1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十二年七月十九日(水曜日)
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議事日程 第三十四号
昭和四十二年七月十九日
午後二時開議
第一 消防法及び消防組織法の一部を改正する
法律案(内閣提出、参議院送付)
第二 国債整理基金特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
塚原国務大臣の観光基本法に基づく昭和四十一
年度年次報告及び昭和四十二年度観光政策に
ついての発言及び質疑
日程第一 消防法及び消防組織法の一部を改正
する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第二 国債整理基金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出)
オリンピック記念青少年総合センター法の一部
を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の
防止等に関する特別措置法案(大久保武雄君
外十名提出)
午後二時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/0
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001・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これより会議を開きます。
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塚原国務大臣の観光基本法に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四十二年度観光政策についての発言発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/1
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002・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 塚原国務大臣から、観光基本法に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四十二年度観光政策について発言を求められております。これを許します。国務大臣塚原俊郎君。
〔国務大臣塚原俊郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/2
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003・塚原俊郎
○国務大臣(塚原俊郎君) 昭和四十一年度観光の状況に関する年次報告及び昭和四十二年度において講じようとする観光政策について御説明いたします。
この報告及び政策は、観光基本法第五条の規定に基づき、政府が毎年国会に提出することになっており、今回は第四回目のものであります。
観光の状況について、まず、国際観光の面では、昭和四十一年の来訪外客数は四十三万三千人と前年に比し一八%の大幅な増加を示しましたが、他方邦人の海外旅行者が、海外渡航の制限の緩和等の影響により、三十四万一千人と前年に比べ二八%の大幅な増加を示したため、海外旅行収支は、三千八百九十万ドルと戦後最大の赤字を示しました。
このため、今後海外旅行収支の改善をはかるためには、国際観光市場の動向、来訪外客の中級所得層化の傾向等を考慮した上で、外客誘致宣伝の積極的推進と外客受け入れ体制の整備に特段の努力を傾注する必要があると考えられます。
次に、国内旅行も著しい隆盛を示しており、全国の観光地を訪れる観光客の総数は、四十年には、三十六年の一・五倍に当たる七億五千万人に達しております。
この旅行者の旅行形態を見ますと、ユースホステル、国民宿舎等の低廉な宿泊施設の利用者が増加していること、並びに青少年の旅行、家族旅行及び乗用自動車による旅行が増加しつつあることが、最近の旅行の傾向と見られます。
このような観光旅行の大量化、大衆化と旅行形態の変化に対応して、今後、低廉な宿泊施設の整備、交通輸送施設の整備増強、観光資源の保護管理体制の強化、観光旅行者の安全の確保等、各般の施策が必要とされます。
以上をもって昭和四十一年度観光の状況に関する年次報告について説明を終わります。
次に、昭和四十二年度において講じようとする観光政策について御説明いたします。
この政策は、ただいま御説明しました観光の状況を考慮し、観光政策審議会の意見を聞いて作成したものであります。
まず、国際観光の面につきましては、外客誘致を積極的に推進するため、国際観光振興会、在外公館等による対外観光宣伝活動を強力に実施するほか、出入国手続の改善、国際航空路線の新設増強、国際空港の建設整備等をはかるとともに、来訪外客の多様化に対応して、外客向け中級宿泊施設の整備、国際会議の誘致、産業観光の推進等、新たな観光分野の開拓並びに通訳案内及び旅行あっせん体制の充実強化等の諸施策を進めることとしております。
また、これとあわせて、本年が国際連合の提唱する国際観光年に当たることにかんがみ、国際連合の要請にこたえて、各種の記念行事及び施策を強力に実施することとしております。
次に、国民観光の面につきましては、観光旅行の国民各階層への浸透を考慮して、ユースホステル、国民宿舎、国民休暇村等の清潔、低廉な宿泊施設の整備をはかることとしております。
また、観光資源の保護施策としては、古都における歴史的風土の保存、自然公園等の管理体制の強化、文化財の保存等の措置を進め、また観光客による観光資源の棄損防止及び観光地の美化をはかるため、国民の間に観光道徳の普及を進めることとしております。
なお、このような内外観光旅行の隆盛に伴い、観光旅行者の安全の確保は、重要な施策となっております。ことに、航空機の事故をはじめ、自動車事故、ホテルの火災等、不幸な災害が発生している事態にかんがみ、空港をはじめとする交通関係諸施設の整備、交通安全運動の推進、さらには消防、建築関係法令等の適切な運用により、観光旅行者の安全をはかることとしております。
以上をもって昭和四十一年度観光の状況に関する年次報告及び昭和四十二年度において講じようとする観光政策についての説明を終わります。(拍手)
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観光基本法に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四十二年度観光政策についての発言に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/3
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004・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。内藤良平君。
〔内藤良平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/4
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005・内藤良平
