもわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/11
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012・剱木亨弘
○剱木国務大臣 たとえば、先般日米科学協力会議を開いたのでございますが、これにつきましては、やはり米国側におきましても公法人たる科学財団が分担をいたしておるのでございます。それに対応いたしまして、日本の場合は民間の財団法人ということではバランスがとれませんので、やはり日本におきましても、そういう公法人たる性格を持っていることが必要だということが主張されてまいったのでございます。この予算は、もちろん現在のところは少ないのでございますが、先ほども申し上げましたように、財団法人で民間団体でございますれば、やはりその経理その他に対します文部省の責任と申しますか、十分責任を持って事業を委託というわけにまいりません。そこで今後、血税でございます多額の費用をもちまして事業を遂行していただくためには、どうしてもその経理等に関しまして文部大臣が責任を持つという体制をとらなければならないというのが、やはり特殊法人にいたしました大きな理由の一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/12
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013・石川次夫
○石川委員 日米科学協力研究合同会議ですか、このことが一つのきっかけになったという御説明でございますけれども、NSFのことをお考えになっていられるわけですね。そういうこととの見合いでこれを考えた、そう確認してよろしゅうございますか。
それで、この点につきましてはあとでまた質問をしたいと思っておりますが、そのことはさておきまして、文部省の中に科学研究費というのがあります。これは三十八億円、四十億円足らずだと思います。このほうの配分は将来振興会でやるというのなら、これは特殊法人にしてそれを拡大強化というのか、特殊法人化しなければならぬというような理由もわからぬことはないと思うのです。この点はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/13
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014・剱木亨弘
○剱木国務大臣 先ほどちょっと申し上げたつもりでございますが、科学研究費、これは大学におきまする学術研究の経費でございますが、その算定にはいろいろ方法がございます。おもなものは、教官研究費と称しまして、教官に割り当てました額によってはじき出しました講座研究費というのが、大体きまっておるわけでございます。そのほかに、特殊のテーマに基づきます主として大学の教授の研究に対しまして科学研究費というのが、これは四十一億でございますが、これだけは四十二年度に計上されておるわけでございます。これは大学自体の研究費の配分の問題でございますので、文部省自体が、先ほど申し上げましたように、学術会議から推薦を受けましたメンバーによって審議会を設け、その配分をいたしておるのでございまして、これを学術振興会に移すという意思は毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/14
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015・石川次夫
○石川委員 そうすると、文部省の科学研究費四十億円内外の金は、将来は絶対にやらない、こういうことを確約できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/15
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016・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これはもう当然文部省の仕事でございますので、これをほかの振興会に移して配分させるということは絶対にないとお答えできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/16
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017・石川次夫
○石川委員 そういたしますと、また話が振り出しへ戻るようなかっこうになりますけれども、日米合同会議の予算が二億円で、あと残った一億円の金が幾らふえたといってたかが知れています。そう膨大にふやせるという見込みのものではないので、これは特殊法人をつくって相当組織をしっかりさせなければできないという、それほどの必要性は私はないと思うのです。これは将来どのくらいになる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/17
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018・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これは、現在においては二億円少しでございますが、特殊法人にいたしましたのは、業務の性質上そういうふうにいたしたのでございまして、文部省の所管の特殊法人としてたくさんございますが、それはその特殊法人の性格上特殊法人としていたしておるのでございまして、その金額が非常に大きくなるとか、ゆえにこれは特殊法人にしたとかいう、そういう基本的な意味はないのでございます。ただしかし、学術振興会におきましても、将来におきましては相当——ただいま申しましたように、アメリカとの科学協力だけでも二億にのぼっておりますけれども、今後やはりますます必要になってまいります東南アジア諸国との学術協力とか、こういったものを考えてまいりますと、これは将来におきまして予算的にも相当増額してまいる必要があると考えておるのでございます。将来幾らになるかという予測はいたしておりませんけれども、相当の予算の伸びは予想いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/18
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019・石川次夫
○石川委員 どう考えても、この一億円のものがよしんば——最近の伸びでいきますと、昭和三十四年に一挙に伸びても二千万円というのが、十年足らずのうちに一億一千万をこすという金額になっております。したがって相当伸びておりますから、これはかなり、一億円じゃなくて二億か三億か、そういうふうな金額にはなるでありましょう。日米協力研究補助というのも、これはだんだん少しずつふえるだろうということは言えます。しかしながら、それにいたしましても、特殊法人にしなければ財団法人ではできないということはないでしょう。いまは、御承知のように特殊法人をつくって非常に才能のある大ものが理事長にすわって、これはほとんど常勤じゃないですね。この中で常勤らしいのは——私立学校振興会の大泉孝さんという会長が月二万五千円、これは常勤じゃないからこうなんでしょうけれども、あとおしなべて二十四万、二十万、二十万、二十三万あるいは二十三万、これは膨大な——膨大なと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、たいへんな報酬をもらっておるわけです。これに見合うだけの仕事をしているかどうか非常に疑問で、それだけのそういう人を持ってきてやらせるほどの仕事か。この学術振興会の中に特殊法人化してやらせる必要性というものは、私はどうしても納得できない。財団法人でけっこうじゃないか。運営のよろしきを得れば幾らでも十分できるのではないか、こう思うのであります。
この点はどうも平行線のようでありますから、その次に質問を移しますけれども、特殊法人にする理由は、いまの説明を受けた範囲では、絶対にない。現在のままでも十分できるし、学術会議等は、現在のままのほうが非常に安心してまかせることができる、こういう考え方を持っておるわけです。こういう現在のほうはいたる世論の公団、公社というものは極力減らせということをあえて押し切ってまで特殊法人にして、学術振興会というものを格上げするというか、特殊法人化するという必要性は、いまの御答弁に関する限りはどうも私は考えにくい、こういうことを申し上げておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/19
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020・床次徳二
○床次委員長 関連して、三木喜夫君に発言を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/20
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021・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連して文部大臣にお聞きしたいのですが、二つ聞きたいと思います。
いま科学技術振興対策特別委員会では、動力炉の開発事業団の問題をやってまいりましたし、さらに東大の宇宙開発の研究所、いわゆる東大のロケットの問題をやってまいりまして、大臣の言われることで非常に矛盾することは、こういう東大のロケット打ち上げが非常に大きな事業化してきた、いわゆる研究、開発、そして事業体、こういうかっこうになってまいったときは、どうしてもここにボード的な性格、管理的な性格を持たして、そして特殊法人にしなければならないというような理由もわかる。しかし、これは私、科学技術対策特別委員会で大臣に聞きますと、大学の研究の自由だから、これは大学をそのまま置いておくのだ、こういうぐあいにおっしゃる。しからば特殊法人にするところの一つの基準というものは、アメリカとのていさいのために、つり合いのために三億円ほどのものを特殊法人にするという、こういう意味合いが全くいままでの話とは違うわけなんです。学術という目的研究あるいはまた基礎研究、学術研究というものに対してお金を配分するというような仕事、むしろ自主的ないままでのやり方のほうがいいのじゃないか。あなたのおっしゃる自由だとか自治だということで言うならば、そういう論理がそこにでき上がると思うのです。一方では四十億近いところの金を使って、そして事業体として東大の手の中からもうこぼれ出てしまっておる、そしてその中にいろいろなあやまちをおかしてきておる。にもかかわらず、いま申しましたようにこれは学問の自由だ。事業体になっておるわけなんですよ。これはどこが事業体になるわけなんですか。いままでの事業体でどこに不備な点があるのか。その点をひとつ、論理的に矛盾があると思いますので、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/21
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022・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私ども、大学の研究は、一番基礎的学術研究の面と、それから将来社会に出まして活躍するための研究者の養成ということが大学の使命だと思います。したがいまして、いまロケットの問題が問題になりましたが、原子力の問題につきましても同様でございますが、将来原子力の実際上の場に当たりますところの研究要員は、やはり大学において養成していかなければならぬと思います。したがいまして、原子力研究所というようなものができましたり、いろいろありましても、各大学において原子力工学関係の研究者の養成と申しますか、これはやはり大学においてやっていかなければなりません。ロケットにおきまして、ただいまやはりミュー型までやりますと、相当大きいロケットになります。ロケットの打ち上げを大学でずっと研究してまいりましたけれども、しかし、ロケットにおきまして大学で行ないます研究過程においては、やはり一定の限界があると思います。特にロケットの開発研究ということになりますれば、これはいま科学技術庁長官もお見えになっておりますが、私どもも、やはりこれは一元化して、そして一つにまとめて、もって研究なり施設を一元的に行なう必要があると思います。ただ、そういうふうになりましても、ロケットの理論でございますとか、打ち上げのいろいろな学問的なそれに関連します研究、また将来ロケット開発に従事いたしますところの研究者の養成というものなり、あるいは基礎的、学問的研究は、やはり大学でやる分野がどうしても残ると思うのでございます。この点は、そういう意味におきましていろいろと国会においても論議されましたし、将来ロケットの一元化という問題につきましては、私ども政府部内におきましても十分各関係閣僚に相談いたしまして、そして私どももロケットの一元化には全面的に賛意を表してまいっておるのでございますから、具体的な方途につきましては今後十分研究してまいりたいと思います。
ただ、学術振興会をなぜ特殊法人にしたか、こういう問題でございますが、現在におきまして科学技術の振興ということは非常に重大な国策で、世界各国がこれに努力いたしておるわけでございますが、欧米におきまして、学術振興という面、学術奨励という面から申しますと、ほとんど政府みずから行なうかわりに、政府の代行機関的公法人をつくりまして、そしてこれに奨励なり普及業務をやらしておるというのが現在世界的傾向でございます。私どもとしましては、やはりこういう意味におきまして、現段階におきましては学術振興会の予算はきわめて少ないのでございますが、なぜ少ないかと申しますと、それが財団法人でございますから、財団法人に対しましてはやはり法人自体の機関によって、政府がこれに対して監督するという面はきわめて薄弱でございますので、責任を持って相当な予算を法人につけて、法人の自主的な運営にまかせるというわけにはまいりません。したがいまして、ある程度経理状態につきましては政府として責任を持てる状態に置きまして、しかも学術振興なり奨励につきましては、相当自主的な、民間の意図も十分くみ入れて、そしてこの学術振興に乗り出していく。これがやはり私は世界の現状であり、また日本もそれにおくれてはならない、処置をとらなければならぬときが来ておると思うのでございまして、そういう意味において、いろいろ現在においてまだ難点もあるかと思いますけれども、しかし、私どもとしましてはやはり特殊法人を設立いたしまして、いろいろの機関その他につきましては今後私どもも努力をいたしまして、世界各国に劣らない日本の学術奨励体制、普及体制をつくってまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/22
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023・三木喜夫
○三木(喜)委員 文部大臣は大きな口をきき過ぎておられると思うのです。この前科学技術庁をつくったときに、世界の学術におくれないようにするために、各省の研究を調整するために科学技術庁というものをつくったはずです。そのときには、大学の研究だけは除くということで文部省の所管になっておるわけです。だから、大学の持ち分の中で学術振興会法案というものをつくられるなら、世界の進運におくれないように学術の振興をするという、いわゆる目的研究なるところまで足が伸びていくならば、私は当然、これは科学技術庁の仕事だと思う。それを、私が聞くところによると、科学技術庁はもう原子力局か省になったらいいのだ、あとの学術はおれらが握るのだというこういう意図が一面にささやかれておる。さらにまた、そこにおられる岡野審議官がここの事務局長か何かに出ていくために、そういう場所をつくっておるのだとまで言われておる。そういうようなことはないのですか。私がいま文部大臣に質問したことは、こういう点ですよ。こういうような特殊法人にして、そうして事業体として、あるいはボード的性格を持たせるような特殊法人ならば、そこには必ずビッグサイエンスに、ビッグビジネスになっておらねばならない。そういうときに必要だという一つの条件が出てくる。さらにまた、予算が非常に大きくなってそういう財団法人ではとってもやっていけない、こういう事態があるならば、これは特殊法人にしなければならない必然性がある。石川さんは後者を盛んに大臣に聞いておられたのですけれども、金はふえない、そうして特殊法人に当然しなければならない、ロケットの打ち上げ業務、大学の研究として残るところはわかります。大学ですから、東大ですから。しかし、その分は置いておくわけでありまして、事業体それ自体は、当然ボード的性格を持たせたり、あるいは管理運営をしっかりやらなければならない。能力のある人が必要であるから、そこで特殊法人にしなければならないと言われる。それは全部特殊法人を政府に握っておきたい。そうして世界の進運におくれないように、それは大学の範囲内でやっていただくならいいのです。科学技術庁の権限のところまで入っていこうというような意図が、私たちにありありと見える。ここにはしなくもあなたのいま申されました管理的な能力のある人を使って、まず受け入れ態勢をしっかりするとおっしゃっておるけれども、それは研究費によるところの官僚支配、これを強めるための意図がありありと出ておるじゃないですか。そう解釈せざるを得ないわけです。先の問題をひとつお答え願いたいと思います。いわゆる事業体としてやる場合、あるいは特殊法人となる場合は、ビッグビジネスになった場合、あるいは予算が非常に大きくなった場合、この二つの場合ですが、どちらでもない。そうして一方では大臣は、大学の自由は認める、学問の自由は認めなければならない、こういう主張をされておる。これから統制をやるのじゃないですか、文部省のリモートコントロールのもとにおいて。こういうように私は思うので、石川さんの質問に関連して、この点はひとつ明確に聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/23
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024・剱木亨弘
○剱木国務大臣 このビッグサイエンスとか、その研究が非常に大きくなったとかいうことは、この法人にはあり得ません。それだけはひとつ……。これはあくまで奨励機関でございますので、この法人自体が研究をやっていくというのではございません。ですから、あとの官僚統制をふやす、増加するということについては、この法人が行ないますところの業務の内容におきまして、ある学術研究、総合研究でございますとかあるいは研究者の選定でございますとか、こういうことについて、文部省が一つの意図を持ちましてそれに監督強制を行なうということであれば、それは文部省が把握してという意味が起こるかもしれませんけれども、こういうことは毛頭考えておらぬのでございます。いや、むしろそれを民間の大学者なりそういった専門的な人におまかせして、文部省が関与しないほうが、学術行政上、振興上は正しい、こう考えましたので特殊法人として、文部省はみずからやらないで特殊法人の手をかりて、しかも特殊法人の自主性を重んじてやっていただく、これが特殊法人とする理由でございます。少しも関与するという意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/24
