1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年五月十八日(木曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 大坪 保雄君
理事 安倍晋太郎君 理事 大竹 太郎君
理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君
理事 岡沢 完治君
内海 英男君 加藤 六月君
塩谷 一夫君 広川シズエ君
馬場 元治君 藤波 孝生君
村上 勇君 山下 元利君
加藤 勘十君 下平 正一君
中谷 鉄也君 横山 利秋君
小沢 貞孝君 沖本 泰幸君
松本 善明君 中尾 栄一君
松野 幸泰君
出席国務大臣
法 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
法務政務次官 井原 岸高君
委員外の出席者
法務大臣官房司
法法制調査部長 川島 一郎君
最高裁判所事務
総長 岸 盛一君
最高裁判所事務
総局総務局長 寺田 治郎君
最高裁判所事務
総局人事局長 矢崎 憲正君
専 門 員 高橋 勝好君
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五月十八日
委員瀬戸山三男君、田中角榮君、千葉三郎君、
中村梅吉君及び山口シヅエ君辞任につき、その
補欠として広川シズエ君、塩谷一夫君、内海英
男君、加藤六月君及び中谷鉄也君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員内海英男君、加藤六月君、塩谷一夫君、中
谷鉄也君及び広川シズエ君辞任につき、その補
欠として千葉三郎君、中村梅吉君、田中角榮君、
山口シヅエ君及び瀬戸山三男君が議長の指名で
委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出第四四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/0
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001・大坪保雄
○大坪委員長 これより会議を開きます。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前会に引き続き質疑を行ないます。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/1
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002・横山利秋
○横山委員 私の手元の日本弁護士連合会の機関紙「自由と正義」昨年の十月号によりますと、「司法権独立に関する要望書」というものが弁護士会から出ておるのであります。これを見ますと、要するに交通事犯につきまして、大阪弁護士会会長赤鹿勇氏から大阪地方裁判所所長大田外一殿に送られておるのでありますが、事案の内容は、大阪の交通事犯に際しまして、検察官内部で量刑基準を設定をしておる。ところが、交通裁判所の裁判官がそれに対して、おおむね普通はそのとおりにやっておるのであるけれども、二人の裁判官が良心に従い、憲法及び法律にのみ拘束されるとして、それに対して自由な立場から判決をした。しかるところ検察当局から文句が出て、「二裁判官が自発的に交通切符事件の担当を辞退すると申出た事実を本件事務分配変更の一つの要因とし、司法権の独立に対する侵害がなかったという、裁判所の結論は明らかに不当である。即ち裁判所の説明によっても、二裁判官の辞退申出は、検察当局の異例の措置から一週間を出ずして行われているのであり、事務分配の変更は二裁判官が交通切符事件を担当してから一人については一ケ月半、他の一人については約二〇日しか経過していない間に発生した極めて異常な事柄である。かかる異常な事態をみれば、二裁判官の辞退申出の動機は当然検察官の措置にあると考えるのが条理上、当然である。前示の事実を知る国民には検察官の圧迫と二裁判官の辞退申出との間になんらの因果関係もないとする裁判所の結論は、およそなんらの説得力を持たない弁解としか考えられないであろう。かりに裁判所のいうように、検察当局の新聞発表の如きは、二裁判官には「雑音」としか映じなかったのであって二裁判官の辞退の申出は量刑の不均衡によって生ずる憂慮すべき事態と公判の混乱を早急に回避するためなされたとするならば統一的な「量刑基準」の存在が二裁判官を拘束したと考えざるを得ないのである。裁判官の独立はもとより裁判官個人の利益のために設けられたものではなく、これによって裁判の公正を確保し人権の保障を全うするための憲法上の制度なのであるから個々の裁判官の主観的心情如何によって司法権の独立に対する侵害の有無を論ずるのは誤まりである。従って侵害の有無は、一連の事実そのものから考察すべきであり、国民の判定にまたねばならないことである。以上の理由からして当委員会は、遺憾ながら今回の二裁判官の事務分配の変更は、裁判所自らが司法権の独立を放棄した結果なされたものであるとの結論に達した。かかる事態を招いた原因は交通切符事件の大量処理にあたり一人の裁判官が一日三〇〇件乃至五〇〇件もの裁判を余儀なくされ、そのため裁判の機械的処理が当然のこととされていることにあるといっても過言ではない。裁判をその形骸化から救い憲法の期待する裁判に回復させるためには単に裁判官個人の労苦によってのみ解決さるべきことではなく、むしろ裁判の実情をすすんで国民に公開し、国民の批判を土台として立法的、制度的に解決すべきことであろう。」この最後の結語で、問題の焦点は法務省並びに最高裁判所もおわかりだと思うのでありますが、私は、これはたいへん重大な問題ではないかと思うのであります。法務大臣並びに最高裁判所の本件に関する見解を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/2
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003・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 確かに、ただいま「自由と正義」でお読み上げになったような事柄が起きたことは間違いございません。検察庁のほうでつくっておられるといわれております求刑基準に必ずしも従わなかったということも事実でございます。ただ、ああいう事件は、大体事件の個性というものが少のうございますから、普通の事件に比べますと、大体求刑なりあるいは判決が一致していくという面もあると思いますけれども、しかし裁判はあくまでも個別的なものでなければならないので、当該裁判官は自分の所信に従って裁判をした。それに対して大阪の検察庁から非常に不満があったということもそのとおりでございます。問題は、二人の裁判官が動いたことが司法の自治を害したかどうかということで、大阪弁護士会の決議では、ただいま司法権の独立の放棄とか何とかという、そういうことがいわれておりますけれども、大阪の裁判所の内部の事務分配の問題というものは、あくまでも大阪の地方裁判所の自主的な、自治的な措置できまるわけでありまして、たまたまそういう事件がありましたけれども、その裁判官が不適当だからほかへ変える、そういう意味のものではないということは、大阪の地方裁判所の裁判官会議も強くそれを主張しております。事実の見方が、弁護士会と裁判所の意見と食い違っておる、そういう点がございますけれども、当時は、交通事件を処理する大阪の簡裁判事の欠員が非常に多くて、そうして有資格の裁判官を簡裁判事として充てておった、そういう事情もありましたけれども、その後、そういう点も次第に解決されたわけであります。大阪の裁判所の裁判官というのは、非常に個性の強い、がっちりした人たちが多いので、その裁判官会議で詳しく調査しました上でやった事柄で、それによって司法権の独立が害されたというふうにシリアスに考える必要はないと思います。ただ先ほどの終わりのほうに、こういう問題は、つまり非常に裁判官の負担が重くて、労苦がはなはだしい。そういう点を解決しなければいかぬということはそのとおりでありまして、われわれとしましても、裁判所、裁判所の事情に応じて適正な配置定員を行なって、またそのための将来の人員増についても、非常な努力を払わなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/3
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004・横山利秋
○横山委員 法務大臣の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/4
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005・田中伊三次
○田中国務大臣 いまお読みになりました論文は、私は寡聞にして、実はいま初めて承ったので、そこで詳細な事柄は、さらに検討した上でないとお答えをいたしかねる、こう考えるのでありますが、はっきり申し上げ得ることは、一応打合わせによる基準によって求刑が行なわれた、こういうことはままあろうかと思います。事件そのものが同一類型に属するものが多いこと、比較的単純なる性格を持っておる事件が多数出てくるというような場合においては、およそそういうことがあり得ることかと思います。ただし、裁判官が裁判するにあたりましては、どこまでも憲法、法律に従って、もう一つ従うべきものはおのれの良心であります。良心に従って、憲法並びに法律に基づいて判決を下すべきが筋でありまして、その大事なところは、個々の事件——いかに交通事件で同一種類のものが多数起こってくる交通事犯といえども、やはり個々の事件の実体、真実は何であるかということの発見に努力をすることが裁判官の大事な任務であると考えますので、したがって個々の事件について、個々の事情があります場合には、その基準をはずれた裁判をしても一向に差しつかえがないもの、差しつかえないというよりは、それは当然にそうすべきもの、こういうふうに一般論としては考えるのでございます。本件の、問題になっております事案について、どういうことかということにつきましては、よく調べました上で別の機会に所見を申し上げることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/5
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006・横山利秋
○横山委員 大臣は、事情を御存じないならば、よけい率直な御答弁ができるはずでありますから、いま少し事案を申し上げるのですが、いま大臣は、裁判官の立場に同情をするといいますか、裁判官のあり方について、本件一般に触れて、二裁判官がやったことは妥当であるという立場でお話しなすったわけですね。そうですね、違いますか、あなたのいまおっしゃったことは。二裁判官のやられたことは妥当である、量刑基準に従わなくて、個々の判断をそれぞれの事情に従ってやられたことは妥当であるという趣旨の御発言だと承りましたが、そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/6
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007・田中伊三次
