1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年四月十六日(火曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 大野 市郎君
理事 木部 佳昭君 理事 砂田 重民君
理事 徳安 實藏君 理事 福井 勇君
理事 小川 三男君 理事 野間千代三君
阿部 喜元君 大竹 太郎君
小渕 恵三君 川野 芳滿君
菅 太郎君 菅波 茂君
福家 俊一君 井上 泉君
板川 正吾君 米田 東吾君
渡辺 芳男君 松本 忠助君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中曽根康弘君
出席政府委員
運輸省港湾局長 宮崎 茂一君
海上保安庁長官 亀山 信郎君
委員外の出席者
自治大臣官房参
事官 岡田 純夫君
自治省財政局財
政課長 首藤 堯君
専 門 員 小西 真一君
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本日の会議に付した案件
港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/0
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001・大野市郎
○大野委員長 これより会議を開きます。
港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。菅波茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/1
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002・菅波茂
○菅波委員 まず、大臣に総括的な質問をして御回答をいただきたいと思います。
新港湾整備五カ年計画というのは、昭和四十三年度から発足すると考えておるわけでありますけれども、すでに昭和四十年を初年度とする五カ年計画がなされて今日まで来ておるわけであります。四十三年と四十四年という二カ年を残してまたこの計画を改正するわけでありますけれども、その新しい計画を策定する上に立っての必要性といいましょうか、まず計画の必要性について、大臣からお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/2
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003・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 港湾の整備は、昭和四十年度を初年度とする現行の港湾整備五カ年計画によって実施してまいり、四十二年の末にはその約五〇%を達成しております。しかしながら、昭和四十二年度以降の政府の計画運営の指針として、経済社会発展計画が昨年決定され、したがって今後の港湾整備は、本経済計画の施策に沿って進める必要があります。すなわち、経済拡大に伴う輸送需要の増大並びに就航船舶の大型化等の海上輸送の近代化等に対処し、また労働力の逼迫に対処して荷役の機械化等をはかり、さらにまた効率のよい港湾の建設につとめるとともに、港湾の安全確保のための施設整備を進める必要があります。
港湾整備計画上の問題としましては、近年におけるわが国経済の高度成長に伴い、港湾取り扱い貨物量は予想外の伸びを示し、四十一年について見ても、予想八億一千万トンに対し、実績は約九億四千万トンに達した状況であり、かかる港湾取り扱い貨物量の増加は今後も一そう激化するものと想定され、これに対応して港湾施設の拡充強化が必要であります。
さらに、最近船舶は急激に大型化して、港湾、航路の水深増加等の施設整備が必要であり、海上コンテナ輸送はすでに本格化の段階となって、外貿定期船港湾の整備を全面的に検討する必要があります。また海難事故の防止、なかんずく危険物輸送における船舶の航行及び港湾荷役の安全確保は喫緊の必要事であります。
かかる諸情勢に対処するため、政府といたしましては現行五カ年計画を昭和四十二年度をもって打ち切り、四十三年度を初年度とする新港湾整備五カ年計画を作成し、港湾の整備を強力かつ計画的に推進することとした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/3
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004・菅波茂
○菅波委員 本法案が成立をすれば、運輸省は直ちに新しい計画の内容確定の作業を急ぐわけでありますけれども、そこで新計画の投資額というもの、これが第一点。それから第二点としまして、目標年次である昭和四十七年の貨物の需要量の見通し、これが第二点でございます。
それから、新しい計画における重点的な事業について、すなわち新港湾整備五カ年計画の構想について、いま大臣がお考えになっておる構想の大約をお示し願えれば幸甚であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/4
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005・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 五カ年計画の投資総額は一兆三百億円でございます。また、昭和四十七年の港湾貨物の取り扱い量は、おおむね十五億トン程度であると推計されています。
それから整備の重点でございますが、それは、ただいま申し上げましたように外航関係、それから船の大型化に対応する港湾の整備、それから埠頭その他の近代化、機械化、それから安全度の向上等々でございまして、具体的には港湾局長から説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/5
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006・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 ただいまの大臣の御答弁を補足いたしたいと思います。
総投資額は一兆三百億ということになっておりますが、この中にはいわゆる地方の単独事業でございますとか、災害関連事業でございますとか、そういったものが大体千二百億入っております。それから港湾の機能施設というものでございます。たとえば上屋でございますとか、あるいは荷役機械でございますとか、引き船でございますとか、貯木揚の整備でございますとか、こういった国費の入らない分を一応千百億見込んでおります。したがいまして、これは推計の数字でございますし、国費が入りませんので、総額は一兆三百億ということになっておりますが、この両方合わせた二千三百億を差し引きいたしまして、八千億というのが、 つまり国が直轄事業としてやるもの、あるいはまた港湾管理者が事業をいたします分に対して補助をする事業、そういった分でございます。したがいまして、この法案が通りましたならば、閣議決定いたしますのは八千億でございます。
それから目標でございますが、つまり日本全国の貨物の扱い数量でございます。これをもとにして実は計画を立てるわけでございますが、昭和四十七年度が今回は目標になりますので、そういたしますとどのくらいになるかということで、一応私どものほうで推計をいたしておりますが、いまのところ十五億トン程度ということにしておりますが、閣議決定までにもう少し新しい数量を入れまして、十五億トン前後だというふうには考えておりますが、はっきりした数字は閣議決定までに出したいと考えております。
それから、今後どういう構想を持っていくかという問題でございますが、大臣もお触れになりましたように、実は日本というのは島国でございまして、やはり日本経済が発展するためには、どうしても外国貿易がそれに伴って発展する、したがいまして、外国貿易関係の港を重点的に整備したい。また、特に港湾の近代化のはしりと申しますか、最近では近代化の問題といたしましてコンテナ輸送というものが、海上輸送の革新ということですでに軌道に乗っておりますので、こういったコンテナ関係の港であるとか、あるいはまた石炭とか石油とか、そういった外国貿易関係の港は船が大きくなりますので、水深も深くしなければならないといったような問題が、一つ大きな柱としてございます。
それから第二点は申すまでもなくやはり国内の輸送でございまして、国内の輸送は御承知のように貨物輸送の面から見ますと、全体の四十数パーセントというものは海上輸送に依存しているわけでございます。陸上輸送も自動車の発展とか、あるいはまた鉄道による輸送もございますけれども、相当数をこの海上輸送に依存をいたしております。したがいまして、この外国貿易港を中心といたしまして毛細管的な機能をつかさどりますところの国内輸送の港というものも、だんだんと船も大型化いたしますし、また専用船が出てまいりますので、それに対応したような港湾施設というものを整備する必要があるわけでございます。またそういった産業面だけでなくて、やはり地方の港、あるいはまた離島というところは交通の確保と申しますか、民生安定的な問題からの港湾の整備ということも非常に重要な問題でございます。したがいまして、そういった国内関係の海上輸送に対処するための港湾の整備というものが、第二の大きな柱になろうかと思います。
そのほか第三の柱といたしましては、最近格差是正ということがいわれております。大きな港の周辺では大都市が発展いたしますけれども、こういったようなところでは、日本全体を均等に発展させると申しますか、地域格差の是正、こういったことがいわれております。そのために新産都市でありますとか、あるいは工業整備特別地域というものが指定されておりまして、そういうところの開発、発展というものは、やはり日本におきましてはほとんどが港を中心にして、そこに工場を誘致して地方の発展をはかろうというような政策をとっておりますので、こういった港の整備、これはもちろん先ほど来申し上げました外国貿易、内国貿易の二つにまたがるような港でございますが、こういったようなものの整備というものが必要だと思います。
それから第四点は、これは港湾ではございませんけれども、港に達する瀬戸内海でございますとかあるいは関門海峡とか、そういったところの航路の整備、こういったものをやはりやらなければなりませんし、大体以上のような点につきまして、新しい公団もできておりますし、そういったものの事業、そういうものをかみ合わせまして、なるべく必要なものから効率的に港湾事業を進めてまいりたい、かように考えておりますが、それが大体おもな構想と申しますか、そういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/6
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007・菅波茂
○菅波委員 政府は昨年の昭和四十二年度以降の経済運営の指針といたしまして、経済社会発展計画を閣議で決定しておるわけであります。この計画においては社会資本の整備に関しまして港湾部門の投資額も定めておると聞いておるわけであります。したがって、新しい五カ年計画の投資額はただいま一兆三百億と承ったのでありますけれども、つまり経済社会発展計画と新計画との関係といいますか関連といいますか、それについてお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/7
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008・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 御答弁いたします。
昨年政府がつくりました経済社会発展計画におきまして、港湾の投資額は一応八千四百億円というふうに実はきめられております。これが今回は一兆三百億でございます。この二つの数字の関連をというようなお話、そういう御質問かと思いますが、実は八千四百億というのは四十年の価額でございますので、四十年価額をある程度物価と申しますか、港湾デフレーターと申しますか、港湾の物価指数で換算する必要があるのじゃないか。換算いたしますと、大体九千二百億程度になるわけでございます。つまり当時八千四百億と称しておったものは四十二年の価額にしますと、大体九千二百億くらいというふうに考えられるわけです。それで、そういうことでいたしますと、四十二年からでございますので、平均延び率はどのくらいになるかと申しますと、四十二年が港湾の事業費が大体千二百億でございます。したがいまして、大体年率二〇%ちょっと、二〇・六%くらいということになろうかと思います。今回の一兆三百億は、初年度大体千三百八十億程度でございまして、そういうことからいたしますと二〇・一%くらい、ですから純粋に申し上げますと、わずかながら、〇・六%少し低いのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、こういった問題は、今後効率的な投資をするということによってカバーしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/8
