1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月九日(火曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 大坪 保雄君
理事 安倍晋太郎君 理事 大竹 太郎君
理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君
理事 神近 市子君 理事 岡沢 完治君
加藤 勘十君 中谷 鉄也君
西宮 弘君 三宅 正一君
横山 利秋君 小沢 貞孝君
沖本 泰幸君 松本 善明君
中尾 栄一君 松野 幸泰君
出席国務大臣
法 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
法務政務次官 井原 岸高君
委員外の出席者
法務大臣官房司
法法制調査部長 川島 一郎君
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局長 矢崎 憲正君
専 門 員 高橋 勝好君
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四月二十四日
委員横山利秋君辞任につき、その補欠として畑
和君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員畑和君辞任につき、その補欠として横山利
秋君が議長の指名で委員に選任された。
五月二日
委員重政誠之君辞任につき、その補欠として藤
波孝生君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
委員下平正一君辞任につき、その補欠として中
谷鉄也君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員中谷鉄也君辞任につき、その補欠として下
平正一君が議長の指名で委員に選任された。
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五月九日
司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正
する法律案(内閣提出第一一二号)(予)
は本委員会に付託された。
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四月二十四日
外国人登録証明書の国籍欄書きかえ等に関する
陳情書外一件
(第一四一号)
長崎刑務所浦上支所の移転促進に関する陳情書
(第一四二号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関す
る法律案(内閣提出第八八号)
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第四四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/0
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001・大坪保雄
○大坪委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/1
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002・大坪保雄
○大坪委員長 まず、政府より提案理由の説明を求めます。田中法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/2
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003・田中伊三次
○田中国務大臣 旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、一般の公務員の恩給の増額に伴い、旧執達吏規則に基づく執行吏の恩給を増額しようとするものであります。
御承知のとおり、執行吏を退職した者には、一般の公務員の場合と同様に、恩給が支給されることになっておりますが、今回、政府におきましては、一般の退職公務員の恩給年額について所要の是正を行なうため、その恩給年額の計算の基礎となる仮定俸給年額を、受給者の年齢に応じ、六十五歳以上七十歳未満の者についてはその二〇%を加えた額に、七十歳以上の者についてはその二八・五%を加えた額にそれぞれ改定する等の措置を講ずることとし、恩給法等の一部を改正する法律案を別途今国会に提出いたしております。そこで、退職執行吏の恩給につきましても、これと同じ割合により恩給年額を是正する必要があると考えられますので、その恩給年額の計算の基礎として、一般公務員の仮定俸給年額に見合って定められております現行の十五万三千六百円を、受給者の年齢に応じ、六十五歳以上七十歳未満の者については十八万四千四百円に、七十歳以上の者については十九万七千五百円にそれぞれ引き上げることとし、なお、この措置は一般の退職公務員の場合と同様、本年十月分から実施することとしたのであります。
以上が旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/3
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004・大坪保雄
○大坪委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/4
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005・大坪保雄
○大坪委員長 次に、裁判所定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/5
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006・横山利秋
○横山委員 資料の要求がございます。
いまこの法律案が出ておるところですね、私の聞き漏らしかもしれませんけれども、何か四月に入りまして、最高裁判所が新定員を、下部へ配置を流したという話を聞いておりますが、それは事実でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/6
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007・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 裁判所の定員は、何と申しますか、いわば常時、実情に応じて変更いたしておるわけでございます。いま横山委員、お話のございました、四月にもそれを出したかというお話でございますが、四月にややそれを手直しをいたしましたものを流しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/7
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008・横山利秋
○横山委員 それはいまわれわれが審議をしておる増員のワクを含んでではないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/8
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009・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これはもとより含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/9
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010・横山利秋
○横山委員 そうですか。そうすると、この増員が通過をいたしますと、また増員配置の定員表をお流しになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/10
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011・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 定員表と申しますか、この法律を通していただきますれば、その増員分は当然各裁判所へ配るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/11
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012・横山利秋
○横山委員 ちょっとそれでおやりになっている気持ちがわからないのですが、四月中旬ごろですか、全部に新しい定員をお出しになったということと、この法律案を通過したあとに新しい定員表をお流しになるということとの関係性がよくわからないので、私としては四月二十日ごろに行なわれた新定員表の実態というものを知りたいのですけれども、資料として御提出願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/12
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013・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま定員表というお話がございましたが、一つのまとまった形の定員表では必ずしもないわけでございます。要するにいろいろこまかい、その間に説明と申しますか、注記があるわけでございまして、ただ全体としてある地方裁判所に、裁判官は何人か、書記官は何人かという資料でございましたら提出できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/13
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014・横山利秋
○横山委員 けっこうです。とにかく、法案が出ておる段階で定員変更をおやりになったということの趣旨がわかりませんので、趣旨がわかるように、四月中旬ごろお出しになりましたものの内容を資料として提出をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/14
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015・大坪保雄
○大坪委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本善明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/15
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016・松本善明
○松本(善)委員 この法律案の提案理由にもありましたが、まず最初に、裁判がいま非常におくれている原因をちょっとお聞きしたいのですけれども、一番たくさんの事件ですね、大まかでけっこうですけれども、一番多い事件は何か、答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/16
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017・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 全く白紙的に申し上げまして、どういう事件が多いかということになりますれば、これはやはり道路交通の関係の事件が、件数においては一番多いということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/17