○田中国務大臣 その問題となっております事案は、私が知らない。事案を知らないのでありますから、その事案については後に調査をいたしました上で、確信のある答弁を別の機会に申し上げたい。ただし、一般論としていたしますならば、基準をはずれた判決をしたからけしからぬというわけにいくまい。良心に従って、憲法並びに法律に基づいてやればいいので、それ以外に拘束される筋は裁判官にはないのであります。そういう意味で、裁判官の肩を持った答弁のごとく聞えるかもわかりませんが、私は一般論としてはそうあるべきもの、基準があろうがなかろうが、基準は参考にすべきもの、おのれの良心がその基準に従うことが正しいと考える場合に、従うがよろしい。またその基準に従うことが憲法、法律に差しつかえない場合には、これに従うがよろしい。本件について関連をして一般論をいたしますと、そういうことになろう。これには確信を持って答弁ができる。本件の具体的な事案について、そういうことになったのはどうかこうかということになると、それは事案の内容を調べました上でないと確たる責任ある答弁をいたしかねる、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/7
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008・横山利秋
○横山委員 多少誤解じゃないかもしれまんけれども、あなたの御答弁の中に——量刑基準というのは検察陣がつくっておるものであって、裁判官が共通的につくっておるものじゃないのです。それは御存じでございますね。その量刑基準は検察陣がやっておることであって、裁判官は知らぬのがあたりまえ。参考にそういうものをやっておるということはいい。自分の拘束なんか全然それは必要ない。そういうふうに私は解釈しておるのですが、それはいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/8
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009・田中伊三次
○田中国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/9
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010・横山利秋
○横山委員 そこで、これによりますと「去る五月二一日大阪地方検察庁は大阪簡易裁判所の二裁判官の交通切符事件における量刑が求刑よりも軽いことを不服として異例の大量の正式裁判の申立をなすにあたり、記者会見を求め「二裁判官のなした裁判はきびしい交通戦争下で人命尊重を願う国民の期待に反する人命軽視の裁判でありかつ裁判の公正を損うものである」と非難したのであるが、かかる検察当局の措置は、前述の憲法の趣旨にてらして裁判官の独立に圧迫を加えたものといわねばならない。」と弁護士会は論じておるわけであります。つまり、異例の大量の正式裁判の申し立てをしたということと、それからまた記者会見を特に求めて、二裁判官をくそみそに言ったということは、検察当局としていかがなものであろうかと私は思うのであります。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/10
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011・田中伊三次
○田中国務大臣 その求刑基準を慎重に設けるということ、これはたいへん私はよかろうと思う。ただその基準を裁判官に、こういう基準のものをやりたいということを、自然に、知る知らぬにかかわらず、裁判官のほうも知っておったのではなかろうか、これは想像でありますが、そう思うのであります。その場合に、基準に合わないからといって文句を並べて、記者会見をして聞くにたえぬようなことを、言ったのかどうか知りませんが、あなたは言ったと仰せになる。そういうことがあるとすると、そういう態度は、率直に申しまして、誤りであると存じます。そういうことをやることは誤りである。ただ、おのれの定めた基準に基づいて求刑を行なったのにかかわらず、その基準のごとくにならなかったという場合においては、訴訟手続において争う態度が正しい、こう考えます。それは許されることでございます。自分のほうできめた基準に合わぬことをやることはけしからぬという態度を法廷外に、訴訟手続外に持ち出して、それに論及して、非難攻撃をするということは慎むほうがいい、こういうふうに考えるのであります。かりにそういうことがあったとするならば、そう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/11
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012・横山利秋
○横山委員 ところが、それを受けた裁判所側は、これによりますと「ところで検察当局が異例の措置をとってから数日後の五月二六、二七日に至り、検察当局より非難された二裁判官はあいついで大阪簡易裁判所上席裁判官に交通切符事件の担当を辞退する旨申出たのである。そして同上席裁判官は大簡九掛の他の裁判官全員の同意と大阪地方裁判所所長の了承をえて五月三〇日以降両裁判官が交通切符事件を担当しない旨の事務分配の変更をした。」ということだそうであります。お伺いしてみればどっちもどっちだ。ほんとうにおかしなことだ。こんなばかなことが行なわれるということは、まことにおかしなことだ、こう思うのでありますが、こういう異例の措置をとられた数日後、四、五日後に二人が辞退を申し出た。直ちに裁判官全員の同意を得てそれを配置転換したということは、結果においてみずからその誤りを認めた。どんなに詭弁を弄しようとも、みずから、二裁判官のやったことが間違っておったということを認めた結果と社会大衆は認識をする。それは認めましたとはだれも言わぬでしょう。言わぬでしょうけれども、客観的にはこういうことになる。これは検察当局はもとより、裁判官に対しても、非常に権威を失墜する問題ではないかと思うのですが、こういうような人事異動をなさったことについては、先ほどはこういう問題からではないとおっしゃったけれども、心中じくじたる気持ちがありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/12
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013・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 外形的事実から見ますと、まことに横山委員のおっしゃったとおりでありまして、世間もそういうふうに見てとるのが自然だと思います。また私どもとしても、何もそう急いでそういうことを——かりに適正な裁判官の配置をするとしても、そう急速にやらなくてもよかったのじゃないか、そういう感じは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/13
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014・田中伊三次
○田中国務大臣 横山さんのおことばの中で、一つ私の立場から気になることがあります。それは大量に申し立てておるということは圧迫であるというおことばでございましたが、私は、おのれの意図に沿わざる場合は、訴訟手続によっていくべきものだ、これが一貫した考えでございます。そういう点から申しますと、少量であろうが、大量であろうが、訴訟手続上行なわれることが幾らあったからといって圧迫だというように観測をしていただいては困る、こう考えるのでございます。
それからいま総長が仰せになりましたように、まあしかし、人間と人間が寄っていろいろなことをすることでございますから、裁判官の立場も——あわてて、急いて配置転換などを行ないますから、圧迫を受けた結果じゃなかろうかという誤解を生ずるわけで、これはやはり総長の仰せのとおりに、適正なる時期を置いて、適正なる理由のあるときに配置転換を行なうというような配慮、司法行政の上で、人事行政の上でそういう配慮が行なわれれば誤解はなかったのではなかろうか、こういうふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/14
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015・高橋英吉
○高橋(英)委員 関連して。事務総長にお伺いしますが、検察庁のほうから正式に裁判所のほうに対して、あの判決はどうも当を得ていないのだ、ああいう判決をされては困るというふうな、新聞発表にあったようなことを正式に申し出があったのかないのかということと、それから法務大臣にお伺いしたいのだけれども、そういうふうな判決があった場合、検察当局として不当だと思われる判決があった場合に、検察当局としてその所信を新聞記者に発表することは、必ずしも禁止されておらない、差しつかえないのじゃないか。やはりそれは正式な手続も必要ではあるだろうけれども、社会に対して、こういう交通問題のような、重要な問題に対して、検察庁としての明確な意見を発表するという必要がかえってあるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/15
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016・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 戦前には、検察官の気に食わない判決がありますと、検事正を通じて、あの判事はこんな判決をした、けしからぬというような例がなかったでもないように聞いております。しかし、戦後においては、そのようなことは絶対にございません。今度の場合にも、何も検察庁として、裁判所に正式にあの裁判官の措置がいかぬという申し入れはございません。ただ遺憾なことには、先ほど横山委員が申されましたように新聞記者発表をやられた、その点については、私どもとしても非常に残念なことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/16
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017・高橋英吉
○高橋(英)委員 発表したらいかぬのかね。検事は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/17
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018・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 それは、あの裁判官はこんな判決をしたから、どんどん正式に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/18
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019・高橋英吉
○高橋(英)委員 その裁判の内容について批判するのはいいのじゃないですか、検事は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/19
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020・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 それは、先ほど法務大臣がおっしゃったように、それが不服でしたらやはり訴訟の手続に従っておやりになる。ちゃんと正式の裁判請求の手続をとっておられるから、それ以上新聞記者を集めて、あの裁判官はこういうことをしたから、今度は大量の異例の正式裁判、というのは、ちょっと私どもは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/20