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009・菅波茂
○菅波委員 この新しい計画は昭和四十三年から発足するわけであります。ところが昭和四十三年の港湾整備の予算というのは、もうすでに衆議院のほうは通っておるわけであります。そうしますと、新しい五カ年計画というもののそれと、四十三年度事業とのまず関連性の問題、それから、昭和四十三年度の事業の概要もお聞かせ願えれば非常に幸いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/9
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010・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。
昭和四十三年度の事業は、おおむね補助事業については予算が通りましたので確定いたしておりますが、実はそのほかに起債事業とか単独事業というものが、この港湾の総投資からいたしますと、あるわけであります。ですから大体その辺を推計をいたしまして、昭和四十三年度の総事業でございますか、それは千三百八十億程度になろうかというふうに推計をいたしております。そういたしますと、この新計画の初年度でございます昭和四十三年度というのが——一兆三百億でございますので、先ほどちょっと触れましたが、新計画を達成するためにはこの初年度であることしから毎年二〇・一%、約二〇%ずつ事業量が伸びる、そういったような総体のワクになるわけでございます。
なお、法案が通りましたならばさっそく各港ごとに計画をつくりまして、それを初年度、本年度の事業を含めてつくる予定であります。
第二点は、四十三年度の計画と申しますか、事業はどういうふうに考えているかという御質問でございます。
御承知のように、外貿埠頭公団は昨年の十月に発足いたしまして、昨年度は五十億程度であったわけでございますが、外貿埠頭公団の事業につきましては、本年度は一応百億を予定をいたしております。それから、ちょっとあとへ戻りますが、全体的に申し上げますと、国費率は昭和四十二年度に比べますと七%程度の上昇でございますが、そういった外貿埠頭公団でございますとか、あるいは受益者負担の考えを少し導入したといったことで、事業量全体は、前年度に比べますと一五%程度の増加になります。
なおまた、四十三年度の予算の仕訳と申しますか、まだこまかい、地方港湾とか各港まで金額をはっきり内定はいたしておりませんけれども、主要なことを申し上げますと、まず第一に、五カ年計画でもそうでございましたように、四十三年度予算におきましても、主要外貿港と申しますか、東京、横浜、清水、四日市、大阪、名古屋、関門、こういった大きな港につきまして整備を促進をいたすことといたしております。したがいまして、先ほどの外貿埠頭公団の事業と合計をいたしますと、おおむね事業費で五十億円くらい増加する予定でございます。これは約一九%の増加になるわけでございます。そのほか、地方におきますところのいろいろな外貿関係の主要港の整備を促進をいたしたいと思っているわけでございます。
第二点は、先ほど来申し上げましたが、主要航路の整備でございますが、瀬戸内海航路、関門航路といったものの整備をいたしたい。瀬戸内海航路につきましては、十七メートルのしゅんせつが終わりましたので、ととしは十九メートルのしゅんせつにかかりたいというふうに考えております。なお、関門海峡につきましては、目下十一メートルのしゅんせつをいたしております。また、東京湾の入り口も非常に混雑が予想されますので、これにつきましては実施計画調査というものを予定をいたしております。
次に一番大きな問題は、最近、日本全国といってもいいくらいどこでも木材の輸入が非常に多くなりまして、港はそのために非常な混雑をいたしております。これは、実は前の計画で、昭和四十四年と申しますか、つまり来年度が、木材の輸入量は大体二千万立方メートルというふうに予定をいたしておるのでございますけれども、実は四十二年度に三千万立方メートルに木材がふえました。こういった関係で、材木の港は非常にふくそうをいたしております。これは、今後の見通しがどうなるか、非常に問題がございますけれども、やはり広い貯木場もつくらなければなりませんし、そういった関係で、木材港の関係は前年度に対しまして三〇%くらい、十二億円の増加を予定をしております。
そのほか、鉄鋼の港でございますとか、あるいは石油の港、これは、最近、鉄鋼にいたしましても、十二万五千トンの船が就航するということがいわれておりますし、また油にいたしましても、二十万トンの船を予定しなければならないということで、つまりこれらの港の岸壁近くの航路と申しますか、こういったものを掘るという仕事に重点を置きたい、かように考えております。
そのほか、先ほど来申し上げました離島港湾の整備でございますとか、あるいはまた新産、工特、そういったものの整備、あるいはまた大きな港と直結いたします国内輸送の港の整備、そういう港の整備にもやはりその港なりの努力と申しますか、整備をいたさなければ、全体として海上輸送というものが円滑にいかないわけでございまして、この点についても引き続き促進をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
大体以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/10
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011・菅波茂
○菅波委員 このたびの港湾整備緊急措置法の第三条第一項におけるところの、発足の年度を改めるということは容易にわかるわけでございますけれども、附則として港湾整備特別会計法の附則を改正をして経過規定を設けておるわけであります。この経過規定を設けた理由を御説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/11
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012・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。
附則で、港湾整備特別会計法に経過規定を加えたわけでございますが、これは港湾整備特別会計法というものがございまして、その第一条第一項には、港湾整備緊急措置法に規定いたしますところの港湾整備五カ年計画の実施に伴いまして、港湾の整備事業であってかつ国が施行する事業でございますが、いわゆる直轄事業というふうに申しております。そういう直轄事業につきましては、実は港湾整備特別会計で経理するということを規定いたしております。したがいまして、この緊急措置法の改正をいたしますと、港湾整備五カ年計画が、旧計画から新しい計画に切りかえられることになるわけでございます。そういたしますと、旧計画の事業分の清算がございます。また旧計画の事業でございまして、四十三年度つまり新計画の施行年度以降に繰り越される分がございます。昭和四十一年度の予算、四十二年度の予算で直轄事業費、そういう予算で漁業補償とかなんとかそういうことで繰り越しをする予算があるわけでございます。そういうものに対しましてもこの会計で経理するというはうが便宜的でございますので、こういう経過規定を港湾整備特別会計法に置くということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/12
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013・菅波茂
○菅波委員 新しい計画において、いま承っておりますと、船型の大型化、あるいは海上コンテナ輸送の本格化、あるいは外貿埠頭公団事業の整備といいましょうか、促進といいましょうか、そういうものについて、計画が盛られておることは一応は了承するわけでございますけれども、流通機構の改善の上からいっても物価の安定の上からいっても、こういう近代化といいましょうか、合理化といいましょうか、当然必要なことはわかるわけであります。現在では二十万トンのタンカーが就航いたしておるわけでありまして、世界的には近いうちに三十万トンが就航するであろう、こういわれておるわけでありまして、あるいはまた、近い将来には五十万トンもできるんじゃないだろうかと想定されるわけでありますけれども、何か聞くところによりますと、石川島播磨、三菱長崎ですか、この造船所では二十七万五千トンのタンカーがつくられておる、近く進水をするという、こういう状況であるわけでありますが、たとえば二十万トンのタンカーによって中近東——サウジアラビアあるいはクウェートのあたりから原油を運んでくるというと、聞くところによりますと、その費用は一キロリットル当たりが大体四百五十円くらいだというお話でございます。ところが、内航タンカーによって国内の石油製品を輸送する場合には、一キロリットル当たりが五百円から六百円かかっておる。こういう状況でありますから、当然船型の大型化というのは、経済コストからいっても、もう当然なるのがあたりまえだと思っております。そういうふうになってまいりますと、ちょうど日本の中心部に大きな油田ができた、もう大油田ができたと、その運送の費用からいったならば当然そういうことが考えられる。経済コスト上はもう同等であり、あるいはそれ以上であるかもわからないわけであります。
こういったようなことや、また海上コンテナ輸送というのが、すでに欧米においてはコンテナシップができ上がりまして、雑貨の大多数はコンテナシップによって運送いたしておるわけであります。こういうふうに、コンテナ輸送というのは高速度であり、経済効果も非常に上がるわけでございまして、しかも手軽にこれが運送できるということになりますと、近い将来というより、もう現実的には七つの海がコンテナシップによって占められるんじゃないかというような状態であるわけであります。残念ながら、わが国におきましてはそれが立ちおくれておったわけでありますけれども、昨年の秋、外貿埠頭公団ができ、あるいはまたコンテナ埠頭というようなものも計画されて進捗しておると聞いておるわけでありますけれども、そういう全体の新しい五カ年計画の中で、外貿埠頭公団の進捗の状態とか、あるいはこれからの大型船に対してどう対処していくのか、いろいろ問題点がたくさんあると思うのです。あるいは、いま外貿埠頭公団の仕事が進捗いたしておるわけでありますけれども、どの程度の進捗率を見ておるのか、そういう点をまず御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/13
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014・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 御質問の点は、タンカーの大型化に対する対策を新しい五カ年計画でどう考えるかという点と、海上コンテナに対するところの対策、これをどのように五カ年計画で考えているのか、それからまた、現在の海上コンテナバースの進捗状況はどうか、大体三つのように考えられるわけでございます。