○内藤良平君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま説明のありました昭和四十一年度の観光年次報告及び昭和四十二年度における観光施策について、佐藤内閣総理大臣はじめ関係各大臣に質問をいたしたいと存じます。(拍手)
私は、観光につきまして、一言で申し上げまして、政府の政策は山びこのような政策ではないかと存ずる次第であります。国会並びに国民が平和と観光を唱えまして、それに対する声はございますけれども姿がない、この山びこのような実態が今日の政府の観光行政ではないか、かように存ずるものであります。(拍手)
また、観光行政は十七省庁三十五部局にわたっておりまして、その中心たるものはいずこにあるのか、私は、この白書、報告をひもといてみまして、これに対する質疑をいたしますにつきましても、だれに対して中心的な質問を申し上げていいか、結局は、行政の最高責任者である佐藤内閣総理大臣に質問せざるを得ない、かように存ずる次第でございます。(拍手)
そこで、国民の声あるいは国会の議決の経過を申し上げなくてはなりません。昭和三十八年六月、第四十三国会におきまして観光基本法が制定されました。この基本法は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案によるものでございます。国権の最高機関である国会において、しかも全会一致で可決決定されたものであります。国会におきまして全会一致、可決決定されましたことは、言いかえますと、全国民の賛成のもとに成立したものと理解すべきであろうと存ずるものであります。(拍手)
しからば、この観光基本法が、いわゆる与党、野党の対立もなく、全国民の賛成のもとに成立しましたそのゆえんは何でありましょうか。私は、それは、国民の平和と観光を求めるところにある、かように理解するのでございます。(拍手)観光基本法は、世界の平和の確立と民族の交流を願い、観光を求める全国民の希望を込めた立法であると確信する次第でございます。(拍手)
しかるに、観光基本法制定後四カ年の今日、基本法に盛られておりますところの平和と観光についての現況はいかがでありましょうか。政府の責任のもとに、観光政策は、世界の平和を求める、観光を求めるわが日本国民の願いにこたえておるでありましょうか。私は、残念ながら、これを認めるわけにはまいりません。
ここで言いたいのは、政府は、第三次防衛計画等では二兆数千億円のばく大な国費を平和と独立を守るためと称して投入せんとしておるのでありますけれども、一方、平和と観光を進めるためにはどうかといいますと、四十二年度の予算、一般会計の歳出におきまして、貿易振興及び経済協力費の中で、国際観光振興会についてわずかに八億七千一百万円の補助金を計上しておるのみであります。これがただ一つの観光と名のついた予算であります。これ以外は何もありません。このきわめて貧弱なものと比較しまして、ただいま申し上げました防衛関係等の予算は巨大であることは言うまでもありません。一方は平和と独立、一方は平和と観光、そして政府の施策の驚くほどの不均衡、これはわが国民の生活実態から見て、どう判断してよろしいものでありましょうか。
さらに、事例として申し上げたいのは、四十二年度において講じようとする観光政策の中で明らかなことは、観光政策経費として七十六億三千五百六十二万円、観光関連経費としては九千一百六十三億八千八百三十五万円と説明されておりますが、これらは十七省庁の予算の中から八十一項目にわたって拾い集めたものであります。特に観光関連経費等に至っては、国有鉄道の工事経費三千五百七十八億円余を計上しておるのでありますが、これが観光施策であるとするならば、観光施策は全予算と関連があるから、経費は四兆九千五百億円なりと言うも同じであって、無責任きわまりないものではないでしょうか。(拍手)
以上につきましては、佐藤総理の所信を尋ねる次第でありますが、建設的な、前向きな、明確な答弁を期待するものであります。
次には、国際観光についてであります。
問題は、国際観光に伴ういろいろな問題がありますけれども、これを要約しますと、国際収支が四十一年度三千八百九十万ドルの赤字であります。三十八年以来、連続四カ年の赤字の累積は、八千三百三十二万ドルの巨額に達したことであります。しかも、注目しなければならないことは、観光基本法が制定されました三十八年以来、赤字が継続しておるのであります。国民の観光と平和への希望が基本法として制定されてから、この赤字の続きは何を物語るものでありましょうか。これは政府の国際観光施策が消極的に終始していることを証明するものではないでしょうか。
私は、以上の見地から、この際、政府の施策としては、外国の旅行者、特に世界のおもな市場である北アメリカ及び西ヨーロッパ地域に対し、特段の誘致対策が急務であろうと考えるものであります。国際観光振興会、貿易振興会、在外公館等が対外広報宣伝、誘致等の施策を行なっておりますが、これらの有機的な関連をざらに強化し、をあげるべきであります。たとえは、観光誘致においては、貿易振興会を国際観光振興会の補完的役割りに明確にするとともに、特に産業観光については、相互協力を強化せしめること等であります。また、誘致対策に並行しまして、受け入れ体制も含めて、総合的に施策を行なうため、国際観光振興会と日本観光協会を有機的に結合せしめることも重要であります。
さらに、誘致対策の内容についても、ムードによるソフト・セールスではなく、わが国の観光資源あるいは産業実態を対象別に、系統的に、具体的にセールスするところの、いわゆるハード・セールスに徹底しなければならないと思うのでありますが、これにつきましては、関係大臣の答弁を特にお願いを申し上げる次第であります。
また、私は、わが国の観光ルートを具体的に示し、それに伴うところの旅行日数、輸送機関、あるいは宿泊施設、特産物、人情、風俗、並びに一切の諸経費を、外国において手にとるように外国の方が理解することができるように、そういうことによって外国の方々に旅心を起こさせるように、そこまで徹底しているものかどうかであります。この点は、連絡調整は総務長官が行なっておるようでありますから、総務長官に質問を申し上げたいと存ずる次第であります。関係各大臣とともに、この所見を尋ねるものであります。
国際観光につきましては、先進各国におきましても重要な施策として扱っており、それぞれ自国に誘致するために腐心しているところであります。そのために、きめこまかい対策をとっておるようでありますが、国内旅行が盛んな現状では、大都市のホテル等は満室のことが多いようでありますから、ホテルの数が少ないと、かようにも考えられます。国際的にも、もうデラックスなホテルよりはツーリストホテルが好まれる傾向であるといわれておりますから、また、近年、外国青年はユースホステルを利用する者が多くなっておりますから、これらの増設対策や、長期低利の融資措置が行なわれているかどうかでございます。また、冬季オリンピックや万国博を控えまして、宿泊や食事の免税措置を復活させるべきであると思いますが、どう考えておりますか。
さらに、特定の観光ルートに対する国外からの申し込みには特別の割引を設定する等の措置を行ない、わが国の観光資源を余すところなく開放する等の努力が少ないのではないでしょうか。北海道、東北、四国、九州、北陸、山陰地域等には国際観光にたえ得る資源や素材を、また、関係地方公共団体も意欲は十分持っていると考えられますが、いかがでございましょうか。