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025・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連ですから、もう一言だけ言っておきたいと思うのですが、審議会とか民間の力をかりて研究者を選定する、こういうことをやられるのなら、特殊法人にしなくてもいままでのとおりでもいけますし、さらに、あなたはそういうようなことをする諮問機関を持っておられるのです。三十四億から四十億近いところの科学研究費の配分については、諮問機関を持っておられるのです。それでも今度、私あとで聞きたいと思うのですが、湯川研究班の問題で問題を起こしているわけです。このうしろには、そこにおられる岡野審議官のリモートコントロールがきいて、そして、湯川さんの班のものを切れというような原則を出されておるように聞いておる。これでさえ文部省がリモートコントロールをきかしてやっておるのですから、あなたは、そういうような官僚統制する意図はない、こうおっしゃっておりますけれども、明らかに、法律は制定されたら大手を振って歩き出す。それは何かといいますと、官僚統制です。いままでその例があるのです。国立研究所なんかは、小中のごときに研究費を配分するのに文部省のコントロールがきいて、民間では自主的な研究よりも、官僚研究、官僚のつくったところの官製の研究というものに研究費を配分し、あまつさえこれと組合員を分裂さすという方向に結合して、第二組合なり、あるいはまた教員組合を分裂さす方向に持っていく役割りをいま持っておる。こういう例がいままでにあるのです。今度大学の中にもそうした権力支配のいわゆるスタンダ−ドをつくってやっていこうとするのか、一つにはそういう心配もあり、もう一つには、あなたは世界的の学術の研究とかなんとかおっしゃっておったのですが、科学技術庁のせっかく負い得たところの研究調整というような仕事を、将来何十億、何百億というような規模になってきたときにはもう併合してしまう、そういう意図を持っておられるのか、非常に心配な点があるのですよ。スタートの点に心配な点がありますので、私は関連をしてお聞きしたわけであります。私のときにもつと詳しくお聞きしたいと思いますが、関連ですから、これでおきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/25
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026・剱木亨弘
○剱木国務大臣 湯川さんの研究費の問題については、後ほどお尋ねがあるかと存じますからそのときに譲りまして、一言に申しますと、私どもがもし官僚統制しておるとしたならば、逆に湯川さんのああいう研究費を削るなんということは、まず絶対ないと言っていいと思います。それは学者のきめましたその方針をそのまま——われわれ不干渉でおきめになりまして、あとになってそういうことを聞きまして実は驚いたわけなんですけれども、それはむしろ逆に、この審議会におまかせをいたしまして、その方針に基づいてやるのに全く干渉してないという例証にしていただきたいくらいに私は思っているわけでございます。
それから、科学技術庁との関係で、私どもは、何か科学技術庁を侵害するとか、そういったようなことは毛頭考えておりません。やはり科学技術の振興に関しまして科学技術庁の持つ使命というのは重大でございますし、私どもは主として大学を中心として考えてまいりまして、これらの間において常に矛盾のないように協力をいたしましてまいるように、閣内におきましても、また実際上の行政的にも、できる限りの協力体制でやっておるつもりでございます。その点について、もし私どものやっておりますことについて間違いがございますれば、いつでもこれは反省し、訂正してまいりたいという覚悟でおりまして、科学技術庁の権限をどうするなんということは夢にも考えていないことでございますから、その点は御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/26
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027・石川次夫
○石川委員 私は文部大臣のいまの答弁を聞いて、口は重宝だということをつくづく感じました。そのことについてはあとで、科学技術政策の基本対策といいますか、それはどうあるべきかということについては質問をしたいと思っております。
二番目に、いまの三木さんの話に関連をして一つだけ、これはちょっと蛇足になるかもしれませんが、伺っておきたいのですけれども、素粒子研究所が、朝永さんの奔走によりまして、たいへん大幅の予算がつくということが予定されておる。これはたいへんけっこうなことだと思うのです。これはほかの国を見ますと、大体原子力委員会の統括下に置かれております。これは文部省だけでおやりになるということになっておるわけであります。これ自体も形としては少しおかしいのではないか。別に私は、科学技術庁の肩を持とうという気持ちは毛頭ありませんけれども、ビッグサイエンスというのはイコール・ビッグビジネスであります。したがって、その中心として朝永さんが会長になられるとかなんとかいうことが予定されておるようであります。たとえば素粒子研究所一つをとりましても、これは朝永さんが全部取り仕切ってやれるという性格のものではないのです。これはあくまでも研究の主体としては朝永さんのような世界的な学者が入らなければならぬと思いますけれども、これは経営であります。いろいろ人事管理もあります。建設の仕事もあります。これをノーベル賞の学者に引き当ててそれにたえるかどうかということになると、そういうことができないことがむしろ学者としての誇りであり、これの全責任を持たせることによって朝永さんにきずがつくのじゃないか、宇宙と同じ二の舞いを踏むのじゃないか、こういうことを私、非常に憂えております。科学技術庁長官は、きょうは自分の委員会じゃないような顔をしていますけれども、この素粒子研究所みたいなものをどうして科学技術庁でおやりにならなかったのですか。それをちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/27
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028・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実は、素粒子研究の巨大加速器の予算要求が私のほうの文部省所管として出てまいったのでございまして、その予算的折衝は私のほうでやってまいりました。その研究、いままではこの準備体制を実は東大の中に置きました。素粒子研究の準備研究を受け持っておった関係から、その素粒子をやるかやらぬかというところになりまして文部省の予算に計上したわけでございます。しかし、この巨大加速器を研究体制としてどう整えてまいりますかということはこれからの問題でございまして、もちろんこれは東大自身におきましても、もはや準備体制は引き受けてまいりましたけれども、素粒子研究の機関を東大が持つということについては、東大自体は絶対に反対をいたしております。でございますから、この体制を原子力の一環としていたしますか、あるいは別個の特殊な研究機関をつくりますか、それらの問題はやはり今後学術会議等におきまして十分研究をいたし、また準備会においても検討いたしまして、その研究体制につきましては私どもは全く白紙で臨んでおるのでございます。ただ、朝永さんがこれに関係をいたしましたのは、学術会議におきましてこの研究体制をやれという決議に基づき、朝永先生は学術会議の会長としまして、その代表として学術会議のこの決議が実現することに努力されたのでございまして、今後この素粒子研究がいかなる形でどういうメンバーでやっていかれるかということにつきましては、文部省としては、全くある一定の予定と申しますか、持っておらないのでございまして、これは学術会議なり、今後そういう研究に関係をいたします関係者の御研究なり検討に待ちまして、その結論の出た方向に向かいましてもし私どもが今後努力する面、分担する面があれば、今後やってまいるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/28
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029・石川次夫
○石川委員 素粒子の非常に膨大な、将来何百億というふうにかかるような計画が、いまだ将来の経営のめどが立たないなんというのは、ぼくは不定見きわまるものだと思うのです。ほんとうにこんなことで予算を獲得して、あとは野となれ山となれではないでしょうけれども、どうやるかまだきまらぬ、実際ぼくは無責任な予算の獲得だと思うのです。これは何回も繰り返しますけれども、ビッグサイエンスはビッグビジネスなんです。文部省だけでとても手に負えるものじゃないのです。そういうことで、ぼくは科学技術庁長官もしっかりしてもらいたいと思う。どこの国に行っても科学技術庁の所管ですよ。文部省でやる性質のものじゃないのです。しかし、私、別に科学技術庁がそれだけの力がある、それだけの能力があるというふうに高く評価しておるわけじゃないのです。評価しておるわけじゃありませんけれども、あるべき形としてどうかということは、私、あとから世界各国の科学技術行政のあり方と日本との対比の上において質問したいと思っておるわけですけれども、少なくとも素粒子研究所のようなもの、これは一つの例であります。これは大学のワク内ではとてもできないわけです。よく引き合いに出されるのですけれども、大学の中でも、りっぱな大きな仕事をやっておるところもある。カリフォルニア大学の中にロスアラモスという原爆の研究をやっておるところがある。これは相当の成果をあげております。同じカリフォルニア大学の中でジェット推進というか、有名な観測の衛星を飛ばして成功しております。だから大学でもできるのだ、こういうふうな錯覚をお持ちになりがちなんでありますけれども、これはとんでもない間違いだ。ということは、大学の研究は、片方は宇宙航空局のNASAの統括下に置かれております。原爆の実験推進というものは、これは原子力委員会の完全な統制下に置かれてあります。大学だけでやっておるわけじゃないのです。これからのビッグサイエンスというものは、大学だけでできる時代ではないのです。その点をよく考えていただいて、おれのところで何でもかんでもやるのだというふうななわ張り根性は捨てていただいて、科学技術行政がどうあるべきかというような根本に立ち直って、ひとつ手直しをしてもらわなければならぬ。そのために、私はこういうものができることは非常に障害になると思っております。いまの段階でできることは障害になる。私は、科学技術庁のほうで全面的にそれを統括しろという意見はまだ出てきません、これはどういうふうにするかということはこれからの研究課題で、早急に結論を出さなければならぬ問題で、その上に立って学術振興会というふうな法律案も出すべきである、こう思っておるわけなんです。その話はあとからまた申し上げます。
第二番目に、民主的にするための特殊法人である、こういうふうにおっしゃいますけれども、私は実は法律屋じゃありませんから、法律を読むのはあまり好きじゃありません。したがって、大ざっぱな議論ばかりやっておる男ですが、頭は非常に雑でありますけれども、これは長い条文じゃないですから、一通り読んであっけにとられたというのが真相であります。一つ一つ申し上げたいのでありますが、時間がありませんから要点だけ申し上げますと、まず第十条、「役員は、文部大臣が任命する。」となっておる。この役員というのは、理事長、会長というのが役員である。評議員もおそらく文部大臣の任命でしょう。これは一から十まで文部大臣ですね。えらい力を持つものですね。こういうふうな強大な力を文部大臣が持つわけです。いままでの学術振興会とはだいぶ趣が違うのですよ。どれもこれも全部任命でやる。これが一体自主性を尊重するということになるのですか、これをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/29
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030・剱木亨弘
○剱木国務大臣 特殊法人の大体ございますのについては、ほとんどこういう形式をとっておるわけでございますが、しかし、文部大臣が任命すると申しましても、たとえばこの振興会の会長なり理事長を選ぶ、これはうわさで何か私どもが予定しておるようなことを申しますけれども、私どもとしては完全に予定なんか持っておりません。それでやはり振興会の会長等につきましては、十分にこの振興会の会長たるにふさわしい、りっぱな方を各方面とも相談してきめたいと思っておりますし、また評議員を任命すると申しましても、これは法規上、たとえばいま——ほかにそれておしかりを受けるかもしれませんけれども、現在私ども、形式的には大学の学長も教授も、文部大臣の任命になっております。しかし、事実におきましては、国立大学の学長は全部民主的な選挙によりまして決定し、それをただ形式的に文部大臣がその任命の手続をいたす、こういう形になっておりまして、法律上の表面におきましてそういう任命ということになっておりますけれども、評議員の決定等につきましては、もちろんこの振興会の内部の関係の意思いかんにかかわらず、文部大臣がそういう意思も無視して任命する、そういうことは絶対にないものでございます。法規上の形式等は、こういうふうに特殊法人の形式をとってまいりましたけれども、実際上の運営につきましてはそういうことはございませんので、この点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/30
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031・石川次夫
○石川委員 御承知のように、法律はどういう意図でつくっても、法律は布告されてしまえばひとり歩きするのですね。そうすれば、文部大臣はだれの意向を聞くかといっても、だれの意向を聞くということはここに書いてないじゃないですか。いままでは、財団法人のうちは学術会議の意見を聞いたり何かして、いろいろな人が民主的にといいますか、そういうことで選ばれておったように聞いておりますけれども、今度こういう法律が出れば、文部大臣の気に入らぬ者は会長にできないですよ、文部大臣の任命ですよ。これは自主性を尊重するといいながら、どう考えても、この第十条によれば、自主性を尊重するがために、学問の自由を守るために特殊法人にしたという論拠にはほど遠いと思うのです。逆行ですよ。これは弁解の余地はないと思います。だから、この点については答弁は要りません。
それから第十八条、「振興会に、評議員会を置く。」「評議員会は、十五人以内の評議員で組織する。」「評議員会は、会長の諮問に応じ、振興会の業務の運営に関する重要事項を審議する。」こうなっております。しかし、この評議員会というものは諮問機関ですね。今度は諮問機関ですよ、会長が諮問しなければ眠っていていいのです。会長あるいは文部大臣の意向でどうにでもなってしまうという危険性が出てきている、審議機関ではない、諮問機関です。従来はどうなっているかというと、従来は審議機関です。評議員の方々が集まって十分に審議をする、そして審議の結果に基づいて運営がされるということになっておったわけですね。ところが、今度は諮問機関ですよ。諮問機関ですから、評議員会なんてやらなくともいいのです。会長が諮問しなければ、会長の独断でできるのですよ。これが学問の自由を守ることになるのですか、これが官僚統制をはずすという方向をたどっているのですか、どう考えてもそれは出てこないでしょう。どうなんです。この点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/31
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032・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これは、特殊法人の性質上評議員会というのを置いておるわけですが、大体諮問機関という存在であります。しかし、この学術振興会の一つの組織の中にありまして、会長が重要な事項を諮問しないとか、そういうことはあり得ないことでございまして、この業務の遂行については十分評議員会の意見を聞いて行なっていくというのが——これは常識的に考えまして、この評議員会を全く無視して、そして会長が独断専行をやるというようなことは考えられないことでございます。もちろん決議機関とかそういう機関ではございませんけれども、諮問機関として、やはり十分評議員会は、この振興会の業務に関しまして重要な機関としてその運営に参画するものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/32
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033・石川次夫
○石川委員 いまのも説明になりませんですね、特殊法人になったていさいとしては、これは、諮問機関であることは通常であると法制局のほうはおっしゃったかもしれません。しかし、学問の自由を尊重するというなら、そのために特殊法人にしたというなら、いままで審議機関だったら審議機関にするということをなぜ押し切らなかったのですか。諮問機関で評議員だ、いつ諮問がくるかわからぬということでは、これは振興会に対する関心も相当薄くなるということにならざるを得ないと思うのです。審議機関ならこれをどうしてもやらざるを得ないという責任があるのです。諮問機関では、諮問がくるまで待っていればいいのですよ。これではこの評議員の心組みというものがだいぶ変わってくるわけですね。
そういうことで、文部大臣の権限というものは相当強まっていく。というのは、その次に第十九条「評議員は、振興会の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命する。」となっていますよ。この評議員も文部大臣が任命するのですよ。評議員を文部大臣が任命しておいて、しかもこれは会長の諮問機関だ、これで民主的な運営になるのですか。いまの財団法人よりもこういう特殊法人にしたほうが、学問の自由、民主的のルールが守れる、こういうことになりますか、この法律で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/33
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034・剱木亨弘
○剱木国務大臣 法規上はこうなっておりますけれども、実際の運用にあたりましては、そんな御心配あるようなことはないと思います。それは、たとえば評議員を文部大臣が任命すると申しましても、何もこの学術振興会の意見も何も聞かないで、そして全然関係のない人を任命するとかそういう問題ではございません。どんな大臣が出ましても、私どもとしては、そういうことは心配ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/34
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035・石川次夫
○石川委員 どうもいまのように、ことばの上のことだったらだれでも何とも言えるのですよ。だから、私は口は重宝だと申すのだ。法文の上ではっきりしてもらわなければ、とてもそんなことはどうにもならぬでしょう。絶対信用できませんね。
また戻りますけれども、第八条、「振興会に、役員として、会長一人、」——会長はだれを予定していますか、まだきまっておりませんか。巷間うわさされるところによりますと、たいへんりっぱな方がなるんじゃないかといわれておる。その方は、名前はあえて申しませんが、あっちもこっちもずいぶん委員会をたくさんやっていますし、そういう人が会長になったって、先ほど文部省の関係で申し上げましたけれども、崇高な目的を持った特殊法人に格上げをした、法人化された学術振興会の仕事に、まともに取っ組めるという人かどうかということに、私は非常な疑問を感じております。この人自身は、私はたいへんりっぱな方じゃないかと思いますけれども、そういう人が、ダボハゼみたいな会長がだいぶいますよ、いままでの会長の中には。それと同じような会長がまた来るんじゃないかと思っている。学術振興会の会長なんかつくってみたところで、ダボハゼ会長では絶対にだめだ、それははっきり申し上げておきます。