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021・高橋英吉
○高橋(英)委員 そうすると、これは私が法務大臣に質問した問題になるのですが、新聞記者に、そういう問題については、これは重大問題ですから、交通問題ばかりではなくて、いろいろな重大問題の場合に、検察庁として、その判決に対して意見を発表するという場合はたびたびありますね。新聞なんかに報道されるわけです。従来そういう慣例もあるのだし、私は差しつかえないと思うのだが、それは総長のお考えだと、そういう場合にはノーコメントでもって、絶対に意見を発表しちゃいかぬということになるのですか、正式の手続以外には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/21
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022・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 これは、やはり場合、場合によると思います。ある判決に対して、検察庁があくまでもこれは不満だ、だから控訴するのだというような検察官の談が発表されることがありますが、これはもう別にとがめるべきことではないと思うのであります。例の、いま問題になっております場合は、正式裁判の請求をしておいた上でわざわざ大ぜい記者を呼んで記者会見をして、そしてあの裁判官はこうだと特定の裁判官についてやられたので、これは前にあげた例とはちょっと事情が違うのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/22
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023・田中伊三次
○田中国務大臣 だいぶむずかしい問題でございます。しかし大事なことですから、一口申し上げておきたいと思います。
私の考えは、憲法上の三権分立の原則を堅持してお互いが節度を守りたい、こういうふうに考えます。それで高橋先生仰せのように大量控訴をする。大量であろうが、少量であろうが、訴訟手続によって控訴する限り何も差しつかえない。大いにやってよろしい。信念によってやってよろしい。やってよろしいが、やるだけでいいじゃないか。やった上で裁判官を攻撃するとか、裁判官を罵倒するとかいうようなことが、かりにあったかなかったか存じませんが、そういうことがありとするならば、それはいけないことである。しかし上訴をいたしました理由を、時に記者会見を開いて解明をするようなことは間々あります。それはどういう場合かというと、世間が注目しておる場合、記者団のほうから意見を求められた場合——世論行政をやっておるわけであります。裁判も世論で裁判をしておるわけであります。世論のもとに裁判をしておるわけでございますから、裁判官といえども世論が注目しておる問題については、判決の内容はこういう事情で、こういう気持ちで、こういう判決をしたのだということを解明することはりっぱなことである。また検事の立場においても、世論のもとに検察行政をやっておるわけでありますから、こういう事案については、こういう事情でこういう理由で上訴をしたのだという上訴理由を解明する程度のことは、記者会見を開いてやることは一向おかしくない。これはとがめるべきことじゃない。これは大いにやってよろしいことだ。しかしながら、その解明をいたします記者会見の内容が、裁判官の裁判それ自体を攻撃する言論、裁判官の人物を攻撃し、識見を攻撃するような事柄があるべきものでないのだ。なぜかといえば、検事といえども行政官の一人である。ちょうど立法府が裁判の内容に介入していろいろな所見を申し述べることが間違いであると同様に、行政府の行政官の一員たる者が、いやしくも裁判の中身について、裁判官の態度について攻撃するというようなことは差し控えるべきものである。上訴の理由を解明するという限度を出てはならぬものである。こういうふうにお互いが節度を守ってまいりませんと、三権分立は成立をいたしません。こういう考え方から私はこれを見ていきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/23
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024・高橋英吉
○高橋(英)委員 私も意見がありますけれども、これは別な機会に譲りまして横山委員にひとつしっかりやってもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/24
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025・横山利秋
○横山委員 法務大臣と私の間の質疑応答で、裁判官に量刑基準があるとしたらおかしい、これは検察陣の量刑基準であろうということについて、あなたはそうだと思うとおっしゃった。「裁判所側の説明によるとこの事務分配の変更は下記の五点に要約される諸契機によってなされた」といっておるのであります。
その第一は「交通切符事件に見られる特殊性にかんがみ大簡九掛所属の交通切符事件担当裁判官の間には、かねてより統一的な量刑基準が設定されており、かように量刑基準を統一しておくことがむしろ合理的であること。」その二は「前記量刑基準に関し二裁判官と他の裁判官の間に見解の対立があり両者において早期の調整が望めないこと。」三は「事務分配を変更しなければ大簡九掛の裁判官の間の量刑の不均衡によって裁判の公正に対する国民の不信が急速かつ広汎に醸成されるという事態に直面しそのような事態を早急に回避する必要に迫られたこと。」四は「主として検察官側より二裁判官の略式裁判に対し大量の正式裁判の申立が行われ公判の負担の急激な増加が懸念されること。」五は「二裁判官より交通切符事件の担当を辞退する申出があったこと。これらの事務分配変更の経緯は七月一五、一六日の両日にわたって開かれた大阪地裁裁判官会議によって確認され、結局、同裁判官会議としては、今回の二裁判官の事務分配の変更は検察側の圧力に屈したものではなく、従って司法権の独立を侵されていないと決議したものである。」と弁護士会に裁判所側が説明したとされておるわけです。この正式の報告書並びに要望書によれば。ここでも私、ふしぎに感ずることがある。というのは大筒九掛所属の交通裁判所担当裁判官の間には、かねてより統一的な量刑基準がつくられておるということであります。二人の裁判官がそれに対して見解の違いがあるということに問題があると裁判所は言っておる。これはまた事務総長やあなたの話と違って、交通問題に関しては裁判官内部にある量刑基準に従え、こういうことを要求しておるというふかしぎな事実が出てくるわけであります。統一的な量刑基準の設定それ自身が憲法上おかしなことではないか。裁判官内部でそういうことをつくるのはおかしなことではないかという感じを私は持つわけであります。ですから、いま私はすなおにあなた方の御意見を伺っておるわけでありますが、あなた方の一般的答弁ではあるけれども、きわめて常識的な答弁からいうと、事実問題はますますこんがらかってくる。おかしなことがずいぶん行なわれている。しかもいままでのいき方からいうならば、「当委員会の調査によると大簡九掛の発する交通切符事件の略式命令の量刑はそのほとんどすべてが検察官の求刑と同一である事実が判明している。この事実からすれば大簡九掛の統一的な「量刑基準」は「求刑と同一の量刑をする」ということになりはしないであろうか。裁判所の回答はこの点をあいまいにし、実際上、検察官の求刑と同一の量刑を申合わせていることをあたかも裁判所が独自の判断の下に「量刑基準」を設定しているかのように述べている。」客観的に見て、検察官のつくっておる量刑基準と裁判官内部にある統一的な量刑基準が同一である。したがって、求刑と判決とが常にまた同一である。それに対して、わしはわしの立場でやるといった人間が首を切られ、配置転換をされる。こういう結果をもたらしておる。これは私は論理的にも、憲法上も、ほんとうに由々しき問題であると思いますが、どうお考えになるか、これはどういうふうに処置をなさるか。国会の議論を通じて、裁判所並びに検察陣のあるべき姿は一体どういうものなのか。一ぺん御両所の最後の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/25
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026・田中伊三次
○田中国務大臣 あるべき姿は、こういうことであるべきだと思います。検察側が、非常に規格に似たキャラクターの事件が交通事件のごとく大量に起こってくるという場合に、一定の求刑基準を設けるということはいかにも適当なことである、批判すべきことでない。しかるところ、その量刑基準を裁判所に押しつけることはあやまりである。裁判官はそれは御存じになっておっても、一つ一つの事件は動機も一違えば、事件それ自体のキャラクターもあるわけでございますから、事件それ自体のキャラクターに従って実態、真実を発見して裁判するというのが裁判官の任務でございますから、そういう量刑基準は法律、憲法に従っておることはもちろんでございましようから、主として裁判官の良心でございますが、裁判官の良心から見て、その基準となっておる量刑を適当とお考えになる場合においては、求刑どおりの裁判をなさることは一向差しつかえない、それが多いことであろうかと存じます。中には、これはこういう特殊事情があると判断されるときには、そういう求刑に従わなければならぬという筋はない、違う裁判をなさってよろしいのだ、こういうことなんであります。したがつて一口に申しますと、検察当局のつくりました求刑の基準に基づいて求刑が行なわれるならば、それが良心に従ってよいと信じられる限りには、そのとおりの裁判をなさることはよろしい。そうでないとお考えになる場合においては、別個の裁判をなさること一向差しつかえはない。それを攻撃することは攻撃するほうの間違いだ。しかし、けしからぬということであるならば、そのけしからぬということを実行いたしますのは、訴訟手続において上訴の手続を踏みなさい。上訴の手続を踏んでやる以外にいろいろな事柄をしゃべってはいかぬ、こういうことを私は申すわけであります。そういうことを実行いたします限りは、三権分立はまことに微動もしない。心配は要らぬのだ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/26
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027・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 検察庁のほうで求刑の基準をつくられるということについては、これは裁判所としては何ら関知しないところでございます。ことに道交法違反のような事件、先ほど申しましたようなああいう定型的な、そして個別性の薄は事件について、いわゆる求刑基準をつくられたからといって、そうあながち非難すべきではないと思います。事、問題は、その検察官の求刑というものを、裁判官がどう受け取るかであります。これはあくまでもやはり検察官の求刑は検察官の意見であり、裁判所としてはそれを参考にして具体的な事件について適当と思われる刑をかけていく、それが裁判の行き方であります。裁判所が検察官の求刑の基準に引きずられて、全部そのとおりやっているということでは決してないのでございます。現に略式命令の請求のときには、請求書自体に罰金は幾ら相当というのが書かれることになっておりますが、その罰金額を減らしておるという例はしばしば見受けられる事柄であります。やはり裁判はあくまでも裁判官の良心に従って、検察官の求刑は、意見は単なる参考として、その上で裁判官独自の判断をすべきである。これはもう申すまでもないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/27
