1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十二年五月十一日(木曜日)
午前十時三十分開会
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 仲原 善一君
理 事
林田悠紀夫君
吉武 恵市君
松澤 兼人君
原田 立君
委 員
小柳 牧衞君
沢田 一精君
塩見 俊二君
高橋文五郎君
中村喜四郎君
林田 正治君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松本 賢一君
市川 房枝君
政府委員
自治政務次官 伊東 隆治君
自治省行政局長 長野 士郎君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
—————————————
本日の会議に付した案件
○地方公務員災害補償法案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514720X00519670511/0
-
001・仲原善一
○委員長(仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
地方公務員災害補償法案を議題といたします。
補足説明をお願いいたします。長野行政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514720X00519670511/1
-
002・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) お手元にこの前御配付を申し上げました「地方公務員災害補償法案関係資料」というのがございますが、この中の二番目の青い紙のところの「地方公務員災害補償法案要綱」というのがございますので、内容につきまして非常にある点技術的なものがごたごた入っておりますので、一応要綱に基づきまして御説明を申し上げたいと思います。
まず、そこに第一に「総則に関する事項」というのが入っておりますが、これは法律の第一章の「総則」というものの大体主要な事項をこの中に書き上げておるわけでございますけれども、この法律は、 「この法律の目的」としてそこに書いておりますように、地方公務員の公務上の災害−負傷、疾病、廃疾、または死亡をいうものとされておりますが、公務上の災害に対する補償の迅速かつ公正な実施を確保するため、対象といたしましては、原則として常勤の職員につきまして考えておるわけでございますが、常勤の職員の場合には、補償を行なう基金の制度を設けまして、常勤の職員の公務災害補償を地方公共団体にかわって行なうことにいたしたい。その行なう事業につきまして必要な事項を定めますとともに、そのほか地方公務員の補償に関して必要な事項を定めるというのは、基金の対象とならない非常勤の地方公務員があるわけでございます。非常勤の地方公務員の補償に関しても必要な事柄を定めたい、そういうことによりまして、また同時に、補償内容というものも明定をいたしまして、そして地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするものでございます。あとでも申し上げますが、基金を設けまして、その対象となりますものは常勤の職員でございます。非常勤の職員につきまして、たとえば地方公共団体の長でございますとか、議員でございますとか、あるいは労働委員会の委員でございますとか、監査委員とか、そういういろいろ非常勤の特別職もおられますが、そういう人たちにつきましては、長は別でございますけれども、条例で定めることを考えておるわけでございます。基金で直接やるということにはいたしておりません。
それから補償の内容は、あとで出てまいりますが、これは現在国家公務員の公務災害補償と同じようなことで考えておるわけでございます。ここに書いておりますように、この法律の目的といたしますところは、一つはこの補償内容の改善をはかるということでございますし、またもう一つは、これを迅速に、また公正に補償の認定なり給付ということを行なってまいりたいということに相なるわけでございます。現在、災害補償の関係につきましては、地方公務員につきましてはこういう統一的な法制がございません。したがいまして、大臣の提案理由の説明にもございましたように、ほとんどの地方公共団体におきましては、公務災害補償に関する法制が非常に不完全でございまして、地方公務員法によりますと、条例で制定し得ることになっておりますが、ほとんどの団体は条例をつくっておりません。したがいまして、労働者の災害補償の最低基準でありますところの労働基準法が一応原則として適用される、こういうかっこうになっております。現在大多数の非別業の職員につきましては、地方公共団体におきましては、労働基準法の労務災害補償が適用されるというかっこうでございます。それから現業の職員におきましては、労働者災害補償保険法の適用を受けるというかっこうになっております。したがいまして、現業の職員のほうは、労働者災害補償保険法の適用を受けますので、認定とか、給付の関係は、労働基準監督署あるいは労働省所管のかっこうで運営がされております。