それで、「理事三人以内及び監事二人以内を置く。」こういうことになっておりますが、理事は三名ですね。いままでは二十名ですよ。いままでの財団法人だって二十名です。二十名の理事が非常に熱心に打ち合わせをされたと思うのですけれども、今度はたった三名で、それでしかも民主的な運営の方向に向くという形をとることになるかどうか、私はたいへん疑問だと思うのですね。どうしてこれは三名にしぼったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/35
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036・天城勲
○天城政府委員 特殊法人の仕事の本来の性格が、会議体というよりも実施機関でございますので、一定の数に制限したのでございます。現在の学術振興会はたてまえが合議制の機関という形になっておりますので、理事会を中心に運営するという制度でございますが、その点で性格は従来の財団法人の場合と若干違いますので、理事組織も異なってきたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/36
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037・石川次夫
○石川委員 どうも納得のいかない説明ばかりですけれども、ぼくは、理事二十名がいいかどうかということは別問題ですけれども、かなり多くの人が多くの意見を出し合って、民主的なルールにのっとって学術振興会をいままで運営しておったと思うのです。しかし、三名ということになると、多くの意見がこの振興会に反映をしない、そういう危険が多いと思うのです。理事を三名にしぼって、理事を中心として理事会が中心で運営するんだということになるから、なおさら評議員会がおかしくなっちゃうんです。評議員を任命して諮問機関にするというのも、理事会を中心にして運営をするということのあらわれだと思うのですね。その理事会がわずか三名ということですと、ますます少数支配ですよ。文部省がコントロールするのには、非常に都合のいい形がここに出てきた。いままで評議員会は諮問機関でなくて審議機関で、理事は二十名もおったということで、なかなか船頭多くして舟山に登ったというような懸念があったかもしれませんけれども、その反省からこうなったかどうか知りませんが、少なくとも先ほど文部大臣が説明されたように、民主的な運営をするんだ、学問の自由を守るんだ、そのために特殊法人にするんだということからは、これは明らかに逆行じゃないですか、この点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/37
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038・天城勲
○天城政府委員 まずこの学術振興会は研究機関でございませんで、研究助成機関でございます。ただ、最近の趨勢といたしまして、学術振興会を通じてやる仕事が非常に多くなってまいりましたし、また学術会議自身からも、毎年のように学術会議からの勧告ないしは答申事項で学術振興会にやらせるのが適当な仕事がふえてまいりまして、ここにございます流動研究制度その他も、ほとんど学術会議からの答申の仕事でございます。そういう意味で、学術振興会が非常に重視されてまいりましたので、学術会議におかれましても、またわれわれの目から見ましても、学術振興会を強化していくためには、充実さしていくためにはいまの財団法人、要するに、私法人の形ではなかなか十分な仕事ができないという観点から、国ももっと十分に金を出す。現在の学術振興会の経費の大半が国からの支出でございます。当然国からの支出がこれからもふえていくわけでございまして、その面では、学術振興会も単なる私法人から、かなり公的な性格を持ってこなければならぬ方向であります。そういう意味で特殊法人化いたしまして、学術振興会を通じて行なう仕事の体制を整えたいという形で特殊法人化をとったわけでございます。具体的に特殊法人がやります仕事は、現在の財団の場合もそうでございますが、奨励研究員の選定ですとかあるいは国際共同事業の実施ですとかいたしますけれども、それぞれにつきましては、またその中で十分な専門家をあげて、公募の方式をとって現在やっておるのでございまして、そういう点につきましては、私たち特殊法人の執行体制が整うということと、研究に関連いたします面での従来よりも自由な方法は十分できると思っているわけでございます。仕事が多くなってまいりますし、責任体制をはっきるするというもう一つの目的を持っておりますので、特殊法人化をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/38
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039・石川次夫
○石川委員 いまの説明もちょっと納得できませんね。特殊法人で将来どのくらいの予算規模になるかわかりませんけれども、いまの財団法人でできないという理由が、ぼくは全然ないと思うのです。それは文部省がほんとうに育成してやろうと思えば、その予算をふやし、またその運営についていろいろ指導するということは、いまのままだってできないことはないですよ。特殊法人にすることによって、私が先ほど申し上げたように、理事を減らす、評議員会は会長の諮問機関になる、この役員というものは全部文部大臣の任命になる、こういうことをしてまで特殊法人にしなければならぬという根拠にはほど遠いと私は思うのです。
二十一条、「振興会は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、文部大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」こうなっております。一々仕事の内容も民主的に、自主的に運営をするというんじゃなくて、文部大臣が認可をしなければどんどんつくりかえていくことができる、こういう性格を持っているわけですね。非常に権限の強化に通じてくると思うのです。責任体制をはっきりするといいながら、実は自主性というものを著しくそこなっていくというのが、この法案の内容になっているんじゃないかと思うのです。この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/39
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040・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これは、御承知のように特殊法人としましたのは、政府の行ないます仕事をほとんどかわってやるという性格でございまして、その支出の大部分は国費をもって——これを国費の支出によって行なうのでございますから、もちろんこの支出は、私ども学術振興会の今後の予算をいろいろ決定いたします場合においては、各項目ごとにいろいろ大蔵省とも折衝してまいるわけでございます。したがいまして、その業務の内容につきましては、一応その計画なりというものは、これだけのつかみ金をやるから何でもやれ、こういう意味の性質のものでなしに、やはり国の予算の形で認められる事業を遂行するのでございますから、こういったような認可を必要とするという形式をとっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/40
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041・石川次夫
○石川委員 特殊法人というのは大体そういう形になりますね。だからこそ、私は、学問の自由をほんとうに尊重するということをたてまえとするなら、こういう逆行させるようなことはおかしいのじゃないかということを言いたいのです。
それから、それを裏打ちするように第三十二条は、「振興会は、文部大臣が監督する。」厳然と「監督する」という字がはっきりついているわけです。学問の自由ということを言いながら、文部大臣が監督をしなければ学問の自由ができないのか、これはどうも逆行ですね。この点は納得がいきません。
それから三十三条は、「文部大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、振興会に対してその業務に関し報告をさせ、又はその職員に振興会の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。」こういうふうなことで自由に立ち入り検査を拒否してはならぬ、こういうことになっている。その前の第三十二条は、いま言ったように「振興会は、文部大臣が監督する。」ということになっている。これではまるっきりがんじがらめではないですか、この特殊法人は。これで学問の自由というのは一体どこにあるのですか。先ほど来申し上げているように、評議員は任命で、諮問機関で審議会ではなくしている。理事は二十名のところを三名に減らしてある。そしてこれも全部文部大臣の任命で、振興会は文部大臣が監督をして、立ち入り検査まで拒否してはならぬというようなことで、学問の自由だ、学術の振興だということは一体考えられるでしょうか。どう考えてもこれは——私は法律家じゃありませんからざっくばらんに申し上げますけれども、これを見たときにあ然としたのです。これが学術振興、学問の自主性というものを尊重するためにつくられた法律かどうかということは、どう考えても合点がいきません。この点について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/41
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042・天城勲
○天城政府委員 現在学術振興会は、御存じのとおり財団法人でございます。財団法人は主務官庁の監督に属するという基本的な規定がございまして、一つの機関であればどこかの所管に属するわけで、振興会も文部大臣が監督するという規定は、現在の財団法人の場合と基本的な考え方は変わっておりません。ただ、一般法で書いてあるか特定法で書いてあるかの違いだと思っております。
それから報告、検査につきましても、現在の財団法人におきましても資料提出を求めることができるし、それから業務の状況について実施検査をすることができるという規定は財団法人でもあるわけでございます。特殊法人でございますから、それらの点は一般法でなくて、それぞれ個々に規定したというのが法律上の問題でございます。それから立ち入り検査についていろいろこまかく書いてございますが、これは刑事上の問題で入るのでないということを明らかにするために、特殊法人について、最近こういう立法例がみなあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/42
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043・石川次夫
○石川委員 私は大臣から説明を聞きたいと思っているのです。いまのような説明ですが、私は、学問の自由と反する方向へいくのじゃないかということを言っておるのですよ。それと同時に、財団法人の場合でも同じことだとおっしゃいましたが、それは法律化されているわけじゃないのです。たとえばこの三十七条を見てください。三十七条には何と書いてありますか。この「規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした振興会の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。」これはずいぶんおっかないですね。学問の自由なんていうのは、とてもかけらも考えられない、こういうがんじがらめにしたかっこうで、学問の自主性を尊重するなんということは言えませんよ。その点どうお考えになりますか、大臣の答弁を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/43
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044・剱木亨弘
○剱木国務大臣 一つ御了承願いたいと思いますのは、この学術振興会は、それ自体が研究をやってまいりますとか、そういう法人でないことは御承知願いたい。ですから、学術振興会は、研究するのに対して、その研究を文部大臣が干渉しまして研究の方向を変えさせるとか、そういうことはあり得ない問題でございます。学術振興会として、この特殊法人でその研究の助成金を行ないましたり研究者を選定する場合において、私はその学者なり、そういった学術振興会の選びます自主的な判断によって業務を遂行する、その業務内容については、何ら文部省が干渉いたすとは考えておりません。しかし、やはりいかなる補助金でございましても、国費をもってやる場合におきましては当然会計検査院上の検査の対象にもなりますし、もしそれに不当行為があればこれは文部大臣の責任になってまいりますから、経理その他の問題につきましては十分非違行為がないように、文部大臣が責任を持ってその遂行について監督をする必要があると考えておるのでございます。文部大臣が監督をいたしますのは、国費をもってこれをやっております関係において、これは国全体に対しての責任上、非違行為がないように常に指導をし、それだけの監督をしてまいる必要がある、こういう意味でございまして、学術振興会が行ないます学問的な判断につきましては、何らの干渉をいたすということは考えていないし、また今後も絶対にそういうことが行なわれるとは考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/44
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045・石川次夫
○石川委員 いまの説明ですと、大体学問の自由は侵さないとは言いながら、相当文部省の権限が強化されるということは、これを暗黙のうちに認めたというふうに理解をいたします。
たとえば二十一条の業務方法書は文部大臣の認可を受ける、さらに三十六条、この法文はなかなかむずかしく、どういうふうに読みかえるかということを調べてみたわけですが、「文部大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。」その内容は予算、資金計画、決算、借り入れ金、余裕金の運用、財産処分、給与、退職手当、こういうものについては大蔵大臣とも協議をするということになっている。これは特殊法人になった以上はやむを得ないのだということをおっしゃるかもしれませんけれども、こういうふうなほんとうに詳細な面にわたってまで、大蔵大臣の監督も受けるということになっている。それから文部大臣のほうは、先ほど来何回も申し上げておるように、あらゆる面で振興会に対しては権限を非常に強く用いることができる、そういうつもりはありませんと言っても、この法律がひとり歩きする以上はどうにでもなるのですよ。そういう点で、私はどう考えても、権限の強化をはかるという性格だけしかこの法律からは出てこない。学問の自由を守るということは、この法律からはどこからも出てまいりません。学術振興会の権限を縮小し、文部大臣がどうにでもコントロールできるという、そういう方向にいっていることはもう明らかだと思うのです。そういうことまでして特殊法人にする必要性があるかということになると、どう考えても納得がいかない。
それとあと一つは、文部大臣のほうは、科学技術振興の問題に関しては「学術の振興」というふうに書いてありますけれども、これにはもちろん人文科学も入っております。入っておりますけれども、大学の研究に関しては、科学技術の関係でも科学技術庁の所管ではないというような了解事項になっているわけでございますが、この中には大学という文字は一つも出てきません、全然出てきません。大学という字がどこかにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/45
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046・天城勲
○天城政府委員 これは大学を直接の対象に仕事をする機関ではございませんで、この条文にもございますように、研究者の共同研究ですとか、奨励研究生の奨励金の交付だとか、国際共同事業の推進だとか、関係の学者が対象でございまして、特定の大学という機関をどうするという考え方ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/46
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047・石川次夫
○石川委員 大学という機関ではない、こうおっしゃいます。それで科学技術というものも含めての振興をはかるということになりますと、これはちょっと新しい問題が出てくるわけです。民間の研究者にも金を出すということになるわけですね。そういうことになりますと、科学技術の行政というもののあり方が一体どうなるのかという根本問題に触れた上で、この学術振興会法案というものは検討されなければいけないと思うのです。私は一がいに一から十まで全部悪いと言うつもりはないので、振興させるためのいい方法があれば大いにやったらよろしいと思いますけれども、この科学技術の振興方策というものを国全体としてどうするか、こういう上に立って私はやってもらいたいと思う。
それで、先ほど来の話にありましたけれども、科学技術の振興ということの中心になっている学術振興会の仕事は、日米科学合同会議ですか、こういうものが中心になっている。これはアメリカにおいては米国の科学財団、NSF、ナショナル・サイエンス・ファウンデーション、こういうことで向こうはやっているし、それに見合うようなかっこうでこっちも特殊法人にしなければならないということで、NSFにならってこちらは学術振興会を特殊法人化した、こういう御説明だったわけです。ところで私もだいぶ前に、この科学技術振興方策といいますか、そのことのためにアメリカ、ヨーロッパ、ずっと一通り回ったことがあります。それで科学技術振興をやっているのは、一体アメリカ——でいまアメリカの問題が出ておりますから、アメリカだけを例にとります。そうしますと、アメリカではまず第一に科学技術会議、それから科学財団、それからAEC、それからNASAこういうのが大体アメリカの科学技術振興の代表的なものだ、こういうことで理解して、いろいろ指導者の方とも会談をし、帰ってきたことがあります。このNSFというのは、アメリカで文部省の所管になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/47
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048・天城勲
○天城政府委員 文部省のような機関はアメリカにございませんし、独立の機関だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/48
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049・石川次夫
○石川委員 私は先ほど来申し上げているように、科学技術の振興方策というものはどうあるべきかということを考えても、なかなか私自身結論が出ないわけです。結論は出ませんけれども、科学技術庁というのは、できたときの経緯を見ると、大学のほんとうに基礎研究というものを除いて、それ以外の科学技術行政は科学技術庁がやるべきものだという使命をもって、私はこの科学技術庁が生まれたのではないかというふうに理解はしています。ただし、現在科学技術庁というのは、たいへん言いにくいことではあるけれども、プロジェクト・リーダーとしての資格があるかどうか、たいへん私、疑問を感じています。したがって、そういうことも含めて、今後日本の国を立て直し、将来の繁栄をもたらすための科学技術行政というのは非常に大事なもの、資本の自由化に備えて技術の獲得のために日本はほんとうに席巻されてしまうのではないか、そういうどたんばに来て、科学技術振興というのはまた新たな課題として時代の焦点になっているわけです。そういう場合に科学技術庁長官は科学調整費というようなものを持っておりますけれども、民間も含めての科学技術振興というものは、あなたのほうがおやりになるというたてまえで科学技術庁というものはできたと思うのです。その点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/49