御承知のように、先ほど申し上げました大体の構想の方針はございますが、船型大型化に対しましては、今後、この法案が通りましたならば、いろいろ管理者並びに石油業界その他の意見を聞いて各港ごとに考えるわけでございますが、全般的には、私どもの考えといたしましては、二十万トンまでは接岸をいたすように港湾の整備をしていきたい、かように考えております。これは鹿島でございますとか、そのほか二、三ございますが、それ以上になりますと、三十万トン、五十万トンというふうになりますと、はたして日本の各港を全部三十万トン、五十万トンが着くように整備したほうがいいのか、それともいま通産省あたりでお考えになっておりますように、あるいは業界でもお考えになっておりますし、また一部実行されておりますように、いわゆるCTS方式、つまりこれは鹿児島の喜入というところで日石がこれに着工したわけでございますが、一番近いところにそういう五十万トン、三十万トンのタンカーを置きまして、そこに大きな貯油施設をつくりまして、そこから国内の既存の製油所、新しい製油所へ運ぶ、こういうような構想がございます。そのほうが経済的になるかもしれません。そういった関係で、二十万トン以上につきましては、いろいろなそういう産業界の動向ともにらみ合わせて、港湾の計画というものは決定すべきであろうというふうに考えておるわけでございます。二十万トンまでにつきましては、何とか製油所ごとに、できるものならば——これは港湾の条件によってもいろいろ違います。また、背後の石油精製の施設の工場の能力とも関係がございます。できれば二十万トンぐらいまでは直接製油所の近くの岸壁に接岸という方針をとりたいと思っております。また、そのようなものを、計画の具体化しやすいものから順次五カ年計画に入れ込んでいく、あるいはまた不安定な要素がございますならば、計画の中に調整項目的なものをとりまして、そこで今後の情勢を見ながらそういう費用に充てていくというような調整項目というものの中に、何がしかの、一割か一割五分ぐらいの金を保留をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
次に、海上コンテナ輸送の問題でございますけれども、これは御承知のように、雑貨の輸送というものがいま一番前近代的な輸送の体系をしておるわけでございまして、この雑貨輸送を近代化するというのがいわゆるコンテナ輸送でございます。日本にもいま摩耶埠頭と品川埠頭に臨時的なコンテナのバースを有しまして、ここでコンテナの輸送をやっております。また、公団もそのために発足いたしたわけでございますが、一応東京湾に十一バース、大阪湾に十一バース、合計二十二バースを将来つくる、こういう方針に決定をいたしておりますし、また、先日すでにこの計画の全体計画というものを運輸大臣から各公団の理事長に命令を出したわけでございます。
新五カ年計画の中にどのくらいそういったコンテナ埠頭を取り入れるのかということでございますが、これはこれから八月ぐらいまでの間に、実際の情勢というものを再検討いたしまして、全部取り入れるのか、あるいはまた一部分でいいのかということを検討したいと思っております。私自身の考えとしてはなるべく全部入れたいと思いますが、御承知のように、現在の時点でコンテナの実績を見ますと、マトソン会社のほうでやっておりますのは、フルコンテナ船と申しまして、一隻四百六十個のコンテナを積むわけでございますが、それがアメリカから来る場合には大体二五%、満船しませんで二五%ぐらいの貨物を積んで来ております。それから日本から出る場合には、それの約半分ぐらい、一二%ぐらいの貨物を積んで出ております。これはやっぱり集荷機構とかいろいろな問題があるわけでございます。まだPRも行き届かないとか、荷主さんのほうもそういう体制になっていないとか、いろいろな問題がございます。しかし、おっしゃるように、欧米ではすでにコンテナ輸送というのが普及しております。日本でもおそらく急速に普及するのではないかというふうに考えているわけでございますが、そういうような状態でございますので、現在京浜公団、阪神公団ともコンテナ埠頭に着手いたしておりまして、四十四年度でおのおの二バースずつ完成するようにいっておりますが、大体そういう線になるのじゃなかろうか。公団も大体工事に着工いたしたようでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/14
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015・菅波茂
○菅波委員 港湾整備の進捗率についてちょっとお伺いしたいのであります。
過去の昭和三十六年から始まった五カ年の計画と四十年から始まった港湾整備計画と二つあるわけでありますが、昭和三十六年から三十八年の港湾整備の進捗率というのを見ておりますと、三十六年から三十八年の三カ年間を見ますと、当時五四・六%の進捗率であったわけです。ところがそのあとの、つまり昭和四十年からの港湾整備計画の進捗率を見ておりますと、四十年から四十二年の同じやはり三カ年間を見てみますと、港湾の機能施設を含めますと、全体で四七・四%と、約七・二%進捗率が下がっておるわけであります。こういうようなことは結局、おそらく計画では、たとえば貨物量のような問題の見通しについてもやや誤算があったのじゃないか。そのことが結局現在のような船込みの慢性化とか、あるいは航路が非常にふくそうしておるとか、あるいはまた滞船化が——最近調べてみますと非常にまた滞船時間が延びてきておるようであります。昭和四十年を見ますと、一隻当たりの平均が大体二十三・六時間、ところが四十一年になりますと三十五時間と、大幅にまた滞船時間が延長してきておるわけです。こういう現状が非常にあらわれてきておるわけですけれども、港湾貨物量の取り扱い量についても、四十七年十五億トンというのを承ったのでありますけれども、過去の昭和三十八年ではすでにもう四十年の推定量六億二千万トンを当時大幅に上回って六億三千六百万トン。昭和三十八年には四十年のつまり推定した貨物量を上回っておるわけであります。ですから、またりっぱなこういう計画をお立てになりましても、同じようなことを繰り返して、またこういうような船込みあるいはまた滞船時間が非常に長くなり、お互いにロスができてくるわけですし、あるいは海上交通が非常にふくそうしてくるし、そういうことがこのたびの新計画の一兆三百億の中で解消できる見通しなのかどうか、そういう点を一つお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/15
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016・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 御質問の御趣旨は、進捗率が過去の二つの計画ともあまりはかばかしくなかったのではないか、そのために港湾施設が立ちおくれて船込みというようなものができたのではないかという御指摘が第一点。それで新しい計画においてそういうことのないようにできるのかどうかというふうに伺ったわけでございます。
まず第一点の、過去の工事の進捗率の問題でございますが、御指摘のように、やはりもっとこの事業をやっておけばそういうことにはならなかったのではないかということは、私は当然だと思います。しかし、そのほかにやはり御承知のように、日本経済というものが予想した以上に伸びてきたという問題が一番大きな問題でございます。これは、私どものほうは経済計画をまっ正面からそのまま受け入れた計画にしているわけであります。それ以外にたよるべき数字がございませんので……。そういう点が一番大きいのではないかというふうに考えるわけでございます。一面から考えますと、日本全体から見ますと非常に喜ばしい現象だろうと思うのですが、そのためにとかく港湾のほうに少ししわ寄せがきたという感じはどうしても免れないと思うわけでございます。私ども、新しい計画をつくります今時点におきましては、そういうような港ごとの問題もございますので、なるべく滞船とかそういうことのないようにひとつ考えていきたいというふうには思います。御承知のように、六大港における滞船は、いまお話しのような数字に大体なっていると思います。三十五時間ぐらいになっております。三十七年が三十六時間でございまして、その後少し減ったんでございますが、またふえておるようでございます。そういう点から考えますと、滞船のないようにひとつ新しい計画でやりたい、かように思っております。
しかしながら、この計画も実は昨年の三月に改定されました経済社会発展計画の基礎資料を使っておりますので、これ以上に伸びてまいりますと、また途中で問題が出てくるということになります。しかしながら、全体の感じからいたしますと、つまり日本の港湾というのは昭和三十年ごろから本格的な整備に入ったわけでございますので、毎年毎年努力いたしましても、その貨物量の伸びのほうが先へいってしまうという問題がございます。これが欧米の港湾でございますと、近代的な築港工事を始めましてからもう百年というような長い年月がたっておりますし、過去に蓄積した資産というもので処理しておりますのでいいんですが、われわれのほうは、毎年毎年出す金というものは、やはり日本の財政からいたしますと、これを二倍にしろといってもなかなかむずかしい問題じゃないかと思うのです。過去に蓄積された資産がよけいないということから、非常にそういった問題が出てくる。特に木材船とかスクラップ船、こういったものが滞船時間が長いというようなことになっております。この点につきましては、新計画もそういうようなことを解消する方向にひとつ努力してまいりたい。この貨物の扱い量とそれから岸壁の延長というような計算からいたしますと、実は現在日本におきましては大型岸壁一メートル当たりの貨物量というのは、千百七十トンぐらいあるわけでございます。この計画が完了いたしますと、大体これが千百二十五トンぐらいになる、これは非常に巨視的な計算でございますけれども、いまよりは緩和する方向にある。これはまあ想定の貨物量との関係でございますけれども、幾らか緩和する。しかし欧米先進国におきましては、岸壁一メートルに対して五百トンとか七百トンというようなことでございまして、同じ貨物に対しまして二倍くらいの港湾施設の資産を持っているわけでございます。そこはやはりおのおの国の力と申しますか、そういうようなものでございますので、一気になかなかそこまではいけないんではないか。日本の住宅、下水道、そういったものが諸外国、欧米先進国のそういうものに比較して劣っているのと同じように、過去に蓄積された資産というものが日本はそんなによけいないという点が非常に問題になります。この点につきましては、私ども法案を担当いたしております局といたしましては、毎年毎年日本の財政の中ででき得る限りひとつ港湾に金を回していただくようにして、そういう港湾の施設を拡充するように努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/16
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017・菅波茂
○菅波委員 このたびの新しい五カ年計画には、承りますと、外国貿易港の港湾の施設整備あるいは内国貿易港湾の施設の整備とか、あるいは産業港湾施設の整備、航路とか避難港の整備が盛られておるわけであります。この五カ年の計画 一兆三百億という予算を、どの港湾のどの整備に振り向けるかということが問題になってくるわけであります。すなわち、その中で特に産業港湾施設の整備ということでありますが、これは限られた予算でありまして、またこれが国の施策である以上は、当然日本の港湾全体を総合的に見まして、その中で国家的見地から整備を急ぐものを重点的に選択していくわけでありましょうが、その点政府はどういう態度でこのたびの五カ年計画の事業を取り入れて港湾整備の事業というものを選択しておるのか承りたいわけであります。先ほどもあったわけでありますけれども、というのはこういうことであります。新産業都市建設促進法、あるいは工業整備特別地域整備促進法、地方公共団体が先行投資をして整備をはかっている港湾施設の中には、必ずしも所期の目的を達しておらないものがあるわけであります。建設基本計画の変更をしなければならぬというところも、たしか日本の全体の中にはあるわけであります。港湾の輸送の施設の整備は、それ自体が自治体といたしましてはばく大な費用がかかるわけであります。幾ら港湾などの輸送の施設を整備いたしましても、企業の誘致が成り立たないというと、その港湾施設にはもういたずらに雑草がはえる。ペンペン草がはえていくというような状態もあるわけであります。こういうことになりますと、これは非常にばく大ないわゆる税金のむだづかいだという問題もそこへ生まれてくるわけであります。政府はこういった新産都市などの地方公共団体の先行投資につきまして、国家的な見地からうまくそれを総合調整して、これはでき得ないものかどうか、そこで、こういう港湾施設の整備をこのたびの五カ年計画の中ではどう取り扱っておるのか。これは大臣からでもお聞かせ願えれば……。もしなんだったら局長でもいいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/17