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018・松本善明
○松本(善)委員 一番裁判官の負担になっているといいますか、そういうものは借地借家の事件ではないか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/18
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019・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま松本委員のお尋ねのございました点は、これは実はまことにむずかしい問題でございまして、先ほど申し上げましたように、道路交通事件が非常に多いと申しましても、これは御承知のとおり、比較的簡単に片づく事件でございます。それに対しまして、やはり民事訴訟及び刑事訴訟の本案事件、訴訟事件が非常に負担になるわけでございます。ただ、その中で一体民事と刑事とどちらが負担になるかということも非常にむずかしい問題で、たとえば民事事件で、すぐ自白のある事件は非常に簡単でございますし、刑事事件の場合でございますと、自白がありましても、量刑等の考慮が要りますので、そういう点ではむしろ民事事件のほうが簡単でございますが、しかし、一般的に申しますれば、やはり民事事件のほうがなかなか骨が折れるという感じも持つわけであります。ただし、大きな事件、公安事件でございますとか、あるいは選挙事件でございますとかいったものは、刑事事件ではむろん非常にたいへんなわけでございます。民事事件の中で、どの種の事件が骨が折れるかというのも、これも松本委員つとに御承知のとおり一がいに言えないわけでありまして、確かに御指摘のとおり借地借家事件などは、金銭事件等に比べますれば比較的負担になる事件と思いますが、しかし、それ以外の人事事件で風なかなかたいへんなのもございますし、金銭事件でもたいへんなのがございますので、一がいに累計によってどの事件が大きな負担かということはちょっと申しにくいのではないかと考えられるわけであります。これでお答えになっておるかどうかしりませんが、ちょっといまのお尋ねについては、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/19
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020・松本善明
○松本(善)委員 事件の難易ということではなく、事件の件数が普通借地借家事件が六割近く、あるいはもっとあるかもわかりませんが、裁判所の事務量を圧迫しておるのではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/20
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021・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 その点も、件数だけから申しますと、たとえば手形訴訟事件が圧倒的に多いわけであります。ただ、これも御承知のとおり、手形訴訟は簡単に片づくものは簡単に片づくので、件数だけではちょっと申せないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/21
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022・松本善明
○松本(善)委員 法務省にお聞きしたいのですが、この法律案を提案するについて、裁判所の事務量が、単に裁判官の手不足ということだけでなくて、あるいは借地借家、住宅政策ですね、政府の住宅政策であるとか、あるいは中小企業の倒産であるとか、そういうようなことが裁判所の裁判を圧迫をしておる。そのために裁判官が非常にしわ寄せを受けておる、こういうような点について、政府として検討したことがあるかどうか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/22
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023・川島一郎
○川島説明員 一般的に、現在訴訟が遅延の状況にあるということは、言えると思います。その原因といたしまして、戦前に比べまして、事件がかなり増加しておる。それから、事件がかなり複雑になっておるというようなことが言われております。この事件の内容は、いま、いろいろ裁判所のほうからも御説明がありましたように、一口には言えないわけであります。借地借家の事件が、戦後非常にふえてきたということは事実でございますし、統計の上から見ましても、第一審裁判所におきましては、借地借家関係の要件は、一割ないし二割程度であるけれども、これが控訴審、最高裁というふうにいくに従って、ややふえておるというということは、借地借家の事件が、それだけ解釈に手間どるということになっておると思います。
これに対する対策といたしましては、裁判所とも御連絡して、できる限りの施策を講じていく必要があるというふうに考えておりますが、政府といたしましては、まず、裁判官の増員が必要である。これは臨時司法制度調査会の意見書にも述べられております。増員ができる限度で必要であろうというふうに考えておるわけであります。しかし、この増員は、裁判官の給源という関係でかなり制約がございます。一度に二百人、三百人というふうに増員することはむずかしいので、過去十年くらいの間に、裁判官の数にいたしまして二百名程度のものがふえておるわけでございます。このように、少しずつ現実の時点において可能な増員を行なっていくということが一つの方策と考えております。そのほかに、たとえば裁判官の補助機構の整備、調査官とか書記官の増員ということが考えられます。これも実際に少しずつ増加が行なわれております。それから、裁判官の執務環境の改善、こういった点も予算的措置を得て、逐次実施されておると考えております。大体そういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/23
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024・松本善明
○松本(善)委員 この問題は、法務大臣がいるときでないと、どうも正確にできないかと思うのですけれども、法務政務次官がおられるので、私のいま聞きました点、裁判官の増員ということでなくて、中小企業の倒産だとか、あるいは住宅問題の逼迫だとか、こういうことが裁判を圧迫をしていないか、そういう点について法務省や何かでは、考えたことがあるかどうかということをお聞きしておるので、政務次官にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/24
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025・井原岸高
○井原政府委員 法務省としては、いまおっしゃるような住宅政策、中小企業のいろいろな紛争の問題、そういうもろもろの問題を含めて、今回の増員をお願いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/25
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026・松本善明
○松本(善)委員 これは大臣のおられるときにまた聞きます。
三月一日現在の裁判所の各職種別の定員、そして欠員がどのくらいあるのか、それをお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/26
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027・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いまのお尋ねは三月一日ということですが、二月一日現在の資料をお手元に出しておるわけでございますが、それは法務省のほうから出していただいております参考資料の六ページ、七ページ、これが一般職のほうでございまして、裁判官のほうは三ページ。これは、裁判官のほうは三月一日でございます。一般職のほうは二月一日でございます。一応それで御了解いただければと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/27
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028・松本善明
○松本(善)委員 やはり審理が非常にむずかしくなると、録音機が法廷に持ち込まれたり、速記録に近いような調書がつくられなければならぬということで、書記官の労働強化が非常にひどくなっているというふうに私たち実情も聞いているし、それから見てもいるわけですけれども、その欠員の補充についてはどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/28
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029・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 二月一日現在の書記官の欠員が、この表によりますと、百十七名ということになっておるわけでございます。なお、それ以後にもいろいろおやめになったり、あるいはその他で欠員がふえておるわけでございますが、ただ書記官研修所で研修をいたしておりまして、これが三月末に卒業いたしております。全部で百九十名ばかりの者が書記官研修所を卒業しまして、書記官に任官いたします。したがいまして、この書記官のほうの欠員は、おおむね埋まりつつある、かように申し上げてよかろうと考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/29
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030・松本善明
○松本(善)委員 速記官はどうですか。速記官はむしろ非常に退職しているような状態で、減少しているというようなことも聞いていますけれども、そのための労働強化というようなことは起こっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/30
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031・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 速記官の問題は、いつも御心配いただいておりますとおり、たいへんにむずかしい問題でございまして、これまた書記官研修所のほうで養成はいたしておるわけでございますが、いろいろ適格者を得るための問題等がございまして、必ずしも思うようにはまいっておらない面があるわけでございます。労働強化の点につきましても、確かに速記官をもう少ししっかり配置できればというふうな気持ちもあるわけでございますが、ただ、一面から申しますと、これは速記に付する事件の調整ということも可能なわけでございまして、そういうことは裁判の適正迅速の面から、必ずしも好ましいととではございませんので、今後とも速記官の充実については努力をしてまいりたいと考えておるわけでございますが、まあそういう関係で、場合によりますれば速記に付さずにやるというような面も、ある程度出ておるのではないか、かように考えておるわけでございます。この点は今後とも十分努力いたしたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/31