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028・横山利秋
○横山委員 それではこの事実からいきますと、いままでは求刑即判決というような実態であるというに論じておる。それが違ったから問題が起きたということを言っておるのですが、この間、横田最高裁長官が、例の今度できます反則金の問題につきまして異議を言っておられたのであります。ああいうことは、法案ができる過程で自分は一言言いたいということを記者会見をしてみえる。法務大臣は、閣議でもこれを御了承なすったかどうか知りませんけれども、あの方式でいきますと、おまわりさんが検事であり裁判官になるわけですね。そうして一万円じやというふうに言って、そうですかと服すれば、これは前科にならないわけですね。正式裁判を要求して負けて一万円を払えば、これはたしか前科になりますね。そうすると、この大阪における紛争の根底をなしておった求刑即判決というような実態は、こんな状況なんだったら、みんな何とか銭を出してしまいますね。不服を言わなくなるということを私は考えるわけです。こういう実態もおかしいが、こういう実態の上に乗っかって、ああいう反則金のやり方をするということは、私はゆゆしい民主主義上の問題が発生すると思う。おまわりさんが言ったことに従ったほうがいい、前科になるよりは銭出しておいたほうがいい。そうすると、おまわりさんは図に乗って、えい、もうおまえは一万円だ、と言っちゃう。そのおまわりさんが、ごらんのようなことですね。おまわりさんが、機動隊のトラックが暴走して園児五人をはねる。これはめっちゃくちゃです。これは直接関係はないけれども、こういうようなことがあったときには、反則金は恥ずかしくておまわりさんがよう言わぬだろうと私は思うのであります。横田さんが言うたことは私は正しいと思うし、先ほども理事会で、こんなことが起こっているのに、おまわりさんが映画とったから法務委員に見てくれと、ようずうずうしくも私は言うじゃないかと思うのであります。最高裁判所側の御意見はわかったのですが、法務大臣は今度上程になりました反則金について、あなたの良心的経験からいうならば、さぞかし閣議で反対をなさったと思いますが、どうでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/28
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029・田中伊三次
○田中国務大臣 私は、たいへんよく調べまして——いずれ法案がまいりましたときに詳細にわたって所見を申し上げる機会があろうかと存じますが、非常にくどく、よく調べまして、この反則金の制度というものには心から賛成をしておるわけであります。賛成なんです。賛成の理由は、どのような方向からどうお尋ねをいただきましても、お答えのできるように研究と準備をいたしまして、私直接の法案ではございませんが、これはやはり閣僚の一人として、罰則に関する法律でありますので、非常に大事な法律であるので、私も研究をしてみたのでありますが、非常に得心をして、これはぜひやりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/29
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030・横山利秋
○横山委員 時間がありませんけれども、それだけでは困るので、それでは私が一、二言ったことについて言及して、なぜ横田さんがいやだと言っているのに、法務大臣はいいと言うか、理由を少し明らかにしてもらいたい。簡潔にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/30
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031・田中伊三次
○田中国務大臣 横田先生の仰せになっているのは、性格があいまいであるということ、これは一つの考え方であると思います。最高裁判所長官が個人として旅行先で仰せになったことでありますから、えりを正してこれを聞く必要がある一つの考え方である。しかし、私の研究と信念をもっていたしますと、性格はもことしていない、たいへんはっきりしておる。はっきりしておるということは、どこがはっきりしておるのかということを言うために、似たものをあげてまいりますと、国税の場合に、国税犯則処分の通告というものが御承知のとおりございます。これはそういう特別の法律によっておるわけであります。その場合に、通告された金額を、さようこれはいたしかたがない、本人がこう承諾をしたときには、それ自体直ちに支払いになっていく、こういう形ですね。それと同様の手続を、手続面だけを反則金制度に持ってまいりまして、違反があると認められたときには、こういうスピード違反があるではないか、こういう停止線上を出ておるではないか、こういうセンターラインにかかっているではないかということを指摘され、なるほどと本人が得心をしたときに、これでどうだという罰金を示されたときに、その過怠金を支払う、反則金を支払う。本人が承諾せないのにこの金を支払うというのでありますと、横山先生仰せのとおり重大事態が発生する。本人が承諾して進んで払うという場合に、罰金の性質を持てばたいへんでありますが、罰金の性質を持たないで、いわゆる反則金を支払うということは一向差しつかえがない。これは事実においても法律の制度としても一向差しつかえがない。本人の意に反せざる限り、しかも罰金とならざる反則金を支払わすという新しい制度を日本に立てるわけでございます。全く例のない新しい制度を立てる。反則金通告処分は、手続的なやり方だけを借りてまいりまして、反則金制度という一つのキャラクターがはっきりここに出てくるわけでございますから、一向差しつかえがない。これはおそらく横山先生仰せのとおり、いまの交通事犯の罰金のうち、百件中八十件近くまではこれに移行する。正式裁判を開くものは二割弱ではなかろうかと想像をするわけです。私の役所の者は、三割近くなるだろうと言っている。それでも七割はこれに移行します。私はこれが出て徹底をしますと、こんな便利でいいものはないので、二割足らずになってしまうのじゃないか、こう考えている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/31
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032・横山利秋
○横山委員 済まぬけれども、もう一つだけ。同じ事実ですね、本人が認める認めないにかかわらず同じ事実、一つの真実というものが、ある場合には前科者になり、ある者は前科者にならないということについてはどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/32
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033・田中伊三次
○田中国務大臣 それも本人の意思であれば、一向差しつかえはない。何ら差しつかえはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/33
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034・横山利秋
○横山委員 別の機会にこれは田中弁護士と堂々渡り合って、めちゃくちゃな議論を粉砕することをかたく心に秘めまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/34
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035・加藤勘十
○加藤(勘)委員 関連。いま田中さんがお返事になりましたけれども、ぼくはそこに重大な一つの錯覚があると思うのです、あなたの肯定論の中に、それはどういうことかというと、あの反則金制度がもし実現しますると、現場においては責める者と責められる者との、強者と弱者の関係がある。そのときに強者である交通巡査が、大体おまえこれで言うことを聞いておけばいいけれども、もしいやだといって裁判でも求めるということになると、かえってこれより重くなるぞ、だからこれで言うこと聞いておけ、こういう無言の心理的な圧力が加わる場合が多いのです。そういうときになると、現実には公訴する意思がある、裁判を受けようという意思があっても、現実の前に頭を下げてしまう、こういうことになるというと、憲法の、だれでも裁判を受ける権利を持っておるということの趣旨に反することになる。何もおまえ裁判してはいかぬということは言わないのです。言わないけれども、心理的な圧力が加えられるということは、避けられない。そういうようなことの危険が多分にあるということが、やはり考慮の中に入れられておらなければならぬと思う。これは昔の警察署長が拘留処分をした場合に、私のかつて調べた、これは国会でも質問したことがあるのですが、正式裁判を受けると、正式裁判を受けた者の九十何%というものは無罪なんです。わずかに何%というものだけが、署長の拘留決定を裁判で認めておる。あとの九十何%は、むしろ無罪なんです。こういう点からいって、今度私はあの反則金問題が起こったときに、多分にそういうような形があらわれてくる、これは避けられない現実だと思うのですね。だから、そういうことについての考慮が払われておるのかどうか、この一点だけをひとつ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/35
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036・田中伊三次
○田中国務大臣 先生お説のごとく、運用の面でおことばのようなことが間々起こるおそれがあろうかと存じます。これは、運用にあたりましては十分留意をさせまして、遺憾なきを期していきたいこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/36
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037・大坪保雄
○大坪委員長 中谷鉄也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/37
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038・中谷鉄也
○中谷委員 先ほどから、横山委員のほうから法務大臣と総長に質疑があったわけですけれども、私のお尋ねしたいと思っていたことと、ほとんど同じでございます。特に加藤先生のほうからの御質問については、全く表現は違いますけれども、私の申し上げたいことのほとんどが尽きていると思うのですが、やはり私のほうからも現在の裁判官の数が非常に不足だといわれている、したがって、さらに訴訟が遅延するというふうな状態が現出をして。ある意味では裁判官の給源等の問題、憂うべき状態が現出しているという中で、去る十五日、最高裁の横田長官が、大阪高裁の記者会見において、特に反則金の問題について談話を発表されたことについて、私は端的に申しますと、反則金制度というものが実施されましたならば、ある程度裁判所の仕事の量が減るのではないかと思われるわけです。そういうふうな、これは全くしろうと考えですが、そういう状態の中で、反則金について長官が御意見を述べられたということつにいて、私は人権擁護という立場から非常に敬意を表するわけですが、長官の記者会見での談話は、あらためて最高裁としての意見と申しますか、そういうものをまとめて各省と話し合いたい、こういうことに相なっていたと思うのです。反則金の問題につきましては、いわゆる反則金通告制度につきましては最高裁づきの裁判官の方の私見ともいうべきものについて、私は若干注目をしてまいりましたけれども、この機会にひとつ、先ほど理事会の中でお話があったようでございますけれども、総長のほうから、最初反則金制についてはこの点が疑問だろうという点をひとつお話をいただきたいと思います。横山委員の質疑で、大臣のほうからの御答弁がありましたので、その点につきましては私の疑問としておりますところを、総長の御答弁がありましたあと大臣にお尋ねをいたしたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/38