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050・二階堂進
○二階堂国務大臣 これは科学技術庁ができてからわずか十年、そのいきさつはいろいろなことが言われておりますが、現在石川さんがおっしゃるとおり、どこの国でも科学の振興、技術の開発については非常な努力を払っておるときでもありますし、したがって、わが国におきましても、科学技術の振興には国をあげて取り組んでいかなければならぬことは、もう申し上げるまでもないのであります。そういう情勢下にありまして、私どもは、科学の振興、技術の開発につきましては今後とも格別の努力を払っていくつもりでございますが、これにつきましては、やはり文部省等にも非常な関係のある面がたくさんあるわけです。特に基礎研究、大学の研究あるいは民間の協力を求めていく上におきましても、私の関係の省あるいは文部省にもそれらの仕事があるわけでございますので、一がいに私のほうだけが全部それを受け持ってやるべきだとは私も考えておりません。文部省もそれぞれ分担していかなければならない、特にこの科学技術の振興、学術の振興等については文部省自体でやってくださらなければならない部面もたくさんあるわけでございますので、今後こういう面につきましては十分ひとつ協力して緊密な連絡をとって、遺憾のないような体制をつくっていくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/50
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051・石川次夫
○石川委員 どうも科学技術庁長官、だいぶほかの委員会に来たようなかっこうで遠慮をされて発言をされておる。それはそれで一応いいとしましょう。非常に不満ですけれども。
どうもはっきりいたしませんけれども、それでいいとして、いま学術局長のほうは、大学だけが対象ではないから大学という文字を一つも入れてない、こうおっしゃる。民間の力を糾合するということがあらかじめ入っているわけですね。そうしますと、当然学術振興会は、文部省だけの仕事でない部面が、いま科学技術庁長官がおっしゃったような意味と逆に出てくるのではないかと私は思うのです。
それで、私が伺いますところによりますと、この学術振興会というものは将来どういうふうに発展をするのだか、ちょっと海のものとも山のものともわからぬという不安があるわけです。しかも大学だけというふうに限定しているわけでありません。したがいまして、科学技術庁としては重大な関心を持たざるを得ないと思うのであります。これはやはりなわ張りといえばなわ張りになるかもしれませんけれども、そういうことでなしに科学技術庁とも十分な連絡をとってもらわなければならぬ、こういう性格のものだと思うのです。そこで、初めはこれは文部省と科学技術庁の共管にしようではないか、こういう話が出た。しかし、文部省のほうからは、そういうことはけしからぬ、だめだということで拒否された。しからば覚え書きをかわそうということになったのだけれども、その覚え書きというものはまだできておらぬわけです。こういう性格のものは大学の学術研究だけではないことでありますから、当然これは科学技術庁の意見も聞くとか、あるいは共管するとかいう措置がはかられていいと思うのでありますけれども、覚え書きがかわされておらないというような状態というものは一体どこに原因があるのか、どういう経過になっているのか、それをひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/51
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052・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実は私ども、この法案作成の段階におきますいろいろな事務的折衝については、いま申されたようなことがあったと後になって聞いたわけでございますが、これは仰せのとおり、科学技術庁と業務の内容その他につきましては非常に関係が深い点がございます。今後実際の運営にあたりましてはもちろん科学技術庁と十分の御連絡を申し上げますし、もし覚え書き等の必要がございますれば、これは今後発足いたしましてから科学技術庁との間におきまして十分調整をいたすことは、私自身としまして責任を持っていたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/52
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053・石川次夫
○石川委員 私の質問に答えてないようですね。いま文部大臣がおっしゃったように、大学だけの学術研究でないということになれば、当然科学技術庁の所管の分というものもあるわけですよ。これは民間の研究者というものも当然出てくるわけです。そういうことになれば、これは共管という考え方もあるし、少なくとも何らかの合意の上に立っての覚え書きぐらいかわさなければならぬけれども、その覚え書きはまだできてないでしょう。どういう理由でできてないのですか、それをひとつ経過を説明してもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/53
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054・剱木亨弘
○剱木国務大臣 事務折衝の段階におけることは私もよくわかりませんが、しかし、これは覚え書きをやるとかそういう問題は、これはできましてから必要に応じますれば私どもはいつでもそういうことをいたすつもりにいたしておりまして、十分科学技術庁と連絡、調整をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/54
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055・石川次夫
○石川委員 その覚え書き自体がなかなか合意に達しないのですよ。文部省は文部省の意見があるだろうし、科学技術庁は科学技術庁の意見もあるだろうし、そういうことで共管というのがなくなれば、当然覚え書きぐらいは必要だと思うのだけれども、この覚え書き自体がなかなか合意に達しないというのが現状だというふうに私は聞いております。そういうことになりますと、このNSFをかたどってといいますか、これをモデルとして一応科学技術振興財団というものをつくったわけでありますけれども——この一九六六年度の予算を見ますと、米国の科学財団というものは四億六千六百万ドル、実に千六百八十億円という、これは実際にビッグサイエンス、ビッグビジネスというものを除外した形の組織でありますから、かなり大きな予算を持っているわけですね。そうすると、先ほど申し上げた、わずか三億円ぐらいの現在の予算ではあるけれども、何とかふやすというが、この科学財団に見合うような形の何かこういう組織をつくるということになれば、これはやはりさっき言った科学研究費の配分というふうなものを持ってこなければ、これに見合うような組織にならぬと思うのです。先般、これを模範に考えてこられたようでありますが、この米国科学財団というものは——これはどうも訳が少しおかしいですね。それは日本にも、民間の日本科学技術振興財団というものはありますから、それと同じようなものだと思って向こうに行ったのですけれども、全然それとは違って、これは全部国の予算、国の補助をもってやっているそうです。米国の科学財団は、端的に言うと、日本にある科学技術会議とタイアップして科学技術庁的な仕事をやっている部門であります。これは文部省の所管ではないわけです。完全な独立機関であります。科学技術会議の長は当然この中に入る。米国の科学財団のほうに三人くらい入っておりますね。これは密接不可分の関係で、両々相まって科学技術の推進をはかるという組織になっていて、これは文部省とは別個な組織であります。文部省に該当するものはほかにありますが、これはそういうことには全然タッチはいたしません。したがって、これは民間のいろいろな英知というものを集めまして、この科学財団というものをつくることによって、総合的に科学技術の前進をはかるという組織がとられておるわけです。これはヨーロッパにおいても大体同じようなかっこうになっております。文部省という学校を支配しておるところは、科学技術振興を全部統轄するという形をとっておる国はほとんどございません。そういうことで科学技術振興というものの振興対策が、これは外国のものは全部いいとは申し上げませんけれども、日本の場合は大学というものが非常に中核になります。したがいまして、七、八割くらいは大学が中心にならなければできぬ部門がたくさんあるでしょう。だからといって、文部省だけにまかしていていいということになりません。特にビッグサイエンスの時代になりますと、その傾向というものは非常に強くなってくると私は考えております。この米国の科学財団の内容も、サイエンス・アンド・テクノロジー・プログレスというものを対象として行なわれておるわけです。科学と技術の両方です。しかも日本の科学技術庁とちょうど見合うことは私は申し上げませんけれども、これはちょうど日本の科学技術会議、科学財団と両々相まって、アメリカ全体の科学技術の基礎知識というものを振興するというふうなたてまえになっておるわけであります。この科学財団、これに見合って科学技術振興会、この法律案がそれなんです。日本の科学技術振興をどうするんだという基本的な方策が立たないときに、アメリカのいわば科学技術庁的な仕事をしようとするものに、日本でそれをまねをして科学技術振興法という、こういう学術振興法ができるわけですね。将来においてこの科学技術振興の基本的な国の施策というものを一体どうするのだという見通しを——これは大統領の諮問機関ですよ、科学技術会議というのは。大統領の諮問機関の中にその科学技術会議というものがあり、それとこの科学財団というものは密接不可分な関係を持ち、これは大統領の諮問機関になっております。大統領の任命によるというかっこうになっておるわけです。これは文部大臣だけでもって統轄すべきものじゃない。逆に言うと、この科学財団それ自体が科学技術庁的な役割りを持っている、こう思うのです。その科学技術庁的な役割りを持っているものにならって学術振興会というものができたのですから、一体科学技術庁は、のほほんとして指をくわえて見ていたのですか。これは、将来の日本の科学技術振興政策はどうするのかという基本に立ち直って、国の姿勢をちゃんと直した上でこの学術振興会というものはつくられるべきです。これは単にNSFにならってやったという、そのような簡単な答弁ではどうしても納得できません。その点も説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/55
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056・天城勲
○天城政府委員 大臣のおことばを補足いたしますが、NSFをかたどってつくったとは申しておりません。ただ、日米科学共同事業のためにアメリカもNSFの政府機関が働いている。日本も対応する機関としてああいった一つの例として申し上げたので、科学振興会は決してNSFをまねした機関ではございません。アメリカの行政機構と日本の行政機構を比較することは、形の上ではまず無理じゃないかと思います。まず、連邦国家でございますし、文部省はございません。そういういろいろな国の立場でございますので、特にある機関だけを比較して、これを議論するのは非常にむずかしいんじゃないかと考えております。
それから日米科学の場合も、アメリカはNSFが実施の主体になる。日本ではどこがやるかということは、政府の間で初めの話で科学技術庁でやるべきものは科学技術庁でやる、文部省でやるべきものは文部省でやる、文部省で担当するものにつきましては学術振興会がこれに当たる、ただそれだけの話でございます。
それから学術振興会は、さっきこれまた私、ことばが不足だったと思いますので補足させていただきます。大学という文字が入っていないからということで、大学ということからはみ出るという御議論でございましたけれども、大学という機関を対象に仕事をすることでないということを申し上げたのでございまして、ここにあります流動研究員制度、これは大学の現在ある講座におる先生が共同研究をするために他の大学の講座に行く場合の研究費、旅費等を支給するという制度でございます。中身はほとんど、奨励研究にいたしましても基礎研究に関する研究者の奨励ということでございますので、大学という表現がないとか、あるいは大学という機関を直接対象としないことと、それから流動研究員や奨励研究員の問題がどこまで発展するという意味ではございませんで、基礎研究の分野を定めていきたいというのがこの考え方の中心でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/56
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057・石川次夫
○石川委員 全米科学財団というものの中身は、この学術振興会に非常に似ておりますね。やはりこれは基礎研究ですよ。計画部門と国際活動部門と研究部門、管理部門、こういうふうに分かれておりまして、これは一々いままでの財団法人学術振興会などと照らし合わせてみますと、ウリ二つと言えるくらい非常によく似ております。私は、いま大学局長が言ったように、アメリカは連邦政府で、それをそのまま日本に移しかえて比較対照することは非常にむずかしいということは百も承知です。それは同じものにはなりません。しかし、アメリカと比較できるのだったら、アメリカのものがいいとなればそれをそっくりそのまままねすればいいのですが、それはそうはいかない。そうはいかないだけに、日本の緊急の課題になっている科学技術の総合政策というものをどう進めていくのか、そのことをまず政府自体がじっくり取り組んで方策を立ててもらいたい。その中で学術振興会をどう位置づけをするか、こういうことを考えないと、いきなりNSFになるとはいま言っておりませんようでしたけれども、しかし、NSFというものは多分に、八割ぐらい頭にあったとは否定できないのです。それはNSFというものがあって、法人格を持って、それがこの日米合同会議をやる。おれのほうもNSFと同じようなものをつくらなければかっこうがつかない。これは大臣の説明どおり否定できないと思います。NSFの中身というものを学術振興会がやろうという、中身はウリ二つですよ。これは否定できない。ほとんど変っておりません。したがって、これは何と強弁をし、弁解をしようとしても、やはりNSFというような形に持っていきたいという意欲があることだけは否定できないと思う。そうなりますと、先ほど来申しましたように、千六百八十億円という膨大な予算、しかもこれはビッグサイエンスというものを含まない基礎研究に限定をされるような目的を持った予算でありますけれども、いまの科学技術庁の予算なんかよりははるかに多いですね。こういうもので、これを目的としながら学術振興会というものはどんどん進んでいく。しかも一方では権限を強化して、少数支配でどんどん持ってくるというようなことで、科学技術振興をかってにやっていいものかどうか、いまの時点、非常に時期尚早だと思う。やはりこの法案を出す前に、もっと基本的な行政のあり方というものを検討した上に立ってこの法案を出すべきだ、こう思うのですが、科学技術庁長官どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/57
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058・二階堂進
○二階堂国務大臣 これは閣議にこの法案が提出されるときに、閣議でも文部大臣から御説明がありました。私はこの法案の内容等十分承知をいたしていなかったわけでありますけれども、文部大臣の説明がありました際に、科学技術庁と文部省との間において、今後のこの業務の運営等については十分連絡をとっていってもらいたいということの発言をいたしまして、そういうことの発言を了承の上でこの法律を提出するというたてまえになっているわけでございますので、いろいろな御議論はあろうかと思いますけれども、私どもは、今後の運営等につきましては、先ほど来の意見もありますから、十分ひとつ連絡をとった上で遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/58
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059・石川次夫
○石川委員 科学技術庁長官、たいへん借りてきたネコのようにおとなしい答弁をされているようですけれども、真意はそこにないのではないか、こう推察するのです。学術振興会というものがひとり歩きするととんだことになる。前の財団法人のころの任務、規定というものは、わりあい具体的に書いてあるのですね。いまちょっと見失っておりますけれども、非常に具体的に書いてある。これだったら学問の自由というものを推進するのにさして障害はない、こういうふうに見ておったわけです。今度の二十条は、「共同して行なわれる学術の研究に関し、研究者に研究活動を行なうために必要な資金を支給する」、以下学界と産業界との協力、それから学術の国際協力、あとは優秀な研究員の育成、あるいは学術に関する情報資料について調査を行なう、それから六号に「前各号に掲げる業務に附帯する業務を行なう」、ばかにこれは広範なものになるのですよ。いままでの財団組織のときのような具体的に区切って示したものとは違うのです。非常に広範なものになります。学術振興会というものはNSFを目標にしたのではないのだから、もっと謙虚に、いまの財団法人だけではなかなかやっていけないから、少しこれを力のあるものに、きちっとしたものに直すんだということだけだとすると、この業務の内容というものはもっときちっとしたものにしたほうがいいと思うのです。これは非常に広範なものになります。これではどう考えてもオタマジャクシがカエルになる可能性が十分にある。そういうことになったら、将来の行政というものは非常に混乱をする。そういう気持ちはありませんと文部大臣はおっしゃいます。おっしゃいますけれども、NSFというものが頭の中にあって、しかもこの法案だけがひとり歩きをするということになれば、将来の科学技術政策というものは、原子力委員会を持っている科学技術庁のその分野を除いては全部これでやれるのですよ。きわめて危険だと私は思うのです。しかし、先ほど申し上げたように、いまの科学技術庁が科学技術行政を全部やれるかどうかということになると、私は現状では非常に疑問を感じています。力足らずだと思うのです。ただ言えることは、文部省と違って、科学技術行政を曲がりなりにもやってきたという実績はあると思うのです。ですから、やっぱりそのほうの意見はある程度は尊重したいと思いますけれども、ただし、そういうことも含めて、科学技術庁なり文部省なり、あるいはこれは内閣全体の科学技術政策というものを推進するためにどうするんだということを十分に検討し——これがひとり歩きして大きな地位を占めるということになったら、科学技術行政はないへんな混乱をしますよ。そういう危険性をこの法案からくみ取れないと言うわけにはいかないのです。そういうことで、どう考えても、私は現在の段階では学術振興会法案を出すことは時期尚早である、いま少し練り直してもらいたい、こう思っておるのですが、この点どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/59