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032・松本善明
○松本(善)委員 速記官や書記官の中で、書痙病や腱鞘炎というようないわゆる職業病、こういうものが起こっておる状況については把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/32
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033・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 私も間接に承知いたしておりますが、まことに恐縮でございますけれども、これは人事局のほうの所管で、人事局のほうでもっぱらやっておりますので、人事局長をすぐ呼びまして答弁させたいと思いますが、そういうことも耳にはいたしておりますが、その的確な実情をお答え申し上げる資料を、私ちょっと持たないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/33
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034・松本善明
○松本(善)委員 家庭裁判所の調査官が非常に不足で、そのために本来の家庭事件に必要な調査というようなことができていないように、私たち見聞きしているわけです。その点についてはどう考えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/34
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035・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 家庭裁判所の調査官は、ほんとうに家庭裁判所のいわば中心的になっていろいろやっていただいておるわけで、書記官、速記官もむろんでありますが、家庭裁判所調査官については、特に私どもも増員その他をはかる必要があるというふうに考えておるわけでございます。現在のところ、これでも数年周にかなりの増員をしていただいているわけでございますが、しかし何ぶんにもこのほうは書記官以上に資格が非常にむずかしい。適任者を得ることに非常にむずかしい面もございますために、思うとおりのスピードでの増員がはかられておりませんことは遺憾でございますが、それで非常に忙しい思いをしながらやっていただいておるような状況でございます。しかしそのために、特に本来調査すべきものを、手を抜いているというふうには私ども考えてはおりませんけれども、しかしまた大きな面から見れば、そういう形になってくる意味合いもないではないと思いまして、今後ともこの点も努力いたしたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/35
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036・松本善明
○松本(善)委員 これは私たちの部分的な調査ですけれども、家庭裁判所でまともに調査をしているというか、処理をしているのは三〇%くらいで、大部分はそのまま積んであるような形で、事が進まないというようなことも聞いているのですけれども、そういうことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/36
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037・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 お話の点は、少年関係の問題でございますか、あるいは家事関係の問題でございますか、それとも道路交通関係の問題でございますか、いずれかと存じますが、私どもとしては、さような状況にはなっていないと承知しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/37
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038・松本善明
○松本(善)委員 電話交換手については、裁判所の中では一台について二名ずつ配置をしなければならないというようになっているようですけれども、現状はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/38
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039・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 一台のところは、原則として二名ということになっておろうと思いますが、ただその倍率で台数が多い場合にもなってはおらないかと存じます。一台のところでも、きわめて例外的には一人のところもあるいはあるかと存じますが、大体は一台のところは二名のはずになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/39
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040・松本善明
○松本(善)委員 実際、たとえば二台に三名とか、二名というような状態になって、病気になっていても休めない、あるいは年次休暇も生理休暇もとれないというような状態も起こっているということも聞いておりますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/40
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041・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま申し上げましたとおり、一台の場合は、大体二名おると思いますが、二台の場合には、必ずしも四名にはなっておりません。そういう関係で、あるいはやや休暇がとりにくいという面が現実によっては出てまいるかとも存じますが、そういう点は、できる限り、いろいろ自動交換の可能なところはそういうふうな方法もとったわけでございます。そういうところがないところが大部分でございますが、そういう点で、できる限り無理のないようにはやってまいりたいとは考えておるわけでございます。具体的に、あるいはそういう庁も出てまいっておるかもしれませんが、私どもとしては、定員配置上は、なるべく無理のないようにやってはおるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/41
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042・松本善明
○松本(善)委員 この点をかなり詳しくお聞きするわけは、裁判所の中で、たとえば労働基準法違反というような、法律違反というようなことが起こったのでは困る、労働者に保障されている権利が侵害をされているということになっては困るということを考えて言っておるのですけれども、休暇がとりにくいというような、労働基準法で定められているような労働条件が、保障されないというような状態が方々で出ているんじゃないかと思うのですが、そういう点はどうでしょうか。それは、私いろいろ、いわゆる職員の人たちに聞いたりなんかしておる中で、根拠を持ってお聞きしておるわけですけれども、裁判所のほうではどういうふうに見ておられますか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/42
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043・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 私どもといたしましては、定員の効率的な運用ということも考え、また、職員の執務のしやすいような状況ということも考えながら、一座席と申しましても、事件数等も多く、職員等も多くて、非常にひんぱんに電話を利用される庁と、それから比較的台数は多くても必ずしもそうでない庁、あるいは台数の少ない庁というような実態をよく見きわめまして、それに応じて――一人ということはきわめて例外の場合、ごく小さな支部の場合以外はないはずでございますが、二人という場合には、相互に協力し合えば、休暇は十分とれるのではないかという見込みで配置はいたしておるわけでございます。ただ、実際問題として、たとえば、二人一緒におとりになるということになれば、これは無理が生ずるわけで、その辺で、いつも完全にうまくまいっておるというわけにはまいらないかもしれませんけれども、できる限りいまの御趣旨のような、労働者の基本的権利をそこねないようなということは、十分に念頭に置いてやっておるつもりではございます。それがあるいは十分にいってない面があるとすれば、さらに今後とも努力したいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/43
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044・松本善明
○松本(善)委員 汽かん士のことをお聞きしたいのですが、汽かん士は、正規の資格者が一基について二名ずつ必要だと聞いていますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/44
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045・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは二名配置できますれば理想でございますけれども、そうしてまた、実際に北海道等の寒冷地では二名配置いたしておるところもございますが、ただ、あたたかいほろでございますと、実際に汽かん士の方が、その本来の仕事で活動してもらう期間が非常に短いという関係もございますところから、一名しか配置していないところがかなりあるわけでございます。これはいろいろな点でやむを得ない現在の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/45
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046・松本善明
○松本(善)委員 いま全部で裁判所関係に何基あって、汽かん士は何名必要なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/46
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047・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 詳細な数字は、調べまして後ほど御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/47
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048・松本善明
○松本(善)委員 清掃の要員が不足をしているために、一般職員が清掃せざるを得ないというような状態になっているということを聞いていますが、ほんとうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/48