それから非現業の職員、すなわち地方公務員の中の八割以上の者は労働基準法の適用を受けますが、実際問題としては、個々の任命権者によって認定なり給付なりが行なわれておる、こういうことになっておりまして、取り扱いは非常に区々でございます。また同時に、最近の改正におきまして、労働者災害補償保険法のほうは、内容を非常に改善したというかっこうになっておりますので、一般の非現業の職員につきましては、むしろ非常に補償内容が劣っておるというようなかっこうになってまいっております。国家公務員のほうにつきましては、公務災害補償法の統一的な立法をいたしておりまして、そうして労働者災害補償保険法などの内容の改善が行なわれますたびに統一的に措置をしておるというかっこうであります。地方公務員のほうにつきましては、そういう意味で内容においても適用法規が区々でございますし、認定なり補償の実施という点でも区々になっております。また、特別職等につきましては、地方公務員法によりまして、適用の対象になりますのは一般職でございますので、特別職については対象にされていない、こういう状況でございますので、今回この統一的な立法をいたしまして、まず、常勤の職員につきまして補償内容を引き上げるとともに、認定なり給付というものが専門的な機関によって統一的に行なわれることにより、職員の身分の安定といいますか、そういうものに寄与したいということでございます。また同時に、適用にならない特別職につきましても、あるいは非常勤の職員につきましても、常勤の職員に対して適用されると同様の補償内容のものを、地方団体の条例で行なうという道を開くということを考えておるわけでございまして、その種の意味のことをこの目的のところで述べておるわけでございます。
その次に「定義」の関係でございますが、この法律で職員と言っておりますものは、いま申し上げましたようなかっこうでございますので、基金によって災害補償が行なわれる職員ということでございますので、職員は、「常時勤務に服することを要する地方公務員」ということにいたしております。そうしてそれは常時勤務に服することでございますけれども、同時にそこのカッコ書きに書いてありますように「勤務形態が常時勤務に服することを要する地方公務員に準ずる者」、共済組合の組合員につきましても、単なる常勤職員だけでなしに、いわゆる常勤的非常勤職員というのがございますが、そういう者も同じように適用させるということでございます。そういう意味では共済組合の組合員の範囲と同様でございます。
それからこの法律で、補償の内容といたしまして、結局それは平均給与額というものをきめまして、そうしてそれに対する何日分でありますとか、あるいは百分比で幾らというふうに考えていくわけでございますので、この法律では平均給与額というものが、補償の計算をいたしますところの金額の基礎になってくるわけでございますが、そこで、この法律での平均給与額というものは、そういう各種補償の算定をする基礎になるものであります。そこで、それをいつの時点のもので計算をしていくかという問題が問題になるわけであります。それはここに書いておりますように、災害補償の原因が発生した白の前月の未日から起算をいたしまして、過去三カ月間にその職員に対して支払われました給与の総額を、その期間の総日数で割り出しまして得た金額をいうものとしております。なお、その算定にあたりましては、職員の責めに帰することのできない事由などによりまして勤務しなかった期間などは除算をいたし、また給与形態によりまして、平均給与額が過小となる場合等の算定につきましては、特例を設けることとしております。