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018・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 新産都市の整備にどのような考え方で取り組むか、こういうような御質問だと思います。新産都市をつくるといっても、なかなか企業は来ないんじゃないか、そういう場合にどういうふうにするのか、こういうような御質問だと思います。御承知のように、この港湾整備五ヵ年計画は、実はこれからつくるわけでございまして、港湾法という法律がございますが、これによりますと、港湾の管理、いろいろな開発の管理、責任と申しますか、そういったものは港湾管理者ということになっておるわけでございます。政府はその助成をする。また、その全体的な立場から港湾の計画をどういうふうにしたら、配置をどうしたらいいかということを検討をしているわけでございまして、新産都市につきましてはその企業の誘致、企業が大体そこへ来るということがきまりますれば、そういった基礎的な、防波堤をつくるとかしゅんせつをするとか、こういった港湾の整備は急ピッチに進めてまいりたいと思うわけでございます。
また企業が来るか来ないかという問題でございますが、企業が来ないうちに相当先行投資をする必要があるかどうか、先行投資をしなければ企業は来ないじゃないかという議論がここにあるわけでございます。これは非常にむずかしい議論でございまして、ある程度、私どもは企業が来なくても既存の港の拡張のために必要なところに使っていこう。これは富山新港でも新潟新港でも、そうでございます。新潟、富山市の既存の港がもういっぱいでございますので、新しいところに開発的な港湾をつくっております。それはまず防波堤からつくっていく。そして大きな企業が来る、臨海性の企業が来るとなれば、初めからそういう企業の計画をしておきまして、来ない場合でも地元の港にするとか、あるいは公共的な港に使う、そういうことでそこの呼吸と申しますか、非常にむずかしい点はございます。しかしながら、なるべく国費のむだづかいをしないような配慮をしなければならぬ。また、企業がきまらなければ全然仕事をやらないというのでは、企業も来ないということになりますので、この点につきましては港湾管理者とよく連絡をとりまして、国費をむだづかいしないようにいたします。また地元の発展にもなるように、両方ひとつ考えて進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/18
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019・菅波茂
○菅波委員 次に港湾整備事業の実施に要する費用の問題として、いわゆる地元負担、すなわち地方公共団体の負担についてお伺いしたいと思います。
まずその前提として、港湾法によりますれば、港湾工事の施行者として港務局、これがあるわけでございます。それから港湾管理者としての地方公共団体とが定められておるわけであります。その実態についてお伺いしたいわけでございますが、港務局の設置されている港湾はどこであるのか。また港湾管理者としての地方公共団体の中には都道府県と市町村があるわけでございますが、どの港の港湾管理者が都道府県で、どの港の港湾管理者が市町村なのか、その概要だけでいいですけれども、最初に簡単に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/19
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020・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 港務局でございますが、港務局は日本でただ一つでございまして、いま愛媛県の新居浜港でございます。それから港湾管理者はどういう構成になっておるのか、都道府県、市町村、どのくらいになっておるかというお話でございますが、大体私どもの所管いたしております港が千六十ございます。大体のことを申し上げますと、六割か七割くらいが港湾管理者は都道府県でございます。あとが市町村。この市町村の中でも特に目立っておりますのは大阪とか神戸、横浜とか、こういう大港湾が市町村の管理が多い。それから北海道の港が市町村管理が多い、そういうようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/20
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021・菅波茂
○菅波委員 港湾工事の費用の負担については、港湾法に定められておりますように、国と港湾管理者たる地方公共団体がそれぞれ一定の割合で費用を負担いたしておるわけであります。このうち国が全額を負担するのは、ごく例外であるようであります。港湾管理者たる地方公共団体は、若干の費用を絶えず伴うのが原則であるわけであります。
そこで、国の財政については現在財政硬直化ということがいわれておるわけでありますが、地方公共団体の財政能力についても、若干の富裕な公共団体を除きましては、地方財政は非常に苦しいというのが実情ではないかと思うのであります。せっかく起債のワクを広げられましても、現実的には償還のめどが立たない、あるいは銀行から融資を受けても、利子補給あるいはまた特別に長期にこれを返済する方法が認められなければ、償還能力がないということを聞いておるわけであります。自治省から地方財政の現状についての概略をまずお伺いして、今度の新五カ年計画におけるところの地方公共団体の負担分についての財源、あるいは財源確保のめどといいましょうか、それを自治省のほうからでも御説明願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/21
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022・首藤堯
○首藤説明員 御指摘のように地方財政は、ごく一部の団体を除きましては非常に困窮をしております。今回の港湾整備の五カ年計画の実施につきましては、そのような実態を踏まえまして、私どもとしては、所要の事業が当該港湾管理者によって十分になし遂げられますように努力をしてまいりたいと考えております。
本年の、四十三年度の事例について申し上げますと、四十三年度の予算におきましては公共事業、直轄事業関係、これの事業費が千四十一億ほどあると存じておりますが、このうち地方負担が四百三億ほどございます。この四百三億につきましては、この約三割を地方債でもって充当いたします。地方債が百十七億と考えております。その他、地方交付税をもって措置をする。特に地方交付税の措置の場合には、事業費補正と申しまして直接に事業の量が非常に多ければ交付税がよけいにいく、こういうしかけの補正係数をもちまして計算をいたしたいと思っております。
なおこのほかに、この五カ年計画の中に港湾機能施設の整備事業があるわけでございます。これはできました暁にはある程度の収益を伴う事業でございますが、この分につきましては、四十三年度分として百六十億ほどの起債を充当いたしております。なおこのほか、臨海の埋め立て地等につきまして四百億余りの起債がございますが、このうち一部分がやはり港湾に使用されるものと考えております。
今後とも、この五カ年計画の内容決定の暁に明年度以降の地方負担がそれぞれ毎年度決定してくるかと存じますが、これに対しましては同じような態度でできるだけ適切な財源措置をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/22
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023・菅波茂
○菅波委員 次に、地方公共団体の財源の問題といたしまして、入港料に関してお伺いしたいわけでありますが、これはすでに過日米田さんのほうからも御質問があったわけで、大臣のほうも、できるだけ統一見解を早く求めるというふうな御答弁があったわけでありますが、重ねて私もまた御質問したいと思っております。
入港料に関する規定が港湾法に設けられたのは、御承知のとおり昭和二十九年の港湾法の改正においてであります。当時の会議録を見てみますと、当時の黒田港湾局長は、入港料は今後も取らない方針であると答えておるようであります。また、とん税と入港料との関係については、当時とん税は税関の手続あるいは検疫手続の手数料として国が徴収するものであり、入港料とは別なものであるというふうに答弁しておったようであります。この点について、現在では大臣はどのようにお考えになっておるのか、またわれわれはこれをどのように理解していいのか、これがお伺いしたい第一点であります。
また、入港料の規定が設けられてからもう十五年にもなるわけであります。当時入港料を徴収していた港湾と、現在入港料を徴収している港湾とでは、その数においてたいした数の変化はないと私の調べでは出ておるわけであります。また入港料の徴収に関しまして、八大港は昭和四十年に一つの成案を得まして当局に対して積極的に活動をし、また運輸省においては港湾局と海運局の間の意見の不一致があった結果、結局は入港料の徴収という運動は当時のやつは立ち消えになってしまっておったわけであります。ところが、ことしの三月七日でありましたか、下関で八大港湾管理者会議が開かれたわけであります。その際に再び入港料徴収について政府に請願することを決定いたしておるわけであります。これらの入港料徴収に関する地方公共団体の要求に対しまして、政府はどう考えておるのか、これが第二点であります。
そこで、現在入港料を徴収している港湾の名前と、それぞれの港湾における入港料及びその年額は幾らになっておるのか。並びに港湾法四十四条の二にははっきりと明文の規定があるわけでありますが、なぜ八大港の港湾管理者が入港料を徴収できないのかという、これらの点についてできるだけ私が納得のできるような御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/23
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024・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 入港料の問題につきましては、先般お答えいたしましたように、港湾管理者のほうの言い分とそれから船舶業者、運営をやっておるほうの人たちの考え方といまいろいろ検討中でございまして、まだここで申し上げる段階に至っておりません。地方公共団体、港湾管理者の立場もわれわれはよくわかるのでございますが、やはり物価問題そのほかに対するはね返り等も考慮しなければなりませんので、慎重に検討してまいりたいと思っております。
その他の点は港湾局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/24
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025・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 お答えいたします。
現在入港料を取っている港はどこかという、詳細な資料ではございませんが、昔から新潟と関門港の洞海地区でございますか、これは航路しゅんせつに金がかかるからという理由で取っております。そのほか千葉、和歌山下津、松山、八幡浜、苅田、唐津、今治、こういうところが入港料を取っております。
これは御承知のように、入港料は港湾管理者が取ろうと思いますと、告示いたしまして取ることができるわけでございますが、八大港でございますか、これにつきましては実は運輸大臣の認可が要る、そのほかの港は認可は要りません。ただし、いろいろ船主その他から苦情が出ました場合には、そういう処置をしなければなりません。ですから私どもとしては、八大港の入港料をどうするかということが問題になるわけでございます。地方の港はその港独特のそれぞれの歴史と伝統あるいはまた港の維持、しゅんせつをしなければならぬとか、そういった問題がございますので、おのおの徴収をいたしておるわけでございますが、八大港につきましては、実はいま大臣のお話のように、管理者のほうとしてはトン当たり二円取りたい、こう言っておるわけでございます。その二円をどうしても取らなければならぬか。と申しますのは、同じ港湾法で外郭施設と水域施設、これに対してその費用は入港料の対象にしちゃいかぬ、料金を取っちゃいけないことになっておるのです。ですから埠頭とか泊地とか、そういうものに対して取れる。そうすると、そういうものの原価計算と申しますか、入港料を二円の申請をしているけれども、はたして各港ごとに二円取る根拠があるかどうか非常にむずかしいので、それを目下検討をいたしております。そういうことで私ども港湾当局といたしましては、なるべく船会社の御了解のもとに、港湾財政も非常に苦しいですから、取りたいということは思っております。ですが、いまも大臣のお話のように、私どものほうでもそういう根拠の計算の問題も多少ございますので、慎重にこれからやりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/25