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049・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 清掃関係についても、いろいろ苦心しておるところでございますが、裁判所によりましては、いわば部外の清掃会社に頼みまして、清掃をさせておるところもございます。そういうところでは、結局職員以外の人にやってもらっておることになるわけでございます。これは大都会のごく一部でございまして、大部分の庁は清掃の庁務員を配置いたしておるわけでございます。ただ、実際に職員が清掃を担当しておられるかどうかという問題は、いわば清掃ということの範囲とも関連するわけでございまして、その共用場所等について、一般の職員にやっていただいているということはおそらくなかろうと思いますけれども、自室なり、その付近という場合には、これはいわば自分の机を整理するということの延長のような意味合いもあるわけでございまして、やっていただいている場合もあるのではないかと、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/49
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050・松本善明
○松本(善)委員 あるいは、庁務員が清掃等のために、毎朝一時間あるいは二時間早く出勤しなければならないというような状態が起こっているというようなことがあるということですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/50
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051・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 具体的に、どこの庁でどういうという実情を、必ずしも把握しておりませんけれども、これは耳にしたこともあると思いますし、あり得ることであると思います。これは結局、どういう時期に清掃するのが一番能率があがるかということとも関連するのではないかと考えるわけでございまして、朝早く来たから一日じゅう清掃の仕事があるかというと、必ずしもそうでない場合もあるのではないか。つまり、朝大ぜいいない間にやることが、非常に能率的だという面もあるのではないか、かように考えるわけでございます。事務量からいえば、昼間おやりになっても可能ではないかと思うわけでございますが、それが、能率をあげる意味から、朝早く来てやり、あるいは帰りにやって帰るというような面が出てくるのではないか、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/51
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052・松本善明
○松本(善)委員 朝早く来ると、早く帰っているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/52
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053・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 一般的には、さようなことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/53
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054・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、結局、労働時間が延びていることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/54
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055・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これも実は人事局の所管でございますので、私は、その辺のところを詳細に正確には存じませんが、これは、もし常時そういうふうに来るとなれば、当然超過勤務手当等の問題になってくる筋合いのものであろうと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/55
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056・松本善明
○松本(善)委員 むしろ、常時そうなっておれば、場合によっては、勤務手当だけの問題ではなくて、労働基準法違反になりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/56
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057・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは私どものほうから申せば、つまり、事務量で定員を配置しているわけでございますので、それをどういうふうに仕事をしていただくかということ、そういう点で、あるいは早く来たら早く帰すという処置が考えられるかとも存じますが、その辺のところは、私は詳細には承知いたしておりませんが、定員の面から申せば、これは事務屋に応じて配っている、かようなことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/57
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058・松本善明
○松本(善)委員 一般的にいって、一般職員が清掃をしなくちゃならぬという弱い面が出てくるとか、あるいは庁務員がそういうふうに早く出勤しなければならぬというようになっているとか、そういうような状態については、裁判所は根本的に変えなければならないという問題とは考えていないわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/58
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059・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは御指摘のとおり、たとえば清掃関係の庁務員の負担が非常に過重であれば、増員をするなり、あるいはその他の方法をとるなりして、つまり事務量の適正をはかるということは当然考えるべきことであると思いますし、また、そういう趣旨でいろいろ方策をとってまいっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/59
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060・松本善明
○松本(善)委員 私の調べた範囲では、家庭裁判所の調査官は、昨年百三名増員要求したのに、ことしは三十五名、事務官は三百七名要求したのに二十六名、電話交換手は、昨年百七十三名増員要求したのにことしは二十二名、それから汽かん士は百六十人名増員要求したのにことしは四十三名というように、去年と比べまして非常に少なくしか要求してないということを聞いておるのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/60
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061・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま松本委員からお話しのございました問題は、若干いろいろな問題がまじっておるかと存じますが、まず家庭裁判所の調査官の関係は、確かに昨年度に比べまして本年度は下回る要求をいたしておるわけでございますが、これは、一つには昨年度若干認められたという関係もございますが、もう一つには本年度は家庭裁判所の調査官の補助者として事務官を要求したわけでございますが、そういう考え方についてもむろんいろいろ御批判があろうと思います。私どもとしてもその点についてはいろいろ問題があるということは理解はいたしておりますが、先ほど来御説明を申し上げましたように、何と申しましても家庭裁判所の調査官は相当な能力、経歴の人であり、これの大幅な急速の増員ということが必ずしも容易でないという面と、もう一つには家庭裁判所調査官が現在やっている仕事の中で、必ずしも調査官みずからがやらなくても、補助者にやらせても適正を害することがないというものが含まれておるように考えるわけでございまして、そういう意味合いから、そういう仕事は比較的資格のやかましくない事務官のほうの増員でやっていけないであろうかというような考え方をとりましたために、調査官そのものの要求数が、昨年度より本年度減ったという関係になるわけでございます。全体としての力といいますか、それは別に変わらない。つまり依然としてそれだけのものを充実しなければ、家庭裁判所が適正には運用できないという気持ちではおるわけでございます。
それから行(二)職員のほうのお話しの点は、これも職種によって多少は違いますけれども、たとえば自動車運転手等の場合は、自動車の要求台数とからむわけでございますので、それが動きますと動くというようなこともございます。
それからまたその他の行(二)職員の関係は、庁舎の新営等の関係の工事の進行見込みというようなことも関連いたしますために、そういう数字が動いてくる面もあるわけでございます。さらにはまた庁務員の場合には、たとえば清掃の関係のいわば金額、つまり金でもらって、それでもってまかなうという面もあるわけでございまして、そういうところを全部総合しながらやっておりますことが、たまたま御指摘のようなことにあらわれてまいったかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/61
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062・松本善明
○松本(善)委員 全体として裁判所の職員、特に書記官とか調査官とか、あるいは行(二)の適用者、そういうような人たちの増員についての裁判所の熱意が非常に弱いような感じがするのです。例をちょっと申し上げますと、たとえば、私の聞いておる範囲では、その人たちの定員の問題もそうですか、予算の使い方にしても、たとえばいなかの裁判所で、暖房をとるのに予算がなくて、自分たちで金を出し合って石炭を買って暖房をとっておるというような実情が一方であるかと思えば、一方では、裁判官の研究する部屋に置く足乗せ台が、何か二万七千円もかかる足乗せ台を買っておる。これは全体として均衡が、非常に下に薄く上に厚いというような状態になっているのじゃないか。その結果が、今度の定員に関する法律でも、上のほうの増員ということは出ておるけれども、下のほうについては非常に熱意がないというふうに思うのですけれども、裁判所の考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/62
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063・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま松本委員から御指摘のありましたようなことが一部にでもございますれば、それはまことに遺憾なことでございまして、私どもとしては、裁判官は裁判官として十分な待遇をしなければならないことはもとよりでございますが、同時に、裁判所は書記官、調査官、その他の補助職の職員の方々の協力によらなければ、とうてい運営できないものでございます。特に書記官、調査官等は、裁判所法上にはっきり職務権限もきまっております。そういう意味ではきわめて高い地位の職員でもあるわけでございまするから、そういう方々が自費でいろいろなことをされなければならないというような状況がもしあるとすれば、これは十分に是正するように検討いたさなければならないと考えるわけでございます。