一方、産業観光と結合して、わが国の特産品の販売を強力に推進し、空港、海港など、出入国港での販売を積極的に行なうべきであります。香港の「お買いものは香港で」のキャッチフレーズに対抗するぐらいの意欲ある施策を行なうべきでありましょう。民間の旅行あっせん業者等に対する特別措置も、現状ではきわめて不十分であります。海外事務所の維持対策、観光ガイドの安定的雇用対策等々、もっと大幅な施策を行なうべきであります。また、ここで強調したいのは、国際会議の誘致に伴う同時通訳者の養成は緊急を要するものと思います。これらについて、関係各大臣の所見を尋ねるものであります。
さらに、国際観光の振興、隆盛に伴って、わが国民の海外旅行が増加するのは当然でございます。したがいまして、わが国民、特に青年諸君の海外旅行には、政府として特段の措置を行ない、これを奨励し、援助すべきであります。しかるに、往々にして、交流する国々によっては、出入国手続をもってこれを制約し、わが国民の自由な海外交流を阻害しておりますが、これは国際観光年の趣旨にも反する、全くの偏見による措置として指摘しなければなりません。これらについては、総務長官並びに法務大臣の所見を尋ねるものであります。
また、回際観光に伴う国際収支についても、以上の見地から、赤字をおそれて消極的に後退する施策ではなく、積極的にわが国の観光資源を開発し、それに伴う諸施設及び接遇等を改善して、政府の施策と地方公共団体及び民間諸団体の意欲が集約され、総合的に計画され、成果をあげ得るよう措置すべきであると思います。四十二年の予算から見てそれがあまりにも貧弱であり、ユースホステル等は逆に削減されつつあるものもあります。観光施策は予算編成からボイコットされている感がありますが、いかがなものでありましょうか。この点は特に大蔵大臣に尋ねる次第でございます。
次に国内観光についての質問であります。
今日では、わが国民大衆の動向は、すでに旅行は国民生活の一部となっております。また、団体日帰りの旅行から家族連れ一泊旅行に移り変わっております。特徴的なことは、青年諸君の旅行熱が高まっていることであります。国民大衆の観光旅行を欲求するゆえんは、日常の没自然的な労働並びに生活環境から脱出して、大自然の中に人間としての一ときを過ごし、あしたへの活力を養いたいという、きわめて自然人らしい発想であろうと理解するものであります。それを阻害するものは何かと申せば、調査によりますと、一に金がない、二にひまがないということであります。これは、世界に類例を見ないほどの経済成長をになっているわが国民の労苦に対して報いるものがきわめて少ない現実を物語るものではないでしょうか。
佐藤総理は、この国民の動向と欲求不満に対して、どのように考えておられるのでしょうか。あなたは、毎週末には、家族連れで旅行をされ、休養を十分にとっておられるようでありますが、これは、激務にある一国の総理として、あしたへの英気を養うため、必要欠くべからざるものとして、私も了解するにやぶさかではありません。いや、大いにおすすめをしたいところであります。しかしながら、あわせて、国民大衆が観光旅行に対して強い欲求があり、しかもそれが満たされていない現実にあっても、なお黙々として働いていることを思えば、一国の総理として、これらに対して具体的な施策を立て、早急に実現をはかるべきではないでしょうか。(拍手)
この際、政府が率先して、国民宿舎、国民休暇村、民間宿舎、旅行金庫、旅行休暇、観光旅行の過度集中化の防止等の施策を盛り込んだ国民観光旅行五カ年計画等、さらにこれには数百万に及び学童あるいは学生の修学旅行を含めて、この五カ年計画等を設定し、政府の一元的な指導のもとに関係者の持てる力が集約され、総合的対策が実行された場合、その成果は多大なものがあるに違いないと思いますが、いかがなものでしょうか。
わが国民が、次の世代をになう家族とともに、風光明媚なわが国土と探勝し、歴史と伝統を語り、産業の発展を知るという日本国民としての交流と自覚を深めるところから、いわゆる愛国心なるものが芽ばえるとは思われませんでしょうか。佐藤総理はじめ関係各大臣の所信を尋ねるものであります。
最後に、観光行政の一元化について申し上げます。
政府の観光関係行政機構は、十七省庁、三十五部局にわたっており、その所掌事項も広範かつ多岐であります。今日、総務長官が全般の連絡を担当しておるようでありますが、十七省庁、三十五部局を統括し、観光行政をわが国民のために有効適切に実施しようとするならば、不可能なことと思わねばなりません。政府は、この際、勇断をもって観光行政の一元化をはかることが緊急と思いますが、この点は特に佐藤総理に所信を尋ねる次第であります。
さらに、観光政策審議会が活躍しておられることと思いますが、委員の任命にあたって、国民観光の立場から、労働者、農漁民、中小零細企業者、青年、婦人等の代表者を選定、任命すべきであろうと考えますが、総務長官の所見を尋ねる次第であります。
以上、昭和四十一年度観光の状況に関する年次報告について、各質問を申し上げましたが、佐藤総理はじめ関係各大臣の誠意ある、かつ懇切丁寧なる答弁を期待して終わる次第であります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/5
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006・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 内藤君にお答えいたします。順序はお尋ねのとおりではございませんが、私一応整理したところでお答えいたします。
まず第一は、観光行政の一元化の問題であります。御指摘のように、十七省庁、三十五部局にわたっておる、そういう観光の仕事でございます。これを各省のうちから観光行政というものが抽出できるかというと、これはできない状況でございます。したがいまして、私は、これを一元化するという行政の一元化、これはいろいろ考えてはみますが、なかなかむずかしいことだ、かように思います。
そこで、そのかわりといたしまして、連絡を密にし、そうして協力関係を打ち立てるために、ただいま観光対策連絡協議会をつくっておるわけであります。これは総務長官が議長でありまして、そうして各省の次官を委員として、この会議をしておる。ここで十分連絡をとり、お互いに協力し合うことになるのであります。
そこで、ただいまの観光事業というものはたいへん多岐にわたるものだ、これはもう御指摘のとおりであります。したがって、先ほど予算の面で、非常に少ないじゃないか、こういうことを言われ、これはちょうど山びこだ、声はすれども姿は見えない、こういう皮肉なお話でございましたが、ただいま申し上げますように、各省それぞれ関係がございます。たとえば厚生省は国立公園のこと、これはやはり国民旅行に関係のあるものでありますし、また、水道そのものも衛生の見地から、もちろん関係がある。道路につきましても、これまた建設省が特別な有料道路を設けて、観光地の開発をしておるとか、かような意味で、一省だけの予算でこれを抽出して、予算が少ないと言われましても、これはちょっと当たらないのじゃないか。ことに鉄道だけの仕事でないということが、ただいまの一、二の例でおわかりのとおりでありますし、これは十七省庁に関係するといわれるところでもあります。そこで、この観光事業の趣旨またその使命、目的、これは私もよく知っております。観光基本法の前文に書いておるところのもの、これを忠実に理解し、その線に沿って、観光事業の整備をはかっておるわけであります。