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026・菅波茂
○菅波委員 次に先ほどの説明によりますと、港湾管理者たる地方公共団体といたしましては、市よりも県のほうが多いようであるわけであります。この港湾工事の施行者としての港湾管理者に県が多いということになりますと、次の点についてちょっと私も疑問に思うわけであります。これは私がしろうとでわからないからでありましょうが、外国貿易船の開港への入港に際しては、国庫収入になるとん税と地方公共団体に財源を譲与するための特別とん税が課されておるわけであります。特別とん譲与税法による特別とん税の相当額は、開港市町村に譲与されるということになるわけであります。これは私のほうのくにの例をあげてははなはだ申しわけないのですが、福島県に小名浜港というのがあるわけでございます。重要港湾であるわけでございますけれども、この小名浜港のいわゆる管理者は福島県であるわけでございます。そして開港はいわき市という市であるわけでございます。そうしますと、港湾工事の施行者としては、一番金のかかるのは、私は県のほうがかかっていると思うのです。ところが、県のほうには何ら特別とん税相当額が譲与されない。そういうことは一体どういうことなのか、私はわからないのですけれども、ひとつお伺いしたいわけであります。市のほうに行って、県のほうには何も行ってない。特に県のほうはよけい工事費を出しておる、そういうことをどう理解したらいいか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/26
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027・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 これは二つの問題があろうと思います。つまり修築工事の分担の問題がございます。国庫補助をした残りの地方の分担分を、地元の市町村と県との間でどのように分担するか、こういう問題が一つございます。これは私どもといたしましては、その県、港湾管理者に全部まかしております。県の財政が豊かでないところは、残りを半分ずつというところもございます。県の財政が豊かなところはそれ以上に持つ、あるいはまたほとんど地元市町村に負担をかけないというところもございます。これはやはり地方財政等、そういった問題から全般的に地方議会でおきめになる問題でございます。したがいまして、いますぐその修築に関する工事費ととん税との関連がどうこうというわけには、この場ではいかないわけでございますが、それを全般的に見て修築費の分担をおきめ願っている、こういうふうに私ども理解をいたしております。
それから特別とん税でございますが、これは船舶の固定資産税というもののかわりと申しますかで、市町村に交付されるというふうに伺っているわけであります。これは自治省の方がお見えになっておりますので、あるいは自治省の方のほうが詳しいかもしれませんが、いろいろと地元の市町村でも、港が栄えますと、そのほかにいろいろ金も要るわけでございます。そういうことで、地元市町村になっているわけでございますが、これが必ずしも全部港湾管理者に帰属すべきだという議論にはなかなかならないんじゃないか、そういうふうに私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/27
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028・菅波茂
○菅波委員 次に自治省のほうへちょっとお尋ねしたいわけでありますが、地方税法の三百四十九条の三の六項によりますと、外航船舶と内航船舶につき固定資産税を課することになっておるわけでございます。附則の六十四項では、昭和三十九年度から四十三年度までの各年度分の固定資産税に限りまして、主として外国貿易のため外国航路に就航する船舶として自治省令で定めたものに対しては、固定資産税を免除いたしておるわけであります。固定資産税の徴収につきまして、なぜこのような例外を設けたのかということ、これがまず第一点。また、昭和四十四年度からは固定資産税を徴収するのかあるいはしないのか、この点を自治省のほうからお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/28
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029・岡田純夫
○岡田説明員 ただいま御指摘のように、かねてから外航船舶に対する固定資産税償却分につきましては、これが取り扱いといたしまして、外航船舶につきましては、外国との競争関係に立っているという現実がございます。それからまた国際収支の強化という見地から、やはり配慮をすべきものであろうという全般的な見解から、課税標準を一般の固定資産税の場合、三分の一ということにしたと思いました。それが特別とん税でありますとか、そういう関係の譲与税というのが創設されました機会に、現在御指摘のように六分の一に押えております。しかしその後昭和三十九年度に、これらの特別とん税譲与税が引き上げられたということがございますので、そういったようなことと関連いたしまして、附則に、当分の間ということで、五カ年間、つまり三十九年度から四十三年度までの五カ年度間は非課税の措置になっております。これは政府のほうの税制調査会でも、当分の間そのような措置をすることがしかるべきであろうというような答申もございまして、そういうことを受けまして、四十三年度まで非課税になっております。
あとの御質問の四十四年度以降の問題、これは先の問題でございますけれども、しかし少なくとも法体系としては四十三年度までになっておりますので、当然として四十四年度からは地方財源として考えられていくということになると思います。これにつきましては、全般の税体系との関連もございますし、先ほどお話がありましたように、地方財政負担というものは県、市町村を通じまして、相当港湾の問題についてもございますので、この財源として考えていくというのがわれわれの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/29
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030・菅波茂
○菅波委員 次に、とん税及び特別とん税並びに船舶の固定資産税に関してお尋ねしたいのでありますが、昭和三十九年にとん税及び特別とん税法並びに地方税法を改正いたしたわけであります。とん税についてはトン当たり八円を十六円の倍額に、特別とん税についてもやはり十円を二十円に改めたわけであります。船舶の固定資産税につきましては、前述いたしましたように、地方税法附則第六十四項で、外航船舶については四十三年度までは免除する。これを昭和四十一年度で積算をいたしてみますと、とん税収入は三十二億円、特別とん税収入は四十億円、そして固定資産税の収入は六億円であったわけであります。これをさらに前年度の昭和三十九年の改正前の計算で試算をいたしますと、とん税収入は十六億円、特別とん税収入は二十億円、固定資産税の収入は二十六億円であったわけであります。そうしますと、この積算からは、国の収入だけがプラスになったとしか考えられないわけであります。これでは港湾管理者たる地方公共団体の財源に対する国の処置として、かなり不十分ではないかと私は考えざるを得ないのであります。昭和四十年の港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案の審議の際に、こういうことを政府委員が答えておるわけであります。今後このようなもので国家に入ってくる資金の適当な配分については努力すると、政府委員が答弁いたしておるのであります。港湾管理者たる地方公共団体の財源の現状にかんがみまして、港湾局としてはこれは一体どう考えているのか、まず御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/30
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031・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 とん税並びに特別とん税あるいは固定資産税、こういうふうに比較してみると、国に入ってくる財源のほうが多いのじゃないかというようなお話でございます。私、税についてはあまり詳しいことは知りませんが、全般にこれは地方公共団体の財政の問題だというふうに把握しております。先ほど来申し上げました入港料とかそういった問題もございますし、そのほか港湾管理者に対する補助率の問題、こういった問題を全体的に考えまして、私どものほうでできるものは、港湾管理者の財源が苦しいという立場から、ひとつ国費をよけいやりたい。昨年からは大体、六大港でございますか、五割の補助を六割に引き上げましたし、また防災事業その他につきましても、補助率の引き上げをいたしております。そういった観点から、財政全般から見まして港湾整備のために県その他がいろいろ苦しいということがあれば、港湾工事を遂行し得るように管理者の財源の強化と申しますか、そういう方面に努力したい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/31
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032・菅波茂
○菅波委員 時間がそろそろ参るそうですから、港湾施設の効率的使用の問題についてお伺いいたします。
第一に、昭和二十五年に港湾法が制定せられてから今日まで、港湾そのもの、港湾施設の使用などについて、たとえば船舶が小型であった時代には天然地形に依存しておった。船舶の大型化によりまして安全あるいは効率的荷役への要請につれまして、単なる自然的条件への依存から、係留施設や外郭施設の人工整備を行なうようになってまいって、船舶の回転時間の短縮をはかるため、より以上の港湾整備を行なう必要が生じてきたわけであります。いろいろと変革はあったでありましょうが、現在当局はどのように考え、またどのように指導しようとしておるのか、港湾施設の効率的使用についてまずお伺いいたしたい。時間がないものですからひとつ答弁のほうを簡単に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/32
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033・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 港湾施設を効率的に利用するといいますことは、極端に申し上げますと専門埠頭ですね。物資ごとに能率的な専門埠頭をつくりまして、荷役その他を近代化していく。つまり接岸施設をつくりまして、そこに本船を横づけしまして、荷役機械その他を近代化してやっていくということが一番基本になることだと思います。これにつきましては、あるいは航路別に使うとか、あるいは物資専門別に使うとか、でき得れば、民間に能力があれば専用埠頭をつくっていただいてそういう方向に進むということが、港湾施設の効率化に寄与する基本的な問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/33
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034・菅波茂
○菅波委員 港湾施設というものは一般公衆の利用に供する目的で設置されるものと考えるのでありますが、その前提に立ったときに、港湾法第十二条第一項の規定によりますと、港湾管理者などが行なう施設の使用に関する規制、たとえば水域施設の使用に関する規制とか、あるいは係留施設を利用する船舶に対する係留場所の指定の規制、上屋とかあるいは荷役機械等の港湾施設の使用の規制等の規制には、一定のワクがあると思うのであります。この規制の限界ともいうべきところの法的な見解、それについて御説明願いたいと思うのであります。
また、現在横浜港の山下方式とか、あるいは神戸港の摩耶方式というものがあるそうでありますが、こういった方式についてどう考えておるのか、御見解を承りたい。またこのような方式を今後奨励して、その方向で指導なさるのか、その点についても御見解を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/34