定員の問題につきましては、これは実は相当長期で見ていただきますれば、必ずしも私どもの考えておりますことが裁判官中心であるということにはならないと思うわけでございます。むしろ、たとえば臨時司法制度調査会などでは、裁判官というものは資格の面、待遇の面からもある程度の限度のあるものであるから、これの増員もむろん必要ではあるけれども、一般職補助職員の増員なり充実ということに力を入れよという意見になっておるわけでございますし、私どもも全くそれと同じ考えであるわけでございます。現に本年も裁判官は七名で、一般職は四十七名ということで、単に数の比較だけならかなり多いわけでございますが、長期のあれを見ていただきますれば、ことに書記官等につきましては、数年間にわたりまして二千名近いものを官補から官に組みかえていただくとか、あるいはその他純増自体にいたしましても、これは五年間でも、裁判官のほうは百名程度でございますが、四、五百名に近いものが増員になっておるわけでございます。そういうことで、大いに私どもとしては努力は続けておるつもりでございますが、まだ完全にその成果があがっていないということはむろん認めておりますので、今後とも引き続き努力してまいりたいと思うわけでございますが、ともかく私どもの気持ちは、松本委員のお話と全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/63
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064・松本善明
○松本(善)委員 待遇の問題ですが、いま裁判官を除く一般職員の現在数と、その平均賃金はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/64
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065・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 現在員はお手元の資料に出ておるとおりでございますが、平均賃金は恐縮でございますがただいま手持ちいたしておりませんので、あとで申し上げることにさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/65
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066・松本善明
○松本(善)委員 職員の待遇の改善のために、どういう努力をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/66
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067・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 まず給与の問題でございますが、御承知のとおり人事院勧告によりましてきまるわけでございますので、裁判所の職員も大体それによってきまってまいるわけでございますが、ただ、裁判所の職員の特殊性といたしまして、書記官とかあるいは家庭裁判所調査官には、御承知のとおりの号俸調整がございます。それぞれ職種によって違いますが、一般職の国家公務員よりも何%か割り増しの給与を受けておるわけでございます。
それから執務環境等の問題につきましては、これまた御承知のとおり、二年ほど前から裁判官のための研究庁費というものを入れていただいておりまして、これは裁判官のみのためのものでございますが、しかしながら、こういうものが裁判官に潤いますことは、それの反射的に、つまり従来裁判官に充てておったものを一般職にも充て得る、そのほうに回し得るというような意味合いが出てまいります関係で、そういうことが逐次行き渡ってまいりますれば、相当改善されるかと考えるわけでございます。現状はまだまだ不十分でございますが、今後ともその方向に努力いたしたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/67
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068・大坪保雄
○大坪委員長 松本君、人事局長出席しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/68
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069・松本善明
○松本(善)委員 その問題で、職員団体と十分に話し合いをしているかどうか。労働条件や待遇に関する問題について、職員団体の意見を十分聞いてやっているかどうかという点について、裁判所の考え方を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/69
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070・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 中途で出席いたしまして、前からの御意見を十分伺っていないわけでございますが、職員団体との折衝につきましては、全司法労働組合の中央執行委員と、先方から申し出がありましたときは、これはもうほとんど例外なく会いまして、たとえば六時から九時なり十時なりというような時間を費やして、十分に意見交換はいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/70
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071・松本善明
○松本(善)委員 重要なときには、事務総長なども出るようにしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/71
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072・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 事務総長は、現在のところは直接出ておりません。昔、中央執行委員の中の方に浄書拒否問題で、裁判所の職員でなくなった方が出てきたことがありまして、そのころから人事局長がもっぱら会いまして、そしていろいろ意見を聞く、意見を交換するという慣行ができておりまして、それで今日まで及んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/72
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073・松本善明
○松本(善)委員 本来ならばこれはその使用者、裁判所に働く労働者について団体交渉をする直接の責任者というのは、あるいは最高裁長官かもしれない。少なくとも事務総長くらいが出て、そうして職員の労働条件、待遇について、やはり責任を持って交渉しなければならないんじゃないかと私たちは思いますけれども、その点については、裁判所は別に、人事局長が出ていればいいと、こういう考えでやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/73
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074・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 現在の段階においてはさようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/74
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075・松本善明
○松本(善)委員 それは、変える考えなどは全くないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/75
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076・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 これからの情勢等に応じまして、どのように考えていくか検討いたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/76
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077・松本善明
○松本(善)委員 先ほど人事局長のおられないときに出た問題でちょっとお答え願いたい点があるのですけれども、速記官やあるいは書記官の中で、職業病、書痙だとか腱鞘炎だとか、そういうものが起こっておるということを聞いておりまして、そういう状態がどうだろうかという問題、それから、電話交換手が非常に労働強化になっていて、人数が少なくて、年次休暇や生理休暇もとれない状態だということを聞いております。これらはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/77
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078・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 腱鞘炎の点でございますけれども、現在のところは東京地裁等から、全国で五件ほど腱鞘炎についての報告があるわけでございます。腱鞘炎だけでなくて、それ以外にやはり肩が痛んだり、それから首のつけ根が痛んだりする病気も御承知のとおりあるわけでございまして、腱鞘炎以外のそういうような病気につきましては、全国から二十六件報告があるわけでございます。それにつきましては調査をいたしておりまして、必要のあるものにつきましてはそれぞれのところに鑑定を求めるというようにして現在進行中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/78
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079・松本善明
○松本(善)委員 そういう肩こりだとか腱鞘炎の調査をするときに、思想調査あるいは行動調査のようなことをやっているということを聞いている。たとえば家族構成がどうであるとか、家族全体の収入がどうであるとか、そういうような病気の調査と関係のない調査をやっているということを聞いておりますが、そういう方針がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/79
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080・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 思想的なものに関するものは絶対にやっておりません。それは断言することができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/80
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081・松本善明