その次に、第二番目に「基金に関する事項」でございますが、基金は、先ほども申し上げましたように、職員についてこの法律に定める補償等を実施いたしますために、地方公務員災害補償基金を設置するということにいたしております。その基金は法人といたしまして、主たる事務所を東京都に置く、従たる事務所を都道府県と六大市に置くことにしております。それで、基金についての定款とか業務規程あるいは登記などにつきましては、一般の特殊法人の例によりまして必要な規定を置いております。まあ基金はどういう性格のものであるかということになりますと、もちろんそういう形式的には特殊法人でございますが、結局地方公共団体が公務災害補償をいたしますのにかわって補償をする統一的な機関ということでございますので、結局地方団体が共同して設けて、一つの補償業務を専門的に扱わせる、こういうことに考えておるわけであります。ただ、実際問題といたしましては、事務処理の能率その他のこともございますので、都道府県と六大市に従たる事務所を置きまして、通常の場合にはほとんど支部におきまして認定なり給付の業務を行なっていく、こういうことにいたしたいと考えております。
その次のほうに基金の機構のことを五ページのあたりに書いておりますが、基金の機構につきましては、少数の役員を設けまして、ほかに基金には重要事項を審議いたしますために運営審議会を置くことにしております。通常のそういう特殊法人と内容はほとんど変わっておりません。五ページの終わりのところに運営審議会のことを書いておりますが、委員十二人以内で運営審議会を設けまして、知事あるいは市長、町村長、県の教育委員会、公安委員会、公営企業の管理者等の地方公共団体の機関を代表する者と学識経験者で構成をすることにいたしております。で、運営審議会におきましては、その次に書いておりますように、基金の業務に関する重要事項を調査審議する、また必要と認める事項については理事長に建議するというようなことでございまして、運営審議会の議を経なければならないものといたしましては、定款の変更とか、業務規程の作成、変更、毎事業年度の事業計画とか予算並びに決算、重要な財産の処分及び重大な債務の負担というようなことを運営審議会に必ずかけるものというふうに規定をいたしておるのであります。これも通常のこういう法人の置かれます運営審議会の例にならって、適当と思われるものを規定いたした次第でございます。
次に、七ページのところに参りまして、地方公共団体の便宜の供与、基金の支部の事務の運営の円滑化をはかりますために、地方公共団体の便宜供与についての規定を法律の中に設けております。それで地方公共団体の機関は、その所属の職員をして基金の業務に従事させることができる。また、その管理にかかる土地とか、建物などの施設を無償で基金の利用に供することができるものとしております。これは共済組合の場合も同様の規定がございますが、同様の趣旨にいたしておりまして、むしろこの場合は、地方公共団体にかわって公務災害補償を行なうということもございますので、地方団体の職員なり、土地、建物等も基金の業務の運営のために、無償で利用することができるようにいたしたいというふうに考えております。それからその次の二番目のところに、国は、基金の健全な運営がはかられますように、適切と認める技術的援助をする等、必要な配慮を加えるということにいたしております。それから次には、以下事業年度、あるいは事業計画、予算、決算等、またはこの種の特殊法人の例にならいまして必要な規定を設けておるのでございます。九ページに参りまして、借り入れ金の制限でございますとか、監督官庁でありますところの自治大臣の権限等につきまして規定をいたしておりますが、これもいま申し上げましたような、この種の特殊法人についての監督というようなものと同じ程度のことを規定をしておるわけでございます。
それから十ページに参りますが、第三に「補償及び福祉施設に関する事項」であります。補償の実施につきましては、基金は補償を受けるべき職員もしくは遺族等に対しまして、その請求に基づいて補償を行なうという原則を定めております。なおまたその次に、基金は、先ほど申し上げましたように、定款の定めるところによりまして、従たる事務所の長、支部長に補償を行なわせることができるものとしておりますが、これは実際には認定、給付等の大部分の仕事の補償業務を支部長に委任をするという予定にしております。補償の種類は、そこに書いておりますように、療養補償、休業補償、障害補償、遺族補償というような補償の種類が書いてありますが、これは先ほど申し上げました国家公務員の災害補償の場合と全く同様でございます。それで、この障害補償、遺族補償につきましては、年金と一時金とがあるようになっております。
療養補償は、職員が公務上負傷し、または疾病にかかった場合におきまして、必要な療養を行ない、または必要な療養の費用を支給するということでございます。
休業補償は、職員が公務上負傷したり疾病にかかりまして、療養のために勤務することができない場合において給与を受けないときに、その勤務することができない期間につきまして、平均給与額の百分の六十に相当する金額を支給するものでございます。