そこで、御指摘にもなりましたように、国際観光という面から見れば、外客の誘致に積極的にわれわれが力をいたす。一時、観光立国とまでいわれたようなことでございますから、一そうこの上力をいたすべきであります。その意味で、観光事業振興費の予算、補助金等は計上されております。しかし、それだけではなくて、やはり外客誘致、さらにまた、その接遇の向上に努力しなければなりませんし、また国内観光の面から申しては、何と申しましても、旅行が容易にできる、たやすく、手軽に旅行ができるようにしなければならないと思います。交通の整備はもちろんでありますが、そういう意味で、宿舎を整備することが一つの問題になってきます。その中には、御指摘になりましたように、国民宿舎であるとか、ユースホステルであるとか、あるいは国民休暇村であるとか、こういうものをつくって、そうして、容易に旅行ができるようにする。同時にまた、観光資源の保護、これを積極的にいたさなければならないと思います。そういう意味の予算は十分講じておるわけであります。
そこで、長期にわたってこの観光計画を立てるべきではないか、これはお説のことに私も賛成でございます。そういう意味で、五カ年計画というようなものと積極的に取り組んでまいる考えでございます。ただいまは国連における観光年でもございます。そういう意味で、あらゆる行事を通じ、また、近くは万国博覧会も開催される、また、日本において国際会議が幾つも開催される、こういう際に、積極的に外客誘致をはかりたいと思います。ただ、運輸省だけの機関ではなくして、やはり外務省も積極的に公館等を動員いたしまして、この観光事業の整備に協力すべきだ、かように考えております。
その他の点については、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
〔国務大臣水田三喜男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/6
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007・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 観光予算についてのお話でございましたが、先ほど八億円というのは、何かの誤りであろうと存じます。海外の観光宣伝費、観光資源の保護、それから観光施設への補助というようなもので、本年度の予算は、約八十億円近い予算の計上でございますが、これはさらに増加する必要が今後あろうと存じます。
それから、金融措置についてでございますが、国際観光ホテル整備法、この法律に基づきまして、いわゆる登録ホテル、外人のためのホテルについての融資は、開発銀行、北海道東北開発公庫、中小企業金融公庫、これが中心になって融資いたしておりますが、四十二年現在の貸し付け残高は、この三行だけで四百五十二億円に達しておりますので、先ほど姿がないというお話でしたが、オリンピック以後観光施設についての姿は、最近相当あらわれておるというふうに考えております。(拍手)
〔国務大臣田中伊三次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/7
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008・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 国際観光年の重要性から見て、外国人の入国を制限しないがよかろうという御趣旨でございます。お説のとおりやっていきたいと考えておりますが、一つ御了解をいただかなければならぬのは、わが国と交際のある承認国との間におきましては、お説のとおり、ずばりそのままにいきたいのでございます。ところが、いまだ交わりのない未承認の国との間につきましては、たとえて申しますと、スポーツであるとか、あるいは文化であるとか、あるいは文字どおり純粋の経済問題等の入国につきましては、これを許すことにやぶさかではございませんが、スポーツと称し、文化と称し、純粋経済なりと称して、わが国の治安の上から思わしくないような入国の目的あるものにつきましては、これはわが国主権国家といたしましては、これを拒否すること当然でなければならぬ。(拍手)これは日本の国のみならず、世界各国の主権国におきましては、いずれも日本のとっておりまする行動のとおり、未承認の国については、原則として、入国は許さない。例外として、国益にそむかざる限度において入国を許す、こういう方針をとっておりますことは、わが日本ばかりではないのである。将来ともにこの方針をとっていきたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣大橋武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/8
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009・大橋武夫
○国務大臣(大橋武夫君) 国際観光の振興策につきまして、いろいろと貴重な御意見を承りまして、まことにしあわせに存じます。
私どもは、観光収支の赤字解消は、外人誘致という積極策しかないという観点から、いろいろ施策を講じておりますが、まだ不十分の点のあることは御指摘のとおりであります。
以下、お尋ねの点についてお答えをいたします。
国際観光振興会と他の関係機関との連携につきましては、国内においても海外においても、定期的に会合して協議をいたしており、連絡を緊密にいたしておるところでありますが、今後一そう御趣旨に沿うよう指導したいと思います。
国際観光振興会と日本観光協会との関係でございますが、この二つの団体といわず、関係業界が打って一丸となって、その整備につとめるよう指導いたしております。
第三に、セールスのしかたでございますが、できるだけきめのこまかいものにするよう呼びかけておる次第でございます。
次に、観光ルートの拡張という点でございますが、九州、東北、北海道へまで足を伸ばせるよう、整備を促進してまいりたいと思います。
最後に、同時通訳の養成の仕事でございますが、今年の国際観光年を期して、その養成の緒についたようなわけでありますが、今後もできるだけこれを継続して、一本立ちできる同時通訳者を多数養成したいと思っております。(拍手)
〔国務大臣坊秀男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/9
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010・坊秀男
○国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問にお答え申します。
国内における観光資源の最も大きい自然の保護につきましては、国立公園、国定公園等に対しまして毎年所要の予算を措置しまして、鋭意観光資源開発に努力をしてまいりましたが、さらにその整備につとめてまいる所存でございます。
それから国民宿舎、国民休暇村等、こういった施設は、家族の旅行あるいは一般のレクリエーションに資するところきわめて大きいものがあろうと思いますので、そういったような施設につきましても、今後とも大いにこれをつくってまいる、こういう所存でございます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣菅野和太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/10
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011・菅野和太郎
○国務大臣(菅野和太郎君) 私に対すると思われる点について、お答えしたいと思います。