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039・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 反則金通告制度についてでございますが、横田長官の新聞発表というのは、非常に簡単な記事でございまして、真意は尽くされていないように思います。現在の毎日頻発する交通事件について、何ら手を打たなくてもいいのだという趣旨のものでは決してないわけで、その意味ではやはり今度の反則金制度につきましても、裁判所も前向きの姿勢でこの事態を解決しなければならぬということは、これはもう横田長官もお考えだと思うのです。ただこれまでの示された案によりますと、これは本来は所管局長から詳しく申し上げるのが筋でございますけれども、私としまして把握しております大ざっぱなことを申しますが、同じ事実が金を払ったかどうかによって罰せられる、あるいは罰せられないという点、そこの基本がおかしいじゃないかというのが、反則金の性質があいまいだ、そういうことを言われているのではなかろうかと思います。ですから、もし軽微な事件で、事実の認定にそう問題がないようなものでしたら、道交法の罰則からはずしてしまって、そして刑罰ではなくしてしまったらいいのではないかという考であります。ですからいわゆる反則行為の範囲をどうきめるか。どの程度にきめるかということが一つの問題であります。
それから通告処分というのは、警察の処分で、それが行政処分であるかどうかということについて定説がございません。行政処分と見られると、当然に行政訴訟の対象になる。しかしどちらかにきまるまでには相当の日時がかかりますし、また手続の混乱も起こるので、あの制度の中自体に司法的救済の制度を設けてはどうか。この問題点としておりますのは大体この二点でございまして、その点について詳しいことはまた別の機会に所管局長から御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/39
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040・中谷鉄也
○中谷委員 大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、要するに反則金制度については、法案について私は詳細に検討いたしておりませんけれども、大臣はごらんになってそうして賛成だ、こういうふうにおっしゃったのです。そういたしますと、先ほど総長のお話になりました告知に基づく仮納付、あるいは通告、通告に基づく納付、こういうふうなことにたてまえといいますか、骨組みがなっていると思うのです。そうしてそのそれぞれの通告の期間についての定めがあるわけでございます。たしか七日でございますか、十日でございますか、それまでに反則金を納めた人については、訴訟条件が欠いてくる。要するに刑事手続がとれなくなる、要するに刑事の処分を受けることをとにかく免れる、こういうことでございます。そこで、私自身がこの点は——それでは大臣は一体どういうようにお答えいただけるだろうかという点なんです。要するに、反則金の限度額等につきましては、百十八条の反則行為については、反則金の限度額というのは一万五千円ということに相なっておると思うのです。一万五千円といいますと、私はかなりの大金だと思うのです。そうすると、貧困な人——先ほどが加藤先生のおことばの中に、強い者、弱い者というお話がありましたが、私の場合はお金持ちと貧しい人。そういう貧しい人については、通告の期間内、反則金納付の期間内にお金を納めたくても——反則金を受けようという前提に立ってですよ、お金を納めたくてもお金が納められない。あるいは告知の、仮納付の期間は、一万五千円のお金を用意しようとしても、お金が用意できない、そういうことで、自分の意思は反則金をおさめようという気持ちであっても、客観的に、お金を用達することができないために、刑事手続のほうに移行しておって、結局道交法違反の刑事処分を受けるというふうな場合が、当然予想できると思うのです。お金持ちはお金をおさめることによって刑罰の対象にならない貧しい人間は、通告期間内にお金を納めることができないために刑罰を受ける。さらに罰金については労役場留置の規定がございますから、あるいは労役場に留置されるということもあり得る。いずれにいたしましても、実際の問題としては労役場に留置されるまでには、みな泣く泣く罰金を納めているというのが実情でございますけれども、その点については、私はどうしても納得ができないわけです。横田長官のお話の中には、そういう点については、特にお触れになっておられませんし、総長のお話で、横田長官のお考えになっていることは、私が言っているようなことではないと思いますけれども、これはやはり人権擁護という立場から、裁判所のお仕事の量は非常に多いけれども、だからといって反則金ということでやっていった場合に、いま申し上げたような矛盾だけは解決しないじゃないか、この点について、ひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/40
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041・田中伊三次
○田中国務大臣 いま承って、初めてなるほど反則金を納付する資力がないという場合が、間々あろうかと思います。やはりこの場合には運用でいけなければ、条文を改めるなり、何なり、審議の過程において、いま仰せになることをぜひ御主張をいただきたい。私のほうもそれを頭に置いて連絡いたします。担当は警察庁でございます。さっそく連絡することにいたします。かりにそれで承知をして、反則金を納めたいという意図があるのにかかわらず、資力がないために罰金刑にならなければならぬ。裁判に移行するということは、まことに不自然なことと存じます。この点はいままで私の調べましたところで、気づかぬ点でございますので、さっそく関係方面と連絡をすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/41
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042・中谷鉄也
○中谷委員 そこで、法案の審議でありますから、反則金の問題を論議する場ではないと思いますので、別の問題に移りたいと思います。
訴訟遅延の問題に関連をして申し上げたいと思うのですが、要するに反則金の納付をもって罰金に代替させる。そのことについての合理性ということが、さっきの総長からの御答弁にもありましたけれども、いかがなものであろうかという点が一つの疑問点であったと私は思うのです。しかし、その点については、大臣のほうで反則金制度についてはいいのだ、こういうふうな御答弁がありました。といたしますと、これも私、全く横山委員のお尋ねと、これ重なって相まいるわけでありますが、先ほどの大阪簡裁での交通違反事件の大量控訴の問題ですけれども、問題は反則金というふうな制度をつくろうではないかという動きが、もうすでに一つの芽として出ておったところのできごとだと思うのです。あるいは私の記憶違いかもしれませんが、いずれにいたしましても私が申し上げたいのは、大臣のおことばの中にありました、検察官が道交法違反の罰金についての略式命令について不服であれば、訴訟手続による正式裁判の申し立てをすることは、法の手続として許されたことであるし、けっこうなことだという趣旨の御答弁があったと思うのですけれども、私はその御論議の一つの見方といいますか、角度といいますか、視点の中で、国民の立場というものが一つ抜けていると思うのです。この場合はあえて被告人と申しませんが、国民の立場が抜けておるのではないかと思うのです。これひとつ総長のほうから、どんな事案であったかということを、お聞きいただいてもいいと思いますけれども、それほど大きく罰金の額の違った事案でなかった記憶が、私、あります。それを正式裁判の申し立てをされて、そうして裁判所に国民が出ていって、一日仕事ができないということの被害ということになってまいりますると、刑罰だという考え方をすれば、一日の損害ということは別個の問題になりますけれども、いわゆる反則金的な考え方というもので、ものごとを考えていきますと、ある程度の刑の違いについて大量の正式裁判の申し立てをするなどということは、いわゆる検察官の謙虚なお気持ちというか、いわゆる刑罰権を執行される意味における権力主義というか、そういうようなものについてやや欠けるところがあるのではないか、そういうふうに私は思う。これはケース・バイ・ケースの問題でございまして、御答弁の前提は事案について調査をするということで、ただ一般論としてお述べになったと思うのですけれども、本件の大阪の問題は、訴訟遅延に拍車をかけ、さらにまた略式命令で終わると思い込んでおった被告人であるところの国民に、思わぬ正式裁判の呼び出しがくるというふうな混乱を与えたという意味では、決して何かはめられたことではない。むしろ大阪の裁判所では、これは俗な言い方でございますけれども、正式裁判を申し立てた人については、迷惑料だということで、その日当の分だけ罰金を減らしてやろうじゃないかというような、非常にユニークな判決もあった土地柄なんです。したがってこの大量控訴というものは大阪の土地柄からいえば、あるいは民主主義という立場から申しまして、決してほめられたことではない。むしろ検察官のお持ちになっておる権力的な面が露骨にあらわれた。そういうことが裁判官自身も、訴訟遅延に拍車をかけるというようなことで、遺憾なことであったかもしれませんけれども、先ほど横山委員が言われたような経過で、その交通裁判の仕事から一応やめようかというような話になられたのではないかと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/42
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043・田中伊三次
○田中国務大臣 申し上げにくいのでありますが、私が具体的事案を知らぬものでありますから、したがってたいした求刑と違いもないのにかかわらず、大量異議の申し立てを行なったという事態があるのかどうか、簡単に触れてこれが響きますと、大臣は何を言っておるかということにもなりますので、事案の内容を知らないという前提で、先生お説のように、一般論としていえばこういうことなんだということを申し上げたのです。どんなにささいな差がありましても、手続に基づいて不服を言うという態度は非難ができないのじゃないかと考える、よほどの故意がなければですね。よほどの故意がなければ、何をしておるのかということは言えないのじゃなかろうか。要は、私の長い間の信念でございますが、刑事も民事も、訴訟手続というものはすべて手続的に行なえる限りは合法、非難をすべきものではない、こういう考え方が強くあるものでありますから、そういうことばが出てくるのであります。そう御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/43
