1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十三年五月十日(金曜日)
午前十時五十四分開議
出席委員
委員長 加藤常太郎君
理事 金丸 信君 理事 砂原 格君
理事 森下 國雄君 理事 渡辺 栄一君
理事 岡本 隆一君 理事 佐野 憲治君
理事 内海 清君
池田 清志君 稻村左近四郎君
浦野 幸男君 大野 明君
澁谷 直藏君 葉梨 信行君
阿部 昭吾君 井上 普方君
唐橋 東君 下平 正一君
田邊 誠君 福岡 義登君
三木 喜夫君 渡辺 惣蔵君
吉田 之久君 北側 義一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 保利 茂君
出席政府委員
建設政務次官 仮谷 忠男君
建設省計画局長 川島 博君
建設省河川局長 坂野 重信君
委員外の出席者
林野庁指導部長 木村 晴吉君
専 門 員 熊本 政晴君
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五月十日
委員石川次夫君、島上善五郎君及び渡辺惣蔵君
辞任につき、その補欠として唐橋東君、田邊誠
君及び三木喜夫君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員唐橋東君、田邊誠君及び三木喜夫君辞任に
つき、その補欠として石川次夫君、島上善五郎
君及び渡辺惣蔵君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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本日の会議に付した案件
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出第九一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/0
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001・加藤常太郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。田邊誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/1
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002・田邊誠
○田邊委員 治山治水については、政府は今日までいろんな施策を講じてきたのであります。特に第一次、第二次それぞれ五ヵ年計画を策定いたしまして、日本のいわば国土安全あるいは国土開発の基本ともいうべき事業について鋭意その努力を尽くしたことを私どもは注目をしてまいりました。あるいはまた、水は御承知のとおりいろんな面に現在活用されておるのであります。利水の問題は、今日日本の産業全般にわたって欠くことのできない重要な要素をなしておるのであります。今後水の問題はますますその重要度を加えてくるであろうと私どもは考えるわけでございまして、そういう点からいいまして、この水の問題をどのように処理していくかということは、国家百年の大計を立てる上からきわめて重要な意味合いを持っておると思うのであります。したがって、水資源の開発、活用が適切に行なわれるということと、また、一歩誤っていくということは、実はこれは将来にわたってたいへんな違いを来たすのでございます。私どもは、この水利用が一歩誤りますならば、国民生活を破壊し、国民に多大の犠牲をしい、損害を与えることになるだろうと思うわけであります。したがって、今後の治山治水あるいは利水等については、あらゆる施策を総合いたしまして、その総合的な観点の上に立って今後の問題処理に当たっていかなければならない、このように私は考えておるわけでございますが、まずもって大臣のこれに対するところの御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/2
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003・保利茂
○保利国務大臣 水問題の重要性につきましては、私も同様の見解を持っておるわけでございます。特に日本の発展趨勢と申しますか、経済の要請等を考えますときに、資源の乏しい国だといわれますけれども、なるほど、地下資源等にはまことに恵まれない国土情勢でございますが、しかし、今後の工業開発、国民生活の向上等を考えますと、われわれはかえがたい天与の資源を持っておるのじゃないか。それはすなわち水だ。水資源というものは、年々歳々、今日までわれわれはむしろ水に恐怖を感ずるというようなことでございますけれども、長い将来を考えて頭に置いていかなければならないのは、この恵まれない資源の国である日本が、天与の水という大資源に恵まれておるということに思いをいたしますと、一滴の水もおろそかにしないというようなねらいが持たれておらなければならぬのじゃないか。私は、そういう意味において、豊かな山相と申しますか、水資源涵養のための山林を持つということ、そしてそれを活用してまいる治水政策というものを基本的にかまえとして持っておらなければならぬじゃないか、そういう観点から考えますと、水の利用あるいは治水ということにつきましては、国土の長期建設という上からいって重大視していただかなければならぬじゃないか、そういう考えで今回治山治水五ヵ年計画の改定をいたしました。これはまことにわずかなものでございますけれども、昨年までの一兆一千億という五ヵ年計画というものを、とにかく二兆円を下らない規模にふやし、それはやがて次への足場といいますか、段階として、こういう計画を——これはそういう大きな構想からいきますとささやかなものでございますけれども、それでも、われわれの希望というものをとにかく達成して、実現の日を一日も早く迎えたいというのが、私の率直な感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/3
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004・岡本隆一
○岡本(隆)委員 議事進行。——先ほど来から自民党の委員諸君の出席が非常に悪い。私ども野党の委員諸君はほとんど出ておるのに、自民党の委員は数名より出ておらぬというふうなことで、定足はあっても、ほとんど野党委員によって定足数が満たされておるというふうなことでは、委員会の審議に応じられぬ。与党がそういうふまじめなことでは困るということで、たいへんな突き上げを私は受けておるのです。したがって、ちょうどいまは自民党委員がようやく過半数の十名に達しましたから、委員会は続けてやっていただきますが、しかしながら、途中で自民党委員諸君が十名を切る、半数を切るというふうなことがあったら、野党は退出して委員会が流会になるという事態が起こるかもしれませんので、委員長においてそういうことのないように委員諸君を督励されるようにお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/4
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005・田邊誠
○田邊委員 いま大臣の御意見にもありましたとおり、建設行政といいましょうか、実はいろいろ重要な問題が数多くございます。道路、住宅その他数多く問題が山積をいたしておりますけれども、しかし、国を守る基本としての治山治水の問題は、いつの日においても、重要視して決して重要視し過ぎることはない、こういうふうに思っておるのであります。ここで私は抽象的な論議は避けまして、日本の治山治水のいわば基本をなすものは山の保存であり、あるいはまた、河川の問題であろうと思うのであります。そういった面から、この際、私の住んでおります地域の利根川を中心といたしまして、治山治水の面あるいは利水の両面から見て、その特徴点を明らかにしながら問題を提起してまいりたいと思っておるのであります。しかも、あとで申し上げますところの東京、大阪、名古屋のいわゆる三大都市圏特にその中における首都圏整備の問題は、この治山治水、利水の問題とどうしても深い関係のある問題でございますから、私はその立場も含めまして御質問をいたしてまいりたいと思っておるのであります。
まず、治水の問題について一つの大きな問題点は、いま申し上げたように、河川の問題をどうするかということであります。川の水を実はどのように治めていくかということが非常に重要であろうと思うのであります。その一環として利根川の上流地点には、今日までも数多くのダム群を建設してまいったのでありまするけれども、これはいわゆる急流の日本の河川の中でダムをつくることは非常に重要な問題であろうと思うわけですが、このダム群の中で近来は特に多目的なダムとしていろいろなダムがつくられてきているわけでございますけれども、この多目的ダムの主要な目標は私は明確であろうと思うのですが、多目的ダムを建設されるところの主要な一つの目的というのは
一体どこにございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/5
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006・坂野重信
○坂野政府委員 先生御承知と思いますが、多目的ダムの主要目的は、まず第一に洪水調節でございます。その次に、水資源の開発というものを含めまして、そういうものが多目的ダムということでございます。水資源の開発の中には、先生御承知のように、農業用水の問題もあれば、場合によっては水道用水、工業用水、そういった都市用水の問題も含んでおるわけでございます。そういったものを総括して特定多目的ダムというようなことでつくる、あるいは水資源開発法によりまして多目的ダムの建設をやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/6
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007・田邊誠
○田邊委員 数多くの目標がございまするけれども、その中でいま議題となっておりまする治山治水の面、いわゆる洪水調節もその一環でございまするが、そういった大きな柱があるわけでございます。
そこで、私は、いま申し上げたように、全体的な問題を論議するその手始めとして、利根川の問題を具体的な例としてあげて質問をいたしたいと思っているわけでございまするが、利根川地域における洪水調節は、年々歳々いろいろな面で実は整備されてきているわけであります。治山治水上いわばダムをつくって洪水調節をする、こういうことがいわれているわけでありまするけれども、それならば、利根川の場合は、治山治水上ダムをつくるその具体的な、科学的な根拠というのは一体どの辺にあるのでしょう。一体どのくらいの洪水調節をし、それによって水を治め、山を治める、こういうぐあいにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/7
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008・坂野重信