第一にお答えしたいことは、日本の産業観光をもっと盛んにしたらよいではないかということで、これは御説のとおりでありまして、御存じのとおり、いままで日本独特の風物あるいは史跡の観光客が多かったのでありますが、最近におきましては、日本の産業が非常な勢いで発展しましたので、日本の産業を見たいということで来往する外人が決して少なくないのでありまして、今後におきましてもそういう産業観光を奨励したいと考えておる次第であります。
それから日本独特の民芸品などについては、お説のとおりもっと各国に紹介して、より多くこれが売れるように努力したいと考えております。
それから、国際観光振興会と貿易振興会との関係についてのお尋ねがあったのでありますが、もちろん貿易振興会と国際観光振興会とはお互いに連携しておるのでありまして、日本の産業観光に来てもらうためには、やはり国際観光振興会のお力によって、外人をより多く日本に来航してもらいたいと考えておるのであります。
なお、万国博覧会について、ホテルの用意がありやいなやというお尋ねでありましたが、なるほど現在におきましてもホテルが不足しておりますので、万国博覧会に備えるため、もう少しホテルをつくってもらうように、いろいろと計画いたしておる次第であります。(拍手)
〔国務大臣塚原俊郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/11
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012・塚原俊郎
○国務大臣(塚原俊郎君) 外客誘致を強力にしなければならないことはお説のとおりであります。国際観光振興会、在外公館、日本貿易振興会、こういったものとの連絡協調体制を密にいたしまして、御趣旨に沿いたいと考えております。
なお、国際会議とか、あるいはいろいろな行事等もございまするので、そういうものもできるだけ日本でやってもらうようつとめる考えでございます。
それから、観光政策審議会の委員に、利用者代表を入れろというお話であります。これも現在のところ各方面にまたがっておりまして、その方々に委員を委嘱すると同時に、利用者の方にもお願いはいたしておりまするが、いま御質問のような御批判も私はよく承知いたしておりますので、これはひとつ検討させていただきたいと考えております。
それから、諸外国の青少年との交流の問題でありますが、これはまことに賛成であります。今度の八月末から、世界中、七個班に分けて海外派遣をいたしまするし、またトライアルではありますけれども、来年の一月から三月にかけて青年の船というものを出すことになっておりまして、今後とも青年の交流ということには力を入れていく考えでございます。
これを要するに、お話にもありましたように、大いに日本の現状というものを、あるいは産業の面でも、風物の面においても、宣伝する必要があるというお話でありますが、世はまさに宣伝の時代でありまするから、ひとつあくまでも強い宣伝をしなければならない。日本に対する旅情というか、慕情というものをつのらせるような努力を、今後とも続けていく考えでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/12
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013・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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日程第一 消防法及び消防組織法の一部を改
正する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/13
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014・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 日程第一、消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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015・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長亀山孝一君。
〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔亀山孝一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/15
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016・亀山孝一
○亀山孝一君 ただいま議題となりました消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、
第一に、最近における交通事故の激増に対処し、人命救護の一そうの徹底を期するため、現在救急業務を行なっていない市町村の区域にかかる道路で、交通事故が多発するところについての救急業務の実施を、現に救急業務を行なっている他の市町村に、都道府県知事が要請することができるようにいたしますとともに、特に交通事故が多発している高速自動車国道及び一般国道で、政令で定める区間につきましては、都道府県が救急業務をみずから行なうことにいたしたこと
第二は、最近におけるプロパンガス等による災害を予防するため、液化石油ガス等について、一定数量以上を貯蔵し、または取り扱う者は、消防機関に届け出なければならないことなどを内容とするものであります。
本委員会におきましては、消防制度の整備及び消防施設の充実をはかることを目的として、すでに三月十七日、消防に関する小委員会を設置して、参考人の意見を聴取するなど、熱心に調査を進めていたのであります。
本案は、参議院先議として国会に提出され、七月十日当委員会に本付託となりましたので、七月十三日藤枝自治大臣より提案理由の説明を聞き、さらに、参考のため、奥野小委員長より小委員会の経過を聴取して、慎重に審査を行なったのであります。七月十八日、質疑を終了、採決を行ないましたところ、本案は原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、同日、本委員会におきまして、消防施設、特に高層建築物、地下街等における避難施設の整備、石油コンビナート地帯、港湾等における特殊災害に対処するための防災対策及び消防財源の充実等を内容とする決議を行なったことを付言いたしておきます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/16
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017・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/17
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018・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 国債整理基金特別会計法の一部を
改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/18
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019・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 日程第二、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/19