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044・中谷鉄也
○中谷委員 まあ見解の違いがだいぶ出てまいりましたけれども、合法的な行為については法律的に非難できない、当然だと思うのです。しかし私、大阪の問題と、いま一つは前々回の法務委員会において論議されたと私聞いておりますいわゆる恵庭事件についてのことを比較してみましても、恵庭事件については控訴されなかった。まさに大臣のお立場からは非難すべきことではない。その理由は、裁判が長くかかっておるから、もはや控訴する必要はないだろうという検察の法益の立場からだったという。それよりもうんと軽いですね、現在において、反則金というふうなことにもしようというふうな事案について、私の、大阪での近辺に住んでおる者の感じとしては、いかにもいたけだかのかっこうでの大量正式裁判申し立てなどということは、検察のあり方としてまことに圧力を裁判所にかけたということで弁護士会が非難した。私は法曹の一人として、田中さんの後輩の一人として、とうてい納得もできないし、このような、検察がそういう権限を持っているからといって、そういうことについて謙虚なお立場をおとりいただかなければ困るということを申し上げたわけなんです。御答弁はけっこうですが、一点だけひとつこの機会に裁判官の給源の問題に関連をいたしまして、非常にささいな問題で恐縮ですが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
実は例年のように司法試験が行なわれておるわけでございますけれども、司法試験の第二次試験のいわゆる択一式と申すのでしょうか、短答式と申すのでしょうか、あの試験の問題が、毎年いわゆる何か受験関係の雑誌に載るようでございます。ところが、それは何か司法試験管理委員会のほうでは、問題などについては公表はされない。何か、受験生がその問題をうろ覚えに覚えて帰りまして、そうしてこういうふうな問題が出たんだということで受験雑誌に載るというふうに私聞いているのです。したがいまして、この点については私特にいずれを是とし、いずれを非とするというふうな明確な私自身の立場というものは持っていないわけなんですけれども。受験生あるいは今後の受験生がどんな問題が出たのかということについては知りたがると思うのです。さらにまた受験生が、事実、問題集の持ち帰りができない、また写し帰りができないために、不確かな記憶に基づいて、ことしは短答式、いわゆるマルチョイ式の試験ではこんな問題が出たんだというふうなことが、雑誌等に発表されるとするならば、むしろそのような問題については、ある適当な時期に管理委員会等のほうで発表されたからといって、特別に試験制度の公正であるとか、あるいはまた、その他の、試験の実施の上での特段ないわゆる御迷惑をかけることはない、こう私は思うのですが、この点については大臣の御答弁をいただくほどの大きな問題でないかもしれませんが、かなり司法試験については関心を持っておる人も多いと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/44
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045・田中伊三次
○田中国務大臣 申しかねますが、所管が違いますので、総長がいらっしゃいますので、総長から一言お答えを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/45
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046・中谷鉄也
○中谷委員 所管違いますが。——所管違いませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/46
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047・田中伊三次
○田中国務大臣 所管違いません。おわびを申し上げます。
これはお説のとおり、試験が終了いたしましたら発表してもよいのじゃなかろうかと、こう直観では思うのですが、これは、帰りましてよくひとつ検討をいたしまして、それからに願いましょう。よく検討してみます。受験生の便利でもあるし、特に隠さんならぬ事情もないように思います。ただ、いろいろここで申し上げますと、非常にデリケートなものがあるようです。あの試験の問題の傾向というものには。しかし、事実受験雑誌には全部出ておりますね。幾らかことばが違っておるようですが、ほとんど全部出ておるようです。よく検討してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/47
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048・中谷鉄也
○中谷委員 最後に一点だけ、おそれ入りますが、裁判所の訴訟遅延の問題であるとか、御量刑の問題、御量刑をどうされるかということについては、ずいぶん裁判官が悩まれるいろいろな問題があると思うのですが、そういうこととの関係、直接の関係はございませんけれども、前回予算の分科会で大臣の御答弁をいただきました反則金制度が、かりに実施されるということに相なった場合のいわゆる恩赦ないし特赦、要するに、従前の当然——現時点の反則金制度実施の状態においては反則金によってまかなわれるという人が、かつて前科、罰金の処分を受けておったという取り扱いについては、御方針がまとまっておるようでございましたら、ひとつ御答弁いただきたい。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/48
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049・田中伊三次
○田中国務大臣 どうも私は思うことをすぐにしゃべるというくせがあります。そこで申し上げたいのでありますが、実は、恩赦をやるかやらないかという方針もきまっておらず、かりにきめる場合においても、私のところが単独でできない。これは政府、内閣でございます。そういう事情でございますから、何とも仮定の上での話であって申し上げかねるのでありますが、あえて一言申し上げますと、私の意見は、かりに恩赦が行なわれるようなことになりましても、第一は選挙違反、第二は交通事犯、この種のものについては恩赦の対象としたくない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/49
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050・中谷鉄也
○中谷委員 じゃ結局、どうでございますか、いまの点は、したくない、けっこうです。私は選挙違反についてお尋ねいたしておるわけではないわけです。結局、反則金制度がかりに実施された場合に、交通違反が激増し、交通事故防止対策が非常に叫ばれておる、しかも交通取締法違反というふうなことが過去におけるよりも、現在のほうがより一そうその反社会的な非難が強い状態だという前提に立つと、そういうところで反則金になった、過去において同じ程度のものが、罰金の前科だというふうなことで放置されることのいわゆる平等、法のもとにおける平等ということを直ちに持ち出してきていい問題かどうかわかりませんが、この点についても私納得いかない。何か過去のできごとだといってしまえばそれまででございますけれども、何か非常に……(田中国務大臣「割り切れぬ。」と呼ぶ)割り切れない。大臣のおっしゃるとおりですね。算術ではいかない問題があると思うのです。何かそれは高等数学をお使いいただかなければいけない問題があるようです。この点についての御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/50
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051・田中伊三次
○田中国務大臣 割り切れぬ問題があるのです。いま仰せのように、反則金の法律が成立いたしましてそれが施行に入りますと、施行前の同程度の問題については、例外なく罰金という処置になるわけでございます。それは反則金の適用のいたしかたがないということで、その点は平等を欠くではないかということはバランスの問題はございます。たいへん頭の痛い問題でございますが、これもひとつ検討をしてみたいと思います。
それから申し上げるまでもなく、反則金の問題は、反則金を納めた人には恩赦云々という問題はございませんわけで、私は交通違反のことをお尋ねだと思っておったのでございますが、交通違反、道交法違反という問題につきましては、選挙違反同様に、私は恩赦の対象に——恩赦がかりに行なわれる場合であっても、恩赦の対象にするつもりはない、こういうことを一口申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/51
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052・高橋英吉
○高橋(英)委員 関連して。法務大臣、重大問題ですな。選挙違反の恩赦の問題は非常に複雑微妙であり、ことに重大な問題であるし、国事犯というものの本質的な問題から、現在の選挙違反のおかれた立場、そういうものは非常に複雑ですから、ここであまりはっきり表明されるということはどうかと思うのですが、個人の田中先生として表現されるのはむろん自由ですが、法務大臣としては、ちょっとその点はあまりはっきり言わないほうがいいのじゃないかとわれわれは思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/52
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053・大坪保雄
○大坪委員長 高橋君に申し上げますが、その問題は、また国政調査全般のときに御討議願ったらどうかと思います。
松本善明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/53
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054・松本善明
○松本(善)委員 この法律は裁判所の職員の定員をふやすということでありますが、裁判所の人手不足の原因は政治にあるというふうに考えなければならないと思います。中小企業が倒産すれば手形の事件がふえますし、それから住宅難が激しければ激しいほど、借地借家の事件がふえる、それから——よろしいですか、法務大臣に聞こうと思っているのです。——住宅難が激しければ激しいほど借地借家の事件はふえるし、その解決が困難だということは、法務大臣御存じのとおりと思います。それから最近のように交通災害が激増すれば、民事、刑事の訴訟事件がふえてくる。これも当然でございます。それから税金が重いということが税金事件をふやしているということにもなると思います。それから刑事事件もそうであります。国民の生活の保障がなくて将来に希望がないというようなことだとか、あるいは過度の退廃文化がはんらんをしておるというような文化政策の問題、そういうようなことが一般刑事事件の背景にあるわけです。それから労働争議でありますとか、政治活動その他民主運動に対する弾圧というのもやはり政治の問題、裁判所が忙しいというのは政治が悪いことの証拠だというふうに私は考えております。裁判所はだんだん仕事が減っていくというのが本来の姿で、それがよい政治が行なわれている場合には、裁判所の仕事は減っていくのだ、こういうふうに考えております。政府は、裁判所の職員をふやさなければならないということの根本原因が政治に原因があるということを認識をしているのかどうか、このことを法務大臣にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/54