○坂野政府委員 若干技術的にわたりますけれども、先生御承知と思いますが、洪水の処理計画をするにつきましては、その河川の主要な地点を押えまして、その地点におきまして一体どのくらいの水が出てくるであろうかということを基準に押えているわけでございます。その押え方は、過去の大きな洪水の状態あるいははんらんの状態等を見まして、あるいは将来起こり得るであろうというような問題を統計的に処理いたしまして、そういうことから、ある地点における計画の洪水の流量は幾らであるということを押えているわけでございます。利根川の現計画におきましては、先生御承知と思いますが、八斗島という基準の地点がございまして、その地点におきまして毎秒一万七千立方メートルということを基準にして計画を進めているわけでございまして、一部上流で洪水調節をし、一部余った水を下流の堤防によって移せるというような洪水調節、ダムによる洪水調節と、下流における堤防等による砂防改修と組み合わせて計画を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/8
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009・田邊誠
○田邊委員 いまの局長の答弁によりまして、利根川の場合は、一応洪水調節の基点を八斗島に置きまして、この基本放水流量を毎秒一万七千トンと規定いたしておる。これを上流の多目的、ダムによって三千トンカットいたしまして、あとの一万四千トンは下流の河道でこれを処理する、こういうたてまえをとってまいったのでありますが、今後の治山治水五ヵ年計画等においてもこの基本的な数字はそのまま踏襲する、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/9
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010・坂野重信
○坂野政府委員 御承知のように、河川の流量というものは、上流の流域の変貌、あるいは流域における諸河川の改修状況、あるいは流域のいろいろな開発の問題そういうことによりまして、明治以来河川改修を全国的にやっているわけでございますけれども、そういった状況の変化に応じまして、あるいは気象条件の変動等に応じまして、流量の変更と申しますか、流量の改定というものを逐次行なって現在に至っておるわけであります。現在きまっております基準の流量というものも、昭和二十四年の治水調査会できまったものでございまして、御承知のように、昭和二十二年、二十三年の大水害によりまして、利根川の流量を一挙に改定する必要があるということでその当時やったわけでございますけれども、その後の流域の開発状況、推進状況を見てまいりますと、現行の一万七千では若干不足であるというようなデータが現在出つつあります。もちろん、まだ最終的な段階には至っておりませんけれども、いろいろ電子計算機等にもかけまして流量のそういった基礎的な資料について検討中でございますが、いまの見込みでは、一万七千では不足するというような状態に至っておるわけでございます。もちろん、その間におきまして先輩諸公あるいは学識経験者等の意向を十分徴しまして、目下鋭意作業中でございまして、そのうちに最終的な結果が出ると思いますけれども、私どもの見込みといたしましては、一万七千の現行の流量基準では不足であるというぐあいの見込みを立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/10
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011・田邊誠
○田邊委員 この数字を規定する際には、いま話がありましたように、戦後のカスリン、キティ等のいわば大きな台風時における洪水の状態を一応の基本といたしまして、これをもととした基準の設定をいたしてまいったと思うのであります。これを今日大幅に変えなければならぬ理由というのはどこにも見出せないんじゃないかと思っているのですが、一万七千トンを変えるというお話でありますけれども、一体それはどのくらいの見込みをあなた方は立てているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/11
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012・坂野重信
○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、現在その辺のはっきりした数字は出ておりませんが、おそらく四割増しか、あるいは五割増しくらいの数字が出てくるのじゃないかというぐあいに一応考えているわけであります。もちろん、先ほど申し上げたように、作業中の段階でございますので——計算方法等も昭和二十四年当時とはずいぶん進歩しております。先ほど申し上げましたように、流域の開発の状況等がだいぶ進んでまいりまして、従来流域に一たん降った雨が停滞しているというような状態というものもだんだんなくなってきている。それから、流域のいろいろな中小の河川等も改修はされてきたというようなことで、私どもの最近の調査の基礎的なデータでございますが、はたして四割になるか五割になるか、はっきり申し上げられませんが、一万七千という数字は相当量ふえてくるであろうというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/12
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013・田邊誠
○田邊委員 いまのお話を聞いておる限りでは、具体的な科学的な根拠は見出すわけにはいかないのであります。きわめてこれは大づかみなつかみの話でございますから、私といたしましては了解するわけにはいきません。今後ひとつこれに対するところのあなた方の根拠を具体的に明らかにしていただく中でさらに論議をいたしたいと思っております。もしこの一万七千トンのものを上積みいたすといたしましても、上流におけるダム群によってなされる三千トンカットという数字は、これはあまり動かない、こういうぐあいに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/13
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014・坂野重信
○坂野政府委員 その問題は、一万七千トンがたとえ二万幾らということに——どういう数字になるか知りませんが、これは最終的には河川審議会等の議を経てきまるわけでございますけれども、それに伴いましてそういったふえるべき流量をどういうぐあいに処分するかという問題は、上流のダム群による処理方法もございますし、あるいは河道による処理方法もございます。あるいはいろいろな中間的における遊水地等の計画もございます。そういうものを総合的にあわせて検討するわけでございますけれども、現在ざっとした私どもの見たところでは、下流の改修その他いろいろ含めましても、やはり水資源の問題が一方にございますので、水資源の開発というものは、先ほど先生御指摘のように、非常に重要なことでございます。水資源の開発というものと洪水調節と両方あわせて考えますと、どうしても主力は上流のダム群によって洪水調節をするのが常道である、そういうぐあいにせざるを得ないと私どもは考えておるわけでございます。もちろん、最終的な結論ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/14
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015・田邊誠
○田邊委員 現在まで数多くの大小のダム群をつくりました。この多目的ダムの完成によってどのくらいのカットができると考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/15
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016・坂野重信
○坂野政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、雨の降り方等によって——利根川の上流、広い地域でございます。先生御承知のように、大体私どもは、利根川の上流は三つの流域に大別されるというぐあいに考えております。利根川の本川の上流地域、それから吾妻の流域、それから烏、神流の流域、大体三大別しておるわけでございます。どちらかと言うと、従来の計画は、昭和二十二年の雨の状態を見てみますと、本川の流域に非常に降雨が多かったこともあったかと思いますけれども、ダム群等は本川を主体にしていままでできておるわけでございます。いま計画しております八場のある吾妻川の流域にはダムができておりませんので、そういう観点からいいますと八場にどうしてもつくらなければいかぬということで、別途に考えておりますが、一つのケースとして言いますと、上流を主体として雨の降った場合には、大体三千トンまではいきませんが、二千数百トンばかりの洪水の調節の効果はある、そういうぐあいに私どもは考えております。しかし、先ほど申しましたように、雨の降り方は必ずしも上流だけではございませんので、その後の私どもの統計的な分析によりますと、本川だけでなく、ほかの三つの流域の雨の降り方がいろいろあるわけでございます。そういう傾向が現実に出ておりますので、たとえば烏、神流川に主体の雨が降った場合には、とても二千幾らというような洪水のカットの効果はありません。一千か、あるいは幾らになるか、はっきり技術的にちょっと申し上げかねますけれども、そういうことで雨の降り方によって洪水調節の効果というものが変わっていくということをひとつ十分御認識願いたいと思います。本川上流に降った雨に対しましては、大体二千四、五百くらいの洪水調節の効果があるというぐあいに、計算上は一応出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/16
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017・田邊誠
○田邊委員 私は、一万七千トンの基本流量によって、その中で最大の洪水調節量は画一的に三千トンだ、これ以下であってはならぬし、これ以上であってもならぬというようなことを言っているわけではございません。ですから、あなたがいまおっしゃったようなことは、これはもちろん場合場合によってあり得ることでございますから、われわれとしては理解をしているつもりであります。ただ、一応は、治山治水の基本の一つであるところの洪水調節をどのようにするか、この目的も含めた多目的ダムの建設については、やはりその基本となるような調節量というのが一体どのくらいであるべきか、どのくらいほしいのか、こういう基礎というのはこれは策定をしなければならぬと思うのです。したがって、場合場合ということは別といたしまして、私は端的にものを伺っておるわけでございますから、その点ひとつ御検討をいただきたいのであります。