○松本(善)委員 もしそういうことがあれば、現地の行き過ぎということになるわけですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/81
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082・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 それはもう思想調査というようなことに結びつけての、そういう腱鞘炎その他書痙等の病気に関連してそういうような調査というものは、これはもう絶対にいたしておりませんから、どうぞ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/82
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083・松本善明
○松本(善)委員 いま裁判所の一般職の管理職員ですね、この指定は現在どのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/83
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084・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 現在のところ、一二%台程度になっているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/84
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085・松本善明
○松本(善)委員 そうすると裁判官を含めますと、全体で何%くらいになりますか、全定員の中で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/85
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086・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官を含めましてのパーセントは、実は計算したことがございませんので、裁判官以外の一般職の管理職と管理職以外の一般職との比率だけを、従来、ポイントとして計算しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/86
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087・松本善明
○松本(善)委員 私の知る範囲では、裁判官を含めますと、約二五%ということになっているというふうに聞いているわけですけれども、そうなりますと、いずれにしてもそのパーセントがこまかく合っているかどうかはともかくとして、大体それに近いものだろうと思いますけれども、四分の一近くの人が管理職というのは、たいへん常識にも反しますし、それから最近のドライヤー報告の趣旨にも反すると思います。要するに労働者の団結権、職員団体の団結権を圧迫をするということになっていくんじゃないかと思います。そういう点についての裁判所の考え方を聞きたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/87
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088・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官は、御承知のとおり、もっぱら裁判のほうに専念いたしておりまして、これは松本委員御承知のとおりでございますけれども、もっぱら裁判事務の処理だけに追われ通しでございまして、いまおっしゃいましたような、いわゆる管理職というものの実態については相当遠いものがございます。したがいまして、そのような趣旨におきます管理職、それから管理職以外の職員というものとの関係におきましては、われわれのほうでは裁判官を除外いたしまして、そして一般職の中での管理職と非管理職というように考えてやってきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/88
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089・松本善明
○松本(善)委員 職員団体の団結権の問題ですけれども、これは裁判所の場合には、特にその団結侵害ということについての不服は、結局最高裁の公平審査ということになっていくということなんで、本来ならば、普通のどの職場でも、この団結権侵害というものを審査するところは別のところになるわけですね。労働委員会なり、あるいは人事院なり、別のところになる。裁判所の場合だけ同じところが判断することになるわけですが、この制度の不合理あるいはこういう実情の中で、裁判所が職員団体の団結権ということについて、特に配慮しなければならない点があるんじゃないかと思いますけれども、そういうようなことについては裁判所どう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/89
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090・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 御趣旨のような御心配もあるわけと存じまして、この委員の選任につきまして非常に慎重に考慮いたしまして、弁護士会の方とか、それから裁判所に関係のないお方を入れまして、そして完全に中立な状態において審査ができるような配慮を十分いたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/90
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091・松本善明
○松本(善)委員 家庭裁判所の問題についてちょっとお聞きしたいんですが、家庭裁判所の独立の専任所長ですね、これはいまどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/91
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092・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 専任所長のおります庁は、現在は十五庁でございます。ただいま国会で御審議いただいております四十二年度予算が通過いたしますれば、もう一庁ふやすことができるという関係になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/92
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093・松本善明
○松本(善)委員 憲法の考え方でいけば、この家庭裁判所は、もっと充実をしていくという方向でなければならないのではないかというふうに思うわけですけれども、この点については、全部を独立の専任所長にしていくという考え方はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/93
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094・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 家庭裁判所を充実強化しなければならないという点は、もうこれは完全に御意見のとおりに、私どももっとにそういうつもりでやっておるわけでございます。ただ、それにつきまして、専任所長がいいかどうかという点につきましては、これはやや技術的な問題になってまいりまして、大きな、たとえば東京とか大阪等が専任所長がいいことは、これは異論のないところでございますけれども、だんだん小さな庁、職員の非常に少ない庁になってまいりますと、かえって小さな都会で頭が二つになってやりにくい面も、実際にはないではないようにも聞いておるわけでございます。その辺のかね合いがむずかしいわけでございます。ただしかし、方向としては専任所長をふやすという方針はきめておるわけでございます。ただ、それにつきましても、やはり所長を専任にいたしますれば、庁舎等の関係、あるいは自動車等の関係、その他それに伴います若干の職員等の関係もございまして、一挙にこれを大幅にふやすということには困難が伴いますので、昨年一庁ふやす予算を計上していただいたわけでございますが、また四十二年度においても一庁ふやす予算を計上していただいておるわけでございまして、今後とも、まだ数年間は逐次増設という方向で進みたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/94
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095・松本善明
○松本(善)委員 来年度について一庁しか認められなかったということは、そうすると、まあけっこうだという趣旨なんですか、それともほんとうはもっとふやしてほしいということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/95
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096・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 これは率直に申し上げまして、当初の要求では三庁ということでございましたので、若干不満があるわけでございますが、ただこれは実は打ち明け話を申し上げますと、三庁にするか、二庁にするか、いろいろ議論があったくらいの問題で、方向は一致いたしておるわけでございますが、その進度という点については、いろいろ関連事項がございますので、やはり堅実にふやしていきたい、そういう意味では、まあ二庁もできればとは思いましたが、一庁でもある程度やむを得ないか、かような気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/96
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097・松本善明
○松本(善)委員 いま、いろいろお聞きした範囲で伺いますと、私どもの知っている範囲と多少違う点もあるかと思いますけれども、しかし、全体としてもっと裁判所が、いまのような時期に司法の独立を守るという観点に徹底をして、人員、予算の面でも、それからいわゆる下級職員といいますか、そういう労働条件というものについて配慮をして、そして財政法十九条の二重予算の問題もあるわけなんですから、もっともっと司法の独立ということについて、真剣な配慮をこの予算の面でも人員の面でもしなければいけないのじゃないだろうか。そういう態度がないということが、いろいろいま裁判所の独立がないじゃないか、政治に従属しているのじゃないかという非難を巷間にもなされておりますけれども、そういう原因をなしているんじゃないかと思います。この前の委員会でもお聞しましたけれども、いま御質問しました経過にかんがみて、この点についての考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/97