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035・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 港湾施設は、御承知のように、一般公衆の用に供するためというふうなことでつくるわけでございますので、公共の利用を阻害するような使用のしかたは困るわけであります。また、港湾施設は岸壁と上屋とが直結いたしております。つまり上屋の中にはかの荷物が全部入っておりますと、そこへ着く船は荷物を揚げられないというようなことになります。それでは公共使用ができないわけでございますので、なるべくそういうようなあいているときにはいつでも第三者が使えるという状態にしておくということが、原則かと思うわけでございます。この公共利用という問題は、港湾の岸壁が少ない時代、つまり港湾が非常に整備されていない時代の問題でございまして、横浜、神戸とかいうぐあいに、港がだんだん成熟した港に達しますと、そういうふうにしておったのでは港の能率があがらないというような問題が、今度は一方に出てまいります。したがいまして、公共性と港の効率性というものをどのようにかみ合わせるのかということが非常な問題になります。
そういう場合には、やはり特定の船会社がそこの岸壁を専用するのだということでなければ、つまり結果的に非常にバースが多くなってきた、長くいる船が少なくなってきたという場合には、港湾審議会で結論をいただいておりますが、航路別優先使用、航路別に、これは北米航路の岸壁、これは南米航路の岸壁、そういうふうに航路別優先使用をしてもいいのじゃないか、公共性に反しないのじゃないか、いま大体そういう段階まできております。あるいはもっと日本の港湾が整備されればどうなるかということは、また問題があろうかと思いますが、だんだん公共性という問題が変質するんじゃないか、かように考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/35
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036・菅波茂
○菅波委員 時間がそろそろ来たようでありますが、最後に、昭和四十年十月十一日の港湾審議会の「港湾管理者の財政基盤の強化及び港湾施設の効率的使用の確保のため緊急に実施すべき方策に関する答申」というのがあったわけでありますが、これに、特に財政基盤を確立するために、第一には財政状況を把握するため、港湾管理者は財政に企業会計方式の採用ということが入っております。第二点目に、経常費用と収入の関係でありますが、港湾法第二十九条、財務の原則で、建設費は準備金または長期借り入れ金の調達などと、独立採算制による港湾経営に関する基本的な指針の確立というのがうたわれておったようであります。第三番目に、原価を償う使用料の徴収、未徴収の施設に対する総合チャージによる料金の適正化と、料金体系の再検討ということもあったわけであります。第四番目に、公債の管理者財政に及ぼす影響にかんがみて、起債条件の緩和等が指摘されておったのであります。
以上の四点について、最後にまとめてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/36
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037・宮崎茂一
○宮崎(茂)政府委員 お話しのように港湾審議会の答申が出ているわけでございまして、港湾管理者の財政をもう少し企業的に、企業会計という面から見て、収支の償うような方向に持っていかなければならないわけでございます。そのためにいろいろな対策を講じております。先ほどの入港料の問題もさようでございますが、また埠頭を効率的に使うことによりまして、より以上利用者から徴収をするという方向もとりつつございます。そういうようなことでございますけれども、実は港湾の発展することによりまして、その港湾都市自体も実は発展するというような観点もございますので、港湾管理者といたしまして、大いに船に来ていただいて港は発展させたい、しかし一気に高率の使用料を取るというのもどうかという空気がございます。徐々にそういう方向に向かっております。いま全体を企業会計のベースで申し上げますと、経常費の大体半分くらいしか償っておりませんが、今後ともそういう努力をしてまいりたい、つまり港湾管理者が独立採算をするような努力、これは成熟の港湾でございますが、そのために公団を導入いたしまして、港湾管理者の改修の費用を軽減していくという公団方式も、一つの方式でございます。それから、起債も御承知のように非常に積もり積もってまいりまして、起債条件をよくするということも非常に肝要なことでございます。これについては毎年毎年自治省なり大蔵省なりにお願いをいたしまして、なるべく長期の起債で、金利の安い原資の起債を得るように、港湾局といたしましてはあっせんをいたしております。この点につきましては今後ともそういうふうに努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/37
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038・菅波茂
○菅波委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/38
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039・大野市郎
○大野委員長 野間千代三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/39
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040・野間千代三
○野間委員 それではあと時間が少しのようですから、また次の委員会で御質問をさしてもらうことにして、海上保安庁長官がお見えておりますので、この関係だけ……。あとの方はけっこうです、また次の機会にお願いいたしますから。
四月十日の夜、横浜港の入口で、大阪商船三井船舶所属のさばな丸が炎上した事故がございましたが、これは報道によると、九日の未明に房総沖ですでに一回船火事があって、その消火が不完全なまま入港したというふうに報道されておりますが、そういうことであるのかどうか。それからこのさばな丸というのは一万四百五十五トンのたいへん大きな船ですけれども、これは石炭あるいは揮発性の液体をドラムかんで積んでおったというふうにいわれておりますけれども、これはどういう形式の船舶になるのか、つまり危険物を運送していい船舶であるのかどうかという点について、初めにお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/40
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041・亀山信郎
○亀山政府委員 さばな丸は御承知のとおり、四月九日午前零時三十分ごろ、野島崎の東方四百五十海里付近の海上で、積載中の化学薬品の爆発火災が発生をいたしました。当庁といたしましては、人命に損傷はないということでございましたけれども、一応警戒のために「げんかい」を出動させまして、洋上で会合をいたさせまして、船長から報告をもらいました。そのとき船長は、すでに火災が起こった一番船倉に炭酸ガスを注入して鎮火せしめたということでございますので、そのままエスコートしながら横浜に向けて航行せしめたわけであります。しかしながら、なお引き続き爆発をするおそれもあるというふうに思いましたので、横浜の港域に到着するところに当方の巡視船と、また会社手配の引き船を準備いたしまして、安全を確認してから港内に入る、こういう措置をとったわけであります。それが港域に差しかかったころ、十日夜でございますが、第二回目の火災を発生をしたわけでございます。これは最初の火災の原因は、大体ドラムかんを縛ってある綱がゆるんで、ドラムかん同士がぶつかって、その衝撃によって積み荷の一部が爆発したものと見られます。第二回の爆発の原因については、詳細を目下調査中でございます。
それから、この船は危険物を積載し得る船かどうかということでございますが、この船は一般の貨物船でございまして、危険物運送貯蔵規則によりまして、この本船が積んでおりましたヘプタン、ヘキサン、ペンタン、この三種類のものは引火性の液体として、それぞれその規則に基づく取り扱いをしなければならない貨物でございますが、それらはおおむね規則の定めるように、甲板上の船倉内に格納してあったものでございます。その下に革類、その一番下に雑貨類などが、この一番船倉には積んでございました。その点では積みつけ場所について、あるいは容器について危険物運送貯蔵規則を順守するならば、かかる引火性液体を積み得る船舶でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/41
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042・野間千代三
○野間委員 初めの原因ですが、第一回目のやつがドラムかんの衝撃によって発火をして、それが消火されたことを船長から報告をされたのであって、それは海上保安庁としては確認の方法はどういう方法だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/42
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043・亀山信郎
○亀山政府委員 入港以前と申しますか野島崎の沖における状況につきましては、船長の報告を信用いたしました。ただ、やはりこれらの品物を持って入港した後に港の中で、船の込んだところで火災が発生した場合の危険をおもんぱかって、港へ入る直前から先ほど申し上げましたような措置をとって、実はそこで確認をした上で、これは海上保安官が船に乗り込んで確認をした上で港に入らせる。沖におきましては船長の責任におきまして消火の内容、消火の方法その他を船へ報告してまいりましたので、それを信用して、港内へ入るときには確認をする、こういう手配でおったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/43
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044・野間千代三
○野間委員 そうすると、まだあの距離では厳格に言うと入港の場所ではない、入港の寸前であったということですね。入港の場所になれば、海上保安庁の職員がもう一回入って確認をするという予定であったわけですね。——わかりました。そういうことであればやむを得ないのですが、やはり第一回の爆発のときに、火災のときに相当大きな火災であったように見受けられるので、これは将来の問題になるでしょうが、船長の報告だけでは十分でなかったのじゃないか。まだ船込みというか、船の交通量の多いときでなかったようですから、あの事故で済んだかもしれないが、あるいは込んでおった場合、あるいは消火が十分でなくて海上に引火性の液体が流れたような場合の影響等を考えると、別に私は追及するわけじゃないのですが、幸いにして大きな事故にならずに済んだので、この機会に特に横浜、神戸、大阪という、港内やあるいは港の入り口など相当交通量の多い港においては、こういう事故の場合によほど海上保安庁として慎重に確認をなさる必要があるのじゃないかというふうに思うので、その点について御答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/44
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045・亀山信郎
○亀山政府委員 仰せのとおり、船舶が非常にふくそうしておる港内あるいは岸壁付近でかかる火災が発生しますると、その被害はその船舶のみならず、回りの船舶あるいは陸上にまで被害が及ぶおそれがございますので、今後とも危険物を運搬する船につきましてはそういう意味の監視、護衛等を十分やっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/45
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046・野間千代三
○野間委員 それから第二回目の火災の原因ですが、これが不明というふうになっておりますが、これはどうなんでしょう。第一回の場合は引火性物質のドラムカンが発火をしておるわけですね。第二回目のは、発火の場所はどこなんですか。あるいはどの品物が発火しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/46
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047・亀山信郎