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055・田中伊三次
○田中国務大臣 私は、ちょっとその御趣旨をとらえかねておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/55
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056・松本善明
○松本(善)委員 もう一回聞きましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/56
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057・田中伊三次
○田中国務大臣 ちょっとおそれ入りますが、一口、結論だけを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/57
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058・松本善明
○松本(善)委員 要するに、裁判所の職員をふやすということなんだけれども、しかし、その原因がやはり政治にあるんじゃないか、たとえば手形事件は、中小企業の倒産がふえれば一ぱい出てくる。それから住宅問題が非常に逼迫していれば、住宅問題に関係をする借地借家事件というのは非常に激増をするわけです。それから交通災害にしてもそうです。交通政策が貧困であるから民事、刑事の交通事件が多くなる。それから一般刑事事件にしても、あるいは弾圧事件といわれるものにしても、やはり政治に原因がある。裁判所の仕事が忙しいというのは、本来政治が悪いということの証拠じゃないか。ほんとうは裁判所に事件がたくさんいくというようなことは望ましくないことなんだ。この裁判所が忙しいということの根本原因は政治にあるのだということを、政府ははっきり認識しているのかどうかということをお伺いしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/58
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059・田中伊三次
○田中国務大臣 お説のとおりの事柄があると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/59
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060・松本善明
○松本(善)委員 裁判所はどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/60
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061・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 裁判所として直接政治がどうのこうのということは申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/61
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062・松本善明
○松本(善)委員 それでは、正確に質問を申し上げましょう。
裁判所が忙しくなっていることの原因については、裁判所は考えていますか。そうしてそれをどう考えているかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/62
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063・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 これはやはり社会が複雑化するにつれていろいろな事件が起きます。そういうことから裁判所の仕事もふえてくる、かように申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/63
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064・松本善明
○松本(善)委員 いま法務大臣の答弁によりますと、裁判所が忙しいということは、要するに政治に原因がある、自民党の政府の悪政に原因があるというふうに私たちは考えておる。裁判所が忙しくなっていることの原因がそこにあるとするならば、その根本問題を解決をするというところにもっともっと大きな力を注がなければならない。国民の血税をさらに使って、そうして二重に罪悪を犯しているということになるのではないかと思います。こういうことを何べんも何べんも続けていって、裁判所の定員や予算をふやすということだけで問題の解決は絶対できないと思うのです。すみやかにこの態度を変えて、住宅を建設するとか、中小企業の保護をするとか、あるいは国民の生活を保障するとか、あるいは交通地獄を解決をするとか、税金を安くするとか、そういうような国民の生活のための政策を実行するということが一番中心の問題になるのではないか、そういうふうにしていくという考えはありませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/64
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065・田中伊三次
○田中国務大臣 裁判所に事件が提出されるということと、いまのお話は、理論的に無関係なことと言えませんが、だいぶん御縁の遠いことのようでございます。御意見として承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/65
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066・松本善明
○松本(善)委員 先ほどの私の最初の質問を十分聞いておられなかったからそういう答弁が出てくるのかどうかわかりませんが、法務大臣は、政治に原因があるのだということを認められておる。それに基づいて私は聞いておるわけです。
さらに続けてお聞きしますが、法務大臣は、裁判所の職員の給料が低くて、内職だとか共働きなどが一般化してきている。裁判所の職員の中で、ビルの清掃だとか、あるいは守衛の仕事に行くというようなことをやっているという、そういう実情を知っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/66
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067・田中伊三次
○田中国務大臣 知っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/67
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068・松本善明
○松本(善)委員 それはたいへん驚いたことであります。
法務大臣は、裁判所の予算や定員について提案するという場合には、裁判所の職員の仕事の実情だとかあるいは労務過重になっているかどうかとかあるいは給料の状態はどうかというようなことを十分知って、そうして提案をしているというふうに私たちは思っているわけです。そうでないというなら、よく調べてから提案をし直したらどうか。この定員の問題とか、予算の問題については、裁判所の仕事の実情は一体どういうところにあるのかということを十分に調べて、責任を持って提案をすべきものではないかと思いますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/68
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069・田中伊三次
○田中国務大臣 提案をやり直したり訂正をする意思はございません。ございませんが、お説はごもっともな点もありますから、実情を知ることはよいことでありますから、実情をよく調べて、今後はその点十分にひとつ注意をするようにしていきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/69
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070・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、そういう状態については改善をするという考えであますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/70
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071・田中伊三次
○田中国務大臣 改善をすべきものは改善をすることに努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/71
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072・松本善明
○松本(善)委員 大臣の答弁は非常に無責任なことだと思います。私はいま裁判所の労働者の実情がこうだということを言って質問をしているのです。それを改善をすべき点があれば改善をするというようなことでは、答弁になっていないと思う。裁判所の労働者が裁判所の給料だけで食えないというのは非常に重大な問題なんです。憲法に保障された団体行動の権利が、裁判所の職員については奪われている。そうして、しかも労働者には食えない賃金が保障されている、こういうことが起こっているわけです。これは労働者の基本的人権が裁判所の中で侵されているということであります。このような、裁判所の内部で人権が侵されているということで、どうして裁判所が人権を守る正しい裁判ができるかと思うのです。国民半分以上は勤労者であります。この人たちの権利が侵害をされていて、国民の生活に密着したよい裁判ができるとはとうてい思えない。これについて法務大臣と裁判所の意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/72
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073・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問は、裁判所の一般職を中心とした御質問だと思いますが、この前に、たしか裁判所の一般職員の中で内職をしている者があるということを知っているかというお尋ねがありまして、事実を御指摘になりましたが、それで、われわれといたしましては裁判所の一般職の処遇ということについても十分従来から関心を持ち、またその改善に努力してきておるわけでありますし、もちろん他の官庁の職員との比較も十分考えなければならない。しかし、それよりもいいからそれでいいというわけのものではなく、とにかく裁判に間接に奉仕するという重大な役職でありますので、今後ともいろいろ生活の状況などについても関心を持って、その増員とかあるいは処遇についてできる限りの努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/73
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074・松本善明