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098・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 前回にも松木委員からいろいろ御激励いただきましたし、これは毎国会、法務委員の皆さま方から、与野党を問わずそういう意味での御心配をいただき、御激励をいただいておるわけでございます。これは、あまりに打ち明け話的なことを申し上げてもいかがかと存じますが、予算シーズンにはほんとうに相当なエネルギーを結集いたしまして、またいろいろ各方面のお力添えも得ながら、何とかして少しでも予算を多く取るようにということで努力いたしておることは、これはお認めいただきたいわけでございます。結局、その努力が足りないということに一点はなるわけでございますし、次の二重予算の問題につきましても、これは過去において三回ばかり実質的に二重予算を出す準備をいたしまして、大蔵省にその点を認めさせた事例もあるわけでございますが、本年の場合は、定員の関係ではやや不満の点がございましたけれども、予算全体といたしますると、当初要求の約八五%が認められたわけでございます。営繕関係その他で、まあまあというところを認められましたので、定員の点では若干不満がございましたが、しかし、これはまたお隣の法務省等との関係から申しますれば、私どものほうの増員が純増であるということについては、やはりこれも大いに感謝しなければならない面もあるわけでございますので、そういういろいろな点を総合いたしまして、本年の場合は二重予算ということに踏み切れなかったわけでございます。しかしながら、次の四十三年度予算の場合には、御趣旨を十分体しまして一そうの努力を重ねたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/98
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099・松本善明
○松本(善)委員 きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/99
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100・大坪保雄
○大坪委員長 中谷鉄也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/100
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101・中谷鉄也
○中谷委員 時間もないようですから、簡単に二、三点だけお尋ねをしておきたいと思います。
四月の十人目に大竹委員、それから本日松本委員のほうから、それぞれ質疑がございましたので、私のほうからは時間の関係で二、三点だけなんですが、大竹委員も引用されたのですが、臨司の意見書の「まえがき」のところですけれども、「一方裁判官を志望する者の数は近時漸減の傾向にあり、必要最少限度の裁判官の数を確保することすら困難な実情にあって、わが国の司法制度は、この面において、きわめて憂慮すべき状態にある。」こういうふうなことが記載されているわけです。
そこで、給源の問題として四月の十人目に毛質疑があったわけですけれども、臨司の資料の中に出てくると思いますが、昭和三十五年から昭和三十七年の三年間の、司法修習生の修習当初の希望と修習終了時の就職状況には、かなりズレがあるわけなんです。当初裁判官志望の人が、その後他の志望に変わるというふうなことが統計上あらわれています。ただ私、最近の、したがいまして昭和三十八年以降の資料については拝見いたしておりませんので、そういうふうな傾向があらわれているのかどうか、まずこの点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/101
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102・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま中谷委員から御指摘のありました、当初希望と最終希望とのズレという問題でございますが、最終の希望の数字は三十八年度以降申し上げられるわけでございますが、当初希望との比較は、ただいまここに当初希望についての数字を持っておりませんので的確には申し上げられませんが、しかし、いま中谷委員がお話しになりました三十五年から七年までとそう大きな変化はなかろうというふうに考えられます。やはり当初希望より減っておることは間違いないと思います。
その原因はいろいろ考えられるわけでございまして、またお尋ねによりまして逐次申し上げたいと思いますが、中には裁判官をほんとうに希望しておって、そうして何らかの事情で変更になった方もあるようでございますし、しかしながらまたかなりの部分は、そういう深刻な意味で裁判官を希望されておるというわけではなくて、ともかく研修所へ入るについて、一応裁判官と書いておかれた方もあるようでございます。その点はいろいろに分かれるようでございますが、若干のズレがあることは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/102
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103・中谷鉄也
○中谷委員 いわゆる法曹一元化というようなことで、弁護士の中から裁判官に採用され、それからいま一つ、俗にいわれるキャリアシステムというようなものについて、いろんな論議があることは私も承知しているわけなんです。前回法務大臣が御答弁になりました法務大学構想などというようなことは、これは裁判所としては、もう御答弁をいただかなくても論外だということだろうとは思うのですが、ただ、私、総務局長さんのほうから、やはりこの点については、キャリアシステムがいい悪い、あるいはまた強化するしないというふうなこととは別として、そう深刻な気持ちで――修習当初に裁判官と希望した人が、終了時には、昭和三十五年の場合には約半分、昭和三十六年の場合もほぼ半数、昭和三十七年についてもほぼ半数になっている。これはやはり、何らかの原因というものがある。前回、分科会でも問題になりましたように、スカウトされては私は困ると思うのですけれども、そういうふうな問題について、これはやはり修習制度のあり方にも関連いたしまして御検討をいただきたいと思うのです。若い弁護士、あるいはまた弁護士会のいわゆる委員会などにおきましては、裁判所のいろいろな空気というものが、そういうような傾向を助長しているのではないかというふうな意見もあるそうですけれども、ひとつ裁判所として、修習当初の希望が半分に減ってしまうということの原因は一体どこだろう。この点についてはかなり、こういうことが適当かどうかわかりませんけれども、ひとつ深刻に御検討になっていい問題じゃないか、こういうふうに思いますので、大体の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/103
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104・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 この点まことに中谷委員の御指摘のとおりでございまして、私どもも始終その点について検討、論議をいたしておるわけではございます。
ただこれは、実はその原因というのは、まず非常に個人差があるようでございます。一がいにいえないという面が非常にあるようでございます。それを、ある程度統計的につかめるかという点で、前に司法研修所等でアンケートをとったこともあるようでございますが、一面から申しますと、必ずしもそれが一〇〇%ほんとうの気持ちを書いていただいているかどうかについて、疑義のある場合もあるわけでございます。一面からいえば、どうせ裁判所へ行かないのだから、幾ら裁判所の悪口を言ってもいいというような考え方もあるわけですが、また同時に、何もそういやがらせを言うこともないから、まあていさいよく書いておくという場合もなきにしもあらずのようで、のみならず、個人的に私どもの耳に入ります場合は、どうしてもそこが多少修飾もあろうということで、なかなかその原因を把握しにくい。これはアンケートをとるくらいでは、なかなか十分つかめないのではないかと思うわけでございます。
ただ、それらの点を総合いたしまして考えますると、やはり一つには待遇問題があるようでございますし、その待遇問題の中には、たとえば転勤というような問題もからんでおるようでございます。それから仕事の内容という点もあるようでございます。その辺のところはやっぱり比較的大きな理由ではないか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/104
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105・中谷鉄也
○中谷委員 給与、それから待遇、転勤の問題というような問題については、別の委員会で猪俣委員などから、それが問題じゃないと思うというふうな御指摘もあったわけですけれども、この問題については、この程度にいたします。
非常にこまかい問題について、ひとつ二、三点だけお尋ねをしておきたいと思います。
速記官のいわゆる炎症、それから書痙病、そういう職業病でございますね。こういうふうな病気になった場合に、いわゆる大都会の裁判所も同じ、あるいはそれ以上だと私は思うのですけれども、いわゆる速記官の定数といろのが、ほとんどぎりぎり一ぱいしか配置されておらない。そこで、速記官の一人がそういう職業病にかかった場合に、ほかの速記官のところへ非常に仕事がダブってくるわけです。同時に、そういう場合に、実は私、現実にそういう病気になった速記官の人と話をしたのですけれども、とにかく長いこと休んでおれない、そういうような気持ちといいますか心理にかられるというわけです。ところが御承知のとおり、といいますか、私しろうとでよくわかりませんけれども、こういう病気は外から見ただけでは、とにかくほんとうにその手が動かないのか、痛いのかということについてはよくわからない。あるいは地方都市などの病院などでは、いわゆる書痙病なのかどうか、十分に回復しているのか、あるいはまた再発のおそれがないのかどうかというようなことについては、私はなかなか判定がしにくいと思うのです。こういう点について、そういう心理的になかなか休めないというふうな雰囲気というものは、私非常に困ったことだと思うのです。またその速記官の一生の問題も私関連してくると思うのです。したがいまして、こういうふうな職業病については、特に裁判所のほうでも、大都会の専門の医師に診断をさせ、そして徹底的に治療させるというふうな配慮があってほしいし、またいわゆる後遺症が残るとか、あるいは再発するというようなことがあっても、まさに速記官の人が書けなくなればおかに上がったカッパみたいなものですから、この点についての配慮というものと、それから先ほど松本委員のほうから若干のお話がありましたけれども、先ほど人事局長のほうからお話がありました現在書痙病だという報告があるという、その報告の具体的な資料というものを、やはりひとつ御提出いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/105
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106・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 まことに御趣旨ごもっともと存じます。したがいまして、外部速記のきくような大きな庁では何とかまかなうことのできる問題だと思いますけれども、人数の少ない庁等におきましては、御指摘のような問題も相当起こるのではないかと思うのでございます。できるだけ速記官については充員をしたい、そしてまた御趣旨のような方向で健康管理には十分留意いたしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/106