障害補償は、職員が公務上負傷し、または疾病にかかり、なおったときに身体障害が存するような場合に補償するものでありまして、その次の一三ページからずっと表がございますが、これらの表に障害の等級がございまして、七等級以上の障害につきましては、この表に書いておりますような年金を支給をすることになっております。それから八等級以下の比較的軽い障害につきましては、平均給与額の四百五十日分とか、平均給与額の五十日分とかいうような幅の中で一時金を支給するということにしております。
それから遺族補償でありますけれども、これも年金と一時金とになっておりまして、年金は一六ページのところにございますが、「遺族補償年金を受けることができる遺族は、職員の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」、結局血縁の濃い遺族で、職員の死亡の当時その収入によって生計を維持しておった、要するに、職員と生計維持関係と申しますか、そういう関係にありまして、そうして自活能力のないと考えられるような年齢にあるもの等に支給をされるということになっております。
それから年金の額は、その次に書いておりますが、遺族一人の場合で平均給与額の年額の百分の三十−ここに書いております「平均給与額の年額の百分の二十五に相当する額」、それから口のところに「百分の五に相当する額」というのがありますが、この百分の二十五と百分の五と一人の場合でも足しますので、百分の三十ということになりま。それから、五人以上の場合で百分の三十から百分の五十という、そういう範囲で年金の額がきめられるということになっております。これも国家公務員の公務災害補償と内容は同一でございます。なお、一七ページのおしまいに書いてございますが、暫定措置といたしまして、この法律の施行の日から五年以内に職員が公務上死亡しました場合における当該死亡に関しまして、遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が遺族補償年金の最初の支払いに先立って申し出をいたしましたときには、基金は平均給与額の四百日分に相当する額を一時金として支給することといたしております。これは現制度の実施にあたりまして、むしろ現状におきましては、なお一時金でもらったほうがいいというような場合があるというような考え方もあるようでありまして、そういう場合との問における調整をはかるということにしておるわけでございます。
次に、一時金でありますが、これは一八ページに「遺族補償一時金」が書いてございますように、年金を受ける遺族が結局ないときに支給をされるものでございます。一時金を受けることができる遺族の範囲は、その次の2ところに書いておりますが、配偶者とか二親等以内の血族につきましては、生計維持関係のない者なども含まれておりまして、また生計維持関係のある者は、そこのハに書いておりますように、生計維持関係があれば、親族以外の者も含まれるということになっております。
それから、二〇ページに参りまして、「遺族補償一時金の額は、業務上の死亡に係る他の法令による給付の均衡を考慮して政令で定める額」としておりますが、附則で、「当分の間」、「国家公務員災害補償法の規定による遺族補償一時金の額との均衡を考慮して政令で定める額」となっておりまして、具体的には、国家公務員の場合と同様に遺族の種類等に応じまして、四百日分から千日分とする予定にいたしております。その次に、葬祭補償でございますが、職員が公務上死亡した場合におきましては、葬祭を行なう者に対しまして、葬祭補償として、平均給与額の六十日分に相当する金額を支給するものであります。補償の種類は以上のようなことでございますが、その他補償の手続とか死亡の推定、休業補償等の支給制限、遺族補償年金を受ける権利の消滅及び支給停止、遺族からの排除、年金または補償の支給期間、あるいは船員である職員等の特例など、必要な規定を設けておるのでございます。
二一ページのところに参りまして、十として「福祉施設」ということを書いておりますが、基金は、公務災害の認定なり給付ということ以外に、「公務上の災害を受けた職員の福祉に関して必要な次の施設をするよう努めなければならない。」ということにしております。これも大体こういう災害補償の制度として、福祉施設というものを行なうことが労働者災害補償保険法等でも法定されておりますが、同じように、外科後処置に関する施設でありますとか、あるいは休養または療養に関する施設、リハビリテーションに関する施設、義肢、義眼、補聴器等の補装具の支給に関する施設等について、福祉施設を行なうということにいたしておるのであります。