○松本(善)委員 いま事務総長、一般職と言われましたけれども、裁判所の職員は全部特別職であります。裁判所が全部責任を持って、ほかとの比較ではなくて、司法の独立を守るという立場で真剣に考えなければならないということです。事務総長自身がそういう間違いをするようではだめだと私は思います。
時間がありませんので質問をさらに続けますが、裁判所の予算や定員については、国の三権の一つである司法権の独立を守るという立場で考えなければならないと思います。いままでこの委員会で審議をされた中でのいろいろの答弁を聞いておりますと、裁判所は予算折衝できわめて卑屈に折衝している。政府は、その予算を通じて司法の独立を侵して立法、行政に従属させているというふうにしか考えられない部分もありました。法務大臣と裁判所に、この裁判所の予算や定員についての所見を聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/74
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075・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 劈頭で一般職と申しましたのは、特別職に対する一般職ではなくて、一般職員、すなわち裁判官を除いた意味で申し上げたわけであります。
それから裁判所の予算のことについては深い関心を持っていただいておることはありがたいことであると思いますが、決して卑屈な態度でやってはおりません。裁判所には他の行政官庁と違った予算上の、権限上の特色があるわけであります。一つは直接内閣を相手にするということ、各省は大蔵大臣へ概算要求書を提出いたしますが、裁判所は内閣へ提出する。それから、折衝を重ねた結果、どうしても裁判所が納得できないときには、いわゆる財政法の二重予算権を行使するという点で、私どもは常にこの二つの特色を念頭に置いて折衝いたしております。場合によっては最高裁長官から総理、あるいは私、事務総長から官房長官へ、いろいろ予算上の説明をいたすこともございますし、また裁判所と身近な関係にある法務大臣のお世話になることもあります。あらゆる手を用いまして、裁判所の予算の獲得のためには努力いたしてまいりましたが、しかし、これで十分とは申せません。今後ともこれをますます続けたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/75
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076・松本善明
○松本(善)委員 この問題について、総括的に私の意見を述べて法務大臣と裁判所の所見を聞きたいと思います。
先ほど質問の中でも多少言いましたけれども、こういう裁判所の人手不足の原因は政治にある。中小企業の倒産、住宅難、交通地獄それから国民生活の破壊、弾圧、これをもたらしている自民党の悪政こそが、裁判所を忙しくさせているというふうに私は考えます。政府がこの問題について何ら真剣な検討をなさらない、漫然と裁判所の定員をふやそうとする、これでは決して問題を根本的に解決をしないというばかりではなくて、少しぐらいの定員増加は焼け石に水であります。
また第二に、この法律案による定員の増加は、ほんとうに司法の独立を守り、また国民の人権を守る仕事を裁判所にさせるという根本的な態度でやらなければならない。この法案の提案の途中での審議から見ますと、そういう態度に欠けているというふうに思います。裁判所は大蔵省に予算要求をやっと認めてもらったというような、きわめて卑屈な答弁もしております。政府のほうも、裁判所予算の重要性を真剣に考えているとはとうてい思えないと私は思います。
第三に、そういうような態度が、結果的にはきわめて安易に、上に厚く下に薄いという結果として出てきている。裁判所のいわゆる下級職員の労働強化を解決するものには、決してなっていないのであります。こういうようなことで私はこういう法案に反対でありまして、こういうような考え方について、法務大臣と裁判所の事務総長の所見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/76
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077・岸盛一
○岸最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたが、裁判所の事件がふえるということと政治との関係につきましては、私としては申し上げる立場にないと考えております。
それから裁判所がやっと大蔵省に認めてもらったという、これはものの表現のしようで、使い方でありますが、私はそういうことは申したことはございません。先ほど申しましたような予算の制度を念頭に置いて、それを背後にして強い態度で折衝はいたしております。
それから今後一般職員の処遇の問題については、極力われわれも努力いたしたいと思っております。ただ人をふやしさえすればということだけでは問題は解決しないということは、まことにお説のとおりでありまして、制度の問題、手続の問題、施設の問題、そういうようなものもやはり総合的に考えてまいらなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/77
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078・田中伊三次
○田中国務大臣 事務総長仰せのとおりでございます。一口申し上げますと、裁判所の予算折衝のやり方を拝見しておりますと、決して卑屈でない。堂々たる態度で折衝を続けられておることが事実でございます。私は裁判所ではございませんで、政府の一員ではございますが、最終的には裁判所の予算を閣議で決定するという事情から、私が閣員の一人といたしまして重大な関心を持っているのでこれを申し上げるのでありますが、決して卑屈な態度をとっていない、これだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/78
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079・松本善明
○松本(善)委員 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/79
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080・大坪保雄
○大坪委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/80
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081・大坪保雄
○大坪委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/81
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082・大坪保雄
○大坪委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/82
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083・大坪保雄
○大坪委員長 本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が大竹太郎君から提出されてあります。
この際、本動議について提出者からその趣旨の説明を求めます。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/83
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084・大竹太郎
○大竹委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党四党共同提案にかかる裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の説明を行ないたいと思います。
まず最初に、決議案を読んでみたいと思います。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
裁判は国民の権利義務の顕現に関する重大な事柄である。したがって、その迅速適正な処理は、国民の強く要望してやまないところであるが、事実はこれに反しいまなお十分ではない。その主なる原因の一つは、予算の不足に基づく裁判官その他の裁判所職員の定員の不足と裁判所の施設の不備にあると思われる。
よって政府は、すみやかに、裁判所関係職員の増員ならびに施設について必要な予算の増額措置を講じることについて、格段の努力と工夫を行なうことを要望する。
右決議する。
いま読み上げました決議案の内容については、特に御説明する必要もないと思いますが、この法案の審議の過程によって明らかでございますように、今度は地方裁判所の判事四人、簡裁の判事三名、合計判事七名、その他一般職員四十七名の増加ということになっておるのでございますが、その審議の過程におきましても明らかでございますように、これだけの増加ではなかなか十分でないこともまた明らかでございます。そういうことでございますので、どうぞ、ひとつ今後も決議にございますように、予算の獲得また施設の整備について、十分な考慮をしていただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/84
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085・大坪保雄
○大坪委員長 本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/85
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086・大坪保雄
○大坪委員長 起立総員。よって、本動議は可決されました。
この際、本附帯決議に関し、政府より所信を求めます。田中法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/86
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087・田中伊三次
○田中国務大臣 ただいまの附帯決議は、ごもっともなことであると存じますので、最善を尽くしまして、これが実現に苦心と努力を払う決意でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/87
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088・大坪保雄
○大坪委員長 次に、おはかりいたします。ただいま可決されました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/88
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089・大坪保雄
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/89
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090・大坪保雄
○大坪委員長 次会は、明十九日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505206X01019670518/90
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