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060・剱木亨弘
○剱木国務大臣 財団法人学術振興会を特殊法人にしようということは、現在始まったことではございませんで、昭和三十三年でございますか、それからずっと企てて今日まできた問題でございまして、振興会を特殊法人にしようという要望は、これはずっと長きにわたって論議されてまいった問題でございまして、今回ようやくこれが政府としても認められて特殊法人にしようということになったのでございますので、私どもとしましては、ずっと前からの特殊法人にしようという念願が達しようとしておるわけでございますから、これはぜひひとつかなえさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/60
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061・石川次夫
○石川委員 提案をされた当事者としては、そういうふうに通してもらいたいということだろうと思いますけれども、どう考えてもこれはいただきかねるというのがわれわれの心境であります。何回も申し上げますように、この学術振興会というものが財団法人として存在して、それを特殊法人にしようという動きのあったことは私も聞いております。聞いておりますけれども、これは学術会議あたりの意見も十分に聞くというふうなことや、それから非常に民主的に運営をされる、あるいは官僚統制というものはやらないというようなことが前提となってそういうこともあったと思うのです。前の業務の内容そのまま移るのだったら、これはたいした問題はない。そうじゃないのですよ。これを見たら、一から十まで全部できることになっております。大学の学術研究だけじゃないのです。民間のものも含めて、ありとあらゆるものができるというような可能性を持った法案の内容です。しかもその前提にはNSFというものが頭の中にあるということになると、科学技術行政の大半を占めるという力を持ち得る素質を持った法案としてここに出てきたわけです。これを通して運営のよろしきを得ますとか、絶対にそういう気持ちはございませんとか、官僚統制をやりませんとか、こういうことを言ったって、この法律がひとり歩きをすればそんなことは保証できませんよ。科学技術行政の将来に非常な混乱をもたらすという危険性もあるわけです。だから、どう考えてもこの学術振興会法案なるものは現時点においては時期尚早である、あと一回よく将来の運営の方法というものを考え直して、その上に立ってこの法案を出してもらわなければ、将来にとんだ悔いを残す、こういうことを私は非常に懸念をしておるわけです。
それで、あと一つお伺いをしたいのでありますけれども、将来の科学技術振興の方策というものについて、一体どこが中心になって、どういうふうに考えておるかということは、どうも私は十分に納得がいかないのでありますが、科学研究計画というものは、一九五四年から一九六五年まで十年間かかってどうやらまとめ上げられたものがあるわけです。それから科学研究基本法、これは学術会議の関係でありますけれども、一九六二年に学術会議から勧告が出ておるわけであります。それから科学技術基本法というものについてはまだできておりません。これはどういう関係でできないのか、私ども非常に合点がいかないのでありますが、もちろん科学技術基本法というものはどうしてもこれをつくり上げて、その科学技術基本法にのっとってわれわれ科学技術振興政策というものを総合的に運営していくということは、私は焦眉の急務ではないかと思っています。資本の自由化というふうなものが非常に大きく取り上げられるようになって、テクノロジーギャップというものが非常に大きな課題になっております。ICというものが上陸したら、日本の弱電界なんか席巻されますよ。そういうことで、何とか日本のテクノロジーギャップを埋めなければならない。そういうときでありますから、科学技術行政というものを総合的に強力にするためには、科学技術基本法というものをどうしても急いでつくらなければならぬ。その内容によって、われわれは賛成するか反対するか、これは別です。別ですけれども、その体制だけは早くつくるべき国家的な任務があるのではないかと私は思う。この点について非常に政府は怠慢だと思うのです。ただし、学術会議あたりがいっておる科学技術基本法というのは、全部の科学を対象とする、これは人文科学も含めてもらいたい、これは基金制度について学術会議のほうからいろいろ勧告、要請が出ておりますけれども、その中で科学技術の全体の予算の一割だけは人文科学のほうに向けてもらいたいというようなことも入っておりまして、全科学を対象とする。それから基礎研究の部門については、特にこれは大学が中心になる、したがって、この大学が中心になっておる基礎研究の部門につきましては、学術会議の意見を十分に尊重して運営をする、こういうことが二番目の条件として出ておるわけです。三番目には、国の政策として目的づいたところの基礎研究——たとえばビッグサイエンスというのはこれに属するものであろうと思うのであります。これは各省庁、科学技術庁がやる場合もあるだろうし、あるいは通産省がやる場合もあるでしょう。そういう国の政策に基づくものについて目的づけられた基礎研究あるいは開発研究というものについては、各省庁にゆだねるというような三つの柱を土台として、科学技術基本法をつくるべきものである、こういうことを学術会議の意見として、あるいは科学技術庁、あるいは学術会議、それから科学技術会議あるいは科学技術特別委員会も参加をした結果、大体こういうふうな骨組みでわれわれの納得できるような形で科学技術基本法というものがもう今国会に提案をされる、こういうふうにわれわれは期待をしておったわけです。これは半ば予定されたことであったのだろうと思うのです。これがまだ出てこない。なぜこれが出てこないのか、これは文部大臣と科学技術庁長官にその経緯をひとつお知らせを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/61
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062・二階堂進
○二階堂国務大臣 おっしゃるとおり、科学技術基本法は、わが国における科学技術振興の基本ともなるべき法律であろうかと思っております。私も昨年末就任以来、今国会にぜひ提出して御審議を願いたい、こういうことで検討をしてもらってまいっておりますが、これもことし始まった問題ではございません。昨年、一昨年来の問題であると承っておりますが、政府・与党という立場におきまして、自民党の内部におきまして基本的な考え方の一部に異論がございまして、調整ができずにおりますが、私は、今国会中に法律を提出することができなくなったことについてはまことに遺憾だと考えておるのであります。できる限りこの会期中にまとめていただきまして、次期国会には必ず出せるようにいたしたい、こういうことで党のほうにもお願いをいたしておりますから、文部省とのお話し合いは、党のほうの話がつけば先ほども申し上げたような方針でいくように私は御了解が願えるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/62
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063・剱木亨弘
○剱木国務大臣 私どもも科学技術庁長官と全く同感でございまして、一日も早く科学技術基本法の国会提出を希望してまいっております。私は十二月に大臣を引き受けたわけでございますが、その前に有田文部大臣が科学技術庁長官を兼ねられておりまして、科学技術庁長官と文部大臣を兼ねておった関係から、何とかしてこれを早期に成文化したいという努力をされました。なお、私が引き継ぎました際におきましても、その内容について十分の引き継ぎを受けまして、ぜひひとつこれが成立について努力するようにという引き継ぎを受けてまいっておるのでございます。ただ、現在におきまして、いま科学技術庁長官が申されましたように、党内の調整が非常におくれておるという状況でございまして、一日も早く調整ができまして法案提出になる運びになるように、私どもとしましても全力を注ぎたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/63
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064・石川次夫
○石川委員 科学技術基本法の問題について、また意見をいろいろ申し上げましたらたいへん時間が長くなりますから、これは省略をいたしますけれども、大体科学技術基本法は前からの提案です。私は七、八年前、泊まり込みで自民党の諸君と一緒に、科学技術特別委員会として科学技術基本法をつくったことがあります。それ以来いまだに日の目を見ない。いろいろ意見の食い違いがあり、調整をはからなければならぬということはわかるにしても、あまりにも緩慢であり過ぎる。今日の科学技術行政というものが非常に重大である、重要であるということはだれもがわかっている。特に最近そういう必要性が強く浮かび上がってきているときに、いまだに科学技術基本法というものができない。ことしの予算委員会でもこの問題が出たはずです。これはことしじゅうに出します。今国会に出します。それから先般の科学技術特別委員会で私が科学技術庁長官に質問したときにも、二十日までに出します。今度は国会中に何とか、今度また来国会ということになると、また来国会も怪しいのじゃないか。なかなかむずかしいことはありましょうが、結局文部省と科学技術庁の間のなわ張りといいますか、分野というのか、分担がはっきりしない。これが一番大きな原因ですね、だれが何と言おうと。あと一つは、人文科学を含めるかどうかという問題もあるでしょう。そういうようなことで、この科学技術基本法というものがいまだに日の目を見ないということは、どう考えても私は政府の非常な失政であると思っている。これは何とか調整をはかって早く出してもらいたい。その基本になるものは、全科学を含むという第一条件。それから第二条件は、基礎研究は、特に大学に関するものについては学術会議が中心になってこれの運営をするということ。それから、国の政策に基づき目的づけられたビッグサイエンスを含んだところの研究は各省庁にゆだねる。この各省庁にゆだねる国策に関する研究の部門につきましては、御承知のように、それをどう予算化するかということについて、科学技術庁のほうで五年間の長期計画を今度立てるのだということは、この分についての対策だと思うのです。私は、衆目の見るところ、大体そういうふうに大筋はきまってきておるのではないかと思うのです。これに対して反対をしているのは文部省ですよ。科学技術庁と学術会議と科学技術会議が全部集まって——この中にはもちろん文部省の人も入っておるわけです。ところがこの基本的なあり方について反対をしているのは文部省です。どういうわけでいま言ったようなこういう条件がのめないのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/64
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065・剱木亨弘
○剱木国務大臣 文部省が反対したという事実は、少なくとも私になりましてから覚えはございません。私は科学技術庁長官と十分お話し合いいたしまして、この法案の成立に全力を注いでまいるという約束をいたしておるのでございます。ただ党内事情で——これは文部省というわけじゃございませんで、党内にいろいろな意見があってまとまらないというのが実情でございまして(「そそのかしているのじゃないか」と呼ぶ者あり)そそのかすとか、そういうようなことは絶対にございませんから、その点は科学技術庁長官にお尋ねいただけば十分わかると思いますが、私どもといたしましてはできるだけこの案をまとめたい、文部省としても努力を惜しまないでまとまる方法を考えてまいりたいと、協力的な立場でおることだけははっきり申し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/65
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066・床次徳二
○床次委員長 時間がまいりましたので、そろそろ、次の質疑者がおありですからお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/66
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067・石川次夫
○石川委員 まだまだあります。
いま御答弁を伺いますと、たいへん積極的に科学技術基本法の成立を促進する立場のように伺うのですけれども、私の聞いている話はそういう話は全然聞こえておりません。つんぼさじきに置かれておるのか、それとも知ってて知らぬ顔しているのか、どちらかですよ。文部省とほかの連合で話をした、どうも文部省の抵抗でもって成立をしない、あるいは自民党の文教委員かどうかそれは知りません、何かそういうことが影響して、いいところまで行っているのだけれどもきまらない。ということの裏には、学術会議というものがどうも信頼できぬというようなことも大いにあずかって力があると私は思っています。で、学術会議のことについて若干質問したいと思っております。
この前、参考人として朝永さん以下がおいでになってこれに対する意見を述べましたことについては、私は新聞などでは伺っておりますが、内容を詳細に知っておりません。しかし、学術会議といたしましては、運営審議会の議を経て文部省に伝達された事項といたしまして、日本学術振興会についていろいろな意見が出ております。これは御承知だろうと思うのです。これは一九六三年の二月二十五日に出ております。したがって相当前に出ておるわけでございますけれども、1、2、3、4、5、6、と六つありますが、その中で特に申し上げたいのは、一つは「日本学術会議などが企画する共同研究などを同会設置の趣旨にもとづいて実施するものでなければならない。」、同会設置の趣旨というのは、平和目的、全世界的、自主、平等、公開、こういう原則です。それから四番目には、「役員および評議員は、日本学術会議のすいせんするものと、日本学術会議の了承をえたもので構成される。」五番目は、「日本学術会議の意向が十分反映されるために、事項毎にたえず厳密に連絡できる制度を確立しなければならない。」こういう条件をつけて学術会議の改組拡充というものについて対処してもらいたい、こういう要望が出ておるわけです。この三番目の平和目的、全世界的、自主、平等、公開、これはまあまあ一応おくといたしましても、役員及び評議員は日本学術会議の推薦する者、日本学術会議の了承を得た者、こういう強い要請があったわけです。今度の法案では、これは全然無視されておるわけですね。学術会議はこれに対して反対ではないのだ、ただ若干意見があるもんだから、その意見を申しただけなんだというふうに文部省はおとりになるかもしれませんけれども、実態はそうじゃない。非常に憤激していますよ、こういうふうなことがあらかじめ要望をされておいて、この要望が当然かなえられるという前提で学術振興会が特殊法人になるということについてもやむなしという考え方があったのですが、この条件が全然今度の法案には入っておりませんね。学術会議の推薦する者と学術会議の了承を得た者は役員及び評議員になるということは、この法案には全然入っておりませんけれども、これはどうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/67
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068・天城勲
○天城政府委員 いま先生のお話は、財団法人日本学術振興会の改組拡充について三十八年に申し入れられた点を言われているのだと思いますけれども、これは財団法人をこういう形で拡充しろという口頭の申し入れでございました。それに基づきまして財団法人学術振興会を改組いたしたわけでございます。学術会議から推薦の評議員、理事その他の問題がこの機会に財団法人として改組いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/68
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069・石川次夫
○石川委員 それは一応わかりますけれども、この希望はいまなくなっているのですか。学術会議は、特殊法人になればこんなことはかまわない、こう言っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/69
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070・天城勲
○天城政府委員 この当時は、現時点の財団法人をこういう形で改組してくれという御要望でございまして、それに基づきまして財団法人を改組いたしているわけでございます。ですから、これは当時の財団法人を前提としての申し入れでございます。その後特殊法人の立法化にあたっては、先ごろ別の申し入れがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/70
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071・石川次夫
○石川委員 いま言ったのは改組についての要望ではありますけれども、特殊法人になるときにはこういう要望は雲散霧消したものだとは理解することはできないのです。こういう前提があって、こういう前提が満たされるということを、特殊法人化される場合にも期待をしておったことは事実であります。したがって、今度の法案を見れば、役員及び評議員が、学術会議とは別なところで、先ほど申し上げました文部省の権限を強化して文部大臣の任命、しかも審議機関というものが単なる諮問機関になる、理事二十名が理事三名に減ってしまうというような、学術会議の望むところとおそよ正反対の立場で特殊法人というものができたということについては、これは学術会議としては非常な不満があります。これは言うまでもないと思うのです。これを満たすようなことはこの法文の中に全然うたってないと思うのですけれども、これは一体どうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/71
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072・剱木亨弘