そうしますると、いままでのダムの建設によって、本川の降雨等がある場合には大体二千四、五百トンのカットというのですが、これはどこまででございますか。いままでの完成をしたダムでございますか。矢木沢、下久保まででございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/17
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018・坂野重信
○坂野政府委員 矢木沢、下久保、薗原、相俣、藤原ということで、八場は含んでおりません。含まないで大体二千四百くらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/18
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019・田邊誠
○田邊委員 いま建設を予定をされておるところのダムがあるわけでございます。その代表的なのが八場ダムでございます。これと八斗島とは直接関連をしてまいりませんけれども、しかし、一応、利根川のやはり上流地点でございまする神戸ダムがいまつくられようとしておるわけであります。いま大体実施計画を立てられておるこれらのダムの建設によって、あなた方が予想されるところの洪水調節の量は一体どのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/19
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020・坂野重信
○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、神戸のほうはこれは支流でございまして、直接本川には影響は少ないわけでございますが、八揚によりまして——大体八揚ができますと、本川主体の雨が降った場合にはどうにか三千のカットの効果が出てくるというぐあいに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/20
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021・田邊誠
○田邊委員 これは年々歳々実は変更されてきておるのでございます。群馬県の調査あるいは見解によっても、あるいは建設省が以前、非公式ではあるけれども発表しておった数字によっても、いわば矢木沢、下久保の完成によって大体三千トンのカットは可能であろうと言っておったのであります。それがいつの間にか二千四、五百トンになり、またさらにその基本になるような一万七千トンの流量というもの自身をいま変更しようとするところに、われわれは大きな疑問を持たざるを得ないのであります。もちろん、完璧を期する治山治水は、私どもこれを否定するものではありません。そしてまた、時代の進展によってこれらの基本的な数字というものが変更があってはならないと私は思っておるわけではございません。しかし、いずれにいたしましても、これは何かしら一つの目的のために、一つの何か建設目標のために、この基本的な数字というものが手づかみでもって変更されるようなことがあっては断じてならないと私は思っておるのであります。それらの点で、あなた方が新しい五ヵ年計画等でもっていま策定されようとするところの全国の各地における河川の基本的な流量調査あるいは洪水調節の数量の調査等については、私はあくまでもやはりこの種の科学的な根拠に基づいた精巧なものでなければならないと思うのでございます。なぜならば、このことがいろいろなダムを建設する際の一つの根拠になり、ダム建設によって起こるところのいろいろな国民に対する影響、これにまで発展するわけでありまするから、したがって、いまの局長のお話の中にも、きわめてあやふやな、きわめてばく然たるものもございます。しかし、そのことだけでもってやはり国民を納得させるわけにいかないと私は思っておるわけでございますから、そういったことで、今後の基本数字の策定にあたっては慎重な配慮が必要である、私はこういうふうに思っておりますので、この点は強く要望しておきたいと思っておるわけであります。
そういたしますと、今後のいろいろな計画の変更等も含めて、いままでのダムの建設によって相当量の洪水調節が行なわれてきた、八場の建設によって大体いままで言われてきた三千トンカットは可能であろう、こういうお話でございましたけれども、しかし、建設省のわれわれの同僚の質問に対する正式な答弁を通じてみても、現在においては治山治水の対策の完璧を期するためには、利根川においてもその上流部において相当な規模の洪水の調節を行なう必要がある、利根川上流部に大規模な貯水容量を持つ多目的ダム群の建設を実施する必要がある、こういう実は答弁をいたしておるのですけれども、そのようにいまでもお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/21
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022・坂野重信
○坂野政府委員 先生から御要望、御指摘がございましたが、われわれは、いろいろな降水の計算等につきましては、従来から十分慎重を期して、電子計算機等による科学的な計算も行なっておりますし、また、いろいろな技術的な経験も必要でございますので、そういう点につきましても、学識経験者等の御指導を得、あるいは河川審議会の計画部会等において十分慎重審議いたしましたその上で、計画を改定する場合は改定いたしておりますので、利根川につきましても、そういう過程を経て今後慎重に進めていきたいと思っております。
それから、先ほどの八場をつくれば三千トンは十分であるということは、誤解があったようであります。先生御承知だと思いますけれども、利根川の本川主体の雨が降った場合には、八場をつくればどうにか間に合うということでございますが、雨の降り方によっては、先ほど申し上げたように、烏川とか吾妻主体の雨が降った場合には、必ずしも三千トンカットの効果はないわけであります。その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいわけでございます。
そういうことで、現行の一万七千トンの計画の場合に、そういったスケールにおきましても、大体先ほど申し上げましたように、本川主体の雨ということを重点に従来考えておりましたので、その後いろいろ分析いたした結果、雨の降り方は必ずしも本川上流だけじゃございません、ほかの流域の主体の雨もありますので、そういうことを考えてまいりますと、現行の一万七千トンの場合におきましても、ほかのダムをつくってない流域にどうしてもダムの必要があるという問題が出てくるわけでございます。それに加えまして、先ほど私が御説明申し上げましたように、現行の一万七千トン自体の規模がいまや小さ過ぎるという問題が新しく出てまいりましたので、そういうことを考えますと、総合的に見て、しかも水資源の問題があるということで、どうしても利根川の上流において、今後ダムの増設が必要であると、私どもは現段階においては考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/22
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023・田邊誠
○田邊委員 それでは、その利根川の本流は大体吾妻川の八場ダムによってやや可能だというあなたの話ですから、それには主流というのは一体どことどこを予定され、どういうダム群が必要である、こういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/23
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024・坂野重信
○坂野政府委員 これはまだいろいろな構想の段階でございまして、いろいろなあちこちのダムを調べまして、一体この辺にはたしてダムが可能かどうかといったような、そういった予測をいろいろあちこち航空写真等によってやっているわけでございます。それによりますと、やはり先ほど申し上げましたように、吾妻系におきましてはいま考えております八場ダムはどうしてもこれはやらなければならぬ。それから烏、神流系におきましては、現在水資源で工事中のダムのほかに、どうしてもある程度のダムが必要じゃないか。それから本川のほうにつきましては、流量がふえてまいりますと現在のダムだけではどうしても不足だということで、まだどこにどれだけのダムをつくるということは確定いたしておりませんけれども、そういった予備的の調査というものは、利根川上流の全般につきまして、できるだけプロットしょうということで、航空写真等によって予備的な調査を現在実施中でございます。本年度におきましても、そういった可能性につきましてはひとつ十分調査してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/24
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025・田邊誠
○田邊委員 支川についてはすでに具体的な調査をやっておるのですから、あなた、地点を御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/25
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026・坂野重信
○坂野政府委員 たとえば烏川の本城ダム等につきましては、実は航空写真の図上でございますけれども、予備的に、そこにダムが可能であるかどうかということを含めて調査しようといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/26
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027・田邊誠
○田邊委員 いまのようないろいろなダムを予想されておるわけですが、そこで私は、今後治山治水の計画を立てる上に立っても、いま局長がるる言われた水資源の開発にとっても、横たわっておる数多くの問題があると思うのです。
それで、大臣の御見解を承りたいのでありますけれども、いままでは、ダムをつくれば、水没対象者に対する直接補償がいわば重きをなしていた、それが主体であったのであります。しかし、私は、今後はそれだけではもう済まなくなってきておると思うのです。水没者に対して幾らかの金を与えて立ちのきをさせるような、そういうだけでは、今後の水資源開発はますます困難になってくる、実はこういうように考えざるを得ないのであります。そういった点からいいますと、私は、今後ダムの建設等にあたってはいろいろな問題が出てまいると思うのです。地元の住民にとっては非常に切実な問題であります。私の住んでおる群馬県などは、一面から言えば被害県である。被害ということば自身は適切でないかもしれませんが、しかし、住民にとっては非常な犠牲をしいられる、そういうことがいままで多かったのであります。このことがダムの建設にいつも大きな紛争を巻き起こす一つの大きな要因になってきておると思うのであります。そういたしますならば、今後は水没地域に対する総合的な開発というものがはかられていかなければならない、私はこういうように思っておるわけであります。いわば一面には後進地域の開発と関連をいたしまして——後進地域の開発の規定もありますけれども、それとの関連において、この水資源の開発について今後やはり総合的な立場で検討していかなければならぬ、こういうように思っておるわけであります。現在のところは、水資源開発促進法第四条によって後進地域の開発の規定はありますけれども、これは具体性に非常に乏しいのであります。そういったことで考えてまいりますと、私は、今後いろいろな問題に対処する前提として、いま申し上げたように、その地域地域におけるところの開発をどのようにするかということもひとつ十分考えていかなければならない問題であろうと思うのです。聞くところによりますと、現在、全国知事会等でもって、いまの私の問題に関連を持って、水源地域開発に関する立法措置をしてもらったらどうか、こういうような要望もあったと承っておるわけであります。これらに対して政府はどのようにお考えでございましょうか。これは今後の施策を進めるにあたっての重要な一つの問題であろうと思うわけであります。大臣の御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/27