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020・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長内田常雄君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔内田常雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/20
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021・内田常雄
○内田常雄君 ただいま議題となりました国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
この法律案は、昨年十二月の財政制度審議会の報告の趣旨に沿って、国債発行に伴う減債制度の整備改善をはかるためのものでありまして、その内容の大要は、
第一に、国債の元金償還に充てるべき資金の定率による繰り入れの制度を復活し、前年度初めにおける国債総額の百分の一・六に相当する金額を、毎年度一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れること
第二には、この定率による繰り入れと別に、財政法第六条の規定による一般会計剰余金の二分の一以上の繰り入れのほかに、国債の元金償還に支障を生じないため、必要に応じ予算をもって定める金額を、一般会計または特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れることとする規定を新たに設けることであります。
右の措置に伴って、「昭和七年度以降国債償還資金の繰入一部停止に関する法律」及び一般会計について定率による繰り入れを暫定的に停止していた「国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律」は、当然これを廃止することとしております。
本案につきましては、財政と公債政策の基本に関する問題、税収の見通しと国債の減額問題、国債消化と金融政策との関連、国債の借りかえの問題等をめぐって、熱心な論議がかわされましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
かくて、昨十八日、質疑を終了し、日本社会党を代表して広瀬秀吉君より反対の討論が行なわれ、次いで採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/21
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022・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 討論の通告があります。これを許します。広瀬秀吉君。
〔広瀬秀吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/22
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023・広瀬秀吉
○広瀬秀吉君 私は、ただいま議題となりました国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党を代表して反対の討論を行なわんとするものでございます。(拍手)
まず、最近の国債発行状況を見ますと、政府が昭和四十年度において、無計画、放漫な高度経済成長政策の失敗によって招来された経済不況、税収不足に見舞われて、健全財政を維持することができなくなった結果、いわゆる赤字公債二千億円を発行いたしまして、画期的な公債に依存する財政への道を開きまして、続いて昭和四十一年度には、建設公債の名のもとに七千三百億を予定し、六千七百五十億の発行実績を数えまして、今年度はさらに好況局面を迎えて、公債は大幅に削減するか、とりやめるべき段階にもかかわらず、八千億の巨額にのぼる公債発行を予定し、現にその消化を進めつつあるわけであります。したがいまして、昭和四十二年度末には、既発国債を含めましてその総額は二兆四千億円をこえるというような状況になっておるのであります。まさに借金財政の姿が、ここわずか二、三年のうちにしてかような状況になっておることを数字は物語っておるわけであります。しかも、今日以降、経済高度成長の中で取り残され、またアンバランスにおちいった社会資本を充実させること、あるいは公共事業拡充の名のもとに、相当長期にわたって国債発行が続けられ、公債は急速に累積する情勢にございます。
このような情勢の中で、政府は、財政制度審議会の答申を受け、今回減債制度を改正いたしまして、今日までの万分の百十六の定率繰り入れ——これは実際には停止されておったのでありますが、これにかえまして、前年度首国債残高に対し百分の一・六に相当する額を整理基金特別会計に繰り入れ、さらに予算をもって定める額を繰り入れるというようなことを主とした内容の法律改正を行なったわけであります。
わが国民の間には、かの悪名高き戦時公債に対する苦々しい記憶がなお新たなものがあります。われわれの反対にもかかわらず公債政策が導入され、急速な累積を始めているとき、国民の不安を除き、国債に対する信頼性の点からいって、今日までの減債基金制度がいかに不十分であるかは論をまたないところであります。
われわれの試算によれば、予算に占める公債依存の割合を四十一年度の一六・八%から毎年一%ずつ減少するものとし、一方予算規模が年率一五%程度上昇するものとして考えました場合に、昭和四十六年度の公債発行高は、およそ一兆四百億円にものぼるでありましょう。そうして四十年度以降の公債累積残高は五兆五千億円をこえるはずであります。
このような情勢の中で、政府の義務として、今年度から前年度首国債残高の一・六%、約八十億円の繰り入れをすることになったわけでありますが、これではたして国民は、公債を抱いた国の財政政策がみだりに流れず、節度をもった運営が行なわれていると信頼するでありましょうか。政府の公債政策に対する国民の信頼と理解が得られるでありましょうか。最近における国債の市中価格の値下がりは、このような政府の無責任な公債発行と、不誠意な、減債制度に対する熱意のない態度に対する庶民の反撃とも見られるわけであります。(拍手)反対の第一の理由はここにあります。
政府は、財政法第四条によって、公共事業費、出資金、貸付金の財源として国会の議決を経て発行された公債はいわゆる建設公債であり、これによってつくり出された資産は、国民経済における企業活動や個人生活に多くの便益を与え、長期にわたる経済発展、向上をもたらし、これが将来における税収の増加にもつながると説明をいたし、百分の一・六ずつの繰り入れを行ないながら借りかえ操作を繰り返して、約六十一年間で完全償還を行なおうとするかまえでおるわけであります。今日の経済情勢はきわめて流動的であり、新しい技術開発の時代といわれるほど日進月歩の激動の時代であります。このような情勢の中郡六十一年というのは、まさにまぼろしとか映らない、あまりにも遠い年月であります。この間、公債財源をもってつくり出した資産は、国民経済とその生活発展に寄与し続けるとの説明が、いかにむなしい響きしか持たないかは、いまさら言うまでもありません。大蔵委員会の審議を通じまして、われわれの質問に対しても、何ら納得すべき説明はついに与えられないで終わりました。