○剱木国務大臣 学術会議で非常に御不満がございまして、これに対しまして学術会議として正式に政府に申し入れがあったことは事実でございます。これにつきまして、私どもも、学術会議の御不満の点はごもっともな点も十分ございますので、学術会議の責任者の方と十分話し合いを続けてまいりました。第一の問題は、評議員会が、財団法人の場合はその半数を学術会議の委員からとるということは、そのとること自体は学術会議のメンバーを学術会議に非公式に相談して何人か入ってくださいということで、財団法人の場合はそういう半数を学術会議の会員からとるということを規定してもいいのでございますが、これは特殊法人となりまして、公法人になりまして、正式に法律に学術会議から半数をとるという規定を設けるということは、政府機関の中の学術会議でございますから、もしこれを正規に書けば、学術会議から何名出すということを決議して、そしてそのメンバーを提出するというような、このような問題になってまいるかと思います。事実問題としては実は評議員には学術会議の会員から相当入ってくる、事実として入ってまいるのでございますが、その方法は、あくまでも学術会議と話し合いをいたしまして、評議員の選定の際に話し合いをしていくということが当然正しい行き方ではないか。そこで学術会議との間におきまして、私どもとしては、そういう業務の状態において常時に連絡をいたします機関を設けて、そして常に学術会議と話し合いをいたしてまいろうということを申し上げておりますし、この点については、学術会議におきましても御承知をいただいておるわけでございます。ですから、その法文上の規定が困難であるということだけは御了承いただいておると思いますし、今後の事実上の運営につきましては、もちろん業務につきまして、先ほど先生からお話しございましたが、あるいは業務の範囲が非常に広くなっておるじゃないか、こういう付帯する事業というようなものは含まれておるといいますけれども、この学術振興会の大体の業務をあげておりますのは、ほとんど全部と言っていいと思いますが、学術会議の勧告に基づいてこの業務をいたしておるのでございまして、今後学術会議からそういったような業務について勧告がありますれば、受け入れられるだけの体制はとっておらなければならないというのが大体この法律のきめ方でございまして、私どもが無制限にこの業務を増していくというようなことは考えておりませんし、実際申しますと、学術会議は、これは私が申し上げるまでもなく御存じだと思いますが、学術新体制を終戦後つくりましたときに、その当時の帝国学士院の日本学士院への転換、それから財団法人日本学術振興会のあり方、これがきまったわけでございますが、学術会議は決議機関でございますし、勧告機関でございますので、実施機関ではございません。いわゆるその下部の団体として実施機関である財団法人日本学術振興会を持っておったのでございまして、学術会議と振興会とは、いわゆる俗なことばで言えば親子の関係があるのでございます。ですから、これは今後といえども密接な関係は当然に保持さるべきものでございますし、いわゆる事業につきましては、これは当然学術会議から、政府機関でございますから、勧告がありますれば、それに従いまして文部省も、またその勧告に従ってこの事業を行なってまいる、こういう関係がございますので、私どもは、実際の運営上において学術会議とこの振興会の今後の業務において、学術会議の意思を無視して、そして振興会が学術会議と関係なしにひとり歩きするというような問題は起こってまいらないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/72
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073・床次徳二
○床次委員長 このままでもって暫時お待ちをいただきたいと思います。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/73
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074・床次徳二
○床次委員長 それでは速記を引き続き始めてください。石川次夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/74
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075・石川次夫
○石川委員 先ほど財団法人学術振興会の規則書がちょっと見当たらなかったものですから、あらためていま申し上げるわけなんですけれども、第四条に「本会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行なう。」こうなっておりまして、1から11まで書いてあります。それは非常に具体的に書いてあるわけですね。たとえば、「わが国における学術上重要な共同研究の促進に関すること。」「学術研究と産業化との緊密化を図ること。」フェローシップを供与し、研究者の養成に資すること。」云々、以下ずっとたいへん具体的な問題が出ておりまして、これと今度の新しく生まれることが予想されます特殊法人の学術振興会の業務の内容とはたいへん違う。今度の業務の内容というのは、非常に抽象化されて書いてありまして、これではどこまで範囲を広げてもあえて差しつかえないような内容を含んだ今度の新しい法案について、非常にわれわれは危惧の念を感じておるわけです。このことだけを一応申し上げておきます。
それから、学術振興会法案に関する学術会議の意見のことに話を戻しますけれども、この学術振興会法案につきましては、朝永さんが提案者になりまして、議案として「日本学術振興会法案について政府に対して、下記のとおり申し入れる」という原案が、第一パラグラフ、第二パラグラフ、第三パラグラフ、こう三つに分かれておったわけです。この第二パラグラフのほうは、「わが国学術の振興発展をはかることを任務とする本会議は、従来の経過と新しく設立されようとする振興会の目的、性格にかんがみ、同会の運営上本会議と密接な関連がはかられるべきは当然であると考えるので、政府はこの点についての措置に遺憾のないよう取り計られることを第四十八回総会の議に基づき、強く要望する。」これが一応いろいろ検討の結果、七十三対八十八でもって否決になっておるわけです。否決になっておりますけれども、否決になって、この文案は別に考え直されて、今度新しく正規に出された、昭和四十二年四月二十四日の総理大臣に対する申し入れ書となってあらわれているわけですが、否決になったといっても、その差がきわめて僅少であります。しかもこの内容は、いわゆる学者のグループらしく、こういう政府でやることの内容についてまで干渉するというようなことは、学術会議としては多少行き過ぎではなかろうかという遠慮した気持ちからこれが否決になっておるのです。この趣旨そのものは間違っておるという意味での否決ではないということを、ひとつ御理解を願いたいと思うのです。学術会議としては、学術会議がいままでいろいろな科学技術の方策についても提案をしておるわけでありますけれども、それ以外にもおりに触れて、先ほど申し上げましたようないろいろな各個条についての学術振興会に対する要望というものをいままでもしてきておるわけであります。ところが、今度の法案というものは、先ほど来私がくどく申し上げておるように、学術会議の意向とは全然正反対の方向に行っておるというようなことで、非常な不満が学術会議にあるということは、これは否定できないと思います。そこで文部大臣は、今度の学術振興会の評議員会などというものは、当然学術会議のメンバーも入るであろうというようなことで、学術会議との関係というものが消えておらない、十分尊重するのだ、こういうふうにおっしゃっておりますが、これは法文の中には全然出ておらないのです。だから、学術会議のほうから一人も選ばれなくたっていいのです。また評議員会ともなれば、学術会議というものは日本の大学の知能というものを集約したところでありますから、当然入ってくるという可能性のあることは否定できません。しかしながら、そのことは、直ちに学術会議と有機的な連絡をとった措置として行なわれることではないということは否定できないと思います。したがって、学術会議はこの法案に対して非常な不満がある。だから、はっきり言えば反対であるということは、これは否定できないと思います。それでひとつ意見として申し上げるのでありますけれども、評議員会の中に、実は学術会議から当然に人を入れることがいいかどうかは別問題だと思うのです。入らなくたっていいと思うのです。学術会議の人は。というのはどういうことか、学術会議で推薦した人が入ってくれればいいと思うのです。その入った人が、いろいろな資金の配分等について評議員会のいろいろな議を経る。ところが、これは諮問機関でありますからいつ開かれるかわかりませんけれども、そういう意見を出してもらって、評議員会できめる。きめたことについて、学術会議のほうは、これを監査すると言うと語弊がありますけれども、いいか悪いかということを、たとえば長期ころがし予算といいますか、そういうもので流動研究員なんかやった場合は、学術会議がその監査というものをやるということになればいいのであって、学術会議のメンバーが当然に評議員会に入る必要はないとぼくは思うのですよ。学術会議が推薦した人が入ってくれればいいと思うのです。入ってやったことに対して学術会議が批判をすればいい。そういう形であればいいのであって、いま文部大臣が言ったように評議員会には当然学術会議の人が入るであろう。それは有機的に学術会議の代表として入ったというかっこうにはならぬし、また法案にはそのことはどこにも出ておりません。したがって、評議員会の中に当然学術会議の代表が入るであろうから連絡がとれるのだというあいまいな言い方では、学術会議は当然納得はしないと思うのです。学術会議の意向を十分しんしゃくして、それが反映するという形に法案の中で当然考えるべきじゃないか、こう思うのですが、その点は考慮されなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/75
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076・剱木亨弘
○剱木国務大臣 しばしば申し上げますように、評議員会のメンバーを、学術会議から推薦した者をもって充てるというようなことになりますれば、評議員会の構成について、他の部分から充てる者についてもやはり法規上規定しなければならない状況になると思います。また、かりに学術会議から何名ということを法律上きめますと、学術会議は政府機関でございますから、これは成規の手続を経て学術会議の何か決議をもって選ぶというような形になるのでございまして、実際はそういったような法律的な措置によってこの問題を解決するのでなしに、事実上この学術会議と密接な関係を持ちまして、この業務上において差しつかえがないように運営していくことは私は考えておるのでございます。その意味におきまして、学術会議の責任のある方とお話し合いをいたしまして、そしてこれができました際におきましては、学術会議と振興会との間におきまして常時において連絡をいたしてまいるところの組織でございますが、そういうものをつくってまいりましょう。そういたしますと、たとえば評議員会のメンバーを選ぶにつきましても、あるいはいろいろな業務の遂行につきましても、常時学術会議のほうと連絡会議を開きまして密接な関係を持ってまいる、こういう関係を持ちますれば学術会議も御満足をいただけると考えておりましたし、また事実そういうようなことで私どもの間には話がまとまってまいっております。でございますから、学術会議に対してそういう話し合いを私どもはいたしておりますこと自体によって、私どもは、学術会議はこの法案につきまして御了解をいただいておる、今日そう確信をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/76
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077・石川次夫
○石川委員 学術会議の御了解を得たかどうかということは、この前、参考人の朝永さんはじめ来まして非常に不満の意を表明したということを、新聞で私拝見した限りにおきまして承知しておるわけです。確信を持っていると大臣おっしゃいますけれども、私も学術会議の人の意見をいろいろ聞いてまいりました。まあ大体了解を取りつけておるというような文部大臣の見解とは全然違います。私の聞いた人があるいは片寄っておったのかどうかと思いますけれども、そういうことはございません。非常に不満があります。したがって、了解が取りつけられたと確信しておるということは、これはことばの上だけであって、事実無根です。非常に不満が多い。まあ新聞などでいわれておりますように、学術会議というもがほんとうに日本の学界を正確に代表しているかどうかということについては、私は疑問もあると思うのです。しかしながら、かなり強力な一つの民主的な機関であることは否定できない。ところが、日本の学界を代表しておるかどうか疑問はあるにしましても、文部省が学術会議が左翼部落化するのではないかということの懸念を持って、どうも学術会議というものを疎外する、こういう意図が働いておるのではないかという感じが私はしてしかたがないのであります。その点は、答弁を求めればもちろんそんなことは絶対ございません。こう言うでしょう。だからあえて答弁は求めません。求めませんけれども、どうもその懸念がきわめて濃いということだけは、はっきり指摘できると思うのです。学術会議の意向というものをしんしゃくするのなら、そういうことばの上でろうらくをすると言うと語弊があるかもしれませんが、そういうかっこうではなしに、はっきりした機関として学術会議の意向を反映するということがこの法文の中にも出てこなければ、学術会議としては納得ができないと思うのです。それを具体的にどうするという話は、いまの話では連絡機関をつくるとか、しょっちゅう連絡を密にするということを御答弁になったようでありますけれども、それ以上に具体的な裏づけになる法文というものは、さっきから申しますように全然ないわけです。そういう点で学術会議というものが非常に疎遠にされておるということが、今度の特殊法人の場合にははっきり見える、こう私は言わざるを得ない。先ほど学術局長のほうから御答弁がありましたように、改組についての場合は、役員及び評議員会は、学術会議の推薦する者と、学術会議の了解を得た者で構成をされるというような条件が満たされておったわけですが、今度はそれが満たされていないわけですね。しかもこれは単なる諮問機関である、理事は三名にしぼられるというようなことになっているのです。しかもその業務の内容というものは、いままでのようにきわめて具体的な内容じゃなくて、きわめて抽象的な内容になっている。科学技術行政の根底をくつがえすような危険性まで持っておるような内容を持っておるというようなことになれば、学術会議としては、これに全面的に賛成するなんてことはとうてい言い得るはずがないと思うのです。そういう点で学術会議の了解といいますか、連絡といいますか、これがはっきり取りつけられるような法文上の措置というものは考えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/77
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078・剱木亨弘
○剱木国務大臣 学術会議におきまして、法文上の措置をとるべきだという意見がある程度あったことは事実でございますが、結論といたしましては、その最終段階におきまして政府がいただきました要望書の中にはそういうことはなくて、そして申し入れ書ができたのでございまして、学術会議がその法文を挿入しなければ不賛成ということは私は考えておりません。特にまた、一部の学術会議の方々がこれに対しまして異なる御意見を持つことがありましても、私は、学術会議としましては正規な決議をもちまして政府に申し入れたものを正しいと考えざるを得ないと思います。特にまた、私はこの点について、もし学術会議がそうでないとおっしゃるなら、これは私どもは、実はむしろ逆に学術会議に対して不信感を持たざるを得ぬと思います。それはなぜかと申しますと、こういう条文についての申し入れをしたにつきまして、今後学術会議と学術振興会との間を円満に運営するためには、学術会議のほうから、何らか常時に連絡をしていくような機関をこの振興会の内部に置いてもらったらどうか、これを置く意思はないかということでございましたので、それは御希望でございますならば私のほうではっきりと置きましょう、もしそうしてもらうならばこれで今後連絡がとれるから、それで振興会の今後の運営については私どもとしては異存はございませんということで、はっきり私のほうからそういう運営機関を置こうと申し入れたのではございません。学術会議側からそういうことを申し入れられまして、私のほうで承知をして、そこで話のはっきりとまとまったものをまだまとまっていないんだ、そういうことは事実無根だ、こう申されますと、これはやはり学術会議の会長、副会長と相談をいたしました私自身としましては、そういうことは信じられないことでございまして、学術会議としてそういう今後の運営について十分の連絡調整ができて、そしてまとまって運営ができる、これは両者の間に意見が完全に一致しておる、そうでないという申し入れ、取り消しの申し入れはいままでに聞いておらないのでございますから、そのときに私どもの話し合いが正式にあったものと私は確信いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/78
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079・石川次夫
○石川委員 学術会議の会長、副会長あたりとそういう話をされたかもしれません。それはわかりませんが、それはおっしゃったとおりだといたしまして、これは学術会議全体の意思がそうであったかどうかということについては、まだ私は疑問がある。そういうふうな連絡機関を設けたらそれでいいんだということには、意思の統一は行なわれていないでしょう。そういう正規の会合で全体の意思がそれで了承ということにはっきりなったという何か具体的な事実がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/79
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080・剱木亨弘
○剱木国務大臣 その申し入れ書を持ってまいりまして、それで具体的にはこうしてほしということを申し入れた場合において、私はそれが学術会議の全体の意思であったかどうかは存じませんが、いやしくも会長、副会長、三人おそろいで参った場合において、私どもとしては一応学術会議の意思と、こう考えるのは、これは当然なことだと思います。ですから、もしそうでない、反対決議が起こったということで反対の申し入れをいたしますれば別でございますが、私どもは、やはり学術会議の会長、副会長三人おそろいで参って言ったことについて、これは学術会議の意思として一応——それは意思でないということで話し合いをするということになれば、学術会議との話し合いは今後どうしてもできないことになります。私どもはあくまで会長、副会長と十分話を進めてまいる、これは今後ともやはり連絡の方法ではないかと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/80
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081・石川次夫
○石川委員 学術会議とのそういう交渉のいきさつはいま伺いましたけれども、しかし、それにしてもこの決議、「遺憾のないよう取り計らわれることを第四十八回総会の議に基づき、強く要望する。」という中身の議論の経過というものを私が聞いた範囲におきましては、その程度のもので納得するということにはとうてい考えられない。それとしかも、賛否をとった場合の決の内容は非常に近いのですね。ほとんど同数程度ですよ。だから、これに対して全幅的にその程度のものでいいということにはなり得ないのではないかということは、その表決の内容について見てもわかると思うのです。これは五十対二十とか、二割とか三割とかいうのなら少数意見ということで片づけることができるかもしれませんけれども、第二パラグラフについてだけ、そういう政府の中身にあまり強く干渉するのは学術会議の立場上少し行き過ぎではないか、しかし言うこと自体はわかる、言うこと自体はわかるけれども、そこまで立ち入らなくともいいではないかという非常に温厚な学者らしい意見が反映されて、きわめて少数の差でもって、これは一応表現を変えようということになったわけです。したがって、原案それ自体が絶対反対ということで否決になった性質のものではないという経過から見ますと、いまおっしゃった口約束程度で学術会議の全体が納得するかどうか。いまの形式論からいえば、会長、副会長、三人で来てそこで話をつけたのだから、それで済んだのだということは一応言えるかもしれませんけれども、現実の問題はそう簡単でないということを肝に銘じておいてもらいたいと思うのです。