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028・保利茂
○保利国務大臣 水源地域の水没関係の方々に対する補償とあわせまして、大体経済的には後進地域になるわけでございますから、そこへ大きな水資源を涵養してまいる、あるいは治水、利水の公共の利益のために提供されるということになるわけでございから、これは直接的には十分な損失補償が行なわれなければなりませんけれども、同時に、当該地域の開発についてはよほど力を入れていかなければならぬのじゃないか、そういうことで、水源地域開発法等を持ったらどうかという強い御意見、御希望も出ておるようでございます。せっかく十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/28
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029・田邊誠
○田邊委員 いまの水源開発に関する立法については、今後十分な配慮を願わなければならぬと思います。これに対する中身については、あとでまた時間がございますれば事務当局にお伺いをいたしたいと思います。大臣の時間の都合もあるそうでございますから……。
そこで、現在これに対して建設事務当局は一体立法措置が必要であるとお考えでございますか、あるいは行政的な措置でもってまかない得るとお考えでございますか、局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/29
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030・坂野重信
○坂野政府委員 私ども、現行の多目的ダム法あるいは水資源開発促進法という現行の法律の範囲内でできるだけ努力しておるわけでございます。しかし、御承知のように、地元との折衝問題等で難航しておる問題が全国的にあちこちであるのでございまして、その点、私、非常に苦慮しておるわけでございます。しかし、私どもは、現行の法律の範囲内におきましても、できるだけ補償等につきましては、間接補償といいますか、そういうことも考えまして、同時に、周辺の地域開発ということもできるだけ取り入れ得る限度内において十分考慮いたしたいと思います。実際に工事を実施します場合には、建設省だけの問題でなくて、関係各省にわたる問題でございますので、関係各省とも十分連絡をとりながら、たとえば特に林野庁の国有林の払い下げだとか、いろいろなそういう問題につきましても、寄り寄り各ダムにつきまして問題を連絡、協議をもってやっておるわけでございます。確かに、御指摘のように、現行の法の範囲内におきましては非常にやりにくい点もございますけれども、どうにか現在までは現行の法の範囲内の運用によって私どもはがんばってまいっておるわけでございます。御指摘のような水源開発法ができてまいりますと、非常に便利といいますか、確かに一貫した開発ができるというぐあいに私どもは一応考えますけれども、その内容を見てみますと、非常にむずかしい問題点が多々ございまして、それを急に一元化してそういった抜本的な対策ができるかどうかというような問題につきましても、これは建設省だけの問題でございませんので、関係の農林、通産、経済企画庁、自治省、各省庁にわたる問題がございますので、その辺を今後十分検討してまいりませんと、この法律の可能性、あるいはどうしてもこの法律をつくらなければできないだろうかというような問題等につきまして、ちょっといま直ちに結論的なことを申し上げかねるわけでございますけれども、できるだけ建設省といたしましては各省と協力いたしまして、問題点の解明、あるいはこういった法律がはたしてできるかどうか、やるとすればどの程度までのものに持っていけるかということにつきまして、現在知事さん方の意向も徴しながら検討している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/30
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031・田邊誠
○田邊委員 建設省の事務当局としては、ダムの建設に対する地域の開発の問題あるいは生活再建の措置の問題、こういうことに対してはいま一つの試案を持っておるようでございます。私は、これを拝見いたしました限りでは、なかなか十分な措置はできないということを痛感いたしておるのであります。たとえば、いろいろな問題が起こったときには、ダム関連地域開発事業等連絡協議会、こういうような機関を設置いたしましてこれに対処する、こういうお話もございます。行政措置によって努力をいたしたい、こういう話もございます。しかし、現実の問題としては、これはそういうことだけでは済まされない事態が随所に起こっておると私は思います。たとえば、群馬県の先ほどお話のありました神戸ダムは、いま補償の問題を取り扱う段階にきておるわけでございますけれども、この水没する地域は石材が出るところでございますが、これがほとんど水没するということで、生活再建に非常に困窮を来たすという地元の要望がございます。そういたしまするために、この水没地域の地先の国有林、あるいはまた、東京農工大学の演習林約五百ヘクタールがございますが、この払い下げをしてもらいたいというようなことを水資源開発公団に再度にわたって要請いたしてきておるわけでありまするけれども、公団はこれは所管外であるということでもってこの話し合いに応じようとしておらない、こういうのであります。それで、建設省の事務当局の試案の中に、たとえば「代替地として国有地が適当な場合には代替地として提供するようにはからう」こういうようなことが書いてございます。これは河川局開発課試案、四十三年四月十一日、こういうのでありますけれども、現実にはそういったことで実は壁にぶち当たるという、こういうことが地元で憂慮されておるわけであります。これらに対して一体どこが責任を持ってどのように処理しようとされるのか、あなた御存じであったら、ひとつお答えをいただくと同時に、林野庁からもおいででありましょうから、その現状について、簡単でけっこうです、ちょっと大臣にお答えを願うことがありますから、不足はまたあとでお伺いいたしますので、簡単にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/31
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032・坂野重信
○坂野政府委員 御指摘の問題は、ただいままで林野庁御当局とも十分接触を保っておりまして、林野庁のほうでも検討をしていただいております。私どもとしても、できるだけ具体的な計画を持つ必要があるということで、本来ならばこれは水公団の仕事でございますけれども、なかなかそうもまいりませんし、建設大臣が主務大臣になっているだけに、できるだけ御協力を申し上げたいということで、事務当局の間では寄り寄り接触を保っております。あとは林野庁のほうにおまかせしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/32
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033・木村晴吉
○木村説明員 いま先生の御指摘されている点は、建設省なり水資源開発公団から、地元の要請については十分私どもも聞いております。結論から先に申し上げますと、現在の法律の趣旨のたてまえから、代替補償的に国有林を払い下げるということは、法の趣旨及び範囲を逸脱いたしておりまして、できかねるわけでございます。しかし、現在林野庁といたしましては、農業構造改善あるいは林業構造改善その他産業振興のために、この法律の趣旨に基づいた範囲内におきまして国有林の活用については積極的に取り組んでおりますので、その具体的な利用計画がきまするに従いまして具体的にこの問題を検討いたしたいと思っておりますから、よろしく御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/33
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034・田邊誠
○田邊委員 これはぜひ要望に沿った善処をお願いしたいのでありまするけれども、大臣、いまお聞きのように、実は法律のたてまえから、いまのいわば行政上の立場からいいますると、これはなかなか厳格なワクがございまして、構造改善やその他の事業にひっかけなければ、国有地の払い下げ等の代替措置はなかなかでき得ないのであります。私がさっき申し上げた水源開発のための特別な法律も必要になってきたんじゃないかという理由の中には、現在こういう具体的な事実があるということを私は承知しているから、実は強く要請をしているわけでございまするが、これらの当面個別的な問題に対しても、やはりいま私が申し上げたような趣旨、大臣も御承知のような今後の水資源開発の重要な意味合いから、十分これは対処していただかなければならない問題であると思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/34
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035・保利茂
○保利国務大臣 結局、ダムの建設にしましても、大きい意味からいいますと、やっぱり国土の有効利用なんでございましょう。したがって、この水没関係で大きな公共目的のために牲犠を払われる方には、それ相応の補償をしなければならぬことは当然であると思います。したがってまた、それじゃそれだけでいいのかといえば、やはり地域住民の方々の生活があるわけですから、その生活を守っていくということからいたしますと、いま林野庁の御説明を聞いておりましても、何かこうやれば——これは当然利用なんだけれども、法律上のひっかかりというか、名目が立てばできるけれども、名目が立たねばできぬというようなことは、はなはだどうも私どもとしては満足できないと思う。やっぱり実際に国土の利用と、それから国民の生活を守っていくという上からいきまして、それがどうしても現行法ではあっちへつかえこっちへつかえしてできにくいということであれば、やっぱりそれができるような立法措置が必要じゃないか。しかし、せっかくいろいろ現行法の中でも林野庁としても積極的な姿勢で善処していただこうとしておりますから、私はこの問題はそういうことで解決できると思いますけれども、全体として考えてみますと、大きな国土計画、大きな国土利用なんだから、そういう上から問題を考えていくべきだと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/35