それから、二二ページの「費用の負担に関する事項」でございますが、基金の業務に要する費用は、そこに書いておりますように、市町村立学校職員給与負担法の規定によって都道府県がその給与を負担する義務教育の職員等については都道府県とございますが、地方公共団体の負担金をもって充てることとしております。で、負担金の額は、政令で定める職務の種類による職員の区分によってきめたいということで考えておりますが、それは公務災害というものとの関係におきまして、たとえばここにそれぞれ——あまりこまかく分けるということもいかがかと思いますけれども、一般職員あるいは警察職員、教育職員、消防職員あるいは公営企業などの現業職員というふうな区分をいたしまして、そうしてその職務の種類ごとの職員にかかわるところの給与の総額に、補償に要する費用及び基金の事務に要する費用等を考慮いたしまして政令で定める割合をそれぞれ乗じて得た額の合計額というようなことにいたしたいと考えております。たとえば警察職員等で考えましても、中には、かりに静岡県の警察職員と愛知県の警察職員とでは、公務災害にかかる割合が違うというふうな議論ももちろん出てくるわけでございますけれども、まあ地方団体としてそこまで考えないでも、大体警察職員というものでそういう割合というものを出していくということで、大まかにくくっていくことがむしろいいのじゃなかろうかというふうに考えておるのであります。
第五番目に「不服申立て及び訴訟に関する事項」でありますが、基金の行なう補償に関する決定に不服のあります者は、審査会に対しまして——地方公務員災害補償基金審査会というのを設けることにしておりますが、審査の請求をすることができるものとしております。で、木部と支部に審査会を置きまして、そうして支部の審査会に対しまして審査請求をして、その決定に不服がある者は、さらに本部の審査会に対して再審査の請求ができるということにいたしております。二四ページのところに審査会の組織を規定しておりますが、審査会は五人の委員をもってこれは本部の審査会を構成をし、支部の審査会は委員三人をもって組織する。そうして学識経験を有する者の中から委嘱をするというようにいたしております。
それから第六に「雑則に関する事項」でございますが、二五ページでございますが、年金たる補償の額の改定に関しましては、基金の行なう年金たる補償の額につきましては、他にこういう規定がございますが、国民の生活水準とか地方公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動の生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定措置を講ずるものとする、いわゆるスライドの規定を、恩給とか共済組合等の場合と同様に設けておるわけでございます。その他、損害賠償の免責の規定でございますとか、第三者に対する損害賠償の請求問題等は、国家公務員の災害補償法なり労災保険法の例にならいまして規定をいたしております。それからまた二七ページの報告、出頭のように、基金の業務の遂行の実効を確保するために、報告とか出頭等の命令でありますとか、あるいはまた一時差しとめの権限等についても規定をいたしております。これらもこの種の災害補償についての関係法規の規定の例にならっておるわけでございます。さらに二八ページに参りますと、補償を受ける権利、時効、期間の計算あるいは非課税措置、それから戸籍謄本の無料証明等につきましても、同様な規定を置いております。それから、この法律によりまして補償が行なわれる職員につきましては、二九ページのところにございますが、他の法律との関係というようなことで、そういう職員につきましては労働基準法とか船員法の関係規定あるいは労働者災害補償保険法の規定は適用しないということにいたしております。すなわち、従来そういうものがみな適用になっておりましたものも、全部ひっくるめてこの地方公務員災害補償法の適用の中に入れまして、そして統一をしていくということでございます。
それからその次に三〇ページに参りますが、三
○ページの第七というところに、「非常勤の地方公務員に関する事項」というのがございます。最初に申し上げましたように非常勤の地方公務員に対しましては、基金による公務災害補償の対象にしないということにしております。そこで地方団体が条例でこの職員以外の——と申しますのは、この法律に言う職員とは常勤の職員、基金の補償の対象になる職員のことを言っておりますので、それ以外の地方公務員で、すでに法律による公務上の災害による補償制度が定められていないものにつきましては補償の制度を設けなければならないというふうに考え、規定をいたしております。非常勤の職員でも、たとえば消防団員等につきましては、公務災害補償の制度がすでにできているわけでございますので、それはそのままにしておくということで考えているわけでございます。その条例で定める補償の制度とか、その内容につきましては、非常勤の職員につきましては、やはりこの法律あるいは労働者災害補償保険法に定める補償の制度と均衡をとるようにということで、補償の内容等につきましての、まあ内容の充実ということを、均衡ということを考えて規定を設けております。それから条例による補償の実施に関して不服のあります者につきましても、これはやはり条例の定めるところによりまして、審査の申し立てをすることができることにいたしました。また、審査の申し立てば、時効の中断に関しましては、裁判上の請求とみなすというようなことにしております。