私は一通りいろいろな御質問を申し上げたわけでありますけれども、二時から科学技術振興対策特別委員会が開会される予定になっておりますし、あと三木さんからも若干関連質問の予定があることになっておりますから、もうこれ以上は申し上げません。
時間のないのは非常に残念でございますけれども、先ほど来申し上げたことを要約いたしますと、学問の自由、学問の進展をはかるために学術振興会を特殊法人にした、こうおっしゃるけれども、現在の予定されるような仕事の内容を考えるとき、特殊法人というものが非常な批判にさらされているときに、あえて特殊法人にする必要は毛頭ないのではなかろうか。こういう点が第一点であります。
それから学問の自由ということを言いながら、その内容に至っては、先ほどから何回も申し上げておりますように、文部省の権限が非常に強化される、こういうわけでありますから、したがって、これは学問の自由とは逆行する結果を招くということが第二点であります。
第三点といたしましては、先ほど申しましたように、科学技術振興対策というものは、科学技術基本法というものを提出することを通じて、基本的にどうあるべきかという大方針を立ててもらいたい、その大方針に基づいて学術振興会法案というものの処置をするということでなければならぬ。その一つの例としてNSFというものにならった学術振興会というものは、米国の科学財団というものが日本の科学技術庁に匹敵するような任務を持って生まれておるものだけに、これになぞらった学術振興会というものは、どういうふうに発展するのかという非常な危険があると私はくみ取れてならないわけであります。したがって、そういう点は、政府全体としてあと一度科学技術振興方策というものの基本的な態度をきめた上において、学術振興会の処置をきめるのが当然ではないか。これは前々から出ていた話で、いま急にこの法案を通さなければならない緊急性というものはないのです。前々から特殊法人にするかしないかという問題はずっと懸案事項になっていて、やっと日の目を見たということになるのかもしれませんけれども、しかし、それだけにそう緊急にやらなければならぬ必要性はないと思うのです。したがって、そういう点は根本的に、あと一回考え直してもらわなければならぬ性質のものではないかということであります。
それからさらに、学術会議との関係でありますけれども、学術会議自体は、これに対して全面的に信頼をしている法案ではないということだけははっきり言えると思う。相当な反対意見があり、相当な不信感がある。したがって、これはただ単に、学術会議との関係をそういう連絡会議を持つことだけで納得させることができるかどうかについては、多くの疑問がまだまだ残されているわけであります。これについて、学術振興会法案については、いわゆる日本科学者会議というところから相当強硬な反対意見が出ていることは御承知だと思うのです。
私は、きょうは社会党の立場でものを言ってはおらないのです。これだけは念を押しておきたいと思うのです。ということは、社会党の立場でものを言うなら、産学協同の問題、日米科学合同委員会の問題、それから軍事科学というものがアメリカから金を持ってきているという問題、こういう問題についてとことんまで言わなければ社会党らしくないと思うけれども、そういうことについては全然触れていない。私がずっといままで申し上げたことは、自民党の某氏が言ったってちっともおかしくない、そういう性格のものだと思うのです。その点をよく理解してもらわなければならぬと思う。
そこで私は、科学技術の基本的な方策を立ててしかる後に始まってもちっともおかしくないのじゃないか、それからのほうが将来の混乱を招かないのじゃないかということを純粋な気持ちで申し上げておるのです。
たいへん自分のことになって恐縮でありますけれども、文部省がやることはこういうことに手を出す前にまだまだたくさんあると思うのです。六・三・三制の問題もありますよ。そこでたいへん恐縮なんですけれども、私は終戦のときに、ほとんど廃墟になった工場での労務課長をやっておりました。そこでこの工場を立て直すには、日本を再建するには何がいいのかと考えましたときに、教育以外にないのじゃないかということで、私の工場はたいへん大きな工場ですけれども、青年学級をつくったわけです。一週間にまる二日かん詰めにしました。これは現場の課長から強硬な反対が出たのです。強硬な反対が出たけれども、どうしてもこれをやるということで三年ばかりやって、戦争中は教育が非常に空白でありましたから非常にのみ込みが早かったというような影響力も出たのでしょうけれども、私は教育の偉大さといいますか、影響力の大きさといいますか、非常に驚いたことがあります。それ以来この教育というものは政治に優先するのだ、こういう考え方を私はずっと持ち続けております。それをなまじっかのしろうとの文部大臣が、なると三日目に、宇宙衛星よりもはるかにむずかしい教育のことに関してかくあるべし、こういうふうなことでしろうとの政治家が教育を牛耳るということは、私は非常に不愉快なんです。教育というのは非常にむずかしい厳正なものです。きわめて重大なものです。そういう点について文部大臣は、いまの学術振興会をつくるよりも、もっと前に熱心に取り組んでもらいたい。
六・三・三の問題にしてもそうです。私はいまの制度がいいとはとうてい思えません。私の子供なんか見ていると、私の学校時代なんかと違って、友情も社会に対する愛情も、まるっきりないような教育制度になっているわけです。これを何とかつくりかえるというふうな、たいへん大きな問題もあるわけです。
それから、私のことばっかり言ってたいへん申しわけないのですけれども、私は現在幼稚園で、つまらない頼まれ仲人みたいな園長をやっています。幼児というものに対する影響、これはどう教えたらどう伸びていくか、どう変化していくかということに、たいへんそらおそろしいような感じを私は持っております。こういう問題も含めて、日本の教育の基本的なことはどうかということをやらなければならぬ部面がたくさんあるのです。いま反対の多い学術振興会法案というものは、非常に反動的だという意見が非常に強い。しかも将来の科学技術の方針の中で、これはディスターブするような役割りを果たすかもしれないという危険性を持っているものを強硬に通すということをお考えになる前に、もっと自分の足元の教育というものをどうするかということを考えてもらいたいと私は率直に思うのです。
私は、この学術振興会法案というものはどうしても賛成できません。私は、賛成できないという理由は、きわめて大ざっぱでありますけれどもいま申し上げましたから繰り返しませんが、どうか日本の科学技術振興の基本方針を立てるということを待って、この振興会法案と言うものを再度考え直してもらいたいということを私は強く要望したいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/81
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082・床次徳二
○床次委員長 三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/82
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083・三木喜夫
○三木(喜)委員 きょうは、科学技術対策特別委員会と非常に関係の深い問題でございますので、特に連合審査をお願いしたわけでございます。非常に御熱心にいろいろ御意見とかあるいは御答弁をいただいたわけなんですが、私は文教委員会にも所属しておりますので、時間もないことですし、文教委員会の場をかりて御質問さしていただくのがいいのじゃないか、こういうふうに思います。しかしながら、大臣に二人並んでいただくことはちょっとありませんので、ほんの骨子だけ聞いておきたいと思います。
いまお話を聞いておって、わからぬことが二、三ありましたのでその点について聞いておいて、後日御質問申し上げたいと思います。
いま話を聞いておりますと、学術ということと基礎研究ということと応用研究ということが、どうも混線した話のように受け取れるのですが、ひとつ大臣にその点をはっきり聞いておきたいと思います。学術振興というのですから、学術とは何か。それから、あなたがしばしばお使いになっております基礎研究、それから応用研究、これをひとつ、私わからなくなってしまいましたから、お教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/83
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084・天城勲
○天城政府委員 学問的に申しますと、いまおっしゃった基礎研究、応用研究、その結びつき等については、いろいろな御意見があるようでございますが、私たち学術と申しますときには、法律上では、「人文科学及び自然科学並びにそれらの応用の研究をいう。」という文部省の設置法の規定がございますので、この考え方でおります。
科学ということばもあるのでございますが、科学の法律上の定義というものはどこにも見当たらないわけでございまして、日本学術会議法におきましても学術と科学を同一のものとして取り扱っておりますので、一応学術と科学は同一のものと考えておるわけでございます。
科学技術ということばもこれにございますが、これも法律上の定義はございません。したがいまして、学術と科学というものを同じように考えておりますし、これには基礎研究と応用研究を含んでおる、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/84
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085・三木喜夫
○三木(喜)委員 もう一ぺん局長にお聞きしますが、学術の中に基礎研究と応用研究を含んでおる、こういうふうに理解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/85
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086・天城勲
○天城政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/86
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087・三木喜夫
○三木(喜)委員 大臣にひとつお聞きしておきたいのですが、この御答弁を見ますと、こういうようにおっしゃっておる。これは小林さんに対する答弁だったと思うのですが、「学術振興会がねらっておりますのは、そういう産業界の応用研究という面ではないので、本質的には基礎研究に属するものでございます。」。それからこの法律案によりますと、法律の中にはこういうように書いてあるのです。二十条、「学界と産業界との協力による学術の応用に関する研究に関し、」と、こう書いてある。同じことですか、「産業界の応用研究という面ではない」。産業界が要らないような応用研究というものがあるのでしょうか。独立した応用研究というものが——たいがい結びついておるように思うのですがね。大臣の答弁はそうなっておるのです。それからこの法文のほうは、「学界と産業界との協力による学術の応用に関する研究に関し、」と、こうなっておる。どんなように違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/87
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088・剱木亨弘
○剱木国務大臣 それは、学術振興会がねらいますのは大体が基礎研究でございますけれども、産業界との共同研究の場合におきまして基礎研究というものをねらっておるというふうに私が答弁いたしましたとしたら、それは私の言い誤りであったと存じます。もちろん産業界との提携におきましても基礎研究に属する面もあるかと存じますが、しかし、産業界との提携におきましては、この条文にありますように、応用に属する場合が大体多いかと考えます。もし私がそういうふうにお答えしたのなら——速記録でございますから申したのは間違いないと思いますが、もしそうでございましたら私の答弁の誤りでございますから、お許し願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/88
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089・三木喜夫
○三木(喜)委員 これは基本的な問題でして、いま局長のほうからああいう定義を出されて、その定義と大臣の答弁とは食い違っておる。これは先がた私、二階堂長官に申し上げましたように、ビッグサイエンスになってきた、そうしますと基礎部分を掘り下げなければならぬという、これはこの間の科学技術対策特別委員会で十分に論議したと思います。それから学者も呼んだり、さらにまた産業界からも参考人に来ていただいて、そこで集約された意見は、ビッグサイエンスになればなるほど基礎研究をしっかりやらなければいかぬ、こうだったのです。そこで、科学技術庁と文部省の役割りはさい然と分けることはできません。しかしながら、科学技術庁ができたときに、大学の問題だけは文部省でやりなさい、これは基礎研究を主体に置いての考え方だったのです。しかしながら、いま局長の言うように、応用研究も含んで学術といいます産業界の目的的なそういう研究もやる、こういうように聞こえますから、科学技術庁長官、私はあなた方の分野の中に入っていくと思うのです。だから、この前の科学技術対策特別委員会のときに、文教委員会ではどんどんこれが審議を進められ、しかも科学技術庁の申し入れか何かに振り向かず、学術会議の話もありましたが、学術会議もそでにして、あとからひっつくとかなんとかいう話もありますけれども、いまは完全な不満のもの、民間の学術研究の一番中核をなすところの学術会議の意思を踏みにじって——私、踏みにじってと言います。そうしてこれをつくろうとするその意図は那辺にあるかということなんです。これは、科学技術庁長官、あなたは連絡をとってこうこうと、なかなかことばはうまく言われますし、それから文部大臣のほうは官僚答弁で、非常にそつのない答弁です。しかしながら、中身は何にもない、こんな答弁で、大臣が二人とも日本の学術と科学技術とを握ってもらったら困るという基本的な問題だから聞いておるのです。それに大臣は、学術振興会法を出してきたのに、学術とは何かということで、基礎研究だけだったのだ、それならば私はいいと思うのです。局長のいまの答弁は違うのです。両方を踏まえておるわけなんです。だから、科学技術庁の中に足を入れたと言うのです。科学技術庁長官、ひとつ見解を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/89
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090・二階堂進
○二階堂国務大臣 ビッグサイエンス、ビッグビジネスになっても、基礎研究は、当然大事なことは先般も申し上げたとおりであります。また、基礎研究の部面になりますと、大学が中心になって従来もやってきたし、また今後も私は行なわれるものだと思っております。この学術振興会ができたといたしましても、この振興会が基礎研究から応用まで全部取ってしまって、そうして科学技術庁の仕事を骨抜きにするというようなことは、私は、文部省としてもお考えになっていないと思っております。科学技術ができたゆえんも、やはりこれは科学技術政策に関する長期的な計画あるいは政策をきめて、そうしてこれを進めていく、こういうことをやるために科学技術庁ができたと思っております。したがって、振興会ができて、そして振興会がもっぱら基礎研究に関する部面、あるいはそれに関連する学界とかあるいは産業界に助成の措置をとって研究を進めていくということは、私は、そのことによって私の所管する科学技術庁の仕事が将来なくなっていく、こういうことにはならないと思っておるし、また、科学技術に関する責任者というものは今日大臣を置いてやっておりまする以上、私はそういうことにはならないようにつとめていくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/90
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091・三木喜夫
○三木(喜)委員 ならないようにつとめていただきたいと思います。自然現象のように、ならないだろうと思いますというようなことでは困りますよ。どうかしないようにします。これでけっこうです。いわゆる調整局なんかの仕事がこの法律案によってだんだん拡大されていって、そうして冒頭申し上げましたように、科学技術庁は原子力だけでいい、原子力省に将来なるだろう、こういうようなことをいわれておるわけなんです。責任ある人が方々で発言しておる。これはきょうはそこまで触れませんから、次にこういう問題から文部大臣にお聞きしたいのですが、産業界の要請——あなたは文部大臣の基本的な考えの上に立って基礎研究と、こういうように思っておられた。私はそれは正しいと思うのですけれども、このうしろには産業界、きょう何回もお話が出ました日米協力、この二つのかせがこの法律にははまっておるわけです。こういうところからの考え方というものが、やはり左右してきたということはいなめないと思うのです。この論議はきょうはやめます。
次に、資金の面ですけれども、これは三十一条にこういうことが書いてあるのです。「振興会の財務及び会計に関し必要な事項は、文部省令で定める。」、大事なところを逃げてしまっておるのです。その資金がどこから出てくるかということで、今後政令で何ぼでも拡大できますし、あるいは現在問題になっておるところの米軍の資金でも、この中を通せばいけるのですね。これは科学の振興のためだからということで米軍からもらっても、ここの一つの入れものを通しますとそういうことも可能なんです。あるいは米国の財団からももらえますね。それから、いまたいへんなことが大学で行なわれておるわけなんです。これは文部大臣御存じでしょうか。いわゆる青田刈り、優秀な技術者を各産業界は先取りせんならぬために、しかるべき責任者が大学の研究主任のところに行って、研究費と称していままでは三十万円、現在は五十万円置くのです。そうして、いい人材に対しましては先につばをつけておく。そのお礼として、いわゆるあいさつ料として五十万円を出すわけです。スカウト料ですね。そうすると、こういう金も、将来そういうことはだめだということになりますと、勢いこのプールした中に入れてしまうということになる。この沈でん池の中に入れてしまう。沈でんさせてしまって、何やらわからぬようにしてしまう、こういうことも可能だと思うのだが、これは局長から御答弁をいただきたいと思います。政令の中にはどういう金を今後入れるつもりなのか。これはあなた方、自由自在にこれから拡大したり縮小したりできるでしょう。どういうつもりを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/91
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092・天城勲
○天城政府委員 振興会の財務関係の規定は、第五章の二十二条以下に規定がございまして、それに基づいて行なうわけでございますが、したがいまして、文部省令で考えておりますのはこれ以外のことで、たとえば経理原則でございますとか、予算、決算、借り入れ金、財産の処分、こういうことについて定めることになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/92
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093・三木喜夫