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036・田邊誠
○田邊委員 私は、大臣の言明は将来生かさなければならないことばだろうと思うのであります。ぜひ今後のいろいろな計画を進める前提条件というものを確立しておかなければ、やはり地元に了解してもらい、協力してもらうことは不可能だろうと思うのです。そういった意味合いからも、ひとつぜひ前向きの検討をお願いしたいと思うのです。具体的な問題については、ひとつ林野庁のほうで御配慮をいただくようにお願いをしておきたいと思うのであります。
そこで、大臣の時間もございますので、私はさらに治水の問題を具体的な数字をあげて検討してみたいと思いまするし、それからまた、これに関連する利水の問題が非常に重要になってきておるのであります。ところが、大臣御承知のとおり、治山治水計画は何年を区切っての計画、またこれに対しての投資、こういったものが予定をされておるのですが、利水については、国がこれに対する一つの当面する具体的な、たとえば五カ年計画、何年計画、こういうものを持っておらないのであります。これは私は何としても今後はこの状態のままでは過ごされないのではないかと思うのであります。あとで具体的な数字を申し上げます。首都圏の問題、三大都市圏の問題等、水については非常ないわばこれから先の問題があることを予測いたしまするならば、この利水に対しては、国は具体的な長期計画を持たないということは、私は何としてもがえんずることができない、こういうふうに思っておるわけでありますけれども、これに対してはどのような対処をいたそうとするつもりなのか、大臣のお考え方をまず承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/36
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037・坂野重信
○坂野政府委員 新治水五ヵ年計画で、名前は治水事業でございますけれども、先生、これは治水事業の中には、私どもは水資源の開発計画も織り込んで現在考えておるわけであります。治水等につきましての総合計画ということでこの新治水計画というものを考えております。その前段として、もちろん長期的な構想というものも私どもは考えておるわけでございます。ただ、御承知のように、利水につきましては、水の需要がどういうぐあいに進展していくかということが非常に押えにくいということで、建設省の立場としては、水の利用がどういうぐあいに伸びていくか、いろいろ想定があると思いますけれども、それに応じるような水資源の開発の可能性ということのほうを重点に各水系ごとにいま広域水系調査その他を進めておるわけでございまして、新治水事業五カ年計画の中にもこの水資源の開発というものも同時に織り込んで私どもは現在策定中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/37
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038・田邊誠
○田邊委員 あなたの話を聞いていると、大体みんな胸算用だの、いわば大体の何かつかみでもってものをやろうというような話でございまして、そういったことでは、これはやはり国全体の計画を立てるというたてまえから言うと、私はいささか不十分だと言わざるを得ない。いまも水資源開発の中に利水が含まれておるのは当然であります。しかし、それならば、あなた方のほうでもって首都圏をはじめとするところの都市圏に対する水の需要、昭和六十年を目ざすところの水の需要に対する一つの構想というか、一つのアウトラインは示されておるわけであります。この発表されておるような水の事情によって供給をしなければならない水は一体どれくらいであるか、それをするために一体どのような計画のもとにこれに対処すべきか、これはあくまでもこういういわば水利用、活用を主体とした計画というものでないでしょう。これは治山治水との関連はあります。関連がありますから、私はもちろんその中でもっていろいろと処理しなければならぬと思いますけれども、しかし、それだけでは決してその利水の問題が浮き彫りにされているとは言いがたいと思うのであります。したがって、私はさらに具体的な長期計画を策定する必要がある、こういうように実は言っておるのでありまして、局長の話を聞いておったのでは、なかなかもって具体的な話になっておらないのでありまするけれども、大臣もこの点はぜひひとつ今後もお考えをいただきたいと思います。
そこで、首都圏に限ってみましても、今後水の問題はたいへん重要になってまいりまするが、これを処理するためにはもちろんいろいろな方策がございます。海水まで利用しようというような話になっておるのでございますけれども、これも大部分——あとで数字はお示しいたしますけれども、大部分は何といってもこれは河川の利用であろうと思うのであります。そういった点から、今後首都圏に対する水の需要に対応するための措置としては、一体どういうものがその主体的なものになってくるか、これに対してはどういうことをお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/38
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039・保利茂
○保利国務大臣 長期見通しで、首都圏の水の需要が、昭和六十年ごろには、これは一つの目安でございましょうけれども、八十億トンくらいに見通されるのじゃないか。そこで私は、これは非常に興味のあるところだと思うのですが、今後科学技術というか、技術の進歩というものはどういうものをわれわれにもたらしてくれるかということは、先ほどお話しになりましたように、たとえば霞ケ浦なら霞ケ浦というものがこの首都圏の水供給源としてどういう機能を持ってくるか、これはもう一にその科学技術に期待を寄せる。やはり何といいましても、大きな水源地帯である利根川の水をもってとにかく需要にこたえていかなければならない、そういうことで、一番冒頭に申しましたように、一滴の水たりとも逃がさないようにという姿勢が必要でないか。そういうことで、現在持っておられる技術の力、これによってとにかく地元の御協力をいただいて、それぞれの水源地帯の水源を養って、非常に膨大な需要に可能な限りこたえていかなければならぬと思いますけれども、しかし、やはりこの霞ケ浦の湖水が全面的に活用せられる時代はもう当然くるんだという考えは持っておるわけです。そういうことにねらいをつけて施策を考えていかなければならぬじゃないかというように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/39
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040・田邊誠
○田邊委員 私は予算委員会で沼田ダムの建設についても大臣の御所見を承ったのでありますけれども、就任当時、沼田ダムはどうもつくらなくちゃいかぬじゃないかというような御発言があったのですが、その後、考え直すといいましょうか、慎重な態度で臨みたい、こういうような御答弁が分科会でもあったということを記憶しておるわけでございますけれども、さらにたとえば大貯水容量を持つダムが必要だ、こういうような局長の答弁もございますし、それからまた、基本流量に対する考え方もさらに変わってきている、こういうことでございますと、さらに実はその地元はたいへんな不安におちいるのであります。これはもう十五年も続いているのですね。しかも現実には予備調査は済んでおるのです。民間の産業計画会議等においても実は具体的な調査を進めておる。しかもその中には県や地元に対してかなり実地調査をしている、こういう形であります。そうすると、大臣はあるいはまだ決断を下しておらないかもしれないけれども、その外壁ではかなりそういった調査が進み、地元はますます不安になっている。水没地域ではこの問住民大会を開いて、大臣の就任当時における言明を取り消してもらいたい、実はこういうような決議も起こしている状態であります。大臣、あの当時からかなりな時間がたっておるわけでございまするし、いままで私が詰めてまいりました今後におけるところの治山治水あるいは利水——洪水調節も含めてのそういった計画の今後の変更等もにらみ合わせると、どうもやはり沼田ダムはつくられるのじゃないかというような、こういう気持ちをやはり地元に抱かせざるを得ないのでございますけれども、これに対して大臣は一体どういうふうに今後決断をされようとしているのか、どういうふうに対処されようとしているのか。慎重な態度で臨むというお話はもちろんでございますけれども、しかし、それだけでなくて、基本的な考え方としては、これはやはりつくろうという立場でいくのか、そういう問題であればこれはひとつこの辺で打ち切って、十分いろいろな面を考えてから再出発する、こういうようにいかれるのか。やはりあなたの決断を伺っておかないと困ると思っておりますので、きょうはそのことだけ特に明確な御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/40
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041・保利茂
○保利国務大臣 この国会の予算分科会でございますか、田邊議員からこの問題を提起されましたときにお答えしているそのままなんであります。はなはだどうも勉強足らず、怠慢と言われるかもしれませんけれども、まだ局長からも何もその話をその後伺っておらないわけであります。
基本的に私は、先ほども申し上げましたように、なるほどその利用計画は非常に大事である、特に水の利用というものは、これは日本の国民全体の利益のために必要だ。しかし、そのことは大事だけれども、同時に、地域には住民の生活があるということを考えなければならぬじゃないか。したがって、地域住民の方々をそういう不安におとしいれる、脅かすというようなことは私はいたしたくございません。やはりそれを全体のためにやるというならば、地域住民の方々もまあまあとにかく協力しなければなるまいという代案を用意せずして、ただここはダムをつくればうまいところへいくから、それだけでというわけにはいかぬのじゃないか、そういう点で私は軽々しく自分の決断を出そうとは考えておらないのです。やはり地域の方々、そこに多数の生活があるということを頭に置いて、決断をする必要があるときには、そういう態勢を整えた上で決断をするならばしたい、こういうのが私の心境でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/41