それから一二ページのところの「罰則」でありますけれども、これはこの法律に定める自治大臣の監督権とか、基金が要求しますところの報告とか出頭とかいうものを完補いたしますために必要な罰則を設けることにしております。
最後に「附則」の関係でございますが、第一に、この法律の実施は昭和四十二年の十二月一日ということにいたしております。ただし、基金の設立に関する諸規定は、この法律の公布の日から施行するということにしております。三二ページのところに基金の設立の事務についてのことを書いておりますが、知事や市町村長等が−知事会あるいは市長会、町村会ということになりますが、その全国的な連合組織が設立委員を選任をいたしまして、そして設立準備事務を行ないまして、自治大臣の認可を得て設立事務が完了をするということにいたしております。そして十二月一日に基金も発足をするということに予定をしているのでございます。
それから三三ページのところの経過措置でございますが、第一には、この法律の施行前に原因の生じた公務災害ということが問題になりますので、それはすべて従前の例によることとしております。それから三四ページのところには、初めには従来労災保険に加入しておりましたところの職員等につきましての保険関係の消滅とか、清算とかいう関係の規定を設けることにいたしております。
それから、関係法律の一部改正といたしましては、地方公務員法、地方公営企業法、市町村立学校職員給与負担法、義務教育費国庫負担法、公立養護学校整備特別措置法、警察法及び地方公務員等共済組合法等につきまして、所要の規定の整備を行なっております。そのほか、他の法律による給付との調整ということで、この法律またはこの法律に基づく条例に規定する補償年金と地方公務員等共済組合法の規定による公務による廃疾年金または公務による遣族年金との調整の問題、あるいはこの法律に規定する補償と船員保険法、厚生年金保険法、国民健康保険法、国民年金法、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の規定による給付との調整等につきまして、所要の規定を設けております。また、地方公務員災害補償基金にかかる租税の非課税のための関係の税法の改正、それから最後には、地方公務員災害補償法の施行に関する事務を加えるものとするための自治省設置法の一部改正等を行なうことにいたしておるのでございます。
内容は、いま申し上げましたように、補償の内容といたしましては、国家公務員災害補償法に基づく国家公務員に対する災害補償とほとんど全く同一でございます。ただ、非常勤の職員につきまして、条例でこれと同様の内容を規定するというようなことを設けております。それから、基金によって補償の認定なり給付を実施する、そういうことのために必要な規定を設けております。こういうところが国家公務員の災害補償の関係と違ったところでございます。それから、公務災害の補償につきまして、関係者の申請に基づいて認定とか給付を行なうということになっておるところも多少違っておりますが、それは三千有余の地方団体の公務員についての公務災害の発生ということは、国の場合は直接任命権者が把握しておるのと事情が違いますために、そういう多少の調整をいたしているわけでございます。
以上、非常に要約して申し上げましたが、地方公務員災害補償法案についての補足説明を以上で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514720X00519670511/2
-
003・仲原善一
○委員長(仲原善一君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
次回は、五月十六日午前十時開会の予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105514720X00519670511/3
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。