○三木(喜)委員 どこから金を入れてくるかというと、政府の資金はわかりました、これは一億円今度出るのですから。それから日米の協力によるところの資金三億円、しかしながら、これは特殊法人になるために将来大きくなります。私、きょう聞いておって、したがってそれだけの管理体制を整えておかなければいけない、この管理体制を整えるために大臣の権限を強化いたします。これが筋書きなんですね。そして人材——これをもう少し意訳いたしますと、配分のできる、学術振興の件に関してわかる人をそこに据えて、そして公平なといいますか、重点的なといいますか、日本の要請に合うたところの研究資金の配分をやりたい、こういうことなんですけれども、その原資になるものはわかりましたけれども、まだほかの、私が言いましたやつをその中に入れるのですか、入れぬのですかということです。米軍からもらった、あるいは産業界からもらった——産業界からもらったのも入れるのでしょう、前からの振興会をそのまま受け継ぐのだから。そしてあいさつ料なんかは、やはりずっとやらしておくのですか。これもみな吸収するのですか。その辺はもう少し具体的に言ってください。あなた、文教の行政官ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/93
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094・天城勲
○天城政府委員 御質問の意味が私、十分読み取れない点がございますので、あるいははっきりしたお答えにならないかもわかりませんが、要するに、いまのお話は資金計画の問題ではないかと思うのございますけれども、資金計画というものを当然振興会としてつくらなければならないわけでございます。これは二十三条にも書いてございますように、毎事業年度、事業計画、予算、資金計画を作成するということになっておりますので、事業をいたす以上は、資金計画と予算が当然つくられるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/94
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095・三木喜夫
○三木(喜)委員 それでどこから出てくるのですか、もうちょっとはっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/95
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096・天城勲
○天城政府委員 資金の出どころは、国の補助金と、それから特殊法人でございますから民間の寄付金、あるいは現在のところは手数料その他の財源ということになっております。いまお話しの米軍の資金とか、それからあとおしっしゃられたことの意味が私どうもよくわからないものですから、この上にどういうふうにあわせてお答えするのか、ちょっとお答えしかねておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/96
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097・三木喜夫
○三木(喜)委員 現在はというて、現在まだないのですよ。現在はないのですから、どういう心組みがあるか。まだこの法律、してないのでしょう。現在はそういうものです。私が考えておるのはそういうことです。文部省が考えておるのはそうだと、文部省の責任でものを言うてください、現在はということでセクションを置かぬと。将来はこれこれの金も入ります。こういうように答えていただきたいのです。たとえばいま問題になっておる米軍の資金なり、あるいは米国の財団の資金なり、どうなるのですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/97
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098・天城勲
○天城政府委員 ちょっとその辺が私よくわからないのでございますが、振興会が事業計画と資金計画をつくるわけでございます。現在——現在ということばがまたおしかりを受けるかもしれませんが、現在の時点で考えれば、国庫補助金と寄付金、手数料その他の収入が予定されておる、こういうことですから、米軍の資金がここへくるということを前提にして私たち何も考えているわけではございません。ただ、資金がどこからくるかということは、今後の財団の計画の立て方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/98
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099・三木喜夫
○三木(喜)委員 三十一条にこう書いてあるのですよ。「振興会の財務及び会計に関し必要な事項は、文部省令で定める。」となっているのですよ。だから、振興会がやりますというような、そういう逃げ口上はできませんよ。文部省令というのはあなた方が出すのじゃないですか。だから、どんな計画があるかと聞いているのです。現在のところは振興会だ、振興会に逃げたらだめですよ。文部省がこれをリモートコントロールして、資金でも文部省がやる、こうおっしゃっておるじゃないですか。だから聞いているのです。長引かさぬでおいてください、時間がたってしかたがないですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/99
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100・天城勲
○天城政府委員 この省令で定める内容は、他の法人の例で申し上げたら具体的になろうかと思いますけれども、経理原則、経理方法、予算の内容、それから収入支出の予算のやり方、予備費、資金計画の作成、それから予算の認可等、一種の会計手続を規定するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/100
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101・三木喜夫
○三木(喜)委員 これは監督官庁として重要な問題をあなたはおっしゃった。そういう規定をやるにしても、その資金の内容たるや、これは一番大きなネックになるのですよ、どこからくるかということで。それをあなたはいまぼかしてしまっておるのですよ、私らには責任がないとか。責任はありますよ。これだけ、米軍の資金だとか産業界と密着し過ぎるとか、こういうようなことを言うておるのだから、それはもう入れないというのなら入れないと言うてください。はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/101
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102・天城勲
○天城政府委員 どうも私隠しておるわけでも、ぼやかしておるわけでもございませんで、要するに、つくりますのは一種の会計経理の規則でございまして、振興会としては資金計画をつくる、それについて国は国庫補助を出しますということを考えております。あとは、いままでの財団法人の実績から見ますと、民間の寄付金と、それからここで行ないます事業の手数料の収入があるということを申し上げておるわけでございます。米軍の補助金がここにどうやって入って、それを文部省がどうするかということは、何も法律上も、それから現在のところも考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/102
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103・三木喜夫
○三木(喜)委員 二十三条に、やっぱり文部大臣の認可を受けなければならぬと書いてある。資金計画を作成して認可を受ける。その資金計画の中にそういうものが入ってきた場合にチェックするのかどうかということは、やはり基本方針がなかったら——こういうようにやかましくいま言うておるのでしょう、学術に対して米軍資金がきたとか、それから産業界からつばつけ料として五十万円置いていくとか、認可の基準をやっぱりはっきりしておいてもらわなければいかぬ。やっぱりこれは監督官庁の責任で、それで聞いておるのですから、だれがきめるのだ、彼がきめるのだということで逃げを打ったってだめですよ。無責任です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/103
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104・天城勲
○天城政府委員 文部省令で定める会計、財務のことでございますので、省令だということで申し上げて、資金計画については、最初から申し上げておりますように、法律の二十三条で、つくって文部大臣の認可を受けなければならぬということを私ちゃんと答弁申し上げております。したがいまして、資金計画がくれば、文部大臣は、その予算と資金計画で事業ができるかどうかということを検討して、認可するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/104
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105・三木喜夫
○三木(喜)委員 どうもあなた、私の言うておることに対しまして答えておらぬ。それは文部大臣がやるから私は知らぬ、こういうことなんですか。文部大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/105
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106・剱木亨弘
○剱木国務大臣 実は財団法人の場合におきまして、今度やる事業の中で、学界と産業界との協力によりまして、産業界とタイアップして研究をするという部面がございます。これにつきましては、いままでの仕組みとしましては、財団法人の場合は維持会員というのをつくりまして、各産業界から一定の寄付金を募集しまして、それを財界とタイアップする研究面に使ってまいったのでございます。今度の予算的措置におきましても、この財界とタイアップして研究する部面につきましては、予算的措置をいたしておらぬのでございますので、今後これができました場合に、維持会員の制度をどういうふうにこの特殊法人に取り入れていくか、今後その方法と、いわゆる寄付金の受け入れですね、財界の維持会員のほうの受け入れの関係を検討してまいりたいということになっております。
ただ、いま先生がおっしゃいましたように、たとえば日米の合同研究の場合におきましても、日本政府は二億出しておりますが、日本政府の二億出しましたのは、日本側の経費に全部充当します。それから米国側が出します金は、米国側だけが使うだけにいたすのでございまして、全然振興会の経費とは関係ないように処置をいたしておるのでございます。この学術振興会の業務について、外国の軍部からその金をもらうとか政府から振興会の経費をもらうとかそういった受け入れをするということは全然考ておりません。ただ、産業界の維持会員からもらいます場合におきまして、その維持会員の寄付——先ほども申されました、私どもそういう実態はわかりませんのですけれども、そういうことがあるのかどうかも聞いたことがございませんけれども、産業界が寄付するという場合におきまして、寄付の内容等について精査して、この寄付金は受け入れないとかそういうようなことは、ちょっと規定しにくいのじゃなかろうか。だから、産業界のほうからの寄付金というのは、今後振興会ができましてもやはりある程度受け入れていきますし、受け入れる体制は、どういう形をとって受け入れていくかということを検討してまいらなければならぬ。いわゆるいままでの維持会員、財団法人の場合のものを引き継ぐかどうか、これはまだ引き継ぎ方におきまして検討を要する点があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/106
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107・三木喜夫
○三木(喜)委員 局長、これは答えていただけると思うのですが、私いま付随的に申し上げましたね。青田刈りの意味で五十万円を置くとか三十万円を置くとかいうあいさつ料ですね、そういうものについては、大学側では、まあ公式には喜んでおるわけではないでしょうけれども、非公式に、それはやっぱり全部に均てんするようにして、そうして研究費に使っておるようです。研究費の貧弱さからそういうかっこうが出ておるようです。しかし、これとても資金の多い、そうして融通のきく会社は、いい人をどんどん引き入れていけるし、青田刈りという問題と非常に関係があるのですよ。だから、これは何とか研究して、いけない点がありましたら、とめてもらえますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/107
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108・天城勲
○天城政府委員 ちょっと私まだよくわからないのでございますけれども、学術振興会といまの青田刈りというお話の関係が私にはちょっとつかめなくて、ここは援助団体でございまして、特定の大学のいまの研究室との関係が私にはどうもつかめないということを申し上げたわけでございます。そういう個々の問題をここはやるところではございませんですから、ここにいわゆる青田刈り……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/108
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109・三木喜夫
○三木(喜)委員 あなたの説明で付随しておるから、ちょっと聞いているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/109
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110・天城勲
○天城政府委員 一般に大学が受ける寄付金の問題でございますね。これにつきましては、学術奨励寄付金の受け入れ制度がございます。大学で特別会計にその制度がございますから、全部これに入れて、国はそれに相当する金を出すという制度を定めております。これは実際の場面において若干守られていなかった実態もございますので、最近もそのことにつきまして大学とも十分話をいたしましたし、国大協につきましても、その点の励行についての新しい申し合わせをいたしておるわけでございます。制度的には、その奨学寄付金制度のワクに入ってくるわけでございます。そこですべてのことが明らかになって、それに対する判断を、第一次段階は大学がいたすということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/110
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111・石野久男
○石野委員 ちょっと関連して大臣にお尋ねします。
いま三木委員から質問になっております資金をどういうふうに見るかということの中で、第二十三条は、文部大臣の認可を受けなければこの資金計画が通らないわけですね。そこで、この振興会の中に、やはり維持会員といいますか、民間の者が入ってくる。民間といっても、その考え方がいろいろあろうと思うのです。ことにいま心配しておる日米の関係などが出てまいりますと、これをどういうふうに見るかということが非常に大事になってきます。
大臣にお尋ねしますが、認可する場合に、外国からのそういう援助が日本の民間を通して入ってくるようなことが明らかにある場合、あるいはまた、民間という名において外国の民間の団体が入ってくるとか、あるいはすでに研究の中に出ておるアメリカの軍事的な援助というようなものが出たり、そういうようなものに対して大臣はそれをやはり認めるつもりでいくのかどうか、こういう点、認可基準の中で大臣の考え方はどうなのかということを聞いておきたいと思うのです。法律の中にはそういうことがまだ明確になっていないようでございますから、これはひとつはっきりしておかなければいけないのじゃないか、 こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/111
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112・剱木亨弘
○剱木国務大臣 これはやはり特殊法人といたしまして公法人の性格を持つものでございますから、外国の政府なり機関から金を受けるということはあり得ないと思っております。もしそういう資金計画が来れば、これはもちろん断わるべきものでございます。ただしかし、外国の日本以外の組織と申しましても、たとえば国際的なユネスコでございますとか、そういったようなものから事業委託とか、そういったものも起こり得ないとも限らないと思います。こういう場合においてそういう金を受け入れるかどうかということは、具体的な場合において判断をしてきめるよりしかたがないのではないか、そういうふうに私は現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/112
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113・石野久男
○石野委員 その場合、大臣は、たとえばユネスコ等のようなところからそういう資金が出てくるという場合の判断は、大臣が個人で文部大臣としてやることになりますか、それともやはり政府とかあるいはその他の国の、国会とかなんとかいうものにはかるようなかまえを持たれる所存でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/113
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114・剱木亨弘
○剱木国務大臣 現在でも、政府機関でありましてもユネスコから委託を受けまして、その金を受け入れて事業をやっておる場合がございます。でございますから、その性質のいかんによりましては、私の判断によりまして認可するかどうかきめていいのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/114
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115・三木喜夫
○三木(喜)委員 研究資金の配分問題について湯川さんの素粒子の研究班の問題と、さらにまた、特殊法人のあり方として朝永さんのサイクロトロンの問題、こういう問題については、この法案とも関係も深いですししますので、関連させつつ文教委員会でまたお聞きしたいと思います。
それから学術会議との関係のあり方も、最終的にはなかなかうまく答弁されましたが、なぜその答弁をなさるやり方を最初にやられなかったかということは、非常に私遺憾に思いますので、この点も学術会議の方々の考え方とわれわれの考え方とあわせて、きょうはもう時間もありませんから、後日質問をさしていただきます。これで保留といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/115
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116・床次徳二
○床次委員長 これにて本連合審査会は終了いたしました。
午後二時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505080X00119670712/116
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