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042・田邊誠
○田邊委員 またあらためてさらにお伺いいたします。
そこで、大臣の時間もございまして、具体的な問題に対処しながらお答えいただくということができませんで、たいへん残念でございまするが、政務次官がおいででございますから、あとで大臣と十分連絡をいただきたいと思っておるのであります。
いま申し上げたようなことで、沼田ダムの建設を含めて、利根川の治山治水、利水の問題は、いろいろ重要な意味合いを含んでおるわけでございまするが、いかような立場をとろうとも、今後の利根川の上流地点におけるダムの建設というのは、治山治水という看板はございまするし、その要素ももちろん重要でございまするけれども、そのねらいは何といっても利水ではないか、実は私どもはこういう考え方をとらざるを得ないのでございます。そういった立場でこの利水計画についてのいわば真の考え方を実は明らかにしてもらいたい、こういうふうに私どもは思っておるのであります。
そこで、さっき申し上げましたように、大都市に現在人口がかなり集中をいたしてまいっております。昭和四十年の国の統計を見ますると、東京が千八百八十六万、大阪が千百六十九万、名古屋が六百十万、合計三千六百六十四万という人口でございまして、全国人口の三七%、東京五十キロ圏は全人口の約一九%、これは三十年の一五%に比べてかなりの増加であります。関東一都六県は二千六百二十万、全人口の二七%という状態であります。しかも、この増加率は、二十五年から三十年にかけては、全国は七・一%でありましたのが、三大都市圏においては一七%、三十年から三十五年については、全国四・六%に比較して、三大都市圏が一六%、三十五年から四十年にかけては、全国五・二%、三大都市圏一八%、こういう増加を見ておるのであります。この大都市圏におけるところの人口集中というものを一体どのように見、これに対して水需要というものがさらに高まってきているというふうにいわれておりますけれども、これに対してはどのようなお考えをお持ちであるのか、ひとつ計画局長のほうからお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/42
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043・川島博
○川島(博)政府委員 京浜、阪神、中京、いわゆる三大都市地域といわれるところに産業、人口の集中が非常に激しい勢いで続いていることは、御指摘のとおりでございます。そこで、この大都市の過度集中をこのまま放置してよろしいわけはございませんので、政府といたしましては、この集中の抑制と地方に対する分散誘導政策をいろいろ講じております。新産都市でありますとかあるいは工特地域等を育成いたしまして、大都市に集中する人口を分散しよう、また、仙台でありますとかあるいは札幌、広島といった、地方の拠点となる中心都市に対するいろいろな施策を講じまして、三大地域の人口の偏在、集中を何とか防止したい、また、大都市地域自体におきましても、工場なりあるいは学校等の施設の立地を禁止いたしまして人口の分散促進の一助にする、かような政策をとっておるわけでございます。特にこの水の問題に関連して申し上げますと、やはり将来大きな水需要の増大を来たすのは工業でございますので、特に用水型の工業については、こういったすでに過密過大化しておる大都市地域にはなるべく立地せしめないということでいろいろ指導しておるわけでございますが、この用水型工業は、やはりすでに大都市地域では水がだんだんと不足してまいりますので、企業自体の利益も失われているわけでございまして、最近におきましてはそういった大量に水を使用する大型の企業が大都市からだんだん逃げ出していく、こういう状況が見られるわけでございます。しかしながら、今後の人口の増大並びに都市にそれが集まるという傾向、並びに工業の生産力がだんだん伸びていくということで、将来都市地域における水需要が相当増大することは免れないかと思います。これに対しましては、やはり河川水、地下水あるいは海水の淡水化、いろいろな方策で需要に見合う供給の増大策を講ずる必要があろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/43
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044・田邊誠
○田邊委員 いろいろな話がありますけれども、具体的にはその施策というものがなかなか実効を見ておらない、こういうように私は思って、非常に遺憾に思っておるのであります。ただ、いまあなた方のお話がございましたけれども、そういう施策の推進を私は特にお願いいたしたいのであります。大都市に人口が集中することによって、特に東京の場合は、このままいきますならば、もうどうにもならぬ破滅の状態がくる、こういうことはすでに御案内のとおりであります。ところが、そういう施策の推進とは別に、この大都市への人口流入というものをしさいに検討してまいりますと、これは自然的に見ましても、人口流入が漸次低下をしている、いわば頭打ちの状態になりつつあるのであります。自然増加率と社会増加率とを比べて見ましても、社会増加率は、三十七年の二二%から四十年は一・六%に減っておるのであります。東京圏の場合を見ましても、この人口増加が次第に外側に広がりつつある、こういう状態である。十キロから二十キロ地点は、三十年から三十五年にかけては三〇%の増加率を示しておる。三十五年から四十年は二五%というように、増加率は減っておるのであります。それに比べて二十キロから三十キロ地点は、三十年から五ヵ年の間に二三%、三十五年から四十年は四〇%というように、逆に増加率が上昇しておるのであります。三十キロから四十キロ地点は、三十五年から四十年が三七%でありましたけれども、これはおそらく今後さらに増加するだろう、こういうように私は思うのであります。この数字の動向でいきますと、五年後には三十キロから四十キロ地点がいわば最大の増加率になる、こういうように私は思うのです。さらにその後の将来の動向はわかりませんけれども、推察をいたしますならば、十年後は四十キロから五十キロ地点、あるいは二十年後においては六十キロから七十キロ地点まで、人口の増加が急速に上昇してくる、こういうことが予測されるだろうと思うのであります。このことは、すなわち東京都内にはこれ以上人が住めなくなってきている、こういうことを意味するのではないかと思うのでありまして、東京都内においては、今後企業集中による人口の増加がもしあったにいたしましても、これは昼間人口の集中のみに限られてくる、こういうことになろうと私は思うのでありまして、この際、やはり首都圏整備という基本方針は、さっきもお話がありましたようなぐあいに、企業によるところのいわゆる無判断な、無制御な首都圏集中化というものを排除して、官公庁や学校などの公共施設の分散はもちろんのこと、これを含めて地方に対して流出をはかるということが必要である、これを計画的に行なうということが必要である、そうでなければ東京の破滅を救うことはできない、いまのいわば真剣刃渡りのような都民の生活、こういうものを、余裕のある生活を営めるような状態にすることがどうしても緊急の要務である、こういうように私は考えるわけであります。そういう点から、さらに計画を具体的にひとつ強力に進めていかなければ——実は保利大臣がおりましたならば、首都圏整備の立場から政治的な判断をお伺いしておきたかったのでありますけれども、おられませんので、こういった考え方に立って今後の計画を進める必要があると考えておるわけでありまして、ただ単に、人口が増加するから水需要もふえる、したがって水の供給もさらにひとつやらなければならない、こういう考え方だけでは問題の処理にならない、こういうように私は思っておるわけでありますが、政務次官いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/44
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045・仮谷忠男
○仮谷政府委員 お説はごもっともであります。そういった面について私どもはいろいろ施策を講じてまいっておるわけであります。ただふえるから、ふえる人口の増加に応じて施設をあとからしでいくといったような、そういう考え方ではなくて、積極的にやはり都市の人口集中を分散していくという対策を立てなければならぬことは当然でありまして、そういう施設等を進めておるわけでありますけれども、関連した法案では、いま都市計画法案とか、あるいは再開発法案とか、いろいろなものが提案されて御審議をいただいておりますが、そういうものを総合して確かに計画的にも強力な方途を講じなければならないということは全く同感でありまして、努力してまいらなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/45
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046・田邊誠
○田邊委員 そういった形で水の需要の問題も考えていかなければならぬと私は思います。したがって、河川局でもって、二十三年後の水の需要についての、それは一つの試案でありましょうけれども、構想が出されておりますけれども、その中の数字を私はしさいに検討しても、まだまだ十分でない点がある、こういうように思っておるのであります。いまの都市圏を中心とした都市に対する人口集中度合いというものは、今後の政治の課題としてこれをそのままに野放しにすることは許されない、こういう観点で私はものを見なければならぬと思う。これはいわば首都圏をはじめとする三大都市圏に対する整備あるいは分散、こういったものの計画とあわせて水需要に対処する考え方を固めていただかなければならぬ、こういうように思っております。
これに対しては御意見があろうと思いますけれども、一応おきまして、委員会の都合もあるようでありますので、そういう立場でさっき大臣が、たとえば利根川上流地点においていわれている沼田ダムの建設についても十分慎重でなければならぬ、こういうお話がありました。しかし現実には、建設省は三十九年以来予備調査を進めてまいっておるのであります。直接的に一億三千万以上、間接的に利根川の上流地点における予備調査を入れますならば、一億七千万以上のいわば調査費を使って今日まで調査を進めてまいっておるのであります。
そこで、ひとつ総括的にお伺いいたします。
この予備調査は、一体いままでのダム建設の経験に照らしてみて、どの程度まで進んでおるわけでありますか。
項目は大きくしておりまするが、いままでの調査の時点から見て、このダムの建設は一体適当であるのかどうか、この適否はどうであるか、これが第二番目。
第三番目に、予備調査は、大体いままでのダムの建設の度合いからいいまして、建設費の何%くらいが予想されるものでありますか。これが第三番目。
第四番目は、いまの予備調査の進行状態からいって、これの完了する時期はどのくらいをもくろんでおられますか。
そして第五番目に、予備調査の完了によって、実地調査する時点というのは一体いつでございますか。
ひとつこれらの点に対して端的にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/46