時代の進展と変化の状況を正しくとらえ、償還定率を少なくとも政府提案の三倍ぐらいにいたしまして、二十年程度をもって償還し終わる仕組みにすることが、財政法の大原則とする健全財政主義、財政民主主義に適合し、公債に対する国民の不安を除去し、信頼を得る方途であると私どもは考えるわけであります。(拍手)
そればかりではなく、財政制度審議会の報告にもございますように、減債制度の拡充、政府の義務として定率繰り入れを行なわせる重要な意義の一つは、公債発行の放漫化を戒め、節度ある発行を担保する、いわゆる公債歯どめの効果をもねらったものであることにかんがみまするならば、あまりに僅少なこのような繰り入れでは歯どめにならないばかりか、わずかばかりの繰り入れを隠れみのにして、公債増発の口実にすらなりかねない危険が予想されるのであります。(拍手)これが第二の反対理由であります。
さらに、一般会計を通じて発行される公債は、建設公債、生産公債などの名前を冠しましたものの、しょせんは一般財政需要の増大に対する財源を不足の補てんとして発行される、いわば赤字公債であります。公共事業費等の特定財源に充当されるという何らの具体的、科学的保証はないのであります。毎年、かくのごとく公共事業費、出資金、貸付金等に対する財政需要は一そう強まる傾向にある今日、そのための建設公債は限りなく出されていくことになります。公債発行を打ち切るチャンスは、いつになってもつかめないことになるでありましょう。そして、その公債、借り入れ金の償還所要額は累増の一途をたどりまして、昭和四十七年に二千五百七十七億、昭和四十八年、七千四百五十七億、昭和四十九年、九千十八億の巨額に達します。昭和五十年以降はおそらく一兆円を大きく突破するでありましょう。まさにそのときこそ、予算規模の一〇%以上が公債費という不健全財政、硬直した半身不随の財政の姿が実現するであろうことをおそれるものであります。(拍手)そうして、公債を償還するために、また公債を発行するという悪循環が行なわれ、その面からする悪質インフレは、想像するにかたくないのであります。このような情勢に至らしめないための措置であるべき今回の法改正が、そのために全く無力であるといわなければなりません。第三の反対理由であります。
さらに、財政法の原則は、あくまで公債不発行、健全財政を通じて、財政における民主主義を守ることにあります。すなわち、四条一項において公債を発行し得る場合を限定いたしまして、同条二項に、償還計画を国会に提出させることといたし、第五条において、日銀引き受けを原則として排除し、同条ただし書きにおいて、特別な事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内でのみ、日銀引き受けもあり得るといたしておるのであります。国債整理基金特別会計法第五条において、政府が国債の整理または償還のため必要な限度において起債し得る旨の規定があります。これがいわゆる借りかえ規定でありますが、今日まで政府はこの規定を悪用し、法的性格において新規債の発行である借りかえ債の発行を財政法の「特別の事由」として特別会計予算総則第五条にこれを掲げて、借りかえ債は日銀保有分を日銀引き受けで発行できる、こういうようにいたしております。しかもこのことは、毎年借りかえを行なうごとに慣例的に行なわれております。財政法第五条が原則として日銀引き受けを禁止し、そのただし書きにおいて「特別の事由がある場合」に限り特例として日銀引き受けを認めるというたてまえをとっておるにもかかわらず、慣例的に毎年行なう借りかえ新規債発行が、どうして特別の事由ということができるでありましょうか。全く政府はこの面において財政法違反を犯しながらてんとして恥じない態度をとっておるのであります。(拍手)これがこのまま続けられるならば、公債償還のための借りかえ新規日銀引き受けは逐次増大いたしまして、金融逼迫時における買いオペによる日銀手持ち分と合わせまして膨大な額に上り、通貨増発、信用インフレを大きく助長するおそるべき要因になることは必至であります。(拍手)
このような危険きわまるごまかしと抜け穴を抱いている国債整理基金法は、今回の措置によるスズメの涙ばかりの定率繰り入れによって解決するような問題ではなく、より根本的、より総合的見地に立ち、財政法の真精神を土台にした減債制度のあり方をいまこそ抜本的に打ち立てる必要があると確信いたすものであります。(拍手)このような総合的根本策を立てることをサボり、当面を糊塗する政府の本改正案には断じて賛成できないのであります。政府が・・・。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/23
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024・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 広瀬君、申し合わせの時間を過ぎましたので、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/24
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025・広瀬秀吉
○広瀬秀吉君(続) すみやかに借りかえ債についても日銀引き受けの赤字公債発行をとりやめて、公共事業費としての使途の明示、償還計画作成等、財政法の制約の中で処置すべきことを求めるものであります。
減債制度に魂を入れるものは、財政法第四条所定の適正かつ具体的な償還計画の国会への提出でなければなりません。しかるに今日このような計画は出されておりません。財政法二十八条に基づくものはいわゆる予算参考書として、七年満期のものは七年たったら返すことになりますというだけの表でございます。こういうようなことでいわゆる償還計画と言うことができるでありましょうか。まさにこれらの点について財政法違反を私はきびしく責めなければなりません。(拍手)あくまで償還計画を立てなければいけません。
終わりに、私は、政府が今後建設公債、社会資本充実という名目のもとに、みずからを欺きながら、独占資本の利益をはかるため、安易な財源調達手段として麻薬常習者のごとくとめどもなく赤字公債を発行するどろ沼にはまり込み、悪名高き戦時公債の犠牲に泣いた国民を再び嘆かせることのないよう、強く政府に警告いたしまして、私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/25
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026・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/26
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027・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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オリンピック記念青少年総合センター法の一
部を改正する法律案(内閣提出、参議院送
付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/27
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028・竹内黎一
○竹内黎一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、内閣提出、参議院送付、オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/28