○亀山政府委員 第一回の洋上における火災は、一番船倉、つまり引火性物質のドラムカンがあった場所で火災を起こしております。第二回目の火災も同じ場所、同じ船倉から発火をしております。発火当時の状況は、実は本船にすでに保安官が乗り込んでおりまして、そうして安全確認の措置に当たる寸前であったわけでございます。われわれの調べで現在までわかっておる限りでは、これからいよいよ港に入るというので、船長が乗り組み員に対して入港配置という命令を出した直後に火災が発生した、こういうことでございまして、現在想像でものを申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、前回の消火が密閉消火、火災の出たところを密閉をして消火をして、さらに、縛ってあったドラムカンがゆるんだということでございますから、残っておるドラムカンを完全に縛り直したということでやってきたのでありますが、おそらく、これは私の想像でございますが、その火災によってドラムカンのあった場所の下の皮類あるいは雑貨類に火が隠れていたのじゃないか、それがだんだん熱を持ってきたというふうな状況が、あるいはこれの原因ではなかったかというふうにも考えられますが、いずれにしても、幸いにして他に被害が及ばなかったわけでございますが、万一の場合には大被害を生ずるおそれがあるような火災でございますので、慎重に厳密に、第二回目の爆発の原因、それから第一回目の火災のあとにとった船長の措置をさらに追及を続けておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/47
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048・野間千代三
○野間委員 私も、あの報道の範囲を出ませんので、もちろん推測でありますが、いまの御報告でも、同じ場所であったということなので、どうも第一回目の消火の措置が不十分であったというふうに、これは断定できるのじゃないかと思うので、ぜひいま長官の言われるように原因を究明をして、再びこういう事故がないようにひとつ処置を願いたいと思います。
第二番目の、一般貨物船であるから、危険物貯蔵規則によれば、あるいは船舶安全法等によれば、甲板上にこういう危険物を積んでもいいという、法律上あるいは規則上でいくと、この船舶のやり方は違法あるいは規則に反するという部分はなかったというお答えのようでしたが、しかし、一般貨物船で、ヘプタンというのですか、あるいはヘキサンなどという、これは相当引火性の高い液体というふうに伺っておるのですが、これがドラムカンで七十二本もある、しかもそれに石炭を七千七百トンですか、積載をしている、これ以外に雑貨を積んでいるという積み方、混載のしかたというのはどうも危険だというふうに、しろうと考えですけれども、危険ではないか、いわば、極端にいえば、そういう法律上、規則上の問題をうまく配分をして積み込んできたというような印象を受けるのですが、これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/48
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049・亀山信郎
○亀山政府委員 この薬品類は、ガソリン、原油、重油などと違いまして、非常に量の少ない貨物でございまして、主として溶剤として使われるものでございます。したがいまして、これについては、一般定期船が従来ずっと積んでおる品物でございます。一般定期船は御承知のように、各種の貨物を混載して輸送を行なう船舶でございます。そこで危険物運送貯蔵規則では、こういう種類の引火性液体については、容器について、容器はこういうものでなければいけない、また積みつけ場所はこういうととろでなければいけないというような規則を定めて、それを守らせるということで安全を確保する、こういうふうな考えに立っておりますので、この船のみが危険物運送貯蔵規則を悪用してこういうことをしたというふうには私どもは考えていないわけでございます。ただし、現実に火災が二回も起こっております。これはやはり当初の積載方法が不十分であったのではないか、つまり緊縛は必ずしっかり——こういうものがごろごろ動きますと、鋼製のドラムカンに入っておりますから発火するおそれがあるので、積みつけに欠陥があったのではないか、そういう疑いを持って調査を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/49
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050・野間千代三
○野間委員 この船が積んでおったこの液体は、危険物であることは事実なんですか。規則上どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/50
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051・亀山信郎
○亀山政府委員 規則上、危険物でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/51
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052・野間千代三
○野間委員 危険物であるとすると、一般貨物船にそういうものを積み込む場合に、緊縛の方法なりあるいは荷役の方法なりのときに、何か監督官庁が監督するとかいう措置はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/52
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053・亀山信郎
○亀山政府委員 これは実は船舶局の所管でございますが、私どもの承知しておる限りでは、危険物あるいは毒物、こういうものは、積み込むときに必ず専門のサーベーヤーが積みつけ検査をして、完全な積みつけであるという検査の証書を持って船長は出てくるのが通例になっております。この船もおそらく積み地において専門のサーベーヤー、つまり日本では鑑定人といっておりますが、そういう専門家の積みつけ検査を受けてまいっておるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/53
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054・野間千代三
○野間委員 その鑑定人というのはどこの所管ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/54
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055・亀山信郎
○亀山政府委員 これは日本におきましては、運輸省船舶局の所管でございます。外国にも同じような鑑定人、サーベーヤーが、専門家が必ずおるのが国際的な通例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/55
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056・野間千代三
○野間委員 それでは、きょうは船舶局の御出席を願ってなかったので、詳細ではありませんが、そのことについては後日に譲りたいと思います。これは特にドラムカンであるとかそういうもので積んである場合、よほど注意をしないとこういう事故が起こりやすいわけですね。しかも海上の場合の動揺というのは、陸上とは違った大きな動揺があると思うのです。したがって、おそらく独特の技術を要する積み方になるのだろうと思うのです。この件については少し質問を保留さしていただきたいと思います。
次に、この問題に関連をするのでありますが、野島崎の沖で消火をしたときにボンベを五十四本使用して、密閉をして、そうして大体消火が済んだということになっておったのですが、そうすると、この「さばな丸」に積載してある消火施設というのは、どのくらいのものだったのですか。これはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/56
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057・亀山信郎
○亀山政府委員 実は消火剤を、炭酸ガス、それから粉末状の消火剤、水にまぜてあわを出すもの、これを持っておったということはわかっておりますけれども、詳細はいま承知しておりません。後ほどお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/57
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058・野間千代三
○野間委員 野島崎沖の第一回の消火のときに、ボンベを五十四本というのですから相当な量だと思うのです。このときに「さばな丸」が持っておった消火能力というものはどの程度まで使用されたのか、もしこのときに、相当大量に使われて、あと残余がないとすれば、海上で残余がなくなった場合の措置はどうなるのか、これはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/58
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059・亀山信郎
○亀山政府委員 通常、こういう火災の場合には、まず密閉消火、密閉して空気の流通を全く遮断をしてしまうということによって自然鎮火を待つというやり方が行なわれております。この場合には、爆発物、引火性のものでございますから、それだけでは爆発したときに密閉したところを吹き飛ばすというおそれがあるので、炭酸ガスを注入したんだと思いますが、なお、本船自体は当然船舶安全法に基づく消火設備を持っておりますので、場合によっては水をかけるとか、あらゆる措置を講じて船舶の火災を食いとめるというのが通例で、それは船員として当然行なわなければならないつとめでございます。で、私どもは火災の報告を聞いて、救助要請を受けたわけではございませんけれども、その積み荷の関係で、危険をおもんぱかって「げんかい」を野島崎沖に出動せしめ、万一の場合には巡視船「げんかい」によって消火の援助をしようという覚悟で出かけたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、船長の鎮火したという報告がございましたので、それ以上の消火作業を当庁の巡視船は行ないませんで横浜に向かわせたのでございます。今後とも、こういう洋上における火災は乗り組み員にとって非常に危険な事柄でございますので、できる限り巡視船を出動させまして厳格に消火の確認等を行なわせたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/59
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060・野間千代三
○野間委員 一万トンの船でいいますと、消火施設には一定の基準があって、その基準に到達するだけのものは消火施設として載せなければならぬというような基準はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/60
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061・亀山信郎
○亀山政府委員 船舶安全法によりまして、船舶の施設すべき消火設備というものは厳重にきめられております。
なお、危険物運送貯蔵規則によりまして、こういう化学薬品、引火性の薬品を積む場合には、消火剤の所要量を必ず積むべきことがきめられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/61
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062・野間千代三
○野間委員 そうすると、「さばな丸」に積載をしてあった引火性危険物と石炭などを考えると、いま局長のお答えの船舶安全法あるいは危険物運送貯蔵規則からくる、この船の当然積載をしておくべき消火施設の量なりは、はっきりするわけですね。それはその当時はきちっと積載しておったのかどうかは確認してあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/62
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063・亀山信郎