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047・坂野重信
○坂野政府委員 第一点はダムの可能性かと思いますが、可能性につきましては、物理的には沼田の地点においては可能でございます。ただこれを総合的に考えて、もしかりに沼田につくる場合に、補償等の問題、あるいは洪水調節の効率の問題、それから利水利用上の単価の問題につきましてはまだ現在調査中でございますので、そういう点からは申し上げられませんが物理的にはダムそのものは建設可能であるというぐあいに考えております。
予備調査の進捗度合いでございますが、現在、先生御承知のように、ほんとのまだ基礎的な航空写真だとか、あるいは洪水の関係の解析、そういうものが主体でございまして、もしかりにダムでもつくった場合にはあとの周辺の開発がいかにあるべきかといったような、ほんとの基礎的な調査、そういった資料を収集している段階でございます。
それから、これはいつ完了するか、いつ予備調から実調に移るかというような問題は、先ほど大臣がおっしゃいましたように、まだはっきり明確にいたしておりません。
それから、調査費に対する全体の比率、比率はいろいろダムによって違いますけれども、大体一%ないし二%程度でございます。
ちょっと順序はいろいろでございましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/47
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048・田邊誠
○田邊委員 いまあなたは、ダムの建設はいわゆる地点としては適当である、こういうお話がありましたけれども、それにはやはり地質調査を先行しておかなければならぬと思う。これはまだ行なっておらないでしょう。これはいまの建設技術からいえば、たとえばあの地点の左岸の丘陵は、いわば赤城山ろくから流れてきた珪石層である、そういった点で水を通しやすい、こういうことが学者によって証明されておるところです。これを言いますると、いまの建設技術からいえば、壁をつくれば、あるいはミルクを注入すればいい、こういうような話をするのでありますけれども、これはいわば経済効果との間の問題が出てまいるのでありますが、それらの地質調査なり具体的な現地における状況判断というのはしておるのですか、しておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/48
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049・坂野重信
○坂野政府委員 御指摘のように、まだその辺の地質調査等は進んでおりません。ただ私どもは、現地において地質の概査といいますか、一応の見込みで申し上げておるのであります。先生おっしゃるように、確かに、岩盤が出てきたときにそれをどういう処理するか、どれくらい費用がかかるかという問題ひいてはこれは非常に単価が高いという問題になるかと思いますが、一応の見通しとして申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/49
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050・田邊誠
○田邊委員 いままでの予備調査の中で、地域の開発についてはかなり調査は進んでいると聞いておるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/50
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051・坂野重信
○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、地域の開発につきましては、まだほんとの基礎的なデータでございまして、開発計画はいかにあるべきかという具体案については策定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/51
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052・田邊誠
○田邊委員 ところが、民間の産業計画会議は、構想を発表して以来いろいろな調査を進めてきておるのであります。しかも最近、産業計画会議から、地域開発研究所に調査を依頼いたしました「沼田ダム建設と地域開発による経済変動とその経済効果」という、いわば調査報告を出している。承知しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/52
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053・坂野重信
○坂野政府委員 詳しいことは存じておりませんが、産業計画会議で、沼田周辺の開発計画等につきまして独自の調査でおやりになっているということは聞いておりますし、ある程度その報告等も私の手元にも来ておりますが、具体的に詳細にわたっての調査内容、あるいはどこに調査を依頼したかというようなことにつきましては存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/53
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054・田邊誠
○田邊委員 これはあなたのほうに来ていないはずがないのでありまして、産業計画会議から建設省に報告書が届いてないはずがない。われわれのところもちょうだいしているのですから……。それを知らない、そういうたわけたことを言っちゃ困りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/54
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055・坂野重信
○坂野政府委員 それはちょっと誤解があると困りますから——報告書は来ておりますけれども、詳細な内容について、どこにどういう調査をして、どの程度進んでおるかということ、実は報告書はまだ詳しく読んでいないので、知らないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/55
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056・田邊誠
○田邊委員 あなたのほう自身も、予備調査の中でもって、地域開発については調査をしておるでしょう。かなり進んでおるはずです。三十九年以来やっておるのですから、四年もやっておるでしょう。それとの関連の中でこの報告書はどのようにあなた方は見ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/56
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057・坂野重信
○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、産業計画会議は産業計画会議のほうで独自の立場で調査をおやりになっておるようでありまして、私どもはそういう点等について全く関係ございませんので、建設省としては建設省独自の立場で、先ほど申し上げましたように、流量的なそういった基礎的な調査のほかに、周辺の幹線の開発計画はいかにあるべきかという問題につきまして基礎的な調査を進めておりまして、すでに先生御承知と思いますが、能率研究所等にも委託して基礎的な調査だけはやっておりますけれども、まだ具体的にコンクリートな計画等については策定の段階には至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/57
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058・田邊誠
○田邊委員 いままで四年にわたって調査をされてきておるのですから、もちろんまだまとまっておらない点もございますでしょうけれども、かなりまとまっておるところもあると思うのです。
委員長、ひとつお願いをいたしますけれども、その概要、ひとつ発表できる点の御報告をいただきたいと思います。御指示を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/58
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059・坂野重信
○坂野政府委員 私どものほうでまとまっております範囲内で資料を提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/59
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060・田邊誠
○田邊委員 産業計画会議の調査は別問題だというけれども、実はこの中身を見ると、総工事費千四百億と規定いたしまして、補償費は二百七十億、建設投資額は八百九十五億、全体の六三%、そういうようないわば数字まではじき出しておるのであります。民間の調査だからそれはそれまでだ、こういうように言われましょうけれども、この調査の基本になる教字は、かなり国の調査、群馬県の統計あるいは地元市町村からの資料を求めてやっておるのです。しかも、私、読ましていただきますと、その中には、具体的に実地調査もかなりやっておるのであります。やっておらなければこれだけの報告は出せない。あなたのほうで知らぬとは言いがたいのじゃないかと私は思っている。いまのあなた方の予備調査と、この産業計画会議による調査は全然関連ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/60
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061・坂野重信
○坂野政府委員 産業計画会議でどういうデータをどこでおとりになってやっているのか、私存じませんが、しかし、おそらく、昔からの古い資料は建設省あるいは県、あるいは農林省あたりに一部おありになるかもしれませんが、利根川に関してそういうところ以外にございませんから、あるいは現地のほう等でそういった資料、それから建設省でもいろいろな水門の資料等出版いたしておりますから、あるいはそういうことを参考にされていろいろなデータをおまとめになっているかもしれません。直接的には私も、どういう調査をやるのだとか、産業計画会議としては今後どういうぐあいに調査を進めたいというようなことにつきましては、別に相談を受けたことはございません。報告書を送ってきた程度でございます。実は私もたいへん忙しいものですから、先ほど申し上げたように、詳しく読んでいない状態でございます。その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/61
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062・田邊誠