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029・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 竹内黎一君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/29
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030・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/30
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031・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。文教委員長床次徳二君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔床次徳二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/31
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032・床次徳二
○床次徳二君 ただいま議題となりましたオリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過とその結果を御報告申し上げます。
本案の要旨は、政府は、オリンピック記念青少年総合センターに、東京都渋谷区に所在する、オリンピック東京大会選手村施設として使用された国有の土地、建物等を追加して出資することができることとするものであります。
本案は、参議院の先議にかかるもので、去る五月十日政府より提案理由の説明を聴取いたしました。本案に対する審査の詳細は会議録によって御承知を願います。
かくて、七月十九日、本案に対する質疑を終了し、討論の通告がないため、直ちに採決に入り、本案は全会一致をもって原案のとおり可決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/32
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033・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/33
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034・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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土砂等を運搬する大型自動車による交通事故
の防止等に関する特別措置法案(大久保武
雄君外十名提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/34
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035・竹内黎一
○竹内黎一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、大久保武雄君外十名提出、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/35
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036・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 竹内黎一君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/36
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037・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/37
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038・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。交通安全対策特別委員長山下榮二君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔山下榮二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/38
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039・山下榮二
○山下榮二君 ただいま議題となりました大久保武雄君外十名提出にかかる法律案につきまして、本特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における土砂等の運搬の用に供する大型自動車による交通事故の発生状況にかんがみ、土砂等を運搬する大型自動車の使用について、届け出、表示番号の表示、使用者に対する使用の制限及び禁止等必要な規制措置を行なうとともに、土砂等の運搬に関する事業を行なう者の協業化の促進及びこれらの者が組織する交通事故防止等を目的とする団体の育成をはかること等により、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止をはかることといたしております。
本案は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党共同提案にかかるもので、七月十九日本委員会に付託され、同日、提出者を代表して古川丈吉君から提案理由の説明を聴取し、質疑を終了した後、討論もなく、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもちまして原案のとおり可決すべきものと決した次第でございます。
なお、本案に対し、本法の実施に必要な予算及び定員上の措置並びに土砂等の取引関係の適正化に関する附帯決議を全会一致をもって付することに決した次第でございます。以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/39
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040・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/40
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041・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/41
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042・石井光次郎
○議長(石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105505254X04219670719/42
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