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107・中谷鉄也
○中谷委員 同じような実際に経験した話で恐縮なんですけれども、甲号支部とか乙号支部の場合でございますけれども、書記官が、ベテランの書記官が病気になった場合に、同僚の書記官のところへ全部仕事がダブってしまう。それで私、どうしているのだと言ったら、もうしかたがない、とにかく自分も倒れるまでやります。こういうふうな話なんです。それで本庁のほうへ書記官の増援といいますか、応援方――用語は正確でございませんけれども、お願いしても、本庁のほうだってずいぶん手が一ぱいだということで、そういうことについて早い措置をしてくれない、こういうような問題がありまして、何か先ほど書記官の数もずいぶん足らないのだというお話ですけれども、特に乙号支部、甲号支部等の場合でも、書記官が病気になった場合には、どうにもこうにも手の打ちようがないというふうな実態については、これは何か特別な措置というふうなものをお考えいただいているのかどうか。この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/107
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108・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 御承知のとおり、裁判所は単位が非常に多いわけでございます。簡易裁判所は五百七十でございますが、それに支部等別々の単位として考えますと、千以上も単位があるわけでございます。一方には東京地方裁判所のように相当大きな世帯もあります反面、御指摘のような小さな支部になりますと事件もかなり少ないわけで、そういうところに常時相当多数の職員を置いておくということは、これはやはりいろいろな関係からむずかしいわけでございます。結局問題は、そういう事故のありました際に、本庁からの応援が適切に行なわれればいいわけでございまして、本庁には、事務量自体からいえば、ある程度それをできないことのない要員というものもあり得るわけなんでございますが、ただ裁判所の場合には、ともかく一応その書記官が本庁なら本庁として配置になりますと、特定の裁判官の所属ということに相なり、それは実際に期日がずっと詰まっておる。したがって、かりに事務量に余裕があっても、応援にはなかなかいきにくいような面がある。その辺が非常にむずかしいわけでございます。そうかといいまして、最高裁のほうでかりに定員を留保しておいて、そこで病気になったから一名暫定的に増員するというふうにしましても、問題は資格の非常にやかましい職種でございますから、実際に書記官に行っていただく人がないということになりかねない。やはりこれは地方裁判所なり所長のほうにある程度の権限は持っていただいておるわけで、そこで適切な処置をとっていただく、それをできるだけわれわれのほうも応援をする、こういう方法によらざるを得ないわけでございまして、そういうことでやっておるわけでございますが、不十分な点はあろうかと思います。十分配慮してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/108
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109・中谷鉄也
○中谷委員 あと一点だけです。四月十人目の大竹委員のいわゆる宅調廃止、研究庁費の予算の問題についての寺田局長の御答弁があるのですが、その中で、昭和四十四年ごろになると、地裁の本庁以上については完全に行き渡るはずなんだ、こういうふうな御答弁があるわけなんですが、現在必ずしもその第一線の若い――第一線ということばが適当かどうかわかりませんが、地裁の若い裁判官にとりまして、宅調が必ずしも全面的に評判がいいというわけでもないと思うのです。と申しますのは、結局裁判所に出てきましても、いわゆる執務、いわゆる研究をするような、現在最高裁判所がお考えになっておるような個室というものはないわけです。必ずしも宅調廃止というものが全面的にいいわけでもない、賛成されているとは思わないのですけれども、これは結局どういうことなんでございましょうか。昭和四十四年には完成する。しかし、その宅調廃止ということは、完成の有無にかかわらず宅調廃止ということになるのかどうか、これが第一点です。
いま一つ、これはまったくことばじりをとらえるようなことで、先ほどの御答弁から私これはそういう趣旨ではないと思うのですけれども、前回の御答弁にこういうふうになっているのです。「結局裁判官の個室というものを準備する、それに図書を十分に備えつける、そういうことによりまして、従来自宅で、あるいは官舎で、すなわちうちへ帰りまして執務をしておりましたのを、できる限り裁判所でも十分仕事ができるような体制にし」、こういうふうになっているのですが、何か先ほどの御答弁の中で若干ありましたけれども、いわゆる図書、これは決して裁判官だけのものではなしに、むしろ書記官の方々なんかにも十分勉強してもらわなければいかぬ。要するに裁判実務の円滑な遂行というのは、書記官の人のいわゆる協力といいますか、力というものが非常に大きいと思うのですけれども、そういうふうな御答弁になっているのでその点が気にかかりました。何か図書がきたら、全部裁判官の個室に備えつけるのだというような御答弁になっておりますが、そういうことではないのだというのが一つ。二つお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/109
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110・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 まず第一点のほうから申し上げたいと思いますが、この宅調廃止ということは、前回の大竹委員のときにも申し上げましたが、世間でそういうふうに説明しますと非常にわかりがいいので、宅調廃止という表現をとっておりますけれども、実は宅調を従来やっておりましたのはきわめて一部の裁判所です。それが非常に有名な裁判所、すなわち東京、大阪、名古屋というような有力な裁判所でありますために、裁判所といえば宅調という連想がされたわけでありますけれども、全体の数から見れば、むしろ宅調をやっていないところのほうが多いわけであります。従来から多かったわけでございます。したがいまして、その宅調廃止ということをいえば、東京、大阪等の問題になるわけでございますが、それはいわばそういう比喩的に申し上げておるわけでございまして、要するに裁判所で執務ができるような体制を整える、こういうところにねらいがあるわけでございます。その体制の最も中心はやはり図書であろう。裁判官にとっては図書であろう。したがって、まず図書をかなり充実するということでございますが、同時にその図書を充実するためには、やはり部屋というものが必要になるわけで、その関係で、いわゆる宅調廃止に伴う増設というようなことも逐次認めていただいておりますし、それからまた大きな部屋でやりますよりも、むしろ小さな個室のほうが便利であるという向きには、その間仕切りの問題等も逐次進めておるわけでございます。そういう要するにいろいろな図書を中心とする物的施設を充実して、そうして裁判官が役所において、庁舎において、完全に執務できる体制を整えようというところにねらいがあるわけでございます。その上で、実際に宅調を廃止するかどうかということでございますが、これは当然そうなれば原則として裁判所で執務が行なわれるようになるであろう、また私ども個人的にいろいろ聞きました面でも、現に東京地方裁判所の刑事部等でもなかなか好評を得ておるようでございます。しかしながら、事柄によりましてはやはりどこかうちの中へ閉じこもって、じっくりやったほうがいいという場合には、いや宅調を廃止したのだから絶対出ていかなければいかぬというところまで考える趣旨でもないと思うわけでございまして、要は、そういう方法でいかにして能率をあげるかというところにねらいを持っておるわけでございます。しかし基本的には、四年間たちますれば本庁においては裁判官が役所で執務できる体制がほぼ整えられるであろう、かように考えておるわけでございます。
それから次に、一般職の関係でございますが、この研究庁費と申しますのは、これは予算上はっきり裁判官の人数によって算定され、裁判官のためにのみ認められた予算でございますから、裁判官以外の職員にこの予算を流用することはできないわけでございます。しかしながら、一般的に裁制所の図書費と申しますものは、この一億八千万のほかに約一億二千万ほど図書費があるわけでございます。これは従来からあったものでございます。ただ、従来でございますと、その図書を相当部分がやはり裁判官が持っていくという面が多かったろうと思うわけでございますが、今度は裁判官のほうは研究庁費によってまかないました図書でやってまいりますので、この一般の図書費で入っております分は、ほとんど完全に一般の職員のために供せられることになるので、そういう意味で、いわば反射的に一般職員の待遇改善にもなり、あるいは執務の合理化にもなる、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/110
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111・松本善明
○松本(善)委員 ちょっと関連して。裁判官の志望者が減っているという問題で中谷委員の質問に対する答えの問題ですが、単に待遇という問題ではなく、本来法曹になろうという人たちは、何らかの意味で正義感を満足しようというつもりがあると思うのです。それが裁判官になる人がだんだん減っているというのは、裁判所のあり方という根本問題に関係するのではないか、これは非常に大きな問題だ、私たちはそういうふうに思うわけであります。そういう観点からの検討というものは裁判所の部内では全くないのですか。これは単なる経済問題だけだというふろに思っているのですか、この点をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/111
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112・寺田治郎
○寺田最高裁判所長官代理者 いま松本委員の御指摘の点は、私どもも、先ほど申し上げましたとおり、決して待遇問題ですべてが解決するというふうに考えておるわけではございません。ただ、一面から申しますと、私、現在はこういう事務を担当いたしておりますが、裁判所におりましたときに、私ども自身は、伸び伸びと何らの制約もなく、完全に独立した気持ちで裁判をはつらつとしてやっておったつもりでございますが、ただ、外からどういう評価を受けるかという問題はあろうかと思います。そういう点でできる限り若い諸君もはつらつとして思う存分にやっていただけるような体制をつくることが、まさに、たとえば事務局の仕事でもあり、ひいては最高裁判所の仕事でもあるわけでございます。そういう点は常に心がけておるつもりではございます。不十分な点はあるかもしれませんけれども、考え方においては全く一致しておると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/112
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113・大坪保雄
○大坪委員長 次会は、来たる十一日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X00619670509/113
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