○田邊委員 あなたのほうはこれは仕事なので、予算を取って予備調査をやっておるのだから、それに関連をする民間からのこういう調査の結果が出てくれば、これはしさいに検討するのはあなたの責任じゃないですか。仕事の一環じゃないですか。忙しいから見ていないなんという言いぐさですけれども、あなたのほうは知らないと言うが、こういうことを民間の団体でもってどんどん進めておるでしょう。これは新聞等にも発表されておる。ダムの全貌は、千四百億くらいのダムができるのじゃないか、補償費はその中でどのくらいを占めておるのだ、この水没農民に対しては具体的にどういうような手だてを講じたらいいかというような、観光事業までも含めて、いわば調査というものが発表されて、これが地元に対してたいへんな影響を与えておることを私は無視することはできないと思うのです。これは本来国がやるべきことでしょう。しかも国の政策に対して重大ないわば問題でありますことに関して、民間の団体といえども、かってにそういったことの調査をやることは、あなたのことばからいえば、私はけしからぬことじゃないかと思う。とすれば、産業計画会議なり、それが依頼した地域開発研究所なりに対して、この種のことは黙って今後もやらせるということですか。さもなくんば、国は国としての一つのもくろみもあり、考え方もある、計画も進めておる、調査も進めておるというのであるか。いずれにしても、これとマッチした形でやってもらわなければいかぬと思うが、こういう考え方に立たれておるのか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/62
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063・仮谷忠男
○仮谷政府委員 途中で入ったものですから、答えが不十分かもしれませんが、率直に言って、私は実は高知県でございまして、終戦以来ほんとうにダムをやっております。五カ所くらいやりまして、いま御承知の早明浦ダムというものをやっております。十年近く非常に問題になったダムです。さらにまた、大渡ダムというものを工事事務所で調査が進められておる。いまの沼田ダムと比較しますと、金額にして二百億程度ですから、小さいかもしれませんが、これでも貯水量からいったら全国有数のものに入る。終戦直後は、大きな目的のためにあなた方はがまんしなさいという行き方できておりましたけれども、いまはそんなことは絶対いけないし、われわれもそんなことは絶対考えていない。たとえば早明浦のごときは、二つの村が水没する状態になっております。ただその場合に、あなた方は補償をやるからがまんしなさいというのではなくて、そのダムで犠牲になる以上にその地区が開発されるということが条件なんです。そういうことを条件にして、それで納得されて初めて出発するという段階に実は至っておるわけであります。そういう面からいいますと、私はダムの問題については非常に長い問の地元の議員としての経験を実は持っておるわけであります。また、ダムに対する地元の人の不安というのはよくわかるわけであります。大臣が申しましたように、先ほど局長が申しましたように、国が何かやろうというようなことにわずかなものでいいという考え方は基本的に持っておるわけじゃない。ただ、やはり一部調査というものは一応やっておる面もあるわけであって、その場合に民間団体が調査をして、実はこちらは決して依頼してやったものでもなしに、向こうが、率直に言えば、かってにやったわけで、そういう面からいって、かりにわれわれがほんとうにやるということになった場合には、これは本格的な調査をしなければならぬ。民間団体の調査ができたからそれでいいというものじゃない。ただしかし、民間団体、がやるというものをとめるというわけにもいかないのですから、いろいろそういうふうなものがある一定の限度を越えてそれが発表されて、国の意思とは反して特に地元に大きな反響をもたらし、不安をもたらすということは決して好ましいことじゃないので、とめるとかということじゃなしに、そういった面についてはひとつ十分に注意しなければならぬ問題じゃないかというふうに実はわれわれも考えておるわけでありますが、いずれにいたしましても、やはり地元の人たちが十分に納得し、それ以上の開発が行なわれるということでない限りは、実地調査というものは絶対にできないんだという基本的な考え方をわれわれは持っておりますので、そういう面でひとつ御理解いただきたい。民間団体に行き過ぎがあるとすれば、十分そういうものは考慮して今後は進めなければいかぬ、こういう考え方を持っておりますので、御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/63
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064・田邊誠
○田邊委員 いま政務次官のお話もありますので、私はひとつ十分な対処をお願いいたしたいと思っておるのですが、ただ、この調査の中には、今後のいろいろなダム建設なりその他にわれわれが考慮すべき地域開発の一つの問題が含まれておるのであります。私がさっき申し上げたように直接的な補償の問題も必要でありまするけれども、それだけではいかぬ。いま政務次官がおっしゃているような今後の地域開発をどうするか、住民の将来にわたっての生活の再建というようなことをどうするかということが先行しなければならぬ。ということになれば、たとえば水没農民に対して一体どういうような再建をすべきであるかというようなことに対して、実はいろいろな注目すべき資料もこの中にあるのであります。そういたしますと、私は、もし建設省がこれに対して地域開発の予備調査を進めておられるとするならば、この問題とやはり一つのうらはらの関係の中で問題の今後の処理に当たれるんじゃないかという気がしているのであります。たとえば、水没農民が移転をする開拓地は一体どうなっているかといえば、ほとんどいままでの開拓農民によって手がけられておって、これ以上まとまって移転することはできない、こういうことも明らかにされておるのでありまして、そういった面では非常に私は貴重なものも含まれておると思うのであります。水没農家をまとめて集団的に入植させるという土地は全くないというようなことがあるわけでありますから、ひとつ基本的にはやはり国が責任を持つという立場で対処していただくと同時に、私は、局長のそのことばじりをとらえて言うつもりはないから、きょうはそんなことは言いませんが、忙しいから知らぬような形ではいけません。これはやはり中身を見て、あなた方の計画とテンポが合っていない、あるいは違うような立場、考え方、そういった場合には、やはり政務次官の言われたように、チェックしなければいかぬと思う。あるいはまた、この中で建設省がやっているところの予備調査とは違ったところで参考にするところがあれば、私はまた価値があると思う。そういった点で十分検討はしなくちゃならぬと思うのです。
そういったことを含めて私は特にお願いしたいのは、いま政務次官のお話しで私が実はきょう最後に特に強調しておきたいのは、各種のダムに対する調査がやられておるのです。群馬県はもう、さっき言ったように、被害県という言いぐさには当たらないかもしれませんけれども、たとえば本城ダムなんか、地元の了解なしに調査をやっておる。そこで、群馬県から「ダム問題に関する要望書」というのが建設省にわたっておると思うのです。つい最近であります。この調査にあたっては、先般、地元との連絡不十分なまま民有地に立ち入りいろいろな調査をされている。これは適切な措置とは思われない。今後は事前に地元と十分協議して了解を求める等の誠意を持って対処されたい、こういう要望があるのであります。さっきの調査の状態、これは新聞に出されて、地元に対する不安動揺を与えておる。こういったものを考えるときに、私は建設省として打つ手はやはりいろいろな面であると思うのであります。したがって私は、まずもってやはり地元の了解を求める。大臣は、さきの予算委員会で、もうやはり地元の市長なりに会わなくちゃいけないんじゃないか、こういう話もされておるのでありますから、予備調査を終わって実地調査になる段階で、ひとつ腹を固めるんだから、そのときに会おうというようなことでなくて、やはり——この種の問題は沼田ダムばかりでございません。八場ダムもそうです。本城ダムもそうです。群馬県ばかりでない。全国各地に起こるそういった調査については、予備調査の段階であろうと、やっぱり地元の知事や地元の市町村長にあるいは関係方面に十分な連絡をとるべきではないか。これは大臣の言明もこの問あるわけです。予算委員会の分科会で、「私がとにかくまず市長さんにお目にかかって、よく地元側のお話を伺わなければならぬと思っております。」こういうように大臣は言われておりますから、沼田ダムあるいは八場、本城その他のダムの調査の段階については、いままでの形式にとらわれることなく、その段階段階に応じて十分地元との連絡を緊密にしてこれに対処する、こういう点に対してひとつはっきりした言明をいただきたいと思うのです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/64
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065・仮谷忠男
○仮谷政府委員 ごもっともです。実は私も体験をしておりますから。ただ、ダムなんかをやるについて調査をするという場合には、ほんとうはこっちは扱き打ちにやっておるわけじゃない。たいがい知事さん方の意見もあり、町村長さんの意見もあり、そういうものを参酌しながらやるわけなんです。ところが、知事や町村長自体が直接のそことギャップがあるわけです。地元民と、開発しょうという町村長との間にギャップがあるわけですから、そこが十分にぴったりいっていないものですから、たまたま調査していると、何かということで問題が起こるわけなんです。ですから、そういった面は十分に考慮しなければならぬ。必要以上に刺激を与え不安を与えることですから、御意見を十分に尊重してこれからもやるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/65
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066・田邊誠
○田邊委員 実は具体的な問題は、調査の問題あるいは利水計画、治水計画の問題について多々あるわけでございますけれども、さきの大臣のお話もあり、また、いまの政務次官や局長の考え方もいろいろありますから、ぜひひとつそれを基本として今後私どもとまた十分討議をする中で問題の処理をお願いいたしたいと思います。個々の具体的な問題に対してはまた機会を改めて御質問を申し上げることにして、一応私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/66
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067・加藤常太郎
○加藤委員長 本日はこの程度とし、次回は、来たる十五日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105804149X02119680510/67
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