○亀山政府委員 その点も目下捜査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/63
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064・野間千代三
○野間委員 これは、出港をするときにはやはりどこか監督官庁で確認はするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/64
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065・亀山信郎
○亀山政府委員 最後の出港地はアメリカのサンフランシスコまたはロサンゼルスだと思いますが、先ほど申し上げましたように、そこでサーベーヤーの積みつけ検査が行なわれたであろうと思いますが、それ以上にはおそらく役人による特別の検査は通常行なわれないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/65
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066・野間千代三
○野間委員 この船が日本を出るときはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/66
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067・亀山信郎
○亀山政府委員 やはり法律によりましてこれらの薬品については、私どもは港則法によりまして危険物荷役の許可制をとっておりまして、危険物荷役が行なわれる場合には、一応許可を受けて荷物を積み込むということでございます。それから危険物運送貯蔵規則に基づく積みつけ検査等の強制については、ちょっといま船舶局がおりませんので明確にお答えできませんが、このほかのいわゆる粉状の硫化鉱、材木等については、先ほど申し上げましたサーベーヤーの検査があるか、もしくは船舶検査官の検査か、どちらかが積みつけのときになければならないというような規則になっておるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/67
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068・野間千代三
○野間委員 それでは、この問題も次の機会に船舶局から確認をしたいと思います。まあ常識的には荷物を積む場合と、それからその船ができたときには当然それは必要でしょうけれども、日本の港なりあるいはどこか港を出る場合に、やはり当然その船の積載をしておくべき火災予防施設がなければならぬはずでありますが、それはどういうふうに確認をされるのか、次の機会にはっきりさせてもらいたいと思います。
次に、あの晩の消火体制でございますが、これはいつか私も前に質問をしたことがあったと思いますけれども、当時の横浜の海上消防体制を見ると、海上保安庁の消防艇が二隻、それから市の消防艇が三隻というふうに聞いておるのです。時間がないので急ぎますが、海上保安庁のものも、それから市のものも、たいへんな小型であって、こういう一万トン級の貨物船を消火するだけの能力を持っていないというふうに伺っておりますが、海上保安庁の消防艇の実態と、それから当時民間のタグボートか何かが消火につとめられたというふうに伺っておるのですが、そういうことであったのかどうかについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/68
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069・亀山信郎
○亀山政府委員 現在海上保安庁が東京湾において持っております巡視船艇の合計は、二十四隻でございます。それらはいずれも一応の消火能力を持っております。特に化学消防能力を持っておる船は、先ほど御指摘の横浜の二隻の専門消防艇を含めて、東京湾全体で六隻でございます。
この十日の夜の火災において当方の消防艇「おとわ」が出動しておりますが、当時風速約十五メートルでございまして、この船では近接することが非常に危険な状態、本船はまだ停止しておる状態ではございませんので、遺憾ながら当庁の消防艇はこれに近接、消火作業に当たることができない。巡視船の「すみだ」が消火作業に当たりました。それと同時に、タグボートは相当がっしりした船でございますので、これが近接をして消火作業に当たった、こういうのが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/69
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070・野間千代三
○野間委員 それで、東京湾全体の消防体制ですね。これは港湾局なりあるいは海上保安庁から見た場合、東京湾全体の消火施設で、当然設備をしておかなければならない化学消防艇の隻数であるとか大きさであるとか、あるいは今度は東京湾のうち東京港あるいは横浜港等、港々で設備をしておくべき消火施設、そういうものは一応の定数というのですが、基準というのですか、そういうものはあるんではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/70
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071・亀山信郎
○亀山政府委員 私ども自体としては一つの整備の目標は持っておりますけれども、公のと申しますか、政府全体の基準としてはそういうものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/71
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072・野間千代三
○野間委員 つまり規則上はそういうものはつくってないということですね。そうすると、海上保安庁の考え方で、この程度は必要であるという考えはあるわけですね。その海上保安庁が目標としているのはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/72
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073・亀山信郎
○亀山政府委員 川崎を含む横浜港につきましては、大型の消防船一隻と小型の十五メートル型の巡視艇と兼用のもの一隻を整備いたしたい、かように考えておりまして、現在は中型の専門消防艇が二隻おるだけでございます。四十三年度予算で、大型消防艇の予算は昨日成立いたしました。これによって非常に大きな力になると私どもは考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/73
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074・野間千代三
○野間委員 ちょっと時間がないので、これはもう一回この次に浦賀水道の問題を少し——東京湾の中には千葉あるいは東京、川崎、横浜というふうに、たいへん重要な港があるわけですね。そういう関係で東京湾全体あるいは運河、それから浦賀水道の航行の安全なりあるいは消防、消火等の施設、そういう問題についてお尋ねをしたいので、東京湾全体の海上保安庁としての目標について、ひとつこの次お答えをいただけるようにしておいていただきたいというふうに思います。それと現在の能力との比較ですね。それから、したがって、これで終わっておきますが、これは湾の大きさなりあるいは港の状態なり、あるいはタンカーの入りぐあいであるとか、あるいは川崎のように石油コンビナートの相当多数にあるところ、そういう港の持っている、あるいはその湾が持っている実態から考えて、当然この程度の消防能力は施設をしなければならぬという、やや義務づける法的な規制というか、法的に確立をするという、そういうことは必要ではないかというふうに今回の事故から見て考えるのですが、そういう考えは海上保安庁なりであるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/74
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075・亀山信郎
○亀山政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、港あるいは湾の性格と申しますか、そこへ入ってくる船舶の量、特に最近では石油類、危険物のたぐいの量、またそれを運んでくる船の大きさというもの等を基準にとりまして、全国各地の特に石油コンビナート地帯についての消防能力の整備基準というものは、私どもの目標として現在持っております。これを法的に強制するというふうな段階にはまだ至っておりません。
それから、そういうことが望ましいかどうかという問題でございますが、消防能力を持つものはまず当然に、コンビナートでいえば自衛消火能力、これは法律上の義務で各企業は義務づけられております。それから地方公共団体の消防機関、これは公共機関として特に義務づけはされておりませんけれども、国の補助金等によりまして逐次整備がはかられている。それから当海上保安庁、国の機関でございます。国の予算措置によりまして一定の目標を定め、これに向かって逐次整備することが可能だと思います。国の機関もしくは公共団体については、法律をもって一定の基準を守らせるという必要は特になかろうかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/75
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076・野間千代三
○野間委員 それではこの次までに保安庁が持っておられる基準、これはいいですね。——これは港ごとにあるのですか。もし港ごとにあれば港ごと、まあ東京湾全体としてどういう基準を持っておられるのか。それから東京湾だけでいいですが、東京湾の各港にどういう配置をすることが望ましいと考えておられるのか。それだけひとつこの次にお答えをいただけるようにして、それから先ほどのお答えで一つ確認しておきたいのですが、今度の予算で通りました化学消防船、これは横浜へ配置をするということかどうか、これだけ一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/76
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077・亀山信郎
○亀山政府委員 第一船は横浜へ配置いたしますが、実際の行動は、大型タンカーが入ってくる場合にこれに付き添っていきますから川崎が大部分であろう、川崎及び根岸に行くことが一番多い。火災が発生してからかけつけるのではなくて、大型タンカーが入港します場合に、それに付き添って付近におるというふうに運用をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/77
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078・野間千代三
○野間委員 そうすると、横浜港に直接帰属というか配置するのでなくて、横浜と川崎を担当するというふうに考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/78
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079・亀山信郎
○亀山政府委員 そういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/79
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080・野間千代三
○野間委員 はい、わかりました。
委員長、先ほどの資料、東京湾だけでなくて、大阪湾もひとつ加えてください。砂田さんから御要求がありましたので、加えてください。
以上できょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/80
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081・大野市郎
○大野委員長 次回は来たる十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105803830X01719680416/81
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